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特表2024-536832固液の混合分散に用いられる装置及び設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】固液の混合分散に用いられる装置及び設備
(51)【国際特許分類】
   B01F 23/53 20220101AFI20241001BHJP
   B01F 27/13 20220101ALI20241001BHJP
   B01F 27/112 20220101ALI20241001BHJP
   B01F 27/171 20220101ALI20241001BHJP
   B01F 27/192 20220101ALI20241001BHJP
   B01F 27/191 20220101ALI20241001BHJP
   B01F 27/90 20220101ALI20241001BHJP
   B01F 27/96 20220101ALI20241001BHJP
【FI】
B01F23/53
B01F27/13
B01F27/112
B01F27/171
B01F27/192
B01F27/191
B01F27/90
B01F27/96
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518518
(86)(22)【出願日】2022-09-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 CN2022118601
(87)【国際公開番号】W WO2023045810
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】202111117446.9
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522022018
【氏名又は名称】深▲セン▼市尚水智能股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGSHUI SMARTECH LTD.
【住所又は居所原語表記】NO. 201, Pingzhui Main Plant, Huakong Sege Plant, No. 6, Lanzhu East Road, Zhukeng Community, Longtian Street, Pingshan District Shenzhen, Guangdong 518118 CN
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】シー,チャオ
(72)【発明者】
【氏名】バイ,シュジュアン
(72)【発明者】
【氏名】ジン,スードン
【テーマコード(参考)】
4G035
4G078
【Fターム(参考)】
4G035AB46
4G035AE13
4G078AA02
4G078AB09
4G078AB20
4G078BA05
4G078BA09
4G078CA10
4G078DA01
4G078DA28
4G078DC06
4G078EA05
4G078EA15
(57)【要約】
固液の混合分散に用いられる装置及び設備が提供される。この装置は主軸に固定的に接続された粉体粉砕機構を含み、粉体粉砕機構は粉体供給室に設けられており、粉体供給室は粉体供給口を有する。粉体供給室の外側には液体供給室が設けられており、液体供給室は液体供給口を有し、液体供給室内には主軸に固定的に接続された分散機構が設けられている。液体供給室の下部と粉体供給室の下部はそれぞれ混合室の上部に連通しており、混合室には主軸に固定的に接続されたインペラが設けられており、混合室の下部には接線方向の排出口が設けられている。スラリーは、ポンプによって液体供給室に輸送され、分散機構により分散されてから、インペラが設けられた混合室に入る。この装置では、スラリーが液体供給室に充満することができ、分散機構をインペラの下部にあるスラリー排出領域に設けることによる、スラリーの充填率が低く分散効果が不足する問題が回避される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固液の混合分散に用いられる装置であって、
前記装置は、主軸に固定的に接続された粉体粉砕機構を含み、前記粉体粉砕機構は粉体供給室に設けられており、前記粉体供給室は粉体供給口を有し、
前記粉体供給室の外側には液体供給室が設けられており、前記液体供給室は液体供給口を有し、前記液体供給室内には、前記主軸に固定的に接続された分散機構が設けられており、
前記液体供給室の下部と前記粉体供給室の下部は、それぞれ混合室の上部に連通しており、前記混合室には、前記主軸に固定的に接続されたインペラが設けられており、前記混合室の下部には接線方向の排出口が設けられている、
ことを特徴とする固液の混合分散に用いられる装置。
【請求項2】
前記液体供給室は前記粉体供給室を取り囲むように設けられており、前記液体供給室は円環状である、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記粉体粉砕機構は多層のブレードを含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記分散機構は円筒状の分散ホイールである、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項5】
前記分散機構は、周方向に分布された複数の攪拌羽根を含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項6】
前記分散ホイールには孔又は溝が設けられている、
ことを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記分散ホイールと前記液体供給室の内壁との間隙、及び前記分散ホイールと前記液体供給室の外壁との間隙は、いずれも0.5mm~10mmである、
ことを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記分散ホイールと前記液体供給室の内壁との間隙、及び前記分散ホイールと前記液体供給室の外壁との間隙は、いずれも1mm~5mmである、
ことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記攪拌羽根と前記液体供給室の内壁との間隙、及び前記攪拌羽根と前記液体供給室の外壁との間隙は、いずれも0.5mm~10mmである、
ことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項10】
前記攪拌羽根と前記液体供給室の内壁との間隙、及び前記攪拌羽根と前記液体供給室の外壁との間隙は、いずれも1mm~5mmである、
ことを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記混合室の下部にあるスラリー排出領域には、スラリーを分散させて排出するためのスラリー分散排出機構が設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の装置を含む固液の混合分散に用いられる設備であり、
前記装置の下部はシール装置に接続されており、前記装置の下には、軸受及びモータが設けられている、
ことを特徴とする固液の混合分散に用いられる設備。
【請求項13】
前記液体供給室には液圧が形成されており、液体が前記分散機構には高速で流れることができる、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記攪拌羽根は、ブレード状又は円柱状である、
ことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項15】
前記液体供給室の外側には、更に冷却水中間層が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記冷却水中間層の外側には保温層が設けられている、
ことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
請求項12に記載の固液の混合分散に用いられる設備と、スラリーバッファタンクとを含む固液の混合分散に用いられるシステムであって、
前記スラリーバッファタンクと前記固液の混合分散に用いられる設備との間に、スラリーが往復循環する、
ことを特徴とする固液の混合分散に用いられるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、発明の名称を「固液の混合分散に用いられる装置及び設備」とする、2021年9月23日に出願された中国特許出願第202111117446.9号の優先権を主張し、そのすべての内容が引用として本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願は、粉体と液体の混合及び分散の分野に関し、特に、固液の混合分散に用いられる装置及び設備に関する。
【背景技術】
【0003】
電池製造、食品、医薬等の分野では、大量の粉体粒子及び少量の液体を混合して、均質で高粘度の固液混合物を形成することが多い。循環式混合分散装置により、固液混合物を効率的に調製することができる。要望を満たす固液混合物を得るまで、循環式混合分散装置とバッファタンクとの間に液体を往復循環させ、粉体が循環式混合分散装置に次第に投入され、液体と混合され、得られたスラリーがシステム内で続いて循環し、且つ循環式混合分散装置を通過する際に分散される。従来の循環式混合分散装置にある技術的解決策は次の通りである。
【0004】
中国実用新案第207667471号(CN207667471U、以下、「71U特許」という)には、高粘度材料に適した固液混合設備が開示されている。具体的に、分散ホイールにより粉体と液体を混合し及び分散させ、出口に接続されたツインスクリューポンプにより排出することが開示されている。この設計では、排出速度は、液体と粉体の供給速度に合わせる必要がある。排出速度が速すぎると、室内で流れが中断し、スラリーの充填率が低く、混合及び分散の効果が影響される。逆に、排出速度が遅すぎると、スラリーが粉体の通路に戻って詰まりを起こして、設備が正常に運転できなくなる。実稼動時には、排出速度と供給速度を釣り合わせにくいので、スラリーの戻り及び詰まり現象が生じないように、比較的に速い排出速度、比較的に低い室の充填率の状態でしか設備を動作させることができない。こうすれば、混合及び分散の効果を低下させてしまう。
【0005】
中国実用新案第209155625号(CN209155625U、以下、「25U特許」という)には、固体と液体の混合設備が開示されている。中国特許出願公開第110394082号(CN110394082A、以下、「82A特許」という)には、インペラアセンブリ及び当該インペラアセンブリを使用した固体と液体の混合装置が開示されている。上記2種類の粉体と液体の混合及び分散装置において、粉体と液体が、円錐台形のインペラによって混合及び分散され、そしてインペラの下部に遠心法で排出され、別途に排出ポンプを設ける必要がない。これら2種類の装置の主な分散領域は、いずれもインペラの下部の、排出口に近い且つ比較的に大きな直径を有する部分に位置している。これらの装置の排出能力がインペラの回転速度により決定され、同時に、インペラの回転速度により分散強度が決定される。通常では、ある程度の分散強度を達成するために、所定の回転速度でインペラを動作させる必要があるが、この回転速度は、排出速度と供給速度を釣り合わせる平衡点にあることができない。スラリーの戻り及び詰まり現象が生じないように、比較的に速い排出速度、比較的に低い室の充填率の状態でしか設備を動作させることができない。こうすれば、混合及び分散の効果を低下させてしまう。
【0006】
関連技術における循環式混合分散装置では、いずれも排出速度と供給速度のミスマッチによるスラリーの戻り又は分散領域の低い充填率という問題があり、ひいては生産能力が最高に達せず、設備の生産力を最大化できないという問題が生じる。
【0007】
そのため、粉体と液体の混合及び分散の分野において、高いスラリー充填率を有し、十分な分散効果をもたらし、設備の生産能力を十分に活かすことができる、固液の混合分散に用いられる装置及び設備が求められている。
【発明の概要】
【0008】
この点から考えて、本出願は、高いスラリー充填率を有し、十分な分散効果をもたらし、設備の生産能力を十分に活かすことができる、固液の混合分散に用いられる装置及び設備を提供することを目的とする。この目的を達成するために、本出願は以下の技術的解決策を講じる。
【0009】
第一態様において、固液の混合分散に用いられる装置が提供される。この装置は、主軸に固定的に接続された粉体粉砕機構を含み、粉体粉砕機構は粉体供給室に設けられており、粉体供給室は粉体供給口を有する。粉体供給室の外側には液体供給室が設けられており、液体供給室は液体供給口を有し、液体供給室内には、主軸に固定的に接続された分散機構が設けられている。液体供給室の下部と粉体供給室の下部は、それぞれ混合室の上部に連通しており、混合室には、主軸に固定的に接続されたインペラが設けられており、混合室の下部には接線方向の排出口が設けられている。
【0010】
可能な実施形態では、液体供給室は粉体供給室を取り囲むように設けられており、液体供給室は円環状である。
【0011】
可能な実施形態では、粉体粉砕機構は多層のブレードを含む。このように設ければ、粉体が粉体供給室の底部まで落下する過程で、粉体が粉じん状に粉砕されることが保証される。
【0012】
可能な実施形態では、分散機構は円筒状の分散ホイールである。
【0013】
可能な実施形態では、分散機構は、周方向に分布された複数の攪拌羽根を含む。
【0014】
可能な実施形態では、分散ホイールには孔が設けられている。このように設ければ、スラリーの混合に有利であり、良好な分散効果を得ることができる。
【0015】
可能な実施形態では、分散ホイールと液体供給室の内壁との間隙、及び分散ホイールと液体供給室の外壁との間隙は、いずれも0.5mm~10mmである。さらに、分散ホイールと液体供給室の内壁との間隙、及び分散ホイールと液体供給室の外壁との間隙は、いずれも1mm~5mmである。
【0016】
可能な実施形態では、攪拌羽根と液体供給室の内壁との間隙、及び攪拌羽根と液体供給室の外壁との間隙は、いずれも0.5mm~10mmである。さらに、攪拌羽根と液体供給室の内壁との間隙、及び攪拌羽根と液体供給室の外壁との間隙は、いずれも1mm~5mmである。
【0017】
スラリーが狭小な液体供給室で分散機構によってせん断され、せん断強度がより高くなり、また、スラリーが液体供給室に充満し、十分な滞留時間を得ることができ、スラリーが十分に分散されることができる。
【0018】
可能な実施形態では、混合室の下部にあるスラリー排出領域には、スラリーを分散させて排出するためのスラリー分散排出機構が設けられている。
【0019】
第二態様において、固液の混合分散に用いられる設備が提供される。この設備は第一態様に記載の装置を含む。装置の下部はシール装置に接続されており、装置の下部には、軸受及びモータが設けられている。
【0020】
本出願では、スラリーは、ポンプによって、スラリーバッファタンクから装置の液体供給室に輸送され、分散機構により分散されてから、インペラが設けられた混合室に入る。スラリーは、液体供給室に入った後、分散機構によって動かされて回転し始める。また、分散機構、粉体粉砕機構及びインペラはいずれも主軸に連結されているため、三者の回転速度は同じであり、それで、スラリーは、混合室に入った後、回転を維持して、回転して下向きに流れる液体リング(liquid ring)を形成する。液体リングとは、液体が下向きに流れて形成された環状の液体である。また、スラリーがインペラに接触するときの相対速度が低いので、スラリーの飛散が生じにくい。また、粉体は、粉体供給室で粉じん状に粉砕され、そして粉体粉砕機構とともに回転する。粉体供給室の下部と混合室とは連通しているため、混合室に近い粉体は、混合室内で回転して下向きに流れるスラリーによって混合室に吸い込まれて混合される。スラリーは、混合室で粉体と均質に混合された後、スラリーバッファタンクに排出される。本出願の固液の混合分散に用いられる装置は循環式混合分散設備であるため、スラリーは、十分に分散されるまで、スラリーバッファタンクと循環式混合分散設備との間に往復循環する。スラリーの分散の過程では、スラリーが新しいスラリーの供給に推進されて液体供給室から離れるため、スラリーが液体供給室に充満することができ、分散機構を混合室の下部にあるスラリー排出領域に設けることによる、スラリーの充填率が低く、分散効果が不足する問題が回避される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本出願の1つの実施形態における断面を示す概略図である。
図2図2は、本出願の1つの実施形態における平面図である。
図3図3は、本出願の分散機構の1つの実施形態における構造を示す概略図である。
図4図4は、本出願の分散機構の1つの実施形態における底面図である。
図5図5は、本出願の1つの実施形態における断面を示す概略図である。
図6図6は、本出願の1つの実施形態における平面図である。
図7図7は、本出願の分散機構の1つの実施形態における構造を示す概略図である。
図8図8は、本出願の設備の1つの実施形態における構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
発明の目的、原理、技術的解決策及び利点をより明らかにするために、以下、図面及び実施形態を参照して、本出願についてさらに詳しく説明する。本出願に記載されるように、ここで説明される具体的な実施形態は本出願の説明に用いられ、本出願を限定するものではないことが理解される。
【0023】
なお、本出願の説明に記述される方位又は位置関係は、図面に基づいて示される方位又は位置関係である。明細書の説明又は技術内容から確定できる接続又は位置関係は、図面の簡略化のために、一部が省略され、又は、全ての位置変化図が描かれているわけではない。本明細書では、明示されていない、又は省略されている、又は描かれていない位置変化図は、説明がないとは考えられない。説明を簡略化するために、具体的に述べるときに一つずつ説明せず、ここではまとめて説明する。
【0024】
図1に示されるように、本出願は、固液の混合分散に用いられる装置20を提供する。装置20は、主軸21に固定的に接続された粉体粉砕機構206を含む。粉体粉砕機構206は粉体供給室205に設けられており、粉体供給室205は粉体供給口を有する。粉体供給室205の外側には液体供給室201が設けられており、液体供給室201は液体供給口200を有する。液体供給室201内には、主軸21に固定的に接続された分散機構202が設けられている。液体供給室201の下部と粉体供給室205の下部は、それぞれ混合室の上部に連通している。混合室には、主軸21に固定的に接続されたインペラ207が設けられており、混合室の下部には、図2に示される接線方向の排出口208が設けられている。粉体供給室205の外側という記述は、液体供給室201と粉体供給室205が二つの独立した容器であることを意味する。言い換えると、粉体と液体が、本出願の設備に入る時に、それぞれの供給室に別々に入って、予備処理を経てから混合される必要がある。この予備処理は、粉体又はスラリーをさらに分散させることを含むが、これに限定されない。このほか、接線方向の排出口208とは、混合室において、混合室の下部の内壁に沿って外向きに延びて形成された排出通路である。液体供給室201の外側には、更に冷却水中間層203が設けられている。冷却水中間層203は、冷却水を添加して液体供給室201内のスラリーを冷却するために用いられる。冷却水中間層203の外側には保温層204が設けられている。保温層204により、冷却水中間層203内の冷却水は所定の温度範囲内に維持される。
【0025】
本出願の装置20では、粉体は、粉体供給口から供給室に入り、粉体粉砕機構206によって粉じん状に粉砕され、そして粉体粉砕機構206とともに回転する。粉体供給室205の下部と混合室とは連通しているため、混合室に近い粉体は、混合室内で回転して下向きに流れるスラリーによって混合室に吸い込まれて、スラリーと混合される。さらに、粉体粉砕機構206は、多層のブレードを含み、粉体を粉じん状に十分に粉砕することができるため、回転して下向きに流れるスラリーが粉体を混合室に吸い込むことに有利である。さらに、液体供給室201は粉体供給室205を取り囲むように設けられており、液体供給室201は円環状(図2に示される)である。このように設ければ、液体供給室201の横断面が狭いので、スラリーが速く流れて、分散機構202によるスラリーに対するせん断作用と相まって、均質に混合されたスラリーが形成されやすい。スラリーは、液体供給室201から供給された後、混合室に入り、続いてインペラ207によって動かされて、回転して下向きに流れる液体リングを形成する。粉体粉砕機構206、分散機構202及びインペラ207は、いずれも主軸21に固定的に接続されているため、三者の回転速度は同じであり、即ち混合室に入るときの粉体の回転速度とスラリーの回転速度はほぼ一致している。従って、スラリーがインペラ207に接触するときの相対速度が低く、スラリーの飛散が生じにくいため、粉じん状の粉体が混合室に吸い込まれた後、均質に混合されやすくなる。さらに、分散機構202は、円筒状の分散ホイール2020(図3図4に示される)であってもよく、周方向に分布された複数の攪拌羽根2022を含んでもよい。具体的には、攪拌羽根2022は、周方向に均一に分布されており、ブレード又は円柱状(図7に示される)であってもよい。
【0026】
スラリーは、ポンプによって、スラリーバッファタンクから装置20の液体供給室201に輸送され、分散機構202により分散されてから、インペラ207が設けられた混合室に入り、この混合室で粉体と均質に混合された後、スラリーバッファタンクに排出される。排出基準に達する前に、スラリーは、スラリーバッファタンクと循環式混合分散設備との間に往復循環する。スラリーは、液体供給口200から液体供給室201に入り、分散機構202により分散された後、混合室の上部に入り、インペラ207により混合室の壁面において回転して下向きに流れる液体リングを形成する。分散を補強するための分散機構202の分散ホイール2020又は攪拌羽根2022に合わせて、スラリーは混合室に入る前に既に均質に分散されている。混合室で粉じん状の粉体をスラリーに吸い込んで混合することで、分散させにくい塊が形成されにくく、均質なスラリーを形成することに有利となる。理解できるように、粉体を塊状の形で混合室に直接注入したり、粉体を入れた室内にスラリーを加えたりすれば、いずれも分散されにくい塊が生じやすい。これは、堆積された粉体とスラリーを直接混合すれば、同時にインペラ207で撹拌しても、大きな塊は依然として形成され得るからである。しかも、塊の中心部分がスラリーで濡れにくく、また、粉体とスラリーが混ざり合って緊密な外表面を形成したため、塊が形成された後再び分散されにくい。本出願に基づいて、粉体を塊状の形で混合室に直接注入したり、粉体を入れた室内にスラリーを加えたりして分散されにくい塊が生じやすいことを防止し、大きな塊が形成されることを回避し、また、塊が形成された後再び分散されにくいことも同時に避けることができる。本出願では、回転して下向きに流れるスラリーにより粉体を混合室に吸い込んで混合して、上記のように両者がさらに分散される前に既に緊密な塊を形成していることを回避する。本出願に基づいて、より均質な混合液を調製することができ、塊が生じにくく、分散工程にかかる時間も長くなく、生産性を向上させることができる。
【0027】
従来技術において、例えば71U特許では、混合されたスラリーは、出口に接続されたツインスクリューポンプにより排出される。しかし、このような設計では、排出速度を液体と粉体の供給速度に合わせにくい。そのため、排出速度が速すぎて、流れが中断し、スラリーの充填率が低く、混合及び分散の効果に影響する問題が生じやすい。又は、排出速度が遅すぎて、スラリーが前の工程が行われる室に戻り、詰まり及び設備の破壊等の問題を招きやすい。明らかに、後者の場合による生産製造への影響はより受け入れられないため、実働時に、71U特許の設備は、スラリーの充填率が低く、混合及び分散の効果に影響する問題を、解決することは難しい。これに加えて、25U特許、82A特許では、粉体と液体が、円錐台形のインペラによって混合及び分散され、そしてインペラの下部に遠心法で排出され、71U特許のように別途に排出ポンプを設ける必要がない。25U特許及び82A特許における装置の主な分散領域は、インペラの下部の、排出口に近い且つ比較的に大きな直径を有する部分に位置している。これらの装置の排出能力がインペラの回転速度により決定され、同時に、インペラの回転速度により分散強度が決定される。通常では、ある程度の分散強度を達成するために、所定の回転速度でインペラを動作させる必要があるが、この回転速度は、排出速度と供給速度を釣り合わせる平衡点にあることができない。スラリーの戻り及び詰まり現象が生じないように、比較的に速い排出速度、比較的に低い室の充填率の状態でしか設備を動作させることができない。こうすれば、混合及び分散の効果を低下させてしまう。本出願では、スラリーは、液体供給室の中で新しいスラリーの供給に推進されて混合室に流れ込むので、液体供給室に充満することができ、分散効果がより十分となるとともに、作業効率も向上させることができる。
【0028】
分散ホイール2020が高速で回転すると、分散ホイール2020が間隙にあるスラリーに対して強いせん断作用を及ぼして、良好な分散効果を奏する。別の実施形態では、図1図2及び図3に示されるように、分散ホイール2020には孔2021が開けられている。別の実施形態では、分散ホイール2020には溝が設けられ、又は、分散ホイール2020の表面にはローレット又はスロットが設けられている。それらはいずれもスラリーの流れを促し、分散効果を強化することができる。スラリーの流れを促し、せん断作用を強化する上記実施形態は、組合せて使われることができることが理解される。そのうちの1つの実施形態のみを採用することに限定されない。
【0029】
別の実施形態では、分散ホイール2020と液体供給室201の内壁との間隙、及び分散ホイール2020と液体供給室201の外壁との間隙は、いずれも0.5mm~10mmである。さらに、分散ホイール2020と液体供給室201の内壁との間隙、及び分散ホイール2020と液体供給室201の外壁との間隙は、いずれも1mm~5mmである。内壁とは液体供給室201の、粉体供給室205に近い壁であり、外壁とは液体供給室201の、冷却水中間層203に近い壁である。分散ホイール2020と、液体供給室201の内壁及び外壁のそれぞれとの間隙は、主にせん断速度に影響する。間隙が小さいほどせん断速度は大きくなるが、間隙が小さくすぎると、壁を削る可能性がある。通常では、分散ホイール2020と、内壁及び外壁のそれぞれとの間隙は同じであるが、寸法範囲は任意に組み合わせることができる。例えば、分散ホイール2020と液体供給室201の内壁との間隙は0.5mm~10mmであり、分散ホイール2020と液体供給室201の外壁との間隙は1mm~5mmである。
【0030】
別の実施形態では、攪拌羽根2022と液体供給室201の内壁との間隙、及び攪拌羽根2022と液体供給室201の外壁との間隙は、いずれも0.5mm~10mmである。さらに、攪拌羽根2022と液体供給室201の内壁との間隙、及び攪拌羽根2022と液体供給室201の外壁との間隙は、いずれも1mm~5mmである。上記分散ホイールの実施形態と同様に、通常では、上記攪拌羽根2022と内壁及び外壁のそれぞれとの間隙は同一である。しかし、異なっていても良い。
【0031】
スラリーが狭小な液体供給室201で分散機構によってせん断され、せん断強度がより高くなり、また、スラリーが液体供給室201に充満し、十分な滞留時間を得ることができ、スラリーが十分に分散されることができる。
【0032】
別の実施形態では、混合室の下部にあるスラリー排出領域には、スラリー分散排出機構が設けられている。このように設ければ、スラリーの排出時にスラリーを再び分散させてから排出し、スラリーの均質性を一層強めることができる。
【0033】
第二態様において、図8に示されるように、本出願は固液の混合分散に用いられる設備を提供する。この設備は第一態様の装置20を含む。装置20の下部がシール装置23で密閉されることで、装置20内のスラリーの漏洩及び装置20内への空気の進入により、スラリーの混合に影響することを防止する。装置20の下には、軸受22及びモータ24が設けられている。モータ24の上には軸受22がある。モータ24は主軸21を回転させるように駆動することにより、粉体粉砕機構206、分散機構202及びインペラ207を駆動して回転させて、粉体及びスラリーを別々に分散させ、さらに均質に混合する。
【0034】
なお、上記実施形態に含まれるそれぞれのモジュールは、機能ロジックに基づいて分割されたが、対応する機能を実現できれば、以上の分割に限定されない。また、各機能ユニットの具体的な名称は、互いを区別するためにのみ使用され、本出願の保護範囲を制限するためのものではない。「実装」、「接続」、「連結」という用語は、別の明示的な規定及び限定がない限り、広い意味で理解されるべきである。例えば、固定的な接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、又は一体的な接続であってもよい。機械的な接続であってもよく、電気的な接続であってもよい。直接接続、又は中間媒体を介する間接接続、又は2つのコンポーネントの内部の連通であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて、本出願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0035】
上記はただ本出願の好適な実施形態に過ぎず、本出願を制限するために用いられない。本出願の主旨と原則に基づいて行われるいかなる修正、同等の置換、改良は、全て本出願の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0036】
20…装置
200…液体供給口
201…液体供給室
202…分散機構
203…冷却水中間層
204…保温層
205…粉体供給室
206…粉体粉砕機構
207…インペラ
208…排出口
2020…分散ホイール
2021…孔
2022…攪拌羽根
21…主軸
22…軸受
23…シール装置
24…モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-05-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固液の混合分散に用いられる装置であって、
前記装置は、主軸に固定的に接続された粉体粉砕機構を含み、前記粉体粉砕機構は粉体供給室に設けられており、前記粉体供給室は粉体供給口を有し、
前記粉体供給室の外側には液体供給室が設けられており、前記液体供給室は液体供給口を有し、前記液体供給室内には、前記主軸に固定的に接続された分散機構が設けられており、
前記液体供給室の下部と前記粉体供給室の下部は、それぞれ混合室の上部に連通しており、前記混合室には、前記主軸に固定的に接続されたインペラが設けられている、
ことを特徴とする固液の混合分散に用いられる装置。
【請求項2】
前記混合室の下部には接線方向の排出口が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の固液の混合分散に用いられる装置。
【請求項3】
前記液体供給室は前記粉体供給室を取り囲むように設けられており、前記液体供給室は円環状である、
ことを特徴とする請求項1に記載の固液の混合分散に用いられる装置。
【請求項4】
前記粉体粉砕機構は多層のブレードを含む、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の固液の混合分散に用いられる装置。
【請求項5】
前記分散機構は円筒状の分散ホイールである、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の固液の混合分散に用いられる装置。
【請求項6】
前記分散機構は、周方向に分布された複数の攪拌羽根を含む、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の固液の混合分散に用いられる装置。
【請求項7】
前記分散ホイールには孔又は溝が設けられている、
ことを特徴とする請求項5に記載の固液の混合分散に用いられる装置。
【請求項8】
前記分散ホイールと前記液体供給室の内壁との間隙、及び前記分散ホイールと前記液体供給室の外壁との間隙は、いずれも0.5mm~10mmである、
ことを特徴とする請求項5に記載の固液の混合分散に用いられる装置。
【請求項9】
前記分散ホイールと前記液体供給室の内壁との間隙、及び前記分散ホイールと前記液体供給室の外壁との間隙は、いずれも1mm~5mmである、
ことを特徴とする請求項8に記載の固液の混合分散に用いられる装置。
【請求項10】
前記攪拌羽根と前記液体供給室の内壁との間隙、及び前記攪拌羽根と前記液体供給室の外壁との間隙は、いずれも0.5mm~10mmである、
ことを特徴とする請求項6に記載の固液の混合分散に用いられる装置。
【請求項11】
前記攪拌羽根と前記液体供給室の内壁との間隙、及び前記攪拌羽根と前記液体供給室の外壁との間隙は、いずれも1mm~5mmである、
ことを特徴とする請求項10に記載の固液の混合分散に用いられる装置。
【請求項12】
前記混合室の下部にあるスラリー排出領域には、スラリーを分散させて排出するためのスラリー分散排出機構が設けられている、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の固液の混合分散に用いられる装置。
【請求項13】
前記液体供給室には液圧が形成されており、液体が前記分散機構には高速で流れることができる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の固液の混合分散に用いられる装置。
【請求項14】
前記攪拌羽根は、ブレード状又は円柱状である、
ことを特徴とする請求項6に記載の固液の混合分散に用いられる装置。
【請求項15】
前記液体供給室の外側には、更に冷却水中間層が設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の固液の混合分散に用いられる装置。
【請求項16】
前記冷却水中間層の外側には保温層が設けられている、
ことを特徴とする請求項15に記載の固液の混合分散に用いられる装置。
【請求項17】
請求項1~3の何れか一項に記載の装置を含む固液の混合分散に用いられる設備であり、
前記装置の下部はシール装置に接続されており、前記装置の下には、軸受及びモータが設けられている、
ことを特徴とする固液の混合分散に用いられる設備。
【請求項18】
請求項17に記載の固液の混合分散に用いられる設備と、スラリーバッファタンクとを含む固液の混合分散に用いられるシステムであって、
前記スラリーバッファタンクと前記固液の混合分散に用いられる設備との間に、スラリーが往復循環する、
ことを特徴とする固液の混合分散に用いられるシステム。
【国際調査報告】