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特表2024-536846置換ヒドロキシメチルピロリジン及びその医学的使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】置換ヒドロキシメチルピロリジン及びその医学的使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 207/08 20060101AFI20241001BHJP
   C07D 401/06 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 31/40 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
C07D207/08 CSP
C07D401/06
A61K31/40
A61K31/4439
A61P3/10
A61P1/16
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518643
(86)(22)【出願日】2022-09-23
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 EP2022076491
(87)【国際公開番号】W WO2023046885
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】2113588.4
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】518320845
【氏名又は名称】アトロジー アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベングトソン,トレ
(72)【発明者】
【氏名】ペルクマン,ベンジャミン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC07
4C086BC17
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086ZA75
4C086ZC35
4C086ZC41
(57)【要約】
本明細書において、式Iの化合物及びその薬学的に許容される塩が提供され、式中、R、環A、及びQ~Qを含有する環は、本明細書において提供される意味を有する。そのような化合物の医学的使用も提供される。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、
【化1】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、
は、H又はC1~6アルキルを表し、
~Qを含む環は、
1つ以上のYで任意選択で置換されたフェニル、又は
1つ以上のYで任意選択で置換された5若しくは6員ヘテロアリールを表し、
Aを含む環は、
1つ以上のZで任意選択で置換された4~8員飽和若しくは部分飽和炭素環、又は
1つ以上のZで任意選択で置換されたフェニルを表し、
はそれぞれ、独立してハロ、Ra1、-CN、若しくは-Nを表し、
はそれぞれ、独立してハロ、Ra2、-CN、若しくは-Nを表し、
はそれぞれ、独立してハロ、Ra3、-CN、-N、-N(Rb3)Rc3、-ORd3、-S(O)e3、-S(O)N(Rf3)Rg3、又は-N(Rh3)S(O)i3を表し、
はそれぞれ、独立してハロ、Ra4、-CN、-N、-N(Rb4)Rc4、-ORd4、-S(O))Re4、-S(O)N(Rf4g4、又は-N(Rh4)S(O)i4を表し、
a1及びRa2はそれぞれ、独立して1つ以上のハロで任意選択で置換されたC1~6アルキルを表し、
a3、Ra4、Re3、Re4、Ri3、及びRi4はそれぞれ、独立してハロ及びGから独立して選択された1つ以上の基で任意選択で置換されたC1~6アルキル、C2~6アルケニル、又はC2~6アルキニルを表し、
b3、Rb4、Rc3、Rc4、Rd3、Rd4、Rf3、Rf4、Rg3、Rg4、Rh3、及びRh4はそれぞれ、独立して
H、
それぞれがハロ及びGから独立して選択された1つ以上の基で任意選択で置換されたC1~6アルキル、C2~6アルケニル、若しくはC2~6アルキニルを表し、
あるいは代替的に、Rb3とRc3、Rf3とRg3、Rb4とRc4、及び/又はRf4とRg4のうちのいずれかが、一緒に連結して、それらが結合している窒素原子と一緒に4~6員環を形成し得、前記環は、更に1つのヘテロ原子を任意選択で含有し、かつ、前記環は、ハロ、1つ以上のハロで任意選択で置換されたC1~3アルキル、及び=Oから独立して選択される1つ以上の基で任意選択で置換され、
及びGはそれぞれ、独立してRa5、-CN、-N、-N(Rb5)Rc5、-ORd5、-S(O)e5、-S(O)N(Rf5)Rg5、又は=Oを表し、
a5はそれぞれ、独立してフェニル又は5若しくは6員ヘテロアリールを表し、それぞれは、ハロ、-CN、又は1つ以上のハロ若しくは-CNで任意選択で置換されたC1~3アルキルから選択される1つ以上の基で任意選択で置換され、
b5、Rc5、Rd5、Rf5、及びRg5はそれぞれ、独立してH、又は1つ以上のハロ若しくは-CNで任意選択で置換されたC1~6アルキル、C2~6アルケニル、若しくはC2~6アルキニルを表し、
e5はそれぞれ、独立してそれぞれが1つ以上のハロ若しくは-CNで任意選択で置換されたC1~6アルキル、C2~6アルケニル、又はC2~6アルキニルを表し、
あるいは代替的に、Rb5とRc5及び/又はRf5とRg5のうちのいずれかが、一緒に連結して、それらが結合している窒素原子と一緒に4~6員環を形成し得、前記環は、更に1つのヘテロ原子を任意選択で含有し、かつ、前記環は、ハロ、1つ以上のハロで任意選択で置換されたC1~3アルキル、及び=Oから独立して選択される1つ以上の基で任意選択で置換され、
各pが、独立して、0、1、又は2を表し、
各qが、独立して、1又は2を表し、
tはそれぞれ、独立して1又は2を表す、化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
~Qを含む前記環は、
1つ以上のYで任意選択で置換されたフェニル、又は
1つ以上のYで任意選択で置換されたピリジルを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
はそれぞれ、独立して、Ra1、ハロ、又は-CNを表す、先行する請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項4】
はそれぞれ、独立してRa2、ハロ、又は-CNを表す、先行する請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
及びYはそれぞれ、Cl又はFを表す、先行する請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
前記環Aは、
1つ以上のZで任意選択で置換されたフェニル、又は
1つ以上のZで任意選択で置換されたシクロヘキシルを表す、先行する請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
はそれぞれ、独立して-ORd3、-N(Rb3)Rc3、又は-N(Rh3)S(O)i3を表す、先行する請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
はそれぞれ、独立して-ORd4又はハロを表す、先行する請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
最大1つのZ基が存在する、先行する請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
は、H又はMeを表す、先行する請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
医薬で使用するための、先行する請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物、並びに任意選択で1つ以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、及び/又は担体を含む、医薬組成物。
【請求項13】
高血糖症又は高血糖症を特徴とする障害の治療で使用するための、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
高血糖症又は高血糖症を特徴とする障害の治療のための医薬品の製造のための、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項15】
高血糖症又は高血糖症を特徴とする障害の治療方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項16】
前記高血糖症又は高血糖症を特徴とする障害は、重度のインスリン抵抗性を示す患者である、又は前記患者を特徴とする、請求項13~15のいずれか一項に記載の使用のための化合物、方法、又は使用。
【請求項17】
前記高血糖症を特徴とする障害は、2型糖尿病、ラブソン・メンデンホール症候群、ドナヒュー症候群(妖精症)、インスリン抵抗性のA型及びB型症候群、HAIR-AN(高アンドロゲン症、インスリン抵抗性、及び黒色表皮腫)症候群、偽先端巨大症、及び脂肪異栄養症からなる群から選択される、請求項13~16のいずれか一項に記載の使用のための化合物、方法、又は使用。
【請求項18】
非アルコール性脂肪性肝疾患の治療に使用するための、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
非アルコール性脂肪性肝疾患の治療又は予防のための医薬品の製造における、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項20】
非アルコール性脂肪性肝疾患を治療又は予防する方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項21】
βアドレナリン受容体の活性化によって治療がもたらされる疾患又は障害の治療に使用するための、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
βアドレナリン受容体の活性化によって治療がもたらされる疾患又は障害の治療に使用するための医薬品の製造における、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項23】
βアドレナリン受容体の活性化によって治療がもたらされる疾患又は障害の治療方法であって、それを必要とする患者に治療有効量の請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の化合物及び組成物、並びに医薬における、例えば、高血糖症及び2型糖尿病などの高血糖症を特徴とする障害の治療におけるそれらの使用に関する。具体的には、本発明は、βアドレナリン受容体の活性化を介して2型糖尿病などの状態を治療するための、新規の化合物、組成物、及び方法に関する。重要なことに、そのような化合物は、有意なcAMP放出を介してそれらの効果を発揮しないため、有益な副作用プロファイルを有すると考えられる。
【背景技術】
【0002】
本明細書で見たところ先に公表された文献のリスト又は議論は、その文献が最新技術の一部であるか、又は共通の全般知識であることを認めるものと必ずしも解釈されるべきではない。
【0003】
高血糖症又は高血糖は、過剰量のグルコースが血漿中を循環する状態である。治療されない場合、高血糖症は重大な問題となり得、潜在的にケトアシドーシスなどの生命を脅かす状態に発展し得る。例えば、慢性的な高血糖症は心臓への損傷を引き起こし得、冠動脈性心疾患又は心不全の病歴のない対象における心臓発作及び死亡に強く関連する。糖尿病及び重度のインスリン抵抗性を含む高血糖症の原因は多岐にわたる。
【0004】
重度のインスリン抵抗性(SIR)は、患者が、インスリンに対する非常に低いレベルの(又は極端な場合には、有意でない)応答を患う状態である。SIRを特徴とするいくつかの症候群が存在し、これらには、ラブソン・メンデンホール症候群、ドナヒュー症候群(妖精症)、インスリン抵抗性のA型及びB型症候群、HAIR-AN(高アンドロゲン症、インスリン抵抗性、及び黒色表皮腫)症候群、偽先端巨大症、並びに脂肪異栄養症が含まれる。これらの状態の大部分は、インスリン受容体遺伝子の突然変異などの遺伝的原因を有する。ドナヒュー症候群、ラブソン・メンデンホール症候群及びインスリン抵抗性のA型症候群の有病率は、100,000例中、約50例の報告事例から1例まで変動することが報告されている。しかしながら、いくつかの疾患は重度で極めて稀であるため、特に世界の開発途上地域では、多くの患者が死亡前に診断されない可能性が高い。したがって、これらの症候群を有する患者の正確な数を評価することは困難である。
【0005】
SIRを有する患者における高血糖症治療のための現在の標準は、メトホルミンなどのインスリン受容体感受性に影響する薬物を補充した制御食、又はインスリン補充剤である。しかしながら、特にインスリン受容体遺伝子の変異によって引き起こされる障害については、この治療は十分に効果的ではなく、最終的には不成功であることが判明している。
【0006】
糖尿病は、2つの異なる疾患、すなわち1型(又はインスリン依存性糖尿病)及び2型(インスリン非依存性糖尿病)を含み、それらの両方が血糖恒常性の機能不全に関与する。2型糖尿病は、世界中で4億人を超える人々に影響を及ぼし、その数は急速に増加している。2型糖尿病の合併症には、重度の心血管障害、腎不全、末梢神経障害、失明が含まれ、かつ該疾患の後期には、更には手足の喪失、最終的には死亡が含まれる。2型糖尿病は、骨格筋及び脂肪組織におけるインスリン抵抗性を特徴とし、現在のところ決定的な治療法はない。今日使用されるほとんどの治療法は、機能不全のインスリンシグナル伝達を改善することか、又は肝臓からのグルコース産出を抑制することに焦点が当てられているが、それらの治療の多くは、いくつかの欠点及び副作用を有する。したがって、2型糖尿病を治療するための新規のインスリン非依存性の方法を特定することに大きな関心が寄せられている。
【0007】
2型糖尿病では、インスリンシグナル伝達経路は、脂肪組織及び骨格筋などの末梢組織で鈍くなる。2型糖尿病を治療するための方法には、典型的には、生活習慣の変更、並びにグルコース恒常性を調節するためのインスリン注射又は経口薬が含まれる。この疾患の後期の2型糖尿病を有する人々は、「ベータ細胞障害」、すなわち、膵臓が高血糖値に応答してインスリンを放出することができないという障害を発症する。この疾患の後期段階では、患者はしばしば、糖尿病を管理するために経口薬と組み合わせてインスリン注射を必要とする。更に、最も一般的な薬物は、インスリン経路の下方調節若しくは脱感作、及び/又は脂肪組織、肝臓、及び骨格筋における脂質取り込みの促進を含む、副作用を有する。したがって、これらの副作用を含まない、2型糖尿病を含む代謝性疾患を治療するための新規の方法を特定することに大きな関心が寄せられている。
【0008】
食事後、血糖値の上昇は、膵臓からのインスリン放出を刺激する。インスリンは、血糖値の正常化を媒介する。グルコース代謝に対するインスリンの重要な効果には、骨格筋及び脂肪細胞へのグルコース取り込みの促進、並びに肝臓におけるグリコーゲン貯蔵の増加が含まれる。骨格筋及び脂肪細胞は、摂食状態でのインスリン媒介性のグルコース取り込み及び利用に関与するため、グルコース代謝にとって非常に重要な部位である。
【0009】
インスリン受容体の下流のシグナル伝達経路は、詳細に理解することが困難であった。要約すると、インスリンによるグルコース取り込みの制御は、インスリン受容体(IR)、インスリン受容体基質(IRS)、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)の活性化、ひいてはホスファチジルイノシトール(3,4,5)-トリホスフェート(PIP3)、ラパマイシンの哺乳動物標的(ラパマイシンの機序標的、mTORとも呼ばれる)、Akt/PKB(Akt)、及びTBC1D4(AS160)の刺激に関与し、グルコース輸送体4(GLUT4)の細胞膜への転位をもたらす。Akt活性化は、GLUT4転位に必要であるとみなされている。
【0010】
骨格筋は、哺乳動物の体重の大部分を構成し、全身グルコース処理の最大85%に関与して、全身グルコース代謝の調節に重要な役割を果たすことに留意されたい。骨格筋におけるグルコース取り込みは、いくつかの細胞内及び細胞外シグナルによって調節される。インスリンは最もよく研究された介在物質であるが、他にも存在する。例えば、AMP活性化キナーゼ(AMPK)は、細胞内のエネルギーセンサーとして機能し、グルコース取り込み及び脂肪酸酸化を増加させることができる。骨格筋がグルコース恒常性に及ぼす大きな影響のために、更なる機序が存在すると考えられる。2型糖尿病の有病率の増加に照らして、筋肉細胞におけるグルコース取り込みを増加させるための新規のインスリン非依存性機序を見出し、特徴付けることに、大きな関心が寄せられている。
【0011】
血糖値は、インスリンとカテコールアミンの両方によって調節され得るが、それらは異なる刺激に応答して体内で放出される。インスリンは、血糖値の上昇(例えば、食事後)に応答して放出されるが、エピネフリン及びノルエピネフリンは、運動、感情及びストレスなどの様々な内的及び外的刺激に応答して、並びに組織恒常性の維持のために、放出される。インスリンは、グルコース取り込み、グリコーゲン及びトリグリセリド形成を含む成長に関与する多くのプロセスを刺激する同化ホルモンであり、一方、カテコールアミンは、主に異化である。
【0012】
インスリン及びカテコールアミンは通常反対の効果を有するが、それらは骨格筋におけるグルコース取り込みに関して同様の作用を有することが示されている(Nevzorova et al.,Br.J.Pharmacol,137,9,(2002))。特に、カテコールアミンがアドレナリン受容体を介してグルコース取り込みを刺激して(Nevzorova et al.,Br.J.Pharmacol,147,446,(2006);Hutchinson,Bengtsson Endocrinology 146,901,(2005))、エネルギーに富む基質を筋細胞に供給することが報告されている。したがって、ヒトを含む哺乳動物では、アドレナリン系及びインスリン系は独立して働き、異なる状況において骨格筋のエネルギー需要を調節することができる可能性が高い。インスリンはまた、組織への脂質取り込みの刺激などの望ましくない効果を促進し、例えば肥満につながるいくつかのものを含む多くの同化プロセスを刺激するので、他の手段、例えば、アドレナリン受容体(AR)の刺激により、グルコース取り込みを刺激することが可能であれば有益であろう。
【0013】
全てのARは、細胞膜に位置し、細胞外N末端、それに続く7回膜貫通αヘリックス(TM-1~TM-7)、それに連結する3つの細胞内(IL-1~IL-3)及び3つの細胞外ループ(EL-1~EL-3)、並びに最終的に細胞内C末端を特徴とする、Gタンパク質共役受容体(GPCR)である。ARには、異なる発現パターン及び薬理学的プロファイルを有する3つの異なるクラス:α-、α-、及びβ-ARがある。α-ARは、α1A、α1B、及びα1Dサブタイプを含むが、α-ARは、α2A、α2B、及びα2Cに分類される。β-ARもまた、サブタイプβ、β、及びβに分類されるが、これらのうちβ-ARは、骨格筋細胞における主要なアイソフォームである。ARは、環状アデノシン一リン酸(cAMP)及びホスホリパーゼC(PLC)などの古典的な二次メッセンジャーを介してシグナル伝達する、Gタンパク質共役受容体(GPCR)である。
【0014】
骨格筋におけるARの下流に生じる多くの効果は、cAMPレベル、PLC活性、及びカルシウムレベルの上昇などの古典的な二次メッセンジャーシグナル伝達に起因している。古典的な二次メッセンジャーに関与する刺激は、異なる組織において多くの効果を有する。例えば、上記刺激は、心拍数、血流、肺における気流、及び肝臓からのグルコースの放出を増加させ、ARの刺激が2型糖尿病治療とみなされるべきである場合、それらは全てが有害であり得るか、又は望ましくない副作用とみなされ得る。古典的なAR作動薬の有害作用は、例えば、頻脈、動悸、振戦、発汗、激越、及び血液中のグルコースレベル(肝臓からのグルコース産出)の増加である。したがって、cAMPなどのこれらの古典的な二次メッセンジャーを活性化せずにARを活性化して、望ましくない副作用を刺激することなく末梢組織におけるグルコース取り込みを増加することができれば有益であろう。
【0015】
グルコースの取り込みは、ほとんどの細胞へのグルコースの取り込みを媒介する促進性グルコース輸送体(GLUT)を介して主に刺激される。GLUTは、濃度勾配下で細胞膜にわたってグルコース及び/又はフルクトースの輸送を媒介する輸送体タンパク質である。GLUTファミリーには、それらの基質特異性及び組織発現に依存して、3つのクラス(クラスI、クラスII、及びクラスIII)に分類される、GLUT1~14と命名された14の既知のメンバーが存在する。GLUT1及びGLUT4は、最も集中的に研究されたアイソフォームであり、GLUT2及びGLUT3と一緒に、(フルクトースも輸送するクラスIIとは対照的に)主にグルコースを輸送するクラスIに属する。GLUT1は、遍在的に発現し、基礎的なグルコース輸送に関与する。GLUT4は、骨格筋、心筋、及び脂肪組織などの末梢組織においてのみ発現する。GLUT4はまた、例えば、脳、腎臓、及び肝臓において発現することが報告されている。GLUT4は、インスリン刺激グルコースの取り込みに関与する主要なアイソフォームである。インスリンシグナル伝達がグルコース取り込みを増加させる機序は、主に細胞内貯蔵から細胞膜へのGLUT4転位を介するものである。GLUT4転位が、βアドレナリン受容体の刺激によって誘導されることは既知である。
【0016】
したがって、2型糖尿病などの、哺乳動物におけるグルコース恒常性又はグルコース取り込みの調節不全に関与する状態の考えられる治療には、細胞膜へのGLUT4転位につながるβアドレナリン受容体の活性化、及び全身のグルコース恒常性の正常化につながる骨格筋へのグルコース取り込みの促進に関与し得る。加えて、治療がcAMPによるシグナル伝達に関与しない場合、好都合な副作用プロファイルにつながるため、有利であろう。
【0017】
国際公開第2009/123870号、国際公開第2009/124166号、国際公開第2009/124167号、国際公開第2011/025690号、国際公開第2011/025774号、及び国際公開第2015/050798は、βアドレナリン受容体の作動薬としての種々の化合物に言及している。
【発明の概要】
【0018】
ここで、本発明者らは、驚くべきことに、βアドレナリン受容体にて作動薬として作用する特定の置換ヒドロキシメチルピロリジンが、骨格筋におけるグルコース取り込みを増加させることを見出した。
【0019】
また、本発明者らは、この効果が有意なcAMP放出を介して媒介されず、伝統的なβアドレナリン作動薬で見られる一般的に記載されている副作用の多く(例えば、頻脈、動悸、振戦、発汗、激越など)が軽減され得ることを見出した。
【0020】
医薬におけるそのような化合物の使用は、上述したような状態、例えば、2型糖尿病などの高血糖値を特徴とする状態(すなわち、高血糖症)の治療のための有望な戦略を表す。
【0021】
本発明の化合物
本発明の第1の態様では、式Iの化合物
【0022】
【化1】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、
は、H又はC1~6アルキルを表し、
~Qを含む環は、
1つ以上のYで任意選択で置換されたフェニル、又は
1つ以上のYで任意選択で置換された5又は6員ヘテロアリールを表し、
Aを含む環は、
1つ以上のZで任意選択で置換された4~8員飽和又は部分飽和炭素環、又は
1つ以上のZで任意選択で置換されたフェニルを表し、
はそれぞれ、独立してハロ、Ra1、-CN、若しくは-Nを表し、
はそれぞれ、独立してハロ、Ra2、-CN、若しくは-Nを表し、
はそれぞれ、独立してハロ、Ra3、-CN、-N、-N(Rb3)Rc3、-ORd3、-S(O)e3、-S(O)N(Rf3)Rg3、若しくは-N(Rh3)S(O)i3を表し、
はそれぞれ、独立してハロ、Ra4、-CN、-N、-N(Rb4)Rc4、-ORd4、-S(O)e4、-S(O)N(Rf4)Rg4、若しくは-N(Rh4)S(O)i4を表し、
a1及びRa2はそれぞれ、独立して1つ以上のハロで任意選択で置換されたC1~6アルキルを表し、
a3、Ra4、Re3、Re4、Ri3、及びRi4はそれぞれ、独立してハロ及びGから独立して選択された1つ以上の基で任意選択で置換されたC1~6アルキル、C2~6アルケニル、又はC2~6アルキニルを表し、
b3、Rb4、Rc3、Rc4、Rd3、Rd4、Rf3、Rf4、Rg3、Rg4、Rh3、及びRh4はそれぞれ、独立して
H、
それぞれがハロ及びGから独立して選択された1つ以上の基で任意選択で置換されたC1~6アルキル、C2~6アルケニル、若しくはC2~6アルキニルを表し、
あるいは代替的に、Rb3とRc3、Rf3とRg3、Rb4とRc4、及び/又はRf4とRg4のうちのいずれかが、一緒に連結して、それらが結合している窒素原子と一緒に4~6員環を形成し得、当該環は、更に1つのヘテロ原子を任意選択で含有し、かつ、当該環は、ハロ、1つ以上のハロで任意選択で置換されたC1~3アルキル、及び=Oから独立して選択される1つ以上の基で任意選択で置換され、
及びGはそれぞれ、独立してRa5、-CN、-N、-N(Rb5)Rc5、-ORd5、-S(O)e5、-S(O)N(Rf5)Rg5、又は=Oを表し、
a5はそれぞれ、独立してフェニル又は5若しくは6員ヘテロアリールを表し、それぞれは、ハロ、-CN、又は1つ以上のハロ若しくは-CNで任意選択で置換されたC1~3アルキルから選択される1つ以上の基で任意選択で置換され、
b5、Rc5、Rd5、Rf5、及びRg5はそれぞれ、独立してH、又は1つ以上のハロ若しくは-CNで任意選択で置換されたC1~6アルキル、C2~6アルケニル、若しくはC2~6アルキニルを表し、
e5はそれぞれ、独立してそれぞれが1つ以上のハロ若しくは-CNで任意選択で置換されたC1~6アルキル、C2~6アルケニル、又はC2~6アルキニルを表し、
あるいは代替的に、Rb5とRc5及び/又はRf5とRg5のうちのいずれかが、一緒に連結して、それらが結合している窒素原子と一緒に4~6員環を形成し得、当該環は、更に1つのヘテロ原子を任意選択で含有し、かつ、当該環は、ハロ、1つ以上のハロで任意選択で置換されたC1~3アルキル、及び=Oから独立して選択される1つ以上の基で任意選択で置換され、
各pが、独立して、0、1、又は2を表し、
qはそれぞれ、独立して1又は2を表し、
tはそれぞれ、独立して1又は2を表し、
この化合物(薬学的に許容される塩を含む)は、本明細書において「本発明の化合物」として言及され得る。
【0023】
疑義を避けるために、当業者であれば、明細書中での本発明の特定の態様の化合物(例えば、本発明の第1の態様、例えば式Iの化合物)への言及は、その全ての実施形態及び特定の特徴への言及を含み、その実施形態及び特定の特徴を組み合わせて、更なる実施形態が形成されてもよいことを理解するだろう。
【0024】
別途示されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0025】
薬学的に許容される塩には、酸付加塩及び塩基付加塩が含まれる。かかる塩は、例えば遊離酸又は遊離塩基形態の本発明の化合物の1当量以上を、適切な酸又は塩基と、任意選択的に溶媒中で、又は塩が溶解しない媒体中で反応させ、続いて慣用技術によって(例えば、真空中、凍結乾燥又は濾過によって)当該溶媒又は当該媒体を除去することにより、形成され得る。塩はまた、例えば好適なイオン交換樹脂を使用して、塩の形態の本発明の化合物の対イオンを別の対イオンと交換することによって調製され得る。
【0026】
言及され得る特定の酸付加塩としては、カルボン酸塩(例えば、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、イソ酪酸塩、ヘプタン酸塩、デカン酸塩、カプリン酸塩、カプリル酸塩、ステアリン酸塩、アクリル酸塩、カプロン酸塩、プロピオール酸塩、アスコルビン酸塩、クエン酸塩、グルクロン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、α-ヒドロキシ酪酸塩、乳酸塩、洒石酸塩、フェニル酢酸塩、マンデル酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、o-アセトキシ安息香酸塩、サリチル酸塩、ニコチン酸塩、イソニコチン酸塩、桂皮酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、馬尿酸塩、フタル酸塩、若しくはテレフタル酸塩)、ハロゲン塩(例えば、塩化物塩、臭化物塩、若しくはヨウ化物塩)、スルホネート塩(例えば、ベンゼンスルホネート塩、メチル-、ブロモ-、又はクロロ-ベンゼンスルホネート塩、キシレンスルホネート塩、メタンスルホネート塩、エタンスルホネート塩、プロパンスルホネート塩、ヒドロキシエタンスルホネート塩、1-又は2-ナフタレンスルホネート塩、若しくは1、5-ナフタレンジスルホネート塩)、又は硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、又は硝酸塩などが含まれ得る。
【0027】
言及され得る特定の塩基付加塩には、アルカリ金属(Na塩及びK塩など)、アルカリ土類金属(Mg塩及びCa塩など)、有機塩基(エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、及びリジンなど)、及び無機塩基(アンモニア及び水酸化アルミニウムなど)によって形成される塩が含まれる。より具体的には、挙げられ得る塩基付加塩としては、Mg塩、Ca塩が含まれ、また最も具体的には、K塩及びNa塩が挙げられる。
【0028】
言及され得る特定の薬学的に許容される塩には酢酸塩が含まれる。
【0029】
疑義を避けるために、本発明の第1の態様の化合物は、固体として存在し得、したがって、本発明の範囲は、その全ての非晶質、結晶及び部分結晶形を含み、かつ油としても存在し得る。本発明の第1の態様の化合物が結晶及び部分結晶形で存在する場合、そのような形態は、溶媒和物を含み得、これは本発明の範囲に含まれる。本発明の第1の態様の化合物はまた、溶液中に存在し得る。
【0030】
本発明の第1の態様の化合物は、二重結合を含むことができ、したがって、各個々の二重結合についてE(エンゲージン)及びZ(ズズマメン)幾何異性体として存在し得る。全てのそのような異性体及びそれらの混合物は、本発明の範囲内に含まれる。
【0031】
本発明の第1の態様の化合物はまた、互変異性を呈し得る。全ての互変異性型及びそれらの混合物は、本発明の範囲内に含まれる。
【0032】
本発明の第1の態様の化合物はまた、1つ以上の不斉炭素原子を含有し得、ひいては、光学異性及び/又はジアステレオ異性を呈し得る。ジアステレオ異性体は、慣用的な技法、例えばクロマトグラフィー又は分別結晶化を用いて分離され得る。種々の立体異性体(すなわちエナンチオマー)は、慣用的な、例えば分別結晶化又はHPLCなどの技法を用いて、化合物のラセミ混合物又は他の混合物を分離することによって単離され得る。あるいは、所望の光学異性体は、ラセミ化又はエピマー化を引き起こさない条件下で(すなわち、「キラルプール」法)、適切な出発物質と「キラル補助剤」との反応によって、適切な光学活性出発物質から得ることができ、「キラル補助剤」は、その後、誘導体化(すなわち、動的分割を含む分割)によって、例えば、ホモキラル酸と反応させた後、クロマトグラフィーなどの従来の手段によってジアステレオマー誘導体を分離することによって、又は適切なキラル試薬若しくはキラル触媒と反応させることによって、当業者に公知の条件下で適切な段階で除去することができる。全ての立体異性体及びそれらの混合物は、本発明の範囲内に含まれる。
【0033】
本明細書で使用される場合、ハロ及び/又はハロゲン基への言及は、それぞれ独立してフルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨード(例えば、フルオロ(F)及びクロロ(Cl)、例えばF)を指す。
【0034】
別途指定されない限り、本明細書に定義されるC1~zアルキル基(zは範囲の上限である)は、直鎖であり得るか、又は十分な数(すなわち、最低3つ)の炭素原子が存在する場合、分岐鎖状及び/又は環状であり得る(したがって、C3~z-シクロアルキル基を形成する)。十分な数(すなわち、最低4つ)の炭素原子が存在する場合、そのような基はまた、部分環状であり得る。言及され得る部分環状アルキル基には、シクロプロピルメチル及びシクロヘキシルエチルが含まれる。十分な数の炭素原子があるとき、そのような基はまた、多環式(例えば、二環式若しくは三環式)又はスピロ環式であり得る。
【0035】
疑義を避けるために、アルキル基は、線状(そうでなければ直鎖と呼ばれる)、分岐状(そうでなければ分岐鎖と呼ばれる)、及び/又は環状であり得る。より具体的には、アルキル基は、線状(そうでなければ直鎖と呼ばれる)又は分岐状(そうでなければ分岐鎖と呼ばれる)であり得る。
【0036】
別段の指定がない限り、本明細書で定義されるC2~zアルケニル基(ここで、zは範囲の上限である)は、直鎖であり得る、又は十分な数(すなわち、最小3)の炭素原子が存在するとき、分岐鎖状であり得る。
【0037】
別段の指定がない限り、本明細書で定義されるC2~zアルキニル基(ここで、zは範囲の上限である)は、直鎖であり得る、又は十分な数(すなわち、最小4)の炭素原子が存在するとき、分岐鎖状であり得る。
【0038】
疑義を避けるために、当業者であれば、アルキルという用語が、飽和炭化水素部分を指すのに対して、アルケニルという用語は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む不飽和炭化水素部分を指し、アルキニルという用語は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含む不飽和炭化水素を指すことを理解するであろう。
【0039】
本明細書で使用される場合、当業者であれば、炭素環という用語が環状(特に単環式)ヒドロカルビル基を指すことを理解するであろう。挙げることができる具体的な炭素環には、単環式炭素環が含まれる。
【0040】
疑義を避けるために、その中に円を有するQ~Qを含有する環の描写(例えば、式Iにおけるような)は、環が芳香族であることを示すように理解されるであろう。
【0041】
疑義を避けるために、本明細書で使用される場合、ヘテロ原子への言及は、当業者によって理解されるようなそれらの通常の意味をとるであろう。言及され得る特定のヘテロ原子には、リン、セレン、テルル、ケイ素、ホウ素、酸素、窒素、及び硫黄(例えば酸素、窒素、及び硫黄)が含まれる。
【0042】
疑義を避けるためであるが、多環式(例えば、二環式又は三環式)基(例えば、シクロアルキル基の文脈で使用する場合)への言及は、そのような環を直鎖に変換するために少なくとも2つの切断が必要とされ得る環系を意味し、そのような切断の最小数は定義された環の数に対応する(例えば、二環式という用語は、その環を直鎖に変換するために最低2つの切断が必要とされ得ることを示してもよい)。疑義を避けるために、二環式(例えば、アルキル基の文脈で使用される場合)という用語は、二環系の第2の環が第1の環の2つの隣接する原子の間に形成される基を意味してもよく、また2つの隣接していない原子がアルキレン基によって連結されている基を意味してもよく、後者の基は架橋されているものを意味してもよい。
【0043】
本発明はまた、1つ以上の原子が、通常自然界で見出される(又は自然界で最も豊富に存在するものの)原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子で、実際には置き換えられてはいるが、本明細書に記載されたものと同一である、同位体標識された本発明の化合物も包含する。本明細書で特定される任意の特定の原子又は元素の全ての同位体は、本発明の化合物の範囲内であると考えられる。したがって、本発明の化合物はまた、重水素化化合物、すなわち、1つ以上の水素原子が、水素同位体重水素で置き換えられている化合物も含む。
【0044】
疑義を避けるために、本発明の化合物中の2つ以上の置換基の同一性が同じであり得る場合、それぞれの置換基の実際の同一性は、決して相互依存性ではない。例えば、2つ以上のY基が存在する状況において、それらのY基は、同じでも異なっていてもよい。同様に、2つ以上のY基が存在し、各々がハロを表す場合、問題となるハロ基は、同じであり得るか、又は異なり得る。同様に、2つ以上のRが存在し、各々が独立して1つ以上のG基で置換されたC1~6アルキルを表す場合、各G基の同一性は、決して相互依存性ではない。
【0045】
当業者であれば、本発明の主題である本発明の化合物には、安定なものが含まれることを理解するであろう。すなわち、本発明の化合物は、例えば、反応混合物からの、有用な純度までの単離に耐えるほどに十分に頑強なものを含む。
【0046】
本明細書で言及される本発明の全ての実施形態及び特定の特徴は、本発明の開示から逸脱することなく、単離して、又は本明細書で言及される任意の他の実施形態及び/又は特定の特徴と組み合わせて採用され得る(したがって、本明細書に開示される、より具体的な実施形態及び具体的な特徴を記載する)。
【0047】
疑義を避けるために、Q~Qを含む環(環Qとも呼ばれる)は、1つ以上のYで任意選択で置換されたフェニル、又は1つ以上のYで任意選択で置換された5若しくは6員ヘテロアリールを表す。
【0048】
ピリジニル、ピリドニル、ピロリル、フラニル、チオフェニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリルなどの様々なヘテロアリール基は、当業者に周知であろう。ヘテロアリール/ヘテロ芳香族基の酸化物もまた、本発明の範囲内に包含される(例えば、N-オキシド)。
【0049】
具体的には、ヘテロアリール環を表す場合、本明細書で定義されるQは、O、S、及びN(例えば、O及びN、例えば、N)から選択され得る1つ以上(例えば、1つ又は2つ、例えば、1つ)のヘテロ原子を含む。例えば、本明細書に定義される環Qは、O、S、及びN(例えば、O及びN、例えば、N)から選択され得る最大1つのヘテロ原子を含み得る。
【0050】
具体的には、本明細書で定義されるヘテロアリール環Qを表す場合、5~6員であり得る。例えば、本明細書で定義される環Aなどは、1つのN原子を含む6員環(すなわち、ピリジル基)であり得る。
【0051】
~Qを含む環を表すより特定のヘテロアリール基は、ピリジン-3-イルなどのピリジニルを含むことができる(N原子が1位を表す標準的な番号付けを指す)。
【0052】
具体的な実施形態では、Q~Qを含む環は、
1つ以上(例えば、1つ)のYで任意選択で置換されたフェニル、又は
1つ以上(例えば、1つ)のYで任意選択で置換されたピリジルを表し得る。
【0053】
具体的な実施形態では、Q~Qを含む環は、
1つ以上(例えば、1つ)のYで置換されたフェニル、又は
1つ以上(例えば、1つ)のYで置換されたピリジルを表し得る。
【0054】
したがって、具体的な実施形態では、式Iの化合物は、式IA又はIBの化合物であり、
【0055】
【化2】
式中、R、環A、Y、及びYは、式Iの化合物について定義した通りであり(その全ての実施形態を含む)、vは0~5を表し、wは0~4を表し得る。
【0056】
特定の実施形態では、vは、1~5を表す。
【0057】
特定の実施形態では、wは、1~4を表す。
【0058】
疑義を避けるために、Q~Qを含む環は、状況に応じて、本明細書で定義されるいくつかのY又はY基で置換され得る。当業者であれば、そのような置換基の(最大)数及び位置が、環の性質、例えば、環のサイズ及び飽和レベルによって決定されるであろうことを理解するであろう。更に、当業者であれば、そのような置換基が、環Q内に含まれる好適な部分、例えば、C(炭素)部分上に存在し得ることを理解するであろう。
【0059】
具体的な実施形態では、Q~Qを含む環は、必要に応じて、最大2つ(すなわち、0~2つ)のY又はY基で置換されている。
【0060】
より具体的な実施形態では、Q~Qを含む環は、必要に応じて、最大1つ(すなわち、0又は1)のY又はY基で置換されている。
【0061】
より具体的な実施形態では、Q~Qを含む環は、必要に応じて、1つのY又はY基で置換されている(すなわち、置換されている必要がある)(すなわち、式IAの化合物において、vは1であり、式IBの化合物において、wは1である)。
【0062】
具体的な実施形態では、必須の-CH(OH)-部分への結合点を1位とすると、少なくとも1つ(又は、そのような基が1つだけ存在する場合には、1つ)のY基又はY基は、必要に応じて、2位又は3位に位置し得る(Q~Qを含む環がフェニルである場合、それぞれオルト位及びメタ位とも呼ばれ得る)。
【0063】
具体的な実施形態では、Q~Qを含む環は、
1つ以上(例えば、1つ)のYで置換されたフェニル、又は
1つ以上(例えば、1つ)のYで置換された6員ヘテロアリールを表し得る。
【0064】
より具体的な実施形態では、Q~Qを含む環は、
1つ以上(例えば、1つ)のYで置換されたフェニル、又は
1つ以上(例えば、1つ)の置換基でY置換されたピリジル(ピリジニルとも呼ばれる)を表し得る。
【0065】
例えば、Q~Qを含む環は、
1つのYで置換されたフェニル(例えば、標準的な番号付けを使用して2位又は3位において)、又は
1つのYで置換されたピリジン-3-イル(例えば、標準的な番号付けを使用して5位において、これも必須の
-CH(OH)-部分への結合点を1位とすると、3位とも称され得る)を表し得る。
【0066】
したがって、特定の実施形態では、式IA及びIBの化合物は、それぞれ式IA’及びIB’の化合物として表し得、
【0067】
【化3】
式中、R、Y、及び環Aは、式Iの化合物(式IA及びIBの化合物など)について定義した通りである。式中、Y1a及びY1bの一方はYを表し、他方はHを表す。
【0068】
具体的な実施形態では、Yはそれぞれ、独立してRa1、ハロ(例えば、F若しくはCl)、又は-CNを表す。
【0069】
具体的な実施形態では、Ra1は、1つ以上のハロで任意選択で置換されたC1~3アルキル(例えば、直鎖C1~3アルキルなどの直鎖又は分岐鎖C1~3アルキル)を表す。
【0070】
具体的な実施形態では、Ra1は、1つ以上のハロで任意選択で置換されたCアルキル(すなわち、メチル)を表す。例えば、Ra1は、CH又はCFを表し得る。
【0071】
より具体的な実施形態では、Yはそれぞれ、独立してCl又はFを表す。
【0072】
より具体的な実施形態では、Yはそれぞれ、独立してFを表す。
【0073】
具体的な実施形態では、Yはそれぞれ、独立してRa2、ハロ(例えば、F若しくはCl)、又は-CNを表す。
【0074】
具体的な実施形態では、Ra2は、1つ以上のハロで任意選択で置換されたC1~3アルキル(例えば、直鎖C1~3アルキルなどの直鎖又は分岐鎖C1~3アルキル)を表す。
【0075】
具体的な実施形態では、Ra2は、1つ以上のハロで任意選択で置換されたCアルキル(すなわち、メチル)を表す。例えば、Ra1は、-CH又は-CFを表し得る。
【0076】
より具体的な実施形態では、Yはそれぞれ、独立してCl又はFを表す。
【0077】
より具体的な実施形態では、Yはそれぞれ、独立してFを表す。
【0078】
疑義を避けるために、本明細書に示されるように、本発明の実施形態は、本明細書に記載される実施形態の組み合わせを含む。
【0079】
具体的な実施形態では、Y及びYはそれぞれ、独立してRa1、ハロ(例えば、F又はCl)、又は-CNを表す。
【0080】
例えば、特定の実施形態では、以下を挙げることができる。
【0081】
はそれぞれ、独立してRa1、ハロ(例えば、F若しくはCl)、又は-CNを表し、
a1は、1つ以上のハロで任意選択で置換されたC1~3アルキル(例えば、直鎖C1~3アルキルなどの直鎖又は分岐鎖C1~3アルキル)を表し、
は、独立してRa2、ハロ(例えば、F又はCl)、又は-CNを表し、
a2は、1つ以上のハロで任意選択で置換されたC1~3アルキル(例えば、直鎖C1~3アルキルなどの直鎖又は分岐鎖C1~3アルキル)を表す。
【0082】
特定の実施形態では、Y及びYはそれぞれ、Cl又はF(特に、F)を表す。
【0083】
疑義を避けるために、本明細書で使用される場合、Aを含む環への言及は、文字Aを包含するものとして示される環を指すものとし、本明細書では環Aとも呼ばれる場合がある。
【0084】
疑義を避けるために、環Aは、必要に応じて、本明細書で定義されるように、いくつかのZ又はZ基によって置換され得る。当業者であれば、そのような置換基の(最大)数及び位置が、環の性質、例えば、環のサイズ及び飽和レベルによって決定されるであろうことを理解するであろう。更に、当業者であれば、そのような置換基が、環A内に含まれる好適な部分、すなわち、C(炭素)部分上に存在し得ることを理解するであろう。
【0085】
具体的な実施形態では、Aを含む環は、
1つ以上のZで任意選択で置換された5若しくは6員の飽和若しくは部分飽和炭素環、又は
1つ以上のZで任意選択で置換されたフェニルを表す。
【0086】
より具体的な実施形態では、環Aは、
1つ以上のZで任意選択で置換された6員飽和若しくは部分飽和(例えば、飽和)炭素環、又は
1つ以上のZで任意選択で置換されたフェニルを表す。
【0087】
更なる実施形態では、環Aは、
1つ以上のZで任意選択で置換された5若しくは6員の飽和炭素環、又は
1つ以上のZで任意選択で置換されたフェニルを表す。
【0088】
より具体的な実施形態では、環Aは、
1つ以上のZで任意選択で置換されたシクロヘキシル、又は
1つ以上のZで任意選択で置換されたフェニルを表す。
【0089】
疑義を避けるために、環Aはシクロヘキシルを表し、その環は、以下のように表され得、
【0090】
【化4】
式中、波線は、必須メチル基への結合点を示し、Zは、式Iの化合物(式IA及びIBなどのその全ての実施形態を含む)について本明細書で定義した通りであり、rは、0~5(0~2など、例えば0又は1、1など)を表す。
【0091】
疑義を避けるために、環Aはフェニルを表し、その環は、以下のように表され得、
【0092】
【化5】
式中、波線は、必須メチル基への結合点を示し、Zは、式Iの化合物(式IA及びIBなどのその全ての実施形態を含む)について本明細書で定義した通りであり、sは、0~5(0~2など、例えば0又は1、1など)を表す。
【0093】
具体的な実施形態では、
a4はそれぞれ、独立して1つ以上のハロで任意選択に置換されたC1~3アルキルを表し、及び/又は(例えば、及び)
b4及びRc4はそれぞれ、独立して
H、又は
1つ以上のハロで任意選択で置換されたC1~3アルキル(環を形成するためのRb4及びRc4についての代替選択肢なし)を表す。
【0094】
具体的な実施形態では、最大1つのZ基が存在し得る。より具体的な実施形態では、1つのZ基が存在する。
【0095】
具体的な実施形態では、最大1つのZ基が存在し得る。より具体的な実施形態では、1つのZ基が存在する。
【0096】
具体的な実施形態では、Zはそれぞれ、独立してRa3、-CN、-ORd3、-S(O)e3、-S(O)N(Rf3)Rg3、又は-N(Rh3)S(O)i3を表す。
【0097】
より具体的な実施形態では、Zはそれぞれ、独立して-ORd3を表す。
【0098】
具体的な実施形態では、Rd3は、ハロ及びGから独立して選択される1つ以上の基によって任意選択で置換されたC1~6アルキル(例えば、メチルなどのC1~3アルキル)を表す。
【0099】
より具体的な実施形態では、Rd3は、メチルを表す。
【0100】
したがって、具体的な実施形態では、Zは、-OMeを表す。
【0101】
より具体的な実施形態では、Zは、ハロを表す。
【0102】
具体的な実施形態では、Zはフルオロ又はクロロ(クロロなど)を表す。
【0103】
より具体的な実施形態では、Zは、-N(Rb3)Rc3を表す。
【0104】
具体的な実施形態では、Rb3及び/又は(例えば、及び)Rc3は独立して、ハロ及びGから独立して選択される1つ以上の基で任意選択で置換されたH又はC1~6アルキル(例えば、エチル又はメチルなどのC1~3アルキル)を表す。
【0105】
具体的な実施形態では、Rb3は、1つ以上の=Oで任意選択で置換されたエチルを表す。
【0106】
具体的な実施形態では、Rc3は、フェニルで任意選択で置換されたメチルを表す。
【0107】
具体的な実施形態では、Rc3は、Hを表す。
【0108】
より具体的な実施形態では、Zは、-N(Rh3)S(O)i3を表す。
【0109】
具体的な実施形態では、Rh3は、H又は-CHPhを表す。
【0110】
具体的な実施形態では、tは、2を表す。
【0111】
具体的な実施形態では、Ri3は、C1~6アルキル(例えば、メチルなどのC1~3アルキル)を表す。
【0112】
具体的な実施形態では、Zはそれぞれ、独立してRa4、-CN、-N、-N(Rb4)Rc4、-ORd4、-S(O))Re4、-S(O)N(Rf4)Rg4、又は-N(Rh4S(O)i4を表す。
【0113】
具体的な実施形態では、Zハロはそれぞれ、独立してRa4、-CN、-N-N(Rb4)Rc4、-ORd4、-S(O))Re4、-S(O)N(Rf4)Rg4、又は-N(Rh4S(O)i4を表す。
【0114】
具体的な実施形態では、Zはそれぞれ、独立してハロ、Ra4、-CN、-N、-ORd4、-S(O)e4、-S(O)N(Rf4)Rg4、又は-N(Rh4)S(O)i4を表す。
【0115】
より具体的な実施形態では、Zはそれぞれ、独立して-ORd4又はハロ(例えば、F又はCl、例えばCl)を表す。
【0116】
より具体的な実施形態では、Zはそれぞれ、独立して-ORd4を表す。
【0117】
具体的な実施形態では、Rd4は、ハロ及びGから独立して選択される1つ以上の基によって任意選択で置換されたC1~6アルキル(例えば、メチルなどのC1~3アルキル)を表す。
【0118】
より具体的な実施形態では、Rd4は、メチルを表す。
【0119】
したがって、具体的な実施形態では、Zは、-OMeを表す。
【0120】
より具体的な実施形態では、Zは、ハロを表す。
【0121】
具体的な実施形態では、Zは、F又はCl(より具体的には、Cl)を表す。
【0122】
したがって、具体的な実施形態では、Zは、-OMe又はClを表す。
【0123】
具体的な実施形態では、環Aがフェニル又はシクロヘキシルを表す場合、少なくとも1つのZ又はZ基は、必要に応じて、4位に位置する(必須メチル基への結合点を1位とする)。
【0124】
環Aがフェニル又はシクロヘキシルを表し、必要に応じて1つのZ又はZ基が存在する(r又はsが1であると称されることもある)より具体的な実施形態では、Z又はZ基は、必要に応じて4位に位置する(必須メチル基への結合点を1位とする)。
【0125】
したがって、環Aがシクロヘキシルを表す具体的な実施形態では、その環は、以下のように表し得、
【0126】
【化6】
式中、波線は、必須メチル基への結合点を示し、Zは、式Iの化合物(式IA及びIBなどのその全ての実施形態を含む)について本明細書で定義されている通りである。
【0127】
更に、具体的な実施形態では、環Aがフェニルを表す場合、その環は以下のように表し得、
【0128】
【化7】
式中、波線は、必須メチル基への結合点を示し、Zは、式Iの化合物(式IA及びIBなどのその全ての実施形態を含む)について本明細書で定義されている通りである。
【0129】
具体的な実施形態では、Rは、C1~3アルキルを表す。
【0130】
具体的な実施形態では、Rは、H又はMeを表す。
【0131】
当業者であれば、言及され得る特定の環A、環Q及びR基(その上の任意の置換基を含む)が、本明細書に提供される例に存在するものを含むことを理解するであろう。
【0132】
言及され得る本発明の第1の態様の特定の化合物には、本明細書に提供される実施例の化合物、及びその薬学的に許容される塩が含まれる。
【0133】
本明細書に記載されるように、本発明の第1の態様の化合物はまた、1つ以上の不斉炭素原子を含有し得、ひいては、光学異性及び/又はジアステレオ異性を呈し得る。更に、ある特定のそのような光学異性体及び/又はジアステレオ異性体は、本明細書に記載されるような状態、例えば、高血糖症又は高血糖症を特徴とする障害(2型糖尿病など)の治療において有用性の増大を示し得ることが見出されている。
【0134】
例えば、式Iの化合物は、式IC又はIDの化合物として存在し得、
【0135】
【化8】
式中、環Aであって、Q~Qを含む環及びRは、本明細書に記載の通りである(すなわち、本発明の第1の態様に記載されているように、全ての実施形態及び特定の特徴、並びにそれらの組み合わせを含む)。
【0136】
特定の実施形態では、式Iの化合物は、式ICの化合物である。
【0137】
疑義を避けるために、式IC及びIDの化合物に示される立体化学は、式Iの化合物の全ての実施形態に適用され得る。
【0138】
例えば、具体的な実施形態では、式IA及びIBの化合物は、式IA’’又はIB’’の化合物として表され得、
【0139】
【化9】
式中、R環A、Y及びYは、式Iの化合物について定義された通りであり(その全ての実施形態を含む)、vは0~5(例えば、0~1、例えば1)を表し、wは0~4(例えば、0~1、例えば1)を表す。
【0140】
同様に、式IA’及びIB’の化合物は、それぞれ式IA’’’及びIB’’’の化合物として表され得、
【0141】
【化10】
式中、R、環A、及びYは、式Iの化合物(例えば、式IA及びIBの化合物)について定義した通りである。式中、Y1a及びY1bの一方はYを表し、他方はHを表す。
【0142】
当業者であれば、必須ヒドロキシ基を有する炭素に加えて、本発明の化合物が更なる立体中心を含み得ることを理解するであろう。疑義を避けるために、特定されていない限り、全ての立体中心の立体化学(必須ヒドロキシ基を有する炭素以外の位置に存在する立体化学を含む)は、いずれかの配置(すなわち、R又はS配置)にあり得る、又はそれらの混合物として化合物(例えば、ラセミ混合物)に存在し得る。
【0143】
具体的には、当業者であれば、RがH以外である場合、R基は(R)又は(S)配置で存在し得ることを理解するであろう。
【0144】
具体的な実施形態では、式ICの化合物は、式IEの化合物又は式IFの化合物であり、式IDの化合物は、式IGの化合物又は式IHの化合物であり、
【0145】
【化11】
式中、環Aであって、Q~Qを含む環及びRは、本明細書に記載の通りである(すなわち、本発明の第1の態様に記載されているように、全ての実施形態及び特定の特徴、並びにそれらの組み合わせを含む)。
【0146】
具体的な実施形態では、式Iの化合物は、式IE又はIFの化合物である。
【0147】
当業者であれば、式Iの化合物の特定の立体異性体(複数可)への言及(例えば、式Iの化合物の場合、必須-OH基で置換された炭素がR配置にある場合)は、他の(対応する)立体異性体(複数可)の実質的に不在下で存在する特定の立体異性体(例えば、式Iの化合物の場合、必須-OH基で置換された炭素が反対の配置、すなわち、S配置にある場合)を意味することを理解するだろう。
【0148】
本明細書で使用される場合、対応する反対の立体異性体の実質的な不在への言及は、所望の立体異性体(例えば、式Iの化合物の場合、必須-OH基で置換された炭素が(R)配置にある場合)が、反対の立体異性体(例えば、式Iの化合物の場合、必須-OH基で置換された炭素がS配置にある場合)に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも90%、例えば、少なくとも95%)の純度で存在することを指し得る。あるいは、そのような事例では、化合物は、他の配置(すなわち、S立体配置)にある化合物の実質的な不在下で存在することが示され得、又は2つ以上の立体中心が定義されている場合、これは、関連する配置にある化合物が、少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも98%、又は特に、少なくとも99%、例えば、少なくとも99.9%)のエナンチオマー過剰(e.e.)又はジアステレオマー過剰(d.e.)で存在することを示し得る。
【0149】
疑義を避けるために、2つ以上の位置の立体化学が特定されている場合、化合物は他の全てのジアステレオ異性体の実質的な不在下で存在し得る。
【0150】
疑義を避けるために、特定の位置の立体化学が特定されていない場合、本発明の化合物は、その位置が利用可能な立体化学配置のいずれかを有する化合物、及びその混合物(例えば、ラセミ混合物)を含む。したがって、定義された位置に特定の立体化学を有するものとして言及された化合物(例えば、式Iの化合物の場合、必須-OH基で置換された炭素がR配置にある場合)は、1つ以上の他の位置に立体化学を有してもよく、したがって、それらの位置での立体化学に関連するエナンチオマー又はジアステレオ異性体の混合物として存在してもよい。
【0151】
医学的使用
本明細書に示されるように、本発明の化合物、ひいては、それを含む組成物及びキットは、医薬品として有用である。
【0152】
したがって、本発明の第2の態様によれば、医薬で使用するための(すなわち、医薬品としての使用とも記載され得る製薬としての使用のための)、上記に定義される本発明の第1の態様の化合物(すなわち、全ての実施形態及びそれらの特定の特徴を含む、本発明の第1の態様に定義される化合物)が提供される。
【0153】
本明細書に記載の化合物は、βアドレナリン受容体作動薬であり、したがって、本明細書に記載の疾患などの疾患の治療に適している。このような活性は、骨格筋細胞におけるグルコースの取り込みを刺激する化合物を特定することによって、本発明の化合物において観察され得、この活性は、このような活性が、(例えば、選択的な)βアドレナリン受容体作動薬(例えば、本明細書中に提供される生物学的実施例において)の存在下で防止又は減少されるという観察によって、β受容体の活性化によってもたらされることが確認され得る。
【0154】
したがって、本発明の第3の態様では、βアドレナリン受容体の活性化によって治療がもたらされる疾患又は障害の治療に使用するための、上記で定義した本発明の第1の態様の化合物が提供される。
【0155】
本発明の別の第3の態様では、βアドレナリン受容体の活性化によって治療がもたらされる疾患又は障害の治療に使用するための医薬品の製造における、本発明の第1の態様の化合物の使用が提供される。
【0156】
本発明の更なる代替的な第3の態様では、βアドレナリン受容体の活性化によって治療がもたらされる疾患又は障害の治療方法であって、それを必要とする患者に治療有効量の本発明の第1の態様の化合物を投与することを含む方法が提供される。
【0157】
疑義を避けるために、本発明の第1の態様に定義される化合物への言及には、式Iの化合物(その全ての実施形態を含む)及びその薬学的に許容される塩への言及が含まれる。
【0158】
本明細書に示されるように、本発明の化合物は、骨格筋細胞におけるグルコースの取り込みを誘導することによって作用することによって、インビボでの血中グルコースレベルの低下を可能にする。したがって、本発明の化合物は、高血糖症又は高血糖症を特徴とする障害の治療に特に有用なものであり得る。
【0159】
本発明の第3の態様の具体的な実施形態では、高血糖症又は高血糖症を特徴とする障害の治療に使用するための、上記に定義される本発明の第1の態様の化合物が提供される。
【0160】
本発明の代替的な第3の態様では、高血糖症又は高血糖症を特徴とする障害の治療に使用するための医薬品の製造における、本発明の第1の態様の化合物の使用が提供される。
【0161】
本発明の第3の態様の更なる代替的な実施形態では、高血糖症又は高血糖症を特徴とする障害の治療方法であって、その治療を必要とする患者に治療有効量の本発明の第1の態様の化合物を投与することを含む方法が提供される。
【0162】
疑義を避けるために、本明細書で使用される場合、「高血糖症」という用語は、それを患う対象の血漿中を過剰量のグルコースが循環している状態を指すことは、当業者によって理解されるであろう。特に、当該用語は、約10.0mmol/Lよりも高い(例えば、約11.1mmol/Lよりも高い、例えば、約15mmol/Lよりも高い)血糖値を有する対象(例えば、ヒト対象)を意味してもよいが、当該用語は、また、長期間(例えば、24時間超、例えば、48時間超など)、約7mmol/Lよりも高い血糖値を有する対象(例えば、ヒト対象)も意味してもよい。
【0163】
当業者であれば、特定の状態の「治療」(又は、同様に、その状態を治療すること)への言及は、医薬分野におけるそれらの通常の意味であることを理解するであろう。特に、この用語は、状態に関連する1つ以上の臨床症状の重篤度の低下を達成することを指し得る。例えば、2型糖尿病の場合、この用語は、血糖値の低下を達成することを指し得る。具体的な実施形態では、高血糖症又は高血糖症を特徴とする症状を治療する場合、この用語は、血糖値の低下を達成すること(例えば、約10.0mmol/mL以下(例えば、約4.0mmol/mL~約10.0mmol/mLの範囲のレベルに)、例えば、約7.5mmol/mL以下(例えば、約4.0mmol/L~約7.5mmol/Lの範囲のレベルに)、又は約6mmol/mL以下(例えば、約4.0mmol/L~約6.0mmol/Lの範囲のレベルに))を意味してもよい。
【0164】
本明細書で使用される場合、患者への言及は、哺乳動物(例えば、ヒト)患者を含む、治療される生体を指す。したがって、本発明の第1の態様の具体的な実施形態では、治療は哺乳動物(例えば、ヒト)において行われる。
【0165】
本明細書で使用される場合、治療有効量という用語は、治療される患者に治療効果を与える化合物の量を指す。その効果は、客観的(すなわち、ある試験若しくはマーカーによって測定可能)又は主観的(すなわち、対象が効果の指標を与えるか、及び/若しくは効果を感じる)であってもよい。
【0166】
本発明の第1の態様の化合物は、それ自体で薬理学的活性を有してもよいが、かかる活性を有さないこともある、本発明の化合物のある種の薬学的に許容される(例えば、「保護された」)誘導体が、存在又は調製されてもよく、それらは、非経口的に又は経口的に投与され、その後、体内で代謝されて、本発明の化合物を形成してもよい。したがって、そのような化合物(これはいくらかの薬理学的活性を保有し得るが、但し、そのような活性は、それらが代謝されて形成する活性化合物の活性よりもかなり低い)は、本発明の化合物の「プロドラッグ」として記載されてもよい。
【0167】
本明細書で使用される場合、プロドラッグについての言及は、経腸又は非経口投与(例えば経口又は非経口投与)後の所定の時間内に、実験的に検出可能な量で本発明の化合物を形成する化合物を含む。本発明の第1の態様の化合物の全てのプロドラッグは、本発明の範囲内に含まれる。
【0168】
疑義を避けるために、本発明の第1の態様の化合物は、薬理学的活性を保有する、及び/又は経口若しくは非経口投与後に体内で代謝されて薬理学的活性を保有する化合物を形成するため、有用である。特に、本明細書に記載されるように、本発明の第1の態様の化合物は、高血糖症又は高血糖症を特徴とする障害(2型糖尿病など)の治療に有用であり、この用語は、(本明細書に記載されるように)当業者によって容易に理解されるであろう。
【0169】
具体的な実施形態では、治療は、高血糖症を特徴とする障害(状態又は疾患とも称され得る)の治療である。
【0170】
本発明の第1の態様の具体的な実施形態では、障害は、2型糖尿病、例えば、若年成人発症型糖尿病(MODY)、成人型ケトーシス性糖尿病、成人型潜伏性自己免疫性糖尿病(LADA)、及び妊娠糖尿病からなるリストから選択されるサブタイプの2型糖尿病である。
【0171】
更なる実施形態では、障害は1型糖尿病であり、特に、治療はインスリン(又はその誘導体及び/若しくは機能的模倣物)による治療を更に含む。
【0172】
具体的な実施形態では、本発明の化合物(すなわち、その全ての実施形態を含む、式Iの化合物)は、2型糖尿病の治療に使用するためのものである(又は、本明細書に記載されるような、そのような治療のための医薬品の製造において有用であるか、又は、そのような治療のための方法において有用である)。
【0173】
更なる具体的な実施形態では、2型糖尿病の治療は、非肥満患者において行われる。
【0174】
疑義を避けるために、当業者であれば、30超の肥満度指数(BMI)を有する患者が肥満であるとみなされることを理解するであろう。
【0175】
具体的な実施形態では、治療は、2型糖尿病を発症する危険性のある特許における高血糖症の治療であってもよく、この状態は前糖尿病と定義され得る。したがって、本発明の化合物は、2型糖尿病の予防に(例えば、前糖尿病を患っている患者において)有用であり得る。
【0176】
本明細書で使用される場合、予防(prevention)(及び、同様に、予防すること)という用語には、疾患又は障害の予防(prophylaxis)への言及が含まれる(逆もまた同様である)。したがって、予防(prevention)への言及はまた、予防(prophylaxis)への言及であり得、逆もまた同様である。特に、この用語は、患者(又は健康な対象)が状態を発症する可能性の低下(例えば、少なくとも10%の減少、少なくとも20%、30%、又は40%の減少、例えば、少なくとも50%の減少)を達成することを意味してもよい。
【0177】
より具体的な実施形態では、2型糖尿病は、重度のインスリン抵抗性(SIR)を示す患者を特徴とする。
【0178】
更なる実施形態では、治療は、1型糖尿病を有する患者における高血糖症の治療であり得る。したがって、本発明の化合物は、1型糖尿病の高血糖症の治療に有用であってもよい。
【0179】
当業者であれば、本発明の化合物が、嚢胞性線維症を有する患者など、インスリン産生の障害を有する患者における高血糖症を治療するのに有用であり得ることを理解するであろう。したがって、更なる実施形態では、高血糖症を特徴とする障害は、嚢胞性線維症関連糖尿病である。
【0180】
言及され得る特定の実施形態では、高血糖症を特徴とする障害は、重度のインスリン抵抗性(SIR)であり(又はそれを特徴とし)、典型的には対象が正常なインスリン産生を有するか、又はいくつかの場合には、増加したインスリン産生を有するが、インスリン感受性が有意に低下している障害を指すことは、当業者によって理解され得る。特定の場合では、そのような患者は非肥満(例えば、健康的な体重であるもの)であってもよい。したがって、特定の実施形態では、このような治療は、肥満であると定義されていない患者(例えば、健康的な体重であると定義されている患者)において行われる。
【0181】
例えば、SIRは、患者において、当該患者の絶食時インスリンが150pmol/L超、及び/又はグルコース耐性試験におけるピークインスリンが1,500pmol/L超であることに基づいて、特に、30kg/m未満のBMIを有する個人(この患者は、あるいは正常な耐糖能を有し得る)において、特定され得る。
【0182】
より具体的には、SIRは、インスリン受容体の機能における欠陥(例えば、遺伝子欠損)に起因してもよい、インスリンの存在に対して有意な応答を有しない患者を特徴とし得る。
【0183】
SIRを特徴とし得る特定の障害には、ラブソン・メンデンホール症候群、ドナヒュー症候群(妖精症)、インスリン抵抗性のA型及びB型症候群、HAIR-AN(高アンドロゲン症、インスリン抵抗性、及び黒色表皮腫)症候群、偽先端巨大症、並びに脂肪異栄養症が含まれる。
【0184】
SIRを特徴とし得るより具体的な障害には、ドナヒュー症候群及びインスリン抵抗性のA型症候群が含まれ、更により具体的には、ラブソン・メンデンホール症候群が含まれる。
【0185】
当業者であれば、本発明の第1の態様の化合物を用いた治療が、同じ状態のための更なる(すなわち、追加の/他の)治療を更に含み(すなわち、それと組み合わされ)得ることを理解するであろう。特に、本発明の化合物を用いた治療は、2型糖尿病の治療のための他の手段、例えば、当業者に既知である2型糖尿病の治療に有用である1つ以上の他の治療剤を用いた治療、例えば、患者に食事の変更及び/若しくは一連の運動を行うこと要求することを含む療法、並びに/又は体重減少を促進するように設計された外科的処置(例えば、胃バンド手術)と組み合わされ得る。
【0186】
特に、本発明の化合物を用いた治療は、(例えば、治療されている患者において)、1つ以上の(例えば、1つの)更なる化合物(すなわち、治療薬)と組み合わせて、実施されてもよく、この組み合わされる化合物は、
(i)血糖値を低下させることができる、及び/又は
(ii)インスリン増感剤である、及び/又は
(iii)インスリン放出を増強するものであり、
これらの全ては、以下に記載されている。
【0187】
代替的な実施形態では、本発明の第1の態様の化合物(すなわち、本発明の化合物)は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の治療に有用であり得る。
【0188】
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、肝臓におけるトリグリセリドの形態での過剰な脂肪蓄積(脂肪変性)(組織学的に肝細胞の5%超の蓄積として指定される)により定義される。これは、先進国における最も一般的な肝障害であり(例えば、米国の成人の約30%が罹患している)、ほとんどの患者は、無症候性である。治療せずに放置した場合、状態は、次第に悪化し得、最終的に肝硬変を引き起こし得る。NAFLDは、肥満患者において特に一般的であり、約80%がこの疾患を有すると考えられる。
【0189】
NAFLD患者のサブグループ(例えば、米国の成人の2~5%)は、過剰な脂肪の蓄積に加えて、肝細胞の損傷及び炎症を呈する。非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)として指定されるこの状態は、実質的に、アルコール性脂肪性肝炎と組織学的に区別できない。NAFLDに見られる単純な脂肪変性は、短期の罹患率又は死亡率の増加と直接相関していないが、この状態からNASHへの進行は、肝硬変、肝不全、及び肝細胞癌のリスクを劇的に増加させる。実際、NASHは現在、先進国の肝硬変(原因不明の肝硬変を含む)の主な原因の1つであると考えられている。
【0190】
NASHの正確な原因はまだ解明されておらず、全ての患者においてほぼ確実に同じではない。これは、インスリン抵抗性、肥満、及びメタボリックシンドローム(2型糖尿病、インスリン抵抗性、中枢性(トルン)肥満、高脂血症、低高密度リポタンパク質(HDL)コレステロール、高トリグリセリド血症、及び高血圧に関連する疾患が含まれる)と最も密接に関連している。しかしながら、これらの状態を有する全ての患者がNASHを有しているわけではなく、NASHを有する全ての患者がこれらの状態のうちの1つに罹患しているわけでもない。それにもかかわらず、NASHが肝硬変、肝不全、及び肝細胞癌につながる潜在的に致命的な状態であることを考えると、効果的な治療に対する明らかな必要性が存在する。
【0191】
特定の実施形態では、本発明の化合物(すなわち、その全ての実施形態を含む、式Iの化合物)は、非アルコール性脂肪性肝疾患の治療に使用するためのものである(又は、本明細書に記載されるような、そのような治療のための医薬品の製造において有用であるか、又は、そのような治療のための方法において有用である)。
【0192】
トリグリセリド脂肪が肝細胞に蓄積するプロセスは、脂肪変性(すなわち、脂肪肝)と呼ばれる。当業者であれば、「脂肪変性」という用語が、細胞内の脂肪(すなわち、脂質)の異常な保持を包含することを理解するであろう。したがって、本発明の第1の態様の特定の実施形態では、治療又は予防は、脂肪変性を特徴とする脂肪性肝疾患の治療又は予防である。
【0193】
脂肪変性の間、過剰な脂質は、細胞の細胞質を変位させる小胞中に蓄積する。経時的に、小胞は、核を歪めるのに十分大きく成長する場合があり、その状態は、大胞性脂肪変性として既知である。そうでない場合には、状態は、微小胞性脂肪変性と称され得る。脂肪症は、軽度の症例ではほとんど無害である。しかしながら、肝臓における脂肪の大きな蓄積は、重大な健康上の問題を引き起こす可能性がある。脂肪変性に関連する危険因子には、真性糖尿病、タンパク質栄養不良、高血圧、肥満、無酸素症、睡眠時無呼吸症、及び細胞内の毒素の存在が含まれる。
【0194】
本明細書に記載されるように、脂肪性肝疾患は、アルコール又はメタボリックシンドローム(例えば、糖尿病、高血圧、肥満、又は脂質異常症)と最も一般的に関連している。したがって、根本的な原因に応じて、脂肪性肝疾患は、アルコール関連脂肪性肝疾患又は非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と診断され得る。
【0195】
アルコールに関連しない脂肪性肝疾患に関連する特定の疾患又は状態には、糖尿病、高血圧、肥満、脂質異常症、無βリポタンパク血症、グリコーゲン蓄積症、ウェーバー・クリスチャン病、妊娠の急性脂肪肝、及び脂肪異栄養症などの代謝状態が含まれる。脂肪性肝疾患に関連する他の非アルコール関連因子には、栄養失調、完全非経口栄養、重度の体重減少、再摂食症候群、空腸バイパス、胃バイパス、多嚢胞性卵巣症候群、及び憩室症が含まれる。
【0196】
本発明の化合物は、アルコール関連ではない脂肪性肝疾患と称され得るNAFLDの治療又は予防に特に有用であることが見出されている。「非アルコール関連」脂肪性肝疾患は、患者のアルコール摂取量が主要な原因因子であるとみなされない場合に診断され得る。脂肪性肝疾患を「非アルコール関連」と診断するための典型的な閾値は、1日の摂取量が女性対象では20g未満、男性対象では30g未満である。
【0197】
治療せずに放置した場合、脂肪性肝疾患に罹患している対象は、肝臓の炎症(肝炎)を患い始める可能性がある。この炎症の考えられる原因のうちの1つは、肝臓細胞の膜への脂質過酸化損傷であり得ると仮定されている。脂肪肝の炎症は、多くの重篤な状態につながる可能性があるため、炎症が起こる前に脂肪性肝疾患を治療又は予防することが望ましい。したがって、本発明の第1の態様の具体的な実施形態では、治療又は予防は、炎症に関連するNAFLDの治療又は予防である。
【0198】
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は、NAFLDの最も攻撃的な形態であり、過剰な脂肪蓄積(脂肪変性)が肝臓の炎症を伴う状態である。進行すると、NASHは、肝臓の瘢痕組織の発達(線維症)を引き起こし、最終的に肝硬変を引き起こし得る。上記のように、本発明の化合物は、特に肝臓の炎症を伴う場合、NAFLDの治療又は予防に有用であることが見出されている。したがって、本発明の化合物はまた、NASHの治療又は予防に有用である。したがって、本発明の第1の態様の更なる実施形態では、治療又は予防は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療又は予防である。
【0199】
当業者であれば、本発明の第1の態様の化合物を用いた治療が、同じ状態のための更なる(すなわち、追加の/他の)治療を更に含み(すなわち、それと組み合わされ)得ることを理解するであろう。特に、本発明の化合物による治療は、本明細書に記載されるような脂肪性肝疾患の治療のための他の手段、例えば、当業者に公知の脂肪性肝疾患の治療に有用な1つ以上の他の治療剤による治療、例えば、患者が食事の変更を受けること、及び/又は運動レジメンに着手すること、及び/又は体重減少を促進するように設計された外科的処置(胃バンド手術など)を含む療法と組み合わせられ得る。
【0200】
特に、本発明の化合物を用いた治療は、(例えば、治療されている患者において)、肝臓の脂肪(例えば、トリグリセリド)のレベルを減少させることができる1つ以上の(例えば、1つの)更なる化合物(すなわち、治療薬)と組み合わせて、実施されてもよい。
【0201】
脂肪性肝疾患の治療への言及は、肝細胞の治療上有意な脂肪(例えば、トリグリセリドレベル)の減少の達成(例えば、少なくとも5重量%の減少、例えば、少なくとも10%、又は少なくとも20%、又は更には25%の減少)。
【0202】
本明細書に記載されるように、本発明の化合物は、その治療がβアドレナリン受容体の活性化によってもたらされる疾患又は障害の治療において有用であり得る。
【0203】
具体的な実施形態では、本発明の第1の態様の化合物は、βアドレナリン受容体を正に調節すると理解することができ、この化合物は、βアドレナリン受容体作動薬と称され得る。
【0204】
当業者であれば、「βアドレナリン受容体」(又は「β-AR」)が何を意味するかを理解するであろう。このような受容体は当該分野で公知であり、例えば、Johnson.M.,J.Allergy Clin.Immunol 117,18-24(2006)において概説されている。疑義を避けるために、アドレナリン受容体は、それらの内因性リガンドであるカテコールアミン、アドレナリン、及びノルアドレナリンに結合し、それらによって活性化されるGタンパク質共役受容体のクラスである。アドレナリン受容体は、α、α、β、β、及びβの5種類に分類される。これらのサブタイプは、異なるパターンで発現され、異なる生理学的プロセスに関与しており、その結果、1つのサブタイプを選択的に標的とすることができるリガンドは、複数の疾患に対する治療可能性を有する。本発明は、βアドレナリン受容体に関するが、化合物は、1つ以上の他のアドレナリン受容体(例えば、1つ以上の他のβアドレナリン受容体)と相互作用し得る。
【0205】
「βアドレナリン受容体活性を正に調節する」という用語は、化合物が受容体のシグナル伝達を変化させることができることを意味すると理解される。
【0206】
本明細書中で使用される場合、「β作動薬」という用語は、βアドレナリン受容体作動薬を意味するために使用される。特定の実施形態では、β作動薬という用語は、主にβ作動薬であるが、他のアドレナリン受容体についての何らかの作動薬も示し得る化合物を含むと理解される。本出願において、「βアドレナリン受容体作動薬」、「βAR作動薬」、「βAR作動薬」、及び「β作動薬」という用語は、互換的に使用され得る。
【0207】
したがって、特定の実施形態では、β作動薬への言及は、選択的作動薬及び非選択的作動薬の両方を含み得る。
【0208】
特定の実施形態では、β作動薬への言及は、完全作動薬及び部分作動薬を含むがこれらに限定されない、受容体シグナル伝達を変化させる任意のリガンドを含み得る。更に、本開示の様々な態様及び実施形態に従って使用され得るβ作動薬は、短時間作用型、長時間作用型、又は超長時間作用型であってもよい。
【0209】
本明細書中で使用される場合、「βアドレナリン受容体の活性化によってもたらされる」という用語は、受容体の活性化が、生理学的応答を調節するか又は引き起こし、これが次に、疾患又は障害の治療に対応する(又は治療を導く)生物学的効果を提供することを示すために使用される。
【0210】
本明細書中で使用される場合、その治療が「βアドレナリン受容体の活性化によってもたらされる」疾患及び障害への言及はまた、具体的にはβアドレナリン受容体に「関連する」、「によってもたらされる」、「によって影響を受ける」、「によって調節される」、「によって調節される」、及び「関連付けられる」疾患及び障害(及び特にその治療)を指し得る。
【0211】
本明細書に記載されるように、βアドレナリン受容体の活性化によって治療がもたらされる疾患及び障害は、当業者に公知であろう。したがって、当業者であれば、本明細書に記載される特定の疾患及び障害に関して、そのような疾患及び障害の治療のための本発明の化合物の適合性が当業者に公知であり得ることを理解するであろう。例えば、本明細書において以下で言及される開示(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)に基づく。
【0212】
本明細書中上記に記載され得るものに加えて、言及され得るβアドレナリン受容体の活性化によって治療がもたらされる特定の疾患及び障害としては、
MCI(軽度認知障害)、aMCI(健忘性MCI)、血管性認知症、混合型認知症、FTD(前頭側頭型認知症)、HD(ハンチントン病)、レット症候群、PSP(進行性核上麻痺)、CBD(大脳皮質基底核変性症)、SCA(脊髄小脳変性症)、MSA(多系統萎縮症)、SDS(シャイ・ドレーガー症候群)、オリーブ橋小脳萎縮症、TBI(外傷性脳傷害)、CTE(慢性外傷性脳症)、卒中、EKS(ウェルニッケ・コルサコフ症候群)、正常圧水頭症、過眠症(睡眠発作)、ASD(自閉症スペクトラム障害)、FXS(脆弱X症候群)、YSC(管状硬化症複合)、プリオン関連の障害、CJD(クロイツフェルト・ヤコブ病)、うつ病性障害、DLC(レヴィー小体認知症)、PD(パーキンソン病)、PDD(PD認知症)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、アルツハイマー(AD)、初期AD及びDS(ダウン症候群)などの神経変性疾患;
筋ジストロフィ又は筋ジストロフィを特徴とする障害、例えば、筋損傷、筋消耗、筋萎縮、筋変性、又は硬化;
腎疾患、例えば、CKD(慢性腎疾患)、ESRD(末期腎疾患)、及び糖尿病性腎症;
敗血症、乾癬、皮膚炎、乾癬様皮膚皮膚炎、裂傷、又はHDF(ヒト皮膚線維芽細胞)などの炎症を特徴とし、内毒素血症及び急性肺障害(ALI)に関連するものなどの限局性急性炎症、並びに喘息及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの他の肺障害などの炎症に関連する呼吸器症状を含む、炎症又は障害;並びに
自己免疫性疾患、例えば、SLE(全身性紅斑性狼瘡)、RA(リウマチ性関節炎)、MG(重症筋無力症)MS及びGD(バセドウ病)などが挙げられる。
【0213】
このような状態を治療するためのβアドレナリン受容体作動薬の適合性は、本明細書中に提供されるデータによって、及び当業者に公知の文献(例えば、本明細書中に記載される文献)を参照することによって実証され得る(その全内容、特に、提示される実験結果は、本明細書中に参考として援用されることが理解される)。
【0214】
具体的には、本明細書において言及される特定の疾患及び障害を治療するためのβアドレナリン受容体作動薬の適合性は、国際公開第2020/198466(A1)号及び国際公開第2021/003161(A1)号の開示において特定され得、いくつかの例において、それによって確認され得る(これらは、疑義を避けるために、特に、その中に提供される実施例において、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0215】
具体的な実施形態では、神経変性疾患の治療に使用するための、上記で定義した本発明の第1の態様の化合物が提供される。
【0216】
具体的な実施形態では、神経変性病は、MCI(軽度認知障害)、aMCI(健忘性MCI)、血管性認知症、混合型認知症、FTD(前頭側頭型認知症)、HD(ハンチントン病)、レット症候群、PSP(進行性核上麻痺)、CBD(大脳皮質基底核変性症)、SCA(脊髄小脳変性症)、MSA(多系統萎縮症)、SDS(Shy-Drager症候群)、オリーブ橋小脳萎縮症、TBI(外傷性脳傷害)、CTE(慢性外傷性脳症)、卒中、EKS(ウェルニッケ-コルサコフ症候群)、正常圧水頭症、過眠症(睡眠発作)、ASD(自閉症スペクトラム障害)、FXS(脆弱X症候群)、YSC(管状硬化症複合)、プリオン関連の障害、CJD(クロイツフェルト・ヤコブ病)、抑うつ障害、DLC(レヴィー小体型認知症)、PD(パーキンソン氏病)、PDD(PD認知症)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、アルツハイマー(AD)、初期AD及びDS(ダウン症候群)から選択される。
【0217】
Mittal.S.,et al.,Science,357(6354),891-898(2017)は、βアドレナリン受容体作動薬が、H2K27脱アセチル化及びミトコンドリアフリーラジカルを介してSNCA発現を減少させることによってドーパミンニューロンの健康を促進することを記載している。これは、レヴィー小体神経障害の初期段階でミトコンドリアバイオエナジェティックス機能不全を起こしやすい黒質ドーパミンニューロンに有益であり得る。βアドレナリン受容体作動薬は、パーキンソン病(PD)によって進行的に影響を受ける領域である黒質及び皮質において発現される。したがって、βアドレナリン受容体作動薬は、PDのリスク及び影響を低減するために使用することができる。
【0218】
Hishida.R.,The Lancet,870(1992)は、βアドレナリン受容体作動薬が、長期レボドパを投与されているパーキンソン病患者におけるウェアリングオフに有益な影響を及ぼし得ることを記載している。
【0219】
Uc,E.Y.,et al.,Clin.Neuropharmacol.,26(4),207-212(2003)は、βアドレナリン受容体作動薬であるアルブテロールが、レボドパに対する応答の増加及び筋肉量の増加という2つの機構を介してPD患者に利益をもたらすことを記載している。
【0220】
O’Neill,et al.,Br.J.Pharmacol.,177,282-297(2019)は、β-アドレナリン受容体作動薬がミクログリア活性化を制限し、中枢神経系又は全身系の炎症によって引き起こされるドーパミンニューロン喪失及び関連する運動障害の発症及び進行を防ぐことを記載している。したがって、βアドレナリン受容体をβアドレナリン受容体作動薬で標的化することは、神経変性の進行並びに悪化した全身性炎症及び中枢性炎症に関連する運動機能の低下に対して保護するための介在予防機構をもたらす。結果として、βアドレナリン受容体作動薬は、炎症によって誘発されるPD関連神経障害及び運動障害の治療において有益であり得る。
【0221】
別の実施形態では、筋ジストロフィ又は筋ジストロフィを特徴とする障害の治療に使用するための、上記で定義した本発明の第1の態様の化合物が提供される。
【0222】
具体的なそのような実施形態では、筋ジストロフィは、筋損傷、筋肉消耗、筋萎縮、筋肉変性、又は硬化である。
【0223】
Jiang,G.,et al.,ISRN Pharma.,2011,1-7(2011)は、β2-AR作動薬が、除神経、筋萎縮性側索硬化症、筋ジストロフィ、不使用、老化、及び心筋無負荷モデルにおける動物の衰弱を改善することを記載している。更に、固定化状態又は筋ジストロフィを有する患者において、β-AR作動薬は、除脂肪体重を増加させ、骨格筋機能を増強する。また、β-AR作動薬は、左心室補助デバイスの適用から生じる心筋除荷萎縮を有する患者において心筋回復を促進することが見出された。
【0224】
Bartus,R.T.,et al.,Neurobiol.Dis.,85,11-24,2016は、βアドレナリン受容体作動薬が、神経栄養因子を増加させることによって、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者における筋肉量及び筋力を増強し得ることを示している。
【0225】
別の実施形態では、腎疾患の治療に使用するための、上記で定義した本発明の第1の態様の化合物が提供される。
【0226】
具体的なそのような実施形態では、腎疾患は、CKD(慢性腎疾患)、ESRD(末期腎疾患)、及び糖尿病性腎症から選択される。
【0227】
Cleveland,K.,et al.,FASEB Journal,33(1),514(2019)は、βアドレナリン受容体作動薬が、ミトコンドリア生合成(MB)を誘導し、急性腎傷害からの回復を促進することが示されており、糖尿病性腎症(DN)の潜在的な治療としての使用を見出し得ることを記載している。
【0228】
Jesinkey、S.R.et al.,J.Am.Soc.Nephrol.,25,1157-1162(2014)は、急性傷害後の臓器回復中の代謝及びエネルギー需要の増加を満たすための適応応答としてのミトコンドリア生合成の必要性を記載している。具体的には、腎ミトコンドリア機能不全は、急性腎損傷(AKI)、腎臓排出機能の急速な低下及びその後の有害な老廃物の保持を特徴とする障害の病因に関連付けられている。
【0229】
別の実施形態では、炎症又は炎症を特徴とする障害の治療に使用するための、上記で定義した本発明の第1の態様の化合物が提供される。
【0230】
具体的な実施形態では、炎症は、敗血症、乾癬、皮膚炎、乾癬様皮膚皮膚炎、裂傷、又はHDF(ヒト皮膚線維芽細胞)である(又はそれらによって特徴付けられる)。
【0231】
当業者に知られているように、炎症は、免疫細胞の適切な局在、炎症促進及び抗炎症メディエーターの放出、死細胞の除去、及び病原菌の封じ込めを確実にする厳密に制御されたプロセスである。
【0232】
当業者であれば、炎症が、喘息などの呼吸状態及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの他の肺障害の原因でもあり得ることを知っているであろう。
【0233】
Grailer,J.J.et al.,J Innate Immun,6,607-618(2014)は、βアドレナリン受容体の遮断が、内毒素血症及びLPS誘発性急性肺損傷のマウスモデルにおいて、それぞれ生存を減少させ、損傷を増強したことを示す。これらの結果は、内毒素血症及び急性肺損傷に関連するものなどの局所的急性炎症の治療におけるβAR活性化の適合性を実証する。
【0234】
Agac,D.,et al.,Brain,Behaviour and Immunity,74,176-185(2018)は、急性炎症シグナルを抗炎症応答に変換する独特の相乗的経路が存在することを記載しており、βアドレナリン受容体作動薬媒介性免疫抑制に関与することが知られている様々な現象をおそらくは説明している。具体的には、βアドレナリン受容体作動薬シグナル伝達は、抗炎症性サイトカインであるIL-10の発現を直接制御する。これらの結果は、敗血症などの炎症性障害の治療におけるβAR作動薬の使用を示唆する。
【0235】
Liu,F.,et al.,Cells,511(9),1-17(2020)は、βアドレナリン受容体作動薬が有意な抗乾癬効果を示したことを記載しており、これは、イミキモド(IMQ)誘発性乾癬に応答してTh17/Treg軸バランス及びグリセロリン脂質代謝を調節することを含み得る。
【0236】
Provost,G.S.,et al.,J.Investig.Dermatol.,135,279-288(2015)は、βアドレナリン受容体作動薬がヒト皮膚線維芽細胞(HDF)分化を減少させ、したがって、裂傷又は開放創後の患者の瘢痕化を減少させることを記載している。
【0237】
別の実施形態では、自己免疫疾患の治療に使用するための、上記で定義した本発明の第1の態様の化合物が提供される。
【0238】
具体的なそのような実施形態では、自己免疫性疾患は、SLE(全身性紅斑性狼瘡)、RA(リウマチ性関節炎)、MG(重症筋無力症)、MS及びGD(バセドウ病)から選択される。
【0239】
Wu,et al.,Front.Pharmacol.,1313(9),1-9(2018)は、βアドレナリン受容体作動薬が、SLE(全身性紅斑性狼瘡)、RA(リウマチ性関節炎)、MG(重症筋無力症)、MS及びGD(バセドウ病)などの自己免疫疾患(AD)の標的治療であり得ることを記載している。
【0240】
医薬組成物
本明細書に記載されるように、本発明の第1の、並びにしたがって、第2及び第3の態様の化合物は、医薬品として有用である。そのような化合物は、単独で投与されても、既知の医薬組成物/製剤を経由して投与されてもよい。
【0241】
本発明の第4の態様では、本発明の第2又は第3の態様で定義された化合物、並びに任意選択で1種以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤及び/又は担体を含む、医薬組成物が提供される。
【0242】
当業者であれば、特定の用途のためである本発明の第1の態様の化合物(並びに、同様に、本発明の化合物に関する使用及び使用方法)への本明細書での言及はまた、本明細書に記載の本発明の化合物を含む医薬組成物に適用され得ることを理解するであろう。
【0243】
本発明の第5の態様では、本発明の第1の態様に定義される化合物と、任意選択で1つ以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、及び/又は担体と、を含む、高血糖症又は高血糖症を特徴とする障害(本明細書に定義されるような、2型糖尿病など)の治療に使用するための医薬組成物が提供される。
【0244】
本発明の代替的な第5の態様では、本明細書に定義される非アルコール性脂肪性肝疾患の治療又は予防に使用するための医薬組成物が提供される。
【0245】
本発明の代替的な第5の態様では、本明細書に定義される非アルコール性脂肪性肝疾患の治療又は予防に使用するための医薬組成物が提供される。
【0246】
当業者であれば、本発明の第1(ひいては、第2及び第3)の態様の化合物は、全身的及び/又は局所的に(すなわち、特定の部位で)作用し得ることを理解するであろう。
【0247】
当業者は、本発明の第1~第5の態様に記載された化合物及び組成物が、通常、経口、静脈内、皮下、頬側、直腸、皮膚、鼻腔、気管支、気管支、舌下、鼻腔内、他の非経口経路又は吸入を介して、薬学的に許容される剤形で投与することができることを理解されよう。本明細書に記載の医薬組成物には、経口投与のための錠剤、カプセル、又はエリキシル、直腸投与のための坐剤、非経口又は筋肉内投与のための滅菌溶液又は懸濁液などの形態の組成物が含まれる。あるいは、特に本発明のそのような化合物が局所的に作用する場合、医薬組成物は局所投与用に製剤化されてもよい。
【0248】
したがって、本発明の第4及び第5の態様の具体的な実施形態では、医薬製剤は、錠剤又はカプセル剤、経口的に又は注射によって摂取される液体形態、坐剤、クリーム剤、ゲル剤、フォーム剤などの薬学的に許容される剤形で提供される。吸入(例えば、鼻腔内に適用される)、又は局所投与に適した形態。疑義を避けるために、そのような実施形態では、本発明の化合物は、固体(例えば、固体分散物)、液体(例えば、溶液中)、又はミセルの形態などの他の形態で存在し得る。
【0249】
例えば、経口投与のための医薬製剤の調製において、化合物は、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アミロペクチン、セルロース誘導体、ゼラチン、又は別の好適な成分などの固体粉末成分と、並びにステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、及びポリエチレングリコールワックスなどの崩壊剤及び滑沢剤と混合され得る。次いで、混合物は、顆粒に加工され得るか、又は錠剤に圧縮され得る。
【0250】
軟質ゼラチンカプセル剤は、例えば、植物油、脂肪、又は軟質ゼラチンカプセルのための他の好適なビヒクルと一緒に、1種以上の活性化合物(例えば、本発明の第1の態様の化合物、したがって、並びに第2及び第3の態様の化合物、並びに任意選択で追加の治療剤)を収容するカプセル剤で調製され得る。同様に、硬質ゼラチンカプセルは、そのような化合物を、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、アミロペクチン、セルロース誘導体、又はゼラチンなどの固体粉末成分と組み合わせて含有し得る。
【0251】
直腸投与のための投薬単位は、(i)中性脂肪基剤と混合された化合物(複数可)を含有する坐剤の形態で、(ii)植物油、パラフィン油、又はゼラチン直腸カプセルのための他の適切なビヒクルとの混合物中に活性物質を含有するゼラチン直腸カプセルの形態で、(iii)既製の微小浣腸剤の形態で、(iv)投与直前に適切な溶媒中で再構成される乾燥微小浣腸製剤の形態で調製され得る。
【0252】
経口投与のための液体製剤は、化合物(複数可)、並びに砂糖又は糖アルコールからなる製剤の残り、並びにエタノール、水、グリセロール、プロピレングリコール及びポリエチレングリコールの混合物を収容する、シロップ又は懸濁液、例えば、溶液又は懸濁液の形態で、調製され得る。所望であれば、そのような液体調製物は、着色剤、着香剤、サッカリン、及びカルボキシメチルセルロース、又は他の増粘剤を含有し得る。経口投与のための液体調製物はまた、使用前に好適な溶媒を用いて再構成される乾燥粉末の形態で調製され得る。
【0253】
非経口投与のための溶液は、薬学的に許容される溶媒中の化合物の溶液として調製され得る。これらの溶液はまた、安定化成分及び/又は緩衝成分を含有し得、アンプル又はバイアルの形態で単位用量に分配される。非経口投与のための溶液はまた、使用前に即興的に好適な溶媒を用いて再構成される乾燥調製物として調製され得る。
【0254】
当業者であれば、本発明の化合物及びその薬学的に許容される塩が、様々な用量で(例えば、上記の製剤として)投与され得、好適な用量は、当業者によって容易に決定されることを理解するであろう。経口、肺、及び局所投与量(並びに皮下投与量、但し、これらの投与量は比較的低くてもよい)は、1日あたり約0.01μg/kg体重(μg/kg/日)~約200μg/kg/日、好ましくは約0.01~約10μg/kg/日、より好ましくは約0.1~約5.0μg/kg/日の範囲であり得る。例えば、経口投与されるとき、そのような化合物による治療は、典型的には約0.01μg~約2000mg、例えば、約0.1μg~約500mg、又は約1μg~約100mg(例えば、20μg~約80mg)の活性成分(複数可)を含有する製剤の投与を含み得る。静脈内投与されるとき、最も好ましい用量は、定速注射中に約0.001~約10μg/kg/時の範囲であろう。有利には、治療は、このような化合物及び組成物を1日1回の投与で投与することを含むことができ、又は1日総投与量を、1日2回、3回又は4回の分割用量で(例えば、本明細書に記載されている用量を参照して1日2回、10mg、20mg、30mg又は40mgの1日2回、又は10μg、20μg、30μg又は40μgの1日2回の用量)で投与される。
【0255】
いずれの場合でも、当業者(例えば、医師)は、個々の患者に最も好適な実際の投薬量を決定することができ、これは、投与経路、治療されるべき症状の種類及び重篤度、並びに治療されるべき特定の患者の種、年齢、体重、性別、腎機能、肝機能及び応答によって様々である可能性が高い。上記の投与量は、平均的な場合の例であり、当然のことながら、より高い又はより低い投薬量範囲が妥当である個々の事例があり得、それらも本発明の範囲内である。
【0256】
上記のように、当業者であれば、本発明の第1の態様の化合物を用いた治療が、同じ状態のための更なる(すなわち、追加の/他の)治療を更に含み(すなわち、それと組み合わされ)得ることを理解するであろう。具体的には、本発明の化合物を用いた治療は、高血糖症又は高血糖症を特徴とする障害(本明細書に定義されるような、2型糖尿病など)の治療のための他の手段、例えば、高血糖症又は高血糖症を特徴とする障害(本明細書に定義されるような、2型糖尿病など)の治療に有用である1つ以上の他の治療剤を用いた治療と組み合わされ得る。
【0257】
本発明の第4及び第5の態様の具体的な実施形態では、医薬組成物は、1つ以上の追加の(すなわち、他の)治療薬を更に含み得る。
【0258】
より具体的な実施形態では、1種以上の更なる治療剤は、メトホルミン、スルホニル尿素(例えば、カルバタミド、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、トルブタミド.グリピジド(グルコトール)、グリクラジド、グリベンクラミド、グリブリド(Micronase)、グリボルヌリド、グリキドン、グリソキセピド、グリコピラミド、グリメプリド(Amaryl)、グリミプリム、JB253又はJB558)、チアゾリジンジオン(例えば、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン(Avandia)、ロベグリタゾン(Duvie)及びトログリタゾン(Rezulin))、ジペプチジルペプチダーゼ-4阻害剤(例えば、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン、リナグリプチン、アナグリプチン、テネリグリプチン、アログリプチン、トレラグリプチン、ゲミグリプチン、ドゥトグリプチン及びオマリグリプチン)、SGLT2阻害剤(例えば、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、カナグリフロジン、イプラグリフロジン、トホグリフロジン、セルグリフロジンエタボナート、レモグリフロジンエタボナート、及びエルツグリフロジン)、並びにグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)類似体などの、当業者に既知の2型糖尿病の治療のための薬剤である。
【0259】
当業者であれば、治療剤の組み合わせがまた、組み合わせ製品として記載され得、及び/又はキットオブパーツとして提供され得ることを理解するであろう。
【0260】
本発明の第6の態様では、
(A)本発明の第1の態様に定義される化合物と、
(B)1つ以上の追加の治療剤と、を含み、
構成要素(A)及び(B)の各々は、任意選択で1つ以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、又は担体と混合して製剤化される、組み合わせ製品が提供される。
【0261】
本発明の第7の態様では、
(a)本発明の第1(又は第2及び/若しくは第3)の態様に定義される化合物(又はそれを含む医薬組成物)又は本発明の第4若しくは第5の態様に定義される医薬組成物と、
(b)任意選択で1つ以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、又は担体と混合された、1つ以上の他の治療剤と、を含み、
構成要素(a)及び(b)の各々が、他方と併せて投与するのに好適な形態で提供される、キットオブパーツが提供される。
【0262】
具体的な実施形態(例えば、本発明の第6及び第7の態様の)において、更なる治療剤は、当業者に知られているように(例えば、本明細書に記載されているもの)、高血糖症又は高血糖症を特徴とする障害(例えば、2型糖尿病)の治療に有用な治療剤である。
【0263】
例えば、本発明の第4から第5の態様の具体的な実施形態では、追加の治療剤は、
(i)血糖値を低下させることができる、及び/又は
(ii)インスリン増感剤である、及び/又は
(iii)インスリン放出を増強することができる、薬剤であり、
上記の薬剤は、当業者によって容易に特定され、具体的には、市販されているそのような治療剤(例えば、欧州又は米国での販売許可のような1地域以上における販売許可の対象である薬剤)を含む。
【0264】
当業者であれば、血糖値を低下させることができる治療剤への言及は、関連する化合物での治療前の血糖値と比較して、その血液レベルを少なくとも10%(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、又は少なくとも40%、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%、例えば、少なくとも90%)低下させることができる化合物を意味してもよいことを理解するであろう。
【0265】
本発明の第6及び第7の態様の代替的な実施形態では、追加の治療剤は、当業者によって容易に特定され、特に、市販のそのような治療薬が含まれる、非アルコール性脂肪性肝疾患(NASHなど)の治療又は予防のための薬剤(例えば、欧州又は米国の販売承認などの、1つ以上の地域での販売承認の対象となる薬剤)である。
【0266】
本発明の第6及び第7の態様の代替的な実施形態では、追加の治療剤は、βアドレナリン受容体の活性化によってその治療がもたらされる疾患又は障害を治療するための薬剤であり、この疾患及び障害には、本明細書に記載されるものが含まれ、当業者によって容易に特定され、特に、市販のそのような治療薬(例えば、欧州又は米国の販売承認などの、1つ以上の地域での販売承認の対象となる薬剤)が含まれる。
【0267】
化合物/組成物の調製
本明細書に記載の医薬組成物/製剤、組み合わせ製品及びキットは、標準的及び/又は許容される薬務に従って、調製され得る。
【0268】
したがって、本発明の更なる態様では、上記に定義される医薬組成物/製剤を調製するためのプロセスが提供され、このプロセスは、上記に定義される本発明の化合物を、1つ以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、又は担体と関連付けることを含む。
【0269】
本発明の更なる態様では、本明細書にて上記で定義した組み合わせ製品又はパーツキットの調製方法であって、本明細書中にて上記で定義した本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩を、高血糖症又は高血糖症を特徴とする障害(例えば、2型糖尿病)の治療に有用である他の治療剤、及び少なくとも1種の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤又は担体とを関連付けることを含む方法が、提供される。
【0270】
本明細書で使用される場合、関連付けることへの言及は、2つの構成要素を互いに組み合わせて投与するのに適したものにすることを意味する。
【0271】
したがって、明細書で以前に定義されたパーツキットを調製するためのプロセスに関して、2つの成分を互いに「関連付ける」ことにより、本発明者らは、パーツキットの2つの成分が、
(i)別個の製剤として(すなわち、互いに独立して)提供されてもよく、その後、併用療法において互いに併せて使用するために組み合わされ得るか、又は
(ii)併用療法において互いに併せて使用するための「コンビネーションパック」の別個の成分として一緒に包装され、提示され得ること、を含める。
【0272】
本発明の第1の態様で定義される化合物(すなわち、本発明の化合物)は、以下に提供される実施例に記載されるような、当業者に周知の技法に従って調製されてもよい。
【0273】
例えば、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を調製するプロセスが提供され、プロセスは、
(i)式IIの化合物
【0274】
【化12】
(式中、環A及びRは、本明細書に定義される通りであり、Mは、好適な金属又は金属ハロゲン化物を表す)を、式IIIの化合物
【0275】
【化13】
(式中、Q~Q(環Q)を含む環は、本明細書に定義される通りである)と、当業者に既知の条件下で反応させること、
(ii)式IVの化合物
【0276】
【化14】
(式中、Q~Qを含む環は、本明細書に定義される通りであり、Mは、好適な金属又は金属ハロゲン化物を表す)を、式Vの化合物
【0277】
【化15】
(式中、環A及びRは、本明細書に定義される通りである)と、当業者に既知の条件下で反応させること、
(iii)式VIの化合物
【0278】
【化16】
(式中、Q~Qを含む環、環A、及びRは、上記で定義した通りであり、PGは、当業者に既知の好適な保護基(例えば、カルバメート保護基、例えば、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、若しくはカルボキシベンジル(Cbz)、又はアセチル及びベンゾイルなどのアミド保護基)を表す)の、当業者に既知の条件下(例えば、Bocの場合、適切な酸(例えば、トリフルオロ酢酸又はHCl)の存在下)の脱保護、
(vi)式VIIの化合物
【0279】
【化17】
式中、Q~Qを含む環、環A、及びRは、上記で定義される通りであり、好適な触媒(例えば、必須OH基を担持する炭素に立体中心を有する化合物、例えば、式ICの化合物の場合、好適な触媒は、(1S,2S)-(+)-N-(4-トルエンスルホニル)-1,2-ジフェニルエチレンジアミンと[Ru(シメン)Cl))との間の複合体であり得る)の存在下、水素若しくは好適な水素供与体(ギ酸など)の存在下、並びに任意選択で塩基(例えば、EtN)の存在下、及び好適な溶媒(CHClなど)の存在下の還元、を含む。
【0280】
当業者であれば、必須-OH基などの特定の官能基は、反応中に1回以上保護(及び脱保護)する必要があってもよく、このような保護(及び脱保護)は、当業者に既知の技法を用いて実施されてもよいことを理解するだろう。
【0281】
式II、III、IV、V、VI、及びVIIの化合物は、市販されているか、文献中にて知られているか、又は本明細書に記載の方法と同様にしてか、又は慣用的な合成法により、適切な試薬及び反応条件を使用して、利用可能な出発材料(例えば、適切に置換されたベンズアルデヒド、スチレン又は臭化フェナシル(又は塩化フェナシルなど))から、標準的な技法に従って、得られてもよい。この点において、当業者は、とりわけ「Comprehensive Organic Synthesis」by B.M.Trost and I.Fleming,Pergamon Press,1991を参照することができる。用いることができる更なる参考文献には、「Science of Synthesis」,Volumes 9-17(Hetarenes and Related Ring Systems)、Georg Thieme Verlag,2006が含まれる。
【0282】
本発明の化合物の一部をなす置換基、例えば、本明細書に上記で定義されたY、Y、Z、Z、及びRは、当業者に周知の方法により、式Iの化合物の調製のための上記方法の間又は後に、1回以上修飾され得る。そのような方法の例には、置換、還元、酸化、脱水素化、アルキル化、脱アルキル化、アシル化、加水分解、エステル化、エーテル化、ハロゲン化、及びニトロ化が含まれる。前駆体基は、反応順序中の任意の時点で、異なるそのような基に、又は式Iに定義される基に変化させることができる。当業者はまた、A.R.Katritzky,O.Meth-Cohn and C.W.Reesによる「Comprehensive Organic Functional Group Transformations」Pergamon Press、1995及び/又はR.C.Larockによる「Comprehensive Organic Transformations」、Wiley-VCH、1999にも言及し得る。
【0283】
そのような化合物は、それらの反応混合物から単離され得、必要に応じて、当業者に既知の慣用的な技法を使用して精製され得る。したがって、本明細書に記載の本発明の化合物の調製方法は、最終工程として、本発明の化合物の単離、及び任意選択で精製(例えば、式の化合物の単離及び任意選択で精製)を含んでもよい。
【0284】
当業者であれば、本明細書に記載の方法において、必要とされる立体化学を有する好適な出発物質を反応させることによって、特定の立体化学を有する式Iの化合物(例えば、式ICの化合物)が提供されてもよいことを理解するであろう。
【0285】
上記及び下記の方法において、中間体化合物の官能基を保護基で保護する必要があり得ることは、当業者に理解されるであろう。官能基の保護及び脱保護は、上記のスキームにおける反応の前又は後に行われ得る。
【0286】
保護基は、当業者に周知である技法及び下記の技法に従って、適用及び除去され得る。例えば、本明細書に記載の保護された化合物/中間体は、標準的な脱保護技術を用いて、保護されていない化合物に化学的に変換され得る。関与する化学反応の種類は、保護基の必要性及び種類、並びに合成を達成するための順序を決定付けるであろう。保護基の使用は、「Protective Groups in Organic Synthesis」,3rd edition,T.W.Greene & P.G.M.Wutz、Wiley-Interscience(1999)。
【0287】
本明細書に記載の化合物(具体的には、本発明の第1の、並びにしたがって、第2及び第3の態様で定義された化合物)は、前述した症状において使用するためであるかに関わらず、先行技術において知られている化合物よりも、より有効であり、より毒性が低く、より長く作用し、より効能があり、より副作用が少なく、より容易に吸収され、及び/又はより優れた薬物動態プロファイル(例えば、より高い経口バイオアベイラビリティ及び/又はより低いクリアランス)を有し、及び/又は他の有用な薬理学的、物理的又は化学的特性を有する、という利点を有してもよい。特に、このような化合物は、それらがより有効であり及び/又はインビボで有利な特性を示すという利点を有し得る。
【0288】
理論に拘束されることは望まないが、本明細書に記載の化合物は、骨格筋細胞におけるグルコース取り込みの増加を可能にする、βアドレナリン受容体の強力な作動薬であると考えられている。
【0289】
加えて、本明細書に記載の化合物は、cAMP産生を誘導しない(又はその誘導において最小限の効果のみを有する)βアドレナリン受容体の作動薬であると考えられている。これは、他の治療により生じ得るものより低いレベルの副作用を伴って、骨格筋細胞におけるグルコース取り込みの増加などの効果を可能にすると考えられている。更に、本明細書に記載の化合物を、血糖値を低下させることができる治療剤などの他の治療剤と組み合わせることは、有効な組み合わせ療法を提供すると考えられている。
【実施例
【0290】
本発明を以下の実施例により例証する。
【0291】
化学物質及び試薬は、商業的供給元から入手し、別途記載されない限り、受領したままの状態で使用した。感湿性試薬を伴う全ての反応は、窒素又はアルゴンの正圧下で、オーブン又は火力乾燥したガラス器具内で行った。
【0292】
略語
本明細書で使用される略語は、当業者には既知であろう。具体的には、以下の略語が本明細書で使用され得る。
atm 雰囲気
aq 水溶液
BocO ジ-tert-ブチルジカーボネート
DMAP 4-ジメチルアミノピリジン
DMSO ジメチルスルホキシド
EtOH エタノール
EtOAc 酢酸エチル
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
MTBE メチルtert-ブチルエーテル
iPrOH イソプロパノール
Pd/C 炭素上のパラジウム
rt 室温
sat 飽和
THF テトラヒドロフラン
TFA トリフルオロ酢酸
【0293】
実施例化合物
命名法と、図で示される化合物の構造との間に相違がある場合には、(与えられ得るあらゆる実験の詳細と矛盾しない限り、及び/又は文脈から明確でない限り)後者が優先される。
【0294】
実施例1:(R)-(3-フルオロフェニル)((2R,5S)-5-(((1r,4S)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)ピロリジン-2-イル)メタノール塩酸塩
【0295】
【化18】
【0296】
(a)メチル(1r,4r)-4-メトキシシクロヘキサン-1-カルボキシレート
【0297】
【化19】
,N,N,N-テトラメチルナフタレン-1,8-ジアミン(3.0g、14.0mmol)を、CHCl(120mL)中のメチル(1r,4r)-4-ヒドロキシシクロヘキサン-1-カルボキシレート(2.0g、12.6mmol)の氷冷溶液に添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。テトラフルオロホウ酸トリメチルオキソニウム(2.5g、17.0mmol)を0℃で添加し、混合物を室温で24時間撹拌した。HO及びCHClを添加し、相を分離した。水相をCHClで抽出し、合わせた有機相を水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(1.74g、80%)を得た。
【0298】
(b)((1r,4r)-4-メトキシシクロヘキシル)メタノール
【0299】
【化20】
THF(60mL)中のメチル(1r,4r)-4-メトキシシクロヘキサン-1-カルボキシレート(1.7g、9.9mmol)の撹拌氷冷溶液に、LiAlH(THF中2.4M、6.2mL、15.0mmol)を滴下添加した。混合物を0℃で10分間及び室温で1時間撹拌した。混合物を氷浴中で冷却し、NHCl(水溶液、飽和)を滴下添加した。混合物をCHClで抽出し、合わせた抽出物を乾燥させ(NaSO)、濃縮して、副題化合物(1.4g、98%)を得、これを更に精製することなく次の工程で使用した。
【0300】
(c)((1r,4r)-4-メトキシシクロヘキシル)メチルメチルメタンスルホネート
【0301】
【化21】
トリエチルアミン(2.7mL、19.4mmol)を、CHCl(40mL)中の((1r,4r)-4-メトキシシクロヘキシル)メタノール(1.4g、9.7mmol)の溶液に添加した。混合物を氷浴で冷却し、メタンスルホニルクロリド(0.75mL、9.7mmol)を滴加添加した。混合物を0℃で30分間撹拌した。HOを添加し、相を分離した。水相をCHClで抽出し、合わせた抽出物をHO及びブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮して副題化合物(2.15g、99%)を得、これを更に精製することなく次の工程で使用した。
【0302】
(d)(1r,4r)-1-(ブロモメチル)-4-メトキシシクロヘキサン
【0303】
【化22】
(1r,4r-4-メトキシシクロヘキシル)メチルメタンスルホネート(1.0g、4.5mmol)、LiBr(2.0g、22.5mmol)、及びTHF(10mL)の混合物を、密封バイアル中、マイクロ波照射下65℃で2時間加熱した。混合物を室温に冷却し、HO及びCHClを添加し、相を分離した。混合物をCHClで抽出し、合わせた抽出物を乾燥させ(NaSO)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(0.93g、99%)を揮発性液体として得た。
【0304】
(e)(R)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-6-((1r,4R)-4-メトキシシクロヘキシル)-5-オキソヘキサン酸メチル
【0305】
【化23】
(1r,4r)-1-(ブロモメチル)-4-メトキシシクロヘキサン(900mg、4.3mmol)を、Mg削り屑(137mg、5.2mmol)及びLiCl(THF中0.5M、10.4mL、5.2mmol)の撹拌混合物に0℃で滴下添加した。混合物を室温で15時間撹拌し、(R-5-オキソピロリジン-1,2-ジカルボン酸1-(tert-ブチル)2-メチル(710mg、2.92mmol)のTHF(9mL)中氷冷溶液に滴下添加した。冷却浴を取り外し、混合物を室温で1時間撹拌し、NHCl(水溶液、飽和)を添加し、混合物をEtOで抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(784mg、72%)を得た。
【0306】
(f)メチル(2R,5S)-5-(((1r,4S)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)ピロリジン-2-カルボキシレート及びメチル(2R,5R)-5-(((1r,4S)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)ピロリジン-2-カルボキシレート
【0307】
【化24】
トリエチルシラン(1.34mL、8.4mmol)を、CHCl(10mL)中のメチル(R-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-6-((1r,4R)-4-メトキシシクロヘキシル)-5-オキソヘキサノエート(780mg、2.1mmol)の氷冷溶液に滴下添加した。トリフルオロ酢酸(1.29mL、6.8mmol)を滴下添加し、氷浴を取り外し、混合物を室温で20時間撹拌した。NaHCO(水溶液、飽和)を添加し、混合物をCHClで抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、(2R,5S)-副題化合物(159mg、30%)及び(2R,5R)-副題化合物(231mg、43%)を得た。
【0308】
(g)1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,5S)-5-(((1r,4S)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート
【0309】
【化25】
BocO(141mg、0.64mmol)及びDMAP(7.18mg、0.059mmol)を、メチル(2R,5S)-5-(((1r,4R)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)ピロリジン-2-カルボキシレート(150mg、0.59mmol)のCHCl(5mL)溶液に室温で添加した。混合物を室温で1時間撹拌し、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(167mg、80%)を得た。
【0310】
(h)tert-ブチル(2R,5S)-2-(ヒドロキシメチル)-5-(((1r,4R)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)ピロリジン-1-カルボキシレート
【0311】
【化26】
THF(2mL)中の1-tert-ブチル)2-メチル(2R,5S-5-(((1r,4R)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(269mg、0.76mmol)の撹拌した氷冷溶液に、LiBH(THF中4M、0.38mL、1.51mmol)を滴下添加した。混合物をゆっくりと室温まで温めながら16時間撹拌した。混合物を氷浴で冷却し、HO(10mL)を添加した。混合物をEtOで抽出し、合わせた抽出物をブライン(10mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮して、副題化合物を得た(240mg、97%)。
【0312】
(i)tert-ブチル(2R,5S)-2-ホルミル-5-(((1r,4S)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)ピロリジン-1-カルボキシレート
【0313】
【化27】
デスマーチンペルヨージナン(202mg、0.48mmol)を、CHCl(5mL)中のtert-ブチル(2R,5S)-2-(ヒドロキシメチル)-5-(((1r,4S)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(130mg、0.40mmol)の溶液に室温で一度で添加した。混合物を室温で1時間撹拌し、NaOH(水溶液、1M、10mL)を添加した。混合物を透明になるまで撹拌し、層を分離した。水相をCHClで抽出し、合わせた抽出物を乾燥させ(NaSO)、濃縮して、副題生成物(129mg、100%)を得、これを精製することなく次の工程で使用した。
【0314】
(j)tert-ブチル(2R,5S)-2-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-(((1r,4S)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)ピロリジン-1-カルボキシレート及びtert-ブチル(2R,5S)-2-((S)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-(((1r,4S)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)ピロリジン-1-カルボキシレート
【0315】
【化28】
3-フルオロフェニルマグネシウムブロミド(THF中1M、3.17mL、3.2mmol)を、THF(2mL)中のtert-ブチル(2R,5S)-2-ホルミル-5-(((1r,4S)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(129mg、40mmol)の撹拌した溶液に0℃で滴下添加し、混合物を0℃で30分間及び室温で30分間撹拌した。飽和NHCl水溶液(水性、飽和、5mL)を添加し、混合物をEtOで抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(NaSO)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーによって精製してジアステレオマーの混合物を得て、これを分取キラルHPLC(Daicel ICカラム、250×30mm、5μm、ヘプタン:iPrOH=9:1、40mL/分、λ260nm、210nm)により精製して、副題(R)-ジアステレオマー(85mg、51%)及び副題(S)ジアステレオマー(53mg、32%)を得た。
【0316】
(k)(R-(3-フルオロフェニル)((2R,5S)-5-(((1r,4S)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)ピロリジン-2-イル)メタノール塩酸塩。
【0317】
【化29】
tert-ブチル(2R,5S)-2-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-(((1r,4S)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(53mg、0.126mmol)、CeCl.7HO(70.3mg、0.19mmol)、NaI(24.5mg、0.16mmol)、及びMeCN(2mL)の混合物を、密封バイアル中、100℃で1時間撹拌し、室温に冷却した。EtOAc及びNaOH(水溶液、1M)を添加し、混合物を無色になるまで振とうした。相を分離し、有機相をHOで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮した。残渣をEtO中に溶解し、アミノ官能化シリカゲルのカラムを通して濾過した。濾液を濃縮し、残渣をEtO(1mL)中に溶解し、HCl(EtO中2M、63μL、0.13mmol)を室温で滴下添加した。混合物を室温で10分間撹拌し、固体を回収し、EOで洗浄し、乾燥させて、標題化合物(19mg、42%)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ9.85(br s,1H),9.02-8.85(m,1H),7.34-7.22(m,1H),7.21-7.06(m,2H),7.04-6.96(m,1H),5.65(br s,1H),5.21(d,J=9.8Hz,1H),3.90-3.87(m,1H),3.75-3.61(m,1H),3.31(s,3H),3.04(tt,J=10.7,4.1Hz,1H),2.20-1.93(m,4H),1.93-1.73(m,5H),1.73-1.60(m,1H),1.44-1.30(m,1H),1.27-1.04(m,2H),1.04-0.89(m,2H).
【0318】
実施例2:(S)-(3-フルオロフェニル)((2R,5S)-5-(((1r,4S)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)ピロリジン-2-イル)メタノール塩酸塩
【0319】
【化30】
実施例1、工程(k)の手順に従って、tert-ブチル(2R,5S)-2-((S)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-(((1r,4S)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)ピロリジン-1-カルボキシレートから標題化合物を調製した(実施例1の工程(l)を参照)。
H NMR(400MHz,CDCl)δ10.54(br s,1H),8.08(br s,1H),7.29-7.22(m,1H),7.22-7.17(m,1H),7.17-7.11(m,1H),6.96-6.90(m,1H),5.45(br s,1H),5.11(d,J=4.7Hz,1H),4.05-3.92(m,1H),3.73-3.58(m,1H),3.28(s,3H),3.00(tt,J=10.7,4.1Hz,1H),2.18-1.92(m,4H),1.91-1.63(m,5H),1.63-1.55(m,1H),1.47-1.32(m,1H),1.23-1.01(m,2H),1.01-0.85(m,2H).
【0320】
実施例3~12:実施例1の手順に従って、工程(f)において適切なジアステレオマー及び工程(j)において適切なアリールマグネシウムブロミドを使用して標題化合物を調製した。
【0321】
実施例3:(R)-(3-フルオロフェニル)((2R,5R)-5-(((1r,4R)-4-メトキシシクロヘキシル)-メチル)ピロリジン-2-イル)メタノール塩酸塩
【0322】
【化31】
H NMR(400MHz,CDCl)δ9.45(br s,1H),9.30(br s,1H),7.33-7.27(m,1H),7.15(dt,J=7.7,1.3Hz,1H),7.14-7.09(m,1H),7.00(tdd,J=8.4,2.6,1.0Hz,1H),5.80(d,J=5.4Hz,1H),5.06(dd,J=9.9,5.2Hz,1H),4.11-3.96(m,1H),3.92-3.79(m,1H),3.31(s,3H),3.04(tt,J=10.7,4.1Hz,1H),2.25-2.11(m,1H),2.08-1.99(m,2H),1.99-1.91(m,1H),1.90-1.79(m,2H),1.76-1.61(m,4H),1.43-1.30(m,1H),1.25-1.04(m,2H),1.04-0.89(m,2H).
【0323】
実施例4:(S)-(3-フルオロフェニル)((2R,5R)-5-(((1r,4R)-4-メトキシシクロヘキシル)-メチル)ピロリジン-2-イル)メタノール塩酸塩
【0324】
【化32】
H NMR(400MHz,CDCl)δ9.65(br s,1H),9.12(br s,1H),7.29-7.20(m,2H),7.19-7.14(m,1H),7.14-7.10(m,1H),6.96-6.89(m,1H),5.53-5.47(m,1H),4.89(d,J=5.6Hz,1H),4.10(br s,1H),3.77-3.62(m,1H),3.29(s,3H),3.02(tt,J=10.8,4.1Hz,1H),2.21-2.10(m,1H),2.10-1.95(m,3H),1.92-1.77(m,3H),1.72-1.62(m,1H),1.62-1.52(m,1H),1.47-1.34(m,1H),1.29-1.03(m,2H),1.02-0.85(m,2H).
【0325】
実施例5:(R)-(2-フルオロフェニル)((2R,5S)-5-(((1r,4S)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)ピロリジン-2-イル)メタノール塩酸塩
【0326】
【化33】
H NMR(400MHz,CDCl)δ9.91(br s,1H),8.95-8.81(m,1H),7.53-7.45(m,1H),7.32-7.22(m,1H),7.13-7.05(m,1H),7.04-6.96(m,1H),5.56(d,J=10.0Hz,1H),4.06-3.92(m,1H),3.80-3.65(m,1H),3.31(s,3H),3.04(tt,J=10.7,4.1Hz,1H),2.18-1.94(m,4H),1.93-1.82(m,3H),1.82-1.64(m,3H),1.44-1.30(m,1H),1.26-1.05(m,2H),1.03-0.88(m,2H).
【0327】
実施例6:(S)-(2-フルオロフェニル)((2R,5S)-5-(((1r,4S)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)ピロリジン-2-イル)メタノール塩酸塩
【0328】
【化34】
H NMR(400MHz,CDCl)δ10.73(br s,1H),8.07(br s,1H),7.66(td,J=7.5,1.7Hz,1H),7.29-7.21(m,1H),7.17(td,J=7.5,1.2Hz,1H),6.91(ddd,J=10.5,8.1,1.2Hz,1H),5.75-5.53(m,1H),5.19(d,J=6.0Hz,1H),4.14-4.03(m,1H),3.76-7.63(m,1H),3.30(s,3H),3.04(tt,J=10.7,4.1Hz,1H),2.19-1.98(m,4H),1.98-1.65(m,5H),1.64-1.51(m,1H),1.50-1.36(m,1H),1.28-1.07(m,2H),1.07-0.92(m,2H).
【0329】
実施例7:(R)-(2-フルオロフェニル)((2R,5R)-5-(((1r,4S)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)ピロリジン-2-イル)メタノール塩酸塩
【0330】
【化35】
H NMR(400MHz,CDCl)δ9.52(br s,1H),9.29(br s,1H),7.53(td,J=7.4,1.8Hz,1H),7.32-7.23(m,1H),7.11(td,J=7.6,1.2Hz,1H),7.05-6.97(m,1H),5.73(d,J=5.7Hz,1H),5.38(dd,J=10.1,5.5Hz,1H),4.16(br s,1H),3.86(br s,1H),3.31(s,3H),3.04(tt,J=10.7,4.1Hz,1H),2.26-2.12(m,1H),2.07-1.94(m,3H),1.92-1.80(m,2H),1.80-1.61(m,4H),1.45-1.29(m,1H),1.27-1.07(m,2H),1.06-0.91(m,2H).
【0331】
実施例8:(S)-(2-フルオロフェニル)((2R,5R)-5-(((1r,4S)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)ピロリジン-2-イル)メタノール塩酸塩
【0332】
【化36】
H NMR(400MHz,CDCl)δ9.74(br s,1H),9.22(br s,1H),7.64(td,J=7.5,1.8Hz,1H),7.29-7.21(m,1H),7.16(td,J=7.5,1.2Hz,1H),6.91(ddd,J=10.5,8.1,1.2Hz,1H),5.77-5.70(m,1H),4.94(d,J=6.1Hz,1H),4.25(br s,1H),3.68(br s,1H),3.30(s,3H),3.06(tt,J=10.7,4.1Hz,1H),2.19-2.10(m,1H),2.10-1.99(m,3H),1.98-1.82(m,3H),1.76-1.66(m,1H),1.64-1.50(m,2H),1.49-1.38(m,1H),1.29-1.09(m,2H),1.08-0.93(m,2H).
【0333】
実施例9:(R)-(5-フルオロピリジン-3-イル)((2R,5S)-5-(((1r,4S)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)ピロリジン-2-イル)メタノール二塩酸塩
【0334】
【化37】
H NMR(400MHz,CDOD)δ8.97(t,J=2.3Hz,1H),8.91(d,J=1.6Hz,1H),8.60-8.55(m,1H),5.19(d,J=6.4Hz,1H),3.95(td,J=8.6,6.4Hz,1H),3.72-3.59(m,1H),3.34(s,3H),3.15(tt,J=10.8,4.1Hz,1H),2.33-2.21(m,1H),2.15-2.02(m,4H),1.94-1.80(m,2H),1.80-1.70(m,2H),1.68-1.58(m,1H),1.43-1.28(m,1H),1.26-1.10(m,2H),1.09-0.95(m,2H).
【0335】
実施例10:(S)-(5-フルオロピリジン-3-イル)((2R,5S)-5-(((1r,4S)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)ピロリジン-2-イル)メタノール二塩酸塩
【0336】
【化38】
H NMR(400MHz,CDOD)δ8.92(t,J=2.2Hz,1H),8.86(d,J=1.4Hz,1H),8.52-8.46(m,1H),5.39(d,J=3.6Hz,1H),4.04(td,J=8.2,3.8Hz,1H),3.78-3.66(m,1H),3.34(s,3H),3.21-3.10(m,1H),2.25-2.14(m,1H),2.14-2.02(m,3H),1.98-1.89(m,1H),1.89-1.82(m,2H),1.82-1.70(m,2H),1.69-1.59(m,1H),1.47-1.33(m,1H),1.27-1.13(m,2H),1.11-0.97(m,2H).
【0337】
実施例11:(R)-(5-フルオロピリジン-3-イル)((2R,5R)-5-(((1r,4S)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)ピロリジン-2-イル)メタノール二塩酸塩
【0338】
【化39】
H NMR(400MHz,CDOD)δ8.95(t,J=2.3Hz,1H),8.89(br s,1H),8.58-8.51(m,1H),5.19(d,J=5.8Hz,1H),4.08-3.86(m,1H),3.86-3.66(m,1H),3.34(s,3H),3.15(tt,J=10.8,4.1Hz,1H),2.36-2.26(m,1H),2.14-1.94(m,4H),1.94-1.82(m,2H),1.77-1.62(m,2H),1.62-1.52(m,1H),1.43-1.30(m,1H),1.27-1.11(m,2H),1.10-0.95(m,2H).
【0339】
実施例12:(S)-(5-フルオロピリジン-3-イル)((2R,5R)-5-(((1r,4S)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)ピロリジン-2-イル)メタノール二塩酸塩
【0340】
【化40】
H NMR(400MHz,CDOD)δ8.75(br s,1H),8.71(br s,1H),8.20(d,J=9.0Hz,1H),5.36(d,J=3.3Hz,1H),4.11-3.96(m,1H),3.82-3.66(m,1H),3.35(s,3H),3.16(td,J=10.7,5.3Hz,1H),2.35-2.19(m,1H),2.16-1.96(m,2H),1.96-1.78(m,2H),1.78-1.64(m,2H),1.64-1.50(m,2H),1.46-1.31(m,1H),1.25-1.12(m,2H),1.12-0.96(m,2H),0.94-0.77(m,1H).
【0341】
実施例13:(R)-(3-フルオロフェニル)((2R,5S)-5-(4-メトキシベンジル)ピロリジン-2-イル)メタノール
【0342】
【化41】
【0343】
(a)メチル(R)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-6-(4-メトキシフェニル)-5-オキソヘキサノエート
【0344】
【化42】
THF(1.4mL)中の1-(クロロメチル)-4-メトキシベンゼン(384μL、2.78mmol)の溶液を、Iで予め活性化したMg削り屑(122mg、4.62mmol)及びTHF(2.8mL)の撹拌した混合物に0℃で滴下添加した。混合物を室温で5分間、0℃で30分間撹拌し、THF(1.8mL)中の1-(tert-ブチル)2-メチル(R-5-オキソピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(50mg、1.85mmol)の溶液に-78℃で30分間かけて添加した。混合物をゆっくりと室温に到達させ、EtOAcで希釈した。混合物を氷浴中で冷却し、NHCl(水溶液、飽和)を添加し、混合物をEtOAcで抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(537mg、79%)を得た。
【0345】
(b)メチル(2R)-5-(4-メトキシベンジル)ピロリジン-2-カルボキシレート
【0346】
【化43】
トリエチルシラン(1.01mL、6.32mmol)を、CHCl(5mL)中のメチル(R-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-6-(4-メトキシフェニル)-5-オキソヘキサノエート(577mg、1.58mmol)の氷冷溶液に滴下添加した。トリフルオロ酢酸(0.97mL、12.63mmol)を滴下添加し、氷浴を取り外し、混合物を室温で1時間撹拌した。NaHCO(水溶液、飽和)を添加し、混合物をCHClで抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(400mg、99%)を得た。
【0347】
(c)1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,5S)-5-(4-メトキシベンジル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート及び1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,5R)-5-(4-メトキシベンジル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート
【0348】
【化44】
CHCl(17mL)中のメチル(2R-5-(4-メトキシベンジル)ピロリジン-2-カルボキシレート(400mg、1.60mmol)の氷冷溶液に、BocO(368mg、1.68mmol)を添加した。混合物を室温で18時間撹拌し、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーによって精製してジアステレオマーの混合物を得て、これをキラルHPLC(Daicel ICカラム、30×100mm、5μm、ヘプタン:iPrOH:CHCl=8:1:1、40mL/分、230nm)により分離して、副題化合物(2R,5Sジアステレオマーについて142mg、25%、2R,5Rジアステレオマーについて229mg、41%)を得た。
【0349】
(d)tert-ブチル(2R,5S)-2-(ヒドロキシメチル)-5-(4-メトキシベンジル)ピロリジン-1-カルボキシレート
【0350】
【化45】
LiBH(THF中4M、0.20mL、0.80mmol)を、THF(4mL)中の1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,5R)-5-(4-メトキシベンジル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(142mg、0.41mmol)の撹拌した氷冷溶液に滴下添加した。混合物をゆっくりと室温まで温めながら24時間撹拌した。混合物を氷浴中で冷却し、HO(1mL)及びNHCl(水溶液、飽和、1mL)を添加した。層を分離し、水相をCHClで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、(NaSO)で乾燥し、濃縮して、副題化合物(115mg、88%)を得た。
【0351】
(e)tert-ブチル(2R,5S)-2-ホルミル-5-(4-メトキシベンジル)ピロリジン-1-カルボキシレート
【0352】
【化46】
デスマーチンペルヨージナン(182mg、0.43mmol)を、CHCl(5mL)中のtert-ブチル(2R化5S)-2-(ヒドロキシメチル)-5-(4-メトキシベンジル)ピロリジン-1-カルボキシレート(115mg、0.36mmol)の撹拌溶液に一度で添加した。混合物を室温で2時間撹拌し、Na(水溶液、飽和、1mL)及びNaHCO(水溶液、飽和、1mL)を添加した。混合物を透明になるまで激しく撹拌し、層を分離した。水相をCHClで抽出し、合わせた有機相を、ブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮して、副題生成物(103mg、90%)を得、それを更に精製することなく次の工程で使用した。
【0353】
(f)tert-ブチル(2R,5S)-2-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-(4-メトキシベンジル)ピロリジン-1-カルボキシレート及びtert-ブチル(2R,5S)-2-((S)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-(4-メトキシベンジル)ピロリジン-1-カルボキシレート
【0354】
【化47】
(3-フルオロフェニル)マグネシウムブロミドを、1-ブロモ-3-フルオロベンゼン(0.4mL、3.64mmol)、Mg削り屑(96mg、3.64mmol)、及びTHF(3.6mL)の混合物を、全てのMg削り屑が消費されるまで(約20分)80℃で加熱することによって調製した。
(3-フルオロフェニル)マグネシウムブロミド(THF中1M、1.69mL、1.69mmol)を、THF(3mL)中のtert-ブチル(2R,5S)-2-ホルミル-5-(4-メトキシベンジル)ピロリジン-1-カルボキシレート(180mg、0.56mmol)の氷冷溶液に滴下添加した。混合物を0℃で30分間撹拌し、室温に温め、室温で30分間撹拌した。NHCl(水溶液、飽和)を添加し、混合物をCHClで抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーによって精製してジアステレオマーの混合物を得て、これをキラルHPLC(DAICEL CHIRALPAK IE 250×30mm-5μm、40mL/分、システム:ヘプタン中10%iPrOH、λ254/220nm)によって分離して、標題化合物を得た(R-ジアステレオマーについて60mg、45%及びS-ジアステレオマーについて70mg、52%)。
【0355】
(g)(R)-(3-フルオロフェニル)((2R,5S)-5-(4-メトキシベンジル)ピロリジン-2-イル)メタノール
【0356】
【化48】
tert-ブチル(2R,5S)-2-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-(4-メトキシベンジル)ピロリジン-1-カルボキシレート(60mg、0.14mmol)、CeCl.7HO(70.3mg、0.19mmol)、NaI(81mg、0.22mmol)、及びMeCN(3mL)の混合物を、密封バイアル内で100℃で90分間撹拌し、室温まで冷却した。混合物を濃縮し、残渣を分取HPLC(20mL/分の流速で25分間かけAtlantis T3 OBD5μm、100A、30×150mm-勾配5~95%MeCN/H2OO+0.1%AcOH)によって精製して、標題化合物(40mg、88%)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.26(td,J=8.0,5.8Hz,1H),7.20-7.14(m,3H),7.11(ddd,J=9.5,2.6,1.4Hz,1H),6.97(tdd,J=8.4,2.6,1.0Hz,1H),6.82-6.77(m,2H),6.66(br s,2H),5.18(d,J=9.3Hz,1H),3.93(AB q,J=8.5Hz,1H),3.88-3.80(m,1H),3.73(s,3H),3.35(dd,J=13.4,5.4Hz,1H),3.02(dd,J=13.5,9.6Hz,1H),1.98-1.90(m,2H),1.89-1.77(m,1H),1.75-1.64(m,1H).
【0357】
実施例14:(S)-(3-フルオロフェニル)((2R,5S)-5-(4-メトキシベンジル)ピロリジン-2-イル)メタノール塩酸塩
【0358】
【化49】
実施例13の工程(g)の手順に従って、tert-ブチル(2R,5S)-2-((S)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-(4-メトキシベンジル)ピロリジン-1-カルボキシレートから標題化合物を調製した(実施例13の工程(f)を参照)。
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.25(td,J=8.0,5.8Hz,1H),7.17(dt,J=10.0,2.1Hz,1H),7.15-7.09(m,3H),6.92(tdd,J=8.4,2.6,1.0Hz,1H),6.83-6.77(m,2H),6.58(br s,2H),5.35(d,J=2.5Hz,1H),3.95(td,J=8.0,2.4Hz,1H),3.84-3.75(m,1H),3.72(s,3H),3.20(dd,J=13.6,5.8Hz,1H),2.92(dd,J=13.6,9.0Hz,1H),2.11-2.00(m,1H),1.94-1.83(m,1H),1.82-1.71(m,1H),1.58-1.46(m,1H).
【0359】
実施例15:(R)-(3-フルオロフェニル)((2R,5R)-5-(4-メトキシベンジル)ピロリジン-2-イル)メタノール
【0360】
【化50】
実施例13の工程(d)~(g)の手順に従って、1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,5R)-5-(4-メトキシベンジル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレートから副題化合物を調製した(実施例13の(c)を参照)。
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.28(td,J=8.0,6.0Hz,1H),7.11-7.03(m,4H),6.94(tdd,J=8.6,2.6,1.0Hz,1H),6.86-6.81(m,2H),4.23(d,J=6.6Hz,1H),3.79(s,3H),3.40-3.31(m,2H),2.76-2.58(m,2H),1.97-1.87(m,1H),1.85-1.74(m,1H),1.65-1.52(m,1H),1.48-1.36(m,1H).
【0361】
実施例16:(S)-(3-フルオロフェニル)((2R,5R)-5-(4-メトキシベンジル)ピロリジン-2-イル)メタノール
【0362】
【化51】
実施例13の工程(d)~(g)の手順に従って、1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,5R)-5-(4-メトキシベンジル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレートから副題化合物を調製した(実施例13の(c)を参照)。
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.31-7.24(m,1H),7.12-7.06(m,4H),6.96-6.89(m,1H),6.88-6.83(m,2H),4.65(d,J=4.1Hz,1H),3.80(s,3H),3.58(ddd,J=8.0,7.0,4.0Hz,1H),3.51-3.43(m,1H),2.69-2.58(m,2H),1.91-1.80(m,1H),1.69-1.56(m,1H),1.50-1.34(m,2H).
【0363】
実施例17:(R)-(3-フルオロフェニル)((2R,5R)-5-(((1r,4R)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-5-メチルピロリジン-2-イル)メタノール
【0364】
【化52】
【0365】
(a)(R)-5-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-2-オン
【0366】
【化53】
NaBH(132mg、3.49mmol)を、メチル(R)-5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(250mg、1.75mmol)及びMeOH(2mL)の混合物に0℃で少しずつ添加した。混合物を0℃で90分間撹拌し、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(190mg、95%)を得た。
【0367】
(b)(R)-5-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)ピロリジン-2-オン
【0368】
【化54】
イミダゾール(545mg、8.01mmol)及びtert-ブチルジメチルシリルクロリド(966mg、6.41mmol)を、DMF(7mL)中の(R)-5-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-2-オン(615mg、5.34mmol)の溶液に室温で添加した。混合物を室温で一晩撹拌し、EtO及びHOを添加した。水相をEtOで抽出し、合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮して、副題化合物(1.25g、99%)を得、これを更に精製することなく次の工程で使用した。
【0369】
(c)(R)-1-ベンジル-5-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)ピロリジン-2-オン
【0370】
【化55】
THF(18.5mL)中の(R)-5-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)ピロリジン-2-オン(1.24g、5.42mmol)を、NaH(鉱油中60%の分散液、325mg、8.13mmol、ペンタンで洗浄)及びTHF(7mL)の撹拌した氷冷混合物を滴下添加した。混合物を0℃で10分間撹拌し、ベンジルブロミド(0.97mL、8.13mmol)を添加した。氷浴を取り外し、混合物を室温で10分間、及び還流で90分間撹拌した。反応をHOで慎重にクエンチした。EtOAcを添加し、水相をEtOAcで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(1.35g、78%)を得た。
【0371】
(d)(5R)-1-ベンジル-5-(((tert-ブチルjジメチルシリル)オキシ)メチル)-2-(((1r,4R)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-2-メチルピロリジン
【0372】
【化56】
新たに蒸留したトリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.23mL、1.43mmol)を、(R)-1-ベンジル-5-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)ピロリジン-2-オン(380mg、1.89mmol)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルピリジン(293mg、1.43mmol)、及びCHCl(7mL)の溶液に-78℃で滴下添加した。混合物を-78℃で45分間撹拌し、実施例1の工程(e)の手順に従って調製した(((1r,4r)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)マグネシウムブロミド(THF中0.42M、0.45mL、1.19mmol)を滴下添加した。温度を1時間かけて-50℃に到達させ、混合物を0℃で1時間、室温で1時間撹拌した。臭化メチルマグネシウム(EtO中3M、0.79mL、2.38mmol)を滴下添加し、混合物を室温で1.5時間撹拌した。飽和NHCl水溶液を添加し、層を分離し、水相をCHClで抽出した。合わせた有機相を乾燥させ(NaSO)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題生成物(318mg、60%)を得た。
【0373】
(e)tert-ブチル(5R)-5-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-2-(((1r,4R)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-2-メチルピロリジン-1-カルボキシレート
【0374】
【化57】
(5R)-1-ベンジル-5-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-2-(((1r,4R)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-2-メチルピロリジン(300mg、0.67mmol)、Pd(OH)(炭素上20%、70.9mg、0.10mmol)、及びEtOAc(5mL)の混合物を、周囲温度及び圧力で20時間水素化した。混合物をセライトを通して濾過し、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(300mg、98%)を得た。
【0375】
(f)tert-ブチル(5R)-5-(ヒドロキシメチル)-2-((4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-2-メチルピロリジン-1-カルボキシレート
【0376】
【化58】
フッ化テトラブチルアンモニウム(THF中1M、1.32mL、1.32mmol)を、THF(5mL)中のtert-ブチル(5R-5-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-2-(((1r,4R)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-2-メチルピロリジン-1-カルボキシレート(300mg、0.66mmol)の氷冷溶液に滴下添加した。混合物を室温で一晩撹拌し、EtOで希釈し、HO及びブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、シリカゲルを通して濾過し、濃縮して、副題生成物を得た(140mg、62%)。
【0377】
(g)tert-ブチル(5R)-5-ホルミル-2-(((1r,4R)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-2-メチルピロリジン-1-カルボキシレート
【0378】
【化59】
実施例13の工程(e)の手順に従って、tert-ブチル(5R)-5-(ヒドロキシメチル)-2-(((1r,4R)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-2-メチルピロリジン-1-カルボキシレートから標題化合物を調製した。
【0379】
(h)tert-ブチル(2R,5R)-5-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-2-(((1r,4R)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-2-メチルピロリジン-1-カルボキシレート及びtert-ブチル(2R,5R)-5-((S)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-2-(((1r,4R)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-2-メチルピロリジン-1-カルボキシレート
【0380】
【化60】
3-フルオロフェニルマグネシウムブロミド(THF中1M、1.24mL、1.24mmol)を、THF(2mL)中のtert-ブチル(5R)-5-ホルミル-2-(((1r,4R)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-2-メチルピロリジン-1-カルボキシレート(140mg、0.41mmol)の撹拌した氷冷溶液に滴下添加した。混合物を0℃で30分間撹拌し、室温に到達させ、室温で30分間撹拌した。NHCl(水溶液、飽和)を添加し、混合物をEtOで抽出した。合わせた抽出物を乾燥させ(NaSO)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーによって精製して異性体の混合物を得て、これをキラル分取HPLC(Daicel ICカラム(250×30mm-5μm、40mL/分、システム:ヘプタン中10%iPrOH、λ260nm、210nm)によって分離して、標題化合物(R異性体について53mg、30%及びS異性体について69mg、38%)を得た。
【0381】
(i)(R)-(3-フルオロフェニル)((2R,5R)-5-(((1r,4R)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-5-メチルピロリジン-2-イル)メタノール塩酸塩
【0382】
【化61】
tert-ブチル(2R,5R)-5-((R-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-2-(((1r,4R)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-2-メチルピロリジン-1-カルボキシレート(49mg、0.11mmol)及びHCl(ジオキサン中4M、0.28mL、1.12mmol)の混合物を室温で16時間撹拌し、濃縮した。残渣をEtOで3回粉砕し、乾燥させて、標題化合物(33mg、79%)を得た。
[α] 20-20.0(c0.90,CHCl).
H NMR(400MHz,CDCl)δ9.47(br s,1H),8.90(br s,1H),7.33-7.26(m,1H),7.25-7.14(m,2H),7.05-6.92(m,1H),5.98(d,J=5.7Hz,1H),5.25(dd,J=10.1,5.3Hz,1H),4.14-3.81(m,1H),3.30(s,3H),3.07-2.92(m,1H),2.19-1.86(m,5H),1.86-1.67(m,5H),1.49(s,3H),1.36(br s,1H),1.21-0.92(m,4H).
【0383】
実施例18:(S)-(3-フルオロフェニル)((2R,5R)-5-(((1r,4R)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-5-メチルピロリジン-2-イル)メタノール塩酸塩
【0384】
【化62】
実施例17の工程(i)の手順に従って、tert-ブチル(2R,5R)-5-((S)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-2-(((1r,4R)-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-2-メチルピロリジン-1-カルボキシレートから標題化合物を調製した(実施例17の(h)を参照)。
[α] 20+2.2(c0.90,CHCl).
H NMRスペクトルは、R-ジアステレオマーのものと同一であった。
【0385】
実施例19:(R)-(3-フルオロフェニル)((2R,5R)-5-(4-メトキシベンジル)-5-メチルピロリジン-2-イル)メタノール塩酸塩
【0386】
【化63】
工程(d)の4-メトキシベンジルマグネシウムブロミドを使用して、実施例17の手順に従って標題化合物を調製した。
[α] 20-16.0(c1.00,CHCl).
H NMR(400MHz,CDCl)δ9.66(br s,1H),9.23(br s,1H),7.35-7.26(m,1H),7.25-7.16(m,2H),7.11(d,J=8.2Hz,2H),7.05-6.95(m,1H),6.80(d,J=8.1Hz,2H),5.97(br s,1H),5.20(d,J=9.2Hz,1H),4.14(br s,1H),3.76(s,3H),3.33-3.09(m,2H),2.15-1.97(m,1H),1.90-1.66(m,3H),1.59(s,3H).
【0387】
実施例20:(S)-(3-フルオロフェニル)((2R,5R)-5-(4-メトキシベンジル)-5-メチルピロリジン-2-イル)メタノール塩酸塩
【0388】
【化64】
工程(d)の4-メトキシベンジルマグネシウムブロミドを使用して、実施例17の手順に従って標題化合物を調製した。
[α] 20+23.2(c0.95,CHCl).
H NMRスペクトルは、(R)-ジアステレオマーのものと同一であった。
【0389】
実施例21:(R)-(5-フルオロピリジン-3-イル)((2R,5S)-5-(4-メトキシベンジル)ピロリジン-2-イル)メタノール二塩酸塩
【0390】
【化65】
【0391】
(a)tert-ブチル(2R,5S)-2-((R)-(5-フルオロピリジン-3-イル)(ヒドロキシ)メチル)-5-(4-メトキシベンジル)ピロリジン-1-カルボキシレート
【0392】
【化66】
工程(f)において3-ブロモ-5-フルオロピリジンを用いて、実施例13の工程(a)~(f)の手順に従って、副題化合物を調製した。
【0393】
(b)(R)-(5-フルオロピリジン-3-イル)((2R,5S)-5-(4-メトキシベンジル)ピロリジン-2-イル)メタノール二塩酸塩
【0394】
【化67】
TFA(1.27mL、16.56mmol)を、tert-ブチル(2R,5S)-2-((R-(5-フルオロピリジン-3-イル)(ヒドロキシ)メチル)-5-(4-メトキシベンジル)ピロリジン-1-カルボキシレート(138mg、0.33mmol)のCHCl(2mL)溶液に添加し、混合物を室温で2時間撹拌し、濃縮した。残渣を逆相クロマトグラフィー(HO/MeCN=10~95%MeCN中0.02%TFAを含むC18カラム)によって精製した。関連画分を約10mLに濃縮し、NaHCO(水溶液、飽和)の添加により塩基性にした。CHClを加え、相を分離した。水相をCHClで抽出し、合わせた有機相を乾燥させ(NaSO)、濾過し、MeCN(2mL)に溶解した。HCl(水溶液、1M、0.7mL、0.7mmol)を添加し、混合物を超音波処理し、濃縮した。ヘプタン(5mL)及びMTBE(5mL)を添加し、混合物を超音波処理し、濾過した。固形物を乾燥させて、標題化合物(82mg、63%)を得た。
H NMR(400MHz,DO+40μL CDCN)δ8.81(t,J=2.3Hz,1H),8.77(s,1H),8.46(dddd,J=8.4,2.6,1.6,0.8Hz,1H),7.32-7.26(m,2H),7.04-6.97(m,2H),5.49(d,J=3.2Hz,1H),4.21(ddd,J=10.2,7.2,3.4Hz,1H),4.02-3.91(m,1H),3.83(s,3H),3.04(qd,J=14.0,7.6Hz,2H),2.20-2.09(m,1H),2.05-1.90(m,1H),1.81-1.67(m,2H).
【0395】
実施例22~24:適切な立体化学を有する中間体を使用して、実施例21の手順に従って標題化合物を調製した。
【0396】
実施例22:(S)-(5-フルオロピリジン-3-イル)((2R,5S)-5-(4-メトキシベンジル)ピロリジン-2-イル)メタノール二塩酸塩
【0397】
【化68】
H NMR(400MHz,DO)δ8.75(t,J=2.2Hz,1H),8.72(s,1H),8.36-8.29(m,1H),7.35-7.25(m,2H),7.06-6.97(m,2H),5.41(d,J=3.6Hz,1H),4.07(td,J=8.4,3.6Hz,1H),4.00-3.89(m,1H),3.84(s,3H),3.19-2.95(m,2H),2.20-2.03(m,2H),1.96-1.75(m,2H).
【0398】
実施例23:(R)-(5-フルオロピリジン-3-イル)((2R,5R)-5-(4-メトキシベンジル)ピロリジン-2-イル)メタノール二塩酸塩
【0399】
【化69】
H NMR(400MHz,DO)δ8.82(t,J=2.4Hz,1H),8.79(d,J=1.6Hz,1H),8.45(dddd,J=8.4,2.4,1.6,0.6Hz,1H),7.32-7.24(m,2H),7.03-6.97(m,2H),5.15(d,J=7.7Hz,1H),4.09-3.94(m,2H),3.82(s,3H),3.18-2.91(m,2H),2.22-2.09(m,1H),2.06-1.93(m,1H),1.92-1.74(m,2H).
【0400】
実施例24:(S)-(5-フルオロピリジン-3-イル)((2R,5R)-5-(4-メトキシベンジル)ピロリジン-2-イル)メタノール二塩酸塩
【0401】
【化70】
H NMR(400MHz,DO)δ8.81(t,J=2.3Hz,1H),8.77(s,1H),8.46(dddd,J=8.4,2.6,1.6,0.8Hz,1H),7.32-7.26(m,2H),7.04-6.97(m,2H),5.49(d,J=3.2Hz,1H),4.21(ddd,J=10.2,7.2,3.4Hz,1H),4.02-3.91(m,1H),3.83(s,3H),3.04(qd,J=14.0,7.6Hz,2H),2.20-2.09(m,1H),2.05-1.90(m,1H),1.81-1.67(m,2H).
【0402】
実施例25:(R)-((2R,5S)-5-(4-クロロベンジル)ピロリジン-2-イル)(3-フルオロフェニル)メタノール塩酸塩
【0403】
【化71】
実施例13の工程(a)~(f)の手順に従って、工程(f)及び実施例21の工程(b)において4-クロロベンジルクロリドを用いて標題化合物を調製した。
H NMR(400MHz,CDOD)δ7.45-7.39(m,1H),7.38-7.34(m,2H),7.31-7.21(m,4H),7.11-7.05(m,1H),4.77(d,J=8.2Hz,1H),3.81-3.70(m,2H),3.21(s,1H),3.15(dd,J=13.7,6.2Hz,1H),2.98(dd,J=13.7,8.8Hz,1H),2.12-2.02(m,1H),1.95-1.75(m,3H)
【0404】
実施例26~28:適切な立体化学を有する中間体を使用して、実施例25の手順に従って標題化合物を調製した。
【0405】
実施例26:(S)-((2R,5S)-5-(4-クロロベンジル)ピロリジン-2-イル)(3-フルオロフェニル)メタノール塩酸塩
【0406】
【化72】
H NMR(400MHz,CDOD)δ7.41(td,J=7.3,6.6,5.1Hz,1H),7.39-7.35(m,2H),7.33-7.29(m,2H),7.26-7.18(m,2H),7.09-7.02(m,1H),5.06(d,J=3.6Hz,1H),3.91-3.78(m,2H),3.14(dd,J=14.0,7.1Hz,1H),3.03(dd,J=14.0,7.9Hz,1H),2.22-1.98(m,2H),1.89-1.64(m,2H)
【0407】
実施例27:(R)-((2R,5R)-5-(4-クロロベンジル)ピロリジン-2-イル)(3-フルオロフェニル)メタノール塩酸塩
【0408】
【化73】
H NMR(400MHz,CDOD)δ8.81(td,J=8.2,5.9Hz,1H),7.38-7.33(m,2H),7.32-7.23(m,4H),7.08(tdd,J=8.2,2.6,1.0Hz,1H),4.78(d,J=7.6Hz,1H),3.93-3.82(m,2H),3.20(dd,J=13.4,5.5Hz,1H),2.89(dd,J=13.4,9.8Hz),2.08-1.99(m,1H),1.90-1.68(m,3H)
【0409】
実施例28:(S)-((2R,5R)-5-(4-クロロベンジル)ピロリジン-2-イル)(3-フルオロフェニル)メタノール塩酸塩
【0410】
【化74】
H NMR(400MHz,CDOD)δ7.44-7.29(m,5H),7.27-7.18(m,2H),7.07-7.00(m,1H),5.15(d,J=3.4Hz,1H),4.08-3.99(m,1H),3.96-3.84(m,1H),3.17(dd,J=13.7,6.6Hz,1H),2.98(dd,J=13.7,8.6Hz,1H),2.14-1.99(m,2H),1.77-1.59(m,2H)
【0411】
実施例29~32:実施例25の手順に従って、適切な工程において(5-フルオロピリジン-3-イル)マグネシウムブロミドを使用して標題化合物を調製した。
【0412】
実施例29:(R)-((2R,5S)-5-(4-クロロベンジル)ピロリジン-2-イル)(5-フルオロピリジン-3-イル)メタノール二塩酸塩
【0413】
【化75】
H NMR(400MHz,CDOD)δ8.98(s,1H),8.93(s,1H),8.62-8.55(m,1H),7.39-7.28(m,4H),5.25(d,J=6.6Hz,1H),3.96(td,J=8.2,6.6Hz,1H),3.87-3.76(m,1H),3.23(dd,J=13.6,6.1Hz,1H),3.02(dd,J=13.8,9.0Hz,1H),2.17-1.97(m,3H),1.95-1.84(m,1H).
【0414】
実施例30:(S)-((2R,5S)-5-(4-クロロベンジル)ピロリジン-2-イル)(5-フルオロピリジン-3-イル)メタノール二塩酸塩
【0415】
【化76】
H NMR(400MHz,CDOD)δ8.70(s,1H),8.69(s,1H),8.19(d,J=9.0Hz,1H),7.41-7.28(m,4H),5.35(d,J=3.8Hz,1H),4.02(td,J=8.2,3.8Hz,1H),3.90(p,J=7.8Hz,1H),3.21(dd,J=13.9,6.8Hz,1H),3.06(dd,J=13.9,8.2Hz,1H),2.20-2.00(m,2H),1.95-1.74(m,2H).
【0416】
実施例31:(R)-((2R,5R)-5-(4-クロロベンジル)ピロリジン-2-イル)(5-フルオロピリジン-3-イル)メタノール二塩酸塩
【0417】
【化77】
H NMR(400MHz,CDOD)δ9.03-8.99(m,1H),8.94(s,1H),8.68-8.60(m,1H),7.39-7.28(m,4H),5.22(d,J=5.8Hz,1H),4.16-4.06(m,1H),3.99-3.87(m,1H),3.21(dd,J=13.6,5.8Hz,1H),2.93(dd,J=13.6,9.4Hz,1H),2.17-2.07(m,2H),2.06-1.95(m,1H),1.88-1.74(m,1H).
【0418】
実施例32:(S)-((2R,5R)-5-(4-クロロベンジル)ピロリジン-2-イル)(5-フルオロピリジン-3-イル)メタノール二塩酸塩
【0419】
【化78】
H NMR(400MHz,CDOD)δ8.96(s,1H),8.88(s,1H),8.54(d,J=8.6Hz,1H),7.41-7.30(m,4H),5.46(d,J=3.0Hz,1H),4.22(ddd,J=9.8,7.0,3.2Hz,1H),3.99-3.87(m,1H),3.19(dd,J=13.8,6.8Hz,1H),3.02(dd,J=13.8,8.4Hz,1H),2.18-1.96(m,2H),1.82-1.67(m,2H).
【0420】
実施例33:N-ベンジル-N-((1R,4s)-4-(((2S,5R)-5-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピロリジン-2-イル)メチル)シクロヘキシル)アセトアミド塩酸塩
【0421】
【化79】
【0422】
(a)メチル(R)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-6-(ジメトキシホスホリル)-5-オキソヘキサノエート
【0423】
【化80】
n-ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、1.73mL、4.32mmol)を、-78℃でトルエン(40mL)中のジメチルメチルホスホネート(0.46mL、4.32mmol)の溶液に添加した。混合物を-78℃で20分間撹拌し、トルエン(30mL)中のtert-ブチル(R)-2-アセトキシ-5-オキソピロリジン-1-カルボキシレート(1.00g、4.11mmol)の溶液に-78℃で滴下添加した。1時間後、冷却浴を取り外し、撹拌した混合物を30分かけて室温にした。NHCl(水溶液、飽和)を添加し、層を分離した。水層をEtOAcで抽出し、合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(1.40g、93%)を得た。
【0424】
(b)メチル(R)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-5-オキソ-6-(1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-イリデン)ヘキサノエート
【0425】
【化81】
THF(10mL)中のメチル(R)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-6-(ジメトキシホスホリル)-5-オキソヘキサノエート(1.2g、3.27mmol)の溶液を、THF(30mL)中のt-BuOK(403mg、3.59mmol)の撹拌した混合物に室温で滴下添加し、室温で1時間撹拌した。1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-オン(561mg、3.59mmol)を一度で添加し、混合物を室温で4日間撹拌した。混合物を水で希釈し、EtOで抽出した。合わせた抽出物を水及びブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(980mg、76%)を得た。
【0426】
(c)1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,5S)-5-((1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-イル)メチル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート
【0427】
【化82】
Pd-C(10%、375mg、0.35mmol)を、MeOH(25mL)中のメチル(R)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-5-オキソ-6-(1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-イリデン)ヘキサノエート(1.4g、3.52mmol)の溶液に一度で添加し、続いてEtSiH(5.63mL、35.22mmol)を室温で滴下添加した。混合物を室温で30分間撹拌し、濾過した。フィルタをMeOHで洗浄し、合わせた濾液を濃縮した。残渣をCHCl(25mL)に溶解し、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(3.0g、14.09mmol)を添加し、混合物を氷浴中で冷却した。MeSiCl(3.58mL、28.18mmol)を滴下添加し、氷浴を取り外し、混合物を室温で16時間撹拌した。HOを添加し、混合物をEtOAcで抽出した。合わせた抽出物をHO及びブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(810mg、60%)を得た。
【0428】
(d)1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,5S)-5-((4-オキソシクロヘキシル)メチル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート
【0429】
【化83】
O(0.5mL)、続いてTsOH.HO(190mg、1.04mmol)を、1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,5S)-5-((1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-イル)メチル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(800mg、2.09mmol)のアセトン(7mL)中溶液を添加した。混合物を60℃で2時間加熱し、室温まで冷却して、濃縮した。残渣をNaHCO(水溶液、飽和)で処理し、混合物をEtOAcで抽出した。合わせた抽出物を乾燥させ(NaSO)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(569mg、80%)を得た。
【0430】
(e)1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,5S)-5-(((1s,4R)-4-(ベンジルアミノ)シクロヘキシル)メチル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート及び1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,5S)-5-(((1r,4S)-4-(ベンジルアミノ)シクロヘキシル)メチル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート
【0431】
【化84】
ベンジルアミン(366μL、3.35mmol)を、1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,5S)-5-((4-オキソシクロヘキシル)メチル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(379mg、1.12mmol)のMeOH(10mL)溶液を室温で滴下添加した。混合物を室温で30分間撹拌し、氷浴で冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(127mg、3.35mmol)を一度で添加し、氷浴を取り外し、混合物を室温で1時間撹拌した。HOを添加し、混合物をCHClで抽出した。合わせた抽出物を乾燥させ(NaSO)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、(1s,4R)-異性体について144mg(30%)及び(1r,4S)-異性体について220mg(46%)の副題化合物を得た。
【0432】
(f)1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,5S)-5-(((1s,4R)-4-(N-ベンジルアセトアミド)シクロヘキシル)メチル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート
【0433】
【化85】
EtN(170μL,1.22mmol)、続いて塩化アセチル(87μL,1.22mmol)を、CHCl(5mL)中の1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,5S-5-(((1s,4R)-4-(ベンジルアミノ)シクロヘキシル)メチル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(263mg、0.61mmol)の溶液に室温で添加した。混合物を室温で1時間撹拌し、NaHCO(水溶液、飽和)で処理し、CHClで抽出した。合わせた抽出物を乾燥させ(NaSO)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(280mg、97%)を得た。
【0434】
(g)tert-ブチル(2S,5R)-2-(((1s,4R)-4-(N-ベンジルアセトアミド)シクロヘキシル)メチル)-5-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート
【0435】
【化86】
LiBH(THF中4M、254μL、1.02mmol)を、1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,5S-5-(((1s,4R)-4-(N-ベンジルアセトアミド)シクロヘキシル)メチル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(240mg,0.51mmol)のTHF(8mL)溶液に0℃で滴下添加した。撹拌した混合物を16時間かけてゆっくりと室温にし、氷浴中で冷却し、HOでクエンチし、EtOで抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮して、副題化合物(208mg、92%)を得た。
【0436】
(h)tert-ブチル(2S,5R)-2-(((1s,4R)-4-(N-ベンジルアセトアミド)シクロヘキシル)メチル)-5-ホルミルピロリジン-1-カルボキシレート
【0437】
【化87】
デス-マーチンペルヨージナン(229mg,0.54mmol)のCHCl(5mL)溶液を、tert-ブチル(2S,5R)-2-(((1s,4R)-4-(N-ベンジルアセトアミド)シクロヘキシル)メチル)-5-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(200mg,0.45mmol)のCHCl(10mL)溶液にシリンジを介して室温で添加した。混合物を室温で1時間撹拌した。NaOH(水溶液、1M、10mL)を添加し、混合物を10分間激しく撹拌した。層を分離し、水相をCHClで抽出した。合わせた有機相を、乾燥させ(NaSO)、濃縮して、副題化合物(189mg、95%)を得、それを更に精製することなく次の工程で使用した。
【0438】
(i)tert-ブチル(2S,5R)-2-(((1s,4R)-4-(N-ベンジルアセトアミド)シクロヘキシル)メチル)-5-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピロリジン-1-カルボキシレート、及び
tert-ブチル(2S,5R)-2-(((1s,4R)-4-(N-ベンジルアセトアミド)シクロヘキシル)メチル)-5-((S)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピロリジン-1-カルボキシレート
【0439】
【化88】
新たに調製した3-フルオロフェニルマグネシウムブロミド(THF中1M、1.28mL、1.28mmol)を、THF(3mL)中のtert-ブチル(2S,5R)-2-(((1s,4R)-4-(N-ベンジルアセトアミド)シクロヘキシル)メチル)-5-ホルミルピロリジン-1-カルボキシレート(189mg、0.43mmol)の撹拌溶液に0℃で滴下添加した。混合物を0℃で30分及び室温で1時間撹拌し、NHCl(水溶液、飽和)でクエンチした。混合物をEtOで抽出し、合わせた抽出物を乾燥させ(NaSO)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し、ジアステレオマーを分取キラルクロマトグラフィー(DAICEL CHIRALPAK IC 250×30mm-5μm、40mL/分;15%iPrOH、ヘプタン中30%CHCl、λ262nm、210nm)により精製して、副題化合物、(R)異性体について47mg(20%)及び(S)異性体について42mg(18%)を得た。
【0440】
(j)N-ベンジル-N-((1R,4s)-4-(((2S,5R)-5-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピロリジン-2-イル)メチル)シクロヘキシル)アセトアミド塩酸塩
【0441】
【化89】
HCl(ジオキサン中4M、436μL、1.75mmol)を、tert-ブチル(2S,5R)-2-(((1s,4R)-4-(N-ベンジルアセトアミド)シクロヘキシル)メチル)-5-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(47mg、0.09mmol)に添加した。混合物を室温で2時間撹拌し、濃縮乾固した。残渣をEtOで粉砕し、風乾して、標題化合物(35mg、84%)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ9.87(br s,1H),9.24-8.88(m,1H),7.34-7.26(m,1H),7.25-7.14(m,5H),7.14-7.02(m,2H),6.96(t,J=8.2Hz,1H),6.04-5.77(m,1H),5.27-5.05(m,1H),4.66-4.31(m,2H),4.22-3.98(m,1H),3.86-3.66(m,1H),3.55(br s,1H),2.35(d,J=29.3Hz,1H),2.25-1.98(m,3H),1.89(s,3H),1.85-1.69(m,5H),1.69-1.59(m,2H),1.59-1.53(m,2H),1.53-1.36(m,2H).
【0442】
実施例34:N-((1S,4r)-4-(((2S,5R)-5-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピロリジン-2-イル)メチル)シクロヘキシル)アセトアミド塩酸塩
【0443】
【化90】
N-ベンジル-N-((1R,4s)-4-(((2S,5R)-5-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピロリジン-2-イル)メチル)シクロヘキシル)アセトアミド塩酸塩(24mg、0.05mmol、実施例33の工程(j)を参照)、炭素上のPd(OH)(20%Pd、50%HO、18mg、0.03mmol)、及び酢酸(0.5mL)の撹拌混合物を48時間水素化した(10atm、室温)。混合物を濾過し、固体をAcOHで洗浄した。合わせた濾液を濃縮し、残渣をNaHCO(水溶液、飽和)とCHClとの間で分配した。層を分離し、水層をCHClで洗浄した。合わせた抽出物を乾燥させ(NaSO)、濃縮した。残渣をアミノ官能化シリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製した。生成物含有画分を濃縮し、ジオキサン(0.5mL)に溶解した。HCl(EtO中2M、50μL、0.1mmol)を添加し、混合物を室温で15分間撹拌し、濃縮した。残渣をEtOで粉砕し、風乾して、標題化合物(9mg、46%)を得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ7.46-7.37(m,1H),7.31-7.21(m,2H),7.12-7.03(m,1H),4.77(d,J=8.3Hz,1H),3.94-3.84(m,1H),3.78(q,J=8.5Hz,1H),3.72-3.61(m,1H),2.30-2.18(m,1H),1.96(s,3H),1.92-1.81(m,3H),1.80-1.24(m,11H).
【0444】
実施例35:N-ベンジル-N-((1R,4s)-4-(((2S,5R)-5-((S)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピロリジン-2-イル)メチル)シクロヘキシル)アセトアミド塩酸塩
【0445】
【化91】
実施例33の工程(j)の手順に従って、tert-ブチル(2S,5R)-2-(((1s,4R)-4-(N-ベンジルアセトアミド)シクロヘキシル)メチル)-5-((S)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピロリジン-1-カルボキシレートから標題化合物を調製した(実施例33の工程(i)を参照)。
H NMR(400MHz,CDOD)δ10.47(br s,1H),8.34-7.99(m,1H),7.36-7.28(m,1H),7.30-7.20(m,3H),7.22-7.13(m,3H),7.14-7.08(m,1H),6.99-6.88(m,1H),5.40(br s,1H),5.34-5.17(m,1H),4.72-4.34(m,2H),4.14-4.01(m,1H),3.94(br s,1H),3.52(br s,1H),2.21-2.14(m,1H),2.15-2.06(m,1H),2.06-1.98(m,2H),1.96(s,3H),1.87-1.62(m,3H),1.65-1.50(m,4H),1.51-1.31(m,4H).
【0446】
実施例36:N-((1R,4s)-4-(((2S,5R)-5-((S)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピロリジン-2-イル)メチル)シクロヘキシル)アセトアミド
【0447】
【化92】
実施例33の工程(j)及び実施例34の手順に従って、tert-ブチル(2S,5R)-2-(((1s,4R)-4-(N-ベンジルアセトアミド)シクロヘキシル)メチル)-5-((S)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピロリジン-1-カルボキシレートから、標題化合物を調製した(実施例33の工程(j)を参照)。
H NMR(400MHz,CDOD)δ7.46-7.37(m,1H),7.30-7.17(m,2H),7.09-7.01(m,1H),5.08(d,J=3.7Hz,1H),3.94-3.85(m,2H),3.75-3.62(m,1H),2.24-2.03(m,3H),1.98(s,3H),1.91-1.48(m,10H),1.48-1.35(m,2H).
【0448】
実施例37:N-ベンジル-N-((1R,4s)-4-(((2S,5R)-5-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピロリジン-2-イル)メチル)シクロヘキシル)メタンスルホンアミド塩酸塩
【0449】
【化93】
【0450】
(a)1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,5S)-5-(((1s,4R)-4-(N-ベンジルメチルスルホンアミド)シクロヘキシル)メチル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート
【0451】
【化94】
EtN(78μL、0.56mmol)、続いて塩化メシル(43μL、0.56mmol)を、1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,5S)-5-(((1s,4R)-4-(ベンジルアミノ)シクロヘキシル)メチル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(実施例33の工程(e)を参照)、(120mg、0.28mmol)のCHCl(5mL)溶液に室温で添加した。混合物を室温で1時間撹拌し、NaHCO(水溶液、飽和)でクエンチ、CHClで抽出した。合わせた抽出物を乾燥させ(NaSO)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(280mg、97%)を得た。
【0452】
(b)N-ベンジル-N-((1R,4s)-4-(((2S,5R)-5-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピロリジン-2-イル)メチル)シクロヘキシル)メタンスルホンアミド塩酸塩
【0453】
【化95】
実施例33の工程(g)~(i)の手順に従って、1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,5S)-5-(((1s,4R)-4-(N-ベンジルメチルスルホンアミド)シクロヘキシル)メチル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレートから標題化合物を製造した。
H NMR(400MHz,CDCl)δ9.79(br s,1H),8.92(br s,1H),7.42-7.36(m,2H),7.30-7.26(m,2H),7.25-7.17(m,2H),7.12-7.05(m,2H),7.02-6.94(m,1H),5.86(br s,1H),5.15(d,J=9.9Hz,1H),4.32(ABq,J=15.6Hz,2.9Hz,2H),3.84-3.64(m,1H),3.64-3.37(m,2H),2.73(s,3H),2.32-2.18(m,1H),2.17-1.91(m,2H),1.87-1.73(m,4H),1.73-1.57(m,4H),1.57-1.38(m,4H).
【0454】
実施例38:N-((1R,4s)-4-(((2S,5R)-5-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピロリジン-2-イル)メチル)シクロヘキシル)メタンスルホンアミド塩酸塩
【0455】
【化96】
実施例33の工程(j)の手順に従って、N-ベンジル-N-((1R,4s)-4-(((2S,5R)-5-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピロリジン-2-イル)メチル)シクロヘキシル)メタンスルホンアミドから標題化合物を製造した。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.49-7.36(m,1H),7.33-7.20(m,2H),7.16-7.03(m,1H),4.77(d,J=8.3Hz,1H),3.77(q,J=8.5Hz,1H),3.71-3.59(m,1H),3.59-3.47(m,1H),2.96(s,3H),2.32-2.19(m,1H),1.94-1.35(m,14H).
【0456】
実施例39:N-ベンジル-N-((1R,4s)-4-(((2S,5R)-5-((S)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピロリジン-2-イル)メチル)シクロヘキシル)メタンスルホンアミド塩酸塩
【0457】
【化97】
実施例37の工程(a)及び(b)の手順に従って、1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,5S)-5-(((1s,4R)-4-(ベンジルアミノ)シクロヘキシル)メチル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレートから標題化合物を製造した(実施例33の工程(e)を参照)。
H NMR(400MHz,CDCl)δ10.46(br s,1H),8.01(br s,1H),7.42-7.36(m,2H),7.36-7.29(m,2H),7.29-7.21(m,2H),7.20-7.14(m,1H),7.13-7.07(m,1H),6.97-6.89(m,1H),5.41(s,1H),5.18(br s,1H),4.34(ABq,J=15.7Hz,7.8Hz,2H),3.93(t,J=8.1Hz,1H),3.56-3.38(m,2H),2.79(s,3H),2.15-2.05(m,1H),2.06-1.92(m,2H),1.91-1.79(m,2H),1.79-1.65(m,3H),1.65-1.56(m,2H),1.56-1.36(m,5H).
【0458】
実施例40:N-((1R,4s)-4-(((2S,5R)-5-((S)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピロリジン-2-イル)メチル)シクロヘキシル)メタンスルホンアミド塩酸塩
【0459】
【化98】
実施例33の工程(j)の手順に従って、N-ベンジル-N-((1R,4s)-4-(((2S,5R)-5-((S)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピロリジン-2-イル)メチル)シクロヘキシル)メタンスルホンアミドから標題化合物を調製した。
H NMR(400MHz,CDOD)δ7.38-7.27(m,1H),7.21-7.05(m,2H),7.00-6.90(m,1H),4.96(d,J=3.8Hz,1H),3.78(td,J=7.9,3.8Hz,1H),3.63-3.52(m,1H),3.48-3.40(m,1H),2.84(s,3H),2.24-0.70(m,15H).
【0460】
実施例41:N-ベンジル-N-((1S,4r)-4-(((2S,5R)-5-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピロリジン-2-イル)メチル)シクロヘキシル)アセトアミド塩酸塩
【0461】
【化99】
実施例33の工程(f)~(j)の手順に従って、1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,5S)-5-(((1r,4S)-4-(ベンジルアミノ)シクロヘキシル)メチル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレートから標題化合物を調製した(実施例33の工程(e)を参照)。
H NMR(400MHz,CDCl)δ10.45(br s,1H),8.06(br s,1H),7.32(m,1H),7.25-7.17(m,3H),7.18-7.08(m,4H),6.97-6.86(m,1H),5.41(br s,1H),5.29-5.06(m,1H),4.54-4.38(m,1H),4.36(br s,1H),4.30-4.19(m,1H),3.95(br s,1H),3.68-3.44(m,1H),2.18(br s,1H),2.15-2.00(m,1H),1.98(s,3H),1.95-1.78(m,2H),1.78-1.50(m,6H),1.49-1.21(m,3H),1.13-0.82(m,2H).
【0462】
実施例42:N-((1S,4r)-4-(((2S,5R)-5-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピロリジン-2-イル)メチル)シクロヘキシル)アセトアミド塩酸塩
【0463】
【化100】
実施例34の手順に従って、N-ベンジル-N-((1S,4r)-4-(((2S,5R)-5-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピロリジン-2-イル)メチル)シクロヘキシル)アセトアミドから標題化合物を調製した。
H NMR(400MHz,CDOD)δ7.47-7.34(m,1H),7.31-7.19(m,2H),7.12-7.02(m,1H),4.77(d,J=8.3Hz,1H),3.76(q,J=8.5Hz,1H),3.69-3.50(m,2H),2.33-2.15(m,1H),1.91(s,3H),1.92-1.79(m,5H,overlapping),1.79-1.55(m,4H),1.45-0.98(m,5H).
【0464】
実施例43:N-ベンジル-N-((1S,4r)-4-(((2S,5R)-5-((S)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピロリジン-2-イル)メチル)シクロヘキシル)アセトアミド塩酸塩
【0465】
【化101】
実施例33の工程(f)~(j)の手順に従って、1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,5S)-5-(((1r,4S)-4-(ベンジルアミノ)シクロヘキシル)メチル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレートから標題化合物を調製した(実施例33の工程(e)を参照)。
H NMR(400MHz,CDCl)δ9.73(br s,1H),9.13(br s,1H),7.38-7.29(m,1H),7.29-7.20(m,3H),7.20-7.15(m,2H),7.15-7.07(m,2H),6.98-6.90(m,1H),5.77(br s,1H),5.24-4.97(m,1H),4.57-4.29(m,2H),4.25-4.02(m,1H),3.88-3.68(m,1H),3.68-3.46(m,1H),2.21(s,1H),2.12-2.01(m,1H),2.00(s,3H),1.90-1.72(m,4H),1.72-1.57(m,4H),1.57-1.20(m,3H),1.09-0.92(m,2H)
【0466】
実施例44:N-((1S,4r)-4-(((2S,5R)-5-((S)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピロリジン-2-イル)メチル)シクロヘキシル)アセトアミド塩酸塩
【0467】
【化102】
実施例34の手順に従って、N-ベンジル-N-((1S,4r)-4-(((2S,5R)-5-((S)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピロリジン-2-イル)メチル)シクロヘキシル)アセトアミド塩酸塩から標題化合物を調製した。
H NMR(400MHz,CDOD δ7.48-7.32(m,1H),7.34-7.12(m,2H),7.13-6.96(m,1H),5.06(d,J=3.7Hz,1H),3.88(td,J=7.9,3.7Hz,1H),3.78-3.51(m,2H),2.29-1.98(m,2H),1.92(s,3H),2.00-1.52(m,8H),1.46-0.96(m,5H).
【0468】
実施例45:N-ベンジル-N-((1S,4r)-4-(((2S,5R)-5-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピロリジン-2-イル)メチル)シクロヘキシル)メタンスルホンアミド塩酸塩
【0469】
【化103】
実施例37の工程(a)及び(b)の手順に従って、1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,5S)-5-(((1r,4S)-4-(ベンジルアミノ)シクロヘキシル)メチル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレートから標題化合物を調製した(実施例33の工程(e)を参照)。
H NMR(300MHz,CDCl)δ10.31(br s,1H),7.93(br s,1H),7.32-7.00(m,8H),6.89-6.72(m,1H),5.35(s,1H),5.08(s,1H),4.19(br s,2H),3.99-3.77(m,1H),3.65-3.39(m,2H),2.67(s,3H),2.14-1.13(m,13H),0.86(m,2H).
【0470】
実施例46:N-((1S,4r)-4-(((2S,5R)-5-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピロリジン-2-イル)メチル)シクロヘキシル)メタンスルホンアミド塩酸塩
【0471】
【化104】
実施例34の手順に従って、N-ベンジル-N-((1S,4r)-4-(((2S,5R)-5-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピロリジン-2-イル)メチル)シクロヘキシル)メタンスルホンアミドから標題化合物を調製した。
H NMR(400MHz,CDOD)δ7.40(m,1H),7.29-7.15(m,2H),7.11-7.00(m,1H),4.67(d,J=8.0Hz,1H),3.61(q,J=8.3Hz,1H),3.55-3.42(m,1H),3.16(tt,J=11.6,4.0Hz,1H),2.94(s,3H),2.21-1.97(m,4H),1.95-1.80(m,2H),1.80-1.71(m,2H),1.71-1.49(m,3H),1.42-1.24(m,3H),1.15-1.00(m,2H).
【0472】
実施例47:N-ベンジル-N-((1S,4r)-4-(((2S,5R)-5-((S)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピロリジン-2-イル)メチル)シクロヘキシル)メタンスルホンアミド塩酸塩
【0473】
【化105】
実施例37の工程(a)及び(b)の手順に従って、1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,5S)-5-(((1r,4S)-4-(ベンジルアミノ)シクロヘキシル)メチル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレートから標題化合物を調製した(実施例33の工程(e)を参照)。
H NMR(300MHz,CDCl)δ10.42(br s,1H),8.00(br s,1H),7.43-7.04(m,8H),6.99-6.76(m,1H),5.43(br s,1H),5.11(s,1H),4.26(s,2H),3.95(br s,1H),3.72-3.43(m,2H),2.73(s,3H),2.21-1.17(m,13H),1.11-0.77(m,2H).
【0474】
実施例48:N-((1S,4r)-4-(((2S,5R)-5-((S)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピロリジン-2-イル)メチル)シクロヘキシル)メタンスルホンアミド塩酸塩
【0475】
【化106】
実施例34の手順に従って、N-ベンジル-N-((1S,4r)-4-(((2S,5R)-5-((S)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピロリジン-2-イル)メチル)シクロヘキシル)メタンスルホンアミドから標題化合物を調製した。
H NMR(400MHz,CDOD)δ7.41(m,1H),7.30-7.15(m,2H),7.11-6.99(m,1H),5.06(d,J=3.7Hz,1H),3.88(td,J=7.9,3.7Hz,1H),3.74-3.58(m,1H),3.17(tt,J=11.5,4.1Hz,1H),2.94(s,3H),2.21-1.98(m,4H),1.95-1.81(m,2H),1.81-1.67(m,3H),1.67-1.56(m,1H),1.43-1.24(m,3H),1.17-1.03(m,2H).
【0476】
生物学的実施例
L6-筋芽細胞を、10%のウシ胎仔血清、2mMのL-グルタミン、50U/mlのペニシリン、50μg/mlのストレプトマイシン、及び10mMのHEPESを補充したグルコースを含む1g/Lのグルコースを含有するダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中で増殖させた。細胞を、24ウェルプレート中に1×10細胞/mLで播種した。90%コンフルエンスに達した後、細胞を、2%のFBSを含有する培地中で7日間増殖させ、そこで細胞を筋管に分化させた。
【0477】
生物学的実施例1:グルコース取り込み
分化したL6-筋管を、0.5%無脂肪酸BSAを含有する培地中で一晩血清飢餓状態にし、最終濃度1×10-5Mの作動薬で刺激した。1時間40分後、細胞を温かい無グルコース培地又はPBSで2回洗浄し、別の部分の作動薬を無グルコース培地に添加した。20分後、細胞を50nMのH-2-デオキシ-グルコースに更に10分間暴露した後、氷冷グルコース不含培地又はPBSで3回洗浄し、0.2MのNaOH、400μL/ウェルで60℃で1時間溶解した。細胞溶解物を4mLのシンチレーション緩衝液(Emulsifier Safe、Perkin Elmer)と混合し、放射能をβカウンター(Tri-Carb 4810TR、Perkin Elmer)で検出した。各化合物の活性を、イソプロテレノールの活性と比較する。化合物がイソプロテレノールの活性の75%超の活性を示す場合、その活性を+++で示し、75~50%の場合、++で示し、50~25%の場合、+で示し、25%未満の場合、-で示す。
【0478】
生物学的実施例2:細胞内cAMPレベルの測定
分化した細胞を、一晩血清不足状態にし、刺激緩衝液(1%のBSA、5mMのHEPES、及び1mMのIBMX、pH7.4を補充したHBSS)中、最終濃度1x10-Mの作動薬で15分間刺激した。培地を吸引し、100μLの95%EtOHを24ウェルプレートの各ウェルに添加し、細胞を-20℃で一晩維持した。EtOHを蒸発させて、500μLの溶解緩衝液(1%BSA、5mM HEPES及び0.3%Tween20、pH7.4)を各ウェルに添加した。プレートを-80℃で30分間維持し、次いで、試料を解凍した検出日まで-20℃で維持した。アルファスクリーンcAMPキット(Perkin Elmer、6760635D)を用いて、細胞内cAMPレベルを検出した。各化合物の活性を、イソプロテレノールの活性と比較する。化合物がイソプロテレノールの活性の75%超の活性を示す場合、その活性を+++で示し、75~50%の場合、++で示し、50~25%の場合、+で示し、25%未満の場合、-で示す。
【0479】
生物学的実施例3:β-作動薬ICI-118551の存在下でのグルコース取り込み
分化したL6-筋管を、0.5%脂肪酸不含BSAを含有する培地中で一晩血清飢餓状態にし、最終濃度1×10-5Mのβアドレナリン受容体作動薬ICI-118551と共に30分間インキュベートした。細胞を最終濃度1×10-5Mの本発明の化合物で刺激した。1時間40分後、細胞を温かいグルコース不含培地又はPBSで2回洗浄し、本発明の化合物及び作動薬の更なる部分を添加した。20分後、細胞を50nMのH-2-デオキシ-グルコースに更に10分間暴露した後、氷冷グルコース不含培地又はPBSで3回洗浄し、0.2MのNaOH中、400μL/ウェルで60℃で1時間溶解した。細胞溶解物を4mLのシンチレーション緩衝液(Emulsifier Safe、Perkin Elmer)と混合し、放射能をβカウンター(Tri-Carb 4810TR、Perkin Elmer)で検出した。各化合物の活性を、イソプロテレノールの活性と比較する。化合物がイソプロテレノールの活性の75%超の活性を示す場合、その活性を+++で示し、75~50%の場合、++で示し、50~25%の場合、+で示し、25%未満の場合、-で示す。
【0480】
生物学的実施例1、2、及び3に記載のアッセイを用いて、以下の結果を得た。
【0481】
【表1】
【国際調査報告】