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特表2024-536668光学積層体及びその製造方法と、それを含むスマートウィンドウ、それを適用した自動車及び建物用建具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】光学積層体及びその製造方法と、それを含むスマートウィンドウ、それを適用した自動車及び建物用建具
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1335 20060101AFI20241001BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20241001BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20241001BHJP
   G02F 1/137 20060101ALI20241001BHJP
   E06B 3/66 20060101ALI20241001BHJP
   E06B 5/00 20060101ALI20241001BHJP
   E06B 9/24 20060101ALI20241001BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20241001BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20241001BHJP
   B32B 7/022 20190101ALI20241001BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20241001BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20241001BHJP
   C09J 7/30 20180101ALN20241001BHJP
【FI】
G02F1/1335 510
G02B5/30
G02B5/22
G02F1/137
E06B3/66 E
E06B5/00 D
E06B9/24 E
B60J1/00 H
B32B7/023
B32B7/022
G02F1/13 505
B32B27/32
C09J7/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501603
(86)(22)【出願日】2022-07-11
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 KR2022010055
(87)【国際公開番号】W WO2023287136
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】10-2021-0093370
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドン-フィ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ドン-ドク
【テーマコード(参考)】
2E016
2H088
2H148
2H149
2H291
4F100
4J004
【Fターム(参考)】
2E016AA01
2E016AA07
2E016EA05
2H088EA34
2H088FA18
2H088HA02
2H088HA16
2H088HA18
2H088KA29
2H088KA30
2H088MA06
2H148CA13
2H149AA01
2H149AB01
2H149BA02
2H149BA12
2H149CA02
2H149EA19
2H149EA29
2H149FA02X
2H149FA02Y
2H149FA03W
2H149FA03Y
2H149FA04Y
2H149FA05X
2H149FA05Y
2H149FA08X
2H149FA08Y
2H149FA12X
2H149FA12Y
2H149FA13X
2H149FA24W
2H149FA41Z
2H149FA66
2H149FA67
2H149FA69
2H149FC03
2H149FD31
2H149FD47
2H149FD48
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA30X
2H291FA30Z
2H291FA94X
2H291FA94Z
2H291FB02
2H291FB05
2H291FB22
2H291FC07
2H291FC37
2H291FD34
2H291GA04
2H291GA23
2H291HA05
2H291LA11
4F100AA33B
4F100AA33D
4F100AK21A
4F100AK21E
4F100AS00C
4F100BA05
4F100CB05B
4F100GB07
4F100GB32
4F100JD09E
4F100JG01B
4F100JG01D
4F100JK08A
4F100JK08E
4F100JK12E
4F100JL13E
4F100JN01B
4F100JN01D
4F100JN10A
4F100JN10E
4F100YY00A
4F100YY00E
4J004AB01
(57)【要約】
本発明は、第1偏光子を含む第1偏光板と、前記第1偏光板の内側面上に形成される第1透明導電層と、前記第1偏光板と対向して、第2偏光子を含む第2偏光板と、前記第2偏光板の内側面上に形成され、前記第1透明導電層と対向する第2透明導電層と、前記第1透明導電層及び第2透明導電層の間に備えられる液晶層と、を含み、前記第1透明導電層及び第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板及び第2偏光板のいずれか一つの偏光板と直接接触して形成され、前記第1偏光子の収縮力Fと第2偏光子の収縮力Fとが、式1を満足する、透過率可変光学積層体及びその製造方法と、それを含むスマートウィンドウ、それを適用した自動車及び建物用建具に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1偏光子を含む第1偏光板と、
前記第1偏光板の内側面上に形成される第1透明導電層と、
前記第1偏光板と対向して、第2偏光子を含む第2偏光板と、
前記第2偏光板の内側面上に形成され、前記第1透明導電層と対向する第2透明導電層と、
前記第1透明導電層及び第2透明導電層の間に備えられる液晶層と、を含み、
前記第1透明導電層及び第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板及び第2偏光板のいずれか一つの偏光板と直接接触して形成され、
前記第1偏光子の収縮力Fと第2偏光子の収縮力Fとが、下記の式1を満足する、透過率可変光学積層体。
[式1]0.5≦F/F≦0.8
【請求項2】
前記第1偏光子の収縮力Fは、1.0乃至2.0Nである、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項3】
前記第2偏光子の収縮力Fは、2.0乃至4.0Nである、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項4】
前記第1偏光子の厚さは、1乃至10μmである、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項5】
前記第2偏光子の厚さは、5乃至25μmである、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項6】
前記第1偏光子の吸収軸と第2偏光子の吸収軸とが互いに平行である、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項7】
前記第1透明導電層及び第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板及び第2偏光板のいずれか一つの偏光板との間に別途の基材を含まずに、直接接触して形成される、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項8】
前記第1透明導電層及び第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板及び第2偏光板のいずれか一つの偏光板との間に易接着層を含み、直接接触して形成される、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項9】
前記第1透明導電層及び第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、透明導電性酸化物、金属、炭素系物質、伝導性高分子、導電性インク及びナノワイヤからなる群より選択される1種以上を含む、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項10】
前記第1偏光板及び第2偏光板の少なくとも一つの偏光板は、保護層、位相差調節層及び屈折率調節層からなる群より選択される1種以上の機能層を含む、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項11】
前記第1偏光板及び第2偏光板の少なくとも一つの偏光板は、30乃至200μmの厚さを有する、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項12】
前記液晶層は、ボールスペーサー(Ball spacer)及びコラムスペーサー(Column spacer)からなる群より選択される1種以上を含む、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項13】
前記ボールスペーサー(Ball spacer)は、直径が1乃至10μmである、請求項12に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項14】
前記ボールスペーサー(Ball spacer)の液晶層内での占有面積は、液晶層面積の0.01%乃至10%である、請求項12に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項15】
前記透過率可変光学積層体は、配向膜、粘接着層、紫外線吸収層及びハードコーティング層からなる群より選択される1種以上をさらに含む、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項16】
請求項1乃至請求項15のいずれか一項に記載の透過率可変光学積層体の製造方法。
【請求項17】
請求項1乃至請求項15のいずれか一項に記載の透過率可変光学積層体を含む、スマートウィンドウ。
【請求項18】
請求項17に記載のスマートウィンドウを、前面窓、後面窓、側面窓、サンループ窓、及び内部仕切りの少なくとも一つ以上に適用した、自動車。
【請求項19】
請求項17に記載のスマートウィンドウを含む、建物用建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過率可変光学積層体及びその製造方法と、それを含むスマートウィンドウ、それを適用した自動車及び建物用建具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に車両などの移動手段のガラス窓に外光遮断コーティングを施す場合が多い。しかし、従来の移動手段のガラス窓は透過率が固定されており、外光遮断コーティングも透過率が固定されている。したがって、このような従来の移動手段のウィンドウは全透過率が固定されていて、事故を誘発することがある。例えば、全体的な透過率が低く設定されていたら、周辺に光量が十分な昼間には問題がない。しかし、周辺に光量が十分ではない夜間などの場合には、運転者などが移動手段の周辺をきちんと確認するにおいて困難性があるという問題点があった。または全体的な透過率が高く設定されていたら、周辺に光量が十分な昼間には運転者などの眩しさを引き起こすことがあるという問題点があった。これにより電圧が印加されると、光の透過性を変化させることができる透過率可変光学積層体が開発された。
【0003】
前記透過率可変光学積層体は、電圧の印加によって液晶を駆動させて透過率を可変させることによって駆動されるが、現在まで開発された透過率可変光学積層体は、液晶駆動のための導電層を別途の基材上に形成した後、これを偏光板などの他の素子と結合して製作される。
【0004】
例えば、日本国特開第2018-010035号公報も、所定の厚さを有するポリカーボネート(PC)基板などに形成された透明電極層を含む透過率可変光学積層体を開示している。
【0005】
しかし、このように導電層を形成するために別途の基材を含む場合、製作工程が複雑になることによって製造費用が上昇し、積層体の厚さが厚くなり、位相差が発生するにより透過率が変化するという問題がある。
【0006】
したがって、導電層を形成するための別途の基材を含まないことで、製作工程を簡素化し、厚さを減少させることができる透過率可変光学積層体に対する開発が必要な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018-010035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、導電層の形成のための別途の基材を含まないことで、製作工程が簡素化した透過率可変光学積層体を提供することを発明の目的とする。
【0009】
また、本発明は、導電層の形成のための別途の基材を含まないことで、厚さが顕著に減少した透過率可変光学積層体を提供することを発明の目的とする。
【0010】
また、本発明は、導電層の形成のための別途の基材を含まないことで、透光モードでの透過率が向上した透過率可変光学積層体を提供することを発明の目的とする。
【0011】
また、本発明は、互いに異なる二つの偏光子の収縮力を調節することによって、湾曲形状を有する透過率可変光学積層体を提供することを発明の目的とする。
【0012】
また、本発明は、互いに異なる二つの偏光子の収縮力を調節することによって、内外部の温度変化による変形を最小化した透過率可変光学積層体を提供することを発明の目的とする。
【0013】
また、本発明は、互いに異なる二つの偏光子の収縮力を調節することによって、内外部の温度変化による調光機能の劣化を防止することができる透過率可変光学積層体を提供することを発明の目的とする。
【0014】
また、本発明は、前記透過率可変光学積層体を含むスマートウィンドウ及びそれを適用した自動車または建物用建具を提供することを発明の目的とする。
【0015】
しかし、本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は、下記の記載から通常の技術者に明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、第1偏光子を含む第1偏光板と、前記第1偏光板の内側面上に形成される第1透明導電層と、前記第1偏光板と対向して、第2偏光子を含む第2偏光板と、前記第2偏光板の内側面上に形成され、前記第1透明導電層と対向する第2透明導電層と、前記第1透明導電層及び第2透明導電層の間に備えられる液晶層と、を含み、前記第1透明導電層及び第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板及び第2偏光板のいずれか一つの偏光板と直接接触して形成され、前記第1偏光子の収縮力Fと第2偏光子の収縮力Fとが、下記の式1を満足する、透過率可変光学積層体に関するものである。
[式1]0.5≦F/F≦0.8
【0017】
本発明は、その第1観点において、前記第1偏光子の収縮力Fは、1.0乃至2.0Nのものであってもよい。
【0018】
本発明は、その第2観点において、前記第2偏光子の収縮力Fは、2.0乃至4.0Nのものであってもよい。
【0019】
本発明は、その第3観点において、前記第1偏光子の厚さは、1乃至10μmのものであってもよい。
【0020】
本発明は、その第4観点において、前記第2偏光子の厚さは、5乃至25μmのものであってもよい。
【0021】
本発明は、その第5観点において、前記第1偏光子の吸収軸と第2偏光子の吸収軸とが互いに平行なものであってもよい。
【0022】
本発明は、その第6観点において、前記第1透明導電層及び第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板及び第2偏光板のいずれか一つの偏光板との間に別途の基材を含まずに、直接接触して形成されるものであってもよい。
【0023】
本発明は、その第7観点において、前記第1透明導電層及び第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板及び第2偏光板のいずれか一つの偏光板との間に易接着層を含み、直接接触して形成されるものであってもよい。
【0024】
本発明は、その第8観点において、前記第1透明導電層及び第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、透明導電性酸化物、金属、炭素系物質、伝導性高分子、導電性インク及びナノワイヤからなる群より選択される1種以上を含むものであってもよい。
【0025】
本発明は、その第9観点において、前記第1偏光板及び第2偏光板の少なくとも一つの偏光板は、保護層、位相差調節層及び屈折率調節層からなる群より選択される1種以上の機能層を含むものであってもよい。
【0026】
本発明は、その第10観点において、前記第1偏光板及び第2偏光板の少なくとも一つの偏光板は、30乃至200μmの厚さを有するものであってもよい。
【0027】
本発明は、その第11観点において、前記液晶層は、ボールスペーサー(Ball spacer)及びコラムスペーサー(Column spacer)からなる群より選択される1種以上を含むものであってもよい。
【0028】
本発明は、その第12観点において、前記ボールスペーサー(Ball spacer)は、直径が1乃至10μmのものであってもよい。
【0029】
本発明は、その第13観点において、前記ボールスペーサー(Ball spacer)の液晶層内での占有面積は、液晶層面積の0.01%乃至10%のものであってもよい。
【0030】
本発明は、その第14観点において、前記透過率可変光学積層体は、配向膜、粘接着層、紫外線吸収層及びハードコーティング層からなる群より選択される1種以上をさらに含むものであってもよい。
【0031】
また、本発明は、前記透過率可変光学積層体の製造方法に関するものである。
【0032】
また、本発明は、前記透過率可変光学積層体を含む、スマートウィンドウに関するものである。
【0033】
また、本発明は、前記スマートウィンドウを、前面窓、後面窓、側面窓、サンループ窓、及び内部仕切りの少なくとも一つ以上に適用した、自動車に関するものである。
【0034】
また、本発明は、前記スマートウィンドウを含む、建物用建具に関するものである。
【発明の効果】
【0035】
本発明に係る透過率可変光学積層体によると、従来の光学積層体の形成のために基材上に導電層を形成し、これを他の部材と貼合するなどの工程を省略することができ、従来の光学積層体に対して製作工程を簡素化することができる。
【0036】
また、本発明に係る透過率可変光学積層体によると、偏光板の一面上に直接導電層が形成され、導電層の形成のための別途の基材を含まないことで、従来の光学積層体に対して厚さを顕著に減少させることができる。
【0037】
また、本発明に係る透過率可変光学積層体によると、偏光板の一面上に直接導電層が形成され、導電層の形成のための別途の基材を含まないことで、従来の光学積層体に対して透光モードでの透過率を向上させることができる。
【0038】
また、本発明に係る透過率可変光学積層体によると、互いに異なる二つの偏光子の収縮力を調節することによって、湾曲部を有することができる。
【0039】
また、本発明に係る透過率可変光学積層体によると、互いに異なる二つの偏光子の収縮力を調節することによって、従来の光学積層体に対して内外部の温度変化による変形を最小化することができる。
【0040】
また、本発明に係る透過率可変光学積層体によると、互いに異なる二つの偏光子の収縮力を調節することによって、従来の光学積層体に対して内外部の温度変化による調光機能の劣化を最小化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、本発明の一実施例に係る透過率可変光学積層体の積層構造を示した図である。
図2図2は、本発明の一または複数の実施例に係る偏光板の積層構造を示した図である。
図3図3は、本発明の他の実施例に係る透過率可変光学積層体の積層構造を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明は、湾曲部を有する透過率可変光学積層体に関するものであって、詳しくは、偏光板の一面上に液晶駆動のための導電層を直接形成することによって、導電層の形成のための別途の基材を含まないため積層体の厚さを減少させ、光透過モードでの透過率が向上し、互いに対向する二つの偏光子の収縮力を調節することによって内外部温度変化による変形及び調光機能の劣化を最小化することができる、透過率可変光学積層体に関するものである。
【0043】
より詳しくは、第1偏光子を含む第1偏光板と、前記第1偏光板の内側面上に形成される第1透明導電層と、前記第1偏光板と対向して、第2偏光子を含む第2偏光板と、前記第2偏光板の内側面上に形成され、前記第1透明導電層と対向する第2透明導電層と、前記第1透明導電層及び第2透明導電層の間に備えられる液晶層と、を含み、前記第1透明導電層及び第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板及び第2偏光板のいずれか一つの偏光板と直接接触して形成され、前記第1偏光子の収縮力Fと第2偏光子の収縮力Fとが、下記の式1を満足する、透過率可変光学積層体に関するものである。
[式1]0.5≦F/F≦0.8
【0044】
本発明の透過率可変光学積層体は、電圧の印加によって光の透過性を変化させることができる技術分野に特に適しており、例えば、スマートウィンドウ(smart window)などに用いることができる。
【0045】
スマートウィンドウ(smart window)とは、電気信号の印加によって光の透過性を変化させて通過される光または熱の量を制御する光学構造物を意味する。すなわち、スマートウィンドウ(smart window)は、電圧によって透明、不透明または半透明の状態に変化できるように備えられ、透過度可変ガラス、調光ガラスまたはスマートガラス(smart glass)などとも呼ばれる。
【0046】
スマートウィンドウ(smart window)は、車両及び建築物の内部空間の区画用またはプライバシー保護用仕切りに活用されるか、建築物の開口部に配置された採光窓に活用されてもよく、高速道路表示板、掲示板、点数板、時計または広告スクリーンに活用されてもよく、自動車、バス、航空機、船舶または汽車の窓(windows)またはサンルーフのような運送手段のガラスを代替して活用可能である。
【0047】
本発明の透過率可変光学積層体も、前述の様々な技術分野のスマートウィンドウ(smart window)に活用可能であるが、透明導電層が偏光板に直接形成されることによって、透明導電層の形成のための別途の基材を含まないため、厚さが薄く屈曲特性に有利で、車両用または建物用スマートウィンドウ(smart window)に特に適合して用いることができる。一または複数の実施形態において、本発明の透過率可変光学積層体が適用されたスマートウィンドウ(smart window)は、自動車の前面窓、後面窓、側面窓及びサンルーフ窓、または建物用建具などに用いることができ、外光遮断用途以外にも、内部仕切りなどのように自動車または建物などの内部空間区画用またはプライバシー保護用にも用いることができる。
【0048】
以下、図面を参考にして、本発明の実施形態をより具体的に説明することにする。ただし、本明細書に添付される以下の図面は、本発明の好ましい実施形態を例示するものであって、前述の発明の内容とともに本発明の技術思想をより理解させる役目を果たすものであるので、本発明は、これらの図面に記載された事項にのみ限定して解釈されてはならない。
【0049】
本明細書で使用される用語は、実施例を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は文句で特に言及しない限り、複数形も含む。例えば、本明細書で使用される「偏光板」は、第1偏光板及び第2偏光板の少なくとも一つの偏光板を意味するものであってもよく、「透明導電層」は、第1透明導電層及び第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層を意味するものであってもよい。
【0050】
本明細書で使用される「含む(comprises)」および/または、「含む(comprising)」は言及された構成要素、ステップ、動作および/または素子以外の一つ以上の他の構成要素、ステップ、動作および/または素子の存在または追加を排除しない意味で使用される。明細書全体にかけて同一の参照符号は同一の構成要素を指す。
【0051】
空間的に相対的な用語である「下」、「底面」、「下部」、「上」、「上面」、「上部」などは、図面に示されているように、一つの素子または構成要素と他の素子または構成要素との相関関係を容易に記述するために使用することができる。空間的に相対的な用語は、図面に示されている方向に加えて、使用時または動作時の素子の互いに異なる方向を含む用語として理解されるべきである。例えば、図面に示されている素子を覆す場合、他の素子の「下」または「下部」と記述された素子は、他の素子の「上」に置かれることもある。したがって、例示的な用語である「下」は下と上の方向をいずれも含むことができる。素子は他の方向にも配向することができ、これにより空間的に相対的な用語は配向に応じて解釈することができる。
【0052】
本明細書で使用される「収縮力」は、偏光子の吸収軸方向が長辺になるように偏光子を30mm×2mm大きさに切断した後、これをDMA Q800(Dynamic mechanical analyzer、TA社)を用いて測定された値で定義する。
【0053】
図1は、本発明の一実施例に係る透過率可変光学積層体の積層構造を示した図であり、図2は、本発明の一または複数の実施例に係る偏光板の積層構造を示した図であり、図3は、本発明の他の実施例に係る透過率可変光学積層体の積層構造を示した図である。
【0054】
図1を参照すると、本発明の一実施例に係る透過率可変光学積層体は、第1偏光板100-1、第2偏光板100-2、第1透明導電層200-1、第2透明導電層200-2及び液晶層300を含み、湾曲部を有するものであってもよい。
【0055】
前記湾曲部の形成方向は、ユーザの必要に応じて適切に選択されてもよく、例えば、光学積層体の中心領域が外部に向かうように湾曲部が形成されるものであってもよい。
【0056】
図2を参照すると、前記偏光板100は、偏光子110を含み、前記偏光子110の一面または両面上に、保護層120、位相差調節層130及び屈折率調節層140などのような機能層をさらに含むものであってもよい。例えば、偏光板100は、偏光子110及び前記偏光子110の一面または両面上に積層された保護層120を含むもの(図2a及び図2b参照)であってもよい。また、前記偏光板100は、偏光子110、前記偏光子110の一面上に積層された保護層120及び前記偏光子110の前記一面に対向する他面上に積層された位相差調節層130を含むもの(図2c参照)であってもよい。また、前記偏光板100は、偏光子110、前記偏光子の一面上に積層された保護層120及び前記偏光子110の前記一面に対向する他面上に順次積層された位相差調節層130及び屈折率調節層140を含むもの(図2d参照)であってもよい。また、前記偏光板100は、偏光子110、前記偏光子の一面上に積層された保護層120及び前記偏光子110の前記一面に対向する他面上に順次積層された保護層120及び位相差調節層130を含むもの(図2e参照)であってもよい。
【0057】
前記偏光子110は、従来のまたは以後に開発される偏光子を用いてもよく、例えば、延伸型偏光子またはコーティング型偏光子などを用いてもよい。
【0058】
一実施例において、前記延伸型偏光子は、延伸したポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol;PVA)系樹脂を含んでもよい。前記ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol;PVA)系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をせっけん化して得られたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他に、酢酸ビニルとこれと共重合可能な他の単量体との共重合体などが挙げられる。前記他の単量体としては、不飽和カルボン酸系、不飽和スルホン酸系、オレフイン系、ビニルエーテル系、アンモニウム基を有するアクリアミド系単量体などであってもよい。またポリビニルアルコール(PVA)系樹脂は変性されたものを含み、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールであってもよい。
【0059】
一実施例において、前記コーティング型偏光子は、液晶コーティング用組成物によって形成されてもよく、このとき、前記液晶コーティング用組成物は、反応性液晶化合物及び異色性染料などを含んでもよい。
【0060】
前記反応性液晶化合物は、例えば、メソゲン(mesogen)骨格などを含み、さらに重合性官能基を一つ以上含む化合物を意味することができる。このような反応性液晶化合物は、所謂RM(Reactive Mesogen)という名称で様々に公知されている。前記反応性液晶化合物は、光または熱によって重合されて液晶配列を維持しながら高分子ネットワークが形成された硬化膜を構成することができる。
【0061】
前記反応性液晶化合物は、単官能性または多官能性反応性液晶化合物であってもよい。前記単官能性反応性液晶化合物は、重合性官能基を1個有する化合物であり、多官能性反応性液晶化合物は、重合性官能基を2個以上含む化合物を意味することができる。
【0062】
前記異色性染料は、液晶コーティング用組成物に含まれ、偏光特性を付与する成分であって、分子の長軸方向における吸光度と短軸方向における吸光度が異なる性質を有する。前記異色性染料は、従来のまたは以後に開発される異色性染料を用いてもよく、例えば、アゾ染料(azo dyes)、アントラキノン染料(anthraquinone dyes)、ペリレン染料(perylene dyes)、メロシアニン染料(merocyanine dyes)、アゾメチン染料(azomethine dyes)、フタルロペリレン染料(phthaloperylene dyes)、インディゴ染料(indigo dyes)、ジオキサジン染料(dioxazine dyes)、ポリチオフェン染料(polythiophene dyes)及びフェノキサジン染料(phenoxazine dyes)からなる群より選択される1種以上を含むものであってもよい。
【0063】
前記液晶コーティング用組成物は、前記反応性液晶化合物及び前記異色性染料を溶解可能な溶剤をさらに含んでもよく、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、メチルエチルケトン(MEK)、キシレン(xylene)及びクロロホルム(chloroform)などが用いられてもよい。また、前記液晶コーティング用組成物は、コーティング膜の偏光特性を阻害しない範囲内でレーベリング剤、重合開始剤などをさらに含んでもよい。
【0064】
一実施例において、前記第1偏光板100-1に備えられる第1偏光子と第2偏光板100-2に備えられる第2偏光子とはそれぞれ異なる収縮力を有するものであってもよい。前記第1偏光子と第2偏光子の収縮力が異なる場合、光学積層体の湾曲部の形成を容易にし、湾曲部を有する光学積層体の耐久性をより向上させることができる。
【0065】
例えば、図1に示されているように、第2偏光板100-2に備えられる第2偏光子の収縮力Fが、第1偏光板100-1に備えられる第1偏光子の収縮力Fより大きいものであってもよく、この場合、光学積層体は、光学積層体の中心領域が第2方向に向かうように湾曲する形状を有するものであってもよい。
【0066】
前記第1偏光子の収縮力Fと第2偏光子の収縮力Fとは、本発明の目的を損なわない範囲内で適切に設定されてもよいが、下記の式1を満足することが好ましい。
[式1]0.5≦F/F≦0.8
【0067】
前記第2偏光子の収縮力Fに対する第1偏光子の収縮力Fの比F/Fが0.5未満の場合、光学積層体の過度な曲りによって調光機能が低下されることがあり、0.8を超過する場合、光学積層体の湾曲形状の形成に不利な場合がある。
【0068】
一または複数の実施例において、前記第1偏光子の収縮力Fは、1.0乃至2.0Nであってもよく、好ましくは、1.3乃至1.8Nであってもよい。また、前記第2偏光子の収縮力Fは、2.0乃至4.0Nであってもよく、好ましくは、2.2乃至3.8Nであってもよい。前記第1偏光子の収縮力F及び第2偏光子の収縮力Fが前記範囲を満足する場合、光学積層体の湾曲形状の形成が容易で、湾曲部による光学積層体の調光機能の低下が発生せず、光学積層体の内外部温度変化による耐久性の低下を最小化することができる。
【0069】
一または複数の実施形態において、前記第1偏光子の厚さは、1乃至10μmであってもよく、好ましくは、3乃至10μmであってもよい。前記第2偏光板の厚さは、5乃至25μmであってもよく、好ましくは、10乃至25μmであってもよい。前記第1偏光板の厚さ及び第2偏光板の厚さが前記範囲を満足する場合、光学積層体の湾曲形状の形成が容易で、湾曲部による光学積層体の調光機能の低下が発生せず、光学積層体の内外部温度変化による耐久性の低下を最小化することができる。
【0070】
前記第1偏光子の吸収軸と第2偏光子の吸収軸とは、本発明の目的を損なわない範囲内で適切に配置されてもよく、例えば、第1偏光子の吸収軸と第2偏光子の吸収軸とが平行なものであってもよい。
【0071】
前記保護層120は、後工程及び外部環境から偏光子110の偏光特性を保存するためのものであって、保護フィルムなどの形態で具現することができる。
【0072】
前記保護層120は、図2a及び図2bに示されているように、偏光子110の一面または両面上に直接接触して形成されてもよいが、これに限定されるものではない。例えば、前記保護層は、一つ以上の保護層が連続的に積層された複層構造として用いられてもよく、他の機能層と直接接触して形成されるものであってもよい。
【0073】
一または複数の実施例において、前記保護層120は、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)、ポリエチレンイソフタレート(polyethylene isophthalate;PEI)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate;PEN)、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate;PBT)、ジアセチルセルロース(diacetyl cellulose)、トリアセチルセルロース(triacetyl cellulose;TAC)、ポリカーボネート(polycarbonate;PC)、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、ポリメチルアクリレート(polymethyl acrylate;PMA)、ポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate;PMMA)、ポリエチルアクリレート(polyethyl acrylate;PEA)、ポリエチルメタクリレート(polyethyl methacrylate;PEMA)及び環状オレフイン系ポリマー(cyclic olefin polymer;COP)からなる群より選択される1種以上を含むものであってもよい。
【0074】
前記位相差調節層130は、光学積層体の光学特性を補完するためのものであって、位相差フィルムなどの形態で具現されてもよく、従来のまたは以後に開発される位相差フィルムなどを用いてもよい。例えば、光の位相を遅延させるための四分の一波長板(1/4波長板)または半波長板(1/2波長板)などを用いてもよく、これらを単独でまたは組み合わせて用いてもよい。
【0075】
前記位相差調節層130は、図2c及び図2dに示されているように、偏光子110の一面上に直接接触して形成されてもよいが、これに限定されるものではない。例えば、図2eに示されているように、前記位相差調節層130が保護層120の一面上に形成され、偏光子110、保護層120及び位相差調節層130が順次積層されるものであってもよい。
【0076】
前記位相差調節層130は、延伸によって光学異方性を付与することができる高分子フィルムを適切な方式で延伸した高分子延伸フィルムまたは液晶重合フィルムを用いてもよい。
【0077】
一実施例において、前記高分子延伸フィルムは、ポリエチレン(polyethylene;PE)またはポリプロピレン(polypropylene;PP)などのポリオレフィン、ポリノルボルネン(polynorbornene)などの環状オレフインポリマー(COP:cyclo olefin polymer)、ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride;PVC)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile;PAN)、ポリスルホン(polysulfone;PSU)、アクリル樹脂(acryl resin)、ポリカーボネート(polycarbonate;PC)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)などのポリエステル、ポリアクリレート(polyacrylate)、ポリビニルアルコール(polyvinyl acholol;PVA)またはトリアセチルセルロース(triacetyl cellulose;TAC)などのセルロースエステル系ポリマーや、前記ポリマーを形成する単量体の中で2種以上の単量体の共重合体などを含む高分子層を用いてもよい。
【0078】
前記高分子延伸フィルムを得る方法は、特に制限されず、例えば、前記高分子材料をフィルム状に成形した後、延伸することにより得られる。前記フィルム状への成形方法は特に制限されるものではなく、射出成形、シート成形、ブロー成形、射出ブロー成形、インフレーション成形、押出成形、発泡成形、キャスト成形などの公知の方法でフィルムに成形することが可能であり、圧空成形、真空成形などの二次加工成形法を用いてもよい。その中でも、押出成形、キャスト成形が好ましく用いられる。このとき、例えば、Tダイ、円形ダイなどが取り付けられた押出機などを用いて未延伸フィルムを押出成形することができる。押出成形により成形品を得る場合には、予め各種の樹脂成分、添加剤などを溶融混練した材料を用いることもできれば、押出成形時に溶融混練を経て成形することもできる。また、各種の樹脂成分に共通する溶媒、例えば、クロロホルム、二塩化メチレンなどの溶媒を用いて各種の樹脂成分を溶解した後、キャスト乾燥固化することにより、未延伸フィルムをキャスト成形してもよい。
【0079】
前記高分子延伸フィルムは、前記成形されたフィルムを機械的流れ方向(MD;Mechanical Direction、縦方向または長手方向)に一軸延伸、機械的流れ方向に直交する方向(TD;Transverse Direction、横方向または幅方向)に一軸延伸してもよく、またロール延伸とテンター延伸の順次二軸延伸法、テンター延伸による同時二軸延伸法、チューブラー延伸による二軸延伸法などにより延伸することによって、二軸延伸フィルムを製造してもよい。
【0080】
前記液晶重合フィルムは、反応性液晶化合物を重合された状態で含むことができる。前記反応性液晶化合物は、前述したコーティング型偏光子の反応性液晶化合物に関する内容を同様に適用することができる。
【0081】
一または複数の実施例において、前記位相差調節層130の厚さは、高分子延伸フィルムの場合には10乃至100μmであってもよく、液晶重合フィルムの場合には、0.1乃至5μmであってもよい。
【0082】
前記屈折率調節層140は、前記透明導電層200による光学積層体の屈折率差を補償するために備えられるものであり、屈折率差を減少させることによって、視認特性などを改善させるための役目を果たすものであってもよい。また、前記屈折率調節層140は、前記透明導電層200に起因する色相を補正するために備えられるものであってもよい。一方、前記透明導電層がパターンを有する場合には、前記屈折率調節層140を通じて前記パターンが形成されているパターン領域とパターンが形成されていない非パターン領域の間の透過率差を補償することができる。
【0083】
具体的に、前記透明導電層200は、これと屈折率が異なる他の部材(例えば、偏光子110など)に隣接して積層され、隣接する他層との屈折率差によって光透過率の差が誘発されることがあり、特に透明導電層にパターンが形成された場合、パターン領域と非パターン領域とを区分できるように視認される問題点が発生し得る。したがって、前記屈折率調節層140を含むことにより屈折率を補償するようにし、光学積層体の光透過率の差を減少できるようにして、特に透明導電層にパターンが形成された場合には、パターン領域及び非パターン領域が区分され視認されないようにする。
【0084】
一実施例において、前記屈折率調節層140の屈折率は、隣接する他の部材の材料によって適切に選択されてもよいが、1.4乃至2.6であることが好ましく、より好ましくは、1.4乃至2.4であってもよい。この場合、前記偏光子110などの他の部材と透明導電層200の間の急激な屈折率差による光損失を防止することができる。
【0085】
前記屈折率調節層140は、偏光子110などの他の部材と透明導電層200の間の急激な屈折率差を防止することができるものであれば特に制限されず、従来のまたは以後に開発される屈折率調節層の形成に用いられる化合物を用いてもよく、例えば、重合性イソシアヌレート化合物を含む屈折率調節層形成組成物から形成されるものであってもよい。
【0086】
一実施例において、前記偏光板100は、前述した機能層以外にも偏光子の特性を補助または強化するための他の機能層をさらに含んでもよく、例えば、機械的耐久性をより向上させるために、オーバーコート層などをさらに含むものであってもよい。
【0087】
一または複数の実施例において、前記偏光板100は、30乃至200μmの厚さを有するものであってもよく、好ましくは、30乃至170μmであってもよく、より好ましくは、50乃至150μmのものであってもよい。この場合、前記偏光板100は、光学特性を維持しながらも薄い厚さの光学積層体の製造が可能である。
【0088】
前記透明導電層200は、液晶層300の駆動のために備えられるものであり、前記偏光板100と直接接触して形成されるものであってもよい。例えば、図1に示されているように、第1透明導電層200-1及び第2透明導電層200-2は、それぞれ第1偏光板100-1及び第2偏光板100-2に直接接触して形成されるものであってもよい。
【0089】
従来のスマートウィンドウ(smart window)などの製造に用いられる光学積層体は、液晶駆動のための導電層を基材の一面上に形成し、前記基材の他面を偏光板と貼合することによって製造された。しかし、本発明に係る透過率可変光学積層体は、導電層の形成のための別途の基材を含まずに、偏光板の一面上に導電層を直接形成することによって、積層体の厚さを減少させると共に、透光モードでの透過率及び屈曲特性を向上させることを特徴とする。
【0090】
一実施例において、前記透明導電層200は、前記偏光板100の一面上に直接蒸着して形成されるものであってもよい。このとき、前記透明導電層200は、偏光板100との接着力の向上のために、偏光板100の一面上にコロナ処理またはプラズマ処理などの前処理を施した後、前記偏光板100の前処理を施した面と直接接触して形成されるものであってもよい。前記前処理は、コロナ処理またはプラズマ処理に限定されるものではなく、本発明の目的を損なわない範囲内で、従来のまたは以後に開発される前処理工程を用いてもよい。
【0091】
他の実施例において、前記透明導電層200は、偏光板100との接着力の向上のために、偏光板100の一面上に備えられた易接着層(図示せず)を挟んで、偏光板100と直接接触して形成されるものであってもよい。
【0092】
前記透明導電層200は、可視光に対する透過率が50%以上であることが好ましく、例えば、透明導電性酸化物、金属、炭素系物質、伝導性高分子、導電性インク及びナノワイヤからなる群より選択される1種以上を含むものであってもよいが、これに限定されるものではなく、従来のまたは以後に開発される透明導電層の材料が用いられてもよい。
【0093】
一または複数の実施形態において、前記透明導電性酸化物は、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、インジウム亜鉛スズ酸化物(IZTO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO)、フロリンスズ酸化物FTO)及び亜鉛酸化物(ZnO)などからなる群より選択される1種以上を含んでもよい。また、前記金属は、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)及びこれらの少なくとも一つを含有する合金などからなる群より選択される1種以上を含むものであってもよく、例えば、銀-パラジウム-銅(APC)合金または銅-カルシウム(CuCa)合金を含んでもよい。前記炭素系物質は、カーボンナノチューブ(CNT)及びグラフェン(graphene)などからなる群より選択される1種以上を含むものであってもよく、前記伝導性高分子は、ポリピロール(polypyrrole)、ポリチオフェン(polythiophene)、ポリアセチレン(polyacetylene)、ピドット(PEDOT)及びポリアニリン(polyaniline)などからなる群より選択される1種以上を含んでもよい。前記導電性インクは、金属パウダーと硬化性高分子バインダーとが混合されたインクであってもよく、ナノワイヤは、例えばシルバーナノワイヤ(AgNW)であってもよい。
【0094】
また、前記透明導電層200は、前記物質を組み合わせて、2層以上の構造で形成されてもよい。例えば、入射光の反射率を下げ、透過率を高めるように金属層及び透明導電性酸化物層を含む2層構造で形成されてもよい。
【0095】
前記透明導電層200は、当該分野で通常的に用いられる方法によって形成されてもよく、例えば、スピンコート法、ローラーコート法、バーコート法、ディップコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、ニーダーコート法などのコート工程;スクリーン印刷法、スプレー印刷法、インクジェット印刷法、凸板印刷法、凹板印刷法、平板印刷法などの印刷工程;CVD(chemicalvapor deposition)、PVD(physical vapor deposition)、PECVD(plasma enhanced chemicalvapor deposition)などの蒸着工程などの方法のうち、適切な工程を選択して形成されてもよい。
【0096】
前記液晶層300は、電界によって一または複数の方向から入射される光の透過度を調節することによって、前記光学積層体の駆動モードを変更することができる。
【0097】
前記液晶層300は、液晶化合物を含むものであってもよく、例えば、光制御領域で第1偏光板100-1及び第2偏光板100-2の間に備えられるシーラント層(図示せず)及びスペーサー(図示せず)によって提供される空間内に位置してもよい。
【0098】
前記液晶層300の液晶挙動方式は、特に制限されるものではなく、例えば、TN(Twisted nematic)モード、STN(Super twisted nematic)モード、VA(Vertic alalignment)モードなどが用いられてもよい。
【0099】
前記液晶化合物は、電界によって駆動されるものであって、光の透過率を制御できるものであれば特に制限されず、従来のまたは以後に開発される液晶化合物を用いてもよく、例えば、前述したコーティング型偏光子の反応性液晶化合物に関する内容を同様に適用することができる。
【0100】
前記シーラントは、ベース樹脂として硬化性樹脂を含んでもよい。前記ベース樹脂としては、当業界でシーラントに用いられるものと公知された紫外線硬化性樹脂または熱硬化性樹脂を用いてもよい。前記紫外線硬化性樹脂は、紫外線硬化性単量体の重合体であってもよい。前記熱硬化性樹脂は、熱硬化性単量体の重合体であってもよい。
【0101】
前記シーラントのベース樹脂としては、例えば、アクリレート系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、フェノール系樹脂または前記樹脂の混合物を用いてもよい。一実施例において、前記ベース樹脂は、アクリレート系樹脂であってもよく、前記アクリレート系樹脂は、アクリル単量体の重合体であってもよい。前記アクリル単量体は、例えば、多官能性アクリレートであってもよい。他の実施例において、前記シーラントは、ベース樹脂に単量体成分をさらに含んでもよい。前記単量体成分は、例えば、単官能性アクリレートであってもよい。本明細書において、単官能性アクリレートは、アクリル基を1個有する化合物を意味することができ、多官能性アクリレートは、アクリル基を2個以上有する化合物を意味することができる。前記硬化性樹脂は、紫外線の照射及び/または加熱によって硬化することができる。前記紫外線照射条件または加熱条件は、本出願の目的を損なわない範囲で適切に行われてもよい。前記シーラントは必要に応じて、開始剤、例えば光開始剤または熱開始剤をさらに含んでもよい。
【0102】
前記シーラントは、当該分野で通常的に用いられる方法によって形成されてもよく、例えば、ノズルを備えるディスペンサーを用いてシーラントを前記液晶層の外郭(すなわち、非活性領域)にドローイングして形成されてもよい。
【0103】
前記スペーサーは、ボールスペーサー(Ball spacer)及びコラムスペーサー(Column spacer)の少なくとも一つ以上のスペーサーを含んでもよく、特にボールスペーサー(Ball spacer)であることが好ましい。前記ボールスペーサー(Ball spacer)は、一つ以上であってもよく、直径が1乃至10μmであることが好ましい。また、平面方向からみたとき、前記ボールスペーサー(Ball spacer)が液晶層130に占める面積は、ユーザの視認性及び透光モードでの透過率の向上の面で、液晶層300の面積に対して0.01乃至10%であることが好ましい。
【0104】
一実施例において、前記液晶層300は、必要に応じて配向膜400をさらに含むもの(図3a参照)であってもよく、例えば、液晶化合物を含む液晶層300の両面上に形成されるものであってもよい。
【0105】
前記配向膜400は、液晶化合物に配向性を付加するためのものであれば特に制限されない。例えば、前記配向膜400は、配向性高分子、光重合開始剤及び溶剤を含む配向膜コーティング組成物を塗布及び硬化することによって製作されてもよい。前記配向性高分子は、特に限定されないが、ポリアクリレート系樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリイミド系樹脂、シンナーメート基を含む高分子などを用いてもよく、従来のまたは以後に開発される配向性を示すことができる高分子を用いてもよい。
【0106】
本発明の透過率可変光学積層体は、本発明の目的を損なわない範囲内で他の部材をさらに含むものであってもよく、例えば、粘接着層500をさらに含むもの(図3b参照)であってもよく、紫外線吸収層、ハードコーティング層などをさらに含むものであってもよい。
【0107】
前記粘接着層500は、接着剤または粘着剤を用いて形成されてもよく、光学積層体の取り扱い時に、剥離、気泡などが発生しないように適切な粘接着力を有すると共に、透明性及び熱安定性を有することが好ましい。
【0108】
前記接着剤は、従来のまたは以後に開発される接着剤を用いてもよく、例えば、光硬化性接着剤を用いてもよい。
【0109】
前記光硬化性接着剤は、紫外線(Ultraviolet、UV)、電子線(Electron Beam、EB)など活性エネルギー線を受け、架橋及び硬化されて強い接着力を示すものであり、反応性オリゴマー、反応性モノマー、光重合開始剤などで構成されてもよい。
【0110】
前記反応性オリゴマーは、接着剤の特性を決める重要な成分であり、光重合反応によって高分子結合を形成して硬化被膜を形成する。使用可能な反応性オリゴマーは、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアクリル系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられる。
【0111】
前記反応性モノマーは、前述の反応性オリゴマーの架橋剤、希釈剤としての役目を果たし、接着特性に影響を及ぼす。使用可能な反応性モノマーは、単官能性モノマー、多官能性モノマー、エポキシ系モノマー、ビニルエーテル類、環状エーテル類などが挙げられる。
【0112】
前記光重合開始剤は、光エネルギーを吸収してラジカル或いはカチオンを生成させて光重合を開始する役目を果たすものであり、光重合樹脂によって適切なものを選択して用いてもよい。
【0113】
前記粘着剤は、従来または以後に開発される粘着剤を用いてもよく、一または複数の実施形態において、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤などを用いてもよい。前記粘着剤は、粘着力と粘弾性を有するものであれば特に制限されないが、入手容易性などの面で、好ましくは、アクリル系粘着剤であってもよく、例えば、(メタ)アクリレート共重合体、架橋剤及び溶剤などを含むものであってもよい。
【0114】
前記架橋剤は、従来または以後に開発される架橋剤を用いてもよく、例えば、ポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマーなどを含むものであってよく、好ましくは、ポリイソシアネート化合物を含むものであってもよい。
【0115】
前記溶剤は、樹脂組成物分野で用いられる通常の溶媒を含んでもよく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールメトキシアルコールなどのアルコール系化合物;メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトンなどのケトン系化合物;メチルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、プロピレングリコールメトキシアセテートなどのアセテート系化合物;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブなどのセロソルブ系化合物;ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系化合物などの溶媒が用いられてもよい。これらは単独或いは2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
【0116】
前記粘接着層500の厚さは、粘接着剤の役目を果たす樹脂の種類、粘接着強度、粘接着剤が用いられる環境などに応じて適切に決められてもよい。一実施例において、前記粘接着剤層は、十分な粘接着力を確保し、光学積層体の厚さを最小化するために、0.01μm~50μmであってもよく、好ましくは、0.05μm~20μm、さらに好ましくは、0.1μm~10μmの厚さを有するものであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0117】
前記紫外線吸収層は、紫外線による光学積層体の劣化を防止するためのものであれば特に制限されず、例えば、サリチル酸系紫外線吸収剤(フェニールサリシレート、p-tert-ブチルサリシレートなど)、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノンなど)、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニール)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニール)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニール)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニール)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-(3’’,4’’,5’’,6’’-テトラヒドロフタルイミドメチル)-5’-メチルフェニール)ベンゾトリアゾール、2,2-メチレンビス(4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール)、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニール)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)-フェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-(1-メチル-1-フェニールエチル)-5’-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(直鎖及び側鎖ドデシル)-4-メチルフェノール、オクチル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]プロピオネートと2-エチルヘキシル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]プロピオネートの混合物など)、シアノアクリレート系紫外線吸収剤(2’-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニールアクリレート、エチル-2-シアノ-3-(3’,4’-メチレンジオキシフェニール)-アクリレートなど)、トリアジン系紫外線吸収剤などを用いてもよく、透明性が高く、偏光板や透過率可変層の劣化を防止する効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やトリアジン系紫外線吸収剤が好ましく、分光吸収スペクトラムがより適切なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましい。前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、ビス(Bis)化したものであってもよく、例えば、6,6’-メチレンビス(2-(2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)-4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェノール)、6,6’-メチレンビス(2-(2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)-4-(2-ヒドロキシエチル)フェノール)などであってもよい。
【0118】
前記ハードコーティング層は、外部の物理的、化学的衝撃から偏光板、透過率可変層などの部材を保護するためのものであれば特に制限されず、従来のまたは以後に開発されるハードコーティング層が用いられてもよい。
【0119】
一実施例において、前記ハードコーティング層は、他の部材上にハードコーティング層形成用組成物を塗布した後、光または熱によって硬化させ形成されてもよい。前記ハードコーティング層形成用組成物は特に制限されず、例えば、光硬化性化合物及び光開始剤を含んでもよい。
【0120】
前記光硬化性化合物及び光開始剤は、当該分野で一般的に用いられるものを制限なく用いてもよく、例えば、前記光硬化性化合物は、光重合成モノマー、光重合成オリゴマーなどであってもよく、例えば、単官能及び/または多官能(メタ)アクリレートが挙げられ、光開始剤は、オキシムエステル系などが挙げられる。
【0121】
本発明は、前記透過率可変光学積層体に加えて、それを含むスマートウィンドウを含む。また、本発明は、前記スマートウィンドウを、前面窓、後面窓、側面窓、サンループ窓、及び内部仕切りの少なくとも一つ以上に適用した自動車及び前記スマートウィンドウを含む建物用建具を含む。
【0122】
以下、具体的に本発明の実施例を記載する。しかし、本発明は、以下で開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現されてもよく、ただ本実施例は、本発明の開示を完全にし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであって、本発明は請求項の範疇によって定義されるだけである。
【実施例
【0123】
実施例及び比較例:光学積層体の製作
実施例1
ポリビニルアルコール樹脂フィルムを温度条件20℃乃至30℃で、60秒乃至240秒間純水(deionized water)の他に、ホウ酸、塩化物、無機酸、無機塩、水溶性有機溶媒及びアルコール類を添加した膨潤溶液で浸漬し、染料が着色できる空間を確保する膨潤ステップと、前記基材フィルムを20℃乃至35℃の温度条件下で、水100重量部に対してヨード0.1重量部及びヨウ化カリウム5重量部を含む水溶液を用いて、60秒乃至300秒間浸漬処理して染色する染色ステップと、前記染色した基材フィルムを水100重量部に対してホウ酸を5重量部含有する水溶液に浸漬させるホウ酸処理ステップと、前記基材フィルムを50℃乃至80℃の温度範囲で乾燥する乾燥ステップを経て、厚さ8μmである偏光子を製造した。
【0124】
前記偏光子の両側に、接着剤層を介して互いに異なる保護フィルムを積層して第1偏光板を製造した。前記互いに異なる保護フィルムとしては、それぞれ厚さ25μmのトリアセチルセルロース樹脂フィルム及び25μmのシクロオレフイン樹脂フィルムを用いた。前記第1偏光板の偏光子収縮力は1.74Nであった。
【0125】
一方、厚さ18μmである偏光子を製造したことを除いては、前記第1偏光板と同様に、第2偏光板を製作した。前記第2偏光板の偏光子収縮力は2.67Nであった。
【0126】
前記第1及び2偏光板の各シクロオレフイン樹脂フィルム面に透明導電層を形成した後、その上に配向膜を形成した。以後、液晶層を挟んで第1及び2偏光板を接合することによって、第1偏光板/透明導電層/配向膜/液晶層/配向膜/透明導電層/第2偏光板からなる透過率可変光学積層体(大きさ:横180mm×縦100mm)を製作した。前記第1偏光板と第2偏光板との吸収軸方向は同一であり、VA(Vertical Alignment)モードで駆動される液晶層を用いた。
【0127】
実施例2
第1偏光板の偏光子は、厚さが8μmであり、第2偏光板の偏光子は、厚さが12μmであることを除いては、前記実施例1と同一の方法で実施例2の透過率可変光学積層体を製作した。
【0128】
実施例3
第1偏光板の偏光子は、厚さが8μmであり、第2偏光板の偏光子は、厚さが24μmであることを除いては、前記実施例1と同一の方法で実施例3の透過率可変光学積層体を製作した。
【0129】
比較例1
第1偏光板の偏光子は、厚さが12μmであり、第2偏光板の偏光子は、厚さが12μmであることを除いては、前記実施例1と同一の方法で比較例1の透過率可変光学積層体を製作した。ただ、ホウ酸処理ステップで、第1偏光子の製作に対して、第2偏光子の製作時の薬液の温度を3℃下げて行った。
【0130】
比較例2
第1偏光板の偏光子は、厚さが8μmであり、第2偏光板の偏光子は、厚さが28μmであることを除いては、前記実施例1と同一の方法で比較例2の透過率可変光学積層体を製作した。
【0131】
実験例
偏光子の収縮力評価
前記実施例1乃至3及び比較例1乃至2の透過率可変光学積層体それぞれの第1及び第2偏光板に用いられる偏光子を、偏光子の吸収軸方向が長辺になるように30mm×2mm大きさに切断した後、これをDMA Q800(Dynamic mechanical analyzer、TA社)を用いて収縮力を測定し、下記の表1に示した。このとき、測定前の偏光子を張り詰めた状態で維持するために最小限のPre-loadを用いて測定した。
【0132】
光学積層体の曲り特性評価
前記実施例1乃至3及び比較例1乃至2の透過率可変光学積層体を、0.5T Glass(8inch大きさ)2枚の間にアクリル系粘着剤を用いて付着し、80℃で250時間放置した後、23℃、相対湿度50%の条件下で、2時間放置した後、3次元測定器(VMR-6555、Nikon社)でパネル曲りの高さの差を測定し、平板上で最も高い部分の位置を測定し、下記の表1に示した。このとき、第2偏光板方向(室内側方向)を「+」とした。
【0133】
光学積層体の調光均一性評価
前記実施例1乃至3及び比較例1乃至2の透過率可変光学積層体を、両面に粘着剤を塗布して硝子基板の間に接合した。以後、全面にかけて光透過程度を比較して、下記の表1に示した。
<調光均一性評価基準>
○:光遮断効果の均一面積が95%以上
△:光遮断効果の均一面積が90%以上95%未満
Χ:光遮断効果の均一面積が90%未満、または顕著な光漏れ現象発生
【0134】
【表1】
【0135】
前記表1を参照すると、第2偏光子の収縮力に対する第1偏光子の収縮力の比が0.5乃至0.8の範囲に含まれる実施例1乃至3の透過率可変光学積層体は、曲り特性評価の結果が1.2乃至1.8mmとなり、曲り特性に優れただけでなく、光遮断効果の全面均一面積が90%以上となり、調光機能にも優れたことが分かる。
【0136】
一方、第2偏光子の収縮力に対する第1偏光子の収縮力の比が0.8を超過する比較例1の透過率可変光学積層体は、曲り特性評価の結果が0.8mmとなり、曲り特性が実施例の光学積層体に対して不利であることが分かる。
【0137】
また、第2偏光子の収縮力に対する第1偏光子の収縮力の比が0.5未満である比較例2の透過率可変光学積層体は、液晶層の過度な曲りが発生するによって、調光機能が実施例の光学積層体に対して不利であることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明に係る透過率可変光学積層体によると、従来の光学積層体の形成のために基材上に導電層を形成し、これを他の部材と貼合するなどの工程を省略することができ、従来の光学積層体に対して製作工程を簡素化することができる。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図3a
図3b
【国際調査報告】