(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】色基準カードを使用した色ベースの測定のためにモバイル装置の自動ホワイトバランス設定を制御するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
H04N 23/70 20230101AFI20241001BHJP
G01N 33/52 20060101ALI20241001BHJP
G01N 33/483 20060101ALI20241001BHJP
G01N 21/78 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
H04N23/70
G01N33/52 B
G01N33/483 C
G01N21/78 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513139
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 EP2022073634
(87)【国際公開番号】W WO2023025866
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100166165
【氏名又は名称】津田 英直
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス アルペロビッツ
(72)【発明者】
【氏名】マックス ベルク
(72)【発明者】
【氏名】ベルント リンブルク
(72)【発明者】
【氏名】フレドリク ハイラー
【テーマコード(参考)】
2G045
5C122
【Fターム(参考)】
2G045FA19
2G045FB17
2G045FB18
2G045JA02
5C122FF01
5C122FG14
5C122FH02
5C122GA01
5C122GA23
5C122HA13
5C122HA35
5C122HB01
(57)【要約】
色ベースの測定を実行するために、カメラと予め設定された自動ホワイトバランスモードとを有するモバイル装置の自動ホワイトバランス設定を制御する方法であって、色基準カードの1つまたは複数のグレーフィールドの少なくとも一部の画像を取り込むステップと、画像内の関心領域について、第1の色についておよび第2の色についての色情報が露出過度を示すグレーフィールドの数をそれぞれ第1の露出過度数および第2の露出過度数として決定するステップであって、第1の色が第2の色よりも小さい波長に関連する、グレーフィールドの数をそれぞれ第1の露出過度数および第2の露出過度数として決定するステップと、第1の露出過度数が第2の露出過度数よりも大きい場合、より高温のホワイトバランスモードで画像を再取り込みするステップ、または第1の露出過度数が第2の露出過度数よりも小さい場合、より低温のホワイトバランスモードで画像を再取り込みするステップと、を含む、方法。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイル装置(128)および色基準カード(110)を使用して色ベースの測定を実行するために前記モバイル装置(128)の自動ホワイトバランス設定を制御する方法であって、
- 前記モバイル装置(128)が、プロセッサ(132)と、ディスプレイ(134)と、カラーカメラ(130)と、複数の予め設定されたホワイトバランスモードとを備え、各ホワイトバランスモードが異なる色温度に関連付けられ、
- 前記色基準カード(110)が、1つまたは複数のグレーフィールド(114)を含み、各グレーフィールドが既知の専用グレー値を有し、
前記方法が、
a.前記カメラ(130)および前記ホワイトバランスモードのうちの1つを使用して前記色基準カード(110)の前記1つまたは複数のグレーフィールド(114)の少なくとも一部の画像を取り込むことであって、
i.各ホワイトバランスモードが、特定の色温度に対するカラーバランスまたは色適合のためのカメラパラメータのセットを含み、
ii.前記画像が、複数の画素と、前記複数の画素の少なくとも3つの異なる色についての色情報とを含み、各色が光の波長に対応する、前記色基準カード(110)の前記1つまたは複数のグレーフィールド(114)の少なくとも一部の画像を取り込むことと、
b.前記画像内の関心領域について、第1の色についての前記色情報が予め設定された閾値を超えることによって露出過度を示すグレーフィールド(114)の数を第1の露出過度数として決定することと、
c.前記画像内の前記関心領域について、第2の色についての前記色情報が予め設定された閾値を超えることによって露出過度を示すグレーフィールド(114)の数を第2の露出過度数として決定することであって、
i.前記第1の色が、前記第2の色よりも小さい波長または小さい波長の範囲に関連する、グレーフィールド(114)の数を第2の露出過度数として決定することと、
d.前記第1の露出過度数および前記第2の露出過度数のうちの1つ、または前記第1の露出過度数および前記第2の露出過度数の和が、それぞれの予め設定された露出過度閾値を超え、且つ前記第1の露出過度数が前記第2の露出過度数よりも大きい場合に、より高温の色温度[p.15,l.1-8]に関連付けられたホワイトバランスモードでステップa)の前記画像を再取り込みすることと、
e.前記第1の露出過度数および前記第2の露出過度数のうちの1つ、または前記第1の露出過度数および前記第2の露出過度数の和が、それぞれの予め設定された露出過度閾値を超え、且つ前記第1の露出過度数が前記第2の露出過度数よりも小さい場合に、より低温の色温度に関連付けられたホワイトバランスモードでステップa)の前記画像を再取り込みすることと
を含む、方法。
【請求項2】
ステップb)およびステップc)が、
a.前記関心領域内の前記グレーフィールドに対応するそれぞれの色についての前記色情報の少なくとも一部を識別することと、
b.前記色情報の識別された前記一部のガイド値を決定することと、
c.前記ガイド値が所定の露出過度閾値を超えるかどうかを決定することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の色が赤であり、前記第1の色が青または緑である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記色ベースの測定が、発色反応に基づく分析物測定であり、前記発色反応が、光学試験ストリップ(118)の試験領域(120)に試料を付加した前記試験ストリップ(118)において起こる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記色基準カード(110)が、既知の基準色値を有する複数の異なる色基準フィールド(112)をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップa)において取り込まれる前記画像が、前記光学試験ストリップ(118)の前記試験領域(120)の少なくとも一部をさらに取り込む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、
a.
i.前記第1の露出過度数と前記第2の露出過度数との和が予め設定された全体の露出過度閾値よりも小さい場合、および/または、
ii.前記第1の露出過度数と前記第2の露出過度数との間の差が予め設定されたバランス閾値よりも小さい場合に、ステップa)において取り込まれた前記画像を使用することによって前記試料中の前記分析物の濃度を決定することをさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
a.前記第1の露出過度数と前記第2の露出過度数との間の差が予め設定されたバランス閾値よりも小さくなるまで、または、
b.ステップa)が前記複数のホワイトバランス調整モードの全てのホワイトバランス調整モードに対して行われるまで、または、
c.前記第1の露出過度数と前記第2の露出過度数との差が以前に取り込まれた画像に基づいて決定された差と比較して増加し始めるまで、ステップa)からe)が繰り返され、
次いで、
d.前記第1の露出過度数と前記第2の露出過度数との間の最小差に対応する画像を使用して、または、
e.前記第1の露出過度数と前記第2の露出過度数との間の最小差に対応する自動ホワイトバランス調整モードを使用して取り込まれた追加の画像を使用して、前記試料中の前記分析物の濃度が決定される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記モバイル装置(128)がディスプレイ(134)を備え、前記方法が、
a.シーンに対して前記カメラ(130)を位置決めするために前記ディスプレイ(134)上に視覚的ガイダンスを提供するステップであって、前記シーンが前記光学試験ストリップ(118)の少なくとも一部および/または前記色基準カード(110)の少なくとも一部を含む、視覚的ガイダンスを提供するステップをさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記色基準カードが、少なくとも1つの位置マーカ(122)を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、前記少なくとも1つの位置マーカ(122)に基づいて前記カメラ(130)が前記色基準カード(110)に対して規定の位置にあると決定される場合に自動的に開始される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つのカメラ(130)と少なくとも1つのディスプレイ(134)とを有するモバイル装置(128)であって、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成される、モバイル装置(128)。
【請求項13】
体液中の分析物の濃度を決定するためのキットであって、
a.請求項12に記載のモバイル装置と、
b.少なくとも1つの試薬試験フィールド(120)を有する少なくとも1つの光学試験ストリップ(118)と、
c.少なくとも1つの色基準カード(110)であって、前記色基準カード(110)が、既知の基準色値を有する複数の異なる色基準フィールド(112)と、規定されたグレー値を有する1つまたは複数のグレーフィールド(114)とを含む、少なくとも1つの色基準カード(110)と
を備える、キット。
【請求項14】
命令を含むコンピュータプログラムであって、カメラ(130)を有するモバイル装置(128)によって前記プログラムが実行されると、前記命令が、前記モバイル装置(128)に、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法の少なくともステップa)からステップd)を実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項15】
命令を含むコンピュータ可読記憶媒体、具体的には非一時的記憶媒体であって、前記命令が、カメラ(130)を有するモバイル装置(128)によって実行されると、前記モバイル装置(128)に、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法の少なくともステップa)からステップe)を実行させる、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、それぞれが既知の専用グレー値を有する1つまたは複数のグレーフィールドを含む色基準カードを使用して色ベースの測定を実行するために、カラーカメラと、それぞれが異なる色温度に関連付けられた複数の予め設定されたホワイトバランスモードとを有するモバイル装置の自動ホワイトバランス設定を制御する方法に関する。本発明は、さらに、少なくとも1つのカメラを有するモバイル装置、体液の試料中の分析物の濃度を決定するためのキット、さらにコンピュータプログラムおよびコンピュータ可読記憶媒体に関する。方法、装置、コンピュータプログラムおよび記憶媒体は、具体的には、例えば、血液および/または間質液中のグルコースを検出するためなどに、1つまたは複数の体液中の1つまたは複数の分析物を定性的および/または定量的に検出するために、医療診断に使用され得る。しかしながら、本発明の他の応用分野も可能である。
【背景技術】
【0002】
医療診断の分野では、多くの場合、血液、間質液、尿、唾液、または他の種類の体液などの体液の試料から1つまたは複数の分析物を検出する必要がある。検出される分析物の例は、グルコース、トリグリセリド、乳酸塩、コレステロール、またはこれらの体液に通常存在する他の種類の分析物である。分析物の濃度および/または存在に応じて、必要に応じて適切な処理が選択され得る。範囲を狭めることなく、本発明は、血糖測定に関して具体的に説明され得る。しかしながら、本発明は、試験ストリップを使用する他の種類の分析測定にも使用され得ることに留意されたい。
【0003】
一般に、当業者に知られている装置および方法は、1つまたは複数の試験化学物質を含む試験ストリップを利用し、これは、検出される分析物の存在下で、光学的に検出可能な検出反応などの1つまたは複数の検出可能な検出反応を実行することができる。これらの試験化学物質に関しては、例えば、J.Hoenes et al.:The Technology Behind Glucose Meters:Test Strips,Diabetes Technology&Therapeutics,Volume 10,Supplement 1,2008,S-10からS-26の参照がなされ得る。他の種類の試験化学物質が可能であり、本発明を実施するために使用され得る。
【0004】
通常、これらの変化から検出されるべき少なくとも1つの分析物の濃度を抽出するために、試験化学的性質における1つまたは複数の光学的に検出可能な変化がモニタリングされる。試験ストリップの試験フィールドの光学特性の少なくとも1つの変化を検出するために、様々なタイプの検出器(試験フィールドを照明するための様々なタイプの光源を有する)が知られている(専用メータまたは分析測定装置とも呼ばれる)。
【0005】
さらに、対応する試験ストリップに含まれる試験化学物質の変化を光学的に検出するために特別に開発されたカスタマイズされた検出器を使用することに加えて、最近の開発は、スマートフォンなどの広く利用可能な装置を使用することを目的としている。しかしながら、分析物濃度を決定するために、専用の分析測定装置の代わりにスマートフォンなどのカメラを有する家電機器が使用される場合、様々な影響を考慮する必要がある。例として、照明状態、位置決め、または他の多かれ少なかれ制御不能な状態が考慮されるべきである。
【0006】
モバイル装置を使用する測光分析の信頼性を向上させるために、欧州特許出願公開第3 575 781号明細書は、検体試料を受け入れるための反応領域に加えて追加の色較正領域を有する検体試料中の分析物の特性を検出するための検体試験ストリップを開示している。
【0007】
アッセイパラメータの値を特定するために比色アッセイを分析する方法は、米国特許出願公開第2015/0055134号明細書に開示されており、色チャネルの少なくとも1つの強度データが第1のデータ点に変換され、標準化された曲線と比較される。
【0008】
米国特許出願公開第2020/204718号明細書は、例えば、取り込まれた色値および/または光源および/または写真の被写体によって発せられた色に基づいて、審美的に満足のいく写真を取り込むためにホワイトバランス設定が自動的に変更される自動ホワイトバランス方法を記載している。他の自動ホワイトバランス手順は、米国特許第9,628,704号明細書または欧州特許第2 498 498号明細書に記載されている。
【0009】
国際公開第2019/056242号は、特に夜間、すなわち周囲光がないか低いときに画像を取り込むときに、特定の審美的効果を達成するためのホワイトバランスモードを選択する方法を記載している。
【0010】
国際公開第2021/010974号は、画像が自動的にセグメント化され、異なる自動ホワイトバランスが異なるセグメントに適用される自動ホワイトバランス手順を記載している。
【0011】
米国特許出願公開第2019/0007589号明細書は、自動ホワイトバランスなどの異なる予め設定された取り込み設定を含むカメラの初期化方法を記載している。初期化のために、カメラは、デフォルトの自動ホワイトバランス設定から開始して、1つまたは複数の画像フレームを取り込み、1つまたは複数の閾値に対する青/緑の色比および/または赤/緑の色比を含み得る、取り込まれた画像フレームの少なくとも一部のカラーバランスを1つまたは複数の閾値に対して測定することによって画像フレームを分析し、分析に基づいて自動ホワイトバランス設定を調整する再帰的プロセスに入る。画像取り込みのカラーバランスが許容範囲内に入るまで、取り込み、測定、および調整が繰り返される。
【0012】
基準試料を使用するデジタルカメラ装置のための基本的なホワイトバランス方法は、国際公開第2014/025415号に記載されている。本方法は、取り込み画像内の標準的な照明条件で白色である基準試料を識別することと、白色基準試料の平均色に少なくとも部分的に基づいて補正係数を決定することと、補正係数を取り込み画像および/またはさらなる取り込み画像に適用することと、を含む。
【0013】
分析測定を実行するためにモバイル装置および色基準カードを使用することに伴う利点にもかかわらず、いくつかの技術的課題が残っている。具体的には、試験ストリップを使用して分析物濃度を決定するためのモバイル装置の使用は、試験ストリップの色の変化の正確な決定を必要とする場合があり、したがって、多くの場合、困難なままである。適切な画像輝度およびカラーバランスが確保される必要がある。取り込まれた画像の観察された輝度および光の色は、例えば、画像を取り込むときの露出またはホワイトバランスを決定する設定、ならびに画像が取り込まれた後に画像に適用される後処理ステップなどの様々な影響要因に依存し得る。モバイル装置による露出設定またはホワイトバランス設定などのいくつかの設定の決定は、多くの場合、自動モードで実行される装置固有のプロセスである。しかしながら、典型的には、携帯電話またはタブレットなどのモバイル装置の自動ホワイトバランスは、審美的に魅力的な画像を生成することを目的としており、可能な限り忠実に色を再現することを目的としていない。特に、モバイル装置によって自動的に選択された自動ホワイトバランス設定は、色チャネルの1つまたは複数の過飽和および/またはクリッピングをもたらすことがあり、これは、それぞれの画像に基づいて血糖値のさらなる処理および決定を妨げる。
【0014】
解決すべき課題
したがって、消費者電子機器モバイル装置などのモバイル装置、具体的にはスマートフォンやタブレットコンピュータなどの分析測定専用ではない多目的モバイル装置を使用した分析測定の上述した技術的課題に対処する方法および装置を提供することが望ましい。具体的には、利用可能なモバイル装置に広く適用可能であり、ユーザの測定精度および利便性を高めるのに適した方法および装置が提案される。
【発明の概要】
【0015】
概要
この課題は、独立請求項の特徴を有する方法および装置によって対処される。単独で、または任意の組み合わせで実現され得る有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0016】
以下において使用される場合、「有する(have)」、「備える(comprise)」、もしくは「含む(include)」という用語、またはそれらの任意の文法的変形は、非排他的な方法で使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入される特徴に加えて、この文脈で説明されているエンティティにさらなる特徴が存在しない状況と、1つまたは複数の追加の特徴が存在する状況との双方を指し得る。例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」および「AはBを含む」という表現は、双方とも、B以外に、他の要素がAに存在しない状況(すなわち、Aが単独で、且つ排他的にBからなる状況)、および、B以外に、要素C、要素CおよびD、さらにはさらなる要素など、1つまたは複数のさらなる要素がエンティティAに存在する状況を指し得る。
【0017】
さらに、特徴または要素が1回または複数回存在してもよいことを示す「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」という用語、あるいは同様の表現が、典型的には、それぞれの特徴または要素を導入するときに一度だけ使用されることに留意されたい。以下、ほとんどの場合、各特徴または要素を指すとき、表現「少なくとも1」または「1もしくは複数」は、各特徴または要素が1回または複数回存在し得るという事実にもかかわらず、繰り返されない。
【0018】
さらに、以下において使用される場合、用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「特に」、「より詳しくは」、「具体的には」、または「より具体的には」、あるいは同様の用語は、代替の可能性を制限することなく、任意の特徴に関して使用される。したがって、これらの用語により導入される特徴は、任意の特徴であり、特許請求の範囲を、いかなる方法によっても制約することを意図されていない。本発明は、当業者が認識するように、代替の特徴を使用することによって実行されてもよい。同様に、「本発明の実施形態において」または同様の表現によって紹介される特徴は、任意の特徴であるように意図され、本発明の代替の実施形態に関するいかなる制限も伴わず、本発明の技術的範囲に関するいかなる限定も伴わず、そのようなやり方で紹介された特徴を本発明の他の任意の特徴または任意ではない特徴と組み合わせる可能性に関するいかなる制限も伴わない。
【0019】
第1の態様では、モバイル装置および色基準カードを使用して色ベースの測定を実行するためにモバイル装置の自動ホワイトバランス設定を制御する方法が開示される。モバイル装置は、カラーカメラと、複数の予め設定されたホワイトバランスモードとを備え、各ホワイトバランスモードが、異なる色温度に関連付けられ、色基準カードが、1つまたは複数のグレーフィールドを含み、各グレーフィールドが既知の専用グレー値を有する。
【0020】
本方法は、以下のステップ:
a.カメラおよびホワイトバランスモードのうちの1つを使用して、色基準カードの1つまたは複数のグレーフィールドの少なくとも一部の画像を取り込むステップであって、
●画像が、複数の色画素と、複数の画素の少なくとも3つの異なる色についての色情報とを含む、色基準カードの1つまたは複数のグレーフィールドの少なくとも一部の画像を取り込むステップと、
b.画像内の関心領域について、第1の色についての色情報が第1の露出過度数として露出過度を示すグレーフィールドの数を決定するステップと、
c.画像内の関心領域について、第2の色についての色情報が露出過度を示すグレーフィールドの数を第2の露出過度数として決定するステップであって、
●第1の色が、第2の色よりも小さい波長または小さい波長の範囲に関連する、グレーフィールドの数を第2の露出過度数として決定するステップと、
d.第1の露出過度数および/または第2の露出過度数のうちの1つ、または第1の露出過度数および第2の露出過度数の和がそれぞれの予め設定された露出過度閾値を超え、且つ第1の露出過度数が第2の露出過度数よりも大きい場合に、より高温のホワイトバランスモードでステップa)の画像を再取り込みするステップと、
e.第1の露出過度数および/または第2の露出過度数のうちの1つ、または第1の露出過度数および第2の露出過度数の和がそれぞれの予め設定された露出過度閾値を超え、且つ第1の露出過度数が第2の露出過度数よりも小さい場合に、より低温のホワイトバランスモードでステップa)の画像を再取り込みするステップと
を含む。
【0021】
本方法は、列挙されていないさらなるステップを含んでもよい。
【0022】
「制御」という用語は、一般に、設定に影響を及ぼすもしくは調整するプロセス、または定義されたもしくは定義可能な方法で設定を決定するためのプロセスを指す。
【0023】
本明細書で使用される「自動ホワイトバランス設定」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、シーン内のグレーのような中間色または白色もまた、カメラによって取り込まれた画像内でニュートラルに見えるように、カメラ設定を一般的な条件、特にシーン照明に適合させることを目的とする自動化プロセスを指し得る。この用語は、限定されるものではないが、シーン照明に適合するように正しい色温度を有する予め設定されたホワイトバランス設定を選択するためのアルゴリズムをさらに指し得る。
【0024】
本明細書で使用される、例えば光源または周囲光からの光の「色温度」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、それぞれの光に匹敵する色の光を放射する理想的な黒体放射体の温度を指し得る。
【0025】
本明細書で使用される「予め設定されたホワイトバランスモード」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、特定の色温度、すなわち昼光もしくは懐中電灯または他の人工もしくは自然照明などの特定の光状態へのカラーバランスまたは色適合のためのカメラパラメータのセットを指し得る。カメラパラメータは、限定されるものではないが、カメラの異なる色チャネルに対して相対スケーリング係数を導入することによる相対輝度のスケーリングに関連してもよい。典型的な予め設定されたホワイトバランスモードの例は、限定されるものではないが、自動、昼光、白熱光、蛍光光、曇り、スピードライト、すなわちフラッシュ、および/または予め設定されたホワイトバランスのカテゴリである。
【0026】
本明細書において使用されるとき、「モバイル装置」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、携帯型電子装置、より具体的には、携帯電話またはスマートフォンなどの携帯型通信装置を指し得る。追加的または代替的に、以下にさらに詳細に概説されるように、モバイル装置はまた、タブレットコンピュータまたは少なくとも1つのカラーカメラを有する別の種類のポータブルコンピュータを指し得る。
【0027】
本明細書で使用される「色基準カード」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、少なくとも1つの表面上などに、所定のグレーレベル、すなわちグレー値を有する1つまたは複数のグレーフィールドを有し、その中に配置され、またはその上に配置された任意の物品を指し得て、さらに、例えば、既知の基準色値を有する複数の着色フィールドを有するなど、既知の色特性または光学特性を有する複数の異なる色基準フィールドを指し得る。例として、色基準カードは、少なくとも1つの表面上に、および/またはその中に配置された、既知の色座標を有する複数の色基準フィールドと、既知のグレーレベルを有する1つまたは複数のグレーフィールドとを有する少なくとも1つの基材を含むフラットカードであってもよい。色基準カードはまた、1つまたは複数のさらなるグレーフィールドを含んでもよい。これについては、以下にさらに説明される。
【0028】
基材は、具体的には、1つまたは複数のグレーフィールドを含む平坦な表面、例えば、複数の色基準フィールドおよび/またはさらなるグレーフィールドをさらに有し得る。例として、基材は、紙基材、厚紙基材、プラスチック基材、セラミック基材または金属基材の1つまたは複数であり得るか、またはそれらを含み得る。ラミネート基材も可能である。基材は、例として、シート状または可撓性であってもよい。しかしながら、基材は、箱の壁、バイール、容器、試験ストリップなどの医療用消耗品などの使用物品に実装されてもよいことに留意されたい。したがって、色基準カードはまた、試験ストリップに完全にまたは部分的に一体化されてもよい。したがって、色基準カードの少なくとも一部の少なくとも1つの画像は、少なくとも1つの試験フィールドを有する試験ストリップの少なくとも部分の画像を完全にまたは部分的に含んでもよい。
【0029】
さらに、色基準カードは、少なくとも1つの位置マーカを含んでもよい。少なくとも1つの位置マーカは、例として、特にArUcoコードなどであり得るか、またはそれを含み得る。具体的には、少なくとも1つの位置マーカは、色基準カードの少なくとも1つの角に配置されてもよい。したがって、モバイル装置は、具体的には(例えば、ステップa)において取り込まれる少なくとも1つの画像上で)、マーカを光学的に検出することによってマーカを検出および/または読み取り、カメラに対する色基準カードの位置および/または向きに関する情報などの情報をマーカから任意に取得するように構成され得る。色基準カードは、さらなる情報を含む他のマーカを含んでもよく、または位置マーカは、さらなる情報をさらに含んでもよい。そのようなさらなる情報は、ラベル、バーコードまたはQRコード(登録商標)のうちの少なくとも1つなど、色基準カードおよび/または色基準カードの種類を識別するための識別子;ラベル、バーコード、またはQRコード(登録商標)のうちの少なくとも1つを使用することなどによって、基準色値、グレー値、および/またはさらなるグレー背景値などの色基準カードの詳細を指定する指定子のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0030】
本明細書で使用される「グレーフィールド」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、既知の基準色値などの既知の光学特性を有する任意の項目を指し得る。具体的には、色基準カードに含まれるグレーフィールドは、均一なグレー値、すなわち専用のグレー値を有する、長方形、正方形、多角形、円および/または楕円などの2次元構造であり得る。グレーフィールドのグレー値は、具体的には、所定の、既知の、または決定可能なもののうちの1つまたは複数であり得る。例えば、r=g=bの場合、グレー値が生じ、すなわち、画像点/画素の赤、緑、および青の色値または色チャネルが等しい値を有する。グレーフィールドは、色基準カードの表面に含まれてもよく、および/またはその中に配置されてもよく、具体的には、1つまたは複数のグレーフィールドの少なくとも一部がステップa)において取り込まれる画像内で視認可能であってもよい。
【0031】
色基準カードのグレーフィールドは、色基準カードの表面上に規則的なパターンで、例えば矩形マトリクスパターンなどの矩形パターンで配置されてもよい。パターン配置は、具体的には、1つまたは複数の位置マーカからx方向および/またはy方向に所定の距離で探索することなどによって、グレーフィールドを識別することを可能にし得る。
【0032】
さらに、1つまたは複数のグレーフィールドは、色基準カードにわたって、具体的には画像に見える色基準カードの一部にわたってローカルに分配されてもよい。
【0033】
本明細書で使用される「カラーカメラ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、空間的に分解された1次元、2次元、または3次元の光学データまたは情報を記録するかまたは取り込むように構成された少なくとも1つの撮像素子を有する装置を指してもよい。カメラは、具体的には、例えばCCDチップおよび/またはCMOSチップなどのカメラチップまたは撮像チップなどの1つまたは複数の撮像素子を備え得る。カラーカメラ、特に撮像素子は、画素などの画像センサの1次元または2次元アレイを備え得る。例として、カラーカメラは、各次元に少なくとも10画素など、少なくとも1つの次元に少なくとも10画素を備え得る。しかしながら、他のカメラも使用可能であることに留意されたい。カラーカメラは、少なくとも1つのカメラチップまたは撮像チップに加えて、例えば1つまたは複数のレンズなどの1つまたは複数の光学素子などのさらなる素子を備え得る。例として、カメラは、カメラに対して固定的に調整されている少なくとも1つのレンズを有する、固定焦点カメラであり得る。しかしながら、代替として、カメラはまた、自動または手動で調整され得る1つまたは複数の可変レンズを備えてもよい。カメラはまた、開口部を制御するための絞りを備え得る(それによって、カメラセンサに到達する光の量が制御され得る)。絞りは、目の虹彩と同様に機能し、レンズ開口部(開口部と呼ばれる)の有効直径を制御する。カメラは、画像に取り込まれるシーンによって反射された光を測定するための周囲光センサをさらに備え得る。
【0034】
本発明は、具体的には、ノートブックコンピュータ、タブレット、または具体的にはスマートフォンなどの携帯電話などの、モバイルアプリケーションで通常使用されるカメラに適用可能であるものとする。したがって、具体的には、カラーカメラは、少なくとも1つのカメラに加えて、1つまたは複数のデータプロセッサなどの1つまたは複数のデータ処理装置を備えるモバイル装置の一部であり得る。しかしながら、他のカラーカメラも実現可能である。
【0035】
カラーカメラの各画素について、R、G、Bの3色の色値などの色情報が提供または生成され得る。画素ごとに4つの色値、例えばR、G、G、Bなど、より多くの色値も実現可能である。カラーカメラは、当業者に一般に知られている。したがって、例として、カメラチップは、それぞれ3つ以上の異なるカラーセンサ、例えば、赤(R)用の1画素、緑(G)用の1画素、および青(B)用の1画素のようなカラー記録画素から構成されてもよい。R、G、Bなどの各画素について、それぞれの色の強度に応じて、値は、0から255の範囲のデジタル値などの画素によって記録されてもよい。例として、R、G、Bなどのカラートリプルを使用する代わりに、R、G、G、Bなどの4部が使用されてもよい。画素の色感度は、カラーフィルタによって、またはカメラ画素において使用されるセンサ素子の適切な固有感度によって生成され得る。例えば、ゲインは、カメラセンサからの信号の増幅を制御するデジタルカメラ設定とすることができる。
【0036】
本明細書で使用される「画像」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、空間的に分解された光学データのセットを指し得る。具体的には、この用語は、カメラチップの画素などの撮像素子からの複数の電子読み取りなど、カメラを使用することによって記録されたデータに関連してもよい。さらに、この用語は、限定されるものではないが、少なくとも3つの異なる色、すなわち光の少なくとも3つの異なる波長についての色情報を含む画素からなるカラーデジタル画像を指し得る。例えば、各画素は、特に赤、緑、および青などの異なる原色について、色値の組み合わせで構成される。実施形態では、画像は、複数の色画素を含んでもよく、各色画素は、3つの異なる色の少なくとも3つのカラー値のnタプルを含む。代替の実施形態では、画像は、少なくとも3つの異なる色チャネルをさらに含んでもよく、色チャネルは、少なくとも3つの色のうちの1つのみからなる、画像と同じサイズのグレースケール画像を指してもよい。
【0037】
本明細書で使用される「画像を取り込む」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、撮像、画像記録、画像取得、画像撮像のうちの1つまたは複数を指し得る。「画像を取り込む」という用語は、少なくとも1つの単一の画像、すなわち1つの画像および/または一連の画像などの複数の画像を取り込むことを含み得る。例えば、画像を取り込むことは、ビデオまたは動画などの一連の画像を連続的に記録することを含んでもよい。画像を取り込むことは、ユーザアクションによって開始されてもよいか、または例えば、カメラの視野内および/または視野の所定の部分内の少なくとも1つのオブジェクトの存在が自動的に検出されると、自動的に開始されてもよい。これらの自動画像取得技術は、例えば、自動バーコード読み取りアプリなどの自動バーコードリーダの分野で知られている。画像の取り込みは、例として、カメラで画像のストリームまたは「ライブストリーム」を取得することによって行われてもよく、自動的に、またはボタンを押すなどのユーザ対話によって、画像の1つまたは複数が記憶され、それらのうちの1つが少なくとも1つの画像として使用される。画像取得は、モバイル装置のプロセッサによってサポートされてもよく、画像の記憶は、モバイル装置のデータ記憶装置内で行われてもよい。
【0038】
カラーカメラを使用することによる色基準カードの1つまたは複数のグレーフィールドの少なくとも一部の画像の取り込みは、少なくとも1つのグレーフィールド内に関心領域を少なくとも含む画像を取り込むことを意味し得る。したがって、例として、1つまたは複数のグレーフィールドは、例えば当業者に一般的に知られているパターン認識技術によって画像内で自動的に検出されてもよく、少なくとも1つの関心領域、例えば長方形、正方形、多角形、楕円形または円形の関心領域が各グレーフィールド内で選択されてもよい。画像の撮影は、ユーザアクションによって開始されてもよく、またはカメラの視野内および/または視野の所定のセクタ内の少なくとも1つのグレーフィールドの存在が自動的に検出されると自動的に開始されてもよい。
【0039】
本明細書で使用される「関心領域」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、画像の選択された部分を指し得て、前記部分は、画像内または画像全体内の1つまたは複数の領域を含む。関心領域は、画像内の領域を選択することによって、例えば、少なくとも1つのグレーフィールドを含む画像内の領域を自動的に決定および選択することによって決定され得る。画像の領域または部分は、画像の画素の対応する部分、例えば色画素、および/または画像の各色チャネルの対応する部分を指し得る。
【0040】
本明細書で使用される「露出過度の」および「露出過度」という用語は、広義の用語である。これらの用語は、具体的には、限定されるものではないが、単位面積当たりの光の量、または予め設定された閾値を超えるか、または例えば画像領域内の強度が表現可能な最大強度から外れる場合に、確実に取り込まれ得る量を超える特定の波長または波長範囲の光の量を指し得る。あるいは、限定されるものではないが、この用語は、ガイド値が予め設定された閾値を超える関心領域について決定された平均値または中央値または最大値などの前記ガイド値を指し得る。
【0041】
したがって、「画像内の関心領域について、特定の色についての色情報が露出過度を示すグレーフィールドの数を決定すること」は、限定されるものではないが、画像内の関心領域について、特定の色についての色情報が予め設定された閾値を超えるグレーフィールドの数を決定することを指し得る。
【0042】
「関心領域の特定の色についての色情報の露出過度」は、限定されるものではないが、関心領域の色情報が予め設定された閾値を超えるか、または最大値に対応することを指し得る。あるいは、限定されるものではないが、それは、関心領域内の1つ、複数、または全ての画素が、予め設定された閾値を超えるか、または予め設定された最大値に対応することを指し得る。別の代替形態では、限定されるものではないが、それは、予め設定された閾値を超えるか、または予め設定された最大値に対応するガイド値を指してもよく、ガイド値は関心領域に対して決定される。ガイド値は、限定されるものではないが、それぞれの画素について決定された平均、中央値または最大値を指し得る。さらにまた、ガイド値は、限定されるものではないが、関心領域の1つ、複数、または全ての画素に基づいて決定されてもよい。
【0043】
ステップd)およびe)によれば、本方法は、ステップa)にジャンプして戻り、第1の露出過度数および/または第2の露出過度数または第1の露出過度数および第2の露出過度数の和が予め設定されたそれぞれの露出過度閾値を超える場合、新たな画像が取り込まれる、すなわち、画像が再取り込まれる。これは、1つの露出過度数または両方の露出過度数または前述の値の和または組み合わせのいずれかが予め設定された適切な閾値と比較され、閾値と比較された値の1つまたは全てがそれぞれの閾値を超える場合に再取り込みが実行されることを意味し得る。露出過度数のいずれかの値または両方の和は、画像の露出過度の程度に関連する。
【0044】
画像の再取り込みのために、決定された露出過度数の分析に基づいて新たなホワイトバランスモードが選択される。第1の露出過度数が第2の露出過度数よりも大きい場合、すなわち、より小さい波長、すなわちより低温の色温度を有する光に対する露出過度がより大きいより高温の波長に対する露出過度を超える場合、より高温の色温度に関連するホワイトバランスモード、すなわち、より高温のホワイトバランスモードが選択される。これに対応して、より大きい、より高温の波長、すなわち第2の色に対してより大きい露出過度が決定される場合、より低温の色温度に関連付けられたホワイトバランスモード(より低温のホワイトバランスモード)が選択される。例えば、次のより低温またはより高温のホワイトバランスモードがそれぞれ選択される。あるいは、より低温またはより高温のホワイトバランスモードのいずれか1つが選択される。実施形態によれば、2つの露出過度数の間の差が決定され、決定された差に基づいてより高温またはより低温のホワイトバランスモードが選択される。
【0045】
記載された方法の利点は、予め設定された装置条件、すなわち装置に利用可能な予め設定されたホワイトバランスモードに基づいて、有向再帰的プロセスにおいて最良モードが選択されることである。したがって、記載された方法は、特に容易且つ迅速であり、モバイル装置を介した色測定の信頼性を高めるのに役立つ。
【0046】
記載された再帰的プロセスでは、予め設定されたホワイトバランスモードは、予め設定された順序にしたがって選択されてもよく、例えば、次のより高温もしくはより低温のモードが選択されるか、または次であるが1つのより高温もしくはより低温のモードが選択されるか、またはより高温もしくはより低温のモードのいずれか1つが選択される。
【0047】
さらにまた、再帰的プロセスは、任意の合理的な中断点で終了し得ることが理解される。中断条件は、例えば、全ての予め設定されたホワイトバランスモードが使用されたという事実、または第1の露出過度数および第2の露出過度数が等しいという事実、または第1の露出過度数および第2の露出過度数の差が最小に達したという事実、または前記差が再び増加し始めるという事実であり得る。
【0048】
実施形態によれば、方法ステップb)およびステップc)は、関心領域内のグレーフィールドに対応するそれぞれの色について色情報の少なくとも一部を識別することと、色情報の識別された一部のガイド値を決定することと、ガイド値が所定の露出過度閾値を超えるかどうかを決定することとを含む。
【0049】
識別することは、グレーフィールドに対応する画情報および/または色情報の全てまたは一部を、例えば所定の条件に基づいて見つけることを指し得る。例えば、複数の色画素または色チャネルの画素と、色の対応するそれぞれの値とが識別される。
【0050】
本明細書で使用される「ガイド値」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、識別された色情報について決定された平均値、中央値、および/または最大値、例えば、識別された色画素の特定の色についての複数の値、または特定の色チャネルの識別された画素の複数の値を指し得る。
【0051】
別の実施形態によれば、第2の色は赤であり、第1の色は青または緑である。好ましくは、第1の色は青であり、この場合、第1の色と第2の色の対応する波長の差は、第1の色が緑である場合よりも大きい。
【0052】
さらなる実施形態によれば、色ベースの測定は、発色反応に基づく分析物測定であり、発色反応は、試験ストリップの試験領域に試料を付加した試験ストリップにおいて起こる。
【0053】
本明細書で使用される「発色反応」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、反応に関与する少なくとも1つの要素の色、具体的には反射率が反応の進行とともに変化する化学的、生物学的または身体的反応を指し得る。したがって、例として、色の変化を伴う、典型的には血糖を検出するために使用される上述した生化学反応が参照され得る。pH値を決定するための典型的な化学反応などの他の種類の変色または発色反応が当業者に知られている。
【0054】
本明細書で使用される「試験ストリップ」という用語は広義の用語であり、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、色変化検出反応を実行するように構成されたストリップ状要素または装置を指し得る。試験ストリップは、本明細書では単に試験ストリップとも呼ばれ、これらの用語は同じ要素を指し得る。試験ストリップは、特に、例えば少なくとも1つの分析物を検出するための少なくとも1つの試験化学物質を含む試験フィールドを有し得る。例として、試験ストリップは、少なくとも1つの試験フィールドがそれに適用されるか、またはその中に組み込まれた、少なくとも1つのキャリアなどの少なくとも1つの基材を備え得る。特に、試験ストリップは、具体的には試験フィールドに近接して、例えば試験フィールドを囲むかまたは囲む、白色フィールドなどの少なくとも1つの白色領域をさらに備え得る。白色領域は、基材または担体上に独立して配置された別個のフィールドであり得る。しかしながら、追加的または代替的に、基材または担体自体は、白色領域であってもよく、または白色領域を備えてもよい。少なくとも1つのキャリアは、ストリップ形状であってもよく、それによって試験ストリップの基本形態を提供する。これらの試験ストリップは、一般に広く使用されており、入手可能である。1つの試験ストリップは、単一の試験フィールド、またはその中に含まれる同一または異なる試験薬剤を有する複数の試験フィールドを担持し得る。
【0055】
本明細書でさらに使用される場合、「試験フィールド」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、試験化学物質が含まれる試験フィールドの少なくとも1つの層を有する材料の1つまたは複数の層を有する円形、多角形または矩形の形状のフィールドまたは領域などの凝集した量の試験化学物質を指し得る。
【0056】
試験ストリップは、色基準カードの上に配置されてもよく、および/または色基準カードは、1つまたは複数の窓を備えてもよく、1つまたは複数の窓を有する色基準カードは、試験フィールドまたは試験フィールドの少なくとも一部が窓を通して見えるように試験ストリップの上に配置される。
【0057】
別の実施形態によれば、色基準カードは、既知の基準色値を有する複数の異なる色基準フィールドをさらに含む。
【0058】
本明細書で使用される「色基準フィールド」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、既知の基準色値などの既知の光学特性を有する任意の項目を指し得る。具体的には、色基準カードに含まれる色基準フィールドは、均一な色値を有する、矩形、正方形、多角形、円および/または楕円などの2次元構造であってもよい。色基準フィールドの色値は、具体的には、所定の、既知の、または決定可能なもののうちの1つまたは複数であってもよい。色基準フィールドは、具体的には、複数の異なる色基準フィールド(例えば、1つの色基準フィールド)の少なくとも一部がステップc)において取り込まれる画像内で見えるように、色基準カードの表面によって構成され、および/またはその中に配置されてもよい。
【0059】
さらに、色基準フィールドは、試薬試験領域の発色反応の色空間に対応する色座標系の部分空間内の色値を有してもよい。色基準カードの色基準フィールドは、具体的には、例えば矩形マトリクスパターンなどの矩形パターンなど、色基準カードの表面上に規則的なパターンで配置されてもよい。パターン配置は、具体的には、1つまたは複数の位置マーカからx方向および/またはy方向に所定の距離で探索することなどによって、色基準フィールドを識別することを可能にしてもよい。
【0060】
さらなる実施形態によれば、ステップa)において取り込まれる画像は、試験ストリップの試験領域の少なくとも一部をさらに取り込む。これは、取り込まれた画像が、例えば分析物濃度を決定するために、色ベースの測定を実行するために使用され得ることを確実にするのに役立つ。これにより、色ベースの測定のために画像を取り込むさらなるステップは必要ない。
【0061】
別の実施形態によれば、本方法は、第1の露出過度数と第2の露出過度数との和が予め設定された全体露出過度閾値よりも小さい場合、および/または第1の露出過度数と第2の露出過度数との差が予め設定されたバランス閾値よりも小さい場合に、ステップa)において取り込まれる画像を使用することによって試料中の分析物の濃度を決定することをさらに含む。あるいは、上述した条件が満たされる場合、さらなる画像が取り込まれ、試料中の分析物の濃度を決定するために使用される。
【0062】
さらなる実施形態によれば、第1の露出過度数と第2の露出過度数との差が予め設定されたバランス閾値よりも小さくなるまで、またはステップa)が複数のホワイトバランスモードの全てのホワイトバランスモードに対して実行されるまで、または第1の露出過度数と第2の露出過度数との差が以前に取り込まれた画像に基づいて決定された差と比較して増加し始めるまで、ステップa)からステップe)が繰り返され、次いで、第1の露出過度数と第2の露出過度数との間の最小差に対応する画像を使用して、または第1の露出過度数と第2の露出過度数との間の最小差に対応する自動ホワイトバランスモードを使用して取り込まれた余分な画像を使用して、試料中の分析物の濃度が決定される。
【0063】
別の実施形態によれば、モバイル装置は、ディスプレイを備え、本方法は、シーンに対してカメラを位置決めするためにディスプレイ上に視覚的ガイダンスを提供するステップであって、シーンは、試験ストリップの少なくとも一部および/または色基準カードの少なくとも一部を含む、視覚的ガイダンスを提供するステップをさらに含む。視覚的ガイダンスは、例えば、オブジェクトに対するカメラの好ましい位置決めを示す1つまたは複数の矢印、フレームまたは線を含む。一例として、視覚的ガイダンスは、モバイル装置のディスプレイに重ね合わされたオブジェクトの形状に対応する輪郭を含む。
【0064】
露光パラメータを決定するために、および/または少なくとも1つの画像を取り込むために、ディスプレイ上のオブジェクトに対してカメラを位置決めするためにディスプレイ上に視覚的ガイダンスを提供することは、特に、シーンが色基準カードの1つまたは複数のグレーフィールドの少なくとも一部を含むように、カメラを位置決めするようにユーザを誘導するためにディスプレイ上に視覚的ガイダンスを提供することに関連し得る。ガイダンスは、さらに、試料が適用された試験ストリップの試験フィールドの少なくとも一部および/または色基準カードの複数の異なる色基準フィールドの少なくとも一部などのさらなる構造をシーンがさらに含むように、カメラを位置決めするようにユーザをガイドする視覚ガイダンスを提供し得る。視覚的ガイダンスは、例えば、モバイル装置のディスプレイに重ね合わされた色基準カードの少なくとも一部および/または試験ストリップの少なくとも一部の形状に対応する輪郭を含み得る。
【0065】
さらなる実施形態によれば、色基準カードは、少なくとも1つの位置マーカを含む。
【0066】
別の実施形態によれば、本方法は、カメラが少なくとも1つの位置マーカに基づいて色基準カードに対して規定の位置にあると決定される場合に自動的に開始される。
【0067】
さらなる実施形態によれば、試験フィールドは、少なくとも1つの画像を取り込む間、色基準カードに対して規定された位置にある。
【0068】
本発明のさらなる態様によれば、少なくとも1つのカメラおよび少なくとも1つのディスプレイを有するモバイル装置であって、上述した方法を実行するように構成される、モバイル装置が開示される。
【0069】
本発明の別の態様によれば、体液中の分析物の濃度を決定するためのキットであって、上述したモバイル装置と、少なくとも1つの試験領域を有する少なくとも1つの試験ストリップと、少なくとも1つの色基準カードとを備え、色基準カードが、既知の基準色値を有する複数の異なる色基準領域と、規定されたグレー値を有する1つまたは複数のグレーフィールドとを含む、キットが開示される。
【0070】
本発明のさらなる態様によれば、命令を含むコンピュータプログラムであって、カメラを有するモバイル装置によってプログラムが実行されると、該命令が、モバイル装置に、上述した方法の少なくともステップa)からステップd)を実行させる。
【0071】
本発明の別の態様によれば、命令を含むコンピュータ可読記憶媒体、具体的には非一時的記憶媒体であって、該命令が、カメラを有するモバイル装置によって実行されると、モバイル装置に、上述した方法の少なくともステップa)からステップe)を実行させる、コンピュータ可読記憶媒体が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
さらなる任意の特徴および実施形態は、好ましくは従属請求項と併せて、実施形態の後続の説明においてより詳細に開示される。ここで、それぞれの任意の特徴は、当業者が理解するように、独立した方式で、ならびに任意の実現可能な組み合わせで実現されてもよい。本発明の範囲は、好ましい実施形態によって限定されるものではない。実施形態は、図において概略的に示されている。ここで、これらの図における同一の参照符号は、同一または機能的に同等の要素を指す。
【0073】
図では以下のとおりである:
【
図2】モバイル装置と、色基準カードと、試験ストリップとを備えるキットの実施形態を示している。
【
図3】色基準カードの画像を取り込むときの状況を示している。
【
図4】ホワイトバランス設定を制御する方法の実施形態のフローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0074】
実施形態の詳細な説明
図1には、色基準カード110の例示的な実施形態が平面図で示されている。色基準カード110は、既知のグレー値を有する1つまたは複数のグレーフィールド114と、既知の基準色値を有する複数の色基準フィールド112とを含む。グレーフィールド114および色基準フィールド112は、色基準カード110の基材上など、色基準カード110の表面上に配置されてもよい。
【0075】
色基準フィールド112は、特に複数の色基準フィールド112が色基準カード110の表面全体に分布され得るように、色基準カード110の表面全体に均等に分布され得る。例として、色基準フィールド112は、矩形マトリクスパターンなどのマトリクスパターンで配置されてもよい。しかしながら、色基準フィールド112は、他の方法で配置されてもよい。
【0076】
1つまたは複数のグレーフィールド114は、色基準フィールド112を囲んでいてもよく、および/または色基準カードを枠付けしていてもよく、および/または色基準フィールド112のマトリクスパターン間の行および/または列に沿って分布していてもよい。色基準フィールド112およびグレーフィールド114は、互いに重なり合わなくてもよい。
【0077】
色基準カード110は、少なくとも1つの窓116をさらに含んでもよい。したがって、少なくとも1つの試験ストリップ118またはその一部は、色基準カード110が試験ストリップ118の上に配置されたときに窓116を通して視認可能であり得る。具体的には、試験ストリップ118に含まれる少なくとも1つの試験フィールド120は、色基準カード110の窓116を通して視認可能であり得る。別の例として、色基準カード110は、具体的には少なくとも1つの試験フィールド120がアクセス可能且つ視認可能であるように、少なくとも1つの試験フィールド120を有する試験ストリップ118を含んでもよい。
【0078】
さらに、色基準カード110は、少なくとも1つの位置マーカ122を含んでもよい。位置マーカ122は、特にArUcoコードであってもよい。
図1において、位置マーカ122は、具体的には、色基準フィールド112およびグレーフィールド114の一部を含み、グレーフィールド114によって囲まれている矩形マトリクスの角などに、1つまたは複数のArUcoコードを含み得る。したがって、一般に、位置マーカ122は、色基準カード110の少なくとも1つの角124に配置されてもよい。例えば、少なくとも1つの位置マーカ122は、特に位置マーカ122が複数の色基準フィールド112とともに見えるように、色基準カード110の角124のそれぞれに配置されてもよい。さらに、位置マーカ122は、色基準カード110の向きに関する情報を含み得る。
【0079】
図2には、キットの例示的な実施形態が斜視図で示されている。キットは、少なくとも1つのモバイル装置128と、少なくとも1つの色基準カード110とを備える。さらに、キットは、少なくとも1つの試験ストリップ118を備える。
【0080】
モバイル装置128は、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータなどのうちの少なくとも1つであり得るか、またはそれを備え得る。さらに、モバイル装置128は、少なくとも1つのカラーカメラ130を有する。モバイル装置128のカラーカメラ130は、画像、具体的にはカラー画像を記録するように構成されてもよい。例えば、カラーカメラ130は、それぞれ赤、緑、および青の少なくとも1つのカラーセンサタイプなど、少なくとも3つのカラーセンサタイプを備える。
【0081】
さらに、モバイル装置128は、少なくとも1つのプロセッサ132を備え得る。プロセッサ132は、具体的にはソフトウェアプログラミングによって、自動ホワイトバランス設定を制御する方法の方法ステップa)からステップd)のうちの1つまたは複数を実行するように構成され得る。上述した方法の例示的な実施形態は、それぞれ、
図4に示されており、以下にさらに詳細に説明される。したがって、
図4の説明が参照され得る。
【0082】
プロセッサ132は、具体的には、関心領域の設定をサポートし、関心領域内のグレーフィールドの第1の露出過度数および第2の露出過度数を決定するように構成され得る。プロセッサ132は、さらに具体的には、シーン126を含む少なくとも1つの画像を取り込むように構成され得る。図示の実施形態では、シーン126は、色基準カード110全体と、試験ストリップ118の試験フィールド120とを備える。具体的には、プロセッサ132は、モバイル装置128のユーザに画像を取り込むように促し得る。追加的または代替的に、プロセッサ132は、具体的には色基準カード110がカメラ130の視野内にある場合に、色基準カード110の画像を自動的に取り込むように構成されてもよい。
【0083】
色基準カード110は、上述されている(
図1を参照)。
【0084】
色基準カード110の少なくとも1つのマーカ122は、色基準カード110を識別するために使用され得る。具体的には、モバイル装置128のプロセッサ132は、カラーカメラ130の視野内の位置マーカ122を検出するように構成されてもよい。
【0085】
色基準カード110および試験ストリップ118は、モバイル装置128のカラーカメラ130によって取り込まれた少なくとも1つの画像上で視認可能であり得る。具体的には、試験ストリップ118の少なくとも1つの試験領域120は、色基準カード110の窓116を通して視認可能であり得る。
【0086】
図3は、画像を取り込むときの状況を示している。この実施形態では、モバイル装置128のディスプレイ134に重畳された色基準カードの輪郭136の形態でディスプレイ上に視覚的ガイダンスが提供されて、輪郭136に対応する取り込まれたシーン126が1つまたは複数のグレーフィールドの少なくとも一部を含むようにカメラを位置決めするようにユーザを誘導する。図示の例では、設定された露出計測領域内のシーンは、色基準カード全体を含む。
【0087】
自動ホワイトバランス設定の制御および画像の取り込みは、自動的に開始されてもよい。画像の取り込みは、例えば、位置マーカ122に基づいて色基準カードがカメラ130の視野内にあることが検出された場合に自動的に開始されてもよい。
【0088】
図4は、モバイル装置128の自動露出設定を制御する方法の例示的な実施形態のフローチャートを示している。
【0089】
本方法は、プロセッサおよび/または他の処理手段によって実行され、カメラ130およびホワイトバランスモードのうちの1つを使用して、色基準カード110の1つまたは複数のグレーフィールド114の少なくとも一部の画像を取得することから始まり、画像は、複数の画素と、複数の画素の少なくとも3つの異なる色についての色情報とを含み、図示の実施形態では、色基準カードは、ArUcoコードに基づいて画像内で検出される。
【0090】
画像内の少なくとも1つの関心領域ROIについて、第1の色、チャネルBについての色情報が露出過度を示すグレーフィールド114の数が、第1の露出過度数として決定される。これに対応して、画像内の同じ関心領域ROIについて、第2の色、チャネルRについての色情報が露出過度を示すグレーフィールド114の数が第2の露出過度数として決定され、第1の色、ここでは青は、第2の色、ここでは赤よりも小さい波長または小さい波長の範囲に関連する。
【0091】
第1の露出過度数および第2の露出過度数の和が閾値Nを超えるかどうかが決定され、過度の露出過度がない場合、すなわち、第1の露出過度数および第2の露出過度数の和が閾値Nを超えない場合、色ベースの測定は、現在のホワイトバランスモードを使用して現在の画像または新たに取り込まれ画像によって実行される。
【0092】
過度の露出過度、すなわち閾値Nを超える第1の露出過度数および第2の露出過度数の和の場合、チャネルBの第1の露出過度数とチャネルRの第2の露出過度数とが比較される。
【0093】
示されている実施形態では、Bの第1の露出過度数がRの第2の露出過度数より大きい場合、使用されたホワイトバランスモードが既に最も高温かどうかがチェックされ、そうである場合、色ベースの測定は、現在のホワイトバランスモードを使用して現在の画像または新たに取り込まれた画像によって実行される。使用されたホワイトバランスモードが最も高温のものではない場合、より高温の色温度に関連付けられたホワイトバランスモードが複数のホワイトバランスモードから選択され、記載されたプロセスは、新たに選択されたホワイトバランスモードを使用して画像を取得するために再び開始される。
【0094】
示されている実施形態では、Bの第1の露出過度数がRの第2の露出過度数よりも大きくない場合、使用されたホワイトバランスモードが既に最も低温になっているかどうかがチェックされ、そうである場合、色ベースの測定は、現在のホワイトバランスモードを使用して現在の画像または新たに取り込まれた画像によって実行される。使用されたホワイトバランスモードが最も低温ではない場合、より低温の色温度に関連するホワイトバランスモードが複数のホワイトバランスモードから選択され、記載されたプロセスは、新たに選択されたホワイトバランスモードを使用して画像を取得することを再び開始する。
【0095】
本方法は、上述していない追加のステップを含んでもよい。
【符号の説明】
【0096】
110 色基準カード
112 色基準フィールド
114 グレーフィールド
116 窓
118 試験ストリップ
120 試験フィールド
122 位置マーカ
124 角
126 シーン
128 モバイル装置
130 カメラ
132 プロセッサ
134 ディスプレイ
136 輪郭
【国際調査報告】