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特表2024-536763高解像度連続回転工業用放射線撮影イメージングプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】高解像度連続回転工業用放射線撮影イメージングプロセス
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20180101AFI20241001BHJP
   G01N 23/046 20180101ALI20241001BHJP
【FI】
G01N23/04
G01N23/046
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516699
(86)(22)【出願日】2022-08-30
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 US2022075641
(87)【国際公開番号】W WO2023044241
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】63/244,329
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/897,396
(32)【優先日】2022-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
3.FRAM
4.コンパクトフラッシュ
(71)【出願人】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】カマロン ミッチェル レマー
(72)【発明者】
【氏名】ブレット アーロン ミュールハウザー
(72)【発明者】
【氏名】ショーン ピーター コフリン
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001BA21
2G001DA09
2G001FA06
2G001HA07
2G001HA13
2G001HA14
2G001JA08
(57)【要約】
本明細書において、高解像度連続回転放射線撮影イメージングプロセスの或る特定のパラメーター値を制御、又は推奨することができる工業用放射線撮影システムの例が記載される。特定のパラメーター値を制御、又は推奨することによって、高解像度連続回転放射線撮影イメージングプロセスの間に発生する或る特定の同期問題を緩和することを可能とすることができる。同期問題が緩和されると、ユーザーは、同期問題に起因して発生することがある細部の喪失及び/又はボケを伴うことなく高解像度連続回転放射線撮影イメージングプロセスを高速で実行することができる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械可読命令を含む非一時的コンピューター可読媒体であって、前記機械可読命令は、プロセッサによって実行されると、
物体が回転されている間に放射線検出器の複数の異なる検出器位置において前記物体の放射線撮影画像を取得する連続高解像度画像取得プロセスの選択を、ユーザーインターフェースの入力デバイスを介して受信することと、
前記選択に応答して、最大開始角度変化を特定することであって、
前記最大開始角度変化は、前記高解像度画像取得プロセスの間に、第1の初期画像が取得されるときの前記物体の配向と、第2の初期画像が取得されるときの前記物体の前記配向との間の最大許容可能差を含み、
前記第1の初期画像は、前記放射線検出器が前記高解像度画像取得プロセスの間に第1の検出器位置にあるときに取得され、前記第2の初期画像は、前記放射線検出器が前記高解像度画像取得プロセスの間に第2の検出器位置にあるときに取得されることと、
前記最大開始角度変化に基づいて、第1のパラメーターの第1のパラメーター値を第1の値になるように、又は第2のパラメーターの第2のパラメーター値を第2の値になるように設定、又は推奨することと、
前記第1のパラメーター値及び前記第2のパラメーター値に基づいて前記高解像度画像取得プロセスを実行して前記物体の画像を生成することと、
を前記プロセッサに行わせる、非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項2】
前記第1のパラメーターは、画像投影の数を含み、前記第2のパラメーターは、1つの画像投影について平均化された画像フレームの数を含む、請求項1に記載の非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項3】
前記処理回路部によって実行されると、
前記放射線検出器が前記第1の検出器位置にある間に、回転可能固定具が第1の回転運動を通じて前記物体を回転させている間に前記放射線検出器によって検出される放射線に基づいて第1の放射線撮影画像セットを生成することと、
前記放射線検出器が前記第2の検出器位置にある間に、前記回転可能固定具が第2の回転運動を通じて前記物体を回転させている間に前記放射線検出器によって検出される放射線に基づいて第2の放射線撮影画像セットを生成することと、
前記第1の放射線撮影画像セット内の放射線撮影画像と、前記第2の放射線撮影画像セット内の対応する放射線写真とに基づいてより高い解像度の第3の放射線撮影画像セットを生成することと、
を前記処理回路部に行わせる前記高解像度画像取得プロセスの機械可読命令を更に含み、
前記より高い解像度の放射線撮影画像は、前記第1の放射線写真セット内の前記放射線撮影画像及び前記第2の放射線写真セット内の前記対応する放射線撮影画像よりも高い解像度を有し、
前記第1の放射線撮影画像セット、前記第2の放射線撮影画像セット、又は前記第3の放射線撮影画像セットのサイズは、前記第1のパラメーターの前記第1のパラメーター値又は前記第2のパラメーターの前記第2のパラメーター値に依存する、請求項2に記載の非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項4】
前記処理回路部によって実行されると、前記より高い解像度の第3の放射線撮影画像セットを組み合わせて前記物体の前記画像にすることを前記処理回路部に行わせる前記高解像度画像取得プロセスの機械可読命令を更に含み、
前記物体の前記画像は、2次元(2D)画像を表すデータ、3次元(3D)ボリュームを表すデータ、又は前記3Dボリュームの2Dスライスを表すデータを含む、請求項3に記載の非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項5】
前記第1の放射線撮影画像セット及び前記第2の放射線撮影画像セットの前記サイズは、前記第1のパラメーター値に前記第2のパラメーター値を乗算したものに等しく、前記第3のセットの前記サイズは、前記第1のパラメーター値に等しい、請求項3に記載の非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項6】
前記最大開始角度変化に基づいて、前記第1のパラメーターの前記第1のパラメーター値を前記第1の値になるように、又は前記第2のパラメーターの前記第2のパラメーター値を前記第2の値になるように設定、又は推奨することは、
前記最大開始角度変化を超える開始角度変化をもたらす可能性がある前記第1のパラメーターの1つ以上の第1の値又は前記第2のパラメーターの1つ以上の第2の値を求めることであって、
前記開始角度変化は、前記第1の放射線撮影画像セットの前記第1の初期画像が、前記物体の前記第1の回転運動中に前記放射線検出器によって取得されるときの前記物体の前記配向と、前記第2の放射線撮影画像セットの第2の初期画像が前記物体の前記第2の回転運動中に前記放射線検出器によって取得されるときの前記物体の前記配向との差を含むことと、
前記第1のパラメーターの前記1つ以上の第1の値又は前記第2のパラメーターの前記1つ以上の第2の値の入力若しくは選択を禁止すること、又は非推奨にすることと、
を含む、請求項3に記載の非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項7】
前記最大開始角度変化に基づいて、前記第1のパラメーターの前記第1のパラメーター値を前記第1の値になるように、又は前記第2のパラメーターの前記第2の値を前記第2の値になるように設定、又は推奨することは、前記開始角度変化が前記最大開始角度変化を超えないように、前記第1のパラメーター値又は前記第2のパラメーター値を自動的に設定することを更に含む、請求項6に記載の非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項8】
前記第1の検出器位置は、前記放射線検出器のピクセルサイズよりも小さなサイズ分だけ前記第2の検出器位置からオフセットされる、請求項3に記載の非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項9】
前記処理回路部によって実行されると、前記画像をディスプレイスクリーン上に表示することを前記処理回路部に行わせる機械可読命令を更に含む、請求項1に記載の非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項10】
前記最大開始角度変化は、前記工業用放射線撮影イメージングシステムの幾何倍率又は前記工業用放射線撮影イメージングシステムの特定の用途に必要な画質に基づいて特定され、前記幾何倍率は、前記放射線エミッターから前記放射線検出器までの第1の距離を、前記放射線エミッターから前記物体までの第2の距離によって除算したものを含む、請求項1に記載の非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項11】
工業用放射線撮影イメージングシステムであって、該システムは、
放射線を放出するように構成される放射線エミッターと、
前記放射線エミッターによって放出される放射線を検出するように構成される放射線検出器と、
物体を保持し、回転させるように構成される回転可能固定具であって、前記放射線エミッターと前記放射線検出器との間に位置決めされる、回転可能固定具と、
前記放射線検出器を複数の異なる検出器位置に移動させるように構成される検出器ポジショナーと、
前記物体を通過した後に前記放射線検出器によって検出される放射線に基づいて前記物体の画像を生成するように構成される画像取得システムと、
を備え、
前記画像取得システムは、
入力デバイスを備えるユーザーインターフェースと、
処理回路部と、
機械可読命令を含むメモリ回路部と、
を備え、
前記機械可読命令は、前記処理回路部によって実行されると、
前記物体が回転されている間に前記複数の異なる検出器位置において画像を取得する連続高解像度画像取得プロセスの選択を、前記入力デバイスを介して受信することと、
前記選択に応答して、最大開始角度変化を特定することであって、
前記最大開始角度変化は、前記高解像度画像取得プロセスの間に、第1の初期画像が取得されるときの前記物体の配向と、第2の初期画像が取得されるときの前記物体の前記配向との間の最大許容可能差を含み、
前記第1の初期画像は、前記放射線検出器が前記高解像度画像取得プロセスの間に第1の検出器位置にあるときに取得され、前記第2の初期画像は、前記放射線検出器が前記高解像度画像取得プロセスの間に第2の検出器位置にあるときに取得されることと、
前記最大開始角度変化に基づいて、第1のパラメーターの第1のパラメーター値を第1の値になるように、又は第2のパラメーターの第2のパラメーター値を第2の値になるように設定、又は推奨することと、
前記第1の値及び前記第2の値に基づいて前記高解像度画像取得プロセスを実行して前記物体の前記画像を生成することと、
を前記処理回路部に行わせる、工業用放射線撮影イメージングシステム。
【請求項12】
前記第1のパラメーターは、画像投影の数を含み、前記第2のパラメーターは、1つの画像投影について平均化された画像フレームの数を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記メモリ回路部は、前記処理回路部によって実行されると、
前記放射線検出器が前記第1の検出器位置にある間に、前記回転可能固定具が第1の回転運動を通じて前記物体を回転させている間に前記放射線検出器によって検出される放射線に基づいて第1の放射線撮影画像セットを生成することと、
前記放射線検出器が前記第2の検出器位置にある間に、前記回転可能固定具が第2の回転運動を通じて前記物体を回転させている間に前記放射線検出器によって検出される放射線に基づいて第2の放射線撮影画像セットを生成することと、
前記第1の放射線撮影画像セット内の放射線撮影画像と、前記第2の放射線撮影画像セット内の対応する放射線写真とに基づいてより高い解像度の第3の放射線撮影画像セットを生成することと、
を前記処理回路部に行わせる前記高解像度画像取得プロセスの機械可読命令を更に含み、
前記より高い解像度の放射線撮影画像は、前記第1の放射線写真セット内の前記放射線撮影画像及び前記第2の放射線写真セット内の前記対応する放射線撮影画像よりも高い解像度を有し、
前記第1の放射線撮影画像セット、前記第2の放射線撮影画像セット、又は前記第3の放射線撮影画像セットのサイズは、前記第1のパラメーターの前記第1の値又は前記第2のパラメーターの前記第2の値に基づいている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記メモリ回路部は、前記処理回路部によって実行されると、前記より高い解像度の第3の放射線撮影画像セットを組み合わせて前記物体の前記画像にすることを前記処理回路部に更に行わせる前記高解像度画像取得プロセスの機械可読命令を含み、
前記物体の前記画像は、2次元(2D)画像を表すデータ、3次元(3D)ボリュームを表すデータ、又は前記3Dボリュームの2Dスライスを表すデータを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の放射線撮影画像セット及び前記第2の放射線撮影画像セットの前記サイズは、前記第1のパラメーター値に前記第2のパラメーター値を乗算したものに等しく、前記第3のセットの前記サイズは、前記第1のパラメーター値に等しい、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記最大開始角度変化に基づいて、前記第1のパラメーターの前記第1のパラメーター値を前記第1の値になるように、又は前記第2のパラメーターの前記第2のパラメーター値を前記第2の値になるように設定、又は推奨することは、
前記最大開始角度変化を超える開始角度変化をもたらす可能性がある前記第1のパラメーターの1つ以上の第1の値又は前記第2のパラメーターの1つ以上の第2の値を求めることであって、
前記開始角度変化は、前記第1の放射線撮影画像セットの前記第1の初期画像が、前記物体の前記第1の回転運動中に前記放射線検出器によって取得されるときの前記物体の前記配向と、前記第2の放射線撮影画像セットの第2の初期画像が前記物体の前記第2の回転運動中に前記放射線検出器によって取得されるときの前記物体の前記配向との差を含むことと、
前記第1のパラメーターの前記1つ以上の第1の値又は前記第2のパラメーターの前記1つ以上の第2の値の入力若しくは選択を禁止すること、又は非推奨にすることと、
を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記最大開始角度変化に基づいて、前記第1のパラメーターの前記第1のパラメーター値を前記第1の値になるように、又は前記第2のパラメーターの前記第2のパラメーター値を前記第2の値になるように設定、又は推奨することは、前記開始角度変化が前記最大開始角度変化を超えないように、前記第1のパラメーター値又は前記第2のパラメーター値を自動的に設定することを更に含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1の検出器位置は、前記放射線検出器のピクセルサイズよりも小さなサイズ分だけ前記第2の検出器位置からオフセットされる、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
前記メモリ回路部は、前記プロセッサによって実行されると、前記物体の前記画像を前記ユーザーインターフェースのディスプレイスクリーン上に表示する機械可読命令を更に含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
前記最大開始角度変化は、前記工業用放射線撮影イメージングシステムの幾何倍率又は前記工業用放射線撮影イメージングシステムの特定の用途に必要な画質に基づいて特定され、前記幾何倍率は、前記放射線エミッターから前記放射線検出器までの第1の距離を、前記放射線エミッターから前記物体までの第2の距離によって除算したものを含む、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、「HIGH RESOLUTION CONTINUOUS ROTATION INDUSTRIAL RADIOGRAPHY IMAGING PROCESSES」と題される2021年9月15日付けで出願された米国仮特許出願第63/244,329号による優先権を主張するものである。この米国仮特許出願の全内容は、引用することによって本明細書の一部をなす。
【0002】
本開示は、包括的には、工業用放射線撮影イメージングプロセスに関し、より詳細には、高解像度連続回転工業用放射線撮影イメージングプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
工業用放射線撮影イメージングシステムは、工業用途において使用される部品の2次元(2D)放射線撮影画像を取得するのに使用される。そのような工業用途は、例えば、航空宇宙用途、自動車用途、電子用途、医療用途、医薬品用途、軍事用途、及び/又は防衛用途を含むことができる。2D放射線撮影画像は、通常は人間の目で視認可能な場合もあるし視認可能でない場合もある亀裂、傷、及び/又は欠陥の有無について部品(複数の場合もある)を点検するために精査することができる。
【0004】
このようなシステムを、図面を参照して本出願の残りの部分で述べられる本開示と比較することによって、従来の手法及び伝統的な手法の限界及び不利な点が当業者に明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、実質的に複数の図面のうちの少なくとも1つに例示され及び/又はその図面に関連して説明されるとともに請求項でより完全に記述される、高解像度連続回転工業用放射線撮影イメージングプロセスに関する。
【0006】
本開示のこれらの及び他の利点、態様、及び新規な特徴に加えて、本開示の図示した例の詳細な内容は、以下の説明及び図面からより十分に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の態様による、工業用X線放射線撮影機の一例を示す図である。
【0008】
図2】本開示の態様による、図1の工業用X線放射線撮影機を有する一例示のX線放射線撮影システムを示すブロック図である。
【0009】
図3】本開示の態様による、図2のX線放射線撮影システムの高解像度イメージングプロセスの例示の動作を示すフローチャートである。
【0010】
図4】本開示の態様による、異なる(例えば、サブピクセルシフトされた)X線検出器位置においてキャプチャされた異なる画像を組み合わせて、単一のより高い解像度の画像を生成する方法を示す図である。
【0011】
図5a-5b】本開示の態様による、物体の回転の開始と物体の画像キャプチャの開始との間の同期の欠如に起因して導入される角度変化の概念を示す図である。
【0012】
図6】本開示の態様による、図3の高解像度イメージングプロセスの様々なパラメーターを示すディスプレイスクリーンの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図は必ずしも縮尺通りではない。適切な場合、図において類似又は同一の構成要素を参照するために同一又は類似の参照番号が使用される。例えば、文字を利用する参照番号(例えば、グリッド402a、グリッド402b)は、文字が付いていない同じ参照番号(例えば、グリッド402)の事例を指す。
【0014】
本開示のいくつかの例は、高解像度連続回転放射線撮影イメージングプロセスの或る特定のパラメーター値を制御、又は推奨する工業用放射線撮影システムに関する。特定のパラメーター値を制御、又は推奨することによって、高解像度連続回転放射線撮影イメージングプロセスの間に発生する或る特定の同期問題を緩和することを可能とすることができる。同期問題が緩和されると、ユーザーは、同期問題に起因して発生することがある細部の喪失及び/又は追加されるボケを伴うことなく高解像度連続回転放射線撮影イメージングプロセスを高速で実行することができる。
【0015】
本開示のいくつかの例は、機械可読命令を含む非一時的コンピューター可読媒体であって、機械可読命令は、プロセッサによって実行されると、物体が回転されている間に放射線検出器の複数の異なる検出器位置において物体の放射線撮影画像を取得する連続高解像度画像取得プロセスの選択を、ユーザーインターフェースの入力デバイスを介して受信することと、選択に応答して、最大開始角度変化を特定することであって、最大開始角度変化は、高解像度画像取得プロセスの間に、第1の初期画像が取得されるときの物体の配向と、第2の初期画像が取得されるときの物体の配向との間の最大許容可能差を含み、第1の初期画像は、放射線検出器が高解像度画像取得プロセスの間に第1の検出器位置にあるときに取得され、第2の初期画像は、放射線検出器が高解像度画像取得プロセスの間に第2の検出器位置にあるときに取得されることと、最大開始角度変化に基づいて、第1のパラメーターの第1のパラメーター値を第1の値になるように、又は第2のパラメーターの第2のパラメーター値を第2の値になるように設定、又は推奨することと、第1のパラメーター値及び第2のパラメーター値に基づいて高解像度画像取得プロセスを実行して物体の画像を生成することとをプロセッサに行わせる、非一時的コンピューター可読媒体に関する。
【0016】
いくつかの例において、第1のパラメーターは、画像投影の数を含み、第2のパラメーターは、1つの画像投影について平均化された画像フレームの数を含む。いくつかの例において、非一時的コンピューター可読媒体は、処理回路部によって実行されると、放射線検出器が第1の検出器位置にある間に、回転可能固定具が第1の回転運動を通じて物体を回転させている間に放射線検出器によって検出される放射線に基づいて第1の放射線撮影画像セットを生成することと、放射線検出器が第2の検出器位置にある間に、回転可能固定具が第2の回転運動を通じて物体を回転させている間に放射線検出器によって検出される放射線に基づいて第2の放射線撮影画像セットを生成することと、第1の放射線撮影画像セット内の放射線撮影画像と、第2の放射線撮影画像セット内の対応する放射線写真とに基づいてより高い解像度の第3の放射線撮影画像セットを生成することとを処理回路部に行わせる高解像度画像取得プロセスの機械可読命令を更に含み、より高い解像度の放射線撮影画像は、第1の放射線写真セット内の放射線撮影画像及び第2の放射線写真セット内の対応する放射線撮影画像よりも高い解像度を有し、第1の放射線撮影画像セット、第2の放射線撮影画像セット、又は第3の放射線撮影画像セットのサイズは、第1のパラメーターの第1のパラメーター値又は第2のパラメーターの第2のパラメーター値に依存する。
【0017】
いくつかの例において、非一時的コンピューター可読媒体は、処理回路部によって実行されると、より高い解像度の第3の放射線撮影画像セットを組み合わせて物体の画像にすることを処理回路部に行わせる高解像度画像取得プロセスの機械可読命令を更に含み、物体の画像は、2次元(2D)画像を表すデータ、3次元(3D)ボリュームを表すデータ、又は3Dボリュームの2Dスライスを表すデータを含む。いくつかの例において、第1の放射線撮影画像セット及び第2の放射線撮影画像セットのサイズは、第1のパラメーター値に第2のパラメーター値を乗算したものに等しく、第3のセットのサイズは、第1のパラメーター値に等しい。いくつかの例において、最大開始角度変化に基づいて、第1のパラメーターの第1のパラメーター値を第1の値になるように、又は第2のパラメーターの第2のパラメーター値を第2の値になるように設定、又は推奨することは、最大開始角度変化を超える開始角度変化をもたらす可能性がある第1のパラメーターの1つ以上の第1の値又は第2のパラメーターの1つ以上の第2の値を求めることであって、開始角度変化は、第1の放射線撮影画像セットの第1の初期画像が、物体の第1の回転運動中に放射線検出器によって取得されるときの物体の配向と、第2の放射線撮影画像セットの第2の初期画像が物体の第2の回転運動中に放射線検出器によって取得されるときの物体の配向との差を含むことと、第1のパラメーターの1つ以上の第1の値又は第2のパラメーターの1つ以上の第2の値の入力若しくは選択を禁止すること、又は非推奨にすることとを含む。
【0018】
いくつかの例において、最大開始角度変化に基づいて、第1のパラメーターの第1のパラメーター値を第1の値になるように、又は第2のパラメーターの第2の値を第2の値になるように設定、又は推奨することは、開始角度変化が最大開始角度変化を超えないように、第1のパラメーター値又は第2のパラメーター値を自動的に設定することを更に含む。いくつかの例において、第1の検出器位置は、放射線検出器のピクセルサイズよりも小さなサイズ分だけ第2の検出器位置からオフセットされる。いくつかの例において、非一時的コンピューター可読媒体は、処理回路部によって実行されると、画像をディスプレイスクリーン上に表示することを処理回路部に行わせる機械可読命令を更に含む。いくつかの例において、最大開始角度変化は、工業用放射線撮影イメージングシステムの幾何倍率又は工業用放射線撮影イメージングシステムの特定の用途に必要な画質に基づいて特定され、幾何倍率は、放射線エミッターから放射線検出器までの第1の距離を、放射線エミッターから物体までの第2の距離によって除算したものを含む。
【0019】
本開示のいくつかの例は、工業用放射線撮影イメージングシステムであって、該システムは、放射線を放出するように構成される放射線エミッターと、放射線エミッターによって放出される放射線を検出するように構成される放射線検出器と、物体を保持し、回転させるように構成される回転可能固定具であって、放射線エミッターと放射線検出器との間に位置決めされる、回転可能固定具と、放射線検出器を複数の異なる検出器位置に移動させるように構成される検出器ポジショナーと、物体を通過した後に放射線検出器によって検出される放射線に基づいて物体の画像を生成するように構成される画像取得システムとを備え、画像取得システムは、入力デバイスを備えるユーザーインターフェースと、処理回路部と、機械可読命令を含むメモリ回路部とを備え、機械可読命令は、処理回路部によって実行されると、物体が回転されている間に複数の異なる検出器位置において画像を取得する連続高解像度画像取得プロセスの選択を、入力デバイスを介して受信することと、選択に応答して、最大開始角度変化を特定することであって、最大開始角度変化は、高解像度画像取得プロセスの間に、第1の初期画像が取得されるときの物体の配向と、第2の初期画像が取得されるときの物体の配向との間の最大許容可能差を含み、第1の初期画像は、放射線検出器が高解像度画像取得プロセスの間に第1の検出器位置にあるときに取得され、第2の初期画像は、放射線検出器が高解像度画像取得プロセスの間に第2の検出器位置にあるときに取得されることと、最大開始角度変化に基づいて、第1のパラメーターの第1のパラメーター値を第1の値になるように、又は第2のパラメーターの第2のパラメーター値を第2の値になるように設定、又は推奨することと、第1の値及び第2の値に基づいて高解像度画像取得プロセスを実行して物体の画像を生成することとを処理回路部に行わせる、工業用放射線撮影イメージングシステムに関する。
【0020】
いくつかの例において、第1のパラメーターは、画像投影の数を含み、第2のパラメーターは、1つの画像投影について平均化された画像フレームの数を含む。いくつかの例において、メモリ回路部は、処理回路部によって実行されると、放射線検出器が第1の検出器位置にある間に、回転可能固定具が第1の回転運動を通じて物体を回転させている間に放射線検出器によって検出される放射線に基づいて第1の放射線撮影画像セットを生成することと、放射線検出器が第2の検出器位置にある間に、回転可能固定具が第2の回転運動を通じて物体を回転させている間に放射線検出器によって検出される放射線に基づいて第2の放射線撮影画像セットを生成することと、第1の放射線撮影画像セット内の放射線撮影画像と、第2の放射線撮影画像セット内の対応する放射線写真とに基づいてより高い解像度の第3の放射線撮影画像セットを生成することとを処理回路部に行わせる高解像度画像取得プロセスの機械可読命令を更に含み、より高い解像度の放射線撮影画像は、第1の放射線写真セット内の放射線撮影画像及び第2の放射線写真セット内の対応する放射線撮影画像よりも高い解像度を有し、第1の放射線撮影画像セット、第2の放射線撮影画像セット、又は第3の放射線撮影画像セットのサイズは、第1のパラメーターの第1の値又は第2のパラメーターの第2の値に基づいている。
【0021】
いくつかの例において、メモリ回路部は、処理回路部によって実行されると、より高い解像度の第3の放射線撮影画像セットを組み合わせて物体の画像にすることを処理回路部に更に行わせる高解像度画像取得プロセスの機械可読命令を含み、物体の画像は、2次元(2D)画像を表すデータ、3次元(3D)ボリュームを表すデータ、又は3Dボリュームの2Dスライスを表すデータを含む。いくつかの例において、第1の放射線撮影画像セット及び第2の放射線撮影画像セットのサイズは、第1のパラメーター値に第2のパラメーター値を乗算したものに等しく、第3のセットのサイズは、第1のパラメーター値に等しい。いくつかの例において、最大開始角度変化に基づいて、第1のパラメーターの第1のパラメーター値を第1の値になるように、又は第2のパラメーターの第2のパラメーター値を第2の値になるように設定、又は推奨することは、最大開始角度変化を超える開始角度変化をもたらす可能性がある第1のパラメーターの1つ以上の第1の値又は第2のパラメーターの1つ以上の第2の値を求めることであって、開始角度変化は、第1の放射線撮影画像セットの第1の初期画像が、物体の第1の回転運動中に放射線検出器によって取得されるときの物体の配向と、第2の放射線撮影画像セットの第2の初期画像が物体の第2の回転運動中に放射線検出器によって取得されるときの物体の配向との差を含むことと、第1のパラメーターの1つ以上の第1の値又は第2のパラメーターの1つ以上の第2の値の入力若しくは選択を禁止すること、又は非推奨にすることと、を含む。
【0022】
いくつかの例において、最大開始角度変化に基づいて、第1のパラメーターの第1のパラメーター値を第1の値になるように、又は第2のパラメーターの第2のパラメーター値を第2の値になるように設定、又は推奨することは、開始角度変化が最大開始角度変化を超えないように、第1のパラメーター値又は第2のパラメーター値を自動的に設定することを更に含む。いくつかの例において、第1の検出器位置は、放射線検出器のピクセルサイズよりも小さなサイズ分だけ第2の検出器位置からオフセットされる。いくつかの例において、メモリ回路部は、プロセッサによって実行されると、物体の画像をユーザーインターフェースのディスプレイスクリーン上に表示する機械可読命令を更に含む。いくつかの例において、最大開始角度変化は、工業用放射線撮影イメージングシステムの幾何倍率又は工業用放射線撮影イメージングシステムの特定の用途に必要な画質に基づいて特定され、幾何倍率は、放射線エミッターから放射線検出器までの第1の距離を、放射線エミッターから物体までの第2の距離によって除算したものを含む。
【0023】
図1は、一例示の工業用X線放射線撮影機100を示している。いくつかの例において、X線放射線撮影機100は、物体102に対して行われる非破壊検査(NDT:non-destructive testing)、デジタル放射線撮影(DR:digital radiography)スキャン、コンピューター断層撮影(CT:computerized tomography)スキャン、及び/又は他の用途に使用することができる。いくつかの例において、物体102は、工業用部材及び/又は部材(例えば、エンジンキャスト、マイクロチップ、ボルト等)の組立体とすることができる。いくつかの例において、より微細且つより詳細でより高い解像度の放射線撮影イメージングプロセスが役立つことができるように、物体102は比較的小さなものとすることができる。簡単にするために主としてX線に関して論述されるが、いくつかの例において、本明細書において論述される工業用X線放射線撮影機100は、他の波長における放射線(例えば、ガンマ線、中性子線等)を使用することもできる。
【0024】
図1の例において、X線放射線撮影機100は、X線エミッター106からのX線放射線104を物体102を通ってX線検出器108に方向付ける。いくつかの例において、X線エミッター106は、円錐形又は扇形のX線放射線を放出するように構成されるX線管を備えることができる。いくつかの例において、X線エミッター106は、20キロ電子ボルト(keV)~10メガ電子ボルト(meV)のエネルギー範囲内のX線放射線を放出することができる。
【0025】
いくつかの例において、X線検出器108に入射するX線放射線104に基づいて、2次元(2D)デジタル画像(例えば、放射線撮影画像、X線画像等)を生成することができる。いくつかの例において、2D画像は、X線検出器108自体によって生成することができる。いくつかの例において、2D画像は、X線検出器108を、X線検出器108と通信するコンピューティングシステムと組み合わせることによって生成することができる。
【0026】
いくつかの例において、2D画像は、X線検出器108に電源が投入されている限り、X線検出器108(例えば、フリーランモードにある)によって所与のフレームレートで絶えずキャプチャ/取得することができる。ただし、いくつかの例においては、2D画像は、スキャン/イメージングプロセスが選択されており及び/又は動作しているときに、X線検出器108(及び/又は関連付けられたコンピューティングシステム(複数の場合もある))によってのみ完全に生成することができる。同様に、いくつかの例においては、2D画像は、スキャン/イメージングプロセスが選択されており及び/又は動作しているときに、永続的(すなわち、不揮発性)メモリにのみ保存することができる。
【0027】
いくつかの例において、X線検出器108(及び/又は関連付けられたコンピューティングシステム(複数の場合もある))によって生成された2D画像を組み合わせて、3次元(3D)ボリューム及び/又は3D画像を形成することができる。いくつかの例においては、3Dボリューム/画像の2D画像スライスも形成することができる。用語「画像」は、本明細書では省略表現として使用されているが、「画像」は、代表データが1つ以上の適切な構成要素(例えば、ディスプレイスクリーン、グラフィック処理ユニット、X線検出器108等)によって視覚的にレンダリングされるまで、その代表データを含むことができることに留意されたい。
【0028】
いくつかの例において、X線検出器108は、フラットパネル検出器(FDA:flat panel detector)、線形ダイオードアレイ(LDA:linear diode array)、及び/又はレンズ結合型シンチレーション検出器を含むことができる。いくつかの例において、X線検出器108は、シンチレーションを介して間接的に画像を受信するように構成される蛍光透視検出システム及び/又はデジタル画像センサーを含むことができる。いくつかの例において、X線検出器108は、X線を直接受信してデジタル画像を生成するように構成されるセンサーパネル(例えば、電荷結合デバイス(CCD:charge coupled device)パネル、相補型金属酸化物半導体(CMOS:complementary metal-oxide-semiconductor)パネル等)を使用して実施することができる。いくつかの例において、X線検出器108は、X線を吸収して可視光光子を放出するシンチレーション層/スクリーンを備えることができ、可視光光子は、その後、シンチレーションスクリーンに結合されたソリッドステート検出器パネル(例えば、CMOS X線パネル及び/又はCCD X線パネル)によって検出される。
【0029】
いくつかの例において、X線検出器108(例えば、ソリッドステート検出器パネル)は、ピクセル404(例えば、図4参照)を含むことができる。いくつかの例において、ピクセル404は、シンチレーションスクリーンの部分に対応することができる。いくつかの例において、各ピクセル404のサイズは、数十マイクロメートル~数百マイクロメートルの範囲に及ぶことができる。いくつかの例において、X線検出器108のピクセルサイズは、25マイクロメートル~250マイクロメートルの範囲内(例えば、200マイクロメートル)とすることができる。
【0030】
いくつかの例において、X線検出器108(及び/又は関連付けられたコンピューティングシステム)によってキャプチャされた2D画像は、X線検出器108のピクセルサイズよりも微細な特徴(例えば、より小さな特徴、より密な特徴等)を含む場合がある。例えば、コンピューターマイクロチップは、ピクセル404よりも小さい非常に微細な特徴を有する場合がある。そのような例においては、サブピクセルサンプリングを使用して、サブピクセルサンプリングを使用しない場合に可能であり得る解像度よりも高くより詳細な解像度を達成することが有用であり得る。
【0031】
例えば、物体102が同じ配向にあり、X線検出器108が2つ(又は2つ以上)の異なる位置のいずれかにある間に物体102の複数の2D画像をキャプチャすることができる。いくつかの例において、X線検出器108の異なる位置を、ピクセル404のサイズよりも小さなサイズ(すなわち、サブピクセル)分だけ互いにオフセットすることができる。その後、複数のサブピクセルシフトされた2D画像を(例えば、インターレース技法を介して)組み合わせて、物体102の単一のより高い解像度の2D画像をその配向に形成することができる。したがって、用語「高解像度イメージングプロセス」が本明細書において使用されるとき、この用語は、サブピクセルサンプリングを使用して、画像をキャプチャするために使用されるX線検出器108(及び/又は、X線検出器108及び/又は仮想検出器の部分)の解像度(及び/又はピクセル密度)よりも大きな最終画像の解像度(及び/又はピクセル密度)が確保されるイメージングプロセス(例えば、放射線撮影法、コンピューター断層撮影法等)を指すことができる。サブピクセルサンプリングを行うために、X線検出器108ではなく物体102を代わりに並進させることが可能であり得るが、物体102を移動させると、イメージング幾何形状が変更されるおそれがあり、これは、結果として得られる画像の組み合わせに悪影響を与えるおそれがある。
【0032】
図4は、X線検出器108の異なる(例えば、サブピクセルシフトされた)位置からの異なる画像を使用して、単一のより高い解像度の画像を形成する概念を示している。図示するように、この図は、ピクセル404のサイズよりも小さなサイズ分だけ互いにオフセットされたX線検出器108の2つの異なる位置を示すピクセル404の2つの異なるグリッド402を示している。ピクセル404aの第1のグリッド402aは実線を使用して示されている一方、ピクセル404bの第2のグリッド402bは破線を使用して示されている。図示するように、グリッド402bの位置は、グリッド402aの位置から正のx方向にハーフピクセル404だけオフセットされるとともに負のy方向にハーフピクセルだけオフセットされている(その結果、対角方向にピクセル404よりも小さなオフセットが得られる)。
【0033】
図4の例において、重複するピクセル404によって形成されるより小さな正方形は、2つのグリッド402のピクセル404をどのように組み合わせると、解像度を、ピクセル404の解像度を超えて(例えば、サブピクセルの解像度に)高めることができるのかを示している。この概念の更なる説明は、「High-Resolution Computed Tomography」という発明の名称を有し、米国特許法第371条の日付が2015年9月30日である米国特許第9,459,217号に見ることができる。この米国特許の全内容は、引用することによって本明細書の一部をなす。単純明快にするために2つの位置を表す2つのグリッド402が示されているが、いくつかの例においては、サブピクセルサンプリングの間に、4個、6個、8個、及び/又はそれよりも多くの位置にX線検出器108を移動させることができる。
【0034】
図1の例において、X線機100は、X線検出器108を異なる検出器位置(例えば、サブピクセルサンプリング用の位置)に移動させるように構成される検出器ポジショナー150を含む。図示するように、検出器ポジショナー150は、2つの平行なレール154によって接続された2つの平行な支柱152を含む。図示するように、X線検出器108は、レール154上に保持される。いくつかの例において、X線検出器108は、1つ以上の中間支持体によってレール154上に保持することができる(及び/又はレール154に取り付けることができる)。
【0035】
いくつかの例において、検出器ポジショナー150は、X線検出器108をいずれかの支柱152に対してレール154に沿って接近移動及び/又は離遠移動させるように構成することができる。いくつかの例において、レール154は、支柱152に沿って及び/又は平行に(例えば、上方及び/又は下方に)移動するように構成することができ、それによって、支柱152に沿って及び/又は平行にX線検出器108も移動される。検出器ポジショナー150は、図1の例では簡単に示されているが、いくつかの例においては、「High-Resolution Computed Tomography」という発明の名称を有し、米国特許法第371条の日付が2015年9月30日である米国特許第9,459,217号に図示及び説明されているx並進ステージ18、y並進ステージ20、検出器設置フレーム26、及び/又はx/yステージ線形エンコーダー22/24と同様により複雑なものであり得る。この米国特許の全内容は、引用することによって本明細書の一部をなす。
【0036】
X線検出器108を検出器ポジショナー150によって移動させることができるように、いくつかの例においては、物体102を物体ポジショナー110によって移動させることができる。図1の例において、物体ポジショナー110は、X線エミッター106と検出器108との間のX線放射線104の経路内に物体102を保持する。いくつかの例において、物体ポジショナー110は、X線エミッター106及び/又はX線検出器108に対して物体102を接近移動及び/又は離遠移動させるように構成することができ、それによって、幾何倍率(X線エミッター106とX線検出器108との間の距離を、X線エミッター106と物体102との間の距離によって除算したものとして定義される)を変化させることができる。いくつかの例において、物体ポジショナー110は、物体102の所望の部分及び/又は配向がX線放射線104の経路内に位置するように、物体102を移動及び/又は回転させるように構成することができる。いくつかの例において、物体ポジショナー110は、種々の配向において2D画像を取得するために、X線エミッター106及び/又はX線検出器108に対して種々の角度/配向に物体102を位置決めすることができる。これらの2D画像は、その後、物体102の1つ以上の3次元(3D)画像を生成するのに使用することができる。
【0037】
図1の例において、物体ポジショナー110は、物体102がその上に位置決めされる回転可能固定具112を含む。図示するように、回転可能固定具112は、円形プレートである。図示するように、回転可能固定具112は、モーター付きスピンドル116に取り付けられ、このスピンドルを通じて、回転可能固定具112は、スピンドル116によって規定される軸の周りを回転することができる。いくつかの例において、1つ以上の代替的及び/又は追加的な回転機構を設けることができる。
【0038】
図1の例において、回転可能固定具112は、支持構造物118によって支持される。いくつかの例において、支持構造物118は、回転可能固定具112(及び/又は物体102)をX線エミッター106及び/又はX線検出器108に対して接近並進及び/又は離遠並進させるように構成することができる。いくつかの例において、支持構造物118は、並進(複数の場合もある)を与えるように構成される1つ以上のアクチュエータを含むことができる。
【0039】
1つの例示の物体ポジショナー110が図1の例に示されているが、いくつかの例においては、異なる物体ポジショナー110を使用することができる。例えば、ロボット物体ポジショナーを使用して、物体102を並進及び/又は回転させることができる。同様に、回転可能固定具112は、図1の例では円形プレートとして示されているが、いくつかの例においては、例えば、制動具、留め具、把持具、及び/又は他の保持機構等の異なる固定具を代わりに含むことができる。いくつかの例においては、物体102が回転可能固定具112によって回転されるのではなく(又は回転されることに加えて)、X線エミッター106及びX線検出器108を代わりに物体102の周りに回転させることができる(これは、例えば、物体102が扱いにくい場合に有用であり得る)。
【0040】
図1の例において、X線機100は、物体102の周りにX線エミッター106及びX線検出器108を移動させるように構成される回転可能プラットフォーム160を更に含む。図1の例において、回転可能プラットフォーム160は、X線エミッター106及びX線検出器108の上方に上昇され、それらに接続されたものが示されているが、そのようなものは、例えば、ガントリーシステムを使用して実装されたときに起こり得る。
【0041】
いくつかの例において、回転可能プラットフォーム160は、上記に代えて、X線機100の床部に組み込まれたプラットフォーム、1つ以上のロボットムーバー、コンベヤ、及び/又は1つ以上の他の適切な手段を介する等の異なる実装を行うことができる。いくつかの例において、回転可能プラットフォーム160は、異なる軸(例えば、水平軸、対角軸等)の周りを回転するように構成することができ、それに応じて、X線エミッター106及び/又はX線検出器108は再位置決めされる。
【0042】
いくつかの例において、物体ポジショナー118の1つ以上の部分(例えば、支持構造物118)を変更及び/又は省略して、回転可能プラットフォーム160によって物体102の周りに移動されるときのX線エミッター106及びX線検出器108の使用(例えば見通し線)を容易にすることができる。いくつかの例において、回転可能プラットフォーム160は、X線エミッター106及びX線検出器108を物体102の周りに移動させるときにX線機100の同じ幾何倍率を維持するように構成することができる。
【0043】
図2は、例えば、図1に示すX線放射線撮影機100等のX線放射線撮影機100を含むX線放射線撮影システム200の一例を示している。図示するように、X線放射線撮影システム200は、コンピューティングシステム202、ユーザーインターフェース(UI:user interface)204、及びリモートコンピューティングシステム299も含む。図2の例において、1つのX線放射線撮影機100、コンピューティングシステム202、UI204、及びリモートコンピューティングシステム299が示されているが、いくつかの例において、X線放射線撮影システム200は、複数のX線放射線撮影機100、コンピューティングシステム202、UI204、及び/又はリモートコンピューティングシステム299を備えることができる。
【0044】
図2の例において、X線放射線撮影機100は、エミッター106、検出器108、検出器ポジショナー150、及び物体ポジショナー110がハウジング199内に被包されている。図示のように、X線放射線撮影機100は、コンピューティングシステム(複数の場合もある)202及びUI(複数の場合もある)204に接続される及び/又はこれらと通信する。いくつかの例において、X線放射線撮影システム100は、リモートコンピューティングシステム(複数の場合もある)299と電気的通信することもできる。いくつかの例において、通信及び/又は接続は、電気的、電磁的、有線、及び/又は無線とすることができる。
【0045】
図2の例において、UI204は、1つ以上の入力デバイス206及び/又は出力デバイス208を備える。いくつかの例において、1つ以上の入力デバイス206は、1つ以上のタッチスクリーン、マウス、キーボード、ボタン、スイッチ、スライド、ノブ、マイクロフォン、ダイアル、及び/又は他の電気機械入力デバイスを含むことができる。いくつかの例において、1つ以上の出力デバイス208は、1つ以上のディスプレイスクリーン、スピーカー、ライト、触覚デバイス、及び/又は他のデバイスを含むことができる。いくつかの例において、ユーザーは、UI(複数の場合もある)204を介して、X線放射線撮影機(複数の場合もある)100、コンピューティングシステム(複数の場合もある)202、及び/又はリモートコンピューティングシステム(複数の場合もある)299に入力を提供する、及び/又はそれらからの出力を受信することができる。
【0046】
いくつかの例において、UI(複数の場合もある)204は、コンピューティングシステム202の一部とすることができる。いくつかの例において、コンピューティングシステム202は、X線放射線撮影機(複数の場合もある)100の1つ以上のコントローラーを実装することができる。いくつかの例において、コンピューティングシステム202は、UI(複数の場合もある)204とともに、X線放射線撮影システム200の画像取得システムを構成することができる。いくつかの例において、リモートコンピューティングシステム(複数の場合もある)299は、コンピューティングシステム202と同様又は同一とすることができる。
【0047】
図2の例において、コンピューティングシステム202は、X線放射線撮影機(複数の場合もある)100、UI(複数の場合もある)204、及びリモートコンピューティングシステム(複数の場合もある)299と(例えば、電気的)通信する。いくつかの例において、通信は、直接の通信(例えば、有線及び/又は無線媒体を介する)とすることもできるし、例えば、1つ以上の有線及び/又は無線ネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク及び/又はワイドエリアネットワーク)等を介した間接的な通信とすることもできる。図示のように、コンピューティングシステム202は、共通の電気バスを介して互いに相互接続される処理回路部210と、メモリ回路部212と、通信回路部214とを備える。
【0048】
いくつかの例において、処理回路部210は、1つ以上のプロセッサを含むことができる。いくつかの例において、通信回路部214は、1つ以上の無線アダプター、無線カード、ケーブルアダプター、有線アダプター、無線周波数(RF)デバイス、無線通信デバイス、Bluetoothデバイス、IEEE 802.11準拠デバイス、WiFiデバイス、セルラーデバイス、GPSデバイス、イーサネットポート、ネットワークポート、ライトニングケーブルポート、ケーブルポート等を含むことができる。いくつかの例において、通信回路部214は、1つ以上の有線媒体及び/又はプロトコル(例えば、イーサネットケーブル(複数の場合もある)、ユニバーサルシリアルバスケーブル(複数の場合もある)等)、及び/又は無線媒体及び/又はプロトコル(例えば、近距離通信(NFC)、超高周波無線(一般にBluetoothとして知られる)、IEEE 802.11x、Zigbee、HART、LTE、Z-Wave、WirelessHD、WiGig等)を介した通信を容易にするように構成することができる。
【0049】
図2の例において、メモリ回路部212は、高解像度イメージングプロセス300を含み及び/又は記憶する。いくつかの例において、高解像度イメージングプロセス300は、メモリ回路部212に記憶され及び/又は処理回路部210によって実行される機械可読(及び/又はプロセッサ実行可能)命令を介して実施することができる。いくつかの例において、高解像度イメージングプロセス300は、X線放射線撮影システム200のより大きなスキャン及び/又はイメージングプロセスの一部として実行することができる。
【0050】
いくつかの例において、高解像度イメージングプロセス300は、物体102が(例えば、物体ポジショナー110を介して)連続して回転されている間に画像を生成及び/又は記憶する高解像度(例えば、サブピクセル)イメージング/スキャンプロセスのユーザー選択に応答して実行することができる。いくつかの例において、高解像度イメージングプロセス300は、そのような高解像度連続回転イメージングプロセスの間に発生し得る同期問題に対処することができる。これは、物体102が回転された後に(例えば、物体102が静止している間に)段階的に画像を生成及び/又は記憶するより従来型の高解像度(例えば、サブピクセル)イメージングプロセスと区別することができる。この従来型のプロセスでは、同期は問題となり得ない。
【0051】
特に、高解像度イメージングプロセス300は、画像キャプチャ/生成の開始を物体102の回転の開始と同期させることに伴う問題を緩和する解決策を提供することができる。いくつかの例において、画像キャプチャ/生成の開始を物体102の回転の開始と同期させることは、少なくともX線検出器108が常に画像をキャプチャしている場合があるので、困難な場合がある。この同期問題に起因して、スキャンの間にキャプチャ/生成される初期画像は、或る非ゼロの回転角度(とスキャンプロセスがみなす角度)においてキャプチャ/生成される場合がある。
【0052】
さらに、物体102の回転は連続しているので、回転角度のこの変化は、X線検出器108が所与の位置にある間にキャプチャ/生成される画像セットの全ての画像にわたって連鎖的に起こるおそれがある。その上、同じ同期問題及び/又は角度変化は、(異なる位置にシフトし、その後、回転及び画像のキャプチャを再び開始するのに或る時間を要するので)X線検出器108が異なる位置にシフトされるごとに発生する場合がある。したがって、物体102の配向角は、(X線検出器108の異なる位置においてキャプチャ/生成された)異なる画像セットの当初/初期画像(及び対応する後続の画像)において異なる場合がある。角度的に整列された物体画像であるはずだったものにおける物体102のこの角度変化は、それらの画像が組み合わされてより高い解像度の画像(になるはずであったもの)にされるときに、画質の低下、細部の喪失、鮮明さの低下、ボケ、及び/又は他のマイナスの結果をもたらすおそれがある。
【0053】
本開示の多くは、高解像度イメージングプロセス300の間、物体102を回転させることを論述しているが、いくつかの例においては、上述したように、X線エミッター106及びX線検出器108を代わりに物体102の周りに回転させることができる。しかしながら、角度変化は、そのような例においても依然として問題のままである。
【0054】
図5a及び図5bは、この角度変化の一例を示している。これらの図は、2つの異なる画像セット(例えば、X線検出器108の異なる位置を有する)について当初/初期画像がキャプチャ/生成されるときの方形物体102の上から見下ろした図を示している。図5aは、X線検出器108が第1の位置にあるときの(例えば、X線エミッター106及び/又はX検出器108に対する)物体102の角度配向を表している。図5bは、X線検出器108が第2の(例えば、わずかにシフトされた)位置にあるときの物体102の位置を表している。破線の十字線は、物体102の中心と、0度、90度、180度、及び270度の角度との双方を示している。物体102の中心から延びるダークブラックの線は、回転角度をより明瞭にするための視覚補助として使用される。
【0055】
図5aの例において、物体102は、初期画像キャプチャにおいて0度の点線を越えて回転されている。図5bの例においても、物体は、初期画像キャプチャにおいて0度の点線を越えて回転されている。ただし、物体102の回転角度は、図5a及び図5bにおいて同じではない。逆に、物体102は、図5bよりも図5aにおいて大きな角度に回転されている。したがって、対応する画像は、物体102が2つの異なる角度にあることを示し、これらの2つの画像(及び全ての後続の画像)の組み合わせから形成される高解像度画像は、上述したように、悪影響を受けるおそれがある。
【0056】
任意の2つの画像セットの対応する画像における物体102の間の角度の差は、セット内の当初/初期画像がキャプチャされる時/前において物体102を回転させることができる最大角度と潜在的に同程度の大きさである(ただし、最大角度よりも大きくない)可能性がある。この潜在的開始角度変化は、物体102の回転速度と直接相関する。物体が高速に回転されるほど、潜在的開始角度変化はより大きくなり、その逆も同様である。
【0057】
興味深いことに、フレームレートは、いずれにしても潜在的開始角度変化に影響を与えない。これは、潜在的開始角度変化がフレームレートと逆相関するように見えることがある。結局のところ、画像が高速にキャプチャされるほど、画像がキャプチャされる前に物体102が開始角度を超えて回転する時間は少なくなる。そのため、より大きなフレームレートは、より小さな潜在的開始角度変化と相関するはずであると考えることができる。しかしながら、高解像度(例えば、サブピクセル)連続回転スキャンにおいて、回転速度は、フレームレートにも直接相関する。潜在的開始角度変化は回転速度(回転速度はフレームレートと直接相関する)と直接相関するとともに、潜在的開始角度変化はフレームレートと逆相関もするので、フレームレート項は相殺され、いずれにしても影響を与えない。
【0058】
潜在的開始角度変化に影響を与えるパラメーターは、X線検出器108の特定の位置においてキャプチャされる画像投影の数と、単一の画像投影を生成するために平均化された画像フレームの数とである。
【0059】
本明細書において使用される場合、「画像投影」は、(X線エミッター106から物体102を通ってX線検出器108内/上に進む放射線104に起因して)X線検出器108上に投影され、その後、メモリ回路部212に保存される(物体102の所与の配向における)物体102の単一の画像を指す。ただし、単一の画像投影における信号対雑音比を高めるために、いくつかの画像フレーム(例えば、物体102がその画像投影の配向に回転している間にキャプチャされる画像フレーム)は、単一の画像投影を生成するために平均化されることがある。したがって、連続回転高解像度(例えば、サブピクセル)スキャン中の(X線検出器108の1つの位置における)物体102の単一の(部分的又は完全な)回転運動中にキャプチャされる画像の総数は、キャプチャされる画像投影の数に、単一の画像投影について平均化された画像の数を乗算したものに等しい。これらのパラメーターは、以下では、画像投影パラメーター及びフレーム平均化(frame averaged)パラメーターと呼ばれる。
【0060】
画像投影パラメーター値及びフレーム平均化パラメーター値を使用すると、物体102の回転速度(及び潜在的開始角度変化)を計算することができる。特に、回転速度は、回転角度(例えば、270度、360度等)を、キャプチャされる画像の総数(すなわち、画像投影の数×平均化されたフレームの数)にフレームレートを乗算したものによって除算したものとして計算することができる(すなわち、回転速度=画像フレームごとの角度×毎秒の画像フレーム=毎秒の角度)。潜在的開始角度変化は、その後、回転速度に、1つの画像フレームをキャプチャする時間を乗算したもの(すなわち、回転速度×(1/フレームレート))として計算することができる。ただし、フレームレートは回転速度の一部でもあるので、フレームレートは、潜在的開始角度変化方程式から省かれる。簡約化によって、潜在的開始角度変化は、回転角度をキャプチャされる画像の総数によって除算したものに等しくなる(すなわち、潜在的開始角度変化=回転角度/(画像投影の数×平均化されたフレームの数))。
【0061】
さらに、潜在的開始角度変化が或る特定の最大開始角度変化未満に維持される場合に、潜在的開始角度変化の悪影響を緩和できることが発見されている。潜在的開始角度変化を最小に維持することが最も安全であるが、潜在的開始角度変化は、回転速度と直接相関し、そのため、潜在的開始角度変化を可能な限り低く維持することは、回転速度を可能な限り低速に維持することも意味する。加えて、高解像度連続回転スキャンの主要な利点のうちの1つは、高解像度ステップ回転スキャンと比較してスキャン速度が増加することである。したがって、本明細書に開示され、以下で論述される高解像度イメージングプロセス300は、画像投影パラメーター及びフレーム平均化パラメーターに使用される値を制御(及び/又は強く提案)して、十分な速度及び画質の双方が得られることを確保する。
【0062】
以下の本開示の一部は、或る特定の動作を実行する高解像度イメージングプロセス300を論述する。いくつかの例において、これは、高解像度イメージングプロセス300の一部として動作(複数の場合もある)を実行するX線放射線撮影システム200の1つ以上の構成要素(例えば、処理回路部210、通信回路部214、UI204、放射線撮影機100等)の省略表現として使用される。
【0063】
図3は、高解像度イメージングプロセス300の例示の動作を示すフローチャートである。図3の例において、高解像度イメージングプロセス300は、ブロック302から開始する。ブロック302において、高解像度イメージングプロセス300は、連続回転高解像度(例えば、サブピクセル)スキャンの選択を表す入力を(例えば、UI204の入力デバイス(複数の場合もある)206から)受信する。ブロック302は、完全を期すために、図3の例においては高解像度イメージングプロセス300の一部として示されているが、いくつかの例においては、ブロック302の選択に応答して高解像度イメージングプロセス300を実行するより一般的なスキャンプロセスの一部である場合もある。図3の例において、高解像度イメージングプロセス300は、ブロック302の後、ブロック304に進む。
【0064】
ブロック304において、高解像度イメージングプロセス300は、潜在的開始角度変化及び/又は最大開始角度変化に影響を与えるパラメーター値のうちの1つ以上を特定する。他のパラメーター値(例えば、回転速度に達するランプアップ時間、X線検出器108の異なる位置の数、X線検出器108の異なる位置の間の(例えば、サブピクセル)距離等)もブロック304(及び/又は他のブロック)において特定することができるが、本開示は、潜在的開始角度変化及び/又は最大開始角度変化に影響を与えるパラメーター値に焦点を当てる。いくつかの例において、潜在的開始角度変化及び/又は最大開始角度変化に影響を与えるパラメーター値は、画像投影、フレーム平均化、回転角度(例えば、1度以上360度以下)、幾何倍率、及び特定の用途に必要とされる詳細レベル(及び/又は画質)の値を含むことができる。いくつかの例において、高解像度イメージングプロセス300は、例えば、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI:graphical user interface)604(例えば、図6参照)の1つ以上のフィールド等を介して、パラメーター値のうちの1つ以上の入力をユーザーに促すことができる。
【0065】
いくつかの例において、高解像度イメージングプロセス300は、パラメーター値のうちの1つ以上を自動的に特定することができる。例えば、高解像度イメージングプロセス300は、(例えば、X線放射線撮影機100を介してキャプチャされたテスト画像の分析、X線検出器108によって検出された放射線の分析、工業用放射線撮影機の1つ以上の位置/距離/近接センサー等に基づいて)X線放射線撮影機100の幾何倍率を自動的に特定することができる。
【0066】
いくつかの例において、高解像度イメージングプロセス300は、上記パラメーター値のうちの1つ以上を1つ以上の他のパラメーター値に基づいて特定することができる。例えば、高解像度イメージングプロセス300は、メモリ回路部212に記憶されたデータ構造体(例えば、ルックアップテーブル、データベース)、及び/又は動的アルゴリズム計算等を通じて、必要とされる詳細レベル(及び/又は画質)に基づいて理想的な(及び/又はデフォルトの)幾何倍率値を特定することができる。図3の例において、高解像度イメージングプロセス300は、ブロック308の後、ブロック306に進む。
【0067】
ブロック308において、高解像度イメージングプロセス300は、最大開始角度変化を特定するために十分なパラメーター値がブロック304において特定されたか否かを判断する。いくつかの例において、高解像度イメージングプロセス300は、最大開始角度変化を求めるために、少なくとも詳細レベル(及び/又は画質)及び幾何倍率を特定することが必要な場合がある。ただし、上述したように、幾何倍率は、特定された詳細レベル(及び/又は画質)に基づいて求めることができる。したがって、いくつかの例において、高解像度イメージングプロセス300は、少なくとも詳細レベル(及び/又は画質)値がブロック304において特定された場合に、十分なパラメーター値が特定されたものと判断することができる。
【0068】
図3の例において、高解像度イメージングプロセス300は、十分なパラメーター値がブロック304において特定されなかった場合にはブロック304に戻る。一方、最大開始角度変化を求めることを可能にするために十分なパラメーター値がブロック304において特定された場合には、高解像度イメージングプロセス300はブロック308に進む。
【0069】
ブロック308において、高解像度イメージングプロセス300は、必要な詳細レベル(及び/又は画質)及び幾何倍率に基づいて最大開始角度変化を特定する。本明細書に使用される場合、最大開始角度変化は、キャプチャされた画像が必要な詳細レベル(及び/又は画質)を有することを引き続き可能にする最大閾値潜在的開始角度変化を指す。
【0070】
いくつかの例において、メモリ回路部212は、幾何倍率及び/又は詳細レベル(及び/又は画質)の値を最大開始角度変化の値(例えば、様々な異なる詳細レベル及び/又は幾何倍率について実験的に求められる)にマッピングするルックアップテーブル、データベーステーブル、及び/又は他のデータ構造体を記憶することができる。そのような例において、高解像度イメージングプロセス300は、上記データ構造体マッピングと、幾何倍率及び詳細レベル(及び/又は画質)の特定された値とに基づいて、ブロック308において最大開始角度変化の値を求めることができる。
【0071】
いくつかの例において、最大開始角度変化は、1つ以上の独自開発のアルゴリズムを介して求めることができる。そのような例において、高解像度イメージングプロセス300は、1つ以上の独自開発のアルゴリズムと、幾何倍率及び/又は詳細レベル(及び/又は画質)の特定された値とに基づいて、ブロック308において最大開始角度変化の値を動的に求め及び/又は計算することができる。図3の例において、高解像度イメージングプロセス300は、ブロック308の後、ブロック310に進む。
【0072】
ブロック310において、高解像度イメージングプロセス300は、潜在的開始角度変化を特定するために十分なパラメーター値がブロック304において特定されたか否かを判断する。いくつかの例において、高解像度イメージングプロセス300は、潜在的開始角度変化を特定するために、少なくとも画像投影パラメーター、フレーム平均化パラメーター、及び回転角度パラメーターのパラメーター値を特定することが必要な場合がある。図3の例において、潜在的開始角度変化を特定するために十分なパラメーターがない場合には、高解像度イメージングプロセス300はブロック312に進む。
【0073】
ブロック312において、高解像度イメージングプロセス300は、潜在的開始角度変化を特定するのに必要とされるパラメーター(例えば、画像投影、フレーム平均化、及び回転角度)のパラメーター値を制御、又は推奨することができる。いくつかの例において、ブロック312における動作は、いくつのパラメーター値(及び/又はいずれのパラメーター値)が既に設定されている(又はまだ設定されていない)のかに依存し得る。必要とされる1つのパラメーターのみが未設定の場合には、いくつかの例において、高解像度イメージングプロセス300は、そのパラメーターを、最大開始角度変化に等しい潜在的開始角度変化、又は最大開始角度変化未満であり且つ最大開始角度変化の閾値内の潜在的開始角度変化をもたらすパラメーター値を有するように制御、又は推奨することができる。
【0074】
いくつかの例において、高解像度イメージングプロセス300は、パラメーターを、最大開始角度変化を超えることなく可能な限り大きな潜在的開始角度変化をもたらすパラメーター値を有するように制御、又は推奨することができる。いくつかの例において、高解像度イメージングプロセス300は、(例えば、十分な回転/スキャン速度を維持するために)最大開始角度変化を下回る閾値量よりも大きな潜在的開始角度変化をもたらすパラメーター値を禁止するか、又は非推奨にすることができる。いくつかの例において、高解像度イメージングプロセス300は、他の特定されたパラメーター値及び潜在的開始角度変化方程式(上述)、又はメモリ回路部212に記憶されたデータ構造体(例えば、ルックアップテーブル、データベース)に基づいてパラメーター値を求めることができる。
【0075】
いくつかの例において、画像投影パラメーター及び/又はフレーム平均化パラメーターのいずれかのパラメーター値が設定されていない場合には、高解像度イメージングプロセス300は、画像投影の最適な数を最初に特定することができる。例えば、画像投影の最適な数は、ナイキスト理論、特定された詳細レベル(及び/又は画質)、幾何倍率、X線検出器108におけるピクセル404の量及び/又はサイズ、及び/又は他の関連情報を使用して特定することができる。画像投影の数は、その後、画像投影の最適な数に等しくなる(及び/又は最適な数の閾値範囲内になる)ように制御、又は推奨することができる。その後、上述(必要とされる1つのパラメーターのみが未設定の場合)したように、フレーム平均化パラメーターのパラメーター値を制御、又は推奨することができる。
【0076】
いくつかの例において、未設定のままである必要とされるパラメーターのうちの1つ(又は未設定のままである必要とされる唯一のパラメーター)が回転角度パラメーターである場合には、高解像度イメージングプロセス300は、デフォルトで360度のパラメーター値(又はメモリ回路部212に記憶された他の或るデフォルトパラメーター値)を制御又は推奨することができる。
【0077】
図3の例において、高解像度イメージングプロセス300は、ブロック312の後、ブロック310に戻る。図示するように、潜在的開始角度変化を特定するために十分なパラメーター値が特定されている場合には、高解像度イメージングプロセス300は、ブロック312の後、ブロック314に進む。
【0078】
ブロック314において、高解像度イメージングプロセス300は、特定された/必要とされるパラメーター値及び潜在的開始角度変化方程式(上述)に基づいて潜在的開始角度変化を求める。いくつかの例において、高解像度イメージングプロセス300は、潜在的開始角度変化方程式自体ではなく、(例えば、潜在的開始角度変化方程式を実装する)メモリ回路部212に記憶されたデータ構造体(例えば、ルックアップテーブル、データベース)を使用することができる。潜在的開始角度変化が求められると、高解像度イメージングプロセス300は、潜在的開始角度変化が最大開始角度変化に等しいのか、又は、最大開始角度変化未満であり且つ最大開始角度変化の閾値範囲内であるのかを確認する。
【0079】
閾値範囲要件は、(最大値と協働して)最小開始角度変化及び最大開始角度変化を有効に設定する(十分な回転/スキャン速度を確保する)。いくつかの例において、閾値範囲は省略することができる。図3の例において、高解像度イメージングプロセス300は、潜在的開始角度変化が最大開始角度変化に等しくない場合、又は最大開始角度変化未満であり且つ最大開始角度変化の閾値範囲内でない場合には、ブロック314の後、ブロック316に進む。いくつかの例において、高解像度イメージングプロセス300は、潜在的開始角度変化が最大開始角度変化に等しくないこと、又は最大開始角度変化未満であり且つ最大開始角度変化の閾値範囲内でないことをユーザーに通知する(以下で述べる推奨と同様の)アラートも出力することができる。
【0080】
ブロック316において、高解像度イメージングプロセス300は、潜在的開始角度変化が最大開始角度変化に等しいこと、又は最大開始角度変化未満であり且つ最大開始角度変化の閾値範囲内であることを確保するために、幾何倍率、画像投影、及び/又はフレーム平均化パラメーターの1つ以上のパラメーター値を制御、又は推奨する。いくつかの例において、高解像度イメージングプロセス300は、パラメーター値(例えば、直近に設定されたパラメーター値、メモリにおいて最も影響されやすいとして特定されたパラメーター値又はユーザーによって特定されたパラメーター値等)のうちの1つのみを制御、又は推奨することができる。いくつかの例において、最大開始角度変化が閾値(例えば、メモリ回路部212に記憶され及び/又はUI204を介して設定される)よりも低い場合、及び/又は、特定された幾何倍率が特定の詳細レベル(及び/又は画質)のデフォルト/理想幾何倍率(上述)を上回る閾値量よりも高い場合には、高解像度イメージングプロセス300は、幾何倍率パラメーターの異なるパラメーター値のみを制御、又は推奨することができる。
【0081】
いくつかの例において、高解像度イメージングプロセス300は、UI204の出力デバイス(複数の場合もある)208を介してメッセージを出力することによって推奨を行うことができる。いくつかの例において、高解像度イメージングプロセス300は、オーディオ、テキスト、画像(複数の場合もある)、ビデオ(複数の場合もある)、及び/又は他の適切なフォーマットの形態の推奨を出力することができる。いくつかの例において、推奨は、パラメーター、現在のパラメーター値、及び/又は問題(例えば、現在特定されているパラメーター値が、過度に高い/低い、及び/又は、過度に高い/低い回転速度、スキャン時間、最大開始角度変化、及び/又は潜在的開始角度変化を引き起こしている)をユーザーに通知することができる。いくつかの例において、推奨は、問題を解決する推奨値、及び/又は変更方向(例えば、より高い/より低い値)をユーザーに通知することができる。いくつかの例において、推奨は、回避すべき1つ以上の値をユーザーに通知することができる。
【0082】
いくつかの例において、高解像度イメージングプロセス300は、例えば、パラメーター値を設定等することによって、パラメーター値を直接制御することができる。いくつかの例において、高解像度イメージングプロセス300は、例えば、要求を満たさないパラメーター値のエントリーを禁止等することによって、パラメーター値を間接的に制御することができる。いくつかの例において、高解像度イメージングプロセス300は、推奨に関して上述したものと同様に、パラメーター値がいつ、どのようにして、及び/又はなぜ制御されたのかをユーザーに知らせる通知を出力することができる。
【0083】
図3の例において、高解像度イメージングプロセス300は、ブロック316においてパラメーター値(複数の場合もある)を制御、又は推奨した後、ブロック308に戻る。図示するように、高解像度イメージングプロセス300は、潜在的開始角度変化が最大開始角度変化に等しい場合、又は最大開始角度変化未満であり且つ最大開始角度変化の閾値範囲内にある場合には、ブロック314の後、ブロック318に進む。いくつかの例において、高解像度イメージングプロセス300は、ユーザーがスキャン/イメージングプロセスの開始を(例えば、UI204を介して)選択した場合にのみ、ブロック314の後、ブロック318に進む。
【0084】
ブロック318において、高解像度イメージングプロセス300は、上記パラメーター値に基づいて、X線エミッター106、X線検出器108、検出器ポジショナー150、物体ポジショナー110、及び/又は回転可能プラットフォーム160を制御して、いくつか(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ等)の異なる放射線撮影画像セットを取得及び/又は生成する。いくつかの例において、各放射線撮影画像セットは、X線検出器108がわずかに異なる(例えば、サブピクセル分だけシフトされた)位置にある間に、及び/又は、物体102が(例えば、物体ポジショナー110を介して)回転されている間にキャプチャ及び/又は生成することができる。いくつかの例において、各放射線撮影画像セットのサイズ(及び/又は各放射線撮影画像セット内の画像の数)は、画像投影の数に平均化されたフレームの数を乗算したものに等しいものとすることができる。いくつかの例において、放射線撮影画像のうちの1つ以上を、UI204の出力デバイス(複数の場合もある)208を介してユーザーに出力することができ、及び/又は、メモリ回路部212に記憶することができる。
【0085】
図3の例において、高解像度イメージングプロセス300は、ブロック318の後、ブロック320に進む。ブロック320において、高解像度イメージングプロセス300は、上述したように、異なる放射線撮影画像セットの対応する画像投影を(物体102の同じ配向角に)ともに組み合わせて、より高い解像度の放射線撮影画像セットを生成する。いくつかの例において、より高い解像度の放射線撮影画像セット内のより高い解像度の各放射線撮影画像は、放射線撮影画像セット内の各対応する(及び/又は他の任意の)放射線撮影画像(複数の場合もある)よりも高い解像度を有する。いくつかの例において、より高い解像度の放射線撮影画像セットのサイズは、画像投影パラメーターに対応する特定されたパラメーター値に等しい。いくつかの例において、より高い解像度の画像のうちの1つ以上を、UI204の出力デバイス(複数の場合もある)208を介してユーザーに出力することができ、及び/又は、メモリ回路部212に記憶することができる。
【0086】
図3の例において、高解像度イメージングプロセス300は、ブロック320の後、ブロック322に進む。ブロック322において、高解像度イメージングプロセス300は、より高い解像度の放射線撮影画像を組み合わせて、1つ以上の3Dボリューム及び/又は3D画像にする。いくつかの例において、3Dボリュームは、物体102の画像及び/又はモデルとすることができる。いくつかの例において、高解像度イメージングプロセス300は、(例えば、いくつかのユーザーが選択したパラメーター又は記憶されたパラメーターに基づいて)3Dボリュームの1つ以上の特定の2D画像スライスを更に取得することができる。いくつかの例において、2D画像スライス(複数の場合もある)は、これまでに生成及び/又は取得されたいずれの2D画像とも異なるものであってもよい。いくつかの例において、3D画像及び/又は2D画像のうちの1つ以上を、UI204の出力デバイス(複数の場合もある)208を介してユーザーに出力することができ、及び/又は、メモリ回路部212に記憶することができる。
【0087】
図6は、例えば、ユーザーが高解像度イメージングプロセス300の間に1つ以上のパラメーターを設定することを可能にすることができるGUI204を出力しているUI204の出力デバイス(複数の場合もある)208のディスプレイスクリーン602の一例である。図示するように、GUI204は、いくつかの異なるパラメーターを左側に一列に示し、各パラメーターの対応するパラメーター値を右側に一列に示している。特に、GUI204は、高解像度サブピクセル(すなわち、SubPiX)パラメーター値がスキャンタイプパラメーターとして設定されていることを示している。加えて、連続(ステップとは対照的)回転パラメーター値が、回転タイプパラメーターとして選択されている。スキャンタイプパラメーター値及び回転タイプパラメーター値はともに、高解像度イメージングプロセス300の選択を示すことができる。図3の例には、2つの個別のパラメーター及び/又はパラメーター値が示されているが、いくつかの例においては、高解像度イメージングプロセス300の選択を示す1つのみ(又は3つ以上)のパラメーター及び/又はパラメーター値が存在する場合がある。
【0088】
図6の例において、高(High)のパラメーター値が、必要詳細(Detail Required)パラメーターとして設定され、4×のパラメーター値が幾何倍率ラメーターとして設定されている。この情報から、0.40度のパラメーター値が、(例えば、高解像度イメージングプロセス300によって)最大開始角度変化パラメーターとして特定されている。一方、GUI204は、潜在的開始角度変化パラメーターとして、最大開始角度変化パラメーターの0.40度のパラメーター値を上回る0.90度のパラメーター値も示している。
【0089】
潜在的開始角度変化パラメーター値が最大開始角度変化パラメーター値を超えていることに起因して、高解像度イメージングプロセス300は、アラート606を出力している。図示するように、GUI604は、スキャン開始ボタン610の色をグレーにして、スキャンを開始するためにボタン610を現在アクティブ化することができないことも示している。いくつかの例において、ボタン610は、潜在的開始角度変化パラメーター値が最大開始角度変化パラメーター値に等しくなるまで、又は最大開始変化パラメーター値未満であり且つ最大開始変化パラメーター値の閾値内となるまで、非アクティブのままとすることができる。
【0090】
図6の例において、高解像度イメージングプロセス300は、問題を解消する方法に関するいくつかの推奨608も出力している。特に、推奨608は、潜在的開始角度変化パラメーター値を下げるか、又は、最大開始角度変化パラメーター値を上げ、それによって、問題を解消することができるパラメーター値の変更についてのものである。
【0091】
例えば、推奨608aは、幾何倍率を2×に下げるように伝えている。いくつかの例において、この下げられた幾何倍率は、必要詳細パラメーターの高(High)のパラメーター値を引き続き満たすことができるとともに、問題を解消するために十分に高い最大開始角度変化(及び/又は高速スキャン)も可能にする。
【0092】
別の例として、推奨608bは、画像投影パラメーター値を100から225に上げるように伝えている。別の例として、推奨608cは、フレーム平均化パラメーター値を4から9に上げるように伝えている。いくつかの例において、そのような画像投影パラメーター値又はフレーム平均化パラメーター値を増加させると、その結果、潜在的開始角度変化パラメーター値は最大開始角度変化パラメーター値に等しくなり、それによって、問題は解消される。アラート606及び推奨608の短く且つ簡単なテキスト説明が示されているが、いくつかの例において、説明は、より広範及び/又は詳細なものとすることができ、及び/又は、より広範及び/又は詳細な説明へのリンクを含むことができる。
【0093】
高解像度イメージングプロセス300の或る特定のパラメーター値を制御、又は推奨することによって、同期の欠如に起因して発生し得る問題を緩和することができる。問題が緩和されることによって、ユーザーは、(例えば、連続回転に起因して)増加した速度によって、細部を失うことなく、及び/又は通常は同期問題に起因して生じるブラーを伴わずに、物体102の高解像度スキャンを実行することができる。
【0094】
本方法及び/又はシステムは、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせで実現することができる。本方法及び/又はシステムは、少なくとも1つのコンピューティングシステムにおいて集中的に、又はいくつかの相互接続されたコンピューティング及び/又はリモートコンピューティングシステムにわたって異なる要素が分散される分散方式で、実現することができる。本明細書に記載した方法を実行するように適合された任意の種類のコンピューティングシステム又は他の装置が適している。ハードウェア及びソフトウェアの典型的な組み合わせは、汎用コンピューティングシステムを、ロードされ実行されるとコンピューティングシステムを本明細書に記載した方法を実行するように制御するプログラム又は他のコードとともに、含むことができる。別の典型的な実施態様は、特定用途向け集積回路又はチップを含むことができる。いくつかの実施態様は、非一時的機械可読(例えば、コンピューター可読)媒体(例えば、フラッシュドライブ、光ディスク、磁気記憶ディスク等)を含むことができ、そうした非一時的機械可読媒体は、機械によって実行可能な1つ以上の命令(例えば、コードのライン)を記憶し、それにより、機械に、本明細書に記載したようなプロセスを実行させる。
【0095】
本方法及び/又はシステムを、或る特定の実施態様を参照して記載してきたが、当業者であれば、本方法及び/又はシステムの範囲から逸脱することなく、種々の変更を行うことができること及び均等物に置き換えることができることを理解するであろう。加えて、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の教示に対して特定の状況又は材料を適合させるように多くの改変を行うことができる。したがって、本方法及び/又はシステムは、開示されている特定の実施態様に限定されないが、本方法及び/又はシステムは、添付の特許請求の範囲内に入る全ての実施態様を含むことが企図される。
【0096】
本明細書において使用する場合、「及び/又は」は、「及び/又は」によって連結されるリストにおける項目のうちの任意の1つ以上を意味する。一例として、「x及び/又はy」は、3つの要素の組{(x),(y),(x,y)}のうちの任意の要素を意味する。言い換えれば、「x及び/又はy」は、「x及びyのうちの一方又は両方」を意味する。別の例として、「x、y及び/又はz」は、7つの要素の組{(x),(y),(z),(x,y),(x,z),(y,z),(x,y,z)}のうちの任意の要素を意味する。言い換えれば、「x、y及び/又はz」は、「x、y及びzのうちの1つ以上」を意味する。
【0097】
本明細書において利用する場合、「例えば」という用語は、1つ以上の非限定的な例、事例又は例証のリストを開始する。
【0098】
本明細書において使用する場合、「連結される("coupled," "coupled to," and/or "coupled with")」という用語は、取付け、付着、接続、接合、締結、リンク、及び/又は別様の固定であるかを問わず、構造的及び/又は電気的接続を意味する。本明細書において使用する場合、「取り付ける」という用語は、付着、連結、接続、接合、締結、リンク、及び/又は別様に固定することを意味する。本明細書において使用する場合、「接続する」という用語は、取付け、付着、連結、接合、締結、リンク、及び/又は別様に固定することを意味する。
【0099】
本明細書において使用する場合、「回路」及び「回路部」という用語は、物理的な電子構成要素(すなわち、ハードウェア)と、ハードウェアを構成することができ、ハードウェアが実行することができ、及び/又は他の方法でハードウェアに関連付けることができる、任意のソフトウェア及び/又はファームウェア(「コード」)とを指す。本明細書において使用する場合、例えば特定のプロセッサ及びメモリは、コードの第1の1つ以上のラインを実行しているとき、第1の「回路」を含むことができ、コードの第2の1つ以上のラインを実行しているとき、第2の「回路」を含むことができる。本明細書において利用する場合、回路部は、或る機能を実施するために必要なハードウェア及びコード(いずれかが必要である場合)を含む場合はいつでも、その機能の実施が(例えば、ユーザーが構成可能な設定、工場トリム等により)無効にされる又は有効にされていないか否かに関わりなく、回路部はその機能を実行するように「動作可能」である及び/又は「構成される」。
【0100】
本明細書において使用する場合、制御回路は、コントローラーの一部又は全てを構成し、及び/又は溶接プロセス及び/又は電源及びワイヤ供給機等のデバイスを制御するのに使用される1つ以上の基板上に位置する、デジタル及び/又はアナログ回路部、ディスクリート及び/又は集積回路部、マイクロプロセッサ、DSP等、ソフトウェア、ハードウェア及び/又はファームウェアを含むことができる。
【0101】
本明細書において使用する場合、「プロセッサ」という用語は、ハードウェアにおいて実装されようと、有形に具現化されたソフトウェアにおいて実装されようと、又はその両方で実装されようと、及びプログラム可能であろうとなかろうと、処理デバイス、装置、プログラム、回路、構成要素、システム、及びサブシステムを意味する。本明細書において使用する場合、「プロセッサ」という用語は、限定ではないが、1つ以上のコンピューティングデバイス、配線で接続された回路、信号を変更するデバイス及びシステム、システムを制御するデバイス及び機械、中央処理装置、プログラム可能なデバイス及びシステム、フィールドプログラマブルゲートアレイ、特定用途向け集積回路、システムオンチップ、個別の要素及び/又は回路を備えるシステム、ステートマシン、バーチャルマシン、データプロセッサ、処理設備、並びに上記の任意の組み合わせを含む。プロセッサは、例えば、任意のタイプの汎用マイクロプロセッサ若しくは汎用マイクロコントローラー、デジタル信号処理(DSP)プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、高度RISCマシン(ARM)コアを搭載した縮小命令セットコンピューター(RISC)プロセッサ等であり得る。プロセッサは、メモリデバイスに結合されてもよい、及び/又はメモリデバイスに統合されていてもよい。
【0102】
本明細書において使用する場合、「メモリ」及び/又は「メモリデバイス」という用語は、プロセッサ及び/又は他のデジタルデバイスが用いるための情報を記憶するコンピューターハードウェア又は回路部を意味する。メモリ及び/又はメモリデバイスは、任意の好適なタイプのコンピューターメモリ又は任意の他のタイプの電子記憶装置媒体、例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、キャッシュメモリ、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CDROM)、電気光学メモリ、光磁気メモリ、プログラマブル読み出し専用メモリ(PROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、コンピューター可読媒体等とすることができる。メモリとしては、例えば、非一時的メモリ、非一時的プロセッサ可読媒体、非一時的コンピューター可読媒体、不揮発性メモリ、ダイナミックRAM(DRAM)、揮発性メモリ、強誘電体RAM(FRAM)、先入れ先出し(FIFO)メモリ、後入れ先出し(LIFO)メモリ、スタックメモリ、不揮発性RAM(NVRAM)、スタティックRAM(SRAM)、キャッシュ、バッファ、半導体メモリ、磁気メモリ、光メモリ、フラッシュメモリ、フラッシュカード、コンパクトフラッシュカード、メモリカード、セキュアデジタルメモリカード、マイクロカード、ミニカード、拡張カード、スマートカード、メモリスティック、マルチメディアカード、ピクチャーカード、フラッシュストレージ、加入者識別モジュール(SIM)カード、ハードドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)等を挙げることができる。メモリは、コード、命令、アプリケーション、ソフトウェア、ファームウェア及び/又はデータを記憶するように構成することができ、プロセッサに対して外部、内部、又は両方とすることができる。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
【国際調査報告】