(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】改良されたセパレータプレートを備えた電気化学セルユニット
(51)【国際特許分類】
H01M 8/026 20160101AFI20241001BHJP
H01M 8/12 20160101ALI20241001BHJP
C25B 9/60 20210101ALI20241001BHJP
C25B 9/63 20210101ALI20241001BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20241001BHJP
C25B 1/23 20210101ALI20241001BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20241001BHJP
H01M 8/0206 20160101ALI20241001BHJP
【FI】
H01M8/026
H01M8/12 101
C25B9/60
C25B9/63
C25B1/04
C25B1/23
C25B9/00 A
C25B9/00 Z
H01M8/0206
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518128
(86)(22)【出願日】2022-09-21
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 GB2022052386
(87)【国際公開番号】W WO2023047101
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508359550
【氏名又は名称】セレス インテレクチュアル プロパティー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ノブス,クリストファー ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ガヴェル,ダンカン アルバート ヴォイチェフ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルツ,ゾルタン
【テーマコード(参考)】
4K021
5H126
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021AB25
4K021BA02
4K021BA17
4K021CA02
4K021CA15
4K021DB49
4K021DB53
5H126AA08
5H126AA12
5H126BB06
5H126DD05
5H126EE04
5H126EE06
5H126EE11
5H126GG02
5H126JJ03
(57)【要約】
セル層(405)を覆うセパレータプレート(410)を備える電気化学セルユニット(400)およびスタック。セパレータプレート(410)は、電気化学的活性セル領域(307)の少なくとも一部を覆う選択的に成形された3次元(3D)領域を有する。その3次元(3D)領域において、セパレータプレート(410)は、セパレータプレート(410)の第1の側において第1の流体体積(415)の高さを画定する第1の複数の外側に延びるディンプル状突起(430、433)と、セパレータプレート(410)の第2の側において第2の流体体積の高さを画定する第2の複数の外側に延びるディンプル状突起(435、438)とに変形されている。中間平面領域(443)が突起(430、433、435)の間に配置され、中間平面領域(443)は、第1の流体体積(415)および第2の流体体積の相互に関連するそれぞれの高さが結果として対応して増加および減少するように、活性セル領域(307)を横切る少なくとも1つの方向にその高さを選択的に変化させるように成形されている。
【選択図】
図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学セルユニットであって、
電気化学的活性セル領域を含むセル層と、
前記セル層を覆う金属シートを含むセパレータプレートとを含み、
前記セパレータプレートが、前記電気化学的活性セル領域の少なくとも一部を覆う選択的に成形された3次元(3D)領域を有し、
その3次元(3D)領域において、
前記金属シートが、前記セパレータプレートの第1の側の第1の流体体積の高さを画定する、第1の複数の外側に延びるディンプル状突起に変形されており、
加えて、前記金属シートが、前記セパレータプレートの第2の側の第2の流体体積の高さを画定する、第2の複数の外側に延びるディンプル状突起に変形されており、
それによって、中間平面領域が前記突起の間に配置され、
前記中間平面領域が、前記第1および第2の流体体積の相互に関連するそれぞれの高さが結果として対応して増加および減少するように、前記活性セル領域を横切る少なくとも1つの方向にその高さを選択的に変化させるように成形される、
電気化学セルユニット。
【請求項2】
前記中間平面領域の前記高さが、不連続な遷移として変化する、請求項1に記載の電気化学セルユニット。
【請求項3】
前記中間平面領域の前記高さが、連続的な遷移として変化する、請求項1に記載の電気化学セルユニット。
【請求項4】
前記電気化学的活性セル領域がその間に配置された、前記セルユニットの対向する縁部に向かって配置された前記第1の流体体積への入口およびそこからの出口を含み、前記中間平面領域における高さ変化の前記少なくとも1つの方向は、前記第1の流体体積の前記高さが、前記セルユニットの縁部に隣接するエリアよりも前記セルユニットの中央エリアにおいて小さくなるようになっている、請求項1から3のいずれかに記載の電気化学セルユニット。
【請求項5】
前記中間平面領域における高さ変化の前記少なくとも1つの方向が、前記第1の流体体積への入口と前記第1の流体体積からの出口との間の直線に対して概ね垂直であり、前記第1の流体体積の前記高さが、前記直線の少なくとも一方の側よりも前記直線に沿った方が小さい、請求項1から3のいずれか一項に記載の電気化学セルユニット。
【請求項6】
前記電気化学的活性セル領域がその間に配置された、前記セルユニットの対向する縁部に向かって配置された前記第1の流体体積への入口およびそこからの出口を含み、前記中間平面領域における高さ変化の前記少なくとも1つの方向が、前記第1の流体体積の前記高さが前記第1の流体体積の前記入口から前記出口に向かって減少するようになっている、請求項1から3のいずれか一項に記載の電気化学セルユニット。
【請求項7】
前記電気化学的活性セル領域がその間に配置された、前記セルユニットの対向する縁部に向かってまたは外側に配置された前記第2の流体体積への入口およびそこからの出口を含み、前記第2の流体体積の前記入口および出口が、前記第2の流体体積の前記高さが前記第2の流体体積の前記入口から前記出口に向かって増加するように配置されている、請求項6に記載の電気化学セルユニット。
【請求項8】
前記第2の流体体積が、前記第2の流体体積への前記入口に近接する前記3D領域の一部の周囲に第2の流体のためのバイパスを含む、請求項7に記載の電気化学セルユニット。
【請求項9】
前記3次元(3D)領域が、前記電気化学的活性セル領域のすべてを覆っている、請求項1から8のいずれかに記載の電気化学セルユニット。
【請求項10】
これによって、前記第1および第2の複数のディンプル状突起の前記ディンプル状突起が、その最外部分が、流れが制約される流体体積内にチャネルを形成するように、流体体積の全高を高さ方向に延びる任意の横方向に延びる接触部分を含まないように成形される、請求項1から9のいずれかに記載の電気化学セルユニット。
【請求項11】
前記セパレータプレートの前記第1の側が前記セル層に面し、前記第1の複数のディンプル状突起の各々の接触部分が前記セル層に接触する、請求項1から10のいずれかに記載の電気化学セルユニット。
【請求項12】
前記第1の複数のディンプルの各々の前記接触部分および前記第2の複数のディンプルの各々の接触部分がそれぞれ、第1および第2の平面を形成し、前記第1および第2の平面が各々平面であり、互いに平行である、請求項11に記載の電気化学セルユニット。
【請求項13】
前記セルユニットのアーキテクチャが、金属支持型、アノード支持型、電解質支持型、またはカソード支持型アーキテクチャのいずれかから選択される、請求項1から12のいずれかに記載の電気化学セルユニット。
【請求項14】
前記セルユニットは、前記セル層が、その第1の側上に、多孔質領域上に設けられた前記電気化学的活性セル領域を担持する金属支持プレートを備えるような金属支持型セルユニットである、請求項1から13のいずれかに記載の電気化学セルユニット。
【請求項15】
前記セパレータプレートおよび前記金属支持プレートのうちの少なくとも一方が、前記プレートを凹型構成にプレスすることによって形成されたフランジ付き周辺特徴を備え、
前記セパレータプレートと前記金属支持プレートが、前記フランジ付き周辺特徴で直接接合され、任意選択で溶接によって、その間に前記第1の流体体積を形成する、
請求項14に記載の電気化学セルユニット。
【請求項16】
前記金属支持プレートとセパレータプレートとの間に配置されたスペーサプレートをさらに備え、前記スペーサプレートが、その中に前記第1の流体体積を画定する開口を有し、前記金属支持プレートセル層、スペーサプレート、およびセパレータプレートが、それらの周囲で接合されている、請求項14に記載の電気化学セルユニット。
【請求項17】
第1の流体体積が燃料用であり、第2の流体体積が酸化剤用である、請求項1から16のいずれかに記載の電気化学セルユニット。
【請求項18】
前記第1の流体体積の前記高さが、前記第2の流体体積の前記高さよりも低い、請求項1から17のいずれかに記載の電気化学セルユニット。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の複数の電気化学セルユニットを含む電気化学セルスタックであって、
第1の電気化学セルユニットの前記セパレータプレートの前記第1の側が、前記第1の電気化学セルユニットの前記セル層に面し、その間に前記第1の流体体積を封入し、
前記第1の電気化学セルユニットの前記セパレータプレートの前記第2の側が、前記セルユニットのスタック内の隣接する第2の電気化学セルユニットのセル層に面し、その間に前記第2の流体体積を封入する、
電気化学セルスタック。
【請求項20】
請求項4に従属するとき、前記電気化学的活性セル領域がその間に配置された、前記セルユニットの対向する縁部に向かって配置された前記第1の流体体積からの第1の流体の供給のための手段および排出のための手段をさらに含み、前記中間平面領域における高さ変化の少なくとも1つの方向は、前記第1の流体体積の前記高さが、前記セルユニットの縁部に隣接するエリアよりも前記セルユニットの中央エリアにおいて小さくなるようになっている、請求項19に記載の電気化学セルスタック。
【請求項21】
請求項5に従属するとき、前記第1の流体体積からの第1の流体の供給のための手段および排出のための手段をさらに備え、前記電気化学的活性セル領域が、前記供給のための手段と前記排出のための手段との間に配置され、中間平面の高さ変化の前記少なくとも1つの方向が、第1の流体の前記供給のための手段と前記排出のための手段との間の直線に垂直であり、前記第1の流体体積の前記高さが、前記直線の少なくとも一方の側よりも前記直線に沿った方が小さい、請求項19に記載の電気化学セルスタック。
【請求項22】
請求項6に従属するとき、前記第1の流体体積からの第1の流体の供給のための手段および排出のための手段をさらに備え、前記電気化学的活性セル領域が、前記供給のための手段と前記排出のための手段との間に配置され、前記中間平面領域における高さ変化の前記少なくとも1つの方向は、前記第1の流体体積の前記高さが、前記第1の流体体積の前記供給のための手段から前記排出のための手段まで減少するようになっている、請求項19に記載の電気化学セルスタック。
【請求項23】
前記第2の流体体積からの第2の流体の供給のための手段および排出のための手段をさらに備え、前記電気化学的活性セル領域が、前記第2の流体体積からの第2の流体の前記供給のための手段と前記排出のための手段との間に配置され、前記中間平面領域における高さ変化の前記少なくとも1つの方向は、前記第2の流体体積の前記高さが、前記第1の流体体積の前記供給のための手段から前記排出のための手段まで増加するようになっている、請求項22に記載の電気化学セルスタック。
【請求項24】
前記電気化学セルスタックが、筐体内に配置され、前記第2の流体体積への前記第2の流体の前記供給のための手段に近接する前記3D領域の一部の周囲に第2の流体のためのバイパスを提供するように構成されたバッフルを備える、請求項23に記載の電気化学セルスタック。
【請求項25】
前記第1の流体体積からの第1の流体の前記供給のための手段および前記排出のための手段が、前記セパレータプレートおよび前記第1の流体体積と流体連通している前記セル層を介して提供される少なくとも1つの流体ポートを備え、前記スタック方向に延びる少なくとも1つの通路を形成するように前記それぞれのセルユニットの前記少なくとも1つの流体ポートが整列し、これらが内部でマニホールドにより集配される通路である、請求項20から24のいずれか一項に記載の電気化学セルスタック。
【請求項26】
セパレータプレートを製造するための方法であって、
平面金属シートを提供することと、
前記金属シートを変形させて、3次元(3D)領域を提供することとを含み、前記3次元(3D)領域が、
前記セパレータプレートの第1の側の第1の流体体積の高さを画定する、第1の複数の外側に延びるディンプル状突起と、
前記セパレータプレートの第2の側の第2の流体体積の高さを画定する、第2の複数の外側に延びるディンプル状突起とを含み、
それによって、中間平面領域が前記突起の間に配置され、
前記中間平面領域が、前記第1および第2の流体体積の相互に関連するそれぞれの高さが結果として対応して増加および減少するように、前記活性セル領域を横切る少なくとも1つの方向にその高さを選択的に変化させるように成形される、
方法。
【請求項27】
前記中間平面領域および突起が形成されるのと同じステップで、成形されたポート特徴、フランジ付き周辺特徴、および他の成形された流量制御特徴の3D特徴のうちの任意の1つ以上も前記セパレータプレートに形成される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
請求項26または27に記載の方法により形成されたセパレータプレート。
【請求項29】
前記中間平面領域の前記形状は、前記第1の流体体積内の前記第1の流体の分布を最適化するために、前記第1の流体が動作中に前記セルユニットに出入りする前記それぞれの入口および出口の数および位置を考慮して、選択的に調整される、請求項1から18のいずれかに記載の電気化学セルユニットの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学セルユニット、特に燃料電池ユニットおよび電解セルユニット、そのようなセルユニットを含むスタック、そのようなセルユニットで使用するためのセパレータプレートの製造方法、そのように形成されたセパレータプレート、およびそのようなセルユニットの使用に関する。本発明のセルユニットには、固体酸化物型、高分子電解質膜型、溶融炭酸塩型のセルが含まれる。本発明は、より具体的には、固体酸化物燃料電池(SOFC)および固体酸化物電解セル(SOEC)ユニットに関し、これらには、金属支持型固体酸化物燃料電池(MS-SOFC)または電解セル(MS-SOEC)ユニットが含まれ得る。
【背景技術】
【0002】
燃料電池ユニットの中には、燃料を酸化させて電気を生成する電気化学的変換プロセスを使用することによって電気を生成することができるものもある。一部の燃料電池ユニットはまた、または代わりに、例えば水から水素と酸素を分離したり、二酸化炭素から一酸化炭素と酸素を分離したりするために、電解槽型燃料電池ユニットとして知られることが多いい再生型燃料電池(または逆燃料電池)ユニットとして動作することもできる。それらは、管状でも平面状でもよい。平面型燃料電池ユニットは、例えばスタック内の100~200個の燃料電池ユニットなど、スタック構成において互いに重ねて配置され得、個々の燃料電池ユニットは、例えば電気的に直列に配置される。
【0003】
電気を生成する固体酸化物燃料電池(SOFC)ユニットは、電解質の反対側に位置するカソードからアノードにマイナス酸素イオンを伝導する固体酸化物電解質に基づいている。このため、燃料または改質燃料がアノード(燃料極)に接触し、空気または酸素を豊富に含む流体などの酸化剤がカソード(空気極)に接触する。従来のセラミック支持型(例えばアノード支持型)SOFCは機械的強度が低く、破損しやすい。したがって、金属基板上に支持された活性燃料電池構成要素層を有する金属支持型SOFCが開発された。これらのセルでは、セラミック層は電気化学的機能しか果たさないため、非常に薄くすることができ、つまり、セラミック層は自己支持型ではなく、むしろ金属基板上に敷かれ、金属基板によって支持される薄いコーティング/膜である。このような金属支持型SOFCスタックは、セラミック支持型SOFCよりも堅牢で低コストで、優れた熱特性を有し、従来の金属溶接技術を使用して製造することができる。
【0004】
固体酸化物電解セル(SOEC)は、SOFCと同じ構造を有し得るが、基本的にはSOFCを逆回転、または再生モードで動作させ、電気エネルギーの入力によって水および/または二酸化炭素の電気分解を実現し、固体酸化物電解質を使用して水素ガスならびに/または一酸化炭素および酸素を生成する。
【0005】
本発明は、電気化学セルユニットを対象とし、そのセパレータプレートの設計に関する。したがって、例えば、固体酸化物電解質、高分子電解質膜、溶融電解質に基づく、様々なタイプの燃料電池および電解セルに適用可能である。便宜上、「セルユニット」は、燃料電池または電解セルユニットを含む「電気化学セルユニット」を指すために使用される。
【0006】
セルユニットのスタックにおける各セルユニットは、通常、電気化学的活性セル領域(金属支持型電気化学的活性セル領域など)とセパレータプレートとを含むセル層を含む。セパレータプレートは、通常、そのセルユニットのセル層の片側に接触し、セルユニットのスタックにおいて、隣接するセルユニットのセル層の反対側にも接触することがある。
【0007】
図1は、WO 2020/126486 A1から引用されている。
図1は、燃料電池ユニット10および2つのガスケット34の分解図を示す。燃料電池ユニット10は、セパレータプレート12に隣接して積層された平坦な金属支持プレート14を備える。セパレータプレート12は、その周囲にフランジ付き周辺特徴18を有するように示されている。フランジ付き周辺特徴18は、燃料電池ユニットの組み立て時に、この燃料電池ユニット内に流体体積20を形成するために、中央流体体積エリアに見られるように、シートの主平面から延びている。燃料電池ユニット10の中間部分において、電気化学的活性セル領域50(すなわち、電気化学的活性層を含む)が、流体体積20の外側に位置する金属支持プレート上に設けられる。金属支持プレート14には複数の小孔(図示せず)が設けられており、流体体積20内の流体が、金属支持プレート14に最も近い電気化学層の側に接触できるようになっている。アノード(燃料極)層は、流体ポート22、したがって燃料ポートを介して燃料が出入りすることによって供給される燃料流体積20を含む燃料電池ユニット内の小孔に隣接して配置され得る。カソード(空気極)層は、電気化学的活性セル領域50の反対側、すなわちその外側面にある場合があり、燃料電池ユニット10の使用中、その層を横切って流れる空気にさらされる。セパレータプレート12と金属支持プレート14の両方に流体ポート22が設けられている。セパレータプレート12の流体ポートの周囲には、フランジ付き周辺特徴18の高さのものに相当する距離だけ、流体体積20のベースの平面から延びる円形のディンプル24が設けられている。これは、セルユニット10を組み立てたときに、フランジ付き周辺特徴18と同様に、金属支持プレート14の対向面に接触するようにするためである。中央突起32および中央下方突起30は、セルユニット間に電気的接触を作り出し、また、中央領域において燃料電池ユニットに支持機能を提供し、小孔の領域において金属支持プレート14の下面まで上方に延び、その下のセルの電気化学的活性層の対向面まで下方に延びている。中央突起32と中央下方突起30との間のセパレータプレート12によって中間平面が形成され、中間平面は電気化学的活性セル領域50の(対向する)エリアにわたって同じ高さである。
【0008】
WO 2020/126486 A1の構成では、ディンプルによって流体体積20内の流体が流体体積20全体にわたって混合することが可能になる。しかしながら、これらは流体体積20内の流体の分布を制御しないため、流体体積20内の流体の分布が最適でない可能性がある。
【0009】
図2は、US2014/065508 A1から引用されている。
図2(左)は、相互接続(またはセパレータ)9の一部を平面図で示す図であり、
図2(右)は、線C-C210に沿って見た相互接続9の断面を模式的に示す。周辺シール215は、燃料電池のアノード電極に空気が到達するのを防ぐために、相互接続9のアノード側および隣接する燃料電池をシールする。燃料分配流れ場219は、ポート216aを通って入る燃料に様々な程度の流れ制限を提供するために、領域205内に様々な深さの領域1(251)、領域2(253)、および領域3(255)を含む。領域209の流れ場211にはチャネル208が設けられている。第1の領域251は、最大の深さを有し、燃料をポート216aからエリア231を横切って流れ場211の周縁部のチャネル208に導く。第2の領域253は、中間の深さを有し、燃料をポート216aからエリア231を横切って流れ場211の周縁部と中間部分との間のチャネル208に導く。第3の領域255は、最も浅い深さを有し、燃料をポート216aからエリア231を横切って流れ場211の中央部分のチャネル208に導く。リブ213はポート216aと同心である。異なる領域251、253、255間の深さの変化は、粉末冶金によって形成される。異なる領域251、253、255間の深さの変化によって、領域間の流れの制限の程度が変化する可能性がある。セルユニットの電気化学的活性層は、流れ場211の平面視エリア内に設けられている。各チャンネル208の高さは同一である。
【0010】
US2014/065508 A1の構成では、チャネルが燃料をそこに閉じ込め(分離し)、それによってチャネルに垂直なセパレータを横切る流れを防止する。別々のチャネル内の流体は混合できない。マニホールドは、燃料を様々なチャネルに分配する必要があり、次いで、チャネルは、電気化学的活性層で覆われたセルユニットのエリアにわたって燃料をダクトで送る必要がある。したがって、チャネルは電気化学的活性層で覆われたセルユニットのエリア全体に燃料を分配することができる。マニホールドの異なる領域251、253、および255間の深さの変化は、高価な技術である粉末冶金によって形成される。個々のチャネルが閉塞することで、そのチャネルから供給される電気化学的活性エリアが燃料不足に陥る可能性がある。これは電気化学的に活性なエリアにダメージを与え、セルユニットの故障を引き起こす可能性がある。チャネルの接触エリアは電気化学的活性層と接触し、この接触エリアは、燃料体積と流体連通する電気化学的活性層の最外層のエリアを減少させる。その結果、これらのエリアで生成される電力が減少し、セルユニットの電力密度がそれに応じて低下する可能性がある。
【0011】
本発明は、従来技術の欠点のうちの少なくとも1つに対する対処、克服、または緩和を試みるものである。
【発明の概要】
【0012】
第1の態様では、電気化学セルユニットが提供され、
電気化学的活性セル領域を含むセル層と、
セル層を覆う金属シートを含むセパレータプレートとを含み、
セパレータプレートが、電気化学的活性セル領域の少なくとも一部を覆う選択的に成形された3次元(3D)領域を有し、
その3次元(3D)領域において、
金属シートが、セパレータプレートの第1の側の第1の流体体積の高さを画定する、第1の複数の外側に延びるディンプル状突起に変形されており、
加えて、金属シートが、セパレータプレートの第2の側の第2の流体体積の高さを画定する、第2の複数の外側に延びるディンプル状突起に変形されており、
それによって、中間平面領域が突起の間に配置され、
中間平面領域が、第1および第2の流体体積の相互に関連するそれぞれの高さが結果として対応して増加および減少するように、活性セル領域を横切る少なくとも1つの方向にその高さを選択的に変化させるように形成される。
【0013】
中間平面領域は、典型的には、ディンプル状突起間のシートの一部である。高さの変化は、(連続的な)湾曲面、直線的な(平坦な)傾斜面(例えば、セル層に対して傾斜している)、またはステップ間に平坦な(または湾曲した)面を有するステップ状であってもよい。
【0014】
ディンプル状突起間の中間平面領域が一定の高さである従来技術とは対照的に、中間平面領域の高さは、活性セル領域を横切る少なくとも一つの方向において選択的に調整/変更することができる。したがって、第1および/または第2の流体体積の高さは、結果として、対応して増加および/または減少する。中間平面領域の高さの変化により、流体体積の一部の高さが高くなる場合、その部分の流体流量は、より低い流体体積の部分の流体流量よりも相対的に高くなる(言い換えれば、流体体積のその部分の高さが高いほど、流体体積のその部分の流体の流量が増加する)。その結果、中間平面領域の高さの変化は、第1および/または第2の流体体積内に流体を導くために使用され得る。中間平面領域は電気化学的活性セル領域に重なる(および面する)ので、中間平面の変化を利用して、電気化学的活性セル領域の範囲に流体を導く(すなわち、より均等に分配する)ことができ、それによってセルユニットの性能を向上させることができる。これは、流体を導くために活性細胞領域にチャネルを必要とせずに(好ましくは、3D領域はいかなるチャネルも含まない)達成することができ、各セルユニット内の流体分配領域またはマニホールドの必要がなくなる。その結果、電気化学的活性セル領域はセルユニットエリアの大部分を占めことができ、それによって各セルユニットの出力密度(燃料電池動作の場合)または水素生成速度(電解セル動作の場合)が向上する。
【0015】
セパレータプレートは、金属シートを成形(変形)することによって形成されるため、セパレータプレートの第1の側のディンプル状突起は、セパレータプレートの第2の側のディンプル状キャビティとして現れ、その中に成形された任意の他の特徴についても同様である。このリンクは、自由度が失われるという点で、設計の観点からはデメリットとして認識されるかもしれない。しかしながら、金属シートを形成するための成形プロセスは、電気化学セルを大規模に生成するために経済的に使用することができると同時に、ポート構成、流路および方向、ならびに問題のセルにおける熱プロファイルを考慮して、技術的性能の向上を達成するために、第1および第2の流体体積間のそれぞれのバランスを調整するためにリンクを使用することもできる。例えば、SOFCにおいて、中間平面の高さが、燃料体積の高さがセルユニットの中心に向かって小さくなるようなものであれば、酸化剤体積はセルユニットの中心に向かってそれに応じて高くなり、それによってセルユニットの中心を横切る酸化剤の流量が増加する。酸化剤はセルユニットを冷却するために使用されることがあり、セルユニットの中心は、通常、セルユニットの中で最も高温の部分である。中心を横切る酸化剤の流量が相対的に増加するため、セルユニットの中心が有利に冷却される。
【0016】
セパレータプレートの第1および第2の側のディンプル状突起と中間平面の高さの変化は、大規模な電気化学セルを経済的に生成するために、単一のステップで形成することができる。
【0017】
3D領域のセパレータプレートに任意のリブおよびチャネルがある場合、これらは必然的に物理的に分離し、したがって流れを制約することになり、これは、高さを調整してもそれほど有益ではないことを意味する。したがって、3D領域は、好ましくは、金属シートのそれぞれの側にいかなる細長いリブ/チャネルの特徴を有さず、その結果、突起の間に延びる「中間平面領域」は、流体的に相互接続され得る(例えば、ディンプル状突起がそれぞれの流体体積内の流れを制約またはブロックしないように)。
【0018】
電気化学的活性セル領域は、セパレータプレートが2つの異なるそれぞれの流体流体積、例えば燃料体積と酸化剤体積を分離し、3次元(3D)領域が電気化学的活性セル領域の少なくとも一部を覆っている任意のタイプのもの(例えば、固体酸化物、高分子電解質膜など)であってもよい。
【0019】
好ましい実施形態では、電気化学的活性セル領域を覆う3D領域は、少なくとも電気化学的活性セル領域の上流側半分にわたって(好ましくは全体にわたって)、流れを別個の流体流路に分離しないように構成された3D構造を備え、例えば、これは、3D構造が、電気化学的活性セル領域の上流側半分にわたって(好ましくは全体にわたって)、流れを別個の流体流路に閉じ込めるいかなるチャネルも含まないことによって達成され得る。
【0020】
したがって、ディンプル状突起(ディンプル)は、円形、正方形、十字形、五角形、または六角形状の断面を有することができる。断面が楕円形または不規則な多角形であってもよいが、理想的には、流体体積内の流れ方向を大きく制限しないアスペクト比を有するものとする。ディンプル状突起のアスペクト比は10未満、好ましくは5未満、より好ましくは2未満であり得る。代替的または追加的に、ディンプル状突起の長さは、電気化学的活性セル領域の特徴的な横方向寸法(例えば、長さ、幅、または直径)の半分未満であってもよい。
【0021】
ディンプル状突起を使用することで、流体体積内の混合に対する制限が、チャンネル状の従来技術のセパレータに比べて低減される。また、セル層に対するセパレータプレートの接触面積も減少する。この接触面積の減少は、ディンプル状突起によって流体体積からセル層へのアクセスが妨げられることが少なくなることを意味し、それによって各セルユニットの出力密度(燃料電池動作の場合)または水素生成速度(電解セル動作の場合)が向上する。
【0022】
第1の流体体積は、第2の流体体積の高さの30%から80%の間、好ましくは40%から60%の間の高さを有し得る。第1および/または第2の流体体積の高さの最大変動は、第1の流体体積の最大高さの5%から50%の間、好ましくは5%から30%の間、より好ましくは10%から20%の間とすることができる。
【0023】
セル層は、1つ以上の電気化学的活性セル領域を含んでもよい。
【0024】
3D領域は、電気化学的活性セル領域のすべてを覆うことができる。
【0025】
中間平面領域の高さは、不連続な遷移として変化させることができる。中間平面領域の高さは、不連続な(またはステップ状の)遷移として変化させることができる。この場合、中間平面領域は、その間に(不連続な)ステップを有する第1および/または第2の流体体積のための少なくとも2つのそれぞれの高さを含む。このようなステップのある遷移は、プレスによって簡単に形成され、各体積の流体流量への影響を簡単に判断できる。好ましくは、第1および/または第2の流体体積のための少なくとも3つのそれぞれの高さがあり、その間にステップのある遷移がある。
【0026】
あるいは、中間平面領域の高さを連続的な遷移として変化させることができる。中間平面の高さは、一方向に連続的に変化してもよい。連続的な変化は、直線的な(平坦な)傾斜面の形であってもよいし、曲線的な輪郭であってもよい。中間平面領域は、1次元または2次元に湾曲していてもよい。言い換えれば、中間平面領域は湾曲した平面を含む。これにより、高さが連続的に変化する流体体積が提供され、それによって電気化学的活性セル領域の範囲にわたる流速が制御される。高さは、電気化学的活性セル領域の範囲全体にわたって流体を制御するように調整され得る。これは、電気化学的活性セル領域の範囲にわたって燃料および/または酸化剤を均等に分配することができ、および/または、さらなる冷却の恩恵を受けるセルユニットのエリアにおいて冷却流体(例えば、酸化剤)の流量を増加させることによってセルユニットの冷却を補助するために使用することができる。中間平面領域は、中間平面が平面である第1のサブ領域と、中間平面が湾曲している第2のサブ領域との2つのサブ領域を含み得る。第1のサブ領域はセパレータプレートの周囲に、第2のサブ領域はその中心に向かって配置され得る。これにより、セパレータプレートの周囲が平面になり、セパレータプレートとセルユニット内の他のプレート(例えば、スペーサプレートおよび/またはセル層)に簡単に接合できるようになる。
【0027】
中間平面の高さの変化に対する連続的な遷移は、連続的な遷移が緩やかであり、したがって第1および第2の流体体積における層流を乱す可能性が低いため、さらに有利である。
【0028】
電気化学セルユニットは、電気化学的活性セル領域がその間に配置された、セルユニットの対向する縁部に向かって配置された第1の流体体積への入口およびそこからの出口を有することができ、中間平面領域における高さ変化の少なくとも1つの方向は、第1の流体体積の高さが、セルユニットの縁部に隣接するエリアよりもセルユニットの中央エリアにおいて小さくなるようになっている。
【0029】
第1の流体体積への入口およびそこからの出口は、セルユニットの周囲に配置された2つの対応する流体ポートであってもよく、それによって第1の流体は内部でマニホールドにより集配される。第1の流体体積への入口およびそこからの出口は、それぞれ、セパレータプレートに設けられた1つ以上の入口ポートおよび1つ以上の出口ポートを備え得る。通常、対応するポートはセル層に設けられ、これらのポートはセパレータプレートのポートと整列されて、セルユニットの第1の流体体積への第1の流体の供給と第1の流体体積からの第1の流体の排出のための流体通路を形成する。あるいは、第1の流体体積への入口およびそこからの出口は、セルユニットの設置面積の外側にある流体通路を使用して外部でマニホールドにより集配することもできる。
【0030】
セルユニットの中央エリアは、第1の流体体積への入口およびそこからの出口の特徴的な寸法(例えば直径または幅)に等しい長さおよび幅の一方または両方を有することができる。場合によっては、中央エリアは、第1の流体体積への入口およびそこからの出口の特性寸法に等しい幅と、第1の流体体積への入口とそこからの出口との間の距離以下(例えば、距離の50~70%)の長さを有する。
【0031】
セルユニットの中央エリアにおける第1の流体体積の高さが低いほど、流体体積のその部分における流体流量に制限が生じ、一方、セルユニットの縁部までの高さが高いほど、制限が小さくなる。これらの縁部は、第1の流体体積への入口およびそこからの出口が配置されるものを含むすべての縁部を含んでもよく、または第1の流体体積への入口およびそこからの出口が配置されるもの以外の縁部のみを含んでもよい。高さが高いエリアにおける第1の流体流量は、中間平面の高さが変化しない場合の流量に比べて増加する。その結果、中間平面の高さが変化することにより、第1の流体は、電気化学的活性セル領域(通常、第1の流体体積への入口とそこからの出口との間に配置される)の範囲にわたってより均一に分配される。第1および第2の流体体積の高さは相互に関連しているので、第1の流体体積の高さが低いほど、第2の流体体積の高さは大きくなり、それに対応して第2の流体流量も大きくなる。第2の流体流量が大きいほど、例えばセルユニットの面積全体にわたって均等に熱を分配するために有益であり得る。
【0032】
中間平面領域における高さ変化の少なくとも1つの方向が、第1の流体体積への入口と第1の流体体積からの出口との間の直線に対して概ね垂直であってもよく、第1の流体体積の高さが、直線の少なくとも一方の側よりも直線に沿った方が小さくてもよい。
【0033】
言い換えれば、第1の流体体積の高さは、第1の流体体積への入口と第1の流体体積からの出口との間の直線に沿って小さくてもよく、第1の流体体積の高さは、直線の少なくとも一方の側のエリアで大きくてもよい。直線は、入口および出口の幅(または直径)以上の幅を有するサブ領域(例えば、その中心に沿って)の特徴であり得ることが理解されよう。好ましくは、高さの変化は直線に対して対称であり、この場合、より大きな高さが直線の両側に提供される。第1の流体体積への入口およびそこからの出口は、それぞれ、セパレータプレートに設けられた1つ以上の入口ポートおよび1つ以上の出口ポートを備え得る。通常、対応するポートはセル層に設けられ、これらのポートはセパレータプレートのポートと整列されて、セルユニットの第1の流体体積への第1の流体の供給と第1の流体体積からの第1の流体の排出のための流体通路を形成する。
【0034】
直線に沿った第1の流体体積の高さが低いほど、その直線に沿った流体流量に制限を与え、一方、その直線の側の高さが高いほど、制限が小さくなる。高さが高いエリアにおける第1の流体流量は、中間平面の高さが変化しない場合の流量に比べて増加する。その結果、中間平面の高さが変化することにより、第1の流体は、電気化学的活性セル領域(通常、第1の流体体積への入口とそこからの出口との間に配置される)の範囲にわたってより均一に分配される。第1および第2の流体体積の高さは相互に関連しているので、第1の流体体積の高さが低いほど、第2の流体体積の高さは大きくなり、それに対応して第2の流体流量も大きくなる。第2の流体流量が大きいほど、例えばセルユニットの面積全体にわたって均等に熱を分配するために有益であり得る。
【0035】
言い換えれば、活性セル領域を横切る少なくとも1つの方向は、第1の流体体積内の流体の流れ方向に垂直である。
【0036】
場合によっては、中間平面領域における高さ変化の少なくとも1つの方向は、第1の流体体積への入口と第1の流体体積からの出口との間の直線に概ね平行な成分を有さない。しかしながら、場合によっては、中間平面領域における高さ変化の少なくとも1つの方向は、高さが変化する2つの方向(すなわち、第1の流体体積への入口と第1の流体体積からの出口との間の直線に平行な成分および垂直な成分)を有する。
【0037】
代替例では、電気化学セルユニットは、電気化学的活性セル領域がその間に配置された、セルユニットの対向する縁部に向かって配置された第1の流体体積への入口およびそこからの出口を有し、中間平面領域における高さ変化の少なくとも1つの方向が、第1の流体体積の高さが第1の流体体積の入口から出口に向かって減少するようになっている。これによって、電気化学セルユニットにおける第1の流体の利用率が向上する可能性がある。
【0038】
この例では、電気化学セルユニットは、電気化学的活性セル領域がその間に配置された、セルユニットの対向する縁部に向かってまたは外側に配置された第2の流体体積への入口およびそこからの出口を含み得、第2の流体体積の入口および出口が、第2の流体体積の高さが第2の流体体積の入口から出口に向かって増加するように配置されている。第1の流体体積を燃料用、第2の流体体積を酸化剤用として燃料電池として動作させるとき、第2の流体体積の流路に沿って第2の流体体積の高さを増加させると、スタックの比較的高温のエリアにおける第2の流体の流量が増加し(燃料と酸化剤の共流構成のため、燃料電池の動作中は、第1の流体体積の下流エリアは上流エリアよりも一般的に高温になる)、それによって冷却が改善され、燃料電池の性能が向上する。
【0039】
第2の流体体積への入口およびそこからの出口がセルユニットの対向する縁部に向かって配置されている場合、第2の流体体積は内部でマニホールドにより集配される。第2の流体体積への入口およびそこからの出口がセルユニットの対向する縁部の外に配置されている場合、第2の流体体積は外部でマニホールドにより集配され、これによって電気化学的活性セル領域の表面積を増加させることができる。
【0040】
この例では、電気化学セルユニットは、第2の流体体積への入口に近接する3D領域の一部の周囲に第2の流体のためのバイパスを含むことができる。これにより、(燃料と酸化剤の共流により)スタックの比較的高温のエリアにおける第2の流体の流量がさらに増加し、それによって冷却が改善され、燃料電池の性能が向上する。
【0041】
好ましくは、3次元(3D)領域は、電気化学的活性セル領域のすべてを覆っている。好ましくは、3D領域が電気化学的活性セル領域を完全に覆っている場合、中間平面領域の変化を利用して、電気化学的活性セル領域の範囲にわたって流体を導く(すなわち、均等に分配する)ことができ、それによってセルユニットの性能を向上させることができる。好ましくは、3D領域およびディンプル状突起の設計は、第1の流体体積の全範囲内および第2の流体体積の全範囲内での混合を可能にする。
【0042】
好ましいが、例えば、電気化学的活性エリアの例えば下流端部分において調整された中間平面の高さが必要とされない場合、セパレータプレートの3D領域は、電気化学的活性エリアを完全に覆う必要はない。
【0043】
さらに、例えば、活性セル領域のすぐ上流にあるセパレータプレートの一部において高さ調整が望ましい場合、調整された中間平面の高さを有するセパレータプレートの3D領域は、それが面する電気化学的活性セル領域を超えて延在してもよい。
【0044】
好ましくは、第1および第2の複数のディンプル状突起のディンプル状突起は、その最外部分が、流体が制約される流体体積内にチャネルを形成するように、流体体積の全高を高さ方向に延びる横方向に延びる接触部分を含まないように成形される。
【0045】
その結果、流体体積内の流体通路は複数の場所で互いに交差する可能性があり、流体は流体体積内で混合する可能性がある。
【0046】
好ましくは、セパレータプレートの第1の側がセル層に面し、第1の複数のディンプル状突起の各々の接触部分がセル層に接触する。
【0047】
第1の複数のディンプル状突起はセル層に接触し、それによってセパレータプレートとセル層(内部にセパレータプレートが配置されている)との間に電気的接触を提供する。接触はまた、各プレートを機械的に支持し、セルユニットのスタックを介して圧縮力を伝達する。次に、その圧縮力によって、ディンプル状突起とセル層との間に良好な電気的接触がもたらされる。第2の複数のディンプル状突起の接触部分は、電気的および機械的接触を提供するために、セルユニットのスタック内の隣接するセルユニットのセル層に接触するように構成される。
【0048】
ディンプル状突起の最外点は、接触部分を形成するために平らな頂部が設けられてもよい。
【0049】
一例では、第1の複数のディンプルの各々の接触部分および第2の複数のディンプルの各々の接触部分はそれぞれ、第1および第2の平面を形成し、第1および第2の平面は各々平面であり、互いに平行である。
【0050】
これにより、複数の電気化学セルユニットを互いに積み重ねてセルユニットのスタックを形成することができる。
【0051】
本発明は、金属セパレータシートがそれぞれのセルユニットのセル層の上に重なり、(例えば平面状の)セルが使用時に互いに積み重ねられる、任意のタイプの電気化学セルに適用可能である。セルの種類としては、例えばPEMセル、固体酸化物セル、プロトン伝導性セルなどがあり得る。セルのアーキテクチャは、セル化学層が、例えばアノード層、電解質層、カソード層などの金属基板やセラミックによって構造的に支持されているようなものであり得る。
【0052】
セルユニットのアーキテクチャは、金属支持型、アノード支持型、電解質支持型、カソード支持型アーキテクチャのいずれかから選択され得る。
【0053】
好ましくは、セルユニットは、セル層が、その第1の側上に、多孔質領域上に設けられた電気化学的活性セル領域を担持する金属支持プレートを備えるような金属支持型セルユニットである。
【0054】
いくつかの例では、多孔質領域は、通常はレーザーで、金属支持プレートに開けられた穴によって形成される。
【0055】
いくつかの例では、(活性)燃料電池化学層は、そのような実施形態において金属支持プレート内に設けられる多孔質領域上の金属支持プレート上に形成される(例えば、コーティングまたは蒸着される)アノード、電解質、およびカソードを含む電気化学的活性層の形態をとる。(非自己支持型、薄い)電気化学的活性セル領域が金属支持プレート上に直接設けられたこの構成では、必要な部品数が最小限で済む。したがって、金属支持プレートは、電気化学的活性セル領域を支持し、(セパレータプレートとともに)流体体積を画定するという二重の機能を果たす。さらに、金属支持プレートとセパレータプレートの両方が、酸化剤に曝される側および燃料に曝される側を有し、したがって、厳しい二重大気環境にさらされる部品であることが理解されよう。
【0056】
代替のフレーム付き実施形態では、多孔性領域は、電気化学的活性セル領域が形成(例えば、コーティングまたは蒸着)されたそれぞれのプレート(例えば、金属箔)上に設けられ、(電気化学的活性セル領域を担持する)別個のそれぞれのプレートは、金属支持プレート上の窓(例えば、フレーム)上に設けられる。
【0057】
電気化学的活性セル領域の複数のエリアが存在し得る。例えば、別々のそれぞれの電気化学的活性セル領域によって覆われた金属支持プレートには、小孔の複数のエリアが存在し得る。あるいは、金属支持プレートに複数の窓があり、それらの窓の上に電気化学的活性セル領域が形成される複数の別個のプレートがあり得る。そのプレートまたは各別個のプレートは、金属支持プレートの窓の上で金属支持プレートに溶接され得る。
【0058】
一例では、セパレータプレートおよび金属支持プレートのうちの少なくとも一方は、プレートを凹型構成にプレスすることによって形成されたフランジ付き周辺特徴を備え、セパレータプレートと金属支持プレートが、フランジ付き周辺特徴で直接接合され、任意選択で溶接によって、その間に第1の流体体積を形成する。
【0059】
セルユニットは、フランジ付き周辺特徴の周りでシールされ、第1の流体体積を形成することができる。シーリングは、フランジ付き周辺特徴の周りの溶接によって行うことができる。第1の流体体積を第2の流体体積からシールするために、セパレータプレートおよびセル層に形成されたポートの周囲に溶接を使用することもできる。セルは、金属基板およびセパレータプレートを備えることができ、その少なくとも一方はフランジ付き周辺特徴を有する。これにより、スペーサが不要になるため、部品数が減り、材料の無駄が減る。また、有利には、2枚の金属プレートを電気的に接続することもできる。
【0060】
セパレータプレートの第1の側は、(セパレータプレートが配置されるセルユニットの)金属支持プレートの第2の側に面していてもよく、第1の側とは反対側の金属支持プレートの第2の側には、電気化学的活性セル領域が担持されている。この場合、第1の複数のディンプル状突起の高さは、フランジ付き周辺特徴の高さと等しくてもよく、第1の複数のディンプル状突起とフランジ付き周辺特徴の両方が金属支持プレートの第2の側に接触するようにする。言い換えれば、ディンプル状突起のピークによって形成される平面は、フランジ付き周辺特徴の接触エリアと一致する。好ましくは、フランジ付き周辺特徴は、その中に3D領域を形成するのと同じステップで、セパレータプレートに(すなわち、金属支持プレートにではなく)形成される。これにより、金属支持プレートを形成する必要がなくなる可能性がある。
【0061】
好ましくは、セパレータプレートおよび金属支持プレートのうちの少なくとも一方は、プレス加工によって少なくとも1つの流体ポートの周囲に形成された成形ポート特徴が設けられ、この成形ポート特徴は、他方のプレートに向かって延び、成形ポート特徴の要素は、少なくとも1つの第1の流体ポートから第1の流体体積への流体の通過を可能にするために、ポートから要素間に流体通路を画定するように互いに間隔を置いて配置される。セパレータプレートに成形ポート特徴が形成される場合、それらは、3D領域を形成するのと同じステップで形成され得る。
【0062】
フランジ付き周辺特徴の代替として、電気化学セルユニットは、金属支持プレートとセパレータプレートとの間に配置されたスペーサプレートを備え、スペーサプレートは、その中に第1の流体体積を画定する開口を有し、金属支持プレート、スペーサプレート、およびセパレータプレートは、その周囲で接合されている。
【0063】
この場合、セル層(その金属支持プレート)およびセパレータプレートは、間接的に接続されて積層配置を形成し、その間に(平坦な)金属スペーサプレートが配置される。セパレータプレートの第1の側はスペーサプレートに面していてもよく、第1の複数のディンプル状突起はスペーサプレートの開口部を通ってセル層に向かって延びている。セル層(その金属支持プレート)、セパレータプレート、および中間金属スペーサプレートは、少なくともその周囲において、例えば、3つすべての構成要素を通して溶接によって、密封接続され得る。スペーサを使用した場合、通常、流体はスペーサ内の狭い通路から限られた数の方向のみに噴射される。したがって、本発明は、侵入が制限されているにもかかわらず、活性セル領域への流体の均一な分配を促すという点で、特にここに適用可能である。
【0064】
スペーサが2枚の別個の金属プレートの間に配置されているとき、これは、スタックに余分な部品が必要になるという欠点はあるが、平面金属プレートを使用することができ、その上に電気化学的活性セル領域を、従来のコーティングまたはスプレー堆積技術によって簡便に直接置くことができるという利点がある。スペーサは、平坦な金属基板の間に挟まれ、第1の流体体積のための体積を形成し、第1の流体体積を密封して囲むフレームまたは平坦な周辺部品(電気化学的活性セル領域を越えて配置される)を備え得る。
【0065】
セパレータプレートの第1の側は、(セパレータプレートが配置されるセルユニットの)金属支持プレートの第2の側に面していてもよく、第1の側とは反対側の金属支持プレートの第2の側には、電気化学的活性セル領域が担持されている。この場合、第1の複数のディンプル状突起の高さは、スペーサプレートの厚さと等しくてもよく、第1の複数のディンプル状突起およびセパレータプレートとは反対側のスペーサプレートの側がともに金属支持プレートの第2の側に接触するようにする。言い換えれば、ディンプル状突起のピークによって形成される平面は、スペーサプレートの接触エリアと一致する。
【0066】
好ましくは、第1の流体体積は燃料用であり、第2の流体体積は酸化剤用である。
【0067】
好ましくは、第1の流体体積の高さは、第2の流体体積の高さよりも低い。
【0068】
好ましくは、第1の流体体積の高さは、中間平面領域全体にわたって第2の流体体積の高さよりも低い。あるいは、中間平面領域の高さの変化は、セルユニットのある部分では第1の流体体積の高さが第2の流体体積の高さよりも低く、セルユニットのある部分では第1の流体体積の高さが第2の流体体積の高さよりも高くなるようになっている。
【0069】
一例として、第1の流体体積は燃料用であり、第2の流体体積は酸化剤用であり得る。このような場合、電気化学セルユニットを燃料電池として動作させるためには、第1の流体体積の高さを第2の流体体積の高さよりも低くすることができる。対照的に、電気化学セルユニットを電解セルとして動作させるためには、第1の流体体積の高さは、第2の流体体積の高さよりも高くすることができる。
【0070】
好ましくは、少なくとも1つの流体ポートがセパレータプレートおよびセル層の各々に設けられ、これらはセパレータプレートおよびセル層の周囲内に第1の流体通路を形成するように整列され、各ポートは第1の流体体積と流体連通している。
【0071】
好ましくは、少なくとも第1および第2の流体ポートがあり、これらは、セパレータプレートおよびセル層の周囲内にそれぞれの第1および第2の流体通路を形成するように整列され、第1の流体体積と流体連通し、第1の流体通路は、第1の流体体積に第1の流体を供給するように構成され、第2の流体通路は、第1の流体体積から第1の流体を排出するように構成される。この場合、第1および第2の流体通路は、対向するセル端部またはその近傍に設けられ、電気化学的活性セル領域は、第1および第2の流体通路の間に配置される。対向するセル端は、正方形または長方形のセルの対向する側面であってもよいし、円形のセルを横切る直径の対向する端であってもよい。
【0072】
代替の態様によれば、電気化学セルユニットが提供され、
電気化学的活性セル領域を含むセル層(セル層は、多孔質領域上に設けられた電気化学的活性セル領域を担持する金属支持プレートであってもよい)と、
セパレータプレートの中間平面から外側に延び、セパレータプレートの第1の側に突起を形成する第1の複数のディンプル状突起を有するセパレータプレートとを含み、
相互接続プレートと金属支持プレートは互いに重なり合って繰り返し単位を形成し、
第1の複数のディンプル状突起は、電気化学的活性セル領域の少なくとも一部を覆う(好ましくは、その全体を覆う)セパレータプレートの範囲にわたって分布し、セパレータプレートの第1の側のディンプル状突起は、セル層(金属支持プレートまたはその電気化学的活性エリア)に接触し、それによって、セパレータプレートをセル層(金属支持プレートまたは電気化学的活性エリア)から離間させ、その間に第1の流体体積を画定し、
セパレータプレートは、少なくとも第1のサブ領域と第2のサブ領域とを有し、第1の複数のディンプル状突起は、第1のサブ領域におけるディンプル状突起の第1のサブセットと、第2のサブ領域におけるディンプル状突起の第2のサブセットとを少なくとも含み、ディンプル状突起の第1のサブセットは第1の高さを有し、ディンプル状突起の第2のサブセットは第2の高さを有し、それにより、セパレータプレートの中間平面とセル層(金属支持プレートまたはその電気化学的活性エリア)との間に対応する第1および第2の分離のサブ領域が形成される。
【0073】
セパレータプレートの中間平面(およびディンプル状突起の第1および第2のサブセットの高さ)は、例えば、電気化学的活性セル領域にわたって燃料または酸化剤の均一な分布を促進するため、および/または電気化学的活性セル領域にわたる熱分布を改善するために、第1の流体体積内に第1の流体を導くために変えられる。
【0074】
セパレータプレートは、セパレータプレートの中間平面から外側に延び、セパレータプレートの第2の側に突起を形成する第2の複数のディンプル状突起を含んでもよい。第2の複数のディンプル状突起は、第1の複数のディンプル状突起と同様に、セパレータプレートの変化する中間平面から突出する、高さの異なる少なくとも第1および第2のサブセットを有し得る。
【0075】
さらなる代替の態様によれば、電気化学セルユニットが提供され、
第1の面と第2の面を有するセパレータプレートと、
電気化学的活性セル領域を含むセル層(セル層は、多孔質領域上に設けられた電気化学的活性セル領域を担持する金属支持プレートであってもよい)とを含み、
セパレータプレートとセル層は互いに重なり合って繰り返し単位を形成し、その間に第1の流体体積を画定し、
セパレータプレートは、第1の側に第1の複数のディンプル状突起を有し、第1の複数のディンプル状突起は、電気化学的活性エリアの範囲に対応するセパレータプレートの範囲にわたって分布し、それによって、第1の複数のディンプル状突起は、蛇行し、および/または複数の位置で互いに交差する第1の流体体積内の流体通路を画定し、
セルユニットの対向する端部間の第1の流体体積には少なくとも2つの流路が存在し、各流路は第1の流体体積の異なる体積深さを経験する。
【0076】
体積深さが異なるのは、セパレータプレートの中間平面が異なるためであり得、中間平面はそこからディンプル状突起が延びる平面である。ディンプル状突起の高さは、変化する中間平面に対応して変化する。少なくとも2つの流路のうちの第1の流路(すなわち流線)は、第1の流体体積への入口とそこからの排出との間の可能な最短距離をとり得、少なくとも2つの流路のうちの第2の流路は、第1の流体体積への入口とそこからの排出との間のより長い距離をとり得る。第2の流路は第1の流路と交差しない。この場合、第1の流路の体積深度は第2の流路未満である。これは、(第1および第2の流路の体積深さが等しい場合に存在するであろう流量に対して)第2の流路に沿った第1の流体の流量を増加させ、したがって、第1の流体体積内の流体をより均等に分配する効果がある。
【0077】
セパレータプレートは、セパレータプレートから外側に延び、セパレータプレートの第2の側に突起を形成する第2の複数のディンプル状突起を有することができる。第2の複数のディンプル状突起は、第1の複数のディンプル状突起と同様に高さを変化させ得る。セパレータプレートはプレスシートであってもよく、この場合、セパレータプレートの第2の側における第2の流体体積の体積深さは、第1の流体体積の体積深さに対応して変わる。
【0078】
さらなる代替の態様によれば、電気化学セルユニットが提供され、
電気化学的活性セル領域を含むセル層と、
セル層を覆う金属シートを含むセパレータプレートとを含み、
セパレータプレートは、電気化学的活性セル領域を少なくとも部分的に、または完全に覆う選択的に成形された3次元(3D)領域を有し、
その3次元(3D)領域において、
金属シートが、セパレータプレートの第1の側の第1の流体体積の高さを画定する、第1の複数の外側に延びるディンプル状突起を有し、
加えて、金属シートが、セパレータプレートの第2の側の第2の流体体積の高さを画定する、第2の複数の外側に延びるディンプル状突起を有し、
それによって、中間平面領域が突起の間に配置され、
中間平面領域が、第1および第2の流体体積の一方または両方の高さが結果として対応して増加および/または減少するように、活性セル領域を横切る少なくとも1つの方向にその高さを選択的に変化させるように形成される。
【0079】
複数の上記電気化学セルユニットを含む電気化学セルスタックがさらに提供され、
第1の電気化学セルユニットのセパレータプレートの第1の側が、第1の電気化学セルユニットのセル層に面し、その間に第1の流体体積を封入(または画定)し、
第1の電気化学セルユニットのセパレータプレートの第2の側が、セルユニットのスタック内の隣接する第2の電気化学セルユニットのセル層に面し、その間に第2の流体体積を封入(または画定)する。
【0080】
この場合、第1の電気化学セルユニットのセパレータプレート上の第1の複数のディンプル状突起は、第1の電気化学セルユニットのセル層に接触してもよく、この場合、第1の電気化学セルユニットのセパレータプレート上の第2の複数のディンプル状突起は、隣接する第2の電気化学セルユニットのセル層に接触してもよい。典型的には、電気化学的活性セル領域は、セル層の第1の側に配置され(例えば、金属支持プレートの第1の側、または金属支持プレートによって支持される)、そのため、第2の複数のディンプル状突起は、第2の隣接する電気化学セルユニットの電気化学的活性セル領域(の最外層)に接触する。したがって、第1の複数のディンプル状突起は、典型的には、第1の電気化学セルユニットのセル層上の別の場所に接触する(例えば、金属支持プレートの第2の側に接触する)。
【0081】
電気化学セルスタックは、電気化学的活性セル領域がその間に配置された、セルユニットの対向する縁部に向かって配置された第1の流体体積からの第1の流体の供給のための手段および排出のための手段をさらに含んでもよく、中間平面領域における高さ変化の少なくとも1つの方向は、第1の流体体積の高さが、セルユニットの縁部に隣接するエリアよりもセルユニットの中央エリアにおいて小さくなるようになっている。
【0082】
電気化学セルスタックは、第1の流体体積からの第1の流体の供給のための手段および排出のための手段をさらに含んでもよく、電気化学的活性セル領域は、供給のための手段と排出のための手段との間に配置され、中間平面の高さ変化の少なくとも1つの方向は、第1の流体の供給のための手段と排出のための手段との間の直線に垂直であり、第1の流体体積の高さは、直線の少なくとも一方の側よりも直線に沿った方が小さい。
【0083】
好ましくは、高さの変化は直線に対して対称であり、この場合、より大きな高さが直線の両側に提供される。
【0084】
いくつかの例では、電気化学セルスタックは、第1の流体体積からの第1の流体の供給のための手段および排出のための手段をさらに備え、電気化学的活性セル領域が、供給のための手段と排出のための手段との間に配置され、中間平面領域における高さ変化の少なくとも1つの方向は、第1の流体体積の高さが、第1の流体体積の供給のための手段から排出のための手段まで減少するようになっている。
【0085】
このような例では、電気化学セルスタックは、第2の流体体積からの第2の流体の供給のための手段および排出のための手段を含むことができ、電気化学的活性セル領域は、第2の流体体積からの第2の流体の供給のための手段と排出のための手段との間に配置され、中間平面領域における高さ変化の少なくとも1つの方向は、第2の流体体積の高さが、第2の流体体積の供給のための手段から排出のための手段まで増加するようになっている。好ましくは、電気化学的活性セル領域および第1の流体体積からの第1の流体の供給のための手段および排出のための手段は、第2の流体体積からの第2の流体の供給のための手段と排出のための手段との間に配置される。
【0086】
このような例では、電気化学セルスタックは、筐体内に配置され得、第2の流体体積への第2の流体の供給のための手段に近接する3D領域の一部の周囲に第2の流体のためのバイパスを提供するように構成されたバッフルが設けられ得る。
【0087】
第1の流体体積からの第1の流体の供給のための手段および排出のための手段は、セパレータプレートおよび第1の流体体積と流体連通しているセル層を通って設けられた少なくとも1つの流体ポートを備え得、スタック方向に延びる少なくとも1つの通路を形成するようにそれぞれのセルユニットの少なくとも1つの流体ポートが整列し、これらは内部でマニホールドにより集配される通路である。内部でマニホールドにより集配される通路は、各セルユニットの周囲内にある、整列された少なくとも1つの流体ポートによって画定される。
【0088】
内部でマニホールドにより集配される通路を備えたこのようなスタックでは、一般的に、
各電気化学セルユニットは、電気化学的活性セル領域がその間に配置された第1の流体体積と流体連通する2つの第1の流体ポートを備え、
第1の流体ポートは、第1の体積への第1の流体の供給用であり、第2の流体ポートは、第1の流体体積からの第1の流体の排出用であり、
中間平面領域における高さ変化の少なくとも1つの方向は、第1の流体ポートと第2の流体ポートとの間の直線に対して概ね垂直であり、第1の流体体積の高さは、直線の少なくとも一方の側よりも直線に沿った方が小さい。
【0089】
この場合、第1および第2のポートは、スタック方向に延びるそれぞれの第1および第2の第1の流体通路を画定するように整列され、それぞれ入口通路および出口通路を形成する。
【0090】
さらなる内部でマニホールドにより集配されるスタックでは、一般的に、
各電気化学セルユニットは、電気化学的活性セル領域がその間に配置された十字形に配置された第1の流体体積と流体連通する4つの第1の流体ポートを備え、
2つの隣接する流体ポートは、第1の流体体積への第1の流体の供給用であり、残りの2つの流体ポートは、第1の流体体積からの第1の流体の排出用である。
【0091】
4つのポートの各ポートは、スタック方向に延びる4つのそれぞれの第1の流体通路を画定するように整列され、それぞれ2つの入口通路および2つの出口通路を形成する。この場合、セルユニットは長方形の形状を有し、4つのポートは各々セルユニットの異なるコーナーに向かって配置されてもよい。第1の流体ポートのこの構成は、例えば、第1の流体の入口用の2つの隣接するポートが第1の側の対向する端部に向かって配置され、第1の流体の排出用の2つの隣接するポートが第2の側の対向する端部に向かって配置され、第2の側が第1の側に対向する、六角形など、他のセル形状でも使用することができる。
【0092】
さらなる内部でマニホールドにより集配されるスタックでは、一般的に、
各電気化学セルユニットは、電気化学的活性セル領域がその間に配置された十字形に配置された第1の流体体積と流体連通する4つの第1の流体ポートを備え、
2つの対向する流体ポートは、第1の流体体積への第1の流体の供給用であり、残りの2つの対向する流体ポートは、第1の流体体積からの第1の流体の排出用である。
【0093】
4つのポートの各ポートは、スタック方向に延びる4つのそれぞれの第1の流体通路を画定するように整列され、それぞれ2つの入口通路および2つの出口通路を形成する。この場合、セルユニットは長方形の形状を有し、4つのポートは各々セルユニットの異なる縁部に向かって、セルユニットの長さに沿った中間に配置され得る。長方形のセルの場合、入口ポートは短辺の中心に、出口は長辺の中心にある(またはその逆)。対向ポートとは、電気化学的活性セル領域の反対側に配置されたポートであり得る。
【0094】
さらなる内部でマニホールドにより集配されるスタックでは、一般的には、各電気化学セルユニットは、V字形に配置された第1の流体体積と流体連通する3つの第1の流体ポートを備え、
a)第1のポートは第1の流体体積への第1の流体の供給用であり、第2および第3のポートは第1の流体体積からの第1の流体の排出用であり、第1のポートは第2および第3の流体ポートに対向し、電気化学的活性セル領域はその間に配置される、または
b)第1のポートは第1の流体体積からの第1の流体の排出用であり、第2および第3のポートは第1の流体体積への第1の流体の供給用であり、第1のポートは第2および第3の流体ポートに対向し、電気化学的活性セル領域はその間に配置される。
【0095】
言い換えれば、第1の流体体積と流体連通する3つの第1の流体ポートは、電気化学的活性セル領域がその間に配置されたV字形のコーナーに配置され、V字形の点のポートは入口または出口の一方であり、残りの2つのポートは入口と出口の他方である。この場合、セルユニットは長方形の形状を有し得、この場合、ポートは通常、対向する短辺に向かって配置される。この構成は、三角形のセルユニットにも適している可能性があり、1つのポートが各コーナーに向かって配置されている。
【0096】
スタック内の各電気化学セルユニットは、各セルユニットの長さおよび幅に沿って中間に配置された第2の流体中間ポートをさらに含んでもよく、第2の流体中間ポートは、第2の流体体積と流体連通しており、それぞれのセルユニットの第2の流体中間ポートは、スタック方向に延びる少なくとも1つの中間通路を形成するように整列する。
【0097】
第2の流体体積と流体連通する少なくとも1つの第2の流体端部通路が、セル端部またはセル端部近傍でスタック方向に延びるように設けられていてもよく、少なくとも1つの第2の流体端部通路は、各セルユニットを超えて外部でマニホールドにより集配される通路である。
【0098】
通常、第1の流体体積は燃料体積であり、第2の流体体積は酸化剤体積である。活性セルケミストリの長さにわたる圧力降下は、通常、酸化剤に対してより顕著であり、そのため、隣接するセルユニット間のギャップは、一般に、第2の流体体積を画定するセルユニット内の金属基板とセパレータプレートとの間のギャップよりも大きいため、外部でマニホールドにより集配される第2の流体は酸化剤であることが好ましい。これは、第1の流体体積、この場合は燃料がセルユニット内に収容または密封され、第1の流体通路と流体連通していることを意味する。さらに、(セルユニットで囲まれた)第1の流体体積を空気に適合させる場合、金属基板とセパレータプレートとの間のギャップを大きくする必要があり、より大きなギャップを形成するための材料使用量が多くなり、したがってスタックコストが大きくなる。
【0099】
さらなる内部でマニホールドにより集配されるスタックでは、典型的には、第2の流体中間ポートは、第2の流体体積への第2の流体の供給用の入口ポートであり、少なくとも1つの第2の流体端部通路の各々は、第2の流体体積からの第2の流体の排出用である。
【0100】
3辺以上のセルユニットの場合、セルユニットの各辺の外側に1つの第2の流体端部通路があってもよい(すなわち、第2の流体端部通路の数はセルユニットの辺の数と同じである)。あるいは、2つの第2の流体端部通路を対向するセル端部(例えば、矩形セルユニットの対向する短いまたは長い縁部、あるいは六角形セルユニットの対向する縁部)に設けられてもよいし、2対の第2の流体端部通路をセルユニットの周囲(例えば、矩形セルユニットの各縁部の外側)に間隔をあけて設けてもよい。
【0101】
第2の流体中間ポートを設ける代わりに、第2の流体は完全に外部でマニホールドにより集配されてもよい。これにより、電気化学的活性セル領域によって覆われる層の割合が最大になり、それによって電力密度が向上する。
【0102】
外部でマニホールドにより集配されるスタックでは、典型的には、第2の流体体積と流体連通する2つの第2の流体端部通路が、対向するセル端部またはその近傍でスタック方向に延びるように設けられ、第2の流体端部通路は、各セルユニットを超えて外部でマニホールドにより集配される通路であり、第2の流体端部通路の一方は、第2の流体体積への第2の流体の供給用であり、第2の流体端部通路の他方は、第2の流体体積からの第2の流体の排出用である。
【0103】
あるいは、外部でマニホールドにより集配されるスタックにおいて、第2の流体体積と流体連通する4つの第2の流体端部通路が、スタック方向に延びるように設けられ、2対に配置され、各対の通路は、電気化学的活性セル領域がその間に配置された状態で互いに対向し、これらは、各セルユニットを超えて外部でマニホールドにより集配される通路であり、第1の対は、第2の流体体積への第2の流体の供給用であり、第2の対は、第2の流体体積からの第2の流体の排出用であり、出口通路と入口通路は、セルユニットの周りに交互に配置される。
【0104】
好ましい例では、各電気化学セルユニットは、セパレータプレートおよび第1の流体体積と流体連通しているセル層を通って設けられた第1および第2の流体ポートを備え、それぞれのセルユニットのそれぞれの流体ポートは、スタック方向に延びるそれぞれの第1および第2の通路を形成するように整列し、これらは内部でマニホールドにより集配される通路である。この場合、第1の流体ポートは、第1の体積への第1の流体の供給用であり、第2の流体ポートは、第1の流体体積からの第1の流体の排出用であり、中間平面領域における高さ変化の少なくとも1つの方向は、第1の流体ポートと第2の流体ポートとの間の直線に対して概ね垂直であり、第1の流体体積の高さは、直線の少なくとも一方の側よりも直線に沿った方が小さい。その結果、第1の流体体積は通常、セルユニットの中心に向かって高さが低くなる。この場合、セルユニットは長方形の形状を有し、第1の流体ポートはセルユニットの対向する短端に向かって配置される。好ましくは、この第1の流体体積は燃料用である。第2の流体体積の高さは、第1の流体体積の高さに対応して変化するため(例えば、セパレータプレートが3D領域を形成するために変形しているため)、第2の流体(酸化剤)は、第1の流体の流れ方向と同じ方向、または第1の流体の流れ方向と反対方向(すなわち、180度方向)に流れるように、外部でマニホールドにより集配され得る。これは、有利なことに、セルユニットの中心への酸化剤の流量が増加し、それによって、SOFCとして動作させたときのセルユニットの中心の冷却を強化する。
【0105】
上記において、第1の流体体積における第1の流体流路は、第1の流体体積への入口とそこからの出口との間に形成され、第2の流体流路は、第2の流体体積への入口とそこからの出口との間に形成される。
【0106】
好ましい例では、第1および第2の流体流路は、電気化学的活性セル領域を横切る共流構成になっている。流体は、第1および第2の流体流路の両方がセルユニットの端部からセルユニットの対向する端部に向かう共流構成で流れてもよい。
【0107】
あるいは、流体は逆流構成であってもよく、この場合、第1の流体流路はセルユニットの第1の端部からセルユニットの対向する第2の端部までであり、第2の流体流路はセルユニットの第2の端部からセルユニットの対向する第1の端部までであり、あるいはその逆である。
【0108】
あるいは、流体は共逆流構成であってもよく、この場合、第1の流体流路はセルユニットの第1の端部からセルユニットの対向する第2の端部までであり、第2の流体流路はセルユニットのそれぞれの端部からセルユニットの中心まで(またはその逆)である。すなわち、第2の流体流路は、中間通路から端部通路まで(またはその逆)であり、第1の流体流路は、セルの一端の端部流体通路からセルの反対側の端部の端部通路までである。
【0109】
あるいは、流体は、クロスフロー構成であってもよく、この場合、第1の流体流路はセルユニットの第1の端部からセルユニットの対向する第2の端部まで(またはその逆)であり、第2の流体流路は第1の流体流路に対して実質的に垂直であり、第2の流体流路はセルユニットの第3の側からセルユニットの第4の側までである。第3および第4の側は、対向する第1および第2の側とは異なる。
【0110】
共流構成は、セルユニットの最も高温の部分が活性セル化学領域の中心に向かっている逆流とは対照的に、セルユニットの最も高温の部分がセルユニットの端部に向かっていることになるので好ましい場合がある。したがって、逆流の場合、測定された排出流体の温度は、スタックの最も高い温度をよりよく反映し、これは、過剰な熱がセルユニットの故障につながる可能性があるため、重要なパラメータである。さらに、逆流では、最も高い温度は、通常、共流の場合よりも高温になる(他のパラメータはすべて等しい)ため、逆流構成では、冷却のために(通常、酸化剤流を使用する)より大きな流体流量が必要となり、その結果、送風機またはポンプからの寄生損失が、共流構成よりも増加する。
【0111】
第2の態様では、セパレータプレートを製造するための方法が提供され、
平面金属シートを提供することと、
金属シートを変形させて、3次元(3D)領域を提供することとを含み、3次元(3D)領域は、
セパレータプレートの第1の側の第1の流体体積の高さを画定する、第1の複数の外側に延びるディンプル状突起と、
セパレータプレートの第2の側の第2の流体体積の高さを画定する、第2の複数の外側に延びるディンプル状突起とを含み、
それによって、中間平面領域が突起の間に配置され、
中間平面領域が、第1および第2の流体体積の相互に関連するそれぞれの高さが結果として対応して増加および減少するように、活性セル領域を横切る少なくとも1つの方向にその高さを選択的に変化させるように成形される。
【0112】
セパレータプレートは、金属プレートを変形(プレス)することによって形成されるため、セパレータプレートの第1の側のディンプル状突起は、セパレータプレートの第2の側のディンプルキャビティとして現れ、その中に成形された他の特徴についても同様である。このリンクは、自由度が失われるという点で、設計の観点からはデメリットとして認識されるかもしれない。しかしながら、金属シートを形成するための変形プロセスは、電気化学セルを大規模に生成するために経済的に使用することができると同時に、ポート構成、流路、および問題のセルにおける熱プロファイルを考慮して、技術的性能の向上を達成するために、第1および第2の流体体積間のそれぞれのバランスを調整するためにリンクを使用することもできる。例えば、SOFCにおいて、中間平面の高さが、燃料体積の高さがセルユニットの中心に向かって小さくなるようなものであれば、酸化剤体積はセルユニットの中心に向かってそれに応じて高くなり、それによってセルユニットの中心を横切る酸化剤の流量が増加する。酸化剤はセルユニットを冷却するために使用されることがあり、セルユニットの中心は、通常、セルユニットの中で最も高温の部分である。中心を横切る酸化剤の流量が相対的に増加するため、セルユニットの中心が有利に冷却される。
【0113】
この方法は、第1の流体体積への少なくとも入口および第1の流体体積からの出口を形成することをさらに含み得る。これらは、金属シートを貫通するそれぞれのポートを形成することによって、3次元(3D)領域を提供するために、金属シートを変形させるステップで形成され得る。
【0114】
好ましくは、中間平面領域および突起が形成されるのと同じステップで、成形されたポート特徴、フランジ付き周辺特徴、および他の成形された流量制御特徴の3D特徴のうちの任意の1つ以上もセパレータプレートに形成される。
【0115】
この方法は、その第1の面上に、電気化学的活性セル領域を担持する金属支持プレートを含むセル層を提供することと、上記セパレータプレートを提供することと、セパレータプレートの3次元(3D)領域がセル層を覆うように(すなわち、3D領域が電気化学的活性セル領域の少なくとも一部、好ましくはすべてを覆うように)、金属支持プレートとセパレータプレートとを接合することとを含み得、任意選択で、接合することが、金属支持プレートとセパレータプレートとをそれらの周囲で一緒に溶接することを含む。金属支持プレートには、金属シートに形成された流体ポートに対応する流体ポートを(例えばプレスにより)設けることができる。
【0116】
この方法は、第1の電気化学セルユニットのセパレータプレートの第1の側が、第1の電気化学セルユニットのセル層に面し、その間に第1の流体体積を封入し、第1の電気化学セルユニットのセパレータプレートの第2の側が、セルユニットのスタック内の隣接する第2の電気化学セルユニットのセル層に面し、その間に第2の流体体積を封入するように形成された複数の電気化学セルユニットを積層することをさらに含んでもよい。
【0117】
第1の流体体積および第2の流体体積は、共流に構成されてもよい(すなわち、体積は、第1の流体および第2の流体が実質的に同じ方向に流れるように構成されてもよい)。第1および第2の流体は、セパレータプレートの対向する2つの面上で共流する場合がある。スタック(および/またはその中のセルユニット)には、第1の流体体積への少なくとも入口およびそこからの出口を設けることができる。同様に、第2の流体体積への少なくとも入口およびそこからの出口を設けることができる。上記の方法によって形成されたセパレータプレートがさらに提供される。
【0118】
上記電気化学セルユニットの使用がさらに提供され、中間平面領域の形状は、第1の流体体積内の第1の流体の分布を最適化するために、第1の流体が動作中にセルユニットに出入りするそれぞれの入口および出口の数および位置を考慮して、選択的に調整される。代替的に、または追加的に、中間平面領域の形状は、第2の流体体積内の第2の流体の分布を最適化するために、第2の流体が動作中にセルユニットに出入りするそれぞれの入口および出口の数および位置を考慮して、選択的に調整される。
【0119】
上に示したように、「セルユニット」または「セルスタック」は、「電気化学セルユニット」または「電気化学セルスタック」を指すために使用される。
【0120】
本発明の特定の好ましい態様は、添付の独立請求項に記載されている。従属請求項からの特徴の組合せは、単に請求項に明示的に記載されているだけでなく、所望および適切に応じて、独立請求項の特徴と組み合わせることができる。本明細書において構成要素の包含を規定するために使用される用語「備える(comprising)」には、さらなる構成要素が存在しない実施形態も含まれる。
【0121】
本明細書には、当業者に対して有益な本発明の開示が記載されている。次に、本発明の実施形態を詳細に参照し、その1つ以上の例を以下に説明する。各例は、本発明を限定するものではなく、本発明の説明のために提供される。
【図面の簡単な説明】
【0122】
次に、本発明の特徴を、添付の図面(図面は縮尺通りではなく、高さ寸法は一般に明瞭にするために誇張されている)を参照して、様々な実施形態により、また単なる例として、さらに詳細に説明する。
【0123】
【
図1】従来技術のセルユニットの分解透視図である。
【
図2】従来技術のセパレータプレートの一部を示す平面概略図である。
【
図3A】本発明による2つのセルユニットの分解透視図である。
【
図3B】
図3Aのセパレータプレートの関連する断面を含む透視図および平面図である。
【
図3C】
図3Aのセパレータプレートの関連する断面を含む透視図および平面図である。
【
図4A】本発明による2つのセルユニットの分解透視図である。
【
図4B】
図4Aのセパレータプレートの平面図および関連する断面である。
【
図4C】
図4Aのセパレータプレートの平面図および関連する断面である。
【
図5】本発明によるさらなるセパレータプレートの平面図および関連する断面図である。
【
図6】本発明によるさらなるセパレータプレートの平面図および関連する断面図である。
【
図7】本発明によるさらなるセパレータプレートの透視図である。
【
図8】本発明によるさらなるセパレータプレートの透視図である。
【
図9】本発明によるさらなるセパレータプレートの平面概略図である。
【
図10】本発明による第1および第2の流体のためのポートおよびマニホールド構成の平面概略図である。
【
図11】本発明によるさらなるセパレータプレートの平面図および関連する断面図である。
【0124】
以下の図および説明では、異なる図中の同様の要素には同様の参照数字を使用する。
【発明を実施するための形態】
【0125】
図3Aを参照すると、電気化学セルスタック構成300の2つのセルユニット301a、301bの分解図が示されている。セルユニットの数は説明のために減らしてあり、通常はもっと多い(例えば300)。各セルユニットは、セル層305(金属支持プレートまたは基板を含む)、およびセパレータ(または相互接続)プレート315を備え、本出願人の以前の特許出願WO 2020/126486 A1に記載されたものと類似していてもよい。セル層305およびセパレータプレート315は各々自立したプレートである。スペーサ310は、セパレータプレート315を基板305から離すために設けられている。セル層305は、それぞれ金属支持プレート(例えば、自立型金属/鋼プレートまたは箔)上に(例えば、薄いコーティング/フィルムとして)堆積され、金属支持プレートによって支持されたそれぞれのアノード層、電解質層およびカソード層を備える電気化学的活性セル領域307を含み、電気化学的活性セル領域307は、隣接するセルユニットのセパレータプレート315に面している。
【0126】
金属支持プレートは、非多孔質領域に囲まれた多孔質領域(図示せず)を有し、電気化学的活性セル領域の重ね合った層は、気体が金属支持プレート305の一方の側から反対側へ孔を通過してその上にコーティングされた活性層にアクセスできるように、多孔質領域上に堆積される。WO 2020/126486 A1で議論されているように、多孔質領域は、セル層305の金属支持プレートを貫通して延びる小さな開口(金属箔基板を貫通して開けられた穴)(図示せず)を含み、セル層305の金属支持プレート上に配置されるアノード(または、電気化学的活性セル領域307の極性の向きによってはカソード)を覆う位置にある(それぞれの電気化学的活性セル層で覆われた平面エリアは「活性セル領域」として知られている)。好ましい実施形態では、アノード(燃料極)層は、流体ポート316、したがって燃料ポート316を介して燃料が出入りすることによって供給される燃料流体積を含む燃料電池ユニット301内の(密閉された)流体体積を有する多孔質領域に隣接して配置される。カソード(空気極)層は、電気化学的活性セル領域307の反対側、すなわちその外側面にあり、燃料電池ユニット301の使用中、その層を横切って流れる空気にさらされる(穿孔された多孔率が調整された金属基板が望ましいが、本発明は、多孔性金属発泡体や多孔性タペキャスト金属基板など、別の多孔率を有する金属基板にも適用可能である)。
【0127】
セル層305およびセパレータプレート315は、それぞれ、(酸化剤及び/または燃料用の)プレートに設けられた流体ポート306及び316を有し、セルユニット301の対向する縁部の中心に向かって配置され、電気化学的活性層状領域307の対向する側に配置されている。スペーサプレート310は、流体ポート306、316間の流体連通を可能にする開口ポートを有し、金属支持プレート305とセパレータプレート315との間に設けられた第1の流体体積は、スペーサプレート310によって画定される。
【0128】
図3に示すように、各セルユニット301は3枚のプレートまたは層を含み、セル層305とセパレータプレート315の間にはスペーサプレート310が挟まれている(ただし、2枚のプレートまたは層のみを含む場合もあり、金属支持プレート305とセパレータプレート315の一方または両方が、金属支持プレート306aとセパレータプレート306bの他方に向かって突出するフランジ付き周辺特徴を含む場合もあり、
図4に関してより詳細に説明するように、スペーサプレート310の必要性がなくなる)。
【0129】
セル層305、スペーサ310、およびセパレータプレート315は互いに積層され、その周囲を溶接(融着)されて、スペーサプレート310によって提供される空間によって画定される中央部に第1の流体体積を有する単一の金属支持型リピートセルユニット301aが形成される。セル層305、スペーサ310、セパレータプレート315の各々は自立型金属プレートであり、溶接または融着される前に別々のプレートを取り扱うことができる。セルスタック繰り返し層301aの金属構成要素は互いに電気的に接触しており、それらの間の電子の流れは主にヒューズ/溶接経路を介して行われ、それによって表面間の接触抵抗の損失が回避される。
【0130】
図3のセルユニット301のスタックは、隣接するセルユニット301との間にガスケット320が配置された状態で積み重ねられる。各ガスケット320はセルユニット301の流体ポート306、316を囲み、電気的に絶縁されている。それぞれのガスケット320を有するセルユニット301のスタックは、セルユニット301における対応する流体ポート306、316が、セルユニットのスタックを通る内部マニホールドまたは煙突を形成するように整列されるように、互いに重ねて配置され、内部マニホールドまたは煙突を通して、流体がセルユニット(具体的には、各セルユニット301のセル層305とセパレータプレート315との間の開口部)に供給され、そこから排出され得る。ガスケット320は、その表面と隣接面のものとの間に流体シールを提供する。ガスケット320はあらかじめ形成されたガスケットとして示されているが、同様にその場で形成されてもよい。ガスケットは導電性ではない。ガスケットは、例えば、バーミキュライト(例えば、サーミキュライト)で作ることができ、これは、マイカまたはセラミックと比較して優れたシール性能を提供する一方で、シールに必要な荷重ははるかに低い。
【0131】
セパレータプレートには、ディンプル状突起と変化する中間平面の高さを含む3D領域が提供される。3D領域では、上向きおよび下向きのディンプル状突起が、中間平面領域からそれ自体のセルユニット301aのセル層305(例えば、電気化学的活性セル領域307を支持する金属支持プレートの反対側)まで延び、中間平面領域からこのセルユニット301aの下に積層された後続の(または隣接する)セルユニット301bのカソード(または電気化学的活性層の極性の向きによってはアノード)まで延びるように設けられている。この例では、セパレータプレート315の3D領域は電気化学的活性セル層305を完全に覆っているため、中間平面の高さは電気化学的活性セル領域307全体にわたって適切に調整され得る。しかしながら、例えば、活性セル領域の上流端または下流端が、流体の流れに影響を与えるために高さを使用する必要がない場合、3D領域の中間平面の高さは、電気化学的活性セル領域全体にわたって変える必要はない。3D領域は、任意選択で、活性セル領域307を越えて延びることができ、また任意選択で、その上流または下流の流体の流れに影響を与えるように調整された中間平面の高さを有することもできる。
【0132】
セパレータプレート315は、シート(例えば金属シート)から形成される。中間平面領域は、ディンプル状突起間のシートの一部である。
図3において、中間平面領域は、3つの中間平面サブ領域を含み、その各々は平坦な平面であり、中間平面サブ領域はそれぞれのステップによって互いに分離されている。しかしながら、中間平面(およびそのサブ領域)は、平坦である必要はない(例えば、
図4を参照して説明するように)。ディンプル状突起は、電気化学的活性セル領域307のエリアに対応するセパレータプレート315のエリアにわたって分布している。言い換えれば、ディンプル状突起は、電気化学的活性セル領域と同様の面積を持ち、その下に位置する。ディンプル状突起は、活性なセル領域307と同等の面積を有し得、その中心が活性セル領域307のものと一致する。ディンプル状突起は、セパレータプレート315を横切って(上向きと下向きの間で)交互に配置されてもよく、通常、所与のエリアに同数の「上向き」と「下向き」の突起が存在する。言い換えれば、所与の「上向き」の突起の最も近い近傍は、たいてい「下向き」の突起になる(逆も同様である)。その結果、ディンプル状突起330、335は、スタックの隣接するセルユニット301を電気的に接続し、スタックの電気化学的活性セル領域307(通常、各セルユニットに1つずつ)を互いに直列に接続する。
【0133】
セル層305とセパレータプレート315の中間平面との間の距離は、中間平面領域の変化によって、3D領域にわたって変化する。上向きおよび下向きのディンプル状突起は、セパレータプレート315の中間平面領域の変化に対応して高さが変化する(以下でさらに詳細に説明する)。異なる突起の個々の寸法にかかわらず、相互接続の全体の高さ(厚さ)、すなわち下向きの突起の底部から上向きの突起の頂部までの高さは常に同じであることが理解されよう。
【0134】
ディンプル状突起および変化する中間平面領域は、3D領域を形成するために金属プレートを変形またはプレスすることによって形成される。変形/プレスは、例えばハイドロフォーミングまたはスタンピング/プレスなど、シートを適切な構成に形成するための任意の適切な方法であってよい。したがって、1枚の薄いシートをセパレータプレート315に変形させることができる。プレスの結果、セパレータプレート315の一方の側で外側に延びるディンプル状突起が、セパレータプレート315の他方の側でキャビティを形成する。当業者であれば、プレスによって形成される特徴の高さは、金属シートの材料特性および厚さによって制限されることを理解するであろう。しかしながら、この場合、プレスされた特徴の高さは比較的小さく(通常は最大1mm)、プレスによって変形された金属プレートの機械的強度が著しく低下することはない。
【0135】
図3Bおよび
図3Cは、
図3Aのセパレータプレート315を透視図および平面図で示す。
図3Cは、セパレータプレート315の断面A-A、B-B、およびC-Cも示している。図では、ディンプル状突起の厚さ(垂直方向)寸法、したがって高さは、説明のために誇張されている。
【0136】
第1の複数の第1のディンプル状突起330、331、332は、セパレータプレート315の中間平面領域から、セパレータプレートが配置されたセルユニット301aのセル層305(その金属支持プレート)に向かって外方(
図3では「上向き」)に延びている。第1のディンプル状突起330、331、332の最外点は、セパレータプレートが配置されたセルユニット301aのセル層305に接触する。その結果、第1のディンプル状突起330、331、332は(スペーサプレート310とともに)セル層305とセパレータプレート315の中間平面領域(の第1の側)との間に第1の流体体積を画定する。
【0137】
第2の複数の第2のディンプル状突起335、336、337は、(セルユニット301aの)セパレータプレート315の中間平面領域から、隣接するセルユニット301b(すなわち、セパレータプレート315が配置されたセルユニットに隣接するセルユニット)のセル層305に向かって、外側(
図3では「下向き」)に延びている。言い換えれば、ディンプル状突起330、331、332は、セパレータプレートの第1の側から外側に延び、ディンプル状突起335、336、337は、セパレータプレートの第2の側から外側に延びている。ディンプル状突起335、336、337の最外点は、隣接するセルユニット301bの電気化学的活性セル領域307に接触する。その結果、ディンプル状突起335、336、337は、セパレータプレート315の中間平面(の第2の側)と隣接するセルユニット301bの電気化学的活性層307との間に第2の流体体積を画定する。
【0138】
セパレータプレート315の中間平面は、活性セル領域307にわたって高さが変化し、ディンプル状突起もそれに対応して高さが変化する(その最外点が平面を形成するように)。
図3は、中間平面サブ領域340、341、342の3つの異なる高さを有し、各中間平面サブ領域間にステップがある中間平面を示す。この場合、各中間平面サブ領域はそれ自体平坦な平面である。
図3には単なる例として3つの異なる中間平面高さが示されているが、2つまたは3つを超える中間平面高さがあってもよいことが理解されよう。ディンプル状突起330は、第1の中間平面サブ領域340から上向きに突出している。第1の中間平面サブ領域340のディンプル状突起330は、セパレータプレート315から、セパレータプレートが配置されているセルユニット301aのセル層305に向かって外側に延びている。ディンプル状突起330の最外点は、セル層305に平行で接触する平面を画定する(その結果、第1の中間平面サブ領域340のディンプル状突起330は、スペーサプレート310の厚さと同じ高さを有する)。この場合、セパレータプレートの各中間平面サブ領域は、セル層305に平行な平坦な(湾曲していない)平面である。しかしながら、これは必ずしもそうである必要はない(例えば
図4)。
【0139】
ディンプル状突起335は、第1の中間平面サブ領域340から下向きに突出している。第1の中間平面サブ領域340のディンプル状突起335は、セパレータプレート315から、セパレータプレート305を含むものに隣接するセルユニット301bのセル層305に向かって外側に延びている。ディンプル状突起335の最外点は、隣接するセルユニット301bのセル層305(の電気化学的活性セル領域307)に平行で、接触する平面を画定する。
【0140】
ディンプル状突起331は、第2の中間平面サブ領域341から上向きに突出し、ディンプル状突起336は、第2の中間平面サブ領域341から下向きに突出している。セパレータプレート315の第2の中間平面サブ領域341は、第1の中間平面サブ領域340よりも、セパレータプレートが配置されたセルユニットのセル層305に近い。したがって、ディンプル状突起331は、ディンプル状突起330よりも短く(この突起330、331の最外点がセル層305と平行な平面に位置するように)、ディンプル状突起336は、ディンプル状突起335よりも高い(この突起335、336の最外点がセル層305と平行な平面に位置するように)。
【0141】
ディンプル状突起332は、第3の中間平面サブ領域342から上向きに突出し、ディンプル状突起337は、第3の中間平面サブ領域342から下向きに突出している。セパレータプレート315の第3の中間平面サブ領域342は、第2の中間平面サブ領域341よりも(また、第1の中間平面サブ領域340よりも)、セパレータプレート315が配置されたセルユニット301aのセル層305に近い。したがって、ディンプル状突起332は、ディンプル状突起331よりも短く(このディンプル状突起330、331、および332の最外点がセル層305と平行な平面に位置するように)、ディンプル状突起337は、ディンプル状突起336よりも高い(このディンプル状突起335、336、および337の最外点がセル層305と平行な平面に位置するように)。
【0142】
第1の流体体積の変化する高さは、中間平面領域とディンプル状突起330、331、および332の最外点との間に画定される。第2の流体体積の変化する高さは、中間平面サブ領域とディンプル状突起335、336、および337の最外点との間に画定される。第1の流体体積の高さは、第1の中間平面サブ領域340で最も高く、第2の中間平面サブ領域341で低く、第3の中間平面サブ領域342で最も低い。これに対応して、変化する中間平面がプレスによって形成される結果、第2の流体体積の高さは、第1の中間平面サブ領域340で最も低く、第2の中間平面サブ領域341で高く、第3の中間平面サブ領域342で最も高い。セクションA-A、B-B、およびC-Cでわかるように、第1および第2の流体体積高さの合計は、各中間平面サブ領域(第1の中間平面サブ領域340、第2の中間平面サブ領域341、および第3の中間平面サブ領域342)で同じである。
【0143】
第1の流体体積の高さの変化は、第1の流体ポート316間の線に垂直である(したがって、この例では、第1の流体体積内の全体的な流れ方向に垂直である(第2の流体体積内の全体的な流れ方向は、第1の流体体積のものと同様であってもよく、その場合、第1および第2の流体は共流構成である))。流体ポート316の一方は、第1の流体体積に第1の流体を供給するための入口ポートであり、流体ポート316の他方は、第1の流体体積から第1の流体を排出するための出口である。第1の流体は、第1の流体体積内を、一般に入口から出口まで流れる。第1の流体体積の高さは、第3の中間平面サブ領域342で最も低くなる。これは、入口ポートと出口ポート316との間の第1の流体の流れに(それぞれ、第2および第1の中間平面サブ領域341および340に対して)制限を与え、第1の流体の一部が、第2の中間平面サブ領域341を横切って入口ポートから出口ポートへのより長い経路をたどるように強制されることを確実にする。同様に、第2の中間平面サブ領域341は、第1の流体の第2の部分が第1の中間平面サブ領域340を横切って入口ポートから出口ポートへのより長い経路をたどるように強制されることを確実にする制限を(第3の中間平面サブ領域342よりも小さい範囲で)提供する。したがって、第1の流体体積の高さの変化は、ディンプル状突起および活性セル領域307によって覆われたエリア全体にわたる第1の流体の均一な分配を促進する。ディンプル状突起は、第1の流体の混合を可能にし、中間平面サブ領域が第1の流体の分配を制御することを可能にする。
【0144】
図3の例では、セルユニット301に第2の流体用の流体ポートは設けられていない。この場合、第2の流体体積は外部でマニホールドにより集配され、第2の流体は、
図3に示すセルユニット301の縁部を越えて配置された通路によって第2の流体体積に提供される。第2の流体は、少なくとも1つの入口通路によって供給され、少なくとも1つの出口通路によって排出される。場合によっては、第2の流体入口および出口通路はセルユニット301の対向する縁部に配置される(例えば、
図10、構成1015、1020)。場合によっては、第2の流体用の流体ポート(
図3には図示せず)がセルユニットの平面視エリア内の中央に設けられ、これは入口ポートであってもよく、この場合、出口の外部でマニホールドに集合する通路が少なくとも一対の対向するセルエッジに設けられる(例えば、
図10、構成1005、1010)。
【0145】
第2の流体体積の高さの変化は、第2の流体体積内の第2の流体の流れに影響を与える。第1の流体体積の場合と同様に、第2の流体体積の高さが低いと、第2の流体体積の高さが高いのに比べて制限が生じ、第2の流体が高さのより高いエリアに向かって優先的に流れる。
【0146】
図3の例では、第1の中間平面サブ領域340は、ディンプル状突起330と335の最外点の中間に配置されているが、これはそうである必要はない。第1の流体体積の高さは、第2の流体体積の高さより低くてもよい。第1の流体体積は、第2の流体体積の高さの30%から80%の間、好ましくは40%から60%の間の高さを有し得る。
【0147】
高さhだけ離れた2つのプレート間の層流では、(2つのプレートの中間の位置での)最大流速はh
2に比例する。入口ポートと出口ポートの間の流量についても同様の関係が成り立つ。高さが高い体積の部分では流量が大きくなり、高さが低い体積の部分では流量が小さくなる(言い換えれば、入口ポートと出口ポートの間の流量については、体積の一部をより高くすることで、体積のその部分の流量を増加させることができ、逆に、体積の一部を低くすることで、体積のその部流量を低減することができる。例えば、2つのプレート間の距離が、2つのポート(例えば
図3の2つのポート)間の直線に垂直な方向に変化するとき、その変化は、ポート間のまっすぐな流路(または流線)に沿った流量が、それほどまっすぐでない流路(または流線)に沿った流量と同じ(または同様)になるようにすることができる。言い換えれば、変化は、第1の流体体積内の流量が、第1の中間平面サブ領域340、第2の中間平面サブ領域341、および第3の中間平面サブ領域342によって囲まれる領域を通じて同じになるようにすることができる。したがって、中間平面高さが変化することで、電気化学的活性セル領域にわたって第1の流体の分配を改善することができる。
【0148】
好ましい例では、第1の流体は燃料であり、第2の流体は空気または酸化剤であり、第1の流体体積の高さは第2の流体体積の高さ(空気または酸化剤の場合)よりも小さい。SOFCとしての動作では、燃料(気体状)は通常、酸化剤(同じく気体状)よりも高い圧力で提供され、燃料体積の高さは酸化剤体積の高さよりも低い。その結果、中央平面の変化(つまりそれぞれの体積の高さの変化)は、酸化剤体積よりも燃料体積に大きな影響を与える。このため、中間平面高さの変化は、第2の流体(酸化剤など)よりも第1の流体(燃料など)に対して優先的に調整することができる。例えば、本実施形態は、(中央に位置する)ポートから最も遠いセルの外縁領域(領域340)(それらは、限られたポート数で燃料を供給するのが最も困難な場所である)に(より高圧の)燃料を分配するのに役立ち、同時に、一般的にセルの最も高温な部分であるセルの中央領域342により多くの空気流を促進/分配し、それにより、より多くの冷却と改善されたセル熱プロファイル(すなわち、より滑らか/平坦)を提供する。セパレータを変形させることで、それぞれの流体体積の高さが相応に増加したり減少したりするため、この逆相関/要件を最適に利用することができる。
【0149】
この例のディンプル状突起330、331、332、335、336、および337は断面が円形である。これらは、第1および第2の流体を任意の特定の方向に導かないので、電気化学的活性セル領域307の範囲にわたる第1および第2の流体の分配を可能にする。そのため、ディンプル状突起の周りの流路は、蛇行していると表現され得る。ディンプル状突起は、非垂直の側壁と切り取られた平坦な頂部(上記では最外点と呼ぶ)を有するという点で、実質的に円錐台形の形状である。これらは、正方形、十字形、六角形など、円形以外の断面形状をとってもよく、それぞれの流体体積において、周囲の流体の流れの方向を制御することはない。特定の方向の流れを制約しないように、10未満、好ましくは5未満、より好ましくは2未満のアスペクト比を有する、楕円形、長方形、非正多角形などの細長い形状をとってもよい。ディンプル状突起はセパレータプレート315のプレートに圧入される。このような傾斜壁は、セパレータプレート315が形成されたプレートから壁を押し出すときに、垂直壁よりも角度をつけやすいため、好ましい構成である。しかしながら、おそらく20度から90度までのどの角度でも、使用可能な形を提供することができる。好ましくは、プレスされるシートの平面から40度から90度の間である。
【0150】
各中間平面サブ領域間のステップは個別のステップであり、この場合も、
図3に示すように、やはり角度のついた(非垂直の)側壁を持つ場合がある。このような傾斜壁は、セパレータプレート315が形成されたプレートから壁を押し出すときに、垂直壁よりも角度をつけやすいため、好ましい構成である。しかしながら、おそらく20度から90度までのどの角度でも、使用可能な形を提供することができる。好ましくは、プレスされるシートの平面から40度から90度の間である。
【0151】
通常、上方に突出したディンプル状突起330、331、および332と下方に突出したディンプル状突起335、336、および337は、中間平面サブ領域340、341、および342がプレスされるのと同じステップでプレスされる。第1の中間平面サブ領域340は、セパレータプレート315が形成される平面金属シートの未変形エリアを表し得る。
【0152】
活性セル領域307近傍のスタック内の圧縮力は、良好な電気的接触、したがってスタックを通じた良好な導電性のために必要である。ディンプル状突起330、331、および332(セパレータプレート315が配置されたセルユニット301aのセル層305に向かって)、ならびにディンプル状突起335、336、および337(セパレータプレート315が配置されたセルユニット301aのセル層305から離れ、隣接するセルユニット301bのセル層305に向かって)は、スタック内のセルユニット301間に必要な電気接点を形成し、また中央領域において燃料電池ユニットの支持機能を提供する。ディンプル状突起は、上向きのディンプル状突起と下向きのディンプル状突起を交互に配置し(セパレータプレートが配置されたセルユニット301aのセル層305に向かっておよび離れて)、圧縮力をスタックを通して(セパレータプレートが配置されたセルユニットのセル層と、隣接するセルユニットのセル層に)伝達する。セパレータプレートとセル層に過度のゆがみを生じさせることなく、圧縮力を伝達して第1と第2の流体体積を維持するのに十分なディンプル状突起が各方向に存在する限り、ディンプル状突起は厳密に上向きおよび下向きに交互に配置される必要はないことが理解されよう。
【0153】
図4Aを参照すると、セパレータプレート415を有するスタック構成400の分解図が示されている。
図4Bは、セパレータプレート415を平面図で示し、
図4Cは、
図4Bに示された断面A-A、B-B、C-C、およびD-Dを示す。
図4のセルユニットは、
図3と同様の横方向のポート構成を有するセル層405およびセパレータプレート415を有する。しかしながら、
図4のセパレータプレート415には、フランジ付き周辺特徴410が設けられており、
図3のスペーサプレート310の必要性がなくなる。フランジ付き周辺特徴410は、セパレータプレート415の第1の中間平面440から、セパレータプレートが配置されたセルユニットのセル層に向かって延び、セパレータプレートに凹み(外面には凸部)を形成する。凹部は、セルユニットの組み立て時に、セルユニット内に第1の流体体積を形成する。フランジ付き周辺特徴410はセパレータプレート415のみに示されているが、セル層に、あるいはセパレータプレートとセル層の両方に同様に形成されていてもよい。セル層405とセパレータプレート415は互いに積層され、フランジ付き周辺特徴410の周囲に溶接(融着)されて、フランジ付き周辺特徴によって提供される空間によって画定される中央部に第1の流体体積を有する単一の金属支持型リピートセルユニット401aが形成される。セル層405とセパレータプレート415の各々は、自立型金属プレートであり、溶接または融着される前に別々のプレートを取り扱うことができる。セルスタック繰り返し層401aの金属構成要素は互いに電気的に接触しており、それらの間の電子の流れは主にヒューズ/溶接経路を介して行われ、それによって表面間の接触抵抗の損失が回避される。
【0154】
セパレータプレート415は、ポート316を囲み、セル層405に向かって延びるディンプルの形をした、形成されたポート特徴450を備え、それらの最外点は、フランジ付き周辺特徴410の外面と平坦な平面を形成する。形成されたポート特徴は、断面が円形で、角度の付いた側壁と、(ディンプル状突起と同様の)切り取られた平坦な頂部を有する。セルユニットのスタックの圧縮の間、形成されたポート特徴(およびフランジ付き周辺特徴410)の最外点(平坦な頂部)は、セル層と接触し、それによりセルスタックの圧縮を支持し、ガスケット320に圧縮力を伝達して、その表面と隣接面の表面との間に流体シールを提供する。第1の流体は、形成されたポート特徴450間のギャップを介して、流体ポートから第1の流体体積に出入りすることができる。
【0155】
図3のセパレータプレート315と同様に、
図4のセパレータプレート415には、活性セル領域307に対応するエリアにわたってセル層405に向かって、およびセル層405から離れて延びるディンプル状突起が設けられている。ディンプル状突起430は、セパレータプレート415の第1の領域440から、セパレータプレートが配置されているセルユニット401aのセル層405に向かって延びている。ディンプル状突起430の最外点は、形成されたポート特徴450およびフランジ付き周辺特徴410の最外点と一致する平面を形成する(フランジ付き周辺特徴がセパレータプレートに形成されるときのみ。いずれにせよ、ディンプル状突起430の高さは、セパレータプレートおよび/またはセル層に形成されたフランジ付き周辺特徴の全高さと同じである)。
【0156】
ディンプル状突起435は、セパレータプレート415の第1の領域440から、隣接するセルユニット401bのセル層405に向かって延びている(セパレータプレートが配置されているセルユニット401aのセル層405から離れて延びている)。ディンプル状突起435の最外点は平面を形成している。
【0157】
セパレータプレート415の中間平面は、活性セル領域307にわたって高さが変化する。この場合、高さの変化はステップ状ではなく、緩やかまたは滑らかで、湾曲した中間平面を形成する。
図4は、セパレータプレートの第2の領域443において、中間平面の高さが徐々に変化している様子を示している。中間平面の高さは、第1の流体ポート316間の直線に概ね垂直な方向に徐々に変化する。この変化は、第1の流体体積の高さが、第1の流体ポート316間の直線に沿って低くなり、その直線から離れるにつれて徐々に高くなるようになっている(セクションA-A、B-B)。これに対応して、変化は、第2の流体体積の高さが、第1の流体ポート316間の直線に沿って高くなり、その直線から離れるにつれて徐々に低くなるようになっている(セクションA-A、B-B)。それぞれの第1および第2の流体体積を通る第1および第2の流体流路への影響は、
図3に関して上述したものと同様である。
【0158】
図4に示すように、中間平面の緩やかな湾曲は、第1の流体ポート316間の線に概ね垂直な方向のみである。第2の中間平面サブ領域443の始まりと終わりには、その直線に平行な方向の中間平面にステップが存在する。
【0159】
ディンプル状突起433は、第2の中間平面サブ領域443から、セパレータプレートが配置されているセルユニット401aのセル層405に向かって延びている。ディンプル状突起433の最外点は、第1の中間平面サブ領域440のディンプル状突起430の最外点と一致する平面を形成する。
【0160】
ディンプル状突起438は、セパレータプレート415の第2の中間平面サブ領域443から、隣接するセルユニット401bのセル層405に向かって延びている(セパレータプレートが配置されているセルユニット401aのセル層405から離れて延びている)。ディンプル状突起438の最外点は、第1の中間平面サブ領域440のディンプル状突起435の最外点と一致する平面を形成する。
【0161】
図4はまた、電気化学的活性なセルユニットエリアの割合を増加させ、それによってセルユニットのスタックの電力密度を増加させるために、電気化学的活性セル領域が流体ポート306の周囲に巻き付けられる活性セル領域307も示している。言い換えれば、ポートの近傍では、活性セル領域の縁部はポートの形状に合わせて成形され、この場合、ポートは円形であるため、活性セル領域の縁部はポートと同心の部分円を形成する。活性セル領域307の縁部は、形成されたポート特徴450と、ポートの周囲に配置されたガスケット320のための空間を確保するために、ポートの縁部から間隔を空けている。
【0162】
セパレータプレート315に設けられた特徴と同様に、セパレータプレート415に設けられた特徴はプレスによって形成される。ディンプル状突起430、433、435、および458の各々、変化する中間平面サブ領域440、443、形成されたポート特徴450、およびフランジ付き周辺特徴410は、1つ以上のプレスステップによって平面シートから形成され得る。
【0163】
図5は、例示的なセパレータプレート515の平面図と、そこに示された断面A-AおよびB-Bを示す。セパレータプレート515は、前述のセパレータプレートと同様であるが、第1の流体用の4つのポート316a、316b、および第2の流体用の単一のポート518を備えている。セパレータプレート515とともに使用するセル層は、第1の流体用の対応する4つのポートと、第2の流体用の単一のポートとを備えていることが理解されよう。好ましくは、第1の流体は燃料であり、第2の流体は酸化剤である。
【0164】
2つの第1の流体ポート316aは、セパレータプレート515の幅に沿った中間で、セパレータプレートの対向する短縁に向かって配置される。2つの第1の流体ポート316bは、セパレータプレート515の長さに沿った中間で、セパレータプレートの対向する長辺に向かって配置される。2つの第1の流体ポート316aが入口ポートであり、2つの第1の流体ポート316bが出口(排出)ポートであるか、または2つの第1の流体ポート316aが出口(排出)ポートであり、2つの第1の流体ポート316bが入口ポートである。第1の流体ポート316a、316bは、セパレータプレート515とセル層との間に囲まれた第1の流体体積に第1の流体を送達したり、そこから排出したりする。したがって、第1の流体体積内の第1の流体は、入口ポート(316a、316bの一方)から出口ポート(316a、316bの他方)に流れる。各第1の流体ポート316は、上述したものと同様の、形成されたポート特徴450を備える。
【0165】
第2の流体ポート518は、セパレータプレート515の長さと幅に沿った中間に配置される(すなわち、セパレータプレート515内の中央)。第2の流体ポートの周囲には、(セパレータプレート515が属するのと同じセルユニットの)セル層に接触するように構成されたフランジがある。セルユニットの製造では、フランジとセル層との間に流体シールが形成される(例えば、フランジの周囲を溶接する)。
【0166】
第2の流体ポート518は、セルユニットのセパレータプレート515と隣接するセルユニットのセル層との間の第2の流体体積への、またはそこからの第2の流体の送達または排出に使用される。第2の流体体積も外部でマニホールドにより集配される(前述と同様の方法で)。好ましくは、第2の流体ポート518は、第2の流体体積に第2の流体を送達するための入口ポートであり、第2の流体体積からの排出は、例えば、セパレータプレート515の2つの対向する縁部において、外部でマニホールドに集められる。
【0167】
セルユニットのセパレータプレート515の中間平面は、活性セル領域にわたってその高さが変化する。すなわち、セパレータプレート515の中間平面と、セパレータプレートが配置されているセルユニットのセル層との間の距離が変化する。この場合、セパレータプレート315と同様に、高さの変化は段階的になっている。中間平面の高さは、入口として機能する第1の流体ポートと出口として機能する第1の流体ポートとの間の直線に概ね垂直な方向に変化する。この変化は、第1の流体体積の高さが、入口と出口の第1の流体ポート316aと316b間の直線に沿って低くなり、その直線から離れるにつれて高くなるようになっている。これに対応して、この変化は、第2の流体体積の高さが、入口と出口の第1の流体ポート316aと316b間の直線に沿って高くなり、その直線から離れるにつれて低くなるようになっている。それぞれの第1および第2の流体体積を通る第1および第2の流体流路への影響は、
図3および
図4に関して上述したものと同様である。
【0168】
図5には、2つの異なる中間平面サブ領域が示されている。第1の中間平面サブ領域540は、入口と出口の第1の流体ポート316a、316bの間の直線に沿って配置される。第2の中間平面サブ領域541は、セパレータプレート515のコーナーおよび中心に向かって配置されている。第1の中間平面サブ領域540は、第2の中間平面サブ領域541よりも、セパレータプレートが配置されたセルユニットのセル層に近い。その結果、第1の流体体積の高さは、第1の中間平面サブ領域540よりも第2の中間平面サブ領域541で大きくなり、第1の流体は、第1および第2の中間平面サブ領域にわたって分配されるように促される。
【0169】
ディンプル状突起430は、セパレータプレート515の第1の中間平面サブ領域540から、セパレータプレートが配置されたセルユニットのセル層に向かって延びている。ディンプル状突起430の最外点は、形成されたポート特徴450およびフランジ付き周辺特徴410の最外点と一致する平面を形成する(フランジ付き周辺特徴がセパレータプレートにのみ形成されるとき。フランジ付き周辺特徴が少なくとも部分的にセル層に形成されている場合、ディンプル状突起430の高さはフランジ付き周辺特徴の全高さと同じである)。
【0170】
ディンプル状突起435は、セパレータプレート515の第1の中間平面サブ領域540から、隣接するセルユニットのセル層に向かって延びている(セパレータプレートが配置されているセルユニットのセル層から離れて延びている)。ディンプル状突起435の最外点は平面を形成している。
【0171】
ディンプル状突起431は、セパレータプレート515の第2の中間平面サブ領域541から、セパレータプレートが配置されたセルユニットのセル層に向かって延びている。ディンプル状突起431の最外点は、第1の中間平面サブ領域540のディンプル状突起430の最外点と一致する平面を形成する。
【0172】
ディンプル状突起436は、セパレータプレート515の第2の中間平面サブ領域541から、隣接するセルユニットのセル層に向かって延びている(セパレータプレートが配置されているセルユニットのセル層から離れて延びている)。ディンプル状突起436の最外点は、第1の中間平面サブ領域540のディンプル状突起435の最外点と一致する平面を形成する。
【0173】
図6は、例示的なセパレータプレート615の平面図と、そこに示された断面A-AおよびB-Bを示す。セパレータプレート615は、前述のセパレータプレート、特に
図4のものと類似しているが、セパレータプレートの形状は長方形ではなく六角形である。セパレータプレート615とともに使用するセル層は、それに対応して六角形の形状であることが理解されよう。この場合、セル層は電解質支持型高分子電解質膜(PEM)である。セパレータプレート615は、前述のように、第1の流体ポート316(一方は第1の流体体積への入口であり、他方は第1の流体体積からの出口である)、形成されたポート特徴450、およびフランジ付き周辺特徴410を備える。変化する中間平面は、長方形および六角形以外の平面形状、例えば円形、三角形、正方形、およびより多くの辺を持つ多角形を有するセルユニットにも使用できることが理解されよう。
【0174】
セパレータプレート615の中間平面は、活性セル領域にわたってその高さが変化する。すなわち、セパレータプレート615の中間平面と、セパレータプレートが配置されているセルユニットのセル層との間の距離が変化する。この場合、セパレータプレート415と同様に、高さの変化は緩やかである。中間平面の高さは、入口として機能する第1の流体ポートと出口として機能する第1の流体ポートとの間の直線に概ね垂直な方向に変化する。この変化は、第1の流体体積の高さが、入口と出口の第1の流体ポート316間の直線に沿って低くなり、その直線から離れるにつれて高くなるようになっている。これに対応して、この変化は、第2の流体体積の高さが、入口と出口の第1の流体ポート316間の直線に沿って高くなり、その直線から離れるにつれて低くなるようになっている。それぞれの第1および第2の流体体積を通る第1および第2の流体流路への影響は、
図3~
図5に関して上述したものと同様である。
【0175】
図6には、2つの異なる中間平面サブ領域が示されている。第1の中間平面サブ領域440は、セパレータプレートの縁部に向かって配置されている。第2の中間平面サブ領域443は、セパレータプレート615の中心に向かって配置されている。第2の中間平面サブ領域443は、
図4のものと同様の湾曲した平面である。第2の中間平面サブ領域443は、第1の中間平面サブ領域440よりも、セパレータプレート615が配置されたセルユニットのセル層に近い。第2の中間平面サブ領域443の曲率は、セパレータプレート615の中間平面とセル層との間の距離が、セパレータプレート615の中心から離れるにつれて徐々に大きくなるようになっている。その結果、第1の流体体積の高さは、第2の中間平面サブ領域443よりも第1の中間平面サブ領域440において大きくなり、第1の流体は、第1および第2の中間平面サブ領域にわたって分配されるように促される。
【0176】
ディンプル状突起430は、セパレータプレート615の第1の中間平面サブ領域440から、セパレータプレートが配置されたセルユニットのセル層に向かって延びている。ディンプル状突起430の最外点は、形成されたポート特徴450およびフランジ付き周辺特徴410の最外点と一致する平面を形成する(フランジ付き周辺特徴がセパレータプレートに形成されるときのみ。いずれにせよ、ディンプル状突起430の高さは、セパレータプレートおよび/またはセル層に形成されたフランジ付き周辺特徴の全高さと同じである)。
【0177】
ディンプル状突起435は、セパレータプレート615の第1の中間平面サブ領域440から、隣接するセルユニットのセル層に向かって延びている(セパレータプレートが配置されているセルユニットのセル層から離れて延びている)。ディンプル状突起435の最外点は平面を形成している。
【0178】
ディンプル状突起433は、セパレータプレート615の第2の中間平面サブ領域443から、セパレータプレートが配置されたセルユニットのセル層に向かって延びている。ディンプル状突起433の最外点は、第1の中間平面サブ領域440のディンプル状突起430の最外点と一致する平面を形成する。
【0179】
ディンプル状突起438は、セパレータプレート615の第2の中間平面サブ領域443から、隣接するセルユニットのセル層に向かって延びている(セパレータプレートが配置されているセルユニットのセル層から離れて延びている)。ディンプル状突起438の最外点は、第1の中間平面サブ領域440のディンプル状突起435の最外点と一致する平面を形成する。
【0180】
図7は、例示的なセパレータプレート715の透視図を示す。セパレータプレート715は、前述のセパレータプレート、特に
図4のものと類似しているが、セパレータプレート715は4つの第1の流体ポートを有する。セパレータプレート715とともに使用するセル層には、対応する第1の流体ポートが設けられていることが理解されよう。この場合、セル層は、(ドリル加工された非多孔質金属基板ではなく)本来多孔質である金属支持プレートによって支持された(または、その上に堆積され、それによって支持された)電気化学的活性領域を含む。このような多孔質金属支持プレートは、テープ鋳造および焼結によって生成され得る。セパレータプレート715には、前述のように、ポートを囲む形成されたポート特徴450、およびフランジ付き周辺特徴410が設けられる。
【0181】
セパレータプレート715には、4つの第1の流体ポート716、717が設けられており、各ポートは、セパレータプレート715のそれぞれのコーナーに向かって配置される。流体ポート716、717の各々は、(セパレータプレート715と、セパレータプレートが配置されたセルユニットのセル層との間の)第1の流体体積と流体連通している。2つの流体ポート716は、セパレータプレート715の縁部を共有するセパレータプレート715のコーナーに配置され、2つの流体ポート717は、セパレータプレート715の反対側の縁部を共有するセパレータプレート715のコーナーに配置される。2つの流体ポート716は第1の流体体積への入口であり、2つの流体ポート717は第1の流体体積からの出口である。したがって、第1の流体は、流体ポート716によって第1の流体体積に導入され、流体ポート717によって第1の流体体積から排出される。
【0182】
セパレータプレート715の中間平面は、活性セル領域にわたってその高さが変化する。すなわち、セパレータプレート715の中間平面と、セパレータプレートが配置されているセルユニットのセル層との間の距離が変化する。この場合、セパレータプレート415と同様に、高さの変化は緩やかである。中間平面の高さは、入口として機能する第1の流体ポート716と出口として機能する第1の流体ポート717との間の第1の流体体積内の第1の流体の流れ方向に概ね垂直な方向に変化する。中間平面の高さは、2つの入口ポート716a、716b間の中間の位置から2つの出口ポート717a、717b間の中間の位置までの線に沿って、ポート716aとポート717aとの間よりも(同様に、ポート716bとポート717bとの間よりも)大きい。これに対応して、この変化は、第2の流体体積の高さが、入口と出口の第1の流体ポート716aと717bとの間(同様に716bと717bとの間)の直線に沿って高くなり、その直線から離れて、2つの入口ポート716a、716b間の中間の位置から2つの出口ポート717a、717b間の中間の位置への直線に向かって高さが減少するようになる。それぞれの第1および第2の流体体積を通る第1および第2の流体流路への影響は、
図3~
図6に関して上述したものと同様である。
【0183】
図7には、2つの異なる中間平面サブ領域が示されている。第1の中間平面サブ領域440は、セパレータプレートの2つの対向する縁部(ポート716a、717a間、および716b、717b間の縁部、すなわちこの場合は長縁部)に向かって配置される。第2の中間平面サブ領域443は、セパレータプレート615の中心に向かって配置されている。第2の中間平面サブ領域443は、
図4および
図6のものと同様の湾曲した平面である。前述のものと同様に、ディンプル状突起430、435は第1の中間平面サブ領域440に、ディンプル状突起433、438は第2の中間平面サブ領域に設けられている。
【0184】
図8は、例示的なセパレータプレート815の透視図を示す。セパレータプレート815は、前述のセパレータプレート、特に
図4のものと類似しているが、セパレータプレート815は3つの第1の流体ポートを有する。セパレータプレート815とともに使用するセル層には、対応する第1の流体ポートが設けられていることが理解されよう。セパレータプレート815には、前述のように、ポートを囲む形成されたポート特徴450、およびフランジ付き周辺特徴410が設けられる。
【0185】
セパレータプレート815には、3つの第1の流体ポート816、817が設けられている。第1の流体ポート816は、第1の短縁に向かって、セパレータプレート815のその縁部に沿った中間に配置されている。2つの第1の流体ポート817a、817bは、第1の縁部に対向する第2の縁部に沿って、セパレータプレート815のそれぞれのコーナーに向かって配置されている。流体ポート816、817の各々は、(セパレータプレート815と、セパレータプレートが配置されたセルユニットのセル層との間の)第1の流体体積と流体連通している。第1の流体ポート816は入口ポートであってもよく、2つの第1の流体ポート817は出口ポートであってもよい。したがって、第1の流体は、流体ポート816によって第1の流体体積に導入され、第1の流体体積を通って流れ、第2の流体ポート817によって第1の流体体積から排出される。あるいは、第1の流体ポート816は出口ポートであってもよく、2つの第1の流体ポート817は入口ポートであってもよい。したがって、第1の流体は、2つの流体ポート817によって第1の流体体積に導入され、第1の流体体積を通って流れ、流体ポート816によって第1の流体体積から排出される。
【0186】
セパレータプレート815の中間平面は、活性セル領域にわたってその高さが変化する。すなわち、セパレータプレート815の中間平面と、セパレータプレートが配置されているセルユニットのセル層との間の距離が変化する。この場合、セパレータプレート315と同様に、高さの変化は段階的になっている。中間平面の高さは、入口(出口)として機能する第1の流体ポート816と出口(入口)として機能する第1の流体ポート817との間の第1の流体体積内の第1の流体の流れ方向に概ね垂直な方向に変化する。中間平面の高さ(したがって、第1の流体体積の高さ)は、ポート816と817aとの間およびポート816と817bとの間の直線に沿って、セパレータプレートを横切る別の場所よりも小さい。第2の流体体積の高さは、それに対応して変化する。それぞれの第1および第2の流体体積を通る第1および第2の流体流路への影響は、
図3~
図7に関して上述したものと同様である。
【0187】
図8には、2つの異なる中間平面サブ領域が示されている。第2の中間平面サブ領域441は、ポート816と817aとの間、およびポート816と817bとの間の直線に沿って配置されている。第1の中間平面サブ領域440は、セパレータプレート815を横切る別の場所に配置される。前述のものと同様に、ディンプル状突起430、435は第1の中間平面サブ領域440に、ディンプル状突起431、436は第2の中間平面サブ領域441に設けられている。
【0188】
図9は、さらなる例示的なセパレータプレート915、916、917、918、919の概略平面図を示す。セパレータプレート915、916、917、918、および919は、セパレータプレート915、916、917、918、および919の対応する変化する中間平面高さとともに使用され得るさらなる第1の流体ポート構成を例示する。各場合において、比較的高い中間平面高さ(第1の流体体積までの高い高さ)は点線エリア340によって表され、中間の中間平面高さ(第1の流体体積までの中間の高さ)は斜線エリア341によって表され、低い中間平面高さ(第1の流体体積までの低い高さ)は破線エリア342によって表される。各場合において、中間平面の高さは、上述のように段階的または徐々に変化することがある。各場合において、第1の流体体積と流体連通する第1の流体ポートは、円916によって表される。主な流れの方向は矢印によって示されており、これは、どのポート916が入口ポートであり、どのポートが出口ポートであるかを示す役割も果たす。セパレータプレートを横切る流れ方向は、入口ポートと出口ポートを入れ替えることで、矢印で示された方向と逆にすることもできることが理解されよう。セパレータプレート915は、例示の目的でセパレータプレート315および415と同様であることに留意されたい。また、
図9(および実際に
図7および
図8)に示されたポートの各構成は、円形、三角形、四角形、六角形(たとえば
図6)、または他の多角形など、異なる平面図形状を有するセパレータプレートに適用され得ることにも留意されたい。
【0189】
図10は、第1および第2の流体用のセパレータおよび外部マニホールド(使用される場合)内のポート(円で示す)の好ましいレイアウトの概略平面図を示す。図を明瞭にするために、任意の第2の流体ポートは第1の流体ポートレイアウトの図には示されておらず、その逆もまた同様である。矢印は、第1および第2の流体の一般的な流体の流れ方向を示し、したがって各ポートが入口ポートであるか出口ポートであるかも示す。セパレータプレートを横切る流れ方向は、入口ポートと出口ポートを入れ替えることで、矢印で示された方向と逆にすることもできることが理解されよう。セパレータプレートの中間平面の高さは、上述したように、セパレータプレートにわたる第1の流体の均一な分配を促進するために変化し、したがって、矢印は第1の流体流路を単純化したものであることが理解されるであろう。
【0190】
例えば、第1の流体ポートの側から反対側のレイアウト(
図3および
図4と同様)は、第2の流体レイアウト1005、1010、1015、および1020のいずれか1つを伴うことが好ましい場合がある。第2の流体レイアウト1005および1010は、第2の流体用の中央ポートを含み(
図5と同様)、その第2の流体は、セパレータ1つ(1005)または2つ(1010)の対向する縁の対で外部でマニホールドにより集配され得る。第2の流体レイアウト1015および1020は、第2の流体の完全な外部マニホールドを含み、セパレータの端から対向する端へと流れる。第2の流体レイアウト、および入口と出口としてのポートの選択に応じて、第1の流体ポートの側から反対側のレイアウトにおいて、様々な流れ状況が選択され得ることがわかる。例えば、第2の流体レイアウト1015を使用した逆流(第1および第2の流体が一般に反対方向に流れる)、第2の流体レイアウト1015を使用した(その中の矢印を逆にする)共流(第1および第2の流体が一般に同方向に流れる)、および第2の流体レイアウト1020を使用するクロスフロー(第1および第2の流体が一般に互いに90度で流れる)などである。
【0191】
別の例では、第2の流体レイアウト1015および1020は、コーナーから反対側のコーナーへの第1の流体レイアウト(前述の
図8を参照して説明)とともに使用するのが好ましい。
【0192】
(所与の第1の流体のレイアウトに対する)第2の流体の好ましいレイアウトは、セルユニット全体にわたる熱管理と対称性のうちの少なくとも1つにとって好ましい。
【0193】
通常、第1および第2の流体は、それぞれ燃料と酸化剤であり、燃料は通常、高い圧力で提供される。セパレータプレートの中心に向かって第2(酸化剤)の流体体積が高く(または、第2(酸化剤)の流体の入口用の中心ポートを有する)ようなレイアウトは、SOFCとして運転されるとき、セルユニットの高温の中心部分の第2の流体による冷却を改善するため、好ましいと考えられる。
【0194】
図11は、例示的なセパレータプレート1115の平面図と、そこに示された断面A-A、B-B、C-C、およびD-Dを示す。セパレータプレート1115は、前述のセパレータプレート、特に
図4のものと同様であるが、セパレータプレート1115の中間平面は、第1の流体体積への入口と出口との間の直線に概ね平行な方向において、活性セル領域にわたってその高さが変化する。
【0195】
セパレータプレート1115は、前述のように、第1の流体ポート316(一方は第1の流体体積への入口であり、他方は第1の流体体積からの出口である)、形成されたポート特徴450、およびフランジ付き周辺特徴410を備える。変化する中間平面は、長方形以外の平面形状、例えば円形、三角形、正方形、六角形、およびより多くの辺を持つ多角形を有するセルユニットにも使用できることが理解されよう。
【0196】
セパレータプレート1115の中間平面は、活性セル領域にわたってその高さが変化する。すなわち、セパレータプレート1115の中間平面と、セパレータプレートが配置されているセルユニットのセル層との間の距離が変化する。この場合、セパレータプレート415と同様に、高さの変化は緩やかである。中間平面の高さは、入口として機能する第1の流体ポートと出口として機能する第1の流体ポートとの間の直線に概ね平行な方向に変化する。この変化は、第1の流体体積の高さが第1の流体ポート316aの近くで低くなり、第1の流体ポート316bの近くで最大に増加するようになっている。中間平面は、各第1の流体ポート316の周りで同じ高さを有するので、各第1の流体ポート316の周りで同じタイプのガスケットが使用され得る。これは、第1の流体体積415の最大高さを提供する中間平面の部分と、近傍の第1の流体ポート316bとの間に、中間平面のステップが存在することを意味する。これに対応して、変化は、第2の流体体積の高さが第1の流体ポート316aの近くで高くなり、第1の流体ポート316bの近くで最小まで減少するようになっている。
【0197】
図11には、2つの異なる中間平面サブ領域が示されている。第1の中間平面サブ領域440は、セパレータプレートの縁部に向かって配置されている。第2の中間平面サブ領域1144は、セパレータプレート1115の中心に向かって配置されている。第2の中間平面サブ領域1144は傾斜面である。第1の流体ポート316aの近くでは、第2の中間平面サブ領域1144は、セパレータプレート1115が第1の中間平面サブ領域440であるセルユニットのセル層から同じ距離だけ離れている。第2の中間平面サブ領域1144の傾斜は、セパレータプレート1115の中間平面とセル層との間の距離が、セパレータプレート1115の第1の流体ポート1143から離れるにつれて徐々に大きくなるようになっている。その結果、第1の流体体積の高さは、第1の中間平面サブ領域440よりも第2の中間平面サブ領域1144において高くなる。第2の中間平面サブ領域1144は、
図11では傾斜面として示されており、言い換えれば、中間平面領域の高さは連続的な遷移として変化する。代わりに、第2の中間平面サブ領域は、複数のステップ状のサブ領域として実現されてもよく、この場合、中間平面領域の高さは、
図3を参照して説明したものと同様の、対応する数の不連続な遷移として変化する。
【0198】
ディンプル状突起430は、セパレータプレート1115の第1の中間平面サブ領域440から、セパレータプレートが配置されたセルユニットのセル層に向かって延びている。ディンプル状突起430の最外点は、形成されたポート特徴450およびフランジ付き周辺特徴410の最外点と一致する平面を形成する(フランジ付き周辺特徴がセパレータプレートに形成されるときのみ。いずれにせよ、ディンプル状突起430の高さは、セパレータプレートおよび/またはセル層に形成されたフランジ付き周辺特徴の全高さと同じである)。
【0199】
ディンプル状突起435は、セパレータプレート1115の第1の中間平面サブ領域440から、隣接するセルユニットのセル層に向かって延びている(セパレータプレートが配置されているセルユニットのセル層から離れて延びている)。ディンプル状突起435の最外点は平面を形成している。
【0200】
ディンプル状突起1134は、セパレータプレート1115の第2の中間平面サブ領域1144から、セパレータプレートが配置されたセルユニットのセル層に向かって延びている。ディンプル状突起1134の最外点は、第1の中間平面サブ領域440のディンプル状突起430の最外点と一致する平面を形成する。
【0201】
ディンプル状突起1139は、セパレータプレート1115の第2の中間平面サブ領域1144から、隣接するセルユニットのセル層に向かって延びている(セパレータプレートが配置されているセルユニットのセル層から離れて延びている)。ディンプル状突起1139の最外点は、第1の中間平面サブ領域440のディンプル状突起435の最外点と一致する平面を形成する。
【0202】
典型的には、
図11のセパレータプレート1115は、第1の流体ポート316aが第1の流体体積からの出口であり、第1の流体ポート316bが第1の流体体積への入口であり、第1の流体体積内の第1の流体が入口付近で比較的高い体積を経験し、出口付近で比較的低い体積を経験するように使用され得る。これにより、電気化学的活性セル領域307によるこの第1の流体の利用率が改善される可能性がある。
【0203】
一例として、第1の流体体積は燃料用に、第2の流体体積は酸化剤用に構成され得る。燃料電池として動作し、第1の流体ポート316aが第1の流体体積への入口であり、第1の流体ポート316bが第1の流体体積からの出口である場合、燃料利用率は、中間平面の変化(入口から出口までの第1の流体体積の高さの減少)によって増加する可能性がある。一方、第2の流体体積は、その中の第2の流体(例えば酸化剤)が第1の流体と同じ方向に流れるように構成することができる。これは共流と呼ばれることもある。このような共流構成では、第2の流体体積の高さが第2の流体流路に沿って増加し、それによってセルユニットの冷却が改善される。一般的に、このように燃料電池として使用されるとき、第1の流体体積の高さは、セルエリア全体にわたって第2の流体体積の高さよりも高くなる可能性がある。
【0204】
図12は、セルユニットのスタックの断面平面図であり、スタック内のセルユニットは、
図11を参照して説明したものと同様の構成を有する。
図12に示す断面は、第2の流体体積を通るものである。わかりやすくするために、ディンプルまたは電気化学的活性セル領域は図示していない。セルユニットのスタックの平面図設置面積は、セパレータプレート1115の外形によって表される。前述したように、ガスケット320が第1の流体ポート316を囲んでいる。これらのガスケットは、第1および第2の流体体積を分離し、セルユニットのスタックを貫通する内部マニホールドまたは煙突の一部を形成し、それを通して第1の流体がセルユニットの第1の流体体積に送達され、そこから排出され得る。
セルユニットのスタックは、第2の流体体積を囲むための境界を提供する筐体1255内に配置される。セルユニットのスタックと筐体1255の間にはギャップがある。
【0205】
第2の流体体積への入口1218a、および第2の流体体積からの出口1218bは、第2の流体体積から第2の流体を送出および排出するように構成される。第2の流体体積は外部でマニホールドにより集配されてもよく、その場合、セルユニットは、第2の流体の送達および/または排出のための流体ポートを有さず、あるいは内部でマニホールドにより集配されてもよく、その場合、第2の流体体積への入口1218aおよびそこからの出口1218bは各セルユニット内に設けられる(1115で表されるセルユニットの設置面積は
図12の破線領域を含む)。
【0206】
この例では、各セパレータプレート1115は、第1の流体体積への入口316bと、第1の流体体積からの出口316aとを有する。これに対応して、第2の流体体積の高さは、第2の流体体積への入口1218aから、第2の流体体積からの出口1218bまで増加するように構成される。
【0207】
使用中、第2の流体体積の高さは第2の流体体積への入口付近では比較的低いので、セルユニット/スタックの設置面積(
図12では1115で表される)と筐体1255との間のギャップにより、第2の流体体積への入口1218aによって送達される第2の流体の一部のためのバイパスが提供される。一般的に、第2の流体体積の高さが第2の流体体積からの出口1218bに向かって増加するにつれて、第2の流体は、セルユニット/スタックの設置面積内の第2の流体体積の部分(
図12の1115で表される)にギャップから引き込まれる。第2の流体体積内の第2の流体のこの流れは、矢印1260によって表される。
【0208】
この例では、第1の流体体積は燃料用、第2の流体体積は酸化剤用とすることができ、セルユニットは燃料電池ユニットとして動作され得る。第1の流体体積の流路に沿って第1の流体体積の高さが減少することで、燃料利用率が増加する可能性がある。一方、第2の流体体積の流路(および副産物としてバイパス)に沿って第2の流体体積の高さを増加させることにより、スタックの比較的高温のエリアにおける第2の流体の流量が増加し(燃料と酸化剤の共流のため)、冷却が改善され、燃料電池の性能が向上する。
【0209】
図13は、
図12を参照して説明したスタックセルユニットの変形例を示している。
図13の変形はさらに、セルユニットのスタック(1115で表される)の設置面積と筐体1255との間のギャップを縮小させるか、または除去するバッフル1365を含む。バッフル1365は、セルユニット/スタック(
図13では1115で表される)の設置面積内の第2の流体体積の部分に第2の流体の多くまたはすべてを強制的に送り込むことによって、
図12を参照して説明したバイパス効果をさらに高める。バッフルは、マイカなどの絶縁材料で形成されてもよく、バッフルの対は、筐体の高さ(すなわち、積層方向)を通って延びてもよく、その対は、スタックおよび筐体とは別個の構成要素である。
【0210】
上記のセパレータプレートは、平面金属シートを提供し、その金属シートを変形させて3次元(3D)領域を提供することによって製造され得る。変形は、前述したように、プレスまたは成形によって行われ得る。3次元(3D)領域は、少なくとも以下を含む。セパレータプレートの第1の側の第1の流体体積の高さを画定する、第1の複数の外側に延びるディンプル状突起と、セパレータプレートの第2の側の第2の流体体積の高さを画定する、第2の複数の外側に延びるディンプル状突起とを含み、それによって、中間平面サブ領域が突起の間に配置され、中間平面サブ領域が、第1および第2の流体体積の相互に関連するそれぞれの高さが結果として対応して増加および減少するように、活性セル領域を横切る少なくとも1つの方向にその高さを選択的に変化させるように成形される。
【0211】
成形されたポート特徴、フランジ付き周縁特徴および/または他の成形された流量制御特徴は、前述したように、中間平面領域および突起が形成されるのと同じステップで、セパレータプレートに好都合に形成され得る。
【0212】
電気化学セルユニットは、その第1の側に電気化学的活性セル領域を担持し、セパレータプレートの3次元(3D)領域がセル層を覆うように、金属支持プレートおよびセパレータプレートを接合する金属支持プレートを含むセル層を提供することによって製造され得る。接合は、金属支持プレートおよびセパレータプレートをそれらの周囲で一緒に溶接することで行うことができる。セルユニットの製造において、第1の複数のディンプル状突起は通常、セルユニットの(セル層の)金属支持プレートに接触する。セルユニットを製造する際、セル層とセパレータプレートの周囲、およびそこに設けられた任意の流体ポートは、通常、整列される。
【0213】
電気化学セルユニットのスタックは、第1の電気化学セルユニットのセパレータプレートの第1の側が、第1の電気化学セルユニットのセル層に面し、その間に第1の流体体積を封入し、第1の電気化学セルユニットのセパレータプレートの第2の側が、セルユニットのスタック内の隣接する第2の電気化学セルユニットのセル層に面し、その間に第2の流体体積を封入するように複数の電気化学セルユニットを積み重ねることによって製造することができる。セルユニットのスタックを製造する際、通常、第1の電気化学セルユニットの第2の複数のディンプル状突起は、第2の、隣接する、電気化学セルユニットのセル層(通常、金属支持プレート上の電気化学的活性セル領域)と接触する。セルユニットのスタックを製造する際、セルユニットの周囲、およびそこに設けられた任意の流体ポートは、通常、整列される。整列された流体ポートは、流体体積の供給および排出のための流体通路を形成する。次のステップで、スタックが容器に収納され、外部流体通路が設けられ得る。
【0214】
本発明は上記の例のみに限定されるものではなく、他の実施例も添付の特許請求の範囲から逸脱することなく当業者には容易に明らかであろう。
【0215】
本発明のこれらおよび他の特徴は、単に例として上記に記載した。特許請求の範囲内で、本発明に詳細な変更が行われる場合がある。
【国際調査報告】