(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】モジュール式バッテリシステム
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20241001BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20241001BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20241001BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20241001BHJP
H01M 10/658 20140101ALI20241001BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20241001BHJP
H01M 10/6569 20140101ALI20241001BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20241001BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20241001BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20241001BHJP
H01M 10/6554 20140101ALI20241001BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M50/211
H01M10/647
H01M10/613
H01M10/658
H01M50/342 201
H01M10/6569
H01M50/284
H01M50/296
H01M10/6563
H01M10/6554
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516805
(86)(22)【出願日】2022-09-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 US2022043533
(87)【国際公開番号】W WO2023043840
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524098617
【氏名又は名称】ルナー・エナジー・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】LUNAR ENERGY,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドマン・マーク・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ファイン・ケヴィン・リチャード
(72)【発明者】
【氏名】デヴォー・タナー・ブルース
(72)【発明者】
【氏名】スピアリング・イアン・グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー・コンラッド・グザヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ルイス・エリカ・ヴァイオラ
(72)【発明者】
【氏名】フェリスカ・タヒーナ・クリスティーン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・ボーチ
(72)【発明者】
【氏名】ホルヴェック・マーク
【テーマコード(参考)】
5H012
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H012AA03
5H012BB08
5H012CC10
5H031AA09
5H031EE01
5H031KK01
5H031KK08
5H040AA28
5H040AA37
5H040AS01
5H040AT04
5H040AY05
5H040AY10
5H040DD08
5H040DD26
5H040JJ03
5H040LL01
(57)【要約】
【解決手段】エネルギストレージアセンブリが、実質的に平坦なモジュールの垂直スタックを備える。各モジュールは、複数のエネルギストレージ構成要素と、シェル上部、シェル底部、シェル側面、シェル前面、および、シェル背面を備えた熱伝導シェルと、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギストレージアセンブリであって、
実質的に平坦なモジュールの垂直スタックを備え、
各モジュールは、
複数のエネルギストレージ構成要素と、
シェル上部、シェル底部、シェル側面、シェル前面、および、シェル背面を備える熱伝導シェルと、
を備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記複数のエネルギストレージ構成要素は、バッテリパウチの内部セットを備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項3】
請求項1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、さらに、前記複数のエネルギストレージ構成要素の上方に上部断熱層を備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項4】
請求項1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、さらに、前記複数のエネルギストレージ構成要素の下方に底部断熱層を備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、さらに、前記エネルギストレージアセンブリの正常動作中に、熱が前記エネルギストレージ構成要素から熱交換器へ伝達されるように、前記シェルの側面の少なくとも1つに沿って空気を流れさせる強制エアシステムを備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項6】
請求項5に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記強制エアシステムは、さらに、ファンを備え、前記ファンは、前記シェルの側面の少なくとも1つに沿って前記空気を流れさせる、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項7】
請求項1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記熱伝導シェルは、密閉されている、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項8】
請求項1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、さらに、後方噴出バリューと連通している前記シェル内の後部領域を備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項9】
請求項8に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記後方噴出バルブは、共通排気ディフューザと連通している、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項10】
請求項9に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記後方噴出バルブは、密閉された通路を介して、前記共通排気ディフューザと連通している、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項11】
請求項1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記シェルの上部は、熱管理ソリューションを配置するための形状を備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項12】
請求項11に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記シェルの上部は、前記熱管理ソリューションを配置するためのくぼみを備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項13】
請求項11に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記熱管理ソリューションは、熱吸収材料を備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項14】
請求項13に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記熱吸収材料は、相変化材料または気化液体の一方を備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項15】
請求項1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記エネルギストレージアセンブリは、通気式のシールドによって囲まれている、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項16】
請求項1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記モジュールは、周囲空気と連通している、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項17】
請求項1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、各モジュールは、さらに、仕切りを備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項18】
請求項17に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記仕切りは、モジュールを2つのサブモジュールに分割する、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項19】
請求項17に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記仕切りは、内壁を備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項20】
請求項1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、さらに、前記モジュールの前面および背面に沿って伸びる2つのフレームを備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項21】
請求項20に記載のエネルギストレージアセンブリであって、フレームは、前記エネルギストレージアセンブリを壁取り付けブラケットから吊すよう適合されているフックを備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項22】
請求項20に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記2つのフレームは、前記モジュールを支持する、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項23】
請求項1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、各モジュールは、さらに、DC-DCコンバータを備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項24】
請求項1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、さらに、電気ポートを備え、前記エネルギストレージアセンブリは、配線ハーネスを介して第2バッテリアセンブリに接続され、前記配線ハーネスは、前記エネルギストレージアセンブリの前記電気ポートにプラグ接続するためのコネクタを備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項25】
請求項24に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記エネルギストレージアセンブリは、前記配線ハーネスを介してインバータに接続されている、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項26】
請求項1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、各モジュールは、さらに、センサポートを備える、エネルギストレージアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【他の出願への相互参照】
【0001】
本願は、2021年9月16日出願の米国仮特許出願第63/245,004号「MODULAR ENERGY STORAGE SYSTEM」に基づく優先権を主張し、その仮特許出願は、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
エネルギストレージシステムは複雑であり、エネルギストレージシステムの設計時には、火災のリスクによる安全性の検討事項から、バッテリシステムのオンサイト設置まで、様々な検討事項を考慮に入れなければならない。したがって、エネルギストレージシステムの設計は困難でありうる。
【図面の簡単な説明】
【0003】
以下の詳細な説明と添付の図面において、本発明の様々な実施形態を開示する。
【0004】
【0005】
【0006】
【
図3】バッテリブロックの電気的レイアウトの一実施形態を示す図。
【0007】
【0008】
【0009】
【
図4C】冷却を促進するためのバッテリブロック内の空気流の一実施形態を示す図。
【0010】
【
図5】バッテリブロックの冷却構造の一実施形態を示す図。
【0011】
【0012】
【0013】
【
図8A】バッテリモジュールの上面図の一実施形態を示す図。
【0014】
【
図8B】バッテリモジュールの断面図の一実施形態を示す図。
【0015】
【
図8C】バッテリサブモジュールを接続するためのバスバーの一実施形態を示す図。
【0016】
【
図9A】バッテリモジュールのセンサインターフェースの一実施形態を示す図。
【0017】
【
図9B】バッテリモジュールのセンサ配線の一実施形態を示す図。
【0018】
【
図10A】バッテリモジュールの一実施形態を示す図。
【0019】
【
図10B】バッテリモジュールの間の熱吸収パウチの一実施形態を示す図。
【0020】
【
図10C】バッテリモジュールの中央リブの一実施形態を示す図。
【0021】
【
図11A】バッテリモジュールの排気ポートの一実施形態を示す図。
【0022】
【
図11B】バッテリモジュールの排気ポートの一実施形態を示す図。
【0023】
【
図12A】バッテリブロックの一実施形態を示す図。
【0024】
【
図12B】バッテリブロックの一実施形態を示す図。
【0025】
【0026】
【
図14】両方向ファンの制御およびロジックの一例を示す図。
【0027】
【
図15A】冷却のための開いた空気ループ動作モードの一実施形態を示す図。
【0028】
【
図15B】加熱のための開いた空気ループモードの一実施形態を示す図。
【0029】
【
図15C】閉じた空気ループ動作モードの一実施形態を示す図。
【0030】
【
図16A】開いたループ動作モードの一実施形態を示す図。
【0031】
【
図16B】閉じたループ動作モードの一実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、処理、装置、システム、物質の組成、コンピュータ読み取り可能な格納媒体上に具現化されたコンピュータプログラム製品、および/または、プロセッサ(プロセッサに接続されたメモリに格納および/またはそのメモリによって提供される命令を実行するよう構成されたプロセッサ)を含め、様々な形態で実施されうる。本明細書では、これらの実施例または本発明が取りうる任意の他の形態が、技術と呼ばれうる。一般に、開示されている処理の工程の順序は、本発明の範囲内で変更されてもよい。特に言及しない限り、タスクを実行するよう構成されるものとして記載されたプロセッサまたはメモリなどの構成要素は、或る時間にタスクを実行するよう一時的に構成された一般的な構成要素として、または、タスクを実行するよう製造された特定の構成要素として実装されてよい。本明細書で用いられているように、「プロセッサ」という用語は、コンピュータプログラム命令などのデータを処理するよう構成されている1または複数のデバイス、回路、および/または、処理コアを指す。
【0033】
以下では、本発明の原理を示す図面を参照しつつ、本発明の1または複数の実施形態の詳細な説明を行う。本発明は、かかる実施形態に関連して説明されているが、どの実施形態にも限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定されるものであり、本発明は、多くの代替物、変形物、および、等価物を含む。以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細事項が記載されている。これらの詳細事項は、例示を目的としたものであり、本発明は、これらの具体的な詳細事項の一部または全てがなくとも特許請求の範囲に従って実施可能である。簡単のために、本発明に関連する技術分野で周知の技術事項については、本発明が必要以上にわかりにくくならないように、詳細には説明していない。
【0034】
図1は、電力システムの一実施形態を示す。この例において、電力システム100は、インバータ(102)を備える。電力システムは、さらに、エネルギストレージシステム(ESS)104を備える。この例において、ESS104は、バッテリストレージシステムである。他の実施形態において、エネルギストレージシステムは、その他の形態のエネルギストレージ(燃料電池など)を用いて実装される。いくつかの実施形態において、エネルギストレージシステムは、インバータ102に接続されているバッテリブロック(本明細書では、バッテリアセンブリとも呼ばれる)のスタックを備えたモジュール式システムである。各バッテリブロックは、さらに、互いに接続されているバッテリモジュールのスタックを備える。モジュール式バッテリストレージシステムの電気的動作および熱的動作の実施形態など、モジュール式バッテリストレージシステムに関するさらなる詳細については、後述する。インバータに接続されたバッテリブロックのスタックを備える電力システムの一例を、
図13に示す。
【0035】
バッテリブロック
【0036】
図2は、バッテリブロックの一実施形態を示す。いくつかの実施形態において、バッテリブロック200は、エネルギストレージシステム(
図1のESS104など)に備えられているバッテリブロックのスタック内のバッテリブロックの一例である。
【0037】
この例において、バッテリブロックは、バッテリモジュール(バッテリモジュール202など)のスタックを備える。バッテリモジュールは、互いに接続されている。後に詳述するように、各バッテリモジュールは、エネルギストレージ構成要素(バッテリセル(例えば、バッテリセルパウチ)、燃料電池、など)のセットを含む。例示を目的として、バッテリセルを備えたバッテリモジュールの実施形態を以下に記載する。6個のバッテリモジュールを備えたバッテリブロックを例示の目的で本明細書に記載するが、バッテリブロックは、必要に応じて、任意の数のバッテリモジュールを備えてよい。バッテリモジュールに関するさらなる詳細については後述する。
【0038】
図2のバッテリブロックを見ると、バッテリブロックの左側204は、本明細書では、バッテリブロックの「前部」または「端子側」と呼ばれ、後に詳述するように、バッテリブロックの様々な電気構成要素を収容する。バッテリブロックの右側206は、本明細書では、バッテリブロックの「後部」または「排出側」と呼ばれる。
【0039】
以下は、バッテリブロックの電気設計および熱設計の実施形態である。
【0040】
バッテリブロック電気設計
【0041】
図3は、バッテリブロックの電気的レイアウトの一実施形態を示す。この例では、
図2のバッテリブロック200の一部204の斜視図が示されている。上述のように、いくつかの実施形態において、バッテリブロックは、接続されたバッテリモジュールのスタックを備える。
【0042】
この例に示すように、そして、後に詳述するように、各モジュールは、2個の電気端子/電極を備える。両方の電極が、モジュールの同じ面上にある。いくつかの実施形態において、後に詳述するように、モジュール内のセルは、アノードおよびカソードが(例えば、両側ではなく)モジュールの同じ側に存在できるよう、U字型を形成するように、直列に接続されている。電極302および304は、モジュール202のための電極の例である。
【0043】
この例において、バッテリモジュールは、s字型バスバー306などのs字型バスバー(モジュール間バスバー)を用いることによって、直列にスタックされている。ここで、或るモジュールと次のモジュールとの間のバスバーは、或るモジュールのアノードを別のモジュールのカソードへ、または、或るモジュールのカソードを別のモジュールのアノードへ接続している。次いで、全スタック/ブロックバスバー308が、最上部のモジュールから下に戻って、DC-DCコンバータ310に全スタック電圧を与える。
【0044】
図3の例に示すバッテリモジュールの電気的直列接続は、個々のバッテリモジュールの電圧の追加を可能にする。一例として、各モジュールは、8.4Vで動作する。ここで、バッテリブロックは、6個のモジュール/カンを備える。その結果、バッテリブロックは、約50ボルト(8.4V×6)の電圧で動作する。
【0045】
上述のように、直列接続されたモジュールのスタックは、302を介してDC-DCコンバータ310へ接続されており、DC-DCコンバータ310は、次に、スタック電圧をインバータ(例えば、
図1のインバータ102)へ供給する。いくつかの実施形態において、DC-DCコンバータは、電圧を、例えば、50Vから200Vへブーストする。DC-DCコンバータは、入力電圧を低減するバックコンバータであってもよく、もしくは、バックモードまたはブーストモードのいずれかで動作するバック-ブーストコンバータであってもよい。
【0046】
バッテリブロックのこの部分の例には、DC-DCコンバータにプラグ接続している配線ハーネスの一部またはセグメント312が示されている。上述のように、バッテリストレージシステムは、バッテリブロックのスタックを備えてよい。例えば、各バッテリブロックは、5kWhの容量を有してよく、ここで、3個のバッテリブロックのスタックは、15kWhの容量を有するバッテリストレージシステムをもたらす。
【0047】
この例において、プラグ312および関連の配線は、或るバッテリブロックを別のバッテリブロックに接続して最後にはインバータに接続する配線ハーネスの一部またはセグメントである。いくつかの実施形態において、配線ハーネスは、ブロックからインバータへ電力および信号の両方を伝える。例えば、ハーネスのワイヤの一部が、インバータおよびバッテリモジュールの間の通信に用いられる。ワイヤの別のセットは、DC-DCコンバータから高電圧出力を伝えるために用いられる。いくつかの実施形態において、配線ハーネスは、タッチセーフである。いくつかの実施形態において、ハーネスは調節可能であり、接続されるバッテリブロックの数に応じて、セグメントが追加または除去されうる(例えば、ハーネスは、追加されるさらなるブロックを収容するために拡張可能なセグメント式のハーネスである)。他の実施形態において、バッテリブロックの各構成は、それ独自の対応する一体型ハーネスを有する。すなわち、各設定構成に対して1つのハーネスが存在する(例えば、3つのブロックシステムに対して1つのハーネス、6つのブロックシステムに対して別のハーネス、など)。配線ハーネスに関するさらなる詳細については後述する。
【0048】
バッテリブロック熱設計
【0049】
バッテリブロックは、正常動作時または熱イベントの場合など、様々なモードで熱管理を提供するよう設計されている。
【0050】
正常動作時の熱挙動
【0051】
以下は、正常動作中のバッテリスタックの冷却および空気流の例および実施形態である。
【0052】
図4Aおよび
図4Bは、バッテリブロックの実施形態を示す。この例に示すように、正常動作中、バッテリブロック内のバッテリモジュールの長い側面と、ベントまたはダクトを含むバッテリモジュールを覆っている外側化粧側板402とによって形成されたダクトまたはチャネルの中に、空気が引き込まれる。空気流は、ファン404によって引き起こされ、ファン404によってチャネルを通して方向付けられる。この例では、例示の目的で単一のファンが示されているが、他の実施形態において、複数のより小さいファンが用いられてもよい。一例として、6個のより小さいファンが用いられてよく、ここで、バッテリブロック内の各モジュールに対して1つのファンが存在する。例えば、並列または直列に接続された複数のより小さいファンが用いられてよい。この例では、例示の目的でファンが示されているが、任意のその他の空気/流体循環装置が、適用できる場合に用いられてもよい。
【0053】
この例に示すように、側板は、バッテリモジュールを覆っているが、モジュールを密閉しない。側板は、空気がバッテリスタックを出入りすることを可能にするダクトを有する。バッテリモジュールの側面に沿ってチャネルを通して引き出される空気は、バッテリセルによって生じた熱を運び出して、モジュールを冷却する。その後、加熱された空気は、例えば、バッテリスタックの部分406のヒートシンク(ヒートシンク408など)を用いてさらに冷却される。
【0054】
図4Cは、冷却を促進するためのバッテリブロック内の空気流の一実施形態を示す。この例では、
図4Bのバッテリブロックの上面図が示されている。この例において、ファン404(
図4Cの例におけるマニホルド/ダクト414の下)は、バッテリブロックを覆うカバー402の右側のポートから空気を引き込む(右側のポートが、この空気流の方向のための流入口である)。次いで、空気は、バッテリモジュールの周りで別れ、そこで、空気の一部は、(壁の近い側の)モジュールの裏側(410)の周りを進み、空気の他の半分は、モジュールの前側(412)の周りを流れる。この空気の流れは、バッテリブロック内の6個のバッテリモジュールを冷却する。バッテリモジュールを通り越えると、分かれた空気流は両方とも、ダクト(414)に流れ込み、ファンを通る時に合流する。ダクトは、バッテリブロックの各側にある6個の空気チャネルがファンの位置で流体ボリュームに流れ込むマニホルドとして機能する。すなわち、マニホルドは、空気の分岐流を合流させ、空気ドライバ/原動機であるファンを通して、合流した空気を方向付ける。次いで、合流した空気は、ファンによってヒートシンクに吹き付けられ、ここで、いくつかの実施形態において、パワー電子機器がヒートシンク上に取り付けられており、それにより、パワー電子機器を冷却する。次いで、空気は、ヒートシンクの周りで分割され、その後、再び合流し、バッテリブロックの左側のポート/開口部から出る(この空気流の方向での排気)。この例において、周囲空気は、バッテリセルによって或る程度まで温められうるが、セルは、高効率で動作するので、正常動作中にほとんど廃熱を発生しない。したがって、空気は、バッテリモジュールを通過した後でも、パワー電子機器の冷却に利用可能である。
【0055】
後に詳述するように、いくつかの実施形態において、ファンは両方向型であり、ファンの方向は、バッテリセルの加温と、温度調節とを促進するために反転されてよい。
【0056】
図5は、バッテリブロックの冷却構造の一実施形態を示す。この例では、
図4Bの電気ブロックの部分406の側面図が示されている。この例において、ファン404は、(
図4Aおよび
図4Bの例における向きで)バッテリブロックのモジュールの右側から空気を引き込み、ここで、空気は、ダクトワークとファンとへ供給され、次いで、いくつかの実施形態においてはDC-DCコンバータ310も冷却するヒートシンク502(
図4Bのヒートシンク408の一例)を通して出る。この例において、ヒートシンクは、ピンフィンを用いて実装されている。その他のタイプのヒートシンクが、必要に応じて用いられてもよい。
【0057】
したがって、この例に示すように、正常動作時、周囲の空気が、モジュールの長い側面にわたって流されることで、モジュールを冷却する。後に詳述するように、モジュールの長い側面は、熱の効率的な伝達を可能にするために、熱伝導材料(被覆鋼など)を用いて形成されてよい。
【0058】
熱イベント挙動
【0059】
熱暴走イベントが、バッテリセルで発生する場合があり、その時、バッテリセルは発火する。後に詳述するように、いくつかの実施形態において、例えば、熱暴走の場合にモジュール内からガスを排出するために用いられるベントを備えることなどによって、各バッテリモジュールは、熱暴走イベントの影響を緩和するよう設計されている。本明細書には、排出ガスの冷却を可能にする制御された方法でかかるガスを排出するための技術が記載されている。これは、排出ガスがバッテリスタック/ストレージシステムの近くの他の物体を発火させるのを防止する。
【0060】
図6は、バッテリブロックの一実施形態を示す。この例に示すように、バッテリモジュールからの排出ガスは、602の排気ポートを通して放出される。バッテリモジュールの排気ポートに関するさらなる詳細については後述する。この例において、個々のモジュールの排気ポートの外側に、熱交換器604(本明細書では熱ディフューザとも呼ばれる)が示されている。いくつかの実施形態において、熱交換器は、モジュールから排出された熱い空気を受けて、一連の穴あき金属プレートを通してフィルタリングする。このように、排出ガスからの熱は、外に出る前に金属に流される。様々な金属層にガスを通すことで、(例えば、チーズクロステストに用いられるチーズクロスの発火温度未満になるように)ガスがこの排気ディフューザを離れるまでに排気ガスを冷却させる。この例に示すように、排気ディフューザは、モジュールによって共有されている(モジュールすべてから、同じ共有排気ディフューザに流れ込むようになっている)。このように、熱交換システム全体の大部分が、モジュール間で共有されうる。
【0061】
バッテリモジュール
【0062】
図7は、バッテリモジュールの一実施形態を示す。バッテリモジュール700は、
図2のモジュール202の一例である。いくつかの実施形態において、バッテリモジュール(本明細書では「カン」とも呼ばれる)は、バッテリセルを含む密閉された筐体である。例えば、モジュールは、IP67シールされたシェルによって密閉されている。また、シェル(本明細書では「カン」とも呼ばれる)は、後に詳述するように、熱管理を容易にするために熱伝導材料で形成されている。バッテリモジュールの切り欠き図が、
図7の例に示されている。
図7に示すバッテリモジュールのこの例の方向においては、バッテリモジュールの内部構造の「側面」図が示されている。バッテリモジュールの部分702は、本明細書では、バッテリモジュールの「前側」または「端子側」と呼ばれる。バッテリモジュールの前側は、上述のように、バッテリブロック内のモジュールの直列接続を形成するように複数のモジュールを接続するための端子または電極を備える。バッテリモジュールの端子側は、様々な電子機器(センサポートなど)も備える。バッテリモジュールの部分704は、本明細書では、バッテリモジュールの「裏側」または「後側」または「排気側」と呼ばれ、後に詳述するように、ガスが放出されることを可能にするためのガス抜きを備える。バッテリモジュールの部分706は、モジュールの「上部」と呼ばれ、バッテリモジュールの部分708は、バッテリモジュールの「底部」と呼ばれる。
【0063】
以下は、バッテリモジュールの電気設計および熱設計の例の実施形態である。
【0064】
バッテリモジュール電気設計
【0065】
図8Aおよび
図8Bは、バッテリモジュールの実施形態を示す。いくつかの実施形態において、
図8Aおよび
図8Bは、
図7のバッテリモジュール700の異なる斜視図を示している。
【0066】
図8Aは、バッテリモジュールの上面図の一実施形態を示す。この例に示すように、バッテリモジュールは、バッテリモジュール802の前面の端子側が
図8Aの底部にあるように方向付けられている。この例に示すように、バッテリモジュールは、2つのコンパートメントまたはサブモジュール804および806に分割されている。コンパートメントは、中央のパーティションまたはリブ808によって隔てられている。いくつかの実施形態において、各コンパートメントは、他方から独立して密閉されている。各コンパートメント内には、1または複数のバッテリセルがある。一例として、バッテリセルは、リチウムイオン電池である。いくつかの実施形態において、バッテリセルは、パウチを用いて実装される。この例において、バッテリモジュールは、全部で4つのバッテリパウチを備え、各コンパートメントに2個のバッテリセルを備える。いくつかの実施形態において、バッテリパウチは、実質的に平坦であり、コンパートメント内の2個のパウチは、互いに積み重ねられている。
【0067】
図8Bは、バッテリモジュールの断面図の一実施形態を示す。この例では、バッテリモジュールの内部構造が、バッテリモジュールの前面から示されている。バッテリモジュールの中央リブは、808で示されている。バッテリモジュールのコンパートメント/サブモジュールは、804および806で示されている。上述のように、この例において、バッテリモジュールは、4個のバッテリセルパウチを備え、各コンパートメントに2個のパウチを備える。この例において、コンパートメント804は、バッテリセル810および812を備える。コンパートメント806は、バッテリセル814および816を備える。この例に示すように、各セルは、実質的に平坦である。ここで、モジュールの各サブモジュールコンパートメント内に、互いに積み重ねられた2個のセルがある。
【0068】
この例において、コンパートメント内の2個のバッテリセルパウチは、直列に接続されている。一例として、各サブモジュール/コンパートメント上の電圧は、(満充電時に)4.2Vの動作電圧を有する。いくつかの実施形態において、2個のコンパートメントのサブモジュールは、さらに直列に接続されており、結果として、バッテリモジュール700全体で8.4Vの全電圧が得られる。例えば、バスバーが、
図8Cに関連して記載されるように、2個のコンパートメントのバッテリセルを直列に接続するために用いられる。
【0069】
図8Cは、バッテリサブモジュールを接続するためのバスバーの一実施形態を示す。
図8Cは、バッテリモジュールの背面の切り取り図の一実施形態を示している。
図8Cの例に示すように、バスバー818は、コンパートメントの1つのバッテリサブモジュールの電極を他のコンパートメントの他のバッテリサブモジュールの電極に接続することで、サブモジュールを直列に接続している。この例に示すように、モジュールのコンパートメントは、バッテリモジュールの両方の電極がバッテリモジュールの同じ面(例えば、端子側)にあるように、コンパートメントが「U」字を形成するよう配列されている。
【0070】
センサレイアウト
【0071】
バッテリモジュールは、さらに、バッテリモジュールおよびバッテリセルの健全性を測定するための様々なセンサを備える。バッテリモジュール内のセンサの配置に関するさらなる詳細については後述する。
【0072】
図9Aは、バッテリモジュールのセンサインターフェースの一実施形態を示す。この例では、バッテリモジュールの前面または端子側の一部が示されている。センサポートまたはインターフェースが、902で示されている。いくつかの実施形態において、ポート902は、電圧および温度の検知位置への接続性を提供する。かかるポートを有することは、既存の検知ソリューションからの改善であり、かかるソリューションは、典型的には、電圧測定値を収集するために、バッテリモジュールの電極へワイヤまたはリング端子を走らせることを含む。ここで、これは、例えばモジュール内部の配線ハーネスを用いて、内部でなされる。
【0073】
図9Bは、バッテリモジュールのセンサ配線の一実施形態を示す。この例において、バッテリモジュールの端子側の一部を示す上面斜視図が示されている。この例に示すように、内部配線ハーネスは、ポート902に接続されたセンサ接続ポイント904など、電圧および温度用のセンサ接続ポイントを備える。
【0074】
いくつかの実施形態において、この配線およびセンサの配置は、製造の容易さを向上させ、製造にかかる費用も低減する。ここで、外部温度センサを備えることに加えて個々のリング端子を端子の各々へ走らせる代わりに、セルの健全性を評価するのに必要なデータすべてを取得するためにプラグインすべき1つのコネクタが存在する。センサの健全性のためのかかるコネクタの利用は、リング端子を扱うよりも自動化可能であり、例えば、超音波溶接を用いて組み立て処理中にその場でワイヤを取付ける必要がない。ここで、センサは、提供されたポート内へ単に差し込むことによって容易に接続される。これは、製造時の組み立てを簡略化する。
【0075】
いくつかの実施形態において、その後、セルの健全性情報は、(バッテリブロックおよびインバータに接続する)上述の外部配線ハーネスに渡され、そこで、情報は、処理および解析のために計算ノードに渡される。例えば、計算デバイスは、インバータの一部である。
【0076】
バッテリモジュール熱設計
【0077】
後に詳述するように、本明細書に記載のバッテリモジュールの設計は、熱暴走イベントの影響を低減する。これは、2つの部分を含む。第1に、1つのセルが暴走した場合に、バッテリモジュールの熱設計は、他のセルへの暴走イベントの伝播を可能な限り少なくする。後に詳述するように、モジュールの設計は、熱暴走イベントの影響を制限するために、様々な層およびバリアを提供する。第2に、ガスは、排出されたガスがバッテリモジュールまたはシステムの外部の物体を発火させうる発火源を作り出さないように排出および冷却される。後に詳述するように、モジュールの熱設計は、ガスの冷却を促進する通気ポートおよび排気ポートを含む。
【0078】
熱イベントの伝播の防止
【0079】
図10Aは、バッテリモジュールの一実施形態を示す。この例において、
図10Aは、バッテリモジュールの前方から見たバッテリモジュールの切り欠き断面図を示している。
【0080】
断熱材
【0081】
図8Bに関連して上述したように、バッテリモジュールは、2個のコンパートメントに分けられており、ここで、各サブモジュールは、2個のバッテリパウチを備える。いくつかの実施形態において、バッテリモジュールは、熱管理を提供するために、コンパートメントの上部および底部に断熱材/フォームの層を備える。断熱材の例が、1002、1004、1006、および、1008で示されている。
【0082】
熱吸収パウチ
【0083】
様々な実施形態において、バッテリアセンブリは、モジュール間の熱管理のための熱管理ソリューションを備える。様々な実施形態において、熱管理ソリューションは、アクティブおよび/またはパッシブな熱管理ソリューションを含む。パッシブ熱管理ソリューションの例は、断熱材料、熱吸収材料、などを含む。いくつかの実施形態において、バッテリモジュールの上部は、熱管理ソリューション(熱吸収材料のパウチなど)を設置または保持するための形状(凹部またはくぼみなど)を備える。熱吸収材料のパウチは、或るバッテリモジュールにおける暴走イベントからの熱を吸収して、上方に積み重ねられた次のバッテリモジュールにその熱が伝わるのを防ぐために用いられる。
【0084】
図10Bは、バッテリモジュールの間の熱吸収パウチの一実施形態を示す。この例では、バッテリブロック内のバッテリモジュールのスタックが示されており、ここで、或るバッテリモジュールが、別のバッテリモジュールの上部に積み重ねられている。この例に示すように、熱吸収材料のパウチ1010~1020が、各バッテリモジュールの上部に配置されており、或るバッテリモジュールが別のバッテリの上部に積み重ねられると、熱吸収材料のパウチは、2個のバッテリモジュールの間に挟まれる。このように、下のモジュールから上のモジュールへの熱の伝搬が緩和される。したがって、上から下への熱の伝搬が制限される。
【0085】
いくつかの実施形態において、パウチ内の熱吸収材料は、ゲルである。熱吸収材料は、相変化材料を含んでもよい。いくつかの実施形態において、熱吸収パウチは、液体(水、もしくは、気化または蒸発する液体など)を含む。上述のように、熱吸収パウチは、バッテリモジュールの間の一種の断熱を提供し、熱イベントの影響を抑制または緩和する。熱吸収パウチは、正常動作中に冷却するために用いられてもよい。
【0086】
本明細書に記載の断熱材および熱吸収パウチは、上述した種々のバリア層を通して暴走イベントが上から下へと伝播するのを制限する。例えば、モジュールが積み重ねられた時、或るモジュールのバッテリパウチと、隣接するモジュールのバッテリパウチとの間に複数の層が存在する。これらの層は、下のモジュールの断熱フォームの上層と、スチールの層(モジュールの「スキン」または外側シェル)と、上述した熱吸収材料のパウチと、次の隣接するモジュールのスチールシェルと、次のバッテリセルに到達する前の上のモジュールの断熱フォームの底層と、を含む。これらの層は、「上から下への」伝播への抵抗を提供し、バッテリモジュールのセル内で始まる熱暴走イベントの垂直なモジュール間での伝播を防ぐ際に実質的なバリアを形成する。
【0087】
中央仕切りチャネル
【0088】
上述のように、バッテリモジュールは、仕切りまたはパーティション(中央リブなど)によって分離された2個の密閉コンパートメント/サブモジュールを備える。いくつかの実施形態において、中央リブは、バッテリモジュール内での熱の横方向への伝播を制限するためにも設計されている。
【0089】
図10Cは、バッテリモジュールの中央リブの一実施形態を示す。この例では、バッテリモジュールの前方から見たバッテリモジュールの中央リブの切り欠き断面図が示されている。上述のように、中央リブ1022は、カンまたはモジュールを2個の別々のコンパートメントまたはサブモジュールに分けている。いくつかの実施形態において、中央リブは、スチールで製造されている。
【0090】
この例において、中央リブは、チャネルを備える。中央リブは、さらに、チャネルを2個のサブチャネルに分ける内部金属片1024を備える。仕切り1024は、バッテリモジュール内の2個のコンパートメントの間に壁を提供する。内壁は、バッテリモジュール内での或るサブモジュールから他のサブモジュールへの熱の伝播を制限する。いくつかの実施形態において、内部金属片は、構造的な支持も提供する。
【0091】
この例に示すように、内壁1024とバッテリセルパウチ(例えば、セルパウチ1026および1028)間との空間も、エアギャップを提供することによって断熱を提供する。例えば
図10Cの左側で、すなわち、壁の左側で、熱イベントが大量の高温ガスの生成を引き起こした場合に、大きいエアギャップが存在するため、左側のコンパートメント内の高温ガスと右側のコンパートメント内のバッテリセルとの間に「魔法瓶(断熱体)」が提供される。いくつかの実施形態において、バッテリセルパウチ(もしくは、エネルギストレージ構成要素またはデバイスがモジュールの筐体に密閉されたものなら何でも)は、それら自身で断熱している。
【0092】
さらに、
図10Cの例に示すように、中央リブの内壁1024は、上部の点および底部の点(それぞれ、1030および1032)で、それぞれの上部金属層1034および底部金属層1036層に接触している。これは、壁上の熱が周囲の金属に伝達されることを可能にし、バッテリセルパウチから熱を遠ざける(ここで、この例に示すように、スチールは、フォームの外側にあり、セルパウチの間に別のバリアを提供する)。いくつかの実施形態において、内壁1024の上部の点および底部の点が接触している金属は、上述の熱吸収材料のパウチにも接触しており、コンパートメントから熱吸収材料への熱の伝達をさらに促進する。
【0093】
ここで、ガスを通すこと、エアギャップなどのバリア、および、バッテリセルからの熱の伝達は、左から右への伝播への抵抗を提供し、モジュールの或るコンパートメントからの熱が他のコンパートメント内のバッテリセルに到達するのを困難にする。すなわち、本明細書に記載の内部チャネルおよび中央リブの利用は、「左から右への」伝播を制限し、ここで、或るサブモジュールでの暴走イベントがバッテリモジュールの他のサブモジュール内のバッテリセルへ伝播することが制限される。例えば、左上のパウチ1026が、(火がつく)発火パウチであると仮定する。暴走イベントは、パウチが互いに接触しているため、同じコンパートメント内の下方のパウチ1028へ伝播する。これは、そのコンパートメント内での加熱ガスの発生につながる(例えば、バッテリセルパウチ内での電解液の気化による)。パウチと内壁1024との間のリブ内の領域は、エアギャップとして機能し、エアギャップは、中央リブの内壁1024によって提供されたバリアと共に、或るコンパートメントを他のコンパートメントから密閉することで、他のコンパートメントへの熱の伝播を制限する。いくつかの実施形態において、後に詳述するように、チャネルは、発生した高温ガスを排気ポートからルーティングしまたは導く排気経路も提供する。
【0094】
したがって、本明細書に記載のバッテリモジュール熱設計を用いると、熱暴走イベントの伝播が制限される。これは、(例えば、バッテリスタックのモジュール間での)上から下への伝播を制限し、(モジュール内での)左から右または横方向への伝播を制限することを含む。
【0095】
加熱ガスの排気および排気ガスの冷却
【0096】
上述のように、バッテリモジュールは、熱暴走イベント中にモジュールのコンパートメントで生成される高温ガスを排気するためのベントを備える。
【0097】
図11Aは、バッテリモジュールの排気ポートの一実施形態を示す。この例では、バッテリモジュールの背面(排気側)の図が示されている。この例において、バッテリモジュールの2つのコンパートメント/サブモジュールの各々に対して1つずつ、すなわち、2つのベント1102および1104が存在する。排気ポート1102および1104は、熱暴走イベント中にセルによって生成されたガスを管理するために用いられる。
【0098】
この例において、ベントは、ステッカーによって閉鎖されている。このように、正常動作中、バッテリモジュールは密閉されている。いくつかの実施形態において、熱暴走イベントによって引き起こされた加熱ガスなどに起因するモジュール内での圧力上昇により、ステッカーが吹き飛ばされて、排気ポートが開き、モジュールのコンパートメント内に蓄積したガスの排気が可能になる。このように、ガスは、放出されて、モジュールを冷却しうる。
【0099】
例えば、上述した熱暴走イベント中に、或るモジュール内のセルが発火した時、高温ガスは、中央リブを通して排気され、排気ポート/ベントへ方向付けられ、そこで、発火イベントによって引き起こされた加熱ガスにより、ステッカーが吹き飛び、モジュール内部からの加熱ガスが、モジュールの「通気側」から排出されることが可能になる。
【0100】
図11Bは、バッテリモジュールの排気ポートの一実施形態を示す。この例において、排気ポート1102は、カバーステッカーのない状態で示されている。この例において、イベント(熱暴走イベントなど)が起こった時、バッテリセルパウチ(電解液で満たされている)は、最も弱い箇所で破れる。その結果として、大量の過熱ガスが放出される。上述のように、熱暴走イベントが発生すると、ステッカーが吹き飛ぶことで、モジュールの或るコンパートメントからのガスが、共通の排気ディフューザ(例えば、
図6のディフューザ604)に放出されることが可能になる。いくつかの実施形態において、ベント/排気ポートは、密閉されたパイプまたは通路を介して熱ディフューザに接続されている。このように、排出ガスは、強制的にディフューザを通して方向付けられ、排出ガスを冷却し、それにより、周囲の物体を発火させるリスクを削減して安全性を高める。
【0101】
設置のためのバッテリストレージシステム設計
【0102】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のバッテリストレージシステムの様々な構成要素は、設置の複雑さを低減し、設置の容易さを向上させるよう設計されている。
【0103】
本明細書に記載のバッテリストレージシステムは、拡張可能であり、ここで、上述のバッテリブロックは、可変容量を備えたバッテリストレージシステムを生み出すために積み重ね可能である。いくつかの実施形態において、バッテリストレージシステムの設置は、バッテリストレージシステムを構成するバッテリブロックを壁取り付けし、その後、バッテリブロックを互いにおよびインバータへ接続することを含む。バッテリブロックの壁取り付けの容易さと、バッテリブロックのインバータへの簡単な電気接続とを促進する設計が本明細書に記載されている。
【0104】
壁取り付け
【0105】
図12Aは、バッテリブロックの一実施形態を示す。この例では、バッテリブロックの斜視図が示されており、これは、バッテリブロックが取り付けられている透明な壁から見た図である。
【0106】
フレーム1202および1204が、この例で示されている。フレームは、バッテリブロック内のバッテリモジュールの前面および背面に沿って伸びている。この例において、フレーム1202および1204は、それぞれ、フック1206および1208を有する。いくつかの実施形態において、設置の際、ブラケット(壁クリートなど)が、壁に取り付けられる。次いで、バッテリブロックは、電池ブロックのフレームのフックを壁クリートに引っ掛けまたは吊すことによって、壁に取り付けられる。フックは、壁に掛けられ時にバッテリモジュールを支持するフレームの一部である。この例では、2つのフレームが示されている。バッテリブロックが壁に掛けられている時、2つのフレームは、フックおよび壁クリートによって支えられている。そして、フレームは、バッテリブロック内のバッテリモジュールのスタックを支えている。すなわち、フレームは、機械的なベース構造を提供する。フックは、バッテリブロックの取り付けに利用可能な構造の一例にすぎない。壁ブラケットは、適合する壁取り付け構成要素の一例にすぎない。
【0107】
いくつかの実施形態において、バッテリモジュールは、バッテリブロックフレームにボルト留めされ、次いで、フレームは、上述のようにフックを介して壁に取り付けられる。このように、バッテリブロックは、機械的に支持される。いくつかの実施形態において、フレームは、周囲の空気が流れるための切り欠きも有する。
【0108】
この例に示すように、フレームは、湾曲したリップ/フランジ1210、1212、1214、および、1216も有する。これらのリップは、機械的構造を提供する。さらに、ブロックが下に置かれた時、リップは、ブロックを地面から持ち上げるための手掛かりを提供する。また、フランジの湾曲は、フレームの屈曲に抗する高い剛性を提供する。フランジは、さらに、バッテリブロックが誤って落とされた場合に、ブロックにわたって均等に力を分散させる。このように、力がすべて、カンまたはモジュールの1つの角に加わるわけではない。
【0109】
この例に示すように、フレームの底部1212および1216は突出している。突出部分は、壁に接触することで、安定性および回転防止支持を提供する。
図12Bは、バッテリブロックの一実施形態を示す。この例では、バッテリブロックの「端子側」が示されている。フック1218と、フレームの底部の突出する回転防止部1220との例が、
図12Bの例に示されている。
【0110】
配線ハーネス
【0111】
設置処理の一部として、バッテリブロックおよびインバータが壁に取り付けられた後、それらは、互いに電気接続される。いくつかの実施形態において、上述したような配線ハーネス(外部配線ハーネスの一部が
図3の312で示されている)が、バッテリブロックおよびインバータを互いに接続するために用いられ、配線設置処理を簡略化する。
【0112】
図13は、電力システムの一実施形態を示す。以下は、互いに積み重ねられた複数のバッテリブロックを有するエネルギストレージシステムを備えた電力システムの一例である。いくつかの実施形態において、電力システム1300は、
図1の電力システム100の一例である。この例では、20kWhシステムが、4つのバッテリブロックを備えることが示されている(ここで、各バッテリブロックは、5kWhサブシステムである)。4つのバッテリブロックを備えたバッテリシステム例が、例示の目的で示されているが、モジュール式かつ拡張可能なバッテリシステムは、必要に応じて、任意の数のバッテリブロックを有するよう構成されてよい。この例において、バッテリシステムは、壁に取り付けられており、化粧カバーまたはシールドは図示されていない。
【0113】
配線ハーネスが、1302で示されている。この例において、配線ハーネスは、5つのコネクタ、すなわち、4つのバッテリブロックの各々に対して1つずつのコネクタと、プラグ1306を介してインバータ1304にプラグ接続する1つのコネクタと、を有する。いくつかの実施形態において、インバータ1304は、
図1のインバータ102の一例である。
【0114】
上述のように、各バッテリブロックは、DC-DCコンバータを有し、DC-DCコンバータは、1つの中央インバータ1304にすべて給電する。インバータは、バッテリからの電力、ソーラーパネルからの電力、および、グリッドからの電力の間で変換を行い、電力システムによる必要に応じて、それらの間でやり取りすることに関与する。
【0115】
いくつかの実施形態において、バッテリブロックは、デイジーチェーン接続も直列化もせずに、インバータへ個別に接続されている。ここで、この例において、インバータは、4つの異なるバッテリブロック入力を受け入れる。この例において、バッテリブロックからの電力は、インバータによって個別に制御または処理されてよい。さらに、ユーザが、故意または偶然に、より少ないバッテリを備えたシステムを有する場合でも、バッテリシステムは動作できる。例えば、コネクタの1つが抜かれた場合、または、バッテリブロックの1つがオフラインになった場合でも、他のバッテリブロックは、(オフラインのバッテリブロックによる影響を受けすことなしに)独立的に作動できる。さらに、バッテリブロックが不均衡になった場合(例えば、1つの健全性が他の3つよりも低い場合)に、1つのバッテリブロックの弱点が、その他のバッテリブロックの有効性を制限することがない。
【0116】
本明細書に記載のモジュール式バッテリストレージ設計には、様々な利点がある。例えば、本明細書に記載のバッテリブロックおよびバッテリモジュールの設計には、様々な熱的利点がある。上述のように、正常な熱的動作中、空気が、カンまたはモジュールの外面を直接的に通過する。これは、バッテリモジュールを保持するカンが、典型的には、別の密閉された筐体の中にさらに含まれている既存のバッテリシステムとは対照的である。ここで、この例では、別の筐体の中にモジュールが配置されてはいない。これは、様々な利点を提供する。例えば、さらなる筐体を作る必要がない。別の利点としては、除去されるセルの熱と周囲空気との間の層の数が削減される。本明細書に記載のバッテリモジュール設計および冷却は、既存のバッテリシステムと比較して、熱的に効率がよく、質量コスト効率も高い。
【0117】
さらに、本明細書に記載の冷却設計を用いると、熱イベントおよび排出ガスが管理されるだけでなく、環境暴露も管理される。これは、本明細書に記載のセーフティケースを管理するために内部カンを用いる既存のバッテリシステムとは異なる。既存のカンは、典型的に、完全には密閉されておらず、または、カン自体が、腐食損傷を受けやすく、そのため、さらに別の密閉された箱が必要になるが、これは、本明細書に記載のバッテリ設計を用いれば必要がない。
【0118】
設置の容易さの向上も、本明細書に記載のバッテリシステム設計によって促進される。例えば、本明細書に記載のバッテリブロックを用いると、設置者は簡単に、バッテリブロックを取り、壁に掛け、次いで、バッテリブロックおよびインバータに配線ハーネスをプラグインする。さらに、設置者は、タッチセーフな配線ハーネスコネクタを差し込むだけでよいので、設置の安全性も向上する。さらに、バッテリブロックを接続するこの部分には、電気技師は必要ない。例えば、インバータが設置され、建物内へ配線された後には、配線ハーネスを容易にプラグインできる。
【0119】
上述したのは、バッテリアセンブリ(例えば、バッテリブロック)の実施形態である。いくつかの実施形態において、バッテリアセンブリは、実質的に平坦なモジュールのスタックを備える。各モジュールは、内部のバッテリパウチのセットと、上部の断熱層と、底部の断熱層と、を有する。各モジュールは、さらに、熱伝導材料を備えた側面領域を備える。各モジュールは、さらに、熱伝導シェルを有する。熱伝導シェルは、金属で形成されてよい。シェルは、底面、側面、前面、背面、および、上面を有する。いくつかの実施形態において、シェルの前面は、電極などの電気接続を収容するモジュールの端子側である。電極を介して、モジュールは、互いに(例えば、直列に)接続されてよく、それらの出力は、上述のように、バッテリアセンブリのDC-DCコンバータに提供される。シェルの背面は、モジュールの通気側または熱交換器側を含み、そこからガスが放出または排気される。いくつかの実施形態において、シェルは、噴出バルブと連通している。噴出バルブは、モジュールのすべてに共通する共通排気ディフューザと連通している。いくつかの実施形態において、後方噴出バルブは、密閉された通路と連通している。密閉された通路は、ガスをバルブから排気ディフューザへ方向付ける。
【0120】
いくつかの実施形態において、熱吸収材料が、モジュールのシェルの上部に含まれている。いくつかの実施形態において、熱吸収材料は、相変化液体(蒸発または気化する液体など)を含む。
【0121】
いくつかの実施形態において、バッテリアセンブリは、熱が内部のバッテリパウチから熱交換器への外側へ伝達されるように、モジュールの側面に沿って空気を流れさせる強制エアシステムを備える。これは、正常動作中にバッテリアセンブリを冷却し、ここで、モジュールのシェルは、外側の周囲空気と直接的に連通している。すなわち、バッテリパウチセルを密閉する同じ熱伝導シェルが、熱放散と、バッテリパウチからの熱の伝達とを可能にするために、熱伝導性にもなっている。さらに、排出ガスは、(他の用途(自動車空間および航空機空間など)での既存のバッテリシステムの場合のように、排出ガスを管理するための別の外側シェルを有するのではなく)熱伝導性の密閉シェル内で管理される。いくつかの実施形態において、バッテリアセンブリは、通気式のシールドによってカバーされている。
【0122】
セル温度調整
【0123】
上述したのは、周囲空気を用いてバッテリブロックのモジュール内のセルを冷却する実施形態である。例えば
図4Bおよび
図4Cに関連して上述したように、ファン404は、バッテリブロックの右側から、(シェルが熱伝導性である)バッテリモジュールの側面を横切って、電力エレクトロニクス機器(例えば、DC-DC電力コンバータ)が取り付けられているヒートシンクを越え、その後、バッテリブロックの左側へ、空気を引くために用いられる。このように、ファンによって引き込まれた周囲空気は、バッテリブロック内のバッテリセルおよび電子機器の両方を冷却するために用いられる。
【0124】
上述の冷却構成において、ファンは、本明細書で「順」方向と呼ばれる方向に動作する。いくつかの実施形態において、ファンは、「順」方向および「逆」方向の両方に動作しうる両方向ファンである。後に詳述するように、本明細書に記載のセル温度制御技術と共に、かかる両方向ファンを利用すれば、バッテリセルの冷却だけでなく、バッテリセルの加熱することも、所望の範囲内にセルの温度を維持することも可能になる。例えば、両方向ファンは、所望の温度制御の目的または目標を達成するために、様々な速度で様々な期間にわたって異なる方向に動作されてよい。
【0125】
以下は、セル温度調整に関するさらなる詳細である。
【0126】
セル加熱
【0127】
いくつかの実施形態において、両方向ファン404を逆に動作させることによって、バッテリモジュールのセルの加熱が促進される。例えば、
図4Cの例において、ファンが「順」方向に動作されると、周囲空気がバッテリブロックの右側から引き込まれ、そこで、空気は、バッテリモジュールのチャネルに沿って流れ、バッテリセルから熱を吸収して、バッテリセルを冷却する。次いで、空気は、DC-DC電力コンバータおよびその他のパワー電子機器が取り付けられているヒートシンクを通り過ぎるよう駆動され、そこで、DC-DC電力コンバータからの廃熱が空気に伝達される(それにより、DC-DCコンバータを冷却する)。次いで、加熱された空気は、バッテリブロックの左側から押し出される。
【0128】
ファンが逆方向に動作されると、周囲空気が、ファンによって、バッテリブロックの左側から引き込まれる(ここで、化粧カバーの左側の開口部は、この時、流入口であり、化粧カバーの右側の開口部は、この時、流出口である)。次いで、周囲空気は、DC-DC電力コンバータによって生成された廃熱によって加熱される。次いで、加熱された空気は、ファンによって引かれ、右に押され、その結果、加熱された空気は、バッテリモジュールを通過し、それにより、セルを加熱させる。
【0129】
この例において、引き込まれた周囲空気を加熱するための熱源は、DC-DC電力コンバータの廃熱である。他の実施形態において、バッテリブロックが、空気を加熱するための専用ヒータを備える。DC-DC電力コンバータは、単独で、または、専用ヒータと併せて、用いられてよい。すなわち、様々な実施形態において、ファンによって引き込まれた空気を温めるために用いられる加熱エネルギは、(例えば、DC-DC電力コンバータの稼働に基づく、または、意図的に低効率でDC-DC電力コンバータを稼働させることによる)DC-DCの廃熱、ファンの廃熱、指定のヒータ、などに由来してよい。
【0130】
別の例として、いくつかの実施形態において、セルにわたって引かれる空気を暖めるための熱源は、専用の補助加熱素子(加熱コイルなど)であってもよい。いくつかの実施形態において、補助加熱素子は、バッテリパック内に配置される。別の例として、ヒートポンプが、バッテリセルを加熱するために用いられる。かかる専用ヒータを主熱源として利用することは、空気によって伝達される制御電子機器からの熱に依存するよりも効率的でありうる加熱を提供する。
【0131】
以下は、バッテリブロックのDC-DC電力コンバータによって生成される廃熱を増加させるための技術の例である。いくつかの実施形態において、DC-DC電力コンバータは、意図的に低い効率(例えば、ゼロ効率)で稼働され、それにより、DC-DC電力コンバータをヒータとして利用する。例えば、DC-DC電力コンバータは、ゼロの正味スループットを有するように動作される。しかしながら、電流が高周波数でコンバータ内を流れている時、これは、正味電力をプッシュすることなしに損失(廃熱)を生み出す。これは、廃熱へ出力される電力の観点からは非効率的であるが、この加熱シナリオでは望ましい。
【0132】
いくつかの実施形態において、両方向ファンは、セル冷却のための順方向で高効率であればよい。逆方向モードにおいて、ファンの非効率は、加熱を促進するのに役立ちうる。例えば、セルの加熱のために両方向ファンを用いる場合、より低いファン効率が許容される。いくつかの実施形態において、DC-DC電力コンバータおよび両方向ファンは、廃熱を生成するように意図的に低い効率で動作される。この場合、指定のヒータは必要とされなくてもよい。例えば、ファンが逆方向で動作する時に低効率であれば、電気が熱に変えられて、バッテリセルを加熱する目的に寄与する。
【0133】
両方向ファンを逆方向に動作させることによるセルの加熱は、様々な理由で、様々な制御目標を達成するために実行されてよい。
【0134】
低温始動加熱
【0135】
いくつかの実施形態において、逆方向に両方向ファンを作動させることは、寒冷時の低温始動のための加熱を提供するために利用される。いくつかの実施形態において、逆方向でのファンの作動は、寒冷時の低温始動のための主要セル加熱技術である。他の実施形態において、逆方向での両方向ファンの作動は、ヒータ、ヒートポンプ、熱電加熱素子などの主要セル加熱技術と併用される補助的なセル加熱技術として利用される。
【0136】
図4Cの例を参照すると、ファンが寒冷時に逆方向に動作されると、冷たい空気がファンによってバッテリブロックに引き込まれ、そこで、空気は、DC-DC電力コンバータおよび/または専用ヒータからの熱によって温められ、次いで、バッテリセルの上に押されてセルを温め、そこで、次に、空気は、右に進み続け、バッテリブロックから排気される。
【0137】
この低温始動の例において、周囲空気は冷たい。いくつかの実施形態において、周囲空気が冷たい時、ファン速度は、超低速に調整される。このように、空気は、バッテリブロックの反対側から流れ出る前に、その熱の大部分をバッテリモジュールに渡すように、バッテリブロックをゆっくりと通される。いくつかの実施形態において、ファンは、ファンをパルスさせる(例えば、ファンを一度に4分の1回転させる)ことによって超低速で作動される。周囲空気が冷たいこの場合に、DC-DC電力コンバータは、ファンが低速で動作している(および電力コンバータ上での空気流量/毎分立方フィート(CFM)が低い)時でも、冷たい空気によって冷却される。
【0138】
周囲温度がそれほど低くない(そして、エネルギストレージシステムの低温始動が実行されていない)が、セルを加熱した方がよい他の熱状態において、ファンは、逆モードであるが、DC-DC電力コンバータの冷却を可能にするためにより高速で作動されてよい。
【0139】
エネルギ利用効率は低くなりうるが、それでも、DC-DCの廃熱すべてを周囲空気に放出する(DC-DCの廃熱の100%が無駄になる)よりも最適でありうる。さらに、バッテリセルおよびDC-DC電力コンバータの両方が冷却される順方向モードでファンを作動させることに比べて、逆方向モードでは、DC-DC電力コンバータは、その場合でも冷却されうるが、バッテリセルは、冷たい周囲空気に直接さらされず、代わりに、DC-DC電力コンバータによって生成された廃熱によって温められた空気にさらされる(すなわち、順方向にファンを動作させる(この場合、バッテリセルは、加熱されていない冷たい周囲空気にさらされる)のと比べて改善される)。
【0140】
セル温度調整
【0141】
上述したのは、バッテリセル/ブロックの加熱および冷却を支援するために両方向ファンを利用する実施形態である。より一般に、セル温度制御が、本明細書に記載の技術を用いて提供されてよい。いくつかの実施形態において、後に詳述するように、バッテリセルを冷却および加熱することに加えて、両方向ファンは、セルの温度を所望の範囲に維持するように制御されてよい。
【0142】
すなわち、両方向ファンは、全体的なセル温度制御に用いられてよい。例えば、エネルギストレージシステムの正常動作中、バッテリセルの温度を所望の温度範囲に(例えば、最適なセル性能のための最適な温度範囲に)維持することが有益でありうる。両方向ファンは、所望の空気温度を達成するために、順方向、ゼロ、および、逆方向の空気流で、セルを冷却または加熱するように、両方の方向および流量でシームレスに動作されうる。例えば、ファンの流量は、ファンRPM(毎分回転数)を、所望の通りに連続的または段階的に両方向に変化させることによって調節されてよい。さらに、(空気がセルを加熱する前の)所望の空気気温度は、空気加熱電力および空気流量を調整することによって達成されてよい。
図14に関連して以下で詳述するように、流れの方向、流量、および、空気ヒータ電力が、セルが健全な温度範囲で動作することを可能にするために、温度制御ロジックによって制御されてよく、ここで、異なる目的(例えば、安全性、寿命、電力、容量、SOC(充電状態)、平衡、複合的な性能、など)のための異なる範囲が存在してよい。
【0143】
所望のセル温度範囲の維持および温度均一性の改善
【0144】
いくつかの実施形態において、正常動作(または比較的低い温度での動作)中に、ファンの方向およびファンの速さ/速度は、間欠的または連続的に(例えば、-10CFMから+10CFMの間でスイープすることによって)調節される。ファンのかかる調節は、セルが、バッテリモジュールのセルにわたって小さい温度変動を有する最適温度域で動作することを可能にする(ここで、かかる変動は、本明細書で「デルタT」または「ΔT」とも呼ばれる)。いくつかの実施形態において、ファンは、バッテリブロック内の全体圧力が、全体圧力を低下させる(それにより、外部の空気を引き込ませる)ことのなく維持されるように、プッシュプルモードで作動される。
【0145】
バッテリセルの温度を特定の温度範囲内に調整/制御する能力は、様々な利点を有する。例えば、セルにわたるΔTは、セルの健全性を維持して寿命を延ばすように調整されてよい。これは、ファンを交互に動作させる(例えば、定期的にファンを間欠的に反転させる)ことによって達成されてよく、その結果として、セルのデルタTが低減される。このように、二方向の空気流を有することにより、温度勾配が、(バッテリモジュールの一端から他端への温度勾配につながる一方向の空気流と比較して)低減される。
【0146】
セル温度調整の別の例として、ファンの方向を交互に変化させるのではなく、バッテリブロックは、空気がバッテリブロック内で再循環される閉じた空気ループシステム(後に詳述する)に変形され、バッテリブロックの温度をより均一にする。いくつかの実施形態において、ファンの速度は、制御目標(最大電力密度または電力出力など)を容易にするために調節されてもよい。
【0147】
温度制御ロジック
【0148】
上述のように、両方向ファンのファンパラメータ(RPM(毎分回転数)および方向など)を調節することにより、ファンは、いずれかの方向に空気を駆動し、または、様々な目的で間欠的に空気の方向を切り替えることができる。いくつかの実施形態において、ファンは、温度制御ロジックに従って駆動される。いくつかの実施形態において、温度制御ロジックは、温度制御システムによって実行される。いくつかの実施形態において、温度制御システムは、コンピューティングモジュールに実装され、ここで、コンピューティングモジュールは、インバータの一部であってよい。いくつかの実施形態において、温度制御システムは、バッテリブロックレベルで温度を制御するよう構成されており、ここで、各バッテリブロックの温度は、その他のブロックから独立して調整されてよい。また、温度制御システムは、各バッテリブロックを個別に監視し、各バッテリブロックの個別制御を提供することによってエネルギストレージシステムの全体の冷却を調整してよい。また、温度制御システムは、エネルギストレージシステムのブロックのサブセットをグループとして制御し、または、各ブロックの加熱/冷却システムの全体の動作モードを決定してよい。
【0149】
いくつかの実施形態において、温度制御システムは、所与のブロックについて、バッテリブロックの加熱/冷却のための動作のモードを決定してよく、ここで、両方向ファンは、異なる動作モードに対して異なる方法で制御される。異なる温度調整状態/モードの間で移行する時を決定するための様々なトリガが存在してよい。セル温度制御のためのロジックの実施形態に関するさらなる詳細を以下に記載する。
【0150】
図14は、両方向ファンの制御およびロジックの一例を示す。この例では、3つの動作モード(状態)が存在する。温度制御システムは、その他のモード(状態)で動作してもよい。いくつかの実施形態において、各モードは、さらに、異なる条件を有する1または複数のサブモードを含む。以下は、温度調整モードの例である。
【0151】
状態1(1402)。セル冷却のための順ファン方向(空気流)
【0152】
状態2(1404)。セル加温のための逆ファン方向(空気流)
【0153】
状態3(1406)。例えば、セル温度勾配を低減してセル温度均一性(デルタT)を改善するための振動ファン方向(空気流)これは、間欠的または連続的にファンの方向を交互に振動させることを含む。
【0154】
様々な実施形態において、制御ロジックの入力および出力は、以下を含む。
【0155】
■入力
【0156】
○監視されている値-様々な実施形態において、温度制御システムは、以下を監視する。
【0157】
●周囲温度
【0158】
●バッテリセル温度場
【0159】
●DC-DC電力コンバータ温度
【0160】
●充電状態(SOC)、健全性状態(SOC)、電力状態(SOP)、および、エネルギ状態(SOE)などのバッテリ状態。監視されるバッテリ状態は、電圧、抵抗などの電気的特性を含んでもよい。
【0161】
●ΔT。いくつかの実施形態において、ΔTは、バッテリセルの任意の2点の間の最大差である。いくつかの実施形態において、ΔTは、温度センサを用いて測定される。他の実施形態において、ΔTは、モデルに従って予測される。
【0162】
○制御目標(例えば、バッテリ寿命、最大電力密度、最大性能、など)。
【0163】
■出力。様々な実施形態において、温度制御システムは、以下を調節する。
【0164】
○ファンの方向およびファンのRPMなど、ファン制御パラメータ。いくつかの実施形態において、温度制御システムは、ファンの動作を制御するためのファンコントローラへ命令を出力する。一例として、ファンがステッパモータを備える(ここで、ファンを特定の方向に運動させるために適切な時間に1セットのスイッチがオン・オフされる)場合、適切な制御パターンが、ファンの方向および速度を制御するためにファンコントローラへ送信されてよい。別の例として、PWM(パルス幅変調)ファンについて、出力は、ファンコントローラへの入力として提供されたデューティサイクルであってよく、ここで、ファンコントローラは、デューティサイクルを読み込み、それに従ってファンを動作させる。
【0165】
○開いた空気ループシステムまたは閉じた空気ループシステムへバッテリブロックを変換することに関して、後に詳述するように、バッフル、バルブ、ダンパなどの開度など、閉/開ループパラメータ
【0166】
以下は、システム状態および制御目標に応じて、状態間を切り替えるためのトリガの例である。
【0167】
■1==>2。エネルギシステム状態/状況:大気温度が、低い周囲温度閾値より低い。制御目標:バッテリの加熱を実行すべきである。
【0168】
■2==>1。エネルギシステム状態/状況:周囲温度が、高い空気温度閾値より高い。制御目標:バッテリを冷却すべきである。
【0169】
■1==>3、かつ、2==>3。エネルギシステム状態/状況:温度は適度であるが、セル温度勾配(ΔT)が大きい。制御目標:振動する空気流を用いて、温度均一性を低減すべきである。
【0170】
■3==>1。エネルギシステム状態/状況:バッテリ温度勾配(ΔT)は制限範囲内にあるが、セルを冷却すべきである(制御目標)。
【0171】
■3==>2。エネルギシステム状態/状況:バッテリ温度勾配(ΔT)は制限範囲内にあるが、セルを加熱すべきである(制御目標)。
【0172】
上記のロジック例に示すように、異なる動作モードのための異なる制御アルゴリズムが存在する。
【0173】
上述した温度制御ロジックと共に両方向ファンを利用することで、様々な利点がある。例えば、ハードウェア、ソフトウェア、および、ファームウェアになすべき修正が最低限なので、実装の複雑さが最小限に抑えられうる。さらに、様々な動作モードの柔軟性が許容される。
【0174】
いくつかの実施形態において、出力は、バッテリの加温とパワー電子機器の冷却とのバランスを取るように制御される。例えば、低い空気流量を有することは、バッテリを温かい温度に維持するのに有利でありうる。しかしながら、これは、DC-DC電力コンバータにとって最適ではなく、コンバータは、熱くなりうるため、(例えば、信頼性の目的で)冷却される必要がありうる。いくつかの実施形態において、DC-DCコンバータの温度も測定され、ここで、必要とされる冷却の量が、必要とされる空気流量を決定するために用いられてよい。上記の例に示されるように、いくつかの実施形態において、ファンの方向は、外部の温度およびセルの温度にも基づいてよい。
【0175】
閉じた空気ループ構成
【0176】
いくつかの実施形態において、バッテリブロックは、開いた空気ループモードまたは閉じた空気ループモードで動作されうるように実装されている。後に詳述するように、ダクト、ダンパ、バルブなどが、開いた空気ループモードから閉じた空気ループモードへ、および、その逆へ、バッテリブロックを変換するために用いられてよい。
【0177】
閉じた空気ループでエネルギストレージシステム(およびそのバッテリブロック)を動作させる能力には、様々な利点がある。例えば、加熱モード時に、閉じたループ内に熱が閉じ込められ、エネルギ利用が、熱の多くが周囲空気/環境に伝達されうる「エアイン・アウトアプローチ」(例えば、開放空気モード)に比べて、はるかに高くなる(例えば、~100%)。また、閉じた空気ループシステムの利用は、DC-DC電力コンバータを冷却すべきであるがバッテリを加熱すべきである状況で有利でありうる。いくつかの実施形態において、(大きい熱質量を有する)冷たいバッテリが、熱くなっているDC-DCパワー電子機器を冷却するためのヒートシンクとして用いられてよい。
【0178】
閉じた空気ループシステムは、セルが所望の温度域/範囲で動作するのを助ける目的で、または、その他の温度制御目標/目的を達成する目的で、空気流の方向および流量を調節するために、両方向ファンと組み合わせられてよい。いくつかの実施形態において、ファンの方向および速度は、バッテリブロックが、(例えば、ダクト、バルブ、ダンパ、フラップ、などの制御によって)開いた空気ループモードにあるか、または、閉じた空気ループモードにあるかに併せて、上述の温度制御ロジックによって制御される。
【0179】
図15A~
図15Cは、開いたループモードまたは閉じたループモードのいずれかで作動されうるシステムの一実施形態を示す。
図15A~
図15Cの例において、バッテリブロックは、開/閉されうる再循環ダクトおよび開口部を備える。これは、(開時には)順方向および逆方向の両方の空気流を可能にし、(閉時には)循環動作モードを可能にする。例えば、バッテリブロックは、流出ポートおよび流入ポートを互いに接続するための配管を備える。再循環の場合、外部から空気を引くのではなく、ファンは、循環ファンとして機能し、バッテリから電子機器へ空気を循環させることによって、バッテリブロック内部の温度を平均化する。また、フラップが、流入ポート/排気ポートを閉じるために用いられてもよい。再循環のための閉じた空気ループモードに関するさらなる詳細については、
図15Cに関連して後述する。
【0180】
図15Aは、冷却のための開いた空気ループ動作モードの一実施形態を示す。この例では、バッテリブロックの上面図が示されており、ここで、ブロックが取り付けられている壁が、裏側にある。この例において、バッテリブロックは、前側再循環ダクト1502、裏側再循環ダクト1504、左開口部1506、および、右開口部1508を備える。
【0181】
この例において、バッテリブロックは、開いた空気ループモードにあり、ここで、開口部1506および1508は開かれ、再循環ダクト1502および1504は閉じられている。冷却のこの例において、ファン1510は、「順」方向に動作し、空気を右から左へ駆動する。この順方向にある時、セルは、
図4Cに関連して説明したのと同様に、冷却される。
【0182】
図15Bは、加熱のための開いた空気ループモードの一実施形態を示す。この例において、バッテリブロックは、開いた空気ループモードにあり、ここで、開口部1506および1508は開かれ、再循環ダクト1502および1504は閉じられている。この例において、ファン1510は、「逆」方向に作動され、空気を左から左へ駆動する。上述のように、このモードで動作している時、セルは、DC-DC電力コンバータ廃熱および/または特定のヒータなどの熱源からの熱を用いて加熱される。
【0183】
図15Cは、閉じた空気ループ動作モードの一実施形態を示す。閉じた空気ループモードの例に示すように、開口部1506および1508は閉じられ、再循環ダクト1502および1504は開いている。このように、ポート1506および1508を閉じることにより、ブロック内で流れる任意の空気が、バッテリブロックから出ず、その代わりにバッテリブロック内で再循環される。この例において、ファン1510は、左から右へ空気を押す。ファンは、右から左へ空気を押すこともできる。例えば、循環ダクト1502および1504内の空気の流れは、ファンが動作されている方向に応じて、右から左、または、左から右でありうる。したがって、(例えば、裏側の側面チャネルと裏側の再循環ダクトとの間の)裏側サブ空気ループ、および、(例えば、前側の側面チャネルと前側の再循環ダクトとの間の)前側サブ空気ループにおいて、空気流は、ファンの方向に応じて、時計回りまたは反時計回りでありうる。いくつかの実施形態において、示図に示す閉じたループモードにおいて、空気は、一方向へ連続的に流されてよく、または、空気流の方向は、例えば、ファンの方向を買えることによって、間欠的に切り替えられてもよい。間欠的に空気流を切り替えることは、セル温度の均一性を助けるのに有益でありうる。
【0184】
再循環ダクトは、単一のダクトまたは複数のより小さいダクトとして実装されてよい。いくつかの実施形態において、再循環ダクトは、別個の部品であり、もしくは、単一の部品または構成要素として(バッテリモジュールの)側面チャネルと組み合わせられる。
【0185】
(空気流が再循環ダクトを通ることができるように再循環ダクトを開閉するための)再循環ダクトのためのバルブ/ダンパは、再循環ダクトに沿って任意の場所に配置されてよい。バルブ/ダンパは、ダクトとは別個であってよく、または、組み合わせられた部品として一体化されてもよい。
【0186】
いくつかの実施形態において、バルブ/ダンパ開口部は独立制御可能である。これは、前後の分岐に対する空気流量の制御を向上させうる(これは、前側およ裏側は異なる温度要件を有しうるので、前側のセル対裏側のセルについてセル温度の均一性を改善することを容易にしうる)。)
【0187】
図16A~
図16Bは、開いたループモードまたは閉じたループモードで作動されうるシステムの別の実施形態を示す。この例において、バッテリブロックは、化粧カバーを再循環ダクト壁として利用する。この例においては、単一の再循環経路が存在する。ダンパ/バルブが、再循環経路を開閉するために、再循環経路に配置されている。
【0188】
図16Aは、開いたループ動作モードの一実施形態を示す。この例では、(a)化粧カバーが、再循環ダクト壁として利用され、(b)この例では、1つの再循環経路が、前側に示されており、(c)この例では、ダンパ/バルブ1606が、循環経路内にあり、再循環経路を開閉するために用いられる。ファンの方向は、セルの加熱が実行されるか、冷却が実行されるかを決定する。この例では、開口部1602および1604は開いており、ダンパ1606は閉じられて、再循環経路を閉じている。この開いた空気ループ構成で、セルは、空気を左から右へ駆動させる方向など、或る方向にファン1608を動作させることによって温められてよい。セルは、(空気が右から左へ駆動される)逆方向にファン1608を動作させることによって冷却されてよい。
【0189】
図16Bは、閉じたループ動作モードの一実施形態を示す。この例では、開口部1602および1604は閉じられており、ダンパ/バルブ1606は開いている(再循環経路/ダクトが開くことを可能にしている)。これは、空気がバッテリブロック内で再循環されることを可能にすることで、セルにわたる温度をより均一にし、バッテリセルにわたるデルタTを低減する。ファン1608は、バッテリブロック内の空気の循環を促進するために、様々な方向に動作されてよい(または、振動するように動作されてよい)。
【0190】
以下は、
図15A~
図15Cおよび
図16A~
図16Bに関連して上述した温度制御実施例に関するさらなる詳細である。閉じた空気ループシステムをセル加熱のために利用することは、様々な利点(開いた空気ループ構成よりも高いエネルギ利用効率など)を有する。
【0191】
いくつかの実施形態において、各再循環ダクトは、1つの単一ダクトまたは複数のより小さいダクトでありうる。いくつかの実施形態において、各再循環ダクトは、独立型の部品であってよく、または、単一の部品として側面チャネルと組み合わせられてもよい。
【0192】
各再循環ダクトのためのバルブ/ダンパは、再循環ダクトに沿って任意の場所に配置されてよく、ここで、バルブ/ダンパは、流入口または流出口にある必要はない。バルブ/ダンパは、線形であっても、角度がついていてもよい。様々な実施形態において、バルブ/ダンパは、モータ駆動(例えば、直線運動または回転運動)、パッシブ(例えば、サーモスタット)、または、手動である。いくつかの実施形態において、モータ駆動バルブ/ダンパと共に、省電力手段が実装され、ここで、モータ駆動バルブ/ダンパは、状態切り替えのためだけにエネルギを消費する。例えば、開プロセスまたは閉プロセス中にのみエネルギを消費し、開状態または閉状態を維持するためにはエネルギを消費しない省電力バルブ/ダンパが用いられてよい。
【0193】
いくつかの実施形態において、前側および裏側のセルは、異なる熱要件(例えば、異なる周囲温度、風速、熱損失率、など)を有しうるので、前側および裏側の再循環経路のためのバルブ/ダンパ開口部は、独立制御可能である。
【0194】
いくつかの実施形態において、各バルブ/ダンパは、独立型である。他の実施形態において、複数のバルブ/ダンパが、1つの一体的なバルブ/ダンパとして組み合わせられてもよい。
【0195】
いくつかの実施形態において、異なるブロック内の同じダンパ/バルブ(各ブロック内の同じ位置にあるダンパ/バルブ)は、同時に開/閉されうる(例えば、上述の温度制御ロジックによってグループとして制御されうる)ように、互いに接続されている。いくつかの実施形態において、各バッテリブロック内の個々のバルブ/ダンパは、一緒に開/閉されうるように、互いに接続されている。他の実施形態において、各ダンパ/バルブは、独立制御可能である。
【0196】
上記の例に示すように、いくつかの実施形態において、化粧カバーは、(主翼外板がガスタンク壁として機能する航空機の翼におけるガスタンクと同様に)再循環ダクト壁として機能する。
【0197】
図15A~
図15Cの上記の例において、バッテリブロックは、2つの再循環ダクト(前側および裏側の両方)を備える。他の実施形態において、(例えば、
図16Bの例に示すように)単一の再循環ダクトが存在する。いくつかの実施形態において、バッテリブロックの間の空間は、再循環ダクト通路としても利用されてよい。
【0198】
いくつかの実施形態において、(例えば、再循環ダクトなしの)開いた空気ループフロー設計において、寒冷で風の強い天気の時にバッテリブロックに冷たい空気が入るのを避けるために、2つのダンパ(主要な流入口に1つ、および、主要な流出口に1つ)が、バッテリブロックに備えられる。
【0199】
上述の閉じたループ空気流バッテリブロック設計は、上述したように両方向ファンと併用されてよく、または、互いに独立して用いられてもよい。
【0200】
バスバー加熱
【0201】
以下は、バッテリセルを加熱するための技術のさらなる実施形態である。上述のように、いくつかの実施形態において、バッテリブロックは、様々なバッテリモジュールを一緒に接続するために用いられるバスバーを備える。一実施形態において、セルは、各バッテリセル上のタブに接続されたバスバーを加熱することによって加熱され、ここで、熱は、タブを通して直接的にセルへ伝えられる。いくつかの実施形態において、バッテリセルは、一端から加熱される。他の実施形態において、バッテリセルにわたる温度勾配を低減するために、加熱は、ゆっくりと実行される。別の実施形態において、バッテリモジュールは、両面加熱を容易にするように適合される。これは、バッテリセルにわたるデルタTを低減する。
【0202】
上述のように、本明細書に記載のバッテリセル冷却/加熱技術は、バッテリブロックレベルごとに実装される。すなわち、バッテリブロックの温度調整は、互いに独立して別個に制御されてよい。このように、バッテリブロックの各々の温度は、例えば、異なる流量で、独立制御されてよい。これは、エネルギストレージシステムが拡張可能であり、粒度の細かいレベルでの制御が容易であるので(ここで、加熱/冷却も拡張可能である)、様々な利点を提供する。
【0203】
上述の実施形態は、理解しやすいようにいくぶん詳しく説明されているが、本発明は、提供された詳細事項に限定されるものではない。本発明を実施する多くの代替方法が存在する。開示された実施形態は、例示であり、限定を意図するものではない。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギストレージアセンブリであって、
実質的に平坦なモジュールの垂直スタックを備え、
各モジュールは、
複数のエネルギストレージ構成要素と、
シェル上部、シェル底部、シェル側面、シェル前面、および、シェル背面を備える熱伝導シェルと、
を備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記複数のエネルギストレージ構成要素は、バッテリパウチの内部セットを備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項3】
請求項1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、さらに、前記複数のエネルギストレージ構成要素の上方に上部断熱層を備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項4】
請求項1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、さらに、前記複数のエネルギストレージ構成要素の下方に底部断熱層を備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、さらに、前記エネルギストレージアセンブリの正常動作中に、熱が前記エネルギストレージ構成要素から熱交換器へ伝達されるように、前記シェルの側面の少なくとも1つに沿って空気を流れさせる強制エアシステムを備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項6】
請求項5に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記強制エアシステムは、さらに、ファンを備え、前記ファンは、前記シェルの側面の少なくとも1つに沿って前記空気を流れさせる、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項7】
請求項1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記熱伝導シェルは、密閉されている、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項8】
請求項1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、さらに、後方噴出
バルブと連通している前記シェル内の後部領域を備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項9】
請求項8に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記後方噴出バルブは、共通排気ディフューザと連通している、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項10】
請求項9に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記後方噴出バルブは、密閉された通路を介して、前記共通排気ディフューザと連通している、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項11】
請求項1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記シェルの上部は、熱管理ソリューションを配置するための形状を備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項12】
請求項11に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記シェルの上部は、前記熱管理ソリューションを配置するためのくぼみを備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項13】
請求項11に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記熱管理ソリューションは、熱吸収材料を備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項14】
請求項13に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記熱吸収材料は、相変化材料または気化液体の一方を備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項15】
請求項1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記エネルギストレージアセンブリは、通気式のシールドによって囲まれている、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項16】
請求項1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記モジュールは、周囲空気と連通している、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項17】
請求項1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、各モジュールは、さらに、仕切りを備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項18】
請求項17に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記仕切りは、モジュールを2つのサブモジュールに分割する、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項19】
請求項17に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記仕切りは、内壁を備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項20】
請求項1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、さらに、前記モジュールの前面および背面に沿って伸びる2つのフレームを備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項21】
請求項20に記載のエネルギストレージアセンブリであって、フレームは、前記エネルギストレージアセンブリを壁取り付けブラケットから吊すよう適合されているフックを備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項22】
請求項20に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記2つのフレームは、前記モジュールを支持する、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項23】
請求項1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、各モジュールは、さらに、DC-DCコンバータを備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項24】
請求項1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、さらに、電気ポートを備え、前記エネルギストレージアセンブリは、配線ハーネスを介して第2バッテリアセンブリに接続され、前記配線ハーネスは、前記エネルギストレージアセンブリの前記電気ポートにプラグ接続するためのコネクタを備える、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項25】
請求項24に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記エネルギストレージアセンブリは、前記配線ハーネスを介してインバータに接続されている、エネルギストレージアセンブリ。
【請求項26】
請求項1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、各モジュールは、さらに、センサポートを備える、エネルギストレージアセンブリ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0129
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0129】
この例において、引き込まれた周囲空気を加熱するための熱源は、DC-DC電力コンバータの廃熱である。他の実施形態において、バッテリブロックが、空気を加熱するための専用ヒータを備える。DC-DC電力コンバータは、単独で、または、専用ヒータと併せて、用いられてよい。すなわち、様々な実施形態において、ファンによって引き込まれた空気を温めるために用いられる加熱エネルギは、(例えば、DC-DC電力コンバータの稼働に基づく、または、意図的に低効率でDC-DC電力コンバータを稼働させることによる)DC-DCの廃熱、ファンの廃熱、専用ヒータ、などに由来してよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0132
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0132】
いくつかの実施形態において、両方向ファンは、セル冷却のための順方向で高効率であればよい。逆方向モードにおいて、ファンの非効率は、加熱を促進するのに役立ちうる。例えば、セルの加熱のために両方向ファンを用いる場合、より低いファン効率が許容される。いくつかの実施形態において、DC-DC電力コンバータおよび両方向ファンは、廃熱を生成するように意図的に低い効率で動作される。この場合、専用ヒータは必要とされなくてもよい。例えば、ファンが逆方向で動作する時に低効率であれば、電気が熱に変えられて、バッテリセルを加熱する目的に寄与する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0160
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0160】
●充電状態(SOC)、健全性状態(SOH)、電力状態(SOP)、および、エネルギ状態(SOE)などのバッテリ状態。監視されるバッテリ状態は、電圧、抵抗などの電気的特性を含んでもよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0203
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0203】
上述の実施形態は、理解しやすいようにいくぶん詳しく説明されているが、本発明は、提供された詳細事項に限定されるものではない。本発明を実施する多くの代替方法が存在する。開示された実施形態は、例示であり、限定を意図するものではない。
[適用例1]エネルギストレージアセンブリであって、
実質的に平坦なモジュールの垂直スタックを備え、
各モジュールは、
複数のエネルギストレージ構成要素と、
シェル上部、シェル底部、シェル側面、シェル前面、および、シェル背面を備える熱伝導シェルと、
を備える、エネルギストレージアセンブリ。
[適用例2]適用例1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記複数のエネルギストレージ構成要素は、バッテリパウチの内部セットを備える、エネルギストレージアセンブリ。
[適用例3]適用例1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、さらに、前記複数のエネルギストレージ構成要素の上方に上部断熱層を備える、エネルギストレージアセンブリ。
[適用例4]適用例1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、さらに、前記複数のエネルギストレージ構成要素の下方に底部断熱層を備える、エネルギストレージアセンブリ。
[適用例5]適用例1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、さらに、前記エネルギストレージアセンブリの正常動作中に、熱が前記エネルギストレージ構成要素から熱交換器へ伝達されるように、前記シェルの側面の少なくとも1つに沿って空気を流れさせる強制エアシステムを備える、エネルギストレージアセンブリ。
[適用例6]適用例5に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記強制エアシステムは、さらに、ファンを備え、前記ファンは、前記シェルの側面の少なくとも1つに沿って前記空気を流れさせる、エネルギストレージアセンブリ。
[適用例7]適用例1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記熱伝導シェルは、密閉されている、エネルギストレージアセンブリ。
[適用例8]適用例1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、さらに、後方噴出バリューと連通している前記シェル内の後部領域を備える、エネルギストレージアセンブリ。
[適用例9]適用例8に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記後方噴出バルブは、共通排気ディフューザと連通している、エネルギストレージアセンブリ。
[適用例10]適用例9に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記後方噴出バルブは、密閉された通路を介して、前記共通排気ディフューザと連通している、エネルギストレージアセンブリ。
[適用例11]適用例1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記シェルの上部は、熱管理ソリューションを配置するための形状を備える、エネルギストレージアセンブリ。
[適用例12]適用例11に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記シェルの上部は、前記熱管理ソリューションを配置するためのくぼみを備える、エネルギストレージアセンブリ。
[適用例13]適用例11に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記熱管理ソリューションは、熱吸収材料を備える、エネルギストレージアセンブリ。
[適用例14]適用例13に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記熱吸収材料は、相変化材料または気化液体の一方を備える、エネルギストレージアセンブリ。
[適用例15]適用例1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記エネルギストレージアセンブリは、通気式のシールドによって囲まれている、エネルギストレージアセンブリ。
[適用例16]適用例1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記モジュールは、周囲空気と連通している、エネルギストレージアセンブリ。
[適用例17]適用例1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、各モジュールは、さらに、仕切りを備える、エネルギストレージアセンブリ。
[適用例18]適用例17に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記仕切りは、モジュールを2つのサブモジュールに分割する、エネルギストレージアセンブリ。
[適用例19]適用例17に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記仕切りは、内壁を備える、エネルギストレージアセンブリ。
[適用例20]適用例1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、さらに、前記モジュールの前面および背面に沿って伸びる2つのフレームを備える、エネルギストレージアセンブリ。
[適用例21]適用例20に記載のエネルギストレージアセンブリであって、フレームは、前記エネルギストレージアセンブリを壁取り付けブラケットから吊すよう適合されているフックを備える、エネルギストレージアセンブリ。
[適用例22]適用例20に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記2つのフレームは、前記モジュールを支持する、エネルギストレージアセンブリ。
[適用例23]適用例1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、各モジュールは、さらに、DC-DCコンバータを備える、エネルギストレージアセンブリ。
[適用例24]適用例1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、さらに、電気ポートを備え、前記エネルギストレージアセンブリは、配線ハーネスを介して第2バッテリアセンブリに接続され、前記配線ハーネスは、前記エネルギストレージアセンブリの前記電気ポートにプラグ接続するためのコネクタを備える、エネルギストレージアセンブリ。
[適用例25]適用例24に記載のエネルギストレージアセンブリであって、前記エネルギストレージアセンブリは、前記配線ハーネスを介してインバータに接続されている、エネルギストレージアセンブリ。
[適用例26]適用例1に記載のエネルギストレージアセンブリであって、各モジュールは、さらに、センサポートを備える、エネルギストレージアセンブリ。
【国際調査報告】