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特表2024-536757冷凍装置の主圧縮機に流入する冷媒流体の圧力及び/又は温度の調整装置、冷凍装置、及び調整装置を動作させる方法
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  • 特表-冷凍装置の主圧縮機に流入する冷媒流体の圧力及び/又は温度の調整装置、冷凍装置、及び調整装置を動作させる方法 図1
  • 特表-冷凍装置の主圧縮機に流入する冷媒流体の圧力及び/又は温度の調整装置、冷凍装置、及び調整装置を動作させる方法 図2A
  • 特表-冷凍装置の主圧縮機に流入する冷媒流体の圧力及び/又は温度の調整装置、冷凍装置、及び調整装置を動作させる方法 図2B
  • 特表-冷凍装置の主圧縮機に流入する冷媒流体の圧力及び/又は温度の調整装置、冷凍装置、及び調整装置を動作させる方法 図3A
  • 特表-冷凍装置の主圧縮機に流入する冷媒流体の圧力及び/又は温度の調整装置、冷凍装置、及び調整装置を動作させる方法 図3B
  • 特表-冷凍装置の主圧縮機に流入する冷媒流体の圧力及び/又は温度の調整装置、冷凍装置、及び調整装置を動作させる方法 図4
  • 特表-冷凍装置の主圧縮機に流入する冷媒流体の圧力及び/又は温度の調整装置、冷凍装置、及び調整装置を動作させる方法 図5
  • 特表-冷凍装置の主圧縮機に流入する冷媒流体の圧力及び/又は温度の調整装置、冷凍装置、及び調整装置を動作させる方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】冷凍装置の主圧縮機に流入する冷媒流体の圧力及び/又は温度の調整装置、冷凍装置、及び調整装置を動作させる方法
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/10 20060101AFI20241001BHJP
   F04B 49/22 20060101ALI20241001BHJP
   F04B 41/00 20060101ALI20241001BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
F25B1/10 J
F04B49/22
F04B41/00 B
F25B1/00 101E
F25B1/00 331E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516567
(86)(22)【出願日】2022-09-12
(85)【翻訳文提出日】2024-05-11
(86)【国際出願番号】 IB2022058552
(87)【国際公開番号】W WO2023042051
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】102021000023750
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521176695
【氏名又は名称】トゥルボアルゴール ソチエタ ア レスポンサビリタ リミタータ
【氏名又は名称原語表記】TURBOALGOR S.r.l.
(74)【代理人】
【識別番号】110003292
【氏名又は名称】弁理士法人三栄国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マウリツィオ アスカーニ
【テーマコード(参考)】
3H076
3H145
【Fターム(参考)】
3H076AA13
3H076BB28
3H076CC44
3H076CC91
3H145AA03
3H145AA12
3H145AA27
3H145BA49
3H145BA50
3H145CA02
3H145CA06
3H145CA19
3H145DA05
3H145EA13
3H145EA16
(57)【要約】
【課題】シリンダヘッドへのピストンノックによるレシプロ圧縮機の機械的破損を招く危険性なしに使用できる、冷凍装置用の調整装置を提供する。
【解決手段】閉回路内を循環する冷媒流体の圧力及び/又は温度を調整する調整装置(1)であって、ロッド(8)と一体でシリンダ(7)内を移動可能なピストン(9a)を有するレシプロ圧縮機を備えており、前記シリンダは、第1のチャンバ(10)と第2のチャンバ(20)を備えており、第2のチャンバは、前記ピストンを移動させて前記第1のチャンバ内の前記冷媒流体を圧縮するために、第2の流量の冷媒流体を流入させるための第3のポート(21)を有しており、前記調整装置の制御手段(50)は、前記第1のピストンの移動速度を制御し、冷媒流体を吸引するステップにおいて第1ピストンが移動する間、前記冷媒流体を前記閉回路に再流入させる。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力及び/又は温度を調整する必要がある流量(P)の冷媒流体が循環する閉回路(C)と、主圧縮機(101)と、冷却装置(102)と、蒸発器(103)を備えた冷凍装置における、前記閉回路(C)内を循環する前記冷媒流体の前記圧力及び/又は温度を調整する調整装置(1)であって、
前記調整装置(1)は、少なくとも1つのシリンダ(7)、少なくとも1つのロッド(8)、前記ロッドと一体で前記シリンダ内を移動可能な少なくとも1つの第1のピストン(9a)を有する少なくとも1つのレシプロ圧縮機(2)を備えており、
前記シリンダ(7)は、第1のチャンバ(10)と、前記第1のピストンによって前記第1のチャンバから流体的に分離された第2のチャンバ(20)を備えており、
前記第1のチャンバは、前記蒸発器から来る第1の流量の前記冷媒流体を吸入するための第1のポート(11)と、前記第1のチャンバ(10)内で圧縮された前記冷媒流体を前記主圧縮機(101)に到達するように排出するための第2のポート(12)とを有しており、
前記第2のチャンバは、前記第1のピストンを移動させて前記第1のチャンバ(10)内の前記冷媒流体を圧縮するために、第2の流量(X2)の前記冷媒流体を流入させるための少なくとも1つの第3のポート(21)を有しており、
前記調整装置(1)は、さらに、前記少なくとも1つのロッド(8)の作動を制御するための制御手段(50)を備えており、前記制御手段は、前記少なくとも1つの第1のピストン(9a)の移動を制御し、前記第1のチャンバ内の前記第1の流量の冷媒流体を圧縮するために、前記冷媒流体の前記少なくとも1つの第2の流量を分流するように構成されており、
前記第1の流量の冷媒流体を吸引するステップにおいて前記少なくとも1つの第1のピストン(9a)が移動する間、前記第2の流量の前記冷媒流体を前記閉回路に再流入させ、
前記制御手段(50)は、前記第2の流量のための入口ライン(51a)及び出口ライン(51b)を有する回転弁(51)と、前記回転弁を通る少なくとも1つの第1の通路(52a)とを備えており、
前記回転弁は、前記入口ライン(51a)と前記回転弁(51)との間の流体連通が行われる少なくとも1つの第1の円周方向位置(P1)と、前記少なくとも1つの第2のチャンバ(20)と前記回転弁(51)の前記出口ライン(51b)との間の流体連通が行われる少なくとも1つの第2の円周方向位置(P2)に位置するように回転可能であり、
前記第1の円周方向位置(P1)では、前記第2の流量の前記冷媒流体が前記第2のチャンバ(20)に流入して、前記第1のチャンバ(10)内の前記冷媒流体を圧縮し、
前記第2の円周方向位置(P2)では、前記少なくとも1つの第2のチャンバ(20)と前記回転弁(51)の前記出口ライン(51b)との間の流体連通が行われ、前記少なくとも1つの第2のチャンバ(20)内の前記冷媒流体の吸引が、前記少なくとも1つの通路(52a)を介して行われることを特徴とする調整装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記レシプロ圧縮機(2)が、前記少なくとも1つのロッド(8)と一体でかつ前記シリンダ(7)内で並進移動できる少なくとも1つの追加のピストン(9b)を備え、
前記シリンダ(7)は、
前記蒸発器から来る前記第1の流量の前記冷媒流体が流入するための追加の第1のポート(11a)を備える追加の第1のチャンバ(10a)と、
前記追加の第1のチャンバ内(10a)にあり、前記主圧縮機(101)に到達するように意図された、圧縮された前記第1の流量の冷媒流体の出口のための追加の第2のポート(12a)とを有し、
前記シリンダ(7)は、さらに、追加の第2のチャンバ(20a)を備えており、前記追加の第2のチャンバ(20a)は、前記追加のピストン(9b)によって前記追加の第1のチャンバ(10a)から流体的に分離され、前記追加のピストン(9b)を移動させて、前記追加の第1のチャンバ(10a)内の前記冷媒流体を圧縮するために、前記冷媒流体の第2の流量を流入させるための少なくとも1つの追加の第3のポート(21a)を有しており、
前記回転弁は、少なくとも1つの第2の通路(52b)を備え、
前記第2の通路(52b)は、少なくとも前記回転弁が前記第1の円周方向位置(P1)にあるときに、前記少なくとも1つの追加の第1チャンバ(10a)内に冷媒流体を吸入するために、前記少なくとも1つの追加の第2のチャンバ(20a)と前記回転弁の前記出口ラインとの間の流体連通を可能とし、
そして少なくとも前記回転弁が前記第2の円周方向位置(P2)にあるとき、前記回転弁の前記入口ライン(51a)と前記少なくとも1つの追加の第2のチャンバ(20a)との間が、前記少なくとも1つの第2の通路(52b)を介して流体連通することにより、前記第2の流量が前記追加の第2のチャンバ(20a)に流入し、前記少なくとも1つの追加の第1チャンバ(10a)内の前記第1の流量が圧縮されることを特徴とする調整装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記回転弁(51)の回転速度を調整し、前記第1の円周方向位置(P1)と前記第2の円周方向位置(P2)との間のスイッチング周波数を変更するための調整手段(53)を備えていることを特徴とする調整装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記回転弁(51)の前記調整手段(53)が、回転のために前記回転弁と機械的に結合された電動モータ(55)と、
前記電動モータの回転速度を調整するように構成されたインバータ(56)と、前記インバータの動作を制御するために前記インバータに機能的に接続された制御ユニット(57)とを備えていることを特徴とする調整装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記回転弁の前記入口ライン(51a)に沿って配置された圧力センサ(58)を備えており、
前記圧力センサは、前記回転弁の回転速度が前記圧力センサによって測定された圧力に応じて変化するように、前記制御ユニット(57)に機能的に接続されていることを特徴とする調整装置。
【請求項6】
請求項4において、
前記レシプロ圧縮機(2)の吸入ライン(2a)に沿って配置された圧力センサ(59)及び/又は温度センサ(60)を備えており、
前記圧力センサ及び/又は前記温度センサは、前記回転弁の回転速度が、前記圧力センサ及び/又は前記温度センサによって測定された圧力及び/又は温度に応じて変化するように、前記制御ユニット(57)に機能的に接続されていることを特徴とする調整装置。
【請求項7】
請求項3において、
前記レシプロ圧縮機の前記第1のピストン及び/又は前記追加の第1のピストンの前記少なくとも1つのシリンダに沿った位置を測定して、前記第1のピストンおよび/又は前記追加のピストンが到達する位置を測定するための少なくとも1つの位置センサ(61)を備えており、
前記位置センサは、前記回転弁の回転速度が前記少なくとも1つの位置センサから得られる情報に応じて変化するように、前記調整手段に機能的に接続されていることを特徴とする調整装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記位置センサ(61)が少なくとも1つの近接センサを備えていることを特徴とする調整装置。
【請求項9】
冷媒流体(P)が内部を循環する閉回路(C)と、主圧縮機(101)と、冷却装置(102)と、第1の流量の冷媒流体が流出する蒸発器(103)、少なくとも1つの膨張弁(104)とを備えている冷凍装置(100、100’)であって、請求項1に記載の少なくとも1つの前記調整装置を備え、
前記閉回路は、第2の流量の前記冷媒流体が流れる少なくとも1つのエコノマイザ分岐(105)をさらに備え、
前記少なくとも1つのエコノマイザ分岐は、前記冷却装置と前記膨張弁との間に含まれる前記閉回路の区間と、前記蒸発器(103)と前記主圧縮機(101)との間に含まれる前記閉回路の区間とを流体的に接続し、
前記調整装置(1)の前記レシプロ圧縮機は、その入口で前記蒸発器から出る前記第1の流量を有し、前記回転弁は、その入口で前記エコノマイザ分岐(105)に沿って循環する前記第2の流量を有し、
前記回転弁の前記出口ラインは、前記レシプロ圧縮機(2)の下流で前記主圧縮機(101)の前記入口ラインに接続されていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項10】
冷媒流体の流量(P)が循環する閉回路(C)と、主圧縮機(101)と、冷却装置(102)と、蒸発器(103)と、 請求項1に記載の前記調整装置を備えた冷凍装置(100’’)であって、
前記調整装置の前記レシプロ圧縮機(2)は、その入口において前記蒸発器から出る前記第1の流量を有し、前記回転弁は、その入口において前記冷凍装置(102)から出る流量を有し、
前記回転弁の出口ラインは前記蒸発器に接続されていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記閉回路内を循環する前記冷媒流体の流量は、前記第1の冷媒流体の流量及び前記第2の冷媒流体の流量と同一であることを特徴とする冷凍装置(200)。
【請求項12】
請求項1に記載の調整装置(1)を動作させる方法であって、前記方法は以下のステップを含むことを特徴とする。
a)前記レシプロ圧縮機(2)の前記シリンダ(7)の前記少なくとも1つの第1のチャンバ(10)内に第1の流量の前記冷媒流体が流入できるようにするステップと、
b)前記レシプロ圧縮機(2)の前記シリンダの前記少なくとも1つの第2のチャンバ(20)内に第2流量の前記冷媒流体を流入させて、前記少なくとも1つの第1のピストン(9a)の移動を制御し、前記第1チャンバ(10)内の前記第1の流量の冷媒流体を圧縮するステップと、
c)前記ステップa)中に前記第1の流量の前記冷媒流体を吸入するステップ中の前記少なくとも1つの第1のピストン(9a)の移動中に、前記第2の流量の冷媒流体を前記閉回路に再流入させるステップとを有するものにおいて、
前記ステップc)は、
c1) 前記入口ライン(51a)と前記回転弁(51)との間の流体連通が行われる少なくとも1つの第1の円周方向位置(P1)になるように、前記第1の位置で前記回転弁(51)を回転させ、前記少なくとも1つの第2のチャンバ(20)は、前記少なくとも1つの第1のチャンバ(10)内に含まれる前記第1の流量の圧縮のために、前記少なくとも1つの第1通路(52a)を通して、前記第2のチャンバ(20)への前記第2の流量(X2)の流入が可能となるステップと、
c2)前記回転弁を前記第2の円周方向位置(P2)へ回転させ、前記少なくとも1つの第2のチャンバ(20)と前記回転弁(51)の前記出口ライン(51b)との間の流体連通が、前記少なくとも1つの通路(52a)を介して可能となり、前記少なくとも1つの第1のチャンバ(10)内に前記冷媒流体を吸入するステップとを含む。
【請求項13】
請求項12において、ステップとしてさらに、
d)前記回転弁(51)の前記第1の円周方向位置から前記第2の円周方向位置への切り替え速度を、前記回転弁に流入する前記冷媒流体の圧力に応じて、前記レシプロ圧縮機の前記第1のチャンバに流入する冷媒流体の圧力及び/又は温度に依存して、又は前記レシプロ圧縮機(2)の前記シリンダ(7)内で前記少なくとも1つの第1のピストンが到達する位置に依存して、調整するステップを含むことを特徴とする調整装置を動作させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍装置の主圧縮機に流入する冷媒流体の圧力及び/又は温度を調整する調整装置、冷凍装置、及び調整装置を動作させる方法に関する。
特に、この装置は、二酸化炭素タイプ又は同様の特性を有する冷媒流体で動作する冷凍装置に使用される。しかしながら、本発明の解決対象は電力生産の分野にも応用できることを強調しておくべきである。
【背景技術】
【0002】
従来から知られているように、上記のタイプの冷媒流体用の冷凍装置は、冷媒流体が流れる閉回路と、この閉回路に沿って配置された主圧縮機、冷媒流体の冷却器、膨張弁及び蒸発器を備えている。
二酸化炭素を冷媒流体として使用する冷凍装置では、その効率を高めるために、閉回路内を循環する冷媒流体に対して1つ又は複数の二次エコノマイザ分岐を使用することも知られている。既知の技術によれば、二次エコノマイザ分岐は、一方の側が、閉回路の主分岐の冷却装置又は冷却器と膨張弁との間の一部に流体接続され、また、他方の側は、主圧縮機へ流体接続されることに留意されるべきである。
この二次エコノマイザ分岐は、膨張弁と、主回路と熱交換するための熱交換器とを備えており、この二次エコノマイザ分岐から出て来る冷媒の流れは、冷凍装置の回路内を循環する最大圧力と最小圧力の間、つまり冷却装置の流体の圧力と蒸発器の流体の圧力との間の圧力を有する。いずれにせよ、1つ以上の二次エコノマイザ分岐を使用したとしても、冷媒流体として二酸化炭素を採用する冷凍装置はエネルギー効率が良いわけではない。実際、その効率は依然としてかなり低いものである。
【0003】
本件出願人の名義による特許文献1には、上述したタイプの回路、すなわち少なくとも1つのエコノマイザ分岐を備えた回路内に、この冷凍装置の主圧縮機に流入する冷媒流体の圧力及び温度を調整するための装置も備えた冷凍装置が記載されている。
実際には、この調整装置は、蒸発器と主圧縮機の間に機能的に接続されたレシプロ圧縮機と、蒸発器から出て同じレシプロ圧縮機のシリンダ内に含まれる冷媒流体を圧縮するようにレシプロ圧縮機のピストンの移動を制御するために、二次エコノマイザ分岐から来る冷媒流体の一部分の少なくとも一部を分流する手段と、蒸発器から来る冷媒流体を吸入するピストンの移動ステップ中に、冷媒流体の一部分の一部を二次エコノマイザ分岐に再導入し、二次エコノマイザ分岐の出口セクションを通って冷媒流体の一部を排出させるための手段とで構成されている。この二次エコノマイザ分岐の出口セクションは、レシプロ圧縮機の下流に配置されている。
方向転換手段は、ロッドに固定されたピストンシリンダで構成されており、その移動は調整装置のレシプロ圧縮機内のピストンによって制御される。特に、このロッドは、ピストンがレシプロ圧縮機のシリンダの端に到達したときに移動する。実際、シリンダヘッドにはマイクロスイッチがあり、このスイッチがピストンによって押されると、レシプロ圧縮機と方向転換手段は次の動作サイクルを開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2020/084545(特表2022-509452)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような解決策で使用されるレシプロ圧縮機は、ピストンの動きがコネクティングロッド/クランク機構によっては制御されず、従って自由に動くため、フリーピストン膨張機圧縮機としても知られている。この解決策は、機械的に非常に簡単であるという利点があるが、その一方で、ピストンがシリンダ ヘッドと衝突する潜在的なリスクがある。これが、往復動する圧縮機ピストンの振動周波数が低く抑えられている理由である。
しかしながら、例えば上記のシリンダの端を使用する解決策は、レシプロ圧縮機のピストンの振動周波数を制限するという問題を解決せず、さらに、このレシプロ圧縮機が設置されている冷凍システムが正しく動作するために重要となる特定のパラメータを制御下に保つことができない。
【0006】
従って、本発明の目的は、シリンダヘッドへのピストンノックによるレシプロ圧縮機の機械的破損を招く危険性なしに使用できる、冷凍装置用の調整装置を提供することである。
【0007】
本発明のさらなる目的は、内部に存在するレシプロ圧縮機の制御を容易にする調整装置を提供することである。
さらに、本発明の目的は、冷凍装置内の調整装置をより効果的に調整し、微調整することを可能にする方法を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これら及び他の目的は、以下の機能を有する冷凍装置の主圧縮機に流入する冷媒流体の圧力及び/又は温度を調節する調節装置によって達成される。すなわち、
圧力及び/又は温度を調整する必要がある所定の流量の冷媒流体が循環する閉回路と、主圧縮機と、冷却装置と、蒸発器を備えた冷凍装置における、前記閉回路内を循環する前記冷媒流体の前記圧力及び/又は温度を調整する調整装置であって、
前記調整装置は、少なくとも1つのシリンダ、少なくとも1つのロッド、前記ロッドと一体で前記シリンダ内を移動可能な少なくとも1つの第1のピストンを有する少なくとも1つのレシプロ圧縮機を備えており、
前記シリンダは、第1のチャンバと、前記第1のピストンによって前記第1のチャンバから流体的に分離された第2のチャンバを備えており、
前記第1のチャンバは、前記蒸発器から来る第1の流量の前記冷媒流体を吸入するための第1のポートと、前記第1のチャンバ内で圧縮された前記冷媒流体を前記主圧縮機に到達するように排出するための第2のポートとを有しており、
前記第2のチャンバは、前記ピストンを移動させて前記第1のチャンバ内の前記冷媒流体を圧縮するために、第2の流量の前記冷媒流体を流入させるための少なくとも1つの第3のポートを有しており、
前記調整装置は、さらに、前記少なくとも1つのロッドの作動を制御するための制御手段を備えており、前記制御手段は、前記少なくとも1つの第1のピストンの移動を制御し、前記第1のチャンバ内の前記第1の流量の冷媒流体を圧縮するために、前記冷媒流体の前記少なくとも1つの第2の流量を分流するように構成されており、
前記第1の流量の冷媒流体を吸引するステップにおいて前記少なくとも1つの第1ピストンが移動する間、前記第2の流量の前記冷媒流体を前記閉回路に再流入させ、
前記制御手段は、前記第2の流量のための入口ライン及び出口ラインを有する回転弁と、前記回転弁を通る少なくとも1つの第1の通路とを備えており、
前記回転弁は、前記入口ラインと前記回転弁との間の流体連通が行われる少なくとも1つの第1の円周方向位置と、前記少なくとも1つの第2のチャンバと前記回転弁の前記出口ラインとの間の流体連通が行われる少なくとも1つの第2の円周方向位置に位置するように回転可能であり、
前記第1の円周方向位置では、前記第2の流量の前記冷媒流体が前記第2のチャンバに流入して、前記第1のチャンバ内の前記冷媒流体を圧縮し、
前記第2の円周方向位置では、前記少なくとも1つの第2のチャンバと前記回転弁の前記出口ラインとの間の流体連通が行われ、前記少なくとも1つの第2のチャンバ内の前記冷媒流体の吸引が、前記少なくとも1つの通路を介して行われる。
【0009】
この装置は、特に、冷媒流体が二酸化炭素である冷凍装置に使用される。
この解決策により、上述の既知技術の問題を解決することができる。
この解決策によれば、請求の範囲に記載の主圧縮機の場合のように、フリーピストンを有するレシプロ圧縮機の振動周波数は、回転弁の回転速度に直接関係する。実際には、回転弁の回転速度が2倍になると、レシプロ圧縮機のピストンの振動周波数も2倍になる。従って、回転弁の回転速度が増加すると、ピストンのストロークが減少し、レシプロ圧縮機によって処理される流体の流量が増加する。この、回転弁の速度を調整する装置(例えば静止型インバータ)用いた手段により、システムによって提供される効率や冷却力を最大化するために冷凍サイクルを最適化することができる。
【0010】
さらに、高周波数で動作できるため、使用するレシプロ圧縮機の機械効率の点で大きな利点が得られる。実際、同じ動作条件下で必要な容量はピストンの振動周波数に反比例するため、より小さなレシプロ圧縮機の容量、つまりよりコンパクトな圧縮機を使用することが可能である。この側面は、特に、冷凍システムが(100バールを超える)高圧の場合でも、容量が小さくて安全上の問題が少なくなるという利点がある。
【0011】
提案された解決策のさらなる実施形態によれば、
前記レシプロ圧縮機が、前記少なくとも1つのロッドと一体でかつ前記シリンダ内で並進移動できる少なくとも1つの追加のピストンを備え、
前記シリンダは、 前記蒸発器から来る前記第1の流量の前記冷媒流体が流入するための追加の第1のポートを備える追加の第1のチャンバと、前記追加の第1のチャンバ内にあり、前記主圧縮機に到達するように意図された、圧縮された前記第1の流量の冷媒流体の出口のための追加の第2のポートとを有し、
前記シリンダは、さらに、追加の第2のチャンバを備えており、前記第2のチャンバは、前記追加のピストンによって前記追加の第1のチャンバから流体的に分離され、前記追加のピストンを移動させて、前記追加の第1のチャンバ内の前記冷媒流体を圧縮するために、前記冷媒流体の第2の流量を流入させるための少なくとも1つの追加の第3のポートを有しており、
前記回転弁は、少なくとも1つの第2の通路を備え、前記第2の通路は、少なくとも前記回転弁が前記第1の円周方向位置にあるときに、前記少なくとも1つの追加の第1チャンバ内に冷媒流体を吸入するために、前記少なくとも1つの追加の第2のチャンバと前記回転弁の前記出口ラインとの間の流体連通を可能とし、
そして少なくとも前記回転弁が前記第2の円周方向位置にあるとき、前記回転弁の前記入口ラインと前記少なくとも1つの追加の第2のチャンバとの間が、前記少なくとも1つの第2通路を介して流体連通することにより、前記第2の流量が前記追加の第2のチャンバに流入し、前記少なくとも1つの追加の第1チャンバ内の前記第1の流量が圧縮される。
【0012】
このさらなる解決策により、レシプロ圧縮機のリリーフラインから、及び回転弁の出口ラインから、それぞれ第1の流量及び第2の流量を連続的に流すことが可能になる。
【0013】
本発明の特定の態様によれば、調整装置は、前記回転弁の回転速度を調整し、前記第1の円周方向位置と前記第2の円周方向位置との間のスイッチング周波数を変更するための手段を備えている。
【0014】
特に、前記回転弁の前記調整手段は、回転のために前記回転弁と機械的に結合された電動モータと、前記電動モータの回転速度を調整するように構成されたインバータと、前記インバータの動作を制御するために前記インバータに機能的に接続されている制御ユニットとを備えている。実際には、制御ユニットからの情報に基づいて、インバーターにより、回転弁が機械的に接続されている電動モータの速度を調整できる。
【0015】
さらに、調整装置は、回転弁の入口ラインに沿って配置された圧力センサを備えている。前記圧力センサは、前記回転弁の回転速度が前記圧力センサによって測定された圧力に応じて変化するように、前記調整手段、特に前記制御ユニットに機能的に接続されている。
【0016】
ただし、後述するように、この調整装置が設置されている冷凍システムにエコノマイザ分岐があって、このエコノマイザ分岐が回転弁の入口にある場合、ピストンの振動周波数は前記エコノマイザ(前記圧力センサからの圧力測定を伴う)によって生成された蒸気の圧力によって正確に制御される。
この場合の目的は、エコノマイザからの圧力を(設定値で)一定に保つことである。これにより、二重のメリットが得られる。実際、冷凍サイクルのエネルギー効率の点で最大値が達成される一方で、システムが不安定になるリスク、つまり冷媒流体の圧力と温度が均衡値付近で振動するリスクがあるが、これは回避される。
【0017】
詳細には、冷媒流体の回転弁の入口ラインに沿った圧力が1つの設定値に対して増加した場合、制御ユニットは、インバータによって回転弁(すなわち、回転弁が一体化されている電動モータ)の回転速度を増加させるように制御し、冷媒流体の第2の流量の圧力を低下させる。
回転弁に流入する冷媒流体の圧力が設定値に比べて低下しすぎると、制御ユニットはインバータによって回転弁(すなわち、回転弁が一体化されている電動モータ)の回転速度を低下するように制御し、その結果、冷媒流体の第2の流量の圧力を増加させる。これにより、調整装置が設置されている冷凍装置について、一定レベルの冷凍を達成するために、決定された設定圧力を追求することが可能になる。
【0018】
さらに、調整装置は、前記回転弁の回転速度が、前記圧力センサ及び/又は前記温度センサによって測定された圧力及び/又は温度に応じて変化するように、前記レシプロ圧縮機の吸入ラインに沿って配置され、前記調整手段、特に前記制御ユニットに機能的に接続された圧力センサ及び/又は温度センサを備えることができる。
【0019】
この場合も、回転弁の回転速度の制御は、レシプロ圧縮機に流入する前記流体の圧力値及び/又は温度値によって達成される。従って、冷凍装置の蒸発器出口に、調整装置が設置されている。従って、レシプロ圧縮機の入口ラインに到達する第1の流量の冷媒流体の圧力及び/又は温度値が設定値データに対して変化した場合、制御ユニットは、インバータを介して、回転弁(すなわち、回転弁が一体化されている電動モータ)の回転速度を増減させ、その結果、冷媒流体の第1の流量の圧力が増加及び/又は減少する。
【0020】
本発明のさらなる実施形態では、調整装置は、前記レシプロ圧縮機の前記第1のピストン及び/又は前記追加の第1のピストンの、前記少なくとも1つのシリンダに沿った位置、及び/又は前記レシプロ圧縮機の前記追加の第1のピストンに沿った位置を測定するための位置センサを備えることができる。前記位置センサは、前記少なくとも1つの位置センサから得られる情報に応じて前記回転弁の回転速度が変化するように、前記調整手段に機能的に接続されている。実際には、制御ユニットは、前記少なくとも1つの位置センサから得られる入力情報を受け取り、前記少なくとも1つの位置センサから得られる情報に応じて、前記回転弁の回転速度の変化を制御する。
【0021】
特に、前記位置センサは少なくとも1つの近接センサを有しており、これにより、ピストンが最適に機能するためにこのピストンが到達する必要がある位置を微調整できる。実際、ピストンがストローク中に位置センサが配置されている位置に到達した場合、制御ユニットは回転弁の回転速度の増加を制御する。そのため、ある時点で、ピストンのストロークが減少し、近接センサがピストンの存在を「感知」できなくなる可能性がある。
この時点で、制御ユニットは、ピストンのストロークを増加させて再び圧力センサの位置に到達させるために、回転弁の回転速度の減少を制御する必要がある。実際には、ある意味、位置センサが配置されているシリンダに沿ってピストンの位置が継続的に追跡されることになる。その結果、ピストンは一定の周波数で振動するのではなく、ストロークが最大となる平均値が「わずかに変化する」周波数で振動する。
【0022】
冷凍装置の第1の実施形態によれば、冷凍装置は、流量の冷媒流体が循環する閉回路と、主圧縮機と、冷却装置と、第1の流量が流出する蒸発器と、少なくとも1つの膨張弁と、請求項1から8のいずれか一項又は複数項に記載の少なくとも1つの調整装置とを備え、
前記閉回路は、さらに、第2の流量の冷媒流体が流れる少なくとも1つのエコノマイザ分岐を備え、
前記少なくとも1つのエコノマイザ分岐は、前記冷却装置と前記膨張弁との間に含まれる前記閉回路の区間と、前記蒸発器と前記主圧縮機との間に含まれる区間の前記閉回路とを流体的に接続し、
前記調節装置の前記レシプロ圧縮機は、その入口で前記蒸発器から出る前記第1の流量を有し、前記回転弁は、その入口で前記エコノマイザ分岐に沿って循環する前記第2の流量を有し、
前記回転弁の前記出口ラインは、前記レシプロ圧縮機の下流で前記主圧縮機の入口ラインに接続されている。
【0023】
上述したように、この実施形態では、ピストンの振動周波数は、エコノマイザによって生成される蒸気の圧力によって制御することができる。
この場合の目的は、エコノマイザからの圧力を(設定値で)一定に保つことであり、これにより、二重のメリットが得られる。実際、冷凍サイクルのエネルギー効率の点で最大値が達成される一方で、システムが不安定になるリスク、つまり冷媒流体の圧力と温度が均衡値の周囲で振動するリスクがあるが、このリスクが回避される。
【0024】
第2の実施形態によれば、前記調節装置は、冷媒流体の流量が内部を循環する閉回路、主圧縮機、冷却装置、蒸発器、及び請求項1から8の1つ又は複数に記載の調整装置を備え、
前記調節装置の前記レシプロ圧縮機は、その入口において前記蒸発器から出る前記第1の流量を有し、前記回転弁は、その入口において前記冷凍装置から出る前記流量を有し、前記回転弁の出口ラインは前記蒸発器に接続されている。
特に、この後者の実施形態では、前記閉回路内を循環する冷媒流体の流量は、冷媒流体の第1の流量及び冷媒流体の第2の流量と同一である。さらに、この実施形態には、膨張弁又は絞り弁がない。
【0025】
最後に、前記目的は、請求項1から8までの1つ又は複数に記載の調整装置を動作させる、以下のステップを含む方法によっても達成される。
a)前記レシプロ圧縮機の前記シリンダの前記少なくとも1つの第1のチャンバ内に第1の流量の冷媒流体が流入できるようにするステップと、
b)前記レシプロ圧縮機の前記シリンダの前記少なくとも1つの第2のチャンバ内に第2流量の冷媒流体を流入させて、前記少なくとも1つの第1ピストンの移動を制御し、前記第1のチャンバ内に収容されている前記第1流量の冷媒流体を圧縮するステップと、
c)前記ステップa)中に前記第1の流量の冷媒流体を吸引するステップ中の前記少なくとも1つの第1のピストンの移動中に、前記第2の流量の冷媒流体を前記閉回路に再流入させるステップとを有し、
前記ステップc)は、
c1)前記入口ライン(51a)と前記回転弁(51)との間の流体連通が行われる少なくとも1つの第1の円周方向位置(P1)になるように、前記第1の円周方向位置で前記回転弁(51)を回転させ、前記少なくとも1つの第2のチャンバ(20)は、前記少なくとも1つの第1のチャンバ(10)内に含まれる前記第1の流量の圧縮のために、前記少なくとも1つの第1通路(52a)を通して、前記第2のチャンバ(20)への前記第2の流量(X2)の流入が可能となるステップと、
c2)前記回転弁を前記第2の円周方向位置(P2)へ回転させ、前記少なくとも1つの第2のチャンバ(20)と前記回転弁(51)の前記出口ライン(51b)との間の流体連通が、前記少なくとも1つの通路(52a)を介して可能となり、前記少なくとも1つの第1のチャンバ(10)内に前記冷媒流体を吸入するステップとを含む。
【0026】
この方法は、ステップとしてさらに、
d)前記回転弁(51)の前記第1の円周方向位置から前記第2の円周方向位置への切り替え速度を、前記回転弁に流入する前記冷媒流体の圧力に応じて、前記レシプロ圧縮機の前記第1のチャンバに流入する冷媒流体の圧力及び/又は温度に依存して、又は前記レシプロ圧縮機(2)の前記シリンダ(7)内で前記少なくとも1つの第1のピストンが到達する位置に依存して、調整するステップを含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施例による調整装置が設置された、冷凍装置の概略図である。
図2A】本発明の第1の実施例の調整装置の縦断面図であって、少なくとも回転弁がその第1の角度位置にあるときの状態を示す図である。
図2B図2Aと同じ実施例の調整装置の縦断面図であって、回転弁がその第2の角度位置にあるときの状態を示す図である。
図3A】本発明の第2の実施例の調整装置の略縦断面図であって、少なくとも回転弁がその第1の角度位置にあるときの状態を示す図である。
図3B図3Aと同じ実施例の調整装置の縦断面図であって、回転弁がその第2の角度位置にあるときの状態を示す図である。
図4】本発明の実施例の調整装置が設置される、他の冷凍装置の概略図である。
図5】本発明の実施例の調整装置が設置される、第3の冷凍装置の概略図である。
図6】本発明の第3の実施例の調整装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の幾つか実施形態を、添付の図面を参照しながら、非限定的な例として説明する。
各図において、1は、本発明における調整装置の全体を示している。特に、図1は、調整装置1が設置される一般的な冷凍装置(冷凍システム)100の構成例を示している。
【0029】
この冷凍装置100は、特に、流量Pの冷媒流体が循環する閉回路Cと、主圧縮機101と、冷却装置102と、第1の流量X1の冷媒が流出する蒸発器103と、少なくとも1つの膨張弁104とを備えている。主圧縮機101は、オルターナティブタイプであるが、別の実施形態では、この主圧縮機101は、本発明の保護範囲から逸脱することなく、別のタイプであってもよい。閉回路Cはさらに、第2の流量X2の冷媒流体が流れる、1つのエコノマイザ分岐105を備えている。
このエコノマイザ分岐105は、前記閉回路の、冷却装置102と膨張弁104との間の区間と、蒸発器103と主圧縮機101との間の区間とを、流体的に接続する。このエコノマイザ分岐105は、既知の構成の熱交換器106及び膨張弁107を備えている。
冷媒流体の圧力は、このエコノマイザ分岐105に沿って、冷却装置102の出口における圧力よりも低下する。一方、蒸発器103から流出する冷媒液の圧力は、第2の流量X2の冷媒液の圧力よりも低い。二次エコノマイザ分岐105は、この二次エコノマイザ分岐105内へ流量X2の冷媒流体が流入するための入口マニホールド105aと、主圧縮機101の上流側で閉回路Cに接続される出口マニホールド105bとを備えている。
【0030】
図2Aに、冷凍装置100の主圧縮機101に流入する冷媒流体の圧力及び温度を調整するための、調整装置1が示されている。
【0031】
本発明の第1の実施形態によれば、この調整装置1は、シリンダ7、ロッド8、及び、このロッド8と一体化されシリンダ7内で並進移動可能な第1のピストン9aとを有する、レシプロ圧縮機2を備えている。
このシリンダ7は、第1のチャンバ10を備えており、この第1のチャンバは、蒸発器103から来る第1の流量X1の冷媒流体を吸入するための第1のポート11と、第1のチャンバ10内で圧縮された冷媒の第1の流量X1を排出して冷凍装置100の主圧縮機101に到達させるための第2のポート12とを有している。シリンダ7は、さらに、第2のチャンバ20を備えており、この第2のチャンバは、第1のピストン9aによって第1のチャンバ10とは流体的に分離されており、また、第3のポート21を有しており、ここから、第2の流量X2の冷媒流体を第2のチャンバに流入させて第1のピストン9aを移動させることにより第1チャンバ10内の冷媒流体を圧縮する。
図4の冷凍装置100'、及び図5の冷凍装置100''の説明からも明らかなように、冷媒流体の第1の流量X1及び冷媒流体の第2の流量X2は、本発明の保護範囲から逸脱することなく、別個である、すなわち異なっていてもよく、あるいは同一であってもよい。
【0032】
この調整装置1は、さらに、ロッド8の作動を制御する制御手段50を備えている。この制御手段50は、冷媒流体の第2の流量X2を分流することにより、第1のピストン9aの移動を制御して、第1のチャンバ10内の第1の流量X1の冷媒流体を圧縮し、第1流量X1の冷媒流体を吸入するステップにおける第1のピストン9aの移動中に、第2の流量X2の冷媒流体を閉回路Cに再流入させるように構成されている。
この制御手段50は、第2の流量X2のための入口ライン51a及び出口ライン51bを備えた回転弁51と、同じ回転弁51を通る第1通路52aとを備えている。
さらに、この回転弁51は、第1の円周方向位置P1と、第2の円周方向位置P2になるように、回転可能である。この第1の円周方向位置P1では、第2の流量X2を第2のチャンバ20に流入させるために、第1通路52aを介して、回転弁51への入口ライン51aと第2のチャンバ20との間の流体連通が可能となり、同時に、第1のチャンバ10内の第1流量X1の圧縮が可能となる。
また、第2の円周方向位置P2では、第2のチャンバ20内の冷媒流体を吸引するために、第1通路52aを介して、第2のチャンバ20と回転弁51の出口ライン51bとの間の流体連通が可能になる。
【0033】
上記構成によれば、回転弁51の出口ライン51bは、レシプロ圧縮機2の下流でかつ主圧縮機101の上流に接続されている。特に、出口ライン51bは、二次エコノマイザ分岐105のマニホールド105bに接続されている。回転弁51は断面が円形であり、この回転弁51の本体内に第1通路52aが形成されている。実施例では、回転弁51は、過渡状態における第2の流量X2の冷媒流体の圧力の起こり得る望ましくない増加/減少も制御するように、可変速度で回転することができる。
実際、レシプロ圧縮機2のピストン9aの振動速度は、従って、そのピストンには依存せず、回転弁51の回転速度、すなわちその回転周波数に依存する。しかしながら、回転弁51の速度を変えること、従ってこの回転弁の第1の位置P1から第2の位置P2への切り替えの速度により、ピストン9aの最大振動数を制御することもできる。従って、レシプロ圧縮機2のシリンダヘッドへの望ましくないノックを伴う、ピストン9aの過剰ストロークの可能性を防止できる。
【0034】
図2Bは、回転弁51が第1の位置P1から第2の位置P2に移動したときに、ピストン9aが到達する位置を示している。レシプロ圧縮機2のポート11、12には、周知のように吸入弁14と吐出弁15がそれぞれ取り付けられている。
これらの弁14、15は、第1のチャンバ10内に冷媒流体を吸入するステップと、この第1チャンバ10内の冷媒流体を圧縮しその後吐出するステップとを周期的に行うように、ロッド8の移動に同期して開閉される。実際には、レシプロ圧縮機2の吸入ステップ中、すなわち回転弁51がその第2の位置P2に位置しているとき、第1ポート11は、第1のチャンバ10内での第1流量X1の通過を許容する(従って、吸入弁14は開く)が、第2ポート12は、第1のチャンバ10からの冷媒流体の排出を阻止する(従って、吐出弁15は閉じている)。
このステップでは、第3ポート21を介して、第2のチャンバ20から第2の流量X2が排出される。
【0035】
吸入工程が完了し、ピストン9aが最後端位置に到達すると、吸入弁14が閉弁し、回転弁51はその第1の円周方向位置P1の状態となり、第1のチャンバ10内の流体を圧縮するために、第2のチャンバ20にその流体の圧力よりも高い圧力の第2の流量X2が流入し始める。
ピストン9aが一定ストローク移動した後、吐出弁15が開き、リリーフライン2bに第1の流量X1が流れる。この時点で、吐出弁15が閉じ、吸入弁14が開き、回転弁51が第2の位置P2に移動してサイクルが再び開始される。レシプロ圧縮機2の吸入ステップと圧縮ステップとの間の速度は、回転弁51の切り替え速度によって明確に制御される。
【0036】
本明細書に記載の実施形態によれば、調整装置1は、回転弁51の回転速度を調整し、この回転弁の第1の円周方向位置P1と第2の円周方向位置P2との間のスイッチング周波数を変更する調整手段53を備えている。
これらの調整手段は、特に、回転弁51の回転のためにこれと機械的に結合された電動モータ55と、この電動モータの回転速度を調整するように構成されたインバータ56と、このインバータ56に機能的に接続された制御ユニット57とを備えており、調整手段は、回転弁51の回転速度と、この回転弁51がとる第1円周方向位置P1と第2円周方向位置P2との間のスイッチング周波数の変化を調整するように、その動作を制御する。
【0037】
特に、図2A及び図2Bでは、調整装置1は、回転弁51への入口ライン51aに沿って配置された圧力センサ58を備えている。この圧力センサ58は、回転弁51の回転速度が圧力センサによって測定された圧力に応じて変化するように、調整手段53、特に制御ユニット57に機能的に接続されている。
【0038】
この構成により、例えば二次エコノマイザ分岐105内を循環する第2の流量X2の流体の圧力を実質的に一定に保つように、回転弁51の速度を変化させることができる。実際、回転弁51の冷媒流体の入口ラインに沿った圧力が設定値に対して増加した場合、制御ユニット57はインバータ56によって回転弁51(従って、この回転弁51と一体化されている電動モータ55)の回転速度を増加するように制御する。その結果、冷媒流体の第2の流量X2の圧力が低下する。
回転弁51に流入する冷媒流体の圧力が所定の設定値に比べて低下しすぎると、制御ユニット57はインバータ56によって回転弁51(従って、この回転弁51と一体化されている電動モータ55)の回転速度を低減するように制御する。その結果、冷媒流体の第2の流量X2の圧力が増加する。これにより、調整装置が設置されている冷凍装置100において、決定された設定圧力を追求し、一定レベルの冷凍を達成することが可能になる。
【0039】
この場合の目的は、二次エコノマイザ105から流入する第2の流量X2の流体の圧力を(設定値で)一定に保つことにより、二重の利点があるからである。すなわち、一方では、冷凍サイクルのエネルギー効率の最大化が達成され、他方では、冷凍システム100が不安定になるリスク、すなわち、冷媒流体の圧力及び温度が均衡値付近で振動するリスクが回避される。
【0040】
他の実施形態では、調整装置1は、レシプロ圧縮機2の吸入ライン2aに沿って配置され、前述の制御ユニット57に機能的に接続された、圧力センサ59及び温度センサ60を備えている。この実施形態では、回転弁51の回転速度は、蒸発器103から来る冷媒流体の温度及び圧力条件によって制御される。実際には、冷凍システムは、蒸発器103の挙動が最適化されるように動作する。
【0041】
図3A及び図3Bに示される本発明のさらなる実施形態によれば、レシプロ圧縮機2は、追加のピストン9bを備えている。この追加のピストン9bは、ピストン9aの反対側の位置でロッド8と一体化され、シリンダ7内で並進移動することができる。
従って、このシリンダ7は、蒸発器103から来る冷媒流体の第1の流量X1を流入させるための追加の第1のポート11aと、追加の第2のポート12aを備えている。追加の第2のポート12aは、追加の第1のチャンバ10a内で圧縮された冷媒流体の第1の流量X1を圧縮機101に到達するように排出させるものである。
シリンダ7は、追加のピストン9bによって追加の第1のチャンバ10aから流体的に分離された、第2のチャンバ20aをさらに備えている。この第2のチャンバ20aは、追加の第3のポート21aを備えている。この第3のポート21aは、追加のピストン9bを移動させて追加の第1のチャンバ10a内の冷媒流体を圧縮するために、第2の流量X2の冷媒流体が流入するためのものである。
【0042】
回転弁51には、第2の通路52bが設けられている。この第2の通路52bは、少なくともこの回転弁51が第1の円周方向位置P1に位置するときに、追加の第2のチャンバ20aと、追加の第1のチャンバ10a内の冷媒流体を吸引するための回転弁51の出口ライン51bとの間の、流体連通を可能とする。さらに、回転弁51が第2の円周方向位置P2に位置するとき、第2の通路52bを介して、回転弁51の入口ライン51aと追加の第2のチャンバ20aとの間の流体連通が行われる。
その結果、第2の通路52bを通って、追加の第2のチャンバ20aへの冷媒流体の第2流量X2の流入が可能になり、それにより、追加の第1チャンバ10a内の第1流量の圧縮が可能になる。
【0043】
これにより、回転弁51の第1の円周方向位置P1と第2の円周方向位置P2の両方において、レシプロ圧縮機2からの連続的な冷媒の流出が可能になる。すなわち、常に、レシプロ圧縮機2から出て冷凍装置100の主圧縮機101に流入する、冷媒の第1の流量X1及び第2の流量X2が存在する。
【0044】
この実施形態の場合も、レシプロ圧縮機2の追加のポート11a、12aには、周知の方法で、吸入弁14a、吐出弁15aが装着されている。これらの弁14a、15aは、冷媒流体を追加の第1のチャンバ10a内に吸入するステップと、追加の第1のチャンバ10aに含まれるこの冷媒を圧縮しその後吐出するステップとを周期的に繰り返すように、ロッド8の移動に同期して開閉される。実際には、追加の第1のチャンバ10a内のレシプロ圧縮機2の吸入ステップ中、すなわち、回転弁51がその第1の円周方向位置P1にあるとき(この間、追加の第1のチャンバ10内に存在する流体の圧縮が起こる)。
追加の第1ポート11aは、追加の第1のチャンバ10a内へ第1流量X1が通過するために開かれ(従って、吸入弁14aが開かれる)、一方、追加の第2ポート12aは、追加の第1のチャンバ10aからの冷媒流体の排出を防止する。
【0045】
このステップでは、追加の第3ポート21aを通って、追加の第2のチャンバ20aからの第2流量X2の排出が起こる。
【0046】
従って、吸入ステップが完了し、ピストン9bが最後部位置に到達すると、追加の吸入弁14aが閉じた状態で(追加の吐出弁15aはまだ閉じたまま)、回転弁51はその第2の位置P2に位置し、追加の第1のチャンバ10a内の流体を圧縮するために、この流体の圧力よりも高い圧力の第2の流量X2が追加の第2のチャンバ20aに流入し始める。
ピストン9bが一定ストローク移動した後、吐出弁15aが開き、これにより、リリーフライン2bへ第1流量X1が流れる。この時点で、追加の吐出弁15aが閉じ、追加の吸入弁14aが開き、一方、回転弁51はその第1の円周方向位置P1に移動することにより、サイクルを再開する。
【0047】
レシプロ圧縮機2の吸入ステップと圧縮ステップとの間の速度は、回転弁51の切り替え速度によって明確に制御される。本実施形態では、2つの通路52a、52bが存在するため、回転弁51が90°回転する毎に、第1の円周方向位置P1から第2の円周方向位置P2に切り替わる。
【0048】
また、この実施形態では、回転弁51は、電動モータ55、インバータ56、及び制御ユニット57に接続されている。この制御ユニットは、回転弁51の回転速度を調整し、第1の円周方向位置P1と第2の円周方向位置P2との間のスイッチング周波数を変更する。
さらに、第1の実施形態と同様に、この実施形態でも、調整装置1は、回転弁51の入口ライン51aに沿って配置された圧力センサ58を備えている。圧力センサ58は、この圧力センサ58によって検出された冷媒流体の圧力に応じて回転弁51(従ってそれに機械的に接続された電動モータ55)の速度を調整するような方法で、制御ユニット57に機能的に接続されている。
【0049】
図6には、非常に単純化された方法ではあるが、第2の実施形態のものと非常に類似した、1つの調整装置1が示されている。この調整装置は、レシプロ圧縮機2の第1のピストン9a、従ってレシプロ圧縮機2の追加のピストン9b(これらはロッド8に一体かつ強固に接続されている)の、シリンダ7に沿った位置を決定するための位置センサ61を備える点で、第2の実施形態と異なる。この位置センサ61は、第1のピストン9aが到達する位置、従って追加のピストン9bが到達する位置を決定するためのものである。
特に、この位置センサ61は近接センサを備えている。
ピストン9aの位置は制御ユニット57に継続的に送信され、回転弁51の回転速度を制御するモータ55(存在するが図示せず)が、シリンダ7内でのピストン9a及び9bの動きに関して、ピストン9a、9b内の正しい位置を追求し、シリンダ7内で起こり得るピストン9a及び9bのノックを回避する。
【0050】
特に、制御ユニット57は、ピストン9a(従って9b)が最適に機能するために到達しなければならない位置を微調整することが可能である。実際、ピストン9aがその行程において位置センサ61が配置されている位置に到達した場合、制御ユニット57は回転弁51の回転速度の増加を制御して、回転速度の増加を制御する。それより、ピストン9aのストロークが減少し、ある時点で、近接センサ61がピストン9aの存在を「感知」できなくなる。
この時点で、制御ユニット57は、ピストン9aのストロークを増加させて再び位置センサ61の位置に到達させるために、回転弁51の回転速度の減少を制御しなければならない。実際には、ある意味、位置センサ61が配置されたシリンダ7に沿って、ピストンの位置が継続的に追跡される。
【0051】
その結果、ピストン9aは一定の周波数で振動するのではなく、ストロークが最大となる周波数を平均値とする「若干変化する」周波数で振動することになる。この実施形態はまた、2つのピストン9a及び9bの代わりに、1つのピストン9aだけが存在する上述の第1の実施形態でも、明らかに再現可能である。
【0052】
図4は、冷凍装置100’の第2の実施例を示しており、調整装置1は、第1の実施形態、あるいは第2の実施形態で存在する。特に、この冷凍装置100’は、冷媒流体の流量Pが循環する閉回路Cと、主圧縮機101と、冷却装置102と、第1の流量X1が流出する蒸発器103と、少なくとも1つの膨張弁104と、上述のタイプの少なくとも1つの調整装置1又は請求項1~8の1つ以上による調整装置1とを備えている。
主圧縮機101は往復式であるが、別の実施形態では、本発明の保護範囲から逸脱することなく、この主圧縮機101は別のタイプであってもよい。
閉回路Cはさらに、第2の流量X2の冷媒流体が流れるエコノマイザ分岐105を備えている。このエコノマイザ分岐105は、冷却装置102と膨張弁104との間に含まれる閉回路の区間と、蒸発器103と主圧縮機101との間に含まれる区間を流体的に接続する。
調整装置1のレシプロ圧縮機2には、その入口において、蒸発器103から出る第1の流量X1が流入する。
【0053】
回転弁51(図4では概略的にのみ示されている)は、入口においてエコノマイザ分岐105に沿って循環する前述の第2の流量X2を有し、回転弁51の前記出口ライン51bは、レシプロ圧縮機2の下流で主圧縮機101の入口ライン51aに接続されている。エコノマイザ分岐105は、熱交換器106と、冷媒を収容するための分離タンク107(又は「フラッシュタンク」としても知られる)とを備えている。熱交換器106の下流には、ラインに沿って、冷媒が分離タンク107へ流入する前に、このタンクに入る冷媒流体の圧力を調整するための弁120がある。このエコノマイザ分岐105に沿った冷媒流体の圧力は、分離タンク107内に存在する圧力と同じであるが、冷却装置102の出口における圧力よりも低い。
【0054】
この冷凍装置100’はまた、第2のエコノマイザ分岐110を備え、それに沿って追加の流量X3の冷媒流体が流れる。この第2のエコノマイザ分岐110は、既知の方法による、追加の膨張弁111及び熱交換器112を備えている。この追加のエコノマイザ分岐110は、エコノマイザ分岐105の入口と膨張弁104との間に含まれる閉回路Cの区間と、レシプロ圧縮機2と主圧縮機101との間に含まれる区間とを流体的に接続する。
【0055】
この実施形態では、調整装置1は、回転弁51への入口ライン51aに沿って、従って、第2の流量X2が流れるエコノマイザ分岐105に沿って配置された、圧力センサ58を備えている。
この圧力センサ58は、制御ユニット57に機能的に接続されている。これにより、回転弁51の速度を変化させることができ、従って、レシプロ圧縮機2から出る流量の圧力も変化させることができる。
回転弁51の出口ライン51bは、レシプロ圧縮機2の下流側かつ主圧縮機101の上流側に接続されている。特に、出口ライン51bは、追加のエコノマイザ分岐110の出口ラインの上流で、閉回路に接続されている。
【0056】
図5には、本発明による調整装置1が使用される追加の冷凍装置100’'の実施例が示されている。この冷凍装置100’'は、冷媒流体の流量Pが循環する閉回路Cと、主圧縮機101と、冷却装置102と、蒸発器103と、請求項1から8のうちの1つ以上に該当する上述のいずれかの実施形態による調整装置1とを備えている。
調整装置1のレシプロ圧縮機2は、その入口で蒸発器103から出る第1の流量X1を有する。回転弁51は、その入口ライン51aで冷却装置102から出る第2の流量X2を有し、回転弁51の出口ライン51bは蒸発器103に接続されている。実際、この構成によれば、閉回路C内を循環する冷媒流量Pは、冷媒の第1の流量X1及び第2の流量X2の和と同一となる。
この冷凍装置100”には膨張弁がないため、図4に示す装置のような弁によって実現される熱力学的条件は、(本発明の第2の実施形態を使用する場合)、第2のチャンバ20及び/又は追加の第2のチャンバ20’内で実現される。
【0057】
この実施形態では、調整装置1は、圧力センサ59及び温度センサ60を備えており、これらは、蒸発器103の下流でレシプロ圧縮機2の吸入ライン2aに沿って配置され、制御ユニット57に機能的に接続されている。
【0058】
この方法では、回転弁51の切り替え速度の調整は、蒸発器103から出る流体の圧力及び温度パラメータに基づいてなされる。従って、冷凍装置100”は、蒸発器103において可能な限り最高の性能を達成するように最適化される。本発明の第1の実施形態による調整装置1は、所定の方法に従って動作する。この方法は、本発明の第2の実施形態による調整装置1にも同様に使用できる。
【0059】
この方法は、調整装置1を操作するための、以下のステップを含んでいる。
a)レシプロ圧縮機2のシリンダ7の第1のチャンバ10内へ、冷媒流体の第1の流量X1を流入させる。
b)レシプロ圧縮機2のシリンダの第2のチャンバ20内に第2の流量X2の冷媒流体を流入させて、第1ピストン9aの移動を制御し、第1のチャンバ10内に収容されている第1の流量X1の冷媒流体を圧縮する。
c)前記ステップa)の第1の流量の冷媒流体を吸入するステップにおける第1のピストン9aの移動中に、第2の流量X2の冷媒流体を閉回路Cに再び流入させる。
ここで、前記ステップc)は、回転弁51が、第1通路52aを通過できる少なくとも1つの第1の円周方向位置P1になるように、回転弁51を第1の円周方向位置P1まで回転させるステップc1)と、回転弁51を第2の円周方向位置P2まで回転させるステップc2)を含んでいる。
ステップc1)では、第2の流量X2の第2のチャンバ20への吸入、及び第1のチャンバ10内の第1の流量X1の圧縮のために、回転弁51への入口ライン51aと第2のチャンバ20との間の流体連通が、第1通路52aを介して、可能になる。
ステップc2)では、第1チャンバ10内の冷媒流体を吸出するために、第2のチャンバ20と回転弁51の出口ライン51bとの間の流体連通が、第1通路52aを介して、可能になる。
【0060】
さらに、この方法は、回転弁51の第1の円周方向位置P1から第2の円周方向位置P2への切り替え速度を調整するステップd)を含んでいる。このステップでは、回転弁51に流入する冷媒流体の圧力に応じて、又は、レシプロ圧縮機2の第1のチャンバ10に流入する冷媒流体の圧力及び温度に応じて、又は、シリンダ7内でレシプロ圧縮機2の第1ピストン9aが到達する位置に依存して、回転弁51の切り替え速度を調整する。
【符号の説明】
【0061】
1 調整装置
2 レシプロ圧縮機
2a レシプロ圧縮機2の入口ライン
2b リリーフライン
7 シリンダ
8 ロッド
9a 第1のピストン
10 第1のチャンバ
11 第1のポート
12 第2のポート
14 吸入弁
15 吐出弁
20 第2のチャンバ
21 第3のポート
50 制御手段
51 回転弁
51a 入口ライン
51b 出口ライン
52a 第1の通路
52b 第2の通路
53 調整手段
55 モータ
56 インバータ
57 制御ユニット
58 圧力センサ
100、100'、100'' 冷凍装置
101 主圧縮機
102 主圧縮機
103 蒸発器
104 膨張弁
105 エコノマイザ分岐
C 閉回路
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
【国際調査報告】