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特表2024-536809少なくとも1つの出力放出光を放出することができるフォトニックチップ、及びそのようなチップを使用する光学部品
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  • 特表-少なくとも1つの出力放出光を放出することができるフォトニックチップ、及びそのようなチップを使用する光学部品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】少なくとも1つの出力放出光を放出することができるフォトニックチップ、及びそのようなチップを使用する光学部品
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/12 20060101AFI20241001BHJP
   G02B 6/124 20060101ALI20241001BHJP
   G02B 6/125 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G02B6/12 301
G02B6/124
G02B6/125 301
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518182
(86)(22)【出願日】2022-09-01
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 EP2022074313
(87)【国際公開番号】W WO2023046434
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】2109956
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522392508
【氏名又は名称】シンティル フォトニクス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シルヴィ メネゾ
(72)【発明者】
【氏名】トーリー ティエッセン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン チー チュン マク
【テーマコード(参考)】
2H147
【Fターム(参考)】
2H147AB04
2H147AB06
2H147AB11
2H147BC05
2H147BD03
2H147BE03
2H147BE13
2H147BE22
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの結合された放出光を生成するための集積フォトニックチップ(PIC)に関するものである。集積フォトニックチップ(PIC)は、異なる波長を有するレーザのバンク(LB)であって、第1の放出光(l1、l2)及び第2の放出光(l’1、l’2)を放出する少なくとも2つのレーザ(L1、L2)から構成されている、バンク、レーザのバンク(LB)に光学的に関連付けられ、少なくとも1つの光出力部(OO)上で、その光入力部で受光された放出光を結合して、結合させた放出光(l1+l’1、l2+l’2;l1+l2、l’1+l’2)を発生させるように構成されている、少なくとも2つのアクティブ結合デバイス(ACD1、ACD2)を、備える。本発明はまた、そのようなフォトニックチップを備える光学部品に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの結合された放出光を生成するための集積フォトニックチップ(PIC)であって、
-異なる波長を有する少なくとも2つのレーザ(L1、L2)から構成されるバンク(LB)であって、各レーザが、2つの端部によって画定される光学キャビティを備え、前記2つの端部からそれぞれ出射する第1の放出光(l1、l2)及び第2の放出光(l’1、l’2)を放出する、バンク(LB)、
-レーザの前記バンク(LB)に光学的に関連付けられた少なくとも2つのアクティブ結合デバイス(ACD1、ACD2)であって、各アクティブ結合デバイス(ACD1、ACD2)は、前記第1の放出光(l1、l2)及び前記第2の放出光(l’1、l’2)の一部を受光するための少なくとも第1の光入力部(Ol1、Ol2)及び第2の光入力部(Ol1’、Ol2’)を有し、少なくとも1つの光出力部(optical output、OO)において、前記各アクティブ結合デバイス(ACD1、ACD2)の光入力部(Ol1、Ol1’;Ol1、Ol2)において受光された前記放出光を結合して、結合された放出光(l1+l’1、l2+l’2;l1+l2、l’l+l’2)を発生させるように構成され、前記アクティブ結合デバイス(ACD1、ACD2)は、前記光出力部(OO)で発生させた前記結合された放出光(l1+l’1、l2+l’2;l1+l2、l’1+l’2)を制御するための、制御要素及び測定要素(PD、PS1、PS1’;PS2)を更に備える、少なくとも2つのアクティブ結合デバイス、
-レーザの前記バンク(LB)と前記アクティブ結合デバイス(ACD1、ACD2)との間で前記第1の放出光及び前記第2の放出光を直接伝搬するための導波路格子(waveguide grating、WG)、を備える、集積フォトニックチップ(PIC)。
【請求項2】
前記2つのレーザ(L1、L2)は、位相シフトレーザであり、その前記両端部が、帰還格子によって分離されている、請求項1に記載の集積フォトニックチップ(PIC)。
【請求項3】
各位相シフトレーザ(L1、L2)の前記光学キャビティは、前記キャビティ内に四分の一波長シフトを誘導する格子を備える、請求項2に記載の集積フォトニックチップ(PIC)。
【請求項4】
レーザの前記バンクの前記レーザ(L1、L2)は、少なくとも部分的に前記導波路格子(WG)を備える第1の部分と組み立てられる、請求項1~3のいずれか一項に記載の集積フォトニックチップ(PIC)。
【請求項5】
少なくとも1つの出力放出光の少なくとも1つの放出ゾーン(Z1~Z4)を備え、前記導波路格子(WG)はまた、前記チップの前記アクティブ結合デバイス(ACD1、ACD2)と前記少なくとも1つの放出ゾーン(Z1~Z4)との間で前記結合された放出光を伝搬する、請求項1~4のいずれか一項に記載の集積フォトニックチップ(PIC)。
【請求項6】
各アクティブ結合デバイス(ACD1、ACD2)は、レーザの前記バンク(LB)の位相シフトレーザ(L1、L2)に関連付けられ、前記位相シフトレーザ(L1、L2)の前記第1の放出物(l1、l2)及び前記第2の放出物(l’1、l’2)は、それぞれ、前記アクティブ結合デバイス(ACD1、ACD2)の前記第1の光入力部(Ol1)及び前記第2の光入力部(Ol2)へ向かってガイドされ、各アクティブ結合デバイス(ACD1、ACD2)が前記第1の放出物(l1、l2)及び前記第2の放出物(l’1、l’2)をコヒーレント結合するように、前記制御要素及び前記測定要素(PD、PS1、PS1’)が使用されることが可能である、請求項1~5のいずれか一項に記載の集積フォトニックチップ(PIC)。
【請求項7】
前記アクティブ結合デバイス(ACD1、ACD2)は、コヒーレント結合を実施し、
-前記第1の光入力部(Ol1)及び前記第2の光入力部(Ol2)へそれぞれ連結された2つの入力部と、2つの光出力部と、を有し、前記出力部のうちの第1の出力部は前記光出力部(OO)に連結されている、コンバイナ(CP)を備え、
-前記制御要素が、前記コンバイナ(CP)の前記入力部のうちの少なくとも1つの光学的に上流に配置された少なくとも1つのパイロット制御可能な位相シフタ(PS1、PS1’)を含み、
-前記測定要素が、前記コンバイナ(CP)の第2の出力部の光学的に下流に配置された光検出器(PD)を含む、請求項6に記載の集積フォトニックチップ(PIC)。
【請求項8】
各アクティブ結合デバイス(ACD1、ACD2)は、レーザの前記バンク(LB)の2つの位相シフトレーザ(L1、L2)に関連付けられ、前記2つの位相シフトレーザ(L1、L2)のうちの一方の放出物(l1、l’1、l2、l’2)は、前記第1の光入力部(Ol1)へ向かってガイドされ、前記2つの位相シフトレーザ(L1、L2)のうちの他方の放出物(l1、l’1、l2、l’2)は、前記第2の光入力部(Ol2)へ向かってガイドされ、各アクティブ結合デバイス(ACD1、ACD2)が、前記2つのレーザから出射する前記放出物をスペクトル結合するように、前記制御要素及び測定要素(LS1、LS2、PD)が使用されることが可能である、請求項1~5のいずれか一項に記載の集積フォトニックチップ(PIC)。
【請求項9】
前記アクティブ結合デバイス(ACD1、ACD2)は、スペクトル結合を実施し、
-第1のコンバイナ(CP1)及び第2のコンバイナ(CP2)であって、前記第1のコンバイナは、前記第1の光入力部(Ol1)及び前記第2の光入力部(Ol2)へそれぞれ連結された2つの入力部を有し、前記第2のコンバイナは、2つの出力部を有し、前記2つの出力部のうちの第1の出力部が前記光出力部(OO)に連結され、前記2つのコンバイナは、2つのアームによって互いに光学的に連結されている、第1のコンバイナ(CP1)及び第2のコンバイナ(CP2)、
-前記2つのアームのうちの一方に配置された遅延線(delay line、DL)を備え、
-前記制御要素が、前記第2のコンバイナ(CP2)の光学的に上流に配置された少なくとも1つのパイロット制御可能な位相シフタ(PS1、PS2)を含み、
-前記測定要素が、前記第2のコンバイナ(CP2)の前記第2の出力部の光学的に下流に配置された光検出器(photodetector、PD)を含む、請求項8に記載の集積フォトニックチップ(PIC)。
【請求項10】
第1のフォトニックブロック(B1)のアクティブ結合デバイス(ACD1)が、レーザの前記バンクの第1の側に配置され、第2のフォトニックブロック(B2)のアクティブ結合デバイス(ACD2)が、前記第1の側とは反対側の、レーザの前記バンクの第2の側に配置されている、請求項9に記載の集積フォトニックチップ(PIC)。
【請求項11】
レーザの前記バンクは、第1の結合段を形成する少なくとも2^n個のアクティブ結合デバイス(ACD1~ACDN)に関連付けられた2^n個の位相シフトレーザ(L1~LN)を備え、nは1より大きい整数であり、前記集積フォトニックチップ(PIC)は、前記第1の結合段の下流に配置された少なくとも第2の結合段を備え、前記第2の結合段は、少なくとも1つの二次結合デバイスから形成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の集積フォトニックチップ(PIC)。
【請求項12】
出力放出光の数は、前記位相シフトレーザ(L1~LN)の数以下である、請求項11に記載の集積フォトニックチップ(PIC)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの二次結合デバイスは、アクティブコヒーレント結合デバイス、アクティブスペクトル結合デバイス、パッシブ電力分配器(S)から形成されたリストから選択される、請求項11又は12に記載の集積フォトニックチップ(PIC)。
【請求項14】
前記導波路格子(WG)は、少なくとも1つのカプラ、例えばエッジカプラに関連付けられる、請求項11~13のいずれか一項に記載の集積フォトニックチップ(PIC)。
【請求項15】
前記位相シフトレーザ(L1、L2)は、段階的な放出波長を有する、請求項11~14のいずれか一項に記載の集積フォトニックチップ(PIC)。
【請求項16】
光学部品であって、請求項1~15のいずれか一項に記載の集積フォトニックチップ(PIC)と、前記アクティブ結合デバイス(ACD1、ACD2)の前記制御要素及び測定要素(PS1、PS1’、PS2、PD)に電気的に接続された制御集積回路(CTRL_IC)とを備え、前記集積制御回路(CTRL_IC)が、前記アクティブ結合デバイス(ACD1、ACD2)の前記光出力部(OO)上に発生させた前記出力放出光を制御するように構成されている、光学部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長分割多重方式を使用する通信の分野において非常に特殊な用途があるフォトニックチップに関するものである。本発明はまた、そのようなチップを使用する光学部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
データセンタのコンピューティングリソースとストレージリソース間の通信の必要性が増しており、400Gbit/s又は800Gbit/sにもなり得る高ビットレートを扱う波長分割多重方式(wavelength division multiplexing、WDM)において使用される通信チャネルの実装が必要とされている。
【0003】
この必要性に対処することを可能にする解決策の一部として、高出力のWDMソースを実装することが挙げられる。文献「WDM Source Based on High-Power,Efficient 1280-nm DFB Lasers for Terabit Interconnect Technologies」B.Buckley,IEEE PHOTONICS TECHNOLOGY LETTERS,VOL.30,NO.22,NOVEMBER15,2018に記載されているように、このような光源は、レーザキャビティに沿って分布されたブラッグ格子を備える分布型帰還レーザのバンクを備える。レーザは、通常100GHzずつ間隔をあけた段階的な波長で放出光を放出する。
【0004】
各レーザは、2つのファセットの間に画定された光学キャビティから形成され、ファセットの一方は実質的に透明であり、反射防止コーティングで覆われ、他方のファセットは基本的に反射性である。実質的に透明なファセットの側でレーザによって放出光は、受動光ミキサの入力ポートに伝搬される。このミキサは、出力ポートにおいて、入力ポートに供給された放出光を各々結合して複数の放出光を発生させる。したがって、これらの出力ポートにおいて発生させた出力放出物は、多波長である(スペクトルコムにおいて、コムの各ラインは、バンクのレーザによって放出された放出物に対応する)。次に、それらはファイバ格子を介して光ファイバに連結される。
【0005】
このようなレーザの製造は、光学キャビティの反射ファセットを高い精度で形成する必要があるので、繊細である。実際、反射ファセットをレーザの帰還ブラッグ格子に対して非常に正確に、50nm以内に、又はより適切に言えば20nm以内に位置決めすることが必要であり、これは、一般に使用されるレーザ割断技術では系統的に行うことができない。したがって、この製造方法の効率は比較的低く、50%程度であり、結果としてレーザの機能不全形成につながってしまう。この低い効率は、レーザのバンクの各レーザに適用されるので、なおさら問題であり、その結果、このバンクの製造効率は、N個のレーザを含む場合、1つのレーザのN乗の製造効率に相当し、これは、Nの高い値(典型的には8以上)に対して特に低くなり得る。
【0006】
また、このような反射ファセットを有する分布帰還型レーザによって放出される放出光の波長は、この反射ファセットの不正確な位置決めにより制御が不十分であることも既知である。この特徴は、出力放出物のスペクトル線間に存在する間隔の変動性をもたらすが、一般的には、この間隔が一定、例えば100GHzであることが望ましい。
【0007】
最後に、出力放出光を形成するために使用される受動光ミキサの著しい損失(特に挿入損失)は、ミキサが連結される光ファイバ内の利用可能な電力量に影響を及ぼす。したがって、前述の文献は、各出力放出物が10mWの電力量を有するように、それぞれの電力量が数百mWを有するレーザの形成を提案する。これらの損失は、光ミキサの入力/出力ポートの数とともに増す傾向があり、バンク内のレーザの数が多いときに問題となる。このようなミキサでは、入力放出物の電力量の全てを利用するために、入力ポート及び出力ポートの数は必然的に同じとなる。したがって、前述の文献において提案された解決策では、光ファイバの数をバンクのレーザの数と同じにする必要があり、これは、特定の用途において制限となり得る。
【0008】
発明の目的
本発明の目的は、これらの問題の少なくとも一部に対する解決策を提案することである。
【発明の概要】
【0009】
この目的を達成するために、本発明は、少なくとも1つの結合された放出光を生成するための集積フォトニックチップを提案する。集積フォトニックチップは、
-異なる波長を有する少なくとも2つのレーザから構成されるバンクであって、各レーザが、2つの端部によって画定される光学キャビティを備え、2つの端部からそれぞれ出射する第1の放出光及び第2の放出光を放出する、バンク、
-レーザのバンクに光学的に関連付けられた少なくとも2つのアクティブ結合デバイスであって、各アクティブ結合デバイスは、第1の放出光及び第2の放出光の一部を受光するための少なくとも第1の光入力部及び第2の光入力部を有し、少なくとも1つの光出力部において、各アクティブ結合デバイスの光入力部において受光された放出光を結合して、結合された放出光を発生させるように構成され、アクティブ結合デバイスは、光出力部で発生させた結合された放出光を制御するための、制御要素及び測定要素を更に備え、制御要素及び測定要素は、少なくとも1つのパイロット制御可能な位相シフタ及び光検出器を備える、少なくとも2つのアクティブ結合デバイス、
-レーザのバンクとアクティブ結合デバイスとの間で第1の放出光及び第2の放出光を直接伝搬するための導波路格子、を備える。
【0010】
本発明のその他の有利な非限定的特徴によれば、単独で、又は技術的に実現可能な任意の組合せに従って、以下のようになる。
-2つのレーザは位相シフトレーザであり、その両端部が、帰還格子によって分離されており、
-各位相シフトレーザの光学キャビティは、キャビティ内に四分の一波長シフトを誘導する格子を備え、
-レーザのバンクのレーザは、少なくとも部分的に導波路格子を備える第1の部分と組み立てられ、
-集積フォトニックチップは、少なくとも1つの出力放出光の少なくとも1つの放出ゾーンを備え、導波路格子はまた、チップのアクティブ結合デバイスと少なくとも1つの放出ゾーンとの間で結合された放出光を伝搬し、
-各アクティブ結合デバイスは、レーザのバンクの位相シフトレーザに関連付けられ、位相シフトレーザの第1の放出物及び第2の放出物は、それぞれ、アクティブ結合デバイスの第1の光入力部及び第2の光入力部へ向かってガイドされ、各アクティブ結合デバイスが第1の放出物及び第2の放出物をコヒーレント結合するように、制御要素及び測定要素が使用されることが可能であり、
-アクティブ結合デバイスはコヒーレント結合を実施し、
・第1の光入力部及び第2の光入力部へそれぞれ連結された2つの入力部と、2つの光出力部と、を有し、出力部のうちの第1の出力部は光出力部に連結されている、コンバイナを備え、
・制御要素が、コンバイナの入力部のうちの少なくとも1つの光学的に上流に配置された少なくとも1つのパイロット制御可能な位相シフタを含み、
・測定要素が、コンバイナの第2の出力部の光学的に下流に配置された光検出器を含み、
-各アクティブ結合デバイスは、レーザのバンクの2つの位相シフトレーザに関連付けられ、2つの位相シフトレーザのうちの一方の放出物は、第1の光入力部に向かってガイドされ、2つの位相シフトレーザのうちの他方の放出物は、第2の光入力部に向かってガイドされ、制御要素及び測定要素を使用して、各アクティブ結合デバイスが、2つのレーザから出射する放出物をスペクトル結合することが可能であり、
-アクティブ結合デバイスはスペクトル結合を実施し、
・第1のコンバイナ及び第2のコンバイナであって、第1のコンバイナは、第1の光入力部及び第2の光入力部へそれぞれ連結された2つの入力部を有し、第2のコンバイナは、2つの出力部を有し、2つの出力部のうちの第1の出力部が光出力部に連結され、2つのコンバイナは、2つのアームによって互いに光学的に連結されている、第1のコンバイナ及び第2のコンバイナ、
・2つのアームのうちの一方に配置された遅延線を備え、
・制御要素が、第2のコンバイナの光学的に上流に配置された少なくとも1つのパイロット制御可能な位相シフタを含み、
・測定要素が、第2のコンバイナの第2の出力部の光学的に下流に配置された光検出器を含み、
-第1のフォトニックブロックのアクティブ結合デバイスが、レーザのバンクの第1の側に配置され、第2のフォトニックブロックのアクティブ結合デバイスが、第1の側とは反対側の、レーザのバンクの第2の側に配置されており、
-レーザのバンクは、第1の結合段を形成する少なくとも2^n個のアクティブ結合デバイスに関連付けられた2^n個の位相シフトレーザを備え、nは1より大きい整数であり、集積フォトニックチップは、第1の結合段の下流に配置された少なくとも第2の結合段を備え、第2の結合段は、少なくとも1つの二次結合デバイスから形成されており、
-出力放出光の数は、位相シフトレーザの数以下であり、
-少なくとも1つの二次結合デバイスは、アクティブコヒーレント結合デバイス、アクティブスペクトル結合デバイス、パッシブ電力分配器から形成されたリストから選択され、
-導波路格子は、出力放出物の放出ゾーンに配置された少なくとも1つのカプラ、例えばエッジカプラと関連付けられ、
-位相シフトレーザは、段階的な放射波長を有する。
【0011】
別の態様によれば、本発明の目的は、上記で開示された集積フォトニックチップと、アクティブ結合デバイスの制御要素及び測定要素に電気的に接続された集積制御回路とを備え、集積制御回路が、アクティブ結合デバイスの光出力部上に発生させた出力放出光を制御するように構成されている、光学部品を提案する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照した本発明の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
図1】第1の実施形態のブロック図である。
図2図1のアクティブ結合デバイスのブロック図である。
図3】第1の実施形態による集積型フォトニックチップ及び光学部品の第1の例を示す。
図4】第2の実施形態のブロック図である。
図5a図4のアクティブ結合デバイスのブロック図である。
図5b図4のアクティブ結合デバイスのブロック図である。
図6】第2の実施形態による集積型フォトニックチップの第2の例を示す。
図7】第1及び第2の実施形態をハイブリッド化した集積フォトニックチップの第3の例を示す。
図8】第1及び第2の実施形態をハイブリッド化した集積フォトニックチップの第4の例を示す。
図9】第1及び第2の実施形態をハイブリッド化した集積フォトニックチップの第5の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明の主題である様々な実施形態及び例は、位相シフトレーザのバンクを使用する。レーザのバンクにおいて、レーザは、全体的に、異なる波長、例えば、決定された周波数帯域において均一に分布された階段状の波長を有する。本出願の導入部で提示された波長分割方式(WDM)を使用する通信の応用例では、例えば、本明細書の様々な実施形態及び例において、8個又は16個の位相シフトレーザで形成されたバンクを提供することが可能であり、その放出光は、50GHz、100GHz、200GHz、又は400GHzごとに互いに離された周波数を有する。
【0014】
レーザバンクを構成するレーザは、有利には、いわゆる「位相シフト」レーザである。これらは、分布帰還型レーザ、すなわち、ブラッグ格子を用いて放出される放出光の波長を選択するレーザである。この帰還格子は、光学キャビティに沿って分布しており、このキャビティは、格子の範囲によって画定される2つの端部を有する。したがって、本発明によれば、各位相シフトレーザは、光学キャビティの2つの端部からそれぞれ出射する第1の放出光及び第2の放出光を放出する。各レーザの光学キャビティは、このレーザが単一波長にわたってのみ放出することを保証するように、全体的にキャビティの中央に挿入された、四分の一波長シフトを誘導する格子を備える。
【0015】
集積フォトニックチップは、レーザバンクのレーザをチップの第1の部分と組み立てることによって得られ、この第1の部分は、その中に少なくともチップの導波路格子を形成するように予め処理されている。この組み立ては、例えば分子接着によって行うことができる。このような手法は、特に、文献T.Thiessen他「Back-Side-on-BOX Heterogeneous Integrated III-V-on-Silicon O-Band Distributed Feedback Lasers」in Journal of Lightwave Technology,vol.38,no.11,pp.3000-3006,2020に記載されている。この手法は、光学キャビティを形成する材料を割断して最初にファセットを形成する必要がなく、バンクのレーザを形成し、その放出物をチップの導波路格子に連結することを可能にする。
【0016】
位相シフトレーザは、非常に良好に制御された波長を有する放出光を提供するという利点を有する。その製造は、特に上述した組立技術を実施する場合、比較的容易であり、本願の導入部で述べたように、ファセットの1つが反射コーティングを備えた分布帰還型レーザの効率制限を受けない。しかしながら、そのようなレーザ構成は、2つの放出光、すなわち光学キャビティの端部の各々において放出物を放出し、これらの放出物の各々の光パワーが低減される(反射ファセットを有する分布帰還型レーザによって発生させた単一放出物の光パワーの2分の1未満)。
【0017】
提示される様々な実施形態は、レーザのバンクから出射する放出光を一緒に結合する目的で集積フォトニックチップの異なるアーキテクチャを提案することによって、この状況を改善する。したがって、N個の位相シフトレーザ(2N個の放出光が発生する)を有する集積フォトニックチップをM本の光ファイバに結合することが可能であり、MはN以下である。各光ファイバは、向上した電力量を有するチップからの結合された放出光を受光する。
【0018】
電力量PのN個のレーザのバンクを備え、電力量P/2の2N個の放出光が発生したフォトニックチップに関連付けられた受動ミキサの使用は、このミキサの出力部において、各々がP/4Nの電力量を有する2N個の結合された放出光を供給することにつながることに留意されたい(2N2Nミキサは、1/2N程度の損失を誘発する)。このような電力レベルは、特にこのNの数が比較的大きい場合には十分ではない。
【0019】
複数のレーザを備えたチップでは、光ルーティングの理由から、位相シフトレーザをチップ上に配置して、それらのそれぞれの端部を整列させることにより、第1の放出光が放出されるレーザバンクの第1の側と、第2の放出光が放出されるレーザバンクの第2の側とを画定することが有利である。様々な実施形態がこの有利な配置を繰り返すが、これは決して本発明を限定するものではない。一般に、レーザバンクを形成するレーザは、任意の適切な配置で配置され得る。
【0020】
図1は、集積フォトニックチップPICの第1の実施形態のブロック図を示す。チップPICは、ここでは説明を簡単にするために2つの位相シフトレーザL1、L2から形成されるレーザのバンクLBを備える。この実施形態では、レーザL1、L2によって放出された2つの放出光は、増大した電力量の結合された放出物を形成するために互いにコヒーレント結合される。
【0021】
第1の位相シフトレーザL1は、その端部の各々から第1の放出物l1及び第2の放出物l’1を放出する。同様に、第2の位相シフトレーザL2は、その端部の各々から第1の放出物l2及び第2の放出物l’2を放出する。既に述べたように、第1のレーザL1及び第2のレーザL2によって発生した放出物は、有利には異なる波長を有する。
【0022】
図1のブロック図の集積フォトニックチップPICは、図2に詳細に示される2つのアクティブ結合デバイスACD1、ACD2を備える。各アクティブ結合デバイスACD1、ACD2は、レーザL1、L2に関連付けられ、第1の放出光l1、l2と第2の放出光l’1、l’2とのコヒーレント結合を実行する。したがって、2つの結合された放出光l1+l’1、l2+l’2がレーザL1、L2によって発生させられ、それらはチップの放出ゾーンZ1、Z2にガイドされ、これらの放出ゾーンZ1、Z2は、例えばエッジカプラによって形成され得る。
【0023】
集積フォトニックチップPICはまた、レーザのバンクLBとアクティブ結合デバイスACD1、ACD2との間で第1の放出光及び第2の放出光を伝搬し、これらのアクティブ結合デバイスACD1、ACD2とチップZ1、Z2の放出ゾーンとの間で結合された放出光を伝搬するための導波路格子WGを備える。有利には、導波路WGは、レーザのバンクLBとアクティブ結合デバイスACD1、ACD2との間で第1の放出光及び第2の放出光を直接伝搬し、すなわち、これらの放出物は、この伝搬中に修正(例えば、変調)されない。
【0024】
本発明の全ての実施形態において、結合デバイスACD1、ACD2は、位相シフトレーザL1、L2から出射する放出光を制御し、特にこれらの放出光の位相を制御することによって完全に制御された方式でそれらを結合することを可能にする制御要素及び測定要素を備えるので、「アクティブ」であると言われる。制御要素及び測定要素は、少なくとも1つのパイロット制御可能な位相シフタ及び光検出器を備える。これらのデバイスのアクティブな性質のために、結合は0.5dB程度の低減された損失で実現され得る。これらの制御要素及び測定要素、特にパイロット制御可能な位相シフタ及び光検出器は、集積フォトニックチップPICの電気コンタクトパッドに電気的に接続される。集積制御回路CTRL_ICは、集積フォトニックチップPICに関連付けることができ、アクティブ結合デバイスACD1、ACD2の制御要素及び測定要素に電気的に接続される。集積制御回路CTRL_ICは、制御要素(例えば、パイロット制御可能な位相シフタ)を較正し、アクティブ結合デバイスACD1、ACD2の光出力部において発生させた結合された放出光を、これらの放出物が選択された設定点に適合するために、特に、全ての光パワーがこれらの光出力部のうちの1つにおいて伝送されるために、統制するように構成されている。この目的のために、集積制御回路は、光検出器によって提供される測定値を受信し、この測定値は、光制御の実施を可能にする。
【0025】
図2は、第1の実施形態の第1のアクティブ結合デバイスACD1を示し、第2のアクティブ結合デバイスACD2は同一のアーキテクチャを有することが理解される。第1のアクティブ結合デバイスACD1は、第1のレーザL1からの第1の放出光l1及び第2の放出光l’1をそれぞれ受光するための第1の光入力部Ol1及び第2の光入力部Ol1’を有する。第1のアクティブ結合デバイスACD1はまた、光入力部Ol1、Ol1’で受光された放出光をコヒーレント結合する、放出光l1+l’1を発生させる光出力部OOを有する。このような結合は、例えば、マルチモード干渉計又はY接合導波路によって実行されるコンバイナCPによって実施される。コンバイナCPは、第1の光入力部Ol1及び第2の光入力部Ol1’にそれぞれ連結された2つの入力部と、2つの出力部とを有し、そのうちの第1の出力部は、アクティブ結合デバイスACD1の光出力部OOに連結される。
【0026】
このコヒーレント結合を可能にするために、図2に示される第1のアクティブ結合デバイスACD1は、コンバイナCPの入力部の光学的に上流に配置された2つのパイロット制御可能な位相シフタPS1、PS1’を備える。これらは、熱光学位相シフタであり得る。位相シフタPS1、PS1’によって放出物に伝搬した位相遅延は、制御デバイスCTRL_ICによって発生させた電気信号PS_ctrlによって制御可能である。一般に、この第1の実施形態のアクティブ結合デバイスACD1は、少なくとも1つのパイロット制御可能な位相シフタを備え、これはコヒーレント結合を可能にするのに十分であるが、この結合を可能にする条件を達成するためにかなりの量のエネルギーを必要とする場合がある。このため、有利には、アクティブ結合デバイスに2つのパイロット制御可能な位相シフタを装備することが提案される。
【0027】
図2に示される第1のアクティブ結合デバイスACD1はまた、コンバイナCPの第2の出力部の光学的に下流に光検出器PDを備える。この光検出器は、制御デバイスCTRL_ICに供給される電気信号TAPを発生させる。
【0028】
動作中、制御デバイスCTRL_ICは、制御信号PS_ctrlを使用して、位相シフタPS1、PS1’によって導入される位相を調整して、信号の光パワーの最大値が、光出力部OOに向かって伝搬するコンバイナCPの出力部において結合されるようにする。これを行うために、制御デバイスCTRL_ICは、光検出器PDによって供給される測定信号を使用して、コンバイナの他のチャネル上で利用可能な光パワーを測定し、それを最小化しようとする。換言すれば、制御デバイスCTRL_ICは、光検出器PDによって供給される測定信号TAPを最小化する目的で、コンバイナCPを使用して第1の放出物l1及び第2の放出物l’1を結合する前に第1の放出物l1及び第2の放出物l’1の位相を調整することによって統制を実施する。
【0029】
図3は、本発明のこの第1の実施形態による集積フォトニックチップPIC及び光学部品の第1の例を示す。チップPICのアクティブ結合デバイスACD1~ACDNを制御するように意図された全ての制御及び測定信号PS_ctrl、TAPを一緒にグループ化するバスBUSを使用して集積フォトニックチップPICに電気的に接続された制御デバイスCTRL_ICが、ここでも見出される。
【0030】
この例では、集積フォトニックチップPICは、N個(例えば、8個、16個、又はそれ以上)の位相シフトレーザを備える。各位相シフトレーザL1~LNは、アクティブ結合デバイスACD1~ACDNと関連付けられ、このデバイスは、レーザを形成する光学キャビティの端部の各々によって供給される2つの放出光をコヒーレント結合する。
【0031】
結合された放出光は、この例では、放出ゾーンZ1~Znに向かってガイドされ、そこで、N本の光ファイバF1~FNの格子に連結される。これらの放出ゾーンZ1~ZNは、ファイバF1~FNへ結合された放出物の注入を容易にするために、連結手段、例えばエッジカプラ又は表面連結格子を備えることができる。もちろん、結合された放出光への任意の所望の変換を実施するために、他の光学素子を、結合された放出物伝播経路上に、集積フォトニックチップ内に、又は集積フォトニックチップの外側に設けることが可能である。
【0032】
図4は、本発明による集積フォトニックチップPICの第2の実施形態のブロック図を示す。
【0033】
図4のブロック図のチップPICは、記載を簡単にするために、2つの位相シフトレーザL1、L2から形成されるレーザのバンクLBを備える。レーザのバンクLBは、本発明を実施するための形態の最初の部分に示されたバンクの全ての特徴を有する。2つの位相シフトレーザL1、L2は、とりわけ異なる波長を有する第1の放出光l1、l’1及び第2の放出光l2、l’2を放出する。この実施形態では、2つの位相シフトレーザL1、L2によって放出された放出光は、増大した電力量の結合マルチスペクトル放射を形成するためにスペクトル結合される。
【0034】
したがって、図4において非常に明確に確認することができるように、第1の位相シフトレーザL1によって放出された第1の放出光l1及び第2の位相シフトレーザL2によって放出された第1の放出光l2は両方とも、第1のアクティブ結合デバイスACD1の光入力部0l1、0l2上にガイドされるので、この実施形態では、第1の結合された放出光l1+l2を形成するために2つの第1の放出光l1、l2のスペクトル結合を生じさせる。同様に、第1の位相シフトレーザL1によって放出された第2の放出光l’1及び第2の位相シフトレーザL2によって放出された第2の放出光l’2は、両方とも、結合された放出光l’1+l’2を形成するために、第2のアクティブ結合デバイスACD2の光入力部Ol1、Ol2上にガイドされる。したがって、アクティブ結合デバイスACD1、ACD2は、マルチプレクサ又はインターリーバを構成している。
【0035】
第1の実施形態と同様に、この第2の実施形態の集積フォトニックチップPICは、レーザのバンクLBとアクティブ結合デバイスACD1、ACD2との間で第1の放出光及び第2の放出光を伝搬し、アクティブ結合デバイスACD1、ACD2とチップの放出ゾーンZ1、Z2との間で結合された放出光を伝搬するための導波路格子WGを備える。もちろん、第1の実施形態と同様に、結合された放出光への任意の所望の変換を実施するために、他の光学素子を、結合された放出物伝播経路上に、集積フォトニックチップPIC内に、又は集積フォトニックチップの外側に設けることが可能である。
【0036】
集積フォトニックチップPICはまた、アクティブ結合デバイスACD1、ACD2の制御要素に電気的に接続され、第1の実施形態で提示されたものと同様の制御集積回路CTRL_ICに関連付けることができる。したがって、集積制御回路CTRL_ICは、アクティブ結合デバイスACD1、ACD2が所望のスペクトル結合を実行するためにアクティブ結合デバイスACD1、ACD2の動作を制御するように構成されている。この目的のために、集積制御回路CTRL_ICは、アクティブ結合デバイスACD1、ACD2から測定信号TAPを受信し、これらのデバイスに向けられた制御信号PS_ctrlを発生させる。
【0037】
図5aは、図4の第1のアクティブ結合デバイスACDのブロック図であり、第2のアクティブ結合デバイスACD2が同一のアーキテクチャを有することが理解される。一般に、第2の実施形態のこのアクティブ結合デバイスACDは、マッハツェンダ干渉計とすることができる。より正確には、この第1のアクティブ結合デバイスACD1は、2つのレーザL1、L2の第1の放出光l1、l2をそれぞれ受光するための第1の光入力部Ol1及び第2の光入力部Ol2を有する。これはまた、光入力部Ol1、Ol2で受光された放出光をスペクトル結合して、結合された放出光l1+l2が発生した光出力部OOを有する。このような結合は、例えば、マルチモード干渉計又はY接合導波路によって形成される2つのコンバイナCP1、CP2によって実施される。第1のコンバイナCP1は、第1の光入力部Ol1及び第2の光入力部Ol2にそれぞれ連結された2つの入力部と、第2のコンバイナCP2の2つの入力部にそれぞれ連結された2つの出力部とを有する。この第2のコンバイナCP2自体は、2つの出力部を有し、この第1の出力部は、アクティブ結合デバイスACD1の光出力部OOに連結される。
【0038】
著しい光損失することなくスペクトル結合を可能にするために、図5aに示される第1のアクティブ結合デバイスACD1は、2つのコンバイナCP1、CP2の間に光学的に配置された2つのパイロット制御可能な位相シフタPS1、PS2を備える。第1の実施形態と同様に、デバイスに単一のパイロット制御可能な位相シフタを設けることができる。位相シフタPS1、PS2によって放出光に伝搬した位相偏移は、制御デバイスCTRL_ICによって発生させた制御電気信号PS_ctrlによって制御可能である。コンバイナCP1、CP2を接続する2つのアームのうちの1つは、遅延線を形成する追加の導波路部分DLを備える。周知のように、追加の導波路部分DLの長さは、アクティブ結合デバイスの透過関数、すなわち、第1の放出光が出力部において結合されることを可能にするために、デバイスの入力部において第1の放出光が有さなくてはならないスペクトル偏差を決定する。このデバイスの詳細な説明は、特に、文献「Wavelength Filters for Fibre Optics」H.Venghaus編、Springer Series in Optical Sciences,Vol.123,Springer,pp.381-432に記載されている。
【0039】
図5aに示される第1のアクティブ結合デバイスACD1はまた、第2のコンバイナCP2の第2の出力部の光学的に下流に光検出器PDを備える。この光検出器は、制御デバイスCTRL_ICに供給される電気測定信号TAPを発生させる。
【0040】
動作中、制御デバイスCTRL_ICは、制御信号PS_ctrlを使用して、位相シフタPS1、PS2によって導入される位相を調整して、放出物の光パワーの最大値が、光出力部OOに向かって伝搬するカプラの出力部において結合されるようにする。これを行うために、制御デバイスCTRL_ICは、光検出器PDによって供給される測定信号を使用して、カプラの他のチャネル上で利用可能な光パワーを測定し、この結果、光パワーを最小化しようとする。
【0041】
図5bは、図5aに示されたものに対する代替のブロック図を示し、第1のアクティブ結合デバイスACDは、この場合、共振リングによって実装される。共振リングRRは、アクティブ結合デバイスACDの光入力部と光出力部との間に配置された2つのアームの間に配置される。共振リングRR上には位相シフタPSが配置されている。出力部の1つにはまた、光検出器PDが装備されている。
【0042】
図6は、本発明の第2の実施形態による集積フォトニックチップPICの第2の例を示す。図の読みやすさのために、制御デバイスCTRL_ICの図示は省略されているが、このようなデバイスは、機能的光学部品を形成するために、図3の例1において提示されたように、集積フォトニックチップPICに電気的に接続されて提供され得る。
【0043】
レーザのバンクLBは、集積フォトニックチップPICの中心に、第1のフォトニックブロックB1と第2のフォトニックブロックB2との間に配置される。これら2つのブロックB1、B2は、この例では同一の構成を有するので、第1のブロックB1のアーキテクチャのみが詳細に示されている。当然ながら、これらの2つのブロックが完全に同一である必要はない。各ブロックは、2つの放出ゾーンZ1、Z2において、レーザのバンクLBの位相シフトレーザの放出光をスペクトル結合する2つの出力放出光を提供するために、第2の実施形態の基本方式を実施することによって、8つの位相シフトレーザから出射している放出物をそれらの間で結合する。
【0044】
レーザのバンクLBの位相シフトレーザL1~L8は、段階状の波長を有し、連続するインデックスLi、Li+1を有する2つのレーザは、この例では100GHzのスペクトル分離帯域によって分離されている。もちろん、応用分野によるこのスペクトル分離帯域の値、全ての放出に対応するために利用可能なスペクトル帯域幅、及びレーザのバンクLB内の位相シフトレーザの数は、自由に選択することができる。
【0045】
図6及び第1のフォトニックブロックB1の説明を続けると、後者は、2つの異なる位相シフトレーザの2つの第1の放出光にそれぞれ関連付けられた4つのアクティブ結合デバイスACD1~ACD4を備える。4つの結合された放出光がこのように形成され、したがって、これらの結合された放出光の各々は、元の位相シフトレーザの各々の放射波長に対応する2つのスペクトル線を有する。これら4つのアクティブ結合デバイスACD1~ACD4は類似しており、第1のブロックの第1の結合段を形成する。
【0046】
図6の例では、2つのアクティブな二次結合デバイスACDa~ACDbから構成される第2の結合段が提供される。結合された放出光は、これらの2つのデバイスの入力部へ対でガイドされ、デバイスが、2つの結合された放出光を供給するために、これらの放出物を次々に対で結合させる。したがって、各放出物が、元の位相シフトレーザの各々の放出波長に対応する4つのスペクトル線を有する。より正確には、第1の二次デバイスACDaは、それが光学的に連結される第1の4つのレーザL1~L4のスペクトル成分を有する放出光l1+l2+l3+l4を供給する。同様に、第2の二次デバイスACDbは、それが光学的に連結されるバンクの他方の4つのレーザL5~L8のスペクトル成分を有する放出光l5+l6+l7+l8を供給する。この2段結合を容易にするために、位相シフトレーザL1~LNは、インターリーブ方式で第1段のアクティブ結合デバイスに関連付けられ、同じアクティブ結合デバイスに関連付けられた2つの位相シフトレーザは、200GHzだけシフトされることに留意されたい。このようにして、第1のブロックB1の第2の段のスペクトル結合が、互いに100GHz分離されたスペクトル線を有する2つの放出光に対して行われることが保証される。
【0047】
最後に、図6の例の第1のフォトニックブロックは、第3の段において、第2の段から出射する結合された放出光を受動的に結合するためのデバイスを構成するパワーディバイダSを備える。このパッシブ結合デバイスは第3の結合段を構成する。このようなパッシブデバイスは、3.5dB程度の比較的大きな光損失にはなるが、第1のフォトニックブロックB1の第2の段から出る2つの結合された放出光を容易に(アクティブ制御手段なしで)結合することを可能にする。この第1のブロックは、最終的に、2つの放出ゾーンZ1、Z2において、レーザのバンクLBの8つの位相シフトレーザL1~L8から出射する放出物をスペクトル結合する2つの出力放出物を発生させる。複数の結合から生じる各出力放出物は、比較的高いパワーを有することが理解されるであろう。既に述べたように、集積フォトニックチップの第2のフォトニックブロックB2は、第1のフォトニックブロックB1のアーキテクチャと同一のアーキテクチャを有することができ、その結果、最終的に集積フォトニックチップPICは、4つの出力放出光を生成し、これらの出力放出光は、図示されていない4つの光ファイバの格子に連結することができる。
【0048】
より一般的には、各フォトニックブロックB1、B2は、複数の結合段を備えることができ、各段は、少なくとも1つのアクティブ又はパッシブ結合デバイスから構成されることが理解される。2以上の次数の段に存在する結合デバイスは、本出願では二次結合デバイスと呼ばれる。したがって、(アクティブ結合デバイスを優先することによって)特に効果的なフォトニックチップを形成し、チップの出力ポートの数を制限することが可能であり、すなわち、出力放出光に対して、位相シフトレーザの数とは無関係に、各出力放出光が比較的高い光パワーを有する。したがって、各々が2つの出力光ビームを発生させるN個の位相シフトレーザを有する集積フォトニックチップを提案し、このチップPICをM本の光ファイバに効果的に連結することが可能であり、(複数の結合段の場合)Mは、N未満又は(単一の結合段を有するチップPICの場合)Nに等しい。
【0049】
図7は第1及び第2の実施形態をハイブリッド化した集積フォトニックチップPICの第3の例を示す。図を簡略化するために、全てのアクティブ結合デバイスについて、制御要素及び測定要素並びに関連する信号は図示されていない。しかしながら、それらはもちろん存在する。
【0050】
この例では、8つの位相シフトレーザL1~L8が、第1の実施形態による8つのアクティブ結合デバイスACD1~ACD8から形成された第1の結合段に関連付けられている。したがって、各アクティブ結合デバイスは、この関連付けられた位相シフトレーザから出射する2つの放出物のコヒーレント結合を実施する。
【0051】
この第1の段は、第2の実施形態に従って、すなわちスペクトル結合を実施する二次アクティブ結合デバイスの3つの他の連続する段に導波路格子によって光学的に接続される。第2の段は4個の二次アクティブ結合デバイスACD1’~ACD4’から構成され、第3の段は2つの二次アクティブ結合デバイスACDa、ACDbから構成され、第4の段は単一の二次アクティブ結合デバイスACDcから構成されている。
【0052】
この第3の例の集積フォトニックチップは、アクティブ結合デバイスのみを使用し、これは、(統制の複雑さの程度がわずかに高くなるという犠牲を払って)光損失を低減する傾向がある。レーザのバンクによって生成される全ての光パワーは、損失を除いて、単一の放出ゾーンZ1において、チップPICの単一の出力放出物で利用可能になる。この出力放出物は、バンクLBの8つの位相シフトレーザLS1~LS8のスペクトル成分を伝達する。
【0053】
図8は、第1及び第2の実施形態をハイブリッド化した集積フォトニックチップPICの第4の例を示す。これは、図7の第3の例のフォトニックチップの変形例であり、第4の段の二次アクティブ結合デバイスがパッシブ結合デバイスSに置き換えられている。Sは、電力分配器であり得る。レーザのバンクによって生成される光パワーは、2つの放出ゾーンZ1、Z2において、チップPICの2つの出力放出物で利用可能になる。
【0054】
図9は、第1及び第2の実施形態をハイブリッド化した光集積チップPICの第5の例を示す。これは、図7及び図8の第3の例及び第4の例のフォトニックチップPICの変形例であり、第4及び第3の段の二次アクティブ結合デバイスACDa、ACDb、ACDcは、電力分配器などのパッシブ結合デバイスSに置き換えられている。レーザのバンクによって生成される光パワーは、4つの放出ゾーンZ1~Z4において、チップPICの4つの出力放出物で利用可能になる。このアーキテクチャは、この図においてXで示されたゾーンにおいて2つの導波路の交差を必要とし、この交差は0.5dB程度の損失を引き起こすことに留意されたい。
【0055】
当然ながら、本発明は、説明された実施形態に限定されず、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、変形実施形態をそれに追加することができる。
【0056】
本出願の前の段落で述べた利点のために多くの用途において好ましいタイプのレーザを形成する分布帰還型位相シフトレーザのバンクの使用が示されたが、本発明はこのタイプのレーザに決して限定されない。本発明は、より一般的には、レーザによって形成される任意のバンクに適用され、各レーザは、2つの端部によって画定される光学キャビティを備え、かつ2つの端部からそれぞれ出射する第1の放出光及び第2の放出光を放出する。
【0057】
集積フォトニックチップPIC上のコンタクトパッドの数を低減し、測定信号のルーティングを容易にするために、アクティブ結合デバイスACD1~ACDNの測定信号TAPを伝達する全ての導電線を互いに接続することができる。したがって、単一の電気測定信号がチップPICの単一のパッドで利用可能となり、この測定信号は、チップPICのアクティブ結合デバイスの全ての光検出器で利用可能な光パワーを表す。この測定信号を制御デバイスCTRL_ICの単一の入力部に送信するために、バスBUSの単一の線がこの測定信号を伝達する。後者は、各アクティブ結合デバイスACD1~ACDNの位相シフタの制御信号PS_ctrlを較正及び/又は統制するためのプログラムを実施する。この較正及び/又は統制プログラムの目的は、例えばチップの始動段階中に、単一の測定信号によって伝達される値を最小化することである。
【0058】
そのようなプログラムの代替品として、制御デバイスCTRL_ICによって制御可能であり、選択されたアクティブ結合デバイスの光検出器を集積フォトニックチップの単一のコンタクトパッドに接続することを可能にするマルチウェイスイッチを集積フォトニックチップに装備することが提案され得る。
【0059】
更に、様々な実施形態及び実施例において、結合された放出物が集積フォトニックチップの放出ゾーンに向かって直接ガイドされることが説明及び図示されているが、この特徴は必須ではない。したがって、これらの結合された放出光の伝搬を遮断する他のデバイス、例えば、変調格子が、導波路格子によってチップの放出ゾーンに向かって伝搬される前に挿入されることを提供することが可能である。
【0060】
更に一般的には、集積フォトニックチップが放出ゾーンを有する必要はない。集積フォトニックチップは、例えばコンピューティングデバイスとメモリデバイスとの間に集積通信デバイスを構成することができ、チップを光ファイバに連結したり、自由伝搬によって出力放出光を伝搬させたりする必要がなく、これら2つのデバイス間でデータを通信することを可能にする。この場合、結合された放出物を調製するための上述の手段に加えて、この放出物を変調及び受光するための手段を備える。したがって、一般的に、本発明の目的は、バンクのレーザから少なくとも1つの結合された放出光を生成することである。このレーザは、DFB、DBR(分布反射型レーザ)、又はDML(直接変調レーザ)タイプであってもよい。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-03-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの結合された放出光を生成するための集積フォトニックチップ(PIC)であって、
-異なる波長を有する少なくとも2つのレーザ(L1、L2)から構成されるバンク(LB)であって、各レーザが、2つの端部によって画定される光学キャビティを備え、前記2つの端部からそれぞれ出射する第1の放出光(l1、l2)及び第2の放出光(l’1、l’2)を放出する、バンク(LB)、
-レーザの前記バンク(LB)に光学的に関連付けられた少なくとも2つのアクティブ結合デバイス(ACD1、ACD2)であって、各アクティブ結合デバイス(ACD1、ACD2)は、前記第1の放出光(l1、l2)及び前記第2の放出光(l’1、l’2)の一部を受光するための少なくとも第1の光入力部(Ol1、Ol2)及び第2の光入力部(Ol1’、Ol2’)を有し、少なくとも1つの光出力部(optical output、OO)において、前記各アクティブ結合デバイス(ACD1、ACD2)の光入力部(Ol1、Ol1’;Ol1、Ol2)において受光された前記放出光を結合して、結合された放出光(l1+l’1、l2+l’2;l1+l2、l’l+l’2)を発生させるように構成され、前記アクティブ結合デバイス(ACD1、ACD2)は、前記光出力部(OO)で発生させた前記結合された放出光(l1+l’1、l2+l’2;l1+l2、l’1+l’2)を制御するための、制御要素及び測定要素(PD、PS1、PS1’;PS2)を更に備える、少なくとも2つのアクティブ結合デバイス、
-レーザの前記バンク(LB)と前記アクティブ結合デバイス(ACD1、ACD2)との間で前記第1の放出光及び前記第2の放出光を直接伝搬するための導波路格子(waveguide grating、WG)、を備える、集積フォトニックチップ(PIC)。
【請求項2】
前記2つのレーザ(L1、L2)は、位相シフトレーザであり、その前記両端部が、帰還格子によって分離されている、請求項1に記載の集積フォトニックチップ(PIC)。
【請求項3】
各位相シフトレーザ(L1、L2)の前記光学キャビティは、前記キャビティ内に四分の一波長シフトを誘導する格子を備える、請求項2に記載の集積フォトニックチップ(PIC)。
【請求項4】
レーザの前記バンクの前記レーザ(L1、L2)は、少なくとも部分的に前記導波路格子(WG)を備える第1の部分と組み立てられる、請求項1に記載の集積フォトニックチップ(PIC)。
【請求項5】
少なくとも1つの出力放出光の少なくとも1つの放出ゾーン(Z1~Z4)を備え、前記導波路格子(WG)はまた、前記チップの前記アクティブ結合デバイス(ACD1、ACD2)と前記少なくとも1つの放出ゾーン(Z1~Z4)との間で前記結合された放出光を伝搬する、請求項1に記載の集積フォトニックチップ(PIC)。
【請求項6】
各アクティブ結合デバイス(ACD1、ACD2)は、レーザの前記バンク(LB)の位相シフトレーザ(L1、L2)に関連付けられ、前記位相シフトレーザ(L1、L2)の前記第1の放出(l1、l2)及び前記第2の放出(l’1、l’2)は、それぞれ、前記アクティブ結合デバイス(ACD1、ACD2)の前記第1の光入力部(Ol1)及び前記第2の光入力部(Ol2)へ向かってガイドされ、各アクティブ結合デバイス(ACD1、ACD2)が前記第1の放出(l1、l2)及び前記第2の放出(l’1、l’2)をコヒーレント結合するように、前記制御要素及び前記測定要素(PD、PS1、PS1’)が使用されることが可能である、請求項1に記載の集積フォトニックチップ(PIC)。
【請求項7】
前記アクティブ結合デバイス(ACD1、ACD2)は、コヒーレント結合を実施し、
-前記第1の光入力部(Ol1)及び前記第2の光入力部(Ol2)へそれぞれ連結された2つの入力部と、2つの光出力部と、を有し、前記出力部のうちの第1の出力部は前記光出力部(OO)に連結されている、コンバイナ(CP)を備え、
-前記制御要素が、前記コンバイナ(CP)の前記入力部のうちの少なくとも1つの光学的に上流に配置された少なくとも1つのパイロット制御可能な位相シフタ(PS1、PS1’)を含み、
-前記測定要素が、前記コンバイナ(CP)の第2の出力部の光学的に下流に配置された光検出器(PD)を含む、請求項6に記載の集積フォトニックチップ(PIC)。
【請求項8】
各アクティブ結合デバイス(ACD1、ACD2)は、レーザの前記バンク(LB)の2つの位相シフトレーザ(L1、L2)に関連付けられ、前記2つの位相シフトレーザ(L1、L2)のうちの一方の放出(l1、l’1、l2、l’2)は、前記第1の光入力部(Ol1)へ向かってガイドされ、前記2つの位相シフトレーザ(L1、L2)のうちの他方の放出(l1、l’1、l2、l’2)は、前記第2の光入力部(Ol2)へ向かってガイドされ、各アクティブ結合デバイス(ACD1、ACD2)が、前記2つのレーザから出射する前記放出をスペクトル結合するように、前記制御要素及び測定要素(LS1、LS2、PD)が使用されることが可能である、請求項1に記載の集積フォトニックチップ(PIC)。
【請求項9】
前記アクティブ結合デバイス(ACD1、ACD2)は、スペクトル結合を実施し、
-第1のコンバイナ(CP1)及び第2のコンバイナ(CP2)であって、前記第1のコンバイナは、前記第1の光入力部(Ol1)及び前記第2の光入力部(Ol2)へそれぞれ連結された2つの入力部を有し、前記第2のコンバイナは、2つの出力部を有し、前記2つの出力部のうちの第1の出力部が前記光出力部(OO)に連結され、前記2つのコンバイナは、2つのアームによって互いに光学的に連結されている、第1のコンバイナ(CP1)及び第2のコンバイナ(CP2)、
-前記2つのアームのうちの一方に配置された遅延線(delay line、DL)を備え、
-前記制御要素が、前記第2のコンバイナ(CP2)の光学的に上流に配置された少なくとも1つのパイロット制御可能な位相シフタ(PS1、PS2)を含み、
-前記測定要素が、前記第2のコンバイナ(CP2)の前記第2の出力部の光学的に下流に配置された光検出器(photodetector、PD)を含む、請求項8に記載の集積フォトニックチップ(PIC)。
【請求項10】
第1のフォトニックブロック(B1)のアクティブ結合デバイス(ACD1)が、レーザの前記バンクの第1の側に配置され、第2のフォトニックブロック(B2)のアクティブ結合デバイス(ACD2)が、前記第1の側とは反対側の、レーザの前記バンクの第2の側に配置されている、請求項9に記載の集積フォトニックチップ(PIC)。
【請求項11】
レーザの前記バンクは、第1の結合段を形成する少なくとも2^n個のアクティブ結合デバイス(ACD1~ACDN)に関連付けられた2^n個の位相シフトレーザ(L1~LN)を備え、nは1より大きい整数であり、前記集積フォトニックチップ(PIC)は、前記第1の結合段の下流に配置された少なくとも第2の結合段を備え、前記第2の結合段は、少なくとも1つの二次結合デバイスから形成されている、請求項1に記載の集積フォトニックチップ(PIC)。
【請求項12】
出力放出光の数は、前記位相シフトレーザ(L1~LN)の数以下である、請求項11に記載の集積フォトニックチップ(PIC)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの二次結合デバイスは、アクティブコヒーレント結合デバイス、アクティブスペクトル結合デバイス、パッシブ電力分配器(S)から形成されたリストから選択される、請求項11に記載の集積フォトニックチップ(PIC)。
【請求項14】
前記導波路格子(WG)は、少なくとも1つのカプラ、例えばエッジカプラに関連付けられる、請求項11に記載の集積フォトニックチップ(PIC)。
【請求項15】
前記位相シフトレーザ(L1、L2)は、段階的な放出波長を有する、請求項11に記載の集積フォトニックチップ(PIC)。
【請求項16】
光学部品であって、請求項1~15のいずれか一項に記載の集積フォトニックチップ(PIC)と、前記アクティブ結合デバイス(ACD1、ACD2)の前記制御要素及び測定要素(PS1、PS1’、PS2、PD)に電気的に接続された制御集積回路(CTRL_IC)とを備え、前記集積制御回路(CTRL_IC)が、前記アクティブ結合デバイス(ACD1、ACD2)の前記光出力部(OO)上に発生させた前記出力放出光を制御するように構成されている、光学部品。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長分割多重方式を使用する通信の分野において非常に特殊な用途があるフォトニックチップに関するものである。本発明はまた、そのようなチップを使用する光学部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
データセンタのコンピューティングリソースとストレージリソース間の通信の必要性が増しており、400Gbit/s又は800Gbit/sにもなり得る高ビットレートを扱う波長分割多重方式(wavelength division multiplexing、WDM)において使用される通信チャネルの実装が必要とされている。
【0003】
この必要性に対処することを可能にする解決策の一部として、高出力のWDMソースを実装することが挙げられる。文献「WDM Source Based on High-Power,Efficient 1280-nm DFB Lasers for Terabit Interconnect Technologies」B.Buckley,IEEE PHOTONICS TECHNOLOGY LETTERS,VOL.30,NO.22,NOVEMBER15,2018に記載されているように、このような光源は、レーザキャビティに沿って分布されたブラッグ格子を備える分布型帰還レーザのバンクを備える。レーザは、通常100GHzずつ間隔をあけた段階的な波長で放出光を放出する。
【0004】
各レーザは、2つのファセットの間に画定された光学キャビティから形成され、ファセットの一方は実質的に透明であり、反射防止コーティングで覆われ、他方のファセットは基本的に反射性である。実質的に透明なファセットの側でレーザによって放出光は、受動光ミキサの入力ポートに伝搬される。このミキサは、出力ポートにおいて、入力ポートに供給された放出光を各々結合して複数の放出光を発生させる。したがって、これらの出力ポートにおいて発生させた出力放出は、多波長である(スペクトルコムにおいて、コムの各ラインは、バンクのレーザによって放出された放出に対応する)。次に、それらはファイバ格子を介して光ファイバに連結される。
【0005】
このようなレーザの製造は、光学キャビティの反射ファセットを高い精度で形成する必要があるので、繊細である。実際、反射ファセットをレーザの帰還ブラッグ格子に対して非常に正確に、50nm以内に、又はより適切に言えば20nm以内に位置決めすることが必要であり、これは、一般に使用されるレーザ割断技術では系統的に行うことができない。したがって、この製造方法の効率は比較的低く、50%程度であり、結果としてレーザの機能不全形成につながってしまう。この低い効率は、レーザのバンクの各レーザに適用されるので、なおさら問題であり、その結果、このバンクの製造効率は、N個のレーザを含む場合、1つのレーザのN乗の製造効率に相当し、これは、Nの高い値(典型的には8以上)に対して特に低くなり得る。
【0006】
また、このような反射ファセットを有する分布帰還型レーザによって放出される放出光の波長は、この反射ファセットの不正確な位置決めにより制御が不十分であることも既知である。この特徴は、出力放出のスペクトル線間に存在する間隔の変動性をもたらすが、一般的には、この間隔が一定、例えば100GHzであることが望ましい。
【0007】
最後に、出力放出光を形成するために使用される受動光ミキサの著しい損失(特に挿入損失)は、ミキサが連結される光ファイバ内の利用可能な電力量に影響を及ぼす。したがって、前述の文献は、各出力放出が10mWの電力量を有するように、それぞれの電力量が数百mWを有するレーザの形成を提案する。これらの損失は、光ミキサの入力/出力ポートの数とともに増す傾向があり、バンク内のレーザの数が多いときに問題となる。このようなミキサでは、入力放出の電力量の全てを利用するために、入力ポート及び出力ポートの数は必然的に同じとなる。したがって、前述の文献において提案された解決策では、光ファイバの数をバンクのレーザの数と同じにする必要があり、これは、特定の用途において制限となり得る。
【0008】
発明の目的
本発明の目的は、これらの問題の少なくとも一部に対する解決策を提案することである。
【発明の概要】
【0009】
この目的を達成するために、本発明は、少なくとも1つの結合された放出光を生成するための集積フォトニックチップを提案する。集積フォトニックチップは、
-異なる波長を有する少なくとも2つのレーザから構成されるバンクであって、各レーザが、2つの端部によって画定される光学キャビティを備え、2つの端部からそれぞれ出射する第1の放出光及び第2の放出光を放出する、バンク、
-レーザのバンクに光学的に関連付けられた少なくとも2つのアクティブ結合デバイスであって、各アクティブ結合デバイスは、第1の放出光及び第2の放出光の一部を受光するための少なくとも第1の光入力部及び第2の光入力部を有し、少なくとも1つの光出力部において、各アクティブ結合デバイスの光入力部において受光された放出光を結合して、結合された放出光を発生させるように構成され、アクティブ結合デバイスは、光出力部で発生させた結合された放出光を制御するための、制御要素及び測定要素を更に備え、制御要素及び測定要素は、少なくとも1つのパイロット制御可能な位相シフタ及び光検出器を備える、少なくとも2つのアクティブ結合デバイス、
-レーザのバンクとアクティブ結合デバイスとの間で第1の放出光及び第2の放出光を直接伝搬するための導波路格子、を備える。
【0010】
本発明のその他の有利な非限定的特徴によれば、単独で、又は技術的に実現可能な任意の組合せに従って、以下のようになる。
-2つのレーザは位相シフトレーザであり、その両端部が、帰還格子によって分離されており、
-各位相シフトレーザの光学キャビティは、キャビティ内に四分の一波長シフトを誘導する格子を備え、
-レーザのバンクのレーザは、少なくとも部分的に導波路格子を備える第1の部分と組み立てられ、
-集積フォトニックチップは、少なくとも1つの出力放出光の少なくとも1つの放出ゾーンを備え、導波路格子はまた、チップのアクティブ結合デバイスと少なくとも1つの放出ゾーンとの間で結合された放出光を伝搬し、
-各アクティブ結合デバイスは、レーザのバンクの位相シフトレーザに関連付けられ、位相シフトレーザの第1の放出及び第2の放出は、それぞれ、アクティブ結合デバイスの第1の光入力部及び第2の光入力部へ向かってガイドされ、各アクティブ結合デバイスが第1の放出及び第2の放出をコヒーレント結合するように、制御要素及び測定要素が使用されることが可能であり、
-アクティブ結合デバイスはコヒーレント結合を実施し、
・第1の光入力部及び第2の光入力部へそれぞれ連結された2つの入力部と、2つの光出力部と、を有し、出力部のうちの第1の出力部は光出力部に連結されている、コンバイナを備え、
・制御要素が、コンバイナの入力部のうちの少なくとも1つの光学的に上流に配置された少なくとも1つのパイロット制御可能な位相シフタを含み、
・測定要素が、コンバイナの第2の出力部の光学的に下流に配置された光検出器を含み、
-各アクティブ結合デバイスは、レーザのバンクの2つの位相シフトレーザに関連付けられ、2つの位相シフトレーザのうちの一方の放出は、第1の光入力部に向かってガイドされ、2つの位相シフトレーザのうちの他方の放出は、第2の光入力部に向かってガイドされ、制御要素及び測定要素を使用して、各アクティブ結合デバイスが、2つのレーザから出射する放出をスペクトル結合することが可能であり、
-アクティブ結合デバイスはスペクトル結合を実施し、
・第1のコンバイナ及び第2のコンバイナであって、第1のコンバイナは、第1の光入力部及び第2の光入力部へそれぞれ連結された2つの入力部を有し、第2のコンバイナは、2つの出力部を有し、2つの出力部のうちの第1の出力部が光出力部に連結され、2つのコンバイナは、2つのアームによって互いに光学的に連結されている、第1のコンバイナ及び第2のコンバイナ、
・2つのアームのうちの一方に配置された遅延線を備え、
・制御要素が、第2のコンバイナの光学的に上流に配置された少なくとも1つのパイロット制御可能な位相シフタを含み、
・測定要素が、第2のコンバイナの第2の出力部の光学的に下流に配置された光検出器を含み、
-第1のフォトニックブロックのアクティブ結合デバイスが、レーザのバンクの第1の側に配置され、第2のフォトニックブロックのアクティブ結合デバイスが、第1の側とは反対側の、レーザのバンクの第2の側に配置されており、
-レーザのバンクは、第1の結合段を形成する少なくとも2^n個のアクティブ結合デバイスに関連付けられた2^n個の位相シフトレーザを備え、nは1より大きい整数であり、集積フォトニックチップは、第1の結合段の下流に配置された少なくとも第2の結合段を備え、第2の結合段は、少なくとも1つの二次結合デバイスから形成されており、
-出力放出光の数は、位相シフトレーザの数以下であり、
-少なくとも1つの二次結合デバイスは、アクティブコヒーレント結合デバイス、アクティブスペクトル結合デバイス、パッシブ電力分配器から形成されたリストから選択され、
-導波路格子は、出力放出の放出ゾーンに配置された少なくとも1つのカプラ、例えばエッジカプラと関連付けられ、
-位相シフトレーザは、段階的な放射波長を有する。
【0011】
別の態様によれば、本発明の目的は、上記で開示された集積フォトニックチップと、アクティブ結合デバイスの制御要素及び測定要素に電気的に接続された集積制御回路とを備え、集積制御回路が、アクティブ結合デバイスの光出力部上に発生させた出力放出光を制御するように構成されている、光学部品を提案する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照した本発明の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
図1】第1の実施形態のブロック図である。
図2図1のアクティブ結合デバイスのブロック図である。
図3】第1の実施形態による集積型フォトニックチップ及び光学部品の第1の例を示す。
図4】第2の実施形態のブロック図である。
図5a図4のアクティブ結合デバイスのブロック図である。
図5b図4のアクティブ結合デバイスのブロック図である。
図6】第2の実施形態による集積型フォトニックチップの第2の例を示す。
図7】第1及び第2の実施形態をハイブリッド化した集積フォトニックチップの第3の例を示す。
図8】第1及び第2の実施形態をハイブリッド化した集積フォトニックチップの第4の例を示す。
図9】第1及び第2の実施形態をハイブリッド化した集積フォトニックチップの第5の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明の主題である様々な実施形態及び例は、位相シフトレーザのバンクを使用する。レーザのバンクにおいて、レーザは、全体的に、異なる波長、例えば、決定された周波数帯域において均一に分布された階段状の波長を有する。本出願の導入部で提示された波長分割方式(WDM)を使用する通信の応用例では、例えば、本明細書の様々な実施形態及び例において、8個又は16個の位相シフトレーザで形成されたバンクを提供することが可能であり、その放出光は、50GHz、100GHz、200GHz、又は400GHzごとに互いに離された周波数を有する。
【0014】
レーザバンクを構成するレーザは、有利には、いわゆる「位相シフト」レーザである。これらは、分布帰還型レーザ、すなわち、ブラッグ格子を用いて放出される放出光の波長を選択するレーザである。この帰還格子は、光学キャビティに沿って分布しており、このキャビティは、格子の範囲によって画定される2つの端部を有する。したがって、本発明によれば、各位相シフトレーザは、光学キャビティの2つの端部からそれぞれ出射する第1の放出光及び第2の放出光を放出する。各レーザの光学キャビティは、このレーザが単一波長にわたってのみ放出することを保証するように、全体的にキャビティの中央に挿入された、四分の一波長シフトを誘導する格子を備える。
【0015】
集積フォトニックチップは、レーザバンクのレーザをチップの第1の部分と組み立てることによって得られ、この第1の部分は、その中に少なくともチップの導波路格子を形成するように予め処理されている。この組み立ては、例えば分子接着によって行うことができる。このような手法は、特に、文献T.Thiessen他「Back-Side-on-BOX Heterogeneous Integrated III-V-on-Silicon O-Band Distributed Feedback Lasers」in Journal of Lightwave Technology,vol.38,no.11,pp.3000-3006,2020に記載されている。この手法は、光学キャビティを形成する材料を割断して最初にファセットを形成する必要がなく、バンクのレーザを形成し、その放出をチップの導波路格子に連結することを可能にする。
【0016】
位相シフトレーザは、非常に良好に制御された波長を有する放出光を提供するという利点を有する。その製造は、特に上述した組立技術を実施する場合、比較的容易であり、本願の導入部で述べたように、ファセットの1つが反射コーティングを備えた分布帰還型レーザの効率制限を受けない。しかしながら、そのようなレーザ構成は、2つの放出光、すなわち光学キャビティの端部の各々において放出を放出し、これらの放出の各々の光パワーが低減される(反射ファセットを有する分布帰還型レーザによって発生させた単一放出の光パワーの2分の1未満)。
【0017】
提示される様々な実施形態は、レーザのバンクから出射する放出光を一緒に結合する目的で集積フォトニックチップの異なるアーキテクチャを提案することによって、この状況を改善する。したがって、N個の位相シフトレーザ(2N個の放出光が発生する)を有する集積フォトニックチップをM本の光ファイバに結合することが可能であり、MはN以下である。各光ファイバは、向上した電力量を有するチップからの結合された放出光を受光する。
【0018】
電力量PのN個のレーザのバンクを備え、電力量P/2の2N個の放出光が発生したフォトニックチップに関連付けられた受動ミキサの使用は、このミキサの出力部において、各々がP/4Nの電力量を有する2N個の結合された放出光を供給することにつながることに留意されたい(2N2Nミキサは、1/2N程度の損失を誘発する)。このような電力レベルは、特にこのNの数が比較的大きい場合には十分ではない。
【0019】
複数のレーザを備えたチップでは、光ルーティングの理由から、位相シフトレーザをチップ上に配置して、それらのそれぞれの端部を整列させることにより、第1の放出光が放出されるレーザバンクの第1の側と、第2の放出光が放出されるレーザバンクの第2の側とを画定することが有利である。様々な実施形態がこの有利な配置を繰り返すが、これは決して本発明を限定するものではない。一般に、レーザバンクを形成するレーザは、任意の適切な配置で配置され得る。
【0020】
図1は、集積フォトニックチップPICの第1の実施形態のブロック図を示す。チップPICは、ここでは説明を簡単にするために2つの位相シフトレーザL1、L2から形成されるレーザのバンクLBを備える。この実施形態では、レーザL1、L2によって放出された2つの放出光は、増大した電力量の結合された放出を形成するために互いにコヒーレント結合される。
【0021】
第1の位相シフトレーザL1は、その端部の各々から第1の放出l1及び第2の放出l’1を放出する。同様に、第2の位相シフトレーザL2は、その端部の各々から第1の放出l2及び第2の放出l’2を放出する。既に述べたように、第1のレーザL1及び第2のレーザL2によって発生した放出は、有利には異なる波長を有する。
【0022】
図1のブロック図の集積フォトニックチップPICは、図2に詳細に示される2つのアクティブ結合デバイスACD1、ACD2を備える。各アクティブ結合デバイスACD1、ACD2は、レーザL1、L2に関連付けられ、第1の放出光l1、l2と第2の放出光l’1、l’2とのコヒーレント結合を実行する。したがって、2つの結合された放出光l1+l’1、l2+l’2がレーザL1、L2によって発生させられ、それらはチップの放出ゾーンZ1、Z2にガイドされ、これらの放出ゾーンZ1、Z2は、例えばエッジカプラによって形成され得る。
【0023】
集積フォトニックチップPICはまた、レーザのバンクLBとアクティブ結合デバイスACD1、ACD2との間で第1の放出光及び第2の放出光を伝搬し、これらのアクティブ結合デバイスACD1、ACD2とチップZ1、Z2の放出ゾーンとの間で結合された放出光を伝搬するための導波路格子WGを備える。有利には、導波路WGは、レーザのバンクLBとアクティブ結合デバイスACD1、ACD2との間で第1の放出光及び第2の放出光を直接伝搬し、すなわち、これらの放出は、この伝搬中に修正(例えば、変調)されない。
【0024】
本発明の全ての実施形態において、結合デバイスACD1、ACD2は、位相シフトレーザL1、L2から出射する放出光を制御し、特にこれらの放出光の位相を制御することによって完全に制御された方式でそれらを結合することを可能にする制御要素及び測定要素を備えるので、「アクティブ」であると言われる。制御要素及び測定要素は、少なくとも1つのパイロット制御可能な位相シフタ及び光検出器を備える。これらのデバイスのアクティブな性質のために、結合は0.5dB程度の低減された損失で実現され得る。これらの制御要素及び測定要素、特にパイロット制御可能な位相シフタ及び光検出器は、集積フォトニックチップPICの電気コンタクトパッドに電気的に接続される。集積制御回路CTRL_ICは、集積フォトニックチップPICに関連付けることができ、アクティブ結合デバイスACD1、ACD2の制御要素及び測定要素に電気的に接続される。集積制御回路CTRL_ICは、制御要素(例えば、パイロット制御可能な位相シフタ)を較正し、アクティブ結合デバイスACD1、ACD2の光出力部において発生させた結合された放出光を、これらの放出が選択された設定点に適合するために、特に、全ての光パワーがこれらの光出力部のうちの1つにおいて伝送されるために、統制するように構成されている。この目的のために、集積制御回路は、光検出器によって提供される測定値を受信し、この測定値は、光制御の実施を可能にする。
【0025】
図2は、第1の実施形態の第1のアクティブ結合デバイスACD1を示し、第2のアクティブ結合デバイスACD2は同一のアーキテクチャを有することが理解される。第1のアクティブ結合デバイスACD1は、第1のレーザL1からの第1の放出光l1及び第2の放出光l’1をそれぞれ受光するための第1の光入力部Ol1及び第2の光入力部Ol1’を有する。第1のアクティブ結合デバイスACD1はまた、光入力部Ol1、Ol1’で受光された放出光をコヒーレント結合する、放出光l1+l’1を発生させる光出力部OOを有する。このような結合は、例えば、マルチモード干渉計又はY接合導波路によって実行されるコンバイナCPによって実施される。コンバイナCPは、第1の光入力部Ol1及び第2の光入力部Ol1’にそれぞれ連結された2つの入力部と、2つの出力部とを有し、そのうちの第1の出力部は、アクティブ結合デバイスACD1の光出力部OOに連結される。
【0026】
このコヒーレント結合を可能にするために、図2に示される第1のアクティブ結合デバイスACD1は、コンバイナCPの入力部の光学的に上流に配置された2つのパイロット制御可能な位相シフタPS1、PS1’を備える。これらは、熱光学位相シフタであり得る。位相シフタPS1、PS1’によって放出に伝搬した位相遅延は、制御デバイスCTRL_ICによって発生させた電気信号PS_ctrlによって制御可能である。一般に、この第1の実施形態のアクティブ結合デバイスACD1は、少なくとも1つのパイロット制御可能な位相シフタを備え、これはコヒーレント結合を可能にするのに十分であるが、この結合を可能にする条件を達成するためにかなりの量のエネルギーを必要とする場合がある。このため、有利には、アクティブ結合デバイスに2つのパイロット制御可能な位相シフタを装備することが提案される。
【0027】
図2に示される第1のアクティブ結合デバイスACD1はまた、コンバイナCPの第2の出力部の光学的に下流に光検出器PDを備える。この光検出器は、制御デバイスCTRL_ICに供給される電気信号TAPを発生させる。
【0028】
動作中、制御デバイスCTRL_ICは、制御信号PS_ctrlを使用して、位相シフタPS1、PS1’によって導入される位相を調整して、信号の光パワーの最大値が、光出力部OOに向かって伝搬するコンバイナCPの出力部において結合されるようにする。これを行うために、制御デバイスCTRL_ICは、光検出器PDによって供給される測定信号を使用して、コンバイナの他のチャネル上で利用可能な光パワーを測定し、それを最小化しようとする。換言すれば、制御デバイスCTRL_ICは、光検出器PDによって供給される測定信号TAPを最小化する目的で、コンバイナCPを使用して第1の放出l1及び第2の放出l’1を結合する前に第1の放出l1及び第2の放出l’1の位相を調整することによって統制を実施する。
【0029】
図3は、本発明のこの第1の実施形態による集積フォトニックチップPIC及び光学部品の第1の例を示す。チップPICのアクティブ結合デバイスACD1~ACDNを制御するように意図された全ての制御及び測定信号PS_ctrl、TAPを一緒にグループ化するバスBUSを使用して集積フォトニックチップPICに電気的に接続された制御デバイスCTRL_ICが、ここでも見出される。
【0030】
この例では、集積フォトニックチップPICは、N個(例えば、8個、16個、又はそれ以上)の位相シフトレーザを備える。各位相シフトレーザL1~LNは、アクティブ結合デバイスACD1~ACDNと関連付けられ、このデバイスは、レーザを形成する光学キャビティの端部の各々によって供給される2つの放出光をコヒーレント結合する。
【0031】
結合された放出光は、この例では、放出ゾーンZ1~Znに向かってガイドされ、そこで、N本の光ファイバF1~FNの格子に連結される。これらの放出ゾーンZ1~ZNは、ファイバF1~FNへ結合された放出の注入を容易にするために、連結手段、例えばエッジカプラ又は表面連結格子を備えることができる。もちろん、結合された放出光への任意の所望の変換を実施するために、他の光学素子を、結合された放出伝播経路上に、集積フォトニックチップ内に、又は集積フォトニックチップの外側に設けることが可能である。
【0032】
図4は、本発明による集積フォトニックチップPICの第2の実施形態のブロック図を示す。
【0033】
図4のブロック図のチップPICは、記載を簡単にするために、2つの位相シフトレーザL1、L2から形成されるレーザのバンクLBを備える。レーザのバンクLBは、本発明を実施するための形態の最初の部分に示されたバンクの全ての特徴を有する。2つの位相シフトレーザL1、L2は、とりわけ異なる波長を有する第1の放出光l1、l’1及び第2の放出光l2、l’2を放出する。この実施形態では、2つの位相シフトレーザL1、L2によって放出された放出光は、増大した電力量の結合マルチスペクトル放射を形成するためにスペクトル結合される。
【0034】
したがって、図4において非常に明確に確認することができるように、第1の位相シフトレーザL1によって放出された第1の放出光l1及び第2の位相シフトレーザL2によって放出された第1の放出光l2は両方とも、第1のアクティブ結合デバイスACD1の光入力部0l1、0l2上にガイドされるので、この実施形態では、第1の結合された放出光l1+l2を形成するために2つの第1の放出光l1、l2のスペクトル結合を生じさせる。同様に、第1の位相シフトレーザL1によって放出された第2の放出光l’1及び第2の位相シフトレーザL2によって放出された第2の放出光l’2は、両方とも、結合された放出光l’1+l’2を形成するために、第2のアクティブ結合デバイスACD2の光入力部Ol1、Ol2上にガイドされる。したがって、アクティブ結合デバイスACD1、ACD2は、マルチプレクサ又はインターリーバを構成している。
【0035】
第1の実施形態と同様に、この第2の実施形態の集積フォトニックチップPICは、レーザのバンクLBとアクティブ結合デバイスACD1、ACD2との間で第1の放出光及び第2の放出光を伝搬し、アクティブ結合デバイスACD1、ACD2とチップの放出ゾーンZ1、Z2との間で結合された放出光を伝搬するための導波路格子WGを備える。もちろん、第1の実施形態と同様に、結合された放出光への任意の所望の変換を実施するために、他の光学素子を、結合された放出伝播経路上に、集積フォトニックチップPIC内に、又は集積フォトニックチップの外側に設けることが可能である。
【0036】
集積フォトニックチップPICはまた、アクティブ結合デバイスACD1、ACD2の制御要素に電気的に接続され、第1の実施形態で提示されたものと同様の制御集積回路CTRL_ICに関連付けることができる。したがって、集積制御回路CTRL_ICは、アクティブ結合デバイスACD1、ACD2が所望のスペクトル結合を実行するためにアクティブ結合デバイスACD1、ACD2の動作を制御するように構成されている。この目的のために、集積制御回路CTRL_ICは、アクティブ結合デバイスACD1、ACD2から測定信号TAPを受信し、これらのデバイスに向けられた制御信号PS_ctrlを発生させる。
【0037】
図5aは、図4の第1のアクティブ結合デバイスACDのブロック図であり、第2のアクティブ結合デバイスACD2が同一のアーキテクチャを有することが理解される。一般に、第2の実施形態のこのアクティブ結合デバイスACDは、マッハツェンダ干渉計とすることができる。より正確には、この第1のアクティブ結合デバイスACD1は、2つのレーザL1、L2の第1の放出光l1、l2をそれぞれ受光するための第1の光入力部Ol1及び第2の光入力部Ol2を有する。これはまた、光入力部Ol1、Ol2で受光された放出光をスペクトル結合して、結合された放出光l1+l2が発生した光出力部OOを有する。このような結合は、例えば、マルチモード干渉計又はY接合導波路によって形成される2つのコンバイナCP1、CP2によって実施される。第1のコンバイナCP1は、第1の光入力部Ol1及び第2の光入力部Ol2にそれぞれ連結された2つの入力部と、第2のコンバイナCP2の2つの入力部にそれぞれ連結された2つの出力部とを有する。この第2のコンバイナCP2自体は、2つの出力部を有し、この第1の出力部は、アクティブ結合デバイスACD1の光出力部OOに連結される。
【0038】
著しい光損失することなくスペクトル結合を可能にするために、図5aに示される第1のアクティブ結合デバイスACD1は、2つのコンバイナCP1、CP2の間に光学的に配置された2つのパイロット制御可能な位相シフタPS1、PS2を備える。第1の実施形態と同様に、デバイスに単一のパイロット制御可能な位相シフタを設けることができる。位相シフタPS1、PS2によって放出光に伝搬した位相偏移は、制御デバイスCTRL_ICによって発生させた制御電気信号PS_ctrlによって制御可能である。コンバイナCP1、CP2を接続する2つのアームのうちの1つは、遅延線を形成する追加の導波路部分DLを備える。周知のように、追加の導波路部分DLの長さは、アクティブ結合デバイスの透過関数、すなわち、第1の放出光が出力部において結合されることを可能にするために、デバイスの入力部において第1の放出光が有さなくてはならないスペクトル偏差を決定する。このデバイスの詳細な説明は、特に、文献「Wavelength Filters for Fibre Optics」H.Venghaus編、Springer Series in Optical Sciences,Vol.123,Springer,pp.381-432に記載されている。
【0039】
図5aに示される第1のアクティブ結合デバイスACD1はまた、第2のコンバイナCP2の第2の出力部の光学的に下流に光検出器PDを備える。この光検出器は、制御デバイスCTRL_ICに供給される電気測定信号TAPを発生させる。
【0040】
動作中、制御デバイスCTRL_ICは、制御信号PS_ctrlを使用して、位相シフタPS1、PS2によって導入される位相を調整して、放出の光パワーの最大値が、光出力部OOに向かって伝搬するカプラの出力部において結合されるようにする。これを行うために、制御デバイスCTRL_ICは、光検出器PDによって供給される測定信号を使用して、カプラの他のチャネル上で利用可能な光パワーを測定し、この結果、光パワーを最小化しようとする。
【0041】
図5bは、図5aに示されたものに対する代替のブロック図を示し、第1のアクティブ結合デバイスACDは、この場合、共振リングによって実装される。共振リングRRは、アクティブ結合デバイスACDの光入力部と光出力部との間に配置された2つのアームの間に配置される。共振リングRR上には位相シフタPSが配置されている。出力部の1つにはまた、光検出器PDが装備されている。
【0042】
図6は、本発明の第2の実施形態による集積フォトニックチップPICの第2の例を示す。図の読みやすさのために、制御デバイスCTRL_ICの図示は省略されているが、このようなデバイスは、機能的光学部品を形成するために、図3の例1において提示されたように、集積フォトニックチップPICに電気的に接続されて提供され得る。
【0043】
レーザのバンクLBは、集積フォトニックチップPICの中心に、第1のフォトニックブロックB1と第2のフォトニックブロックB2との間に配置される。これら2つのブロックB1、B2は、この例では同一の構成を有するので、第1のブロックB1のアーキテクチャのみが詳細に示されている。当然ながら、これらの2つのブロックが完全に同一である必要はない。各ブロックは、2つの放出ゾーンZ1、Z2において、レーザのバンクLBの位相シフトレーザの放出光をスペクトル結合する2つの出力放出光を提供するために、第2の実施形態の基本方式を実施することによって、8つの位相シフトレーザから出射している放出をそれらの間で結合する。
【0044】
レーザのバンクLBの位相シフトレーザL1~L8は、段階状の波長を有し、連続するインデックスLi、Li+1を有する2つのレーザは、この例では100GHzのスペクトル分離帯域によって分離されている。もちろん、応用分野によるこのスペクトル分離帯域の値、全ての放出に対応するために利用可能なスペクトル帯域幅、及びレーザのバンクLB内の位相シフトレーザの数は、自由に選択することができる。
【0045】
図6及び第1のフォトニックブロックB1の説明を続けると、後者は、2つの異なる位相シフトレーザの2つの第1の放出光にそれぞれ関連付けられた4つのアクティブ結合デバイスACD1~ACD4を備える。4つの結合された放出光がこのように形成され、したがって、これらの結合された放出光の各々は、元の位相シフトレーザの各々の放射波長に対応する2つのスペクトル線を有する。これら4つのアクティブ結合デバイスACD1~ACD4は類似しており、第1のブロックの第1の結合段を形成する。
【0046】
図6の例では、2つのアクティブな二次結合デバイスACDa~ACDbから構成される第2の結合段が提供される。結合された放出光は、これらの2つのデバイスの入力部へ対でガイドされ、デバイスが、2つの結合された放出光を供給するために、これらの放出を次々に対で結合させる。したがって、各放出が、元の位相シフトレーザの各々の放出波長に対応する4つのスペクトル線を有する。より正確には、第1の二次デバイスACDaは、それが光学的に連結される第1の4つのレーザL1~L4のスペクトル成分を有する放出光l1+l2+l3+l4を供給する。同様に、第2の二次デバイスACDbは、それが光学的に連結されるバンクの他方の4つのレーザL5~L8のスペクトル成分を有する放出光l5+l6+l7+l8を供給する。この2段結合を容易にするために、位相シフトレーザL1~LNは、インターリーブ方式で第1段のアクティブ結合デバイスに関連付けられ、同じアクティブ結合デバイスに関連付けられた2つの位相シフトレーザは、200GHzだけシフトされることに留意されたい。このようにして、第1のブロックB1の第2の段のスペクトル結合が、互いに100GHz分離されたスペクトル線を有する2つの放出光に対して行われることが保証される。
【0047】
最後に、図6の例の第1のフォトニックブロックは、第3の段において、第2の段から出射する結合された放出光を受動的に結合するためのデバイスを構成するパワーディバイダSを備える。このパッシブ結合デバイスは第3の結合段を構成する。このようなパッシブデバイスは、3.5dB程度の比較的大きな光損失にはなるが、第1のフォトニックブロックB1の第2の段から出る2つの結合された放出光を容易に(アクティブ制御手段なしで)結合することを可能にする。この第1のブロックは、最終的に、2つの放出ゾーンZ1、Z2において、レーザのバンクLBの8つの位相シフトレーザL1~L8から出射する放出をスペクトル結合する2つの出力放出を発生させる。複数の結合から生じる各出力放出は、比較的高いパワーを有することが理解されるであろう。既に述べたように、集積フォトニックチップの第2のフォトニックブロックB2は、第1のフォトニックブロックB1のアーキテクチャと同一のアーキテクチャを有することができ、その結果、最終的に集積フォトニックチップPICは、4つの出力放出光を生成し、これらの出力放出光は、図示されていない4つの光ファイバの格子に連結することができる。
【0048】
より一般的には、各フォトニックブロックB1、B2は、複数の結合段を備えることができ、各段は、少なくとも1つのアクティブ又はパッシブ結合デバイスから構成されることが理解される。2以上の次数の段に存在する結合デバイスは、本出願では二次結合デバイスと呼ばれる。したがって、(アクティブ結合デバイスを優先することによって)特に効果的なフォトニックチップを形成し、チップの出力ポートの数を制限することが可能であり、すなわち、出力放出光に対して、位相シフトレーザの数とは無関係に、各出力放出光が比較的高い光パワーを有する。したがって、各々が2つの出力光ビームを発生させるN個の位相シフトレーザを有する集積フォトニックチップを提案し、このチップPICをM本の光ファイバに効果的に連結することが可能であり、(複数の結合段の場合)Mは、N未満又は(単一の結合段を有するチップPICの場合)Nに等しい。
【0049】
図7は第1及び第2の実施形態をハイブリッド化した集積フォトニックチップPICの第3の例を示す。図を簡略化するために、全てのアクティブ結合デバイスについて、制御要素及び測定要素並びに関連する信号は図示されていない。しかしながら、それらはもちろん存在する。
【0050】
この例では、8つの位相シフトレーザL1~L8が、第1の実施形態による8つのアクティブ結合デバイスACD1~ACD8から形成された第1の結合段に関連付けられている。したがって、各アクティブ結合デバイスは、この関連付けられた位相シフトレーザから出射する2つの放出のコヒーレント結合を実施する。
【0051】
この第1の段は、第2の実施形態に従って、すなわちスペクトル結合を実施する二次アクティブ結合デバイスの3つの他の連続する段に導波路格子によって光学的に接続される。第2の段は4個の二次アクティブ結合デバイスACD1’~ACD4’から構成され、第3の段は2つの二次アクティブ結合デバイスACDa、ACDbから構成され、第4の段は単一の二次アクティブ結合デバイスACDcから構成されている。
【0052】
この第3の例の集積フォトニックチップは、アクティブ結合デバイスのみを使用し、これは、(統制の複雑さの程度がわずかに高くなるという犠牲を払って)光損失を低減する傾向がある。レーザのバンクによって生成される全ての光パワーは、損失を除いて、単一の放出ゾーンZ1において、チップPICの単一の出力放出で利用可能になる。この出力放出は、バンクLBの8つの位相シフトレーザLS1~LS8のスペクトル成分を伝達する。
【0053】
図8は、第1及び第2の実施形態をハイブリッド化した集積フォトニックチップPICの第4の例を示す。これは、図7の第3の例のフォトニックチップの変形例であり、第4の段の二次アクティブ結合デバイスがパッシブ結合デバイスSに置き換えられている。Sは、電力分配器であり得る。レーザのバンクによって生成される光パワーは、2つの放出ゾーンZ1、Z2において、チップPICの2つの出力放出で利用可能になる。
【0054】
図9は、第1及び第2の実施形態をハイブリッド化した光集積チップPICの第5の例を示す。これは、図7及び図8の第3の例及び第4の例のフォトニックチップPICの変形例であり、第4及び第3の段の二次アクティブ結合デバイスACDa、ACDb、ACDcは、電力分配器などのパッシブ結合デバイスSに置き換えられている。レーザのバンクによって生成される光パワーは、4つの放出ゾーンZ1~Z4において、チップPICの4つの出力放出で利用可能になる。このアーキテクチャは、この図においてXで示されたゾーンにおいて2つの導波路の交差を必要とし、この交差は0.5dB程度の損失を引き起こすことに留意されたい。
【0055】
当然ながら、本発明は、説明された実施形態に限定されず、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、変形実施形態をそれに追加することができる。
【0056】
本出願の前の段落で述べた利点のために多くの用途において好ましいタイプのレーザを形成する分布帰還型位相シフトレーザのバンクの使用が示されたが、本発明はこのタイプのレーザに決して限定されない。本発明は、より一般的には、レーザによって形成される任意のバンクに適用され、各レーザは、2つの端部によって画定される光学キャビティを備え、かつ2つの端部からそれぞれ出射する第1の放出光及び第2の放出光を放出する。
【0057】
集積フォトニックチップPIC上のコンタクトパッドの数を低減し、測定信号のルーティングを容易にするために、アクティブ結合デバイスACD1~ACDNの測定信号TAPを伝達する全ての導電線を互いに接続することができる。したがって、単一の電気測定信号がチップPICの単一のパッドで利用可能となり、この測定信号は、チップPICのアクティブ結合デバイスの全ての光検出器で利用可能な光パワーを表す。この測定信号を制御デバイスCTRL_ICの単一の入力部に送信するために、バスBUSの単一の線がこの測定信号を伝達する。後者は、各アクティブ結合デバイスACD1~ACDNの位相シフタの制御信号PS_ctrlを較正及び/又は統制するためのプログラムを実施する。この較正及び/又は統制プログラムの目的は、例えばチップの始動段階中に、単一の測定信号によって伝達される値を最小化することである。
【0058】
そのようなプログラムの代替品として、制御デバイスCTRL_ICによって制御可能であり、選択されたアクティブ結合デバイスの光検出器を集積フォトニックチップの単一のコンタクトパッドに接続することを可能にするマルチウェイスイッチを集積フォトニックチップに装備することが提案され得る。
【0059】
更に、様々な実施形態及び実施例において、結合された放出が集積フォトニックチップの放出ゾーンに向かって直接ガイドされることが説明及び図示されているが、この特徴は必須ではない。したがって、これらの結合された放出光の伝搬を遮断する他のデバイス、例えば、変調格子が、導波路格子によってチップの放出ゾーンに向かって伝搬される前に挿入されることを提供することが可能である。
【0060】
更に一般的には、集積フォトニックチップが放出ゾーンを有する必要はない。集積フォトニックチップは、例えばコンピューティングデバイスとメモリデバイスとの間に集積通信デバイスを構成することができ、チップを光ファイバに連結したり、自由伝搬によって出力放出光を伝搬させたりする必要がなく、これら2つのデバイス間でデータを通信することを可能にする。この場合、結合された放出を調製するための上述の手段に加えて、この放出を変調及び受光するための手段を備える。したがって、一般的に、本発明の目的は、バンクのレーザから少なくとも1つの結合された放出光を生成することである。このレーザは、DFB、DBR(分布反射型レーザ)、又はDML(直接変調レーザ)タイプであってもよい。
【国際調査報告】