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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】カラー・赤外線画像センサ
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20241001BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20241001BHJP
   H10K 39/32 20230101ALI20241001BHJP
   H10K 30/60 20230101ALI20241001BHJP
   H01L 31/10 20060101ALI20241001BHJP
   H10K 30/40 20230101ALI20241001BHJP
   H04N 25/131 20230101ALI20241001BHJP
【FI】
H01L27/146 E
H01L29/06 601D
H10K39/32
H01L27/146 D
H10K30/60
H01L31/10 A
H10K30/40
H04N25/131
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512199
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2024-04-10
(86)【国際出願番号】 EP2022067340
(87)【国際公開番号】W WO2023036481
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】2109529
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513257535
【氏名又は名称】イソルグ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ブティノン,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】デュポイロン,カミーユ
【テーマコード(参考)】
4M118
5F149
【Fターム(参考)】
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA07
4M118BA14
4M118CA14
4M118CB20
4M118GC07
4M118GC14
4M118GD04
5F149AA02
5F149AA20
5F149AB03
5F149AB11
5F149BB03
5F149DA33
5F149EA04
5F149HA05
5F149HA10
5F149HA11
5F149HA20
5F149LA01
5F149LA02
5F149LA09
5F149XA01
5F149XB15
5F149XB36
(57)【要約】
【解決手段】本開示は、カラー・赤外線画像センサ(100) に関し、カラー・赤外線画像センサは、-赤外光検出器が形成されている第1のレベル、-可視光検出器が形成されている、第1のレベルの上側にある第2のレベル、及び-各赤外光検出器に対向する特定のマイクロレンズを有するマイクロレンズ(113) の層を備えており、可視光検出器は、赤外光検出器に対して横方向に偏移している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー・赤外線画像センサ(100; 400)であって、
- 赤外光検出器が形成されている第1のレベル、
- 可視光検出器が形成されている、前記第1のレベルの上側にある第2のレベル、及び
- 赤外光検出器毎に、入射光線を前記赤外光検出器に集光するように配置されている特定のマイクロレンズを含むマイクロレンズ(113) の層
を備えており、
前記可視光検出器は、前記赤外光検出器に対して横方向に偏移している、カラー・赤外線画像センサ。
【請求項2】
前記第2のレベルと前記マイクロレンズ(113) の層との間に、各可視光検出器の前方に特定のカラーフィルタを含むカラーフィルタ(111) の層を備えている、請求項1に記載のカラー・赤外線画像センサ(100; 400)。
【請求項3】
前記カラーフィルタ(111) は、不透明な壁(201) によって互いに横方向に分離されている、請求項1に記載のカラー・赤外線画像センサ(100; 400)。
【請求項4】
前記マイクロレンズ(113) は、前記カラーフィルタに対して横方向に偏移している、請求項1~3のいずれか1つに記載のカラー・赤外線画像センサ(100; 400)。
【請求項5】
前記可視光検出器は、第1のアレイで配置されており、前記赤外光検出器は、前記第1のアレイと同一の分解能及び同一のピッチの第2のアレイで配置されている、請求項1~4のいずれか1つに記載のカラー・赤外線画像センサ(100; 400)。
【請求項6】
平面視であらゆる2つの隣り合う可視光検出器及び赤外光検出器間の中心間距離が、前記第1のアレイ及び前記第2のアレイのピッチの半分に実質的に等しい、請求項5に記載のカラー・赤外線画像センサ(100; 400)。
【請求項7】
例えば単結晶シリコンで形成されている無機半導体基板(101) を備えており、前記無機半導体基板の内部及び前記無機半導体基板上に、前記可視光検出器及び前記赤外光検出器から読み出すための回路が形成されている、請求項1~6のいずれか1つに記載のカラー・赤外線画像センサ(100; 400)。
【請求項8】
前記赤外光検出器は、前記無機半導体基板(101) 内に形成されている無機光検出器であり、前記可視光検出器は有機光検出器である、請求項7に記載のカラー・赤外線画像センサ(100) 。
【請求項9】
前記赤外光検出器は、前記無機半導体基板(101) の上側に形成されている有機光検出器であり、前記可視光検出器は有機光検出器である、請求項7に記載のカラー・赤外線画像センサ(400) 。
【請求項10】
各可視光検出器は、不透明な壁(301) によって他の可視光検出器のアクティブ領域から分離されているアクティブ領域を有している、請求項1~9のいずれか1つに記載のカラー・赤外線画像センサ(100; 400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子画像センサ又は撮像デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
画像センサは、多くの分野に、特に小型化のために電子デバイスに使用されている。画像センサは、マンマシンインタフェース又は画像取込の用途で設けられている。
【0003】
ある用途では、カラー画像及び赤外線画像を同時的に取得することができる画像センサを設けることが望ましい。このような画像センサは、以下の記載ではカラー・赤外線画像センサと称される。カラー・赤外線画像センサの適用例として、構造化された赤外パターンが投影される対象の赤外線画像の取得がある。このような画像センサを使用する分野は特に、自動車、ドローン、スマートフォン、ロボット、並びに、拡張現実及び/又は仮想現実システムである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、前述したカラー・赤外線画像センサの不利点の全て又は一部を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態は、カラー・赤外線画像センサであって、
- 赤外光検出器が形成されている第1のレベル、
- 可視光検出器が形成されている、前記第1のレベルの上側にある第2のレベル、及び
- 各赤外光検出器の前方に特定のマイクロレンズを含むマイクロレンズの層
を備えており、
前記可視光検出器は、前記赤外光検出器に対して横方向に偏移している、カラー・赤外線画像センサを提供する。
【0006】
実施形態によれば、前記カラー・赤外線画像センサは、前記第2のレベルと前記マイクロレンズの層との間に、各可視光検出器の前方に特定のカラーフィルタを含むカラーフィルタの層を備えている。
【0007】
実施形態によれば、前記カラーフィルタは、不透明な壁によって互いに横方向に分離されている。
【0008】
実施形態によれば、前記マイクロレンズは、前記カラーフィルタに対して横方向に偏移している。
【0009】
実施形態によれば、前記可視光検出器は、第1のアレイで配置されており、前記赤外光検出器は、前記第1のアレイと同一の分解能及び同一のピッチの第2のアレイで配置されている。
【0010】
実施形態によれば、平面視であらゆる2つの隣り合う可視光検出器及び赤外光検出器間の中心間距離が、前記第1のアレイ及び前記第2のアレイのピッチの半分に実質的に等しい。
【0011】
実施形態によれば、前記カラー・赤外線画像センサは、例えば単結晶シリコンで形成されている無機半導体基板を備えており、前記無機半導体基板の内部及び前記無機半導体基板上に、前記可視光検出器及び前記赤外光検出器から読み出すための回路が形成されている。
【0012】
実施形態によれば、前記赤外光検出器は、前記無機半導体基板内に形成されている無機光検出器であり、前記可視光検出器は有機光検出器である。
【0013】
実施形態によれば、前記赤外光検出器は、前記無機半導体基板の上側に形成されている有機光検出器であり、前記可視光検出器は有機光検出器である。
【0014】
実施形態によれば、各可視光検出器は、不透明な壁によって他の可視光検出器のアクティブ領域から分離されているアクティブ領域を有している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の前述及び他の特徴及び利点を、添付図面に関連して本発明を限定するものではない具体的な実施形態について以下に詳細に説明する。
【0016】
図1A】第1の実施形態に係るカラー・赤外線画像センサの例を概略的に示す断面図である。
図1B図1Aのカラー・赤外線画像センサを示す部分的な平面略図である。
図2図1A及び図1Bのカラー・赤外線画像センサの代替的な実施形態を概略的且つ部分的に示す断面図である。
図3図1A及び図1Bのカラー・赤外線画像センサの別の代替的な実施形態を概略的且つ部分的に示す断面図である。
図4】第2の実施形態に係るカラー・赤外線画像センサの例を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
様々な図面には、同様の特徴が同様の参照符号によって示されている。特に、様々な実施形態で共通の構造的特徴及び/又は機能的特徴は、同一の参照符号を有してもよく、同一の構造的特性、寸法的特性及び材料的特性を有してもよい。
【0018】
明瞭化のために、本明細書に記載されている実施形態の理解に役立つ工程及び要素のみが示され、詳細に記載されている。特に、以下に記載される画像センサが何に使用されるのかについては詳述されない。
【0019】
特に示されていない場合、共に接続された2つの要素について言及するとき、これは、導体以外のいかなる中間要素も無しの直接接続を表し、共に連結された2つの要素について言及するとき、これは、これら2つの要素が接続され得るか、又は一若しくは複数の他の要素を介して連結され得ることを表す。
【0020】
以下の記載では、「前」、「後ろ」、「最上部」、「底部」、「左」、「右」などの絶対位置を限定する用語、又は、「上方」、「下方」、「上側」、「下側」などの相対位置を限定する用語、又は、「水平」、「垂直」などの方向を限定する用語について言及するとき、特に指定されていない場合、この用語は図面の向きを指す。
【0021】
特に指定されていない場合、「約」、「略」、「実質的に」及び「程度」という用語は、該当する値の10%の範囲内、好ましくは5%の範囲内を表す。
【0022】
更に本明細書では、「絶縁」及び「導電」という用語は「電気絶縁」及び「電気伝導」を夫々表すとみなされる。更に、特に指定されていない場合、「と接している」とは「と機械的に接している」を意味する。更に、「着目する放射光」という用語は、光電子デバイスによって取り込まれるか又は放射されることが望まれる放射光を表す。例として、着目する放射光は可視スペクトル及び近赤外線を含んでもよく、すなわち、400 nm~1,700 nmの範囲内の波長、より具体的には可視スペクトルについては400 nm~700 nmの範囲内の波長、近赤外線については700 nm~1,700 nmの範囲内の波長を含んでもよい。放射光に対する層の透過率は、層から出る放射光の強度対層に入る放射光の強度の比に相当し、入射光線は層に垂直である。以下の記載では、層又は膜を通る放射光の透過率が10%未満である場合、層又は膜は放射光を通さないとする。以下の記載では、層又は膜を通る放射光の透過率が10%を超える場合、層又は膜は放射光を通すとする。
【0023】
画像の画素は、画像センサによって取り込まれる画像の単位素子に相当する。光電子デバイスがカラー画像センサである場合、光電子デバイスは一般に、取得するカラー画像の画像画素毎に少なくとも3つの要素を備えており、これらの要素は実質的に単一色、つまり100 nm未満の波長領域(例えば赤色、緑色及び青色)で放射光を夫々取得する。各要素は、少なくとも1つの光検出器を有してもよい。
【0024】
本明細書には、好ましくは少なくとも1つの有機半導体層を有するカラー・赤外線画像センサの形成が提供されている。
【0025】
図1Aは、実施形態に係るカラー・赤外線画像センサ100 の例を部分的且つ概略的に示す断面図である。
【0026】
図1Aの画像センサ100 は、赤外線画像を取り込むように適合されている赤外光検出器とも称される第1の光検出器のアレイと、可視カラー画像を取り込むように適合されている可視光検出器とも称される第2の光検出器のアレイとを備えている。
【0027】
赤外光検出器は、例えば無機の、例えばシリコンで形成され、例えば単結晶シリコンで形成されている半導体基板101 の内部及び半導体基板101 上に形成されている。各赤外光検出器は、例えばフォトダイオードを画定する、半導体基板101 のドープ領域101Dを有している。
【0028】
可視光検出器は、この例では、基板101 の上側に形成されている有機フォトダイオードである。有機フォトダイオードは、例えば、より正確には高分子材料又は小分子に基づいている。変形例として、量子ドットに基づくフォトダイオード、又はペロブスカイトに基づくフォトダイオード、つまりペロブスカイト型構造を有する材料のフォトダイオードが設けられてもよい。図示されている例では、可視光検出器のアレイが赤外光検出器のアレイの上側に配置されている。センサ100 は、前側が照射されるように構成されている。
【0029】
図1Aの例では、基板101 は、例えば酸化シリコンで形成されている絶縁層の(相互接続積層体と称される)積層体103 で被覆されており、金属製のトラック及び金属製の相互接続ビアが積層体内に形成されている。透過窓とも称される、金属製の相互接続のためのトラックもビアも含まない積層体103 の部分が、入射放射光の一部を赤外光検出器に向かって通すために赤外光検出器の前方に配置されている。
【0030】
可視光検出器は、相互接続積層体103 の上面側に配置されている。可視光検出器は、下部電極105 、有機半導体層107 の一部を含むアクティブ領域、及び上部電極(不図示)の積層体を夫々有している。アクティブ領域は、例えば、有機半導体層107 の表面、例えば下面上に表面、例えば下面と接している電子注入層と、有機半導体層107 の他の表面、例えば上面上に他の表面、例えば上面と接している正孔注入層とを有するが、必ずしも有する必要はない。アクティブ領域は、一若しくは複数の電子遮断要素及び/又は一若しくは複数の正孔遮断層(不図示)を更に有してもよい。アクティブ領域は、例えば、センサ100 の実質的に表面全体に亘って延びている連続した層を形成するが、必ずしも形成する必要はない。
【0031】
例として、(アクティブ領域の下面と接している)可視光検出器の下部電極105 は、可視光検出器の個々の読み取りを可能にすべく区別されている。(アクティブ領域の上面と接している)可視光検出器の(図1Aには詳細に示されていない)上部電極は、例えば共通である。例として、可視光検出器の上部電極は、センサ100 のアクティブ領域の実質的に表面全体に亘って、例えばセンサ100 のアクティブ領域の表面領域より僅かに大きい表面領域に亘って延びている連続した層を形成している。下部電極及び上部電極は、少なくとも部分的に透明であることが好ましい。
【0032】
可視光検出器のアレイは、特に有機半導体材料107 を外部からの侵害(湿気、酸化など)から保護し得る一又は複数の封止層109 、例えば絶縁層で被覆されてもよい。
【0033】
各可視光検出器の上に、この例では封止層109 を被覆するカラーフィルタ111 が設けられている。カラーフィルタ111 は着色樹脂のブロックに相当してもよい。可視光検出器の下部電極105 は、カラーフィルタ111 に整列している。各カラーフィルタ111 は、700 nm~1mmの範囲内の波長を通過させるように適合されており、カラーフィルタ111 の少なくとも一部では、可視光線の波長領域のみを通過させる。取得するカラー画像の画素毎に、画像センサ100 は、(青色サブ画素と称される第1のサブ画素を画定する)例えば430 nm~490 nmの波長領域の青色の光のみを通過させるように適合されているカラーフィルタ111 で覆われている光検出器と、(緑色サブ画素と称される第2のサブ画素を画定する)例えば510 nm~570 nmの波長領域の緑色の光のみを通過させるように適合されているカラーフィルタ111 で覆われている第2の光検出器と、(赤色サブ画素と称される第3のサブ画素を画定する)例えば600 nm~720 nmの波長領域の赤色の光のみを通過させるように適合されているカラーフィルタ111 で覆われている光検出器とを備えてもよい。例として、カラーフィルタ111 はベイヤー配列で配置されている。
【0034】
この例では、カラーフィルタ111 の層の上にマイクロレンズ113 の層が設けられている。より具体的には、マイクロレンズ113 の層は、赤外光検出器毎に特定のマイクロレンズ113 を有している。各マイクロレンズ113 は、入射光を、関連する赤外光検出器の感光領域上に又は感光領域内に集光させるように適合されている集光マイクロレンズである。言い換えれば、各マイクロレンズ113 の焦点軸芯は、関連する赤外光検出器の感光領域を通っているので、入射光線の大部分が赤外光検出器の感光領域上に又は感光領域内に集光する。例として、平面視では、センサの中央領域に位置する画素については、マイクロレンズ113 の中心は、下にある赤外光検出器の感光領域の中心と実質的に一致する。センサの周縁領域に位置する画素については、各マイクロレンズ113 の中心は、対応する赤外光検出器の感光領域の中心に対して横方向に偏移している場合がある。このため、例えば、マイクロレンズ113 の層の上側にある(図1Aに示されていない)センサの主レンズと、センサが実質的に平坦であるという事実とにより生じる光学的影響を補うことが可能である。
【0035】
例として、各マイクロレンズ113 は、下にある赤外光検出器の感光領域の上面に光を集光させる、及び/又は、各マイクロレンズ113 を透過する光の集光円錐115 が、平面視で、下にある赤外光検出器の感光領域を囲む相互接続積層体103 の金属被膜と同一位置にある。変形例として、光は、別の円錐117 に従って、上に重なるマイクロレンズ113 の中心と略垂直方向に一列に位置する基板101 の上面の点で集光してもよい。
【0036】
センサ100 のマイクロレンズ113 は赤外光検出器専用であり、カラーフィルタ111 は可視光検出器専用である。
【0037】
図1Bは、図1Aのカラー・赤外線画像センサ100 の部分的な平面略図である。
【0038】
図1Bに示されている例では、マイクロレンズ113 の層は、赤外光検出器のアレイと同一の分解能及び同一のピッチの隣り合うマイクロレンズ113 のアレイを有している。簡略化のために、マイクロレンズ113 は図1Bで正方形によって表されており、各マイクロレンズ113 は、平面視であらゆる形状、例えば円形を有してもよいことが理解される。
【0039】
更に、この例では、カラーフィルタ111 の層は、可視光検出器のアレイと同一のピッチ及び同一の分解能の連続したカラーフィルタ111 のアレイを有している。
【0040】
可視光検出器のアレイは、例えば、赤外光検出器のアレイと同一のピッチ及び同一の分解能を有する。この場合、カラーフィルタ111 のアレイは、例えば、マイクロレンズ113 のアレイと実質的に同一のピッチ及び同一の分解能を有する。例として、平面図で、マイクロレンズ113 は、カラーフィルタ111 と実質的に同一の大きさを有する。
【0041】
図1A及び図1Bの実施形態の態様によれば、可視光検出器は赤外光検出器に対して横方向に偏移している。言い換えれば、各赤外光検出器の上に、少なくとも4つの可視光検出器が部分的に設けられており、各可視光検出器は、少なくとも4つの赤外光検出器の上に部分的に延びている。
【0042】
その結果、図1A及び図1Bの実施形態では、マイクロレンズ113 はカラーフィルタ111 に対して横方向に偏移している。言い換えれば、平面視で、マイクロレンズ113 の中心はカラーフィルタ111 の中心に対して横方向に偏移している。従って、各カラーフィルタ111 の上に、少なくとも4つのマイクロレンズ113 が部分的に設けられており、各マイクロレンズ113 は少なくとも4つのカラーフィルタ111 の上で部分的に延びている。
【0043】
例として、カラーフィルタ111 は夫々、下にある可視光検出器を中心として配置されており、下にある赤外光検出器に対して中心がずれている。
【0044】
例として、可視光検出器は、赤外光検出器に対してアレイピッチの半分ずつ横方向に偏移している。この場合、マイクロレンズ113 は、カラーフィルタ111 に対してピッチの半分ずつ横方向に偏移している。
【0045】
半導体基板101 は、赤外光検出器及び可視光検出器から読み出すための回路を更に有してもよい。読み出し回路は、例えばCMOS(「相補型金属酸化物半導体」)技術で形成されている。基板101 の上面を被覆する相互接続積層体103 は特に、各可視光検出器の少なくとも1つの電極105 を、基板101 の内部及び基板101 上に形成されている読み出し回路に電気的に接続する金属被膜を有してもよい。
【0046】
各可視光検出器のアクティブ領域は、入射放射光の大部分が吸収されて光検出器によって電気信号に変換される領域に相当し、例えば下部電極105 と垂直方向に一列に、光検出器の下部電極105 及び上部電極間に配置されているアクティブ層の部分に実質的に相当する。
【0047】
図1A及び図1Bの実施形態の利点は、赤外光検出器と可視光検出器との偏移により、半導体基板101 を被覆する相互接続積層体103 の金属被膜、特に、可視有機光検出器の電極105 を、基板101 の内部及び基板101 上に形成されている読み出し回路に電気的に接続することを可能にする相互接続金属被膜が、赤外光検出器に透過する放射光を遮断しないか又は部分的にしか遮断しないということである。
【0048】
図2は、図1A及び図1Bのカラー・赤外線画像センサ100 の代替的な実施形態を概略的且つ部分的に示す断面図である。
【0049】
この変形例では、例えば金属で形成されている不透明な壁201 が、異なる可視サブ画素間の光学的クロストーク現象を避けるためにカラーフィルタ111 を互いに横方向に分離している。
【0050】
図3は、図1A及び図1Bのカラー・赤外線画像センサ100 の別の代替的な実施形態を概略的且つ部分的に示す断面図である。
【0051】
この変形例では、例えば金属又は樹脂で形成されている不透明な壁301 が、異なる可視サブ画素間の光学的クロストーク現象を避けるために可視有機光検出器を互いに横方向に分離している。
【0052】
例として、まず可視光検出器間のアクティブ層を通してトレンチをエッチングし、その後、不透明な充填材料、例えば金属をトレンチに堆積させて不透明な壁301 を形成する。
【0053】
図2及び図3の変形例が組み合わせられてもよいことに注目すべきである。
【0054】
図4は、第2の実施形態に係るカラー・赤外線画像センサ400 の例を概略的に示す断面図である。
【0055】
図4のセンサ400 は、主に図4の実施形態ではセンサ400 が半導体基板101 の上側に積み重ねられた2つのアクティブ有機レベル401 及びアクティブ有機レベル403 を備えている点で図1A及び図1Bのセンサ100 とは異なる。赤外光検出器は、半導体基板101 の上面から下側レベルと称される第1のアクティブ有機レベル401 に形成されており、可視光検出器は、半導体基板101 の上面から上側レベルと称される第2のアクティブ有機レベル403 に形成されている。変形例として、アクティブレベル401, 403の少なくとも1つが量子ドット又はペロブスカイトに基づいている。
【0056】
誘電体層405 が2つのアクティブ有機レベル401 及びアクティブ有機レベル403 を分離している。例として、各アクティブ有機レベル401, 403の厚さは、50nm~2μmの範囲内であり、好ましくは400 nm~600 nmの範囲内又は600 nm~1,200 nmの範囲内であり、誘電体層405 の厚さは3μm未満であり、好ましくは1μm未満である。誘電体層405 は、例えば樹脂層である。変形例として、誘電体層405 は窒化シリコン又は酸化シリコンで形成されている。
【0057】
この例では、下部の半導体基板101 は光検出器を備えておらず、可視光検出器及び赤外光検出器から読み出すための回路のみを備えている。例えば金属製の導電ビア407 が、可視光検出器の下部電極105 を、半導体基板101 の内部及び半導体基板101 上に形成されている読み出し回路に連結する。
【0058】
例として、まず下側の有機レベル401 を、相互接続積層体103 の上面に堆積させる。次に、第1の開口部を、ビア407 の所望の位置で有機レベル401 に形成する。その後、誘電体層405 を下側の有機レベル401 上に堆積させる。この工程中、誘電体層405 は、有機レベル401 に予め形成された第1の開口部を充填する。その後、例えば第1の開口部に整列した第2の開口部を誘電体層405 に形成する。第2の開口部は誘電体層405 及び下側の有機レベル401 を横切り、相互接続積層体103 の上面の一部を露出させる。第2の開口部の縁部が誘電体層405 の(図面に詳細に示されていない)部分で被覆されるように、第2の開口部は、例えば平面視で第1の開口部の横寸法より小さい横寸法を有する。次に、第2の開口部を金属堆積物で夫々充填して、ビア407 の形成を完了する。各ビア407 の金属部分を、第2の開口部の側部を被覆する誘電体層405 の部分によって下側の有機レベル401 から電気的に絶縁する。
【0059】
先の例と同様に、可視光検出器は、赤外光検出器に対して横方向に偏移している。更に、マイクロレンズ113 は、カラーフィルタ111 に対して横方向に偏移している。
【0060】
このため特に、下側の基板101 を被覆する相互接続積層体103 に可視光検出器を連結する金属被膜によって、赤外光検出器の遮蔽を制限することが可能である。
【0061】
図4の実施形態では、各マイクロレンズ113 は、入射光を、少なくとも1つの下にある赤外光検出器のアクティブ領域上に又はアクティブ領域内に集光させるように適合されている集光マイクロレンズである。例として、各マイクロレンズ113 を透過する光の集光円錐115 は、上に重なる可視光検出器を相互接続積層体103 に連結する金属被膜と整列する。光は、円錐117 に従って、上に重なるマイクロレンズ113 の中心と略垂直方向に一列に位置する相互接続積層体103 の点で更に又は変形例として集光してもよい。
【0062】
図2及び図3の変形例が図4の実施形態に適合されてもよいことに注目すべきである。
【0063】
様々な実施形態及び変形例が説明されている。当業者は、これらの様々な実施形態及び変形例のある特徴が組み合わされてもよいと理解し、他の変形例が当業者に想起される。
【0064】
最後に、記載されている実施形態及び変形例の実際の実施は、上述した機能的な表示に基づく当業者の技能の範囲内である。
図1A
図1B
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-04-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー・赤外線画像センサであって、
- 赤外光検出器が形成されている第1のレベル、
- 可視光検出器が形成されている、前記第1のレベルの上側にある第2のレベル、及び
- 赤外光検出器毎に、入射光線を前記赤外光検出器に集光するように配置されている特定のマイクロレンズを含むマイクロレンズの
を備えており、
前記可視光検出器は、前記赤外光検出器に対して横方向に偏移している、カラー・赤外線画像センサ。
【請求項2】
前記第2のレベルと前記マイクロレンズの層との間に、各可視光検出器の前方に特定のカラーフィルタを含むカラーフィルタの層を備えている、請求項1に記載のカラー・赤外線画像センサ。
【請求項3】
前記カラーフィルタは、不透明な壁によって互いに横方向に分離されている、請求項に記載のカラー・赤外線画像センサ。
【請求項4】
前記マイクロレンズは、前記カラーフィルタに対して横方向に偏移している、請求項2又は3に記載のカラー・赤外線画像センサ。
【請求項5】
前記可視光検出器は、第1のアレイで配置されており、前記赤外光検出器は、前記第1のアレイと同一の分解能及び同一のピッチの第2のアレイで配置されている、請求項1~のいずれか1つに記載のカラー・赤外線画像センサ。
【請求項6】
平面視であらゆる2つの隣り合う可視光検出器及び赤外光検出器間の中心間距離が、前記第1のアレイ及び前記第2のアレイのピッチの半分に実質的に等しい、請求項5に記載のカラー・赤外線画像センサ。
【請求項7】
例えば単結晶シリコンで形成されている無機半導体基板を備えており、前記無機半導体基板の内部及び前記無機半導体基板上に、前記可視光検出器及び前記赤外光検出器から読み出すための回路が形成されている、請求項1~のいずれか1つに記載のカラー・赤外線画像センサ。
【請求項8】
前記赤外光検出器は、前記無機半導体基板内に形成されている無機光検出器であり、前記可視光検出器は有機光検出器である、請求項7に記載のカラー・赤外線画像センサ。
【請求項9】
前記赤外光検出器は、前記無機半導体基板の上側に形成されている有機光検出器であり、前記可視光検出器は有機光検出器である、請求項7に記載のカラー・赤外線画像センサ。
【請求項10】
各可視光検出器は、不透明な壁によって他の可視光検出器のアクティブ領域から分離されているアクティブ領域を有している、請求項1~のいずれか1つに記載のカラー・赤外線画像センサ。
【国際調査報告】