(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】網膜下注入用の装置
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20241001BHJP
A61M 5/168 20060101ALI20241001BHJP
A61M 5/24 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
A61F9/007 130D
A61M5/168 504
A61M5/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515130
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 IB2022059195
(87)【国際公開番号】W WO2023053003
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】レト グルーブラー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス リンジ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA10
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD12
4C066FF05
4C066QQ18
(57)【要約】
本明細書中に開示される装置は、ハウジングと、ハウジングの遠位端に結合された注入ラインサブアセンブリと、ハウジングに結合されており、第1の位置と第2の位置との間で移動可能な流体選択部と、ハウジングに結合されており、流体選択部とサブアセンブリとの間に配置された薬物容器と、ハウジングに結合されており、流体選択部とサブアセンブリとの間に配置された薬物容器バイパスラインとを含み得る。流体選択部が第1の位置にあるとき、流体選択部の第1の出口は、薬物容器バイパスラインを通してサブアセンブリに流体を注入するために、薬物容器バイパスラインと流体連通している。流体選択部が第2の位置にあるとき、流体選択部の第2の出口は、薬物容器からサブアセンブリに薬物を注入するために、薬物容器と流体連通している。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科手術処置で使用される装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジングの遠位端に結合された注入ラインサブアセンブリと、
前記ハウジングに結合されており、第1の位置と第2の位置との間で移動可能な流体選択部と、
前記ハウジングに結合されており、前記流体選択部と前記注入ラインサブアセンブリとの間に配置された薬物容器と、
前記ハウジングに結合されており、前記流体選択部と前記注入ラインサブアセンブリとの間に配置された薬物容器バイパスラインであって、前記薬物容器バイパスラインは、前記薬物容器と並列に接続されている、薬物容器バイパスラインと、
を含み、
前記流体選択部が前記第1の位置にあるとき、前記流体選択部の第1の出口は、前記薬物容器バイパスラインを通して前記注入ラインサブアセンブリに流体を注入するために、前記薬物容器バイパスラインと流体連通しており、
前記流体選択部が前記第2の位置にあるとき、前記流体選択部の第2の出口は、前記薬物容器から前記注入ラインサブアセンブリに薬物を注入するために、前記薬物容器と流体連通している、装置。
【請求項2】
前記ハウジングの前記遠位端に結合された外管を更に含み、前記注入ラインサブアセンブリは、前記外管を通して摺動可能に配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記注入ラインサブアセンブリは、
前記ハウジングの前記遠位端に配置された本体と、
前記本体の遠位端に結合されており、前記外管内に少なくとも部分的に配置された内管と、
前記内管の遠位端に結合された針と、を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記注入ラインサブアセンブリの前記本体に結合されており、前記注入ラインサブアセンブリを後退及び伸張させるために摺動可能なアクチュエータを更に含み、
前記針は湾曲しており、
前記注入ラインサブアセンブリを完全に後退させているとき、前記針は、完全に前記外管内に配置されており、
前記注入ラインサブアセンブリを完全に伸張させているとき、前記針は、少なくとも部分的に前記外管の遠位端の外側に配置されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記注入ラインサブアセンブリの前記本体は、
前記薬物容器と流体連通する第1の入口と、
前記薬物容器バイパスラインと流体連通する第2の入口と、
前記内管と流体連通する出口と、を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記薬物容器バイパスラインは、前記注入ラインサブアセンブリの後退及び伸張中における前記注入ラインサブアセンブリと前記ハウジングとの間の相対運動を可能にするための第1の可撓性チューブ部品を含み、前記装置は、
前記薬物容器と前記本体の前記第1の入口との間に流体的に結合された第2の可撓性チューブ部品を更に含み、前記第2の可撓性チューブ部品は、前記注入ラインサブアセンブリの後退及び伸張中における前記注入ラインサブアセンブリと前記薬物容器との間の相対運動を可能にする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ハウジングは、前記ハウジングの近位端にポートを含み、前記ポートは、シリンジに結合されるように構成されており、
前記ポートは、前記流体選択部が前記第1の位置又は前記第2の位置のいずれかにあるとき、前記流体選択部の入口と流体連通している、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ポートに結合されたチューブを更に含み、前記チューブは、前記ハウジングの近位端を越えて延び、前記シリンジに結合されるように構成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記流体選択部は、前記ハウジングに対して横断方向に配置されたピンを含み、
前記流体選択部の前記第1の出口及び前記第2の出口は、前記ピン内に形成されており、
前記第1の出口及び前記第2の出口のそれぞれと流体連通する入口が前記ピン内に形成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記入口並びに前記第1の出口及び前記第2の出口のそれぞれは、前記ピンの長手方向軸線に対して横断方向に配置されており、
前記第1の出口と前記第2の出口は、前記ピンの前記長手方向軸線に対して互いに間隔を開けて配置されている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記流体選択部は、前記ピンの長手方向軸線に平行な方向に並進し、前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動する、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
眼科手術処置で使用される装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジングの遠位端に結合された外管と、
前記ハウジングの前記遠位端に結合されており、前記外管を通して摺動可能に配置された注入ラインサブアセンブリであって、前記注入ラインサブアセンブリは、
前記ハウジングの前記遠位端に少なくとも部分的に配置され、前記外管内に少なくとも部分的に配置された内管であって、前記内管は2つのルーメンを有する、内管と、
前記内管に結合された本体であって、前記本体は、前記内管の前記2つのルーメンに対応する2つのルーメンを有する、本体と、
前記内管の遠位端に結合された針と、
を含む、注入ラインサブアセンブリと、
前記注入ラインサブアセンブリに結合されたアクチュエータであって、
前記アクチュエータは、前記注入ラインサブアセンブリを後退及び伸張させるために摺動可能であり、
前記注入ラインサブアセンブリを完全に後退させているとき、前記針は、完全に前記外管内に配置されており、
前記注入ラインサブアセンブリを完全に伸張させているとき、前記針は、少なくとも部分的に前記外管の遠位端の外側に配置されており、
前記アクチュエータは、前記内管を通る流れを調整するために、第1の位置と第2の位置との間で傾けられ、
前記アクチュエータが前記第1の位置にあるとき、前記アクチュエータは、前記本体の第1のルーメン及び前記内管の対応する第1のルーメンを通る流れを遮断し、
前記アクチュエータが前記第2の位置にあるとき、前記アクチュエータは、前記本体の第2のルーメン及び前記内管の対応する第2のルーメンを通る流れを遮断する、
アクチュエータと、を含む、装置。
【請求項13】
前記針は湾曲しており、
前記針の角度は、前記外管の外側における前記針の伸長に基づいて調整され、
外管の長手方向軸線に対して測定した場合、前記針の前記角度は、約0°~約90°の範囲内である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
吸引ラインと、
前記外管に形成されたポートと、
を更に含み、
前記吸引ラインを通して真空圧を印加すると、前記ポートを通して前記外管の外側から内側に流体が送られる、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記アクチュエータが前記第1の位置にあるとき、前記アクチュエータは、前記本体の外面を圧迫して前記本体の前記第1のルーメンを閉じ、
前記アクチュエータが前記第2の位置にあるとき、前記アクチュエータは、前記本体の前記外面を圧迫して前記本体の前記第2のルーメンを閉じる、請求項12に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、発明者がReto Gruebler及びThomas Linsiである、2021年9月30日に出願された「APPARATUS FOR SUBRETINAL INJECTION」という名称の米国仮特許出願第63/250,383号明細書の優先権の利益を主張するものであり、その全体は、あたかも本明細書に十分且つ完全に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
例えば、加齢関連黄斑変性症(AMD)、糖尿病黄斑浮腫、増殖糖尿病網膜症、他の網膜変性疾患、及び遺伝的欠陥を含む眼の特定の疾患は、網膜下腔への注入により治療可能である。用語「網膜下腔」は、眼の網膜と網膜色素上皮(RPE)との間の位置を指す。網膜下腔への流体及び/又は薬物の注入は、「網膜下注入」と呼ばれることがある。本明細書で使用する場合、用語「薬物」は、薬物、治療薬、幹細胞、又は遺伝子ベクターを指すことがある。
【0003】
一般的な手法では、網膜下注入を行うために少なくとも2人が必要である。例えば、執刀医が注入器具、例えばシリンジ/針を案内し、注入部位を視覚的に監視し得る一方で、熟練した外科助手がシリンジから流体を分配し、注入量を監視する。いくつかの例(以下に記載する)では、2つの別々の注入ステップが異なる針を用いて実施される。或いは、2つの別々の注入ステップの実施を避けるためにプレミキシングが使用されることがある。例えば、処置の第1のステップにおいて、流体、例えば平衡塩溶液(BSS)を収容するシリンジに結合された第1の針が、網膜を通して網膜下腔に挿入される。この例では、外科医がシリンジを取り扱い、注入部位を視覚的に監視している間に、助手が流体を手動で注入し、注入量を監視する。その後、第1の針は眼から取り除かれる。流体は、以下に記載されるように、薬物の注入に備えて網膜下腔を開放するために使用される。
【0004】
処置の第2のステップにおいて、薬物を収容するシリンジに結合された第2の針が、第1の針とほぼ同じ位置で網膜を通して網膜下腔に挿入される。この例では、外科医がシリンジを取り扱い、注入部位を視覚的に監視している間に、助手が薬物を手動で注入し、注入量を監視する。
【0005】
上述のように網膜を通して第1の針を除去し、第2の針を挿入することにはいくつかの欠点があり得る。例えば、網膜を通して複数回の挿入を行うと、網膜断裂の可能性が高まる。更に、第1の針と第2の針は、網膜を異なる位置で穿刺する可能性があり、網膜下腔から流体が漏れる可能性が高まる。
【0006】
上述の課題のそれぞれは、行われる眼科治療に悪影響を及ぼす及び/又は安全性リスクの増加を伴う可能性がある。したがって、当技術分野では、網膜下注入のための改良された装置及び方法を含む、眼科治療用の改良されたデバイスが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、概して、眼科治療用のデバイスに関し、より具体的には、網膜下注入を実施するための装置及び方法に関する。
【0008】
本明細書中に開示される装置は、ハウジングと、ハウジングの遠位端に結合された注入ラインサブアセンブリと、ハウジングに結合されており、第1の位置と第2の位置との間で移動可能な流体選択部と、ハウジングに結合されており、流体選択部とサブアセンブリとの間に配置された薬物容器と、ハウジングに結合されており、流体選択部とサブアセンブリとの間に配置された薬物容器バイパスラインとを含み得る。薬物容器バイパスラインは、薬物容器と並列に接続され得る。流体選択部が第1の位置にあるとき、流体選択部の第1の出口は、薬物容器バイパスラインを通してサブアセンブリに流体を注入するために、薬物容器バイパスラインと流体連通している。流体選択部が第2の位置にあるとき、流体選択部の第2の出口は、薬物容器からサブアセンブリに薬物を注入するために、薬物容器と流体連通している。
【0009】
本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上で簡潔に要約した本開示のより具体的な説明を、実施形態を参照することによって得ることができ、そのいくつかを添付の図面に示す。しかしながら、添付図面は、例示的実施形態を示すにすぎないため、本開示の範囲を限定するとみなされるべきではなく、他の同様に有効な実施形態が認められ得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】ある実施形態による、網膜下注入を実施するための例示的な注入装置の等角図である。
【
図1B-1D】
図1Bはある実施形態による、右側から見たときの注入装置を示す、断面線1B-1Bに沿って取られた
図1Aの注入装置の断面図であり、伸張状態の注入装置を示す。
図1Cは、ある実施形態による、
図1Aの一部分の拡大断面図である。
図1Dは、ある実施形態による、上から見下ろしたときの注入装置を示す、断面線1D-1Dに沿って取られた
図1Aの注入装置の断面図であり、流体を注入するための第1の状態における注入装置を示す。
【
図2】ある実施形態による、後退状態における
図1Aの注入装置を示す。
【
図3】ある実施形態による、薬物を注入するための第2の状態における
図1Aの注入装置を示す。
【
図4】ある実施形態による、
図1Aの注入装置を使用して網膜下注入を実施する方法を示す。
【
図5A-5F】ある実施形態による、
図4の方法の各段階を示す。
【
図6A-6B】
図6Aは、ある実施形態による別の例示的な注入装置の断面図であり、後退状態における注入装置を示す。
図6Bは、ある実施形態による、
図6Aの一部分の拡大断面図である。
【
図7A-7B】
図7Aは、ある実施形態による、部分伸張状態における
図6Aの注入装置を示す。
図7Bは、ある実施形態による、
図7Aの一部分の拡大断面図である。
【
図8A-8B】
図8Aは、ある実施形態による、完全伸張状態における
図6Aの注入装置を示す。
図8Bは、ある実施形態による、
図8Aの一部分の拡大断面図である。
【
図9】ある実施形態による、流体を注入するための第1の状態における注入装置を示す。
【
図10】ある実施形態による、薬物を注入するための第2の状態における注入装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
理解しやすくするために、可能な場合、図面間で共通する同じ要素を指すために同じ参照番号が使用される。更なる説明を伴わずに、1つの実施形態の要素及び特徴を他の実施形態に有益に組み込むことができることが企図される。
【0012】
本開示は、概して、眼科治療用のデバイスに関し、より具体的には、網膜下注入を実施するための装置及び方法に関する。
【0013】
本開示の実施形態は、網膜下注入を実施するための装置について説明する。概して、装置は、外科的操作を容易にするハウジングを含む。摺動可能な注入ラインサブアセンブリは、外管に対して針を伸張及び後退させるためにハウジングの遠位端に結合されている。本明細書に記載されるように、構成要素の遠位端又は遠位部は、その構成要素の使用中に患者の身体により近い端部又は部分を指すことに留意されたい。一方、構成要素の近位端又は近位部は、患者の身体からより遠く離れた端部又は部分を指す。針は、外管が例えばバルブ付きカニューレ(
図5Aに示される)を通して眼内に挿入される際に、外管内に後退させることができる。外管内に針を後退させることで、針とバルブ付きカニューレとの間の接触を回避し、外管をより容易且つ安全に眼内に挿入することを可能にする。外管を眼内に挿入させた後、針を伸張させて、針を少なくとも部分的に外管の外に延ばし(
図5Bに示される)、針を網膜下腔に挿入すること(
図5Cに示される)を可能にしてもよい。
【0014】
装置は、薬物容器及び薬物容器バイパスラインを含み得、これらは、薬物及び流体の両方を同じ装置内に保存する及び/又は同じ装置を使用して注入することを可能にするために、並列に接続されている。流体選択部は、ハウジングに結合されており、それぞれ流体の注入と薬物の注入との間で切り替えるために、第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり得る。流体選択部が第1の位置にあるとき、流体選択部の第1の出口は、薬物容器バイパスラインを通して眼につながるサブアセンブリに流体を注入するために、薬物容器バイパスラインと流体連通している。流体選択部が第2の位置にあるとき、流体選択部の第2の出口は、薬物容器から眼につながるサブアセンブリに薬物を注入するために、薬物容器と流体連通している。したがって、流体選択部は、流体及び薬物の両方を同じ針から投与することを可能にし、異なる針を用いる2つの別々の注入ステップを使用する上述の典型的な手法とは対照的である。
【0015】
図1Aは、ある実施形態による、網膜下注入を実施するための例示的な注入装置100の等角図である。注入装置100は、概して、ハウジング102(「ハンドピース」とも呼ばれる)を含む。図示のように、ハウジング102は、概して、ハウジング本体104及びキャップ106を含む。キャップ106は、ハウジング本体104の遠位端に結合されている。外管108は、ハウジング102の遠位端に結合されている。図示の実施形態では、外管108は、キャップ106に結合されている(
図1Bに示される)。
【0016】
アクチュエータ110は、ハウジング本体104の壁を通して配置されている。
図1Aに示されるアクチュエータ110の外側部分は、例えば使用者の指で押す及び引くことができるように構成されている。アクチュエータ110は、ハウジング102に対して、ハウジング102の長手方向軸線112に平行な方向に摺動可能である。アクチュエータ110は、注入ラインサブアセンブリ(
図1Bにサブアセンブリ114として示されている)に結合されている。サブアセンブリは複数の構成要素を含むが、その針116のみが外管108の外に延びており、したがって、
図1Aにおいて見えている。サブアセンブリは、外管108を通して摺動可能に配置されている。したがって、アクチュエータ110は、針116を含むサブアセンブリを外管108に対して後退及び伸張させるために摺動可能である。
図1Aに示すように、針116は完全に伸張される。この位置において、針116は、少なくとも部分的に外管108の遠位端の外側に配置されている。
【0017】
流体選択部118は、ハウジング本体104の壁を通して配置されている。流体選択部118は、ハウジング102に対して、ハウジング102の長手方向軸線112に垂直な方向に移動可能である。以下で詳細に説明するように、流体選択部118は、注入装置100内の複数の異なる経路を通る流れのルーティングを制御するように構成されている。
図1Aに示される流体選択部118の外側部分は、例えば使用者の指で押すことができるように構成されている。
図1Aに図示しないが、流体選択部118の反対端もまた、例えば使用者の指で反対方向に押すことができるように構成されている。シリンジ120は、注入装置100の近位端に結合されている。シリンジ120は、概して、シリンジバレル及びプランジャを含むが、明確にするために、シリンジバレルのみが図示実施形態に示されている。シリンジ120は、注入装置100を通して流れを駆動するために使用され得る流体を含み得る。
【0018】
図1Bは、ある実施形態による、右側から見たときの注入装置100を示す、断面線1B-1Bに沿って取られた
図1Aの注入装置100の断面図である。
図1Bは、伸張状態の注入装置100を示す。上述のように、伸張状態において、針116は、少なくとも部分的に外管108の遠位端の外側に配置されている。サブアセンブリ114は、ハウジング102の遠位端に配置された第1の部品122及び第2の部品124を含む。図示の実施形態では、第1の部品122と第2の部品124は互いに結合されている。本明細書に記載されるように、用語「結合される」は、互いに接続された別個の部品又は単一の部品の異なる部分を指すことがあることに留意されたい。ある実施形態では、第1の部品122と第2の部品124は、単一の部品である。したがって、第1の部品122と第2の部品124は、集合的にサブアセンブリ114の「本体」と呼ばれることがある。図示のように、第1の部品122は、ハウジング本体104の壁に接触している。図示の実施形態では、第2の部品124は、第1の部品122が第2の部品124をハウジング本体104の壁に対して中央に位置決めするように、第1の部品122の中央開口を通して配置されている。第2の部品124は、その遠位端に単一の出口126を有する。内管128は、第2の部品124の遠位端に結合されている。内管128は、第2の部品124の出口126と流体連通する。
図1Cにより詳細に示すように、内管128は、少なくとも部分的に外管108内に配置されている。針116は、内管128の遠位端(
図1Cに示される)に結合されている。したがって、第1の部品122の入口と針116の出口との間に、サブアセンブリ114の各部品を通る連続的な流路130が形成されている。
【0019】
アクチュエータ110は、ハウジング本体104の空洞134内に延びるキャッチ132を有する。キャッチ132は、アクチュエータ110をサブアセンブリ114に結合するために、サブアセンブリ114の第2の部品124に係合する。図示の実施形態では、キャッチ132は、第2の部品124の外面に形成された対応するプロファイル136に嵌合するが、他の取り付けタイプも企図される。アクチュエータ110の外側部分138は、上述のように、例えば使用者の指で押す及び引くことができるように構成されている。アクチュエータ110は、完全伸張位置(
図1Bに示される)と完全後退位置(
図2に示される)との間で切り替えるために、長手方向軸線112に平行な方向に摺動することができる。アクチュエータ110がハウジング102に対して遠位方向に押される又は引かれると、サブアセンブリ114は、完全伸張位置(
図1Bに示される)に移動する。完全伸張位置において、アクチュエータ110の遠位端は、ハウジング本体104に接触し、アクチュエータ110がハウジング102に対して遠位方向に更に移動するのを阻止する。同様に、アクチュエータ110がハウジング102に対して近位方向に押される又は引かれると、サブアセンブリ114は、完全後退位置(
図2に示される)に移動する。完全後退位置において、針116は、完全に外管108の内部に配置されている。完全後退位置において、アクチュエータ110の近位端は、ハウジング本体104に接触し、アクチュエータ110がハウジング102に対して近位方向に更に移動するのを阻止する。
【0020】
図1Dは、ある実施形態による、上から見下ろしたときの注入装置100を示す、断面線1D-1Dに沿って取られた
図1Aの注入装置100の断面図である。
図1Dは、流体を注入するための第1の状態における注入装置100を示す。
図1Dに示すように、サブアセンブリ114は、それぞれ流路130と流体連通する一対の入口140(140a~b)を含む。注入装置100は、ハウジング102に結合された薬物容器バイパスライン142を含む。ハウジング本体104の空洞134内に収容された薬物容器バイパスライン142は、流体選択部118とサブアセンブリ114との間に配置されている。薬物容器バイパスライン142の近位端は、ハウジング本体104に結合されている。薬物容器バイパスライン142の遠位端は、サブアセンブリ114の第1の入口140aと流体連通する。薬物容器バイパスライン142の遠位端は、第1の入口140aに直接結合されている。図示の実施形態では、薬物容器バイパスライン142は、可撓性チューブ部品からなる。したがって、薬物容器バイパスライン142は、サブアセンブリ114の後退及び伸張中におけるサブアセンブリ114とハウジング102との間の相対運動を可能にする。
【0021】
注入装置100は、ハウジング102に結合された薬物容器144を含む。薬物容器バイパスライン142と同様に、ハウジング本体104の空洞134内に収容された薬物容器144は、流体選択部118とサブアセンブリ114との間に配置されている。薬物容器144は、薬物容器バイパスライン142と並列に接続されている。薬物容器144の近位端は、ハウジング本体104に結合されている。薬物容器144の遠位端は、薬物容器バイパスライン142の可撓性チューブに類似する可撓性チューブ146部品を介してサブアセンブリ114の第2の入口140bと流体連通する。可撓性チューブ146は、薬物容器144と第2の入口140bとの間に流体的に結合されている。可撓性チューブ146は、サブアセンブリ114の後退及び伸張中におけるサブアセンブリ114と薬物容器144との間の相対運動を可能にする。
【0022】
注入装置100は、ハウジング本体104の近位端にポート148を含む。図示のように、シリンジ120は、ルアーロック式接続を介してポート148に結合されているが、他の接続タイプも企図される。シリンジ120は、少なくとも部分的にハウジング本体104の空洞150内に配置されている。空洞150は、空洞134からハウジング102に対して近位方向に間隔を開けて配置されている。いくつかの他の実施形態では、シリンジ120を注入装置100に直接結合する代わりに、シリンジ120は、注入装置100に間接的に(例えば、シリンジ120とポート148との間に配置された、ある長さのチューブを使用して)結合されてもよい。例えば、チューブは、ポート148に結合され、ハウジング本体104の近位端を越えて延び、シリンジ120に結合し得る。シリンジ120を注入装置100に間接的に結合することで、ポート148上の接続機能が除去されることにより、注入装置100の長さの削減を可能にする。ひいては、長さの削減により、注入装置100がより人間工学的でバランスの取れたものになる。
【0023】
図示の実施形態では、流体選択部118は、ポート148と薬物容器バイパスライン142及び薬物容器144のそれぞれとの間に配置されている。いくつかの他の実施形態では、流体選択部118は、薬物容器バイパスライン142及び薬物容器144のそれぞれに対して遠位方向に(例えば、アクチュエータ110と薬物容器バイパスライン142及び薬物容器144のそれぞれとの間に)配置されている。流体選択部118をアクチュエータ110のより近くに配置すると、注入装置100の人間工学を向上させる可能性がある。いくつかの他の実施形態では、注入装置100の流体選択は、
図9及び
図10に示される態様を使用して実施してもよい。図示の実施形態では、流体選択部118は、概して、ハウジング本体104に形成された対応する開口を通して配置されるピン152を含む。ピン152は、ハウジング本体104に対して横断方向に配置されている。換言すれば、ピン152の長手方向軸線154は、ハウジング102の長手方向軸線112に対して垂直である。したがって、ピン152は、流体選択部118を第1の状態(
図1Dに示される)と第2の状態(
図3に示される)との間で切り替えるために、対応する開口を通して長手方向軸線154上を並進することができる。図示のように、ピン152は、反対にある端部に、ピン152と比較して直径が大きいキャップ156(156a~b)を含む。キャップ156は、ハウジング本体104内にピン152を保持する一方で、例えば使用者の指による流体選択部118の操作も容易にする。いくつかの他の実施形態では、キャップ156は省略されてもよい。
【0024】
ピン152は、互いに流体連通する一対の出口158(158a~b)及び単一の入口160を含む。出口158及び入口160は、ピン152の長手方向軸線154に対して横断方向に配置されている。出口158は、長手方向軸線154に対して互いに間隔を開けて配置されている。以下でより詳細に説明するように、入口160は、流体選択部118が第1の状態(
図1Dに示される)又は第2の状態(
図3に示される)のいずれかにあるとき、ポート148と流体連通する。
【0025】
第1の状態(
図1Dに示される)において、流体選択部118の第1の出口158aは、薬物容器バイパスライン142と流体連通する。この位置において、流体選択部118の第2の出口158bは、薬物容器144との流体連通から遮断されている。この位置において、薬物容器バイパスライン142及び/又はシリンジ120内に収容され得る流体が、第1の入口140aを通り、サブアセンブリ114の流路130を通って眼内に注入される。ある実施形態では、注入装置100を通る流れは、シリンジ120から受け取った流体によって駆動される(
図1Dに示される)。或いは、いくつかの他の実施形態では、ポート148は、注入装置100を通る流れを駆動するための外部圧力源に結合されている。いくつかの例では、外部圧力源は、圧力制御ポンプ、例えばバーニアフローコントロール(VFC:Vernier Flow Control)ポンプ、ボリュームコントロールポンプ、可変ボリュームコントロールポンプ、蠕動ポンプ、レバー作動式ポンプ、バルブ作動式ポンプ、又はベンチュリポンプを含み得る。
【0026】
第2の状態(
図3に示される)において、流体選択部118の第2の出口158bは、薬物容器144と流体連通する。この位置において、流体選択部118の第1の出口158aは、薬物容器バイパスライン142との流体連通から遮断されている。この位置において、薬物容器144内に収容された薬物は、第2の入口140bを通り、サブアセンブリ114の流路130を通って眼内に注入される。上述のように、注入装置100を通る流れは、シリンジによって、又は代替的に、外部圧力源によって駆動され得る。
【0027】
図4は、ある実施形態による、
図1Aの注入装置100を使用して網膜下注入を実施するための方法400を示す。
図5A~
図5Fは、ある実施形態による、方法400の各段階を示す。したがって、明確にするために、
図4及び
図5A~
図5Fを本明細書では一緒に説明する。
【0028】
操作402において、注入装置100が装填される。ある実施形態では、注入装置100に流体及び/又は薬物が装填される。注入装置100が第2の状態(
図3に示される)にある状態で、薬物容器144は、針116を介した吸引により、又は代替的に、ポート148を介した注入により装填され得る。いくつかの他の実施形態では、薬物容器144は、事前に充填され、その後、注入装置100に挿入又はクリック嵌めされる。第2の状態においては、流体選択部118の第1の出口158aが薬物容器バイパスライン142との流体連通から遮断されることで、薬物が薬物容器バイパスライン142に入ることが阻止される。
【0029】
図5Aに示される操作404において、注入装置100の外管108が眼500内に挿入される。図示の実施形態では、外管108は、強膜504を通して配置されたバルブ付きカニューレ502を通して挿入され、更に硝子体506に挿入される。
図5Bに示される操作406において、外管108から針116を伸張させる。注入装置100を、アクチュエータ110をハウジング102に対して遠位方向に押す又は引くことによって後退状態(
図2に示される)から伸張状態(
図1Bに示される)に移行させる。
図5Cに示される操作408において、針116が網膜下腔508に挿入される。網膜下腔508は、眼500の網膜510とRPE512との間に位置する。
【0030】
図5Dに示される操作410において、網膜下腔508に流体が注入され、ブレブ514が作成される。流体は、注入装置100が第1の状態(
図1Dに示される)にある状態で、薬物容器バイパスライン142及び/又はシリンジ120から注入される。ブレブ514は、正確な薬物注入を確実にするために、網膜下腔508を拡大する。ある実施形態では、流体はBSSである。操作412において、薬物が網膜下腔508に注入される。薬物は、注入装置100が第2の状態(
図3に示される)にある状態で、薬物容器144から注入される。ある実施形態では、注入装置100を第1の状態から第2の状態に移行させるために、キャップ156aを押すことによって流体選択部118を第2の状態に移動させる。
【0031】
図5Eに示される操作414において、針116が網膜下腔508から取り除かれる。
図5Fに示される操作416において、針116を外管108内に後退させる。注入装置100を、アクチュエータ110をハウジング102に対して近位方向に押す又は引くことによって伸張状態(
図1Bに示される)から後退状態(
図2に示される)に移行させる。操作418において、外管108が眼500から取り除かれる。
【0032】
様々な代替実施形態を以下で詳細に説明する。以下の実施形態の態様は、上述の注入装置100及び/又は方法400と組み合わせて使用してもよい。
【0033】
図6Aは、ある実施形態による別の例示的な注入装置600の断面図である。注入装置600は、以下でより詳細に説明するように、方法400を実施するために使用され得る。
図6Aは、後退状態の注入装置600を示す。注入装置600は、本明細書中に記載される他の実施形態と同様に、流体及び薬物の両方を同じ針から投与することを可能にする。しかしながら、注入装置600の注入ラインサブアセンブリ614は、上記の注入装置100の薬物容器バイパスライン142及び薬物容器144とは対照的に、流体と薬物とを別々に収容するための2つのルーメンを有する。サブアセンブリの第1の部品622は注入装置100と同じであるが、サブアセンブリ614の第2の部品624及び内管628はそれぞれ、2つのルーメンを有する。サブアセンブリ614の2つの異なるルーメンによる装填及び注入の独立制御について、
図9及び
図10に関して以下で詳細に説明する。
【0034】
図6Bは、ある実施形態による、
図6Aの一部分の拡大断面図である。
図6Bに示すように、内管628の遠位端は、針616に結合されている。内管628は、第1のルーメン628a及び第2のルーメン628bを有する。注入装置600は、網膜下腔に流体及び/又は薬物を注入中に眼から硝子体内液を除去するための吸引ライン664を含む。吸引ライン664は、外管608と内管628との間に半径方向に配置されている。吸引ライン664は、外管608を通して配置された第1のポート668からハウジング602のキャップ606を通して配置された第2のポート670(
図6Aに示される)まで延びる。第1のポート668は、外管608の遠位端の近傍に位置する。注入装置600を使用して方法400を実施する場合、操作408(
図5Cを参照)において針616が網膜下腔508に挿入されるときに、第1のポート668は硝子体506と流体連通したままである。吸引ライン664は、吸引速度/吸引量を制御するための外科用コンソールに接続され得る。吸引ライン664を通して真空圧を印加すると、第1のポート668を通して外管608の外側から内側に硝子体内液が送られる。ある実施形態では、外科用コンソールは、網眼圧を平衡に維持するために、吸引速度/吸引量が、膜下腔に注入される流体及び/又は薬物の注入速度/注入量に一致するように、真空圧を印加するように設定される。
【0035】
図7Aは、ある実施形態による、部分伸張状態における注入装置600を示す。部分伸張状態において、アクチュエータ610は、ハウジング602の遠位端に向けて部分的にしか移動されない。
図7Bは、ある実施形態による、
図7Aの一部分の拡大断面図である。
図7Bに示すように、針616は、少なくとも部分的に外管608の遠位端の外側に配置されている。
【0036】
図8Aは、ある実施形態による、完全伸張状態における注入装置600を示す。完全伸張状態において、アクチュエータ610の遠位端は、ハウジング本体604に接触し、アクチュエータ610がハウジング602に対して遠位方向に更に移動するのを阻止する。
図8Bは、ある実施形態による、
図8Aの一部分の拡大断面図である。
図8Bに示すように、針616及び内管628は、外管608に対して湾曲している。いくつかの他の実施形態では、針616は湾曲し、内管628は直線のままである。
【0037】
ある実施形態では、針616の角度は、外管608の外側における針616の伸長に基づいて調整される。ある実施形態では、外管608の長手方向軸線に対して測定した場合、この角度は、約0°~約90°の範囲内である。使用中、角度は、部分伸張状態(
図7Bに示される)から完全伸張状態(
図8Bに示される)に移行するときに増加する。注入装置600を使用して方法400を実施する場合、操作408(
図5Cを参照)において、針616の挿入を制御しやすいように、針616は、網膜510を通して網膜下腔508に挿入される間、直線である。操作410においてブレブ514が少なくとも部分的に形成された後、針616は、針616の湾曲部分が、針が直線の場合(
図5Dに示すような)と比較してRPE512とほぼ平行に位置合わせされるように所望の角度まで更に伸長され、それにより、有害な可能性のある流体の噴射がその後の注入中にRPE512に直接当たることを低減する。
【0038】
図9は、本明細書中に開示される他の実施形態と組み合わされてもよい、ある実施形態による、流体を注入するための第1の状態における注入装置600を示す。
図9は、完全伸張状態(
図8Aに示される)における注入装置600を示す。アクチュエータ610は、ハウジング本体604の空洞634内に延びるキャッチ632を有する。キャッチ632は、注入装置100のキャッチ132と比較してアクチュエータ610の遠位端の近くに位置する。キャッチ632は、第2の部品624の外面に形成された対応するプロファイル636に嵌合する。プロファイル636は、第2の部品624の外面に形成された周方向凹部の形状である。図示の実施形態では、凹部の深さは近位方向に増加するが、他のプロファイルも企図される。ある実施形態では、キャッチ632は、第2の部品624が内管628に結合されている場所又はその近傍で第2の部品624の遠位端に係合する。
【0039】
第1の状態において、注入装置600は、第2の部品624の第1のルーメン624a及び内管628の対応するルーメンを通して流体を注入するように構成されている。注入装置600を第1の状態に移行させるために、アクチュエータ610は、ハウジング602に対して遠位方向に傾けられる。アクチュエータ610は、ハウジング本体604の長手方向軸線612に垂直な軸線の周りで回転する。第1の状態において、キャッチ632は、第2の部品624の外面を一方の側に沿って圧迫し、それにより第2のルーメン624bを通る流れを遮断する。アクチュエータ610が遠位方向に傾けられたとき、プロファイル636の形状により、第2のルーメン624bを通る流れのみを遮断する。第2のルーメン624bと針616との間の流体連通が閉じられると、チューブ672(
図6Aに示される)を介した圧力の印加により、第1のルーメン624aからの流体の注入が生じる。注入装置600を使用して方法400を実施する場合、注入装置600が第1の状態にあるとき、流体は、チューブ672を介して吸引を適用することによって第1のルーメン624aに装填され得る。
【0040】
図10は、ある実施形態による、薬物を注入するための第2の状態における注入装置600を示す。
図10は、完全伸張状態(
図8Aに示される)における注入装置600を示す。第2の状態において、注入装置600は、第2の部品624の第2のルーメン624b及び内管628の対応するルーメンを通して薬物を注入するように構成されている。注入装置600を第2の状態に移行させるために、アクチュエータ610は、ハウジング602に対して、第1の状態とは反対の、近位方向に傾けられる。第2の状態において、キャッチ632は、第2の部品624の外面の反対側を圧迫し、それにより第1のルーメン624aを通る流れを遮断する。アクチュエータ610が近位方向に傾けられたとき、プロファイル636の形状により、第1のルーメン624aを通る流れのみを遮断する。第1のルーメン624aと針616との間の流体連通が閉じられると、チューブ672を介した圧力の印加により、第2のルーメン624bからの薬物の注入が生じる。注入装置600を使用して方法400を実施する場合、注入装置600が第2の状態にあるとき、薬物は、チューブ672を介して吸引を適用することによって第2のルーメン624bに装填され得る。
【0041】
いくつかの他の実施形態では、第1のルーメン624a及び第2のルーメン624bを通した流体及び/又は薬物の独立注入は、アクチュエータ610を前後ではなく左右に傾けることによって制御される。
【0042】
まとめると、本開示の実施形態は、眼疾患の治療のための網膜下注入の有効性及び安全性を向上させる。特に、本開示の実施形態は、流体及び薬物の両方を同じ針から投与することを可能にし、これにより、異なる針を用いる2つの別々の注入ステップを使用する上述の典型的な手法を使用して網膜を損傷する可能性を低下させる。
【0043】
上記は、本開示の実施形態に関するが、本開示の他の及び更なる実施形態も本願の基本的範囲から逸脱せずに考案され得、その範囲は、以下の特許請求項によって特定される。
【国際調査報告】