(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】糖尿病及び甲状腺疾患を含む炎症性疾患を治療又は予防するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
A61K 36/53 20060101AFI20241001BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241001BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20241001BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20241001BHJP
A61P 5/14 20060101ALI20241001BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20241001BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20241001BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20241001BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20241001BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20241001BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241001BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20241001BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20241001BHJP
A61K 31/05 20060101ALI20241001BHJP
A61K 31/122 20060101ALI20241001BHJP
A61K 31/405 20060101ALI20241001BHJP
A61K 38/48 20060101ALI20241001BHJP
A61K 36/85 20060101ALI20241001BHJP
A61K 36/424 20060101ALI20241001BHJP
A61K 36/32 20060101ALI20241001BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20241001BHJP
A61K 36/537 20060101ALI20241001BHJP
A61K 36/71 20060101ALI20241001BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20241001BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20241001BHJP
A61K 36/9066 20060101ALI20241001BHJP
A61K 36/88 20060101ALI20241001BHJP
A61K 36/59 20060101ALI20241001BHJP
A61K 36/28 20060101ALI20241001BHJP
A61K 36/752 20060101ALI20241001BHJP
A61K 36/48 20060101ALI20241001BHJP
A61K 36/9062 20060101ALI20241001BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20241001BHJP
【FI】
A61K36/53
A61P29/00
A61P37/02
A61P3/10
A61P5/14
A61P1/04
A61P37/08
A61P25/24
A61P3/04
A61P17/14
A61P43/00 121
A61P31/14
A61P3/06
A61K31/05
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A61K36/9066
A61K36/88
A61K36/59
A61K36/28
A61K36/752
A61K36/48
A61K36/9062
A23L33/105
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518571
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 IB2022058945
(87)【国際公開番号】W WO2023047317
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524110285
【氏名又は名称】アルカライ レイチェル
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】アルカライ レイチェル
【テーマコード(参考)】
4B018
4C084
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4B018LB10
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(57)【要約】
炎症性疾患及び/又は炎症に関連する状態及び/又は炎症に関連するバイオマーカーの予防又は治療を必要とする対象において、炎症性疾患及び/又は炎症に関連する状態及び/又は炎症に関連するバイオマーカーを予防又は治療する方法を提供する。また、ハーブ及び花の抽出物などの天然活性化合物を使用して炎症性疾患を治療するための医薬組成物、物品、及び食品を提供する。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症性疾患の予防又は治療に使用するための、有効量の、植物の部分、その抽出物、その画分、その活性成分、その合成類似体、その模倣物、又はそれらの組み合わせから選択される植物種又はそれらの属に由来する構成成分を含む医薬組成物であって、前記構成成分は、炎症を緩和することができ、前記植物種は、Nigella sativa、Thymus capitatus、Thymus vulgaris、Origanum syriacum、Thymbra spicata、Satujera thymbra、Sesamum indicum、Rhus coriaria、Gynostemma pentaphyllum、Boswellia sacra、及びPanax ginseng、オレガノ又はゴマなどのトリプトファンを含有するいずれかの植物から選択される、医薬組成物。
【請求項2】
植物の部分、その抽出物、その画分、その活性成分、その合成類似体、その模倣物、又はそれらの組み合わせから選択される植物種又はそれらの属に由来する構成成分のうちの少なくとも2種の組み合わせを含む食品サプリメントであって、前記構成成分は、炎症を緩和することができ、前記植物種は、Nigella sativa、Thymus capitatus、Thymus vulgaris、Origanum syriacum、Thymbra spicata、Satujera thymbra、Sesamum indicum、Rhus coriaria、Gynostemma pentaphyllum、Boswellia sacra、及びPanax ginseng、オレガノ又はゴマなどのトリプトファンを含有するいずれかの植物から選択される、食品サプリメント。
【請求項3】
炎症性疾患又は炎症に関連する状態の予防又は治療を必要とする対象において、炎症性疾患又は炎症に関連する状態を予防又は治療する方法であって、前記方法は、有効量の請求項1に記載の医薬組成物を、前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項4】
前記構成成分が、少なくとも2種の構成成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法、医薬組成物。
【請求項5】
前記構成成分が、少なくとも3種の構成成分を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法、医薬組成物、組成物、又は食品サプリメント。
【請求項6】
前記構成成分が、少なくとも4種の構成成分を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法、医薬組成物、組成物、又は食品サプリメント。
【請求項7】
前記構成成分が、少なくとも5種の構成成分を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法、医薬組成物、組成物、又は食品サプリメント。
【請求項8】
前記構成成分が、5~10種の構成成分を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法、医薬組成物、組成物、又は食品サプリメント。
【請求項9】
前記構成成分の薬学的活性が、前記構成成分の組み合わせにおいて相乗、増幅、及び/又は相補効果を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法、医薬組成物、組成物、又は食品サプリメント。
【請求項10】
前記増幅及び/又は相補効果が、前記構成成分の抽出物中の薬学的に有効な化合物間にある、請求項9に記載の方法、医薬組成物、組成物、又は食品サプリメント。
【請求項11】
前記構成成分が、チモキノン又はその類似体を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法、医薬組成物、組成物、又は食品サプリメント。
【請求項12】
前記構成成分が、チモール又はその類似体を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法、医薬組成物、組成物、又は食品サプリメント。
【請求項13】
前記構成成分が、カルバクロール又はその類似体を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法、医薬組成物、組成物、又は食品サプリメント。
【請求項14】
前記構成成分が、ブロメライン又はその類似体を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法、医薬組成物、組成物、又は食品サプリメント。
【請求項15】
前記構成成分が、トリプトファン、その類似体、又はトリプトファンを含有する植物の抽出物を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法、医薬組成物、組成物、又は食品サプリメント。
【請求項16】
前記炎症性疾患が、自己免疫疾患を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項17】
前記炎症性疾患が、急性の炎症性疾患を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項18】
前記炎症性疾患が、糖尿病を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項19】
前記糖尿病が、I型糖尿病を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記糖尿病が、II型糖尿病を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記糖尿病が、妊娠糖尿病を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記炎症性疾患が、橋本病、グレーブス病、甲状腺腫疾患、甲状腺結節疾患、及びそれらのいずれかの組み合わせから選択される特定の甲状腺疾患を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項23】
前記炎症性疾患が、過敏性腸症候群、クローン病、大腸炎、胃炎、消化不良のうちの少なくとも1種を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項24】
前記炎症性疾患が、アレルギー、カンジダ症、風邪関連障害のうちの少なくとも1種を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項25】
前記炎症性障害が、コレステロール障害、脱毛、うつ病、ホルモン障害、肥満のうちの少なくとも1種を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項26】
前記医薬組成物が、ローズの葉 Micromeria fruticose、Salvia、cymbopgon(シトラール)、Aloysia、verbena officinalis、origanum majorana、及び/又はmentheを含む「ベドウィンティー(Beduin Tea)」を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項27】
前記医薬組成物が、タイム、セージ、カルダモン、シナモン、ブラックティー、ハブク(habuk)、及び/又はマルマヤ(Marmaya)を含む「ベドウィンティー(Beduin Tea)」を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項28】
患者における妊娠糖尿病を治療し、血中グルコースレベルを低下させるための、シーサムオイル及びNigella Sativaオイル(Better Flex)を含む医薬組成物又は食品サプリメントであって、前記シーサムオイルは100%w/vオイルを構成し、前記Nigella Sativaオイルは100%w/vオイルを構成する、医薬組成物又は食品サプリメント。
【請求項29】
患者における妊娠糖尿病を治療し、血中グルコースレベルを低下させるための医薬治療レジメンであって、前記レジメンは、第1の処方された量の100%w/vのシーサムオイルを、前記患者に第1の処方された期間投与することと、第2の処方された量の前記シースムオイル100%w/v及び第1の処方された量の100%w/vのNigella Sativaオイルを、第2の処方された期間共投与することと、を含む、医薬治療レジメン。
【請求項30】
前記処方された量の前記シーサムオイル100%w/vが、第1及び第2の処方された期間、1日当たり5mlの量であり、前記処方された量の前記Nagilla Sativaオイル100%w/vが、前記第2の処方された期間、1日当たり5mlの量である、請求項29に記載の医薬治療レジメン。
【請求項31】
前記第1の処方された期間が4日間であり、前記第2の処方された期間が18日間である、請求項29又は30に記載の医薬治療レジメン。
【請求項32】
患者における脱毛症及び体重喪失を反転させるための医薬治療レジメンであって、前記レジメンは、1日当たり2~15、好ましくは5~10、より好ましくは8滴の、請求項1~5のいずれか一項に記載の植物種のうちのいずれか1種の抽出混合物を含む医薬組成物又は食品サプリメントを、前記患者に2~3ヶ月の処方された期間投与することを含む、医薬治療レジメン。
【請求項33】
前記抽出混合物が、チモキノン、チモール、カルバクロール、ブロメライン、並びにトリプトファン、又はトリプトファン及びその類似体を含有する植物の抽出物から選択される化合物を更に含む、請求項32に記載の医薬治療レジメン。
【請求項34】
ウイルス又は細菌誘発性疾患、状態、又は障害を治療、予防、阻害、及び緩和するための、オレガノオイル、タイムオイル、Nigella Sativa、スマックオイル、シーサムオイル、及びオリバナムオイルから選択される天然抽出物のコンプレックスを含む医薬組成物。
【請求項35】
前記抽出物が、前記組成物中に等量で提供される、請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記コンプレックスが、オレガノオイル、タイムオイル、及びNigella Sativaを含む、請求項34又は35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記コンプレックスが、オレガノオイル、タイムオイル、Nigella Sativa、及びスマックオイルを含む、請求項34~36のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記コンプレックスが、オレガノオイル、タイムオイル、Nigella Sativa、スマックオイル、及びシーサムオイルを含む、請求項34~37のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記コンプレックスが、オレガノオイル、タイムオイル、Nigella Sativa、スマックオイル、シーサムオイル、及びオリバナムオイルを含む、請求項34~38のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項40】
前記組成物が、SARS-CoV-2のウイルス感染の治療、阻害、予防、及び緩和に適しており、前記ウイルスの治療が、前記SARS-CoV-2のスパイクタンパク質のサブユニットS1及びS2の消化を含む、請求項34~39のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記ウイルス感染の治療及び前記SARS-CoV-2のS1及びS2スパイクタンパク質のサブユニットの消化が、ウイルス媒介性又は/及び誘発された炎症性、並びにウイルス媒介性又は/及び誘発された真性糖尿病(1型又は2型)発症のその後の治療又は低減に適している、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項42】
SARS-CoV-2のウイルス感染を治療、阻害、予防、及び緩和する方法であって、前記方法は、有効量の、請求項34~39に記載のコンプレックスのうちのいずれか1つを、患者に投与することを含み、前記コンプレックスを用いた治療は、SARS-CoV-2のS1及びS2スパイクタンパク質のサブユニットを消化することを含む、方法。
【請求項43】
前記ウイルス感染の治療、及び前記SARS-CoV-2のS1及びS2スパイクタンパク質のサブユニットの消化が、ウイルス媒介性又は/及び誘発された炎症性、並びにウイルス媒介性又は/及び誘発された真性糖尿病(1型又は2型)発症のその後の治療又は低減に適している、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
コレステロールを低減させる方法であって、請求項1及び34~39のいずれか一項に記載の医薬組成物を、コレステロールの低減を必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項45】
血中グルコースレベルを低下させる方法であって、請求項1及び34~39のいずれか一項に記載の医薬組成物を、血中グルコースレベルの低下を必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項46】
血液中のアルブミン、アルカリホスファターゼ カルシウム、鉄、カリウム、及びビタミンDのうちの少なくとも1種を調節する方法であって、請求項1及び34~39のいずれか一項に記載の医薬組成物を、その調節を必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項47】
C反応性タンパク質を調節する方法であって、請求項1及び34~39のいずれか一項に記載の医薬組成物を、C反応性タンパク質の調節を必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項48】
RBCヘマトクリット、ヘモグロビン、及び血小板のうちの少なくとも1種を調節する方法であって、請求項1及び34~39のいずれか一項に記載の医薬組成物を、その調節を必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項49】
マンゴー植物又は果実、ジンセン、パイナップル果実の抽出物、トリプトファン、シリビニン、ミルクシスルの抽出物、カモミール、アニス、スターアニス、α-ビサボロール、リナロール、ラベンダーの抽出物、ベルガモットの抽出物、ローズウッドの抽出物、バジルの抽出物、ネロリオイルの抽出物、ターメリック又はその抽出物、マンゴージンジャー又はその抽出物、及びクルクミンのうちの少なくとも1種を更に含む、請求項1及び34~39のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、そのいくつかの実施形態では、炎症性疾患を治療又は予防するための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症は、有害な刺激、例えば、細胞に対する病原体、感染、刺激物質、又は損傷に対して応答して、免疫系の活性化を伴う。ステレオタイプの応答として、炎症は、各病原体に特異的な適応免疫と比較して、自然免疫のメカニズムである。炎症は、急性又は慢性のいずれかに分類することができる。一般的に言えば、急性の炎症は顆粒球によって媒介される一方、慢性の炎症は単球及びリンパ球などの単核細胞によって媒介される。
【0003】
急性の炎症は、組織の完全性を維持し、組織修復に寄与することによって、害のある刺激を除去するための身体の最初の保護応答である。これは傷害及び疾患に対する身体の自然な防御システムの一部であり、急性の炎症がない場合、創傷及び感染症は治癒せず、組織の進行的破壊は生物の生存を損なわせる可能性がある。
【0004】
急性の炎症のプロセスは、全ての組織中に既に存在する細胞、主に常在のマクロファージ、樹状細胞、組織球、クッパー細胞、マスト細胞、血管内皮細胞、及び血管平滑筋細胞によって開始される。有害な刺激の始まり時に、これらの細胞は活性化を受け、炎症媒介及び感作分子、例えば、炎症促進性サイトカイン、炎症促進性プロスタグランジン、ロイコトリエン、ヒスタミン、セロトニン、中性プロテアーゼ、ブラジキニン、及び一酸化窒素などを放出する。これらの炎症性分子は、局所血管系、免疫系、及び傷害を受けた組織部位の細胞性及び非細胞性構成成分が関与する複雑な一連の生物学的事象を調節して、炎症応答を増殖及び成熟させる。これらの事象は、1)組織への血流を増加させ、それによって紅斑(発赤及び熱感)を引き起こす(これは、この部位を超えて伸びることがある)血管拡張、2)組織への血漿漏出を増加させ、それによって浮腫(腫れ)を引き起こす血管透過性、3)過敏症及び疼痛を引き起こすある特定の感覚ニューロンの興奮性を変化させること、4)末梢神経終末からの、例えば、サブスタンスP(SP)及びカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、プロスタグランジン、及びグルタミン酸のようなアミノ酸などの炎症誘導分子の放出を刺激すること、及び5)血管から組織へ、白血球、主に顆粒球の遊走を増加させることによって、典型的に特徴付けられる急性の炎症応答の誘発を担っている。急性の炎症応答は、持続するために一定の刺激を要し、もはや必要とされないときに積極的に終了されなければならない。したがって、害のある刺激が除去されると、急性の炎症は停止する。
【0005】
しかしながら、重度又は長期の有害な刺激は、組織傷害の部位に存在する細胞の種類において進行性の移行につながる慢性の炎症応答をもたらす。慢性の炎症は、炎症プロセスからの組織の同時破壊及び治癒として特徴付けられ得、修復を媒介するのではなく、傷害を誘発する正味の結果である。このように、慢性の炎症は疾患である。炎症応答は身体内の任意の場所で生じる可能性があるため、慢性の炎症は、ヒト疾患の大規模で多様なグループの基礎となる、広範な一見無関係な障害の病態生理に関与している。例えば、慢性の炎症は、心血管疾患、がん、アレルギー、肥満、糖尿病、消化器系疾患、肝臓疾患、変性疾患、自己免疫障害、貧血、鎌状赤血球貧血、線維筋痛、及びアルツハイマー病又は他の関連する認知症、例えば、血管型認知症、混合型認知症、前頭側頭型認知症、レビー小体型認知症、記憶喪失、コレステロール障害、脱毛、うつ病、ホルモン障害、PMS(月経前症候群)、更年期の症候、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)、睡眠の乱れ/障害、頭痛、体重の喪失、太りすぎ、回転性のめまい、ふらつき、集中力の欠如、勃起不全、疲労及び虚弱、筋肉痛、下痢、嗅覚の喪失、味覚の喪失、皮膚発疹、腰痛、胸痛、咳、鼻水、喉の痛み、声のかすれ、吐き気、嘔吐、発熱、目の感染症、耳の感染症、統合失調症、妄想、幻覚、偏執病、解体した会話、自閉症、PTSD、アスペルガー、ADD、ADHD、うつ病、不安、せん妄、緑内障、角膜における線維形成/機能、反応性愛着障害、知的障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS、ルー・ゲーリック病)を含む神経変性疾患、シャルコー・マリー・トゥース病、慢性外傷性脳症、嚢胞性線維症、シトクロムcオキシダーゼ、エーラス・ダンロス症候群、進行性骨化性線維異形成症、フリードライヒ運動失調症、前頭側頭型認知症、ハンチントン病、乳児神経軸索ジストロフィー、円錐角膜、異染性白質ジストロフィー、黄斑変性、マルファン症候群、ミトコンドリアミオパチー及びミトコンドリアDNA枯渇症候群、多発性硬化症、多系統萎縮症、筋ジストロフィー、神経セロイドポフスチン症、ニーマン・ピック病、変形性関節症、骨粗しょう症、肺動脈性肺高血圧症、全てのプリオン病、進行性核上性麻痺、網膜色素変性、関節リウマチ、サンドホフ病、脊髄性筋萎縮症、物質使用障害、亜急性硬化性、テイ・サックス病、パーキンソン病、本態性振戦、パーキンソニズム、NPH(正常圧水頭症)などの多様な疾患に関与する。
【0006】
慢性の炎症はまた、細胞間の乱れたコミュニケーション、ゲノム変異、テロメアの短縮、DNAの化学構造のぶら下がり、細胞性タンパク質の分解、損なわれたミトコンドリア機能、及び幹細胞プロジェリアの非更新を含む老化障害にも関連している。老化及び皮膚損傷には、にきび皮膚創傷、皮膚瘢痕化、皮膚の緩み、及び皮膚に形成されるより暗い色素沈着斑が含まれる。
【0007】
慢性の炎症を治療する試みは、制限された成功を収めた。これは、慢性の炎症の原因が、様々な炎症誘導分子、及び冗長なメカニズムを介して炎症を誘導するように見える多数の炎症媒介及び感作分子に部分的に基づく複雑な応答であるという事実に、部分的に起因する。加えて、炎症促進性分子を遮断することの他に、多くの抗炎症性薬物はまた、内因性抗炎症性分子を放出する調節ループを阻害する。例えば、NSAIDは、アラキドン酸のプロスタグランジン及びロイコトリエンへの変換を触媒する鍵となる酵素であるシクロオキシゲナーゼの酵素活性を遮断することによって炎症を軽減する。このように、NSAIDは、全てのプロスタグランジンの合成を阻止することによって炎症を軽減する。しかしながら、NSAIDは、炎症促進性プロスタグランジンの合成を阻止するだけでなく、これらの化合物は、抗炎症性プロスタグランジンの合成も阻止する。したがって、NSAIDは、いくつかの場合において、慢性の炎症を延長し得る内因性抗炎症応答を遮断するため、成功は限定的である。したがって、炎症促進性応答を好選的に阻害する化合物、組成物、使用、及び方法は、炎症の治療に高度に望ましいであろう。
【0008】
I型真性糖尿病(T1DM)は、膵臓β細胞の免疫媒介性破壊を特徴とする多因子自己免疫疾患である。研究は、環境因子が、世界中のTIDMの継続的な上昇に寄与していることを示している。ウイルス感染は、環境リスクのうちの1つを表し、疫学的データは、TlDMの発生率がエンテロウイルスによる流行後に増加し、エンテロウイルスRNAが、疾患の始まり時にT1DM患者の>50%の血液中で検出され得ることを示している(Galleri et al,2012を参照のこと)。
【0009】
研究は、慢性HCV感染が、インスリン抵抗性(IR)及び2型糖尿病(T2D)を発症するリスクの増加に関連することを示している。臨床及び実験データは、HCVがT2Dの病因に寄与することを示唆している(Negro et.al.,2009)。慢性HCV感染を有する患者は、増加した2型糖尿病の有病率を有し、この有病率は、肝硬変とは無関係である(Knobler et.al 2000を参照のこと)。
【0010】
糖尿病I、II、及び妊娠糖尿病を含む炎症性疾患のための有効な組成物を提供することに対して、長年にわたり、満たされていない必要性があることは明らかである。
【0011】
甲状腺は、内分泌系の腺である。これは、甲状腺峡部と呼ばれる細いバンドによって接続された2つのローブからなる首の前部に位置する。甲状腺は、3種のホルモン、トリヨードサイロニン(T3)、サイロキシン(T4)、及びカルシトニンを分泌する。T3及びT4は、代謝率、タンパク質合成、並びに小児における成長及び発達に影響を及ぼす。カルシトニンは、カルシウムの恒常性において役割を果たす。がんの甲状腺の種類とは別に、甲状腺に及ぼす影響に応じて、甲状腺機能亢進症又は甲状腺機能低下症のいずれかをもたらす可能性がある、甲状腺のいくつかの特定の疾患がある。甲状腺機能亢進症関連疾患には、橋本病、グレーブス病、甲状腺腫疾患、甲状腺結節疾患が含まれる。甲状腺機能低下症は、主に橋本病に関した。
【0012】
US2008/0038367は、生物学的及び治療的活性を示す栄養素を含有する天然に存在する供給源の抽出物を含有する栄養サプリメントを記載している。特に、そのようなサプリメントは、ウイルス、細菌、及び微生物感染、並びに炎症の治療に有効である。特に、これらのハーブ及び花の抽出物、例えば、ブラッククミン(Black Cumin)(Nigella sativa)及びスマック(Sumac)(Rhus coriara)は、1リットル当たり約0.5g~60gの範囲で提供される。トリプトファンはまた、そのような抽出物に添加され得る。
【0013】
WO2020/044123は、カンナビノイド受容体と考えられるものの生理学的機能に関連する状態及び障害を治療するための、特にBoswellia serrataの抽出物と組み合わせたカンナビノイド製剤を記載している。1つのそのような機能は、糖尿病を伴う場合に、これらの製剤が有効であることが見出されている炎症である。Boswellia serrataの抽出物は、100~1000mgの範囲の量で、経口製剤中のカンナビノイドとして提供される。特に、Boswellia serrataの活性化合物は、3-O-アセチル-1 1-ケトベータ-ボスウェル酸(AKBA)である。カンナビノイド化合物は、0.1~750mgの用量で投与されるが、それらの1日量は、治療される個体ごとに変動し、シベリアジンセン(Siberian Ginseng)(エレウテロ(Eleuthero)の根)及びタイム(Thyme)(Thymus vulgaris)などの他のハーブから得られる他の健康製品と組み合わせて相乗効果がある。
【0014】
US2012/022053は、慢性のウイルス又は細菌感染から生じる慢性の炎症に関連する状態を治療するための、テアフラビン(TF)組成物及びグルコサミン組成物を含有する製剤を記載している。TF組成物は、ブラックティー(Black tea)の抽出物、及びグリーンティー中に見出される発酵TFのポリフェノールから得られる。天然オイルは、高濃度のフェノール、例えば、オリガヌム(origanum)、タイム、及びローズマリーオイルを含有するものを含む、これらの組成物に添加されてもよい。活性剤のビヒクルには、天然に得られるシーサムオイルが含まれる。
【0015】
US2011/00586052は、Panax quinquefoliusから作製したジンセン画分を用いて、自然免疫のシグナル伝達を治療するための製剤を記載している。これらの製剤は、インフルエンザ及びコロナウイルスなどの呼吸器又は粘膜で伝達されるウイルスからのウイルス感染の治療に適している。
【0016】
US2010/0119558は、ナマコに見出される栄養価のある、すなわち生物活性の化合物であるNGNA(n-グリコリルノイラミン酸)を含有する医薬組成物を記載している。他の生体活性の化合物は、シベリアジンセンを含む様々な天然の供給源に見出すことができる。そのような組成物は、ウイルス感染症、例えば、インフルエンザ、ライノウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、及びノロウイルスの治療に有効である。
【0017】
EP2482831は、Cridothymus capitatus、Origanum didtamnus、及びSlavia fruticosa、又はSalvia pomiferaの抽出物由来の組成物を記載している。そのような組成物は、ヒトにおける呼吸器系に悪影響を及ぼすウイルスの治療に有効であることが見出されている。好ましくは、これらの成分は、40~80%、3~15%、及び17~45%の対応する比率で組成物中に存在する。
【0018】
これらの刊行物における医薬組成物及び食品添加物は、ある特定の医学的障害及び状態を治療するための、特定の活性化合物、又は天然に存在する活性化合物の組み合わせを含む特定のハーブの抽出物の本質的な組み合わせである。加えて、特定の相対量及び/又は絶対量のそのような活性化合物又は抽出物を、これらの組み合わせで使用して、そのような状態及び障害、特にウイルス又は細菌が影響を及ぼす炎症を特異的に標的化することができる。更に、これらの組成物及び抽出物は、これらの障害及び状態を治療するために、そのような有効量の活性化合物を得るための特定の方法で生成される。したがって、ハーブの抽出物、それらの活性化合物、及び組み合わせから何らかの薬学的効果を得るための、特定の相対量及び/又は絶対量の選択された抽出源の組み合わせは、適切な方法で得られるはずである。加えて、類似の又は同じでさえある成分を用いた他のいずれかの組み合わせに対する、そのような組み合わせの等価性又は少なくとも同等性を証明するような、有効な処理が示されるはずである。
【0019】
これらの刊行物のいずれも、本出願におけるような、ハーブ及び花の抽出物又は他のいずれかの天然に存在する供給源の抽出物の特定の組み合わせを記載及び示唆していない。特に、これらの刊行物のいずれも、本出願におけるような、そのような抽出物及び天然の供給源の特定の組み合わせ、特に、いずれかの薬学的に許容され得る組成物中のそれらの特定の相対量及び絶対量を記載及び示唆してしない。最も具体的には、これらの刊行物のいずれも、本発明におけるような、そのような抽出物中の天然に存在する活性化合物の有効量及びそれらの有効な薬学的活性を記載及び示唆していない。更に、これらの刊行物は、本発明におけるような、抽出物及びそれらに対応する有効な化合物の特定の組み合わせにおける相乗、増幅、及び/又は相補効果を記載及び示唆していない。
【0020】
したがって、人における状態及び障害を治療、予防、阻害、及び緩和するための、有効量のハーブ、花、及び他のいずれかの天然に存在する供給源の抽出物の組み合わせを含む薬学的に許容される組成物を提供することが、本発明の目的である。特に、そのような状態は、炎症、特に慢性の炎症に関する。
【0021】
そのような薬学的に許容され得る組成物を生成する方法を提供することが、本発明の更に別の目的である。
【0022】
障害、状態、及び疾患を治療する方法、並びにその医薬治療のレジメンを提供することが、本発明の更に別の目的である。より具体的には、本発明は、糖尿病、高レベルの血中グルコース、及びウイルス感染に関する、又はそれによって開始される炎症を、そのような薬学的に許容され得る組成物を用いて治療するための、医薬組成物及び対応する治療レジメンを提供する。
【0023】
心血管疾患、がん、アレルギー、肥満、糖尿病、低血糖症、消化器系疾患、肝臓疾患(例えば、脂肪肝疾患及び肝臓慢性肝臓疾患の肝硬変、黄疸、腹水、静脈瘤、アルコール性肝臓疾患、非アルコール性肝臓疾患など)、胆石、変性疾患、自己免疫障害、貧血、鎌状赤血球性貧血、線維筋痛、及びアルツハイマー病又は他の関連する認知症、例えば、血管型認知症、混合型認知症、前頭側頭型認知症、ルビー体認知症、記憶喪失、コレステロール障害、脱毛、うつ病、ホルモン障害、PMS(月経前症候群)、更年期の症候、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)、睡眠の乱れ/障害、頭痛、体重の喪失、太りすぎ、食欲の喪失、回転性のめまい、ふらつき、集中力の欠如、勃起不全、疲労及び虚弱、筋肉痛、下痢、嗅覚の喪失、味覚の喪失、皮膚発疹、腰痛、胸痛、咳、鼻水、喉の痛み、吐き気、嘔吐、発熱、目の感染症、耳の感染症、統合失調症、妄想、幻覚、偏執症、解体した会話、自閉症、PTSD、アスペルガー、ADD、ADHD、うつ病、不安、せん妄、緑内障、角膜における線維形成/機能、反応性愛着障害、知的障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS、ルー・ゲーリック病)を含む神経変性疾患、シャルコー・マリー・トゥース病、慢性外傷性脳症、嚢胞性線維症、シトクロムcオキシダーゼ、エーラス・ダンロス症候群、進行性骨化性線維異形成症、フリードライヒ運動失調症、前頭側頭型認知症、ハンチントン病、乳児神経軸索ジストロフィー、円錐角膜、異染性白質ジストロフィー、黄斑変性、マルファン症候群、ミトコンドリアミオパチー及びミトコンドリアDNA枯渇症候群、多発性硬化症、多系統萎縮症、筋ジストロフィー、神経セロイドポフスチン症、ニーマン・ピック病、変形性関節症、骨粗しょう症、肺動脈性肺高血圧症、全てのプリオン病、進行性核上性麻痺、網膜色素変性、関節リウマチ、サンドホフ病、脊髄性筋萎縮症、物質使用障害、亜急性硬化性、テイ・サックス病、パーキンソン病、本態性振戦、パーキンソニズム、NPH(正常圧水頭症)、老化障害、老化及び皮膚創傷を含む皮膚損傷、皮膚瘢痕化、皮膚の緩み、及び皮膚に形成されるより暗い色素沈着斑を含むが、これらに限定されない、慢性の炎症と相関を有する障害、疾患、及び状態を治療する方法を提供することが、本発明の更に別の目的である。
【0024】
この及び他の目的、実施形態、組成物、そのような組成物を用いて治療可能な疾患及び障害、並びにそれらを生成する方法は、説明が進むにつれて明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0025】
本発明の一態様によれば、炎症性疾患の予防又は治療を必要とする対象において、炎症性疾患を予防又は治療する方法が提供され、該方法は、有効量の、植物の部分、その抽出物、その画分、その活性成分、その合成類似体、その模倣物、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される植物種又はそれらの属に由来する構成成分を、対象に投与することを含み、該構成成分は、炎症を緩和することができ、該植物種は、Nigella sativa、Thymus capitatus、Thymus vulgaris、Origanum syriacum、Thymbra spicata、Satujera thymbra、Sesamum indicum、Rhus coriaria、Gynostemma pentaphyllum、Boswellia sacra、及びPanax ginsengからなる群から選択される。
【0026】
本発明の一態様によれば、炎症性疾患の予防又は治療に使用するための、有効量の、植物の部分、その抽出物、その画分、その活性成分、その合成類似体、その模倣物、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される植物種又はそれらの属に由来する構成成分を含む医薬組成物が提供され、該構成成分は、炎症を緩和することができ、該植物種は、Nigella sativa、Thymus capitatus、Thymus vulgaris、Origanum syriacum、Thymbra spicata、Satujera thymbra、Sesamum indicum、Rhus coriaria、Gynostemma pentaphyllum、Boswellia sacra、及びPanax ginsengからなる群から選択される。
【0027】
本発明の一態様によれば、植物の部分、その抽出物、その画分、その活性成分、その合成類似体、その模倣物、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される植物種又はそれらの属に由来する構成成分のうちの少なくとも2種を含む物質の組成物が提供され、該構成成分は、炎症を緩和することができ、該植物種は、Nigella sativa、Thymus capitatus、Thymus vulgaris、Origanum syriacum、Thymbra spicata、Satujera thymbra、Sesamum indicum Rhus coriaria、Gynostemma pentaphyllum、Boswellia sacra、及びPanax ginsengからなる群から選択される。
【0028】
本発明の一態様によれば、植物の部分、その抽出物、その画分、その活性成分、その合成類似体、その模倣物、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される植物種又はそれらの属に由来する構成成分のうちの少なくとも2種の組み合わせを含む食品サプリメントが提供され、該構成成分は、炎症を緩和することができ、該植物種は、Nigella sativa、Thymus capitatus、Thymus vulgaris、Origanum syriacum、Thymbra spicata、Satujera thymbra、Sesamum indicum Rhus coriaria、Gynostemma pentaphyllum、Boswellia sacra、及びPanax ginsengからなる群から選択される。
【0029】
本発明の一態様によれば、ローズの葉(Rose Leaves)Micromeria fruticose、Salvia、cymbopgon(シトラール)、Aloysia、verbena officinalis、origanum majorana、及びmentheを含む「ベドウィンティー(Beduin Tea)」を更に含む食品サプリメント、組成物、又は抽出物が提供される。
【0030】
本発明の一態様によれば、タイム、セージ、カルダモン、シナモン、ブラックティー、ハブク(habuk)、マルマヤ(Marmaya)を含む「ベドウィンティー(Beduin Tea)」を更に含む食品サプリメント、組成物、又は抽出物が提供される。
【0031】
いくつかの実施形態によれば、構成成分は、上で列挙された植物種からの少なくとも2種の構成成分を含む。
【0032】
いくつかの実施形態によれば、構成成分は、上で列挙された植物種からの少なくとも3種の構成成分を含む。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、構成成分は、上で列挙された植物種からの少なくとも4種の構成成分を含む。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、構成成分は、上で列挙された植物種からの少なくとも5種の構成成分を含む。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、構成成分は、上で列挙された植物種からの5~10種の構成成分を含む。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、構成成分は、チモキノン又はその類似体を含む。
【0037】
いくつかの実施形態によれば、構成成分は、チモール又はその類似体を含む。
【0038】
いくつかの実施形態によれば、構成成分は、カルバクロール又はその類似体を含む。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態では、構成成分は、トリプトファン、トリプトファンの類似体、又はゴマ若しくはオレガノなどのトリプトファンを含有する植物の抽出物を含む。
【0040】
いくつかの実施形態によれば、炎症性疾患は、自己免疫疾患を含む。
【0041】
いくつかの実施形態によれば、炎症性疾患は、急性の炎症性疾患を含む。
【0042】
いくつかの実施形態によれば、炎症性疾患は、自己免疫疾患を含む。
【0043】
いくつかの実施形態によれば、炎症性疾患は、糖尿病を含む。
【0044】
いくつかの実施形態によれば、糖尿病は、I型糖尿病を含む。
【0045】
いくつかの実施形態によれば、糖尿病は、II型糖尿病を含む。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、糖尿病は、妊娠糖尿病を含む。
【0047】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、C反応性タンパク質の低減を引き起こす。
【0048】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、コロナウイルスによるACE2結合を阻害する。
【0049】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、動物(イヌ、ネコ、ウマ、家禽などを含む)、ほこり、ツリーナッツ、ピーナッツ、卵、ミルク、ツリー、草、花など)からのアレルゲンを含むが、これらに限定されない、アレルギー応答を軽減及び/又は排除する。
【0050】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び/又は科学用語は、発明が関連する技術分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様又は同等の方法及び材料を、発明の実施形態の実践又は試験で使用することができるが、例示的な方法及び/又は材料を以下に記載する。矛盾する場合、定義を含む本特許明細書が優先される。加えて、材料、方法、及び例は、例示に過ぎず、必ずしも限定することを意図しない。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態は、添付の図面を参照して、例としてのみ本明細書に記載されている。詳細な、図面への具体的な言及について、示された細目は、例として、及び本発明の実施形態の例示的な考察の目的のためであることを強調しておく。これに関して、図面と併せてなされた説明により、本発明の実施形態がどのように実践され得るかが当業者に明らかになる。
【0052】
以下の図面である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】A~Cは、berkem(ドット)comから取った植物の抽出方法の実施形態を示す。
図1A-植物の抽出の一般的な原理を説明するスキームである。
図1B-いくつかの実施形態による主な分離プロセスを説明するスキームである。
図1C-プロセスに影響を及ぼし得るパラメータを説明するスキームである。
【
図2】37℃で6時間のインキュベーション時間後の、試験した抽出物を用いたSARS-CoV-2 S1サブユニットタンパク質の消化アッセイのSDS-pageを示す。
【
図3】37℃で6時間のインキュベーション時間後の、試験した抽出物を用いたSARS-CoV-2 S2サブユニットタンパク質の消化アッセイのSDS-pageを示す。
【
図4】37℃で6時間のインキュベーション時間後の、試験した抽出物を用いたSARS-CoV-2ヌクレオカプシドの消化アッセイのSDS-pageを示す。
【
図5】37℃で6時間のインキュベーション時間後の、試験した抽出物を用いたSARS-CoV-2 S1サブユニットタンパク質の消化アッセイのデンシトメトリー試験のグラフ表示を示す。
【
図6】37℃で6時間のインキュベーション時間後の、試験した抽出物を用いたSARS-CoV-2 S2サブユニットタンパク質の消化アッセイのデンシトメトリー試験のグラフ表示を示す。
【
図7】37℃で6時間のインキュベーション時間後の、試験した抽出物を用いたSARS-CoV-2ヌクレオカプシドの消化アッセイのデンシトメトリー試験のグラフ表示を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明は、そのいくつかの実施形態では、炎症性疾患、特に慢性の炎症性疾患、並びに炎症に関連する疾患及び障害を治療又は予防するための組成物及び方法に関する。
【0055】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明に述べられた、又は実施例によって例示された詳細に対する適用に必ずしも限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であるか、又は様々な方法で実践又は実施できる。
【0056】
炎症性疾患及び自己免疫疾患は、壊滅的な個人的及び経済的負担を生む。炎症性疾患は、不適切な炎症応答が開始され、かつ/又は正常な様式で消散せず、むしろ持続し、治癒しない慢性の炎症状態をもたらす場合に生じる。
【0057】
このように、本発明の一態様によれば、炎症性疾患の予防又は治療を必要とする対象において、炎症性疾患を予防又は治療する方法が提供され、該方法は、有効量の、植物の部分、その抽出物、その画分、その活性成分、その合成類似体、その模倣物、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される植物種又はそれらの属に由来する構成成分を、対象に投与することを含み、該構成成分は、炎症を緩和することができ、該植物種は、Nigella sativa、Thymus capitatus、Thymus vulgaris、Origanum syriacum、Thymbra spicata、Satujera thymbra、Sesamum indicum、Rhus coriaria、Gynostemma pentaphyllum、Boswellia sacra、及びPanax ginsengからなる群から選択される。
【0058】
追加又は代替の態様によれば、炎症性疾患の予防又は治療に使用するための、有効量の、植物の部分、その抽出物、その画分、その活性成分、その合成類似体、その模倣物、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される植物種又はそれらの属に由来する構成成分を含む医薬組成物が提供され、該構成成分は、炎症を緩和することができ、該植物種は、Nigella sativa、Thymus capitatus、Thymus vulgaris、Origanum syriacum、Thymbra spicata、Satujera thymbra、Sesamum indicum、Rhus coriaria、Gynostemma pentaphyllum、Boswellia sacra、及びPanax ginsengからなる群から選択される。
【0059】
追加又は代替の態様によれば、植物の部分、その抽出物、その画分、その活性成分、その合成類似体、その模倣物、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される植物種又はそれらの属に由来する構成成分のうちの少なくとも2種を含む物質の組成物が提供され、該構成成分は、炎症を緩和することができ、該植物種は、Nigella sativa、Thymus capitatus、Thymus vulgaris、Origanum syriacum、Thymbra spicata、Satujera thymbra、Sesamum indicum Rhus coriaria、Gynostemma pentaphyllum、Boswellia sacra、及びPanax ginsengからなる群から選択される。
【0060】
追加又は代替の態様によれば、植物の部分、その抽出物、その画分、その活性成分、その合成類似体、その模倣物、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される植物種又はそれらの属に由来する構成成分のうちの少なくとも2種の組み合わせを含む食品サプリメントが提供され、該構成成分は、炎症を緩和することができ、該植物種は、Nigella sativa、Thymus capitatus、Thymus vulgaris、Origanum syriacum、Thymbra spicata、Satujera thymbra、Sesamum indicum Rhus coriaria、Gynostemma pentaphyllum、Boswellia sacra、及びPanax ginsengからなる群から選択される。
【0061】
本発明の一態様によれば、ブロメライン又はブロメラインを含むパイナップルの抽出物を含む、組成物又は食品サプリメントが提供される。
【0062】
早くも1899年に、H.F.Harrisは、「A case of diabetes mellitus quickly following Mumps」を報告した。コクサッキーウイルスB(CVB)などのエンテロウイルスだけでなく、ロタウイルス、ムンプスウイルス、及びサイトメガロウイルスを含む、かなりの数のウイルスが、1型糖尿病に関連している。風疹ウイルスは、1型糖尿病を引き起こすことが示唆されている(Filippi and.Von Herrath,2008を参照のこと)。この患者群における糖尿病及び潜在性糖尿病の合わせた発生率は、44人中9人(20%)であった。これらの所見は、先天性風疹感染症及び真性糖尿病の間の因果関係を示唆している。更に、より疫学的な研究により、2型糖尿病及び慢性C型肝炎ウイルス(HCV)感染症の間の関連が示唆された(Yoshizumi Shinatai et.Al,2005)。
【0063】
本明細書では、コロナウイルスを含む多くのウイルスの表面にある糖タンパク質が、それらが宿主細胞に結合するのを助けることを認識している。コロナウイルスのスパイクタンパク質の表面には糖/グリカンがある(「Sugary Camouflage on Coronavirus offers vaccine clues」Sugars on Coronavirus Spike Protein Offer Vaccine Clues|Quanta Magazine)。
【0064】
トリプトファンは、グリカン-タンパク質相互作用(「糖コード(The Sugar Code)」)において重要である。グリカン-タンパク質相互作用の研究は、細胞シグナル伝達のメカニズムへの洞察を提供し、がんを含む多くの疾患のためのより良い診断ツールを創出することを可能にする。「Indeed there are no known types of cancer that do no not involve erratic patterns of protein glycosylation.(実際、不規則なタンパク質グリコシル化のパターンを伴わない既知のがんの種類は存在しない)The sweet spot:defining virus-sialic acid interactions”|Nature Reviews Microbiology。
【0065】
本明細書では、SGLT2阻害剤が糖尿病薬であることを、更に認識している。グルコースが人体の細胞に到達するために、細胞膜にはグルコース及びナトリウムのキャリアであるタンパク質がある。これらのキャリアタンパク質は、ナトリウム-グルコース輸送タンパク質と呼ばれる。約5種類のSGLTがあり、腎臓はSGLT2と呼ばれるこのファミリーからのタンパク質を有する。このタンパク質は、腎グルコースのほぼ90%の再取込みを担う[2]。このメカニズムを知ることは、SGLT2を阻害する薬物の形成の基礎であった。SGLT2阻害剤は、尿から血中へのグルコースの吸収を担うタンパク質を阻害し、以下を引き起こす。
●尿中のグルコースの分泌
●血中グルコースレベルの低下
【0066】
トリプトファンは、上述したように、グリカン-タンパク質相互作用において重要である。このように、本発明の一態様によれば、糖尿病媒介ウイルスの感染性を低下させることを必要とする対象において、ウイルス侵入メカニズムタンパク質を改変することによって、糖尿病媒介ウイルスの感染性を低減させる方法が提供され、該方法は、有効量の、植物の部分、その抽出物、その画分、その活性成分、その合成類似体、その模倣物、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される植物種又はそれらの属に由来する構成成分を、対象に投与することを含み、該構成成分は、ウイルス侵入を減弱することができ、該植物種は、Nigella sativa、Thymus capitatus、Thymus vulgaris、Origanum syriacum、Thymbra spicata、Satujera thymbra、Sesamum indicum、Rhus coriaria、Gynostemma pentaphyllum、Boswellia sacra、及びPanax ginsengからなる群から選択される。
【0067】
本明細書では、本発明のいくつかの実施形態では、トリプトファン、又はトリプトファン類似体、又はトリプトファンを含有する植物の抽出物が、本発明の治療方法又は組成物に使用されることを、更に認識している。
【0068】
本発明の一態様によれば、ローズの葉Micromeria fruticose、Salvia、cymbopgon(シトラール)、Aloysia、verbena officinalis、origanum majorana、及び/又はmentheを含む「ベドウィンティー(Beduin Tea)」を更に含む食品サプリメント、組成物、又は抽出物が提供される。
【0069】
本発明の一態様によれば、タイム、セージ、カルダモン、シナモン、ブラックティー、ハブク、マルマヤを含む「ベドウィンティー(Beduin Tea)」を更に含む食品サプリメント、組成物、又は抽出物が提供される。
【0070】
「植物」という用語は、本明細書で使用される場合、植物全体、接がれた植物、植物の原種及び子孫、並びに種子、花、樹皮、シュート、茎、根(塊茎を含む)、果実、根茎、挿し穂、及び植物の細胞、組織、及び器官を含む植物の部分を包含する。
【0071】
特定の実施形態によれば、植物の部分は、種子である。
【0072】
特定の実施形態によれば、植物の部分は、果実である。
【0073】
特定の実施形態によれば、植物の部分は、葉である。
【0074】
特定の実施形態によれば、植物の部分は、茎である。
【0075】
特定の実施形態によれば、植物の部分は、花である。
【0076】
植物の部分は、固体部分又は植物のオイル若しくは水性部分などの非固体部分であり得る。
【0077】
植物は、懸濁培養物、胚、分裂領域、カルス組織、葉、配偶体、胞子体、花粉、及び小胞子を含む何らかの形態であり得る。
【0078】
植物という用語は、野生植物又はその栽培される品種を指す。
【0079】
本明細書で使用される場合、「植物種」という用語は、属内の1種以上の植物のサブグループを指す。これらの植物は、互いに同様の特徴を共有し得る。種内に単一の植物が存在する場合もあれば、何百もの植物が存在する場合もある。用語は、生育された亜種、又は異なる地理的位置、例えば、レバノンのスマック及びシリアのスマック、若しくは韓国ジンセン及びアメリカジンセンに見出され得る亜種を含むことを意図する。
【0080】
本明細書で使用される場合、「植物の属」とは、科の下であり、かつ種の上である分類上のランクを指す。
【0081】
以下に列挙した関連する種及び属、並びに各オプション又はその組み合わせは、本発明の異なる実施形態を表すことが理解されるであろう。
【0082】
「抽出」という用語は、1つ以上の分析物以外のサンプルの構成成分からの、1つ以上の分析物の分離に依る分離プロセスを指す。抽出は、典型的には、1種以上の溶質を一方の相から他方の相に分離するために、2つの不混和相を使用するプロセスである。2相間の溶質の分布は、分配理論によって記述される平衡状態である。例えば、茶葉を水で沸かすと、タンニン、テオブロミン、カフェインが葉から水に抽出される。典型的ではあるが、実験室だけではない事前に形成されるより典型的な抽出は、水相から有機相への有機化合物のセッティングである。一般的な抽出剤は、ヒルデブランド溶解度パラメータに従って極性を増加させる順序で、酢酸エチルから水まで(酢酸エチル<アセトン<エタノール<メタノール<アセトン:水(7:3)<エタノール:水(8:2)<メタノール:水(8:2)<水)と配置される。植物抽出のための手順を、
図1A~Cに提供する。
【0083】
本明細書で使用される「抽出物」という用語は、抽出プロセスに応じて、溶液フォーミュレーション又は他の化学的形態の形態をとり得る、そのような分離プロセスの結果物を指す。特に、抽出物という用語は、エタノール又は水などの溶媒を使用するなどして、サンプル(例えば、原材料)の一部を抽出することによって作製される物質に関し得る。様々な例において、抽出物は、1種以上の溶質が富化された溶媒に関する。特に、本開示の意味での「植物の抽出物」は、典型的には、1つ以上の抽出プロセスを用いて所望の活性構成要素を単離又は精製することによって得られる、植物材料の濃縮された調製物を含む。
【0084】
溶媒の選定は、得られる所望の構成成分に依存する。例えば、抽出プロセスにおいて極性構成成分を抽出するために、推奨される溶媒には、水、エタノール メタノール又はブタノールが含まれるが、これらに限定されず、非極性化合物の場合、抽出物の使用に応じて、ジエチルエーテル、ヘキサン、又はクロロホルムが含まれるが、これらに限定されない。中極性の場合、酢酸エチルを選定することができるが、他の溶媒を使用することもできる。
【0085】
固体/液体抽出の一般的な手順は、5つの異なる方法でスケーリングすることができる。
【0086】
浸漬:接触ステージを室温で維持する。
【0087】
デコクション又は還流:接触ステージを、溶媒の沸点で維持する。
【0088】
消化:接触ステージを、前の2つの場合の間の温度で維持する。
【0089】
注入:沸騰した溶媒を固体に注ぎ、次いで、一定時間放冷する。
【0090】
リーチング又はパーコレーション:溶媒をバイオマスに通す。
【0091】
これらの方法を互いに、又は蒸留、水蒸気蒸留、精留などの他のプロセスと組み合わせることも可能である。
【0092】
別の実施形態によれば、連続して又は組み合わせてのいずれかで、様々な溶媒の使用が企図され、有機化学の当業者は、以下に記載されるように、活性成分によってどれを選定するかを知るであろう。
【0093】
抽出は、限外濾過、逆浸透、高圧(超臨界CO2)、マイクロ波、超音波などの他の手段によって更に支援されてもよい。
【0094】
いくつかの実施形態では、植物の部分を、極性溶媒(例えば、エタノール)又は非極性溶媒(例えば、ヘキサン又はペンタン)と数分間、例えば、15分以上、約30分以上、約1時間以上、約2時間以上、又は約5時間以上接触させる。
【0095】
接触中に温度を制御することもできる。
【0096】
特定の実施形態によれば、植物の部分を、例えば、シェーカー上で絶えず混合されながら、溶媒(例えば、エタノール)と接触させる。
【0097】
抽出プロセスは、無溶媒でもあり得ることが理解されるであろう。
【0098】
例えば、無溶媒マイクロ波抽出(SFME)が、エッセンシャルオイルを食品業界で広く使用されている芳香ハーブから抽出するためのグリーン法として提案されている。この技法は、いかなる溶媒及び水も添加せずに大気圧で行われる、マイクロ波加熱及び乾燥蒸留の組み合わせである。揮発性化合物の単離及び濃縮は、単一のステージで行われる。いくつかの実施形態では、SFME及び/又はハイドロ蒸留(HD)を、本発明の植物からのエッセンシャルオイルの抽出に使用する。
【0099】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、液体抽出物(すなわち、濾過された抽出物)を、液体抽出物及び固体を含む混合物(すなわち、粗抽出物)から単離することを含む。液体抽出物(すなわち、濾過された抽出物)を単離するための適した手段には、有機合成の分野で既知のものが含まれ、重力濾過、吸引及び/又は真空濾過、遠心分離、セッティング及びデカントなどが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、単離は、約1~5μm、約0.5~5μm、約0.1~5μm、約1~2μm、約0.5~2μm、約0.1~2μm、約0.5~1μm、約0.1~1μm、約0.25~0.45μm、又は約0.1~0.5μm(例えば、約2μm、約1μm、約0.45μm、又は約0.25μm)の孔径を有する多孔質膜、シリンジ、スポンジ、ゼオライト、紙などを通して液体抽出物を濾過することを含む。
【0100】
特定の実施形態によれば、本発明は、乾燥(すなわち、極性/非極性溶媒の除去)及び/又はその作成後の濾過された抽出物の凍結を企図する。
【0101】
濾過された抽出物を乾燥させる(すなわち、極性溶媒を除去する)方法は、特に限定されず、減圧(例えば、大気圧以下)及び/又は高温(例えば、約25℃を上回る)での溶媒蒸発を含み得る。いくつかの実施形態では、蒸発などの標準的な溶媒除去手順によって、液体抽出物から溶媒を完全に除去することは困難なことがある。いくつかの実施形態では、共蒸発、凍結乾燥などのプロセスを使用して、液体画分から極性溶媒を完全に除去して、乾燥粉末、乾燥ペレット、乾燥顆粒、ペーストなどを形成することができる。特定の実施形態によれば、極性溶媒を、真空蒸発器を用いて蒸発させる。
【0102】
抽出プロセスの選択は、単離される構成成分に大きく依存する。
【0103】
抽出物の作成後、本発明の特定の実施形態は、例えば、濾過された抽出物を分画することによって、活性剤を抽出物から更に単離/精製するように、追加の精製ステップを更に企図することが理解されるであろう。
【0104】
本明細書で使用される場合、「画分」とは、抽出物のある特定の化学成分のみを含有するが、全てを含有するわけではない抽出物の一部分を指す。
【0105】
分画は、これらに限定されないが、カラムクロマトグラフィー、分取高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)、減圧蒸留、及びそれらの組み合わせなどのプロセスによって行うことができる。
【0106】
特定の実施形態によれば、分画は、HPLCによって行われる。
【0107】
いくつかの実施形態では、分画は、濾過された抽出物を極性溶媒(上で考察されたように、メタノールなど)中に再懸濁し、極性抽出物を分離カラムに適用し、カラムクロマトグラフィー(分取HPLC)によって、抗呼吸器疾患(例えば、抗線維性、抗炎症性)活性を有する抽出物を単離することを含む。
【0108】
溶出溶媒を、極性抽出物とともに分離カラムに適用して、極性抽出物から画分を溶出させる。使用に適した溶出溶媒には、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、酢酸、二酸化炭素、メチルエチルケトン、アセトニトリル、ブチロニトリル、二酸化炭素、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、アンモニア、トリエチルアミン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなど、及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0109】
代替又は追加の実施形態によれば、液体クロマトグラフィーは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を含む。
【0110】
代替又は追加の実施形態によれば、液体クロマトグラフィーは、逆固定相で行われる。
【0111】
画分は、これらに限定されないが、紫外線可視分光法(「UV-Vis」)、赤外線分光法(「IR」)などの分光法、これらに限定されないが、飛行時間MS、四重極MS、エレクトロスプレーMS、フーリエ変換MS、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化(「MALDI」)などの質量分析(「MS」)法、これらに限定されないが、ガスクロマトグラフィー(「GC」)、液体クロマトグラフ(「LC」)、高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)などのクロマトグラフィー法、及びそれらの組み合わせ(例えば、GC/MS、LC/MS、HPLC/UV-Visなど)、並びに当業者に既知の他の分析方法などのこれらに限定されない分析方法によって特徴付けられ得る。
【0112】
得られた構成成分(活性成分、抽出物及び/又は画分)は、炎症を緩和するために試験され得る。効果を試験するための例示的な方法は、以下に更に記載されている。
【0113】
例えば、身体内の炎症を診断するのに役立ついくつかのいわゆるマーカーがある。これらには、血清タンパク質電気泳動(SPE)、C反応性タンパク質(CRP)、赤血球沈降速度(ESR)、血漿の粘度などが含まれるが、これらに限定されない。
【0114】
代替的又は追加的に、炎症は、全身レベルで(例えば、フェサー、発汗、腫れ、発熱、発赤の判定によって)判定することができる。
【0115】
しかしながら、より正確であるために、炎症は、疾患に特異的な試験を使用して判定されるべきである。例えば、多発性硬化症(MS)におけるMRI、又はMSに特異的である分子マーカー、又は関節リウマチにおける関節痛、腫れ、凝り、又は関節機能の喪失である。
【0116】
本明細書に記載の活性成分、抽出物、及び/又は画分は、直ちに使用されてもよく、又は更に使用されるまで保存されてもよい。
【0117】
特定の実施形態によれば、活性成分、抽出物、及び/又は画分は、更なる使用まで、いずれか必要な時間の長さにわたって、例えば、フリーザー中(例えば、約-20℃~-90℃、約-70℃~-90℃、例えば-80℃)で凍結されたままである。
【0118】
他の特定の実施形態によれば、活性成分、抽出物、及び/又は画分は、直ちに(例えば、数分以内、例えば、最大30分以内で)使用される。
【0119】
活性成分、抽出物、及び/又は画分を、別個に使用してもよい。あるいは、異なる活性成分、抽出物、及び/又は画分(例えば、異なる植物から、又は別個の抽出手順から)を一緒にプールしてもよい。同様に、異なる活性成分、抽出物、及び/又は画分(同じ抽出物から、異なる抽出物から、異なる植物から、及び/又は別個の抽出手順から)を一緒にプールしてもよい。
【0120】
本教示を使用して、本発明者は、炎症を効果的に治療又は予防するために使用され得る植物及び抽出物だけでなく、それらの活性成分も同定することができた。
【0121】
「活性成分」とは、炎症に対する抗(予防又は治療)効果を担う定義された化学組成物を指す。
【0122】
活性成分は、植物から精製され得るか、又は化学的に合成(人工、人造)され得る。
【0123】
また、抗炎症効果が維持される限り、活性成分の類似体及び誘導体も本明細書で企図され、これらはまた模倣物とも称される。
【0124】
以下は、本発明の選択された植物からの活性成分の抽出のためのいくつかの非限定的な例である。
【0125】
T.capitatusの葉からの抽出-T.capitatus(葉)サンプルの地上部を収集する。枝から分離された葉を室温で7日間脱水し、抽出のために微粉末にわずかにブレンドする。
【0126】
エッセンシャルオイル(EO)抽出-ハイドロ蒸留を使用して、EOを植物、例えば、T.capitatusの乾燥した地上部から抽出する。端的には、抽出は、数時間、例えば3時間、500mLの蒸留水中で100gの植物を混合することによって実施される。抽出物を、減圧下で硫酸ナトリウム及び回転式蒸発器を使用して、乾燥させ、濃縮する。EO収率は、100gの乾燥植物に対して、得られたオイルの量(mL)によって定められる。最後に、更に分析するまで、純粋なEOを-4℃で保存する。
【0127】
エッセンシャルオイルの分析-EOの化学組成を、GC及びGC-MSによって検査する。GC分析を、ガスクロマトグラフを使用して実施する。構成要素の割合は、ピーク面積の積分によって求められる。加えて、質量分析(MS)を使用して、典型的には、ガスクロマトグラフィーについて上述したのと同じ条件下でEOを分析することができる。異なる化合物の同定は、質量スペクトルのフィット及び純度に基づいて、それらの保持指標(一連のn-アルカンの保持時間に対して相対的に求められる)とワイリーライブラリー(Wiley library)検索ルーチン12の標準のものとの比較によって定義される。そのような条件は、以下に記載されるように、活性成分を決定するために使用される。
【0128】
Satujera Thymbraからの抽出:
S.thymbraから空気乾燥した地上部を、2009年4月中にレバノンで無作為に収集した。3時間の間、植物材料を、クレベンガー型装置を使用した水蒸気蒸留に供し、0.84%(w/w)の収率でエッセンシャルオイルを生成した。オイルを、無水硫酸マグネシウムを使用して乾燥させ、4℃で保存する。S.thymbraオイルをGC/MSによって分析した。
【0129】
Rhus coriaria(スマック)からの抽出
Rhus coriariaの果実から化合物を単離、決定、及び同定するために、スマック植物の果実又は葉から様々な抽出物を採取する。いくつかは水性抽出物から単離され、他はアルコール抽出物から単離され、いくつかは脂質抽出物から単離される。加水分解性タンニンは、スマックの果実中で最も高いパーセンテージを占め、続いてフラボノイドである。このことは、果実の抗酸化能力を強調している。果実の質量のほぼ20%を占める加水分解性タンニンの後には、他の未同定の化合物がある。その後に、アントシアニン、イソフラボノイド、テルペノイド、及びジテルペンが存在する。スマックの果実の化学的特性の分析は、熟した果実で実施され、2.6%のタンパク質含量、7.4%の脂肪含量、14.6%の繊維含量、1.8%の灰分が見出されている。また、熱量測定の計算により、100gのスマックの果実は、147.8kcalを含有することが示された。
【0130】
Nigella sativaからのチモキノンの抽出
温度制御機能を有するマイクロ波支援抽出システム、並びに他の抽出方法、ソックスレー及び従来の固体/液体抽出を含む様々な方法を使用することができる。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【0131】
特定の実施形態によれば、活性成分(例えば、超臨界二酸化炭素抽出法によって得ることができる)には、以下が含まれるが、これらに限定されない。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0132】
本明細書で企図される追加の植物は、Nigella属のものである。
【0133】
Nigellaは、南ヨーロッパ、北アフリカ、南アジア、南西アジア、及び中東原産のRanunculaceae科の18種の一年生植物の属である。この属のメンバーに適用される一般名称は、ニゲラ(nigella)、デビルインアブッシュ(devil-in-a-bush)、ラブインアミスト(love-in-a-mist)である。
Nigella arvensis
Nigella carpatha
Nigella damascena
Nigella degenii
Nigella deserti
Nigella doerfleri
Nigella elata
Nigella fumariifola
Nigella hispanica
Nigella latisecta
Nigella nigellastrum
Nigella orientalis
Nigella oxypetala
Nigella papillosa
Nigella sativa
Nigella segetalis
Nigella stricta
Nigella unguicularis
【0134】
特定の実施形態によれば、活性成分は、チモキノンである。
【0135】
チモキノンを含有する追加の植物には、以下が含まれるが、これらに限定されない。
Monarda fistulos(Monarda属の)、
Satureja montana(Satujera属の)、
【0136】
チモキノンを含有する追加の科には、以下が含まれるが、これらに限定されない。
Asteraceae-例には、以下の亜科が含まれるが、これらに限定されない。
●Barnadesioideae Bremer&Jansen
●Carduoideae Sweet
●Cichorioideae Chevallier
●Corymbioideae Panero&Funk
●Famatinanthoideae S.E.Freire,Ariza&Panero
●Gochnatioideae Panero&Funk
●Gymnarrhenoideae Panero&Funk
●Hecastocleidoideae Panero&Funk
●Mutisioideae Lindley
●Pertyoideae Panero&Funk
●Stifftioideae Panero
●Wunderlichioideae Panero&Funk
Cupressaceae
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●Cunninghamioideae
●Taiwanioideae
●Athrotaxidoideae
●Sequoioideae
●Taxodioideae
●Callitroideae
●Cupressoideae
●Incertae sedis
Lamiacea
Ranunculacea
●Hydrastidoideae
●Glaucidioideae
●Coptoideae
●Thalictroideae
●Ranunculoideae
【0137】
カルバクロールを含有する植物のリストには、以下が含まれるが、これらに限定されない。
Monarda didyma
Nigella sativa
Origanum compactum
Origanum dictamnus
Origanum microphyllum
Origanum onites
Origanum scabrum
Origanum syriacum
Origanum vulgare
Plectranthus amboinicus
Thymus glandulosus
Lavandula multifida
Origanum minutiflorum
Satureja thymbra
【表3-1】
【表3-2】
【0138】
本明細書で企図される追加の植物は、Thymus属のものである。
【0139】
Thymus属
【数1】
には、ヨーロッパ、北アフリカ、及びアジアの温帯地方原産のLamiaceae科の約350種の芳香性多年生草本植物及び40cmまでの高さの亜低木が含まれる。
【0140】
茎は細い又は針金様でさえあるような傾向があり、葉はほとんどの種で常緑であり、相対したペア、楕円形、全体、及び小さく、4~20mmの長さに配置され、通常芳香性である。タイムの花は、不均一なカリックスを持つ濃い末端の頭部にあり、上唇は3つのローブを持ち、黄色、白色、又は紫色である。
【0141】
この属のいくつかのメンバーは、料理用ハーブ又は観賞植物として栽培され、その最もよく知られた種であるThymus vulgaris又はコモンタイムにちなんでタイムとも呼ばれる。
【0142】
以下を含む約350種。
Thymus adamovicii
Thymus altaicus
Thymus amurensis
Thymus boissieri
Thymus bracteosus
Thymus broussonetii
Thymus caespititius
Thymus camphoratus
Thymus capitatus
Thymus capitellatus
Thymus camphoratus
Thymus carnosus
Thymus cephalotus
Thymus cherlerioides
Thymus ciliatus
Thymus cilicicus
Thymus cimicinus
Thymus citriodorus(Thymus×citriodorus)syn.T.fragrantissimus、T.serpyllum citratus、T.serpyllum citriodorum[7]-シトラスタイム
Thymus comosus
Thymus comptus
Thymus curtus
Thymus decussatus
Thymus disjunctus
Thymus doerfleri
Thymus glabrescens
Thymus herba-barona
Thymus hirsutus
Thymus hyemalis
Thymus inaequalis
Thymus integer
Thymus lanuginosus,syn.T.serpyllum-ウーリータイム
Thymus leucospermus
Thymus leucotrichus
Thymus longicaulis
Thymus longiflorus
Thymus mandschuricus
Thymus marschallianus
Thymus mastichina
Thymus membranaceus
Thymus mongolicus
Thymus moroderi
Thymus nervulosus
Thymus nummularis
Thymus odoratissimus
Thymus pallasianus
Thymus pallidus
Thymus pannonicus
Thymus praecox-クリーピングタイム
Thymus proximus
Thymus pseudolanuginosus,syn.T.serpyllum-ウーリータイム
Thymus pulegioides-レモンタイム[8]
Thymus quinquecostatus
Thymus richardii
Thymus satureioides
Thymus serpyllum
Thymus sibthorpii
Thymus striatus
Thymus thracicus-ラベンダータイム
Thymus villosus
Thymus vulgaris-コモンタイム
Thymus zygis
【0143】
チモールを含有する植物のリストには、以下が含まれるが、これらに限定されない。
Euphrasia rostkoviana
Lagoecia cuminoides
Monarda didyma
Monarda fistulosa
Mosla chinensis,Xiang Ru
Origanum compactum
Origanum dictamnus
Origanum onites
Origanum vulgare
Satureja thymbra
Thymus glandulosus
Thymus hyemalis
Thymus vulgaris
Thymus zygis
Trachyspermum ammi
【0144】
Thymus vulgaris中の活性成分:
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【表4-5】
【0145】
本発明のいくつかの実施形態による、Thymus vulgarisのEOの活性成分には、以下が含まれるが、これらに限定されない。
【表5】
【0146】
Satujera Thymbraの活性成分:
S.thymbraから空気乾燥した地上部を、2009年4月中にレバノンで無作為に収集した。3時間の間、植物材料を、クレベンガー型装置を使用した水蒸気蒸留に供し、0.84%(w/w)の収率でエッセンシャルオイルを生成した。オイルを、無水硫酸マグネシウムを使用して乾燥させ、4℃で保存した。S.thymbraオイルをGC/MSによって分析する。オイルサンプルの98.8%を占める19種の化合物を同定する。Satureja thymbra L.オイルの主要な構成成分は、γ-テルピネン(34.06%)、カルバクロール(23.07%)、及びチモール(18.82%)である。また、ρ-シメン(7.58%)、カリオフィレン(3.96%)、α-テルピネン(3.53%)、及びミルセン(1.70%)も豊富である。
【0147】
また、Satujera属の植物も本明細書で企図される。
【0148】
Saturejaは、ローズマリー及びタイムに関連する、Lamiaceae科の芳香性植物の属である。北アフリカ、南及び東南ヨーロッパ、中東、並びに中央アジア原産である。いくつかの新世界(New World)の種は、以前はSaturejaに含まれていたが、それらは全て他の属に移動された。いくつかの種は、セイボリーと呼ばれる料理用ハーブとして栽培されており、いくつかの場所において野生で定着している。
【0149】
例には、以下が含まれるが、これらに限定されない。
Satureja adamovicii Silic-バルカン半島
Satureja aintabensis P.H.Davis-トルコ
Satureja amani P.H.Davis-トルコ
Satureja atropatana Bunge-イラン
Satureja avromanica Maroofi-イラン
Satureja bachtiarica Bunge-イラン
Satureja boissieri Hausskn.ex Boiss.-トルコ、イラン
Satureja bzybica Woronow-コーカサス
Satureja×caroli-paui G.Lopez-スペイン(S.innota×S.montana)
Satureja cilicica P.H.Davis-トルコ
Satureja coerulea Janka-ブルガリア、ルーマニア、トルコ
Satureja cuneifolia Ten-スペイン、イタリア、ギリシャ、アルバニア、ユーゴスラビア、イラク
Satureja×delpozoi Sanchez-Gomez,J.F.Jimenez&R.Morales-スペイン(S.cuneifolia×S.intricata var.gracilis)
Satureja edmondii Briq.-イラン
Satureja×exspectata G.Lopez-スペイン(S.intricata var.gracilis×S.montana)
Satureja fukarekii Silic-ユーゴスラビア
Satureja hellenica Halacsy-ギリシャ
Satureja hortensis L.
Satureja horvatii Silic-ギリシャ、ユーゴスラビア
Satureja icarica P.H.Davis-ギリシャの島々
Satureja(Pau)Font Quer-スペイン
Satureja intermedia C.A.Mey.-イラン、コーカサス
Satureja intricata Lange-スペイン
Satureja isophylla Rech.f.-イラン
Satureja kallarica Jamzad-イラン
Satureja kermanshahensis Jamzad-イラン
Satureja khuzistanica Jamzad-イラン
Satureja kitaibelii Wierzb.ex Heuff.-ブルガリア、ルーマニア、ユーゴスラビア
Satureja laxiflora K.Koch-イラン、イラク、トルコ、コーカサス
Satureja linearifolia(Brullo&Furnari)Greuter-リビアのキレナイカ地方
Satureja macrantha C.A.Mey.-イラン、イラク、トルコ、コーカサス
Satureja metastasiantha Rech.f.-イラク
Satureja montana L.-ウインターセイボリー-南ヨーロッパ、トルコ、シリア
Satureja mutica Fisch.&C.A.Mey.-コーカサス、イラン、トルクメニスタン
Satureja nabateorum Danin&Hedge-ヨルダン
Satureja×orjenii Silic-ユーゴスラビア(S.horvatii×S.montana)
Satureja pallaryi J.Thiebaut -シリア
Satureja parnassica Heldr.&Sart.ex Boiss.-ギリシャ、トルコ
Satureja pilosa Velen.-イタリア、ギリシャ、ブルガリア
Satureja rumelica”Velen.-ブルガリア
Satureja sahendica Bornm.-イラン
Satureja salzmannii(Kuntze)P.W.Ball-モロッコ、スペイン
Satureja spicigera(K.Koch)Boiss.-トルコ、イラン、コーカサス
Satureja spinosa L.-トルコ、クレタ島を含むギリシャの島々
Satureja subspicata Bartl.ex Vis.-オーストリア、ユーゴスラビア、アルバニア、ブルガリア、イタリア
Satureja taurica Velen.-クリミア
Satureja thymbra L.-リビア、サルデーニャからトルコまでの東南ヨーロッパ、キプロス、レバノン、パレスチナ
Satureja thymbrifolia Hedge&Feinbrun-イスラエル、サウジアラビア
Satureja visianii Silic.-ユーゴスラビア
Satureja wiedemanniana(Ave-Lall.)Velen.-トルコ
【表6】
【0150】
また、Thymbra属の植物も本明細書で企図される。
【0151】
Thymbra、一般名称、地中海タイム(Mediterranean thyme)は、Lamiaceae科の植物の属である。現在カテゴライズされているように、この属は7つの種及び1つの亜種を有する。南ヨーロッパ、北アフリカ、中東の地中海地方原産である。
【0152】
例には、以下が含まれるが、これらに限定されない。
Thymbra calostachya(Rech.f.)Rech.f.-クレタ島
Thymbra capitata(L.)Cav.-モロッコ+ポルトガルからトルコ+パレスチナまで広範
Thymbra sintenisii Bornm.&Azn.-イラク、トルコ
Thymbra spicata L.-ギリシャ、トルコ、シリア、レバノン、パレスチナ、イスラエル、イラク、イラン
Thymbra thymbrifolia(Hedge&Feinbrun)Braeuchler,comb.nov.-イスラエル、パレスチナ、ユダヤ砂漠、Khirbet el Mird
Thymbra nabateorum(Danin&Hedge)Braeuchler,comb.nov.-ヨルダンのW及びサウジアラビアの隣接するN
Thymbra linearifolia(Brullo&Furnari)Braeuchler,comb.nov.-リビア。
【0153】
Rhus coriaria(スマック)の化学組成
HPLC-MS法を使用したスマックの化合物の特徴付け及び同定は、Rhus coriariaにおいて191種の化合物を同定し、それらを一般的に以下のように分類した。
●78種の加水分解性タンニン(例えば、ガロタンニン、例えば、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、オクタ、ノナ、及びデカガロイルグルコシド)
●59種のフラボノイド(例えば、ケルセチン、ミレセチン3-ラムノシド、及びケルセチン3-グルコシド)
●9種のアントシアニン(例えば、デルフィジン-3-グルコシド、シアニジン3-(2”-ガロイル)ガラクトシド、シアニジン-3-グルコシド、7-メチル-シアニジン-3-(2”ガロイル)ガラクトシド、7-メチル-シアニジン-3-ガラクトシド)
●2種のイソフラボノイド
●2種のテルペノイド
●1種のジテルペン
●38種の他の未同定の化合物。
【0154】
特定の実施形態によれば、スマック中のフェノール化合物は、アントシアニンと併せて、その植物化学活性を構成する化合物である。スマックの果実中で最も豊富なフェノール化合物は、没食子酸であることが見出された。
【0155】
加水分解性タンニンは、スマックの果実中で最も高いパーセンテージを占め、続いてフラボノイドである。このことは、特定の実施形態として本明細書で企図される植物の部分である、果物の抗酸化能力を強調している。果実の質量のほぼ20%を占める加水分解性タンニンの後には、他の未同定の化合物がある。その後に、アントシアニン、イソフラボノイド、テルペノイド、及びジテルペンが存在する。スマックの果実の化学的特性は、熟した果実で実施され、2.6%のタンパク質含量、7.4%の脂肪含量、14.6%の繊維含量、1.8%の灰分が見出されている。また、熱量測定の計算により、100gのスマックの果実は、147.8kcalを含有することが示された。
【0156】
加水分解性タンニンは、スマックの果実中で最も高いパーセンテージを占め、続いてフラボノイドである。このことは、果実の抗酸化能力を強調している。果実の質量のほぼ20%を占める加水分解性タンニンの後には、他の未同定の化合物がある。その後に、アントシアニン、イソフラボノイド、テルペノイド、及びジテルペンが存在する。スマックの果実の化学的特性は、熟した果実で実施され、2.6%のタンパク質含量、7.4%の脂肪含量、14.6%の繊維含量、1.8%の灰分が見出されている。また、熱量測定の計算により、100gのスマックの果実は、147.8kcalを含有することが示された。
【0157】
他の活性成分又はそれらのあらゆる組み合わせには、メチラガラート、ガチスフラボン、スマフラボン、ヒンフィクフラボン、フォトカテキュア酸、ペンタガロイルグルコース、ヒノキフラボン、β-カリオフィレン、デルフィジン-3-グルコシド、シアニジン3-(2”-ガロイル)ガラクトシド、シアニジン-3-グルコシド、7-メチル-シアニジン-3-(2”-ガロイル)ガラクトシド、7-メチル-シアニジン-3-ガラクトシド、ケルセチン-3-グルコシド、ケンフェロール、ミリセチン、ブテイン、D-リモニンが含まれるが、これらに限定されない。
【0158】
特定の実施形態によれば、活性成分又はその組み合わせは、揮発性化合物、例えば、テルペン炭化水素、モノテルペン及びセスキテルペン炭化水素、具体的には、β-カリオフィレン及びα-ピネン、コリリアナフチルエーテル、コリアリオ酸、及びコリアリアクトラセニルエステルを含む。
【0159】
特定の実施形態によれば、活性成分又はその組み合わせは、脂肪酸、例えば、オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸、β-カリオフィレン、センブレンステアリン酸、ミリスチン酸、α-リノレン酸を含む。
【0160】
特定の実施形態によれば、活性成分又はその組み合わせは、ミネラル、例えば、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、アルミニウム、鉄、ナトリウム、ホウ素、亜鉛、カドミウム、セレンを含む。
【0161】
特定の実施形態によれば、活性成分又はその組み合わせは、ビタミン、例えば、チアミンB1、リボフラビンB2、ピリドキシンB6、シアノコバラミンB12、ニコチンアミド、ビオチン、及びアスコルビン酸を含む。
【0162】
特定の実施形態によれば、メタノール又はエタノール抽出物が行われ、例えば、エタノール濃度は80%であり、抽出時間は1時間であり、抽出温度は40℃であり、粒径は1.0mmであり、溶媒対スマックの比は15:1ml/gである。他の抽出手順には、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Sakhr and Khatib Heliyon.2020 Jan;6(1):e03207に記載されているものが含まれるが、これらに限定されない。
【0163】
別の実施形態によれば、植物の部分は、葉である。
【0164】
また、Rhus属の植物も本明細書で企図される。
【0165】
例には、以下が含まれるが、これらに限定されない。
アジア及び南ヨーロッパ
Rhus chinensis Mill.-チャイニーズスマック
Rhus coriaria-タナースマック
Rhus delavayi Franchet
オーストラリア、太平洋
Rhus taitensis Guill.(北東オーストラリア、マレシア、ミクロネシア、フランス領ポリネシア)
Rhus sandwicensis A.Gray-ネネロー(ハワイ)
北米
Rhus aromatica-フラグラントスマック
Rhus copallinum-ウイングドオアシャイニングスマック
Rhus glabra-スムーズスマック
Rhus integrifolia-レモネードスマック
Rhus kearneyi-カーニースマック
Rhus lanceolata-プレーリースマック
†Rhus malloryi Wolfe&Wehr-ヤプレシアン(Ypresian)、Washington
Rhus michauxii-ミコー(Michaux’s)スマック
Rhus microphylla-デザートスマック、リトルリーフスマック
Rhus ovata-シュガースマック
†Rhus republicensis Flynn,DeVore,&Pigg-ヤプレシアン、Washington
†Rhus rooseae Manchester-始新世中期(Middle Eocene)、Oregon
Rhus trilobata Nutt.-スカンクブッシュスマック
Rhus typhina-スタグホーンスマック
Rhus virens Lindh.ex A.Gray-エバーグリーンスマック
【0166】
Panax ginseng(ジンセン)の化学組成
様々な方法を使用したジンセンの化合物の特徴付け及び同定は、Panax ginsengにおいて多種多様な化合物を同定し、それらを一般的に以下のように分類した。
●サポニングリコシド(例えば、ギンセノシド)
●フィトステロール(例えば、スチグマステロール、ベータ-ステロール)
●セスキテルペン(例えば、ベータ-アラメン及びベータ-セリニン)
●フラボノイド(例えば、ケンフェロール)
●ポリアセチレン(例えば、パナキシノール、ギンセノインA)
●アルカロイド(例えば、フマリン、ギリニンビン)
●多糖
●フェノール化合物(例えば、エレミシン、ダウリシン、マルトール)。
【0167】
特定の実施形態によれば、ジンセン中のサポニン化合物及び多糖化合物は、その植物化学活性を構成する化合物である。ジンセンの根中で最も豊富なサポニン化合物は、ギンセノシドであることが見出された。ジンセン由来の多糖は、抽出に使用されるジンセン植物の材料の種に依存して、NGP、WGP、1-KGP、4-KGP、WGPE、及びEGPとして同定されており、WGP及びWGPEが最も豊富である。
【0168】
ほとんどのジンセンサポニンは、4つのトランス環の剛性ステロイド骨格を有するステロイドのファミリーに属する。それらはまた、ギンセノシド、トリテルペノイドサポニン、又はダンマラン誘導体とも称される。200種を超えるサポニンが、ジンセン植物から単離されている。ジンセンの根に加えて、サポニンは、ジンセンの葉及び茎、花芽、果実、ベリー、及び種子で同定されている。蒸したり又は加熱したりすると、ジンセンの産物のサポニンプロファイルが変化するため、ジンセンサポニンは、加工された根、葉、花芽、及びベリーでも同定されている。
【0169】
ジンセンサポニンは、いくつかのグループに分けられる。2つの主要なグループは、C-3及び/又はC-20に付着した糖部分を有するプロトパナキサジオール(PPD)型サポニン、並びにC-6及び/又はC-20に糖部分を有するプロトパナキサトリオール(PPT)グループである。他のグループは、C-20に5員エポキシ環を有するオコチロール型、非ステロイド構造を有するオレアナン型、及び修飾C-20側鎖を有するダンマラン型を含む。化学的精製及び構造同定のための技法が開発されるにつれて、新規のジンセンサポニンが発見され続けている。
【0170】
以下の表は、異なる抽出手順によって調製されたジンセンの抽出物から回収されたギンセノシド化合物を示す。
【表7】
【0171】
以下の表は、Panax植物の様々な部分から単離された123種のダンマラン型サポニンの化学式を示す。それらは、構造の種類順に配置されている。
【表8-1】
【表8-2】
【表8-3】
【表8-4】
【表8-5】
【0172】
ジンセンの根(日本ジンセン)の分析は、(100グラムの根当たり)0.17g(0.17%)の総脂肪、50mgのナトリウム、2.3gの食物繊維及び3.85gの糖を含む8.82g(8.82%)の総炭水化物、並びに0.71g(0.71%)のタンパク質含量を示している。熱量測定の計算により、100gのジンセンの根は、37kcalを含有することが示された。
【0173】
特定の実施形態によれば、活性成分又はその組み合わせは、ギンセノシド、例えば、C-3及び/又はC-20に付着した糖部分を有するプロトパナキサジオール(PPD)型サポニン、C-6及び/又はC-20に糖部分を有するプロトパナキサトリオール(PPT)サポニン、C-20に5員エポキシ環を有するオコチロール型サポニン、非ステロイド構造を有するオレアナン型サポニン、及びダンマラン型サポニンを含む。いくつかの特定のギンセノシドには、ノトギンセノシド、イェサンチノシド、パナキソジオン、フローラルギンセノシド、及びギンセノシドRg1、Rd、Re、Rb1、R1、Rg3、Rk1、Rf、Rg5、F4、Roが含まれるが、これらに限定されない。
【0174】
特定の実施形態によれば、活性成分又はその組み合わせは、揮発性化合物、例えば、テルペン炭化水素、モノテルペン及びセスキテルペン炭化水素、具体的には、β-アラメン及びβ-セレニンを含む。
【0175】
特定の実施形態によれば、活性成分又はその組み合わせは、フィトステロール、例えば、スチグマステロール、ベータ-ステロールを含む。
【0176】
特定の実施形態によれば、活性成分又はその組み合わせは、ポリアセチレン、例えば、パナキシノール、ギンセノインAを含む。
【0177】
特定の実施形態によれば、活性成分又はその組み合わせは、フラボノイド、例えば、ケンフェロールを含む。
【0178】
特定の実施形態によれば、活性成分又はその組み合わせは、アルカロイド、例えば、フマリン、ギリニンビンを含む。
【0179】
特定の実施形態によれば、活性成分又はその組み合わせは、多糖、例えば、WGP、KGP-1、KGP-4、WGPE、NGP、EGPを含む。
【0180】
特定の実施形態によれば、活性成分又はその組み合わせは、フェノール化合物、例えば、エレミシン、ダウリシン、マルトールを含む。
【0181】
特定の実施形態によれば、活性成分又はその組み合わせは、ミネラル、例えば、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、アルミニウム、鉄、ナトリウム、ホウ素、亜鉛、カドミウム、セレンを含む。
【0182】
特定の実施形態によれば、活性成分又はその組み合わせは、ビタミン、例えば、ビタミンD、ビタミンA、及びビタミンCを含む。
【0183】
特定の実施形態によれば、メタノール又はエタノール抽出物が行われ、例えば、エタノール濃度は80%であり、抽出時間は24時間であり、抽出温度は80~90℃であり、粒径は1.0mmであり、溶媒対ジンセンの比率は20:1ml/gである。他の抽出手順には、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Dong et al.2017 Phytother Res Aug;19(8):684-688に記載されているものが含まれるが、これらに限定されない。
【0184】
別の実施形態によれば、植物の部分は、葉である。
【0185】
また、Panax属の植物も本明細書で企図される。
【0186】
例には、以下が含まれるが、これらに限定されない。
【表9】
【0187】
本発明とともに使用するのに適した韓国ジンセンの栽培品種には、以下が含まれるが、これらに限定されない。Chunpoong、Yunpoong、Gopoong、Sunpoong、Gumpoong、Cheongsun、Sunhyang、Sunun、Sunone、K-1、G-1、及びKowon。本発明とともに使用するのに適した中国ジンセンの栽培品種には、Jilin Huangguo Reshen、Jishen01、Fuxing01、Fuxing02、Kangmei01、Xinkaihe01、Xinkaihe02、Zhongnong Huangfengshen、及びZhongda Linxiashenが含まれるが、これらに限定されない。
【0188】
ミルクシスル(Milk Thistle)(Silybum Marianum L)
ミルクシスルには2つの種類、白及び青がある。薬用植物(ミルクシスル)の主な生物活性構成成分は、シリマリンである。シリマリン、それは、シリビニンA及びB(SBN A&B)、イソシリビニンA及びB(ISBN A&B)、シリクリスチン(SCN)、及びシリジアニン(SDN)などの異なるフラボノリグナンの混合物である。
【0189】
Aziz et al.Food Sci Nutr.2020 Nov 9;9(1):244-250.doi:10.1002/fsn3.1990.eCollection 2021 Jan.は、ミルクシスルの生化学的プロファイル:
異なるM.T品種におけるMAE(マイクロ波支援抽出)及びソックスレー法によるシリマリン定量の平均値(mg/g)、並びに位置を報告している
【表10】
【0190】
異なるM.T品種の抽出物における抗酸化活性の平均値、及び位置
【表11】
【0191】
アニス(Anise)(Pimpinella anisum)
アニスの生化学的構成は、Singh et al.,「Chemical composition and antioxidant potential of essential oil and oleoresins from anise seeds(Pimpinella anisum L.)」,International Journal of Essential Oil Therapeutics(2008)2,122-130により開示されているように、以下の通りである。
【表12】
【0192】
スターアニス(Star Anise)(Illicium verum)
スターアニスは、中国ではba jiao hui xiangとして一般的に既知の木質の種である。スターアニスの主要な構成成分は、フェニルプロパノイド、フラボノイド、ネオリグナン、モノテルペノイド、及びセスキテルペノイドである。スターアニスは、以下のエッセンシャルオイル化合物を含有する。
【化1】
【0193】
Sharafan et al.,Illicium verum(Star Anise)and Trans-Anethole as Valuable Raw Materials for Medicinal and Cosmetic Applications,Molecules 2022,27,650により開示されているスターアニスの生化学的構成は、以下の通りである。
【表13】
【0194】
クルクミン
クルクミンは、Curcuma longa種の植物によって産生される明黄色の化学物質である。それは、ショウガ科Zingiberaceaeのメンバーであるターメリック(Curcuma longa)の主たるクルクミノイドである。クルクミンは、ターメリック及びマンゴージンジャーから抽出することができる。化学的に、クルクミンはジアリールヘプタノイドであり、ターメリックの黄色を担うフェノール性色素であるクルクミノイドのグループに属する。クルクミンは、7つの炭素リンカー及び3つの主要な官能基、すなわちα、β-不飽和β-ジケトン部分及び芳香族O-メトキシ-フェノール基を組み込む。芳香族フェノールは、2つのα、β不飽和カルボニル基によって接続されている。クルクミンは、ジケトン互変異性体であり、有機溶媒中にエノール形態で存在し、水中にケト形態で存在する。ジケトンは、安定したエノールを形成し、容易に脱プロトン化されてエノラートを形成し、α、β不飽和カルボニル基は、良好なマイケル受容体であり、求核付加を受ける。クルクミンは、以下の構造を有する。
【化2】
【0195】
Boswellia種(フランキンセンス、オリバナム)の化学組成
フランキンセンスとしても既知のオリバナムは、Boswelliaの樹皮のタッピングから滲出する天然のオレオガム樹脂である。Boswellia属にはおよそ23種の木があり、主にアラビア、アフリカ東海岸、インドで生育する。様々な方法を使用したオリバナムの化合物の特徴付け及び同定は、Boswellia木種のガム樹脂において多種多様な化合物を同定し、それらを一般的に以下のように分類した。
●アルコール可溶性樹脂(例えば、ジテルペン、トリテルペン)
●高度に芳香性のエッセンシャルオイル(例えば、モノ-及びセスキテルペン)
●水溶性ガム
【0196】
特定の実施形態によれば、オリバナムは、65~85%のアルコール可溶性樹脂、約5~9%の高度に芳香性のエッセンシャルオイル、及び残りの水溶性ガムを含む。
【0197】
インドでは、Boswellia serrataの主な商業的供給源は、アーンドラ・プラデーシュ州、グジャラート州、マディヤ・プラデーシュ州、ジャールカンド州、及びチャッティースガル州である。地方的には、異なる名称でも既知である。Boswellia serrataの植物起源及び現地語の名称を下の表1に示す。オレオガム樹脂であるサライ(Salai)は、Boswellia属(科:Burseraceae)の植物滲出物である。それは、木の幹に作製された切開部からタップされ、次いで、特別に作製された竹バスケットに保存される。半固体ガム樹脂は、「ras」として地元で既知のその流体内容物が流出し続ける約1ヶ月間バスケットに残ることができる。半固体から固体部分である残渣は、芳香性の香りを伴う無定形の涙状の製品にゆっくりと硬化するガム樹脂である。次いで、それは、木槌又はチョッパーにより小片に壊され、このプロセス中に樹皮片などを含む全ての不純物が手作業で除去される。次いで、ガム樹脂は、その風味、色、形状、及びサイズによりグレード分けされる。一般的に、4つのグレード、すなわち、スーパーファイン、グレードI、グレードII、及びグレードIIIが、マーケットで入手可能である。木から得られる新鮮なガムは、心地よい風味を伴い活気に満ちており、かつやや苦い味がする。それは、古代エジプト人、ギリシャ人、及びローマ人の「フランキンセンス」であり、彼らは、貴重なお香、燻蒸剤、並びに多目的の芳香剤として使用した。それは一般的にお香の粉末及びスティックを作製するのに使用される。
【表14】
【0198】
オレオガム樹脂は、有機溶媒に可溶性である、30~60%の樹脂、5~10%のエッセンシャルオイルを含有し、残りは、水に可溶性である、多糖(約65%のアラビノース、ガラクトース、キシロース)から構成される。樹脂には、エッセンシャルオイルが存在するため、フラグラントアロマを有し、このことは、その商業的重要性を説明する。
【0199】
特定の実施形態によれば、オリバナム中の、α-及びβ-ピネン、α-リモネン、ミルセン、リナロール、α-クベベン、γ-カジネン、β-ブルボネン、及びα-フェランドレン二量体化合物を含むが、これらに限定されない、テルペン及びセスキテルペンファミリー、又はそれらのテルペノイド誘導体に属するオリバナムの共通の構成成分は、その植物化学活性を構成する化合物である。いくつかの酸化イソプレノイド誘導体、例えば、カルボニル誘導体(例えば、カルボン、フェンコーン)、及びアルコール含有テルペン及びセスキテルペン誘導体(例えば、トランスピノカルベオール、シス-ベルベノール、及びセンブレノール)、並びにエステル含有化合物(例えば、α-テルピニルアセタート及びボルニルアセタート)も同定されている。
【0200】
多様な研究者は、リモネンがオリバナム中で最も豊富な揮発性物質であることを報告しているが、他の者は、抽出に使用されるBoswellia植物材料の種に応じて、オクタノールアセタート、α-ピネン、及びα-ツジェンが最も豊富であると同定している。
【0201】
300種を超えるエッセンシャルオイルが、Boswellia ssp.から単離されている。
【0202】
以下の表は、異なる抽出手順によって多様なBoswellia ssp.から調製されたオリバナムの抽出物から回収されたエッセンシャルオイルを示す。
【表15-1】
【表15-2】
【表15-3】
【表15-4】
【表15-5】
【表15-6】
【表15-7】
【表15-8】
【表15-9】
【表15-10】
【表15-11】
【0203】
多くのBoswellia種はオリバナムを産生するが、商業用オリバナムの主要な供給源はB.serrata(インド)、B.sacra(オマーン)、及びB carteri(ソマリア)である。以下の表は、多様なBoswellia種に由来するオリバナムの主要な構成成分を、それらのパーセンテージ表現によって示す。
【表16】
【0204】
オリバナムの1つの例示的な分析は、以下の構成成分を示している。
●アルコールに可溶性であり、式C20H32O4を有する酸性樹脂(6%)
●ガム(アラビアガムと類似)30~36%
●3-アセチル-ベータ-ボスウェル酸(Boswellia sacra)
●アルファ-ボスウェル酸(Boswellia sacra)
●インセンソールアセタート、C21H34O3
●フェランドレン
【0205】
B.serrata樹脂の別の分析は、Boswellia serrataの樹脂性部分が、モノテルペン(α-ツジェン)、ジテルペン(インセンソール、インセンソールオキシド、イソインセンソールオキシド、ジテルペンアルコール[セラトール]などの大環状ジテルペノイド)、トリテルペン(α-及びβ-アミリンなど)、五環式トリテルペン酸(ボスウェル酸)、四環式トリテルペン酸(チルコール-8,24-ジエン-21-酸)を含有することを明らかにした。4種の五環式トリテルペン酸(ボスウェル酸)のいくつかの特徴的な特徴と同じように、4つの主要な五環式トリテルペン酸(ボスウェル酸)の構造を以下の表に示す。
【表17】
【0206】
オリバナムガムの構成成分は、多糖及びポリマー構成成分を含有する。オリバナム中のプロテオグリカンは、主に主鎖にD-ガラクトース単位、側鎖にグルクロン酸、ウロン酸、4-O-メチル-グルクロン酸、及びアラビノースを含む。
【0207】
特定の実施形態によれば、活性成分又はその組み合わせは、アルコール可溶性酸性樹脂、水溶性ガム、アルファ-ボスウェル酸、インセンソールアセタート、及びフェランドレンを含む。
【0208】
特定の実施形態によれば、活性成分又はその組み合わせは、揮発性化合物、例えば、α-ツジェン、ズバ-3,9,13-トリエン-1a-オール-5,8-オキシド-1-アセタート、E-β-オシメン、オクタノールアセタート、オクチルアセタート、リモネン、α-ピネン、オクタノール、トランス-ベルベノール、及びテルピネン-4-オールを含む。
【0209】
特定の実施形態によれば、活性成分又はその組み合わせは、ミネラル、例えば、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、アルミニウム、鉄、ナトリウム、ホウ素、亜鉛、カドミウム、セレンを含む。
【0210】
特定の実施形態によれば、水又はアルコール抽出物が行われる。
【0211】
いくつかの実施形態では、オリバナムは、水抽出物によって調製される。例示的な水抽出物は、本明細書に記載されている。
【0212】
水によるオリバナムの抽出物の調製。最初、オリバナムは慎重に粉末化される。粉末(25g)を200mlの脱イオン水と混合し、室温、800rpmで一晩撹拌する。この混合物を1,500rpmで10分間遠心分離し、上清を収集する。その後、上清を再び2,500rpmで10分間、連続して10,000rpmで20分間遠心分離し、次いで濾過する。濾液を-20℃で保存し、次いで-58℃及び0.5Torrで24時間フリーズドライして、4.02gの水溶性抽出物を得ることができる。次のステップでは、結果として得られた粉末を100mlのメタノールに溶解し、室温で12時間撹拌し、次いで、沈降させる。沈殿相を収集し、オーブンで乾燥させる。再び、粉末を脱イオン水に溶解し、繰り返し遠心分離し、再濾過する。濾液を保存し、次いでフリーズドライすることができる。
【0213】
いくつかの実施形態では、オリバナムは、アルコール抽出物によって調製される。例示的なアルコール抽出物は、本明細書に記載されている。
【0214】
アルコールによるオリバナムの抽出物の調製:この方法では、100grのオリバナム粉末及び400mlのメタノールを混合する。次いで、この混合物を650rpmで24時間撹拌する。結果として得られた混合物は、2相で構成され、上相はアルコール性及び黄色であり、アルコールに可溶性の物質を含有する。次いで、材料を50℃、オーブンで乾燥させる。底部相は、乾燥するまでオーブン内に置かれる、堆積性及び白色の状態を有する。結果として得られた粉末を水中に十分に溶解させ、得られた溶液を1,500rpmで10分間遠心分離し、上清を収集する。その後、上清を再び2,500rpmで10分間、連続して10,000rpmで20分間遠心分離し、次いで濾過する。濾液を-20℃で保存し、次いでフリーズドライすることができる。
【0215】
他の抽出手順には、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Mertens et al,et al.2009,Flavor and Fragrance,24:279-300、及びHamm et al,Phytochemistry 2005,66:1499-1514に記載されているものが含まれるが、これらに限定されない。
【0216】
また、オリバラム及びBoswellia属の木からの他の組成物も本明細書で企図される。
【0217】
例には、以下が含まれるが、これらに限定されない。
【表18】
【0218】
Gynostemma pentaphyllum(アマチャヅル(Jiaogulan))の化学組成
Gynostemma pentaphyllumは、中国、台湾、韓国、日本、タイ、ベトナム、及びラオスを含む、北東アジア及び東南アジアの多くの地域の森林、茂み、又は山の斜面に生育する5つのローブ状の葉及びひょうたんのような食べられない果実を有する、Cucurbitaceae科の多年生ハーブである。G.pentphyllumはまた、バングラデシュ、ブータン、インド、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、ネパール、ニューギニア、及びスリランカでも生育する。アマチャヅルは「長寿の植物(longevity plant)」としての評判が高く評価されている。様々な方法を使用したGynostemma pentaphyllumの化合物の特徴付け及び同定は、Gynostemma pentaphyllum(Thun.)において多種多様な化合物を同定した。Makinoは、それらを一般的に以下のように分類した。
●サポニングリコシド(例えば、ギペノシド)
●フェノール化合物
●フラボノイド(例えば、ケンフェロール、ケルセチン、ルチン、オンブイン、イソラムネチン)
●多糖
●ステロール(例えば、エルゴスタン、コレスタン、スティグマスタン)
●微量元素(例えば、Cu、Fe、Zn、Mn、Co、Ni、Se、Mo、及びSr)
●カロテノイド
●揮発性物質(例えば、マロン酸、ベンジル-O-ベータ-D-グルコピラノシド、ルテイン、ボミホリオール、パルミチン酸、リノール酸)
【0219】
特定の実施形態によれば、アマチャヅル中のサポニン化合物及び多糖化合物は、その植物化学活性を構成する化合物である。アマチャヅル中で最も豊富なサポニン化合物は、ギペノシドであることが見出された。
【0220】
ほとんどのアマチャヅルサポニンは、トリテルペノイドサポニンのファミリーに属する。それらはまた、ギペノシド、及びダンマラン誘導体とも称される。150種を超えるサポニンが、G.pentaphyllum植物から単離されている。サポニンは、アマチャヅルの葉及び茎、花芽、果物、ベリー、及び種子で同定されている。
【0221】
以下の表は、異なる供給源からの5つの異なるGynostemma pentaphyllumサンプルの植物化学的特性を示す。
【表19】
【0222】
アマチャヅルサンプルの含水量は、3.79~7.57g/100gサンプルの範囲であった。食物繊維含量は、0.6g/g~0.24g/gサンプルの範囲であった。セレン含量は、1.7mg/kg~0.94mg/kgの範囲であった。
【0223】
特定の実施形態によれば、活性成分又はその組み合わせは、ギペノシドを含む。いくつかの特定のギペノシドには、CP-1~6が含まれるが、これらに限定されない。
【0224】
特定の実施形態によれば、活性成分又はその組み合わせは、揮発性化合物、例えば、マロン酸、ベンジル-O-ベータ-D-グルコピラノシド、ルテイン、ボミホリオール、パルミチン酸、リノール酸を含む。
【0225】
特定の実施形態によれば、活性成分又はその組み合わせは、フィトステロール、例えば、スチグマステロール、エルゴスタンを含む。
【0226】
特定の実施形態によれば、活性成分又はその組み合わせは、フラボノイド、例えば、ケンフェロール、ケルセチン、ルチンを含む。
【0227】
特定の実施形態によれば、活性成分又はその組み合わせは、フェノール化合物を含む。
【0228】
特定の実施形態によれば、活性成分又はその組み合わせは、ミネラル、例えば、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、アルミニウム、鉄、ナトリウム、ホウ素、亜鉛、カドミウム、セレンを含む。
【0229】
特定の実施形態によれば、活性成分又はその組み合わせは、ビタミン、例えば、ビタミンD、ビタミンA、及びビタミンCを含む。
【0230】
特定の実施形態によれば、メタノール又はエタノール抽出物が行われ、例えば、エタノール濃度は100又は75%であり、ソックスレー装置で5時間、あるいは50%アセトン抽出及び75%エタノール抽出:周囲温度で20mlの溶媒中の2gサンプル、45ミクロンフィルターを通した濾過。他の抽出手順には、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Yantao et al.2016 Chi Med 11:43に記載されているものが含まれるが、これらに限定されない。
【0231】
別の実施形態によれば、植物の部分は、葉である。
【0232】
また、Gynostemma属の植物も本明細書で企図される。
【0233】
Origanum Syriacum
特定の実施形態によれば、この種の植物は、フラボン、モノテルペノイド、及びモノテルペンを含む。60種を超える異なる化合物が同定されており、主なものはカルバクロール及びチモールであり、80%を超える範囲であるが、それほど豊富でない化合物には、p-シメン、γ-テルピネン、カリオフィレン、スパツレノール、ゲルマクレン-D,β-フェンチルアルコール、及びδ-テルピネオールが含まれる。
【0234】
以下の表は、分留によるOriganumの抽出物で同定された有機化合物のプロファイルを示す。
分析された画分に見出される有機化合物のプロファイル。
【表20】
【0235】
HPLCでOriganumの抽出物を分析したところ、様々なフェノール化合物が同定された。
【0236】
HPLC法によって決定される、O.vulgare ssp.vulgareの抽出物中のフェノール化合物。
【表21】
【0237】
O.vulgare ssp.vulgareの抽出物の総ポリフェノール含量及び抗酸化活性。
【表22】
【0238】
また、Origanum属の植物も本明細書で企図される。
【0239】
Origanumは、ヨーロッパ、北アフリカ、及び温帯アジアの大部分原産のLamiaceae科の草本性多年生及び亜低木の属であり、開放的な又は山岳地帯で見出される。北米及び他の地域のまばらな位置でも、いくつかの種が順応した。
【0240】
植物は、強い芳香性の葉及び豊富な管状花を有し、長持ちする色の苞がある。この属は、マジョラム(Origanum majorana)及びオレガノ(Origanum vulgare)という重要な料理用ハーブのグループを含む。
【0241】
例には、以下が含まれるが、これらに限定されない。
Origanum acutidens(Hand.-Mazz.)Ietsw.-トルコ、イラク
Origanum×adanense Baser&H.Duman-トルコ(O.bargyli×O.laevigatum)
Origanum×adonidis Mouterde-レバノン(O.libanoticum×O.syriacum subsp.bevanii)
Origanum akhdarense Ietsw.&Boulos-リビア東部のキレナイカ地方
Origanum amanum Post-トルコのハタイ地方
Origanum×barbarae Bornm.-レバノン(O.ehrenbergii×O.syriacum subsp.bevanii)
Origanum bargyli Mouterde-トルコ、シリア
Origanum bilgeri P.H.Davis-トルコのアンタルヤ地方
Origanum boissieri Ietsw.-トルコ
Origanum calcaratum Juss.-ギリシャ
Origanum compactum Benth.-スペイン、モロッコ
Origanum cordifolium(Montbret&Aucher ex Benth.)Vogel-キプロス
Origanum cyrenaicum Beg.&Vacc.-リビア東部のキレナイカ地方
Origanum dayi Post-イスラエル
Origanum dictamnus L.-ホップマジョラム、クレタンディタニー、ディタニーオブクレート-クレタ島に固有
Origanum×dolichosiphon P.H.Davis-トルコのセイハン地方(O.amanum×O.laevigatum)
Origanum ehrenbergii Boiss.-レバノン
Origanum elongatum(Bonnet)Emb.&Maire-モロッコ
Origanum floribundum Munby-アルジェリア
Origanum×haradjanii Rech.f-トルコ(O.laevigatum×O.syriacum subsp.bevanii)
Origanum haussknechtii Boiss.-トルコ
Origanum husnucan-baseri H.Duman,Aytac&A.Duran-トルコ
Origanum hypericifolium O.Schwarz&P.H.Davis-トルコ
Origanum×intercedens Rech.f.-ギリシャ、トルコ(O.onites×O.vulgare subsp.hirtum)
Origanum×intermedium P.H.Davis -トルコのデニズリ地方(O.onites×O.sipyleum)
Origanum isthmicum Danin-シナイ
Origanum jordanicum Danin&Kunne-ヨルダン
Origanum laevigatum Boiss.-トルコ、シリア、キプロス
Origanum leptocladum Boiss.-トルコ
Origanum libanoticum Boiss.-レバノン
Origanum majorana L.-(スイート)マジョラム-トルコ、キプロス。ヨーロッパ、北アフリカ、北米+南米のまばらな位置で順応
Origanum×lirium Heldr.ex Halacsy-ギリシャ(O.scabrum×O.vulgare subsp.hirtum)
Origanum×majoricum Cambess.-硬くスイートなマジョラム-バレアレス諸島を含むスペイン(O.majorana×O.vulgare subsp.virens)
Origanum microphyllum(Benth.)Vogel-クレタ島
Origanum×minoanum P.H.Davis-クレタ島(O.microphyllum×O.vulgare subsp.hirtum)
Origanum minutiflorum O.Schwarz&P.H.Davis-トルコ
Origanum munzurense Kit Tan&Sorger-トルコ
Origanum×nebrodense Tineo ex Lojac-シチリア(O.majorana×O.vulgare subsp.viridulum)
Origanum onites L.-ギリシャ、トルコ、シチリア
Origanum×pabotii Mouterde-シリア(O.bargyli×O.syriacum subsp.bevanii)
Origanum pampaninii(Brullo&Furnari)Ietsw-リビア東部のキレナイカ地方
Origanum petraeum Danin-ヨルダン
Origanum punonense Danin-ヨルダン
Origanum ramonense Danin-イスラエル
Origanum rotundifolium Boiss.-トルコ、コーカサス
Origanum saccatum P.H.Davis-トルコ
Origanum scabrum Boiss.&Heldr.in P.E.Boissier-ギリシャ
Origanum sipyleum L.-トルコ、ギリシャ諸島
Origanum solymicum P.H.Davis-トルコのアンタルヤ地方
Origanum symes Carlstroem-エーゲ海の島々
Origanum syriacum L.-トルコ、キプロス、シリア、レバノン、ヨルダン、パレスチナ、イスラエル、シナイ、サウジアラビア
Origanum vetteri Briq.&Barbey-クレタ島
Origanum vogelii Greuter&Burdet-トルコ
Origanum vulgare L.-オレガノ-ヨーロッパ、北アフリカ、温帯アジア(イラン、シベリア、中央アジア、中国など)。北米、ニュージーランド、ベネズエラの一部に順応。
【0242】
特定の実施形態によれば、活性成分又はその組み合わせは、Origanumの抽出物の有機化合物構成成分を含む。
【0243】
特定の実施形態によれば、活性成分又はその組み合わせは、α-ツジェン α-ピネン、β-ミルセン、フェランドレン、α-テルピネン、o-シメン、リモネン、1,8-シネオール、γ-テルピネン、チモール、カルバクロール、トランス-カリオフィレン、及びα-フムレンからなる群から選択される。
【0244】
特定の実施形態によれば、活性成分又はその組み合わせは、モノテルペン炭化水素、酸化モノテルペン、及びセスキテルペン炭化水素を含む。
【0245】
特定の実施形態によれば、活性成分又はその組み合わせは、フェノール化合物、例えば、ゲンチジン酸、クロロゲン酸、p-クマル酸、ヒペロシド、イソケルシトリン、ルチン、ロスマリン酸、ケルシトリン、ケルセチン、及びルテオリンを含む。
【0246】
特定の実施形態によれば、活性成分又はその組み合わせは、ミネラル、例えば、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、アルミニウム、鉄、ナトリウム、ホウ素、亜鉛、カドミウム、セレンを含む。
【0247】
ゴマ
ゴマの種子は、リグナン、セサモリン、セサミン、ピノレシノール、及びラリシレシノールを含有する。不溶性11Sグロブリン及び可溶性2Sアルブミン(従来、α-グロブリン及びβ-グロブリンと称される)は、2つの主要な貯蔵タンパク質であり、ゴマ中の総種子タンパク質の80~90%を構成する。アミノ酸組成の比較は、それらが既知のオレオシンよりも実質的に疎水性が低いことを示し、このように、オレオシンの凝集多量体であるはずがない。ゴマのタンパク質に対する免疫認識の結果は、これらの3つのポリペプチドが、成熟種子におけるオルガネラの能動的なアセンブリ中に、オレオシン及びトリアシルグリセロールを伴い、オイルボディに集まる独自のタンパク質であることを明らかにしている。リン脂質、オレイン酸及びリノール酸、クロロフィル及びセサモリン、セサモール及びγ-トコフェロールが見出される。10種の化合物[2-フルフリルチオール、2-フェニルエチルチオール、2-メトキシフェノール、4-ヒドロキシ2,5-ジメチル-3[2H]-フラノン、2-ペンチルピリジン、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、アセチルピラジン、[E,E]-2,4-デカジエナール、2-アセチル-1-ピロリン、及び4-ビニル-2-メトキシ-フェノール]を定量する。オイル中の高いOAVに基づいて、特に2-アセチル-1-ピロリン[ローストの]、2-フルフリルチオール[コーヒー様]、2-フェニルエチルチオール[ゴムの]、及び4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル3[2H]-フラノン[キャラメル様]は、砕いたゴマ材料の全体的なローストの、硫黄臭の重要な寄与物として解明されている。ゴマの種子から単離された新規のセサミノールグルコシドの構造は、セサミノール2’-O-β-d-グルコピラノシド、セサミノール2’-O-β-d-グルコピラノシル[1→2]-O-β-dグルコピラノシド、及び
【化3】
であることが決定されている。また、-(7S,8’R,8R)-アクミナトリドピペリトール及びピノレシノール(上述のように)などのマイナーなゴマリグナン。
【0248】
また、Sesamum属の植物も本明細書で企図される。
【0249】
例には、以下が含まれるが、これらに限定されない。
Sesamum abbreviatum Merxm.
Sesamum alatum Thonn.
Sesamum angolense Welw.
Sesamum biapiculatum De Wild.
Sesamum calycinum Welw.
Sesamum capense Burm.f.
Sesamum digitaloides Welw.ex Schinz
Sesamum gracile Endl.
Sesamum hopkinsii Suess.
Sesamum indicum L.
Sesamum lamiifolium Engl.
Sesamum latifolium J.B.Gillett
Sesamum lepidotum Schinz
Sesamum macranthum Oliv.
Sesamum marlothii Engl.
Sesamum mombazense De Wild.&T.Durand
Sesamum parviflorum Seidenst.
Sesamum pedalioides Welw.ex Hiern
Sesamum radiatum Schumach.&Thonn.
Sesamum rigidum Peyr.
Sesamum rostratum Hochst.
Sesamum sabulosum A.Chev.
Sesamum schinzianum Asch.
Sesamum somalense Chiov.
Sesamum thonneri De Wild.&T.Durand
Sesamum triphyllum Welw.ex Asch.
【0250】
本発明のいくつかの実施形態によるリグナンを含有する植物は、種子(亜麻、カボチャ、ヒマワリ、ポピー、ゴマ)、全粒穀物(ライ麦、オート麦、大麦)、ふすま(小麦、オート麦、ライ麦)、豆、果実(特にベリー)、及び野菜(ブロッコリー及びカーリーケールは、リグナンの豊富な供給源である。白及び赤キャベツ、芽キャベツ(Brussels sprouts)、カリフラワー、人参、緑及び赤ピーマンなどの他の野菜も良い供給源である)を含む、多種多様な植物の食品を含む。
【0251】
セサミンを含有する追加の植物には、Eleutherococcus senticosusが含まれるが、これに限定される。
【0252】
このように、上記の植物のあらゆる組み合わせは、2、3、4、5、6、7種の植物を含むことが企図される。別の実施形態によれば、2、3、4、5、6、7種の異なる植物を含む抽出物又は画分の組み合わせ。
【0253】
例には、以下が含まれるが、これらに限定されない。Nigella sativa、Thymus vulgaris、Origanum syriacum、Thymbra spicata、Satujera thymbra、Sesamum indicum、及びRhus coriaria。
Nigella sativa、Thymus capitatus、Origanum syriacum、Thymbra spicata、Satujera thymbra、Sesamum indicum、及びRhus coriaria。
Nigella sativa、Thymus capitatus、Thymus vulgaris、Thymbra spicata、Satujera thymbra、Sesamum indicum、及びRhus coriaria。
Nigella sativa、Thymus capitatus、Thymus vulgaris、Origanum syriacum、Satujera thymbra、Sesamum indicum、及びRhus coriaria。
Nigella sativa、Thymus capitatus、Thymus vulgaris、Origanum syriacum、Thymbra spicata、Sesamum indicum、及びRhus coriaria。
Nigella sativa、Thymus capitatus、Thymus vulgaris、Origanum syriacum、Thymbra spicata、Satujera thymbra、及びRhus coriaria。
Nigella sativa、Thymus capitatus、Thymus vulgaris、Origanum syriacum、Thymbra spicata、Satujera thymbra、及びSesamum indicum。
Nigella sativa、Origanum syriacum、Thymbra spicata、Satujera thymbra、Sesamum indicum、及びRhus coriaria。
Nigella sativa、Thymus capitatus、Thymus vulgaris、Satujera thymbra、Sesamum indicum、及びRhus coriaria。
Nigella sativa、Thymus capitatus、Thymus vulgaris、Origanum syriacum、Sesamum indicum、及びRhus coriaria。
Nigella sativa、Thymus capitatus、Thymus vulgaris、Origanum syriacum、Thymbra spicata、及びRhus coriaria。
Nigella sativa、Thymus capitatus、Thymus vulgaris、Origanum syriacum、Thymbra spicata、及びSatujera thymbra。
Nigella sativa、Thymus capitatus。
Nigella sativa、Thymus vulgaris。
Nigella sativa、Origanum syriacum。
Nigella sativa、Thymbra spicata。
Nigella sativa、Satujera thymbra。
Nigella sativa、Sesamum indicum。
Nigella sativa、Rhus coriaria。
【0254】
また、Nigella sativaを含まない様々な組み合わせも企図される。
【0255】
別の実施形態によれば、活性成分、例えば、チモキノン、カルバクロール、チモール;チモキノン、カルバクロール;チモキノン、チモール;カルバクロール、チモールの組み合わせ。
Nigella sativa、Thymus capitatus、Thymus vulgaris。
Nigella sativa、Thymus vulgaris、Origanum syriacum。
Nigella sativa、Origanum syriacum、Thymbra spicata。
Nigella sativa、Thymbra spicata、Satujera thymbra。
Nigella sativa、Satujera thymbra、Sesamum indicum Rhus coriaria。
【0256】
いくつかの実施形態によれば、植物及びそれらの活性成分は、以下の表に列挙される。
【表23】
【0257】
Nigella sativa、Thymus capitatus、Thymus vulgaris、Origanum syriacum、Thymbra spicata、Satujera thymbra、Sesamum indicum、Rhus coriaria、Panax ginseng、及びGynostemme pentaphyllumの植物又はそれらの属のうちのいずれかを、2、3、4、5、6、7、及び8種の植物の組み合わせで含む他の実施形態が、本明細書で企図される。
【0258】
マンゴー
マンゴー果実の構成成分は、主要栄養素(炭水化物、タンパク質、アミノ酸、脂質、脂肪、及び有機酸)、微量栄養素(ビタミン及びミネラル)、及び植物化学物質(フェノール、ポリフェノール、色素、及び揮発性構成要素)にグループ化され得る。マンゴー果実は、以下の構成を有する(M.Maldonado-Celis et al.Front Plant Sci.(2019)10:1073)。
【表24】
【表25-1】
【表25-2】
【表25-3】
【0259】
マンゴー果実の可食部分100g中のビタミン組成(United States Department of Agriculture、Agricultural Research Service,2018)
【表26】
【表27】
aUnited States Department of Agriculture,Agricultural Research Service,(2018)。
bInstituto Colombiano de Bienestar Familiar(ICBF),(2015)。
【0260】
マンゴー果実はまた、以下を含有する。
フェノール酸
マンゴーのパルプは、植物における2つの主要なカテゴリーのフェノール酸、ヒドロキシ安息香酸及びヒドロキシケイ皮酸誘導体を含む。フェノール酸は、遊離又はグルコース若しくはキナ酸とのコンジュゲート形態で存在し得る(Mattila and Kumpulainen,2002、Burton-Freeman et al.,2017)。マンゴーのパルプ中で検出されるヒドロキシ安息香酸は、没食子酸、バニリン酸、シリング酸、プロトカテク酸、及びp-ヒドロキシ安息香酸である一方、ヒドロキシケイ皮酸誘導体は、p-クマル酸、クロロゲン酸、フェルラ酸、及びカフェイン酸である(Masibo and Qian,2008、Ediriweera et al.,2017)。
【0261】
以下のフェノール酸は、中国で栽培された9つのマンゴー品種の果肉及び皮で同定された(Abbasi et al.,2015)。パルプの100g FW中:フェルラ酸(33.75mg)、プロトカテク酸(0.77mg)、クロロゲン酸(0.96~6.20mg)、没食子酸(0.93~2.98mg)、バニリン酸(0.57~1.63mg)、及びカフェイン酸(0.25~0.10mg)(Abbasi et al.,2015)。メキシコのアタウルフォ(Ataulfo)マンゴーの主要なフェノール酸は、プロトカテク酸(0.48~1.1mg/100gの乾燥重量(DW))、バニリン酸(16.9~24.4mg/100gDW)、没食子酸(94.6~98.7mg/100gDW)、及びクロロゲン酸(28~301mg/100gDW)であった(Palafox-Carlos et al.,2012a、Palafox-Carlos et al.,2012b)。マンゴーの栽培品種アタウルフォ、キーツ(Keitt)、オスティーン(Osteen)、及びセンセーション(Sensation)の果皮の抽出物は、没食子酸、シリング酸、メチルジガラートエステル、メチルガラート、ガロタンニン、ガロイルグルコース、テオガリン、プロトカテク酸、及びフェルラ酸などの、高濃度のフェノール酸及び誘導体を有することが見出されている(Gomez-Caravaca et al.,2015、Lopez-Cobo et al.,2017、Pacheco-Ordaz et al.,2018)。
【0262】
フラボノイド及び他のポリフェノール化合物
植物中で最も豊富に存在するポリフェノールは、フラボノイド、スチルベン、及びリグナンであり、そのうちのフラボノイドは、食事用ポリフェノールの60%を占める(Ramos,2007、Van Breda et al.,2008)。マンゴー果実中のポリフェノールには、カテキン、ケルセチン、ケンフェロール、ラムネチン、アントシアニン、及びタンニン酸、並びにキサントンのクラスのマンギフェリンが含まれる(Manach et al.,2004、Masibo and Qian,2008)。マンゴーのパルプは、ケルセチンのグリコシド(グルコース、ガラクトース、ラムノース、キシロース、及びアラビノース)を含有し、ケンフェロール、イソラムネチン、フィセチン、及びミリセチンは、マイナーレベルで存在する(Berardini et al.,2003、Ribeiro et al.,2008、Ramirez et al.,2013、USDA,2018)。
【0263】
USDA栄養素データ研究所フラボノイドデータベース(https://www.ars.usda.gov/northeast-area/beltsville-md-bhnrc/beltsville-human-nutrition-research-center/nutrient-data-laboratory/)は、マンゴー果実の100gの可食部分において、以下のものを列挙している。アントシアニジン(シアニジン0.10mg、デルフィニジン0.02mg、及びペラルゴニジン0.02mg)、フラバン-3-オール(+)-カテキン(1.72mg)、微量のフラボンアピゲニン(0.01mg)及びルテオリン(0.02)、フラボノールケンフェロール(0.05mg)及びミリセチン(0.06mg)(Haytowitz et al.,2018)。加えて、栄養素データベースは、マンゴー果実(トミーアトキンス(Tommy Atkins)、ケント、キーツ、及びヘイデン(Haden))において、以下のイソフラボン(0.01mg)、プロアントシアニジン二量体(1.8mg)、三量体(1.4)、及び四~六量体(7.2mg)を列挙している。このように、マンゴーの果肉中で検出される主なフラボノイドは、ケルセチン及びグリコシド誘導体であり、最も関連性が高いのは、フラボノールグリコシドケルセチン3-ガラクトシド(22.1mg/kg)であり、続いてケルセチン3-グルコシド(16.0mg/kg)、ケルセチン3-アラビノシド(5.0mg/kg)、及びケルセチンアグリコーン(3.5mg/kg)である(Ediriweera et al.,2017、Matheyambath et al.,2016)。タイで生育されるいくつかのマンゴーの栽培品種(トミーアトキンス、マニ(Mani)、ヌエ(Ngowe)、R2E2、ケント、ホセ(Jose)、ミニマンゴー(Mini-mango)、ヘイデン、ヘイジ(Heidi)、及びKaew Mon Duen Gao)は、ケルセチンのグリコシドを3.5~1,309.1mg/100gの果実(ジグリコシド、3-O-gal、3-O-glc、3-O-xyl、3-O-arap、3-O-araf、及び3-O-rha)、ケンフェロール3-glc(6.7~77.3mg)、ラムネチン-3-O-gal/glc(5.4~734.4mg)、及びケルセチン(1.7~19.3mg)を含有する(Berardini et al.,2003)。
【0264】
マンゴー果実の種子及び果皮は、ポリフェノールも含有し(Ribeiro et al.,2007、Ribeiro et al.,2008)、これらの残渣の総フェノール含量は、ブラジルのウバ(Uba)栽培品種でDMの6~8%であり、それは、パルプの含量よりもそれぞれ4.6倍及び7.3倍高く、この品種のフラボノイド及びキサントンについても同様のプロファイルが報告されている(Ribeiro et al.,2008)。
【0265】
キサントンは、一般的にエーテル又はグリコシドとして存在する、A及びB環に連結されたヒドロキシル、メトキシル、及びイソプレン単位を有するC6-C3-C6骨格構造によって形成される分子である(Negi et al.,2013)。6種のキサントン誘導体(マンギフェリン、ジメチルマンギフェリン、ホモマンギフェリン、マンギフェリンガラート、イソマンギフェリン、及びイソマンギフェリンガラート)が同定されており、このグループの中で、C-グルコシルキサントンであるマンギフェリン(C2-b-d-グルコピラノシル-1,3,6,7-テトラヒドロキシキサントン)は、高等植物に広く分布しており、薬理学的及び抗酸化活性が実証されている。マンギフェリンは、Mangifera indica Linnの樹皮、果実、根、及び葉から得ることができる(Matheyambath et al.,2016)。
【0266】
マンギフェリン及び誘導体の含量は、ピカ(Pica)及びトミーアトキンスのマンゴー果実の果皮(それぞれ22.15及び9.68mg/100gFW)中の方が、パルプ(それぞれ4.24及び3.25mg/100gFW)よりも高い(Ramirez et al.,2013)。ブラジルのウバ及びトミーアトキンス栽培品種では、マンギフェリンは、それぞれ12.4及び2.9mg/kgDMとして検出されたが、パルマー(Palmer)のパルプ中では検出されなかった(Ribeiro et al.,2008)。
【0267】
マンゴーが、高いレベルのコリン、フォラート、及びベータカロテンを有することも示されている。
【0268】
マンゴーの特に興味深いのは、ビタミンB及びB-12、並びにマグネシウム及びコリンである。
【0269】
本明細書に記載の組成物(すなわち、植物の部分、その抽出物、その画分、その活性成分、その合成類似体、その模倣物、又はそれらの組み合わせ)のいずれも、炎症の治療に使用することができる。
【0270】
本発明のいくつかの実施形態では、ブロメライン又はブロメラインを含むパイナップルの抽出物を含む、組成物又は食品サプリメントが提供される。
【0271】
本発明のいくつかの実施形態では、トリプトファン、トリプトファンの類似体、又はゴマ若しくはオレガノなどのトリプトファンを含有する植物の抽出物を含む、組成物又は食品サプリメントが提供される。
【0272】
本発明のいくつかの実施形態では、乾燥タイム、乾燥セージ、カルダモンポッド、シナモンスティック、ブラックティー、ハブク、及びマルマラヤ(Marmaraya)のうちの少なくとも3種を含む「ベドウィンティー(Beduin Tea)」を更に含む方法、ワクチン、医薬組成物、組成物、又は食品サプリメントが提供される。
【0273】
いくつかの実施形態では、本発明は、コンプレックスA~コンプレックスDのうちの少なくとも1つの構成成分を有する組成物を対象とする。
【表28】
【表29】
【0274】
1.組成物は、構成成分No.1~6に限定されず、組成物は、追加の活性剤及び/又は例えば、風味増強剤、送達剤、安定剤などを含有し得ることを理解されたい。例えば、コンプレックスA~Dの活性は、特定の活性を有する更なる天然の産物を添加することによって増強され得る。これの例は、多くのマンゴーの植物/果物、ジンセン、パイナップル果実の抽出物、トリプトファン、シリビニン(ミルクシスルの抽出物に含まれ得る)、カモミール、アニス又はスターアニス、ベドウィンティー、α-ビサボロール(カモミールの抽出物に含まれ得る)、リナロール(例えば、ラベンダー、ベルガモット、ローズウッド、バジル、又はネロリオイルの抽出物に含まれ得る)、ターメリック又はその抽出物、マンゴージンジャー又はその抽出物、及びクルクミンなどのうちの1種からの構成成分を含むことである。
【0275】
「治療すること」という用語は、病理の退縮の発症を阻害、予防、又は阻止することを指す。当業者は、様々な方法論及びアッセイを使用して病理の発症を評価することができ、同様に、様々な方法論及びアッセイを使用して病理の減少、寛解、又は退縮を評価することができることを理解するであろう。
【0276】
本明細書で使用される場合、「予防すること」という用語は、疾患のリスクがあり得るか、又は疾患の素因があり得るが、疾患を有するとまだ診断されていない対象において、疾患、障害、又は状態が発生しないように保つことを指す。
【0277】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、哺乳動物、好ましくは病理に苦しむあらゆる年齢のヒトを含む。好ましくは、この用語は、病理を発症するリスクがある個体を包含する。
【0278】
本明細書で使用される場合、「炎症」とは、病原体、損傷した細胞、又は刺激物質などの有害な刺激に対する身体組織の複雑な生物学的応答の一部を指し[1]、免疫細胞、血管、及び分子メディエーターを含む保護応答である。炎症の機能は、細胞傷害の最初の原因を排除し、壊死細胞並びに元の傷害及び炎症プロセスから損傷した組織を除去し、組織修復を開始することである。
【0279】
炎症の5つの古典的な徴候は、熱、痛み、発赤、腫れ、及び機能の喪失である。炎症は包括的な応答であるため、各病原体に特異的な適応免疫と比較して、自然免疫のメカニズムとして考えられている。炎症が少なすぎると、有害な刺激(例えば、細菌)による進行性の組織破壊につながり、生物の生存を損なわせる可能性がある。対照的に、慢性の炎症は、枯草熱、歯周疾患、アテローム性動脈硬化症、及び変形性関節症などの様々な疾患と関連する。
【0280】
炎症は、急性又は慢性のいずれかに分類することができる。急性の炎症は、有害な刺激に対する身体の最初の応答であり、血液から傷害を受けた組織への血漿及び白血球(特に顆粒球)の移動の増加によって達成される。一連の生化学的事象は、局所血管系、免疫系、及び傷害を受けた組織内の様々な細胞を関与させる、炎症応答を増殖させ、成熟させる。慢性の炎症として既知の長期の炎症は、単核細胞などの炎症部位に存在する細胞の種類において進行性の変化をもたらし、炎症プロセスからの組織の同時破壊及び治癒によって特徴付けられる。
【0281】
本明細書で使用される場合、「炎症性疾患」とは、炎症が、始まり又は進行に役割を果たす医学的状態を指す。
【0282】
特定の実施形態によれば、炎症性疾患は、自己免疫疾患を含む。
【0283】
特定の実施形態によれば、炎症性疾患は、急性の炎症性疾患を含む。
【0284】
特定の実施形態によれば、炎症性疾患は、慢性の炎症性疾患を含む。
【0285】
炎症性疾患-慢性の炎症性疾患及び急性の炎症性疾患を含むが、これらに限定されない。
【0286】
過敏症に関連する炎症性疾患
過敏症の例には、I型過敏症、II型過敏症、III型過敏症、IV型過敏症、即時型過敏症、抗体媒介性過敏症、免疫複合体媒介性過敏症、Tリンパ球媒介性過敏症、及びDTHが含まれるが、これらに限定されない。
【0287】
I型又は即時型過敏症、例えば喘息。
【0288】
II型過敏症には、リウマチ疾患、乾癬、リウマチ性自己免疫疾患、関節リウマチ(Krenn V.et al.,Histol Histopathol 2000 Jul;15(3):791)、脊椎炎、強直性脊椎炎(Jan Voswinkel et al.,Arthritis Res 2001;3(3):189)、全身疾患、全身性自己免疫疾患、全身性エリテマトーデス(Erikson J.et al.,Immunol Res 1998;17(1-2):49)、硬化症、全身性硬化症(Renaudineau Y.et al.,Clin Diagn Lab Immunol.1999 Mar;6(2):156)、Chan OT.et al.,Immunol Rev 1999 Jun;169:107)、腺疾患、腺自己免疫疾患、膵臓自己免疫疾患、糖尿病、I型糖尿病(Zimmet P.Diabetes Res Clin Pract 1996 Oct;34 Suppl:S125)、甲状f腺疾患、自己免疫性甲状腺疾患、グレーブス病(Orgiazzi J.Endocrinol Metab Clin North Am 2000 Jun;29(2):339)、甲状腺炎、自発性自己免疫性甲状腺炎(Braley-Mullen H.and Yu S,J Immunol 2000 Dec 15;165(12):7262)、橋本甲状腺炎(Toyoda N.et al.,Nippon Rinsho 1999 Aug;57(8):1810)、粘液水腫、特発性粘液水腫(Mitsuma T.Nippon Rinsho.1999 Aug;57(8):1759);自己免疫性生殖疾患、卵巣疾患、卵巣自己免疫(Garza KM.et al.,J Reprod Immunol 1998 Feb;37(2):87)、自己免疫性抗精子不妊症(Diekman AB.et al.,Am J Reprod Immunol.2000 Mar;43(3):134)、繰り返される胎児喪失(Tincani A.et al.,Lupus 1998;7 Suppl 2:S107-9)、神経変性疾患、神経疾患、神経性自己免疫疾患、多発性硬化症(Cross AH.et al.,J Neuroimmunol 2001 Jan 1;112(1-2):1)、アルツハイマー病(Oron L.et al.,J Neural Transm Suppl.1997;49:77)、重症筋無力症(Infante AJ.And Kraig E,Int Rev Immunol 1999;18(1-2):83)、運動ニューロパチー(Kornberg AJ.J Clin Neurosci.2000 May;7(3):191)、ギラン・バレー症候群、ニューロパチー及び自己免疫性ニューロパチー(Kusunoki S.Am J Med Sci.2000 Apr;319(4):234)、筋無力性疾患、ランバート・イートン筋無力症候群(Takamori M.Am J Med Sci.2000 Apr;319(4):204)、傍腫瘍性神経疾患、小脳萎縮症、傍腫瘍性小脳萎縮症、非傍腫瘍性スティッフマン症候群、小脳萎縮症、進行性小脳萎縮症、脳炎、ラスムッセン脳炎、筋萎縮性側索硬化症、シデナム舞踏病、ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群、多腺性内分泌障害、自己免疫性多腺性内分泌障害(Antoine JC.and Honnorat J.Rev Neurol(Paris)2000 Jan;156(1):23)、ニューロパチー、ディスイミューンニューロパチー(Nobile-Orazio E.et al.,Electroencephalogr Clin Neurophysiol Suppl 1999;50:419)、神経性筋強直症、後天性神経性筋強直症、先天性多発性関節拘縮症(Vincent A.et al.,Ann N Y Acad Sci.1998 May 13;841:482)、心血管疾患、脳卒中、心血管性自己免疫疾患、アテローム性動脈硬化(Matsuura E.et al.,Lupus.1998;7 Suppl 2:S135)、心筋梗塞(Vaarala O.Lupus.1998;7 Suppl 2:S132)、血栓症(Tincani A.et al.,Lupus 1998;7 Suppl 2:S107-9)、肉芽腫症、ウェゲナー肉芽腫症、動脈炎、高安動脈炎及び川崎症候群(Praprotnik S.et al.,Wien Klin Wochenschr 2000 Aug 25;112(15-16):660)、抗第VIII因子自己免疫疾患(Lacroix-Desmazes S.et al.,Semin Thromb Hemost.2000;26(2):157)、血管炎、壊死性小血管炎、顕微鏡的多発血管炎、チャーグ・ストラウス症候群、糸球体腎炎、微量免疫型巣状壊死性糸球体腎炎、半月体形成性糸球体腎炎(Noel LH.Ann Med Interne(Paris).2000 May;151(3):178)、抗リン脂質症候群(Flamholz R.et al.,J Clin Apheresis 1999;14(4):171)、心不全、心不全におけるアゴニスト様βアドレナリン受容体抗体(Wallukat G.et al.,Am J Cardiol.1999 Jun 17;83(12A):75H)、血小板減少性紫斑病(Moccia F.Ann Ital Med Int.1999 Apr-Jun;14(2):114)、溶血性貧血、自己免疫性溶血性貧血(Efremov DG.et al.,Leuk Lymphoma 1998 Jan;28(3-4):285)、胃腸疾患、胃腸管の自己免疫疾患、腸疾患、慢性炎症性腸疾患(Garcia Herola A.et al.,Gastroenterol Hepatol.2000 Jan;23(1):16)、セリアック病(Landau YE.and Shoenfeld Y.Harefuah 2000 Jan 16;138(2):122)、筋肉組織の自己免疫疾患、筋炎、自己免疫性筋炎、シェーグレン症候群(Feist E.et al.,Int Arch Allergy Immunol 2000 Sep;123(1):92)、平滑筋自己免疫疾患(Zauli D.et al.,Biomed Pharmacother 1999 Jun;53(5-6):234)、肝疾患、肝自己免疫疾患、自己免疫性肝炎(Manns MP.J Hepatol 2000 Aug;33(2):326)、及び原発性胆汁性肝硬変(Strassburg CP.et al.,Eur J Gastroenterol Hepatol.1999 Jun;11(6):595)が含まれるが、これらに限定されない。
【0289】
IV型又はT細胞媒介性過敏症には、リウマチ疾患、関節リウマチ(Tisch R,McDevitt HO.Proc Natl Acad Sci U S A 1994 Jan 18;91(2):437)、全身疾患、全身性自己免疫疾患、全身性エリテマトーデス(Datta SK.,Lupus 1998;7(9):591)、腺疾患、腺自己免疫疾患、膵疾患、膵臓自己免疫疾患、1型糖尿病(Castano L.and Eisenbarth GS.Ann.Rev.Immunol.8:647)、甲状腺疾患、自己免疫性甲状腺疾患、グレーブス病(Sakata S.et al.,Mol Cell Endocrinol 1993 Mar;92(1):77)、卵巣疾患(Garza KM.et al.,J Reprod Immunol 1998 Feb;37(2):87)、前立腺炎、自己免疫性前立腺炎(Alexander RB.et al.,Urology 1997 Dec;50(6):893)、多腺性症候群、多腺性自己免疫症候群、I型多腺性自己免疫症候群(Hara T.et al.,Blood.1991 Mar 1;77(5):1127)、神経疾患、自己免疫性神経疾患、多発性硬化症、神経炎、視神経炎(Soderstrom M.et al.,J Neurol Neurosurg Psychiatry 1994 May;57(5):544)、重症筋無力症(Oshima M.et al.,Eur J Immunol 1990 Dec;20(12):2563),スティッフマン症候群(Hiemstra HS.et al.,Proc Natl Acad Sci U S A 2001 Mar 27;98(7):3988),心血管疾患、シャーガス病における心臓自己免疫(Cunha-Neto E.et al.,J Clin Invest 1996 Oct 15;98(8):1709)、自己免疫性血小板減少性紫斑病(Semple JW.et al.,Blood 1996 May 15;87(10):4245)、抗ヘルパーTリンパ球自己免疫(Caporossi AP.et al.,Viral Immunol 1998;11(1):9)、溶血性貧血(Sallah S.et al.,Ann Hematol 1997 Mar;74(3):139)、肝疾患、肝自己免疫疾患、肝炎、慢性の活動性肝炎(Franco A.et al.,Clin Immunol Immunopathol 1990 Mar;54(3):382)、胆汁性肝硬変、原発性胆汁性肝硬変(Jones DE.Clin Sci(Colch)1996 Nov;91(5):551)、腎疾患、腎臓自己免疫疾患、腎炎、間質性腎炎(Kelly CJ.J Am Soc Nephrol 1990 Aug;1(2):140),結合組織疾患,耳疾患,自己免疫性結合組織疾患、自己免疫性耳疾患(Yoo TJ.et al.,Cell Immunol 1994 Aug;157(1):249)、内耳の疾患(Gloddek B.et al.,Ann N Y Acad Sci 1997 Dec 29;830:266)、皮膚疾患、皮膚性疾患、ダーマル(dermal)疾患、水疱性皮膚疾患、尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡、及び落葉状天疱瘡が含まれるが、これらに限定されない。
【0290】
遅延型過敏症の例には、接触性皮膚炎及び薬疹が含まれるが、これらに限定されない。
【0291】
過敏性を媒介するTリンパ球の種類の例には、ヘルパーTリンパ球及び細胞傷害性Tリンパ球が含まれるが、これらに限定されない。
【0292】
ヘルパーTリンパ球媒介性過敏症の例には、Th1リンパ球媒介性過敏症及びTh2リンパ球媒介性過敏症が含まれるが、これらに限定されない。
【0293】
特定の実施形態によれば、炎症性疾患は、糖尿病を含む。
【0294】
特定の実施形態によれば、糖尿病は、I型糖尿病を含む。
【0295】
特定の実施形態によれば、糖尿病は、II型糖尿病を含む。
【0296】
特定の実施形態によれば、糖尿病は、妊娠糖尿病を含む。
【0297】
自己免疫疾患
自己免疫疾患には、心血管疾患、リウマチ疾患、腺疾患、胃腸疾患、皮膚性疾患、肝疾患、神経疾患、筋疾患、腎疾患、生殖関連疾患、結合組織疾患、及び全身疾患が含まれるが、これらに限定されない。
【0298】
自己免疫性心血管疾患の例には、アテローム性動脈硬化(Matsuura E.et al.,Lupus.1998;7 Suppl 2:S135)、心筋梗塞(Vaarala O.Lupus.1998;7 Suppl 2:S132)、血栓症(Tincani A.et al.,Lupus 1998;7 Suppl 2:S107-9)、ウェゲナー肉芽腫症、高安動脈炎、川崎症候群(Praprotnik S.et al.,Wien Klin Wochenschr 2000 Aug 25;112(15-16):660)、抗第VIII因子自己免疫疾患(Lacroix-Desmazes S.et al.,Semin Thromb Hemost.2000;26(2):157)、壊死性小血管炎、顕微鏡的多発血管炎、チャーグ・ストラウス症候群、微量免疫型巣状壊死性及び半月体形成性糸球体腎炎(Noel LH.Ann Med Interne(Paris).2000 May;151(3):178)、抗リン脂質症候群(Flamholz R.et al.,J Clin Apheresis 1999;14(4):171)、抗体誘発性心不全(Wallukat G.et al.,Am J Cardiol.1999 Jun 17;83(12A):75H)、血小板減少性紫斑病(Moccia F.Ann Ital Med Int.1999 Apr-Jun;14(2):114、Semple JW.et al.,Blood 1996 May 15;87(10):4245)、自己免疫性溶血性貧血(Efremov DG.et al.,Leuk Lymphoma 1998 Jan;28(3-4):285、Sallah S.et al.,Ann Hematol 1997 Mar;74(3):139)、シャーガス病における心臓自己免疫(Cunha-Neto E.et al.,J Clin Invest 1996 Oct 15;98(8):1709)、及び抗ヘルパーTリンパ球自己免疫(Caporossi AP.et al.,Viral Immunol 1998;11(1):9)が含まれるが、これらに限定されない。
【0299】
自己免疫性リウマチ疾患の例には、関節リウマチ(Krenn V.et al.,Histol Histopathol 2000 Jul;15(3):791、Tisch R,McDevitt HO.Proc Natl Acad Sci units S A 1994 Jan 18;91(2):437)及び強直性脊椎炎(Jan Voswinkel et al.,Arthritis Res 2001;3(3):189)が含まれるが、これらに限定されない。
【0300】
自己免疫性腺疾患の例には、膵臓疾患、I型糖尿病、甲状腺疾患、グレーブス病、甲状腺炎、自発性自己免疫性甲状腺炎、橋本甲状腺炎、特発性粘液水腫、卵巣自己免疫、自己免疫性抗精子不妊症、自己免疫性前立腺炎、及びI型多腺性自己免疫症候群が含まれるが、これらに限定されない。疾患には、膵臓の自己免疫疾患、1型糖尿病(Castano L.and Eisenbarth GS.Ann.Rev.Immunol.8:647、Zimmet P.Diabetes Res Clin Pract 1996 Oct,34 Suppl:S125)、自己免疫性甲状腺疾患、グレーブス病(Orgiazzi J.Endocrinol Metab Clin North Am 2000 Jun;29(2):339、Sakata S.et al.,Mol Cell Endocrinol 1993 Mar;92(1):77)、自発性自己免疫性甲状腺炎(Braley-Mullen H.and Yu S,J Immunol 2000 Dec 15;165(12):7262)、橋本甲状腺炎(Toyoda N.et al.,Nippon Rinsho 1999Aug;57(8):1810)、特発性粘液水腫(Mitsuma T.Nippon Rinsho.1999 Aug;57(8):1759)、卵巣自己免疫(Garza KM.et al.,J Reprod Immunol 1998 Feb;37(2):87)、自己免疫性抗精子不妊症(Diekman AB.et al.,Am J Reprod Immunol.2000 Mar;43(3):134)、自己免疫性前立腺炎(Alexander RB.et al.,Urology 1997 Dec;50(6):893)、及びI型多腺性自己免疫症候群(Hara T.et al.,Blood.1991 Mar 1;77(5):1127)が含まれるが、これらに限定されない。
【0301】
自己免疫性胃腸疾患の例には、慢性の炎症性腸疾患(Garcia Herola A.et al.,Gastroenterol Hepatol.2000 Jan;23(1):16)、例えば、炎症性腸疾患、腸閉塞性セリアック病(Landau YE.and Shoenfeld Y.Harefuah 2000 Jan 16;138(2):122)、大腸炎、回腸炎、及びクローン病が含まれるが、これらに限定されない。
【0302】
自己免疫性皮膚性疾患の例には、自己免疫性水疱性皮膚疾患、例えば、これらに限定されないが、尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡、及び落葉状天疱瘡が含まれるが、これらに限定されない。
【0303】
自己免疫性肝疾患の例には、肝炎、自己免疫性慢性活動性肝炎(Franco A.et al.,Clin Immunol Immunopathol 1990 Mar;54(3):382)、原発性胆汁性肝硬変(Jones DE.Clin Sci(Colch)1996 Nov;91(5):551;Strassburg CP.et al.,Eur J Gastroenterol Hepatol.1999 Jun;11(6):595)、及び自己免疫性肝炎(Manns MP.J Hepatol 2000 Aug;33(2):326)が含まれるが、これらに限定されない。
【0304】
自己免疫性神経疾患の例には、多発性硬化症(Cross AH.et al.,J Neuroimmunol 2001 Jan1;112(1-2):1)、アルツハイマー病(Oron L.et al.,J Neural Transm Suppl.1997;49:77)、重症筋無力症(Infante AJ.And Kraig E,Int Rev Immunol 1999;18(1-2):83、Oshima M.et al.,Eur J Immunol 1990 Dec;20(12):2563)、ニューロパチー、運動ニューロパチー(Kornberg AJ.J Clin Neurosci.2000 May;7(3):191)、ギラン・バレー症候群及び自己免疫性ニューロパチー(Kusunoki S.Am J Med Sci.2000 Apr;319(4):234)、筋無力症、ランバート・イートン筋無力症候群(Takamori M.Am J Med Sci.2000 Apr;319(4):204)、傍腫瘍性神経疾患、小脳萎縮症、傍腫瘍性小脳萎縮症、及びスティッフマン症候群(Hiemstra HS.et al.,Proc Natl Acad Sci units S A 2001 Mar 27;98(7):3988)、非傍腫瘍性スティッフマン症候群、進行性小脳萎縮症、脳炎、ラスムッセン脳炎、筋萎縮性側索硬化症、シデナム舞踏病、ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群、及び自己免疫性多内分泌腺症候群(Antoine JC.and Honnorat J.Rev Neurol(Paris)2000 Jan;156(1):23、ディスイミューンニューロパチー(Nobile-Orazio E.et al.,Electroencephalogr Clin Neurophysiol Suppl 1999;50:419)、後天性神経性筋強直症、先天性多発性関節拘縮症(Vincent A.et al.、Ann N Y Acad Sci.1998 May 13;841:482)、神経炎、視神経炎(Soderstrom M.et al.,J Neurol Neurosurg Psychiatry 1994 May;57(5):544)、及び神経変性疾患が含まれるが、これらに限定されない。
【0305】
自己免疫性筋疾患の例には、筋炎、自己免疫性筋炎、及び原発性シェーグレン症候群(Feist E.et al.,Int Arch Allergy Immunol 2000 Sep;123(1):92)、及び平滑筋自己免疫疾患(Zauli D.et al.,Biomed Pharmacother 1999 Jun;53(5-6):234)、及び線維筋痛が含まれるが、これらに限定されない。
【0306】
自己免疫性腎疾患の例には、腎炎及び自己免疫性間質性腎炎が含まれるが、これらに限定されない(Kelly CJ.J Am Soc Nephrol 1990 Aug;1(2):140)。
【0307】
生殖に関連する自己免疫疾患の例には、繰り返される胎児喪失が含まれるが、これに限定されない(Tincani A.et al.、Lupus 1998;7 Suppl 2:S107-9)。
【0308】
自己免疫性結合組織疾患の例には、耳疾患、自己免疫性耳疾患(Yoo TJ.et al.,Cell Immunol 1994 Aug;157(1):249)及び内耳の自己免疫疾患(Gloddek B.et al.,Ann N Y Acad Sci 1997 Dec 29;830:266)が含まれるが、これらに限定されない。
【0309】
自己免疫性全身疾患の例には、全身性エリテマトーデス(Erikson J.et al.,Immunol Res 1998;17(1-2):49)、及び全身性硬化症(Renaudineau Y.et al.,Clin Diagn Lab Immunol.1999 Mar;6(2):156)、Chan OT.et al.,Immunol Rev 1999 Jun;169:107)、及び家族性地中海熱(FMF)が含まれるが、これらに限定されない。
【0310】
感染性疾患
感染性疾患の例には、慢性感染性疾患、亜急性感染性疾患、急性感染性疾患、ウイルス性疾患、細菌性疾患、原虫性疾患、寄生虫性疾患、真菌性疾患、マイコプラズマ疾患、及びプリオン病が含まれるが、これらに限定されない。
【0311】
特定の実施形態によれば、炎症性疾患は、感染性疾患である。
【0312】
特定の実施形態によれば、炎症性疾患は、ウイルス性疾患である。
【0313】
ウイルス関連疾患には、Sars-CoV2/Covid-19を含むコロナウイルス、HIV、EBV、水痘ウイルスによって引き起こされる疾患、並びに帯状疱疹、C型肝炎及びB型肝炎ウイルスなどの関連する状態が含まれるが、これらに限定されない。
【0314】
真菌性疾患には、アスペルギルス症、及びアスペルギルス症に起因する慢性の肺疾患、Candida auris感染症が含まれるが、これらに限定されない。
【0315】
特定の実施形態によれば、炎症性疾患は、コロナウイルス感染症(例えば、COVID19)である。
【0316】
移植片拒絶疾患
移植片の移植に関連する疾患の例には、移植片の拒絶反応、慢性の移植片拒絶反応、亜急性の移植片拒絶反応、超急性の移植片拒絶反応、急性の移植片拒絶反応、及び移植片対宿主病が含まれるが、これらに限定されない。
【0317】
アレルギー性疾患
アレルギー性疾患の例には、喘息、じんましん(hive)、じんましん(urticaria)、花粉アレルギー、チリダニアレルギー、毒アレルギー、化粧品アレルギー、ラテックスアレルギー、化学物質アレルギー、薬物アレルギー、虫刺されアレルギー、動物のふけアレルギー、刺す植物アレルギー、ツタウルシ、有毒オーク、及び有毒スマックアレルギー、並びに食物アレルギー、例えば、ミルクアレルギー、木又はピーナッツアレルギー、小麦/グルテンアレルギー、卵アレルギーなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0318】
炎症性構成成分を伴う疾患の更なる例には、コレステロール障害、脱毛、うつ病、ホルモン障害が含まれる。
【0319】
がん性疾患
がんの例には、がん腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病が含まれるが、これらに限定されない。がん性疾患の特定の例であるが、以下に限定されない。慢性骨髄性白血病などの骨髄性白血病。成熟を伴う急性骨髄性白血病。急性前骨髄球性白血病、好塩基球増加を伴う急性非リンパ性白血病、急性単球性白血病。好酸球増加を伴う急性骨髄単球性白血病、悪性リンパ腫、例えばバーキット非ホジキン、リンパ性白血病、例えば急性リンパ芽球性白血病。慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性疾患、例えば、固形腫瘍の良性髄膜腫、唾液腺の混合腫瘍、結腸腺腫、腺がん、例えば、小細胞肺がん、腎臓、子宮、前立腺、膀胱、卵巣、結腸、肉腫、脂肪肉腫、粘液性、滑膜肉腫、横紋筋肉腫(肺胞)、骨格外粘液様軟骨肉腫、ユーイング腫瘍、他には、精巣及び卵巣の未分化胚細胞腫、網膜芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、神経芽細胞腫、悪性黒色腫、中皮腫、乳房、皮膚、前立腺、及び卵巣が含まれる。
【0320】
特定の実施形態によれば、がんは、非固形腫瘍、例えば、血液/血液学のがんである。
【0321】
特定の実施形態によれば、炎症性疾患は、固形腫瘍ではない。
【0322】
皮膚状態
皮膚の老化及び炎症に関連する皮膚状態には、創傷修復及び創傷瘢痕化、老化斑、そばかす及び他の皮膚の不均一な色素沈着、老化による皮膚の弾力性の喪失、にきび、体臭、湿疹、乾癬、発疹又はじんましん、並びに髪の未成熟及び/又は一般的な白髪化、並びに頭皮の課題(例えば、ふけ、脂漏性皮膚炎、及び脱毛)が含まれるが、これらに限定される。
【0323】
神経心理学的状態
多くの神経心理学的状態は、不安、うつ病、集中力の喪失、ADHD、ADD、PTSD、せん妄、睡眠時無呼吸、不眠症を含む不規則な睡眠パターン、躁うつ病、統合失調症、境界性パーソナリティ障害、OCD、アスペルガー、摂食障害、中毒、自閉症、ブレインフォグ、言語記憶障害、脳の血管疾患など、パーキンソン病並びに振戦及びすくみ足を含む関連する症候、記憶喪失、不安、運動、及び心理的機能を含むアルツハイマー病の症候、パニック障害、見当識障害、レストレスレッグ症候群、振戦及び痙攣、トゥレットに関連するチック症、不規則発話、吃音などを含むが、これらに限定されない、慢性の炎症との関連性を有することが示されている。
【0324】
また、アルツハイマーの早期発症及び異常な成長ホルモンレベルに関連する問題を含むが、これらに限定されない、精神遅滞、ダウン症候群の個体に関連する二次症候の軽減が、本発明で企図される。
【0325】
また、視力喪失に関連する他の神経学的に関連する疾患及び状態、例えば、黄斑変性症、白内障、糖尿病性網膜症、及び緑内障も企図される。
【0326】
ホルモン及び代謝関連の状態又は疾患
様々なホルモン関連の状態又は疾患は、性ホルモンに関連する疾患、例えば、骨粗しょう症、骨減少症 甲状腺機能亢進症、並びに閉経周辺期及び更年期に関連する症候、例えば、情緒の変調、不安、うつ病、低自尊心、ブレインフォグ、ホットフラッシュ、関節痛、不規則な睡眠、不眠症、寝汗、心臓の動悸/フラッター、頭痛及び片頭痛、体重増加、皮膚の変化(かゆみ及び乾燥肌を含む)、性欲の低下、膣の乾燥、疼痛 かゆみ及び性交中の不快感、再発性UTI及び子宮内膜症、成長ホルモンに関連する疾患、例えば、巨人症、末端肥大症、及び下垂体性小人症、甲状腺ホルモンに関連する疾患、例えば、甲状腺機能亢進症、グレーブス病、中毒性結節性甲状腺腫、眼球突出症、甲状腺機能低下症、粘液水腫、先天性甲状腺機能低下症/クレチン病、及び自己免疫性甲状腺炎、副腎ホルモンに関連する疾患、例えば、ミネラルコルチコイド欠乏症、グルココルチコイド欠乏症、及びアジソン病、クッシング症候群、副甲状腺機能低下症を含む副甲状腺ホルモンに関連する障害を含むが、これらに限定されない、慢性の炎症に関連する。また、低テストステロン又は低エストロゲンの治療が、本発明で企図される。
【0327】
身体の改善された代謝効率に関連するのは、体重喪失及び脂肪貯蔵を低減させる能力であり、それによって肥満を治療する。肥満及び体重の治療に関連するのは、セルライトの出現の低減である。また、代謝性疾患に関連するのは、低酸素症、尿毒症、腎不全、及び脳炎、及び結核性髄膜炎である。
【0328】
加えて、本発明の実施形態として企図される成人に影響を与えるホルモン障害に対して、成長ホルモン、例えば、不適切なレベルのインスリン様成長因子1(IGF-1)、インスリン様成長因子結合タンパク質3(IGFBP3)、ソマトトロピン、下垂体成長ホルモン)、胎盤成長ホルモン、又は成長ホルモンバリアントに関連する疾患及び状態を治療することである。
【0329】
コレステロールの低減/心臓疾患/脳卒中
コレステロールの低減は、心臓疾患及び脳卒中及び虚血の発生を低減するための鍵となる構成成分である。本発明の組成物は、患者におけるコレステロールレベルを低下させる能力を有する。コレステロールの低下はまた、がんと戦う能力の増加と関連している。
【0330】
また、心臓病及び脳卒中に関連するのは高血圧であり、これは、本発明の組成物を用いて低減され得る。また、本発明の組成物を使用して、心臓疾患、脳卒中虚血、低酸素症、心筋炎のリスクを低減することができる。
【0331】
腎臓疾患及び障害
本発明の組成物は、尿毒症、間質性膀胱炎、及び腎臓結石などの腎臓の疾患及び状態に関連する状態を予防又は治療するのに有用であり得る。
【0332】
バイオマーカーの調節(modulation)/調節(regulation)
本発明の組成物は、炎症性疾患及び他の疾患に関与するバイオマーカーを調節することが示されている。例えば、本発明の組成物を使用して、血液中のコレステロール、血中グルコース、アルブミン、アルカリホスファターゼ カルシウム、鉄、カリウム、及びビタミンD、C反応性タンパク質RBCヘマトクリット、ヘモグロビン及び/又は血小板のレベルを調節することができる。
【0333】
また、本発明の可能な実施形態として、緑内障及び角膜における線維形成/機能の治療が含まれる。
【0334】
本発明の構成成分(複数可)(植物の部分、その抽出物、その画分、その活性成分、その合成類似体、その模倣物、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される植物種又はそれらの属に由来する構成成分であって、該構成成分は、炎症を治療することができる、構成成分)を含む物質の組成物は、それ自体を、又は適した担体若しくは賦形剤と混合される医薬組成物中で対象に投与することができる。
【0335】
本明細書で使用される場合、「医薬組成物」とは、本明細書に記載の活性成分のうちの1種以上と、生理学的に適した担体及び賦形剤などの他の化学構成成分との調製物を指す。医薬組成物の目的は、生物への化合物の投与を容易にすることである。
【0336】
本明細書では、「活性成分」という用語は、生物学的効果に関与可能な構成成分を含む物質の組成物を指す。
【0337】
以下では、「生理学的に許容され得る担体」及び「薬学的に許容され得る担体」という語句は、生物に著しい刺激を引き起こさず、投与される化合物の生物学的活性及び特性を無効化しない担体又は希釈剤を指すために互換的に使用され得る。アジュバントは、これらの語句の下に含まれる。
【0338】
本明細書では、「賦形剤」という用語は、活性成分の投与を更に容易にするために、医薬組成物に添加される不活性な物質を指す。賦形剤の例には、限定されないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖及びスターチの種類、セルロース誘導体、ゼラチン、植物オイル、及びポリエチレングリコールが含まれる。
【0339】
薬物の製剤化及び投与のための技法は、参照により本明細書に組み込まれる、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」,Mack Publishing Co.,Easton,PA,latest editionに見出すことができる。
【0340】
適した投与経路には、例えば、経口、直腸、経粘膜、特に経鼻、腸、又は筋肉内、皮下、及び髄内注射を含む非経口送達、並びに髄腔内、直接脳室内、心臓内、例えば、右若しくは左心室腔内、総冠動脈内、静脈内、腹腔内、鼻腔内、又は肺内、又は眼球内注射が含まれ得る。
【0341】
いくつかの実施形態については、本発明は、例えば、皮膚及び頭皮状態の治療のために、局所組成物として投与され得る。
【0342】
本発明の様々な例示的な実施形態では、組成物は、経口投与に適した医薬又は食事用サプリメントの剤形として提供される。経口投与に適した剤形は、錠剤、軟カプセル剤、硬カプセル剤、丸剤、顆粒剤、粉末剤、乳濁剤、懸濁剤、スプレー、シロップ、及びペレットを含む。本発明の様々な他の実施形態では、組成物は、点滴又は注射による投与のための液体製剤などの非経口投与に適した医薬剤形として、又は坐剤のための固体若しくは半固体剤形として提供される。本発明の組成物はまた、例えば、皮下又は筋肉内の注射によって投与され得、毎月、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回などの投与を可能にする、徐放性デポー組成物の形態で送達されてもよい。
【0343】
中枢神経系(CNS)への薬物送達のための従来のアプローチには、神経外科的戦略(例えば、脳内注射又は脳室内注入)、BBBの内因性輸送経路のうちの1つを利用しようとする試みにおける薬剤の分子操作(例えば、それ自体はBBBを通過することができない薬剤と組み合わせて、内皮細胞表面分子に対する親和性を有する輸送ポリペプチドを含むキメラ融合タンパク質の生成)、薬剤の脂質可溶性を増加させるように設計された薬理学的戦略(例えば、水溶性薬剤の脂質又はコレステロール担体へのコンジュゲーション)、及び(マンニトール溶液の頸動脈への注入又はアンジオテンシンポリペプチドなどの生物学的活性な薬剤の使用に起因する)高浸透圧の乱れによるBBBの完全性の一時的な乱れが含まれる。しかしながら、これらの戦略の各々は、侵襲的外科的手順に関連する固有のリスク、内因性輸送系に固有の制限によって課されるサイズ制限、CNSの外で活性であり得るキャリアモチーフで構成されるキメラ分子の全身投与に関連する潜在的に望ましくない生物学的副作用、及びBBBが乱れている脳の領域内の脳損傷のリスクの可能性などの制限を有し、最適ではない送達方法となる。
【0344】
あるいは、例えば、医薬組成物を、患者の組織領域に直接注射することによって、全身的ではなく局所的に医薬組成物を投与してもよい。
【0345】
本発明のいくつかの実施形態の医薬組成物は、当技術分野で周知のプロセスによって、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、微粒子化、乳化、カプセル化、封入、又は凍結乾燥プロセスによって製造され得る。
【0346】
このように、本発明のいくつかの実施形態に従って使用するための医薬組成物は、賦形剤及び補助剤(これらは、活性成分の薬学的に使用することができる調製物への加工を容易にする)を含む1種以上の生理学的に許容され得る担体を使用して従来の様式で製剤化することができる。適切な製剤は、選定される投与経路に依存する。
【0347】
注射のために、医薬組成物の活性成分は、水溶液中、好ましくは、ハンク溶液、リンガー溶液、又は生理学的塩緩衝液などの生理学的に適合性のある緩衝液中で製剤化されてもよい。経粘膜投与のために、浸透させる障壁に対して適切な浸透剤が製剤に使用される。そのような浸透剤は、当技術分野では一般的に既知である。
【0348】
経口投与のために、医薬組成物は、活性化合物を当技術分野で周知の薬学的に許容され得る担体と組み合わせることによって容易に製剤化され得る。そのような担体は、患者による経口摂取のために、医薬組成物を、錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液体、ゲル剤、シロップ、スラリー、懸濁剤などとして製剤化することを可能にする。経口使用のための薬理学的調製物は、固体賦形剤を使用し、場合により、結果として得られた混合物を粉砕し、必要に応じて適した補助剤を添加した後、顆粒の混合物を加工することによって作製されて、錠剤又は糖衣錠コアを得ることができる。適した賦形剤は、特に、充填剤、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、若しくはソルビトールを含む糖、セルロース調製物、例えば、トウモロコシスターチ、小麦スターチ、米スターチ、ポテトスターチ、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボメチルセルロースナトリウムなど、及び/又は生理学的に許容され得るポリマー、例えばポリビニルピロリドン(PVP)である。必要に応じて、架橋されたポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸若しくはアルギン酸ナトリウムなどのその塩などの崩壊剤を添加してもよい。
【0349】
糖衣錠コアには、適したコーティングが施される。この目的のために、濃縮糖溶液が使用され得、これは、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液、及び適した有機溶媒又は溶媒混合物を、場合により含有してもよい。染料又は色素を、同定のために、又は活性化合物の投与の異なる組み合わせを特徴付けるために、錠剤又は糖衣錠コーティングに添加してもよい。
【0350】
経口的に使用することができる医薬組成物には、ゼラチンから作製されるプッシュフィットカプセル、並びにゼラチン及びグリセロール又はソルビトールなどの可塑剤から作製される軟質密封カプセルが含まれる。プッシュフィットカプセルは、ラクトースなどの充填剤、スターチなどの結合剤、タルク又はステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、及び場合により安定剤との混和物中に活性成分を含有し得る。軟カプセル剤では、活性成分を、脂肪オイル、液体パラフィン、又は液体ポリエチレングリコールなどの適した液体中に溶解又は懸濁してもよい。加えて、安定剤が添加されてもよい。経口投与のための全ての製剤は、選定された投与経路に適した投与量とすべきである。
【0351】
頬側投与のために、組成物は、従来の様式で製剤化される錠剤又はロゼンジの形態をとり得る。
【0352】
特定の実施形態では、本発明の構成成分及び/又は組成物は、吸入又は経鼻投与による投与に適した形態で提供される。
【0353】
経鼻吸入による投与の場合、本発明のいくつかの実施形態による使用のための活性成分は、適した推進剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、又は二酸化炭素を使用して、加圧パック又はネブライザーからのエアロゾルスプレー提示の形態で好都合に送達される。加圧エアロゾルの場合、投薬単位は、計量された量を送達するためのバルブを提供することによって決定されてもよい。ディスペンサーで使用するために、例えば、ゼラチンのカプセル及びカートリッジは、化合物と、ラクトース又はスターチなどの適した粉末基剤との粉末混合物を含有するように製剤化されてもよい。
【0354】
デポー投与のための組成物は、ポリマーマトリックス、又はマイクロ若しくはナノ粒子の形態であり得る。
【0355】
本明細書に記載の医薬組成物は、例えば、ボーラス注射又は連続注入による非経口投与のために、製剤化され得る。注射のための製剤は、単位剤形で、例えば、場合により添加された防腐剤とともに、アンプル中又は複数回用量容器中で提示され得る。組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、又は乳濁液などであり得、懸濁剤、安定剤、及び/又は分散剤などの製剤化用薬剤を含有し得る。
【0356】
非経口投与のための医薬組成物には、水溶性形態での活性調製物の水溶液が含まれる。加えて、活性成分の懸濁液は、適切な油性又は水性ベースの注射懸濁液として調製され得る。適した親油性溶媒又はビヒクルには、ゴマオイルなどの脂肪オイル、又はエチルオレアート、トリグリセリド、又はリポソームなどの合成脂肪酸エステルが含まれる。水性の注射懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデキストランなど、懸濁液の粘度を増加させる物質を含有してもよい。場合により、懸濁液はまた、活性成分の溶解度を増加させて高度に濃縮された溶液の調製を可能にするのに適した安定剤又は薬剤を含有してもよい。
【0357】
あるいは、活性成分は、使用前に、適したビヒクル、例えば、滅菌の発熱物質を含まない水で構成するための粉末形態であってもよい。
【0358】
本発明のいくつかの実施形態の医薬組成物はまた、例えば、ココアバター又は他のグリセリドなどの従来の坐剤用基剤を使用する坐剤又は保持浣腸剤などの直腸用組成物中で製剤化され得る。
【0359】
本発明のいくつかの実施形態の文脈での使用に適した医薬組成物には、活性成分が意図された目的を達成するのに有効な量で含有する組成物が含まれる。より具体的には、治療有効量とは、障害(例えば、炎症性疾患)の症候若しくは進行を予防、軽減、若しくは緩和するために、又は治療される対象の生存を延長するために有効な活性成分(生物学的効果に関与可能な構成成分を含む物質の組成物)の量を意味する。
【0360】
治療有効量の決定は、特に本明細書に提供される詳細な開示に照らして、十分に当業者の能力の範囲内にある。
【0361】
例えば、炎症又は関連する症候の重症度を評価する、何らかのインビボ又はインビトロ方法が用いられ得る。
【0362】
本発明の方法で使用されるいずれかの調製物に対して、治療有効量又は用量は、インビトロ及び細胞培養アッセイから最初に推定され得る。例えば、用量は、所望の濃度又は力価を達成するために、動物モデルで定式化され得る。そのような情報を使用して、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定することができる。炎症性疾患及び自己免疫疾患のいくつかの関連する動物モデルの説明を以下に提供する。
【0363】
本明細書に記載の活性成分の毒性及び治療有効性は、インビトロ、細胞培養物、又は実験動物における標準の薬学的手順によって決定され得る。これらのインビトロ及び細胞培養アッセイ及び動物研究から得られるデータは、ヒトに使用するための投与量の範囲を定式化する際に使用される。投与量は、用いられる剤形及び利用される投与経路に依存して、変動し得る。正しい製剤、投与経路、及び投与量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選定することができる。(例えば、Fingl,et al.,1975,「The Pharmacological Basis of Therapeutics」,Ch.1 p.1を参照のこと)。
【0364】
投与量及び間隔は、生物学的効果を誘導又は抑制するのに十分な量(最小有効濃度、MEC)で活性成分を提供するように個別に調整され得る。MECは、各調製物に対して変動し得るが、インビトロのデータから推定され得る。MECを達成するために必要な投与量は、個人の特徴及び投与経路に依存することになる。検出アッセイを使用して、血漿濃度を求めることができる。
【0365】
治療される状態の重症度及び応答性に依存して、投与は、単回又は複数回の投与であり得、治療の経過は、数日から数週間続くか、又は治癒がもたらされるか、又は疾患状態の減少が達成されるまで続く。
【0366】
投与される組成物の量は、当然のことながら、治療される対象、苦痛の重症度、投与様式、処方医師の判断などに依存することになる。
【0367】
本発明のいくつかの実施形態の組成物は、必要に応じて、活性成分を含有する1つ以上の単位剤形を含有し得る、FDAで承認されたキットなどのパック又はディスペンサーデバイスで提示されてもよい。パックは、例えば、金属又はプラスチックホイル、例えば、ブリスターパックを含み得る。パック又はディスペンサーデバイスは、投与のための説明書を伴い得る。パック又はディスペンサーはまた、医薬品の製造、使用、又は販売を規制する政府機関によって規定された形態の容器に関連する通知を収納してもよく、その通知は、組成物又はヒト若しくは獣医学的投与の形態の、機関による承認を反映している。そのような通知は、例えば、処方薬物について米国食品医薬品局によって承認されたラベル又は承認された製品添付文書であり得る。適合性のある薬学的担体中に製剤化される本発明の調製物を含む組成物はまた、上記で更に詳述されるように、調製され、適切な容器に配置され、示される状態の治療のためにラベル付けされ得る。
【0368】
別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の構成成分(複数可)を含む、食品又は飲料の形態で栄養組成物又は食事用組成物を提供する。これらの食品又は飲料は、本発明の組成物の様々な例示的な実施形態を含む。これらの食品又は飲料は、シリアル、ベビーフード、健康食品、又はチョコレート若しくは栄養バーのような固形食品、クリーム、若しくはジャム、若しくはゲルのような半固形食品などの特定の健康用途のための食品として、また飲料として、調製又は提供され得る。そのような食品又は飲料アイテムの特定の及び非限定的な例には、リフレッシュ飲料、乳酸菌飲料、ドロップ、キャンディー、チューインガム、チョコレート、グミキャンディー、ヨーグルト、アイスクリーム、プリン、柔らかい小豆ゼリー、ゼリー、クッキーなどが含まれる。
【0369】
本発明の植物由来の構成成分(複数可)は、治療バイオアベイラビリティを増加させ、治療有効性をブーストし、副作用を最小限に抑えるために、他の医薬とともに投与されてもよい。
【0370】
本発明のいくつかの実施形態の組成物と組み合わせて投与され得る抗炎症薬には、NSAID及びコルチコステロイドなどのステロイドが含まれる。抗炎症薬の例には、アルクロフェナク、アルクロメタゾンジプロピオナート、アルゲストンアセトニド、アルファアミラーゼ、アムシナファル、アムシナフィド、アムフェナクナトリウム、アミプリロース塩酸塩、アナキンラ、アニロラク、アニトラザフェン、アパゾン、バルサラジド二ナトリウム、ベンダザック、ベノキサプロフェン、塩酸ベンジダミン、ブロメライン、ブロペラモール、ブデソニド、カルプロフェン、シクロプロフェン、シンタゾン、クリプロフェン、クロベタゾールプロピオナート、クロベタゾンブチラート、クロピラック、クロチカゾンプロピオナート、コルメタゾンアセタート、コルトドキソン、デフラザコート、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾンジプロピオナート、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジフロラゾンジアセタート、ジフルミドンナトリウム、ジフルニサル、ジフルプレドナート、ジフタロン、ジメチルスルホキシド、ドロシノニド、エンドリゾン、エンリモマブ、エノリカムナトリウム、エピリゾール、エトドラク、エトフェナマート、フェルビナク、フェナモール、フェンブフェン、フェンクロフェナク、フェンクロラク、フェンドサル、フェンピパロン、フェンチアザク、フラザロン、フルアザコート、フルフェナム酸、フルミゾール、フルニソリドアセタート、フルニキシン、フルニキシンメグルミン、フルオコルチンブチル、フルオロメトロンアセタート、フルクアゾン、フルルビプロフェン、フルレトフェン、フルチカゾンプロピオナート、フラプロフェン、フロブフェン、ハルシノニド、ハロベタゾールプロピオナート、ハロプレドンアセタート、イブフェナック、イブプロフェン、イブプロフェンアルミニウム、イブプロフェンピコノール、イロニダップ、インドメタシン、インドメタシンナトリウム、インドプロフェン、インドキソール、イントラゾール、イソフルプレドンアセタート、イソキセパク、イソキシカム、ケトプロフェン、ロフェミゾール塩酸塩、ロモキシカム、ロテプレドノールエタボナート、メクロフェナム酸ナトリウム、メクロフェナム酸、メクロリソンジブチラート、メフェナム酸、メサラミン、メセクラゾン、メチルプレドニゾロンスレプタナート、モミフルマート、ナブメトン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、ナプロキソール、ニマゾン、オルサラジンナトリウム、オルゴテイン、オルパノキシン、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、塩酸パラニリン、ペントサン多硫酸ナトリウム、フェンブタゾンナトリウムグリセラート、ピルフェニドン、ピロキシカム、ピロキシカムシンナマート、ピロキシカムオラミン、ピルプロフェン、プレドナザート、プリフェロン、プロドル酸、プロクアゾン、プロキサゾール、プロキサゾールシトラート、リメキソロン、ロマザリト、サルコレックス、サルナセジン、サルサラート、サンギナリウムクロリド、セクラゾン、セルメタシン、スドキシカム、スリンダク、スプロフェン、タルメタシン、タルニフルマート、タロサラート、テブフェロン、テニダップ、テニダップナトリウム、テノキシカム、テシカム、テシミド、テトリダミン、チオピナク、チキソコルトールピバラート、トルメチン、トルメチンナトリウム、トリクロニド、トリフルミダート、ジドメタシン、ゾメピラクナトリウムが含まれるが、これらに限定されない。
【0371】
全身性エリテマトーデス(SLE)
ニュージーランドブラック(NZB)及びニュージーランドホワイト(NZW)マウス、(NZB×NZW)F1は、ループス様疾患を発症する自発的なモデルである。
【0372】
多発性硬化症
例えば、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)は、多発性硬化症のモデルとして広く使用されている。このモデルでは、脊髄ホモジネート又はミエリン塩基性タンパク質などのタンパク質誘導体を、強力な免疫刺激剤の混合物とともに、最も一般的にはSJL系統のマウスに注射する。
【0373】
糖尿病
自発的な糖尿病の5つの動物モデルであるNODマウス、糖尿病傾向BBラット、LETLラット、KDPラット、及びLEW-iddmラットは、自己免疫性糖尿病を研究するために主として好ましい。NODマウス及びBBラットが最も広く使用されている。
【0374】
関節リウマチ
動物モデルは、関節リウマチの病因の研究に広く使用されている。全ての動物モデルの固有の限界にもかかわらず、いくつかのげっ歯類モデルは、関節リウマチを支える基本的なメカニズムの理解を著しく進歩させ、治療においていくつかの現在の主要な進歩に貢献している。これらのモデルには、コラーゲン誘発性関節炎、コラーゲン抗体誘発性関節炎、ザイモサン誘発性関節炎、及びメチル化BSAモデルなどの誘発性関節炎モデル、並びにTNF-アルファ-トランスジェニックマウス、K/BxNマウス、及びSkgマウスなどの遺伝的に操作された又は自発的な関節炎モデルが含まれる。
【0375】
クローン病(CD)及び潰瘍性大腸炎(UC)
デキストラン硫酸ナトリウム
デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)は、(C6H7Na3O14S3)nの化学式を有するデキストランのポリアニオン性誘導体である。DSSは、動物の経口治療のために、飲料水中で化合物とともに、最も一般的に投与される。頻繁に使用される化合物の濃度は3%である。炎症応答は、野生型動物においてDSSによって開始され、約5日後に遠位で開始し、結腸粘膜に限定される。DSSが、結腸において炎症をどのように開始するかはまだよく理解されていない。しかしながら、インビトロ及びインビボの両方でDSSを調査した最近の研究は、DSSが内側粘膜層に直接的な影響を及ぼし、何らかの炎症の徴候が見られ得る前に、この層の細菌の浸透をもたらすことを明らかにした。このように、内側の結腸粘膜層の喪失は、細菌の浸透をもたらす最初のエピソードであり、最終的には炎症応答の発症であると結論付けることができる。
【0376】
2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸
トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)は、IBDを誘発するために、動物において直腸内に投与される酸化性のニトロアリール化合物である。それは、炎症領域に関連する壊死領域につながる結腸損傷の誘導を引き起こす。高いミエロペルオキシダーゼ活性は、主に結腸組織への好中球浸潤を特徴とする損傷を引き起こす。粘膜透過性の増加は、結腸上皮及び間質に対する損傷の結果である。TNBSは、結腸粘膜の表面上に存在するリン脂質と相互作用することによって、粘膜疎水性の低下を引き起こし得る。この低下した疎水性は、TNBS誘発性の結腸の炎症に寄与すると考えられている。TNBSは、CDの貫壁関与を模倣する壊死及び深部組織損傷を引き起こす。したがって、UCよりもCDのより良い実験モデルであることが好ましい場合がある。
【0377】
TNBS誘発性大腸炎モデルは、ヒトIBDに関与するサイトカインに関する不可欠な情報を作成するための重要な供給源となることに役立っている。また、ヒト疾患の治療レジメンの形成にも役立っている。
【0378】
オキサゾロン性大腸炎
動物における、エタノールと併せたハプテン化合物オキサゾロンの直腸内投与は、急性大腸炎を引き起こす。オキサゾロンは、結腸の遠位部に急性の表在性粘膜炎症をもたらす。固有層に関連する浮腫と併せて、リンパ球及び好中球による結腸浸潤がある。インターロイキンの産生の上昇を伴うタイプヘルパー2(Th2)細胞媒介性免疫応答がある。この動物モデルは、TNBSモデルにおいて見出されるTh1の代わりにTh2媒介性応答の存在によって、TNBS誘発性大腸炎と区別される。
【0379】
酢酸誘発性大腸炎
直腸経路を介した希釈酢酸の投与は、げっ歯類において大腸炎を誘発する別の方法である。酢酸を用いた処理は、UCと同様の状態をもたらす結腸粘膜の損傷を引き起こす。[10]MacPherson and Pfeifferは、ラットに10%~50%の酢酸を直腸内に10秒間投与し、続いて管腔を生理食塩水で3回洗い流す、このモデルを実証した最初のものであった。酢酸は、これらのげっ歯類において、遠位結腸の潰瘍及び陰窩異常を含む組織病理学的特徴を有する、用量依存的様式でびまん性大腸炎を引き起こした。4%酢酸を15~30秒間利用した最新の実践。[13]化学物質の低コスト及び投与の容易さは、酢酸誘発性大腸炎モデルの利点はほとんどない。酢酸によって誘導される上皮傷害は、最初の24時間では免疫学的ではない。このように、免疫応答を標的化する薬物は、誘導の24時間後に評価されるべきである。
【0380】
Salmonella誘発性大腸炎
Salmonella typhimurium及びSalmonella Dublinは、食品媒介性腸疾患を引き起こす可能性のあるグラム陰性細菌である。S.typhimuriumをマウスに直接経口投与すると、経口抗生物質を用いた前処理後の腸の炎症の画像に似ることがある全身性感染を引き起こす。前処理は、正常な細菌ミクロフローラを乱すことに役立ち、1日以内にS.typhimuriumの高成長を引き起こす。そのようなコロニー形成によって引き起こされる腸の炎症は、上皮の陰窩損傷及び好中球の浸潤の点で、ヒトUCと同様の組織病理学的特徴を有する。大腸炎の誘発は、感染から5~7日以内に全身性感染を引き起こす。
【0381】
付着侵襲性Escherichia coli
付着侵襲性Escherichia coli(AIEC)は、小腸及び大腸の両方の上皮細胞に等しい親和性で付着し得る。[15]しかしながら、AIEC感染は、それ自体では大腸炎を誘発することはできない。AIEC感染の全過程の間、低用量のDSS投与と併せて感染を使用する動物モデルにおいて結腸炎症が誘導されて、軽度の上皮損傷を引き起こす。プロバイオティクスバイオフィルムを含む腸内ミクロフローラの乱れは、ある特定の抗生物質によって引き起こされ、このことは、日和見性AIECが、IEC及びマクロファージに付着し、侵襲するための理想的な環境の作出をもたらす。このモデルによって誘導される変化は、ヒトUCによく似ている。
【0382】
大腸炎の養子移入モデル
養子移入モデルは、T細胞又は免疫組織を1つのマウスから養子の宿主に移入し、大腸炎の発症をもたらすプロセスを含む。使用されている様々なドナー及び宿主には、以下が含まれる。
重症複合免疫不全症(SCID)マウスに移入されるCD4+T細胞、
T細胞受容体-/-又はSCIDマウスへのhsp60特異的CD8+Tリンパ球、
SCIDマウスへのCD4+CD25-T細胞。
【0383】
養子モデルは、T細胞の恒常性を乱すことによって誘発される慢性大腸炎の十分に特徴付けられたモデルである。これらのモデルは、T細胞の移入に依存するため、異なるT細胞集団がIBDの病因にどのように寄与し得るのかを理解するのに特に有用である。
【0384】
大腸炎の遺伝モデル
遺伝技術の進歩は、それらのバリアントがIBDに対する素因の上昇に関連し得る、複数の遺伝子の開発をもたらした。ゲノムワイド関連研究などのツールは、感受性遺伝子を見分ける。関連する遺伝的バリアントを含有する様々なマウスモデル、又はこれらの新たに同定されたバリアントを組み込むものが、大腸炎に対する遺伝的寄与を更に探索するために使用されている。
【0385】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、±10%を指す。
【0386】
「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、及びそれらの同根語は、「含むが、これに限定されない」を意味する。
【0387】
「からなる(consisting of)」という用語は、「を含み、これに限定する」を意味する。
【0388】
「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、組成物、方法、又は構造が、追加の成分、ステップ、及び/又は部分を含み得るが、追加の成分、ステップ、及び/又は部分が、特許請求される組成物、方法、又は構造の基本的かつ新規な特徴を実質的に変化させない場合にのみであることを意味する。
【0389】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途明確に示さない限り、複数の参照物を含む。例えば、「1つの化合物」又は「少なくとも1つの化合物」という用語は、それらの混合物を含む、複数の化合物を含み得る。
【0390】
本出願全体を通して、本発明の様々な実施形態は、範囲形式で提示され得る。範囲形式の記載は、単に利便性及び簡潔性のためであり、本発明の範囲に関する確固たる限定として解釈するべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の記載は、全ての可能な部分範囲並びにその範囲内の個々の値を具体的に開示しているとみなされるべきである。例えば、1~6などの範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲、並びにその範囲内の個々の数字、例えば、1、2、3、4、5、及び6などを具体的に開示しているとみなされるべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0391】
本明細書で数値範囲が示される場合は常に、表示範囲内の任意の引用数字(分数又は整数)を含むことを意味している。第1の表示数及び第2の表示数の「間の範囲にある/範囲」及び第1の表示数「~」第2の表示数の「範囲にある/範囲」という語句は、本明細書では互換的に使用され、第1及び第2の表示数並びにそれらの間の全ての分数及び整数の数字を含むことを意味する。
【0392】
本明細書で使用される場合、「方法」という用語は、化学、薬理学、生物学、生化学、及び医学分野の実践者によって既知の様式、手段、技法、及び手順から既知であるか、又はそれらから容易に開発される様式、手段、技法、及び手順を含むが、これらに限定されない、所与のタスクを達成するための様式、手段、技法、及び手順を指す。
【0393】
本明細書で使用される場合、「ウイルス侵入メカニズム」という用語は、細胞への侵入を媒介するウイルスタンパク質を指す。ウイルス侵入メカニズムのタンパク質には、付着タンパク質、並びに非エンベロープウイルス及びエンベロープウイルスの細胞への侵入に必要な他のタンパク質が含まれる。異なるウイルスは、異なる侵入タンパク質を使用するが、非エンベロープウイルス及びエンベロープウイルスの両方が、ウイルス侵入の同じ2つの主なステップ及び経路を共有する。(1)細胞表面受容体への付着(2)ウイルス侵入タンパク質又は宿主細胞受容体のコンフォメーション変化、ウイルスの侵入は、細胞膜への浸透(非エンベロープウイルスの場合)又は細胞膜への融合(エンベロープウイルスの場合)のいずれかによって起こり得る(「Virus entry:molecular mechanisms and biomedical applications」,Dimitrov,2004を参照のこと)。
【0394】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で記載される本発明のある特定の特徴はまた、組み合わせられて単一の実施形態で提供され得ることが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で記載される本発明の様々な特徴はまた、別個に、又は任意の適した部分的な組み合わせで、又は本発明の他の任意の記載された実施形態で適しているとして提供され得る。様々な実施形態の文脈で記載されるある特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしでは動作しない場合を除いて、それらの実施形態の本質的な特徴と考慮されるべきではない。
【0395】
本明細書に上記され、以下の特許請求の範囲のセクションで特許請求される本発明の様々な実施形態及び態様は、以下の実施例において実験的裏付けが理解される。
【実施例】
【0396】
ここで、以下の実施例を参照するが、これらは、上記の説明と一緒に、非限定的な様式で本発明のいくつかの実施形態を例示している。
【0397】
実施例1
症例報告
妊娠糖尿病と診断され、グルタミンで治療された34歳の妊婦に、5mlの100%w/vのゴマオイル(2020年9月23日に開始して4日間)を毎日投与し、次いで5mlの100%w/vのゴマオイル(Naissance)及び5mlの100%w/vのNigella sativaオイル(Better Flex)を併用投与した。オイル治療中、グルカミンは投与されなかった。
【0398】
血中グルコースレベル(mg/dL)を示された時間で求めた。
【0399】
【0400】
実施例2
a)イヌ科の対象における血中グルコースの低減.
本発明のコンプレックスDを含有する組成物の経口投与の前後に、イヌ科の対象について試験を実施した。
動物の詳細:シンバ(Simba)、イヌ、メス
病歴/身体検査/他の所見:
試験の種類:血球数及び生化学
【0401】
治療は、血中グルコースを、123mg/dLから、治療開始の2週間後に測定された64mg/dLへ低減させた。
【表31】
【0402】
b)ヒト患者における血中グルコースの低減
インスリンを服用しているI型糖尿病の患者に、本発明の組成物を与えた。本発明の組成物を用いた治療の前に、患者の平均血中グルコースは182mg/dLであった。本発明の組成物を摂取した後に117mg/dLへ、1日後に53mg/dLへ有意に低減した。
【0403】
実施例3:ヒト対象における脱毛症の反転及び体重喪失。
女性を、2~3ヶ月の期間にわたって本発明の混合物を用いて治療し、脱毛の反転及び4kgの体重喪失をもたらした。
【0404】
実施例4
植物構成成分によってウイルス侵入メカニズムタンパク質を破壊するためのアッセイ.
COVID-19は、ウイルス侵入メカニズムの減弱及び改変のモデルとして機能する。COVID-19は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)によって引き起こされる。細胞膜ACE-2受容体は、SARS-CoV-2の付着及び侵入部位である。ACE-2受容体は、ACEと相同性を有するI型膜貫通メタロカルボキシペプチダーゼであり、レニン-アンジオテンシン系(RAS)の鍵となるプレーヤーであることが長い間既知の酵素であり、高血圧の治療のための標的である。SARS-CoV-2は、細胞侵入の受容体としてACE-2を利用するという証拠がある。Zhou et al.は、SARS-CoV-2が、ヒト、中国のカブトコウモリ、ハクビシン、及びブタのACE-2を使用して、ACE-2を発現するHeLa細胞に侵入することができることを示した(Zhou,P.,Yang,XL.,Wang,XG.et al.A pneumonia outbreak associated with a new coronavirus of probable bat origin.Nature 579,270-273(2020)を参照のこと)。受容体認識及び細胞膜融合プロセスにおいて鍵となる役割を果たすSARS-CoV-2のスパイク(S)タンパク質は、2つのサブユニット、S1(120kDa)及びS2(80kDa)から構成される。S1サブユニットは、宿主受容体アンジオテンシン変換酵素2(ACE-2)を認識し、それに結合する受容体結合ドメインを含有する。S2サブユニットは、2つのヘプタッド反復ドメインを介して6つのヘリカルバンドルを形成することによって、ウイルス細胞膜融合を媒介する(Huang,Y.,Yang,C.,Xu,Xf.et al.Structural and functional properties of SARS-CoV-2 spike protein:potential antivirus drug development for COVID-19.Acta Pharmacol Sin 41,1141-1149(2020)を参照のこと)。S1及びS2サブユニットの機能に干渉し、減衰させ、損なわせることは、最終的に、ウイルスを減衰させ、損なわせ、感染性が低いウイルスをもたらす。
【0405】
なお、ウイルス感染性におけるその役割に加えて、ACE2はまた、一般的に炎症において役割を果たし得ることに留意されたい。ACE2はAng1-7を作成し、これは、ACE誘導性Ang IIの血管収縮性、炎症促進性、及び凝固促進性効果を相殺する上で重要な役割を果たす。
【0406】
ウイルスタンパク質の消化アッセイ
以下の全てのウイルスタンパク質の消化アッセイで使用される材料を、表1に開示する。
【表32】
【0407】
試験された植物ベースの治療の各々を、表2に開示されるように番号付けし、試験された組み合わせコンプレックスを、表3に開示されるように分類した。
【表33】
【表34】
【0408】
オイル混合物を、等量の各オイルを混合することによって調製した。次いで、ミックスを、DMSOを用いて1:2で希釈して、50%DMSO、50%オイルミックスの溶液を取得し、最終反応濃度は5%オイルミックス、5%DMSOであった。
【0409】
各アッセイ反応について、反応当たり1μgのタンパク質を、30μlの最終反応体積で3μlのオイル混合物とインキュベートした。反応物を37℃で6時間インキュベートした。
【0410】
インキュベーション後、サンプル緩衝液4Xの10μl/反応を添加し、72℃で10分間インキュベーションすることによって、反応を停止させた。次いで、サンプルを4~15%TGX Criterion Gel(BIORAD)で50分間、200ボルトでランした。ラン後、ゲルをInstant Blue試薬(Expedeon)と1時間インキュベートし、区別できるバンドが観察されるまで水で更に洗浄した。
【0411】
デンシトメトリーを事前に形成させ、画像をImageJソフトウェアで分析した。
【0412】
タンパク質の消化アッセイは、表4に開示されるように実施した。SARS-CoV-2 S1サブユニット、SARS-CoV-2 S2サブユニット、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質、及びタンパク質を含まない陰性対照を、異なる植物オイル又は組み合わせと37℃で6時間インキュベートし、その後に、SDS-pageをランし、ゲル中のタンパク質の存在について「instant blue」を用いて染色した。未処理の対照は、予想される分子量に現れ、異なる処理の効果をこの対照と比較した(
図2~4を参照のこと)。プロテアーゼのプロテイナーゼKを用いた処理後、タンパク質の有意な消失が観察された。
【0413】
SARS-CoV-2 S1サブユニット、SARS-CoV-2 S2サブユニット、SARS-CoV-2、及びヌクレオカプシドタンパク質のアッセイのデンシトメトリーは、ヌクレオカプシドタンパク質が、プロテインK処理と比較して、試験した処理のいずれでもほとんど又は全く消化を受けなかったが、2つのSARS-CoV-2サブユニットS1及びS2が実質的な消化を受けたことを開示している(それぞれ、
図5~7を参照のこと)。
【0414】
結論として、ウイルスタンパク質の消化アッセイは、ヌクレオカプシドタンパク質を破壊することなく、S1及びS2サブユニットの有意な消化があることを実証している。
【0415】
組換えSARS-Cov-2 S1サブユニット
アイテム1+2+3+4(コンプレックスB)から等体積から調製されたミックスとのタンパク質のインキュベーション後、26%のタンパク質シグナルの減少が観察された。
【0416】
組換えSARS-Cov-2 S2サブユニットタンパク質
アイテム1+2+3+4(コンプレックスB)から等体積から調製されたミックスとのタンパク質のインキュベーション後、19%のタンパク質シグナルの減少が観察された。
【0417】
アイテム1+2+3+4+5(コンプレックスC)から等体積から調製されたミックスとのタンパク質のインキュベーション後、27%のタンパク質シグナルの減少が観察された。
【0418】
アイテム1+2+3+4+5+6(コンプレックスD)から等体積から調製されたミックスとのタンパク質のインキュベーション後、47%のタンパク質シグナルの減少が観察された。
【0419】
スパイクタンパク質のS1及びS2サブユニットの両方のこれらの有意な消化率は、その後のコロナウイルスの細胞付着及び内在化メカニズムの減衰をもたらす可能性が高い。ウイルスの細胞付着及び内在化メカニズムを減弱させることは、侵入メカニズム、疾患レベル、及びウイルス負荷が、感染した対象において低減され得るか、又は感染していない対象が感染することを予防することができることは明らかである。その後に、ウイルス媒介性又は/及び誘発された炎症性、並びにウイルス媒介性又は/及び誘発された真性糖尿病(1型又は2型)発症は低減され得る。
【0420】
本明細書で参照される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、あたかも各個別の刊行物、特許、又は特許出願が、参照により本明細書に組み込まれることが言及された場合に具体的かつ個別に示されるように、参照により本明細書に組み込まれることが出願人(複数可)の意図である。加えて、本出願における任意の参考文献の引用又は識別は、そのような参考文献が本発明の先行技術として利用可能であることを認めるものと解釈されるべきではない。セクションの見出しが使用されている限りにおいて、それらは必ずしも限定的であると解釈されるべきではない。加えて、本出願の任意の優先権文書(複数可)は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0421】
実施例5-症例報告体重喪失
女性を本発明の混合物で治療した。
【0422】
最大17日以内に、彼女は5kg喪失した。
【0423】
80kgの体重を有するイスラエルからのボランティアであるRonitは、本発明の組成物を摂取した後2週間で3kg喪失した。
【0424】
イスラエルからの別のボランティアであるInbarは、本発明の組成物を摂取した後6週間で74kgから68kgになった。
【0425】
実施例6-症例報告認知症
男性を、カルバクロール、チモール、nigella sativa、スマック、ゴマ、Boswellia Sacra、及びそれらの組み合わせのうちの1種以上を含む1種以上のエッセンシャルオイルを含む本発明の混合物で治療した。
【0426】
治療の最初の3週間以内に、患者は認知能力、及びスピーチコミュニケーションにおいて非常に有意な改善を示した-彼は、2年間の沈黙後のコミュニケーション、デバイスの認識、リラックスした気分及び笑顔を始めた。可動性-6ヶ月間の着座後、歩き始めた。活力-彼の顔の色及び彼の目が戻ってきた。
【0427】
実施例7-症例報告認知症及び貧血並びにタンパク質及び鉄の増加並びに血液結果
老人科医により、「混乱」状態及び無関心と診断されたアルツハイマー病を3年間有する80代前半の女性を、本発明の混合物で治療した。
【0428】
治療の最初の21日以内に、患者は彼女の認知能力の非常に有意な改善を実証した。彼女が彼女自身の世界にいた治療を受ける前は、あまり話さず、食欲もなかった。最初の3週間以内に、彼女はより多く話し、隣人に、こんばんは及びおはようと挨拶し、彼女の娘の外見についてコメントし、より頻繁に連絡を取るように彼女に頼み、より多く笑い、質問をし、ケアホームの活動により興味を持ち始め、3年ぶりに自分のコーヒーを準備した。彼女の呼吸は良くなり、また、シャワーにおいて椅子の助けを借りずに長く立つことができた。
【0429】
加えて、彼女の血液の結果における変化には、以下が含まれる(最初の数字は治療前、2番目の数字は治療後である)。
WBC:7.2→8|RBC:3.82→4.17|ヘモグロビン:10.9→11.6|ヘマトクリット:34.7→37.2|タンパク質5.8→6.3|Fe-鉄:39→53|
【0430】
実施例8-症例報告認知症
アルツハイマー病と診断された女性を、本発明の組成物で治療した。
【0431】
治療を受ける前、患者は全く合理的に話さなかった。治療の最初の21日以内に、女性は彼女の環境をより意識するようになった。例えば、彼女の息子が彼女の写真を撮ったとき、彼女は「私は写真を撮られていますか?」又は「なぜ、あなたは動揺しているのですか」と尋ねた。彼女はまた、治療の開始前よりもはるかに良い睡眠を取り始めた。
【0432】
実施例9
Kinnertという名前の女性を、本発明の組成物で治療した。
【0433】
以下の症候は有意に改善しているー数字は、0~10で彼女の主観的感覚を反映しており、ここで、10が最も重症である。数字は、治療前日、治療の初日、2日目、3日目をそれぞれ反映している。
頭痛:10,7,4,4|喉の痛み:8,5,2,2|下痢:2,0,0,0|吐き気:10,0,0,1
嘔吐:10,0,0,0|筋肉痛:10,8,3,4|疲労:10,7,5|嗅覚及び味覚の喪失:6,3,1,1|鼻水:4,3,2,1|聴覚の問題:8,6,6,5|短期記憶喪失の問題:8,6,6,5
【0434】
実施例10
Covid陽性と試験されたGiladという名前の男性を、本発明の混合物で治療した。
【0435】
治療の開始から24時間後、彼のCovid19試験は陰性であった。
【0436】
以下の症候は有意に改善しているー数字は、0~10で彼女の主観的感覚を反映しており、ここで、10が最も重症である。数字は、治療前日、治療の初日、2日目、3日目をそれぞれ反映している。
頭痛:8,7,6,6
下痢:6,0,0,0
筋肉痛:8,7,5,5
疲労及び疲れ:8,7,6,5
記憶喪失:7,5,5,5
ふらつき:8,5,5,5
集中力:7,5,5,5
【0437】
実施例11
Covid陽性と試験されたUriという名前の男性を、本発明の混合物で治療した。
【0438】
治療の開始から24時間後、彼のCovid19試験は陰性であった。
【0439】
以下の症候は有意に改善しているー数字は、0~10で彼女の主観的感覚を反映しており、ここで、10が最も重症である。数字は、治療前日、治療の初日、2日目、3日目をそれぞれ反映している。
発熱:37.8,36.5,36.5
重度の咳8,5,4
頭痛5,0,0
喉の痛み5,0,0
筋肉痛9,0,0
疲労及び疲れ:7,3,2
味覚及び嗅覚の喪失:10,4,2
睡眠不足2,0
【0440】
実施例12-不規則な皮膚色素沈着/そばかすの減少
イスラエル人は、本発明の組成物の適用後、日光及び老化に誘導された顔のそばかすの顕著な減少を示す。
【0441】
実施例13-マンゴー及び睡眠
慢性不眠症に罹患している患者に、マンゴーの抽出物と組み合わせた本発明の組成物の混合物を与えた。患者は、本発明の組成物を摂取した後、6時間睡眠したと報告した。
【0442】
実施例14ー血中鉄レベル、グルコース、ビタミンD、及び/又はC反応性タンパク質の調節
【0443】
【0444】
【0445】
【0446】
【0447】
【0448】
【0449】
慢性の肺疾患を有する患者7に、本発明の組成物を与えた。
【表41】
【0450】
【手続補正書】
【提出日】2024-05-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Nigella sativa、Thymus、Origanum、及びRhus coriariaの抽出物を含む、炎症性疾患又は炎症に関連する状態の治療のための医薬組成物又は食品サプリメント。
【請求項2】
前記医薬組成物又は食品サプリメントが、チモキノン又はその類似体、チモール又はその類似体、カルバクロール又はその類似体、ブロメライン又はその類似体、トリプトファン又はその類似体のうちの少なくとも1種を含む、請求項1に記載の医薬組成物又は食品サプリメント。
【請求項3】
前記炎症性疾患が、自己免疫疾患を含む、請求項1又は2に記載の医薬組成物又は食品サプリメント。
【請求項4】
前記炎症性疾患が、急性の炎症性疾患を含む、請求項1又は2に記載の医薬組成物又は食品サプリメント。
【請求項5】
前記炎症性疾患が、I型、II型、又は妊娠糖尿病を含む、請求項1又は2に記載の医薬組成物又は食品サプリメント。
【請求項6】
前記炎症性疾患が、橋本病、グレーブス病、甲状腺腫疾患、甲状腺結節疾患、過敏性腸症候群、クローン病、大腸炎、胃炎、消化不良、アレルギーの、カンジダ症、風邪関連障害、コレステロール障害、脱毛、うつ病、ホルモン障害、肥満、及びそれらのいずれかの組み合わせから選択される、請求項1又は2に記載の医薬組成物又は食品サプリメント。
【請求項7】
前記医薬組成物又は食品サプリメントが、ローズの葉 Micromeria fruticose、Salvia、cymbopgon(シトラール)、Aloysia、verbena officinalis、origanum majorana、及び/又はmentheを含む「ベドウィンティー(Beduin Tea)」を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物又は食品サプリメント。
【請求項8】
前記医薬組成物又は食品サプリメントが、セージ、カルダモン、シナモン、ブラックティー、ハブク(habuk)、及び/又はマルマヤ(Marmaya)を含む「ベドウィンティー(Beduin Tea)」を更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物又は食品サプリメント。
【請求項9】
医薬組成物又は食品サプリメントが、Sesamum indicum、Gynostemma pentaphyllum、Boswellia sacra、及びPanax ginsengのうちの少なくとも1種を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物又は食品サプリメント。
【請求項10】
第1の処方された期間に患者に投与される1日当たり5mlの100%w/vのゴマオイル;並びに第2の処方された期間共投与される、1日当たり5mlの前記ゴマオイル100%w/v、及び1日当たり5mlの100%w/vのNigella Sativaオイルを含む、患者における妊娠糖尿病を治療し、血中グルコースレベルを低下させるための医薬組成物又は食品サプリメント。
【請求項11】
前記第1の処方された期間が4日間であり、前記第2の処方された期間が18日間である、請求項10に記載の医薬組成物又は食品サプリメント。
【請求項12】
Nigella sativa、Thymus、Origanum、及びRhus coriariaの抽出物を含み、1日当たり2~15、好ましくは5~10、より好ましくは8滴の前記の医薬組成物又は食品サプリメントが患者に2~3ヶ月の処方された期間投与される、患者における脱毛症及び/又は体重喪失を反転させるための医薬組成物又は食品サプリメント。
【請求項13】
前記抽出混合物が、チモキノン、チモール、カルバクロール、ブロメライン、並びにトリプトファン、又はトリプトファン及びその類似体を含有する植物の抽出物から選択される化合物を更に含む、請求項12に記載の医薬組成物又は食品サプリメント。
【請求項14】
前記炎症が、前記ウイルス感染によって誘発される、請求項1又は2に記載の医薬組成物又は食品サプリメント。
【請求項15】
Nigella sativa、Thymus、Origanum、及びRhusの抽出物を含む、医薬組成物又は食品サプリメント。
【請求項16】
請求項15に記載の医薬組成物又は食品サプリメントを含む、コレステロールを低減させるための医薬組成物又は食品サプリメント。
【請求項17】
請求項15に記載の医薬組成物又は食品サプリメントを含む、血中グルコースレベルを低下させるための医薬組成物又は食品サプリメント。
【請求項18】
請求項15に記載の医薬組成物又は食品サプリメントを含む、血液中のアルブミン、アルカリホスファターゼ カルシウム、鉄、カリウム、及びビタミンDのうちの少なくとも1種を調節するための医薬組成物又は食品サプリメント。
【請求項19】
請求項15に記載の医薬組成物又は食品サプリメントを含む、C反応性タンパク質を調節するための医薬組成物又は食品サプリメント。
【請求項20】
請求項15に記載の医薬組成物又は食品サプリメントを含む、RBCヘマトクリット、ヘモグロビン、及び血小板のうちの少なくとも1種を調節するための医薬組成物又は食品サプリメント。
【請求項21】
マンゴー植物又は果実、ジンセン、パイナップル果実の抽出物、トリプトファン、シリビン、ミルクシスルの抽出物、カモミール、アニス、スターアニス、α-ビサボール、リナロール、ラベンダーの抽出物、ベルガモットの抽出物、ローズウッドの抽出物、バジルの抽出物、ネロリオイルの抽出物、ターメリック又はその抽出物、マンゴージンジャー又はその抽出物、及びクルクミンのうちの少なくとも1種を更に含む、請求項15に記載の医薬組成物。
【国際調査報告】