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特表2024-536815β-アドレナリンアゴニスト及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】β-アドレナリンアゴニスト及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 209/30 20060101AFI20241001BHJP
   C07D 231/56 20060101ALI20241001BHJP
   C07D 209/34 20060101ALI20241001BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20241001BHJP
   C07D 239/42 20060101ALI20241001BHJP
   C07D 215/233 20060101ALI20241001BHJP
   C07D 239/74 20060101ALI20241001BHJP
   C07D 215/04 20060101ALI20241001BHJP
   C07D 215/18 20060101ALI20241001BHJP
   C07D 241/42 20060101ALI20241001BHJP
   C07D 277/40 20060101ALI20241001BHJP
   C07D 235/06 20060101ALI20241001BHJP
   C07D 237/20 20060101ALI20241001BHJP
   C07D 213/61 20060101ALI20241001BHJP
   C07D 213/73 20060101ALI20241001BHJP
   C07D 277/68 20060101ALI20241001BHJP
   C07D 213/38 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 31/416 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 31/44 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20241001BHJP
   C07D 405/12 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 31/428 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 31/50 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 31/505 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 31/4045 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 31/4184 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 31/426 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 31/47 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 31/498 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20241001BHJP
   C07D 403/12 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
C07D209/30
C07D231/56 Z CSP
C07D209/34
C07D231/56 D
C07D231/56 A
C07D471/04 106Z
C07D471/04 106C
C07D239/42
C07D215/233
C07D239/74
C07D215/04
C07D215/18
C07D241/42
C07D277/40
C07D235/06
C07D237/20
C07D213/61
C07D213/73
C07D277/68
C07D213/38
A61K31/416
A61K31/44
A61K31/437
C07D405/12
A61K31/428
A61K31/50
A61K31/505
A61K31/4045
A61K31/4184
A61K31/426
A61K31/47
A61K31/498
A61K31/517
C07D403/12
A61P25/00
A61P25/14
A61P25/16
A61P25/24
A61P25/28
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518277
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(85)【翻訳文提出日】2024-05-07
(86)【国際出願番号】 US2022044437
(87)【国際公開番号】W WO2023049290
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/247,727
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.SPAN
(71)【出願人】
【識別番号】520489318
【氏名又は名称】キュラセン セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】イー ジャーシン
(72)【発明者】
【氏名】フォード アンソニー ピー.
(72)【発明者】
【氏名】チェン ウェイ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC13
4C086BC17
4C086BC28
4C086BC37
4C086BC39
4C086BC41
4C086BC42
4C086BC46
4C086BC52
4C086BC82
4C086BC84
4C086CB05
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA56
4C086MA57
4C086MA58
4C086MA59
4C086MA60
4C086MA63
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA02
4C086ZA12
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZC02
4C086ZC41
4C086ZC51
(57)【要約】
本開示は、化学化合物に関し、且つアドレナリン受容体に関連する疾患の治療におけるかかる化合物の使用に関する。本明細書で提供される化合物は、β-アドレナリン受容体の調節と一致して、広範囲の薬理活性が実現可能であるという利点を有する。加えて、本開示は、神経変性疾患及び神経変性障害を含むがそれらに限定されないアドレナリン受容体に関連する疾患の治療のために本明細書に記載の化合物を使用する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I-a:
の化合物であって、
式中、
各Rは独立して、水素、ハロゲン、R、-CN、-NO、-SF、-OR、-N(R)、-SOR、-C(O)R、-C(O)N(R)2、-NRC(O)R、-NRCOR、又は-CORであり、
各Rは独立して、水素であるか、又は、C1~6脂肪族、フェニル、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する3~8員の飽和もしくは部分不飽和炭素環式環もしくは複素環式環、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環、から選択される置換されていてもよい基であるか、又は、
同じ窒素原子上の2つのR基は、任意にそれらの介在原子と一緒になって、置換されていてもよい3~7員の飽和もしくは部分不飽和複素環式環を形成し、前記飽和もしくは部分不飽和複素環式環が、前記2つのR基が結合している前記窒素原子に加えて、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される0~2個のヘテロ原子を有し、
各Rは独立して、C1~6脂肪族、フェニル、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和炭素環式環もしくは複素環式環、並びに、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環、から選択される置換されていてもよい基であるか、又は、
同じ炭素原子上の2つのR基は、任意にそれらの介在原子と一緒になって、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する置換されていてもよい3~6員の飽和もしくは部分不飽和炭素環式環もしくは複素環式環を形成し、
及びRはそれぞれ独立して、水素、もしくは置換されていてもよいC1~6脂肪族であるか、又は、
及びRは、任意に、それらが結合している炭素原子と一緒になって、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する置換されていてもよい3~6員の飽和もしくは部分不飽和炭素環式環もしくは複素環式環を形成し、
は、置換されていてもよいC1~6脂肪族であり、
は、水素、又は置換されていてもよいC1~6脂肪族であり、
は、C2~9脂肪族、フェニルC0~3アルキル、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有するヘテロシクリルC0~3アルキル、並びに、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有するヘテロアラC0~3アルキル、から選択される置換されていてもよい基であり、
環A及び環Bは独立して、ベンゾ、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~6員のヘテロアリール、並びに、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~7員の飽和又は部分不飽和カルボシクリル又はヘテロシクリル、から選択される縮合環であり、且つ
nは、0、1、2、3、4、5、又は6である、
前記化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
及びRがそれぞれ水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、C2~9脂肪族及びフェニルC0~3アルキルから選択される置換されていてもよい基である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
環Aが、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~6員の縮合ヘテロアリールである、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
環Bが、ベンゾであるか、又は、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~6員の縮合ヘテロアリールである、請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
下記式:
又はその薬学的に許容される塩のうちのいずれか1つから選択される、請求項1から5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
表1Aにおける化合物から選択される、請求項1から6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
式I-b:
の化合物であって、
式中、
各Rは独立して、水素、ハロゲン、R、-CN、-NO、-SF、-OR、-N(R)、-SOR、-C(O)R、-C(O)N(R)2、-NRC(O)R、-NRCOR、又は-CORであり、
各Rは独立して、水素であるか、又は、C1~6脂肪族、フェニル、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する3~8員の飽和もしくは部分不飽和炭素環式環もしくは複素環式環、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環、から選択される置換されていてもよい基であるか、又は、
同じ窒素原子上の2つのR基は、任意にそれらの介在原子と一緒になって、置換されていてもよい3~7員の飽和もしくは部分不飽和複素環式環を形成し、前記飽和もしくは部分不飽和複素環式環が、前記2つのR基が結合している前記窒素原子に加えて、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される0~2個のヘテロ原子を有し、
各Rは独立して、C1~6脂肪族、フェニル、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和炭素環式環もしくは複素環式環、並びに、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環、から選択される置換されていてもよい基であるか、又は、
同じ炭素原子上の2つのR基は、任意にそれらの介在原子と一緒になって、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する置換されていてもよい3~6員の飽和もしくは部分不飽和炭素環式環もしくは複素環式環を形成し、
及びRはそれぞれ独立して、水素、もしくは置換されていてもよいC1~6脂肪族であるか、又は、
及びRは、任意に、それらが結合している炭素原子と一緒になって、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する置換されていてもよい3~6員の飽和もしくは部分不飽和炭素環式環もしくは複素環式環を形成し、
及びRはそれぞれ独立して、水素、もしくは置換されていてもよいC1~6脂肪族であるか、又は、
及びRは、任意に、それらが結合している炭素原子と一緒になって、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する置換されていてもよい3~6員の飽和もしくは部分不飽和炭素環式環もしくは複素環式環を形成し、
は、C1~9脂肪族、フェニルC0~3アルキル、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有するヘテロシクリルC0~3アルキル、並びに、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有するヘテロアラC0~3アルキル、から選択される置換されていてもよい基であり、
環A及び環Bは独立して、ベンゾ、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~6員のヘテロアリール、並びに、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~7員の飽和又は部分不飽和カルボシクリル又はヘテロシクリル、から選択される縮合環であり、且つ
nは、2、3、4、5、又は6であり、
ここで、環Aは、5員の縮合複素環式環である場合、1つの窒素を含有する5員複素環式環ではない、
前記化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
及びRがそれぞれ水素である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
環Aが、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~6員の縮合ヘテロアリールである、請求項8又は9に記載の化合物。
【請求項11】
環Bが、ベンゾであるか、又は、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~6員の縮合ヘテロアリールである、請求項8から10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
下記式:
又はその薬学的に許容される塩のうちのいずれか1つから選択される、請求項8から11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
表1Bにおける化合物から選択される、請求項8から12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
表1Cにおける化合物から選択される、化合物。
【請求項15】
アドレナリン受容体のアゴニスト、部分アゴニスト、又はアンタゴニストである、請求項1から14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
β1-アドレナリン受容体アゴニスト、β2-アドレナリン受容体アゴニスト、又は非選択的β1/β2-アドレナリン受容体アゴニストである、請求項1から14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
β1-アドレナリン受容体アゴニストである、請求項1から14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
β2-アドレナリン受容体アゴニストである、請求項1から14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
非選択的β1/β2-アドレナリンアゴニストである、請求項1から14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
請求項1から14のいずれか1項に記載の化合物と、薬学的に許容される担体、アジュバント、又はビヒクルとを含む、医薬組成物。
【請求項21】
対象又は生体サンプルにおいてアドレナリン受容体を調節する方法であって、請求項1から14のいずれか1項に記載の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、又はその医薬組成物を、前記対象に投与するか又は前記生体サンプルと接触させるステップを含む、前記方法。
【請求項22】
対象のアドレナリン受容体媒介性の障害、疾患、及び/又は症状を治療する方法であって、治療有効量の請求項1から14のいずれか1項に記載の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、又はその医薬組成物を、前記対象に投与するステップを含む、前記方法。
【請求項23】
前記アドレナリン受容体媒介性の障害、疾患、及び/又は症状が、神経変性疾患である、請求項20から22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記疾患が、MCI(軽度認知機能障害)、aMCI(健忘型MCI)、血管性認知症、混合型認知症、FTD(前頭側頭型認知症、ピック病)、HD(ハンチントン病)、レット症候群、PSP(進行性核上性麻痺)、CBD(大脳皮質基底核変性症)、SCA(脊髄小脳失調症)、MSA(多系統萎縮症)、SDS(シャイ・ドレーガー症候群)、オリーブ橋小脳萎縮症、TBI(外傷性脳損傷)、CTE(慢性外傷性脳症)、脳卒中、WKS(ウェルニッケ・コルサコフ症候群、アルコール性認知症及びチアミン欠乏症)、正常圧水頭症、過眠症/ナルコレプシー、ASD(自閉症スペクトラム障害)、FXS(脆弱X症候群)、TSC(結節性硬化症)、プリオン関連疾患(CJD等)、うつ病性障害、DLB(レビー小体型認知症)、PD(パーキンソン病)、PDD(PD認知症)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、アルツハイマー病(AD)、早期AD、及びダウン症候群(DS)から選択される1つ又は複数である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記対象が、ヒトである、請求項21から24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
経口、経腸、局所、吸入、経粘膜、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、鼻腔内、硬膜外、脳内、脳室内、皮膚上、羊膜外、動脈内、関節内、心臓内、空洞内、皮内、病巣内、眼内、骨内注入、腹腔内、髄腔内、子宮内、膣内、膀胱内、硝子体内、経皮、血管周囲、頬側、膣、舌下、又は直腸の経路を介して、前記化合物が前記対象に投与される、請求項21から25のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2021年9月23日に出願した米国仮出願第63/247,727号の優先権を主張する。前記先行出願の開示は本出願の開示の一部と見なされ、その全ての内容が参照によって本出願に組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は、全体として化学化合物に関し、いくつかの実施形態において、β-アドレナリンアゴニスト及びアドレナリン受容体に関連する疾患の治療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
PCT出願公報番号WO2017/197324(特許文献1)には、「アドレナリン受容体調節化合物、及び治療有効量の対象化合物を投与することを含む、アドレナリン受容体に関連する疾患又は症状について対象を治療する方法」が開示されている。
【0004】
米国特許出願公開第2013/0096126号(特許文献2)には、「神経変性障害による学習又は記憶又は両方の障害を有する哺乳動物において、学習又は記憶又はその両方を増強する方法であって、β1-アドレナリン受容体アゴニスト、部分アゴニスト又は受容体リガンドである少なくとも1つの化合物又はその塩を、前記哺乳動物の学習又は記憶又はその両方を改善するのに有効な量で投与するステップを伴う、方法」が開示されている。
【0005】
米国特許出願公開第2014/0235726号(特許文献3)には、「ダウン症候群を有する患者の認知を改善する方法であって、1つ又は複数のβ2アドレナリン受容体アゴニストを、文脈学習試験により測定された患者の認知を改善するのに有効な量及び頻度で患者に投与することを伴う、方法」が開示されている。
【0006】
米国特許出願公開第2016/0184241号(特許文献4)には、「ダウン症候群を有する患者の認知を改善する方法であって、1つ又は複数のβ2-ADRアゴニスト又は薬学的に許容される塩のいずれか又はその両方を、文脈学習試験により測定された患者の認知を改善するのに有効な量及び頻度で患者に鼻腔内投与することを伴う、方法」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2017/197324
【特許文献2】米国特許出願公開第2013/0096126号
【特許文献3】米国特許出願公開第2014/0235726号
【特許文献4】米国特許出願公開第2016/0184241号
【発明の概要】
【0008】
概要
本開示は、アドレナリン受容体を調節する小分子化合物、前記化合物の調製方法、前記化合物を含む医薬組成物、及び医学療法におけるそれらの使用に関する。特に、本開示は、β-アドレナリンアゴニストとしての有用性が見出される化合物を提供する。本明細書で提供される化合物は、β-アドレナリン受容体の調節と一致して、広範囲の薬理活性が実現可能であるという利点を有する。加えて、本開示は、アドレナリン受容体に関連する疾患の治療のために本明細書に記載の化合物を使用する方法を提供する。
【0009】
本開示の化合物、及びその薬学的に許容される組成物は、β-アドレナリンアゴニストとして有効であることが発見されている。かかる本開示の化合物は、一般式:
又はその薬学的に許容される塩を有し、ここで各可変記号は本明細書で定義及び説明されている通りである。
【0010】
本開示の化合物、及びその薬学的に許容される組成物は、異常なβ-アドレナリン受容体活性に関連する様々な疾患、障害、又は症状の治療に有用である。かかる疾患、障害、又は症状は、本明細書に記載のものを含む。
【0011】
本開示により提供される化合物は、生物学的現象及び病理学的現象におけるβ-アドレナリン受容体の研究及びβ-アドレナリン受容体、シグナル伝達経路、及び神経伝達物質レベルの新しいβ-アドレナリンアゴニスト又は他の制御因子のインビトロ又はインビボでの比較評価にも有用である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
以下の開示において、様々な実施形態の完全な理解を提供するために、特定の具体的な詳細を記載する。しかし、当業者であれば、本明細書に記載の方法及び使用がこれらの詳細無しで実施され得ることを理解するであろう。他の事例では、実施形態の説明を不必要に不明瞭にするのを回避するために、周知の構造については、詳細に図示又は説明していない。文脈上別段の解釈が必要でない限り、本明細書及びそれに続く特許請求の範囲の全体にわたって、「含む(comprise)」という語及びその変形(「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」等)は、包括的で制限のない意味で解され、つまり、「…を含むが、それらに限定されない」と解される。更に、本明細書で提供される見出しは便宜上のものに過ぎず、本明細書の開示の範囲又は意味を解釈するものではない。
【0013】
本明細書全体を通じて、「一実施形態」又は「いくつかの実施形態」への言及は、該実施形態に関連して説明される特徴、構造又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。このため、本明細書の全体にわたって様々な箇所に「いくつかの実施形態において」という語句が現れた場合、必ずしも同じ実施形態に言及しているわけではない。更に、特定の特徴、構造又は特性は、1つ又は複数の実施形態において任意の適切な方式で組み合わせられ得る。また、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」及び「その(the)」は、文脈上別段の明確な記載がない限り、複数の指示対象も含む。また、用語「又は」は、文脈上別段の明確な記載がない限り、一般に「及び/又は」を含む意味で使用されることにも留意されたい。
【0014】
定義
本開示の化合物は、本明細書に一般に記載のものを含み、本明細書に開示されるクラス、サブクラス、及び種によって更に説明される。本明細書で使用されるように、以下の定義は、特に断らない限り、適用されるものとする。この開示の目的のために、化学元素は、Periodic Table of the Elements,CAS version,Handbook of Chemistry and Physics,75th Ed.に従って同定される。また、有機化学の一般原理は、その全ての内容が参照によって本明細書に組み込まれる「Organic Chemistry」,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito:1999、及び「March’s Advanced Organic Chemistry」,5th Ed.,Ed.:Smith,M.B. and March,J.,John Wiley & Sons,New York:2001に記載されている。
【0015】
用語「脂肪族」又は「脂肪族基」は、本明細書で使用されるように、完全に飽和しているか又は1つ又は複数の不飽和単位を含む置換又は非置換の直鎖状(即ち、分枝状でない)又は分枝状の炭化水素鎖、又は分子の残部に対して単一の結合点を有する、完全に飽和しているか又は1つ又は複数の不飽和単位を含むが芳香族ではない(本明細書で「炭素環」、「脂環式」又は「シクロアルキル」とも称される)単環式炭化水素又は二環式炭化水素を意味する。特に指定しない限り、脂肪族基は、1~6個の脂肪族炭素原子を含有する。いくつかの実施形態において、脂肪族基は、1~5個の脂肪族炭素原子を含有する。他の実施形態において、脂肪族基は、1~4個の脂肪族炭素原子を含有する。更に他の実施形態において、脂肪族基は、1~3個の脂肪族炭素原子を含有し、及びなお他の実施形態において、脂肪族基は、1~2個の脂肪族炭素原子を含有する。いくつかの実施形態において、「脂環式」(又は「炭素環」又は「シクロアルキル」)とは、分子の残部に対して単一の結合点を有する、完全に飽和しているか又は1つ又は複数の不飽和単位を含むが芳香族ではない単環式C~C炭化水素を指す。好適な脂肪族基は、直鎖状又は分枝状の、置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びそれらのハイブリッド、例えば(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキル又は(シクロアルキル)アルケニルを含むが、それらに限定されない。
【0016】
本明細書で使用されるように、用語「架橋二環式」とは、任意の二環式環系、即ち少なくとも1つの橋を有する飽和又は部分不飽和の炭素環式又は複素環式環式のものを指す。IUPACによって定義される通り、「橋」とは、2つの橋頭を接続する複数原子の非分枝鎖又は1つの原子若しくは原子価結合であり、ここで「橋頭」は、3つ又はそれ以上の骨格原子(水素を除く)に結合する環系の任意の骨格原子である。いくつかの実施形態において、架橋二環式基は、7~12個の環員、及び独立して窒素、酸素、又は硫黄から選択される0~4個のヘテロ原子を有する。かかる架橋二環式基は、当分野で周知であり、任意の置換可能な炭素原子又は窒素原子において各基が分子の残部に結合している、以下に記載の基を含む。特に指定しない限り、架橋二環式基は、脂肪族基について記載したように1つ又は複数の置換基で置換されていてもよい。追加的又は代替的に、架橋二環式基の任意の置換可能な窒素は、置換されていてもよい。例示的な架橋二環式のものは、以下:
を含む。
【0017】
用語「低級アルキル」とは、C1~4直鎖状又は分枝状アルキル基を指す。例示的な低級アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、及びtert-ブチルである。
【0018】
用語「低級ハロアルキル」とは、1つ又は複数のハロゲン原子で置換されたC1~4直鎖状又は分枝状アルキル基を指す。
【0019】
用語「ヘテロ原子」は、酸素、硫黄、窒素、リン、又はケイ素(窒素、硫黄、リン、又はケイ素の任意の酸化形態、任意の塩基性窒素の四級化形態、又は複素環式環中の酸素、硫黄、窒素、リン、又はケイ素原子を含む)のうちの1つ又は複数を意味する。
【0020】
本明細書で使用されるように、用語「不飽和」は、ある部分が1つ又は複数の不飽和単位を有することを意味する。
【0021】
本明細書で使用されるように、用語「二価のC1~8(又はC1~6)の飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の炭化水素鎖」とは、本明細書で定義するように直鎖状又は分枝状の、二価のアルキレン鎖、アルケニレン鎖、及びアルキニレン鎖を指す。
【0022】
用語「アルキレン」とは、二価のアルキル基を指す。「アルキレン鎖」は、ポリメチレン基、即ち、-(CH-であり、ここでnは、正の整数、好ましくは1~6、1~4、1~3、1~2、又は2~3である。置換アルキレン鎖は、1つ又は複数のメチレン水素原子が置換基で置き換えられたポリメチレン基である。好適な置換基は、置換脂肪族基について下記するものを含む。
【0023】
用語「アルケニレン」とは、二価のアルケニル基を指す。置換アルケニレン鎖は、少なくとも1つの二重結合を含有する、1つ又は複数の水素原子が置換基で置き換えられたポリメチレン基である。好適な置換基は、置換脂肪族基について下記するものを含む。
【0024】
本明細書で使用されるように、用語「シクロプロピレニル」とは、下記構造:
の二価のシクロプロピル基を指す。
【0025】
用語「ハロゲン」は、F、Cl、Br、又はIを意味する。
【0026】
単独で、又は「アラルキル」、「アラルコキシ」又は「アリールオキシアルキル」におけるより大きい部分の一部として使用される「アリール」という用語とは、合計4~14個の環員を有する単環式又は二環式環系を指し、ここでその系内の少なくとも1つの環が芳香族であり、且つその系内の各環が3~7個の環員を含有する。用語「アリール」は、用語「アリール環」と互換的に使用され得る。本開示の特定の実施形態において、「アリール」とは芳香環系を指し、これには、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラシル等が含まれるが、それらに限定されず、また、それらは1つ又は複数の置換基を有してもよい。本明細書で使用されるように、用語「アリール」の範囲には、芳香環が1つ又は複数の非芳香環に縮合している基、例えばインダニル、フタルイミジル、ナフタイミジル、フェナントリジニル、又はテトラヒドロナフチル等も含まれる。
【0027】
単独で、又はより大きい部分、例えば「ヘテロアラルキル」又は「ヘテロアラルコキシ」の一部として使用される「ヘテロアリール」及び「ヘテロアラ-」という用語とは、5~10個の環原子、好ましくは5個、6個、又は9個の環原子を有し、環状アレイで共有された6個、10個、又は14個のπ電子を有し、且つ炭素原子に加えて1~5個のヘテロ原子を有する、基を指す。「ヘテロアリール」の文脈における用語「ヘテロ原子」は、特に窒素、酸素、又は硫黄を含むが、それらに限定されず、且つ窒素又は硫黄の任意の酸化形態、及び塩基性窒素の任意の四級化形態を含む。ヘテロアリール基は、制限なくチエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリジニル、プリニル、ナフチリジニル、及びプテリジニルを含む。本明細書で使用されるように、用語「ヘテロアリール」及び「ヘテロアラ-」は、芳香族複素環が1つ又は複数のアリール環、脂環式環、又はヘテロシクリル環に縮合している、そのラジカル又は結合点が芳香族複素環上にある基も含む。非限定的な例は、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、4H-キノリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、及びピリド[2,3-b]-1,4-オキサジン-3(4H)-オンを含む。ヘテロアリール基は、単環式又は二環式であり得る。ヘテロアリール環は、1つ又は複数のオキソ(=O)又はチオキソ(=S)置換基を含み得る。用語「ヘテロアリール」は、用語「ヘテロアリール環」、「ヘテロアリール基」又は「ヘテロ芳香族」と互換的に使用され得、これらの用語のいずれも、置換されていてもよい環を含む。用語「ヘテロアラルキル」とは、ヘテロアリールにより置換されたアルキル基を指し、ここでアルキル部分及びヘテロアリール部分は独立して、置換されていてもよい。
【0028】
本明細書で使用されるように、用語「複素環」、「ヘテロシクリル」、「複素環式ラジカル」及び「複素環式環」は、互換的に使用され、安定した5~7員の単環式又は7~10員の二環式複素環式部分であって、飽和又は部分不飽和のいずれかであり、且つ、炭素原子に加えて、1つ又は複数の、好ましくは1~4個の、上記で定義したようなヘテロ原子を有する、前記複素環式部分を指す。複素環の環原子に関して使用される場合、用語「窒素」は、置換された窒素を含む。一例として、飽和又は部分不飽和環では、酸素、硫黄、又は窒素から選択される0~3個のヘテロ原子を有し得る。
【0029】
複素環式環は、安定した構造をもたらす任意のヘテロ原子又は炭素原子において提供される化合物に結合することができ、環原子のいずれも置換されてもよい。かかる飽和又は部分不飽和の複素環式ラジカルの例は、制限なくテトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピロリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、ジアゼピニル、オキサゼピニル、チアゼピニル、モルホリニル、及びキヌクリジニルを含む。用語「複素環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクリル環」、「複素環式基」、「複素環式部分」及び「複素環式ラジカル」は、本明細書で互換的に使用され、そしてまた、ヘテロシクリル環が1つ又は複数のアリール環、ヘテロアリール環、又は脂環式環に縮合している基、例えばインドリニル、3H-インドリル、クロマニル、フェナントリジニル、又はテトラヒドロキノリニルも含む。ヘテロシクリル基は、単環式、二環式、架橋二環式、又はスピロ環式であり得る。複素環式環は、1つ又は複数のオキソ(=O)又はチオキソ(=S)置換基を含み得る。用語「ヘテロシクリルアルキル」とは、ヘテロシクリルにより置換されたアルキル基を指し、ここでアルキル部分及びヘテロシクリル部分は独立して、置換されていてもよい。
【0030】
本明細書で使用されるように、用語「部分不飽和」とは、少なくとも1つの二重結合又は三重結合を含む環部分を指す。用語「部分不飽和」は、複数の不飽和部位を有する環を包含することを意図するが、本明細書で定義したようなアリール部分又はヘテロアリール部分を含むことは意図しない。
【0031】
本明細書に記載のように、本開示の化合物は、「置換された」部分を含み得る。一般に、用語「置換された」とは、指定された部分の1つ又は複数の水素が好適な置換基で置き換えられたことを意味する。特に断らない限り、「置換されていてもよい」基は、基の1つ又は複数の置換可能な位置において好適な置換基を有し得、任意の所与の構造における1つより多くの位置が特定の基から選択される1つより多くの置換基で置換される場合、置換基は、あらゆる位置で同じであっても異なっていてもよい。本開示によって想定される置換基の組合せは、好ましくは、安定した又は化学的に実現可能な化合物の形成をもたらす組合せである。本明細書で使用されるように、用語「安定した」とは、それらの産生、検出、そして特定の実施形態では、それらの回収、精製、及び本明細書に開示される1つ又は複数の目的のための使用を可能にする条件に供された時に、実質的に変化しない化合物のことを指す。
【0032】
「置換されていてもよい」基の置換可能な炭素原子上の好適な一価の置換基は独立して、ハロゲン、-(CH0~6、-(CH0~6OR、-O(CH0~6、-O-(CH0~6C(O)OR、-(CH0~6CH(OR、-(CH0~6SR、PhがRで置換され得る-(CH0~6Ph、Phが置換Rで置換され得る-(CH0~6O(CH0~1Ph、Phが置換Rで置換され得る-CH=CHPh、ピリジルがRで置換され得る-(CH0~6O(CH0~1-ピリジル、-NO、-CN、-N、-(CH0~6N(R、-(CH0~6N(R)C(O)R、-N(R)C(S)R、-(CH0~6N(R)C(O)NR 、-N(R)C(S)NR 、-(CH0~6N(R)C(O)OR、-N(R)N(R)C(O)R、-N(R)N(R)C(O)NR 、-N(R)N(R)C(O)OR、-(CH0~6C(O)R、-C(S)R、-(CH0~6C(O)OR、-(CH0~6C(O)SR、-(CH0~6C(O)OSiR 、-(CH0~6OC(O)R、-OC(O)(CH0~6SR、-(CH0~6SC(O)R、-(CH0~6C(O)NR 、-C(S)NR 、-C(S)SR、-SC(S)SR、-(CH0~6OC(O)NR 、-C(O)N(OR)R、-C(O)C(O)R、-C(O)CHC(O)R、-C(NOR)R、-(CH0~6SSR、-(CH0~6S(O)、-(CH0~6S(O)OR、-(CH0~6OS(O)、-S(O)NR 、-(CH0~6S(O)R、-N(R)S(O)NR 、-N(R)S(O)、-N(OR)R、-C(NH)NR 、-P(O)、-P(O)R 、-P(O)(OR、-OP(O)(R)OR、-OP(O)R 、-OP(O)(OR、SiR 、-(C1~4直鎖状もしくは分枝状アルキレン)O-N(R、又は-(C1~4直鎖状もしくは分枝状アルキレン)C(O)O-N(Rであり、ここで各Rは、以下で定義するように置換され得、且つ独立して、水素、C1~6脂肪族、-CHPh、-O(CH0~1Ph、-CH-(5~6員ヘテロアリール環)、又は、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和環、部分不飽和環、もしくはアリール環であるか、あるいは、上記定義に関わらず、それらの介在原子と一緒になった、2つの独立して存在するRは、独立して窒素、酸素、又は硫黄から選択される0~4個のヘテロ原子を有する3~12員の飽和、部分不飽和、又はアリールの単環式又は二環式環を形成し、それらは以下で定義するように置換され得る。
【0033】
(又は2つの独立して存在するRがそれらの介在原子と一緒になって形成した環)上の好適な一価の置換基は独立して、ハロゲン、-(CH0~2、-(ハロR)、-(CH0~2OH、-(CH0~2OR、-(CH0~2CH(OR、-O(ハロR)、-CN、-N、-(CH0~2C(O)R、-(CH0~2C(O)OH、-(CH0~2C(O)OR、-(CH0~2SR、-(CH0~2SH、-(CH0~2NH、-(CH0~2NHR、-(CH0~2NR 、-NO、-SiR 、-OSiR 、-C(O)SR -(C1~4直鎖状もしくは分枝状アルキレン)C(O)OR、又は-SSRであり、ここで各Rは、置換されていないか、又は、「ハロ」が先行する場合、1つ又は複数のハロゲンのみで置換され、且つ独立して、C1~4脂肪族、-CHPh、-O(CH0~1Ph、又は、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和環、部分不飽和環、もしくはアリール環から選択される。Rの飽和炭素原子上の好適な二価の置換基は、=O及び=Sを含む。
【0034】
「置換されていてもよい」基の飽和炭素原子上の好適な二価の置換基は、=O、=S、=NNR 、=NNHC(O)R、=NNHC(O)OR、=NNHS(O)、=NR、=NOR、-O(C(R ))2~3O-、又は-S(C(R ))2~3S-を含み、ここで独立して存在する各Rは、水素、以下で定義するように置換され得るC1~6脂肪族、又は、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される0~4個のヘテロ原子を有する非置換の5~6員の飽和環、部分不飽和環、もしくはアリール環から選択される。「置換されていてもよい」基の近隣の置換可能な炭素に結合した好適な二価の置換基は、-O(CR 2~3O-を含み、ここで独立して存在する各Rは、水素、以下で定義するように置換され得るC1~6脂肪族、又は、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される0~4個のヘテロ原子を有する非置換の5~6員の飽和環、部分不飽和環、もしくはアリール環から選択される。
【0035】
の脂肪族基上の好適な置換基は、ハロゲン、-R、-(ハロR)、-OH、-OR、-O(ハロR)、-CN、-C(O)OH、-C(O)OR、-NH、-NHR、-NR 、又は-NOを含み、ここで各Rは、置換されていないか、又は、「ハロ」が先行する場合、1つ又は複数のハロゲンのみで置換され、且つ独立して、C1~4脂肪族、-CHPh、-O(CH0~1Ph、又は、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和環、部分不飽和環、もしくはアリール環である。
【0036】
「置換されていてもよい」基の置換可能な窒素上の好適な置換基は、-R、-NR 、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)C(O)R、-C(O)CHC(O)R、-S(O)、-S(O)NR 、-C(S)NR 、-C(NH)NR 、又は-N(R)S(O)を含み、ここで各Rは独立して、水素、以下で定義するように置換され得るC1~6脂肪族、非置換の-OPh、又は、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される0~4個のヘテロ原子を有する非置換の5~6員の飽和環、部分不飽和環、もしくはアリール環であるか、あるいは、上記定義に関わらず、それらの介在原子と一緒になった、2つの独立して存在するRは、独立して窒素、酸素、又は硫黄から選択される0~4個のヘテロ原子を有する非置換の3~12員の飽和、部分不飽和、又はアリールの単環式又は二環式環を形成する。
【0037】
の脂肪族基上の好適な置換基は独立して、ハロゲン、-R、-(ハロR)、-OH、-OR、-O(ハロR)、-CN、-C(O)OH、-C(O)OR、-NH、-NHR、-NR 、又は-NOであり、ここで各Rは、置換されていないか、又は「ハロ」が先行する場合、1つ又は複数のハロゲンのみで置換され、且つ独立して、C1~4脂肪族、-CHPh、-O(CH0~1Ph、又は、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和環、部分不飽和環、もしくはアリール環である。
【0038】
本明細書で使用されるように、用語「薬学的に許容される塩」とは、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応等無しで、ヒト及び下等動物の組織と接触させて使用するために好適であり、そして合理的な利益/リスク比に見合う、塩を指す。薬学的に許容される塩は当分野で周知である。例えば、S.M.Bergeらは、本明細書に参照によって組み込まれるJ.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1-19において、薬学的に許容される塩を詳細に説明している。本開示の化合物の薬学的に許容される塩は、好適な無機及び有機の酸及び塩基に由来する塩を含む。薬学的に許容される非毒性の酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸等のような無機酸、又は酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸又はマロン酸等のような有機酸を用いて、又はイオン交換等のような当分野で使用される他の方法を使用することによって、形成されたアミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩は、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、ブチル酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、及び吉草酸塩等を含む。
【0039】
適切な塩基に由来する塩は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩及びN(C1~4アルキル)塩を含む。代表的なアルカリ塩又はアルカリ土類金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等を含む。更なる薬学的に許容される塩は、適切な場合、例えばハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、カルボン酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、低級アルキルスルホン酸イオン、及びアリールスルホン酸イオンのような対イオンを使用して形成された、非毒性のアンモニウム、第4級アンモニウム及びアミンカチオンを含む。
【0040】
本明細書で使用されるように、「プロドラッグ」とは、活性剤を放出するために体内での変換を必要とする活性剤の誘導体を指す。特定の実施形態において、変換は、酵素変換である。プロドラッグは、必ずしもそうではないが、活性剤に変換されるまで薬理学的に不活性である。「プロモエティー」とは、活性剤内の官能基をマスクするために使用される場合に活性剤をプロドラッグに変換する保護基の形態を指す。いくつかのケースでは、プロモエティーは、インビボで酵素的又は非酵素的手段によって切断される結合を介して薬物に結合する。対象化合物の任意の好都合なプロドラッグ形態は、例えば、Rautioら(「Prodrugs:design and clinical applications」,Nature Reviews Drug Discovery 7,255-270(February 2008))によって説明された戦略及び方法に従って調製することができる。
【0041】
本明細書で使用されるように、用語「提供される化合物」とは、本明細書に記載の任意の属、亜属、及び/又は種を指す。
【0042】
別段の記載がない限り、本明細書に示す構造は、その構造の全ての異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー、及び幾何(又は配座))型、例えば、各不斉中心のR配置及びS配置、Z体及びE体の二重結合異性体、及びZ体及びE体の配座異性体を含むことも意図する。したがって、本発明の化合物の単一の立体化学的異性体、及びエナンチオマー、ジアステレオマー、及び幾何(又は配座)混合物は、本開示の範囲内である。別段の記載がない限り、本開示の化合物の全ての互変異性形態は、本開示の範囲内である。また、別段の記載がない限り、本明細書に示す構造は、1つ又は複数の同位体濃縮された原子の存在のみで異なる化合物を含むことも意図する。例えば、水素がジュウテリウム又はトリチウムで置き換えられたもの、又は炭素が13C又は14C濃縮炭素で置き換えられたものを含む本発明の構造を有する化合物は、本開示の範囲内である。かかる化合物は、例えば、分析ツールとして、生物学的アッセイにおけるプローブとして、又は本開示による治療用物質して有用である。
【0043】
本開示の化合物
本開示の化合物、及びその組成物は、β-アドレナリン調節剤として有用である。いくつかの実施形態において、提供される化合物はβ-アドレナリン受容体を調節する。
【0044】
特定の実施形態において、本明細書に開示される化合物は、アドレナリン受容体のアゴニスト、部分アゴニスト、又はアンタゴニストである。いくつかの実施形態において、化合物は、β1-アドレナリン受容体アゴニスト、β2-アドレナリン受容体アゴニスト、又は非選択的β1/β2-アドレナリン受容体アゴニストである。いくつかの実施形態において、化合物は、β1-アドレナリン受容体アゴニストである。いくつかの実施形態において、化合物は、β2-アドレナリン受容体アゴニストである。いくつかの実施形態において、化合物は、非選択的β1/β2-アドレナリンアゴニストである。
【0045】
本明細書に記載のように、
で表される構造は、例えば、構造
を含む。
【0046】
本開示は、式I-a:
の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供し、
式中、
各Rは独立して、水素、ハロゲン、R、-CN、-NO、-SF、-OR、-N(R)、-SOR、-C(O)R、-C(O)N(R)2、-NRC(O)R、-NRCOR、又は-CORであり、
各Rは独立して、水素であるか、又は、C1~6脂肪族、フェニル、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する3~8員の飽和もしくは部分不飽和炭素環式環もしくは複素環式環、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環、から選択される置換されていてもよい基であるか、又は、
同じ窒素原子上の2つのR基は、任意にそれらの介在原子と一緒になって、置換されていてもよい3~7員の飽和もしくは部分不飽和複素環式環を形成し、前記飽和もしくは部分不飽和複素環式環が、前記2つのR基が結合している前記窒素原子に加えて、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される0~2個のヘテロ原子を有し、
各Rは独立して、C1~6脂肪族、フェニル、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和炭素環式環もしくは複素環式環、並びに、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環、から選択される置換されていてもよい基であるか、又は、
同じ炭素原子上の2つのR基は、任意にそれらの介在原子と一緒になって、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する置換されていてもよい3~6員の飽和もしくは部分不飽和炭素環式環もしくは複素環式環を形成し、
及びRはそれぞれ独立して、水素、もしくは置換されていてもよいC1~6脂肪族であるか、又は、
及びRは、任意に、それらが結合している炭素原子と一緒になって、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する置換されていてもよい3~6員の飽和もしくは部分不飽和炭素環式環もしくは複素環式環を形成し、
は、置換されていてもよいC1~6脂肪族であり、
は、水素、又は置換されていてもよいC1~6脂肪族であり、
は、C2~9脂肪族、フェニルC0~3アルキル、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有するヘテロシクリルC0~3アルキル、並びに、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有するヘテロアラC0~3アルキル、から選択される置換されていてもよい基であり、
環A及び環Bは独立して、ベンゾ、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~6員のヘテロアリール、並びに、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~7員の飽和又は部分不飽和カルボシクリル又はヘテロシクリル、から選択される縮合環であり、且つ
nは、0、1、2、3、4、5、又は6である。
【0047】
いくつかの実施形態において、本開示は、式I-aの化合物を提供し、ここで、式I-a-1:
の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するように、示される通り環Aはピラゾリレニルであり、ここで環B、R、R、R、R、R、R、及びnのそれぞれは、単独及び組み合わせの両方で、上記に定義した及び本明細書における実施形態に記載した通りである。
【0048】
いくつかの実施形態において、本開示は、式I-aの化合物を提供し、ここで、式I-a-2:
の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するように、示される通りR及びRは水素であり、ここで環A、環B、R、R、R、R、及びnのそれぞれは、単独及び組み合わせの両方で、上記に定義した及び本明細書における実施形態に記載した通りである。
【0049】
いくつかの実施形態において、本開示は、式I-aの化合物を提供し、ここで、式I-a-3:
の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するように、示される通り環Aはピラゾリレニルであり且つR及びRは水素であり、ここで環B、R、R、R、R、及びnのそれぞれは、単独及び組み合わせの両方で、上記に定義した及び本明細書における実施形態に記載した通りである。
【0050】
いくつかの実施形態において、本開示は、式I-aの化合物を提供し、ここで、式I-a-4:
の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するように、以下に示される通り環Bはベンゾであり、ここで環A、R、R、R、R、R、R、及びnのそれぞれは、単独及び組み合わせの両方で、上記に定義した及び本明細書における実施形態に記載した通りである。
【0051】
いくつかの実施形態において、本開示は、式I-aの化合物を提供し、ここで、式I-a-5:
の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するように、以下に示される通り環Bはベンゾであり且つR及びRは水素であり、ここで環A、R、R、R、R、及びnのそれぞれは、単独及び組み合わせの両方で、上記に定義した及び本明細書における実施形態に記載した通りである。
【0052】
いくつかの実施形態において、本開示は、式I-aの化合物を提供し、ここで、式I-a-6:
の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するように、以下に示される通り環Aはピラゾリレニルであり、ここでR、R、R、R、R、R、及びnのそれぞれは、単独及び組み合わせの両方で、上記に定義した及び本明細書における実施形態に記載した通りである。
【0053】
いくつかの実施形態において、本開示は、式I-aの化合物を提供し、ここで、式I-a-7:
の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するように、以下に示される通り環Aはピラゾリレニルであり、ここでR、R、R、R、及びnのそれぞれは、単独及び組み合わせの両方で、上記に定義した及び本明細書における実施形態に記載した通りである。
【0054】
本開示は、式I-b:
の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供し、
式中、
各Rは独立して、水素、ハロゲン、R、-CN、-NO、-SF、-OR、-N(R)、-SOR、-C(O)R、-C(O)N(R)2、-NRC(O)R、-NRCOR、又は-CORであり、
各Rは独立して、水素であるか、又は、C1~6脂肪族、フェニル、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する3~8員の飽和もしくは部分不飽和炭素環式環もしくは複素環式環、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環、から選択される置換されていてもよい基であるか、又は、
同じ窒素原子上の2つのR基は、任意にそれらの介在原子と一緒になって、置換されていてもよい3~7員の飽和もしくは部分不飽和複素環式環を形成し、前記飽和もしくは部分不飽和複素環式環が、前記2つのR基が結合している前記窒素原子に加えて、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される0~2個のヘテロ原子を有し、
各Rは独立して、C1~6脂肪族、フェニル、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和炭素環式環もしくは複素環式環、並びに、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環、から選択される置換されていてもよい基であるか、又は、
同じ炭素原子上の2つのR基は、任意にそれらの介在原子と一緒になって、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する置換されていてもよい3~6員の飽和もしくは部分不飽和炭素環式環もしくは複素環式環を形成し、
及びRはそれぞれ独立して、水素、もしくは置換されていてもよいC1~6脂肪族であるか、又は、
及びRは、任意に、それらが結合している炭素原子と一緒になって、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する置換されていてもよい3~6員の飽和もしくは部分不飽和炭素環式環もしくは複素環式環を形成し、
及びRはそれぞれ独立して、水素、もしくは置換されていてもよいC1~6脂肪族であるか、又は、
及びRは、任意に、それらが結合している炭素原子と一緒になって、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する置換されていてもよい3~6員の飽和もしくは部分不飽和炭素環式環もしくは複素環式環を形成し、
は、C1~9脂肪族、フェニルC0~3アルキル、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有するヘテロシクリルC0~3アルキル、並びに、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有するヘテロアラC0~3アルキル、から選択される置換されていてもよい基であり、
環A及び環Bは独立して、ベンゾ、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~6員のヘテロアリール、並びに、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~7員の飽和又は部分不飽和カルボシクリル又はヘテロシクリル、から選択される縮合環であり、且つ
nは、2、3、4、5、又は6であり、
ここで、環Aは、5員の縮合複素環式環である場合、1つの窒素を含有する5員複素環式環ではない。
【0055】
いくつかの実施形態において、本開示は、式I-bの化合物を提供し、ここで、式I-b-1:
の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するように、以下に示される通り環Aはピラゾリレニルであり、ここで環B、R、R、R、R、R、R、及びnのそれぞれは、単独及び組み合わせの両方で、上記に定義した及び本明細書における実施形態に記載した通りである。
【0056】
いくつかの実施形態において、本開示は、式I-bの化合物を提供し、ここで、式I-b-2:
の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するように、示される通りR及びRは水素であり、ここで環A、環B、R、R、R、R、及びnのそれぞれは、単独及び組み合わせの両方で、上記に定義した及び本明細書における実施形態に記載した通りである。
【0057】
いくつかの実施形態において、本開示は、式I-bの化合物を提供し、ここで、式I-b-3:
の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するように、以下に示される通り環Aはピラゾリレニルであり且つR及びRは水素であり、ここで環B、R、R、R、R、及びnのそれぞれは、単独及び組み合わせの両方で、上記に定義した及び本明細書における実施形態に記載した通りである。
【0058】
いくつかの実施形態において、本開示は、式I-bの化合物を提供し、ここで、式I-b-4:
の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するように、以下に示される通り環Bはベンゾであり、ここで環A、R、R、R、R、R、R、及びnのそれぞれは、単独及び組み合わせの両方で、上記に定義した及び本明細書における実施形態に記載した通りである。
【0059】
いくつかの実施形態において、本開示は、式I-bの化合物を提供し、ここで、式I-b-5:
の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するように、以下に示される通り環Bはベンゾであり且つR及びRは水素であり、ここで環A、R、R、R、R、及びnのそれぞれは、単独及び組み合わせの両方で、上記に定義した及び本明細書における実施形態に記載した通りである。
【0060】
いくつかの実施形態において、本開示は、式I-bの化合物を提供し、ここで、式I-b-6:
の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するように、以下に示される通り環Aはピラゾリレニルであり、ここでR、R、R、R、R、R、及びnのそれぞれは、単独及び組み合わせの両方で、上記に定義した及び本明細書における実施形態に記載した通りである。
【0061】
いくつかの実施形態において、本開示は、式I-bの化合物を提供し、ここで、式I-b-7:
の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するように、以下に示される通り環Aはピラゾリレニルであり、ここでR、R、R、R、及びnのそれぞれは、単独及び組み合わせの両方で、上記に定義した及び本明細書における実施形態に記載した通りである。
【0062】
上記に定義した及び本明細書に記載したように、各Rは独立して、水素、ハロゲン、R、-CN、-NO、-SF、-OR、-N(R)、-SOR、-C(O)R、-C(O)N(R)2、-NRC(O)R、-NRCOR、又は-CORである。
【0063】
いくつかの実施形態において、Rは水素である。いくつかの実施形態において、Rはハロゲンである。いくつかの実施形態において、RはRである。いくつかの実施形態において、Rは-CNである。いくつかの実施形態において、Rは-NOである。いくつかの実施形態において、Rは-SFである。いくつかの実施形態において、Rは-ORである。いくつかの実施形態において、Rは-N(R)である。いくつかの実施形態において、Rは-SORである。いくつかの実施形態において、Rは-C(O)Rである。いくつかの実施形態において、Rは-C(O)N(R)である。いくつかの実施形態において、Rは-NRC(O)Rである。いくつかの実施形態において、Rは-NRCORである。いくつかの実施形態において、Rは-CORである。いくつかの実施形態において、Rはクロロである。いくつかの実施形態において、Rはフルオロである。いくつかの実施形態において、Rはメチルである。いくつかの実施形態において、Rはメトキシである。いくつかの実施形態において、Rは-OCHFである。
【0064】
いくつかの実施形態において、Rは下記表1A~Cに示すものから選択される。
【0065】
上記に定義した及び本明細書に記載したように、各Rは独立して、水素であるか、又は、C1~6脂肪族、フェニル、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する3~8員の飽和もしくは部分不飽和炭素環式環もしくは複素環式環、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環、から選択される置換されていてもよい基であるか、あるいは、同じ窒素原子上の2つのR基は、任意にそれらの介在原子と一緒になって、置換されていてもよい3~7員の飽和又は部分不飽和複素環式環を形成し、前記飽和又は部分不飽和複素環式環が、前記2つのR基が結合している前記窒素原子に加えて、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される0~2個のヘテロ原子を有する。
【0066】
いくつかの実施形態において、Rは、水素である。いくつかの実施形態において、Rは、置換されていてもよいC1~6脂肪族(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、シクロブチル、トリフルオロメチル等)である。いくつかの実施形態において、Rは、置換されていてもよいフェニルである。いくつかの実施形態において、Rは、置換されていてもよい3~8員の飽和又は部分不飽和炭素環式環である。いくつかの実施形態において、Rは、独立して窒素、酸素、又は硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する置換されていてもよい3~8員の飽和又は部分不飽和複素環式環である。いくつかの実施形態において、Rは、独立して窒素、酸素から選択される1~3個のヘテロ原子を有する置換されていてもよい5~6員のヘテロアリール環である。いくつかの実施形態において、同じ窒素原子上の2つのR基は、任意にそれらの介在原子と一緒になって、置換されていてもよい3~7員の飽和又は部分不飽和複素環式環を形成し、前記飽和又は部分不飽和複素環式環は、前記2つのR基が結合している前記窒素原子に加えて、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される0~2個のヘテロ原子を有する。
【0067】
いくつかの実施形態において、Rは下記表1A~Cに示すものから選択される。
【0068】
上記に定義した及び本明細書に記載したように、各Rは独立して、C1~6脂肪族、フェニル、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和炭素環式環もしくは複素環式環、並びに、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環、から選択される置換されていてもよい基であるか、又は同じ炭素原子上の2つのR基は、任意にそれらの介在原子と一緒になって、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する置換されていてもよい3~6員の飽和もしくは部分不飽和炭素環式環もしくは複素環式環を形成する。
【0069】
いくつかの実施形態において、Rは、置換されていてもよいC1~6脂肪族(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、シクロブチル、トリフルオロメチル等)である。いくつかの実施形態において、Rは、置換されていてもよいフェニルである。いくつかの実施形態において、Rは、置換されていてもよい4~7員の飽和又は部分不飽和炭素環式環である。いくつかの実施形態において、Rは、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する置換されていてもよい4~7員の飽和又は部分不飽和複素環式環である。いくつかの実施形態において、Rは、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を有する置換されていてもよい5~6員のヘテロアリール環である。いくつかの実施形態において、同じ炭素原子上の2つのR基は、任意にそれらの介在原子と一緒になって、置換されていてもよい3~6員の飽和又は部分不飽和炭素環式環を形成する。いくつかの実施形態において、同じ炭素原子上の2つのR基は、任意にそれらの介在原子と一緒になって、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する置換されていてもよい3~6員の飽和又は部分不飽和複素環式環を形成する。
【0070】
いくつかの実施形態において、Rは下記表1A~Cに示すものから選択される。
【0071】
上記に定義した及び本明細書に記載したように、R及びRはそれぞれ独立して、水素、もしくは置換されていてもよいC1~6脂肪族であるか、又はR及びRは、任意に、それらが結合している炭素原子と一緒になって、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する置換されていてもよい3~6員の飽和もしくは部分不飽和炭素環式環もしくは複素環式環を形成する。
【0072】
いくつかの実施形態において、Rは、水素である。いくつかの実施形態において、Rは、置換されていてもよいC1~6脂肪族(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、シクロブチル、トリフルオロメチル等)である。
【0073】
いくつかの実施形態において、Rは、水素である。いくつかの実施形態において、Rは、置換されていてもよいC1~6脂肪族(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、シクロブチル、トリフルオロメチル等)である。
【0074】
いくつかの実施形態において、R及びRは、任意に、それらが結合している炭素原子と一緒になって、置換されていてもよい3~6員の飽和又は部分不飽和炭素環式環(例えば、シクロプロピレニル、シクロブチレニル等)を形成する。いくつかの実施形態において、R及びRは、任意に、それらが結合している炭素原子と一緒になって、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する置換されていてもよい3~6員の飽和又は部分不飽和複素環式環(例えば、テトラヒドロフラニレニル(tetrahydrofuranylenyl)、テトラヒドロ-2H-ピラニレニル(tetrahydro-2H-pyranylenyl)、ピロリジニレニル(pyrrolidinylenyl)、ピペリジニレニル(piperidinylenyl)等)を形成する。
【0075】
いくつかの実施形態において、R及びRは、下記表1A~Cに示すものから選択される。
【0076】
上記に定義した及び本明細書に記載したように、Rは、水素、又は置換されていてもよいC1~6脂肪族である。
【0077】
いくつかの実施形態において、Rは、水素である。いくつかの実施形態において、Rは、置換されていてもよいC1~6脂肪族(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、シクロブチル、トリフルオロメチル等)である。いくつかの実施形態において、Rはメチルである。いくつかの実施形態において、Rはエチルである。いくつかの実施形態において、Rはイソプロピルである。いくつかの実施形態において、Rはシクロプロピルである。いくつかの実施形態において、Rはtert-ブチルである。
【0078】
上記に定義した及び本明細書に記載したように、Rは、水素、又は置換されていてもよいC1~6脂肪族である。
【0079】
いくつかの実施形態において、Rは、水素である。いくつかの実施形態において、Rは、置換されていてもよいC1~6脂肪族(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、シクロブチル、トリフルオロメチル等)である。いくつかの実施形態において、Rはメチルである。いくつかの実施形態において、Rはエチルである。いくつかの実施形態において、Rはイソプロピルである。いくつかの実施形態において、Rはシクロプロピルである。いくつかの実施形態において、Rはtert-ブチルである。
【0080】
上記に定義した及び本明細書に記載したように、R及びRは、任意に、それらが結合している炭素原子と一緒になって、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する置換されていてもよい3~6員の飽和又は部分不飽和炭素環式環又は複素環式環を形成する。
【0081】
いくつかの実施形態において、R及びRは、任意に、それらが結合している炭素原子と一緒になって、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する置換されていてもよい3~6員の飽和又は部分不飽和炭素環式環又は複素環式環を形成する。
【0082】
いくつかの実施形態において、R及びRは、下記表1A~Cに示すものから選択される。
【0083】
上記に定義した及び本明細書に記載したように、Rは、C1~9脂肪族、フェニルC0~3アルキル、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有するヘテロシクリルC0~3アルキル、並びに、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有するヘテロアラC0~3アルキル、から選択される置換されていてもよい基である。
【0084】
いくつかの実施形態において、Rは、置換されていてもよいC1~9脂肪族(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、シクロブチル、トリフルオロメチル等)である。いくつかの実施形態において、Rは、置換されていてもよいC2~9脂肪族(例えば、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、シクロブチル、トリフルオロメチル等)である。いくつかの実施形態において、Rは、置換されていてもよいフェニルC0~3アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する置換されていてもよいヘテロシクリルC0~3アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する置換されていてもよいヘテロアラC0~3アルキルである。いくつかの実施形態において、Rはメチルである。いくつかの実施形態において、Rはエチルである。いくつかの実施形態において、Rはイソプロピルである。いくつかの実施形態において、Rはシクロプロピルである。いくつかの実施形態において、Rはtert-ブチルである。いくつかの実施形態において、Rは、置換されていてもよいベンジルである。いくつかの実施形態において、Rはベンジルである。いくつかの実施形態において、Rはパラ-メトキシベンジルである。
【0085】
いくつかの実施形態において、Rは、下記表1A~Cに示すものから選択される。
【0086】
上記に定義した及び本明細書に記載したように、環A及び環Bは独立して、ベンゾ、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~6員のヘテロアリール、並びに、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~7員の飽和又は部分不飽和カルボシクリル又はヘテロシクリル、から選択される縮合環である。
【0087】
いくつかの実施形態において、環Aはベンゾである。いくつかの実施形態において、環Aは、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~6員のヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、環Aは、5~7員の飽和又は部分不飽和カルボシクリルである。いくつかの実施形態において、環Aは、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~7員の飽和又は部分不飽和ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、環Aはピロリジニレニルである。いくつかの実施形態において、環Aはピラゾリレニルである。いくつかの実施形態において、環Aはピリジニレニルである。いくつかの実施形態において、環Aはピリミジニレニルである。
【0088】
いくつかの実施形態において、環Bはベンゾである。いくつかの実施形態において、環Bは、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~6員のヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、環Bは、5~7員の飽和又は部分不飽和カルボシクリルである。いくつかの実施形態において、環Bは、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~7員の飽和又は部分不飽和ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、環Bはピリジニレニルである。
【0089】
いくつかの実施形態において、環Aは、5員の縮合複素環式環である場合、1つの窒素を含有する5員複素環式環ではない。
【0090】
いくつかの実施形態において、環A及び環Bは、下記表1A~Cに示すものから選択される。
【0091】
上記に定義した及び本明細書に記載したように、nは、0、1、2、3、4、5、又は6である。
【0092】
いくつかの実施形態において、nは、0である。いくつかの実施形態において、nは、1である。いくつかの実施形態において、nは、2である。いくつかの実施形態において、nは、3である。いくつかの実施形態において、nは、4である。いくつかの実施形態において、nは、5である。いくつかの実施形態において、nは、6である。
【0093】
本開示の例示的な化合物は下記表に示す。
【0094】
(表1A)例示的な化合物
【0095】
いくつかの実施形態において、本開示は、上記表1Aに示す化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0096】
(表1B)例示的な化合物
【0097】
いくつかの実施形態において、本開示は、上記表1Bに示す化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0098】
(表1C)例示的な化合物
【0099】
いくつかの実施形態において、本開示は、上記表1Cに示す化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0100】
本発明の化合物を提供する一般方法
本開示の化合物は、一般に、類似化合物の当業者に公知の合成及び/又は半合成の方法によって、及び本明細書における実施例に詳細に記載される方法によって、調製又は単離され得る。
【0101】
特定の保護基、脱離基、又は変換条件を示す下記スキームにおいて、当業者であれば、他の保護基、脱離基、及び変換条件も好適であり、意図されることを理解するであろう。かかる基及び変換は、それぞれが参照によって全体として本明細書に組み込まれる、March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,M.B.Smith and J.March,5th Edition,John Wiley & Sons,2001、Comprehensive Organic Transformations,R.C.Larock,2nd Edition,John Wiley & Sons,1999、及びProtecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd edition,John Wiley & Sons,1999に詳細に記載されている。
【0102】
本明細書で使用されるように、「酸素保護基」という表現は、例えば、カルボニル保護基、ヒドロキシル保護基等を含む。ヒドロキシル保護基は当分野で周知であり、参照によって全体として本明細書に組み込まれるProtecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd edition,John Wiley & Sons,1999に詳細に記載されているものを含む。好適なヒドロキシル保護基の例は、エステル、アリルエーテル、エーテル、シリルエーテル、アルキルエーテル、アリールアルキルエーテル、及びアルコキシアルキルエーテルを含むが、それらに限定されない。かかるエステルの例は、ホルメート、アセテート、カーボネート、及びスルホネートを含む。具体例は、ホルメート、ベンゾイルホルメート、クロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、p-クロロフェノキシアセテート、3-フェニルプロピオネート、4-オキソペンタノエート、4,4-(エチレンジチオ)ペンタノエート、ピバロエート(トリメチルアセチル)、クロトネート、4-メトキシ-クロトネート、ベンゾエート、p-ベンジルベンゾエート、2,4,6-トリメチルベンゾエート、カーボネート、例えばメチル、9-フルオレニルメチル、エチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-(トリメチルシリル)エチル、2-(フェニルスルホニル)エチル、ビニル、アリル、及びp-ニトロベンジルカーボネートを含む。かかるシリルエーテルの例は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、トリイソプロピルシリル、及び他のトリアルキルシリルエーテルを含む。アルキルエーテルは、メチル、ベンジル、p-メトキシベンジル、3,4-ジメトキシベンジル、トリチル、t-ブチル、アリル、及びアリルオキシカルボニルエーテル又は誘導体を含む。アルコキシアルキルエーテルは、例えばメトキシメチル、メチルチオメチル、(2-メトキシエトキシ)メチル、ベンジルオキシメチル、β-(トリメチルシリル)エトキシメチル、及びテトラヒドロピラニルエーテルのようなアセタールを含む。アリールアルキルエーテルの例は、ベンジル、p-メトキシベンジル(MPM)、3,4-ジメトキシベンジル、O-ニトロベンジル、p-ニトロベンジル、p-ハロベンジル、2,6-ジクロロベンジル、p-シアノベンジル、及び2-及び4-ピコリルエーテルを含む。
【0103】
アミノ保護基は当分野で周知であり、参照によって全体として本明細書に組み込まれるProtecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd edition,John Wiley & Sons,1999に記載されているものを含む。好適なアミノ保護基は、アラルキルアミン、カルバメート、環状イミド、アリルアミン、アミド等を含むが、それらに限定されない。かかる基の例は、t-ブチルオキシカルボニル(BOC)、エチルオキシカルボニル、メチルオキシカルボニル、トリクロロエチルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル(Alloc)、ベンジルオキソカルボニル(CBZ)、アリル、フタルイミド、ベンジル(Bn)、フルオレニルメチルカルボニル(Fmoc)、ホルミル、アセチル、クロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、フェニルアセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイル等を含む。
【0104】
本開示の化合物は、様々な方法で調製することができる。いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、一般に以下に示すスキーム1に従って調製される。
スキーム1
【0105】
いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、一般に以下に示すスキーム2に従って調製される。
スキーム2
【0106】
いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、一般に以下に示すスキーム3に従って調製される。
スキーム3
【0107】
いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、一般に以下に示すスキーム4に従って調製される。
スキーム4
【0108】
いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、一般に以下に示すスキーム5に従って調製される。
スキーム5
【0109】
いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、一般に以下に示すスキーム6に従って調製される。
スキーム6
【0110】
いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、一般に以下にスキーム7に従って調製される。
スキーム7
【0111】
当業者であれば、脂肪族基、アルコール、カルボン酸、エステル、アミド、アルデヒド、ハロゲン及びニトリル等のような、本開示の化合物に存在する様々な官能基は、還元、酸化、エステル化、加水分解、部分酸化、部分還元、ハロゲン化、脱水、部分水和、及び水和に限定されない当分野で周知の技法によって相互変換できることを理解するであろう。例えば、参照によって全体として本明細書に組み込まれる「March’s Advanced Organic Chemistry」,5th Ed.,Ed.:Smith,M.B. and March,J.,John Wiley & Sons,New York:2001を参照されたい。かかる相互変換は、上述の技法のうちの1つ又は複数を必要とする場合があり、本開示の化合物を合成するための特定の方法は以下に例示において記載する。
【0112】
本発明の化合物の医薬組成物
別の実施形態によれば、本開示は、本開示の化合物又はその薬学的に許容される誘導体と、薬学的に許容される担体、アジュバント、又はビヒクルとを含む、組成物を提供する。本開示の組成物中の化合物の量は、生体サンプル中又は対象体内のβ-アドレナリン受容体又はその変異体を測定可能にアゴナイズするのに有効な量である。特定の実施形態において、本開示の組成物中の化合物の量は、生体サンプル中又は対象体内のβ-アドレナリン受容体又はその変異体を測定可能にアゴナイズするのに有効な量である。特定の実施形態において、本開示の組成物は、かかる組成物を必要とする対象に投与するために製剤化される。好ましい実施形態において、本開示の組成物は、対象に経口投与するために製剤化される。
【0113】
用語「薬学的に許容される担体、アジュバント、又はビヒクル」とは、共に製剤化した化合物の薬理活性を壊さない非毒性の担体、アジュバント、又はビヒクルを指す。本開示の組成物において使用され得る薬学的に許容される担体、アジュバント又はビヒクルは、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(ヒト血清アルブミン等)、緩衝物質(ホスフェート等)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩又は電解質(硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩等)、コロイダルシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコール及び羊毛脂を含むが、それらに限定されない。
【0114】
いくつかの実施形態において、薬学的に許容される担体、アジュバント又はビヒクルは、顆粒剤、腸溶性コーティング、カプセル剤、従来の錠剤、多層錠剤、徐放剤、発泡剤、経口投与錠剤、又は経口投与フィルムを含み、これについては、以下のセクションで説明する。
【0115】
「薬学的に許容される誘導体」とは、レシピエントに投与されると、直接又は間接的に、本開示の化合物又はその阻害活性代謝産物若しくは残留物を提供できる、本開示の化合物の任意の非毒性の塩、エステル、エステルの塩、又は他の誘導体を意味する。
【0116】
本明細書で使用されるように、用語「その阻害活性代謝産物若しくは残留物」とは、その代謝産物又は残留物もβ-アドレナリン受容体又はその変異体の調節剤であることを意味する。
【0117】
ある実施形態において、本開示の組成物は、対象又は患者、例えば、哺乳動物、好ましくはヒトへの薬学的投与のために製剤化される。かかる医薬組成物は、対象の本明細書に記載の疾患のいずれかを改善、治療、又は予防するために使用される。
【0118】
本開示の作用物質は、活性のある治療用物質及び様々な他の薬学的に許容される成分を含む医薬組成物として投与される場合が多い。Remington’s Pharmaceutical Science(15th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1980)を参照されたい。好ましい形態は、意図される投与方式及び治療用途に依存する。組成物は、所望の製剤に応じて、薬学的に許容される非毒性の担体又は希釈剤を含んでもよく、これらは、動物又はヒト投与のための医薬組成物を製剤化するために一般的に使用されるビヒクルとして定義される。希釈剤は併用の生物学的活性に影響しないように選択される。かかる希釈剤の例は、蒸留水、生理学的リン酸緩衝生理食塩水、リンガー液、デキストロース溶液、及びハンク溶液である。加えて、医薬組成物又は製剤は、他の担体、アジュバント、又は非毒性、非治療的、非免疫原性安定剤等も含み得る。
【0119】
いくつかの実施形態において、本開示は、脳卒中、虚血、アルツハイマー病、強直性脊椎炎、関節炎、変形性関節炎、関節リウマチ、乾癬性関節炎、喘息、アテローム性動脈硬化症、クローン病、大腸炎、皮膚炎、憩室炎、線維筋痛症、肝炎、過敏性腸症候群、全身性紅斑性ループス、腎炎、潰瘍性大腸炎及びパーキンソン病に限定されない本明細書に記載の疾患の治療における使用のための1つ又は複数の薬学的に許容される担体(添加剤)及び/又は希釈剤と共に製剤化される治療有効量の記載される化合物のうちの1つ又は複数を含む、薬学的に許容される組成物を提供する。記載される化合物を単独で投与することが可能であるが、本明細書に記載のように医薬製剤(組成物)として、記載される化合物を投与することが好ましい。提供される化合物は、他の医薬品との類似性により、ヒト又は獣医学における使用のための任意の好都合な方式で投与するために製剤化され得る。
【0120】
詳細に記載されるように、本開示の医薬組成物は、例えばドレンチ(水性又は非水性の溶液又は懸濁液)、頬側、舌下及び全身吸収等を目的とした錠剤、ボーラス、粉末剤、顆粒剤、舌に適用するためのペーストのような経口投与、例えば滅菌溶液又は懸濁液、又は持続放出製剤としての皮下、筋肉内、静脈内又は硬膜外注射剤による非経口投与、例えば皮膚、肺、又は口腔に適用されるクリーム、軟膏、又は制御放出パッチ若しくはスプレーとしての局所適用、例えばペッサリー、クリーム又はフォームとしての膣内又は直腸内投与、舌下投与、眼内投与、経皮投与、又は経鼻、肺、及び他の粘膜表面への投与、に適合された形態を含む固体形態又は液体形態での投与のために特別に製剤化されてもよい。
【0121】
湿潤剤、乳化剤、及びラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤、並びに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤及び芳香剤、保存剤及び抗酸化剤も、組成物中に存在することができる。
【0122】
薬学的に許容される抗酸化剤の例は、水溶性抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、塩酸システイン、硫酸水素ナトリウム、メタ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等、油溶性抗酸化剤、例えばパルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α-トコフェロール等、及び金属キレート剤、例えばクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等を含む。
【0123】
本開示に従って使用するための製剤は、経口、経鼻、局所(頬側及び舌下を含む)、直腸、膣及び/又は非経口投与に好適なものを含む。製剤は、単位剤形で好都合に提示されてもよく、薬学の分野で周知の任意の方法によって調製されてもよい。単一剤形を製造するために担体材料と組み合わせることができる有効成分の量は、治療される宿主、及び具体的な投与方式によって変化する。単一剤形を製造するために担体材料と組み合わせることができる有効成分の量は、一般に、治療効果を生じる化合物の量になる。一般に、この量は、有効成分の約1%~約99%の範囲である。いくつかの実施形態において、この量は、約5%~約70%、約10%~約50%、又は約20%~約40%の範囲である。
【0124】
特定の実施形態において、本明細書に記載の製剤は、シクロデキストリン、リポソーム、ミセル形成剤、例えば胆汁酸、及びポリマー担体、例えばポリエステル及びポリ無水物から選択される賦形剤と、提供される化合物と、を含む。特定の実施形態において、前述の製剤は、提供される化合物又はその薬学的に許容される塩を経口的に生体利用可能にする。
【0125】
提供される化合物を含む製剤又は組成物を調製する方法は、提供される化合物を、担体及び任意に1つ又は複数の副成分と会合させるステップを含む。一般に、製剤は、提供される化合物を液体担体、又は微細化した固形担体、又はその両方と均一且つ密接に会合させ、次いで必要に応じて生成物を成形することによって調製され得る。
【0126】
前記医薬組成物は、例えば、滅菌の注射可能な水性又は油性懸濁液のような、滅菌注射用調製物の形態であり得る。この懸濁液は、好適な分散剤又は湿潤剤(例えば、Tween80等)及び懸濁化剤を使用して、当分野で既知の技法に従って製剤化され得る。滅菌注射用調製物は、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液のような非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の、滅菌の注射可能な溶液又は懸濁液であってもよい。用いられ得る許容されるビヒクル及び溶媒のうち、マンニトール、水、リンガー液及び等張塩化ナトリウム溶液がある。加えて、滅菌固定油は、溶媒又は懸濁媒体として従来用いられている。この目的のために、合成モノグリセリド又はジグリセリドを含む任意の平滑固定油が用いられ得る。オレイン酸及びそのグリセリド誘導体のような脂肪酸は、特にそれらのポリオキシエチル化バージョンにおいて、オリーブ油又はヒマシ油のような天然の薬学的に許容される油と同様に、注射剤の調製に有用である。これらの油溶液又は懸濁液は、例えばPharmacopeia Helveticaに記載されるもののような長鎖アルコール希釈剤又は分散剤、又は同様のアルコールを含んでもよい。製剤化の目的のために、薬学的に許容される固形、液体、又は他の剤形の製造に一般的に使用される、Tweens、Spans及び他の乳化剤又は生物学的利用能向上剤等のような、他の一般的に使用される界面活性剤も使用され得る。
【0127】
いくつかのケースでは、薬物の効果を延長させるために、皮下注射又は筋肉内注射からの薬物の吸収を遅らせることが望ましい場合がある。これは、難水溶性である結晶性又は非晶質の液体懸濁液を使用することにより達成され得る。次いで、薬物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、溶解速度は、ひいては、結晶のサイズ及び結晶系に依存し得る。あるいは、非経口投与される薬物形態の遅延吸収は、薬物を油性ビヒクルに溶解又は懸濁することによって達成される。
【0128】
注射可能なデポー形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドのような生分解性ポリマー中で、提供される化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成することにより作製される。薬物放出の速度は、ポリマーに対する薬物の比率、及び用いられる具体的なポリマーの性質に応じて制御され得る。他の生分解性ポリマーの例は、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)を含む。デポー注射用製剤は、また、身体組織と適合可能であるリポソーム又はマイクロエマルジョン中に薬物を捕捉することによって調製される。
【0129】
本開示の医薬組成物は、カプセル、錠剤、及び水性懸濁液と溶液に限定されない任意の経口的に許容される剤形で経口投与され得る。経口使用のための錠剤の場合、一般的に使用される担体は、ラクトース及びコーンスターチを含む。ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤もまた、典型的に添加される。カプセル形態での経口投与の場合、有用な希釈剤は、ラクトース及び乾燥コーンスターチを含む。水性懸濁液と溶液、及びプロピレングリコールを経口投与する場合には、提供される化合物を乳化剤及び懸濁剤と組み合わせてもよい。必要に応じて、特定の甘味剤及び/又は香味剤及び/又は着色剤を添加してもよい。
【0130】
経口投与に好適な本明細書に記載の製剤は、各々が、所定量の提供される化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、カプセル、カシェ剤、丸薬、錠剤、ロゼンジ剤(フレーバーベース、通常スクロース及びアカシア若しくはトラガカントを使用)、粉末剤、顆粒剤の形態、又は水性若しくは非水性液体中の溶液若しくは懸濁液として、又は水中油型若しくは油中水型液体エマルジョンとして、又はエリキシル剤若しくはシロップ剤として、又はパスティル剤(ゼラチン及びグリセリン、若しくはスクロース及びアカシア剤のような不活性塩基を使用)として、及び/又は口腔洗浄剤等としてもよい。提供される化合物はまた、ボーラス、舐剤、又はペーストとして投与されてもよい。
【0131】
経口投与用の固形剤形(カプセル、錠剤、丸薬、糖衣錠、粉末剤、顆粒剤等)では、有効成分を、クエン酸ナトリウム若しくはリン酸二カルシウム、及び/又は、充填剤若しくは増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及び/若しくはケイ酸、結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、及び/若しくはアカシア、湿潤剤、例えば、グリセロール、崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ若しくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウム、溶液遅延剤、例えば、パラフィン、吸収促進剤、例えば、四級アンモニウム化合物、湿潤剤、例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセロール、及び非イオン性界面活性剤、吸収剤、例えば、カオリン及びベントナイト粘土、滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物、並びに、着色剤、のうちのいずれかといった、1つ又は複数の薬学的に許容される担体と混合する。カプセル、錠剤、及び丸剤の場合、医薬組成物は、緩衝剤も含み得る。類似したタイプの固形組成物はまた、ラクトース又は乳糖、及び高分子量ポリエチレングリコール等の賦形剤を使用したソフトシェル及びハードシェルゼラチンカプセルにおける充填剤として用いられ得る。
【0132】
錠剤は、任意に1つ又は複数の副成分と共に、圧縮又は成形することにより作製することができる。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、グリコール酸ナトリウムデンプン又は架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤、又は分散剤を使用して調製され得る。成形錠剤は、粉末化合物の混合物を不活性液体希釈剤で湿らせる好適な機械で作製することができる。固形担体が使用される場合、調製物は、錠剤形態であってもよいし、粉末若しくはペレット形態でハードゼラチンカプセル中に置かれてもよいし、トローチ若しくはロゼンジの形態であってもよい。固形担体の量は、例えば、約25~800mg、好ましくは、約25mg~400mgで変化する。液体担体が使用される場合、調製物は、例えば、シロップ、乳剤、ソフトゼラチンカプセル、アンプル又は非水液体懸濁液のような滅菌注射用液の形態であってもよい。組成物がカプセルの形態である場合、任意の通常のカプセル化は、例えば前述の担体をハードゼラチンカプセルシェルで使用することで、好適である。
【0133】
錠剤及び他の固形剤形、例えば、糖衣錠、カプセル、丸薬及び顆粒剤は、任意に、腸溶性コーティング及び製薬技術分野で周知の他のコーティングのようなコーティング及びシェルでスコアリング又は調製され得る。それらは代替的又は追加的に、例えば、所望の放出プロファイルを提供するための様々な割合のヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソーム及び/又はミクロスフェアを使用して、その中の有効成分の徐放又は制御放出を提供するように製剤化することができる。それらは、例えば凍結乾燥されるように、迅速な放出のために製剤化され得る。それらは、例えば、細菌留置フィルターを通す濾過により、又は使用直前に滅菌水若しくは何らかの他の滅菌注射用媒体中に溶解することができる滅菌固形組成物の形態の滅菌剤を組み込むことにより、滅菌され得る。これらの組成物はまた、任意に不透明化剤を含有していてもよく、任意に、遅延方式で、胃腸管の特定の部分で、有効成分のみを又はそれを優先的に放出する組成物であってもよい。使用され得る埋め込み組成物の例は、ポリマー物質及びワックスを含む。有効成分は、適切な場合、上記の賦形剤のうちの1つ又は複数を含むマイクロカプセル化形態であってもよい。
【0134】
提供される化合物の経口投与用の液体剤形は、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ剤及びエリキシル剤を含む。提供される化合物に加えて、液体剤形は、例えば、水又は他の溶媒のような当分野において一般的に使用される不活性希釈剤、可溶化剤及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル、並びにこれらの混合物を含有し得る。
【0135】
不活性希釈剤の他に、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、甘味剤、香味剤、着色剤、芳香剤及び保存剤等のアジュバントを含むこともできる。
【0136】
懸濁液は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天及びトラガカント等のような懸濁化剤、及びそれらの混合物を含有してもよい。
【0137】
本開示の医薬組成物はまた、直腸投与のための坐剤の形態で投与されてもよい。これらの組成物は、提供される化合物を、室温では固体であるが、直腸温度では液体である、好適な非刺激性賦形剤と混合することによって調製することができ、したがって、直腸内で融解して活性成分を放出する。かかる材料は、カカオバター、蜜蝋、及びポリエチレングリコールを含むが、それらに限定されない。
【0138】
本開示の医薬組成物の局所投与は、所望の治療が局所適用によって容易にアクセス可能な領域又は臓器に関わる場合に特に有用である。皮膚に局所的に適用するために、医薬組成物は担体に懸濁又は溶解した活性成分を含有する好適な軟膏として製剤化されるべきである。本開示の化合物の局所投与のための担体は、鉱油、液体石油、白色石油、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス、及び水を含むが、それらに限定されない。あるいは、医薬組成物は担体中に懸濁又は溶解した活性化合物を含有する好適なローション又はクリームとして製剤化することができる。好適な担体は、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、及び水を含むが、それらに限定されない。本開示の医薬組成物は、直腸坐剤製剤によって、又は好適な浣腸製剤中で、下部腸管に局所的に適用されてもよい。局所投与される経皮パッチも、本開示に含まれる。
【0139】
本開示の医薬組成物は、鼻エアロゾル又は吸入によって投与され得る。かかる組成物は、医薬製剤の分野において周知の技法に従い調製され、ベンジルアルコール若しくは他の好適な保存剤、生物学的利用能を増強するための吸収促進剤、フルオロカーボン、及び/又は当分野において既知の他の可溶化剤若しくは分散剤を用いて、生理食塩水中の溶液として調製され得る。
【0140】
眼科的使用のために、医薬組成物は、等張、pH調整滅菌生理食塩水中の微粒子化懸濁液として、又は好ましくは、等張、pH調整滅菌生理食塩水中の溶液として、塩化ベンジルアルコニウム等の保存剤有り又は無しで、製剤化され得る。あるいは、眼科的使用のために、医薬組成物は、ワセリン等の軟膏に製剤化され得る。
【0141】
経皮パッチは、提供される化合物の身体への制御された送達を提供するという追加の利点を有する。化合物を適切な媒体に溶解又は分散させることで、かかる剤形を作製することができる。皮膚を通過する化合物の流れを増大させるために、吸収促進剤を使用することもできる。係る流れの速度は、速度制御膜を設けること、又は化合物をポリマーマトリックス若しくはゲル中に分散させることのいずれかによって、制御することができる。
【0142】
本開示の医薬組成物に用いられ得る好適な水性及び非水性担体の例は、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、及びそれらの好適な混合物、オリーブ油等の植物油、並びにオレイン酸エチル等の注射用有機エステルを含む。適切な流動性は、例えば、レシチン等のコーティング材料の使用、分散液の場合は必要な粒径の維持、及び界面活性剤の使用により、維持することができる。
【0143】
かかる組成物は、保存剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤等のアジュバントを含有してもよい。特定の実施形態では、1つ又は複数の抗細菌剤及び/又は抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸等を含んでいることが望ましい場合がある。代替的又は追加的に、糖類、塩化ナトリウム等の等張剤を組成物に含めることが望ましい場合がある。加えて、注射用医薬形態の吸収の延長は、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンのような吸収を遅らせる作用物質を含めることにより実現され得る。
【0144】
特定の実施形態において、記載される化合物又は医薬調製物は、経口投与される。他の実施形態において、記載される化合物又は医薬調製物は、静脈内投与される。代替的な投与経路は、舌下投与、筋肉内投与、及び経皮投与を含む。
【0145】
本明細書に記載の化合物が、医薬として、ヒト及び動物に投与されるとき、それらは、それ自体で、又は例えば0.1%~99.5%(より好ましくは0.5%~90%)の有効成分を薬学的に許容される担体と組み合わせて含有する医薬組成物として、与えられ得る。
【0146】
本明細書に記載の調製物は、経口的に、非経口的に、局所的に、又は経直腸的に与えられ得る。これらはもちろん、関連する投与経路に好適な形態で与えられる。例えば、それらは、錠剤又はカプセルの形態で、注射、吸入、点眼薬、軟膏、坐剤等によって、注射、注入、又は吸入による投与、ローション又は軟膏による局所投与、及び坐剤による直腸投与で、投与される。経口投与が好ましい。
【0147】
かかる化合物は、例えば、スプレーによる経口、経鼻投与、粉末剤、軟膏、又はドロップによる直腸、膣内、非経口、嚢内、及び局所投与(頬側及び舌下を含む)を含めて、任意の好適な投与経路によって、治療のためにヒト及び他の動物に投与され得る。
【0148】
選択された投与経路に関わらず、好適な水和形態で使用され得る本明細書に記載の化合物、及び/又は本開示の医薬組成物は、当業者に既知の従来の方法によって薬学的に許容される剤形に製剤化される。
【0149】
本開示の医薬組成物中の有効成分の実際の用量レベルは、患者に対し毒性を有さずに、特定の患者、組成物、及び投与方式に対する所望の治療応答を達成するのに有効な有効成分の量を得るように変化し得る。
【0150】
提供されるアドレナリン受容体調節化合物を含むキットも提供される。本開示のシステムは、例えば、医療従事者によって、患者等の対象への投与のために集められた活性剤の集合体を含む。かかるシステムは、本明細書に開示される、提供されるアドレナリン受容体調節化合物及び1つ又は複数の追加の活性剤を含み得る。1回又は複数回の用量の提供されるアドレナリン受容体調節化合物、及び任意に1回又は複数回の用量の1つ又は複数の追加の活性剤を含み得る、アドレナリン受容体調節化合物を含むキットが提供される。好都合には、製剤は、単位剤形で提供され得る。係るキットにおいて、製剤、例えば単位用量を含む容器に加えて、本明細書に開示されるような方法における対象製剤の使用を説明する情報添付文書、例えば、CNS病状に対する対象単位用量を使用するための説明書がある。これらの説明書は、様々な形態で対象システム及びキットに存在してもよく、その1つ又は複数は、キット内に存在してもよい。これらの説明書が存在し得る1つの形態は、好適な媒体又は基材、例えば、情報が印刷される1枚又は複数枚の紙、キットの包装、添付文書等に印刷された情報である。別の手段は、情報が記録されたコンピュータ可読媒体、例えば、ディスケット、CD等である。更に、存在し得る別の手段は、インターネットを介して、離れたサイトの情報にアクセスするために使用され得るウェブサイトアドレスである。任意の好都合な手段はキットに存在し得る。
【0151】
最も好ましくは、本開示の薬学的に許容される組成物は経口投与のために製剤化される。かかる製剤は、食品と共に又は食品を伴わずに投与され得る。いくつかの実施形態において、本開示の薬学的に許容される組成物は食品を伴わずに投与される。他の実施形態において、本開示の薬学的に許容される組成物は食品と共に投与される。
【0152】
単一剤形での組成物を製造するために担体材料と組み合わせられ得る本開示の化合物の量は、使用される宿主、具体的な投与方式に応じて変化する。好ましくは、提供される組成物は、0.01~100mg/kg体重/日の用量の化合物が、これらの組成物を投与された患者に投与できるように、製剤化されるものとする。
【0153】
本開示の組成物及び方法において用いられる化合物は、選択的生物学的特性を増強するために適切な官能基を付加することによって修飾されてもよい。かかる修飾は、当分野で既知であり、所与の生体系(例えば、血液、リンパ系、又は中枢神経系)への生物学的透過を高め、経口利用可能性を高め、注射による投与を可能にする溶解度を高め、代謝を変え、及び/又は排泄速度を変えるものを含む。
【0154】
任意の特定の患者のための具体的な用量及び治療レジメンは、用いられる特定の化合物の活性、年齢、体重、全身の健康、生物、食事、投与時間、排泄速度、薬物の組合せ、治療医の判断、及び治療される具体的な疾患の重篤度を含めて、様々な要因に依存することを理解すべきである。組成物中の本開示の化合物の量は、組成物中の具体的な化合物にも依存する。
【0155】
本発明の医薬組成物及び化合物の治療における使用
本明細書に記載の化合物及び組成物は、一般にアドレナリン受容体の調節に有用である。
【0156】
本明細書で使用されるように、用語「アドレナリン受容体媒介性の」障害、疾患、及び/又は症状とは、アドレナリン受容体が関与すると知られている任意の疾患又は他の有害な症状を意味する。したがって、本開示の別の実施形態は、アドレナリン受容体又はその変異体が関与すると知られている1つ又は複数の疾患の治療又は重篤度の軽減に関する。
【0157】
いくつかの実施形態において、本開示は、アドレナリン受容体媒介性の障害、疾患、及び/又は症状を有する対象の治療方法を提供し、前記方法は、前記対象に治療有効量の提供される化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む。いくつかの実施形態において、前記アドレナリン受容体媒介性の障害、疾患、及び/又は症状は、β-アドレナリン受容体に関連する疾患である。いくつかの実施形態において、前記アドレナリン受容体媒介性の障害、疾患、及び/又は症状は、神経変性疾患である。いくつかの実施形態において、前記対象は、ヒトである。
【0158】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される化合物は、アドレナリン受容体調節化合物(例えば、アドレナリン受容体のアゴニスト、部分アゴニスト、又はアンタゴニスト)であり得る。本開示のアドレナリン受容体調節化合物は、いくつかの実施形態において、インビトロ又はインビボで標的アドレナリン受容体の活性を調節するために有用である。対象方法の態様は、所望の活性が存在するか否かを判定するためにサンプルを(例えば、本明細書に記載のような)アドレナリン受容体調節化合物と接触させることを含む。
【0159】
アドレナリン受容体(ADR)は、全身にわたって広く発現され、認知、ストレス関連行動、炎症、及び平滑筋収縮/拡張、心筋収縮、気道反応性及び認知を含む複数の生理学的プロセスの制御において重要な役割を果たすGタンパク質共役受容体(GPCR)である。アドレナリン受容体は、ノルアドレナリン(NA)及びアドレナリンの中枢及び末梢作用を媒介する。α-アドレナリン受容体及びβ-アドレナリン受容体を含めて、ADRのサブタイプは複数存在する。各サブタイプは、異なるパターンで発現され、異なる生理学的プロセスに関与する。したがって、1つのサブタイプを選択的に標的とするリガンドは、異なるADRサブタイプの役割を識別するための研究ツールとしても、NA及びアドレナリン系の機能障害に関連する複数の疾患の治療用物質としても、有用性が高い。
【0160】
β-アドレナリン受容体は、更に、β1-アドレナリン受容体(β1-ADR)、β2-アドレナリン受容体(β2-ADR)、及びβ3-アドレナリン受容体(β3-ADR)の3つのサブタイプを含む。これらのサブタイプは、異なるパターンで発現され、異なる生理学的プロセスに関与するため、1つのサブタイプを選択的に標的することができるリガンドは、複数の疾患の治療的可能性を有する。しかし、サブタイプ選択的リガンドの発見は、これらのサブタイプによって共有される高いレベルの配列相同性により困難である。β-アドレナリン受容体に対する既存のアゴニストの多くはまた、不良の血液脳関門(BBB)透過も示すが、該特性は、中枢神経系(CNS)適応症に対する薬物の発見に必要である。
【0161】
Gタンパク質共役受容体のクラスとして、アドレナリン受容体は、Gタンパク質及びβアレスチン依存性経路を介してシグナルを伝達する。Gタンパク質又はβアレスチンシグナル伝達は、異なる生理学的応答を媒介することができる。最近、アゴニストは、シグナル伝達経路の偏った活性化を示すことができることが明らかになった。受容体を活性化し、経路依存方式で応答を生成するリガンドの能力は、「シグナル伝達バイアス」又は「機能的選択性」と呼ばれている。Gタンパク質及びβアレスチンが異なる生理学的プロセスを媒介するため、バイアス型アゴニストは、副作用が低減された、改善された治療選択性を提供することができる。よって、いくつかの実施形態において、本開示は、改善された血液脳関門(BBB)透過を有するβ-アドレナリン受容体サブタイプ選択的アゴニストに関する。
【0162】
いくつかの実施形態において、提供される化合物は、アドレナリン受容体調節化合物であり、標的アドレナリン受容体のアゴニストとすることができる。いくつかのケースでは、提供されるアドレナリン受容体調節化合物の有効量は、細胞内のアドレナリン受容体に関連する活性を、対照、例えば、受容体の既知の活性レベルを示す対照細胞と比較して、10%以上、例えば20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、100%以上、ひいては200%以上活性化するのに十分な量である。
【0163】
いくつかの実施形態において、提供される化合物は、アドレナリン受容体調節化合物であり、標的アドレナリン受容体の部分アゴニストとすることができる。いくつかのケースでは、提供されるアドレナリン受容体調節化合物の有効量は、細胞内のアドレナリン受容体の部分アゴニズムを達成するのに十分な量であり、例えば、対象化合物が、対照、例えば完全に活性化された受容体と比較して、受容体の10%以上の活性化、例えば20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、又は90%以上の活性化を達成する量である。部分アゴニズムは、例えば既知の完全アゴニストを100%活性化対照として使用する細胞ベースのアッセイのような、任意の好都合な方法を使用して評価でき、ここで受容体の相対最大活性化は完全アゴニストと比較して測定できる。
【0164】
いくつかの実施形態において、提供される化合物は、アドレナリン受容体調節化合物であり、標的アドレナリン受容体のアンタゴニストとすることができる。いくつかのケースでは、提供されるアドレナリン受容体調節化合物の有効量は、サンプル中のアドレナリン受容体の活性を、対照、例えば、対象化合物と接触しないサンプルと比較して、10%以上、例えば20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、ひいては90%以上阻害する又は低下させるのに十分な量である。
【0165】
いくつかの実施形態において、提供される化合物は、β2-アドレナリン受容体の低nM部分アゴニストとして作用する。例えば、いくつかの実施形態において、提供される化合物は、約1nM未満、約5nM未満、約10nM未満、約15nM未満、約20nM未満、25nM未満、30nM未満、35nM未満、40nM未満、45nM未満、50nM未満、55nM未満、60nM未満、65nM未満、70nM未満、75nM未満、80nM未満、85nM未満、90nM未満、95nM未満、又は100nM未満のEC50を有する。いくつかの実施形態において、提供される化合物は、β2-アドレナリン受容体の低nM部分アゴニストとして作用し、約0.001nM~約200nM、0.001nM~約150nM、約0.001nM~約100nM、0.01nM~約100nM、0.1nM~約100nM、又は約0.1nM~約80nM、又は約0.1nM~約60nM、又は約0.1nM~約40nM、又は約0.1nM~約30nM、又は約0.1nM~約20nM、又は約0.1nM~約10nMのEC50を有する。
【0166】
いくつかの実施形態において、提供される化合物は、β2-アドレナリン受容体の低μM部分アゴニストとして作用する。例えば、いくつかの実施形態において、提供される化合物は、約0.1μM未満、約0.5μM未満、約1.0μM未満、約1.5μM未満、約2.0μM未満、約2.5μM未満、約3.0μM未満、約3.5μM未満、約4.0μM未満、約4.5μM未満、約5.0μM未満、約5.5μM未満、約6.0μM未満、約6.5μM未満、約7.0μM未満、約7.5μM未満、約8.0μM未満、約8.5μM未満、約9.0μM未満、約9.5μM未満、又は約10.0μM未満のEC50を有する。
【0167】
いくつかの実施形態において、提供される化合物は、β2-アドレナリン受容体の低μM部分アゴニストとして作用し、約0.01μM~約10μM、約0.01μM~約9.0μM、約0.01μM~約8.0μM、約0.01μM~約7.0μM、約0.01μM~約6.0μM、約0.01μM~約5.0μM、約0.01μM~約4.0μM、約0.01μM~約3.0μM、約0.01μM~約2.0μM、約0.01μM~約1.0μM、約0.01μM~約9.0μM、約0.1μM~約1.0μMのEC50を有する。
【0168】
いくつかの実施形態において、本開示は、アドレナリン受容体媒介性の障害、疾患、及び/又は症状を有する対象の治療方法を提供し、ここで標的アドレナリン受容体は、β1-アドレナリン受容体である。本方法のいくつかの実施形態において、標的アドレナリン受容体は、β2-アドレナリン受容体である。本方法のいくつかの実施形態において、標的アドレナリン受容体は、β3-アドレナリン受容体である。いくつかの実施形態において、化合物は、β1-アドレナリン受容体及びβ2-アドレナリン受容体の両方に対するアゴニストである。特定のケースでは、化合物はβ1-アドレナリン受容体よりもβ2-アドレナリン受容体に選択的である。
【0169】
いくつかの実施形態において、標的アドレナリン受容体は、細胞における細胞内シグナル又は経路の媒介を担うものであり得る。いくつかの実施形態において、サンプルは、細胞を含み、アドレナリン受容体の調節は、細胞内の生理学的プロセスを調節する。任意の好都合な生理学的プロセスは、対象方法を使用して細胞内の調節について標的化され得る。いくつかの実施形態において、生理学的プロセスは、心機能に関与するプロセスであり、特定の事例では、生理学的プロセスは、認知機能に関与するプロセスである。特定の事例では、生理学的プロセスは、炎症経路又は症状に関与するプロセスである。対象方法は、細胞内のシグナル伝達分子、例えばcAMPの細胞内濃度の媒介を提供することができる。対象方法は、サンプル中のcAMPの調節(例えば、活性化)をもたらすために標的アドレナリン受容体の部分的又は完全な遮断を提供することができる。いくつかの実施形態において、本方法は、細胞のβ-アレスチン経路を調節しない。いくつかのケースでは、細胞は炎症性細胞であり、細胞の機能は制御される。対象方法は、細胞における炎症性経路の阻害を提供することができる。いくつかのケースでは、TNF-αは細胞内で阻害され、例えば、TNF-αの濃度又は産生は、対象方法を実施することによって低減される。本方法の特定の実施形態において、細胞は、ニューロンである。いくつかの実施形態において、アドレナリン受容体の調節は、神経新生を増強する。
【0170】
いくつかの実施形態において、提供される化合物又はその薬学的に許容される塩は、心筋梗塞、脳卒中、虚血、アルツハイマー病、パーキンソン病、ゲーリッグ病(筋萎縮性側索硬化症)、ハンチントン病、多発性硬化症、老人性認知症、皮質下認知症、動脈硬化性認知症、AIDS関連認知症、他の認知症、脳血管炎、てんかん、トゥーレット症候群、ウィルソン病、ピック病、脳炎、脳脊髄炎、髄膜炎、プリオン病、小脳失調症、小脳変性症、脊髄小脳変性症候群、フリードライヒ運動失調症、毛細血管拡張性運動失調症、脊髄性筋栄養障害(spinal dysmyotrophy)、進行性核上性麻痺、ジストニア、筋肉痙縮、振戦、網膜色素変性、線条体黒質変性、ミトコンドリア脳筋症、神経セロイドリポフスチン症、皮質下梗塞を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL)及び糖尿病性網膜症に限定されない本明細書に記載の疾患を制御、予防、治療するための従来の方式で用いられ得る。かかる治療方法、それらの用量レベル及び要件は、利用可能な方法及び技法から当業者によって選択され得る。
【0171】
いくつかの実施形態において、疾患は、心筋梗塞、脳卒中、虚血、アルツハイマー病、パーキンソン病、ゲーリッグ病(筋萎縮性側索硬化症)、ハンチントン病、多発性硬化症、老人性認知症、皮質下認知症、動脈硬化性認知症、AIDS関連認知症、他の認知症、脳血管炎、てんかん、トゥーレット症候群、ウィルソン病、ピック病、脳炎、脳脊髄炎、髄膜炎、プリオン病、小脳失調症、小脳変性症、脊髄小脳変性症候群、フリードライヒ運動失調症、毛細血管拡張性運動失調症、脊髄性筋栄養障害、進行性核上性麻痺、ジストニア、筋肉痙縮、振戦、網膜色素変性、線条体黒質変性、ミトコンドリア脳筋症、及び神経セロイドリポフスチン症から選択される。
【0172】
いくつかの実施形態において、疾患は、MCI(軽度認知機能障害)、aMCI(健忘型MCI)、血管性認知症、混合型認知症、FTD(前頭側頭型認知症、ピック病)、HD(ハンチントン病)、レット症候群、PSP(進行性核上性麻痺)、CBD(大脳皮質基底核変性症)、SCA(脊髄小脳失調症)、MSA(多系統萎縮症)、SDS(シャイ・ドレーガー症候群)、オリーブ橋小脳萎縮症、TBI(外傷性脳損傷)、CTE(慢性外傷性脳症)、脳卒中、WKS(ウェルニッケ・コルサコフ症候群、アルコール性認知症及びチアミン欠乏症)、正常圧水頭症、過眠症/ナルコレプシー、ASD(自閉症スペクトラム障害)、FXS(脆弱X症候群)、TSC(結節性硬化症)、プリオン関連疾患(CJD等)、うつ病性障害、DLB(レビー小体型認知症)、PD(パーキンソン病)、PDD(PD認知症)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、アルツハイマー病(AD)、早期AD、及びダウン症候群(DS)から選択される1つ又は複数である神経変性疾患である。いくつかの実施形態において、疾患は、MCI、aMCI、血管性認知症、混合型認知症、FTD(前頭側頭型認知症、ピック病)、HD(ハンチントン病)、レット症候群、PSP(進行性核上性麻痺)、CBD(大脳皮質基底核変性症)、SCA(脊髄小脳失調症)、MSA(多系統萎縮症)、SDS(シャイ・ドレーガー症候群)、オリーブ橋小脳萎縮症、TBI(外傷性脳損傷)、CTE(慢性外傷性脳症)、脳卒中、WKS(ウェルニッケ・コルサコフ症候群、アルコール性認知症及びチアミン欠乏症)、正常圧水頭症、過眠症/ナルコレプシー、ASD(自閉症スペクトラム障害)、FXS(脆弱X症候群)、TSC(結節性硬化症)、プリオン関連疾患(CJD等)、うつ病性障害、DLB(レビー小体型認知症)、PD(パーキンソン病)、PDD(PD認知症)、及びADHD(注意欠陥多動性障害)からなる群から選択される1つ又は複数である神経変性疾患である。いくつかの実施形態において、対象は、アルツハイマー病(AD)を有していない。いくつかの実施形態において、対象はダウン症候群を有していない。
【0173】
いくつかの実施形態において、本開示は、β-アドレナリン受容体媒介性の障害、疾患、及び/又は症状を有する対象の治療方法を提供し、前記方法は、前記対象に、提供される化合物又はその薬学的に許容される塩及び末梢作用β遮断薬(PABRA)を投与することを含む。
【0174】
本明細書で使用されるように、用語「末梢作用β遮断薬(PABRA)」とは、β-アドレナリン受容体アンタゴニスト、又は単にβ1、β2、若しくは非選択的β遮断薬を意味する。特定の実施形態において本明細書に開示される方法で使用され得る選択的末梢作用β遮断薬(PABRA)の例は、ナドロール、アテノロール、ソタロール及びラベタロールを含む。特定の実施形態において、本明細書の方法で使用できるβ遮断薬は、アセブトロール、ベタキソロール、ビソプロロール、セリプロロール、エスモロール、メタプロロール及びネビボロールから選択される1つ又は複数であり、他の実施形態において、本方法は、アセブトロール、ベタキソロール、ビソプロロール、セリプロロール、エスモロール、メタプロロール及びネビボロールをβ遮断薬として使用しない。
【0175】
特定の実施形態において、末梢作用β遮断薬(PABRA)は、提供される化合物又はその薬学的に許容される塩の投与前に対象に投与される。他の実施形態において、末梢作用β遮断薬(PABRA)は、提供される化合物又はその薬学的に許容される塩の投与と同時に対象に投与される。
【0176】
本明細書で提供される組成物及び方法の特定の実施形態において、1つ又は複数の末梢作用β遮断薬(PABRA)は、本開示の化合物によって末梢β1及び/又はβ2-アドレナリン受容体のアゴニズムを阻害又は排除するために、提供される化合物又はその薬学的に許容される塩の前に又はそれと同時に投与される。いくつかの実施形態において、治療されるヒトへの末梢の、心臓、代謝又は筋肉の任意の有害作用を排除する又は少なくとも最小化するために、本開示の組成物及び方法に従って末梢β1及び/又はβ2-アドレナリン受容体を遮断することが好ましい。
【0177】
本明細書で提供される方法のいくつかの実施形態において、提供される化合物又はその薬学的に許容される塩に加えて、β1アゴニスト及び又はβ2アゴニスト、又は非選択的β1/β2アゴニストは患者に投与される。
【0178】
本明細書で使用されるように、用語「β1アゴニスト」は、β1-アドレナリン受容体アゴニスト又はβ1-ADRアゴニストを意味するために使用される。特定の実施形態において、用語β1アゴニストは、当然、主にβ1アゴニストである化合物を含むが、他のアドレナリン受容体、例えばβ2-アドレナリン受容体に対して何らかの末梢アゴニズムを示す場合もある。本出願において、用語「β1-アドレナリン受容体アゴニスト」、「β1-ADRアゴニスト」、「β1ARアゴニスト」及び「β1アゴニスト」は、互換的に使用され得る。特定の実施形態において、用語β1-ADRアゴニストは、選択的アゴニストと部分アゴニストの両方、及びバイアス型アゴニストと非バイアス型アゴニストを明示的に含む。β1-アドレナリンアゴニストの例は、例えば、キサモテロール、ノルアドレナリン、イソプレナリン、ドーパミン、ピンドロール及びドブタミン並びに上述のいずれかの薬学的に許容される塩を含む。β1-ADRの部分アゴニスト及びリガンドは既知である。更に、Kolbらの方法論を用いるが、代わりにβ1-ADRに関して、当業者は、構造ベースの発見によって新しいリガンドを決定することができる。Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2009,106,6843-648を参照のこと。
【0179】
本明細書で使用されるように、用語「β2アゴニスト」は、β2-アドレナリン受容体アゴニスト又はβ2-ADRアゴニストを意味するために使用される。特定の実施形態において、用語β2アゴニストは、当然、主にβ2アゴニストである化合物を含むが、他のアドレナリン受容体、例えばβ1-アドレナリン受容体に対して末梢アゴニズムを示す場合もある。本明細書で使用されるように、用語「β2-アドレナリン受容体アゴニスト」、「β2-ADRアゴニスト」、「β2ARアゴニスト」及び「β2アゴニスト」は、互換的に使用され得る。いくつかの実施形態において、用語β2-ADRアゴニスト、選択的アゴニストと部分アゴニストの両方を明示的に含む。本開示の様々な態様及び実施形態に従って使用され得るβ2アゴニストは、短時間作用型、長時間作用型又は超長時間作用型であってもよい。使用され得る短時間作用型β2アゴニストの例は、サルブタモール、レボサルブタモール、テルブタリン、ピルブテロール、プロカテロール、メタプロテレノール、メシル酸ビトルテロール、オリトドリン、イソプレナリン、サルメファモール、フェノテロール、テルブタリン、アルブテロール、及びイソエタリンである。使用され得る長時間作用型β2アゴニストの例は、サルメテロール、バンブテロール、フォルモテロール及びクレンブテロールである。使用され得る超長時間作用型β2アゴニストの例は、インダカテロール、ビランテロール及びオロダテロールを含む。
【0180】
驚いたことに、本開示の化合物は、本明細書の実施例セクションで実証されるように、予想外の有益な特性を示すことが発見された。例えば、驚いたことに、本開示の化合物は、β2-アドレナリン受容体の低nM(<10nM)の部分アゴニストとして作用することが発見された。更に、本開示の化合物は、血液脳関門を透過し脳脊髄液に蓄積する予想外の高い能力を示す。加えて、本開示の化合物は、優れた経口生物学的利用能及び安定性を示し、同時に、低い毒性及び薬物間相互作用の低い可能性を示す。
【0181】
提供される化合物又はその薬学的に許容される塩は、良好な薬理学的プロファイル及び有望な生物医薬特性、例えば毒物学的プロファイル、代謝及び薬物動態学的特性、溶解性、及び透過性を有し得ると考えられる。適切な生物医薬特性の決定、例えば、細胞における細胞毒性の決定、又は潜在毒性を決定するための特定の標的又はチャネルの阻害の決定は、当業者の知識の範囲内であることが理解されるであろう。
【0182】
本明細書で使用されるように、用語「治療(treatment)」、「治療する(treat)」、及び「治療する(treating)」とは、本明細書に記載の疾患又は障害、又はその1つ又は複数の症状を反転させ、緩和し、その発症を遅延させ、又はその進行を阻害することを指す。いくつかの実施形態において、治療は、1つ又は複数の症状が発症した後に施され得る。他の実施形態において、治療は、症状の非存在下で施され得る。例えば、治療は、(例えば、症状の履歴及び/又は遺伝因子若しくは他の感受性因子を考慮して)症状の発症前に感受性個体に施され得る。治療はまた、例えば再発を防止し又は遅延させるために、症状の解消後にも継続され得る。
【0183】
互換的に使用される用語「対象」、「個体」、又は「患者」とは、任意の動物を指し、哺乳動物を含み、好ましくはマウス、ラット、他の齧歯動物、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、又は霊長類であり、最も好ましくはヒトである。
【0184】
本明細書で使用される用語「治療有効量」とは、研究者、獣医師、医師又は他の臨床医によって求められる、組織、系、動物、個体又はヒトにおける生物学的又は薬学的応答を誘発する活性化合物又は医薬品の量を指し、(1)疾患を予防すること、例えば、疾患、症状又は障害にかかりやすい可能性があるが、その疾患の病態又は総体症状をまだ経験していないか、又は示していない個体の疾患、症状又は障害を予防すること、(2)疾患を阻害すること、例えば、疾患、症状又は障害の病態又は総体症状を経験しているか、又は示している個体の疾患、症状又は障害を阻害すること(即ち、病態及び/又は総体症状の更なる発達を停止すること)、及び(3)疾患を改善すること、例えば、疾患、症状又は障害の病態又は総体症状を経験しているか、又は示している個体の疾患、症状又は障害を改善すること(即ち、病態及び/又は総体症状を反転させること)、のうちの1つ又は複数を含む。
【0185】
いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、本明細書に言及した疾患のいずれかの発症のリスクを予防又は低減すること、例えば、疾患、症状又は障害にかかりやすい可能性があるが、その疾患の病態又は総体症状をまだ経験していないか、又は示していない個体の疾患、症状又は障害の発症のリスクを予防又は低減することに、有用である。
【0186】
1つ又は複数の他の治療用物質との同時投与
治療される特定の症状、又は疾患に応じて、その症状を治療するために通常投与される追加の治療用物質も、本開示の組成物中に存在することができる。本明細書で使用されるように、特定の疾患、又は症状を治療するために通常投与される追加の治療用物質は、「治療される疾患又は症状に適する」と知られている。
【0187】
いくつかの実施形態において、本開示は、開示される疾患又は症状の治療方法を提供し、該方法は、投与を必要とする患者に、有効量の提供される化合物又はその薬学的に許容される塩を投与し、それと同時に又は逐次的に、有効量の1つ又は複数の追加の治療用物質、例えば本明細書に記載のものを投与することを含む。
【0188】
本明細書で使用されるように、用語「併用」、「併用された」及び関連する用語とは、本開示による治療用物質の同時又は逐次投与を指す。例えば、記載される化合物は、別の治療用物質と同時に又は逐次的に、別々の単位剤形で又は単一の単位剤形で、投与され得る。したがって、本開示は、記載される化合物と、追加の治療用物質と、薬学的に許容される担体、アジュバント、又はビヒクルとを含む単一の単位剤形を提供する。2つ又はそれ以上の作用物質は、患者又は個体が両方の作用物質に同時に曝露される場合、典型的には「併用して」投与されると見なされる。多数の実施形態において、2つ又はそれ以上の作用物質は、患者又は個体が特定の標的組織又はサンプル中(例えば、脳内、血清中等)の作用物質の治療上適切なレベルを同時に示す場合、「併用して」投与されると見なされる。
【0189】
いくつかの実施形態において、提供される化合物又はその薬学的に許容される塩が他の薬剤との併用療法で投与される場合、それらは患者に逐次的に又は同時に投与され得る。いくつかの実施形態において、併用は、逐次的に投与する。いくつかの実施形態において、併用は、同時に投与する。
【0190】
本開示の組成物中に存在する追加の治療用物質の量は、その治療用物質を唯一の活性剤として含む組成物で通常投与される量以下である。好ましくは、本開示の組成物中の追加の治療用物質の量は、その作用物質を唯一の治療活性剤として含む組成物中に通常存在する量の約50%~100%の範囲である。
【0191】
1つ又は複数の他の治療用物質は、複数用量レジメンの一部として、本開示の化合物又は組成物と別々に投与されてもよい。あるいは、1つ又は複数の他の治療用物質は、単一の組成物で本開示の化合物と混合された単一剤形の一部であってもよい。複数用量レジメンとして投与される場合、1つ又は複数の他の治療用物質及び本開示の化合物又は組成物は、同時に、逐次的に、又は互いに一定期間をおいて、例えば、互いに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、18、20、21、22、23、又は24時間をおいて、投与されてもよい。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の他の治療用物質及び本開示の化合物又は組成物は、24時間超の間隔をおいて複数用量レジメンとして投与される。
【0192】
1つの実施形態において、本開示は、提供される化合物と1つ又は複数の追加の治療用物質とを含む組成物を提供する。治療用物質は、提供される化合物と共に投与されてもよいし、提供される化合物の投与前又は後に投与されてもよい。好適な治療用物質は、以下の更なる詳細に記載する。特定の実施形態において、提供される化合物は、治療用物質投与の最長5分間、10分間、15分間、30分間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、又は18時間前に投与されてもよい。他の実施形態において、提供される化合物は、治療用物質投与の最長5分間、10分間、15分間、30分間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、又は18時間後に投与されてもよい。
【0193】
提供される化合物は、様々な治療用途において他の治療用物質と併用して投与することができる。併用療法の対象治療用途は、標的アドレナリン受容体の活性が疾患進行の原因又は複合要因となる用途を含む。よって、対象化合物は、対象における標的アドレナリン受容体の阻害が望まれる併用療法に有用となる。対象化合物を含む併用療法によって治療され得る病状は、心臓の症状又は疾患、神経変性疾患又は神経発達疾患、呼吸器障害、喘息、記憶障害、うつ病、炎症性疾患、脳卒中、虚血性脳もしくは組織障害、及びがんを含むが、それらに限定されない。対象アドレナリン受容体調節化合物と共に使用できる関心対象の薬剤は、抗うつ薬、抗精神病薬、β遮断薬、血管収縮薬、降圧薬、うっ血除去薬、化学療法薬、アルツハイマー病で使用される薬剤、及び抗炎症薬を含むが、それらに限定されない。
【0194】
いくつかの実施形態において、提供されるアドレナリン受容体調節化合物は、心臓性ショック、高血圧症、うっ血性心不全、冠状動脈性心疾患、不整脈、心筋梗塞又は虚血性心疾患等のような心臓の症状の治療に有用である任意の薬剤と共に使用できる。対象アドレナリン受容体調節化合物と共に使用できる関心対象の薬剤は、デノパミン、ドブタミン、キサモテロール、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、ピンドロール、エスモロール、メトプロロール、ネビボロール、ボルチオキセチン、カーベジロール、ラベタロール、フェントラミン、プラゾシン、シラゾリン、メトキサミン、シネフリン、エチレフリン、メタラミノール、ミドリン、及びクマリンを含むが、それらに限定されない。
【0195】
いくつかの実施形態において、提供されるアドレナリン受容体調節化合物は、アルツハイマー病、記憶障害、認知障害、うつ病、脳卒中及び虚血性脳もしくは組織傷害、ダウン症候群又は自閉症等のような神経変性疾患又は神経発達疾患の治療に有用である任意の薬剤と共に使用できる。提供されるアドレナリン受容体調節化合物と共に使用できる関心対象の薬剤は、アセプロマジンを含むが、それに限定されない。いくつかの実施形態において、提供されるアドレナリン受容体調節化合物は、コリンエステラーゼ阻害剤又はNMDA受容体調節剤と併用して、神経変性疾患又は神経発達疾患等のような疾患の治療に使用できる。関心対象の薬剤は、ドネペジル、アリセプト、ガランタミン、ラザダイン、メマンティン、ナメンダ、リバスチグミン、エクセロン、タクリン及びコグネックスを含むが、それらに限定されない。対象アドレナリン受容体調節化合物と共に使用できる他の関心対象の薬剤は、4-NEMD、7-Me-マルサニジン、アグマチン、アプラクロニジン、ブリモニジン、カンナビゲロール、クロニジン、デトミジン、デキクスメデトミジン、ファドルミジン、グアナベンズ、グアンファシン、ロフェキシジン、マルサニジン、メデトミジン、メタンフェタミン、ミバゼロール、リルメニジン、ロミフィジン、タリペキソール、チアメニジン、チザニジン、トロニジン、キシラジン、キシロメタゾリン、アリピプラゾール、アセナピン、アチパメゾール、シラゾリン、クロザピン、エファロキサン、イダゾキサン、ルラシドン、メルペロン、ミアンセリン、ミルタザピン、ナピタン、オランザピン、パリペリドン、フェノキシベンザミン、フェントラミン、ピリベジル、ラウオルシン、リスペリドン、ロチゴチン、クエチアピン、ノルクエチアピン、セチプチリン、トラゾリン、ヨヒンビン、ジプラシドン及びゾテピンを含むが、それらに限定されない。対象アドレナリン受容体調節化合物と共に使用できる他の関心対象の薬剤は、ビトルテロール、フェノテロール、ヘキソプレナリン、イソプレナリン又はイソプロテレノール、レボサルブタモール又はレバルブテロール、オルシプレナリン又はメタプロテレノール、ピルブテロール、プロカテロール、サルブタモール又はアルブテロール、テルブタリン、バンブテロール、クレンブテロール、フォルモテロール、サルメテロール、カルモテロール、インダカテロール、ミルベテロール、オロダテロール、ビランテロール、フェノテロール、ヘキソプレナリン、イソクスプリン、リトドリン、サルブタモール又はアルブテロール、テルブタリン、ジルパテロール、ICI-118、551及びブトキサミンを含むが、それらに限定されない。
【0196】
以下の実施例は、本開示の利点及び特徴を更に説明するために提供されるが、それらは本開示の範囲を限定することを意図するものではない。実施例は、使用され得る典型的なものであるが、当業者に知られている他の手順、方法論、又は技法も代わりに使用され得る。
【実施例
【0197】
実施例1 (R)-2-(((S)-3,3-ジメチルブタン-2-イル)アミノ)-1-(1H-インダゾール-4-イル)エタン-1-オールの合成
ステップ1 DMF(4L)中の溶液1(410g、2.092mol)にNaH(60%、125.5g、3.138mmol)を0℃で0.5hかけて添加し、その後、SEMCl(418.5g、2.51mol)を0℃で上記溶液に添加し、室温まで2時間加温した。反応混合物を0℃にて水(2.5L)で急冷した。混合物を室温に加熱し0.5h撹拌した。混合物をジクロロメタン(3*10L)で室温にて3回抽出した。一緒にした有機相を水(2*10L)及び塩水(10L)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、及び濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(PE中の1%EtOAc)によって精製して、化合物2(377g、収率55.4%)を得た。
【0198】
ステップ2 ジオキサン(4.7L)/HO(950ml)中の化合物2の撹拌溶液(475g、1.45mol)にトリフルオロ(ビニル)ホウ酸カリウム(389g、2.90mol)、Pd(dppf)Cl(59.35g、72.56mmol)、CsCO(1416g、4.354mmol)をN下で添加し、その後、80℃に加熱し2h撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液をEtOAc(2L*4)で抽出した。一緒にした有機相を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、及び濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(PE中の5%EtOAc)によって精製し、化合物3(351g、収率88.1%)を得た。
【0199】
ステップ3 t-BuOH/HO(5508mL/5508mL)中の化合物3の溶液(306g、1.115mmol)にAD-ミックス-β(1563g、2.007mol)を0℃で添加した。室温で24h撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液をEtOAc(2L*3)で洗浄した。一緒にした有機相を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液を真空中で濃縮して、化合物4(350g)を油として得、直接次のステップに使用した。
【0200】
ステップ4 CHCl(3.5L)中の4の溶液(348g、1.128mol)にnBuSnO(14g、0.0564mol)、TsCl(258g、1.35mol)、EtN(136.7g、1.35mol)を室温にて16時間かけて添加した。反応溶液を水(3L)で急冷した。混合物をCHCl(1.5L*2)で抽出した。一緒にした有機相を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(PE中の25%EtOAc)によって精製して、化合物5(250g & 95g、収率57.5%)を得た。
【0201】
ステップ5 トルエン(150mL)中の化合物5の溶液(30g、0.065mol)にDIPEA(16.8g、0.13mmol)を添加し、反応混合物を65℃まで64時間加熱した。反応混合物を水(100mL)で急冷し、EtOAc(200mL*3)で抽出した。一緒にした有機相を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、化合物8(25g)を油として得、直接次のステップに使用した。
【0202】
CHCl(125ml)中の化合物8の溶液(25g)にTFA(125ml)を0~20℃で添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮してCHClを除去した。THF(125ml)及び水酸化アンモニア(300ml)を0~20℃で順番に添加した。反応混合物を12時間撹拌した。LCMSが表示された後、反応混合物が完成した。反応混合物を水(100mL)で急冷し、CHCl(200mL*4)で抽出した。一緒にした有機相を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(DCM中の3%MeOH)によって精製して、(R)-2-(((S)-3,3-ジメチルブタン-2-イル)アミノ)-1-(1H-インダゾール-4-イル)エタン-1-オール(9、6.8g)を得た。
【0203】
実施例2 合成されたアドレナリン受容体アゴニストの評価
実験方法はcAMP均一時間分解蛍光(HTRF)法とする。化合物有効性は主に製造業者の説明書に従って、cAMP Gs dynamic HTRFアッセイ(Cisbio、カタログ番号62AM4PEC)を使用して測定する(詳細も以下に記載)。
【0204】
化合物調製:DMSO中で10mMに溶解された候補β-アドレナリン化合物を、1mMの3-イソブチル-1-メチルキサンテン(IBMX。Cayman Chemical Company、カタログ番号13347)を含有する1×刺激緩衝液1(Cisbio、Part番号64SB1FDD)で希釈した。段階希釈を、1mMのIBMXを含有する刺激緩衝液中で、96ウェルV底ポリプロピレン化合物マイクロプレート(Corning、カタログ番号3363)において、最終の所望濃度の2×まで行った。標準段階曲線は、10μMの最高濃度から開始する10点の、5倍希釈であった。全てのアッセイプレート上に存在する対照は、0.1%DMSO(ビヒクル対照)、1μMのイソプロテレノール(完全β-アドレナリンアゴニスト対照)及び15μMのキサモテロール(部分β-アドレナリンアゴニスト対照)であった。2×化合物プレートからの5μLは、白色384丸形ウェル小容積HiBaseアッセイプレート(Greiner Bio-One。カタログ番号784075)にスタンプして、各濃度に化合物1つあたり4回の技術的反復が得られた。アッセイプレートを、500×gで10秒間遠心分離した。化合物及びIBMXは、細胞の添加を補償するために、2×最終用量で調製する。
【0205】
細胞調製:1×刺激緩衝液、洗浄用PBS(ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、-Mg、-Ca。Caisson Labs、カタログ番号PBL01)、アッセイ用PBS(ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、+Mg、+Ca。Caisson Labs、カタログ番号PBL02)及びVersene(カルシウム又はマグネシウムを含まないPBS中の0.02%EDTA二ナトリウム塩溶液。Caisson Labs、カタログ番号EDL01)を、37℃に予め加温した。β-アドレナリン受容体を発現する細胞を洗浄用PBSで洗浄して、成長培地を除去し、次いで、Verseneと共に37℃にて5~10分間インキュベートすることにより表面から離した。細胞を、アッセイ用PBSを使用して採取し、血球計算板又は自動細胞カウンターにより手動で計数し、遠心分離(200×g、5分間)によりペレット化し、37℃の1×刺激緩衝液に1.5×10^6細胞/mLの最終密度まで再懸濁させた。懸濁した細胞溶液5μL(合計7500細胞)を、384ウェルアッセイプレートの全てのウェルに添加し、アッセイプレートをAxygen(登録商標)プレートシール(Corning PCR-SP)でカバーし、5%COを補充された37℃の加湿環境で30分間インキュベートした。
【0206】
HTRF試薬添加、読取り及びデータ解析:試験化合物での細胞刺激の30分間後に、アッセイプレートを500×gで10秒間遠心分離し、インキュベーションを、検出及び溶解緩衝液2(Cisbio 62CL2FDF)中で1:21希釈したcAMP-D2アクセプター5μLの添加で停止し、全ての細胞に添加した。続いて、検出及び溶解緩衝液2中で1:21希釈した抗cAMP-Eu供与体5μLを、細胞に添加した。プレートを密閉し、反応物をHeidolph Titramax1000上で900rpmにて少なくとも30分間室温で穏やかに「ボルテックス処理(vortexed)」した。プレートを再び、500×gで10秒間遠心分離し、HTRFを、Tecan Sparkプレートリーダーを使用して1ウェルあたり50フラッシュで測定した。HTRF比(665nM/620nM×10,000)を決定し、GraphPad Prismでプロットして濃度-作用曲線を生成した。効力推定値(EC50及びpEC50)を濃度-作用曲線の4パラメーター非線形回帰から得、相対有効性の推定値を、試験化合物HTRFシグナルウィンドウ(最小-最大用量)の規模を完全アゴニスト対照のイソプロテレノールのシグナルウィンドウと比較することにより決定した。
【0207】
CHO-K1細胞における効力及び有効性データを下記表2に示す。効力(pEC50)文字コードは、A=>8、B=>7~8、C=>6~7、D=<6を含む。有効性(Emax)文字コードは、A=>90%、B=>70~90%、C=>50~70%、D=<50%を含む。
【0208】
(表2)本明細書に開示される特定の化学化合物の薬理学的データ
【0209】
本出願に引用される全ての刊行物、特許、特許出願、及び他の文書は、これらの個々の刊行物、特許、特許出願、及び他の文書があらゆる目的で個別に参照によって全体として本明細書に組み込まれると示されているのと同じ程度に、あらゆる目的で参照によって全体として本明細書に組み込まれる。
【0210】
様々な具体的な実施形態を図示し説明したが、本開示及び特許請求の範囲の精神及び範囲から逸脱することなく様々な変更を加えることができることが理解されるであろう。
【国際調査報告】