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特表2024-536779少なくとも1つのラクタム、ジカルボン酸、および1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンを含有するコポリアミドおよびポリマーフィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】少なくとも1つのラクタム、ジカルボン酸、および1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンを含有するコポリアミドおよびポリマーフィルム
(51)【国際特許分類】
   C08G 69/40 20060101AFI20241001BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20241001BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
C08G69/40
C08J5/18 CFG
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516947
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 EP2022074683
(87)【国際公開番号】W WO2023041367
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】21197342.5
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ・ミンクヴィッツ
(72)【発明者】
【氏名】アフサネ・ナビファル
(72)【発明者】
【氏名】パウル・ノイマン
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン・リヒター
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・パンチェンコ
【テーマコード(参考)】
3E086
4F071
4J001
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086AD02
3E086BA04
3E086BA15
3E086BB85
4F071AA54
4F071AA55X
4F071AF08
4F071AF14
4F071AF16
4F071AH04
4F071BA01
4F071BB06
4F071BB07
4F071BB08
4F071BC01
4F071BC12
4J001DA02
4J001DB03
4J001DC05
4J001EA06
4J001EA08
4J001EB04
4J001EB06
4J001EB07
4J001EB08
4J001EB09
4J001EB36
4J001EB37
4J001EC24
4J001FA03
4J001FB03
4J001FC03
4J001GA12
4J001JA13
4J001JB06
4J001JB07
(57)【要約】
本発明は、ラクタム(A)とモノマー混合物(M)とを重合することによって製造され、モノマー混合物(M)が1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンを含むコポリアミド(CoPA)に関する。本発明はさらに、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)を含むポリマーフィルム、ポリマーフィルムを製造するための方法、およびポリマーフィルム(P)の包装フィルムとしての使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分:
(A)60~95重量%の少なくとも1つのラクタムおよび
(B)5~40重量%の、以下の成分を含むモノマー混合物(M):
(B1)少なくとも1つのC~C12ジカルボン酸、および
(B2)少なくとも1つのジアミン
(ここで、成分(B2)は1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンを含み、成分(A)および(B)の前記重量パーセントは、それぞれ成分(A)と(B)の前記重量パーセントの合計に基づく)
を重合することにより製造されるコポリアミド。
【請求項2】
成分(A)が6-アミノヘキサノラクタムおよび12-アミノドデカノラクタムからなる群から選択される、請求項1に記載のコポリアミド。
【請求項3】
成分(A)が6-アミノヘキサノラクタムである、請求項1または2に記載のコポリアミド。
【請求項4】
成分(B)が、いずれの場合も成分(B)の総モル量に基づいて、45~55モル%の範囲の成分(B1)と、45~55モル%の範囲の成分(B2)を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項5】
成分(B1)が、ブタン二酸(コハク酸)、ペンタン二酸(グルタル酸)、ヘキサン二酸(アジピン酸)、ヘプタン二酸(ピメリン酸)、オクタン二酸(スベリン酸)、ノナン二酸(アゼライン酸)、デカン二酸(セバシン酸)、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、およびイソフタル酸からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項6】
成分(B1)がヘキサン二酸(アジピン酸)である、請求項1から5のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項7】
ガラス転移温度(TG(c))を有し、前記ガラス転移温度(TG(c))が30℃~70℃の範囲である、請求項1から6のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項8】
溶融温度(TM(c))を有し、前記溶融温度(TM(c))が100℃~210℃の範囲である、請求項1から7のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項9】
請求項1から8の少なくとも一項に記載の少なくとも1つのコポリアミドを含むポリマーフィルム(P)。
【請求項10】
前記ポリマーフィルム(P)の厚みが、5μm~100μmの範囲である、請求項9に記載のポリマーフィルム(P)。
【請求項11】
前記ポリマーフィルム(P)が、キャスト法、ブロー法、マルチブロー法または二軸配向ポリアミドフィルム法により製造される、請求項9または10に記載のポリマーフィルム(P)。
【請求項12】
ポリマーフィルム(P)を製造するための方法であって、
i)請求項1から8の少なくとも一項に記載の少なくとも1つのコポリアミドを、溶融形態で押出機に準備するステップと、
ii)ステップi)で準備された前記少なくとも1つのコポリアミドを、溶融形態で前記第1の押出機からダイを通して押し出して、少なくとも1つのコポリアミドのフィルムを溶融形態で得るステップと、
iii)ステップii)で得られた溶融形態の前記少なくとも1つのコポリアミドの前記フィルムを冷却するステップであって、前記少なくとも1つのコポリアミドが固化して前記ポリマーフィルム(P)を得るステップ
を含む方法。
【請求項13】
請求項12に記載のポリマーフィルム(P)を製造するための方法であって、以下の追加のステップ:
(iv)前記ポリマーフィルム(P)を延伸して延伸ポリマーフィルム(SP)を得るステップ
を含む方法。
【請求項14】
ステップ(iii)とステップ(iv)が交互にまたは同時に行われる、請求項13に記載のポリマーフィルム(P)を製造するための方法。
【請求項15】
請求項9から11のいずれか一項に記載のポリマーフィルム(P)の包装フィルムとしての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラクタム(A)とモノマー混合物(M)とを重合することによって製造され、モノマー混合物(M)が1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンを含むコポリアミド(CoPA)に関する。本発明はさらに、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)を含むポリマーフィルム、ポリマーフィルムを製造するための方法、およびポリマーフィルム(P)の包装フィルムとしての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミドは、非常に良好な機械的特性を特徴とし、とりわけ、高い強度および靭性、良好な化学的安定性、ならびに高い耐摩耗性を有するため、産業界において特に重要である。これらは、例えば、釣糸、登山用ロープ、およびカーペットの裏地の製造に使用される。ポリアミドは、包装フィルムおよび包装スリーブの製造にも使用される。
【0003】
包装フィルムおよび包装スリーブとしての使用、ならびにそれらの製造方法の概要は、例えば、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,第2版,第7巻,73~127頁;第10巻,684~695頁(John Wiley&Sons,Inc.,1987)に記載されている。しかしながら、この文献に記載されているポリアミドフィルムは、非常に剛性が高く引裂伝播抵抗が低い。
【0004】
したがって、包装フィルムおよび包装スリーブについては、異なるポリアミドの特性を組み合わせたコポリアミドを使用することが一般的である。先行技術は、様々なコポリアミドを記載している。
【0005】
欧州特許第0 352 562号明細書には、コポリアミドから作製されたフィルムが記載されており、コポリアミドは、ε-カプロラクタム、好ましくは1から10重量部のダイマー酸およびジアミンから製造されている。このコポリアミドは、次にフラットフィルムまたはインフレーションフィルムの製造に使用することができる。これらは同様に、複合フィルムの製造に適している。独国特許第28 46 596号明細書には、カプロラクタム、脂肪酸二量体、およびヘキサメチレンジアミンのコポリアミドで作製された成形品が記載されている。しかしながら、記載された熱可塑性物質は、フィルムに押し出すことができない。
【0006】
米国特許第4 387 184号明細書には、多相ポリアミド組成物が記載されている。これらの多相ポリアミド組成物は、ポリアミドマトリックスと、同様にポリアミドを含むその中に分散した相とを含む。これらの多相ポリアミド組成物は、フィルムに加工することができる。米国特許第4 387 184号明細書に記載されているフィルムの欠点は、その透明性が低いばかりかまたは全くないことと、機械的特性も不十分であり、特に弾性率が高く、したがって剛性が高いことである。
【0007】
米国特許第5 888 597号明細書は、ポリアミドおよびポリエーテルブロックを含むポリマーに基づく熱可塑性フィルムを開示している。しかし、フィルムは機械的安定性が低いため、例えばポリエチレンまたはPVC骨格に適用される。
【0008】
欧州特許第0761715号明細書には、例えば、防水性レインウェアの製造のためのコポリエーテルアミドのフィルムが記載されており、この発明のフィルムの特性を達成するためには、少なくとも600、および6000以下の分子量を有するポリオキシアルキレンジアミン成分が必須である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第0 352 562号明細書
【特許文献2】独国特許第28 46 596号明細書
【特許文献3】米国特許第4 387 184号明細書
【特許文献4】米国特許第5 888 597号明細書
【特許文献5】欧州特許第0761715号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,第2版,第7巻,73~127頁;第10巻,684~695頁(John Wiley&Sons,Inc.,1987)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、先行技術に記載のポリマーフィルムの欠点が存在しないか、または程度が軽減されているポリマーフィルムの製造に特に適したポリアミドを提供することであった。また、ポリマーフィルムは、できるだけ簡単かつ安価に製造可能でなければならない。
【0012】
同様に、本発明の目的は、ポリアミドを含み、先行技術に記載のポリマーフィルムの欠点が存在しないか、または程度が軽減されているポリマーフィルム(P)を提供することであった。また、ポリマーフィルム(P)は、できるだけ簡単かつ安価に製造可能でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、以下の成分:
(A)60~95重量%の少なくとも1つのラクタムおよび
(B)5~40重量%の、以下の成分を含むモノマー混合物(M):
(B1)少なくとも1つのC~C12ジカルボン酸、および
(B2)少なくとも1つのジアミン
(ここで、成分(B2)は1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンを含み、成分(A)および(B)の前記重量パーセントは、それぞれ成分(A)と(B)の前記重量パーセントの合計に基づく)
を重合することによって製造されるコポリアミド(CoPA)によって達成された。
【0014】
さらに、この目的は、以下の成分:
(A)60~95重量%の少なくとも1つのラクタムおよび
(B)5~40重量%の、以下の成分を含むモノマー混合物(M):
(B1)少なくとも1つのC4~C12ジカルボン酸および
(B2)少なくとも1つのジアミン
(ここで、成分(B2)は1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンを含み、成分(A)および(B)の重量パーセントは、いずれの場合も、成分(A)および(B)の重量パーセントの合計に基づく)
を重合することによって製造される少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)を含むポリマーフィルム(P)によって達成された。
【発明の効果】
【0015】
驚くべきことに、本発明によるポリマーフィルム(P)は、高い水蒸気透過性と、透過性包装の製造に適した機械的特性を有することが見出された。特に、本発明によるポリマーフィルム(P)は、23℃および85%RHでASTM F 1249に従って測定して、水蒸気透過性(WVP)が、少なくとも2500 g*μm/(m2*d)、好ましくは少なくとも3000 g*μm/(m2*d)、より好ましくは少なくとも3500 g*μm/(m2*d)である。
【0016】
本発明のポリマーフィルム(P)はまた、高い引裂伝播抵抗を有する。さらに、本発明のポリマーフィルム(P)は、先行技術と比較して酸素透過性が低い。
【0017】
ASTM F 1927に従って測定される酸素透過性は、1500 cm3*μm/(m2*d*bar)未満、好ましくは1250 cm3*μm/(m2*d*bar)未満、より好ましくは1200 cm3*μm/(m2*d*bar)未満である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0019】
ポリマーフィルム(P)
本発明によれば、ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)を含む。
【0020】
本発明によれば、ポリマーフィルム(P)は、以下の成分:
(A)60~95重量%の少なくとも1つのラクタムおよび
(B)5~40重量%の、以下の成分を含むモノマー混合物(M):
(B1)少なくとも1つのC4~C12ジカルボン酸および
(B2)少なくとも1つのジアミン
(ここで、成分(B2)は1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンを含み、成分(A)および(B)の重量パーセントは、いずれの場合も、成分(A)および(B)の重量パーセントの合計に基づく)
を重合することによって製造される少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)を含む。
【0021】
「少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)」は、本発明の文脈において、正確に1つのコポリアミド(CoPA)、または2つ以上のコポリアミド(CoPA)の混合物のいずれかを意味するものと理解される。
【0022】
少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)については、以下にさらに記載する。
【0023】
ポリマーフィルム(P)は、例えば、0.1μm~1 mmの範囲の厚み、好ましくは5μm~1 mmの範囲の厚み、特に好ましくは5μm~500μmの範囲の厚み、非常に特に好ましくは5μm~100μmの範囲の厚み、特に好ましくは7.5μm~100μmの範囲の厚みを有する。
【0024】
したがって、本発明はまた、ポリマーフィルム(P)が0.1μm~1 mmの範囲の厚み、好ましくは5μm~1 mmの範囲の厚み、特に好ましくは5μm~500μmの範囲の厚み、非常に特に好ましくは5μm~100μmの範囲の厚み、特に好ましくは7.5μm~100μmの範囲の厚みを有するポリマーフィルム(P)を提供する。
【0025】
ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)に加えて、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)を含んでもよい。
【0026】
本発明の文脈において、「少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)」は、正確に1つのさらなるポリマー(FP)か、2つ以上のさらなるポリマー(FP)の混合物のいずれかを意味する。
【0027】
少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)として適したポリマーは、当業者に公知のすべてのポリマーである。この少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)が、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)とは異なることは明らかであろう。
【0028】
好ましくは、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)は、ポリオレフィン、エチレン-ビニルアルコール、エチレン-酢酸ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデン、無水マレイン酸グラフトポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、およびアイオノマーからなる群から選択される。より好ましくは、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)は、ポリオレフィン、ポリ(エチレン-ビニルアルコール)、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド6、ポリアミド6/66、および無水マレイン酸グラフトポリオレフィンからなる群から選択される。最も好ましくは、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)は、ポリオレフィン、無水マレイン酸グラフトポリオレフィン、ポリアミド6、ポリアミド6/66、およびエチレン-ビニルアルコールからなる群から選択される。
【0029】
少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)がポリオレフィンからなる群から選択される場合、さらに、無水マレイン酸グラフトポリオレフィンが少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)として使用されることが好ましい。ここで、使用される少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)は、ポリオレフィンと無水マレイン酸グラフトポリオレフィンとの混合物であることが可能である。ポリマーフィルム(P)が以下にさらに記載される多層フィルムである場合、ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)の少なくとも1つの第1のさらなる層を含み、ここで、第1のさらなる層の少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)は、無水マレイン酸グラフトポリオレフィンからなる群から選択され、ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)の少なくとも1つの第2のさらなる層を含み、ここで、第2のさらなる層の少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)は、ポリオレフィンからなる群から選択されることも同様に可能である。ポリマーフィルム(P)において、第1のさらなる層は、その場合、好ましくは、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)を含む第1の層と第2のさらなる層との間に存在する。
【0030】
ポリオレフィンは、それ自体当業者に公知である。好ましいポリオレフィンは、ポリプロピレン(PP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、および超低密度ポリエチレン(VLDPE)である。
【0031】
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、エチレンと少なくとも1つのC4~C8 α-オレフィンとのコポリマーである。直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、短い側鎖を有する長いポリマー鎖で区別される。直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の側鎖の長さは、通常、低密度ポリエチレン(LDPE)および中密度ポリエチレン(MDPE)よりも短い。直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の融点は、好ましくは110~130℃の範囲であり、密度は、0.91~0.93 g/cm3の範囲である。
【0032】
超低密度ポリエチレン(VLDPE)は、エチレンと少なくとも1つのC4~C8 α-オレフィンとのコポリマーである。それらは、典型的には、110~130℃の範囲の融点および0.86~0.91 g/cm3の範囲の密度を有する。VLDPE中のC4~C8 α-オレフィンの割合は、一般にLLDPE中における割合よりも高い。
【0033】
「C4~C8 α-オレフィン」は、本発明の文脈において、α位に4~8個の不飽和炭素原子を有する、すなわちα位にC-C二重結合を有する、直鎖状および分岐鎖状の、好ましくは直鎖状のアルキレンを意味するものと理解される。その例は、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、および1-オクテンである。1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンが好ましい。
【0034】
好ましいポリ(エチレン-酢酸ビニル)は、エチレンと酢酸ビニルとのコポリマーである。例えば、これらは、82%~99.9重量%の範囲のエチレンと0.1%~18重量%の範囲の酢酸ビニル、好ましくは88%~99.9重量%の範囲のエチレンと0.01%~12重量%の範囲の酢酸ビニルとを使用して製造される。
【0035】
好ましいポリ(エチレン-ビニルアルコール)は、上述のポリ(エチレン-酢酸ビニル)の完全または部分加水分解によって得ることができる。ポリ(エチレン-ビニルアルコール)は、例えば、ポリ(エチレン-ビニルアルコール)の総モル量に基づいて、50~75モル%の範囲のエチレンと25~50モル%の範囲のビニルアルコールとを含む。
【0036】
ポリマーフィルム(P)において、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)は、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)とのブレンド(混合物)として存在してもよい。少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)とポリアミド6および/またはポリアミド6/66とのブレンドが特に好ましい。
【0037】
さらに、本発明によれば、ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)を含む少なくとも1つの第1の層を含み、ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)を含む少なくとも1つのさらなる層を含むことが可能であり、好ましい。
【0038】
この実施形態では、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)を含む少なくとも1つの第1の層は、さらなるポリマー(FP)を含まないことが好ましい。
【0039】
本発明の文脈において、「少なくとも1つの第1の層」は、正確に1つの第1の層、または2つ以上の第1の層のいずれかを意味する。
【0040】
本発明の文脈において、「少なくとも1つのさらなる層」は、正確に1つのさらなる層、または2つ以上のさらなる層のいずれかを意味する。2つ以上のさらなる層が好ましい。
【0041】
したがって、ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)を含む少なくとも1つの第1の層を含み、ポリマーフィルム(P)はさらに、少なくとも1つのさらなる層を含むことが好ましく、この少なくとも1つのさらなる層は、ポリオレフィン、ポリ(エチレン-ビニルアルコール)、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)、ポリエチレンテレフタラート、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド6、ポリアミド6/66、および無水マレイン酸グラフトポリオレフィンからなる群から選択される少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)を含む。
【0042】
したがって、本発明は、ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)を含む少なくとも1つの第1の層を含み、ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1つのさらなる層を含む、ポリマーフィルム(P)も提供し、この少なくとも1つのさらなる層は、ポリオレフィン、ポリ(エチレン-ビニルアルコール)、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)、ポリエチレンテレフタラート、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド6、ポリアミド6/66、および無水マレイン酸グラフトポリオレフィンからなる群から選択される少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)を含む。
【0043】
ポリマーフィルム(P)が少なくとも1つの第1の層以外のさらなる層を含まない場合、このポリマーフィルム(P)は「モノフィルム」とも呼ばれる。ポリマーフィルム(P)がモノフィルムである場合、それは正確に1つの第1の層を含み、さらなる層を含まなくてもよい。同様に、それが2つ以上の第1の層を含み、さらなる層を含まないことも可能である。ポリマーフィルム(P)が2つ以上の第1の層を含み、モノフィルムである場合、2つ以上の第1の層はすべて同じ組成を有する。
【0044】
ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)を含む少なくとも1つの第1の層と、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)を含む少なくとも1つのさらなる層とを含む場合、ポリマーフィルム(P)は、多層フィルムとも呼ばれる。
【0045】
例えば、その場合のポリマーフィルム(P)は、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)を含む1~11の第1の層と、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)を含む1~13層のさらなる層とを含む。好ましくは、ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)を含む1~5の第1の層と、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)を含む1~11のさらなる層とを含む。特に好ましくは、ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)を含む1~3の第1の層と、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)を含む1~7のさらなる層とを含む。
【0046】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つの第1の層は、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)からなる。同様に、少なくとも1つのさらなる層が、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)からなることが好ましい。
【0047】
したがって、本発明の文脈において、「ポリマーフィルム(P)」という用語は、モノフィルムと多層フィルムの両方を包含する。
【0048】
したがって、本発明はまた、ポリマーフィルム(P)がモノフィルムまたは多層フィルムであるポリマーフィルム(P)も提供する。
【0049】
上述のように、ポリマーフィルム(P)は、典型的には0.1μm~1 mmの範囲の厚み、好ましくは5μm~1 mmの範囲の厚み、特に好ましくは5μm~500μmの範囲の厚み、非常に特に好ましくは5μm~100μmの範囲の厚み、とりわけ好ましくは7.5μm~100μmの範囲の厚みを有する。
【0050】
ポリマーフィルム(P)がモノフィルムであり、正確に1つの第1の層を含む場合、第1の層はポリマーフィルム(P)と同じ厚み、すなわち、例えば0.1μm~1 mmの範囲、好ましくは5μm~1 mmの範囲、特に好ましくは5μm~500μmの範囲、非常に特に好ましくは5μm~100μmの範囲、特に好ましくは7.5μm~100μmの範囲の厚みを有する。ポリマーフィルム(P)がモノフィルムであり、2つ以上の第1の層を含む場合、すべての第1の層の厚みはポリマーフィルム(P)の厚みよりも小さい。その場合の個々の第1の層の厚みの合計は、一般に、ポリマーフィルム(P)の厚みに相当する。例えば、その場合、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)を含む少なくとも1つの第1の層は、0.1μm~100μmの範囲の厚み、好ましくは0.5μm~100μmの範囲、特に好ましくは1μm~50μm、特に好ましくは1.5μm~15μmの範囲の厚みを有する。
【0051】
ポリマーフィルム(P)が多層フィルムである場合、ポリマーフィルム(P)の個々の層の厚み、すなわち少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)を含む少なくとも1つの第1の層の厚みと、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)を含む少なくとも1つのさらなる層の厚みは、典型的にはポリマーフィルム(P)の厚みよりも小さい。その場合の個々の層の厚みの合計は、一般に、ポリマーフィルム(P)の厚みに相当する。
【0052】
例えば、その場合、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)を含む少なくとも1つの第1の層は、0.1μm~100μmの範囲の厚み、好ましくは0.5μm~100μmの範囲、特に好ましくは1μm~50μm、特に好ましくは1.5μm~15μmの範囲の厚みを有する。
【0053】
その場合、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)を含む少なくとも1つのさらなる層は、例えば0.1μm~100μmの範囲、好ましくは0.5~100μmの範囲、特に好ましくは1~50μmの範囲、特に好ましくは1.5~15μmの範囲の厚みを有する。
【0054】
ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1つの接着促進剤を含んでもよい。この実施形態は、ポリマーフィルム(P)が多層フィルムである場合に好ましい。
【0055】
本発明の文脈において、「少なくとも1つの接着促進剤」は、正確に1つの接着促進剤、または2つ以上の接着促進剤の混合物のいずれかを意味する。
【0056】
ポリマーフィルム(P)が多層フィルムである場合、少なくとも1つの接着促進剤は、少なくとも1つの第1の層中に少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)と共に存在してもよい。少なくとも1つの接着促進剤が、少なくとも1つのさらなる層中に少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)と共に存在することも同様に可能である。さらに、少なくとも1つの接着促進剤は、ポリマーフィルム(P)中に少なくとも1つの追加の層として存在することが可能である。この実施形態が好ましい。
【0057】
少なくとも1つの接着促進剤がポリマーフィルム(P)中に少なくとも1つの追加の層として存在する場合、この少なくとも1つの追加の層は、好ましくは、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)を含む少なくとも1つのさらなる層と、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)を含む少なくとも1つの第1の層との間に配置される。接着促進剤の少なくとも1つの層は、例えば0.1μm~100μmの厚み、好ましくは0.5μm~50μmの範囲の厚み、特に好ましくは0.5μm~15μmの範囲の厚みを有する。
【0058】
適切な接着促進剤は、それ自体当業者に公知である。好ましい接着促進剤は、エチレンと無水マレイン酸とのコポリマー、またはエチレンと酢酸ビニルとのコポリマーである。無水マレイン酸でグラフトされた直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)のコポリマー、またはエチレンと酢酸ビニルのコポリマーが好ましく、このコポリマーは、18重量%超の酢酸ビニルと82重量%未満のエチレンとを使用して製造される。好ましい接着促進剤は、例えば、DuPontからBynel 4105の商品名で、またはExxonからEscorene FL 00119の商品名で市販されている。
【0059】
ポリマーフィルム(P)はまた、添加剤を含んでもよい。このような添加剤は当業者に公知であり、例えば、安定剤、染料、帯電防止剤、粘着付与剤、ブロッキング防止剤、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤、UV吸収剤、潤滑剤、および核形成助剤からなる群から選択される。
【0060】
適切な染料は、有機および無機顔料、例えば、サイズ調整された二酸化チタンである。適切な粘着付与剤は、例えば、ポリイソブチレン(PIB)またはエチレン-酢酸ビニル(EVA)である。適切なブロッキング防止剤は、例えば、二酸化ケイ素または炭酸カルシウム粒子である。適切な光安定剤は、例えば、HALS(ヒンダードアミン光安定剤)と呼ばれるものである。使用される加工助剤または潤滑剤は、例えば、エチレンビスステアラミド(EBS)ワックスであってよい。核形成助剤は、例えば、あらゆる種類の有機または無機結晶化核形成剤、例えばタルクであってよい。
【0061】
添加剤は、少なくとも1つの第1の層、または少なくとも1つのさらなる層のいずれに存在してもよい。添加剤は、これらの層のうちの1つのみに存在してもよい。添加剤がこれらの層の各々に存在することも同様に可能である。
【0062】
モノフィルムとして形成される場合、本発明のポリマーフィルム(P)は、先行技術のPA 6ポリマーフィルムと比較して、酸素透過性が低下し、水蒸気透過性が増加する。
【0063】
コポリアミド(CoPA)
本発明によれば、コポリアミド(CoPA)は、以下の成分:
(A)60~95重量%の少なくとも1つのラクタムおよび、
(B)5~40重量%の、以下の成分を含むモノマー混合物(M):
(B1)少なくとも1つのC4~C12ジカルボン酸、および
(B2)少なくとも1つのジアミン
(ここで、成分(B2)は1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンを含み、成分(A)および(B)の重量パーセントは、いずれの場合も、成分(A)および(B)の重量パーセントの合計に基づく)
を重合することによって製造される。
【0064】
本発明によれば、ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)を含む。
【0065】
本発明の文脈において、「成分A」および「少なくとも1つのラクタム」という用語は同義的に使用され、したがって同じ意味を有する。
【0066】
「成分(B)」および「モノマー混合物(M)」という用語についても同様である。これらの用語は、本発明の文脈において同様に同義的に使用され、したがって同じ意味を有する。
【0067】
「少なくとも1つのラクタム」は、本発明の文脈において、正確に1つのラクタム、または2つ以上のラクタムの混合物のいずれかを意味する。正確に1つのラクタムが好ましい。
【0068】
本発明によれば、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)は、60%~95重量%の成分(A)と5%~40重量%の成分(B)を重合することによって製造され、好ましくは、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)は、65%~90重量%の成分(A)と10%~35重量%の成分(B)を重合することによって製造され、非常に特に好ましくは、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)は70%~85重量%の成分(A)と15%~30重量%の成分(B)を重合することによって製造され、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)は、非常に特に好ましくは60%~85重量%の成分(A)と15%~40重量%の成分(B)を重合することによって製造される。ここで、成分(A)および(B)の重量パーセントは、いずれの場合も、成分(A)および(B)の重量パーセントの合計に基づく。
【0069】
好ましくは、成分(A)と(B)の重量パーセントの合計は、100重量%である。
【0070】
成分(A)および(B)の重量パーセントが、重合前、すなわち成分(A)と(B)がまだ互いに反応していないときの成分(A)および(B)の重量パーセントに基づくことは明らかであろう。重合中に、成分(A)と(B)との重量比は変化する場合がある。
【0071】
本発明によれば、コポリアミドは、成分(A)と(B)を重合することによって製造される。成分(A)と(B)の重合は当業者に公知である。典型的には、成分(A)と(B)の重合は縮合反応である。縮合反応中、成分(A)は、成分(B)中に存在する成分(B1)および(B2)と反応する。これにより、個々の成分間にアミド結合が形成される。典型的には、成分(A)は、重合中に少なくとも部分的に開鎖した形態であり、すなわちアミノ酸として存在する。
【0072】
成分(A)と(B)との重合は、触媒の存在下で起こり得る。適切な触媒は、成分(A)と(B)との重合を触媒する、当業者に公知のすべての触媒である。好ましい触媒は、リン化合物、例えば次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸、トリフェニルホスフィン、またはトリフェニルホスファイトである。
【0073】
成分(A)と(B)の重合により、コポリアミドが形成され、したがって、成分(A)に由来する構造単位および成分(B)に由来する構造単位が得られる。成分(B)に由来する構造単位は、成分(B1)および(B2)に由来する構造単位を含む。
【0074】
成分(A)と(B)との重合により、コポリマーとしてコポリアミド(CoPA)が形成される。このコポリマーはランダムコポリマーであってもよいが、同様にブロックコポリマーであってもよい。コポリアミド(CoPA)は、好ましくはランダムコポリマーである。
【0075】
したがって、本発明はまた、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)がランダムコポリマーであるポリマーフィルム(P)を提供する。
【0076】
ブロックコポリマーでは、成分(B)に由来する単位のブロックと成分(A)に由来する単位のブロックとが形成される。これらは交互に存在する。
【0077】
ランダムコポリマーでは、成分(A)に由来する構造単位と成分(B)に由来する構造単位とが交互に存在する。この交互構造はランダムに存在する。例えば、成分(B)に由来する2つの構造単位の後に成分(A)に由来する構造単位が続き、次いで、これに成分(B)に由来する構造単位が続き、次いで、これに成分(A)に由来する3つの構造単位を含む構造単位が続き得る。
【0078】
少なくとも1つのコポリアミドの製造は、好ましくは以下のステップを含む:
a)成分(A)と(B)とを重合して、少なくとも1つの第1のコポリアミドを得るステップと、
b)ステップa)で得られた少なくとも1つの第1のコポリアミドをペレット化して、少なくとも1つのペレット状コポリアミドを得るステップと、
c)ステップb)で得られた少なくとも1つのペレット状コポリアミドを水で抽出して、少なくとも1つの抽出コポリアミドを得るステップと、
d)ステップc)で得られた少なくとも1つの抽出コポリアミドを温度(TT)で乾燥させて、少なくとも1つのコポリアミドを得るステップ。
【0079】
したがって、本発明はまた、コポリアミド(CoPA)が以下のステップを含む方法で製造される、ポリマーフィルム(P)を提供する:
a)成分(A)と(B)とを重合して、少なくとも1つの第1のコポリアミドを得るステップ、
b)ステップa)で得られた少なくとも1つの第1のコポリアミドをペレット化して、少なくとも1つのペレット状コポリアミドを得るステップ、
c)ステップb)で得られた少なくとも1つのペレット状コポリアミドを水で抽出して、少なくとも1つの抽出コポリアミドを得るステップ、
d)ステップc)で得られた少なくとも1つの抽出コポリアミドを温度(TT)で乾燥させて、少なくとも1つのコポリアミドを得るステップ。
【0080】
ステップa)における重合は、当業者に公知の任意の反応器で行われ得る。撹拌槽反応器が好ましい。さらに、当業者に公知の反応制御を改善するための助剤、例えば消泡剤(例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS))や、触媒として、例えば次亜リン酸ナトリウム(「NHP」、例えば0.2重量%)の水溶液を使用することが可能である。
【0081】
ステップb)において、ステップa)で得られた少なくとも1つの第1のコポリアミドは、当業者に公知のいずれかの方法、例えばストランドペレット化または水中ペレット化によってペレット化され得る。
【0082】
ステップc)における抽出は、当業者に公知の任意の方法によって行われてよい。
【0083】
ステップc)における抽出中に、成分(A)と(B)の重合中にステップa)で形成された副生成物は、典型的には、少なくとも1つのペレット状コポリアミドから抽出される。
【0084】
ステップd)において、ステップc)で得られた少なくとも1つの抽出コポリアミドは乾燥される。乾燥方法は当業者に公知である。本発明によれば、少なくとも1つの抽出コポリアミドは、温度(TT)で乾燥される。温度(TT)は、好ましくは、少なくとも1つのコポリアミドの少なくとも1つのガラス転移温度(TG(C))よりも高く、少なくとも1つのコポリアミドの溶融温度(TM(C))よりも低い。
【0085】
ステップd)における乾燥は、典型的には、1~100時間の範囲、好ましくは2~50時間の範囲、特に好ましくは3~40時間の範囲の期間実施される。
【0086】
ステップd)における乾燥は、少なくとも1つのコポリアミドの分子量をさらに増加させると考えられる。
【0087】
少なくとも1つのコポリアミドは、典型的には、少なくとも1つのガラス転移温度(TG(C))を有する。少なくとも1つのガラス転移温度(TG(C))は、ISO 11357-2:2013に従って測定して、例えば30℃~70℃の範囲、好ましくは40℃~68℃の範囲、特に好ましくは45℃~65℃の範囲である。
【0088】
したがって、本発明はまた、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)の少なくとも1つのガラス転移温度(TG(C))が、30~70℃の範囲である、ポリマーフィルム(P)を提供する。
【0089】
ISO 11357-2:2013によれば、少なくとも1つのコポリアミドのガラス転移温度(TG(C))は、本発明の文脈では、乾燥コポリアミドのガラス転移温度(TG(C))に関連する。
【0090】
「乾燥」とは、本発明の文脈において、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)が、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)の総重量に基づいて、1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、特に好ましくは0.1重量%未満の水分を含むことを意味する。より好ましくは、「乾燥」とは、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)が水を含んでいないことを意味し、最も好ましくは、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)が溶媒を含んでいないことを意味する。
【0091】
さらに、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)は、典型的には溶融温度(TM(C))を有する。少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)の溶融温度(TM(C))は、ISO 11357-3:2011に従って測定して、例えば100~210℃の範囲、好ましくは150~210℃の範囲、特に好ましくは180~210℃の範囲である。
【0092】
したがって、本発明はまた、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)が溶融温度(TM(C))を有し、溶融温度(TM(C))が10~210℃、好ましくは150~210℃の範囲であるポリマーフィルム(P)を提供する。
【0093】
少なくとも1つのコポリアミドは、一般に、重量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼンの混合物中の少なくとも1つのコポリアミドの0.5重量%溶液で測定して、150~300 ml/gの範囲の粘度数(VN(C))を有する。測定は、EN ISO 307:2007+Amd 1:2013に記載されているように実施され、唯一の違いは、記載されている溶媒である硫酸の代わりに重量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼンの混合物が使用されることである。
【0094】
好ましくは、少なくとも1つのコポリアミドの粘度数(VN(C))は、重量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼンの混合物中の少なくとも1つのコポリアミドの0.5重量%溶液で測定して、160~290 ml/gの範囲、より好ましくは170~280 ml/gの範囲である。
【0095】
したがって、本発明はまた、少なくとも1つのコポリアミドは、1:1の比のフェノール/o-ジクロロベンゼンの混合物中の少なくとも1つのコポリアミドの0.5重量%溶液で測定して、150~300 ml/gの範囲の粘度数(VN(C))を有する、ポリマーフィルム(P)を提供する。
【0096】
好ましくは、少なくとも1つのコポリアミド(CoPA)は、ポリオキシアルキレン基を含まない。
【0097】
成分(A)
成分(A)は、少なくとも1つのラクタムである。
【0098】
ラクタムは、それ自体当業者に公知である。本発明によれば、4個から12個の炭素原子を有するラクタムが好ましい。
【0099】
「ラクタム」は、本発明の文脈において、環内に好ましくは4~12個、より好ましくは6~12個の炭素原子を有する環状アミドを意味すると理解される。
【0100】
適切なラクタムは、例えば、3-アミノプロパノラクタム(プロピオ-3-ラクタム;β-ラクタム;β-プロピオラクタム)、4-アミノブタノラクタム(ブチロ-4-ラクタム;γ-ラクタム;γ-ブチロラクタム)、5-アミノペンタノラクタム(2-ピペリジノン;δ-ラクタム;δ-バレロラクタム)、6-アミノヘキサノラクタム(ヘキサノ-6-ラクタム;ε-ラクタム;ε-カプロラクタム)、7-アミノヘプタノラクタム(ヘプタノ-7-ラクタム;ζ-ラクタム;ζ-ヘプタノラクタム)、8-アミノオクタノラクタム(オクタノ-8-ラクタム;η-ラクタム;η-オクタノラクタム)、9-アミノノナノラクタム(ノナノ-9-ラクタム;θ-ラクタム;θ-ノナノラクタム)、10-アミノデカノラクタム(デカノ-10-ラクタム;ω-デカノラクタム)、11-アミノウンデカノラクタム(ウンデカノ-11-ラクタム;ω-ウンデカノラクタム)、および12-アミノドデカノラクタム(ドデカノ-12-ラクタム;ω-ドデカノラクタム)からなる群から選択される。
【0101】
したがって、本発明は、成分(A)が、3-アミノプロパノラクタム、4-アミノブタノラクタム、5-アミノペンタノラクタム、6-アミノヘキサノラクタム、7-アミノヘプタノラクタム、8-アミノオクタノラクタム、9-アミノノナノラクタム、10-アミノデカノラクタム、11-アミノウンデカノラクタム、および12-アミノドデカノラクタムからなる群から選択される、ポリマーフィルム(P)も提供する。
【0102】
特に好ましくは、成分(A)は、6-アミノヘキサノラクタムおよび12-アミノドデカノラクタムからなる群から選択される。
【0103】
非常に特に好ましくは、成分(A)は6-アミノヘキサノラクタムである。
【0104】
ラクタムは、非置換であってよく、または少なくとも一置換されていてもよい。少なくとも一置換されたラクタムが使用される場合、その窒素原子および/または環炭素原子は、C1~C10アルキル、C5~C6シクロアルキル、およびC5~C10アリールからなる群から互いに独立して選択される1つ、2つ、またはそれを超える置換基を有し得る。
【0105】
適切なC1~C10アルキル置換基は、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、およびtert-ブチルである。適切なC5~C6シクロアルキル置換基は、例えばシクロヘキシルである。好ましいC5~C10アリール置換基は、フェニルおよびアントラニルである。
【0106】
非置換ラクタムを使用することが好ましく、γ-ラクタム(γ-ブチロラクタム)、δ-ラクタム(δ-バレロラクタム)、およびε-ラクタム(ε-カプロラクタム)が好ましい。δ-ラクタム(δ-バレロラクタム)およびε-ラクタム(ε-カプロラクタム)が特に好ましく、ε-カプロラクタムが特に好ましい。
【0107】
成分(B)
本発明によれば、成分(B)はモノマー混合物(M)である。モノマー混合物(M)は、成分(B1)、すなわち少なくとも1つのC4~C12ジカルボン酸、および(B2)、すなわち少なくとも1つのジアミンを含み、ジアミン(B2)の1つは1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンである。
【0108】
モノマー混合物(M)は、本発明の文脈において、モノマー混合物(M)中に少なくとも成分(B1)と(B2)が存在する、2種以上のモノマーの混合物を意味するものと理解される。
【0109】
モノマー混合物(M)は、いずれの場合も成分(B1)および(B2)のモル百分率の合計に基づいて、好ましくはモノマー混合物(M)の総モル量に基づいて、例えば45~55モル%の範囲の成分(B1)および45~55モル%の範囲の成分(B2)を含む。
【0110】
好ましくは、成分(B)は、いずれの場合も成分(B1)および(B2)のモル百分率の合計に基づいて、好ましくは成分(B)の総モル量に基づいて、47~53モル%の範囲の成分(B1)と47~53モル%の範囲の成分(B2)を含む。
【0111】
より好ましくは、成分(B)は、いずれの場合も成分(B1)および(B2)のモル百分率の合計に基づいて、好ましくは成分(B)の総モル量に基づいて、49~51モル%の範囲の成分(B1)と49~51モル%の範囲の成分(B2)を含む。
【0112】
したがって、本発明はまた、成分(B)が、いずれの場合も成分(B)の総モル量に基づいて、45~55モル%の範囲の成分(B1)と、45~55モル%の範囲の成分(B2)を含む、ポリマーフィルム(P)を提供する。
【0113】
成分(B)中に存在する成分(B1)と(B2)のモル百分率の合計は、通常、100モル%となる。
【0114】
モノマー混合物(M)は、ポリオキシアルキレン基を含まないことが好ましい。
【0115】
モノマー混合物(M)は、水をさらに含んでもよい。
【0116】
成分(B1)
本発明によれば、成分(B1)は、少なくとも1つのC4~C12ジカルボン酸である。
【0117】
「成分(B1)」および「少なくとも1つのC4~C12ジカルボン酸」という用語は、本発明の文脈において同義的に使用され、したがって同じ意味を有する。
【0118】
「少なくとも1つのC4~C12ジカルボン酸」(B1)は、本発明の文脈において、正確に1つのC4~C12ジカルボン酸、または2つ以上のC4~C12ジカルボン酸の混合物のいずれかを意味する。
【0119】
「C4~C12ジカルボン酸」は、本発明の文脈において、2~10個の炭素原子および2つのカルボキシル基(-COOH基)を有する脂肪族および/または芳香族化合物を意味すると理解される。脂肪族および/または芳香族化合物は、非置換であってよく、またはさらに少なくとも一置換されていてもよい。脂肪族および/または芳香族化合物がさらに少なくとも一置換されている場合、これらは、成分(A)と(B)との重合に関与しない1つ、2つ、またはそれを超える置換基を有し得る。この種の置換基は当業者に公知であり、例えばアルキルまたはシクロアルキル置換基である。好ましくは、少なくとも1つのC4~C12ジカルボン酸は非置換である。
【0120】
適切な成分(B1)は、例えばブタン二酸(コハク酸)、ペンタン二酸(グルタル酸)、ヘキサン二酸(アジピン酸)、ヘプタン二酸(ピメリン酸)、オクタン二酸(スベリン酸)、ノナン二酸(アゼライン酸)、デカン二酸(セバシン酸)、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、およびイソフタル酸からなる群から選択される。
【0121】
好ましくは、成分(B1)は、ペンタン二酸(グルタル酸)、ヘキサン二酸(アジピン酸)、デカン二酸(セバシン酸)、ドデカン二酸、テレフタル酸、およびイソフタル酸からなる群から選択される。
【0122】
非常に特に好ましくは、成分(B1)はヘキサン二酸(アジピン酸)である。
【0123】
したがって、本発明はまた、成分(B1)がペンタン二酸、ヘキサン二酸、デカン二酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、およびイソフタル酸からなる群から選択される、ポリマーフィルム(P)を提供する。
【0124】
特に好ましくは、成分(B1)はヘキサン二酸(アジピン酸)である。
【0125】
成分(B2)
「成分(B2)」および「少なくとも1つのラクタム」というこれらの用語は、本発明の文脈において同義的に使用され、したがって同じ意味を有する。
【0126】
「少なくとも1つの第2のジアミン(B2)」は、本発明の文脈において、正確に1つのジアミン(B2)、または2つ以上のジアミン(B2)の混合物のいずれかを意味するものと理解される。本発明によれば、正確に1つのジアミン(B2)が好ましい。
【0127】
本発明による成分(B2)は1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンを含む。例えば、成分(B2)は、いずれの場合も成分(B2)の総量に基づいて、少なくとも50モル%、好ましくは少なくとも80モル%、特に好ましくは少なくとも95モル%の1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンを含む。最も好ましくは、成分(B2)は1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンからなる。
【0128】
さらに、成分(B2)はさらなるジアミンを含んでもよい。適切なさらなるジアミンは、それ自体当業者に公知であり、例はブタン-1,4-ジアミン、ペンタメチレンジアミン、またはヘキサメチレンジアミンである。
【0129】
例えば、成分(B2)は、いずれの場合も成分(B2)の総モル量に基づいて、50~99.9モル%の範囲の1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンおよび0.1~50モル%の範囲のヘキサメチレンジアミンを含む。
【0130】
成分(B)中に存在する成分(B1)と(B2)のモル百分率の合計は、通常、100モル%となる。
【0131】
より好ましくは、成分(B2)は1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンからなる。その場合、成分(B2)はさらなるジアミンを含まない。
【0132】
したがって、成分(B)は、成分(B1)、すなわちアジピン酸、および(B2)、すなわち1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンからなることが特に好ましい。
ポリマーフィルム(P)の製造
【0133】
本発明のポリマーフィルム(P)は、好ましくは以下のステップ:
i)以下の成分:
(A)60~95重量%の少なくとも1つのラクタム
(B)5~40重量%の、以下を含むモノマー混合物(M):
(B1)少なくとも1つのC4~C12ジカルボン酸および
(B2)少なくとも1つのジアミン、
(ここで、成分(B2)は1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンを含み、成分(A)および(B)の重量パーセントは、いずれの場合も、成分(A)および(B)の重量パーセントの合計に基づく)
を重合することによって製造される少なくとも1つのコポリアミドを、溶融形態で、第1の押出機に準備するステップと、
ii)ステップi)で準備された少なくとも1つのコポリアミドを、溶融形態で第1の押出機からダイを通して押し出して、少なくとも1つのコポリアミドのフィルムを溶融形態で得るステップと、
iii)ステップii)で得られた溶融形態の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムを冷却するステップであって、少なくとも1つのコポリアミドが固化してポリマーフィルム(P)を得るステップ
を含む方法で製造される。
【0134】
したがって、本発明はまた、本発明によるポリマーフィルム(P)の製造方法であって、以下のステップ:
i)以下の成分:
(A)60~95重量%の少なくとも1つのラクタム、および
(B)5~40重量%の、以下を含むモノマー混合物(M):
(B1)少なくとも1つのC4~C12ジカルボン酸および
(B2)少なくとも1つのジアミン、
(ここで、成分(B2)は1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンを含み、成分(A)および(B)の重量パーセントは、いずれの場合も、成分(A)および(B)の重量パーセントの合計に基づく)
を重合することによって製造される少なくとも1つのコポリアミドを溶融形態で、第1の押出機に準備するステップと、
ii)ステップi)で準備された少なくとも1つのコポリアミドを、溶融形態で第1の押出機からダイを通して押し出して、少なくとも1つのコポリアミドのフィルムを溶融形態で得るステップと、
iii)ステップii)で得られた溶融形態の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムを冷却するステップであって、少なくとも1つのコポリアミドが固化してポリマーフィルム(P)を得るステップ
を含む方法を提供する。
【0135】
ステップi)では、溶融形態の少なくとも1つのコポリアミドが、第1の押出機に準備される。
【0136】
「第1の押出機」は、本発明の文脈において、正確に1台の第1の押出機、または2台以上の第1の押出機のいずれかを意味する。通常、ポリマーフィルム(P)中に存在することになる少なくとも1つのコポリアミドを含む第1の層の数と同数の第1の押出機が使用される。
【0137】
ポリマーフィルム(P)が、例えば、少なくとも1つのコポリアミドを含む正確に1層の第1の層を含む場合、正確に1台の第1の押出機が使用される。ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1つのコポリアミドを含む正確に2つの第1の層を含む場合、正確に2台の第1の押出機が使用される。ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1つのコポリアミドを含む正確に5つの第1の層を含む場合、正確に5台の第1の押出機が使用される。
【0138】
例えば、1~11台の第1の押出機が使用され、好ましくは1~5台の第1の押出機、より好ましくは1~3台のさらなる押出機が使用される。
【0139】
ポリマーフィルム(P)中に存在する少なくとも1つのコポリアミドについての上記の説明および好ましい条件は、ステップi)で準備される少なくとも1つのコポリアミドに準用される。
【0140】
本発明によれば、少なくとも1つのコポリアミドは溶融形態で準備される。
【0141】
「溶融形態で」とは、本発明の文脈において、少なくとも1つのコポリアミドが、少なくとも1つのコポリアミドの溶融温度(TM(C))よりも高い温度で準備されることを意味する。したがって、「溶融形態で」とは、少なくとも1つのコポリアミドが、少なくとも1つのコポリアミドの溶融温度(TM(C))よりも高い温度にあることを意味する。少なくとも1つのコポリアミドが溶融形態である場合、少なくとも1つのコポリアミドは自由流動性である。
【0142】
「自由流動性」とは、少なくとも1つのコポリアミドを第1の押出機内に搬送することができ、少なくとも1つのコポリアミドを第1の押出機から押し出すことができることを意味する。
【0143】
例えば、いずれの場合も、少なくとも1つのコポリアミドが準備される温度が、少なくとも1つのコポリアミドの溶融温度(TM(C))を超えると仮定すると、少なくとも1つのコポリアミドは、ステップi)において、190℃~300℃の範囲、好ましくは200℃~280℃の範囲、とりわけ好ましくは210℃~270℃の範囲の温度で準備される。
【0144】
少なくとも1つのコポリアミドは、当業者に公知の任意の方法によって、第1の押出機内に溶融形態で準備することができる。
【0145】
例えば、少なくとも1つのコポリアミドは、溶融形態または固体形態で第1の押出機に供給することができる。少なくとも1つのコポリアミドが固体形態で第1の押出機に供給される場合、例えばペレットおよび/または粉末の形態で第1の押出機に供給することができる。少なくとも1つのコポリアミドは、その場合、第1の押出機内で溶融され、したがって、第1の押出機内に溶融形態で準備される。この実施形態が好ましい。
【0146】
さらに、成分(A)と(B)とを第1の押出機内で直接重合して、それにより少なくとも1つのコポリアミドを溶融形態で第1の押出機に準備することが可能である。この目的のための方法は、当業者に公知である。
【0147】
ステップii)において、溶融形態の少なくとも1つのコポリアミドは、ダイを通して第1の押出機から押し出されて、溶融形態の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムが得られる。
【0148】
本発明の文脈において、「ダイ」は、正確に1つのダイ、または2つ以上のダイのいずれかを意味する。本発明によれば、正確に1つのダイが好ましい。
【0149】
適切なダイは、溶融形態の少なくとも1つのコポリアミドからのフィルムの押出成形を可能にする、当業者に公知のすべてのダイである。このようなダイは、例えば、リングダイまたはスロットダイである。
【0150】
適切なリングダイおよびスロットダイは、それ自体当業者に公知である。
【0151】
例えば、以下にさらに記載するステップi1)が実施される場合、ステップii)において、第1の押出機からの溶融形態の少なくとも1つのコポリアミドは、ダイ内、例えばリングダイまたはスロットダイ内で、さらなる押出機からの溶融形態の少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)と合わせられることが好ましい。
【0152】
具体的には、ステップii)において、第1の押出機からの溶融形態の少なくとも1つのコポリアミドは、さらなる押出機からの溶融形態の少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)とダイ内で合わせられ、それにより、ステップii)で得られた、いずれの場合も溶融形態の少なくとも1つのコポリアミドおよび少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)のフィルムは、溶融形態の少なくとも1つのコポリアミドを含む少なくとも1つの第1の層を含み、また、溶融形態の少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)を含む少なくとも1つのさらなる層を含む。
【0153】
例えば、溶融形態の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムの厚みは、5μm~1 mmの範囲、好ましくは5μm~1 mmの範囲、特に好ましくは5μm~500μmの範囲、非常に特に好ましくは5μm~100μmの範囲、とりわけ好ましくは7.5μm~100μmの範囲である。
【0154】
溶融形態の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムは、例えば、平坦なフィルムまたはチューブ状フィルムであり得る。ダイとしてリングダイを用いる場合には、チューブ状フィルムが一般的に得られ、ダイとしてスロットダイを用いる場合には、平坦なフィルムが得られる。
【0155】
ステップiii)において、ステップii)で得られた溶融形態の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムは冷却される。これにより、少なくとも1つのコポリアミドが固化してポリマーフィルム(P)が得られる。
【0156】
当業者に公知のすべての方法が、溶融形態の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムを冷却するのに適している。例えば、溶融形態の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムは、空冷もしくは水冷によって、または低温表面との接触によって冷却することができる。
【0157】
溶融形態の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムは、ステップiii)において、例えば少なくとも1つのコポリアミドの溶融温度(TM(C))よりも低い温度に冷却されて、ポリマーフィルム(P)が得られる。好ましくは、溶融形態の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムは、ステップiii)において、少なくとも1つのコポリアミドの少なくとも1つのガラス転移温度(TG(C))よりも低い温度に冷却される。
【0158】
例えば、溶融形態の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムは、ステップiii)において、0~100℃の範囲、好ましくは10~80℃の範囲、特に好ましくは15~70℃の範囲の温度に冷却され、溶融形態の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムが冷却される温度は、少なくとも1つのコポリアミドの溶融温度(TM(C))未満、好ましくは少なくとも1つのガラス転移温度(TG(C))未満である。
【0159】
したがって、本発明はまた、ステップ(iii)において、溶融形態の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムが、少なくとも1つのコポリアミドの溶融温度(TM(C))よりも低い温度に冷却される、ポリマーフィルム(P)を製造するための方法を提供する。
【0160】
本発明のポリマーフィルム(P)についての上記の説明および好ましい条件は、ステップiii)で得られるポリマーフィルム(P)に準用される。
【0161】
ステップii)およびiii)は、交互にまたは同時に行うことができる。
【0162】
好ましくは、溶融形態の少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)がさらなる押出機に供給されるステップi1)がさらに行われる。
【0163】
その場合、ポリマーフィルム(P)を製造するための方法は、以下のステップ:
i)以下の成分:
(A)60~95重量%の少なくとも1つのラクタム
(B)5~40重量%の、以下を含むモノマー混合物(M):
(B1)少なくとも1つのC4~C12ジカルボン酸および
(B2)少なくとも1つのジアミン、
(ここで、成分(B2)は1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンを含み、成分(A)および(B)の重量パーセントは、いずれの場合も、成分(A)および(B)の重量パーセントの合計に基づく)
を重合することによって製造される少なくとも1つのコポリアミドを、溶融形態で、第1の押出機に準備するステップと、
i1)少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)を、溶融形態で、さらなる押出機に準備するステップと、
ii)ステップi)で準備された少なくとも1つのコポリアミドを、溶融形態で第1の押出機からダイを通して押し出し、ステップi1)で準備された少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)を、溶融形態でさらなる押出機からダイを通して押し出して、少なくとも1つのコポリアミドおよび少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)のフィルムを、いずれの場合も溶融形態で得るステップと、
iii)少なくとも1つのコポリアミドおよび少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)のフィルムを、いずれの場合も溶融形態で冷却するステップであって、少なくとも1つのコポリアミドおよび/または少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)が固化してポリマーフィルム(P)が得られるステップ
を含む。
【0164】
ステップi1)において、溶融形態の少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)は、さらなる押出機に準備される。
【0165】
「さらなる押出機」は、本発明の文脈において、正確に1台のさらなる押出機、または2台以上のさらなる押出機のいずれかを意味する。2台以上のさらなる押出機が好ましい。
【0166】
好ましくは、ポリマーフィルム(P)中に存在することになる少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)を含むさらなる層の数と同数のさらなる押出機が使用される。例えば、1~13台のさらなる押出機が使用され、好ましくは1~11台のさらなる押出機、特に好ましくは1~7台のさらなる押出機が使用される。
【0167】
ポリマーフィルム(P)が、例えば、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)を含む正確に1つのさらなる層を含む場合、正確に1台のさらなる押出機が使用される。ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)を含む正確に2つのさらなる層を含む場合、正確に2台のさらなる押出機が使用される。ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)を含む正確に5つのさらなる層を含む場合、正確に5台のさらなる押出機が使用される。
【0168】
ポリマーフィルム(P)中に場合により存在する少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)についての上記の説明および好ましい条件は、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)に準用される。
【0169】
本発明によれば、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)は、ステップi1)において溶融形態で準備される。「溶融形態で」とは、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)が、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)の溶融温度(TM(FP))よりも高い温度で準備されることを意味する。したがって、「溶融形態で」とは、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)が、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)の溶融温度(TM(FP))よりも高い温度にあることを意味する。少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)が溶融形態である場合、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)は自由流動性となる。
【0170】
「自由流動性」とは、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)をさらなる押出機内で搬送することができ、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)をさらなる押出機から押し出すことができることを意味する。
【0171】
例えば、いずれの場合も、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)が準備される温度が、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)の溶融温度(TM(FP))を超えると仮定すると、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)は、ステップi1)において、120~350℃の範囲、好ましくは130~300℃の範囲、とりわけ好ましくは140~250℃の範囲の温度で準備される。
【0172】
少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)は、当業者に公知のいずれかの方法によって、さらなる押出機内に溶融形態で準備され得る。
【0173】
例えば、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)は、溶融形態または固体形態でさらなる押出機に供給することができる。少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)が固体形態でさらなる押出機に供給される場合、例えばペレットおよび/または粉末の形態でさらなる押出機に供給することができる。少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)は、その場合、さらなる押出機内で溶融され、したがって、さらなる押出機内に溶融形態で準備される。
【0174】
ステップi1)は、通常、ステップi)と同時に行われる。
【0175】
ステップi1)が実施されない場合のステップi)、ii)、およびiii)についての上記の説明および好ましい条件は、ステップi1)が実施される場合のステップi)、ii)、およびiii)に準用される。
【0176】
ステップii)で得られた、いずれの場合も溶融形態の少なくとも1つのコポリアミドおよび少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)のフィルムは、少なくとも1つの第1の層に少なくとも1つのコポリアミドを含み、少なくとも1つのさらなる層に少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)を含む。通常、ステップii)で得られたフィルムは、ステップi)で使用された第1の押出機の数と同数の少なくとも1つのコポリアミドを溶融形態で含む第1の層と、ステップi1)で使用されたさらなる押出機の数と同数の少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)を溶融形態で含むさらなる層とを含む。
【0177】
ステップi1)を実施すると、ステップiii)で得られたポリマーフィルム(P)が多層フィルムであることは明らかであろう。
【0178】
好ましくは、ポリマーフィルム(P)は延伸されている。ポリマーフィルム(P)は、ステップiii)の後に延伸され得る。ステップiii)の間、すなわち、少なくとも1つのコポリアミドおよび任意の少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)のフィルムの冷却中に、ポリマーフィルム(P)を延伸することも可能である。
【0179】
したがって、本発明は、以下のステップがさらに実施される方法も提供する:
(iv)ポリマーフィルム(P)を延伸して、延伸ポリマーフィルム(SP)を得るステップ。
【0180】
ステップiii)およびiv)は、交互にまたは同時に行うことができる。
【0181】
ポリマーフィルム(P)が延伸されると、少なくとも1つのコポリアミドのポリマー鎖が整列し、少なくとも1つのコポリアミドの結晶化度が増加し得る。
【0182】
さらに、ポリマーフィルム(P)中に存在する少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)のポリマー鎖が延伸操作中に整列する可能性もある。これにより、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)の結晶化度も高めることができる。
【0183】
延伸は、当業者に公知の任意の方法によって行うことができる。
【0184】
例えば、ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1つのローラー、好ましくはローラーシステムの上に導くことによって、またはポリマーフィルム(P)の幅を広げることによって延伸することができる。ポリマーフィルム(P)がチューブ状で得られる場合、ポリマーフィルム(P)のチューブ内に空気を吹き込むことにより、ポリマーフィルム(P)を延伸することも可能である。方法の組み合わせも、もちろん可能である。
【0185】
ポリマーフィルム(P)が少なくとも1つのローラー、好ましくはローラーシステムの上に導かれる場合、ポリマーフィルム(P)は押出方向に、すなわちその長さ方向に延伸される。一方、ポリマーフィルム(P)がその幅で延伸される場合、それは押出方向に対して垂直に延伸される。
【0186】
ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1つのローラー、好ましくはローラーシステムの上に導かれることによって延伸される場合、少なくとも1つのコポリアミドおよび任意の少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)のポリマー鎖は延伸方向に平行に整列する。
【0187】
得られた延伸ポリマーフィルム(SP)は、フィルムをその長さ方向のみ延伸すると一軸配向となる。同様に、得られた延伸ポリマーフィルム(SP)は、ポリマーフィルム(P)を幅方向にのみ延伸することによって伸長させると一軸配向となる。この場合も、少なくとも1つのコポリアミドおよび任意の少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)のポリマー鎖は、延伸方向と平行に整列する。
【0188】
「一軸配向」とは、ポリマー鎖が基本的に一方向に整列していることを意味する。
【0189】
ポリマーフィルム(P)がローラーシステムの上に導かれることによって延伸され、その幅がさらに伸長される場合、少なくとも1つのコポリアミドおよび任意の少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)のポリマー鎖は、それらが延伸される両方向と平行に整列する。その場合、得られた延伸ポリマーフィルム(SP)は、二軸配向となる。
【0190】
「二軸配向」とは、ポリマー鎖が基本的に2つの異なる方向に、好ましくは互いに直角に整列していることを意味する。
【0191】
ポリマーフィルム(P)がチューブ状で得られる場合、ポリマーフィルム(P)のチューブ内に空気を吹き込むことによってポリマーフィルム(P)を延伸すると、得られた延伸ポリマーフィルム(SP)は一軸配向となる。
【0192】
したがって、ポリマーフィルム(P)を延伸するための上記の方法を組み合わせると、ポリマーフィルム(P)は、例えばチューブ状で得られ、ポリマーフィルム(P)のチューブ内に空気を吹き込むことによってポリマーフィルム(P)が延伸されると同時にローラーシステムの上に導かれ、それによって同様に延伸される。この場合、得られた延伸ポリマーフィルム(SP)は、二軸配向となる。
【0193】
ポリマーフィルム(P)は、典型的には、少なくとも1つのコポリアミドの少なくとも1つのガラス転移温度(TG(C))よりも高く、少なくとも1つのコポリアミドの溶融温度(TM(C))よりも低い温度で延伸される。ポリマーフィルム(P)が多層フィルムである場合、ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)の溶融温度(TM(FP))よりも低い温度で、特に好ましくは、最も低い温度で溶融する少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)の溶融温度よりも低い温度で延伸されることがさらに好ましい。
【0194】
本発明のポリマーフィルム(P)は、例えば、キャスト法、ブロー法、二軸配向ポリアミドフィルム法(BOPA法)またはマルチブロー法で製造することができる。
【0195】
したがって、本発明は、キャスト法、ブロー法、二軸配向ポリアミドフィルム法、またはマルチブロー法で製造されたポリマーフィルム(P)も提供する。
【0196】
キャスト法、ブロー法、二軸配向ポリアミドフィルム法、およびマルチブロー法は、それ自体当業者に公知である。典型的には、これらの方法でポリマーフィルム(P)が延伸され、その結果、延伸ポリマーフィルム(P)が得られる。
【0197】
ポリマーフィルム(P)を製造するためのキャスト法は、好ましくは以下のステップi-c)~iv-c)を含む:
i-c)以下の成分:
(A)60~95重量%の少なくとも1つのラクタム
(B)5~40重量%の、以下を含むモノマー混合物(M):
(B1)少なくとも1つのC4~C12ジカルボン酸および
(B2)少なくとも1つのジアミン
(ここで、成分(B2)は1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンを含み、成分(A)および(B)の重量パーセントは、いずれの場合も、成分(A)および(B)の重量パーセントの合計に基づく)
を重合することによって製造される少なくとも1つのコポリアミドを、溶融形態で、第1の押出機に準備するステップ、
ii-c)ステップi-c)で溶融形態で準備された少なくとも1つのコポリアミドを第1の押出機からダイを通して押し出して、少なくとも1つのコポリアミドのフィルムを溶融形態で得るステップ、
iii-c)ステップii-c)で溶融形態で得られた少なくとも1つのコポリアミドのフィルムを冷却するステップであって、少なくとも1つのコポリアミドが固化してポリマーフィルム(P)を得るステップ、
iv-c)ポリマーフィルム(P)を少なくとも1つのローラーの上、好ましくはローラーシステムの上に導くことによって、ステップiii-c)で得られたポリマーフィルム(P)を延伸して、延伸ポリマーフィルム(SP)を得るステップ。
【0198】
ポリマーフィルム(P)を製造するための方法のステップi)~iii)についての上記の説明および好ましい条件は、キャスト法のステップi-c)~iii-c)に準用される。
【0199】
キャスト法においてステップii-c)で使用されるダイは、典型的にはスロットダイである。したがって、ステップii-c)で溶融形態で得られた少なくとも1つのコポリアミドのフィルムは、好ましくは平坦なフィルムであり、その結果、ステップiii-c)で得られたポリマーフィルム(P)は、ステップiv-c)で得られた延伸ポリマーフィルム(SP)と同様に、平坦なフィルムであることが好ましい。
【0200】
キャスト法において、ステップiii-c)およびiv-c)は、交互にまたは同時に行うことができる。キャスト法において、ステップiii-c)およびiv-c)は同時に行われることが好ましい。ステップiii-c)およびiv-c)は、特に好ましくは、ステップii-c)と同時に、かつステップii-c)の直後に行われることが特に好ましい。
【0201】
また、キャスト法において、ステップiv-c)で使用される少なくとも1つのローラー、好ましくはローラーシステムは、ステップiv-c)の間に冷却されることが好ましい。
【0202】
ポリマーフィルム(P)を製造するためのブロー法は、好ましくは以下のステップi-b)~iv-b)を含む:
i-b)以下の成分:
(A)60~95重量%の少なくとも1つのラクタム
(B)5~40重量%の、以下を含むモノマー混合物(M):
(B1)少なくとも1つのC4~C12ジカルボン酸および
(B2)少なくとも1つのジアミン
(ここで、成分(B2)は、1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンを含み、成分(A)および(B)の重量パーセントは、いずれの場合も成分(A)および(B)の重量パーセントの合計に基づく)
を重合することによって製造される少なくとも1つのコポリアミドを、溶融形態で、第1の押出機に準備するステップ、
ii-b)ステップi-b)で溶融形態で準備された少なくとも1つのコポリアミドを、リングダイであるダイを通して第1の押出機から押し出して、溶融形態の少なくとも1つのコポリアミドの管状フィルムを得るステップ、
iii-b)ステップii-b)で得られた溶融形態の少なくとも1つのコポリアミドの管状フィルムを冷却するステップであって、少なくとも1つのコポリアミドが固化してポリマーフィルム(P)が得られるステップ、
iv-b)ステップiii-b)で得られたポリマーフィルム(P)を、ポリマーフィルム(P)のチューブに空気を吹き込むことによって延伸して、延伸ポリマーフィルム(SP)を得るステップ。
【0203】
ポリマーフィルム(P)を製造するための方法のステップi)~iii)についての上記の説明および好ましい条件は、ブロー法のステップi-b)~iii-b)に準用される。
【0204】
ブロー法のステップii-b)で使用されるダイは、好ましくはスタックダイ(stack dye)、ヘリカルディストリビューターダイ(helical distributor dye)、またはそれらの混合形態である。これらのダイは当業者に公知であり、例えばKirk Cantorの「Blown Film Extrusion」,第2版,Carl Hanser Verlag,Munich 2011に記載されている。
【0205】
ステップiii-b)およびiv-b)は、ブロー法の過程で同時にまたは交互に行うことができる。ブロー法では、ステップiii-b)およびiv-b)は、好ましくは同時に行われる。
【0206】
ブロー法においてステップiii-b)およびiv-b)が同時に行われる場合、ステップiii-b)において、ステップii-b)で得られた溶融形態の少なくとも1つのコポリアミドのチューブ状フィルムが冷却され、同時にチューブ状フィルムに空気を吹き込むことによって延伸されて、延伸ポリマーフィルム(SP)が得られることは明らかであろう。
【0207】
ポリマーフィルム(P)を製造するための二軸配向ポリアミドフィルム法は、好ましくは以下のステップi-o)~iv-o)を含む:
i-o)以下の成分:
(A)60~95重量%の少なくとも1つのラクタム
(B)5~40重量%の、以下を含むモノマー混合物(M):
(B1)少なくとも1つのC4~C12ジカルボン酸および
(B2)少なくとも1つのジアミン
(ここで、成分(B2)は、1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンを含み、成分(A)および(B)の重量パーセントは、いずれの場合も成分(A)および(B)の重量パーセントの合計に基づく)
を重合することによって製造される少なくとも1つのコポリアミドを、溶融形態で、第1の押出機に準備するステップ、
ii-o)ステップi-o)で溶融形態で準備された少なくとも1つのコポリアミドを、第1の押出機からダイを通して押し出して、少なくとも1つのコポリアミドのフィルムを溶融形態で得るステップ、
iii-o)ステップii-o)で得られた溶融形態の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムを冷却するステップであって、少なくとも1つのコポリアミドが固化してポリマーフィルム(P)が得られるステップ、
iv-o)ステップiii-o)で得られたポリマーフィルム(P)を、延伸するステップポリマーフィルム(P)を少なくとも1つのローラー、好ましくはローラーシステムにわたって導き、その幅を広げることによって、延伸ポリマーフィルム(SP)を得るステップ。
【0208】
ポリマーフィルム(P)を製造するための方法のステップi)~iii)についての上記の説明および好ましい条件は、二軸配向ポリアミドフィルム法のステップi-o)~iii-o)に準用される。
【0209】
二軸配向ポリアミドフィルム法においてステップii-o)で使用されるダイは、典型的にはスロットダイである。したがって、ステップii-o)で得られる溶融形態の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムは、好ましくは平坦なフィルムであり、その結果、ステップiii-o)で得られるポリマーフィルム(P)は、ステップiv-o)で得られる延伸ポリマーフィルム(SP)と同様に、好ましくは平坦なフィルムである。
【0210】
二軸配向ポリアミドフィルム法では、ステップiii-o)およびiv-o)は交互に、または同時に行うことができ、好ましくはステップiii-o)およびiv-o)は交互に行われる。特に好ましくは、二軸配向ポリアミドフィルム法では、ステップiii-o)およびiv-o)は交互に行われ、ステップiii-o)で得られたポリマーフィルム(P)は、ステップiv-o)の前に加熱される。ここで、ポリマーフィルム(P)は、ステップiv-o)の前に、ポリマーフィルム(P)中に存在する少なくとも1つのコポリアミドの少なくとも1つのガラス転移温度(TG(C))よりも高く、ポリマーフィルム(P)中に存在する少なくとも1つのコポリアミドの溶融温度(TM(C))よりも低い温度に加熱されることが好ましい。その場合、ポリマーフィルム(P)は、好ましくは、ステップiv-o)において、ステップiv-o)の前に加熱される温度で延伸される。
【0211】
ポリマーフィルム(P)を製造するためのマルチブロー法は、好ましくは以下のステップi-m)~iv-m)を含む:
i-m)以下の成分:
(A)60~95重量%の少なくとも1つのラクタム、ならびに
(B)5~40重量%の、以下を含むモノマー混合物(M):
(B1)少なくとも1つのC4~C12ジカルボン酸および
(B2)少なくとも1つのジアミン
(ここで、成分(B2)は、1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンを含み、成分(A)および(B)の重量パーセントは、いずれの場合も成分(A)および(B)の重量パーセントの合計に基づく)
を重合することによって製造される少なくとも1つのコポリアミドを、溶融形態で、第1の押出機に準備するステップと、
ii-m)ステップi-m)で溶融形態で準備された少なくとも1つのコポリアミドを、リングダイであるダイを通して第1の押出機から押し出して、少なくとも1つのコポリアミドのチューブ状フィルムを溶融形態で得るステップと、
iii-m)ステップii-m)で得られた溶融形態の少なくとも1つのコポリアミドのチューブ状フィルムを冷却するステップであって、少なくとも1つのコポリアミドが固化してポリマーフィルム(P)が得られるステップと、
iv-m)ステップiii-m)で得られたポリマーフィルム(P)を、ポリマーフィルム(P)のチューブに空気を吹き込むと同時に、ポリマーフィルム(P)を少なくとも1つのローラー、好ましくはローラーシステムの上に導くことによって延伸して、延伸ポリマーフィルム(SP)を得るステップ。
【0212】
ポリマーフィルム(P)を製造するための方法のステップi)~iii)について上述した説明および好ましい条件は、マルチブロー法のステップi-m)~iii-m)に準用される。
【0213】
好ましくは、溶融形態の少なくとも1つのコポリアミドのチューブ状フィルムは、ステップiii-m)において水浴中で冷却される。
【0214】
マルチブロー法では、ステップiii-m)およびiv-m)は交互に、または同時に行うことができ、好ましくはステップiii-m)およびiv-m)は交互に行われる。特に好ましくは、ステップiii-m)およびiv-m)は交互に行われ、ステップiii-m)で得られたポリマーフィルム(P)は、ステップiv-m)の前に加熱される。ここで、ポリマーフィルム(P)は、ステップiv-m)の前に、ポリマーフィルム(P)中に存在する少なくとも1つのコポリアミドの少なくとも1つのガラス転移温度(TG(C))よりも高く、ポリマーフィルム(P)中に存在する少なくとも1つのコポリアミドの溶融温度(TM(C))よりも低い温度に加熱されることが好ましい。その場合、ポリマーフィルム(P)は、好ましくは、ステップiv-m)において、ステップiv-m)の前に加熱される温度で延伸される。
【0215】
キャスト法、ブロー法、二軸配向ポリアミドフィルム法、およびマルチブロー法において、少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)がさらなる押出機内に溶融形態で準備されるステップi1)も、場合により実施することができ、その場合、ポリマーフィルム(P)を製造するための方法のステップii)に従って、ステップii-c)、ステップii-b)、ステップii-o)、およびステップii-m)において、少なくとも1つのコポリアミドおよび少なくとも1つのさらなるポリマー(FP)のフィルムが、いずれの場合も溶融形態で得られること、ならびに、ポリマーフィルム(P)を製造するための方法のステップiii)に従って、このフィルムがステップiii-c)、ステップiii-b)、ステップiii-o)、およびステップiii-m)で冷却されることは明らかであろう。
【0216】
ポリマーフィルム(P)を製造するための方法の場合により実施されるステップi1)についての上記の説明および好ましい条件は、場合により実施されるステップi1)に準用される。
【0217】
二軸配向ポリアミドフィルム法ではステップi1)を行わないことが好ましい。したがって、二軸配向ポリアミドフィルム法においては、さらなる押出機内にさらなるポリマー(FP)が準備されないことが好ましい。
【0218】
製造された後、存在する延伸ポリマーフィルム(P)は、例えば巻き取ることができる。この目的のための方法は、当業者に公知である。延伸ポリマーフィルム(SP)が、ブロー法およびマルチブロー法などにおいてチューブ状である場合には、チューブを巻き取る前にスリットすることもできる。次いで、スリットされたフィルムを1つ以上のリールに巻き付けることができる。
【0219】
ポリマーフィルム(P)の使用
本発明のポリマーフィルム(P)は、ポリマーフィルムが使用される当業者に公知のすべての分野で使用することができる。特に、本発明のポリマーフィルム(P)は包装フィルムとして使用される。
【0220】
したがって、本発明は、本発明のポリマーフィルム(P)の包装フィルムとしての使用も提供する。
【0221】
以下、実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。
【実施例
【0222】
分子量は、Mainzに本社を置くPolymer Standard Services GmbH(登録商標)製のポリ(メタクリル酸メチル)標準に対するゲル浸透クロマトグラフィーによって決定した。溶媒はヘキサフルオロ-2-プロパノールであり、スチレン-ジビニルベンゼンカラムへの注入時のポリマーの濃度は1.5mg/mlであった。理論段数は20000段であった。
【0223】
1,5-ジアミノ-3-オキサペンタン単位を含まないポリアミドの粘度数を、EN ISO 307:2007+AMD 1:2013に従って、25℃で96重量%硫酸中0.5重量%溶液中で測定した。
【0224】
1,5-ジアミノ-3-オキサペンタン単位を含むポリアミドの粘度数を、EN ISO 307:2007+Amd 1:2013に記載されている方法と同様の方法で、フェノール/o-ジクロロベンゼンの重量比1:1の0.5重量%溶液中、25℃で測定した。
【0225】
ガラス転移温度および溶融温度は、ISO 11357-1:2009、ISO 11357-2:2013、およびISO 11357-3:2011に従って測定した。これは、2回の加熱運転を実行し、2回目の加熱運転に基づいてガラス転移温度および溶融温度を決定することによって行った。
【0226】
コポリアミド中のアジピン酸および1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンの割合を決定するために、コポリアミドを希塩酸(20%)中で加水分解した。これにより、1,5-ジアミノ-3-オキサペンタン由来の単位がプロトン化され、塩酸由来の塩化物イオンが対イオンを形成した。次いで、イオン交換体を使用して、この塩化物イオンを水酸化物イオンと交換し、1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンを遊離させた。次いで、1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンの濃度を0.1モル塩酸による滴定によって測定し、コポリアミド中のアジピン酸と1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンの割合をそこから計算した。
【0227】
密度は、DIN EN ISO 1183-3に従って25℃の温度で測定した。
【0228】
コポリアミド中の個々のモノマーの統計分布を13C NMRによって測定した。これは、試料を重水素化ヘキサフルオロ-2-プロパノールに溶解し、2D NMRによって以下のカルボニル炭素シグナルを割り当てた:a.)1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンに隣接するカプロラクタムのカルボニル炭素原子のシフトは183.6、b.)1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンに隣接するアジピン酸のカルボニル炭素原子は182.9、c.)カプロラクタムに隣接するカプロラクタムのカルボニル炭素原子は181.7、d.)カプロラクタムに隣接するアジピン酸のカルボニル炭素原子は181.0。13C NMRシグナルは、Bruker(登録商標)製のAV 399装置を用いて測定した。
【0229】
水蒸気透過性および水蒸気透過率は、MOCON(登録商標)製のPermatran-W(登録商標)モデル3/33装置でASTM F 1249に従って、23℃および相対湿度85%で二連測定で決定した。
【0230】
エルメンドルフ引裂抵抗は、DIN ISO 6383-2:2004に従って、押出方向(MD)と、それに対して直角の方向(TD)で測定した。測定の前に、DIN EN ISO 291:2008に記載されている非熱帯諸国の標準気候に従ってフィルムを調整した。8Nの振り子おもりをLorentzen&Wettre(登録商標)引き裂き試験機で使用した。
【0231】
耐穿刺性は、直径0.8 mm、速度100 mm/分の金属製のスパイクを使用して、DIN EN 14477に従って測定した。測定の前に、DIN EN ISO 291:2008に記載されているように、非熱帯諸国の標準気候に従ってフィルムを調整した。
【0232】
酸素透過率および酸素透過性は、OX-TRAN(登録商標)装置でASTM F 1927に従って、23℃および相対湿度0%で二連測定で決定した。
【0233】
透水性は、長さ12 cmおよび幅6 cmのチューブ状フィルムの部分を使用して測定した(透水性を決定するための実験設定を示す図1を参照)。これらは、ノズル直径50 mm、押出機長さ25 cmのWeberの吹込フィルムラインで製造された。まず、チューブ状フィルムの断面の片面の厚さを求めた後、チューブ状部分の一方の開口端を155℃でヒートシールし、チューブ状部分に100 cm2の蒸留水を充填し、最後にチューブ状部分の他方の端を155℃でヒートシールした。ヒートシール接合部(図1参照)の破損を回避するために、また、初期重量を測定するために、水で満たした完全に閉じた袋の両端をアルミニウムのカバーに取り付けた。23℃および相対湿度50%での重量減少は、最初の3日間は24時間ごとに記録し、その後は7日後と8日後に、元の重量から現在の重量を差し引くことによって記録した。
【0234】
以下のポリマーを使用した。
ポリアミド
A-1 Ultramid(登録商標)B40Lの商標名で販売されているBASF SE(登録商標)製のポリアミド6は、粘度が250 ml/g、ガラス転移温度が57℃、溶融温度が220℃、密度が1.15 g/mlである。
【0235】
1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンを含むコポリアミド:
C-1 カプロラクタム、アジピン酸、および1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンのコポリアミドを以下の方法で製造した。
3230 gのカプロラクタム(成分(A))、237 gの1,5-ジアミノ-3-オキサペンタン(成分(B2))、333 gのアジピン酸(成分(B1))、および190 gの水を7.8 lの鋼製反応器中で混合し、次いで、窒素で10回パージした。次いで、容器を閉じ、40分以内に外部温度260℃まで加熱した。この時点では内圧は7バールであり、内部温度は208℃であった。鋼製反応器を加圧下で50分間撹拌し、次いで、圧力を解放し、反応器をさらに2時間45分間撹拌した。この間に内部温度は237℃まで上昇した。次いで、容器を15バールのN2で加圧し、バルブを開け、形成された溶融ストランドを水浴中でペレット化した。得られたペレットを還流下で沸騰水で16時間抽出し、次いで、減圧下70℃で乾燥させた。測定されたMWは59 600、測定されたMnは24 000であった。
【0236】
次いで、ペレットを窒素気流中170℃でさらに10時間縮合させた。得られたコポリアミドの粘度数は238 ml/g、ガラス転移温度は47℃、溶融温度は198℃であった。コポリアミド中の1,5-ジアミノ-3-オキサペンタン.6の割合は、コポリアミドの総重量に基づいて15.5重量%であり、密度は1.149 g/mlであった。
【0237】
C-2 カプロラクタム、アジピン酸、および1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンのコポリアミドを以下の方法で製造した。
3040 gのカプロラクタム(成分(A))、316 gの1,5-ジアミノ-3-オキサペンタン(成分(B2))、444 gのアジピン酸(成分(B1))、および190 gの水を7.8 lの鋼製反応器中で混合し、窒素で10回パージした。次いで、容器を閉じ、45分以内に外部温度260℃まで加熱した。この時点では内圧は7バールであり、内部温度は207℃であった。鋼製反応器を加圧下で40分間撹拌し、次いで、圧力を解放し、反応器をさらに2時間30分間撹拌した。この間に内部温度は235℃まで上昇した。次いで、容器を15バールのN2で加圧し、バルブを開け、形成された溶融ストランドを水浴中でペレット化した。得られたペレットを還流下で沸騰水で16時間抽出し、次いで、減圧下70℃で乾燥させた。測定されたMWは61 900、測定されたMnは25 600であった。
【0238】
次いで、ペレットを窒素気流中170℃でさらに10時間縮合させた。得られたコポリアミドは、粘度数が235 ml/gであり、ガラス転移温度が45℃であり、溶融温度が192℃であった。コポリアミド中の1,5-ジアミノ-3-オキサペンタン.6の割合は、コポリアミドの総重量に基づいて20.3重量%であり、密度は1.142 g/mlであった。
【0239】
13C NMRスペクトルにおいて、相対積分値はシグナルa.)では14.7%、b.)では4.7%、c.)では63.9%、d.)では16.8%であった。
【0240】
C-3 カプロラクタム、アジピン酸、および1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンのコポリアミドを以下の方法で製造した。
2850 gのカプロラクタム(成分(A))、395 gの1,5-ジアミノ-3-オキサペンタン(成分(B2))、555 gのアジピン酸(成分(B1))、および190 gの水を7.8 lの鋼製反応器中で混合し、窒素で10回パージした。次いで、容器を閉じ、50分以内に外部温度260℃まで加熱した。この時点では内圧は8バールであり、内部温度は205℃であった。鋼製反応器を加圧下で35分間撹拌し、次いで、圧力を解放し、反応器をさらに2時間15分間撹拌した。この間に内部温度は235℃まで上昇した。次いで、容器を15バールのN2で加圧し、バルブを開け、形成された溶融ストランドを水浴中でペレット化した。得られたペレットを還流下で沸騰水で16時間抽出し、次いで、減圧下70℃で乾燥させた。測定されたMWは58 400、測定されたMnは25 400であった。
【0241】
次いで、ペレットをさらに窒素気流中170℃で13時間縮合させた。得られたコポリアミドは、粘度数が237 ml/gであり、ガラス転移温度が44℃であり、溶融温度が186℃であった。コポリアミド中の1,5-ジアミノ-3-オキサペンタン.6の割合は、コポリアミドの総重量に基づいて25.3重量%であり、密度は1.152 g/mlであった。
【0242】
13C NMRスペクトルにおいて、相対積分値はシグナルa.)では19.3%、b.)では9.2%、c.)では53.8%、d.)では17.8%であった。
【0243】
C-4 カプロラクタム、アジピン酸、および1,5-ジアミノ-3-オキサペンタンのコポリアミドを以下の方法で製造した。
2660 gのカプロラクタム(成分(A))、474 gの1,5-ジアミノ-3-オキサペンタン(成分(B2))、665 gのアジピン酸(成分(B1))、および190 gの水を7.8 lの鋼製反応器中で混合し、窒素で10回パージした。次いで、容器を閉じ、15分以内に外部温度260℃まで加熱した。この時点では内圧は1バールであり、内部温度は110℃であった。鋼製反応器を加圧下で90分間撹拌し、次いで、圧力を解放し、反応器をさらに3時間20分間撹拌した。この間に内部温度は237℃まで上昇した。次いで、容器を15バールのN2で加圧し、バルブを開け、形成された溶融ストランドを水浴中でペレット化した。得られたペレットを還流下で沸騰水で16時間抽出し、次いで、減圧下70℃で乾燥させた。測定されたMWは60 600、測定されたMnは23 300であった。
【0244】
次いで、ペレットをさらに窒素気流中170℃で13時間縮合させた。得られたコポリアミドは、粘度数が231 ml/gであり、ガラス転移温度が42℃であり、溶融温度が179℃であった。コポリアミド中の1,5-ジアミノ-3-オキサペンタン.6の割合は、コポリアミドの総重量に基づいて30.2重量%であり、密度は1.154 g/mlであった。
【0245】
キャスト法におけるモノフィルムの製造:
材料A-1、C-1、C-2、C-3、およびC-4のモノフィルムを、直径30 mmの押出機スクリューを備えたWeberキャスト押出システムで、5 kg/hの処理量で押し出した。冷却ローラーを20℃に冷却した。フィルムの幅は150 mmであった。
押し出されたフィルムの特性は以下の通りであった。
【0246】
【表1】
【0247】
上記の実施例は、本発明によるコポリアミドのフィルムが、ポリアミド6と比較して、水蒸気透過性および引裂伝播抵抗を著しく増加させたことを示している。耐穿刺性は、ポリアミド6と比較してわずかに増加し、酸素透過率は、材料C-2、C-3、およびC-4について、実際にわずかに低くなる。
【0248】
したがって、これらのコポリアミドは、包装材から水分が流出することが意図される包装材に非常によく適している。
【0249】
図2は、フィルム径26.73μmの材料A-1と、フィルム径24.67μmの材料C-3で作られた密封袋からの透水性を示している。本発明のコポリアミドC-3で作られた袋は、8日後にその内部から周囲空気にすべての水を放出したが、材料A-1で作られた袋の中には82%の水がまだ存在していた。2つの袋を室温23℃および相対湿度50%で互いに並べて保存した。
【国際調査報告】