(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】放送通信機器性能測定システム及びその方法
(51)【国際特許分類】
G01R 29/10 20060101AFI20241001BHJP
G01R 29/08 20060101ALI20241001BHJP
H04B 17/15 20150101ALI20241001BHJP
H04B 17/29 20150101ALI20241001BHJP
【FI】
G01R29/10 E
G01R29/08 A
H04B17/15
H04B17/29
G01R29/10 B
G01R29/10 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514570
(86)(22)【出願日】2021-12-07
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 KR2021018457
(87)【国際公開番号】W WO2023090517
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】10-2021-0160127
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522264607
【氏名又は名称】ナショナル ラジオ リサーチ エージェンシー
(74)【代理人】
【識別番号】100120008
【氏名又は名称】山田 くみ子
(72)【発明者】
【氏名】キム カンウク
(72)【発明者】
【氏名】オ スンス
(72)【発明者】
【氏名】チョン ヨンベ
(72)【発明者】
【氏名】イム ジョンヒョク
(57)【要約】
アンテナを含んでいる放送通信機器に対する認証及び事後管理のための複数の測定項目に対する性能を高速に測定できるシステム及びその方法が開示される。本発明の一態様によると、テスト対象である放送通信機器を固定するための固定部と、前記固定部を制御して前記放送通信機器の回転を制御するためのポジショナと、前記放送通信機器の可視線(line-of-sight)から遮蔽され、前記固定部から離隔した所定の位置に設けられる測定プローブと、前記放送通信機器によって放射される電磁波を前記測定プローブ方向に反射し、前記測定プローブの球面波(spherical wave)が、前記放送通信機器が設けられた位置で平面波(plane wave)に変形されるように形成された曲面反射板と、前記放送通信機器の位置が中心点となるように前記固定部の周辺に配置されるアーチを含むアーチ構造物と、前記アーチの内側に所定間隔で離隔して配置される複数の近傍界プローブを含むプローブセットと、前記複数の近傍界プローブの少なくとも一部及び前記測定プローブから信号分析機を介して入力信号に対応する信号データを伝達されて前記放送通信機器の性能を測定するための制御ユニットと、を含む放送通信機器性能測定システムが提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テスト対象である放送通信機器を固定するための固定部と、
前記固定部を制御して前記放送通信機器の回転を制御するためのポジショナと、
前記放送通信機器の可視線(line-of-sight)から遮蔽され、前記固定部から離隔した所定の位置に設けられる測定プローブと、
前記放送通信機器によって放射される電磁波を前記測定プローブ方向に反射し、前記測定プローブの球面波(spherical wave)が、前記放送通信機器が設けられた位置で平面波(plane wave)に変形されるように形成された曲面反射板と、
前記放送通信機器の位置が中心点となるように前記固定部の周辺に配置されるアーチを含むアーチ構造物と、
前記アーチの内側に所定間隔で離隔して配置される複数の近傍界プローブを含むプローブセットと、
前記複数の近傍界プローブの少なくとも一部及び前記測定プローブから信号分析機を介して入力信号に対応する信号データを伝達されて前記放送通信機器の性能を測定するための制御ユニットと、
を含む、放送通信機器性能測定システム。
【請求項2】
前記アーチは、
前記アーチの内側に配置される前記複数の近傍界プローブが前記放送通信機器を基準に前記曲面反射板の反対側に位置するように形成される、請求項1に記載の放送通信機器性能測定システム。
【請求項3】
前記アーチは、
前記アーチの内側に配置される前記複数の近傍界プローブが、前記放送通信機器が前記曲面反射板に面する方向を基準に前記放送通信機器の側方に位置するように形成される、請求項1に記載の放送通信機器性能測定システム。
【請求項4】
前記制御ユニットは、
前記ポジショナを制御して、
前記放送通信機器を仰角方向に一定角度回転させた後、方位角方向に回転させながらテストを行うことを特徴とする、請求項1に記載の放送通信機器性能測定システム。
【請求項5】
前記制御ユニットは、
前記複数の近傍界プローブの少なくとも一部によって測定される信号データに基づいて、前記放送通信機器のビームピークを決定し、
前記ポジショナを制御して前記放送通信機器のビームピークが前記反射板に向かうように前記放送通信機器を回転させ、
前記測定プローブを介して測定される信号データに基づいて、前記放送通信機器の性能を測定する、請求項1に記載の放送通信機器性能測定システム。
【請求項6】
前記制御ユニットは、前記放送通信機器のビームピークを決定するために、
前記複数の近傍界プローブの少なくとも一部によって測定される信号データに基づいて、前記放送通信機器の近傍界データを生成し、
前記放送通信機器の近傍界データを遠方界データに変換し、
前記放送通信機器の遠方界データから前記放送通信機器のビームピークを決定する、請求項5に記載の放送通信機器性能測定システム。
【請求項7】
前記放送通信機器性能測定システムは、
前記アーチ構造物の外郭に設けられ、前記放送通信機器が発生する信号を受信して信号処理装置に伝達する位相レファレンスプローブを少なくとも1つさらに含み、
前記制御ユニットは、
前記位相レファレンスプローブから受信する信号の位相情報をレファレンス位相として用いる、請求項1に記載の放送通信機器性能測定システム。
【請求項8】
前記放送通信機器性能測定システムは、
複数の位相レファレンスプローブを含み、
前記制御ユニットは、
前記複数の位相レファレンスプローブがそれぞれ受信した信号のうち電力がより強い信号の位相をレファレンス位相として用いる、請求項7に記載の放送通信機器性能測定システム。
【請求項9】
前記制御ユニットは、
少なくとも1つの位相レファレンスプローブを前記放送通信機器の回転と同様の回転を行うように制御することを特徴とする、請求項7に記載の放送通信機器性能測定システム。
【請求項10】
テスト対象である放送通信機器を固定するための固定部と、
前記固定部を制御して前記放送通信機器の回転を制御するためのポジショナと、
前記放送通信機器の可視線(line-of-sight)から遮蔽され、前記固定部から離隔した所定の位置に設けられる測定プローブと、
前記放送通信機器によって放射される電磁波を前記測定プローブ方向に反射し、前記測定プローブの球面波(spherical wave)が前記放送通信機器が設けられた位置で平面波(plane wave)に変形されるように形成された曲面反射板と、
前記固定部の位置が中心点となるように前記固定部の周辺に配置されるアーチを含むアーチ構造物と、
前記アーチの内側に所定間隔で離隔して配置される複数の近傍界プローブを含むプローブセットと、を含むチャンバで行われる放送通信機器の性能測定方法であって、
放送通信機器性能測定システムが、複数の近傍界プローブの少なくとも一部によって測定される信号データに基づいて、前記放送通信機器のビームピークを決定するステップと、
前記放送通信機器性能測定システムが、前記放送通信機器のビームピークが前記反射板に向かうように前記放送通信機器を回転させるステップと、
前記放送通信機器性能測定システムが、前記測定プローブを介して測定される信号データに基づいて、前記放送通信機器の性能を測定するステップと、
を含む、放送通信機器の性能測定方法。
【請求項11】
前記複数の近傍界プローブの少なくとも一部によって測定される信号データに基づいて、前記放送通信機器のビームピークを決定するステップは、
前記複数の近傍界プローブの少なくとも一部によって測定される信号データに基づいて、前記放送通信機器の近傍界データを生成するステップと、
前記放送通信機器の近傍界データを遠方界データに変換するステップと、
前記放送通信機器の遠方界データから前記放送通信機器のビームピークを決定するステップと、
を含む、請求項10に記載の放送通信機器の性能測定方法。
【請求項12】
データ処理装置に設けられ、請求項10に記載の方法を行うための媒体に格納されたコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送通信機器性能測定システム及びその方法に関する。より詳しくは、アンテナを含んでいる放送通信機器に対する認証及び事後管理のための複数の測定項目に対する性能を高速に測定できるシステム及びその方法に関する。
【0002】
本発明は、科学技術情報通信部国立電波研究院の研究開発事業(新技術適用アンテナ高速測定技術開発事業)の一環として行った研究の結果物である。
【背景技術】
【0003】
無線トラフィック増加、大容量データ送信など電波資源の需要が急増することによって、新しい電波資源であるミリ波帯域に対する市場需要も拡大している。また、ミリ波帯域の移動通信機器の使用が急増すると予想されるため、基地局や端末装置などの放送通信機器に含まれたミリ波帯域アンテナの認証及び事後管理試験を高速に処理する技術の開発が至急必要とされている状況であり、放送通信機器(正確には、ここに含まれるアンテナ)に対する認証及び事後管理試験のための様々な測定項目を高速に測定できる技術の必要性が増大している。
【0004】
アンテナ(Antenna Under Test;AUT)を含む放送通信機器(Equipment Under Test;EUT)の性能を測定するためには、EUT周辺に測定プローブを配置して測定することになるが、このようなアンテナ測定(テスト)のためには、従来の方式のように1つ又は少数のプローブを移動しながらアンテナの信号放射性能を測定する方式は、かなりの時間とリソースが必要となる。
【0005】
図1a及び
図1bは、従来のアンテナ測定方式の一例を説明するための図である。
【0006】
図1aは、最近の高周波数帯域におけるアンテナ(あるいは放送通信機器)の性能測定に広く用いられているNFTF(Near Field to Far Field Transform)方式のアンテナ性能測定方式を説明している。
【0007】
図1aに示すように、NFTFアンテナ測定方式は、平面型(Planar)、シリンダ型(Cylindrical)、球型(Spherical)性能測定方式が存在する。
【0008】
このような方式は、アンテナの指向性や放射パターンによって選択的に用いることができる。
【0009】
従来の方式は、通常、テスト放送通信機器(AUT)が出力する信号を受信するためのプローブを予め定められたグリッドポイント毎に移動しながら、テスト放送通信機器(AUT)が出力する信号を受信し、これを分析して放射性能(放射パターン、信号強度など)を測定する方式が用いられている。
【0010】
また、シリンダ型又は球型測定方式の場合、プローブの移動とともにテスト放送通信機器(AUT)を回転しながら測定を行うこともあり、必要に応じて球型の測定方式の場合、球の一外周に該当するアーチ(円弧、arc)に複数のプローブを設け、全球に該当するグリッドポイント毎の信号受信を行うこともある。
【0011】
従来のNFTF測定方式の場合には、複数のプローブを同時に使用することができるため測定時間が非常に短縮されるが、放送通信機器に対する認証及び事後管理に必要な一部の測定項目であるEVMやBlockingを測定できないという欠点がある。
【0012】
図1bは、従来のIFF(Indirect Far-Field)測定方式を説明するための図である。IFF測定方式は、CATR(Compact Antenna Test Range)とも呼ばれる方法であり、プローブで放射される電磁波を反射板(reflector)でEUT方向に反射させる方法であり、反射板は、プローブで球状(spherical)に放射される電磁波がEUT領域では平面波(plane wave)で設計される。平面波としての品質が維持される領域をクワイエットゾーン(quiet zone)とし、EUTは、クワイエットゾーン内に位置させて測定することになる。
【0013】
従来のIFF方式の場合、放送通信機器に対する認証及び事後管理に必要な測定を全て行うことができるが、1つのプローブのみを使用することになるため測定時間が長くかかるという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】韓国公開特許1020200093759号「アンテナ性能測定方法及びこのためのチャンバ」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記従来技術の諸問題を解決するためになされた発明であり、本発明が解決しようとする課題は、放送通信機器に対する認証及び事後管理のための複数の測定項目に対する性能を高速に測定できるシステム及びその方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様によると、テスト対象である放送通信機器を固定するための固定部と、前記固定部を制御して前記放送通信機器の回転を制御するためのポジショナと、前記放送通信機器の可視線(line-of-sight)から遮蔽され、前記固定部から離隔した所定の位置に設けられる測定プローブと、前記放送通信機器によって放射される電磁波を前記測定プローブ方向に反射し、前記測定プローブの球面波(spherical wave)が、前記放送通信機器が設けられた位置で平面波(plane wave)に変形されるように形成された曲面反射板と、前記放送通信機器の位置が中心点となるように前記固定部の周辺に配置されるアーチを含むアーチ構造物と、前記アーチの内側に所定間隔で離隔して配置される複数の近傍界プローブを含むプローブセットと、前記複数の近傍界プローブの少なくとも一部及び前記測定プローブから信号分析機を介して入力信号に対応する信号データを伝達されて前記放送通信機器の性能を測定するための制御ユニットと、を含む放送通信機器性能測定システムが提供される。
【0017】
一実施形態において、前記アーチは、前記アーチの内側に配置される前記複数の近傍界プローブが前記放送通信機器を基準に前記曲面反射板の反対側に位置するように形成されてもよい。
【0018】
一実施形態において、前記アーチは、前記アーチの内側に配置される前記複数の近傍界プローブが、前記放送通信機器が前記曲面反射板に面する方向を基準に前記放送通信機器の側方に位置するように形成されてもよい。
【0019】
一実施形態において、前記制御ユニットは、前記ポジショナを制御することで、前記放送通信機器を仰角方向に一定角度回転させた後、方位角方向に回転させながらテストを行うことを特徴としてもよい。
【0020】
一実施形態において、前記制御ユニットは、前記複数の近傍界プローブの少なくとも一部によって測定される信号データに基づいて、前記放送通信機器のビームピークを決定し、前記ポジショナを制御して前記放送通信機器のビームピークが前記反射板に向かうように前記放送通信機器を回転させ、前記測定プローブを介して測定される信号データに基づいて、前記放送通信機器の性能を測定してもよい。
【0021】
一実施形態において、前記制御ユニットは、前記放送通信機器のビームピークを決定するために、前記複数の近傍界プローブの少なくとも一部によって測定される信号データに基づいて、前記放送通信機器の近傍界データを生成し、前記放送通信機器の近傍界データを遠方界データに変換し、前記放送通信機器の遠方界データから前記放送通信機器のビームピークを決定してもよい。
【0022】
一実施形態において、前記放送通信機器性能測定システムは、前記アーチ構造物の外郭に設けられ、前記放送通信機器が発生する信号を受信して信号処理装置に伝達する位相レファレンスプローブを少なくとも1つさらに含み、前記制御ユニットは、前記位相レファレンスプローブから受信する信号の位相情報をレファレンス位相として用いてもよい。
【0023】
一実施形態において、前記放送通信機器性能測定システムは、複数の位相レファレンスプローブを含み、前記制御ユニットは、前記複数の位相レファレンスプローブがそれぞれ受信した信号のうち電力がより強い信号の位相をレファレンス位相として用いてもよい。
【0024】
一実施形態において、前記制御ユニットは、少なくとも1つの位相レファレンスプローブを前記放送通信機器の回転と同様の回転を行うように制御することを特徴としてもよい。
【0025】
本発明の他の態様によると、テスト対象である放送通信機器を固定するための固定部と、前記固定部を制御して前記放送通信機器の回転を制御するためのポジショナと、前記放送通信機器の可視線(line-of-sight)から遮蔽され、前記固定部から離隔した所定の位置に設けられる測定プローブと、前記放送通信機器によって放射される電磁波を前記測定プローブ方向に反射し、前記測定プローブの球面波(spherical wave)が前記テストアンテナが設けられた位置で平面波(plane wave)に変形されるように形成された曲面反射板と、前記固定部の位置が中心点となるように前記固定部の周辺に配置されるアーチを含むアーチ構造物と、前記アーチの内側に所定間隔で離隔して配置される複数の近傍界プローブを含むプローブセットと、を含むチャンバで行われる放送通信機器の性能測定方法であって、放送通信機器性能測定システムが、複数の近傍界プローブの少なくとも一部によって測定される信号データに基づいて、前記放送通信機器のビームピークを決定するステップと、前記放送通信機器性能測定システムが、前記放送通信機器のビームピークが前記反射板に向かうように前記放送通信機器を回転させるステップと、前記放送通信機器性能測定システムが、前記測定プローブを介して測定される信号データに基づいて、前記放送通信機器の性能を測定するステップと、を含む放送通信機器の性能測定方法が提供される。
【0026】
一実施形態において、前記複数の近傍界プローブの少なくとも一部によって測定される信号データに基づいて、前記放送通信機器のビームピークを決定するステップは、前記複数の近傍界プローブの少なくとも一部によって測定される信号データに基づいて、前記放送通信機器の近傍界データを生成するステップと、前記放送通信機器の近傍界データを遠方界データに変換するステップと、前記放送通信機器の遠方界データから前記放送通信機器のビームピークを決定するステップと、を含んでもよい。
【0027】
本発明の他の態様によると、データ処理装置に設置され、上述した方法を行うための媒体に格納されたコンピュータプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一実施形態によると、複数帯域のアンテナ又は広帯域アンテナに対して高速の性能測定(テスト)が可能になるという効果がある。
【0029】
また、本発明の他の実施形態によると、アンテナに対する認証及び事後管理のための複数の測定項目に対する性能を高速に測定できるようになるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明の詳細な説明で引用される図面をより十分に理解するために各図面の簡単な説明が提供される。
【
図1a】従来のアンテナ測定方式を説明するための図である。
【
図1b】従来のアンテナ測定方式を説明するための図である。
【
図2】本発明の一実施形態に放送通信機器性能測定システムの概略的な構造物を示すための図である。
【
図3】本発明の実施形態によるアーチ構造物を説明するための図である。
【
図4】本発明の一実施形態による放送通信機器性能測定システムの構成図を説明するための図である。
【
図5】本発明の実施形態によるアーチ構造物の交差地点の実施形態を説明するための図である。
【
図6】本発明の実施形態による固定部の一例を説明するための図である。
【
図7】本発明の実施形態によるポジショナの一例を説明するための図である。
【
図8】本発明の他の実施形態による放送通信機器性能測定システムの概略的な構造を説明するための図である。
【
図9】アーチが放送通信機器の側面に位置する例を示す図である。
【
図10】本発明の他の実施形態による放送通信機器性能測定システムが放送通信機器の性能を測定する具体的な過程を示す図である。
【
図11】本発明の他の実施形態による放送通信機器性能測定システムが放送通信機器の性能を測定する具体的な過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、様々な変換を加えることができ、様々な実施形態を有することができるが、特定の実施形態を図面に示し、詳細な説明に詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定することを意図するものではなく、本発明の精神および技術的範囲に含まれるすべての変換、等価物及び代替物を含むことを理解されたい。本発明の説明において、関連する公知技術の具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にすると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0032】
第1、第2などの用語は様々な構成要素を説明するために使用することができるが、上記構成要素は上記用語によって限定されるべきではない。上記用語は、ある構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0033】
本出願で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであり、本発明を限定することを意図していない。単数の表現は、文脈上明らかに他に意味がない限り、複数の表現を含む。
【0034】
本明細書において、「含む」又は「有する」などの用語は、本明細書に記載の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであり、1つ又はそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないことを理解されたい。
【0035】
また、本明細書において、ある構成要素が他の構成要素にデータを「伝送」する場合には、上記構成要素は上記他の構成要素に直接上記データを伝送することもでき、少なくとも1つの他の構成要素を介して上記データを上記他の構成要素に伝送することもできることを意味する。逆に、ある構成要素が他の構成要素にデータを「直接伝送」する場合には、上記構成要素から他の構成要素を介することなく上記他の構成要素に上記データが伝送されることを意味する。
【0036】
図2は、本発明の一実施形態による放送通信機器性能測定システムの概略的な構造物を示すための図である。
【0037】
図2を参照すると、本発明の技術的思想による放送通信機器の性能測定方法を実現するために、放送通信機器性能測定システム1000を備えることができる。
【0038】
放送通信機器性能測定システム1000は、所定のチャンバ内に設けることができ、
図2に示すように、チャンバの内側壁には電波吸収体(例えば、ピラミッド型電波吸収体)が複数設けられ、テストの対象となる放送通信機器(EUT)10の放射する信号がチャンバ内で反射されないようにすることができる。テストの対象となる放送通信機器10は、電波を放出するアンテナを内蔵することができる。
【0039】
放送通信機器性能測定システム1000は、アーチ構造物100を含む。
【0040】
一実施形態において、アーチ構造物100は、1つ又は2つ以上のアーチを形成することができる。
【0041】
図2に示すように、アーチ構造物100が複数のアーチを形成する場合、複数のアーチによって内側に球型空間を形成することができる。
【0042】
本発明の一実施形態において、説明の便宜のために、アーチ構造物100が2つのアーチを含む場合を例示的に説明するが、本発明の技術的思想は、3つ以上のアーチを有する場合にも容易に適用できることを本発明の技術分野の平均的な専門家であれば容易に推論することができるであろう。したがって、本発明の権利範囲は本実施形態に限定されない。
【0043】
アーチ構造物100の外壁にも同様に電波吸収体が設けられ、テスト対象の放送通信機器10から出力された信号の反射を抑制するように実現することができる。
【0044】
アーチ構造物100に備えられる各アーチは、アーチ構造物100が内側に形成する球型空間の外周に該当することができ、各アーチは、いずれかの周波数帯域に対応するように備えられてもよい。
【0045】
各アーチがいずれかの周波数帯域に対応するとは、あるアーチは特定周波数帯域のテストに用いることができ、他のアーチは他の周波数帯域のテストに用いることができることを意味し得る。
【0046】
このために、各アーチには、対応する周波数帯域の信号を効果的に受信できるように設計されたプローブ400、500が複数配置されてもよい。
【0047】
図3は、本発明の実施形態によるアーチ構造物を説明するための図であり、
図2及び
図3を参照すると、アーチ構造物100は、第1アーチ110-1、110-2、及び第2アーチ120-1、120-2を少なくとも含んでもよい。
【0048】
本発明の実施形態において、アーチ構造物100が2つのアーチを含む場合を例示しているが、本発明の権利範囲がこれに限定されないことは上述した通りである。
【0049】
第1アーチ110-1、110-2と第2アーチ120-1、120-2は、所定の交差地点130で交差するように形成されてもよい。
【0050】
第1アーチ110-1、110-2は、交差地点130によって区切られ得る第1パート110-1及び第2パート110-2を含むことができ、第2アーチ120-1、120-2も交差地点130によって区切られ得る第1パート110-1及び第2パート110-2を含んでもよい。
【0051】
また、第1アーチ100と第2アーチ120-1、120-2を支持するための支持体が
図3に示すように備えられてもよい。
【0052】
第1アーチの内側には、複数の第1プローブ400を含む第1プローブセットが配置されてもよい。
【0053】
また、第2アーチの内側には、複数の第2プローブ500を含む第2プローブセットが配置されてもよい。
【0054】
図3に示すようなアーチ構造物100の外側には、電波吸収体が付着し、
図2に示すような形状を有することができる。
【0055】
各アーチには、プローブが配置される位置が予め定められていてもよい。各位置には、信号を受信する前面側が球型空間側に配置され、球型空間の外側には、プローブに入力される信号が伝達される信号ラインが設けられるようにプローブ結合構造が形成されていてもよい。
【0056】
結合構造は、プローブを挿入できるか、所定の方式で載置又は締結できる方式など、様々な実施形態が可能である。
【0057】
プローブ結合構造の位置は固定されていてもよい。また、アーチ110-1、110-2、120-1及び120-2のそれぞれでプローブが結合する位置は、予め定められた固定間隔を有するように決定されてもよい。
【0058】
他の実施形態によると、プローブの結合位置を可変に実現することもできる。例えば、アーチ110-1、110-2、120-1、120-2のそれぞれの内側にアーチの長さ方向に所定の溝が形成され、溝にプローブのそれぞれの一部が締結されたまま溝に沿ってスライドする方式などで、アーチに結合する位置が可変的に選択されるように実現されてもよい。或いは、その他の様々な方式でプローブの位置が移動されるように実現されてもよい。
【0059】
一方、テスト対象の放送通信機器10は、アーチ構造物100が形成する球型空間の内部に位置し、放送通信機器性能測定システム1000の制御によって又は自発的に信号を放射することができる。
【0060】
テスト対象の放送通信機器10によって放射される信号は、各アーチに配置されるプローブによって受信され、受信された入力信号は、後述するような信号処理装置を介して制御ユニットに伝送されてもよい。
【0061】
これにより、制御ユニットによって放射性能(放射パターン及び信号強度など)が測定されるアンテナのテストを行うことができる。
【0062】
テスト対象の放送通信機器10は、所定の固定部200によって固定され、固定部200は、ポジショナ300によって回転されてもよい。
【0063】
固定部200は、テスト対象の放送通信機器10を載置、付着、又は締結して固定できるように実現されればよく、固定部200も可能な限り電波吸収体が外側に付着するか又は電波の反射特性が低い材質で実現されてもよい。
【0064】
固定部200は、ポジショナ300によって動きが制御されてもよい。
【0065】
ポジショナ300は、後述するように、固定部200を制御してテスト対象の放送通信機器10を方位角(Azimuth)方向(例えば、アーチ構造物100の水平方向)に回転させるか、又は仰角(elevation)方向(例えば、アーチ構造物100の垂直方向)に回転させることができる。
【0066】
ポジショナ300は、後述する制御ユニットの制御下でテスト対象アンテナ10を方位角方向に回転させながらテストを行うことができ、球上でサンプリング間隔が広い場合に、ポジショナ300を介して仰角方向にテスト対象の放送通信機器10を一定角度回転させてテスト対象の放送通信機器10を傾けた後、方位角方向に回転させることにより、空間上でより狭いサンプリング間隔を有する位置で入力信号を取得できるという効果を有することもできる。
【0067】
一方、チャンバ内には、
図2に示すように、人の移動経路のための通路20が配置されなければならず、このような通路20も電波吸収体で実現されることが望ましい。
【0068】
このとき、通路20は、
図2に示すように、アーチ構造物100の間にウェッジ(wedge)形状を有するように設計でき、これによりアーチ構造物100の中央までの接近性を向上させることができる。
【0069】
図2に示された放送通信機器性能測定システム1000は、チャンバ内の構造物を中心に説明し、性能測定のためのデータ処理観点の構成は
図4と同様である。
【0070】
図4は、本発明の一実施形態による放送通信機器性能測定システムの構成図を説明するための図である。
【0071】
図4を参照すると、本発明の技術的思想による放送通信機器性能測定システム1000は、
図2で説明したアーチ構造物100、固定部200、及びポジショナ300に加え、制御ユニット800を含んでもよい。
【0072】
また、放送通信機器性能測定システム1000は、信号分析機700をさらに含むこともできる。
【0073】
制御ユニット800は、本発明の技術的思想による放送通信機器の性能測定方法を実現するために、放送通信機器性能測定システム1000に備えられた他の構成(例えば、ポジショナ300、信号分析機700、帯域選択スイッチ600、及び/又はプローブ選択スイッチ610、620など)を制御することができる。
【0074】
このために、制御ユニット800は、本明細書で定義される機能を実現するためのプロセッサ及び記憶媒体を含んでもよい。プロセッサは、所定のプログラム(ソフトウェアコード)を行うことができる演算装置を意味することができ、データ処理装置の実現例又はベンダー(Vendor)モバイルプロセッサ、マイクロプロセッサー、CPU、シングルプロセッサ、マルチプロセッサなど様々な名称と呼ばれてもよい。
【0075】
プロセッサは、プログラムを駆動して本発明の技術的思想に必要なデータ処理(例えば、他の構成の制御、放射性能の導出など)を行うことができることを、本発明の技術分野の平均的な専門家であれば容易に推論することができるであろう。
【0076】
記憶媒体は、本発明の技術的思想を実現するためのプログラムが格納/設置される装置を意味し得る。実現例によって、記憶媒体は、複数の互いに異なる物理的装置に分割されていてもよく、実現例によって、記憶媒体の一部がプロセッサの内部に存在してもよい。記憶媒体は、実現例によって、ハードディスク、SSD(Solid State Disk)、光ディスク、RAM(Random Access Memory)、及び/又はその他様々な種類の記憶媒体で実現されてもよく、必要に応じては、制御ユニット800に取り外し可能に実現されてもよい。
【0077】
制御ユニット800は、コンピュータ、ラップトップ、サーバなどのデータ処理装置で実現することができるが、これらに限定されず、プログラムを行うデータ処理能力を有するいずれのデータ処理装置(例えば、モバイル端末など)でも実現することができる。
【0078】
また、制御ユニット800は、プロセッサ、記憶媒体、及び制御ユニット800に備えられる様々な周辺装置(例えば、入出力装置、ディスプレイ装置、オーディオ装置など)と、これらの装置を連結するための通信インターフェース(例えば、通信バスなど)を備えることもできることは、本発明の技術分野の平均的な専門家であれば容易に推論することができるであろう。
【0079】
制御ユニット800は、所定の管理者端末900と通信を行うことで本発明の技術的思想による複数帯域のアンテナ高速測定方法を行うことができる。
【0080】
図4では、制御ユニット800と管理者端末900とが別々の装置で実現される一例を示したが、必要に応じて、管理者端末900と制御ユニット800を1つの物理的装置で実現できることを、本発明の技術分野の平均的な専門家であれば容易に推論することができるであろう。
【0081】
制御ユニット800は、帯域選択スイッチ600を制御してテストする周波数帯域、すなわちアーチを選択することができる。例えば、第1アーチ110-1、110-2、及び第2アーチ120-1、120-2のいずれか1つは、第1帯域(例えば、3.5GHz)に対応し、他の1つは第2帯域(28GHz)に対応することができる。
【0082】
制御ユニット800は、テスト対象アンテナ10に対応する周波数帯域を帯域選択スイッチ600により選択することができる。これにより、選択された周波数帯域(例えば、第1帯域)に対応する第1アーチ110-1、110-2を選択することができる。
【0083】
これにより、制御ユニット800は、選択したアーチ(例えば、第1アーチ110-1、110-2)に対応する第1プローブセット400に含まれたプローブから順に入力信号を信号分析機700を介して受信することができる。
【0084】
制御ユニット800は、プローブを順に選択するためにプローブ選択スイッチ610、620を制御することができる。
【0085】
第1プローブ選択スイッチ610は、第1プローブセット400からいずれか1つのプローブを選択するための構成であり、第2プローブ選択スイッチ620は、第2プローブセット500からいずれか1つのプローブを選択するための構成であり得る。
【0086】
各プローブによって受信される入力信号は、プローブ選択スイッチ610、620を介して信号分析機700に伝達されてもよい。各プローブは、2つのチャンネル(H-pol、V-pol)に該当する入力信号をそれぞれ伝達できることは言うまでもなく。
【0087】
また、伝達される入力信号は、必要に応じて低雑音増幅器640、650を経て増幅され、信号分析機700に伝達されてもよい。
【0088】
信号分析機700は、プローブから受信される入力信号を処理して放射性能を測定するためのデータを抽出し、これを制御ユニット800に伝達することができる。
【0089】
これにより、制御ユニット800は、信号分析機700から受信するデータに基づいて、テスト対象の放送通信機器10の放射性能(例えば、放射パターン、強度など)を導出することができる。
【0090】
複数のプローブから受信する入力信号から必要なデータを抽出するための信号分析機700の機能や動作、このようなデータから放射性能を導出するためのアルゴリズムは広く知られているので、本明細書では詳細な説明は省略する。
【0091】
一方、制御ユニット800は、テスト対象アンテナ10が出力する出力信号を信号分析機700を制御して伝達することができる。このような場合でも、信号分析機700とテスト対象アンテナ10との間には所定の低雑音増幅器が備えられてもよい。
【0092】
また、このような方式の場合、制御ユニット800は、自身が伝達した出力信号の位相が分かるので、別途のレファレンス位相が不要となる。しかし、OTA(Over The Air)方式で自主的に信号を出力するアンテナのためには、放射性能の測定のために正確なレファレンス位相が必要な場合がある。また、レファレンス位相に基づいてそれぞれのプローブから受信された入力信号の位相情報を推定することができる。
【0093】
このために、放送通信機器性能測定システム1000には、少なくとも1つの位相レファレンスプローブ510、510-1がさらに備えられてもよい。
【0094】
位相レファレンスプローブ510、510-1は、チャンバ内、またアーチ構造物100の外部の所定の位置に設けられてもよい。
【0095】
位相レファレンスプローブ510、510-1もテスト対象アンテナ10が発生する信号を受信して信号分析機700に伝達することができ、信号分析機700は、位相情報を測定して制御ユニット800に伝達することができる。
【0096】
一実施形態によると、アンテナ性能測定システム放送通信機器性能測定システム1000には、複数の位相レファレンスプローブ510、510-1を備えることができ、各位相レファレンスプローブ510、510-1は、互いに一定距離以上離隔して配置されてもよい。
【0097】
また、この場合、制御ユニット800は、複数の位相レファレンスプローブ510、510-1のそれぞれが受信した信号のうち電力がより強い信号の位相をレファレンス位相情報として用いてもよい。複数の位相レファレンスプローブ510、510-1が備えられる場合には、位相レファレンスプローブ510、510-1がゼロ方向/位置に存在するリスクを防止できるという効果がある。
【0098】
また、位相レファレンスプローブ510、510-1のそれぞれも所定の回転運動が可能な駆動装置(図示せず)と接続されてもよい。
【0099】
制御ユニット800は、駆動装置(図示せず)を制御して位相レファレンスプローブ510、510-1の回転を制御することができる。
【0100】
例えば、制御ユニット800は、テスト対象の放送通信機器10の回転と同様の回転を行うように駆動装置(図示せず)を制御することができ、このような場合、テスト対象の放送通信機器10が回転する場合にも、位相レファレンスプローブ510、510-1がテスト対象の放送通信機器10の放射パターンで同一の地点に位置するように制御することができる。
【0101】
制御ユニット800がテスト対象の放送通信機器10の性能を測定するために、まずテスト対象の放送通信機器10に対応するアーチを帯域選択スイッチ600により選択することができる。
【0102】
例えば、第1アーチ110-1、110-2を選択した場合、制御ユニット800は、第1プローブ選択スイッチ610を用いて順に第1プローブセット400に含まれたプローブを選択し、信号分析機700から入力データを受信することができる。
【0103】
第1プローブセット400に含まれたすべてのプローブから入力データが受信されると、制御ユニット800は、ポジショナ300を制御してテスト対象の放送通信機器10を仰角方向に一定角度回転させることができる。また、方位角方向にテスト対象の放送通信機器10を一定角度回転させることができる。仰角方向の回転と方位角方向の回転順序は変更されてもよい。また、再度第1プローブセット400に含まれたプローブを順に選択して、信号分析機700から入力データを受信することができる。
【0104】
このような方式でテスト対象の放送通信機器の仰角方向及び/又は方位角方向の回転を行った後、入力データの受信を繰り返し行うことで、球型空間上で十分なグリッドポイントに対する入力データが収集されると、制御ユニット800は放射性能を導出してテストを完了することができる。
【0105】
その後、同じアンテナ又は他のアンテナのテストを行うとき、第2帯域に対するテストが必要な場合、制御ユニット800は、単に第2帯域を選択することによって第2帯域に対するテストも行うことができる。
【0106】
また
図3を参照すると、アーチ構造物100は、交差地点130で第1アーチ110-1、110-2と第2アーチ120-1、120-2とが交差するようになり、このとき、交差地点130に所定のプローブが設けられる場合には、プローブは第1帯域及び第2帯域の両方に対応することが望ましい。
【0107】
このために、交差地点130に配置されるプローブは、第1帯域及び第2帯域の両方に該当する信号を受信できる広帯域プローブであり得る。
【0108】
一方、第1帯域及び第2帯域の周波数帯域差が大きいため、両方をカバーするプローブの実現が容易でない場合もある。他の様々な理由から、広帯域プローブを交差地点130に配置することが望ましくないか、又は容易でない場合もある。
【0109】
このような場合、アーチ構造物100は、交差地点130に対応するプローブ結合構造は、プローブを容易に交換するように実現されてもよい。例えば、プローブを選択的かつ容易に交換するために、交差地点130に対応するプローブ結合構造は、プローブを挿抜可能な溝を有するか、着脱が容易な載置構造、又はその他様々な方式によってプローブの交換を容易に実現することができる。
【0110】
このように交差地点130にプローブの交換が容易な結合構造が採択される場合、第1帯域に対応するアンテナのテスト時には、交差地点130には第1帯域に対応するプローブが配置され、第2帯域に対応するアンテナのテスト時には、第2帯域に対応するプローブが配置されることで、交差地点130に対応する位置のプローブ交換のみで複数帯域のアンテナを含む放送通信機器に対するテストが迅速に行われるという効果がある。
【0111】
また他の実施形態によると、第1アーチ110-1、110-2に配置される第1プローブ400と、第2アーチ120-1、120-2に配置される第2プローブ500は、それぞれ予め定められた間隔で離隔して配置されてもよい。もちろん、第1プローブ400の間隔と第2プローブ500の間隔は異なってもよい。
【0112】
また、このとき、間隔に対するプローブの配置により、交差地点130にはプローブが全く配置されない場合もある。これは、アーチの交差地点130は、他の位置に比べて構造物の交差による物理的/空間的特性の差があり、このような問題点によって、可能な限り交差地点130に対応する位置では信号を測定しないことがさらに望ましい場合もあるためである。
【0113】
また、テスト対象の放送通信機器10のテスト時に、テスト対象の放送通信機器10の主ビームの方向も交差地点130に向かわないようにすることが望ましい。
【0114】
このために、固定部200は、テスト対象の放送通信機器10の方向(すなわち、主ビーム方向)を交差地点130と直交方向になるように配置することができる。例えば、
図2で、テスト対象の放送通信機器10は、交差地点130が図面上でテスト対象の放送通信機器10の垂直上部に位置する場合、交差地点130とアンテナとを結ぶ線とは直交する方向(例えば、水平面上に所定の方向)に設けられてもよい。
【0115】
【0116】
図5は、本発明の実施形態によるアーチ構造物の交差地点の実施形態を説明するための図である。
【0117】
図5は、第1アーチ110-1、110-2と第2アーチ120-1、120-2、及び第1アーチ110-1、110-2と第2アーチ120-1、120-2との交差地点130を拡大した写真を示しており、
図5に示すように、第1アーチ110-1、110-2に第1プローブが一定間隔に配置されており、第2アーチ120-1、120-2にも第2プローブが一定間隔に配置されているが、交差地点130にいかなるプローブも配置されない場合もある。
【0118】
これにより、プローブの交換の煩わしさや、広帯域プローブを用いても該当の位置での物理的/空間的特異性による誤差発生の問題を軽減できるという効果がある。
【0119】
図6は、本発明の実施形態による固定部の一例を説明するための図である。
【0120】
図6を参照すると、固定部200は、
図6に示すように、テスト対象の放送通信機器10を追加できる付着構造(例えば、
図6の円板状の構造物)、付着構造を垂直に支持する垂直支持体を含んでもよい。
【0121】
このような垂直支持体は、全方向アンテナの場合に電波の放射に影響を及ぼす可能性があるため、可能な限り狭い幅を有するように実現されることが望ましい。
【0122】
また、垂直支持体がポジショナ300の回転運動の軸と並ぶ場合に、テスト対象の放送通信機器10の回転が過度に制限された範囲でのみ起こる問題があるので、
図6に示すように、回転半径の拡大のために水平支持体がさらに備えられ、このような水平支持体の一端はポジショナ300の回転軸と接続され、他端は垂直支持体と接続される構造を有することができる。
【0123】
その他の固定部200の実施形態は様々であり得ることは言うまでもなく。
【0124】
図7は、本発明の実施形態によるポジショナの一例を説明するための図である。
【0125】
図7を参照すると、ポジショナ300は、制御ユニット800の制御によって固定部200の回転を制御する機械的装置であってもよい。
【0126】
すなわち、テスト対象の放送通信機器10の回転を制御して、方位角方向(AZ Axis)にテスト対象の放送通信機器10を回転させることができ、また仰角方向(Tilt Axis)にテスト対象の放送通信機器10を回転させることができる装置であれば十分である。
【0127】
一実施形態によると、ポジショナ300は、固定部200が結合する上部ポジショナ310と、上部ポジショナ310の回転を駆動する下部ポジショナ320とを備えることができる。
【0128】
上部ポジショナ310は、テストを行う場合、方位角方向にテスト対象の放送通信機器10を回転させるように実現されてもよく、下部ポジショナ320とは別に回転可能に実現することができる。
【0129】
また、下部ポジショナ320は、アーチの選択時に該当するアーチに適した位置に上部ポジショナ310を回転させるように実現され、上部ポジショナ310を垂直方向、すなわち仰角方向(Tilt Axis)に一定角度回転させることもできる。
【0130】
また、
図7に示すように、下部ポジショナ320の外側には所定の電波吸収体が備えられてもよい。
【0131】
結局、本発明の技術的思想によると、複数帯域に対してそれぞれアーチを備え、各アーチに複数のプローブを配置し、これらによって高速で互いに異なる帯域に対するアンテナ性能測定が可能な効果がある。
【0132】
ただし、上述した実施形態による放送通信機器性能測定システム1000は、アンテナ(AUT)を含む放送通信機器(EUT)に対する認証及び事後管理に必要な一部の測定項目、特にEVMやBlockingを測定できないという欠点がある。したがって、このような欠点を克服するために変形された構造を有する放送通信機器性能測定システムがさらに提案されており、以下ではこれに対してより具体的に説明する。ただし、上述した内容がそのまま適用されるか、又は通常の技術者によって非常に容易に適用可能な場合には詳しい説明を省略する。
【0133】
図8は、本発明の他の実施形態による放送通信機器性能測定システムの概略的な構造を説明するための図である。
図8は、放送通信機器性能測定システム2000のサイドビュー(side view;より詳しくは、テスト対象の放送通信機器と反射板とを結ぶ直線を含む垂直断面)を概略的に示している。
【0134】
図8を参照すると、放送通信機器性能測定システム2000は、テスト対象である放送通信機器10を固定するための固定部200、固定部200を制御して放送通信機器10の回転を制御するためのポジショナ300と、を含んでもよい。
【0135】
放送通信機器性能測定システム2000は、チャンバ内に備えられてもよく、
図8に示すように、チャンバの内側壁には電波吸収体が複数設けられていてもよい。
【0136】
また、放送通信機器性能測定システム2000は、放送通信機器10の位置が中心点となるように、固定部200の周辺に配置されるアーチ110-1を含むアーチ構造物100をさらに含んでもよい。アーチ110-1の内側には、複数の近傍界プローブ401~408が所定間隔で離隔して配置されてもよい。複数の近傍界プローブ401~408は、放送通信機器10が放射する近傍界電磁波を受信することができ、測定時間の短縮のために同時に駆動されてもよい。
【0137】
一方、放送通信機器性能測定システム2000は、測定プローブ2100及び曲面反射板2200をさらに含んでもよい。
【0138】
曲面反射板2200は、放送通信機器10によって放射される電磁波を測定プローブ2100方向に反射することができ、測定プローブ2100の球面波(spherical wave)が、放送通信機器10が設けられた位置で平面波(plane wave)に変形されるように曲面が形成されてもよい。
【0139】
測定プローブ2100は、放送通信機器10の可視線(line-of-sight)から遮蔽され、固定部200から離隔した所定の位置に設けられてもよい。測定プローブ2100が放送通信機器10の可視線から遮蔽されるように、放送通信機器10と測定プローブ2100との間には電波吸収体が備えられてもよい。
【0140】
図8のアーチ構造物100は、1つのアーチ110-1を含んでもよい。例えば、
図8のアーチ構造物100は、
図3に示されたアーチ構造物から第2アーチ120-1、120-2と第1アーチの第1パート110-1を除去した形態であってもよい。
【0141】
また、
図8に示すように、本発明の一実施形態によると、アーチ110-1は、アーチ110-1の内側に配置される複数の近傍界プローブ401~408が放送通信機器10を基準に曲面反射板2200の反対側に位置するように形成されてもよい。
【0142】
しかし、アーチの位置はこれに限定されず、放送通信機器10の周辺の様々な位置にアーチが位置してもよい。
図9は、アーチが放送通信機器10の後面(
図8を参照)でなく、側面に位置する例を示す図である。
図9は、放送通信機器性能測定システム2000の背面図(back view;より詳しくは、テスト放送通信機器と反射板とを結ぶ直線と直交し、アーチによって形成される面を含む垂直断面)を概略的に示している。
【0143】
図9を参照すると、アーチ120-1及び120-2は、アーチ120-1及び120-2の内側に配置される複数の近傍界プローブが、放送通信機器10が曲面反射板2200に面する方向を基準に放送通信機器10の側方に位置するように形成されてもよい。
図9の例において、アーチ構造物100は、
図3に示されたアーチ構造物から第1アーチ110-1、110-2を除去した形態であってもよい。
【0144】
一方、
図8又は
図9の実施形態による放送通信機器性能測定システム200も放送通信機器10の性能を測定するための制御ユニット800をさらに含んでもよい。
【0145】
特に、制御ユニット800は、複数の近傍界プローブ401~408の少なくとも一部及び測定プローブ2100から信号分析機を介して入力信号に対応する信号データの伝達を受けて放送通信機器10の性能を測定してもよい。
【0146】
制御ユニット800が放送通信機器10の性能を測定する具体的な過程が
図10及び
図11に示されている。
【0147】
まず、
図10を参照すると、制御ユニット800は、複数の近傍界プローブ401~408の少なくとも一部によって測定される信号データに基づいて、放送通信機器10のビームピークを決定してもよい(S100)。
【0148】
一実施形態において、制御ユニット800は、ポジショナ300を制御して放送通信機器10を方位角方向及び/又は仰角方向に回転させながら複数の近傍界プローブ401~408の少なくとも一部によって測定される信号データを収集することができ、収集された信号データに基づいて、放送通信機器10が特定姿勢を取るときのビームピークを決定することができる。
【0149】
一方、制御ユニット800は、近傍界データを遠方界に変換する方式によりビームピークを探すことができ、その具体的な例が
図11に示されている。
図11を参照すると、制御ユニット800は、複数の近傍界プローブ401~408の少なくとも一部によって測定される信号データに基づいて、放送通信機器10の近傍界データを生成することができる(S101)。
【0150】
その後、制御ユニット800は、放送通信機器10の近傍界データを遠方界データに変換することができ、このとき、制御ユニット800は、NTFTアルゴリズムなど既知の各種変換方法を行うことで、近傍界データを遠方界データに変換することができる。
【0151】
その後、制御ユニット800は、放送通信機器10の遠方界データから放送通信機器10のビームピークを決定することができる。
【0152】
また、
図10を参照すると、制御ユニット800は、ポジショナ300を制御して放送通信機器10のビームピークが曲面反射板2200に向かうように放送通信機器10を回転することができる(S110)。よって、放送通信機器10が回転後に放射する電磁気波のビームピークは、曲面反射板2200によって反射し、測定プローブ2100に向かうことができる。
【0153】
その後、制御ユニット800は、測定プローブ2100により測定される信号データに基づいて、放送通信機器10の性能を測定してもよい(S120)。例えば、制御ユニット800は、EIPR、TRP、EVM、Spurious emission、Blockingなど放送通信機器に対する認証及び事後管理のための測定項目に対する性能を測定してもよい。
【0154】
一方、上述した放送通信機器性能測定システム1000又は2000が行う放送通信機器の性能測定方法は、コンピュータが読み取り可能なプログラム命令の形態で実現され、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納されてもよく、本発明の実施形態による制御プログラム及び対象プログラムもコンピュータで判読可能な記録媒体に格納されてもよい。コンピュータが読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムによって読み取ることができるデータが格納されるあらゆる種類の記録装置を含む。
【0155】
記録媒体に記録されるプログラム命令は、本発明のために特別に設計及び構成されたものであってもよく、ソフトウェア分野の当業者に知られて使用可能なものであってもよい。
【0156】
コンピュータで読み取り可能な記録媒体の例としては、ハードディスク、プロッピーディスク及び磁気テープのような磁気媒体(magnetic media)、CD-ROM、DVDのような光記録媒体(optical media)、フロプティカルディスク(floptical disk)のような磁気-光媒体(magneto-optical media)及びROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を記憶して実行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれる。また、コンピュータが読み取り可能な記録媒体は、ネットワークで接続されたコンピュータシステムに分散され、分散方式でコンピュータの読み取り可能なコードを記憶して実行することができる。
【0157】
プログラム命令の例としては、コンパイラによって作成されるような機械語コードだけでなく、インタプリタなどを用いて電子的に情報を処理する装置、例えば、コンピュータによって実行できる高級言語コードを含む。
【0158】
上述したハードウェア装置は、本発明の動作を行うために1つ以上のソフトウェアモジュールとして作動するように構成されることができ、その逆も同様である。
【0159】
上述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須な特徴を変更することなく他の具体的な形態に容易に変形可能であることを理解することができるであろう。したがって、上記で説明した実施形態はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解すべきである。例えば、単一の形態で説明されている各構成要素は分散して実施されてもよく、同様に分散されたと説明されている構成要素も結合された形で実施されてもよい。
【0160】
上記の詳細な説明ではなく、後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、及びその均等概念から導出される全ての変更又は変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0161】
本発明は、放送通信機器性能測定システム及びその方法に用いることができる。
【国際調査報告】