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特表2024-536839非移植CD8除去同種ドナーリンパ球輸注の有効性を高め、毒性を低減する方法および組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】非移植CD8除去同種ドナーリンパ球輸注の有効性を高め、毒性を低減する方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/15 20150101AFI20241001BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20241001BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20241001BHJP
   C12N 5/078 20100101ALI20241001BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20241001BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20241001BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 31/7076 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 31/7056 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
A61K35/15
C12N5/10
C12N5/0783
C12N5/078
C12N15/113 Z
C12N15/113 130Z
C12N15/113 120Z
C12N15/113 140Z
C12N15/09 110
C12N15/09 100
A61K35/17
A61P35/00
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61P37/04
A61P37/02
A61P37/06
A61P7/00
A61P35/02
A61K45/00
A61K45/06
A61K31/675
A61K31/7076
A61K31/7056
A61P15/00
A61P11/00
A61K39/395 U
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518590
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 US2022045241
(87)【国際公開番号】W WO2023055942
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】63/250,061
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/287,890
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/332,616
(32)【優先日】2022-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501335771
【氏名又は名称】ザ・ジョンズ・ホプキンス・ユニバーシティ
(71)【出願人】
【識別番号】524110621
【氏名又は名称】イユーダ セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100174001
【弁理士】
【氏名又は名称】結城 仁美
(72)【発明者】
【氏名】エフライム フックス
(72)【発明者】
【氏名】ロバート イー テナント
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AB01
4B065AC12
4B065AC20
4B065BA01
4B065CA44
4C084AA19
4C084AA22
4C084AA23
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA06
4C084NA07
4C084ZA511
4C084ZA512
4C084ZA591
4C084ZA592
4C084ZA811
4C084ZA812
4C084ZB071
4C084ZB072
4C084ZB081
4C084ZB082
4C084ZB091
4C084ZB092
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C084ZC412
4C084ZC75
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA38
4C086EA11
4C086EA18
4C086MA02
4C086MA03
4C086NA05
4C086NA06
4C086NA07
4C086ZA51
4C086ZA59
4C086ZA81
4C086ZB07
4C086ZB08
4C086ZB09
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC41
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB37
4C087BB64
4C087BB65
4C087MA02
4C087NA05
4C087NA06
4C087NA07
4C087ZA51
4C087ZA59
4C087ZA81
4C087ZB07
4C087ZB08
4C087ZB09
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZC41
4C087ZC75
(57)【要約】
本明細書で提供されるのは、非移植CD8除去同種ドナーリンパ球輸注の有効性を増強し、毒性を低減する方法および組成物である。組成物は、(i)レシピエント対象に対するドナー対レシピエント(移植片対宿主)方向で、少なくとも1つのヒト白血球抗原(HLA)クラスII対立遺伝子ミスマッチについてレシピエント対象とミスマッチしているか、または(ii)レシピエント対象に対するドナー対レシピエント(移植片対宿主)方向で少なくとも1つのヒト白血球抗原(HLA)クラスII対立遺伝子ミスマッチについてミスマッチし、少なくとも1つのヒト白血球抗原(HLA)クラスII対立遺伝子についてレシピエントとマッチし、レシピエント対象に存在する抗原に対しCD4+T細胞免疫を有する、ドナー対象から得られた単離された白血球を含んでいる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドナー対象から得られ、レシピエント対象に対するドナー対レシピエント(移植片対宿主)方向で、少なくとも1つのヒト白血球抗原(HLA)クラスII対立遺伝子についてレシピエント対象とミスマッチしている複数の単離された白血球を含んでいる医薬組成物であって、
前記白血球は、CD8+T細胞が、未除去の白血球と比較して約10分の1以上除去されており、
前記白血球は、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)、インターロイキン2誘導性T細胞キナーゼ(ITK)、ホスホイノシチド3キナーゼのデルタアイソフォーム(PI3Kδ)、helios、blimp1、SOCS1、GATA3、IL-10、STAT3、TOX、CD25、foxp3、Ezh2、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-αまたはそれらの組み合わせを抑制するように改変されている、医薬組成物。
【請求項2】
同種ドナー対象から得られた複数の単離された白血球を含んでいる医薬組成物であって、前記ドナーのCD4+T細胞が、レシピエント対象に存在する抗原によりin vivoまたはex vivoで刺激されており、前記ドナー対象は、前記レシピエントに対して少なくとも1つのHLAクラスII対立遺伝子マッチを含んでおり、
前記白血球は、CD8+T細胞が、未除去の白血球と比較して約10分の1以上除去されており、
前記白血球は、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)、インターロイキン2誘導性T細胞キナーゼ(ITK)、ホスホイノシチド3キナーゼのデルタアイソフォーム(PI3Kδ)、helios、blimp1、SOCS1、GATA3、IL-10、STAT3、TOX、CD25、foxp3、Ezh2、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-αまたはそれらの組み合わせを抑制するように改変されている、医薬組成物。
【請求項3】
ドナー対象から得られ、(i)レシピエント対象に対するドナー対レシピエント(移植片対宿主)方向で、少なくとも1つのHLAクラスII対立遺伝子ミスマッチについてレシピエント対象とミスマッチしており、(ii)前記ドナーのCD4+T細胞が、レシピエント対象に存在する抗原によってin vivoまたはex vivoで刺激されており、前記ドナー対象は、前記レシピエントに対して少なくとも1つのヒト白血球HLAクラスII対立遺伝子マッチを含んでいる、複数の単離された白血球を含んでいる医薬組成物であって、
前記白血球は、CD8+T細胞が、未除去の白血球と比較して約10分の1以上除去されており、
前記CD4+T細胞の少なくとも一部は、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)、インターロイキン2誘導性T細胞キナーゼ(ITK)、ホスホイノシチド3-キナーゼのΔアイソフォーム(PI3Kδ)、helios、blimp1、SOCS1、GATA3、IL-10、STAT3、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、TOX、CD25、foxp3、Ezh2またはそれらの組み合わせの活性を阻害するように改変されている、医薬組成物。
【請求項4】
前記T細胞の少なくとも一部が、T1 CD4+T細胞に分化している、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記T細胞が、BTKの阻害によってT1 CD4+T細胞分化に偏っている、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記T細胞が、ITKの阻害によってT1 CD4+T細胞分化に偏っている、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記T細胞が、PI3Kδの阻害によってT1 CD4+T細胞分化に偏っている、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記T細胞が、Foxp3の阻害によってT1 CD4+T細胞分化に偏っている、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記T細胞が、GATA3の阻害によってT1 CD4+T細胞分化に偏っている、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記T細胞が、STAT3の阻害によってT1 CD4+T細胞分化に偏っている、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記T細胞が、CD25の阻害によってT1 CD4+T細胞分化に偏っている、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記T細胞が、Ezh2の阻害によってT1 CD4+T細胞分化に偏っている、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記T細胞が、BTKおよびITKの両方の阻害によってT1 CD4+T細胞分化に偏っている、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記T細胞が、BTKおよびPI3Kδの両方の阻害によってT1 CD4+T細胞分化に偏り、制御性T細胞分化に逆らっている、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記T細胞が、ITKおよびPI3Kδの両方の阻害によってT1 CD4+T細胞分化に偏り、制御性T細胞分化に逆らっている、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記T細胞が、BTK、ITKおよびPI3Kδの阻害によってT1 CD4+T細胞分化に偏り、制御性T細胞分化に逆らっている、請求項3~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
BTK、ITKおよびPI3Kδ、helios、blimp1、SOCS1、GATA3、IL-10、STAT3、TOX、CD25、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、foxp3またはEzh2が、阻害剤または遺伝子改変によって阻害されている、請求項1~16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記BTKの阻害剤がアカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、LFM-A13、ダサチニブまたはAVL-292である、請求項1~5、13、14、16または17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記BTKの阻害剤がイブルチニブではない、請求項1~5、13、14、16または17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記ITKの阻害剤がアミノチアゾール、アミノベンズイミダゾール、インドール、ピリジンまたはprn694である、請求項1~4、6、13または15~17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記PI3Kδの阻害剤がイデラリシブ、コパンリシブ、デュベリシブ、ウンブラリシブ、ME-4401、RP6503、ペリホシン、ブパリシブまたはダクトリシブである、請求項1~4、7または14~17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記ITKの阻害剤、BTKの阻害剤、PI3Kδの阻害剤、Heliosの阻害剤、Blimp1の阻害剤、SOCS1の阻害剤、Foxp3の阻害剤、TGF-β受容体IIの阻害剤、LAG-3の阻害剤、PD-1の阻害剤、TNF-αの阻害剤、GATA3の阻害剤、IL-10の阻害剤、STAT3の阻害剤、CD25の阻害剤、Ezh2の阻害剤またはTOXの阻害剤が、低分子、低分子干渉RNA(siRNA)またはショートヘアピンRNA(shRNA)である、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項23】
BTK、ITK、PI3Kδ、Helios、Blimp1、SOCS1、Foxp3、GATA3、IL-10、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、STAT3、Ezh2、CD25またはTOXが、BTK遺伝子、ITK遺伝子、PI3Kδ遺伝子、Helios遺伝子、Blimp1遺伝子、SOCS1遺伝子、Foxp3遺伝子、TGF-β受容体II遺伝子、LAG-3遺伝子、PD-1遺伝子、TNF-α遺伝子、GATA3遺伝子、IL-10遺伝子、STAT3遺伝子、Ezh2遺伝子、CD25遺伝子またはTOX遺伝子をゲノムから欠失させることによって阻害される、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記BTK遺伝子、ITK遺伝子、PI3Kδ遺伝子、Helios遺伝子、Blimp1遺伝子、SOCS1遺伝子、Foxp3遺伝子、TGF-β受容体II遺伝子、LAG-3遺伝子、PD-1遺伝子、TNF-α遺伝子、GATA3遺伝子、IL-10遺伝子、STAT3遺伝子、Ezh2遺伝子、CD25遺伝子またはTOX遺伝子が、CRISPRまたはTALENを用いてゲノムから欠失される、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記T細胞の制御性T細胞への分化が、阻害剤または遺伝子改変によって減弱される、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記T細胞の制御性T細胞への分化が、PI3Kδ、Foxp3、CD25またはEzh2の阻害によって減弱される、請求項25のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
PI3Kδ、Foxp3、CD25またはEzh2が、PI3Kδ阻害剤、Foxp3阻害剤、CD25阻害剤もしくはEzh2阻害剤または遺伝子改変によって阻害される、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記PI3Kδ阻害剤がイデラリシブ、コパンリシブ、デュベリシブ、ウンブラリシブ、ME-4401、RP6503、ペリホシン、ブパリシブまたはダクトリシブである、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記遺伝子改変が、PI3Kδ遺伝子、Foxp3遺伝子、CD25遺伝子またはEzh2遺伝子の欠失を含んでいる、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記T細胞の制御性T細胞への分化または制御性T細胞の機能が、BTK、ITK、PI3Kδ、Helios、Blimp1、SOCS1、Foxp3、GATA3、IL-10、STAT3、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、Ezh2、CD25またはTOXに対する低分子、低分子干渉RNA(siRNA)またはショートヘアピンRNA(shRNA)を用いて減弱される、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記T細胞の制御性T細胞への分化または制御性T細胞の機能が、前記ドナー対象から得られた単離された白血球をドミナントネガティブなトランスフォーミング増殖因子βRII受容体を発現するように改変することにより減弱される、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記T細胞のT2細胞への分化またはT2細胞としての機能が、阻害剤または遺伝子改変によって減弱される、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記T細胞のT2細胞への分化またはT2細胞としての機能が、GATA3の阻害によって減弱される、請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記T細胞のT17細胞への分化またはT17細胞としての機能が、STAT3の阻害によって減弱される、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記HLAクラスIIマッチが、HLA-DRB1対立遺伝子、HLA-DQB1対立遺伝子またはHLA-DPB1対立遺伝子である、請求項2~34のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項36】
骨髄系細胞の活性化が阻害されている、請求項1~35のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項37】
骨髄系細胞の活性化が、BTK、ITK、PI3Kδ、Helios、Blimp1、SOCS1、Foxp3、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、GATA3、IL-10、STAT3またはTOXの阻害によって阻害されている、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項38】
BTKが、CD4+T細胞において、BTKの基底活性と比較して少なくとも約50%阻害されている、請求項1~5、13、14、16~19または22~24のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項39】
CD4+T細胞におけるITKが、ITKの基底活性と比較して少なくとも約50%阻害されている、請求項1~4、6、13、15~17、20または22~24のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項40】
PI3Kδが、PI3Kδの基底活性と比較して少なくとも約50%阻害されている、請求項1~4、7、14~17または21~24のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項41】
阻害されたITK、BTK、またはPI3Kδの量がウェスタンブロットにより測定される、請求項38~40のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項42】
IFNγまたはIL-12の発現が、BTK、ITK、PI3Kδ、Helios、Blimp1、SOCS1、Foxp3、GATA3、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、IL-10、STAT3、CD25、Ezh2またはTOXを抑制するように改変されていない白血球と比較して、少なくとも約10倍増加する、請求項1~41のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項43】
TGFβまたはIL-10の発現が、BTK、ITK、PI3Kδ、Helios、Blimp1、SOCS1、Foxp3、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、GATA3、IL-10、STAT3、CD25、Exh2またはTOXを抑制するように改変されていない白血球と比較して、少なくとも約10分の1に減少する、請求項1~42のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項44】
a)(i)レシピエント対象に対するドナー対レシピエント(移植片対宿主)方向で、少なくとも1つのHLAクラスII対立遺伝子についてレシピエント対象とミスマッチしており、(ii)レシピエント対象に存在する抗原に対しCD4+T細胞免疫を有する末梢血液細胞組成物を得ることであって、前記ドナー対象は前記レシピエントに対して少なくとも1つのHLAクラスII対立遺伝子マッチを含んでいる、ことと、
b)前記末梢血液細胞組成物から白血球を単離することと、
c)前記白血球中のCD8+T細胞の数を、未除去の白血球と比較して少なくとも10分の1以上除去することと、
d)ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)、インターロイキン2誘導性T細胞キナーゼ(ITK)、ホスホイノシチド3キナーゼのデルタアイソフォーム(PI3Kδ)、helios、blimp1、SOCS1、GATA3、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、IL-10、STAT3、TOX、CD25、foxp3、Ezh2またはそれらの組み合わせを抑制することとを含む、同種リンパ球組成物を製造する方法。
【請求項45】
T細胞の少なくとも一部のT1 CD4+T細胞への分化を促進する、またはCD4+ T1細胞を分化状態に維持するための処理をさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記白血球をin vitroで培養することをさらに含む、請求項44または45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記白血球をex vivoで培養することをさらに含む、請求項44または45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
1つまたは複数の追加のサイトカインを加えることをさらに含む、請求項44~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記1つまたは複数の追加のサイトカインがIL-2、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、IFNγまたはIL-21である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
1つまたは複数の抗体を加えることをさらに含む、請求項44~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記1つまたは複数の抗体が抗IL3抗体、抗IL-4抗体、抗CD3抗体、抗CD200抗体または抗CD28抗体である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記T細胞が、BTKの阻害によってT1 CD4+T細胞の分化または機能に偏る、請求項44~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記T細胞が、ITKの阻害によってT1 CD4+T細胞の分化または機能に偏る、請求項44~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記T細胞が、PI3Kδの阻害によってT1 CD4+T細胞の分化または機能に偏る、請求項44~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記T細胞が、BTKとITKの両方の阻害によってT1 CD4+T細胞の分化または機能に偏る、請求項44~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記T細胞が、BTKおよびPI3Kδの両方の阻害によってT1 CD4+T細胞の分化または機能に偏る、請求項44~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記T細胞が、ITKおよびPI3Kδの両方の阻害によってT1 CD4+T細胞の分化または機能に偏る、請求項44~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記T細胞が、BTK、ITKおよびPI3Kδの阻害によってT1 CD4+T細胞の分化または機能に偏る、請求項44~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記T細胞が、Helios、Blimp1、SOCS1、Foxp3、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、GATA3、IL-10、STAT3、TOXまたはそれらの組み合わせの阻害によって、T1 CD4+T細胞の分化または機能に偏る、請求項44~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
BTK、ITK、PI3Kδ、Helios、Blimp1、SOCS1、Foxp3、GATA3、IL-10、STAT3、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、TOXまたはそれらの組み合わせが、阻害剤または遺伝子改変によって阻害される、請求項44~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記BTKの阻害剤がアカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、LFM-A13、ダサチニブまたはAVL-292である、請求項44~52、55、56、58または59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記BTKの阻害剤がイブルチニブではない、請求項44~52、55、56、58、59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記ITKの阻害剤がアミノチアゾール、アミノベンズイミダゾール、インドール、ピリジンまたはprn694である、請求項44~51、53、55、57、58または59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記PI3Kδの阻害剤がイデラリシブ、コパンリシブ、デュベリシブ、ウンブラリシブ、ME-4401、RP6503、ペリホシン、ブパリシブまたはダクトリシブである、請求項44~51、54、55、56、57、58または59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記ITKの阻害剤、BTKの阻害剤、PI3Kδの阻害剤、Heliosの阻害剤、Blimp1の阻害剤、SOCS1の阻害剤、Foxp3の阻害剤、GATA3の阻害剤、IL-10の阻害剤、STAT3の阻害剤、CD25の阻害剤、Ezh2の阻害剤、TGF受容体の阻害剤、LAG-3の阻害剤、PD-1の阻害剤、TNF-αの阻害剤、TOXの阻害剤またはそれらの組み合わせが、低分子、低分子干渉RNA(siRNA)またはショートヘアピンRNA(shRNA)である、請求項44~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
BTK、ITK、PI3Kδ、Helios、Blimp1、SOCS1、Foxp3、GATA3、IL-10、STAT3、CD25、Ezh2またはTOXが、BTK遺伝子、ITK遺伝子、PI3Kδ遺伝子、Helios遺伝子、Blimp1遺伝子、SOCS1遺伝子、Foxp3遺伝子、GATA3遺伝子、IL-10遺伝子、STAT3遺伝子、TOX遺伝子、CD25遺伝子、TGF-β受容体II遺伝子、LAG-3遺伝子、PD-1遺伝子、TNF-α遺伝子またはEzh2遺伝子をゲノムから欠失させることによって阻害される、請求項44~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記BTK遺伝子、ITK遺伝子、PI3Kδ遺伝子、Helios遺伝子、Blimp1遺伝子、SOCS1遺伝子、Foxp3遺伝子、GATA3遺伝子、TGF-β受容体II遺伝子、LAG-3遺伝子、PD-1遺伝子、TNF-α遺伝子、IL-10遺伝子、STAT3遺伝子、TOX遺伝子、CD25遺伝子またはEzh2遺伝子が、CRISPRまたはTALENを用いてゲノムから欠失される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記T細胞の制御性T細胞への分化または制御性T細胞としての機能が減弱される、請求項44~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記T細胞の制御性T細胞への分化または制御性T細胞としての機能が、阻害剤または遺伝子改変によって減弱される、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記T細胞の制御性T細胞への分化または制御性T細胞としての機能が、PI3Kδの阻害によって減弱される、請求項68または69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
PI3Kδが、PI3Kδ阻害剤または遺伝子改変によって阻害される、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記PI3Kδ阻害剤がイデラリシブ、コパンリシブ、デュベリシブ、ウンブラリシブ、ME-4401、RP6503、ペリホシン、ブパリシブまたはダクトリシブである、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記遺伝子改変が、CD25、foxp3またはEzh2の遺伝子の欠失を含んでいる、請求項69に記載の方法。
【請求項74】
前記T細胞の制御性T細胞への分化または制御性T細胞としての機能が、CD25、foxp3またはEzh2に対する低分子、低分子干渉RNA(siRNA)またはショートヘアピンRNA(shRNA)によって減弱される、請求項69に記載の方法。
【請求項75】
前記ドナー対象から得られた単離された白血球をドミナントネガティブなトランスフォーミング増殖因子βRII受容体を発現するように改変することにより、前記T細胞の制御性T細胞への分化または制御性T細胞としての機能が減弱される、請求項69に記載の方法。
【請求項76】
前記HLAクラスII対立遺伝子ミスマッチが、ドナー対レシピエント(移植片対宿主)方向でHLA-DRB1対立遺伝子、HLA-DQB1対立遺伝子またはHLA-DPB1対立遺伝子である、請求項44~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記HLAクラスIIマッチが、HLA-DRB1対立遺伝子、HLA-DQB1対立遺伝子またはHLA-DPB1対立遺伝子である、請求項44~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
骨髄系細胞の活性化が阻害される、請求項44~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
骨髄系細胞の活性化が、BTK、ITKまたはPI3Kδの阻害によって阻害される、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
BTKが、CD4+T細胞において、BTKの基底活性と比較して少なくとも約50%阻害される、請求項44~52、55、56、58、59、61、62または65~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
CD4+T細胞におけるITKが、ITKの基底活性と比較して少なくとも約50%阻害される、請求項44~51、53、55、57、58、59、63または65~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
PI3Kδが、PI3Kδの基底活性と比較して少なくとも約50%阻害される、請求項44~51、53、55、57、58、59、64、65~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
阻害されたITK、BTKまたはPI3Kδの量がウェスタンブロットにより測定される、請求項80~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
IFNγまたはIL-12の発現が、BTK、ITK、PI3Kδ、Helios、Blimp1、SOCS1、Foxp3、GATA3、IL-10、STAT3、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、TOXまたはそれらの組み合わせを抑制するように改変されていない白血球と比較して、少なくとも約10倍増加する、請求項44~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
TGFβまたはIL-10の発現が、BTK、ITK、PI3Kδ、Helios、Blimp1、SOCS1、Foxp3、GATA3、IL-10、STAT3、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、TOXまたはそれらの組み合わせを抑制するように改変されていない白血球と比較して、少なくとも約10分の1に減少する、請求項44~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
IFNγ、IL-12、TGFβまたはIL-10の量が、細胞内サイトカイン染色またはELISAによって測定される、請求項84~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記T細胞のT2細胞への分化またはT細胞のT2細胞としての機能が、阻害剤または遺伝子改変によって減弱される、請求項45に記載の方法。
【請求項88】
前記T細胞のT2細胞への分化またはT細胞のT2細胞としての機能が、GATA3の阻害によって減弱される、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記T細胞のT17細胞への分化またはT細胞のT17細胞としての機能が、STAT3の阻害によって減弱される、請求項45に記載の方法。
【請求項90】
前記T細胞が、Foxp3の阻害によってT1 CD4+T細胞の分化または機能に偏る、請求項45に記載の方法。
【請求項91】
前記T細胞が、GATA3の阻害によってT1 CD4+T細胞の分化または機能に偏る、請求項45に記載の方法。
【請求項92】
前記T細胞が、STAT3の阻害によってT1 CD4+T細胞の分化または機能に偏る、請求項45に記載の方法。
【請求項93】
前記T細胞が、CD25の阻害によってT1 CD4+T細胞の分化または機能に偏る、請求項45に記載の方法。
【請求項94】
前記T細胞が、Ezh2の阻害によってT1 CD4+T細胞の分化または機能に偏る、請求項45に記載の方法。
【請求項95】
がんを治療する方法であって、それを必要とする対象に有効量の(i)リンパ球除去剤と(ii)請求項1~44のいずれか一項に記載の医薬組成物とを投与することを含む、方法。
【請求項96】
がんを治療する方法であって、それを必要とする対象に有効量の(i)リンパ球除去剤と、(ii)NLRファミリーパイリンドメイン含有3(NLRP3)の阻害剤と、(iii)請求項1~44のいずれか一項に記載の医薬組成物とを投与することを含む、方法。
【請求項97】
がんを治療する方法であって、それを必要とする対象に有効量の(i)リンパ球除去剤と、(ii)T細胞の制御性T細胞への分化を阻害するか、または制御性T細胞の機能を阻害する薬剤と、(iii)請求項1~44のいずれか一項に記載の医薬組成物とを投与することを含む、方法。
【請求項98】
がんを有する対象において抗腫瘍免疫を増強する方法であって、それを必要とする対象に有効量の(i)リンパ球除去剤と、(ii)請求項1~44のいずれか一項に記載の医薬組成物とを投与することを含む、方法。
【請求項99】
前記リンパ除去剤が細胞還元剤である、請求項95~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記細胞還元剤が、アルキル化剤、アルキルスルホネート、ニトロソウレア、トリアゼン、代謝拮抗剤、ピリミジンアナログ、プリンアナログ、ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、抗生物質、ジブロモマンニトール、デオキシスペルグアリン、ジメチルミレランまたはチオテパである、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記アルキル化剤がシクロホスファミドである、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記プリンアナログがフルダラビン、クラドリビンまたはペントスタチンである、請求項100に記載の方法。
【請求項103】
前記がんが血液がんである、請求項95~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
前記がんが固形がんである、請求項95~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
前記血液がんが、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群または骨髄増殖性疾患である、請求項103に記載の方法。
【請求項106】
前記白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群または骨髄増殖性疾患が、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、小リンパ球性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、毛様細胞白血病、エイズ関連リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、菌状息肉症、原発性中枢神経系リンパ腫、セザリー症候群、T細胞リンパ腫、ワルデンストレーム・マクログロブリン血症、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、真性多血症、本態性血小板血症または特発性骨髄線維症である、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記固形がんが、肉腫、がん腫、神経線維腫、結腸がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がんまたは乳がんである、請求項104に記載の方法。
【請求項108】
それを必要とする対象に追加の治療剤を投与することをさらに含む、請求項95~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記追加の治療剤が、化学療法剤、放射線療法、免疫療法剤、T細胞アゴニストサイトカイン、CAR-T、CAR-NK、二重特異性もしくは三重特異性のT細胞もしくはNK細胞エンゲージャー、ナチュラルキラー細胞、ガンマデルタT細胞、抗体薬物複合体、抗体、免疫チェックポイント阻害剤、低分子阻害剤または腫瘍溶解性ウイルス療法である、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記抗体が、リツキシマブ、オビヌツズマブ、オファツムマブ、セツキシマブ、トラスツズマブ、ペルツズマブ、ブレンツキシマブベドチン、ゲムツズマブ、トラスツズマブエムタンシン、イノツズマブオゾガマイシン、グレムバツムマブベドチン、ロルボツズマブメルタンシン、カントツズマブメルタンシンまたはミラツズマブドキソルビシンである、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、PD-L1、PD-1、CTLA-4、LAG-3、TIGITまたはTIM-3の阻害剤または抗体である、請求項109に記載の方法。
【請求項112】
前記低分子阻害剤が、ダサチニブ、ニロチニブ、ポナチニブ、イマチニブ、ボスチニブ、アスシミニブ、ラパチニブまたはビスモデギブである、請求項109に記載の方法。
【請求項113】
前記医薬組成物が前記リンパ球除去剤の後に投与される、請求項95~112のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願との相互参照】
【0001】
本出願は、米国特許法第119(e)条の下、2021年9月29日に出願された米国仮出願シリアル番号63/250,061号;2021年12月9日に出願された同63/287,890;および2022年4月19日に出願された同63/332,616の優先権の利益を主張する。先行出願の開示は、その全体が本出願の開示の一部とみなされ、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示は、一般に同種リンパ球組成物に関し、より具体的には、非移植CD8除去同種ドナーリンパ球輸注の有効性を高め、毒性を低減する方法におけるかかる組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
がん免疫療法は有望ながん治療法として現れた。がん免疫療法の目標は、正常組織を傷つけずに、がん細胞を選択的に破壊するために免疫系を利用することである。
【0004】
細胞傷害性CD8+T細胞は、腫瘍細胞を制御し除去する免疫細胞の主要な集団である。Zhang et al., (2020), Front. Cell Dev. Biol., 8:17。しかし、T細胞はがんに対して期待されたほど有効ではない。免疫寛容および免疫抑制機構のために、CD8+T細胞はしばしば最適なプライミングがなされないことがあり、このような理由およびその他の理由により効果を発揮できなかったり、またはT細胞の疲弊として知られる機能不全状態に陥ったりする。T細胞の疲弊は、細胞傷害性CD8+T細胞のがん細胞殺傷能力が低下し、腫瘍の進行につながるエフェクター機能の減弱につながる。
【0005】
抗腫瘍免疫反応を回復させるために、疲弊したT細胞を復活させる、または置換する方法の開発に大きな関心が寄せられている。しかし、疲弊したT細胞を復活させる効果的な方法を開発するには、まだ課題が残っている。
【0006】
同種T細胞療法はがん免疫療法の一形態であり、健康なドナーの末梢血または骨髄からリンパ球を採取し、がん患者に注入する。この治療は通常、同種幹細胞移植の形で行われ、患者は高度免疫抑制条件付けを受けた後、成熟T細胞の非選択集団を含む幹細胞移植片を輸注される。同種幹細胞移植の目的は、ドナー細胞の持続的生着を得ることであるが、正常組織に対する免疫学的攻撃である移植片対宿主病(GVHD)を含む重大な毒性を伴い、この治療法は固形腫瘍悪性病変の治療に有効であるとは証明されていない。国際出願番号PCT/US2013/032129には、非移植ドナーリンパ球輸注と呼ばれるアプローチが記載されており、このアプローチでは、患者をリンパ球除去化学療法で治療した後、健常な、部分的または完全にヒト白血球抗原(HLA)がミスマッチしているドナーからCD8+細胞を除去した末梢血細胞を輸注する。ミスマッチCD8除去ドナーリンパ球輸注(DLI)の治療機序として提案されているのは、アロ反応性のドナーのCD4+T細胞がサイトカインを分泌し、レシピエント抗原提示細胞(APC)を介してシグナルを送り、レシピエント由来の腫瘍特異的CD8+T細胞の疲弊を逆転させるというものである。この治療法は血液悪性腫瘍に対する抗腫瘍反応を誘導することができるが、固形腫瘍に対する有効性は、おそらく腫瘍特異的CD8+T細胞が疲弊した状態に戻ることによって制限されている。
【0007】
そのため、持続的な生着および移植片対宿主病のリスクを軽減しながら、疲弊したT細胞を効率的かつ持続的に覚醒させ、腫瘍の退縮を誘導する方法に対するアンメットニーズが存在し続けている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、非移植CD8除去同種リンパ球輸注の有効性を高め、毒性を低減するための同種リンパ球組成物および方法に関する。
【0009】
本開示は、CD8+T細胞を除去し、in vivo抗腫瘍活性を増強するために改変されたCD4+T細胞を含む同種リンパ球組成物を提供する。特定の機序にコミットするわけではないが、改変は、インターフェロンガンマ(IFNγ)を分泌し、レシピエントのCD8+T細胞に最適な援助を提供するタイプ1、つまりT1 CD4+T細胞の頻度を増加させるか、またはCD4+T細胞を疲弊または活性の抑制に対してより抵抗性を持たせることができる。同種リンパ球組成物は、ドナーのCD8+T細胞の除去が持続的な生着および移植片対宿主病のリスクを低減する一方で、対象のT細胞の疲弊を逆転させるCD4+T細胞の援助の供給源を提供することができる。疲弊したCD8+T細胞の復活を助けることに加えて、ドナーT1細胞は、移植片対宿主病の毒性を抑制しながら、腫瘍微小環境を再プログラムして免疫刺激性とし、CD8+T細胞の疲弊を逆転させることができる。
【0010】
本開示は、レシピエント対象に対するドナー対レシピエント(移植片対宿主)方向で、少なくとも1つのヒト白血球抗原(HLA)クラスII対立遺伝子についてレシピエント対象とミスマッチしている複数の単離された白血球を含んでいる医薬組成物に関する。単離された白血球は、ドナー対象から得ることができる。単離された白血球は、細胞株または臍帯血などの他の供給源から得ることもできる。白血球は、CD8+T細胞が、未除去の白血球と比較して約10分の1以上除去されている。白血球はさらに、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)、インターロイキン2誘導性T細胞キナーゼ(ITK)、ホスホイノシチド3キナーゼのデルタアイソフォーム(PI3Kδ)、helios、Blimp1、SOCS1、GATA3、IL-10、STAT3、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、TOX、CD25、foxp3、Ezh2、またはそれらの組み合わせを抑制するように改変することができる。
【0011】
本開示はまた、同種ドナー対象から得られた複数の単離された白血球を含んでいる医薬組成物に関する。ドナーのCD4+T細胞は、レシピエント対象に存在する抗原によりin vivoまたはex vivoで刺激されており、ドナーのリンパ球は、レシピエントに対して少なくとも1つのHLAクラスII対立遺伝子マッチを含んでいる。あるいは、ドナーのCD4+T細胞は、レシピエントに存在しない抗原によってin vivoまたはex vivoで刺激されており、ドナーのリンパ球は、レシピエントに対して少なくとも1つのHLAクラスII対立遺伝子マッチを含んでおり、抗原とドナーのCD4+T細胞の両方がレシピエントに導入される。複数の単離された白血球は、例えば細胞株または臍帯血などの他の供給源から得ることもできる。白血球は、CD8+T細胞が、未除去の白血球と比較して約10分の1以上除去されている。白血球は、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)、インターロイキン2誘導性T細胞キナーゼ(ITK)、ホスホイノシチド3キナーゼのデルタアイソフォーム(PI3Kδ)、helios、blimp1、SOCS1、GATA3、IL-10、STAT3、TOX、CD25、foxp3、Ezh2、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、またはそれらの組み合わせを抑制するように改変されている。
【0012】
本開示はまた、ドナー対象から得られ、(i)レシピエント対象に対するドナー対レシピエント(移植片対宿主)方向で、少なくとも1つのHLAクラスII対立遺伝子についてレシピエント対象とミスマッチしており、(ii)ドナーのCD4+T細胞が、レシピエント対象に存在する抗原によってin vivoまたはex vivoで刺激されており、ドナー対象は、レシピエントに対して少なくとも1つのヒト白血球HLAクラスII対立遺伝子マッチを含んでいる、複数の単離された白血球を含んでいる医薬組成物に関する。あるいは、ドナーのCD4+T細胞は、(i)レシピエント対象に対するドナー対レシピエント(移植片対宿主)方向で、少なくとも1つのHLAクラスII対立遺伝子ミスマッチについてレシピエント対象とミスマッチしており、(ii)ドナーのCD4+T細胞は、レシピエント対象に存在しない抗原によりin vivoまたはex vivoで刺激されており、ドナー対象は、レシピエントに対して少なくとも1つのヒト白血球HLAクラスII対立遺伝子マッチを含んでおり、(iii)抗原およびドナーのCD4+T細胞の両方がレシピエントに導入される。複数の単離された白血球は、細胞株または臍帯血などの他の供給源から得ることもできる。白血球は、未除去の白血球と比較してCD8+T細胞が約10分の1以上除去されている。CD4+T細胞の少なくとも一部は、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)、インターロイキン-2誘導性T細胞キナーゼ(ITK)、ホスホイノシチド3-キナーゼのδアイソフォーム(PI3Kδ)、helios、blimp1、SOCS1、GATA3、IL-10、STAT3、TOX、CD25、foxp3、Ezh2、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、またはそれらの組み合わせの活性を阻害するように改変されている。
【0013】
本開示はまた、(i)レシピエント対象に対するドナー対レシピエント(移植片対宿主)方向で、少なくとも1つのHLAクラスII対立遺伝子についてレシピエント対象とミスマッチしており、(ii)レシピエント対象に存在する抗原に対するCD4+T細胞免疫を有する末梢血細胞組成物を得ることを含む同種リンパ球組成物を製造する方法に関し、ドナー対象はレシピエントに対して少なくとも1つのHLAクラスII対立遺伝子マッチを含んでいる。あるいは、ドナーのCD4+T細胞は、(i)レシピエント対象に対するドナー対レシピエント(移植片対宿主)方向で、少なくとも1つのHLAクラスII対立遺伝子ミスマッチについてレシピエント対象とミスマッチしており、(ii)ドナーのCD4+T細胞は、レシピエント対象に存在しない抗原によりin vivoまたはex vivoで刺激されており、ドナー対象は、レシピエントに対して少なくとも1つのヒト白血球HLAクラスII対立遺伝子マッチを含んでおり、(iii)抗原およびドナーのCD4+T細胞の両方がレシピエントに導入される。本方法はさらに、末梢血細胞組成物から白血球を単離し、白血球中のCD8+T細胞数を、未除去の白血球と比較して少なくとも10分の1以上除去することを含む。次に、本方法は、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)、インターロイキン-2誘導性T細胞キナーゼ(ITK)、ホスホイノシチド3-キナーゼのデルタアイソフォーム(PI3Kδ)、helios、blimp1、SOCSI、GATA3、IL-10、STAT3、TOX、CD25、foxp3、Ezh2、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、またはそれらの組み合わせを抑制することを含む。本方法はさらに、T細胞の少なくとも一部のT1 CD4+T細胞への分化を促進する処理、CD4+T1細胞を分化状態に維持する処理、またはCD4+T細胞の疲弊もしくは抑制を防止する処理を含む。本方法は、白血球をin vitroで培養することをさらに含むことができる。本方法は、白血球ex vivoで培養することをさらに含むことができる。
【0014】
同種リンパ球組成物を製造する方法は、1つまたは複数のサイトカインを加えることをさらに含む。1つまたは複数のサイトカインは、IL-2、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、IFNγ、またはIL-21である。本方法は、1つまたは複数の抗体を加えることをさらに含み得る。1つまたは複数の抗体は、抗IL3抗体、抗IL-4抗体、抗CD3抗体、抗CD200抗体または抗CD28抗体であり得る。
【0015】
医薬組成物中のT細胞の一部は、T1 CD4+T細胞に分化させることができる。T細胞の一部は、BTKの阻害によってT1 CD4+T細胞分化に偏らせることができる。T細胞は、ITKの阻害によってT1 CD4+T細胞分化に偏る。
【0016】
T細胞は、PI3Kδの阻害によってT1 CD4+T細胞分化に偏らせる、T1分化状態に維持する、または疲弊もしくは機能抑制に対し抵抗性を持たせることができる。T細胞は、Foxp3の阻害によってT1 CD4+T細胞分化に偏らせる、T1分化状態に維持する、または疲弊もしくは機能抑制に対し抵抗性を持たせることができる。T細胞は、GATA3の阻害によってT1 CD4+T細胞分化に偏らせる、T1分化状態に維持する、または疲弊もしくは機能抑制に抵抗性を持たせることができる。T細胞は、STAT3の阻害によってT1 CD4+T細胞分化に偏らせる、T1分化状態に維持する、または疲弊もしくは機能抑制に抵抗性を持たせることができる。T細胞は、CD25の阻害によってT1 CD4+T細胞分化に偏らせる、T1分化状態に維持する、または疲弊もしくは機能抑制に抵抗性を持たせることができる。T細胞は、Ezh2の阻害によってT1 CD4+T細胞分化に偏らせる、T1分化状態に維持する、または疲弊もしくは機能抑制に抵抗性を持たせることができる。T細胞は、BTKおよびITKの阻害によってT1 CD4+T細胞分化に偏らせる、T1分化状態に維持する、または疲弊もしくは機能抑制に抵抗性を持たせることができる。T細胞は、BTKとPI3Kδの両方の阻害によってT1 CD4+T細胞分化に偏らせ、制御性T細胞分化に逆らわせることができる。T細胞は、ITKとPI3Kδの両方の阻害によってT1 CD4+T細胞分化に偏らせ、制御性T細胞分化に逆らわせることができる。T細胞は、BTK、ITKおよびPI3Kδの阻害によってT1 CD4+T細胞分化に偏らせ、制御性T細胞分化に逆らわせることができる。T細胞は、TGF-β受容体IIの阻害によって、T1 CD4+T細胞分化に偏らせ、T1分化状態に維持し、または疲弊もしくは機能抑制に抵抗性を持たせることができる。T細胞は、LAG-3の阻害によってT1 CD4+T細胞分化に偏らせ、T1分化状態に維持し、または疲弊もしくは機能抑制に抵抗性を持たせることができる。T細胞は、PD-1の阻害によってT1 CD4+T細胞分化に偏らせ、T1分化状態に維持し、または疲弊もしくは機能抑制に抵抗性を持たせることができる。
【0017】
BTK、ITKおよびPI3Kδ、helios、blimp1、SOCS1、GATA3、IL-10、STAT3、TOX、CD25、foxp3、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、またはEzh2は、阻害剤または遺伝子改変によって阻害することができる。BTK阻害剤は、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、LFM-A13、ダサチニブまたはAVL-292であり得る。実施形態において、BTK阻害剤はイブルチニブではない。ITK阻害剤は、アミノチアゾール、アミノベンズイミダゾール、インドール、ピリジンまたはprn694であり得る。PI3Kδ阻害剤は、イデラリシブ、コパンリシブ、デュベリシブ、ウンブラリシブ、ME-4401、RP6503、ペリホシン、ブパールリシブ、またはダクトリシブであり得る。
【0018】
ITK阻害剤、BTK阻害剤、PI3Kδ阻害剤、Helios阻害剤、Blimp1阻害剤、SOCS1阻害剤、TGF-β受容体II阻害剤、LAG-3阻害剤、PD-1阻害剤、TNF-α阻害剤、Foxp3阻害剤、GATA3阻害剤、IL-10阻害剤、STAT3阻害剤、CD25阻害剤、Ezh2阻害剤、またはTOX阻害剤は、低分子、低分子干渉RNA(siRNA)またはショートヘアピンRNA(shRNA)であり得る。
【0019】
BTK、ITK、PI3Kδ、Helios、Blimp1、SOCS1、Foxp3、GATA3、IL-10、STAT3、Ezh2、CD25、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、またはTOXは、BTK遺伝子、ITK遺伝子、PI3Kδ遺伝子、Helios遺伝子、Blimp1遺伝子、SOCS1遺伝子、Foxp3遺伝子、GATA3遺伝子、IL-10遺伝子、STAT3遺伝子、Ezh2遺伝子、CD25遺伝子、TGF-β受容体II遺伝子、LAG-3遺伝子、PD-1遺伝子、TNF-α遺伝子、またはTOX遺伝子をゲノムから欠失させることによって阻害することができる。BTK遺伝子、ITK遺伝子、PI3Kδ遺伝子、Helios遺伝子、Blimp1遺伝子、SOCS1遺伝子、Foxp3遺伝子、GATA3遺伝子、IL-10遺伝子、STAT3遺伝子、Ezh2遺伝子、CD25遺伝子、TGF-β受容体II遺伝子、LAG-3遺伝子、PD-1遺伝子、TNF-α遺伝子、またはTOX遺伝子は、CRISPRまたはTALENを用いてゲノムから欠失させることができる。
【0020】
T細胞のT制御性細胞への分化は、阻害剤または遺伝子改変によって減弱することができる。T細胞の制御性T細胞への分化は、PI3Kδ、Foxp3、CD25、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、またはEzh2の阻害によって減弱することができる。PI3Kδ、Foxp3、CD25、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、またはEzh2は、PI3Kδ阻害剤、Foxp3阻害剤、CD25阻害剤、TGF-β受容体II阻害剤、LAG-3阻害剤、PD-1阻害剤もしくはEzh2阻害剤を用いて、または遺伝子改変によって減弱することができる。PI3Kδ阻害剤は、イデラリシブ、コパンリシブ、デュベリシブ、ウンブラリシブ、ME-4401、RP6503、ペリホシン、ブパールリシブ、またはダクトリシブであり得る。遺伝子改変は、PI3Kδ遺伝子、Foxp3遺伝子、CD25遺伝子、またはEzh2遺伝子の欠失を含み得る。
【0021】
T細胞の制御性T細胞への分化または制御性T細胞の機能は、BTK、ITK、PI3Kδ、Helios、Blimp1、SOCS1、Foxp3、GATA3、IL-10、STAT3、Ezh2、CD25、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1またはTOXに対する低分子、低分子干渉RNA(siRNA)またはショートヘアピンRNA(shRNA)を用いて減弱させることができる。T細胞の制御性T細胞への分化または制御性T細胞の機能は、ドナー対象から得た単離白血球をドミナントネガティブなトランスフォーミング増殖因子βRII受容体を発現するように改変することによって減弱させることができる。
【0022】
T細胞のTh2細胞への分化またはTh2細胞としての機能は、阻害剤または遺伝子改変によって減弱させることができる。T細胞のTh2細胞への分化またはTh2細胞としての機能は、GATA3の阻害によって減弱させることができる。T細胞のTh17細胞への分化またはTh17細胞としての機能は、STAT3の阻害によって減弱させることができる。
【0023】
HLAクラスIIのマッチは、HLA-DRB1対立遺伝子、HLA-DQB1対立遺伝子、またはHLA-DPB1対立遺伝子であり得る。
【0024】
医薬組成物中の骨髄系細胞の活性化は、阻害することができる。骨髄系細胞の活性化は、BTK、ITK、PI3Kδ、Helios、Blimp1、SOCS1、Foxp3、GATA3、IL-10、STAT3、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、またはTOXの阻害によって阻害され得る。BTKは、CD4+T細胞において、BTKの基底活性と比較して少なくとも約50%阻害され得る。CD4+T細胞におけるITKは、ITKの基底活性と比較して少なくとも約50%阻害され得る。PI3Kδは、PI3Kδの基底活性と比較して少なくとも約50%阻害され得る。阻害されたITK、BTK、またはPI3Kδの量は、ウェスタンブロットにより測定することができる。
【0025】
IFNγまたはIL-12の発現は、BTK、ITK、PI3Kδ、Helios、Blimp1、SOCS1、Foxp3、GATA3、IL-10、STAT3、CD25、Ezh2、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、またはTOXを抑制するように改変されていない白血球と比較して、少なくとも約10倍増加する。TGFβまたはIL-10の発現は、BTK、ITK、PI3Kδ、Helios、Blimp1、SOCS1、Foxp3、GATA3、IL-10、STAT3、CD25、Exh2、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-αまたはTOXを抑制するように改変されていない白血球と比較して、少なくとも約10分の1に減少する。
【0026】
IFNγ、IL-12、TGFβまたはIL-10の量は、細胞内サイトカイン染色またはELISAによって測定することができる。
【0027】
IFNγまたはIL-12の発現は、BTK、ITK、PI3Kδ、Helios、Blimp1、SOCS1、Foxp3、GATA3、IL-10、STAT3、TOX、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、またはそれらの組み合わせを抑制するように改変されていない白血球と比較して、少なくとも約10倍増加し得る。TGFβまたはIL-10の発現は、BTK、ITK、PI3Kδ、Helios、Blimp1、SOCS1、Foxp3、GATA3、IL-10、STAT3、TOX、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、またはそれらの組み合わせを抑制するように改変されていない白血球と比較して、少なくとも約10分の1に減少し得る。
【0028】
T細胞のTh2細胞への分化またはTh2細胞としての機能は、阻害剤または遺伝子改変によって減弱させることができる。T細胞のTh2細胞への分化またはTh2細胞としてのT細胞の機能は、GATA3の阻害によって減弱させることができる。
【0029】
STAT3の阻害によって、T細胞のTh17細胞への分化またはTh17細胞としての機能を減弱させることができる。T細胞は、Foxp3の阻害によって、Th1 CD4+T細胞の分化または機能に偏らせることができる。T細胞は、GATA3の阻害によってTh1 CD4+T細胞の分化または機能に偏らせることができる。T細胞は、STAT3の阻害によってTh1 CD4+T細胞の分化または機能に偏らせることができる。T細胞は、CD25の阻害によってTh1 CD4+T細胞の分化または機能に偏らせることができる。T細胞は、Ezh2の阻害によってTh1 CD4+T細胞の分化または機能に偏らせることができる。
【0030】
本開示はさらに、がんを治療する方法であって、それを必要とする対象に、有効量の(i)リンパ球除去剤および(ii)本明細書に開示される医薬組成物を投与することを含む、方法に関する。
【0031】
本明細書に開示されるのは、がんを治療するための方法であって、それを必要とする対象に、有効量の(i)リンパ球除去剤と、(ii)NLRファミリーパイリンドメイン含有3(NLRP3)の阻害剤と、(iii)本明細書に開示される医薬組成物とを投与することを含む方法である。
【0032】
本明細書に開示されるのは、がんを治療するための方法であって、それを必要とする対象に、有効量の(i)リンパ球除去剤と、(ii)T細胞の制御性T細胞への分化を阻害する薬剤、または制御性T細胞の機能を阻害する薬剤と、(iii)本明細書に開示される医薬組成物とを投与することを含む方法である。
【0033】
本明細書において開示されるのは、がんを有する対象において抗腫瘍免疫を増強する方法であって、それを必要とする対象に、有効量の(i)リンパ球除去剤と、(ii)本明細書において開示される医薬組成物とを投与することを含む方法である。
【0034】
リンパ球除去剤は細胞還元剤であり得る。細胞還元剤は、アルキル化剤、アルキルスルホネート、ニトロソウレア、トリアゼン、代謝拮抗剤、ピリミジンアナログ、プリンアナログ、ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、抗生物質、ジブロモマンニトール、デオキシスペルグアリン、ジメチルミレランまたはチオテパであり得る。アルキル化剤は、シクロホスファミドであり得る。プリンアナログは、フルアラビン、クラドリビン、またはペントスタチンであり得る。がんは血液がんであってもよい。がんは固形がんであってもよい。血液がんは、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、または骨髄増殖性疾患であり得る。
【0035】
白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群または骨髄増殖性疾患は、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、小リンパ球性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、毛様細胞白血病、エイズ関連リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、菌状息肉症、原発性中枢神経系リンパ腫、セザリー症候群、T細胞リンパ腫、ワルデンストレーム・マクログロブリン血症、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、真性多血症、本態性血小板血症または特発性骨髄線維症であり得る。
【0036】
固形がんは、肉腫、がん腫、神経線維腫、結腸がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がんまたは乳がんであり得る。
【0037】
本明細書に開示される方法は、それを必要とする対象に追加の治療剤を投与することをさらに含み得る。追加の治療剤は、化学療法剤、放射線療法、免疫療法剤、T細胞アゴニストサイトカイン、CAR-T、CAR-NK、ナチュラルキラー細胞、ガンマデルタT細胞、抗体薬物複合体、抗体、二重特異性もしくは三重特異性のT細胞もしくはNK細胞エンゲージャー、免疫チェックポイント阻害剤、低分子阻害剤、または腫瘍溶解性ウイルス療法またはワクチンである。
【0038】
抗体は、リツキシマブ、オビヌツズマブ、オファツムマブ、セツキシマブ、トラスツズマブ、ペルツズマブ、ブレンツキシマブベドチン、ゲムツズマブ、トラスツズマブエムタンシン、イノツズマブオゾガマイシン、グレムバツムマブベドチン、ロルボツズマブメルタンシン、カントツズマブメルタンシンまたはミラツズマブドキソルビシンであり得る。
【0039】
免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1、PD-1、CTLA-4、LAG-3、TIGITまたはTIM-3の阻害剤または抗体であり得る。
【0040】
低分子阻害剤は、ダサチニブ、ニロチニブ、ポナチニブ、イマチニブ、ボスチニブ、アスシミニブ、ラパチニブまたはビスモデギブであり得る。
【0041】
医薬組成物は、リンパ球除去剤の後に投与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1は、遺伝子欠失を有する腫瘍抗原CD4+T細胞に対してワクチン接種された試験プロトコルのMHCハプロタイプ一致ドナーを示す概略図である。
図2図2Aは、MHCハプロタイプ一致C57BL/6xC3H(B6C3 F1)マウスにおける腫瘍接種後数日間の無腫瘍生存率を示すグラフである。ワクチン非接種のドナーのCD4+T細胞(四角)対ワクチン接種したドナーのCD4+T細胞(丸)のTC1-luci保有レシピエントの無腫瘍生存率を示している。図2Bは、MHCハプロタイプ一致C57BL/6xC3H(B6C3 F1)マウスにおける腫瘍接種後数日間の無腫瘍生存率を示すグラフである。Cas9試薬でヌクレオフェクトしたpBI-11ワクチン接種ドナー細胞(四角)対Cas9ヌクレオフェクションなしのpBI-11ワクチン接種ドナー細胞(丸)の無腫瘍生存率を示している。図2Cは、MHCハプロタイプ一致C57BL/6xC3H(B6C3 F1)マウスにおける腫瘍接種後数日間の無腫瘍生存率を示すグラフである。ワクチン未接種のドナーのCD4+T細胞(三角)、pBI-11をワクチン接種しCas9をヌクレオフェクトしたドナーのCD4+T細胞(四角)およびITK遺伝子欠失を有するpBI-11ワクチン接種したドナー細胞(丸)の無腫瘍生存率を示している。図2Dは、MHCハプロタイプ一致C57BL/6xC3H(B6C3 F1)マウスにおける腫瘍接種後数日間の無腫瘍生存率を示すグラフである。Foxp3遺伝子欠失(白四角)、トランスフォーミング増殖因子β受容体2型(TGFBR2)遺伝子欠失(白丸)、SOCS1遺伝子欠失(丸)、ITK遺伝子欠失(四角)またはPD1遺伝子欠失(三角)を有するpBI-11ワクチン接種ドナー細胞の無腫瘍生存率を示している。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本開示は、非移植CD8除去同種リンパ球輸注の有効性を高め、毒性を低減するための同種リンパ球組成物および方法に関する。
【0044】
本発明者らは、CD4+Th1細胞を濃縮し、CD8+T細胞を除去した同種リンパ球組成物を開発した。理論または機序に縛られることなく、本発明者らは、この同種リンパ球組成物が、免疫抑制を減少させる、および/または免疫系活性化を増加させる、および/または注入時のCD8+T細胞の疲弊を逆転させるシグナルを提供し、内因性抗腫瘍反応を復活させると同時に、持続的な生着および移植片対宿主病のリスクを最小化することができるCD4+T細胞の供給源を提供することができると考えている。
【0045】
本明細書に開示される同種リンパ球組成物は、ドナー対象または臍帯血もしくは細胞株などの別の供給源から得ることができる複数の単離白血球を含んでいる。白血球は、レシピエント対象に対するドナー対レシピエント(移植片対宿主)方向で、少なくとも1つのヒト白血球抗原(HLA)クラスII対立遺伝子についてレシピエントとミスマッチしていてよい。あるいは、ドナーは、ドナー対レシピエント(移植片対宿主)方向で、レシピエントに対し少なくとも1つのHLAクラスII対立遺伝子ミスマッチと、レシピエントに対し少なくとも1つのHLAクラスII対立遺伝子マッチを含み得る。HLAクラスII対立遺伝子のミスマッチまたはマッチは、HLA-DRB1、HLA-DQB1、またはHLA-DPB1に見られ得る。本治療法の目的上、低発現のHLAクラスII分子、例えばHLA-DPA1、HLA-DQA1ならびにHLA-DRB3、-DRB4および-DRB5は考慮されない場合がある。一部の例では、本明細書に開示される同種組成物は、細胞株または臍帯血から得られ、特定の標的を標的とするように改変された、または改変されていない複数の単離白血球を含み得る。細胞株は、対象に対しHLAクラスII対立遺伝子マッチ、部分マッチ、またはミスマッチであり得る。
【0046】
白血球は、CD8+T細胞が、未除去の白血球と比較して約10分の1以上除去されていてもよい。白血球はさらに、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)、インターロイキン2誘導性T細胞キナーゼ(ITK)、ホスファチジルイノシトール3キナーゼデルタアイソフォーム(PI3Kδ)、helios、blimp1、SOCS1、GATA3、IL-10、STAT3、TOX、CD25、foxp3、Ezh2、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、またはそれらの組み合わせを抑制するように改変することができる。理論または機序に縛られることを望むものではないが、本発明者らは、BTK、ITK、PI3Kδ、helios、blimp1、SOCS1、GATA3、IL-10、STAT3、TOX、CD25、foxp3、Ezh2、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、またはそれらの組み合わせの抑制が、ナイーブCD4+T細胞が、タイプ1(Th1)CD4+T細胞など、抗腫瘍もしくは抗ウイルス免疫のエフェクター細胞を助けるのに有利な状態へ分化することを促進するか、または、ポストナイーブCD4+T細胞が、抗腫瘍もしくは抗ウイルス免疫に最適でないヘルパー活性を有する細胞へ転換されることを防ぐことができると考えている。例えば、T細胞の一部は、CD4+T細胞のサブタイプ(例えばTh1)に優先的に分化させることができる。BTK、ITK、PI3Kδ、helios、blimp1、SOCS1、GATA3、IL-10、STAT3、TOX、CD25、foxp3、Ezh2、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-αまたはその組み合わせの抑制により、ナイーブCD4+T細胞が、Th2、Th17もしくは制御性T細胞など抗腫瘍もしくは抗ウイルス免疫を促進するのに最適でない状態に分化するのを防ぐこともでき、またはCD4+T細胞が疲弊すること、もしくは抗腫瘍もしくは抗ウイルス活性を媒介するのを他の細胞によって抑制されるのを防ぐこともできる。
【0047】
特定の例示的で好ましい実施形態を、本明細書においてさらに詳細に説明する。本明細書内の実施形態は、本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0048】
A.同種リンパ球の組成
本開示は同種リンパ球組成物に関する。同種リンパ球組成物は、ドナーから得られた単離された白血球を含んでいる。ドナーは、ドナー対レシピエント(移植片対宿主、またはGVH)方向で、レシピエントに対して少なくとも1つのHLAクラスII対立遺伝子ミスマッチを含み得る。HLAクラスII対立遺伝子ミスマッチは、HLA-DRB1、HLA-DQB1、またはHLA-DPB1で見られ得る。
【0049】
ネオ抗原を含む1つまたは複数の腫瘍特異的抗原に対してワクチン接種を受けていないドナーは、一般的に腫瘍特異的CD4+T細胞の頻度が低い。免疫系が1つまたは複数の腫瘍特異的抗原に対してワクチン接種を受けていないドナーを使用する場合、内因性の抗腫瘍免疫を復活させる能力は、アロ反応性CD4+T細胞の活性に基づくため、ドナーとレシピエント間でHLAクラスIIのマッチングは必要ない。
【0050】
腫瘍特異的抗原に対してドナーをワクチン接種する場合、または腫瘍特異的CD4+T細胞をex vivoで増殖させる場合、ある程度のHLAクラスII対立遺伝子マッチングが必要である。なぜなら、増殖させた腫瘍特異的CD4+T細胞はドナーのHLAクラスII分子に制限され、レシピエントがドナーに共有される少なくとも1つのHLAクラスII分子を発現していない限り、レシピエントにおいて助けを提供する効果がないと予測されるからである。HLAクラスII分子の中で、共有に好ましい分子は高発現分子HLA-DRB1>HLA-DPB1>HLA-DQB1>>>HLADRB3,4,5=HLA-DQA1である。
【0051】
ドナーは、ドナーの抗レシピエント(GVH)方向のHLAクラスII対立遺伝子、例えばHLA-DRB1、HLA-DQB1およびHLA-DPB1において部分的または完全にミスマッチし得る。ドナーは、HLAクラスII対立遺伝子、例えばHLA-DRB1、HLA-DQB1およびHLA-DPB1において部分的または完全にミスマッチし、クラスI対立遺伝子については完全にマッチし得る。ドナーは、同種幹細胞移植のドナー候補であるレシピエントの第一度近親者の非共有HLAと完全にミスマッチし得る。
【0052】
腫瘍抗原またはウイルス抗原に応答して増殖および/またはIFNγを分泌するCD4+T細胞の頻度を、刺激されていない白血球と比較して増加させるために、ドナーの白血球をin vivoまたはex vivoで刺激してもよい。この刺激は、腫瘍抗原またはウイルス抗原に対するドナーの意図的なin vivoでのワクチン接種からなっていてもよい。あるいは、またはそれに加えて、CD4+T細胞を含むドナーの白血球を、CD4+T細胞を極性化するサイトカインの存在下または非存在下で、腫瘍抗原またはウイルス抗原でパルスした樹状細胞などの抗原提示細胞(APC)を用いてex vivoで刺激することができる。腫瘍抗原またはウイルス抗原は、レシピエントに存在し得る。ドナーが免疫されるか、またはドナー細胞が抗原でパルスされたAPCでex vivoで刺激される場合、ドナーはレシピエントに対して少なくとも1つのHLAクラスII対立遺伝子マッチを含まなければならない。HLAクラスII対立遺伝子マッチは、HLA-DRB1、HLA-DQB1、またはHLA-DPB1に見られ得る。実施形態では、免疫されたドナーは、ドナー対レシピエント(移植片対宿主)方向で、レシピエントに対して少なくとも1つのHLAクラスII対立遺伝子ミスマッチを有し得、レシピエントに対して少なくとも1つのHLAクラスII対立遺伝子マッチを有し得る。ドナーの白血球が腫瘍特異的またはウイルス特異的CD4+T細胞の頻度を増加させるように刺激されていない場合、ドナーのHLAクラスII分子HLA-DRB1、HLA-DQB1、およびHLA-DPB1は、ドナーの抗レシピエント(GVH)方向で、レシピエントに対して完全にミスマッチしている場合がある。
【0053】
実施形態において、同種リンパ球組成物は、細胞株または臍帯血から得られた白血球を含み得る。
【0054】
ドナー試料は臍帯血バンクから得ることができる。ドナー試料が臍帯血バンクから得られる場合、対象が非頻発および/または稀なHLA対立遺伝子型に対する血清抗体を含む可能性が低いため、望ましい試料は非頻発および/または稀なHLA対立遺伝子を含む可能性がある。例示的な希少対立遺伝子としては、A*24:41、B*07:02:28、B*35:03:03、B*39:40N、DRB1*13:23、DRB1*14:111、B*44:16およびDRB1*01:31、C*06:49N、B*37:03N、A*24:312NならびにA*30:76Nが挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
実施形態において、レシピエントは、ドナーのHLAに対して反応性の検出可能な抗体を有しない場合がある。検出可能な抗体は、当業者にとって既知の従来の方法を用いて決定することができる。例えば、レシピエントは、陽性結果が望ましくないため、フローサイトメトリークロスマッチアッセイでは、補体依存性細胞毒性により検出可能なドナーのHLA分子に対する抗体を有してはならず、または固相イムノアッセイでは3000以上の平均蛍光強度(MFI)は許容されない。
【0056】
同種組成物中のナチュラルキラー細胞数は、末梢血組成物中のナチュラルキラー細胞数以下であり得る。
【0057】
実施形態において、組成物中に存在するCD4+T細胞は、ex vivoでは活性化されない。
【0058】
同種組成物中に存在する白血球は、CD8+T細胞が除去されている。CD8+T細胞は任意の既知の方法で除去することができる。例えば、磁気ビーズセルソーターまたはフローサイトメトリーを用いてCD8+T細胞を除去することができる。CD8+T細胞の減少には、磁性粒子と結合した抗CD8+抗体、または抗CD8+抗体+補体の使用を伴い得る。
【0059】
白血球は、未除去の白血球と比較して、約1分の1、約2分の1、約3分の1、約4分の1、約5分の1、約6分の1、約7分の1、約8分の1、約9分の1、約10分の1、約15分の1、約20分の1、約25分の1、約30分の1、約35分の1、約40分の1、約45分の1、約50分の1、約55分の1、約60分の1、約65分の1、約70分の1、約75分の1、約80分の1、約85分の1、約90分の1、約95分の1、約100分の1、約200分の1、約300分の1、約400分の1、約500分の1、約600分の1、約700分の1、約800分の1、約900分の1、約1,000分の1、またはそれ以上にCD8+T細胞が除去されている。
【0060】
本明細書に開示される同種リンパ球組成物の白血球は、BTK、ITK、またはPI3Kδ、helios、blimp1、SOCS1、GATA3、IL-10、STAT3、TOX、CD25、foxp3、Ezh2、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、またはそれらの組み合わせの活性を抑制するようにさらに改変されている。理論または機序に拘束されることを望むものではないが、本発明者らは、BTK、ITK、PI3Kδ、helios、blimp1、SOCS1、GATA3、IL-10、STAT3、TOX、CD25、foxp3、Ezh2、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、またはそれらの組み合わせの抑制が、ナイーブCD4+T細胞が、タイプ1(Th1)CD4+T細胞など、抗腫瘍もしくは抗ウイルス免疫のエフェクター細胞を助けるのに有利な状態へ分化することを促進するか、または、ポストナイーブCD4+T細胞が、抗腫瘍もしくは抗ウイルス免疫に最適でないヘルパー活性を有する細胞へ転換されることを防ぐことができると考えている。例えば、T細胞の一部は、Th1などのCD4+T細胞サブタイプに優先的に分化させることができる。あるいは、別のCD4+T細胞サブタイプ(例えば、Th2またはTreg)へのT細胞の分化が抑制され得る。理論または機序に拘束されることを望むものではないが、本発明者らはまた、白血球(例えば、ドナー白血球)におけるBTK、ITK、PI3Kδ、helios、blimp1、SOCS1、GATA3、IL-10、STAT3、TOX、CD25、foxp3、Ezh2、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、またはそれらの組み合わせの抑制により、その有効性を高め、非移植同種ドナーリンパ球輸注の毒性を減少させることができるとも考えている。
【0061】
CD4+T細胞は、クラスII主要組織適合複合体(MHCII)分子の文脈で提示されるペプチド抗原を認識するT細胞受容体を発現するTリンパ球である。Tay et. al. (2021), Cancer Gene Therapy, 28:5-17。CD4+T細胞は、文脈に依存したシグナルに応答して、いくつかの多様な機能的サブタイプのいずれかに分化することができ、その結果、免疫応答の中心的コーディネーターとしての主要な役割において、適切なエフェクター免疫細胞に「助け」を提供することができる。CD4+T細胞は、主に、CD8+T細胞および抗体応答への支援、マクロファージの殺腫瘍能力の誘導、IFNγおよび腫瘍壊死因子α(TNF-α)などのエフェクターサイトカインの分泌、ならびに特定の状況下では腫瘍細胞に対する直接的な細胞傷害性によって、抗腫瘍免疫を媒介する。
【0062】
CD4+T細胞は、IFNγおよびTNF-αを発現するTh1細胞、IL-4、IL-5およびIL-13を発現するTh2細胞;IL-9およびIL-21を発現するTh9細胞;IL-17を発現するTh17細胞;IL-6およびIL-21を発現するTFH細胞;ならびにTGFβおよびIL-10を発現するTreg細胞に分化することができる。Tay et. al. (2021), Cancer Gene Therapy, 28:5-17。
【0063】
本明細書で開示される白血球組成物は、腫瘍浸潤リンパ球(「TIL」)、キメラ受容体T細胞(「CAR-T」)、またはT細胞受容体(「TCR」)導入T細胞を含み得る。例えば、白血球組成物はTILを含み得る。例えば、白血球組成物はCAR-T細胞を含み得る。例えば、白血球組成物はTCR導入T細胞を含み得る。
【0064】
上記に開示されるように、本明細書に開示される同種リンパ球組成物の白血球は、BTK、ITK、またはPI3Kδ、helios、blimp1、SOCS1、GATA3、IL-10、STAT3、TOX、CD25、foxp3、Ezh2、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、またはそれらの組み合わせを阻害するように改変されている。BTK経路は、単独で、またはITK、PI3Kδもしくはそれらの組み合わせとともに阻害され得る。ITK経路は、単独で、またはBTK、PI3Kδもしくはそれらの組み合わせとともに阻害され得る。PI3Kδ経路は、単独で、またはBTK、ITKもしくはそれらの組み合わせとともに阻害され得る。ある例では、BTK、ITKまたはPI3Kδ経路のそれぞれが阻害される。heliosは、単独で、またはBTK、ITKもしくはPI3Kδ、Blimp1、SOCS1、Foxp3、GATA3、IL-10、STAT3、CD25、Ezh2、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-αもしくはTOXと組み合わせて阻害され得る。Blimp1は、単独で、またはBTK、ITK、PI3Kδ、Helios、Foxp3、GATA3、IL-10、STAT3、CD25、Ezh2、SOCS1、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-αもしくはTOXと組み合わせて阻害され得る。SOCS1は、単独で、またはBTK、ITK、PI3Kδ、Blimp1、Helios、Foxp3、GATA3、IL-10、STAT3、CD25、Ezh2、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-αもしくはTOXと組み合わせて阻害され得る。TGF-β受容体IIは、単独で、またはBTK、ITK、PI3Kδ、Blimp1、Helios、Foxp3、GATA3、IL-10、STAT3、CD25、Ezh2、SOCS1、LAG-3、PD-1、TNF-αもしくはTOXと組み合わせて阻害され得る。LAG-3は、単独で、またはBTK、ITK、PI3Kδ、Blimp1、Helios、Foxp3、GATA3、IL-10、STAT3、CD25、Ezh2、TGF-β受容体II、SOCS1、PD-1、TNF-αもしくはTOXと組み合わせて阻害され得る。PD-1は、単独で、またはBTK、ITK、PI3Kδ、Blimp1、Helios、Foxp3、GATA3、IL-10、STAT3、CD25、Ezh2、TGF-β受容体II、LAG-3、SOCS1、TNF-αもしくはTOXと組み合わせて阻害され得る。TNF-αは、単独で、またはBTK、ITK、PI3Kδ、Blimp1、Helios、Foxp3、GATA3、IL-10、STAT3、CD25、Ezh2、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、SOCS1もしくはTOXと組み合わせて阻害され得る。Foxp3は、単独で、またはBTK、ITK、PI3Kδ、Helios、Blimp1、SOCS1、Foxp3、GATA3、IL-10、STAT3、CD25、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、Ezh2もしくはTOXと組み合わせて阻害され得る。GATA3は、単独で、またはBTK、ITKもしくはPI3Kδ、Helios、Blimp1、SOCS1、GATA3、IL-10、STAT3、CD25、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、Ezh2もしくはTOXとともに阻害され得る。GATA3は、単独で、またはBTK、ITKもしくはPI3Kδ、Helios、Blimp1、SOCS1、Foxp3、IL-10、STAT3、CD25、Ezh2、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-αもしくはTOXとともに阻害され得る。IL-10は、単独で、またはBTK、ITK、PI3Kδ、Helios、Blimp1、SOCS1、Foxp3、GATA3、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、STAT3もしくはTOXとともに阻害され得る。STAT3は、単独で、またはBTK、ITKもしくはPI3Kδ、Helios、Blimp1、SOCS1、Foxp3、GATA3、IL-10、CD25、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、Ezh2もしくはTOXと組み合わせて阻害され得る。TOXは、単独で、またはBTK、ITK、PI3Kδ、Helios、Blimp1、SOCS1、Foxp3、GATA3、IL-10、CD25、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、Ezh2もしくはSTAT3とともに阻害され得る。CD25は、単独で、またはBTK、ITKもしくはPI3Kδ、Helios、Blimp1、SOCS1、Foxp3、IL-10、STAT3、GATA3、Ezh2、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-αもしくはTOXとともに阻害され得る。IL-10は、単独で、またはBTK、ITKもしくはPI3Kδ、Helios、Blimp1、SOCS1、Foxp3、GATA3、STAT3、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-αもしくはTOXとともに阻害され得る。Ezh2は、単独で、またはBTK、ITK、PI3Kδ、Helios、Blimp1、SOCS1、Foxp3、IL-10、STAT3、CD25、GATA3、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-αもしくはTOXとともに阻害され得る。IL-10は単独で、またはBTK、ITKもしくはPI3Kδ、Helios、Blimp1、SOCS1、Foxp3、GATA3、STAT3、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-αもしくはTOXとともに阻害され得る。
【0065】
同種リンパ球組成物は、BTKを阻害するように改変され得る。同種リンパ球組成物は、ITKを阻害するように改変され得る。同種リンパ球組成物は、PI3Kδを阻害するように改変され得る。同種リンパ球組成物は、BTKおよびPI3Kδを阻害するように改変され得る。同種リンパ球組成物は、BTKおよびITKを阻害するように改変され得る。同種リンパ球組成物は、ITKおよびPI3Kδを阻害するように改変され得る。同種リンパ球組成物は、BTK、ITKおよびPI3Kδを阻害するように改変され得る。同種リンパ球組成物は、heliosを阻害するように改変され得る。同種リンパ球組成物は、blimp1を阻害するように改変され得る。同種リンパ球組成物は、SOCS1を阻害するように改変され得る。同種リンパ球組成物は、TGF-β受容体IIを阻害するように改変され得る。同種リンパ球組成物は、LAG-3を阻害するように改変され得る。同種リンパ球組成物は、PD-1を阻害するように改変され得る。同種リンパ球組成物は、TNF-αを阻害するように改変され得る。同種リンパ球組成物は、GATA3を阻害するように改変され得る。同種異系リンパ球組成物は、IL-10を阻害するように改変され得る。同種異系リンパ球組成物は、STAT3を阻害するように改変され得る。同種異系リンパ球組成物は、TOXを阻害するように改変され得る。同種異系リンパ球組成物は、CD25を阻害するように改変され得る。同種異系リンパ球組成物は、foxp3を阻害するように改変され得る。同種リンパ球組成物は、Ezh2を阻害するように改変され得る。
【0066】
同種リンパ球組成物は、CD4+T細胞のT制御(Treg)細胞への分化を抑制するか、またはCD4+Treg機能を阻害するように改変され得る。PI3Kδの抑制により、Treg細胞への分化またはTreg機能を減弱させることができる。Foxp3の抑制により、Treg細胞への分化を抑制することができる。CD25の抑制はTreg細胞への分化を抑制することができる。Ezh2の抑制により、Treg細胞への分化を抑制することができる。
【0067】
T細胞のTreg細胞への分化は、単離された白血球をドミナントネガティブなトランスフォーミング増殖因子βRII受容体を発現するように改変することで抑制することができる。Liu et al., Nature, 2020, 587(7832):115-120。
【0068】
BTK、ITKまたはPI3Kδ、helios、blimp1、SOCS1、GATA3、IL-10、STAT3、TOX、CD25、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、foxp3、Ezh2またはそれらの組み合わせは、薬理作用のある薬剤を用いて抑制(例えば、阻害)することができる。あるいは、BTK、ITKまたはPI3Kδ、helios、blimp1、SOCS1、GATA3、IL-10、STAT3、TOX、CD25、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、foxp3、Ezh2またはそれらの組み合わせは、遺伝子改変によって阻害することができる。
【0069】
Th1が介在する事象は、マクロファージおよび好中球などの自然免疫細胞への影響を介して、サイトカイン放出症候群(Imus et al., Biol Blood Marrow Transplant, (2019), 25(12):2431-2437)または肝毒性(Guan et al., Cell Death Dis., (2021), 12(5):431.)を含む免疫療法の毒性の一因となる可能性がある。理論または機序に拘束されることを望むものではないが、BTK、ITK、helios、blimp1、SOCS1、GATA3、IL-10、STAT3、TOX、CD25、foxp3、Ezh2、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-αまたはそれらの組み合わせの阻害は、サイトカイン放出症候群を軽減または予防することもできる。BTK、ITK、helios、blimp1、SOCS1、GATA3、IL-10、STAT3、TOX、CD25、foxp3、Ezh2、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-αまたはそれらの組み合わせの抑制により、骨髄系細胞の活性化の抑制を通じてサイトカイン放出症候群を軽減または予防することができる。
【0070】
白血球中のCD4+T細胞は、当業者に既知の従来の方法論、例えばフローサイトメトリーを用いて測定することができる。CD4+T細胞により発現されるサイトカインの発現レベルは、当業者により従来の方法論、例えばELISAまたは細胞内サイトカイン染色とそれに続く細胞表面染色およびフローサイトメトリーを用いて測定することができる。
【0071】
i.BTK
BTKは、PHドメイン、THドメイン、SH3ドメイン、SH2ドメインおよび触媒ドメインからなる非受容体型チロシンキナーゼのTecファミリーのメンバーである。BTKは、成長因子受容体、サイトカイン受容体、Gタンパク質共役受容体、抗原受容体およびインテグリンを含む複数の受容体のシグナル伝達に関与している。BTKは次に、細胞の遊走、接着、生存および増殖を制御する多くの主要な下流シグナル伝達経路を活性化する。
【0072】
BTKは、薬理作用のある薬剤または遺伝子組換えによって抑制(すなわち、阻害)することができる。薬理作用のある薬剤はBTKの阻害剤であり得る。BTKの適切な阻害剤としては、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、チラブルチニブ、エボブルチニブ、トレブルチニブ、リルザブルチニブ、レミブルチニブ、チラブルチニブ、ブラネブルチニブ、オレラブルチニブ、BIIB091、AC0058、PRN473LFM-A13、ダサチニブ、GD-4059またはAVL-292が挙げられるが、これらに限定されない。阻害剤は、低分子、低分子干渉RNA(siRNA)またはショートヘアピンRNA(shRNA)であり得る。実施形態において、本明細書で使用されるBTK阻害剤は、イブルチニブではない。BTK阻害剤は、約1000nM未満、約900nM未満、約800mM未満、約700nM未満、約600nM未満、約500nM未満、約400nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満の半数阻害濃度を有し得る。
【0073】
TKは、ゲノムからBTK遺伝子を欠失、すなわち「ノックアウト」することによって抑制することができる。遺伝子をノックアウトする技術は当業者に知られている。当技術分野における遺伝子ノックアウト法としては、遺伝子サイレンシング、コンディショナルノックアウト、相同組換え、遺伝子編集および変異によるノックアウトが挙げられるが、これらに限定されない。遺伝子サイレンシングは、例えば、RNA干渉、siRNAまたはshRNAを用いて達成することができる。コンディショナルノックアウト法は、BTK遺伝子を不活性化するために用いることができる。機能喪失変異は、BTK遺伝子に変異を生じさせることで、遺伝子機能を抑制するのに役立ち得る。BTKを抑制するために採用され得る遺伝子編集技術としては、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼおよびCRISPRベースのシステム(例えば、CRISPR-Cas9)が挙げられるが、これらに限定されない。BTKの抑制には商業的に利用可能なキットを利用することもできる。変異は、1つまたは複数のタンパク質ドメインに生じさせることができる。例えば、プレクストリン相同ドメイン、プロリンリッチTEC相同(TH)ドメインまたはSRC相同ドメイン(SH2またはSH3)に変異を生じさせることができる。
【0074】
BTKの抑制により、白血球中のTh2極性化T細胞の数または頻度を減少させることができる。BTKの抑制により、白血球中のTh1極性化T細胞の数または頻度を増加させることができる。BTKの抑制により、T細胞のTh1への分化を促進することができる。BTKの抑制により、白血球におけるIL-10、IL-4またはIL-13の発現を減少させることができる。BTKの抑制により、白血球におけるIFN-γの発現を増加させることができる。BTKの抑制により、白血球におけるIL-12の発現を増加させることができる。
【0075】
BTKの抑制により、BTKが抑制されていない白血球と比較して、Th1細胞の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。BTKの抑制により、BTKが抑制されていない白血球と比較して、Th2の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。
【0076】
BTKの抑制により、1つまたは複数のTh1細胞関連マーカーの発現を増加させることができる。BTKの抑制により、BTKが抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のTh1細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。1つまたは複数のTh1関連マーカーには、CCR1、CD4、CD26、CD94、CD119、CD183、CD195、CD212、GM-CSF、グランザイムB、IFN-α、IFN-γ、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18R、IL-23、IL-27、IL-27R、リンパ毒素、パーフォリン、t-bet、Tim-3、TNF-a、TRANCE、sCD40L、またはそれらの任意の組合せが含まれ得る。特に、1つまたは複数のTh1関連マーカーには、IFN-γ、IL-2、IL-12またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、BTKの抑制により、IFN-γの発現を増加させることができる。例えば、BTKの抑制により、IL-2を増加させることができる。例えば、BTKの抑制により、IL-12の発現を増加させることができる。
【0077】
BTKの抑制により、1つまたは複数のTh2細胞関連マーカーの発現を減少させることができる。BTKの抑制により、BTKが抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のTh2細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。1つまたは複数のTh2関連マーカーには、CCR3、CCR4、CCR7、CCR8、CD4、CD30、CD81、CD184、CD278、c-maf、CRTH2、Gata-3、GM-CSF、IFN yR、IgD、IL-1R、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-10、IL-13、IL-15、ST2L/T1、Tim-1、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。特に、1つまたは複数のTh2関連マーカーには、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-13、IL-15またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、BTKの抑制により、IL-4の発現を減少させることができる。例えば、BTKの抑制により、IL-5の発現を減少させることができる。例えば、BTKの抑制により、IL-6の発現を減少させることができる。例えば、BTKの抑制により、IL-10の発現を減少させることができる。例えば、BTKの抑制により、IL-13の発現を減少させることができる。例えば、BTKの抑制により、IL-15の発現を減少させることができる。
【0078】
BTKの抑制により、Th2 T細胞に対するTh1 T細胞の比率を約5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、約30倍、約35倍、約40倍、約45倍、約50倍、約55倍、約60倍、約65倍、約70倍、約75倍、約80倍、約85倍、約90倍、約95倍、約100倍、約150倍、約200倍、約450倍、約500倍、約550倍、約600倍、約650倍、約700倍、約750倍、約800倍、約850倍、約900倍、約950倍、約1000倍またはそれ以上増加させることができる。
【0079】
BTKの抑制により、Th1 T細胞に対するTh2 T細胞の比率を、約1分の1、約2分の1、約3分の1、約4分の1、約5分の1、約10分の1、約15分の1、約20分の1、約25分の1、約30分の1、約35分の1、約40分の1、約45分の1、約50分の1、約55分の1、約60分の1、約65分の1、約70分の1、約75分の1、約80分の1、約85分の1、約90分の1、約95分の1、約100分の1、約150分の1、約200分の1、約250分の1、約300分の1、約350分の1、約400分の1、約450分の1、約500分の1、約550分の1、約600分の1、約650分の1、約700分の1、約750分の1、約800分の1、約850分の1、約900分の1、約950分の1、約1000分の1またはそれ以上減少させることができる。
【0080】
サイトカイン放出症候群は、キメラ抗原受容体修飾(CAR)T細胞による、またはT細胞充満、HLAハプロタイプ一致血液もしくは骨髄移植を用いた血液悪性腫瘍の治療の合併症として知られている。実施形態では、BTKの阻害によって、非移植CD8除去リンパ球輸注後のサイトカイン放出症候群が軽減され得る。
【0081】
サイトカイン放出症候群は0から5のスケールで評価される。BTKの抑制によりサイトカイン放出症候群のスコアは0、1、2、3、4に減少し得る。
【0082】
BTKの抑制により、BTKが抑制されていない白血球と比較して、IL-1βの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。
【0083】
BTKの抑制により、BTKが抑制されていない白血球と比較して、全白血球中のピロトーシスを起こした白血球の割合を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。
【0084】
BTKの活性は、例えばその基質の1つ(1-ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェートホスホジエステラーゼガンマ-2;PLC-γ2など)のリン酸化によって測定されるが、基底活性と比較して約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上抑制することができる。
【0085】
ii.ITK
インターロイキン-2(IL-2)誘導性T細胞キナーゼ(ITK)は、T細胞系譜に高発現する非受容体型チロシンキナーゼであり、主にT細胞受容体の下流での機能を通して、T細胞の発生と機能の様々な側面を制御している。
【0086】
ITKは、薬理作用のある薬剤または遺伝子組換えによって抑制(すなわち、阻害または減弱)することができる。薬理作用のある薬剤はITKの阻害剤であり得る。ITKの適切な阻害剤としては、アミノチアゾール、アミノベンゾイミダゾール、インドール、ピリジンまたはprn694が挙げられるが、これらに限定されない。阻害剤は、低分子、低分子干渉RNA(siRNA)またはショートヘアピンRNA(shRNA)であり得る。ITK阻害剤は、約1000nM未満、約900nM未満、約800mM未満、約700nM未満、約600nM未満、約500nM未満、約400nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満の半数阻害濃度を有し得る。
【0087】
ITKは、ゲノムからITK遺伝子をノックアウトすることによって抑制することができる。遺伝子をノックアウトする技術は当業者に知られている。当技術分野における遺伝子ノックアウト法としては、遺伝子サイレンシング、コンディショナルノックアウト、相同組換え、遺伝子編集および変異によるノックアウトが挙げられるが、これらに限定されない。遺伝子サイレンシングは、例えば、RNA干渉、siRNAまたはshRNAを用いて達成することができる。コンディショナルノックアウト法は、ITK遺伝子を不活性化するために用いることができる。機能喪失変異は、ITK遺伝子に変異を生じさせることで、遺伝子機能を抑制するのに役立ち得る。ITKを抑制するために採用され得る遺伝子編集技術としては、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼおよびCRISPRベースのシステム(例えば、CRISPR-Cas9)が挙げられるが、これらに限定されない。ITKの抑制には商業的に利用可能なキットを利用することもできる。変異は、ITKの1つまたは複数のタンパク質ドメインに生じさせることができる。
【0088】
ITKの抑制により、白血球中のTh2極性化T細胞数を減少させることができる。ITKの抑制により、白血球中のTh1極性化T細胞数を増加させることができる。ITKの抑制の抑制によりT細胞のTh1への分化を促進することができる。ITKの抑制により、白血球におけるIL-10、IL-4またはIL-13の発現を減少させることができる。ITKの抑制により、白血球におけるIFN-γの発現を増加させることができる。ITKの抑制により、白血球におけるIL-12の発現を増加させることができる。
【0089】
ITKの抑制により、ITKが抑制されていない白血球と比較して、Th1細胞の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。ITKの抑制により、ITKが抑制されていない白血球と比較して、Th2の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。
【0090】
ITKの抑制により、1つまたは複数のTh1細胞関連マーカーの発現を増加させることができる。ITKの抑制により、ITKが抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のTh1細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。1つまたは複数のTh1関連マーカーには、CCR1、CD4、CD26、CD94、CD119、CD183、CD195、CD212、GM-CSF、グランザイムB、IFN-a、IFN-γ、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18R、IL-23、IL-27、IL-27R、リンパ毒素、パーフォリン、t-bet、Tim-3、TNF-a、TRANCE、sCD40Lまたはそれらの任意の組み合わせ含まれ得る。特に、1つまたは複数のTh1関連マーカーには、IFN-γ、IL-2、IL-12またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、ITKの抑制により、IFN-γの発現を増加させることができる。例えば、ITKの抑制により、IL-2を増加させることができる。例えば、ITKの抑制により、IL-12の発現を増加させることができる。
【0091】
ITKの抑制により、1つまたは複数のTh2細胞関連マーカーの発現を減少させることができる。ITKの抑制により、ITKが抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のTh2細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。1つまたは複数のTh2関連マーカーには、CCR3、CCR4、CCR7、CCR8、CD4、CD30、CD81、CD184、CD278、c-maf、CRTH2、Gata-3、GM-CSF、IFN yR、IgD、IL-1R、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-10、IL-13、IL-15、ST2L/T1、Tim-1またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。特に、1つまたは複数のTh2関連マーカーには、IL-4、IL-6、IL-10、IL-13、IL-15またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、ITKの抑制により、IL-4の発現を減少させることができる。例えば、ITKの抑制により、IL-5の発現を減少させることができる。例えば、ITKの抑制により、IL-6の発現を減少させることができる。例えば、ITKの抑制により、IL-10の発現を減少させることができる。例えば、ITKの抑制により、IL-13の発現を減少させることができる。例えば、ITKの抑制により、IL-15の発現を減少させることができる。
【0092】
ITKの抑制により、Th2 T細胞に対するTh1 T細胞の比率を、約5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、約30倍、約35倍、約40倍、約45倍、約50倍、約55倍、約60倍、約65倍、約70倍、約75倍、約80倍、約85倍、約90倍、約95倍、約100倍、約150倍、約200倍、約250倍、約300倍、約350倍、約400倍、約450倍、約500倍、約550倍、約600倍、約650倍、約700倍、約750倍、約800倍、約850倍、約900倍、約950倍、約1000倍またはそれ以上に増加させることができる。
【0093】
ITKの抑制により、Th1 T細胞に対するTh2 T細胞の比率を、約1分の1、約2分の1、約3分の1、約4分の1、約5分の1、約10分の1、約15分の1、約20分の1、約25分の1、約30分の1、約35分の1、約40分の1、約45分の1、約50分の1、約55分の1、約60分の1、約65分の1、約70分の1、約75分の1、約80分の1、約85分の1、約90分の1、約95分の1、約100分の1、約150分の1、約200分の1、約250分の1、約300分の1、約350分の1、約400分の1、約450分の1、約500分の1、約550分の1、約600分の1、約650分の1、約700分の1、約750分の1、約800分の1、約850分の1、約900分の1、約950分の1、約1000分の1またはそれ以上減少させることができる。
【0094】
ITKの活性は、基底活性と比較して約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上抑制(すなわち、阻害)することができる。
【0095】
iii.PI3Kδ
PI3Kδは、薬理作用のある薬剤または遺伝子改変によって抑制(すなわち、阻害または減弱)することができる。薬理作用のある薬剤はPI3Kδの阻害剤であり得る。PI3Kδの適切な阻害剤としては、イデラリシブ、コパンリシブ、デュベリシブ、ウンブラリシブ、ME-4401、RP6503、ペリホシン、ブパールリシブまたはダクトリシブが挙げられるが、これらに限定されない。阻害剤は、低分子、低分子干渉RNA(siRNA)またはショートヘアピンRNA(shRNA)であり得る。PI3Kδ阻害剤は、約1000nM未満、約900nM未満、約800mM未満、約700nM未満、約600nM未満、約500nM未満、約400nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満の半数阻害濃度を有し得る。
【0096】
PI3Kδは、ゲノムからPI3Kδ遺伝子をノックアウトすることによって抑制することができる。遺伝子をノックアウトする技術は当業者に知られている。当技術分野における既知の遺伝子ノックアウト法としては、遺伝子サイレンシング、コンディショナルノックアウト、相同組換え、遺伝子編集および突然変異によるノックアウトが挙げられるが、これらに限定されない。遺伝子サイレンシングは、例えば、RNA干渉、siRNAまたはshRNAを用いて達成することができる。例えば、RNA干渉、siRNAまたはshRNAは、CD25、foxp3またはEzh2に対するものであり得る。コンディショナルノックアウト法は、PI3Kδ遺伝子を不活性化するために用いることができる。機能喪失変異は、PI3Kδ遺伝子に変異を生じさせることにより、遺伝子機能を抑制するのに役立ち得る。PI3Kδを抑制するために採用され得る遺伝子編集技術としては、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼおよびCRISPRベースのシステム(例えば、CRISPR-Cas9)が挙げられるが、これらに限定されない。PI3Kδの抑制には商業的に利用可能なキットを利用することもできる。あるいは、変異は、1つまたは複数のタンパク質ドメインに生じさせることができる。
【0097】
PI3Kδの遺伝子組換えは、CD25、foxp3またはEzh2の遺伝子を欠失させることを含み得る。
【0098】
PI3Kδの抑制により、白血球中のCD4+CD25+foxp3+制御性T細胞(Treg)の数または機能を減少させることができる。PI3Kδの抑制により、白血球中のT1極性化T細胞数を増加させることができる。PI3Kδの抑制によりT細胞のT1への分化を促進することができる。PI3Kδの抑制により、白血球におけるTGFβやIL-10の発現を減少させることができる。PI3Kδの抑制により、白血球におけるIFN-γの発現を増加させることができる。PI3Kδの抑制により、白血球におけるIL-12の発現を増加させることができる。
【0099】
PI3Kδの抑制により、PI3Kδが抑制されていない白血球と比較して、T1細胞の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。PI3Kδの抑制により、PI3Kδが抑制されていない白血球と比較して、Treg細胞の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。
【0100】
PI3Kδの抑制により、1つまたは複数のT1細胞関連マーカーの発現を増加させることができる。PI3Kδの抑制により、PI3Kδが抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のT1細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。1つまたは複数のT1関連マーカーには、CCR1、CD4、CD26、CD94、CD119、CD183、CD195、CD212、GM-CSF、グランザイムB、IFN-α、IFN-γ、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18R、IL-23、IL-27、IL-27R、リンパ毒素、パーフォリン、t-bet、Tim-3、TNF-a、TRANCE、sCD40Lまたはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。特に、1つまたは複数のT1関連マーカーには、IFN-γ、IL-2、IL-12またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、PI3Kδの抑制により、IFN-γの発現を増加させることができる。例えば、PI3Kδの抑制により、IL-2を増加させることができる。例えば、PI3Kδの抑制により、IL-12の発現を増加させることができる。
【0101】
PI3Kδの抑制により、1つまたは複数のTreg細胞関連マーカーの発現を減少させることができる。PI3Kδの抑制により、Tregが抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のTreg細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。1つまたは複数のTreg関連マーカーには、TGFβまたはIL-10またはそれらの組み合わせが含まれ得る。例えば、PI3Kδの抑制によりTGFβの発現を減少させることができる。例えば、PI3Kδの抑制により、IL-10の発現を減少させることができる。
【0102】
PI3Kδの抑制により、Treg T細胞に対するTh1 T細胞の比率を、約5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、約30倍、約35倍、約40倍、約45倍、約50倍、約55倍、約60倍、約65倍、約70倍、約75倍、約80倍、約85倍、約90倍、約95倍、約100倍、約150倍、約200倍、約250倍、約300倍、約350倍、約400倍、約450倍、約500倍、約550倍、約600倍、約650倍、約700倍、約750倍、約800倍、約850倍、約900倍、約950倍、約1000倍またはそれ以上増加させることができる。
【0103】
PI3Kδの抑制により、Th1 T細胞に対するTreg T細胞の比率を、約1分の1、約2分の1、約3分の1、約4分の1、約5分の1、約10分の1、約15分の1、約20分の1、約25分の1、約30分の1、約35分の1、約40分の1、約45分の1、約50分の1、約55分の1、約60分の1、約65分の1、約70分の1、約75分の1、約80分の1、約85分の1、約90分の1、約95分の1、約100分の1、約150分の1、約200分の1、約250分の1、約300分の1、約350分の1、約400分の1、約450分の1、約500分の1、約550分の1、約600分の1、約650分の1、約700分の1、約750分の1、約800分の1、約850分の1、約900分の1、約950分の1、約1000分の1またはそれ以上減少させることができる。
【0104】
PI3Kδの活性は、基底活性と比較して約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上抑制(すなわち、阻害)することができる。
【0105】
iv.GATA3
GATA3は、薬理作用のある薬剤または遺伝子改変によって抑制(すなわち、阻害または減弱)することができる。薬理作用のある薬剤は、GATA3の阻害剤であり得る。阻害剤は、低分子、低分子干渉RNA(siRNA)またはショートヘアピンRNA(shRNA)であり得る。GATA3阻害剤は、約1000nM未満、約900nM未満、約800mM未満、約700nM未満、約600nM未満、約500nM未満、約400nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満の半数阻害濃度を有し得る。
【0106】
GATA3は、ゲノムからGATA3遺伝子をノックアウトすることによって抑制することができる。遺伝子をノックアウトする技術は当業者に知られている。当技術分野における遺伝子ノックアウト方法としては、遺伝子サイレンシング、コンディショナルノックアウト、相同組換え、遺伝子編集および突然変異によるノックアウトが挙げられるが、これらに限定されない。遺伝子サイレンシングは、例えば、RNA干渉、siRNAまたはshRNAを用いて達成することができる。コンディショナルノックアウト法は、GATA3遺伝子を不活性化するために用いることができる。機能喪失変異は、GATA3遺伝子に変異を生じさせることにより、遺伝子機能を抑制するのに役立ち得る。GATA3を抑制するために採用され得る遺伝子編集技術としては、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼおよびCRISPRベースのシステム(例えば、CRISPR-Cas9)が挙げられるが、これらに限定されない。GATA3の抑制には商業的に利用可能なキットを利用することもできる。変異は、1つまたは複数のタンパク質ドメインに生じさせることができる。
【0107】
GATA3の抑制により、白血球中のT1極性化T細胞数を増加させることができる。GATA3の抑制により、T細胞のT1への分化を促進することができる。GATA3の抑制により、白血球におけるIL-10、IL-4またはIL-13の発現を減少させることができる。GATA3の抑制により、白血球におけるIFN-γの発現を増加させることができる。GATA3の抑制により、白血球におけるIL-12の発現を増加させることができる。GATA3の抑制により、白血球中のT2極性化T細胞数を減少させることができる。
【0108】
GATA3の抑制により、GATA3が抑制されていない白血球と比較して、Th1細胞の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。GATA3の抑制により、GATA3が抑制されていない白血球と比較して、Th2の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。
【0109】
GATA3の抑制により、1つまたは複数の関連するTh1細胞関連マーカーの発現を増加させることができる。GATA3の抑制により、GATA3が抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のTh1細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。1つまたは複数のTh1関連マーカーには、CCR1、CD4、CD26、CD94、CD119、CD183、CD195、CD212、GM-CSF、グランザイムB、IFN-α、IFN-γ、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18R、IL-23、IL-27、IL-27R、リンパ毒素、パーフォリン、t-bet、Tim-3、TNF-a、TRANCE、sCD40Lまたはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。特に、1つまたは複数のTh1関連マーカーには、IFN-γ、IL-2、IL-12またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、GATA3の抑制により、IFN-γの発現を増加させることができる。例えば、GATA3の抑制により、IL-2を増加させることができる。例えば、GATA3の抑制により、IL-12の発現を増加させることができる。
【0110】
GATA3の抑制により、1つまたは複数の関連するTh2細胞関連マーカーの発現を減少させることができる。GATA3の抑制により、GATA3が抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のTh2細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。1つまたは複数のTh2関連マーカーには、CCR3、CCR4、CCR7、CCR8、CD4、CD30、CD81、CD184、CD278、c-maf、CRTH2、Gata-3、GM-CSF、IFN yR、IgD、IL-1R、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-10、IL-13、IL-15、ST2L/T1、Tim-1またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。特に、1つまたは複数のTh2関連マーカーには、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-13、IL-15またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、GATA3の抑制により、IL-4の発現を減少させることができる。例えば、GATA3の抑制により、IL-5の発現を減少させることができる。例えば、GATA3の抑制により、IL-6の発現を減少させることができる。例えば、GATA3の抑制により、IL-10の発現を減少させることができる。例えば、GATA3の抑制により、IL-13の発現を減少させることができる。例えば、GATA3の抑制により、IL-15の発現を減少させることができる。
【0111】
GATA3の抑制により、Th2 T細胞に対するTh1 T細胞の比率を、約5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、約30倍、約35倍、約40倍、約45倍、約50倍、約55倍、約60倍、約65倍、約70倍、約75倍、約80倍、約85倍、約90倍、約95倍、約100倍、約150倍、約200倍、約250倍、約300倍、約350倍、約400倍、約450倍、約500倍、約550倍、約600倍、約650倍、約700倍、約750倍、約800倍、約850倍、約900倍、約950倍、約1000倍またはそれ以上増加させることができる。
【0112】
GATA3の抑制により、Th1 T細胞に対するTh2 T細胞の比率を約1分の1、約2分の1、約3分の1、約4分の1、約5分の1、約10分の1、約15分の1、約20分の1、約25分の1、約30分の1、約35分の1、約40分の1、約45分の1、約50分の1、約55分の1、約60分の1、約65分の1、約70分の1、約75分の1、約80分の1、約85分の1、約90分の1、約95分の1、約100分の1、約150分の1、約200分の1、約250分の1、約300分の1、約350分の1、約400分の1、約450分の1、約500分の1、約550分の1、約600分の1、約650分の1、約700分の1、約750分の1、約800分の1、約850分の1、約900分の1、約950分の1、約1000分の1またはそれ以上減少させることができる。
【0113】
サイトカイン放出症候群は、キメラ抗原受容体改変(CAR)T細胞による、またはT細胞充満、HLAハプロタイプ一致血液もしくは骨髄移植による血液悪性腫瘍の治療の合併症として知られている。実施形態では、GATA3の阻害によって、非移植CD8除去ドナーリンパ球輸注後のサイトカイン放出症候群が軽減され得る。GATA3の抑制により、GATA3を抑制しない場合の活性と比較して、サイトカイン放出症候群を約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%またはそれ以上減少させることができる。
【0114】
GATA3の抑制により、GATA3が抑制されていない白血球と比較して、IL-1βの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。
【0115】
GATA3の抑制により、GATA3が抑制されていない白血球と比較して、パイロプトーシスの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。
【0116】
GATA3の活性は、基底活性と比較して約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上抑制(すなわち、阻害)することができる。
【0117】
v.STAT3
STAT3は、薬理作用のある薬剤または遺伝子改変によって抑制(すなわち、阻害)することができる。薬理作用のある薬剤は、STAT3の阻害剤であり得る。阻害剤は、低分子、低分子干渉RNA(siRNA)またはショートヘアピンRNA(shRNA)であり得る。STAT3阻害剤は、約1000nM未満、約900nM未満、約800mM未満、約700nM未満、約600nM未満、約500nM未満、約400nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満の半数阻害濃度を有し得る。
【0118】
STAT3は、ゲノムからSTAT3遺伝子をノックアウトすることによって抑制することができる。遺伝子をノックアウトする技術は当業者に知られている。当技術分野における遺伝子ノックアウト法としては、遺伝子サイレンシング、コンディショナルノックアウト、相同組換え、遺伝子編集および突然変異によるノックアウトが挙げられるが、これらに限定されない。遺伝子サイレンシングは、例えば、RNA干渉、siRNAまたはshRNAを用いて達成することができる。コンディショナルノックアウト法は、STAT3遺伝子を不活性化するために用いることができる。機能喪失変異は、STAT3遺伝子に変異を生じさせることにより、遺伝子機能を抑制するのに役立ち得る。STAT3を抑制するために採用され得る遺伝子編集技術としては、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼおよびCRISPRベースのシステム(例えば、CRISPR-Cas9)が挙げられるが、これらに限定されない。STAT3の抑制には商業的に利用可能なキットを利用することもできる。変異は、1つまたは複数のタンパク質ドメインに生じさせることができる。
【0119】
STAT3の抑制により、白血球中のTh1極性化T細胞数を増加させることができる。STAT3の抑制により、T細胞のTh1への分化を促進することができる。STAT3の抑制により、白血球におけるIL-10、IL-4、またはIL-13の発現を減少させることができる。STAT3の抑制により、白血球におけるIFN-γの発現を増加させることができる。STAT3の抑制により、白血球におけるIL-12の発現を増加させることができる。STAT3の抑制により、白血球中のTh17極性化T細胞またはTfh極性化T細胞の数を減少させることができる。
【0120】
STAT3の抑制により、STAT3が抑制されていない白血球と比較して、Th1細胞の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。STAT3の抑制により、STAT3が抑制されていない白血球と比較して、Th17細胞の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。STAT3の抑制により、STAT3が抑制されていない白血球と比較して、Tfh細胞の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。
【0121】
STAT3の抑制により、1つまたは複数の関連するTh1細胞関連マーカーの発現を増加させることができる。STAT3の抑制により、STAT3が抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のTh1細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。1つまたは複数のTh1関連マーカーには、CCR1、CD4、CD26、CD94、CD119、CD183、CD195、CD212、GM-CSF、グランザイムB、IFN-α、IFN-γ、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18R、IL-23、IL-27、IL-27R、リンパ毒素、パーフォリン、t-bet、Tim-3、TNF-a、TRANCE、sCD40Lまたはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。特に、1つまたは複数のTh1関連マーカーには、IFN-γ、IL-2、IL-12またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、STAT3の抑制により、IFN-γの発現を増加させることができる。例えば、STAT3の抑制により、IL-2を増加させることができる。例えば、STAT3の抑制により、IL-12の発現を増加させることができる。
【0122】
STAT3の抑制により、1つまたは複数のTreg細胞関連マーカーの発現を減少させることができる。STAT3の抑制により、Tregが抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のTreg細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。1つまたは複数のTreg関連マーカーには、TGFβもしくはIL-10またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、STAT3の抑制により、TGFβ発現を減少させることができる。例えば、STAT3の抑制により、IL-10の発現を減少させることができる。
【0123】
STAT3の抑制により、1つまたは複数のTfh細胞関連マーカーの発現を減少させることができる。STAT3の抑制により、Tfhが抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のTfh細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。1つまたは複数のTfh関連マーカーには、IL-21、IL-4またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、STAT3の抑制により、IL-21発現を減少させることができる。例えば、STAT3の抑制により、IL-4の発現を減少させることができる。
【0124】
STAT3の抑制により、Treg T細胞に対するTh1 T細胞の比率を約5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、約30倍、約35倍、約40倍、約45倍、約50倍、約55倍、約60倍、約65倍、約70倍、約75倍、約80倍、約85倍、約90倍、約95倍、約100倍、約150倍、約200倍、約250倍、約300倍、約350倍、約400倍、約450倍、約500倍、約550倍、約600倍、約650倍、約700倍、約750倍、約800倍、約850倍、約900倍、約950倍、約1000倍またはそれ以上増加させることができる。
【0125】
STAT3の抑制により、Th1 T細胞に対するTreg T細胞の比率を約1分の1、約2分の1、約3分の1、約4分の1、約5分の1、約10分の1、約15分の1、約20分の1、約25分の1、約30分の1、約35分の1、約40分の1、約45分の1、約50分の1、約55分の1、約60分の1、約65分の1、約70分の1、約75分の1、約80分の1、約85分の1、約90分の1、約95分の1、約100分の1、約150分の1、約200分の1、約250分の1、約300分の1、約350分の1、約400分の1、約450分の1、約500分の1、約550分の1、約600分の1、約650分の1、約700分の1、約750分の1、約800分の1、約850分の1、約900分の1、約950分の1、約1000分の1またはそれ以上減少させることができる。
【0126】
STAT3の抑制により、Tfh T細胞に対するTh1 T細胞の比率を約5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、約30倍、約35倍、約40倍、約45倍、約50倍、約55倍、約60倍、約65倍、約70倍、約75倍、約80倍、約85倍、約90倍、約95倍、約100倍、約150倍、約200倍、約250倍、約300倍、約350倍、約400倍、約450倍、約500倍、約550倍、約600倍、約650倍、約700倍、約750倍、約800倍、約850倍、約900倍、約950倍、約1000倍またはそれ以上増加させることができる。
【0127】
STAT3の抑制により、Th1 T細胞に対するTfh T細胞の比率を、約1分の1、約2分の1、約3分の1、約4分の1、約5分の1、約10分の1、約15分の1、約20分の1、約25分の1、約30分の1、約35分の1、約40分の1、約45分の1、約50分の1、約55分の1、約60分の1、約65分の1、約70分の1、約75分の1、約80分の1、約85分の1、約90分の1、約95分の1、約100分の1、約150分の1、約200分の1、約250分の1、約300分の1、約350分の1、約400分の1、約450分の1、約500分の1、約550分の1、約600分の1、約650分の1、約700分の1、約750分の1、約800分の1、約850分の1、約900分の1、約950分の1、約1000分の1またはそれ以上減少させることができる。
【0128】
STAT3の活性は、基底活性と比較して約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上抑制(すなわち、阻害)することができる。
【0129】
vi.fox3
foxp3は、薬理作用のある薬剤または遺伝子改変によって抑制(すなわち、阻害)することができる。薬理作用のある薬剤は、foxp3の阻害剤であり得る。阻害剤は、低分子、低分子干渉RNA(siRNA)またはショートヘアピンRNA(shRNA)であり得る。foxp3阻害剤は、約1000nM未満、約900nM未満、約800mM未満、約700nM未満、約600nM未満、約500nM未満、約400nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満の半数阻害濃度を有し得る。
【0130】
foxp3は、ゲノムからFOXP3遺伝子をノックアウトすることによって抑制することができる。遺伝子をノックアウトする技術は当業者に知られている。当技術分野における遺伝子ノックアウト法としては、遺伝子サイレンシング、コンディショナルノックアウト、相同組換え、遺伝子編集および突然変異によるノックアウトが挙げられるが、これらに限定されない。遺伝子サイレンシングは、例えば、RNA干渉、siRNAまたはshRNAを用いて達成することができる。コンディショナルノックアウト法は、FOXP3遺伝子を不活性化するために用いることができる。機能喪失変異は、FOXP3遺伝子に変異を生じさせることにより、遺伝子機能を抑制するのに役立ち得る。foxp3を抑制するために採用され得る遺伝子編集技術としては、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼおよびCRISPRベースのシステム(例えば、CRISPR-Cas9)が挙げられるが、これらに限定されない。foxp3の抑制には商業的に利用可能なキットを利用することもできる。変異は、1つまたは複数のタンパク質ドメインに生じさせることができる。
【0131】
foxp3の抑制により、白血球中のTh1極性化T細胞数を増加させることができる。foxp3の抑制により、T細胞のTh1への分化を促進することができる。foxp3の抑制により、白血球におけるIL-10、IL-4、またはIL-13の発現を減少させることができる。foxp3の抑制により、白血球におけるIFN-γの発現を増加させることができる。foxp3の抑制により、白血球におけるIL-12の発現を増加させることができる。foxp3の抑制により、白血球中のTreg極性化T細胞数を減少させることができる。
【0132】
foxp3の抑制により、foxp3が抑制されていない白血球と比較して、Th1細胞の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。foxp3の抑制により、foxp3が抑制されていない白血球と比較して、Treg細胞の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。
【0133】
foxp3の抑制により、1つまたは複数の関連するTh1細胞関連マーカーの発現を増加させることができる。foxp3の抑制により、foxp3が抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のTh1細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。1つまたは複数のTh1関連マーカーには、CCR1、CD4、CD26、CD94、CD119、CD183、CD195、CD212、GM-CSF、グランザイムB、IFN-α、IFN-γ、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18R、IL-23、IL-27、IL-27R、リンパ毒素、パーフォリン、t-bet、Tim-3、TNF-a、TRANCE、sCD40Lまたはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。特に、1つまたは複数のTh1関連マーカーには、IFN-γ、IL-2、IL-12またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、foxp3の抑制により、IFN-γの発現を増加させることができる。例えば、foxp3の抑制により、IL-2を増加させることができる。例えば、foxp3の抑制により、IL-12の発現を増加させることができる。
【0134】
foxp3の抑制により、1つまたは複数の関連するTreg細胞関連マーカーの発現を減少させることができる。foxp3の抑制により、foxp3が抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のTreg細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。1つまたは複数のTreg関連マーカーには、TGFβもしくはIL-10またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、foxp3の抑制により、TGFβの発現を減少させることができる。例えば、foxp3の抑制により、IL-10の発現を減少させることができる。
【0135】
foxp3の抑制により、Treg T細胞に対するTh1 T細胞の比率を約5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、約30倍、約35倍、約40倍、約45倍、約50倍、約55倍、約60倍、約65倍、約70倍、約75倍、約80倍、約85倍、約90倍、約95倍、約100倍、約150倍、約200倍、約250倍、約300倍、約350倍、約400倍、約450倍、約500倍、約550倍、約600倍、約650倍、約700倍、約750倍、約800倍、約850倍、約900倍、約950倍、約1000倍またはそれ以上増加させることができる。
【0136】
foxp3の抑制により、Th1 T細胞に対するTreg T細胞の比率を約1分の1、約2分の1、約3分の1、約4分の1、約5分の1、約10分の1、約15分の1、約20分の1、約25分の1、約30分の1、約35分の1、約40分の1、約45分の1、約50分の1、約55分の1、約60分の1、約65分の1、約70分の1、約75分の1、約80分の1、約85分の1、約90分の1、約95分の1、約100分の1、約150分の1、約200分の1、約250分の1、約300分の1、約350分の1、約400分の1、約450分の1、約500分の1、約550分の1、約600分の1、約650分の1、約700分の1、約750分の1、約800分の1、約850分の1、約900分の1、約950分の1、約1000分の1またはそれ以上減少させることができる。
【0137】
foxp3の活性は、基底活性と比較して約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上抑制(すなわち、阻害)することができる。
【0138】
vii.CD25
CD25は、薬理作用のある薬剤または遺伝子改変によって抑制(すなわち、阻害)することができる。薬理作用のある薬剤はCD25の阻害剤であり得る。阻害剤は低分子、低分子干渉RNA(siRNA)またはショートヘアピンRNA(shRNA)であり得る。CD25阻害剤は、約1000nM未満、約900nM未満、約800mM未満、約700nM未満、約600nM未満、約500nM未満、約400nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満の半数阻害濃度を有し得る。
【0139】
CD25は、ゲノムからCD25遺伝子をノックアウトすることによって抑制することができる。遺伝子をノックアウトする技術は当業者に知られている。当技術分野における遺伝子ノックアウト法としては、遺伝子サイレンシング、コンディショナルノックアウト、相同組換え、遺伝子編集および突然変異によるノックアウトが挙げられるが、これらに限定されない。遺伝子サイレンシングは、例えば、RNA干渉、siRNAまたはshRNAを用いて達成することができる。コンディショナルノックアウト法は、CD25遺伝子を不活性化するために用いることができる。機能喪失変異は、CD25遺伝子に変異を生じさせることで遺伝子機能を抑制するのに役立ち得る。CD25を抑制するために採用され得る遺伝子編集技術としては、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼおよびCRISPRベースのシステム(例えば、CRISPR-Cas9)が挙げられるが、これらに限定されない。CD25の抑制には商業的に利用可能なキットを利用することもできる。変異は、1つまたは複数のタンパク質ドメインに生じさせることができる。
【0140】
CD25の抑制により、白血球中のT1極性化T細胞数を増加させることができる。CD25の抑制により、T細胞のT1への分化を促進することができる。CD25の抑制により、白血球におけるIL-10、IL-4またはIL-13の発現を減少させることができる。CD25の抑制により、白血球中のIFN-γの発現を増加させることができる。CD25の抑制により、白血球におけるIL-12の発現を増加させることができる。CD25の抑制により、白血球中のTreg極性化T細胞数を減少させることができる。
【0141】
CD25の抑制により、CD25が抑制されていない白血球と比較して、T1細胞の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。CD25の抑制により、CD25が抑制されていない白血球と比較して、Treg細胞の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。
【0142】
CD25の抑制により、1つまたは複数の関連するT1細胞関連マーカーの発現を増加させることができる。CD25の抑制により、CD25が抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のT1細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。1つまたは複数のT1関連マーカーには、CCR1、CD4、CD26、CD94、CD119、CD183、CD195、CD212、GM-CSF、グランザイムB、IFN-α、IFN-γ、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18R、IL-23、IL-27、IL-27R、リンパ毒素、パーフォリン、t-bet、Tim-3、TNF-a、TRANCE、sCD40Lまたはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。特に、1つまたは複数のTh1関連マーカーには、IFN-γ、IL-2、IL-12またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、CD25の抑制により、IFN-γの発現を増加させることができる。例えば、CD25の抑制により、IL-2を増加させることができる。例えば、CD25の抑制により、IL-12の発現を増加させることができる。
【0143】
CD25の抑制により、1つまたは複数の関連するTreg細胞関連マーカーの発現を減少させることができる。CD25の抑制により、CD25が抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のTreg細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。1つまたは複数のTreg関連マーカーには、TGFβもしくはIL-10またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、CD25の抑制によりTGFβの発現を減少させることができる。例えば、CD25の抑制により、IL-10の発現を減少させることができる。
【0144】
CD25の抑制により、Treg T細胞に対するT1 T細胞の比率を、約5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、約30倍、約35倍、約40倍、約45倍、約50倍、約55倍、約60倍、約65倍、約70倍、約75倍、約80倍、約85倍、約90倍、約95倍、約100倍、約150倍、約200倍、約250倍、約300倍、約350倍、約400倍、約450倍、約500倍、約550倍、約600倍、約650倍、約700倍、約750倍、約800倍、約850倍、約900倍、約950倍、約1000倍またはそれ以上増加させることができる。
【0145】
CD25の抑制により、T1 T細胞に対するTreg T細胞の比率を、約1分の1、約2分の1、約3分の1、約4分の1、約5分の1、約10分の1、約15分の1、約20分の1、約25分の1、約30分の1、約35分の1、約40分の1、約45分の1、約50分の1、約55分の1、約60分の1、約65分の1、約70分の1、約75分の1、約80分の1、約85分の1、約90分の1、約95分の1、約100分の1、約150分の1、約200分の1、約250分の1、約300分の1、約350分の1、約400分の1、約450分の1、約500分の1、約550分の1、約600分の1、約650分の1、約700分の1、約750分の1、約800分の1、約850分の1、約900分の1、約950分の1、約1000分の1または以上に減少させることができる。
【0146】
CD25の活性は、基底活性と比較して約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上抑制(すなわち、阻害)することができる。
【0147】
viii.Ezh2
Ezh2は、薬理作用のある薬剤または遺伝子改変によって抑制(すなわち、阻害)することができる。薬理作用のある薬剤はEzh2の阻害剤であり得る。阻害剤は低分子、低分子干渉RNA(siRNA)またはショートヘアピンRNA(shRNA)であり得る。Ezh2阻害剤は、約1000nM未満、約900nM未満、約800mM未満、約700nM未満、約600nM未満、約500nM未満、約400nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満の半数阻害濃度を有し得る。
【0148】
Ezh2は、ゲノムからEzh2遺伝子をノックアウトすることによって抑制することができる。遺伝子をノックアウトする技術は当業者に知られている。当技術分野における遺伝子ノックアウト法としては、遺伝子サイレンシング、コンディショナルノックアウト、相同組換え、遺伝子編集および突然変異によるノックアウトが挙げられるが、これらに限定されない。遺伝子サイレンシングは、例えば、RNA干渉、siRNAまたはshRNAを用いて達成することができる。コンディショナルノックアウト法は、Ezh2遺伝子を不活性化するために用いることができる。機能喪失変異は、Ezh2遺伝子に変異を生じさせることにより、遺伝子機能を抑制するのに役立ち得る。Ezh2を抑制するために採用され得る遺伝子編集技術としては、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼおよびCRISPRベースのシステム(例えば、CRISPR-Cas9)が挙げられるが、これらに限定されない。Ezh2の抑制には商業的に利用可能なキットを利用することもできる。変異は、1つまたは複数のタンパク質ドメインに生じさせることができる。
【0149】
Ezh2の抑制により、白血球中のT1極性化T細胞数を増加させることができる。Ezh2の抑制により、T細胞のT1への分化を促進することができる。Ezh2の抑制により、白血球におけるIL-10、IL-4、IL-13の発現を減少させることができる。Ezh2の抑制により、白血球におけるIFN-γの発現を増加させることができる。Ezh2の抑制により、白血球におけるIL-12の発現を増加させることができる。Ezh2の抑制により、白血球中のTreg極性化T細胞数を減少させることができる。
【0150】
Ezh2の抑制により、Ezh2が抑制されていない白血球と比較して、T1細胞の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。Ezh2の抑制により、Ezh2が抑制されていない白血球と比較して、Treg細胞の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。
【0151】
Ezh2の抑制により、1つまたは複数の関連するT1細胞関連マーカーの発現を増加させることができる。Ezh2の抑制により、Ezh2が抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のT1細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。1つまたは複数のTh1関連マーカーには、CCR1、CD4、CD26、CD94、CD119、CD183、CD195、CD212、GM-CSF、グランザイムB、IFN-α、IFN-γ、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18R、IL-23、IL-27、IL-27R、リンパ毒素、パーフォリン、t-bet、Tim-3、TNF-a、TRANCE、sCD40Lまたはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。特に、1つまたは複数のTh1関連マーカーには、IFN-γ、IL-2、IL-12またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、Ezh2の抑制により、IFN-γの発現を増加させることができる。例えば、Ezh2の抑制により、IL-2を増加させることができる。例えば、Ezh2の抑制により、Ezh2の発現を増加させることができる。
【0152】
Ezh2の抑制により、1つまたは複数の関連するTreg細胞関連マーカーの発現を減少させることができる。Ezh2の抑制により、Ezh2が抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のTreg細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。1つまたは複数のTreg関連マーカーには、TGFβもしくはIL-10またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、Ezh2の抑制により、TGFβの発現を減少させることができる。例えば、Ezh2の抑制により、IL-10の発現を減少させることができる。
【0153】
Ezh2の抑制により、Treg T細胞に対するTh1 T細胞の比率を約5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、約30倍、約35倍、約40倍、約45倍、約50倍、約55倍、約60倍、約65倍、約70倍、約75倍、約80倍、約85倍、約90倍、約95倍、約100倍、約150倍、約200倍、約250倍、約300倍、約350倍、約400倍、約450倍、約500倍、約550倍、約600倍、約650倍、約700倍、約750倍、約800倍、約850倍、約900倍、約950倍、約1000倍またはそれ以上増加させることができる。
【0154】
Ezh2の抑制により、Th1 T細胞に対するTreg T細胞の比率を約1分の1、約2分の1、約3分の1、約4分の1、約5分の1、約10分の1、約15分の1、約20分の1、約25分の1、約30分の1、約35分の1、約40分の1、約45分の1、約50分の1、約55分の1、約60分の1、約65分の1、約70分の1、約75分の1、約80分の1、約85分の1、約90分の1、約95分の1、約100分の1、約150分の1、約200分の1、約250分の1、約300分の1、約350分の1、約400分の1、約450分の1、約500分の1、約550分の1、約600分の1、約650分の1、約700分の1、約750分の1、約800分の1、約850分の1、約900分の1、約950分の1、約1000分の1またはそれ以上減少させることができる。
【0155】
Ezh2の活性は、基底活性と比較して約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上抑制(すなわち、阻害)することができる。
【0156】
ix.Helios
Heliosは、薬理作用のある薬剤または遺伝子組換えによって抑制(すなわち、阻害)することができる。薬理作用のある薬剤はHeliosの阻害剤であり得る。阻害剤は低分子、低分子干渉RNA(siRNA)またはショートヘアピンRNA(shRNA)であり得る。Heliosの阻害剤は、約1000nM未満、約900nM未満、約800mM未満、約700nM未満、約600nM未満、約500nM未満、約400nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満の半数阻害濃度を有し得る。
【0157】
Heliosは、ゲノムからIKZF2遺伝子をノックアウトすることによって抑制することができる。遺伝子をノックアウトする技術は当業者に知られている。当技術分野における遺伝子ノックアウト法としては、遺伝子サイレンシング、コンディショナルノックアウト、相同組換え、遺伝子編集および突然変異によるノックアウトが挙げられるが、これらに限定されない。遺伝子サイレンシングは、例えば、RNA干渉、siRNAまたはshRNAを用いて達成することができる。コンディショナルノックアウト法は、IKZF2遺伝子を不活性化するために用いることができる。機能喪失変異は、IKZF2遺伝子に変異を生じさせることにより、遺伝子機能を抑制するのに役立ち得る。Heliosを抑制するために採用され得る遺伝子編集技術としては、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼおよびCRISPRベースのシステム(例えば、CRISPR-Cas9)が挙げられるが、これらに限定されない。Heliosの抑制には商業的に利用可能なキットを利用することもできる。変異は、1つまたは複数のタンパク質ドメインに生じさせることができる。
【0158】
Heliosの抑制により、白血球中のT1極性化T細胞数を増加させることができる。Heliosの抑制により、T細胞のT1への分化を促進することができる。Heliosの抑制により、白血球におけるIL-10、IL-4、またはIL-13の発現を減少させることができる。Heliosの抑制により、白血球におけるIFN-γの発現を増加させることができる。Heliosの抑制により、白血球におけるIL-12の発現を増加させることができる。Heliosの抑制により、白血球中のTreg極性化T細胞数を減少させることができる。
【0159】
Heliosの抑制により、Heliosが抑制されていない白血球と比較して、Th1細胞の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。Heliosの抑制により、Heliosが抑制されていない白血球と比較して、Tregの集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。
【0160】
Heliosの抑制により、1つまたは複数の関連するTh1細胞関連マーカーの発現を増加させることができる。Heliosの抑制により、Heliosが抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のTh1細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。1つまたは複数のTh1関連マーカーには、CCR1、CD4、CD26、CD94、CD119、CD183、CD195、CD212、GM-CSF、グランザイムB、IFN-α、IFN-γ、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18R、IL-23、IL-27、IL-27R、リンパ毒素、パーフォリン、t-bet、Tim-3、TNF-a、TRANCE、sCD40Lまたはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。特に、1つまたは複数のTh1関連マーカーには、IFN-γ、IL-2、IL-12またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、Heliosの抑制により、IFN-γの発現を増加させることができる。例えば、Heliosの抑制により、IL-2を増加させることができる。例えば、Heliosの抑制により、IL-12の発現を増加させることができる。
【0161】
Heliosの抑制により、1つまたは複数の関連するTreg細胞関連マーカーの発現を減少させることができる。Heliosの抑制により、Heliosが抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のTreg細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。1つまたは複数のTreg関連マーカーには、TGFβもしくはIL-10またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、Heliosの抑制によりTGFβの発現を減少させることができる。例えば、Heliosの抑制により、IL-10の発現を減少させることができる。
【0162】
Heliosの抑制により、Treg T細胞に対するTh1 T細胞の比率を約5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、約30倍、約35倍、約40倍、約45倍、約50倍、約55倍、約60倍、約65倍、約70倍、約75倍、約80倍、約85倍、約90倍、約95倍、約100倍、約150倍、約200倍、約250倍、約300倍、約350倍、約400倍、約450倍、約500倍、約550倍、約600倍、約650倍、約700倍、約750倍、約800倍、約850倍、約900倍、約950倍、約1000倍またはそれ以上増加させることができる。
【0163】
Heliosの抑制により、Th1 T細胞に対するTreg T細胞の比率を約1分の1、約2分の1、約3分の1、約4分の1、約5分の1、約10分の1、約15分の1、約20分の1、約25分の1、約30分の1、約35分の1、約40分の1、約45分の1、約50分の1、約55分の1、約60分の1、約65分の1、約70分の1、約75分の1、約80分の1、約85分の1、約90分の1、約95分の1、約100分の1、約150分の1、約200分の1、約250分の1、約300分の1、約350分の1、約400分の1、約450分の1、約500分の1、約550分の1、約600分の1、約650分の1、約700分の1、約750分の1、約800分の1、約850分の1、約900分の1、約950分の1、約1000分の1またはそれ以上減少させることができる。
【0164】
Heliosの抑制により、CD8+T細胞の疲弊を軽減することができる。Heliosの抑制により、Heliosを抑制しない場合の活性と比較して、CD8+T細胞の疲弊を約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%またはそれ以上減少させることができる。
【0165】
Heliosの抑制により、Heliosが抑制されていない白血球と比較して、CD8+T細胞の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。
【0166】
Heliosの活性は、基底活性と比較して約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上抑制(すなわち、阻害)することができる。
【0167】
x.Blimp1
Blimp1は、薬理作用のある薬剤または遺伝子改変によって抑制(すなわち阻害)することができる。薬理作用のある薬剤は、Blimp1の阻害剤であり得る。Blimp1阻害剤は、低分子、低分子干渉RNA(siRNA)またはショートヘアピンRNA(shRNA)であり得る。Blimp1の阻害剤は、約1000nM未満、約900nM未満、約800mM未満、約700nM未満、約600nM未満、約500nM未満、約400nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満の半数阻害濃度を有し得る。
【0168】
Blimp1はPRDM1遺伝子をゲノムからノックアウトすることによって抑制することができる。遺伝子をノックアウトする技術は当業者に知られている。当技術分野における遺伝子ノックアウト法としては、遺伝子サイレンシング、コンディショナルノックアウト、相同組換え、遺伝子編集および変異によるノックアウトが挙げられるが、これらに限定されない。遺伝子サイレンシングは、例えば、RNA干渉、siRNAまたはshRNAを用いて達成することができる。コンディショナルノックアウト法は、PRDM1遺伝子を不活性化するために用いることができる。機能喪失変異は、PRDM1遺伝子に変異を生じさせることにより、遺伝子機能を抑制するのに役立ち得る。Blimp1を抑制するために採用され得る遺伝子編集技術としては、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼおよびCRISPRベースのシステム(例えば、CRISPR-Cas9)が挙げられるが、これらに限定されない。Blimp1の抑制には商業的に利用可能なキットを利用することもできる。変異は、1つまたは複数のタンパク質ドメインに生じさせることができる。
【0169】
Blimp1の抑制により、白血球中のTh1極性化T細胞が増加させることができる。Blimp1の抑制により、T細胞のTh1への分化を促進することができる。Blimp1の抑制により、白血球中のIL-10、IL-4、IL-13の発現を減少させることができる。Blimp1の抑制により、白血球におけるIFN-γの発現を増加させることができる。Blimp1の抑制により、白血球におけるIL-12の発現を増加させることができる。Blimp1の抑制により、白血球中のTreg極性化T細胞数を減少させることができる。
【0170】
Blimp1の抑制により、Blimp1が抑制されていない白血球と比較して、Th1細胞の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。Blimp1の抑制により、Blimp1が抑制されていない白血球と比較して、Tregの集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。
【0171】
Blimp1の抑制により、1つまたは複数の関連するTh1細胞関連マーカーの発現を増加させることができる。Blimp1の抑制により、Blimp1が抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のTh1細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。1つまたは複数のTh1関連マーカーには、CCR1、CD4、CD26、CD94、CD119、CD183、CD195、CD212、GM-CSF、グランザイムB、IFN-α、IFN-γ、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18R、IL-23、IL-27、IL-27R、リンパ毒素、パーフォリン、t-bet、Tim-3、TNF-a、TRANCE、sCD40Lまたはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。特に、1つまたは複数のTh1関連マーカーには、IFN-γ、IL-2、IL-12またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、Blimp1の抑制により、IFN-γの発現を増加させることができる。例えば、Blimp1の抑制により、IL-2を増加させることができる。例えば、Blimp1の抑制により、IL-12の発現を増加させることができる。
【0172】
Blimp1の抑制により、1つまたは複数の関連するTreg細胞関連マーカーの発現を減少させることができる。Blimp1の抑制により、Blimp1が抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のTreg細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。1つまたは複数のTreg関連マーカーには、TGFβもしくはIL-10またはそれらの組み合わせが含まれ得る。例えば、Blimp1の抑制によりTGFβの発現を減少させることができる。例えば、Blimp1の抑制により、IL-10の発現を減少させることができる。
【0173】
Blimp1の抑制により、Treg T細胞に対するTh1 T細胞の比率を約5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、約30倍、約35倍、約40倍、約45倍、約50倍、約55倍、約60倍、約65倍、約70倍、約75倍、約80倍、約85倍、約90倍、約95倍、約100倍、約150倍、約200倍、約250倍、約300倍、約350倍、約400倍、約450倍、約500倍、約550倍、約600倍、約650倍、約700倍、約750倍、約800倍、約850倍、約900倍、約950倍、約1000倍またはそれ以上増加させることができる。
【0174】
Blimp1の抑制により、Th1 T細胞に対するTreg T細胞の比率を約1分の1、約2分の1、約3分の1、約4分の1、約5分の1、約10分の1、約15分の1、約20分の1、約25分の1、約30分の1、約35分の1、約40分の1、約45分の1、約50分の1、約55分の1、約60分の1、約65分の1、約70分の1、約75分の1、約80分の1、約85分の1、約90分の1、約95分の1、約100分の1、約150分の1、約200分の1、約250分の1、約300分の1、約350分の1、約400分の1、約450分の1、約500分の1、約550分の1、約600分の1、約650分の1、約700分の1、約750分の1、約800分の1、約850分の1、約900分の1、約950分の1、約1000分の1またはそれ以上減少させることができる。
【0175】
Blimp1の抑制によりCD8+T細胞の疲弊を軽減することができる。Blimp1の抑制により、Blimp1を抑制しない場合の活性と比較して、CD8+T細胞の疲弊を約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%またはそれ以上減少させることができる。
【0176】
Blimp1の抑制により、Blimpが抑制されていない白血球と比較して、CD8+T細胞の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。
【0177】
Blimp1の活性は、基底活性と比較して約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上抑制(すなわち阻害)することができる。
【0178】
xi.TOX
TOX(胸腺細胞選択関連HMG BOX)は、薬理作用のある薬剤または遺伝子改変によって抑制(すなわち、阻害)することができる。薬理作用のある薬剤はTOXの阻害剤であり得る。阻害剤は、低分子、低分子干渉RNA(siRNA)またはショートヘアピンRNA(shRNA)であり得る。TOXの阻害剤は、約1000nM未満、約900nM未満、約800mM未満、約700nM未満、約600nM未満、約500nM未満、約400nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満の半数阻害濃度を有し得る。
【0179】
TOXは、ゲノムからTOX遺伝子をノックアウトすることによって抑制することができる。遺伝子をノックアウトする技術は当業者に知られている。当技術分野における遺伝子ノックアウト法としては、遺伝子サイレンシング、コンディショナルノックアウト、相同組換え、遺伝子編集および突然変異によるノックアウトが挙げられるが、これらに限定されない。遺伝子サイレンシングは、例えば、RNA干渉、siRNAまたはshRNAを用いて達成することができる。コンディショナルノックアウト法は、TOX遺伝子を不活性化するために用いることができる。機能喪失変異は、TOX遺伝子に変異を生じさせることにより、遺伝子機能を抑制するのに役立ち得る。TOXを抑制するために採用され得る遺伝子編集技術としては、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼおよびCRISPRベースのシステム(例えば、CRISPR-Cas9)が挙げられるが、これらに限定されない。TOXの抑制には商業的に利用可能なキットを利用することもできる。変異は、1つまたは複数のタンパク質ドメインに生じさせることができる。
【0180】
TOXの抑制によりCD8+T細胞の疲弊を軽減することができる。TOXの抑制により、TOXを抑制しない場合の活性と比較して、CD8+T細胞の疲弊を約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%またはそれ以上減少させることができる。
【0181】
TOXの抑制により、TOXが抑制されていない白血球と比較して、CD8+T細胞の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。
【0182】
xii.IL-10
IL-10は、薬理作用のある薬剤または遺伝子組換えによって抑制(すなわち、阻害)することができる。薬理作用のある薬剤はIL-10の阻害剤であり得る。阻害剤は、低分子、低分子干渉RNA(siRNA)またはショートヘアピンRNA(shRNA)であり得る。IL-10の阻害剤は、約1000nM未満、約900nM未満、約800mM未満、約700nM未満、約600nM未満、約500nM未満、約400nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満の半数阻害濃度を有し得る。
【0183】
IL-10は、ゲノムからIL-10遺伝子をノックアウトすることによって抑制することができる。遺伝子をノックアウトする技術は当業者に知られている。当技術分野における遺伝子ノックアウト法としては、遺伝子サイレンシング、コンディショナルノックアウト、相同組換え、遺伝子編集および突然変異によるノックアウトが挙げられるが、これらに限定されない。遺伝子サイレンシングは、例えば、RNA干渉、siRNAまたはshRNAを用いて達成することができる。コンディショナルノックアウト法はIL-10遺伝子を不活性化するために用いることができる。機能喪失変異は、IL-10遺伝子に変異を生じさせることにより、遺伝子機能を抑制するのに役立ち得る。IL-10を抑制するために採用され得る遺伝子編集技術としては、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼおよびCRISPRベースのシステム(例えば、CRISPR-Cas9)が挙げられるが、これらに限定されない。IL-10の抑制には商業的に利用可能なキットを利用することもできる。変異は、タンパク質ドメインの1つまたはそれ以上に生じさせることができる。
【0184】
IL-10の抑制により、白血球中のTh2極性化T細胞数を減少させることができる。IL-10の抑制により、白血球中のTh1極性化T細胞数を増加させることができる。IL-10の抑制により、T細胞のTh1への分化を促進することができる。IL-10の抑制により、白血球におけるIL-10、IL-4、またはIL-13の発現を減少させることができる。IL-10の抑制により、白血球におけるIFN-γの発現を増加させることができる。IL-10の抑制により、白血球におけるIL-12の発現を増加させることができる。
【0185】
IL-10の抑制により、IL-10が抑制されていない白血球と比較して、Th1細胞の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。IL-10の抑制により、IL-10が抑制されていない白血球と比較して、Th2の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。
【0186】
IL-10の抑制により、1つまたは複数の関連するTh1細胞関連マーカーの発現を増加させることができる。IL-10の抑制により、IL-10が抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のTh1細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。1つまたは複数のTh1関連マーカーには、CCR1、CD4、CD26、CD94、CD119、CD183、CD195、CD212、GM-CSF、グランザイムB、IFN-α、IFN-γ、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18R、IL-23、IL-27、IL-27R、リンパ毒素、パーフォリン、t-bet、Tim-3、TNF-a、TRANCE、sCD40Lまたはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。特に、1つまたは複数のTh1関連マーカーには、IFN-γ、IL-2、IL-12またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、IL-10の抑制により、IFN-γの発現を増加させることができる。例えば、IL-10の抑制により、IL-2を増加させることができる。例えば、IL-10の抑制により、IL-12の発現を増加させることができる。
【0187】
IL-10の抑制により、1つまたは複数の関連するTh2細胞関連マーカーの発現を減少させることができる。IL-10の抑制により、IL-10が抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のTh2細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。1つまたは複数のTh2関連マーカーには、CCR3、CCR4、CCR7、CCR8、CD4、CD30、CD81、CD184、CD278、c-maf、CRTH2、Gata-3、GM-CSF、IFN yR、IgD、IL-1R、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-10、IL-13、IL-15、ST2L/T1、Tim-1またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。特に、1つまたは複数のTh2関連マーカーには、IL-4、IL-6、IL-10、IL-13、IL-15またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、IL-10の抑制により、IL-4の発現を減少させることができる。例えば、IL-10の抑制により、IL-5の発現を減少させることができる。例えば、IL-10の抑制により、IL-6の発現を減少させることができる。例えば、IL-10の抑制により、IL-10の発現を減少させることができる。例えば、IL-10の抑制により、IL-13の発現を減少させることができる。例えば、IL-10の抑制により、IL-15の発現を減少させることができる。
【0188】
IL-10の抑制により、Th2 T細胞に対するTh1 T細胞の比率を、約5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、約30倍、約35倍、約40倍、約45倍、約50倍、約55倍、約60倍、約65倍、約70倍、約75倍、約80倍、約85倍、約90倍、約95倍、約100倍、約150倍、約200倍、約250倍、約300倍、約350倍、約400倍、約450倍、約500倍、約550倍、約600倍、約650倍、約700倍、約750倍、約800倍、約850倍、約900倍、約950倍、約1000倍、またはそれ以上に増加させることができる。
【0189】
IL-10の抑制により、Th1 T細胞に対するTh2 T細胞の比率を約1倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、約30倍、約35倍、約40倍、約45倍、約50倍、約55倍、約60倍、約65倍、約70倍、約75倍、約80倍、約85倍、約90倍、約95倍、約100倍、約150倍、約200倍、約250倍、約300倍、約350倍、約400倍、約450倍、約500倍、約550倍、約600倍、約650倍、約700倍、約750倍、約800倍、約850倍、約900倍、約950倍、約1000倍またはそれ以上増加させることができる。
【0190】
IL-10の活性は、基底活性と比較して約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上抑制(すなわち、阻害)することができる。
【0191】
IL-10の抑制により、他のT細胞における炎症と炎症性サイトカインの産生を促進することができる。IL-10の抑制によりIL-1、IL-12、IL-18、TNF-α、IFN-γ、またはGM-CSFの発現を増加させることができる。
【0192】
IL-10の抑制により、IL-10が抑制されていない白血球と比較して、IL-1の発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。
【0193】
IL-10の抑制により、IL-10が抑制されていない白血球と比較して、IL-12の発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。
【0194】
IL-10の抑制により、IL-18の発現を、IL-10が抑制されていない白血球と比較して、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。
【0195】
IL-10の抑制により、IL-10が抑制されていない白血球と比較して、TFN-αの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。
【0196】
IL-10の抑制により、IL-10が抑制されていない白血球と比較して、Iの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。
【0197】
IL-10の抑制により、IL-10が抑制されていない白血球と比較して、IL-18の発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。
【0198】
IL-10の抑制により、IL-10が抑制されていない白血球と比較して、GM-CFSの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。
【0199】
xiii.SOCS1
SOCS1は、薬理作用のある薬剤または遺伝子改変によって抑制(すなわち、阻害)することができる。薬理作用のある薬剤は、SOCS1の阻害剤であり得る。SOCS1阻害剤は、低分子、低分子干渉RNA(siRNA)またはショートヘアピンRNA(shRNA)であり得る。SOCS1阻害剤は、約1000nM未満、約900nM未満、約800mM未満、約700nM未満、約600nM未満、約500nM未満、約400nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満の半数阻害濃度を有し得る。
【0200】
SOCS1は、ゲノムからSOCS1遺伝子をノックアウトすることによって抑制することができる。遺伝子をノックアウトする技術は当業者に知られている。当技術分野における遺伝子ノックアウト法としては、遺伝子サイレンシング、コンディショナルノックアウト、相同組換え、遺伝子編集および突然変異によるノックアウトが挙げられるが、これらに限定されない。遺伝子サイレンシングは、例えば、RNA干渉、siRNAまたはshRNAを用いて達成することができる。コンディショナルノックアウト法は、SOCS1遺伝子を不活性化するために用いることができる。機能喪失変異は、SOCS1遺伝子に変異を生じさせることにより、遺伝子機能を抑制するのに役立ち得る。SOCS1を抑制するために採用され得る遺伝子編集技術としては、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼおよびCRISPRベースのシステム(例えば、CRISPR-Cas9)が挙げられるが、これらに限定されない。SOCS1の抑制には商業的に利用可能なキットを利用することもできる。変異は、1つまたは複数のタンパク質ドメインに生じさせることができる。
【0201】
SOCS1の抑制により、白血球中のTh1極性化T細胞数を増加させることができる。SOCS1の抑制により、T細胞のTh1への分化を促進することができる。SOCS1の抑制により、白血球におけるIL-10、IL-4、またはIL-13の発現を減少させることができる。SOCS1の抑制により、白血球におけるIFN-γの発現を増加させることができる。SOCS1の抑制により、白血球におけるIL-12の発現を増加させることができる。SOCS1の抑制により、白血球中のTreg極性化T細胞数を減少させることができる。
【0202】
SOCS1の抑制により、SOCS1が抑制されていない白血球と比較して、Th1細胞の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。SOCS1の抑制により、SOCS1が抑制されていない白血球と比較して、Tregの集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。
【0203】
SOCS1の抑制により、1つまたは複数の関連するTh1細胞関連マーカーの発現を増加させることができる。SOCS1の抑制により、SOCS1が抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のTh1細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。1つまたは複数のTh1関連マーカーには、CCR1、CD4、CD26、CD94、CD119、CD183、CD195、CD212、GM-CSF、グランザイムB、IFN-α、IFN-γ、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18R、IL-23、IL-27、IL-27R、リンパ毒素、パーフォリン、t-bet、Tim-3、TNF-a、TRANCE、sCD40Lまたはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。特に、1つまたは複数のTh1関連マーカーには、IFN-γ、IL-2、IL-12またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、SOCS1の抑制により、IFN-γの発現を増加させることができる。例えば、SOCS1の抑制により、IL-2を増加させることができる。例えば、SOCS1の抑制により、IL-12の発現を増加させることができる。
【0204】
SOCS1の抑制により、1つまたは複数の関連するTreg細胞関連マーカーの発現を減少させることができる。SOCS1の抑制により、SOCS1が抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のTreg細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。1つまたは複数のTreg関連マーカーには、TGFβもしくはIL-10またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、SOCS1の抑制により、TGFβ発現を減少させることができる。例えば、SOCS1の抑制により、IL-10の発現を減少させることができる。
【0205】
SOCS1の抑制により、Treg T細胞に対するTh1 T細胞の比率を約5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、約30倍、約35倍、約40倍、約45倍、約50倍、約55倍、約60倍、約65倍、約70倍、約75倍、約80倍、約85倍、約90倍、約95倍、約100倍、約150倍、約200倍、約250倍、約300倍、約350倍、約400倍、約450倍、約500倍、約550倍、約600倍、約650倍、約700倍、約750倍、約800倍、約850倍、約900倍、約950倍、約1000倍またはそれ以上増加させることができる。
【0206】
SOCS1の抑制により、Th1 T細胞に対するTreg T細胞の比率を約1分の1、約2分の1、約3分の1、約4分の1、約5分の1、約10分の1、約15分の1、約20分の1、約25分の1、約30分の1、約35分の1、約40分の1、約45分の1、約50分の1、約55分の1、約60分の1、約65分の1、約70分の1、約75分の1、約80分の1、約85分の1、約90分の1、約95分の1、約100分の1、約150分の1、約200分の1、約250分の1、約300分の1、約350分の1、約400分の1、約450分の1、約500分の1、約550分の1、約600分の1、約650分の1、約700分の1、約750分の1、約800分の1、約850分の1、約900分の1、約950分の1、約1000分の1またはそれ以上減少させることができる。
【0207】
SOCS1の抑制により、CD8+T細胞の疲弊を軽減することができる。SOCS1の抑制により、SOCS1を抑制しない場合の活性と比較して、CD8+T細胞の疲弊を約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%またはそれ以上減少させることができる。
【0208】
SOCS1の抑制により、SOCS1が抑制されていない白血球と比較して、CD8+T細胞の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。
【0209】
SOCS1の活性は、基底活性と比較して約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上抑制(すなわち、阻害)することができる。
【0210】
xiv.PD-1
PD-1は、薬理作用のある薬剤または遺伝子改変によって抑制(すなわち、阻害)することができる。薬理作用のある薬剤はPD-1の阻害剤であり得る。PD-1阻害剤は、低分子、低分子干渉RNA(siRNA)またはショートヘアピンRNA(shRNA)であり得る。PD-1阻害剤は、約1000nM未満、約900nM未満、約800mM未満、約700nM未満、約600nM未満、約500nM未満、約400nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満の半数阻害濃度を有し得る。
【0211】
PD-1は、ゲノムからPD-1遺伝子をノックアウトすることによって抑制することができる。遺伝子をノックアウトする技術は当業者に知られている。当技術分野における遺伝子ノックアウト法としては、遺伝子サイレンシング、コンディショナルノックアウト、相同組換え、遺伝子編集および突然変異によるノックアウトが挙げられるが、これらに限定されない。遺伝子サイレンシングは、例えば、RNA干渉、siRNAまたはshRNAを用いて達成することができる。コンディショナルノックアウト法は、PD-1遺伝子を不活性化するために用いることができる。機能喪失変異は、PD-1遺伝子に変異を生じさせることにより、遺伝子機能を抑制するのに役立ち得る。PD-1を抑制するために採用され得る遺伝子編集技術としては、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼおよびCRISPRベースのシステム(例えば、CRISPR-Cas9)が挙げられるが、これらに限定されない。PD-1の抑制には商業的に利用可能なキットを利用することもできる。変異は、1つまたは複数のタンパク質ドメインに生じさせることができる。
【0212】
PD-1の抑制により、白血球中のTh1極性化T細胞数を増加させることができる。PD-1の抑制により、T細胞のTh1への分化を促進することができる。PD-1の抑制により、白血球におけるIL-10、IL-4またはIL-13の発現を減少させることができる。PD-1の抑制により、白血球におけるIFN-γの発現を増加させることができる。PD-1の抑制により、白血球におけるIL-12の発現を増加させることができる。PD-1の抑制により、白血球中のTreg極性化T細胞数を減少させることができる。
【0213】
PD-1の抑制により、PD-1が抑制されていない白血球と比較して、Th1細胞の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。PD-1の抑制により、PD-1が抑制されていない白血球と比較して、Tregの集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。
【0214】
PD-1の抑制により、1つまたは複数の関連するTh1細胞関連マーカーの発現を増加させることができる。PD-1の抑制により、PD-1が抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のTh1細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。1つまたは複数のTh1関連マーカーには、CCR1、CD4、CD26、CD94、CD119、CD183、CD195、CD212、GM-CSF、グランザイムB、IFN-α、IFN-γ、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18R、IL-23、IL-27、IL-27R、リンパ毒素、パーフォリン、t-bet、Tim-3、TNF-a、TRANCE、sCD40Lまたはそれらの任意の組合せが含まれ得る。特に、1つまたは複数のTh1関連マーカーには、IFN-γ、IL-2、IL-12またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、PD-1の抑制により、IFN-γの発現を増加させることができる。例えば、PD-1の抑制により、IL-2を増加させることができる。例えば、PD-1の抑制により、IL-12の発現を増加させることができる。
【0215】
PD-1の抑制により、1つまたは複数の関連するTreg細胞関連マーカーの発現を減少させることができる。PD-1の抑制により、PD-1が抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のTreg細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。1つまたは複数のTreg関連マーカーには、TGFβもしくはIL-10またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、PD-1の抑制により、TGFβの発現を減少させることができる。例えば、PD-1の抑制によりIL-10の発現を減少させることができる。
【0216】
PD-1の抑制により、Treg T細胞に対するTh1 T細胞の比率を約5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、約30倍、約35倍、約40倍、約45倍、約50倍、約55倍、約60倍、約65倍、約70倍、約75倍、約80倍、約85倍、約90倍、約95倍、約100倍、約150倍、約200倍、約250倍、約300倍、約350倍、約400倍、約450倍、約500倍、約550倍、約600倍、約650倍、約700倍、約750倍、約800倍、約850倍、約900倍、約950倍、約1000倍またはそれ以上増加させることができる。
【0217】
PD-1の抑制により、Th1 T細胞に対するTreg T細胞の比率を約1分の1、約2分の1、約3分の1、約4分の1、約5分の1、約10分の1、約15分の1、約20分の1、約25分の1、約30分の1、約35分の1、約40分の1、約45分の1、約50分の1、約55分の1、約60分の1、約65分の1、約70分の1、約75分の1、約80分の1、約85分の1、約90分の1、約95分の1、約100分の1、約150分の1、約200分の1、約250分の1、約300分の1、約350分の1、約400分の1、約450分の1、約500分の1、約550分の1、約600分の1、約650分の1、約700分の1、約750分の1、約800分の1、約850分の1、約900分の1、約950分の1、約1000分の1またはそれ以上減少させることができる。
【0218】
PD-1の抑制により、CD8+T細胞の疲弊を軽減することができる。PD-1の抑制により、PD-1を抑制しない場合の活性と比較して、CD8+T細胞の疲弊を約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%またはそれ以上減少させることができる。
【0219】
PD-1の抑制により、PD-1が抑制されていない白血球と比較して、CD8+T細胞の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。
【0220】
PD-1の活性は、基底活性と比較して約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上抑制(すなわち、阻害)することができる。
【0221】
xv.LAG-3
LAG-3は、薬理作用のある薬剤または遺伝子改変によって抑制(すなわち、阻害)することができる。薬理作用のある薬剤はLAG-3の阻害剤であり得る。阻害剤は低分子、低分子干渉RNA(siRNA)またはショートヘアピンRNA(shRNA)であり得る。LAG-3阻害剤は、約1000nM未満、約900nM未満、約800mM未満、約700nM未満、約600nM未満、約500nM未満、約400nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満の半数阻害濃度を有することができる。
【0222】
LAG-3はゲノムからLAG-3遺伝子をノックアウトすることによって抑制することができる。遺伝子をノックアウトする技術は当業者に知られている。当技術分野における遺伝子ノックアウト法としては、遺伝子サイレンシング、コンディショナルノックアウト、相同組換え、遺伝子編集および突然変異によるノックアウトが挙げられるが、これらに限定されない。遺伝子サイレンシングは、例えば、RNA干渉、siRNAまたはshRNAを用いて達成することができる。コンディショナルノックアウト法はLAG-3遺伝子を不活性化するために用いることができる。機能喪失変異は、LAG-3遺伝子に変異を生じさせることにより、遺伝子機能を抑制するのに役立ち得る。LAG-3を抑制するために採用され得る遺伝子編集技術としては、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼおよびCRISPRベースのシステム(例えば、CRISPR-Cas9)が挙げられるが、これらに限定されない。LAG-3の抑制には商業的に利用可能なキットを利用することもできる。変異は、1つまたは複数のタンパク質のドメインに生じさせることができる。
【0223】
LAG-3の抑制により、白血球中のTh1極性化T細胞数を増加させることができる。LAG-3の抑制により、T細胞のTh1への分化を促進することができる。LAG-3の抑制により、白血球におけるIL-10、IL-4、またはIL-13の発現を減少させることができる。LAG-3の抑制により、白血球におけるIFN-γの発現を増加させることができる。LAG-3の抑制により、白血球におけるIL-12の発現を増加させることができる。LAG-3の抑制により、白血球中のTreg極性化T細胞数を減少させることができる。
【0224】
LAG-3の抑制により、LAG-3が抑制されていない白血球と比較して、Th1細胞の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。LAG-3の抑制により、LAG-3が抑制されていない白血球と比較して、Treg細胞の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。
【0225】
LAG-3の抑制により、1つまたは複数の関連するTh1細胞関連マーカーの発現を増加させることができる。LAG-3の抑制により、LAG-3が抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のTh1細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。1つまたは複数のTh1関連マーカーには、CCR1、CD4、CD26、CD94、CD119、CD183、CD195、CD212、GM-CSF、グランザイムB、IFN-α、IFN-γ、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18R、IL-23、IL-27、IL-27R、リンパ毒素、パーフォリン、t-bet、Tim-3、TNF-a、TRANCE、sCD40Lまたはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。特に、1つまたは複数のTh1関連マーカーには、IFN-γ、IL-2、IL-12またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、LAG-3の抑制により、IFN-γの発現を増加させることができる。例えば、LAG-3の抑制により、IL-2を増加させることができる。例えば、LAG-3の抑制により、IL-12の発現を増加させることができる。
【0226】
LAG-3の抑制により、1つまたは複数の関連するTreg細胞関連マーカーの発現を減少させることができる。LAG-3の抑制により、LAG-3が抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のTreg細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。1つまたは複数のTreg関連マーカーには、TGFβもしくはIL-10またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、LAG-3の抑制により、TGFβの発現を減少させることができる。例えば、LAG-3の抑制により、IL-10の発現を減少させることができる。
【0227】
LAG-3の抑制により、Treg T細胞に対するTh1 T細胞の比率を約5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、約30倍、約35倍、約40倍、約45倍、約50倍、約55倍、約60倍、約65倍、約70倍、約75倍、約80倍、約85倍、約90倍、約95倍、約100倍、約150倍、約200倍、約250倍、約300倍、約350倍、約400倍、約450倍、約500倍、約550倍、約600倍、約650倍、約700倍、約750倍、約800倍、約850倍、約900倍、約950倍、約1000倍またはそれ以上増加させることができる。
【0228】
LAG-3の抑制により、Th1 T細胞に対するTreg T細胞の比率を約1分の1、約2分の1、約3分の1、約4分の1、約5分の1、約10分の1、約15分の1、約20分の1、約25分の1、約30分の1、約35分の1、約40分の1、約45分の1、約50分の1、約55分の1、約60分の1、約65分の1、約70分の1、約75分の1、約80分の1、約85分の1、約90分の1、約95分の1、約100分の1、約150分の1、約200分の1、約250分の1、約300分の1、約350分の1、約400分の1、約450分の1、約500分の1、約550分の1、約600分の1、約650分の1、約700分の1、約750分の1、約800分の1、約850分の1、約900分の1、約950分の1、約1000分の1またはそれ以上減少させることができる。
【0229】
LAG-3の活性は、基底活性と比較して約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上抑制(すなわち、阻害)することができる。
【0230】
xvi.TNF-α
TNF-αは、薬理作用のある薬剤または遺伝子改変によって抑制(すなわち、阻害)することができる。薬理作用のある薬剤は、TNF-αの阻害剤であり得る。TNF-α阻害剤は、低分子、低分子干渉RNA(siRNA)またはショートヘアピンRNA(shRNA)であり得る。TNF-α阻害剤は、約1000nM未満、約900nM未満、約800mM未満、約700nM未満、約600nM未満、約500nM未満、約400nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満の半数阻害濃度を有し得る。
【0231】
TNF-αは、ゲノムからTNF-α遺伝子をノックアウトすることによって抑制することができる。遺伝子をノックアウトする技術は当業者に知られている。当技術分野における遺伝子ノックアウト法としては、遺伝子サイレンシング、コンディショナルノックアウト、相同組換え、遺伝子編集および突然変異によるノックアウトが挙げられるが、これらに限定されない。遺伝子サイレンシングは、例えば、RNA干渉、siRNAまたはshRNAを用いて達成することができる。コンディショナルノックアウト法は、TNF-α遺伝子を不活性化するために用いることができる。機能喪失変異は、TNF-α遺伝子に変異を生じさせることにより、遺伝子機能を抑制するのに役立ち得る。TNF-αを抑制するために採用され得る遺伝子編集技術としては、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼおよびCRISPRベースのシステム(例えば、CRISPR-Cas9)が挙げられるが、これらに限定されない。TNF-αの抑制には商業的に利用可能なキットを利用することもできる。変異は、1つまたは複数のタンパク質ドメインに生じさせることができる。
【0232】
TNF-αの抑制により、白血球中のTh1極性化T細胞数を増加させることができる。TNF-αの抑制により、T細胞のTh1への分化を促進することができる。TNF-αの抑制により、白血球におけるIL-10、IL-4、またはIL-13の発現を減少させることができる。TNF-αの抑制により、白血球におけるIFN-γの発現を増加させることができる。TNF-αの抑制により、白血球におけるIL-12の発現を増加させることができる。TNF-αの抑制により、白血球中のTreg極性化T細胞数を減少させることができる。
【0233】
TNF-αの抑制により、TNF-αが抑制されていない白血球と比較して、Th1細胞の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。TNF-αの抑制により、TNF-αが抑制されていない白血球と比較して、Tregの集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。
【0234】
TNF-αの抑制により、1つまたは複数の関連するTh1細胞関連マーカーの発現を増加させることができる。TNF-αの抑制により、TNF-αが抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のTh1細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。1つまたは複数のTh1関連マーカーには、CCR1、CD4、CD26、CD94、CD119、CD183、CD195、CD212、GM-CSF、グランザイムB、IFN-α、IFN-γ、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18R、IL-23、IL-27、IL-27R、リンパ毒素、パーフォリン、t-bet、Tim-3、TNF-a、TRANCE、sCD40Lまたはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。特に、1つまたは複数のTh1関連マーカーには、IFN-γ、IL-2、IL-12またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、TNF-αの抑制により、IFN-γの発現を増加させることができる。例えば、TNF-αの抑制により、IL-2を増加させることができる。例えば、TNF-αの抑制はIL-12の発現を増加させることができる。
【0235】
TNF-αの抑制により、1つまたは複数の関連するTreg細胞関連マーカーの発現を減少させることができる。TNF-αの抑制により、TNF-αが抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のTreg細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。1つまたは複数のTreg関連マーカーには、TGFβもしくはIL-10またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、TNF-αの抑制により、TGFβの発現を減少させることができる。例えば、TNF-αの抑制により、IL-10の発現を減少させることができる。
【0236】
TNF-αの抑制により、Treg T細胞に対するTh1 T細胞の比率を約5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、約30倍、約35倍、約40倍、約45倍、約50倍、約55倍、約60倍、約65倍、約70倍、約75倍、約80倍、約85倍、約90倍、約95倍、約100倍、約150倍、約200倍、約250倍、約300倍、約350倍、約400倍、約450倍、約500倍、約550倍、約600倍、約650倍、約700倍、約750倍、約800倍、約850倍、約900倍、約950倍、約1000倍以上増加させることができる。
【0237】
TNF-αの抑制により、Th1 T細胞に対するTreg T細胞の比率を、約1分の1、約2分の1、約3分の1、約4分の1、約5分の1、約10分の1、約15分の1、約20分の1、約25分の1、約30分の1、約35分の1、約40分の1、約45分の1、約50分の1、約55分の1、約60分の1、約65分の1、約70分の1、約75分の1、約80分の1、約85分の1、約90分の1、約95分の1、約100分の1、約150分の1、約200分の1、約250分の1、約300分の1、約350分の1、約400分の1、約450分の1、約500分の1、約550分の1、約600分の1、約650分の1、約700分の1、約750分の1、約800分の1、約850分の1、約900分の1、約950分の1、約1000分の1またはそれ以上減少させることができる。
【0238】
TNF-αの抑制により、CD8+T細胞の疲弊を軽減することができる。TNF-αの抑制により、TNF-αを抑制しない場合の活性と比較して、CD8+T細胞の疲弊を約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%またはそれ以上減少させることができる。
【0239】
TNF-αの抑制により、TNF-αが抑制されていない白血球と比較して、CD8+T細胞の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。
【0240】
TNF-αの活性は、基底活性と比較して約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上抑制(すなわち、阻害)することができる。
【0241】
サイトカイン放出症候群は、キメラ抗原受容体修飾(CAR)T細胞による、またはT細胞充満、HLAハプロタイプ一致血液もしくは骨髄移植による血液悪性腫瘍の治療の合併症として知られている。実施形態では、TNF-αの阻害によって、非移植CD8除去ドナーリンパ球輸注後のサイトカイン放出症候群が軽減され得る。
【0242】
サイトカイン放出症候群は0から5のスケールで評価される。TNF-αの抑制によりサイトカイン放出症候群のスコアは0、1、2、3、4に減少し得る。
【0243】
TNF-αの抑制により、TNF-αが抑制されていない白血球と比較して、IL-1βの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。
【0244】
TNF-αの抑制により、TNF-αが抑制されていない白血球と比較して、全白血球中のピロトーシスを起こした白血球の割合を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。
【0245】
TNF-αの活性は、例えばその基質(1-ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェートホスホジエステラーゼガンマ-2;PLC-γ2など)のリン酸化によって測定されるが、基底活性と比較して、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上抑制することができる。
【0246】
xvii.TGF-β受容体II
TGF-β受容体IIは、薬理作用のある薬剤または遺伝子組換えにより抑制(すなわち、阻害)することができる。薬理作用のある薬剤はTGF-β受容体IIの阻害剤であり得る。TGF-β受容体II阻害剤は、低分子、低分子干渉RNA(siRNA)またはショートヘアピンRNA(shRNA)であり得る。TGF-β受容体II阻害剤は、約1000nM未満、約900nM未満、約800mM未満、約700nM未満、約600nM未満、約500nM未満、約400nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満の半数阻害濃度を有し得る。
【0247】
TGF-β受容体IIは、ゲノムからTGF-β受容体II遺伝子をノックアウトすることによって抑制することができる。遺伝子をノックアウトする技術は当業者に知られている。当技術分野における遺伝子ノックアウト法としては、遺伝子サイレンシング、コンディショナルノックアウト、相同組換え、遺伝子編集および突然変異によるノックアウトが挙げられるが、これらに限定されない。遺伝子サイレンシングは、例えば、RNA干渉、siRNAまたはshRNAを用いて達成することができる。コンディショナルノックアウト法は、TGF-β受容体II遺伝子を不活性化するために用いることができる。機能喪失変異は、TGF-β受容体II遺伝子に変異を生じさせることで、遺伝子機能を抑制するのに役立ち得る。TGF-β受容体IIを抑制するために採用され得る遺伝子編集技術としては、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼおよびCRISPRベースのシステム(例えば、CRISPR-Cas9)が挙げられるが、これらに限定されない。TGF-β受容体IIの抑制には商業的に利用可能なキットを利用することもできる。変異は、1つまたは複数のタンパク質ドメインに生じさせることができる。
【0248】
TGF-β受容体IIの抑制により、白血球中のTh1極性化T細胞数を増加させることができる。TGF-β受容体IIの抑制により、T細胞のTh1への分化を促進することができる。TGF-β受容体IIの抑制により、白血球におけるIL-10、IL-4またはIL-13の発現を減少させることができる。TGF-β受容体IIの抑制により、白血球におけるIFN-γの発現を増加させることができる。TGF-β受容体IIの抑制により、白血球におけるIL-12の発現を増加させることができる。TGF-β受容体IIの抑制により、白血球中のTreg極性化T細胞数を減少させることができる。
【0249】
TGF-β受容体IIの抑制により、TGF-β受容体IIが抑制されていない白血球と比較して、Th1細胞の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。TGF-β受容体IIの抑制により、TGF-β受容体IIが抑制されていない白血球と比較して、Tregの集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。
【0250】
TGF-β受容体IIの抑制により、1つまたは複数の関連するTh1細胞関連マーカーの発現を増加させることができる。TGF-β受容体IIの抑制により、TGF-β受容体IIが抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のTh1細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。1つまたは複数のTh1関連マーカーには、CCR1、CD4、CD26、CD94、CD119、CD183、CD195、CD212、GM-CSF、グランザイムB、IFN-α、IFN-γ、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18R、IL-23、IL-27、IL-27R、リンパ毒素、パーフォリン、t-bet、Tim-3、TNF-a、TRANCE、sCD40Lまたはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。特に、1つまたは複数のTh1関連マーカーには、IFN-γ、IL-2、IL-12またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、TGF-β受容体IIの抑制により、IFN-γの発現を増加させることができる。例えば、TGF-β受容体IIの抑制により、IL-2を増加させることができる。例えば、TGF-β受容体IIの抑制により、IL-12の発現を増加させることができる。
【0251】
TGF-β受容体IIの抑制により、1つまたは複数の関連するTreg細胞関連マーカーの発現を減少させることができる。TGF-β受容体IIの抑制により、TGF-β受容体IIが抑制されていない白血球と比較して、1つまたは複数のTreg細胞関連マーカーの発現を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上減少させることができる。1つまたは複数のTreg関連マーカーには、TGFβもしくはIL-10またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、TGF-β受容体IIの抑制により、TGFβの発現を減少させることができる。例えば、TGF-β受容体IIの抑制により、IL-10の発現を減少させることができる。
【0252】
TGF-β受容体IIの抑制により、Treg T細胞に対するTh1 T細胞の比率を、約5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、約30倍、約35倍、約40倍、約45倍、約50倍、約55倍、約60倍、約65倍、約70倍、約75倍、約80倍、約85倍、約90倍、約95倍、約100倍、約150倍、約200倍、約250倍、約300倍、約350倍、約400倍、約450倍、約500倍、約550倍、約600倍、約650倍、約700倍、約750倍、約800倍、約850倍、約900倍、約950倍、約1000倍またはそれ以上増加させることができる。
【0253】
TGF-β受容体IIの抑制により、Th1 T細胞に対するTreg T細胞の比率を、約1分の1、約2分の1、約3分の1、約4分の1、約5分の1、約10分の1、約15分の1、約20分の1、約25分の1、約30分の1、約35分の1、約40分の1、約45分の1、約50分の1、約55分の1、約60分の1、約65分の1、約70分の1、約75分の1、約80分の1、約85分の1、約90分の1、約95分の1、約100分の1、約150分の1、約200分の1、約250分の1、約300分の1、約350分の1、約400分の1、約450分の1、約500分の1、約550分の1、約600分の1、約650分の1、約700分の1、約750分の1、約800分の1、約850分の1、約900分の1、約950分の1、約1000分の1またはそれ以上減少させることができる。
【0254】
TGF-β受容体IIの抑制により、CD8+T細胞の疲弊を軽減することができる。TGF-β受容体IIの抑制により、TGF-β受容体IIを抑制しない場合の活性と比較して、CD8+T細胞の疲弊を約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%またはそれ以上減少させることができる。
【0255】
TGF-β受容体IIの抑制により、TGF-β受容体IIが抑制されていない白血球と比較して、CD8+T細胞の集団を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上増加させることができる。
【0256】
TGF-β受容体IIの活性は、基底活性と比較して約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上抑制(すなわち、阻害)することができる。
【0257】
治療応用
本開示はまた、がんなどの疾患または状態を治療するための方法に関する。本方法は、それを必要とする対象に、リンパ球除去剤および/または免疫刺激剤を投与することと、本明細書に記載の同種リンパ球組成物を投与することとを含む。
【0258】
リンパ球除去剤は、細胞還元剤であり得る。例示的な細胞還元剤としては、アルキル化剤、アルキルスルホネート、ニトロソウレア、トリアゼン、代謝拮抗剤、ピリミジンアナログ、プリンアナログ、ビンカアルカロイド、エピオドフィロトキシン、抗生物質、ジルブロマンニトール、デオキシスペルグアリン、ジメチルミレランおよびチオテパが挙げられるが、これらに限定されない。
【0259】
リンパ球除去剤は、化学療法剤または生物学的薬剤であり得る。例示的な化学療法剤および/または生物学的薬剤としては、抗体、B細胞受容体経路阻害剤、T細胞受容体阻害剤、PI3K阻害剤、IAP阻害剤、mTOR阻害剤、放射免疫療法剤、DNA損傷剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ヘッジホッグ阻害剤、Hsp90阻害剤、テロメラーゼ阻害剤、Jakl/2阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、IRAK阻害剤、PKC阻害剤、PARP阻害剤、CYP3 A4阻害剤、AKT阻害剤、Erk阻害剤、プロテオソーム阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、植物アルカロイド、テルペノイド、細胞毒素、トポイソメラーゼ阻害剤、CD79A阻害剤、CD79B阻害剤、CD19阻害剤、Lyn阻害剤、Syk阻害剤、PI3K阻害剤、Blnk阻害剤、PLCy阻害剤、PKCP阻害剤、CD22阻害剤、Bcl-2阻害剤、IRAK 1/4阻害剤、JAK阻害剤(例えば、ルキソリチニブ、バリシチニブ、CYT387、レスタウリチニブ、パクリチニブ、TG101348、SAR302503、トファシチニブ(ゼルヤンツ)、エタネルセプト(エンブレル)、GLPG0634、R256)、微小管阻害剤、TopoII阻害剤、抗TWEAK抗体、抗IL17二重特異性抗体、CK2阻害剤、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)およびc-Met阻害剤、脱メチル化酵素阻害剤(脱メチル化酵素、HDM、LSDIおよびKDMなど)、脂肪酸合成酵素阻害剤(スピロ環状ピペリジン誘導体など)、グルココルチコステロイド受容体アゴニスト、融合抗CD19-細胞傷害性薬剤結合体、代謝拮抗剤、p70S6K阻害剤、免疫調節剤、AKT/PKB阻害剤、プロカスパーゼ-3活性化剤PAC-1、BRAF阻害剤、乳酸脱水素酵素A(LDH-A)阻害剤、CCR2阻害剤、CXCR4阻害剤、ケモカイン受容体アンタゴニスト、DNA二本鎖切断修復阻害剤、NOR202、GA-101、TLR2阻害剤、ムロモナブ-CD3、リツキシマブ(リツキサン)、カルフィルゾミブ、フルダラビン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、クロラムブシル、イホスファミド、ドキソルビシン、メサラジン、サリドマイド、レブリミド、レナリドミド、テムシロリムス、エベロリムス、ホスタマチニブ、パクリタキセル、ドセタキセル、オファツムマブ、デキサメタゾン、ベンダムスチン、CAL-101、イブリツモマブ、トシツモマブ、ボルテゾミブ、ペントスタチン、エンドスタチン、リトナビル、ケトコナゾール、抗VEGF抗体、ハーセプチン、セツキシマブ、シスプラチン、カルボプラチン、ドセタキセル、エルロチニブ、エトピシド、5-フルオロウラシル、ゲムシタビン、イホスファミド、メシル酸イマチニブ(グリベック)、ゲフィチニブ、エルロチニブ、プロカルバジン、イリノテカン、ロイコボリン、メクロレタミン、メトトレキサート、オキサリプラチン、パクリタキセル、ソラフェニブ、スニチニブ、トポテカン、ビンブラスチン、GA-1101、ダサチニブ、シプレウセル-T、ジスルフィラム、エピガロカテキン-3-ガレート、サリノスポラミドA、ONX0912、CEP-18770、MLN9708、R-406、レナリノミド、スピロ環状ピペリジン誘導体、キナゾリンカルボキサミドアゼチジン化合物、チオテパ、DWA2114R、NK121、IS 3 295、254-S、アルキルスルホン酸塩(ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファンなど)、アジリジン類(ベンゾデパ、カルボクオン、メツレデパおよびウレデパなど)、エチレンイミン、メチルメラミン類(アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミドおよびトリメチルメラミンなど)、クロルナファジン、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、オキシド塩酸塩、ノボビオシン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード、ニトロソウレア(カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなど)、抗生物質(アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリチアマイシン、カルビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マーセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシンなど)、代謝拮抗薬(メトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU)など)、葉酸類似体(デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなど)、プリン類似体(フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなど)、ピリミジン類似体(アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなど)、アンドロゲン(カルステロン、ドロモスタノロンプロピオネート、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなど)、抗副腎剤(アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなど)、葉酸補充剤(フォリン酸など)、アセグラトン、アルドホスファミドグリコシド、アミノレブリン酸、アムサクリン、ベストラブシル、ビサントレン、エダトレキセート、デホスファミド、デメコルシン、ジアジコン、エフルニチン、酢酸エリプチニウム、エトグルシド、硝酸ガリウム、ヒドロキシ尿素、レンチナン、ロニダミン、ミトグアゾン、ミトキサントロン、モピダモール、ニトラクリン、ペントスタチン、フェナメット、ピラルビシン、ポドフィリン酸、2-エチルヒドラジド、プロカルバジン、多糖類-K、ラゾキサン、シゾフィラン、スピロゲルマニウム、テヌアゾン酸、トリアジキオン、2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン、ウレタン、ビンデシン、ダカルバジン、マンノムスチン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ピポブロマン、ガクトシン、シトシンアラビノシド、タキソイド、例えばパクリタキセルおよびドセタキセル、6-チオグアニン、メルカプトプリン、メトトレキサート、白金類似体、白金、エトポシド(VP-16)、イホスファミド、マイトマイシンC、ミトキサントロン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ナベルビン、ノバントロン、テニポシド、ダウノマイシン、アミノプテリン、ゼローダ、イバンドロネート、CPT1 1、トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000、ジフルオロメチルオルニチン(DMFO)、レチノイン酸、エスペラマイシン、カペシタビンおよびその薬学的に許容される塩、酸または誘導体、抗エストロゲン剤などの抗ホルモン剤(例えばタモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストンおよびトレミフェン(Fareston)など)、抗アンドロゲン剤(フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、リュープロリドおよびゴセレリンなど)、ACK阻害剤(AVL-263(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、AVL-292(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、AVL-291(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、BMS-488516(Bristol-Myers Squibb)、BMS-509744(Bristol-Myers Squibb)、CGI-1746(CGI Pharma/Gilead Sciences)、CTA-056、GDC-0834(Genentech)、HY-11066(また、CTK4I7891、HMS3265G21、HMS3265G22、HMS3265H21、HMS3265H22、439574-61-5、AG-F-54930)、ONO-4059(小野薬品工業株式会社)、ONO-WG37(小野薬品工業株式会社)、PLS-123(北京大学)、RN486(Hoffmann-La Roche)、HM71224(Hanmi Pharmaceutical Company Limited))、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0260】
本明細書に開示される組成物および方法は、任意の適切ながんに使用することができ、前記がんとしては以下が挙げられるが、これらに限定されない:膀胱がん、脳がん、乳がん、結腸直腸がん、子宮頸がん、胃腸がん、泌尿生殖器がん、頭頸部がん、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、腎がん、皮膚がん、精巣がん、心臓がん(例えば肉腫、例えば、血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、および脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋肉腫、線維腫、脂肪腫、奇形腫、肺がん(例えば、気管支原性がん、例えば、扁平細胞、未分化小細胞がん、未分化大細胞、および腺がん、肺胞および中皮腫)、消化器がん(例えば、食道のがん、例えば、扁平上皮がん、腺がん、平滑筋肉腫およびリンパ腫)、胃のがん(例えば、細胞腫、リンパ腫および平滑筋肉腫)、膵臓のがん(例えば、管状腺がん、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍およびバイポーマ)、小腸のがん(例えば、腺がん、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫および線維腫)、大腸のがん(例えば、腺がん、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、および平滑筋腫)、泌尿生殖器のがん(例えば、腎臓のがん、例えば腺がん、ウィルム腫瘍(腎芽細胞腫)、リンパ腫および白血病)、膀胱および尿道のがん(例えば、扁平上皮がん、移行細胞がんおよび腺がん)、前立腺のがん(例えば、腺がんおよび肉腫)、精巣のがん(例えば、セミノーマ、奇形腫、胚性がん腫、奇形がん腫、絨毛がん、肉腫、間質細胞がん、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍および辺縁腫)、肝臓のがん(例えば、肝細胞腫、例えば、肝細胞がん、胆管がん、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫および血管腫)、骨がん(例えば、骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網細胞肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫脊索腫、骨軟骨腫(骨軟骨外骨腫)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、骨様骨腫および巨細胞腫)、神経系がん(例えば、頭蓋骨のがん、例えば、骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、および離断性骨炎)、髄膜のがん(例えば髄膜腫、髄膜肉腫および神経膠腫症)、脳のがん(例えばアストロサイトーマ、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚芽腫(松果体腫)、多形膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽細胞腫および先天性腫瘍)、脊髄のがん(例えば、神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫および肉腫)、婦人科がん(例えば子宮のがん、例えば子宮内膜がん、子宮頸部のがん、例えば子宮頸がん、および前腫瘍性子宮頸部異形成、卵巣のがん、例えば、以下を含むを卵巣がん:漿液性嚢胞腺がん、粘液性嚢胞腺がん、未分類のがん、顆粒膜包膜細胞腫瘍、セルトリライディッヒ細胞腫瘍、異形成細胞腫および悪性奇形腫、外陰部のがん、例えば扁平上皮がん、上皮内がん、腺がん、線維肉腫および黒色腫、膣のがん、例えば、明細胞がん、扁平上皮がん、ボトリオイド肉腫および胚性横紋筋肉腫、および卵管のがん、例えば、細胞腫)、血液がん(例えば、血液のがん、例えば、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫および骨髄異形成症候群、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫)およびワルデンシュトレーム・マクログロブリン血症)、皮膚がん(例えば悪性黒色腫、基底細胞がん、扁平上皮がん、カポジ肉腫、ほくろ形成不全性母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬)ならびに副腎がん(例えば神経芽細胞腫を含む)。特定の実施形態において、疾患ががんである場合、それは、例えば、肺がん腫瘍、乳がん腫瘍、前立腺がん腫瘍、脳がん腫瘍または皮膚がん腫瘍を含み得る。
【0261】
対象は固形腫瘍を有し得る。いくつかの実施形態において、対象は、肉腫、がん腫、または神経線維腫を有し得る。いくつかの実施形態において、対象は結腸がんを有し得る。いくつかの実施形態において、対象は肺がんを有し得る。いくつかの実施形態において、対象は卵巣がんを有し得る。いくつかの実施形態において、対象は膵臓がんを有し得る。いくつかの実施形態において、対象は前立腺がんを有し得る。いくつかの実施形態において、対象は、近位胆管がんまたは遠位胆管がんを有し得る。いくつかの実施形態において、対象は乳がんを有し得る。いくつかの実施形態において、対象は、HER2陽性乳がんを有し得る。いくつかの実施形態において、対象は、HER2陰性乳がんを有し得る。いくつかの実施形態において、対象は、固形腫瘍の治療を受けており、本方法は、補助療法として対象を治療するために適用される、すなわち、本方法は、がんの再発を予防するように、がんが完全寛解状態にあるときに対象に適用される。
【0262】
対象は血液がんを有し得る。いくつかの実施形態では、がんは、白血病、リンパ腫、骨髄腫、骨髄異形成症候群または骨髄増殖性新生物である。いくつかの実施形態では、がんは非ホジキンリンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんはホジキンリンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんはB細胞悪性腫瘍である。いくつかの実施形態では、B細胞悪性腫瘍は、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、活性化B細胞びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC-DLBCL)、胚中心性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(GCB DLBCL)、原発性縦隔B細胞リンパ腫(PMBL)、バーキットリンパ腫、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、B細胞性リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、ワルデンシュトレーム・マクログロブリン血症、脾縁縁帯リンパ腫、形質細胞性骨髄腫、形質細胞腫、節外辺縁帯B細胞リンパ腫、結節辺縁帯B細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出液リンパ腫またはリンパ腫様肉芽腫症である。いくつかの実施形態では、がんはT細胞悪性腫瘍である。いくつかの実施形態では、T細胞悪性腫瘍は、他に特定されない末梢T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)、未分化大細胞リンパ腫、血管免疫芽球性リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、芽球性NK細胞リンパ腫、腸症型T細胞リンパ腫、血球脾腫性γδT細胞リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、鼻NK/T細胞リンパ腫または治療関連T細胞リンパ腫である。いくつかの実施形態では、対象は多発性骨髄腫を有し得る。
【0263】
対象者は再発または難治性のがんを有し得る。
【0264】
本明細書に開示される方法は、さらに、がんを治療するための1つまたは複数の追加の薬剤、例えば、化学療法剤(例えば、アドリアマイシン、セルビジン、ブレオマイシン、アルケラン、ベルバン、オンコビン、フルオロウラシル、チオテパ、メトトレキサート、ビサントレン、ノアントロン、チグアニン、シタリビン、プロカラビジン)、免疫腫瘍剤(例えば、抗PD-L1、抗CTLA4、抗PD-1、抗CD47、抗GD2)、細胞療法(例えば、CAR-T、T細胞療法、ナチュラルキラー細胞療法、ガンマデルタT細胞療法)および腫瘍溶解性ウイルスなどを投与することを伴い得る。
【0265】
がんを治療するための追加の薬剤の非限定的な例としては、アシビシン、アクラルビシン、アコダゾール塩酸塩、アクロニン、アドゼレシン、アルデスロイキン、アルトレタミン、アンボマイシン、酢酸アメタントロン、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アントラマイシン、アスパラギナーゼ、アスペルリン、アザシチジン、アゼテパ、アゾトマイシン、バチマスタット、ベンゾデパ、ビカルタミド、ビスアントレン塩酸塩、ビスナフィドジメシル酸塩、ビゼレシン、ブレオマイシン硫酸塩、ブレキナルナトリウム、ブロピリミン、ブスルファン、カクチノマイシン、カルステロン、カラセミド、カルベチマー、カルボプラチン、カルムスチン、カルビシン塩酸塩、カルゼレシン、セデフィンゴル、クロラムブシル、シロールマイシン、シスプラチン、クラドリビン、メシル酸クリスナトール、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン塩酸塩、デシタビン、デキソルマプラチン、デザグアニン、メシル酸デザグアニン、ジアジコン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドキソルビシン塩酸塩、ドロロキシフェン、ドロロキシフェンクエン酸塩、プロピオン酸ドロモスタノロン、デュアゾマイシン、エダトレキセート、エフルニチン塩酸塩、エルサミトルシン、エンロプラチン、エンプロメート、エピプロピジン、エピルビシン塩酸塩、エルブロゾール、エソルビシン塩酸塩、エストラムスチン、エストラムスチンリン酸ナトリウム、エタニダゾール、エトポシド、エトポシドリン酸塩、エトプリン、ファドロゾール塩酸塩、ファザラビン、フェンレチニド、フロクスリジン、フルダラビンリン酸塩、フルオロウラシル、フルロシタビン、ホスキドン、フォストリエシンナトリウム、ゲムシタビン、ゲムシタビン塩酸塩、ヒドロキシウレア、イダルビシン塩酸塩、イホスファミド、イルモホシン、インターロイキンII(遺伝子組換えインターロイキンII、rIL2を含む)、インターフェロンα-2a、インターフェロンα-2b、インターフェロンα-nl、インターフェロンα-n3、インターフェロンβ-Ia、インターフェロンγ-Ib、イプロプラチン、イリノテカン塩酸塩、ランレオチド酢酸塩、レトロゾール、リュープロリド酢酸塩、リラオゾール塩酸塩、ロメトレキソールナトリウム、ロムスチン、ロソキサントロン塩酸塩、マソプロコール、メイタンシン、メクロレタミン塩酸塩、酢酸メゲストロール、酢酸メレンゲストロール、メルファラン、メノガリル、メルカプトプリン、メトトレキサート、メトトレキサートナトリウム、メトプリン、メトレデパ、ミチンドミド、マイトカルシン、マイトクロミン、マイトギリン、マイトマルシン、マイトマイシン、マイトスパー、マイトタン、マイトキサントロン塩酸塩、ミコフェノール酸、ノコダゾール、ノガマイシン、オルマプラチン、オキシスラン、パクリタキセル、ペガスパガーゼ、ペリオマイシン、ペンタムスチン、ペプロマイシン硫酸塩、ペルホスファミド、ピボブロマン、ピポスルファン、ピロキサントロン塩酸塩、プリカマイシン、プロメスタン、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プレドニムスチン、プロカルバジン塩酸塩、ピューロマイシン、ピューロマイシン塩酸塩、ピラゾフリン、リボプリン、ログレチミド、サフィンゴール、サフィンゴール塩酸塩、セムスチン、シムトラゼン、スパーホサートナトリウム、スパーソマイシン、スピロゲルマニウム塩酸塩、スピロムスチン、スピロプラチン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、スロフェヌール、タリソマイシン、テコガランナトリウム、テガフール、テロキサントロン塩酸塩、テモポルフィン、テニポシド、テロキシロン、テストラクトン、チアミプリン、チオグアニン、チオテパ、チアゾフリン、チラパザミン、トレミフェンクエン酸塩、トレストロンアセタート、トリシリビンリン酸塩、トリメトレキサート、トリメトレキサートグルクロン酸塩、トリプトレリン、ツブロゾール塩酸塩、ウラシルマスタード、ウレデパ、バプレオチド、ベルテポルフィン、ビンブラスチン硫酸塩、ビンクリスチン硫酸塩、ビンデシン、ビンデシン硫酸塩、ビネピジン硫酸塩、ビニルシネート硫酸塩、ビンロウロシン硫酸塩、ビノレルビン酒石酸塩、ビンゾリジン硫酸塩、ビンゾリジン硫酸塩、ボロゾール、ゼニプラチン、ジノスタチン、ゾルビシン塩酸塩が挙げられる。
【0266】
本明細書に開示される方法は、抗腫瘍抗体/薬物結合体の投与をさらに含むことができる。抗腫瘍抗体/薬物結合体としては、リツキシマブ、セツキシマブ、トラスツズマブ、およびペルツズマブ、ブレンツキシマブベドチン、ゲムツズマブオゾガマイシン、トラスツズマブエムタンシン、イノツズマブオゾガマイシン、グレンバツムマブベドチン、ロルボツズマブメルタンシン、カンツズマブメルタンシンまたはミラツズマブドキソルビシンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0267】
本明細書に開示される方法は、抗ウイルス剤を投与することをさらに含み得る。例示的な抗ウイルス剤としては、アシクロビル、ファムシクロビル、ガンシクロビル、ペンシクロビル、バラシクロビル、バルガンシクロビル、イドクスウリジン、トリフルリジン、ブリブジン、シドホビル、ドコサノール、フォミビルセン、フォスカルネット、トロマンタジン、イミキモド、ポドフィロトキシン、エンテカビル、ラミブジン、テルビブジン、クレブジン、アデホビル、テノホビル、ボセプレビル、テラプレビル、プレコナリル、アルビドール、アマンタジン、リマンタジン、オセルタミビル、ザナミビル、ペラミビル、イノシン、インターフェロン(例えば、インターフェロンα-2b、ペグインターフェロンα-2a)、リバビリン/タリバビリン、アバカビル、エムトリシタビン、ラミブジン、ジダノシン、ジドブジン、アプリシタビン、スタミジン、エルブシタビン、ラシビル、アムドキソビル、スタブジン、ザルシタビン、テノホビル、エファビレンツ、ネビラピン、エトラビリン、リルピビリン、ロビリド、デラビルジン、アタザナビル、ホスアンプレナビル、ロピナビル、ダルナビル、ネルフマビル、リトナビル、サキナビル、ティプラナビル、アンプレナビル、インジナビル、エンフビルチド、マラビロク、ビクリビロク、PRO140、イバリズマブ、ラルテグラビル、エルビテグラビル、ベビリマットおよびビベコンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0268】
本明細書に開示される組成物は、典型的には、例えば静脈内注射または静脈内注入により全身投与される。他の投与経路、例えば、経口投与、非経口投与、静脈内投与、関節内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、皮下投与、腔内投与、経皮投与、肝内投与、頭蓋内投与、ネブライゼーション/吸入、気管支鏡による設置、または腫瘍内投与が使用され得る。
【0269】
投与量は、主治医および他の臨床的要因によって決定される。一人の患者に対する投与量は、患者の体格、体表面積、年齢、性別、投与する特定の化合物、投与時間と投与経路、治療の種類、全身の健康状態および同時に投与する他の薬物など、多くの要因によって異なる。「有効量」とは、疾患の経過および重症度に影響を及ぼし、そのような病態の軽減または寛解をもたらすのに十分な有効成分の量を指し、既知の方法を用いて決定することができる。
【0270】
C.調製方法
本開示はまた、本明細書に開示される同種リンパ球組成物を調製する方法に関する。本方法は、レシピエント対象に対して同種であるドナー対象から、または細胞株もしくは臍帯血から末梢血細胞組成物を得ることを含む。末梢血球組成物は、全血製剤またはアフェレーシス製剤であり得る。末梢血球組成物は、例えば静脈穿刺など、当技術分野で既知の手段を用いて得ることができる。末梢血球組成物は、CD8+T細胞とCD4+T細胞の両方を含んでいる。末梢血球組成物は、ヒトまたは非ヒト対象から得ることができる。優先的には、末梢血球組成物はヒトから得られる。
【0271】
ドナー対象からの白血球は、レシピエント対象に対するドナー対レシピエント(移植片対宿主)方向で、少なくとも1つのHLAクラスII対立遺伝子ミスマッチについてレシピエント対象とミスマッチし得る。あるいは、ドナーは、ドナー対レシピエント(移植片対宿主)方向で、レシピエントに対して少なくとも1つのHLAクラスII対立遺伝子ミスマッチを有し得、レシピエントに対して少なくとも1つのHLAクラスII対立遺伝子マッチを有し得る。HLAクラスII対立遺伝子のミスマッチまたはマッチは、HLA-DRB1、HLA-DQB1またはHLA-DPB1であり得る。
【0272】
ドナーおよびレシピエントがABO血液型不適合であり、同種白血球組成物が多数の赤血球を含んでいる場合、同種リンパ球組成物を作製することは、赤血球の数を減少させることをさらに含み得る。本明細書で使用する「ABO血液型不適合」とは、レシピエントがドナーに対して主要なABO赤血球不適合を有する場合、例えば、レシピエントが血液型O型であり、ドナーが血液型A、BもしくはAB型である場合、レシピエントが血液型A型であり、ドナーが血液型BもしくはAB型である場合、またはレシピエントが血液型B型であり、ドナーが血液型AもしくはAB型である場合を指す。赤血球の数は、充填体積で約50mL以下、例えば、充填体積で約50mL以下、好ましくは充填体積で約30mL以下を構成し得、さらに「充填体積」は定義されるべきであり、例えば、リンパ球組成物の遠心分離により充填体積50mL以下の赤血球が得られ、リンパ球組成物の測定体積サンプルはまた、スクリーニングされて、充填血球の比例的に代表する体積を提供し得る。
【0273】
次に、単核球を末梢血細胞組成物から、例えばフィコールハイパック勾配分離によって単離する。次に、白血球中のCD8+細胞数を減少させることができる。白血球中のCD8+細胞数は、未除去の白血球と比較して、約1分の1、約2分の1、約3分の1、約4分の1、約5分の1、約6分の1、約7分の1、約8分の1、約9分の1、約10分の1、約15分の1、約20分の1、約25分の1、約30分の1、約35分の1、約40分の1、約45分の1、約50分の1、約55分の1、約60分の1、約65分の1、約70分の1、約75分の1、約80分の1、約85分の1、約90分の1、約95分の1、約100分の1、約200分の1、約300分の1、約400分の1、約500分の1、約600分の1、約700分の1、約800分の1、約900分の1、約1,000分の1またはそれ以上に除去することができる。
【0274】
白血球はさらに、BTK、ITK、またはPI3Kδ、helios、blimp1、SOCS1、GATA3、IL-10、STAT3、TOX、CD25、foxp3、Ezh2、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-αまたはそれらの組み合わせを抑制するように改変される。理論または機序に拘束されることを望むものではないが、本発明者らは、BTK、ITK、PI3Kδ、helios、blimp1、SOCS1、GATA3、IL-10、STAT3、TOX、CD25、foxp3、Ezh2、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-αまたはそれらの組み合わせの抑制が、ナイーブCD4+T細胞が、タイプ1(Th1)CD4+T細胞など、抗腫瘍免疫もしくは抗ウイルス免疫のエフェクター細胞を助けるのに有利な状態へ分化することを促進するか、または、ポストナイーブCD4+T細胞が、抗腫瘍免疫もしくは抗ウイルス免疫に最適でないヘルパー活性を有する細胞へ転換されることを防ぐことができると考えている。例えば、T細胞の一部は、CD4+T細胞のサブタイプ、特にTh1に優先的に分化することができる。
【0275】
本方法は、T細胞の少なくとも一部がTh1 CD4+T細胞へ分化するのを促進することを含み得る。BTK、ITK、PI3Kδ、helios、blimp1、SOCS1、GATA3、IL-10、STAT3、TOX、CD25、foxp3、Ezh2、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-αまたはそれらの組み合わせの抑制により、Th1 CD4+T細胞へのT細胞の一部の分化は促進され得る。
【0276】
この方法は、白血球をin vitroで培養することを含む。
【0277】
同種組成物を製造する方法は、抗原ペプチドでパルスした抗原提示細胞で組成物中の抗原特異的リンパ球を刺激することをさらに含み得る。
【0278】
同種組成物を製造する方法は、サイトカインまたは抗体などの1つまたは複数の追加薬剤を加えることをさらに含み得る。
【0279】
追加薬剤はサイトカインであり得る。追加可能な例示的なサイトカインとしては、IL-2、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、IFNγ、IL-21、CCDC134、GM-CSFまたはLYG1が挙げられる。
【0280】
追加薬剤は抗体であり得る。例示的な抗体としては、抗IL3抗体、抗IL-4抗体、抗CD3抗体、抗CD200抗体または抗CD28抗体が挙げられる。
【0281】
追加の薬剤は阻害剤であり得る。例示的な阻害剤としては、MEK1/2、ERK、p38、Cox-2、Pi13k、c5l2、setdb1またはGot1の阻害剤が挙げられる。
【0282】
他の例示的な薬剤としては、受容体アゴニスト(例えば、RARαもしくはTLR)、転写因子(例えば、T-betおよびTbx21)、リポアラビノマンナンまたはBCG細胞体由来のリポマンナンなどが挙げられるが、これらに限定されない
【0283】
D.定義
本明細書および特許請求の範囲を通して、本明細書の態様に関連する様々な用語が使用されている。このような用語は、特に指示がない限り、当該技術分野における通常の意味を与えられるべきである。他の具体的に定義された用語は、本明細書で提供される定義と一致する方法で解釈されるべきである。本明細書において記載または参照される技術および手順は、一般的によく理解され、当業者によって、従来の方法論、例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual 4th ed. (2012)Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NYに記載されている、広く利用されている分子クローニング方法論などを使用して一般的に利用されるものである。適宜、商業的に利用可能なキットおよび試薬の使用を伴う手順は、特に断りのない限り、一般に製造者が定義したプロトコルおよび条件に従って実施される。
【0284】
本明細書で使用される場合、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」、および「前記(the)」は、文脈上明確にそうでないことが示されない限り複数形を含む。用語「含む」および「~のような」などは、特に断りのない限り、限定することなく含めることを意図している。
【0285】
特に断らない限り、一連の要素または範囲の前にある「少なくとも」、「未満」および「約」、または同様の用語は、一連の要素または範囲内のすべての要素を指すと理解されるべきである。当業者であれば、本明細書に記載された本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または日常的な実験以上のことを行わずに確認することができるであろう。このような等価物は、以下の特許請求の範囲に包含されることが意図される。
【0286】
「がん」という用語は、細胞の集団が制御不能な増殖、不死性、転移可能性、急速な成長および増殖速度、および/または特定の形態学的特徴を特徴とする哺乳類における生理学的状態を指す。多くの場合、がんは腫瘍または腫瘤の形態をとり得るが、対象体内に単独で存在する場合もあり、白血病細胞またはリンパ腫細胞のように独立した細胞として血流中を循環する場合もある。がんという用語には、血液悪性腫瘍、固形腫瘍、肉腫、がん腫ならびに他の固形および非固形腫瘍など、あらゆる種類のがんおよび転移が含まれる。がんの例としては、がん腫、リンパ腫、胚腫、肉腫および白血病が挙げられるが、これらに限定されない。このようながんのより具体的な例としては、扁平上皮がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺腺がん、肺扁平上皮がん、腹膜がん、肝細胞がん、胃腸がん、膵臓がん、膠芽腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、肝腫瘍、乳がん(例えば、トリプルネガティブ乳がん)、骨肉腫、黒色腫、結腸がん、大腸がん、子宮内膜がん(例えば、漿液性)または子宮がん、唾液腺がん、腎臓がん、肝臓がん、前立腺がん、外陰がん、甲状腺がん、肝がんおよびさまざまなタイプの頭頸部がんが挙げられる。トリプルネガティブ乳がんとは、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)およびHer2/neuの遺伝子の発現が陰性である乳がんを指す。
【0287】
本明細書で使用する場合、「T細胞の疲弊」という用語は、エフェクター機能(IL-2、TNF-αおよびIFN-γ産生の喪失、またはT細胞の同族抗原を発現する細胞を殺傷できないこと)ならびにPD-1、T細胞免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン含有タンパク質3(Tim-3)、CTLA-4、リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)およびCD160などの、機能的なエフェクターT細胞またはメモリーT細胞とは異なる転写プログラムを持つ抑制性受容体の持続的発現が漸進的に失われることを指す。
【0288】
本明細書において「対象」という用語は、任意の動物、例えば、ヒト、非ヒト霊長類およびげっ歯類などを含むがこれらに限定されない任意の哺乳動物を指す。いくつかの実施形態では、哺乳動物はマウスである。いくつかの実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0289】
本明細書で使用される場合、「治療上有効な量」という用語は、投与条件下で所望の薬理学的または生理学的効果を達成するのに十分な、本明細書に記載の化合物(すなわち、同種リンパ球組成物)の量を指す。例えば、「治療上有効な量」は、疾患または状態(例えば、腫瘍)の徴候または症状を軽減するのに十分な量であり得る。当業者は、対象に何らかの利益が提供される限り、治療効果が完全または治癒的である必要はないことを理解するであろう。医薬組成物の治療上有効な量は、個体の疾患状態、年齢、性別および体重などの因子、ならびに個体において望まれる応答を引き出す医薬組成物の能力に応じて変化し得る。通常の熟練した臨床医は、これらおよび他の考慮事項に基づいて、所望の治療的利益を達成するために投与する適切な量を決定することができる。
【0290】
等価物
当業者には、本明細書に記載された本発明の方法の他の好適な改変および適応が明らかであり、本開示または実施形態の範囲から逸脱することなく、好適な等価物を用いてなされ得ることが容易に明らかであろう。ここまで特定の化合物および方法について詳細に説明したが、以下の例を参照することにより、同じことがより明確に理解されるであろう。ただし、以下の例は説明のために導入されるものであり、限定することを意図したものではない。
【0291】
本発明は、以下の例によってさらに説明されるが、これらはいかなる意味においても限定を意図するものではない。
【実施例
【0292】
実施例1.E7発現頭頸部がんモデルマウスにおける、ドナーのE7プライミング、ex vivo増殖、およびT1極性化の抗腫瘍効果の検証
【0293】
実験の目的は、HPV関連頭頸部がんのマウスモデルにおいて、内因性抗腫瘍エフェクターに対する外因性CD4+T細胞ヘルプの有効性を検証することである。表1に、この研究のための薬剤と治療プロトコルを示す。
【0294】
【表1】
【0295】
CD8-はCD8+T細胞の除去を指す。CD8+の除去はMiltenyi CD8除去カラムを用いて行われる。
【0296】
ex vivoでの増殖には、マウス樹状細胞(DC)を、マウス汎樹状細胞分離キット(Miltenyi Biotech)を用いて濃縮する。2mmol/LのL-グルタミン、100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシンおよび10%の熱不活性化ウシ胎児血清を含むRPMI1640(完全培地)中で、DCをHPV16 E6およびE7ペプチド(JPT Peptide Technologies)各1μg/mLで2時間パルスする。その後、E6/E7パルスDCを、マウス脾細胞(混合前に1μmのITK阻害剤で1時間処理)を含むフラスコに、25U/mLの組換えマウスIL-2と20ng/mLの組換えマウスGMCSFを含む完全培地と1:20の割合で移し、5日間培養する。その後、細胞を洗浄し、再刺激の前に完全培地+IL-2およびGM-CSFにおいて2日間休ませる。
【0297】
ITKサンプル(すなわちグループ9と10)は、ペプチドパルス樹状細胞とサイトカインと共に培養する前に、1μMのITK阻害剤にex vivoで1時間暴露する。
【0298】
ICBとは免疫チェックポイント阻害を指す。ICBは、指示された2日目に、HBSS100mL中のRMP1-14(抗PD1;BioXCell)100mgのIPと、HBSS100mL中の10F.9G2(抗PD-L1;BioXCell)100mgのIPを用いて実施される。
【0299】
実施例2.CD4+T細胞のT1表現型を優先するようにデザインされた条件下での、ex vivoで増殖させたE7プライミングドナーT細胞の運命と有効性の特徴づけ
我々は以前、シンジェニックな細胞移植モデルにおいて、プライミングされた全脾臓は治癒的であったが、プライミングされたCD8除去脾臓は何の利益ももたらさなかったことを示した。我々は、E7プライミングCD4T細胞は、輸注後、T2またはTregのような代替(すなわち非T1)CD4表現型に再プログラムされたと仮定する。さらに、我々は、T1条件下でex vivoでE7特異的T細胞を増殖させ、in vivoでのT1表現型の保持を促進する手段としてITKを欠失させることで、シンジェニックモデルにおける輸注の抗腫瘍効果が増強されるという仮説を立てた。輸注されたCD4T細胞のうちT1表現型を促進することで、これらの操作がCD4T細胞のTregへの転換を防ぐという仮説を立てた。
【0300】
この研究の目的は、CD4+T細胞のTh1表現型を有利にするように設計された条件下でex vivoで増殖させたE7プライミングドナーT細胞の運命と有効性を特徴付けることである。表2に、この研究のための薬剤と治療プロトコルを示す。
【0301】
【表2】
【0302】
DLI後1、2、3週目に、1グループにつき3匹のマウスを殺処分にする。脾臓細胞を、E7の重複ペンタデカペプチド(JPTペプチド)でパルスした樹状細胞で刺激する。E7特異的なドナーのCD4+T細胞の状態は、IFN-γ、IL-4、IL-17Aまたはfoxp3の細胞内染色、およびCD4とCD45.1の細胞外染色によって特徴付けられ、その後フローサイトメトリーが行われる。
【0303】
プライミングされたE7特異的CD4+T細胞は疲弊していくか、または代替のCD4表現型(例えば、Th2、Th17、Treg)に変化していくと考えられている。シンジェニックモデルでは、ドナー細胞を追跡することができ、輸注後間隔をおいてマウスの一部を殺処分し、E7特異的T細胞の数と機能を検査することができる。
【0304】
CB6 F1ドナーとB6C3 F1レシピエントを用いて同じ実験を繰り返す。
【0305】
実施例3.非移植ドナーリンパ球輸注用免疫原としての異なるE7ワクチンの比較
実験の目的は、E6/E7特異的Th1 CD4+T細胞を誘発し、CD8除去ドナーリンパ球輸注の抗腫瘍効果を増強するための最適なワクチンを決定することである。
【0306】
まず、ヒトパピローマウイルス16型(HPV16)のE6/E7抗原に対するCD4+T細胞反応に対するワクチンの1回、2回、3回の投与の効果を特徴づけする。
【0307】
各グループ9匹のBALB/c x B6マウスに、RNA-LPX mRNAワクチン、PDS0101またはPapiVax DNAワクチンのいずれかを毎週1回、2回、または3回接種する。各ワクチン接種の1週間後、各グループ3匹のマウスを殺処分する。脾細胞またはワクチン流入領域リンパ節細胞のいずれかを、HPV16のE6の重複ペプチド(JPTペプチド、ドイツ)またはE7の重複ペプチドのいずれかで刺激する。刺激から6時間後、細胞外のCD4とCD8および細胞内のインターフェロンガンマ(IFN-γ)と腫瘍壊死因子α(TNF-a)を染色し、フローサイトメトリーで分析する。表3に本試験の薬剤と治療プロトコルを示す。
【0308】
【表3】
【0309】
次に、RNA-LPX、PDS0101またはPapiVaxワクチンのいずれかを接種したドナーを用いて、非移植細胞療法の抗腫瘍効果を評価する。表4に本試験の薬剤と治療プロトコルを示す。
【0310】
【表4】
【0311】
マウスは毎週撮影し、生存期間を追跡する。
【0312】
最適なワクチンが特定されれば、レシピエントへのワクチン接種をドナーへのワクチン接種に追加するかどうかを判断する。表5にこの研究の薬剤と治療プロトコルを示す。
【0313】
【表5】
【0314】
実施例4.CRISPRを介したドナーのCD4+T細胞における選択遺伝子の切除
本研究の目的は、in vivoでの制御性T細胞への転換を阻止してT1経路に極性化し、非移植ドナーリンパ球輸注の抗腫瘍効果を増強する手段として、ドナーのCD4+T細胞における選択遺伝子のCRISPRを介した切除を試験することである。表6にこの研究の薬剤と治療プロトコルを示す。
【0315】
【表6】
【0316】
グループ2~7のそれぞれについて、CD3/CD28刺激後のホスホ-BTKまたはホスホ-ITKタンパク質の量を測定することにより、阻害後のBTKおよびITKの活性をアッセイする(J. Dubovsky et al. Blood 122: 2539, 2013を参照のこと)。IL-4対IFN-γ産生CD4+T細胞の頻度は、細胞内サイトカイン染色とフローサイトメトリーにより測定する。
【0317】
実施例5.E7特異的CD4Th1細胞を生成および増殖させ、非移植ドナーリンパ球輸注の抗腫瘍効果を増強するために、ex vivo再刺激を伴う、または伴わないE7に対するin vivoプライミングを、純粋なex vivoプライミングおよび再刺激と比較する
この研究の目的は、ドナーへのワクチン接種をプロトコルから排除できるかどうかを判断することである。
【0318】
A.ドナー細胞の調製
CB6 F1ドナーマウスまたは脾細胞を、以下の表7に示すように処理する。
【0319】
【表7】
【0320】
in vivoでのプライミングまたはブーストは、25μgのpcDNA3-CRT/E7を筋肉内に投与する。
【0321】
B.ex vivoでのプライミングまたはブースティング
マウスの樹状細胞(DC)を、マウス汎樹状細胞分離キット(Miltenyi Biotech)を用いて濃縮する。2mmol/LのL-グルタミン、100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシンおよび10%の熱不活性化ウシ胎児血清を含むRPMI1640(完全培地)中で、DCを1μg/mLのE7ペプチド(JPT Peptide Technologies)で2時間パルスする。その後、E7パルスDCをマウス脾細胞(混合前に1μmのITK阻害剤で1時間処理)を含むフラスコに、25U/mLの組換えマウスIL-2と20ng/mLの組換えマウスGMCSFを含む完全培地と1:20の割合で移し、5日間培養する。その後、細胞は洗浄され、再刺激の前に完全培地+IL-2およびGM-CSFで2日間休ませる。表8に本試験の薬剤と治療プロトコルを示す。
【0322】
【表8】
【0323】
15日目に、2-7グループの全ドナー細胞中のE7特異的Th1細胞の頻度を細胞内サイトカイン染色とフローサイトメトリーによりもとめる。マウス脾細胞を、完全培地中、1μg/mLのE7ペプチドと5μg/mLのBrefeldin Aを用いて、または用いないで5時間刺激する。その後、細胞を洗浄し、CD4およびCD8とともにIFN-γおよびTNF-αで染色する。
【0324】
実施例6.CD8除去ドナーリンパ球輸注の抗リンパ腫効果に対する、ドナーのCD4T細胞におけるITK欠失の単独またはBTK欠失との併用効果
本研究の目的は、ドナー系統およびそのT1(例えば、C57BL/6)またはT2(例えば、BALB/c)への偏りが、CD8除去DLIの抗腫瘍免疫に影響するかどうか、およびドナーのCD4+T細胞におけるBTKまたはITK欠失によるその増強に影響するかどうかを検証することである。表9に、本試験における腫瘍の種類、由来系統およびドナー系統を示す。
【0325】
【表9】
【0326】
実験のデザインは3つの腫瘍型すべてについて同じで、違いは腫瘍の用量とドナーとレシピエントの系統だけである。表10にこの研究の治療プロトコルを示す。
【0327】
【表10】
【0328】
実施例7.一般的な悪性腫瘍(肺、乳房、卵巣)に対する非移植ドナーリンパ球輸注の有効性
この研究の目的は、非移植DLIが一般的な悪性腫瘍の治療に組み込まれ、チェックポイント阻害との相乗効果が得られるかどうかを検証することである。肺がん、乳がん、卵巣がんが研究対象となる。
【0329】
A.肺がん
【0330】
表11と12は、肺がんでの研究の治療プロトコルを示している。
【0331】
【表11】
【0332】
【表12】
【0333】
B.乳がん
表13は、乳がんでの研究の治療プロトコルを示している。
【0334】
【表13】
【0335】
C.卵巣がん
表14は、乳がんでの研究の治療プロトコルを示している。
【0336】
【表14】
【0337】
実施例8.新抗原(neoantigen)を発現する腫瘍に対するCD8除去非移植DLIの抗腫瘍効力に対するドナー新抗原ワクチン接種の効果
この研究の目的は、腫瘍新抗原に対するワクチン接種を通じて、散発性腫瘍の治療にドナーワクチン戦略を採用できるかどうかを検証することである。
【0338】
この実験では、CD8除去NEDLIにおけるneoAg特異的CD4+T細胞の頻度を増加させるための以下の2つの方法を検証する:1)CD4+T細胞ネオエピトープを用いたin vivoでのワクチン接種(その後のネオペプチド(neopeptide)刺激なし、またはあり);または2)CD4+T細胞をネオペプチド+DCで連続刺激することを用いたin vitroでの「プライミング」。実験のデザインを以下の表15に示す。
【0339】
【表15】
【0340】
C57BL/6(B6;H-2b)由来のB16-F10黒色腫を、F1ハイブリッド中で増殖する;免疫原性CD4+ネオエピトープは同定されている(参考文献4参照)。1)B6 x C3H(B6C3;H-2bxk)F1またはMHC-haploidentical BALB/c x B6(CB6;H-2bxd)F1マウスに、キネシンファミリーメンバー18b遺伝子(Kif18b)からコードされる変異型ネオエピトープM30(グループ2,6)または対応する野生型ペプチド(グループ1,5)のいずれかをワクチン接種し、体積200μLのリン酸緩衝生理食塩水中に100μgの合成ペプチドと50μgのポリ(I:C)を含むワクチンを、側腹部に注射する。ワクチン接種の有効性と応答細胞の表現型(CD4対CD8)は、参考文献5に記載されているように、フローサイトメトリーおよびインターフェロンガンマ(IFN=γ)または腫瘍壊死因子α(TNF-α)の細胞内サイトカイン染色(ICS)によって検査する。ワクチン接種の2週間後、安楽死させたドナーマウスの脾臓細胞からCD8+細胞を除去し、輸注の前日にCyで処置したB16-F10担持B6C3マウスに輸注する。
【0341】
あるいは、免疫化ドナーのCD8除去細胞を、輸注前に5日間M30パルスしたドナーDCと5日間培養し(グループ3、7);2)ナイーブB6C3またはCB6 F1マウスの脾臓細胞を、M30パルスした自己樹状細胞+20U/mLのIL-2で週2回刺激する(グループ4、8)。M30特異的なIFNγ+CD4+T細胞の頻度を、ex vivo刺激の前後にICSで測定する。NeoAg特異的なCD4+T細胞は、IFNγ捕捉アッセイ(Miltenyi Biotec)を用いて精製し、抗CD3および抗CD28でコーティングしたビーズを用いてさらに増殖させることができる。
【0342】
参考文献
1. Williams R, Lee DW, Elzey BD, Anderson ME, Hostager BS, Lee JH. Preclinical models of HPV+ and HPV- HNSCC in mice: an immune clearance of HPV+ HNSCC. Head & Neck: Journal for the Sciences and Specialties of the Head and Neck. 2009;31(7):911-918.
2. Ahrends T, Babala N, Xiao Y, Yagita H, van Eenennaam H, Borst J. CD27 Agonism Plus PD-1 Blockade Recapitulates CD4+ T-cell Help in Therapeutic Anticancer Vaccination. Cancer Res. 2016;76(10):2921-2931.
3. Minard-Colin V, Xiu Y, Poe JC, et al. Lymphoma depletion during CD20 immunotherapy in mice is mediated by macrophage FcγRI, FcγRIII, and FcγRIV. Blood. 2008;112(4):1205-1213.
4. Castle JC, Kreiter S, Diekmann J, Lower M, Roemer N, Graaf J. Exploiting the mutanome for tumor vaccination. Cancer Res. 2012;72.
5. Kreiter S, Vormehr M, van de Roemer N, et al. Mutant MHC class II epitopes drive therapeutic immune responses to cancer. Nature. 2015;520(7549):692-696.
【0343】
実施例9.CD8+T細胞の除去
CD8+T細胞は、CliniMACS(登録商標)CD8試薬を用いたCliniMACSシステムを用いてヒト血液製剤から除去する。CD8+T細胞は超常磁性粒子に結合したモノクローナル抗体で標識されて、標識細胞を除去するために強力な永久磁石と強磁性マトリックスを有する分離カラムを組み込んだCliniMACSシステムを通過させることにより血液製剤から除去される。
【0344】
実施例10.腫瘍抗原に対してワクチン接種したMHCハプロタイプ一致ドナー由来のCD4+T細胞の抗腫瘍効果に対する単一遺伝子欠失の差異効果
以前の実験では、腫瘍抗原(ヒトパピローマウイルス16型[HPV16]のE7)に対する健常ドナーの事前のワクチン接種が、進行したE7発現腫瘍を有するMHCハプロタイプ一致レシピエントのシクロホスファミド治療後に輸注されるドナーのCD8除去リンパ球の抗腫瘍効力を増強することが立証された。ワクチン接種されたドナーからのCD4+T細胞は、腫瘍を有するレシピエントの生存をわずかに延長させたが、全てのレシピエントは最終的に進行性の腫瘍に屈した。米国、公開番号:2022/0163997を参照。
【0345】
成長する腫瘍は、最終的に輸注されたCD4+T細胞を極性化させて、抗腫瘍免疫の手助けをする効果がなくなるが、CD4+T細胞の分化/極性化に関与する主要遺伝子を欠失させることで、CD4+T細胞ヘルプが失われるのを防ぎ、それにより抗腫瘍免疫反応を持続させることができるという仮説がある。
【0346】
この仮説を検証するため、BALB/c x C57BL/6(CB6 F1)ドナーを、HPV16のE6およびE7抗原をコードするDNAワクチンであるpBI-11を25マイクログラム筋肉内注射し、週3回ワクチン接種した。3回目のワクチン接種の1週間後、CD4+T細胞を免疫磁性ビーズを用いて純度近くまで濃縮し、未処理のままか、Cas9核タンパク質をトランスフェクトするか、またはCas9核タンパク質とガイドRNAをトランスフェクトして、単一遺伝子:インターロイキン2誘導性T細胞キナーゼ(ITK)、フォークヘッドボックスp3(FOXP3)、トランスフォーミング増殖因子β受容体II型(TGFBR2)、サイトカインシグナル伝達抑制因子-1(SOCS1)もしくはプログラム死分子-1(PDCD1)を不活性化した。細胞を一晩休ませた後、2500万個のワクチン未接種のCD4+T細胞、ワクチン接種を受けたがヌクレオフェクションを受けなかったCD4+T細胞、ワクチン接種を受けCas9ヌクレオフェクションを受けたCD4+T細胞、または単一遺伝子欠損CD4+T細胞を、500万個のシンジェニックな(CB6 F1)CD3除去脾臓細胞と共に、輸注14日前に50,000個のTC-1腫瘍細胞(HPV16のE6およびE7を発現)を投与し、輸注前日にシクロホスファミド200mg/kgを腹腔内投与したMHCハプロタイプ一致C57BL/6 x C3H(B6C3 F1)マウスに共注入した。図1を参照。
【0347】
HPV E7に対するドナーワクチン接種は、シクロホスファミドCD8除去、MHCハプロタイプ一致ドナーリンパ球輸注の抗腫瘍効果を増強し、ワクチン接種を受けていないドナー細胞のTC1-luci担持レシピエントとワクチン接種を受けたドナー細胞のTC1-luci担持レシピエントの無腫瘍生存率の差は、腫瘍接種後42日目までに統計学的有意差に近づいた(p=0.096;図2A)。Cas9試薬によるヌクレオフェクションを行ったが、遺伝子ノックアウトを行わなかった場合、ドナーリンパ球輸注レシピエントの無腫瘍生存率に有意な影響はなかった(図2B;p=0.99)。対照的に、ドナーのCD4+T細胞におけるITK遺伝子のCRISPRを介した欠失は、ITK欠失のないワクチン接種CD4+T細胞のレシピエント(p=0.17)またはワクチン未接種ドナーからのCD4+T細胞のレシピエント(p~0.07;図2C)と比較して、無腫瘍生存率をさらに増大させた。E6/E7ワクチン接種ドナーのCD4+T細胞における異なる単一遺伝子の欠失は、DLI誘発抗腫瘍免疫に異なる影響を及ぼした(図2D)。興味深いことに、PD-1またはTGFβR2のいずれかの欠失を含むワクチン接種CD4+T細胞の担がんレシピエントは、遺伝的にCD4+T細胞が未修飾のレシピエントよりも無腫瘍生存率がわずかに低く、ITKまたはfoxp3のいずれかの欠失を有する細胞のレシピエントよりも全生存率が有意に悪かった(図2Dおよび表16)。
【0348】
【表16】
【0349】
これらの結果は、CD4+T細胞の分化と機能に関与する遺伝子のCRISPRを介した欠失が、腫瘍抗原に対してワクチン接種した健康なドナーからの細胞療法の抗腫瘍効果に影響を与える可能性があることを示している。-ITKまたはFOXP3の欠失は有益であるように見えるが、PDCD1またはTGFBR2の欠失は、遺伝子的に修飾されていないCD4+T細胞と比較して、無腫瘍生存率が低くなる。
【0350】
実施例11.腫瘍抗原に対してワクチン接種したMHCハプロタイプ一致ドナーからのCD4+T細胞の抗腫瘍効果に関する追加の遺伝子欠失
BALB/c x C57BL/6(CB6 F1)ドナーに、HPV16のE6およびE7抗原をコードするDNAワクチンであるpBI-11 25マイクログラムの筋肉内注射をすることで週3回ワクチン接種する。3回目のワクチン接種の1週間後、CD4+T細胞を免疫磁気ビーズを用いて純度に近い状態に濃縮し、未処理のままか、Cas9核タンパク質をトランスフェクトするか、またはCas9核タンパク質と単一遺伝子:ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)、ホスホイノシチド3キナーゼのデルタアイソフォーム(PI3Kδ)、helios、blimp1、GATA3、IL-10、STAT3、TOX、CD25、Ezh2、LAG-3、TNF-α、またはそれらの組み合わせを不活性化するためのガイドRNAでトランスフェクトする。細胞を一晩休ませた後、300万個のワクチン未接種のCD4+T細胞、ワクチン接種を受けたがヌクレオフェクションされなかったCD4+T細胞、ワクチン接種を受けCas9ヌクレオフェクション設けたCD4+T細胞、または単一遺伝子欠損CD4+T細胞を、500万個のシンジェニック(CB6 F1)なCD3欠失脾臓細胞と共に、輸注の14日前に50,000個のTC-1腫瘍細胞(HPV16のE6およびE7を発現)を投与し、輸注前日にシクロホスファミド200mg/kgを腹腔内に投与したMHCハプロタイプ一致C57BL/6 x C3H(B6C3 F1)マウスに共注入する。
【0351】
実施例12.腫瘍抗原に対してワクチン接種したMHCハプロタイプ一致ドナー由来のCD4+T細胞の抗腫瘍効果における遺伝子欠失の組み合わせ
【0352】
BALB/c x C57BL/6(CB6 F1)ドナーに、HPV16のE6およびE7抗原をコードするDNAワクチンであるpBI-11 25マイクログラムの筋肉内注射を用いて週3回ワクチン接種する。3回目のワクチン接種の1週間後、CD4+T細胞を免疫磁気ビーズを用いて純度に近い状態に濃縮し、未処理のままか、Cas9核タンパク質をトランスフェクトするか、またはCas9核タンパク質とガイドRNAをトランスフェクトして、2つ以上の遺伝子の組み合わせ:ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)、インターロイキン2誘導性T細胞キナーゼ(ITK)、ホスホイノシチド3キナーゼデルタアイソフォーム(PI3Kδ)、helios、blimp1、SOCS1、GATA3、IL-10、STAT3、TGF-β受容体II、LAG-3、PD-1、TNF-α、TOX、CD25、foxp3、Ezh2を不活性化する。細胞を一晩休ませた後、300万個のワクチン未接種のCD4+T細胞、ワクチン接種を受けたがヌクレオフェクションを受けなかったCD4+T細胞、ワクチン接種を受けCas9ヌクレオフェクションを受けたCD4+T細胞、または単一遺伝子欠損CD4+T細胞を、500万個のシンジェニックな(CB6 F1)CD3欠失脾臓細胞と共に、輸注の14日前に50,000個のTC-1腫瘍細胞(HPV16のE6およびE7を発現)を投与され、輸注前日にシクロホスファミド200mg/kgを腹腔内に投与されたMHCハプロタイプ一致C57BL/6 x C3H(B6C3 F1)マウスに供注入する。
【0353】
本発明を上記の実施例を参照して説明したが、本発明の精神および範囲内に修正および変形が包含されることは理解されるであろう。従って、本発明は以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。
図1
図2-1】
図2-2】
【国際調査報告】