(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】ワイヤレス電力システムにおける電力ネゴシエーション
(51)【国際特許分類】
H02J 50/40 20160101AFI20241001BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20241001BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20241001BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J50/80
H02J50/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518757
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-05-17
(86)【国際出願番号】 US2022044937
(87)【国際公開番号】W WO2023055750
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】202111043931
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】ガネーシャ, ジャヤンティ
(72)【発明者】
【氏名】カナカサバイ, ヴィスワナサン
(72)【発明者】
【氏名】タティコンダ, スバッラオ
(57)【要約】
本開示は、ワイヤレス電力システムにおける電力ネゴシエーションのためのシステム、方法、および装置を提供する。電力ネゴシエーションは、電力伝送フェーズの前に行われ、電力送信機および電力受信機が、電力伝送フェーズ中に電力送信機が供給できることを保証する保証電力をネゴシエートすることを可能にする。電力ネゴシエーション技術は、電力送信損失(PTx-loss)および電力受信損失(PRx-loss)を考慮することができる。電力ネゴシエーション(電力伝送フェーズの前の接続フェーズ)中に、電力受信機は、要求電力ネゴシエーション値を電力送信機に通信する。電力送信機は、要求電力ネゴシエーション値および推定PTx-lossを満たすのに十分な利用可能電力を有するかどうかを決定するときに、推定PTx-lossを決定し、そのような損失を考慮することができる。電力送信機は、同じ電源を使用する他の電力送信機によって共有される利用可能電力から電力を確保することができる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス電力システムの電力送信機による電力ネゴシエーションのための方法であって、
電力伝送フェーズの前に電力受信機から要求電力ネゴシエーション値を受信すること、
前記電力受信機へのワイヤレス電力の伝送に関連する前記電力送信機の推定電力送信損失(PTx-loss)を決定すること、
前記要求電力ネゴシエーション値、前記推定PTx-loss、および前記電力送信機の利用可能電力に少なくとも部分的に基づいて、前記電力受信機のための保証電力をネゴシエートすること、および
前記電力伝送フェーズ中に前記電力受信機に前記ワイヤレス電力を送信するためのネゴシエートされた電力(P-nego)を前記利用可能電力から確保することであって、前記ネゴシエートされた電力は、前記保証電力と前記推定PTx-lossとの和である、前記確保すること、を含む、方法。
【請求項2】
前記保証電力をネゴシエートすることは、
前記利用可能電力が前記要求電力ネゴシエーション値と前記推定PTx-lossとの和よりも大きい場合、前記要求電力ネゴシエーション値を前記保証電力として受諾すること、および
前記利用可能電力が前記要求電力ネゴシエーション値と前記推定PTx-lossとの和よりも小さい場合に、前記要求電力ネゴシエーション値を拒否するか、または代替電力ネゴシエーション値を前記電力受信機に通信すること、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記保証電力をネゴシエートすることは、
前記利用可能電力が前記要求電力ネゴシエーション値と前記推定PTx-lossとの前記和よりも小さいと決定すること、
前記要求電力ネゴシエーション値を拒否するために前記電力受信機にメッセージを通信すること、
前記電力受信機から後続の要求電力ネゴシエーション値を受信すること、および
前記利用可能電力が前記後続の要求電力ネゴシエーション値と前記推定PTx-lossとの和よりも大きい場合には、前記後続の要求電力ネゴシエーション値を前記保証電力として受諾すること、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記保証電力をネゴシエートすることは、
前記利用可能電力が前記要求電力ネゴシエーション値と前記推定PTx-lossとの前記和よりも小さいと決定すること、
前記電力送信機が満たすことができる代替電力ネゴシエーション値を計算することであって、前記代替電力ネゴシエーション値は、前記利用可能電力から前記推定PTx-lossを引いたものに基づいている、計算すること、
前記代替電力ネゴシエーション値を示すためにメッセージを前記電力受信機に通信すること、
前記電力受信機が前記代替電力ネゴシエーション値を前記保証された値として受諾する場合に、前記電力受信機から確認応答を受信すること、および
前記肯定応答を受信した後に、前記代替電力ネゴシエーション値を前記電力受信者に対する前記保証電力として設定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記要求電力ネゴシエーション値は、少なくとも部分的に、前記電力受信機に関連する負荷の電力定格に基づく、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記要求電力ネゴシエーション値は、前記負荷の電力定格と推定電力受信機損失(PRx-loss)との組み合わせに基づく、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記推定PTx-lossが、
前記電力送信機の一次コイルに関連する銅損失であって、前記一次コイルに関連する抵抗(R)と前記電力送信機のインバータに関連する推定定格電流の二乗(I
inv
2)との積を使用して計算される銅損失、および
前記要求電力ネゴシエーション値を満たすために、前記電力送信機に関連付けられた、前記電力送信機の整流器、インバータ、コイル、フィルタ構成要素、コンデンサ、またはフレンドリーメタルの任意の組み合わせに関連付けられた他の損失からなる群の少なくとも1つのメンバーに関連付けられる電力送信損失を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記推定PTx-lossを決定することは、前記電力送信機のメモリから前記推定PTx-lossを取得することを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記推定PTx-lossを決定することは、前記電力送信機と前記電力受信機との間のワイヤレス結合の効率を示す結合係数(K係数)に少なくとも部分的に基づいて、前記推定PTx-lossを調整することを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記電力伝送フェーズ中に、
前記電力受信機から受信した電力要求(P-request)メッセージに少なくとも部分的に基づく動作制御パラメータを使用して、前記電力受信機への前記ワイヤレス電力の送信を制御すること、をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記P-requestメッセージは、前記保証電力以下である要求電力を示す、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記電力伝送フェーズ中に、
ある期間にわたるインバータ電流(I
inv)とインバータ電圧(V
inv)とを乗じた平均に基づいて測定電力(P-measured)を決定すること、
同じ期間にわたって測定されたPTx-lossを決定すること、
前記電力受信機から電力要求(P-request)メッセージを受信すること、および
前記P-measured、前記測定されたPTx-loss、および前記P-request messageに基づいて、ワイヤレス電力の前記送信を制御するために前記動作制御パラメータを調整すること、をさらに含む、請求項10から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記電力送信機は、複数の電力送信機の間で前記利用可能電力を共有するように構成された磁気電源の一部であり、
前記複数の電力送信機の各々は、それぞれの電力受信機に対してそれぞれのネゴシエートされた電力量を確保するように構成され、
前記利用可能電力は、前記それぞれのネゴシエートされた電力量が確保された後に利用可能なままである前記磁気電源からの電力を表す、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ワイヤレス電力システムの電力受信機による電力ネゴシエーションのための方法であって、
電力伝送フェーズの前に要求電力ネゴシエーション値を電力送信機に通信することであって、前記要求電力ネゴシエーション値は、少なくとも部分的に、前記電力受信機に関連付けられた負荷の電力定格に基づく、通信すること、および
前記要求電力ネゴシエーション値に基づいて前記電力送信機と保証電力をネゴシエートすることであって、前記保証電力は、前記電力送信機の利用可能電力および前記電力送信機の推定電力送信損失(PTx-loss)に基づいて、前記電力伝送フェーズ中に前記電力送信機が前記電力受信機への送信に利用可能であることを保証する電力レベルを表す、ネゴシエートすること、を含む、方法。
【請求項15】
前記保証電力をネゴシエートすることは、前記電力送信機が、前記電力送信機の前記利用可能電力から、前記保証電力と前記PTx-lossとの和を確保していると決定することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記要求電力ネゴシエーション値が、前記負荷の前記電力定格と前記電力受信機の推定電力受信機損失(PRx-loss)との組み合わせに基づく、請求項14から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記保証電力をネゴシエートすることは、
前記利用可能電力が前記要求電力ネゴシエーション値と前記推定PTx-lossとの前記和よりも小さい場合、前記要求電力ネゴシエーション値を拒否する前記電力送信機からのメッセージを受信すること、を含む、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記保証電力をネゴシエートすることは、
後続の要求電力ネゴシエーション値を前記電力送信機に通信すること、および
前記電力送信機が前記後続の要求電力ネゴシエーション値を前記保証電力として受諾するかどうかを決定することであって、前記後続の要求電力ネゴシエーション値は、前記利用可能電力が前記後続の要求電力ネゴシエーション値と前記推定PTx-lossとの和よりも大きい場合に受諾される、決定すること、をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記保証電力をネゴシエートすることは、
代替電力ネゴシエーション値を示すメッセージを前記電力送信機から受信することであって、前記代替電力ネゴシエーション値は、前記利用可能電力から前記推定PTx-lossを引いたものに基づく、受信すること、および
前記代替電力ネゴシエーション値を前記保証された値として受諾することを示す確認応答を前記電力送信機に通信すること、を含む、請求項14から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記電力伝送フェーズ中に電力要求(P-request)メッセージを前記電力送信機に通信することであって、前記P-requestメッセージは前記保証電力以下の要求電力を示す、通信すること、および
P-requestメッセージに少なくとも部分的に基づいて、前記電力送信機からワイヤレス電力の送信を受信すること、をさらに含む、請求項14から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
ワイヤレス電力システムの電力送信機であって、
電力伝送フェーズ中に電力受信機の二次コイルにワイヤレス電力を伝送するように構成された一次コイルと、
前記電力伝送フェーズの前に電力受信機から要求電力ネゴシエーション値を受信するように構成された通信ユニットと、
電力コントローラであって、前記ワイヤレス電力を前記電力受信機に送信することに関連付けられた前記電力送信機の推定電力送信損失(PTx-loss)を決定し、前記電力送信機の前記要求電力ネゴシエーション値、前記推定PTx-loss、および利用可能電力に少なくとも部分的に基づいて、前記電力受信機に対する保証電力をネゴシエートし、
前記電力伝送フェーズ中に前記電力受信機に前記ワイヤレス電力を送信するためのネゴシエートされた電力(P-nego)を前記利用可能電力から確保し、前記ネゴシエートされた電力は、前記保証電力と前記推定PTx-lossとの和である、
ように構成された電力コントローラと、を含む、電力送信機。
【請求項22】
前記電力コントローラは、
前記利用可能電力が前記要求電力ネゴシエーション値と前記推定PTx-lossとの和よりも大きい場合、前記要求電力ネゴシエーション値を前記保証電力として受諾し、
前記利用可能電力が前記要求電力ネゴシエーション値と前記推定PTx-lossとの和よりも小さい場合に、前記要求電力ネゴシエーション値を拒否するか、または代替電力ネゴシエーション値を前記電力受信機に通信するように構成される、請求項21に記載の電力送信機。
【請求項23】
前記電力コントローラは、前記利用可能電力が前記要求電力ネゴシエーション値と前記推定PTx-lossとの前記和よりも小さい場合に、前記要求電力ネゴシエーション値を拒否するメッセージを前記電力受信機に通信させるように構成され、
前記通信ユニットは、前記電力受信機から後続の要求電力ネゴシエーション値を受信するように構成され、
前記電力コントローラは、前記利用可能電力が前記後続の要求電力ネゴシエーション値と前記推定PTx-lossとの和よりも大きい場合、前記後続の要求電力ネゴシエーション値を前記保証電力として受諾するように構成されている、請求項21に記載の電力送信機。
【請求項24】
前記電力コントローラは、
前記利用可能電力が前記要求電力ネゴシエーション値と前記推定PTx-lossとの前記和よりも小さいと決定し、
前記電力送信機が満たすことができる代替電力ネゴシエーション値を計算し、前記代替電力ネゴシエーション値は、前記利用可能電力から前記推定PTx-lossを引いたものに基づき、
前記通信ユニットに、前記代替電力ネゴシエーション値を示すためのメッセージを前記電力受信機に通信させ、
前記通信ユニットは、前記電力受信機が前記代替電力ネゴシエーション値を前記保証された値として受諾する場合に、前記電力受信機から確認応答を受信するように構成され、
前記電力コントローラは、前記肯定応答を受信した後に、前記代替電力ネゴシエーション値を前記電力受信機に対する前記保証電力として設定するように構成される、請求項21に記載の電力送信機。
【請求項25】
前記要求電力ネゴシエーション値は、少なくとも部分的に、前記電力受信機に関連する負荷の電力定格に基づく、請求項21から24のいずれか一項に記載の電力送信機。
【請求項26】
前記要求電力ネゴシエーション値は、前記負荷の電力定格と推定電力受信機損失(PRx-loss)との組み合わせに基づく、請求項25に記載の電力送信機。
【請求項27】
前記推定PTx-lossを記憶するためのメモリをさらに含み、
前記電力制御ユニットは、前記メモリから前記推定PTx-lossを取得するように構成されている、請求項21から26のいずれか一項に記載の電力送信機。
【請求項28】
前記電力コントローラは、
前記電力送信機と前記電力受信機との間のワイヤレス結合の効率を示す結合係数(K係数)を決定し、
前記結合係数に少なくとも部分的に基づいて、前記推定PTx-lossを調整するようにさらに構成されている、請求項21から27のいずれか一項に記載の電力送信機。
【請求項29】
前記電力コントローラが、
前記電力伝送フェーズ中に、
前記電力受信機から受信した電力要求(P-request)メッセージに少なくとも部分的に基づく動作制御パラメータを使用して、前記電力受信機への前記ワイヤレス電力の伝送を制御するようにさらに構成されている、請求項21から28のいずれか一項に記載の電力送信機。
【請求項30】
ワイヤレス電力システムの電力受信機であって、
電力伝送フェーズの前に要求電力ネゴシエーション値を電力送信機に通信するよう構成される通信ユニットであって、前記要求電力ネゴシエーション値は、少なくとも部分的に、前記電力受信機に関連付けられた負荷の電力定格に基づく、通信ユニット、および
前記要求電力ネゴシエーション値に基づいて前記電力送信機と保証電力をネゴシエートするよう構成されるコントローラであって、前記保証電力は、前記電力送信機の利用可能電力および前記電力送信機の推定電力送信損失(PTx-loss)に基づいて、前記電力伝送フェーズ中に前記電力送信機が前記電力受信機への送信に利用可能であることを保証する電力レベルを表す、コントローラ、を含む、電力受信機。
【請求項31】
前記要求電力ネゴシエーション値が、前記負荷の前記電力定格と前記電力受信機の推定電力受信機損失(PRx-loss)との組み合わせに基づく、請求項30に記載の電力受信機。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2021年9月28日に出願されたインド仮出願第202111043931号の優先権利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、一般に、ワイヤレス電力に関し、電力送信機と電力受信機との間の電力ネゴシエーションに関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
いくつかのワイヤレス電力システムは、ワイヤレス電力技術を利用して、いくつかのタイプのブレンダー、ケトル、エアフライヤ、ミキサなどのような可変の負荷を有するコードレス機器に電力をワイヤレスで供給する。これらのワイヤレス電力システムでは、電力送信機(「ワイヤレス電力送信装置」と呼ばれることもある)は、カウンタートップ、平面、調理台に設置されるか、含まれるか、または卓上で使用するためのスタンドアロンのワイヤレス電源に統合され得る。コードレス機器には、電力受信機(「ワイヤレス電力受信装置」と呼ばれることもある)が含まれ得る。電力送信機は、電力受信機を充電するために磁気誘導を使用する一次コイルを含むことができる。例えば、一次コイルは電磁場を生成することができる。電力受信機は、二次コイルを使用して電磁場を捕捉し、それを電力に変換するか、またはそれを直接誘導加熱に使用することができる。したがって、ワイヤレス電力システムは、コードレス機器を動作させるためにワイヤレス電力または誘導加熱を供給することができる。
【発明の概要】
【0004】
本開示のシステム、方法、および装置は各々、いくつかの革新的な態様を有し、そのうちの1つだけが本明細書に開示された望ましい属性を単独で担うことはない。
【0005】
本開示に記載される主題の1つの革新的な態様は、電力送信機による電力ネゴシエーションのための方法として実装することができる。方法は、電力伝送フェーズの前に、電力受信機から要求電力ネゴシエーション値を受信することを含む。方法は、ワイヤレス電力を電力受信機に送信することに関連する電力送信機の推定電力送信損失(PTx-loss)を決定することを含む。方法は、電力送信機の要求電力ネゴシエーション値、推定PTx-loss、および利用可能電力に少なくとも部分的に基づいて、電力受信機のための保証電力をネゴシエートすることを含む。方法は、電力伝送フェーズ中に、電力受信機へワイヤレス電力を送信するためのネゴシエートされた電力(P-nego)を、利用可能電力から確保することを含み、ネゴシエートされた電力は、保証電力と推定PTx-lossとの和である。
【0006】
本開示に記載された主題の別の革新的な態様は、電力受信機による電力ネゴシエーションのための方法として実施することができる。方法は、電力伝送フェーズの前に、要求電力ネゴシエーション値を電力送信機へ通信することを含み、要求電力ネゴシエーション値は、少なくとも部分的に、電力受信機に関連付けられた負荷の電力定格に基づく。方法は、要求電力ネゴシエーション値に基づいて電力送信機と保証電力をネゴシエートすることを含み、保証電力は、電力送信機の利用可能電力および電力送信機の推定電力送信損失(PTx-loss)に基づく電力伝送フェーズ中に、電力送信機が電力受信機への送信に利用可能にすることを電力送信機が保証する電力レベルを表す。
【0007】
本開示に記載の主題の別の革新的な態様は、ワイヤレス電力システムの電力送信機として実装することができる。電力送信機は、電力伝送フェーズ中にワイヤレス電力を電力受信機の二次コイルに送信するように構成された一次コイルを含む。電力送信機は、電力伝送フェーズの前に電力受信機から要求電力ネゴシエーション値を受信するように構成された通信ユニットを含む。電力送信機は、ワイヤレス電力を電力受信機に送信することに関連付けられた電力送信機の推定電力送信損失(PTx-loss)を決定し、電力送信機の要求電力ネゴシエーション値、推定PTx-loss、および利用可能電力に少なくとも部分的に基づいて、電力受信機に対する保証電力をネゴシエートし、電力伝送フェーズ中に電力受信機にワイヤレス電力を送信するためのネゴシエートされた電力(P-nego)を利用可能電力から確保するように構成された電力コントローラを含み、ネゴシエートされた電力は、保証電力と推定PTx-lossとの和である。
【0008】
本開示に記載の主題の別の革新的な態様は、ワイヤレス電力システムの電力受信機として実装することができる。電力受信機は、電力伝送フェーズの前に要求電力ネゴシエーション値を電力送信機に通信するように構成された通信ユニットを含み、要求電力ネゴシエーション値は、少なくとも部分的に、電力受信機に関連する負荷の電力定格に基づく。電力受信機は、要求電力ネゴシエーション値に基づいて電力送信機と保証電力をネゴシエートするように構成されたコントローラを含み、保証電力は、電力送信機の利用可能電力および電力送信機の推定電力送信損失(PTx-loss)に基づく電力伝送フェーズ中に電力送信機が電力受信機への送信に利用可能であることを保証する電力レベルを表す。
【0009】
本開示に記載された主題の1つまたは複数の実装形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。他の特徴、態様、および利点は、説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。以下の図の相対的な寸法は、原寸に比例して描かれていない場合があることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】例示的な電力送信機および例示的な電力受信機を含む例示的なワイヤレス電力システムのブロック図を示す。
【
図2】例示的なカウンタートップで取り付けられた電力送信機の斜視図を示す。
【
図3】例示的なカウンタートップに取り付けられた電力送信機および電力受信機を含む例示的なコードレス機器の斜視図を示す。
【
図4】例示的な電力ネゴシエーション動作を有する例示的なシステム状態図を示す。
【
図5】例示的な電力ネゴシエーションおよび制御を概念的に示すブロック図を示す。
【
図6】電力送信機によって推定された電力送信損失(PTx-loss)を考慮に入れる例示的な電力ネゴシエーションおよび制御を概念的に示すブロック図を示す。
【
図7】例示的な電力ネゴシエーションを概念的に示すメッセージフロー図を示す。
【
図8】電力送信機によって実行されるプロセスの例示的な動作を示す流れ図を示す。
【
図9】電力受信機によって実行されるプロセスの例示的な動作を示す流れ図を示す。
【
図10】ワイヤレス電力システムで使用するための例示的な装置のブロック図を示す。
【0011】
図の相対的な寸法は、原寸に比例して描かれていない場合があることに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明は、本開示の革新的な態様を説明する目的のための特定の実装形態に関する。しかしながら、当業者は、本明細書の教示が多数の異なる方法で適用され得ることを容易に認識するであろう。記載された実装形態は、ワイヤレス電力を送信または受信するための任意の手段、装置、システム、または方法で実施することができる。
【0013】
ワイヤレス電力システムは、表面に一体化された、または他の様態で配置された電力送信機を含むことができる。電力送信機は、ワイヤレスエネルギーを(ワイヤレス電力信号として)電力受信機内の対応する二次コイルに送信する一次コイルを含むことができる。例えば、電力送信機は、カウンタートップ取り付け一次コイル、または電力受信機を配置することができる表面に埋め込まれるか製造される一次コイルを含むことができる。一次コイルは、電力送信機内のワイヤレスエネルギー源(誘導または磁気共鳴エネルギーなど)を指す。電力受信機に配置された二次コイルは、ワイヤレスエネルギーを受信し、それを利用して負荷を充電または給電するか、または誘導加熱することができる。いくつかの実装形態では、電力受信機は、可変負荷(他の例の中でも、ブレンダー、加熱要素、ファンなど)を有するコードレス機器に含まれるかまたはそれと一体化することができる。いくつかの実装形態では、電力受信機は、固定負荷を有するコードレス機器に含まれるかまたは一体化されてもよい)。
【0014】
磁気電源は、それぞれの電力受信機にワイヤレス電力を供給するために複数の電力送信機を含む機器(例えば、調理台またはホブ)を指すことができる。そのような磁気電源内の電力送信機は、典型的には、単一の壁のコンセントなどの限られた電源を共有し、したがって、典型的には、全電力で同時に動作することはできない。磁気電源の定格電力を超えると、建物のどこかで回路遮断器がトリップする可能性があり、これは非常に望ましくない状況である。そのようなデバイスは、電力ネゴシエーションを使用して、電力送信機が特定の電力受信機のために確保する合意された電力の量を確立することができる。
【0015】
本開示は、電力送信機と電力受信機との間の電力ネゴシエーションのためのシステム、方法、および装置を提供する。電力ネゴシエーションは、そうするための電力の量を確保することによって、電力受信機を含む機器が意図したように機能できることを保証することができる。電力伝送フェーズの前に、電力受信機は、要求電力ネゴシエーション値を電力送信機に通信することができる。要求電力ネゴシエーション値は、電力受信機がその負荷を動作させるために必要とし得る最大電力レベルを表す。要求電力ネゴシエーション値は、電力伝送フェーズの前に通信される。したがって、要求電力ネゴシエーション値は、電力を制御するために電力伝送フェーズ中に通信され得る従来の電力要求(P-request)メッセージ(要求電力メッセージとも称されることがある)と区別するために、要求電力レベル、電力ネゴシエーション値(PRx-nego)、または事前電力要求電力と称され得る。電力送信機は、電力送信機の利用可能電力に基づいて、要求電力ネゴシエーション値を受諾するか拒否するかを決定することができる。利用可能電力は、瞬間的な周囲条件が与えられた場合に電力送信機がワイヤレス電力伝送に利用可能な最大の電力の量を指す。周囲条件は、とりわけ、電力送信機の入力電力および電圧、その温度、電力受信機の磁気結合を含む。複数の電力送信機を有する磁気電源において、周囲条件はまた、任意の他の電力送信機の電力使用量または磁気電源の機能を含むことができる。例えば、複数の電力送信機は、本開示の電力ネゴシエーション技術を使用して、磁気電源によって提供される利用可能電力から電力を確保することができる。
【0016】
電力送信機は、利用可能電力および電力送信機の推定損失に基づいて、(要求電力ネゴシエーション値によって表される)要求電力レベルを保証することができるかどうかを決定することができる。例えば、電力送信機は、要求電力レベルを供給するために、それ自体の構成要素(他の例の中でも、その整流器、インバータ、コイル、またはフィルタ構成要素など)に関連する損失を推定することができる。利用可能電力が要求電力ネゴシエーション値および推定損失よりも大きい場合、電力送信機は、要求電力ネゴシエーション値を受諾することができる。そうでない場合、電力送信機は、要求電力ネゴシエーション値を拒否してもよく、または要求電力レベルよりも低い電力レベルについて代替電力ネゴシエーション値を通信し得る。電力送信機が要求電力ネゴシエーション値を受諾するとき、電力送信機は、電力送信機が電力受信機への送信に利用可能であることを保証する電力レベルを表すために、要求電力ネゴシエーション値を保証電力として設定することができる。電力送信機は、保証電力を満たすのに十分な電力を電力送信機が有することを保証するために、利用可能電力からネゴシエートされた電力(P-nego)を確保し得る。ネゴシエートされた電力は、保証電力と推定損失との和であってもよい。
【0017】
いくつかの実装形態では、電力受信機は、電力受信機に関連する負荷の電力定格を考慮に入れた要求電力ネゴシエーション値を通信することができる。要求電力ネゴシエーション値はまた、電力受信機の構成要素に関連する電力受信損失(PRx-loss)を考慮に入れることができる。しかしながら、要求電力ネゴシエーション値は、それらの損失が電力送信機によって推定されるので、電力送信機の構成要素に関連する電力送信損失(PTx-loss)を除外することができる。
【0018】
いくつかの実装形態では、電力送信機は、電力送信機と電力受信機との間の動作結合係数(K係数)を決定することができる。動作K係数は、電力受信機と電力送信機との間の実際の位置合わせに基づくK係数を指す。電力送信機は、K係数に基づいてPTx-lossを調整することができる。
【0019】
本開示に記載された主題の特定の実装形態は、以下の潜在的な利点のうちの1つまたは複数を実現するために実装することができる。電力ネゴシエーションは、電力受信機と電力送信機との間で効率的かつ効果的に行うことができる。さらに、電力送信機は、電力受信機への保証電力を満たすために適切な量の電力を確保することができる。総利用可能電力を共有する複数の電力送信機を有するシステムでは、(推定される電力送信損失を含む)ネゴシエートされた電力の確保により、システムがその総電力定格を超えて過負荷にならないことが保証される。さらに、いくつかの実装形態では、電力受信機は、保証電力をネゴシエートするときにPTx-lossを推定または決定する必要はない。むしろ、PTx-lossを決定するのにより適している電力送信機は、要求電力レベルを満たすことができるかどうかを決定するときに、そのような電力送信損失を考慮することができる。
【0020】
本開示における例は、キッチンシステムにおいて使用されるワイヤレス電力に基づくが、本技術は、他のタイプのシステムにも適用可能である。例えば、本技術は、他の例の中でもとりわけ、家電製品、電子機器、ファン、スペースヒータ、スピーカシステム、エアコンプレッサ、園芸用機器、または電気自動車の構成要素に関連するワイヤレス電力システムと共に使用することができる。
【0021】
図1は、例示的な電力送信機102および例示的な電力受信機118を含む例示的なワイヤレス電力システム100のブロック図を示す。電力送信機(「PTx」と呼ばれることもある)は、電力を磁気電力に変換する機能ユニットである。本開示では、電力送信機102は、PTxならびに通信システムおよび他の電気構成要素を含む。電力受信機(「PRx」と呼ばれることもある)は、磁気電力を電力または熱に変換するワイヤレス電力伝送システムの一部である。本開示では、電力受信機118は、PRx、ならびに通信システムおよび他の電気構成要素を含む。電力送信機102および電力受信機118は、インターフェース空間190によって分離されてもよい。
図1において、破線は、電気回路線を表す実線と区別する通信を表す。電力送信機102は、一次コイル104を含む。一次コイル104は、ワイヤレス電力(ワイヤレスエネルギーと呼ばれることもある)を送信するワイヤコイルであってもよい。一次コイル104は、誘導または磁気共鳴場を使用してワイヤレスエネルギーを送信することができる。一次コイル104は、電力送信機回路110に関連付けられてもよい。電力送信機回路110は、パルス幅変調器または電圧制御発振機142、インバータ144、および直列コンデンサ146などの構成要素を含むことができる。コンデンサ146および一次コイル104は、「タンク回路147」と称されることもある。電力送信機回路110はまた、インピーダンス整合のための他の構成要素(図示せず)を含んでもよい。電力送信機102はまた、電圧センサおよび電流センサ(図示せず)などの1つまたは複数のセンサ152を含むことができる。
【0022】
電力送信機回路110の一部または全部は、ワイヤレス電力を制御して1つまたは複数の電力受信機に送信するための本開示の特徴を実装する集積回路(IC)として具現化されてもよい。電力コントローラ108は、マイクロコントローラ、専用プロセッサ、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、または任意の他の適切な電子デバイスとして実装されてもよい。
【0023】
電源112は、電力送信機102の電力送信機回路110に電力を供給することができる。電源112は、交流(AC)電力を直流(DC)電力に変換することができる。例えば、電源112は、外部電源からAC電力を受信し、そのAC電力を電力送信機回路110が使用するDC電力に変換する変換器を含んでもよい。
【0024】
電力コントローラ108は、第1通信インターフェース114に接続されている。第1通信インターフェース114は、第1通信コイル116に接続されている。いくつかの実装形態では、第1通信インターフェース114および第1通信コイル116は第1通信ユニット124と総称されてもよい。いくつかの実装形態では、第1通信ユニット124は近距離無線通信(NFC)をサポートし得る。NFCは、13.56メガヘルツ(MHz)のキャリア周波数でデータ伝送を行う技術である。第1通信ユニット124はまた、任意の適切な通信プロトコルをサポートし得る。
【0025】
電力受信機118は、二次コイル120、直列コンデンサ122、直列スイッチ123、整流器126、機器コントローラ136、第2通信インターフェース132、センサ162、負荷130、およびメモリ(図示せず)を含むことができる。コンデンサ122および二次側コイル120は、「タンク回路121」と称されることもある。いくつかの実装形態では、電力受信機118はまた、負荷の所望の動作を示す負荷設定164を取得するためのユーザインターフェース(図示せず)または他の手段を含むことができる。いくつかの実装形態では、負荷設定164は、電力受信機118のメモリ(図示せず)に記憶することができる。いくつかの実装形態では、負荷130はまた、負荷の速度またはトルクなどの少なくとも1つのパラメータを制御するための駆動装置(図示せず)を含むことができる。いくつかの実装形態では、整流器126は省かれてもよい。いくつかの実装形態では、直列スイッチ(図示せず)が二次コイル120と直列に含まれてもよい。異なる構成要素として示されているが、いくつかの構成要素は、同じハードウェアにパッケージ化または実装されてもよい。例えば、いくつかの実装形態では、機器コントローラ136および電力受信コントローラ(図示せず)は、単一のコントローラとして実装されてもよい。機器コントローラ136、またはそれらの任意の組み合わせは、マイクロコントローラ、専用プロセッサ、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、または任意の他の適切な電子デバイスとして実装されてもよい。
【0026】
インターフェース空間190は、電力送信機102と電力受信機118との間の空間をデマークすることができる。例えば、インターフェース空間は、電力受信機118を配置することができる電力送信機102の表面を含むことができる。一次コイル104と二次コイル120との間の距離は、インターフェース空間190の表面の厚さを含み得る。ワイヤレス電力伝送中、一次コイル104は、インターフェース空間190を通って二次コイル120が配置されている動作環境に磁場(一次磁場と呼ばれる)を誘導することができる。したがって、「動作環境」は、一次コイル104の一次磁場が検出可能に存在し、二次コイル120と検出可能に相互作用することができるシステム内の一次磁場によって画定される。
【0027】
電力コントローラ108は、電力受信機118の存在または近接性を検出することができる。この検出は、電力送信機102の第1通信インターフェース114の周期的なpingプロセス中に起こり得る。pingプロセスの間、第1通信インターフェース114は、電力受信機118が近接しているときに、(第2通信コイル134を介して)第2通信インターフェース132に(第1通信コイル116を介して)電力を供給してもよい。第2通信インターフェース132は、機器コントローラ136を「ウェイクアップ」および電源投入してもよく、応答信号を第1通信インターフェース114に送り返し得る。電力伝送の前に、ハンドシェイク処理を行うことができ、その間に、電力コントローラ108は、他の情報の中でも、受信機の電力定格に関連するデータ構成を受信することができる。
【0028】
異なるコードレス機器は、異なる負荷タイプ、異なる負荷状態、および異なる電力要件を有するか、または特定の電圧および周波数で電力を必要とし得る。例えば、コードレスブレンダーは、モータ速度を制御するために複数のユーザが選択可能な負荷状態を有する可変モータ負荷を含むことができる。負荷状態に応じて、コードレスブレンダーは、動作するために異なるレベルの電力を必要とする場合がある。別の例では、コードレスケトルは、温度を制御するために異なる負荷状態を有する抵抗の負荷を含むことができる。さらに別の例では、エアフライヤは複合負荷デバイスであってもよく、様々な動作時にヒータ、ファン、またはその両方を動作させてもよい。各タイプの負荷(モータ、抵抗の負荷、ヒータ、ファン、またはそれらの任意の組み合わせなど)は、現在の負荷状態または負荷状態に基づいて動作するために異なる量の電力を必要とする場合がある。さらに、コードレス機器は、それらの負荷タイプまたは負荷状態に応じて、異なる一次コイル励磁周波数(ワイヤレス電力伝送周波数など)で一次コイルから受信コイルまで異なるレベルの電圧利得を呈することができる。例えば、所望の負荷電圧を達成するために、コードレスブレンダーは、低モータ速度設定などの第1の負荷状態に対して第1の動作周波数で最も良好に動作することができる。しかしながら、負荷状態が変化するにつれて、コードレスブレンダーは、第1の動作周波数で動作したときに同じ負荷電圧を達成しない場合がある。例えば、第1の動作周波数は、コードレスブレンダーが第1の負荷状態(低速設定など)に設定されているときに第1の電圧利得を容易にすることができるが、第1の動作周波数は、コードレスブレンダーが第2の設定(高速設定など)に設定されているときにはより低い電圧利得をもたらすことができる。負荷設定164は、現在の負荷状態または負荷が負荷状態で動作するために必要な必要電力を示すことができる。
【0029】
電力コントローラ108は、電力送信機102が電力受信機118に供給するワイヤレス電力の特性を制御することができる。電力受信機118を検出した後、電力コントローラ108は、電力受信機118から構成データを受信することができる。例えば、電力コントローラ108は、電力受信機118とのハンドシェイクプロセス中に構成データを受信することができる。電力コントローラ108は、構成データを使用して、電力送信機回路110によって生成されたワイヤレス電力の少なくとも1つの動作パラメータ(例えば、周波数、デューティサイクル、電圧など)を決定することができる。動作パラメータは、負荷130の負荷状態または電力要件の変化に応答して、ワイヤレス電力の伝送中に電力受信機118からのフィードバック情報に基づいて調整することができる。したがって、電力コントローラ108は、電力受信機118の比較的効率的な動作を可能にするワイヤレス電力を供給することができる。例えば、送信コントローラは、特定の負荷状態、負荷電圧、および動作K係数に対して電力受信機がピーク効率で動作することを可能にするようにワイヤレス電力を構成することができる。
【0030】
図2は、例示的なカウンタートップで取り付けられた電力送信機の斜視
図200を示す。いくつかの実装形態では、電力送信機は、カウンタートップ202と結合または一体化されてもよい。例えば、電力送信機の一次コイル204は、カウンタートップ202にフラッシュで取り付けられ得る。簡潔にするために、電力送信機の一次コイル204のみが
図2に示されている。しかしながら、
図1を参照して説明したものなどの電力送信機の他の構成要素は、カウンタートップ202に統合または取り付けられてもよい。
【0031】
図3は、例示的なカウンタートップに取り付けられた電力送信機および電力受信機を含む例示的なコードレス機器の斜視
図300を示す。コードレス機器(ブレンダー306として示されている)は、一次コイル204に配置することができる。コードレス機器は、ユーザが選択可能な負荷設定308を含むことができる。コードレス機器は、電力受信機(
図3には図示せず)を含むことができる。電力送信機および電力受信機は、本明細書に記載の構成要素および機能のいずれかを含むことができる。
【0032】
図4は、例示的な電力ネゴシエーション動作を有する例示的なシステム状態
図400を示す。システム状態
図400は、4つの主要なフェーズからなる。電力送信機は、ユーザがこれを商用電源に接続するときにアイドルフェーズ410に入る。アイドルフェーズ410において、電力送信機は、有効な受信機の存在を探し、検出されると、通信を確立する。アイドルフェーズ410では、電力送信機は、対象物の分類を開始する事象を検出するまで待機する。対象物が通信ユニットを有する電力受信機である場合、電力送信機は通信を開始し、次いで構成フェーズ420に進む。電力受信機の起動後、電力送信機は構成フェーズ420に進み、静的構成データを受信する。システム状態
図400はまた、構成フェーズ420に続き、電力伝送フェーズ440の前の接続フェーズ430を示す。電力伝送フェーズ440の間に、電力送信機から電力受信機への電力伝送が行われる。
【0033】
構成フェーズ420または接続フェーズ430において、電力送信機および電力受信機は、情報を交換して、ワイヤレス電力伝送またはワイヤレス充電に関連するパラメータを合意し調整する。電力ネゴシエーションは、電力伝送フェーズ440の前のフェーズのいずれかの間に行われてもよい。簡潔にするために、電力ネゴシエーション動作は、接続フェーズ430において生じるものとして説明される。電力ネゴシエーションは、電力伝送フェーズ440を管理するパラメータをネゴシエートするために、電力送信機および電力受信機によって使用される。例えば、ブロック432に示されるように、電力送信機は、利用可能電力または最大電力を決定することができる。ブロック434に示されるように、電力受信機は、要求電力ネゴシエーション値を電力送信機に通信することができる。要求電力ネゴシエーション値は、負荷の電力定格に基づくことができる。いくつかの実装形態では、要求電力ネゴシエーション値は、負荷の電力定格と電力受信損失(PRx-loss)との組み合わせに基づく。要求電力ネゴシエーション値は、電力送信損失(PTx-loss)を省略または無視し得る。なぜなら、これらは、電力ネゴシエーション中に電力送信機によって推定および担われるからである。ブロック436に示されているように、電力受信機および電力送信機は、要求電力ネゴシエーション値、推定PTx-loss、および利用可能電力に基づいて、保証電力をネゴシエートし得る。例えば、電力送信機は、要求電力ネゴシエーション値を保証電力として受諾または拒否することができる。例えば、電力送信機は、利用可能電力が要求電力ネゴシエーション値と推定PTx-lossとの和よりも大きい場合、要求電力ネゴシエーション値を保証電力として受諾することができる。
【0034】
図4を参照して説明された電力ネゴシエーションは、要求電力ネゴシエーション値が電力送信機によって受諾される例である。しかしながら、電力送信機は、要求電力ネゴシエーション値を保証電力として受諾され得ない場合があり得る。例えば、電力送信機は、利用可能電力が要求電力ネゴシエーション値と推定PTx-lossとの和よりも小さいと決定し得る。電力送信機は、電力送信機が要求電力ネゴシエーション値を拒否することを示すメッセージを電力受信機に通信することができる。いくつかの実装形態では、電力受信機は、後続の要求電力ネゴシエーション値を通信し、要求電力ネゴシエーション値の受諾または拒否を保証電力として待つことができる。いくつかの実装形態では、電力送信機は、利用可能電力から推定PTx-lossを引いたものに基づいて、電力送信機が満たすことができる代替電力ネゴシエーション値を計算することができる。電力送信機は、代替電力ネゴシエーション値(提案された電力ネゴシエーション値と呼ばれることもある)を電力受信機に通信することができる。電力受信機は、代替電力ネゴシエーション値を保証された値として受諾する場合、肯定応答で応答することができる。
【0035】
保証電力がネゴシエートされると、電力送信機は、保証電力と推定PTx-lossとの和に基づいて、ネゴシエートされた電力(P-nego)を計算し得る。電力送信機は、利用可能電力からネゴシエートされた電力を確保し、それによって、利用可能電力を共有する他の電力送信機の利用可能電力を低減することができる。各電力送信機は、他の電力送信機からの確保後に残っている利用可能電力を使用して、それぞれの電力受信機と同様の電力ネゴシエーション(およびネゴシエートされた電力の確保)を実行することができる。ネゴシエートされた電力は、推定PTx-lossを考慮するので、複数の電力送信機による総電力使用量は、電源の最大電力を超えない。
【0036】
接続フェーズ430から、電力受信機は、電力伝送フェーズ440に移行するか、またはアイドルフェーズ410に戻るように電力送信機に要求することができる。電力伝送フェーズ440では、電力送信機は、異物検出(FOD)動作を実行し、次いで、電力信号を印加してワイヤレス電力を電力受信機に送信し、電力伝送フェーズ440の間このサイクルを繰り返す。通信またはFODは、電力信号の各スロット中に実行される。電力伝送フェーズ440における通信のいくつかの例は、電力ネゴシエーションに関連し得る。例えば、電力伝送フェーズ446の間、電力受信機は、電力要求(P-request)メッセージ(「要求電力」と呼ばれることもある)を通信して、電力送信機に、電力受信機へのワイヤレス電力伝送の電力レベルを調整させることができる。電力伝送フェーズ中の要求電力は、電力送信機と電力受信機との間でネゴシエートされる保証電力を超えてはならない。
【0037】
図5は、例示的な電力ネゴシエーションおよび制御を概念的に示すブロック図を示す。電力送信機および電力受信機の動作は、それぞれ電力コントローラ108および機器コントローラ136に関して示されている。電力伝送フェーズの前に、機器コントローラ136は、保証電力をネゴシエートするために要求電力ネゴシエーション値を通信することができる。保証電力が電力送信機および電力受信機によってネゴシエートされ受諾されると、電力送信機は、保証電力および推定される電力送信損失(PTx-loss)を含むネゴシエート電力を利用可能電力から確保することができる。
【0038】
電力伝送フェーズ中、電力受信機またはその構成要素(機器コントローラ136など)は、基準量(Q-reference520)と実際の測定量(Q-measured510)との間の誤差計算530に基づいて電力要求(P-request)メッセージ540を通信することができる。量Qは、電圧、速度、トルク、温度、または負荷の動作に関連する他のパラメータを指すことができる。例えば、Q測定510は、
図1を参照して説明したセンサ162によって取得することができる。Q基準520は、
図1を参照して説明した負荷設定164に基づいて取得することができる。電力要求(P-request)メッセージ540は、電力伝送フェーズの前にネゴシエートされた保証電力以下の要求電力を示さなければならない。
【0039】
電力送信機またはその構成要素(電力コントローラ108など)は、P-request540および測定された電力送信(P-measured570)に基づいて電力制御設定(P-control590)を調整することができる。P-measured570は、インバータ電流(Iインバータ552)とインバータ電圧(Vインバータ554)との乗算の平均によって決定され得る(ブロック560に示される)。Iインバータ552およびVインバータ554は、
図1を参照して説明したセンサ152などのセンサを使用して得ることができる。誤差計算580は、P-measured570とP-request540との間の差を決定して、P-control590の値を生成することができる。
【0040】
図5を参照して説明された動作は、いくつかのレガシー電力ネゴシエーション技術に存在する問題を示している。P-request540の値は、ワイヤレス電力システムにおいて明確に定義されておらず、これは、どのように計算されるべきかについてのいくらかの混乱をもたらしている。いくつかのレガシーシステムは、PTx-loss、PRx-loss、および負荷電力要件または負荷の電力定格のいずれかの推定値を含むようにP-request540を計算する。しかしながら、機器コントローラ136は、PTx-lossを知らないか、またはPTx-lossを測定もしくは検出するための効果的な手段を有することができる。その結果、P-request540は、電力送信機に、負荷に電力を供給するのに必要な電力よりも多くの電力を確保させる過度に膨張した値を含むことができる。さらに、いくつかの電力受信機は、PTx-lossのために異なるオフセットまたは計算を使用する場合があり、電力ネゴシエーションの信頼性は、異なるタイプの電力受信機をサポートする電力送信機にとって実用的ではない。本開示によれば、電力ネゴシエーションは、電力伝送フェーズの前に行われてもよい。さらに、電力受信機および電力送信機はそれぞれ、電力要求ネゴシエーション値および保証電力をそれぞれ通信するときに、それぞれの推定損失を計上する。
【0041】
図6は、電力送信機によって推定された電力送信損失(PTx-loss)を考慮に入れる例示的な電力ネゴシエーションおよび制御を概念的に示すブロック図を示す。
図6の特徴は、
図5の対応する参照番号のものと同等である。しかしながら、1つの違いは、PTx-lossが電力送信機によって推定または計算されるため、(接続位フェーズ中の)電力要求ネゴシエーション値がPTx-lossを除外するように定義されることである。
【0042】
接続フェーズにおいて、電力受信機(機器コントローラ136)は、要求電力ネゴシエーション値650を通信する。いくつかの実装形態では、要求電力ネゴシエーション値650は、接続フェーズ中に通信され、保証電力の電力ネゴシエーションに使用されることを除いて、従来の電力要求メッセージと同じ形態をとることができる。要求電力ネゴシエーション値650は、負荷の電力定格および推定電力受信機損失(PRx-loss)に基づくことができるが、推定PTx-lossを含まないことができる。いくつかの実装形態では、PRx-lossは、製造中に測定され、機器コントローラ136に格納またはさもなければプログラムされ得る。ミスアライメントおよびK係数は、(PTx-lossと比較して)PRx-lossにわずかしか影響しない可能性がある。
【0043】
電力送信機(電力コントローラ108)は、PTx-lossを推定することができる。接続フェーズ(電力伝送前)の間、PTx-lossは、メモリに記憶された値に基づく推定値、推定電力に基づく計算、または他の様態でプログラムされた計算であり得る。接続フェーズでは、電力伝送フェーズまで実際のPTx-lossが測定されない可能性があるため、電力送信機はPTx-lossを推定することができる。PTx-lossを推定するために、電力コントローラ108は、電力送信機の一次コイルに関連する銅損失(PTx-copper-loss)を推定することができる。例えば、銅損失は、要求電力ネゴシエーション値650を満たすために、一次コイルに関連付けられた抵抗(R)と、電力送信機のインバータに関連付けられた推定定格電流の二乗(Iinv
2)との積を使用して計算され得る。電力コントローラ108はまた、他の損失を推定し、推定PTx-lossに他の損失を含めることができる。例えば、他の損失は、要求電力ネゴシエーション値を満たすために電力送信機に関連付けられた電子機器、コンデンサ、フレンドリーメタル、フェライト、またはそれらの任意の組み合わせに関連する電力送信損失を含むことができる。いくつかの実装形態では、PTx-lossは、K係数推定値、または電力送信機と電力受信機との間の結合係数の他の推定値に基づいて推定することができる。
【0044】
電力送信機108は、利用可能電力が、要求電力ネゴシエーション値と推定PTx-lossとの和よりも大きい場合、要求電力ネゴシエーション値に基づいて、保証電力を設定し得る。保証電力がネゴシエートされると、電力送信機は、保証電力に推定PTx-lossを加えたものに基づき得る、ネゴシエートされた電力(P-nego)を計算し得る。ネゴシエートされた電力は、電力送信機が電力受信機に対する保証電力を満たすことができることを保証するために、利用可能電力から確保されなければならない電力レベルである。電力送信機は、利用可能電力からネゴシエートされた電力を確保し、それによって、共有電源を使用する他の電力送信機またはコンポーネントのために利用可能なままである利用可能電力を低減することができる。
【0045】
電力伝送フェーズ中、電力受信機(機器コントローラ136)は、P-requestメッセージ540を送信することによって要求電力を制御することができる。P-request540は、保証電力に等しい最大値に制限され得る。電力送信機は、PTx-loss670および測定された電力伝送(P-measured570)を測定することができる。P-measured570は、
図5を参照して説明したように決定することができる。いくつかの実装形態では、P-measured570は、インバータへの直流(DC)入力電圧とインバータのDC電流入力との積の平均に基づいて決定することができる。PTx-loss670は、PTx銅損失の追加、PTxフェライトの損失、フレンドリーメタル、ならびにタンク回路内の電子機器および他の構成要素の損失のうちの1つまたは複数に基づいて計算することができる(ブロック660に示す)。例えば、PTx-copper-lossは、電力送信機の一次コイルに関連する抵抗(R)と一次コイルに関連する測定電流の二乗(I
inv
2)との積として計算することができる(式1)。
PTx-copper-loss=I
inv
2R (1)
PTx-copper-lossの計算例は単なる一例であり、本開示の範囲内で他の式または計算が想定され得る。
【0046】
電力送信機(電力コントローラ108)は、推定送信電力を決定するために、P-measured570およびPTx-loss670を(負の値として)加算することができる。誤差計算580は、P-control690値を生成するために、推定送信電力とP-request540との間の差を決定することができる。
【0047】
いくつかの実装形態では、保証電力は最悪のケースのシナリオに基づいてネゴシエートされ、その結果、電力受信機が全量を要求した場合に、電力送信機は保証電力を電力受信機に確実に供給するよう保証することができる。電力受信機または電力送信機が条件の変更を有する場合、それらは、変更された条件に基づいて新たな保証電力レベルを設定するために新たな電力ネゴシエーションを実行することができる。
【0048】
いくつかの実装形態では、電力送信機は、保証電力の最大需要を満たすために、動作条件に基づいて、利用可能電力から確保されたネゴシエートされた電力を再調整することができる。例えば、(電力伝送フェーズ中の)測定されたPTx-lossが(接続フェーズ中の)推定PTx-lossと異なる場合、電力送信機は、PTx-lossの変化に適応するようにネゴシエートされた電力(P-nego)を調整し、利用可能電力が調整されたネゴシエートされた電力よりも高いと仮定して、調整されたネゴシエートされた電力を利用可能電力から確保することができる。いくつかの実装形態では、利用可能電力または動作条件の変化のために保証電力を満たすことができない場合、電力送信機は、(電力伝送フェーズまたは接続フェーズのいずれかの間に)新しい電力ネゴシエーションを開始することができる。
【0049】
図7は、例示的な電力ネゴシエーションを概念的に示すメッセージフロー
図700を示す。電力送信機102および電力受信機118は、構成フェーズ702中に通信を確立し、識別および構成メッセージ710を交換することができる。接続フェーズ704では、電力送信機102および電力受信機118は、電力ネゴシエーションを実行することができる。いくつかの実装形態では、電力送信機102は、利用可能電力または最大電力を示すネゴシエーションメッセージ720を決定し通信することができる。730において、電力受信機118は、要求電力ネゴシエーション値を決定することができる。要求電力ネゴシエーション値は、電力受信機118の電力定格および電力受信損失(PRx-loss)に基づくことができる。PRx-lossは、推定、計算、測定、またはプログラムで構成することができる。電力受信機118は、要求電力ネゴシエーション値を含むネゴシエーションメッセージ740を通信することができる。750において、電力送信機102は、電力送信損失(PTx-loss)を推定することができる。PTx-lossは、推定、計算、測定、またはプログラムで構成することができる。いくつかの実装形態では、推定PTx-lossは、現在の状態および要求電力ネゴシエーション値に関連する要求電力レベルに基づいて、電力受信機118への実際の送信電力を低減すると予想される損失であり得る。
【0050】
電力送信機102が、要求電力ネゴシエーション値にPTx-lossを加えたものに対応する電力の量を確保することができる場合、電力送信機102は、電力送信機102が要求電力ネゴシエーション値を保証電力として受諾することを示す応答メッセージ770を通信することができる。そうではなく、電力送信機102が、要求電力ネゴシエーション値にPTx-lossを加えたものに対応する電力の量を確保することができない場合、電力送信機102は、電力送信機102が要求電力ネゴシエーション値を拒否することを示す応答メッセージ770を通信することができる。いくつかの実装形態では、電力送信機102は、代替電力ネゴシエーション値を示すために、応答メッセージ770に加えて、またはその代わりに、ネゴシエーションメッセージを通信することができる。いくつかの実装形態では、送信機による代替電力ネゴシエーション値は、利用可能電力から推定PTx-lossを引いたものに対応し得る。
【0051】
図7に関して続けると、図示の例では、電力送信機102は要求電力ネゴシエーション値を受諾している。772において、電力送信機102は、要求電力ネゴシエーション値に基づいて保証電力を設定する。また、電力送信機102は、保証電力と推定PTx-lossとの和としてネゴシエート電力を計算した。次いで、電力送信機102は、利用可能電力からネゴシエートされた電力を確保する。電源の利用可能電力は、電力送信機102のために確保され、電源を共有する他の電力送信機のために利用可能ではないように、ネゴシエートされた電力によって低減され得る。774において、電力受信機118は、電力伝送フェーズ中に通信される後続の電力要求メッセージの最大限度として保証電力を構成し得る。
【0052】
電力伝送フェーズ706の間、電力受信機118は、ワイヤレス電力送信の調整を要求するために電力要求(P-request)メッセージ780または他のフィードバックメッセージを送信することができる。例えば、電力要求メッセージ780は、
図6を参照して説明したように、P-requestを含み得る。P-requestは、要求電力ネゴシエーション値に基づいて電力送信機102とネゴシエートされた保証電力を超えないように制限され得る。
【0053】
782において、電力送信機102は、電力送信機102のインバータにおける測定値に基づいてPTx-lossを計算することができる。784において、電力送信機102は、計算されたPTx-lossを考慮に入れて、P-requestを満たすための新しい動作パラメータを決定することができる。
【0054】
図8は、電力送信機によって実行されるプロセス800の例示的な動作を示す流れ図を示す。プロセス800の動作は、本明細書に記載の電力送信機によって実施することができる。例えば、プロセス800は、
図1、
図5、または
図6を参照して説明した電力送信機102またはその任意の構成要素(電力コントローラ108など)によって実行することができる。プロセス800は、
図3を参照して説明したシステム状態
図300、
図4を参照して説明した電力ネゴシエーションの例、または
図67を参照して説明したメッセージフロー
図700を参照して説明した動作のいずれかを実施することができる。いくつかの実装形態では、プロセス800は、
図10を参照して説明したような装置1000によって実行されてもよい。簡潔にするために、動作は電力送信機によって実行されるものとして説明されている。
【0055】
ブロック810において、電力送信機は、電力受信機から要求電力ネゴシエーション値を受信することができる。ブロック820において、電力送信機は、電力送信機の構成要素に関連する電力送信損失(PTx-loss)を推定することができる。ブロック830において、電力送信機は、要求電力ネゴシエーション値、利用可能電力、およびPTx-lossに基づいて、電力受信機のための保証電力(P-nego)をネゴシエートし得る。電力送信機は、電源からの利用可能電力を共有する他の電力送信機のために利用可能電力が低減されるように、利用可能電力からネゴシエートされた電力(保証電力およびPTx-lossの和)を確保し得る。
【0056】
図9は、電力受信機によって実行されるプロセス900の例示的な動作を示す流れ図を示す。プロセス900の動作は、本明細書で説明するように電力受信機によって実施することができる。例えば、プロセス900は、
図1、
図5、または
図6を参照して説明した電力受信機118またはその任意の構成要素(機器コントローラ136など)によって実行することができる。プロセス900は、
図3を参照して説明したシステム状態
図300または
図7を参照して説明したメッセージフロー
図700を参照して説明した動作のいずれかを実施することができる。いくつかの実装形態では、プロセス900は、
図10を参照して説明したような装置1000によって実行されてもよい。簡潔にするために、動作は電力受信機によって実行されるものとして説明される。
【0057】
ブロック910において、電力受信機は、要求電力ネゴシエーション値を電力送信機に通信することができる。要求電力ネゴシエーション値は、電力受信機の負荷に関連付けられた電力定格と、電力受信機の電力受信損失(PRx-loss)との組み合わせに基づいてもよい。ブロック920において、電力受信機は、要求電力ネゴシエーション値に基づいて、電力送信機と保証電力をネゴシエートすることができる。保証は、要求電力ネゴシエーション値を電力受信機に供給することを電力送信機が保証する電力レベルを表す。電力送信機は、電力送信機が保証電力を満たすことができるように、その利用可能電力から十分な電力(保証電力および推定PTx-lossの和)を確保することができる。
【0058】
図10は、ワイヤレス電力システムで使用するための例示的な装置のブロック図を示す。いくつかの実装形態では、装置1000は、本明細書に記載の電力送信機(電力送信機102など)であってもよい。いくつかの実装形態では、装置1000は、本明細書の図のいずれかを参照して説明した電力コントローラ108の例であってもよい。いくつかの実装形態では、装置1000は、本明細書に記載の電力受信機(電力受信機118など)であってもよい。いくつかの実装形態では、装置1000は、本明細書の図のいずれかを参照して説明した機器コントローラ136の例であってもよい。
【0059】
装置1000は、プロセッサ1002を含む(場合によっては、複数のプロセッサ、複数のコア、複数のノード、またはマルチスレッディングを実装することなどを含む)ことができる。装置1000はまた、メモリ1006を含むことができる。メモリ1006は、システムメモリ、または本明細書に記載のコンピュータ可読媒体の可能な実現のいずれか1つまたは複数であってもよい。装置1000はまた、バス1011(例えば、PCI、ISA、PCI-Express、HyperTransport(登録商標)、InfiniBand(登録商標)、NuBus、(登録商標)AHB、AXIなど)を含むことができる。装置1000は、電力伝送コイル1064(一次コイルまたは二次コイルなど)を管理するように構成された1つまたは複数のコントローラ1062を含むことができる。いくつかの実装形態では、コントローラ1062は、プロセッサ1002、メモリ1006、およびバス1011内に分散させることができる。コントローラ1062は、本明細書に記載の動作の一部または全部を実行することができる。例えば、コントローラ1062は、
図1、
図5、または
図6のいずれかを参照して説明した電力コントローラ108などの電力コントローラであってもよい。あるいは、コントローラ1062は、
図1、
図5、または
図6のいずれかを参照して説明した機器コントローラ136などの機器コントローラであってもよい。
【0060】
メモリ1006は、
図1~
図9を参照して説明した実装形態の機能を実施するためにプロセッサ1002によって実行可能なコンピュータ命令を含むことができる。これらの機能のいずれか1つは、ハードウェアまたはプロセッサ1002に部分的に(または全体的に)実装されてもよい。例えば、機能は、特定用途向け集積回路、プロセッサ1002に実装されたロジック、周辺デバイスまたはカード上のコプロセッサなどで実装されてもよい。さらに、実現は、
図10に示されていないより少ないまたは追加の構成要素を含むことができる。プロセッサ1002、メモリ1006、およびコントローラ1062は、バス1011に結合することができる。バス1011に結合されているものとして示されているが、メモリ1006はプロセッサ1002に結合されてもよい。
【0061】
本明細書で説明される図、動作、および構成要素は、例示的な実装形態の理解を助けることを意図した例であり、潜在的な実装形態を制限したり、特許請求の範囲を制限したりするために使用されるべきではない。いくつかの実装形態は、追加の動作、より少ない動作、並列または異なる順序での動作、およびいくつかの動作を異なるように実行することができる。
【0062】
前述の開示は、例示および説明を提供するが、網羅的であること、または開示された正確な形態に態様を限定することを意図するものではない。変更および変形は、上記の開示に照らして行われてもよく、または態様の実施から取得されてもよい。本開示の態様を様々な例に関して説明してきたが、任意の例からの態様の任意の組み合わせも本開示の範囲内である。本開示の例は、教育目的のために提供される。代替的に、または本明細書に記載の他の例に加えて、例は、以下の実装形態のオプション(明確にするために条項として列挙されている)の任意の組み合わせを含む。
【0063】
条項
条項1.ワイヤレス電力システムの電力送信機によって実行される方法であって、電力受信機から要求電力ネゴシエーション値(PRx-nego)を受信すること、前記電力送信機において、前記電力送信機の構成要素に関連する電力送信損失(PTx-loss)を推定すること、および前記PRx-negoおよび前記PTx-lossに基づいて、前記電力受信機のためのネゴシエートされた電力(P-nego)をネゴシエートすること、を含む、方法。
【0064】
条項2.前記P-negoは、前記電力送信機が前記電力受信機のために確保することに合意する電力の量を表す、条項1に記載の方法。
【0065】
条項3.前記PRx-negoが、前記電力受信機の負荷の負荷要件に関連付けられる、条項1から2のいずれか一項に記載の方法。
【0066】
条項4.前記PRx-negoが、前記負荷に関連する電力定格と前記電力受信機の電力受信損失(PRx-loss)との組み合わせに基づく、条項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【0067】
条項5.前記電力受信機からの前記PRx-negoが前記PTx-lossを考慮しない、条項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【0068】
条項6.接続フェーズ中に、前記PTx-lossを推定することは、前記電力送信機の一次コイルに関連する銅損失であって、前記PRx-negoを満たすように、前記一次コイルに関連する抵抗(R)と前記電力送信機のインバータに関連する推定定格電流の2乗(Iinv2)との積を使用して計算される銅損失、前記PRx-negoを満たすために前記電力送信機に関連する電子機器、コンデンサ、フレンドリーメタル、フェライト、またはそれらの任意の組み合わせに関連する他の損失、からなる群の少なくとも1つのメンバーに関連付けられる電力送信損失を推定することである、条項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【0069】
条項7.電力伝送フェーズ中に、受信機電力要求P-requestに少なくとも部分的に基づく動作制御パラメータを使用して前記電力受信機へのワイヤレス電力の送信を制御すること、をさらに含む、条項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【0070】
条項8.前記電力伝送フェーズ中に、ある期間にわたるインバータ電流(Iinv)とインバータ電圧(Vinv)とを乗じた平均に基づいて測定電力(P-measured)を決定することであって、同じ期間にわたって測定されたPTx-lossを決定すること、および前記P-measured、前記測定されたPTx-loss、および前記PRx-nego以下である要求電力を示す前記電力受信機からの電力要求(P-request)に基づいて、ワイヤレス電力の前記送信を制御するように前記動作制御パラメータを調整すること、をさらに含む、条項7に記載の方法。
【0071】
条項9.前記電力伝送フェーズ中に、前記測定されたPTx-lossを決定することは、前記電力送信機の一次コイルに関連する銅損失であって、前記一次コイルに関連する抵抗(R)と前記電力送信機のインバータに関連する測定電流の二乗(Iinv2)との積を使用して計算される銅損失と、前記電力送信機に関連する電子機器、コンデンサ、フレンドリーメタル、フェライト、またはそれらの任意の組み合わせに関連する他の損失、からなる群の少なくとも1つのメンバーに関連付けられる電力送信損失を決定することを含む、条項7から8のいずれか一項に記載の方法。
【0072】
条項10.前記PTx-lossを推定することは、前記PTx-lossを前記電力送信機のメモリから取得すること、を含む、条項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【0073】
条項11.前記PTx-lossを推定することは、前記PTx-lossを、前記電力送信機と前記電力受信機との間のワイヤレス結合の効率を示す結合係数(K係数)に少なくとも部分的に基づいて調整すること、を含む、条項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【0074】
条項12.ワイヤレス電力システムの電力受信機によって実行される方法であって、要求電力ネゴシエーション値(PRx-nego)を電力送信機に通信することであって、前記PRx-negoは、前記電力受信機の負荷に関連する電力定格と前記電力受信機の電力受信損失(PRx-loss)との組み合わせに基づく、通信すること、および前記PRx-negoに基づいて前記電力送信機とネゴシエートされた電力(P-nego)をネゴシエートすることであって、前記P-negoは、前記電力送信機が前記電力受信機にPRx-negoを供給するために確保する電力の量を表す、ネゴシエートすること、を含む、方法。13.前記電力受信機からの前記PRx-negoは、前記電力送信機の電力送信損失(PTx-loss)を考慮しない、条項12に記載の方法。
【0075】
条項14.電力伝送フェーズ中に電力要求(P-request)を前記電力送信機に通信することであって、前記P-requestが前記PRx-nego以下の要求電力を示す、通信すること、およびP-requestに少なくとも部分的に基づいて、前記電力送信機からワイヤレス電力の送信を受信すること、をさらに含む、条項14から13のいずれか一項に記載の方法。15.ワイヤレス電力システムであって、1つまたは複数の電力送信機、第1の電力送信機に対応する少なくとも第1の通信インターフェースを含む、前記1つまたは複数の電力送信機に対応する1つまたは複数の通信インターフェースであって、前記第1の通信インターフェースは、電力受信機から要求電力ネゴシエーション値(PRx-nego)を受信するように構成される、1つまたは複数の通信インターフェース、およびコントローラであって、前記1つまたは複数の電力送信機の各々のための確保電力量に基づいて、前記ワイヤレス電力システムに結合された電源から残っている利用可能電力を決定し、前記第1の電力送信機の構成要素に関連する電力送信損失(PTx-loss)を推定し、前記第1の電力送信機のために第1の確保電力量を確保するように構成され、前記第1の確保電力量は、前記PRx-negoと前記PTx-lossとの組み合わせに基づき、前記利用可能電力によって制限される、ように構成される、コントローラを含む、ワイヤレス電力システム。
【0076】
条項16.前記第1の通信インターフェースは、前記電力受信機に受諾メッセージを通信するように構成されることをさらに含む、条項15に記載のワイヤレス電力システム。
【0077】
条項17.前記コントローラは、前記第1の確保電力量は前記PRx-negoより少ないと決定し、前記第1の通信インターフェースに、前記電力受信機に拒否メッセージを通信させるように構成される、ことをさらに含む、条項15に記載のワイヤレス電力システム。
【0078】
条項18.前記コントローラは、前記電力送信機が満たすことができる異なるPRx-negoを満たすために、利用可能電力および前記推定PTx-lossに基づいて、前記第1の確保電力量よりも低い第2の確保電力量を計算し、前記第1の通信インターフェースに、ネゴシエーションのための代替PRx-negoとして前記異なるPRx-negoを前記電力受信機に通信させるように構成されることをさらに含む、条項17に記載のワイヤレス電力システム。
【0079】
条項19.ワイヤレス電力システムの電力送信機による電力ネゴシエーションのための方法であって、電力伝送フェーズの前に電力受信機から要求電力ネゴシエーション値を受信すること、前記電力受信機へのワイヤレス電力の伝送に関連する前記電力送信機の推定電力送信損失(PTx-loss)を決定すること、前記要求電力ネゴシエーション値、前記推定PTx-loss、および前記電力送信機の利用可能電力に少なくとも部分的に基づいて、前記電力受信機のための保証電力をネゴシエートすること、および前記電力伝送フェーズ中に前記電力受信機に前記ワイヤレス電力を送信するためのネゴシエートされた電力(P-nego)を前記利用可能電力から確保することであって、前記ネゴシエートされた電力は、前記保証電力と前記推定PTx-lossとの和である、前記確保すること、を含む、方法。
【0080】
条項20.前記保証電力をネゴシエートすることは、前記利用可能電力が前記要求電力ネゴシエーション値と前記推定PTx-lossとの和よりも大きい場合、前記要求電力ネゴシエーション値を前記保証電力として受諾すること、および前記利用可能電力が前記要求電力ネゴシエーション値と前記推定PTx-lossとの和よりも小さい場合に、前記要求電力ネゴシエーション値を拒否するか、または代替電力ネゴシエーション値を前記電力受信機に通信すること、を含む条項19に記載の方法。
【0081】
条項21.前記保証電力をネゴシエートすることは、前記利用可能電力が前記要求電力ネゴシエーション値と前記推定PTx-lossとの前記和よりも小さいと決定すること、前記要求電力ネゴシエーション値を拒否するために前記電力受信機にメッセージを通信すること、前記電力受信機から後続の要求電力ネゴシエーション値を受信すること、および前記利用可能電力が前記後続の要求電力ネゴシエーション値と前記推定PTx-lossとの和よりも大きい場合には、前記後続の要求電力ネゴシエーション値を前記保証電力として受諾すること、を含む、条項19に記載の方法。
【0082】
条項22.前記保証電力をネゴシエートすることは、前記利用可能電力が前記要求電力ネゴシエーション値と前記推定PTx-lossとの前記和よりも小さいと決定すること、前記電力送信機が満たすことができる代替電力ネゴシエーション値を計算することであって、前記代替電力ネゴシエーション値は、前記利用可能電力から前記推定PTx-lossを引いたものに基づいている、計算すること、前記代替電力ネゴシエーション値を示すためにメッセージを前記電力受信機に通信すること、前記電力受信機が前記代替電力ネゴシエーション値を前記保証された値として受諾する場合に、前記電力受信機から確認応答を受信すること、および前記肯定応答を受信した後に、前記代替電力ネゴシエーション値を前記電力受信者に対する前記保証電力として設定することを含む、条項19に記載の方法。
【0083】
条項23.前記要求電力ネゴシエーション値は、少なくとも部分的に、前記電力受信機に関連する負荷の電力定格に基づく、条項19から22のいずれか一項に記載の方法。
【0084】
条項24.前記要求電力ネゴシエーション値は、前記負荷の電力定格と推定電力受信機損失(PRx-loss)との組み合わせに基づく、条項23に記載の方法。
【0085】
条項25.前記推定PTx-lossが、前記電力送信機の一次コイルに関連する銅損失であって、前記一次コイルに関連する抵抗(R)と前記電力送信機のインバータに関連する推定定格電流の二乗(Iinv2)との積を使用して計算される銅損失、および前記要求電力ネゴシエーション値を満たすために、前記電力送信機に関連付けられた、前記電力送信機の整流器、インバータ、コイル、フィルタ構成要素、コンデンサ、またはフレンドリーメタルの任意の組み合わせに関連付けられた他の損失からなる群の少なくとも1つのメンバーに関連付けられる電力送信損失を含む、条項19から24のいずれか一項に記載の方法。
【0086】
条項26.前記推定PTx-lossを決定することは、前記電力送信機のメモリから前記推定PTx-lossを取得することを含む、条項19から25のいずれか一項に記載の方法。
【0087】
条項27.前記推定PTx-lossを決定することは、前記電力送信機と前記電力受信機との間のワイヤレス結合の効率を示す結合係数(K係数)に少なくとも部分的に基づいて、前記推定PTx-lossを調整することを含む、条項19から26のいずれか一項に記載の方法。
【0088】
条項28.前記電力伝送フェーズ中に、前記電力受信機から受信した電力要求(P-request)メッセージに少なくとも部分的に基づく動作制御パラメータを使用して、前記電力受信機への前記ワイヤレス電力の送信を制御すること、をさらに含む、条項19から27のいずれか一項に記載の方法。
【0089】
条項29.前記P-requestメッセージは、前記保証電力以下である要求電力を示す、条項28に記載の方法。
【0090】
条項30.前記電力伝送フェーズ中に、ある期間にわたるインバータ電流(Iinv)とインバータ電圧(Vinv)とを乗じた平均に基づいて測定電力(P-measured)を決定すること、同じ期間にわたって測定されたPTx-lossを決定すること、前記電力受信機から電力要求(P-request)メッセージを受信すること、および前記P-measured、前記測定されたPTx-loss、および前記P-request messageに基づいて、ワイヤレス電力の前記送信を制御するために前記動作制御パラメータを調整すること、をさらに含む、条項28から29のいずれか一項に記載の方法。
【0091】
条項31.前記電力送信機は、複数の電力送信機の間で前記利用可能電力を共有するように構成された磁気電源の一部であり、前記複数の電力送信機の各々は、それぞれの電力受信機に対してそれぞれのネゴシエートされた電力量を確保するように構成され、前記利用可能電力は、前記それぞれのネゴシエートされた電力量が確保された後に利用可能なままである前記磁気電源からの電力を表す、条項19から30のいずれか一項に記載の方法。
【0092】
条項32.ワイヤレス電力システムの電力受信機による電力ネゴシエーションのための方法であって、電力伝送フェーズの前に要求電力ネゴシエーション値を電力送信機に通信することであって、前記要求電力ネゴシエーション値は、少なくとも部分的に、前記電力受信機に関連付けられた負荷の電力定格に基づく、通信すること、および前記要求電力ネゴシエーション値に基づいて前記電力送信機と保証電力をネゴシエートすることであって、前記保証電力は、前記電力送信機の利用可能電力および前記電力送信機の推定電力送信損失(PTx-loss)に基づいて、前記電力伝送フェーズ中に前記電力送信機が前記電力受信機への送信に利用可能であることを保証する電力レベルを表す、ネゴシエートすること、を含む、方法。
【0093】
条項33.前記保証電力をネゴシエートすることは、前記電力送信機が、前記電力送信機の前記利用可能電力から、前記保証電力と前記PTx-lossとの和を確保していると決定することを含む、条項32に記載の方法。
【0094】
条項34.前記要求電力ネゴシエーション値が、前記負荷の前記電力定格と前記電力受信機の推定電力受信機損失(PRx-loss)との組み合わせに基づく、条項32から33のいずれか一項に記載の方法。
【0095】
条項35.前記保証電力をネゴシエートすることは、前記利用可能電力が前記要求電力ネゴシエーション値と前記推定PTx-lossとの前記和よりも小さい場合、前記要求電力ネゴシエーション値を拒否する前記電力送信機からのメッセージを受信すること、を含む、条項32から34のいずれか一項に記載の方法。
【0096】
条項36.前記保証電力をネゴシエートすることは、後続の要求電力ネゴシエーション値を前記電力送信機に通信すること、および前記電力送信機が前記後続の要求電力ネゴシエーション値を前記保証電力として受諾するかどうかを決定することであって、前記後続の要求電力ネゴシエーション値は、前記利用可能電力が前記後続の要求電力ネゴシエーション値と前記推定PTx-lossとの和よりも大きい場合に受諾される、決定すること、をさらに含む、条項35に記載の方法。
【0097】
条項37.前記保証電力をネゴシエートすることは、代替電力ネゴシエーション値を示すメッセージを前記電力送信機から受信することであって、前記代替電力ネゴシエーション値は、前記利用可能電力から前記推定PTx-lossを引いたものに基づく、受信すること、および前記代替電力ネゴシエーション値を前記保証された値として受諾することを示す確認応答を前記電力送信機に通信すること、を含む、条項32から36のいずれか一項に記載の方法。
【0098】
条項38.前記電力伝送フェーズ中に電力要求(P-request)メッセージを前記電力送信機に通信することであって、前記P-requestメッセージは前記保証電力以下の要求電力を示す、通信すること、およびP-requestメッセージに少なくとも部分的に基づいて、前記電力送信機からワイヤレス電力の送信を受信すること、をさらに含む、条項32から37のいずれか一項に記載の方法。
【0099】
条項39.条項1から11および第19項から第31項に記載の方法のいずれか1つを実行するように構成された、電力送信機。
【0100】
条項40.条項12から14および32から37に記載の方法のいずれか1つを実行するように構成された、電力受信機。
【0101】
本開示に記載された主題の別の革新的な態様は、装置として実施することができる。装置は、モデムと、少なくとも1つのモデムと通信可能に結合された少なくとも1つのプロセッサとを含むことができる。プロセッサは、モデムと連携して、本明細書に記載された前述の方法または特徴のうちの任意の1つを実行するように構成され得る。
【0102】
本開示に記載された主題の別の革新的な態様は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに本明細書に記載された上述の方法または特徴のいずれか1つを実行させる命令を格納したコンピュータ可読媒体として実装することができる。
【0103】
本開示に記載の主題の別の革新的な態様は、本明細書に記載の上述の方法または特徴のいずれか1つを実施するための手段を有するシステムとして実施することができる。
【0104】
本明細書で使用される場合、物品のリスト「のうちの少なくとも1つ」または「のうちの1つ以上」を指す語句は、単一の部材を含む、それらの物品の任意の組み合わせを指す。例えば、「a、b、またはcのうちの少なくとも1つ」は、aのみ、bのみ、cのみ、aとbの組み合わせ、aとcの組み合わせ、bとcの組み合わせ、およびaとbとcの組み合わせの可能性を網羅することを意図している。
【0105】
本明細書に開示された実装形態に関連して説明された様々な例示的な構成要素、論理、論理ブロック、モジュール、回路、動作およびアルゴリズムプロセスは、本明細書に開示された構造およびその構造的均等物を含む、電子ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはハードウェア、ファームウェアもしくはソフトウェアの組み合わせとして実装され得る。ハードウェア、ファームウェア、およびソフトウェアの互換性は、機能に関して一般的に説明されており、上述の様々な例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびプロセスに示されている。そのような機能がハードウェア、ファームウェア、またはソフトウェアのいずれで実装されるかは、特定のアプリケーションおよびシステム全体に課される設計制約に依存する。
【0106】
本明細書に開示された態様に関連して記載された様々な例示的な構成要素、論理、論理ブロック、モジュール、および回路を実装するために使用されるハードウェアおよびデータ処理装置は、汎用シングル・チップまたはマルチ・チップ・プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)またはその他のプログラマブル論理デバイス(PLD)、ディスクリート・ゲートまたはトランジスタ・ロジック、ディスクリート・ハードウェア構成要素、または本明細書に記載された機能を実行するように設計されたこれら任意の組み合わせを用いて実装または実行され得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサ、または任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシンであってもよい。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つまたは複数のマイクロプロセッサ、または任意の他のそのような構成として実装されてもよい。いくつかの実装形態では、特定のプロセス、動作、および方法は、所与の機能に固有の回路によって実行されてもよい。
【0107】
上述したように、本明細書で説明する主題のいくつかの態様は、ソフトウェアとして実装することができる。例えば、本明細書に開示された構成要素の様々な機能、または本明細書に開示された方法、動作、プロセスまたはアルゴリズムの様々なブロックまたはステップは、1つまたは複数のコンピュータプログラムの1つまたは複数のモジュールとして実装することができる。そのようなコンピュータプログラムは、本明細書に記載のデバイスの構成要素を含むデータ処理装置によって実行される、またはその動作を制御するために、1つまたは複数の有形のプロセッサ可読またはコンピュータ可読記憶媒体に符号化された非一時的なプロセッサ実行可能命令またはコンピュータ実行可能命令を含むことができる。限定ではなく例として、そのような記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMもしくは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置もしくは他の磁気記憶装置デバイス、または命令もしくはデータ構造の形態でプログラムコードを記憶するために使用することができる任意の他の媒体を含むことができる。上記の組み合わせも記憶媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0108】
本開示に記載された実装形態に対する様々な変更は、当業者には容易に明らかであり得、本明細書で定義された一般的な原理は、本開示の範囲から逸脱することなく他の実装形態に適用され得る。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示される実装形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される本開示、原理、および新規な特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。
【0109】
さらに、別個の実装形態の文脈で本明細書に記載されている様々な特徴は、単一の実装形態において組み合わせて実施することもできる。逆に、単一の実装形態の文脈で説明されている様々な特徴は、複数の実装形態において別々に、または任意の適切なサブコンビネーションで実施することもできる。このように、特徴は、特定の組み合わせで作用するものとして上述され、最初はそのように特許請求されていてすらよいが、特許請求された組み合わせからの1つまたは複数の特徴は、場合によっては、その組み合わせから削除することができ、特許請求された組み合わせは、部分的な組み合わせまたは部分的な組み合わせの変形を対象とすることができる。
【0110】
同様に、動作は特定の順序で図面に示されているが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作が示された特定の順序で、または連続した順序で実行されること、または示されたすべての動作が実行されることを必要とすると理解されるべきではない。さらに、図面は、フローチャートまたは流れ図の形式で1つまたは複数の例示的なプロセスを概略的に示すことができる。しかしながら、図示されていない他の動作は、概略的に示されている例示的なプロセスに組み込むことができる。例えば、1つまたは複数の追加の動作を、図示の動作のいずれかの前に、後に、同時に、またはその間に実行することができる。状況によっては、マルチタスク処理および並列処理が有利な場合がある。さらに、上述の実装形態における様々なシステム構成要素の分離は、すべての実装形態においてそのような分離を必要とすると理解されるべきではなく、記載されたプログラム構成要素およびシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品に一緒に統合されるか、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化され得ることを理解されたい。
【国際調査報告】