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特表2024-536758熱成形可能なホウ素系セラミック材料と熱管理における使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】熱成形可能なホウ素系セラミック材料と熱管理における使用
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/645 20060101AFI20241001BHJP
   B28B 1/30 20060101ALI20241001BHJP
   B28C 1/02 20060101ALI20241001BHJP
   C04B 35/634 20060101ALI20241001BHJP
   C04B 35/5831 20060101ALI20241001BHJP
   C04B 35/01 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
C04B35/645
B28B1/30
B28C1/02
C04B35/634 240
C04B35/5831
C04B35/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516599
(86)(22)【出願日】2022-09-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 US2022043470
(87)【国際公開番号】W WO2023043800
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】63/244,223
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/289,132
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/397,931
(32)【優先日】2022-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MATLAB
(71)【出願人】
【識別番号】592233750
【氏名又は名称】ノースイースタン ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エルブ,ランダル
(72)【発明者】
【氏名】バイス,ジェイソン
【テーマコード(参考)】
4G052
4G056
【Fターム(参考)】
4G052DA02
4G052DA08
4G052DB12
4G052DC06
4G056AA02
4G056AA23
4G056BA01
(57)【要約】
セラミックス複合材料成形品の製造方法において、セラミックマトリックス内に板状晶形態を有するセラミックス粒子を形成したセラミックス複合材料のプリフォームが設けられる。プリフォームを、セラミックマトリックスの溶融または軟化温度よりも高い温度に加熱し、プリフォームを変形させる荷重を加えて、金型内で熱成形し、セラミックス複合材料成形体を所望の形態で形成する。このプロセスは、精密に成形されたセラミック複合材料およびそれらを含む装置を製作するために使用される。これらの材料やデバイスは、電子部品やその他の発熱構造物などの熱管理に使用し得る。
【選択図】図24
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス複合材料成形体の製造方法であって、前記方法は以下を含む:
(a) 第1の構造を有し、2つの対向面を有するプリフォームを提供するステップ、前記プリフォームは、セラミックマトリックス複合材料を含み、前記材料はセラミックマトリックス内にセラミック粒子を含み、ここで前記セラミック粒子は、前記第1の構造の2つの対向面の間を延びる厚さ方向に対して横方向に平行に整列して配置された板状晶構造を有する、
(b) 前記プリフォームを熱成形するステップ、これは以下のステップを含む:
(i)金型内のプリフォームを、セラミックマトリックスの溶融温度または軟化温度よりも高い温度、好ましくはセラミック粒子の溶融温度または分解温度未満の温度に加熱するステップ、および
(ii)金型に荷重を適用し、それによって、金型内のプリフォームの前記第1の構造を第2の構造に変換して、セラミックス複合材料成形体を形成するステップ、
(c) 前記金型内のセラミック複合材料成形体を冷却するステップ、および
(d) 前記金型からセラミック複合材料成形体を取り出すステップ。
【請求項2】
前記プリフォームを提供する前記ステップが、以下を含む請求項1に記載の方法:
(a-1) 複数の前記セラミックス粒子を含むスラリーをポリマーバインダーに提供するステップ、
(a-2) 前記スラリーを振動させて、前記スラリーが流動化する懸濁液を提供するステップ、
(a-3) 前記スラリーをステージ上またはプリフォーム金型内の層に形成し、前記セラミック粒子が平行に整列するようにするステップ、
(a-4) 前記ポリマーバインダーを固化させて、平行に整列するように維持された前記セラミック粒子を含む固体のグリーン体を形成するステップ、
(a-5) 前記ポリマーバインダーが分解する最初の温度で固体グリーン体を脱バインダーさせ、前記セラミックマトリックスと前記セラミック粒子を含むセラミック体を残すステップ、および
(a-6) 前記セラミックス体を第1の温度よりも高い第2の温度で焼結するステップ、それによって前記セラミック粒子は前記セラミックマトリックス中に平行に整列したままである、前記方法。
【請求項3】
ステップ(a-6)において、前記セラミックス粒子が部分的に酸化される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記(a-1)に提供されるスラリーが、前記セラミック粒子および前記ポリマーバインダーとともに混合された1種以上の光開始剤および1種以上の希釈剤をさらに含み、前記スラリーが剪断応力下で流動する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリマーバインダーが、重合性樹脂、エポキシ、溶融熱可塑性プラスチック、および溶剤系熱可塑性プラスチックからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記重合性樹脂が、アクリレート、メタクリレート、ポリメチルメタクリレート、チオレン樹脂、エポキシ樹脂、熱可塑性ポリマー、ワックス、メチルセルロース、フェノール樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、または生ゴム接着剤を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記(a-4)の固化ステップにおいて、前記ポリマーバインダーを固化させることが、前記ポリマーバインダーを硬化温度で硬化させて前記固体グリーン体を形成することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリマーバインダーが酸素供与材料であり、前記(a-4)の固化ステップにおいて、前記ポリマーバインダーが前記セラミックス粒子における酸化プロセスの播種用の酸素を供与する、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記層に前記スラリーを形成する前記ステップ(a-3)が、前記スラリーを前記ステージ上にテープキャストするか、または前記スラリーを前記プリフォーム金型に堆積させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記スラリーを振動させる前記ステップ(a-2)が、前記層に前記スラリーを形成するステップの前、前記層に前記スラリーを形成する前記ステップ(a-3)の間、前記層に前記スラリーを形成する前記ステップ(a-3)の後、またはこれらの組み合わせにおいて発生する、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記スラリーを振動させる前記ステップ(a-2)と、前記層に前記スラリーを形成する前記ステップ(a-3)とを複数回繰り返して前記シートを形成する、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリマーバインダーが光重合性樹脂であり、前記ポリマーバインダーを固化させる前記ステップ(a-4)が、前記スラリーに紫外線または可視光を適用することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記熱成形ステップ(b)において、前記プリフォームが加熱される温度が、前記セラミックマトリックスの分解温度および/または蒸発温度を下回る、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記熱成形ステップ(b)において、前記プリフォームを約400℃~約1000℃、または約500℃~約700℃の温度に加熱する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記荷重を適用するステップ(b)(ii)において、前記荷重応力が約50kPa~約100MPa、または約500kPa~5MPaの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記熱成形ステップ(b)において、前記金型が、ネガ面を有する下部と、ポジ面を有する上部とを備え、前記荷重は、前記金型の上部を介して前記プリフォームに適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記熱成形ステップ(b)において、前記金型が、ネガ面とポジ面とを含み、各表面が、任意の寸法において約1mm以下の形状サイズを有する少なくとも1つの表面形状を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記形状サイズが、任意の寸法において約200μm以下である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
熱成形ステップ(b)において、前記金型が、形状幅に対する形状高さの最大絞り比が約1対1である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記セラミック粒子が、フレーク状の酸化物、窒化物、炭化物、硫化物、フッ化物、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記セラミックス粒子が、六方晶窒化ホウ素、六方晶窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、二硫化モリブデン、白土、酸化セシウム、グラフェン、フレーク状フェライト、リン酸カルシウムフレーク、ジルコニアフレーク、シリカフレーク、またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記セラミックマトリックスが、酸化ホウ素、二酸化ケイ素、ガラスフレーク、銀被覆ガラスフレーク、酸化リチウム-シリカ混合物、酸化マグネシウム-シリカ混合物、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記セラミックマトリックスが、前記金型を形成する材料の作動温度範囲内で、かつ前記セラミック粒子の溶融温度または分解温度を下回る軟化相または溶融温度を有するガラス状材料またはガラス状セラミック材料混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記セラミックス複合材料成形体中の前記セラミック粒子濃度が約30重量%~約90重量%であり、前記セラミックマトリックス濃度が約10重量%~約70重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記セラミックス複合材料成形体における前記セラミック粒子が、直径が約1μm~約100μm、または約5μm~約45μmであり、かつ厚さが前記直径の約3~約100倍未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記プリフォームが、約0.05mm~約10mm、または約0.1mm~3mmの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記セラミックス複合材料成形体が、約0.05mm~約10mm、または約0.1mm~約3mmの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記セラミック粒子がフォノニック結晶粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記プリフォーム内の前記セラミック粒子の層間の横結合が、熱成形ステップ(b)(ii)において前記荷重を受けたときに前記セラミック粒子の滑りを許容するほど十分に弱い、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記セラミックス複合材料成形体が、前記厚さ寸法に対して横方向の面内熱伝導率を有し、かつ前記面内熱伝導率が面貫通熱伝導率よりも大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記セラミックス複合材料成形体が、周囲温度において、前記厚さ寸法に対して横方向の、約5W/mK~約100W/mK、または約10W/mK~約40W/mKの面内熱伝導率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記セラミックス複合材料成形体が、熱管理装置、プリント回路基板用ヒートシンクまたはヒートスプレッダ、熱交換器、コールドプレート、低損失誘電体RF部品、レードーム、パワーインバータ、太陽電池、中性子シールド、高温熱シールド、立方体衛星、封止材、または医療機器用の熱シールドとして構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
発熱部品の熱管理装置を製作する方法であって、該方法は、
(a) 前記発熱部品の少なくとも一部に適合するように構成された金型を提供するステップ、および
(b) 前記ステップ(a)で設けた前記金型を用いて請求項1~32のいずれか一項に記載の方法に従ってセラミックス複合材料成形体を製作し、熱管理装置を形成するステップ、
を含む。
【請求項34】
請求項33に記載の方法であって、さらに、
(c) 前記セラミックス複合材料成形体を前記発熱部品またはその一部に嵌め込むステップ、
を含む、前記方法。
【請求項35】
前記発熱部品が、プリント回路基板、中央処理装置、高密度電子プラットフォーム、電子シャーシ、RF装置、RFまたはフェーズドアンテナアレイ、低損失誘電体RF部品、レードーム、パワーインバータ、太陽電池、中性子シールド、立方体衛星、または医療機器である、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
熱管理装置を製作する方法であって、前記方法は、
(a) 熱管理を必要とする発熱部品またはその一部に設計を提供するステップ、
(b) 前記発熱部品またはその一部を補完する第1の構造に適合するように設計されたプリフォーム金型を製作するステップ、
(c) 前記第2の構造は、前記第1の構造よりも、前記発熱部品またはその一部に対してより正確に補完的である、前記第2の構造に補完的な第2の構造に適合するように設計された金型を製作するステップ、
(d) プリフォーム金型を使用してプリフォームを製作するステップ、ここでプリフォームは前記第1の構造を有し、2つの対向面を有し、ここで前記プリフォームは、セラミックマトリックス複合材料を含み、前記材料は前記セラミックマトリックス内にセラミック粒子を含み、ここで前記セラミック粒子は、前記2つの対向面の間を延びる厚さ方向に対して横方向に平行に整列して配置された板状晶構造を有する、
(e) 前記金型内に前記プリフォームを熱成形して前記第2の構造における熱管理装置を提供するステップ、前記熱成形は、
(i)前記プリフォーム金型内の前記プリフォームを、セラミックマトリックスの溶融温度または軟化温度よりも高い温度に加熱すること、
(ii)前記プリフォーム金型に荷重を適用し、それによって、前記金型内の前記プリフォームの第1の構造を前記第2の構造に変換して、熱管理装置を形成すること、
を含む、
(f) 前記金型内の前記熱管理装置を冷却するステップ、および
(g) 前記金型内から前記熱管理装置を取り出すステップ、
を含む、前記方法。
【請求項37】
ステップ(a)において、前記設計は、前記発熱部品またはその一部の3次元コンピュータ支援設計モデルによって、または前記発熱部品またはその一部の3次元スキャンによって提供される、前記発熱部品またはその一部のネガ型の幾何学形状を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
ステップ(b)が、発熱部品またはその一部の設計の3次元コンピュータ支援設計モデルに基づく積層造形プロセスまたは機械加工プロセスによって、金属材料から前記プリフォーム金型および/または前記金型を製作することを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記積層造形プロセスが、3次元印刷プロセス、立体光造形法プロセス、直接書き込みプロセス、溶融堆積プロセス、または熱またはレーザーによる選択的焼結プロセスである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
発熱部品の熱管理のための装置であって、請求項1に記載の方法により装置が製作される、前記装置。
【請求項41】
発熱部品の熱管理のための装置であって、前記装置は、
セラミックマトリックス複合材料を含む本体であって、前記材料はセラミックマトリックス内に複数のセラミック粒子を含み、2つの対向面を含む前記本体を含み、前記セラミック粒子は、2つの対向面の間を延びる厚さ方向に対して横方向に平行に整列して配置された板状晶構造を有し、および
前記本体は、前記部品の表面形状を収容するために少なくとも1つの変形で形成され、前記板状晶構造の平行な整列は、前記少なくとも1つの変形の少なくとも1つの寸法に適合する、前記方法。
【請求項42】
前記セラミックス粒子が、六方晶窒化ホウ素、酸化ホウ素、六方晶窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、二硫化モリブデン、白土、酸化セシウム、グラフェン、フレーク状フェライト、リン酸カルシウムフレーク、ジルコニアフレーク、シリカフレーク、またはこれらの組み合わせを含む、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記セラミックマトリックスが、酸化ホウ素、二酸化ケイ素、ガラスフレーク、銀被覆ガラスフレーク、酸化リチウム-シリカ混合物、酸化マグネシウム-シリカ混合物、またはこれらの組み合わせを含む、請求項41に記載の装置。
【請求項44】
前記本体の前記セラミックマトリックス複合材料中の前記セラミック粒子濃度が約30重量%~約90重量%であり、かつ、前記本体の前記セラミックマトリックス複合材料中の前記セラミックマトリックス濃度が約10重量%~約70重量%である、請求項41に記載の装置。
【請求項45】
前記本体の前記セラミックマトリックス複合材料中の前記セラミック粒子が、直径約1μm~約100μm、または約5μm~約45μmであり、かつ厚さが前記直径の約3~約100倍未満である、請求項41に記載の装置。
【請求項46】
前記本体が、約0.05mm~約10mm、または約0.1mm~3mmの厚さを有する、請求項41に記載の装置。
【請求項47】
前記セラミック粒子がフォノニック結晶粒子を含む、請求項41に記載の装置。
【請求項48】
前記本体が、面貫通熱伝導率よりも大きい、厚さ寸法に対して横方向に面内熱伝導率を有する、請求項41に記載の装置。
【請求項49】
前記本体が、周囲温度において、約5W/mK~約100W/mK、または約10W/mK~約40W/mKの前記厚さ寸法に対して横方向の面内熱伝導率を有する、請求項41に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックマトリックス内に板状晶構造を有するセラミックス粒子を形成したセラミックス複合材料のプリフォームを提供するセラミックス複合材料成形品の製造方法に関する。本プロセスは、精密に成形されたセラミック複合材料およびそれらを含む装置を製作するために使用され、これらの材料やデバイスは、電子部品やその他の発熱構造物などの熱管理に使用される。
【0002】
[関連出願への相互参照]
本出願は、米国の35U.S.C§119(e)に基づく利益を主張する。仮出願第63/397,931号(2022年8月15日出願、「熱成形可能なホウ素系セラミック材料および熱管理における使用」)2021年12月13日に出願された米国仮出願第63/289,132号「熱成形可能なホウ素系セラミック材料と熱管理における使用」と2021年9月14日に出願された米国仮出願第63/244,223号「熱成形可能なホウ素系セラミック材料および熱管理における使用」と題する、これらはすべて参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
5Gセルラーデバイス、長距離通信、コンピューター処理チップなどの次世代の高密度電子機器は、現在のデバイスの能力ではなく、熱を管理できないことによって、ますます性能が制限されている。熱管理システムは、特に設計エンベロープが小さい、または軽量化が必要な電子適用において、イノベーションのボトルネックになりつつある。これらのシステムでは、高電力、高周波数、より長いデューティサイクルに対する要求が高まっている。さらに、部品の小型化と充填密度の増加に伴い、熱流束は原子炉に見られるレベルに近づいている。
【0004】
セラミックマトリックス複合材料(CMC)の分野は、特に自動車、航空宇宙、エレクトロニクス産業での応用において、次世代材料として拡大を続けている。一例として、これらの材料は、プリント回路基板またはパワーインバータを含む他の高密度電子機器の地形面から熱を吸収または拡散する誘電体熱封止体として使用し得る。
【0005】
このような熱管理応用に必要なセラミックスの複雑な形状を作成するには、射出成形、機械加工、3Dプリンティングなど、いくつかの方法が利用可能である。熱成形は、加熱圧縮成形によってブランクまたはプリフォームと呼ばれる材料の薄いシートを成形することから、複雑なシェル状の構造を生成するために使用される工業プロセスである。熱成形プロセスでは、通常、使い捨てプレート、玩具、自動車の内装パネルなどの応用にポリマーおよび金属材料を使用する。
【0006】
セラミックマトリックス複合材料(CMC)に組み込まれたフォノニック導体は、熱伝導率と機械的強度および靭性の両方を維持しながら、電気絶縁性を提供するために研究されて来た。これらのフォノニックCMCの主な欠点は、熱伝達を最大化する複雑で薄く軽量な形状に製作および機械加工することが困難なことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書に記載の技術は、セラミックス複合材料成形体およびそのようなプロセスによって産生される熱管理装置などの材料および装置を製造するためのプロセスを提供する。本技術は、セラミックマトリックス複合材料(CMC)から、熱伝達を最大化できる薄くて軽量な幾何学形状に複雑な形状を製作することの困難さを克服し得る。本技術は、テープキャスティングと振動プロセスを採用しており、その結果、高度に配向され、浸透した微細構造が得られ、これらのセラミック複合材料の熱成形が可能になる。そのようにして産生された熱管理材料および装置は、良好な熱伝導率と堅牢な機械的強度および靭性の両方を維持しながら、電気絶縁性を可能にする。また、回路基板の熱管理など、システムの熱管理を提供する方法についても記載する。
【0008】
いくつかの実施形態において、セラミック複合材料は、平行配向の板状晶構造を有する六方晶窒化ホウ素(hBN)粒子が酸化ホウ素マトリックス中に埋め込まれているホウ素系のセラミック材料を含む。本技術により、従来は熱可塑性プラスチックや板金にしか使用されていなかった製造プロセスを使用して熱成形できるhBNベースのセラミック複合材料プリフォームの製作が可能になる。セラミック複合材料と材料を製造するプロセスを表示するために、いくつかの体系的な研究が行われた。
【0009】
また、本技術は、以下の項目一覧にまとめることができる。
1.セラミックス複合材料成形体の製造方法であって、前記方法は以下を含む:
(a)第1の構造を有し、2つの対向面を有するプリフォームを提供するステップ、前記プリフォームは、セラミックマトリックス複合材料を含み、ここで前記セラミックマトリックス内にセラミック粒子を含む材料は、前記第1の構造の2つの対向面の間を延びる厚さ方向に対して横方向に平行に整列して配置された板状晶構造を有する、
(b)前記プリフォームを熱成形するステップ、これは以下のステップを含む:
(i)金型内のプリフォームを、セラミックマトリックスの溶融温度または軟化温度よりも高い温度、好ましくはセラミック粒子の溶融温度または分解温度未満の温度に加熱するステップ、および
(ii)金型に荷重を適用し、それによって、金型内のプリフォームの前記第1の構造を第2の構造に変換して、セラミックス複合材料成形体を形成するステップ、
(c) 前記金型内のセラミック複合材料成形体を冷却するステップ、および
(d) 前記金型からセラミック複合材料成形体を取り出すステップ。
【0010】
2. 前記プリフォームを提供するステップが、以下を含む項目1に記載の方法:
(a-1) 複数の前記セラミックス粒子を含むスラリーをポリマーバインダーに提供するステップ、
(a-2) 前記スラリーを振動させて、前記スラリーが流動化する懸濁液を提供するステップ、
(a-3) 前記スラリーをステージ上またはプリフォーム金型内の層に形成し、前記セラミック粒子が平行に整列するようするステップ、
(a-4) 前記ポリマーバインダーを固化させて、平行に整列するように維持された前記セラミック粒子を含む固体のグリーン体を形成するステップ、
(a-5) 前記ポリマーバインダーが分解する最初の温度で固体グリーン体を脱バインダーさせ、前記セラミックマトリックスと前記セラミック粒子を含むセラミック体を残すステップ、および
(a-6) 前記セラミックス体を第1の温度よりも高い第2の温度で焼結するステップ、それによって前記セラミック粒子は前記セラミックマトリックス中に平行に整列したままである、前記方法。
【0011】
3. ステップ(a-6)において前記セラミックス粒子が部分的に酸化される項目2に記載の方法。
【0012】
4. (a-1)に提供される前記スラリーが、前記セラミック粒子および前記ポリマーバインダーとともに混合された1つ以上の光開始剤および1つ以上の希釈剤をさらに含み、前記スラリーがせん断応力下で流動する、項目2または項目3の方法。
【0013】
5. 前記ポリマーバインダーが、重合性樹脂、エポキシ、溶融熱可塑性プラスチック、および溶剤系熱可塑性プラスチックからなる群から選択される、項目2~4のいずれかに記載の方法。
【0014】
6. 前記重合性樹脂が、アクリレート、メタクリレート、ポリメチルメタクリレート、チオレン樹脂、エポキシ樹脂、熱可塑性ポリマー、ワックス、メチルセルロース、フェノール樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、または生ゴム接着剤を含む、項目5に記載の方法。
【0015】
7. (a-4)の前記固化ステップにおいて、前記ポリマーバインダーを固化させることは、前記ポリマーバインダーを硬化温度で固化させて固体のグリーン体を形成することを含む、項目2~6のいずれかに記載の方法。
【0016】
8. 前記ポリマーバインダーが酸素供与材料であり、前記(a-4)の固化ステップにおいて、前記ポリマーバインダーが前記セラミックス粒子における酸化プロセスの播種用の酸素を供与する、項目2~7に記載の方法。
【0017】
9. 前記層に前記スラリーを形成する前記ステップ(a-3)は、前記スラリーを前記ステージ上にテープキャストするか、または前記スラリーを前記プリフォーム金型に堆積させることを含む、項目2~8のいずれかに記載の方法。
【0018】
10. 前記スラリーを振動させる前記ステップ(a-2)は、前記層にスラリーを形成するステップの前、前記層に前記スラリーを形成する前記ステップ(a-3)の間、前記層に前記スラリーを形成する前記ステップ(a-3)の後、またはこれらの組み合わせにおいて発生する、項目2~9のいずれかに記載の方法。
【0019】
11. 前記スラリーを振動させる前記ステップ(a-2)と、前記層に前記スラリーを形成する前記ステップ(a-3)とを複数回繰り返して前記シートを形成する、項目2~10のいずれかに記載の方法。
【0020】
12. 前記ポリマーバインダーが光重合性樹脂であり、前記ポリマーバインダーを固める前記ステップ(a-4)が、前記スラリーに紫外線または可視光を照射することを含む、項目2~11のいずれかに記載の方法。
【0021】
13. 熱成形ステップ(b)において、前記プリフォームが加熱される温度が、前記セラミックマトリックスの分解温度および/または蒸発温度を下回る、先行する項目のいずれかに記載の方法。
【0022】
14. 熱成形工程(b)において、前記プリフォームを約400℃~約1000℃、または約500℃~約700℃の温度に加熱する、先行する項目のいずれかに記載の方法。
【0023】
15. 前記荷重を適用する工程(b)(ii)において、前記荷重応力が約50kPa~約100MPa、または約500kPa~5MPaの範囲である。先行する項目のいずれかに記載の方法。
【0024】
16. 熱成形工程(b)において、前記金型が、ネガ面を有する下部と、ポジ面を有する上部とを備え、前記荷重は、前記金型の上部を通して前記プリフォームに適用される、先行する項目のいずれかに記載する方法。
【0025】
17. 前記熱成形工程(b)において、前記金型は、ネガ面とポジ面とを含み、各表面が、いずれかの寸法において約1mm以下の形状サイズを有する少なくとも1つの表面形状を含む、先行する項目の何れかに記載する方法。
【0026】
18. 前記形状の大きさが、任意の寸法において約200 μm以下である、項目17に記載の方法。
【0027】
19. 熱成形工程(b)において、前記金型が、前記形状幅に対する形状高さの最大絞り比が約1対1である、先行する項目の何れかに記載する方法。
【0028】
20. 前記セラミック粒子が、酸化物、窒化物、炭化物、硫化物、フッ化物、またはこれらの組み合わせをフレーク状に含む、先行する項目のいずれかに記載する方法。
【0029】
21. 前記セラミックス粒子が、六方晶窒化ホウ素、六方晶窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、二硫化モリブデン、白土、酸化セシウム、グラフェン、フレーク状フェライト、リン酸カルシウムフレーク、ジルコニアフレーク、シリカフレーク、またはこれらの組み合わせである、先行する項目のいずれかに記載する方法。
【0030】
22. 前記セラミックマトリックスが、酸化ホウ素、二酸化ケイ素、ガラスフレーク、銀被覆ガラスフレーク、酸化リチウム-シリカ混合物、酸化マグネシウム-シリカ混合物、またはこれらの組み合わせを含む、先行する項目のいずれかに記載する方法。
【0031】
23. 前記セラミックマトリックスが、前記金型を形成する材料の作動温度範囲内で、かつ前記セラミック粒子の溶融温度または分解温度を下回る軟化相または溶融温度を有するガラス状材料またはガラス状セラミック材料混合物を含む、先行する項目のいずれかに記載の方法。
【0032】
24. 前記セラミックス複合材料成形体中の前記セラミック粒子濃度が約30重量%~約90重量%であり、前記セラミックマトリックス濃度が約10重量%~約70重量%である、先行する項目のいずれかに記載する方法。
【0033】
25. 前記セラミックス複合材料成形体における前記セラミックス粒子が、直径が約1μm~約100μm、または約5μm~約45μmであり、厚さが直径の約3~約100倍小さい、先行する項目のいずれかに記載の方法。
【0034】
26. 前記プリフォームが、約0.05mm~約10mm、または約0.1mm~3mmの厚さを有する、先行する項目のいずれかに記載する方法。
【0035】
27. 前記セラミックス複合材料成形体が、約0.05mm~約10mm、または約0.1mm~約3mmの厚さを有する、先行する項目のいずれかに記載する方法。
【0036】
28. 前記セラミック粒子がフォノニック結晶粒子を含む、先行する項目のいずれかに記載する方法。
【0037】
29. 前記プリフォーム内の前記セラミック粒子の層間の横結合が、熱成形工程(b)(ii)において荷重を受けたときに前記セラミック粒子の滑りを許容するほど十分に弱い、先行する項目のいずれかに記載する方法。
【0038】
30. 前記セラミックス複合材料成形体は、面内熱伝導率を厚さ寸法に対して横方向に有し、前記面内熱伝導率は、面貫通熱伝導率よりも大きい、先行する項目のいずれかに記載する方法。
【0039】
31. 前記セラミックス複合材料成形体が、周囲温度において、厚さ寸法に対して横方向に、約5W/mK~約100W/mK、または約10W/mK~約40W/mKの面内熱伝導率を有する、先行する項目のいずれかに記載する方法。
【0040】
32. 前記セラミックス複合材料成形体が、熱管理装置、プリント回路基板用ヒートシンクまたはヒートスプレッダ、熱交換器、コールドプレート、低損失誘電体RF部品、レードーム、パワーインバータ、太陽電池、中性子シールド、高温熱シールド、立体衛星、封止材、または医療機器の熱シールドとして構成される、先行する項目のいずれかに記載する方法。
【0041】
33. 発熱部品の熱管理装置を製作する方法であって、該方法は、
(a) 前記発熱部品の少なくとも一部に適合するように構成された金型を提供するステップ、
(b) 本ステップ(a)で設けた前記金型を用いて先行する項目のいずれかの方法に従ってセラミックス複合材料成形体を成形し、熱管理装置を製作するステップ、
を含む。
【0042】
34. 項目33に記載の方法であって、さらに、
(c) 前記セラミックス複合材料成形体を前記発熱部品またはその一部に嵌め込むステップ、
を含む、前記方法。
【0043】
35. 前記発熱部品が、プリント回路基板、中央処理装置、高密度電子プラットフォーム、電子シャーシ、RF装置、RFまたはフェーズドアンテナアレイ、低損失誘電体RF部品、レードーム、パワーインバータ、太陽電池、中性子シールド、立方体衛星、または医療機器である、項目33または項目34に記載する方法。
【0044】
36. 熱管理装置を製作する方法であって、前記方法は、
(a) 熱管理を必要とする発熱部品またはその一部に設計を提供するステップ、
(b) 前記発熱部品またはその一部を補完する第1の構造に適合するように設計されたプリフォーム金型を製作するステップ、
(c) 前記第2の構造は、前記第1の構造よりも、前記発熱部品またはその一部に対してより正確に補完的である、前記第2の構造に補完的な第2の構造に適合するように設計された金型を製作するステップ、
(d) プリフォーム金型を使用してプリフォームを製作するステップ、ここで前記プリフォームは前記第1の構造を有し、2つの対向面を有し、ここで前記プリフォームは、セラミックマトリックス複合材料を含み、前記材料は前記セラミックマトリックス内にセラミック粒子を含み、ここで前記セラミック粒子は、前記2つの対向面の間を延びる厚さ方向に対して横方向に平行に整列して配置された板状晶構造を有する、
(e) 前記金型内に前記プリフォームを熱成形して前記第2の構造における熱管理装置を提供するステップ、前記熱成形は、
(i)前記プリフォーム金型内の前記プリフォームを、セラミックマトリックスの溶融温度または軟化温度よりも高い温度に加熱すること、
を含む、
(ii)前記プリフォーム金型に荷重を適用し、それによって、前記金型内の前記プリフォームの第1の構造を前記第2の構造に変換して、熱管理装置を形成すること、
(f) 前記金型内の前記熱管理装置を冷却するステップ、および
(g) 前記金型内から前記熱管理装置を取り出すステップ、
を含む、前記方法。
【0045】
37. ステップ(a)において、前記設計は、前記発熱部品またはその一部の3次元コンピュータ支援設計モデルによって、または前記発熱部品またはその一部の3次元スキャンによって提供される、前記発熱部品またはその一部の負の幾何学形状を含む、項目36に記載する方法。
【0046】
38. 工程(b)が、前記発熱部品またはその一部の設計の3次元コンピュータ支援設計モデルに基づく積層造形プロセスまたは機械加工プロセスによって、金属材料から前記プリフォーム金型および/または前記金型を製作することを含む、項目36または項目37に記載する方法。
【0047】
39. 前記積層造形プロセスが、3次元印刷プロセス、光造形法プロセス、直接書き込みプロセス、溶融堆積プロセス、または熱またはレーザーによる選択的焼結プロセスである、項目38に記載する方法。
【0048】
40. 発熱部品の熱管理のための装置であって、装置が先行する項目のいずれかに記載の方法により製作される、前記装置。
【0049】
41. 発熱部品の熱管理のための装置であって、前記装置は、
セラミックマトリックス複合材料を含む本体であって、前記材料はセラミックマトリックス内に複数のセラミック粒子を含み、2つの対向面を含む本体を含み、前記セラミック粒子は、2つの対向面の間を延びる厚さ方向に横方向に平行に整列して配置された板状晶構造を有し、および
前記本体は、前記部品の表面形状を収容するために少なくとも1つの変形で形成され、前記板状晶構造の平行な整列は、前記少なくとも1つの変形の少なくとも1つの寸法に適合する、
前記方法。
【0050】
42. 前記セラミックス粒子が、六方晶窒化ホウ素、酸化ホウ素、六方晶窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、二硫化モリブデン、白土、酸化セシウム、グラフェン、フレーク状フェライト、リン酸カルシウムフレーク、ジルコニアフレーク、シリカフレーク、またはこれらの組み合わせである、項目41に記載する装置。
【0051】
43. 前記セラミックマトリックスが、酸化ホウ素、二酸化ケイ素、ガラスフレーク、銀被覆ガラスフレーク、酸化リチウム-シリカ混合物、酸化マグネシウム-シリカ混合物、またはこれらの組み合わせを含む、項目41または42に記載する装置。
【0052】
44. 前記本体の前記セラミックマトリックス複合材料中の前記セラミック粒子濃度が約30重量%~約90重量%であり、かつ、前記本体の前記セラミックマトリックス複合材料中の前記セラミックマトリックス濃度が約10重量%~約70重量%である、項目41~43のいずれかに記載する装置。
【0053】
45. 前記本体の前記セラミックマトリックス複合材料中の前記セラミック粒子が、直径が約1μm~約100μm、または約5μm~約45μmであり、厚さが前記直径の約3~約100倍小さい、項目41~44のいずれかに記載する装置。
【0054】
46. 前記本体が、約0.05mm~約10mm、または約0.1mm~3mmの厚さを有する、項目41~45のいずれかに記載する装置。
【0055】
47. 前記セラミック粒子がフォノニック結晶粒子を含む項目41~46のいずれかに記載する装置。
【0056】
48. 前記本体が、面貫通熱伝導率よりも大きい、厚さ寸法に対して横方向に面内熱伝導率を有する、項目41~47のいずれかに記載する装置。
【0057】
49. 前記本体が、周囲温度において、約5W/mK~約100W/mK、または約10W/mK~約40W/mKの厚さ寸法に対して横方向の面内熱伝導率を有する、項目41~48のいずれかに記載する装置。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1図1A図1Fは、セラミックス複合材料を製造する工程においてプリフォームを提供するステップを示す。
図1A】左が重合性樹脂中のセラミックス粒子を含むスラリーをステージ上に堆積させ、右がステージ上のスラリーに振動を適用して樹脂中の粒子を流動化させた略図である。
図1B】スラリーが、平行に整列した粒子を示す薄いシートまたは層の形態で第1の構造にテープキャストされている略図である。
図1C】テープキャスティング時の粒子が整列していることを説明する顕微鏡写真を示す。
図1D】第1の構造におけるスラリーを硬化させて樹脂を重合させる略図である。
図1E】プリフォームの振動、テープキャスティング、および硬化するのに適した装置の概略実施形態である。
図1F】硬化したプリフォームを焼結して完全に焼結されたプリフォームを形成する次のステップを示す。
図2図2A図2Bは、セラミック複合材料を含むプリフォームを熱成形するステップを示す。
図2A図Aは、左に2つの完全に焼結されたプリフォーム、右に1つの完全に焼結されたプリフォームを熱成形用の2つの部分からなる金型に入れた所を示す。
図2B】左側に金型の上部に荷重を適用して金型内でプリフォームを圧縮した結果を示し、右側は金型から取り出された変形したセラミックマトリックス複合材料を示す。
図3】マトリックス中の整列した粒子のフォノニック伝導の略図である。
図4】粒子径に基づく粒子の整列していることを示す一連の走査型電子顕微鏡写真である。
図5A】光重合ステップの略図である。
図5B】様々な粒子濃度と様々な粒子径の硬化深さ対エネルギーのグラフである。12μm粒子系では、15秒で約250μmの層厚を硬化させ、1層あたり22.5秒の硬化時間を与えた。
図6A】焼結ステップの略図である。
図6B】焼結hBN、54容積%Ebecryl 230のグリーン体、および焼結54容積%Ebecryl 230の焼結中の炭素(C)、ホウ素(B)、酸素(O)、および窒素(N)の原子組成の変化を示している。
図7A】熱成形工程中の面内流れを可能にするプリフォームの微細構造の略図である。
図7B】熱成形工程中の面内流れを可能にするプリフォームの微細構造の略図である。
図8A】熱成形中の温度に基づいて形状サイズを決定するための~0.5 kPaの負荷圧力下での状態図を示している。
図8B】形状の幅、高さ、および長さの識別を示す金型を概略的に説明している。
図9】500℃、600℃、700℃で成形した微細な形状の金型とセラミックス複合材料成形体の上部と下部の金型の半分を示している。
図10A】粗い形状の金型の2つの例を示しており、左側の金型は90°ステップで最大ステップ高さは5mm、右側の金型は半径1mmのフィレットを有し、各金型で500℃で成形されたセラミックス複合材料成形体である。500℃では、ホウ素ベースのセラミック複合材料は、最もアグレッシブなステップ(幅5.8 mm、深さ5 mm、90°の鋭い曲げ)でも引き裂くことなく成形できた。注目すべきは、このサンプルは、3D印刷プロセスから金型表面の形状も拾うことができたことである。
図10B】大型形状の金型に形成された熱成形ヒートシンクの破断エッジを示す。
図10C】大きな形状の金型で変形した試料の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を示している。
図11】プリフォームを熱成形するための深絞り金型の略図である。
図12A】プリント回路基板用の熱管理装置を製作する工程の図である。
図12B】プリント回路基板用の熱管理装置を製作する工程の図である。
図12C】プリント回路基板用の熱管理装置を製作する工程の図である。
図13】4時間および6時間の滞留時間における成形セラミックマトリックス複合材料と、微細構造制御なしの市販窒化ホウ素ベースのオールセラミック材料の曲げ強度(i)、ひずみ(ii)、および抵抗(iii)のグラフを示している。
図14】高温(Tm=450℃)で単純に荷重された曲げケース(挿入図を参照)で測定したホウ素ベースのセラミックプリフォームの変形のグラフである。たわみは10分間の滞留時間後に記録され、0.015Nの荷重に関連する降伏点を持つ線形トレンドに従うことが判明した。
図15】500℃から700℃の温度と金型サイズで測定した最大絞り比と推定応力のグラフである。
図16A】熱成形ホウ素ベースのセラミック複合材料ヒートスプレッダの性能試験のステップを示している。
図16B】熱成形ホウ素ベースのセラミック複合材料ヒートスプレッダの性能試験のステップを示している。1)Raspberry Pi(RPi)PCBの3Dモデルを使用して、チップセットをPCB表面に包むためのレリーフ金型を作成した。作成された RPi のポジのレリーフの高さの変化は、陰影キーで表示される。2)ポジとネガの両方の設計レリーフ金型を3D金属プリントされた。ここでは、熱成形工程からの熱応力に耐えるためにインコネル625が選択された。3)図1A-1Fに示す工程で作製したプリフォームシートを、500℃のオーブンでネガ(下)とポジ(上)のレリーフ型の間に配置した。10分間の滞留時間の後、ポジ(上)レリーフ金型をプリフォームに押し下げた。次に、金型をオーブンから取り出し、冷却した。その後、熱成形されたセラミック複合材料を取り出しすることができた。4)熱成形セラミック複合材料をワイヤーソーで後処理し、形成されたパターンをテストで使用した最終形に切断した。
図17A】従来技術の対照用ヒートシンク、従来技術の金属ヒートシンク、および熱成形ヒートシンクの温度対時間のグラフである。
図17B】従来技術の金属ヒートシンクおよび熱成形ヒートシンクについて、対数スケールでの高さ当たりの温度の変化と時間のグラフである。
図18A】ポジとネガの金型の半分が開き、金型が閉じた状態で示されているヒトの顔の型を示している。
図18B】ヒトの顔の金型と、金型内に形成されたセラミックス複合材料成形体を示している(2つの金型部品の間に示されている)。
図19】本明細書に記載のセラミック複合材料を成形するために使用されるいくつかの深絞り金型を示す。
図20A】A)hBNおよびBの存在を示す分解工程前の試料のXRDプロット、および
図20B】B)試料中にhBNピークのみが存在することを示す分解後の試料のXRDプロットであり、分解が成功したことを裏付けている。
図21】深絞り工程における異なる絞り深さのサンプルの配列を示している。
図22A】従来技術の金属ヒートシンクおよび熱成形セラミック複合材料ヒートシンクの平均表面温度対時間のグラフである。
図22B図22Aのヒートシンクの熱画像を示している。
図23】トップに分銅で荷重を掛けた焼結hBN試料を、試料の底面をプロパントーチで加熱する実験装置である。
図24】U字型金型を使用した熱成形工程ステップを示している。
【0059】
詳細な説明
本明細書に記載の技術は、熱管理などの適用において有用な幾何学形状の種々のセラミックス複合材料成形体を製造するための方法を提供する。この技術は、完全に焼結されたセラミックのプリフォームから加熱および成形プロセスを経て複雑な幾何学形状に材料を成形することを可能にする、テクスチャード加工された微細構造を備えたセラミック複合材料を提供する。セラミックスマトリックスとマトリックス中に整列して並べられたセラミックフィラー粒子の溶融温度差を利用して、セラミック複合材料の熱成形を提供する技術である。加工中の微細構造を整列して並べる制御は、マトリックス-粒子界面間の粒子のすべりによる変形に寄与する。複合セラミック材料は、典型的なセラミック特性を示すことができ、また、比較的低い温度下で十分に延性があり、破壊することなく成形幾何学形状に固化させることができる。
【0060】
セラミックスは、共有結合した原子構造のため、中程度の温度で融解転移を起こさない傾向がある。対照的に、本明細書に記載されるように、酸化ホウ素(B)などのガラス状セラミックスは、それらの非晶質特性およびより低い溶融温度(Bに対して450℃)のために、明確に定義された形状を有する成形および圧縮工程を用いて形成することができる。本技術では、粒子フィラー(介在物)濃度の高いガラス状セラミックマトリックス溶液を使用する。これらの複合材料は、熱伝導性であり得る異方性フィラー粒子が埋め込まれた非晶質セラミックマトリックスを有する。いくつかの実施形態において、六方晶窒化ホウ素(hBN)は、好適なフィラー粒子である。酸化ホウ素は、周囲温度が1000℃に達すると窒化ホウ素上に酸化物層として形成されるガラス状セラミック材料です。したがって、窒化ホウ素を部分的に酸化して、Bマトリックスの溶融温度を超えると大きな変形を有することに加えて、実質的な熱衝撃に耐えることができる堅牢なガラス状-セラミック複合体を形成することができる。酸化物はhBN粒子間の結合剤として作用し、焼結後の部品の強化構造を提供する。さらに、非晶質酸化物マトリックスは窒化ホウ素粒子よりも著しく弱く、セラミックスの強靭化構造を可能にする。酸化ホウ素をバインダーとして使用すると、高度に配向したhBN微粒子が熱的に浸透したネットワークを形成することができる。
【0061】
このように、本技術は、種々の形態に熱成形することができるセラミックス複合材料を提供する。さらに、本明細書に記載のプロセスは、その場での酸化ガラス形成にとどまらず、熱成形が可能で、一連の極限環境応用で熱サイクルを維持できる他のセラミックマトリックス複合材料にまで及ぶことができる。
【0062】
セラミックマトリックス複合材料(CMC)から熱管理装置を製造するためのプロセスの実施形態は、図1A図2Bを参照して説明することができる。第1のステップでは、セラミックス複合材料を含むプリフォーム、セラミックマトリックス内のセラミック粒子を含む材料を提供する。セラミック粒子は、板状晶またはフレーク状の形態を有する。プリフォームは、2つの対向面の間に厚さを有するシートまたは層など、2つの対向面を有する第1の構造で構成することができる。第1の構造は、厚み方向に垂直な面内方向と、厚み方向に平行な貫通面方向とを有することができる。板状晶またはフレーク状の構造を有するセラミックス粒子は、面内方向と平行に配向して配置することができる。いくつかの実施形態において、粒子の平行な配向は、例えば、10%以内、5%以内、2%以内、1%以内、または0.5%以内など、貫通面方向に対して実質的に平行であり得る。
【0063】
より詳細には、複数のセラミックス粒子とポリマーバインダーとを混合してスラリーとし、ステージ上や金型内などの表面に層状に堆積させる。(図1A)いくつかの実施形態においては、スラリーをステージ上にテープキャストすることができる。いくつかの実施形態においては、スラリーは、金型の表面上に堆積させることができる。スラリーは表面で振動し、セラミック粒子が互いに平行に整列し、厚さ方向の横方向に並ぶ懸濁液を形成する。振動により流動化が促進され、テープキャスティングと同時にせん断によって粒子が整列する。(図1A図1B図1C)いくつかの実施形態においては、せん断整列は、より薄い厚さで改善される。いくつかの実施形態においては、せん断整列は、α=D/h、Dは2次元粒子径、hはテープキャスト層の高さである、厚さに対する粒子径の比率αが高いほど向上する。
【0064】
いくつかの実施形態では、振動は、プリフォームの層の厚さまたは貫通面方向に平行な方向に適用することができる。いくつかの実施形態では、振動は、プリフォームの面内方向に平行な1以上の方向に適用することができる。いくつかの実施形態においては、振動は、任意の3次元方向のうちの1つ以上に適用することができる。振動は、テープキャスティング前、テープキャスティング中、またはテープキャスティング後、またはそれらの組み合わせに適用することができる。
【0065】
前記ポリマーバインダーを固化させて、平行に整列するように維持されたセラミック粒子の固体のグリーン体を形成する。いくつかの実施形態においては、ポリマーバインダーは重合性樹脂であり、プリフォームを第1の温度に加熱して重合性樹脂を硬化させ、平行に整列するように維持されたセラミック粒子で固体のグリーン体を形成する。(図1D)いくつかの実施形態において、樹脂は、紫外放射線、可視放射線、またはそれらの組み合わせへの曝露によって硬化される。いくつかの実施形態においては、スラリーは、各層が振動、テープキャスティング、および硬化を受けることができる積層プロセスにおいて、複数の層に堆積させることができる。これは、層ごとの粒子の整列を提供するのに役立つ。スラリーを振動させ、テープキャストし、デジタル光プロジェクタ(DLP)を用いて適当な放射線に曝露することによって硬化を提供するのに用いることができる装置の実施形態が、図1Eに説明されている。この装置は、材料を複数の層に構築するために使用し得る。いくつかの実施形態において、公称粒子径は、少なくとも約1μmであり得る。いくつかの実施形態において、公称粒子径は、少なくとも約300nmであり得る。いくつかの実施形態において、粒子径は、約5μm、約12μm、または約45μmであり得る。いくつかの実施形態において、層の厚さは、少なくとも約30μmであり得る。いくつかの実施形態において、層の厚さは、少なくとも約30μmから約3mmであり得る。いくつかの実施形態において、層の厚さは、約100μm、約500μm、約1mm、約2mm、または約3mmであり得る。いくつかの実施形態において、寸法公差は、20%、10%、5%、1%、または0.5%であり得る。
【0066】
次に、固体のグリーン体を第1の温度よりも高い第2の温度で焼結し(図1F)、セラミック粒子を部分的に酸化し、セラミック粒子がセラミックマトリックス内で平行に整列した状態で完全に焼結された本体を提供する。いくつかの実施形態において、硬化ステップにおいて燃え尽きたポリマーバインダーから酸素を播種すると、焼結プロセス中の均質な酸化を提供することができる。いくつかの実施形態においては、プリフォームを産生するためにスラリー中で使用されるポリマーは、ポリマーが十分に酸素に富む調製物である場合、捕捉された過剰な酸素が焼結プロセス中に触媒として使用され得るような、感光性である必要はない。いくつかの実施形態においては、ガラス状―セラミック添加物をスラリー混合物全体に播種して、酸素リッチのポリマーを用いた焼結補助プロセスの使用の有無にかかわらず、ガラス状マトリックスを形成することができる。
【0067】
次に、図2A図2Bを参照すると、プリフォームを熱成形用の金型に入れて、所望の3次元構造を有するセラミック複合材料成形体を産生する。いくつかの実施形態においては、金型は、1つ以上の凸曲線を有するポジ型の金型または金型表面と、1つ以上の凹曲線を有するネガ型の金型または金型表面とを提供する2つの半分を有することができる。いくつかの実施形態においては、金型表面は、1つ以上の段差を含むことができる。2つの金型の半分は、プリフォームを2つの金型の半分の間に圧入できるように、互いに幾何学的オフセットを有する。いくつかの実施形態においては、金型は、成形温度に耐えうる金属材料から、3Dプリンティングなどの積層造形プロセスによって形成することができる。適切な金属材料には、オーステナイト系ニッケルクロムベースの超合金であるインコネル、および304ステンレス鋼が含まれる。金型内のプリフォームをセラミックマトリックスの溶融温度または軟化温度よりも高い温度に加熱する。金型に荷重が加えられ、金型内でプリフォームが変形させる。いくつかの実施形態においては、荷重は、ポジ型の金型を通してプリフォームに加えられる。プリフォームの微細構造におけるセラミック粒子を整列させることにより、熱成形プロセス中の粒子の面内流れが可能になる。金型からセラミック複合材料成形体が冷却して取り出される。いくつかの実施形態においては、セラミックス複合材料成形体は、15分以内に平坦な焼結シートから熱成形され得る。いくつかの実施形態においては、セラミックス複合材料成形体は、10分以内に平坦な焼結シートから熱成形され得る。いくつかの実施形態においては、セラミックス複合材料成形体は、10分未満で平坦な焼結シートから熱成形され得る。いくつかの実施形態においては、熱成形ステップにおいて、プリフォームは、約400℃~約1000℃の温度に加熱される。いくつかの実施形態においては、熱成形ステップにおいて、プリフォームは、約500℃~約700℃の温度に加熱される。
【0068】
いくつかの実施形態においては、上述したように、六方晶窒化ホウ素(hBN)をセラミック粒子として選択し、酸化ホウ素(B)をセラミックマトリックスとして選択することができるが、プロセスの実施形態は、他のセラミック粒子およびマトリックス材料とともに使用することができることが理解されるであろう。hBNの配向板状晶粒子は、ハニカム構造のホウ素原子と窒素原子の共有結合からなる原子構造により、面内フォノニック輸送に効率的である。これらのハニカム状の原子シートは、弱いπ結合によって横方向に束縛されており、横方向のフォノニック散乱が増加する。(図3)hBNの熱異方性は、フォノニック材料の熱挙動が、hBN粒子の配向や浸透を含む基礎となる微細構造によって決定されることを規定している。
【0069】
セラミック複合材料全体にわたって所望の粒子配向および浸透を達成するために、振動支援のキャスティング法は、ポリマーグリーン体中のhBN粒子の高体積分率(いくつかの実施形態では、60体積%にも達する)を整列させることができる。液体バインダー樹脂(感光樹脂やエポキシなど)に懸濁したhBN粒子の高負荷量は、ハーシェル・バックリー流体として振る舞い、効果的に流動するために振動の形体でせん断を必要とする。さらに、これらの緻密な粒子懸濁液は、テープキャスティングプロセス中に振動エネルギーを受け、面内のhBNをさらに高程度に流動化およびせん断整列させる。図4は、左から右に5μm、12μm、および45μmの公称粒子径を有する250μm層におけるhBN粒子が整列している顕微鏡写真を示している。直径の大きい粒子は、より良い整列している状態を提供し、多分散粒子システム内の小さな粒子の指揮官として機能する。
【0070】
テープキャスティング後、懸濁液にUV光を当てて感光樹脂を重合させ、配向したhBN粒子を固体のグリーン体に固定する。いくつかの実施形態において、材料は、405nmのピーク波長を有するUV-Aおよび可視紫外線に曝される。hBN板状晶は可視光に対して半透明である(図5A参照)。光動力学の特性評価は、粒子濃度と硬化深さに対する粒子サイズの関係を説明することができる。例えば、粒子濃度が増加するにつれて、いくつかの実施形態においては、hBN粒子について30体積%を超えると、硬化深さがより制約され得る。粒子サイズが小さくなると硬化深さも小さくなり、粒子が小さくなる際の光散乱効果に関係する。いくつかの実施形態においては、22.5秒で、~250μmの層厚および12μmのhBN粒子サイズを硬化させることができる(図5B参照)。いくつかの実施形態においては、厚さ1mmおよびhBN粒子サイズ12μmの多層プリフォームを1時間以内に完全に硬化させることができる。
【0071】
図6Aを参照すると、これらのポリマーグリーン体は、酸素化された環境で常圧で焼結して、ポリマーマトリックスに取って代わり、hBNを包み込む酸化ホウ素のマトリックスを成長させることができる。グリーン体の厚さ全体にわたって酸化ホウ素の均一な成長を促進するために、酸素が豊富なアクリレート系を選択できる。材料を焼結炉に入れ、温度を第1の温度まで上げる(図6A、ステップ(i))。2段階の焼結プロセスは、ホウ素に親和性を持ち、酸化プロセスの播種剤として振る舞うポリマーから、いくつかの実施形態では約0.3at%の酸素(SEM画像の上の黄色のEDXオーバーレイで表示)をトラップして残す脱バインダー(ポリマー焼き尽くし)段階(ステップ(ii))から始まる。次に、焼結温度を1050℃まで上げてhBNを部分的に酸化する(図6A、ステップ(iii))。閉じ込められた酸素は、部品全体のhBNの酸化速度を強化および均質化し(EDXオーバーレイで再び表示)、プリフォームまたはブランクとして記述される白いオールセラミック部品をもたらす。いくつかの実施形態においては、材料を大気条件下で乾燥空気中の1050℃で6時間焼結し、hBNの酸化を利用して、ポリマーが系から燃焼されるときに二次バインダーとして作用する約40体積%のBを生成することができる。図6Bは、焼結hBN、54容積%Ebecryl 230のグリーン体、および焼結54容積%Ebecryl 230に対する炭素、ホウ素、窒素、および酸素元素の原子組成の変化を示している。
【0072】
プリフォームの微細構造におけるhBNの配向により、熱成形プロセス中の面内流れが可能になる。(図7A図7B)熱成形は、まず、2部品金型のネガティブ金型表面にプリフォームを配置し、Bの溶融温度Tm(450℃)以上にシステムを加熱し、サンプルおよび金型が平衡温度に達するのに十分な時間、いくつかの実施形態では10分間滞留することから始める。酸化ホウ素(B)が溶融し、材料は粘性のある粒子が詰まったビンガム擬塑性として再び振る舞い、適切な荷重が加えられるまで流れを妨げる降伏応力を示す。次に、金型圧縮荷重を適当な時間(いくつかの実施形態では、少なくとも10分または少なくとも15分)加えて、部分的に流体のオールセラミックの降伏応力を克服し、変形を引き起こす。金型をオーブンから取り出し、冷却した。その後、変形したセラミックを金型から取り外すことができるため、複雑で薄く、軽量な部品が得られる。したがって、これらのhBNセラミック材料は、十分な熱、圧力、および滞留時間を加えることによって熱成形することができる。いくつかの実施形態においは、加熱は500~700℃の範囲であり得る。いくつかの実施形態においては、圧力は、50kPa~100MPaの範囲であり得る。いくつかの実施形態においては、圧力は、500kPa~5MPaの範囲であり得る。いくつかの実施形態においては、金型内の滞留時間は少なくとも10分であり得る。いくつかの実施形態においては、金型内の滞留時間は10分未満であり得る。いくつかの実施形態においては、金型内の滞留時間は5分未満または1分未満であり得る。いくつかの実施形態においては、金型内の時間の大部分は、金型およびプリフォームを所望の温度まで引き上げることに費やされる。いくつかの実施形態において、寸法公差は、20%、10%、5%、1%、または0.5%であり得る。
【0073】
プリフォームの成形性は、温度に依存し得る。図8Aを参照すると、熱成形中の温度を上げると、より微細な形状サイズの材料が形成される可能性がある。低温で粘度が高い場合、材料は、材料が形状を完全に解像しない機械的噛み合い領域に陥る可能性がある。温度が上昇すると、溝接触領域への移行により、より細かい形状を解像できる。温度がさらに上昇すると、材料は完全に解像された形状を持つ接着領域になる。接着領域内では、成形されたセラミック複合材料は金型の表面に付着する可能性があり、成形部品を取り出すために高温離型を必要とする場合がある。いくつかの実施形態においては、異なる温度に基づいて成形することができる形状サイズから、状態図(図8A)は、所与の温度で予想される形状サイズを補助することができる。同定された熱成形領域により、金型は、例えば、いくつかの実施形態において、完全に接着接触領域で設計することができる。図8Bは、本明細書で用いる幅、高さ、および長さの形状を識別する金型の略図である。形状幅は、金型形状間の幅であり、金型の形状によって成形材料上にでこぼこ形状が作成される。形状高さは、材料を金型形状に成形できる深さである。形状の長さは、金型にまたがる寸法である。いくつかの実施形態においては、金型は、約1:1の最大絞り比を有することができ、ここで、絞り比は、形状幅に対する形状の高さとして定義される。
【0074】
図9は、微細な形状サイズを有する金型を示す。より微細な形状の形成には、より低い粘度が必要な場合があるが、温度を上げることで達成できる。例えば、酸化ホウ素の液体マトリックスを有するセラミック材料は、温度がB2O3のTm以上に上昇するにつれて粘度が低下する。温度上昇におけるBの粘度低下は、B融解の活性化流動エネルギー、を導出したPei-Ching Li,et al,によって確認されている。温度が上昇すると、流れを誘導するために必要なエネルギーが減少する。この事実を利用して、より微細な形状を持つ部品の熱成形分解能を高めることができる。BのTmをわずかに上回る500の低温では、hBNセラミック材料プリフォームの熱成形は、2mmを超える形状幅に対して可能であり、5mm幅の形状未満に制限される。500℃で2mm未満の形状は、抑制的な活性化エネルギー(機械的噛み合い領域として特徴付けられる)により解像されない。600℃の場合、溝接触領域の遷移を1.6mmの形状サイズに下げることで、より細かい形状を解像できる。600℃で幅1.6mm以上の形状サイズでは、材料が完全に形成される(溝接触領域として特徴付けられる)。形態700℃では、さらに多くの流れが可能になり、0.6mmまでの形状幅が解像される(接着領域として特徴付けられる)。接着領域内では、成形されたオールセラミックが金型の表面に付着する可能性があり、成形部品を取り出すために高温の離型が必要になる場合がある。さらに温度を上げることは、セラミック粒子の酸化、例えば、より長い時間での1000℃を超えるBN、およびより短い時間での酸化物マトリックスの蒸発温度、例えば、酸化ホウ素の場合は1375℃での蒸発温度によって制限される。配向したhBN微細構造は、同位体的に整列した系が立体障害のために局所的な粒子ジャミングを引き起こすような、整列した粒子が互いに流れ合う能力のために、形成プロセスにおいて役割を果たす。
【0075】
図10Aは、粗い形状を有する金型と、各金型で500℃で成形されたセラミックス複合材料成形体の2つの実施形態を示す。左側の金型には、90°のステップが多数ある。右側の金型には、半径1mmのフィレットを備えたステップがある。いくつかの実施形態においては、粗い形状の金型を使用して、5.8mm幅の形状サイズで、500℃の低温でhBN板状晶粒子を有するセラミックプリフォームを熱成形することができる。いくつかの実施形態においては、プリフォームは、5mmステップで90°の曲げに失敗することなく耐えることができる。いくつかの実施形態においては、3次元部品は、200μmの形状解像度で形成することができる。
【0076】
図10Bは、大きな形状の金型に形成された熱成形ヒートシンクの破断エッジを示し、変形に形成された粒子と、湾曲部に追う整列した粒子を示す。図10Cは、大型形状の金型で変形した試料のSEMを示しており、大きな変形は表面レベルで滑らかであり、曲面には表面の剥離や亀裂がないことを示している。
【0077】
いくつかの実施形態においては、深絞り金型を採用することができる。図11を参照されたい。金型は、負の金型表面を提供するベースまたは引き抜きガイド、正の金型表面を提供する雄型、および雄型をベースに位置合わせするための雄型ガイドを含むことができる。いくつかの実施形態においては、幅に対する形状深さの最大絞り比1:1が採用され得る。
【0078】
いくつかの実施形態においては、受動的熱成形技術を採用することができ、いくつかの実施形態では、一般に、金型の種類および設計に応じて、能動的な熱成形技術を採用することができる。受動的熱成形は、セラミック複合材料プリフォームを2つの金型の半分の間に配置して金型をセットし、温度で炉に入れることである。上面の金型の重量はセラミックを形成するのに十分な荷重であるため、それ以上の荷重は必要ない。この手法は、単純なU金型(実施例1に記載)およびRaspberry Pi金型(実施例2に記載)に好適であり得る。能動的な熱成形は、上部の金型に荷重を加えて材料を形成する方法である。これは、上部の金型の表面形状が複雑で、金型が成形位置にスライドしているときに詰まる可能性がある場合に有用である。能動的成形は、本明細書に記載されるような、粗い形状金型、微細形状金型、面金型(微細形状金型とみなすことができる)、及び深絞り金型に好適であり得る。高温離型剤(Hi-Temp 1800 Mold Release, Slide, Wheeling IL)を金型に塗布して、成形完了後の部品を取り外す際の付着やサンプルの破損を防ぐことができる。
【0079】
いくつかの実施形態において、前記セラミックス粒子が、六方晶窒化ホウ素、酸化ホウ素、六方晶窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、二硫化モリブデン、白土、酸化セシウム、グラフェン、フレーク状フェライト、リン酸カルシウムフレーク、ジルコニアフレーク、シリカフレークであり得る。いくつかの実施形態において、セラミック粒子は、酸化物、窒化物、炭化物、硫化物、およびフッ化物のうちの1つ以上をフレーク状にすることができる。
【0080】
いくつかの実施形態において、セラミックマトリックスは、酸化ホウ素、二酸化ケイ素、ガラスフレーク、銀被覆ガラスフレーク、または酸化リチウム-シリカ混合物であり得る。いくつかの実施形態において、前記セラミックマトリックスが、前記金型を形成する材料の作動温度範囲内で、かつ前記セラミック粒子の溶融温度または分解温度を下回る軟化相または溶融温度を有するガラス状材料またはガラス状セラミック材料混合物であり得る。
【0081】
いくつかの実施形態において、前記セラミックス複合材料成形体中の前記セラミック粒子濃度が約30重量%~約90重量%であり、前記セラミックマトリックス濃度が約10重量%~約70重量%であり得る。
【0082】
前記セラミックス複合材料成形体における前記セラミックス粒子の直径が約1μm~約100μm、または約5μm~約45μmであり、厚さが直径の約3~約100倍未満であり得る。いくつかの実施形態においては、プリフォームは、約0.05mm~約10mm、または約0.1mm~3mmの厚さを有することができる。いくつかの実施形態においては、セラミックス複合材料成形体は、約0.05mm~約10mm、または約0.1mm~3mmの厚さを有することができる。
【0083】
いくつかの実施形態においては、鋳造プロセスは、大判振動プラットフォームを含む、ロールツーロールまたは大規模なシート製造に拡大することができる。いくつかの実施形態では、プロセスは、複数の部品を製造するための生産ラインを形成するか、または生産ラインに統合することができる。熱成形プロセスは、さまざまな負荷および温度条件下での再現性と信頼性をも示す。いくつかの実施形態においては、本明細書に記載される寸法および他のパラメータの許容誤差は、20%、10%、5%、1%、または0.5%であり得る。
【0084】
いくつかの実施形態においては、この技術は、発熱回路基板などのデバイスの熱管理を提供するプロセスを提供し得る。図12A図12Cを参照すると、一実施形態においては、熱管理を必要とする回路基板が3Dスキャンされる。スキャンから、ポジおよびネガティブの熱成形金型が、例えば、3Dプリンティングなどの積層造形プロセスを使用して製造される。金型は、機械加工などの減法を含む他の金属加工プロセスを使用して作成し得る。金型は、熱成形プロセスの成形温度に耐えることができる金属またはその他の材料から作ることができる。ネガティブモールドの半分には、ポジティブモールドの半分からの幾何学的オフセットがあり、2つの金型の半分の間でセラミックプリフォームを圧縮できる。本明細書に記載の如く作製された整列した微細構造を有するセラミックプリフォームは、本明細書に記載の如く金型の内側で加熱及び圧縮される。いくつかの実施形態においては、熱成形されたセラミック構造は、水保護コーティングで被覆され得る。好適なコーティングは、スプレーオンガラス、シロキサンベースのコーティング、PTFEスプレー、エポキシまたはシリコーンでのディップコーティング、エポキシまたはシリコーンでのスプレー、油性塗料、および他の市販のバリアコーティングを含むことができる。この構造は、冷却されて金型から取り出され、回路基板上に圧入され、電子機器から発生する熱を回路基板に分散させて、熱管理解決策として使用できる。いくつかの実施形態においては、ヒートシンクとして採用される熱管理デバイスは、従来技術の金属ヒートシンクによって達成される1℃/mmの速度と比較して、10℃/mmの熱伝達率を提供することができる。このプロセスを複数回、場合によっては数百回または数千回繰り返して、製造プロセス中に複数の回路基板用の熱管理装置を生成することができる。
【0085】
本明細書に記載のプロセスおよび材料は、従来のセラミック製造プロセスおよび従来技術のセラミック材料よりも多くの利点を提供することができる。本明細書に記載の技術は、複雑な表面に形状適合し、失敗なく大きな応力に耐えることができ、電気的に絶縁しながら高い熱伝導性を有する誘電体セラミック材料を製造するために用いることができる。この技術は、後処理や機械加工技術を大幅に使用することなく、セラミック材料の薄肉で複雑な形状を、低温で迅速に形成するために使用し得る。プリフォームは熱成形ステップの前にすでに完全に焼結されているため、部品の収縮、緩和、または加工後による設計上のトレードオフは必要がない。従来のセラミック加工は、工具と加工を実行するために必要な専門知識のためにコストがかかる。従来技術の高度な製造プロセスでは、典型的には、例えば、最終焼結中の収縮または変形を考慮するために、ニアネット形状処理を必要とする。機械加工では、一般にマイクロクラックが発生し、目的の材料特性の形成が妨げられる。
【0086】
セラミック複合材料は、市販のhBNなどの従来技術材料と比較して、耐熱衝撃性、機械的強度および靭性などの改善された特性を示すことができる。ヒートシンクまたはヒートスプレッダとしての材料の熱管理性能は、従来技術の金属製ヒートシンクおよびヒートスプレッダ装置と比較した場合に改善を示すことができる。
【0087】
本明細書に記載のプロセスおよび装置は、適切な熱伝導率および電気抵抗率の両方を有する種々の熱生成適用に熱管理を提供することができる。対照的に、従来技術の金属熱交換器は、良好な熱伝導率を提供することができるが、電気抵抗率は低く、短絡障害が発生する可能性がある多くの電気および無線周波数(RF)システムには適していない。従来技術の炭素繊維およびグラファイト充填複合材料は、金属と同様の熱管理挙動を示す。従来技術のポリマーおよび複合材料は、電気抵抗率を改善することができるが、熱伝導率は低い。
【0088】
本明細書に記載の材料、製品、製造プロセスは、さまざまな熱管理ソリューションおよび薄板セラミックスの複雑な形状を必要とする他の適用にソリューションを提供することができる。本明細書に記載のプロセスによって形成された装置および材料は、熱交換器、コールドプレート、プリント回路基板、高性能CPU、高密度電子プラットフォーム、電子シャーシシステム、RFデバイス、RFおよびフェーズドアンテナアレイ、低損失誘電体RFコンポーネント、レードーム、パワーインバータ、太陽電池、中性子遮蔽、高温熱遮蔽、キューブ衛星用遮熱材、封止材、医療機器、複雑な表面形状のラミネートに使用し得る。
【0089】
このプロセスと製品は、航空宇宙、防衛、再生可能エネルギー、クリーンエネルギー、環境、電気自動車(EV)、輸送、医療機器産業などの業界で使用できる。このプロセスは、特定の電子機器に特化して調整された複雑な形状のカスタムセラミックヒートスプレッダーを設計および成形するために開発された他の製造プロセスに統合できる。
【0090】
熱成形の最初の観察は、熱衝撃の印加中に爆発した市販のhBN焼結シート(3インチ×5インチ×1/16インチhBNシート、McMaster-Carr)の熱衝撃電位と、整列したhBN粒子を含むセラミック複合材料のプリフォームを、本明細書に記載の技術に従って比較する実験中に行われたが、壊滅的な反応はなかった。組成の異なる両方の材料は、hBNおよびBのみを含んでいた。試料の上に荷重をかけ、試料の下にプロパントーチを熱して試験を行うと、プリフォームのセラミック複合材料が変形し始め、床に落下した。材料は無傷で、永久に変形した。同じ実験を再度行って検証し、炎の位置によって異なる形状に変形させた(図23)。
【0091】
次に、熱成形加工法をテストし、マトリックスの溶融温度以上で、材料が臨界荷重で失敗することなく複雑な形状に成形できることを示した。U字型の金型を作成して加工方法をテストし、成形プロセスが再現可能で制御可能であることを確認した(図24)。
【0092】
一例においては、六方晶窒化ホウ素(hBN)をフォノニックセラミック粒子として選択し、酸化ホウ素をセラミックマトリックスとして選択した。プリフォームやクーポンを作成する一般的なプロセスは、3つのステップに分かれている。1)材料の配合、2)硬化とベークアウト、3)焼結。濃縮セラミックスラリー(54vol%)を、市販のhBN、酸素供与ポリマー、光開始剤、希釈剤と混合して、せん断応力下でのみ流動するスラリーレオロジーを実現します。ここで、酸素供与ポリマー、光開始剤および希釈剤は、以下の通り、アクリレート樹脂(70体積%、密度1.15g/cm、EBECRYL230、Allnex)、イソボルニルアクリレート(30体積%、密度0.986g/cm、IBOA、Sigma-Aldrich)を反応性希釈剤として添加し、2つの光開始剤(0.1vol%、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン99%、およびフィニルビス(2,4,6-トリメチルベンジル)ホスフィンオキシド97%、Sigma-Aldrich)を1:1比で添加した。最後に、hBN、12μmの板状晶(54体積%、PT-120 hBN、Momentive)を樹脂に対して体積濃度で添加した。この場合、せん断条件下で流動する均一なペーストを製造するために、追加の溶媒が必要であった。エタノール(8体積%、Sigma-Aldrich)を添加して混合物の粘度をさらに下げ、一時的に負荷量を減少させたスラリーを作製した。次に、材料をスピードミキサー(DAC 150.1 FVZ-K、FlackTek Inc)で1500RPMで2分間均質化した。最終生成物は、せん断応力が加えられるまで変形しないという点で、Hershel-Buckley流体として振る舞うスラリーを産出した。
【0093】
CMC全体にわたる並外れた粒子配向および浸透を達成するために、本明細書に記載される振動支援鋳造法を採用して、ポリマーグリーンボディ中のhBN粒子の高体積分画(60体積%)を整列させた。液体感光樹脂に懸濁したhBN粒子の高負荷量は、ハーシェル・バックレー流体として振る舞い、効果的に流動するためには振動の形でせん断を必要としする。さらに、これらの緻密な粒子懸濁液は、テープキャスティングプロセス中に振動エネルギーを受け、面内のhBNをさらに高度に流動化およびせん断整列させた(図1A~1Cに関して上述したように)。テープキャスティング後、懸濁液にUV光を当てて感光樹脂を重合させ、配向したhBN粒子を固体のグリーン体に固定した(図1Dに関して上述したように)。
【0094】
次に、これらのポリマーグリーン体を酸素化環境下で無圧焼結して、ポリマーマトリックスに置き換わり、hBNを包み込んだ酸化ホウ素のマトリックスを成長させた。グリーン体の厚さ全体にわたって酸化ホウ素の均一な成長を促進するために、酸素が豊富なアクリレート系が選択された。2段階の焼結プロセス(上述)は、ホウ素に親和性を持つポリマーから約0.3at%のトラップ酸素を残し、酸化プロセスの播種として振る舞う脱バインダー(ポリマーバーンオフ)段階から始まった。次に、焼結温度を1050℃まで上昇させることにより、hBNを部分的に酸化した。閉じ込められた酸素は、部品全体のhBNの酸化速度を強化および均質化し、プリフォームまたはブランクとして記述される鮮やかに白いオールセラミック部品をもたらした。
【0095】
プリフォームの微細構造におけるhBNの配向により、熱成形プロセス中の面内流れも可能にした。具体的には、ホウ素ベースのオールセラミックプリフォームをネガティブ金型に入れ、450℃を超えて加熱すると、酸化ホウ素(B)が溶融し、材料は再び粘性のある粒子充填ビンガム擬塑性として振る舞い、臨界荷重が加えられるまで流れを妨げる降伏応力を示した。したがって、これらのhBNオールセラミックスは、金属3Dプリントされたインコネル625金型を使用した複雑なオールセラミックのヒトの顔の成形に例示されるように、十分な熱(500~700℃)、圧力(後述)、および滞留時間(10分超)を適用することによって熱成形し得る(図2Aを参照)。
【0096】
熱特性を理解するために、面内および面貫通の熱伝導率を測定した。テープキャスティング中のhBN粒子をせん断整列させることにより、面内熱伝導率が面貫通に比べて高いと予想された。面貫通熱伝導率はASTM E1461で特性評価され、室温で3.52+/-0.67W/mKであることが分かった。面内熱伝導率は、アングストロン法(セクション2.4、材料と方法を参照)を使用して特性評価され、室温で12.8W/mKであることが分かった。これらの値はどちらも、純粋な六方晶窒化ホウ素の理論導電率をはるかに下回っており、酸化ホウ素マトリックスが全体的な導電率を損なうために提供する熱抵抗を強調している。それにもかかわらず、これらの熱伝導率値は、これらの窒化ホウ素ベースのオールセラミックを、特に密度と高分解能の成形性がアプリケーションスペースにとって重要な場合に熱を伝導できる誘電体にとって有用なスペースにする。
【0097】
窒化ホウ素ベースのオールセラミックプリフォームの機械的堅牢性を定量化するために、焼結試験片を3ポイント撓ませて曲げ特性評価を行った(Section 2.4, Materials and Methodsを参照)。4時間と6時間の両方の焼結滞留時間を試行した結果、堅牢性が増大する機械的特性が得られた(図13)。6時間焼結したサンプルは、曲げ強度、曲げ破断ひずみはε屈曲=0.78+/-0.17%、曲げ弾性は0.22+/-0.037MJ/mであり、U=1/2σflexεflexを使用して測定された。ベンチマークとして、熱管理用に販売されているホットプレス窒化ホウ素ベースのオールセラミックの市販サンプル(McMaster Carr)を購入し、同じ方法でテストしたところ、曲げ強度、破断時ひずみ、弾力性が大幅に低下した。特に、市販のサンプルは配向性微細構造を欠いており、熱成形能力がないことが判明した。市販のサンプルのような従来のセラミック材料と比較して、この例で試験した窒化ホウ素ベースのセラミック材料は、優れた弾力性を示した。これは、これらの材料の根底にある配向した真珠層様の微細構造に由来するようである。この実施例の残りの部分では、6時間の焼結滞留時間が使用された。
【0098】
本明細書で製造され、考慮される窒化ホウ素ベースのセラミック複合材料の組成は、この段階での無圧焼結および非最適化製造による適度な量の多孔性を有するhBNおよびBであると予想された。これらの期待を確認するために、修正アルキメデス法とXRDを組み合わせて組成を認証した(Section 2.4, Materials and Methodsを参照)。製造されたセラミック複合材料は、1.42+/-0.10g/cmの平均密度と、それぞれ49.8体積%および50.2体積%のバランスhBNおよびB含有量を示した。サンプルは、37.9体積%と計算された高い空隙率含有量を有していた。それにもかかわらず、これらのサンプル組成物は、上述したように有意な機械的特性を示し、複雑で薄い形状に効果的に熱成形することができるプリフォーム「ブランク」をもたらした。
【0099】
セラミックマトリックス複合材の熱成形と現在の形状の解像度
熱成形可能なセラミック複合材料内の加工構造の関係を調べるために、500℃でのこれらのプリフォームの降伏強度を、(図14)に示す単純な支持構造で表示された。温度がBの溶融温度Tm(Tm=450℃)を上回っているにもかかわらず、0.01Nの力の下では流れがなかった。荷重が増加すると、サンプルは、単純支持構造の 0.2Nの力で最大たわみで変形した。この挙動は、これらのホウ素ベースのセラミック複合材料が、その微細構造と流体状マトリックスの組成、50vol%近くの固体充填量、および濃縮スラリーの直接の類似物であることにより、ビンガムプラスチックとして振る舞ったという仮説を裏付けている。
【0100】
プリフォームの成形性の温度依存性を理解するために、微細な形状の金型(図9で説明したようなもの)を高温でテストして、流動特性に対応する接触領域(図8B)を確立した。これらの高温では、セラミック複合材料は、温度がBのTm以上に上昇するにつれて粘度が低下した酸化ホウ素の液体マトリックスを有していた。BのTmをわずかに上回る500℃の低温では、hBNセラミック複合材料プリフォームの熱成形は、2mmを超える形状幅に対して可能であり、5mm幅の形状未満に制限されていた。500℃で2mm未満の形状は、抑制的な活性化エネルギー(機械的噛み合い領域として特徴付けられる)により解像されなかった。600℃の場合、溝接触領域の遷移を1.6mmの形状サイズに下げることで、より細かい形状を解像できる。600℃で幅1.6mmを超える形状サイズでは、材料が完全に形成される(溝接触領域として特徴付けられる)。700℃では、さらに多くの流れが可能になり、0.6mmまでの形状幅が解像される(接着領域として特徴付けられる)。接着領域内では、成形されたセラミック複合材料は金型の表面に付着する可能性があり、成形部品を取り出すために高温離型を必要とする。さらに温度を上げることは、より長い時間では1000℃を超えるBNの酸化と、より短い時間では1375℃での酸化物マトリックスの蒸発温度によって制限された。配向したhBN微細構造は、同位体的に整列した系が立体障害のために局所的な粒子ジャミングを引き起こすような、整列した粒子が互いに流れ合う能力のために、形成プロセスにおいて役割を果たすと考えられる。図10に示すステップ金型を使用して、500℃の低温で5.8mm幅の形状サイズでセラミック複合材料プリフォームを熱成形することに成功しました。ここでは、プリフォームは5mmのステップで90°の曲げに失敗することなく耐えることができた。熱成形プロセスは、さまざまな負荷および温度条件下で再現性と信頼性を示した。
【0101】
この製造プロセスの能力をさらに特徴付けるために、図11のような深絞り金型を使用した体系的な成形研究で、さまざまな絞り比(幅に対する形状の深さとして定義)の成功を特徴付けした。金型は、サンプルサイズに応じて変化する最大絞り比で設計され、最大ピン長は1.6mmから6.93mmの範囲で、可能な最大絞り比は各金型サイズで2.32であった。その結果、引き裂く前の温度にわたるプリフォームが耐える最大絞り比と金型サイズとの依存性が明らかになった(図15)。絞り比1.0付近の明確な上限は、温度や金型サイズとは無関係に観察された。この制限は深絞りの閾値も表しており、シートの厚さ、金型の準備、および金型プロセスの関数である可能性が高く、このプロセスの限界を見つけるためにさらに最適化できる。成形温度が低いほど、熱成形に高い圧力が必要になり、これは溶融Bマトリックス内の流動の活性化エネルギーと一致する。達成可能な最大絞り比を超えると、プリフォームの引き裂きが観察された。700℃という高い温度により、より小さな圧縮応力下での熱成形が可能になったが、一般的には粘度が低く、引き裂きを受けやすいプリフォームになった。驚くべきことに、1.0を超える絞り比が実証され、この方法を使用した成形結果は深絞りに分類される。深絞り加工は、熱成形の積極的な領域であり、特定の熱可塑性ポリマーや金属にも大きな課題をもたらす。
【0102】
熱管理応用の性能試験
セラミック複合材料の熱成形の熱管理適用への応用は、そのままの性能試験を通じて明らかにされた。具体的には、本明細書に記載の熱成形プロセス全体を、特注の印刷回路基板(PCB)用の短納期のオールセラミックヒートスプレッダの製造に適用した。図16Aおよび図16Bを参照すると、このプロセスは、動作温度を追跡するための内部熱電対を備えたPCBとしてRaspberry Pi(RPi)回路基板を使用して検討された。まず、PCBの3D CADモデルとInconel 625から3Dプリントされた金属から金型を設計した。フォノニックセラミック複合材料プリフォームを接着接触領域(これらの形状サイズで500℃)で熱成形した。軽い後処理の後、熱成形された材料をPCB上に圧入し、少量の熱ペーストを使用してセットすることで、接続の熱インピーダンスを最小限に抑え、装置の取り扱いに対する堅牢性を可能にした。
【0103】
性能を評価するために、PCBは、カスタムプログラムを使用して、プロセッサチップを最大定常温度に達するまで10分間完全にスロットルで調整した(セクション2.4, Materials and Methodsを参照)。受信時のPCB、冷却用の金属ヒートシンクパッケージを追加で提供したPCB、および本明細書に記載の熱成形セラミック複合材料ヒートスプレッダとの比較を行った。サプライヤーが提供する金属ヒートシンクパッケージは、0.68mm厚のセラミック複合材料ヒートスプレッダーと比較して、9.07mmの厚さの空間エンベロープを収めるために必要な平行フィンアルミニウムヒートシンクを特徴としていた。同等のテストでは、内部熱電対を使用してプロセッサチップの内部温度を評価したところ、セラミック複合材料ヒートスプレッダ(最高温度52.9℃)は、大型のアルミニウムヒートシンクパッケージ(最高温度56.8℃)よりも優れた性能を発揮し、どちらも受信時のシステム(最高温度60.5℃)よりも冷却上の利点があることを示した(図17A)。
【0104】
さらに、3つのケースすべてでPCBの表面温度をFLIRカメラで測定し、同様の結果を示した。薄型のコンフォーマルオールセラミックヒートスプレッダの性能を強調するために、必要な幾何学的エンベロープの厚さ(℃/mm単位)で正規化された受信時のシステムに対する各熱管理ソリューションの冷却効果をプロットした(図17B)。セラミック複合材料ヒートスプレッダと金属ヒートシンクの冷却効果(受入時の対照と比較した温度の低下によって測定)を熱管理解決策の厚さで正規化したところ、オールセラミック熱成形ヒートスプレッダは、半対数プロットスケールで金属ヒートシンクを10年以上上回った。熱管理解決策の幾何学的エンベロープを最小限に抑える必要がある場合、この正規化は、熱成形されたオールセラミックヒートスプレッダが、セミログ性能プロットで現在の従来技術の金属ヒートシンクを10年上回ったことを示している。さらに、これらのセラミック複合材料ヒートシンクは強力な誘電体でできており、PCB内の電気コネクタに対してより緊密に接触して使用し、熱をより効果的に移動させるのに役立つ。
【0105】
材料の配合
プリフォームやクーポンを作成する一般的なプロセスは、3つのステップに分かれている。1)材料の配合、2)硬化とベークアウト、3)焼結。濃縮セラミックスラリー(54vol%)を、市販のhBN、酸素供与ポリマー、光開始剤、希釈剤と一緒に混合して、せん断応力下でのみ流動するスラリーレオロジーを実現する。この実施例において、酸素供与ポリマー、光開始剤および希釈剤は、以下の通り、アクリレート樹脂(70体積%、密度1.15g/cm、EBECRYL230、Allnex)、イソボルニルアクリレート(30体積%、密度0.986g/cm、IBOA,Sigma-Aldrich)を反応性希釈剤として添加し、2つの光開始剤(0.1vol%、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン99%、およびフィニルビス(2,4,6-トリメチルベンジル)ホスフィンオキシド97%、Sigma-Aldrich)を1:1比で添加した。最後に、hBN、12μmの板状晶(54体積%、PT-120 hBN、Momentive)を樹脂に対して体積濃度で添加した。この場合、せん断条件下で流動する均一なペーストを製造するために、追加の溶媒が必要であった。エタノール(8体積%、Sigma-Aldrich)を添加して混合物の粘度をさらに下げ、一時的に負荷量を減少させたスラリーを作製した。次に、材料をスピードミキサー(DAC 150.1 FVZ-K、FlackTek Inc)で1500RPMで2分間均質化した。最終生成物は、せん断応力が加えられるまで変形しないという点で、Hershel-Buckley流体として振る舞うスラリーを産出した。
【0106】
プリフォーム製作プロセス
鋳造ブレードから振動力と表面せん断力を加え、光重合用の薄層(200μm)を広げることでプリフォームの作製が完了した。このプロセスを約1.2mmに達するまで6回繰り返した。振動テープ鋳造システムは、振動を利用して粘度を下げ、材料系を流動化させた。改造ステージの振動は、単軸バイブレータ(JT-51Bバイブレータ、Jintai)で発生させ、流体運動が観察されるまで最初に増加し、その後、残りのテストでそのレベルの振動を設定した。スラリーを振動せん断で流動化させた後、鋳造ブレードで材料をユーザー定義の厚さのシートに薄め、振動を消した後、405nm DLP UVプロジェクター(PRO4500、Wintech Digital System Technology Corp.)を使用して紫外線暴露によりバインダーを硬化させた(図1A-1D参照)。
【0107】
このプロセスの限界は、焼結プロセス中の層間剥離により層の厚さが100μmを下回る可能性があり、合理的な粒子整列を得るために粒子サイズの20倍を超えることができないことであった。さらに、単層サンプルは半透明シートを使用して処理できる。ここでは、厚さ0.25インチのガラス片を使用して、振動中に流体を押し込み、平面金型に広げた。材料が広げられたら、材料を405nmのUVランプにさらし、ガラスの上に置いてグリーン体を作った。振動と組み合わされたプレスは、プレスプレートの力に対して垂直に形成された流線が、鋳造ブレードと同じせん断力メカニズムを使用して粒子を整列させ、粒子を好ましい方向に押し付けるせん断流を作成する圧搾流タイプの環境を作り出した。ネガの平面型は、硬化中にサンプルの側面に光が届くように、ガラスまたは透明なアクリルで作られた。ネガ空間は80mm×60mm以下の長方形であり、すべての材料が硬化ライトの下に収まるようにし、上部は0.25インチのガラスの正方形のシートで、振動がオンのときに材料をネガ空間に押し込むために使用された。このプロセスの限界は硬化時間であった。例えば、12μmのhBN粒子からなる層厚1~1.5mmの粒度依存性を、少なくとも60分間硬化させたが、DLP印刷プロセスからの層は、層厚に応じて1層あたり1~2分かかった。硬化後、エタノールを60℃のオーブンに2時間以上入れてサンプルからベークし、エタノールが蒸発するにつれてグリーン体をさらに硬化させた。その後、これらのサンプルを焼結する準備が整った。
【0108】
焼結プロファイルは、1時間で60℃まで上昇、20分間滞留、1時間で500まで傾斜、2時間滞留して樹脂を燃焼除去し、1時間で1050まで昇温し、6時間滞留してBが二次バインダーを形成できるようにするものであった。その後、サンプルを取り扱い用に室温まで自然に冷却した。注目すべきは、どちらの方法でも、鋳造シートの寸法を測ることは、焼結中のポリマーのバーンオフによる収縮を考慮に入れることができることである。収縮は、グリーンの状態と焼結後の状態での長方形サンプルの寸法変化を追跡してテストされ、X軸で12.4+/-0.37%、Y軸で11.4+/-3.85%、Z軸(平面貫通)で19.6+/-3.21%であることが判明した。収縮は異方性であり、おそらく面内収縮を減少させるhBN粒子の面内配向によるものと考えられる。この実施例においては、収縮は、これらの対応する収縮率でグリーン体の寸法をスケールアップすることで対処され、焼結後の部品が目的の寸法を示すようになった。さらに、硬化したクーポンと表面の間の密着性を制限することは、サンプルを取り出す際の引き裂きを避けるのに有用であった。これは、両工程とも鋳造面の底面にカプトンテープを貼り、プレス鋳造工程では離型剤で板ガラスをコーティングすることで実現した。
【0109】
金型設計と製作
金型は、曲げ、伸張、適合能力、およびプロセスと材料の解像度を実証するために設計された。各金型はSolidWORKS(Dassault Systems, France)で設計され、インコネル625フィラメントをMarkforged金属3Dプリントおよび焼結システム(Markforged, MA)と共に使用して製作された。インコネルは、熱成形プロセス中に加熱と冷却のサイクルを繰り返し持続するために選択されました。5種類の金型が用意された。1)500℃最低成形温度で可能な曲げ角度と大きなステップ形状を定義するのに役立つ粗い形状の金型(図10)。2)100のステップで、温度が500℃から700℃に上昇したときのさまざまな流動領域を研究するための微細な形状の金型(図9)。3)ヒトの顔の金型(図2A、18A、18B)は、1枚のシートに複数形状の解像度を示す。4)金属で使用される従来の深絞りプロセスを実行し、可能な現在の熱成形解像度を認証するためのいくつかの深絞り金型(図19)、並びに5)Raspberry Piモールド(図16A)を使用して、オールセラミックの形態調整ヒートスプレッダーとしての熱成形材料の性能を研究する。
【0110】
熱成形プロセス
オーブンを所望の温度(500℃、600℃および700℃)に加熱した後、金型を箱型炉(KSL 1200X, MTI Corp.)に入れた。酸化ホウ素の溶融温度は450℃である。温度を溶融温度より50℃高く加熱して、溶融物中の粘度を低下させ、成形を可能にした。500℃になる前では、成形は不可能であることが観察された。より微細な形状を提供するためには温度上昇が必要であったが、現在の金型では微細形状を実現するために700℃を超える温度は必要なかった。オーブンが加熱されたら、金型とサンプルをオーブンに挿入し、10分間平衡化させた。滞留時間後、オーブンを開き、金型の上部をプレスして成形を誘導した。次に、金型をオーブンから取り出し、部品を金型から取り出した。
【0111】
成形温度での材料降伏特性評価
成形を誘導するために必要な力の基本を理解するために、降伏力を特徴付けた。これは、2つの鋼ブロックの上に長方形のエンベロープを置くことを除いて、精密な質量荷重を負荷力として作用させて500℃で同じ加熱プロセスで完了した。質量は1gから20gに増加した。増量した塊をサンプルの上に置き、500℃で10分間浸透させた。浸透時間後、扉を開けてオーブンの側面に定規を置き、ImageJで後処理するための写真を撮影した。次に、各画像を処理して、サンプルのたわみを測定した。いずれの場合も、サンプルは、負荷条件下でサンプルが完全に変形するまで、3つのサンプルすべての増分質量で継続的に荷重をかけ、画像化し、および測定した。
【0112】
三点たわみ試験
機構は、3点たわみセットアップ(Instron, Norwood, MA)を使用してテストされた。治具スパンは長さ10mmで、先端が尖った治具を備えていた。伸長速度は、500Nの負荷セルで10mm/分に設定した。機械的にテストされたすべての部品は、少なくとも40mmx12.5mmx1mm(l,w,t)であった。すべてのサンプルは、すべての機械的試験の前に、220グリットのサンドペーパーで軽く研磨して表面を滑らかにし、印刷プロセスから表面の小さな欠陥を排除した。
【0113】
熱伝導率測定
熱伝導率を測定するために、面内特性と面貫通特性に異なる方法を使用した。どちらの場合も、ASTM E1269に基づいて、示差走査熱量測定(Netzsch DSC 204)を使用して比熱容量を測定した。面貫通熱伝導率については、ASTM E1461のレーザーフラッシュ法(Netzsch社指導によるNetzsch LFA 447を使用)に基づき、面貫通熱拡散率を測定した。サンプルの直径は10mm、厚さは0.9mmであった。面内熱伝導率については、面内熱拡散率をオングストローム法で求めた。簡単に説明すると、サンプルは、0.002Hz、振幅2.1Wの正弦波振動DC電源に接続された2本の結合ヒーターワイヤ間にクランプされた。サンプルの反対側の端の1mmをアルミニウム製のビレットに載せた。熱電対は熱源から5mmと10.8mmの距離で配置され、対流の変動を最小限に抑えるためにセットアップが密閉されました。約3時間の測定後、温度プロファイルを正弦波に適合させ、対応する振幅と位相シフトを抽出した。面内拡散率は、α=L/(2Δtln(M/N))として計算され、ここで、Lは熱電対間の距離、Δtは温度プロファイル間の時間シフト、MとNは熱源に近い熱電対と遠い熱電対によってそれぞれ測定された振幅である。この分析により、本明細書に記載の窒化ホウ素ベースのセラミック複合材料について、0.091cm/sの面内熱拡散率および関連する12.8W/mKの面内熱伝導率が得られた。さらに、この方法は、既知のサンプル(銅、ホウケイ酸ガラスなど)を正確に測定することが確認された。
【0114】
窒化ホウ素系オールセラミックスの組成分析
オールセラミックスの組成を測定するために、修正アルキメデス法とXRDを組み合わせて組成を認証しました。3つの矩形ブロックサンプルの組成は、ノギスで体積を測定し、精密天秤(ATY224、島津製作所)で質量を測定した。サンプルのBを溶解限界以下にとどまるのに十分な熱水(60℃)に完全に溶解し、不溶性のhBN粒子をホウ酸水溶液中に残し、0.45μmのナイロンフィルターでスラリーを濾過してhBN粒子を除去した。あらかじめ計量したフィルターを60℃のオーブンで一晩乾燥させ、hBNの質量を測定するために秤量した。Bの除去は、小角X線回折(SAXS)測定(ULTIMA IV, Rigaku)によって確認された(図20Aおよび20B)。hBNの測定質量および元の試料質量は、各試料におけるhBNおよびB2O3の質量パーセントを提供した。hBNおよびBについて、それぞれ2.1g/cmおよび2.46g/cmの密度を用いて、相対体積百分率の計算を可能にした。最後に、hBNおよびBの相対的な体積パーセンテージを元の部品密度と組み合わせて知ることで、空気の体積百分率の計算が可能になった。
【0115】
深絞り法
上記の降伏特性評価方法と同様に、オーブンを500℃、600℃、および700℃に加熱し、プロセス用に設計された特定の金型を使用して材料の絞り特性をテストすることにより、深絞りが完了した(図19)。変形を誘発するために、精密な塊(20g、50g、100g、200g、500g)を使用して絞り加工を進めた。絞り雄型とプリフォームを備えた金型アセンブリを温度でオーブンに投入し、塊を適用する前に10分間浸透させた。10分後、扉を開け、塊を絞り雄型の上に約10秒間置いてから取り出した。上記の方法は、荷重によって流れプロセスを制御し、選択した荷重下で可能な限り高い絞り深さを達成するために完遂した。塊を除去した後、金型アセンブリをオーブンから取り出し、サンプルを測定し、さらに絞り加工をするために金型に戻した。このプロセスを繰り返し、引き裂きが発生するまで負荷を増加させた。この時点で、サンプルは失敗したと見なされた。絞り加工サンプルと引き裂きサンプルの例を図21に参照できる。絞り加工のしきい値を超えると、湾曲した端部で最初の面引き裂きが発生した。さらに押すと、その時点でサンプルの上部がせん断剥離された。また、一旦頂部を取り外すと、部品の壁が薄くなり、小径形成試料に視認できることが観察できる。これは、純粋な絞り加工とは対照的に、材料の押し出しが起こっていたことを示している。これは、この深絞りプロセスで材料の直径が変わらないことからも明らかであった。
【0116】
特に、深絞りは多くの異なる金型を網羅する幅広いカテゴリであるため、これらは、ある金型設計が別の金型設計よりも成功した場合にテストを柔軟に行えるように設計されている。そのために、金型は、直径サイズ、雄型の長さ、および雄型半径の3つの幾何学的パラメータと、成形曲率の並べ替えをテストするように設計された。ベース深絞り金型は、雄型、ベース、雄型ガイドの3つの部品で構成されている。雄型はポジ型金型、ベースはネガ型金型、雄型ガイドはピンをベースキャビティに合わせるのに役立ち、プロセス中に材料が不必要に変形しないようにする受動要素である。図11の向きでは、雄型がガイド穴からベースキャビティに挿入され、ガイド穴はガイドピンとベースとガイド穴の両方の部品のフィレットコーナーによって位置合わせされ、適切に組み立てられるようになっている点に留意されたい。深絞り工程は以下の通りで、ベースとガイド部品の間にセラミック材料が挿入される。次に、ピンを押し下げて、材料をベースキャビティに引き込む。材料が占めるスペースを考慮して、すべてのポジとネガの金型界面の間に少なくとも1.2mmのギャップが存在する。スケールアップ間の連続性を判断するために、3つの一般的なサイズの金型をテストした。最小の深絞り金型に基づいて、他の2つはそれぞれ2倍と3倍にスケールアップされた。各金型のピン長は、ピンを金型に挿入したときのピンの深さdとピンの直径Dの比でR=d/Dを使用して選択した。1.0、1.5、および2.0の比率を満たす長さのピンが製造され、金型サイズカテゴリごとにテストされた。
【0117】
オールセラミックスの深絞りにおける主な変数は、マトリックスの溶融温度、引き抜きピンの力F、引き抜きピンのひずみ速度、雄型直径、予備成形直径、ベース穴とピン直径の間のクリアランス、ピン先端半径、ベース穴のコーナー半径、金型の表面粗さ、ガイド金型と材料間の接触力、およびすべての接触面間の潤滑性である。深絞り金型は、最大800℃まで等級付けされた高温離型でテストされた。すべての試験において、試験の前後にサンプルの直径を測定した。深絞りプロセス中、サンプルの直径は変化しないことが観察された。したがって、実際に発生したのは材料の押し出しのみであり、実際の絞りは発生しなかった。これは、印刷された金型の表面が非常に粗いことが原因である可能性がある。他の変数も早期失敗を引き起こした可能性がある。また、温度が上昇するにつれて、変形に必要な荷重が大幅に減少することも観察された。これは、温度が上昇するにつれて、流れが発生するために必要なマトリックス活性化エネルギーの減少が減少するためと予想された。しかし、金型サイズ間の興味深い傾向は、パンチの直径が小さくなるにつれて、絞り比も減少することを示した。これは、雄型の直径とベース穴の間のクリアランスに起因している可能性が最も高い。材料の制限は、1:1の比率のピンとサンプルの裂け目の最大値で満たされた。また、小さな金型を使用した最良のサンプルは、絞り深さ比が110%を超えることは例外なくない。
【0118】
Raspberry Pi応力テストとFLIR画像化
実行中のプログラム
これらの熱成形セラミック材料の熱管理の可能性を評価するために、概念実証としてシンプルなRaspberry Pi PCBを使用してテストした。内部熱電対と外部表面温度を測定するために、2つの別々の方法が適用された。内部熱電対とカスタムソフトウェアにより、さまざまな負荷条件下でCPUのコア温度を測定した。負荷プロファイルを30秒間アイドリング状態に設定し、10分間スロットルした後、2.5分間アイドリング状態に戻した。
【0119】
データ処理
時間プロファイルの間、温度は毎秒監視され、データは後処理のためにテキストファイルに保存された。データが収集されると、計算のためにExcelに転送され、次にデータの視覚化のためにOriginProプロットソフトウェアに転送された。データは、生データをプロットして分析し、各ヒートシンク間の冷却能力の差を理解し、各ヒートシンクの高さで正規化することで、熱成形ヒートシンクの薄型設計の利点を促進した。
【0120】
FLIR画像化
図22A及び図22Bを参照して、表面温度をFLIR EST230赤外線カメラで測定した。金属表面とセラミック表面の間の放射率を制御するために、ASTM E1416のレーザーフラッシュ法と同じプロトコルに従って、どちらもドライカーボンスプレーコーティングで被覆された。各ヒートシンクに3回被覆を適用した。各コーティングは、被覆の間に10分間乾燥させた。FLIRカメラは、データをライブで記録し、プロットした。その後、データを抽出してプロットソフトウェアで後処理し、Matlabを使用してライブプロット動画を作成した。
【0121】
図22Aは、0.96の放射率値が両方の材料で同じであることを保証するためのカーボンコーティングされたヒートシンクを示している。プロットされた表面温度は、本明細書に記載の内部熱電対データと同じ4℃の差を示す。図22Bでは、FLIRサーマル静止画像は、各ヒートシンクの熱的形状と、画像の温度スペクトルを表すスケールバーを示している。
【0122】
本明細書で用いる場合、「本質的にからなる」は、請求項の基本的および新規な特性に実質的に影響を及ぼさない材料またはステップを含めることを可能にする。本明細書における「含む」という用語のいかなる記述も、特に組成物の構成要素の説明において、または装置の要素の説明において、「本質的に~からなる」または「~からなる」と交換することができる。
【0123】
本技術は、特定の好ましい実施形態および態様と併せて説明されている。本技術は、図示および説明される構成、動作、正確な材料または実施形態または態様の正確な詳細に限定されるものではなく、本明細書に開示される実施形態および態様に対する種々の変更、均等物の置換、組成物の変更、およびその他の変更は、当業者には明らかであろうことを理解されたい。
【0124】
米国特許第10,834,854号は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10A
図10B-C】
図11
図12A
図12B
図12C
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
図19
図20A-B】
図21
図22A-B】
図23
図24
【国際調査報告】