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特表2024-536807生物医学的用途のための硬化性化合物および配合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】生物医学的用途のための硬化性化合物および配合物
(51)【国際特許分類】
   C08F 290/06 20060101AFI20241001BHJP
   B29C 64/124 20170101ALI20241001BHJP
   B29C 64/314 20170101ALI20241001BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20241001BHJP
   C08G 65/332 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
C08F290/06
B29C64/124
B29C64/314
B33Y70/00
C08G65/332
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518158
(86)(22)【出願日】2022-09-21
(85)【翻訳文提出日】2024-05-15
(86)【国際出願番号】 US2022044175
(87)【国際公開番号】W WO2023049137
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/246,604
(32)【優先日】2021-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597013711
【氏名又は名称】スリーディー システムズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】シュィ,ピンヨン
(72)【発明者】
【氏名】ブレディ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】バニング,ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】パティ,サラ
(72)【発明者】
【氏名】ターナー,ピーター スコット
(72)【発明者】
【氏名】カイルソーン,モニカ
【テーマコード(参考)】
4F213
4J005
4J127
【Fターム(参考)】
4F213AA43
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL03
4F213WL06
4F213WL12
4F213WL23
4F213WL76
4J005AA04
4J005BD02
4J127AA03
4J127BB031
4J127BB111
4J127BB221
4J127BC021
4J127BC141
4J127BC151
4J127BD221
4J127BE381
4J127BE38Y
4J127BF181
4J127BF18Y
4J127BG141
4J127BG14X
4J127BG161
4J127BG16Y
4J127BG16Z
4J127CB152
4J127CB161
4J127CC091
4J127CC092
4J127EA12
4J127FA06
(57)【要約】
硬化性化合物、ヒドロゲル、造形材料、および3Dプリントの方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の3Dプリントのための造形材料は、式(I)および/または式(II)の構造を有する1つまたは複数の化合物を含む。そのような造形材料は、追加のアクリレート成分および水も含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロゲル物品形成のための重合性液体であって、
式(I)または式(II)(式中、nは4~40の整数である)の構造を有する化合物;
【化1】
アクリレート成分;および

を含む、重合性液体。
【請求項2】
前記重合性液体は、式(I)の構造を有する化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項3】
式(I)または式(II)の構造を有する前記化合物は、前記重合性液体の総重量に基づいて4~40質量%の量で存在することを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項4】
前記アクリレート成分は、1つまたは複数のヒドロキシアルキルアクリレートを含むことを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項5】
前記アクリレート成分は、1つまたは複数のポリエチレングリコールアクリレートまたはジアクリレートを含むことを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項6】
前記アクリレート成分は、1つまたは複数のヒドロキシアルキルアクリルアミドを含むことを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項7】
前記アクリレート成分は、前記重合性液体の総重量に基づいて15~50質量%の量で存在することを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項8】
前記水は、前記重合性液体の総重量に基づいて20~85質量%の量で存在することを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項9】
前記重合性液体は、式(I)または式(II)の構造を有する前記化合物と異なり、かつ前記アクリレート成分と異なる1つまたは複数の追加の重合性または硬化性材料をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項10】
前記1つまたは複数の追加の重合性または硬化性材料は、前記重合性液体の総重量に基づいて1~20質量%の量で存在することを特徴とする、請求項9に記載の重合性液体。
【請求項11】
前記重合性液体は、1つまたは複数の着色剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項12】
前記1つまたは複数の着色剤は、前記重合性液体の総重量に基づいて0.1~5質量%の量で存在することを特徴とする、請求項11に記載の重合性液体。
【請求項13】
前記重合性液体は、光開始剤成分をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項14】
前記光開始剤成分は、前記重合性液体の総重量に基づいて0.1~5重量パーセントの量で存在することを特徴とする、請求項13に記載の重合性液体。
【請求項15】
前記液体は重合されると、実施例6の方法に従って測定した場合、150%超の破断伸びを有することを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項16】
前記液体は重合されると、実施例7の方法に従って測定した場合、リン酸緩衝生理食塩水中で20%未満の膨潤率を有することを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項17】
3次元ヒドロゲル物品をプリントする方法であって、
請求項1~16のいずれかに記載の重合性液体を提供する工程;および
前記重合性液体をプリントし、光で硬化させて、ヒドロゲル物品を形成する工程
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項18】
前記重合性液体は、層ごとのプロセスで提供されることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ヒドロゲル物品は、医療用インプラントであることを特徴とする、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
請求項1~16のいずれか一項に記載の重合性液体から形成されたプリント3次元物品。
【請求項21】
式(I)の構造を有する化合物:
【化2】
式中、nは4~40の整数である。
【請求項22】
式(II)の構造を有する化合物:
【化3】
式中、nは4~40の整数である。
【請求項23】
nは4~20の整数であることを特徴とする、請求項21または22に記載の化合物。
【請求項24】
前記化合物は、25℃および1気圧で液体であることを特徴とする、請求項21~23のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
請求項21~24のいずれか一項に記載の化合物を含むヒドロゲル。
【請求項26】
前記化合物は、前記ヒドロゲルの総重量に基づいて5~40質量%の量でヒドロゲル中に存在することを特徴とする、請求項25に記載のヒドロゲル。
【請求項27】
アクリレート成分をさらに含むことを特徴とする、請求項25または26に記載のヒドロゲル。
【請求項28】
前記アクリレート成分は、前記ヒドロゲルの総重量に基づいて15~50質量%の量で存在することを特徴とする、請求項27に記載のヒドロゲル。
【請求項29】
前記アクリレート成分は、1つまたは複数のヒドロキシアルキルアクリレートを含むことを特徴とする、請求項25~27のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項30】
前記アクリレート成分は、1つまたは複数のポリエチレングリコールアクリレートまたはジアクリレートを含むことを特徴とする、請求項25~27のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項31】
前記アクリレート成分は、1つまたは複数のヒドロキシアルキルアクリルアミドを含むことを特徴とする、請求項25~27のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項32】
前記水は、前記ヒドロゲルの総重量に基づいて20~85質量%の量でヒドロゲル中に存在することを特徴とする、請求項25~31のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年9月21日出願の米国仮特許出願第63/246,604号に対する米国特許法第119条による優先権を主張し、その出願全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、ヒドロゲル物品の製造のための化合物および組成物に関し、特に、高い生分解性を有する生体適合性ヒドロゲル物品を提供する付加製造のための化合物および組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
3次元(3D)プリンタは、インクとしても知られる造形材料を用いて、コンピュータ生成ファイルに従って様々な3D物体、物品、または部品を形成する。いくつかの例では、造形材料は、周囲温度で固体であり、高い噴射温度で液体に変わる。他の例では、造形材料は、周囲温度で液体である。
【0004】
造形材料は、様々な化学種を含むことができる。造形材料に含まれる化学種は、プリント物品の所望の化学的および/または機械的特性ならびに3Dプリント装置の動作パラメータを含むがこれらに限定されない、様々な考慮事項に従って選択することができる。近年、例えば、ヒドロゲル物品をプリントするためのインク組成物が開発されている。ヒドロゲルは独特の材料であり、生体材料を含む広範な分野で用途が見出されている。組織再生および/または様々な細胞療法のための足場として機能するヒドロゲルインプラントは、かなりの関心を集めている。ヒドロゲル足場は、多くの場合、特定の物理的寸法を満たし、細胞/組織相互作用のための特定の微細構造特徴を示すことが要求される。プリント可能なヒドロゲル組成物を用いてこれらの必要とされる許容範囲を達成することは困難であり得、それによって医療用インプラント用途におけるヒドロゲル物品の有効性が制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、付加製造用途のためのヒドロゲルまたはインク(または造形材料または重合性液体)、ならびに硬化性化合物を含むインク(または造形材料または重合性液体)に使用され得るか、他の方法で組み込まれ得る硬化性化合物を企図する。3Dプリントの方法、インク(または造形材料または重合性液体)を作製する方法、およびヒドロゲルまたはインク(または造形材料または重合性液体)から作製された物品も本明細書に記載される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、硬化性化合物が本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、このような化合物は、式(I)の構造または式(II)の構造を有する:
【化1】
式中、nは4~40または4~20の整数である。さらに、いくつかの場合において、式(I)または式(II)の構造を有する化合物は、25℃および1気圧(atm)で液体である。
【0007】
別の態様では、ヒドロゲルが本明細書に記載されている。このようなヒドロゲルは、上記の化合物を含むことができる。さらに、いくつかの例では、本明細書に記載のヒドロゲルは、式(I)または式(II)の化合物に加えて、アクリレート成分をさらに含む。本明細書に記載されるヒドロゲルはまた、以下でさらに記載されるように、追加の成分を含むことができる。
【0008】
さらに別の態様では、インクまたは造形材料または重合性液体が本明細書に記載されている。「インク」、「造形材料」、および「重合性液体」なる用語は、本開示において交換可能に使用され得ることを理解されたい。さらに、そのような材料は、ヒドロゲル形成および/または3Dプリントシステムまたは方法における使用のためのものであり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の3Dプリントで使用するための造形材料は、上記の式(I)および/または式(II)の構造を有する1つまたは複数の化合物を含む。
【0009】
さらに別の態様では、3D物品をプリントまたは形成する方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、そのような方法は、本明細書に記載のインク、造形材料、または重合性液体を提供する工程と、インク、造形材料、または重合性液体を光を用いてプリントおよび硬化して、医療用インプラントなどのヒドロゲル物品を形成する工程とを含む。さらに、場合によっては、インク、造形材料、または重合性液体は、層ごとのプロセスで提供される。
【0010】
別の態様では、本明細書に記載されるインク、造形材料、または重合性液体から形成されるそのような物品を含む、プリントされた3D物品または物体が本明細書に記載される。
【0011】
これらおよび他の実施形態は、以下の詳細な説明においてより詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細な説明および実施例を参照することにより、本明細書に記載の実施形態をより容易に理解することができる。しかしながら、本明細書に記載の組成物、装置、および方法は、詳細な説明および実施例に示される特定の実施形態に限定されない。これら実施形態は、本発明の原理の単なる例示であることを認識されたい。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多数の修正および適合が当業者に容易に明らかになるであろう。
【0013】
さらに、本明細書に開示されるすべての範囲は、その中に包まれるすべての部分範囲を包含すると理解されたい。例えば、「1.0~10.0」の範囲は、1.0以上の最小値で始まり、10.0以下の最大値で終わる任意のすべての部分範囲、例えば、1.0~5.3、または2~9、または4.7~10.0、または3.6~7.9、または8~9.5を含むと解釈されたい。
【0014】
また、本明細書に開示のすべての範囲は、特に明記のない限り、その範囲の端点を含むものと考えるべきである。例えば、「5と10の間」の範囲は、一般に、端点の5および10を含むと考えるべきである。
【0015】
さらに、「まで」という語句が量または数量に関連して使用されている場合、その量は、少なくとも検出可能な量または数量であると理解されたい。例えば、指定された量「まで」の量で存在する材料は、検出可能な量から、指定された量まで(その量を含む)の量で存在することができる。
【0016】
さらに、任意の開示された実施形態において、「実質的に」、「およそ」、および「約」なる用語は、指定されるものの「[ある割合]の範囲内」と置き換えられてもよく、ここで、割合は、0.1、1、5、または10パーセントであり得る。
【0017】
また、冠詞「a」または「an」は、特定の使用の文脈が他の意味を要求しない限り、「少なくとも1つ」を指すことを理解されたい。
【0018】
「3次元プリントシステム」、「3次元プリンタ」、「プリント」などの用語は、選択的堆積、噴射、溶融堆積モデリング、マルチジェットモデリング、および3次元物品または物体を製造するために造形材料またはインクを使用する当技術分野で現在知られているまたは将来知られ得る他の積層造形技術により、3次元物品または物体を作製するためのさまざまな固体自由形状製造技術を広く記載する。
【0019】
I.硬化性化合物
一態様では、硬化性化合物が本明細書に記載されている。より詳細には、本開示は、3Dプリント用途のためのヒドロゲルまたはインク(または造形材料または重合性液体)を形成するために使用され得るか、またはそうでなければそれらに組み込まれ得る硬化性化合物を企図する。本開示の1つの例示的な実施形態は、式(I)の構造を有する化合物である:
【化2】
式中、nは4~40の整数である。
【0020】
本開示の別の例示的な実施形態は、式(II)の構造を有する化合物である:
【化3】
式中、nは4~40の整数である。
【0021】
さらに、いくつかの実装形態において、化合物は、式(I)または式(II)の構造を有し、式中、nは、4~14、4~20、6~30、10~40、または10~20の整数である。nの他の値も可能である。
【0022】
さらに、本明細書に記載される化合物は、いくつかの場合において、室温で、または標準的な温度および圧力条件で、液体である。例えば、いくつかの例では、本明細書に記載の化合物は、25℃および1気圧で液体であるか、または約25℃以下の融点を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、液体であるか、または1気圧で0~25℃、0~22℃、0~20℃、5~25℃、5~22℃、5~20℃、10~25℃、10~22℃、10~20℃、15~25℃、15~22℃、または15~20℃の融点を有する。本明細書に記載の融点を有する化合物は、場合によっては、ヒドロゲルおよび/または造形材料の形成によく適し得る。
【0023】
本明細書に記載の化合物は、本開示の技術的目的と矛盾しない任意の方法で製造することができる。例えば、いくつかの場合において、本明細書に記載の化合物は、ポリ(エチレングリコール)(PEG)と無水マレイン酸(MA)との反応から形成される。例示的な反応プロトコルは、以下の具体的な実施例においてさらに記載される。
【0024】
II.ヒドロゲル
別の態様では、ヒドロゲルが本明細書に記載されている。当業者によって理解されるように、「ヒドロゲル」は、液体成分が水または水性であるゲルであると考えることができる。さらに、本明細書に記載されるヒドロゲルは、いくつかの実施形態では、水または水溶液もしくは混合物で膨潤するかまたはそれらを封入した1つまたは複数のポリマーのネットワークを含むかまたはそれによって画定される。いくつかの場合において、本明細書に記載されるヒドロゲルは、本明細書に記載される硬化性化合物を硬化または重合させることによって製造される、および/または、所望であれば式(I)または式(II)の硬化性化合物との組合せを含む本明細書に記載される1つまたは複数の他の重合性または硬化性種を硬化または重合させることによって製造される、ポリマーのネットワークを含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるヒドロゲルは、セクションIにおいて上記に記載される硬化性化合物を含むか、またはそれから形成される。任意のそのような硬化性化合物は、本明細書に記載されるヒドロゲルに含まれてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるヒドロゲルは、式(I)の構造を有する化合物を含む。他の場合において、本明細書中に記載されるヒドロゲルは、式(II)の構造を有する化合物を含む。さらに他の例において、本明細書に記載されるヒドロゲルは、式(I)の構造を有する化合物および式(II)の構造を有する化合物も含む。そのような場合、式(I)および式(II)の構造を有する化合物は、本開示の技術的目的と矛盾しない任意の比で本明細書に記載のヒドロゲル中に存在することができる。例えば、いくつかの実施形態では、式(I)の構造を有する化合物は、式(II)の構造を有する化合物の量の少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、または少なくとも10倍の量で存在する。いくつかの例では、本明細書に記載のヒドロゲル中の式(I)と式(II)の比は、少なくとも2:1、少なくとも3:1、少なくとも5:1、少なくとも10:1、または少なくとも100:1である。
【0026】
本明細書に記載の硬化性化合物は、本開示の技術的目的と矛盾しない任意の量でヒドロゲル中に存在することができる。例えば、いくつかの場合において、式(I)または式(II)の構造を有する硬化性化合物(またはその硬化もしくは重合バージョン)は、ヒドロゲルの総重量に基づいて、5~40質量%の量でヒドロゲル中に存在する。いくつかの実装形態において、化合物は、ヒドロゲルの総重量に基づいて、5~35質量%、8~33質量%、10~35質量%、10~30質量%、10~20質量%、10~15質量%、12~25質量%、15~35質量%、20~30質量%、または5~15質量%の量または濃度で存在することができる。
【0027】
さらに、いくつかの実装形態において、本明細書に記載されるヒドロゲルは、アクリレート成分をさらに含むかまたはアクリレート成分からさらに形成される。このようなアクリレート成分は、式(I)または式(II)の構造を有する硬化性化合物とは異なり得る。本開示の技術的目的と矛盾しない任意のアクリレート成分をそのようなヒドロゲルに使用することができる。特に、本明細書における参照目的のために、「アクリレート」成分は、少なくとも1つのアクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、またはメタクリルアミド部分もしくは官能基を含む1つまたは複数の化学種を含み得ることが観察される。さらに、「(メタ)アクリレート」なる用語は、アクリレートまたはメタクリレートあるいはそれらの混合物または組合せを含むことを理解されたい。同様に、「(メタ)アクリルアミド」なる用語は、アクリルアミドまたはメタクリルアミドあるいはそれらの混合物または組合せを含む。
【0028】
いくつかの場合において、アクリレート成分は、モノ-、ジ-、トリ-、またはより高官能性のアクリレートを含む。いくつかの例では、アクリレート成分は、以下のセクションIIIに記載されるアクリレート成分を含む。例えば、いくつかの実施形態では、アクリレート成分は、1つまたは複数のヒドロキシアルキルアクリレート、1つまたは複数のポリエチレングリコールアクリレートまたはジアクリレート、および/または1つまたは複数のヒドロキシアルキルアクリルアミドを含む。他のアクリレート成分を使用してもよい。
【0029】
本明細書に記載のアクリレート成分(またはその硬化または重合バージョン)は、本開示の技術的目的と矛盾しない任意の量でヒドロゲル中に存在することができる。例えば、いくつかの場合において、アクリレート成分は、ヒドロゲルの総重量に基づいて、15~50質量%の量でヒドロゲル中に存在する。いくつかの実装形態において、アクリレート成分は、ヒドロゲルの総重量に基づいて、15~40質量%、15~30質量%、20~50質量%、20~45質量%、25~40質量%、25~35質量%、30~45質量%、30~50質量%、30~40質量%、35~50質量%、35~45質量%、または40~50質量%の量または濃度で存在することができる。
【0030】
本明細書に記載されるヒドロゲルはまた、本開示の技術的目的と矛盾しない任意の量の水を含むことができる。例えば、いくつかの場合において、水は、ヒドロゲルの総重量に基づいて、10~85質量%または20~85質量%の量でヒドロゲル中に存在する。いくつかの実装形態において、水は、ヒドロゲルの総重量に基づいて、10~60質量%、20~80質量%、20~50質量%、30~80質量%、30~60質量%、40~80質量%、40~60質量%、50~80質量%、または50~70質量%の量または濃度で存在する。
【0031】
水(またはヒドロゲル全体)は、約1~約7、約3~約7、または約4~約6のpHを有し得ることがさらに理解されるべきである。当業者によって理解されるように、そのようなpHは、例えば、ブレンステッド-ロウリー酸または塩基を含むことによって得ることができる。例えば、いくつかの場合において、強酸または強塩基、例えばそれぞれ塩酸または水酸化ナトリウムを、当業者によって理解されるように、所望のpHを提供するために所望の濃度で水(またはヒドロゲル全体)中に含有させることができる。他のプロトンまたは水酸化物源を使用することもできる。
【0032】
本明細書に記載のヒドロゲルは、本開示の技術的目的と矛盾しない任意の方法で作製することができる。例えば、いくつかの場合において、本明細書に記載のヒドロゲルは、ヒドロゲルの同定された成分を混合し、硬化性または重合性成分(例えば、硬化性化合物およびアクリレート成分)を硬化または重合させることによって形成される。そのような硬化および重合は、いくつかの場合において、セクションIVを含む以下でさらに記載される様式で実施され得る。
【0033】
III.重合性液体、インク、または造形材料
別の態様では、インクまたは造形材料または重合性液体が本明細書に記載される。そのような材料は、ヒドロゲル形成および/または3Dプリントシステムまたは方法における使用のためのものであり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の3Dプリントで使用するための重合性液体または造形材料は、式(I)または式(II)(式中、nは4~40の整数である)の構造を有する化合物を含む。このような造形材料は、アクリレート成分および水をさらに含んでもよい。
【0034】
特定の実装形態において、重合性液体は、式(I)の構造を有する化合物および式(II)の構造を有する化合物も含む。他の例では、重合性液体は、式(I)の構造を有する化合物を含むが、式(II)の構造を有する化合物を含まない。いくつかの場合において、重合性液体は、式(I)の構造を有する1つまたは複数の化合物を含み得るが、式(II)の構造を有する化合物を実質的に含まないか、または、式(II)の構造を有する化合物を、重合性液体の総重量に基づいて、5質量%未満、3質量%未満、または1質量%未満含み得る。いくつかの例では、式(I)の構造を有する化合物と式(II)の構造を有する化合物との比(重量)は、少なくとも20:1、少なくとも10:1、少なくとも5:1、または少なくとも3:1である。いくつかの実施形態では、式(I)化合物と式(II)化合物との比は、100:1~100:0、100:1~50:1、100:1~10:1、50:1~20:1、50:1~10:1、20:1~5:1、または10:1~2:1である。
【0035】
さらに、本明細書に記載される重合性液体は、式(I)の構造を有する1つまたは複数の化合物のみを含み得ることを理解されたい。例えば、いくつかの実装形態において、重合性液体は、n=4である式(I)の構造を有する第1の化合物およびn=6である式(I)の構造を有する第2の化合物などの、式(I)の構造を有する複数の化合物を含むことができる。あるいは、他の実装形態において、重合性液体は、式(I)の構造を有する単一の化合物、例えば、式(I)(式中、n=10である)の構造を有する化合物のみを含むことができ、式(I)(例えば、nが10に等しくない)の構造を有する他の化合物は、重合性液体中に実質的に存在しないか、または検出可能な量で存在しない。式(I)についてこの段落に記載したのと類似の態様で、式(II)の構造を有する化合物についても同様である。
【0036】
概して、式(I)または式(II)の構造を有する化合物は、本開示の目的と矛盾しない任意の量で、本明細書に記載の重合性液体中に存在することができる。いくつかの実施形態では、例えば、式(I)または式(II)の構造を有する化合物は、重合性液体の総重量に基づいて、4~40質量%の量で存在する。いくつかの場合において、式(I)または式(II)の構造を有する化合物は、重合性液体の総重量に基づいて、5~35質量%、8~33質量%、10~35質量%、10~30質量%、10~20質量%、10~15質量%、12~25質量%、15~35質量%、20~30質量%、または5~15質量%の量で重合性液体中に存在する。
【0037】
ここで重合性液体の他の成分を参照すると、本明細書に記載の重合性液体は、いくつかの実施形態では、アクリレート成分をさらに含む。本開示の技術的目的と矛盾しない任意のアクリレート成分を使用することができる。特に、本明細書における参照目的のために、「アクリレート」成分は、少なくとも1つのアクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、またはメタクリルアミド部分もしくは官能基を含む1つまたは複数の化学種を含み得ることが観察される。さらに、「(メタ)アクリレート」なる用語は、アクリレートまたはメタクリレートあるいはそれらの混合物または組合せを含み、「(メタ)アクリルアミド」なる用語は、アクリルアミドまたはメタクリルアミドあるいはそれらの混合物または組合せを含むことを理解されたい。
【0038】
いくつかの実施形態では、アクリレート成分は、親水性モノ-、ジ-、および/またはトリ(メタ)アクリレート種を含む。アクリレート成分は、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ヒドロキシエチルアクリレート)、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド(例えば、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド)、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、アクリロイルモルホリン、およびそれらの種々の組合せまたは混合物のうちの1つまたは複数を含むことができる。いくつかの実施形態において、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートおよび/またはそれらの混合物を含む。
【0039】
本明細書に記載される重合性液体のアクリレート成分はまた、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)を含んでもよい。本明細書で使用されるポリエチレングリコールジアクリレート成分に関して、ポリエチレングリコールジアクリレートは、単一のポリエチレングリコールジアクリレート種または異なる分子量のポリエチレングリコールジアクリレート種を含むことができる。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコールジアクリレート成分の種は、0.1kDa~20kDaの重量平均分子量を有する。ポリエチレングリコールジアクリレートの個々の種の分子量は、例えば、表1に記載される1つまたは複数の範囲内にあり得る。
表1.ポリエチレングリコールジアクリレート分子量(kDa)
【表1】
【0040】
異なる分子量のポリエチレングリコールジアクリレートの任意の組合せまたは混合物が企図される。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコールジアクリレート成分は、それぞれ0.5~5kDaの分子量を有する2つ以上のポリエチレンジアクリレート種の混合物を含む。ポリエチレングリコールジアクリレート成分の特定の組成は、得られるヒドロゲル物品の架橋密度、弾性、引張強度、および/またはメッシュサイズを含むがこれらに限定されない、いくつかの考慮事項に従って選択することができる。
【0041】
ポリエチレングリコールジアクリレート成分は、本明細書に記載の技術的目的と矛盾しない任意の量で重合性液体中に存在することができる。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコールジアクリレート成分は、重合性液体の総重量に基づいて、5~60質量%の量で存在する。例えば、ポリエチレングリコールジアクリレート成分は、3~5kDaの分子量を有する5~30質量%のポリエチレングリコールジアクリレート種と、0.1~1kDaの分子量を有する2~20質量%のポリエチレングリコールジアクリレート種とを含むことができる。
【0042】
本明細書に記載の重合性液体のアクリレート成分は、アクリレート種の組合せを含むことができることを理解されたい。例えば、場合によっては、アクリレート成分は、1つまたは複数のヒドロキシアルキルアクリレート、1つまたは複数のポリエチレングリコールアクリレート、1つまたは複数のポリエチレングリコールジアクリレート、1つまたは複数のヒドロキシアルキルアクリルアミド、またはそれらの組合せから選択される。特定の重合性液体では、アクリレート成分は、1種のヒドロキシアルキルアクリレートのみを含むことができる。他の重合性液体では、アクリレート成分は、複数(2つ以上)のヒドロキシアルキルアクリレートを含むことができる。さらに他の重合性液体では、アクリレート成分は、1つのポリエチレングリコールアクリレートおよび1つのヒドロキシアルキルアクリルアミドを含むことができる。したがって、本開示は、例示的な実装形態に含まれ得るアクリレート成分の多くの組合せおよび組成を企図するが、それらは本明細書では明示的に列挙されない。
【0043】
概して、本明細書に記載の重合性液体のアクリレート成分は、本開示の技術的目的と矛盾しない任意の量で重合性液体中に存在することができる。いくつかの実施形態では、例えば、アクリレート成分は、重合性液体の総重量に基づいて、15質量%以上50質量%以下の量または濃度で存在する。いくつかの実装形態において、アクリレート成分は、重合性液体の総重量に基づいて、20~45質量%、25~40質量%、30~40質量%、30~50質量%、35~50質量%、または40~50質量%の量または濃度で存在する。
【0044】
本明細書に記載される重合性液体はまた、水を含むことができる。水は、本開示の技術的目的と矛盾しない任意の量で存在することができる。例えば、場合によっては、水は、重合性液体の総重量に基づいて、10~85質量%または20~85質量%の量で重合性液体中に存在する。いくつかの実装形態において、水は、重合性液体の総重量に基づいて、10~60質量%、20~80質量%、20~50質量%、30~80質量%、30~60質量%、40~80質量%、40~60質量%、50~80質量%、または50~70質量%の量または濃度で存在する。
【0045】
水(または重合性液体全体)は、約1~約7、約3~約7、または約4~約6のpHを有し得ることがさらに理解されるべきである。当業者によって理解されるように、そのようなpHは、例えば、ブレンステッド-ロウリー酸または塩基を含めることによって得ることができる。例えば、いくつかの場合において、強酸または強塩基、例えば、それぞれ塩酸または水酸化ナトリウムを、当業者によって理解されるように、所望のpHを提供するために所望の濃度で水(または重合性液体全体)中に含有させることができる。他のプロトンまたは水酸化物源を使用することもできる。
【0046】
いくつかの実装形態では、重合性液体は、式(I)または式(II)の構造を有する化合物とは異なり、かつアクリレート成分とは異なる、1つまたは複数の追加の重合性または硬化性材料をさらに含むことができる。このような追加の重合性または硬化性材料は、いくつかの実施形態では、重合性液体の硬化性化合物および/またはアクリレート成分との硬化または重合反応に関与し得るエチレン性不飽和部分などの硬化性または重合性部分を有する任意の化学種を含むことができる。さらに、いくつかの例では、そのような追加の重合性または硬化性材料は親水性である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の追加の重合性または硬化性材料は、重合性液体の総重量に基づいて、1~20質量%の量で存在することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の重合性液体は、着色剤または発光体化合物をさらに含む。発光体化合物は、特定の波長の放射線に曝露されると、発光体化合物が可視シグナルを生成するような構造を含むことができる。いくつかの実装形態では、発光体化合物は、自然光への曝露時に可視波長(例えば、赤色、緑色、青色など)を生成する1つまたは複数の着色剤を含むことができる。重合性液体に組み込まれる場合、着色剤は、重合性液体の総重量に基づいて、0.1~5質量%、0.1~3質量%、0.1~2質量%、0.1~1質量%、0.1~0.5質量%、0.5~5質量%、0.5~4質量%、または0.5~3質量%の量で存在することができる。
【0048】
本明細書に記載される重合性液体はまた、いくつかの実施形態では、適切な波長の光への曝露時に液体の1つまたは複数の成分の重合を開始するための光開始剤成分を含む。いくつかの実施形態では、光開始剤成分は、硬化性化合物の重合/架橋を開始することができる。上述のように、アクリレート成分(および任意選択的に1つまたは複数の追加の重合性または硬化性材料)もこの重合に関与し得る。
【0049】
本開示の目的と矛盾しない任意の光開始剤を使用することができる。いくつかの実施形態では、光開始剤は、好ましくは約250nm~約420nmまたは約300nm~約385nmの光を吸収してフリーラジカルを生成するように動作可能な、アルファ開裂(単分子分解プロセス)光開始剤または水素抽出光増感剤-三級アミン相乗剤を含む。
【0050】
アルファ開裂光開始剤の例は、Irgacure 184(CAS 947-19-3)、Irgacure 369(CAS 119313-12-1)、およびIrgacure 819(CAS 162881-26-7)である。光増感剤-アミンの組合せの例は、ジエチルアミノエチルメタクリレートを有するDarocur BP(CAS 119-61-9)である。
【0051】
さらに、いくつかの例では、適切な光開始剤は、以下を含む:ベンゾイン、ベンゾインエーテル、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテルおよびベンゾインアセタートを含む、ベンゾイン類、2,2-ジメトキシアセトフェノンおよび1,1-ジクロロアセトフェノンを含むアセトフェノン類、ベンジル、ベンジルジメチルケタールおよびベンジルジエチルケタールなどのベンジルケタール類、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノンおよび2-アミルアントラキノンを含む、アントラキノン類、トリフェニルホスフィン、ベンゾイルホスフィンオキシド類、例えば2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(ルシリンTPO)、ベンゾフェノンおよび4,4’-ビス(N,N’-ジメチルアミノ)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、チオキサントンおよびキサントン、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、キノキサリン誘導体または1-フェニル-1,2-プロパンジオン、2-O-ベンゾイルオキシム、1-アミノフェニルケトン類または1-ヒドロキシフェニルケトン類、例えば1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、フェニル1-ヒドロキシイソプロピルケトンおよび4-イソプロピルフェニル1-ヒドロキシイソプロピルケトン。
【0052】
適切な光開始剤はまた、アセトフェノン類、2,2-ジアルコキシベンゾフェノン類および1-ヒドロキシフェニルケトン類、例えば1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンまたは2-ヒドロキシイソプロピルフェニルケトン(=2-ヒドロキシ-2,2-ジメチルアセトフェノン)を含む、HeCdレーザー放射線源と共に使用するために動作可能なものを含んでもよい。さらに、いくつかの場合において、好適な光開始剤は、ベンジルジメチルケタールなどのベンジルケタール類を含む、Arレーザー放射線源と共に使用するために動作可能なものを含む。いくつかの実施形態では、光開始剤は、α-ヒドロキシフェニルケトン、ベンジルジメチルケタールまたは2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドまたはそれらの混合物を含む。
【0053】
好適な光開始剤の別のクラスは、いくつかの例では、化学線を吸収し、重合開始のためのフリーラジカルを生成することができる、イオン染料-対イオン化合物を含む。いくつかの実施形態では、イオン染料-対イオン化合物を含有する重合性液体は、約400nm~約700nmの調節可能な波長範囲内で可視光に曝露されると重合することができる。イオン染料-対イオン化合物およびそれらの動作モードは、欧州特許出願公開第0223587号明細書および米国特許第4,751,102号明細書;同第4,772,530号明細書;および同第4,772,541号明細書に開示される。
【0054】
光開始剤は、本明細書に記載の重合性液体中に、本開示の目的と矛盾しない任意の量で存在することができる。いくつかの実施形態では、光開始剤は、重合性液体の総重量に基づいて、約5質量%までの量で存在する。いくつかの場合において、光開始剤は、約0.1質量%~約5質量%の範囲の量、約0.1質量%~約3質量%の量、約0.5質量%~約2.5質量%の量、または約1質量%~約3質量%の量で存在する。
【0055】
さらに、いくつかの実装形態では、重合性液体は、1つまたは複数の増感剤をさらに含むことができる。増感剤は、同様に存在し得る1つまたは複数の光開始剤の有効性を増加させるために添加され得る。本開示の目的と矛盾しない任意の増感剤を使用することができる。いくつかの場合において、増感剤は、イソプロピルチオキサントン(ITX)または2-クロロチオキサントン(CTX)を含む。
【0056】
増感剤は、本開示の目的と矛盾しない任意の量で重合性液体中に存在することができる。いくつかの実施形態では、増感剤は、重合性液体の総重量に基づいて、約0.1質量%~約3質量%、約0.1質量%~約2質量%、約0.5質量%~約2質量%、または約0.5質量%~約1質量%の範囲の量で存在する。
【0057】
いくつかの実装形態では、1つまたは複数のUV吸収剤および/または光安定剤が、有効濃度で重合性液体中に存在し得る。例えば、1つまたは複数のUV吸収剤および/または光安定剤は、重合性液体の総重量に基づいて、0.1~2質量%の量で存在することができる。いくつかの実施形態では、UV吸収剤および/または光安定剤は、ニュージャージー州フローラムパークのBASFからTINUVIN(登録商標)の商品名で、およびQCR Solutions CorporationからUV386の商品名で市販されている。
【0058】
本明細書に記載の重合性液体またはインクは、複合混合物または他の複合材料系であり得るインクの微細構造に関連する特性を含む、硬化または未硬化状態で様々な特性を有することができる。いくつかの実施形態では、そのような構造的特徴または他の特性は、硬化または重合状態の重合性液体に関する。本開示全体にわたって使用される「硬化」または「重合」状態のインク(または造形材料または重合性液体)は、少なくとも部分的に硬化された、すなわち、少なくとも部分的に重合および/または架橋された硬化性材料または重合性成分を含むインク(または造形材料または重合性液体)を含む。例えば、いくつかの場合において、硬化インク(または造形材料または重合性液体)は、少なくとも約70%重合または架橋されるか、または少なくとも約80%重合または架橋される。いくつかの実施形態では、硬化インク(または造形材料または重合性液体)は、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも99%重合または架橋される。いくつかの例では、硬化インク(または造形材料または重合性液体)は、約80%~約99%重合または架橋される。重合または架橋の程度は、本開示の技術的目的と矛盾しない任意のプロトコルまたは方法を使用して、例えば、ポリマーネットワークに組み込まれるモノマーの割合を特定することによって(例えば、モノマーの分子量と比較したポリマーの分子量に基づいて、または全ポリマー質量の理論的最大値と比較した全ポリマー質量に基づいて)、または組み込まれていないモノマーの量を特定することによって、特定することができる。複数の方法を用いて重合度または架橋度を特定する場合、これらの方法の結果を平均して、本明細書に記載のパーセンテージを得ることができる。本明細書に記載の重合度または架橋度は、ポリマー分子中の繰り返し単位の数として定義される「重合度」とは異なることをさらに理解されたい。
【0059】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のインク(または造形材料または重合性液体)は、硬化または重合されると、実施例6の方法に従って測定した場合、150%超の破断伸びを有する。例えば、本開示による重合性液体の重合から形成される特定の物品は、実施例6の方法に従って測定した場合、150~300%、150~275%、150~250%、200~275%、または200~250%の破断伸びを有することができる。
【0060】
重合時の特定の重合性液体(またはインクまたは造形材料)の別の例示的な特性は、実施例7の方法に従って測定した場合、30%未満、20%未満、15%未満、または10%未満のリン酸緩衝生理食塩水中での膨潤率を含むことができる。例えば、本開示による重合性液体の重合から形成されるいくつかの物品は、実施例7の方法に従って測定した場合、0~30%、0~25%、0~20%、0~15%、1~30%、1~20%、1~15%、5~30%、5~25%、5~20%、5~15%、10~30%、10~20%、10%~15%、15%~30%、15%~25%、または15%~20%の範囲の膨潤率を有することができる。
【0061】
本明細書に記載のインク(または造形材料または重合性液体)は、本開示の目的と矛盾しない任意の方法で製造することができる。いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載のインク(または造形材料または重合性液体)の調製方法は、インクの成分を混合する工程と、任意選択的に混合物を溶融する工程と、(任意選択的に溶融された)混合物を濾過する工程とを含む。いくつかの場合において、成分は、約25℃~約35℃の温度で、または25~55℃、35~65℃、または45~75℃の範囲の温度で混合され、任意選択的に溶融される。1つまたは複数のインクの固体成分を溶融することが望ましいまたは必要であるいくつかの例では、混合および/または溶融は、約75℃~約85℃の範囲の温度で行うことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるインクは、インクの全ての成分を反応容器に入れ、任意選択的に得られた混合物を加熱し、得られた混合物を約25℃~約75℃の温度または約75℃~約85℃の範囲の温度で撹拌することによって製造される。混合物が実質的に均質化された液体(または溶融)状態に達するまで、撹拌(および任意選択的に加熱)を継続する。概して、液体(または溶融)混合物は、流動性状態にある間に濾過され、噴射または押出または他のプリントプロセスを妨害し得る任意の大きく望ましくない粒子を除去することができる。次いで、濾過された混合物を周囲温度に冷却し(冷却が必要な場合)、3Dプリントシステムで使用できるようになるまで保存することができる。
【0062】
IV.3D物品を形成する方法
別の態様では、付加製造によって3D物品または物体(ヒドロゲル物品または物体など)を形成または「プリント」する方法が本明細書に記載される。本明細書に記載の3D物品または物体を形成する方法は、本明細書に記載のインク(または造形材料または重合性液体)の複数の層から3D物品を層ごとに形成する工程(例えば、MJP(マルチジェットプリント)またはSLA(ステレオリソグラフィ)プリント法)を含むことができる。例えば、いくつかの例では、3D物品をプリントするMJP方法は、流体状態の本明細書に記載のインクの層を、3Dプリントシステムの造形パッドなどの基板上に選択的に堆積させる工程を含む。この方法は、インクをさらに硬化させる(例えば光硬化させる)工程をさらに含むことができる。さらに、硬化は、1つまたは複数のインクの成分の1つまたは複数の重合性部分または官能基を重合させる工程を含むことができる。場合によっては、堆積されたインクの層は、インクの別のまたは隣接する層の堆積の前に硬化される。さらに、堆積されたインクの1つまたは複数の層を硬化させる工程は、いくつかの実施形態では、上記で説明されるように、UV光、可視光、または赤外光などの電磁放射線に1つまたは複数の層を暴露させることによって行われる。さらに、いくつかの実施形態では、そのような方法は、硬化の前または後に、インクの層のうちの少なくとも1つを支持材料で支持する工程をさらに含む。以下でさらに説明するように、本開示の目的と矛盾しない任意の支持材料を使用することができる。
【0063】
あるいは、3D物品をプリントする方法は、以下を含む:容器内に流体状態でインクを保持する工程;容器内のインクにエネルギーを選択的に印加して、インクの第1の流体層の少なくとも一部を固化させ、それによって、物品の第1の断面を画定する第1の固化層を形成する工程;第1の固化層を上昇または下降させ、容器内の流体インクの表面にインクの第2の流体層を提供する工程;および、容器内のインクに選択的にエネルギーを印加して、インクの第2の流体層の少なくとも一部分を固化させ、それによって、物品の第2の断面を画定する第2の固化層を形成する工程であって、第1の断面および第2の断面はz方向に互いに接合される。さらに、いくつかのそのような実施形態では、容器内のインクにエネルギーを選択的に印加する工程は、インクを光硬化させる工程を含む。
【0064】
さらに、本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載のインクの1つまたは複数の層は、約10μm~約100μm、約10μm~約80μm、約10μm~約50μm、約20μm~約100μm、約20μm~約80μm、または約20μm~約40μmの厚さを有する。他の厚さも可能である。
【0065】
付加製造によって3D物品を形成する方法はまた、層ごとの方法以外の方法で物体を形成する工程を含むことができる。
【0066】
さらに、セクションIIIにおいて上述したまたは以下の特定の実施例に記載される任意のインク(または造形材料または重合性液体)を、本明細書に記載の方法において使用することができる。例えば、いくつかの場合において、本明細書に記載の方法は、硬化性化合物、アクリレート成分、および水を含む重合性液体を、プリントベッドに供給する工程を含むことができる。この方法は、重合性液体の少なくとも一部を硬化させる工程をさらに含むことができる。より詳細には、本明細書に記載の組成物を(例えば3Dプリントシステムによって)プリント領域に提供し、提供された組成物の少なくとも一部を(例えば、提供される組成物の一部に向けられた電磁放射線を使用して)硬化させることができる。
【0067】
さらに、本明細書に記載される硬化/重合のプロセスは、重合性液体(またはインクまたは造形材料)が、本明細書に記載される例示的な実施形態による物理的および/または材料特性を有する物品を形成するように実施することができる。「材料堆積」法(MJPなど)または「バット重合」法(SLAなど)を含む様々な方法に関するさらなる詳細を以下に提供する。
【0068】
A.材料堆積法
材料堆積法では、本明細書に記載のインクの1つまたは複数の層が、基板上に選択的に堆積され、硬化される。インクの硬化は、インクの1つの層、各層、複数の層、またはすべての層を選択的に堆積した後に行われ得る。
【0069】
いくつかの例では、本明細書に説明されるインクは、流体状態で、3Dプリントシステムの造形パッドなどの基板上に選択的に堆積される。選択的堆積は、例えば、事前に選択されたCAD(コンピュータ支援設計)パラメータに従ってインクを堆積させる工程を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、プリントされる所望の3D物品に対応するCADファイル図面が生成され、十分な数の水平スライスにスライスされる。次いで、インクは、CADファイル図面の水平スライスに従って層ごとに選択的に堆積され、所望の3D物品をプリントする。水平スライスの「十分な」数は、例えば、所望の3D物品を正確かつ精密に製造するために、所望の3D物品のプリントの成功に必要な数である。
【0070】
さらに、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の予め選択された量のインクは、適切な温度に加熱され、適切なインクジェットプリンタのプリントヘッドまたは複数のプリントヘッドを通して噴射されて、プリントチャンバ内のプリントパッド上に層を形成する。場合によっては、インクの各層は、事前に選択されたCADパラメータに従って堆積される。インクを堆積させるのに適したプリントヘッドは、いくつかの実施形態では、圧電プリントヘッドである。本明細書に記載されるインクおよび支持材料の堆積のためのさらなる好適なプリントヘッドは、様々なインクジェットプリント装置製造業者から市販されている。例えば、いくつかの例では、ゼロックス、ヒューレット・パッカード、またはリコー社のプリントヘッドが使用されてもよい。
【0071】
さらに、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のインクは、堆積時に実質的に流体のままである。あるいは、他の例では、インクは、堆積時に相変化を示し、および/または堆積時に固化する。さらに、場合によっては、噴射されたインクの液滴が受入れ面と接触すると固化するように、プリント環境の温度を制御することができる。他の実施形態では、噴射されたインクの液滴は、受入れ面との接触時に固化せず、実質的に流体状態のままである。さらに、場合によっては、各層が堆積された後、堆積された材料は、平坦化され、次の層の堆積の前に電磁(例えば、UV、可視光、または赤外光)放射線で硬化される。任意選択的に、平坦化および硬化の前に複数の層を堆積させることができ、または複数の層を堆積させ、硬化させた後、1つまたは複数の層を堆積させ、次いで硬化させることなく平坦化することができる。平坦化は、分配された材料を平らにし、余分な材料を除去してプリンタの支持プラットフォーム上に均一に滑らかな露出面または平坦な上向き面を形成することによって、材料を硬化させる前に1つまたは複数の層の厚さを補正する。いくつかの実施形態では、平坦化は、ローラなどのワイパ装置を用いて達成され、これは、1つまたは複数のプリント方向に逆回転し得るが、1つまたは複数の他のプリント方向には逆回転しない。いくつかの場合では、ワイパ装置は、ローラと、ローラから余分な材料を除去するワイパとを備える。さらに、場合によっては、ワイパ装置は加熱される。いくつかの実施形態では、硬化前の本明細書に記載の噴射インクの稠度は、望ましくは、その形状を保持するのに十分であり、平坦化装置からの過度の粘性抵抗を受けないことに留意されたい。
【0072】
さらに、支持材料は、使用される場合、インクについて上述した方法と一致する方法で堆積させることができる。支持材料は、例えば、支持材料がインクの1つまたは複数の層に隣接または連続するように、事前に選択されたCADパラメータに従って堆積させることができる。支持材料の噴射された液滴は、いくつかの実施形態では、受入れ面と接触すると固化または凍結する。いくつかの場合において、堆積された支持材料はまた、平坦化、硬化、または平坦化および硬化に供される。本開示の目的と矛盾しない任意の支持材料を使用することができる。
【0073】
インクおよび支持材料の層状堆積は、3D物品が形成されるまで繰り返すことができる。いくつかの実施形態では、3D物品をプリントする方法は、インクから支持材料を除去する工程をさらに含む。
【0074】
インクの硬化は、インクの1つの層、インクの各層、インクの複数の層、または所望の3D物品をプリントするために必要なインクのすべての層を選択的に堆積した後に生じ得る。いくつかの実施形態では、堆積されたインクの部分硬化は、1つのインク層、各インク層、複数のインク層、または所望の3D物品をプリントするために必要な全てのインク層を選択的に堆積した後に行われる。本明細書において参考までに、「部分的に硬化した」インクは、さらなる硬化を受けることができるものである。例えば、部分的に硬化したインクは、約30%まで重合または架橋されるか、または約50%まで重合または架橋される。いくつかの実施形態では、部分的に硬化したインクは、約60%まで、約70%まで、約80%まで、約90%まで、または約95%まで重合または架橋される。
【0075】
堆積されたインクの部分硬化は、電磁放射線源でインクを照射する工程、またはインクの光硬化する工程(上記の硬化放射線によるものを含む)を含むことができる。本開示の目的と矛盾しない任意の電磁放射線源、例えば、UV、可視光または赤外光を放出する電磁放射線源を使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、電磁放射線源は、約300nm~約900nmの波長を有する光を放出するもの、例えば、Xeアークランプであり得る。
【0076】
さらに、いくつかの実施形態では、部分硬化が行われた後に、後硬化が行われる。例えば、場合によっては、後硬化は、所望の3D物品を形成するために必要なインクの全ての層を選択的に堆積させた後、インクの全ての層を部分的に硬化させた後、または前述の工程の両方が実施された後に行われる。さらに、いくつかの実施形態では、後硬化は光硬化を含む。この場合もやはり、本開示の目的と矛盾しない任意の電磁放射線源を、本明細書に記載の後硬化工程に使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、電磁放射線源は、部分硬化に使用される電磁放射線源より高いエネルギー、より低いエネルギー、または同じエネルギーを有する光源であり得る。後硬化に使用される電磁放射線源が、部分硬化に使用されるものより高いエネルギー(すなわち、より短い波長)を有する場合、Xeアークランプを部分硬化に使用し、Hgランプを後硬化に使用することができる。
【0077】
さらに、後硬化後、いくつかの場合において、インクの堆積層は、少なくとも約80%重合または架橋されるか、または少なくとも約85%重合または架橋される。いくつかの実施形態では、インクの堆積層は、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%重合または架橋される。いくつかの例では、インクの堆積層は、約80~100%、約80~99%、約80~95%、約85~100%、約85~99%、約85~95%、約90~100%、または約90~99%重合または架橋される。
【0078】
B.バット重合法
SLA法などのバット重合法を使用して、本明細書に記載のインクから3D物品を形成することも可能である。したがって、いくつかの場合において、本明細書に記載の3D物品をプリントする方法は、本明細書に記載のインクを容器内に流体状態で保持する工程、および、容器内のインクにエネルギー(特に、例えば硬化放射線)を選択的に印加して、インクの流体層の少なくとも一部を固化させ、それによって、3D物品の断面を画定する固化層を形成する工程を含む。さらに、本明細書に記載の方法は、インクの固化層を上昇または下降させて、容器内の流体インクの表面に未固化インクの新しいまたは第2の流体層を提供する工程をさらに含んでもよく、その後、容器内のインクにエネルギー(例えば、硬化放射線)を再び選択的に印加して、インクの新しいまたは第2の流体層の少なくとも一部を固化させ、3D物品の第2の断面を画定する第2の固化層を形成する。さらに、3D物品の第1および第2の断面は、インクを固化させるためのエネルギーの印加によって、z方向(または上記の上昇または下降の方向に対応する造形方向)に互いに結合または接着することができる。さらに、いくつかの例では、電磁放射線は300~900nmの平均波長を有し、他の実施形態では、電磁放射線は300nm未満の平均波長を有する。場合によっては、硬化放射線は、コンピュータ制御レーザビームによって提供される。さらに、場合によっては、インクの固化層の上昇または下降は、流体インクの容器内に配置されたエレベータプラットフォームを使用して行われる。本明細書で説明される方法はまた、エレベータプラットフォームを上昇または下降させることによって提供される流体インクの新しい層を平坦化する工程を含むことができる。そのような平坦化は、場合によっては、ワイパまたはローラによって行うことができる。
【0079】
前述のプロセスは、3D物品を提供するために所望の回数繰り返すことができることをさらに理解されたい。例えば、いくつかの場合において、このプロセスは、「n」回繰り返すことができ、nは、最大約100,000、最大約50,000、最大約10,000、最大約5000、最大約1000、または最大約500であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の3D物品をプリントする方法は、容器内のインクにエネルギー(例えば、硬化放射線)を選択的に印加して、インクのn番目の流体層の少なくとも一部を固化させ、それによって、3D物品のn番目の断面を画定するn番目の固化層を形成する工程、インクのn番目の固化層を上昇または下降させて、容器内の流体インクの表面に(n+1)番目の未固化インクの層を提供する工程、容器内の(n+1)番目のインクの層に選択的にエネルギーを印加して、(n+1)番目のインクの層の少なくとも一部を固化させて、3D物品の(n+1)番目の断面を画定する(n+1)番目の固化層を形成する工程、(n+1)番目のインクの固化層を上昇または下降させて、容器内の流体インクの表面に(n+2)番目の未固化インクの層を提供する工程、および、前述の工程を繰り返し続けて3D物品を形成する工程、を含むことができる。さらに、インクの層にエネルギー(例えば、硬化放射線)を選択的に印加する工程などの、本明細書に記載の方法の1つまたは複数の工程は、コンピュータ可読フォーマットの3D物品の画像に従って実行できることを理解されたい。ステレオリソグラフィを使用する3Dプリントの一般的な方法は、とりわけ、米国特許第5,904,889号明細書および同第6,558,606号明細書でさらに説明される。
【0080】
上述のプリントプロセスを実行することにより、高い特徴解像度を有する本明細書に記載のインクからプリントされた3D物品を提供することができる。物品の「特徴解像度」は、本明細書において参考までに、物品の最小の制御可能な物理的特徴サイズであり得る。物品の特徴解像度は、ミクロン(μm)などの距離の単位に関して、または1インチ当たりのドット(dpi)に関して説明することができる。当業者によって理解されるように、より高い特徴解像度は、より高いdpi値に対応するが、μm単位の距離値はより低くなる。いくつかの場合において、本明細書に記載のインクを堆積または固化させることによって形成される物品は、高温時を含み、約500μm以下、約200μm以下、約100μm以下、または約50μm以下の特徴解像度を有することができる。いくつかの実施形態では、物品は、約50μm~約500μm、約50μm~約200μm、約50μm~約100μm、または約100μm~約200μmの特徴解像度を有する。同様に、いくつかの例では、本明細書に記載の物品は、少なくとも約100dpi、少なくとも約200dpi、少なくとも約250dpi、少なくとも約400dpi、または少なくとも約500dpiの特徴解像度を有する。いくつかの場合において、物品の特徴解像度は、約100dpi~約600dpi、約100dpi~約250dpi、または約200dpi~約600dpiである。
【0081】
上記のようなバット重合法において、インクは、上記のセクションIV.Aに記載されるように部分的に硬化され得る。例えば、いくつかの実施形態では、容器内のインクにエネルギーを選択的に印加してインクの流体層の少なくとも一部を固化させる工程は、インクの流体層の少なくとも一部を部分的に硬化させる工程を含むことができる。他の実施形態では、インクの流体層の少なくとも一部の部分硬化は、インクの第1の層が提供され固化された後、インクの第2の層が提供され固化される前または後、または、後続のインクの層の1つ、複数、またはすべてが提供または固化される前または後に起こり得る。
【0082】
さらに、本明細書に記載されるバット重合方法のいくつかの実施形態では、部分硬化の後、または所望の3D物品が形成された後、上記のセクションIV.Aに記載されるような後硬化が行われ得る。所望の3D物品は、例えば、CADファイル内の設計に対応する物品であってもよい。
【0083】
V.プリント物品
別の態様では、プリントされた3D物品が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、プリントされた3D物品は、本明細書に記載のインク(または造形材料または重合性液体)から形成される。セクションIIIで上述した任意のインク(または造形材料または重合性液体)を使用することができる。例えば、いくつかの場合において、インクは、式(I)または式(II)の構造を有する硬化性化合物、アクリレート成分、および水を含む。さらに、いくつかの場合において、本明細書に記載のプリントされた3D物品は、硬化性化合物およびアクリレート成分の硬化または重合から生じるポリマーネットワークから主に形成される。本明細書に記載される物品はまた、ヒドロゲル物品、またはヒドロゲルから形成され、ヒドロゲル特性を示す物品であり得る。
【0084】
本明細書に記載の方法に従ってプリントされたヒドロゲル物品は、医療分野を含む様々な分野における用途を見出すことができる。ヒドロゲル物品は、例えば、医療用インプラントであり得る。ヒドロゲル医療用インプラントは、組織再生のために使用することができ、および/または細胞播種および/または増殖のための足場として機能することができる。本明細書に記載されるヒドロゲルまたは重合性液体を使用して、生物学的組織または器官の模倣物を形成することも可能である。
【実施例
【0085】
硬化性化合物、ヒドロゲル、インク(または造形材料または重合性液体)、方法、および物品のいくつかの特定の実施形態は、以下の非限定的な実施例においてさらに例示される。
【0086】
実施例1
MA-PEG200-MAと表記される硬化性化合物を以下のように調製した。この種は式(I)の構造を有し、式中、nは約200の重量平均分子量を有するPEG部分に対応することを理解されたい。
【0087】
テフロン(登録商標)コーティング撹拌磁石、ストッパーおよび24/40アダプターを備えた二口1リットル丸底フラスコに、216.66グラムのPEG200を加える。丸底フラスコ(反応容器)を、コンデンサを設置した65℃の油浴に入れた。ガラス漏斗を介して、218.92グラムの無水マレイン酸を反応容器に移した。完全に溶解して均質になるまで65℃で撹拌した。ドライエライトハウス窒素を丸底フラスコのヘッドスペースに約30秒間流した後、ドライエライトハウス窒素をコンデンサの上部に穏やかに流しながらストッパーを配置する。
【0088】
3時間後、初期赤外(IR)分光分析時点を収集した。65℃の還流を約36時間続けた。生成物をIRで確認した後、還流を中止した。
【0089】
実施例2
MA-PEG400-MAと表記される硬化性化合物を以下のように調製する。この種は式(I)の構造を有し、式中、nは約400の重量平均分子量を有するPEG部分に対応することを理解されたい。
【0090】
テフロン(登録商標)コーティング撹拌磁石、ストッパーおよび24/40アダプターを備えた二口1リットル丸底フラスコに、430グラムのPEG400を加える。丸底フラスコを、コンデンサを設置した65℃の油浴に入れる。ガラス漏斗を介して、220グラムの無水マレイン酸を反応容器に移す。フラスコ内容物が完全に溶解して均質になるまで65℃で撹拌を行う。窒素ガスを丸底フラスコのヘッドスペースに約30秒間供給した後、窒素をコンデンサの上部に穏やかに流しながらストッパーを配置する。
【0091】
3時間後、反応容器からの試料アリコートに対してIR分光法を実施して、初期IR時点を提供する。65℃での還流を約36時間続ける。生成物をIRで確認した後、還流を中止する。
【0092】
実施例3
MA-PEG600-MAと表記される硬化性化合物を以下のように調製する。この種は式(I)の構造を有し、式中、nは約600の重量平均分子量を有するPEG部分に対応することを理解されたい。
【0093】
テフロン(登録商標)コーティング撹拌磁石、ストッパーおよび24/40アダプターを備えた二口2リットル丸底フラスコに、650グラムのPEG600を加える。丸底フラスコを、コンデンサを設置した65℃の油浴に入れる。ガラス漏斗を介して、220グラムの無水マレイン酸を反応容器に移す。フラスコ内容物が完全に溶解して均質になるまで65℃で撹拌を行う。不活性ガス(窒素、乾燥)を丸底フラスコのヘッドスペースに約30秒間供給した後、乾燥した不活性ガス(窒素)をコンデンサの上部に穏やかに流しながらストッパーを配置する。
【0094】
3時間後、反応容器からの試料アリコートに対してIR分光法を実施して、初期IR時点を提供する。65℃での還流を約36時間続ける。生成物をIRで確認した後、還流を中止する。
【0095】
実施例4
MA-PEG1000-MAと表記される硬化性化合物を以下のように調製する。この種は式(I)の構造を有し、式中、nは約1000の重量平均分子量を有するPEG部分に対応することを理解されたい。
【0096】
テフロン(登録商標)コーティング撹拌磁石、ストッパーおよび24/40アダプターを備えた二口2リットル丸底フラスコに、1,080グラムのPEG1000を加える。丸底フラスコを、コンデンサを設置した65℃の油浴に入れる。ガラス漏斗を介して、220グラムの無水マレイン酸を反応容器に移す。フラスコ内容物が完全に溶解して均質になるまで65℃で撹拌を行う。乾燥した窒素を丸底フラスコのヘッドスペースに約30秒間供給した後、乾燥した窒素をコンデンサの上部に穏やかに流しながらストッパーを配置する。
【0097】
3時間後、反応容器からの試料アリコートに対してIR分光法を実施して、初期IR時点を提供する。65℃での還流を約36時間続ける。生成物をIRで確認した後、還流を中止する。
【0098】
実施例5
表2は、本明細書に記載のいくつかの実施形態による重合性液体(またはヒドロゲルまたは造形材料)の配合物を提供する。表2において、「Comp.」は「組成物」を意味し、所与の組成物について列挙される量は、組成物の総重量に基づく質量パーセントである。所与の組成物の全ての成分が合計で100質量パーセントであることを理解されたい。表3は、組成物1~6の成分を提供する。表4は、以下の実施例6に記載されるように測定された、組成物1~6の破断伸び(EOB)を提供する。
【0099】
組成物1~6は、本明細書に記載の様々な量の成分を含むことに留意されたい(表2に示すとおり)。さらに、組成物4~6は、特に、式(I)の異なる種を使用し、式中、整数nは、式(I)のPEG部分の200、600、および1000の重量平均分子量にほぼ対応するように変更される(表3に示すとおり)。表4に示すように、組成物1~6の全ては、150~300%のEOBを有する。さらに、表3中、「QY」はキノリンイエローを指す。
表2.例示的組成物
【表2】
【0100】
表3.成分
【表3】
【0101】
表4.破断伸び
【表4】
【0102】
組成物1~6に加えて、いくつかの比較組成物を調製した。具体的には、比較組成物1~3を、組成物1~6と同様の方法で調製した。比較組成物1~3は、特に組成物6と比較され得る。比較組成物1~3の成分は、比較組成物1~3の各々が式Iの硬化性化合物を完全に排除したことを除いて、組成物6の成分と同じであった。比較組成物1において、式Iの化合物を水で置き換えた。したがって、比較組成物1は、12.8質量%の水ではなく47.8質量%の水を含んだ。比較組成物2において、式Iの硬化性化合物を同等のポリ(エチレングリコール)ジアクリレートに置き換えた。したがって、比較組成物2は、35質量%のPEGDAを代替の硬化性成分として含んでいた。比較組成物3において、式Iの硬化性化合物を、PEG部分を含まないモノマートリアクリレート(TAC)で置き換えた。したがって、比較組成物3は、35質量%のTACを代替の硬化性成分として含んでいた。
【0103】
以下の実施例7に記載されるように、比較組成物1~3のそれぞれについてEOBを測定した。表5に示すように、本明細書に記載の式Iまたは式IIの硬化性化合物を排除した比較組成物1~3はそれぞれ、150%未満のEOB値を有した。
表5.破断伸び
【表5】
【0104】
本発明による追加の組成物は、以下の表6の量を用いて提供される。表6中の量は、組成物の総重量に基づく、同定された組成物の各成分の質量%を指す。また、「PI」は「光開始剤」を表す。さらに、以下の表6の全ての場合において、水は、100質量%に達する(例えば、10~60質量%の水)ように成分のバランスを提供する。
表6.組成物成分
【表6】
【0105】
実施例6
破断伸びを特定するためのプリント物品の引張試験を以下のように試験した。試験配合物(インク、造形材料、または重合性液体)を、室温(約23~25℃)において、デジタル光処理(DLP)プリンタで、厚さ20μmの層の水平配向リングにプリントした。リングは、規定された1mm×1mmの正方形断面を有するネック領域を有していた。リングをプリンタプラットフォームから取り出し、未硬化材料を洗い流した(例えば、室温で10分間以下、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)または水中にリングを配置することによる)。次いで、リングを動的機械分析(DMA)システムに装填し、機器が最大ひずみに達するまで、またはサンプルが破断するまで、毎分100%ひずみで(室温で)垂直に延伸し、それによって破断伸び(EOB)を得た。第1の10%ひずみの傾きを求めることによって、弾性率が求められる。
【0106】
実施例7
プリント物の膨潤を以下のように特定し、それ自体のインクおよびPBSの両方で測定した。直径8mmおよび厚さ3mmのディスクを、試験配合物(対象のインク、造形材料、または重合性液体)でプリントし、次いで浅い皿に入れた。ツァイス顕微鏡を用いて各ディスクを測定し、プリント直径を求めた。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中での膨潤を測定するために、ディスクをダルベッコPBS(++)中に浸した。ディスクは、ディスクの体積の少なくとも約5倍の溶液で覆われた。ディスクの直径を、その後1週間にわたり異なる時点で連続的に測定し、収縮または膨潤または経時的な膨潤を評価した。最終膨潤を[最終直径(mm)-初期直径(mm)]/初期直径(mm)として定量化した。
【0107】
いくつかの追加の非限定的な例示的実施形態を以下に提供する。
【0108】
実施形態1。式(I)の構造を有する化合物:
【化4】
式中、nは4~40の整数である。
【0109】
実施形態2。式(II)の構造を有する化合物:
【化5】
式中、nは4~40の整数である。
【0110】
実施形態3。nが4~14または4~20の整数である、実施形態1または実施形態2に記載の化合物。
【0111】
実施形態4。化合物が25℃および1気圧で液体である、先の実施形態のいずれかに記載の化合物。
【0112】
実施形態5。先の実施形態のいずれかの化合物を含むヒドロゲル。
【0113】
実施形態6。化合物が、ヒドロゲルの総重量に基づいて10~35質量%の量でヒドロゲル中に存在する、実施形態5に記載のヒドロゲル。
【0114】
実施形態7。アクリレート成分をさらに含む、実施形態5または実施形態6に記載のヒドロゲル。
【0115】
実施形態8。アクリレート成分が、ヒドロゲルの総重量に基づいて35~50質量%の量で存在する、実施形態7に記載のヒドロゲル。
【0116】
実施形態9。アクリレート成分が、1つまたは複数のヒドロキシアルキルアクリレートを含む、実施形態5~7のいずれかに記載のヒドロゲル。
【0117】
実施形態10。アクリレート成分が、1つまたは複数のポリエチレングリコールアクリレートまたはジアクリレートを含む、実施形態5~7のいずれかに記載のヒドロゲル。
【0118】
実施形態11。アクリレート成分が、1つまたは複数のヒドロキシアルキルアクリルアミドを含む、実施形態5~7のいずれかに記載のヒドロゲル。
【0119】
実施形態12。水が、ヒドロゲルの総重量に基づいて20~85質量%の量でヒドロゲル中に存在する、実施形態5~11のいずれかに記載のヒドロゲル。
【0120】
実施形態13。ヒドロゲル物品形成のための重合性液体であって、
式(I)または式(II)(式中、nは4~40の整数である)の構造を有する化合物;
【化6】
アクリレート成分;および

を含む、重合性液体。
【0121】
実施形態14。重合性液体が式(I)の構造を有する化合物を含む、実施形態13に記載の重合性液体。
【0122】
実施形態15。式(I)または式(II)の構造を有する化合物が、重合性液体の総重量に基づいて10~35質量%の量で存在する、実施形態13または実施形態14に記載の重合性液体。
【0123】
実施形態16。アクリレート成分が、1つまたは複数のヒドロキシアルキルアクリレートを含む、実施形態13~15のいずれかに記載の重合性液体。
【0124】
実施形態17。アクリレート成分が、1つまたは複数のポリエチレングリコールアクリレートまたはジアクリレートを含む、実施形態13~16のいずれかに記載の重合性液体。
【0125】
実施形態18。アクリレート成分が、1つまたは複数のヒドロキシアルキルアクリルアミドを含む、実施形態13~17のいずれかに記載の重合性液体。
【0126】
実施形態19。アクリレート成分が、重合性液体の総重量に基づいて、15~50質量%または35~50質量%の量で存在する、実施形態13~18のいずれかに記載の重合性液体。
【0127】
実施形態20。水が、重合性液体の総重量に基づいて、20~85質量%または10~50質量%の量で存在する、実施形態13~19のいずれかに記載の重合性液体。
【0128】
実施形態21。重合性液体がさらに、式(I)または式(II)の構造を有する化合物と異なり、かつアクリレート成分とは異なる1つまたは複数の追加の重合性または硬化性材料を含む、実施形態13~20のいずれかに記載の重合性液体。
【0129】
実施形態22。1つまたは複数の追加の重合性または硬化性材料が、重合性液体の総重量に基づいて1~20質量%の量で存在する、実施形態21に記載の重合性液体。
【0130】
実施形態23。重合性液体がさらに、1つまたは複数の着色剤を含む、実施形態13~22のいずれかに記載の重合性液体。
【0131】
実施形態24。1つまたは複数の着色剤が、重合性液体の総重量に基づいて、0.1~5質量%または0.1~1質量%の量で存在する、実施形態23に記載の重合性液体。
【0132】
実施形態25。重合性液体が光開始剤成分をさらに含む、実施形態13~24のいずれかに記載の重合性液体。
【0133】
実施形態26。光開始剤成分が、重合性液体の総重量に基づいて、0.1~5または0.1~3質量%の量で存在する、実施形態25に記載の重合性液体。
【0134】
実施形態27。実施例6の方法に従って測定した場合に、液体が重合したときに150%を超える破断伸びを有する、実施形態13~26のいずれかに記載の重合性液体。
【0135】
実施形態28。実施例7の方法に従って測定した場合に、液体が重合したときにリン酸緩衝生理食塩水中で20%未満の膨潤率を有する、実施形態13~26のいずれかに記載の重合性液体。
【0136】
実施形態29。3次元ヒドロゲル物品をプリントする方法であって、
実施形態13~28のいずれかに記載の重合性液体を提供する工程;および
重合性液体をプリントし、光で硬化させて、ヒドロゲル物品を形成する工程
を含む、方法。
【0137】
実施形態30。重合性液体が層ごとのプロセスで提供される、実施形態29に記載の方法。
【0138】
実施形態31。ヒドロゲル物品が医療用インプラントである、実施形態29または実施形態30に記載の方法。
【0139】
実施形態32。実施形態13~28のいずれかに記載の重合性液体から形成されたプリント3次元物品。
【0140】
本明細書で言及される全ての特許文献は、参照によりその全体が組み込まれる。本発明の様々な実施形態が、本発明の様々な目的を果たすために記載されてきた。これらの実施形態は、本発明の原理の単なる例示であることを認識されたい。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、その多数の修正および適合が当業者には容易に明らかであろう。
【国際調査報告】