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特表2024-536820試料採集のためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】試料採集のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/10 20060101AFI20241001BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G01N1/10 V
G01N33/48 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518382
(86)(22)【出願日】2022-09-23
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 US2022044612
(87)【国際公開番号】W WO2023049404
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/247,721
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518009858
【氏名又は名称】ドローブリッジ ヘルス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】セルザ, ジェローム
【テーマコード(参考)】
2G045
2G052
【Fターム(参考)】
2G045AA13
2G045BA10
2G045BB04
2G045CA25
2G045HB02
2G045HB05
2G052AA30
2G052AD06
2G052AD26
2G052DA15
2G052EA02
2G052HA01
(57)【要約】
本明細書においては、対象から試料を採集して保存するためのシステム、方法、およびキットが開示される。システムは、血液の分離のためのカートリッジアセンブリを備え得る。カートリッジアセンブリは、対象からの血液の採集に使用可能な試料取得機器に結合するように構成されているカートリッジポートを備え得る。カートリッジアセンブリは、血液から血漿または血清を分離するように構成されている少なくとも1つの血液分離膜を備え得る。場合により、カートリッジポートは、試料取得機器からカートリッジアセンブリに向かって血液を流すように誘導するように構成されている経路を備え得る。場合により、少なくとも1つの血液分離膜を通る血液の流れの方向は、経路を通ってカートリッジアセンブリの内部に向かう血液の流れの方向と異なり得る。
【選択図】図26B図26C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
寸法アスペクト比が少なくとも約1:3~約1:10の細長ストリップであり、試料の採集および処理を容易化するための複数の統合層または膜を備える、細長ストリップを備える装置。
【請求項2】
前記細長ストリップが、血液細胞を採集するための第1の部分と、血漿を採集するための第2の部分と、を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の部分が、前記第2の部分に隣接する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の部分が、前記試料の流れの方向に沿って、前記第2の部分の上流に配置されている、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記試料が、前記血液細胞および前記血漿を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記寸法アスペクト比が、前記試料の細長流路であって、血液を含む第1の部分および血漿を含む第2の部分への前記試料の分離を可能にする、細長流路を提供する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記複数の統合層または膜が、血漿から血液細胞を分離し、かつ前記血液細胞および前記血漿を安定化させるように構成されているモノリシック膜を形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記複数の統合層または膜が、(i)血漿の検出の補助、(ii)所定の比に応じた複数の領域を横切る血漿分離の促進、または(iii)検体回収のために前記統合層もしくは膜の全血領域もしくは血漿領域の安定化のための、1つまたは複数の試薬で処置される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記複数の統合層または膜が、前記統合層または膜の第1の部分が全血細胞を安定化させるように構成され、前記統合層または膜の第2の部分が血漿を安定化させるように構成されるように処置される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
採集された試料の量を検出するためのセンサであり、生物学的センサ、化学センサ、または光学センサを含む、センサをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記細長ストリップの少なくとも一部に配設されている1つまたは複数の幾何学的特徴であり、前記試料のチャネルまたは流路を提供するように構成されている、1つまたは複数の幾何学的特徴をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記1つまたは複数の幾何学的特徴が、(i)前記細長ストリップの一部への試料の溢流の防止、(ii)(a)前記細長ストリップの血漿領域に対する1つもしくは複数の血液細胞の侵入の減速、および、(b)全血試料からの血漿の絞り出しもしくは分離による溶血の防止、または(iii)複数の検体の分析のための前記細長ストリップの異なる採集領域の物理的分離の提供を行うように構成されている1つまたは複数のレリーフ特徴を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記1つまたは複数の幾何学的特徴が、機械的な力または圧力によって、全血試料からの血漿の絞り出しまたは分離を行うように構成されている、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記1つまたは複数の幾何学的特徴が、試料流の停止または略停止により、前記細長ストリップの1つまたは複数の領域を横切って血漿を隔離するように構成されている1つまたは複数の切り欠きを含む、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記細長ストリップが、カートリッジに対して動作可能に結合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記カートリッジが、血液採集機器に結合されるように構成されている、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
試料を分析するためのシステムであって、
請求項1に記載の装置と、
カートリッジと、
を備え、
前記細長ストリップが、前記カートリッジに結合および/または挿入されている、システム。
【請求項18】
前記細長ストリップを含む前記カートリッジが、血液採集機器に対して動作的に結合されるように構成されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
(a)寸法アスペクト比が少なくとも約1:3~約1:10の細長ストリップであり、試料の採集および処理を容易化する、細長ストリップを提供することと、
(b)前記試料が前記細長ストリップに沿って流れ、全血細胞を含む第1のサブ試料および血漿を含む第2のサブ試料へと分離するように、前記試料を前記細長ストリップに提供することと、
を含む、方法。
【請求項20】
(b)に先立ち、統合血液採集機器を使用して前記試料を採集することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
血液試料を受容するように構成されているポートを備える入口構成要素と、
前記血液試料から血漿を分離して採集するように構成されているマトリクスを備える細長ストリップと、
裏当て板であって、前記入口構成要素に結合して、前記細長ストリップの近位部を前記入口構成要素と前記裏当て板との間に固定するように構成されている、裏当て板と、
前記入口構成要素に対して解除可能に結合するように構成されている細長ハウジングであり、前記細長ストリップを受容するための筐体を備える、細長ハウジングと、
を備える、カートリッジアセンブリ。
【請求項22】
前記ポートが、先細の外形を含む、請求項21に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項23】
前記先細の外形の角度が、約0°~約45°の範囲である、請求項22に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項24】
前記ポートの直径が、前記ポートの長さに沿って変化する、請求項21に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項25】
前記ポートの遠位端の直径が、前記ポートの近位端の直径よりも小さい、請求項24に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項26】
前記入口構成要素が、前記血液試料の流れに加わる重力を打ち消すための前記流れの方向の変化を誘発するように構成されている1つまたは複数の転回特徴を備える、請求項21に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項27】
前記1つまたは複数の転回特徴が、前記ポートを通る前記血液試料の流れと平行な第2の方向に直交する第1の方向において、前記血液試料を前記細長ストリップ上へと流すように構成されている、請求項26に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項28】
前記第1の方向が、前記重力の方向と異なる、請求項27に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項29】
前記入口構成要素が、前記血液試料の別の部分のウィッキングが前記マトリクスに沿って発生する場合に、ある体積の前記血液試料を採集する、凝集させる、またはプールするように構成されているリザーバを備える、請求項21に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項30】
前記リザーバが、1つまたは複数の転回特徴に隣接して配置されている、請求項29に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項31】
前記1つまたは複数の転回特徴が、前記ポートと前記リザーバとの間に配置されている、請求項29に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項32】
前記入口構成要素が、前記血液試料の流速を調節し、かつ前記マトリクスに沿う前記血液試料の適正なウィッキングを確保して前記血液試料からの前記血漿の分離を最適化するように構成されている圧力バーを備える、請求項21に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項33】
前記圧力バーが、リザーバに隣接して配置されている、請求項32に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項34】
前記リザーバが、前記圧力バーと1つまたは複数の転回特徴との間に配置されている、請求項33に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項35】
前記入口構成要素が、前記マトリクス上の血漿分離の進行をユーザが視認し得るように構成されている表示窓を備える、請求項21に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項36】
前記入口構成要素が、前記カートリッジアセンブリの全体および内部で真空圧力を均一にし得るシールベントを備える、請求項21に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項37】
前記裏当て板が、マトリクスベントを備える、請求項21に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項38】
前記裏当て板が、前記入口構成要素と前記裏当て板との間に間隙を生成するように構成されている1つまたは複数のスペーサを備える、請求項21に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項39】
前記間隙が、前記入口構成要素上の圧力バーと部分的に使用することによって、前記血液試料の流速を調節し、かつ前記マトリクスに沿う前記血液試料の適正なウィッキングを確保するように構成されている、請求項38に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項40】
前記裏当て板が、血液採集機器上への設置または血液採集機器との設置のために前記カートリッジアセンブリをガイドおよび位置合わせするように構成されている1つまたは複数のガイド特徴を備える、請求項21に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項41】
前記1つまたは複数のガイド特徴が、前記裏当て板上で横方向に離間する一対のガイドレールを含む、請求項40に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項42】
前記筐体が、完全に囲まれている、請求項21に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項43】
前記細長ハウジングが、前記筐体を密封するように構成されているシールを備える、請求項42に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項44】
前記シールが、前記細長ハウジングの開口に沿って延びている、請求項43に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項45】
前記マトリクスが、ガラス繊維マトリクスを含む、請求項21に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項46】
前記マトリクスが、処置されている、請求項21に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項47】
前記マトリクスが、処置されていない、請求項21に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項48】
前記細長ストリップが、前記マトリクスを支持している基材をさらに備える、請求項21に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項49】
前記マトリクスが、接着剤を使用して前記基材に取り付けられている、請求項48に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項50】
前記基材が、不活性生体適合性材料を含む、請求項48に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項51】
前記不活性生体適合性材料が、マイラーを含む、請求項50に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項52】
前記細長ストリップが、前記基材と前記マトリクスとの間に配設され、前記基材および前記マトリクスを分離するライナーをさらに備える、請求項48に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項53】
前記ライナーが、前記基材と前記マトリクスとの間で完全に延びている、請求項52に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項54】
前記ライナーが、第1の領域においては前記基材と前記マトリクスとの間に延び、前記第1の領域と異なる第2の領域においては前記基材と前記マトリクスとの間に延びていない、請求項52に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項55】
前記第1の領域が、前記細長ストリップの中央部を含み、前記第2の領域が、前記細長ストリップの1つまたは複数の端部を含む、請求項54に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項56】
前記第1の領域が、前記細長ストリップの1つまたは複数の端部を含み、前記第2の領域が、前記細長ストリップの中央部を含む、請求項54に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項57】
前記細長ストリップの長さの幅に対する比が、約2.3:1~約7:1である、請求項21に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項58】
前記細長ストリップの長さが、前記細長ストリップの幅より少なくとも約2.3倍大きい、請求項21に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項59】
前記細長ストリップの長さが、前記細長ストリップの幅より約4.7倍大きい、請求項21に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項60】
前記細長ストリップの長さが、完全に組み立てられた前記カートリッジアセンブリの全長の約70%~約90%である、請求項21に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項61】
前記細長ストリップの長さが、完全に組み立てられた前記カートリッジアセンブリの全長の約85%である、請求項21に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項62】
前記ポートの遠位端から前記細長ストリップの近位端までの距離が、約5mm~約15mmである、請求項21に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項63】
前記ポートの遠位端から前記細長ストリップの近位端までの距離が、約10mmである、請求項21に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項64】
前記ポートの遠位端から前記細長ストリップの遠位端までの距離が、約35mm~約115mmである、請求項21に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項65】
前記ポートの遠位端から前記細長ストリップの遠位端までの距離が、約75mmである、請求項21に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項66】
前記リザーバの縁部から前記圧力バーまでの距離が、約0mm~約5mmである、請求項33に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項67】
前記リザーバの縁部から前記圧力バーまでの距離が、約0mmである、請求項33に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項68】
前記リザーバの体積が、約30mm~約300mmである、請求項33に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項69】
前記リザーバの体積が、約175mmである、請求項33に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項70】
前記リザーバの長さが、前記リザーバの幅の約25%~約75%である、請求項33に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項71】
前記リザーバの長さが、前記リザーバの幅の約50%である、請求項33に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項72】
前記細長ストリップの縁部が、前記リザーバに延びている、請求項33に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項73】
前記細長ストリップの縁部が、前記リザーバの縁部まで延びて実質的に位置合わせされている、請求項33に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項74】
前記圧力バーの幅の長さに対する比が、約5:1~約14:1である、請求項32に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項75】
前記圧力バーの幅が、前記圧力バーの長さより少なくとも5倍大きい、請求項32に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項76】
前記圧力バーの幅が、前記圧力バーの長さより約7倍大きい、請求項32に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項77】
前記細長ストリップの縁部が、前記圧力バーまで延びて実質的に位置合わせされている、請求項32に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項78】
前記細長ストリップの縁部が、前記圧力バーから約0mm~約10mmの距離にある、請求項32に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項79】
前記細長ストリップの縁部が、約0mm~約10mmだけ、前記圧力バーを越え、リザーバに向かって延びている、請求項32に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項80】
前記細長ストリップの縁部が、前記圧力バーから約0mm~約10mmの距離だけ、前記圧力バーを越え、前記リザーバに延びている、請求項33に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項81】
前記圧力バーが、前記細長ストリップに沿って配置されるように、前記細長ストリップの遠位端から約30mm~約90mmの距離に配置されている、請求項33に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項82】
前記細長ストリップの縁部が、前記圧力バーを越えて前記リザーバに延びていない、請求項33に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項83】
前記間隙のサイズが、約0mm~約4mmである、請求項38に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項84】
前記圧力バーが、前記間隙を含む、請求項38に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項85】
前記間隙のサイズが、調整可能である、請求項38に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項86】
前記間隙のサイズが、固定されている、請求項38に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項87】
前記間隙のサイズが、前記間隙の幅または長さにわたって実質的に一定である、請求項38に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項88】
前記間隙のサイズが、前記間隙の幅または長さにわたって可変である、請求項38に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項89】
前記マトリクスの血漿分離性能が、前記圧力バーの使用により、前記圧力バーの不使用と比較して、少なくとも約5%だけ向上する、請求項32に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項90】
前記マトリクスの血漿分離性能が、前記細長ストリップの長さが前記細長ストリップの幅より約4.7倍大きい場合に、少なくとも約5%だけ向上する、請求項21に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項91】
前記マトリクスの血漿分離性能が、前記細長ストリップの長さが前記細長ストリップの幅より約4.7倍大きい場合に、最適化される、請求項21に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項92】
前記マトリクスの血漿分離性能が、前記シールベントの使用により、前記シールベントの不使用と比較して、少なくとも約5%だけ向上する、請求項36に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項93】
前記マトリクスの血漿分離性能が、前記マトリクスベントの使用により、前記マトリクスベントの不使用と比較して、少なくとも約5%だけ向上する、請求項37に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項94】
前記カートリッジアセンブリの面積の前記細長ストリップの面積に対する比が、約1.5:1~2:1である、請求項21に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項95】
前記比が、約1.8:1である、請求項94に記載のカートリッジアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本願は、2021年9月23日に出願された米国仮特許出願第63/247,721号の利益を主張するものであり、そのすべての内容を本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
背景
体液の採集(たとえば、診断検査を実行するための血液試料の採集)により、個人の健康を評価して通知することができる。早期の検出および確実な診断は、疾患の処置のための効果的な治療決定またはある特定の生理学的状態の管理において中心的役割を果たし得る。検出では、ヒト体液中の疾患固有バイオマーカの識別によって、細胞制御機能の異常、病理学的反応、または治療薬への介入を示すことができる。
【0003】
しかし、場合により疼痛、切創、出血、鋭利な物体、血を見ること、感染症への恐怖等との関連によって、身体からの採血のプロセスを享受し得ない個人が多い。通常、対象の静脈血採集は、病院、高い技術を有する看護施設等の外部施設、ならびにプライマリケア医(PCP)および専門病院クリニック、外科センタ、労働衛生クリニック、もしくは診療所等の外来環境において実行される。採血のためにこれらの施設を訪問しなければならない個人および一日に複数の患者に対応しなければならないことがあり得る医療従事者にとって、血液採集プロセスは面倒であるとともに、多大な時間が必要となり得る。
【0004】
このため、ユーザによる容易かつ便利な血液採集を可能にし、従来の医療機関に対するユーザの採血の依存度の低減を可能にする改良された機器および方法が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
本開示は、少なくとも上記ニーズに対処する。本開示のさまざまな実施形態は、従来の医療機関の外(たとえば、自宅、遠隔地、旅行中等)において、個人が血液試料を容易、便利、かつ確実に採集して保存することを可能にする機器および方法に対する要求に対処する。医学訓練を最低限しか受けていない個人や一切受けていない個人は、開示の機器および方法を使用して、訓練を受けた医療従事者を要することなく、自身または他者の補助の下で血液を効率的に採集して保存することができる。本明細書に記載の実施形態は、血液試料の採集のために個人が医療機関へと特別または高頻度に訪問する計画を立てたり訪問したりする必要性を排除して、個人の時間を解放するとともに、医療資源に対する患者の負荷を軽減するのに役立ち得る。それにも関わらず、開示の機器および方法は、多様な環境または適用(たとえば、個別化したポイントオブケア(POC)、救急医療サービス(EMS)、外来診療、病院、クリニック、緊急治療室、患者検査室、急性期治療患者室、現場環境、教育環境における看護室、労働衛生クリニック、手術室、またはオペ室等)における医療従事者または非医療従事者による使用にも適することを認識されたい。
【0006】
本明細書に記載の機器および方法を使用して採集された血液試料の分析により、人の生理学的状態を決定して、個人または対象の疾患を検出するとともに、健康状態をモニタリングすることができる。場合によっては、本明細書に記載の機器および方法を使用することにより血液試料が迅速に採集され、(1)たとえばイムノアッセイを使用するその場での分析または(2)試験施設への即座の発送が可能であることから、個人がそれぞれの生理学的状態を迅速に評価することができる。血液採集、分析、および定量化のリードタイムの短縮は、多くのユーザ、特に、ある特定の生理学的状態/疾患を有し、定期的かつ高頻度な血液試料の採集/モニタリングを必要とする対象にとって有益となり得る。糖尿病を例にとると、ヘモグロビンA1c(HbA1c)は総グリコヘモグロビンの60%を占める可能性があり、血糖管理のモニタリングに使用可能である。総ヘモグロビンに対する割合としてのHbA1cの量は、過去120日間の患者の血液中の平均血糖濃度を反映し得る。一般的に、糖尿病患者は、3~6カ月ごとにHbA1cレベルを試験することが推奨される。糖尿病の非妊娠成人に対する血糖の推奨としては、7.0%未満が可能である一方、HbA1cレベルが8%以上の場合は、糖尿病合併症(認知障害および低血糖脆弱性を含む)を管理するための医学的措置が必要となり得る。
【0007】
本明細書に記載のさまざまな実施形態は、従来の非静脈血液採集機器および方法と比較して、皮膚切開の時点から、高い流量およびより高い試料体積で採血することができる。開示の機器および方法の使用により、たとえば試料採集のためのカスタムマトリクスおよび過剰な血液を保持して計量するための吸収性パッドの使用によって、所定の体積の血液試料を採集することができる。また、本明細書に記載の血液採集機器および方法は、最小侵襲性であり、対象の疼痛(または、疼痛の知覚)のレベルを抑えることができるため、対象の血液採集体験の全体を改善するのに役立ち得る。
【0008】
本開示の一態様は、対象から採集された血液を分離するためのカートリッジアセンブリであって、対象からの血液の採集に使用可能な試料取得機器に結合するように構成されているカートリッジポートと、試料から血漿または血清を分離するように構成されている少なくとも1つの血液分離膜と、少なくとも1つの血液分離膜を支持するように構成されているスロットと、を備え、カートリッジポートは経路を含み、その経路は、試料取得機器から第1の方向に経路の近位端へと流れ、経路を通って、第1の方向とは異なる第2の方向に経路の遠位端から少なくとも1つの血液分離膜上へ出るように血液を誘導するように構成されている、カートリッジアセンブリを提供する。
【0009】
経路は、溝またはチャネルを備え得る。第1の方向とカートリッジアセンブリの長手方向軸との間の角度は、0°より大きくかつ180°より小さくあり得る。第2の方向とカートリッジアセンブリの長手方向軸との間の角度は、0°より大きくかつ180°より小さくあり得る。第1の方向と第2の方向との間の交差の角度は、0°より大きくかつ180°より小さくあり得る。
【0010】
スロットは、分離された血漿または血清を採集するための採集媒体を支持するようにさらに構成可能である。スロットは、血液からの血漿または血清の分離に先立って血液を濾過するためのプレフィルタを支持するようにさらに構成可能である。少なくとも1つの血液分離膜、採集媒体、およびプレフィルタは、スロット内のスタックとして提供可能である。スタックは、当該スタックの厚さを第3の方向に通り、第3の方向と異なる少なくとも1つの他の方向にスタックの平面エリアを横切る血液の横方向の流れを可能にする構成にて配設可能である。第3の方向は、第1の方向または第2の方向と異なり得る。第3の方向は、カートリッジの長手方向軸と実質的に直交し得る。第3の方向および少なくとも1つの他の方向は、相互に実質的に直交し得る。経路の遠位端は、少なくとも1つの血液分離膜上へと血液が流れる前にプレフィルタの平面へと血液を誘導するように構成可能である。
【0011】
経路の近位端は、試料取得機器のハウジングの凹部開口から血液を受容するように構成可能である。経路の近位端および遠位端は、カートリッジアセンブリの長手方向軸に沿っていなくてもよい。経路の近位端および遠位端は、当該近位端と当該遠位端との間に延びる直線に沿っていなくてもよい。経路の遠位端は、(1)経路の近位端と(2)経路の近位端と遠位端との間に配置されているスタックの縁部厚さ部分との間に延びている直線軸からオフセット可能である。経路の遠位端は、プレフィルタの平面に接触せずに隣接することができる。
【0012】
経路は、屈曲部分、湾曲部分、または角度付き部分を含み得る。
【0013】
経路は、入口ポートの長さに沿って一部を露出させる切り欠きを含み得る。カートリッジは、試料取得機器内の真空が作動した場合に真空圧力を受けることができる。真空は、スタックを通るおよび/または横切る血液の横方向の流れを補助するように構成可能である。
【0014】
スロットは、ある体積の血液を保持して、少なくとも1つの血液分離膜の少なくとも一部に吸収されているように血液を含むような構成が可能な蓄積領域をさらに含み得る。蓄積領域は、プレフィルタに隣接して配設可能である。蓄積領域は、所定の体積の血液を保持するように構成可能である。
【0015】
カートリッジは、血漿または血清が分離され、採集媒体上に採集された後、試料取得機器から解除および分離されるように構成可能である。採集媒体は、血漿または血清が分離され、採集媒体上に採集された後、カートリッジアセンブリから解除および分離されるように構成可能である。カートリッジアセンブリは、採集媒体が当該カートリッジアセンブリから解除および分離された後も試料取得機器に結合された状態を維持するように構成可能である。
【0016】
少なくとも1つの血液分離膜は、複数の血液分離膜を含むことができ、採集媒体は、複数の血液分離膜間に配設可能である。
【0017】
カートリッジアセンブリは、血液分離の進行をユーザが観察し得る窓をさらに備え得る。窓は、少なくとも1つの血液分離膜、採集媒体、またはプレフィルタに隣接して配置可能である。
【0018】
少なくとも1つの血液分離膜は、抗凝血剤を含み得る。カートリッジアセンブリは、経路の表面に結合されている抗凝血剤をさらに含み得る。
【0019】
本開示の別の態様は、対象から採集された血液を分離するためのカートリッジアセンブリであって、対象からの血液の採集に使用可能な試料取得機器に結合するように構成されているカートリッジポートと、血液から血漿または血清を分離するように構成されている少なくとも1つの血液分離膜と、少なくとも1つの血液分離膜を支持するように構成されているスロットと、を備え、カートリッジポートは経路を含み、この経路は、試料取得機器から、経路を通って、スロットを備える当該カートリッジアセンブリの内部に向かって流れるように血液を誘導するように構成されており、ここで(i)少なくとも1つの血液分離膜を通る血液の流れの方向が、(ii)経路を通って当該カートリッジアセンブリの内部に向かう血液の流れの方向と異なる、カートリッジアセンブリを提供する。
【0020】
少なくとも1つの血液分離膜を通る血液の流れの方向は、経路を通る血液の流れの方向と実質的に直交し得る。
【0021】
スロットは、(1)分離された血漿もしくは血清を採集するための採集媒体、ならびに、(2)血液からの血漿もしくは血清の分離に先立って血液を濾過するためのプレフィルタの一方または両方を支持するようにさらに構成可能である。少なくとも1つの血液分離膜は、採集媒体とプレフィルタとの間に配設可能である。
【0022】
本開示の別の態様は、対象から採集された血液を分離するためのカートリッジアセンブリであって、対象からの血液の採集に使用可能な試料取得機器に結合するように構成されているカートリッジポートと、血液から血漿または血清を分離するように構成されている少なくとも1つの血液分離膜と、少なくとも1つの血液分離膜を支持するように構成されているスロットと、少なくとも1つの血液分離膜による血漿または血清の分離前または分離中に試料取得機器から採集された血液を含むように構成されている採集リザーバと、を備え、カートリッジポートは経路を含み、この経路は、試料取得機器から、経路を通って、採集リザーバに向かって流れるように血液を誘導するように構成されている経路を含む、カートリッジアセンブリを提供する。
【0023】
少なくとも1つの血液分離膜を通る血液の流れの方向は、経路を通って採集リザーバに向かう血液の流れの方向と異なり得る。少なくとも1つの血液分離膜を通る血液の流れの方向は、経路を通って採集リザーバに向かう血液の流れの方向と実質的に直交し得る。採集リザーバは、少なくとも1つの血液分離膜の平面に隣接して配設可能である。
【0024】
スロットは、(1)分離された血漿もしくは血清を採集するための採集媒体、ならびに、(2)血液からの血漿もしくは血清の分離に先立って血液を濾過するためのプレフィルタの一方または両方を支持するようにさらに構成可能である。少なくとも1つの血液分離膜は、採集媒体とプレフィルタとの間に配設可能である。採集リザーバは、プレフィルタの平面に隣接して配設可能である。
【0025】
本開示の別の態様は、血液採集および血液分離のためのシステムであって、本開示の主題としての試料取得機器およびカートリッジアセンブリのいずれかを備える、システムを提供する。
【0026】
試料取得機器は、オンボード真空(onboard vacuum)を含み得る。
【0027】
本開示の別の態様は、本開示の主題としての試料取得機器のいずれかを使用して対象から血液を採集することと、本開示の主題としてのカートリッジアセンブリのいずれかを使用して血液から血漿または血清を分離することと、を含む方法を提供する。
【0028】
本開示の別の態様は、対象から採集された液体血液を保存するためのカートリッジアセンブリであって、対象から血液を採集するように構成されている試料取得機器のカートリッジチャンバに結合するように構成されている結合ユニットと、液体血液を保存するように構成されているコンテナと、コンテナを支持するように構成されているカートリッジホルダーと、を備え、コンテナの近位端が結合ユニットに結合するように構成され、コンテナの遠位端がカートリッジホルダーに結合するように構成されている、カートリッジアセンブリを提供する。
【0029】
コンテナは、当該コンテナの近位端に結合されているキャップを備えることができ、コンテナの近位端は、キャップを使用して結合ユニットに結合するように構成可能である。キャップは、当該キャップが結合ユニットに結合されている場合に開いて、コンテナへの流体アクセスを可能にするように構成されている1つまたは複数の開口を含み得る。1つまたは複数の開口は、キャップが結合ユニットから分離された場合に閉じて、コンテナへの流体アクセスを禁止するようにさらに構成可能である。結合ユニットは、血液がコンテナに採集されている際に、空気をコンテナからカートリッジチャンバへと追い出し得る1つまたは複数の流体経路を含み得る。1つまたは複数の流体経路は、1つまたは複数の通気溝またはチャネルを含み得る。1つまたは複数の流体経路は、血液がコンテナに採集されている際のカートリッジチャンバ内の真空圧力の均一化を可能にするように構成可能である。コンテナは、第1の方向に当該コンテナへと流れる血液を受容するように構成可能であり、1つまたは複数の流体経路は、第1の方向と異なる第2の方向に空気を誘導してコンテナから追い出すように構成可能である。第1の方向および第2の方向は、互いに実質的に反対であり得る。第1の方向および第2の方向は、互いに実質的に直交し得る。
【0030】
カートリッジホルダーの一部は、カートリッジアセンブリがカートリッジチャンバに結合されている場合に、カートリッジチャンバの外側に延びるように構成可能である。ホルダーの上記一部は、カートリッジタブを備え得る。
【0031】
カートリッジホルダーは、カートリッジアセンブリがカートリッジチャンバに結合されている場合に、カートリッジチャンバを密封するように構成されているガスケットを備え得る。
【0032】
コンテナおよびカートリッジホルダーは、コンテナのホルダーへの固定を可能にする一組の連動嵌合特徴を備え得る。
【0033】
カートリッジチャンバは、試料取得機器における真空の作動の結果として真空圧力下にあり得る。真空は、試料取得機器のハウジングの凹部開口からコンテナへの血液の流れを補助するように構成可能である。
【0034】
カートリッジアセンブリの少なくとも一部は、血液がコンテナに採集された後、試料取得機器のカートリッジチャンバから解除および分離されるように構成可能である。
【0035】
コンテナは、血液が当該コンテナに採集された後、結合ユニットから解除および分離されるように構成可能である。
【0036】
コンテナは、液体血液の採集の進行をユーザが観察し得る窓を備え得る。
【0037】
カートリッジアセンブリは、コンテナに採集された血液の量を検出するように構成されている1つまたは複数のセンサをさらに備え得る。1つまたは複数のセンサは、光学センサを含み得る。1つまたは複数のセンサは、電子的充填インジケータと通信可能であり、電子的充填インジケータは、コンテナに採集された血液の量に関する情報をユーザに提供するように構成されている。電子的充填インジケータは、1つまたは複数の視覚、聴覚、または触覚信号を生成するように構成可能である。電子的充填インジケータは、カートリッジ上の配置またはカートリッジとの配置が可能である。電子的充填インジケータは、試料取得機器上にまたは試料取得機器とともに配置され得る。
【0038】
結合ユニットは、ルアー型取付け具を備え得る。
【0039】
コンテナは、液体血液の採集の進行のモニタリングに使用される1つまたは複数のインジケータラインを備え得る。
【0040】
1つまたは複数のインジケータラインは、コンテナに採集された血液の量の推定に使用可能である。
【0041】
コンテナは、チューブを備え得る。
【0042】
本開示の別の態様は、対象から血液を採集して保存するためのシステムであって、本開示の主題としての試料取得機器およびカートリッジアセンブリのいずれかを備える、システムを提供する。試料取得機器は、オンボード真空を含む。
【0043】
本開示の別の態様は、本開示の主題としての試料取得機器のいずれかを使用して対象から血液を採集することと、本開示の主題としてのカートリッジアセンブリのいずれかを使用して液体血液としての血液を保存することと、を含む方法を提供する。
【0044】
本開示の別の態様は、対象から採集された血液を保存するためのモジュール式チャンバアセンブリであって、対象から血液を採集するように構成されている試料取得機器に結合するように構成されている入口ポートと、入口ポートに結合するように構成されているチャンバと、を備え、チャンバが入口ポートに結合された場合に筐体が形成され、筐体が、複数の異なるカートリッジアセンブリタイプのカートリッジアセンブリを内部に支持するように構成されており、複数の異なるカートリッジアセンブリタイプが、血漿、血清、乾燥血液、液体血液、または凝固血液を含む複数の異なる様式での血液の採集、処理、または保存を可能にする、モジュール式チャンバアセンブリを提供する。
【0045】
試料取得機器の一部は、入口ポートが試料取得機器の嵌合ポートに結合された場合に、試料取得機器の外へ延びるように構成可能である。試料取得機器の上記一部は、突起を備え得る。
【0046】
入口ポートは、筐体を密封するように構成されている穿孔可能な自己封止ポートを備え得る。
【0047】
カートリッジアセンブリは、(1)入口ポートの少なくとも一部および/または(2)チャンバの少なくとも一部に結合するように構成可能である。
【0048】
複数の異なるカートリッジアセンブリタイプは、(1)採集された血液から血漿もしくは血清を分離するように構成されている第1のカートリッジアセンブリタイプ、(2)液体血液を採集して保存するように構成されている第2のカートリッジアセンブリタイプ、(3)血液を乾燥血液として採集して保存するための1つもしくは複数のマトリクスを保持するように構成されている第3のカートリッジアセンブリタイプ、または(4)凝固血液を保存するように構成されている第4のカートリッジアセンブリタイプのうちの2つまたはそれよりも多くを含み得る。
【0049】
第1のカートリッジアセンブリタイプは、採集された血液から血漿を分離するように構成可能である。第1のカートリッジアセンブリタイプは、採集された血液から血清を分離するように構成可能である。
【0050】
モジュール式チャンバアセンブリは、入口ポートが試料取得機器から分離された場合に、試料取得機器から解除されて取り外されるように構成可能である。
【0051】
モジュール式チャンバアセンブリは、カートリッジアセンブリでの血液の採集、処理、または保存の後、試料取得機器から解除されて取り外されるように構成可能である。
【0052】
チャンバは、カートリッジアセンブリでの血液の採集、処理、または保存の後、ならびに、試料取得機器からのモジュール式チャンバアセンブリの解除および取り外しの後、外部環境からカートリッジアセンブリを保護するように構成可能である。
【0053】
チャンバは、チューブの形状が可能である。
【0054】
モジュール式チャンバアセンブリは、カートリッジアセンブリでの血液の採集、処理、または保存の後、血液の発送または輸送のための輸送コンテナとして使用されるように構成可能である。
【0055】
チャンバは、乾燥剤を備え得る。
【0056】
チャンバは、当該チャンバの内部の視認を可能にする透明または半透明窓を備え得る。
【0057】
本開示の別の態様は、対象から血液を採集して保存するためのシステムであって、本開示の主題としての試料取得機器およびモジュール式チャンバアセンブリのいずれかを備える、システムを提供する。
【0058】
試料取得機器は、オンボード真空を含み得る。
【0059】
モジュール式チャンバアセンブリは、オンボード真空を含み得る。
【0060】
試料取得機器およびモジュール式チャンバアセンブリの完全な結合により、対象から血液を採集して保存するための十分な真空を作動させるように構成可能である。
【0061】
本開示の別の態様は、本開示の主題としての試料取得機器のいずれかを使用して対象から血液を採集することと、本開示の主題としてのモジュール式チャンバアセンブリのいずれかを使用して複数の異なる様式のうちの1つで血液を保存することと、を含む方法を提供する。
【0062】
本開示の別の態様は、本開示の主題としての試料取得機器、モジュール式チャンバアセンブリ、および/または複数の異なるカートリッジアセンブリタイプのいずれかを備えるキットを提供する。
【0063】
本開示の別の態様は、対象から血液を採集するための試料取得機器であって、開口を有する凹部を含む本体と、開口を通って延びることができ、対象の皮膚を貫通して、皮膚が凹部に引き込まれている間の当該試料取得機器への血液の採集を可能にする1つまたは複数の穿孔要素と、接続ポートを備える試料チャンバと、を備え、接続ポートが、複数の異なるカートリッジアセンブリタイプのカートリッジアセンブリに対して交換可能かつ解除可能に結合するようなサイズおよび形状にされ、複数の異なるカートリッジアセンブリタイプが、乾燥血漿、液体血漿、乾燥血清、液体血清、乾燥血液、液体血液、または凝固血液を含む複数の異なる様式での血液の採集、処理、または保存を可能にする、試料取得機器を提供する。
【0064】
本体は、真空チャンバに対して動作的に結合可能である。真空チャンバは、真空の作動により当該真空チャンバと凹部との間に流体連通が確立して対象の皮膚を凹部に引き込むように構成されていてもよく、凹部は、皮膚を引き込むための吸引キャビティとして機能し得る。
【0065】
モジュール式チャンバアセンブリは、オンボード真空を含み得る。モジュール式チャンバアセンブリは、本体への結合により当該モジュール式チャンバアセンブリと凹部との間に流体連通が確立して対象の皮膚を凹部に引き込み得るように構成されていてもよく、凹部は、皮膚を引き込むための吸引キャビティとして機能し得る。
【0066】
カートリッジアセンブリは、本体に対して解除可能に結合するように構成可能である。
【0067】
試料チャンバは、カートリッジアセンブリが当該試料チャンバの接続ポートに結合された場合に密封可能である。
【0068】
複数の異なるカートリッジアセンブリタイプは、(1)採集された血液から血漿もしくは血清を分離するように構成されている第1のカートリッジアセンブリタイプ、(2)液体血液を採集して保存するように構成されている第2のカートリッジアセンブリタイプ、(3)血液を乾燥血液として採集して保存するための1つもしくは複数のマトリクスを保持するように構成されている第3のカートリッジアセンブリタイプ、または(4)凝固血液を保存するように構成されている第4のカートリッジアセンブリタイプのうちの2つまたはそれよりも多くを含み得る。
【0069】
本開示の別の態様は、対象から血液を採集するように構成されている試料取得機器であり、複数の異なるカートリッジアセンブリタイプのカートリッジアセンブリに対して交換可能かつ解除可能に結合するようなサイズおよび形状にされているポートを備える、試料取得機器と、複数の異なるカートリッジアセンブリタイプと、を備え、複数の異なるカートリッジアセンブリタイプが、(1)採集された血液から血漿もしくは血清を分離するように構成されている第1のカートリッジアセンブリタイプ、(2)液体状の血液を保存するように構成されている第2のカートリッジアセンブリタイプ、(3)実質的に乾燥状態の血液を保存するための1つもしくは複数のマトリクスを保持するように構成されている第3のカートリッジアセンブリタイプ、または(4)凝固血液を保存するように構成されている第4のカートリッジアセンブリタイプのうちの2つまたはそれよりも多くを含む、キットを提供する。
【0070】
キットは、試料チャンバをさらに備えることができ、複数の異なるカートリッジアセンブリタイプのカートリッジアセンブリが試料チャンバに含まれ、試料チャンバが、カートリッジアセンブリに対して交換可能かつ解除可能に結合するようなサイズおよび形状にされている。試料チャンバは、オンボード真空を含み得る。
【0071】
試料取得機器は、オンボード真空を含み得る。
【0072】
本明細書においては、試料採集および保存のための医療システム、機器、および方法が提供される。開示のシステム、機器、および方法は、試料採集を容易化する構造的特徴(たとえば、血液採集機器)のほか、血液試料を基材(たとえば、マトリクス)上に採集して保存および輸送するための構成要素を含む。
【0073】
本明細書に開示の機器のいずれかでは、真空の生成によって陰圧を印加することにより、対象の皮膚を変形させるとともに、局所吸引を試料採集部位に直接適用することによって、試料の流れおよび採集を促進することができる。本明細書に開示の機器のいずれかは、対象の皮膚の表面に配置可能な凹部(たとえば、凹状キャビティ)を含み得る。凹部は、真空(たとえば、陰圧、吸引等)を対象の皮膚に送達するように構成可能である。本明細書に開示の機器のいずれかは、凹部の頂点または他の表面に配設された開口を含み得る。開口は、穿孔要素が対象の皮膚を穿孔し得るようにカスタマイズ可能である。穿孔要素は、開口の内径を通過するように構成可能である。局所吸引は、開口を通して、凹部を使用することにより、試料採集部位に適用され得る。
【0074】
真空は、異なるメカニズムを使用することにより、対象の皮膚を変形させるように構成可能である(たとえば、真空は、対象の皮膚を凹部(たとえば、凹状キャビティ)に引き込むように構成可能である)。凹状キャビティは、皮膚の表面をその凹状表面全体(または、その凹状表面の一部)に対して拘束するように構成可能であり、その点において、穿孔要素を対象の皮膚の穿孔に使用可能である。真空が対象の皮膚に印加された場合は、対象の皮膚の切開の後、流体経路(たとえば、カートリッジと流体連通する流路)に隣接する開口が対象から機器へと血液を引き込むことができる。
【0075】
作動によって、対象から機器の開口およびチャネルを通り、対象の試料を採集する試料チャンバへと血液を引き込む陰圧を形成するように構成されている排気真空チャンバを使用することにより、真空圧力を生成可能である。試料チャンバは、対象の液体試料(たとえば、液体血液)を採集可能である。試料チャンバは、対象の他の種類または様式の試料(たとえば、血漿または血清)を採集するための1つまたは複数のカートリッジを備え得る。場合により、カートリッジは、試料採集および/または保存のための固体マトリクスを備え得る。真空圧力は、周囲圧力を下回り得る(たとえば、周囲圧力を1~20psi下回る範囲となり得る)(すなわち、真空条件下)。真空圧力は、周囲圧力を約5psi下回ることができる。真空チャンバの体積としては、凹状キャビティ、開口、チャネル、および試料チャンバの少なくとも一部のうちの2つまたはそれよりも多くを含む複数の要素の総体積の2倍の10%~100%マージン内が可能である。本明細書に開示の機器のいずれかは、駆動により真空を作動させるように構成可能な真空作動アクチュエータを備え得る。真空作動アクチュエータは、機器またはカートリッジチャンバに配置されているボタンを備え得る。上記実施形態の代替または追加として、真空圧力は、排気真空チャンバを備える試料チャンバの挿入により生成可能である。試料チャンバの試料取得機器への挿入(または、結合)によって、真空チャンバから機器への真空通気を開始することにより、機器および試料チャンバの少なくとも一部に(たとえば、周囲圧力を下回る)陰圧を形成することができる。陰圧は、対象の皮膚を機器の凹部(たとえば、凹状キャビティ)に引き込むのに十分となるように構成可能である。機器の穿孔要素の作動によって、対象の皮膚を穿孔可能であり、その後、圧力差によって、対象から機器を通って試料チャンバの少なくとも一部へと血液を引き込むことができる。
【0076】
本開示の別の態様は、対象から採集された血液の分離のためのカートリッジアセンブリであって、カートリッジポートを備えるカートリッジであって、カートリッジポートを介して、対象からの血液試料の採集に使用可能な試料取得機器に結合するように構成されているカートリッジと、基材を備えるカートリッジタブと、カートリッジとカートリッジタブの基材との間に支持されている処置/安定化ユニットと、を備え、処置/安定化ユニットが、血液試料から血漿または血清を分離するように構成されているマルチピース採集マトリクスを備え、マルチピース採集マトリクスが、当該マルチピース採集マトリクスの1つまたは複数の他のサブマトリクスと異なるサイズまたは形状を有する少なくとも1つのサブマトリクスを含む、カートリッジアセンブリを提供する。
【0077】
マルチピース採集マトリクスは、少なくとも3つのサブマトリクスを含んでいてもよい。マルチピース採集マトリクスは、血液試料から分離された血漿または血清を保存するようにさらに構成されていてもよい。マルチピース採集マトリクスは、血液試料から分離された血漿または血清を安定化させるようにさらに構成されていてもよい。マルチピース採集マトリクスの少なくとも1つのサブマトリクスの一部は、周囲環境に曝露されていてもよい。マルチピース採集マトリクスの少なくとも1つのサブマトリクスの上記一部は、カートリッジポートの遠位にある処置/安定化ユニットの一部に配置されている。マルチピース採集マトリクスの少なくとも1つのサブマトリクスの上記一部は、基材と接触していてもよい。マルチピース採集マトリクスの少なくとも1つのサブマトリクスの上記一部は、カートリッジと接触していなくてもよい。マルチピース採集マトリクスの少なくとも1つのサブマトリクスの上記一部の表面積は、約100mm~約150mmであってもよい。少なくとも1つのサブマトリクスの上記一部は、マルチピース採集マトリクスから取り外し可能であってもよい。カートリッジおよびカートリッジタブの基材は、実質的に垂直の配向でのカートリッジアセンブリの使用または動作を可能にする構成にて処置/安定化ユニットを支持するように構成されていてもよい。カートリッジアセンブリは、水平面に対して約40°~約140°の角度での使用または動作がなされるように構成されていてもよい。カートリッジアセンブリは、水平面に対して約60°~約120°の角度での使用または動作がなされるように構成されていてもよい。カートリッジは、圧縮力をマルチピース採集マトリクスの一部に印加するように構成され得る圧縮領域をさらに含む。圧縮力は、約1ポンド~約10ポンドであってもよい。圧縮力は、マルチピース採集マトリクスを横断または通過する血液試料の流れの改善または制御に使用可能であってもよい。圧縮力は、マルチピース採集マトリクスの上記部分の非圧縮厚さの約30%~約90%の圧縮厚さにマルチピース採集マトリクスの上記部分を保持または維持するように構成されていてもよい。圧縮力は、約0.75mm~約1.0mmの厚さにマルチピース採集マトリクスの上記部分を保持または維持するように構成されている。カートリッジは、(a)圧縮力を所定値未満もしくはそれと等しく制限すること、ならびに/または、(b)マルチピース採集マトリクスの上記部分の圧縮厚さを所定厚さ未満もしくはそれと等しく制限することを行うように構成されている圧縮ストップ(compression stop)をさらに備えていてもよい。カートリッジは、マルチピース採集マトリクスと外部の周囲環境との間の流体連通を可能にするように構成されている1つまたは複数のベントをさらに備える。1つまたは複数のベントは、マルチピース採集マトリクスによる血液試料の分離中の血漿濃度を制御するように構成されている。1つまたは複数のベントは、マルチピース採集マトリクスによる血液試料の分離中の乾燥速度を制御するように構成されている。マルチピース採集マトリクスの少なくとも1つのサブマトリクスの上記部分は、圧縮力を受けない。マルチピース採集マトリクスの少なくとも1つの他の部分は、圧縮力を受ける。
【0078】
別の態様においては、寸法アスペクト比が少なくとも約1:3~約1:10の細長ストリップであり、試料の採集および処理を容易化するための複数の統合層または膜を備える、細長ストリップを備える装置が開示される。
【0079】
一部の実施形態において、細長ストリップは、血液細胞を採集するための第1の部分と、血漿を採集するための第2の部分と、を備える。
【0080】
一部の実施形態において、第1の部分は、第2の部分に隣接する。
【0081】
一部の実施形態において、第1の部分は、試料の流れの方向に沿って、第2の部分の上流に配置されている。
【0082】
一部の実施形態において、試料は、血液細胞および血漿を含む。
【0083】
一部の実施形態において、寸法アスペクト比は、試料の細長流路であって、血液を含む第1の部分および血漿を含む第2の部分への試料の分離を可能にする、細長流路を提供する。
【0084】
一部の実施形態において、複数の統合層または膜は、血漿から血液細胞を分離し、かつ血液細胞および血漿を安定化させるように構成されているモノリシック膜を形成する。
【0085】
一部の実施形態において、複数の統合層または膜は、(i)血漿の検出の補助、(ii)所定の比に応じた複数の領域を横切る血漿分離の促進、または(iii)検体回収のために統合層もしくは膜の全血領域もしくは血漿領域の安定化のための、1つまたは複数の試薬で処置される。
【0086】
一部の実施形態において、複数の統合層または膜は、当該統合層または膜の第1の部分が全血細胞を安定化させるように構成され、当該統合層または膜の第2の部分が血漿を安定化させるように構成されるように処置される。
【0087】
一部の実施形態において、この装置は、採集された試料の量を検出するためのセンサであり、生物学的センサ、化学センサ、または光学センサを含む、センサをさらに備える。
【0088】
一部の実施形態において、この装置は、細長ストリップの少なくとも一部に配設されている1つまたは複数の幾何学的特徴であり、試料のチャネルまたは流路を提供するように構成されている、1つまたは複数の幾何学的特徴をさらに備える。
【0089】
一部の実施形態において、1つまたは複数の幾何学的特徴は、(i)細長ストリップの一部への試料の溢流の防止、(ii)(a)細長ストリップの血漿領域に対する1つもしくは複数の血液細胞の侵入の減速、および、(b)全血試料からの血漿の絞り出しもしくは分離による溶血の防止、または(iii)複数の検体の分析のための細長ストリップの異なる採集領域の物理的分離の提供を行うように構成されている1つまたは複数のレリーフ特徴を含む。
【0090】
一部の実施形態において、1つまたは複数の幾何学的特徴は、機械的な力または圧力によって、全血試料からの血漿の絞り出しまたは分離を行うように構成されている。
【0091】
一部の実施形態において、1つまたは複数の幾何学的特徴は、試料流の停止または略停止により、細長ストリップの1つまたは複数の領域を横切って血漿を隔離するように構成されている1つまたは複数の切り欠きを含む。
【0092】
一部の実施形態において、細長ストリップは、カートリッジに対して動作可能に結合されている。
【0093】
一部の実施形態において、カートリッジは、血液採集機器に結合されるように構成されている。
【0094】
別の態様においては、試料を分析するためのシステムであって、上記装置と、カートリッジと、を備え、細長ストリップが、カートリッジに結合および/または挿入されている、システムが開示される。
【0095】
一部の実施形態において、細長ストリップを含むカートリッジは、血液採集機器に対して動作的に結合されるように構成されている。
【0096】
別の態様においては、(a)寸法アスペクト比が少なくとも約1:3~約1:10の細長ストリップであり、試料の採集および処理を容易化する、細長ストリップを提供することと、(b)試料が細長ストリップに沿って流れ、全血細胞を含む第1のサブ試料および血漿を含む第2のサブ試料へと分離するように、試料を細長ストリップに提供することと、を含む方法が開示される。
【0097】
一部の実施形態において、この方法は、(b)に先立ち、統合血液採集機器を使用して試料を採集することをさらに含む。
【0098】
別の態様においては、血液試料を受容するように構成されているポートを備える入口構成要素と、血液試料から血漿を分離して採集するように構成されているマトリクスを備える細長ストリップと、入口構成要素に結合して、細長ストリップの近位部を入口構成要素と裏当て板との間に固定するように構成されている裏当て板と、入口構成要素に対して解除可能に結合するように構成されている細長ハウジングであり、細長ストリップを受容するための筐体を備える、細長ハウジングと、を備えるカートリッジアセンブリが開示される。
【0099】
一部の実施形態において、ポートは、先細の外形を含む。
【0100】
一部の実施形態において、先細の外形の角度は、約0°~約45°の範囲である。
【0101】
一部の実施形態において、ポートの直径は、ポートの長さに沿って変化する。
【0102】
一部の実施形態において、ポートの遠位端の直径は、ポートの近位端の直径よりも小さい。
【0103】
一部の実施形態において、入口構成要素は、血液試料の流れに加わる重力を打ち消すための流れの方向の変化を誘発するように構成されている1つまたは複数の転回特徴を備える。
【0104】
一部の実施形態において、1つまたは複数の転回特徴は、ポートを通る血液試料の流れと平行な第2の方向に直交する第1の方向において、血液試料を細長ストリップ上へと流すように構成されている。
【0105】
一部の実施形態において、第1の方向は、重力の方向と異なる。
【0106】
一部の実施形態において、入口構成要素は、血液試料の別の部分のウィッキングがマトリクスに沿って発生する場合に、ある体積の血液試料を採集する、凝集させる、またはプールするように構成されているリザーバを備える。
【0107】
一部の実施形態において、リザーバは、1つまたは複数の転回特徴に隣接して配置されている。
【0108】
一部の実施形態において、1つまたは複数の転回特徴は、ポートとリザーバとの間に配置されている。
【0109】
一部の実施形態において、入口構成要素は、血液試料の流速を調節し、かつマトリクスに沿う血液試料の適正なウィッキングを確保して血液試料からの血漿の分離を最適化するように構成されている圧力バーを備える。
【0110】
一部の実施形態において、圧力バーは、リザーバに隣接して配置されている。
【0111】
一部の実施形態において、リザーバは、圧力バーと1つまたは複数の転回特徴との間に配置されている。
【0112】
一部の実施形態において、入口構成要素は、マトリクス上の血漿分離の進行をユーザが視認し得るように構成されている表示窓を備える。
【0113】
一部の実施形態において、入口構成要素は、当該カートリッジアセンブリの全体および内部で真空圧力を均一にし得るシールベントを備える。
【0114】
一部の実施形態において、裏当て板は、マトリクスベントを備える。
【0115】
一部の実施形態において、裏当て板は、入口構成要素と裏当て板との間に間隙を生成するように構成されている1つまたは複数のスペーサを備える。
【0116】
一部の実施形態において、間隙は、入口構成要素上の圧力バーと部分的に使用することによって、血液試料の流速を調節し、かつマトリクスに沿う血液試料の適正なウィッキングを確保するように構成されている。
【0117】
一部の実施形態において、裏当て板は、血液採集機器上への設置または血液採集機器との設置のために当該カートリッジアセンブリをガイドおよび位置合わせするように構成されている1つまたは複数のガイド特徴を備える。
【0118】
一部の実施形態において、1つまたは複数のガイド特徴は、裏当て板上で横方向に離間する一対のガイドレールを含む。
【0119】
一部の実施形態において、筐体は、完全に囲まれている。
【0120】
一部の実施形態において、細長ハウジングは、筐体を密封するように構成されているシールを備える。
【0121】
一部の実施形態において、シールは、細長ハウジングの開口に沿って延びている。
【0122】
一部の実施形態において、マトリクスは、ガラス繊維マトリクスを含む。
【0123】
一部の実施形態において、マトリクスは、処置されている。
【0124】
一部の実施形態において、マトリクスは、処置されていない。
【0125】
一部の実施形態において、細長ストリップは、マトリクスを支持している基材をさらに備える。
【0126】
一部の実施形態において、マトリクスは、接着剤を使用して基材に取り付けられている。
【0127】
一部の実施形態において、基材は、不活性生体適合性材料を含む。
【0128】
一部の実施形態において、不活性生体適合性材料は、マイラーを含む。
【0129】
一部の実施形態において、細長ストリップは、基材とマトリクスとの間に配設され、基材およびマトリクスを分離するライナーをさらに備える。
【0130】
一部の実施形態において、ライナーは、基材とマトリクスとの間で完全に延びている。
【0131】
一部の実施形態において、ライナーは、第1の領域においては基材とマトリクスとの間に延び、第1の領域と異なる第2の領域においては基材とマトリクスとの間に延びていない。
【0132】
一部の実施形態において、第1の領域は、細長ストリップの中央部を含み、第2の領域は、細長ストリップの1つまたは複数の端部を含む。
【0133】
一部の実施形態において、第1の領域は、細長ストリップの1つまたは複数の端部を含み、第2の領域は、細長ストリップの中央部を含む。
【0134】
一部の実施形態において、細長ストリップの長さの幅に対する比は、約2.3:1~約7:1である。
【0135】
一部の実施形態において、細長ストリップの長さは、細長ストリップの幅より少なくとも約2.3倍大きい。
【0136】
一部の実施形態において、細長ストリップの長さは、細長ストリップの幅より約4.7倍大きい。
【0137】
一部の実施形態において、細長ストリップの長さは、完全に組み立てられた当該カートリッジアセンブリの全長の約70%~90%である。
【0138】
一部の実施形態において、細長ストリップの長さは、完全に組み立てられた当該カートリッジアセンブリの全長の約85%である。
【0139】
一部の実施形態において、ポートの遠位端から細長ストリップの近位端までの距離は、約0mm~約15mmである。
【0140】
一部の実施形態において、ポートの遠位端から細長ストリップの近位端までの距離は、約10mmである。
【0141】
一部の実施形態において、ポートの遠位端から細長ストリップの遠位端までの距離は、約35mm~約115mmである。
【0142】
一部の実施形態において、ポートの遠位端から細長ストリップの遠位端までの距離は、約75mmである。
【0143】
一部の実施形態において、リザーバの縁部から圧力バーまでの距離は、約0mm~約5mmである。
【0144】
一部の実施形態において、リザーバの縁部から圧力バーまでの距離は、約0mmである。
【0145】
一部の実施形態において、リザーバの体積は、約30mm~約300mmである。
【0146】
一部の実施形態において、リザーバの体積は、約175mmである。
【0147】
一部の実施形態において、リザーバの長さは、リザーバの幅の約25%~約75%である。
【0148】
一部の実施形態において、リザーバの長さは、リザーバの幅の約50%である。
【0149】
一部の実施形態において、細長ストリップの縁部は、リザーバに延びている。
【0150】
一部の実施形態において、細長ストリップの縁部は、リザーバの縁部まで延びて実質的に位置合わせされている。
【0151】
一部の実施形態において、圧力バーの幅の長さに対する比は、約5:1~約14:1である。
【0152】
一部の実施形態において、圧力バーの幅は、圧力バーの長さより少なくとも5倍大きい。
【0153】
一部の実施形態において、圧力バーの幅は、圧力バーの長さより約7倍大きい。
【0154】
一部の実施形態において、細長ストリップの縁部は、圧力バーまで延びて実質的に位置合わせされている。
【0155】
一部の実施形態において、細長ストリップの縁部は、圧力バーから約0mm~約10mmの距離にある。
【0156】
一部の実施形態において、細長ストリップの縁部は、約0mm~約10mmだけ、圧力バーを越え、リザーバに向かって延びている。
【0157】
一部の実施形態において、細長ストリップの縁部は、圧力バーから約0mm~約10mmの距離だけ、圧力バーを越え、リザーバに延びている。
【0158】
一部の実施形態において、圧力バーは、細長ストリップに沿って配置されるように、細長ストリップの遠位端から約30mm~約90mmの距離に配置されている。
【0159】
一部の実施形態において、細長ストリップの縁部は、圧力バーを越えてリザーバに延びていない。
【0160】
一部の実施形態において、間隙のサイズは、約0mm~約4mmである。
【0161】
一部の実施形態において、圧力バーは、間隙を含む。
【0162】
一部の実施形態において、間隙のサイズは、調整可能である。
【0163】
一部の実施形態において、間隙のサイズは、固定されている。
【0164】
一部の実施形態において、間隙のサイズは、間隙の幅または長さにわたって実質的に一定である。
【0165】
一部の実施形態において、間隙のサイズは、間隙の幅または長さにわたって可変である。
【0166】
一部の実施形態において、マトリクスの血漿分離性能は、圧力バーの使用により、圧力バーの不使用と比較して、少なくとも約5%だけ向上する。
【0167】
一部の実施形態において、マトリクスの血漿分離性能は、細長ストリップの長さが細長ストリップの幅より約4.7倍大きい場合に、少なくとも約5%だけ向上する。
【0168】
一部の実施形態において、マトリクスの血漿分離性能は、細長ストリップの長さが細長ストリップの幅より約4.7倍大きい場合に、最適化される。
【0169】
一部の実施形態において、マトリクスの血漿分離性能は、シールベントの使用により、シールベントの不使用と比較して、少なくとも約5%だけ向上する。
【0170】
一部の実施形態において、マトリクスの血漿分離性能は、マトリクスベントの使用により、マトリクスベントの不使用と比較して、少なくとも約5%だけ向上する。
【0171】
一部の実施形態において、カートリッジアセンブリの面積の細長ストリップの面積に対する比は、約1.5:1~2:1である。
【0172】
一部の実施形態において、上記比は、約1.8:1である。
【0173】
当業者には、本開示の例示的な実施形態が図示および記載される以下の詳細な説明によって、本開示の追加の態様および利点が容易に明らかとなるであろう。理解されるように、本開示は、他の異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細については、すべてが本開示から逸脱することなく、さまざまな明白な点において修正可能である。したがって、図面および本明細書は、本質的に例示であり、何ら限定するものとは見なされない。
参照による援用
【0174】
本明細書に記載のすべての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願の援用が具体的かつ個別に示されているのと同じ程度に、本明細書に援用される。
【0175】
本発明の新規の特徴については、添付の特許請求の範囲において詳細に記載する。本発明の原理が利用される例示的な実施形態および添付の図面を示す以下の詳細な説明を参照することによって、本発明の特徴および利点がより深く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0176】
図1-1】図1Aは、一部の実施形態に係る、試料取得機器の斜視図である。
【0177】
図1-2】図1Bは、一部の実施形態に係る、試料取得機器のさまざまな構成要素の斜視図を示している。
【0178】
図2-1】図2Aは、一部の実施形態に係る、輸送スリーブの斜視図を示している。
【0179】
図2-2】図2Bは、一部の実施形態に係る、輸送スリーブに挿入されているカートリッジアセンブリを示している。
【0180】
図3-1】図3Aは、一部の実施形態に係る、カートリッジアセンブリのさまざまな斜視図を示している。
【0181】
図3-2】図3Bは、一部の実施形態に係る、カートリッジアセンブリの側面断面図を示している。
【0182】
図3-3】図3Cは、一部の実施形態に係る、試料の流れの方向を示すカートリッジアセンブリの側面断面図を示している。
【0183】
図3-4】図3Dは、一部の実施形態に係る、カートリッジアセンブリに対して動作的に結合されている試料取得機器の側面断面図を示している。
【0184】
図3-5】図3Eおよび3Fは、一部の実施形態に係る、別のカートリッジアセンブリおよびその例示的な使用の断面図を模式的に示している。
【0185】
図4図4は、一部の実施形態に係る、試料の流れの方向を示す異なるカートリッジアセンブリの側面断面図を示している。
【0186】
図5-1】図5Aは、一部の実施形態に係る、液体または液体状試料を採集するように構成されている試料チャンバの側面断面図(左)および斜視図(右)を示している。
【0187】
図5-2】図5Bは、一部の実施形態に係る、カートリッジアセンブリに対して動作的に結合されている試料取得機器の側面断面図を示している。
【0188】
図5-3】図5Cは、一部の実施形態に係る、カートリッジアセンブリに対して動作的に結合されている試料取得機器の視覚的計量窓の斜視図を示している。
【0189】
図6図6は、一部の実施形態に係る、輸送スリーブに挿入されているカートリッジアセンブリを示している。
【0190】
図7-1】図7Aは、一部の実施形態に係る、試料採集および保存のためのモジュール式試料チャンバアセンブリの斜視図(左2つ)および側面断面図を示している。
【0191】
図7-2】図7Bは、一部の実施形態に係る、モジュール式試料チャンバアセンブリに対して動作的に結合されている試料取得機器の動作および使用の原理を示している。
【0192】
図7-3】図7Cは、一部の実施形態に係る、モジュール式試料チャンバアセンブリに対して動作的に結合されている試料取得機器の斜視図を示している。
【0193】
図7-4】図7Dは、一部の実施形態に係る、試料採集および保存のための異なる種類のモジュール式試料チャンバアセンブリを示している。
【0194】
図8-1】図8A~8Cは、一部の実施形態に係る、モジュール式試料取得機器およびモジュール式試料チャンバアセンブリの複数の斜視図を示している。
【0195】
図8-2】図8Dおよび8Eは、一部の実施形態に係る、モジュール式試料取得機器およびモジュール式試料チャンバアセンブリの動作および使用の原理を示している。
図8-3】図8Dおよび8Eは、一部の実施形態に係る、モジュール式試料取得機器およびモジュール式試料チャンバアセンブリの動作および使用の原理を示している。
【0196】
図9図9は、一部の実施形態に係る、異なる種類のモジュール式試料チャンバアセンブリに対して動作的に結合されているモジュール式試料取得機器の一例を示している。
【0197】
図10図10は、一部の実施形態に係る、試料取得プロセスのための機器の例示的な寸法および圧力パラメータを示している。
【0198】
図11図11は、一部の実施形態に係る、試料取得機器およびカートリッジアセンブリの斜視図を示している。
【0199】
図12図12は、一部の実施形態に係る、カートリッジアセンブリのさまざまな構成要素の斜視図を示している。
【0200】
図13-1】図13Aは、一部の実施形態に係る、血液濾過アセンブリのさまざまな構成要素の斜視図を示している。
【0201】
図13-2】図13Bおよび13Cは、一部の実施形態に係る、血液濾過アセンブリのさまざまな構成要素の斜視図を示している。
【0202】
図14図14は、一部の実施形態に係る、試料取得機器から採集された試料に実行されたデータ分析を示している。
【0203】
図15図15は、一部の実施形態に係る、血液分離アセンブリのさまざまな構成要素の斜視図を示している。
【0204】
図16-1】図16Aは、一部の実施形態に係る、血液分離アセンブリの第1のアセンブリ構造の斜視図を示している。
【0205】
図16-2】図16Bは、一部の実施形態に係る、血液分離アセンブリの斜視図および側面断面図を示している。
【0206】
図17-1】図17Aは、一部の実施形態に係る、血液分離アセンブリの斜視図および断面図を示している。
【0207】
図17-2】図17B~17Dは、一部の実施形態に係る、吸収性パッドを内蔵する血液分離アセンブリの側面断面図を示している。図17E~17Gは、一部の実施形態に係る、血液分離アセンブリのさまざまな構成要素の斜視図を示している。
【0208】
図17-3】図17E~17Gは、一部の実施形態に係る、血液分離アセンブリのさまざまな構成要素の斜視図を示している。
【0209】
図18図18は、一部の実施形態に係る、使用のための処置/安定化ユニットの斜視図を示している。
【0210】
図19図19は、一部の実施形態に係る、カートリッジの斜視図を示している。
【0211】
図20図20は、一部の実施形態に係る、視覚的な手掛かりをユーザに提供可能なカートリッジアセンブリの斜視図および側面断面図を示している。
【0212】
図21-1】図21A~21Cは、一部の実施形態に係る、解除メカニズムを内蔵する血液分離アセンブリの断面図を示している。
図21-2】図21A~21Cは、一部の実施形態に係る、解除メカニズムを内蔵する血液分離アセンブリの断面図を示している。
図21-3】図21A~21Cは、一部の実施形態に係る、解除メカニズムを内蔵する血液分離アセンブリの断面図を示している。
【0213】
図22図22は、流体試料を安定化させるための1つまたは複数の領域を含む例示的なマトリクスを示している。
【0214】
図23図23A~Fは、異なる形状を有するマトリクスのさまざまな例を示している。
【0215】
図24図24A~Eは、切り欠きおよびレーザエッチング穿孔等の異なる幾何学的特徴を有するマトリクスのさまざまな例を示している。
【0216】
図25図25A~Dは、異なる前処置を使用して処理されたマトリクスのさまざまな例を示している。
【0217】
図26-1】図26A~Cは、一部の実施形態に係る、血漿カートリッジアセンブリを示している。
図26-2】図26A~Cは、一部の実施形態に係る、血漿カートリッジアセンブリを示している。
【0218】
図27図27A~Cは、一部の実施形態に係る、血漿カートリッジアセンブリの斜視図を示している。
【0219】
図28図28A~Eは、一部の実施形態に係る、血漿カートリッジアセンブリのカートリッジポートの斜視図を示している。
【0220】
図29図29A~Bは、一部の実施形態に係る、血漿カートリッジアセンブリのマトリクスの斜視図を示している。
【0221】
図30図30A~Cは、一部の実施形態に係る、血漿カートリッジアセンブリのカートリッジポートを示している。
【0222】
図31図31A~Cは、一部の実施形態に係る、血漿カートリッジアセンブリのカートリッジ裏当てを示している。
【0223】
図32図32A~Bは、一部の実施形態に係る、血漿カートリッジアセンブリのカートリッジタブを示している。
【0224】
図33図33A~Bは、一部の実施形態に係る、血漿カートリッジアセンブリのマトリクスを示している。
【0225】
図34図34A~Dは、一部の実施形態に係る、試料取得機器中の血漿カートリッジアセンブリを示している。
【0226】
図35図35A~Eは、一部の実施形態に係る、血漿カートリッジアセンブリの血漿収量を示している。
【0227】
図36図36A~Dは、一部の実施形態に係る、血漿カートリッジアセンブリの血漿収量を示している。
【発明を実施するための形態】
【0228】
詳細な説明
以下、本開示の例示的な実施形態を詳細に参照するが、これらの例については、添付の図面に示している。同一または同様の部分の参照には、可能な限り、図面および開示の全体にわたって同じ参照番号を使用する。
【0229】
I.概要
本明細書においては、たとえば対象の身体から流体試料を採集するための機器、方法、およびキットが提供される。流体試料としては、たとえば対象の貫通した皮膚から採取された血液(たとえば、毛細血管血)が可能である。本明細書に開示の機器は、手持ち式かつユーザによる作動(たとえば、流体試料を採取する対象または流体試料を対象から採取する際に対象を補助する第三者ユーザによる作動)が可能であって、従来の医療機関の外(たとえば、自宅、遠隔地、対象の旅行中等)での使用に適し得る。これらの機器は、携帯型かつ使用が容易であり、訓練を受けた医療従事者に頼ることも、個人による事前の採血訓練体験を必要とすることもなく、個人が効率的かつ確実に自身の血液試料を採集することを可能にし得る。本明細書に記載の機器、方法、およびキットは、最小侵襲性が可能であり、他の機器、方法、およびキットの使用に対して、対象の疼痛(または、疼痛の知覚)のレベルを抑えることができるため、対象の採血体験の全体を改善することができる。キットには、上記機器と、血液試料の採集および保存に機器を使用し得る方法についてユーザをガイドする使用説明書と、を提供可能である。キットは、1つまたは複数の試料の1つまたは複数の試験施設への発送/輸送のための輸送スリーブおよびパウチを備え得る。発送/輸送時には、1つまたは複数の試料が1つまたは複数の試料チャンバまたはその一部(たとえば、1つもしくは複数のカートリッジ)に採集され得る。あるいは、試料チャンバまたはその一部には、カートリッジの発送/輸送のための如何なる輸送スリーブ/パウチも要さず、その必要もない場合がある。一部の例においては、発送/輸送時にカートリッジを保護するように構成されているハウジング(たとえば、試料チャンバ)にカートリッジが囲まれ得る。ハウジングとしては、本明細書の実施形態の一部に記載および例示の通り、たとえばチューブが可能である。ハウジングは、発送/輸送前または発送/輸送時の試料の処置および/または安定化を可能にし得る(たとえば、ハウジングは、乾燥剤を含み得る)。カートリッジは、発送/輸送前または発送/輸送時の試料の処置および/または安定化を可能にし得る。ハウジングは、採集された試料を外部環境から保護する(たとえば、温度、圧力、湿度、移動(たとえば、振動)等を制御する)ことができる。場合により、ハウジングは、採集された試料の試験のための技術者または医療専門家による採集された試料の回収に先立って、ハウジングの内側に保存されている採集された試料の改竄を防止するためのシール(たとえば、キャップまたはシーラント)を備え得る。一部の例において、ハウジング(または、試料チャンバ)は、物理キーまたはデジタルキー(たとえば、デジタルキーコードの提供)により開錠可能な物理ロックによって保護され得る。
【0230】
本明細書においては、液体状体、半固体状態、または固体状態(たとえば、乾燥状態もしくは固化状態)を含む複数の異なる状態のうちの1つまたは複数にて、採集された試料(たとえば、流体試料)を処置(もしくは、処理)ならびに/または保存するためのシステム(たとえば、機器)、方法、およびキットがさらに提供される。一部の実施形態においては、対象から血液(たとえば、毛細血管血)が採集され得、血漿、血清、乾燥血液、液体血液、または凝固血液を含む複数の異なる様式のうちの1つまたは複数にて、採集された血液が処理および/または保存され得る。
【0231】
カートリッジは、採集された血液の少なくとも一部(たとえば、少なくとも所定の体積)を保持するように構成されている1つまたは複数のマトリクスを支持するように構成可能である。カートリッジは、血漿、血清、細胞(たとえば、白血球(leukocyte)(白血球(white blood cell))ならびに/または赤血球(erythrocyte)(赤血球(red blood cell))、ポリペプチド分子(たとえば、増殖因子等のタンパク質)、ポリヌクレオチド分子(たとえば、DNA、RNA、無細胞DNA(cfDNA)、無細胞RNA(cfRNA)等)、イオン、ならびに/または小分子(たとえば、栄養素)を含む血液の1つまたは複数の成分を分離(たとえば、隔離または濾過)するように構成可能である。本明細書に開示のシステム(たとえば、機器)、方法、およびキットは、細胞、血漿、血清、血小板、特定の細胞型、DNA(たとえば、腫瘍cfDNA)、RNA、タンパク質、無機物、薬物、または任意の他の成分を含むいくつもの試料成分を選択的に分離することができる。また、本明細書に開示のシステム、方法、およびキットは、血液の分離された任意の成分(たとえば、血漿、血清等)を保存するように構成可能である。
【0232】
本明細書に記載のシステム(たとえば、試料取得機器)、方法、およびキットを使用して採集された試料(たとえば、血液試料)の分析により、対象の生理学的状態を決定して、対象の疾患を検出するとともに、健康状態をモニタリングすることができる。開示の機器、方法、およびキットを使用することにより試料(たとえば、血液試料)が迅速に採集され、(1)たとえばイムノアッセイを使用するその場での分析または(2)試験施設への発送(たとえば、即座の発送)が可能であることから、個人がその生理学的状態を迅速に評価することができる。血液採集、分析、および定量化のリードタイムの短縮は、多くのユーザ(たとえば、ある特定の生理学的状態/疾患を有し、定期的かつ高頻度な血液試料の採集/モニタリングを必要とする対象)にとって有益となり得る。
【0233】
本開示のさまざまなシステム(たとえば、機器)、方法、およびキットは、たとえば米国特許出願公開第2019/0000365号「DEVICES,SYSTEMS,AND METHODS FOR SAMPLE COLLECTION」および米国特許出願公開第2017/0067803号「SYSTEMS,METHODS,AND DEVICES FOR SAMPLE COLLECTION,STABILIZATION AND PRESERVATION」に記載のような他のシステム、方法、およびキットによる組み合わせまたは改良が可能であり、それぞれのすべての内容を本明細書に援用する。
【0234】
本明細書に記載の機器、方法、およびキットのさまざまな態様は、血液採集機器のほか、本明細書に記載の特定の適用および任意の他の種類の流体試料機器のいずれかに適用可能である。これらの機器、方法、およびキットは、対象の身体からの流体試料の採取を必要とする任意のシステムにおいて使用可能である。本明細書に記載の機器、方法、およびキットの異なる態様は、個々に、集合的に、または互いに組み合わせて評価され得ることが了解されるものとする。
【0235】
II.試料取得機器
本明細書において提供されるような試料取得機器は、試料(たとえば、流体試料(たとえば、対象から採取された流体試料))の少なくとも一部の採集、処置(たとえば、分離)、保存、および/または安定化のために設計、構成、または使用され得る。試料としては、生物学的試料が可能である。生物学的試料(または、流体試料)としては、全血、血清、血漿等が可能である。試料取得機器は、ユーザの手に持って操作されるように構成可能である。ユーザとしては、対象または第三者(たとえば、医師)が可能である。試料取得機器は、使用時に(たとえば、ユーザの片手または両手、対象および医療専門家等の複数のユーザの複数の手によって)手持ち可能である。このように、本開示の任意の試料取得機器として、手持ち式機器が可能である。
【0236】
本明細書において提供される試料取得機器は、たとえば対象の自宅、遠隔地、オンサイトまたは対象の旅行中、個別化された健康管理、ポイントオブケア(POC)環境、病院、クリニック、緊急治療室、患者検査室、急性期治療患者室、外来診療、小児科の分野、現場環境、教育環境における看護室、労働衛生クリニック、手術中またはオペ室を含む多様な場所、環境、または適用において使用可能である。
【0237】
試料取得機器は、対象からの採取された試料(たとえば、血液)の採集および保存に使用可能である。対象は、患者であり得る。対象は、動物(たとえば、霊長類または非霊長類)であり得る。対象は、雄または雌であり得る。対象は、妊娠している、妊娠している疑いがある、または妊娠を計画している可能性がある。対象は、排卵中であり得る。対象は、状態(たとえば、がん、自己免疫疾患、または糖尿病)を有し得るか、それを有すると疑われ得る。対象はヒトであり得、ヒトは、幼児、小児、10代、成人、または高齢者であり得る。
【0238】
試料取得機器は、第三者の助けも補助もなく対象から試料(たとえば、血液試料)を採取するのに対象が容易かつ便利に使用可能である。場合により、この機器は、第三者による操作によって、対象から血液を採集することができる。第三者には、たとえば対象の家族、医療専門家(たとえば、医師、看護師、または緊急医療技術者(EMT))、臨床医、または検査技師を含み得る。第三者は、生きていない実体(たとえば、ロボット)であり得る。
【0239】
試料取得機器は、最小侵襲性で、対象の疼痛のレベルを抑える(または、疼痛の知覚を抑える)ように設計可能である。たとえば、試料取得機器は、皮膚を貫通するための複数(3つ、4つ、5つ、またはそれよりも多く)のニードルまたはマイクロニードルのアレイの代わりに、少数(たとえば、1つまたは2つ)の穿孔要素を備え得る。この機器は、1つまたは複数の穿孔要素とともに予備包装の必要がない。たとえば、機器に対する多様な穿孔要素の動作可能および解除可能な結合、ならびに/または、たとえば各使用後の機器上での交換が可能である。一部の代替例において、この機器は、穿孔要素を使用せずに動作可能である。たとえば、対象の皮膚には、1つまたは複数の切創が事前に存在している可能性があり、このように事前に存在する1つまたは複数の切創の上方に機器を配置することによって、皮膚吸引および真空圧力を使用して血液を採取することができる。
【0240】
この機器は、携帯可能かつ使い捨て可能であり、単一の対象に対して使用するように設計され得る。本明細書に開示の実施形態のいずれかにおいて、この機器は、再利用可能となり得る。たとえば、1回よりも多く(たとえば、2回、3回、4回、5回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、またはそれよりも多く)機器を使用可能である。本明細書に開示の実施形態のいずれかにおいては、単一の機器を複数の対象(同じ対象に複数回または複数の異なる対象)に対して使用可能である。この機器には、試料採集プロセスを容易化するためのフォームファクタが可能であり、また、人間工学的に設計され得る。試料の採集、処置、および保存は、単一の機器上で実行可能である。場合によっては、複数の構成要素または機器を使用することにより、試料の採集、処置、および保存を実行可能である(たとえば、1つまたは複数のチャネルを介して動作可能に一体接続または結合されている別個の機器として、穿孔モジュールおよび真空モジュールを提供可能である)。
【0241】
図1Aおよび図1Bは、一部の実施形態に係る、例示的な機器100を示している。具体的に、図1Aは、機器の全体斜視図を示している。この機器は、ハウジング102を備え得る。ハウジングは、互いに動作可能に結合されているハウジング基部110およびハウジングカバー152を備え得る。一部の実施形態において、ハウジング基部110は、本明細書において別途記載の通り、真空チャンバおよび堆積チャンバを包含し得る。
【0242】
本明細書に開示の実施形態のいずれかにおいては、機器の構成要素と別個にハウジングを提供可能であり、このハウジングは、構成要素の一部である必要もなければ、構成要素との一体化の必要もない。たとえば、本明細書の他の箇所に記載のような真空チャンバ、堆積チャンバ、カートリッジチャンバ、および/またはカートリッジアセンブリ(もしくは、カートリッジモジュール)が別個に提供されたハウジングに対して動作可能に結合され得る。ハウジングの一部には、本明細書に記載のような凹部が提供され得る。ハウジングには、ケーシング、筐体、シェル、ボックス等を含み得る。ハウジングは、1つまたは複数の中空チャンバ、キャビティ、または凹部を含み得る。ハウジングは、任意の形状および/またはサイズを有するように形成可能である。ハウジングは、本明細書の他の箇所に記載のような1つまたは複数の構成要素を支持するように構成可能である。また、構成要素のうちの1つまたは複数がハウジングとして作用または機能し得る。また、本明細書の構成要素のうちの1つもしくは複数とのハウジングの一体化、あるいは、構成要素のうちの1つもしくは複数のハウジングとの一体化またはハウジングへの統合が可能である。ハウジングは、たとえば対象の皮膚等の表面に装着されるように構成可能である。本明細書に開示の実施形態のいずれかにおいては、表面へのハウジングの装着を可能にするブラケットまたはストラップを提供可能である。
【0243】
この機器は、真空作動器114を備え得る。真空作動器は、ハウジング基部に配置されたボタン115を備え得る。この機器は、真空作動器を有さない場合もあるし、真空作動器を有する必要がない場合もある。一例においては、試料チャンバの機器への設置によって、機器の真空チャンバに真空が自動的にもたらされ得る。この機器は、穿孔作動器166をさらに備え得る。穿孔作動器は、ボタン167を備え得る。場合により、ボタン167は、ハウジングカバーに隣接して開示され得る。この機器は、穿孔作動器を有さない場合もあるし、穿孔作動器を有する必要がない場合もある。一例において、この機器は、他の離散的な独立型穿孔要素によって予め貫通または切開されている皮膚からの採血に使用可能である。別の例においては、試料チャンバの機器への設置によって機器が自動的に作動し、対象の皮膚を穿孔することができる。穿孔は、真空作動器の作動後に(たとえば、穿孔作動器を介して)作動され得るのが好ましい。場合により、穿孔は、真空作動器とも機器の真空状態とも無関係に作動され得る。一部の実施形態において、穿孔作動器は、機器の使用前にはロックされ得、真空作動器が作動された後にのみ作動され得る。場合によっては、真空作動器が、機器の使用前にロックされ、穿孔作動器が作動された後にのみ作動され得る。前述の通り、機器100または本明細書の機器のいずれかは、試料チャンバ(たとえば、図1Aに示すようなカートリッジアセンブリ180)に対して動作的に結合され得る。このようなカートリッジアセンブリは、機器に対する解除可能な結合および機器からの取り外しが可能である。機器の縁部からは、カートリッジアセンブリのカートリッジタブ192が突出し得る。本明細書に開示の実施形態のいずれかにおいて、カートリッジタブおよび穿孔作動器/真空作動器(たとえば、ボタン115/167)は、ハウジングの異なる側(たとえば、反対端)に配置され得る。本明細書においては、真空作動器および穿孔作動器に関する別途詳細が記載される。
【0244】
血液試料を採集するための試料取得機器としては、機器上で特定の動作または機能を実行するための2つまたはそれよりも多くの構成要素を備えるモジュール式(すなわち、「モジュール式機器」)が可能である。図1Bは、モジュール式試料取得機器100のさまざまな構成要素およびサブアセンブリを示している。モジュール式機器は、複数のモジュール(または、サブアセンブリ)を備え得る。個々のモジュールとしては、交換可能または取替可能なユニットが可能である。場合によっては、モジュール式機器の単回使用後、機器の個々のモジュールを新たなモジュールと交換することができる一方、機器の1つまたは複数の他のモジュールについては、再利用可能となり得る。モジュール式機器の1つまたは複数のモジュールは、機器の少なくとも1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、またはそれよりも多くの使用回数にわたって再利用可能となり得る。非モジュール式(たとえば、複数の構成要素へと容易には分解できない)機器と比較して、モジュール式機器は、部分的な交換、部分的な保守または修理、部分的なアップグレード、洗浄、製造または包装のコスト削減の容易さ等、1つまたは複数の利点を含み得る。一部の実施形態において、図1Bに示すように、モジュール式機器は、(1)穿孔作動器166のボタン167が挿入され得る貫通孔153を含むハウジングカバー152と、(2)穿孔作動器166のボタン167を備える穿刺アセンブリと、(3)真空作動器114(たとえば、ボタン115)を備えるハウジング基部110と、を備え得る。場合により、ハウジング基部110は、真空チャンバおよび/または堆積チャンバとして機能し得る。場合により、穿刺アセンブリは、(たとえば、ハウジング基部110の開口を通じて)対象の皮膚を穿孔するための穿刺メカニズムを備え得る。穿刺アセンブリは、ハウジング基部110内に配設されている穿刺メカニズムを作動させて対象の皮膚を穿孔するように構成可能である。
【0245】
図1Bは、モジュール式機器に対して動作的に結合されるように構成されている試料チャンバをさらに示している。たとえば、試料チャンバとしては、モジュール式機器に対して解除可能に結合され得るカートリッジアセンブリ180が可能である。カートリッジアセンブリは、モジュール式機器の一部であり得、また、機器から分離可能である。カートリッジアセンブリは、開口128を介して、モジュール式機器のハウジング基部の堆積チャンバ(または、カートリッジチャンバ)に挿入可能である。カートリッジアセンブリは、カートリッジ182およびカートリッジホルダー190を備え得る。カートリッジホルダーは、カートリッジを支持するように構成可能である。カートリッジホルダーは、カートリッジタブ192、シール/ガスケット194、およびばねクリップ196を備え得る。ユーザ(たとえば、対象)は、カートリッジタブを使用して、カートリッジアセンブリを操作または保持することができる。たとえば、対象は、カートリッジタブを押すことにより、カートリッジアセンブリをモジュール式機器の堆積チャンバ(カートリッジチャンバ)に挿入することができる。試料採集の完了後、対象は、カートリッジタブを引くことにより、モジュール式機器の堆積チャンバ(カートリッジチャンバ)からカートリッジアセンブリを取り出すことができる。また、対象は、カートリッジタブによってカートリッジアセンブリを保持することにより、カートリッジおよび/または試料の汚染を回避することができる。シール/ガスケット194は、カートリッジアセンブリがモジュール式機器へと適正に挿入された場合、堆積チャンバ(カートリッジチャンバ)を密封することができる。ばねクリップ196は、カートリッジホルダーによるカートリッジの適所への保持を可能にする。
【0246】
カートリッジアセンブリのカートリッジ182は、流体試料(たとえば、血液)が採集される1つまたは複数のマトリクス186を支持するように構成可能である。一部の実施形態において、カートリッジは、2つまたはそれよりも多くのマトリクスを支持することができる。2つまたはそれよりも多くのマトリクスは、1つまたは複数のスペーサにより分離され得る。カートリッジは、カートリッジポート184と、マトリクスに至るチャネル(図示せず)と、を備え得る。カートリッジは、過剰な流体を保持するための1つまたは複数の吸収性パッド(図示せず)を支持するように構成可能である。吸収性パッドは、所定の体積の流体が各マトリクス上で採集され得るようにするのに役立つ。カートリッジアセンブリに関する別途詳細については、たとえば本明細書の第II項第C部において記載される。
【0247】
ハウジング基部110およびハウジングカバー152はそれぞれ、別個に提供され、一緒に結合されてハウジングを形成し得る。ハウジング基部は、真空チャンバおよび堆積チャンバを備え得る。真空チャンバおよび堆積チャンバは、1つまたは複数の壁によって分離可能である。壁は、流体(たとえば、気体および液体)に対して実質的に不透過性であり得る。真空チャンバおよび堆積チャンバは、蓋により密封可能である。蓋は、流量計を備え得る。また、堆積チャンバは、カートリッジチャンバとして機能し得るとともに、本明細書においては交換可能にそのように称し得る。カートリッジアセンブリ180は、堆積チャンバ(または、カートリッジチャンバ)に挿入され得る。シール/ガスケット194は、カートリッジアセンブリが堆積チャンバに完全に挿入された場合、堆積チャンバを密封することができる。ハウジングカバーは、ハウジング基部の蓋にある流量計を見えるようにするU字またはV字形状のウィング155を備え得る。したがって、ハウジングカバーは、ユーザ(たとえば、対象または第三者ユーザ)が流量計を見て流体試料の採集の進行をモニタリングし得るような形状にされ得る。ハウジングカバーは、(たとえば、図1Bに示すような穿刺アセンブリの一部となる)穿孔モジュールの内部配置を可能にする垂直方向(Z高さ)隙間を有し得る。穿孔モジュールは、凹部の開口を通って伸縮するように構成されている1つまたは複数の穿孔要素を備え得る。
【0248】
代替実施形態において、採集された試料を含む試料チャンバ(たとえば、カートリッジアセンブリ)またはその構成要素は、試料取得機器から取り外され、保存/輸送機器に保存され得る。図2Aは、充填された試料チャンバまたは試料チャンバ内からの試料の包装に使用可能な輸送スリーブ200の斜視図である。スリーブは、充填された試料チャンバまたは試料を発送/輸送時に保存するための中空内部を含み得る。スリーブは、試料チャンバ(たとえば、カートリッジアセンブリ)を受容するための開口を含み得る。一部の実施形態において、スリーブは、当該スリーブの使用に先立って開口を覆うためのカバー212(たとえば、剥離可能箔)を備え得る。カバー212としては、たとえば接着剤による開口への取り付けおよびスリーブの使用に先立つユーザによる剥離を行い得る箔が可能である。スリーブ内には、乾燥剤(図示せず)が配設され、試料の乾燥および/または乾燥維持に使用され得る。箔カバーは、使用前のスリーブ内部の水分および汚染からの保護に役立ち得る。図2Bは、カートリッジアセンブリ180を輸送スリーブに挿入した後の輸送スリーブ200の斜視図を示す。カートリッジアセンブリに関する別途詳細については、たとえば本明細書の第III項において記載される。
【0249】
機器の1つもしくは複数の構成要素または機器に対して動作的に結合されている1つもしくは複数の構成要素(たとえば、モジュール、任意の種類の試料チャンバ、輸送スリーブ等のいずれか1つ)は、如何なる形状および/またはサイズでも形成可能である。このような構成要素は、射出成型、ブロー成型、3次元(3D)印刷等、当技術分野において公知のいくつもの技術を使用して形成可能である。このような患者と接触するように構成されている構成要素は、特定の適用に応じて、医療適用に適する材料を含み得る(たとえば、ハウジング材料は、生物学的材料との使用に適合する)。たとえば、試料取得機器のハウジングの構成要素は、コポリエステル(たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、ポリプロピレン、ポリカーボネート、セロファン、ビニル、アセテート、ポリエチレンアクリル、ブチルゴム、エチレン酢酸ビニル、天然ゴム、ニトリル、シリコーンゴム、スチレンブロックコポリマー、ビニルエーテル、または粘着付与剤)等の材料を含むことも可能であるし、これらの材料から作製することも可能である。本明細書に開示の実施形態のいずれかにおいて、このような構成要素は、抗菌性および/または防腐性の材料(たとえば、炭酸水素ナトリウム、過酸化水素、塩化ベンザルコニウム、クロロヘキシジン、ヘキサクロロフェン、ヨウ素化合物、およびこれらの組み合わせ)を含み得る。
【0250】
本明細書に開示の実施形態のいずれかにおいて、機器の1つもしくは複数の構成要素または機器に対して動作的に結合されている1つもしくは複数の構成要素(たとえば、モジュール、任意の種類の試料チャンバ、輸送スリーブ等のいずれか1つ)は、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリイソブテン、ポリ[エチレン-酢酸ビニル]コポリマー、軽量アルミニウム箔、およびこれらの組み合わせ、ステンレス鋼合金、商業的に純粋なチタン、チタン合金、銀合金、銅合金、グレード5チタン、超弾性チタン合金、コバルト-クロム合金、ステンレス鋼合金、超弾性金属合金(たとえば、ニチノール、日本のトヨタマテリアル社製GUM METAL(登録商標)等の超弾塑性金属(super elasto-plastic metal))、セラミックスおよびリン酸カルシウム(たとえば、Biologix社製SKELITE(商標))等の複合材、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、およびポリエーテルケトン(PEK)を含むポリアリールエーテルケトン(PAEK)等の熱可塑性物質、炭素-PEEK複合材、PEEK-BaSO4ポリマーゴム、布、シリコーン、ポリウレタン、シリコーン-ポリウレタンコポリマー、ポリマーゴム、ポリオレフィンゴム、ヒドロゲル、半硬質および硬質材料、エラストマー、ゴム、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマー、エラストマー複合材、ポリフェニレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、エポキシを含む硬質ポリマー、たとえば金属およびカルシウム-ハウジング系セラミックスの複合材等の部分的に再吸収可能な材料、PEEKおよびカルシウム-ハウジング系セラミックスの複合材、PEEKと再吸収可能なポリマーの複合材、たとえばリン酸カルシウム、リン酸トリ-カルシウム(TCP)、ヒドロキシアパタイト(HA)-TCP、硫酸カルシウム等のカルシウム-ハウジング系セラミックス等の完全に再吸収可能な材料、またはポリアエチド、ポリグリコリド、ポリチロシンカーボネート、ポリカロプラエトヘ(polycaroplaetohe)、およびこれらの組み合わせ等の他の再吸収可能なポリマー等の材料を含むことも可能であるし、これらの材料から作製することも可能である。
【0251】
機器の1つもしくは複数の構成要素または機器に対して動作的に結合されている1つもしくは複数の構成要素(たとえば、モジュール、任意の種類の試料チャンバ、輸送スリーブ等のいずれか1つ)は、上記材料のうちの1つまたは複数を含む複合材を有することにより、強度、剛性、弾性、コンプライアンス、生体力学的性能、耐久性、および/または放射線透過優先性等、さまざまな所望の特性を達成することができる。このような構成要素は、上述の材料のうちの2つまたはそれよりも多くの材料の組み合わせ等の不均一材料から個々にまたは集合的に作製することも可能である。機器の構成要素は、モノリシックな形成または一体的な接続が可能である。
【0252】
機器の1つもしくは複数の構成要素または機器に対して動作的に結合されている1つもしくは複数の構成要素(たとえば、モジュール、任意の種類の試料チャンバ、輸送スリーブ等のいずれか1つ)は、ユーザ(たとえば、対象)が機器および/または試料チャンバを片手または両手で楽に保持および/または操作できるように、人間工学的に設計され得る。この機器は、携帯性を高くする(たとえば、ユーザのバッグまたはハンドバッグでの持ち運びを容易にする)コンパクトなフォームファクタを有し得る。試料チャンバの例示的な寸法(たとえば、長さ、幅、および高さ)については、本明細書の他の箇所に記載される。
【0253】
A.皮膚吸引のための凹部
一部の実施形態において、機器のハウジング基部102は、(図3Dおよび図8Cに示すような)凹部136を含み得る。凹部は、ハウジング基部の一部(たとえば、底面)に設けることができる。凹部は、ハウジング基部の窪んだキャビティまたはトレンチとして形成可能である。場合により、凹部は、ハウジング基部に成型された押し出し部として形成可能である。凹部は、カップのような形状にされ得、真空圧力の補助による皮膚「カッピング」効果をもたらすように構成可能である。凹部は、表面(たとえば、対象の皮膚)の一部を受容するとともに、真空圧力の印加によって表面(たとえば、皮膚)が実質的に当該凹部に適合し得るようなサイズおよび/または形状にされ得る。凹部の表面は、凹部に引き込まれている皮膚と実質的に接触可能である。皮膚が凹部に引き込まれている場合は、皮膚と凹部との間の間隙を無視することができる。凹部は、皮膚を引き込むとともに毛細管圧力差を増大させる吸引キャビティとして機能し得る。
【0254】
一部の代替実施形態において、この機器は、真空下で他の種類の物体(たとえば、皮膚でも皮膚表面でもない物体)を凹部に引き込むとともに、これらの物体から流体試料をさらに引き込むように構成可能である。本開示の機器での使用に適する生物学的試料の例としては、汗、涙、尿、唾液、糞便、膣分泌物、精液、間質液、粘液、皮脂、滲出液、房水、硝子体液、胆汁、母乳、脳脊髄液、耳垢、内リンパ液、外リンパ液、胃液、腹腔液、嘔吐物等が挙げられる。一部の実施形態において、流体試料は、液体媒体で修飾された固体試料であり得る。場合によっては、病院、研究室、臨床検査室、または医療検査室の対象から生物学的試料が得られ得る。
【0255】
機器の凹部は、対象の貫通した皮膚から血液が採集される前および最中に、真空圧力下で対象の皮膚表面エリアとの接触を維持するように構成可能である。一部の実施形態においては、凹部内に囲まれている部分の体積と凹部の内体積とが実質的に同じになり得る。一部の実施形態において、凹部は、安全特徴を提供するように構成可能である。一例においては、突出部分の長さが凹部の高さよりも短くなるように、ランセットが短距離だけ機器のキャビティ中に突出するように構成可能である。このため、突出時にもランセットの先端は対象の皮膚に接触し得ない。先端は、凹部に向かう皮膚の吸引に際して皮膚と接触し得る。このような特徴によれば、ランセットの望ましくない(たとえば、偶発的な)駆動の間または凹部に向かって皮膚を吸引する真空が存在しない場合に、皮膚の切創を防止することができる。
【0256】
B.真空チャンバおよび堆積チャンバ
この機器は、真空チャンバおよび/または堆積チャンバを備え得る。真空チャンバおよび堆積チャンバは、ハウジングに設けることができる(たとえば、ハウジング基部に組み込み可能である)。真空チャンバおよび堆積チャンバは、(たとえば、図1Bに示すように)別個に設けられているハウジングまたはハウジング本体に対して動作可能に結合され得る。真空チャンバは、凹部および堆積チャンバと流体連通するように構成可能である。真空チャンバおよび堆積チャンバは、ハウジング基部の一部であり得る。真空チャンバおよび堆積チャンバは、ハウジング基部の異なるセクション(たとえば、区画)に配置され、さまざまな形状または構成を有して提供され得る。真空チャンバおよび堆積チャンバは、1つまたは複数の壁によって分離可能である。一部の代替例において、真空チャンバおよび堆積チャンバは、たとえば壁による分離が不要である。たとえば、真空チャンバおよび堆積チャンバは、包装された機器における同じチャンバであり得る。真空チャンバおよび堆積チャンバの組み合わせは、モノリシックなチャンバであり得る。
【0257】
堆積チャンバは、試料チャンバ(たとえば、カートリッジアセンブリ180)を受容するように構成され得ることから、交換可能にカートリッジチャンバと称することができ、試料取得機器の一部と考えられ得る。たとえば、対象から血液が採集され、凹部から堆積チャンバに輸送されて、試料チャンバ(たとえば、カートリッジアセンブリ180のカートリッジ)内に採集および保存され得る。
【0258】
一部の実施形態においては、真空ポンプ等の機械的な機器の使用によって、(たとえば、包装の前か後に)真空チャンバまたは類似チャンバの排気を行うことができる。機械的機器には、ピストン、モータ、ブロワー、圧力調節器、ベンチュリ等の構成要素を含み得る。場合によっては、化学物質または他の反応物等の非機械的手段が真空チャンバに導入され得、反応によって、真空チャンバ内の圧力を低下させ得る(たとえば、真空状態を生成し得る)。他の実施形態において、真空チャンバは、当該真空チャンバを排気する機械的機器を要さず、その必要もない場合がある。たとえば、試料チャンバを真空下にすることができ、試料チャンバの試料取得機器(たとえば、機器100)への設置によって、機器(たとえば、機器本体ならびに/または機器の残りの内部チャンバおよびチャネル)に陰圧が誘導され得る。
【0259】
システム(たとえば、試料取得機器)による血液採集の体積および流量は、真空チャンバの開始または初期真空圧力によって決まり得る。開始または初期真空圧力は、排気後の真空チャンバの圧力に対応し得る。一部の実施形態において、真空チャンバの初期真空圧力は、約-4ポンド/平方ゲージ(psig)~約-15psig(たとえば、海水面で-14.7psig)、好ましくは約-8psig~約-12psigの範囲であり得る。一部の好適な実施形態において、真空チャンバの初期真空圧力は、約-12psigであり得る。他の一部の実施形態において、真空チャンバの初期真空圧力は、約-12psig未満(たとえば、約-13psigまたは-14psig)であり得る。
【0260】
一部の実施形態において、機器100または本明細書に開示の任意の他の試料取得機器は、対象の皮膚部分の切開または貫通の時間を始点とする時間ウィンドウ内に、対象からより少量の血液(たとえば、150マイクロリットル(μL)、140μL、130μL、120μL、110μL、100μL、90μL、80μL、70μL、60μL、50μL、40μL、30μL、または25μL未満)を採集するように構成可能である。一部の実施形態において、機器100または本明細書に開示の任意の他の試料取得機器は、より多くの血液(たとえば、少なくとも150μL、200μL、300μL、400μL、500μL、600μL、700μL、800μL、900μL、1,000μL、2,000μL、3,000μL、4,000μL、5,000μL、またはそれよりも多く)を採集するように構成可能である。一部の実施形態において、時間ウィンドウは、約30分、25分、20分、15分、10分、9分、8分、7分、6分、5分、4分、3分、2分未満、またはそれより少ないことが可能である。一例において、時間ウィンドウは、5分未満、好ましくは3分未満が可能である。別の例において、時間ウィンドウは、2分を下回ることができる。異なる例において、時間ウィンドウは、1分を下回ることができる。
【0261】
C.穿孔モジュール
試料取得機器は、真空圧力下で対象の皮膚が凹部に引き込まれた場合に皮膚を貫通するための穿孔モジュールを備え得る。一部の代替例において、この機器は、穿孔モジュールを備える必要がない。一部の実施形態において、穿孔モジュールは、図1Bに示すように、穿刺アセンブリモジュールに設けることができる。穿孔要素には、ランセット、ランス、ブレード、ニードル、マイクロニードル、外科用ナイフ、鋭利物、ロッド等を含み得る。穿孔要素の数としては、任意数(たとえば、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、またはそれよりも多くの穿孔要素)が考えられ得る。一部の実施形態において、穿孔要素は、2つのランセットを含み得るのが好ましい。
【0262】
穿孔モジュールは、ランセットホルダーを駆動するとともに穿孔要素を移動させるための1つまたは複数の駆動要素(たとえば、ばね要素)をさらに備え得る。駆動要素の他の非限定的な例としては、磁石、電磁石、空気圧アクチュエータ、油圧アクチュエータ、モータ(たとえば、ブラシレスモータ、直流(DC)ブラシモータ、回転モータ、サーボモータ、ダイレクトドライブ回転モータ、DCトルクモータ、リニアソレノイドステッピングモータ、超音波モータ、歯車付きモータ、減速モータ、またはピギーバックモータの組み合わせ)、ギア、カム、リニアドライブ、ベルト、プーリ、コンベヤ等が挙げられ得る。ばね要素の非限定的な例としては、さまざまな好適なばねタイプ(たとえば、入れ子式圧縮ばね、座屈支柱、円錐ばね、可変ピッチばね、スナップリング、二重ねじりばね、ワイヤフォーム、限定移動延長ばね、編組ワイヤばね、板ばね等が挙げられ得る。さらに、駆動要素(たとえば、ばね要素)は、多くの金属、プラスチック、または複合材のいずれかから作ることができる。
【0263】
D.真空作動器および穿孔作動器
この機器は、(排気された)真空チャンバを作動させて、皮膚を凹部に引き込んだ後、貫通した皮膚からの血液の採集を容易化し得る真空圧力を生成するように構成されている真空作動器114を備え得る。また、この機器は、穿孔要素を駆動するための展開ばねを作動させるように構成されている穿孔作動器166を備え得る。真空作動器は、穿孔作動器と別個のものが可能である。たとえば、真空作動器および穿孔作動器としては、機器の2つの別個の離散的な構成要素が可能である。一部の代替実施形態(図示せず)において、真空作動器および穿孔作動器は、真空および穿孔要素の同時または順次作動に使用可能な単一の構成要素として一体化可能である。
【0264】
一部の実施形態においては、真空作動器を最初に作動させた後、穿孔作動器を作動させることができる。言い換えると、穿孔要素の作動に先立って、真空圧力が作動し得る。ある特定の実施形態において、穿孔作動器は、真空作動器および真空の作動後にのみ作動し得る。たとえば、穿孔作動器は最初、ロック状態にあることが可能であり、真空の作動前に1つまたは複数の穿孔要素を作動させることができない。穿孔作動器は、真空作動器の作動後にのみロック解除可能である。上記効果は、穿孔作動器を真空作動器に結合するロックメカニズムを提供することにより達成され得る。ロックメカニズムは、穿孔作動器が最初にロック状態となるように構成可能である。真空作動器は、穿孔作動器をロック解除するためのキーとして機能することができ、穿孔作動器は、真空作動器が作動した場合に、同時にロック解除され得る。
【0265】
一部の実施形態において、穿孔作動器は、皮膚が凹部に引き込まれた後、1つまたは複数の穿孔要素を作動させるように構成可能である。穿孔作動器は、所定の時間長にわたって真空により皮膚が凹部に引き込まれた後、1つまたは複数の穿孔要素を作動させるように構成可能である。所定の時間長は、たとえば少なくとも約1秒、5秒、10秒、20秒、30秒、40秒、50秒、60秒、またはそれよりも長い時間が可能である。所定の時間長は、長くても約60秒、50秒、40秒、30秒、20秒、10秒、5秒、1秒、またはそれよりも短い時間が可能である。
【0266】
本明細書に開示の実施形態のいずれかにおいて、真空作動は、半自動または全自動が可能である。一部の実施形態において、この機器は、手動の真空作動を要する必要はない。たとえば、この機器は、当該機器が表面(たとえば、対象の皮膚)に配置されたことまたは当該機器の凹部が表面の上方に適正に配置されていることの検知または検出に際して、真空を自動的に印加するように構成可能である。本明細書に開示の実施形態のいずれかにおいて、穿孔要素の作動は、半自動または全自動が可能である。たとえば、穿孔要素は、表面(たとえば、対象の皮膚)が機器の凹部に引き込まれたことおよび/または表面が凹部の開口(たとえば、140)に近接していることの検知または検出に際して、自動的な作動により表面を貫通し得る。(真空作動および/または穿孔作動のための)上記検知または検出は、任意の種類または数のセンサを使用することにより可能にされ得る。センサは、機器に具備する(たとえば、機器に搭載する)ことも可能であるし、機器から遠隔に置くことも可能である。本明細書の実施形態のいずれかで使用可能なセンサの非限定的な例としては、近接センサ、触覚センサ、音響センサ、運動センサ、圧力センサ、干渉センサ、慣性センサ、熱センサ、画像センサ等が挙げられる。場合により、真空作動および/または穿孔作動が半自動または全自動となるように構成されている場合は、穿孔作動器および/または穿孔作動器用のボタンが機器に含まれ得る(または、機器から省略され得る)。一部の実施形態において、この機器は、(たとえば、カートリッジアセンブリから当該機器に向かう真空通気を介した)カートリッジアセンブリの当該機器への完全な設置(たとえば、挿入)によって、真空を自動的に印加するように構成可能である。
【0267】
E.試料チャンバ
上述の通り、試料取得機器(たとえば、機器のカートリッジチャンバ)は、試料チャンバを受容するように構成可能である。試料チャンバは、試料取得機器に対して動作的に結合され、対象の試料の少なくとも一部を受容、保存、および/または処置するように構成されている本体であり得る。試料チャンバは、本明細書に開示のような1つまたは複数の種類の試料取得機器で使用可能である。たとえば、試料チャンバは、図1Aに示すような試料取得機器100および図8Aのモジュール式試料取得機器900bと区別なく使用可能である。場合により、試料チャンバは、対象の液体試料(たとえば、液体血液)を採集するためのコンテナ(たとえば、チューブ)であり得る。場合により、試料チャンバは、対象の他の種類または様式の試料(たとえば、血漿または血清)を採集するための1つまたは複数のカートリッジを備え得る。一部の例において、試料チャンバは、カートリッジを備えるカートリッジアセンブリであり得る。カートリッジは、試料採集および/または保存のための1つまたは複数のマトリクス(たとえば、1つまたは複数の固体マトリクス)を備え得る。一部の実施形態において、試料チャンバは、流体試料(たとえば、血液)を保存および/または処置するための1つまたは複数のマトリクスを保持するように構成されているカートリッジアセンブリと、カートリッジを支持するためのカートリッジホルダーと、を備え得る。カートリッジホルダーは、たとえばばねクリップを使用することにより、カートリッジまたはカートリッジアセンブリの他の構成要素に対して解除可能に結合され得る。カートリッジアセンブリは、対象からの血液の採集に使用される機器100に対して解除可能に結合するように構成可能である。カートリッジホルダーは、カートリッジチャンバの遠位端に対して解除可能に結合されるように構成されているカートリッジタブを備え得る。カートリッジタブは、(1)当該カートリッジタブを保持することによりカートリッジアセンブリを支持すること、(2)当該カートリッジタブを押すことによりカートリッジアセンブリを機器に結合すること、ならびに/または(3)当該カートリッジタブを引くことにより機器からカートリッジアセンブリを分離することをユーザ(たとえば、対象)が行えるように設計可能である。代替実施形態において、カートリッジホルダーは、カートリッジアセンブリの一部であり得る(たとえば、カートリッジホルダーは、カートリッジアセンブリの恒久的な部分であり得るため、カートリッジアセンブリに対して解除可能に結合されていない場合もあるし、その必要がない場合もある)。
【0268】
試料チャンバは、対象からの血液の採集に先立ってカートリッジチャンバに結合され得るとともに、対象からの血液が当該試料チャンバの少なくとも一部に採集された後は、カートリッジチャンバから分離され得る。一部の実施形態において、試料チャンバは、血液試料の採集、採集された血液試料の保存、および/または安定化のための1つまたは複数のマトリクスを備え得る。マトリクスは、ストリップ形態にて(ストリップとして)提供され得る。本明細書において使用する場合のストリップは、一般的に使用されるコンテナ(たとえば、3ml BDバキュテナ、ディープウェルプレート、または2ml Eppendorfチューブ)に適合しつつ、血液採集体積を最大化するようなサイズおよび/または形状にされる固体マトリクスを表し得る。本明細書において使用する場合のマトリクスは、本明細書においては交換可能にマトリクスストリップ、ストリップ、固体マトリクス、固体マトリクスストリップ等と称し得る。
【0269】
また、一部の実施形態において、本明細書のマトリクスは、血液の横方向の輸送/流れを可能にし得る。マトリクスの非限定的な例としては、吸収性ペーパーストリップ(たとえば、セルロース繊維または100%純綿リンター濾紙)、またはニトロセルロース、ポリフッ化ビニリデン、ナイロン、Fusion 5(商標)、もしくはポリエーテルスルホン等の膜ポリマーが挙げられ得る。一部の実施形態において、マトリクスは、セルロース繊維ベースの紙(たとえば、Whatman(商標)903もしくはAhlstrom 226紙)、試料または試料の1つもしくは複数の成分を安定化させるための化学物質または試薬で処置された紙(たとえば、RNA安定化マトリクスまたはタンパク質安定化マトリクス)を含み得る。一部の実施形態において、マトリクスは、セルロース濾紙を含む。任意の好適な市販の濾紙が使用可能である。市販の濾紙の例としては、ガラス繊維フィルタ材料、Whatman(登録商標)製の濾紙(903試料採集カードおよび高速通過分析(FTA(登録商標))カード等)が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、マトリクスは、ニトロセルロース濾紙を含み得る。一部の実施形態において、マトリクスは、如何なる濾紙を含むことも、含む必要もない。
【0270】
流体試料の採集は、マトリクスと関連付けられている自然なウィッキングまたは毛細管作用の補助を受けることができ、これによって、マトリクス上への流体試料の吸収または採集が促進および加速され得る。場合により、マトリクスは、流体試料との接触に際して、流体試料が当該マトリクスを横切って横方向に輸送されるように、複数の毛細管床を含む材料で構成可能である。流体試料は、たとえばウィッキングまたは毛細管現象によって、マトリクスの近位端から遠位端まで流路に沿って流れ得る。
【0271】
試料チャンバは、自己計量機能を有し得るが、これは、異なる個人について当該試料チャンバへの血流の入力体積が変化するにも関わらず、各個人について所定体積の血液を(たとえば、試料コンテナ、試料チャンバのカートリッジ等に)採集するのに有利となり得る。試料チャンバへの入力血液体積の変動は、(たとえば、年齢、性別、健康状態等によって)毛細管圧力および血流が個人ごとに異なる可能性が高いために発生し得る。この代替または追加として、試料チャンバへの入力血液体積は、オペレータの操作(たとえば、試料チャンバが試料取得機器に結合されるスピードもしくは手際)または(1)試料チャンバへの試料採集の完了と(2)試料取得機器からの試料チャンバもしくはその少なくとも一部の取り外しとの間に要する時間によって変動し得る。一部の例において、試料チャンバは、マトリクスストリップを含むカートリッジアセンブリであり得、カートリッジアセンブリの設計は、(所定の範囲内または所定の範囲まで)カートリッジに入る血液の体積とは無関係に、マトリクスストリップが標的血液体積を一貫して含むようにすることができる。カートリッジアセンブリは、過剰な試料(たとえば、過剰な血液)を吸収し、そして計量機能を可能にするように構成されている1つまたは複数の吸収性パッドをさらに備え得る。
【0272】
本明細書に記載の試料チャンバは、対象からの試料(たとえば、血液)の採集に使用可能である。試料チャンバは、試料の処置、安定化、および/または保存を行うようにさらに構成可能である。場合により、試料チャンバは、(たとえば、液体状、固体状、半固体状等の)試料を保存した後、試料の処置および/または安定化を行うことができる。このような処置は、自動化またはユーザによる開始が可能である。場合により、試料チャンバは、保存に先立って試料の処置および/または安定化を行うように構成可能である。このような場合に、試料チャンバは、(1)(たとえば、本明細書に開示の試料取得機器から)対象の試料が当該試料チャンバに採集されている間および/または(2)対象の試料が当該試料チャンバに採集された後、試料の処置および/または安定化を行うように構成可能である。一部の例において、カートリッジアセンブリは、格納ユニットおよび処置/安定化ユニットを備え得る。格納ユニットは、処置および/または安定化に先立って試料を保持するように構成可能である。処置/安定化ユニット(たとえば、1つまたは複数の血液分離膜、試料採集媒体等)は、格納ユニットまたは試料取得機器から誘導または供給された試料の処置および/または安定化を行うように構成可能である。試料チャンバは、処置/安定化ユニットによる試料の処置および/または安定化の最終生成物を保存するための保存ユニット(たとえば、コンテナ、容器、区画等)をさらに備え得る。他の例においては、処置/安定化ユニットが最終生成物を保存するように構成可能であり、カートリッジアセンブリは、別個の保存ユニットを備えていなくてもよく、その必要もない。さまざまな例において、試料チャンバ自体としては、保存ユニットが可能である。試料チャンバの内面には、試料の処置/安定化のための活性分子を含み得る。あるいは、試料チャンバの内側に採集された試料は、保存中に処置および/または安定化が行われなくてもよく、その必要もない。
【0273】
本明細書に開示の試料チャンバは、モジュール式が可能である。たとえば、試料チャンバとしては、モジュール式のカートリッジアセンブリが可能である。カートリッジアセンブリは、ハウジングユニット、試料取得機器に結合するように構成されている接続ユニット、格納ユニット、処置/安定化ユニット、保存ユニット、および/または(たとえば、ユーザが当該カートリッジアセンブリを操作するための)ハンドル等、複数のモジュール(または、サブアセンブリ)を備え得る。カートリッジアセンブリの個々のユニットまたはモジュールとしては、交換可能または取替可能なユニットが可能である。場合によっては、カートリッジアセンブリの単回使用後、カートリッジアセンブリの個々のユニットを新たなユニットと交換することができる一方、カートリッジアセンブリの1つまたは複数の他のユニットについては、再利用可能となり得る。カートリッジアセンブリの1つまたは複数のユニットは、カートリッジアセンブリの少なくとも1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、またはそれよりも多くの使用回数にわたって再利用可能となり得る。非モジュール式(たとえば、複数の構成要素へと容易には分解できない)カートリッジアセンブリと比較して、モジュール式カートリッジアセンブリは、部分的な交換、部分的な保守または修理、部分的なアップグレード、洗浄、製造または包装のコスト削減の容易さ等、1つまたは複数の利点を含み得る。モジュール式カートリッジアセンブリは、単回使用のみの構成が可能である。他の実施形態においては、カートリッジアセンブリがモジュール式ではなくてもよく、その必要もない。一例において、カートリッジアセンブリは、単回使用のみの構成が可能であり、部分的な交換も洗浄も必要としない場合がある。
【0274】
試料チャンバは、採集された試料からの1つまたは複数の成分の分離を実行するように構成可能である。血液分離の実行には多くの方法が存在し得るが、そのうちの一部では、サイズ、変形能、形状、またはこれらの任意の組み合わせを使用する。分離は、1つまたは複数の膜、チャンバ、フィルタ、ポリマー、または他の材料によって行うことができる。機器の膜、基材、フィルタ、および他の構成要素の化学的な処置によって、構成要素の選択的な安定化、試料の流れの容易化、試料の乾燥、またはこれらの任意の組み合わせが可能となる。代替的な分離メカニズムには、液-液抽出、固-液抽出、標的もしくは非標的元素の選択的沈殿、電荷分離、結合親和性、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。分離段階は、1つまたは複数のステップを含むことができ、各ステップでは、異なるメカニズムによって試料を分離する。このようなメカニズムの1つでは、サイズ、形状、または変形を利用して、小さな成分から大きな成分を分離することができる。細胞分離は、たとえば1つまたは複数のフィルタまたは他のサイズ除外方法を利用して試料の成分を分離し得る分類器により行うことができる。また、分離は、選択的な結合により行うことができ、結合事象によって特定の成分が分離される一方、未結合の溶離液は、代替チャンバに入るか、または、代替チャンバを通って移動する。
【0275】
本明細書に開示の機器、システム、方法、またはキットの一部においては、バルク試料からの1つまたは複数の試料成分の分離および採集に単一の膜、基材、またはフィルタが使用され得る。単一膜、基材、またはフィルタの方法には、膜、基材、またはフィルタの一端に試料が適用され得る機器を含み得る。試料が膜、基材、またはフィルタを流れると、膜、基材、またはフィルタの細孔のサイズに基づいて、試料の第1の成分(たとえば、細胞)が試料の第2の成分(たとえば、血漿)から分離され得る。機器の動作後は、試料の第2の成分(本例においては、血漿)を含む部分から、試料の第1の成分(本例においては、細胞)を含む膜、基材、またはフィルタを切り離すことができ、このため、膜、基材、またはフィルタを切り離す付加的なステップが必要となる。別の方法においては、試料成分の分離および採集に2つの別個の膜、基材、またはフィルタ(たとえば、ある成分(たとえば、血液細胞)の分離のための第1の膜、基材、もしくはフィルタ、ならびに、他の成分(たとえば、血漿)の採集のための第2の膜、基材、またはフィルタ)を使用することができる。膜、基材、またはフィルタは、第1の膜、基材、またはフィルタの遠位端が第2の膜の近位端に接触することで、第1の膜、基材、またはフィルタを介する大きな成分(たとえば、細胞)の分離と、第2の膜、基材、またはフィルタを介する第2のより小さな成分(たとえば、血漿)の採集と、を容易化するように配置可能である。
【0276】
1.血液分離
本開示の一態様は、対象からの試料(たとえば、血液)の処置のための試料チャンバを提供する。本明細書に開示の通り、このような処置には、採集された血液の少なくとも一部を採集された血液の残りの部分から分離することを含み得る。一部の実施形態において、試料チャンバとしては、カートリッジ(たとえば、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれよりも多くのカートリッジ)を備えるカートリッジアセンブリが可能である。一部の実施形態において、カートリッジアセンブリは、血液の1つまたは複数の成分を分離(たとえば、隔離または濾過)するように構成可能である。血液の成分には、血漿、血清、細胞(たとえば、白血球(leukocyte)(白血球(white blood cell))ならびに/または赤血球(erythrocyte)(赤血球(red blood cell))、ポリペプチド分子(たとえば、増殖因子等のタンパク質)、ポリヌクレオチド分子(たとえば、DNA、RNA、無細胞DNA(cfDNA)、無細胞RNA(cfRNA)等)、イオン、ならびに/または小分子(たとえば、栄養素)を含み得る。一部の例において、カートリッジアセンブリは、細胞、血漿、血清、血小板、特定の細胞型、DNA(たとえば、腫瘍cfDNA)、RNA、タンパク質、無機物、薬物、または任意の他の成分を含むいくつもの試料成分を選択的に分離するように構成可能である。
【0277】
カートリッジアセンブリは、試料取得機器に結合するように構成されているカートリッジポート(すなわち、入口ポート)を備え得る。試料取得機器(本明細書に開示の試料取得機器のいずれか(たとえば、図1に示すような機器100)等)は、対象から血液を回収するように構成可能である。カートリッジアセンブリは、少なくとも1つの血液分離膜を支持するように構成されているスロット(たとえば、ポケット)をさらに備え得る。少なくとも1つの血液分離膜は、血液から血漿または血清を分離するように構成可能である。一部の実施形態において、カートリッジポートは経路を含み得、この経路は、試料取得機器から、経路を通って、少なくとも1つの血液分離膜に向かって流れるように血液を誘導するように構成されている。
【0278】
一部の実施形態において、少なくとも1つの血液分離膜を通る血液の流れの方向は、カートリッジポートを通る血液の流れの方向と異なり得る。一部の例において、カートリッジポートを通る血液の流れの方向は、カートリッジアセンブリの長手方向軸と実質的に平行であり得、少なくとも1つの血液分離膜を通る血液の流れの方向は、カートリッジアセンブリの長手方向軸と異なり得る。少なくとも1つの血液分離膜を通る血液の流れの方向は、カートリッジアセンブリの長手方向軸と同じ面上になくてもよい。少なくとも1つの血液分離膜を通る血液の流れの方向は、カートリッジポートを通る血液の流れの方向と、少なくとも約5°、10°、15°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、175°、またはそれよりも大きな角度だけオフセット可能である。少なくとも1つの血液分離膜を通る血液の流れの方向は、カートリッジポートを通る血液の流れの方向と、大きくても約170°、160°、150°、140°、130°、120°、110°、100°、90°、80°、70°、60°、50°、40°、30°、20°、10°、5°、またはそれよりも小さな角度だけオフセット可能である。好適な一例において、少なくとも1つの血液分離膜を通る血液の流れの方向は、カートリッジポートを通る血液の流れの方向と実質的に直交し得る。
【0279】
場合により、経路は、試料取得機器から第1の方向に当該経路の近位端へと流れ、当該経路を通って、第1の方向とは異なる第2の方向に当該経路の遠位端から少なくとも1つの血液分離膜に向かって(たとえば、少なくとも1つの血液分離膜上に)出るように血液を誘導するように構成可能である。一部の例において、経路の近位端は、本明細書に開示の試料取得機器のいずれかの凹部開口から血液を受容するように構成可能である。
【0280】
血液分離膜としては、液体、半液体、固体、半固体、ゲル、ペースト、スラリー、粉末、気体、またはこれらの混合物が可能である。血液分離膜の構造としては、中実、多孔質、対称、非対称、またはこれらの混合が可能である。血液分離膜としての使用には、多様な膜および繊維要素(たとえば、ポリマー膜およびポリマー繊維要素)が適し得る。好適なポリマーの例としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、アクリル、ポリアクリロニトリル、ポリアラミド、ポリアリーレンオキシドおよびスルフィド、ならびにハロゲン化オレフィンおよび不飽和ニトリルにより構成されたポリマーおよびコポリマーが挙げられ得るが、これらに限定されない。たとえば、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、または任意のナイロン(たとえば、ナイロン6、11、46、66、および610)が血液分離膜の一部として使用され得る。血液分離膜の他の好適な材料には、セルロース誘導体(セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテート-プロピオネート、セルロースアセテート-ブチレート、およびセルロースブチレート)を含み得る。また、ガラス繊維(たとえば、ホウケイ酸ガラス繊維を含む)等の非樹脂材料も使用可能である。
【0281】
場合により、カートリッジアセンブリは、1つまたは複数の異なる種類のカートリッジポートを備え得る。異なる種類のカートリッジポートは、異なる種類の試料取得機器と適合するように構成またはカスタマイズ可能である。異なる種類のカートリッジポートは、カートリッジアセンブリによる血液採集(たとえば、速度、体積等)を制御または変更するように構成可能である。
【0282】
図3Aは、一部の実施形態に係る、例示的なカートリッジアセンブリ300の斜視図を示している。カートリッジアセンブリ300は、少なくとも1つの血液分離膜を備える処置/安定化ユニット320を囲むカートリッジ310を備え得る。場合により、カートリッジは、処置/安定化ユニット全体を囲む(たとえば、完全に封止する)ことができる。他の例において、カートリッジは、処置/安定化ユニットを部分的に覆うことができる。カートリッジは、処置/安定化ユニットの外面と直接接触可能である。あるいは、カートリッジは、間隔またはスペーサによって(たとえば、空気、気体、流体、または他の固体もしくは半固体材料を介して)処置/安定化ユニットの外面から分離可能である。カートリッジに対する処置/安定化ユニットの位置は、固定され得る(たとえば、固定化され得る)。あるいは、カートリッジに対する処置/安定化ユニットの位置は、たとえば分離プロセスの前、最中、および/または後における処置/安定化ユニットへの血液の流れの制御、または、カートリッジアセンブリ内の他の箇所への処置/安定化ユニットの移動のため、可動にすることができる。
【0283】
図3Bは、カートリッジ310を備えるカートリッジアセンブリ300の側面断面図を示している。カートリッジ310は、試料取得機器に結合するように構成され得るカートリッジポート330を備え得る。カートリッジポートの試料取得機器への結合には、さまざまな結合メカニズムが利用され得る。結合メカニズムの例としては、雄雌締結具(たとえば、嵌合もしくは連動締結具、フック・穴、Velcro(登録商標)等のフック・ループ、雄ボルトにねじ留めされた雌ナット、雌陥凹に挿入された雄突起、配管の雌ねじ付きエルボに嵌入された雄ネジ付きパイプ、雌ユニバーサルシリアルバス(USB)ソケットに挿入された雄USBプラグ等)、テザー(たとえば、ストリングテザー)、接着剤(たとえば、固体、半固体、ゲル、粘性液体等)、磁石(たとえば、電磁石もしくは永久磁石)、ならびに他の把持メカニズム(たとえば、1つもしくは複数のロボットアーム)が挙げられ得るが、これらに限定されない。一例において、結合は、入口ポートと試料取得機器との間の電界を使用して実行され得る。別の例において、カートリッジポートは、試料取得機器と結合(または、嵌合)する(たとえば、図3Bに示すような)ルアー型取付け具を備え得る。取付け具の雌部は、血液入口溝の一部を閉鎖して、スタックに近づくまで血液の流れを封じ込めるのに役立ち得る。結合メカニズムは、対象からの試料の採集が完了となった場合に、試料取得機器からカートリッジを取り外せるように、可逆的なものであり得る。結合メカニズムは、たとえば採集および/または分離プロセス中の試料の漏れを防止するため、漏れのないものであり得る。
【0284】
一部の実施形態においては、図3Bおよび図3Cに示すように、カートリッジ310のカートリッジポート330が経路340を備え得るが、これは、試料取得機器から(矢印342が示すような)第1の方向に経路の近位端へと流れ、経路を通って、第1の方向とは異なる(矢印344が示すような)第2の方向に経路の遠位端から処置/安定化ユニット320の一部(たとえば、隅部、縁部、側部、または表面)上に出るように血液を誘導するように構成され得る。経路は、1つまたは複数の入口溝(または、チャネル)を備え得る。場合により、経路は、血液の流れを誘導する単一の溝を備え得る。他の例において、経路は、複数の溝(たとえば、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、またはそれよりも多くの溝)を備え得る。複数の溝は、1つまたは複数の接合部において、互いに流体連通可能である。あるいは、複数の溝は、互いに流体連通していない場合もあるし、その必要がない場合もある。複数の溝の遠位端は、処置/安定化ユニットの同じ部分に誘導され得る。あるいは、複数の溝の遠位端は、処置/安定化ユニットの異なる部分に誘導され、たとえば血液に対する処置/安定化ユニットの曝露を促進することができる。複数の溝の遠位端は、血液が同じ方向へ出ることを可能にし得る。複数の溝の遠位端は、血液が異なる方向へ出ることを可能にし得る。
【0285】
場合により、第1の方向(たとえば、矢印342)とカートリッジの長手方向軸(たとえば、図3Bにおいて矢印346により示される)との間の角度は、0°より大きくかつ180°より小さくあり得る。第1の方向と長手方向軸との間の角度としては、少なくとも0°、1°、5°、10°、15°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、175°、またはそれよりも大きな角度を超える角度が可能である。第1の方向と長手方向軸との間の角度としては、大きくても180°、170°、160°、150°、140°、130°、120°、110°、100°、90°、80°、70°、60°、50°、40°、30°、20°、10°、5°、1°、またはそれよりも小さな角度を下回る角度が可能である。
【0286】
場合により、第2の方向(たとえば、矢印344)とカートリッジの長手方向軸(たとえば、矢印346)との間の角度は、0°より大きくかつ180°より小さくあり得る。第2の方向と長手方向軸との間の角度としては、少なくとも0°、1°、5°、10°、15°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、175°、またはそれよりも大きな角度を超える角度が可能である。第2の方向と長手方向軸との間の角度としては、大きくても180°、170°、160°、150°、140°、130°、120°、110°、100°、90°、80°、70°、60°、50°、40°、30°、20°、10°、5°、1°、またはそれよりも小さな角度を下回る角度が可能である。
【0287】
場合により、第1の方向(たとえば、矢印342)と第2の方向(たとえば、矢印344)との間の交差の角度は、0°超かつ180°未満である。第1の方向と第2の方向との間の交差の角度としては、少なくとも0°、1°、5°、10°、15°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、175°、またはそれよりも大きな角度を超える角度が可能である。第1の方向と第2の方向との間の交差の角度としては、大きくても180°、170°、160°、150°、140°、130°、120°、110°、100°、90°、80°、70°、60°、50°、40°、30°、20°、10°、5°、1°、またはそれよりも小さな角度を下回る角度が可能である。
【0288】
経路は、近位端および遠位端が異なる方向に配向または対向するように、少なくとも1つの転回を備え得る。一部の例において、経路は、近位端と遠位端との間に1つまたは複数の屈曲部分、湾曲部分、または角度付き部分を含み得る。経路内の転回における角度の変化は、急激なものも可能であるし、漸次のものも可能である。経路は、近位端および遠位端が同じ方向に配向するように、複数の転回を備え得る。
【0289】
本明細書に開示の主題としての任意のカートリッジアセンブリについて、経路(たとえば、図3Bに示すような経路340)の表面は、保護剤で被覆可能である。保護剤は、血液が処置/安定化ユニットに輸送される間の完全性または品質を維持するのに役立ち得る。一部の実施形態において、保護剤は、血液の凝固を防止することができる。保護剤には、未分画ヘパリン(「UFH」)、低分子量ヘパリン(「LMWH」)、フォンダパリヌクス、ならびに他の抗トロンビン結合抗凝固剤、直接第Xa因子および第IIa因子阻害剤、ダビガトランまたはPRADAXA(登録商標)、アルガトロバンまたはARGATROBAN(登録商標)、リバーロキサバンまたはXARELTO(登録商標)、アピキサバンまたはELIQUIS(登録商標)、エドキサバンまたはLIXIANA(登録商標)、フォンダパリヌクスまたはARIXTRA(登録商標)等の抗凝固剤を含み得るが、これらに限定されない。場合により、保護剤は、EDTAを含み得る。一部の実施形態において、経路の表面には、如何なる血液凝固活性剤も存在し得ない。たとえば、これは、非凝固血液からの血漿の分離に処置/安定化ユニットが使用される場合に有用となり得る。他の例において、処置/安定化ユニットは、凝固血液から血清を分離するように構成可能であり、このような場合は、血液が経路の遠位端から処置/安定化ユニットに向かって出た後、血液の凝固が開始され得る。代替実施形態においては、経路の表面の少なくとも一部を血液凝固活性剤で被覆可能であり、トロンビン活性剤、フィブリノゲン活性剤、金属塩(たとえば、塩化カルシウム、グルコン酸カルシウム)等の血液凝固活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。一部の例においては、経路の遠位端に血液凝固活性剤を含むことにより、血液が処置/安定化ユニットに達した際に採集された血液の凝固を開始することができる。
【0290】
本明細書に開示の主題としての任意のカートリッジアセンブリについて、経路の表面は、血液(または、その1つもしくは複数の成分)の表面への付着を防止するように構成されている付着防止剤で被覆可能である。場合により、付着防止剤としては、ポリマー(たとえば、フルオロポリマー)が可能である。フルオロポリマーの例としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、および修飾フルオロアルコキシ(テトラフルオロエチレンおよびパーフルオロメチルビニルエーテルのコポリマー)(MFAとしても公知)が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0291】
本明細書に開示の主題としての任意のカートリッジアセンブリについて、採集された血液内の特定の標的分子に結合するように構成されている結合部分により、試料チャンバの表面の少なくとも一部を被覆可能である。たとえば、結合部分は、採集された血液の少なくとも一部と接触し得るように、本明細書に開示のような処置/安定化ユニット(たとえば、1つまたは複数の血液分離膜、試料採集媒体等)に結合(たとえば、被覆)され得る。結合部分の例としては、小分子、脂質、ポリペプチド(たとえば、抗体、その断片、またはその機能的変異体等のペプチドまたはタンパク質)、ポリヌクレオチド(たとえば、リボ核酸、デオキシリボ核酸、ペプチド核酸等)、細胞またはその断片、これらの変形、およびこれらの組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。たとえば、結合部分としては、採集された血液中の特定の標的分子(たとえば、抗原)に結合するように構成されている抗体またはその機能的変異体が可能である。このような抗原の非限定的な一例としては、小分子またはポリペプチド(たとえば、タンパク質もしくはその断片)が挙げられ得る。小分子は、たとえば対象の体内における薬物の持続または半減期を決定するための薬物であり得る。ポリペプチドは、たとえば対象における標的タンパク質の発現の調節(たとえば、上方調節、維持、または下方調節)における薬物治療の効力を決定するため、対象に投与される薬物によって調節される標的タンパク質またはその断片であり得る。結合部分は、対象の特定の細胞型、疾患、または状態(たとえば、妊娠、腫瘍、がん等)の存在の識別または決定において有用となり得る。場合によっては、(たとえば、着色および/もしくは磁性粒子(たとえば、ナノ粒子もしくはマイクロ粒子)またはフルオロフォアによる)結合部分の標識により、初期結合部分によって結合されている標的分子の定性的および/または定量的な測定を可能にし得る。たとえば、このような標識の磁気、蛍光、および/または移動(たとえば、振動)の変化は、初期結合部分により結合されている標的分子の指標として測定され得る。また、初期結合部分により結合されている標的分子の量の分析には、(試料チャンバの一部に結合されている)初期結合部分と異なる付加結合部分が適用され得る。一部の例においては、ELISA(Sandwich Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)と同様に、追加結合部分は、初期結合部分と異なる標的分子の領域に結合する抗体であり得る。(たとえば、着色および/もしくは磁性粒子(たとえば、ナノ粒子もしくはマイクロ粒子)またはフルオロフォアによる)付加結合部分の標識により、初期結合部分によって結合されている標的分子を定性的および/または定量的に測定することができる。
【0292】
用語「抗体」は、本明細書における使用の場合、免疫グロブリン様機能を有するタンパク質性結合分子を表す。抗体という用語には、抗体(たとえば、モノクローナルおよびポリクローナル抗体)のほか、その誘導体、変異体、および断片を含む。抗体には、異なるクラス(すなわち、IgA、IgG、IgM、IgD、およびIgE)ならびにサブクラス(IgG1、IgG2等)の免疫グロブリン(Ig)を含み得る。その誘導体、変異体、または断片は、対応する抗体の結合特異性(たとえば、完全および/または部分的)を維持する機能性誘導体または断片を表し得る。抗原結合断片には、Fab、Fab’、F(ab’)2、可変断片(Fv)、一本鎖可変断片(scFv)、ミニボディ(minibody)、ダイアボディ(diabody)、および単一ドメイン抗体(「sdAb」、「ナノボディ」、または「ラクダ類(camelid)」)を含む。抗体という用語には、最適化、操作、または化学的にコンジュゲートされた抗体および抗体の抗原結合断片を含む。最適化されている抗体の例としては、親和性成熟抗体が挙げられる。操作されている抗体の例としては、Fc最適化抗体(たとえば、断片結晶化可能領域において最適化された抗体)および多重特異性抗体(たとえば、二重特異性抗体)が挙げられる。場合により、抗体は、ヒト化抗体であり得る。
【0293】
結合部分により識別され得る細胞の例としては、B細胞、T細胞(細胞傷害性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、制御性T細胞、ヘルパーT細胞)、ナチュラルキラー細胞、サイトカイン誘導キラー(CIK)細胞等のリンパ系細胞、顆粒球(好塩基球顆粒球、好酸球顆粒球、好中球顆粒球/過分葉好中球)、単球/マクロファージ、赤血球(網状赤血球)、肥満細胞、血小板/巨核球、樹状細胞等の骨髄系細胞、甲状腺(甲状腺上皮細胞、傍濾胞細胞)、副甲状腺(副甲状腺主細胞、好酸性細胞)、副腎(クロマフィン細胞)、松果体細胞(pineal cell)(松果体細胞(pinealocyte))を含む内分泌系の細胞、グリア細胞(アストロサイト、ミクログリア)、大型細胞神経分泌細胞(Magnocellular neurosecretory cell)、星状細胞、ベッチャー細胞、および下垂体(性腺刺激ホルモン分泌細胞、副腎皮質刺激ホルモン分泌細胞、甲状腺刺激ホルモン分泌細胞、体細胞刺激ホルモン分泌細胞、プロラクチン分泌細胞)を含む神経系の細胞、肺胞細胞(I型肺胞細胞、II型肺胞細胞)、クララ細胞、杯細胞、ダスト細胞を含む呼吸器系の細胞、心筋細胞、ペリサイトを含む循環器系の細胞、胃(胃主細胞、壁細胞)、杯細胞、パネス細胞、G細胞、D細胞、ECL細胞、I細胞、K細胞、S細胞を含む消化器系の細胞、エンテロクロマフィン細胞、APUD細胞、肝臓(肝細胞、クッパー細胞)、軟骨/骨/筋肉を含む腸内分泌細胞、骨芽細胞、骨細胞、破骨細胞、歯(セメント芽細胞、エナメル芽細胞)を含む骨細胞、軟骨芽細胞、軟骨細胞を含む軟骨細胞、毛母細胞、ケラチノサイト、メラノサイト(母斑細胞)を含む皮膚細胞、筋細胞を含む筋肉細胞、有足細胞、傍糸球体細胞、糸球体内メサンギウム細胞/糸球体外メサンギウム細胞、腎臓近位尿細管刷子縁細胞、緻密斑細胞を含む泌尿器系細胞、精子、セルトリ細胞、ライディッヒ細胞、卵子を含む生殖系細胞、脂肪細胞、線維芽細胞、腱細胞、表皮ケラチノサイト(分化表皮細胞)、表皮基底細胞(幹細胞)、手足の爪のケラチノサイト、爪床基底細胞(幹細胞)、髄質毛軸細胞、皮質毛軸細胞、クチクラ毛軸細胞、クチクラ毛根鞘細胞、ハクスリー層毛根鞘細胞、ヘンレ層毛根鞘細胞、外毛根鞘細胞、毛母細胞(幹細胞)、湿潤層状バリア上皮細胞、角膜、舌、口腔、食道、肛門管、遠位尿道、膣の層状扁平上皮の表面上皮細胞、角膜、舌、口腔、食道、肛門管、遠位尿道、膣の上皮の基底細胞(幹細胞)、(膀胱および尿管を覆う)尿路上皮細胞、外分泌上皮細胞、唾液腺粘液細胞(多糖類が豊富な分泌物)、唾液腺漿液細胞(糖タンパク質酵素が豊富な分泌物)、(味蕾を洗浄する)舌のフォンエブナー腺細胞、乳腺細胞(乳汁分泌)、涙腺細胞(涙分泌)、耳の角化腺細胞(耳垢分泌)、エクリン汗腺暗色細胞(糖タンパク質分泌)、エクリン汗腺透明細胞(小分子分泌)、アポクリン汗腺細胞(臭気分泌、性ホルモン感受性)、眼瞼のモール腺細胞(特殊な汗腺)、皮脂腺細胞(脂質が豊富な皮脂分泌)、(嗅覚上皮を洗浄する)鼻のボーマン腺細胞、十二指腸のブルンナー腺細胞(酵素およびアルカリ粘液)、(精子を泳がせるための果糖を含む精液成分を分泌する)精嚢細胞、(精液成分を分泌する)前立腺細胞、尿道球腺細胞(粘液分泌)、バルトリン腺細胞(膣潤滑液分泌)、リトル腺細胞(粘液分泌)、子宮内膜細胞(炭水化物分泌)、呼吸器および消化管の孤立杯細胞(粘液分泌)、胃粘膜細胞(粘液分泌)、胃腺酵素原細胞(ペプシノーゲン分泌)、胃腺酸分泌細胞(塩酸分泌)、膵腺房細胞(重炭酸塩および消化酵素分泌)、小腸パネス細胞(リゾチーム分泌)、肺II型肺胞細胞(界面活性剤分泌)、肺クララ細胞、ホルモン分泌細胞、下垂体前葉細胞、体細胞刺激ホルモン分泌細胞、プロラクチン分泌細胞、甲状腺刺激ホルモン分泌細胞、性腺刺激ホルモン分泌細胞、副腎皮質刺激ホルモン分泌細胞、下垂体中間細胞、大型細胞神経分泌細胞、腸管・呼吸器細胞、甲状腺細胞、甲状腺上皮細胞、傍濾胞細胞、副甲状腺細胞、副甲状腺主細胞、好酸性細胞、副腎細胞、クロマフィン細胞、精巣ライディッヒ細胞、卵巣卵胞内膜細胞、破裂卵巣卵胞黄体細胞、顆粒膜黄体細胞、卵胞膜黄体細胞、傍糸球体細胞(レニン分泌)、腎臓緻密斑細胞、代謝・貯蔵細胞、バリア機能細胞(肺、消化管、外分泌腺、および泌尿生殖器)、腎臓、I型肺胞細胞(肺の気腔内膜)、膵管細胞(腺房中心細胞)、(汗腺、唾液腺、乳腺等の)無線条導管細胞(Nonstriated duct cell)、(精嚢、前立腺等の)導管細胞、閉じた体腔を裏打ちする上皮細胞、推進機能を有する線毛細胞、細胞外マトリクス分泌細胞、収縮細胞、骨格筋細胞、幹細胞、心筋細胞、血液・免疫系細胞、赤血球(Erythrocyte)(赤血球(red blood cell))、巨核球(血小板前駆細胞)、単球、結合組織マクロファージ(各種)、表皮ランゲルハンス細胞、破骨細胞(骨)、樹状細胞(リンパ組織)、ミクログリア細胞(中枢神経系)、好中球顆粒球、好酸球顆粒球、好塩基球顆粒球、肥満細胞、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、細胞傷害性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、網状赤血球、血液および免疫系のための幹細胞および系統拘束された前駆細胞(各種)、多能性幹細胞、全能性幹細胞、人工多能性幹細胞、成体幹細胞、感覚伝達細胞、自律ニューロン細胞、感覚器官および末梢ニューロン支持細胞、中枢神経系ニューロンおよびグリア細胞、水晶体細胞、色素細胞、メラノサイト、網膜色素上皮細胞、生殖細胞、卵原細胞/卵母細胞、精子細胞、精母細胞、精原細胞(精母細胞の幹細胞)、精子、ナース細胞、卵胞細胞、セルトリ細胞(精巣)、胸腺上皮細胞、間質細胞、間質性腎細胞、および胎児細胞(たとえば、妊娠中の胎児異常の検出のための胎児有核赤血球等の胎児血液細胞)を含むその他の細胞が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0294】
結合部分により識別され得る細胞の別の例としては、棘細胞腫、腺房細胞癌、聴神経腫瘍、末端黒子性黒色腫、先端スピローマ、急性好酸球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性巨核芽球性白血病、急性単球性白血病、成熟を伴う急性骨髄芽球性白血病、急性骨髄性樹状細胞白血病、急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、アダマンチノーマ、腺癌、腺様嚢胞癌、腺腫、腺腫様歯原性腫瘍、副腎皮質癌、成人T細胞白血病、浸潤性NK細胞白血病、AIDS関連がん、AIDS関連リンパ腫、胞状軟部肉腫、エナメル上皮線維腫、肛門がん、未分化大細胞型リンパ腫、未分化甲状腺がん、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、血管筋脂肪腫、血管肉腫、虫垂がん、星細胞腫、非定型奇形腫様ラブドイド腫瘍、基底細胞癌、基底細胞様癌、B細胞白血病、B細胞リンパ腫、ベリーニ管癌、胆道がん、膀胱がん、芽細胞腫、骨がん、骨腫瘍、脳幹グリオーマ、脳腫瘍、乳がん、ブレナー腫瘍、気管支腫瘍、細気管支肺胞上皮癌、褐色腫瘍、バーキットリンパ腫、原発不明がん、カルチノイド腫瘍、癌、上皮内癌、陰茎癌、原発不明癌、癌肉腫、キャッスルマン病、中枢神経系胚芽腫、小脳星細胞腫、大脳星細胞腫、子宮頸がん、胆管癌、軟骨腫、軟骨肉腫、脊索腫、絨毛癌、脈絡叢乳頭腫、慢性リンパ性白血病、慢性単球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性障害、慢性好中球性白血病、明細胞腫瘍、結腸がん、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、デゴス病、隆起性皮膚線維肉腫、類皮嚢胞、線維形成性小円形細胞腫瘍、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、胚芽異形成性神経上皮腫瘍、胎児性癌、内胚葉洞腫瘍、子宮内膜がん、子宮内膜子宮がん、類内膜腫瘍、腸疾患関連T細胞リンパ腫、上衣芽腫、上衣腫、類上皮肉腫、赤白血病、食道がん、感覚神経芽腫、ユーイング家族腫瘍、ユーイング家族肉腫、ユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管がん、乳房外パジェット病、卵管がん、胎児内胎児、線維腫、線維肉腫、濾胞性リンパ腫、甲状腺濾胞がん、胆嚢がん、神経節膠腫、神経節細胞腫、胃がん、胃リンパ腫、消化器がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、消化管間質腫瘍、胚細胞腫瘍、胚細胞腫、妊娠性絨毛癌、妊娠性絨毛腫瘍、骨巨細胞腫、多形性膠芽腫、神経膠腫、大脳膠腫症、グロムス腫瘍、グルカゴノーマ、性腺芽腫、顆粒膜細胞腫、有毛細胞白血病、有毛細胞白血病、頭頸部がん、頭頸部がん、心臓がん、血管芽腫、血管外皮細胞腫、血管肉腫、血液悪性疾患、肝細胞癌、肝脾T細胞リンパ腫、遺伝性乳がん卵巣がん症候群、ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、視床下部グリオーマ、炎症性乳がん、眼内黒色腫、膵島細胞癌、膵島細胞腫瘍、若年性骨髄単球性白血病、カポジ肉腫、カポジ肉腫、腎臓がん、クラッキン腫瘍、クルケンベルグ腫瘍、喉頭がん、喉頭がん、悪性黒子型黒色腫、白血病、白血病、口唇・口腔がん、脂肪肉腫、肺がん、黄体腫、リンパ管腫、リンパ管肉腫、リンパ上皮腫、リンパ性白血病、リンパ腫、マクログロブリン血症、悪性線維性組織球腫、悪性線維性組織球腫、骨の悪性線維性組織球腫、悪性神経膠腫、悪性中皮腫、悪性末梢神経鞘腫瘍、悪性ラブドイド腫瘍、悪性トリトン腫瘍、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、肥満細胞白血病、縦隔胚細胞腫瘍、縦隔腫瘍、甲状腺髄様がん、髄芽腫、髄芽腫、髄上皮腫、黒色腫、黒色腫、髄膜腫、メルケル細胞癌、中皮腫、中皮腫、原発不明転移性扁平上皮性頸部がん、転移性尿路上皮癌、ミュラー管混合腫瘍、単球性白血病、口腔がん、粘液性腫瘍、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫、多発性骨髄腫、菌状息肉腫、菌状息肉腫、骨髄異形成疾患、骨髄異形成症候群、骨髄性白血病、骨髄肉腫、骨髄増殖性疾患、粘液腫、鼻腔がん、上咽頭がん、上咽頭癌、新生物、神経鞘腫、神経芽腫、神経芽腫、神経線維腫、神経腫、結節性黒色腫、非ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、非黒色腫皮膚がん、非小細胞肺がん、眼腫瘍(Ocular oncology)、乏突起星細胞腫、乏突起膠腫、オンコサイトーマ、視神経鞘髄膜腫、口腔がん、口腔がん、中咽頭がん、骨肉腫、骨肉腫、卵巣がん、卵巣がん、卵巣上皮がん、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、乳房のパジェット病、パンコースト腫瘍、膵がん、膵がん、甲状腺乳頭状がん、乳頭腫症、傍神経節腫、副鼻腔がん、副甲状腺がん、陰茎がん、血管周囲類上皮細胞腫瘍、咽頭がん、褐色細胞腫、中分化型松果体実質腫瘍、松果体芽腫、下垂体細胞腫、下垂体腺腫、下垂体腫瘍、形質細胞腫瘍、胸膜肺芽腫、多発性胚腫、前駆Tリンパ芽球性リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、原発性肝細胞がん、原発性肝がん、原発性腹膜がん、未分化神経外胚葉性腫瘍、前立腺がん、腹膜偽粘液腫、直腸がん、腎細胞癌、15番染色体上のNUT遺伝子が関与する気道癌、網膜芽細胞腫、横紋筋腫、横紋筋肉腫、リヒター形質転換、仙尾部奇形腫、唾液腺がん、肉腫、神経鞘腫症、脂腺癌、二次性新生物、セミノーマ、漿液性腫瘍、セルトリ-ライディッヒ細胞腫、性索間質性腫瘍、セザリー症候群、印環細胞癌、皮膚がん、小青色円形細胞腫(Small blue round cell tumor,)、小細胞癌、小細胞肺がん、小細胞リンパ腫、小腸がん、軟部肉腫、ソマトスタチノーマ、煤煙性イボ、脊髄性腫瘍、脊髄腫瘍、脾辺縁帯リンパ腫、扁平上皮癌、胃がん、表在拡大型黒色腫、テント上未分化神経外胚葉性腫瘍、表面上皮間質性腫瘍、滑膜肉腫、T細胞急性リンパ芽球性白血病、T細胞大顆粒リンパ球性白血病、T細胞白血病、T細胞リンパ腫、T細胞前リンパ球性白血病、奇形腫、末期リンパ系がん、精巣がん、莢膜腫、咽喉がん、胸腺癌、胸腺腫、甲状腺がん、腎盂尿管移行上皮がん、移行上皮癌、尿膜管がん、尿道がん、泌尿生殖器新生物、子宮肉腫、ぶどう膜黒色腫、膣がん、ヴェルナー・モリソン症候群、イボ状癌、視経路グリオーマ、外陰がん、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、ワルチン腫瘍、およびウィルムス腫瘍等のがんまたは腫瘍細胞が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0295】
本明細書に開示の主題としての任意のカートリッジアセンブリについて、スロット(たとえば、図3Bに示すようなカートリッジ310のスロット350)は、処置/安定化ユニットを支持するように構成可能である。処置/安定化ユニットは、接着剤によって、スロット内の空間に支持および保持され得る。接着剤としては、ヒドロゲル、アクリル、ポリウレタンゲル、ヒドロコロイド、またはシリコーンゲルが可能である。あるいは、処置/安定化ユニットは、接着剤によらず、スロット内の空間に支持および保持され得る。
【0296】
少なくとも1つの血液分離膜322は、図3Bに示すように、処置/安定化ユニット320の一部であり得る。カートリッジアセンブリは、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、またはそれよりも多くの血液分離膜を備え得る。一部の例において、カートリッジアセンブリは、複数の血液分離膜を備え得る。複数の血液分離膜は、互いに流体連通することにより、たとえば血液試料が複数の分離プロセスを受けられるようにすることができる。複数の血液分離膜は、直列に設けることができる。あるいは、複数の血液分離膜は、互いに流体連通していなくてもよく、その必要もない。たとえば、各血液分離膜は、採集された血液の異なる部分を分離するように構成可能である。一部の実施形態において、複数の血液分離膜は、並列に設けることができる。
【0297】
スロットは、血液分離膜による血液分離の生成物(たとえば、分離された血漿または血清)を採集するための採集媒体(または、採集剤)を支持するようにさらに構成可能である。採集媒体としては、紙(たとえば、セルロース紙)が可能である。採集媒体としては、繊維材料(たとえば、セルロース繊維材料)が可能である。採集媒体には、たとえばポリエステル、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアミド(ナイロン)、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリカーボネート、硝酸セルロース、酢酸セルロース、および酸化アルミニウムからなる群より選択される1つまたは複数の材料を含み得る。スロットは、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、またはそれよりも多くの採集媒体(たとえば、1つまたは複数のセルロース紙シート)を備え得る。図3Bに示すように、採集媒体324は、血液分離膜322に隣接して配設可能である。場合により、採集媒体および血液分離膜は、両者間に如何なる間隙(たとえば、空気の間隙)もなく、互いに直接隣接して配設可能である。あるいは、採集媒体および血液分離膜は、たとえば採集媒体が血液分離膜から血液分離プロセスの生成物を吸収する時間を与えるため、間隔を空けて、互いに隣接して配設可能である。採集媒体は、本明細書に開示の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10枚、またはそれよりも多くの紙のシートを備え得る。
【0298】
採集媒体は、血液分離膜の所望量の生成物(たとえば、血清または血漿)を採集するのに十分な体積を有し得る。採集媒体は、少なくとも約1μL、5μL、10μL、20μL、30μL、40μL、50μL、60μL、70μL、80μL、90μL、100μL、110μL、120μL、130μL、140μL、150μL、200μL、300μL、400μL、500μL、600μL、700μL、800μL、900μL、1,000μL、またはそれよりも多くの血液分離膜の生成物を保持(または、含有)するように構成可能である。採集媒体は、多くても約1,000μL、900μL、800μL、700μL、600μL、500μL、400μL、300μL、200μL、100μL、50μL、10μL、1μL、またはそれよりも少ない血液分離膜の生成物を保持(または、含有)するように構成可能である。
【0299】
スロットは、プレフィルタを支持するように構成可能である。プレフィルタは、血液からの血漿または血清の分離に先立って血液を濾過するように構成可能である。プレフィルタは、少なくとも1つの血液分離膜の面積当たりの血液分離の量および/または速度を(たとえば、プレフィルタに対して動作的に結合されていない少なくとも1つの血液分離膜と比較して、少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、またはそれよりも大きく)増大させるのに役立ち得る。プレフィルタとしては、ガラス繊維紙またはセルロース濾紙等の濾紙が可能である。任意の好適な市販の濾紙が使用可能である。市販の濾紙の例としては、高速通過分析(FTA(登録商標))カード等のWhatman(登録商標)製の濾紙が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、プレフィルタは、ニトロセルロース濾紙を含み得る。プレフィルタは、本明細書に開示の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10枚、またはそれよりも多くの濾紙のシートを備え得る。図3Bおよび図3Cに示すように、プレフィルタ326は、血液分離膜322に隣接して配設可能である。プレフィルタ326および採集媒体324は、分離膜322の異なる部分(たとえば、対向する側面または表面)に配設可能である。場合により、血液分離膜およびプレフィルタは、両者間に如何なる間隙(たとえば、空気の間隙)もなく、互いに直接隣接して配設可能である。あるいは、血液分離膜およびプレフィルタは、たとえば血液分離膜が血液を吸収および/または濾過する時間を与えるため、間隔を空けて、互いに隣接して配設可能である。図3Bおよび図3Cに示すように、経路340の遠位端は、血液が試料取得機器から(たとえば、直接)プレフィルタ326に向かって輸送されるように配置または配向可能である。一部の例において、カートリッジアセンブリの血液分離膜は、採集された血液から血漿または血清を分離するように構成可能であり、このため、プレフィルタは、細胞、血小板、特定の細胞型、DNA(たとえば、腫瘍cfDNA)、RNA、タンパク質、無機物、薬物、または任意の他の成分等、任意数の他の望ましくない試料成分を濾過(たとえば、保持)することができる。
【0300】
一部の実施形態において、カートリッジアセンブリは、スロットにプレフィルタを有していなくてもよく、その必要もない。たとえば、カートリッジの経路の遠位端は、血液が試料取得機器から(たとえば、直接)血液分離膜に向かって輸送されるように配設可能である。
【0301】
図3Bに示すように、血液分離膜322、採集媒体324、およびプレフィルタ326は、スロット350内の処置/安定化ユニット320として集合的に提供可能である。処置/安定化ユニットは、本明細書においては交換可能にスタックと称し得る。カートリッジは、単一の処置/安定化ユニットを備え得る。あるいは、カートリッジは、複数の処置/安定化ユニット(たとえば、並列または直列に配設されている複数の処置/安定化ユニット)を備え得る。一部の例においては、カートリッジ内の同じ面上に複数の処置/安定化ユニットを配設可能である。他の例においては、カートリッジ内の異なる面上に複数の処置/安定化ユニットを配設可能である。カートリッジは、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、またはそれよりも多くのスタックを備え得る。カートリッジは、多くても10個、9つ、8つ、7つ、6つ、5つ、4つ、3つ、2つ、または1つのスタックを備え得る。
【0302】
一部の実施形態において、スタック(たとえば、処置/安定化ユニット320)は、当該スタックの厚さを(たとえば、長手方向軸346と異なる)第3の方向に通る血液の横方向の流れ、および/または、第3の方向と異なる少なくとも1つの他の方向(たとえば、長手方向軸346と同じ平面方向)にスタックの平面エリアを横切る平面状の流れを可能にする構成にて配設可能である。場合により、第3の方向は、第1の方向および/または第2の方向と異なり得る。(血液またはその1つもしくは複数の成分の横方向の流れの)第3の方向と長手方向軸との間の角度としては、少なくとも0°、1°、5°、10°、15°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、またはそれよりも大きな角度を超える角度が可能である。(血液の横方向の流れの)第3の方向と長手方向軸との間の角度としては、大きくても90°、80°、70°、60°、50°、40°、30°、20°、10°、5°、1°、またはそれよりも小さな角度を下回る角度が可能である。(血液またはその1つもしくは複数の成分の平面状の流れの)少なくとも1つの他の方向としては、長手方向軸346と同じ方向が可能である。あるいは、(血液またはその1つもしくは複数の成分の平面状の流れの)少なくとも1つの他の方向と長手方向軸346との間の角度としては、少なくとも0°、1°、5°、10°、15°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、またはそれよりも大きな角度を超える角度が可能である。(血液またはその1つもしくは複数の成分の平面状の流れの)少なくとも1つの他の方向と長手方向軸346との間の角度としては、大きくても90°、80°、70°、60°、50°、40°、30°、20°、10°、5°、1°、またはそれよりも小さな角度が可能である。図3Cに示すように、血液370は、試料取得機器から経路を通ってスタックに向かって輸送される。血液は、スタックの平面(たとえば、プレフィルタの平面)へと誘導され得る。第3の方向(すなわち、スタックの厚さを通る方向)は、カートリッジの長手方向軸346と実質的に直交し得る。また、第3の方向(すなわち、スタックの厚さを通る方向)および少なくとも1つの他の方向(すなわち、スタックの平面エリアを横切る方向)は、相互に実質的に直交し得る。
【0303】
スタックの各層(たとえば、プレフィルタ、血液分離膜、および/または採集媒体)は、さまざまな形状およびサイズを有し得る。たとえば、層の形状としては、矩形、球、直方体、もしくは円板、またはこれらの形状の任意の部分形状もしくは組み合わせが可能である。層の断面としては、円形、楕円形、長円形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、またはこれらの形状の任意の部分形状もしくは組み合わせを有することが可能である。一部の実施形態において、スタックの各層は、同じ形状、厚さ、長さ、幅、深さ、体積、または表面積を有し得る。他の実施形態において、スタックの各層は、同じ形状または寸法を有していなくてもよいし、その必要もない。場合により、スタックの層は、異なる形状およびサイズを有することにより、異なる分離スループット、全体収量、および採集体積を達成可能である。一例においては、採集媒体(すなわち、採集ストリップ)の幅を他の層よりも長くして、他の層からの分離に役立つ「後」端を形成することができる。このような分離は、採集媒体からの採集生成物(たとえば、血清または血漿)の損失を抑えるのに役立ち得る。
【0304】
一部の実施形態において、経路の遠位端は、(1)経路の近位端と(2)スタックの縁部厚さ部分との間に延びている直線軸からオフセット可能である。図3Bに示すように、スタック320の縁部厚さ部分(図3Bにおいて括弧記号「{」が配置されている部分)は、経路の近位端と遠位端との間に配置され得る。経路の遠位端は、プレフィルタの平面に接触する必要なく隣接することができる。場合により、血液は、経路の遠位端から出て、間隔または空隙360に進入可能である。その後、間隔360からの血液がスタック(たとえば、プレフィルタ326の露出面または血液分離膜322の露出面)に向かって誘導または引き込まれ得る。一部の例において、間隔360は、経路の遠位端およびスタック320に隣接して配設されている蓄積領域362と流体連通可能である。蓄積領域は、ある体積の血液を保持するように構成されている分離血液格納コンテナまたはカップを備え得る。血液格納カップは、血液分離膜の一部に吸収されている場合の血液を含むように構成可能である。場合により、血液格納カップは、スタック320により処置(たとえば、分離)される所定体積の血液を保持するように構成可能である。カップ(または、ポケット)の形状は、さまざまな体積の血液をスタック表面の異なる部分に誘導するように最適化され得る(たとえば、経路の遠位端に隣接するスタックの表面近くの入力血液の大部分を含む、または、入来する血液がスタックの平面に沿って広がるのを補助する)。カップの形状は、プレフィルタの全体にわたる血液の濃度の調整または含まれる血液の体積の調整を行うように最適化され得る。たとえば、カップの形状としては、球、直方体、もしくは円板、またはこれらの形状の任意の部分形状もしくは組み合わせが可能である。カップの断面としては、円形、楕円形、長円形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、またはこれらの形状の任意の部分形状もしくは組み合わせを有することが可能である。カップは、所定の体積の採集された血液を保持するように構成可能である。カップは、少なくとも約1μL、5μL、10μL、20μL、30μL、40μL、50μL、60μL、70μL、80μL、90μL、100μL、110μL、120μL、130μL、140μL、150μL、200μL、300μL、400μL、500μL、600μL、700μL、800μL、900μL、1,000μL、またはそれよりも多くの血液を保持するように構成可能である。カップは、多くても約1,000μL、900μL、800μL、700μL、600μL、500μL、400μL、300μL、200μL、100μL、50μL、10μL、1μL、またはそれよりも少ない血液を保持するように構成可能である。一部の例において、カップは、十分な血液がカートリッジアセンブリに採集されたとき(または、十分な血液がカートリッジアセンブリに採集されたかどうか)を決定する計量機器(たとえば、計量窓)として使用可能である。
【0305】
一部の実施形態において、経路の遠位端は、プレフィルタの平面に隣接することも可能であるし、直接接触することも可能である。
【0306】
カートリッジアセンブリのカートリッジポート(すなわち、入口ポート)の経路は、カートリッジポートの長さに沿って経路の一部を露出させる開口(または、切り欠き)を含み得る。経路は、開口を介して、本明細書に開示の試料取得機器の内部(たとえば、凹部)と流体(たとえば、気体または液体)連通可能である。開口は、カートリッジアセンブリの使用に先立って封止可能である。場合により、開口は、カートリッジアセンブリの試料取得機器への完全な設置(たとえば、挿入)によって、機器の内部に部分的または完全に曝露され得る。
【0307】
一部の実施形態において、カートリッジアセンブリは、(ユーザによる手動またはユーザにおける試料取得機器の操作による自動で)試料取得機器内の真空が作動した場合に真空圧力を受けることができる。真空圧力は、カートリッジ上のスタックを通るおよび/または横切る血液の横方向の流れを補助するように構成可能である。代替実施形態において、カートリッジアセンブリは、試料取得機器への設置に先立って、真空圧力下にあり得る。一部の例において、真空圧力は、カートリッジアセンブリの試料取得機器への完全な設置によって試料取得機器内に通気可能であるが、十分な陰圧は、カートリッジアセンブリ内に残って、カートリッジ内のスタックを通るおよび/または横切る血液の横方向の流れを補助し得る。
【0308】
図3Dは、一部の実施形態に係る、カートリッジアセンブリ300に対して動作的に結合されている試料取得機器100の側面断面図を示している。図示のように、血液は、機器100の凹部136の開口から、カートリッジの経路を通って、(少なくとも1つの血液分離膜を備える)スタックへと輸送され得る。カートリッジアセンブリ300は、機器の内側(たとえば、堆積/分離チャンバ内)でカートリッジを封止するように構成されているカートリッジホルダー/タブ380を備え得る。カートリッジアセンブリは、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、またはそれよりも多くの吸収性パッドを備え得る。血液分離膜(または、スタック)に対する吸収性パッドの位置に応じて、吸収性パッドは、過剰な血液および/または過剰な血清もしくは血漿の吸収に使用可能である。場合によっては、血液分離膜(または、スタック)に直接隣接して、1つまたは複数の吸収性パッドが配設され得る。上記実施形態の代替または追加として、1つまたは複数の吸収性パッドは、血液分離膜(または、スタック)から物理的に隔離された状態で血液分離膜(または、スタック)と流体連通可能である。1つまたは複数の吸収性パッドの隔離によって、(1)血液(もしくは、血清/血漿)の汚染または(2)血液分離膜(もしくは、スタック)からの過剰な吸収もしくはウィッキングのリスクが抑えられ得る。
【0309】
カートリッジアセンブリの1つまたは複数の構成要素は、解除および分離されるように構成可能である。一部の実施形態において、採集媒体は、血液が処置された後(たとえば、血液分離膜322によって血漿または血清の少なくとも一部が分離され、当該採集媒体324上に採集された後)、カートリッジ(および、試料取得機器)から解除および分離されるように構成可能である。一部の例において、カートリッジアセンブリの残りの構成要素は、採集媒体が当該カートリッジから解除および分離された後も試料取得機器に結合されたままであるように構成可能である。他の例においては、カートリッジからの採集媒体の解除によって、試料取得機器からのカートリッジの解除が開始されるように構成可能である。他の例において、カートリッジアセンブリは、カートリッジからの採集媒体の解除に先立って、試料取得機器から解除されるように構成可能である。その後、解除された採集媒体は、別個の輸送ハウジング(たとえば、図2Aの輸送スリーブ200)に保存され、輸送され得る。代替実施形態において、カートリッジアセンブリは、試料取得機器から解除されるように構成可能であるが、採集媒体は、カートリッジから解除されるように構成されていなくてもよく、その必要もない。一部の例において、(採集媒体を備える)カートリッジアセンブリは全体として、輸送媒体として使用され得、および/またはカートリッジアセンブリは、輸送のために別個の輸送ハウジング(たとえば、図2Aの輸送スリーブ200)に保存され得る。
【0310】
一部の実施形態においては、カートリッジアセンブリ300のカートリッジ310の少なくとも一部が透明または半透明窓を備え得る。窓は、(1)入口ポートの経路340内の血液の流れ、(2)経路340の遠位端からカップ362もしくはスタック320の露出面(たとえば、プレフィルタ326の露出面)に向かう血液の流れ、ならびに/または(3)スタック内の血液の流れ(たとえば、血液分離膜322による採集媒体に向かう血液分離)の進行をユーザが観察し得るように構成可能である。場合により、窓は、少なくとも1つの血液分離膜、採集媒体、および/またはプレフィルタに隣接して配置可能である。カートリッジの窓は、機器(たとえば、機器100)の覗き窓または開放構造と位置合わせ可能である。場合によっては、機器に対するカートリッジアセンブリの配向に応じて、(1)血液分離膜(もしくは、スタックのプレフィルタ)への血液の入力を確認することが可能であり、または(2)血液分離膜(もしくは、スタック)からの血漿または血清の出力を確認することが可能である。一例において、カートリッジアセンブリのプレフィルタに面する側が対象の皮膚に面している場合、ユーザは、血液分離膜からの血漿または血清の出力を視認可能である。別の例において、カートリッジアセンブリの採集媒体に面する側が対象の皮膚に面している場合、ユーザは、血液分離膜(または、スタックのプレフィルタ)への血液の入力を視認可能である。
【0311】
図3Eおよび図3Fは、試料チャンバの別の例の側面断面図を模式的に示したものである。試料チャンバとしては、カートリッジアセンブリ300bが可能である。カートリッジアセンブリは、本明細書(たとえば、図3Bおよび図3C)に開示の通り、カートリッジアセンブリ300の1つまたは複数の構成要素を備え得る。図3Eを参照して、カートリッジアセンブリ300bは、カートリッジ310に結合されているカートリッジポート330を備え得る。カートリッジポート330は、本明細書に記載の結合メカニズムのいずれかを使用して、試料取得機器に結合(たとえば、解除可能に結合)するように構成可能である。カートリッジは、処置/安定化ユニット320を囲むスロット350を備え得る。処置/安定化ユニット320は、少なくとも1つの血液分離膜322を備え得る。場合により、処置/安定化ユニット320は、採集媒体324および/またはプレフィルタ326をさらに備え得る。カートリッジポート330は、試料取得機器からカートリッジ310に向かって対象の試料(たとえば、血液)を誘導するように構成されている経路340を備え得る。カートリッジは、経路340と流体連通している間隔360をさらに含み得る。間隔360は、ある体積の採集された試料を保持するように構成されている蓄積領域362(たとえば、コンテナまたはカップ)とも流体連通可能である。蓄積領域362は、採集された試料がカートリッジ310に含まれ得る一方、採集された試料の少なくとも一部が処置/安定化ユニット320を横切って流れることで処置/安定化されるように、処置/安定化ユニット320に隣接して配設可能である。図3Fに示すように、経路340を通る試料の流れの方向は、(矢印346が示すような)カートリッジアセンブリの長手方向軸と実質的に同じであり得る。経路340を通る試料の流れの方向は、処置/安定化ユニット320を通る血液の流れの方向と異なり得る。一例において、経路340を通る試料の流れの方向は、処置/安定化ユニット320を通る血液の流れの方向と実質的に直交し得る。
【0312】
図4は、試料チャンバの異なる例の側面断面図を示している。試料チャンバとしては、カートリッジアセンブリ400が可能である。カートリッジアセンブリ400は、本明細書(たとえば、図3Bおよび図3C)に開示のカートリッジアセンブリ300の1つまたは複数の構成要素を備え得る。カートリッジアセンブリ400は、試料取得機器(たとえば、本明細書に開示の試料取得機器)から処置/安定化ユニット420(すなわち、スタック)に向かって血液が輸送される経路440を提供するカートリッジポート410を備え得る。カートリッジポート410は、本明細書に記載の結合メカニズムのいずれかを使用して、試料取得機器に結合(たとえば、解除可能に結合)するように構成可能である。たとえば、カートリッジポート410は、試料取得機器と嵌合するルアー型取付け具を有し得る。処置/安定化ユニット420は、1つまたは複数の処置/安定化構成要素を備え得る。たとえば、処置/安定化ユニット420は、第1の処置/安定化構成要素420aおよび第2の処置/安定化構成要素420bを備え得る。これら2つの処置/安定化構成要素は、互いに隣接して配設可能である。一例においては、図4に示すように、2つの処置/安定化構成要素が互いに直接接触し得る。あるいは、処置/安定化構成要素は、空間または間隙(図示せず)によって分離され得る。図3B図3Dに示すように、カートリッジアセンブリ300は、採集された血液をスタックの平面に受容して、(図3B図3Fに示すような)カートリッジ300の長手方向軸346と異なる(たとえば、実質的に直交する)方向に血液が分離し得るように構成可能である。図4の例において、カートリッジアセンブリ400は、処置/安定化ユニット420の縁部および/または縁部近くの平面の一部に採集された血液を受容して、(i)(図4に示すような)当該カートリッジアセンブリ400の長手方向軸405と実質的に同じ方向および/または(ii)カートリッジアセンブリ400の長手方向軸と同じ平面にて血液が分離し得るように構成可能である。この場合、処置/安定化構成要素の上部部分には、試料の濾過された部分(たとえば、血液細胞)を含有する一方、処置/安定化構成要素の下部部分には、試料の別の部分(たとえば、血漿または血清)を含有することになる。一部の実施形態において、処置/安定化構成要素はそれぞれ、本明細書に開示の通り、複数の構成要素(たとえば、プレフィルタ、血液分離膜、および/または採集媒体)を備え得る。一部の例において、経路440に隣接する処置/安定化ユニット420の頂部部分422は、たとえば採集された血液から細胞を濾過して取り出すように構成し得るプレフィルタ422を備え得る。処置/安定化ユニット420の中央部分424は、1つまたは複数の血液分離膜を備え得る。経路440から離れている処置/安定化ユニット420の底部部分426は、採集媒体を備え得る。一部の例においては、単一の処置/安定化構成要素(たとえば、420aまたは420bの一方のみ)を使用可能である。あるいは、全部もしくは一部が相互に直接接触しているか、または、いずれも相互に直接接触していない3つ以上の処置/安定化構成要素(たとえば、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、またはそれよりも多くの処置/安定化構成要素)を使用可能である。一部の例においては、プレフィルタ構成要素が処置/安定化構成要素のうちの1つまたは複数の上部部分に隣接して存在することにより、最初に血液を受容した後、試料の少なくとも一部(たとえば、細胞、破片等)を濾過して取り出してから、試料の残りが処置/安定化構成要素の表面に向かって流れ、到着し得るようにすることができる。図4に示すようなカートリッジアセンブリ400の特徴は、本明細書に開示の通り、試料採集のための任意の機器、システム、方法、またはキットに適用可能である。
【0313】
本開示の別の態様は、血液採集および血液分離のためのシステムを提供する。このシステムは、本明細書に開示のような試料取得機器(たとえば、試料取得機器)および試料チャンバ(たとえば、カートリッジアセンブリ)を備え得る。一部の実施形態において、試料取得機器は、オンボード真空を含み得る。このような真空は、対象の皮膚を試料取得機器に向かって引っ張って、一旦皮膚が穿孔されたら対象から血液を採取するのに十分となり得る。代替実施形態において、カートリッジアセンブリを含む試料取得機器のチャンバは、オンボード真空によって予備包装可能であり、このような真空の試料取得機器への通気は、対象の皮膚を試料取得機器に向かって引っ張って、一旦皮膚が穿孔されたら対象から血液を採取するのに十分となり得る。
【0314】
本開示の別の態様は、(たとえば、血液採集および血液分離のための)方法を提供する。この方法は、本明細書に開示のような試料取得機器を使用して対象から血液を採集することを含み得る。この方法は、本明細書に開示のような試料チャンバ(たとえば、カートリッジアセンブリ)を使用して血液から血漿または血清を分離することをさらに含み得る。一部の実施形態において、この方法は、血液から分離された血漿または血清を(たとえば、図3Bに示すようなカートリッジアセンブリ300の採集媒体324に)保存することをさらに含み得る。
【0315】
2.液体血液の採集
本開示の別の態様は、試料取得機器(たとえば、本明細書に開示のような試料取得機器のいずれか)を介して対象から採集された液体または液体状試料(たとえば、液体血液)を保存するためのカートリッジアセンブリ等の試料チャンバを提供する。一部の実施形態において、カートリッジアセンブリは、試料取得機器(たとえば、カートリッジチャンバ)の一部に結合するように構成されている結合ユニットを備え得る。結合ユニットは、入口ポートを備え得る。カートリッジアセンブリは、液体または液体状試料を保存するように構成されているコンテナをさらに備え得る。カートリッジアセンブリは、コンテナを支持するように構成されているカートリッジホルダーをさらに備え得る。コンテナの近位端が結合ユニットに結合するように構成され得、コンテナの遠位端がカートリッジホルダーに結合するように構成され得る。液体または液体状試料としては、液体血液、汗、涙、尿、唾液、糞便、膣分泌物、精液、間質液、粘液、皮脂、滲出液、房水、硝子体液、胆汁、母乳、脳脊髄液、耳垢、内リンパ液、外リンパ液、胃液、腹腔液、嘔吐物等からなる群より選択される1つまたは複数の要素が可能である。一例において、液体試料としては、液体血液が可能である。
【0316】
一部の実施形態において、カートリッジアセンブリのコンテナの近位端は、本明細書に記載の結合メカニズムのいずれかを使用して、結合ユニットに解除可能に結合するように構成可能である。場合により、コンテナは、結合ユニットに解除可能に結合するように構成されているコンテナポートを備え得る。コンテナポートは、コンテナの一部であり得る。コンテナポートは、コンテナの近位端に対して解除可能に結合され得る。他の実施形態において、コンテナの近位端は、結合ユニットに解除可能に結合するように構成されていない場合もあるし、その必要がない場合もある。たとえば、コンテナの近位端は、結合ユニットに対して永久的に結合され得る。一部の実施形態において、コンテナの遠位端は、本明細書に記載の結合メカニズムのいずれかを使用して、カートリッジホルダーに解除可能に結合するように構成可能である。他の実施形態において、コンテナの遠位端は、カートリッジホルダーに解除可能に結合するように構成されていない場合もあるし、その必要がない場合もある。たとえば、コンテナの遠位端は、カートリッジホルダーに対して永久的に結合され得る。あるいは、カートリッジホルダーは、コンテナの一部(たとえば、コンテナの遠位端の一部)として作製され得る。コンテナの近位端は、液体試料(たとえば、液体血液)を受容するように構成されている1つまたは複数の開口を含み得る。コンテナの遠位端は、開口を一切含んでいなくてもよく、閉鎖されることで、コンテナの少なくとも一部内での試料採集を可能にし得る。
【0317】
図5Aは、液体または液体状試料(たとえば、液体血液)を採集するように構成され得る例示的なカートリッジアセンブリ500の側面断面図(図5Aの左側)および斜視図(図5Aの右側)を示している。カートリッジアセンブリ500は、結合ユニット510(本明細書においては交換可能にアダプタまたはチューブ入口アダプタと称する)を備え得る。結合ユニットは、本明細書に記載の結合メカニズムのいずれかを使用して、試料取得機器(たとえば、本明細書に開示の試料取得機器のいずれかのカートリッジチャンバのポート)に(たとえば、解除可能または永久的に)結合するように構成可能である。たとえば、結合ユニット510は、試料取得機器のカートリッジチャンバポートと嵌合するルアー型取付け具512を有し得る。結合ユニット510は、試料取得機器からカートリッジアセンブリに向かって(たとえば、カートリッジアセンブリ中へと)血液が流れる経路514として機能するように構成されている開口、入口、またはチャネルを含み得る。カートリッジアセンブリ500は、結合ユニット510およびカートリッジホルダー540に結合されているコンテナ520を備え得る。コンテナの断面としては、円形、楕円形、長円形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、またはこれらの形状の任意の部分形状もしくは組み合わせを有することが可能である。コンテナは、コンテナポート(たとえば、キャップまたはチューブキャップ)530を備え得る。コンテナは、採集された血液を含むように構成されている採集チューブ535を備え得る。コンテナポートは、コンテナの近位端に結合され得る。たとえば、コンテナポート(たとえば、チューブキャップ)および採集チューブの近位端は、本明細書に記載の結合メカニズムのいずれか(たとえば、ルアー型、ねじ型、摩擦嵌合等)を使用して解除可能に結合され得る。別の例において、コンテナポート530および採集チューブ535は、互いに永久的に結合(たとえば、接着)され得る。採集チューブの近位端は、コンテナポートを介して結合ユニットに結合するように構成可能である。たとえば、結合ユニットおよびコンテナポートは、本明細書に記載の結合メカニズムのいずれか(たとえば、ルアー型、ねじ型、摩擦嵌合等)を使用して解除可能に結合され得る。別の例において、結合ユニットおよびコンテナポートは、互いに永久的に結合(たとえば、接着)され得る。場合により、試料取得機器のカートリッジチャンバの結合ユニットおよびポートは、永久的に結合され得る。場合により、コンテナポート530および採集チューブ535は、好ましい配向にてカートリッジアセンブリ500を試料取得機器に挿入するための位置合わせ(たとえば、回転方向の位置合わせ)を必要とし得る。コンテナポート530および採集チューブ535は、本明細書に記載の結合メカニズムのいずれかを利用して、位置合わせされた2つの構成要素を連動させることができる。他の実施形態において、コンテナ520は、コンテナポート530の結合ユニット510への結合を要さない場合があり、その必要もない。一例において、採集チューブ535は、結合ユニット510に直接結合され得る(たとえば、解除可能または永久的に結合され得る)。
【0318】
一部の実施形態においては、採集チューブの少なくとも一部が透明または半透明窓を備え得る。窓は、採集チューブに流れる血液をユーザが観察し得るように構成可能である。他の実施形態においては、採集チューブ自体を透明または半透明にすることができる。たとえば、採集チューブは、1つまたは複数の透明または半透明材料で構成可能である。一部の実施形態においては、たとえば平坦な表面上にコンテナ520が起立し得るように採集チューブ535の底部を構成可能である。たとえば、採集チューブ535の底部の少なくとも一部が平坦となり得る。
【0319】
一部の実施形態において、コンテナのコンテナポートは、当該コンテナポートが結合ユニットに結合されている場合に開いて、コンテナへの流体(たとえば、空気等の気体、液体血液等の液体等)のアクセスを可能にするように構成されている1つまたは複数の開口を含み得る。コンテナポートの開口の断面としては、円形、楕円形、長円形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、またはこれらの形状の任意の部分形状もしくは組み合わせを有することが可能である。場合により、開口は、流体調節器を利用して、コンテナへの(たとえば、試料取得機器からコンテナへの)流体の通過またはコンテナ内からの(たとえば、コンテナ内から試料取得機器への)流体の通過を制御することができる。流体調節器には、機械的調節器(たとえば、ばね調節器または自己閉鎖フラップ)、油圧調節器、空気圧調節器、手動調節器、ソレノイド調節器、または電動調節器を含み得る。流体調節器の例としては、シール、フラップ、バルブ、ゲート、スイッチ、レバー、ポンプ等が挙げられ得るが、これらに限定されない。一例において、図5Aに示すように、コンテナ520のコンテナポート530は、(i)当該コンテナポート530が結合ユニット510に結合されている場合に開いて、コンテナ520への流体アクセスを可能にするとともに、(ii)当該コンテナポート530が結合ユニット510に結合されていない場合に閉じて、コンテナ520への流体アクセスを抑える(たとえば、抑制または禁止する)ように構成されている統合自己閉鎖バルブ532(たとえば、ダックビルバルブ)を備え得る。他の例において、開口は、流体調節器を要することなく流体の通過(たとえば、カートリッジアセンブリ500の外側からカートリッジアセンブリ500に入る方向の一方向流体通過)を永久的に可能にし得る。
【0320】
一部の実施形態において、結合ユニットは、(たとえば、試料取得機器から)血液がコンテナに採集されている際に、空気をコンテナから追い出し得る(図5Aにおいて516で示すような)1つまたは複数の流体経路を含み得る。場合により、結合ユニットは、(たとえば、コンテナポートを介して)試料取得機器の血液ポートをカートリッジのコンテナに接続することができる。結果として、カートリッジの少なくとも一部が試料取得機器の内側(たとえば、試料取得機器のカートリッジチャンバ内)に配置され得る。カートリッジチャンバは、カートリッジが試料取得機器に結合された場合に、真空下となり得る(たとえば、真空チャンバの作動によって周囲圧力を下回り得る)。その後、結合により、コンテナから1つまたは複数の流体経路を通ってカートリッジチャンバへと空気を追い出すことができる。1つまたは複数の流体経路は、血液がコンテナに採集されている際のカートリッジチャンバ内の圧力(たとえば、真空圧力)の均一化を可能にし得る。1つまたは複数の流体経路は、たとえば周囲のカートリッジチャンバと同じ圧力レベル(たとえば、依然として周囲圧力未満)までのコンテナの排気を可能にし得る。結果としてのコンテナの真空により、対象の穿孔された皮膚から入口ポートを通ってカートリッジのコンテナへと血液を引き込むことができる。一部の例において、血液がコンテナに引き込まれている場合は、本明細書に開示の流体経路を通じて、コンテナ内(たとえば、採集チューブ内)からの空気を追い出し続けることができる。他の例においては、コンテナの採集チューブに組み込まれている1つまたは複数の半透過性膜を通じて、コンテナ内からの空気を追い出すことができる。半透過性膜は、(たとえば、採集チューブ内から出る)液体の流れを防止しつつ空気が流れ得るように構成可能である。
【0321】
一部の実施形態においては、所望体積の血液が採集されるまで、血液をコンテナに引き込むことができる。場合によっては、略所望体積の血液をコンテナに引き込むのに十分となるように、試料取得機器の真空を構成可能である。場合により、図5Aに示すように、コンテナ520は、コンテナ520に引き込まれる血液の近似量をユーザに示す1つまたは複数のインジケータ522(たとえば、マーキング、描画、デジタルインジケータ等)を備え得る。コンテナは、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、またはそれよりも多くのインジケータを備え得る。ユーザは後で、(たとえば、コンテナまたは試料取得機器に配置されているボタンを押すことにより)採血プロセスを停止することができる。代替実施形態において、インジケータは、コンテナに採集された血液の存在および/または量(たとえば、重量、体積)を検出または測定するように構成されているセンサを備え得る。一例において、所望体積の血液が採集されたものとセンサが測定および決定した場合、機器またはカートリッジは、採血プロセスを自動的に停止するように構成可能である。インジケータは、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、またはそれよりも多くのセンサを備え得る。センサの例としては、機械センサ(たとえば、秤)、光学センサ(たとえば、カメラ)、超音波センサ(たとえば、非接触超音波レベルセンサ)、レーダセンサ(たとえば、レーダレベル送信機)、静電容量センサ(たとえば、静電容量測定プローブ)、化学センサ、圧力センサ、流体流センサ、湿度センサ、振動センサ、フィールドセンサ(たとえば、電磁センサ)、温度センサ等が挙げられ得るが、これらに限定されない。センサは、採集された血液と接触するように構成可能である。あるいは、センサは、機能するために採集された血液と接触するようになっていなくてもよく、その必要もない。場合によっては、チューブ535の外面の被覆(たとえば、部分的または完全なマスク)によって、センサが血液検知のためにチューブの所望領域に焦点を合わせることを可能にすることができる。
【0322】
場合により、インジケータ(たとえば、センサ)は、所望量の血液がチューブ535に採集された場合にユーザに警告するように構成されている警告システムに対して動作的に結合され得る。一部の例において、警告システムは、(たとえば、スピーカまたは発光ダイオード(LED)を介して)聴覚、触覚、および/または視覚的警告をユーザに対して生成するように構成可能である。警告システムは、1つまたは複数の有線(たとえば、デジタル回路)または無線通信チャネルを介して、インジケータに対して動作的に結合され得る。無線通信チャネルの例としては、Bluetooth(登録商標)、WiFi、近距離無線通信(NFC)、3G、4G、および/または5Gネットワークが挙げられ得る。警告システムを作動させるための信号は、インジケータ(たとえば、インジケータのセンサ)から1つまたは複数の通信チャネルを介して警告システムに遠隔送信され得る。場合により、センサ(たとえば、センサに対して動作的に結合されているコンピュータプロセッサ)は、たとえば(1)センサを通り過ぎてチューブ535に入る血液の液滴または(2)採集されている血液によりチューブ535の内面が濡れることによる警報システムの誤作動を防止するように構成(または、プログラム)可能である。一例においては、センサの感度および/または閾値の調整により、警告システムの誤作動を防止することができる。
【0323】
場合により、1つまたは複数のセンサは、流体試料(たとえば、液体血液)中の1つまたは複数の標的検体(たとえば、細胞、血漿、血清、血小板、特定の細胞型、DNA(たとえば、腫瘍cfDNA)、RNA、タンパク質、無機物、薬物、または任意の他の成分)の存在および/または濃度の決定に使用可能である。たとえば、センサは、液体血液がコンテナに採集されて当該センサと接触した場合に検出される電子およびイオンの移動度および電荷蓄積の変化に基づいて、コンテナ中の液体血液中の標的検体の存在および/または存在を決定することができる。
【0324】
コンテナは、少なくとも約1μL、5μL、10μL、20μL、30μL、40μL、50μL、60μL、70μL、80μL、90μL、100μL、110μL、120μL、130μL、140μL、150μL、200μL、300μL、400μL、500μL、600μL、700μL、800μL、900μL、1,000μL、またはそれよりも多くの血液を保持するように構成可能である。コンテナは、多くても約1,000μL、900μL、800μL、700μL、600μL、500μL、400μL、300μL、200μL、100μL、50μL、10μL、1μL、またはそれよりも少ない血液を保持するように構成可能である。コンテナに採集される血液の所望体積としては、少なくとも約1μL、5μL、10μL、20μL、30μL、40μL、50μL、60μL、70μL、80μL、90μL、100μL、110μL、120μL、130μL、140μL、150μL、200μL、300μL、400μL、500μL、600μL、700μL、800μL、900μL、1,000μL、またはそれよりも多い体積が可能である。コンテナに採集される血液の所望体積としては、多くても約1,000μL、900μL、800μL、700μL、600μL、500μL、400μL、300μL、200μL、100μL、50μL、10μL、1μL、またはそれよりも少ない体積が可能である。
【0325】
結合ユニットは、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、またはそれよりも多くの流体経路を備え得る。結合ユニットは、多くても10個、9つ、8つ、7つ、6つ、5つ、4つ、3つ、2つ、または1つの流体経路を備え得る。個々の流体経路は、結合ユニットの表面に隣接して配設可能である。一例において、結合ユニットは、カートリッジアセンブリのコンテナ(または、コンテナのコンテナポート)に対する当該結合ユニットの結合の前に個々の流体経路(たとえば、開口またはチャネル)を備え得る。別の例において、結合ユニットは、少なくとも1つの溝または開放チャネルを備え得る。コンテナポートに対する結合ユニットの結合によって、溝がコンテナの表面(たとえば、キャップの表面)に隣接して配設されることで個々の流体経路が生成され得る。個々の流体経路としては、直線、湾曲、垂直、斜方、ジグザグ(または、角度付き)、不規則形状、または混合が可能である。個々の流体経路の断面としては、円形、楕円形、長円形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、またはこれらの形状の任意の部分形状もしくは組み合わせを有することが可能である。複数の流体経路が設けられている場合、複数の流体経路はそれぞれ、同じ形状、厚さ、長さ、幅、深さ、体積、または表面積を有し得る。他の場合には、複数の流体経路のうちの2つの流体経路が同じ形状または寸法を有していなくてもよいし、その必要もない。
【0326】
一部の実施形態において、カートリッジアセンブリまたは試料取得機器は、コンテナから流体経路を通じて追い出された空気を捕捉するように構成されている別個の通気コンテナを備え得る。
【0327】
図5Aに示すように、カートリッジアセンブリは、コンテナ520を支持するように構成されているカートリッジホルダー540を備え得る。場合により、カートリッジホルダー540の一部は、カートリッジアセンブリがカートリッジチャンバに結合されている場合に、カートリッジチャンバの外側に延びるように構成可能である。このため、ユーザは、(たとえば、カートリッジタブ542を保持することにより)カートリッジホルダー540を保持して、カートリッジアセンブリを試料取得機器に挿入することも可能であるし、試料取得機器からカートリッジアセンブリを取り出すことも可能である。代替実施形態において、カートリッジホルダーは、カートリッジアセンブリがカートリッジチャンバに結合されている場合にカートリッジチャンバの外側に延びていない場合もあるし、その必要がない場合もある。このような場合、カートリッジホルダーは、(たとえば、機械式ゲート、電動ゲート、もしくは試料取得機器のカバーにより)隠されるか、試料取得機器の表面に対して平坦に配設されるか、または、試料取得機器に圧入され得る。一部の例において、カートリッジアセンブリは、本明細書に記載の結合メカニズムのいずれかを使用することにより、試料取得機器に対して解除可能に結合され得る。カートリッジホルダーまたは試料取得機器上のスイッチを押すことにより、結合メカニズムの部分的または完全な作動停止によって、ホルダーが試料取得機器の表面に対して突き出ることを可能にすることにより、ユーザがカートリッジホルダー540を保持して試料取得機器からカートリッジアセンブリを取り出すことが可能となり得る。
【0328】
一部の実施形態において、カートリッジホルダー540は、カートリッジアセンブリ500が試料取得機器のカートリッジチャンバに結合されている場合に、カートリッジチャンバを密封するように構成されているシーラント544(たとえば、シール、ガスケット、ライナー、リング等)を備え得る。場合により、シーラントは、ホルダーの平坦な面上に配設可能である。代替例において、シーラントは、当該シーラントの外面が露出するように、ホルダーの窪み(たとえば、溝)上に配設可能である。場合により、シーラントとしては、エラストマーガスケットが可能である。エラストマー材料の例としては、ポリイソプレン、ブタジエン、スチレンブタジエン、アシロニトリルブタジエン、ポリクロロプレン、イソブチレンイソプレン、ポリスルフィド、ポリメタン、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレンプロピレン、フルオロエラストマー、ポリシロキサン、ポリエステル、ポリメタン、シリコーン、熱可塑性エラストマー等の任意のゴムまたはゴム状材料が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0329】
図5Bは、一部の実施形態に係る、カートリッジアセンブリ500に対して動作的に結合されている試料取得機器100の側面断面図を示す。コンテナ520は、第1の方向524に流れる血液を受容するように構成可能である。1つまたは複数の流体経路516は、第1の方向と異なる第2の方向526に空気を誘導してコンテナ520から追い出すように構成可能である。第1の方向と第2の方向との間の角度は、0°より大きくかつ180°より小さくあり得る。第1の方向と第2の方向との間の角度としては、少なくとも0°、1°、5°、10°、15°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、175°、またはそれよりも大きな角度を超える角度が可能である。第1の方向と第2の方向との間の角度としては、大きくても180°、170°、160°、150°、140°、130°、120°、110°、100°、90°、80°、70°、60°、50°、40°、30°、20°、10°、5°、1°、またはそれよりも小さな角度を下回る角度が可能である。一例において、第1の方向および第2の方向は、互いに実質的に反対であり得る。別の例において、第1の方向および第2の方向は、互いに実質的に直交し得る。
【0330】
図5Bに示すように、試料取得機器100は、ポート175を備え得る。カートリッジアセンブリ500の結合ユニット510は、ポート175およびカートリッジアセンブリ500のコンテナポート530に結合するように構成されている。結合ユニット510は、カートリッジアセンブリ500のコンテナポート530に結合するように構成されている突起(たとえば、チューブまたは押し出し特徴)を備え得る。突起は、コンテナポート530を介してコンテナ520の採集チューブ535と流体連通可能である。あるいは、突起は、コンテナポート530を貫通して、採集チューブ535と直接的に流体連通可能である。場合によっては、突起の近位端(たとえば、採集チューブ535の反対の端部)が結合ユニットの終端部に結合され得る。突起の断面としては、円形、楕円形、長円形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、またはこれらの形状の任意の部分形状もしくは組み合わせを有することが可能である。突起の断面としては、対称も可能であるし、非対称も可能である。たとえば、突起の流体経路の直径(たとえば、カニューレの内径)は、突起の端部に向かって小さくなり得る。突起の例としては、ニードル、チューブ、カニューレ、開放拡張器、ノズル等が挙げられ得るが、これらに限定されない。一例において、突起としては、当該突起の強度を増すか、または当該突起の厚さを減らすカニューレ(たとえば、オーバーモールドカニューレ)が可能である。別の例において、突起としては、ニードル(たとえば、オーバーモールド非コアリングニードル)が可能であり、カートリッジアセンブリ500は、バルブ532を備えていない場合もあるし、その必要がない場合もある。このようにバルブ532がない場合、カートリッジアセンブリは、流体経路516を通気に利用することができる。上記実施形態の代替または追加として、結合ユニット510またはコンテナポート530は、通気用の別個の開口(たとえば、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれよりも多くのニードル)を含み得る。この代替または追加として、コンテナ520は、液体の通過を防止しつつ空気または他の気体の通気を可能にするように構成されている半透過性膜を備え得る。
【0331】
図5Cは、一部の実施形態に係る、カートリッジアセンブリ500に対して動作的に結合されている試料取得機器100の流量計170の斜視図を示す。流量計は、液体血液の採集の進行をユーザが観察し得る透明または半透明窓(たとえば、視覚的計量窓)を備え得る。カートリッジアセンブリが試料取得機器に対して動作的に結合されている場合は、コンテナ520の採集チューブ535の少なくとも一部が流量計170と位置合わせされ得る。流量計に関する別途詳細については、本明細書の他の箇所に記載される。前述の通り、採集チューブ535の少なくとも一部を透明または半透明とすることにより、カートリッジアセンブリ500への液体血液の採集の進行が視認可能となり得る。血液採集プロセスが完了となったら(たとえば、インジケータ522またはこれに対して動作的に結合されている1つもしくは複数のセンサが示す)、カートリッジアセンブリ500を機器100から取り外して、カートリッジアセンブリ500の少なくとも一部を輸送スリーブ200に結合(たとえば、挿入)することにより、たとえばその後の保存または輸送が可能となる。一部の例においては、カートリッジアセンブリ500の全体を機器100から取り外した後、輸送スリーブ200に挿入することができる。他の例においては、結合ユニット510が機器100に結合されたままであり得る一方、カートリッジアセンブリ500の残りの部分が結合ユニット510から分離され、輸送スリーブ200に挿入される。他の例においては、カートリッジアセンブリ500の全体が機器100から取り外された後、結合ユニット510がカートリッジアセンブリ500から分離され、コンテナ520が輸送スリーブ200に挿入され得る。結合ユニット510が保存または輸送のためにコンテナ520から分離された場合は、バルブ532および流体経路516の閉鎖によって、血液の漏出を防止することができる。代替実施形態においては、別個のシーラントまたは覆いのコンテナポート530への適用によって、血液の漏出を防止することができる。シーラント/覆いは、輸送スリーブ200へのコンテナの挿入に先立って、外部環境からの採集された血液を保護するように構成可能である。図6は、輸送スリーブ200に挿入されたカートリッジアセンブリ500の一例を示している。輸送スリーブに関する別途詳細については、たとえば本明細書の第III項において記載される。
【0332】
一部の実施形態において、結合ユニット510は、カートリッジアセンブリ500の組み立て時にコンテナ520に結合され得る。代替実施形態において、結合ユニット510は、組み立て時に機器のカートリッジチャンバ内のポートに(一時的または永久的に)結合され得る。代替実施形態において、結合ユニット510は、ユーザによってコンテナ520に結合され得る。一部の実施形態においては、カートリッジアセンブリ500の機器への結合によって、機器中のポート(たとえば、カートリッジポート)に結合ユニット510を接続する力が結合ユニット510とコンテナポート530との間の摩擦力よりも大きくなり得ることで、コンテナ520が試料取得機器から引き離されて分離された場合であっても、結合ユニット510は適所に留まり得る(たとえば、試料取得機器に結合されたままとなり得る)。代替実施形態においては、機器に結合ユニット510を接続する力が結合ユニット510とコンテナポート530との間の摩擦力よりも小さくなり得ることで、コンテナ520が機器から引き離されて分離された場合には、結合ユニット510が機器から分離され得る。
【0333】
一部の実施形態においては、採集された血液と接触するカートリッジアセンブリの少なくとも一部(たとえば、結合ユニット510の経路514、バルブ532、コンテナポート530、採集チューブ535の内面、インジケータ522またはこれに対して動作的に結合されている任意のセンサ)が本明細書に開示の任意の保護剤で被覆され得る。たとえば、採集チューブ535は、採集された血液の安定化に役立つように、ヘパリンまたはEDTA等の物質を含むことも可能であるし、これらの物質で被覆することも可能である。
【0334】
一部の実施形態において、カートリッジアセンブリは、たとえば細胞、血漿、血清、血小板、特定の細胞型、DNA(たとえば、腫瘍cfDNA)、RNA、タンパク質、無機物、薬物、または任意の他の成分等、採集された液体血液の任意数の成分を選択的に分離するようにさらに構成可能である。たとえば、カートリッジアセンブリ500は、本明細書に記載のようなカートリッジアセンブリ300、400の1つまたは複数の構成要素(たとえば、血液分離膜322、採集媒体324、プレフィルタ326等)を備えることにより、採集された血液から血清または血漿を選択的に分離することができる。カートリッジアセンブリ500は、血液が当該カートリッジアセンブリ500に採集されている間または血液の当該カートリッジアセンブリ500への採集の後、血清または血漿を選択的に分離するように構成可能である。
【0335】
本開示の別の態様は、対象から血液(たとえば、液体血液)を採集して保存するためのシステムを提供する。このシステムは、本明細書に開示の試料取得機器のいずれか(たとえば、試料取得機器)およびカートリッジアセンブリ(たとえば、図5A図5Cに示すようなカートリッジアセンブリ500)を備え得る。たとえば、一部の実施形態において、主題としてのシステムの試料取得機器は、オンボード真空を含み得る。
【0336】
本開示の別の態様は、血液を採集するための方法を提供する。この方法は、本明細書に開示の試料取得機器のいずれか(たとえば、試料取得機器)を使用して対象から血液を採集することを含み得る。この方法は、本明細書に開示のカートリッジアセンブリのいずれか(たとえば、図5A図5Cに示すようなカートリッジアセンブリ500)を使用して試料取得機器から対象の血液を受容することをさらに含み得る。一部の実施形態において、カートリッジアセンブリは、液体血液としての血液の保存に使用可能である。
【0337】
3.モジュール式試料チャンバ
本開示のさらなる態様は、対象から採集された試料(たとえば、血液)を保存するための試料チャンバを提供する。試料チャンバは、モジュール式が可能である。このようなモジュール式試料チャンバは、本明細書において交換可能に使用する通り、「モジュール式試料チャンバアセンブリ」または「モジュール式チャンバアセンブリ」と称し得る。モジュール式チャンバアセンブリは、本明細書に開示の任意の試料取得機器(試料取得機器とも称する)(たとえば、図1に示すような機器100)に対して動作的に結合され得る。一部の実施形態において、モジュール式チャンバアセンブリは、試料取得機器の本体(または、基部)に結合するように構成されている入口ポートを備え得る。場合により、試料取得機器の本体は、カートリッジチャンバを備え得る。モジュール式チャンバアセンブリは、入口ポートに結合するように構成されているハウジング(たとえば、チャンバ)を備え得る。一部の実施形態において、チャンバが入口ポートに結合されている場合は、筐体がモジュール式チャンバアセンブリ内に形成され得る。筐体は、複数の異なるカートリッジアセンブリタイプの少なくとも1つのカートリッジアセンブリを支持するように構成可能である。複数の異なるカートリッジアセンブリタイプは、複数の異なる様式での血液の採集、処理、または保存を可能にし得る。複数の異なる様式には、血漿、血清、乾燥血液、液体血液、または凝固血液を含み得る。一部の実施形態において、モジュール式チャンバアセンブリのチャンバまたはその内部の構成要素(たとえば、複数の異なるカートリッジアセンブリタイプの個々のカートリッジアセンブリ)は、本明細書に記載の試料チャンバのいずれかの1つまたは複数の構成要素(たとえば、図3の処置/安定化ユニット320)を利用することができる。一部の実施形態において、入口ポートは、モジュール式チャンバアセンブリを封止するキャップの一部であり得る。一部の実施形態において、モジュール式チャンバアセンブリは、カートリッジアセンブリを含んでいなくてもよく、その必要もない。また、たとえば図5Aの試料チャンバ500において記載の通り、試料が筐体に直接採集され得る。
【0338】
一部の実施形態において、モジュール式チャンバアセンブリのチャンバの一部は、入口ポートが試料取得機器の嵌合特徴(たとえば、図8Bに示すような突起975)に結合されている場合、試料取得機器の基部の外へ延びるように構成可能である。試料取得機器の外へ延びるチャンバの一部は、モジュール式チャンバアセンブリの試料取得機器への挿入時および試料取得機器からのモジュール式チャンバアセンブリの取り外し時に、ユーザがモジュール式チャンバアセンブリを保持するためのハンドルとして使用され得る。代替実施形態においては、モジュール式チャンバアセンブリのチャンバ全体が試料取得機器の基部に挿入されるように構成可能である。このような場合、モジュール式チャンバアセンブリが試料取得機器に対して動作的に結合されている場合は、モジュール式チャンバアセンブリのチャンバが見えなくてもよい。
【0339】
一部の実施形態において、モジュール式チャンバアセンブリの入口ポートは、筐体を封止するように構成されているポートを備え得る。場合により、ポートとしては、筐体を密封するように構成されている穿孔可能なポート(たとえば、穿孔可能な自己封止ポート)が可能である。場合により、シーラントとしては、エラストマーガスケットが可能である。エラストマー材料の例としては、ポリイソプレン、ブタジエン、スチレンブタジエン、アシロニトリルブタジエン、ポリクロロプレン、イソブチレンイソプレン、ポリスルフィド、ポリメタン、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレンプロピレン、フルオロエラストマー、ポリシロキサン、ポリエステル、ポリメタン、シリコーン、熱可塑性エラストマー等の任意のゴムまたはゴム状材料が挙げられ得るが、これらに限定されない。一部の例において、穿孔可能な自己封止ポートを含む入口ポートとしては、モジュール式チャンバアセンブリのキャップが可能である。
【0340】
一部の実施形態において、モジュール式チャンバアセンブリの入口ポートは、少なくとも1つのカートリッジアセンブリに結合するように構成可能である。一例において、入口ポートとしては、本明細書に開示のようなキャップが可能であり、キャップは、カートリッジアセンブリに結合され得る。このような結合によって、モジュール式チャンバアセンブリ内にカートリッジアセンブリを囲むことができる。場合により、カートリッジアセンブリは、(たとえば、試料チューブ内で)モジュール式チャンバアセンブリの内部に結合(たとえば、解除可能に結合)されるように構成可能であり、キャップは、カートリッジアセンブリにさらに結合可能である。入口ポートは、カートリッジアセンブリと流体連通可能であって、これにより、試料取得機器により対象から回収された試料は、入口ポートを通じて、モジュール式チャンバアセンブリの内側のカートリッジアセンブリに採集され得る。あるいは、入口ポートがカートリッジアセンブリに結合され得る場合、カートリッジアセンブリは、試料取得機器の基部と直接的に流体連通して、対象から試料を採集するように構成可能である。入口ポートおよびカートリッジアセンブリは、本明細書に記載の結合メカニズムのいずれかを使用して互いに結合され得る。代替実施形態において、入口ポートおよびカートリッジアセンブリは、1つまたは複数の接続チャネルまたは結合ユニットを介して、互いに間接的に結合され得る。
【0341】
一部の実施形態において、複数の異なるカートリッジアセンブリタイプは、(1)採集された血液から血漿もしくは血清を分離するように構成されている第1のカートリッジアセンブリタイプ、(2)液体血液を採集して保存するように構成されている第2のカートリッジアセンブリタイプ、(3)血液を乾燥血液として採集して保存するための1つもしくは複数のマトリクスを保持するように構成されている第3のカートリッジアセンブリタイプ、または(4)凝固血液を保存するように構成されている第4のカートリッジアセンブリタイプのうちの2つまたはそれよりも多くを含み得る。場合により、複数の異なるカートリッジアセンブリタイプは、(1)採集された血液から血漿もしくは血清を分離するように構成されている第1のカートリッジアセンブリタイプ、(2)液体血液を採集して保存するように構成されている第2のカートリッジアセンブリタイプ、(3)血液を乾燥血液として採集して保存するための1つもしくは複数のマトリクスを保持するように構成されている第3のカートリッジアセンブリタイプ、または(4)凝固血液を保存するように構成されている第4のカートリッジタイプのうちの3つまたはそれよりも多くを含み得る。場合により、複数の異なるカートリッジタイプは、(1)採集された血液から血漿もしくは血清を分離するように構成されている第1のカートリッジアセンブリタイプ、(2)液体血液を採集して保存するように構成されている第2のカートリッジアセンブリタイプ、(3)血液を乾燥血液として採集して保存するための1つもしくは複数のマトリクスを保持するように構成されている第3のカートリッジアセンブリタイプ、ならびに(4)凝固血液を保存するように構成されている第4のカートリッジアセンブリタイプを含み得る。複数の異なるカートリッジタイプは、同じ形状、厚さ、長さ、幅、深さ、体積、または表面積を有し得る。あるいは、複数の異なるカートリッジタイプは、同じ形状または寸法を有していない場合もあるし、その必要がない場合もある。
【0342】
一部の実施形態において、モジュール式チャンバアセンブリは、入口ポートが試料取得機器の嵌合特徴から分離された場合に、試料取得機器から解除されて取り外されるように構成可能である。試料取得機器の基部または本体からの分離によって、入口ポートの封止により(たとえば、穿孔可能な自己封止ポートの閉鎖により)、カートリッジアセンブリに採集された試料の周囲環境からの保護および/またはモジュール式チャンバアセンブリを操作し得るユーザ等の保護が可能となる。使用時には、モジュール式チャンバアセンブリが試料取得機器に結合され得るとともに、試料取得機器の突起(たとえば、ニードル)が入口ポートを貫通して、少なくともモジュール式チャンバアセンブリのカートリッジアセンブリとの流体連通を確立し得る。試料採集の後は、モジュール式チャンバアセンブリが試料取得機器から分離され得るとともに、たとえば自己修復または自己封入ポリマーの使用によって、入口ポートが自己封止により閉鎖され得る。あるいは、モジュール式チャンバアセンブリの入口ポートへの別個のキャップの適用により、採集された試料をカートリッジアセンブリに封止して保護することができる。
【0343】
一部の実施形態において、モジュール式チャンバアセンブリは、当該モジュール式チャンバアセンブリのカートリッジアセンブリでの試料(たとえば、対象の血液)の採集、処理、または保存の後、試料取得機器から解除されて取り外されるように構成可能である。場合により、モジュール式チャンバアセンブリは、たとえば試料取得機器または当該モジュール式チャンバアセンブリに対して動作的に結合されている1つまたは複数のスイッチを介して、ユーザにより試料取得機器から手動で解除されて取り外され得る。ユーザは、モジュール式チャンバアセンブリの透明または半透明窓を通じて、血液の採集または処理を追跡することができる。窓は、(図8Aに示すように)ユーザに対して直接曝露することも可能であるし、(図1Aに示すように)試料取得機器の流量計によって部分的または完全に覆うことも可能である。あるいは、モジュール式チャンバアセンブリは、(1)採集された血液の存在、(2)採集された血液の量(たとえば、体積)、または(3)血液の処理(たとえば、血清/血漿の分離)の進行を検出するように構成されている1つまたは複数のセンサを備え得る。センサは、試料取得機器とモジュール式チャンバアセンブリとの間の結合/分離メカニズム(たとえば、試料取得機器とモジュール式チャンバアセンブリの入口ポートとの間の任意の結合/分離メカニズム)に対して動作可能に結合され得る。センサとしては、本明細書の他の箇所に記載のようなセンサのいずれかが可能である。
【0344】
前述の通り、入口ポートおよびチャンバの結合は、モジュール式チャンバアセンブリ内に筐体を形成し得る。一部の実施形態において、筐体は、カートリッジアセンブリでの血液の採集、処理、または保存の後、ならびに、試料取得機器からのモジュール式チャンバアセンブリの解除および取り外しの後、外部環境からカートリッジを保護するように構成可能である。モジュール式チャンバアセンブリの筐体は、本明細書に開示のような(たとえば、本明細書の第III項に記載のような)任意の輸送スリーブの1つまたは複数の構成要素として機能することも可能であるし、1つまたは複数の構成要素を利用することも可能である。このため、一部の例において、入口ポート/チャンバ筐体自体は、保存/輸送包装として使用され得る。
【0345】
一部の実施形態において、モジュール式チャンバアセンブリは、単一のカートリッジアセンブリを備え得る。代替実施形態において、モジュール式チャンバアセンブリは、2つまたはそれよりも多くのカートリッジアセンブリ(たとえば、複数の異なるカートリッジタイプの2つまたはそれよりも多く)を備え得る。場合により、モジュール式チャンバアセンブリは、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、またはそれよりも多くのカートリッジアセンブリを備え得る。モジュール式チャンバアセンブリは、多くても10個、9つ、8つ、7つ、6つ、5つ、4つ、3つ、または2つのカートリッジアセンブリを備え得る。一部の例において、モジュール式アセンブリは、異なる種類の2つのカートリッジ(すなわち、異なる種類の第1のカートリッジアセンブリおよび第2のカートリッジアセンブリ)に結合され得る。モジュール式チャンバアセンブリは、(1)採集された血液の第1の部分を第1のカートリッジアセンブリ中に誘導し、(2)採集された血液の第2の部分を第2のカートリッジアセンブリ中に誘導するように構成可能である。第1および第2のカートリッジアセンブリへの採集間の遷移は、手動で(たとえば、モジュール式チャンバアセンブリに対して動作的に結合されているスイッチを介してユーザにより)実行することも可能であるし、自動で(たとえば、本明細書に開示のような1つまたは複数のセンサにより)実行することも可能である。一部の例において、複数のカートリッジアセンブリは、たとえば試料取得機器から第1のカートリッジアセンブリおよび第2のカートリッジアセンブリへの流体連通を形成するタンデム状に結合され得る。
【0346】
一部の実施形態において、カートリッジアセンブリは、モジュール式チャンバアセンブリのチャンバに対して解除可能に結合され得るため、チャンバから解除可能である。場合により、モジュール式チャンバアセンブリは、新たなカートリッジアセンブリで再利用可能となり得る。たとえば、モジュール式チャンバアセンブリは、使用済みのカートリッジアセンブリを取り外し、複数の異なるカートリッジアセンブリタイプの新たなカートリッジアセンブリを設置することによって、2回以上(たとえば、2回、3回、4回、5回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、またはそれよりも多くの回数)使用可能である。場合により、モジュール式チャンバアセンブリは、試料取得機器への結合に先立って、真空下となり得る。このような場合は、新たなカートリッジアセンブリの設置により、この新たなカートリッジアセンブリを含む再利用可能なモジュール式チャンバアセンブリの使用に先立って、別個の真空機器の使用によりモジュール式チャンバアセンブリ内に真空が確立され得る。
【0347】
図7A図7Dは、本明細書に開示のようなモジュール式チャンバアセンブリのさまざまな実施形態を示している。図7Aは、試料採集、処理、および保存のためのモジュール式チャンバアセンブリ600の斜視図(左2つ)および側面断面図(右端)を示す。モジュール式チャンバアセンブリ600は、入口ポート610を備え得る。場合により、入口ポートとしては、キャップが可能である。キャップとしては、穿孔可能な自己封止キャップが可能である。キャップは、モジュール式チャンバアセンブリの残りの部分から取り外し可能である。モジュール式チャンバアセンブリ600は、チャンバ620(たとえば、チューブまたはチューブアセンブリ)をさらに備え得る。チャンバ620は、カートリッジアセンブリ630を備え得る。カートリッジアセンブリは、複数の異なる様式での血液の採集、処理、または保存を可能にする複数の異なるカートリッジアセンブリタイプの1つを含み得る。複数の異なる様式には、血漿、血清、乾燥血液、液体血液、または凝固血液を含み得る。たとえば、カートリッジアセンブリ630は、カートリッジ640を備え得る。カートリッジ640は、対象から血液またはその一部を吸収して採集する1つまたは複数のマトリクスストリップ642を備え得る。また、カートリッジ640は、過剰な血液を保持して計量するための1つまたは複数の吸収性パッド644を備え得る。マトリクスストリップ642および吸収性パッド644は、互いに流体連通可能である。カートリッジアセンブリは、接続ポート646をさらに備え得る。接続ポート646は、入口ポート610およびカートリッジアセンブリ630に結合(たとえば、解除可能に結合)するように構成可能である。たとえば、接続ポートは、入口ポートおよびマトリクスストリップと流体連通することにより、試料取得機器から入口ポートを通ってマトリクスストリップ中/マトリクスストリップ上に至る血液の採集を可能にし得る。接続ポートは、さまざまな形状およびサイズを有し得る。たとえば、接続ポートの形状としては、球、直方体、もしくは円板、またはこれらの形状の任意の部分形状もしくは組み合わせが可能である。接続ポートの断面としては、円形、楕円形、長円形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、またはこれらの形状の任意の部分形状もしくは組み合わせを有することが可能である。場合により、接続ポートは、入口ポートまたはカートリッジアセンブリの一部として事前の組み立てまたは作製が可能である。一例において、接続ポート646としては、入口ポートとカートリッジアセンブリ630との間の血液流路として機能する漏斗が可能である。
【0348】
一部の実施形態において、図7Aに示すように、モジュール式チャンバアセンブリ600は、試料の乾燥および/または乾燥維持に使用可能な乾燥剤650をさらに備え得る。乾燥剤は、チャンバ620内に配設可能である。乾燥剤としては、単一の固体材料が可能である。乾燥剤は、複数の乾燥剤粒子を含み得る。乾燥剤粒子は、コンテナ(たとえば、パウチ)内に格納され得る。
【0349】
図7Bは、一部の実施形態に係る、対象から血液試料を採集して保存するためのモジュール式チャンバアセンブリおよび試料取得機器の動作および使用の原理を示している。試料取得機器900aは、入口ポート610(たとえば、穿孔可能な自己封止キャップ)を貫通することにより、モジュール式チャンバアセンブリ600の少なくとも一部(たとえば、カートリッジ640を備えるカートリッジアセンブリ630)との流体連通を確立するように構成されている突起または穿孔要素975(たとえば、ニードル)を備え得る。場合により、穿孔要素975は、接続ポート646を貫通するように構成可能である。あるいは、図7Bの右側の画像に示すように、モジュール式チャンバアセンブリ600が試料取得機器900bに結合された場合は、穿孔要素975の遠位端が接続ポート646内に貫通することなく配設され得るため、接続ポート646は、採集された血液を受容して、この採集された血液をカートリッジアセンブリ630中に誘導することができる。モジュール式チャンバアセンブリ600の試料取得機器900aへの結合のさまざまな斜視図を図7Cに示す。モジュール式チャンバアセンブリは、(600および601で示すように)さまざまな長さおよび/または直径を有することができ、試料取得機器900aは、異なる種類および寸法のモジュール式チャンバアセンブリと適合するように構成可能である。試料取得機器900aは、対象の皮膚を受容するように構成されている凹部980を備え得る。凹部980は、ランセット910の穿孔要素が対象の皮膚を穿孔し得るように構成されている開口985を含み得る。ランセットは、穿孔作動器166を備え得る。穿孔作動器は、ボタン167を備え得る。
【0350】
一部の実施形態において、モジュール式チャンバアセンブリまたはその構成要素(たとえば、カートリッジアセンブリ)は、(たとえば、周囲圧力を下回る)事前の排気によって、対象からの採血のための真空を与え得る。入口ポート(たとえば、キャップ)は、使用に先立って真空を維持するシールを形成可能である。代替実施形態においては、試料取得機器による採血に対して真空が与えられ得る。一部の実施形態において、試料をモジュール式チャンバアセンブリに採集した後、入口ポートは、保存/輸送時のモジュール式チャンバアセンブリ内の環境を維持するシールを形成可能である。
【0351】
一部の実施形態において、モジュール式チャンバアセンブリは、真空チャンバおよび/または堆積チャンバ(または、カートリッジチャンバ、試料チャンバ等)として機能し得る。たとえば、試料取得機器の本体にモジュール式チャンバアセンブリを完全に挿入してモジュール式チャンバアセンブリと試料取得機器とを完全に結合すると、試料取得機器の本体の突起(たとえば、ニードル)がモジュール式チャンバアセンブリのキャップの穿孔を開始して、真空を作動させることができる。このため、本例においては、試料取得機器が別個の真空アクチュエータボタンを要さない場合もあるし、その必要がない場合もある。モジュール式チャンバアセンブリと試料取得機器の本体との間の結合および分離は、片手または両手で操作され得る。場合により、モジュール式チャンバアセンブリと試料取得機器との間の完全な結合は、強制停止、モジュール式機器上のマーキング、クリック音、または他のメカニズムにより示され得る。
【0352】
前述の通り、モジュール式チャンバアセンブリは、複数の異なる様式での血液の採集、処理、または保存を可能にするための複数の異なるカートリッジアセンブリタイプを支持する(たとえば、複数の異なるカートリッジアセンブリタイプに結合する)ように構成されているチャンバを備え得る。図7Dに示すように、モジュール式チャンバアセンブリ600はカートリッジアセンブリ630を備え得るが、このカートリッジアセンブリ630は、対象から血液またはその一部を吸収して採集するように構成されている1つまたは複数のマトリクスストリップ642を備える。別の例において、モジュール式チャンバアセンブリ700はカートリッジアセンブリを備え得るが、このカートリッジアセンブリは、液体血液を採集するように構成されているコンテナ(たとえば、チューブ採集器)710を備える。コンテナ710は、(図5A図5Cに示すように)カートリッジアセンブリ500の1つまたは複数の構成要素を利用して、液体試料を採集することができる。図7Dを参照して、別のモジュール式チャンバアセンブリ800はカートリッジアセンブリを備え得るが、このカートリッジアセンブリは、たとえば血清または血漿の分離および保存のための1つまたは複数の血液分離膜810を備える。血液分離膜810は、(図3A図3Fおよび図4に示すように)カートリッジ300または400の1つまたは複数の構成要素を利用して、血液の分離および採集を行うことができる。
【0353】
一部の実施形態において、モジュール式チャンバアセンブリのチャンバ(または、ハウジング)は、さまざまな形状およびサイズを有し得る。たとえば、チャンバの形状としては、球、直方体、もしくは円板、またはこれらの形状の任意の部分形状もしくは組み合わせが可能である。チャンバの断面としては、円形、楕円形、長円形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、またはこれらの形状の任意の部分形状もしくは組み合わせを有することが可能である。場合により、チャンバは、当該チャンバの長さに沿って同じ断面寸法を有し得る。あるいは、チャンバは、当該チャンバの長さに沿って異なる断面寸法を有し得る。一部の例において、チャンバは、保存用の1つもしくは複数のツール(たとえば、ベンチトップラック)または処理用の1つもしくは複数のツール(たとえば、血液分離用の遠心分離機または標準チューブラック)と適合するチューブの形状が可能である。この適合性によって、自動化された実験手順とのモジュール式チャンバアセンブリの一体化が可能となり得る。
【0354】
モジュール式チャンバアセンブリのチャンバ(たとえば、図7Aに示すようなチャンバ620)の断面直径は、外径(OD)または内径(ID)と称し得る。断面直径としては、少なくとも約0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mm、50mm、またはそれよりも大きな直径が可能である。ハウジングの断面直径としては、大きくても約50mm、45mm、40mm、35mm、30mm、25mm、20mm、19mm、18mm、17mm、16mm、15mm、14mm、13mm、12mm、11mm、10mm、9mm、8mm、7mm、6mm、5mm、4mm、3mm、2mm、1mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、またはそれよりも小さな直径が可能である。チャンバ(たとえば、チャンバ620)の長手方向の長さとしては、少なくとも約1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、5mm、5.5mm、6mm、6.5mm、7mm、7.5mm、8mm、8.5mm、9mm、9.5mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mm、50mm、55mm、60mm、65mm、70mm、75mm、80mm、85mm、90mm、95mm、100mm、110mm、120mm、130mm、140mm、150mm、200mm、250mm、300mm、350mm、またはそれよりも大きな長さが可能である。ハウジングの長手方向の長さとしては、大きくても約350mm、300mm、250mm、200mm、150mm、140mm、130mm、120mm、110mm、100mm、95mm、90mm、85mm、80mm、75mm、70mm、65mm、60mm、55mm、50mm、45mm、40mm、35mm、30mm、25mm、20mm、15mm、10mm、9.5mm、9mm、8.5mm、8mm、7.5mm、7mm、6.5mm、6mm、5.5mm、5mm、4.5mm、4mm、3.5mm、3mm、2.5mm、2mm、1.5mm、1mm、またはそれよりも小さな長さが可能である。一部の例において、モジュール式チャンバアセンブリのチャンバは、直径約13mmおよび長さ約100mm、直径約13mmおよび長さ約75mm、直径約13mmおよび長さ約66mm、直径約13mmおよび長さ約50mm、直径約16mmおよび長さ約100mm、直径約16mmおよび長さ約75mm、直径約16mmおよび長さ約50mm、または好ましくは直径約16mmおよび長さ約46mmが可能である。一部の好適な実施形態において、モジュール式チャンバアセンブリのチャンバの長さとしては、大きくても約75mmまたはそれよりも小さな長さが可能である。
【0355】
一部の実施形態において、本明細書に開示のような(たとえば、モジュール式チャンバアセンブリ600の)試料チャンバの封入チャンバの体積(たとえば、閉鎖または封止体積)は、試料採集に十分な真空圧力を与えるように選択され得る。場合により、封入チャンバの体積は、(たとえば、漏出による)貯蔵中の圧力損失に対応するためなど、試料採集に必要とされるまたは要求されるよりも大きな真空圧力を与えるように設計され得る。場合により、封入チャンバの体積は、本明細書に開示の通り、採集された試料の種類および/または採集された試料の処理の種類に基づいて選択され得る。たとえば、モジュール式チャンバアセンブリの内部体積としては、少なくとも約1立方センチメートル(cm)、1.5cm、2cm、2.5cm、3cm、3.5cm、4cm、4.5cm、5cm、6cm、7cm、8cm、9cm、10cm、11cm、12cm、13cm、14cm、15cm、20cm、25cm、またはそれよりも大きな体積が可能である。モジュール式チャンバアセンブリの内部体積としては、大きくても約100cm、90cm、80cm、70cm、60cm、50cm、45cm、40cm、35cm、30cm、25cm、20cm、15cm、14cm、13cm、12cm、11cm、10cm、9cm、8cm、7cm、6cm、5cm、4.5cm、4cm、3.5cm、3cm、2.5cm、2cm、1.5cm、1cm、またはそれよりも小さな体積が可能である。一部の例において、モジュール式チャンバアセンブリの内部体積は、約5cm~約8cm、約6.5cm~約7.5cm、または好ましくは約5.5cm~約6cmの範囲が可能である。
【0356】
モジュール式チャンバアセンブリのキャップ(たとえば、図7Aに示すような入口ポート610)は、高さおよび断面寸法(たとえば、直径)を有することにより特徴付けられ得る。キャップの高さとしては、少なくとも約0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、15mm、20mm、30mm、またはそれよりも大きな高さが可能である。キャップの高さとしては、大きくても約30mm、20mm、15mm、10mm、9mm、8mm、7mm、6mm、5mm、4mm、3mm、2mm、1.5mm、1.4mm、1.3mm、1.2mm、1.1mm、1mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、0.1mm、またはそれよりも小さな高さが可能である。キャップの断面直径としては、少なくとも約0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、25mm、30mm、またはそれよりも大きな直径が可能である。キャップの断面直径としては、大きくても約30mm、25mm、20mm、19mm、18mm、17mm、16mm、15mm、14mm、13mm、12mm、11mm、10mm、9mm、8mm、7mm、6mm、5mm、4mm、3mm、2mm、1.5mm、1.4mm、1.3mm、1.2mm、1.1mm、1mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、0.1mm、またはそれよりも小さな直径が可能である。キャップの断面直径は、約0.5mm~約1.1mm、約0.8mm~約1.4mm、または好ましくは約0.7mm~約1mmの範囲が可能である。
【0357】
本明細書に開示の機器、システム、方法、またはキットのいずれかにおいて、試料取得機器(すなわち、試料取得機器)は、モジュール式が可能である。このような機器は、「モジュール式試料取得機器」と称し得る。モジュール式試料取得機器は、本明細書に開示の任意の試料取得機器(たとえば、図1A図3D、および図5Bの機器100ならびに図7Bおよび図7Cの機器900a)の1つまたは複数の構成要素を備え得る。使用時、モジュール式試料取得機器は、本明細書に開示の任意の試料チャンバ(たとえば、非モジュール式およびモジュール式の両試料チャンバ)に対して動作的に結合され得る。
【0358】
図8Aは、一部の実施形態に係る、モジュール式試料取得機器900bのさまざまな構成要素の斜視図を示す。場合により、図8Aの機器900bは、動作および機能のための構成要素が少ない点において、図1Bの機器100よりもコンパクトになり得る。たとえば、図8Aに示す機器は、ハウジング(たとえば、図1Bのカバー152)を要さなくてもよく、その必要もない。あるいは、図8Aの機器は、依然としてハウジングを備え得る。図8Aに示す機器900bは、穿刺アセンブリ910および基部または本体920等のモジュール式構成要素を備え得る。機器900bは、カートリッジアセンブリ630を含むモジュール式チャンバアセンブリ600に対して動作的に結合され得る。一例において、機器900bは、対象から試料を採集するためのモジュール式チャンバアセンブリ600と併せて、本体(または、基部)920および穿刺アセンブリ910のみを必要とし得る。モジュール式試料取得機器900bは、対象の皮膚を受容するように構成されている凹部980を備え得る。凹部980は、ランセットアセンブリ910の穿孔要素が対象の皮膚を穿孔し得るように構成されている開口985を含み得る。ランセットアセンブリ910は、図1Aに記載のようなランセットに類似し得る。たとえば、ランセットアセンブリ910は、穿孔作動器166を備え得る。穿孔作動器は、ボタン167を備え得る。モジュール式試料取得機器900bの本体は、本開示の他の箇所に記載の通り、モジュール式チャンバアセンブリの複数の異なる構成を支持または受容するように構成されているスリーブ990を備え得る。スリーブ990は、モジュール式チャンバアセンブリへの試料採集の進行をユーザが視認できるようにする切り欠き995を含み得る。一例において、図8Aに示すモジュール式チャンバアセンブリ600は、(1)対象から試料(たとえば、血液またはその成分)を採集する採集ユニットおよび(2)別個の保存/輸送機器を要することなく採集された試料を保存/輸送するための輸送ユニットの両者として機能するように構成可能である。図8Cに示すモジュール式チャンバアセンブリは、事前に排気された真空を有して提供され得る。モジュール式チャンバアセンブリがモジュール式試料取得機器の本体に結合された場合は、モジュール式チャンバアセンブリ中の真空の作動により、穿刺アセンブリのランセットを使用して皮膚を穿孔する準備として、対象の皮膚を(図8Bに示すような)本体920の凹部980に引き込むことができる。図8Cは、モジュール式チャンバアセンブリのないモジュール式試料取得機器900bの斜視図を示す。モジュール式試料取得機器900bは、本体920に結合されている穿刺アセンブリ910を備える。本体920は、モジュール式チャンバアセンブリ600の少なくとも一部を貫通してモジュール式試料取得機器900bとモジュール式チャンバアセンブリ600とを流体連通させるように構成されている少なくとも1つの突起975を備え得る。
【0359】
図8Dにさらに示すように、モジュール式試料取得機器900bは、基部/本体920に対して動作的に結合されている穿刺アセンブリ910を備え得る。簡潔には、基部920が対象の皮膚と接触可能であり、穿刺アセンブリ910が皮膚を切開して対象から試料(たとえば、血液)を採集可能である。基部920は、本明細書に開示のモジュール式チャンバアセンブリのいずれか(たとえば、モジュール式アセンブリ600、700、または800)を受容するように構成されているポートを備え得る。たとえば、入口ポート610(たとえば、穿孔可能な自己封止キャップ)およびカートリッジアセンブリ630を備えるモジュール式チャンバアセンブリ600は、試料取得機器900と併せて使用可能である。モジュール式チャンバアセンブリ600は機器900に挿入可能であって、その際、モジュール式試料取得機器900の穿孔要素975が入口ポート610を穿孔して、モジュール式チャンバアセンブリ600の接続ポート646およびカートリッジアセンブリ630との流体連通を生成する。その後、血液がカートリッジアセンブリ630に採集され得、処理され得る。採集後は、保存または輸送のため、モジュール式チャンバアセンブリ600を機器900から後退させることができる。
【0360】
図8Eは、一部の実施形態に係る、例示的なモジュール式試料取得機器900bおよびモジュール式チャンバアセンブリ600の動作および使用の原理を示している。図8Eに記載のプロセスのいずれかは、本開示の試料取得機器および試料チャンバのいずれかにより実行され得ることに留意されたい。図8Eを参照して、モジュール式チャンバアセンブリ600は、モジュール式試料取得機器900bと別々に包装され得る(または、別々に提供され得る)。一部の代替実施形態において、モジュール式チャンバアセンブリ600は、モジュール式試料取得機器に対する部分的結合ユニットとして包装され得る。分離または部分的結合のいずれを問わず、モジュール式試料取得機器900bの突起(たとえば、ニードル975)は、使用/操作前の真空の作動を回避するため、モジュール式チャンバアセンブリ600(たとえば、入口ポート610)を貫通し得ない。たとえばモジュール式チャンバアセンブリ600からの真空圧力によってモジュール式試料取得機器900b中の真空を作動させるため、モジュール式チャンバアセンブリ600は、たとえば図8Eの矢印1005が示すような方向で、モジュール式試料取得機器900bに完全に結合され得る。モジュール式試料取得機器900bおよびモジュール式チャンバアセンブリ600を備えるシステムを使用して対象の血液を採集および/または処理した後、モジュール式チャンバアセンブリ600は、たとえば矢印1010が示すような方向で、モジュール式試料取得機器900bから分離され得る。モジュール式チャンバアセンブリ600は、保存または輸送中に採集された血液試料を保護するように構成可能である。(たとえば、マトリクスストリップ642に保存されている)採集された試料を回収して別の処理または分析(たとえば、血液分離、血液試験、遺伝学的スクリーニング等)を行うため、たとえば矢印1015が示すような方向にて、少なくともモジュール式チャンバアセンブリ600のキャップ(たとえば、入口ポート610)をモジュール式チャンバアセンブリ600から分離することにより、採集された試料へのアクセスが可能となり得る。
【0361】
図9は、モジュール式チャンバアセンブリ600aまたは600b(図示しないカートリッジアセンブリまたは乾燥剤)に対して動作的に結合されているモジュール式試料取得機器900bの一例を示している。モジュール式チャンバアセンブリ600aおよび600bは、異なる寸法(たとえば、異なる長手方向の長さ)を有し得る。本明細書に記載の通り、試料取得機器900bは、穿刺アセンブリ910および基部/本体920を備え得る。基部920は、たとえば(1)穿刺アセンブリ910に結合することと、(2)(たとえば、当該基部920の凹部または吸引キャビティを介して)対象の皮膚に接触することと、(3)モジュール式チャンバアセンブリに結合すること(たとえば、解除可能に結合すること)と、を行うように構成可能である。基部920は、フランジ930を備え得る。ユーザは、指を使ってフランジ930を押圧することにより、モジュール式試料取得機器900bおよびモジュール式チャンバアセンブリ600a/600bを備えるシステムを動作させることができる。場合により、フランジ930は、モジュール式試料取得機器およびモジュール式チャンバアセンブリの使用時にユーザの手の指または親指が押圧して支持するための窪み935(たとえば、凹部)を含み得る。たとえば、片手操作において、ユーザは、親指をフランジ930に押し付け、1つもしくは複数の他の指または同じ手の他の部分(たとえば、手のひら)を使用して、モジュール式チャンバアセンブリのモジュール式試料取得機器への結合(たとえば、押し)またはモジュール式試料取得機器からのモジュール式チャンバアセンブリの分離(たとえば、引き)を行うことができる。あるいは、ユーザは、モジュール式試料取得機器900bの本体上の残りの部分940に親指を押し付け、1つもしくは複数の他の指または同じ手の他の部分を使用して、モジュール式チャンバアセンブリをモジュール式試料取得機器に結合することができる。場合により、窪み935は、フランジ930の左側、中央、または右の部分に配設可能である。たとえば、フランジ930内の窪み935の位置は、試料取得機器の右利き使用または左利き使用(対掌性)に応じて決まり得る。場合により、ハンドル930は、2つ以上の窪み(たとえば、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれよりも多くの窪み)を含み得る。たとえば、フランジ930は、左利きおよび右利きの両操作に適合するため、(フランジの両側に)2つの窪みを含み得る。
【0362】
本開示の別の態様は、対象から血液を採集して保存するためのシステムを提供する。このシステムは、本明細書に記載の試料取得機器のいずれか(たとえば、モジュール式試料取得機器および/または非モジュール式試料取得機器)を備え得る。このシステムは、本明細書に記載のモジュール式チャンバアセンブリまたは他の種類の試料チャンバのいずれかをさらに備え得る。一部の実施形態において、試料取得機器は、オンボード真空を含み得る。このような真空は、皮膚が穿孔されたときに対象から血液を採取するために対象の皮膚を試料取得機器に向かって引っ張るのに十分となり得る。代替実施形態において、モジュール式チャンバアセンブリは、オンボード真空によって予備包装可能であり、このような真空の試料取得機器のその他の部分への通気は、皮膚が穿孔されたら対象から血液を採取するために、対象の皮膚を試料取得機器に向かって引っ張るのに十分となり得る。
【0363】
本開示の別の態様は、(たとえば、血液の採集、処理、または保存のための)方法を提供する。この方法は、本明細書に記載の試料取得機器のいずれか(たとえば、モジュール式試料取得機器および/または非モジュール式試料取得機器)を使用して対象から血液を採集することを含み得る。この方法は、本明細書に記載のモジュール式チャンバアセンブリまたは他の種類の試料チャンバのいずれかを使用することにより、複数の異なるカートリッジアセンブリタイプの1つまたは複数において血液を採集、処理、または保存することをさらに含み得る。
【0364】
本開示の別の態様は、本明細書に記載の試料取得機器のいずれか(たとえば、モジュール式試料取得機器および/または非モジュール式試料取得機器)と、本明細書に記載のモジュール式チャンバアセンブリのいずれかと、本明細書に記載の複数の異なるカートリッジアセンブリタイプのいずれかと、を備えるキットを提供する。このキットは、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、15個、20個、またはそれよりも多くのカートリッジアセンブリを備え得る。このキットは、多くても20個、15個、10個、9つ、8つ、7つ、6つ、5つ、4つ、3つ、または2つのカートリッジアセンブリを備え得る。
【0365】
F.流量計
一部の実施形態において、この機器は、図1Aに示すように、ハウジング上に流量計170を備え得る。流量計は、本明細書においては交換可能に計量窓(または、複数の計量窓)と称し得る。流量計は、流体試料が試料チャンバに採集されている場合に、流体試料の採集(たとえば、血液試料の採集)の進行を対象またはユーザがリアルタイムでモニタリングできるようにし得る。たとえば、ユーザ(たとえば、対象)は、流量計に依拠して、流体試料の採集の完了または略完了を決定することができる。一部の実施形態において、流量計は、ハウジング基部110上に設けることができる。たとえば、流量計は、ハウジング基部の蓋の一部とすることも可能であるし、ハウジング基部の蓋に組み込むことも可能である。流量計は、堆積チャンバ(または、カートリッジチャンバ)に近接可能である。流量計は、堆積チャンバ(または、カートリッジチャンバ)の直上に配置可能である。流量計は、試料チャンバがカートリッジチャンバに挿入されている場合、試料チャンバの少なくとも一部(たとえば、カートリッジアセンブリのカートリッジ182)と実質的に位置合わせされ得る。
【0366】
一部の実施形態において、流量計170は、試料チャンバの長手方向軸と平行に配設されている複数の窓を備え得る。複数の窓には、3つ、4つ、5つ、またはそれよりも多くの窓を含み得る。窓は、カートリッジ中の下層のマトリクスをユーザ(たとえば、対象)が視認できるようにする光学的に透明な材料で構成され得る。マトリクス上に採集された試料(たとえば、流体試料)は、窓を通して視認可能となり得る。流体試料およびカートリッジのマトリクスは、当該マトリクスに沿う当該流体試料の流れを容易に視認できるように、異なる色、好ましくは高コントラストの色を有し得る。流体試料の色(たとえば、血液の赤色)は、流体試料がカートリッジのマトリクス上に採集されている場合に、各窓を順次満たすことができる。各窓は、採集された流体試料の既知量を示すことができる。一部の代替実施形態(図示せず)において、流量計は、1つまたは複数の可視マーカを備え得る。可視マーカは、流量計の窓を代替することも可能であるし、計量窓と併せて使用することも可能である。可視マーカは、肉眼で視認可能となり得る。可視マーカには、画像、形状、記号、文字、数字、バーコード(たとえば、1D、2D、または3Dバーコード)、クイックレスポンス(QR)コード、または任意の他の種類の視覚的に識別可能な特徴を含み得る。可視マーカには、相互に識別可能であり得る光(LED光を含む)の配列または順番を含み得る。
【0367】
場合により、可視マーカは、熱または他のIRスペクトル放射、UV放射、電磁スペクトルに沿う放射を放出し得る。別の例において、試料取得機器または流量計は、ユーザが検出し得る異なる周波数、ピッチ、高調波、範囲、または音声パターンの振動または音声を放出し得る。たとえば、これらの音声には、単語または楽音を含み得る。これらの振動/音声は、人間の耳により識別可能であり得る。これらの振動/音声は、流体試料の採集プロセスの進行を示すのに使用可能である。たとえば、流体試料がマトリクス上に流れ始めた場合には、第1の振動/音声が生成され得、流体試料がマトリクスを完全に満たした場合には、第1の振動/音声と異なる第2の振動/音声が生成され得る。
【0368】
一部の実施形態において、流量計は、特徴、比色変化、記号の表示、記号のマスキング、または流体試料の採集の進行を示す他の手段を検出し(たとえば、対象等のユーザが視認できるようにし)、流体試料の採集が完了したことを示すのに使用可能である。
【0369】
一部の実施形態においては、試料取得機器および/または試料チャンバ上に1つまたは複数のグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を設けることができる。GUIは、流量計の使用を補完することができる。一部の実施形態においては、流量計の機能をGUIに組み込むことができる。GUIは、機器上の表示画面に表現され得る。GUIは、テキストハウジングベースのインターフェース、タイプされたコマンドラベル、またはテキストナビゲーションとは対照的に、グラフィカルアイコンおよび二次表記等の視覚的インジケータを通じてユーザが電子機器と相互作用できるようにするインターフェースの一種である。GUIにおける動作は、グラフィカル要素を直接操作することにより実行され得る。GUIは、コンピュータのほか、MP3プレーヤ、ポータブルメディアプレーヤ、ゲーム機、ならびにより小型の家庭用、オフィス用、および産業用装置等の手持ち式機器に見られ得る。GUIは、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション等にて提供され得る。GUIは、モバイルアプリケーションを通じて提供され得る。GUIは、アプリケーションを通じて(たとえば、機器上で実行されるアプリケーションプログラミングインターフェース(API)を介して)表現され得る。GUIによれば、ユーザは、試料採集の進行をユーザが視覚的にモニタリング可能となり得る。一部の実施形態において、GUIによれば、ユーザは、採集された試料中の目的の検体のレベルをモニタリング可能となり得る。
【0370】
一部の実施形態において、試料取得機器および/または試料チャンバは、データをリモートサーバまたはモバイル機器に送信可能となり得る。データには、たとえばユーザの詳細/情報、試料が対象から採集された日付/時間/場所、採集された試料の量/体積、試料採集の完了に要した時間、試料採集中の最大/最小/平均流量、試料採集中の対象の腕の位置、試料採集中に何らかのエラーまたは予期せぬ事象が発生したか等を含み得る。場合により、データは、モバイル機器(たとえば、携帯電話、タブレット)、コンピュータ、クラウドアプリケーション、またはこれらの任意の組み合わせに送信され得る。データは、データ送信用の任意の手段により送信され得、その手段としては、システムからのデータのダウンロード(たとえば、USB、RS-232シリアル、もしくは他の業界標準通信プロトコル)ならびに無線送信(たとえば、Bluetooth(登録商標)、ANT+、NFC、もしくは他の類似する業界標準)が挙げられるが、これらに限定されない。情報は、レポートとして表示され得る。レポートは、上記機器またはコンピュータの画面に表示され得る。レポートは、医療機関または介護者に送信され得る。場合により、データは、電子カルテにダウンロードされ得る。データは、電子カルテを構成することも可能であるし、電子カルテの一部にすることも可能である。たとえば、データは、本明細書に記載の機器および方法のユーザの電子カルテにアップロードされ得る。場合により、データは、モバイル機器に送信され、モバイルアプリケーション上でユーザに対して表示され得る。
【0371】
III.試料採集後のカートリッジの包装および輸送
試料取得機器上で流量計を使用することにより、ユーザは、試料採集の進行をモニタリングするとともに、試料採集が完了したときを把握することが可能となり得る。試料チャンバは、当該試料チャンバの一部(たとえば、カートリッジタブ)を引っ張ることによって、試料取得機器(たとえば、機器の堆積チャンバ)から取り外し可能である。その後、試料チャンバの少なくとも一部(たとえば、充填されたカートリッジ)を包装し、(たとえば、本明細書に開示の通り、カートリッジまたはその構成要素を輸送スリーブに格納することによって)外部施設に輸送し、さらに処理することができる。たとえば、試料は、処置、安定化、および保存がなされ得る。本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、これらの機器は、試料を採集、処置、および保存するように構成可能である。機器により採取された試料は、液体または固体の形態にて保存され得る。試料は、保存に先立って、必要に応じた処置を受けることができる。保存は、機器上、機器外、または機器内の取り外し可能なコンテナ、容器、区画、もしくはカートリッジにおいて行うことができる。
【0372】
一部の実施形態において、輸送スリーブは、採集された試料(たとえば、液体血液等の液体試料)を保護または安定化するように構成可能である。輸送スリーブは、採集された試料の試験に先立って、封止された環境を生成することにより、採集された試料を保護することができる。輸送スリーブ内の封止環境は、採集された試料の周りに好ましい/安定な条件を提供(たとえば、生成)し得る。
【0373】
場合により、輸送スリーブは、周囲条件が当該輸送スリーブの1つまたは複数の内部条件(たとえば、温度、圧力、湿度等)に影響を及ぼさないようにする1つまたは複数の壁(たとえば、隔離環境を提供する二重または三重壁)を備え得る。
【0374】
場合により、採集された試料を含む封止環境は、周囲温度または発送温度での保存および/または発送中に、採集された試料の安定性を向上させる温度まで冷却(または、加熱)され得る。一例において、輸送スリーブは、少なくとも1つの温度調節器(たとえば、ペルチェ効果を利用する熱電冷却/加熱装置)を備え得る。別の例において、輸送スリーブは、少なくとも1つの化学的保冷剤を備え得る。保冷剤およびカートリッジは、輸送スリーブの同じ部分に含むことも可能であるし、輸送スリーブの別個の部分(たとえば、1つまたは複数の壁により分離されている2つの部分)に含むことも可能である。保冷剤の例としては、流体(たとえば、水性液体)および塩(たとえば、硝酸アンモニウム、チオシアン酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウム、硝酸カリウム、炭酸ナトリウム等)の組み合わせが挙げられ得るが、これに限定されない。流体および塩の物理的混合物は、塩に応じて、輸送スリーブ内の温度を変調するために吸熱または発熱反応を生じさせ得る。保冷剤の作動(たとえば、流体および塩間の障壁を破ることによる両者の物理的混合)は、(たとえば、輸送スリーブの機械的手段による自動的な)カートリッジの輸送スリーブへの挿入またはユーザ(たとえば、輸送スリーブ上に配設されているスイッチを介して)により開始され得る。流体および塩の物理的混合は、即時に(たとえば、数秒または1秒未満で)行うことができる。あるいは、(たとえば、カプセル、ゆっくり溶ける塩の錠剤等からの塩の適時の放出による)物理的混合の速度の制御によって、過冷却もしくは過加熱の防止および/または温度調節持続期間の延長が可能である。
【0375】
場合により、輸送スリーブは、熱質量または比熱が高い材料で構成可能である。輸送スリーブの温度は、クーラーまたはオーブン等の温度制御環境において予備調整(たとえば、冷却または加熱)可能である。熱質量が高い材料のため、輸送スリーブは、予備調整された温度を長時間にわたって維持することができる。温度は、付加的な断熱材料または構成要素の存在下で、さらに長時間にわたって維持され得る。高比熱材料の例としては、シアンイミド、エチルアルコール、エチルエーテル、グリセロール、イソアミルアルコール、イソブチルアルコール、水素化リチウム、メチルアルコール、酢酸ナトリウム、水、エチレングリコール、およびパラフィンワックスが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0376】
場合によっては、輸送スリーブの内部体積の一部または全部の(たとえば、周囲圧力を下回る圧力までの)排気によって、液体血液試料を隔離することができる。輸送スリーブの内部圧力は、圧力調節器(たとえば、ダイヤフラムポンプ等のポンプ)によって手動で調整され得る。
【0377】
場合によっては、本明細書に開示の1つまたは複数のグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を輸送スリーブ上に設けることができる。GUIは、輸送スリーブの使用を補完することができる。一部の実施形態においては、輸送スリーブの機能をGUIに組み込むことができる。GUIは、輸送スリーブ上の表示画面に表現され得る。GUIは、輸送スリーブの1つまたは複数の状態(たとえば、温度、圧力、湿度、タイムスタンプによる試料保存の持続期間等)のモニタリングを可能にし得る。輸送スリーブは、1つまたは複数のカメラを備えることができ、GUIは、輸送スリーブに含まれる試料の視覚化を可能にし得る。
【0378】
IV.付加的な実施形態
場合により、主題としての任意の試料チャンバ(たとえば、カートリッジアセンブリ180、300、400、500、モジュール式チャンバアセンブリ600、700、800等)を主題としての任意の試料取得機器(たとえば、試料取得機器100)と入れ替えて使用可能である。
【0379】
場合により、試料チャンバは、試料(たとえば、対象の血液)に対して付加的な処理ステップを実行するように構成可能である。(たとえば、試料取得機器の使用により)血液がカートリッジアセンブリに採集された後または採集されている間に、当該試料の処置、安定化、および/または保存がなされ得る。一部の実施形態においては、採集機器(たとえば、本願に開示の機器)が試料を採集、処置、および保存するように構成可能である。機器により採取された試料は、液体または固体の形態にて保存され得る。試料は、保存に先立って、必要に応じた処置を受けることができる。保存は、機器上、機器外、または機器内の取り外し可能なコンテナ、容器、区画、もしくはカートリッジにおいて行うことができる。
【0380】
試料取得機器は、試料の採集、採集された試料の処置、安定化、および保存を行うように構成可能である。付加的な処理(たとえば、処置、安定化、および保存)には、試料の濃縮、試料の流れの調整もしくは計量、試料の1つもしくは複数の試薬への曝露、ならびに試料の固体基材もしくはマトリクスへの堆積を行うように構成されているステップまたは方法および機器構成要素を含み得る。試料取得機器を使用するための方法は、試料の採集、処置、安定化、および保存といったプロセスのうちの1つまたは複数を実行するステップを含み得る。採集、処置、安定化、および保存は、単一の機器内で実行可能である。処置には、試料の濾過による目的の成分または検体の分離を含み得る。一部の実施形態において、採集された試料は、取り外し可能なカートリッジに移送されて保存される前に採集、処置および安定化され得る。他の実施形態において、採集、処置、および安定化を含む1つまたは複数のステップは、取り外し可能なカートリッジ上で発生し得る。
【0381】
本明細書に開示の機器、システム、および方法は、マトリクス(たとえば、血液保存マトリクス、試料採集マトリクス、マトリクス、試料安定化マトリクス、安定化マトリクス(たとえば、RNA安定化マトリクス、タンパク質安定化マトリクス)、固体マトリクス、固体基材、固体支持マトリクス、または固体支持体)上で試料を安定化させることができる。マトリクスは、機器に組み込むことも可能であるし、機器の外部に置くことも可能である。一部の実施形態においては、マトリクスをカートリッジに組み込んで(たとえば、試料採集後に)取り外すことができる。一部の実施形態において、マトリクスは、少なくとも176mmの平面寸法を有し得る。マトリクスは、米国特許第9,040,675号、米国特許第9,040,679号、米国特許第9,044,738号、または米国特許第9,480,966号の方法に従って調製され得るが、これらのすべての内容を本明細書に援用する。
【0382】
A.機器寸法
一部の実施形態において、本明細書に記載の機器は、1つまたは複数のマトリクスを備えていてもよい。マトリクスは、最適化された幅対長さ比を有し得る。1つまたは複数のマトリクスの幅-長さ比は、ある種類の試料の採集に対して最適化されていてもよい。たとえば、1つまたは複数のマトリクスの幅-長さ比は、血漿分離の量が最大となるように最適化されていてもよい。1つまたは複数のマトリクスの幅-長さ比は、所望のヘマトクリットレベル(たとえば、15~50%)、所望の血漿体積、および/または所望の試料体積に基づいて決定され得る。場合により、統合機器は、血液細胞および血漿を分離可能な1つまたは複数のマトリクスを備えていてもよい。
【0383】
場合により、1つまたは複数のマトリクスの幅-長さ比は、1:3~1:10であってもよい。場合により、1つまたは複数のマトリクスの幅-長さ比は、少なくとも約1:3であってもよい。場合により、1つまたは複数のマトリクスの幅-長さ比は、大きくても約1:10であってもよい。場合により、1つまたは複数のマトリクスの幅-長さ比は、1:3~1:4、1:3~1:5、1:3~1:6、1:3~1:7、1:3~1:8、1:3~1:9、1:3~1:10、1:4~1:5、1:4~1:6、1:4~1:7、1:4~1:8、1:4~1:9、1:4~1:10、1:5~1:6、1:5~1:7、1:5~1:8、1:5~1:9、1:5~1:10、1:6~1:7、1:6~1:8、1:6~1:9、1:6~1:10、1:7~1:8、1:7~1:9、1:7~1:10、1:8~1:9、1:8~1:10、または1:9~1:10であってもよい。場合により、1つまたは複数のマトリクスの幅-長さ比は、約1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、または1:10であってもよい。一部の好適な実施形態において、1つまたは複数のマトリクスの幅-長さ比は、1:3~1:5であってもよい。1つまたは複数のマトリクスの好ましい幅-長さ比は、全血対血漿領域が50:50のマトリクスをもたらし得る。好適な一実施形態において、マトリクスは、血液の体積を150~200μLに安定化させるように最適化されていてもよい。たとえば、図22は、マトリクスを示し、ここではマトリクスに適用された血液体積が細胞および血漿へと濾過される。図22に示すマトリクスは、全血対血漿領域が50/50となる幅および長さを有していてもよい。好適な一実施形態において、マトリクスは、全血および血漿を明確に分離し得る。好適な一実施形態において、マトリクスは、高濃縮の血漿で満たされた大きな血漿領域をもたらし得る。
【0384】
場合により、幅-長さ比は、所与のマトリクス材料、試料体積の範囲、ヘマトクリットレベルの範囲、および/またはマトリクス材料の厚さに対して、血漿分離の量が最大となるように最適化されていてもよい。また、所与の試料体積に対して、濃縮される一方で十分に拡がる血漿面積をもたらす理想的な幅-長さ比が存在していてもよい。
【0385】
場合により、機器寸法が最適化されると、一部の膜が全血で完全に飽和し、血漿領域が残らない可能性(過飽和)がある。他の場合には、膜が全血をすべて吸収し、血漿を分離しない可能性(不飽和)もある。場合によっては、血漿面積への溶血によって汚染が生じる可能性もある。場合によっては、全血に対する分離血漿の比が50/50近くになることがあり、良好な飽和は、所与の領域に対して血漿の収量が高いことを示唆する。場合により、最適化された機器寸法は、代替的な形状よりも高品質かつ処理が容易な高密度の十分に拡がる血漿をもたらし得る。
【0386】
最適化された機器寸法の利点として、たとえば表面積当たりの血漿体積収量が最適化され、血漿/全血表面積がより大きくなり、より多くの血漿がより大きな面積に拡がり(これにより、分析可能な多数のバイオマーカに役立ち、パンチ、切断等によるカードからの血漿の抽出が容易になる)、さまざまな試料体積(たとえば、150~250μLの間)に対する柔軟性が増し、さまざまな試料ヘマトクリットレベル(たとえば、15~50%の間)に対する柔軟性が増し、ユーザ体験が最適化され(たとえば、採血時間は10分未満)、製造が容易になる、ことが挙げられ得る。さらに、場合によっては、血漿分離の後、全血領域(赤血球)が破壊されない可能性があり、実際には保存されて、1つまたは複数の検体の抽出に十分となり得る。
【0387】
マトリクスは、タンパク質および/または核酸を含む試料調製試薬を選択的に安定化させるように構成可能である。マトリクスは、タンパク質を安定化させるように構成可能であり、核酸は、実質的に乾燥した状態下にあるオリゴ糖(たとえば、三糖類)を含み得る。オリゴ糖または三糖類は、メレジトース、ラフィノース、マルトトリウロース、イソマルトトリオース、ニゲロトリオース、マルトトリオース、ケトース、シクロデキストリン、トレハロースまたはこれらの組み合わせを含む群から選択され得る。一部の実施形態において、マトリクスは、メレジトースを含み得る。さらなる実施形態において、メレジトースは、実質的に乾燥した状態下にあり得る。一部の実施形態において、実質的に乾燥した状態下にあるメレジトースは、2%未満の水分含有量を有し得る。マトリクスにおいて、メレジトースの濃度は、質量による約10%~約30%の重量パーセントの範囲が可能である(たとえば、溶液が溶質および溶媒の両者を一緒に含む場合は、溶質の質量を溶液の質量で除したものとして計算する)。メレジトースの濃度としては、質量による15%の重量パーセントが可能である。メレジトースは、マトリクスに含浸可能である。一部の実施形態において、マトリクス中の含浸メレジトース濃度は、約10~約30%の間を含むメレジトース溶液にマトリクスを浸漬することにより得られる。一部の他の実施形態において、乾燥状態のマトリクスには、15%のメレジトースが含浸される。マトリクスは、メレジトースによる受動的な被覆または共有結合修飾が可能である。他の実施形態においては、メレジトースが(たとえば、浸漬、噴霧、刷毛塗等によって)マトリクスの表面に適用され得る。一部の他の実施形態において、マトリクスは、メレジトースの15%溶液で被覆され得る。一部の実施形態において、マトリクスは、表面積が少なくとも176mmの平面寸法を有し得る。マトリクスは、タンパク質および/または核酸を安定化させる付加的な成分(さまざまな安定化分子を含む)を含み得る。安定化分子の非限定的な一例は、バリダマイシンである。一部の実施形態において、マトリクスは、31-ETF(たとえば、セルロース系マトリクス)およびメレジトースを含み得る。
【0388】
マトリクスは、緩衝試薬を含み得る。緩衝試薬は、マトリクスに含浸され得る。緩衝液は、試料調製試薬および/またはさまざまな試料成分を安定化させ得る。マトリクスは、ヌクレアーゼ活性を最小限に抑える試薬または化合物(たとえば、ヌクレアーゼ阻害剤)を含み得る。マトリクスは、プロテアーゼ活性を最小限に抑えるまたは阻害する試薬または化合物(たとえば、プロテアーゼ阻害剤)を含み得る。プロテアーゼ阻害剤としては、合成のものであり得るか天然に存在し得る(たとえば、天然に存在するペプチドもしくはタンパク質)。マトリクスは、1つまたは複数のフリーラジカル捕捉剤を含み得る。マトリクスは、UV保護剤またはフリーラジカルトラップを含み得る。また、マトリクスは、酸素捕捉剤(たとえば、炭酸鉄および金属ハロゲン化物)を含み得る。他の酸素捕捉剤としては、アスコルビン酸塩、炭酸水素ナトリウム、および柑橘類が挙げられ得る。マトリクスは、細胞溶解試薬を含み得る。細胞溶解試薬には、チオシアン酸グアニジニウム、塩酸グアニジニウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、アルギニン、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、尿素、またはこれらの組み合わせを含み得る。固体支持マトリクスは、還元剤を含み得る。
【0389】
一部の実施形態において、マトリクスは、モノリシック膜であってもよい。一部の実施形態において、マトリクスは、血漿から血液細胞を分離するとともに血液試料を安定化させ得るモノリシックマトリクスであってもよい。一部の実施形態において、マトリクスは、血漿から血液細胞を分離するとともに血液細胞および血漿を安定化させ得るモノリシックマトリクスであってもよい。場合により、マトリクスは、全血細胞を安定化させる試薬で処置され得る。場合により、マトリクスは、血液検体を安定化させる試薬で処置され得る。場合により、マトリクスは、血漿を安定化させる試薬で処置され得る。場合により、マトリクスは、全血細胞および血漿を安定化させる試薬で処置され得る。場合によっては、全血細胞を安定化させる試薬でマトリクスの第1の部分が処置され得、血漿を安定化させる試薬でマトリクスの第2の部分が処置され得る。このような実施形態においては、マトリクスの異なる部分の使用により、異なる血液検体を分析するようにしてもよい。
【0390】
場合によっては、マトリクスの処置によって、膜上で安定化した血漿の検出を容易にするようにしてもよい。場合により、膜上で安定化した血漿を検出する処置には、センサ(たとえば、化学センサ、バイオセンサ、光学センサ等)または色修飾剤の使用を伴い得る。十分な血漿体積が採集されたことを示すことによって、ユーザの体験は改善され得る。また、センサまたは色修飾剤の使用により、試料の過剰採集の防止を補助するようにしてもよい。また、センサは、血液採集の自動化を補助し得る。
【0391】
B.幾何学的特徴
一部の実施形態において、マトリクスは、試料の採集または安定化を向上させる1つまたは複数の幾何学的特徴を備えていてもよい。場合により、1つまたは複数の幾何学的特徴には、たとえば血漿をガイドするチャネルとして作用するように構成されている意図的に配置されたレリーフまたはスクイーズ形状を含み得る。1つまたは複数の幾何学的特徴の寸法、形状、および/または物理的特徴は、さまざまな異なる使用例および任意の種類の化学薬品との使用に対して調整されていてもよい。場合により、意図的に配置されたレリーフまたはスクイーズ形状は、血漿をマトリクス中またはマトリクス全体にガイドする1つまたは複数の流路を提供し得るとともに、血漿の流れを停止または略停止して、マトリクスの1つまたは複数の領域またはセクションにおいて血漿を意図的に隔離することができる。
【0392】
場合により、1つまたは複数の幾何学的特徴には、レリーフ特徴を含み得る。レリーフ特徴は、ユーザから十分な試料が採集された後の溢流の格納に使用され得る。たとえば、レリーフ特徴は、ユーザから所定量(たとえば、質量または体積)の試料が採集された後の溢流の格納に使用され得る。先細ネック等の意図的なレリーフは、赤血球が血漿領域に侵入するのを遅らせ、さらに血液から可能な限り多くの血漿を絞り出すことによって溶血を防ぐことができる。また、レリーフ特徴は、マトリクスの異なる採集領域の分離を補助し得るとともに、同じマトリクスからの複数の検体の分析にマトリクスを使用できるようにし得る。
【0393】
場合により、1つまたは複数の幾何学的特徴は、全血から血漿を「絞り出す」ことを補助するように構成されている特徴を含むことにより、これがなければより小さくなる膜の表面積に対して血漿の収量をさらに最適化することができる。この特徴は、機械的な力の印加または圧力(たとえば、圧力差)の印加によって、血漿を絞り出すことができる。このように全血から血漿を「絞り出す」ことを補助して、これがなければより小さくなる膜の表面積に対して血漿の収量をさらに最適化する特徴の一例を図24に示す。この幾何学的特徴は、(図24Aに示すような)狭隘ネック、(図24Bに示すような)穿孔エリア、(図24Cに示すように、10°よりも大きな)鈍い切り欠き、(図24Dに示すように、0°未満または直角の)鋭い切り欠き、または(図24Eに示すような)マトリクスのある領域のマイクロサンプリングに使用され得るレーザエッチング穿孔であってもよい。場合により、1つまたは複数の幾何学的特徴には、1つまたは複数の切り欠きを含み得る。1つまたは複数の切り欠きの使用によって、血漿の流れを停止または略停止することにより、領域全体で血漿を意図的に隔離するようにしてもよい。一部の実施形態においては、最終使用の処理を容易化するため、1つまたは複数の所定の穿孔エリアのエッチング、レーザ照射、またはマトリクス材料への機械的な打ち抜きが可能である。
【0394】
場合により、先細ネックの設計は、赤領域が血漿領域に侵入するのを遅らせ、さらに血液から可能な限り多くの血漿を絞り出すことによって溶血を防止するのに役立ち得る。場合により、切り欠きは、マトリクス材料に入る流れまたはマトリクス材料を通る流れを停止または大幅に低速化する際に有効となり得る。場合により、マトリクス材料の穿孔は、処理を改善し得る。場合により、血漿ドットおよび/または他の引き裂き可能な明確に画定されたエリアは、処理が容易な既知の血漿量を与え得る。場合により、幾何学的特徴の生成には、レーザ切断または型抜きが使用され得る。本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、幾何学的特徴は、化学的処置および/または本明細書の他の箇所に記載の最適な機器寸法のいずれかと組み合わせて容易に使用され得る。
【0395】
幾何学的特徴の利点として、たとえば採集ユーザが機器をあまりにも長くオンにしておくことによる溢流のシナリオおよび/または十分な試料が採集されていないアンダーフローシナリオ(underflow scenario)を考慮することができることが挙げられ得る。また、幾何学的特徴は、マトリクス材料の打ち抜きの必要なく、さまざまなチューブにおける採集材料の異なる片の多重化および処理を容易にし得る。また、幾何学的特徴は、可能な限り小さな材料の表面積および/または体積で多くの血漿を採集するのに使用され得る。本明細書に開示の幾何学的特徴は、化学的処置または機器全体の寸法に依存せず、高収量での容易な製造が可能となる。
【0396】
C.処置
血漿面積の視覚的な検出を容易にするため、材料に対して1つまたは複数の処置が実行または適用され得る。1つまたは複数の処置は、センサの使用または他の何らかの非人間的観察によって血漿領域を検出するのに使用され得る。これらの処置は、分析を意図する検体に基づくさまざまな比での血漿分離を最適化し得る。処置によって、ユーザは、十分な血漿が採集されたときを把握することができる。場合によっては、検体の回収のため、処置により全血領域および/または血漿領域を安定化させ得る。
【0397】
場合によっては、糖または界面活性剤の添加によって、血漿分離の最適化を補助し得る。糖/界面活性剤の組み合わせは、血漿領域をより明確に画定するのに役立ち得る。場合によっては、前処置のある特定の組み合わせによって、血漿領域への溶血が抑えられ得る。場合によっては、1つまたは複数の非破壊剤の使用によって、血漿領域を視覚的により気付きやすくし得る。場合によっては、ある特定の色の蛍光を発する場合、ユーザ通知として作用するような処置の追加によって、十分な血液が採集されたことをユーザに知らせ得る。蛍光は、約100ナノメートル~約900ナノメートルの範囲の波長を有し得る。場合により、蛍光の波長は、約100ナノメートル未満または約900ナノメートル超であってもよい。
【0398】
上記処置は、いくつかの利点をエンドユーザにもたらし得る。たとえば、機器の取り外しの最も理想的な時間を示すことにより、採集された試料が過剰なく最大量となることでユーザ体験が大きく改善され得る。また、これらの処置は、検体を回収するための実験技術者のスループット効率を補助することができる。場合によっては、これらの処置により、最高品質の試料領域を利用することによって、より正確な結果がもたらされ得る。場合により、これらの処置は、ユーザ、実験技術者、および/または人間以外の自動化ステップ(たとえば、試料を処理するための自動処理ステップ)に利益をもたらす視覚的補助として作用し得る。一部の実施形態においては、血漿分離膜の前処理、周辺処理、および後処理、ならびに分析を目的として、視覚的補助と協働するように、ソフトウェアおよびハードウェアを具体的に設計可能である。
【0399】
一部の実施形態において、試料の取得および安定化には、試料の採集、分離、および必要に応じた安定化プロセスの1つまたは複数の段階間を進むためのユーザ操作を必要とし得る。システム(たとえば、試料取得機器、試料チャンバ等)は、試料取得の作動、分離、安定化、および保存間の試料の移動のためのユーザ操作を必要とし得る。あるいは、試料取得の開始のほか、試料採集、分離、または安定化プロセスの1つまたは複数の付加的なステップにユーザ操作が必要となり得る。ユーザ操作には、任意数の操作(ボタンの押下、タップ、振盪、内部部品の破壊、機器の構成要素の方向転換もしくは回転、1つもしくは複数の構成要素(たとえば、チャンバ)への試料の押し通し、ならびに任意数の他のメカニズムを含む)を含み得る。段階の移動は、試料採集とタンデムに発生する可能性もあるし、試料採集後に発生する可能性もある。処理段階中または処理段階前のいつでも、試料全体または試料の成分を任意数の技術または処置方策に曝露することによって、試料の生物学的成分の細胞の前処置が可能となる。潜在的な処置としては、試薬、洗剤、蒸発技術、機械的応力、またはこれらの任意の組み合わせによる処置が挙げられるが、これらに限定されない。
【0400】
一部の実施形態において、試料取得機器は、当該試料取得機器の試料チャンバへの結合およびその逆を行う少なくとも1つのバルブ(たとえば、チェックバルブ)に対して動作的に結合され得る。少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれよりも多くのバルブが試料取得機器をカートリッジアセンブリに結合するように構成可能である。たとえば、図8Aに示すような試料取得機器900bおよびモジュール式チャンバアセンブリ600は、少なくとも1つのバルブを介して互いに結合され得る。場合により、バルブは、試料取得機器900bの一部であり得(たとえば、機器の一部として作製され得る)、モジュール式チャンバアセンブリ(たとえば、図7Aに示すように、モジュール式チャンバアセンブリ600の入口ポート610)に対して解除可能に結合するように構成可能である。あるいは、バルブは、当該バルブを通じた試料取得機器へのカートリッジアセンブリの結合に先立って、試料取得機器に結合され得る。試料採集時、バルブは、モジュール式チャンバアセンブリが試料取得機器から分離された場合であっても、試料取得機器による対象の皮膚での吸引を維持することにより、モジュール式チャンバアセンブリの第2のモジュール式チャンバアセンブリとの交換を可能にするように構成可能である。第2のモジュール式チャンバアセンブリがバルブを介して試料取得機器に結合された場合は、(たとえば、手動または自動での)バルブの開放によって、試料取得機器を通じた第2のモジュール式チャンバアセンブリへの採血を継続することができる。
【0401】
一部の実施形態において、試料取得機器および試料チャンバ(たとえば、図8Aに示すようなモジュール式機器900bおよびモジュール式チャンバアセンブリ600)は、ユーザが操作できるように構成可能である。たとえば、ユーザは、試料取得機器を当該ユーザの皮膚に適用した後、試料チャンバ(たとえば、モジュール式チャンバアセンブリ600)を試料取得機器に結合することができる。別の例において、ユーザは、試料チャンバを試料取得機器に対して部分的に結合し(たとえば、部分的に挿入または回転し)、(試料チャンバに対して部分的に結合されている)試料取得機器を皮膚上に適用した後、試料チャンバを試料取得機器に完全に結合することによって、たとえば採血プロセスを作動させることができる。最終結合には、試料チャンバの試料取得機器への挿入(たとえば、試料取得機器に対する長手方向の移動)を必要とし得る。長手方向の移動は、少なくとも約0.1ミリメートル(mm)、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、またはそれよりも多くの移動が可能である。長手方向の移動は、多くても約10mm、9mm、8mm、7mm、6mm、5mm、4mm、3mm、2mm、1mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、0.1mm、またはそれよりも少ない移動が可能である。この代替または追加として、最終結合には、試料取得機器に対する試料チャンバの回転を必要とし得る。回転移動は、少なくとも約1°、2°、3°、4°、5°、6°、7°、8°、9°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、90°、120°、150°、180°、270°、360°、またはそれよりも大きな角度にわたるものであり得る。回転移動は、大きくても約360°、270°、180°、150°、120°、90°、60°、50°、40°、30°、20°、10°、9°、8°、7°、6°、5°、4°、3°、2°、1°、またはそれよりも小さな角度にわたるものであり得る。場合により、最終結合は、試料取得機器の突起(たとえば、ニードル)を作動させて試料チャンバに進入させる(たとえば、モジュール式チャンバアセンブリ600の入口ポート610を貫通させる)ことにより、システムの真空(たとえば、試料取得機器からカートリッジアセンブリへの真空移送、カートリッジアセンブリから試料取得機器等への真空移送等)を作動させるように構成可能である。場合により、試料取得機器のランセットは、試料チャンバの試料取得機器への完全な結合によって作動するように構成可能である。あるいは、ランセットは、試料チャンバの試料取得機器への完全な結合に先立って予備作動し得る。
【0402】
一部の実施形態において、試料採集(たとえば、採血)前または最中に対象の皮膚に対して試料取得機器によって発揮される真空圧力は、1つまたは複数の条件(たとえば、試料が採集される対象の身体の部分、採集される試料の所望量等)に基づいて選択され得る。対象の条件の例としては、皮膚特性(たとえば、弾力性、硬さ、形状、厚さ、しわ)、性別、年齢、疾患、試料採集のための機器の過去の使用回数等が挙げられ得るが、これらに限定されない。一部の例においては、このような条件に応じて特定種類の試料取得機器および/または試料チャンバが選択されることにより、対象に所望の真空圧力が生じ得る。代替実施形態においては、各個人の皮膚への損傷(たとえば、打撲傷)を最小限にするかまたは損傷なく、複数の個人の試料採集に対して十分な真空圧力を与えるように、一組の試料取得機器ならびに1つもしくは複数の試料チャンバを構成可能である。
【0403】
一部の実施形態において、本明細書に開示のような試料チャンバの試料取得機器への結合(たとえば、モジュール式チャンバアセンブリ600の試料取得機器900bへの結合)により試料取得機器から対象の皮膚に印加される真空圧力は、約-0.5psig、-0.6psig、-0.7psig、-0.8psig、-0.9psig、-1psig、-2psig、-3psig、-4psig、-5psig、-6psig、-7psig、-8psig、-9psig、-10psig、-11psig、-12psig、-13psig、-14psig、またはそれよりも小さな圧力未満が可能である。場合により、試料取得機器から対象の皮膚に印加される真空圧力は、約-1psig~約-14.7psig、-1psig~約-10psig、好ましくは約-2psig~約-6psig、または好ましくは約-2.5psig~約-5.8psigの範囲が可能である。
【0404】
一部の実施形態において、本開示に記載の通り、試料チャンバ(たとえば、モジュール式チャンバアセンブリ600)は、試料採集のための十分な真空を試料取得機器に与える真空チャンバとして機能し得る。場合によっては、(1)真空チャンバの体積、(2)真空チャンバに印加される真空のレベル、(3)真空の作動前は周囲圧力となり得る試料取得機器およびカートリッジアセンブリ中の死体積(たとえば、キャビティ、チャネル、ランセットエリア)、(4)試料取得機器もしくはモジュール式チャンバアセンブリの以前の使用年数もしくは使用回数、または(5)試料取得機器もしくはモジュール式チャンバアセンブリの予想寿命といった変数のうちの1つまたは複数によって、(たとえば、試料取得機器への結合に先立つ)モジュール式チャンバアセンブリの初期真空圧力が規定または選択され得る。一例においては、材料の気体透過性により真空が経時的に減衰し得るため、真空チャンバ(たとえば、モジュール式チャンバアセンブリ)に印加される真空圧力は、真空の減衰を考慮するように選択され得る。一部の実施形態において、真空チャンバの初期真空圧力は、約-5psig、-6psig、-7psig、-8psig、-9psig、-10psig、-11psig、-12psig、-13psig、-14psig、またはそれよりも小さな圧力未満が可能である。場合により、真空チャンバの初期真空圧力は、約-5psig~約-14.7psig、好ましくは約-10psig~約-14.7psig、または好ましくは約-12.5psig~約-14.7psigの範囲が可能である。
【0405】
図10は、本明細書に開示のような試料採集のための試料取得機器および/または試料チャンバのさまざまな寸法および圧力パラメータを示している。たとえば、図10に示すパラメータは、図7図8に記載のようなモジュール式チャンバアセンブリに使用可能である。ただし、これらのパラメータは(修正を伴うまたは伴わない)、他の試料取得機器および試料チャンバタイプにも適用可能となり得る。図10を参照して、試料採集のためのパラメータは、少なくとも真空チャンバ特性および死体積特性に基づき得る。真空チャンバ(たとえば、モジュール式チャンバアセンブリ600)特性は、(1)チャンバ620の体積、カートリッジアセンブリ630の体積、および/もしくは乾燥剤650の体積を含むモジュール式チャンバアセンブリの内部チャンバ体積(V)、(2)チャンバの開始内部圧力(P_int)、(3)外部圧力(P_ext)、(4)真空引き前のチャンバ中の気体の量(Mol_pre)、または(5)真空引き後のチャンバ中の気体の量(Mol_post)を含む1つまたは複数のパラメータによって決まり得る。死体積(たとえば、キャビティ、チャネル、ランセットエリア)特性は、(1)堆積チャンバ、ランセット筐体、および/もしくは侵入キャビティを含む試料取得機器の内部チャンバ体積(V)、(2)開始内部圧力(P_int)、(3)外部圧力(P_ext)、または(4)試料取得機器のチャンバ中の気体の量(Mol_pre)を含む1つまたは複数のパラメータによって決まり得る。一例においては、図10に提供されるパラメータおよび値に基づいて、試料採集プロセスを開始するためにユーザの皮膚に適用される最終開始真空が-5.83psigとなり得る。
【0406】
D.血液分離アセンブリ
図11は、本明細書に記載のようなカートリッジアセンブリ1110および検討される付加的なカートリッジアセンブリ1105と使用され得る本明細書に記載のような例示的な試料取得機器1100を示している。本明細書に開示の実施形態のいずれかにおいて、この機器は、再利用可能となり得る。たとえば、1回よりも多く(たとえば、2回、3回、4回、5回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、またはそれよりも多くの回数)機器を使用可能である。本明細書に開示の実施形態のいずれかにおいて、この機器は、単回使用のためのものであり得、使い捨てであってもよい。本明細書に開示の実施形態のいずれかにおいて、試料取得機器1100は、本明細書に記載のようないずれかのカートリッジアセンブリと使用され得る。特定の実施形態において、試料取得機器1100は、ある使用でカートリッジアセンブリ1100と使用され得、別の使用でカートリッジアセンブリ1105と使用され得る。
【0407】
図12は、試料取得機器1100と使用され得るカートリッジアセンブリ1205を示している。カートリッジアセンブリ1205は、いくつかの構成要素で構成可能である。たとえば、カートリッジアセンブリは、カートリッジ1210、処置/安定化ユニット1220、およびカートリッジタブ1230で構成可能である。一部の実施形態において、処置/安定化ユニット1220は、カートリッジタブ1230とカートリッジ1210との間に支持されている(たとえば、挟まれている)。カートリッジタブ1230は、基材を備えていてもよい。一部の実施形態において、カートリッジタブは、基材に結合されていてもよい。基材は、処置/安定化ユニット1220を支持するように構成可能である。たとえば、基材の外周は、処置/安定化ユニット1220の外周と実質的に同じ形状およびサイズとなるように構成されていてもよい。また、基材の外周は、処置/安定化ユニット1220がカートリッジタブ1230に接触しないように、処置/安定化ユニットの外周より大きくてもよい。カートリッジ1210は、処置/安定化ユニット1220に隣接して配設可能である。一部の実施形態において、処置/安定化ユニット1220は、基材とカートリッジ1210との間に支持されている(たとえば、挟まれている)。
【0408】
カートリッジアセンブリは、試料取得機器1100に対する解除可能な結合および機器からの解除可能な取り外しが可能である。本明細書に開示の実施形態のいずれかにおいて、機器の縁部からは、カートリッジタブ1230が突出し得る。本明細書に開示の実施形態のいずれかにおいて、カートリッジタブおよび穿孔作動器/真空作動器(たとえば、ボタン115/167)は、ハウジングの異なる側(たとえば、反対端)に配置され得る。カートリッジアセンブリ1205は、本明細書に記載の他のカートリッジアセンブリと同様に、試料取得機器1100に対する解除可能な結合が可能でありおよび試料取得機器1100からの取り外しが可能である。
【0409】
処置/安定化ユニット1220は、層状構造のいくつかの構成要素で構成可能である。一部の実施形態において、処置/安定化ユニット1220の構成要素には、たとえば本明細書の他の箇所に記載のようなプレフィルタ、分離膜、および採集マトリクスを含んでいてもよい。プレフィルタは、カートリッジ1210に隣接して配設されるように構成可能であり、また、対象からの試料が接触する処置/安定化ユニットの最初の構成要素となり得る。分離膜は、プレフィルタおよび採集マトリクスに隣接して配設されるとともに、プレフィルタと採集マトリクスとの間に挟まれていてもよい。採集マトリクスは、分離膜およびカートリッジタブ1230に隣接して配設されるとともに、分離膜とカートリッジタブ1230との間に挟まれていてもよい。カートリッジアセンブリのカートリッジ1210は、流体試料1250(たとえば、血液)が採集される処置/安定化ユニット1220の構成要素を支持するように構成可能である。カートリッジは、過剰な流体を保持するための1つまたは複数の吸収性パッド(図示せず)を支持するように構成可能である。吸収性パッドは、処置/安定化ユニット1220の採集マトリクスの基部に置かれるように構成可能である。吸収性パッドは、過剰な流体試料を吸収可能であり、所定の体積の流体が処置/安定化ユニットの各構成要素上で採集され得ることを確実にするのに役立ち得る。
【0410】
カートリッジアセンブリ1205は、対象からの血液を血液入力エリア1211で受容するように構成可能である。血液入力エリア1211は、カートリッジアセンブリに入る試料の体積に対する影響および/または制御を及ぼすようなサイズおよび形状にされていてもよい。また、カートリッジアセンブリは、血液ではない他の種類の生物学的試料を受容するように構成可能である。本開示の機器での使用に適する生物学的試料の例としては、汗、涙、尿、唾液、糞便、膣分泌物、精液、間質液、粘液、皮脂、滲出液、房水、硝子体液、胆汁、母乳、脳脊髄液、耳垢、内リンパ液、外リンパ液、胃液、腹腔液、嘔吐物等が挙げられ得る。一部の実施形態において、流体試料は、液体媒体で修飾された固体試料であり得る。場合によっては、病院、研究室、臨床検査室、または医療検査室の対象から生物学的試料が得られ得る。
【0411】
処置/安定化ユニットは、血液を採集し、乾燥血液として保存するように構成可能である。カートリッジアセンブリは、血液を血液入力エリア1211に受容するように構成可能である。カートリッジ1210は、血液の流れをカートリッジタブ1230に向かって誘導するように構成可能であり、血液が処置/安定化ユニットの各構成要素を通過するように促す。一部の実施形態において、処置/安定化ユニットを通る血液の流れの方向は、血液入力エリアを通る血液の流れの方向と異なり得る。一部の例において、血液入力エリアを通る血液の流れの方向は、血液分離アセンブリの長手方向軸1260と実質的に平行であり得、処置/安定化ユニットを通る血液の流れの方向は、血液分離アセンブリの長手方向軸と異なり得る。処置/安定化ユニットを通る血液の流れの方向は、血液分離アセンブリの長手方向軸と同じ面上になくてもよい。処置/安定化ユニットを通る血液の流れの方向は、血液入力エリアを通る血液の流れの方向と、少なくとも約5°、10°、15°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、175°、またはそれよりも大きな角度だけオフセット可能である。処置/安定化ユニットを通る血液の流れの方向は、血液入力エリアを通る血液の流れの方向と、大きくても約170°、160°、150°、140°、130°、120°、110°、100°、90°、80°、70°、60°、50°、40°、30°、20°、10°、5°、またはそれよりも小さな角度だけオフセット可能である。好適な一例において、処置/安定化ユニットを通る血液の流れの方向は、血液入力エリアを通る血液の流れの方向と実質的に直交し得る。
【0412】
カートリッジアセンブリは、血液試料から多様な検体を分離するように構成可能である。たとえば、処置/安定化ユニットは、細胞、血漿、血清、脂質、血小板、特定の細胞型、DNA(たとえば、腫瘍cfDNA)、RNA、タンパク質、無機物、薬物、または任意の他の成分を分離するように構成可能である。特定の実施形態において、処置/安定化ユニットは、血液試料から総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、トリグリセリド、クレアチニン、アラニンアミノトランスフェラーゼ、およびグルコースを分離するように構成可能である。
【0413】
カートリッジアセンブリは、地面に対して実質的に直交する角度で動作するように構成可能である。たとえば、カートリッジアセンブリは、患者の腕に取り付けられ、患者の腕と実質的に平行な試料取得機器から血液を受容するように構成可能である。また、カートリッジアセンブリは、地面に対して任意の角度で動作するように構成可能である。カートリッジアセンブリは、地面に対して実質的に平行な角度、または地面に対して約5°、10°、15°、20°、25°、30°、35°、40°、45°、50°、55°、60°、65°、70°、75°、80°、85°、90°、95°、100°、105°、110°、115°、120°、125°、130°、135°、140°、145°、150°、155°、160°、165°、170°、175°、もしくは約180°の角度で動作し得る。
【0414】
図13図18は、血液分離アセンブリの実施形態を示している。これらの実施形態の構成要素は、本明細書に記載の任意の他の実施形態で使用するように構成可能である。これには、他の実施形態での使用のため、いくつかの構成要素のフォームファクタの修正および/または低減を含み得る。たとえば、図13図18の構成要素は、図12の実施形態で使用するように構成可能である。
【0415】
図13Aのアセンブリ1300は、いくつかの構成要素で構成可能である。たとえば、第1のアセンブリ構造1310、第2のアセンブリ構造1330、ならびにプレフィルタ1322、分離膜1324、および採集マトリクス1326を備え得る処置/安定化ユニット1320である。第1のアセンブリ構造1310および第2のアセンブリ構造1330は、処置/安定化ユニット1320の構成要素が実質的に垂直な配向を維持するように構成可能である。これにより、流体試料1350は、血液分離アセンブリの長手方向軸1360と実質的に平行な方向に流れ、重力ウィッキングによって、処置/安定化ユニットを通り、それに沿う流れが促進され得る。第1のアセンブリ構造1310および第2のアセンブリ構造1330は、第1のアセンブリ構造1310が第2のアセンブリ構造1330中に摺動してロックされ得るように構成可能である。ロック位置になると、図13Aの左端の画像に示すように、第1のアセンブリ構造1310が1つまたは複数の自由度に制限され得る。たとえば、第1のアセンブリ構造1310は、第2のアセンブリ構造1330から離れる方向にのみ移動可能であってもよい。第1のアセンブリ構造1310のロック位置への出入りによって、当該第1のアセンブリ構造1310と第2のアセンブリ構造1330との間に挟まれている処置/安定化ユニット1320の構成要素へのアクセスが可能となり得る。
【0416】
採集マトリクス1326は、分離膜1324およびプレフィルタ1322の両者よりも大きく構成可能である。たとえば、採集マトリクスは、分離膜およびプレフィルタの長さよりも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、約150%、またはそれよりも長くすることができる。組み立て構成においては、図13Aの左端の画像に示すように、採集マトリクスの底部片が露出し得る。たとえば、採集マトリクスの露出部分は、採集マトリクスの長さの約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、またはそれよりも大きな長さが可能である。採集マトリクスの露出部分によれば、流体試料が血液分離アセンブリを通過した後に採集マトリクス上に採集されている試料へのアクセスが容易となり得る。たとえば、露出部分は、処置/安定化ユニットのその他の構成要素から採集マトリクスを分離する必要なく、採集マトリクスの残りの部分から切り離すことができる。また、露出部分は、穿孔ラインの使用により、採集マトリクスの残りの部分から分離され得る。これにより、採集マトリクス自体の実行能力(viability)および/または性能に対する悪影響なく、採集マトリクスの残りの部分から露出部分を引き離し可能となり得る。
【0417】
図15は、血液分離アセンブリ1500のいくつかの構成要素の斜視図を示している。処置/安定化ユニット1520は、いくつかの構成要素で構成可能である。たとえば、処置/安定化ユニットは、プレフィルタ1522、分離膜1524、ならびに頂部片(top piece)1527および底部片(bottom piece)1528を含むマルチピース採集マトリクスを備え得る。マルチピース採集マトリクスの底部片1528の基部は、吸収性パッド1529に隣接するように構成可能である。処置/安定化ユニットのプレフィルタ1522は、血液分離アセンブリ1500の第1のアセンブリ構造1510に隣接して配設可能である。分離膜は、プレフィルタ1522に隣接して配設可能である。マルチピース採集マトリクスは、分離膜1524および第2のアセンブリ構造1530に隣接して配設可能である。血液分離アセンブリが組み立て構成の間は、マルチピース採集マトリクスの底部片が露出し得る。マルチピース採集マトリクスの底部片は、頂部片から切り離すことによって頂部片から分離可能である。また、マルチピース採集マトリクスの頂部片および底部片は、上記図13において説明した通り、穿孔ラインによって分離され得ることで、頂部片から底部片を引き離し可能となり得る。マルチピース採集マトリクスの頂部片および底部片は、当該上底部片が重なり合うように構成可能である。たとえば、マルチピース採集マトリクスの頂部片および底部片は、約1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、またはそれよりも長く重なり合い得る。
【0418】
マルチピース採集マトリクスの露出した底部片を抜き出すだけで、流体試料の分析において多くの利点が観察され得る。たとえば、マルチピース採集マトリクスが対象からの血液試料を吸収した場合、マルチピース採集マトリクスの露出した底部片のみを抜き出すことにより、溶血レベルが低くなるとともに表面積当たりの検体収量が高くなり得る。マルチピース採集マトリクスの露出した底部片の溶血が低くなるのは、マルチピース採集マトリクスのこの部分の制約が少なく、このエリアの細胞の破裂の傾向が低くなるためであり得る。マルチピース採集マトリクスの露出した底部片は、マルチピース採集マトリクスの露出していない頂部片と比較して、溶血を最大約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれよりも大きく低減可能となり得る。マルチピース採集マトリクスの露出した底部片は、マルチピース採集マトリクスの露出していない頂部片と比較して、表面積当たりの検体収量を最大約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれよりも大きく増大可能となり得る。
【0419】
図16Aは、処置/安定化ユニットおよび血液分離アセンブリに対する構造的支持を与えるように構成可能な第1のアセンブリ構造の斜視図を示している。また、第1のアセンブリは、入来する試料に対する格納メカニズムを提供するとともに、プレフィルタ等の所望の表面上に試料を誘導してマトリクス等の他の表面に直接アクセスしないように構成可能である。第1および第2のアセンブリ構造は、処置/安定化ユニットの構成要素の平面が地面と実質的に直交する配向に処置/安定化ユニットを保持するように構成可能である。また、一部の実施形態において、処置/安定化ユニットの構成要素の平面は、地面と実質的に平行となり得る。第1のアセンブリ構造は、対象から血液試料を受容し得る血液入力エリア1611を含むように構成可能である。血液入力エリア1611は、血液分離アセンブリに入る試料の体積に対する影響および/または制御を及ぼすようなサイズおよび形状にされていてもよい。また、血液分離アセンブリは、血液入力エリアが開放漏斗設計ではなく、入口チャネルとなるように構成することで、外周全体を封止するように構成可能である。対象からの血液試料は、血液入力エリアに入って、第1のアセンブリ構造1610の凹部1612に蓄積し得る。また、第1のアセンブリ構造は、いくつかの構造的構成要素を含むように構成可能である。たとえば、第1の圧縮領域1614、第2の圧縮領域1615、第3の圧縮領域1616、ならびに第1のアセンブリ構造の片側または両側に配置可能な圧縮ストップ1613を含んでいてもよい。
【0420】
第1の圧縮領域1614は、処置/安定化ユニットの中央エリアに対する圧力源を提供するように構成可能である。第2の圧縮領域1615は、処置/安定化ユニットの下側領域に対する圧力源を提供するように構成可能である。第3の圧縮領域1616は、マルチピース採集マトリクスの底部片に対する圧力源を提供するように構成可能である。圧縮ストップ1613は、第1、第2、および第3の圧縮領域が処置/安定化ユニットを過剰に圧縮することのないように構成可能である。
【0421】
第1、第2、および第3の圧縮領域により印加される圧縮力は、処置/安定化ユニットの構成要素間の良好な接触によって、処置/安定化ユニットを通る血液の流れが最適化され得ることを確実にするように構成可能である。圧縮力による処置/安定化ユニットの構成要素間の接触は、血液試料が処置/安定化ユニット全体を流れるのに必要なウィッキング力の達成に十分となり得る。この圧縮力は、処置/安定化ユニットのいくつかの構成要素の材料の破損、変形、あるいは損傷なく、処置/安定化ユニットを通る血液の最適な流れを促進するのに十分となり得る。処置/安定化ユニットに印加される圧縮力は、約20ポンド、19ポンド、18ポンド、17ポンド、16ポンド、15ポンド、14ポンド、13ポンド、12ポンド、11ポンド、10ポンド、9ポンド、8ポンド、7ポンド、6ポンド、5ポンド、4ポンド、3ポンド、2ポンド、1ポンド、またはそれより小さくてもよい。処置/安定化ユニットの圧縮厚さは、処置/安定化ユニットの非圧縮厚さの約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、またはそれよりも高い割合が可能である。処置/安定化ユニットの圧縮厚さは、約2.0mm、1.75mm、1.5mm、1.25mm、1.0mm、0.75mm、0.50mm、0.25mm、またはそれよりも小さな厚さが可能である。
【0422】
第1のアセンブリ構造および第2のアセンブリ構造は、任意の好適な結合メカニズムによって一緒に保持/固定可能である。結合メカニズムの例としては、雄雌締結具(たとえば、嵌合もしくは連動締結具、フック・穴、Velcro(登録商標)等のフック・ループ、雄ボルトにねじ留めされた雌ナット、雌陥凹に挿入された雄突起、配管の雌ねじ付きエルボに嵌入された雄ネジ付きパイプ、雌ユニバーサルシリアルバス(USB)ソケットに挿入された雄USBプラグ等)、テザー(たとえば、ストリングテザー)、接着剤(たとえば、固体、半固体、ゲル、粘性液体等)、磁石(たとえば、電磁石もしくは永久磁石)、ならびに他の把持メカニズム(たとえば、1つもしくは複数のロボットアーム)が挙げられ得るが、これらに限定されない。一例において、結合は、入口ポートと試料取得機器との間の電界を使用して実行され得る。結合メカニズムには、クランプ、ばね、ねじ、エラストマーバンド、または第1および第2のアセンブリ構造を取り囲んで一緒に保持し得る他の伸縮可能な構成要素をさらに含み得る。他の実施形態において、第1のアセンブリ構造および第2のアセンブリ構造は、これら2つの構造の本体に構成されている溝を介して一緒に保持され得る。2つの構造を一緒に保持する結合メカニズムは、処置/安定化ユニットの構成要素間の所望の圧縮力または所望の圧縮距離を達成するように構成可能である。結合メカニズムは、処置/安定化ユニットの全表面積に一様な力を印加するように構成可能である。また、結合メカニズムは、処置/安定化ユニットの異なるエリアに異なる力を印加するように構成可能である。
【0423】
圧縮ストップ1613は、2つの構造を保持する結合メカニズムが一緒に、所望の圧縮力または圧縮距離を超えることなく満たすことを確実にするように構成可能である。また、圧縮ストップは、処置/安定化ユニットに印加されている圧縮力を測定し、処置/安定化ユニットに印加されている力が最大印加力を超える場合にユーザに警告するセンサを備え得る。圧縮ストップの厚さは、第1のアセンブリ構造と同じ厚さになるように構成可能である。たとえば、圧縮ストップの厚さは、約0.090、0.080、0.070、0.060、0.050、0.040、0.030、0.020、約0.010インチ、またはそれよりも小さな厚さであってもよい。また、圧縮ストップの厚さは、第1のアセンブリ構造の厚さよりも小さくまたは大きくなるように構成可能である。たとえば、圧縮ストップの厚さは、第1のアセンブリ構造の厚さの約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、約150%、またはそれよりも大きな厚さが可能である。
【0424】
圧縮ストップは、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリイソブテン、ポリ[エチレン-酢酸ビニル]コポリマー、軽量アルミニウム箔、およびこれらの組み合わせ、ステンレス鋼合金、商業的に純粋なチタン、チタン合金、銀合金、銅合金、グレード5チタン、超弾性チタン合金、コバルト-クロム合金、ステンレス鋼合金、超弾性金属合金(たとえば、ニチノール、日本のトヨタマテリアル社製GUM METAL(登録商標)等の超弾塑性金属)、セラミックスおよびリン酸カルシウム(たとえば、Biologix Inc.製SKELITE(商標))等のその複合材、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、およびポリエーテルケトン(PEK)を含むポリアリールエーテルケトン(PAEK)等の熱可塑性物質、炭素-PEEK複合材、PEEK-BaSO4ポリマーゴム、布、シリコーン、ポリウレタン、シリコーン-ポリウレタンコポリマー、ポリマーゴム、ポリオレフィンゴム、ヒドロゲル、半硬質および硬質材料、エラストマー、ゴム、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマー、エラストマー複合材、ポリフェニレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、エポキシを含む硬質ポリマー、たとえば金属およびカルシウム-ハウジング系セラミックスの複合材等の部分的に再吸収可能な材料、PEEKおよびカルシウム-ハウジング系セラミックスの複合材、PEEKと再吸収可能なポリマーの複合材、たとえばリン酸カルシウム、リン酸トリ-カルシウム(TCP)、ヒドロキシアパタイト(HA)-TCP、硫酸カルシウム等のカルシウム-ハウジング系セラミックス等の完全に再吸収可能な材料、またはポリアエチド、ポリグリコリド、ポリチロシンカーボネート、ポリカロプラエトヘ、およびこれらの組み合わせ等の他の再吸収可能なポリマー等の材料から作製可能である。
【0425】
他の実施形態において、血液分離アセンブリの第1のアセンブリ構造および第2のアセンブリ構造は、1つの単一片となるように構成可能である。これは、単一片を可撓性にし得るリビングヒンジまたは他の類似技術の使用により達成され得る。他の実施形態において、血液分離アセンブリは、3つ以上の片を備え得る。より多くの片を血液分離アセンブリに追加することによって、血液分離アセンブリの機能性、成形性、および/または製造性を向上させるように構成可能である。
【0426】
また、血液分離アセンブリは、採集マトリクスの空気曝露を調整するように構成し得る付加的な凹部の追加を含むように構成可能である。これは、血漿濃度および乾燥速度の制御の補助となり得る。血漿濃度は、約1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1μL/mmが可能である。血液試料の乾燥は、約24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1時間未満で起こり得る。付加的な凹部は、血液分離アセンブリのその他の構成要素の構造的性能に影響を及ぼさない限り、如何なるサイズおよび形状であってもよい。付加的な凹部の数は、乾燥速度に影響し得る温度および湿度に対する所望の効果を達成するように選定され得る。付加的な凹部によれば、血液分離アセンブリの内側の空気が変位可能となり、血液分離アセンブリの内側の圧力が血液分離アセンブリの外部に存在する圧力条件と等しくなり得る。血液分離アセンブリの内側の圧力条件を血液分離アセンブリの外部の圧力条件と異ならせることが望ましい場合は、付加的な凹部の数が制限され得る。たとえば、内部構成要素と外部環境との間が所望の圧力差であれば、血液試料の過剰な溶血をもたらすことなく、処置/安定化ユニットを通る良好な血流が促進され得る。
【0427】
血液分離アセンブリは、3D印刷、射出成型、または機械加工可能である。血液分離アセンブリは、ポリプロピレン、ポリカーボネート、または処置/安定化ユニットを通過する試料の特性に干渉することも変化を及ぼすこともない他の類似材料等の材料を含むことも可能であるし、これらの材料から作製することも可能である。
【0428】
図17Aは、第2のアセンブリ構造1730に隣接して配設されている頂部片1727および底部片1728を含む例示的なマルチピース採集マトリクスを示している。マルチピース採集マトリクスは、2つまたはそれよりも多くの片を含むように構成可能である。たとえば、マルチピース採集は、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれよりも多くの片を含むように構成可能である。
【0429】
マルチピース採集マトリクスは、所望量の生成物(たとえば、血清または血漿)を分離膜上に採集するのに十分な体積を有し得る。マルチピース採集マトリクスは、少なくとも約1μL、5μL、10μL、20μL、30μL、40μL、50μL、60μL、70μL、80μL、90μL、100μL、110μL、120μL、130μL、140μL、150μL、200μL、300μL、400μL、500μL、600μL、700μL、800μL、900μL、1,000μL、またはそれよりも多くの分離膜の生成物を保持(または、含有)するように構成可能である。マルチピース採集マトリクスは、多くても約1,000μL、900μL、800μL、700μL、600μL、500μL、400μL、300μL、200μL、100μL、50μL、10μL、1μL、またはそれよりも少ない分離膜の生成物を保持(または、含有)するように構成可能である。
【0430】
マルチピース採集マトリクスの頂部片1727は、組み立てられた血液分離アセンブリにおいて、当該頂部片の平面エリア全体が分離膜によって覆われるように構成可能である。マルチピース採集マトリクスの底部片は、血液分離アセンブリにおいて露出し、分離膜もプレフィルタも接触しないように構成可能である。マルチピース採集マトリクスの底部片は、露出によって試料の分析を改善するように構成可能である。マルチピース採集マトリクスの露出した底部片は、約50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250mm、またはそれよりも大きな表面積を有し得る。露出した底部片は、単に採集マトリクスの頂部片から引き離すように構成可能であり、たとえば、頂部片および底部片を分離する穿孔ラインの使用による処置/安定化ユニットの切断、引き裂き、あるいは分岐の必要性を排除する。図17Aに示すように、マルチピース採集マトリクスの底部片は、複数のセグメントへとさらに分割可能である。底部片は、図17Aに示すように、長手方向軸に沿って分割され得、また、水平軸に沿って分割され得る。また、底部片は、長手方向軸および水平軸の両方に沿って分割され得る。
【0431】
マルチピース採集マトリクスの頂部片および底部片は、各片が異なる形状、材料、厚さ、被覆、および化学的性質となり得るように構成可能である。頂部片は、マルチピース採集マトリクスのより広い部分からマルチピース採集マトリクスのより狭い部分に血液試料を流し込むように構成可能である。底部片は、本明細書において論じるような試料採集溶出法に対して最適化された形状を有するように構成されていてもよい。また、試料は、マルチピース採集マトリクスの頂部片により分析され得る。マルチピース採集マトリクスの頂部片および底部片は、当該頂部片および底部片が異なる厚さとなるように構成されていてもよい。頂部片が底部片より厚くてもよいし、底部片が頂部片より厚くてもよいし、頂部片および底部片が同じ厚さであってもよい。マルチピース採集マトリクスの厚さは、マルチピース採集マトリクスが特定量の体積の液体を保持(または、含有)できるように構成可能である。また、血液分離アセンブリは、複数の採集マトリクスを有するように構成されていてもよい。複数の採集マトリクスは、マルチピース採集マトリクス、単一片採集マトリクス、またはこれら2つの組み合わせとなるように構成可能である。
【0432】
図17Bは、第2のアセンブリ片1730に隣接して配設され、マルチピース採集マトリクスの底部片1728の基部に吸収性パッド1729が置かれるように構成されているマルチピース採集マトリクスの側面断面図を示している。図17Bに示すように、マルチピース採集マトリクスの底部片および頂部片は、これら2つの片が互いに重なり合うように構成可能である。また、これら2つの片は、重なり合わないように構成することも可能である。たとえば、頂部片および底部片は、頂部片から底部片が容易に分離され得るようにする穿孔ストリップによって分離され得る。
【0433】
吸収性パッド1729は、血液分離アセンブリに採集された血液試料の計量を可能にする。吸収性パッドは、マルチピース採集マトリクスの飽和体積を超える過剰な分離血液試料または液体を採集するように構成可能である。吸収性パッドは、1つ設けることも可能であるし、複数設けることも可能である。複数の吸収性パッドが使用される場合、これらは、互いに積み重ねられるか、または、端から端まで整列するように構成されていてもよい。吸収性パッドは、マルチピース採集マトリクスより厚くてもよいし、薄くてもよい。
【0434】
吸収性パッドは、マルチピース採集マトリクスと直接的に一体化されるように構成することも可能であるし、マルチピース採集マトリクスから分離することも可能である。吸収性パッドは、マルチピース採集マトリクスと直接的に一体化されるように構成されている場合、マルチピース採集マトリクスの底部片からの穿孔ストリップによる切り離しまたは分離が可能なマルチピース採集マトリクスの底部片の一部となり得る。吸収性パッドは、マルチピース採集マトリクスから分離されるように構成されている場合、当該吸収性パッドとマルチピース採集マトリクスの底部片との間の十分な接触が達成されるように構成可能である。これは、吸収性パッドをマルチピース採集マトリクスの底部片と接触したままにし得る付加的な構成要素を吸収性パッドの下側に追加することにより可能となる。吸収性パッドは、マルチピース採集マトリクスの底部片の片側または両側で底部片の平面と接触するように構成可能である。
【0435】
吸収性パッドは、サイズおよび形状の変化により、保持(または、含有)が望ましい血液試料または液体の体積を調整するように構成可能である。また、吸収性パッドは、血液試料または他の液体が漏出しているために採集が必要であり得る血液分離アセンブリの他のエリアに置かれるように構成可能である。
【0436】
採集マトリクスに含められないあらゆる過剰な液体を保持する吸収性パッドをカートリッジアセンブリに組み込むことにより、患者から採集される液体の体積を採集マトリクスが保持し得る体積よりも大きくすることができる。たとえば、採集マトリクスの飽和点が50μLで、吸収性パッドの吸収容量が300μLである場合は、多様なシナリオが起こり得る。たとえば、50μLの試料を処置/安定化ユニットに導入すると、約50μLの試料が採集マトリクスに採集され、約0μLが吸収性パッドに保持されることになる。75μLの試料を処置/安定化ユニットに導入すると、約50μLの試料が採集マトリクスに採集され、約25μLが吸収性パッドに保持されることになる。このように、カートリッジアセンブリへの試料液体の最大入力体積は、採集マトリクスの容量に吸収性パッドの容量を加算したものとなる。採集マトリクスの容量および吸収性パッドの容量は、患者から得られる試料液体の所望量および/または最大量を変化させるように調整可能である。吸収性パッドを備えるカートリッジアセンブリをこのように構成可能であるのは、異なる患者からの異なる血液試料が異なるヘマトクリットレベルを有し得るからであり、これは、ある患者から採集されたある体積の血液を第2の患者から採集された同じ量の体積の血液と比較して、血漿の体積が大小いずれかになることを意味する。吸収性パッドは、カートリッジアセンブリに入る血液の正確な量を測定することが実行できない場合に役立ち、ユーザは、カートリッジアセンブリの過充填を心配する必要がない。たとえば、吸収性パッドがないと、高ヘマトクリット血液試料を得る際には、採集マトリクスが十分な血漿を受容できなくなる。一方、吸収性パッドがないと、低ヘマトクリット血液試料を得る際には、採集マトリクスが過飽和となり得る。
【0437】
図17Bおよび図17Cに示すように、代替実施形態において、吸収性パッド1729の代わりに、吸収性ペーパー1750が可能である。吸収性ペーパーの非限定的な例としては、31-ETF、CF-12、CF-9等の高い吸収能力を有する繊維紙が挙げられ得る。図17Bに示すように、吸収性ペーパー1750は、採集マトリクスの基底部において垂直に置かれるように構成可能である。吸収性ペーパーは、異なる形状を構成するとともにマトリクスとの接触を維持するばね状の作用を生成するために折りたたまれ得るか他の方法で操作され得る。あるいは、図17Cに示すように、吸収性ペーパー1750は、採集マトリクスと平行にすることができる。吸収性ペーパー1750が採集マトリクスと平行である場合、吸収性ペーパーは、採集マトリクスの基部と同一平面に置かれる場合もあるし、採集マトリクスの基部に重なる場合もある。たとえば、吸収性ペーパーは、採集マトリクスと0mm、1mm、2mm、3mm、4mm、または5mmだけ重なっていてもよい。吸収性ペーパー1750は、2つの構成要素を分離する穿孔ストリップの使用により、採集マトリクスの底部片から引き離すように構成可能である。
【0438】
図17Bおよび図17Cの吸収性ペーパー1750のほか、付加的な親水性層1751が採集マトリクスの頂部に置かれるように構成可能である。親水性層1751は、採集マトリクスと平行になるように構成可能である。親水性層1751は、採集マトリクスと平行である場合、採集マトリクスの頂部と同一平面に置かれる可能性もあるし、採集マトリクスの頂部に重なる可能性もある。たとえば、親水性層は、採集マトリクスと0mm、1mm、2mm、3mm、4mm、または5mmだけ重なっていてもよい。親水性層1751は、2つの構成要素を分離する穿孔ストリップの使用により、採集マトリクスの底部片から引き離すように構成可能である。吸収性ペーパーおよび/または親水性層を使用することにより、上述のような吸収性パッドの使用と同じ目的として、過剰な試料を吸収することができる。
【0439】
図18は、本明細書に記載の実施形態において使用し得る処置/安定化ユニット1820の斜視図を示している。プレフィルタ1822は、血液試料または他の液体が血液分離アセンブリにおいて接触する最初の構成要素となるように構成可能である。プレフィルタ1822は、図18に示すように、当該プレフィルタの直後に隣接して配設されている分離膜1824よりも小さな表面積を有するように構成可能である。また、プレフィルタは、分離膜と同一またはそれよりも大きな表面積を有するように構成可能である。プレフィルタは、液体または血液試料が処置/安定化ユニットのその他の構成要素に到達する前に、液体または血液試料のある特定の成分を分離あるいは他の方法で濾過するように構成可能である。プレフィルタは、処置/安定化ユニットのその他の構成要素よりも粗いものが可能であり、全体的なスループットを向上させ得る。たとえば、処置/安定化ユニットは、プレフィルタで300μLの試料を分離可能である一方、プレフィルタがなければ、100μLの試料しか分離できない。
【0440】
分離膜1824は、当該分離膜の直後に隣接して配設されている採集マトリクスによる血液の血漿/血清の採集を可能にしつつ、血液試料の細胞成分を分離して含有するように構成可能である。たとえば、分離膜としては、Leukosorb(登録商標)材料が可能である。分離膜の表面積は、採集マトリクスに到達する前に分離膜を通り過ぎる血液試料をなくすため、処置/安定化ユニットのその他の構成要素の表面積よりも大きくなるように構成可能である。
【0441】
図19および図20は、カートリッジおよびカートリッジアセンブリを示している。これらの実施形態の構成要素は、本明細書に記載の任意の他の実施形態で使用するように構成可能である。これには、他の実施形態での使用のため、いくつかの構成要素のフォームファクタの修正および/または低減を含み得る。たとえば、図19および図20の構成要素は、図12の実施形態で使用するように構成可能である。
【0442】
図19は、本明細書に記載のような処置/安定化ユニットを実装するカートリッジアセンブリで使用するように構成し得るとともに、液体または液体状試料(たとえば、液体血液)を採集するように構成し得る例示的なカートリッジ1910の斜視図を示している。カートリッジ1910は、本明細書に記載の結合メカニズムのいずれかを使用して、試料取得機器(たとえば、本明細書に開示の試料取得機器のいずれかのカートリッジチャンバのポート)に(たとえば、解除可能または永久的に)結合するように構成可能な結合ユニット1912を備え得る。たとえば、結合ユニット1912は、試料取得機器のカートリッジチャンバポートと嵌合するルアー型取付け具を有し得る。結合ユニット1912は、試料取得機器からカートリッジアセンブリに向かって(たとえば、カートリッジアセンブリ中へと)血液が流れる経路として機能するように構成されている開口、入口1911、またはチャネルを含み得る。たとえば、入口1911は、試料取得機器から血液を受容し、血液を漏斗1914から凹部1915に流して、処置/安定化ユニットのプレフィルタの表面に隣接する空間に蓄積させることができる。また、カートリッジ1910は、第1の圧縮エリア1916を含むように構成可能である。カートリッジは、処置/安定化ユニットの全周を封止するように作用し得る第2の圧縮エリア1917をさらに含んでいてもよい。このようにカートリッジ1910を構成することにより、たとえば処置/安定化ユニットが血液を処理し得るよりも速く、血液が入口1911を通って凹部1915に導入されている状況において、血液の流れが処置/安定化ユニットのプレフィルタおよび分離膜を迂回できなくなる。また、カートリッジ1910は、凹部1915と当該カートリッジ1910の外部の環境との間の圧力均等化を可能にし得るベント1913を備えるように構成可能である。これにより、入口1911を通って血液取得機器の上流部まで、空気の変位ならびに/またはカートリッジの外部に存在する真空または他の圧力条件の凹部1915内との均一化が可能となり得る。ベント1913は、処置/安定化ユニット全体での圧力差を直接低減することも可能であるし、完全に排除することも可能である。一部の例においては、ベントを取り除くことにより、処置/安定化ユニット全体で圧力差を生じさせて、処置/安定化ユニットの構成要素を通る血液の流れを促進し得るようにしてもよい。カートリッジは、完全な不透明も可能であるし、採血中に凹部1915の血液の蓄積をユーザが観察し得るように、完全または部分的な透明も可能である。凹部1915における血液の蓄積の視覚化は、処置/安定化ユニットが可能な限り多くの血液を処理したことおよび採血を停止可能であることの指標として使用可能である。
【0443】
本明細書に記載のような血液分離アセンブリのカートリッジアセンブリへの実装は、地面と実質的に直交する平面を有する処置/安定化ユニットの構成要素を含むシステム全体で採血を実行する方法を可能にする。このような方法は、たとえば試料取得機器が患者の腕に取り付けられた状態で血液を採集するように構成されるプロセスにおいて望ましい。これにより、試料取得機器の小型規格設計(low-profile design)がさらに可能となる。
【0444】
図20は、患者からの十分な量の血液がカートリッジアセンブリ2010に受容されたときをユーザに示す視覚的計量要素を備えるように構成可能なカートリッジアセンブリ2010の側面断面図および斜視図を示している。カートリッジアセンブリは、予備計量チャンバを使用するように構成することが可能である。予備計量チャンバは、チャンバが満たされたことを視覚的に確認することによって、正しい量の血液が採集されたときの視覚的指標をユーザに与えるように構成可能である。正しい量の血液が充填された場合、ユーザは、予備計量チャンバが満たされたことを視覚的に確認できるようになる。予備計量チャンバは、当該チャンバ全体が血液で満たされた場合に空気の変位が可能となるように、血液または他の液体ではなく空気を退避させ得る半透過性膜を備えるように構成可能である。血液が充填されると、血液は、ピストン構成またはダイヤフラムによって手動で処置/安定化ユニットに送ることができ、逆流の防止のためチェックバルブが実装されていてもよい。別の例において、患者の皮膚と試料採集機器との間のシールが採血の最後に破られた場合は、血液が自動的に進行し得る。これが起こると、入口をまたがる大きな圧力差が生じ、これを使用することによって血液試料の進行または血液試料の進行の開始が可能となる。
【0445】
別の実施形態においては、最大体積の血液が処理された場合に採集マトリクスの特性によって停止となるシステムを使用可能である。採集マトリクスが患者から最大体積の血液を吸収すると、血液の処理が停止され、上流の凹部における蓄積を開始することになる。この蓄積によって、十分な血液が採集されたことの視覚的指標がユーザに示されるように構成可能である。たとえば、図20の右端の画像において、窓2045は、凹部における蓄積の発生後に血液が到達した場合に白から赤に変わるように構成可能である。あるいは、インジケータには、血液を吸収して変色する吸収性材料を含むことが可能である。あるいは、凹部における血液の蓄積の視覚的指標は、図20の左の2つの画像に示すように、カートリッジアセンブリ側からユーザによる確認が可能である。図20の左端の画像は、空の凹部2040を示し、中央の画像は、最大体積の血液が採集マトリクスに格納された後に血液で満たされた凹部2040を示している。
【0446】
図21A図21Cは、血液分離プロセスが完了した場合の処置/安定化ユニットの取得用カートリッジアセンブリの付加的な実施形態を示している。図21Aに示すように、カートリッジは、処置/安定化ユニット2120を適所に保持するように構成されている解除メカニズム2110を備え得る。解除メカニズム2110は、圧力点2130における力の印加により、処置/安定化ユニット2120を解除することができる。このような特徴によれば、処置/安定化ユニットを付加的な構成要素(たとえば、ピンセット、グリッパ、使い捨てチップ等)と直接接触させる必要なく、処置/安定化ユニットを手動または自動で取り扱い可能となる。これにより、汚染の可能性が排除され、処置/安定化ユニット2120の解除後の洗浄または滅菌の必要性がなくなる。圧力点2130における力の印加は、たとえば指で圧力点2130を押すことにより達成され得る。あるいは、圧力点2130を高度に局所化することができ、特定のエリアに集中して圧力を印加するように設計されている(図21Aの点線に示すような)グリッパを使用する場合にのみ係合が生じるようにしてもよい。
【0447】
図21Bは、シール2140およびグリップ2150を追加した解除メカニズム2110を示している。本明細書の他の実施形態に開示の通り、シール2140は、カートリッジチャンバを密封するように構成されていてもよい。解除メカニズム2110の圧力点2130が押された場合に、グリップ2150が処置/安定化ユニット2120を解除し得る。グリップ2150は、処置/安定化ユニット2120に接触して適所に保持するように構成されている吸収性パッドを備えるように構成されていてもよい。吸収性パッドは、処置/安定化ユニット2120の解除後、グリップ2150上に維持され得る。また、吸収性パッドは、処置/安定化ユニット2120とともにまたは処置/安定化ユニット2120とは別個にグリップ2150から解除されるように構成されていてもよい。
【0448】
図21Cは、処置/安定化ユニット2120の意図せぬ解除を防止し得るガード2160を追加した解除メカニズム2110を示している。本明細書の実施形態において論じる通り、カートリッジは、試料取得機器に対して解除可能に結合されるように構成されていてもよいし、輸送スリーブに挿入され得る。ガード2160は、試料取得機器または輸送スリーブの一部となるように構成されていてもよく、処置/安定化ユニット2120は、カートリッジが試料取得機器または輸送スリーブから係合解除された場合にのみ解除され得る。輸送スリーブは、解除されると処置/安定化ユニット2120を受容するとともに、試験の準備ができるまで処置/安定化ユニット2120を保持するように構成されていてもよい。
【0449】
E.溶出方法
本開示のさらなる態様は、たとえば核酸分子、タンパク質、ホルモン、炭水化物、脂質等の生体分子を採集マトリクスから解離させてさらに処理する方法を提供する。このような生体分子は、対象(ヒト等)に由来することが多く、in vitro診断または患者の健康のモニタリングのためのバイオマーカとして有用である。バイオマーカには、たとえばアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、抗ミュラー管ホルモン(AMH)、アポリポタンパク質A1(APOA1)、アポリポタンパク質B(APOB)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、血中尿素窒素(BUN)、カドミウム(Cd)、クラミジアトラコマチス増幅DNA、コレステロール(たとえば、HDL、LDL、または総コレステロール)、銅(Cu)、コルチゾール、クレアチン、デヒドロエピアンドロステロン硫酸(HDEA-S)、エストラジオール(E2)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、遊離チロキシン(fT4)、遊離トリヨードチロニン(fT3)、ヘモグロビンA1c(HbA1c)、B型肝炎抗原、C型肝炎抗体、高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)、HIV-1、HIV-2抗体および/もしくは抗原、インスリン様増殖因子1(IGF-1、ソマトメジンC)、インスリン、鉛(Pb)、黄体形成ホルモン(LH)、マグネシウム(Mg)、水銀(Hg)、淋菌増幅DNA、プロゲステロン(Pg)、プロラクチン、前立腺特異的抗原(PSA)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2抗体(SAR-CoV-2)、免疫グロブリンA(IgA)、免疫グロブリンG(IgG)、免疫グロブリンM(IgM))、セレン(Se)、性ホルモン結合グロブリン(SHBG)、梅毒、テストステロン(総テストステロン)、チログロブリン(TG)、甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPOab)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、チロペルオキシダーゼ抗体(TPOAb)、サイロキシン(T4、総サイロキシン)、総ビリルビン、トリコモナス増幅DNA、トリグリセリド、トリヨードチロニン(T3、総トリヨードチロニン)、ビタミンB6、ビタミンB9(葉酸塩)、ビタミンB12、ビタミンD(25-OH、D2/25-OH D3)、亜鉛(Zn)を含み得る。
【0450】
1.機械的解離
採集マトリクスの処理には、機械的解離法を使用可能である。このような方法は、採集マトリクスからの生体分子の解離に使用可能である。機械的解離法の非限定的な例としては、超音波処理、ボルテックス、振盪、揺動、章動、反転混合、回転、浸漬、液浸軟化、均質化、および凍結/解凍サイクルが挙げられる。
【0451】
採集マトリクスは、浸漬によって生体分子を解離することができる。浸漬は、さまざまな緩衝液または溶媒の存在下で実行可能である。あるいは、浸漬は、水で実行可能である。緩衝液または溶媒には、溶出緩衝液、溶解緩衝液、洗浄緩衝液等を含み得る。場合により、浸漬は、キレート剤、還元剤、酸化剤、界面活性剤、タンパク質変性剤、1つもしくは複数の塩、1つもしくは複数の酵素、または任意の有機溶媒の存在下で実行可能である。浸漬は、任意の他の溶出法の実行に先立って実行可能である。あるいは、浸漬は、他の溶出法の後に実行可能である。
【0452】
場合により、採集マトリクスを浸漬する時間は、1分未満、5分未満、10分未満、20分未満、30分未満、50分未満、60分未満、2時間未満、5時間未満、10時間未満、20時間未満、30時間未満、1日未満、2日未満、または3日未満が可能である。場合により、浸漬の時間は、1分超、5分超、10分超、20分超、30分超、50分超、60分超、2時間超、5時間超、10時間超、20時間超、30時間超、1日超、2日超、または3日超であってもよい。
【0453】
採集マトリクスは、約0℃、約4℃、約10℃、約20℃、約25℃、約27℃、約30℃、約32℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、約80℃、約85℃、約90℃、約92℃、約95℃、または約98℃の温度で浸漬可能である。場合により、採集マトリクスは、0℃未満、4℃未満、10℃未満、20℃未満、25℃未満、27℃未満、30℃未満、32℃未満、35℃未満、40℃未満、45℃未満、50℃未満、55℃未満、60℃未満、65℃未満、70℃未満、75℃未満、80℃未満、85℃未満、90℃未満、92℃未満、95℃未満、または98℃未満の温度で浸漬可能である。場合により、採集マトリクスは、0℃超、4℃超、10℃超、20℃超、25℃超、27℃超、30℃超、32℃超、35℃超、40℃超、45℃超、50℃超、55℃超、60℃超、65℃超、70℃超、75℃超、80℃超、85℃超、90℃超、92℃超、95℃超、または97℃超の温度で浸漬可能である。
【0454】
採集マトリクスは、超音波処理を使用して処理することができる。超音波処理は、浸漬または再湿潤化(rehydration)の前に実行可能である。超音波処理には、市販の器具を使用可能である。超音波処理は、本明細書の他の箇所に提示する例の緩衝液の存在下で実行可能である。異なる生体分子に対して異なる速度で実行可能である。超音波処理は、細胞の溶解またはゲノムDNAもしくはタンパク質の剪断に使用可能である。超音波処理は、採集マトリクスまたは浸漬した採集マトリクスを氷上に載せて実行可能である。
【0455】
超音波処理は、パルスにて実行可能である。たとえば、超音波処理は、10秒間実行した後、試料を40秒間休ませることができる。超音波処理の振幅は、生体試料中の標的生体分子に応じて調整可能である。超音波処理に使用する振幅としては、約1%~約80%が可能である。超音波処理に使用する振幅としては、少なくとも約1%が可能である。超音波処理に使用する振幅は、5%未満、10%未満、15%未満、20%未満、25%未満、30%未満、50%未満、60%未満、70%未満、または80%未満が可能である。場合により、超音波処理に使用する振幅は、1%超、5%超、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、50%超、60%超、70%超、または80%超が可能である。
【0456】
本明細書の採集マトリクスのいずれかは、撹拌を使用して処理可能である。撹拌には、ボルテックス、揺動、混合、振盪等を含み得る。速度は、毎分5回転(rpm)未満、10rpm未満、15rpm未満、20rpm未満、30rpm未満、40rpm未満、50rpm未満、60rpm未満、70rpm未満、80rpm未満、90rpm未満、100rpm未満、150rpm未満、200rpm未満、250rpm未満、300rpm未満、350rpm未満、400rpm未満、500rpm未満、600rpm未満、700rpm未満、800rpm未満、900rpm未満、1,000rpm未満、1,500rpm未満、2,000rpm未満、2,500rpm未満、3,000rpm未満、3,500rpm未満、4,000rpm未満、4,500rpm未満、5,000rpm未満、5,500rpm未満、6,000rpm未満、6,500rpm未満、7,000rpm未満、7,500rpm未満、8,000rpm未満、8,500rpm未満、9,000rpm未満、9,500rpm未満、または10,000rpm未満が可能である。速度は、約50rpm、100rpm、200rpm、300rpm、400rpm、500rpm、600rpm、700rpm、800rpm、900rpm、1000rpm、1500rpm、または5000rpmが可能である。速度は、少なくとも50rpm、100rpm、200rpm、300rpm、400rpm、500rpm、600rpm、700rpm、800rpm、900rpm、1000rpm、1500rpm、または5000rpmが可能である。
【0457】
撹拌は、少なくとも約1秒間にわたって実行可能である。撹拌は、1秒未満、5秒未満、10秒未満、15秒未満、20秒未満、30秒未満、50秒未満、60秒未満、80秒未満、100秒未満、120秒未満、5分未満、10分未満、20分未満、30分未満、50分未満、60分未満、50分未満、60分未満、2時間未満、5時間未満、8時間未満、10時間未満、20時間未満、30時間未満、または50時間未満にわたって実行可能である。撹拌は、1秒超、5秒超、10秒超、15秒超、20秒超、30秒超、50秒超、60秒超、80秒超、100秒超、120秒超、5分超、10分超、20分超、30分超、50分超、60分超、50分超、60分超、2時間超、5時間超、8時間超、10時間超、20時間超、30時間超、48時間超、または50時間超にわたって実行可能である。
【0458】
採集マトリクスは、均質化を使用して処理することができる。採集マトリクスの処理には、市販のホモジナイザを使用可能である。非限定的な例としては、MACS Octo解離機、Rotor-Statorホモジナイザ、ビーズミル、高圧ホモジナイザ等が挙げられる。
【0459】
均質化は、少なくとも約500rpmの速度で実行可能である。均質化は、500rpm未満、1,000rpm未満、2,000rpm未満、4,000rpm未満、5,000rpm未満、6,000rpm未満、8,000rpm未満、10,000rpm未満、または12,000rpm未満の速度で実行可能である。均質化は、100rpm超、500rpm超、1,000rpm超、2,000rpm超、4,000rpm超、5,000rpm超、6,000rpm超、8,000rpm超、10,000rpm超、または12,000rpm超の速度で実行可能である。
【0460】
均質化は、少なくとも約4℃の温度で実行可能である。均質化は、5℃未満、10℃未満、15℃未満、20℃未満、25℃未満、27℃未満、30℃未満、32℃未満、37℃未満、40℃未満、42℃未満、45℃未満、50℃未満、55℃未満、60℃未満、65℃未満、70℃未満、75℃未満、80℃未満、85℃未満、90℃未満、92℃未満、95℃未満、または98℃未満の温度で実行可能である。均質化は、4℃超、10℃超、15℃超、20℃超、25℃超、27℃超、30℃超、32℃超、37℃超、40℃超、42℃超、45℃超、50℃超、55℃超、60℃超、65℃超、70℃超、75℃超、80℃超、85℃超、90℃超、92℃超、95℃超、または97℃超の温度で実行可能である。
【0461】
2.酵素消化
採集マトリクスは、酵素解離を使用して処理することができる。酵素解離は、プロテアーゼ、炭水化物消化分子、ヌクレアーゼ、リパーゼ等により実行可能である。同じ採集マトリクスに1つまたは複数の酵素解離法を使用可能である。たとえば、プロテアーゼおよびヌクレアーゼによって同時に採集マトリクスを処置可能である。使用する酵素は、天然に存在し得るか合成のものであり得る。これらは、組換え細胞から単離可能である。
【0462】
酵素解離には、プロテアーゼを使用可能である。プロテアーゼの非限定的な例としては、トリプシン、プロテイナーゼK、ペプシン、キモトリプシン、パパイン、ブロメライン、スブチリシン、またはエラスターゼが挙げられる。プロテアーゼとしては、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、トレオニンプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、またはアスパラギンペプチドリアーゼが可能である。プロテアーゼは、標的タンパク質の解離に使用可能である。あるいは、プロテアーゼは、核酸等の他の生体分子の単離のためのタンパク質の解離に使用可能である。たとえば、プロテアーゼは、クロマチンからの核酸の解放に使用可能である。
【0463】
プロテアーゼ消化は、緩衝液または溶媒の存在下で実行可能である。使用する緩衝液としては、市販の緩衝液が可能である。緩衝液には、EDTA、EGTA、クエン酸塩、塩化ナトリウム、LiCl、リン酸カリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、Tris-HCl、MOPS、HEPES、MES、ジチオトレイトール(DTT)、β-メルカプトエタノール、TECP、(SDS)、塩酸グアニジン、チオシアン酸グアニジニウム(GITC)、尿素、グルタチオン(GSH)、グルタチオンジスルフィド(GSSG)、NADPH、アスコルビン酸、レチノイン酸、およびトコフェロールもしくは他の塩および有機溶媒を含み得る。
【0464】
プロテアーゼ消化は、約10分間にわたって実行可能である。プロテアーゼ消化は、10分未満、15分未満、30分未満、50分未満、または60分未満にわたって実行可能である。プロテアーゼ消化は、1時間未満、2時間未満、3時間未満、4時間未満、5時間未満、8時間未満、10時間未満、12時間未満、14時間未満、16時間未満、18時間未満、または24時間未満にわたって実行可能である。プロテアーゼ消化は、10分超、15分超、30分超、50分超、または60分超にわたって実行可能である。プロテアーゼ消化は、1時間超~18時間超にわたって実行可能である。プロテアーゼ消化は、1時間超、2時間超、3時間超、4時間超、5時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、18時間超、または24時間超にわたって実行可能である。
【0465】
炭水化物消化には酵素を使用可能である。炭水化物の酵素消化の実行により、採集マトリクス上の多糖類被覆を分解することができる。あるいは、実行によって、標的生体分子または細胞等の生物学的試料を消化することができる。このような酵素の例としては、Macerozyme R-10、ペクチナーゼ、ヘミセルラーゼ、アミラーゼ、キシラナーゼ、セルラーゼ、スクロース、マルターゼ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0466】
炭水化物消化に使用する緩衝液は、市販のものであり得る。緩衝液には、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、エチレングリコール、酢酸ナトリウム緩衝液、EDTA、EGTA、クエン酸塩、塩化ナトリウム、LiCl、リン酸カリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、Tris-HCl、MOPS、HEPES、MES ジチオトレイトール(DTT)、β-メルカプトエタノール、TECP、グルタチオン(GSH)、グルタチオンジスルフィド(GSSG)、NADPH、アスコルビン酸、レチノイン酸、およびトコフェロールまたは他の塩もしくは有機溶媒を含み得る。
【0467】
炭水化物消化は、約10分間にわたって実行可能である。炭水化物消化は、10分未満、15分未満、30分未満、50分未満、または60分未満にわたって実行可能である。炭水化物消化は、1時間未満、2時間未満、3時間未満、4時間未満、5時間未満、8時間未満、10時間未満、12時間未満、14時間未満、16時間未満、または18時間未満にわたって実行可能である。炭水化物消化は、10分超、15分超、30分超、50分超、または60分超にわたって実行可能である。炭水化物消化は、1時間超~18時間超にわたって実行可能である。炭水化物消化は、1時間超、2時間超、3時間超、4時間超、5時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、または18時間超にわたって実行可能である。
【0468】
採集マトリクスは、ヌクレアーゼを使用して処理することができる。ヌクレアーゼは、ゲノムDNAまたはRNAの消化に使用可能である。非限定的な例としては、エキソヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼ(たとえば、制限酵素)、DNase、RNAse等が挙げられる。ヌクレアーゼ消化は、1つまたは複数の緩衝液の存在下で実行可能である。たとえば、緩衝液には、Thermofisher(登録商標)により製造されたTRIzol(登録商標)、Qiagen(登録商標)により製造されたBuffer RLT、Qiagen(登録商標)により製造されたBuffer RLN、Promegaにより製造されたRNA Lysis Buffer(RLA)、Promegaにより製造されたPureYield(商標)Cell Lysis Solution(CLA)、Promegaにより製造されたPureYield(商標)Endotoxin Removal Wash、PureZOL(商標)RNA単離試薬(Bio-Rad(商標))、Zymo Research Corpにより製造されたRNA Lysis BufferもしくはDNA/RNA Binding Buffer、またはPierce(商標)により製造されたRNA Capture Buffer、Tris-HCL、MOPS、MES、HEPES、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、PBSを含み得る。
【0469】
ヌクレアーゼ消化は、約10分間にわたって実行可能である。ヌクレアーゼ消化は、10分未満、15分未満、30分未満、50分未満、または60分未満にわたって実行可能である。ヌクレアーゼ消化は、1時間未満、2時間未満、3時間未満、4時間未満、5時間未満、8時間未満、10時間未満、12時間未満、14時間未満、16時間未満、または18時間未満にわたって実行可能である。ヌクレアーゼ消化は、10分超、15分超、30分超、50分超、または60分超にわたって実行可能である。ヌクレアーゼ消化は、1時間超~18時間超にわたって実行可能である。ヌクレアーゼ消化は、1時間超、2時間超、3時間超、4時間超、5時間超、8時間超、10時間超、12時間超、14時間超、16時間超、または18時間超にわたって実行可能である。
【0470】
脂質消化には酵素を使用可能である。脂質の酵素消化の実行により、細胞中の脂質を分解することができる。あるいは、実行によって、標的生体分子を消化することができる。このような酵素の例としては、リパーゼ、エラスターゼ、ホスホリパーゼ等が挙げられる。脂質消化は、緩衝液の存在下で実行可能である。緩衝液は、市販のものであり得る。使用可能な緩衝液の例については、本明細書の他の箇所に提示する。
【0471】
一部の実施形態においては、1つの採集マトリクスまたは採集マトリクスの組み合わせに対して2つ以上の酵素消化を実行可能である。1つまたは複数の酵素消化が並行または順次実行され得る。たとえば、プロテアーゼおよびアミラーゼによって、採集マトリクスを処理可能である。場合によっては、採集マトリクスの炭水化物消化処理の後にヌクレアーゼ消化を実行することも可能であるし、並行して実行することも可能である。場合によっては、ヌクレアーゼ消化の後にリパーゼ消化を実行することも可能であるし、並行して実行することも可能である。場合によっては、3つ以上の酵素消化を並行して実行することができる。たとえば、採集マトリクスに対して、プロテアーゼ消化、炭水化物消化、ヌクレアーゼ消化、および脂質消化を並行して実行可能である。
【0472】
酵素消化を機械的解離と並行して実行することが可能である。あるいは、酵素消化を機械的解離の前または後に実行することが可能である。たとえば、浸漬の後にプロテアーゼ消化が可能である。ヌクレアーゼ消化を揺動または反転混合と並行して実行することが可能である。場合によっては、プロテアーゼ消化および脂質消化の後に超音波処理が可能である。酵素消化法に追加してまたは並行して、本明細書の他の箇所に提示する任意の他の解離法を使用することが可能である。
【0473】
3.熱解離
生物学的試料を含む採集マトリクスの処理は、熱促進解離を含み得る。温度によって分解しやすいタンパク質、核酸等の巨大分子は、温度サイクリング、凍結/解凍サイクル、または高温によって採集マトリクスから溶出し得る。
【0474】
採集マトリクスの熱解離処理には、低温処置を含み得る。場合により、低温処置には、凍結/解凍サイクルを含む。採集マトリクスの低温処置には、約-80℃、約-40℃、約-20℃、約-4℃、約0℃、または約4℃の処置温度を含み得る。場合により、処置温度は、-80℃未満、-40℃未満、-20℃未満、-4℃未満、0℃未満、または4℃未満であってもよい。場合により、処置温度は、-80℃超、-40℃超、-20℃超、-4℃超、0℃超、または4℃超であってもよい。
【0475】
熱促進解離には、採集マトリクス溶液を周囲温度でインキュベートすることを含み得る。あるいは、熱促進解離には、採集マトリクス溶液を高温でインキュベートすることを含み得る。採集マトリクスの高温処置には、30℃未満、37℃未満、45℃未満、50℃未満、55℃未満、60℃未満、80℃未満、95℃未満、97℃未満、または100℃未満の処置温度を含み得る。場合により、採集マトリクスの高温処置には、30℃超、37℃超、45℃超、50℃超、55℃超、60℃超、80℃超、95℃超、97℃超、または100℃超の処置温度を含み得る。
【0476】
熱促進解離には、処置温度を循環させることを含み得る。これには、低温と周囲温度との間の循環を含み得る。あるいは、低温と高温との間または周囲温度と高温との間の採集マトリクスの循環を含み得る。採集マトリクスは、低温、それに続く高温、それに続く周囲温度でのインキュベーション、またはこれらの他の組み合わせの循環により処理することができる。
【0477】
熱促進解離処理手順は、機械的解離手順に加えて実行可能である。熱解離プロセスを機械的解離と並行して実行することが可能である。たとえば、浸漬を温度サイクリングと並行して実行することが可能である。また、ボルテックスを温度サイクリング後に実行することも可能である。本明細書の他の箇所に提示する任意の他の機械的解離法を熱促進解離法と組み合わせることができる。
【0478】
熱促進解離処理手順は、酵素消化手順に加えて実行可能である。熱解離プロセスを酵素消化と並行して実行することが可能である。たとえば、ヌクレアーゼ消化を高温処置と並行して実行することが可能である。また、プロテアーゼ消化を温度サイクリング後に実行することも可能である。本明細書の他の箇所に提示する任意の他の酵素消化法を熱促進解離法と組み合わせることができる。
【0479】
熱促進解離処理手順は、酵素消化および機械的解離手順に加えて実行可能である。熱解離プロセスを酵素消化および機械的解離と並行して実行することが可能である。たとえば、ヌクレアーゼ消化を浸漬した採集マトリクスの高温処置および揺動と並行して実行することが可能である。
【0480】
4.時間依存再湿潤化
乾燥した採集マトリクスを再湿潤化することができる。採集マトリクスの再湿潤化は、標的生体分子に応じて異なる時間および温度で実行可能である。たとえば、高度に可溶性の生体分子は、不溶性生体分子と比較して再湿潤化の必要性が少なくなり得る。場合によっては、いくつかの異なる温度で再湿潤化を実行可能である。一部の生体分子は、室温で可溶性となり得るが、他の生体分子にはより高い温度を要する可能性がある。このような場合、再湿潤化プロセスには、温度サイクリングを含み得る。
【0481】
採集マトリクスは、3秒未満、5秒未満、8秒未満、10秒未満、20秒未満、30秒未満、40秒未満、50秒未満、60秒未満、2分未満、5分未満、10分未満、20分未満、30分未満、50分未満、60分未満、50分未満、60分未満、2時間未満、5時間未満、8時間未満、10時間未満、20時間未満、30時間未満、50時間未満、70時間未満、80時間未満、または100時間未満にわたって再湿潤化可能である。採集マトリクスは、3秒超、5秒超、8秒超、10秒超、20秒超、30秒超、40秒超、50秒超、60秒超、2分超、5分超、10分超、20分超、30分超、50分超、60分超、50分超、60分超、2時間超、5時間超、8時間超、10時間超、20時間超、30時間超、50時間超、70時間超、80時間超、または100時間超にわたって再湿潤化可能である。
【0482】
5.化学的解離および安定化
生物学的試料を含む採集マトリクスの処理は、化学的に促進される解離および安定化を含み得る。化学的解離処置は、採集マトリクスを溶出緩衝液に導入することを含み得る。緩衝液には、さまざまな塩、有機溶媒、界面活性剤、タンパク質添加剤、イオン交換剤、金属キレート剤、安定化要素、還元剤、酸化剤、またはフリーラジカル捕捉剤を含み得る。
【0483】
溶出緩衝液には、1つまたは複数の界面活性剤を含み得る。1つまたは複数の界面活性剤は、たとえばアニオン性、カチオン性、ノニオン性、または両性タイプが可能である。使用する界面活性剤は、生体分子の親水性部分および疎水性部分の両方と相互作用可能であり得、このような分子の可溶化および溶出を補助し得る。1つまたは複数の界面活性剤としては、ポリエトキシ化アルコール、ポリオキシエチレンソルビタン、Triton(登録商標) X 100(商標)(ポリエチレングリコールp-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェニルエーテル)等のオクトキシノール、Tween(登録商標)20(たとえば、ポリソルベート20)もしくはTween(登録商標)80(ポリソルベート80)等のポリソルベート、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、Tergitol(商標)等のノニルフェノールエトキシレート、シクロデキストリン、コカミドプロピルベタイン等の両性イオン界面活性剤が可能である。他のベタインには、ラウラミドプロピルベタイン、オレアミドプロピルベタイン、リシノールアミドプロピルベタイン、セチルベタインおよびダイマージリノールアミドプロピルベタイン、スルホベタイン、ヒドロキシスルホベタイン、塩化メチレン、およびスルタイン、またはこれらの任意の組み合わせを含む。1つまたは複数の界面活性剤は、溶出緩衝液の総体積に対して0.001体積%未満、0.005体積%未満、0.01体積%未満、0.015体積%未満、0.02体積%未満、0.025体積%未満、0.03体積%未満、0.035体積%未満、0.04体積%未満、0.045体積%未満、0.05体積%未満、0.055体積%未満、0.06体積%未満、0.065体積%未満、0.07体積%未満、0.075体積%未満、0.08体積%未満、0.085体積%未満、0.09体積%未満、0.095体積%未満、0.1体積%未満、0.15体積%未満、0.2体積%未満、未満、0.25体積%未満、0.3体積%未満、0.35体積%未満、0.4体積%未満、0.45体積%未満、0.5体積%未満、0.55体積%未満、0.6体積%未満、0.65体積%未満、0.7体積%未満、0.75体積%未満、0.8体積%未満、0.85体積%未満、0.9体積%未満、0.95体積%未満、または0.1体積%未満の濃度で存在し得る。1つまたは複数の界面活性剤は、約0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、5%、または10%の濃度が可能である。1つまたは複数の界面活性剤は、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、5%、または10%未満の濃度が可能である。1つまたは複数の界面活性剤は、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、5%、または10%超の濃度が可能である。
【0484】
溶出緩衝液には、1つまたは複数の有機溶媒混合物を含み得る。水性および有機溶媒混合物による有機抽出は、生体分子を可溶化および溶出するように機能し得る。有機溶媒には、ブタノール、エタノール、メタノール、イソプロパノール、フェノール、プロパノール、DMSO、DMF、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ブタノール、t-ブタノール、ペンタノール、アセトン、クロロホルム、またはこれらの組み合わせを含み得る。溶出緩衝液は、溶液の総体積に対して0.01体積%未満、0.05体積%未満、0.1体積%未満、0.15体積%未満、0.2体積%未満、0.25体積%未満、0.3体積%未満、0.35体積%未満、0.4体積%未満、0.45体積%未満、0.5体積%未満、0.55体積%未満、0.6体積%未満、0.65体積%未満、0.7体積%未満、0.75体積%未満、0.8体積%未満、0.85体積%未満、0.9体積%未満、0.95体積%未満、1体積%未満、1.5体積%未満、2体積%未満、2.5体積%未満、3体積%未満、3.5体積%未満、4体積%未満、4.5体積%未満、5体積%未満、5.5体積%未満、6体積%未満、6.5体積%未満、7体積%未満、7.5体積%未満、8体積%未満、8.5体積%未満、9体積%未満、9.5体積%未満、10体積%未満、11体積%未満、12体積%未満、13体積%未満、14体積%未満、15体積%未満、16体積%未満、17体積%未満、18体積%未満、19体積%未満、20体積%未満、25体積%未満、30体積%未満、35体積%未満、40体積%未満、45体積%未満、50体積%未満、55体積%未満、60体積%未満、65体積%未満、70体積%未満、75体積%未満、80体積%未満、85体積%未満、90体積%未満、95体積%未満、99体積%未満、または100体積%の有機溶媒を含み得る。溶出緩衝液中の1つまたは複数の有機溶媒の濃度は、少なくとも1%、5%、10%、50%、75%、または100%が可能である。溶出緩衝液中の1つまたは複数の有機溶媒の濃度は、約1%、5%、10%、50%、75%、または100%が可能である。
【0485】
緩衝液には、塩化グアニジン、塩酸グアニジン、イソチオシアン酸グアニジン、過塩素酸リチウム、酢酸リチウム、塩化マグネシウム、ヨウ化ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、チオ尿素、尿素、またはこれらの任意の組み合わせ等のカオトロピック剤を含み得る。緩衝液中のカオトロピック剤の濃度は、約0.1mM、1mM、10mM、100mM、1M、6M、または8Mが可能である。緩衝液中のカオトロピック剤の濃度は、少なくとも0.1mM、1mM、10mM、100mM、1M、6M、または8Mが可能である。緩衝液中のカオトロピック剤の濃度は、0.1mM、1mM、10mM、100mM、1M、6M、または8M未満が可能である。
【0486】
化学的に促進される解離および安定化には、溶出緩衝液へのタンパク質および/または核酸添加剤の添加を含み得る。溶出溶液へのタンパク質および/または核酸の添加は、採集マトリクスの競合的結合によって、多糖類で被覆された採集マトリクスから目的の生体分子を追い出すのに役立ち得る。また、添加剤は、生体分子を安定化させるとともに、生体分子の実験器具への非特異的結合を阻止することができる。添加剤の例としては、BSA、アルブミン、カゼイン、乾燥乳、無脂肪乳、卵白、非ヒト血清、血液代用物、核酸、酵母RNA、ニシン精子DNA、サケ精子DNA、子ウシ胸腺DNA、COT-1 DNA、合成オリゴヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されない。溶出緩衝液は、溶液の総体積に対して0.0001体積%未満、0.005体積%未満、0.01体積%未満、0.05体積%未満、0.1体積%未満、0.15体積%未満、0.2体積%未満、0.25体積%未満、0.3体積%未満、0.35体積%未満、0.4体積%未満、0.45体積%未満、0.5体積%未満、0.55体積%未満、0.6体積%未満、0.65体積%未満、0.7体積%未満、0.75体積%未満、0.8体積%未満、0.85体積%未満、0.9体積%未満、0.95体積%未満、1体積%未満、1.5体積%未満、2体積%未満、2.5体積%未満、3体積%未満、3.5体積%未満、4体積%未満、4.5体積%未満、5体積%未満、5.5体積%未満、6体積%未満、6.5体積%未満、7体積%未満、7.5体積%未満、8体積%未満、8.5体積%未満、9体積%未満、9.5体積%未満、10体積%未満、11体積%未満、12体積%未満、13体積%未満、14体積%未満、15体積%未満、16体積%未満、17体積%未満、18体積%未満、19体積%未満、20体積%未満、25体積%未満、30体積%未満、35体積%未満、40体積%未満、45体積%未満、50体積%未満、55体積%未満、60体積%未満、65体積%未満、70体積%未満のタンパク質、核酸、またはタンパク質/核酸混合物を含み得る。溶出緩衝液中の1つまたは複数のタンパク質、核酸、またはタンパク質/核酸混合物の濃度は、少なくとも0.0001%、0.005%、0.001%、0.05%、1%、5%、10%、または50%が可能である。溶出緩衝液中の1つまたは複数のタンパク質、核酸、またはタンパク質/核酸混合物の濃度は、約0.0001%、0.005%、0.001%、0.05%、1%、5%、10%、または50%が可能である。
【0487】
化学的に促進される解離および安定化には、イオン交換剤を含む溶出緩衝液を含み得る。イオン交換剤には、タンパク質のイオン強度に影響を及ぼし得る任意の薬剤を含み得る。イオン強度は、生体分子の溶解度、活性、結合、または安定化特性の変化による影響を受ける可能性がある。1つまたは複数の塩としては、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、炭酸水素カリウム、硫酸水素カリウム、臭素酸カリウム、臭化カリウム、または炭酸カリウムが可能である。1つまたは複数の塩は、約0.1mM、5mM、10mM、25mM、50mM、100mM、250mM、500mM、または750mMの濃度が可能である。1つまたは複数の塩は、0.1mM、5mM、10mM、25mM、50mM、100mM、250mM、500mM、または750mM未満の濃度が可能である。1つまたは複数の塩は、少なくとも0.1mM、5mM、10mM、25mM、50mM、100mM、250mM、500mM、750mM、または1000mMの濃度が可能である。
【0488】
イオン交換試薬には、1つまたは複数の緩衝化剤を含み得る。1つまたは複数の緩衝化剤としては、たとえば食塩水、クエン酸塩、リン酸塩、リン酸緩衝食塩水、酢酸塩、グリシン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)塩酸塩、トリス緩衝食塩水(TBS)、3-[[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イル]アミノ]プロパン-1-スルホン酸(TAPS)、ビシン、トリシン、3-[[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イル]アミノ]-2-ヒドロキシプロパン-1-スルホン酸(TAPSO)、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、2-[[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イル]アミノ]エタンスルホン酸(TES)、カコジル酸塩、グリシン、炭酸塩、またはこれらの任意の組み合わせが可能である。緩衝化剤は、500mM未満、400mM未満、300mM未満、200mM未満、100mM未満、50mM未満、25mM未満、20mM未満、15mM未満、10mM未満、5mM未満、4mM未満、3mM未満、2mM未満、1mM未満、0.9mM未満、0.8mM未満、0.7mM未満、0.6mM未満、0.5mM未満、0.4mM未満、0.3mM未満、0.2mM未満、または0.1mM未満の濃度で存在し得る。緩衝化剤は、500mM超、400mM超、300mM超、200mM超、100mM超、50mM超、25mM超、20mM超、15mM超、10mM超、5mM超、4mM超、3mM超、2mM超、1mM超、0.9mM超、0.8mM超、0.7mM超、0.6mM超、0.5mM超、0.4mM超、0.3mM超、0.2mM超、または0.1mM超の濃度で存在し得る。
【0489】
化学的に促進される解離および安定化には、pHに促進される処置を含み得る。pHに促進される化学的解離には、pHサイクルを含み得る。たとえば、溶出緩衝液としては最初、pHが9~12の範囲のより塩基性の溶液が可能である。塩または酸を溶出緩衝液に添加して、緩衝液を塩基性から酸性へと循環させることができる。
【0490】
溶出緩衝液のpHとしては、約1~約14が可能である。溶出緩衝液のpHとしては、少なくとも約1が可能である。溶出緩衝液のpHとしては、高くても約14が可能である。溶出緩衝液のpHは、2未満、3未満、4未満、5未満、6未満、7未満、8未満、9未満、10未満、11未満、12未満、または14未満が可能である。溶出緩衝液のpHは、1超、3超、4超、5超、6超、7超、8超、9超、10超、11超、12超、または13超が可能である。
【0491】
採集マトリクスの化学的に促進される解離および安定化には、キレート剤による処置を含み得る。1つまたは複数のキレート剤としては、たとえば炭水化物、脂質、ステロイド、アミノ酸もしくは関連化合物、リン酸塩、ヌクレオチド、テトラピロール、フェリオキサミン類、イオノフォア、フェノール類、または合成キレート剤、例えば、2,2’-ビピリジル、ジメルカプトプロパノール、エチレンジアミノ四酢酸(EDTA)、エチレンジオキシ-ジエチレン-ジニトリロ-四酢酸、エチレングリコール-ビス-(2-アミノエチル)-N,N,N’、N’-四酢酸(EGTA)、金属ニトリロ三酢酸(NTA)、サリチル酸、クエン酸塩、またはトリエタノールアミン(TEA)が可能である。緩衝液中の1つまたは複数のキレート剤の濃度は、約0.01mM、0.1mM、1mM、5mM、10mM、20mM、または25mMが可能である。緩衝液中の1つまたは複数のキレート剤の濃度は、0.1mM、1mM、5mM、10mM、20mM、または25mM未満が可能である。緩衝液中の1つまたは複数のキレート剤の濃度は、0.1mM、1mM、5mM、10mM、20mM、または25mM超が可能である。
【0492】
採集マトリクスの化学的に促進される解離および安定化には、凝集を防止することができる薬剤による処置を含み得る。凝集防止剤には、ポリオール類を含み得る。1つまたは複数のポリオール類としては、エチレングリコールもしくはプロピレングリコール等のグリコール、または、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG3000、PEG6000、PEG8000、もしくはPEG10000等のさまざまな重量のポリエチレングリコール(PEG)等のグリコールポリマーが可能である。場合により、1つまたは複数のポリオール類としては、糖が可能である。場合により、糖としては、スクロース、グルコース、フルクトース、トレハロース、マルトース、メレジトース、ガラクトース、ラクトース、またはこれらの任意の組み合わせが可能である。場合により、1つまたは複数のポリオールとしては、糖アルコールが可能である。場合により、糖アルコールとしては、グリセロール、エリスリトール、スレイトール、キシリトール、ソルビトール等が可能である。溶出緩衝液中の凝集防止剤の濃度は、約0.5%、約1%、約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%、または約60%が可能である。溶出緩衝液中の凝集防止剤の濃度は、0.5%未満、1%未満、2%未満、5%未満、10%未満、15%未満、20%未満、25%未満、30%未満、40%未満、50%未満、または60%未満が可能である。溶出緩衝液中の凝集防止剤の濃度は、0.5%超、1%超、2%超、5%超、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、40%超、50%超、または60%超が可能である。
【0493】
溶出緩衝液には、1つまたは複数の還元剤または酸化剤を含み得る。還元剤は、生体分子の溶解度、活性、結合、および安定化特性を変化させることにより生体分子を還元または酸化することができる。1つまたは複数の還元剤または酸化剤としては、たとえばベータ-メルカプトエタノール(BME)、2-アミノエタンチオール(2MEA-HCl(システアミン-HCl))、ジチオトレイトール(DTT)、グルタチオン(GSH)、グルタチオンジスルフィド(GSSG)、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、NADPH、アスコルビン酸、レチノイン酸、およびトコフェロール、またはこれらの任意の組み合わせが可能である。1つまたは複数の還元剤の濃度は、約0.1mM、0.5mM、1mM、10mM、50mM、100mM、250mM、または500mMが可能である。1つまたは複数の還元剤または酸化剤の濃度は、0.1mM、0.5mM、1mM、10mM、50mM、100mM、250mM、または500mM未満が可能である。たとえば、DTTの濃度は、0.05mM未満~100mM未満、0.5mM未満~50mM未満、または5mM未満~10mM未満が可能である。TCEPの濃度は、0.05mM未満、5mM未満、10mM未満、または50mM未満が可能である。BMEの濃度は、0.05%未満、5%未満、または10%未満が可能である。GSHの濃度は、0.05mM未満、5mM未満、または10mM未満が可能である。1つまたは複数の還元剤または酸化剤の濃度は、約1mM、10mM、50mM、100mM、250mM、または500mMが可能である。
【0494】
溶出緩衝液には、1つまたは複数のフリーラジカル捕捉剤を含み得る。ラジカル捕捉剤には、テトラヒドロキシ-1,4-ベンゾキノン(THQ)もしくはヒドロキノンのモノメチルエーテル(MEHQ)を含むヒドロキノン誘導体、グルタチオン(GSH)、アスコルビン酸、レチノイン酸、ならびにトコフェロールを含み得る。緩衝液中の1つまたは複数のフリーラジカル捕捉剤の濃度は、約0.1mM、1mM、5mM、10mM、20mM、25mM、27mM、28mM、29mM、30mM、32mM、35mM、38mM、40mM、45mM、50mM、または100mMが可能である。緩衝液中の1つまたは複数のフリーラジカル捕捉剤の濃度は、0.1mM、1mM、5mM、10mM、20mM、25mM、27mM、28mM、29mM、30mM、32mM、35mM、38mM、40mM、45mM、50mM、または100mM未満が可能である。緩衝液中の1つまたは複数のフリーラジカル捕捉剤の濃度は、0.1mM、1mM、5mM、10mM、20mM、25mM、27mM、28mM、29mM、30mM、32mM、35mM、38mM、40mM、45mM、50mM、または100mM超が可能である。
【0495】
化学的に促進される解離および安定化手順は、他の解離法に追加してまたは並行して実行可能である。化学的解離は、採集マトリクスの揺動または採集マトリクス溶液のボルテックスと並行して実行可能である。化学的解離法を酵素解離の前または後に実行することが可能である。たとえば、炭水化物消化酵素によって最初に、採集マトリクス上の多糖類被覆を分解した後、溶出緩衝液による処置で核酸を溶出させることができる。化学的解離法の異なる温度での実行または異なる温度のサイクルに追加しての実行によって、熱解離を容易化することができる。化学的解離法は、機械的解離、酵素解離、熱促進解離もしくは時間依存再湿潤化、ならびに本明細書の他の箇所に提示の解離法のいずれかに追加してまたは並行して実行可能である。
【0496】
採集マトリクスまたは採集マトリクスの一部は、5μL未満、10μL未満、15μL未満、20μL未満、25μL未満、30μL未満、35μL未満、40μL未満、45μL未満、50μL未満、55μL未満、60μL未満、65μL未満、70μL未満、75μL未満、80μL未満、85μL未満、90μL未満、95μL未満、100μL未満、110μL未満、120μL未満、130μL未満、140μL未満、150μL未満、160μL未満、170μL未満、180μL未満、190μL未満、200μL未満、250μL未満、300μL未満、350μL未満、400μL未満、450μL未満、500μL未満、550μL未満、600μL未満、650μL未満、700μL未満、750μL未満、800μL未満、850μL未満、900μL未満、950μL未満、1,000μL未満、1.5mL未満、2mL未満、2.5mL未満、3mL未満、3.5mL未満、4mL未満、4.5mL未満、5mL未満、5.5mL未満、6mL未満、6.5mL未満、7mL未満、7.5mL未満、8mL未満、8.5mL未満、9mL未満、9.5mL未満、または10mL未満の溶出緩衝液の体積と接触し得る。安定化採集マトリクスまたは安定化採集マトリクスの一部は、約0.1mL、0.2mL、0.5mL、0.7mL、1mL、2mL、5mL、7mL、または10mLの緩衝液と接触し得る。
【0497】
採集マトリクスと接触する溶出緩衝液の体積は、採集マトリクスの表面積によって決まり得る。溶出緩衝液の量としては、1μL/mm未満、2μL/mm未満、3μL/mm未満、4μL/mm未満、5μL/mm未満、6μL/mm未満、7μL/mm未満、8μL/mm未満、9μL/mm未満、10μL/mm未満、12μL/mm未満、14μL/mm未満、16μL/mm未満、18μL/mm未満、20μL/mm未満、25μL/mm未満、30μL/mm未満、35μL/mm未満、40μL/mm未満、45μL/mm未満、50μL/mm未満、55μL/mm未満、60μL/mm未満、65μL/mm未満、70μL/mm未満、75μL/mm未満、80μL/mm未満、85μL/mm未満、90μL/mm未満、95μL/mm未満、100μL/mm未満、150μL/mm未満、200μL/mm未満、250μL/mm未満、300μL/mm未満、350μL/mm未満、400μL/mm未満、450μL/mm未満、500μL/mm未満、550μL/mm未満、600μL/mm未満、650μL/mm未満、700μL/mm未満、750μL/mm未満、800μL/mm未満、850μL/mm未満、900μL/mm未満、950μL/mm未満、または1,000μL/mm未満が可能である。
【0498】
試料安定化ユニットの非限定的な実施形態は、試料分離成分を採用して、他の非血漿または非血清成分も分離可能である。たとえばマイクロチャネルを含むチャネル、吸収性材料のウィッキング、または試料が機器を通って流れ得るようにする他の手段を通じて、試料分離構成要素を試料取得構成要素に接続可能である。試料を分離するためのシステムおよび方法は、例示であって、限定するものではない。
【0499】
一般的に、試料は、1つまたは複数の検体を含む可能性もあるし、その疑いもある。本明細書において使用する場合の用語「検体(analyte)」は、アッセイまたはイムノアッセイ機器を使用して分析可能な任意の物質を表し得る。一例として、イムノアッセイ機器は、試料中の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、またはそれよりも多くの検体の有無を検出するように構成可能である。検体の非限定的な例としては、タンパク質、ハプテン、免疫グロブリン、ホルモン、ポリヌクレオチド、ステロイド、薬物、感染症因子(たとえば、細菌またはウイルス起源)、乱用薬物、環境因子、生物学的マーカ等が挙げられ得る。
【0500】
F.カートリッジアセンブリの例
図26A図26Cは、たとえば図34A図34Dに示すような試料取得機器1100と使用され得るカートリッジアセンブリ2600の非限定的な一実施形態を示している。カートリッジアセンブリ2600は、1つまたは複数の特徴を備え得る。たとえば、カートリッジアセンブリは、細長ハウジング(たとえば、カートリッジタブ)2610、入口構成要素(たとえば、カートリッジポート)2620、処置/安定化ユニット(たとえば、細長ストリップもしくは本明細書の他の箇所に記載のマトリクス)2630、またはカートリッジ裏当て(たとえば、裏当て板)2640を備え得る。カートリッジタブ2610は、細長シール2650を備え得る。一部の実施形態において、マトリクス2630は、カートリッジタブ2610、カートリッジポート2620、およびカートリッジ裏当て2640間に支持されている(たとえば、挟まれている)。
【0501】
図27A図27Cは、カートリッジアセンブリ2600の非限定的な寸法を示している。たとえば、図27Bに示すように、カートリッジアセンブリ2600は、約1.5インチ~約4.5インチの範囲の長さを有していてもよい。一部の好適な実施形態において、長さは、約2.5インチ~約3.6インチであってもよい。長さは、カートリッジタブ2610の遠位端からカートリッジポート2620の遠位端まで測定したものであってもよい。カートリッジアセンブリ2600は、約0.5インチ~約1.4インチの範囲の第1の幅を有していてもよい。第1の幅は、カートリッジポート2620を有するカートリッジアセンブリ2600の端部であってもよい。第1の幅は、カートリッジポート2620の一方側からカートリッジポート2620の反対側まで測定したものであってもよい。一部の好適な実施形態において、第1の幅は、約0.75インチ~約1.1インチであってもよい。カートリッジアセンブリは、約0.40インチ~約1.1インチの範囲の第2の幅を有していてもよい。第2の幅は、カートリッジタブ2610を有するカートリッジアセンブリ2600の端部であってもよい。第2の幅は、カートリッジタブ2610の一方側からカートリッジタブ2610の反対側まで測定したものであってもよい。一部の好適な実施形態において、第2の幅は、約0.60インチ~約0.90インチであってもよい。
【0502】
カートリッジアセンブリ2600は、約1.4in~約4.2inの範囲の面積を有していてもよい。一部の好適な実施形態において、面積は、約2.2in~約3.4inであってもよい。カートリッジアセンブリ2600は、約1.7~約6.4の範囲の長さの幅に対する比を有していてもよい。一部の好適な実施形態において、長さの幅に対する比は、約3.4~5.0であってもよい。カートリッジアセンブリ2600の長さ対幅比は、高品質の血漿を生成する長さ対幅比を有するマトリクス2630に適合するように構成されていてもよい。カートリッジアセンブリ2600は、約0.25インチ~約0.7インチの範囲の厚さを有していてもよい。厚さは、細長シール2650の一方側から細長シール2650の反対側まで測定したものであってもよい。一部の好適な実施形態において、厚さは、約0.40インチ~約0.60インチであってもよい。
【0503】
図30A図30Cは、入口構成要素(たとえば、カートリッジポート)2620の非限定的な一実施形態を示している。カートリッジポート2620は、1つまたは複数の特徴を備え得る。たとえば、カートリッジポート2620は、本明細書の他の箇所に記載の血液入力エリア(たとえば、試料(たとえば、血液)をカートリッジアセンブリの他の特徴に導入するためのポート)3010、本明細書の他の箇所に記載の転回特徴(たとえば、チャネル)3020、本明細書の他の箇所に記載のリザーバ3030、本明細書の他の箇所に記載の圧力バー3040、本明細書の他の箇所に記載の表示窓3050、または本明細書の他の箇所に記載のベント3060といった特徴を備え得る。
【0504】
血液入力エリア3010は、試料取得機器1100を介して試料(たとえば、血液)を受容するように構成されているポートを備え得る。ポートは、たとえば約0°~約45°の範囲の先細の外形を有し得る。一部の好適な実施形態において、先細の外形は、約15°~約30°であってもよい。ポートは、当該ポートの長さに沿って変化する直径を有していてもよい。直径は、カートリッジポート2620の縁部の近位の表面で約0.10インチ~約0.3インチの範囲が可能である。一部の好適な実施形態において、直径は、約0.15インチ~約0.25インチであってもよい。直径は、カートリッジポート2620の縁部の反対の表面で約0.05インチ~約0.20インチの範囲が可能である。一部の好適な実施形態において、直径は、約0.1インチ~約0.15インチであってもよい。ポートの先細の外形は、高品質の血漿を生成する長さ対幅比を有するマトリクス2630に適合するように構成されていてもよい。
【0505】
血液入力エリア3010は、試料の流れ(たとえば、血液の流れ)と接触する表面エリアを有するポートを備え、たとえばマトリクス2630の目詰まりの防止、血漿損失の最小化、または血漿収量および品質の最大化を行うように構成可能である。表面エリアは、本明細書の他の箇所に記載の決定された長さ対幅比を有するマトリクスに対して最適化されていてもよい。チャネル3020は、ポートを介してマトリクス2630上に試料(たとえば、血液)を導入する本明細書の他の箇所に記載の1つまたは複数の転回を有するように構成されている1つまたは複数のチャネルを含んでいてもよい。1つまたは複数のチャネルは、たとえば対象の皮膚上で垂直に配向した場合に血液がマトリクスの表面を流れ落ちることがないように、血液をマトリクス上に直交して導入するように構成されていてもよい。場合により、1つまたは複数のチャネルは、血液の流れの方向の変化を誘発して、血液の流れに加わる重力を打ち消すように構成されてもよい。リザーバ3030は、たとえばマトリクス2630にウィッキングが生じている間、血液を採集する、凝集させる、またはプールするように構成されていてもよい。リザーバ3030は、チャネル3020の1つまたは複数の転回特徴に隣接して配置されるように構成されていてもよい。場合により、1つまたは複数の転回特徴は、ポート(たとえば、血液入力エリア3010)とリザーバ3030との間に配置されている。リザーバ3030は、圧力バー3040とチャネル3020の1つまたは複数の転回特徴との間に配置されていてもよい。圧力バー3040は、たとえば血液を遅らせてマトリクス2630上のウィッキングならびに血漿分離および収量の最適化を確実にすることでカートリッジアセンブリ2600の垂直配向を可能にするように構成されていてもよい。圧力バー3040は、血液試料の流速を調節し、かつマトリクス2630に沿う血液試料の適正なウィッキングを確保して血液試料からの血漿の分離の最適化するように構成されていてもよい。圧力バー3040は、リザーバ3030に隣接して配置されていてもよい。表示窓3050は、たとえば試料取得が完了した場合に対象の身体から試料取得機器1100を取り外すことの指示をユーザに与えるように構成されていてもよい。表示窓3050は、マトリクス2630上の血漿分離の進行を視認できるように構成されていてもよい。ベント3060は、たとえばマトリクス2630からリザーバ3030に入って細長シール2650の全体へと真空を自由に流すことを確実にすることで、システムの連続性(たとえば、カートリッジアセンブリ2600を通る血液の流れ)を維持するように構成されていてもよい。
【0506】
圧力バー3040は、カートリッジアセンブリ2600の内側の試料(たとえば、血液)の流路の1つまたは複数の領域またはその近くで圧力を上昇させるかまたは圧力を低下させるように構成されていてもよい。圧力バー3040は、試料、処置、および/または化学薬品と適合するように、異なる寸法、形状、特徴、材料、またはこれらの任意の組み合わせで構成されていてもよい。圧力バー3040は、試料の流路の1つまたは複数の領域またはその近くで圧力を高くするような構成(たとえば、スクイーズ特徴)であってもよい。スクイーズ特徴は、これがなければより小さくなるマトリクス2630の表面積に対して血漿の収量を最適化するように試料(たとえば、血液)から血漿を絞り出すように構成されていてもよい。場合により、スクイーズ特徴は、血液の流れの制限、停止、または実質的な停止と、試料(たとえば、血液)の流路の領域を横切る血漿の意図的な隔離と、を行うように下降または上昇し得るストップとして構成されていてもよい。圧力バー3040は、試料の流路の1つまたは複数の領域またはその近くで圧力を低くするような構成(たとえば、レリーフ特徴)であってもよい。レリーフ特徴は、血液の流れを増やす切り欠きとして構成されていてもよい。レリーフ特徴は、試料取得機器1100を使用してユーザから十分な試料(たとえば、血液)が採集された場合に流れを引き継ぐ切り欠きとして構成されていてもよい。場合により、圧力バーは、切り欠きまたはストップの位置を下降または上昇させるように構成されていてもよいし、あるいは他の方法で位置に影響を及ぼすように構成されていてもよい。圧力バー3040は、穿孔エリアを有する構成により、最終使用の処理を容易にするようにしてもよい。穿孔エリアは、エッチング、レーザ照射、機械的な打ち抜き、またはこれらの任意の組み合わせが行われ得る。
【0507】
圧力バー3040は、カートリッジポート2620とカートリッジ裏当て2640との間に間隙を形成するようにスタンドオフ3130と併せて構成されていてもよい。あるいは、圧力バー3040は、間隙を与えるように構成されていてもよい。間隙のサイズは、約0mm~約4mmの範囲であってもよい。間隙は、調整可能となるように構成されていてもよいし、固定されるように構成されていてもよい。間隙のサイズは、間隙の幅または長さにわたって実質的に一定であってもよい。間隙のサイズは、間隙の幅または長さにわたって可変であってもよい。圧力バー3040は、高品質の血漿を生成するため、カートリッジポート2620の先細ポートと組み合わせて構成されていてもよい。
【0508】
圧力バー3040は、試料(たとえば、血液)取得時に自動動作を提供するように構成されていてもよい。たとえば、圧力バー3040は、試料(たとえば、血液)取得時に自動的な昇圧または降圧によって、試料の流れの停止、低減、または増大を行うように構成されていてもよい。たとえば、圧力バー3040は、ユーザが所定時間(たとえば、約20分)を超えて試料取得機器1100をオンで放置する溢流シナリオにおいて流れを自動的に停止するように構成されていてもよい。たとえば、圧力バー3040は、試料取得機器1100によって十分な試料が採集されていないアンダーフローシナリオにおいて流れを自動的に増やすように構成されていてもよい。たとえば、圧力バー3040は、試料取得機器によって過剰な試料が採集されている試料取得溢流シナリオにおいて流れを自動的に減らすように構成されていてもよい。たとえば、圧力バー3040は、新たな材料を構成する必要なく、さまざまな試料採集チューブにおいて、異なる試料採集材料片の自動的な多重化および処理を提供するように構成されていてもよい。たとえば、圧力バー3040は、可能な限り小さな材料の表面積および/または体積で血漿を自動的に採集するように構成されていてもよい。圧力バー3040は、化学的処置、表面処置、または機器の全体寸法に依存しないものであってもよい。圧力バー3040は、製造が容易に構成されていてもよい。
【0509】
図28A図28Eは、カートリッジポート2610の非限定的な寸法を示している。たとえば、図28Bに示すように、カートリッジポート2610は、約0.7インチ~約2.0インチの範囲の長さを有していてもよい。長さは、カートリッジポート2610の一端からカートリッジポート2610の反対端まで測定したものであってもよい。一部の好適な実施形態において、長さは、約1.1インチ~約1.6インチであってもよい。カートリッジポート2610は、約0.4インチ~約1.1インチの範囲の幅を有していてもよい。幅は、カートリッジポート2610の一方側からカートリッジポート2610の反対側まで測定したものであってもよい。一部の好適な実施形態において、幅は、約0.6インチ~約0.9インチであってもよい。カートリッジポート2610は、約0.1インチ~約0.3インチの範囲の厚さを有していてもよい。厚さは、カートリッジポート2610の一方側からカートリッジポートの反対側まで測定したものであってもよい。一部の好適な実施形態において、厚さは、約0.16インチ~約0.24インチである。カートリッジポート2610は、約0.5in~約1.5inの範囲の表面積を有していてもよい。一部の好適な実施形態において、表面積は、約0.8in~約1.2inであってもよい。カートリッジポート2610は、約0.9~約2.7の範囲の長さ対幅比を有していてもよい。一部の好適な実施形態において、長さ対幅比は、約1.4~約2.1であってもよい。カートリッジポート2610の長さ対幅比は、高品質の血漿を生成する長さ対幅比を有するマトリクス2630に適合するように構成されていてもよい。
【0510】
カートリッジポート2620のリザーバ3030は、約0.2インチ~約0.7インチの範囲の幅を有していてもよい。幅は、リザーバ3030の一方側からリザーバ3030の反対側まで測定したものであってもよい。一部の好適な実施形態において、幅は、約0.4インチ~約0.5インチであってもよい。リザーバは、約0.1インチ~約0.3インチの範囲の長さを有していてもよい。長さは、リザーバ3030の一端からリザーバ3030の反対端まで測定したものであってもよい。一部の好適な実施形態において、長さは、約0.2インチ~約0.3インチであってもよい。リザーバ3030は、約0.05in~約0.16inの範囲の表面積を有していてもよい。一部の好適な実施形態において、表面積は、約0.08in~約0.12inであってもよい。リザーバ3030は、約0.25~約0.75の範囲の長さ対幅比を有していてもよい。一部の好適な実施形態において、長さ対幅比は、約0.4~約0.6であってもよい。リザーバ3030の長さ対幅比は、高品質の血漿を生成する長さ対幅比を有するマトリクス2630に適合するように構成されていてもよい。
【0511】
リザーバ3030は、当該リザーバ3030の縁部から圧力バー3040までの距離が約0mm~約5mmの範囲を有するように配置されていてもよい。一部の好適な実施形態において、距離は、約0mmであってもよい。リザーバ3030は、約30mm~約300mmの範囲の体積を有していてもよい。一部の好適な実施形態において、体積は、約175mmであってもよい。リザーバ3030には、マトリクス2630の縁部が延びるように構成されていてもよい。マトリクス2630の縁部がリザーバ3030の縁部まで延びて実質的に位置合わせするように構成されていてもよい。
【0512】
カートリッジポート2620の表示窓3050は、約0.25インチ~約0.7インチの範囲の幅を有していてもよい。幅は、表示窓3050の一方側から表示窓3050の反対側まで測定したものであってもよい。一部の好適な実施形態において、幅は、約0.35インチ~約0.55インチであってもよい。表示窓3050は、約0.08インチ~約0.25インチの範囲の長さを有していてもよい。長さは、表示窓3050の一端から表示窓3050の反対端まで測定したものであってもよい。一部の好適な実施形態において、長さは、約0.13インチ~約0.19インチであってもよい。表示窓3050は、約0.04in~約0.11inの範囲の表面積を有していてもよい。一部の好適な実施形態において、表面積は、約0.06in~約0.09inであってもよい。表示窓3050は、約0.18~約0.53の範囲の長さ対幅比を有していてもよい。一部の好適な実施形態において、長さ対幅比は、約0.28~約0.43であってもよい。表示窓3050の長さ対幅比は、高品質の血漿を生成する長さ対幅比を有するマトリクス2630に適合するように構成されていてもよい。
【0513】
カートリッジポート2620のベント3060は、約0.25インチ~約0.7インチの範囲の幅を有していてもよい。幅は、ベント3060の一方側からベント3060の反対側まで測定したものであってもよい。一部の好適な実施形態において、幅は、約0.35インチ~約0.55インチであってもよい。ベント3060は、約0.06インチ~約0.18インチの範囲の長さを有していてもよい。長さは、ベント3060の一端からベント3060の反対端まで測定したものであってもよい。一部の好適な実施形態において、長さは、約0.10インチ~約0.14インチであってもよい。ベント3060は、約0.03in~約0.08inの範囲の表面積を有していてもよい。一部の好適な実施形態において、表面積は、約0.04in~約0.06inであってもよい。ベント3060は、約0.13~0.40の範囲の長さ対幅比を有していてもよい。一部の好適な実施形態において、長さ対幅比は、約0.21~約0.32であってもよい。ベント3060の長さ対幅比は、高品質の血漿を生成する長さ対幅比を有するマトリクス2630に適合するように構成されていてもよい。
【0514】
カートリッジポート2620の圧力バー3040は、約0.3インチ~約0.9インチの範囲の幅を有していてもよい。幅は、圧力バー3040の一方側から圧力バー3040の反対側まで測定したものであってもよい。一部の好適な実施形態において、幅は、約0.45インチ~約0.7インチであってもよい。圧力バー3040は、約0.04インチ~約0.12インチの範囲の長さを有していてもよい。長さは、圧力バー3040の一端から圧力バー3040の反対端までであってもよい。一部の好適な実施形態において、長さは、約0.06インチ~約0.10インチであってもよい。圧力バー3040は、約0.02in~約0.07inの範囲の表面積を有していてもよい。一部の好適な実施形態において、表面積は、約0.04in~約0.05inであってもよい。圧力バー3040は、約0.07~約0.21の範囲の長さ対幅比を有していてもよい。一部の好適な実施形態において、長さ対幅比は、約0.11~約0.17であってもよい。圧力バー3040の長さ対幅比は、高品質の血漿を生成する長さ対幅比を有するマトリクス2630に適合するように構成されていてもよい。圧力バー3040は、マトリクス2630に沿って配置されるように、マトリクス2630の遠位端から約30mm~約90mmの範囲の距離に配置されていてもよい。
【0515】
図33Aおよび図33Bは、処置/安定化ユニット2630(たとえば、本明細書の他の箇所に記載のマトリクス)の非限定的な一実施形態を示している。マトリクス2630は、1つまたは複数の特徴を備え得る。たとえば、マトリクス2630は、基材、1つもしくは複数のマトリクス3310、1つもしくは複数のライナー3320、または1つもしくは複数の接着剤3330を備え得る。マトリクス2630は、1つもしくは複数のライナー3320または1つもしくは複数の接着剤3330を備える基材に支持されていてもよい。マトリクス2630は、1つもしくは複数のマトリクス3310、1つもしくは複数のライナー3320、または1つもしくは複数の接着剤3330の任意の組み合わせを備え得る。たとえば、マトリクス2630は、マトリクス、ライナー、および/または接着剤を備え得る。たとえば、マトリクス2630は、マトリクスを備え得る。マトリクス3310は、たとえば処置されたまたは処置されていないガラス繊維マトリクス材料を使用して、高品質の血漿を生成するように構成可能である。ライナー3320は、マトリクス3310から接着剤3330を分離することにより、重力および/または液体血液重量負荷の下で薄いマトリクス3310を支持するように構成可能である。たとえば、マトリクス3310は、1つまたは複数の縁部で付着することにより、ライナー3320が接着剤3330からのマトリクス3310の分離を防止し得る。接着剤330は、接着性マイラー材料、接着性不活性物質、生体適合性材料等を含み得る。
【0516】
ライナー3320は、基材とマトリクス2630との間で完全に延びていてもよい。ライナーは、第1の領域においては基材とマトリクス2630との間に延びていてもよく、第1の領域と異なる第2の領域においては基材とマトリクス2630との間に延びていない。第1の領域は、マトリクス2630の中央部を含み得、第2の領域は、マトリクス2630の1つまたは複数の端部を含んでいてもよい。
【0517】
図29Aおよび図29Bは、処置/安定化ユニット2630(たとえば、本明細書の他の箇所に記載のマトリクス)の非限定的な寸法を示している。たとえば、図29Bに示すように、マトリクス2630は、約1.3インチ~約4.0インチの範囲の長さを有していてもよい。長さは、マトリクス2630の一端からマトリクス2630の反対端まで測定したものであってもよい。一部の好適な実施形態において、長さは、約2.1インチ~約3.2インチであってもよい。マトリクス2630は、約0.3インチ~約0.9インチの範囲の幅を有していてもよい。幅は、マトリクス2630の一方側からマトリクス2630の反対側まで測定したものであってもよい。一部の好適な実施形態において、幅は、約0.5インチ~約0.7インチであってもよい。マトリクス2630は、約0.01インチ~約0.03インチの範囲の厚さを有していてもよい。厚さは、マトリクス2630の一方の表面からマトリクス2630の反対の表面まで測定したものであってもよい。一部の好適な実施形態において、厚さは、約0.016インチ~約0.024インチであってもよい。場合により、この厚さは、マトリクス3310、ライナー3320、および接着剤3330の厚さを含んでいてもよい。場合により、この厚さは、マトリクス3310、ライナー3320、または接着剤3330の任意の組み合わせの厚さを含んでいてもよい。マトリクス3310は、約0.75in~約2.25inの範囲の表面積を有していてもよい。一部の好適な実施形態において、表面積は、約1.2in~約1.8inであってもよい。マトリクス3310は、約2.3~約7.0の範囲の長さ対幅比を有していてもよい。一部の好適な実施形態において、長さ対幅比は、約3.7~約5.5であってもよい。
【0518】
マトリクス3310は、カートリッジポート2620の遠位端からマトリクスの近位端までの距離が約0mm~約15mmの範囲を有するように配置されていてもよい。一部の好適な実施形態において、距離は、約10mmであってもよい。マトリクス3310は、カートリッジポート2620の遠位端からマトリクス2630の遠位端までの距離が約35mm~約115mmの範囲を有するように配置されていてもよい。一部の好適な実施形態において、距離は、約75mmであってもよい。マトリクス3310の縁部が圧力バー3040まで延びて実質的に位置合わせするように構成されていてもよい。マトリクス3310の縁部は、圧力バー3040から約0mm~約10mmの範囲の距離に配置されていてもよい。マトリクス3310の縁部は、圧力バー3040を越えてリザーバ3030に向かって約0mm~約10mmの範囲の距離だけ延びていてもよい。マトリクス3330の縁部は、圧力バー3040を越えてリザーバ3030中へと約0mm~約10mmの範囲の距離だけ延びていてもよい。マトリクス330の縁部は、圧力バー3040を越えてリザーバ3030中へと延びることのないように構成されていてもよい。
【0519】
図31A図31Cは、カートリッジ裏当て2640の非限定的な一実施形態を示している。カートリッジ裏当て2640は、1つまたは複数の特徴を備え得る。たとえば、カートリッジ裏当て2640は、1つもしくは複数のマトリクスベント3110、1つもしくは複数のプルタブ3120、1つもしくは複数のスタンドオフ3130、または1つもしくは複数のガイドレール3140を備え得る。1つまたは複数のマトリクスベント3110は、たとえば真空なしのカートリッジアセンブリよりも高品質の血漿収量をもたらすため、真空を有するように構成されていてもよい。ベントの数は、約1つ、2つ、3つ、またはそれよりも多くのベントを含んでいてもよい。1つまたは複数のプルタブ3120は、たとえば組み立て、分解、または他の処理動作を補助するように構成されていてもよい。プルタブの数は、約1つ、2つ、3つ、またはそれよりも多くのプルタブを含んでいてもよい。スタンドオフ3130は、たとえば圧力バー3040の圧力を調節するように構成されていてもよい。スタンドオフ3130は、カートリッジポート2620とカートリッジ裏当て2640との間に間隙を生成するように構成されていてもよい。間隙は、部分的に圧力バー3040と使用することによって、血液試料の流速を調節し、かつマトリクス2630に沿う血液試料の適正なウィッキングを確保するように構成されていてもよい。スタンドオフの数は、約1つ、2つ、3つ、またはそれよりも多くのスタンドオフを含んでいてもよい。ガイドレール3140は、たとえばユーザがカートリッジアセンブリ2600を試料取得機器1100に設置し得るように構成されていてもよい。ガイドレール3130は、カートリッジ裏当て(たとえば、裏当て板)2640上で横方向に離間した一対のガイドレールを含んでいてもよい。ガイドレールの数は、約1つ、2つ、3つ、またはそれよりも多くのガイドレールを含んでいてもよい。
【0520】
図28A図28Eを再び参照して、カートリッジ裏当て(たとえば、裏当て板)2640は、カートリッジポート2620に対して動作的に結合するように構成されていてもよい。ここでは、非限定的な実施形態を使用して、カートリッジポート2620に対するカートリッジ裏当て2640の動作的な結合を説明することができる。たとえば、カートリッジ裏当て2640は、カートリッジポート2620に受容されて固定されるようなサイズにされるおよび位置合わせされている1つまたは複数のスタンドオフ(たとえば、スペーサ)3130の特徴を含んでいてもよい。カートリッジ裏当て2640をカートリッジポート2620に固定するには、如何なる方法でも使用可能である。カートリッジ裏当て2640の固定の非限定的な例としては、機械的方法(たとえば、ねじ、リベット、タブ等)または任意の他の方法(たとえば、接着剤、圧縮継手(pressure fitting)等)が挙げられ得る。たとえば、カートリッジ裏当て2640は、カートリッジポート2620に受容されて固定されるようなサイズにされるおよび位置合わせされるように構成されている1つまたは複数のガイドレール3140の特徴を含んでいてもよい。たとえば、カートリッジ裏当て2640は、カートリッジポート2620に受容されて固定されるようなサイズにされるおよび位置合わせされるように構成されている1つまたは複数のプルタブ3140の特徴を含んでいてもよい。カートリッジ裏当て2640は、約0.6インチ~約1.8インチの範囲の長さを有していてもよい。長さは、カートリッジ裏当て2640の一端からカートリッジ裏当て2640の反対端まで測定したものであってもよい。一部の好適な実施形態において、長さは、約1.0インチ~約1.5インチであってもよい。カートリッジ裏当て2640は、約0.5インチ~約1.4インチの範囲の幅を有していてもよい。幅は、カートリッジ裏当て2640の一方側からカートリッジ裏当て2640の反対側まで測定したものであってもよい。一部の好適な実施形態において、幅は、約0.75インチ~約1.1インチであってもよい。カートリッジ裏当て2640は、約0.05インチ~約0.15インチの範囲の厚さを有していてもよい。一部の好適な実施形態において、厚さは、約0.08インチ~約0.12インチであってもよい。カートリッジ裏当て2640は、約0.6in~約1.7inの範囲の表面積を有していてもよい。一部の好適な実施形態において、表面積は、約0.9in~約1.4inであってもよい。カートリッジ裏当て2640は、約0.7~2.0の範囲の長さ対幅比を有していてもよい。一部の好適な実施形態において、長さ対幅比は、約1.1~1.6であってもよい。カートリッジ裏当て2640の長さ対幅比は、高品質の血漿を生成する長さ対幅比を有するマトリクス2630に適合するように構成されていてもよい。
【0521】
図32Aおよび図32Bは、カートリッジタブ2610の非限定的な一実施形態を示している。カートリッジタブ(たとえば、筐体)2610は、完全に囲まれていてもよい。カートリッジタブ2610は、1つまたは複数の特徴を備え得る。たとえば、カートリッジタブ2610は、1つもしくは複数のタブ3210、1つもしくは複数のマトリクス支持体3220、1つもしくは複数の細長シール3230、または一体型本体(unibody)3240を備え得る。1つまたは複数のタブ3210は、たとえばカートリッジタブ2610をカートリッジポート2620、マトリクス2630、またはカートリッジ裏当て2640に固定するように構成されていてもよい。マトリクス支持体3220は、たとえばマトリクス2630をカートリッジアセンブリ2600に固定するように構成されていてもよい。シール(たとえば、ベントシール)3230は、たとえばマトリクス2630を通ってリザーバ3030に入って細長シール2650の全体へと真空を自由に流すことで、システムの連続性(たとえば、マトリクスを通る血液の流れ)を維持するように構成されていてもよい。ベントシール3230は、カートリッジアセンブリ2600の全体および内部で真空圧力を均一にし得るように構成されていてもよい。一体型本体3240は、たとえば真空シールを確保するとともに、マトリクス2630をカートリッジアセンブリ2600に固定するように構成されていてもよい。一体型本体3240は、カートリッジアセンブリ2600の全体および内部で真空圧力を均一にし得るように構成されていてもよい。細長シール2650は、カートリッジタブ2610の開口に沿って延びることでカートリッジタブ(たとえば、細長ハウジング)2610の筐体を密封していてもよい。
【0522】
図27A図27Cを再び参照して、図27A図27Cは、細長ハウジング(たとえば、カートリッジタブ)2610の非限定的な寸法を示している。たとえば、図27Bに示すように、カートリッジタブ2610は、約0.9インチ~約2.8インチの範囲の長さを有していてもよい。長さは、カートリッジタブ2610の一端からカートリッジタブ2610の反対端まで測定したものであってもよい。一部の好適な実施形態において、長さは、約1.5インチ~約2.2インチであってもよい。カートリッジタブ2610は、約0.5インチ~約1.4インチの範囲の第1の幅を有していてもよい。第1の幅は、細長シール2650を有するカートリッジタブ2610の一端において、カートリッジタブ2610の一方側から反対側まで測定したものであってもよい。一部の好適な実施形態において、第1の幅は、約0.75インチ~約1.0インチであってもよい。カートリッジタブ2610は、約0.4インチ~約1.1インチの範囲の第2の幅を有していてもよい。第2の幅は、細長シール2650からカートリッジタブ2610の反対の端部において、カートリッジタブ2610の一方側から反対側まで測定したものであってもよい。一部の好適な実施形態において、第2の幅は、約0.6インチ~約0.9インチであってもよい。カートリッジタブ2610は、約0.2インチ~約0.7インチの第1の厚さを有していてもよい。第1の厚さは、細長シール2650の一方側から細長シール2650の反対側まで測定したものであってもよい。一部の好適な実施形態において、第1の厚さは、約0.40インチ~約0.60インチであってもよい。カートリッジタブ2610は、約0.18インチ~約0.53インチの第2の厚さを有していてもよい。第2の厚さは、カートリッジタブ2610の一方側からカートリッジタブ2610の反対側まで測定したものであってもよい。一部の好適な実施形態において、第2の厚さは、約0.3インチ~約0.40インチであってもよい。カートリッジタブ2610は、約0.7in~約2.5inの範囲の表面積を有していてもよい。一部の好適な実施形態において、表面積は、約1.0in~約2.0inであってもよい。カートリッジタブ2610は、約1.0~約3.8の範囲の長さ対幅比を有していてもよい。一部の好適な実施形態において、長さ対幅比は、約1.6~約2.4であってもよい。カートリッジタブ2610の長さ対幅比は、高品質の血漿を生成する長さ対幅比を有するマトリクス2630に適合するように構成されていてもよい。
【0523】
図34A図34Dは、試料取得機器1100と使用され得るカートリッジアセンブリ2600の動作を示している。試料取得機器1100は、カートリッジアセンブリ2600の表示窓3050を通して試料取得中の血液の流れを測定または視認するように構成されている本明細書の他の箇所に記載の1つまたは複数の流れインジケータ170を備えていてもよい。図34Aは、試料取得前に、表示窓3050を通して見た場合に試料(たとえば、血液)がマトリクス2630上に見えない場合があることを示している。図34Bおよび図34Cは、試料取得中に、表示窓3050を通して見た場合に試料(たとえば、血液)がマトリクス2630上に見える場合があることを示している。マトリクス2630上の血液の流れ場における小さな収差は、正常であり得る。図34Dは、試料(たとえば、血液)取得の完了時、表示窓3050を通して見た場合に、マトリクス2630の幅が血液を有する場合に試料取得が完了している可能性があることを示している。試料取得の結果、表示窓3050を通して見た場合に、血液が均一に見える場合もあるし、不均一に見える場合もある。試料取得は、1)表示窓3050が実質的に血液で満たされているように見える場合、2)血液が表示窓3050を通して見えるようになり始めた場合、または3)試料(たとえば、血液)取得の開始から約10分が経過した場合、またはこれらの任意の組み合わせにおいて完了となり得る。試料の血漿は、試料(たとえば、血液)取得の開始後、最大約5分、10分、20分、またはそれよりも長い間、試料の流れ場を正常化し続ける可能性がある。
【0524】
カートリッジアセンブリ2600の動作は、本明細書の他の箇所に記載の処置および/または薬剤のさまざまな組み合わせを使用するように構成されていてもよい。たとえば、カートリッジアセンブリ2160の材料もしくは特徴、マトリクス2630、試料(たとえば、血液)、またはこれらの任意の組み合わせに処置を加えることにより、マトリクス2630の血漿領域の視覚的な検出および/または検査(たとえば、光学的検出、紫外線(UV)検出、および/または赤外線(IR)検出)を容易にするようにしてもよい。処置を受けた血漿領域は、ユーザおよび/または器具(たとえば、光学/可視検出器、UV検出器、またはIR検出器)により検出および/または検査され得る。これら処置は、検出、検査、または測定の対象となるさまざまな検体を有する血漿の分離を最適化するように構成されていてもよい。これらの処置は、十分な血漿が採集されたときをユーザに知らせるように構成されていてもよい。これらの処置は、検体の回収のため、マトリクス2630の全血領域および/または血漿領域を安定化させるように構成されていてもよい。処置および/または薬剤には、化学的処置、糖処置、界面活性剤処置、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。処置は、試料取得機器1110を除去する理想的な時間を示すことによるユーザ体験、検体の回収のスループット効率を改善する実験技術者、高品質収量の血漿品質の分析による高精度な結果の生成、血漿の品質および収量を視覚的に表示するユーザ、実験技術者、または機械、血漿分離マトリクスの前処理、周辺処理、および/もしくは後処理、ならびに分析のために試料取得機器1100と協働するように設計されているソフトウェアおよび/またはハードウェアソリューションに対して構成されていてもよい。
【0525】
血漿品質(たとえば、血漿分離性能)は、たとえばカートリッジアセンブリ2600の血液および/または血漿内の試料(たとえば、血液)の溶血を使用して評価され得る。溶血は、約0%~約25%またはそれよりも大きな値の範囲の割合を有していてもよい。一部の好適な実施形態において、溶血は、約5%であってもよい。血漿分離性能は、本明細書に記載の特徴を使用することにより、特徴(たとえば、圧力バー3040、決定された長さ対幅比を有するマトリクス、シールベント2650、マトリクスベント3060、またはこれらの任意の組み合わせ)を伴わない使用よりも向上し得る。たとえば、マトリクスの血漿分離性能は、圧力バー3040の使用により、圧力バー3040の不使用と比較して、少なくとも約5%だけ向上し得る。たとえば、マトリクスの血漿分離性能は、細長ストリップ2630の長さが細長ストリップ2630の幅より少なくとも約4.7倍大きい場合に、少なくとも約5%だけ向上し得る。たとえば、マトリクスの血漿分離性能は、シールベント2650の使用により、シールベント2650の不使用と比較して、少なくとも約5%だけ向上し得る。たとえば、マトリクスの血漿分離性能は、マトリクスベント3060の使用により、マトリクスベント3060の不使用と比較して、少なくとも約5%だけ向上する。
【0526】
本明細書および特許請求の範囲における使用の場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上の別段の明示のない限り、複数の参照を含む。たとえば、用語「細胞(a cell)」は、複数の細胞を含む(その混合物を含む)。
【0527】
本明細書における使用の場合、数字に付く用語「約(about)」は、当該数字±当該数字の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%を表す。
【0528】
本明細書における使用の場合、別段の指定のない限り、用語「実質的に(substantially)」およびこれに類する用語は、当業者が理解する通り、必ずしもすべてではないが大部分が特定されたものとして定義される。開示の任意の実施形態において、用語「実質的に(substantially)」、「略(approximately)」、「一般的に(generally)」、および「約(about)」は、特定されたものの「[ある割合]以内」で置き換え可能である(ただし、割合は、0.1、1、5、および10%を含む)。
【実施例
【0529】
(実施例1)
血液分離のためのカートリッジアセンブリ。
図3C図3F、および図4は、対象から採集された血液から血漿または血清を分離するためのカートリッジアセンブリのさまざまな例を示している。カートリッジアセンブリは、試料取得機器(たとえば、図3Dに示すような試料取得機器100)との結合および流体連通により、対象から血液を受容することができる。カートリッジアセンブリは、当該カートリッジアセンブリと試料取得機器との間の流体連通のための経路を提供するポートを備え得る。カートリッジアセンブリは、血液から血漿または血清を分離する1つまたは複数の血液処置/安定化ユニットを備え得る。血液処置/安定化ユニットとしては、複数の構成要素(または、層)のスタックが可能である。たとえば、血液処置/安定化ユニットは、複数の層(たとえば、(1)血液から細胞および/または破片を濾過して取り出すプレフィルタ層、(2)プレフィルタを通過した血液のレムナントから血清または血漿を隔離する血液分離膜、ならびに(3)隔離された血清または血漿を採集および/または保存する採集媒体)を含み得る。
【0530】
図3Cおよび図3Fに示すように、カートリッジアセンブリのポートの経路の少なくとも一部を通る血液の流れの方向は、血液処置/安定化ユニットを通る血液の流れの方向と異なり得る。図3Cを参照して、カートリッジアセンブリ300のポート330の経路340は、(i)試料取得機器と流体連通している近位端と、(ii)血液処置/安定化ユニット320と流体連通している遠位端と、を備え得る。経路340は、試料取得機器から第1の方向に近位端へ流れ、当該経路340を通って、第1の方向とは異なる第2の方向に遠位端から血液処置/安定化ユニット320上に出るように血液を誘導することができる。第1の方向と第2の方向との間の交差の角度は、0°より大きくかつ180°より小さくあり得る。血液処置/安定化ユニット320を通る血液の流れの方向は、カートリッジアセンブリ300の長手方向軸346と実質的に直交し得る。図4Fを参照して、カートリッジアセンブリ300bのポート330の経路340は、カートリッジアセンブリ300bの長手方向軸346と実質的に平行であり得、血液処置/安定化ユニット320を通る血液の流れの方向は、カートリッジアセンブリ300bの長手方向軸346と実質的に直交し得る。また、カートリッジアセンブリ300bは、血液処置/安定化ユニット320による血漿または血清の分離前または分離中に試料取得機器から採集された血液を含むように構成されている採集リザーバ362を備え得る。
【0531】
図4を参照して、カートリッジアセンブリ400のポート410の経路440は、血液処置/安定化ユニット420a、420bを通る血液の流れの方向と実質的に同じ方向で、試料取得機器から血液処置/安定化ユニット420a、420bの近位端に血液が流れるように誘導することができる。
【0532】
(実施例2)
液体血液を保存するためのカートリッジアセンブリ。
図5Aは、液体血液等の液体試料を保存するための例示的なカートリッジアセンブリ500を示している。カートリッジアセンブリ500は、対象から液体血液を採集するように構成されている試料取得機器(たとえば、図5Bに示すような試料取得機器100)のカートリッジチャンバに結合するように構成されている結合ユニット510を備え得る。カートリッジアセンブリ500は、液体血液を保存するように構成されているコンテナ520を備え得る。カートリッジアセンブリ500は、コンテナ520を支持するように構成されているカートリッジホルダー540を備え得る。コンテナ520の近位端が結合ユニット510に結合するように構成され得、コンテナ520の遠位端がカートリッジホルダー540に結合するように構成され得る。結合ユニット510は、1つまたは複数の流体経路516を備え得る。図5Bに示すように、コンテナ520は、第1の方向524でコンテナ520に流れる液体血液を受容するように構成可能である。1つまたは複数の流体経路516は、第1の方向524と異なる第2の方向526に空気を誘導してコンテナ520から追い出すように構成可能である。
【0533】
(実施例3)
複数の異なる様式の血液を保存するためのモジュール式チャンバアセンブリ。
図7Aは、血漿、血清、乾燥血液、液体血液、および凝集血液からなる群より選択される複数の異なる様式にて、対象から採集された血液を保存するための例示的なモジュール式チャンバアセンブリ600を示している。モジュール式チャンバアセンブリ600は、当該モジュール式チャンバアセンブリ600の残りの部分から取り外し可能となり得る入口ポート610(たとえば、穿孔可能な自己封止キャップ)を備え得る。モジュール式チャンバアセンブリ600は、カートリッジアセンブリ630を備えるチャンバ620を備え得る。カートリッジアセンブリ630は、複数の異なる様式での血液の採集、処理、または保存を可能にする複数の異なるカートリッジアセンブリタイプの1つを含み得る。たとえば、カートリッジアセンブリ630は、対象から血液またはその一部を吸収して採集する1つまたは複数のマトリクスストリップ642を備えるカートリッジ640を備え得る。また、カートリッジ640は、過剰な血液を保持して計量するための1つまたは複数の吸収性パッド644を備え得る。
【0534】
図8Aに示すように、モジュール式チャンバアセンブリ600は、モジュール式試料取得機器900bに対する動作的な結合によって、対象から血液を採集することができる。
【0535】
(実施例4)
血液試料中の検体の回収率。
図14は、本明細書に記載のような血液分離アセンブリから採集された血液試料の分離後のいくつかの検体の回収率を測定する研究のデータに対して実行された線形回帰分析を示している。試験した検体には、総コレステロール、HDL-コレステロール、LDL-コレステロール、トリグリセリド、ALT、およびグルコースを含む。
【0536】
試験は最初に、225μLの血液試料を血液分離アセンブリに導入することを含んだ。試料を一晩乾燥させ、血液分離アセンブリ中の採集マトリクスから検体を溶出させた。溶出した試料は、Beckman Coulter試薬を使用してBeckman Coulter AU480分析器で試験した。これら一定のプロトコルの下、66個の独立した試料を試験した。
【0537】
検体ごとに、回収率のR値を図14に示す。各グラフのy軸は、ドナーから受け取った血漿試料中の検体の量を表す。各グラフのx軸は、溶出試料中の回収された検体の量(血漿ドナーのヘマトクリットレベルに対して補正を行った)を表す。結果を表1にまとめる。
表1: 検体回収に関する線形回帰分析
【表1】
【0538】
(実施例5)
採集マトリクス溶出プロトコル。
本明細書に記載の通り、分離された血液試料を採集マトリクスを成功裏に回収するには、溶出法を要する場合がある。例示的な溶出法に必要な材料としては、ピンセット、切断マット、交換可能な刃を備えたカミソリ刃またはメス、1~2mLチューブ、PBS緩衝溶液、Tween(登録商標)-80溶液、および1~2mLチューブのためのオービタルシェーカーが挙げられる。
【0539】
溶出法の最初のステップでは、カートリッジアセンブリの内側の採集マトリクスにおいて試料を一晩乾燥させる。乾燥したら、ピンセットを使用して、処置/安定化ユニットの残りの部分からマルチピース採集マトリクスを取り出すことができる。そして、マルチピース採集マトリクスの頂部片から、採集マトリクスの底部片の引き離しまたは切り離しによって、採集マトリクスの頂部片から底部片を分離することができる。メス/カミソリ刃を使用して、採集マトリクスの底部片に2つの垂直な切断を行い、4つの等しい片を作成することができる。4つの片の寸法はすべて、それぞれ約7.5×6mmとすることができ、4つの小さな片がマイクロチューブに嵌入可能となる。4つの片をマイクロチューブに入れたら、0.02%のTween(登録商標)-80を含む225mLの10mM PBS緩衝液を加えることができる。マイクロチューブを素早く回転させることで、壁に液滴が残らないことを確実にすることができる。最適な溶出では、採集マトリクスの底部片の4つの小さな片の少なくとも40%を液体がカバーするものとする。そして、マイクロチューブをオービタルシェーカーに入れ、室温で1時間にわたり、850rpmで振盪することができる。振盪が完了すると、4つの片が均一な色を有することになり、また、少なくとも100~120mLの溶出体積を回収して、採集マトリクスに回収された試料の特性の分析に使用することができる。
【0540】
(実施例6)
マトリクスの寸法および比の研究。
表2に提供されるような寸法のマトリクスを生成した。すべてのマトリクスを250μLの血液で処置し、結果を血液長(赤血球を含むマトリクスの長さ)、血漿長(血漿を含むマトリクスの長さ)、および血漿面積に関して測定した。表2は、幅/長さ比が異なると、血漿面積の使用可能量も異なることを示している。これらの幅対長さ比は、試料体積のある所与のダイナミックレンジにとって重要である。場合により、幅対長さ比は、約150μL~約250μLまたはそれよりも大きな値の範囲の試料体積について最適化され得る。
表2: マトリクスの寸法、比、および血液採集の結果
【表2】
【0541】
表2に示すように、マトリクスの長さがある特定の閾値を超えて増加しても、血漿採集の増加に必ずしもつながるとは限らない場合がある。たとえば、8行目(極細)は、膜の長い尾部が血漿の収量を増加させないことを示している。ただし、この同じ幅のより短い材料であれば、膜が過飽和となって、血漿が生成されない。したがって、理想的な長さ対幅比は、試料回収に重要である。たとえば、この試料体積の場合、理想的な長さ:幅比としては、約3~5の間であり得る。この比は、さまざまな試料体積、ヘマトクリットレベル、大きな血漿領域、およびより高い血漿濃度に対して柔軟な比となり得る。
【0542】
長さ:幅比が異なる膜のいくつかの例を図23A図23Fに提供する。図23Aは、薄くて細いLF1膜の試料であって、清浄な血漿をサンプリングできない過飽和事象を示している。図23Bは、厚いMF1膜材料であって、小さな血漿領域が利用可能となる不飽和事象を示している。図23Cは、血液が吸収され、血漿が利用できない不飽和の幅広材料を示している。図23Dは、50/50に近い全血/血漿比が観察される例示的な最適形状を示している。図23Eは、マトリクスがはるかに長い一方、やはり良好な血漿収量が観察される「理想的な」範囲内にある一例を示している。図23Fは、良好な血漿を生成する長いマトリクスの一例を示している。
【0543】
(実施例7)
幾何学的特徴および処置。
マトリクスの前処置のいくつかの例およびそれぞれの血漿採集結果を図25A図25Dに提供する。図25Aに示すように、試薬を使用してマトリクス材料の前処置を行うことで、可視波長光における血漿領域の蛍光を補助することができる。試薬には、本明細書に記載のような任意の試薬を含み得る。図25Bにおいては、UV光を使用して、マトリクス中の血漿領域をより見やすくした。図25Cは、UV光を使用することで(幾何学的構成が異なるマトリクス中の)血漿領域をより容易に観察する方法の別の例を示している。図25Dにおいては、前処置を使用することによって、血漿領域をより明確にした。図25Dの上側の画像は、不良な全血~血漿移行領域を示し、下側の画像は、より鮮明に画定された変わり目を示している。
【0544】
(実施例8)
HbA1cおよび脂質プロファイルの血漿品質および抽出の研究。
マトリクスの長さ対幅比は、所与のマトリクスガラス繊維材料(たとえば、Cytiva(登録商標)LF1)、ある範囲の試料体積(たとえば、血液試料の体積)、ある範囲のヘマトクリットレベル、またはマトリクスの厚さに従って、高品質の血漿分離を生じるように最適化され得る。マトリクスの長さ対幅比を最適化することによって、表面積当たりの血漿体積収量、より大きな血漿対全血表面積、分析可能な多数のバイオマーカのより大きな面積にわたる血漿拡散および抽出、試料体積に対する非感受性、ヘマトクリットレベルに対する非感受性、より短い試料取得時間によるユーザ体験、製造の容易さ、または赤血球のより少ない破壊を有益に最適化し得る。
【0545】
血漿の収量および品質を評価するため、長さの幅に対する比が異なるマトリクスを生成した。すべてのマトリクスで同じガラス繊維フィルタ材料(たとえば、Cytiva(登録商標)LF1)を使用し、175μLのEDTAドナー血液で処置した。その結果について、血漿を含むマトリクスの長さにより評価される血漿収量の観点で測定を行った。血漿収量は、図36A図36Dに示すように可視化され得る。表3は、約3~6の比が約4または5の血漿収量品質スコアをもたらすことを示している。約3~6の比は、高品質の血漿の生成に有用であり得る。また、表3は、高品質の血漿および収量を向上することができないマトリクス長さの閾値が存在することを示し得る。たとえば、あるマトリクス長さの閾値は、血漿がそのマトリクス長さの閾値を越えてマトリクスの部分に到達しない場合に存在し得る。
表3: 異なるマトリクス比での血漿品質スコア
【表3】
【0546】
血漿の収量および品質を評価するため、長さの幅に対する同じ比(長さ2.66インチおよび幅0.57インチより得られる比4.7)を有するマトリクスを生成した。すべてのマトリクスで同じガラス繊維フィルタ材料(たとえば、Cytiva(登録商標)LF1)を使用した。10個の試料からの175μLのEDTAドナー血液でマトリクスを処理した。その結果について、血漿収量(血漿を含むマトリクスの長さ)の観点で測定を行い、血漿収量のマトリクスストリップ長に対する比を決定した。血漿収量は、図35A図35Eに示すように可視化され得る。図35Aが試料1および2、図35Bが試料3および4、図35Cが試料5および6、図35Dが試料7および8、図35Eが試料9および10に対応する。表4は、約4.7の比が約4~5の血漿収量品質スコアになることを示している。約4.7の比は、高品質の血漿の生成に有用であり得る。
表4: 血漿品質スコア
【表4-1】
【表4-2】
【0547】
表4のマトリクスおよび試料をさらに評価して、175μLのEDTAドナー血液からのHbA1cの抽出および回収を検証した。その結果について、HbA1cの回収%の観点で測定を行い、対照C1およびC2と比較した。表5は、HbA1cの回収%を予想回収および目標と比較したものである。HbA1cの回収%は、A1cに対してマトリクスを有するカートリッジアセンブリを適格とするのに有用であり得る。
表5: HbA1cの回収%
【表5】
【0548】
表4のマトリクスおよび試料をさらに評価して、175μLのEDTAドナー血液からの脂質プロファイルの抽出を検証した。脂質は、コレステロール(総)、コレステロール(HDL)、コレステロール(LDL)、およびトリグリセリドを含んだ。その結果について、脂質の回収%の観点で測定を行い、血漿対照と比較した。血漿対照については、既知の濃度の脂質で構成またはスパイクした。表6は、脂質の回収%を示している。脂質プロファイルの回収%は、脂質プロファイルに対してマトリクスを有するカートリッジアセンブリを適格とするのに有用であり得る。
表6: 脂質プロファイルの回収%
【表6】
【0549】
本明細書においては、本発明の好適な実施形態を図示および説明したが、当業者には、このような実施形態が一例として提供されているに過ぎないことが明らかであろう。当業者であれば、本発明から逸脱することなく、多くの変形、変更、および置換に想到するであろう。本発明の実施においては、本明細書に記載の本発明の実施形態のさまざまな代替を採用可能であることが了解されるものとする。以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲を規定するものであり、これらの特許請求の範囲内の方法および構造ならびにそれぞれの同等物は、本発明の範囲によって網羅されるものとする。
図1-1】
図1-2】
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図3-4】
図3-5】
図4
図5-1】
図5-2】
図5-3】
図6
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図7-4】
図8-1】
図8-2】
図8-3】
図9
図10
図11
図12
図13-1】
図13-2】
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図16-1】
図16-2】
図17-1】
図17-2】
図17-3】
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図21-1】
図21-2】
図21-3】
図22
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図26-1】
図26-2】
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図28
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図31
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図33
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図35
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【国際調査報告】