(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】改良された透過率を伴う切り替え可能な光コリメート層
(51)【国際特許分類】
G02F 1/167 20190101AFI20241001BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20241001BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G02F1/167
G02F1/13357
G02F1/1335 505
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516623
(86)(22)【出願日】2022-09-09
(85)【翻訳文提出日】2024-03-14
(86)【国際出願番号】 US2022076268
(87)【国際公開番号】W WO2023044281
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジェン, シャオロン
(72)【発明者】
【氏名】ザン, ホンメイ
(72)【発明者】
【氏名】カン, イー-ミン
(72)【発明者】
【氏名】テルファー, スティーブン ジェイ.
【テーマコード(参考)】
2H291
2H391
2K101
【Fターム(参考)】
2H291FA02X
2H291FA06X
2H291NA73
2H291NA76
2H391AA15
2H391AB04
2H391AC13
2H391AC30
2H391CB42
2H391EB08
2H391FA05
2K101AA04
2K101BA02
2K101BB11
2K101BB22
2K101BC02
2K101BC13
2K101BC41
2K101BD22
2K101BD54
2K101BD57
2K101BE09
2K101BE32
2K101BE41
2K101BF14
2K101EA11
2K101EA51
2K101EA56
2K101ED12
2K101EE02
2K101EG05
2K101EG23
2K101EG52
2K101EK03
2K101EK13
(57)【要約】
双安定電気泳動流体の細長いチャンバを含む光コリメートフィルム。光コリメートフィルムは、透過基板に入射する光の量および/または方向を制御するために好適である。そのようなフィルムは、LCDディスプレイ等のデバイスの中に統合され、LCDディスプレイを視認しているユーザのためのプライバシのゾーンを提供し得る。光コリメートフィルムは、切り替え可能であるので、ユーザが、必要に応じて、放出される光のコリメーションを改変することを可能にする。フィルムは、双安定であるので、ある表示状態に切り替えられた後、追加の電力を要求しない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切り替え可能な光コリメートフィルムであって、前記切り替え可能な光コリメートフィルムは、
第1の光透過電極層と、
少なくとも20μmの厚さを有し、複数の細長いチャンバを備えているコリメート層であって、各細長いチャンバは、閉端と開端とを有し、各細長いチャンバの前記閉端および前記開端は、前記細長いチャンバの反対端に配置されている、コリメート層と、
各細長いチャンバ内に配置された顔料粒子を備えている双安定電気泳動流体と、
前記細長いチャンバの前記開端を跨ぐことによって、前記複数の細長いチャンバのうちの少なくとも1つ内の前記双安定電気泳動流体をシールしているシール層と、
複数の分割電極を備えている第2の光透過電極層と
を備え、
前記第1の光透過電極層と第2の光透過電極層とは、前記コリメート層の反対側に配置され、
前記複数の分割電極のうちの少なくとも3つは、各細長いチャンバの前記閉端に隣接して位置付けられている、切り替え可能な光コリメートフィルム。
【請求項2】
前記コリメート層は、複数の間隙をさらに備え、前記複数の間隙のうちの各々は、隣接した細長いチャンバを分離している、請求項1に記載の切り替え可能な光コリメートフィルム。
【請求項3】
隣接した細長いチャンバを分離している前記複数の間隙のうちのいずれかに隣接して位置付けられた分割電極は、ない、請求項2に記載の切り替え可能な光コリメートフィルム。
【請求項4】
隣接した分割電極は、互いに反対の電位に駆動されるように構成されている、請求項1に記載の切り替え可能な光コリメートフィルム。
【請求項5】
前記複数の分割電極のうちの各々は、独立してアドレス可能である、請求項1に記載の切り替え可能な光コリメートフィルム。
【請求項6】
前記複数の分割電極は、前記細長いチャンバに隣接して行および列に編成された電極のマトリクスを備えている、請求項1に記載の切り替え可能な光コリメートフィルム。
【請求項7】
前記複数の分割電極は、少なくとも2つの互いにかみ合わせられた電極を備えている、請求項1に記載の切り替え可能な光コリメートフィルム。
【請求項8】
前記複数の分割電極は、パターン化された細片の電極を備えている、請求項1に記載の切り替え可能な光コリメートフィルム。
【請求項9】
各細長いチャンバの前記閉端は、複数のマイクロピットと複数の空所とを備え、前記複数の空所のうちの各々は、隣接したマイクロピットを分離している、請求項1に記載の切り替え可能な光コリメートフィルム。
【請求項10】
前記複数の分割電極は、隣接したマイクロピットを分離している前記複数の空所に隣接して位置付けられている、請求項9に記載の切り替え可能な光コリメートフィルム。
【請求項11】
前記複数のマイクロピットは、立方体形状、角錐形状、または台形形状を有する、請求項9に記載の切り替え可能な光コリメートフィルム。
【請求項12】
前記複数のマイクロピットは、連続した構造であり、前記連続した構造のうちの各々は、実質的に前記細長いチャンバの全体を横断して第1の方向において延びている、請求項9に記載の切り替え可能な光コリメートフィルム。
【請求項13】
各細長いチャンバは、テーパ構造を備え、各細長いチャンバの前記開端の幅は、その閉端の幅より大きい、請求項1に記載の切り替え可能な光コリメートフィルム。
【請求項14】
各細長いチャンバの前記開口部と整列させられた光反射性表面をさらに備え、前記光反射性表面は、細長いチャンバ間の前記コリメート層の一部と実質的に重複していない、請求項1に記載の切り替え可能な光コリメートフィルム。
【請求項15】
前記光反射性表面は、前記双安定電気泳動流体に接触している、請求項14に記載の切り替え可能な光コリメートフィルム。
【請求項16】
ディスプレイであって、前記ディスプレイは、
光源と、
切り替え可能な光コリメートフィルムであって、前記切り替え可能な光コリメートフィルムは、
第1の光透過電極層と、
少なくとも20μmの厚さを有し、複数の細長いチャンバを備えているコリメート層であって、前記複数の細長いチャンバは、前記細長いチャンバ間のコリメート層の一部を伴い、各細長いチャンバは、閉端と開端とを有する、コリメート層と、
各細長いチャンバ内に配置された顔料粒子を備えている双安定電気泳動流体と、
前記開口部を跨ぐことによって、細長いチャンバ内の前記双安定電気泳動流体をシールしているシール層と、
複数の分割電極を備えている第2の光透過電極層と
を備え、
前記第1の光透過電極層と第2の光透過電極層とは、前記コリメート層の両側に配置され、
前記複数の分割電極のうちの少なくとも3つは、各細長いチャンバの前記閉端に隣接して位置付けられている、切り替え可能な光コリメートフィルムと、
薄膜トランジスタのアクティブマトリクスと、
液晶層と、
カラーフィルタアレイと
を備えている、ディスプレイ。
【請求項17】
前記コリメート層は、複数の間隙をさらに備え、前記複数の間隙のうちの各々は、隣接した細長いチャンバを分離している、請求項16に記載のディスプレイ。
【請求項18】
各細長いチャンバの前記閉端は、複数のマイクロピットと複数の空所とを備え、前記複数の空所のうちの各々は、隣接したマイクロピットを分離している、請求項16に記載のディスプレイ。
【請求項19】
前記複数のマイクロピットは、立方体形状、角錐形状、または台形形状を有する、請求項18に記載のディスプレイ。
【請求項20】
前記複数のマイクロピットは、連続した構造であり、前記連続した構造のうちの各々は、実質的に前記細長いチャンバの全体を横断して第1の方向において延びている、請求項18に記載のディスプレイ。
【請求項21】
各細長いチャンバは、テーパ構造を備え、各細長いチャンバの前記開端の幅は、その閉端の幅より大きい、請求項16に記載のディスプレイ。
【請求項22】
各細長いチャンバの前記開口部と整列させられた光反射性表面をさらに備え、前記光反射性表面は、細長いチャンバ間の前記コリメート層の前記一部と実質的に重複していない、請求項16に記載のディスプレイ。
【請求項23】
前記光反射性表面は、前記双安定電気泳動流体に接触している、請求項22に記載のディスプレイ。
【請求項24】
前記複数の分割電極は、少なくとも2つの互いにかみ合わせられた電極を備えている、請求項16に記載のディスプレイ。
【請求項25】
前記複数の分割電極は、パターン化された細片の電極を備えている、請求項16に記載のディスプレイ。
【請求項26】
切り替え可能な光コリメートフィルムであって、前記切り替え可能な光コリメートフィルムは、
第1の光透過電極層と、
少なくとも20μmの厚さを有し、複数の細長いチャンバを備えているコリメート層であって、各細長いチャンバは、閉端と開端とを有し、各細長いチャンバの前記閉端および前記開端は、前記細長いチャンバの反対端に配置されている、コリメート層と、
各細長いチャンバ内に配置された顔料粒子を備えている双安定電気泳動流体と、
前記細長いチャンバの前記開端を跨ぐことによって、前記複数の細長いチャンバのうちの少なくとも1つ内の前記双安定電気泳動流体をシールしているシール層と、
第2の光透過電極層と
を備え、
前記第1の光透過電極層と第2の光透過電極層とは、前記コリメート層の反対側に配置され、
各細長いチャンバの前記閉端は、複数のマイクロピットと複数の空所とを備え、前記複数の空所のうちの各々は、隣接したマイクロピットを分離している、切り替え可能な光コリメートフィルム。
【請求項27】
前記コリメート層は、複数の間隙をさらに備え、前記複数の間隙のうちの各々は、隣接した細長いチャンバを分離している、請求項26に記載の切り替え可能な光コリメートフィルム。
【請求項28】
前記複数のマイクロピットは、立方体形状、角錐形状、または台形形状を有する、請求項26に記載の切り替え可能な光コリメートフィルム。
【請求項29】
前記複数のマイクロピットは、連続した構造であり、前記連続した構造のうちの各々は、実質的に前記細長いチャンバの全体を横断して第1の方向において延びている、請求項26に記載の切り替え可能な光コリメートフィルム。
【請求項30】
各細長いチャンバは、テーパ構造を備え、各細長いチャンバの前記開端の幅は、その閉端の幅より大きい、請求項26に記載の切り替え可能な光コリメートフィルム。
【請求項31】
各細長いチャンバの前記開口部と整列させられた光反射性表面をさらに備え、前記光反射性表面は、細長いチャンバ間の前記コリメート層の一部と実質的に重複していない、請求項26に記載の切り替え可能な光コリメートフィルム。
【請求項32】
前記光反射性表面は、前記双安定電気泳動流体に接触している、請求項31に記載の切り替え可能な光コリメートフィルム。
【請求項33】
ディスプレイであって、前記ディスプレイは、
光源と、
切り替え可能な光コリメートフィルムであって、前記切り替え可能な光コリメートフィルムは、
第1の光透過電極層と、
少なくとも20μmの厚さを有し、細長いチャンバ間のコリメート層の一部を伴う複数の細長いチャンバを備えているコリメート層であって、各細長いチャンバは、閉端と開端とを有し、各細長いチャンバの前記閉端および前記開端は、前記細長いチャンバの反対端に配置されている、コリメート層と、
各細長いチャンバ内に配置された顔料粒子を備えている双安定電気泳動流体と、
前記開口部を跨ぐことによって、細長いチャンバ内の前記双安定電気泳動流体をシールしているシール層と、
第2の光透過電極層と
を備え、
前記第1の光透過電極層と第2の光透過電極層とは、前記コリメート層の反対側に配置され、
各細長いチャンバの前記閉端は、複数のマイクロピットと複数の空所とを備え、前記複数の空所のうちの各々は、隣接したマイクロピットを分離している、切り替え可能な光コリメートフィルムと、
薄膜トランジスタのアクティブマトリクスと、
液晶層と、
カラーフィルタアレイと
を備えている、ディスプレイ。
【請求項34】
前記コリメート層は、複数の間隙をさらに備え、前記複数の間隙のうちの各々は、隣接した細長いチャンバを分離している、請求項33に記載のディスプレイ。
【請求項35】
前記複数のマイクロピットは、立方体形状、角錐形状、または台形形状を有する、請求項33に記載のディスプレイ。
【請求項36】
前記複数のマイクロピットは、連続した構造であり、前記連続した構造のうちの各々は、実質的に前記細長いチャンバの全体を横断して第1の方向において延びている、請求項33に記載のディスプレイ。
【請求項37】
前記第2の光透過電極層は、伝導性材料の単一の連続した電極を備えている、請求項33に記載のディスプレイ。
【請求項38】
各細長いチャンバは、テーパ構造を備え、各細長いチャンバの前記開端の幅は、その閉端の幅より大きい、請求項33に記載のディスプレイ。
【請求項39】
各細長いチャンバの前記開口部と整列させられた光反射性表面をさらに備え、前記光反射性表面は、細長いチャンバ間の前記コリメート層の一部と実質的に重複していない、請求項33に記載のディスプレイ。
【請求項40】
前記光反射性表面は、前記双安定電気泳動流体に接触している、請求項33に記載のディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願)
本願は、2021年9月16日に出願された米国仮特許出願第63/244,859号の優先権を主張する。本願は、2019年7月26日に出願された米国特許出願第16/523,470号に関連し、それは、2018年8月10日に出願された米国仮特許出願第62/717,124号の優先権を主張する。本願は、2019年8月9日に出願された米国特許出願第16/536,383号にも関連し、それは、2018年8月10日に出願された米国仮特許出願第62/717,104号の優先権を主張する。本明細書で参照される任意の特許、公開出願、または他の公開研究の全内容は、参照することによってそれらの全体として組み込まれる。
【0002】
本発明は、例えば、透明または半透明基板を通過する入射光の方向性を制御するために使用され得る切り替え可能な光コリメートフィルムに関する。この能力を有する受動フィルムは、しばらく前から市販されており、コンピュータモニタのための「プライバシフィルタ」としての使用のために広く販売されている。例えば、3M Corporation(St.Paul,MN)および米国第8,213,082号(特許文献1)等の種々の米国特許からの提案を参照されたい。典型的に、プライバシフィルタは、ユーザがディスプレイ上の画像をユーザによってのみ視認可能である「プライバシコーン」に限定することを欲するとき、ビデオディスプレイの正面表面に適用される。プライバシフィルムは、典型的に、プラスチックのマイクロ加工されたチャネルを採用し、チャネルは、プラスチック基板と異なる屈折率を有する材料で埋め戻される。材料間の界面は、屈折表面を生成し、正しい方向に向けられる光のみが、フィルタを通過するであろう一方、正しくない方向に向けられる他の入射光は、後方反射および/または吸収されるであろう。この同じ技術は、例えば、外部窓を通過する太陽光の方向性を修正するための窓処置としても使用されることができる。
【0003】
いくつかのグループが、プライバシと非プライバシ状態との間で切り替えられ得る活性媒体を作製することを試みている。例えば、米国特許公開第2016/0179231号(特許文献2)(第‘231号出願)は、ディスプレイデバイスとともに使用され得る電気活性プライバシ層を説明する。第‘231号出願は、誘電ポリマー等の電気的に異方性の材料を使用することを教示する。電場が印加されると、異方性材料は、場と整列させられ、光をコリメートし、ユーザのためのプライバシのゾーンを提供する。しかしながら、一定電位をプライバシ層に提供し、材料を整列させられたまま保ち、プライバシ状態を維持することが必要である。プライバシデバイスがプライバシ状態を維持するための一定電場を要求するので、デバイスは、モニタのために必要とされる典型的エネルギーを超える追加のエネルギーを消費する。バッテリ給電式デバイス、例えば、ラップトップコンピュータとともに使用されるとき、プライバシ層に給電するために要求される追加のエネルギーは、バッテリの動作時間を短くするであろう。PCT公開第WO2013/048846号(特許文献3)も、同様に電場を用いて整列させられた位置に保持される異方性粒子を採用する代替切り替え可能なプライバシフィルムを説明する。第‘231号出願と同様、第‘846号公開のデバイスも、プライバシ状態において供給されるべき一定エネルギーを要求する。
【0004】
異方性粒子の整列とは対照的に、チャネル内の遮断粒子の移動に依拠する他の能動的切り替えプライバシデバイスも、説明されている。例えば、米国特許公開第2016/0011441号(第‘441号出願)は、プライバシ層の長さを伸びるマイクロ構造化されたリブ内に配置された電気的に切り替え可能なエレクトロクロミック材料を説明する。第‘441号出願では、エレクトロクロミック材料の吸収スペクトルが、電流がエレクトロクロミック材料に供給されると、変化させられる。実際の切り替えプロセスは、かなりの量のエネルギー(約5分のDC電流)を要求するが、第‘441号出願のプライバシ層は、変換が完了すると、しばらくの間、その状態を維持することが可能である。別の代替が、米国特許公開第2017/0097554号に説明されており、それによると、長い光制御チャネルが、透明伝導性フィルム間に形成され、チャネルは、透過分散剤と光遮蔽粒子とを含む電気泳動部材で充填される。電気泳動部材は、3つの成形電極のセットを使用して、空気間隙内の光遮蔽粒子の分散を制御することによって、狭視認野モードと広視認野モードとの間で、トグルで切り替えられることができる。成形電極の製造は、非常に多くの近接して間隔を置かれた個々にアドレス可能な電極を生成する必要性により、技術的に困難(かつ高価)であり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第8,213,082号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2016/0179231号明細書
【特許文献3】国際公開第2013/048846号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
例えば、異方性粒子整列を使用した切り替え可能なプライバシフィルタの可用性にもかかわらず、依然として、電力を大量消費しない安価なプライバシフィルムの必要性が存在する。故に、本発明は、光散乱顔料を含む双安定電気泳動流体の複数の細長いチャンバを含む光コリメートフィルムを説明する。細長いチャンバの好適な配置に応じて、フィルムは、光がフィルムを通過するための視認角度の2倍(またはそれを上回る)狭化を提供することができる。重要なこととして、光コリメートフィルムは、双安定電気泳動流体を含む場合、光コリメートフィルムは、長期間にわたって、広または狭状態において安定し、一方の状態から他方の状態に変化するためだけにエネルギーを要求する。加えて、双安定電気泳動流体は、複数の細長いチャンバに区画化されるので、電気泳動材料は、同じ光コリメートフィルムが異なる向きに適用されると、重力に対して、沈降をあまり受けにくい。加えて、双安定電気泳動流体が多くの細長いチャンバに区画化されると、広状態と狭状態との間の遷移速度が、改良され、全体的効果が、デバイスを横断してより一貫する。
【0007】
さらに、光コリメートフィルムは、複数の小チャンバを含むので、大量の電気泳動流体を損失せずに、製作後、フィルムを所望の形状/サイズに切断することが容易である。これは、同じ機器が、大および小面積光コリメートフィルムの両方を生成するために使用されることを可能にする。例えば、光コリメートフィルムの1平方メートルの裁断シートまたは光コリメートフィルムのロールが、電気泳動流体の大きい損失を伴わずに、望ましいサイズのチップに切断されることができる。いくつかのチャンバは、切断プロセス中に開放されるであろうが、各チャンバは、少量の流体のみを保持し、したがって、全体的損失は、小さい。ある場合、数百枚の小シート(例えば、携帯電話のため)が、単一裁断シートまたはロールから切断されることができる。いくつかの実施形態において、細長いチャンバは、シートの切断が電気泳動流体の損失をもたらさないように、所定のパターンで製作されることができる。本明細書に開示される設計は、加えて、そうでなければ顔料粒子によって吸収され得る光が、光コリメートフィルムを含むデバイス内でリサイクルされるように、光反射性表面の包含から利点を享受する。加えて、本明細書に開示される光コリメートフィルムに関する設計は、加えて、非プライバシモードにおけるフィルムの透過率を増やすことができ、プライバシモードにおける視野角を減少させることができる発明的細長いチャンバおよびマイクロピット構造の包含から利点を享受する。さらに、電気泳動粒子を駆動するための本明細書に説明される方法は、非プライバシモードにおける光コリメートフィルムの透過率を増やすこともできる。
【0008】
したがって、一側面では、本発明は、第1の光透過電極層と、複数の細長いチャンバを備えている、少なくとも20μmの厚さを有する、コリメート層と、第2の光透過電極層とを含み、第1の光透過電極層と第2の光透過電極層とは、コリメート層の両側に配置された切り替え可能な光コリメートフィルムを含む。各細長いチャンバは、開口部を有し、顔料粒子を備えている双安定電気泳動流体が、各細長いチャンバ内に配置される。コリメート層の一部が、細長いチャンバ間に存在し、それによって、コリメート層が構築される、材料内に、谷部を画定する。細長いチャンバは、細長いチャンバの開口部を跨ぐことによってその中の双安定電気泳動流体をシールしているシール層でシールされる。光コリメートフィルムは、加えて、各細長いチャンバの開口部と整列させられた光反射性表面であって、細長いチャンバ間のコリメート層の一部と実質的に重複していない、光反射性表面を含む。切り替え可能な光コリメートフィルムは、典型的に、500μm未満の厚さを有し、細長いチャンバの高さは、コリメート層の厚さ以下である。典型的に、細長いチャンバは、5μm~150μmの幅および200μm~5mmの長さである。例えば、細長いチャンバは、5μm~50μmの幅および50μm~5mmの長さであることができる。
【0009】
切り替え可能な光コリメートフィルムは、典型的に、ポリマーから作製され、例えば、ポリマーは、アクリレートモノマー、ウレタンモノマー、スチレンモノマー、エポキシドモノマー、シランモノマー、チオ-エンモノマー、チオ-インモノマー、またはビニルエーテルモノマーから作製される。典型的に、光反射性表面は、金属または光反射性金属酸化物を備えている。いくつかの実施形態において、光反射性表面は、双安定電気泳動流体に接触する。いくつかの実施形態において、シール層は、光反射性表面を形成する。いくつかの実施形態において、切り替え可能な光コリメートフィルムは、第1または第2の光透過電極に接触する基板を含み、光反射性表面は、基板に接触する。第1または第2の光透過電極層は、酸化インジウムスズから作製され得る。
【0010】
双安定電気泳動流体は、典型的に、非極性溶媒中に、ポリマー官能化顔料粒子と、遊離ポリマーとを含む。多くの場合、顔料は、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリナフタレン、またはポリジメチルシロキサンで官能化される。遊離ポリマーは、ポリイソブチレン、またはエチレン、プロピレン、またはスチレンモノマーを含むコポリマーを含み得、シール層は、セルロースまたはゼラチン等の自然発生水溶性ポリマー、またはポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリ(ビニル)酢酸、ポリ(ビニル)ピロリデン、ポリウレタン、またはそのコポリマー等の合成ポリマー等の水溶性ポリマーまたは水分散性ポリマーを含み得る。
【0011】
ある実施形態において、細長いチャンバは、コリメート層が上方から視認されると、行および列に配置され、細長いチャンバのより長い寸法は、行に沿って伸び、行は、細長いチャンバの幅の少なくとも3倍互いから分離される。多くの場合、細長いチャンバは、コリメート層が上方から視認されると、行および列に配置され、同じ行内の隣接する細長いチャンバは、30μm未満の間隙によって分離される。いくつかの実施形態において、第1の行内の隣接する細長いチャンバ間の間隙は、第2の行内の隣接する細長いチャンバ間の間隙から水平にオフセットされる。いくつかの実施形態において、細長いチャンバの対称性は、細長いチャンバの長さ、細長いチャンバの幅、細長いチャンバのピッチ、または細長いチャンバ間の間隙の幅または場所を改変することによって途絶される。光反射性表面は、細長いチャンバ間の光コリメートフィルムの部分の大部分を網羅しない。いくつかの事例では、光反射性表面は、それらが双安定電気泳動流体で充填される前、細長いチャンバの底部に形成される。
【0012】
別の側面では、本発明は、光源と、切り替え可能な光コリメートフィルムと、薄膜トランジスタのアクティブマトリクスと、液晶層と、カラーフィルタアレイとを有するディスプレイを含む。切り替え可能な光コリメートフィルムは、第1の光透過電極層と、少なくとも20μmの厚さを有し、複数の細長いチャンバを備えているコリメート層と、第2の光透過電極層とを含む切り替え可能な光コリメートフィルムを含み、第1の光透過電極層と第2の光透過電極層とは、コリメート層の両側に配置される。各細長いチャンバは、開口部を有し、顔料粒子を備えている双安定電気泳動流体は、各細長いチャンバ内に配置される。コリメート層の一部が、細長いチャンバ間に存在し、それによって、コリメート層が構築される材料内に、谷部を画定する。細長いチャンバは、細長いチャンバの開口部を跨ぐことによって、双安定電気泳動流体をその中にシールするシール層でシールされる。光コリメートフィルムは、加えて、各細長いチャンバの開口部と整列させられた光反射性表面であって、細長いチャンバ間のコリメート層の一部と実質的に重複していない、光反射性表面を含む。光反射性表面は、顔料粒子によって直接吸収される光源からの光の量を減少させる。代わりに、この光は、後方反射され、切り替え可能な光コリメートフィルムを通過し、最終的に、液晶層に進入する、総照明に加えられる。
【0013】
いくつかの実施形態において、光コリメートフィルムまたはディスプレイは、加えて、電圧インパルスを第1の光透過電極層と第2の光透過電極層との間に提供するための電圧源およびコントローラを含む。いくつかの実施形態において、ディスプレイは、光源と切り替え可能な光コリメートフィルムとの間に配置されるプリズムフィルムを含む。いくつかの実施形態において、ディスプレイは、プリズムフィルムと光源との間の拡散層を含む。いくつかの実施形態において、ディスプレイは、タッチスクリーン層を含む。
【0014】
別の側面では、本発明は、第1の光透過電極層を含む切り替え可能な光コリメートフィルムと、少なくとも20μmの厚さを有するコリメート層とを含む。コリメート層は、複数の細長いチャンバを含み、各細長いチャンバは、閉端と開端とを有する。各細長いチャンバの閉端および開端は、細長いチャンバの反対端に配置される。切り替え可能な光コリメートフィルムは、各細長いチャンバ内に配置された顔料粒子を含む双安定電気泳動流体と、細長いチャンバの開端を跨ぐことによって、双安定電気泳動流体を複数の細長いチャンバのうちの少なくとも1つ内にシールするシール層と、複数の分割電極を含む第2の光透過電極層とも含む。第1の光透過電極層と第2の光透過電極層とは、コリメート層の反対側に配置され、複数の分割電極のうちの少なくとも3つは、各細長いチャンバの閉端に隣接して位置付けられる。
【0015】
別の側面では、本発明は、光源と、切り替え可能な光コリメートフィルムと、薄フィルムトランジスタのアクティブマトリクスと、液晶層と、カラーフィルタアレイとを有するディスプレイを含む。切り替え可能な光コリメートフィルムは、第1の光透過電極層と、少なくとも20μmの厚さを有するコリメート層とを含む。コリメート層は、複数の細長いチャンバを含み、各細長いチャンバは、閉端と開端とを有する。各細長いチャンバの閉端および開端は、細長いチャンバの反対端に配置される。切り替え可能な光コリメートフィルムは、各細長いチャンバ内に配置された顔料粒子を含む双安定電気泳動流体と、細長いチャンバの開端を跨ぐことによって、双安定電気泳動流体を複数の細長いチャンバのうちの少なくとも1つ内にシールするシール層と、複数の分割電極を含む第2の光透過電極層とも含む。第1の光透過電極層と第2の光透過電極層とは、コリメート層の反対側に配置され、複数の分割電極のうちの少なくとも3つは、各細長いチャンバの閉端に隣接して位置付けられる。
【0016】
光コリメートフィルムまたはディスプレイのいくつかの実施形態において、コリメート層は、複数の間隙を含み、複数の間隙のうちの各々は、隣接した細長いチャンバを分離している。光コリメートフィルムまたはディスプレイのいくつかの実施形態において、隣接した細長いチャンバを分離している複数の間隙のうちのいずれかに隣接して位置付けられた分割電極は、ない。
【0017】
光コリメートフィルムまたはディスプレイのいくつかの実施形態において、隣接した分割電極は、互いに反対の電位に駆動されるように構成される。光コリメートフィルムまたはディスプレイのいくつかの実施形態において、複数の分割電極のうちの各々は、独立してアドレス可能である。光コリメートフィルムまたはディスプレイのいくつかの実施形態において、複数の分割電極は、細長いチャンバに隣接して行および列に編成された電極のマトリクスを含む。
【0018】
光コリメートフィルムまたはディスプレイのいくつかの実施形態において、複数の分割電極は、少なくとも2つの互いにかみ合わせられた電極を備えている。光コリメートフィルムまたはディスプレイのいくつかの実施形態において、複数の分割電極は、パターン化された細片の電極を含む。
【0019】
光コリメートフィルムまたはディスプレイのいくつかの実施形態において、各細長いチャンバの閉端は、複数のマイクロピットと複数の空所とを備え、複数の空所のうちの各々は、隣接したマイクロピットを分離している。光コリメートフィルムまたはディスプレイのいくつかの実施形態において、複数の分割電極は、隣接したマイクロピットを分離している複数の空所に隣接して位置付けられる。光コリメートフィルムまたはディスプレイのいくつかの実施形態において、複数のマイクロピットは、立方体形状、角錐形状、または台形形状を有する。光コリメートフィルムまたはディスプレイのいくつかの実施形態において、複数のマイクロピットは、各々が第1の方向において実質的に細長いチャンバの全体を横断して延びている連続した構造である。
【0020】
光コリメートフィルムまたはディスプレイのいくつかの実施形態において、各細長いチャンバは、テーパ構造を備え、各細長いチャンバの開端の幅は、その閉端の幅より大きい。光コリメートフィルムまたはディスプレイのいくつかの実施形態において、コリメート層は、500μm未満の厚さを有する。光コリメートフィルムまたはディスプレイのいくつかの実施形態において、細長いチャンバの高さは、コリメート層の厚さ以下であり、細長いチャンバの幅は、5μm~150μmであり、チャンバの長さは、200μm~5mmである。
【0021】
光コリメートフィルムまたはディスプレイのいくつかの実施形態において、双安定電気泳動流体は、非極性溶媒中に、ポリマー官能化顔料粒子と、遊離ポリマーとを含む。光コリメートフィルムまたはディスプレイのいくつかの実施形態において、顔料は、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリナフタレン、またはポリジメチルシロキサンで官能化される。光コリメートフィルムまたはディスプレイのいくつかの実施形態において、遊離ポリマーは、ポリイソブチレン、またはエチレン、プロピレン、またはスチレンモノマーを含む、コポリマーを含む。光コリメートフィルムまたはディスプレイのいくつかの実施形態において、シール層は、セルロース、ゼラチン、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリ(ビニル)酢酸、ポリ(ビニル)ピロリデン、ポリウレタン、または前述のポリマーのいずれかのコポリマーを含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、光コリメートフィルムまたはディスプレイは、各細長いチャンバの開口部と整列させられた光反射性表面を含み、光反射性表面は、細長いチャンバ間のコリメート層の部分と実質的に重複していない。光コリメートフィルムまたはディスプレイのいくつかの実施形態において、光反射性表面は、双安定電気泳動流体に接触する。
【0023】
いくつかの実施形態において、光コリメートフィルムまたはディスプレイは、第1の光透過電極層と第2の光透過電極層との間に電圧インパルスを提供するために、電圧源と、コントローラとを含む。いくつかの実施形態において、ディスプレイは、光源と切り替え可能な光コリメートフィルムとの間に配置されるプリズムフィルムを含む。いくつかの実施形態において、ディスプレイは、プリズムフィルムと光源との間の拡散層を含む。いくつかの実施形態において、ディスプレイは、タッチスクリーン層を含む。
【0024】
別の側面では、本発明は、第1の光透過電極層を含む切り替え可能な光コリメートフィルムと、少なくとも20μmの厚さを有するコリメート層とを含む。コリメート層は、複数の細長いチャンバを含み、各細長いチャンバは、閉端と開端とを有する。各細長いチャンバの閉端および開端は、細長いチャンバの反対端に配置される。切り替え可能な光コリメートフィルムは、各細長いチャンバ内に配置された顔料粒子を含む双安定電気泳動流体と、細長いチャンバの開端を跨ぐことによって、双安定電気泳動流体を複数の細長いチャンバのうちの少なくとも1つ内にシールするシール層と、第2の光透過電極層とも含む。第1の光透過電極層と第2の光透過電極層とは、コリメート層の反対側に配置され、各細長いチャンバの閉端は、複数のマイクロピットと、複数の空所とを備えている。複数の空所のうちの各々は、隣接したマイクロピットを分離している。
【0025】
別の側面では、本発明は、光源と、切り替え可能な光コリメートフィルムと、薄膜トランジスタのアクティブマトリクスと、液晶層と、カラーフィルタアレイとを有するディスプレイを含む。切り替え可能な光コリメートフィルムは、第1の光透過電極層と、少なくとも20μmの厚さを有するコリメート層とを含む。コリメート層は、複数の細長いチャンバを含み、各細長いチャンバは、閉端と開端とを有する。各細長いチャンバの閉端および開端は、細長いチャンバの反対端に配置される。切り替え可能な光コリメートフィルムは、各細長いチャンバ内に配置された顔料粒子を含む双安定電気泳動流体と、細長いチャンバの開端を跨ぐことによって、双安定電気泳動流体を複数の細長いチャンバのうちの少なくとも1つ内にシールするシール層と、第2の光透過電極層とも含む。第1の光透過電極層と第2の光透過電極層とは、コリメート層の反対側に配置され、各細長いチャンバの閉端は、複数のマイクロピットと、複数の空所とを含む。複数の空所のうちの各々は、隣接したマイクロピットを分離している。
【0026】
光コリメートフィルムまたはディスプレイのいくつかの実施形態において、コリメート層は、複数の間隙を備え、複数の間隙のうちの各々は、隣接した細長いチャンバを分離している。
【0027】
光コリメートフィルムまたはディスプレイのいくつかの実施形態において、第2の光透過電極層は、伝導性材料の単一の連続した電極を含む。
【0028】
光コリメートフィルムまたはディスプレイのいくつかの実施形態において、複数のマイクロピットは、立方体形状、角錐形状、または台形形状を有する。光コリメートフィルムまたはディスプレイのいくつかの実施形態において、複数のマイクロピットは、各々が第1の方向において実質的に細長いチャンバの全体を横断して延びている連続した構造である。
【0029】
光コリメートフィルムまたはディスプレイのいくつかの実施形態において、各細長いチャンバは、テーパ構造を備え、各細長いチャンバの開端の幅は、その閉端の幅より大きい。
【0030】
光コリメートフィルムまたはディスプレイのいくつかの実施形態において、コリメート層は、500μm未満の厚さを有する。光コリメートフィルムまたはディスプレイのいくつかの実施形態において、細長いチャンバの高さは、コリメート層の厚さ以下であり、細長いチャンバの幅は、5μm~150μmであり、チャンバの長さは、200μm~5mmである。
【0031】
光コリメートフィルムまたはディスプレイのいくつかの実施形態において、双安定電気泳動流体は、非極性溶媒中に、ポリマー官能化顔料粒子と、遊離ポリマーとを含む。光コリメートフィルムまたはディスプレイのいくつかの実施形態において、顔料は、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリナフタレン、またはポリジメチルシロキサンで官能化される。光コリメートフィルムまたはディスプレイのいくつかの実施形態において、遊離ポリマーは、ポリイソブチレン、またはエチレン、プロピレン、またはスチレンモノマーを含む、コポリマーを含む。光コリメートフィルムまたはディスプレイのいくつかの実施形態において、シール層は、セルロース、ゼラチン、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリ(ビニル)酢酸、ポリ(ビニル)ピロリデン、ポリウレタン、または前述のポリマーのいずれかのコポリマーを含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、光コリメートフィルムまたはディスプレイは、各細長いチャンバの開口部と整列させられた光反射性表面を含み、光反射性表面は、細長いチャンバ間のコリメート層の部分と実質的に重複していない。光コリメートフィルムまたはディスプレイのいくつかの実施形態において、光反射性表面は、双安定電気泳動流体に接触する。
【0033】
いくつかの実施形態において、光コリメートフィルムまたはディスプレイは、第1の光透過電極層と第2の光透過電極層との間に電圧インパルスを提供するために、電圧源と、コントローラとを含む。いくつかの実施形態において、ディスプレイは、光源と切り替え可能な光コリメートフィルムとの間に配置されるプリズムフィルムを含む。いくつかの実施形態において、ディスプレイは、プリズムフィルムと光源との間の拡散層を含む。いくつかの実施形態において、ディスプレイは、タッチスクリーン層を含む。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本明細書において説明される主題の1つ以上の実施形態の追加の詳細が、付随の図面および下記の説明において記述される。主題の他の特徴、側面、および利点は、本明細書および付随の図面に含まれる説明から明白となるであろう。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、類似する構造の要素は、概して、図面全体を通して、例証的目的のために、同様の参照番号を用いて注釈が付けられる。しかしながら、異なる実施形態における要素の具体的な性質および機能は、同じではないこともある。さらに、図面は、主題の説明を促進することのみが意図される。図面は、説明される実施形態のあらゆる側面を例証せず、本開示または請求項の範囲を限定しない。
【0035】
【
図1A】
図1Aは、電気泳動粒子がコリメート層のチャンバ全体を通して分布させられた切り替え可能な光コリメートフィルムの第1の状態を図示する。電気泳動粒子は、電力の印加を伴わずに、この状態において安定する。
【0036】
【
図1B】
図1Bは、電気泳動粒子が電位の印加を用いて第1の光透過電極に向かって駆動される切り替え可能な光コリメートフィルムの第2の状態を図示する。
【0037】
【
図1C】
図1Cは、電気泳動粒子が第1の光透過電極に近接して集中させられる切り替え可能な光コリメートフィルムの第3の状態を図示する。粒子は、この位置では、電位が除去された後も安定する。
【0038】
【
図1D】
図1Dは、電気泳動粒子がコリメート層のチャンバ全体を通して分布状態への帰還を図示する。
【0039】
【
図1E】
図1Eは、電気泳動粒子が
図1Bの反対極性を有する電位の印加を用いて第2の光透過電極に向かって駆動される切り替え可能な光コリメートフィルムの第4の状態を図示する。
【0040】
【
図1F】
図1Fは、電気泳動粒子が第2の光透過電極に近接して集中させられる切り替え可能な光コリメートフィルムの第5の状態を図示する。粒子は、この位置では、電位が除去された後も安定する。
【0041】
【
図2A】
図2Aは、電気泳動粒子がコリメート層のチャンバ全体を通して分布させられるとき、源から放出される光の光線が角度θ
1に限定されることを図示する。光源から放出される一部の光は、顔料粒子によって直接吸収される。
【0042】
【
図2B】
図2Bは、電気泳動粒子が、コリメート層のチャンバ全体を通して分布させられるとき、源から放出される光の光線が、角度θ
1に限定されることを図示する。光反射表面により、顔料粒子によって吸収されるであろう一部の光は、後方反射される。
【0043】
【
図2C】
図2Cは、電気泳動粒子が、光源に最も近い光透過電極に対して集中させられるとき、源から放出される光の光線が、角度θ
2に限定され、θ
2>>θ
1であることを図示する。
【0044】
【
図2D】
図2Dは、電気泳動粒子が、光源から最も遠い光透過電極に対して集中させられるとき、源から放出される光の光線が、角度θ
3に限定され、θ
3>>θ
1であることを図示する。光コリメートフィルムの発光側における顔料粒子の存在に起因して、最小限の光損失が存在することが観察される。
【0045】
【
図3】
図3は、切り替え可能な光コリメートフィルムを含む液晶ディスプレイアセンブリの動作層を図示する。層は、正確な縮尺で描かれていない。
【0046】
【
図4】
図4は、切り替え可能な光コリメートフィルムと、タッチスクリーンとを含む液晶ディスプレイアセンブリの動作層を図示する。層は、正確な縮尺で描かれていない。光反射表面の位置は、限定ではない。それらは、本書で議論されるように、種々の位置に設置され得る。
【0047】
【
図5】
図5は、切り替え可能な光コリメートフィルムと、プリズムフィルムとを含む液晶ディスプレイアセンブリの動作層を図示する。層は、正確な縮尺で描かれていない。
【0048】
【
図6A】
図6Aは、下側基板上に配置された切り替え可能な光コリメートフィルムの実施形態を図示する。切り替え可能な光コリメートフィルムは、加えて、縁シールを含む。分解図は、双安定電気泳動流体で充填される細長いチャンバ上のシール層を詳述する。
図6Aでは、光反射表面は、細長いチャンバの開口部の上方に製作される。
【0049】
【
図6B】
図6Bは、下側基板上に配置された切り替え可能な光コリメートフィルムの実施形態を図示する。切り替え可能な光コリメートフィルムは、加えて、縁シールを含む。分解図は、双安定電気泳動流体で充填された細長いチャンバ上のシール層を詳述する。
図6Bでは、シール層も、光反射表面を提供する。
【0050】
【
図6C】
図6Cは、下側基板上に配置された切り替え可能な光コリメートフィルムの実施形態を図示する。切り替え可能な光コリメートフィルムは、加えて、縁シールを含む。分解図は、双安定電気泳動流体で充填された細長いチャンバ上のシール層を詳述する。
図6Cでは、光反射表面は、細長いチャンバを双安定電気泳動流体で充填することに先立って、細長いチャンバの底部に生成されている。
【0051】
【
図7A】
図7Aは、細長いチャンバが行列フォーマットで配置された切り替え可能な光コリメートフィルムの実施形態の上面図である。
図7Aにおける光反射表面は、光反射性表面が細長いチャンバ間のコリメート層の部分と実質的に重複していないように、細長いチャンバの開口部の上方に位置する(
図6A参照)。
【0052】
【
図7B】
図7Bは、細長いチャンバが行列フォーマットで配置された切り替え可能な光コリメートフィルムの実施形態の上面図である。
図7Bにおける光反射表面は、シール層の中に組み込まれる(
図6B参照)、または光反射性表面が細長いチャンバ間のコリメート層の部分と実質的に重複していないように、細長いチャンバの底部に配置され得る(
図6C参照)。
【0053】
【
図8A】
図8Aは、電気泳動粒子がコリメート層のチャンバ全体を通して分布させられた第1の状態における切り替え可能な光コリメートフィルムの第1の断面図を図示する。電気泳動粒子は、電力の印加を伴わずに、この状態において安定する。
【0054】
【
図8B】
図8Bは、電気泳動粒子がコリメート層のチャンバ全体を通して分布させられた第1の状態における切り替え可能な光コリメートフィルムの第2の断面図を図示する。電気泳動粒子は、電力の印加を伴わずに、この状態において安定する。
【0055】
【
図8C】
図8Cは、電気泳動粒子が好適な電位の印加を伴って、第2の光透過電極に向かって駆動される第2の状態における切り替え可能な光コリメートフィルムの第1の断面図を図示する。
【0056】
【
図8D】8Dは、電気泳動粒子が好適な電位の印加を伴って、第2の光透過電極に向かって駆動される第2の状態における切り替え可能な光コリメートフィルムの第2の断面図を図示する。
【0057】
【
図8E】
図8Eは、電気泳動粒子が第2の光透過電極に近接して集中させられる切り替え可能な光コリメートフィルムの第3の状態の第1の断面図を図示する。
【0058】
【
図8F】
図8Fは、電気泳動粒子が第2の光透過電極に近接して集中させられる切り替え可能な光コリメートフィルムの第3の状態の第2の断面図を図示する。
【0059】
【
図8G】
図8Gは、電気泳動粒子がパターン化された細片の光透過電極に近接して集中させられる切り替え可能な光コリメートフィルムの第1の断面図を図示する。
【0060】
【
図8H】
図8Hは、電気泳動粒子がパターン化された細片の光透過電極に近接して集中させられる切り替え可能な光コリメートフィルムの第2の断面図を図示する。
【0061】
【
図9A】
図9Aは、第2の光透過電極がパターン化された細片の光透過電極を備えている切り替え可能な光コリメートフィルムの断面の上面図を図示する。
【0062】
【
図9B】
図9Bは、第2の光透過電極が単体の連続光透過電極を備えている切り替え可能な光コリメートフィルムの断面の上面図を図示する。
【0063】
【
図9C】
図9Cは、第2の光透過電極がくし状または互いにかみ合わせられた電極を備えている切り替え可能な光コリメートフィルムの断面の上面図を図示する。
【0064】
【
図10】
図10は、増加させられた透過率を伴う切り替え可能な光コリメートフィルムおよびプリズムフィルムの実施形態を含む、液晶ディスプレイアセンブリの動作層を図示する。
【0065】
【
図11】
図11は、細長いチャンバの閉端に隣接するテーパ状側壁を伴う細長いチャンバを有する切り替え可能な光コリメートフィルムの断面図を図示する。
【0066】
【
図12A】
図12Aは、細長いチャンバの閉端に隣接する空所によって分離される隆起した台形のマイクロピットを有する切り替え可能な光コリメートフィルムの断面図を図示し、電気泳動粒子は、交互にバイアスされる分割電極によって駆動される。
【0067】
【
図12B】
図12Bは、細長いチャンバの閉端に隣接する空所によって分離される隆起した台形のマイクロピットを有する切り替え可能な光コリメートフィルムの断面図を図示し、電気泳動粒子は、実質的に同じ電圧にバイアスされる分割電極によって駆動される。
【0068】
【
図12C】
図12Cは、細長いチャンバの閉端に隣接する空所によって分離される隆起した台形のマイクロピットを有する切り替え可能な光コリメートフィルムの断面図を図示し、第2の光透過電極が、単体の連続光透過電極を備えている。
【0069】
【
図13A】
図13Aは、細長いチャンバの閉端に隣接する空所によって分離される隆起した立方体のマイクロピットを有する切り替え可能な光コリメートフィルムの断面図を図示し、電気泳動粒子は、交互にバイアスされる分割電極によって駆動される。
【0070】
【
図13B】
図13Bは、細長いチャンバの閉端に隣接する空所によって分離される隆起した角錐のマイクロピットを有する切り替え可能な光コリメートフィルムの断面図を図示し、電気泳動粒子は、交互にバイアスされる分割電極によって駆動される。
【0071】
【
図14A】
図14Aは、細長いチャンバの閉端に隣接する空所によって分離される隆起した台形のマイクロピットの第1の配置を有する切り替え可能な光コリメートフィルムの断面の上面図を図示し、この中で第2の光透過電極は、分割電極のマトリクスを備えている。
【0072】
【
図14B】
図14Bは、細長いチャンバの閉端に隣接する空所によって分離される隆起した台形のマイクロピットの第2の配置を有する切り替え可能な光コリメートフィルムの断面の上面図を図示し、この中で第2の光透過電極は、分割電極のマトリクスを備えている。
【0073】
【
図14C】
図14Cは、細長いチャンバの閉端に隣接する空所によって分離される隆起した台形のマイクロピットを有する切り替え可能な光コリメートフィルムの断面の上面図を図示し、その中で第2の光透過電極は、パターン化された細片の光透過電極を備えている。
【0074】
【
図15】
図15は、複数の細長いチャンバを伴うコリメート層を形成し、続いて、細長いチャンバを双安定電気泳動流体で充填し、充填された細長いチャンバをシールするために使用され得るロールツーロールプロセスを図示する。
【0075】
【
図16】
図16Aおよび16Bは、簡略化されたエンボス加工プロセスを図示する。
【0076】
【
図17】
図17は、エンボス加工ツールを形成し、本発明のコリメート層を生成する方法を詳述する。
【0077】
【
図18】
図18は、エンボス加工ツールにおいて使用されるためのシムを形成する方法を詳述する。
【0078】
【
図19】
図19は、エンボス加工ツールにおいて使用されるためのシムを形成するための代替方法を詳述する。
【0079】
【
図20】
図20は、光リソグラフィの間、光反射性表面をマスクとして使用することによって、光コリメート層を形成する方法を図示する。
【0080】
【
図21】
図21は、光反射性材料を細長いチャンバの底部に接触印刷することによって、光コリメート層を形成する方法を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0081】
上で示されるように、本発明は、双安定電気泳動流体の細長いチャンバを含む光コリメートフィルムを提供する。そのようなフィルムは、それら自体で、透過基板に入射する光の量および/または方向を制御するために使用されることができる。そのようなフィルムは、LCDディスプレイ等のデバイスの中にも統合され、LCDディスプレイを視認しているユーザのために、プライバシのゾーン等の有用な特徴を提供することができる。光コリメートフィルムは、切り替え可能であるので、ユーザが、要求に応じて、放出される光のコリメーションを改変することを可能にする。加えて、媒体は、双安定であるので、コリメーション状態は、追加のエネルギーを光コリメートフィルムに提供する必要なく、しばらくの間、例えば、数分、例えば、数時間、例えば、数日、例えば、数ヶ月、安定するであろう。本発明の光コリメートフィルムは、加えて、そうでなければ双安定電気泳動流体中の顔料粒子によって直接吸収されるであろう入射光を後方反射する光反射表面を含む。本発明の光コリメートフィルムは、非プライバシモードにおけるフィルムの透過率を増やすことができ、プライバシモードにおける視野角を減少させることができる細長いチャンバとマイクロピット構造とをさらに含む。本発明は、非プライバシモードにおける光コリメートフィルムの透過率を増やすことができる電気泳動粒子を駆動する方法も特徴とする。
【0082】
本発明の設計を使用すると、ロールツーロール処理を使用して、切り替え可能な光コリメートフィルムを安価に製作することが可能である。故に、LCDディスプレイの加工等の他の組み立てプロセス中にデバイスの中に組み込まれ得る切り替え可能な光コリメートフィルムの大判シートを生じさせることが、実行可能である。そのようなフィルムは、補助的光学的にクリアな接着剤層と、剥離シートとを含み、それによって、光コリメートフィルムが仕上げられた製品として出荷および流通されることを可能にし得る。光コリメートフィルムは、例えば、会議室の窓、建物における外窓、およびサンルーフおよび天窓のためのアフターマーケットの光制御のためにも使用され得る。いくつかの実施形態において、光反射表面は、フィルムによって吸収される光の量を減らし、それによって、フィルム(および窓等の関連付けられる基板材料)をより低温に保つであろう。
【0083】
電気泳動ディスプレイは、通常、電気泳動材料の層と、電気泳動材料の両側に配置された少なくとも2つの他の層(これらの2つの層のうちの1つは、電極層である)とを備えている。大部分のそのようなディスプレイでは、両層が、電極層であり、電極層の一方または両方が、ディスプレイのピクセルを画定するようにパターン化される。例えば、一方の電極層は、細長い行電極に、他方は、行電極に対して直角に伸びている細長い列電極にパターン化され得、ピクセルは、行電極と列電極との交差によって、画定される。代替として、かつより一般的に、一方の電極層は、単一の連続した電極の形態を有し、他方の電極層は、ピクセル電極の行列にパターン化され、それらのうちの各々が、ディスプレイの1ピクセルを画定する。いくつかの実施形態において、2つの光透過電極層が、使用され、それによって、光が、電気泳動ディスプレイを通過することを可能にする。
【0084】
用語「双安定」および「双安定性」は、当技術分野におけるそれらの従来の意味で、少なくとも1つの光学特性が異なる第1および第2の表示状態を有する表示要素を備え、その第1または第2の表示状態のうちのいずれか一方を示すように有限持続時間のアドレスパルスを用いて所与の要素が駆動された後、表示要素の状態を変化させるために必要とされるアドレスパルスの最小持続時間の少なくとも数倍、例えば、少なくとも4倍、アドレスパルスが終了した後、その状態が続くようなディスプレイを指すために、本明細書で使用される。米国特許第7,170,670号では、グレースケール対応のいくつかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイが、その極端な黒および白状態においてだけではなく、その中間グレー状態においても、安定しており、同じことは、いくつかの他のタイプの電気光学ディスプレイにも当てはまることが示されている。このタイプのディスプレイは、適切に、双安定ではなく、「多安定」と呼ばれるが、便宜上、用語「双安定」が、本明細書では、双安定および多安定ディスプレイの両方を網羅するために使用され得る。
【0085】
切り替え可能な光コリメートフィルム(10)の一般的機能が、
図1A-1Fに示される。フィルム(10)は、第1の光透過電極層(12)および第2の光透過電極層(14)を含む。典型的に、各電極層は、それぞれ、第1の基板(16)および第2の基板(18)に関連付けられている。第1の基板(16)および第2の基板(18)は、光透過ポリマー(例えば、フィルムまたは樹脂)またはガラスであり得る。フィルム(10)が、ロールツーロール処理を用いて生産される事例では、第1の基板(16)および第2の基板(18)は、可撓性である。光透過電極および基板は、単一の層の中に統合され得る(単一の層は、例えば、伝導性材料(例えば、グラフェン、ナノチューブ、金属薄片、伝導性金属酸化物粒子、または金属ファイバ)でドープされ、および/または伝導性モノマーまたはポリマーでドープされ、および/または塩等のイオン材料でドープされたPET-ITOフィルム、PEDOT、または別の光透過ポリマーである)。
【0086】
光コリメート層(21)は、光透過ポリマー(20)を備え、光透過ポリマー(20)は、電気泳動粒子(26)を含む双安定電気泳動流体(24)を保持するための複数の細長いチャンバ(22)を生じさせるように処理されている。切り替え可能な光コリメートフィルム(10)は、加えて、各細長いチャンバ(22)に関連付けられた光反射層(27)を含む。光反射層(27)は、そうでなければ、細長いチャンバ(22)内の電気泳動粒子(26)によって直接吸収されるであろう入射光を後方反射する役割を果たす。ある実施形態において、双安定電気泳動流体(24)は、炭化水素溶媒と電気泳動粒子(26)とを含み、電気泳動粒子(26)は、カーボンブラック(随意に、下で議論されるように官能化される)を備えている。光コリメート層は、少なくとも20μm厚(すなわち、第1の光透過電極層(12)と第2の光透過電極層(14)との間の距離)である。光コリメート層は、20μmより厚い、例えば、30μmより厚い、例えば、50μmより厚い、例えば、70μmより厚い、例えば、100μmより厚い、例えば、150μmより厚い、例えば、200μmより厚くあることができる。例えば、熱可塑性材料をエンボス加工することによる細長いチャンバの製作が、下でより詳細に説明される。細長いチャンバ(22)を充填するプロセスの後またはプロセス中、細長いチャンバ(22)は、親水性ポリマーであり得るシール層(28)でシールされ、シール層(28)は、例えば、双安定電気泳動流体(24)と不親和性である親水性ポリマーであり得る。
【0087】
フィルム(10)のコリメート特性を変化させるために、第1の光透過電極層(12)および第2の光透過電極層(14)は、電位の源(30)に結合され得る。源は、例えば、バッテリ、電力供給源、光電池、またはある他の電位源であり得る。源は、単純D.C.電位を提供し得るか、または、時変電圧、例えば、下で説明されるように、「波形」を提供するように構成され得る。第1の光透過電極層(12)および第2の光透過電極層(14)は、電極、ワイヤ、またはトレース(31)を介して、源(30)に結合され得る。いくつかの実施形態において、トレース(31)は、例えば、トランジスタスイッチであり得るスイッチ(32)で中断され得る。第1の光透過電極層(12)と第2の光透過電極層(14)との間の電位は、典型的に、少なくとも1ボルト、例えば、少なくとも2ボルト、例えば、少なくとも5ボルト、例えば、少なくとも10ボルト、例えば、少なくとも15ボルト、例えば、少なくとも18ボルト、例えば、少なくとも25ボルト、例えば、少なくとも30ボルト、例えば、少なくとも30ボルト、例えば、少なくとも50ボルトである。
【0088】
双安定電気泳動流体(24)は、双安定であるので、電気泳動粒子(26)は、電場の印加を伴わずに、その分布を維持するであろう。この特徴は、本明細書にリストアップされたE Ink Corporation特許に詳しく説明されているが、主に、電気泳動粒子(26)が枯渇凝集を介して安定化されるように、双安定電気泳動流体(24)中に分布型ポリマー(例えば、ポリイソブチレンまたはポリメタクリル酸ラウリル)の特定の混合物を有することから生じる。故に、
図1Aに図示される第1の状態では、電気泳動粒子(26)は、電位が第1の光透過電極層(12)と第2の光透過電極層(14)との間に印加されていないにもかかわらず、分散状態において安定する。例えば、
図1Bに図示されるように、好適な電位の印加に応じて、電気泳動粒子(26)は、好適にバイアスされた電極層に向かって移動し、光透過勾配を細長いチャンバ(22)の高さに沿って生成する。電気泳動粒子(26)が、所望の電極層に駆動されると、源(30)は、電極層から結合解除され、電位をオフにすることができる。しかしながら、双安定電気泳動流体(24)の双安定性により、電気泳動粒子(26)は、
図1Cに示されるように、長期間、例えば、数分、例えば、数時間、例えば、数日、第2の状態のままであるであろう。
【0089】
光コリメートフィルム(10)の状態は、
図1Dを達成するために、集中させられた電気泳動粒子(26)を逆極性電圧を伴う電極(図示せず)から離れるように駆動することによって、逆転されることができる。初期状態(1Aと同等)に戻ると、(概ね)コリメートされた光のみが、下でより詳細に説明されるように、光コリメートフィルムを通過することが可能であろう。
図1Dの状態も、安定する。電気泳動粒子(26)は、
図1Eに示されるように、
図1Bから、逆極性電圧の印加を用いて、この分布状態を過ぎて、第2の光透過電極(14)に向かって駆動されることができる。その結果、電気泳動粒子(26)は、第2の光透過電極(14)に隣接して集中し、それは、下で議論されるように、広視認角度ももたらす。
図1Fに示される広角透過状態も、双安定であり、すなわち、電力が、この状態を維持するために要求されない。
図1Cおよび
図1Fの状態の両方が広角透過をもたらすので、全体的DC平衡を駆動電子機器上に維持しながら、
図1A、1C、1D、および1Fに示される状態間でトグルで切り替わることが可能である。駆動電子機器のDC平衡を保つことは、電荷蓄積を減らし、システム構成要素の寿命を延長する。
【0090】
電気泳動媒体の内相は、懸濁流体中の荷電顔料粒子を含む。本発明の可変透過媒体において使用される流体は、典型的に、低誘電定数(好ましくは、10未満、望ましくは、3未満)の流体であろう。特に好ましい溶媒は、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、およびIsopar(登録商標)(Exxon Mobil)またはIsane(登録商標)(Total)等の石油蒸留物、リモネン、例えば、l-リモネン等のテルペン、およびトルエン等の芳香族炭化水素を含む。特に、好ましい溶媒は、それが低誘電定数(2.3)と比較的に高屈折率(1.47)とを兼ね備えているので、リモネンである。内相の屈折率は、Cargille-Sacher Laboratories Inc.(Cedar Grove,NJ)から利用可能なCargille(登録商標)屈折率整合流体等の屈折率整合剤の添加を用いて修正され得る。本発明のカプセル化された媒体では、粒子の分散の屈折率が、カプセル化材料のそれと可能な限り厳密に合致し、ヘイズを減らすことが好ましい。この屈折率整合は、溶媒の屈折率が封止剤のそれと近いとき、最良に達成される(一般に利用可能なポリマー封止剤を採用するとき)。大部分の事例では、550nmにおいて1.51~1.57、好ましくは、550nmにおいて約1.54の屈折率を伴う内相を有することが有益である。
【0091】
荷電顔料粒子は、種々の色および組成であり得る。加えて、荷電顔料粒子は、状態安定性を改良するために表面ポリマーで官能化され得る。そのような顔料は、米国特許公開第2016/0085132号(参照することによってその全体として組み込まれる)に説明される。例えば、荷電粒子が、白色である場合、それらは、TiO2、ZrO2、ZnO、Al2O3、Sb2O3、BaSO4、PbSO4等の無機顔料から形成され得る。それらは、高屈折率(>1.5)も伴い、あるサイズ(>100nm)であり、白色を示すポリマー粒子、または所望の屈折率を有するようにエンジニアリングされた複合粒子であり得る。黒色荷電粒子は、CI顔料黒色26または28等(例えば、マンガンフェライトブラックスピネルまたは銅クロマイトブラックスピネル)またはカーボンブラックから形成され得る。他の色(非白色および非黒色)は、CI顔料PR254、PR122、PR149、PG36、PG58、PG7、PB28、PB15:3、PY83、PY138、PY150、PY155、またはPY20等の有機顔料から形成され得る。他の例は、Clariant Hostaperm Red D3G70-EDS、Hostaperm Pink E-EDS、PV fast red D3G、Hostaperm red D3G70、Hostaperm Blue B2G-EDS、Hostaperm Yellow H4G-EDS、Novoperm Yellow HR-70-EDS、Hostaperm Green GNX、BASF Irgazine red L3630、Cinquasia Red L4100 HD、およびIrgazin Red L3660 HD;Sun Chemical phthalocyanine blue、phthalocyanine green、diarylide yellow、またはdiarylide AAOT yellowを含む。色粒子は、CI顔料青色28、CI顔料緑色50、CI顔料黄色227等の無機顔料から形成されることもできる。荷電粒子の表面は、米国特許第6,822,782号、第7,002,728号、第9,366,935号、および第9,372,380号、および米国公開第2014-0011913号(その全ての内容は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に説明されるように、要求される粒子の電荷極性および電荷レベルに基づいて、公知の技法によって修正され得る。
【0092】
粒子は、本来の電荷を示し得るか、または、電界制御剤を使用して明示的に荷電され得るか、または、溶媒または溶媒混合物中に懸濁されると電荷を獲得し得る。好適な電界制御剤は、当技術分野において周知である。それらは、性質上、ポリマー性または非ポリマー性であり得るか、または、イオン性または非イオン性であり得る。電界制御剤の例は、限定ではないが、Solsperse 17000(活性ポリマー分散剤)、Solsperse 9000(活性ポリマー分散剤)、OLOA 11000(スクシンイミド無灰分散剤)、Unithox 750(エトキシレート)、Span(登録商標) 85(ソルビタントリオレエート)、Petronate L(スルホン酸ナトリウム)、Alcolec LV30(大豆レシチン)、Petrostep B100(石油スルホン酸塩)またはB70(硫酸バリウム)、Aerosol OT、ポリイソブチレン誘導体またはポリ(エチレン-co-ブチレン)誘導体等含み得る。懸濁流体および荷電顔料粒子に加え、内相は、安定化剤、界面活性剤、および電界制御剤を含み得る。安定化材料は、溶媒中に分散させられると、荷電顔料粒子上に吸着され得る。この安定化材料は、粒子がそれらの分散状態にあるとき、可変透過媒体が実質的に非透過性であるように、粒子を互いから分離されたまま保つ。当技術分野において公知のように、荷電粒子(典型的に、上で説明されるように、カーボンブラック)を低誘電定数の溶媒中に分散させることは、界面活性剤の使用によって補助され得る。そのような界面活性剤は、典型的に、極性「頭部基」と非極性「尾部基」とを備え、非極性尾部は、基溶媒と相溶性があるか、またはその中に溶ける。本発明では、非極性尾部基は、飽和または不飽和炭化水素部分、または、例えば、ポリ(ジアルキルシロキサン)等の炭化水素溶媒中に溶ける別の基であることが好ましい。極性基は、アンモニウム、スルホン酸塩またはホスホン酸塩、または酸性または塩基性基等のイオン性材料を含む任意の極性有機官能性であり得る。特に、好ましい頭部基は、カルボン酸またはカルボキシレート基である。本発明との使用ために好適な安定化剤は、ポリイソブチレンおよびポリスチレンを含む。いくつかの実施形態において、ポリイソブテニルコハク酸イミドおよび/またはソルビタントリオレエートおよび/または2-ヘキサデカン酸等の分散剤が、添加される。
【0093】
本発明の電気泳動媒体は、典型的に、電荷制御剤(CCA)を含み得、電荷供与剤を含み得る。これらの電気泳動媒体成分は、典型的に、低分子量界面活性剤、ポリマー剤、または1つ以上の成分の混成物を備え、電気泳動粒子上の電荷を安定化させる役割、またはそうでなければその符号および/または大きさを修正する役割を果たす。CCAは、典型的に、イオンまたは他の極性基(以降、頭部基と称される)を備えている分子である。正または負のイオン頭部基のうちの少なくとも1つは、好ましくは、非極性鎖(典型的に、炭化水素鎖)(以降、尾部基と称される)に付着させられる。CCAは、逆ミセルを内相内に形成すると考えられ、CCAは、電気泳動流体として典型的に使用される非常に非極性の流体中の導電性につながる荷電逆ミセルの小集団であると考えられる。
【0094】
逆ミセルは、CCA分子の非極性尾部基によって包囲されるサイズが1nmから数十ナノメートルまで変動し得る(かつ球状、円筒形、または他の幾何学形状を有し得る)高度に極性のコア(典型的に、水を含む)を備えている。逆ミセルは、特に、油/水/界面活性剤混合物等の三元混合物中において、広範に研究されている。例は、例えば、Fayer et al.,J.Chem.Phys.,131,14704(2009年)に説明される、イソオクタン/水/AOT混合物である。電気泳動媒体において、3つの相が、典型的に、区別され得る(表面を有する固体粒子、極小液滴(逆ミセル)の形態において分布させられた高度に極性の相、および流体を備えている連続相)。荷電粒子および荷電逆ミセルの両方は、電場の印加時、流体を通して移動し、したがって、流体(典型的に、それ自体、ほぼゼロに等しい導電性を有する)を通した電気伝導のための2つの並行経路が、存在し得る。
【0095】
CCAの極性コアは、表面上への吸着によって、表面上の電荷に影響を及ぼすと考えられる。電気泳動ディスプレイでは、そのような吸着は、電気泳動粒子の表面またはマイクロカプセル(またはマイクロセルの壁等の他の固相)の内壁上で生じ、逆ミセルに類似する構造を形成し得、これらの構造は、以降、半ミセルと称される。イオン対のうちの一方のイオンが、他方より表面に強く付着させられると(例えば、共有結合によって)、半ミセルと非結合逆ミセルとの間のイオン交換は、電荷分離につながり得、電荷分離において、より強く結合されたイオンは、粒子に関連付けられたままであり、あまり強く結合されていないイオンは、遊離逆ミセルのコアの中に組み込まれた状態になる、。
【0096】
CCAの頭部基を形成するイオン材料が電気泳動粒子(または他の)表面においてイオン対形成を誘発し得ることも、可能である。したがって、CCAは、2つの基本機能:表面における電荷発生および表面からの電荷分離を実施し得る。電荷発生は、CCA分子内に存在するか、そうでなければ逆ミセルコアまたは流体の中に組み込まれるいくつかの部分と、粒子表面との間の酸-塩基またはイオン交換反応から生じ得る。したがって、有用なCCA材料は、そのような反応または当技術分野において公知のような任意の他の荷電反応に関わることが可能なそれらである。CCA分子は、加えて、粒子が光で照射されると電気泳動粒子によって生じさせられる光励起子の受容体としての機能を果たし得る。
【0097】
本発明の媒体中で有用な電荷制御剤の非限定的クラスは、有機硫酸塩またはスルホン酸塩、金属石鹸、ブロックまたはコームコポリマー、有機アミド、有機双性イオン、および有機リン酸およびホスホン酸を含む。有用な有機硫酸塩およびスルホン酸塩は、限定ではないが、ビス(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、石油スルホン酸カルシウム、中性または塩基性ジノニルナフタレンスルホン酸バリウム、中性または塩基性ジノニルナフタレンスルホン酸カルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、およびラウリル硫酸アンモニウムを含む。有用な金属石鹸は、限定ではないが、ナフテン酸、オクタン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、およびミリスチン酸等のカルボン酸の、塩基性または中性バリウムペトロネート、カルシウムペトロネート、コバルト、カルシウム、銅、マンガン、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、および鉄の塩等含む。有用なブロックまたはコームコポリマーは、限定ではないが、(A)p-トルエンスルホン酸メチルで4級化された2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルメタクリレートのポリマーと(B)ポリ(2-エチルヘキシルメタクリレート)のABジブロックコポリマー、およびポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)の油溶性尾部を伴い、ポリ(メチルメタクリレート-メタクリル酸)の油溶性アンカ基上にペンダントした約1,800の分子量を有するコームグラフトコポリマーを含む。有用な有機アミド/アミンは、限定ではないが、OLOA371または1200(Chevron Oronite Company LLC(Houston,Tex.)から利用可能)またはSolsperse17000(Lubrizol(Wickliffe,OH)から利用可能:Solsperseは、登録商標である)等のポリイソブチレンスクシンイミド、およびN-ビニルピロリデンポリマーを含む。有用な有機両性イオンは、限定ではないが、レシチンを含む。有用な有機リン酸およびホスホン酸は、限定ではないが、飽和および不飽和酸置換基でリン酸化されたモノ-およびジ-グリセリドのナトリウム塩を含む。CCAのための有用な尾部基は、200~10,000の範囲内の分子量のポリ(イソブチレン)等のオレフィンのポリマーを含む。頭部基は、スルホン酸、リン酸、またはカルボン酸またはアミド、または代替として、第1級、第2級、第3級、または第4級アンモニウム基等のアミノ基であり得る。
【0098】
本発明の媒体において使用される電荷補助剤は、下でさらに詳細に説明されるように、電気泳動粒子表面上の電荷をバイアスし得る。そのような電荷補助剤は、ブレンステッドまたはルイス酸または塩基であり得る。
【0099】
粒子分散安定剤が、カプセルまたは他の壁または表面への粒子凝集または付着を防止するために添加され得る。電気泳動ディスプレイ中の流体として使用される典型的高抵抗率液体に関して、非水性界面活性剤が、使用され得る。これらは、限定ではないが、グリコールエーテル、アセチレングリコール、アルカノールアミド、ソルビトール誘導体、アルキルアミン、第4級アミン、イミダゾリン、酸化ジアルキル、およびスルホコハク酸塩を含む。
【0100】
米国特許第7,170,670号に説明されるように、電気泳動媒体の双安定性は、約20,000超の数平均分子量を有するポリマーを流体中に含むことによって改良されることができ、このポリマーは、本質的に、電気泳動粒子上で非吸収性であり、ポリ(イソブチレン)は、この目的のための好ましいポリマーである。
【0101】
例えば、米国特許第6,693,620号にも説明されるように、その表面上に不動化された電荷を伴う粒子は、反対電荷の電気二重層を包囲流体中に構成する。CCAのイオン頭部基は、電気泳動粒子表面上の荷電基とイオン対にされ、不動化されたまたは部分的に不動化された荷電種の層を形成し得る。この層の外側に、流体中にCCA分子を備えている荷電(逆)ミセルを備えている拡散層が存在する。従来のDC電気泳動では、印加される電場は、滑りが、拡散層内で生じ、粒子が流体に対して移動するように、力を固定された表面電荷上に及ぼし、反対力を移動性対電荷上に及ぼす。滑り平面における電位は、ゼータ電位として知られる。
【0102】
結果として生じる光コリメートフィルム(10)は、
図2B、2C、および2Dに示されるように、光(33)を狭くする(コリメートする)ために使用されることができる。光反射性表面(27)の利点をより詳しく解説するために、第1の実施形態が、光反射性表面(27)を伴わずに、
図2Aに示される。
図2Aでは、電気泳動粒子(26)は、細長いチャンバ(22)全体を通して分布させられ、透過角度θ
1をもたらし、透過角度θ
1は、細長いチャンバ(22)間のピッチ(A)、各細長いチャンバ(22)の幅(W)、光コリメートフィルム(10)の高さ(H)、および光源(33)から出射側基板(
図2Aの例では、基板(18))までの距離によって画定される。
図2Aから分かるように、角度θ
1は、概ね、光線X-X’およびY-Y’によって画定され、それらは、光が、源(33)から離れ、電気泳動粒子(26)が全体を通して分布状態の細長いチャンバ(22)の上部および底部の両方を通り抜け得る法線からの最大角度を画定する。
【0103】
図2Aから分かり得るように、点XおよびY(およびその間の全ての点)から放出される光の一部は、細長いチャンバ(22)に進入し、細長いチャンバ(22)において、直ちに吸収されるであろう。この直接吸収は、少なくとも2つの複雑性を生じさせる。第1に、光コリメートフィルムをLCDディスプレイ(または他のタイプの後方照明ディスプレイ)の中に組み込む事例では、光源を照明するためのエネルギーの一部は、無駄にされている。これは、例えば、デバイスに関して、より短いバッテリ寿命をもたらす。第2の短所は、双安定電気泳動媒体によって捕捉された追加の光が、最終的に、熱となり、これが、デバイスおよび関連付けられる基板の温度を上昇させることである。この熱負荷は、電気泳動媒体の粘度が、典型的に、上昇する温度に伴って減少するという点で、電気泳動媒体をより不安定にし得る。これは、電圧が印加されていないとき、電気泳動媒体の状態にあるドリフトをもたらし得る。
【0104】
本発明は、したがって、
図2Bに示されるように、複数の光反射性表面(27)を含む。光反射性表面は、光反射性表面(27)を含むデバイスの透過角度θ
1を著しく変化させないが、特に、
図3-5に図示されるように、後方照明ディスプレイ媒体と対にされると、デバイスの性能を改良する。光反射性表面は、銀、金、アルミニウム、クロム、またはそれらの合金等の金属等の任意の光反射性材料を備え得る。光反射性表面は、代替として、二酸化チタン、酸化亜鉛、およびビスマス酸化物等の高反射率金属酸化物を備え得る。光反射性表面はまた、二酸化ケイ素、硫化亜鉛、および/または二酸化チタンから作製されるそれら等、可視および/または赤外線光を反射するように設計される薄膜層状材料(例えば、誘電ミラー)も含み得る。代替実施形態において、シール層は、金属薄片または二酸化チタン等の反射粒子でドープされ得る。シール層が、硬化させられると、反射粒子は、本質的に、細長いチャンバの開口部に閉じ込められ、後方散乱させられる光の量を増やす。
【0105】
上で説明されるように、光コリメート層は、双安定電気泳動媒体(24)の状態を切り替えることによって、透過角度の変化をもたらすことができる。上記の
図1Cと同等の第1の広角状態では、電気泳動粒子(26)は、より近い基板(16)に駆動され、新しい透過角度θ
2が、
図2Cに示されるように、光線X-X’およびY-Y’に関して確立される。新しい透過角度θ
2は、
図2Cに示されるように、θ
1よりはるかに広い、すなわち、θ
2>>θ
1であろう。再び、透過角度θ
2の有効狭化は、細長いチャンバ(22)間のピッチ(A)、各細長いチャンバ(22)の幅(W)、および光コリメートフィルム(10)の高さ(H)の関数であろう。
【0106】
上記の
図1Fと同等である、第2の広角状態では、電気泳動粒子(26)は、光源(33)から離れた基板(18)に駆動され、新しい透過角度θ
3が、
図2Dに示されるように、光線X-X’およびY-Y’に関して確立される。新しい透過角度θ
3は、
図2Dに示されるように、θ
1よりはるかに広い、すなわち、θ
3>>θ
1であろう。
図2Cのように、透過角度θ
3の有効狭化は、細長いチャンバ(22)間のピッチ(A)、各細長いチャンバ(22)の幅(W)、および光コリメートフィルム(10)の高さ(H)の関数であろう。さらに、陰影が、第2の基板(18)に隣接して蓄積された電気泳動粒子(26)によって投射され得ると考えられるであろうが、これは、観察されない。光コリメートフィルム(10)を通して十分な散乱光が存在し、この効果を洗い落とすと推測される。
【0107】
大部分の構成では、本発明の光コリメートフィルム(10)は、広透過角度(
図2Bおよび2C)から狭透過角度(
図2A)への遷移において、有効視認面積における少なくとも2倍の低減(法線からの角度の関数としての50%パーセント未満の相対的透過によって定義される)を提供するであろうことが予期される。いくつかの実施形態において、視認面積における低減は、2倍、例えば、3倍、例えば、4倍を上回るであろう。この機能性により、光コリメートフィルム(10)は、単に、ガラス窓、例えば、オフィスの内窓に適用されるとき、有用であり得、それによって、ガラスの透過角度は、大幅に減らされ、それによって、依然として、良好な量の光が窓を透過することを可能にしながら、オフィスの居住者のためのプライバシを高めることができる。
【0108】
光コリメートフィルム(10)は、
図3に示されるように、液晶ディスプレイ(LCD)スタックの中に組み込まれ得る。
図3は、例示であり、LCDスタックのためのいくつかの異なる構成が存在する。
図3に示されるように、典型的に、1つ以上の発光ダイオード(LED)である光(33)が、光ガイドプレート(34)と拡散器プレート(35)との組み合わせによって、活性層を含むディスプレイスタックを通して導かれる。拡散器プレート(35)から離れる光は、視認者(
図3の上部における眼)の方向に進行し、次に、上で説明されるタイプの光コリメートフィルム(10)と出会う。
図3に示される状態では、光コリメートフィルム(10)は、その光がより狭い透過角度(
図2参照)内を進行するとき、光が活性層に進むことのみを可能にするであろう。光コリメートフィルム(10)を通過する、光は、次に、第1の偏光フィルム(36)を通して、複数のピクセル電極(42)を含む、アクティブマトリクス薄膜トランジスタ(AM-TFT)アレイ(40)に進むであろう。AM-TFT(40)およびピクセル電極(42)を通過する、偏光された光は、次いで、液晶層(44)に出会い、それによって、光の偏光は、光が第2の偏光フィルム(37)を透過されるように、またはねられるように、液晶によって操作されることができる。具体的に、液晶層(44)の光学状態は、LCDディスプレイの当技術分野において公知のように、ピクセル電極と正面電極(45)との間に電場を提供することによって改変される。光コリメートフィルム(10)、AM-TFT(40)、ピクセル電極(42)、液晶層(44)、および正面電極(45)を透過される光は、次いで、カラーフィルタアレイ(46)を透過し、カラーフィルタアレイ(46)は、下層ピクセル電極(42)に関連付けられるべき色のスペクトルのみを通すであろう。最後に、正しい色および正しい偏光(液晶層によって決定される)であるある量の光が、第2の偏光フィルム(37)を横断し、視認者によって視認されるであろう。光学接着剤(47)の種々の追加の層が、必要とされる場合、スタック内に含まれ得る。スタックは、保護カバー層(49)も含み得、それは、例えば、ガラスまたはプラスチックであり得る。容量タッチセンサ式層(48)またはデジタイザ層(図示せず)等の追加の要素も、タッチスクリーン能力または書き込み能力等を達成するためにスタックに追加され得る。
図4は、保護カバー層(49)および容量タッチセンサ式層(48)の包含を図示する。
【0109】
図3に図示される光コリメートフィルム(10)を含むLCDスタックの正味効果は、LCDディスプレイ、例えば、コンピュータモニタ、スマートフォン、データ端末、または他のLCDディスプレイから発出する光の透過角度を独立して制御することが可能であることである。さらに、切り替え媒体は、双安定であるので、デバイスは、事実上無限に、「広」または「狭」状態に留まることができる。高度な実施形態において、狭化の量は、細長いチャンバの視認側に向かって駆動される顔料の相対的量を制御することによって、調節されることができる。透過角度は、LCDの状態から完全に独立して調節されることができる。すなわち、プライバシモードと非プライバシモードとの間で切り替えるために、モニタの電源を切る必要はない。
【0110】
他の実施形態において、追加のプリズムフィルム(50)が、光コリメートフィルム(10)を通過するための正しい向きで光コリメートフィルム(10)のほうに導かれる入射光の量を増やすために、
図5に示されるように、光学要素のスタックに追加され得る。プリズムフィルム(50)を組み込むことは、若干の角度依存性を有するディスプレイの強度をもたらすであろうが、しかしながら、ディスプレイスタックの全体的効率は、改良され、より少ない電力消費をもたらす。この特徴は、特に、例えば、ラップトップまたは電話等のモバイルデバイスにおいて望ましくあり得る。
【0111】
光反射性表面(27)のための種々の場所が、
図6A-6Cに図示される。
図6Aでは、光反射性表面は、細長いチャンバ(22)の開口部の直上において、第1の基板(16)上に配置される。
図6Bでは、シール層(28)が、チタニア(図示せず)等の光反射性材料を組み込むように修正されており、硬化後、シール層(28)は、シール層(28)および光反射性表面(27)の両方としての役割を果たす。代替実施形態において、シール材料と光反射性電気泳動粒子との間の酸化還元反応が、開始され得る。酸化還元反応のための一方の物質がシールの中に添加される一方、他方のものは、双安定電気泳動媒体(24)の中に組み込まれる。
図6Cでは、光反射性表面(27)は、細長いチャンバが双安定電気泳動流体(24)で充填される前、細長いチャンバ(22)の底部に配置された。当然ながら、第2の基板(18)の下方に配置される等、他の位置も、好適であり得る[図示せず]。全ての事例において、光反射性表面は、細長いチャンバ間のコリメート層の部分と実質的に重複していない。この特徴は、可能な限り多くの光が光コリメート層(10)を通過することを可能にする。
【0112】
シール層(28)の分解図が、全3つの図(
図6A-6C)に示される。シール層(28)は、双安定電気泳動流体(24)を保持するために、
図6Aの分解図に示されるように、細長いチャンバ(22)の上部部分をシールする。シールは、細長いチャンバ(22)を双安定電気泳動流体(24)で少なめに充填し、次いで、ほぼ完全に細長いチャンバ(22)をシール調合物(
図6B参照)でオーバーコーティングすることによって達成され得る。他の実施形態において、シール組成物は、充填時、双安定電気泳動流体(24)中に分散させられているが、シール調合物に細長いチャンバ(22)の上部まで上昇させるための正しい親水性および密度で設計され得、それによって、例えば、光、熱、または活性化化学剤にさらすことを使用して、硬化させられる。代替実施形態において、(
図6A-6Cに示されない)細長いチャンバ(22)は、上部まで充填され、シール層が、光透過ポリマー(20)の上部の全体に覆われ、それによって、双安定電気泳動流体(24)を細長いチャンバ内にシールし得る。
【0113】
シール層のためのシール組成物中の不可欠な成分の例は、限定ではないが、熱可塑性または熱硬化性物質およびその前駆体を含み得る。具体的例は、単官能アクリレート、単官能メタクリレート、多官能アクリレート、多官能メタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、セルロース、ゼラチン等の材料を含み得る。ポリマー結合剤または増粘剤、光開始剤、触媒、加硫剤、充填材、着色剤、または界面活性剤等の添加剤が、物理機械的性質および光コリメートフィルムを改良するために、シール組成物に添加され得る。
【0114】
シール組成物は、シール溶媒として水を伴う水溶性ポリマーであり得る。好適な水溶性ポリマーまたは水溶性ポリマー前駆体の例は、限定ではないが、ポリビニルアルコール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールとのそのコポリマー、およびその誘導体、例えば、PEG-PPG-PEG、PPG-PEG、PPG-PEG-PPG;ポリ(ビニルピロリデン)およびそのコポリマー、例えば、ポリ(ビニルピロリデン)/酢酸ビニル(PVP/VA);多糖類、例えば、セルロースおよびその誘導体、ポリ(グルコサミン)、デキストラン、グアーガム、および澱粉;ゼラチン;メラミン-ホルムアルデヒド;ポリ(アクリル酸)、その塩形態、およびそのコポリマー;ポリ(メタクリル酸)、その塩形態、およびそのコポリマー;ポリ(マレイン酸)、その塩形態、およびそのコポリマー;ポリ(2-ジメチルアミノエチルメタクリレート);ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン);ポリ(2-ビニルピリジン);ポリ(アリルアミン);ポリアクリルアミド;ポリエチレンイミン;ポリメタクリルアミド;ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム);第4級アンモニウム基で官能化されたカチオン性ポリマー、例えば、ポリ(2-メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムブロミド)、ポリ(アリルアミン塩酸塩)を含み得る。シール材料はまた、調合溶媒として水を伴う水分散性ポリマーを含み得る。好適なポリマー水分散剤の例は、ポリウレタン水分散剤およびラテックス水分散剤を含み得る。水分散剤中の好適なラテックスは、ポリアクリレート、ポリ酢酸ビニル、およびそのコポリマー、例えば、エチレン酢酸ビニル、およびポリスチレンコポリマー、例えば、ポリスチレンブタジエンおよびポリスチレン/アクリレートを含む。
【0115】
例えば、接着剤組成物中に存在し得る追加の成分の例は、限定ではないが、アクリル、スチレン-ブタジエンコポリマー、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー、ポリビニルブチラール、酢酸酪酸セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリアミド、エチレン-ビニル酢酸コポリマー、エポキシド、多官能アクリレート、ビニル、ビニルエーテル、およびそのオリゴマー、ポリマー、およびコポリマーを含み得る。接着剤層はまた、ポリウレタン分散剤とポリビニルアルコール;ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールとのそのコポリマー;ポリ(ポリビニルピロリドン)およびそのコポリマー;多糖類;ゼラチン;ポリ(アクリル酸)、その塩形態、およびそのコポリマー;ポリ(メタクリル酸)、その塩形態、およびそのコポリマー;ポリ(2-ジメチルアミノエチルメタクリレート);ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン);ポリ(2-ビニルピリジン);ポリ(アリルアミン);ポリアクリルアミド;ポリメタクリルアミド、および第4級アンモニウム基で官能化されたカチオン性ポリマーから成る群から選択される、水溶性ポリマーを含み得る。接着剤層は、積層後、例えば、熱またはUV等の放射によって後に硬化させられ得る。
【0116】
例えば、基板(53)を含むスタックの全体は、
図6A-6Cに示されるように、縁シール(51)でシールされることができる。縁シール(51)は、上で説明されるシール組成物のいずれかを含み得る。縁シール(51)は、光コリメート層(10)および基板(53)の周囲に連続し得るか、または、縁シール(51)は、スタックの一部のみ、例えば、光コリメート層(10)の外側縁のみを覆い得る。いくつかの実施形態において、縁シール(51)は、追加の保護層、例えば、水に不浸透性の層、例えば、クリアポリエチレンを含み得る。保護層は、湿気またはガス障壁特性を提供し得る。保護層および/または縁シールの縁は、湿気またはガス障壁特性を提供する熱またはUV硬化性または熱活性化縁シール材料でシールされ得る。ある実施形態において、縁シールは、2つの保護基板によって挟まれる。
【0117】
いくつかの実施形態において、縁シール(51)は、実際に、スタック全体を包み込み、それによって、シールされたアセンブリを生成するであろう。示されないが、1つ以上の電気接続は、縁シール(51)を横断して、電気接続を第1の電極(12)および第2の電極(14)に提供する必要があり得ることを理解されたい。そのような接続は、可撓性リボンコネクタによって提供され得る。
【0118】
シール層(28)の詳細を示すことに加え、
図6A-6Cは、光コリメート層(10)がガラスまたは別のクリアな耐久性のある材料等の基板(53)上に積層され得る方法を図示する。
図6に示されないが、光コリメート層(10)は、基板を用いて、上部および底部の両方において保護され得ることに留意されたい。2つの基板は、異なることも、同じであることもある、例えば、第1の基板は、ガラスであり得、第2の基板は、ポリエチレンであり得る。縁シール(51)は、上部および底部の両方の基板および基板間の光コリメート層(10)の周囲に延び得る。典型的に、Delo Adhesiveから利用可能なもの等の光学接着剤(52)が、光コリメート層(10)を基板(53)に接合するために使用される。代替として、光コリメート層(10)は、光学接着剤(52)および剥離シート(54)の組み合わせでコーティングされ得、それによって、光コリメート層(10)は、剥離シート(54)とともに巻かれ、組み立て設備に移送されることができ、組み立て設備で、定型サイズに切断されるであろう。展開されることに先立って、剥離シート(54)は、除去されることができ、光コリメート層(10)は、直接、基板(53)に取り付けられることができる(図示せず)。基板は、会議室の窓、自動車のガラス、またはLCDスタック内の拡散器等、光コリメーションが所望される任意のクリアな表面であり得る。
【0119】
上で説明される製作方法から生じる光コリメート層の2つの幾何学形状が、
図7Aおよび7B(上方からの図)に示される。これらの幾何学形状は、それらが、1つの方向(L)において、別の方向(W)より長いという点で、細長いチャンバ(22)の縦横比の一般的傾向を示す。すなわち、細長いチャンバの長さ(L)は、典型的に、細長いチャンバの幅(W)の少なくとも2倍、例えば、細長いチャンバの幅の少なくとも3倍、例えば、細長いチャンバの幅の少なくとも4倍、例えば、細長いチャンバの幅の少なくとも5倍、例えば、細長いチャンバの幅の少なくとも10倍である。上で議論されるように、細長いチャンバの高さ(H)(
図7Aおよび7Bにおけるページの平面から外に向かう)は、コリメート層の厚さ以下である。典型的に、各細長いチャンバの幅は、5μm~150μmである。典型的に、各細長いチャンバの長さは、200μm~5mmである。
【0120】
行間の間隔(A)(「ピッチ」として知られる)は、電気泳動顔料(26)が、前述のように、細長いチャンバ(22)内に完全に分布させられるときの、視認角度が減らされる量を決定する際に主要な役割を果たす。細長いチャンバ(22)の高さが、一定のままである場合、視認角度は、間隔「A」の減少に伴って狭くなる。しかしながら、「A」の減少は、光が横断するための顔料粒子を伴うより多くの双安定電気泳動流体(24)が存在し、光コリメートフィルムの全体的光透過を減少させることを意味する。同様に、同じ行内の隣接する細長いチャンバ間の間隙幅「G」も、光源と視認者との間の散乱粒子の量により、光コリメート層の全体的透過に影響を及ぼす。したがって、
図7Aの全体的透過は、
図7Bの全体的透過を下回る。しかしながら、
図7Aでは、入射光が細長いチャンバを越えて進行するための軸外経路がより少ないので、非コリメート光の「漏出」は、より少ない。
【0121】
いくつかの実施形態において、細長いチャンバが、例えば、上で説明されるように、圧延エンボス加工ツールを用いて生成されるとき、細長いチャンバは、行および列で形成される(上方から視認されると)。漏出を最小限にする試みとして、
図7Aおよび
図7Bの両方において、第1の行内の隣接する細長いチャンバ間の間隙は、第2の行内の隣接する細長いチャンバ間の間隙から水平にオフセットされる。一般に、同じ行内の隣接する細長いチャンバ間の間隙幅「G」は、30μm未満、例えば、25μm未満、例えば、20μm未満、例えば、15μm未満、例えば、10μm未満である。次の行内の隣接する細長いチャンバ間の間隙は、少なくとも1μm、例えば、少なくとも2μm、例えば、少なくとも3μm、例えば、少なくとも5μmオフセットされ得る。いくつかの実施形態において、第1の行の間隙全体が、
図7Bに示されるように、第2の行の細長いチャンバによってまたがれる。大部分の実施形態において、L>Gである。多くの実施形態において、L>>Gである。大部分の実施形態において、A>Wである。多くの実施形態において、A>>Wである。
【0122】
光反射性表面(27)は、細長いチャンバ(22)間の光コリメート材料に実質的に重複していない。
図7Aに見られるように、基板上にオーバーコーティングされる光反射性表面(27)は、細長いチャンバ(22)の縁をわずかにのみ超え得る。いくつかの事例では、光反射性材料がシール層の中に組み込まれ、シール層の縁が細長いチャンバ(22)の境界を超えるとき、例えば、光反射性表面の縁は、
図7Aにおけるように、上方から視認されると、細長い表面の範囲を5mm未満、例えば、3mm未満、例えば、1mm未満超え得る。他の実施形態において、例えば、シール材料および光反射性材料が、シール層の中に組み合わせられるとき、光反射性表面は、
図7Bに示されるように、細長いチャンバ(22)の範囲を超えない。加えて、光反射性表面が細長いチャンバ(22)の底部に配置された事例では、光反射性表面は、
図7Bに示されるように、細長いチャンバ(22)の範囲を超えない。
【0123】
細長いチャンバ間の間隔は、約可視光の波長であるので、
図7Aおよび7B等の繰り返しパターンは、視認のために望ましくない干渉効果を生じさせ得、それは、スポット、モアレ、スペックル、または他の可視瑕疵として現れ得る。いくつかの改変が、これらの干渉効果に打ち勝つために、光コリメート層(10)の設計に行われることができる。例えば、隣接する細長いチャンバ(22)間の間隙の位置は、連続した行ごとに側方に「ずらされる」ことができる。代替として、または加えて、間隙幅(G)は、異なる行に関して、隣接する細長いチャンバ(22)間で改変され得る。また、間隙幅(G)は、同じ行内でも細長いチャンバ(22)間で改変され得る。代替として、または加えて、行間のピッチ(A)は、光コリメートフィルムにわたって修正され得る。代替として、または加えて、各細長いチャンバ(22)の長さ(L)も、単一行内および/または行間で修正され得る。さらに、各細長いチャンバ(22)の幅(W)も、単一行内および/または行間で修正され得る。本明細書に説明されるエンボス加工プロセスは、圧延ツールを用いて行われるという点で、反復的であるが、ロール上の特徴の大部分を非対称にすることによって、対称性に打ち勝つことも可能である。圧延エンボス加工ツールによって生じる繰り返しパターンは、典型的に、約20cmであり、したがって、干渉効果を生じさせない。
【0124】
別の切り替え可能な光コリメートフィルム(80)の一般的な機能が、
図8A-8Fに示される。特に、
図8A、8C、および8Eは、断面切断平面線70aによって
図7Aにおいて識別される断面A-Aの図であり、
図8B、8D、および8Fは、断面切断平面線70bによって
図7Aにおいて識別される断面B-Bの図である(上で示されるように、図面は、縮尺通りではなく、主題の説明を促進することのみが意図される。故に、
図8A-8Fにおいても存在する
図1A-1Fからの要素は、異なる物理的寸法を有するように見えるにもかかわらず、同じであり得る。他方、異なる実施形態における要素の具体的な性質および機能は、同じではないこともある)。
【0125】
フィルム(80)は、
図1A-1Fに示される切り替え可能な光コリメートフィルム(10)と同じ構成要素の多くと、それらに共通する寸法とを含む。例えば、第1の光透過電極層(12)は、細長いチャンバ(22)の開口部に適用されるシール層(28)に隣接して位置付けられた伝導性材料の単一の連続した電極を含む。しかしながら、フィルム(80)では、第2の光透過電極層(14)は、代わりに、細長いチャンバ(22)の閉端(29)に隣接して位置付けられた複数の分割電極(15)を含むようにパターン化される。いくつかの実施形態において、第2の光透過電極層(14)の表面の実質的に全体は、
図8A-8Fに図示されるように、細長いチャンバ(22)の閉端(29)に隣接してただ位置付けられるのではなく、分割電極(15)を含むようにパターン化される。
【0126】
加えて、
図8A-8Fに示される源(30)は、導体の適切な配置および任意の必要とされる論理回路網を介して、第2の光透過電極層(14)に結合され、したがって、複数の分割電極(15)の各々は、互いに独立してアドレスおよび駆動されることが可能である。これは、源(30)が、他の分割電極(15)のうちの1つ以上のものに印加されているDC電位または波形から独立して、DC電位または波形を分割電極(15)のうちの1つに選択的に印加することを可能にする。例えば、ある電位が、分割電極(15)のうちの1つに印加されることができる一方、反対または逆の電位が、隣接する分割電極(15)に印加される。
【0127】
図8Aおよび8Bに図示される第1の状態では、フィルム(80)の電気泳動粒子(26)は、電位が、第1の光透過電極層(12)と第2の光透過電極層(14)との間に印加されていないにもかかわらず、分散状態において安定する。細長いチャンバ(22)全体を通して分散させられる電気泳動粒子(26)を用いると、フィルム(80)は、フィルム(80)を通過する光を狭化またはコリメートするために使用され、上で説明される
図2Aおよび2Bに示されるように、透過角度θ
1に実質的に類似する透過角度をもたらし得る。
【0128】
第1の光透過電極層(12)と第2の光透過電極層(14)との間の好適な電位の印加は、好適にバイアスされる電極層(この場合、第2の光透過電極層(14))に向かって、実質的に第1の方向に(例えば、垂直に)電気泳動粒子(26)に移動を開始させる電場を生成し、細長いチャンバ(22)の高さに沿った光透過勾配を生成する。例えば、源(30)は、第1の光透過電極層(12)と複数の分割電極(15)との間の電位差を生成することができる。
図8Cおよび8Dに図示されるように、第1の光透過電極層(12)は、複数の分割電極(15)の負(-)電位に対して、正(+)電位である。しかしながら、当業者は、第1の光透過電極層(12)と複数の分割電極(15)との間の電位差が、細長いチャンバ(22)内の電気泳動粒子(26)の電荷および所望の移動方向に応じて、反対極性を有し得ることを理解するであろう。さらに、第1および第2の光透過電極層に印加される電位は、正(+)および負(-)として識別されるが、当業者は、電位が、互いに対して正(+)および負(-)であり、必ずしも基準または接地電位に対してではないことを理解するであろう。
電気泳動粒子(26)が、細長いチャンバ(22)の閉端(29)に駆動されると、源(30)は、次いで、隣接する分割電極(15)が反対極性を有するように、電位を分割電極(15)の各々に選択的に印加する。この様式において分割電極(15)を駆動することは、隣接する分割電極(15)間に「面内」電場を発生させ、面内電場は、好適にバイアスされる分割電極(15)に向かって、実質的に第2の方向に(例えば、側方に、水平方向に)移動することを電気泳動粒子(26)に開始させる。
【0129】
図8Eおよび8Fに図示されるように、複数の分割電極(15)に印加される電位は、隣接する分割電極(15)の間で、負(-)と正(+)との間で交互する。結果として生じる面内電場は、細長いチャンバ(22)の閉端(29)において、好適にバイアスされる分割電極(15)近傍で、電気泳動粒子(26)の側方局在化および区画化を引き起こす。有利なこととして、連続線ではなく、小さい「島」の中に光吸収電気泳動粒子(26)を側方に詰めることは、非プライバシモードにおけるフィルム(80)の透明なクリアな面積を増加させ、フィルム(80)を通したより高い透過率を可能にする。電気泳動媒体は、電気泳動粒子(26)が小さい「島」の中に詰められると、電気泳動粒子(26)がさらなる電力消費または他の力(例えば、静電力)への依拠に対する必要性なしに定位置に留まるという点において、双安定である。フィルム(80)の増加させられた透過率は、ディスプレイの全体的な知覚される輝度における増加ももたらし、そうでなければディスプレイの前面および/またはバックライトの輝度を増やすために要求されるであろう追加の電力ドレインなしで、ディスプレイ、より低い光状態において使用されることを可能にし得る。さらに、フィルム(80)は、依然として、プライバシモードにおいて、電気泳動粒子(26)を等価分散光遮断状態に駆動することが可能である。
【0130】
ある数の分割電極(15)が、
図8A-8Fに示されるが、当業者は、細長いチャンバ(22)の閉端(29)に隣接する、より少ないまたはより多くの分割電極(15)を有する切り替え可能な光コリメートフィルム(80)が、本開示の範囲内にあることを理解するであろう。一例として、
図8A、8C、および8Eは、細長いチャンバ(22)の閉端(29)に隣接する3つの分割電極(15)を示すが、フィルム(80)の実施形態は、細長いチャンバ(22)の閉端(29)に隣接する1つ、2つ、または3つを上回る分割電極(15)を含むことができる。
【0131】
さらに、
図8A-8Fに示される実施形態は、隣接する細長いチャンバ(22)を分離する複数の間隙のうちのいずれかに隣接して位置付けられる分割電極(15)を含まないが、当業者は、本開示の範囲内の切り替え可能な光コリメートフィルム(80)が、隣接する細長いチャンバ(22)を分離する複数の間隙のうちのいずれかに隣接して位置付けられる1つ以上の分割電極(15)を含み得ることを理解するであろう。
図9Aは、ITOの細片を使用して分割電極(15)が形成されたフィルム(80)の例示的実施形態の上面図であり、ITOの細片は、第2の光透過電極層(14)の実質的に全体にわたってパターン化されている。
【0132】
いくつかの実施形態において、第1の光透過電極層(12)は、代わりに、分割電極(15)を含むようにパターン化され、第2の光透過電極層(14)は、単一の連続した電極を含む。いくつかの実施形態において、第1の光透過電極層(12)および第2の光透過電極層(14)の両方は、単一の連続した電極を含む。
図9Bは、第2の光透過電極層(14)が単一の連続した電極(15と示される)を含むフィルム(80)の例示的実施形態の上面図を描写する。
【0133】
いくつかの実施形態において、複数の分割電極(15)は、部分または群でアドレス可能である。例えば、分割電極(15)は、分割電極(15)の実質的に半分が、同時に、アドレスされ、電気的にバイアスされ得るように構成されることができる。さらに、分割電極(15)は、分割電極(15)の任意の隣接する対に関して、電極のうちの一方が第1の群内にあり、他方の電極が第2の群内にあるように、第2の光透過電極層(14)上の2つの独立してアドレス可能な群の中に配置されることができる。
図9Cは、個々にアドレス可能なくし状、または互いにかみ合わせられた電極(15a)および(15b)を有するフィルム(80)の例示的実施形態の上面図を図示する。互いにかみ合わせられた電極(15a)および(15b)は、市販のPET-ITOをレーザ切断することによって製作され、別個に制御可能な電極を生成することができるか、または、PET等の光透過基板が、ITO等のクリアな導体を用いてマスクおよびパターン化されることができる。いくつかの実施形態において、クリアな基板の間隙が、互いにかみ合わせられた電極(15a)と(15b)との間に存在し得る。いくつかの事例では、互いにかみ合わせられた電極(15a)および(15b)は、隣接するが、互いにかみ合わせられた電極(15a)と(15b)との間に伝導性経路を伴わない。
【0134】
当業者は、群化されたまたは同時にアドレス可能な分割電極の他の構成が、本開示の範囲内であることを理解するであろう。これらの構成は、第2の光透過電極層(14)と源(30)に対する結合インターフェースとの両方の設計および製造を簡略化しながら、依然として、隣接する分割電極(15)が、
図8Eおよび8Fに対して議論されるように、反対極性を有するように、電位が、複数の分割電極(15)に選択的に印加されることを可能にし得る。
【0135】
図8Gおよび8Hは、非プライバシモードにおけるフィルム(80)の追加の例示的実施形態を図示する。本実施形態において、第2の光透過電極層(14)は、
図9Aまたは
図9Cに示される例に実質的に類似する構成を有する電極を含むことができる。当業者は、
図8Gおよび8Hに示されるフィルム(80)の構成が、
図8Eおよび8Fに対して上で議論される利点を提供し得ることを理解するであろう。
【0136】
図10のLCDスタックにおいて図示されるように、フィルム(80)は、依然として、非プライバシモードにおいて、軸外光線(90a)のより広い透過角度を可能にしながら、光線(90b)がフィルム(80)を通過するための追加の経路も提供し、それによって、その透過率を増やす。
図10に示されるように、フィルム(80)は、光反射性表面(27)等の本明細書に説明される他の有利な特徴を組み込むことによって、追加の利益を提供することができる。しかしながら、当業者は、
図8A-8Fに示されるフィルム(80)の実施形態に関して上で説明される利点を取得するために、フィルム(80)が、光反射性表面(27)を組み込むことを要求されないことを理解するであろう。いくつかの実施形態において、光反射性表面(27)を伴わないフィルム(80)が、LCDスタックの中に組み込まれる。
【0137】
図11の実施形態において、細長いチャンバ(22)の各々は、その開端近傍の細長いチャンバ(22)の幅(
図11にける「Wo」)が、閉端(29)近傍のその幅(
図11における「Wc」)より大きくあるように、テーパ構造に形成される。いくつかの実施形態において、幅Woは、幅Wcより50~100%大きい。いくつかの実施形態において、幅Woは、幅Wcより100~200%大きい。いくつかの実施形態において、細長いチャンバ(22)の各々は、文字「V」に実質的に似たテーパ構造に形成され、Woは、9μm~150μmであり得、Wcは、実質的に0μm~5μmであり得る。
【0138】
図11に図示される実施形態は、有利なこととして、上で説明されるように、プライバシモードにおいて、フィルム(80)の光遮断面積を増加させながら、非プライバシモードにおいて、フィルム(80)の透明なクリアな面積における追加的な増加の利益を保持することができる。さらに、細長いチャンバ(22)のテーパ状側壁は、電気泳動粒子(26)を第2の光透過電極層(14)の好適にバイアスされる分割電極(15)に向かって駆動することを促進するための方向性ガイドとしての機能も果たし、それによって、駆動プロセスが、より少ない電力を消費することを可能にすることができる。
【0139】
フィルム(80)のいくつかの実施形態において、第2の光透過電極層(14)は、伝導性材料の単一の連続した電極を備え、電気泳動粒子(26)は、それらの閉端(29)に駆動されると、テーパ状の細長いチャンバ(22)のより狭い端部の中に詰められる。これは、有利なこととして、より多くの光が、非プライバシモードにおいて、フィルム(80)を通過することを可能にし、したがって、非テーパ状側壁を有する実施形態を上回って、フィルム(80)の透過率を増やす。
【0140】
図12Aおよび12Bに図示される切り替え可能な光コリメートフィルム(80)の実施形態において、細長いチャンバ(22)の閉端(29)は、複数の隆起した台形のマイクロピット(82)を含み、隣接するマイクロピット(82)は、空所(84)によって分離される。マイクロピットは、ロールツーロールプロセスにおける切り替え可能な光コリメートフィルムを製作するステップと関連して、下で説明されるエンボス加工組成物と同じ材料から形成されることができる。
【0141】
図12Aに示されるフィルム(80)を参照すると、電気泳動粒子(26)は、
図8A-8Fと関連して上で説明されるように駆動されることができる。電気泳動粒子(26)が細長いチャンバ(22)の閉端(29)に接近すると、マイクロピット(82)の表面形状および構造は、電気泳動粒子(26)の区画化、または負にバイアスされた分割電極(15)に隣接した空所(84)および細長いチャンバ(22)の壁に隣接した空所(84)の中への詰まりをさらに促進するように動作する。
【0142】
図12Bでは、隣接する分割電極(15)に反対極性の電圧を印加する代わりに、電気泳動粒子(26)は、負の(-)電圧を分割電極(15)の全てに印加することによって、細長いチャンバ(22)の閉端(29)に駆動される。本実施形態において、電気泳動粒子(26)は、マイクロピット(82)間の空所(84)および細長いチャンバ(22)の壁に隣接した空所(84)の全ての中に詰められる。
【0143】
図12Cは、第2の光透過電極層(14)が(例えば、
図9Bのように)伝導性材料の単一の連続した電極を備えているフィルム(80)の実施形態を図示し、電気泳動粒子(26)は、負(-)電圧を第2の光透過電極層(14)に印加することによって、細長いチャンバ(22)の閉端(29)に駆動される。フィルム(80)のこの構成は、第2の光透過電極層(14)と源(30)に対する結合インターフェースとの両方の設計および製造を簡略化しながら、依然として、電気泳動粒子(26)がマイクロピット(82)間空所(84)および細長いチャンバ(22)の壁に隣接した空所(84)の中に詰められるように、それらが駆動されることを可能にすることができる。マイクロピット(82)の電気インピーダンスは、それらを製作するために使用される材料の誘電特性に基づいて高くあり得る。結果として、第2の光透過電極層(14)が、伝導性材料の単一の連続した電極を備えているいくつかの実施形態において、電気泳動粒子(26)が、細長いチャンバ(22)の閉端(29)に向かって駆動されているとき、マイクロピット(82)の高い抵抗率が、第2の光透過電極層(14)に近接した側方または横方向の方向成分を有する異方性電場を生成することができる。異方性電場の結果として生じる効果は、
図12Bに対して上で説明される面内電場に実質的に類似する様式において、マイクロピット(82)間の空所(84)および細長いチャンバ(22)の壁に隣接した空所(84)の中に、電気泳動粒子(26)を詰めるように動作することができる。
【0144】
図13Aおよび13Bは、マイクロピット(82)および空所(84)を組み込む切り替え可能な光コリメートフィルムの追加の実施形態を図示する。
図13Aは、立方体または矩形のマイクロピット(82)を含むフィルム(80)を示す一方、
図13Bは、角錐形状(例えば、四面体、三角錐、長方錐)を有するマイクロピット(82)を含むフィルム(80)を示す。フィルム(80)のこれらの実施形態は、上で説明されるものと同じ利益を提供することができる。当業者は、
図12A、12B、13A、および13Bと関連して説明されるマイクロピット(82)が、例示的であり、限定的ではないことを理解するであろう。マイクロピット(82)は、本開示の範囲から逸脱することなく、いくつかの他の形状または構造に形成されることができる。
【0145】
図14Aは、断面切断平面線86によって、
図12Aにおいて識別される断面C-Cの図である。
図14Aは、電気泳動粒子(26)が、上で説明されるように駆動されるとき、負にバイアスされる分割電極(15)に隣接する空所(84)、および細長いチャンバ(22)の壁に隣接した空所(84)の中への電気泳動粒子(26)の詰まりを図示する上下図である。方向矢印は、電気泳動粒子(26)の側方移動を引き起こす面内電場の例示的作用を示すために、
図14Aに含まれる。
【0146】
図14Aに図示されるフィルム(80)では、マイクロピット(82)は、分割電極(50)に直接隣接して位置付けられ、分割電極(50)の行および列マトリクスパターンに実質的に類似するパターンにおいて配置される。
図14Bにおけるフィルム(80)の実施形態は、マイクロピット(82)の代替配置を図示する。マイクロピット(82)は、再び、行および列マトリクス内に配置されるが、本実施形態において、フィルム(80)は、マイクロピット(82)の追加の行を含む。加えて、マイクロピット(82)は、分割電極(50)に直接隣接して位置付けられないが、代わりに、列方向にオフセットされる。方向矢印は、電気泳動粒子(26)の側方移動を引き起こす面内電場の例示的作用を示すために、再び
図14B内に含まれる。
図14Bに図示されるように、マイクロピット(82)のこの配置は、負にバイアスされる分割電極と正にバイアスされる分割電極(15)との間に、より多くの数の直接的かつ妨げられない伝導経路を提供する。いくつかの実施形態において、マイクロピット(82)のこの配置の効果は、電気泳動粒子(26)が、非プライバシモードにおいて、負にバイアスされる分割電極(15)に隣接して、より高密度に一緒に詰められることを可能にし、したがって、フィルム(80)の透過率を増やす。
【0147】
図14Cは、
図8Gおよび8Hに示される実施形態に実質的に類似して形成されるフィルム(80)の実施形態の上面図を図示する。例えば、分割電極は、
図9Aまたは
図9Cに示される例に類似する細片内に配置される。
図14Cに示されるように、複数の分割電極(15)に印加される電位は、隣接する分割電極(15)間で、負(-)と正(+)との間で交互する。この構成では、電気泳動粒子(26)は、それらが、
図12Aに示されるものと同様、マイクロピット(82)間の列内にあり、好適にバイアスされる分割電極(15)に隣接する空所(84)、および細長いチャンバ(22)の壁に隣接した空所(84)の中に詰められるように駆動されることができる。代替として、分割電極(15)の全ては、同じ電位(例えば、負(-))にバイアスされ得、電気泳動粒子(26)は、それらが、
図12Bに示されるものと同様、マイクロピット(82)間の列内にあり、各分割電極(15)に隣接する空所(84)、および細長いチャンバ(22)の壁に隣接した空所(84)の中に詰められるように駆動されることができる。フィルム(80)のこの構成は、第2の光透過電極層(14)および光源(30)に対する結合インターフェースの両方の設計および製造を簡略化しながら、依然として、従来の技術と比較して、より多くの光がフィルム(80)を通過することを可能にする様式において電気泳動粒子(26)を詰めることによって、非プライバシモードにおけるフィルムの透過率を増やすことができる。
【0148】
いくつかの実施形態において、マイクロピット(82)は、各々が、列方向において、実質的に細長いチャンバ(22)の全体を横断して延びている連続した構造である。異なる形状(例えば、立方体形状、角錐形状、台形形状等)のマイクロピット構造は、下で説明されるように、マイクロカップエンボス加工プロセスまたは他の圧痕プロセス中に形成されることができる。
(光コリメート層の製作)
【0149】
光コリメートフィルムは、
図15に図示され、米国第9,081,250号に詳細に説明されるように、ロールツーロールプロセスを使用して生産されることができる。
図15に示されるように、プロセスは、いくつかのステップを伴う。第1のステップでは、エンボス加工組成物、例えば、熱可塑性物質、熱硬化性物質、またはその前駆体の層(60)が、随意に、溶媒とともに、インジウムスズ酸化物(PET-ITO)の層を含むテレフタル酸ポリエチレン(PET)のフィルム等の伝導性透明フィルム(61)上に堆積させられる。(溶媒は、存在する場合、容易に蒸発する。)プライマ層(すなわち、電極保護層)が、エンボス加工組成物の層と、PETであり得る支持層との間の接着力を増やすために使用され得る。加えて、接着力促進剤が、支持層への接着力を改良するためにプライマ層において使用され得る。第2のステップでは、層(60)は、事前にパターン化されたエンボス加工ツール(62)によって、層材料のガラス遷移温度より高い温度でエンボス加工され、その加工は、下で説明される。(プライマおよび/または接着力促進剤は、エンボス加工ツール(62)への接着力を減少させるように調節され得る。)第3のステップでは、パターン化された層(60)が、好ましくは、例えば、冷却することによって硬化させられる間またはその後、エンボス加工ツール(62)から剥離される。(上で説明されるような)細長いチャンバの特性パターンが、ここで確立される。ステップ4では、細長いチャンバ(63)が、上で説明される、双安定電気泳動流体(64)で充填される。いくつかの実施形態において、双安定電気泳動流体は、電気泳動流体(64)と不親和性であり、電気泳動流体(64)中の溶媒および顔料粒子より低い比重を有するシール組成物を含むであろう。そのような実施形態において、シール組成物は、細長いチャンバ(63)の上部まで上昇し、それによって、後続ステップにおいて硬化させられることができる。代替として(
図15に示されない)、シール組成物は、細長いチャンバ(63)が電気泳動流体(64)で充填された後、オーバーコーティングされ得る。次のステップでは、電気泳動流体(64)で充填される細長いチャンバ(63)が、例えば、UV放射(65)を用いて、または熱または湿気によって、シール組成物を硬化させることによって、シールされる。第6のステップでは、シールされた細長いチャンバが、感圧式接着剤、高温溶融接着剤、熱、湿気、または放射硬化性接着剤であり得る光学的にクリアな接着剤層(67)で事前にコーティングされ得る第2の透明伝導性フィルム(66)に積層される。[光学的にクリアな接着剤のための好ましい材料は、アクリル、スチレン-ブタジエンコポリマー、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー、ポリビニルブチラール、酢酸酪酸セルロ-ス、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリアミド、エチレン-ビニル酢酸コポリマー、エポキシド、多官能アクリレート、ビニル、ビニルエーテル、およびそのオリゴマー、ポリマー、およびコポリマーを含む。]最終ステップでは、切り替え可能な光コリメートフィルムの仕上げられたシートが、例えば、ナイフ刃(69)を用いて、またはレーザカッタを用いて、切断され得る。いくつかの実施形態において、フィルムが、裁断シートまたはロールで出荷され、例えば、ディスプレイ、窓、または他のデバイス/基板の中への組み込みのために使用されるべきとき、定型サイズに切断され得るように、別の光学的にクリアな接着剤および剥離シートを積層することを含む第8のステップが、仕上げられた切り替え可能な光コリメートフィルム上で実施され得る。
【0150】
エンボス加工ツール(62)は、フォトレジストプロセス後、エッチングまたは電気めっきのいずれかが続くことによって、調製され得る。これは、次いで、フォトレジストの層光でコーティングされ、UVにさらされる。マスクが、UVとフォトレジストの層との間に設置される。いくつかの実施形態において、非照射または照射エリアが、次いで、それらを適切な有機溶媒または水性溶液で洗浄することによって、除去される。残りのフォトレジストは、乾燥させられ、再び、薄いシード金属の層でスパッタリングされる。マスタが、次いで、電鋳のために準備ができる。電鋳のために使用される典型的材料は、ニッケルコバルトである。代替として、マスタは、スルファミン酸ニッケル電鋳または無電解ニッケル堆積によって、ニッケルから作製されることができる。エンボス加工ツールの床は、典型的に、50および5000ミクロン厚である。マスタは、「Replication techniques for mcro-optics」(SPIE Proc.Vol.3099,pp76-82(1997年))に説明されるように、電子ビーム書き込み、乾燥エッチング、化学エッチング、レーザ書き込み、またはレーザ干渉を含む、他のマイクロエンジニアリング技法を使用しても作製されることもできる。代替として、エンボス加工ツールは、プラスチック、セラミック、または金属を使用して、光機械加工によって作製されることができる。エンボス加工ツール生産のためのいくつかの方法が、下でより詳細に説明される。
【0151】
図16Aおよび16Bは、3次元マイクロ構造(円形部分)をその表面上に伴うエンボス加工ツール(111)を用いたエンボス加工プロセスを図示する。
図16Aおよび16Bに示されるように、エンボス加工ツール(111)が、少なくとも20μm厚、例えば、少なくとも40μm厚、例えば、少なくとも50μm厚、例えば、少なくとも60μm厚、例えば、少なくとも80μm厚、例えば、少なくとも100μm厚、例えば、少なくとも150μm、例えば、少なくとも200μm厚、例えば、少なくとも250μm厚のエンボス加工組成物(112)に適用される。エンボス加工組成物が硬化させられた後(例えば、放射によって)、または高温エンボス加工可能材料が熱および圧力によってエンボス加工された状態になった後、エンボス加工された材料は、エンボス加工ツールから剥離され(
図16B参照)、必要寸法の細長いチャンバを残し、例えば、細長いチャンバの高さは、コリメート層(エンボス加工組成物)の厚さ以下であり、細長いチャンバの幅は、9μm~150μmであり、チャンバの長さは、200μm~5mmである。
【0152】
従来のエンボス加工ツールを使用すると、硬化または高温エンボス加工された材料は、時として、硬化または高温エンボス加工された材料とエンボス加工ツールの表面との間の望ましくない強接着力により、ツールから完全に剥離しない。この場合、一部の硬化または高温エンボス加工された材料が、エンボス加工ツールの表面に移され、またはその上に吸着され、不均一表面をプロセスから形成される物体上に残し得る。
【0153】
この問題は、物体が透明伝導性層またはポリマー層等の支持層上に形成される場合、さららにより明白である。硬化または高温エンボス加工された材料と支持層との間の接着力が、硬化または高温エンボス加工された材料とエンボス加工ツールの表面との間の接着力より弱い場合、エンボス加工ツールからの硬化または高温エンボス加工された材料の剥離プロセスは、支持層からの物体の分離を生じさせ得る。
【0154】
ある場合、物体は、層のスタック上に形成され得、この場合、隣接する層の任意の2つの間の接着力が、硬化または高温エンボス加工された材料とエンボス加工ツールの表面との間の接着力より弱い場合、エンボス加工ツールからの硬化または高温エンボス加工された材料の剥離プロセスは、2つの層間で破壊を生じさせ得る。
【0155】
上で説明される問題は、特に、硬化させられたエンボス加工組成物または高温エンボス加工された材料が、ある支持層に良好に接着しないときに懸念される。例えば、支持層が、ポリマー層である場合、ポリマー層と硬化または高温エンボス加工されたエンボス加工組成物との間の接着力は、それらのうちの一方が親水性であり、他方が疎水性である場合、弱くなる。したがって、エンボス加工組成物および支持層の両方が、疎水性であるか、または両方が、親水性であることのいずれかが好ましい。
【0156】
エンボス加工層または支持層を形成するための好適な親水性組成物は、極性オリゴマーまたはポリマー材料を含み得る。米国特許第7,880,958号に説明されるように、そのような極性オリゴマーまたはポリマー材料は、ニトロ(-NO2)、ヒドロキシル(-OH)、カルボキシル(-COO)、アルコキシ(-OR(Rは、アルキル基である))、ハロ(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはイオド)、シアノ(-CN)、スルホン酸塩(-SO3)等の基のうちの少なくとも1つを有するオリゴマーまたはポリマーから成る群から選択され得る。極性ポリマー材料のガラス遷移温度は、好ましくは、約100℃を下回り、より好ましくは、約60℃を下回る。好適な極性オリゴマーまたはポリマー材料の具体的例は、限定ではないが、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリ(2-ヒドロキシルエチルメタクリレート)、ポリヒドロキシ官能化ポリエステルアクリレート(BDE1025、Bomar Specialities Co(Winsted,CT)等)またはアルコキシル化アクリレート、例えば、エトキシ化ノニルフェノールアクリレート(例えば、SR504、Sartomer Company)、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、SR9035、Sartomer Company)、またはエトキシ化ペンタエリトリトールテトラアクリレート(例えば、SR494、Sartomer Company)を含み得る。
【0157】
エンボス加工ツール(111)は、直接、組成物(112)をエンボス加工するために使用され得る。より典型的に、エンボス加工ツール(111)は、プレーンドラム上に搭載され、エンボス加工組成物(112)の上を覆ったエンボス加工スリーブの回転を可能にする。エンボス加工ドラムまたはスリーブ(121)は、通常、金属(例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、クロム、鉄、チタン、コバルト、等)、前述の金属のいずれかから派生される合金、またはステンレス鋼等の伝導性材料から形成される。異なる材料が、ドラムまたはスリーブを形成するために使用され得る。例えば、ドラムまたはスリーブの中心は、ステンレス鋼から形成され得、ニッケル層が、ステンレス鋼と、銅層であり得る最外層との間に挟まれる。
【0158】
方法A:エンボス加工ドラムまたはスリーブ(121)が、
図17に示されるように、伝導性コーティングまたは伝導性シード層をその外側表面上に伴う非伝導性材料から形成され得る。
図17のステップBに示されるように、感光性材料(122)をドラムまたはスリーブ(121)の外側表面上にコーティングする前、精密な研削および研磨が、ドラムまたはスリーブの外側表面の平滑性を確実にするために使用され得る。感光性材料(122)、例えば、フォトレジストが、次いで、ドラムまたはスリーブ(121)の外側表面上にコーティングされ得る。感光性材料は、ポジ型、ネガ型、またはデュアル型であり得る。感光性材料は、化学的に増幅されたフォトレジストでもあり得る。コーティングは、浸漬、噴霧、またはリングコーティングを使用して実施され得る。乾燥および/または焼成後、感光性材料は、
図17のステップCに示されるように、例えば、感光性材料を光源にさらすことによって、照射を受け得る。代替として、感光性材料(122)は、ドラムまたはスリーブ(121)の外側表面上に積層されたドライフィルムフォトレジストであることができる。ドライフィルムが、使用されるとき、それも、説明されるように、光源にさらされる。
【0159】
図17のステップCでは、好適な光源(123)、例えば、IR、UV、電子ビーム、またはレーザが、コーティングされた感光性材料、またはドラムまたはスリーブ(121)上に積層されたドライフィルムフォトレジスト(122)を照射するために使用される。光源は、連続またはパルス状光であることができる。光マスク(124)が、随意に、形成されるべき3次元マイクロ構造を画定するために使用される。マイクロ構造に応じて、照射は、段階的に、連続して、またはそれらの組み合わせで行われることができる。照射後、感光性材料(122)は、現像前、照射後処置、例えば、焼成を受け得る。感光性材料の型に応じて、照射または非照射エリアのいずれかが、現像液を使用することによって除去されるであろう。現像後、パターン化された感光性材料(125)をその外側表面上に伴うドラムまたはスリーブ(
図17のステップDに示されるように)は、堆積(例えば、電気めっき、無電解めっき、物理蒸着、化学蒸着、またはスパッタリング堆積)の前、焼成またはブランケット照射を受け得る。パターン化された感光性材料の厚さは、好ましくは、形成されるべき3次元マイクロ構造の深度または高さを上回る。
【0160】
金属または合金(例えば、ニッケル、コバルト、クロム、銅、亜鉛、または前述の金属のいずれかから派生される合金)が、ドラムまたはスリーブ上に電気めっきおよび/または無電解めっきされ得る。めっき材料(126)が、パターン化された感光性材料によって覆われていないエリアにおいて、ドラムまたはスリーブの外側表面上に堆積させられる。堆積物厚は、好ましくは、
図17のステップEに示されるように、感光性材料のそれ未満である。全体的ドラムまたはスリーブエリアの上を覆う堆積物の厚さ変動は、めっき条件、例えば、アノードとカソード(すなわち、ドラムまたはスリーブ)との間の距離、電気めっきが使用される場合、ドラムまたはスリーブの回転速度および/またはめっき溶液の循環を調節することによって、1%未満に制御されることができる。
【0161】
代替として、電気めっきを使用して、めっき材料(126)を堆積させる場合、ドラムまたはスリーブの表面全体の上を覆う堆積物の厚さ変動は、米国特許第8,114,262号(その内容は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に説明されるように、非伝導性厚さ均一化装置をカソード(すなわち、ドラムまたはスリーブ)とアノードとの間に挿入することによって制御され得る。
【0162】
めっき後、パターン化された感光性材料(125)は、剥離剤(例えば、有機溶媒または水溶液)によって剥奪されることができる。精密研磨が、随意に、ドラムまたはスリーブ全体の上を覆う堆積物(126)の容認可能厚さ変動および粗度を確実にするために採用され得る。
図17のステップFは、その上に形成される3次元パターンマイクロ構造を伴うエンボス加工ドラムまたはスリーブの断面図を示す。
【0163】
方法B:代替として、3次元マイクロ構造が、
図18に示されるように、平坦基板上に形成され得る。
図18のステップAでは、感光性材料(142)が、基板層(141)(例えば、ガラス基板)上にコーティングされる。感光性材料(142)は、上で述べられるように、ポジ型、ネガ型、またはデュアル型であり得る。感光性材料(142)は、化学的に増幅されたフォトレジストでもあり得る。コーティングは、浸漬、噴霧、スロットダイ、またはスピンコーティングを使用して実施され得る。乾燥および/または焼成後、感光性材料は、光マスク(図示せず)を通して好適な光源(図示せず)への暴露を受ける。代替として、感光性材料(142)は、基板(141)上に積層されるドライフィルムフォトレジスト(通常、市販されている)であることができる。ドライフィルムはまた、上で説明されるように、光源にさらされる。
【0164】
図18のステップBでは、照射後、感光性材料の型に応じて、感光性材料の照射または非照射エリアのいずれかが、現像液を使用することによって除去されるであろう。現像後、残りの感光性材料(142)を伴う基板層(141)は、ステップC前、焼成またはブランケット照射を受け得る。残りの感光性材料の厚さは、形成されるべき3次元マイクロ構造の深度または高さと同じであるべきである。ステップCでは、導電性シード層(143)が、感光性材料によって占有されないエリアにおいて、残りの感光性材料(142)および基板(141)の上を覆ってコーティングされる。導電性シード層は、通常、銀から形成されるが、しかしながら、金またはニッケル等の他の伝導性材料も、使用され得る。
【0165】
ステップDでは、金属または合金(144)(例えば、ニッケル、コバルト、クロム、銅、亜鉛、または前述の金属のいずれかから派生される合金)が、導電性シード層によって覆われる表面上に電気めっきおよび/または無電解めっきされ、めっきプロセスが、パターン化された感光性材料の上を覆って十分なめっきされた材料厚(h)が存在するまで実施される。
図18のステップDにおける厚さ(h)は、好ましくは、25~5,000ミクロン、より好ましくは、25~1,000ミクロンである。
【0166】
めっき後、めっきされた材料(144)は、基板層(141)から分離され、それは、はがされる。感光性材料(142)は、導電性シード層(143)とともに、除去される。感光性材料は、剥離剤(例えば、有機溶媒または水溶液)によって除去され得る。導電性シード層(143)は、酸性溶液(例えば、硫黄/硝酸混合物)または市販の化学剥離剤によって除去され、片側に3次元構造を有し、他側が平坦である金属シート(144)のみを残し得る。精密研磨が、金属シート(144)に適用され得、その後、平坦シムが、直接、エンボス加工のために使用され得るか、または、3次元マイクロ構造を外側表面上に伴うドラム上に搭載され(すなわち、その上に巻かれ)、エンボス加工ツールを形成し得る。貴金属またはその合金が、上で説明されるように、最後、エンボス加工ツールの表面全体の上を覆ってコーティングされる。上で述べられるように、金またはその合金は、その反応性の欠如に起因して、他の貴金属および合金より好ましい。
【0167】
方法C:さらなる代替方法が、
図19に実証される。方法は、
図18のそれに類似するが、簡略化される。銀等の導電性シード層の代わりに、貴金属またはその合金の層(153)が、単に、感光性材料(152)の上を覆ってコーティングされる。上で述べられるように、金またはその合金が、好ましい。その結果、ステップEでは、めっきされた材料(154)が基板(151)から分離された後、感光性材料(152)のみが、除去され、金または合金コーティング(153)は、3次元構造を片側に伴い、他側が平坦である金属シート(154)とともに残る。
【0168】
コリメート層を形成するための組成物中の成分の例は、限定ではないが、多官能ビニル等の熱可塑性または熱硬化性材料またはその前駆体を含み得、多官能ビニルは、限定ではないが、アクリレート、メタクリレート、アリール、ビニルベンゼン、ビニルエーテル、多官能エポキシド、およびそのオリゴマーまたはポリマー等含む。多官能アクリレートおよびそのオリゴマーが、多くの場合、使用される。多官能エポキシドと多官能アクリレートの組み合わせも、コリメート層の望ましい物理機械的性質を達成することにおいて有用である。ウレタンアクリレートまたはポリエステルアクリレート等の可撓性を授ける低Tg(ガラス遷移温度)結合剤または架橋結合可能オリゴマーも、エンボス加工されたプライバシ層の撓曲抵抗を改良するために添加され得る。
【0169】
コリメート層のための組成物のさらなる例は、極性オリゴマーまたはポリマー材料を含み得る。そのような極性オリゴマーまたはポリマー材料は、ニトロ(-NO2)、ヒドロキシル(-OH)、カルボキシル(-COO)、アルコキシ(-OR(Rは、アルキル基である))、ハロ(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはイオド)、シアノ(-CN)、スルホン酸塩(-SO3)等の基のうちの少なくとも1つを有するオリゴマーまたはポリマーから成る群から選択され得る。極性ポリマー材料のガラス遷移温度は、好ましくは、約100℃を下回り、より好ましくは、約60℃を下回る。好適な極性オリゴマーまたはポリマー材料の具体的例は、限定ではないが、ポリヒドロキシ官能化ポリエステルアクリレート(BDE1025、Bomar Specialities Co(Winsted,Conn.)等)またはアルコキシル化アクリレート、例えば、エトキシ化ノニルフェノールアクリレート(例えば、Sartomer CompanyからのSR504)、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、Sartomer CompanyからのSR9035)、またはエトキシ化ペンタエリトリトールテトラアクリレート(例えば、Sartomer CompanyからのSR494)を含み得る。
【0170】
代替として、コリメート層組成物は、(a)少なくとも1つの二官能UV硬化性成分と、(b)少なくとも1つの光開始剤と、(c)少なくとも1つの金型剥離剤とを含み得る。好適な二官能成分は、約200より高い分子量を有し得る。二官能アクリレートが、好ましく、ウレタンまたはエトキシ化バックボーンを有する二官能アクリレートが、特に、好ましい。より具体的に、好適な二官能成分は、限定ではないが、ジエチレングリコールジアクリレート(例えば、SartomerからのSR230)、トリエチレングリコールジアクリレート(例えば、SartomerからのSR272)、テトラエチレングリコールジアクリレート(例えば、SartomerからのSR268)、ポリエチレングリコールジアクリレート(例えば、SartomerからのSR295、SR344、またはSR610)、ポリエチレングリコールジメタクリレート(例えば、SartomerからのSR603、SR644、SR252、またはSR740)、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(例えば、SartomerからのCD9038、SR349、SR601、またはSR602)、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(例えば、SartomerからのCD540、CD542、SR101、SR150、SR348、SR480、またはSR541)、およびウレタンジアクリレート(例えば、SartomerからのCN959、CN961、CN964、CN965、CN980、またはCN981;CytecからのEbecryl 230、Ebecry l270、Ebecry l8402、Ebecry l8804、Ebecry l8807、またはEbecry l8808)を含み得る。好適な光開始剤は、限定ではないが、ビス-アシル-ホスフィンオキシド、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル)-1-ブタノン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2-イソプロピル-9H-キサンタン-9-オン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィドおよび1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オンまたは2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オンを含み得る。好適な金型剥離剤は、限定ではないが、オルガノ修飾シリコーンコポリマー、例えば、シリコーンアクリレート(例えば、CytecからのEbercryl 1360またはEbercyl 350)、シリコーンポリエーテル(例えば、MormentiveからのSilwet 7200、Silwet 7210、Silwet 7220、Silwet 7230、Silwet 7500、Silwet 7600、またはSilwet 7607)を含み得る。組成物はさらに、随意に、以下の成分、すなわち、共開始剤、単官能UV硬化性成分、多官能UV硬化性成分、または安定剤のうちの1つ以上のものを含み得る。
(光反射性表面の製作)
【0171】
いくつかの実施形態において、光反射性表面は、単に、金属(例えば、Al、Au、Ag、Cr、またはその合金)を細長いチャンバ(22)の開口部の上に堆積させることによって生成される。代替として、金属フィルムは、光コリメートフィルム(10)全体の上に堆積させられることができ、細長いチャンバ(22)間の介在材料の上方のエリアは、例えば、レーザ切断を用いて、切り離される。高度な実施形態において、
図20に示されるように、光反射性表面(27)は、例えば、基板(16)上に印刷後、ドライフィルムレジスト積層またはレジストコーティングが続くことによって、基板(16)上に堆積させられることができる。基板(16)の反対側は、次いで、フォトレジストでコーティングされ、それは、金属反射体側を通した光にさらされる。後続のレジスト現像は、細長いチャンバ(22)の底部と反対側の基板(16)の底部上の光反射性表面(27)を伴う所望の細長いチャンバ(22)パターンを与える。
【0172】
別の実施形態は、例えば、
図15に関して説明されるように、エンボス加工プロセス中、第2のシム(200)からスタンプ転写によって、光反射性表面を細長いチャンバ(20)の底部上に堆積させることを含む。
図21に示されるように、シム先端は、光反射性材料でコーティングされ、それは、シム(200)が細長いチャンバ(22)に進入する前、硬化性組成物であり得る。光反射性材料は、細長いチャンバ(22)の底部への光反射性材料のより良好な接着力により、第2のシム(200)から細長いチャンバ(22)の底部に移されるであろう。細長いチャンバ(22)の底部が光反射性材料でコーティングされ、随意に、硬化させられると、細長いチャンバ(22)は、双安定電気泳動媒体(24)で充填される。
【0173】
別の代替方法は、完成された光コリメートフィルム(10)を原位置光リソグラフィのためのマスクとして使用することである。レジスト上の光反射性フィルムは、最初に、基板(16)上に積層された後、他の側からの光照射が続く。細長いチャンバ(20)は、吸収性電気泳動粒子(26)で充填されるので、電気泳動媒体の陰影は、細長いチャンバ(20)のサイズのマスクとなる。照射後、介在材料の上方の基板上の光反射性材料は、容易に除去されることができる。方法は、光反射性表面(27)を第1の基板(16)または第2の基板(18)のいずれか上に生成するために使用されることができる。
【0174】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)、E Ink Corporation、E Ink California,LLC、および関連企業に譲渡されたまたはそれらの名義の多数の特許および出願は、カプセル化されたマイクロセル電気泳動および他の電気光学媒体に使用される種々の技術を説明している。カプセル化された電気泳動媒体は、多数の小型カプセルを含み、それらの各々は、それ自体、電気泳動により移動可能な粒子を流体媒体中に含む内相と、内相を包囲するカプセル壁とを含む。典型的に、カプセルは、それら自体、ポリマー接着剤内に保持され、2つの電極間に位置付けられるコヒーレント層を形成する。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、荷電粒子および流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されないが、代わりに、担体媒体、典型的に、ポリマーフィルム内に形成される複数の空洞内に保持される。
【0175】
これらの特許および出願に説明される技術は、以下を含む。(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加物(例えば、米国特許第7,002,728号および第7,679,814号および米国特許出願公開第2016/0170106号参照)、(b)カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号および米国特許出願公開第2011/0286081号参照)、(c)マイクロセル構造、壁材料、およびマイクロセルを形成する方法(例えば、米国特許第6,672,921号、第6,751,007号、第6,753,067号、第6,781,745号、第6,788,452号、第6,795,229号、第6,806,995号、第6,829,078号、第6,833,177号、第6,850,355号、第6,865,012号、第6,870,662号、第6,885,495号、第6,906,779号、第6,930,818号、第6,933,098号、第6,947,202号、第6,987,605号、第7,046,228号、第7,072,095号、第7,079,303号、第7,141,279号、第7,156,945号、第7,205,355号、第7,233,429号、第7,261,920号、第7,271,947号、第7,304,780号、第7,307,778号、第7,327,346号、第7,347,957号、第7,470,386号、第7,504,050号、第7,580,180号、第7,715,087号、第7,767,126号、第7,880,958号、第8,002,948号、第8,154,790号、第8,169,690号、第8,441,432号、第8,582,197号、第8,891,156号、第9,279,906号、第9,291,872号、および9,388,307号、および米国特許出願公開第2003/0175480号、第2003/0175481号、第2003/0179437号、第2003/0203101号、第2013/0321744号、第2014/0050814号、第2015/0085345号、第2016/0059442号、第2016/0004136号、および第2016/0059617号参照)、(d)マイクロセルを充填およびシールする方法(例えば、米国特許第6,545,797号、第6,751,008号、第6,788,449号、第6,831,770号、第6,833,943号、第6,859,302号、第6,867,898号、第6,914,714号、第6,972,893号、第7,005,468号、第7,046,228号、第7,052,571号、第7,144,942号、第7,166,182号、第7,374,634号、第7,385,751号、第7,408,696号、第7,522,332号、第7,557,981号、第7,560,004号、第7,564,614号、第7,572,491号、第7,616,374号、第7,684,108号、第7,715,087号、第7,715,088号、第8,179,589号、第8,361,356号、第8,520,292号、第8,625,188号、第8,830,561号、第9,081,250号、および第9,346,987号、および米国特許出願公開第2002/0188053号、第2004/0120024号、第2004/0219306号、第2006/0132897号、第2006/0164715号、第2006/0238489号、第2007/0035497号、第2007/0036919号、第2007/0243332号、第2015/0098124号、および第2016/0109780号参照)、(e)電気光学材料を含むフィルムおよびサブアセンブリ(例えば、米国特許第6,825,829号、第6,982,178号、第7,112,114号、第7,158,282号、第7,236,292号、第7,443,571号、第7,513,813号、第7,561,324号、第7,636,191号、第7,649,666号、第7,728,811号、第7,729,039号、第7,791,782号、第7,839,564号、第7,843,621号、第7,843,624号、第8,034,209号、第8,068,272号、第8,077,381号、第8,177,942号、第8,390,301号、第8,482,835号、第8,786,929号、第8,830,553号、第8,854,721号、第9,075,280号、および第9,238,340号、および米国特許出願公開第2007/0237962号、第2009/0109519号、第2009/0168067号、第2011/0164301号、第2014/0115884号、および第2014/0340738号参照)、(f)バックプレーン、接着剤層、および他の補助層、およびディスプレイにおいて使用される方法(例えば、米国特許第7,116,318号、第7,535,624号、および第9,310,661号、および米国特許出願公開第2016/0103380号および第2016/0187759号参照)、(g)ディスプレイを駆動する方法(例えば、米国特許第5,930,026号、第6,445,489号、第6,504,524号、第6,512,354号、第6,531,997号、第6,753,999号、第6,825,970号、第6,900,851号、第6,995,550号、第7,012,600号、第7,023,420号、第7,034,783号、第7,061,166号、第7,061,662号、第7,116,466号、第7,119,772号、第7,177,066号、第7,193,625号、第7,202,847号、第7,242,514号、第7,259,744号、第7,304,787号、第7,312,794号、第7,327,511号、第7,408,699号、第7,453,445号、第7,492,339号、第7,528,822号、第7,545,358号、第7,583,251号、第7,602,374号、第7,612,760号、第7,679,599号、第7,679,813号、第7,683,606号、第7,688,297号、第7,729,039号、第7,733,311号、第7,733,335号、第7,787,169号、第7,859,742号、第7,952,557号、第7,956,841号、第7,982,479号、第7,999,787号、第8,077,141号、第8,125,501号、第8,139,050号、第8,174,490号、第8,243,013号、第8,274,472号、第8,289,250号、第8,300,006号、第8,305,341号、第8,314,784号、第8,373,649号、第8,384,658号、第8,456,414号、第8,462,102号、第8,514,168号、第8,537,105号、第8,558,783号、第8,558,785号、第8,558,786号、第8,558,855号、第8,576,164号、第8,576,259号、第8,593,396号、第8,605,032号、第8,643,595号、第8,665,206号、第8,681,191号、第8,730,153号、第8,810,525号、第8,928,562号、第8,928,641号、第8,976,444号、第9,013,394号、第9,019,197号、第9,019,198号、第9,019,318号、第9,082,352号、第9,171,508号、第9,218,773号、第9,224,338号、第9,224,342号、第9,224,344号、第9,230,492号、第9,251,736号、第9,262,973号、第9,269,311号、第9,299,294号、第9,373,289号、第9,390,066号、第9,390,661号、および第9,412,314号、および米国特許出願公開第2003/0102858号、第2004/0246562号、第2005/0253777号、第2007/0091418号、第2007/0103427号、第2007/0176912号、第2008/0024429号、第2008/0024482号、第2008/0136774号、第2008/0291129号、第2008/0303780号、第2009/0174651号、第2009/0195568号、第2009/0322721号、第2010/0194733号、第2010/0194789号、第2010/0220121号、第2010/0265561号、第2010/0283804号、第2011/0063314号、第2011/0175875号、第2011/0193840号、第2011/0193841号、第2011/0199671号、第2011/0221740号、第2012/0001957号、第2012/0098740号、第2013/0063333号、第2013/0194250号、第2013/0249782号、第2013/0321278号、第2014/0009817号、第2014/0085355号、第2014/0204012号、第2014/0218277号、第2014/0240210号、第2014/0240373号、第2014/0253425号、第2014/0292830号、第2014/0293398号、第2014/0333685号、第2014/0340734号、第2015/0070744号、第2015/0097877号、第2015/0109283号、第2015/0213749号、第2015/0213765号、第2015/0221257号、第2015/0262255号、第2015/0262551号、第2016/0071465号、第2016/0078820号、第2016/0093253号、第2016/0140910号、および第2016/0180777号参照)。
【0176】
3層電気光学ディスプレイの製造は、通常、少なくとも1つの積層動作を伴う。例えば、前述のMITおよびE INK特許および出願のうちのいくつかでは、カプセル化された電気泳動ディスプレイを製造するためのプロセスが、説明され、結合剤中にカプセルを備えているカプセル化された電気泳動媒体が、酸化インジウムスズ(ITO)を備えている可撓性基板上にコーティングされるか、または、類似伝導性コーティング(最終ディスプレイの1つの電極としての機能を果たす)が、プラスチックフィルム上にコーディングされ、カプセル/結合剤コーティングは、基板にしっかりと接着された電気泳動媒体のコヒーレント層を形成するように乾燥させられる。別個に、ピクセル電極を駆動回路網に接続するためのピクセル電極のアレイおよび導体の適切な配置を含むバックプレーンが、調製される。最終ディスプレイを形成するために、カプセル/結合剤層をその上に有する基板が、積層接着剤を使用して、バックプレーンに積層される。一実施形態において、バックプレーン自体が、可撓性であり、ピクセル電極および導体をプラスチックフィルムまたは他の可撓性基板上に印刷することによって調製される。他の実施形態において、両電極が、可撓性であり、それによって、構築された電気泳動ディスプレイが可撓性であることを可能にする。このプロセスによるディスプレイの大量生産のための明白な積層技法は、積層接着剤を使用したロール積層である。類似製造技法も、他のタイプの電気光学ディスプレイとともに使用されることができる。例えば、マイクロセル電気泳動媒体が、カプセル化された電気泳動媒体と実質的に同じ様式において、バックプレーンまたは可撓性電極に積層され得る。
【0177】
米国特許第6,982,178号は、大量生産に非常に適した固体電気光学ディスプレイ(カプセル化された電気泳動ディスプレイを含む)を組み立てる方法を説明している。本質的に、この特許は、光透過性導電性層、導電性層と電気接触する固体電気光学媒体の層、接着剤層、および剥離シートを順に備えているいわゆる「フロントプレーンラミネート」(「FPL」)を説明している。典型的に、光透過性導電性層は、光透過基板上に支えられ、好ましくは、基板が永久的な変形を伴わずに、(例えば)直径10インチ(254mm)のドラムの周囲に手で巻き付けられ得るという意味で可撓性である。この出願および本明細書において、用語「光透過性」は、そのように指定される層が、その層を通して見ている観察者が、電気光学媒体の表示状態の変化を観察することを可能にするために十分な光を透過させ、通常、導電性層および隣接する基板(存在する場合)を通して見られることを意味するように使用され、電気光学媒体ディスプレイが非可視波長における反射率において変化する場合、用語「光透過性」は、当然ながら、関連する非可視波長の透過に関して解釈されるべきである。基板は、典型的に、ポリマーフィルムであって、通常、約1~約25ミル(25~634μm)、好ましくは、約2~約10ミル(51~254μm)の範囲内の厚さを有するであろう。導電性層は、好都合に、例えば、アルミニウムまたはITOの薄金属または金属酸化物層であるか、または伝導性ポリマーであり得る。アルミニウムまたはITOでコーティングされたポリ(エチレンテレフタレート)(PET)フィルムは、例えば、E.I.du Pont de Nemours & Company(Wilmington DE)からの「アルミ被覆Mylar」(「Mylar」は、登録商標である)として商業上利用可能であり、そのような商業上の材料は、フロントプレーンラミネートにおける良好な結果とともに使用され得る。
【0178】
そのようなフロントプレーンラミネートを使用した電気泳動ディスプレイの組み立ては、剥離シートをフロントプレーンラミネートから除去し、接着剤層をバックプレーンに接着させるために効果的な条件下で接着剤層をバックプレーンに接触させ、それによって、接着剤層、電気泳動媒体の層、および導電性層をバックプレーンに固定することによって達成され得る。このプロセスは、フロントプレーンラミネートが、典型的にはロールツーロールコーティング技術を使用して大量生産され、次に、特定のバックプレーンとの使用に必要とされる任意のサイズの片に切断され得るので、大量生産に非常に適している。
【0179】
用語「インパルス」は、本明細書では、時間に対する電圧の積分のその従来の意味において使用される。しかしながら、一部の双安定電気泳動媒体は、電荷変換器としての機能を果たし、そのような媒体では、インパルスの代替定義、すなわち、経時的電流の積分(印加される総電荷に等しい)が、使用され得る。インパルスの適切な定義は、媒体が電圧-時間インパルス変換器または電荷インパルス変換器としての機能を果たすかどうかに応じて、使用されるべきである。
【0180】
電気泳動ディスプレイを駆動することにおけるさらなる複雑性は、いわゆる「DC平衡」に関する必要性である。米国特許第6,531,997号および第6,504,524号は、ディスプレイを駆動するために使用される方法が、電気泳動媒体を横断してゼロまたはほぼゼロの正味時間平均印加電場をもたらさない場合、問題に遭遇し、ディスプレイの作業寿命が減らされ得ることを議論している。電気泳動媒体を横断してゼロ正味時間平均印加電場をもたらす、駆動方法は、便宜的に、「直流平衡」または「DC平衡」と称される。
【0181】
すでに述べられたように、カプセル化された電気泳動媒体は、典型的に、ポリマー結合剤内に配置される電気泳動カプセルを備え、ポリマー結合剤は、別々のカプセルをコヒーレント層の中に形成する役割を果たす。ポリマー分散型電気泳動媒体内の連続相およびマイクロセル媒体のセル壁は、類似機能を果たす。E INK研究者によって、電気泳動媒体内の結合剤として使用される特定の材料が、媒体の電気光学特性に影響を及ぼし得ることが見出されている。中でも、結合剤の選択肢によって影響される電気泳動媒体の電気光学特性は、いわゆる「滞留時間依存性」である。米国特許第7,119,772号(特に、
図34および関連説明参照)に議論されるように、ある場合、双安定電気泳動ディスプレイの2つの特定の光学状態間の遷移のために必要なインパルスは、その初期光学状態におけるピクセルの滞留時間に伴って変動し、この現象は、「滞留時間依存性」または「DTD」と称される。明らかに、DTDが、ディスプレイを駆動する困難度に影響を及ぼし、生じさせられる画像の品質に影響を及ぼし得るので、DTDを可能な限り小さく保つことが望ましい。例えば、DTDは、均一灰色の面積を形成すると仮定されるピクセルをグレーレベルにおいて互いに若干異ならせ得、ヒト眼は、そのような変動に非常に敏感である。結合剤の選択肢がDTDに影響を及ぼすことが、公知であるが、任意の具体的電気泳動媒体のための適切な結合剤を選定することは、本質的に、DTDと結合剤の化学性質との間の関係が理解されておらず、これまで、試行錯誤に基づいている。
【0182】
米国特許出願公開第2005/0107564号は、(a)(i)a,a,a,a-テトラメチルキシレンジイソシアネートを含む少なくとも1つのポリイソシアネート[組織名1.3-ビス(1-イソシアネート-1-メチルエチル)ベンゼン;この材料は、以降、「TMXDI」と呼ばれ得る]、(ii)ポリプロピレングリコールを含む少なくとも1つの二官能ポリオール、および(iii)酸官能基と、ヒドロキシ、第1級アミノ、第2級アミノ、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも2つのイソシアネート反応基とを含むイソシアネート反応化合物の反応生成物を含むイソシアネート終端プレポリマー、(b)第3級アミノ基を含む中和剤、(c)単官能鎖停止剤、(d)有機ジアミンを含む鎖延長剤、および(e)水の反応生成物を含むポリウレタンポリマーを含む水性ポリウレタン分散剤を説明する。以降、「TMXDI/PPO」分散剤と呼ばれ得る本ポリウレタン分散剤は、電気泳動ディスプレイにおける積層接着剤として有用であることが見出されている。
【0183】
前述から、本発明が、切り替え可能な光コリメートフィルムと、切り替え可能な光コリメートフィルムを組み込むデバイスとを提供することができることが分かるであろう。特に、本発明は、双安定であり、追加のエネルギー入力を伴わずに広および狭視認条件を維持することが可能である光コリメートフィルムを提供する。
【0184】
多数の変更および修正が、本発明の範囲から逸脱することなく、上で説明される本発明の具体的実施形態に行われることができることが、当業者に明白であろう。故に、前述の説明の全体は、限定的意味ではなく、例証的意味で解釈されるべきである。
【国際調査報告】