(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】OLEDディスプレイ電力低減のための色相適応彩度増加
(51)【国際特許分類】
G09G 3/3208 20160101AFI20241001BHJP
H04N 9/64 20230101ALI20241001BHJP
H04N 5/14 20060101ALI20241001BHJP
G09G 3/30 20060101ALI20241001BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G09G3/3208
H04N9/64
H04N5/14
G09G3/30 K
G09G3/20 641Q
G09G3/20 650M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517032
(86)(22)【出願日】2022-09-20
(85)【翻訳文提出日】2024-04-11
(86)【国際出願番号】 IB2022058890
(87)【国際公開番号】W WO2023047284
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508301087
【氏名又は名称】エーティーアイ・テクノロジーズ・ユーエルシー
【氏名又は名称原語表記】ATI TECHNOLOGIES ULC
【住所又は居所原語表記】One Commerce Valley Drive East, Markham, Ontario, L3T 7X6 Canada
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100111615
【氏名又は名称】佐野 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】ウラジミール ラシーヌ
【テーマコード(参考)】
5C066
5C080
5C380
【Fターム(参考)】
5C066AA03
5C066CA17
5C080AA06
5C080AA07
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD26
5C080EE29
5C080JJ02
5C080JJ05
5C080JJ07
5C080KK01
5C080KK02
5C380AA01
5C380AB34
5C380BA22
5C380BA25
5C380BB13
5C380EA04
5C380EA12
5C380FA09
(57)【要約】
処理システム(100)は、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイパネル(122)に対する色相-彩度-値(HSV)色空間画素入力(108)の彩度成分を、色相成分の関数として調整する。処理システムは、画素入力の成分を非HSV色空間からHSV色空間における画素入力のHSV成分に変換し、画素入力の色相成分に基づいてHSV色空間における画素入力の彩度成分を修正して、画素入力の修正されたHSV成分を生成する。次いで、処理システムは、画素入力の修正されたHSV成分を元の色空間に変換して戻し、元の色空間における画素入力の修正された成分を生成し、画素入力の修正された成分をOLEDディスプレイによる受信のために提供し、知覚品質を維持しながら画素をより低い画素値でドライブすることを可能にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータによって実行される方法であって、
色相-彩度-値(HSV)色空間における画素入力の彩度成分を、前記HSV色空間における前記画素入力の色相成分に基づいて修正し、前記画素入力の修正されたHSV成分を生成することと、
前記画素入力の修正されたHSV成分に基づいて、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイパネルが受信するための出力を提供することと、を含み、
前記出力は、前記OLEDディスプレイパネルの対応する画素を制御するように構成されている、
方法。
【請求項2】
第1の色空間からの前記画素入力の成分を、前記HSV色空間における前記画素入力のHSV成分に変換することと、
前記画素入力の修正されたHSV成分を、前記第1の色空間における前記画素入力の修正された成分に変換することと、を含む、
請求項1の方法。
【請求項3】
前記彩度成分を修正することは、
色相適応彩度マッピング関数を、HSV色空間における前記画素入力の彩度成分に適用することを含む、
請求項1又は2の方法。
【請求項4】
前記色相適応彩度マッピング関数を適用することは、3次元(3D)ルックアップテーブル(LUT)の点を補間して、前記修正された彩度成分を生成することを含む、
請求項3の方法。
【請求項5】
前記色相適応彩度マッピング関数は、色相適応マッピング関数及び色相適応勾配増加関数に基づいている、
請求項3の方法。
【請求項6】
前記色相適応マッピング関数は、ソフトクリッピングを伴う線形である、
請求項5の方法。
【請求項7】
前記色相適応マッピング関数は、非線形である、
請求項5の方法。
【請求項8】
コンピュータによって実行される方法であって、
色相-彩度-値(HSV)色空間画素入力の色相成分に基づいて前記HSV色空間画素入力の彩度成分を修正し、修正されたHSV色空間画素入力を生成することと、
前記修正されたHSV色空間画素入力を第1の色空間画素入力に変換することと、
有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイパネルが受信するための出力を提供して、前記第1の色空間画素入力に基づいて前記OLEDディスプレイパネルの画素をドライブすることと、を含む、
方法。
【請求項9】
前記彩度成分を修正することは、
色相適応彩度マッピング関数を、HSV色空間における前記画素入力の彩度成分に適用することを含む、
請求項8の方法。
【請求項10】
前記色相適応彩度マッピング関数を適用することは、3次元(3D)ルックアップテーブル(LUT)の点を補間して、前記修正された彩度成分を生成することを含む、
請求項9の方法。
【請求項11】
前記色相適応彩度マッピング関数は、色相適応マッピング関数及び色相適応勾配増加関数に基づいている、
請求項9の方法。
【請求項12】
前記色相適応マッピング関数は、ソフトクリッピングを伴う線形である、
請求項11の方法。
【請求項13】
前記色相適応マッピング関数は、非線形である、
請求項11の方法。
【請求項14】
前記色相適応勾配増加関数は、非線形である、
請求項11の方法。
【請求項15】
デバイスであって、
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
色相-彩度-値(HSV)色空間における画素入力の色相成分に基づいて前記HSV色空間における前記画素入力の彩度成分を修正し、前記画素入力の修正されたHSV成分を生成することと、
前記画素入力の前記修正されたHSV成分に基づいて、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイパネルが受信するための出力を提供することと、
を行うように構成されており、
前記出力は、前記OLEDディスプレイパネルの対応する画素を制御するように構成されている、
デバイス。
【請求項16】
色空間変換器を備え、
前記色空間変換器は、
前記OLEDディスプレイパネル用の前記画素入力の成分を、第1の色空間から、色相-彩度-値(HSV)色空間における前記画素入力のHSV成分に変換することと、
前記画素入力の修正されたHSV成分を、前記OLEDディスプレイパネルに出力するために、前記第1の色空間における前記画素入力の修正された成分に変換することと、
を行うように構成されている、
請求項15のデバイス。
【請求項17】
前記プロセッサは、色相適応彩度マッピング関数を、HSV色空間における前記画素入力の彩度成分に適用する、
請求項15又は16のデバイス。
【請求項18】
前記プロセッサは、3次元(3D)ルックアップテーブル(LUT)の点を補間して、前記修正された彩度成分を生成し、前記3D LUTは、第1の軸に沿った第1の数のエントリと、第2の軸に沿った第2の数のエントリと、第3の軸に沿った第3の数のエントリと、を含む、
請求項17のデバイス。
【請求項19】
前記色相適応彩度マッピング関数は、色相適応マッピング関数及び色相適応勾配増加関数に基づいている、
請求項17のデバイス。
【請求項20】
前記色相適応マッピング関数は、ソフトクリッピングを伴う線形、又は、非線形である、
請求項19のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
液晶ディスプレイパネル(LCD)等の多くのディスプレイパネルとは異なり、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイパネルは、バックライトを使用しない。したがって、LCDディスプレイパネルのために開発されたバックライティングに関連するエネルギー節約方法は、OLEDディスプレイパネルでは機能しない。OLEDディスプレイパネルの電力消費は、典型的には、OLEDディスプレイパネルで表示されるコンテンツが明るいほど電力消費が高くなるように、画素強度(pixel intensity)に正比例する。また、電力消費は、赤(R)、青(B)及び緑(G)原色(独立)成分の間のような異なる画素色成分の間でOLEDディスプレイパネルについて異なる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本明細書で説明する実施形態では、色相-彩度-値(HSV)色空間における入力画素の彩度成分(saturation component)を、入力画素の色相成分(hue component)の関数として調整するための技術が提供される。例示的な一実施形態では、コンピュータによって実行される方法は、色相-彩度-値(HSV)色空間における画素入力の色相成分に基づいて、HSV色空間における画素入力の彩度成分を修正して、画素入力の修正されたHSV成分を生成することと、画素入力の修正されたHSV成分に基づいて、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイパネルによる受信のための出力を提供することと、を含んでもよく、その出力が、OLEDディスプレイパネルの対応する画素を制御するように構成されている。
【0003】
本方法は、画素入力の成分を第1の色空間からHSV色空間における画素入力のHSV成分に変換することと、画素入力の修正されたHSV成分を第1の色空間における画素入力の修正された成分に変換することと、を更に含むことができる。彩度成分を修正することは、色相適応彩度マッピング関数(hue-adaptive saturation mapping function)をHSV色空間における画素入力の彩度成分に適用することを含んでもよい。色相適応彩度マッピング関数は、3次元(3D)ルックアップテーブル(LUT)の点を補間して、修正された彩度成分を生成することを含み得る。一実施形態では、色相適応彩度マッピング関数は、色相適応マッピング関数(hue-adaptive mapping function)及び色相適応勾配増加関数(hue-adaptive slope increase function)に基づく。色相適応マッピング関数は、ソフトクリッピング(soft clipping)を有する線形であってもよい。あるいは、色相適応マッピング関数は、非線形であってもよい。
【0004】
別の例示的な実施形態では、コンピュータによって実行される方法は、色相-彩度-値(HSV)色空間画素入力の色相成分に基づいて、HSV色空間画素入力の彩度成分を修正して、修正されたHSV色空間画素入力を生成することと、修正されたHSV色空間画素入力を第1の色空間画素入力に変換することと、OLEDディスプレイパネルによる受信のための出力を提供して、第1の色空間画素入力に基づいて有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイパネルの画素をドライブ(drive)することと、を含む。彩度成分を修正することは、色相適応彩度マッピング関数をHSV色空間における画素入力の彩度成分に適用することを含んでもよい。色相適応彩度マッピング関数を適用することは、3次元(3D)ルックアップテーブル(LUT)の点を補間して、修正された彩度成分を生成することを含み得る。色相適応彩度マッピング関数は、色相適応マッピング関数及び色相適応勾配増加関数に基づいてもよい。色相適応マッピング関数は、ソフトクリッピングを有する線形であってもよい。あるいは、色相適応マッピング関数は、非線形であってもよい。色相適応勾配増加関数は、非線形であってもよい。
【0005】
別の例示的な実施形態では、デバイスは、色相-彩度-値(HSV)色空間における画素入力の色相成分に基づいて、HSV色空間における画素入力の彩度成分を修正して、画素入力の修正されたHSV成分を生成するように構成されたプロセッサを含む。プロセッサは、画素入力の修正されたHSV成分に基づいて、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイパネルによる受信のための出力を提供するように構成されており、その出力が、OLEDディスプレイパネルの対応する画素を制御するように構成されている。デバイスは、OLEDディスプレイパネルのための画素入力の成分を第1の色空間から色相-彩度-値(HSV)色空間における画素入力のHSV成分に変換し、画素入力の修正されたHSV成分を、OLEDディスプレイパネルへの出力のために第1の色空間における画素入力の修正された成分に変換するように構成された色空間変換器を更に備えてもよい。
【0006】
プロセッサは、HSV色空間における画素入力の彩度成分に色相適応彩度マッピング関数を適用するように更に構成され得る。プロセッサは、3次元(3D)ルックアップテーブル(LUT)の点を補間して、修正された彩度成分を生成するように構成されてもよく、その3D LUTが、第1の軸に沿った第1の数のエントリと、第2の軸に沿った第2の数のエントリと、第3の軸に沿った第3の数のエントリと、を備える。色相適応彩度マッピング関数は、色相適応マッピング関数及び色相適応勾配増加関数に基づいてもよい。色相適応マッピング関数は、ソフトクリッピングを伴う線形又は非線形であってもよい。
【0007】
本開示は、添付の図面を参照することによってより良好に理解され、その多くの特徴及び利点が当業者に明らかになる。異なる図面における同じ符号の使用は、類似又は同一のアイテムを示す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】いくつかの実施形態による、画素入力の色相成分に基づいて彩度成分をスケーリングすることによって有機発光ダイオードディスプレイパネルの電力消費を低減するように構成された処理システムのブロック図である。
【
図2】ハードクリッピングを伴う従来の線形彩度マッピングの図である。
【
図3】従来の線形勾配増加関数(linear slope increasing function)を示す図である。
【
図4】いくつかの実施形態による、色相に基づくソフトクリッピングを伴う線形彩度マッピングの例を示す図である。
【
図5】いくつかの実施形態による、色相に基づく非線形彩度マッピングの例を示す図である。
【
図6】いくつかの実施形態による、色相に基づく非線形彩度増加勾配関数(non-linear saturation increase slope functions)の例を示す図である。
【
図7】いくつかの実施形態による、3次元ルックアップテーブルを示す図である。
【
図8】いくつかの実施形態による、画素入力の色相成分に基づいて彩度成分をスケーリングするための方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイパネルで表示される画像の平均輝度は、人間の視覚系の知覚現象を利用することによって、画像品質の視覚認知に著しく悪影響を与えることなく低減され得る。例えば、Helmholtz-Kohlrausch(H-K)効果は、人間がより高い彩度を有する色をより明るく知覚する効果を説明する。H-K効果を利用することによって、画素値の減少は、色相の強い彩度が色の輝度の一部として知覚される色空間における彩度の増加によって相殺される。電力消費は、OLEDディスプレイ及び類似のディスプレイにおける画素値に正比例するので、電力消費は、そのようなディスプレイにおける彩度を増加させることによって低減され得る。H-K効果は、外部要因が色に影響を及ぼさない暗い環境において最も高い電力節約をもたらす。緑色及び黄色は、他の色ほど大きなH-K効果を有しないが、着色光の任意の色相は、同じ輝度で非着色(白黒)光よりも明るく見える。
【0010】
画素値を減少させることによるフレーム当たりの電力節約の割合は、以下のように計算される。
【0011】
【数1】
ここで、画素当たりの電力消費は、以下の式によって計算され得る。
【0012】
【数2】
ここで、w
R、w
G、w
Bは、色成分のエネルギー消費重みであり、γは、表示画像の符号化ガンマである。ガンマは、電力が線形光空間において計算されなければならないので必要とされる。表示される画像は、非線形光空間においてOLEDディスプレイパネルに送信され、OLEDディスプレイパネルの電子機器は、画像を線形光空間に変換する。
【0013】
色相-彩度-値(HSV)色空間における彩度を増加させることは、カラフルな画像の赤色、緑色及び青色成分の値(すなわち、輝度レベル)を低減することができる。画素値の減少を相殺するための彩度の増加よりも、勾配増加関数に基づく彩度マッピング関数の方が優先されてもよい。勾配が増加するにつれて電力消費が低減されるが、表示された画像の視覚認知に悪影響を及ぼし得る色変化が生じ得る。加えて、彩度マッピング関数は、一定の勾配を有する線形であり、最大彩度1.0を超える出力値は、1.0にハードクリップされ、これがまた、ユーザエクスペリエンスに悪影響を及ぼし得る。色相-彩度-値(HSV)色空間における入力画素の彩度成分を色相成分の関数として調整することによって、OLEDディスプレイパネルの性能は、ビデオゲーム、ビデオ、写真等の異なるタイプのコンテンツについて及び異なるOLEDディスプレイパネルについて、視覚品質と電力消費との間のトレードオフとして調整され得る。
【0014】
図1~
図8は、色相-彩度-値(HSV)色空間における入力画素の彩度成分を、入力画素の色相成分の関数として調整するためのシステム及び技術を示す。処理システムの色空間変換器は、OLEDディスプレイパネルのための画素入力の色成分を、非HSV色空間(RGB色空間における赤-緑-青(RGB)成分等)から、HSV色空間における画素入力のHSV成分に変換する。処理システムのプロセッサは、画素入力の色相成分に基づいて、HSV色空間における画素入力の彩度成分を修正して、画素入力の修正されたHSV成分を生成する。次いで、色空間変換器は、画素入力の修正されたHSV成分を元の色空間(例えば、RGB色空間)に変換し、元の色空間における画素入力の修正された画素色成分を生成し、処理システムは、OLEDディスプレイによる受信のために画素入力の修正された画素色成分を提供する。説明のために、システム及び技術は、RGB色空間において符号化された画像の例示的なコンテキストにおいて説明されるが、これらの技術及びシステムは、他の色空間において符号化された画像に対して採用され得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、修正された彩度成分は、色相成分に依存する彩度マッピング関数と、色相成分及び値成分に依存する彩度増加勾配関数と、の合成である。いくつかの実施形態では、全ての色相は、固有の彩度マッピング関数及び彩度増加勾配関数を有する。色相に基づいて彩度マッピング関数を変化させることによって、彩度マッピング関数は、彩度マッピング関数が線形であるか又は非線形の形態をとる場合に、ソフトクリッピングを示す。ソフトクリッピングは、彩度マッピング関数のハードクリッピングで発生する輪郭化視覚アーチファクト(contouring visual artifacts)を最小限に抑える。いくつかの実施形態では、プロセッサは、非線形関数を使用して、彩度増加勾配関数の形状を計算する。色相に基づいて彩度増加勾配関数の形状を変化させることによって、プロセッサは、色相及び値に基づいて彩度増加の程度を変調し、それによって、電力低減性能の程度も変調する。
【0016】
いくつかの実施形態では、処理システムは、修正された入力画素値への入力画素値のマッピングを表す多次元(例えば、3次元(3D))ルックアップテーブル(LUT)を記憶する。プロセッサは、3D-LUTにアクセスし、3D-LUTの点(points)を補間して、入力画素値の修正された彩度成分を決定する。プロセッサは、3D-LUTのアンカーポイントをオフラインで計算し、実行時にトリリニア補間(tri-linear interpolation)又は四面体補間(tetrahedral interpolation)を使用して、アンカーポイントから補間された修正画素値を生成する。
【0017】
図1は、いくつかの実施形態による、画素入力の色相成分に基づいて画素入力の彩度成分をスケーリングすることによってOLEDディスプレイパネルの電力消費を低減するように構成された処理システム100を示している。処理システム100は、少なくとも1つのプロセッサ102及び少なくとも1つのメモリ112を含む。プロセッサ102は、色空間変換器106及び色相ベースの彩度変調器110を含む。処理システム100は、修正された赤-青-緑(RGB)画素入力120をOLEDディスプレイパネル122に供給する。処理システム100は、概して、命令セット(例えばコンピュータプログラム)を実行して、電子デバイスのための指定されたタスクを実行するように構成されている。そのようなタスクの例は、電子デバイスの動作のアスペクトを制御すること、ユーザに情報を表示して、特定のユーザエクスペリエンスを提供すること、他の電子デバイスと通信すること等を含む。したがって、異なる実施形態では、処理システム100は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、サーバ、ゲームコンソール等の多数のタイプの電子デバイスのうち何れかで採用されている。処理システム100は、
図1に示すよりも多い又は少ない構成要素を含み得ることを理解されたい。
【0018】
いくつかの実施形態におけるプロセッサ102は、複数のデータ又はスレッドに対して単一の命令を並列に実行するように構成された並列プロセッサである。並列プロセッサの例は、グラフィックス、機械知能又は計算動作を実行するためのプロセッサを含む。いくつかの実施形態では、並列プロセッサは、コンピュータの一部として含まれる個別のデバイスである。高度プロセッサユニット等の他の実施形態では、並列プロセッサは、中央プロセッサユニット(central processor unit、CPU)等のホストプロセッサとともに単一のデバイスに含まれる。いくつかの実施形態では、プロセッサ102は、グラフィックス処理ユニット(GPU)であるが、以下に説明される実施形態では、他のタイプの並列プロセッサに適用可能である。
【0019】
メモリ112は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)(図示せず)等の非永続メモリを含む。種々の実施形態では、メモリ112は、処理論理命令、定数値、アプリケーション又はその他の処理論理の一部の実行中の変数値、又は、その他の所望の情報を記憶する。例えば、様々な実施形態では、プロセッサ102上の1つ以上の動作を実行するための制御論理の一部は、プロセッサ102による動作のそれぞれの部分の実行中にメモリ112内に存在する。実行中、それぞれのアプリケーション、オペレーティングシステム機能、処理論理コマンド及びシステムソフトウェアは、メモリ112に存在する。いくつかの実施形態では、その他のソフトウェアコマンドは、処理システム100の実行中にメモリ112内に存在する。いくつかの実施形態では、プロセッサ102は、追加の不揮発性メモリ、又は、プロセッサ102の電源がオフになってもメモリの電源がオンのままである(すなわち、完全又は部分的にパワーゲート(登録商標)される)ように専用の電源レールを備えたオンチップ若しくはオフチップの何れかの専用メモリを含む。
【0020】
プロセッサ102は、OLEDディスプレイパネル122で表示するための画像を表すデータを受信する。画像は、画素の値で表される。画素値は、色域を定義する表色系に従って画素によって生成される色を示す数である。例えば、画素値は、各画素によって生成される色の赤、緑及び青の成分を示す3つの数を含むことができる。OLEDディスプレイパネル122は、画素値を使用して、各画素によって生成される色を決定し、OLEDディスプレイパネル122上に表示される画像を生成する。
【0021】
色空間変換器106は、画素入力104の赤-緑-青(RGB)成分を、色相-彩度-値(HSV)色空間における画素入力108のHSV成分に変換する。R’、G’、B’(非線形)成分から彩度S、値V、色相Hへの変換は、以下のように定義される。
【0022】
【数3】
ここで、R’G’B’値は範囲[0,1]にあり、HSV値は範囲H=[0,360]、S=[0,1]及びV=[0,1]にある。色空間変換器106は、ハードコードされた論理若しくはプログラム可能な論理、ソフトウェア/ファームウェア命令を実行する1つ以上のプロセッサ、又は、これらの任意の組み合わせとして実装される。
【0023】
色空間変換器106は、HSV画素入力108を色相ベースの彩度変調器110に提供する。色相ベースの彩度変調器110は、メモリ112に記憶された色相適応彩度マッピング関数114及び彩度増加勾配関数116にアクセスする。色相ベースの彩度変調器110は、色相適応彩度マッピング関数114及び彩度増加勾配関数116をHSV画素入力108に適用して、HSV画素入力108の修正された彩度成分を生成する。
【0024】
Helmholtz-Kohlrausch効果が色相とともに変化するように、異なる色成分に対して変化するOLEDディスプレイパネル122の電力消費に応じて、色相ベースの彩度変調器110は、色相とともに彩度を変化させる色相適応彩度マッピング関数114を以下のように適用する。
【0025】
【数4】
ここで、関数f
sm(H,S,V)は、3つの入力変数(色相H、彩度S、値V)を有する。いくつかの実施形態では、関数f
sm(H,S,V)がより複雑になると、色相ベースの彩度変調器は、3次元(3D)格子等の表形式で表される関数f
sm(H,S,V)にアクセスする。3D格子は、以下のように、入力変数H=[0,360]、S=[0,1]及びV=[0,1]のダイナミックレンジに対して均一又は不均一に分散された3D格子点のセットに対して定義される。
【0026】
【数5】
ここで、i=0,...,N
H、j=0,...,N
S及びk=0,...,N
Vであり、N
Hは、H軸に沿った点の数であり、N
Sは、S軸に沿った点の数であり、N
Vは、V軸に沿った点の数であり、したがって、3D格子は、合計N
H×N
S×N
V点を有する。
【0027】
場合によっては、色相適応彩度マッピング関数は、色相適応マッピング関数fm(H,S)及び色相適応勾配関数fs(H,V)の関数として以下のように解析的に表されてもよい。
【0028】
【0029】
色相成分に基づいて彩度成分を変化させることによって、色相ベースの彩度変調器110は、線形マッピング関数のソフトクリッピング又は非線形関数を使用することの何れかによって、画像の視覚的品質を維持又は改善しながら、OLEDディスプレイパネル122の電力消費を低減する。一例として、Sのべき関数(power function)は、以下のように固定色相値H=hに対して、fmとして使用され得る。
【0030】
【0031】
色相適応彩度変調器110が非線形関数fsを使用する実施形態では、勾配関数を定義するために、色相適応彩度変調器110は、色相及び値ごとの彩度増加の程度を変調し、そうすることによって、OLEDディスプレイパネル122の電力低減性能を変調する。
【0032】
いくつかの実施形態では、色相適応彩度変調器110は、以下のようにして、固定された色相値H=hに対してfs及び任意の色相値hに対して所定の最大勾配
【0033】
【数8】
及び指数e
hとしてVのべき関数(power function)を使用する。
【0034】
【0035】
いくつかの実施形態では、色相適応彩度マッピング関数114は、以下のように色相とともに変化する。
【0036】
【数10】
ここで、彩度増加勾配関数kは、値Vと値Hの2つの変数の関数である。例えば、いくつかの実施形態では、彩度増加勾配関数は、色相Hの関数としての最大勾配k
maxと、色相H及び値Vの関数としての彩度増加勾配形状k
shapeと、を乗算することによって定義される。
【0037】
【0038】
動作において、プロセッサ102は、RGB色空間における画素入力(RGB画素入力104)を受信する。色空間変換器106は、RGB画素入力104をHSV色空間に変換し、HSV画素入力108を生成する。色空間変換器106は、HSV画素入力108を色相ベースの彩度変調器110に提供する。色相ベースの彩度変調器110は、メモリ112に記憶された色相適応彩度マッピング関数114及び彩度増加勾配関数116にアクセスして、HSV画素入力108の彩度成分を修正し、修正されたHSV画素入力118を生成する。
【0039】
色相ベースの彩度変調器110は、修正されたHSV画素入力118を色空間変換器106に提供する。色空間変換器106は、修正されたHSV画素入力118をRGB色空間に変換し、修正されたRGB画素入力120を生成する。プロセッサ102は、修正されたRGB画素入力120を表示のためにOLEDディスプレイパネル122に提供する。修正されたRGB画素入力120は、画像の視覚認知に悪影響を与えることなく、元のRGB画素入力104に使用されたであろう電力消費と比べて低減された電力消費を使用する。
【0040】
図2は、ハードクリッピングを伴う従来の線形彩度マッピングの図である。従来、彩度マッピング関数は色相成分から独立しており、以下のように計算される。
【0041】
【数12】
ここで、勾配kは、彩度の過度な上昇を抑制するために、輝度の上昇に伴って減少される。したがって、修正された彩度成分S
outは、勾配増加関数k(V)の関数として変化し、これらは何れも色相成分に依存しない。最大勾配k
max>1が接近すると、より多くの電力が低減されるが、不快な色変化が起こり得る。従来の彩度マッピング曲線は、全ての色相に対して同じであり、したがって、非色相適応性である。更に、従来の彩度マッピング曲線は、一定の勾配を有する線形であり、1.0を超える値は、
図2に示されるようにハードクリップされる。
【0042】
図3は、従来の線形勾配増加関数k(V)を示す図である。従来、彩度マッピング曲線の勾配は、勾配増加関数に基づいて計算され、勾配増加関数は、全ての値及び全ての色相に対して線形であり、したがって、
図3に示されるように、非色相適応である。
【0043】
対照的に、色相適応彩度変調器110は、色相適応彩度マッピング関数114を使用し、その例が
図4に示されている。
図4は、いくつかの実施形態による、色相に基づくソフトクリッピングを伴う、3つの線形彩度マッピング402、404、406を示す
図400である。図示した例では、線形彩度マッピング402は、赤色色相についての彩度増加勾配関数k
shape(R)について、入力彩度成分S
inpを出力(修正された)彩度成分S
outにマッピングする。線形彩度マッピング404は、青色相の彩度増加勾配関数k
shape(B)について、入力彩度成分S
inpを出力(修正された)彩度成分S
outにマッピングする。同様に、線形彩度マッピング406は、緑色色相についての彩度増加勾配関数k
shape(G)について、入力彩度成分S
inpを出力(修正された)彩度成分S
outにマッピングする。線形彩度マッピング402、404、406の各々は、入力彩度成分S
inpが1.0に等しくなるまで出力彩度S
outをクランプしないので、ソフトクリッピングを示す。加えて、線形彩度マッピング402、404、406のそれぞれは、それらがそれぞれ異なる色相に基づくので、他とは異なる。
【0044】
上述したように、いくつかの実施形態では、色相適応彩度変調器110は、勾配関数を定義するために非線形関数f
sを使用する。
図5は、いくつかの実施形態による、色相に基づく3つの非線形彩度マッピングの例を示す図である。図示した例では、非線形彩度マッピング502は、赤色色相についての彩度増加勾配関数k
shape(R)について、入力彩度成分S
inpを出力(修正された)彩度成分S
outにマッピングする。非線形彩度マッピング504は、青色相の彩度増加勾配関数k
shape(B)について、入力彩度成分S
inpを出力(修正された)彩度成分S
outにマッピングする。同様に、非線形彩度マッピング506は、緑色色相についての彩度増加勾配関数k
shape(G)について、入力彩度成分S
inpを出力(修正された)彩度成分S
outにマッピングする。非線形彩度マッピング502、504、506の各々は、それらが各々異なる色相に基づくので、他とは異なる。加えて、それらの非線形形状及び色相による分散に起因して、非線形彩度マッピング502、504、506の何れもハードクリッピングを示さない。
【0045】
図6は、いくつかの実施形態による、色相に基づく非線形彩度増加勾配関数602、604、606、612、614、616の例を示す図である。いくつかの実施形態では、色相ベースの彩度変調器110は、彩度増加勾配関数116を定義するために非線形関数f
sを使用する。彩度増加勾配関数116の形状を変化させることによって、色相ベースの彩度変調器110は、色相及び値に基づいて彩度増加の程度を制御する。非線形彩度増加勾配関数602、612は、赤色色相に対する勾配関数の例を表す。非線形彩度増加勾配関数604、614は、青色相に対する勾配関数の例を表し、非線形彩度増加勾配関数606、616は、緑色相に対する勾配関数の例を表す。異なる彩度増加勾配関数は、電力消費の様々な程度の低減をもたらす。例えば、非線形彩度増加勾配関数602、604、606は、非線形彩度増加勾配関数612、614、616よりも電力消費を低減する。
【0046】
いくつかの実施形態では、プロセッサ102において画素ごとの色相適応彩度マッピングを決定するのではなく、処理システム100は、入力R’G’B’から出力R’G’B’へのマッピングを表す3Dルックアップテーブル(3D-LUT)を実現する。いくつかの実施形態では、3D-LUTはハードウェアで実現され、3D-LUTのアンカーポイントのみがオフラインで計算される。実行時に、色相ベースの彩度変調器10は、トリリニア補間又は四面体補間を使用して、アンカーポイントから出力画素値を生成する。
【0047】
図7は、いくつかの実施形態による、3D-LUTを表す格子の一部700を示す図である。色相ベースの彩度変調器110は、RGB画素入力104の色値に対応する修正されたRGB画素入力120の色相ベースの修正されたRGB色値のサンプルを記憶する3D LUTを含むか、又は、3D LUTへのアクセスを有する。3D LUTは、第1の色域内の3つの色成分に対応する3次元を有する格子として表される。例えば、3D-LUTは、赤色成分に対応する第1の次元、緑色成分に対応する第2の次元、及び、青色成分に対応する第3の次元を有する格子として表すことができる。したがって、3D-LUTは、第1の軸に沿った第1の数のエントリと、第2の軸に沿った第2の数のエントリと、第3の軸に沿った第3の数のエントリと、を有する。3D-LUT内の各頂点(エントリ)は、RGB画素入力の色値に対応する修正されたRGB画素入力の色値のサンプルに関連付けられる。例えば、3D-LUTの格子内の頂点へのRGB画素入力の色成分値(R
1,G
1,B
1)は、修正されたRGB画素入力の対応する色成分値(R
2,G
2,B
2)に関連付けられている。
【0048】
入力色の色成分値は、色相ベースの彩度変調器110に提供され、色相ベースの彩度変調器110は、入力色の成分値によって示される3D-LUT内の位置を包含する立方体又は四面体を定義する3D-LUT内の頂点を識別することができる。色相ベースの彩度変調器110は、3D-LUT内の位置に基づいて、例えば、トリリニア補間又は四面体補間を使用して入力色を出力色にマッピングするように更に構成されている。
【0049】
明確にするために、格子からの単一の立方体705が部分700に示されている。立方体705は、格子内の頂点710の頂点(明確にするために符号によって1つのみが示される)によって定義される。各頂点710は、修正されていないRGB画素入力104に対応する第1の色域における色成分値によってアドレス指定又は識別される。例えば、格子の部分700は、3D-LUTの3つの軸が赤色成分、緑色成分及び青色成分に対応するように、RGB色空間において定義される。次に、頂点710は、色成分値(R’,G’,B’)に基づいて識別される。
【0050】
頂点710の各々は、修正されたRGB画素入力120に対応する第2の色域におけるマッピングされた色成分値に関連付けられる。したがって、頂点710に関連付けられた色成分値を使用して、頂点710に関連付けられた色成分値から第1の色域内の入力色によって示される位置に補間することによって、第1の色域内の入力色を第2の色域内の出力色にマッピングすることができる。いくつかの実施形態では、四面体補間が、頂点710のうち4つから入力色の位置まで補間することによって出力色を決定するために使用される。例えば、頂点710のうち4つに関連付けられた第2の色域内の色成分の値は、3D-LUTを表す格子の立方体705内の位置715に補間され得る。位置715は、第1の色域の入力色の色成分(R’+r’,G’+g’,B’+b’)によって示される。頂点210における色成分値(R’,G’,B’)に対するオフセット(r’,g’,b’)は、RGB画素入力をHSV色空間に変換し、HSV色空間における色相に基づいて彩度成分を修正して修正されたHSV画素入力を生成し、修正されたHSV画素入力をRGB色空間に変換して修正RBG画素入力を生成することによって決定される。
【0051】
図8は、いくつかの実施形態による、画素入力の色相成分に基づいて彩度成分をスケーリングするための方法800を示すフロー図である。方法800は、
図1の処理システム100等の処理システムにおいて実行される。いくつかの実施形態では、方法800は、コンピュータ可読記憶媒体によって記憶された1つ以上の命令に応じて1つ以上のプロセッサによって開始される。
【0052】
ブロック802において、色空間変換器106は、RGB色空間におけるRGB画素入力104のRGB成分をHSV色空間におけるHSV成分に変換して、HSV画素入力108を生成する。色空間変換器106は、HSV画素入力108を色相ベースの彩度変調器110に提供する。
【0053】
ブロック804において、色相ベースの彩度変調器110は、修正されたHSV画素入力118を生成するために、HSV画素入力108の色相成分に基づいてHSV画素入力108の彩度成分を修正する。いくつかの実施形態では、色相ベースの彩度変調器110は、メモリ112に記憶された色相適応彩度マッピング関数114及び彩度増加勾配関数116にアクセスすることによってHSV画素入力108の彩度成分を修正して、HSV画素入力108の彩度成分を修正し、修正されたHSV画素入力118を生成する。色相ベースの彩度変調器110は、修正されたHSV画素入力118を色空間変換器106に提供する。他の実施形態では、プロセッサ102は、修正された画素入力マッピングへの画素入力を表すハードウェア3D-LUTにアクセスする。
【0054】
ブロック806において、色空間変換器106は、HSV色空間における修正されたHSV画素入力118の成分をRGB色空間に変換して、修正されたRGB画素入力120を生成する。ブロック808において、プロセッサ102は、OLEDディスプレイパネル122による受信のために修正されたRGB画素入力120を提供する。修正されたRGB画素入力120は、より高い画素値におけるRGB画素入力104に視覚的に匹敵する(知覚的に類似する)ディスプレイ出力を達成するために、より低い画素値(したがって、より低い電力)を必要とする。
【0055】
いくつかの実施形態では、上記の装置及び技術は、
図1~
図8を参照して上述した処理システム等の1つ以上の集積回路(integrated circuit、IC)デバイス(集積回路パッケージ又はマイクロチップとも呼称される)を含むシステムに実装されている。電子設計自動化(electronic design automation、EDA)及びコンピュータ支援設計(computer aided design、CAD)ソフトウェアツールは、これらのICデバイスの設計及び製造に使用することができる。これらの設計ツールは、典型的には、1つ以上のソフトウェアプログラムとして表される。1つ以上のソフトウェアプログラムは、回路を製造するための製造システムを設計するか又は適応させるためのプロセスの少なくとも一部を実行するために、1つ以上のICデバイスの回路を表すコードで動作するようにコンピュータシステムを操作するための、コンピュータシステムによって実行可能なコードを含む。このコードは、命令、データ、又は、命令及びデータの組み合わせを含み得る。設計ツール又は製造ツールを表すソフトウェア命令は、典型的には、コンピューティングシステムにアクセス可能なコンピュータ可読記憶媒体に記憶される。同様に、ICデバイスの設計又は製造の1つ以上の段階を表すコードは、同じコンピュータ可読記憶媒体又は異なるコンピュータ可読記憶媒体に記憶され、そこからアクセスされる。
【0056】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令及び/又はデータをコンピュータシステムに提供するために、使用中にコンピュータシステムによってアクセス可能な任意の非一時的な記憶媒体又は非一時的な記憶媒体の組み合わせを含む。このような記憶媒体には、限定されないが、光学媒体(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク)、磁気媒体(例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、磁気ハードドライブ)、揮発性メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)若しくはキャッシュ)、不揮発性メモリ(例えば、読取専用メモリ(ROM)若しくはフラッシュメモリ)、又は、微小電気機械システム(MEMS)ベースの記憶媒体が含まれ得る。コンピュータ可読記憶媒体(例えば、システムRAM又はROM)はコンピューティングシステムに内蔵されてもよいし、コンピュータ可読記憶媒体(例えば、磁気ハードドライブ)はコンピューティングシステムに固定的に取り付けられてもよいし、コンピュータ可読記憶媒体(例えば、光学ディスク又はユニバーサルシリアルバス(USB)ベースのフラッシュメモリ)はコンピューティングシステムに着脱可能に取り付けられてもよいし、コンピュータ可読記憶媒体(例えば、ネットワークアクセス可能ストレージ(NAS))は有線又は無線ネットワークを介してコンピュータシステムに結合されてもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、上述した技術の特定の態様は、ソフトウェアを実行する処理システムの1つ以上のプロセッサによって実装される。ソフトウェアは、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に記憶されるか、別の方法で明確に具体化された実行可能命令の1つ以上のセットを含む。ソフトウェアは、命令及び特定のデータを含んでもよく、当該命令及び特定のデータは、1つ以上のプロセッサによって実行されると、上述した技術の1つ以上の態様を実行するように1つ以上のプロセッサを操作する。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気又は光ディスク記憶デバイス、フラッシュメモリ等のソリッドステート記憶デバイス、キャッシュ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、又は、他の不揮発性メモリデバイス(単数又は複数)等を含み得る。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に記憶された実行可能命令は、ソースコード、アセンブリ言語コード、オブジェクトコード、又は、1つ以上のプロセッサによって解釈され若しくは別の方法で実行可能な他の命令形式で実装可能である。
【0058】
上述したものに加えて、概要説明において説明した全てのアクティビティ又は要素が必要とされているわけではなく、特定のアクティビティ又はデバイスの一部が必要とされない場合があり、1つ以上のさらなるアクティビティが実行される場合があり、1つ以上のさらなる要素が含まれる場合があることに留意されたい。さらに、アクティビティが列挙された順序は、必ずしもそれらが実行される順序ではない。また、概念は、特定の実施形態を参照して説明された。しかしながら、当業者であれば、特許請求の範囲に記載されているような本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更及び変形を行うことができるのを理解するであろう。したがって、明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で考慮されるべきであり、これらの変更形態の全ては、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0059】
利益、他の利点及び問題に対する解決手段を、特定の実施形態に関して上述した。しかし、利益、利点、問題に対する解決手段、及び、何かしらの利益、利点若しくは解決手段が発生又は顕在化する可能性のある特徴は、何れか若しくは全ての請求項に重要な、必須の、又は、不可欠な特徴と解釈されない。さらに、開示された発明は、本明細書の教示の利益を有する当業者には明らかな方法であって、異なっているが同様の方法で修正され実施され得ることから、上述した特定の実施形態は例示にすぎない。添付の特許請求の範囲に記載されている以外に本明細書に示されている構成又は設計の詳細については限定がない。したがって、上述した特定の実施形態は、変更又は修正されてもよく、かかる変更形態の全ては、開示された発明の範囲内にあると考えられることが明らかである。したがって、ここで要求される保護は、添付の特許請求の範囲に記載されている。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータによって実行される方法であって、
色相-彩度-値(HSV)色空間における画素入力の彩度成分を、前記HSV色空間における前記画素入力の色相成分に基づいて修正し、前記画素入力の修正されたHSV成分を生成することと、
前記画素入力の修正されたHSV成分に基づいて、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイパネルが受信するための出力を提供することと、を含み、
前記出力は、前記OLEDディスプレイパネルの対応する画素を制御するように構成されている、
方法。
【請求項2】
第1の色空間からの前記画素入力の成分を、前記HSV色空間における前記画素入力のHSV成分に変換することと、
前記画素入力の修正されたHSV成分を、前記第1の色空間における前記画素入力の修正された成分に変換することと、を含む、
請求項1の方法。
【請求項3】
前記彩度成分を修正することは、
色相適応彩度マッピング関数を、HSV色空間における前記画素入力の彩度成分に適用することを含む、
請求項1又は2の方法。
【請求項4】
前記色相適応彩度マッピング関数を適用することは、3次元(3D)ルックアップテーブル(LUT)の点を補間して、前記修正された彩度成分を生成することを含む、
請求項3の方法。
【請求項5】
前記色相適応彩度マッピング関数は、色相適応マッピング関数及び色相適応勾配増加関数に基づいている、
請求項3の方法。
【請求項6】
前記色相適応マッピング関数は、ソフトクリッピングを伴う線形
、又は、非線形である、
請求項5の方法。
【請求項7】
コンピュータによって実行される方法であって、
色相-彩度-値(HSV)色空間画素入力の色相成分に基づいて前記HSV色空間画素入力の彩度成分を修正し、修正されたHSV色空間画素入力を生成することと、
前記修正されたHSV色空間画素入力を第1の色空間画素入力に変換することと、
有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイパネルが受信するための出力を提供して、前記第1の色空間画素入力に基づいて前記OLEDディスプレイパネルの画素をドライブすることと、を含む、
方法。
【請求項8】
前記彩度成分を修正することは、
色相適応彩度マッピング関数を、HSV色空間における前記
HSV色空間画素入力の彩度成分に適用することを含む、
請求項
7の方法。
【請求項9】
前記色相適応彩度マッピング関数は、色相適応マッピング関数及び色相適応勾配増加関数に基づいている、
請求項
8の方法。
【請求項10】
デバイスであって、
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
色相-彩度-値(HSV)色空間における画素入力の色相成分に基づいて前記HSV色空間における前記画素入力の彩度成分を修正し、前記画素入力の修正されたHSV成分を生成することと、
前記画素入力の前記修正されたHSV成分に基づいて、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイパネルが受信するための出力を提供することと、
を行うように構成されており、
前記出力は、前記OLEDディスプレイパネルの対応する画素を制御するように構成されている、
デバイス。
【請求項11】
色空間変換器を備え、
前記色空間変換器は、
前記OLEDディスプレイパネル用の前記画素入力の成分を、第1の色空間から、色相-彩度-値(HSV)色空間における前記画素入力のHSV成分に変換することと、
前記画素入力の修正されたHSV成分を、前記OLEDディスプレイパネルに出力するために、前記第1の色空間における前記画素入力の修正された成分に変換することと、
を行うように構成されている、
請求項
10のデバイス。
【請求項12】
前記プロセッサは、色相適応彩度マッピング関数を、HSV色空間における前記画素入力の彩度成分に適用する、
請求項
10又は11のデバイス。
【請求項13】
前記プロセッサは、3次元(3D)ルックアップテーブル(LUT)の点を補間して、前記修正された彩度成分を生成し、前記3D LUTは、第1の軸に沿った第1の数のエントリと、第2の軸に沿った第2の数のエントリと、第3の軸に沿った第3の数のエントリと、を含む、
請求項
12のデバイス。
【請求項14】
前記色相適応彩度マッピング関数は、色相適応マッピング関数及び色相適応勾配増加関数に基づいている、
請求項
12のデバイス。
【請求項15】
前記色相適応マッピング関数は、ソフトクリッピングを伴う線形、又は、非線形である、
請求項
14のデバイス。
【国際調査報告】