(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】電気ストーブ
(51)【国際特許分類】
H05B 3/64 20060101AFI20241001BHJP
F27D 7/02 20060101ALN20241001BHJP
【FI】
H05B3/64
F27D7/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518173
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(85)【翻訳文提出日】2024-04-11
(86)【国際出願番号】 EP2022076313
(87)【国際公開番号】W WO2023046810
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513200003
【氏名又は名称】ポール ワース エス.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カステッリ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ガロファロ,フェデリコ
(72)【発明者】
【氏名】ブルーニ,ダヴィデ
【テーマコード(参考)】
3K092
4K063
【Fターム(参考)】
3K092PP09
3K092QA01
3K092QB26
3K092QB38
3K092RE08
4K063AA02
4K063BA02
4K063CA02
4K063DA07
4K063DA13
4K063DA32
(57)【要約】
還元性ガスを加熱するための電気ストーブであって、電気ストーブは、長手方向に沿って延びる中空の金属シェル本体と、シェル本体の内面部分に配置された耐火ライニングと、長手方向に沿って延びる隣接する層に配置された複数のレンガであって、各レンガは、それぞれの層を通って長手方向に沿って真っ直ぐに延びる複数の空洞を含み、隣接する層の空洞は互いに整列しており、それによって、還元性ガスを導くための複数のチャネルが形成される、複数のレンガと、を含み、電気ストーブは、還元性ガスを加熱するための複数の加熱ワイヤであって、各加熱ワイヤは、チャネルの直径よりも小さい直径を有し、各加熱ワイヤは、電気ストーブが動作しているときに、所定の熱量が各加熱ワイヤによって該加熱ワイヤの周りを流れる還元性ガスに放散されるように、複数のチャネルのうちの少なくとも1つの対応するチャネルを少なくとも部分的に通って延在する、複数の加熱ワイヤ、をさらに含むことを特徴とする、電気ストーブ。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元性ガスを加熱するための電気ストーブ(10)であって、
長手方向(X)に沿って延びる中空の金属シェル本体(12)と、
前記シェル本体(12)内に配置された耐火ライニング(15)と、
前記長手方向(X)に沿って延びる隣接する層(18、20)に配置された複数のレンガ(16)であって、各レンガ(16)は、前記それぞれの層(18、20)を通って前記長手方向(X)に沿って真っ直ぐに延びる複数の空洞(22、24)を含み、隣接する層(18、20)の前記空洞(22、24)は互いに整列され、それによって前記還元性ガスを導くための直径を有する複数のチャネル(26)が形成される、複数のレンガ(16)と、を備え、
前記電気ストーブ(10)は、
前記還元性ガスを加熱するための複数の加熱ワイヤ(28)であって、各加熱ワイヤ(28)は、1つのチャネル(26)の直径よりも小さい直径を有し、かつ各加熱ワイヤ(28)は、前記電気ストーブ(10)が動作しているときに、所定の熱量が各加熱ワイヤ(28)によって前記加熱ワイヤの周りを流れる還元性ガスに放散されるように、前記複数のチャネルのうちの少なくとも1つの対応するチャネル(26)を少なくとも部分的に通って延在する、複数の加熱ワイヤ(28)、をさらに備えることを特徴とする前記電気ストーブ(10)。
【請求項2】
対応する層(18、20)内の少なくとも2つの隣接するレンガ(16)の各々に半空洞(24)が設けられ、前記少なくとも2つの隣接するレンガは、前記それぞれのレンガの前記半空洞(24)が空洞(22)全体を形成するように互いに位置合わせされる、請求項1に記載の電気ストーブ(10)。
【請求項3】
前記1つのチャネル(26)の直径は、前記加熱ワイヤ(28)の直径よりも1倍超~5倍の間で大きい、請求項1から2のいずれか一項に記載の電気ストーブ(10)。
【請求項4】
前記金属シェル本体の内面の一部と前記耐火ライニング(15)との間に断熱ライニング(14)が配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の電気ストーブ(10)。
【請求項5】
前記電気ストーブは、分配リング(32)に流体連通するガス入口(30)を有し、前記分配リング(32)は、前記シェル本体(12)の第1の端部(36)に前記還元性ガスを導くように構成される複数の供給ポート(34)を備え、前記電気ストーブは、前記シェル本体の第2の端部(40)にガス出口(38)を有し、前記ガス出口(38)は、前記長手方向(X)に沿って延在する、請求項1から4のいずれか一項に記載の電気ストーブ(10)。
【請求項6】
前記複数の加熱ワイヤの各電気加熱ワイヤ(28)は、前記ガス出口(38)に対向して、又は前記ガス出口(38)に配置されたU字形部分(42)を有する、請求項5に記載の電気ストーブ(10)。
【請求項7】
前記複数の電気加熱ワイヤ(28)は、直列及び/又は並列に配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載の電気ストーブ(10)。
【請求項8】
前記電気ストーブ(10)は、単相交流、三相交流、又は直流のうちの1つによって低電圧で動作するように構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の電気ストーブ(10)。
【請求項9】
前記電気ストーブはセンタリング要素(44)をさらに備え、同じチャネル(26)の一部を形成するセンタリング要素(44)が、離間した層で前記長手方向(X)に沿って互いに整列され、それによって前記センタリング要素(44)が互いから特定の距離に配置される、請求項1から8のいずれか一項に記載の電気ストーブ(10)。
【請求項10】
前記シェル本体(12)は、0,5m~4mの範囲、好ましくは1,50m~2,50mの範囲、最も好ましくは2mの直径を有し、前記シェル本体(12)は、5m~12mの範囲内、好ましくは6m~10mの範囲、最も好ましくは7mの長さを有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の電気ストーブ(10)。
【請求項11】
前記電気ストーブは、前記電気加熱ワイヤ(28)に電気接点を提供するための電気接続モジュール(46)をさらに備え、前記電気接続モジュール(46)は、前記複数の供給ポート(34)の近傍で前記層(18、20)から離間して前記第1の端部(36)に配置されている、先行する請求項5から10のいずれか一項に記載の電気ストーブ(10)。
【請求項12】
前記電気ストーブ(10)の前記シェル本体(12)は、地面に対して水平に配置されている、請求項1から11のいずれか一項に記載の電気ストーブ(10)。
【請求項13】
前記シェル本体(12)は、加圧された還元性ガスを収容するように構成されており、前記シェル本体によって支持される最大圧力は、0,0バール(g)~5,0バール(g)の範囲の範囲、好ましくは1,5バール~4,0バール(g)、最も好ましくは3,6バール(g)である、請求項1から12のいずれか一項に記載の電気ストーブ(10)。
【請求項14】
前記シェル本体(12)は、以下の、炭素鋼、コーティング、クロム系合金、又はそれらの混合物のうちの1つを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の電気ストーブ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気ストーブに関し、特に、冶金炉に注入される還元性ガスを加熱するための電気ストーブに関する。
【背景技術】
【0002】
冶金産業における最近の発展によれば、製鉄業者は、例えば二酸化炭素などの環境に有害であると考えられる温室効果ガス排出量を削減することを目指している。結果として、製鉄業者は、冶金製品の製造において「グリーン」(電気)エネルギー源を使用することを目標とする。実際、将来の鉄鋼生産は、おそらく、持続可能なエネルギー源の使用と組み合わせる低炭素生産方法の使用に焦点を合わせるであろう。この文脈において、H2及び/又は合成ガスを含む還元性ガスに基づく直接還元プロセスの使用も想定される。
【0003】
従来技術では、プロセスガスを産業的規模で加熱するために、燃焼ヒータ及び再生熱交換器(熱風ストーブなど)が知られている。しかしながら、これらのヒータは、燃料の燃焼を必要とする。さらに、電気エネルギーによって供給される市場で入手可能なほとんどの装置は、還元性ガスを十分な温度で加熱するのに適していないようであり、又は「重」工業の要件に対応していない。例えば、これらの装置の大部分は、大量のガスを処理するために必要なマルチMWサイズに拡張できない。さらに、ほとんどの装置は、ダストガス(すなわち、0mg~5mgの間の固形分/Nm3を含有するガス)を加熱するのに適していない。したがって、流量、電力スケール、ダスト含有量、出力温度、又は他の特定のレイアウト要件に関して、ガスの電気加熱の要件に対応する既知の装置はない。したがって、これらの欠点を克服するための解決策を提供することが望ましい。
発明の目的
【0004】
本発明の目的は、産業的規模でガスを加熱するように構成されている又は適しているヒータを提供することである。この目的は、独立請求項によって定義される電気ストーブによって達成される。
【発明の概要】
【0005】
(還元性)ガスを加熱するように構成される又は適切な提案される電気ストーブは、長手方向に沿って延びる中空の金属シェル本体と、シェル本体内に配置された耐火ライニングと、長手方向に沿って延びる隣接する層に配置された複数のレンガとを含む。各レンガは、それぞれの層を通って長手方向に沿って真っ直ぐに延びる複数の空洞を含む。隣接する層の空洞が互いに整列することにより、(還元性)ガスを導くための複数のチャネルが形成される。電気ストーブは、(還元性)ガスを加熱するための複数の加熱ワイヤをさらに備え、各加熱ワイヤは、チャネルの直径よりも小さい直径を有する。電気ストーブが動作しているときに、所定の熱量が各加熱ワイヤによって該加熱ワイヤの周りを流れる還元性ガスに放散されるように、各加熱ワイヤは、複数のチャネルのうちの少なくとも1つの対応するチャネルを少なくとも部分的に通って延在する。
【0006】
提案される構成は、特にコンパクトな設計を有する(還元性)ガスを加熱するための加熱ストーブを提供することを可能にし、それはひいては産業施設への省スペース設置を可能にすることが分かっている。さらに、必要に応じて、及び/又は特定の量の(還元性)ガスを加熱しなければならない場合にも、現在の構成は拡張可能であることが分かっている。
【0007】
また、提案される構成により、例えばダストを含むガスなどの他の化合物と共にガスを導入することが可能になる。例えば、ダストを含む還元ガスの加熱を可能にする従来技術の既知のデバイスはない。レンガを通って流れるダスト含有ガスをストーブ内で加熱するためには、空洞の特定の最小サイズを確保する必要がある。
【0008】
さらに、提案される構成は、特に合成ガス注入システムを有する直接還元鉄(DRI)製造及び/又は(ブラスト)炉プラントで動作してもよい。結果として、提案される構成は、持続可能な(例えば、「グリーン」)エネルギー源に基づいてプロセスガスを加熱することを可能にし、それによって従来の燃料ベースのシステムを置き換え得る。したがって、古典的なヒータによって引き起こされる環境への悪影響を大幅に低減し得る。
【0009】
「還元性ガス」は、一般に、還元性の特性を有する任意の化学媒体を指してもよい。例えば、還元性ガスは、水素及び/又は一酸化炭素を含むガス、対応的に合成ガスであってもよい。それとは別に、電気ストーブは、ガスを還元する処理のみに限定されないことに留意されたい。異なる産業プロセスのための他のガス、特にプロセスガス、例えばCO2、CO、N2、O2、H2O、H2なども加熱することができる。
【0010】
「中空の金属シェル本体」は、一般に、(還元性)ガスが加熱される機器又は反応器のフレーム又はリザーバを指してもよい。
【0011】
「長手方向」は、一般に、シェル本体が延在する主な長さ方向を指してもよい。換言すると、長手方向は、電気ストーブが延在する方向によって定義されてもよい。例えば、電気ストーブが水平に設置されているときには、長手方向は、水平方向又は例えば地面などの水平面に平行であり得る。
【0012】
「耐火ライニング」は、一般に、耐火レンガなどの高温耐性材料の1つ又は複数の層を指してもよい。耐火ライニングは、シェル本体の内面の一部又は全体に少なくとも配置されてもよい。代替的に、断熱性ライニングの1つ又は複数の層を耐火ライニングと鋼シェルとの間に配置してもよく、断熱性ライニングは、断熱性レンガの層及び鋳造可能なセラミックの層を含んでもよい。さらに、例えば、耐火ライニングは、断熱性及び/又は絶縁性の特性を有する異なるレンガの1つ又は複数の層を含んでもよい。耐火ライニングは、概して、動作温度に基づいて選択することができ、これはまた、ヒータ長さ、対応的に長手方向に沿って異なる材料の使用を可能にし得ることに留意されたい。特に、耐火材料は、水素と反応する傾向がない様々なグレードの高アルミナ耐火物を含んでもよい。耐火ライニングのレンガは、加熱ワイヤを導く複数のレンガ、対応的にチェッカーレンガを支持するように具体的に形成されてもよい。
【0013】
「複数のレンガ」は、一般に、チェッカーレンガ又は同様のレンガ状要素の量を指してもよい。各レンガは、複数の空洞、対応的に貫通孔又は開口を備えてもよい。空洞は、円形又は半円形の形状を有してもよい。追加的又は代替的に、各レンガはまた、レンガの縁部に配置され、空洞全体の形状の半分を表す、いわゆる「半空洞」を備えてもよい。2つの隣接するレンガの2つの半空洞又は半分の空洞を使用して、空洞全体を形成してもよい。空洞はまた、他の形状を有してもよいことが理解される。すべての空洞は、長手方向に平行な方向に沿って延在してもよい。この構成により、隣接する層の隣り合うレンガの空洞を互いに整列させてもよく、それによって(還元性)ガスを導くための複数のチャネルが形成される。この文脈において、「チャネル」は、一般に、いくつかのレンガ層を通って延びる直線状の通路を指し、チャネルは、隣接して配置された空洞及び/又は半空洞から形成される。
【0014】
「層」は、一般に、所定量のレンガを含むコース、対応的にレベル、対応的に構造を指してもよく、構造を画定するレンガは互いに連携している。層は、長手方向に沿って同一の長さを有してもよいことが理解される。しかしながら、層が異なる長さを有する実施形態が存在してもよい。
【0015】
「複数の加熱ワイヤ」は、一般に、電気伝導によって加熱するように構成されている金属の糸又はロッドを指す。ワイヤは、レンガによって形成されたチャネル内に配置されてもよい。したがって、加熱ワイヤは、好ましくは、チャネルの直径又は空洞の直径よりも小さい直径を有してもよい。この構成により、ガスは、実質的にワイヤの周りを流れてもよい。電気ストーブが動作しているときに、所定の熱量が各加熱ワイヤによって該加熱ワイヤの周りを流れる(還元性)ガスに放散されるように、各加熱ワイヤは、複数のチャネルのうちの少なくとも1つのチャネルを少なくとも部分的に通って延在する。この文脈において、加熱ワイヤ材料は、広範囲の材料の中から選択されてもよいことに留意されたい。特に、ワイヤ材料は、プロセスガス、対応的に還元性ガスの(1つ又は複数の)成分との高温及び/又は反応に耐えるのに適している場合がある。例えば、窒素濃度の高いガスにワイヤを接触させることが多いときに、ワイヤの寿命が短くなることが知られている。(還元性)ガス中の窒素含有量は、依然低く(≦10%)保たれてもよく、最大ガス温度は、800℃~1000℃の範囲、好ましくは900℃に保たれてもよい。それとは別に、複数の加熱ワイヤは、他の温度、例えばより低い温度で動作するように構成されてもよい。
【0016】
一実施形態では、対応する層内の少なくとも2つの隣接するレンガの各々に半空洞が設けられ、少なくとも2つの隣接するレンガは、それぞれのレンガの半空洞が空洞全体を形成するように互いに整列される。半空洞は、レンガの縁部領域に配置されてもよい。
【0017】
「対応する層」は、一般に、2つの半空洞が1つの空洞に対応する開口を形成するように、縁部領域に半空洞を有する2つのレンガが互いに隣接して配置される層を指してもよい。半空洞を配置することにより、シェル本体内の空間の効率的な使用を達成してもよい。
【0018】
一実施形態では、チャネルの直径は、加熱ワイヤの直径よりも1倍超~5倍の間で大きい。加熱ワイヤの直径よりも大きい直径を有するチャネルは、ダストガスを効率的に、かつチャネル内に沈降した可能性のあるダストによってチャネルを詰まらせるリスクを伴わずに加熱することを可能にする。したがって、ワイヤと耐火ライニングとの間の空隙は、4ミリメートル~40ミリメートルの範囲内のサイズを有してもよい。
【0019】
一実施形態では、金属シェル本体の内面の一部と耐火ライニングとの間に断熱性ライニングが配置される。断熱性ライニングは、断熱性材料又は断熱性構造要素の1つ又は複数の層を含んでもよい。例えば、断熱性ライニングは、断熱性の鋳造可能セラミックの第1の層と、耐火レンガの第2の層とを備えてもよい。
【0020】
一実施形態では、電気ストーブは、分配リングに流体連通するガス入口を有し、分配リングは、シェル本体の第1の端部に(還元性)ガスを導くように構成される複数の供給ポートを備え、電気ストーブは、シェル本体の第2の端部にガス出口を有し、ガス出口は、長手方向に沿って延在する。「端部」という用語は、シェル本体の先端部を指す。第1の端部に分配リングを配置することにより、流入する被加熱ガスが均一に分配され、チャネル内に誘導される。代替的な実施形態では、例えば、より小さい寸法の実施形態では、分配リングの設置は不要であってもよい。
【0021】
一実施形態では、複数の加熱ワイヤのうちの1つ又は複数又は各電気加熱ワイヤは、ガス出口に対向して又はガス出口に配置されたU字形部分を有する。「U字形」は、一般に、ワイヤセクションの形状、すなわち、2つの平行に延びるワイヤを互いに接続することを可能にする形状を指す。ワイヤと一体であってもよい、又はワイヤに代替的に適用/配置されてもよいU字形部分を設けることによって、シェル本体内の1つのみの位置、好ましくはガス入口付近の位置に電気接点モジュールを設けることが可能である。これにより、電気的接点モジュールがガス出口付近の加熱された(還元性)ガスのかなり高い温度に曝されないことが保証される。したがって、U字形部分は、好ましくはガス出口に対向して又はガス出口に配置される。この文脈において、「対向する」という用語は、U字形部分の頂点がガス出口の方向に面し得ることを意味する。この文脈において、「~に」という用語は、U字形部分がガス出口に近接して配置され得ることを意味する。
【0022】
一実施形態では、複数の電気加熱ワイヤは、直列及び/又は並列に配置される。配置が直列及び/又は並列に接続されてもよいことから、適切なジュール効果を達成し得るように、最適な電気抵抗を構築してもよい。
【0023】
一実施形態では、電気ストーブは、単相交流、三相交流、又は直流のうちの1つによって低電圧で動作するように構成されている。特に、三相又は単相の交流は、配電ネットワークから容易に利用可能であってもよい。代替的に、直流での適切な設計が構成されてもよい。直流が使用される場合、ネットワークからの交流を直流に変換するために、電気ストーブの上流に専用機器を設けてもよい。
【0024】
一実施形態では、電気ストーブは、電気的加熱ワイヤが配置されているチャネルの壁に電気的加熱ワイヤが接触しないようにするためのセンタリング要素をさらに備える。各チャネルは、好ましくは、例えば25cm~150cmだけ長手方向に互いに離間され得る1つ又は複数のそのようなセンタリング要素を含んでもよい。センタリング要素は、代替的に、互いにより密接して離間していてもよく、又は互いにより遠く離れていてもよいことに留意されたい。
【0025】
「センタリング要素」という用語は、空洞、対応的に半空洞を除いて、レンガ状構造を有してもよい要素を指す。センタリング要素の空洞及び/又はセンタリング要素の半空洞は、レンガの空洞、対応的にレンガの半空洞とは異なる形態を有してもよい。例えば、センタリング要素の空洞は、ピン、突起部、突出部、膨出部などを有してもよく、その上に電気ヒーティングを載置しながらも同時にチャネルを可能な限り制限しない。代替的に、センタリング要素の空洞は、レンガの空洞の直径よりもわずかに小さい直径を有する円形形状を有してもよい。センタリング要素により、加熱ワイヤは、チャネルの実質的に中央位置に保持され得る。代替的に、「センタリング要素」という用語はまた、ワイヤ上に配置されたデバイスを指してもよく、該デバイスは、チャネルの壁に対してワイヤを支持及び中心合わせする。この場合、センタリング要素は、以下の、金属、プラスチック、樹脂、又はそれらの混合物のうちの1つで作られた要素であってもよい。センタリング要素は、適切な支持を確実にすることによってワイヤの過度の曲げ及び/又はクリープ変形を防止する。その結果、ワイヤの均一な冷却を行ってもよい。さらなる結果として、ホットスポットの発生が防止され得、その結果、ワイヤの寿命が大幅に延長される。センタリング要素は、隣接する空洞内のワイヤ間の短絡を回避するために、高い電気抵抗を有してもよく、及び/又は高い電気抵抗性材料から選択され、及び/又はそれを含むことができることに留意されたい。
【0026】
実施形態では、シェル本体は、0.5m~4mの範囲、好ましくは1,50m~2,50mの範囲、最も好ましくは2mの直径を有し、シェル本体は、5m~12mの範囲内、好ましくは6m~10mの範囲、最も好ましくは7mの長さを有する。シェル本体の寸法は、スケーリングによって要件に合わせて調整してもよい。
【0027】
実施形態では、電気ストーブは、電気加熱ワイヤに電気接点を提供するための電気接続モジュールをさらに備え、電気接続モジュールは、複数の供給ポートの近傍の第1の端部分に配置され、層から離間している。電気接続モジュールをシェル本体のより低温の端部に配置することによって、電気接続モジュールの温度負荷が比較的低く保たれ、これは長寿命につながり得る。
【0028】
実施形態では、電気ストーブのシェル本体は地面に対して水平に配置されている。「水平に配置」は、シェル及び/又はシェル本体の中心軸が地面に平行な方向に沿って延在する配置を指す。水平配置は、重い支持構造の必要性を回避し得る。水平に配置されたストーブはまた、オペレータにとって容易にアクセス可能であり得る。代替的な実施形態では、電気的なストーブは垂直に配置されてもよく、垂直配置は比較的省スペースの設置を可能にする。「水平に」という用語はまた、長手方向に平行な方向又は平面を指してもよい。
【0029】
実施形態では、シェル本体は、加圧された(還元性)ガスを収容するように構成されており、シェル本体によって支持される最大圧力は、0,0バール(g)~5,0バール(g)の範囲、好ましくは1,5バール~4,0バール(g)、最も好ましくは3,6バール(g)である。シェルの幅は、加えられる圧力に応じて規定される範囲であってもよい。
【0030】
実施形態では、シェル本体は、以下の、炭素鋼、コーティング、クロム系合金、又はそれらの混合物のうちの1つを含む。例えば、炭素鋼は、AISI316Lなどの鋼であってもよい。コーティング及びクロム系合金は、高温でCO/CO2又は炭素化合物の存在下で本来発生するであろう水素脆化及び金属粉塵化を防止し得る。
【0031】
本発明のさらなる態様及び特徴は、従属請求項、添付の図面及び実施形態の以下の説明から導かれる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
ここで、本発明の実施形態を、例として、添付の図面を参照して説明する。
【
図1】電気ストーブの一実施形態の概略斜視図である。
【
図2】電気ストーブの一実施形態の概略透明斜視図である。
【
図3】ガス出口に対向して配置されたレンガのチャネルに沿って延びる複数のワイヤの概略図である。
【
図4】センタリング要素を備える電気ストーブの一実施形態の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1を参照すると、電気ストーブ10の一実施形態が示されている。電気ストーブ10は、長手方向Xに沿って延びる鋼製の中空の金属本体、対応的にシェル12を備える。電気ストーブ10は、長手方向X及び幅方向Zによって定義される平面と呼んでもよい地面に対して水平に配置される。
【0034】
その水平配置のために、耐火物用の内部支持構造は必要ではない。結果として、電気接続モジュールとの短絡のリスクは、専用の耐火支持構造は必要ではないという事実に起因する水平配置に起因して回避される。対照的に、垂直配置(図示せず)は、耐火支持構造及び電気接続モジュールが、ストーブ、対応的に機器の内側の同じ空間を共有することを必要とし、これは短絡を起こしやすい。
【0035】
電気ストーブ10は、分配リング32に流体連通するガス入口30を有し、分配リング32は、シェル本体12の第1の端部36に(還元性)ガスを導くように構成される複数の供給ポート34を備え、これは
図4に最もよく見ることができる。支持ポート34は、長手方向Xに沿って延びるシェル軸に対して同心円状に配置されている。シェル軸に沿って延びるガス出口38も、シェル本体12に対向する第2の端部40に配置されている。
【0036】
図2及び
図4に見られるように、複数のレンガ16が、長手方向Xに沿って延びる隣接する層18、20に配置されている。
【0037】
断熱性ライニング14は、シェル本体12の内面に設けられている。断熱性ライニング14は、二層の断熱ライニング14.1及び14.2によって形成される。断熱ライニング14の第1の層14.1は、鋳造可能なセラミックで形成され、鋼シェル12の内面に配置されている。断熱ライニング14の第2の層14.2は、第1の層14.1上に配置され、耐火レンガ14.2から形成される。
図4から導き出すことができるように、特別な形状の耐火ライニング15のさらなる層が、レンガ16と断熱性ライニング14との間に配置される。耐火ライニング15はまた、いくつかの耐火レンガ15.1を備え、耐火ライニング15は、鋼シェル12の中心に長方形に形成されたレンガ16の挿入が可能であるように配置及び形成される。換言すれば、耐火ライニング15は、長方形のレンガ16を支持する。
図2及び
図2Aは、より良い理解を目的とし、透明に示されたシェル12内の耐火ライニング15の層を単に示すにすぎないことに留意されたい。
図4に示す実施形態は、断熱性ライニング14の両方の層14.1及び14.2、並びに耐火レンガ15の層を示す。
【0038】
図4に示すように、特別な形状の耐火ライニング15のレンガ15.1は、例えば
図4に示す実施形態に見られるように、長手方向Xに沿ってレンガ16の層と整列していない。しかしながら、代替的な実施形態では、層耐火レンガ15.1は、レンガ16の層と長手方向に面一であってもよいことに留意されたい。
【0039】
図3に示すように、各レンガ16は、それぞれの層20を通って長手方向Xに沿って真っ直ぐに延びる複数の空洞22及び半空洞24を含む。
図3に示すレンガ16は、ガス出口38の反対側の最外層20の一部を形成する。異なるレンガ16の空洞22及び半空洞24は、隣り合う層18(図示せず)のレンガの空洞22及び半空洞24に対して互いに整列していることにより、空洞22及び半空洞24は、
図4に示すように、異なる層18、20を通って延びるチャネル26を形成する。換言すれば、レンガ16は、長手方向Xに沿って互いに平行な明確な直線経路を形成する。加えて、半空洞24は、各レンガ16の縁部領域に配置されるため、同じ層18、20内の隣接するレンガ16は、隣接するレンガのそれぞれの半空洞24、24が空洞22全体を形成するように互いに整列されてもよく、これは
図3にも示されている。
【0040】
図3に見られるように、複数の加熱ワイヤ28は、レンガ16の空洞22及び半空洞24を通って導かれる。各ワイヤ28は、空洞22、対応的にチャネル26の直径よりも小さい直径を有する。換言すれば、単一のワイヤ28が空洞22内に配置される。複数の加熱ワイヤの各電気加熱ワイヤ28は、ガス出口38に対向して配置されたU字形部分42を有する。この配置により、単一のワイヤ28は、隣接して配置された2つのチャネル26を横切ってもよい。したがって、ワイヤ28は、対応するチャネル26、対応的にチャネル26を形成する空洞24及び半空洞26を少なくとも部分的に通って延在する。電気ストーブが動作しているときに、ワイヤ28は、(還元性)ガスと接触している間に所定量の熱エネルギーを放散する。この配置は、ガス出口に近くの又はガス出口に近接して配置されたワイヤ部分であっても、加熱ワイヤ28の迅速な冷却を確実にする。
【0041】
図4は、センタリング要素44を備える電気ストーブ10の実施形態を示す。センタリング要素44は、レンガの空洞22と比較して小さい空洞(図示せず)の幾何学的形状を除いて、レンガ16の構造と同様の構造を有する。このため、ワイヤ28は、チャネル26内の略中心位置に載置される。結果として、ワイヤ28によって放散された熱は、ワイヤ28の周りを流れるガスに均一に分配される。センタリング要素44は、レンガ16のいくつかの層によって互いに離間している。換言すれば、センタリング要素の位置決めは、レンガ16の層によって形成されたマトリックス状構造内の規則的なパターンを表すと考えることができる。このため、センタリング要素44は、所定の距離で互いに離間している。
【0042】
図4はまた、電気ストーブ10の内部構造を概略的に示す。鋼シェルを参照符号12で示す。さらに、耐火レンガ15.1を備える耐火ライニング15は、断熱ライニング14に隣接して配置される。耐火ライニングレンガ15.1は、円筒状機器、対応的に円筒状シェル12の内側に空洞22、24を有する長方形のレンガ16の配置を提供するように特別に成形されている。円筒形状は、内圧から生じる応力をより均一に分散させることを可能にすることに留意されたい。
【0043】
第1の端部36と第2の端部40との間には、中間部54が延在する。中間部54は、レンガ16の異なる層18、20を含む。
【0044】
シェル12の表面の下に配置された断熱ライニング14の両方の層14.1及び14.2は、中間部54及び第2の端部40に沿って延在する。
図4に示す実施形態では、端部36、40はワイヤを誘導するレンガ16を必要としないので、耐火ライニング15は単に中間部54に沿って延在し、該レンガ16を支持する耐火ライニング15は該端部36、40に必要ではない。断熱性ライニング14並びに耐火ライニング15は、アルミニウム化合物をベースとする材料を含んでもよい。
【0045】
図4に示す実施形態では、第1の端部32には完全な断熱ライニング14が装備されておらず、単に断熱ライニング14.1の第1の層が装備されているだけであり、これは、第1の端部では温度が低く、必要とされる断熱が少ないという事実に起因する。
【0046】
図4からさらに導出することができるように、電気ストーブ10はまた、電気加熱ワイヤ28に電気接点を提供するための電気接続モジュール46を備える。
図4に示す実施形態では、電気接続モジュール46は、3つのコア48、50、52を備える三相通電ケーブル接続部に接続される。電気接続モジュール46は、複数の供給ポート34の近傍の第1の端部36内に配置される。接続モジュール46を第1の端部36に配置することにより、電気接続モジュール46とレンガの異なる層との間に十分な空間が設けられる。換言すれば、電気接続モジュール46は、レンガ16の層によって形成されたマトリックス状構造の外側に配置される。この領域では、熱伝達は、マトリックス状構造内のチャネルと比較してあまり効果的ではない。加圧されたガスを導入するための支持ポート34は、シェル12の中心長手方向軸の周りに(長手方向Xに沿って)半径方向に配置されることで、ホットスポット及び/又は低温領域につながる優先/無視された領域の出現を回避することを可能にする。一方、ガス出口38は、長手方向軸の周りに配置される。
【0047】
図1から
図4に示す電気ストーブ10の各々は、約25MW
tの電力範囲で動作するように構成されている。図示の実施形態では、電気ストーブは、約10mの長さ及び2mの直径を有する。機器の特徴、対応的に電気ストーブの構成要素は、電力範囲を拡大/縮小できるように構成可能である。
【0048】
説明した実施形態は、本発明の例である。実施形態の場合、それぞれの実施形態の記載された構成要素はそれぞれ、互いに独立して考慮されるべきであり、また互いに独立して本発明をさらに発展させる本発明の個々の特徴を表す。したがって、特徴はまた、個別に、又は示された組合せ以外の組合せで本発明の構成要素と見なされるべきである。さらに、記載された実施形態は、既に記載された本発明のさらなる特徴によって補足することもできる。本発明のさらなる特徴及び実施形態は、本開示及び特許請求の範囲の文脈において当業者にもたらされる。
【符号の説明】
【0049】
10 電気ストーブ
12 シェル
14 断熱性ライニング
15 耐火ライニング
16 レンガ
18 層
20 層
22 空洞
24 半空洞
26 チャネル
28 加熱ワイヤ
30 ガス入口
32 分配リング
34 供給ポート
36 第1の端部
38 ガス出口
40 第2の端部
42 U字形部分
44 センタリング要素
46 接続モジュール
48 コア
50 コア
52 コア
54 中間部
【国際調査報告】