(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】電子ビームベースの極紫外線光源装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20241001BHJP
H01J 37/073 20060101ALI20241001BHJP
H01J 1/304 20060101ALI20241001BHJP
H01J 9/02 20060101ALI20241001BHJP
H05H 1/24 20060101ALI20241001BHJP
H05G 2/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G03F7/20 503
H01J37/073
H01J1/304
H01J9/02 B
G03F7/20 521
H05H1/24
H05G2/00 K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515715
(86)(22)【出願日】2022-09-07
(85)【翻訳文提出日】2024-03-11
(86)【国際出願番号】 KR2022013482
(87)【国際公開番号】W WO2023038446
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】10-2021-0121129
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513311848
【氏名又は名称】慶熙大學校産學協力團
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY-INDUSTRY CO OPERATION GROUP OF KYUNG HEE UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】1732, DEOGYEONG-DAERO,GIHEUNG-GU, YONGIN-SI, GYEONGGI-DO, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】パク,ギュ・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,スン・テ
【テーマコード(参考)】
2G084
2H197
4C092
5C101
5C227
【Fターム(参考)】
2G084AA11
2G084CC27
2H197CA10
2H197GA01
2H197GA04
2H197GA12
2H197HA03
4C092AA05
4C092AB10
4C092AB19
4C092AB27
5C101AA27
5C101DD06
5C101DD14
5C101DD25
5C227AA15
5C227AB08
5C227AB13
5C227AC07
5C227AD25
5C227EE24
(57)【要約】
本発明の一実施例による光源装置は、電子ビームベースで極紫外線光源を出力する光源装置であって、チャンバ、およびカソード電極と、炭素系物質とを含む、カソード電極上に離隔配置された複数のエミッタをそれぞれ備え、チャンバの内部で電子ビームを生成する電子ビーム放出部と、チャンバの内部に位置しかつ、電子ビーム放出部から離隔して位置し、電子ビームが入射しながらイオン化されてプラズマを発生させるアノード電極と、を含み、プラズマから極紫外線が生成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ビームベースで極紫外線光源を出力する光源装置であって、
チャンバと、
前記チャンバの内部で電子ビームを生成する電子ビーム放出部であって、カソード電極と、炭素系物質とを含み、前記カソード電極上に離隔配置された複数のエミッタとをそれぞれ備える、電子ビーム放出部と、
前記チャンバの内部に位置しかつ、前記電子ビーム放出部から離隔して位置し、前記電子ビームが入射しながらイオン化されてプラズマを発生させるアノード電極と、を含み、
前記プラズマから極紫外線が生成される光源装置。
【請求項2】
前記アノード電極は、前記プラズマを発生させる金属放射物質をその表面に含む、請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記金属放射物質は、スズ(Sn)、リチウム(Li)、インジウム(In)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、Tb(テルビウム)、Gd(ガドリニウム)およびアルミニウム(Al)のうちの1つ以上の金属を含むものである、請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記電子ビーム放出部は、複数個が備えられ、
複数の前記電子ビーム放出部で生成された各電子ビームは、少なくとも1つのアノード電極に対して互いに異なる位置に入射し、1つずつ入射するか、または同時に複数個が入射する、請求項1に記載の光源装置。
【請求項5】
少なくとも2つの前記電子ビームは、互いに異なる角度または方向に入射する、請求項4に記載の光源装置。
【請求項6】
少なくとも2つの前記電子ビームは、互いに異なる角度で入射しかつ、互いに異なる強度を有する、請求項4に記載の光源装置。
【請求項7】
入射角度の大きい第1電子ビームは、入射角度の小さい第2電子ビームよりも大きい強度を有する、請求項6に記載の光源装置。
【請求項8】
前記電子ビーム放出部は、2以上の複数個が備えられ、
前記アノード電極は、2以上の複数個が備えられ、
前記複数のアノード電極には、複数の電子ビーム放出部(200)によって生成された各電子ビームが1つずつ入射するか、または同時に複数個が入射する、請求項1に記載の光源装置。
【請求項9】
前記チャンバ内で回転する回転板をさらに含み、
前記アノード電極は、円板またはリング形状を有し、前記回転板に位置して前記回転板によって回転する、請求項1に記載の光源装置。
【請求項10】
前記電子ビーム放出部は、複数個が備えられ、
前記アノード電極は、直径が互いに異なる複数個が備えられかつ、それぞれがその内部で離隔して配置されたリング形状を有し、
複数の前記電子ビーム放出部で生成された各電子ビームは、複数の前記アノード電極に対して1つずつ入射する、請求項9に記載の光源装置。
【請求項11】
前記アノード電極は、円錐または円錐台形状を有し、
前記各電子ビームは、前記円錐または円錐台形状の側面の互いに異なる位置に入射する、請求項4に記載の光源装置。
【請求項12】
前記アノード電極を支持するように前記チャンバ内に設けられた支持部をさらに含み、
前記アノード電極と前記支持部とを含む構造体は、円錐または円錐台形状を有し、
前記アノード電極は、複数個が前記円錐または円錐台形状の側面で互いに離隔して配置されたリング形状を有し、
前記各電子ビームは、各リング形状の前記アノード電極の互いに異なる位置に入射する、請求項4に記載の光源装置。
【請求項13】
前記アノード電極は、円錐または円錐台形状の中心軸を基準として回転する、請求項11または12に記載の光源装置。
【請求項14】
前記各電子ビームによって発生した複数の極紫外線光源は、円錐形状において頂点の向く方向または円錐台形状の上面の向く方向に進行する、請求項11または12に記載の光源装置。
【請求項15】
前記アノード電極を支持するアーチ形状の支持部と、前記極紫外線を反射する反射層とがそれぞれ前記チャンバ内にさらに含まれ、
前記アノード電極は、前記アーチ形状に沿って複数個が互いに離隔して配置され、前記反射層は、各アノード電極の両側に配置される、請求項4に記載の光源装置。
【請求項16】
前記チャンバ内に設けられ、前記各電子ビームによって発生してその開口を通過する複数の極紫外線光源に対して中間集光(IF)の役割を果たすリング形状の集光電極をさらに含む、請求項4に記載の光源装置。
【請求項17】
前記電子ビーム放出部は、前記エミッタ上に離隔配置されたゲート電極をさらに含み、
前記ゲート電極のうち前記複数のエミッタに対向する部分は、伝導性材質のメッシュ構造を含む、請求項1に記載の光源装置。
【請求項18】
前記電子ビーム放出部は、前記ゲート電極上に離隔配置されて、負の電圧が印加されて電子ビームを集束する少なくとも1つの集束電極をさらに含む、請求項17に記載の光源装置。
【請求項19】
前記集束電極は、第1集束電極と、前記第1集束電極上に離隔配置された第2集束電極とを含み、
前記第1および第2集束電極は、電子ビームが通過するように互いに対向する開口をそれぞれ備えかつ、前記第2集束電極の開口が前記第1集束電極の開口より小さい、請求項18に記載の光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ビームベースの極紫外線光源装置に関し、より詳しくは、電子ビームを用いて極紫外線光源を出力する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
極紫外線(extreme ultraviolet、EUV)は、X線と深紫外線(deep ultraviolet、DUV)領域との間である約10nmから100nmに至る波長帯域の電磁波である。最近、極紫外線領域を扱う応用分野において、コンパクト(compact)な極紫外線光源装置の開発に多くの研究が集中している。
【0003】
例えば、半導体製造のためのナノメートルサイズの微細パターン工程に極紫外線リソグラフィ(lithography)装置が用いられている。しかし、現在、極紫外線リソグラフィ装置は、高出力のレーザをベースとし、海外の特定会社の製品としてのみ販売されている。特に、このような極紫外線リソグラフィ装置はレーザベースであるので、非常に高価であり、内部構造が複雑であり、大きな体積を占めるだけでなく、その出力特性による非常に高出力のレーザによって、多くのくず(debris)が発生して維持補修が難しい問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来技術の問題点を解決するために、本発明は、内部構造が単純であり、コンパクトな大きさを有し、製造費用を低下させることができる極紫外線光源技術を提供することを目的とする。
【0005】
また、本発明は、レーザに比べて低出力の電子ビームを用いることにより、くず(debris)を減らして維持補修に有利な極紫外線光源技術を提供することを他の目的とする。
【0006】
さらに、本発明は、より効率的に複数の電子ビームとアノード構造を活用して光量の出力が向上した極紫外線光源技術を提供することをさらに他の目的とする。
【0007】
ただし、本発明が解決しようとする課題は以上に言及した課題に制限されず、言及されていない他の課題は以下の記載から本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための、本発明の一実施例による光源装置は、電子ビームベースで極紫外線光源を出力する光源装置であって、チャンバと、カソード電極および炭素系物質を含む、カソード電極の上に離隔配置された複数のエミッタとをそれぞれ備え、チャンバの内部で電子ビームを生成する電子ビーム放出部と、チャンバの内部に位置しかつ、電子ビーム放出部から離隔して位置し、電子ビームが入射される際イオン化されてプラズマを発生させるアノード電極と、を含み、プラズマから極紫外線が生成される。
【0009】
アノード電極は、プラズマを発生させる金属の放射物質をその表面に含むことができる。
【0010】
金属放射物質は、スズ(Sn)、リチウム(Li)、インジウム(In)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、Tb(テルビウム)、Gd(ガドリニウム)およびアルミニウム(Al)のうちの1つ以上の金属を含むことができる。
【0011】
電子ビーム放出部は、複数個が備えられ、複数の電子ビーム放出部で生成された各電子ビームは、少なくとも1つのアノード電極に対して互いに異なる位置に入射し、1つずつ入射するか、同時に複数個が入射することができる。
【0012】
少なくとも2つの電子ビームは、互いに異なる角度または方向に入射することができる。
【0013】
少なくとも2つの電子ビームは、互いに異なる角度で入射しかつ、互いに異なる強度を有することができる。
【0014】
入射角度の大きい第1電子ビームは、入射角度の小さい第2電子ビームよりも大きい強度を有することができる。
【0015】
チャンバ内で回転する回転板をさらに含み、アノード電極は、円板またはリング形状を有し、回転板に位置して回転板によって回転することができる。
【0016】
電子ビーム放出部は、複数個が備えられ、アノード電極は、直径が互いに異なる複数個が備えられかつ、それぞれがその内部で離隔して配置されたリング形状を有し、複数の電子ビーム放出部で生成された各電子ビームは、複数のアノード電極に対して1つずつ入射することができる。
【0017】
アノード電極は、円錐または円錐台形状を有し、各電子ビームは、円錐または円錐台形状の側面の互いに異なる位置に入射することができる。
【0018】
アノード電極を支持するようにチャンバ内に設けられた支持部をさらに含み、アノード電極と支持部とを含む構造体は、円錐または円錐台形状を有し、アノード電極は、複数個が円錐または円錐台形状の側面で互いに離隔して配置されたリング形状を有し、各電子ビームは、各リング形状のアノード電極の互いに異なる位置に入射することができる。
【0019】
アノード電極は、円錐または円錐台形状の中心軸を基準として回転することができる。
【0020】
各電子ビームによって発生した複数の極紫外線光源は、円錐形状において頂点の向く方向または円錐台形状の上面の向く方向に進行することができる。
【0021】
アノード電極を支持するアーチ形状の支持部と、極紫外線を反射する反射層とがそれぞれチャンバ内にさらに含まれ、アノード電極は、アーチ形状に沿って複数個が互いに離隔して配置され、反射層は、各アノード電極の両側に配置される。
【0022】
本発明の一実施例による光源装置は、チャンバ内に設けられ、各電子ビームによって発生してその開口を通過する複数の極紫外線光源に対して中間集光(Intermediate Focus;IF)の役割を果たすリング形状の集光電極をさらに含むことができる。
【0023】
電子ビーム放出部は、エミッタ上に離隔配置されたゲート電極をさらに含み、ゲート電極のうち複数のエミッタに対向する部分は、伝導性材質のメッシュ(mesh)構造を含むことができる。
【0024】
電子ビーム放出部は、ゲート電極上に離隔配置されて、負の電圧が印加されて電子ビームを集束する少なくとも1つの集束電極をさらに含むことができる。
【0025】
集束電極は、第1集束電極と、第1集束電極上に離隔配置された第2集束電極とを含み、第1および第2集束電極は、電子ビームが通過するように互いに対向する開口をそれぞれ備えかつ、第2集束電極の開口が第1集束電極の開口より小さい。
【発明の効果】
【0026】
上記のように構成される本発明は、電子ビームをベースとし、電子ビーム放出部とは別に、共通のアノード電極を用いて極紫外線光源を発生させるので、内部構造が単純であり、コンパクトな大きさを有し、製造費用を低減できるという利点がある。
【0027】
また、本発明は、レーザに比べて低出力の電子ビームを用いてアノード電極への悪影響を低減することにより、くず(debris)などを減らして維持補修に有利であるという利点があり、複数の電子ビームと多様なアノード電極の構造により極紫外線光量を増加させることができる効果がある。
【0028】
さらに、本発明は、複数の電子ビームの入射角度によるその強度調整によって、より効率的に複数の電子ビームを活用できるという利点がある。
【0029】
本発明から得ることのできる効果は以上に言及した効果に制限されず、言及されていない他の効果は以下の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一実施例による極紫外線光源装置10の構成図を示す。
【
図2】電子ビーム放出部200の詳細な構成を示す。
【
図3】
図3(a)および
図3(b)は、電子ビーム放出部200の一例であって、その斜視図および断面図を示す。
【
図4】電子ビーム放出部200の他の例であって、
図3にて集束電極251、252が追加された場合の断面図を示す。
【
図12】電子ビームの入射角度によるアノード電極300への影響の実験の概念図を示す。
【
図15】集光電極520を備えた場合の多様な実施例を示す。
【
図16】集光電極520を備えた場合の多様な実施例を示す。
【
図17】集光電極520を備えた場合の多様な実施例を示す。
【
図18】集光電極520を備えた場合の多様な実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の上記の目的と手段およびそれによる効果は、添付した図面に関する以下の詳細な説明を通じてより明らかになり、それによって本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明の技術的思想を容易に実施することができる。また、本発明を説明するにあたり、本発明にかかる公知の技術に関する具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにする可能性があると判断された場合、その詳細な説明を省略する。
【0032】
他に定義がなければ、本明細書で使用されるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に共通して理解できる意味で使用できる。また、一般的に使用される辞書に定義されている用語は、明らかに特に定義されていない限り、理想的にまたは過度に解釈されない。
【0033】
以下、添付した図面を参照して、本発明による好ましい一実施例を詳細に説明する。
【0034】
図1は、本発明の一実施例による極紫外線光源装置10の構成図を示す。
【0035】
図1を参照すれば、本発明の一実施例による極紫外線光源装置10は、チャンバ100と、チャンバ100の内部に位置する電子ビーム放出部200と、アノード電極300とを含む。ここで、アノード電極300は、スズ(Sn)、リチウム(Li)、インジウム(In)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、Tb(テルビウム)、Gd(ガドリニウム)およびアルミニウム(Al)のうちの1つ以上の金属を含んで構成される。例えば、極紫外線光源装置10は、半導体製造のための微細パターン工程でリソグラフィ装置として用いられるが、これに限定されるものではない。
【0036】
チャンバ100は、内部を真空に保ち、電子ビームの入射によるアノード電極300のイオン化によって発生するプラズマを維持する。チャンバ100の内部空間のうちプラズマが維持される領域を、便宜上、「プラズマ領域」と称する。チャンバ100は、プラズマ領域で発生する極紫外線(extreme ultraviolet;EUV)の光源が出力される出口110を含むことができる。
【0037】
図2は、電子ビーム放出部200の詳細な構成を示す。また、
図3は、電子ビーム放出部200の一例であって、その斜視図および断面図を示し、
図4は、電子ビーム放出部200の他の例であって、
図3にて集束電極251、252が追加された場合の断面図を示す。
【0038】
電子ビーム放出部200は、電子ビーム(electron beam、e-)を生成して放出する構成である。その際、電子ビーム放出部200は、レーザベースではなく、電界によって電子を放出する炭素系のエミッタ230をベースとする。
【0039】
電子ビーム放出部200は、チャンバ100の内部に位置し、チャンバ100内で電子ビーム放出部200と離隔して設けられたアノード電極300に向かって電子ビームを照射する。
図2~
図4を参照すれば、電子ビーム放出部200は、カソード電極210と、カソード電極210上に位置する複数のエミッタ230と、複数のエミッタ230と離隔して複数のエミッタ230上に位置するゲート電極240とを含む。
【0040】
カソード電極210およびアノード電極300は、伝導性材質を含み、通常用いられる負極および正極である。例えば、カソード電極210およびアノード電極300は、Al、Au、Ni、Ti、Crなどの金属、ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、AZO(aluminum zinc oxide)、IZTO(indium zinc tin oxide)などの透明伝導性酸化物(TCO)、導電性ポリマー、またはグラフェンなどを含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
従来技術の場合、電子ビーム放出部内にカソード電極、エミッタ、およびアノード電極が共に備えられる場合が一般的であり、この場合、電子ビーム放出部の体積が大きくなりうる。これに対し、本発明は、アノード電極300が電子ビーム放出部200内に備えられず、チャンバ100の内部で電子ビーム放出部200と離隔して別の構成として設けられる。これによって、本発明は、複数の電子ビーム放出部200を備えても全体的な体積を低減できるという利点がある。
【0042】
また、本発明は、複数の電子ビーム放出部200がチャンバ100内に別に備えられた共通のアノード電極300を用いて電子ビームを放出可能なため、カソード電極、エミッタ、およびアノード電極が電子ビーム放出部内に共に備えられる場合より、内部構造が単純であり、コンパクトな大きさを有し、製造費用を低減できるという利点がある。
【0043】
複数のエミッタ230は、カソード電極210から供給された電子をアノード電極300に向かって放出させる構成である。エミッタ230は、先の尖ったエミッタチップで構成されるか、平らなエミッタ層で構成されてもよい。この時、エミッタチップは、針状の形状以外にも、錐形、三角形などの多様な形状に形成されてもよい。例えば、エミッタ230は、カソード電極210上に横方向および縦方向にそれぞれ一定の間隔をもって配列される。
【0044】
エミッタ230は、炭素系物質を含むことができる。例えば、炭素系物質は、カーボンナノチューブ(Carbon nanotube、CNT)、カーボンナノワイヤ、半導体ナノワイヤ、酸化亜鉛ナノワイヤ、カーボンナノファイバー、導電性ナノロッド、グラファイト、またはナノグラフェンなどを含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
ただし、エミッタ230がカーボンナノチューブで実現された場合、カーボンナノチューブ特有の高効率電界放出特性を得ることができる。例えば、このようなカーボンナノチューブのエミッタ230は、レーザ気相蒸着法(laser vaporization)、アーク放電法(arc discharge)、熱-CVD(thermal-CVD)、プラズマ-CVD、HF-CVD(hot filament chemical vapor desposition)などの方法で形成できるが、これに限定されるものではない。
【0046】
一方、エミッタ230は、電界放出基板220上に設けられる。この時、電界放出基板220は、電界放出素子においてエミッタを備えるように設けられる通常のウェハであってもよい。すなわち、電界放出基板220は、カソード電極210上に設けられてエミッタ230を実装する。
【0047】
ゲート電極240は、入力される電圧に応じてエミッタ230から放出される電子の流れを調整する構成である。ゲート電極240のうち複数のエミッタ230と向かい合う部分、すなわち複数のエミッタ230に対向する部分は、伝導性材質(例えば、金属など)のメッシュ(mesh)構造241を含むことができる。例えば、メッシュ構造241は、薄い金属線が互いに距離をおいて網(net)状に織り込まれた構成であるか、金属板において複数の開口が形成された構成であってもよい。ゲート電極240は、このようなメッシュ構造241の金属線間の空間または複数の開口を通して電子ビームを通過させながら、エミッタ230から放出された電子を拡散させることができる。
【0048】
ゲート電極240は、導電性材質を含む。例えば、ゲート電極240は、Al、Au、Ni、Ti、Crなどの金属、ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、AZO(aluminum zinc oxide)、IZTO(indium zinc tin oxide)などの透明伝導性酸化物(TCO)、導電性ポリマー、またはグラフェンなどを含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
複数のエミッタ230周囲のカソード電極210とゲート電極240との間には、図示しない絶縁層(または絶縁スペーサ)が位置してもよい。この時、絶縁層の厚さは、複数のエミッタ230それぞれの高さより大きく作製されて、ゲート電極240が複数のエミッタ230と接触しないようにする。ゲート電極240は、このような絶縁層によってカソード電極210および複数のエミッタ230と絶縁状態を維持することができる。
【0050】
カソード電極210には低電圧(負の電圧)が印加されるか、または接地が連結され、アノード電極300には5kV以上の高電圧(正の電圧)が印加される。また、ゲート電極240にはパルス電圧が印加される。すなわち、カソード電極210とゲート電極240との電圧差によって複数のエミッタ230の周囲に電界が形成され、この電界によって複数のエミッタ230から電子ビームが放出され、放出された電子ビームは、アノード電極300の高電圧に引かれて加速される。
【0051】
この時、ゲート電極240のパルス電圧は、高い周波数または低いパルス幅を有する電圧であって、例えば、100kHz以上の高周波数特性を有することができる。このようなパルス電圧は、電子ビームの高速スイッチングを可能にし、駆動電力を低下させる効果につながる。
【0052】
図3に示されるように、電子ビーム放出部200は、集束電極251、252なしで実現されてもよく、
図4に示されるように、ゲート電極240上に離隔配置された少なくとも1つ以上の集束電極251、252を含むように実現されてもよい。例えば、ゲート電極240上に離隔配置された第1集束電極251と、第1集束電極251上に離隔配置された第2集束電極252とが備えられる。
【0053】
電子ビーム放出部200は、複数のエミッタ230に対応するメッシュ構造241の周縁に固定されてメッシュ構造241を支持する支持体242を含むことができる。また、複数のエミッタ230周囲のカソード電極210と支持体242との間に第1絶縁層261が位置することができる。
【0054】
第2絶縁層262がゲート電極240と第1集束電極251との間に位置してゲート電極240と第1集束電極251とを絶縁させることができ、第3絶縁層263が第1集束電極251と第2集束電極252との間に位置して第1集束電極251と第2集束電極252とを絶縁させることができる。もちろん、第4絶縁層(図示せず)が第2集束電極252上に位置して第2集束電極252の上部を絶縁させてもよい。
【0055】
第2絶縁層262、第1集束電極251、第3絶縁層263、第2集束電極252、および第4絶縁層(図示せず)は、電子ビーム通過のための各々の開口を備える。この時、第2絶縁層262と第3絶縁層263の開口は、同じ大きさに形成されてもよい。
【0056】
第1集束電極251の開口271は、その直径がゲート電極240のメッシュ構造241の全体直径より小さい大きさであってもよく、第2集束電極252の開口272は、その直径が第1集束電極251の開口271の直径より小さくてもよい。もちろん、第2集束電極252上に離隔配置された追加的な集束電極(図示せず)が備えられてもよいし、この場合、当該集束電極の開口は、その直径が第2集束電極252の開口272の直径より小さくてもよい。すなわち、第1集束電極251および第2集束電極252の順(すなわち、上側方向の順)に小さい大きさの開口が備えられる。
【0057】
第1および第2集束電極251、252には負(-)の電圧が印加される。これによって、ゲート電極240のメッシュ構造241を通過した電子ビームは、第1集束電極251の開口271と第2集束電極252の開口272とを順次に経て、第1および第2集束電極251、252の加える斥力によって集束できる。
【0058】
このような構造によって、電子ビーム放出部200は、その内部構造の単純化が可能であり、コンパクトな大きさを有し、製造費用を低減できるという利点がある。このような利点は、アノード電極300が、従来技術とは異なり、別にチャンバ100の内部に設けられることにより、さらに倍加される。
【0059】
すなわち、第1および第2集束電極251、252を備えた電子ビーム放出部200は、電子ビームを集束してアノード電極300に到達する電子ビームの大きさを低減することができ、その結果、金属くず(Debris)の生成を減らしてアノード電極300の使用寿命を伸ばすことができる。
【0060】
図5~
図11は、アノード電極300に関する多様な例を示す。もちろん、このようなアノード電極300に関する多様な例において、各アノード電極300a~300fは、チャンバ100内で電子ビーム放出部200と別に設けられたものである。
【0061】
電子ビーム放出部200から放出されてアノード電極300に向かって加速された電子ビームは、アノード電極300に入射(照射)する。電子ビームの入射によって、アノード電極300の入射した領域はイオン化されてプラズマを発生させ、アノード電極300を取り囲む当該プラズマ領域で極紫外線(EUV)が生成される。すなわち、電子ビームによってアノード電極300から発生したプラズマが、極紫外線(EUV)を生成する光源として機能する。このように生成された極紫外線光源(EUV)は、チャンバ100の出口110を通してチャンバ100の外部に出力される。
【0062】
この時、アノード電極300は、電子ビームの入射時にプラズマを発生させる金属放射物質を含むことができる。このような金属放射物質は、アノード電極300の表面に対応して多様な形状にパターニング(patterning)される。例えば、金属放射物質は、スズ(Sn)、リチウム(Li)、インジウム(In)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、Tb(テルビウム)、Gd(ガドリニウム)およびアルミニウム(Al)のうちの1つ以上の金属を含むことができる。
【0063】
図5および
図6を参照すれば、電子ビーム放出部200は、複数個が備えられる。この時、複数の電子ビーム放出部200で生成された各電子ビームは、少なくとも1つのアノード電極300に対して同一であるか、または互いに異なる位置または方向に入射することができる。
【0064】
すなわち、複数の電子ビーム放出部200は、各ゲート電極240に印加されるゲート電圧のパルス駆動によって1つずつ順次に電子ビームを生成するか、同時に複数個が電子ビームを生成することができる。この時、制御部(図示せず)を介して、複数の電子ビーム放出部200で1つずつ順次に電子ビームを生成するようにするか、または同時に複数の電子ビームを生成して入射するようにするなどの制御が可能である。これによって、アノード電極300には、複数の電子ビーム放出部200によって生成された各電子ビームが1つずつ入射するか、同時に複数個が入射することができる。
【0065】
例えば、第1実施例として、
図5に示されるように、複数のアノード電極300aがこれらを支持する支持部410上に互いに離隔して配置される。もちろん、支持部410は、チャンバ100内に設けられる。この時、電子ビーム放出部200は、アノード電極300aの個数だけ備えられる。この場合、各電子ビーム放出部200から放出された電子ビームが各アノード電極300aに対して専用で入射することができる。もちろん、電子ビーム放出部200は、それぞれ1つずつその専用のアノード電極300aに電子ビームを入射させるか、同時に複数個がその専用のアノード電極300aに電子ビームを放出させることができる。
【0066】
また、電子ビーム放出部200がアノード電極300aより少ない個数だけ備えられてもよい。この場合、少なくとも1つの電子ビーム放出部200が複数のアノード電極300aに対して専用で動作することができる。このために、当該電子ビーム放出部200を移動または回転させる移動手段が追加的に含まれてもよい。
【0067】
一方、
図6に示されるように、1つのアノード電極300aに対して少なくとも2つの電子ビーム(e
-
1、e
-
2)が互いに異なる角度または方向に入射することができる。この時、当該電子ビーム(e
-
1、e
-
2)は、互いに異なる電子ビーム放出部200から放出されたものであり、1つずつ入射するか、同時に入射することができる。このような電子ビーム(e
-
1、e
-
2)によって生成されたEUV
1とEUV
2は、互いに異なる角度または方向に出力される。
【0068】
次に、第2実施例として、
図7に示されるように、チャンバ100内で回転しながらアノード電極300bを支持する回転板420が備えられる。この場合、アノード電極300bは、円板形状またはリング形状に形成されて、回転板420の上面に位置し、回転板420の回転軸は、円板形状またはリング形状の中心に対応する。すなわち、モータ(図示せず)などの駆動によって回転板420が回転するに伴い、アノード電極300bも共に回転するが、その円板形状またはリング形状の中心を基準として回転する。
【0069】
この時、少なくとも1つの電子ビームが回転板420の円板形状またはリング形状の側面または上面の一側に入射することができる。これによって、アノード電極300bが回転するので、アノード電極300bのうち電子ビームの入射部位が変化し続けながらEUVが生成される。その結果、第2実施例の場合、電子ビームの入射部位が変化し続けるので、アノード電極300のいずれか一部位にのみ電子ビームが入射し続ける場合より、電子ビームによるアノード電極300への悪影響を低減しつつ、くず(debris)などの発生を減らし、その取替周期を延長させることができるという利点がある(以下、「第2実施例の利点」と称する)。
【0070】
次に、第3実施例では、
図8に示されるように、リング形状のアノード電極300cが複数個備えられる。すなわち、各アノード電極300cは、直径が互いに異なる複数個が備えられ、それぞれがその内部で離隔して配置される。もちろん、各アノード電極300cは、第2実施例と同様に、回転板420の上面に位置し、その回転軸は、各アノード電極300cのリング形状の中心に対応する。すなわち、モータ(図示せず)などの駆動によって回転板420が回転するに伴い、各アノード電極300cも共に回転するが、そのリング形状の中心を基準として回転する。
【0071】
もちろん、電子ビーム放出部200は、複数個が備えられ、それぞれが各アノード電極300cに対する専用の電子ビームを放出するように動作することができる。すなわち、複数の電子ビーム放出部200で生成された各電子ビームは、専用のアノード電極300cに1つずつ入射するか、同時に複数個が入射することができる。
【0072】
このような第3実施例は、上述した第2実施例の利点以外にも、複数の電子ビームをベースとしたEUVを出力して光量を増加させることができるだけでなく、多様な角度または方向を有するEUVを出力できるという利点がある。
【0073】
次に、第4実施例として、
図9に示されるように、アノード電極300dは、円錐または円錐台形状に形成される。この時、複数の電子ビーム放出部200で生成された各電子ビームは、アノード電極300dから円錐または円錐台形状の側面に向かって入射する。もちろん、各電子ビームは、円錐または円錐台形状の側面から互いに異なる位置に入射することができる。
【0074】
この場合、アノード電極300dの形状的な特性によって、各電子ビームの入射によって発生した複数のEUVは、アノード電極300dの円錐形状の頂点の向く方向または円錐台形状の上面の向く方向に進行することができる。もちろん、各電子ビームは、アノード電極300dの互いに異なる位置に1つずつ入射するか、同時に複数個が入射することができる。
【0075】
次に、第5実施例として、
図10に示されるように、アノード電極300eを支持するようにチャンバ100内に設けられた支持部430が備えられる。この時、アノード電極300eと支持部430とを含む構造体(以下、「複合構造体」と称する)は、円錐または円錐台形状に形成される。すなわち、アノード電極300eは、リング形状に形成されかつ、複数個が複合構造体の円錐または円錐台形状の側面で互いに離隔して配置される。この時、各電子ビームは、アノード電極300eの互いに異なる位置に入射することができる。すなわち、各電子ビームは、専用のアノード電極300eに対して入射するか、1つのアノード電極300eに対して複数の電子ビームが互いに異なる位置に入射してもよい。もちろん、各電子ビームは、1つずつ入射するか、同時に複数個が入射することができる。
【0076】
この場合、複合構造体の形状的な特性によって、各電子ビームの入射によって発生した複数のEUVは、複合構造体の円錐形状の頂点の向く方向または当該構造体の円錐台形状の上面の向く方向に進行することができる。
【0077】
一方、第4実施例または第5実施例において、アノード電極300dまたは複合構造体は、その円錐または円錐台形状の中心軸を基準としてモータ(図示せず)などの駆動によって回転してもよい。すなわち、円錐形状における中心軸は、その底面の中心と頂点とを結ぶ線に相当することができる。また、円錐台形状における中心軸は、その上面の中心とその底面の中心とを結ぶ線に相当することができる。ただし、このような回転については、第5実施例の
図10でのみ表示したが、本発明がこれに限定されるものではない。このような中心軸を基準とした回転が可能な場合、第4実施例または第5実施例は、上述した第2実施例の利点を同様に有することができる。
【0078】
次に、第6実施例として、
図11に示されるように、アノード電極300fを支持するアーチ形状の支持部430と、EUVを反射する反射層510とがそれぞれチャンバ100内に備えられる。この時、アノード電極300fは、このようなアーチ形状に沿って複数個が互いに離隔して配置される。
【0079】
すなわち、ある電子ビームの入射によって発生したあるアノード電極300fにおけるEUVは、チャンバ100の出口110に直に出力されず、反射層510によって少なくとも1回反射した後に、チャンバ100の出口110に出力される。このような反射機能がアーチ形状に適用されることにより、複数の電子ビームによって発生した各EUVは、チャンバ100の特定位置または出口110に向かう方向に集光可能であり、これによって出口110を透過するEUVの光量と強度が高くなる。
【0080】
このような反射機能の円滑な作用のために、反射層510は、各アノード電極300fの周辺または両側に配置されることが好ましい。この時、反射層510は、チャンバ100の特定位置または出口110に向かう方向への凹んだ反射面を含む。例えば、反射層510としては、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)とが交互に多層積層されたものを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0081】
例えば、アーチ形状の支持部430、アノード電極300fおよび反射層510の構造体は、チャンバ100の他側に配置される。これによって、電子ビーム放出部200は、チャンバ100の一側から他側に向かう方向に各アノード電極300fに電子ビームを放出することができ、放出された複数の電子ビームは、複数のアノード電極300fに入射して複数のEUVを発生させる。以後、発生した各EUVは、チャンバ100内の特定位置または出口110に向かう方向に直に集光されるか、少なくとも1回反射部510で反射しながらチャンバ100内の特定位置または出口110に向かう方向に集光される。
【0082】
図12は、電子ビームの入射角度によるアノード電極300への影響に関する実験の概念図を示し、
図13および14は、
図12の実験による結果を示す。
【0083】
すなわち、
図12に示されるように、多様な電子ビームを板形状のアノード電極300にその入射角度を異ならせて放出させ、このような電子ビームの入射角度によるアノード電極300への影響に関する多様な値を測定した。この時、測定値は、電子ビームの浸透深さ(penetration depth)および浸透広さ(area)である。すなわち、浸透深さが深くて浸透広さが広いほど、当該入射角度の電子ビームによってアノード電極300により多くの悪影響を及ぼしてくず(debris)などがより多く発生しうる。
【0084】
その測定結果、
図13および
図14に示されるように、電子ビームの入射角度によってアノード電極300における浸透深さおよび浸透広さが異なることを確認することができる。このような実験結果は、複数の電子ビーム放出部200を用いる時に活用できる。すなわち、互いに異なる電子ビーム放出部200から放出された少なくとも2つの電子ビームがアノード電極300に互いに異なる角度で入射しかつ、互いに異なる強度で入射するようにする。
【0085】
特に、実験結果によれば、大体、電子ビームの入射角度が大きくなるほど、アノード電極300における浸透深さおよび浸透広さが減少する。このような実験結果を複数の電子ビーム放出部200を用いる時に活用すれば、入射角度の大きい第1電子ビームは、入射角度の小さい第2電子ビームよりも大きい強度で入射するようにする。このような活用によって、本発明は、電子ビームによるアノード電極300への悪影響を低減してくず(debris)などの発生を減らし、その取替周期を延長させることができるという利点がある。
【0086】
図15~
図18は、集光電極520を備えた場合に関する多様な実施例を示す。
【0087】
すなわち、
図15(a)~
図15(c)は、板形状のアノード電極300の多様な位置に複数の電子ビームを1つずつ入射させる場合を示し、
図16(a)~
図16(b)は、
図15における複数の電子ビームを同時に入射させる場合を示す。また、
図17(a)および
図17(b)は、アノード電極300fの第6実施例において
図11と異なる方向に複数の電子ビームを1つずつ入射させる場合を示し、
図18は、
図17における複数の電子ビームを同時に入射させる場合を示す。ただし、
図17および
図18にて、便宜上、2つの電子ビーム放出部200および電子ビームのみを示しており、残りの電子ビーム放出部200および電子ビームは省略した。
【0088】
一方、
図15~
図18を参照すれば、極紫外線光源装置10は、チャンバ100内に配置される集光電極520をさらに含むことができる。この時、集光電極520は、開口を備えたリング形状の電極であって、特定電圧(例えば、負または正の電圧)が印加されて複数のEUVに対してチャンバ100内で中間集光(Intermediate Focus;IF)の役割を果たす。すなわち、複数の電子ビーム放出部200の各電子ビームによって発生した複数のEUVが集光電極520の開口を経て、集光電極520の電磁的斥力によって集光できる。このような各電子ビームは、当該電子ビーム放出部200のゲート電極に印加される駆動パルス電圧に応じて、
図15および
図17に示されるように、1つずつまたは順次に放出されるか、
図16および
図18に示されるように、複数個が同時に放出されてもよい。
【0089】
本発明の詳細な説明では具体的な実施例に関して説明したが、本発明の範囲を逸脱しない限度内で様々な変形が可能であることはもちろんである。そのため、本発明の範囲は説明された実施例に限らず、後述する特許請求の範囲およびこの特許請求の範囲と均等なものによって定められなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0090】
上述のように構成される本発明は、電子ビームをベースとし、電子ビーム放出部とは別に、共通のアノード電極を用いて極紫外線光源を発生させるので、内部構造が単純であり、コンパクトな大きさを有し、製造費用を低減できるという利点がある。また、本発明は、レーザに比べて低出力の電子ビームを用いることが可能で、アノード電極への悪影響を低減してくず(debris)などを減らして維持補修に有利という利点があり、複数の電子ビームと多様なアノード電極の構造により極紫外線光量の出力を向上させることができる効果がある。さらに、本発明は、複数の電子ビームの入射角度によるその強度調整によって、より効率的に複数の電子ビームを活用できるという利点がある。
【符号の説明】
【0091】
10 :極紫外線光源装置
100:チャンバ
110:出口
200:電子ビーム放出部
210:カソード電極
220:電界放出基板
230:エミッタ
240:ゲート電極
241:メッシュ構造
242:支持体
251、252:集束電極
261、262、263:絶縁層
300、300a、300b、300c、300d、300e、300f:アノード電極
410、430:支持部
420:回転板
510:反射層
520:集光電極
【国際調査報告】