(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】光放射線を測定するためのスペクトル感知装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01J 3/433 20060101AFI20241001BHJP
G01J 3/02 20060101ALI20241001BHJP
G01N 21/71 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G01J3/433
G01J3/02 C
G01N21/71
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514671
(86)(22)【出願日】2022-09-05
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 EP2022074562
(87)【国際公開番号】W WO2023031448
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517267802
【氏名又は名称】トリナミクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】エグェン,セラル モハン
(72)【発明者】
【氏名】フプファウアー,トマス
(72)【発明者】
【氏名】イスラム,サミウル
【テーマコード(参考)】
2G020
2G043
【Fターム(参考)】
2G020AA03
2G020AA04
2G020AA05
2G020CB23
2G020CB42
2G020CB43
2G020CC02
2G020CC26
2G020CC47
2G020CD04
2G020CD38
2G043AA03
2G043EA10
2G043JA01
2G043JA02
2G043JA03
2G043KA01
2G043KA02
2G043KA09
2G043LA01
2G043NA05
2G043NA06
(57)【要約】
本発明は、光放射線(112)を測定するためのスペクトル感知装置(110)及び方法に関する。少なくとも1つの測定物体(114)によって提供される光放射線(112)は、非変調光放射線(116)を含む。前記スペクトル感知装置(110)は:
- 少なくとも1つの放射線放出素子(118)であって、前記少なくとも1つの放射線放出素子(118)は、変調光放射線(120)を放出するように指定されている、少なくとも1つの放射線放出素子(118)と;
- 少なくとも1つの感光検出器(124)であって、前記少なくとも1つの感光検出器(124)は、光放射線(112)を受け取るように指定された少なくとも1つの感光領域(126)を有し、前記少なくとも1つの感光検出器(124)によって生成される少なくとも1つの検出器信号は、前記少なくとも1つの感光領域(126)の照射に依存する、少なくとも1つの感光検出器と;
- 少なくとも1つの評価ユニット(128)であって、前記少なくとも1つの評価ユニット(128)は、前記少なくとも1つの測定物体(114)によって提供される光放射線(112)による前記少なくとも1つの感光領域(126)の照射に関する少なくとも1つの測定情報を、変調光放射線(120)と少なくとも1つの測定物体(114)によって提供される光放射線(112)との重ね合わせによる少なくとも1つの感光領域(126)の照射によって生成される少なくとも1つの変調された検出器信号を使用することによって生成するように構成される、少なくとも1つの評価ユニット(128)と、を備える。
前記スペクトル感知装置(110)は、変調光放射線(120)が前記スペクトル感知装置(110)内で前記少なくとも1つの感光検出器(124)に向かって導かれるように配置される。
光放射線(112)を測定するためのスペクトル感知装置(110)及び方法は、事前に定義された反射ターゲットを必要としない、好ましくは完全に自動化された方法でスペクトル感知装置の自己校正を実行するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの測定物体(114)によって提供される光放射線(112)を測定するためのスペクトル感知装置(110)であって、前記少なくとも1つの測定物体(114)によって提供される光放射線(112)は、非変調光放射線(116)を含み、前記スペクトル感知装置(110)は:
- 少なくとも1つの放射線放出素子(118)であって、前記少なくとも1つの放射線放出素子(118)は、変調光放射線(120)を放出するように指定されている、少なくとも1つの放射線放出素子(118)と;
- 少なくとも1つの感光検出器(124)であって、前記少なくとも1つの感光検出器(124)は、光放射線(112)を受け取るように指定された少なくとも1つの感光領域(126)を有し、前記少なくとも1つの感光検出器(124)によって生成される少なくとも1つの検出器信号は、前記少なくとも1つの感光領域(126)の照射に依存する、少なくとも1つの感光検出器(124)と;
- 少なくとも1つの評価ユニット(128)であって、前記少なくとも1つの評価ユニット(128)は、変調光放射線(120)と前記少なくとも1つの測定物体(114)によって提供される光放射線(112)との重ね合わせによって、前記少なくとも1つの感光領域(126)の照射によって生成される少なくとも1つの変調された検出器信号を使用することによって、前記少なくとも1つの測定物体(114)によって提供される光放射線(112)による前記少なくとも1つの感光領域(126)の照射に関する少なくとも1つの測定情報を生成するように構成される、少なくとも1つの評価ユニット(128)と、を備え、
前記スペクトル感知装置(110)は、変調光放射線(120)が前記スペクトル感知装置(110)内で前記少なくとも1つの感光検出器(124)に向かって導かれるように配置される、スペクトル感知装置(110)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの測定情報は、前記少なくとも1つの感光検出器(124)の応答性に関連する、請求項1に記載のスペクトル感知装置(110)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの測定情報は、前記少なくとも1つの感光検出器(124)の抵抗の変化ΔR及び前記少なくとも1つの感光検出器(124)の応答性依存商の少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載のスペクトル感知装置(110)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの応答性依存商は、前記少なくとも1つの感光検出器(124)の抵抗の変化ΔRを前記少なくとも1つの感光検出器(124)のDC抵抗R
DCで割った商として定義される、請求項3に記載のスペクトル感知装置(110)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの感光検出器(124)の抵抗の変化ΔRは、前記少なくとも1つの測定物体(114)によって提供される光放射線(112)と、前記少なくとも1つの感光検出器(124)における前記少なくとも1つの放射線放出素子(118)によって放出される変調光放射線(120)との重ね合わせによって誘導される、請求項3又は4に記載のスペクトル感知装置(110)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの放射線放出素子(118)は、前記変調光放射線(120)が一定の照射出力を有するように、前記変調光放射線(120)を放出するように指定される、請求項1~5のいずれか1項に記載のスペクトル感知装置(110)。
【請求項7】
少なくとも2つの個別の感光検出器(124)を備え、
- 少なくとも1つの第1感光検出器(144)の少なくとも1つの感光領域(126)は、変調光放射線(120)を受け取るように指定されており;
- 少なくとも1つの第2感光検出器(146)の少なくとも1つの感光領域(126)は、前記少なくとも1つの測定物体(114)によって提供される前記光放射線(112)及び前記変調光放射線(120)を受け取るために指定される、
請求項1~6のいずれか1項に記載のスペクトル感知装置(110)。
【請求項8】
少なくとも1つの放射線分離要素(148)をさらに備え、前記少なくとも1つの放射線分離要素(148)は、前記少なくとも1つの測定物体(114)によって提供される前記光放射線(112)から前記変調光放射線(120)を分離するために指定及び配置される、請求項7に記載のスペクトル感知装置(110)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの放射線分離要素(148)は、少なくとも1つの
- 第1光フィルタ要素(152)であって、前記少なくとも1つの第1光フィルタ要素(152)は、前記少なくとも1つの第1感光検出器(144)の前記少なくとも1つの感光領域(126)が前記変調光放射線(120)のみを受け取るように指定及び配置される、第1光フィルタ要素(152)、
を備える、請求項8に記載のスペクトル感知装置(110)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの放射線分離要素(148)は、
- 少なくとも1つの非透過性光学素子(150)であって、前記少なくとも1つの非透過性光学素子(150)は、前記少なくとも1つの第1感光検出器(144)の少なくとも1つの感光領域(126)が前記変調光放射線(120)のみを受け取るように、指定及び配置されている、少なくとも1つの非透過性光学素子(150)、
を備える、請求項8又は9に記載のスペクトル感知装置(110)。
【請求項11】
前記スペクトル感知装置(110)は、
- 少なくとも1つのさらなる放射線放出素子(136)であって、前記少なくとも1つのさらなる放射線放出素子(136)は、さらなる変調光放射線(138)を放出するように指定され;
前記少なくとも1つの評価ユニット(128)は、
・ 前記少なくとも1つの測定物体(114)によって提供される光放射線(112)と前記さらなる変調光放射線(138)との重ね合わせによって、前記少なくとも1つの感光領域(126)の照射によって生成される、少なくとも1つの変調された検出器信号;及び
・ 少なくとも1つの測定情報、
を使用することによって、前記少なくとも1つの測定物体(114)に関する少なくとも1つのスペクトル情報を生成するようにさらに構成された、放射線放出素子(136)を、
さらに備え、
前記スペクトル感知装置(110)は、前記さらなる変調光放射線(138)が前記少なくとも1つの測定物体(114)に向かって導かれるように配置される、請求項1~10のいずれか1項に記載のスペクトル感知装置(110)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの評価ユニット(128)は、さらに
前記変調光放射線(120)による前記少なくとも1つの感光領域(126)の照射によって生成された少なくとも1つの変調された検出器信号と、前記さらなる変調光放射線(138)による前記少なくとも1つの感光領域(126)の照射によって生成された少なくとも1つのさらなる変調された検出器信号とを比較することによって、少なくとも1つの校正情報を生成するように構成されている、請求項11に記載のスペクトル感知装置(110)。
【請求項13】
前記少なくとも1つのさらなる放射線放出素子(136)は、前記さらなる変調光放射線(138)が一定の照射出力を有するように、前記さらなる変調光放射線(138)を放出するように指定される、請求項11又は12に記載のスペクトル感知装置(110)。
【請求項14】
前記スペクトル感知装置(110)は、前記さらなる変調光放射線(138)が前記少なくとも1つの測定物体(114)によって反射されるように配置される、請求項11~13のいずれか1項に記載のスペクトル感知装置(110)。
【請求項15】
少なくとも2つの個別の感光検出器(124)を備え、
- 少なくとも1つのさらなる第1感光検出器(144)の少なくとも1つの感光領域(126)は、前記変調光放射線(120)を受け取るように指定され;そして
- 少なくとも1つのさらなる第2感光検出器(146)の少なくとも1つの感光領域は、前記さらなる変調光放射線(138)及び前記少なくとも1つの測定物体(114)によって提供される前記光放射線(112)を受け取るように指定される、
請求項11~14のいずれか1項に記載のスペクトル感知装置(110)。
【請求項16】
- 少なくとも1つの温度安定化要素(140)であって、前記少なくとも1つの温度安定化要素(140)は、
・ 前記少なくとも1つの感光検出器(124)と;
・ 前記少なくとも1つの放射線放出素子(118)と、
のうちの少なくとも1つの温度を、一定のレベルで維持するように指定された、少なくとも1つの温度安定化要素(140)を、
さらに備える、請求項1~15のいずれか1項に記載のスペクトル感知装置(110)。
【請求項17】
少なくとも1つの測定物体(114)によって提供される光放射線(112)を測定するための方法であって、前記少なくとも1つの測定物体(114)によって提供される光放射線(112)が非変調光放射線(116)を含み、前記方法は、以下のステップ:
a) 少なくとも1つの放射線放出素子(118)を使用することによって変調光放射線(120)を放出するステップであって、前記変調光放射線(120)は、スペクトル感知装置(110)内で少なくとも1つの感光検出器(124)に向かって誘導され、前記少なくとも1つの感光検出器(124)は、光放射線(112)を受け取るように指定された少なくとも1つの感光領域(126)を有し、前記少なくとも1つの感光検出器(124)によって生成された少なくとも1つの検出器信号は、前記少なくとも1つの感光領域(126)の照射に依存する、ステップと;
b) 前記変調光放射線(120)と前記少なくとも1つの測定物体(114)によって提供される光放射線(112)との重ね合わせによって、前記少なくとも1つの感光領域(126)の照射によって生成される少なくとも1つの検出器信号を使用することによって、少なくとも1つの評価ユニット(128)を使用することによって、前記少なくとも1つの測定物体(114)によって提供される前記光放射線(112)による前記少なくとも1つの感光領域(126)の照射に関する少なくとも1つの測定情報を生成する,
ステップと、
を含む、方法。
【請求項18】
さらに以下のステップ:
c) 少なくとも1つのさらなる放射線放出素子(136)を使用することによってさらなる変調光放射線(138)を放出するステップであって、前記さらなる変調光放射線(138)は前記少なくとも1つの測定物体(114)に向けて誘導されるステップと;
d) 前記少なくとも1つの測定物体(114)に関する少なくとも1つのスペクトル情報を生成するステップであって、
・ 前記少なくとも1つの測定物体(114)によって提供される光放射線(112)と、前記さらなる変調光放射線(138)との重ね合わせによって、前記少なくとも1つの感光領域(126)の照射によって生成される少なくとも1つの変調された検出器信号と;
・ 前記少なくとも1つの測定情報と、
を使用することによって、前記少なくとも1つの評価ユニット(128)を使用することによって、前記少なくとも1つの測定物体(114)に関する少なくとも1つのスペクトル情報を生成するステップと、
を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
さらに以下のステップ:
e) 前記変調光放射線(120)による前記少なくとも1つの感光領域(126)の照射によって生成された少なくとも1つの検出器信号と、前記さらなる変調光放射線(138)による前記少なくとも1つの感光領域(126)の照射によって生成された少なくとも1つのさらなる検出器信号とをさらに比較することによって、前記少なくとも1つの評価ユニット(128)を使用することによって、少なくとも1つの校正情報を生成するステップ、
を含む、請求項17又は18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光放射線を測定するためのスペクトル感知装置及び方法に関する。このような装置及び方法は、一般に、特に赤外線(IR)スペクトル領域、特に近赤外線(NIR)スペクトル領域において、調査又は監視目的のために使用されることができ、同様に、熱、炎、火又は煙の検出のために使用されることができる。しかし、さらなる種類の用途が可能である。
【背景技術】
【0002】
特に、拡散反射分光法に使用され得る分光計システムなどの既知のスペクトル感知装置は、典型的には、スペクトル感知装置に含まれる少なくとも1つの検出素子の波長依存感度に関して校正される。例示的な分光計システムは、US 2014/131578 A1、WO 2019/ 115594 A1、WO 2019/115595 A1、又はWO 2019/115596 A1に開示されているが、さらなる種類のスペクトル感知装置も知られている。
【0003】
実際には、スペクトル感知装置は、主に、スペクトル感知装置自体に関連し得る、又はスペクトル感知装置に影響を及し得る変化によって引き起こされ得るドリフト効果を受ける可能性がある。具体的には、この変化は、放射線源又は装置に含まれる検出器要素の少なくとも一方の劣化;放射線源又は検出器要素の少なくとも一方の温度ドリフト;装置に影響を及ぼす周囲温度の変動;装置温度、すなわち、少なくとも1つの検出器及び対応する電子機器が動作し得る温度の変動;装置に含まれる少なくとも1つの構成要素、特に機械的ハウジング、ホルダ、又は光学素子のうちの少なくとも1つ、特にプリズム、ビームスプリッタ、又は回折格子などの分散要素の少なくとも1つの機械的伸縮、のうちの少なくとも1つを含み得る。さらに、電気化学的プロセス、又は長寿命トラップの緩和などの物理的プロセスが、ドリフト効果につながる可能性がある。しかし、さらなる種類の変化も考えられる。
【0004】
具体的には、スペクトル感知装置による光放射線の測定は、一例として硫化鉛光導電体を含む感光検出器を読み出すための抵抗測定が含まれる場合がある。抵抗測定は、具体的には、少なくとも1つの分圧器を備える回路における強いバイアス電圧を使用することにより、さらなる抵抗と比較して実行され得る。このような構成では、感光検出器の抵抗は、特に、定期的に補正されない場合には測定データを歪める可能性のあるドリフト効果を受ける可能性がある。さらに、ノイズ、特にフリッカーノイズとしても知られる1/fノイズが測定データを歪める可能性がある。
【0005】
実際には、ドリフト効果は、特に、スペクトル感知装置によって決定される結果が決定的でなくなるような程度になるまでドリフト効果が測定データを歪めることを回避することによって測定データの信頼性を維持するように、通常、「校正」という用語で表されるプロセスを介してときどき修正される必要がある。この目的のために、光校正と暗校正が好ましくはときどき実施され得る。ここで、異なるタイプの校正測定を実行することができるが、その測定は、特に反射放射線が少なくとも1つの検出器要素に到達することを避けるために、予め定義された反射ターゲット又は少なくとも1つの検出器要素の前の空のボリュームを必要とする。
【0006】
特に、校正ターゲットは、暗校正のための「暗」測定では、暗電流、暗ノイズ、又は暗抵抗のうち少なくとも1つを再校正するためには、要求されない。暗校正のために、少なくとも1つの放射線源は、典型的には、オフにされる。これとは対照的に、既知で再現性のある校正信号を保証するに予め定義された反射スペクトルを有する校正ターゲットは、「光」測定、特に反射分光法のために、通常、スペクトル測定に用いられる少なくとも1つの測定物体と同じ方法で、少なくとも1つの放射線源から少なくとも1つの検出器要素までの放射経路に配置され、それによって、特に、少なくとも1つの感光検出器の波長依存感度が校正されることができる。
【0007】
WO 2017/040431 A1は、サンプリングインターフェースにおいてサンプル中の物質の濃度及び種類を測定するためのシステム及び方法を開示している。該システムは、光源、1つ以上の光学系、1つ以上の変調器、基準、検出器、及びコントローラを含む。該システム及び方法は、異なる測定光路間で1つ以上のコンポーネントを共有することにより、光源、1つ以上の光学系、及び検出器に由来するドリフトを考慮することができる。さらに、システムは、光源とサンプル又は基準との間に1つ以上の変調器を配置することにより、異なるタイプのドリフトを区別し、迷光による誤った測定を排除することができる。さらに、該システムは、検出器ピクセルとマイクロ光学系をサンプル内の位置と深さにマッピングすることにより、サンプル内の様々な位置と深さに沿って物質を検出することができる。
【0008】
WO 2021/069544 A1は、
- 少なくとも1つの光導電体のアレイであって、各光導電体は、その感光領域の照射に依存する電気抵抗を示すように構成されており、アレイの少なくとも1つの光導電体は、特性光導電体として設計されている、少なくとも1つの光導電体のアレイと;
- 少なくとも1つのバイアス電圧源であって、バイアス電圧源は、特性光導電体に少なくとも1つの交流バイアス電圧又は特性光導電体に少なくとも1つの直流バイアス電圧を印加するように構成されている、少なくとも1つのバイアス電圧源と;
- 少なくとも1つの光導電体読み出し回路であって、該光導電体読み出し回路は、バイアス電圧に応答して生成される特性光導電体の応答電圧を決定するように構成され、該応答電圧は、該光導電体アレイを特徴付ける変数に比例し、該光導電体読み出し回路は、該光導電体アレイの動作中に、該特性光導電体の応答電圧を決定するように構成される、光導電体読み出し回路と、
を備える装置を開示している。
【0009】
スペクトル感知装置の校正のために、ユーザは、典型的には、校正ターゲットを位置決めし、感知装置の感知範囲に置かれる可能性のあるあらゆる物体を除去する責任を負う。このため、特に、使用者がそのような技術的措置に精通していることが必要とされる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】US2014/131578A1
【特許文献2】WO2019/115594A1
【特許文献3】WO2019/115595A1
【特許文献4】WO2019/115596A1
【特許文献5】WO2017/040431A1
【特許文献6】WO2021/069544A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明によって対処される問題は、このタイプの既知の装置及び方法の欠点を少なくとも実質的に回避する、光放射線を測定するためのスペクトル感知装置及び方法を提供することである。
【0012】
具体的に、事前に定義された反射ターゲット又は大規模なユーザインタラクションを必要とせずに、好ましくは完全に自動化された方法でスペクトル感知装置の自己校正を実行することによって、生成された測定データの精度を向上させるように構成されたスペクトル感知装置を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この問題は、独立特許請求項の特徴を備えた本発明によって解決される。個別に又は組み合わせて実現されることができる本発明の有利な展開は、従属請求項及び/又は以下の明細書及び詳細な実施形態に示されている。
【0014】
本発明の第1の態様では、光放射線を測定するためのスペクトル感知装置が開示されている。光放射線は、少なくとも1つの測定物体によって提供される。少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線は、非変調光放射線を含む。
【0015】
本明細書で使用される場合、「スペクトル(spectral)」又は「スペクトラム(spectrum)」という用語は、光スペクトル範囲の区画を指し、スペクトラムは、信号波長及び対応する信号強度によって定義される光学信号によって構成される。特に、スペクトラムは、少なくとも1つの測定物体に関連するスペクトル情報、例えば、少なくとも1つの測定物体を形成する少なくとも1つの材料の種類及び組成を含むことができ、スペクトル情報は、少なくとも1つの測定物体に関連する少なくとも1つのスペクトルを記録することによって決定されることができる。したがって、「スペクトル感知装置」という用語は、一般に、光放射線の少なくとも1つの対応する信号波長に関連する少なくとも1つの信号強度の少なくとも1つの測定値を記録することによって、及び、信号強度に関連する少なくとも1つの検出器信号を評価することによって、スペクトル情報を決定するように構成された装置に関する。
【0016】
本明細書でさらに使用される場合、「光放射線」という用語は、一般に、通常「光学スペクトル範囲」と呼ばれ、可視スペクトル範囲、紫外線スペクトル範囲、及び赤外線スペクトル範囲の少なくとも1つを含む電磁放射の区画を指す。「紫外」という用語は、一般に、1nm~380nm、好ましくは100nm~380nmの波長を有する電磁放射を指す。さらに、「可視」という用語は、通常、380nm~760nmの波長を指す。さらに、「赤外」(略してIR)という用語は、一般に760nm~1000μmの波長を指し、該760nm~3μmの波長は通常「近赤外」と呼ばれ、「NIR」とも略される。好ましくは、本発明の典型的な目的のために使用される光放射線は、IR放射、より好ましくは、NIR放射であり、特に760nm~5μm、好ましくは1μm~3μmの波長を有する。
【0017】
本明細書でさらに使用されるように、「変調」という用語は、信号の総出力を、好ましくは周期的に、特に少なくとも1つの変調周波数で変化させるプロセスを指す。信号は電気信号であってよい。信号は、光信号、特に照射であってよい。特に、周期的な変調は、照射の総出力の最大値と最小値の間で行うことができる。最小値は、0であることができるが、>0であることもでき、したがって、例えば、完全な変調が行われる必要はない。変調は、所望の変調された照射を生成するために指定された放射源内で、具体的には、変調された強度及び/又は総出力、例えば周期的に変調された総出力を介して、行われることができる。さらに、電気光学効果及び/又は音響光学効果に基づく変調装置も使用されることができる。さらに、周期的ビーム遮断装置、特にビームチョッパー、遮断ブレード又は遮断ホイールの少なくとも1つも使用されることができる。信号の変調は、特に信号の検出、及びさらなる信号と区別することを容易にし得る。したがって、信号の変調を通じて、ノイズ、特に1/fノイズを大幅に低減することができる。
【0018】
その結果、本明細書で使用される「非変調」という用語は、一般に、変調されていない実体を指し、具体的には、変調されていない照射、より具体的には、変調されていない、少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線を指す。本明細書で使用される「測定物体」という用語は、一般的に、スペクトル感知装置による調査対象の材料を含む生物及び非生物から選ばれる任意の物体を指す。具体的には、少なくとも1つの測定物体は、プランクの法則に従って非変調熱放射線を放出する少なくとも1つの熱エミッタ、例えばヒータ上の金属板であり得るか、又はそれらを備え得る。このような場合、光放射線を測定するためのスペクトル感知装置は、特に、少なくとも1つの測定物体の温度を決定するために使用されることができる。当業者は知っているように、白熱ランプなどの熱エミッタの電気的変調は、スイッチングプロセスを繰り返すことによって寿命を著しく低下させる可能性がある。さらに、例えばビームチョッパーを介した機械的変調は、熱にさらされることにより不安定になる可能性がある。このように、少なくとも1つの測定物体を変調することは、多くの場合、適切ではない可能性がある。さらなる場合、少なくとも1つの測定物体の変調は、合理的な手段で実施することさえできない可能性がある。この方向に進む例として、少なくとも1つの測定物体は少なくとも1つの調理器具を備えることができ、少なくとも1つの調理器具は調理台上に配置され得る。このような場合、特に、少なくとも1つの測定物体の少なくとも1つの温度を測定することが望まれ、これは、当業者であれば知っているように、少なくとも1つの測定物体の放射率から導出されることができる。
【0019】
前述のように、光放射線は、少なくとも1つの測定物体によって提供される。したがって、上記に示したように、少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線は、具体的には、少なくとも1つの測定物体によって放出(emit)されてよい。少なくとも1つの測定物体によって放出される光放射線は、少なくとも1つの測定物体の少なくとも1つの物理的特性、具体的には少なくとも1つの測定物体の温度を示し得る。しかしながら、追加的及び/又は代替的に、少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線は、少なくとも1つの測定物体によって反射され、及び/又は少なくとも1つの測定物体を透過することもできる。具体的には、少なくとも1つの測定物体は、非変調光放射線を含み得る光放射線を放出する少なくとも1つの外部光源によって照射され得る。少なくとも1つの外部光源によって放出された光放射線は、少なくとも1つの測定物体で散乱する可能性がある。具体的には、少なくとも1つの測定物体は、スペクトル感知装置に向かって光放射線を少なくとも部分的に反射し得る。さらに、少なくとも1つの測定物体は、スペクトル感知装置に向かって光放射線を少なくとも部分的に透過させることができる。したがって、要約すると、少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線は、少なくとも1つの測定物体によって放出されるもの、少なくとも1つの測定物体によって反射されるもの、及び少なくとも1つの測定物体を透過するもののうちの少なくとも1つであり得る。さらに、少なくとも1つの測定は、外部光源によって放出された光放射線を少なくとも部分的に吸収することができ、少なくとも1つの測定は、特に、少なくとも1つの測定物体を形成する少なくとも1つの材料の組成を示し得る。
【0020】
したがって、スペクトル感知装置は:
- 少なくとも1つの放射線放出素子であって、前記少なくとも1つの放射線放出素子は、変調光放射線を放出するように指定されている、少なくとも1つの放射線放出素子と;
- 少なくとも1つの感光検出器であって、前記少なくとも1つの感光検出器は、光放射線を受け取るように指定された少なくとも1つの感光領域を有し、前記少なくとも1つの感光検出器によって生成される少なくとも1つの検出器信号は、前記少なくとも1つの感光領域の照射に依存する、少なくとも1つの感光検出器と;
- 少なくとも1つの評価ユニットであって、前記少なくとも1つの評価ユニットは、前記少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線による前記少なくとも1つの感光領域の照射に関する少なくとも1つの測定情報を、変調光放射線と少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線との重ね合わせによる少なくとも1つの感光領域の照射によって生成される少なくとも1つの変調された検出器信号を使用することによって、生成するように構成される、少なくとも1つの評価ユニットと、
を備える。
【0021】
ここで、スペクトル感知装置は、変調光放射線がスペクトル感知装置内で少なくとも1つの感光検出器に向かって導かれるように配置される。
【0022】
示されるように、スペクトル感知装置は、少なくとも1つの放射線放出素子を備える。少なくとも1つの放射線放出素子は、変調光放射線を放出するように指定される。少なくとも1つの放射線放出素子は、様々な方法で具現化されることができる。少なくとも1つの放射線放出素子は、ハウジング内のスペクトル感知装置の一部とすることができる。代替的又は追加的に、少なくとも1つの放射線放出素子は、ハウジングの外側に、例えば、別個の放射線放出素子として構成されることもできる。少なくとも1つの放射線放出素子は、所望のスペクトル範囲で、好ましくは上記で定義された光学スペクトル範囲で又はその少なくとも1つの選択された区画で十分な放出を提供するように構成され得る。少なくとも1つの放射線放出素子は、特に、熱放射体又は半導体ベースの放射線源のうちの少なくとも1つによって含まれてよい。ここで、半導体ベースの放射源は、特に、発光ダイオード(LED)又はレーザ、特にレーザダイオードの少なくとも1つから選択され得る。さらに、熱放射体は、特に、白熱ランプ又は熱赤外エミッタの少なくとも1つから選択され得る:本明細書でさらに使用される場合、「熱赤外線エミッタ」という用語は、監視される光放射線を放出する放射線放出素子としての放射線放出表面を含むマイクロ機械加工された熱放射装置を指す。具体的には、熱赤外線エミッタは、Axetris AG, Schwarzen-bergstrasse 10,CH-6056Kaegiswil,Switzerlandから、「emirs 50」という名称で、又はLASER COMPONENTS GmbH,Werner-von-Siemens-Str.15 82140 Olching, ドイツから「thermal infrared emitters」として、又はHawkeye Technologies,181 Research Drive #8,Milford CT 06460,米国から「infra-red emitters」として入手することができる。しかし、構造化光源などのさらなる種類の放射線放出素子も可能であり得る。
【0023】
少なくとも1つの放射線放出素子は、連続光源であってよく、又は代替的に、変調光源であってよく、該変調光源は、少なくとも1Hz、少なくとも5Hz、少なくとも10Hz、少なくとも50Hz、少なくとも100Hz、少なくとも500Hz、少なくとも1kHz、又はそれ以上の変調周波数を有し得る。変調光源を駆動するために、変調装置が使用されることができ、これは、好ましくは周期的変調を生成することによって、照射を変調するように指定され得る。既に上記で示したように、変調は、好ましくは、所望の変調された照射を生成するように指定された光源内で、好ましくは、それ自体変調された強度及び/又は総出力、例えば周期的に変調された総出力を有する少なくとも1つの放射線放出素子により、及び/又は、変調された照射源、例えば変調されたレーザとして具現化された少なくとも1つの放射線放出素子により、行われることが可能である。照射さらなる例として、WO 2021/110721 A1は、電流によって加熱されると光放射線を生成するように指定された少なくとも1つの放射線放出素子と;マウントであって、少なくとも1つの放射線放出素子を担持し、該マウント又はその一部が可動である、マウントと;ヒートシンクであって、マウントが接触すると、マウントとマウントによって担持される少なくとも1つの放射線放出素子とを冷却するように指定されたヒートシンクと、を開示している。前記したように、代替的に又は追加的に、異なるタイプの変調装置、例えば電気光学効果及び/又は音響光学効果に基づく変調装置も使用されることが可能である。さらに、周期的ビーム遮断装置、特にビームチョッパー、遮断ブレード又は遮断ホイールの少なくとも1つを使用することもできる。
【0024】
さらに本発明によれば、スペクトル感知装置は、少なくとも1つの感光検出器を備えている。少なくとも1つの感光検出器は、光放射線を受け取るために指定された少なくとも1つの感光領域を有する。少なくとも1つの感光検出器によって生成される少なくとも1つの検出器信号は、少なくとも1つの感光領域の照射に依存する。一般に使用されるように、「感光検出器」という用語は、少なくとも1つの感光領域を含む光検出器を指し、該少なくとも1つの感光領域は、その少なくとも1つの感光領域の照射に応じて、少なくとも1つの検出器信号を生成するように指定され、該少なくとも1つの検出器信号は、特に、評価のために評価ユニットに提供されてよい。少なくとも1つの感光検出器に含まれる少なくとも1つの感光領域は、好ましくは、均一な感光エリアであり得、該均一な感光エリアは、感光エリアに入射する放出された光放射線を受け取るように構成される。しかしながら、ピクセルサイズの感光エリアのエリアなど、複数の感光エリアも可能である。少なくとも1つの感光検出器は、検出器信号、好ましくは光学信号又は電子信号を生成するように指定され、これらは少なくとも1つの感光検出器に衝突する放出された光放射線の強度に関連する。検出器信号は、アナログ信号及び/又はデジタル信号であってよい。特定の実施形態では、少なくとも1つの感光検出器は、例えば外部評価ユニットに提供する前に電子信号を増幅するように適合されたアクティブセンサであってよく、又はそれを含んでいてよい。この目的のために、少なくとも1つの感光検出器は、1つ以上の信号処理装置、特に電子信号を処理及び/又は前処理するための1つ以上のフィルタ及び/又はアナログ-デジタル-変換器を備えることができる。
【0025】
少なくとも1つの感光検出器は、任意の既知の光センサから、特に無機カメラ要素から、好ましくは無機カメラチップから、より好ましくは、今日、一般的に、様々なカメラで使用されているCCDチップ又はCMOSチップから選択されることができる。代替として、少なくとも1つの感光検出器、特に少なくとも1つの感光領域は、光導電性材料、特に硫化鉛(PbS)、セレン化鉛(PbSe)、ゲルマニウム(Ge)、インジウムガリウムヒ素(拡張InGaAsを含むが、これらに限定されない、InGaAs)、アンチモン化インジウム(InSb)又はテルル化水銀カドミウム(HgCdTe又はMCT)から選択される無機光導電性材料を含むことができる。一般に使用されるように、「拡張InGaAs」という用語は、最大2.6μmのスペクトル応答を示す特定のタイプのInGaAsを指す。しかしながら、異なる種類の材料又は他のタイプの感光検出器も可能である。
【0026】
さらに本発明によれば、スペクトル感知装置は、少なくとも1つの評価ユニットを備える。一般的に使用されるように、「評価ユニット」という用語は、少なくとも1つの情報、具体的には、スペクトル情報、すなわち、特に本明細書に記載の少なくとも1つの感光検出器を使用することによってスペクトルが記録された測定物体のスペクトルに関連する情報(該情報は、少なくとも1つの感光検出器によって生成される少なくとも1つの検出器信号又は測定情報を評価することによって得られる)、スペクトル情報、又は本明細書の他の箇所で定義される校正情報、から選択される少なくとも1つの情報を決定するように指定された装置を指す。評価ユニットは、少なくとも1つの集積回路、特に、特定用途向け集積回路(ASIc)、又は、データ処理装置、特にデジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGa)、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、コンピュータ、又は、電子通信ユニット、具体的にはスマートフォン又はタブレットの少なくとも1つであってよく、又はそれらを備えることができる。追加のコンポーネント、特に、少なくとも1つの前処理装置又はデータ取得装置が可能であり得る。さらに、評価ユニットは、少なくとも1つのインターフェース、特に無線インターフェース又は有線インターフェースの少なくとも1つを備えることができる。
【0027】
さらに、評価ユニットは、完全に又は部分的に、スペクトル感知装置又はその一部を制御又は駆動するように設計されることができる。評価ユニットは、少なくとも1つの放射線放出素子及び少なくとも1つの感光検出器の少なくとも一方を制御するように構成されることができる。評価ユニットは、特に、複数の検出器信号がピックアップされ得る少なくとも1つの測定サイクルを実行するように設計され得る。評価ユニットによって決定された情報は、特に、少なくとも1つのさらなる装置、又はユーザに対して、好ましくは電子的、視覚的、音響的、又は触覚的態様の少なくとも1つで提供され得る。さらに、情報は、少なくとも1つのデータ記憶ユニット、具体的には、スペクトル感知装置によって、特に少なくとも1つの評価ユニットによって含まれる内部データ記憶ユニット、又は情報が少なくとも1つのインターフェースを介して送信され得る別個の記憶ユニットに記憶され得る。別個の記憶ユニットは、少なくとも1つの電子通信ユニットによって含まれていてよい。記憶ユニットは、特に、少なくとも1つのルックアップテーブルなど、少なくとも1つの電子テーブルを記憶するように構成されていてよい。
【0028】
評価ユニットは、好ましくは、少なくとも1つのコンピュータプログラム、特に、情報を生成するステップを実行又はサポートする少なくとも1つのコンピュータプログラムを実行するように構成されてよい。例として、少なくとも1つの検出器信号を少なくとも1つの入力変数として使用することによって、情報への変換を実行することができる1つ以上のアルゴリズムが実装され得る。この目的のために、評価ユニットは、特に、少なくとも1つの検出器信号を評価することによって情報を生成するように設計され得る少なくとも1つのデータ処理装置、特に電子データ処理装置又は光学データ処理装置の少なくとも1つを備えることができる。したがって、評価ユニットは、少なくとも1つの検出器信号を少なくとも1つの入力変数として使用し、少なくとも1つの入力変数を処理することによって情報を生成するように設計される。処理は、続くように、並行して、又は組み合わされた形で行われてよい。評価ユニットは、特に計算によって、及び/又は少なくとも1つの保存された及び/又は既知の関係を用いて、情報を生成するための任意のプロセスを使用することができる。
【0029】
本発明によれば、少なくとも1つの評価ユニットは、変調光放射線と少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線との重ね合わせによる少なくとも1つの感光領域の照射によって生成される少なくとも1つの変調された検出器信号を使用することによって、少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線による少なくとも1つの感光領域の照射に関する少なくとも1つの測定情報を生成するように構成される。本明細書で使用される「測定情報」という用語は、一般に、少なくとも1つの感光検出器、具体的には少なくとも1つの感光領域と、少なくとも1つの測定物体との少なくとも1つの定性的及び/又は定量的な説明を提供する、データ、知識又は証拠の少なくとも1つを指す。具体的には、少なくとも1つの測定情報は、少なくとも1つの感光検出器の応答性に関連し得る。本明細書で使用される「応答性」という用語は、一般に、検出器の入出力利得を指し、具体的には、光電力入力あたりの少なくとも1つの感光検出器の電力出力の比率を指す。したがって、応答性は、少なくとも1つの感光領域の照射、具体的には少なくとも1つの測定物体による照射に対する少なくとも1つの感光検出器の応答を示すことができる。具体的には、少なくとも1つの感光検出器の応答性は、少なくとも1つの感光検出器、具体的には少なくとも1つの感光領域に入射する光放射線の強度に依存し得る。したがって、一般に、少なくとも1つの感光検出器に入射する光放射線の強度が大きいほど、少なくとも1つの感光検出器の応答は大きくなり得る。既に示したように、少なくとも1つの感光検出器に入射する光放射線は、具体的には、異なるソースからの光放射線の重ね合わせであり得、具体的には、変調光放射線と少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線との重ね合わせであり得る。特に、少なくとも1つの測定情報は、少なくとも1つの感光検出器の抵抗の変化ΔR及び少なくとも1つの感光検出器の少なくとも1つの応答性依存商のうちの少なくとも1つを含んでよい。少なくとも1つの感光検出器の少なくとも1つの応答性依存商は、具体的には、少なくとも1つの感光検出器の抵抗の変化ΔRを、少なくとも1つの感光検出器のDC抵抗RDCで割った商として定義されることができる。少なくとも1つの感光検出器の抵抗の変化ΔRは、具体的には、少なくとも1つの感光検出器のAC抵抗であってよく、又はそれを含んでいてよい。少なくとも1つの感光検出器の総抵抗は、少なくとも1つの感光検出器のDC抵抗RDCと、少なくとも1つの感光検出器の抵抗の変化ΔR、具体的には少なくとも1つの感光検出器のAC抵抗との合計を指し得る。上記及び以下において、DCは直流を指し、ACは交流を指す。
【0030】
少なくとも1つの感光検出器の抵抗の変化ΔRは、少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線と、少なくとも1つの感光検出器において少なくとも1つの放射線放出素子によって放出される変調光放射線との重ね合わせによって誘導され得る。前述のように、少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線は、非変調光放射線を含む。非変調光放射線は、少なくとも1つの感光検出器のDC抵抗RDCを誘導する可能性がある。少なくとも1つの放射線放出素子によって放出される変調光放射線は、少なくとも1つの感光検出器の抵抗の変化ΔRを誘導することができる。具体的には、少なくとも1つの放射線放出素子は、周期的に、より具体的には指定された変調周波数で変調されてよい。したがって、少なくとも1つの放射線放出素子によって放出される変調光放射線は、特に、少なくとも1つの感光検出器の全抵抗の周期的な時間的変化、具体的にはAC抵抗の形態での変化を誘導することができる。少なくとも1つの感光検出器の応答性は、測定物体からの光放射線が増加するにつれて低下する可能性があるため、少なくとも1つの感光検出器の抵抗の変化ΔRは、少なくとも1つの感光検出器のDC抵抗RDCに依存する可能性がある。一例として、少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線は、少なくとも1つの感光検出器が飽和するほど強い場合があり、したがって、少なくとも1つの感光検出器の抵抗の変化ΔRは、ゼロ又は少なくとも非常に小さくなる。さらなる例として、少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線は、少なくとも1つの感光検出器に影響を与えないほど弱く、そのため、少なくとも1つの感光検出器の抵抗の変化ΔRは非常に大きくなる。
【0031】
上記に示したように、少なくとも1つの感光検出器の抵抗の変化ΔRは、少なくとも1つの感光検出器のDC抵抗RDCの関数であってよい。さらに、少なくとも1つの測定物体が少なくとも1つの熱放射体を含む場合、少なくとも1つの感光検出器のDC抵抗RDCは、少なくとも1つの測定物体の温度及び少なくとも1つの測定物体の放射率の少なくとも1つの関数であってよい。本明細書で使用される場合、「放射率」という用語は、熱放射を放出する少なくとも1つの放射線放出素子の効果に関する。より具体的には、放射率は、少なくとも1つの放射線放出素子によって放出される熱放射の強度による、少なくとも1つの放射線放出素子の材料特性を指す。一般に、放射率は0~1の値で示され、1の値は、プランクの法則に従って熱放射線を放出する完全な黒体の表面に対応し、少なくとも1つの放射線放出素子の放射率は、通常、1未満であるが0を超える値、典型的には0.5を超える値、より典型的には0.8を超える値、好ましくは0.9を超える値を想定する。
【0032】
スペクトル感知装置は、少なくとも1つの感光検出器、具体的には抵抗測定における少なくとも1つの感光検出器を読み出すように構成された少なくとも1つの読み出し回路をさらに備えることができる。本明細書で使用される「読み出し回路」という用語は、一般に、少なくとも1つの物理特性、及び/又は少なくとも1つの測定装置、具体的には少なくとも1つの感光検出器によって検出される少なくとも1つの物理特性の変化、を定量化及び処理するように構成された任意の装置を指す。上述したように、少なくとも1つの感光検出器は、具体的には、少なくとも1つの硫化鉛光導電体を含むことができる。光導電体は、一般に、照射時に導電率を変化させ、したがって、その結果、抵抗測定において定量化されるそれらの抵抗を変化させる可能性があり得る。したがって、測定された抵抗値によって、入射光放射線に関する結論を導き出すことができる。抵抗測定は、さらなる抵抗器、特に既知の抵抗値を有するさらなる抵抗器との比較において実施され得る。さらなる抵抗器は、特に、読み出し回路内の分圧器に配置され得る。
【0033】
読み出し回路は、具体的には、少なくとも1つの感光検出器のDC抵抗RDC及び/又は少なくとも1つの感光検出器の抵抗の変化ΔRを測定するように構成され得る。読み出し回路は、抵抗計、分圧器、及びパスフィルタ、具体的にはハイパスフィルタのうちの少なくとも1つを含んでよい。少なくとも1つの感光検出器の抵抗の変化ΔRは、具体的には、少なくとも1つの感光検出器のDC抵抗RDCに比べて小さくあり得る。ハイパスフィルタは、少なくとも1つの感光検出器のDC抵抗RDCをフィルタリングし、少なくとも1つの感光検出器の抵抗におけるより小さい変化ΔRのみを通過させることができる。
【0034】
上記で概説したように、スペクトル感知装置は、変調光放射線がスペクトル感知装置内で少なくとも1つの感光検出器に向かって誘導されるように配置される。一般的に使用されるように、「誘導する」という用語又はその文法的変形は、特に光放射線の一部を反射又は透過させることによって、所望の方向への光放射線の伝播をもたらすことを指す。スペクトル感知装置は、変調光放射線を少なくとも1つの感光検出器に向けて誘導するように構成された少なくとも1つの光学素子を含むことができる。本明細書で使用される「光学素子」という用語は、一般に、入射光放射線の少なくとも1つの光学特性、例えば光放射線の強度又は光放射線の少なくとも一部の方向を変化させるように構成された任意の素子を指す。少なくとも1つの光放射線は、光学素子で散乱されてよい。少なくとも1つの光放射線は、少なくとも部分的に、光学素子によって反射されてよく、及び/又は光学素子を透過し、及び/又は光学素子によって吸収されてよい。
【0035】
光放射線と少なくとも1つの光学素子との間の相互作用は、光放射線の少なくとも1つの物理的特性、具体的には、光放射線の入射角及び/又は光放射線の少なくとも1つの波長の少なくとも1つに依存し得る。当業者であれば分かるように、光放射線の波長は、光周波数、波数、又はエネルギーで表すこともできる。光放射線と少なくとも1つの光学素子との間の相互作用は、さらに、少なくとも1つの光学素子の少なくとも1つの物理的特性、具体的には、少なくとも1つの光学素子の屈折率、少なくとも1つの光学素子の光学密度、少なくとも1つの光学素子の厚さ、及び少なくとも1つの光学素子の少なくとも1つの表面の少なくとも1つの表面状態に依存し得る。少なくとも1つの光学素子は、ミラー、窓、レンズ、アパーチャ、回折格子、プリズム、及び光フィルタのうちの少なくとも1つであってよく、又はこれらを含んでいてよい。少なくとも1つの光学素子は、少なくとも1つの部分反射光学素子を備えていてよい。少なくとも1つの部分反射光学素子は、少なくとも1つの放射線放出素子によって放出された変調光放射線を少なくとも1つの感光検出器に向けて反射するように指定され得る。少なくとも1つの部分反射光学素子は、少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線に対して透明であってよい。したがって、少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線は、少なくとも1つの部分反射光学素子を透過し、具体的には、少なくとも1つの感光検出器に向かって透過することができる。
【0036】
少なくとも1つの放射線放出素子は、変調光放射線が一定の照射出力を有し得るように、変調光放射線を放出するように指定されてよい。具体的には、変調光放射線の平均照射出力は、より大きな時間間隔にわたって一定であってよい。変調光放射線の振幅は、具体的には、一定の変調周波数で周期的に変調されてよい。当業者であれば分かるように、光放射線の振幅は照射出力に関係する。したがって、1つの期間内では、変調光放射線の照射出力は自然に交互に変化する可能性がある。しかしながら、複数の期間を含む時間間隔にわたって、平均照射出力は、具体的には一定であり得る。より具体的には、変調光放射線の最大振幅は一定であってよく、変調光放射線は、具体的には、一定の変調周波数で周期的に変調されてよい。照射出力が一定であることは、具体的には、照射出力の時間変化を考慮する必要がないため、変調光放射線の評価を容易にし得る。
【0037】
スペクトル感知装置は、少なくとも2つの個別の感光検出器を備え得る。少なくとも1つの第1感光検出器の少なくとも1つの感光領域は、変調光放射線を受け取るように指定されてよい。少なくとも1つの第2感光検出器の少なくとも1つの感光領域は、少なくとも1つの測定物体及び変調光放射線によって提供される光放射線を受け取るために指定され得る。したがって、この配置では、少なくとも1つの第2感光検出器は、少なくとも1つの測定情報を生成するために使用され得る一方、少なくとも1つの第1感光検出器は、少なくとも1つの第2感光検出器におけるドリフト効果を補正するために使用され得る。少なくとも1つの第1感光検出器及び少なくとも1つの第2感光検出器は、具体的には、構造的に同一であってよく、又は少なくとも同様の特性、具体的には同様の応答性を有してよい。この目的のために、検出器アレイ、マルチピクセルシステム及び検出器マトリックスのうちの少なくとも1つを使用することができる。したがって、少なくとも1つの感光検出器は、検出器アレイ、マルチピクセルシステム、及び検出器-マトリックスのうちの少なくとも1つを備えることができる。本明細書で使用される場合、「第1」又は「第2」という用語は、順序又は時系列を特定することなく、又は、同じ種類の他の要素が存在する可能性を排除することなく、要素の説明として見なされる。
【0038】
スペクトル感知装置は、少なくとも1つの放射線分離要素をさらに備えることができる。少なくとも1つの放射線分離要素は、少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線から変調光放射線を分離するために指定及び配置されてよい。少なくとも1つの放射線分離要素は、少なくとも1つの第1光フィルタ要素を備え得る。少なくとも1つの第1光フィルタ要素は、少なくとも1つの第1感光検出器の少なくとも1つの感光領域が変調光放射線のみを受け取るように指定及び配置されてよい。本明細書で使用される「光フィルタ要素」という用語は、一般に、光放射線の波長及び/又は光放射線の偏光などの光放射線の少なくとも1つの物理的特性に応じて光放射線を選択的に遮断するように構成された任意の装置を指す。したがって、少なくとも1つの第1光フィルタ要素は、少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線を遮断するように構成され、少なくとも1つの第2光フィルタ要素は、少なくとも1つの放射線放出素子によって放出される変調光放射線を遮断するように構成され得る。
【0039】
少なくとも1つの放射線分離要素は、少なくとも1つの非透過性光学素子を含んでいてよい。少なくとも1つの非透過性光学素子は、少なくとも1つの第1感光検出器の少なくとも1つの感光領域が変調光放射線のみを受け取るように指定及び配置されてよい。具体的には、少なくとも1つの非透過性光学素子は、少なくとも1つの不透明材料であってよく、又は少なくとも1つの不透明材料を含んでよい。少なくとも1つの非透過性光学素子は、具体的には、少なくとも1つの放射線放出素子によって放出される変調光放射線の波長範囲と、少なくとも1つの測定物体によって放出される光放射線の波長範囲とを含む波長範囲にわたって不透明であってよい。
【0040】
スペクトル感知装置は、少なくとも1つのさらなる放射線放出素子をさらに含んでよい。少なくとも1つのさらなる放射線放出素子は、さらなる変調光放射線を放出するように指定されてよい。少なくとも1つの評価ユニットは、
・ 少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線とさらなる変調光放射線との重ね合わせによる少なくとも1つの感光領域の照射によって生成される少なくとも1つの変調された検出器信号;及び
・ 少なくとも1つの測定情報、
を使用することによって、少なくとも1つの測定物体に関する少なくとも1つのスペクトル情報を生成するようにさらに構成され得る。
【0041】
スペクトル感知装置は、特に好ましくは、さらなる変調光放射線が少なくとも1つの測定物体に向かって導かれるように配置され得る。
【0042】
具体的には、スペクトル感知装置は、さらなる変調光放射線が、少なくとも1つの測定物体によって、続いて少なくとも1つの感光検出器、具体的には少なくとも1つの感光領域に向かって反射されるように、さらなる変調光放射線が少なくとも1つの測定物体に向かって導かれるように配置されてよい。したがって、さらなる変調光放射線は、測定物体の少なくとも1つの光学特性、具体的には、反射率、放射率、及び吸収率のうちの少なくとも1つに関する情報を提供することができる。少なくとも1つの測定物体を通る光放射線の透過は、特に金属表面の場合、無視することができる。したがって、放射率は、1から反射率を引いたものとして計算されることができる。当業者であればさらに分かるように、反射率、放射率、及び吸収率の少なくとも1つは波長依存性であってよい。
【0043】
「スペクトル情報」という用語については、上記の説明を参照されたい。少なくとも1つの測定物体に関する少なくとも1つのスペクトル情報を生成することは、少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線を測定することを含んでよい。具体的には、少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線は、少なくとも1つの感光検出器の抵抗の変化ΔRを決定すること、及び/又は少なくとも1つの感光検出器の少なくとも1つの応答性依存商を計算することによって測定され得る。より具体的には、少なくとも1つの測定物体が少なくとも1つの熱放射体を備える場合、少なくとも1つの測定物体の温度は、少なくとも1つの感光検出器の抵抗の変化ΔRを測定すること、及び/又は少なくとも1つの感光検出器の少なくとも1つの応答性依存商を計算することから、導出されることができる。これによって、具体的には、非変調測定物体の長時間のドリフトを除去することができる。具体的には、少なくとも1つの測定物体のDC抵抗の測定は、少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線を測定するための主な測定方法として依然として実行され得、少なくとも1つの測定物体のDC抵抗の測定は、少なくとも1つの測定情報を使用することによって、定期的又は不定期な時間間隔で校正され得る。
【0044】
少なくとも1つの評価ユニットは、さらに
・ 変調光放射線による少なくとも1つの感光領域の照射によって生成される少なくとも1つの変調された検出器信号と、さらなる変調光放射線による少なくとも1つの感光領域の照射によって生成される少なくとも1つのさらなる変調された検出器信号とをさらに比較することによって、少なくとも1つの校正情報を生成するように、
構成され得る。
【0045】
一般的に使用されているように、「校正」という用語は、実際にはスペクトル感知装置において発生する可能性のある、主にスペクトル感知装置自体に関連する変化又はスペクトル感知装置に影響を及ぼす変化によって生じる、ドリフト効果を時々補正するプロセスを指す。この変化は、特に、放射線放出素子又は感光検出器の少なくとも一方の劣化;放射線放出素子又は感光検出器の少なくとも一方の温度ドリフト;スペクトル感知装置に影響を与える周囲温度の変動;スペクトル感知装置に関連する温度、すなわち、少なくとも1つの感光検出器及び対応する電子機器が動作し得る温度の変化;スペクトル感知装置によって含まれる少なくとも1つのコンポーネント、特に機械的ハウジング、ホルダ、又は光学素子のうちの少なくとも1つの機械的な伸縮、特に少なくとも1つの光学窓の機械的な伸縮、の少なくとも1つを含み得る。しかしながら、さらなる変化もあり得る。さらに、電気化学的プロセス、又は長寿命トラップの緩和などの物理的プロセスは、ドリフト効果を引き起こす可能性がある。ドリフト効果を補正することは、具体的にはドリフト効果が、スペクトル感知装置によって決定される結果が決定的でなくなるような程度になるまで測定データを歪めることを回避することによって、測定データの信頼性を維持することを特に容易にすることができる。
【0046】
その結果、本明細書で使用される「校正情報の項目(piece)」という用語は、一般に、校正に使用されることができる、要素又は物体の物理的特性に関するなどの、少なくとも1つのエンティティの定性的及び/又は定量的な記述を提供するデータ、知識、又は証拠の少なくとも1つを指す。少なくとも1つの校正情報は、校正係数、校正曲線、又は校正関数の少なくとも1つであるか、又はこれらを含んでよく、それらは、好ましくは、具体的にはテーブル、値のセット及びパラメータ化された形式、又は関数方程式としての関連関数のうちの少なくとも1つの形式で、校正ファイルとして、データ記憶装置に保存され得る。少なくとも1つの校正情報は、ルックアップテーブルに記録されることができる。具体的には、少なくとも1つの校正情報は、少なくとも1つの感光検出器の応答性に関連し得る。少なくとも1つの感光検出器は、少なくとも1つの校正情報の少なくとも1つを使用することによって、具体的には、少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線を測定するのと同時に、連続的に校正されてよい。少なくとも1つのさらなる放射線放出素子によって放出されるさらなる変調光放射線は、特に変調周波数の点で、少なくとも1つの放射線放出素子によって放出される変調光放射線と異なっていてよい。したがって、少なくとも1つの感光検出器は、少なくとも1つのさらなる放射線放出素子によって放出されるさらなる変調光放射線と、少なくとも1つの放射線放出素子によって放出される変調光放射線の両方を同時に並行して検出し、両者を区別することができる。また、少なくとも1つの感光検出器は、少なくとも1つの校正情報を使用することによって、定期的又は不定期的な時間間隔で校正されてよい。
【0047】
具体的には、少なくとも1つのさらなる放射線放出素子は、少なくとも1つの放射線放出素子と構造的に同一であってもよく、又は少なくとも同様の特性、具体的には、照射出力及び/又は波長範囲などの発光特性を有していてよい。しかしながら、少なくとも1つの放射線放出素子によって放出される変調光放射線の変調は、少なくとも1つのさらなる放射線放出素子によって放出される変調光放射線のさらなる変調と比較して、具体的には異なっていてよい。したがって、変調光放射線は、少なくとも1つの感光検出器によって検出されたときに、さらなる変調光放射線と区別可能であり得る。具体的には、少なくとも1つの放射線放出素子及び少なくとも1つのさらなる放射線放出素子は、連続的に変調されてよい。さらに、少なくとも1つの放射線放出素子及び少なくとも1つのさらなる放射線放出素子は、異なる変調周波数で同時に変調されてよい。少なくとも1つの放射線放出素子によって放出される変調光放射線は、少なくとも1つの感光検出器における抵抗の変化ΔR1を誘導することができる。少なくとも1つの放射線放出素子によって放出されるさらなる変調光放射線は、少なくとも1つの感光検出器における抵抗の変化ΔR2を誘導することができる。したがって、少なくとも1つの校正情報は、少なくとも1つの感光検出器における抵抗の変化ΔR1と、少なくとも1つの感光検出器における抵抗の変化ΔR2とを比較することから導出されることができる。少なくとも1つのさらなる放射線放出素子に関するさらなる詳細については、上記で提供された少なくとも1つの放射線放出素子の説明を参照することができる。
【0048】
少なくとも1つのさらなる放射線放出素子は、さらなる変調光放射線が一定の照射出力を有するように、さらなる変調光放射線を放出するように指定されてよい。スペクトル感知装置は、さらなる変調光放射線が少なくとも1つの測定物体によって反射され、具体的には少なくとも1つの感光検出器に向かって反射されるように配置されてよい。このように、少なくとも1つのさらなる放射線放出素子は、少なくとも1つの測定物体をさらなる変調光放射線で照射することができる。さらなる変調光放射線は、少なくとも1つの測定物体で散乱することがある。具体的には、さらなる変調光放射線は、少なくとも1つの測定物体において少なくとも部分的に吸収されてよく、吸収は、少なくとも1つの測定物体を形成する少なくとも1つの材料の組成などの、少なくとも1つの測定物体の少なくとも1つの物理的特性に特徴的であってよい。したがって、少なくとも1つの測定物体によって反射された変調光放射線は、少なくとも1つの測定物体の少なくとも1つの物理的特性に関する少なくとも1つの情報を運ぶことができる。少なくとも1つの測定物体によって反射された変調光放射線は、少なくとも1つの測定物体に関するスペクトル情報を保持する拡散反射光放射線を含むことができる。少なくとも1つの測定物体によって反射された変調光放射線は、少なくとも1つの測定物体に関する放射率情報を保持する、具体的には、フレネル反射を介して直接反射された光放射線を含み得る。
【0049】
したがって、少なくとも1つの感光検出器における抵抗の変化ΔR1と、少なくとも1つの感光検出器における抵抗の変化ΔR2とを比較することによって、少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線がさらに測定されてよく、具体的には、少なくとも1つの測定物体の化学組成、放射率、及び温度のうちの少なくとも1つが決定され得る。具体的には、第1測定において、少なくとも1つの感光検出器における抵抗の変化ΔR1、及び少なくとも1つの感光検出器における抵抗の変化ΔR2は、少なくとも1つの応答性依存商を計算するために比較され得る。第2測定では、少なくとも1つの応答性依存商は、少なくとも1つの測定物体の化学組成、放射率、及び温度の少なくとも1つを計算するために計量され得る。
【0050】
スペクトル感知装置は、少なくとも2つの個別の感光検出器を備え得る。少なくとも1つのさらなる第1感光検出器の少なくとも1つの感光領域は、変調光放射線を受け取るように指定され得る。少なくとも1つのさらなる第2感光検出器の少なくとも1つの感光領域は、さらなる変調光放射線及び少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線を受け取るように指定され得る。スペクトル感知装置は、少なくとも1つのさらなる放射線分離要素を備え得る。少なくとも1つのさらなる放射線分離要素は、変調光放射線をさらなる変調光放射線から分離するために指定及び配置されてよい。少なくとも1つのさらなる放射線分離要素は、具体的には、上述した放射線分離要素と構造的に同一であってよく、又は少なくとも同様の特性、具体的には光学特性を有することができる。したがって、さらなる放射線分離要素及びその実施形態に関するさらなる詳細については、上記で提供された放射線分離要素及びその実施形態を参照することができる。
【0051】
少なくとも1つのさらなる放射線分離要素は、少なくとも1つのさらなる第1光フィルタ要素及び少なくとも1つのさらなる第2光フィルタ要素のうちの少なくとも1つを備え得る。少なくとも1つのさらなる第1光フィルタ要素は、少なくとも1つのさらなる第1感光検出器の少なくとも1つの感光領域が変調光放射線のみを受け取るように指定及び配置されてよい。少なくとも1つのさらなる第2光フィルタ要素は、少なくとも1つのさらなる第2感光検出器の少なくとも1つの感光領域が、さらなる変調光放射線及び少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線のみを受け取るように指定及び配置されてよい。
【0052】
少なくとも1つのさらなる放射線分離要素は、少なくとも1つのさらなる非透過性光学素子を含んでよい。少なくとも1つのさらなる非透過性光学素子は、少なくとも1つのさらなる第1感光検出器の少なくとも1つの感光領域が変調光放射線のみを受け取り、少なくとも1つのさらなる第2感光検出器の少なくとも1つの感光領域がさらなる変調光放射線及び少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線のみを受け取るように指定及び配置されてよい。
【0053】
少なくとも2つの個別感光検出器は、少なくとも1つのさらなる第1感光検出器の少なくとも1つの感光領域が変調光放射線のみを受け取り、少なくとも1つのさらなる第2感光検出器の少なくとも1つの感光領域が変調光放射線、さらなる変調光放射線、及び少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線を受け取るように配置されてよい。スペクトル感知装置は、2つのさらなる第1の個別感光検出器を備えることができる。少なくとも2つのさらなる第1感光検出器のうちの1つの少なくとも1つの感光領域は、変調光放射線のみを受け取ることができる。少なくとも2つのさらなる第1感光検出器のうちの別の1つの少なくとも1つの感光領域は、変調光放射線及び少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線を受け取ることができる。
【0054】
スペクトル感知装置は、少なくとも1つのさらなる部分反射光学素子を備えてよい。少なくとも1つの部分反射光学素子は、少なくとも1つの放射線放出素子によって放出された変調光放射線を少なくとも1つの感光検出器に向けて反射し、少なくとも1つのさらなる放出素子によって放出されたさらなる光放射線を少なくとも1つの測定物体に向けて透過するように指定されてよい。具体的には、少なくとも1つのさらなる部分反射光学素子における反射は、フレネル反射であってよく、又はフレネル反射を含んでいてよい。一般的に使用されるように「フレネル反射」という用語は、異なる屈折率を有する少なくとも2つの媒体間の界面の結果としての光反射の一種を指す。少なくとも1つのさらなる部分反射光学素子は、測定物体によって提供される光放射線に対して透明である。
【0055】
スペクトル感知装置は、少なくとも1つの温度安定化要素をさらに備えることができる。少なくとも1つの温度安定化要素は、少なくとも1つの感光検出器、少なくとも1つの放射線放出素子、及び適切であれば、少なくとも1つのさらなる放射線放出素子の少なくとも1つの温度を一定レベルに維持するように指定され得る。温度を一定レベルに維持することは、測定中のドリフト効果を回避することを容易にし得る。本明細書で使用される「温度安定化要素」という用語は、一般に、ヒートシンク及びヒートポンプのうちの少なくとも1つを指し、ヒートポンプは、少なくとも2つの空間領域間で熱を能動的に伝達するように指定され、それによって少なくとも2つの空間領域間で熱流束を生成する。温度安定化要素は、具体的には、熱流束を生成するためにペルチェ効果に基づくことができる。この目的のために、温度安定化要素は、特に、少なくとも1つの熱電冷却器を備えてよい。熱流束の方向は、熱電冷却器に印加される電流の方向に依存し得る。熱流束の方向に応じて、温度安定化要素は、少なくとも1つのさらなる空間領域に熱を伝達することによって少なくとも1つの空間領域を冷却するために、又は少なくとも1つのさらなる空間領域から熱を伝達することによって少なくとも1つの空間領域を加熱するために、使用されることができる。しかしながら、さらなる種類の温度安定化要素も可能であり得る。
【0056】
本発明のさらなる態様では、少なくとも1つの測定物体によって放出される光放射線を測定する方法が開示される。少なくとも1つの測定物体によって放出される光放射線は、非変調光放射線を含む。本発明による光放射線を測定する方法は以下のステップ:
a) 少なくとも1つの放射線放出素子を使用することによって変調光放射線を放出するステップであって、前記変調光放射線は、スペクトル感知装置内で少なくとも1つの感光検出器に向かって誘導され、前記少なくとも1つの感光検出器は、光放射線を受け取るために指定された少なくとも1つの感光領域を有し、前記少なくとも1つの感光検出器によって生成された少なくとも1つの検出器信号は、少なくとも1つの感光領域の照射に依存する、ステップと;
b) 変調光放射線と少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線との重ね合わせによって、少なくとも1つの感光領域の照射によって生成される少なくとも1つの検出器信号を使用することによって、少なくとも1つの評価ユニットを使用することによって、少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線による少なくとも1つの感光領域の照射に関する少なくとも1つの測定情報を生成するステップと、
を含む。
【0057】
本方法はさらに、以下のステップ:
c) 少なくとも1つのさらなる放射線放出素子を使用することによってさらなる変調光放射線を放出するステップであって、前記さらなる変調光放射線は少なくとも1つの測定物体に向けて誘導される、ステップと;
d) 少なくとも1つの測定物体に関する少なくとも1つのスペクトル情報を生成するステップであって、以下の
・ 少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線と、さらなる変調光放射線との重ね合わせによって、少なくとも1つの感光領域の照射によって生成される少なくとも1つの変調された検出器信号と;
・ 少なくとも1つの測定情報と、
を使用することによって、少なくとも1つの評価ユニットを使用することによって、少なくとも1つの測定物体に関する少なくとも1つのスペクトル情報を生成する、ステップと、
を含んでよい。
【0058】
本方法はさらに、以下のステップ:
e) 変調光放射線による少なくとも1つの感光領域の照射によって生成された少なくとも1つの検出器信号と、さらなる変調光放射線による少なくとも1つの感光領域の照射によって生成された少なくとも1つのさらなる検出器信号とをさらに比較することによって、少なくとも1つの評価ユニットを使用することによって、少なくとも1つの校正情報を生成するステップ
を含んでよい。
【0059】
ステップa)~e)は、連続的又は非連続的に実施されることができ、ステップa)~e)は、少なくとも部分的に、同時に実施されることができる。具体的には、ステップc)~e)が実施される場合、ステップa)及びc)は同時に実施されてよく、ステップb)及びe)は、最終的にステップd)が実施される前に、同時に実施されてよい。さらに、本明細書に記載されているかどうかに関係なく、追加のステップを実行することもできる。
【0060】
ステップe)では、少なくとも1つの校正情報は、
- 変調光放射線と、少なくとも1つの変調周波数によって異なるさらなる変調光放射線と;
- 少なくとも1つの第1感光領域と、少なくとも1つの分光感度によって異なる少なくとも1つの第2感光領域と、
の少なくとも1つを使用することによって、少なくとも1つのさらなる検出器信号から少なくとも1つの検出器信号を区別することによって、生成され得る。
【0061】
さらなる態様では、本発明は、コンピュータプログラムであって、プログラムがコンピュータによって実行されるときに、コンピュータに本明細書の他の箇所に記載された光放射線を測定するための方法のステップを実行させる実行可能な命令を含む、コンピュータプログラムに関する。実行可能な命令を含むコンピュータプログラムは、好ましくは、評価ユニット、特にデータ処理装置、特にコンピュータ又は電子通信ユニット、具体的にスマートフォン又はタブレットに完全に又は部分的に一体化されていてよい。コンピュータプログラムは、評価ユニット、特に電子通信ユニットに既に含まれる少なくとも1つのデータ処理装置を使用することによって、本方法を実行することが可能であり得る。例として、方法は、「アプリ」という用語によっても示されるアプリケーションとして、電子通信ユニット上で実行されてよい。
【0062】
本発明のさらなる態様では、本発明によるスペクトル感知装置の使用が開示されている。そこでは、少なくとも1つの測定物体に関する情報、特にスペクトル情報を決定する目的のスペクトル感知装置の使用が提案されている。ここで、スペクトル感知装置は、好ましくは、以下の:赤外線検出用途;分光法用途;排ガス監視用途;燃焼プロセス監視用途;汚染監視用途;工業プロセス監視用途;混合又はブレンドプロセス監視;化学プロセス監視用途;食品処理プロセス監視用途;食品調製プロセス監視;水質監視用途;大気品質監視用途;品質管理用途;温度制御用途;動作制御用途;排気制御用途;ガス検知用途;ガス分析用途;動作感知用途;化学感知用途;モバイル用途;医療用途;モバイル分光法用途;食品分析用途;特に、土壌、サイレージ、飼料、作物又は農産物の特性評価、植物の健康状態の監視などの農業用途;プラスチックの識別及び/又はリサイクル用途、からなる群から選択される使用目的のために使用される。しかし、さらなる用途も可能である。
【0063】
本発明による光放射線の測定方法、対応するコンピュータプログラム、及びスペクトル感知装置のそれぞれの使用に関するさらなる詳細については、本明細書中の他の箇所で提供される光放射線を測定するためのスペクトル感知装置の説明を参照することができる。
【0064】
本明細書に開示される光放射線を測定するためのスペクトル感知装置及び方法は、従来技術に比べてかなりの利点を有する。本発明によるスペクトル感知装置及び方法は、予め定義された反射ターゲットを必要とすることなく、好ましくは完全に自動化された方法で、自己校正を実行するように構成される。さらに、信号の変調は、ノイズ、特に1/fノイズの低減につながる可能性がある。特に、スペクトル感知装置及び方法は、スペクトル感知装置及びマルチピクセル感知ソリューションの測定結果の信頼性を高めるために使用されることができ、特に、マルチピクセルソリューションに基づくIR感知モジュールの自己校正を可能にするために使用されることができる。結果として、本明細書で開示されるスペクトル感知装置及び方法は、ユーザによる装置の使用及び校正を容易にすることができる。したがって、この種のスペクトル感知装置は、家電製品において日常的に使用され得る。
【0065】
本明細書で使用される場合「有する」、「備える」、又は「含む」という用語、又はそれらの任意の文法上の変形は、非排他的な方法で使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入された特徴の他に、この文脈で説明されている実体にさらなる特徴が存在しない状況と、1つ以上のさらなる特徴が存在する状況の両方を指し得る。一例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」、及び「AはBを含む」という表現は、B以外にAに他の要素が存在しない状況(つまり、Aは専らかつ排他的にBから構成される状況)と、Bに加えて、1つ以上のさらなる要素、例えば要素C、要素CとD、又はさらに要素などが実体Aに存在する状況の双方を指し得る。
【0066】
さらに、本明細書で使用される場合、「好ましくは」、「より好ましくは」、「特に」、「より特に」、「具体的に」、「より具体的に」という用語、又は、同様の用語は、代替の可能性を制限することなく、任意の特徴に関連して使用される。したがって、これらの用語によって導入される特徴は、任意の特徴であり、いかなる意味でも特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。本発明は、当業者が認識するように、代替的な特徴を用いることによって実施されることができる。同様に、「本発明の一実施形態では」又は同様の表現によって導入される特徴は、本発明の代替の実施形態に関するいかなる制限もなく、本発明の範囲に関するいかなる制限もなく、及び、そのような方法で導入される特徴を本発明の他の任意の又は非任意の特徴と組み合わせる可能性に関するいかなる制限もなく、任意の特徴であることが意図されている。
【0067】
要約すると、本発明の文脈においては、以下の実施形態が好ましいと考えられる。
【0068】
実施形態1: 少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線を測定するためのスペクトル感知装置であって、前記少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線は、非変調光放射線を含み、前記スペクトル感知装置は:
- 少なくとも1つの放射線放出素子であって、前記少なくとも1つの放射線放出素子は、変調光放射線を放出するように指定されている、少なくとも1つの放射線放出素子と;
- 少なくとも1つの感光検出器であって、前記少なくとも1つの感光検出器は、光放射線を受け取るように指定された少なくとも1つの感光領域を有し、前記少なくとも1つの感光検出器によって生成される少なくとも1つの検出器信号は、前記少なくとも1つの感光領域の照射に依存する、少なくとも1つの感光検出器と;
- 少なくとも1つの評価ユニットであって、前記少なくとも1つの評価ユニットは、変調光放射線と少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線との重ね合わせによって、少なくとも1つの感光領域の照射によって生成される少なくとも1つの変調された検出器信号を使用することによって、前記少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線による前記少なくとも1つの感光領域の照射に関する少なくとも1つの測定情報を生成するように構成される、少なくとも1つの評価ユニットと、を備え、
前記スペクトル感知装置は、変調光放射線が前記スペクトル感知装置内で前記少なくとも1つの感光検出器に向かって導かれるように配置される、スペクトル感知装置。
【0069】
実施形態2: 前記少なくとも1つの放射線放出素子は、熱放射体又は半導体ベースの放射線源のうちの少なくとも1つによって含まれる、先行する実施形態に記載のスペクトル感知装置。
【0070】
実施形態3: 前記少なくとも1つの半導体ベースの放射源は、発光ダイオード(LED)又はレーザの少なくとも1つから選択され、特にレーザダイオードである、先行する実施形態に記載のスペクトル感知装置。
【0071】
実施形態4: 前記少なくとも1つの感光検出器が、既知の光センサから、特に無機カメラ要素から、好ましくは無機カメラチップから、より好ましくはCCDチップ又はCMOSチップから選択される、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル感知装置。
【0072】
実施形態5: 前記少なくとも1つの感光検出器、特に少なくとも1つの感光領域が、少なくとも1つの光導電性材料を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル感知装置。
【0073】
実施形態6: 前記少なくとも1つの光導電性材料が、PbS、PbSe、Ge、InGaAs、InSb、又はHgCdTeのうちの少なくとも1つから選択される、先行する実施形態に記載のスペクトル感知装置。
【0074】
実施形態7: 放出される光放射線が、760nm~1000μm(赤外スペクトル範囲)の波長を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル感知装置。
【0075】
実施形態8: 前記放出される光放射線が、760nm~3μm(近赤外スペクトル範囲)の波長を含む、先行する実施形態に記載のスペクトル感知装置。
【0076】
実施形態9: 前記放出された光放射線が、1μm~3μmの波長を含む、先行する実施形態に記載のスペクトル感知装置。
【0077】
実施形態10: 前記評価ユニットが、さらに、完全に又は部分的に、前記スペクトル感知装置又はその一部を制御又は駆動するように設計されている、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル感知装置。
【0078】
実施形態11: 前記評価ユニットは、前記少なくとも1つの放射線放出素子及び前記少なくとも1つの感光検出器の少なくとも1つを制御するようにさらに構成されている、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル感知装置。
【0079】
実施形態12: 前記評価ユニットによって決定された前記少なくとも1つの測定情報は、電子的、視覚的、音響的、又は触覚的態様の少なくとも1つで、さらなる装置の少なくとも1つ又はユーザに提供される、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル感知装置。
【0080】
実施形態13: 前記評価ユニットによって決定された前記少なくとも1つの測定情報は、少なくとも1つのデータ記憶ユニットに記憶される、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル感知装置。
【0081】
実施形態14: 前記少なくとも1つのデータ記憶ユニットが、前記スペクトル感知装置によって、特に前記少なくとも1つの評価ユニットによって含まれる、先行する実施形態に記載のスペクトル感知装置。
【0082】
実施形態15: 前記少なくとも1つのデータ記憶ユニットは、別個の記憶ユニットである、先行する2つの実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル感知装置。
【0083】
実施形態16: 前記別個の記憶ユニットは、少なくとも1つの電子通信ユニットによって含まれる、先行する実施形態に記載のスペクトル感知装置。
【0084】
実施形態17: 前記少なくとも1つの測定情報は、少なくとも1つのインターフェース、特に無線インターフェース及び/又は有線インターフェースを介して、前記別個の記憶ユニットに送信される、先行する2つの実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル感知装置。
【0085】
実施形態18: 前記少なくとも1つの測定情報は、前記少なくとも1つの感光検出器の応答性に関連する、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル感知装置。
【0086】
実施形態19: 前記少なくとも1つの測定情報は、前記少なくとも1つの感光検出器の抵抗の変化ΔR及び前記少なくとも1つの感光検出器の応答性依存商の少なくとも1つを含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル感知装置。
【0087】
実施形態20: 前記少なくとも1つの応答性依存商は、前記少なくとも1つの感光検出器の抵抗の変化ΔRを前記少なくとも1つの感光検出器のDC抵抗RDCで割った商として定義される、先行する実施形態に記載のスペクトル感知装置。
【0088】
実施形態21: 前記少なくとも1つの感光検出器の抵抗の変化ΔRは、少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線と、前記少なくとも1つの感光検出器における前記少なくとも1つの放射線放出素子によって放出される変調光放射線との重ね合わせによって誘導される、先行する2つの実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル感知装置。
【0089】
実施形態22: 前記スペクトル感知装置は、具体的には抵抗測定において、前記少なくとも1つの感光検出器を読み出すように構成された少なくとも1つの読み出し回路をさらに備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル感知装置。
【0090】
実施形態23: 前記読み出し回路は、前記少なくとも1つの感光検出器のDC抵抗RDC及び/又は前記少なくとも1つの感光検出器の抵抗の変化ΔRを測定するように構成される、先行する実施形態に記載のスペクトル感知装置。
【0091】
実施形態24: 前記読み出し回路は、抵抗計、分圧器、及びパスフィルタのうちの少なくとも1つを含み、具体的にはハイパスフィルタを含む、先行する2つの実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル感知装置。
【0092】
実施形態25: 前記少なくとも1つの放射線放出素子は、変調光放射線が一定の照射出力を有するように、変調光放射線を放出するように指定される、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル感知装置。
【0093】
実施形態26: 少なくとも2つの個別の感光検出器を備え、
- 少なくとも1つの第1感光検出器の少なくとも1つの感光領域は、変調光放射線を受け取るように指定されており;
- 少なくとも1つの第2感光検出器の少なくとも1つの感光領域は、少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線及び変調光放射線を受け取るように指定される、
先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル感知装置。
【0094】
実施形態27: 少なくとも1つの放射線分離要素をさらに備え、前記少なくとも1つの放射線分離要素は、前記少なくとも1つの測定物体によって提供される前記光放射線から変調光放射線を分離するように指定及び配置される、先行する2つの実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル感知装置。
【0095】
実施形態28: 前記少なくとも1つの放射線分離要素は、少なくとも1つの
- 第1光フィルタ要素であって、前記少なくとも1つの第1光フィルタ要素は、前記少なくとも1つの第1感光検出器の前記少なくとも1つの感光領域が変調光放射線のみを受け取るように指定及び配置される、第1光フィルタ要素、
を備える、先行する実施形態に記載のスペクトル感知装置。
【0096】
実施形態29: 前記少なくとも1つの放射線分離要素は、
- 少なくとも1つの非透過性光学素子であって、前記少なくとも1つの非透過性光学素子は、
・ 前記少なくとも1つの第1感光検出器の少なくとも1つの感光領域が変調光放射線のみを受け取るように、
指定及び配置されている、少なくとも1つの非透過性光学素子、
を備える、先行する2つの実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル感知装置。
【0097】
実施形態30: 前記少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線が、
- 前記少なくとも1つの測定物体によって放射される;
- 前記少なくとも1つの測定物体によって反射される;
- 前記少なくとも1つの測定物体を通して送信される、
もののうちの少なくとも1つである、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル感知装置。
【0098】
実施形態31:
- 変調光放射線を前記少なくとも1つの感光検出器に向けて誘導するように構成された少なくとも1つの光学素子、
をさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル感知装置。
【0099】
実施形態32: 前記少なくとも1つの光学素子は、前記少なくとも1つの放射線放出素子によって放出された変調光放射線を前記少なくとも1つの感光検出器に向けて反射するように指定された少なくとも1つの部分反射光学素子を備える、先行する実施形態に記載のスペクトル感知装置。
【0100】
実施形態33: 前記少なくとも1つの部分反射光学素子は、前記少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線に対して透明である、先行する実施形態に記載のスペクトル感知装置。
【0101】
実施形態34:
- 少なくとも1つのさらなる放射線放出素子であって、前記少なくとも1つのさらなる放射線放出素子は、さらなる変調光放射線を放出するように指定され;
前記少なくとも1つの評価ユニットは、
・ 前記少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線と前記さらなる変調光放射線との重ね合わせによって、少なくとも1つの感光領域の照射によって生成される少なくとも1つの変調された検出器信号;及び
・ 少なくとも1つの測定情報、
を使用することによって、前記少なくとも1つの測定物体に関する少なくとも1つのスペクトル情報を生成するようにさらに構成される、少なくとも1つのさらなる放射線放出素子
をさらに備え、
前記スペクトル感知装置は、前記さらなる変調光放射線が前記少なくとも1つの測定物体に向かって導かれるように配置される、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル感知装置。
【0102】
実施形態35: 前記少なくとも1つの評価ユニットは、さらに
・ 変調光放射線による前記少なくとも1つの感光領域の照射によって生成された少なくとも1つの変調された検出器信号と、さらなる変調光放射線による前記少なくとも1つの感光領域の照射によって生成された少なくとも1つのさらなる変調された検出器信号とを比較することによって、少なくとも1つの校正情報を生成するように、
構成されている、先行する実施形態に記載のスペクトル感知装置。
【0103】
実施形態36: 前記少なくとも1つのさらなる放射線放出素子は、前記さらなる変調光放射線が一定の照射出力を有するように、前記さらなる変調光放射線を放出するように指定される、先行する2つの実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル感知装置。
【0104】
実施形態37: 前記スペクトル感知装置は、前記さらなる変調光放射線が前記少なくとも1つの測定物体によって反射されるように配置される、先行する3つの実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル感知装置。
【0105】
実施形態38: 少なくとも2つの個別の感光検出器を備え、
- 少なくとも1つのさらなる第1感光検出器の少なくとも1つの感光領域は、前記変調光放射線を受け取るように指定され;そして
- 少なくとも1つのさらなる第2感光検出器の少なくとも1つの感光領域は、前記さらなる変調光放射線及び前記少なくとも1つの測定物体によって提供される前記光放射線を受け取るように指定される、
先行する4つの実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル感知装置。
【0106】
実施形態39: 少なくとも1つのさらなる放射線分離要素をさらに備え、前記少なくとも1つのさらなる放射線分離要素は、前記さらなる変調光放射線から前記変調光放射線を分離するように指定及び配置される、先行する実施形態に記載のスペクトル感知装置。
【0107】
実施形態40: 前記少なくとも1つのさらなる放射線分離要素が、
- 少なくとも1つのさらなる第1光フィルタ要素であって、前記少なくとも1つのさらなる第1光フィルタ要素は、前記少なくとも1つのさらなる第1感光検出器の少なくとも1つの感光領域が前記変調光放射線のみを受け取るように指定及び配置される、少なくとも1つのさらなる第1光フィルタ要素と;
- 少なくとも1つのさらなる第2光フィルタ要素であって、前記少なくとも1つのさらなる第2光フィルタ要素は、前記少なくとも1つのさらなる第2感光検出器の少なくとも1つの感光領域が、前記さらなる変調光放射線及び前記少なくとも1つの測定物体によって提供される前記光放射線のみを受け取るように指定及び配置される、少なくとも1つのさらなる第2光フィルタ要素と、
の少なくとも1つを備える、先行する実施形態に記載のスペクトル感知装置。
【0108】
実施形態41: 前記少なくとも1つのさらなる放射線分離要素は、
- 少なくとも1つのさらなる非透過性光学素子であって、前記少なくとも1つのさらなる非透過性光学素子は、
・ 前記少なくとも1つのさらなる第1感光検出器の前記少なくとも1つの感光領域が、変調光放射線のみを受け取り、
・ そして、前記少なくとも1つのさらなる第2感光検出器の少なくとも1つの感光領域が、さらなる変調光放射線及び前記少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線のみを受け取る、
ように指定及び配置される、少なくとも1つのさらなる非透過性光学素子
をさらに備える、先行する2つの実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル感知装置。
【0109】
実施形態42: 前記少なくとも2つの個別の感光検出器は、
- 前記少なくとも1つのさらなる第1感光検出器の少なくとも1つの感光領域が、前記変調光放射線のみを受け取り;そして
- 前記少なくとも1つのさらなる第2感光検出器の少なくとも1つの感光領域が、前記変調光放射線、前記さらなる変調光放射線、及び前記少なくとも1つの測定物体によって提供された光放射線を受け取る、
ように配置される、先行する3つの実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル感知装置。
【0110】
実施形態43: 前記少なくとも2つのさらなる第1の個別の感光検出器を備え、
- 前記少なくとも2つのさらなる第1感光検出器のうちの1つの少なくとも1つの感光領域が、前記変調光放射線のみを受け取り;そして
- 前記少なくとも2つのさらなる第1感光検出器の別の1つの少なくとも1つの感光領域が、前記変調光放射線と、前記少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線とを受け取る、
先行する実施形態に記載のスペクトル感知装置。
【0111】
実施形態44:
- 少なくとも1つのさらなる部分反射光学素子であって、前記少なくとも1つのさらなる部分反射光学素子は、前記少なくとも1つの放射線放出素子によって放出された変調光放射線を、前記少なくとも1つの感光検出器に向けて反射し、前記少なくとも1つのさらなる放出素子によって放出されたさらなる光放射線を前記少なくとも1つの測定物体に向けて透過するように指定される、少なくとも1つのさらなる部分反射光学素子、
をさらに備える、先行する10個の実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル感知装置。
【0112】
実施形態45: 前記少なくとも1つのさらなる部分反射光学素子は、前記測定物体によって提供される光放射線に対して透明である、先行する実施形態に記載のスペクトル感知装置。
【0113】
実施形態46:
- 少なくとも1つの温度安定化要素であって、前記少なくとも1つの温度安定化要素は、
・ 前記少なくとも1つの感光検出器と;
・ 前記少なくとも1つの放射線放出素子と、
のうちの少なくとも1つの温度を一定のレベルで維持するように指定された少なくとも1つの温度安定化要素、
をさらに備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル感知装置。
【0114】
実施形態47: 前記少なくとも1つの温度安定化要素は、前記少なくとも1つのさらなる放射線放出素子の温度を一定レベルに維持するように任意に指定される、先行する実施形態に記載のスペクトル感知装置。
【0115】
実施形態48: 少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線を測定するための方法であって、前記少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線は非変調光放射線を含み、前記方法は、以下のステップ:
a) 少なくとも1つの放射線放出素子を使用することによって変調光放射線を放出するステップであって、前記変調光放射線は、スペクトル感知装置内で少なくとも1つの感光検出器に向かって誘導され、前記少なくとも1つの感光検出器は、光放射線を受け取るように指定された少なくとも1つの感光領域を有し、前記少なくとも1つの感光検出器によって生成された少なくとも1つの検出器信号は、前記少なくとも1つの感光領域の照射に依存する、ステップと;
b) 前記変調光放射線と前記少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線との重ね合わせによって、前記少なくとも1つの感光領域の照射によって生成される少なくとも1つの検出器信号を使用することによって、前記少なくとも1つの評価ユニットを使用することによって、前記少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線による前記少なくとも1つの感光領域の照射に関する少なくとも1つの測定情報を生成するステップと、
を含む、方法。
【0116】
実施形態49: さらに以下のステップ:
c) 少なくとも1つのさらなる放射線放出素子を使用することによって、さらなる変調光放射線を放出するステップであって、前記さらなる変調光放射線は前記少なくとも1つの測定物体に向けて誘導されるステップと;
d) 前記少なくとも1つの測定物体に関する少なくとも1つのスペクトル情報を生成するステップであって、
・ 前記少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線と前記さらなる変調光放射線との重ね合わせによって、前記少なくとも1つの感光領域の照射によって生成される少なくとも1つの変調された検出器信号と;
・ 前記少なくとも1つの測定情報と、
を使用することによって、前記少なくとも1つの評価ユニットを使用することによって、前記少なくとも1つの測定物体に関する少なくとも1つのスペクトル情報を生成するステップと、
を含む、先行する実施形態に記載の方法。
【0117】
実施形態50: さらに以下のステップ:
e) 前記変調光放射線による前記少なくとも1つの感光領域の照射によって生成された少なくとも1つの検出器信号と、前記さらなる変調光放射線による前記少なくとも1つの感光領域の照射によって生成された少なくとも1つのさらなる検出器信号とをさらに比較することによって、前記少なくとも1つの評価ユニットを使用することによって、少なくとも1つの校正情報を生成するステップ、
を含む、方法に関する先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0118】
実施形態51: 前記少なくとも1つの校正情報は、
- 変調光放射線と、少なくとも1つの変調周波数によって異なるさらなる変調光放射線と;
- 少なくとも1つの第1感光領域と、少なくとも1つの分光感度によって異なる少なくとも1つの第2感光領域と、
の少なくとも1つを使用することによって、前記少なくとも1つのさらなる検出器信号から前記少なくとも1つの検出器信号を区別することによって生成される、先行する実施形態に記載の方法。
【0119】
実施形態52: コンピュータプログラムであって、プログラムがコンピュータによって実行されるときに、前記コンピュータに光放射線の測定方法のステップを実行させる命令を含む、コンピュータプログラム。
【0120】
実施形態53:
赤外線検出用途;分光法用途;排ガス監視用途;燃焼プロセス監視用途;汚染監視用途;工業プロセス監視用途;混合又はブレンドプロセス監視;化学プロセス監視用途;食品処理プロセス監視用途;食品調製プロセス監視;水質監視用途;大気品質監視用途;品質管理用途;温度制御用途;動作制御用途;排気制御用途;ガス検知用途;ガス分析用途;動作感知用途;化学感知用途;モバイル用途;医療用途;モバイル分光法用途;食品分析用途;特に、土壌、サイレージ、飼料、作物又は農産物の特性評価、植物の健康状態の監視などの農業用途;プラスチックの識別及び/又はリサイクル用途、からなる群から選択される使用目的のための、スペクトル感知装置又は光放射線を測定するための方法を参照する、先行する実施形態のいずれか1つによるスペクトル感知装置の使用。
【図面の簡単な説明】
【0121】
本発明のさらなる任意の詳細及び特徴は、従属請求項と関連して続く好ましい例示的な実施形態の説明から明らかである。この文脈では、特定の特徴は、単独に実施されても、又は他の特徴と組み合わせて実施されてもよい。本発明は、例示的な実施形態に限定されない。例示的な実施形態は、図に概略的に示されている。個々の図における同一の符号は、同一の要素又は同一の機能を有する要素、又はそれら機能に関して互いに対応する要素を指している。
【0122】
具体的には、以下の図の中で:
【
図1】スペクトル感知装置の例示的な実施形態の概略図を示す。
【
図2】スペクトル感知装置の例示的な実施形態の概略図を示す。
【
図3】スペクトル感知装置の例示的な実施形態の概略図を示す。
【
図4】スペクトル感知装置の例示的な実施形態の概略図を示す。
【
図5】スペクトル感知装置の例示的な実施形態の概略図を示す。
【
図6】本発明による光放射線を測定する方法の例示的な実施形態を示す概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0123】
例示的な実施形態
図1~
図5Cは、本発明によるスペクトル感知装置110の例示的な実施形態をそれぞれ高度に概略的に示している。スペクトル感知装置110は、少なくとも1つの測定物体114によって提供される光放射線112を測定するように構成される。少なくとも1つの測定物体114によって提供される光放射線112は、非変調光放射線116を含む。光放射線112は、電磁放射線の可視、紫外及び赤外のスペクトル範囲のうちの少なくとも1つを含んでよい。本発明によれば、スペクトル感知装置110は、特に、赤外(IR)スペクトル領域、好ましくは、近赤外(NIR)、特に、760nm~3μm、好ましくは、1μm~3μmの波長に対するスペクトルを記録するために適合され得る。したがって、スペクトル感知装置110は、熱、炎、火、又は煙の検知だけでなく、調査又は監視目的にも使用されることができる。
【0124】
具体的には、測定物体114は、プランクの法則に従って非変調光放射線を放出する少なくとも1つの熱放射体、例えばヒータ上の金属プレートを備えてよい。このような場合、光放射線を測定するためのスペクトル感知装置110は、特に、少なくとも1つの測定物体114の温度を決定するために使用されてよい。この方向に進む例として、少なくとも1つの測定物体114は、少なくとも1つの調理器具を含んでよく、少なくとも1つの調理器具は調理台上に配置されてよい。このような場合、特に、少なくとも1つの測定物体114の少なくとも1つの温度を測定することが望まれる場合がありこれは、当業者であれば分かるように、少なくとも1つの測定物体114の放射率から導出することができる。しかしながら、スペクトル感知装置110のさらなる用途も可能である。したがって、少なくとも1つの測定物体114によって提供される光放射線112は、具体的には、少なくとも1つの測定物体114によって放出されてもよい。しかしながら、追加的及び/又は代替的に、少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射線112は、少なくとも1つの測定物体114によって反射され、及び/又は少なくとも1つの測定物体114を透過することもできる。具体的には、少なくとも1つの測定物体114は、少なくとも1つの外部光源(ここでは図示せず)によって照射されてよい。
【0125】
スペクトル感知装置110は、少なくとも1つの放射線放出素子118を備える。放射線放出素子118は、変調光放射線120を放出するように指定される。特に、放射線放出素子118は、好ましくは、発光ダイオード(LED)又はレーザ、特にレーザダイオードの少なくとも1つから選択され得る、半導体ベースの放射線源122によって含まれ得る。しかしながら、熱放射体(ここでは図示せず)など、さらなるタイプの放射線放出素子118も可能である。放射線放出素子118は、より詳細に上述したように、連続的に放出することができ、又は変調された光パルスを発生することができる。放射線放出素子118は、変調光放射線120が一定の照射出力を有するように、変調光放射線120を放出するように指定されてよい。
【0126】
スペクトル感知装置110は、少なくとも1つの感光検出器124を備える。感光検出器124は、光放射線112を受け取るために指定された少なくとも1つの感光領域126を有する。少なくとも1つの感光検出器124によって生成される少なくとも1つの検出器信号は、少なくとも1つの感光領域124の照射に依存する。少なくとも1つの感光検出器124は、任意の既知の光センサから、特に無機カメラ要素から、好ましくは無機カメラチップから、より好ましくは、CCDチップ又はCMOSチップから選択されることができる。代感光領域126は、好ましくは、特に硫化鉛(PbS)、セレン化鉛(PbSe)、ゲルマニウム(Ge)、インジウムガリウムヒ素(拡張InGaAsを含むが、これらに限定されない、InGaAs)、アンチモン化インジウム(InSb)又はテルル化水銀カドミウム(HgCdTe又はMCT)から選択される少なくとも1つの光導電性材料を含むことができる。しかし、さらにさらなる種類の光導電性材料又は他の種類の感光検出器も可能である。
【0127】
スペクトル感知装置110は、少なくとも1つの少なくとも1つの評価ユニット128を備える。評価ユニット128は、変調光放射線120と少なくとも1つの測定物体114によって提供される光放射線112との重ね合わせによって、少なくとも1つの感光領域126の照射によって生成される少なくとも1つの変調された検出器信号を使用することによって、少なくとも1つの測定物体114によって提供される光放射線112による少なくとも1つの感光領域126の照射に関する少なくとも1つの測定情報を生成するように構成される。
【0128】
さらに、評価ユニットは、少なくとも1つのインターフェース、特に、感知装置110の1つ以上の要素に対する無線インターフェース又は有線インターフェースの少なくとも1つを備えることができる。さらに、評価ユニット128は、完全に又は部分的に、スペクトル感知装置110の他の要素の1つ以上を制御又は駆動するように設計されることができる。評価ユニット128は、放射線放出素子118及び感光検出器124の少なくとも1つを制御するように構成されることができる。評価ユニット128は、特に、複数の検出器信号がピックアップされ得る少なくとも1つの測定サイクルを実行するように設計され得る。評価ユニット128によって決定された情報は、特に、少なくとも1つのさらなる装置、又はユーザに対して、好ましくは電子的、視覚的、音響的、又は触覚的態様の少なくとも1つで提供され得る。さらに、情報は、少なくとも1つのデータ記憶ユニット(ここでは図示せず)、具体的には、スペクトル感知装置110によって含まれる内部データ記憶ユニット、特に少なくとも1つの評価ユニット128によって含まれる内部データ記憶ユニット、又は通信ユニット(ここでは図示せず)によって含まれ得る別個の記憶ユニットに保存され得る。スペクトル情報又は測定情報の少なくとも1つは、少なくとも1つのインターフェース、特に無線インターフェース及び/又は有線インターフェースを介して、別個の記憶ユニットに送信されることができる。記憶ユニットは、特に、少なくとも1つのルックアップテーブルなどの少なくとも1つの電子テーブルを保存するように構成されていてよい。
【0129】
評価ユニット128によって生成される少なくとも1つの測定情報は、感光検出器124の応答性に関連し得る。具体的には、少なくとも1つの測定情報は、感光検出器124の抵抗の変化ΔR及び感光検出器124の応答性依存商のうちの少なくとも1つを含んでよい。少なくとも1つの応答性依存商は、感光検出器124の抵抗の変化ΔRを感光検出器124のDC抵抗R
DCで割った商として定義されることができる。感光検出器124の抵抗の変化ΔRは、測定物体114によって提供される光放射線112と、感光検出器124において放射線放出素子118によって放出される変調光放射線120との重ね合わせによって誘導され得る。
図1に示すように、測定物体114によって提供される光放射線112の光路は、感光検出器124において放射線放出素子118によって放出される変調光放射線120の光路と交差し得る。したがって、測定物体114によって提供される光放射線112は、感光検出器124によって検出される前に、放射線放出素子118によって放出された変調光放射線120と干渉する可能性がある。
【0130】
スペクトル感知装置110は、少なくとも1つの読み出し回路をさらに備えることができる。読み出し回路は、感光検出器124を読み出すために、具体的には抵抗測定において構成され得る。読み出し回路は、感光検出器124のDC抵抗RDC及び/又は感光検出器124の抵抗の変化ΔRを測定するように構成され得る。読み出し回路は、抵抗計、分圧器、及びパスフィルタ、具体的にはハイパスフィルタ(ここでは図示せず)のうちの少なくとも1つを備え得る。
【0131】
スペクトル感知装置110は、変調光放射線がスペクトル感知装置110内で少なくとも1つの感光検出器124に向けて導かれるように配置される。スペクトル感知装置110は、変調光放射線120を少なくとも1つの感光検出器124に向けて導くように構成された少なくとも1つの光学素子130を備え得る。光学素子130は、少なくとも1つの部分反射光学素子132を備え得る。少なくとも1つの部分反射光学素子132は、少なくとも1つの放射線放出素子118によって放出された変調光放射線120を少なくとも1つの感光検出器124に向けて反射するように指定されてよい。少なくとも1つの部分反射光学132素子は、少なくとも1つの測定物体114によって提供される光放射線112に対して透明であってよい。したがって、少なくとも1つの測定物体114によって提供される光放射線112は、少なくとも1つの部分反射光学素子132を透過し、具体的には、少なくとも1つの感光検出器124に向かって透過することができる。
【0132】
図1に示すように、放射線放出素子118は、感光検出器124に対して横方向にオフセットして配置されてよい。測定物体114は、スペクトル感知装置110の前に配置されてよい。スペクトル感知装置110は、少なくとも1つのハウジング134を備え得る。ハウジング134は、スペクトル感知装置110のさらなるコンポーネントを少なくとも部分的に取り囲むことができる。したがって、ハウジング134は、スペクトル感知装置110の高感度コンポーネントを環境の影響から特に遮断することができる。部分反射光学素子132は、ハウジング134に囲まれてよく、測定物体114に面するハウジング134の側面に配置されてよい。この配置において、放射線放出素子118によって放出された変調光放射線120は、部分反射光学素子132に向けられ得る。次いで、部分反射光学素子132は、放射線放出素子118によって放出された変調光放射線120を感光検出器124に向けて反射することができる。同時に、測定物体114によって提供される光放射線112は、部分反射光学素子132を通ってスペクトル感知装置110に入り、感光検出器124によって検出される前に、スペクトル感知装置110内で放射線放出素子118によって放出された変調光放射線120と干渉し得る。
【0133】
好ましい実施形態では、
図2に示されるように、スペクトル感知装置110は、少なくとも1つのさらなる放射線放出素子136をさらに備えることができる。さらなる放射線放出素子136は、さらなる変調光放射線138を放出するように指定されてよい。さらなる放射線放出素子136はまた、感光検出器124に対して横方向にオフセットして、具体的には放射線放出素子118とは反対側に配置されてよい。さらなる放射線放出素子136は、さらなる変調光放射線138が一定の照射出力を有するように、さらなる変調光放射線138を放出するように指定されてよい。具体的には、さらなる放射線放出素子136は、少なくとも1つの放射線放出素子118と構造的に同一であってよく、又は少なくとも同様の特性、具体的には、照射出力及び/又は波長範囲などの放出特性を有してよい。したがって、さらなる放射線放出素子136に関するさらなる詳細については、上記で提供された少なくとも1つの放射線放出素子118の説明を参照することができる。
【0134】
評価ユニット128は、少なくとも1つの測定物体114によって提供される光放射線112による少なくとも1つの感光領域126の照射によって生成される少なくとも1つの変調された検出器信号と、さらに変調光放射線138と、少なくとも1つの測定情報とを使用することによって、少なくとも1つの測定物体114に関する少なくとも1つのスペクトル情報を生成するようにさらに構成されてよい。評価ユニット128は、変調光放射線120による少なくとも1つの感光領域126の照射によって生成される少なくとも1つの変調された検出器信号と、さらなる変調光放射線138による少なくとも1つの感光領域126の照射によって生成される少なくとも1つのさらなる変調された検出器信号とをさらに比較することによって、少なくとも1つの校正情報を生成するようにさらに構成され得る。
【0135】
スペクトル感知装置110は、さらなる変調光放射線138が測定物体114に向かって誘導され得るように配置されてよい。さらに、スペクトル感知装置110は、さらなる変調光放射線138が測定物体114によって、具体的には感光検出器124に向かって反射され得るように配置されてよい。
図2が示すように、さらに変調光放射線138は、部分反射光学素子132を透過させてよい。したがって、部分反射光学素子132は、少なくとも1つのさらなる放出素子136によって放出されたさらなる光放射線138を少なくとも1つの測定物体114に向けて透過させるために指定されてよい。少なくとも1つのさらなる放出素子136によって放射されたさらなる光放射線138は、その後、測定物体114で散乱し、具体的には、少なくとも部分的に感光検出器124に向かって反射され得る。感光検出器124に衝突する前に、さらなる変調光放射線138は、部分反射光学素子132を通ってスペクトル感知装置110に入り、放射線放出素子118によって放出された変調光放射線120及び/又は測定物体114によって提供された光放射線112と干渉する可能性がある。
【0136】
スペクトル感知装置110は、少なくとも1つの温度安定化要素140をさらに備え得る。温度安定化要素140は、感光検出器124、放射線放出素子118及びさらなる放射線放出素子136のうちの少なくとも1つの温度を一定レベルに維持するために指定され得る。これは、特に、測定中のドリフト効果の回避を容易にし得る。温度安定化要素140は、具体的には、少なくとも1つの熱電冷却器142を備え得る。
図2が示すように、放射線放出素子118、感光検出器124、及びさらなる放射線放出素子136は、温度安定化要素140上に並んで配置されてよく、したがって、同時に安定化されてよい。
【0137】
図3が示すように、温度安定化要素140は、代替的に、感光検出器124のみを安定化させることができる。その結果、放射線放出素子118及び/又はさらなる放射線放出素子136は、温度安定化要素140上に配置されなくてよい。その結果、放射線放出素子118及び/又はさらなる放射線放出素子136の配置は、より柔軟になり得る。具体的には、放射線放出素子118は、感光検出器124を直接照射し得るように配置されてよい。
【0138】
図4A及び
図4Bは、少なくとも2つの個別感光検出器124を含むスペクトル感知装置110の例示的な実施形態を示す。個々の感光検出器124の少なくとも1つは、温度安定化のために温度安定化要素140上に配置され得る。少なくとも1つの第1感光検出器144の感光領域126は、変調光放射線120を受け取るために指定されてよい。少なくとも1つの第2感光検出器146の感光領域126は、少なくとも1つの測定物体114によって提供される光放射線112及び変調光放射線120を受け取るために指定され得る。第2感光検出器146の感光領域126はさらに、さらなる放射線放出素子136によって放出されたさらなる変調光放射線138を追加的に受け取るために指定されてよい。スペクトル感知装置110は、少なくとも1つの放射線分離要素148をさらに備えてよい。放射線分離要素148は、特に、放射線放出素子118によって放出された変調光放射線120を、さらなる放射線放出素子136によって放出されたさらなる光放射線138から分離するために指定及び配置されてもよい。
【0139】
図4Aが示すように、放射線分離要素148は、少なくとも1つの非透過性光学素子150を備え得る。非透過性光学素子150は、第1感光検出器144の感光領域126が、放射線放出素子118によって放出された変調光放射線120のみを受け取り、第2感光検出器146の感光領域126が、さらなる放射線放出素子136によって放出されたさらなる変調光放射線138のみを受け取るように指定及び配置され得る。非透過性光学素子150はさらに、第1感光検出器144の感光領域126及び/又は第2感光検出器146の感光領域126が、追加的又は代替的に、測定物体114によって提供される光放射線112を受け取るように指定及び配置され得る。
【0140】
図4Bが示すように、放射線分離要素148は、少なくとも1つの第1光フィルタ要素152及び少なくとも1つの第2光フィルタ要素154のうちの少なくとも1つを備え得る。第1光フィルタ要素152は、第1感光検出器144の感光領域126が、放射線放出素子118によって放出された変調光放射線120のみを受け取ることができるように指定及び配置されてよい。第1光フィルタ要素152はさらに、第1感光検出器144の感光領域126が、追加的又は代替的に、測定物体114によって提供される光放射線112を受け取ることができるように指定及び配置されてよい。第2光フィルタ要素154は、第2感光検出器146の感光領域126が、さらなる放射線放出素子136によって放出されたさらなる変調光放射線138を受け取ることができるように指定及び配置され得る。第2光フィルタ要素154はさらに、第2感光検出器146の感光領域126が測定物体114によって提供される光放射線112を追加的又は代替的に受け取るように指定及び配置され得る。
【0141】
図5A~
図5Cは、複数の感光検出器124を備えるスペクトル感知装置110の例示的な実施形態を示し、これらは、少なくとも1つの感光検出器124が測定物体114によって提供される光放射線112を受け取ることができないように配置される。
【0142】
図5Aに示すように、スペクトル感知装置110は、第1感光検出器144の感光領域126が変調光放射線120のみを受け取ることができ、第2感光検出器146の感光領域126が少なくとも1つの測定物体114によって提供されるさらなる変調光放射線138及び光放射線112のみを受け取ることができるように配置された2つの個別の感光検出器124を備え得る。この目的のために、部分反射光学素子132は、第2感光検出器146の前方にのみ延びていてよい。したがって、部分反射光学素子132を通過する少なくとも1つの測定物体114によって提供される光放射線112は、第2感光検出器146にのみ到達することができる。さらに、第1感光検出器144と第2感光検出器146は、放射線分離要素148によって、具体的には非透過性光学素子150によって分離され得る。非透過性光学素子150は、特に、第1感光検出器144が、さらなる変調光放射線120及び/又は測定物体114によって提供される光放射線を受け取ることができないように確実にし得る。
【0143】
さらに、
図5Aに示されているようなスペクトル感知装置110の例示的な実施形態は、第2放射線放出素子156を備えてよく、これも変調光放射線120を放出することができる。第2放射線放出素子156は、具体的には、第2感光検出器146に向けて変調光放射線120を放出することができる。したがって、第2感光検出器146は、追加的に、変調光放射線120を受け取ることができる。
図5Bに示すように、感光検出器124は、代替的に、第2感光検出器146も放射線放出素子118によって放出された変調光放射線120を受け取ることができるように配置され得る。
【0144】
図5Cに示すように、スペクトル感知装置110は、少なくとも第3感光検出器158を備え得る。第3感光検出器158の感光領域126は、変調光放射線120及び測定物体114によって提供される光放射線114のみを受け取ることができる。変調光放射線120は、具体的には、第1感光検出器144及び第3感光検出器156にのみ到達し得るが、第2感光検出器146にはもはや到達しない可能性がある。したがって、第2感光検出器146は、測定物体114によって提供されるさらなる変調光放射線138及び光放射線112のみを受け取ることができる。
図5Cが示すように、放射線分離要素148、具体的には非透過光学素子150は、変調光放射線120が第2感光検出器146に到達しないようにするために、第2感光検出器146と第3感光検出器156との間に配置されてよい。部分反射光学素子132は、第2感光検出器146及び第3感光検出器156の前方にのみ延びることができる。したがって、部分反射光学素子132を通過する少なくとも1つの測定物体114によって提供される光放射線112は、第2感光検出器146及び第3感光検出器156にのみ到達することができる。
【0145】
図6は、本発明による測定物体114によって提供される光放射線112を測定するための方法の例示的な実施形態の概略図を示す。
【0146】
ステップa)による放出ステップ160において、変調光放射線120は、放出素子118を使用することによって放出される。変調光放射線は、スペクトル感知装置110内で感光検出器124に向かって導かれる。具体的には、変調光放射線120は、部分反射光学素子132で感光検出器124に向かって反射され得る。
【0147】
ステップb)による測定情報生成ステップ162において、少なくとも1つの測定物体114によって提供される光放射線112による少なくとも1つの感光領域126の照射に関する少なくとも1つの測定情報は、評価ユニット128を使用することによって、変調光放射線120と少なくとも1つの測定物体114によって提供される光放射線112との重ね合わせによる感光領域126の照射によって生成される少なくとも1つの変調検出器信号を使用することによって生成される。
【0148】
ステップc)による任意のさらなる放出ステップ164において、さらなる変調光放射線138は、さらなる放射線放出素子136を使用することによって放出されてよい。さらなる変調光放射線138は、測定物体114に向けて導かれ得る。具体的には、さらなる変調光放射線138は、光学素子130を通って、より具体的には部分反射光学素子132を通って、測定物体114に向かって透過され得る。次いで、さらなる変調光放射線138は、測定物体114によって感光検出器124に向かって少なくとも部分的に反射され得る。
【0149】
ステップd)による任意のスペクトル情報生成ステップ166において、少なくとも1つの測定物体114に関する少なくとも1つのスペクトル情報は、測定物体114によって提供される光放射線112による1つの感光領域126の照射によって生成される少なくとも1つの変調された検出器信号と、さらに変調光放射線138と、少なくとも1つの測定情報とを使用することによって生成されてよい。具体的には、測定物体114によって提供される光放射線112は、感光領域126に到達する前に、光学素子130、より具体的には部分反射光学素子132を通って透過され得る。
【0150】
ステップe)による任意の校正情報生成ステップ168において、少なくとも1つの校正情報は、変調光放射線120による少なくとも1つの感光領域126の照射によって生成される少なくとも1つの検出器信号と、さらなる変調光放射線138による少なくとも1つの感光領域126の照射によって生成される少なくとも1つのさらなる検出器信号とをさらに比較することによって、少なくとも1つの評価ユニット128を使用することによって生成され得る。
【0151】
上記で既に示したように、放出ステップ160とさらなる放出ステップ164は、具体的には、同時に実施されてよい。それに応じて、測定情報生成ステップ162及び校正情報生成ステップ168も、具体的には、同時に実施されることができる。したがって、測定情報生成ステップ162及び/又は校正情報生成ステップ168で得られた結果は、具体的には、同時に、最終的に、スペクトル情報生成ステップ166で使用されることができる。
【0152】
光放射線112を測定する方法に関するさらなる詳細については、上記で提供されたスペクトル感知装置110の説明を参照されたい。
【符号の説明】
【0153】
110 スペクトル感知装置
112 光放射線
114 測定物体
116 非変調光放射線
118 放射線放出素子
120 変調光放射線
122 半導体ベースの放射線源
124 感光素子
126 感光領域
128 評価ユニット
130 光学素子
132 部分反射光学素子
134 ハウジング
136 さらなる放射線放出素子
138 さらなる変調光放射線
140 温度安定化要素
142 熱電冷却器
144 感光検出器
146 第2感光検出器
148 放射線分離要素
150 非透過性光学素子
152 第1光フィルタ要素
154 第2光フィルタ要素
156 第2放射線放出素子
158 第3感光検出器
160 放出ステップ
162 測定情報生成ステップ
164 さらなる放出ステップ
166 スペクトル情報生成ステップ
168 校正情報生成ステップ
【国際調査報告】