(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】単子葉植物種子から切除された胚外植片を形質転換するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
A01H 1/00 20060101AFI20241001BHJP
A01H 6/46 20180101ALI20241001BHJP
【FI】
A01H1/00 A
A01H6/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518721
(86)(22)【出願日】2022-09-26
(85)【翻訳文提出日】2024-05-22
(86)【国際出願番号】 US2022077024
(87)【国際公開番号】W WO2023049898
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】501231613
【氏名又は名称】モンサント テクノロジー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100216839
【氏名又は名称】大石 敏幸
(74)【代理人】
【識別番号】100228980
【氏名又は名称】副島 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】アルセノールト,ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ユロン
(72)【発明者】
【氏名】カン,ビュン-グク
(72)【発明者】
【氏名】カンプフ,ジェニファー
(72)【発明者】
【氏名】マーティネル,ブライアン・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】モラー,ロレーナ・ビー
(72)【発明者】
【氏名】サルタリコス,メアリー・アン
(72)【発明者】
【氏名】シュラワト,アショーク
(72)【発明者】
【氏名】スッバラオ,シュブハ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,エドワード・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】イェ,シュドン
(57)【要約】
本発明は、単子葉植物種子から切除された胚外植片の形質転換を向上するための新規な組成物及び方法を提供し、これは、外植片の調製、外植片の再水和、Rhizobiales細菌の接種及び共培養、出芽誘導、拡大出芽誘導、または遺伝子改変植物もしくは植物部分の再生のうちの1つ以上の工程を含み得る。本明細書で提供される方法は、異種ポリヌクレオチドを含むRhizobiales細菌を胚外植片に接種することによって、胚外植片の少なくとも1つの植物細胞を異種ポリヌクレオチドで形質転換することを含み得る。本明細書で提供される方法は、形質転換または編集された植物細胞または外植片から遺伝子改変植物または植物部分を再生する方法も含む。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺伝子改変単子葉植物または植物部分を作出する方法であって、
分裂組織を含む単子葉植物種子胚外植片の少なくとも1つの細胞を異種ポリヌクレオチド分子で形質転換する能力を有するRhizobiales細菌を含む接種培地を、前記胚外植片に接種することによって、前記少なくとも1つの細胞に前記異種ポリヌクレオチド分子を導入することと、
前記胚外植片を共培養培地と接触させて前記Rhizobiales細菌と共培養することと、
第1のオーキシン及び第1のサイトカイニンを含む第1の出芽誘導培地と接触させて前記胚外植片を培養することと、
前記第1のオーキシンまたは第2のオーキシン、及び前記第1のサイトカイニンまたは第2のサイトカイニンを含む第2の出芽誘導培地と接触させて前記胚外植片を培養することと、
前記胚外植片から前記遺伝子改変単子葉植物または植物部分を再生することと、を含む、前記方法。
【請求項2】
前記植物部分がシュートまたは根である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記胚外植片が、前記第1の出芽誘導培地と接触して約2日~約14日、または約6日~約8日の範囲の期間にわたって培養される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記胚外植片が、前記第1の出芽誘導培地と接触して約20℃~約40℃、約25℃~約30℃、約30℃~約40℃、約30℃~約37℃、及び約33℃~約35℃からなる群から選択される範囲の温度で培養される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の出芽誘導培地が、高いサイトカイニン対オーキシン比を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の出芽誘導培地の前記第1のオーキシンが、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、4-アミノ-3,5,6-トリクロロピコリン酸(ピクロラム)、インドール-3-酢酸(IAA)、インドール-3-酪酸(IBA)、ナフタレン酢酸(NAA)、4-クロロフェノキシ酢酸またはp-クロロ-フェノキシ酢酸(4-CPAまたはpCPA)、2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸(2,4,5-T)、2,3,5-トリヨード安息香酸(TIBA)、フェニル酢酸(PAA)、及び3,6-ジクロロ-2-メトキシ-安息香酸(ジカンバ)からなる群から選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の出芽誘導培地の前記第1のオーキシンが、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の出芽誘導培地の前記第1のオーキシンが、4-アミノ-3,5,6-トリクロロピコリン酸(ピクロラム)である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の出芽誘導培地の前記第1のオーキシンの濃度が、約0.02mg/L~約25mg/Lであるか、または約1mg/L~約2mg/Lである、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の出芽誘導培地の前記第1のサイトカイニンが、6-ベンジルアミノプリン(BAP)、チジアズロン(TDZ)、カイネチン、ゼアチン、ジフェニル尿素(DPU)、6-(γ,γ-ジメチルアリルアミノ)プリン(2iP)、及びメタ-トポリンからなる群から選択される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の出芽誘導培地の前記第1のサイトカイニンが、6-ベンジルアミノプリン(BAP)である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の出芽誘導培地の前記第1のサイトカイニンが、チジアズロン(TDZ)である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の出芽誘導培地の前記第1のサイトカイニンの濃度が、約0.1mg/L~約50mg/Lの範囲内である、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のサイトカイニンがBAPであり、前記第1の出芽誘導培地の前記BAPの濃度が約10mg/Lである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のサイトカイニンがTDZであり、前記第1の出芽誘導培地の前記TDZの濃度が約2mg/Lである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の出芽誘導培地が固体培地である、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記胚外植片が、前記第2の出芽誘導培地と接触して約4日~約28日、または約7日~約14日の範囲の期間にわたって培養される、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記胚外植片が、前記第2の出芽誘導培地と接触して約20℃~約32℃、約25℃~約29℃、または約27℃~約28℃の範囲の温度で培養される、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の出芽誘導培地が、高いサイトカイニン対オーキシン比を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の出芽誘導培地が、
a)前記第1のオーキシン及び前記第1のサイトカイニン;
b)前記第1のオーキシン及び前記第2のサイトカイニン;
c)前記第2のオーキシン及び前記第1のサイトカイニン;または
d)前記第2のオーキシン及び前記第2のサイトカイニンを含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の出芽誘導培地の前記第1のオーキシンまたは前記第2のオーキシンが、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、4-アミノ-3,5,6-トリクロロピコリン酸(ピクロラム)、インドール-3-酢酸(IAA)、インドール-3-酪酸(IBA)、ナフタレン酢酸(NAA)、4-クロロフェノキシ酢酸またはp-クロロ-フェノキシ酢酸(4-CPAまたはpCPA)、2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸(2,4,5-T)、2,3,5-トリヨード安息香酸(TIBA)、フェニル酢酸(PAA)、及び3,6-ジクロロ-2-メトキシ-安息香酸(ジカンバ)からなる群から選択される、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記第2の出芽誘導培地の前記第1のオーキシンまたは前記第2のオーキシンが、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第2の出芽誘導培地の前記第1のオーキシンまたは前記第2のオーキシンが、4-アミノ-3,5,6-トリクロロピコリン酸(ピクロラム)である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記第2の出芽誘導培地の前記第1のサイトカイニンまたは前記第2のサイトカイニンが、6-ベンジルアミノプリン(BAP)、チジアズロン(TDZ)、カイネチン、ゼアチン、ジフェニル尿素(DPU)、6-(γ,γ-ジメチルアリルアミノ)プリン(2iP)、及びメタ-トポリンからなる群から選択される、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記第2の出芽誘導培地の前記第1のサイトカイニンまたは前記第2のサイトカイニンが、6-ベンジルアミノプリン(BAP)である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第2の出芽誘導培地の前記第1のサイトカイニンまたは前記第2のサイトカイニンが、チジアズロン(TDZ)である、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記第2の出芽誘導培地が、4-アミノ-3,5,6-トリクロロピコリン酸(ピクロラム)及びチジアズロン(TDZ)、または2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)及びチジアズロン(TDZ)を含む、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記第2の出芽誘導培地の前記第1のサイトカイニンまたは前記第2のサイトカイニンの濃度が、約0.1mg/L~約50mg/L、約0.1mg/L~約25mg/L、または約2mg/L~約10mg/Lの範囲内である、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記第1のサイトカイニンもしくは前記第2のサイトカイニンがTDZであり、前記第2の出芽誘導培地のTDZの濃度が約2mg/Lである;または前記第1のサイトカイニンもしくは第2のサイトカイニンがBAPであり、前記第2の出芽誘導培地のBAPの濃度が約10mg/Lである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の出芽誘導培地の前記第1のオーキシンまたは前記第2のオーキシンの濃度が、約0.01mg/L~約25mg/L、約0.02mg/L~約10mg/L、または約1mg/L~約2mg/Lである、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記第2の出芽誘導培地が固体培地である、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記異種ポリヌクレオチド分子が選別マーカー遺伝子を含み、前記第2の出芽誘導培地が選択剤を含み、前記選別マーカー遺伝子が植物に前記選択剤に対する耐性を与える、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記選択剤が、カナマイシン、パロモマイシン、ハイグロマイシンB、スペクチノマイシン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、グリホサート、グルホシネート、ホスフィノトリシン、ブロモキシニル、ビアラホス、ジカンバ、イミダゾリノン、及びスルホニル尿素からなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記第1の出芽誘導培地が前記第1のオーキシンを含み、前記第2の出芽誘導培地が前記第2のオーキシンを含み、かつ前記第1のオーキシンが前記第2のオーキシンとは異なる、請求項1~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記第1の出芽誘導培地が前記第1のサイトカイニンを含み、前記第2の出芽誘導培地が前記第2のサイトカイニンを含み、かつ前記第1のサイトカイニンが前記第2のサイトカイニンとは異なる、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記第1の出芽誘導培地の前記第1のサイトカイニンが6-ベンジルアミノプリン(BAP)であり、前記第2の出芽誘導培地の前記第2のサイトカイニンがチジアズロン(TDZ)である、請求項1~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記第1の出芽誘導培地の前記第1のオーキシンが2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)であり、前記第2の出芽誘導培地の前記第2のオーキシンが4-アミノ-3,5,6-トリクロロピコリン酸(ピクロラム)である、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記第2の出芽誘導培地が前記第2のオーキシン及び前記第2のサイトカイニンを含み、前記第2のオーキシンが4-アミノ-3,5,6-トリクロロピコリン酸(ピクロラム)であり、4-アミノ-3,5,6-トリクロロピコリン酸(ピクロラム)の濃度が約0.1mg/L~約10.0mg/Lまたは約0.5mg/L~約4mg/Lの範囲内であり、前記第2のサイトカイニンがチジアズロン(TDZ)であり、前記第2の出芽誘導培地のチジアズロン(TDZ)の濃度が約0.5mg/L~約15mg/Lまたは約1mg/L~約4mg/Lの範囲内である、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記第1のオーキシンが2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)であり、前記第1の出芽誘導培地の2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)の濃度が約0.1mg/L~約10mg/Lまたは約0.1mg/L~約4mg/Lの範囲内であり、前記第1の出芽誘導培地の前記第1のサイトカイニンが6-ベンジルアミノプリン(BAP)であり、前記第1の出芽誘導培地の6-ベンジルアミノプリン(BAP)の濃度が約1mg/L~約25mg/Lまたは約2mg/L~約20mg/Lの範囲内である、請求項1~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記遺伝子改変単子葉植物が、トウモロコシ植物、コムギ植物、イネ植物、オオムギ植物、芝草植物、またはソルガム植物である、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記遺伝子改変単子葉植物がトウモロコシ植物である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記遺伝子改変単子葉植物がコムギ植物である、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記胚外植片が発芽せず、生存可能であり、遺伝子形質転換の能力を維持する条件下で、前記胚外植片が単子葉植物種子から調製される、請求項1~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記胚外植片が調製される前記単子葉植物種子が、約3%~約25%の範囲の内部含水量を有する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記胚外植片が乾燥成熟トウモロコシ種子胚外植片である、または前記胚外植片が前記異種ポリヌクレオチド分子を導入する前に約3%~約25%の範囲の内部含水量を有する、請求項1~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記胚外植片が、根を欠く胚軸の頂端部分から構成され、前記トウモロコシ種子の残りの部分が、前記胚外植片から実質的に除去されている、請求項1~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記Rhizobiales細菌が、
a)Rhizobiaceae、Phyllobacteriaceae、Brucellaceae、Bradyrhizobiaceae、及びXanthobacteraceae細菌;または
b)Agrobacterium、Rhizobium、Sinorhizobium、Mesorhizobium、Phyllobacterium、Ochrobactrum、Bradyrhizobium、及びAzorhizobium細菌
からなる群から選択される、請求項1~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記Rhizobiales細菌がAgrobacteriumであり、前記接種培地中のAgrobacteriumのOD
660が約0.5~約2.0の範囲内である、請求項1~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記接種培地中のAgrobacteriumのOD
660が約0.75~約1.25の範囲内であるか、または約1.0である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記胚外植片が、約15℃~約25℃または約20℃の温度で共培養される、請求項1~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記胚外植片が、約2日~約10日、または約5日~約7日の範囲の期間にわたって共培養される、請求項1~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記共培養培地がオーキシンまたはサイトカイニンを含まない、請求項1~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記共培養培地が界面活性剤を含まない、請求項1~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記共培養培地が、前記共培養培地で湿らせた紙基材と接触されている、請求項1~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記共培養培地が、前記少なくとも1つの細胞を前記異種ポリヌクレオチド分子で形質転換する能力のある第2のRhizobiales細菌を含む、請求項1~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記Rhizobiales細菌と前記第2のRhizobiales細菌が同じ種である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記第2のRhizobiales細菌がAgrobacteriumであり、前記共培養培地中のAgrobacteriumのOD
660が約0.5~約2.0の範囲内である、請求項55または請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記共培養培地中のAgrobacteriumのOD
660が、約0.75~約1.25の範囲内であるか、または約1.0である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記遺伝子改変単子葉植物または植物部分が、約20℃~約32℃、約25℃~約29℃、または約27℃~約28℃の範囲の温度で再生培地と接触して再生される、請求項1~58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記遺伝子改変単子葉植物または植物部分が、約20日~約50日または約28日~約42日の範囲の期間にわたって前記再生培地と接触して再生される、請求項1~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記再生培地が低い塩濃度を有する、請求項1~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記再生培地がオーキシンまたはサイトカイニンを含まない、請求項1~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記再生培地が界面活性剤を含まない、請求項1~62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記異種ポリヌクレオチド分子が選別マーカー遺伝子を含み、前記再生培地が選択剤を含み、前記選別マーカー遺伝子が植物に前記選択剤に対する耐性を与える、請求項1~63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記選択剤が、カナマイシン、パロモマイシン、ハイグロマイシンB、スペクチノマイシン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、グリホサート、グルホシネート、ホスフィノトリシン、ブロモキシニル、ビアラホス、ジカンバ、イミダゾリノン、及びスルホニル尿素からなる群から選択される、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記再生培地が固体培地である、請求項1~65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記遺伝子改変単子葉植物または植物部分が非キメラである、請求項1~66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記胚外植片及び前記遺伝子改変単子葉植物または植物部分が、カルス組織培養物を作出することなく培養され、再生される、請求項1~67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記異種ポリヌクレオチド分子が、目的の遺伝子、またはガイドRNAもしくは部位指向的ヌクレアーゼをコードする1つ以上の発現カセットを含む、請求項1~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記接種培地中で前記胚外植片に力処理を適用することをさらに含む、請求項1~69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記遺伝子改変植物から遺伝子改変植物部分を調製することをさらに含む、請求項1~70のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年9月27日に出願された米国仮出願第63/248,921号の優先権を主張するものであり、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、単子葉植物種子から切除された胚外植片の遺伝子改変を向上するための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
トウモロコシ、コムギ、イネ、オオムギ、及びソルガムなどの単子葉植物は重要な作物であり、世界の多くの地域で主な食料源となっている。バイオテクノロジー手法は、植物の遺伝子改変を通じて新しい形質を作り出すことによってこれらの作物を改良するために使用されており、これは、多くの場合、向上した形質または特徴を有する遺伝子改変植物または植物部分を作出するためにポリヌクレオチド分子を植物細胞に送達することに依存している。しかしながら、当該技術分野においては、植物、特に単子葉植物を遺伝子改変するための改良された方法であって、カルス培養の使用に依存せず、より効率的に実施でき、植物生殖質にあまり依存しない方法が引き続き必要とされている。
【0004】
本明細書に記載される発明は、単子葉植物種子から切除された胚外植片の改良された形質転換、及びカルス培養を使用せずに遺伝子改変植物またはそれに由来する植物部分を再生するための、当該技術分野における課題及び制限の多くを克服する新規な組成物及び方法を提供する。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、本開示は、遺伝子改変単子葉植物または植物部分を作出する方法であって、分裂組織を含む単子葉植物種子胚外植片の少なくとも1つの細胞を異種ポリヌクレオチド分子で形質転換する能力を有するRhizobiales細菌を含む接種培地を、胚外植片に接種することによって、該少なくとも1つの細胞に異種ポリヌクレオチド分子を導入することと、胚外植片を共培養培地と接触させてRhizobiales細菌と共培養することと、第1のオーキシン及び第1のサイトカイニンを含む第1の出芽誘導(bud induction)培地と接触させて胚外植片を培養することと、第1のオーキシンまたは第2のオーキシン及び第1のサイトカイニンまたは第2のサイトカイニンを含む第2の出芽誘導培地と接触させて胚外植片を培養することと、胚外植片から遺伝子改変単子葉植物または植物部分を再生することとを含む。一実施形態では、植物部分はシュートまたは根である。別の実施形態では、遺伝子改変単子葉植物は、トウモロコシ植物、コムギ植物、イネ植物、オオムギ植物、芝草植物、またはソルガム植物である。さらに別の実施形態では、遺伝子改変単子葉植物はトウモロコシ植物である。なおさらに別の実施形態では、遺伝子改変単子葉植物はコムギ植物である。ある特定の実施形態では、Rhizobiales細菌は、a)Rhizobiaceae、Phyllobacteriaceae、Brucellaceae、Bradyrhizobiaceae及びXanthobacteraceae細菌;またはb)Agrobacterium、Rhizobium、Sinorhizobium、Mesorhizobium、Phyllobacterium、Ochrobactrum、Bradyrhizobium及びAzorhizobium細菌からなる群から選択される。一実施形態では、Rhizobiales細菌はAgrobacteriumであり、接種培地中のAgrobacteriumのOD660は、約0.5~約2.0である。ある特定の実施形態では、Rhizobiales細菌はAgrobacteriumであり、接種培地中のAgrobacteriumのOD660は、約0.75~約1.25であるか、または約1.0である。別の実施形態では、遺伝子改変単子葉植物または植物部分は非キメラである。さらに別の実施形態では、胚外植片及び遺伝子改変単子葉植物または植物部分は、カルス組織培養物を作出することなく培養され、再生される。なおさらに別の実施形態では、異種ポリヌクレオチド分子は、目的の遺伝子、またはガイドRNAもしくは部位指向的ヌクレアーゼをコードする1つ以上の発現カセットを含む。特定の実施形態では、本開示は、接種培地中の胚外植片に力処理を適用することをさらに含む、遺伝子改変単子葉植物または植物部分を作出する方法を提供する。
【0006】
別の態様では、本開示は、第1のオーキシン及び第1のサイトカイニンを含む出芽誘導培地(または第1の出芽誘導培地)である。一実施形態では、胚外植片は、第1の出芽誘導培地と接触して約2日~約14日、または約6日~約8日の範囲の期間にわたって培養される。別の実施形態では、胚外植片は、第1の出芽誘導培地と接触して約20℃~約40℃、約25℃~約30℃、約30℃~約40℃、約30℃~約37℃、及び約33℃~約35℃からなる群から選択される範囲の温度で培養される。さらに別の実施形態では、第1の出芽誘導培地は、高いサイトカイニン対オーキシン比を含む。第1の出芽誘導培地において使用され得るオーキシンの非限定的な例としては、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、4-アミノ-3,5,6-トリクロロピコリン酸(ピクロラム)、インドール-3-酢酸(IAA)、インドール-3-酪酸(IBA)、ナフタレン酢酸(NAA)、4-クロロフェノキシ酢酸またはp-クロロ-フェノキシ酢酸(4-CPAまたはpCPA)、2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸(2,4,5-T)、2,3,5-トリヨード安息香酸(TIBA)、フェニル酢酸(PAA)、及び3,6-ジクロロ-2-メトキシ-安息香酸(ジカンバ)が挙げられる。一実施形態では、第1の出芽誘導培地の第1のオーキシンの濃度は、約0.02mg/L~約25mg/Lであるか、または約1mg/L~約2mg/Lである。第1の出芽誘導培地で使用され得るサイトカイニンの非限定的な例としては、6-ベンジルアミノプリン(BAP)、チジアズロン(TDZ)、カイネチン、ゼアチン、ジフェニル尿素(DPU)、6-(γ,γ-ジメチルアリルアミノ)プリン(2iP)、及びメタ-トポリンが挙げられる。別の実施形態では、第1の出芽誘導培地の第1のサイトカイニンの濃度は、約0.1mg/L~約50mg/Lの範囲内である。さらに別の実施形態では、第1のサイトカイニンはBAPであり、第1の出芽誘導培地のBAPの濃度は約10mg/Lである。なおさらに別の実施形態では、第1のサイトカイニンはTDZであり、第1の出芽誘導培地のTDZの濃度は約2mg/Lである。一実施形態では、第1の出芽誘導培地は固体培地である。
【0007】
さらに別の態様では、本開示は、第1のオーキシンまたは第2のオーキシン、及び第1のサイトカイニンまたは第2のサイトカイニンを含む第2の出芽誘導培地(または拡大出芽誘導培地)を提供する。一実施形態では、胚外植片は、第2の出芽誘導培地と接触して約4日~約28日、または約7日~約14日の範囲の期間にわたって培養される。別の実施形態では、胚外植片は、第2の出芽誘導培地と接触して約20℃~約32℃、約25℃~約29℃、または約27℃~約28℃の範囲の温度で培養される。さらに別の実施形態では、第2の出芽誘導培地は、高いサイトカイニン対オーキシン比を含む。なおさらに別の実施形態では、第2の出芽誘導培地は、a)第1のオーキシン及び第1サイトカイニン;b)第1のオーキシン及び第2のサイトカイニン;c)第2のオーキシン及び第1のサイトカイニン;またはd)第2のオーキシン及び第2のサイトカイニンを含む。第2の出芽誘導培地において第1または第2のオーキシンとして使用され得るオーキシンの非限定的な例としては、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、4-アミノ-3,5,6-トリクロロピコリン酸(ピクロラム)、インドール-3-酢酸(IAA)、インドール-3-酪酸(IBA)、ナフタレン酢酸(NAA)、4-クロロフェノキシ酢酸またはp-クロロ-フェノキシ酢酸(4-CPAまたはpCPA)、2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸(2,4,5-T)、2,3,5-トリヨード安息香酸(TIBA)、フェニル酢酸(PAA)、及び3,6-ジクロロ-2-メトキシ-安息香酸(ジカンバ)が挙げられる。具体的な実施形態では、第2の出芽誘導培地の第1のオーキシンまたは第2のオーキシンの濃度は、約0.01mg/L~約25mg/L、約0.02mg/L~約10mg/L、または約1mg/L~約2mg/Lである。第2の出芽誘導培地の第1のサイトカイニンまたは第2のサイトカイニンとして使用され得るサイトカイニンの非限定的な例としては、6-ベンジルアミノプリン(BAP)、チジアズロン(TDZ)、カイネチン、ゼアチン、ジフェニル尿素(DPU)、6-(γ,γ-ジメチルアリルアミノ)プリン(2iP)、及びメタ-トポリンが挙げられる。一実施形態では、第2の出芽誘導培地の第1のサイトカイニンまたは第2のサイトカイニンの濃度は、約0.1mg/L~約50mg/L、約0.1mg/L~約25mg/L、または約2mg/L~約10mg/Lの範囲内である。なおさらに別の実施形態では、第2の出芽誘導培地は、4-アミノ-3,5,6-トリクロロピコリン酸(ピクロラム)及びチジアズロン(TDZ)、または2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)及びチジアズロン(TDZ)を含む。一実施形態では、第1のサイトカイニンまたは第2のサイトカイニンはTDZであり、第2の出芽誘導培地のTDZの濃度は約2mg/Lである。別の実施形態では、第1のサイトカイニンまたは第2のサイトカイニンはBAPであり、第2の出芽誘導培地のBAPの濃度は約10mg/Lである。さらに別の実施形態では、第2の出芽誘導培地は固体培地である。一実施形態では、異種ポリヌクレオチド分子は選別マーカー遺伝子を含み、第2の出芽誘導培地は選択剤を含み、選別マーカー遺伝子は植物に選択剤に対する耐性を与える。選択剤の非限定的な例としては、カナマイシン、パロモマイシン、ハイグロマイシンB、スペクチノマイシン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、グリホサート、グルホシネート、ホスフィノトリシン、ブロモキシニル、ビアラホス、ジカンバ、イミダゾリノン、及びスルホニル尿素が挙げられる。
【0008】
なおさらに別の態様では、本開示は、第1のオーキシン及び第1のサイトカイニンを含む第1の出芽誘導培地、ならびに第1のオーキシンまたは第2のオーキシン及び第1のサイトカイニンまたは第2のサイトカイニンを含む第2の出芽誘導培地を接触させて胚外植片を培養することを含む方法を提供する。一実施形態では、第1の出芽誘導培地は第1のオーキシンを含み、第2の出芽誘導培地は第2のオーキシンを含み、第1のオーキシンは第2のオーキシンとは異なる。別の実施形態では、第1の出芽誘導培地は第1のサイトカイニンを含み、第2の出芽誘導培地は第2のサイトカイニンを含み、第1のサイトカイニンは第2のサイトカイニンとは異なる。さらに別の実施形態では、第1の出芽誘導培地の第1のサイトカイニンは6-ベンジルアミノプリン(BAP)であり、第2の出芽誘導培地の第2のサイトカイニンはチジアズロン(TDZ)である。なおさらに別の実施形態では、第1の出芽誘導培地の第1のオーキシンは2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)であり、第2の出芽誘導培地の第2のオーキシンは4-アミノ-3,5,6-トリクロロピコリン酸(ピクロラム)である。一実施形態では、第2の出芽誘導培地は第2のオーキシン及び第2のサイトカイニンを含み、第2のオーキシンは4-アミノ-3,5,6-トリクロロピコリン酸(ピクロラム)であり、4-アミノ-3,5,6-トリクロロピコリン酸(ピクロラム)の濃度は約0.1mg/L~約10.0mg/Lまたは約0.5mg/L~約4mg/Lの範囲内であり;そして第2のサイトカイニンはチジアズロン(TDZ)であり、第2の出芽誘導培地のチジアズロン(TDZ)の濃度は約0.5mg/L~約15mg/Lまたは約1mg/L~約4mg/Lの範囲内である。別の実施形態では、第1のオーキシンは2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)であり、第1の出芽誘導培地の2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)の濃度は約0.1mg/L~約10mg/Lまたは約0.1mg/L~約4mg/Lであり、第1の出芽誘導培地の第1のサイトカイニンは6-ベンジルアミノプリン(BAP)であり、第1の出芽誘導培地の6-ベンジルアミノプリン(BAP)の濃度は約1mg/L~約25mg/Lまたは約2mg/L~約20mg/Lの範囲内である。
【0009】
一態様では、本開示は、本明細書に記載の組成物及び方法に従って使用するための胚外植片を提供する。一実施形態では、胚外植片は、胚外植片が発芽せず、生存可能であり、遺伝子形質転換の能力を維持する条件下で、単子葉植物種子から調製される。別の実施形態では、胚外植片が調製される単子葉植物種子は、約3%~約25%の範囲の内部含水量を有する。さらに別の実施形態では、胚外植片は、乾燥成熟トウモロコシ種子胚外植片である。なおさらに別の実施形態では、胚外植片は、異種ポリヌクレオチド分子を導入する前に約3%~約25%の範囲の内部含水量を有する。一実施形態では、胚外植片は根を欠く胚軸の頂端部分から構成され、トウモロコシ種子の残りの部分は胚外植片から実質的に除去されている。
【0010】
別の態様では、本開示は、胚外植片をRhizobiales細菌と共培養する方法を提供する。一実施形態では、胚外植片は約15℃~約25℃または約20℃の温度で共培養される。別の実施形態では、胚外植片は、約2日~約10日、または約5日~約7日の範囲の期間にわたって共培養される。さらに別の実施形態では、共培養培地はオーキシンまたはサイトカイニンを含まない。なおさらに別の実施形態では、共培養培地は界面活性剤を含まない。一実施形態では、共培養培地は、共培養培地で湿らせた紙基材と接触している。別の実施形態では、共培養培地は、少なくとも1つの細胞を異種ポリヌクレオチド分子で形質転換する能力のある第2のRhizobiales細菌を含む。さらに別の実施形態では、Rhizobiales細菌と第2のRhizobiales細菌は同じ種である。さらに別の実施形態では、第2のRhizobiales細菌はAgrobacteriumであり、共培養培地中のAgrobacteriumのOD660は、約0.5~約2.0である。なおさらに別の実施形態では、第2のRhizobiales細菌はAgrobacteriumであり、共培養培地中のAgrobacteriumのOD660は、約0.75~約1.25、または約1.0である。
【0011】
さらに別の態様では、本開示は再生培地を提供する。一実施形態では、遺伝子改変単子葉植物または植物部分は、約20℃~約32℃、約25℃~約29℃、または約27℃~約28℃の範囲の温度で再生培地と接触して再生される。別の実施形態では、遺伝子改変単子葉植物または植物部分は、約20日~約50日または約28日~約42日の範囲の期間にわたって再生培地と接触して再生される。さらに別の実施形態では、再生培地は低い塩濃度を有する。なおさらに別の実施形態では、再生培地はオーキシンまたはサイトカイニンを含まない。一実施形態では、再生培地は界面活性剤を含まない。別の実施形態では、再生培地は、本明細書に記載の選択剤を含む。さらに別の実施形態では、再生培地は固体培地である。なおさらに別の実施形態では、本明細書で提供される方法は、遺伝子改変植物から遺伝子改変植物部分を調製することをさらに含む。
【0012】
以下の図面は本明細書の一部をなし、かつ本発明の特定の態様をさらに裏付けるために含まれる。本発明は、これらの図面の1つ以上を本明細書に提示される特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせて参照することによって、より深く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】Agrobacterium接種前または接種中に重力に曝露された形質転換トウモロコシ外植片の一過性遺伝子発現を示す。
【
図2】さまざまな温度でのAgrobacterium接種中に重力に曝露された形質転換トウモロコシ外植片の一過性遺伝子発現を示す。
【
図3】Agrobacterium接種中にさまざまな重力に曝露された形質転換コムギ外植片の一過性遺伝子発現を示す。
【
図4】接種中の異なる重力(291g、1164g、2619g及び4657g)が2つの実験における一過性GUS発現に及ぼす影響の画像を示す。
【
図5】Agrobacterium接種及び共培養の6日後の一過性GUS発現を示す。A-1は、OD0.25でAgrobacteriumを接種し、Agrobacteriumを添加せずに共培養した外植片におけるGUS発現を示す。B-1は、OD0.25でAgrobacteriumを接種し、OD0.25でAgrobacterium1.25mLを添加して共培養した外植片におけるGUS発現を示す。C-1は、OD0.5でAgrobacteriumを接種し、OD0.5でAgrobacterium1.25mLを添加して共培養した外植片におけるGUS発現を示す。D-1は、OD1.0でAgrobacteriumを接種し、OD1.0でAgrobacterium1.25mLを添加して共培養した外植片におけるGUS発現を示す。
【
図6】粉砕したSetaria種子のAgrobacterium形質転換を示す。Aは、接種後8週間で再生されたシュートを示す。Bは、X-gluc溶液中で1時間後のGUS発現を伴う再生されたシュートからの葉を示し、これにより形質転換が確認される。Cは、CP4遺伝子に特異的なプローブを使用した、温室で生育した再生植物(Dの植物の例を参照)から単離されたDNAのサザンハイブリダイゼーションを示し、これによりトランスジェニック植物がCP4導入遺伝子の単一コピーを含むことが確認される。
【
図7】Setaria種子から種皮を除去するための種子ローリングアセンブリ(A)を示す。Bは、種皮を除去する前のSetaria種子を示す。Cは、種皮を除去した後のSetaria種子を示す。
【
図8】インタクトなSetaria種子からの植物のAgrobacterium媒介形質転換、培養、及び再生の進行を示す。Aは、Agrobacterium感染後のSetaria種子を示す。Bは、X-gluc染色後の分裂領域周囲のGUS発現を示す。Cは、GUS染色が観察された葉基近くの分裂領域周囲に新たに形成された芽を示す。Dは、選別及び発根後の再生植物を示す。
【
図9】トランスジェニックSetaria viridis植物の生殖組織及びR1実生におけるGUS発現を示す。
図9の上部パネルは、葯及び花粉柱頭(左上);小穂(上中央);及び未成熟種子(右上)におけるGUS発現を示す。
図9の下部パネルは、3つの異なるトランスジェニック事象(事象1、3、4)の実生におけるGUS発現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下は、当業者が本発明を実施するのを助けるために提供される詳細な説明である。本明細書に記載された実施形態に対する修正及び変形は、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく行うことができる。単子葉植物種子から切除された胚外植片の形質転換を向上するための組成物及び方法が提供され、これには、本明細書に記載される外植片の調製、外植片の再水和、Agrobacteriumの接種及び共培養、出芽誘導、拡大出芽誘導、及び/または遺伝子改変植物もしくは植物部分の再生のうちの1つ以上の工程を含み得る。
【0015】
A.外植片の調製
本発明の実施形態によれば、遺伝子改変単子葉植物または植物部分の作出のために、単子葉植物種子から1つ以上の単子葉植物種子胚外植片を作出することができる。そのような植物種子は、圃場または温室で生育された植物から採取または収穫することができる。そのような単子葉植物種子は、成熟または未成熟の単子葉植物種子であり得るが、好ましくは成熟した単子葉植物種子であり得る。単子葉植物の例としては、トウモロコシ植物、コムギ植物、イネ植物、オオムギ植物、ライムギ植物、キビ植物、エンバク植物、芝草植物、及びソルガム植物が挙げられるが、これらに限定されない。単子葉植物種子の例としては、トウモロコシ(corn)またはトウモロコシ(maize)種子、コムギ種子、イネ種子、オオムギ種子、ライムギ種子、キビ種子、エンバク種子、芝草種子、及びソルガム種子が挙げられるが、これらに限定されない。成熟した単子葉植物種子の使用は、種子の保存、外植片の調製、及び/または培養の向上による利益または利点が得られる可能性がある。本実施形態に従って遺伝子改変または形質転換され得る単子葉植物または植物種子の例としては、Poaceae科またはGramineae科の単子葉植物または穀物植物及び草に含まれる任意の植物種が挙げられ、これには、任意のZea属トウモロコシもしくはトウモロコシ種、例えば、Zea mays、任意のOryza属イネ種、例えば、Oryza sativa、任意のTriticum属コムギ種、例えば、Triticum aestivumもしくはTriticum turgidum var durum、任意のHordeum属オオムギ種、例えば、Hordeum vulgare、任意のAvena属エンバク種、例えばAvena sativa、任意のSorghum属ソルガム種、例えばSorghum bicolorもしくはSorghum vulgare、任意のSecale属ライ麦種、例えば、Secale cereale、任意のSaccharumサトウキビ種または任意のSetaria、Pennisetum、Eleusine、Echinochloa、またはPanicum属キビ種、例えばSetaria virdis、Setaria italica、Pennisetum glaucum、Eleusine coracana、Echinochloa frumentacea、Panicum sumatrenseもしくはPanicum miliaceumが含まれ得る。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、外植片を調製、培養、選別及び使用するための方法及び組成物、ならびにそれによって作出される外植片または培養外植片が提供される。本明細書で使用する場合、「外植片」または「種子胚外植片」という用語は、遺伝子改変され、その後、遺伝子改変植物または植物部分に再生することができる植物部分または植物組織を指す。「外植片」または「種子胚外植片」は、植物種子または植物種子の任意の部分を指し得、これは植物種子胚の少なくとも一部を含み得る。「外植片」または「種子胚外植片」は、胚分裂組織の少なくとも一部を含み得る植物種子から切除された胚外植片を含み得る。あるいは、「外植片」または「種子胚外植片」は、任意の適切な機械的プロセスによって作出され得る、完全なもしくはインタクトな植物種子、または粉砕された、変形された、もしくは部分的に開かれた植物種子を指し得る。外植片または種子胚外植片に関して使用される場合、「部分的に開かれた」とは、圧搾、粉砕、ローリング、押圧、押出などの機械的な力によって導入された植物種子に1つ以上の開口部または裂け目を有する植物種子の変化した状態を指す。完全なもしくはインタクトな植物種子、または粉砕された、変形された、もしくは部分的に開かれた植物種子である外植片もしくは種子胚外植片は、多くの場合、その種皮が除去され得る。本明細書で使用する場合、「遺伝子改変」植物、植物部分、植物組織、外植片、または植物細胞は、遺伝子形質転換またはゲノム編集技術を介するものであり得る遺伝子工学によって、植物、植物部分、植物組織、外植片、または植物細胞のゲノムに導入された遺伝子改変または導入遺伝子を含む。本明細書で使用する場合、「トランスジェニック」植物、植物部分、植物組織、外植片または植物細胞は、植物、植物部分、植物組織、外植片、または植物細胞のゲノムに組み込まれた外因性核酸配列、ポリヌクレオチド、発現カセット、及び/または導入遺伝子を有する。ある特定の実施形態では、本発明による外植片は、手動で、または自動化プロセスを用いて作出することができる。例えば、種子組織は、切断、研削、研磨、または他の同様のプロセスによって種子から除去され得る。不要な種子部分を手動または自動で除去する方法も実施することができる。種子を機械的に取り扱う際に、例えば、圧縮空気、他の気体、及び液体などの流体を使用して、外植片を移動させ、破片から所望の外植片を分離することができる。胚外植片は、乾燥、乾燥させた、または湿潤種子から切除され得る。成熟した植物種子(pant seed)は、通常の成熟プロセスの一部として乾燥し得るが、種子は切除前にさらに乾燥させることもあり得、及び/または外植片は種子から切除後に乾燥させることもあり得る。植物胚外植片の乾燥または乾燥切除は、すぐに使用するために、または一定期間保管した後に後で使用するために実施され得る。外植片の調製は、種子または外植片の乾燥させていない初期含水量に応じて、改良した保管調製(例えば、切除)または使用のために種子及び/または外植片の所望の含水量を得るために種子及び/または外植片を乾燥させることをさらに含み得る。切除後、外植片は、すすぎ、浮遊、または当該技術分野で知られている他の方法によって、他の種子材料及び破片から精製または単離され得る。
【0017】
他の実施形態では、本発明の実施形態に従って調製または使用される種子または外植片は、約3%~約25%、約3%~約20%、約3%~約15%、約3%~約10%、約5%~約10%の内部水分、例えば、約3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、または約25%(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の内部水分を有するものとして定義され得る。外植片は、本明細書に記載の含水量を有する成熟種子から作出され得る。具体的な態様では、種子または外植片の含水量は、外植片の切除、外植片の保管の前後、外植片の保管中、外植片の再水和前、及び/または遺伝子改変もしくは形質転換の前に測定することができる。
【0018】
一態様では、本発明の実施形態に従って、任意の単子葉胚外植片を調製または使用することができる。特定の実施形態では、単子葉植物胚外植片は、成熟胚、未成熟胚、分裂組織、カルス組織、または形質転換可能な及び再生可能な任意の他の組織であり得る。いくつかの実施形態では、成熟胚外植片は、乾燥切除された外植片である。乾燥切除された外植片は、種子から採取され、形質転換または遺伝子改変のための標的としてほとんど直接的に使用され得る。一実施形態では、乾燥切除された外植片は、成熟した乾燥種子から採取され得、おそらく、最少限の湿潤、水和または前培養工程のみにより形質転換または遺伝子改変の標的として使用され得る。他の実施形態では、湿潤、乾燥湿潤、または湿潤切除された胚外植片は、形質転換または遺伝子改変の標的として使用され得る。本明細書で使用する場合、「湿潤」胚外植片は、形質転換または遺伝子改変の前に、湿潤、水和、吸水、または他の最小限の培養工程に供された乾燥切除された外植片を指す。本明細書で使用する場合、「乾燥湿潤」胚外植片は、湿らせることによって発芽のために準備され、次いで乾燥させて発芽を停止する胚外植片を指す。本明細書で使用する場合、「湿潤切除された」外植片は、吸水したまたは水和した種子から切除された外植片を指す。湿潤胚外植片は、種子からの切除後に水和または吸水させられるが、湿潤切除された胚外植片は、すでに水和させた種子または吸水させた種子から切除される。本明細書で使用する場合、「カルス」とは、未組織化、未分化、及び/または脱分化した植物細胞または組織の増殖塊を指す。
【0019】
本発明に従って使用するための外植片は、成熟した単子葉植物種子からの単離、切除、または除去後のさまざまな時点で遺伝子改変され得る。一実施形態では、外植片は、使用前に、1日未満、例えば、約1~約24時間、例えば、約1、2、3、5、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24時間かけて種子から除去され得る。他の実施形態では、外植片は、使用前に、数日間、数週間、数ヶ月間、または数年間など、長期間にわたって保存され得る。種子を乾燥、保存、及び発芽させるための方法及びパラメーターは、当該技術分野で知られている(例えば、米国特許第8,362,317号(その全体が特に参照により本明細書に組み込まれる)、Senaratna et al.,1983,Pl. Physiol.72:620-624,1983;Vertucci and Roos,1990,Pl. Physiol.90:1019-1023,1990;Chai et al.,1998,Seed Science Research 8(Supplement 1):23-28,1998)。例えば、約-80℃~約60℃の温度でのインキュベーションまたは保存を含む、任意の条件を必要に応じて使用することができる。
【0020】
本発明は、特定の態様において、種子または外植片の殺菌を含み得る。殺菌には、そうしないと種子または胚の生存能力を妨げる可能性のある生存可能な細菌または真菌汚染物質の存在を低減または除去する役割を果たすさまざまな液体または気体と種子または外植片材料を接触させることを含むことができる。液体の適用による殺菌はまた、植物種子、外植片、胚または組織を水和または部分的に水和することができ、種子、外植片、胚または組織をプライミングする目的を果たす。殺菌方法には、塩素ガス、オゾン、漂白剤またはアルコールの溶液、紫外線、-20℃以下の温度、及び40℃を超える温度への曝露の使用が含まれるが、これらに限定されない。
【0021】
本発明の一態様では、形質転換または遺伝子改変の前に外植片を再水和してもよい。再水和培地または溶液は当該技術分野で知られており、例えば、水、基礎塩、多量要素、微量要素、及び/またはビタミンを含み得る。再水和培地は、通常、任意の植物ホルモン、例えば、オーキシンまたはサイトカイニンを含まない。一実施形態では、単子葉植物種子胚外植片の再水和は、形質転換もしくは遺伝子改変の前に約30分~約24時間の範囲の期間、またはそのような範囲内の任意の長さの期間、例えば、約1時間、約1.5時間、約2時間、もしくは約2.5時間、または約3時間以下、もしくは約2.5時間以下、もしくは約2時間以下、または約1時間~約3時間の範囲内、もしくは約1時間~約2.5時間の範囲内、もしくは約1.5時間~約2.5時間の範囲内で実施することができる。形質転換または遺伝子改変の前に胚外植片を再水和すると、再水和しなかった外植片と比較して、形質転換もしくは編集頻度または形質転換もしくは編集された植物の回収が少なくとも約0.2倍、0.4倍、0.6倍、0.8倍、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、または40倍(その間で導出可能なすべての範囲を含む)向上し得る。特定の実施形態では、形質転換または遺伝子改変の前に単子葉植物種子胚外植片を少なくとも約2時間再水和すると、約1時間再水和した外植片と比較して、形質転換もしくは編集頻度または形質転換もしくは編集された植物の回収が少なくとも約0.2倍、0.4倍、0.6倍、0.8倍、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、または10倍(その間で導出可能なすべての範囲を含む)向上し得る。
【0022】
本開示のいくつかの実施形態では、植物の形質転換または編集の向上は、遺伝子型決定、一過性発現、シュート頻度、正常シュートの割合、正常シュート頻度、正常植物頻度、1つ以上の異なる植物引き抜き工程における発根シュートの割合、及び/または全体的な形質転換頻度、プラギング頻度、低コピー数植物の頻度、及び/または低コピー数頻度によって測定され得る。本明細書に記載の方法は、例えば、植物の形質転換または編集を少なくとも約0.1倍、0.2倍、0.4倍、0.6倍、0.8倍、1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、7.5倍、10倍、15倍、20倍、30倍、または40倍(その間で導出可能なすべての範囲を含む)向上し得る。
【0023】
B.接種及び力による形質転換
本明細書では、単子葉植物種子由来外植片または単子葉胚外植片の遺伝子形質転換または改変のための方法及び組成物が提供される。一態様または実施形態では、これらの外植片は、分裂組織または胚分裂組織を含むものとして定義され得、これには、分化または発生して、複数の植物構造(茎、根、葉、生殖系列組織、及び種子が挙げられるが、これらに限定されない)を作出することができる植物細胞が含まれる。実際、胚外植片は、他の非胚種子組織から除去された種子胚の全部または一部を含み、さらに分裂組織または胚分裂組織の全部または一部を含むものとして定義され得る。本発明の実施形態は、当該技術分野で知られている任意の適切な方法または技術、例えばエレクトロポレーション、マイクロプロジェクタイルまたはパーティクルボンバードメント、マイクロインジェクション、PEG媒介形質転換、RhizobialesまたはAgrobacterium媒介形質転換、及び他の直接的なDNA取り込み様式によって、少なくとも1つの細胞に異種ポリヌクレオチド分子を導入することによって外植片の少なくとも1つの細胞を遺伝子形質転換または改変することを含み得る。次いで、異種ポリヌクレオチドの全部または一部は、形質転換されるか、もしくは植物細胞のゲノムに組み込まれ、1つ以上の編集分子もしくはツール(ガイドRNA及び/または部位特異的ヌクレアーゼなど)へと発現し、及び/または編集もしくは部位指向的組込み用の鋳型をもたらす。多くの実施形態によれば、異種ポリヌクレオチドは、RhizobialesまたはAgrobacterium媒介形質転換によって少なくとも1つの外植片細胞に導入される。導入または接種工程は、周囲照明条件下で実施することができ、胚外植片に何らかの力処理に供することを含み得る。
【0024】
本発明の実施形態によれば、単子葉植物種子胚外植片に異種ポリヌクレオチド分子を含むRhizobialesまたはAgrobacterium細菌を接種する前もしくは接種する間、または接種する前及び接種する間に、単子葉植物種子胚外植片に力処理が適用される。いくつかの実施形態によれば、力処理は、単子葉植物種子胚外植片の再水和中及び/または再水和後に適用される。多くの実施形態によれば、力処理は、単子葉植物種子胚外植片が接種培地と接触している間の接種工程中に適用することができる。一実施形態では、培地と「接触している」外植片は、培地中または培地上に完全にまたは部分的に配置され得る。外植片が接触し得る培地の非限定的な例としては、液体培地、固体培地、及び培地を含む基質が含まれる。単子葉植物種子胚外植片は、力処理が適用されるときに、ある体積の接種培地に浸漬され得る。あるいは、単子葉植物種子胚外植片は、過剰量の接種培地を除去した後に、力処理を適用され得る。接種培地は、例えば、力処理を適用する前に、外植片からデカントされるか、注ぎ出されるか、または吸い取られ得る。力処理が接種工程中に適用される場合、たとえ力処理の前にある量またはある体積の接種培地が外植片から除去されたとしても、接種培地が単子葉植物種子胚外植片と接触することが完全にないわけではない。
【0025】
本明細書で使用する場合、「異種ポリヌクレオチド分子」という用語は、人為的な介入なしには、形質転換される細胞内に、天然に存在しない、または同じ形態、構造などで天然に存在しないポリヌクレオチド分子を指す。例えば、異種ポリヌクレオチド分子は、形質転換される植物種には天然には存在し得ない、または形質転換される種において見出される天然の発現パターンもしくはゲノム状況とは異なる様式もしくはゲノム状況で発現され得る(例えば、過剰発現)。一実施形態では、異種ポリヌクレオチド分子は、2つ以上のポリヌクレオチド分子の組み合わせであってもよく、そのような組み合わせは天然には通常見出されない。ある特定の実施形態では、2つのポリヌクレオチド分子は異なる種に由来してもよく、または異なる遺伝子に由来してもよい(例えば、同じ種由来の異なる遺伝子、または異なる種由来の同じ遺伝子)。特定の実施形態では、異種ポリヌクレオチド分子は、いかなる天然に存在するポリヌクレオチド分子においても並置または作動可能に連結されていない2つのポリヌクレオチド配列を含み得る。一実施形態では、異種ポリヌクレオチド分子は、転写可能なポリヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーターまたは他の調節配列を含んでもよく、該プロモーター及び転写可能なポリヌクレオチド配列は、いかなる天然に存在するポリヌクレオチド分子においても作動可能に連結されていない。本明細書で使用する場合、「ポリヌクレオチド分子」という用語は、任意の供給源に由来し得る、直鎖状または環状の一本鎖または二本鎖のDNAまたはRNAポリヌクレオチド分子または配列を指す。例えば、ポリヌクレオチド分子は、1つ以上の核酸配列が機能的に作動する様式で互いに連結されているポリヌクレオチド配列を含み得る。本明細書で使用する場合、「核酸配列」という用語は、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)配列を指す。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、ポリヌクレオチド分子または異種ポリヌクレオチド分子は、組換えポリヌクレオチド分子であり得る。本明細書で使用する場合、「組換え」という用語は、ポリヌクレオチド(DNAまたはRNA)分子、タンパク質、構築物、ベクターなどに関して使用される場合、人為的な介入なしには、天然に存在しない、または同じ形態、構造などで天然に存在しないポリヌクレオチドまたはタンパク質分子または配列を指す。一実施形態では、組換えポリヌクレオチド(DNAまたはRNA)分子、タンパク質、構築物、ベクターなどは、例えば、作動可能に連結されているが互いに関して異種である少なくとも2つのポリヌクレオチドまたはタンパク質配列を含むポリヌクレオチド分子、タンパク質、構築物など、同じ様式で天然には一緒に存在しない2つ以上のポリヌクレオチドまたはタンパク質配列の組み合わせを含み得る。別の実施形態では、組換えポリヌクレオチド(DNAまたはRNA)分子、タンパク質、構築物、ベクターなどは、例えば、同じ分子(例えば、プラスミド、構築物、ベクター、染色体、タンパク質など)中の2つ以上のポリヌクレオチドまたはタンパク質配列の任意の組み合わせを含んでもよく、そのような組み合わせは人工的であり、天然には通常見出されない。この定義において使用される場合、「天然には通常見出されない」という語句は、人為的な介入なしでは天然に見出されないことを意味する。組換えポリヌクレオチドまたはタンパク質分子、構築物などは、ポリヌクレオチドまたはタンパク質配列(複数可)であって、(i)互いに天然では近接して存在する他のポリヌクレオチドまたはタンパク質配列(複数可)から分離されている、ポリヌクレオチドまたはタンパク質配列(複数可)、及び/または(ii)天然では互いに近接していない他のポリヌクレオチドまたはタンパク質配列(複数可)に隣接している(またはそれと連続している)、ポリヌクレオチドまたはタンパク質配列(複数可)を含み得る。かかる組換えポリヌクレオチド分子、タンパク質、構築物などは、細胞の外側で、遺伝子操作された及び/または構築されたポリヌクレオチドまたはタンパク質分子、または配列も指し得る。例えば、組換えDNA分子は、任意の操作されたまたは人工のプラスミド、ベクターなどを含み得、直鎖状または環状のDNA分子を含み得る。そのようなプラスミド、ベクターなどは、例えば、原核生物の複製起点及び選別マーカー、ならびにおそらく植物の選別マーカー遺伝子などに加えて1つ以上の導入遺伝子または発現カセットを含む種々の維持エレメントを含み得る。
【0027】
接種培地中のRhizobiales細菌またはAgrobacteriumの濃度は、光学密度(OD)の観点から測定及び/または定義することができる。実施例に示されるように、接種培地及び/または共培養培地中のAgrobacteriumの濃度が高くなると、シュート頻度及びプラギング頻度、ひいては形質転換頻度が向上または増加する可能性がある。接種培地におけるRhizobiales細菌またはAgrobacteriumのOD濃度は、約0.1~約2.0、約0.1~約1.0、約0.1~約0.75、約0.1~約0.5、約0.2~約2.0、約0.2~約1.0、約0.2~約0.5、約0.25~約2.0、約0.5~約2.0、約0.5~約1.5、約0.75~約1.5、もしくは約0.75~約1.25、または約0.1、0.2、0.25、0.5、0.75、1.0、1.25、1.5、もしくは2.0(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の範囲内であり得る。
【0028】
植物の形質転換または編集を向上するために、種々の異なる力処理、例えば、遠心力処理、重力処理、真空処理、超音波処理、ボルテックス処理、剪断処理、機械的力処理、及び/または圧力処理、またはそれらの任意の組み合わせを、接種工程の前及び/または間に、単子葉植物種子胚外植片に使用または適用することができる。いくつかの実施形態によれば、力処理は、圧力処理及び/または重力(または遠心力)の力処理を含み得る。いくつかの実施形態によれば、力処理は圧力処理を含み得る。いくつかの実施形態によれば、力処理は、重力(または遠心力)の力処理を含み得る。具体的な実施形態では、本明細書に記載の方法は、圧力処理及び/または重力(または遠心力)の力処理に加えて、機械的力処理、ボルテックス処理、振とうまたは剪断処理、超音波処理、及び/または真空処理を適用することをさらに含むことができる。理論に束縛されるものではないが、接種前または接種中に力処理を適用すると、単子葉植物種子胚外植片へのRhizobiales細菌の接触及び付着を増加させることにより、単子葉植物種子胚外植片を付傷することにより、及び/または分裂組織もしくは他の外植片組織へのRhizobiales細菌の浸透を増加させることにより、形質転換を向上し得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、力処理は、単子葉植物種子胚外植片に対して、約100ポンド/平方インチ(psi)~約20,000psi、約100psi~約18,000psi、約100psi~約16,000psi、約100~約14,000psi、約100~約12,000psi、約100~約10,000psi、約100~約8,000psi、約100~約6,000psi、約100~約4,000psi、約100~約2,000psi、約100~約1,000psi、または約100psi~約500psi、例えば、約100psi、約150psi、約200psi、約250psi、約300psi、約350psi、約400psi、または約500psiの範囲の圧力(その間で導出可能なすべての範囲を含む)で圧力または処理を適用することを含み得る。圧力の他の単位も当該技術分野で知られている。psiでの圧力を他の単位、例えば標準大気圧(atm)及びニュートン(N)毎平方メートル(N/m2)に変換する方法は、当該技術分野で知られている。atmでの圧力は、以下の式:atm=圧力(psi)/14.6959488を用いて正確に計算することができ、1psiは約6894.76N/m2に相当する。したがって、100psiは約6.80atmに相当し、20,000psiは約1360.9atmに相当する。圧力処理はまた、表面積が既知または固定されている場合、力の量に変換することもできる。例えば、本明細書の実施例で使用されるフレンチプレス40K圧力セル(Thermo(登録商標)IEC、FA-032)のピストン/セルキャビティの表面積は、約0.88インチ2である。したがって、フレンチプレス40K圧力セルを使用して適用される3,334psiは、約13,000N[(3,334psi×0.88インチ2)]/[0.225ポンド/N]に相当する。いくつかの実施形態では、圧力処理は、約10秒~約10分、約15秒~約8分、約30秒~約6分、約2分~約4分、または約3分間(その間で導出可能なすべての範囲を含む)適用され得る。
【0030】
本明細書に記載の方法は、約100×g~約10,000×g、約100×g~約5,000×g、約250×g~約5,000×g、約500×g~約5,000×g、約500×g~約3,000×g、約600×g~約2,700×g、例えば、約500×g、約550×g、約600×g、約650×g、約700×g、約750×g、約800×g、約850×g、約900×g、約950×g、約1000×g、約1500×g、約2000×g、約2500×g、約3000×g、約3500×g、または約4000×gの範囲(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の重力または遠心力を適用することを含み、単子葉植物種子胚外植片に適用され得る。単子葉植物種子胚外植片に適用され得る重力処理の非限定的な例としては、適切な遠心分離機を使用して適用され得る遠心力または相対遠心力が挙げられる。遠心分離機によって生じる相対遠心力(RCF)などの重力または遠心力を、他の単位、例えば、毎分回転数(rpm)及びニュートン(N)に変換する方法は、当該技術分野で知られている。相対遠心力は、次の式:rpm=√[RCF/(r×1.118)×1×105](式中、r=センチメートルでの回転半径)を使用して、rpmとデバイスの既知の寸法に基づいて計算できる。本明細書に記載の実施例において使用したSorvall(商標)RC3BP遠心分離機(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)の場合、回転半径は約24.67cmである。したがって、2620×gは、約3,082rpm[√[2620/(24.67×1.118)]×1×105]に相当する。同様に、ニュートン単位の遠心力は、次の式:力(N)=RCF×遠心分離管の内容物の質量(kg)×9.82m/s2を使用して正確に推定することができる。一実施形態では、遠心分離管の内容物の質量が約0.05kgであり得る場合、2620×gは約1286N[(2620×g)×0.05kg×9.82m/s2]に相当し得る。いくつかの実施形態では、重力または遠心力処理は、約1分~約2時間、約2分~約110分、約5分~約90分、約10分~約90分、約10分~約80分、約10分~約70分、約10分~約60分、約10分~約50分、約15分~約45分、または約20分~約40分、例えば、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、約35分、約40分、約45分、約50分、約55分、または約60分(1時間)(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の範囲で適用され得る。
【0031】
力処理、例えば重力(または遠心力)及び/または圧力処理(複数可)は、約0.5℃~約28℃、約2℃~約28℃、約4℃~約28℃、約10℃~約28℃、約10℃~約25℃、または約15℃~約23℃(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の温度で適用され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される力処理の適用は、植物の形質転換または編集を少なくとも約0.2倍、0.4倍、0.6倍、0.8倍、1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、または5倍(その間で導出可能なすべての範囲を含む)向上し得る。
【0033】
本明細書で提供される方法の一態様では、力処理は、単子葉植物種子胚外植片に圧力処理と重力処理の両方を適用することを含んでもよい。圧力処理及び/または重力処理は、単子葉植物種子胚外植片にRhizobiales目からの細菌を接種する前、接種中、または接種前及び接種中に適用することができ、ここで、Rhizobiales細菌は、単子葉植物種子胚外植片の少なくとも1つの植物細胞を形質転換、編集、または遺伝子改変するための異種ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、圧力処理は、重力処理を適用する前に適用される。いくつかの実施形態では、重力処理は、圧力処理の前に適用される。圧力処理と重力処理の適用順序は、形質転換または編集効率もしくは頻度の向上に基づいて、または取り扱いの容易さに基づいて選択され得る。いくつかの実施形態では、圧力処理と重力処理の組み合わせが単子葉植物種子胚外植片に適用される場合、圧力処理は、重力処理の前に適用され得、これは、少なくとも部分的に、重力処理または遠心力処理で外植片をペレット化する前に、力処理をより均一に適用できるためであり得る。しかしながら、遠心分離またはペレット化された外植片は、その後の圧力処理の前に再懸濁される可能性があり得、または再懸濁せずに遠心分離もしくはペレット化された外植片に圧力処理が適用される可能性がある。本発明の一態様では、接種前、接種中、または接種前及び接種中のいずれかで圧力処理及び重力処理を適用することは、圧力処理のみ、または重力処理のみを適用する場合と比較して、少なくとも約0.2倍、0.4倍、0.6倍、0.8倍、1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、または5倍(その間で導出可能なすべての範囲を含む)、植物の形質転換または編集を向上し得る。
【0034】
別の態様では、本明細書に記載の方法は、単子葉植物種子胚外植片に真空処理を適用することをさらに含み得る。真空処理は、例えば、Rhizobiales細菌を含む液体接種培地に単子葉植物種子胚外植片を浸漬することと、単子葉植物種子胚外植片を減圧に供した後、急速または徐々に再加圧することとを含み得る。あるいは、液体接種培地に浸漬されていない単子葉植物種子胚外植片に真空処理を適用してもよい。いくつかの実施形態では、真空処理は、力処理が適用される前、力処理が適用された後、重力処理が適用される前、重力処理が適用された後、圧力処理が適用される前、及び/または圧力処理が適用された後に適用され得る。特定の実施形態では、力処理が圧力処理と重力処理を適用することを含む場合、重力処理または圧力処理のどちらを先に適用したかに関係なく、圧力処理の適用と重力処理の適用との間に真空処理を適用することができる。一実施形態では、単子葉植物種子胚外植片は、約0.05atm~約0.50atm、約0.05atm~約0.40atm、約0.05atm~約0.30atm、約0.05atm~約0.20atm、約0.05atm~約0.10atm、約0.10atm~約0.50atm、約0.10atm~約0.40atm、約0.10atm~約0.30atmの圧力、または約0.10atm~約0.20atmの圧力(その間で導出可能なすべての範囲)の真空処理に供され得る。
【0035】
C.胚外植片の共培養
異種ポリヌクレオチドを含むRhizobialesまたはAgrobacteriumを単子葉植物種子胚外植片(複数可)に接種して、異種ポリヌクレオチドを単子葉植物種子胚外植片(複数可)の少なくとも1つの細胞に導入した後、単子葉植物種子胚外植片(複数可)は、共培養培地と接触して共培養され得る。共培養培地は、例えば、水、基礎塩、多量要素、微量要素、及び/またはビタミンを含み得る。しかしながら、本実施形態によれば、共培養培地は、任意の植物ホルモン、例えば、オーキシンもしくはサイトカイニン及び/または任意の界面活性剤もしくは湿潤剤を含まなくてもよいが、植物ホルモンもしくはオーキシン及び/または界面活性剤もしくは湿潤剤が代替的に共培養培地中に存在してもよい。ある特定の実施形態では、界面活性剤には、当該技術分野で知られている任意の界面活性剤または界面活性剤の組み合わせ、例えば洗剤、湿潤剤、乳化剤、発泡剤、または分散剤が含まれ得る。一実施形態では、界面活性剤は、Silwet(登録商標)または類似の界面活性剤であり得る。いくつかの実施形態によれば、単子葉植物種子胚外植片(複数可)は、約15℃~約25℃、もしくは約17℃~約23℃、もしくは約18℃~約20℃の範囲の温度で、または約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、もしくは約25℃の温度で共培養培地と接触し得る。いくつかの実施形態によれば、単子葉植物種子胚外植片(複数可)は、約1日~約10日、または約2日~約10日、または約2日~約8日、または約3日~約8日、または約4日~約8日、または約5日~約7日、例えば、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、または約8日の範囲の期間、共培養培地と接触し得る。多くの実施形態によれば、単子葉植物種子胚外植片(複数可)は、少なくとも5日間または少なくとも6日間、共培養培地と接触し得る。本実施形態によれば、単子葉植物種子胚外植片(複数可)と接触する共培養培地は、固体、液体、または半固体培地であり得る。本実施形態によれば、単子葉植物種子胚外植片(複数可)は、液体共培養培地で湿らせ、充填され、または浸漬された、マトリックス、紙、またはメッシュ材料または基材、例えばワットマンまたは他の濾紙と接触し得る。本実施形態によれば、単子葉植物種子胚外植片(複数可)は、共培養培地と接触してもよいが、共培養培地中に浸漬されない。
【0036】
共培養工程は、さまざまな照明条件下で実施することもできる。ある程度の照明が一般に使用され得るが、共培養工程のすべてまたは一部を代替的に暗所で行ってもよい。照明処理は、明暗サイクル及び光強度の観点で定量化でき、μ/m2・sの単位で光合成光子束密度(PPFD)として表すことができる。いくつかの実施形態によれば、共培養工程は、約0μ/m2・s~約200μ/m2・s、20μ/m2・s~約200μ/m2・s、20μ/m2・s~約180μ/m2・s、30μ/m2・s~約180μ/m2・s、30μ/m2・s~約150μ/m2・s、30μ/m2・s~約120μ/m2・s、60μ/m2・s~約120μ/m2・s、70μ/m2・s~約110μ/m2・s、または80μ/m2・s~約100μ/m2・sの範囲で光合成有効放射(PAR)の平均または設定光強度で実施され得る。いくつかの実施形態によれば、共培養工程は、約0μ/m2・s、約10μ/m2・s、約20μ/m2・s、約30μ/m2・s、約40μ/m2・s、約50μ/m2・s、約60μ/m2・s、約70μ/m2・s、約80μ/m2・s、約90μ/m2・s、約100μ/m2・s、約110μ/m2・s、約120μ/m2・s、約130μ/m2・s、約140μ/m2・s、約150μ/m2・s、約160μ/m2・s、約170μ/m2・s、約180μ/m2・s、約190μ/m2・s、または約200μ/m2・sで光合成有効放射(PAR)の平均または設定光強度で実施され得る。いくつかの実施形態によれば、異なる量の明暗サイクルが共培養工程中に使用されてもよく、これは、約0時間~約24時間の明期、約2時間~約22時間の明期、約4時間~約20時間の明期、約8時間~約20時間の明期、約12時間~約20時間の明期、約16時間~約20時間の明期の時間の長さにわたる照明の存在を含み得、それぞれ24時間の1日の長さに基づいて対応する長さの時間の対応する量の相対的な暗期を有する。
【0037】
いくつかの実施形態によれば、共培養工程中の明暗サイクルの量は、約0時間の明期及び約24時間の暗期、約1時間の明期及び約23時間の暗期、約2時間の明期及び約22時間の暗期、約3時間の明期及び約21時間の暗期、約4時間の明期及び約20時間の暗期、約5時間の明期及び約19時間の暗期、約6時間の明期及び約18時間の暗期、約7時間の明期及び約17時間の暗期、約8時間の明期及び約16時間の暗期、約9時間の明期及び約15時間の暗期、約10時間の明期及び約14時間の暗期、約11時間の明期及び約13時間の暗期、約12時間の明期及び約12時間の暗期、約13時間の明期及び約11時間の暗期、約14時間の明期及び約10時間の暗期、約15時間の明期及び約9時間の暗期、約16時間の明期及び約8時間の暗期、約17時間の明期及び約7時間の暗期、約18時間の明期及び約6時間の暗期、約19時間の明期及び約5時間の暗期、約20時間の明期及び約4時間の暗期、約21時間の明期及び約3時間の暗期、約22時間の明期及び約2時間の暗期、約23時間の明期及び約1時間の暗期、約24時間の明期及び約0時間の暗期であり得る。
【0038】
いくつかの実施形態によれば、共培養培地は、外植片の少なくとも1つの細胞を異種ポリヌクレオチド分子で形質転換する能力のあるRhizobiales細菌またはAgrobacteriumを含み得る。実施例に示されるように、接種培地及び/または共培養培地中のAgrobacteriumの濃度が高くなると、シュート頻度及びプラギング頻度、ひいては形質転換頻度が向上または増加する可能性がある。共培養培地におけるRhizobiales細菌またはAgrobacteriumのOD濃度は、約0.1~約2.0、約0.1~約1.0、約0.1~約0.75、約0.1~約0.5、約0.2~約2.0、約0.2~約1.0、約0.2~約0.5、約0.25~約2.0、約0.5~約2.0、約0.5~約1.5、約0.75~約1.5、もしくは約0.75~約1.25、または約0.1、0.2、0.25、0.5、0.75、1.0、1.25、1.5、もしくは2.0(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の範囲内であり得る。
【0039】
D.出芽誘導及び拡大出芽誘導
本実施形態によれば、異種ポリヌクレオチド分子を胚外植片の少なくとも1つの細胞に導入することによって形質転換または編集された単子葉植物種子胚外植片は、オーキシン及びサイトカイニンを含む少なくとも第1の出芽誘導培地と接触して培養され得る。単子葉植物種子胚外植片は、異種ポリヌクレオチド分子を含むRhizobialesまたはAgrobacteriumを含む接種培地で接種されていてもよく、単子葉植物種子胚外植片は、出芽誘導工程の前に共培養培地と接触して共培養されていてもよい。
【0040】
本明細書に提供されるように、単子葉植物種子胚外植片は、オーキシン及びサイトカイニンを含む第2のまたは拡大出芽誘導培地と接触してさらに培養されてもよく、次いで、再生培地と接触して培養されて、遺伝子改変植物または植物部分を作出し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、単子葉植物種子胚外植片を出芽誘導培地(または第1の出芽誘導培地)と接触させて培養した後、かつ再生培地と接触させて、培養した単子葉植物種子胚外植片から遺伝子改変単子葉植物または植物部分を再生する前に、第2の出芽誘導培地と接触させて単子葉植物種子胚外植片を培養することを含む。別の実施形態では、(第1の)出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地はそれぞれ、高いサイトカイニン対オーキシン比を含み得る。
【0041】
本実施形態によれば、出芽誘導培地(または第1の出芽誘導培地)及び第2の出芽誘導培地(または拡大出芽誘導培地)はそれぞれ、さまざまな標準的な培養培地または溶液成分または構成成分、例えば、基礎塩、多量要素、微量要素、糖類、抗生物質、及び/またはビタミンを含み得る。出芽誘導培地(または第1の出芽誘導培地)及び第2の出芽誘導培地(または拡大出芽誘導培地)は、それぞれオーキシン及びサイトカイニンを含み得る。出芽誘導培地(または第1の出芽誘導培地)及び第2の出芽誘導培地(または拡大出芽誘導培地)は、それぞれ1つ以上の選択剤を含んでもよいが、多くの実施形態によれば、選択剤は第1の出芽誘導培地中に存在しない。第1の出芽誘導培地中に選択剤が存在しないことにより、第1の出芽誘導培地が遅延培地として機能する可能性がある。選択剤の特性は、典型的には、単子葉植物種子胚外植片に導入された異種ポリヌクレオチド分子に存在する選別マーカー遺伝子に依存する。出芽誘導培地(または第1の出芽誘導培地)及び/または第2の出芽誘導培地(または拡大出芽誘導培地)は、それぞれ固体、半固体、または液体培地であってもよいが、これらの培地のそれぞれは、典型的には、固体培地であり得る。固体培地は、固化して固体培地を形成できるゲル化剤またはポリマー剤または成分、例えばアガロースを含んでもよい。
【0042】
本明細書で使用する場合、「高いサイトカイニン対オーキシン比」は、一般に、サイトカイニン活性のレベルが、培地中に存在するオーキシン活性のレベルと比較して相対的に高い状態を指し、典型的には、サイトカイニン:オーキシン比は、重量/体積で少なくとも約1:1以上である;ただし、当該技術分野で知られているように異なるオーキシン及びサイトカイニンが異なる活性及び/または作用様式を有することができるため、正確なサイトカイニン:オーキシン比は、オーキシン及びサイトカイニンの正確な化学的特性によって異なる。高いサイトカイニン対オーキシン比を有する培地中のサイトカイニンとオーキシンのレベルは、例えば約1:1、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、5.5:1、6:1、6.5:1、7:1、7.5:1、8:1、8.5:1、9:1、9.5:1、10:1、10.5:1、11:1、11.5:1、12:1、12.5:1、13:1、13.5:1、14:1、14.5:1、または15:1(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の比で培地中に存在し得る(重量/体積で測定)。
【0043】
高いサイトカイニン対オーキシン比を有する培養培地中のサイトカイニンとオーキシンのレベルは、例えば、約1:1以上もしくは少なくとも約1:1以上、約1.5:1以上もしくは少なくとも約1.5:1以上、約2:1以上もしくは少なくとも約2:1以上、約2.5:1以上もしくは少なくとも約2.5:1以上、約3:1以上もしくは少なくとも約3:1以上、約3.5:1以上もしくは少なくとも約3.5:1以上、約4:1以上もしくは少なくとも約4:1以上、約4.5:1以上もしくは少なくとも約4.5:1以上、約5:1以上もしくは少なくとも約5:1以上、約5.5:1以上もしくは少なくとも約5.5:1以上、約6:1以上もしくは少なくとも約6:1以上、約6.5:1以上もしくは少なくとも約6.5:1以上、約7:1以上もしくは少なくとも約7:1以上、約7.5:1以上もしくは少なくとも約7.5:1以上、約8:1以上もしくは少なくとも約8:1以上、約8.5:1以上もしくは少なくとも約8.5:1以上、約9:1以上もしくは少なくとも約9:1以上、約9.5:1以上もしくは少なくとも約9.5:1以上、約10:1以上もしくは少なくとも約10:1以上、約10.5:1以上もしくは少なくとも約10.5:1以上、約11:1以上もしくは少なくとも約11:1以上、約11.5:1以上もしくは少なくとも約11.5:1以上、または約12:1以上もしくは少なくとも約12:1以上(その間で導出可能なすべての範囲を含む)であり得る。
【0044】
高いサイトカイニン対オーキシン比を有する培養培地中のサイトカイニンとオーキシンのレベルは、例えば、約1:1~約12:1、約2:1~約12:1、約4:1~約12:1、約6:1~約12:1、約8:1~約12:1、約1:1~約10:1、約2:1~約10:1、約4:1~約10:1、約6:1~約10:1、約8:1~約10:1、約1:1~約8:1、約2:1~約8:1、約4:1~約8:1、約6:1~約8:1、約1:1~約6:1、約2:1~約6:1、約4:1~約6:1、約1:1~約5:1、約2:1~約5:1、約3:1~約5:1、約1:1~約4:1、約2:1~約4:1、約3:1~約4:1、約1:1~約3:1、または約1:1~約2:1(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の範囲であり得る。
【0045】
本発明に従って使用され得るサイトカイニンの非限定的な例としては、これらに限定されないが、6-ベンジルアミノプリン(BAP)、チジアズロン(TDZ)、N-(2-クロロ-4-ピリジル)-N-フェニル尿素(4-CPPU)、カイネチン、ゼアチン、ジフェニル尿素(DPU)、6-(γ,γ-ジメチルアリルアミノ)プリン(2iP)、及び6-(3-ヒドロキシベンジルアミノ)プリン(メタ-トポリン)が挙げられ得る。本発明に従って使用され得るオーキシンとしては、限定されないが、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、4-アミノ-3,5,6-トリクロロピコリン酸(ピクロラム)、インドール-3-酢酸(IAA)、インドール-3-酪酸(IBA)、ナフタレン酢酸(NAA)、4-クロロフェノキシ酢酸またはp-クロロ-フェノキシ酢酸(4-CPAまたはpCPA)、2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸(2,4,5-T)、2,3,5-トリヨード安息香酸(TIBA)、フェニル酢酸(PAA)、及び3,6-ジクロロ-2-メトキシ-安息香酸(ジカンバ)が挙げられ得る。
【0046】
本実施形態によれば、出芽誘導培地(または第1の出芽誘導培地)は、第2の出芽誘導培地(または拡大出芽誘導培地)と同じもしくは異なるオーキシン及び/または同じもしくは異なるサイトカイニンを含み得る。出芽誘導培地(または第1の出芽誘導培地)は、第1のオーキシン及び第1のサイトカイニンを含み得、第2の出芽誘導培地または拡大出芽誘導培地は、第1のオーキシンまたは第2のオーキシンと、第1のサイトカイニンまたは第2のサイトカイニンとを含み得る。いくつかの実施形態によれば、第2の出芽誘導培地(または拡大出芽誘導培地)は、出芽誘導培地(または第1の出芽誘導培地)と同じオーキシンまたは異なるオーキシンを含み得る。いくつかの実施形態によれば、第2の出芽誘導(または拡大出芽誘導培地)は、出芽誘導培地(または第1の出芽誘導培地)と同じサイトカイニンまたは異なるサイトカイニンを含み得る。
【0047】
本実施形態によれば、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地のサイトカイニン(または2つ以上のサイトカイニン)の濃度は、約0.1mg/L~約100.0mg/L、1mg/L~約90.0mg/L、1mg/L~約80.0mg/L、1mg/L~約75.0mg/L、2mg/L~約90.0mg/L、2mg/L~約80.0mg/L、2mg/L~約75.0mg/L、5mg/L~約90.0mg/L、5mg/L~約80.0mg/L、5mg/L~約75.0mg/L、5mg/L~約70.0mg/L、10mg/L~約90.0mg/L、10mg/L~約80.0mg/L、10mg/L~約75.0mg/L、10mg/L~約70.0mg/L、15mg/L~約90.0mg/L、15mg/L~約80.0mg/L、15mg/L~約75.0mg/L、15mg/L~約70.0mg/L、20mg/L~約90.0mg/L、20mg/L~約80.0mg/L、20mg/L~約75.0mg/L、20mg/L~約70.0mg/L、20mg/L~約60.0mg/L、30mg/L~約90.0mg/L、30mg/L~約80.0mg/L、30mg/L~約75.0mg/L、30mg/L~約70.0mg/L、30mg/L~約60.0mg/L、40mg/L~約90.0mg/L、40mg/L~約80.0mg/L、40mg/L~約75.0mg/L、40mg/L~約70.0mg/L、40mg/L~約60.0mg/L、約0.1mg/L~約25.0mg/L、約0.1mg/L~約20.0mg/L、約0.1mg/L~約15.0mg/L、約0.2mg/L~約25.0mg/L、約0.2mg/L~約20.0mg/L、約0.2mg/L~約15.0mg/L、約0.5mg/L~約25.0mg/L、約0.5mg/L~約20.0mg/L、約0.5mg/L~約15.0mg/L、約0.5mg/L~約12.5mg/L、約1.0mg/L~約25.0mg/L、約1.0mg/L~約20.0mg/L、約1.0mg/L~約15.0mg/L、約1.0mg/L~約12.5mg/L、約2.0mg/L~約25.0mg/L、約2.0mg/L~約20.0mg/L、約2.0mg/L~約15.0mg/L、約2.0mg/L~約12.5mg/L、約5.0mg/L~約25.0mg/L、約5.0mg/L~約20.0mg/L、約5.0mg/L~約15.0mg/L、約5.0mg/L~約12.5mg/L、約7.5mg/L~約25.0mg/L、約7.5mg/L~約20.0mg/L、約7.5mg/L~約15.0mg/L、約7.5mg/L~約12.5mg/L、約0.1mg/L~約15.0mg/L、約0.1mg/L~約12.5mg/L、約0.1mg/L~約10.0mg/L、約0.1mg/L~約7.5mg/L、約0.1mg/L~約5.0mg/L、約0.1mg/L~約4.0mg/L、約0.1mg/L~約3.0mg/L、約0.2mg/L~約15.0mg/L、約0.2mg/L~約12.5mg/L、約0.2mg/L~約10.0mg/L、約0.2mg/L~約7.5mg/L、約0.2mg/L~約5.0mg/L、約0.2mg/L~約4.0mg/L、約0.2mg/L~約3.0mg/L、約0.5mg/L~約15.0mg/L、約0.5mg/L~約12.5mg/L、約0.5mg/L~約10.0mg/L、約0.5mg/L~約7.5mg/L、約0.5mg/L~約5.0mg/L、約0.5mg/L~約4.0mg/L、約0.5mg/L~約3.0mg/L、約1.0mg/L~約15.0mg/L、約1.0mg/L~約12.5mg/L、約1.0mg/L~約10.0mg/L、約1.0mg/L~約7.5mg/L、約1.0mg/L~約5.0mg/L、約1.0mg/L~約5.0mg/L、約1.0mg/L~約4.0mg/L、または約1.0mg/L~約3.0mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の範囲内である。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地または第2の出芽誘導培地のサイトカイニンの濃度は、例えば、約0.1mg/L、約0.2mg/L、約0.3mg/L、約0.4mg/L、約0.5mg/L、約0.6mg/L、約0.7mg/L、約0.8mg/L、約0.9mg/L、1.0mg/L、約1.5mg/L、約2.0mg/L、約2.5mg/L、約3.0mg/L、約3.5mg/L、約4.0mg/L、約4.5mg/L、約5.0mg/L、約6.0mg/L、約7.0mg/L、約8.0mg/L、約9.0mg/L、約10.0mg/L、約11.0mg/L、約12.0mg/L、約13.0mg/L、約14.0mg/L、約15.0mg/L、約16.0mg/L、約17.0mg/L、約18.0mg/L、約19.0mg/L、約20.0mg/L、約21.0mg/L、約22.0mg/L、約23.0mg/L、約24.0mg/L、約25.0mg/L、約30mg/L、約40mg/L、約50mg/L、約60mg/L、約70mg/L、約75mg/L、約80mg/L、約90mg/L、または約100mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)であり得る。第1及び第2の出芽誘導培地のサイトカイニンは同じであっても異なっていてもよく、これらの出芽誘導培地のそれぞれは1つ以上のサイトカイニンを含み得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地のオーキシン(または2つ以上のオーキシン)の濃度は、約0.01mg/L~約25.0mg/L、約0.05mg/L~約25mg/L、約0.1mg/L~約25.0mg/L、約0.1mg/L~約20.0mg/L、約0.1mg/L~約15.0mg/L、約0.2mg/L~約25.0mg/L、約0.2mg/L~約20.0mg/L、約0.2mg/L~約15.0mg/L、約0.5mg/L~約25.0mg/L、約0.5mg/L~約20.0mg/L、約0.5mg/L~約15.0mg/L、約0.5mg/L~約12.5mg/L、約1.0mg/L~約25.0mg/L、約1.0mg/L~約20.0mg/L、約1.0mg/L~約15.0mg/L、約1.0mg/L~約12.5mg/L、約2.0mg/L~約25.0mg/L、約2.0mg/L~約20.0mg/L、約2.0mg/L~約15.0mg/L、約2.0mg/L~約12.5mg/L、約5.0mg/L~約25.0mg/L、約5.0mg/L~約20.0mg/L、約5.0mg/L~約15.0mg/L、約5.0mg/L~約12.5mg/L、約7.5mg/L~約25.0mg/L、約7.5mg/L~約20.0mg/L、約7.5mg/L~約15.0mg/L、約7.5mg/L~約12.5mg/L、約8.0mg/L~約12.0mg/L、約9.0mg/L~約11.0mg/L、約0.1mg/L~約10.0mg/L、約0.1mg/L~約7.5mg/L、約0.1mg/L~約7.0mg/L、約0.1mg/L~約6.0mg/L、約0.2mg/L~約10.0mg/L、約0.2mg/L~約7.5mg/L、約0.2mg/L~約7.0mg/L、約0.2mg/L~約6.0mg/L、約0.5mg/L~約10.0mg/L、約0.5mg/L~約7.5mg/L、約0.5mg/L~約7.0mg/L、約0.5mg/L~約6.0mg/L、約1.0mg/L~約10.0mg/L、約1.0mg/L~約7.5mg/L、約1.0mg/L~約7.0mg/L、約1.0mg/L~約6.0mg/L、約2.0mg/L~約10.0mg/L、約2.0mg/L~約7.5mg/L、約2.0mg/L~約7.0mg/L、約2.0mg/L~約6.0mg/L、約3.0mg/L~約10.0mg/L、約3.0mg/L~約7.5mg/L、約3.0mg/L~約7.0mg/L、約3.0mg/L~約6.0mg/L、約4.0mg/L~約10.0mg/L、約4.0mg/L~約7.5mg/L、約4.0mg/L~約7.0mg/L、約4.0mg/L~約6.0mg/L、約0.1mg/L~約15.0mg/L、約0.1mg/L~約12.5mg/L、約0.1mg/L~約10.0mg/L、約0.1mg/L~約7.5mg/L、約0.1mg/L~約5.0mg/L、約0.1mg/L~約4.0mg/L、約0.1mg/L~約3.0mg/L、約0.2mg/L~約15.0mg/L、約0.2mg/L~約12.5mg/L、約0.2mg/L~約10.0mg/L、約0.2mg/L~約7.5mg/L、約0.2mg/L~約5.0mg/L、約0.2mg/L~約4.0mg/L、約0.2mg/L~約3.0mg/L、約0.5mg/L~約15.0mg/L、約0.5mg/L~約12.5mg/L、約0.5mg/L~約10.0mg/L、約0.5mg/L~約7.5mg/L、約0.5mg/L~約5.0mg/L、約0.5mg/L~約4.0mg/L、約0.5mg/L~約3.0mg/L、約1.0mg/L~約15.0mg/L、約1.0mg/L~約12.5mg/L、約1.0mg/L~約10.0mg/L、約1.0mg/L~約7.5mg/L、約1.0mg/L~約5.0mg/L、約1.0mg/L~約5.0mg/L、約1.0mg/L~約4.0mg/L、約1.0mg/L~約3.0mg/L、約1.5mg/L~約2.5mg/L、約0.1mg/L~約2.0mg/L、約0.1mg/L~約1.5mg/L、約0.1mg/L~約1.25mg/L、約0.1mg/L~約1.2mg/L、約0.1mg/L~約1.1mg/L、約0.2mg/L~約2.0mg/L、約0.2mg/L~約1.5mg/L、約0.2mg/L~約1.25mg/L、約0.2mg/L~約1.2mg/L、約0.2mg/L~約1.1mg/L、約0.5mg/L~約2.0mg/L、約0.5mg/L~約1.5mg/L、約0.5mg/L~約1.25mg/L、約0.5mg/L~約1.2mg/L、約0.5mg/L~約1.1mg/L、約0.75mg/L~約2.0mg/L、約0.75mg/L~約1.5mg/L、約0.75mg/L~約1.25mg/L、約0.75mg/L~約1.2mg/L、約0.75mg/L~約1.1mg/L、約0.8mg/L~約2.0mg/L、約0.8mg/L~約1.5mg/L、約0.8mg/L~約1.25mg/L、約0.8mg/L~約1.2mg/L、約0.8mg/L~約1.1mg/L、約0.9mg/L~約2.0mg/L、約0.9mg/L~約1.5mg/L、約0.9mg/L~約1.25mg/L、約0.9mg/L~約1.2mg/L、約0.9mg/L~約1.1mg/L、約0.1mg/L~約1.0mg/L、約0.1mg/L~約0.75mg/L、約0.1mg/L~約0.7mg/L、約0.1mg/L~約0.6mg/L、約0.2mg/L~約1.0mg/L、約0.2mg/L~約0.75mg/L、約0.2mg/L~約0.7mg/L、約0.2mg/L~約0.6mg/L、約0.3mg/L~約1.0mg/L、約0.3mg/L~約0.75mg/L、約0.3mg/L~約0.7mg/L、約0.3mg/L~約0.6mg/L、約0.4mg/L~約1.0mg/L、約0.4mg/L~約0.75mg/L、約0.4mg/L~約0.7mg/L、約0.4mg/L~約0.6mg/L、約0.05mg/L~約7.5mg/L、約0.02mg/L~約5mg/L、または約0.75mg/L~約2.5mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の範囲である。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導または第2の出芽誘導培地のオーキシンの濃度は、例えば、約0.1mg/L、約0.2mg/L、約0.3mg/L、約0.4mg/L、約0.5mg/L、約0.6mg/L、約0.7mg/L、約0.8mg/L、約0.9mg/L、1.0mg/L、約1.5mg/L、約2.0mg/L、約2.5mg/L、約3.0mg/L、約3.5mg/L、約4.0mg/L、約4.5mg/L、約5.0mg/L、約6.0mg/L、約7.0mg/L、約8.0mg/L、約9.0mg/L、約10.0mg/L、約11.0mg/L、約12.0mg/L、約13.0mg/L、約14.0mg/L、約15.0mg/L、約16.0mg/L、約17.0mg/L、約18.0mg/L、約19.0mg/L、約20.0mg/L、約21.0mg/L、約22.0mg/L、約23.0mg/L、約24.0mg/L、または約25.0mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)であり得る。第1及び第2の出芽誘導培地のオーキシンは同じであっても異なっていてもよく、これらの培地のそれぞれは1つ以上のオーキシンを含み得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地はサイトカイニンを含み得、サイトカイニンは6-ベンジルアミノプリン(BAP)である。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地のBAPの濃度は、約1.0mg/L~約25.0mg/L、約1.0mg/L~約20.0mg/L、約1.0mg/L~約15.0mg/L、約1.0mg/L~約12.5mg/L、約2.0mg/L~約25.0mg/L、約2.0mg/L~約20.0mg/L、約2.0mg/L~約15.0mg/L、約2.0mg/L~約12.5mg/L、約5.0mg/L~約25.0mg/L、約5.0mg/L~約20.0mg/L、約5.0mg/L~約15.0mg/L、約5.0mg/L~約12.5mg/L、約7.5mg/L~約25.0mg/L、約7.5mg/L~約20.0mg/L、約7.5mg/L~約15.0mg/L、約7.5mg/L~約12.5mg/L、約8.0mg/L~約12.0mg/L、または約9.0mg/L~約11.0mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地のBAPの濃度は、例えば、約1.0mg/L、約1.5mg/L、約2.0mg/L、約2.5mg/L、約3.0mg/L、約3.5mg/L、約4.0mg/L、約4.5mg/L、約5.0mg/L、約6.0mg/L、約7.0mg/L、約8.0mg/L、約9.0mg/L、約10.0mg/L、約11.0mg/L、約12.0mg/L、約13.0mg/L、約14.0mg/L、約15.0mg/L、約16.0mg/L、約17.0mg/L、約18.0mg/L、約19.0mg/L、約20.0mg/L、約21.0mg/L、約22.0mg/L、約23.0mg/L、約24.0mg/L、または約25.0mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)であり得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地はサイトカイニンを含み得、該サイトカイニンはチジアズロン(TDZ)である。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地のTDZの濃度は、約0.1mg/L~約10.0mg/L、約0.1mg/L~約7.5mg/L、約0.1mg/L~約7.0mg/L、約0.1mg/L~約6.0mg/L、約0.1mg/L~約5.0mg/L、約0.1mg/L~約4.0mg/L、約0.1mg/L~約3.0mg/L、約0.2mg/L~約10.0mg/L、約0.2mg/L~約7.5mg/L、約0.2mg/L~約7.0mg/L、約0.2mg/L~約6.0mg/L、約0.2mg/L~約5.0mg/L、約0.2mg/L~約4.0mg/L、約0.2mg/L~約3.0mg/L、約0.5mg/L~約10.0mg/L、約0.5mg/L~約7.5mg/L、約0.5mg/L~約7.0mg/L、約0.5mg/L~約6.0mg/L、約0.5mg/L~約5.0mg/L、約0.5mg/L~約4.0mg/L、約0.5mg/L~約3.0mg/L、約1.0mg/L~約10.0mg/L、約1.0mg/L~約7.5mg/L、約1.0mg/L~約7.0mg/L、約1.0mg/L~約6.0mg/L、約1.0mg/L~約5.0mg/L、約1.0mg/L~約5.0mg/L、約1.0mg/L~約4.0mg/L、約1.0mg/L~約3.0mg/L、または約1.5mg/L~約2.5mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地のTDZの濃度は、約0.1mg/L、約0.2mg/L、約0.3mg/L、約0.4mg/L、約0.5mg/L、約0.6mg/L、約0.7mg/L、約0.8mg/L、約0.9mg/L、1.0mg/L、約1.5mg/L、約2.0mg/L、約2.5mg/L、約3.0mg/L、約3.5mg/L、約4.0mg/L、約4.5mg/L、約5.0mg/L、約6.0mg/L、約7.0mg/L、約8.0mg/L、約9.0mg/L、または約10.0mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)であり得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地はサイトカイニンを含み得、サイトカイニンはN-(2-クロロ-4-ピリジル)-N-フェニル尿素(4-CPPU)である。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地の4-CPPUの濃度は、約0.1mg/L~約10.0mg/L、約0.1mg/L~約7.5mg/L、約0.1mg/L~約7.0mg/L、約0.1mg/L~約6.0mg/L、約0.1mg/L~約5.0mg/L、約0.1mg/L~約4.0mg/L、約0.1mg/L~約3.0mg/L、約0.2mg/L~約10.0mg/L、約0.2mg/L~約7.5mg/L、約0.2mg/L~約7.0mg/L、約0.2mg/L~約6.0mg/L、約0.2mg/L~約5.0mg/L、約0.2mg/L~約4.0mg/L、約0.2mg/L~約3.0mg/L、約0.5mg/L~約10.0mg/L、約0.5mg/L~約7.5mg/L、約0.5mg/L~約7.0mg/L、約0.5mg/L~約6.0mg/L、約0.5mg/L~約5.0mg/L、約0.5mg/L~約4.0mg/L、約0.5mg/L~約3.0mg/L、約1.0mg/L~約10.0mg/L、約1.0mg/L~約7.5mg/L、約1.0mg/L~約7.0mg/L、約1.0mg/L~約6.0mg/L、約1.0mg/L~約5.0mg/L、約1.0mg/L~約5.0mg/L、約1.0mg/L~約4.0mg/L、約1.0mg/L~約3.0mg/L、または約1.5mg/L~約2.5mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地の4-CPPUの濃度は、約0.1mg/L、約0.2mg/L、約0.3mg/L、約0.4mg/L、約0.5mg/L、約0.6mg/L、約0.7mg/L、約0.8mg/L、約0.9mg/L、1.0mg/L、約1.5mg/L、約2.0mg/L、約2.5mg/L、約3.0mg/L、約3.5mg/L、約4.0mg/L、約4.5mg/L、約5.0mg/L、約6.0mg/L、約7.0mg/L、約8.0mg/L、約9.0mg/L、または約10.0mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)であり得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地はサイトカイニンを含み得、サイトカイニンはカイネチンである。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地のカイネチンの濃度は、約1.0mg/L~約25.0mg/L、約1.0mg/L~約20.0mg/L、約1.0mg/L~約15.0mg/L、約1.0mg/L~約12.5mg/L、約2.0mg/L~約25.0mg/L、約2.0mg/L~約20.0mg/L、約2.0mg/L~約15.0mg/L、約2.0mg/L~約12.5mg/L、約5.0mg/L~約25.0mg/L、約5.0mg/L~約20.0mg/L、約5.0mg/L~約15.0mg/L、約5.0mg/L~約12.5mg/L、約7.5mg/L~約25.0mg/L、約7.5mg/L~約20.0mg/L、約7.5mg/L~約15.0mg/L、約7.5mg/L~約12.5mg/L、約8.0mg/L~約12.0mg/L、または約9.0mg/L~約11.0mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地のカイネチンの濃度は、約1.0mg/L、約1.5mg/L、約2.0mg/L、約2.5mg/L、約3.0mg/L、約3.5mg/L、約4.0mg/L、約4.5mg/L、約5.0mg/L、約6.0mg/L、約7.0mg/L、約8.0mg/L、約9.0mg/L、約10.0mg/L、約11.0mg/L、約12.0mg/L、約13.0mg/L、約14.0mg/L、約15.0mg/L、約16.0mg/L、約17.0mg/L、約18.0mg/L、約19.0mg/L、約20.0mg/L、約21.0mg/L、約22.0mg/L、約23.0mg/L、約24.0mg/L、または約25.0mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)であり得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地はサイトカイニンを含み得、サイトカイニンはゼアチンである。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地のゼアチンの濃度は、約1.0mg/L~約25.0mg/L、約1.0mg/L~約20.0mg/L、約1.0mg/L~約15.0mg/L、約1.0mg/L~約12.5mg/L、約2.0mg/L~約25.0mg/L、約2.0mg/L~約20.0mg/L、約2.0mg/L~約15.0mg/L、約2.0mg/L~約12.5mg/L、約5.0mg/L~約25.0mg/L、約5.0mg/L~約20.0mg/L、約5.0mg/L~約15.0mg/L、約5.0mg/L~約12.5mg/L、約7.5mg/L~約25.0mg/L、約7.5mg/L~約20.0mg/L、約7.5mg/L~約15.0mg/L、約7.5mg/L~約12.5mg/L、約8.0mg/L~約12.0mg/L、または約9.0mg/L~約11.0mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地のゼアチンの濃度は、例えば、約1.0mg/L、約1.5mg/L、約2.0mg/L、約2.5mg/L、約3.0mg/L、約3.5mg/L、約4.0mg/L、約4.5mg/L、約5.0mg/L、約6.0mg/L、約7.0mg/L、約8.0mg/L、約9.0mg/L、約10.0mg/L、約11.0mg/L、約12.0mg/L、約13.0mg/L、約14.0mg/L、約15.0mg/L、約16.0mg/L、約17.0mg/L、約18.0mg/L、約19.0mg/L、約20.0mg/L、約21.0mg/L、約22.0mg/L、約23.0mg/L、約24.0mg/L、または約25.0mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)であり得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地はサイトカイニンを含み得、サイトカイニンは6-(γ,γ-ジメチルアリルアミノ)プリン(2iP)である。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地の2iPの濃度は、5mg/L~約100.0mg/L、5mg/L~約90.0mg/L、5mg/L~約80.0mg/L、5mg/L~約75.0mg/L、5mg/L~約70.0mg/L、10mg/L~約100.0mg/L、10mg/L~約90.0mg/L、10mg/L~約80.0mg/L、10mg/L~約75.0mg/L、10mg/L~約70.0mg/L、15mg/L~約100.0mg/L、15mg/L~約90.0mg/L、15mg/L~約80.0mg/L、15mg/L~約75.0mg/L、15mg/L~約70.0mg/L、20mg/L~約100.0mg/L、20mg/L~約90.0mg/L、20mg/L~約80.0mg/L、20mg/L~約75.0mg/L、20mg/L~約70.0mg/L、20mg/L~約60.0mg/L、30mg/L~約100.0mg/L、30mg/L~約90.0mg/L、30mg/L~約80.0mg/L、30mg/L~約75.0mg/L、30mg/L~約70.0mg/L、30mg/L~約60.0mg/L、40mg/L~約100.0mg/L、40mg/L~約90.0mg/L、40mg/L~約80.0mg/L、40mg/L~約75.0mg/L、40mg/L~約70.0mg/L、40mg/L~約60.0mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地の2iPの濃度は、約5.0mg/L、約6.0mg/L、約7.0mg/L、約8.0mg/L、約9.0mg/L、約10.0mg/L、約11.0mg/L、約12.0mg/L、約13.0mg/L、約14.0mg/L、約15.0mg/L、約16.0mg/L、約17.0mg/L、約18.0mg/L、約19.0mg/L、約20.0mg/L、約21.0mg/L、約22.0mg/L、約23.0mg/L、約24.0mg/L、または約25.0mg/L、約30mg/L、約40mg/L、約50mg/L、約60mg/L、約70mg/L、約75mg/L、約80mg/L、約90mg/L、または約100mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)であり得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地はサイトカイニンを含み得、サイトカイニンは6-(3-ヒドロキシベンジルアミノ)プリン(メタ-トポリン)である。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地のメタ-トポリンの濃度は、約1.0mg/L~約25.0mg/L、約1.0mg/L~約20.0mg/L、約1.0mg/L~約15.0mg/L、約1.0mg/L~約12.5mg/L、約2.0mg/L~約25.0mg/L、約2.0mg/L~約20.0mg/L、約2.0mg/L~約15.0mg/L、約2.0mg/L~約12.5mg/L、約5.0mg/L~約25.0mg/L、約5.0mg/L~約20.0mg/L、約5.0mg/L~約15.0mg/L、約5.0mg/L~約12.5mg/L、約7.5mg/L~約25.0mg/L、約7.5mg/L~約20.0mg/L、約7.5mg/L~約15.0mg/L、約7.5mg/L~約12.5mg/L、約8.0mg/L~約12.0mg/L、または約9.0mg/L~約11.0mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地のメタ-トポリンの濃度は、例えば、約1.0mg/L、約1.5mg/L、約2.0mg/L、約2.5mg/L、約3.0mg/L、約3.5mg/L、約4.0mg/L、約4.5mg/L、約5.0mg/L、約6.0mg/L、約7.0mg/L、約8.0mg/L、約9.0mg/L、約10.0mg/L、約11.0mg/L、約12.0mg/L、約13.0mg/L、約14.0mg/L、約15.0mg/L、約16.0mg/L、約17.0mg/L、約18.0mg/L、約19.0mg/L、約20.0mg/L、約21.0mg/L、約22.0mg/L、約23.0mg/L、約24.0mg/L、または約25.0mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)であり得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地はオーキシンを含み得、オーキシンは2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)である。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地の2,4-Dの濃度は、約0.1mg/L~約10.0mg/L、約0.1mg/L~約7.5mg/L、約0.1mg/L~約7.0mg/L、約0.1mg/L~約6.0mg/L、約0.1mg/L~約5.0mg/L、約0.1mg/L~約4.0mg/L、約0.1mg/L~約3.0mg/L、約0.1mg/L~約2.0mg/L、約0.1mg/L~約1.5mg/L、約0.1mg/L~約1.25mg/L、約0.1mg/L~約1.2mg/L、約0.1mg/L~約1.1mg/L、約0.2mg/L~約10.0mg/L、約0.2mg/L~約7.5mg/L、約0.2mg/L~約7.0mg/L、約0.2mg/L~約6.0mg/L、約0.2mg/L~約5.0mg/L、約0.2mg/L~約4.0mg/L、約0.2mg/L~約3.0mg/L、約0.2mg/L~約2.0mg/L、約0.2mg/L~約1.5mg/L、約0.2mg/L~約1.25mg/L、約0.2mg/L~約1.2mg/L、約0.2mg/L~約1.1mg/L、約0.5mg/L~約10.0mg/L、約0.5mg/L~約7.5mg/L、約0.5mg/L~約7.0mg/L、約0.5mg/L~約6.0mg/L、約0.5mg/L~約5.0mg/L、約0.5mg/L~約4.0mg/L、約0.5mg/L~約3.0mg/L、約0.5mg/L~約2.0mg/L、約0.5mg/L~約1.5mg/L、約0.5mg/L~約1.25mg/L、約0.5mg/L~約1.2mg/L、約0.5mg/L~約1.1mg/L、約0.75mg/L~約2.0mg/L、約0.75mg/L~約1.5mg/L、約0.75mg/L~約1.25mg/L、約0.75mg/L~約1.2mg/L、約0.75mg/L~約1.1mg/L、約0.8mg/L~約2.0mg/L、約0.8mg/L~約1.5mg/L、約0.8mg/L~約1.25mg/L、約0.8mg/L~約1.2mg/L、約0.8mg/L~約1.1mg/L、約0.9mg/L~約2.0mg/L、約0.9mg/L~約1.5mg/L、約0.9mg/L~約1.25mg/L、約0.9mg/L~約1.2mg/L、約0.9mg/L~約1.1mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地の2,4-Dの濃度は、約0.1mg/L、約0.2mg/L、約0.3mg/L、約0.4mg/L、約0.5mg/L、約0.6mg/L、約0.7mg/L、約0.8mg/L、約0.9mg/L、1.0mg/L、約1.5mg/L、約2.0mg/L、約2.5mg/L、約3.0mg/L、約3.5mg/L、約4.0mg/L、約4.5mg/L、約5.0mg/L、約6.0mg/L、約7.0mg/L、約8.0mg/L、約9.0mg/L、または約10.0mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)であり得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地はオーキシンを含み得、オーキシンは2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸(2,4,5-T)である。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地の2,4,5-Tの濃度は、約0.1mg/L~約10.0mg/L、約0.1mg/L~約7.5mg/L、約0.1mg/L~約7.0mg/L、約0.1mg/L~約6.0mg/L、約0.1mg/L~約5.0mg/L、約0.1mg/L~約4.0mg/L、約0.1mg/L~約3.0mg/L、約0.1mg/L~約2.0mg/L、約0.1mg/L~約1.5mg/L、約0.1mg/L~約1.25mg/L、約0.1mg/L~約1.2mg/L、約0.1mg/L~約1.1mg/L、約0.2mg/L~約10.0mg/L、約0.2mg/L~約7.5mg/L、約0.2mg/L~約7.0mg/L、約0.2mg/L~約6.0mg/L、約0.2mg/L~約5.0mg/L、約0.2mg/L~約4.0mg/L、約0.2mg/L~約3.0mg/L、約0.2mg/L~約2.0mg/L、約0.2mg/L~約1.5mg/L、約0.2mg/L~約1.25mg/L、約0.2mg/L~約1.2mg/L、約0.2mg/L~約1.1mg/L、約0.5mg/L~約10.0mg/L、約0.5mg/L~約7.5mg/L、約0.5mg/L~約7.0mg/L、約0.5mg/L~約6.0mg/L、約0.5mg/L~約5.0mg/L、約0.5mg/L~約4.0mg/L、約0.5mg/L~約3.0mg/L、約0.5mg/L~約2.0mg/L、約0.5mg/L~約1.5mg/L、約0.5mg/L~約1.25mg/L、約0.5mg/L~約1.2mg/L、約0.5mg/L~約1.1mg/L、約0.75mg/L~約2.0mg/L、約0.75mg/L~約1.5mg/L、約0.75mg/L~約1.25mg/L、約0.75mg/L~約1.2mg/L、約0.75mg/L~約1.1mg/L、約0.8mg/L~約2.0mg/L、約0.8mg/L~約1.5mg/L、約0.8mg/L~約1.25mg/L、約0.8mg/L~約1.2mg/L、約0.8mg/L~約1.1mg/L、約0.9mg/L~約2.0mg/L、約0.9mg/L~約1.5mg/L、約0.9mg/L~約1.25mg/L、約0.9mg/L~約1.2mg/L、約0.9mg/L~約1.1mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地の2,4,5-Tの濃度は、約0.1mg/L、約0.2mg/L、約0.3mg/L、約0.4mg/L、約0.5mg/L、約0.6mg/L、約0.7mg/L、約0.8mg/L、約0.9mg/L、1.0mg/L、約1.5mg/L、約2.0mg/L、約2.5mg/L、約3.0mg/L、約3.5mg/L、約4.0mg/L、約4.5mg/L、約5.0mg/L、約6.0mg/L、約7.0mg/L、約8.0mg/L、約9.0mg/L、または約10.0mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)であり得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地はオーキシンを含み得、オーキシンは4-アミノ-3,5,6-トリクロロピコリン酸(ピクロラム)である。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地のピクロラムの濃度は、約0.1mg/L~約10.0mg/L、約0.1mg/L~約7.5mg/L、約0.1mg/L~約7.0mg/L、約0.1mg/L~約6.0mg/L、約0.1mg/L~約5.0mg/L、約0.1mg/L~約4.0mg/L、約0.1mg/L~約3.0mg/L、約0.2mg/L~約10.0mg/L、約0.2mg/L~約7.5mg/L、約0.2mg/L~約7.0mg/L、約0.2mg/L~約6.0mg/L、約0.2mg/L~約5.0mg/L、約0.2mg/L~約4.0mg/L、約0.2mg/L~約3.0mg/L、約0.5mg/L~約10.0mg/L、約0.5mg/L~約7.5mg/L、約0.5mg/L~約7.0mg/L、約0.5mg/L~約6.0mg/L、約0.5mg/L~約5.0mg/L、約0.5mg/L~約4.0mg/L、約0.5mg/L~約3.0mg/L、約1.0mg/L~約10.0mg/L、約1.0mg/L~約7.5mg/L、約1.0mg/L~約7.0mg/L、約1.0mg/L~約6.0mg/L、約1.0mg/L~約5.0mg/L、約1.0mg/L~約5.0mg/L、約1.0mg/L~約4.0mg/L、約1.0mg/L~約3.0mg/L、または約1.5mg/L~約2.5mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地のピクロラムの濃度は、約0.1mg/L、約0.2mg/L、約0.3mg/L、約0.4mg/L、約0.5mg/L、約0.6mg/L、約0.7mg/L、約0.8mg/L、約0.9mg/L、1.0mg/L、約1.5mg/L、約2.0mg/L、約2.5mg/L、約3.0mg/L、約3.5mg/L、約4.0mg/L、約4.5mg/L、約5.0mg/L、約6.0mg/L、約7.0mg/L、約8.0mg/L、約9.0mg/L、または約10.0mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)であり得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地はオーキシンを含み得、オーキシンはインドール-3-酢酸(IAA)である。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地のIAAの濃度は、約0.1mg/L~約25.0mg/L、約0.1mg/L~約20.0mg/L、約0.1mg/L~約15.0mg/L、約0.2mg/L~約25.0mg/L、約0.2mg/L~約20.0mg/L、約0.2mg/L~約15.0mg/L、約0.5mg/L~約25.0mg/L、約0.5mg/L~約20.0mg/L、約0.5mg/L~約15.0mg/L、約0.5mg/L~約12.5mg/L、1.0mg/L~約25.0mg/L、約1.0mg/L~約20.0mg/L、約1.0mg/L~約15.0mg/L、約1.0mg/L~約12.5mg/L、約2.0mg/L~約25.0mg/L、約2.0mg/L~約20.0mg/L、約2.0mg/L~約15.0mg/L、約2.0mg/L~約12.5mg/L、約5.0mg/L~約25.0mg/L、約5.0mg/L~約20.0mg/L、約5.0mg/L~約15.0mg/L、約5.0mg/L~約12.5mg/L、約7.5mg/L~約25.0mg/L、約7.5mg/L~約20.0mg/L、約7.5mg/L~約15.0mg/L、約7.5mg/L~約12.5mg/L、約8.0mg/L~約12.0mg/L、または約9.0mg/L~約11.0mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地のIAAの濃度は、約0.1mg/L、約0.2mg/L、約0.3mg/L、約0.4mg/L、約0.5mg/L、約0.6mg/L、約0.7mg/L、約0.8mg/L、約0.9mg/L、約1.0mg/L、約1.5mg/L、約2.0mg/L、約2.5mg/L、約3.0mg/L、約3.5mg/L、約4.0mg/L、約4.5mg/L、約5.0mg/L、約6.0mg/L、約7.0mg/L、約8.0mg/L、約9.0mg/L、約10.0mg/L、約11.0mg/L、約12.0mg/L、約13.0mg/L、約14.0mg/L、約15.0mg/L、約16.0mg/L、約17.0mg/L、約18.0mg/L、約19.0mg/L、約20.0mg/L、約21.0mg/L、約22.0mg/L、約23.0mg/L、約24.0mg/L、または約25.0mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)であり得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地はオーキシンを含み得、オーキシンはインドール-3-酪酸(IBA)である。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地のIBAの濃度は、約0.1mg/L~約10.0mg/L、約0.1mg/L~約7.5mg/L、約0.1mg/L~約7.0mg/L、約0.1mg/L~約6.0mg/L、約0.1mg/L~約5.0mg/L、約0.1mg/L~約4.0mg/L、約0.1mg/L~約3.0mg/L、約0.2mg/L~約10.0mg/L、約0.2mg/L~約7.5mg/L、約0.2mg/L~約7.0mg/L、約0.2mg/L~約6.0mg/L、約0.2mg/L~約5.0mg/L、約0.2mg/L~約4.0mg/L、約0.2mg/L~約3.0mg/L、約0.5mg/L~約10.0mg/L、約0.5mg/L~約7.5mg/L、約0.5mg/L~約7.0mg/L、約0.5mg/L~約6.0mg/L、約0.5mg/L~約5.0mg/L、約0.5mg/L~約4.0mg/L、約0.5mg/L~約3.0mg/L、約1.0mg/L~約10.0mg/L、約1.0mg/L~約7.5mg/L、約1.0mg/L~約7.0mg/L、約1.0mg/L~約6.0mg/L、約1.0mg/L~約5.0mg/L、約1.0mg/L~約5.0mg/L、約1.0mg/L~約4.0mg/L、約1.0mg/L~約3.0mg/L、または約1.5mg/L~約2.5mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地のIBAの濃度は、約0.1mg/L、約0.2mg/L、約0.3mg/L、約0.4mg/L、約0.5mg/L、約0.6mg/L、約0.7mg/L、約0.8mg/L、約0.9mg/L、1.0mg/L、約1.5mg/L、約2.0mg/L、約2.5mg/L、約3.0mg/L、約3.5mg/L、約4.0mg/L、約4.5mg/L、約5.0mg/L、約6.0mg/L、約7.0mg/L、約8.0mg/L、約9.0mg/L、または約10.0mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)であり得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地はオーキシンを含み得、オーキシンはナフタレン酢酸(NAA)である。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地のNAAの濃度は、約0.1mg/L~約25.0mg/L、約0.1mg/L~約20.0mg/L、約0.1mg/L~約15.0mg/L、約0.1mg/L~約10.0mg/L、約0.1mg/L~約7.5mg/L、約0.1mg/L~約7.0mg/L、約0.1mg/L~約6.0mg/L、約0.2mg/L~約25.0mg/L、約0.2mg/L~約20.0mg/L、約0.2mg/L~約15.0mg/L、約0.2mg/L~約10.0mg/L、約0.2mg/L~約7.5mg/L、約0.2mg/L~約7.0mg/L、約0.2mg/L~約6.0mg/L、約0.5mg/L~約25.0mg/L、約0.5mg/L~約20.0mg/L、約0.5mg/L~約15.0mg/L、約0.5mg/L~約12.5mg/L、約0.5mg/L~約10.0mg/L、約0.5mg/L~約7.5mg/L、約0.5mg/L~約7.0mg/L、約0.5mg/L~約6.0mg/L、約1.0mg/L~約25.0mg/L、約1.0mg/L~約20.0mg/L、約1.0mg/L~約15.0mg/L、約1.0mg/L~約12.5mg/L、約1.0mg/L~約10.0mg/L、約1.0mg/L~約7.5mg/L、約1.0mg/L~約7.0mg/L、約1.0mg/L~約6.0mg/L、約2.0mg/L~約25.0mg/L、約2.0mg/L~約20.0mg/L、約2.0mg/L~約15.0mg/L、約2.0mg/L~約12.5mg/L、約2.0mg/L~約10.0mg/L、約2.0mg/L~約7.5mg/L、約2.0mg/L~約7.0mg/L、約2.0mg/L~約6.0mg/L、約3.0mg/L~約25.0mg/L、約3.0mg/L~約20.0mg/L、約3.0mg/L~約15.0mg/L、約3.0mg/L~約12.5mg/L、約3.0mg/L~約10.0mg/L、約3.0mg/L~約7.5mg/L、約3.0mg/L~約7.0mg/L、約3.0mg/L~約6.0mg/L、約4.0mg/L~約25.0mg/L、約4.0mg/L~約20.0mg/L、約4.0mg/L~約15.0mg/L、約4.0mg/L~約12.5mg/L、約4.0mg/L~約10.0mg/L、約4.0mg/L~約7.5mg/L、約4.0mg/L~約7.0mg/L、約4.0mg/L~約6.0mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地のNAAの濃度は、0.1mg/L、約0.2mg/L、約0.3mg/L、約0.4mg/L、約0.5mg/L、約0.6mg/L、約0.7mg/L、約0.8mg/L、約0.9mg/L、約1.0mg/L、約1.5mg/L、約2.0mg/L、約2.5mg/L、約3.0mg/L、約3.5mg/L、約4.0mg/L、約4.5mg/L、約5.0mg/L、約6.0mg/L、約7.0mg/L、約8.0mg/L、約9.0mg/L、約10.0mg/L、約11.0mg/L、約12.0mg/L、約13.0mg/L、約14.0mg/L、約15.0mg/L、約16.0mg/L、約17.0mg/L、約18.0mg/L、約19.0mg/L、または約20.0mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)であり得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地はオーキシンを含み得、オーキシンは2,3,5-トリヨード安息香酸(TIBA)である。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地のTIBAの濃度は、約0.1mg/L~約25.0mg/L、約0.1mg/L~約20.0mg/L、約0.1mg/L~約15.0mg/L、約0.1mg/L~約10.0mg/L、約0.1mg/L~約7.5mg/L、約0.1mg/L~約7.0mg/L、約0.1mg/L~約6.0mg/L、約0.2mg/L~約25.0mg/L、約0.2mg/L~約20.0mg/L、約0.2mg/L~約15.0mg/L、約0.2mg/L~約10.0mg/L、約0.2mg/L~約7.5mg/L、約0.2mg/L~約7.0mg/L、約0.2mg/L~約6.0mg/L、約0.5mg/L~約25.0mg/L、約0.5mg/L~約20.0mg/L、約0.5mg/L~約15.0mg/L、約0.5mg/L~約12.5mg/L、約0.5mg/L~約10.0mg/L、約0.5mg/L~約7.5mg/L、約0.5mg/L~約7.0mg/L、約0.5mg/L~約6.0mg/L、約1.0mg/L~約25.0mg/L、約1.0mg/L~約20.0mg/L、約1.0mg/L~約15.0mg/L、約1.0mg/L~約12.5mg/L、約1.0mg/L~約10.0mg/L、約1.0mg/L~約7.5mg/L、約1.0mg/L~約7.0mg/L、約1.0mg/L~約6.0mg/L、約2.0mg/L~約25.0mg/L、約2.0mg/L~約20.0mg/L、約2.0mg/L~約15.0mg/L、約2.0mg/L~約12.5mg/L、約2.0mg/L~約10.0mg/L、約2.0mg/L~約7.5mg/L、約2.0mg/L~約7.0mg/L、約2.0mg/L~約6.0mg/L、約3.0mg/L~約25.0mg/L、約3.0mg/L~約20.0mg/L、約3.0mg/L~約15.0mg/L、約3.0mg/L~約12.5mg/L、約3.0mg/L~約10.0mg/L、約3.0mg/L~約7.5mg/L、約3.0mg/L~約7.0mg/L、約3.0mg/L~約6.0mg/L、約4.0mg/L~約25.0mg/L、約4.0mg/L~約20.0mg/L、約4.0mg/L~約15.0mg/L、約4.0mg/L~約12.5mg/L、約4.0mg/L~約10.0mg/L、約4.0mg/L~約7.5mg/L、約4.0mg/L~約7.0mg/L、約4.0mg/L~約6.0mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地のTIBAの濃度は、0.1mg/L、約0.2mg/L、約0.3mg/L、約0.4mg/L、約0.5mg/L、約0.6mg/L、約0.7mg/L、約0.8mg/L、約0.9mg/L、約1.0mg/L、約1.5mg/L、約2.0mg/L、約2.5mg/L、約3.0mg/L、約3.5mg/L、約4.0mg/L、約4.5mg/L、約5.0mg/L、約6.0mg/L、約7.0mg/L、約8.0mg/L、約9.0mg/L、約10.0mg/L、約11.0mg/L、約12.0mg/L、約13.0mg/L、約14.0mg/L、約15.0mg/L、約16.0mg/L、約17.0mg/L、約18.0mg/L、約19.0mg/L、または約20.0mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)であり得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地はオーキシンを含み得、オーキシンはフェニル酢酸(PAA)である。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地のPAAの濃度は、約0.1mg/L~約25.0mg/L、約0.1mg/L~約20.0mg/L、約0.1mg/L~約15.0mg/L、約0.2mg/L~約25.0mg/L、約0.2mg/L~約20.0mg/L、約0.2mg/L~約15.0mg/L、約0.5mg/L~約25.0mg/L、約0.5mg/L~約20.0mg/L、約0.5mg/L~約15.0mg/L、約0.5mg/L~約12.5mg/L、1.0mg/L~約25.0mg/L、約1.0mg/L~約20.0mg/L、約1.0mg/L~約15.0mg/L、約1.0mg/L~約12.5mg/L、約2.0mg/L~約25.0mg/L、約2.0mg/L~約20.0mg/L、約2.0mg/L~約15.0mg/L、約2.0mg/L~約12.5mg/L、約5.0mg/L~約25.0mg/L、約5.0mg/L~約20.0mg/L、約5.0mg/L~約15.0mg/L、約5.0mg/L~約12.5mg/L、約7.5mg/L~約25.0mg/L、約7.5mg/L~約20.0mg/L、約7.5mg/L~約15.0mg/L、約7.5mg/L~約12.5mg/L、約8.0mg/L~約12.0mg/L、または約9.0mg/L~約11.0mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地のPAAの濃度は、約0.1mg/L、約0.2mg/L、約0.3mg/L、約0.4mg/L、約0.5mg/L、約0.6mg/L、約0.7mg/L、約0.8mg/L、約0.9mg/L、約1.0mg/L、約1.5mg/L、約2.0mg/L、約2.5mg/L、約3.0mg/L、約3.5mg/L、約4.0mg/L、約4.5mg/L、約5.0mg/L、約6.0mg/L、約7.0mg/L、約8.0mg/L、約9.0mg/L、約10.0mg/L、約11.0mg/L、約12.0mg/L、約13.0mg/L、約14.0mg/L、約15.0mg/L、約16.0mg/L、約17.0mg/L、約18.0mg/L、約19.0mg/L、約20.0mg/L、約21.0mg/L、約22.0mg/L、約23.0mg/L、約24.0mg/L、または約25.0mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)であり得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地はオーキシンを含み得、オーキシンは3,6-ジクロロ-2-メトキシ-安息香酸(ジカンバ)である。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地のジカンバの濃度は、約0.1mg/L~約10.0mg/L、約0.1mg/L~約7.5mg/L、約0.1mg/L~約7.0mg/L、約0.1mg/L~約6.0mg/L、約0.1mg/L~約5.0mg/L、約0.1mg/L~約4.0mg/L、約0.1mg/L~約3.0mg/L、約0.2mg/L~約10.0mg/L、約0.2mg/L~約7.5mg/L、約0.2mg/L~約7.0mg/L、約0.2mg/L~約6.0mg/L、約0.2mg/L~約5.0mg/L、約0.2mg/L~約4.0mg/L、約0.2mg/L~約3.0mg/L、約0.5mg/L~約10.0mg/L、約0.5mg/L~約7.5mg/L、約0.5mg/L~約7.0mg/L、約0.5mg/L~約6.0mg/L、約0.5mg/L~約5.0mg/L、約0.5mg/L~約4.0mg/L、約0.5mg/L~約3.0mg/L、約1.0mg/L~約10.0mg/L、約1.0mg/L~約7.5mg/L、約1.0mg/L~約7.0mg/L、約1.0mg/L~約6.0mg/L、約1.0mg/L~約5.0mg/L、約1.0mg/L~約5.0mg/L、約1.0mg/L~約4.0mg/L、約1.0mg/L~約3.0mg/L、または約1.5mg/L~約2.5mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、第1の出芽誘導培地及び/または第2の(または拡大)出芽誘導培地のジカンバの濃度は、約0.1mg/L、約0.2mg/L、約0.3mg/L、約0.4mg/L、約0.5mg/L、約0.6mg/L、約0.7mg/L、約0.8mg/L、約0.9mg/L、1.0mg/L、約1.5mg/L、約2.0mg/L、約2.5mg/L、約3.0mg/L、約3.5mg/L、約4.0mg/L、約4.5mg/L、約5.0mg/L、約6.0mg/L、約7.0mg/L、約8.0mg/L、約9.0mg/L、または約10.0mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)であり得る。
【0065】
いくつかの実施形態によれば、第1の出芽誘導培地は、第1のオーキシン及び第1のサイトカイニンを含み、第1のオーキシンは2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)であり、第1のサイトカイニンは6-ベンジルアミノプリン(BAP)である。これらの実施形態によれば、第1の出芽誘導培地の2,4-Dの濃度は、約0.1mg/L~約10.0mg/L、約0.1mg/L~約7.5mg/L、約0.1mg/L~約7.0mg/L、約0.1mg/L~約6.0mg/L、約0.1mg/L~約5.0mg/L、約0.1mg/L~約4.0mg/L、約0.1mg/L~約3.0mg/L、約0.1mg/L~約2.0mg/L、約0.1mg/L~約1.5mg/L、約0.1mg/L~約1.25mg/L、約0.1mg/L~約1.2mg/L、約0.1mg/L~約1.1mg/L、約0.2mg/L~約10.0mg/L、約0.2mg/L~約7.5mg/L、約0.2mg/L~約7.0mg/L、約0.2mg/L~約6.0mg/L、約0.2mg/L~約5.0mg/L、約0.2mg/L~約4.0mg/L、約0.2mg/L~約3.0mg/L、約0.2mg/L~約2.0mg/L、約0.2mg/L~約1.5mg/L、約0.2mg/L~約1.25mg/L、約0.2mg/L~約1.2mg/L、約0.2mg/L~約1.1mg/L、約0.5mg/L~約10.0mg/L、約0.5mg/L~約7.5mg/L、約0.5mg/L~約7.0mg/L、約0.5mg/L~約6.0mg/L、約0.5mg/L~約5.0mg/L、約0.5mg/L~約4.0mg/L、約0.5mg/L~約3.0mg/L、約0.5mg/L~約2.0mg/L、約0.5mg/L~約1.5mg/L、約0.5mg/L~約1.25mg/L、約0.5mg/L~約1.2mg/L、約0.5mg/L~約1.1mg/L、約0.75mg/L~約2.0mg/L、約0.75mg/L~約1.5mg/L、約0.75mg/L~約1.25mg/L、約0.75mg/L~約1.2mg/L、約0.75mg/L~約1.1mg/L、約0.8mg/L~約2.0mg/L、約0.8mg/L~約1.5mg/L、約0.8mg/L~約1.25mg/L、約0.8mg/L~約1.2mg/L、約0.8mg/L~約1.1mg/L、約0.9mg/L~約2.0mg/L、約0.9mg/L~約1.5mg/L、約0.9mg/L~約1.25mg/L、約0.9mg/L~約1.2mg/L、約0.9mg/L~約1.1mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の範囲であり得る。これらの実施形態によれば、第1の出芽誘導培地の6-ベンジルアミノプリン(BAP)の濃度は、約1.0mg/L~約25.0mg/L、約1.0mg/L~約20.0mg/L、約1.0mg/L~約15.0mg/L、約1.0mg/L~約12.5mg/L、約2.0mg/L~約25.0mg/L、約2.0mg/L~約20.0mg/L、約2.0mg/L~約15.0mg/L、約2.0mg/L~約12.5mg/L、約5.0mg/L~約25.0mg/L、約5.0mg/L~約20.0mg/L、約5.0mg/L~約15.0mg/L、約5.0mg/L~約12.5mg/L、約7.5mg/L~約25.0mg/L、約7.5mg/L~約20.0mg/L、約7.5mg/L~約15.0mg/L、約7.5mg/L~約12.5mg/L、約8.0mg/L~約12.0mg/L、または約9.0mg/L~約11.0mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の範囲であり得る。
【0066】
いくつかの実施形態によれば、第2の(または拡大)出芽誘導培地は、第2のオーキシン及び第2のサイトカイニンを含み、第2のオーキシンは4-アミノ-3,5,6-トリクロロピコリン酸(ピクロラム)であり、第2のサイトカイニンはチジアズロン(TDZ)である。これらの実施形態によれば、第2の(または拡大)出芽誘導培地のピクロラムの濃度は、約0.1mg/L~約10.0mg/L、約0.1mg/L~約7.5mg/L、約0.1mg/L~約7.0mg/L、約0.1mg/L~約6.0mg/L、約0.1mg/L~約5.0mg/L、約0.1mg/L~約4.0mg/L、約0.1mg/L~約3.0mg/L、約0.2mg/L~約10.0mg/L、約0.2mg/L~約7.5mg/L、約0.2mg/L~約7.0mg/L、約0.2mg/L~約6.0mg/L、約0.2mg/L~約5.0mg/L、約0.2mg/L~約4.0mg/L、約0.2mg/L~約3.0mg/L、約0.5mg/L~約10.0mg/L、約0.5mg/L~約7.5mg/L、約0.5mg/L~約7.0mg/L、約0.5mg/L~約6.0mg/L、約0.5mg/L~約5.0mg/L、約0.5mg/L~約4.0mg/L、約0.5mg/L~約3.0mg/L、約1.0mg/L~約10.0mg/L、約1.0mg/L~約7.5mg/L、約1.0mg/L~約7.0mg/L、約1.0mg/L~約6.0mg/L、約1.0mg/L~約5.0mg/L、約1.0mg/L~約5.0mg/L、約1.0mg/L~約4.0mg/L、約1.0mg/L~約3.0mg/L、または約1.5mg/L~約2.5mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の範囲であり得る。これらの実施形態によれば、第2の(または拡大)出芽誘導培地のTDZの濃度は、約0.1mg/L~約10.0mg/L、約0.1mg/L~約7.5mg/L、約0.1mg/L~約7.0mg/L、約0.1mg/L~約6.0mg/L、約0.1mg/L~約5.0mg/L、約0.1mg/L~約4.0mg/L、約0.1mg/L~約3.0mg/L、約0.2mg/L~約10.0mg/L、約0.2mg/L~約7.5mg/L、約0.2mg/L~約7.0mg/L、約0.2mg/L~約6.0mg/L、約0.2mg/L~約5.0mg/L、約0.2mg/L~約4.0mg/L、約0.2mg/L~約3.0mg/L、約0.5mg/L~約10.0mg/L、約0.5mg/L~約7.5mg/L、約0.5mg/L~約7.0mg/L、約0.5mg/L~約6.0mg/L、約0.5mg/L~約5.0mg/L、約0.5mg/L~約4.0mg/L、約0.5mg/L~約3.0mg/L、約1.0mg/L~約10.0mg/L、約1.0mg/L~約7.5mg/L、約1.0mg/L~約7.0mg/L、約1.0mg/L~約6.0mg/L、約1.0mg/L~約5.0mg/L、約1.0mg/L~約5.0mg/L、約1.0mg/L~約4.0mg/L、約1.0mg/L~約3.0mg/L、または約1.5mg/L~約2.5mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の範囲であり得る。
【0067】
本発明の実施形態によれば、単子葉植物種子胚外植片(複数可)は、第1の出芽誘導培地と接触して約2日~約14日、約4日~約12日、約5日~約10日、または約6日~約8日間(その間で導出可能なすべての範囲を含む)培養され得る。いくつかの実施形態によれば、単子葉植物種子胚外植片(複数可)は、第1の出芽誘導培地と接触して約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日(または約1週間)、約8日、約9日、約10日、約11日、約12日、約13日、または約14日(または約2週間)(その間で導出可能なすべての範囲を含む)培養される。いくつかの実施形態では、単子葉植物種子胚外植片(複数可)は、第1の出芽誘導培地と接触して約20℃~約30℃、約22℃~約28℃、約25℃~約30℃、約25℃~約29℃、または約25℃~約28℃(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の範囲の温度で培養され得る。いくつかの実施形態によれば、単子葉植物種子胚外植片(複数可)は、第1の出芽誘導培地と接触して約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、または約30℃(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の温度で培養され得る。本開示の一態様によれば、単子葉植物種子胚外植片(複数可)は、約30℃~約40℃、約30℃~約38℃、約30℃~約36℃、約30℃~約35℃、約31℃~約40℃、約31℃~約38℃、約31℃~約36℃、約31℃~約35℃、約32℃~約40℃、約32℃~約38℃、約32℃~約36℃、約32℃~約35℃、約33℃~約40℃、約33℃~約38℃、約33℃~約36℃、または約33℃~約35℃(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の範囲内であり得る高温で第1の出芽誘導培地と接触する。いくつかの実施形態によれば、単子葉植物種子胚外植片(複数可)は、第1の出芽誘導培地と接触して約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、または約40℃(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の高温で培養され得る。選択剤は一般に第1の出芽誘導培地には存在しないが、第1の出芽誘導培地は代替的に選択剤を含んでもよい。
【0068】
別の態様では、単子葉植物種子胚外植片を、第1の出芽誘導培地と接触して高温、例えば約30℃~約40℃の範囲の温度で約1週間培養することは、第1の出芽誘導工程の間、外植片を第1の出芽誘導培地と接触して低温、例えば約20℃~約30℃の範囲の温度で培養することと比較して、形質転換を少なくとも約0.2倍、0.4倍、0.6倍、0.8倍、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、または40倍(その間で導出可能なすべての範囲を含む)向上し得る。
【0069】
第1の出芽誘導工程は、さまざまな照明条件下で実施することもできる。ある程度の照明が一般に使用され得るが、第1の出芽誘導工程のすべてまたは一部を代替的に暗所で行ってもよい。いくつかの実施形態によれば、第1の出芽誘導工程は、約0μ/m2・s~約200μ/m2・s、20μ/m2・s~約200μ/m2・s、20μ/m2・s~約180μ/m2・s、30μ/m2・s~約180μ/m2・s、50μ/m2・s~約180μ/m2・s、50μ/m2・s~約150μ/m2・s、60μ/m2・s~約150μ/m2・s、70μ/m2・s~約140μ/m2・s、80μ/m2・s~約130μ/m2・s、または90μ/m2・s~約120μ/m2・sの範囲で光合成有効放射(PAR)の平均または設定光強度で実施され得る。いくつかの実施形態によれば、第1の出芽誘導工程は、約0μ/m2・s、約10μ/m2・s、約20μ/m2・s、約30μ/m2・s、約40μ/m2・s、約50μ/m2・s、約60μ/m2・s、約70μ/m2・s、約80μ/m2・s、約90μ/m2・s、約100μ/m2・s、約110μ/m2・s、約120μ/m2・s、約130μ/m2・s、約140μ/m2・s、約150μ/m2・s、約160μ/m2・s、約170μ/m2・s、約180μ/m2・s、約190μ/m2・s、または約200μ/m2・sで光合成有効放射(PAR)の平均または設定光強度で実施され得る。いくつかの実施形態によれば、異なる量の明暗サイクルが第1の出芽誘導工程中に使用されてもよく、これは、約0時間~約24時間の明期、約2時間~約22時間の明期、約4時間~約20時間の明期、約8時間~約20時間の明期、約12時間~約20時間の明期、約16時間~約20時間の明期の時間の長さにわたる照明の存在を含み得、それぞれ24時間の1日の長さに基づいて対応する長さの時間の対応する量の相対的な暗期を有する。
【0070】
いくつかの実施形態によれば、第1の出芽誘導工程中の明暗サイクルの量は、約0時間の明期及び約24時間の暗期、約1時間の明期及び約23時間の暗期、約2時間の明期及び約22時間の暗期、約3時間の明期及び約21時間の暗期、約4時間の明期及び約20時間の暗期、約5時間の明期及び約19時間の暗期、約6時間の明期及び約18時間の暗期、約7時間の明期及び約17時間の暗期、約8時間の明期及び約16時間の暗期、約9時間の明期及び約15時間の暗期、約10時間の明期及び約14時間の暗期、約11時間の明期及び約13時間の暗期、約12時間の明期及び約12時間の暗期、約13時間の明期及び約11時間の暗期、約14時間の明期及び約10時間の暗期、約15時間の明期及び約9時間の暗期、約16時間の明期及び約8時間の暗期、約17時間の明期及び約7時間の暗期、約18時間の明期及び約6時間の暗期、約19時間の明期及び約5時間の暗期、約20時間の明期及び約4時間の暗期、約21時間の明期及び約3時間の暗期、約22時間の明期及び約2時間の暗期、約23時間の明期及び約1時間の暗期、約24時間の明期及び約0時間の暗期であり得る。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態によれば、単子葉植物種子胚外植片(複数可)は、第2の(または拡大)出芽誘導培地と接触して約4日~約28日、約4日~約25日、約4日~約21日、約5日~約25日、約5日~約23日、約7日~約21日、約5日~約15日、約7日~約14日、約12日~約23日、または約14日~約21日間(その間で導出可能なすべての範囲を含む)培養され得る。いくつかの実施形態によれば、単子葉植物種子胚外植片(複数可)は、第2の(または拡大)出芽誘導培地と接触して約4日、約5日、約6日、約7日(または約1週間)、約8日、約9日、約10日、約11日、約12日、約13日、約14日(または約2週間)、約15日、約16日、約17日、約18日、約19日、約20日、約21日(または約3週間)、約22日、約23日、約24日、約25日、約26日、約27日、または約28日間(または約4週間)(その間で導出可能なすべての範囲を含む)培養される。いくつかの実施形態では、単子葉植物種子胚外植片(複数可)は、第2の(または拡大)出芽誘導培地と接触して約20℃~約32℃、約20℃~約30℃、約22℃~約28℃、約25℃~約30℃、約25℃~約29℃、約26℃~約29℃、約25℃~約28℃、または約27℃~約28℃(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の範囲の温度で培養され得る。いくつかの実施形態によれば、単子葉植物種子胚外植片(複数可)は、第2の(または拡大)出芽誘導培地と接触して約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、または約30℃(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の温度で培養され得る。特定の実施形態では、単子葉植物種子胚外植片は、第1の出芽誘導培地と接触して約20℃~約30℃の範囲の温度で、または約30℃~約40℃の範囲の高温で、約2日~約14日の範囲の期間にわたって培養され、その後、第2の(または拡大)出芽誘導培地と接触して約20℃~約32℃の範囲の温度で、約4日~約28日の範囲の期間にわたって培養され得る。第2の(または拡大)出芽誘導培地はまた、選択剤を含んでもよい。別の実施形態では、外植片を第2の出芽誘導培地と接触して培養することは、形質転換を少なくとも約0.2倍、0.4倍、0.6倍、0.8倍、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、または40倍向上し得る。
【0072】
第2の(または拡大)出芽誘導工程は、さまざまな照明条件下で実施することもできる。第2の(または拡大)出芽誘導工程では、通常、ある程度の照明が使用され得る。いくつかの実施形態によれば、第2の(または拡大)出芽誘導工程は、約30μ/m2・s~約200μ/m2・s、30μ/m2・s~約180μ/m2・s、50μ/m2・s~約180μ/m2・s、50μ/m2・s~約150μ/m2・s、60μ/m2・s~約150μ/m2・s、70μ/m2・s~約140μ/m2・s、80μ/m2・s~約130μ/m2・s、または90μ/m2・s~約120μ/m2・sの範囲で光合成有効放射(PAR)の平均または設定光強度で実施され得る。いくつかの実施形態によれば、第2の(または拡大)出芽誘導工程は、約10μ/m2・s、約20μ/m2・s、約30μ/m2・s、約40μ/m2・s、約50μ/m2・s、約60μ/m2・s、約70μ/m2・s、約80μ/m2・s、約90μ/m2・s、約100μ/m2・s、約110μ/m2・s、約120μ/m2・s、約130μ/m2・s、約140μ/m2・s、約150μ/m2・s、約160μ/m2・s、約170μ/m2・s、約180μ/m2・s、約190μ/m2・s、または約200μ/m2・sで光合成有効放射(PAR)の平均または設定光強度で実施され得る。いくつかの実施形態によれば、異なる量の明暗サイクルが第2の(または拡大)出芽誘導工程中に使用されてもよく、これは、約2時間~約24時間の明期、約2時間~約22時間の明期、約4時間~約20時間の明期、約8時間~約20時間の明期、約12時間~約20時間の明期、約16時間~約20時間の明期の時間の長さにわたる照明の存在を含み得、それぞれ24時間の1日の長さに基づいて対応する長さの時間の対応する量の相対的な暗期を有する。
【0073】
いくつかの実施形態によれば、第2の(または拡大)出芽誘導工程中の明暗サイクルの量は、約2時間の明期及び約22時間の暗期、約3時間の明期及び約21時間の暗期、約4時間の明期及び約20時間の暗期、約5時間の明期及び約19時間の暗期、約6時間の明期及び約18時間の暗期、約7時間の明期及び約17時間の暗期、約8時間の明期及び約16時間の暗期、約9時間の明期及び約15時間の暗期、約10時間の明期及び約14時間の暗期、約11時間の明期及び約13時間の暗期、約12時間の明期及び約12時間の暗期、約13時間の明期及び約11時間の暗期、約14時間の明期及び約10時間の暗期、約15時間の明期及び約9時間の暗期、約16時間の明期及び約8時間の暗期、約17時間の明期及び約7時間の暗期、約18時間の明期及び約6時間の暗期、約19時間の明期及び約5時間の暗期、約20時間の明期及び約4時間の暗期、約21時間の明期及び約3時間の暗期、約22時間の明期及び約2時間の暗期、約23時間の明期及び約1時間の暗期、約24時間の明期及び約0時間の暗期であり得る。
【0074】
理論に束縛されるものではないが、出芽誘導工程(複数可)は、外植片の細胞を分化及び/または増殖させ、外植片上に複数の出芽を形成し、それがその後、植物に再生され得る。いくつかの好ましい実施形態によれば、第1のオーキシン及びサイトカイニンは、第2のオーキシン及びサイトカイニンとは異なり、何らかの活性及び/または作用機序を通じて複数の出芽の形成に影響を及ぼす。理論に束縛されるものではないが、第1の出芽誘導工程は外植片の細胞を複数の芽に分化させる可能性があるのに対して、第2の(または拡大)出芽誘導工程は複数の芽をさらに増殖または拡大して、より密集したまたは固形の複数の出芽外植片を作出し得、得られた遺伝子改変植物または植物部分のキメラ化を減少させるというさらなる利点を有し得る植物へさらに培養及び再生する。いくつかの実施形態によれば、単子葉植物種子胚外植片(複数可)を第1の出芽誘導培地で、続いて第2の(または拡大)出芽誘導培地で培養することにより、第1の出芽誘導培地で単子葉植物種子胚外植片(複数可)を培養するが、再生前に第2の(または拡大)出芽誘導培地で培養しない場合と比較して、再生植物におけるキメラ化を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%減少させ得る。
【0075】
E.形質転換植物の再生
本開示の別の態様では、遺伝子改変単子葉植物または植物部分は、再生培地と接触して培養単子葉植物種子胚外植片(複数可)から再生される。本実施形態によれば、再生培地は、さまざまな標準的な培養培地または溶液成分または構成成分、例えば、基礎塩、多量要素、微量要素、糖類、抗生物質及び/またはビタミンを含み得る。再生培地は一般にオーキシンまたはサイトカイニンを含まなくてもよいが、オーキシン及び/またはサイトカイニンが代替的に存在してもよい。再生培地は、典型的には、1つ以上の選択剤を含み得る。再生培地は、固体、半固体、または液体培地であり得るが、再生培地は、典型的には固体培地であり得る。固体培地は、固化して固体培地を形成できるゲル化剤またはポリマー剤または成分、例えばアガロースを含んでもよい。本明細書で使用する場合、「再生」という用語は、外植片の1つ以上の植物細胞または組織から植物を生育させるプロセスを指し、「再生培地」という用語は、外植片から植物を再生するために配合された植物組織の培養培地を指す。いくつかの実施形態では、再生または再生工程は、外植片または培養外植片を2つ以上の再生培地(同じまたは異なる再生培地であり得る)で培養すること(例えば、外植片を第1の再生培地から第2の再生培地に、場合によっては第3の再生培地などに継代培養または移すことによる)を含み得る1つ以上の再生工程(複数可)を指し得る。
【0076】
多くの実施形態によれば、再生培地は低塩濃度を含む。本明細書で使用する場合、「低塩濃度」とは、約2800mg/L以下の総塩濃度を含む培地を指す。本明細書で使用する場合、「塩」とは、化学分野において一般に理解されている意味を有し、イオン性化合物、または溶液中に存在する場合は溶解した化合物を指し、少なくとも1つのカチオン(または塩基)及び少なくとも1つのアニオン(または酸)を含む。いくつかの実施形態では、再生培地は、約3000mg/L、2800mg/L、約2700mg/L、約2600mg/L、約2500mg/L、約2400mg/L、約2300mg/L、約2200mg/L、約2100mg/L、または約2000mg/L以下の総塩濃度を含み得る。別の実施形態では、再生培地は、約1200mg/L~約3000mg/L、約1200mg/L~約2800mg/L、約1300mg/L~約2700mg/L、約1400mg/L~約2600mg/L、約1500mg/L~約2500mg/L、約1600mg/L~約2400mg/L、約1700mg/L~約2400mg/L、約1800mg/L~約2400mg/L、約1900mg/L~約2400mg/L、約2000mg/L~約2400mg/L、約2100mg/L~約2400mg/L、約2200mg/L~約2400mg/L、または約2300mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の塩濃度を含み得る。いくつかの実施形態では、再生培地の総窒素濃度は、約0.5mM~約20mM、約0.5mM~約10mM、約1mM~約20mM、約5mM~約20mM、約1mM~約15mM、約5mM~約15mM、約1mM~約10mM、約1mM~約7.5mM、約2.5mM~約7.5mM、約5mM~約10mM、約10mM~約15mM、約10mM~約20mM、または約15mM~約20mM(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の範囲内であり得る。本明細書で使用する場合、「総窒素濃度」という用語は、硝酸イオン及びアンモニウムイオンなどの窒素含有イオンの総濃度を指す。
【0077】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法に従って使用するための再生培地は、その硝酸イオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、または硫酸イオンの濃度で記載され得る。硝酸イオン濃度は、例えば、約0.5mM~約20mM、約5mM~約20mM、約5mM~約15mM、約5mM~約10mM、約10mM~約15mM、約10mM~約20mM、または約15mM~約20mM(その間で導出可能なすべての範囲を含む)であり得る。アンモニウムイオン濃度は、例えば、約0.5mM~約15mM、約2.5mM~約15mM、約2.5mM~約10mM、約2.5mM~約5mM、約5mM~約15mM、約5mM~約10mM、または約10mM~約15mM(その間で導出可能なすべての範囲を含む)であり得る。カリウムイオン濃度は、例えば、約0.5mM~約15mM、約2.5mM~約15mM、約2.5mM~約10mM、約2.5mM~約5mM、約5mM~約15mM、約5mM~約10mM、または約10mM~約15mM(その間で導出可能なすべての範囲を含む)であり得る。硫酸イオン濃度は、例えば、約0.5mM~約20mM、約5mM~約20mM、約5mM~約15mM、約5mM~約10mM、約10mM~約15mM、約10mM~約20mM、または約15mM~約20mM(その間で導出可能なすべての範囲を含む)であり得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、再生培地は、その硝酸アンモニウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、または硫酸カリウムの濃度によって説明され得る。硝酸アンモニウム濃度は、例えば、約100mg/L~約1000mg/L、約100mg/L~約750mg/L、約100mg/L~約500mg/L、約100mg/L~約250mg/L、または約250mg/L~約500mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)の範囲内であり得る。塩化カルシウム濃度は、例えば、約100mg/L以下、約50mg/L以上、約50mg/L~約100mg/L、または約50mg/L~約75mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)であり得る。硝酸カルシウム濃度は、例えば、約500mg/L以下、約100mg/L~約500mg/L、約100mg/L~約300mg/L、約300mg/L~約400mg/L、または約100mg/L~約200mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)であり得る。硫酸カリウム濃度は、例えば、約500mg/L超、約500mg/L~約750mg/L、約500mg/L~約1000mg/L、約500mg/L~約1500mg/L、約500mg/L~約2000mg/L、約750mg/L~約1000mg/L、または約1000mg/L(その間で導出可能なすべての範囲を含む)であり得る。
【0079】
一態様では、単子葉植物種子胚外植片は、約20℃~約32℃、25℃~約29℃、または約27℃~約28℃(その間で導出可能なすべての範囲を含む)で再生培地と接触して再生される。いくつかの実施形態では、単子葉植物種子胚外植片は、約20日~約50日または約28日~約42日間(その間で導出可能なすべての範囲を含む)再生され得る。
【0080】
別の態様では、低塩濃度を含む再生培地上で遺伝子改変単子葉植物または植物部分を再生することは、より高い塩濃度を含む再生培地上で再生された遺伝子改変単子葉植物または植物部分と比較して、形質転換を少なくとも約0.1倍、0.2倍、0.3倍、0.4倍、0.5倍、0.6倍、0.7倍、0.8倍、0.9倍、1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、または5倍向上し得る。加えて、低塩濃度を含む培地上で遺伝子改変単子葉植物または植物部分を再生することは、より高い塩濃度を含む再生培地上で再生された遺伝子改変単子葉植物または植物部分と比較して、発根頻度が少なくとも約0.1倍、0.2倍、0.3倍、0.4倍、0.5倍、0.6倍、0.7倍、0.8倍、0.9倍、1倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、または5倍増加し得る。
【0081】
再生工程は、さまざまな照明条件下で実施することもできる。第2の(または拡大)出芽誘導工程では、通常、ある程度の照明が使用され得る。いくつかの実施形態によれば、再生工程は、約30μ/m2・s~約250μ/m2・s、約30μ/m2・s~約225μ/m2・s、約30μ/m2・s~約200μ/m2・s、約40μ/m2・s~約200μ/m2・s、約50μ/m2・s~約200μ/m2・s、50μ/m2・s~約180μ/m2・s、60μ/m2・s~約180μ/m2・s、70μ/m2・s~約180μ/m2・s、80μ/m2・s~約180μ/m2・s、90μ/m2・s~約180μ/m2・s、100μ/m2・s~約170μ/m2・s、110μ/m2・s~約160μ/m2・s、または約120μ/m2・s~約150μ/m2・sの範囲で光合成有効放射(PAR)の平均または設定光強度で実施され得る。いくつかの実施形態によれば、第2の(または拡大)出芽誘導工程は、約20μ/m2・s、約30μ/m2・s、約40μ/m2・s、約50μ/m2・s、約60μ/m2・s、約70μ/m2・s、約80μ/m2・s、約90μ/m2・s、約100μ/m2・s、約110μ/m2・s、約120μ/m2・s、約130μ/m2・s、約140μ/m2・s、約150μ/m2・s、約160μ/m2・s、約170μ/m2・s、約180μ/m2・s、約190μ/m2・s、約200μ/m2・s、約210μ/m2・s、約220μ/m2・s、約230μ/m2・s、約240μ/m2・s、または約250μ/m2・sで光合成有効放射(PAR)の平均または設定光強度で実施され得る。いくつかの実施形態によれば、異なる量の明暗サイクルが第2の(または拡大)出芽誘導工程中に使用されてもよく、これは、約2時間~約24時間の明期、約2時間~約22時間の明期、約4時間~約20時間の明期、約8時間~約20時間の明期、約12時間~約20時間の明期、約16時間~約20時間の明期の時間の長さにわたる照明の存在を含み得、それぞれ24時間の1日の長さに基づいて対応する長さの時間の対応する量の相対的な暗期を有する。
【0082】
いくつかの実施形態によれば、再生工程中の明暗サイクルの量は、約2時間の明期及び約22時間の暗期、約3時間の明期及び約21時間の暗期、約4時間の明期及び約20時間の暗期、約5時間の明期及び約19時間の暗期、約6時間の明期及び約18時間の暗期、約7時間の明期及び約17時間の暗期、約8時間の明期及び約16時間の暗期、約9時間の明期及び約15時間の暗期、約10時間の明期及び約14時間の暗期、約11時間の明期及び約13時間の暗期、約12時間の明期及び約12時間の暗期、約13時間の明期及び約11時間の暗期、約14時間の明期及び約10時間の暗期、約15時間の明期及び約9時間の暗期、約16時間の明期及び約8時間の暗期、約17時間の明期及び約7時間の暗期、約18時間の明期及び約6時間の暗期、約19時間の明期及び約5時間の暗期、約20時間の明期及び約4時間の暗期、約21時間の明期及び約3時間の暗期、約22時間の明期及び約2時間の暗期、約23時間の明期及び約1時間の暗期、約24時間の明期及び約0時間の暗期であり得る。
【0083】
本発明のなおさらに別の態様では、単子葉植物種子胚外植片及び遺伝子改変単子葉植物または植物部分は、カルス組織培養物を作出することなく培養され、再生される。
【0084】
本発明の一態様では、再生された遺伝子改変単子葉植物または植物部分は、非キメラであるか、またはキメラ化が低減されている。本明細書で使用する場合、「キメラ」または「キメラ化」という用語は、遺伝子改変に関して遺伝的に異なる2つのタイプの組織または細胞から構成される植物、植物組織、外植片などを指す。
【0085】
F.遺伝子工学による遺伝子改変植物
さまざまな遺伝子工学技術が開発されており、当業者はトランスジェニック形質または編集形質を植物に導入するために用いることができる。この方法は一般に、植物細胞へのポリヌクレオチド配列の送達を伴い、これは典型的には異種及び/または組換えDNA分子であり得、少なくとも1つの導入遺伝子または発現カセットまたはRNA分子、例えばガイドRNA(gRNA)、またはリボ核タンパク質(RNP)の一部、例えばゲノム編集用のgRNA/部位指向的ヌクレアーゼ複合体を含み得る。本実施形態の特定の態様において、形質は、単一の遺伝子座もしくは導入遺伝子を植物のゲノムに改変または導入することによって単子葉植物に導入される。植物のゲノムDNAに導入遺伝子、編集、変異、及びポリヌクレオチド配列を改変、欠失、または挿入するための遺伝子工学の方法は、当該技術分野で知られている。ゲノム編集技術を使用して植物細胞ゲノムまたは内因性植物遺伝子を編集する分子的方法は、当該技術分野で知られている。本実施形態によれば、ガイドRNA、部位指向的ヌクレアーゼ及び/または鋳型DNA分子などのゲノム編集ツールまたは機構を含む及び/またはコードするポリヌクレオチドまたはDNA分子は、本明細書に記載される方法を用いて植物細胞に導入することができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、形質転換された単子葉植物は、植物ゲノムの部位特異的改変を通じて作製することができる。導入遺伝子またはポリヌクレオチド配列の部位指向的組込みの方法には、例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼなどの配列特異的ヌクレアーゼ(例えば、米国特許出願公開第2011/0203012号を参照)、操作したまたは天然のメガヌクレアーゼ、TALE-エンドヌクレアーゼ(例えば、米国特許第8,586,363号及び同第9,181,535号を参照)、CRISPR/CasシステムのものなどのRNA誘導エンドヌクレアーゼ(例えば、米国特許第8,697,359号、同第8,771,945号、及び同第9,790,490号、ならびに米国特許出願公開第2014/0068797号を参照)、ならびにCRISPR関連トランスポザーゼまたはCAST(例えば、米国特許出願公開第2020/0190487号を参照)が挙げられ、これらの内容及び開示の全体は参照により本明細書に組み込まれる。したがって、いくつかの実施形態は、ヌクレアーゼまたは任意の関連タンパク質を利用してゲノム改変を実施することに関する。このヌクレアーゼは、鋳型ゲノム編集用のドナー鋳型DNA内で異種的に、または別個の分子もしくはベクター内で提供され得る。組換えDNA構築物はまた、改変される植物ゲノム内の部位にヌクレアーゼを誘導するための1つ以上のガイドRNAをコードする配列を含んでもよい。単一の遺伝子座を改変または導入するためのさらなる方法としては、例えば、一本鎖オリゴヌクレオチドを利用して植物ゲノムに塩基対改変を導入することが含まれる(例えば、Sauer et al.,Plant Physiol,170(4):1917-1928,2016(この内容及び開示の全体は参照により本明細書に組み込まれる)を参照)。遺伝子座を改変する他の方法としては、例えば、CRISPR/Cas塩基エディターまたはプライムエディターを利用して、植物ゲノムに単一または複数の塩基対改変を導入することが含まれる(例えば、Komor et al.,Nature 533,420-424(2016);Gaudelli et.al.,Nature 551,464-471(2017);Komor,et.al.,Science Advances 3:(8)(2017)、及びRees,et.al.,Nat Rev Genet.2018 Dec,19(12):770-788、PCT特許出願公開WO2020/191248号(これらの内容及び開示の全体は参照により本明細書に組み込まれる)を参照)。
【0087】
異種及び/または組換え遺伝子配列または導入遺伝子の部位指向的改変または導入/組込みの方法は、当該技術分野において知られており、上記に述べたような配列特異的ヌクレアーゼ、またはゲノムDNAを切断して遺伝子座に二本鎖切断(DSB)またはニックを生成するタンパク質とガイドRNAの複合体を利用する方法が含まれる。当該技術分野でよく理解されているように、ヌクレアーゼ酵素によって導入されたDSBまたはニックを修復するプロセスにおいて、ドナー鋳型、導入遺伝子、または発現カセットポリヌクレオチドは、非相同末端結合(NHEJ)によって、または所望の配列の相同アーム(複数可)と標的配列との間の相同組換え(HR)によって、DSBまたはニックの部位においてゲノムに組み込まれ得る。これにより、ドナー鋳型、導入遺伝子、または発現カセットポリヌクレオチドのすべてまたは一部が、ゲノム内のヌクレアーゼの標的部位に部位指向的に組み込まれ、標的化挿入事象が引き起こされる可能性がある。組み込まれるDNAに相同アームが存在することで、相同組換えまたは非相同末端結合(NHEJ)による修復プロセス中に、植物ゲノムへの挿入配列または挿入配列の一部の導入及び標的化が促進され得る。
【0088】
他の実施形態では、植物の遺伝子改変は、植物、植物部分、植物組織または植物細胞のゲノムにポリヌクレオチドまたはDNA配列または導入遺伝子を挿入するために、植物、植物部分、植物組織または植物細胞の形質転換を含み得る。当該技術分野で知られており、多くの作物種に応用可能な植物の形質転換の方法としては、これらに限定されるものではないが、エレクトロポレーション、マイクロプロジェクタイルまたはパーティクルボンバードメント、マイクロインジェクション、PEG媒介形質転換、Agrobacterium媒介形質転換、及び他の直接的なDNA取り込み様式が挙げられる。植物細胞の形質転換を媒介することが知られている細菌には、Agrobacterium以外のRhizobiales目に分類される可能性のある多数の細菌の属、種、及び株が含まれ、これには限定されないが、分類学上のRhizobiaceae科(例えば、Rhizobium属菌、Sinorhizobium属菌)、Phyllobacteriaceae科(例えば、Mesorhizobium属菌、Phyllobacterium属菌)、Brucellaceae科(例えば、Ochrobactrum属菌)、Bradyrhizobiaceae科(例えば、Bradyrhizobium属菌)及びXanthobacteraceae科(例えば、Azorhizobium属菌)などからの細菌種及び株が挙げられる。いくつかの実施形態によれば、Agrobacterium媒介形質転換は、Agrobacterium tumefaciensによって媒介される。このような形質転換の標的は未分化カルス組織であることが多いが、分化した組織も一時的及び安定した植物の形質転換のために使用されてきた。当該技術分野で周知のように、例えばMiki et al.,(1993,“Procedures for Introducing Foreign DNA into Plants,”in Methods in Plant Molecular Biology and Biotechnology,Glick B.R.and Thompson,J.E.Eds.,CRC Press,Inc.,Boca Raton,pages 67-88)によって記載されているように、植物形質転換のための他の方法を利用してもよい。
【0089】
具体的な実施形態では、マイクロプロジェクタイルボンバードメントを用いて、ポリヌクレオチドまたはDNA分子、ベクター、配列またはセグメントを植物外植片(複数可)の少なくとも1つの細胞に形質転換をもたらすことができる。この方法では、粒子をポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド/タンパク質複合体でコーティングし、推進力によって細胞に送達する。例示的な粒子としては、タングステン、白金、または金からなる粒子が挙げられ得る。ボンバードメントでは、外植片または他の標的細胞は固体培養培地上に配置され得る。撃ち込まれる細胞は、プロジェクタイル停止プレートの下に適当な距離で配置される。ポリヌクレオチドは、DNAまたはポリヌクレオチド分子でコーティングされた粒子を、ステンレス鋼またはNytexスクリーンなどのスクリーンを通して、そして表面に配置された外植片に向かって推進させることができる、バイオリスティック粒子送達システムを使用した加速によって植物細胞内に送達することができる。スクリーンは、粒子が大きな凝集体としてレシピエント細胞に送達されないように、粒子を分散させることができる。マイクロプロジェクタイルボンバードメント技術は広く応用可能であり、さまざまな植物種の形質転換に使用することができる。
【0090】
Agrobacterium媒介またはRhizobiales媒介による外植片の形質転換は、異種及び/または組換えDNA分子を植物細胞に導入するためのもう1つの広く適用可能なシステムである。最新のAgrobacterium形質転換ベクターは、E.coli及びAgrobacterium内で複製が可能であり、操作に都合がよい(例えば、Klee et al.,Nat.Biotechnol.,3(7):637-642,1985を参照)。さらに、Agrobacterium媒介遺伝子移入のためのベクターにおける最近の技術的進歩により、ベクター内の遺伝子及び制限部位の配置が向上され、さまざまなポリペプチドをコードする遺伝子を発現できるベクターの構築が容易になった。記載されたベクターは、挿入されたポリペプチドをコードする遺伝子を直接発現させるためのプロモーター及びポリアデニル化部位に隣接した便利なマルチリンカー領域を有している。さらに、武装Tiプラスミド及び非武装Tiプラスミドの両方を含むAgrobacteriumを形質転換に使用することができる。Agrobacterium媒介形質転換は、多くの植物種でよく選ばれる方法である。植物細胞にDNAを導入するためのAgrobacterium媒介による植物組込みベクターの使用は、当該技術分野で知られている(例えば、Fraley et al.,Nat.Biotechnol.,3:629-635,1985;米国特許第5,563,055号を参照)。
【0091】
多くのプロモーター及び発現エレメントは、任意の選別マーカー、スコアリングマーカー、導入遺伝子、または農学的に利点のある任意の他の遺伝子の植物遺伝子発現に有用である。プロモーターとしては、任意の構成的プロモーター、組織特異的プロモーター、器官特異的プロモーター、誘導性プロモーター、生殖組織プロモーター、発生段階プロモーター、ウイルスプロモーターなどが挙げられ得る。さまざまなタイプのプロモーター及び発現エレメントの例が当該技術分野で知られている。植物遺伝子発現に有用であり得る発現エレメントとしては、例えば、当該技術分野で知られているような、さまざまなプロモーター、エンハンサー、リーダー、5’及び3’非翻訳領域、イントロン、ターミネーターなどが挙げられ得る。選別マーカーもしくはスクリーニングマーカーまたは目的の遺伝子はまた、伝達ペプチドまたは他の標的配列に融合され得る。導入遺伝子によって産生されたタンパク質の、葉緑体、液胞、ペルオキシソーム、グリオキシソーム、細胞壁、核、またはミトコンドリアなどの細胞内区画への輸送、またはアポプラストへの分泌は、目的のタンパク質をコードする遺伝子の5’及び/または3’領域にシグナルまたは標的配列をコードするヌクレオチド配列を作動可能に連結することによって達成され得る。構造遺伝子の5’及び/または3’末端の標的配列は、タンパク質の合成及びプロセシング中に、コードされたタンパク質が最終的にどこで区画化されるかを決定し得る。シグナル配列の存在は、細胞内小器官または細胞内区画のいずれかに、またはアポプラストへの分泌のために、ポリペプチドを指向する。多くのシグナル配列が当該技術分野で知られている。例えば、Becker et al.(Plant Mol.Biol.,20:49,1992);Knox et al.(Plant Mol.Biol.,9:3-17,1987);Lerner et al.(Plant Physiol.,91:124-129,1989);Fontes et al.(Plant Cell,3:483-496,1991);Matsuoka et al.(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88:834,1991);Gould et al.(J.Cell.Biol.,108:1657,1989);Creissen et al.(Plant J.,2:129,1991);Kalderon et al.(Cell,39:499-509,1984);Steifel et al.(Plant Cell,2:785-793,1990)を参照のこと。
【0092】
構成的プロモーターの例としては、例えば、単子葉植物(例えば、Dekeyser et al.,Plant Cell,2:591,1990;Terada and Shimamoto,Mol.Gen.Genet.,220:389,1990を参照)を含むほとんどの植物組織において構成的な高レベルの発現を与えるカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35Sプロモーター(例えば、Odel et al.,Nature,313:810,1985を参照);CaMV 35Sプロモーターのタンデム重複バージョン、強化された35Sプロモーター(e35S)、ノパリンシンターゼプロモーター(An et al.,Plant Physiol.,88:547,1988)、オクトピンシンターゼプロモーター(Fromm et al.,Plant Cell,1:977,1989);及び米国特許第5,378,619号に記載されているようなフィグウォルトモザイクウイルス(FMV)プロモーター、及びFMVのプロモーター配列がタンデムで重複されているFMVプロモーターの強化バージョン(eFMV)、カリフラワーモザイクウイルス19Sプロモーター、サトウキビ桿状型ウイルスプロモーター、ツユクサ黄斑ウイルス(commelina yellow mottle virus)プロモーター、及び植物細胞で発現することが知られている他の植物DNAウイルスプロモーターが挙げられ得る。
【0093】
誘導性プロモーターを用いると、転写速度は誘導剤に応じて増加する。任意の誘導性プロモーターを本発明で使用することができる。環境、ホルモン、化学、及び/または発生シグナルに応答して調節されるさまざまな植物遺伝子プロモーターは、植物細胞における作動可能に連結された遺伝子の発現のために使用することができ、これには(1)熱(Callis et al.,Plant Physiol.,88:965,1988)、(2)光(例えば、エンドウrbcS-3Aプロモーター、Kuhlemeier et al.,Plant Cell,1:471,1989;トウモロコシrbcSプロモーター、Schaffner and Sheen,Plant Cell,3:997,1991;またはクロロフィルa/b結合タンパク質プロモーター、Simpson et al.,EMBO J.,4:2723,1985)、(3)ホルモン、例えば、アブシジン酸(Marcotte et al.,Plant Cell,1:969,1989)、(4)創傷(例えば、wunl,Siebertz et al.,Plant Cell,1:961,1989);または(5)化学物質、例えば、ジャスモン酸メチル、サリチル酸、またはSafenerによって調製されるプロモーターが含まれる。当該技術分野で知られている器官特異的または組織特異的プロモーターを用いることも有利であり得る(例えば、Roshal et al.,EMBO J.,6:1155,1987;Schernthaner et al.,EMBO J.,7:1249,1988;Bustos et al.,Plant Cell,1:839,1989)。
【0094】
単子葉植物に導入され得る例示的なポリヌクレオチドまたはDNA分子としては、例えば、別の種のDNA配列もしくは遺伝子、または同じ種に由来するか同じ種に存在するが、古典的な生殖もしくは育種技術ではなく、遺伝子工学的方法によってレシピエント細胞に組み込まれる遺伝子もしくは配列さえも含まれる。しかしながら、「外因性」という用語は、形質転換される細胞に通常は存在しない遺伝子、またはおそらくその形態、構造、位置などで存在しない遺伝子を指すことも意図されている。ポリヌクレオチドは、植物細胞内にすでに存在する、別の植物の、異なる生物の、外因性の、または外部で生成されたDNA分子または配列を含み得る。導入遺伝子または発現カセットは、抑制のためのmRNA及びタンパク質またはRNA分子、例えば、miRNA、siRNA、dsRNA、アンチセンスRNA、逆反復RNAなどをコードし得る。ポリヌクレオチドは、外因性、異種及び/または組換えポリヌクレオチドまたはDNA分子または配列であり得る。
【0095】
数千ではないにしても数百もの異なる遺伝子が知られており、本発明に従って植物に導入される可能性がある。単子葉植物に導入するために選択され得る特定の遺伝子及び対応する表現型の非限定的な例としては、以下の1つ以上の遺伝子:昆虫耐性の遺伝子、例えばBacillus thuringiensis(B.t.)遺伝子、害虫耐性の遺伝子、例えば真菌性疾患を制御するための遺伝子、除草耐性の遺伝子、例えばグリホサート耐性を付与する遺伝子、及び品質向上、例えば収量、栄養強化、環境耐性もしくはストレス耐性、または植物の生理機能、生育、発達、形態もしくは植物産物(複数可)における任意の所望の変化のための遺伝子が含まれる。例えば、構造遺伝子には、WO99/31248(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)、米国特許第5,689,052号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)、米国特許第5,500,365号及び同第5,880,275号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているBacillus昆虫制御タンパク質遺伝子を含むがこれらに限定されない、昆虫耐性を付与する任意の遺伝子が含まれるであろう。別の実施形態では、構造遺伝子は、米国特許第5,633,435号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるAgrobacterium株CP4グリホセート耐性EPSPS遺伝子(aroA:CP4)、または米国特許第5,463,175号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるグリホサートオキシドレダクターゼ遺伝子(GOX)を含むがこれらに限定されない遺伝子により付与されるような除草剤グリホセートに対する耐性を付与し得る。
【0096】
さまざまなアッセイが当該技術分野で知られており、形質転換、編集、または遺伝子改変植物における外因性DNA配列または導入遺伝子の存在を確認するために使用することができる。そのようなアッセイには、サザンブロッティング、ノーザンブロッティング、配列決定、PCR、in situハイブリダイゼーション、ELISA、ウェスタンブロッティング、酵素機能アッセイ、植物部分アッセイ、または再生植物の表現型の分析が含まれるが、これらに限定されない。
【0097】
G.培養培地
種々の組織培養培地は、適切に補充された場合、切除された植物組織からの成熟植物の形成を含む、植物組織の生育及び発達を支援することが知られている。本明細書で使用する場合、「組織培養培地」という用語は、非土壌環境における植物の生育及び発達を支援するために使用される液体、半固体、または固体の培地を指す。これらの組織培養培地は、市販の調製物として購入することもでき、または当業者によって特注で調製及び改変されることもできる。そのような培地の例には、限定されないが、Murashige and Skoog,(1962);Chu et al.,(1975);Linsmaier and Skoog,(1965);Uchimiya and Murashige,(1962);Gamborg et al.,(1968);Duncan et al.,(1985);McCown and Lloyd,(1981);Nitsch and Nitsch(1969);及びSchenk and Hildebrandt,(1972)に記載されたもの、または適切に補充されるこれらの培地の派生物が挙げられる。当業者は、目的の特定の標的作物または変種のための培地及び培地補充物、例えば形質転換及び再生における使用のための栄養素及び植物生育調節物質が、通常最適化されることを承知している。組織培養培地は、限定されないが、グルコース、スクロース、マルトース、マンノース、フルクトース、ラクトース、ガラクトース、及び/またはデキストロースなどの炭水化物、または炭水化物の比率により補充され得る。試薬は市販されており、多くの供給業者から購入することができる(例えば、Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO;及びPhytoTechnology Laboratories,Shawnee Mission,KSを参照)。これらの組織培養培地は、接種培地、共培養培地、出芽誘導培地、第2の誘導培地、または再生培地を調製するために使用することができ、特定の実施形態では、選択剤を含み得る。
【0098】
H.選別マーカー
特定の実施形態では、本発明に従って使用するための培地は、1つ以上の選択剤を含むことができ、本発明で使用するための異種ポリヌクレオチド分子は、選別マーカー遺伝子を含むことができ、選別マーカー遺伝子は、選択剤に対する耐性を与える。本明細書で使用する場合、「選別マーカー」または「スクリーニングマーカー」または「スコアリングマーカー」とは、その発現が核酸配列を含む細胞の同定を容易にする表現型を与える核酸配列を指す。さまざまな選別マーカー及びそれらに対する耐性をもたらす遺伝子の例は、Miki and McHugh,2004に開示されている。使用できる選別マーカー遺伝子には、aroA、EPSPS、aadA、pat、bar、hph(ハイグロマイシンBリン酸基転移酵素)、DMO(ジカンバノモオキシゲナーゼ(dicamba nomooxygenase))、及びNPT IIが含まれるが、決してこれらに限定されない。本発明に従って使用され得る選択剤の非限定的な例としては、グリホサート、グルホシネート、ホスフィノトリシン、ブロモキシニル、ビアラホス、ジカンバ、イミダゾリノン、スルホニル尿素、アセト乳酸シンターゼ阻害剤、プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ阻害剤、ヒドロキシフェニル-ピルビン酸-ジオキシゲナーゼ阻害剤、抗生物質阻害剤、ネオマイシン、カナマイシン、パラモマイシン(paramomycin)、G418、アミノグリコシド、スペクチノマイシン、ストレプトマイシン、ハイグロマイシンB、ブレオマイシン、フレオマイシン、スルホンアミド、ゲンタマイシン、ストレプトトリシン、クロラムフェニコール、メトトレキサート、2-デオキシグルコース、ベタインアルデヒド、S-アミノエチルL‐システイン、4-メチルトリプトファン、D-キシロース、D-マンノース、及びベンジルアデニン-N-3-グルクロニダーゼが挙げられる。いくつかの実施形態では、本発明で使用するための異種ポリヌクレオチド分子は、2つ以上の選別マーカー遺伝子を含み得る。いくつかの実施形態では、本発明で使用するための選択剤は、単独で、または2つ以上の選択剤の組み合わせとして使用され得る。一実施形態では、本発明の実施形態は、選択剤の非存在下で実施することができる。
【0099】
本発明の実施形態によれば、形質転換またはゲノム編集のための外因性ポリヌクレオチドまたはDNA分子の挿入配列は、形質転換またはトランスジェニックR0植物の選別及び作出を成功させるための植物選別マーカー遺伝子を含み得る。植物選別マーカー遺伝子または導入遺伝子としては、植物選別マーカー導入遺伝子により形質転換された植物細胞が、選択剤によって課される選択圧に耐性となり、耐えられ得るように、対応する選択剤に対する耐性を付与する任意の遺伝子を挙げることができる。結果として、外植片の形質転換された植物細胞は、選別下での生育、増殖、発達などに有利となる。植物選別マーカー遺伝子は、選択剤に耐性を付与するために一般的に使用されるが、追加のスクリーニングマーカー遺伝子(複数可)もまた、選別マーカーに加えて、おそらく農業上関心のある遺伝子とともに使用され得る。そのようなスクリーニングマーカー遺伝子には、例えば、β-グルクロニダーゼのuidA(GUS;例えば、米国特許第5,599,670号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている)または緑色蛍光タンパク質及びその変異体のgfp(米国特許第5,491,084号及び同第6,146,826号(両方とも参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているGFP)またはフィトエンシンターゼのcrtB(例えば、米国特許第8,237,016号及び同第10,240,165号(両方とも参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている)が挙げられ得る。スクリーニングマーカーの追加の例としては、その発現が形質転換された細胞を同定するための手段として検出することができる分子(複数可)の分泌を引き起こす、分泌マーカーが挙げられ得る。
【0100】
植物選別マーカー遺伝子は、除草剤、例えばグリホサート及びグルホシネートへの耐性または抵抗性を提供または付与するタンパク質をコードする遺伝子を含み得る。当該技術分野で知られている有用な植物選別マーカー遺伝子としては、ストレプトマイシンまたはスペクチノマイシン(例えば、aadA、spec/strep)、カナマイシン(例えば、nptII)、ハイグロマイシンB(例えば、aph IV)、ゲンタマイシン(例えば、aac3及びaacC4)、及びクロラムフェニコール(例えば、CAT)に対する抵抗性または耐性を付与するタンパク質をコードするものを挙げることができる。除草剤抵抗性または耐性を付与するタンパク質をコードする既知の植物選別マーカー遺伝子のさらなる例としては、例えば、5-エノールピルビルシキミ酸3-リン酸シンターゼをコードする転写可能DNA分子(グリホサート耐性用EPSPS;例えば、米国特許第5,627,061号、同第5,633,435号、同第6,040,497号、及び同第5,094,945号(これらのすべてが参照によって本明細書に組み込まれる)に記載);グリホサートオキシドレダクターゼ及びグリホサート-N-アセチルトランスフェラーゼをコードする転写可能DNA分子(GOX;例えば、米国特許第5,463,175号に記載;GAT、米国特許公開第20030083480号に記載;フィトエンデサチュラーゼをコードする転写可能DNA分子(crtI;例えば、ノルフルラゾン耐性についてMisawa,et al.,Plant Journal,4:833-840(1993)及びMisawa,et al.,Plant Journal,6:481-489(1994)(参照によって本明細書に組み込まれる)に記載);ならびにbar遺伝子(例えば、グルホシネート及びビアラホス耐性についてDeBlock,et al.,EMBO Journal,6:2513-2519(1987)(参照によって本明細書に組み込まれる)に記載)が挙げられる。
【0101】
外因性DNA分子の挿入配列は、形質転換された植物(複数可)の作出及び/または確認が成功した後、特に導入遺伝子または発現カセットがもはや必要とされなくなった後に、1つ以上の導入遺伝子(複数可)もしくは発現カセット(複数可)、例えば、植物選別マーカー導入遺伝子、またはその任意の部分もしくは配列を除去するための配列をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、これは、除去される導入遺伝子配列を、内在性であるかまたは外因的に提供されるリコンビナーゼ酵素(例えば、Cre、Flpなど)によって認識及び除去することができる、公知のまたは後に発生する組換え部位(例えば、LoxP部位、FRT部位など)と隣接させることによって達成することができる。リコンビナーゼ酵素は、導入遺伝子の切除を達成するために、トランスで、例えば、リコンビナーゼ導入遺伝子を有する別の植物と形質転換された植物を交配させることによって導入及び発現させることができる。したがって、望まれない配列エレメントまたは導入遺伝子は、その使用または目的が終了すると除去することができ、したがって、生殖系列におけるそのさらなる発現または伝達は防止され得る。
【実施例】
【0102】
当業者であれば、本発明によって提供される方法及び組成物の多くの利点を理解するであろう。以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために含まれる。以下の実施例において開示された技術は、本発明の実行において良好に機能することが本発明者らによって発見された技術を表し、したがって、その実施のための好ましい様式を構成すると考えられ得ることを、当業者は理解されたい。しかしながら、当業者であれば、本開示に照らして、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、開示される特定の実施形態に多くの変更を行っても、同様または類似の結果を得ることができることを理解するであろう。本明細書で引用されるすべての参考文献は、本明細書で使用される方法論、技術、または組成物を補足し、説明し、背景を提供し、または教示する範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。
【0103】
実施例1
トウモロコシの切除された外植片の形質転換
この実施例は、外植片の調製、Agrobacteriumの接種及び共培養、出芽誘導、拡大出芽誘導、ならびにトランスジェニック植物の再生の工程を含む、乾燥成熟トウモロコシ種子から切除された胚外植片のAgrobacterium媒介形質転換の方法について記載する。
【0104】
外植片の調製
外植片を乾燥成熟01DKD2トウモロコシ種子から切除し、密封ポーチ内で-20℃で保存した。外植片を冷凍庫から取り出し、外植片の調製前に少なくとも30分間室温に平衡化させた。外植片を、適切なサイズのローラーボトル内で分子量(MW)800の100g/Lのポリエチレングリコール(PEG)を含む70%エタノールで、約3.5分間ゆっくりと回転させることによって撹拌して、表面殺菌した。約300mLの殺菌溶液が最大約15,000のトウモロコシ外植片に使用され、約500mLの殺菌溶液が約15,000~約30,000のトウモロコシ外植片に使用された。殺菌後、トウモロコシ外植片と殺菌溶液を大きな鋼製ストレーナー上に注いだ。ストレーナー上に保持された外植片を約2.5~約3.0Lの滅菌水ですすいで、有意な残存する殺菌溶液を除去し、その後、滅菌ガラスビーカーに移した。
【0105】
殺菌後、トウモロコシ外植片を浮遊濃縮して破片を除去した。簡単に説明すると、外植片を含む滅菌ガラスビーカーに500mLの滅菌水を注ぎ、表面に浮遊した外植片を大きなストレーナーに注ぐことによって収集した。残存する生存外植片が表面に浮遊しなくなるまで、浮遊を数回繰り返した。
【0106】
浮遊濃縮後に収集したトウモロコシ外植片を、再水和のために新しい滅菌ガラスビーカーに移した。簡単に説明すると、1/2濃度であるCaCl
2を除く2/5濃度のB5マクロ塩、1/10濃度のB5ミクロ塩及びビタミン、1g/Lの硝酸カリウム、30g/Lのデキストロース、2.8mg/Lのセクエストレン、3.9g/Lの2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、及び0.03g/LのClearys 3336 WP、pH5.4を含む再水和培地400mLをビーカーに添加した 次いで、ビーカーをアルミホイルで覆い、約1~約2時間インキュベートした。MS、ガンボーグB5(B5)、及び木本植物培地(WPM)の塩及びビタミンのそれぞれの構成成分は当該技術分野で知られており、まとめて表1に提供する。例えば、Murashige and Skoog(1962)Plant Physiology,15:473-497;O L Gamborg,et al.(1968)Exp Cell Res.,50(1):151-8;及びMcCown and Lloyd(1981)HortScience,16:453-453(それぞれの内容及び開示の全体は参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
表1.MS、B5、WPM、ならびに低窒素MSの塩及びビタミンの構成成分。
【表1】
【0107】
表1では、主要な塩類または多量要素は太字で、ミクロ塩または微量要素は通常のフォントで、ビタミンは斜体で示されている。これらの塩及びビタミン混合物のそれぞれは、PhytoTechnology Laboratoriesなどから市販されている(例えば、MS塩混合物のカタログ番号はM519、B5塩混合物のカタログ番号はG398、WPM塩混合物のカタログ番号はL449、及び低窒素MS混合物のカタログ番号はM529とG249の組み合わせである)。基礎塩混合物には多量要素と微量要素の両方が含まれている。濃度は、溶液で示されるか、または総水量1Lあたり指定された量が添加されたときに示される(これは任意の他の容量に合わせて調整され得る)。希釈はこれらの完全濃度に対して行われ、分数として表記され得る。表1の塩またはビタミンの完全濃度は、希釈が指定されない限り、本明細書に記載される溶液に含まれる。
【0108】
Agrobacteriumの調製
AgrobacteriumのグリセロールストックAB32を-80℃の冷凍庫から取り出し、層流フード内で周囲温度で解凍した。ボルテックスにより完全に混合した後、解凍したAgrobacteriumのグリセロールストック250mLを、滅菌した1Lフラスコ内の形質転換構築物のための適切な抗生物質を含む250mLの液体LB培地に接種した。適切な抗生物質には、例えば、50mg/Lのスペクチノマイシンまたは30mg/Lのゲンタマイシンが含まれ得る。フラスコを200rpmに設定したオービタルシェーカー/インキュベーターに置き、27.5+2℃で暗所で16~24時間、または接種物の660nmでの光学密度測定値(OD660)が0.6~1.2の範囲内になるまで培養した。一晩Agrobacteriumの培養物を約3000rpmまたは2620×g(Sorvall(登録商標)3B、6000Aローター)で、4℃で25分間遠心分離した後、ペレットを2/5濃度のB5マクロ塩、1/10のB5ミクロ塩及びビタミン、1g/Lの硝酸カリウム、30g/Lのデキストロース、及び3.9g/LのMESを含む接種培地50mLに再懸濁した。再懸濁後、すべてのチューブからのAgrobacteriumをプールし、よく混合し、OD660測定のためにAgrobacterium懸濁液の1:20希釈液を作成した。次いで、濃縮されたAgrobacterium懸濁液を接種培地中で最終OD660が0.25になるまで希釈した。
【0109】
接種及び共培養
上記のように再水和した後、外植片/再水和混合物を滅菌ステンレス鋼メッシュストレーナーに注ぐことによって外植片を収集した。保持された外植片を滅菌タオル上に素早く吸い取り、余分な液体を取り除いた。約2,500のトウモロコシ外植片と40mLのAgrobacterium懸濁液を50mLの通気孔付き円錐チューブに加えた。Agrobacterium懸濁液は、チューブ内のすべての外植片をカバーした。次に、チューブを真空チャンバーに置き、約300psiの圧力を約3分間加えた。圧力をゆっくりと解放した後、チューブを2,620×gで、4℃で30分間遠心分離した。圧力による接種及び遠心分離の後、外植片を滅菌ステンレス鋼ストレーナーに移すことによってAgrobacterium懸濁液を除去した。滅菌ペーパータオル上でストレーナーを軽くたたいて余分な液体を除去した。
【0110】
接種したトウモロコシ外植片を、1.25mLの再水和培地で湿らせた滅菌ワットマン#1濾紙(82mm)を1枚含む共培養プレート(25mm×100mm)に移した。各プレートには、単層でプレート全体に均一に広がった約500~600のトウモロコシ外植片が含まれていた。共培養プレートを20℃、相対湿度約65%で、明期16時間/暗期8時間の光周期で5~6日間インキュベートした。目標とした光強度は、約90μ/m2・sの光合成有効放射(PAR)であった。
【0111】
出芽誘導
共培養工程の後、トウモロコシ外植片を、例えばMS塩、B5ビタミン、30g/Lのスクロース、0.69g/Lのプロリン、1g/LのNZアミン-A(カゼイン酵素加水分解物;Millipore Sigma)、2mg/Lのグリシン、1g/LのMES、1mg/Lの2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、10mg/Lの6-ベンジルアミノプリン(BAP)、400mg/Lのカルベニシリン、200mg/Lのセフォタキシム、100mg/Lのチメンチン、及び3.5g/Lの低EEOアガロース、pH5.8を含む固体出芽誘導培地に移した。各共培養プレートからの外植片を、出芽誘導培地を含む5つのプレート上に均等にプレーティングした。プレートをPercival(登録商標)チャンバー内で33℃(実際のプレート温度は35℃)、明期16時間/暗期8時間の光周期で、約90μ/m2・sのPARの光強度で6~8日間インキュベートした。
【0112】
拡大出芽誘導
出芽誘導工程の後、トウモロコシ外植片を、MS塩、B5ビタミン、60g/Lのスクロース、0.5g/Lのグルタミン、0.69g/Lのプロリン、1g/LのNZアミン-A、2mg/Lのグリシン、1.95g/LのMES、1.25mg/Lの硫酸銅、2mg/Lのチジアズロン、2mg/Lのピクロラム、400mg/Lのカルベニシリン、200mg/Lのセフォタキシム、100mg/Lのチメンチン、25μMのグリホサート、及び3.5g/Lの低EOアガロース、pH5.8を含む固体拡大出芽誘導培地に移した。各出芽誘導プレートからの外植片を、拡大出芽誘導培地を含む2つのプレート上に均等に分割した。これらのプレートを、28℃で、明期16時間/暗期8時間の光周期で、約5~18日間、約150μ/m2・sのPARの光強度で培養した。
【0113】
再生
拡大出芽誘導プレートからの外植片を、シュートの発達及び発根のために、LM木本植物培地(WPM)の塩及びビタミン、0.03g/LのCleary3336WP(チオファネートメチル)、30g/Lのスクロース、0.69g/Lのプロリン、2mg/Lのグリシン、1g/LのMES、3.5g/Lの低EEOアガロース、400mg/Lのカルベニシリン、200mg/Lのセフォタキシム、100mg/Lのチメンチン及び20μMのグリホサート、pH5.8を9cmのVivi(登録商標)トレイ(Vivi(登録商標)、The Netherlands)中に含む固体再生培地に移した。外植片を再生培地上に均一に分布させた後、Vivi(登録商標)トレイを、手持ち式のシーリングアイロンを用いてプラスチックフィルムで密封し、28℃及び周囲湿度で、明期16時間/暗期8時間の光周期で、約160μ/m2・sのPARの光強度で28~42日間培養した。再生工程の後、典型的には接種工程から約10~11週間後に、根が目に見え、キメラ化の兆候がない推定上のトランスジェニック植物を、土壌プラグ(直径2インチ×高さ3インチ(Gro-Tech,Rough and Ready,CA 95975)において移植し、さらに生育及び発達させた。
【0114】
実施例2
コムギの切除された外植片の形質転換
この実施例は、外植片の調製、Agrobacteriumの接種及び共培養、出芽誘導、拡大出芽誘導、ならびにトランスジェニック植物の再生の工程を含む、乾燥成熟コムギ種子から切除された胚外植片のAgrobacterium媒介形質転換の方法について記載する。
【0115】
外植片の調製
外植片を乾燥成熟コムギ種子から切除し、密封ポーチ内で-20℃で保存した。外植片を冷凍庫から取り出し、外植片の調製前に少なくとも30分間室温に平衡化させた。約10,000の外植片を、約500mLの70%エタノールを含む滅菌1Lボトルに外植片を入れることによって表面殺菌した。ボトルを約5分間手で軽く転がしたり振ったりして撹拌した。表面殺菌し、70%のエタノール溶液を除去した後、コムギ外植片を滅菌水ですすぎ、有意な残存する殺菌培地を除去した。
【0116】
コムギ外植片を浮遊濃縮して破片を除去した。簡単に説明すると、滅菌水中の外植片を、外側の容器と内側のふるい容器を含む滅菌したふるい/収集容器装置に注いだ。内側のふるい容器は外側の容器の内部に収まり、底部に溶融された26×26のステンレス鋼メッシュを有する。外植片を装置に移した後、滅菌水を加えた。コムギ外植片の浮遊を誘導するために、内側のふるい容器を水中から上げたり下げたりするのを繰り返した。浮遊外植片を真空コレクターを使用して収集した。この浮遊工程は、浮遊物質の約50%が破片になるまで数回繰り返された。浮選工程の後、破片は廃棄された。次に、Agrobacteriumを接種するために、滅菌スパチュラを使用して、収集したコムギ外植片を50mLの遠心チューブに加えた。チューブごとに約5,000のコムギ外植片を加えた。
【0117】
Agrobacteriumの調製
Agrobacteriumのグリセロールストックを-80℃の冷凍庫から取り出し、層流フード内で周囲温度で解凍した。ボルテックスにより完全に混合した後、500mLの解凍したAgrobacteriumのグリセロールストックを、1Lの滅菌フラスコ内の形質転換構築物に適切な抗生物質を含む液体LB培地250mLに、170rpmのシェーカーで接種し、27~28℃の暗所で約16~18時間、またはOD660が0.6~1.6の範囲内になるまで培養した。適切な抗生物質としては、例えば、50mg/Lのスペクチノマイシンまたは30mg/Lのゲンタマイシンが挙げられ得る。一晩のAgrobacterium培養物を約3500~3700rpm、20℃で20分間遠心分離した後、ペレットを、1/10のMS塩、MSビタミン、0.5g/Lのグルタミン、0.1g/Lのカゼイン加水分解物、0.75g/Lの塩化マグネシウム、1.95g/LのMES、40g/Lのマルトース及び100mg/Lのアスコルビン酸、pH5.8を含む25mLの接種培地に再懸濁した。再懸濁後、すべての遠心チューブからのAgrobacteriumをプールし、よく混合し、OD660測定のために1:20希釈のAgrobacterium懸濁液を作成した。次いで、濃縮されたAgrobacterium懸濁液を接種培地中で最終OD660が0.5になるまで希釈した。調製したAgrobacterium懸濁液は、形質転換に使用するまで4℃で最大8時間保存した。
【0118】
接種及び共培養
上記のように調製した約40~50mLのAgrobacterium懸濁液を、調製したコムギ外植片を含む各50mLの遠心チューブに加えた。Agrobacterium及び外植片を含むチューブを1400×g、4℃で30分間遠心分離した。遠心分離後、外植片及びAgrobacteriumを振とうして再懸濁し、外植片をチューブの底に沈降させた。Agrobacterium懸濁液をデカンテーションにより除去した。次に、接種したコムギ外植片を滅菌スパチュラまたはループを使用して100mm×25mmのペトリ皿に移し、残存するAgrobacterium懸濁液を、滅菌トランスファーピペットを用いて除去した。あるいは、実施例1に記載されているように、滅菌ステンレス鋼のふるいを使用して外植片を収集し、余分なAgrobacterium懸濁液を除去してもよい。
【0119】
次いで、接種した外植片を、1.25mLの接種培地で湿らせた滅菌Ahlstrom濾紙を1枚含む共培養プレート(25mm×100mm)に移した。各共培養プレートには、単層でプレート全体に均一に広がった約500~600のコムギ外植片が含まれていた。共培養プレートを23℃、相対湿度約70%の暗所で約70%で3~4日間インキュベートした。
【0120】
遅延
共培養工程の後、外植片を含む濾紙を、滅菌ピンセットを用いて共培養プレートから取り出し、窒素を含まない0.78g/LのMS基礎塩、MSビタミン、1.64g/Lの硫酸カリウム、4.95g/Lの硝酸アンモニウム、60g/Lのマルトース、0.5g/Lのグルタミン、1g/LのNZアミン-A、0.75g/Lの塩化マグネシウム六水和物、1.95g/LのMES、1.25mg/Lの硫酸銅、3mg/Lのチジアズロン、2mg/Lのピクロラム、200mg/Lのカルベニシリン、100mg/Lのセフォタキシム及び3.5g/Lのアガロース低EEO、pH5.8を含む固体遅延培地を含有するプレートに直接移した。次に、プレートを25℃、相対湿度約35%、明期16時間/暗期8時間の光周期で12~16日間培養した。
【0121】
選抜
遅延工程の後、液体培地を使用して選抜を実施した。簡単に説明すると、遅延培地上のコムギ外植片を、フェルト2枚、吸引を助けるために穴を開けた濾紙1枚、ならびに窒素を含ままない0.78g/LのMS基礎塩、MSビタミン、1.64g/Lの硫酸カリウム、4.95g/Lの硝酸アンモニウム、30g/Lのマルトース、0.5g/Lのグルタミン、1g/LのNZアミン-A、0.75g/Lの塩化マグネシウム、1.95g/LのMES、1.25mg/Lの硫酸銅、3mg/Lのチジアズロン、2mg/Lのピクロラム、200mg/Lのカルベニシリン、100mg/Lのセフォタキシム及び30μMのグリホサート、pH5.8を含む25mLの選抜培地を含有する選抜プレートに移した。約80~100のコムギ外植片を各選抜プレートに置いた。プレートを25℃、相対湿度約35%、明期16時間/暗期8時間の光周期で12~16日間培養した。
【0122】
再生
選抜工程の後、選抜培地を吸引し、MS基礎塩、MSビタミン、30g/Lのスクロース、0.69g/Lのプロリン、1g/LのMES、400mg/Lのカルベニシリン、200mg/Lのセフォタキシム、100mg/Lのチメンチン、及び30μMのグリホサート、pH5.8を含む20mLの液体再生培地を加えた。プレートを25℃、相対湿度約35%、明期16時間/暗期8時間の光周期で12~16日間培養した(再生工程1)。次いで、再生培地を吸引し、15mLの新鮮な再生培地と交換した。次いで、プレートを25℃、相対湿度約35%、明期16時間/暗期8時間の光周期でさらに5~9日間インキュベートした(再生工程2)。
【0123】
再生工程2の後、10mLの新鮮な再生培地を各プレートに加えた。次いで、再生されたシュートを移植する準備ができるまで、プレートを25℃、相対湿度約35%、明期16時間/暗期8時間の光周期で培養した。
【0124】
典型的には、接種後約60~70日で、再生されたシュートを、MS基礎塩、MSビタミン、1.95g/LのMES、40g/Lのマルトース、0.5mg/Lの硫酸銅、100mg/Lのアスコルビン酸、1mg/LのIBA、3g/LのGelzan CM、400mg/Lのカルベニシリン、500mg/Lのセフォタキシム及び30μMのグリホサート、pH5.8を含む固形発根培地に移し、25℃、明期16時間/暗期8時間の光周期で2週間培養した。根が発達した推定上のトランスジェニックコムギ植物を、土壌プラグ(直径2インチ×高さ3インチ(Gro-Tech,Rough and Ready,CA 95975)において移植し、さらに生育及び発達させた。
【0125】
実施例3
出芽誘導中の高温によりトウモロコシ種子外植片の形質転換が向上する
この実施例は、複数の出芽誘導中の高温がトウモロコシ種子から切除された外植片の形質転換に及ぼす影響を評価するために設計された実験を提供する。
【0126】
28℃で2週間の出芽誘導と、35℃で1週間の後28℃で1週間の出芽誘導との比較
トウモロコシ種子から切除された外植片を出芽誘導培地と接触させ、Agrobacteriumの接種及び共培養後、28℃で2週間培養する。
【0127】
最初の出芽誘導工程中の高温が形質転換に及ぼす影響を評価するために、選抜にグリホサートを使用して2つの温度処理:1)28℃で2週間の出芽誘導と、2)35℃の高温で1週間の出芽誘導の後、28℃で1週間の出芽誘導を評価した。この実験におけるトウモロコシ外植片の形質転換のための進行及びその後の工程は、一般に実施例1に記載されているように実施した。
【0128】
Agrobacteriumの接種及び共培養後、トウモロコシ外植片を、2mg/LのTDZ、1mg/Lの2,4-D、及び異なる濃度のグリホサートを補充したMS塩及びB5ビタミンを含む出芽誘導培地に移し、上記の温度条件下で培養した。表2に示されるように、出芽誘導の第1週に外植片を35℃で培養すると、外植片の発芽が阻害されるようであったが、第2週の28℃での出芽誘導の後では、緑色の芽が形成された外植片の割合が増加した。さらに、出芽誘導の第1週に外植片を高温で培養すると、4週間の再生後に正常な緑色のシュートを作出する外植片の頻度が大幅に増加した。これにより、シュート頻度が増加し、キメラシュートの頻度が減少した(表2)。さらに、この結果は、選抜培地中のグリホサート濃度が12.5μMから50μMに増加するにつれて、正常シュートの割合(%)が一般的に増加することも示した。
表2.第1週の出芽誘導中の高温により、トランスジェニックシュートの再生が増加する。
【表2】
【0129】
シュートの総数は、正常シュートとキメラシュートの両方を含む、接種された外植片から再生されたシュートの総数として計算された。シュート頻度は、シュートを作出する接種された外植片の数を接種された外植片の総数で割ったものとして計算された。正常シュート数は、キメラ組織表現型を示さなかった、再生された正常シュートの総数として計算された。正常シュートの割合(%)は、正常シュート数をシュートの総数で割ったものとして計算された。正常シュート頻度は、正常シュート数を接種された外植片の総数で割ったものとして計算された。
【0130】
別の実験では、出芽誘導工程中のさまざまな温度条件:1)第1週の出芽誘導35℃の後、第2週の出芽誘導28℃と、2)28℃で2週間の出芽誘導を比較するために評価した。この実験には、トウモロコシ外植片の2つの異なるバッチと、出芽誘導培地中の植物生育調節剤の異なる組み合わせが含まれた。以下の植物生育調節剤の組み合わせを評価した:1)2mg/LのTDZ及び1mg/Lの2,4-Dと、2)10mg/LのBAP及び1mg/Lの2,4-D。上記のように、出芽誘導培地には、2mg/LのTDZ、1mg/Lの2,4-Dまたは10mg/LのBAP及び1mg/Lの2,4-Dのいずれかを補充したMS塩及びB5ビタミンと、選択剤として5μMのグリホサートが含まれた。前述のAgrobacteriumの接種及び共培養の後、外植片を上記の条件に従って培養した。共培養の後、外植片の2つのバッチ間で一過性発現に明らかな差はなかった。この実験の結果は、35℃で第1週の出芽誘導を行うと、最初はトウモロコシ外植片の生育が遅くなり、2週間の出芽誘導全体にわたって28℃で培養された外植片と比較して、トウモロコシ外植片がよりコンパクトで緑色になることが確認された。この結果は、出芽誘導培地中の外植片バッチまたは植物生育調節剤の組み合わせとは無関係であった。最初に35℃で培養した外植片の生育は、その後の28℃での出芽誘導中に回復した。これらの外植片は、外植片を再生及び選抜培地に移し、2、3または4週間生育させた後、28℃で2週間培養したものと比較して、より大きな割合の緑色外植片を作出した。さらに、表3に示されるように、最初に35℃で培養した外植片は、外植片バッチまたは出芽誘導培地中の植物生育調節剤の組み合わせに関係なく、シュート頻度と正常シュートの割合(%)の増加を示した。
表3.第1週の出芽誘導中の高温により、外植片バッチまたは植物生育調節剤の組み合わせに関係なくトランスジェニックシュートの再生が増加した。
【表3】
【0131】
シュートの総数は、正常シュートとキメラシュートの両方を含む、接種された外植片から再生されたシュートの総数として計算された。シュート頻度は、シュートを作出する接種された外植片の数を接種された外植片の総数で割ったものとして計算された。正常シュート数は、キメラ組織表現型を示さなかった、再生された正常シュートの総数として計算された。正常シュートの割合(%)は、正常シュート数をシュートの総数で割ったものとして計算された。正常シュート頻度は、正常シュート数を接種された外植片の総数で割ったものとして計算された。
【0132】
28℃での出芽誘導と、35℃での出芽誘導の後で拡大出芽誘導した場合の比較
トウモロコシ外植片の3つの異なるバッチを使用して3つの独立した実験を実施し、第1週は35℃、その後第2週は28℃で出芽誘導を評価し、上記の追加の拡大出芽誘導、選抜、及び再生工程の前に、28℃で2週間の出芽誘導と比較した。各実験には、表4に提供された4つの温度条件が含まれていた。
表4.出芽誘導中に高温で外植片を培養すると、トランスジェニックシュートの再生が劇的に増加した。
【表4】
【0133】
表4に示されるように、外植片を35℃で出芽誘導の第1週に培養した後、28℃で出芽誘導の第2週に培養すると、3つの実験すべてにおいて、28℃で2週間の出芽誘導と比較して、トランスジェニックシュートの再生が劇的に増加した。正常植物頻度(NPF)は、正常植物の数を接種された外植片の総数で割ったものとして計算された。
【0134】
35℃で4日間出芽誘導し、その後、出芽誘導の残り期間を28℃で出芽誘導することは、28℃で2週間の出芽誘導と比較して、トランスジェニックシュートの再生を増加させるのに十分であった
さまざまな期間の35℃での出芽誘導が形質転換に及ぼす影響をさらに評価した。4つの独立した実験を、28℃で2週間の出芽誘導(すなわち、35℃では0日間)を対照として含めて実施した。処理条件には、35℃で2、4または7日間、出芽誘導した後、残りの2週間を28℃に移すことが含まれた(すなわち、2日+12日、4日+10日、または7日+7日)。表5に示されるように、第1週の出芽誘導中に35℃で4日間培養した外植片は、出芽誘導工程全体を通じて28℃で培養した外植片と比較して、トランスジェニックシュートの再生が大幅に増加した。さらに、35℃で4日間出芽誘導処理した場合の平均シュート再生頻度と平均正常シュート頻度は、35℃で7日間出芽誘導処理した場合と同等であり、35℃で4日間の高温での出芽誘導が形質転換向上に十分であることが示された。
表5.さまざまな期間の35℃の出芽誘導がトランスジェニックシュートの再生頻度に及ぼす影響。
【表5】
【0135】
シュート頻度は、シュートを作出する外植片の数を、各処理の出芽誘導培地上の外植片の総数で割ったものとして計算し、各処理について4回の反復の平均をとった。正常シュート頻度は、正常シュートの数を、各処理の出芽誘導培地上の外植片の総数で割ったものとして計算し、各処理について4回の反復の平均をとった。
【0136】
実施例4
低レベルの塩を含む再生培地によりトウモロコシ種子外植片の形質転換が向上する
この実施例は、低レベルの塩を含む培地と接触させたトウモロコシの切除された外植片から再生したトランスジェニック植物の形質転換及び発根頻度の向上について説明する。
【0137】
トランスジェニック植物の作出中、再生培地と接触した発根したトランスジェニックシュートをペトリ皿から土壌に直接移し(このプロセスは直接的なプラギングとして知られる)、Phytatray(商標)またはPlantCon(商標)容器で植物またはシュートを生育させる中間工程を排除することが望ましい。直接的なプラギングは必要なリソースが少なく、トランスジェニック植物の作出プロセスを加速し、トランスジェニック植物の品質が向上する。トウモロコシ外植片は、接種、共培養、出芽誘導、及び拡大出芽誘導工程の後に外植片をMS再生培地と接触させることによって再生できる。しかしながら、MS再生培地を使用する場合、シュートの発根頻度は低く、変動することが多く、直接的なプラギングの効果的な実施が妨げられる。MSベースの培地は塩分レベルが高いため、塩分レベルが低い他の再生培地が形質転換及び/または発根頻度を向上するかどうかを評価するために実験が設計された。評価した再生培地は、MS再生培地、B5再生培地、木本植物培地(WPM)再生培地、及び低窒素MS再生培地であった。
【0138】
葉緑体を標的とするAgrobacteriumaroA遺伝子、uidA遺伝子、及び隣接するT-DNA境界を含む形質転換ベクターを含むAgrobacteriumを、実施例1に記載のように調製した。aroA遺伝子は、グリホサートに対する耐性を付与する選別マーカーであり、uidA遺伝子は、β-グルクロニダーゼ(GUS)をコードする。Agrobacteriumの接種及び共培養の後、トウモロコシ外植片を出芽誘導培地上に置き、35℃で1週間培養し、続いて28℃でさらに1週間出芽誘導を行った。次に、外植片を拡大出芽誘導培地に移し、さらに2週間培養した後、MS、B5、WPM、または低窒素MS再生培地のいずれかに置いた。MS培地、B5培地、WPM培地、及び低窒素MS培地の構成成分は当該技術分野で知られており、表1にまとめて提供されている。表6に示されるように、WPM再生培地と接触して再生された外植片は、MS再生培地と接触して再生された外植片と比較して、正常植物頻度(NPF)によって測定されるように形質転換が向上したことが実証された。
表6.WPM再生培地は、トランスジェニックトウモロコシ植物の正常植物頻度を向上する。
【表6】
【0139】
シュートの総数は、正常シュートとキメラシュートの両方を含む、接種された外植片から再生されたシュートの総数として計算された。シュート頻度は、シュートを作出する接種された外植片の数を接種された外植片の総数で割ったものとして計算された。正常シュート数は、キメラ組織表現型を示さなかった、再生された正常シュートの総数として計算された。正常シュート頻度は、正常シュート数を接種された外植片の総数で割ったものとして計算された。正常植物頻度(NPF)は、正常植物の数を接種された外植片の総数で割ったものとして計算された。
【0140】
別の実験では、異なるバッチのトウモロコシの切除された外植片と、異なる形質転換ベクター構築物を含むAgrobacteriumを使用して、MS再生培地と比較して、WPM再生培地と接触して再生されたシュートの形質転換及び/または発根頻度を評価した。この実験で使用した形質転換ベクター構築物は、上記のaroA発現カセット、目的の遺伝子をコードする別のカセット、及び隣接するT-DNA境界から構成されていた。この発現カセットにはuidA遺伝子が含まれていなかった。Agrobacteriumの接種及び共培養の後、トウモロコシ外植片を出芽誘導培地上に置き、35℃で1週間培養し、続いて28℃でさらに1週間出芽誘導した。次に、外植片を拡大出芽誘導培地に移し、2週間培養した後、MS再生培地またはWPM再生培地のいずれかに置いた。再生されたトランスジェニックシュートは、土壌に移植される前にPhytatray(商標)で生育するか、またはペトリ皿から土壌に直接移植された(ダイレクトトゥプラグ(DTP))。表7に示されるように、WPM再生培地は、NPFによって測定されるように形質転換が向上したことが実証された。表8に示されるように、Phytatrays(商標)で生育し、WPM再生培地と接触して再生されたトランスジェニックシュートは、Phytatrays(商標)で生育し、MS再生培地と接触して再生されたものと比較して、発根頻度が2倍であった。WPM再生培地と接触して再生されたトランスジェニックシュートはまた、1回目の引き抜き時の発根シュート(%)の増加によって示されるように、MS再生培地と接触して再生されたものと比較して、より早く発根植物を作出した。
表7.WPM再生培地は、トランスジェニックトウモロコシ植物の正常植物頻度を向上する。
【表7】
【0141】
シュート頻度は、シュートを作出する接種された外植片の数を接種された外植片の総数で割ったものとして計算された。正常シュート頻度は、正常シュート数を接種された外植片の総数で割ったものとして計算された。正常植物頻度(NPF)は、正常植物の数を接種された外植片の総数で割ったものとして計算された。
表8.WPM再生培地は、トランスジェニックトウモロコシ植物の発根頻度を向上する。
【表8】
【0142】
1回目の引き抜き時の発根シュートは、根を有するシュートの数を1回目の引き抜き時のシュートの総数で割ったものとして計算された。2回目の引き抜き時の発根シュート(%)は、根を有するシュートの数を2回目の引き抜き時のシュートの総数で割ったものとして計算された。全体の発根シュートは、根を有するシュートの総数を1回目と2回目の引き抜きのシュートの総数で割ったものとして計算された。
【0143】
MS、B5、WPM、及び低窒素MS再生培地中の多量要素を詳しく調べると、評価した他の再生培地と比較して、WPM再生培地は低レベルの窒素及び他の塩を含むことが実証された(表9)。WPM再生培地は、MS再生培地と比較して約1/5の総窒素、B5再生培地と比較して約1/2の総塩、低窒素MS再生培地と比較して約1/3の総塩を含む。さらに、WPM再生培地は、MS再生培地及びB5再生培地と比較して約1/3のカリウム、低窒素MS再生培地と比較して約1/4のカリウムを含む。したがって、本明細書に提供される結果は、WPM再生培地中に存在する塩レベルの低さが、それと接触して再生されたトランスジェニックトウモロコシ植物の観察される形質転換及び発根頻度の向上をもたらす可能性が高いことを実証する。
表9.MS、B5、WPM、及び低窒素MS再生培地中の多量要素の濃度。
【表9】
【0144】
実施例5
トウモロコシ種子外植片の形質転換における再生培地中の異なる硝酸塩レベルの比較
この実施例では、再生培地中の異なるレベルの窒素がトウモロコシ外植片の形質転換及び再生に及ぼす影響をさらに調査した実験及び結果について説明する。
【0145】
実施例4に示されるように、WPM再生培地中のより低い塩レベルは、トウモロコシの形質転換及び発根頻度の向上に寄与すると思われる。WPM塩ベース再生培地には、MS塩ベース再生培地と比較して総窒素が大幅に少ないため、改良MS塩ベース再生培地の異なるレベルの窒素成分が発根頻度及び再生に及ぼす影響を調べるために追加の実験を実施した。
表10.塩ベース再生培地における窒素レベル。
【表10】
【0146】
異なる量の窒素含有構成成分を含む4つのMS塩ベース再生培地を、対照としてWPMとともに試験した。再生培地には、Murashige and Skoog(1962)に記載されている多量栄養素と微量養素が含まれていたが、硝酸アンモニウム及び硝酸カリウムは、これらの構成成分の量を個別に添加できるようにするために塩混合物中に含まれなかった。硝酸アンモニウム及び硝酸カリウムを、MS塩混合物中の標準量に対して完全濃度(1×)、半分の濃度(1/2×)、及び四分の一濃度(1/4×)を表す表10に示す量で、またはWPM塩と同じ量(WPM様)で培地に添加した。残りの培地成分は標準MS塩混合物と同じであった。WPMも対照として使用された。
【0147】
最初の実験では、実施例1に記載のように、エリート生殖質から切除されたトウモロコシ外植片に2つの光学濃度(OD0.25または1)でAgrobacteriumを接種した。Agrobacteriumは、Tiプラスミド上のT-DNA境界に隣接する2つの発現カセットを保有していた。第1の発現カセットは、トランスジェニック事象の選別マーカーとして、構成的プロモーターの制御下にある葉緑体を標的としたCP4 EPSPS遺伝子を含んでいた。第2の発現カセットは、形質転換体を視覚的に識別するためのスクリーニングマーカーとして、異なる構成的プロモーターの制御下にあるuidA遺伝子を含んでいた。接種したトウモロコシ外植片を、Agrobacterium無添加(接種OD0.25の処理)、またはODが1.0の1.25mLのAgrobacteriumを含む(接種OD1.0の処理)、1.25mLの再水和培地で湿らせた滅菌ワットマン#1濾紙(82mm)を1枚含む共培養プレート(25mm×100mm)に移した。共培養プレートを20℃、相対湿度約65%で、明期16時間/暗期8時間の光周期で6日間インキュベートした。
【0148】
接種及び共培養後、接種された外植片は、実施例1に記載されるように出芽誘導及び拡大出芽誘導(EBI)工程を経た。EBI後、外植片をペトリ皿あたり約30の外植片で異なる再生培地に移した。プレートを28℃、明期16時間/暗期8時間の光周期で、160PARの光強度目標でインキュベートした。2~3週間後、応答した外植片を同じ培地を含むPlantCons(商標)に移し、さらに2~3週間インキュベートした後、データを取得した。
【0149】
この実験の結果を表11に要約する。発根頻度(%)は、発根シュート数をシュートを作出する外植片の数で割った値×100として定義される。形質転換(TFN)頻度(%)は、発根シュート数を接種した外植片数で割った値×100として定義され、形質転換と再生頻度の尺度となる。平均発根頻度は、0.25と1.0での接種ODの処理を含む、特定の窒素レベルの平均である。同様に、平均形質転換頻度は各培地の平均である。表11に示されるように、MS塩ベース再生培地では、窒素レベルが1×から1/4×に減少するにつれて、平均発根頻度が増加した。WPM様再生培地には、類似しているが低レベルの窒素が含まれており、類似しているか、またはわずかに高い平均発根頻度が生じた。低レベルの窒素を含む培地でも、平均形質転換頻度が向上した。
表11.再生培地中の硝酸塩レベルが再生及び形質転換に及ぼす影響。
【表11】
【0150】
2つの追加の実験(実験2及び3)は、(1)トウモロコシ外植片が異なるエリートトウモロコシ生殖質からのものであることと、(2)0.25の接種ODのみを使用したことと、(3)実験の1つがCP4 EPSPS発現カセットのみを含む異なる構築物を保有するAgrobacteriumを使用したことと、(4)拡大出芽誘導培地からの応答する緑化外植片のサブセットのみを無作為に選抜し、ペトリ皿中の再生培地に移し、続いてPlantCons(商標)に移したことを除いて、上記の第1の実験と同じプロトコルに従って実施した。
【0151】
これらの2つの実験の結果を表12に示す。前の段落で説明したように、再生プレートに移された応答する外植片数は、拡大出芽誘導後にすべての外植片にわたってランダムに採取され、さらなる試験のために再生培地に移された応答する緑化外植片のサブセットのみを表している。調整された再生頻度(%)は、発根シュートの数を、再生プレートに移された応答する外植片の数で割った値×100として表される。これらの特定の実験の結果は発根頻度に明らかな変化を示さなかったが、1/4×窒素処理による調整された再生頻度は両方の実験で一貫してより高いようであった。
表12.再生培地中の窒素レベルが再生及び形質転換に及ぼす影響。
【表12】
【0152】
実施例6
力による形質転換によりトウモロコシ外植片の形質転換が向上する
この実施例は、力による形質転換が、乾燥種子から切除されたトウモロコシ胚外植片の形質転換を向上することを実証する。この実施例では、力による形質転換は、Agrobacteriumの接種前または接種中に、外植片を高圧、遠心分離、または高圧及び遠心分離に供することを含み得る。
【0153】
実験は、Agrobacteriumの接種前または接種中に遠心分離に供した乾燥種子からの成熟トウモロコシ胚外植片の形質転換を評価するように設計された。外植片を95%エタノール及び200ppmの活性塩素で表面殺菌し、3回すすぎ、2/5濃度のB5マクロ塩、1/10濃度のB5ミクロ塩及びビタミン、1g/Lの硝酸カリウム、30g/Lのデキストロース、3.9g/Lの2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)及び20%のPEG4000、pH5.4を含む20%のPEG4000 INO培地で3時間再水和し、すすぎ、接種前に浮遊濃縮した。その後、乾燥胚外植片を以下の処理のいずれかに供した:1)45kHzで1分間の超音波処理後、Agrobacterium接種物の存在下、室温で30分間のインキュベーション;2)Agrobacterium接種前に291×gで30分間の遠心分離後、45kHzで1分間の超音波処理と、Agrobacterium接種物の存在下、室温で30分間のインキュベート;3)45kHzで1分間の超音波処理後、Agrobacterium接種物の存在下、291×gで30分間、室温での遠心分離;4)Agrobacterium接種物の存在下、室温で30分間のインキュベーション;5)Agrobacterium接種前に291×gで30分間の遠心分離後、Agrobacterium接種物の存在下、室温で30分間のインキュベーション;または6)Agrobacterium接種物の存在下、室温で30分間、291×gでの遠心分離。この実験で接種に使用したAgrobacteriumは、3つの発現カセットを含む植物形質転換ベクターを含み、1つ目はβ-グルクロニダーゼ(GUS)をコードするもの、2つ目はGFPをコードするもの、3つ目はaadAをコードするものであった。uidA(GUS)遺伝子は、イネアクチン1プロモーター、CaMV由来の重複された35S A1-B3ドメインのエンハンサー、コムギ主要クロロフィルa/b結合タンパク質の5’非翻訳リーダー、イネアクチン1遺伝子由来のイントロン、及びmRNAのポリアデニル化を指示するように機能するジャガイモプロテイナーゼ阻害剤II遺伝子の3’UTRの制御下にあった。gfp遺伝子は、CaMV由来の増強された35S RNAプロモーター、コムギ主要クロロフィルa/b結合タンパク質の5’非翻訳リーダー、イネアクチン1遺伝子由来のイントロン、及びコムギ低分子量熱ショックタンパク質遺伝子の3’UTRの制御下にあった。aadA遺伝子は、増強された35S RNAプロモーター、イネアクチン1由来の第1のイントロンと融合したコムギ主要クロロフィルa/b結合タンパク質の5’非翻訳リーダー、及びAgrobacterium tumefaciensのTiプラスミドのノパリンシンターゼ遺伝子の3’UTRの制御下にあった。遠心分離は、Sorvall(商標)RC3BP遠心分離機及びH6000Aローター(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA、USA)を使用して実施された。
【0154】
接種後、外植片を、2/5濃度、1/10濃度のB5ミクロ塩及びビタミン、1g/Lの硝酸カリウム、30g/Lのデキストロース、3.9g/Lの2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、pH5.4と、50ppmのナイスタチン、10ppmのチアベンダゾール(TBZ)、及び50ppmのペンタクロロニトロベンゼン(PCNB)を含む1.25mlのINO培地中で、23℃、相対湿度70%、明期16時間/暗期8時間の光周期で5日間共培養した。次に、外植片を採取し、定量的MUGアッセイを使用してGUS活性について分析した。表13に示されるように、接種前または接種中のいずれかに遠心分離した外植片は、全体的な一過性GUS発現の有意な増加を示した。この実験では、超音波処理は一過性GUS発現に統計的に有意な影響を与えなかった。Agrobacteriumの接種前に遠心分離した外植片とAgrobacteriumの接種中に遠心分離した外植片との間に観察された一過性GUS発現にも統計的に有意な差はなかった。これらの実験では、GUS発現測定値が負の場合は、GUS染色がないものと解釈される。
表13.接種前または接種中に遠心分離された外植片における一過性発現の向上。
【表13】
【0155】
さらに、各処理群からの5つの外植片を二分し、GFP及びGUS発現について画像化した。
図1に示されるように、一過性発現は、接種前または接種中に遠心分離された外植片の子葉鞘及び葉基でより高かった。
図1は、a)45kHzで1分間の超音波処理後、Agrobacterium接種物の存在下、室温で30分間のインキュベーション;b)Agrobacterium接種前に291×gで30分間の遠心分離後、45kHzで1分間の超音波処理と、Agrobacterium接種物の存在下、室温で30分間のインキュベート;c)45kHzで1分間の超音波処理後、Agrobacterium接種物の存在下、291×gで30分間、室温での遠心分離;d)Agrobacterium接種物の存在下、室温で30分間のインキュベーション;e)Agrobacterium接種前に291×gで30分間の遠心分離後、Agrobacterium接種物の存在下、室温で30分間のインキュベーション;またはf)Agrobacterium接種物の存在下、室温で30分間、291×gでの遠心分離に供した外植片の明視野画像、蛍光画像、及びX-gal染色を示す。
【0156】
実験は、4℃または23℃でのAgrobacteriumの接種中に遠心分離に供した乾燥種子から切除された成熟トウモロコシ胚外植片の形質転換を評価するように設計された。外植片を95%エタノール及び200ppmの活性塩素で表面殺菌し、3回すすぎ、2/5濃度のB5マクロ塩、1/10濃度のB5ミクロ塩及びビタミン、1g/Lの硝酸カリウム、30g/Lのデキストロース、3.9g/Lの2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)及び20%のPEG4000、pH5.4を含むINO培地中、20%のPEG4000で3時間再水和し、すすぎ、接種前に浮遊濃縮した。その後、乾燥胚外植片を以下の処理のいずれかに供した:1)45kHzで1分間の超音波処理後、Agrobacterium接種物の存在下、23℃で30分間のインキュベーション;2)45kHzで1分間の超音波処理後、Agrobacterium接種物の存在下、4℃で30分間のインキュベーション;3)45kHzで1分間の超音波処理後、Agrobacterium接種物の存在下、23℃で30分間、291×gでの遠心分離;4)45kHzで1分間の超音波処理後、Agrobacterium接種物の存在下、4℃で30分間、291×gでの遠心分離;5)Agrobacterium接種物の存在下、23℃で30分間のインキュベーション;6)Agrobacterium接種物の存在下、4℃で30分間のインキュベーション;7)Agrobacterium接種物の存在下、23℃で30分間、291×gでの遠心分離;または8)Agrobacterium接種物の存在下、4℃で30分間、291×gでの遠心分離。この実験で接種に使用したAgrobacteriumは、3つの発現カセットを含む植物形質転換ベクターを含み、1つ目はβ-グルクロニダーゼ(GUS)をコードするもの、2つ目はGFPをコードするもの、3つ目はaadAをコードするものであった。uidA(GUS)遺伝子は、イネアクチン1プロモーター、CaMV由来の重複された35S A1-B3ドメインのエンハンサー、コムギ主要クロロフィルa/b結合タンパク質の5’非翻訳リーダー、イネアクチン1遺伝子由来のイントロン、及びmRNAのポリアデニル化を指示するように機能するジャガイモプロテイナーゼ阻害剤II遺伝子の3’UTRの制御下にあった。gfp遺伝子は、CaMV由来の増強された35S RNAプロモーター、コムギ主要クロロフィルa/b結合タンパク質の5’非翻訳リーダー、イネアクチン1遺伝子由来のイントロン、及びコムギ低分子量熱ショックタンパク質遺伝子の3’UTRの制御下にあった。aadA遺伝子は、増強された35S RNAプロモーター、イネアクチン1由来の第1のイントロンと融合したコムギ主要クロロフィルa/b結合タンパク質の5’非翻訳リーダー、及びAgrobacterium tumefaciensのTiプラスミドのノパリンシンターゼ遺伝子の3’UTRの制御下にあった。遠心分離は、Sorvall(商標)RC3BP遠心分離機及びH6000Aローター(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA、USA)を使用して実施された。
【0157】
接種後、外植片を、2/5濃度、1/10濃度のB5ミクロ塩及びビタミン、1g/Lの硝酸カリウム、30g/Lのデキストロース、3.9g/Lの2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、pH5.4と、50ppmのナイスタチン、10ppmのチアベンダゾール(TBZ)、及び50ppmのペンタクロロニトロベンゼン(PCNB)を含む1.25mlのINO培地中で、23℃、相対湿度70%、明期16時間/暗期8時間の光周期で6日間共培養した。次に、外植片を、定量的MUGアッセイを使用してGUS活性について分析した。表14に示されるように、接種中に遠心分離した外植片は、接種が行われた温度に関係なく、全体的な一過性GUS発現の有意な増加を示した。この実験では、インキュベーション温度も超音波処理も一過性GUS発現に統計的に有意な影響を与えなかった。上記の表30と同様、負のGUS発現測定値は、GUS染色がないものと解釈される。
表14.さまざまな温度での接種中に遠心分離された外植片における一過性発現の向上。
【表14】
【0158】
さらに、各処理群からの5つの外植片を二分し、GFP及びGUS発現について画像化した。
図2に示されるように、一過性発現は、接種中に遠心分離された外植片の葉基でより高かった。
図2は、a)45kHzで1分間の超音波処理後、Agrobacterium接種物の存在下、23℃で30分間のインキュベーション;b)45kHzで1分間の超音波処理後、Agrobacterium接種物の存在下、4℃で30分間のインキュベーション;c)45kHzで1分間の超音波処理後、Agrobacterium接種物の存在下、23℃で30分間、291×gでの遠心分離;d)45kHzで1分間の超音波処理後、Agrobacterium接種物の存在下、4℃で30分間、291×gでの遠心分離;e)Agrobacterium接種物の存在下、23℃で30分間のインキュベーション;f)Agrobacterium接種物の存在下、4℃で30分間のインキュベーション;g)Agrobacterium接種物の存在下、23℃で30分間、291×gでの遠心分離;またはh)Agrobacterium接種物の存在下、4℃で30分間、291×gでの遠心分離に供した外植片の明視野画像、蛍光画像、及びX-gal染色を示す。
【0159】
実験は、Agrobacteriumの接種前に遠心分離または高圧に曝露された乾燥種子から切除された成熟トウモロコシ胚外植片の形質転換を評価するように設計された。外植片を70%エタノールに5分間及び10%のClorox(登録商標)で順次殺菌し、3回すすぎ、2/5濃度のB5マクロ塩、1/10濃度のB5ミクロ塩及びビタミン、1g/Lの硝酸カリウム、30g/Lのデキストロース、3.9g/Lの2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、pH5.4、ならびに30ppmのClearys(登録商標)殺菌剤を含む接種培地で1時間再水和した後、高圧または遠心分離に曝露した。高圧または遠心分離に曝露した後、乾燥胚外植片に、2つの発現カセットを含む植物形質転換ベクターを含むAgrobacteriumを接種した。一方のカセットはuidA遺伝子を含み、イネアクチン1プロモーター、CaMV由来の重複された35S A1-B3ドメインのエンハンサー、コムギ主要クロロフィルa/b結合タンパク質の5’非翻訳リーダー、イネアクチン1遺伝子由来のイントロン、及びmRNAのポリアデニル化を指示するように機能するジャガイモプロテイナーゼ阻害剤II遺伝子の3’UTRの制御下にあるβ-グルクロニダーゼ(GUS)をコードする。もう一方のカセットは、aroA遺伝子を含み、これは、クラス II EPSPS酵素(5-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸シンターゼ)をコードし、イネアクチン1プロモーター、リーダー及びイントロン、ならびにmRNAのポリアデニル化を指示するように機能するAgrobacterium tumefaciens Tiプラスミドのノパリンシンターゼ遺伝子の3’UTRの制御下で、室温で1時間、曝露後のさまざまな時点で、Arabidopsis EPSPSのトランジットペプチドによって葉緑体に標的化される。遠心分離は、上記のように、約50mLの接種培地を含む50mLのポリプロピレン遠心分離チューブ(Falcon(登録商標)Bluemax(商標),Becton Dickinson 4-2098-11)に外植片を入れ、Sorvall(商標)RC3BP遠心分離機及びH6000Aローター(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)を使用して遠心分離することによって実施した。上記の接種培地20mL中の乾燥胚外植片をフレンチプレス40K圧力セル(Thermo(登録商標)IEC、FA-032)にロードし、圧力セル内の3334psi(227atm)の圧力に相当する200psigに高比率で5分間外植片を曝露することによって高圧を適用した。
【0160】
接種後、外植片を共培養、出芽誘導、拡大出芽誘導、及び再生に供した。簡単に説明すると、外植片を、23℃で明期16時間/暗期8時間の光周期で、30ppmのClearys(登録商標)及び5ppmの2,4-Dを含む上記の1.25mlの接種培地を含むPlantCon(商標)(MP Biomedicals,LLCカタログ#26-720-02)生育チャンバー中で、濾紙上にプレーティングすることにより、5日間、Agrobacteriumと共培養した。共培養外植片を、MS塩、B5ビタミン、30g/Lのスクロース、0.69g/Lのプロリン、1g/LのNZアミン-A(カゼイン酵素加水分解物;Millipore Sigma)、2mg/Lのグリシン、1g/LのMES、1mg/Lの2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、10mg/Lの6-ベンジルアミノプリン(BAP)、400mg/LLのカルベニシリン、200mg/Lのセフォタキシム、100mg/Lのチメンチン、及び3.5g/Lの低EEOアガロース、pH5.8を含む固体出芽誘導培地に移し、28℃で明期16時間/暗期8時間の光周期で2週間インキュベートした。次に、外植片を濾紙サンドイッチに移し、28℃で明期16時間/暗期8時間の光周期で液体選抜を行った。液体選抜中、MS塩、B5ビタミン、30g/Lのスクロース、0.69g/Lのプロリン、2mg/Lのグリシン、1g/LのMES、400mg/Lのカルベニシリン、200mg/Lのセフォタキシム、100mg/Lのチメンチン、及び20μMのグリホサート、pH5.8を含む10mLの選抜培地を最初に各プレートに添加し、さらに5mlを毎週添加した。シュートを、接種の8~10週間後に、MS塩、B5ビタミン、30g/Lのスクロース、0.69g/Lのプロリン、2mg/Lのグリシン、1g/LのMES、1mg/Lの2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、10mg/Lの6-ベンジルアミノプリン(BAP)、400mg/Lのカルベニシリン、200mg/Lのセフォタキシム、100mg/Lのチメンチン、20μMのグリホサート、及び3.5g/Lの低EEOアガロース、pH5.8を含む出芽誘導及び選抜培地に移した。発根したR0事象は、表現型解析とコピー数解析のために温室に送られた。
【0161】
表15に示されるように、Agrobacteriumの接種前に高圧または遠心分離に曝露すると、トウモロコシ乾燥胚外植片の形質転換頻度が有意に増加した。さらに、高圧または遠心分離への曝露と接種の間の経過時間が増加するにつれて、形質転換頻度は低下した。形質転換頻度は、R
0植物の数を出芽誘導培地に移した外植片の総数で割ったものとして計算された。
表15.形質転換前に遠心分離または高圧に曝露されたトウモロコシ外植片の形質転換頻度の向上。
【表15】
【0162】
実験は、Agrobacteriumの接種前または接種中に高圧に曝露された成熟トウモロコシ胚外植片の形質転換を評価するように設計された。この実験では、トウモロコシの乾燥胚外植片は表面殺菌されなかった。1)2/5濃度のB5マクロ塩、1/10のB5ミクロ塩及びビタミン、1g/Lの硝酸カリウム、30g/Lのデキストロース及び3.9g/LのMESを含む接種培地20mL;または2)接種培地中のAgrobacterium接種物20mlのいずれかにおける乾燥胚外植片を、フレンチプレス40K圧力セル(Thermo(登録商標)IEC、FA-032)にロードし、外植片を14.7psi~30,000psiの範囲の圧力に曝露することによって高圧を適用した。次いで、乾燥胚外植片に、2つの発現カセットを含む植物形質転換ベクターを含むAgrobacteriumを30分間接種した。一方のカセットはuidA遺伝子を含み、イネアクチン1プロモーター、CaMV由来の重複された35SA1-B3ドメインのエンハンサー、コムギ主要クロロフィルa/b結合タンパク質の5’非翻訳リーダー、イネアクチン1遺伝子由来のイントロン、及びmRNAのポリアデニル化を指示するように機能するジャガイモプロテイナーゼ阻害剤II遺伝子の3’UTRの制御下にあるβ-グルクロニダーゼ(GUS)をコードする。もう一方のカセットは、aroA遺伝子を含み、これは、クラス II EPSPS酵素(5-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸シンターゼ)をコードし、イネアクチン1プロモーター、リーダー及びイントロン、ならびにmRNAのポリアデニル化を指示するように機能するAgrobacterium tumefaciens Tiプラスミドのノパリンシンターゼ遺伝子の3’UTRの制御下で、Arabidopsis EPSPSのトランジットペプチドによって葉緑体に標的化される。
【0163】
接種後、外植片を共培養、出芽誘導、拡大出芽誘導、及び再生に供した。簡単に説明すると、外植片を、23℃で明期16時間/暗期8時間の光周期で、30ppmのClearys(登録商標)及び5ppmの2,4-Dを含む上記の1.25mlの接種培地を含むPlantCon(商標)(MP Biomedicals,LLCカタログ#26-720-02)生育チャンバー中で、濾紙上にプレーティングすることにより、5日間、Agrobacteriumと共培養した。共培養外植片を、MS塩、B5ビタミン、30g/Lのスクロース、0.69g/Lのプロリン、1g/LのNZアミン-A(カゼイン酵素加水分解物;Millipore Sigma)、2mg/Lのグリシン、1g/LのMES、1mg/Lの2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、10mg/Lの6-ベンジルアミノプリン(BAP)、400mg/LLのカルベニシリン、200mg/Lのセフォタキシム、100mg/Lのチメンチン、及び3.5g/Lの低EEOアガロース、pH5.8を含む固体出芽誘導培地に移し、28℃で明期16時間/暗期8時間の光周期で2週間インキュベートした。次に、外植片を濾紙サンドイッチに移し、28℃で明期16時間/暗期8時間の光周期で液体選抜を行った。液体選抜中、MS塩、B5ビタミン、30g/Lのスクロース、0.69g/Lのプロリン、2mg/Lのグリシン、1g/LのMES、400mg/Lのカルベニシリン、200mg/Lのセフォタキシム、100mg/Lのチメンチン、及び20μMのグリホサート、pH5.8を含む10mLの選抜培地を最初に各プレートに添加し、さらに5mlを毎週添加した。シュートを、接種の8~10週間後に、MS塩、B5ビタミン、30g/Lのスクロース、0.69g/Lのプロリン、2mg/Lのグリシン、1g/LのMES、1mg/Lの2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、10mg/Lの6-ベンジルアミノプリン(BAP)、400mg/Lのカルベニシリン、200mg/Lのセフォタキシム、100mg/Lのチメンチン、20μMのグリホサート、及び3.5g/Lの低EEOアガロース、pH5.8を含む出芽誘導及び選抜培地に移した。発根したR
0事象は、表現型解析とコピー数解析のために温室に送られた。表16に示されるように、形質転換頻度は、1667psi、3334psi、10,000psi、及び20,000psiの圧力に曝露された外植片において有意に増加した。この実験では、30,000psiへの曝露は致死的であるように思われた。形質転換頻度は、R
0植物の数を出芽誘導培地に移した外植片の総数で割ったものとして計算された。
表16.接種前または接種中に高圧に曝露された外植片における一過性発現の向上。
【表16】
【0164】
実験は、Agrobacterium接種中に遠心分離、高圧、または遠心分離と高圧の組み合わせに供した乾燥種子からの成熟トウモロコシ胚外植片の形質転換頻度を評価するように設計された。外植片の2つのバッチを実施例1に記載のように調製した。各外植片バッチを以下の処理のいずれかに供した:(1)Agrobacterium接種物の存在下、2,620×gで30分間の遠心分離;(2)Agrobacterium接種物の存在下、3分間、300psiの高圧;(3)接種前に3分間、300psiの高圧後、Agrobacterium接種物の存在下、2,620×gで30分間の遠心分離;または(4)Agrobacterium接種物の存在下、3分間、300psiの高圧後、Agrobacterium接種物の存在下、2,620×gで30分間の遠心分離。第3の処理(接種前の高圧に続いてAgrobacterium接種物の存在下での遠心分離)により、第4の処理群の工程の組み合わせにおける高圧要素の寄与を評価することができた。2つの外植片バッチのそれぞれを4つの処理群の1つに分割した。各処理について3回の反復を、1回の反復ごとに1,140の外植片を用いて完了した。Model 600-EXP圧力チャンバー(PMS Instrument Company,Albany,OR,USA)を、外部ポートを介してより大きな外部圧力チャンバーに接続して用いて,高圧を適用した。窒素ガスを使用してチャンバーを加圧した。Sorvall(商標)RC3BP遠心分離機(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)を使用して遠心分離を適用した。
【0165】
トウモロコシ乾燥胚外植片を、ポリエチレングリコール(PEG)及びエタノールの溶液で4分間殺菌し、次いで40mlの再水和培地で2時間再水和した。次に、上記のように遠心分離、高圧、または遠心分離と高圧の組み合わせに曝露しながら、外植片にAgrobacteriumを接種した。接種に使用したAgrobacteriumは、2つの発現カセット(1つ目はβ-グルクロニダーゼ(GUS)をコードし、2つ目はEPSPS-CP4をコードする)を有するバイナリー植物形質転換ベクターを含んだ。最初の再水和とその後の高圧及び遠心分離処理は、通気キャップ付きの50mL Corning(登録商標)ミニバイオリアクターチューブ(カタログ番号CLS431720,Sigma-Aldrich,St. Louis,MO,USA)を使用して実施した。
【0166】
接種後、外植片を、本明細書に記載の共培養、出芽誘導、拡大出芽誘導、及び再生に供した。簡単に説明すると、外植片をPercival(登録商標)生育チャンバー中で20℃、相対湿度70%、明期16時間/暗期8時間の光周期で5日間共培養した。各共培養トレイには最大約570の外植片が収容できるため、処理の反復ごとに2つのトレイ(または最大約1,140の外植片)を使用した。各トレイからの共培養外植片を、出芽誘導培地を含む5つのトレイに移し、33℃、相対湿度70%、明期16時間/暗期8時間の光周期で1週間インキュベートした。次いで、各出芽誘導トレイからの外植片を、選抜のために25μMのグリホサートを含む拡大出芽誘導培地の2つのトレイに移し、33℃、相対湿度70%、明期16時間/暗期8時間の光周期で1週間インキュベートした。外植片を、20μMのグリホサート選別したVivi(登録商標)トレイ(VIVI Green Innovators,s-Gravendeel,The Netherlands)中の再生培地に移し、4~6週間インキュベートしてトランスジェニック植物を発達させた。再生後、表現型が正常な植物をプラギング培地(Product#72-R,Gro-Tech.com Falmouth,ME,USA)にプラギングし、トレイ(Item#PL-O36-STAR-HW-VH-BK-50,Clearwater,MN,USA)中でインキュベートした。分子アッセイ用の葉組織試料をプラギングされた各植物から取得した。次に、プラギングされた植物を生育チャンバーに移して硬化させた。
【0167】
分子データに基づいて、形質転換植物を温室に移して観察した。GUS発現は、共培養後の一過性発現を検出し、出芽誘導中及びR
0シュート発達中などの他の時点での安定した発現を検出するための可視マーカーとして使用された。R
0葉組織のGUS発現アッセイ及びプラギング時の植物の視覚的観察もまた、キメラ植物を同定するために使用された。キメラ植物は通常、プラギング中に緑と白の部分を持つ縞模様の葉の表現型を示した。リアルタイムPCRを使用してR
0葉組織に対して分子アッセイを実施し、CP4 EPSPS及びuidA遺伝子の存在及びコピー数を決定した。これらのアッセイに基づいて、各処理の非キメラ形質転換植物(別名、正常トランスジェニック植物または正常植物)の割合は、非キメラ、及びCP4 EPSPSとuidAの両方が陽性であるトランスジェニック植物の数を、プラギング後に採取した植物の総数で割ることによって決定される。表17は、プラギング頻度、低コピー数植物の頻度(すなわち、低コピー数のEPSPS CP4遺伝子とuidA遺伝子の両方について陽性であった非キメラ植物の割合)、及び低コピー数の導入遺伝子を有する形質転換体の頻度を示す。プラギング頻度は、プラギングされたトランスジェニックR
0植物の数を接種された外植片の総数で割ったものとして計算された。低コピー数植物の頻度は、低コピー数の導入遺伝子陽性(すなわち、各導入遺伝子のコピーが1つまたは2つしかない植物)及び非キメラ植物の数を、プラギングされたR
0植物の総数で割ったものとして計算された。低コピー数の導入遺伝子を有する形質転換体の頻度は、低コピー数導入遺伝子を有する形質転換体の数を接種された外植片の総数で割ったものとして計算された。これらの頻度の計算結果のそれぞれにさらに100%を掛けて、頻度をパーセンテージで表す。計算は、プラギング後にランダムな数の植物から採取した試料に基づいて行われた。
表17.高圧と遠心分離の組み合わせに曝露されたトウモロコシ外植片における形質転換頻度の向上。
【表17】
【0168】
表17に示されるように、低コピー数植物の頻度及び低コピー導入遺伝子を有する形質転換体の頻度は、Agrobacterium接種物の存在下、300psiで3分間の高圧及び2,620×gで30分間の遠心分離を使用して接種が行われた場合に最も高かった。低コピー形質転換頻度は、Agrobacterium接種物の存在下で300psiで3分間の高圧を使用して接種が行われた場合に2番目に高かった。したがって、接種中の遠心分離と高圧の組み合わせは、高圧または遠心分離のいずれかのみを使用した接種と比較して、形質転換のさらなる増加と低いコピー数頻度を示す。
【0169】
実施例7
力による形質転換によりコムギ外植片の形質転換が向上する
この実施例では、力による形質転換を使用して乾燥種子から切除されたコムギ胚外植片の形質転換の向上について説明する。この実施例では、力による形質転換は、Agrobacteriumの接種中に外植片を遠心分離に供することを含み得る。
【0170】
外植片を70%のエタノールで1分間表面殺菌し、すすぎ、浮遊濃縮し、20%のPEG4000中で1.5時間再水和し、接種前にすすいだ。乾燥胚外植片を以下の処理のいずれかに供した:1)Agrobacterium接種物の存在下、4℃で30分間のインキュベーション;2)Agrobacterium接種物の存在下、4℃で30分間、72×gでの遠心分離;3)Agrobacterium接種物の存在下、4℃で30分間、291×gでの遠心分離;または4)Agrobacterium接種物の存在下、4℃で30分間、654×gでの遠心分離。この実験で接種に使用したAgrobacteriumは、3つの発現カセットを含む植物形質転換ベクターを含み、1つ目はβ-グルクロニダーゼ(GUS)をコードするもの、2つ目はGFPをコードするもの、3つ目はaadAをコードするものであった。uidA(GUS)遺伝子は、イネアクチン1プロモーター、CaMV由来の重複された35S A1-B3ドメインのエンハンサー、コムギ主要クロロフィルa/b結合タンパク質の5’非翻訳リーダー、イネアクチン1遺伝子由来のイントロン、及びmRNAのポリアデニル化を指示するように機能するジャガイモプロテイナーゼ阻害剤II遺伝子の3’UTRの制御下にあった。gfp遺伝子は、CaMV由来の増強された35S RNAプロモーター、コムギ主要クロロフィルa/b結合タンパク質の5’非翻訳リーダー、イネアクチン1遺伝子由来のイントロン、及びコムギ低分子量熱ショックタンパク質遺伝子の3’UTRの制御下にあった。aadA遺伝子は、増強された35S RNAプロモーター、イネアクチン1由来の第1のイントロンと融合したコムギ主要クロロフィルa/b結合タンパク質の5’非翻訳リーダー、及びAgrobacterium tumefaciensのTiプラスミドのノパリンシンターゼ遺伝子の3’UTRの制御下にあった。遠心分離は、Sorvall(商標)RC3BP遠心分離機及びH6000Aローター(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA、USA)を使用して実施された。
【0171】
接種後、外植片を、50ppmのナイスタチン、10ppmのチアベンダゾール(TBZ)、及び50ppmのペンタクロロニトロベンゼン(PCNB)を含む1.0mlまたは1.25mlのINO培地中で、23℃、相対湿度70%、明期16時間/暗期8時間の光周期で4日間共培養した。各処理群からの5つの外植片を二分し、GFP及びGUS発現について画像化した。
図3に示されるように、接種中に72×gを超えて遠心分離された外植片では一過性発現が増加した。
図3は、a)Agrobacterium接種物の存在下、4℃で30分間のインキュベーション;b)Agrobacterium接種物の存在下、4℃で30分間、72×gでの遠心分離;c)Agrobacterium接種物の存在下、4℃で30分間、291×gでの遠心分離;またはd)Agrobacterium接種物の存在下、4℃で30分間、654×gでの遠心分離に供した外植片の明視野画像、蛍光画像、及びX-gal染色を示す。
【0172】
実施例8
重力及び遠心分離容器がトウモロコシ外植片の形質転換に及ぼす影響
トランスジェニックトウモロコシ植物を作出するために、291×gまたは654×gの重力が使用されている。接種中の重力が形質転換頻度(TF)にプラスの影響を与えるかどうかを確認するために、複数の実験(実験1、2、及び3)を実施した。
図4に2つの実験(実験1及び3)について示されるように、重力が291×g(またはこの実験では1000rpm)から4657×g(またはこの実験では4000rpm)に増加するにつれて、一過性発現が増加した。さらに、重力が291×gから2619×g(またはこの実験では3000rpm)に増加すると最終的な形質転換頻度は増加したが、重力がさらに4657×gに増加すると、おそらく組織培養応答に対する重力の影響に起因して、若干減少した(表18を参照)。
表18.接種中の重力が安定した形質転換に及ぼす影響。
【表18】
【0173】
トウモロコシの形質転換中の遠心分離にはFalcon遠心チューブ(50mL)が使用されてきたが、スケールアップ生産の実施を念頭に置いて、50mLのFalcon遠心チューブの代わりにCorning円錐ボトル(500mL)もAgrobacteriumの生育に使用されている。しかしながら、形質転換頻度が向上すれば、より大きな遠心分離容器は必要なくなる可能性がある。遠心分離容器が形質転換頻度(TF)に及ぼす影響を調査するために、複数の実験(実験1、2、3、及び4)を実施した。表19に示されるように、500mLのCorning円錐ボトルと比較して、50mLのFalconチューブではより高いTFが達成された。
表19.遠心分離容器が安定した形質転換に及ぼす影響。
【表19】
【0174】
実施例9
Agrobacterium接種前のトウモロコシ外植片の再水和によるトウモロコシ外植片の形質転換の向上
Agrobacterium接種前のトウモロコシ外植片の再水和がトウモロコシ外植片の形質転換に及ぼす影響を評価するために、2つの実験を実施した。形質転換は、特に断りのない限り、一般に実施例1に記載のように実施した。各実験の外植片を0、1、または2時間再水和し、各処理群は3,333のトウモロコシ外植片を含んだ。
【0175】
簡単に説明すると、外植片を70%エタノールを使用して4分間表面殺菌し、滅菌水で3回すすいだ後、1/2濃度であるCaCl2を除く2/5濃度のB5マクロ塩、1/10濃度のB5ミクロ塩及びビタミン、1g/Lの硝酸カリウム、30g/Lのデキストロース、2.8mg/Lのセクエストレン、3.9g/LのMES、0.03g/LのClearys 3336 WP、pH5.4、ならびに5mg/Lの2,4-Dを含む培地中で、0、1、または2時間、再水和した。この実験では、再水和に使用したのと同じ培地をAgrobacteriumの接種及び共培養にも使用した。外植片にAgrobacteriumを0.35のOD600で接種し、600×g、4℃で30分間遠心分離した。Agrobacteriumは、Tiプラスミド上のT-DNA境界に隣接する2つの発現カセットを含んだ。第1の発現カセットは、構成的プロモーターの制御下にある葉緑体を標的としたCP4 EPSPS遺伝子を含んでいた。第2の発現カセットは、異なる構成的プロモーターの制御下にあるuidA遺伝子を含んでいた。共培養後、外植片を、明期22時間/暗期2時間の光周期サイクル(光周期1)の暖かい部屋で、または明期16時間/暗期8時間(光周期2)の光周期サイクルの暖かい部屋で培養した。
【0176】
表20に示されるように、再水和工程を組み込むと、両方の光周期で培養後のシュート頻度と形質転換頻度が一貫して向上された。さらに、2時間の再水和は、1時間の再水和と比較してシュート頻度と形質転換頻度を向上した。
表20.再水和によりトウモロコシ種子外植片のシュート頻度と形質転換頻度が向上する。
【表20】
【0177】
シュート頻度は、シュートを作出する接種された外植片の数を接種された外植片の総数で割ったものとして計算された。形質転換頻度またはTF(%)は、プラギングされた再生植物の数を接種されたトウモロコシ外植片の総数で割ったものとして計算された。
【0178】
実施例10
接種及び共培養中のAgrobacterium濃度の上昇によりトウモロコシ外植片の形質転換が向上する
この実施例は、接種中のさまざまな濃度のAgrobacteriumと共培養中のAgrobacteriumの添加がトウモロコシ外植片の形質転換に及ぼす影響を実証する実験及び結果について記載する。
【0179】
Agrobacterium濃度がトウモロコシ外植片の形質転換に及ぼす影響を評価するために、3つの初期実験を実施した。実験には、表21に示されるように接種及び共培養中のさまざまな濃度(光学密度によって測定)のAgrobacteriumが含まれていた。簡単に説明すると、表21に示されるように、接種培地中のAgrobacteriumの濃度(OD660)を変化させた以外は、実施例1に記載のように外植片及びAgrobacteriumを調製し、接種した。実験1及び2では、Agrobacteriumは、Tiプラスミド上のT-DNA境界に隣接する2つの発現カセットを含んでいた。第1の発現カセットは、トランスジェニック事象の選別マーカーとして、構成的プロモーターの制御下にある葉緑体を標的としたCP4 EPSPS遺伝子を含んでいた。第2の発現カセットは、形質転換体を視覚的に識別するためのスクリーニングマーカーとして、異なる構成的プロモーターの制御下にあるuidA遺伝子を含んでいた。実験3では、Agrobacteriumは、Tiプラスミド上のT-DNA境界に隣接するCP4 EPSPSをコードする1つの発現カセットを含んでいた。
【0180】
表21に示されるように、接種したトウモロコシ外植片を、Agrobacterium無添加(実験1~3の処理1)、または実験1では異なるOD濃度のAgrobacterium(0.25、0.5、または1.0)を含む、または実験2及び3ではOD濃度が1.0のAgrobacteriumを含む1.25mLの再水和培地で湿らせた滅菌ワットマン#1濾紙(82mm)を1枚含む共培養プレート(25mm×100mm)に移した。共培養プレートを、20℃、相対湿度約65%、明期16時間/暗期8時間の光周期で6日間インキュベートした。
【0181】
共培養の終了時に、外植片を出芽誘導(BI)培地に移して7日間培養し、続いて拡大出芽誘導(EBI)培地に移して14日間培養した。BI及びEBI培地ならびに培養条件は実施例1に記載のものと同じであった。次いで、EBIからの外植片をペトリ皿内の固体再生培地(実施例1に記載)に10日間移した後、シュートの発達及び発根のため同じ再生培地を含む9cmのVivi(登録商標)トレイ(Vivi(登録商標)、The Netherlands)に移した。Vivi(登録商標)トレイを手持ち式のシーリングアイロンを用いてプラスチックフィルムで密封し、28℃、周囲湿度で明期16時間/暗期8時間の光周期で32日間培養した。再生工程の後、根が目に見え、キメラ化の兆候がない推定上の緑色のトランスジェニック植物を、土壌プラグ(直径2インチ×高さ3インチ(Gro-Tech(商標),Rough and Ready,CA 95975)において移植し、さらに生育と発達、及び分子特性解析を行った。
表21.接種及び共培養中のAgrobacterium濃度がプラギング頻度に及ぼす影響。
【表21】
【0182】
図5に示されるように、実験1における一過性のGUS発現は、Agrobacteriumの濃度が増加するにつれて増加した。表21に示す結果はまた、実験1における一過性発現のこの増加が、より高い平均プラギング頻度と相関していることも実証している。Agrobacterium濃度を高くすると、出芽誘導中及び拡大出芽誘導の初期に、対照と比較した場合に外植片の生育が遅くなるように思われたが、接種及び共培養の両工程においてAgrobacteriumがOD1.0で存在する場合に、最も高いプラギング頻度が得られた。実験2では、一過性発現及び平均プラギング頻度の両方について同様の結果が得られた(表21参照)。実験3では、接種及び共培養において、AgrobacteriumがOD1.0では、対照(2.04%)と比較して、プラギング頻度のわずかな増加(2.33%)が観察された(表21参照)。
【0183】
この実施例に記載される実験では、シュート頻度は、キメラシュート及び非キメラシュートを含む再生されたシュートの数を、接種された外植片の総数で割った値×100として定義される。キメラシュート頻度は、キメラシュートの数をシュートの総数で割った値×100として定義される。平均シュート頻度と平均キメラシュート頻度は、単純にそれぞれ複数の反復で平均したシュート頻度とキメラシュート頻度である。プラギング頻度は、土壌に移された非キメラ事象の数を接種された外植片の総数で割った値×100として定義される。質の高いプラギング頻度は、単一コピーのプラギング事象の数を接種された外植片の総数で割った値×100として定義される。単一コピー頻度は、単一コピー事象の数を生成された事象の総数で割った値×100として定義される。
【0184】
実験2では、キメラシュート頻度と平均シュート頻度を測定し比較し、接種及び共培養中のAgrobacterium濃度が高いことがキメラシュート形成頻度に影響を与えるかどうかを評価した。表22に示されるように、接種及び共培養中のより高いAgrobacteriumのOD1.0濃度では、対照と比較して、より高い平均シュート頻度が得られたが、平均キメラシュート頻度は、より高いOD濃度と対照群との間で類似していた。したがって、より高いOD濃度を使用して作出されたより高いシュート頻度は、キメラ化の増加と関連していなかった。
表22.接種及び共培養中のAgrobacterium濃度がシュート頻度及びキメラシュート頻度に及ぼす影響。
【表22】
【0185】
接種及び共培養中のより高いAgrobacterium濃度が単一コピー事象の頻度に影響を与えるかどうかを評価するために、実験2及び3で土壌に移された事象に対してCP4 EPSPS コピー数アッセイを実施した。表23に示されるように、単一コピー事象(%)は、低い標準OD処理と高いOD処理の間で同様であった。
表23.接種及び共培養中のAgrobacterium濃度が単一コピー事象の頻度に及ぼす影響。
【表23】
【0186】
3つの最初の実験の後、16の異なる構築物を含むいくつかの大規模スケールの実験が実施された。16の構築物すべてに選別マーカーとして同じCP4 EPSPSカセットが含まれており、実験はそれらの構築物に含まれる追加の目的遺伝子の発現カセット(複数可)に基づいて3つの群に分類された。シュート頻度の増加は、すべての実験群にわたってAgrobacterium濃度が高いほど観察され、群1及び3では統計的に有意な増加(「*」で示す)が見られた(表24を参照)。群1のOD濃度が高い方ではプラギング頻度の有意な増加が観察されたが、群2及び3のプラギング頻度の結果は対照と同等であった。群3のOD濃度が高い方では、キメラシュート頻度のわずかな増加も観察された。加えて、表24の結果は、導入遺伝子の単一コピー頻度がこれらの実験におけるAgrobacterium濃度に依存しないことをさらに実証している。表24において、下線付きの数字はuidAのコピー数を表し、下線のない数字はCP4のコピー数を表す。結果は、低いOD濃度と高いOD濃度の間で単一コピー頻度に有意な差がないことを示している。CP4及びuidAの単一コピー頻度において測定された変動は、統計的に有意ではなかった。同様に、これらの実験では、質の高いプラギング頻度は、対照群とより高いOD処理群の間で同等であることが判明した。
表24.接種及び共培養中のAgrobacterium濃度の影響;大規模スケール実験結果の概要。
【表24】
【0187】
実施例11
出芽誘導中の温度及び光強度がトウモロコシ外植片の形質転換に及ぼす影響
出芽誘導中の温度及び光強度の影響を評価するために2つの実験を実施した。実施例9に記載されるように、外植片を表面殺菌し、精製し、再水和し、Agrobacteriumを接種した。次に、外植片を共培養し、特に断りのない限り、実施例1に記載されるように出芽誘導、拡大出芽誘導、及び再生に供した。
【0188】
最初の実験では、32℃及び35℃の2つの培養温度と、90μ/m
2・s及び140~150μ/m
2・sの2つのPAR光強度で出芽誘導を評価した。各処理群には約2,500のトウモロコシ外植片が含まれた。培養物は、指定された温度と光強度でPercival(登録商標)チャンバー内でインキュベートした。表25に示されるように、32℃で出芽誘導を行うと、35℃で出芽誘導を行う場合と比較して、シュート頻度、正常シュート頻度、土壌プラグに移された正常シュート数、及び正常植物頻度が向上した。この実験では、光強度は正常植物頻度に統計的に有意な影響を与えなかったが、90μ/m
2・sのPARで出芽誘導を実施すると、140~150μ/m
2・sのPARで出芽誘導を実施した場合と比較して、わずかに高い正常植物頻度が生じた。
表25.出芽誘導中の温度及び光強度がトウモロコシ外植片の形質転換に及ぼす影響。
【表25】
【0189】
シュート頻度は、シュートを作出する接種された外植片の数を接種された外植片の総数で割ったものとして計算された。正常シュート頻度は、正常シュート数を接種された外植片の総数で割ったものとして計算された。正常植物頻度(NPF)は、正常植物の数を接種された外植片の総数で割ったものとして計算された。
【0190】
第2の実験では、4つの異なる光強度、90μ/m2・sのPAR、150μ/m2・sのPAR、180μ/m2・sのPAR、及び190μ/m2・sのPARで出芽誘導を評価した。出芽誘導は、180PAR処理群において28℃、90μ/m2・sのPAR、150μ/m2・sのPAR、及び190μ/m2・sのPAR処理群において33℃で実施した。各処理には2,500のトウモロコシ外植片が含まれた。Agrobacteriumの接種後、外植片を、2/5のB5マクロ塩、1/10のB5ミクロ塩及びビタミン、1g/Lの硝酸カリウム、30g/Lのデキストロース、3.9g/Lの2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、0.03g/LのClearys 3336 WP、及び5mg/Lの2,4-D、pH5.4を含む共培養培地に移した。次いで、外植片を出芽誘導培地に移し、Conviron(登録商標)チャンバー内で培養した180μ/m2・sのPAR処理群を除いて、Percival(登録商標)チャンバー内で、指定された温度及び光強度で培養した後、拡大出芽誘導及び再生を行った。
【0191】
表26に示されるように、33℃での出芽誘導は、28℃での出芽誘導と比較して、シュート頻度、正常シュート頻度、土壌プラグに移された正常シュート数、及び正常植物頻度を一般に向上させた。さらに、90μ/m
2・sのPARでの出芽誘導では、最も高い正常植物頻度(NPF)が生じた。この実験では、150μ/m
2・sのPARでの出芽誘導と190μ/m
2・sのPARでの出芽誘導の間に有意な差はなかった。
表26.出芽誘導中の温度及び光強度がトウモロコシ外植片の形質転換に及ぼす影響。
【表26】
【0192】
シュート頻度は、シュートを作出する接種された外植片の数を接種された外植片の総数で割ったものとして計算された。正常シュート頻度は、正常シュート数を接種された外植片の総数で割ったものとして計算された。正常植物頻度(NPF)は、正常植物の数を接種された外植片の総数で割ったものとして計算された。
【0193】
実施例12
再生中の光密度及び温度が形質転換頻度に及ぼす影響
光密度が液体培養システムにおける形質転換効率に有意な影響を与えるかどうかを試験するために、光密度が再生工程中の成熟トウモロコシ胚外植片の形質転換に及ぼす影響を評価する実験を実施した。この実験では、ペトリ皿あたり約30の外植片を含む液体培養物のペトリ皿を4枚重ねてプラスチックのボックスに入れた。ボックスの半分を、約60μmole/m
2sの光密度を有する第1の光チャンバー内で培養し、残りの半分を、約100μmole/m
2sの光密度を有する第2の光チャンバー内で培養した。結果は、約60μmole/m
2sのより低い光密度と比較して、約100μmole/m
2sのより高い光密度の存在下で再生の形質転換頻度が高いことを示した。各明室では、形質転換頻度は、箱及びスタックの最上部にあるペトリ皿で最大であり、最上層から最下層へと光密度が徐々に減少するにつれて徐々に減少した(表27)。付随して、温度もプレートの最上層が最も高く、プレートの最上層から最下層へと徐々に低下した(表28)。したがって、より高い光密度とプレート温度の組み合わせは、より高い形質転換頻度に寄与する可能性がある。セーターボックスの外の温度は約29℃であった。光密度が高くなると、液体培養プロトコルと固体培養プロトコルの両方で形質転換頻度が増加することも示されたが、増加の程度は固体培養プロトコルよりも液体培養の方が大きかった。加えて、これらの実験では、より高い光密度がトランスジェニック植物の発根頻度を増加させることが示された(表29)。
表27.光密度が液体培養プロトコルによる安定した形質転換に及ぼす影響。
【表27】
表28.実際のプレート光密度とプレート温度の相関関係。
【表28】
表29.光密度が液体培養と固体培養に及ぼす影響、及びトランスジェニック植物の発根頻度。
【表29】
【0194】
実施例13
出芽誘導中の異なるサイトカイニンがトウモロコシ外植片の形質転換に及ぼす影響
出芽誘導中に異なるサイトカイニンを使用することがトウモロコシ外植片の形質転換に及ぼす影響を評価するために実験を実施した。特に断りのない限り、実施例1に記載のように、トウモロコシ外植片を表面殺菌し、精製し、再水和し、Agrobacteriumを接種し、共培養し、出芽誘導(第2の拡大出芽誘導工程は含まず)及び再生工程に供した。グリホサートを選択剤として使用した。
【0195】
この実験では、4つのサイトカイニン、6-ベンジルアミノプリン(BAP)、ゼアチン、チジアズロン(TDZ)、及び6-(γ,γ-ジメチルアリルアミノ)プリン(2iP)を使用した出芽誘導を評価した。表30に示されるように、10mg/LのBAPまたは2mg/LのTDZを使用した出芽誘導は、10mg/Lの2iPまたは2mg/Lのゼアチンを使用した出芽誘導と比較して、有意に高い正常シュート頻度を示した。この実験では、TDZを使用した出芽誘導は、BAPを使用した出芽誘導と比較して、わずかに高い正常シュート頻度が生じた。例えば、1~8mg/LのBAPの出芽誘導を利用した他の研究でも観察された。
表30.出芽誘導中の異なるサイトカイニンがトウモロコシ外植片の形質転換に及ぼす影響。
【表30】
【0196】
シュート頻度は、シュートを作出する接種された外植片の数を接種された外植片の総数で割ったものとして計算された。正常シュート頻度は、正常シュート数を接種された外植片の総数で割ったものとして計算された。
【0197】
実施例14
2,4-D及びSilwet(登録商標)を使用しない共培養によりコムギ種子から切除された外植片のAgrobacterium媒介形質転換が向上する
この実験では、コムギ種子から切除された外植片のAgrobacterium媒介形質転換のための共培養培地中の2,4-D及び界面活性剤Silwet(登録商標)の影響を評価した。特に断りのない限り、実施例2に記載のように、コムギ外植片を表面殺菌し、精製し、Agrobacteriumを接種し、共培養し、遅延、選抜、及び再生に供した。
【0198】
この実験では、2,4-D及びSilwet(登録商標)の添加は、形質転換頻度または正常植物頻度に統計的に有意な影響を与えなかった。しかしながら、表31に示されるように、2,4-D及びSilwet(登録商標)の両方を含む共培養培地を使用した場合、2,4-DもSilwet(登録商標)も含まない共培養培地と比較して、形質転換頻度及び正常植物頻度が減少した。Silwet(登録商標)のみを含む共培養培地では、Silwet(登録商標)も2,4-Dも含まない共培養培地と比較して正常植物頻度が高くなったが、形質転換頻度はSilwet(登録商標)及び2,4-Dの非存在下で最も高くなった。
表31.共培養培地中の2,4-D及びSilwet(登録商標)がコムギ外植片形質転換に及ぼす影響。
【表31】
【0199】
形質転換頻度は、トランスジェニック植物を作出する接種された外植片の数を接種された外植片の総数で割ったものとして計算された。正常植物頻度は、正常植物の数を再生された植物の総数で割ったものとして計算された。
【0200】
実施例15
2,4-Dを含まない共培養によりトウモロコシ種子から切除された外植片のAgrobacterium媒介形質転換が向上する
共培養培地中の2,4-Dがトウモロコシ外植片の形質転換に及ぼす影響を評価するために、17の独立した実験を実施した。特に断りのない限り、実施例1に記載のように、トウモロコシ外植片を表面殺菌し、精製し、再水和し、Agrobacteriumを接種し、共培養し、出芽誘導、拡大出芽誘導、及び再生に供した。実施例9に記載したのと同じTiプラスミドを含むAgrobacteriumを、実験13~17を除くすべての実験に使用し、Tiプラスミド中の2つの異なる細菌の複製起点を共培養培地中で2,4-Dの存在下または非存在下で評価した。これらの場合、Tiプラスミドは、T-DNA境界に隣接する同じ2つの発現カセットを保持しており、一方は、構成的プロモーターの制御下にある葉緑体を標的とするCP4 EPSPS遺伝子を含み、他方は、同様の構成的プロモーターの制御下にあるuidA遺伝子を含む。
【0201】
表32は、17の実験からの、共培養培地中で2,4-Dを含む処理と含まない処理の結果をまとめたものを提供する。これらの実験には2,4-Dの有無とは別に追加の変数が含まれたが、結果は、共培養培地から2,4-Dを除去すると、異なる場所にわたる異なる研究室の研究者による17の実験中16の実験で、追加のパラメーターに関係なく、一貫して正常植物頻度が高くなることを示す。正常植物頻度の増加は1.1~3.0倍の範囲であり、平均増加は1.8倍であった。
表32.共培養培地からの2,4-D除去によりトウモロコシ外植片の形質転換が向上する
【表32】
【0202】
正常植物頻度は、正常植物の数を接種された外植片の総数で割ったものとして計算された。
【0203】
実施例16
共培養期間がトウモロコシ外植片の形質転換に及ぼす影響
共培養期間がトウモロコシ外植片の形質転換に及ぼす影響を評価するために、トウモロコシ種子から切除された外植片を70%エタノール中で4分間表面殺菌した。1/2濃度であるCaCl2を除く2/5濃度のB5マクロ塩、1/10のB5ミクロ塩及びビタミン、1g/Lの硝酸カリウム、30g/Lのデキストロース、2.8mg/Lのセクエストレン、3.9g/Lの2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、及び0.03g/LのClearys 3336 WP、pH5.4を含む再水和培地中で、シェーカー上、100rpmで室温で2時間インキュベートした後、外植片に、実施例1に記載されるAgrobacteriumを接種した。次いで、接種された外植片を共培養プレートに移し、5または7日間共培養した後、この実験では再生培地がMS塩、B5ビタミン、30g/Lのスクロース、0.69g/Lのプロリン、2mg/Lのグリシン、1g/LのMES、400mg/Lのカルベニシリン、200mg/Lのセフォタキシム、100mg/Lのチメンチン、及び20μMのグリホサート、pH5.8を含有したことを除いて、実施例1に記載されるように出芽誘導、拡大出芽誘導、及び再生に供した。再生されたシュートを、MS塩、B5ビタミン、30g/Lのスクロース、0.69g/Lのプロリン、2mg/Lのグリシン、1g/LのMES、3g/LのGelzan CM、0.25mg/LのIBA、250mg/Lのカルベニシリン、及び50μMのグリホサート、pH5.8を含む発根培地に発根させた。
【0204】
表33に示されるように、7日間の共培養は、5日間の共培養と比較して、より高い総数のトランスジェニックシュートを作出したが、作出されたシュートのより高い割合(%)はキメラであった。その結果、5日間の共培養により、より高い頻度の正常植物が得られた。
表33.トウモロコシ外植片の形質転換における共培養期間の比較(5日と7日)。
【表33】
【0205】
シュート頻度は、シュートを作出する接種された外植片の数を接種された外植片の総数で割ったものとして計算された。正常植物頻度は、正常植物の数を接種された外植片の総数で割ったものとして計算された。
【0206】
別の実験では、共培養培地中の5mg/Lの2,4-Dの存在または非存在と組み合わせて、4日間及び5日間の共培養期間を評価した。トウモロコシ種子から切除された外植片を、先の実験で説明されたように表面殺菌し、再水和し、Agrobacterium懸濁液を接種した。Agrobacteriumには、Tiプラスミド上のT-DNA境界に隣接する構成的プロモーターの制御下にある葉緑体を標的とするCP4 EPSPS遺伝子が含まれていた。接種された外植片を、5mg/Lの2,4-Dを含むまたは含まない共培養プレートに移し、4または5日間共培養した後、先の実験で説明されたように出芽誘導、拡大出芽誘導、及び再生を行った。
【0207】
表34に示されるように、共培養培地中に2,4-Dが存在しない場合には2.47%の平均正常植物頻度が得られたのに対し、2,4-Dが存在する場合には0.73%であった。このデータは実施例15に記載された結果と一致している。さらに、4日間の共培養では、5日間の共培養と比較して、より高い正常植物頻度が生じた。表35は、表34に示されているデータに基づく平均算出値を示している。
表34.共培養中の2,4-D及び共培養期間がトウモロコシ外植片の形質転換に及ぼす影響。
【表34】
【0208】
シュート頻度は、シュートを作出する接種された外植片の数を接種された外植片の総数で割ったものとして計算された。正常植物頻度は、正常植物の数を接種された外植片の総数で割ったものとして計算された。
表35.共培養培地からの2,4-D除去により、平均正常植物頻度(%)で実証されるようにトウモロコシ外植片の形質転換が向上する
【表35】
【0209】
正常植物頻度は、正常植物の数を接種された外植片の総数で割ったものとして計算された。
【0210】
実施例17
Setaria viridis粉砕種子のAgrobacterium媒介形質転換
Setaria viridis(エノコログサ)は、低身長(10~30cm)、生活環が速い(6~9週間)、種子生産量が豊富(植物あたり約13,000種子)、自家和合性、ゲノムサイズが小さい(約395Mb)、二倍体遺伝(2n=18)、及び生育要件が単純などのいくつかの特性のために、C4植物の生態及び他の農業形質を研究するための魅力的なモデル植物系となり得る。組織培養ベース及びin plantaフローラルディップ法などのAgrobacterium媒介形質転換法が、S.viridisについて報告されている。例えば、Nguyen et al.,“Robust and reproducible Agrobacterium transformation system of C4 genetic model species Setaria virdis”,Front. Plant Sci.13:281(2020);及びVan Eck,J.,“The Status of Setaria virdis Transformation:Agrobacterium-mediated to Floral Dip”,Front. Plant Sci.9:652(2018)を参照のこと。しかしながら、これまでの組織培養ベースの方法は、種子由来カルス培養のAgrobacterium形質転換を含み、これは労働集約的であり、植物においてソマクローン変異及びオフタイプを生じやすい。非組織培養ベースのフローラルディップ法には、S.viridis植物の未成熟な花序をAgrobacteriumに曝露した後、成熟した種子を回収し、それらの採取した種子から生育したトランスジェニック植物を同定することが含まれる。しかしながら、in plantaフローラルディップ法では、Agrobacterium感染の前後に植物を生育及び維持するための生育チャンバーまたは温室スペースが必要である。
【0211】
本明細書では、Setaria種子のAgrobacterium媒介形質転換のための新規なアプローチについて説明する。上記の実施例に記載の切除されたトウモロコシ及びコムギの胚外植片システムと同様に、Setaria viridis種子からの乾燥した切除された種子胚外植片を用いて、Agrobacterium媒介形質転換システムを開発する最初の試みがなされた。しかしながら、植物に形質転換して再生する可能性はあるものの、切除されたSetaria種子胚は非常に小さく、取り扱いが困難であった。したがって、切除された種子胚外植片の代わりに、Agrobacterium媒介形質転換のために、完全または粉砕Setaria viridis種子を使用する代替アプローチが開発された。形質転換されたSetaria植物を培養し、トウモロコシ及びコムギ種子胚外植片の培養及び再生について本明細書に記載されたシステム及び方法と同様の出芽誘導及び再生プロトコルを使用して、接種された完全または粉砕種子から植物に再生した。
【0212】
Setariaの粉砕種子の調製
最大10mLのSetaria種子(約5~10グラム)を、殺菌のために30mLの70%エタノールを含む50mLのFalconチューブに入れた。振とう後、種子を200mL~400mLの使い捨てプラスチックビーカーに注ぎ、2分間インキュベートした。次いで、エタノールを35mlピペットで除去した。Setaria種子の場合、総エタノール接触時間は4分未満に制御されることが好ましい。次いで、種子を約200mlの滅菌水で3回すすいだ。あるいは、種子を10%漂白剤と0.1%のTween 20で3分間殺菌し、その後、滅菌水で3回すすいだ。殺菌した種子を滅菌水に少なくとも3時間浸漬して、再水和し、種子を柔らかくした後にローリング及び粉砕工程を行った。殺菌して再水和した種子を清潔なプラスチックシートに移し、単一の層に広げ、第2のプラスチックシートで覆った。次に、2つのシート層の間の種子を、種皮の大部分が粉砕されるか開かれるまで、1Lボトルまたは麺棒を転がすことによって粉砕した。次に、粉砕種子を1つ以上の50mLのFalconチューブに移した。
【0213】
Agrobacterium接種物の調製
約0.5mLの解凍したAgrobacteriumのグリセロールストックを、滅菌1Lフラスコ中の50mg/Lのスペクチノマイシン及び30mg/Lのゲンタマイシン選別を含む200mLの液体LB培地に接種した。フラスコを200rpmに設定したオービタルシェーカー/インキュベーターに置き、28℃で暗所で16~24時間、または接種物の660nmでの吸光度(OD660)が0.6~1.0の範囲内になるまで培養した。一晩Agrobacteriumの培養物を約3,000rpmまたは2,620×g(Sorvall(登録商標)3B、6000Aローター)で、4℃で25分間遠心分離した後、ペレットを2/5濃度のB5マクロ塩、1/10のB5ミクロ塩及びビタミン、1g/Lの硝酸カリウム、30g/Lのデキストロース、及び3.9g/LのMES、5mg/Lの2,4-D、及び0.05%のSilwetを含む接種培地に再懸濁し、最終OD660が約0.5になるようにした。オーキシン(2,4-D)及び界面活性剤が接種培地に使用されたとしても、これらの構成成分の一方または両方が代替的に接種培地に存在しない場合もある。
【0214】
Agrobacteriumの接種及び共培養
Agrobacterium接種物の調製工程からの約30mlのAgrobacteriumの懸濁液を、Setariaの粉砕種子の調製工程からの粉砕種子を含むFalconチューブに加えた。次に、Agrobacterium/粉砕種子の混合物をSorvall 5Bで約690~1500×g、4℃で30分間遠心分離した。遠心分離後、チューブを撹拌して粉砕種子を再懸濁し、再懸濁した粉砕種子を容器に注ぎ、Agrobacterium懸濁液の大部分をピペッティングにより除去した。
【0215】
接種した粉砕種子(出発種子の約200~300)を、上記のAgrobacterium接種物の調製工程に記載された接種培地1.25mlで湿らせた滅菌ワットマン#1濾紙(82mm)を1枚含む深ペトリ皿に移し、均一に単一の層に広げた。共培養プレートを23℃、相対湿度約70%で、明期16時間/暗期8時間の光周期で3~8日間インキュベートした。
【0216】
選別及びシュート/根の再生
共培養後、粉砕種子を含む濾紙を、MS基礎塩、B5ビタミン、2mg/Lのグリシン、690mg/Lのプロリン、1g/Lのカゼイン加水分解物、30g/Lのスクロース、1g/LのMES、1mg/Lの2,4-D、10mg/LのBAP、200mg/Lのカルベニシリン、100mg/Lのチカルシリン、200mg/Lのセフォタキシム、及び3.5g/Lのアガロース、pH5.8を含み、10μMのグリホサート選択を含むまたは含まないシュート/出芽誘導培地に移した。これらの実験ではシュート/出芽誘導培地にオーキシンを使用しなかったが、少量のオーキシンを代替的に使用してもよい。培養プレートを、28℃に設定したPercivalインキュベーター内で、明期16時間/暗期8時間の光周期でインキュベートした。膨張及び伸長した種子外植片を、MS基礎塩、B5ビタミン、2mg/Lのグリシン、690mg/Lのプロリン、30g/Lのスクロース、1g/LのMES、400mg/Lのカルベニシリン、100mg/Lのチカルシリン、200mg/Lのセフォタキシム、30μMのグリホサート、及び3.5g/Lのアガロース、pH5.8を含む第1の再生培地;またはMS基礎塩、MSビタミン、690mg/Lのプロリン、30g/Lのスクロース、1g/LのMES、400mg/Lのカルベニシリン、100mg/Lのチカルシリン、200mg/Lのセフォタキシム、30μMのグリホサート、及び3.5g/Lのアガロース、pH5.8を含む第2の再生培地のいずれかに移した。実験3では、第1の再生培地で4週間後、緑色の複数のシュートを50μMのグリホサートを含む同じ再生培地で継代培養した。継代培養後2~3週間で、この培地上で暗緑色のシュートが観察され、発根培地(同じ培地、または約0.1~0.2mg/LのIAAなどの低レベルのオーキシンを含む)に移した。これらの実験の一部では発根培地にオーキシンが使用されている場合があるが、発根培地にはオーキシンまたはサイトカイニンが含まれていなくてもよい。
【0217】
最初の形質転換実験(実験1)では、粉砕種子に、2つの発現カセット(1つ目はスコアリングマーカーとしてβ-グルクロニダーゼ(GUS)をコードし、2つ目は選別マーカーとしてCP4 EPSPSをコードする)を含む第1のTiプラスミド構築物を含むAgrobacterium tumefaciens細胞を接種した。uidA(GUS)遺伝子は、ジャガイモのLS1(光誘導性遺伝子)の第2のイントロンを含み、イネアクチン1プロモーター、CaMV由来の重複された35S A1-B3ドメインのエンハンサー、コムギ主要クロロフィルa/b結合タンパク質の5’非翻訳リーダー、イネアクチン1遺伝子由来のイントロン、及びmRNAのポリアデニル化を指示するように機能するジャガイモプロテイナーゼ阻害剤II遺伝子の3’UTRの制御下にあった。CP4 EPSPSタンパク質をコードするaroA遺伝子は、イネアクチン1遺伝子のプロモーター、リーダー、及びイントロン、ならびにmRNAのポリアデニル化を指示すように機能するAgrobacterium tumefaciens Tiプラスミドのノパリンシンターゼ遺伝子の3’UTRの制御下にあった。EPSPSタンパク質は、Arabidopsis EPSPS遺伝子由来の融合したトランジットペプチドによって葉緑体を標的とした。第1のTiプラスミド構築物と同じ2つのGUS及びEPSPS発現カセットを含む第2のTiプラスミド構築物を保持するAgrobacterium tumefaciens細胞を用いて、2つの追加の実験(実験2及び3)を実施した。各実験には約5グラムのSetaria種子を使用した。
【0218】
表36は、実験の詳細と、粉砕種子を使用した3つの形質転換実験すべての結果をまとめたものである。実験1では、粉砕種子を接種工程中に1,500×gの遠心力に供し、8日間共培養し、選別せずに約21日間シュート/出芽誘導培地に移し、次いで30μMのグリホサート選別を含む第2の再生培地で約6週間再生した。実験2では、粉砕種子を接種工程中に800×gの遠心力に供し、4日間共培養し、約17日間、10μMのグリホサート選別を含むシュート/出芽誘導培地に移し、次いで30μMのグリホサート選別を含む第1の再生培地で約5週間再生した。実験3では、粉砕種子を接種工程中に800×gの遠心力に供し、8日間共培養し、約23日間、10μMのグリホサート選別を含むシュート/出芽誘導培地に移し、次いで、30μMのグリホサート選別を含む第1の再生培地で約4週間の第1の再生工程の後、50μMのグリホサート選別を含む第1の再生培地で約3週間の第2の再生工程に供した。実験1から1つのトランスジェニック(GUS+)植物が得られ、実験2及び3から3つのトランスジェニック(GUS+)植物が得られた。
表36.粉砕したSetaria種子のAgrobacterium媒介形質転換の概要。
【表36】
【0219】
外植片、及び実験1からのトランスジェニック挿入物を有する再生植物の画像も
図6に示す。接種から8週間後、ふさふさしたシュート塊が得られ、GUS染色によって確認された(
図6A及び6B)。再生植物を温室で生育し(
図6D)、種子を収穫した。サザンブロットハイブリダイゼーションでは、CP4でプローブした場合、事象が導入遺伝子の単一コピーを含むことが示された(
図6C)。
【0220】
実施例18
Setaria viridis完全種子のAgrobacterium媒介直接形質転換
種子を粉砕したり胚外植片を切除したりすることなく、完全種子またはインタクトな種子を形質転換することには利点がある。この可能性を試験するために、完全種子またはインタクトな種子を、種皮のみを除去して形質転換に使用した。トレイの底に敷かれたプラスチックの引き出しライナーと、別のうねのあるプラスチックライナーで包まれたボール紙の芯を含む手製の研磨ツールを使用して、Setaria種子から種皮を除去した。Setaria種子をトレイ内のライナー上に置き、ライナーで覆われたボール紙の芯で転がして種皮を機械的に緩めた(
図7Aを参照)。
図7Bは、種皮を除去する前のSetaria種子を示し、
図7Cは、種皮を除去または分離した後のSetaria種子を示す。次に、種子を別の容器に注ぎ、空気を吹きかけて種皮を除去するか、または種子を水槽に移して種皮が水面に浮くようにして種皮から種子を分離させた。次に、形質転換に使用するために種子を収集した。
【0221】
種皮を除去した後、実施例17で上述したように種子を10%漂白剤と0.1%のTween 20で3分間殺菌し、その後、滅菌水で3回すすいだ。インタクトな種子に、第2のTiプラスミド構築物を有するAgrobacterium tumefaciens細胞を接種し、シュート/出芽誘導培地中のBAP濃度が4mg/Lであったことを除いて、実施例17の粉砕種子について記載のように培養した。これらの実験ではシュート/出芽誘導培地にオーキシンを使用しなかったが、少量のオーキシンを代替的に使用してもよい。各実験には約5グラムのSetaria種子を使用した。その後、接種及び培養した種子から植物が再生された。
【0222】
図8は、完全種子またはインタクトな種子のAgrobacterium感染後の形質転換及びシュート再生の一般的な進行を示す。表37は、実験の詳細と、インタクトな種子を使用した3つのこれらの形質転換実験すべて(実験4、5、及び6)の結果をまとめたものである。実験4では、種子を接種工程中に800×gの遠心力に供し、約4日間共培養し、約8日間、10μMのグリホサート選別を含むシュート/出芽誘導培地に移し、次いで30μMのグリホサート選別を含む第1の再生培地で約6週間再生した。実験5では、種子を接種工程中に1,500×gの遠心力に供し、4日間共培養し、約10日間、10μMのグリホサート選別を含むシュート/出芽誘導培地に移し、次いで30μMのグリホサート選別を含む第1の再生培地で約5週間再生した。実験6では、種子を接種工程中に1,500×gの遠心力に供し、8日間共培養し、約10日間、10μMのグリホサート選別を含むシュート/出芽誘導培地に移し、次いで、30μMのグリホサート選別を含む第1の再生培地で約3週間の第1の再生工程の後、50μMのグリホサート選別を含む第1の再生培地で約3週間の第2の再生工程に供した。実験4から2つのトランスジェニック(GUS+)植物が得られ、実験5からトランスジェニック(GUS+)植物が得られ、実験5と実験6のそれぞれで1つのトランスジェニック(GUS+)植物が得られた。
表37.Setaria完全種子のAgrobacterium媒介形質転換の概要。
【表37】
【0223】
導入遺伝子の伝達を確認するために、形質転換植物のR
0生殖組織及びR
1実生をGUS発現について染色した。染色結果を
図9に示す。GUS発現は、形質転換植物の葯、花粉柱頭、小穂、及び未成熟種子、ならびに発芽したR
1実生において観察された。2つのGUS陽性Setaria植物事象からのR
1種子をセグリゲーションについて分析した:事象1は、本実施例18による完全種子の形質転換からのものであり、事象4は、実施例17による粉砕種子の形質転換からのものであった。これらのR
1種子から発芽した実生をGUS発現について染色した。表38に示されるように、両方の事象はおよそ3:1のセグリゲーションを示し、導入遺伝子が単一遺伝子座に組み込まれたことを示している。
表38.トランスジェニックSetaria植物のR1子孫における導入遺伝子の伝達。
【表38】
【0224】
実施例17及び18で提供された結果は、複数のシュート/出芽誘導及び再生工程を通じた遺伝子改変単子葉植物の形質転換及び生成に使用するために、完全なもしくはインタクトな単子葉植物種子または粉砕したもしくは部分的に開いた単子葉植物種子を使用することを支持する。Agrobacterium媒介形質転換を使用した完全種子または粉砕種子の直接的な形質転換によって、トランスジェニックSetaria verdis植物を得ることができることが、本明細書において実証される。完全種子、インタクトな種子、粉砕種子、または部分的に開いた種子を使用すると、胚外植片の切除が必要でなくなることによって、単子葉植物の形質転換が大幅に促進される可能性がある。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺伝子改変単子葉植物または植物部分を作出する方法であって、
分裂組織を含む単子葉植物種子胚外植片の少なくとも1つの細胞を異種ポリヌクレオチド分子で形質転換する能力を有するRhizobiales細菌を含む接種培地を、前記胚外植片に接種することによって、前記少なくとも1つの細胞に前記異種ポリヌクレオチド分子を導入することと、
第1のオーキシン及び第1のサイトカイニンを含む第1の出芽誘導培地と接触させて、約33℃~約37℃の温度で第1の期間、前記胚外植片を培養し、その後、前記第1の出芽誘導培地と接触させて、約26℃~約30℃の温度で第2の期間、前記胚外植片を培養することであって、前記第1の出芽誘導培地の前記第1のサイトカイニンの濃度が約5mg/L~約15mg/Lであり、前記第1の出芽誘導培地の前記第1のオーキシンの濃度が約0.5mg/L~約1.5mg/Lである、前記培養することと、
前記胚外植片から前記遺伝子改変単子葉植物または植物部分を再生することと、を含む、前記方法。
【請求項2】
前記第1の期間または前記第2の期間が、約2日~約14日、または約6日~約8日である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のサイトカイニンが、6-ベンジルアミノプリン(BAP)、チジアズロン(TDZ)、カイネチン、ゼアチン、ジフェニル尿素(DPU)、6-(γ,γ-ジメチルアリルアミノ)プリン(2iP)、及びメタ-トポリンからなる群から選択される;または
前記第1のオーキシンが、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、4-アミノ-3,5,6-トリクロロピコリン酸(ピクロラム)、インドール-3-酢酸(IAA)、インドール-3-酪酸(IBA)、ナフタレン酢酸(NAA)、4-クロロフェノキシ酢酸またはp-クロロ-フェノキシ酢酸(4-CPAまたはpCPA)、2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸(2,4,5-T)、2,3,5-トリヨード安息香酸(TIBA)、フェニル酢酸(PAA)、及び3,6-ジクロロ-2-メトキシ-安息香酸(ジカンバ)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のサイトカイニンが、6-ベンジルアミノプリン(BAP)であり、前記第1のオーキシンが、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のオーキシンまたは第2のオーキシン及び前記第1のサイトカイニンまたは第2のサイトカイニンを含む第2の出芽誘導培地と接触させて前記胚外植片を培養することをさらに含み、前記第2の出芽誘導培地と接触させて前記胚外植片を前記培養することが、前記胚外植片が前記第1の出芽誘導培地と接触させて培養した後、かつ前記再生培地と接触させて前記培養した胚外植片から前記遺伝子改変単子葉植物または植物部分を再生する前に実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記胚外植片が、前記第2の出芽誘導培地と接触して約4日~約28日間もしくは約7日~約14日間培養されるか、または
前記胚外植片が、前記第2の出芽誘導培地と接触して約20℃~約32℃、約25℃~約29℃、もしくは約27℃~約28℃の温度で培養される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の出芽誘導培地が、高いサイトカイニン対オーキシン比を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記遺伝子改変単子葉植物が、トウモロコシ植物、コムギ植物、イネ植物、オオムギ植物、芝草植物、またはソルガム植物である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記胚外植片を共培養培地と接触させて前記Rhizobiales細菌と共培養すること、または
前記接種培地中で、もしくは前記胚外植片に前記接種培地を接種する前に、前記胚外植片に力処理を適用することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
遺伝子改変単子葉植物または植物部分を作出する方法であって、
分裂組織を含む単子葉植物種子胚外植片の少なくとも1つの細胞を異種ポリヌクレオチド分子で形質転換する能力を有するRhizobiales細菌を含む接種培地を、前記胚外植片に接種することによって、前記少なくとも1つの細胞に前記異種ポリヌクレオチド分子を導入することと、
前記胚外植片に圧力処理及び重力処理を適用することと、
第1のオーキシン及び第1のサイトカイニンを含む第1の出芽誘導培地と接触させて、約33℃~約37℃の温度で前記胚外植片を培養することと、
前記胚外植片から前記遺伝子改変単子葉植物または植物部分を再生することと、を含む、前記方法。
【請求項11】
前記接種培地と接触させて前記胚外植片に前記圧力処理及び前記重力処理を適用すること、
前記胚外植片に前記接種培地を接種する前に、前記胚外植片に前記圧力処理及び前記重力処理を適用すること、
前記重力処理の前に前記圧力処理を適用すること、
前記圧力処理の前に前記重力処理を適用すること、
前記胚外植片に前記重力処理を約1分間~約2時間、約2分間~約110分間、約5分間~約90分間、約10分間~約60分間、もしくは約20分間~約40分間適用すること、または
前記胚外植片に前記圧力処理を約10秒間~約10分間、約15秒間~約8分間、約30秒間~約6分間、もしくは約2分間~約4分間適用することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記重力処理を適用することが、約100×g~約10,000×g、約500×g~約3,000×g、約655×g、もしくは約2620×gの力を適用することを含む、または
前記圧力処理を適用することが、約100psi~約1,000psi、約125psi~約750psi、約150psi~約500psi、約200psi~約400psi、もしくは約300psiの力を適用することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記Rhizobiales細菌が、Rhizobiaceae細菌、Phyllobacteriaceae細菌、Brucellaceae細菌、Bradyrhizobiaceae細菌、Xanthobacteraceae細菌、Agrobacterium細菌、Rhizobium細菌、Sinorhizobium細菌、Mesorhizobium細菌、Phyllobacterium細菌、Ochrobactrum細菌、Bradyrhizobium細菌、及びAzorhizobium細菌からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記接種培地中のRhizobiales細菌のOD
660が、約0.5~約2.0、約0.75~約1.25、または約1.0である、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記胚外植片を共培養培地と接触させて前記Rhizobiales細菌と共培養することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記共培養培地中の前記Rhizobiales細菌のOD
660が、約0.5~約2.0、約0.75~約1.25、または約1.0である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記遺伝子改変単子葉植物が、トウモロコシ植物、コムギ植物、イネ植物、オオムギ植物、芝草植物、またはソルガム植物である、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
遺伝子改変単子葉植物または植物部分を作出する方法であって、
分裂組織を含む単子葉植物種子胚外植片の少なくとも1つの細胞に異種ポリヌクレオチド分子を導入することと、
第1のオーキシン及び第1のサイトカイニンを含む第1の出芽誘導培地と接触させて、前記胚外植片を培養することと、
再生培地と接触して前記培養した胚外植片から前記遺伝子改変単子葉植物または植物部分を再生することであって、前記再生培地が、約0.5mM~約20mMの総窒素濃度を含む、前記再生することと、を含む、前記方法。
【請求項19】
前記再生培地が、
約2800mg/L未満、約2500mg/L未満、もしくは約2200mg/L~約2500mg/Lの範囲内の総塩濃度、
約0.5mM~約20mMの硝酸イオン濃度、
約0.5mM~約15mMのアンモニウムイオン濃度、
約0.5mM~約15mMのカリウムイオン濃度、
約5mM以上の硫酸イオン濃度、
約100mg/L~約1000mg/Lの硝酸アンモニウム濃度、
約100mg/L以下の塩化カルシウム濃度、
約500mg/L以下の硝酸カルシウム濃度、または
約500mg/L以上の硫酸カリウム濃度を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記遺伝子改変単子葉植物または植物部分を、約20℃~約32℃、約25℃~約29℃、もしくは約27℃~約28℃の温度で再生すること、または
前記遺伝子改変単子葉植物または植物部分を、約20日~約50日間もしくは約28日~約42日間再生することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記第1のオーキシンまたは第2のオーキシン、及び前記第1のサイトカイニンまたは第2のサイトカイニンを含む第2の出芽誘導培地と接触させて前記胚外植片を培養することをさらに含み、前記第2の出芽誘導培地と接触させて前記胚外植片を培養することが、前記胚外植片が前記第1の出芽誘導培地と接触させて培養した後、かつ前記再生培地と接触させて前記培養した胚外植片から前記遺伝子改変単子葉植物または植物部分を再生する前に実施される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記胚外植片を共培養培地と接触させて前記Rhizobiales細菌と共培養すること、または
前記接種培地中で、もしくは前記胚外植片に前記接種培地を接種する前に、前記胚外植片に力処理を適用することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記遺伝子改変単子葉植物が、トウモロコシ植物、コムギ植物、イネ植物、オオムギ植物、芝草植物、またはソルガム植物である、請求項18に記載の方法。
【国際調査報告】