(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】生地並びに生地の設計方法及び製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/10 20170101AFI20241001BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20241001BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20241001BHJP
A41D 31/00 20190101ALI20241001BHJP
【FI】
B29C64/10
B33Y80/00
B33Y10/00
A41D31/00 502B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515585
(86)(22)【出願日】2022-09-12
(85)【翻訳文提出日】2024-05-07
(86)【国際出願番号】 US2022043227
(87)【国際公開番号】W WO2023039250
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522371237
【氏名又は名称】オーピーティー インダストリーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】サン,ゾンヘン
(72)【発明者】
【氏名】コネリー,タリア,リン
(72)【発明者】
【氏名】チュウ,カイ-ホン,アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】オウ,ジフェイ
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AG01
4F213AG03
4F213AG27
4F213AG28
4F213AH81
4F213AR07
4F213AR12
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL96
(57)【要約】
一態様では、本明細書において提供されるのは、スペーサファブリックなどの3D印刷された織物である。織物は、編み針、織り針、又は縫い針を有する従来の技術を使用して作製されるときには不可能な構造及び特性を有し得る。例えば、本明細書に説明される織物は、可変のヤーン厚さ、可変のシート間接続性、及び、互いに交差するシートさえも有し得る。本明細書においては、そのような織物を作製するための方法も提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のシートと第2のシートとを備える物品であって、
前記第2のシートは、前記第1のシートに対して実質的に平面配向であって複数のフィラメントで相互接続されており、
a.フィラメントは、その長さに沿って変化する厚さを有する、
b.前記フィラメントのうちの少なくとも2つは、互いに対して異なる厚さを有する、
c.前記フィラメントのうちの少なくとも2つは、互いに対して異なる断面形状を有する、
d.前記フィラメントは、互いに実質的に平行ではない、
e.前記フィラメントは、前記第1のシートと前記第2のシートとの間で実質的に線形の経路をとらない、
f.前記フィラメントは、頂点の実質的に共通の集合において前記シートに接触しない、及び
g.前記フィラメントは、前記第1のシートと前記第2のシート上の共通点との間に複数の接続を形成する、
のうち少なくとも1つである、物品。
【請求項2】
前記物品は、(a)から(g)のうち少なくとも2つを備える、請求項1の物品。
【請求項3】
前記物品は、(a)から(g)のうち少なくとも3つを備える、請求項1の物品。
【請求項4】
前記物品は、(a)から(g)のうち少なくとも4つを備える、請求項1の物品。
【請求項5】
前記物品は、(a)から(g)のうち少なくとも5つを備える、請求項1の物品。
【請求項6】
前記物品は、(a)から(g)のうち少なくとも6つを備える、請求項1の物品。
【請求項7】
前記物品は、(a)から(g)の全てを備える、請求項1の物品。
【請求項8】
前記第1のシートと前記第2のシートとの間の距離は、変化する、請求項1の物品。
【請求項9】
前記第1のシートと前記第2のシートとの間の最短距離は、前記第1のシートと前記第2のシートとの間の最長距離の50%未満である、請求項1の物品。
【請求項10】
前記第1のシート又は前記第2のシートは、細孔を備え、
前記細孔は、少なくとも約4倍変化する直径を有する、請求項1の物品。
【請求項11】
前記第1のシート又は前記第2のシートは、隆起又は陥没を有する、請求項1の物品。
【請求項12】
前記物品は、前記第1のシートの第1の領域に接触するフィラメントを、前記第1のシートの第2の領域に接触するフィラメントの少なくとも2倍多く有し、
前記第1の領域と前記第2の領域とは、実質的に同じサイズである、請求項1の物品。
【請求項13】
少なくとも4枚のシートを備える物品であって、
前記シートは、互いに実質的に平行であり、複数のフィラメントで相互接続されている、物品。
【請求項14】
前記シートは、互いに積層されない、請求項13の物品。
【請求項15】
前記シートは、縫い合わされない、請求項13の物品。
【請求項16】
フィラメントは、その長さに沿って変化する厚さを有する、請求項13の物品。
【請求項17】
前記フィラメントのうちの少なくとも2つは、互いに対して異なる厚さを有する、請求項13の物品。
【請求項18】
前記フィラメントのうちの少なくとも2つは、互いに対して異なる断面形状を有する、請求項13の物品。
【請求項19】
前記フィラメントは、互いに実質的に平行ではない、請求項13の物品。
【請求項20】
前記フィラメントは、前記第1のシートと前記第2のシートとの間で実質的に線形の経路をとらない、請求項13の物品。
【請求項21】
前記フィラメントは、頂点の実質的に共通の集合においてシートに接触しない、請求項13の物品。
【請求項22】
前記フィラメントは、前記第1のシートと前記第2のシート上の共通点との間に複数の接続を形成する、請求項13の物品。
【請求項23】
前記シート間の距離は、変化する、請求項13の物品。
【請求項24】
第1のシートと第2のシートとの間の最短距離は、前記第1のシートと前記第2のシートとの間の最長距離の50%未満である、請求項13の物品。
【請求項25】
前記シートのうち少なくとも1枚は、細孔を備え、
前記細孔は、少なくとも約4倍変化する直径を有する、請求項13の物品。
【請求項26】
前記シートのうち少なくとも1枚は、隆起又は陥没を有する、請求項13の物品。
【請求項27】
前記物品は、第1の領域に接触するフィラメントを第2の領域に接触するフィラメントの少なくとも2倍多く有し、
前記第1の領域と前記第2の領域とは、実質的に同じサイズである、請求項13の物品。
【請求項28】
第1のシートと第2のシートとを備える物品であって、
前記第1のシートは、前記物品の第1の区域においては前記物品の第1の表面上にあり、
前記第1のシートは、前記第1の区域の縁部で前記第2のシートを横切り、
前記第1のシートは、前記第1の区域に隣接する第2の区域においては前記物品の第2の表面上にあり、
前記第1のシートと前記第2のシートとは、複数のフィラメントで相互接続されている、物品。
【請求項29】
前記第1のシートは、前記第2のシートを複数回横切る、請求項28の物品。
【請求項30】
前記物品は、実質的に平面である、請求項28の物品。
【請求項31】
フィラメントは、その長さに沿って変化する厚さを有する、請求項28の物品。
【請求項32】
前記フィラメントのうちの少なくとも2つは、互いに対して異なる厚さを有する、請求項28の物品。
【請求項33】
前記フィラメントのうちの少なくとも2つは、互いに対して異なる断面形状を有する、請求項28の物品。
【請求項34】
前記フィラメントは、互いに実質的に平行ではない、請求項28の物品。
【請求項35】
前記フィラメントは、前記第1のシートと前記第2のシートとの間で実質的に線形の経路をとらない、請求項28の物品。
【請求項36】
前記フィラメントは、頂点の実質的に共通の集合において前記シートに接触しない、請求項28の物品。
【請求項37】
前記フィラメントは、前記第1のシートと前記第2のシート上の共通点との間に複数の接続を形成する、請求項28の物品。
【請求項38】
請求項1から37の何れかの物品を3D印刷することを備える、織物を生産するための方法。
【請求項39】
請求項1から37の何れかの物品のジオメトリを計算的に選択することを備える、織物を設計するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2021年9月13日に提出された、「FABRIC AND METHODS FOR DESIGNING AND MANUFACTURING FABRIC」と題された係属中の米国出願第63/243,461号の優先権を主張するものであり、同出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(著作権保護の対象となる資料の通知)
本特許文献中の資料の一部は、米国及び他の国の著作権法の下で著作権保護の対象となる。著作権の所有者は、米国特許商標庁の公的に利用可能なファイル又は記録に記載されている通りの特許文献又は特許開示の何者による複写にも異議を唱えるものではないが、それ以外の場合については全ての著作権を留保する。著作権所有者は、37C.F.R.§1.14に従った権利を含むがこれに限定されない、本特許文献を秘密に維持する権利のいずれをも放棄しない。
【背景技術】
【0003】
織物とは、伝統的に、ヤーン又はスレッドの絡み合った網状のものを創出することによって作製される可撓性材料であり、ヤーン又はスレッドは、(例えば天然源又は合成源のいずれかに由来する)原料繊維を紡いで長く撚り合わせた長寸物にすることによって生産されている。次いで、これらのヤーンを一緒に織る、編む、かぎ針編みする、結ぶ、タティングする、フェルト化する、ボンディングする、又は編組することによって、織物が形成され得る。「生地」及び「布」という単語は、本明細書においては、しばしば、織物の同義語として使用される。
【0004】
織物は、衣服、室内装飾品、及びカーペット、並びにシェード、旗、テント、ネット、自動車の座席、履物、パラシュートなどの様々な他の消費財を含むがこれらに限定されない多くの製品に使用される。これらの製品の改良されたバージョンのための新たな織物、並びに以前は織物から作製されていなかった新たな製品に対する需要がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、織物、織物を設計するための方法、及び織物を製造するための方法を提供する。織物は、以前、(例えば、典型的には針に依存する)従来の製造方法を使用しては可能でなかったジオメトリを有することができる。
【0006】
いくつかの例においては、織物はスペーサファブリックである。スペーサファブリックとは、当初は有毒な積層発泡体の代替品として20世紀末に開発された、3D織物構造の一種である。スペーサファブリックは別々の上層と下層とから構成され得、上層と下層とは、生地の中央を通って延びる、ヤーンからなる太い垂直杭によってまとめられている。曲げに抵抗するモノフィラメントヤーンのような材料で作製されたこの中間層が、2つの対面する層の間での緩衝作用の量(すなわち「スペース」)を決定する。
【0007】
現在商業的に生産されているスペーサファブリックの大部分は、ラッシェル経編機として知られる電子機械で実施されるが、ダブル針床丸編機及び緯編機並びに電子ジャカード織機もスペーサファブリック生産が可能である。経編スペーサファブリックは、その軽量性、高い通気性、及び圧縮特性に起因して、アクティブウェア衣料、履物、アウトドア用品及び軍服、輸送、室内断熱、医療、並びにジオテキスタイル濾過及び補強を含む多くの産業用途を有する。
【0008】
本明細書において説明されるように、織物(例えばスペーサファブリック)は3D印刷され得る。3D印刷としても知られるアディティブマニュファクチャリング技術は、他の技術では作製が困難又は不可能な、複雑なジオメトリを有する完成品の製造を可能にする。高解像度ステレオリソグラフィ3D印刷、具体的にはデジタルライトプロセッシング(DLP)印刷技術は、100マイクロメートル(μm)未満の印刷解像度を可能にすることができる。高解像度3D印刷は、物体の重量を低減するため、メタマテリアルを構築するため、バイオミミクリ設計を実現するため、又は単純に美的な表面テクスチャを実現するために、入り組んだ構造を生産することを可能にする。
【0009】
一態様において、本明細書で提供されるのは、第1のシートと第2のシートとを備える物品であって、第2のシートは第1のシートに対して実質的に平面配向であって複数のフィラメントで相互接続されており、且つ(a)フィラメントは、その長さに沿って変化する厚さを有する、(b)フィラメントのうちの少なくとも2つは、互いに対して異なる厚さを有する、(c)フィラメントのうちの少なくとも2つは、互いに対して異なる断面形状を有する、(d)フィラメントは、互いに実質的に平行ではない、(e)フィラメントは、第1のシートと第2のシートとの間で実質的に線形の経路をとらない、(f)フィラメントは、頂点の実質的に共通の集合においてシートに接触しない、及び(g)フィラメントは、第1のシートと第2のシート上の共通点との間に複数の接続を形成する、のうち少なくとも1つである。
【0010】
いくつかの実施形態においては、物品は、(a)から(g)のうち少なくとも2つを備える。
【0011】
いくつかの実施形態においては、物品は、(a)から(g)のうち少なくとも3つを備える。
【0012】
いくつかの実施形態においては、物品は、(a)から(g)のうち少なくとも4つを備える。
【0013】
いくつかの実施形態においては、物品は、(a)から(g)のうち少なくとも5つを備える。
【0014】
いくつかの実施形態においては、物品は、(a)から(g)のうち少なくとも6つを備える。
【0015】
いくつかの実施形態においては、物品は、(a)から(g)の全てを備える。
【0016】
いくつかの実施形態においては、第1のシートと第2のシートとの間の距離は変化する。
【0017】
いくつかの実施形態においては、第1のシートと第2のシートとの間の最短距離は第1のシートと第2のシートとの間の最長距離の50%未満である。
【0018】
いくつかの実施形態においては、第1のシート又は第2のシートは細孔を備え、これらの細孔は少なくとも約4倍変化する直径を有する。
【0019】
いくつかの実施形態においては、第1のシート又は第2のシートは隆起又は陥没を有する。
【0020】
いくつかの実施形態においては、物品は、第1のシートの第1の領域に接触するフィラメントを、第1のシートの第2の領域に接触するフィラメントの少なくとも2倍多く有し、第1の領域と第2の領域とは実質的に同じサイズである。
【0021】
別の一態様において、本明細書で提供されるのは、少なくとも4枚のシートを備える物品であって、シートは、互いに実質的に平行であり、複数のフィラメントで相互接続されている。
【0022】
いくつかの実施形態においては、シートは互いに積層されない。
【0023】
いくつかの実施形態においては、シートは縫い合わされない。
【0024】
いくつかの実施形態においては、シート間の距離は変化する。
【0025】
いくつかの実施形態においては、第1のシートと第2のシートとの間の最短距離は第1のシートと第2のシートとの間の最長距離の50%未満である。
【0026】
いくつかの実施形態においては、シートのうち少なくとも1枚は細孔を備え、これらの細孔は少なくとも約4倍変化する直径を有する。
【0027】
いくつかの実施形態においては、シートのうち少なくとも1枚は隆起又は陥没を有する。
【0028】
いくつかの実施形態においては、物品は、第1の領域に接触するフィラメントを第2の領域に接触するフィラメントの少なくとも2倍多く有し、第1の領域と第2の領域とは実質的に同じサイズである。
【0029】
別の一態様において、本明細書で提供されるのは、第1のシートと第2のシートとを備える物品であって、第1のシートは物品の第1の区域においては物品の第1の表面上にあり、第1のシートは第1の区域の縁部で第2のシートを横切り、第1のシートは第1の区域に隣接する第2の区域においては物品の第2の表面上にあり、第1のシートと第2のシートとは複数のフィラメントで相互接続されている。
【0030】
いくつかの実施形態においては、第1のシートは第2のシートを複数回横切る。
【0031】
いくつかの実施形態においては、物品は実質的に平面である。
【0032】
別の一態様において、本明細書で提供されるのは、本明細書に説明される物品を3D印刷することを備える、織物を生産するための方法である。
【0033】
別の一態様において、本明細書で提供されるのは、本明細書に説明されるジオメトリを計算的に選択することを備える、織物を設計するための方法である。
【0034】
前述の概念及び以下でより詳細に述べられる付加的概念の全ての組み合わせ(そのような概念が相互に矛盾しないことを前提とする)は、本明細書に開示される本発明の主題の一部であると想定されることが理解されるべきである。特に、本開示内の主題の全ての組み合わせは、本明細書に開示される本発明の主題の一部であると想定される。
【0035】
これらの例示的な態様及び例の更に他の態様、例、及び利点が、以下で詳細に述べられる。また、前述の情報及び以下の詳細な説明の両方が、様々な態様及び例の単なる例示的な例であり、特許請求される態様及び例の性質及び特徴を理解するための概要又は枠組みを提供することを意図されていることを理解されたい。本明細書に開示される例はいずれも、本明細書に開示される目的、目標、及び必要性のうちの少なくとも1つと一致する何らかの手法で任意の他の例と組み合わせられてもよく、「例」、「いくつかの例」、「代替例」、「種々の例」、「一例」、「少なくとも1つの例」、「この例及び他の例」等の参照は、必ずしも相互に排他的ではなく、その例に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が少なくとも1つの例に含まれ得ることを示すことを意図されている。本明細書におけるそのような用語の登場は、必ずしも全てが同一の例を参照している訳ではない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】透明ウィンドウを通してボトムアップで印刷するためのシステムの例を示す。
【
図2】トップダウンで印刷するためのシステムの例を示す。
【
図3】本明細書に説明される方法を実施し物品を作製するのに適した、柔軟性基板上に印刷するためのシステムの例を示す。
【
図5】本明細書において提供されるスペーサファブリックの可変厚さの例を示す。
【
図6】本開示のストランドの直径及び/又は断面形状の可変性の例を示す。
【
図7】本開示のストランドの経路の可変性の例を示す。
【
図8】対面するシート間を頂点で接続するストランドの例を示す。
【
図9】スペーサファブリックの対面するシート上の様々な頂点間に接続された複数のストランドの例を示す。
【
図10】スペーサファブリックのシートの規則的な設計対不規則的な設計の例を示す。
【
図11】本明細書に説明される方法を使用して生産されたスペーサファブリックのシートの例を示し、設計がx-y方向で変化している。
【
図12】本明細書に説明されるスペーサファブリックのために印刷され得るシートの配置の多様性の例を示す。
【
図13】本明細書に説明される方法によって生産される、別個の非交差シートを備えないスペーサファブリックの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
一般に3D印刷と称されるアディティブマニュファクチャリング産業用の材料は、最終用途にとって望ましい材料性能特性を有する3D物品を創出するために、多数の重合技術を利用し得る。
【0038】
本明細書に説明される3D印刷の使用は、織物(例えばスペーサファブリック)の設計可能性を拡大することができ、製品の性能の高度なカスタマイズ及び制御を可能にする。デジタル構造と物理的製造との間の忠実性は、応力パターンマッピング、トポロジー最適化、及び選択的材料特性など、個別化されたシミュレーション及び最適化の製品への結合を可能にする。デジタル化はまた、従来の製造プロセスの制約を取り除くことによって、生産性及びスケールアップ能力を高めてきた。
【0039】
本明細書に説明される方法は、任意の3D印刷システムと共に使用され得る。光硬化性樹脂は、放射線(例えば、紫外(UV)放射線)に曝露されたときに重合することができる任意の適当な樹脂であり得る。樹脂は、光開始剤、UV吸収剤、顔料、希釈剤、及び1つ以上のモノマー又はオリゴマーを含み得る、配合物の一部であり得る。場合によっては、UV放射線が、光開始剤と相互作用して、モノマー及び/又はオリゴマーのフリーラジカル媒介重合を開始する。
【0040】
従来、アディティブマニュファクチャリングに使用されるUV硬化性配合物は、エチレン性(すなわち、二重結合)不飽和オリゴマー及びモノマー(例えば、アクリレート、メタクリレート、ビニルエーテル)、希釈剤、光開始剤、並びに添加剤を含み得る。オリゴマー及びモノマーは、重合すると、最終生成物に機械的特性を提供し得る。希釈剤は、加工及び取り扱いを容易にするために、全体的な配合物粘度を低下させ得る。希釈剤は、反応性であり得、完成物品のポリマーマトリクス中に組み込まれ得る。光開始剤は、化学線に曝露されると(例えば、光開始剤分子の光分解を通じて)フリーラジカルを形成し得る。フリーラジカルは、その後、エチレン性不飽和化学基を利用してビニル系ポリマーを形成し得る。添加剤は、顔料、染料、UV吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、及び充填剤を含み得るが、これらに限定されない。添加剤は、色、貯蔵安定性、改善された寿命性能、より高いUV安定性などの有用な特性を付与するために使用され得る。
【0041】
重合の後、印刷された物品は、光硬化性樹脂の液槽から取り出されて残留(非重合)樹脂を洗い流され得る。更なる処理ステップは、印刷された樹脂の追加の硬化又は二次重合の実施を含み得る。
【0042】
本明細書に説明される方法は、(例えばデジタル光プロセッサを有する)任意の適当な3D印刷ハードウェアを用いて実施され得る。
図1から
図3は、3D印刷のためのシステムを示す。
【0043】
図1に見られるように、印刷は、透明ウィンドウを通してボトムアップで実施され得る。ここで、容器100は、ある体積の光硬化性樹脂105を含み得る。UV光110が、ガラス板又はレンズ115を通して構築プラットフォーム120上に投射され得る。これにより、硬化物品125への重合が開始され得る。構築プラットフォームは上方に移動され得、それによって、物品の後続の層が印刷され得るように、未硬化樹脂を流動させると共に印刷された物品を樹脂によって再コーティング130することができる。
【0044】
同様に、
図2は、トップダウンで印刷するためのシステムの例を示す。UV光200が、液槽210に収容されている光硬化性樹脂205の開放表面上にトップダウンで投射され得る。硬化物品215は構築プラットフォーム220上に印刷され得、構築プラットフォームは各印刷層の後に樹脂の液槽内へと下方に移動され得る。その結果、未硬化樹脂が硬化物品の表面上に流動し225、これは続いて、印刷された物品の別の層を印刷するために放射線に曝露され得る。いくつかの例においては、この樹脂のリフローは、プロセス全体の律速段階である。したがって、再コーティング機構230(例えば、機械的アーム)が、再コーティングプロセスを支援し得る。
【0045】
これまでのところ、本明細書に説明されるトップダウン及びボトムアップシステムの1つの潜在的な制限は、これらのシステムは、各物品が印刷された後に印刷ステージをリセットすることを必要とし、連続的なプロセスではないことである。対照的に、
図3は、柔軟性基板上に印刷するためのシステムの一例を示す。ここで、柔軟性基板は、1つ又は複数の物品が基板上に印刷される間、連続的に光硬化性樹脂の液槽内を通過し得る。UV放射線300が、空気に曝露される容器310内のある体積の光硬化性樹脂305の表面上に投射され得る。印刷物品315は、光硬化性樹脂中を通過する柔軟性基板320上に印刷され得る。場合によっては、印刷が連続的であれば、再コーティング機構は使用されず、再コーティング325は機械的な補助なしで進行する。柔軟性基板上に印刷するための適当なシステムが、米国特許出願第17/668,503号に説明されており、同出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。場合によっては、柔軟性基板上に連続的に印刷することは、織物の創出にとって好適である。
【0046】
上述の3D印刷システムは、様々な織物を印刷するために使用され得る。織物の形状、並びに微細な特徴の解像度、樹脂の稠度及び硬化の程度などの特性は、システムの機械的性質、樹脂の化学的性質、及び印刷方法論など、多くの要因の組み合わせによって決定され得る。一態様においては、本開示は印刷方法論に関し、これは、プリンタがどのように動作するか(例えば、印刷速度、連続的に又は個別的に層を印刷する)、並びに投影される放射線の経時的な位置及び強度を含み得る。
【0047】
1つの印刷方法論は、印刷される3D物体のモデルを計算的に「スライス」して、連続して印刷されるときに3D物体を名目上構成する一連の層にすることである。このプロセスは、「ラスタライゼーション」及び「ラスタライゼーションデータ」の印刷と称され得る。本明細書に説明される織物の生産に適した3Dプリンタの設計及び動作のデジタル化についての更なる詳細は、PCT特許出願第PCT/US2021/023962号に見出すことができ、同出願はその全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。
【0048】
スペーサファブリックは独特のカテゴリの織物である。なぜなら、スペーサファブリックは、多層構造を利用し、多くの場合、各層に割り当てられた異なる性能機能を有するからである。例えば
図4を参照されたい。ここでは、第1の編物層400が、第1の空間を形成するモノフィラメント404を使用して第2の編物層402に接続され得る。第2の編物層402は、第2の空間を形成する第2のモノフィラメント408を使用して第3の編物層406に接続され得る。しかしながら、スペーサファブリックを創出する工業用の経編機及び緯編機には、生地の設計及び機能特性を制限するいくつかの物理的制約がある。現在の商用編機では、構築され得る層の最大数はわずか3つである。従来の製造業者は、より多くの緩衝作用及び支持性のために厚さを増加させるべく、複数のスペーサファブリックを一緒に積層することがある。ところが、そうした生地は、層間剥離する又は滑らかに縫うには嵩高になり過ぎるというリスクを冒すものであり、したがって構築の可能性を制限する。いくつかの例では、本明細書において提供されるのは、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10,11,12,13,14,15,20,25,30,50,又はより多くの層を有するスペーサファブリックである。
【0049】
また、従来の技術を使用すると、前針床と後針床との間の距離が固定されていることから、市販のスペーサファブリックの厚さ(又は「z」方向)は、約2mm~10mmの間の寸法をとる。生地の厚さの変化は、装飾目的に役立ち得るが、スペーサファブリックにとっては、圧縮及び断熱特性を実現するための要諦である。対照的に、本明細書において提供される生地は、
図5に見られるように、帯状に厚さを増加させるか又は従来の限界を超えて望ましくない嵩を減少させることができる。いくつかの実施形態においては、スペーサファブリックの厚さは、少なくとも約1ミリメートル(mm)、少なくとも約2mm、少なくとも約4mm、少なくとも約6mm、少なくとも約8mm、少なくとも約10mm、少なくとも約15mm、少なくとも約20mm、少なくとも約30mm、少なくとも約50mm、少なくとも約100mm、少なくとも約200mm、又は少なくとも約300mmである。場合によっては、本明細書において提供される生地は、その最も薄い点において、その厚さ点における厚さよりも少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%少ない厚さを有する。
【0050】
従来の技術を使用すると、スペーサファブリックのロフト中間層(lofted middle layer)を創出するための針移送が複雑であることから、上層及び下層は、1つの針床のみを使用してプレーンジャージニットなどの平坦な構造で編まれなければならない。音響のような用途については、3次元表面がより適切であろう。しかしながら、織地の「レリーフ様」表面を創出するために引き上げ編み又は目移し編みに依存する、オットマン、レース、及びリブニットのような構造は、追加の針床を必要とし、したがってスペーサの表面における隆起又は陥没の範囲を制限するであろう。対照的に、本明細書において提供されるスペーサファブリックは、例えば、隆起、間隙、及び/又は陥没を有する三次元表面を有し得る。
【0051】
また、従来の技術を使用すると、機械の編み針のサイズが固定されていることも、その特定の機械で使用され得るヤーンのサイズ及びバリエーションを厳しく制限し得る。商業的に紡糸されたヤーンは、典型的には、直径が0.05mm~25mmの寸法をとる範囲内に入る。各ヤーンサイズは、工場が、そのヤーンの直径に対応する針サイズを有する別個の機械に投資することを必要とする。このヤーン対機械の不可変性は、生地の密度及びループサイズに影響し、連続的に監視及び調整されなければ、ヤーンの破損、機械の詰まり、及び布構造における張力の不整合につながる。対照的に、本明細書に説明される方法は可変の「ヤーン」厚さを使用することができ、これは、単一の織物内で可変であるか、又は単一の3D印刷機の生産工程間で変化する。
【0052】
さらに、色又はパターンの複雑さの増大は、現在の技術を使用した編成時間を増加させ、したがって生産を減速させる。これは、価格及び効率のために設計の新規性を犠牲にすることになり得る。対照的に、本明細書において提供される方法は、ユーザが(例えば、全ての設計について製造速度が比較的一定であることから)新規性と価格とを独立した要因として扱うことを可能にし得る。
【0053】
任意の数の層及び厚さを帯状に増加又は減少させる、並びに単一の生地プロセス内で密度及びヤーンを調整するという選択肢によって、本明細書において提供されるスペーサファブリックは、従来の対応物の機能及び設計よりも性能が優れ得る。
【0054】
本明細書に説明される方法を使用すると、スペーサファブリックの生産についてのほぼ全ての設計制約が回避され得る。
図6を参照すると、ストランドの断面ジオメトリは、(例えば、単一のストランド内で、又はストランド間で)変化し得る。ストランドの断面又はその一部は、円形、楕円形、三角形、台形、正方形、又は5本、6本、7本、8本、9本、10本、又はそれ以上の辺を有する多角形であり得る。ストランドの直径も、ストランド内で、又はストランド間で変化し得る。さらに、
図7を参照すると、ストランド(本明細書においては互換的にスレッド又はフィラメントとも称される)の経路は、直線から任意の湾曲した又は非直線の経路まで変化し得る。
【0055】
ストランドの端点も変化し得る。
図8に示されるように、平行なシート間の接続の全てを形成する連続的なストランドは1本もない。ここでは、シートは、明確にするために図面から省略されているが、互いに実質的に平行であり、第1のシート800が上部にあり(ストランドの番号を付された端部と接触する)、第2のシート802が下部にある(ストランドのダッシュ付きの番号を付された端部と接触する)。各ストランドについて、第1の端部は第1のシートに接続され、第2の端部(ダッシュすなわちアポストロフィを有する番号によって示される)は、第1のシートに対面する第2のシートに接続される。頂点の場所は一致しなくてもよい(すなわち、各ストランドは独立したエンティティであり得る)。
【0056】
図9は、第1のシート上の頂点が、第2のシート上の複数の頂点に、すなわち任意の組み合わせで、接続され得ることを示す。ストランドは、実質的に平行であってもよく900、実質的に平行でなくてもよく902、シート間の接続性の量が比較的少なくてもよく904、又はシート間で比較的高度な接続性を有していてもよい906。
【0057】
シート自体もまた、任意の適切な手法で変化し得る。
図10は、規則的なパターンを有する、従来技術を使用して生産されたシート1000の一例の上面図を示し、その一方で、本明細書に説明される3D印刷方法を使用して生産されたシート1002は、任意の(すなわち不規則な)パターンを有し得る。シートの設計は、例えば
図11に示されるように、場合によってはシームレスに(すなわち切れ目なく)x-y方向で変化してもよい。
【0058】
さらに、シートの数及び配置は、生地の単一の印刷領域内を含め、スペーサファブリックの中で変化し得る。
図12は、シートが実質的に平面でなくてもよく1200、実質的に平行でなくてもよく1202、部分的に散在したシートさえ有し得る1204ことを示す。シートは、
図13に示されるように、互いに交差してもよい。
【0059】
本明細書に説明される材料及び方法は、従来の編機の機械的制約及び長さスケールの制約を克服することができる。例えば、3Dプリンタは固定数の針床を有さないが、従来の機械は1つ又は2つのみの針床を使用する。これは、従来、ニットが1層、2層、又は3層を用いてしか作製できないことを意味する。しかしながら、より多くの床はより多くの生地層を必要とする。対照的に、本明細書に説明される方法は、多層生地を1つの機械で、全て同時に作製することができる。
【0060】
本明細書に説明される方法は、各床に固定数の針を有さないが、従来の機械は、通常、「所定の幅」で構築される。
【0061】
本明細書に説明される方法は、固定された針「高さ」を有さない。対照的に、従来は、針床が全て同じ高さになるので、結果として生じる生地の幅(すなわち厚さ)は均一に直線状である。しかし本発明では、スペーサが、可変圧縮の必要性に適応するように、変化する厚さ(泡、波、ドーム等)を有し得る。
【0062】
本明細書に説明される方法は、固定された針ピッチを有さない。対照的に、従来は、全ての針が同じ「平面」/角度で針床に取り付けられ、全てが同じ方向を向く。
【0063】
本明細書に説明される方法は、針間に固定幅を有さない。対照的に、従来の針は互いの間が均等に離間しており、したがって、編み目の間の間隔が均一に張力をかけられる/伸縮可能になる。しかし本発明では、スペーサが、可変弾性の必要性に適応するように、各編み目間に可変間隙を有し得る。
【0064】
本明細書に説明される方法は、固定された針ゲージ又は「サイズ」を有さない。対照的に、従来の針サイズはゲージ3~4(チャンキーニット)からゲージ40~42(超微細)に及び、これは、ニットのサイズが、その機械で生産される全ての生地についてほぼ同じままでなければならないことを意味する。
【0065】
本明細書に説明される方法は、「ヤーン」サイズについての制約を有さない。従来、ニードルゲージは、設計者がその機械で使用することができるヤーンのタイプを制約する。例えば、ゲージ40の針は、ゲージ40以下のヤーンを必要とする。従来、例えば、コースの手紡ぎのヤーンをゲージ40の機械に通すことは困難であり得る。さらに、従来の方法を用いてこれを試みると、ヤーンは編むことができず、機械は詰まってしまう。対照的に本発明では、スペーサが、製品の非常に特定の領域において異なるテクスチャ及び異なるサイズのヤーン直径を有し得る。場合によっては、製品の手触り及び伸びを操作することができる。
【0066】
本明細書に説明される方法は、固定数の「ヤーンコーン」を有さない(ほとんどの商用機械は合計で6つのヤーンフィーダしか有しておらず、より多くの「コーン」をフィーダに追加するほど、機械はより遅く編むことになる)。本明細書に説明される材料は、同じ速度で印刷することができ、設計者が使用したいだけ多くの「ヤーンコーン」を保持することができる。これは、織物設計者に、製品において望むだけ多くのテクスチャ(例えば、ふわふわのヤーン、滑らかなヤーン、薄いヤーン、厚いヤーン、スラブヤーン、コイルヤーンなど)を作製する能力を与え得る。
【0067】
本明細書に説明される方法は、配向にとらわれないものであり得る。例えば、同じ設計が任意の配向で生産され得、90度垂直(経編機)又は180度水平(緯編機)などに限定されない。例えば、本明細書に説明される方法は、45度の角度で「編む」ことができ、又は異なる角度を組み合わせて新しいパターンを与えることができる。
【0068】
場合によっては、デジタル縫合が組み立て時間を短縮する又はなくす。
【0069】
いくつかの実施形態においては、織物は、無駄を低減するように裁断パターンに作製され得る。物品は、「フルファッション編みされた」(すなわち、機械から離れてすぐに完全に組み立てられた)状態に作製されることができ、したがって、別個の部片を編む必要はない。
【0070】
また、そのような微細構造を3D印刷するための1つ以上のシステム、方法、及びファイルフォーマットを実現するべく1つ以上の3D印刷システムが使用され得ることが理解されるべきである。例えば、いくつかの実施形態が米国特許出願第17/668,503号に説明される1つ以上のシステムと合わせて使用されてもよく、同出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。もっとも、他のプリンタ方法及びシステムが、本明細書に説明されるような実施形態と共に使用されてもよいことを理解されたい。
【0071】
上述の実施形態は、多数の手法のうちいずれでも実現され得る。例えば、実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、又はこれらの組み合わせを用いて実現されてもよい。ソフトウェアで実現されるときには、ソフトウェアコードは、単一のコンピュータにおいて提供されるのか又は複数のコンピュータの間で分配されるのかに関わらず、任意の適当なプロセッサ又はプロセッサの集合において実行可能である。上述の機能を実施するコンポーネント又はコンポーネントの集合は、一般的に、上述の機能を制御する1つ以上のコントローラと見なされ得ることを理解されたい。1つ以上のコントローラは、専用ハードウェアによって、又は上記で列挙された機能を実施するようにマイクロコード又はソフトウェアを用いてプログラムされた1つ以上のプロセッサによってなど、様々に実現可能である。
【0072】
この点において、本発明の実施形態の一実装形態は、プロセッサ上で実行されたときに本発明の実施形態の上記で述べた機能を実施するコンピュータプログラム(すなわち複数の命令)で符号化された少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体(例えばコンピュータメモリ、ポータブルメモリ、コンパクトディスクなど)を備えることが理解されるべきである。コンピュータ可読記憶媒体は、そこに記憶されたプログラムが、本明細書に述べられる本発明の態様を実現するために任意のコンピュータリソースにロードされ得るように、可搬型であってもよい。加えて、実行されたときに上述の機能を実施するコンピュータプログラムへの言及は、ホストコンピュータ上で実行されるアプリケーションプログラムに限定されないことを理解されたい。むしろ、コンピュータプログラムという用語は、本明細書においては一般的な意味で用いられ、本発明の上述の態様を実現するべくプロセッサをプログラムするために使用され得る任意のタイプのコンピュータコード(例えばソフトウェア又はマイクロコード)を指す。
【0073】
本発明の種々の態様は、単独で、組み合わせて、又は先に説明した実施形態においては具体的に述べられていない様々な配置で用いられてもよく、したがって、その適用は先の説明に記載された又は図面に図示されたコンポーネントの詳細及び配置に限定されない。例えば、ある実施形態において説明された態様が、他の実施形態において説明された態様と任意に組み合わせられてもよい。
【0074】
また、本発明の実施形態は1つ以上の方法として実現され得、そのうちの一例が提供されている。1つ又は複数の方法の一部として実施される行為は、任意の適当な手法で順序付けされてもよい。したがって、実施形態は、例示されたものとは異なる順序で行為が実施されるように構築されてもよく、これは、いくつかの行為を、たとえ例示された実施形態においては連続した行為として示されていても、同時に実施することを含み得る。
【0075】
特許請求の範囲における、構成要素を修飾するための「第1」、「第2」、「第3」などのような順序の用語の使用は、それだけではある構成要素の別の構成要素に対する優先、先行、若しくは順序、又は方法の行為が実施される時間的順序を何ら暗示するものではない。そのような用語は、単に、特定の名前を有する1つの構成要素を(順序の用語の使用を除けば)同じ名前を有する別の1つの要素と区別するための標示としてのみ用いられる。
【0076】
本明細書において使用される言い回し及び用語は、説明を目的とするものであり、限定するものとみなされてはならない。また、「含む」、「備える」、「有する」、「含有する」、「包含する」、及びそれらのバリエーションは、それらと共に列挙される項目及び追加的な項目を網羅することを意味する。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態を詳細に説明してきたが、当業者には様々な修正及び改良が容易に思い浮かぶであろう。そのような修正及び改良は、本明細書の精神及び範囲内にあることが意図されている。したがって、前述の説明は単なる例であり、限定的であることは意図されていない。本発明は、以下の特許請求の範囲及びその均等物によって定義されるようにのみ限定される。
【国際調査報告】