(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】LPXC阻害剤およびその使用
(51)【国際特許分類】
C07F 9/6558 20060101AFI20241001BHJP
A61K 31/675 20060101ALI20241001BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20241001BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20241001BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20241001BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20241001BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20241001BHJP
C07D 403/10 20060101ALI20241001BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20241001BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20241001BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20241001BHJP
A61P 13/02 20060101ALI20241001BHJP
A61P 13/10 20060101ALI20241001BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20241001BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
C07F9/6558
A61K31/675
A61K9/08
A61K9/20
A61K9/10
A61K9/48
A61P31/04
C07D403/10
A61K31/5377
A61P11/00
A61P17/00 101
A61P13/02 105
A61P13/10
A61P13/12
A61P43/00 123
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518830
(86)(22)【出願日】2022-09-26
(85)【翻訳文提出日】2024-05-17
(86)【国際出願番号】 US2022044710
(87)【国際公開番号】W WO2023055686
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521107024
【氏名又は名称】ブラックスミス メディシンズ,インク.
【住所又は居所原語表記】3033 Science Park Road,Suite 270,San Diego,California 92121,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テン,ミン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4H050
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA22
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076BB13
4C076BB16
4C076CC17
4C076CC31
4C076CC42
4C076CC44
4C076DD41
4C076EE31
4C076EE32
4C076EE38
4C076EE42H
4C076FF52
4C076FF61
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC73
4C086DA38
4C086GA07
4C086GA12
4C086GA13
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA16
4C086MA17
4C086MA21
4C086MA23
4C086MA35
4C086MA36
4C086MA37
4C086MA52
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA11
4C086NA12
4C086NA14
4C086NA15
4C086ZA59
4C086ZA81
4C086ZA82
4C086ZA89
4C086ZA90
4C086ZB35
4C086ZC20
4H050AA01
4H050AA03
4H050AB20
(57)【要約】
LpxC阻害剤化合物、ならびにLpxC阻害剤化合物を含む医薬組成物、および尿路感染症などのグラム陰性菌感染症を含む、LpxC阻害剤を用いた処置の恩恵を受けるであろう疾患の処置におけるその使用方法、が本明細書に提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物であって、
式中、
P
1は、-P(=O)(OR
1)
2、-(CR
3R
4)-O-P(=O)(OR
1)
2、-S(=O)
2OR
1、-(CR
3R
4)-O-S(=O)
2OR
1、-S(=O)
2R
2、-(CR
3R
4)-O-S(=O)
2R
2、-C(=O)R
2、-(CR
3R
4)-O-C(=O)R
2、-C(=O)OR
2、-(CR
3R
4)-O-C(=O)OR
2、-C(=O)-O-(CR
3R
4)-O-C(=O)R
2、-C(=O)NR
5R
6、または
【化2】
であり、
各R
1は独立して、水素、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、4員~6員のヘテロシクロアルキル、フェニル、または単環式ヘテロアリールであり、
R
2は、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、4員~6員のヘテロシクロアルキル、フェニル、または単環式ヘテロアリールであり、
R
3およびR
4はそれぞれ独立して、水素、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、4員~6員のヘテロシクロアルキル、フェニル、または単環式ヘテロアリールであり、
R
5およびR
6はそれぞれ独立して、水素、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、4員~6員のヘテロシクロアルキル、フェニル、または単環式ヘテロアリールであるか、または
R
5およびR
6は、それらが結合される窒素原子と一体となって4員~6員のヘテロシクロアルキルを形成し、前記4員~6員のヘテロシクロアルキルは、非置換であるか、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4フルオロアルキル、C
3-C
6シクロアルキル、および4員~6員のヘテロシクロアルキルからなる群から選択される1つ、2つ、もしくは3つの置換基で置換されている、
化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項2】
式(Ia)
【化3】
の構造を有する請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項3】
式(Ib)
【化4】
の構造を有する請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項4】
R
3およびR
4はそれぞれ独立して、水素、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、またはフェニルである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項5】
R
3およびR
4はそれぞれ、水素である、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項6】
各R
1は独立して、水素またはC
1-C
4アルキルである、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項7】
各R
1は独立して、水素、-CH
3、-CH
2CH
3、または-CH(CH
3)
2である、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項8】
各R
1は、水素である、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項9】
R
2は、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、またはフェニルである、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項10】
R
2は、C
1-C
4アルキルである、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項11】
P
1は、-P(=O)(OR
1)
2または-(CR
3R
4)-O-P(=O)(OR
1)
2であり、
各P
1は独立して、水素またはC
1-C
4アルキルであり、ならびに
R
3およびR
4はそれぞれ独立して、水素、C
1-C
4アルキル、またはC
3-C
6シクロアルキルである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項12】
P
1は、-P(=O)(OR
1)
2または-CH
2-O-P(=O)(OR
1)
2であり、および
各R
1は独立して、水素、-CH
3、-CH
2CH
3、または-CH(CH
3)
2である、請求項11に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項13】
P
1は、-P(=O)(OH)
2または-CH
2-O-P(=O)(OH)
2である、請求項11または12に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項14】
P
1は、-S(=O)
2OR
1または-(CR
3R
4)-O-S(=O)
2OR
1であり、
R
1は、水素またはC
1-C
4アルキルであり、ならびに
R
3およびR
4はそれぞれ独立して、水素、C
1-C
4アルキル、またはC
3-C
6シクロアルキルである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項15】
P
1は、-S(=O)
2R
2または-(CR
3R
4)-O-S(=O)
2R
2であり、
R
2は、C
1-C
4アルキルであり、ならびに
R
3およびR
4はそれぞれ独立して、水素、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキルである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項16】
P
1は、-C(=O)OR
2、-(CR
3R
4)-O-C(=O)OR
2、または-C(=O)-O-(CR
3R
4)-O-C(=O)R
2であり、
R
2は、C
1-C
4アルキルであり、ならびに
R
3およびR
4はそれぞれ独立して、水素、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、またはフェニルである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項17】
P
1は、-C(=O)R
2または-(CR
3R
4)-O-C(=O)R
2であり、
R
2は、C
1-C
4アルキルであり、ならびに
R
3およびR
4はそれぞれ独立して、水素、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、またはフェニルである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項18】
P
1は、-C(=O)NR
5R
6である、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項19】
R
5およびR
6はそれぞれ独立して、水素またはC
1-C
4アルキルである、請求項18に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項20】
R
5およびR
6は、それらが結合される窒素原子と一体となって4員~6員のヘテロシクロアルキルを形成し、前記4員~6員のヘテロシクロアルキルは、非置換であるか、またはC
1-C
4アルキルおよび4員~6員のヘテロシクロアルキルからなる群から選択される1つもしくは2つの置換基で置換されている、請求項18に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項21】
P
1は、
【化5】
である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項22】
P
1は、-P(=O)(OR
1)
2、-CH
2-O-P(=O)(OR
1)
2、-S(=O)
2OR
1、-S(=O)
2R
2、-C(=O)OR
2、-(CHR
4)-O-C(=O)OR
2、-C(=O)-O-(CHR
4)-O-C(=O)R
2、-C(=O)R
2、-CH
2-O-C(=O)R
2、-C(=O)NR
5R
6、または
【化6】
であり、
各R
1は独立して、水素、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、またはフェニルであり、
R
2は、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、またはフェニルであり、
R
4は、水素、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、またはフェニルであり、ならびに
R
5およびR
6はそれぞれ独立して、水素、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、またはフェニルであるか、または
R
5およびR
6は、それらが結合される窒素原子と一体となって4員~6員のヘテロシクロアルキルを形成し、前記4員~6員のヘテロシクロアルキルは、非置換であるか、C
1-C
4アルキルおよび4員~6員のヘテロシクロアルキルからなる群から選択される1つもしくは2つの置換基で置換されている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項23】
各R
1は独立して、水素、-CH
3、-CH
2CH
3、または-CH(CH
3)
2であり、
R
2は、-CH
3、-CH
2CH
3、-CH(CH
3)
2、またはC(CH
3)
3であり、
R
4は、水素、-CH
3、またはフェニルであり、ならびに
R
5およびR
6はそれぞれ独立して、水素、-CH
3、または-CH
2CH
3であるか、または
R
5およびR
6は、それらが結合される窒素原子と一体となって4員~6員のヘテロシクロアルキルを形成し、前記4員~6員のヘテロシクロアルキルは、非置換であるか、C
1-C
4アルキルおよび4員~6員のヘテロシクロアルキルからなる群から選択される1つもしくは2つの置換基で置換されている、
請求項21に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項24】
P
1は、-P(=O)(OH)
2、-CH
2-O-P(=O)(OH)
2、-S(=O)
2OH、-S(=O)
2CH
3、-C(=O)OCH
2CH
3、-(CH(CH
3))-O-C(=O)OCH(CH
3)
2、-(CH(CH
3))-O-C(=O)OCH
2CH
3、-C(=O)-O-(CH(フェニル))-O-C(=O)C(CH
3)
3、-C(=O)C(CH
3)
3、-CH
2-O-C(=O)C(CH
3)
3、-C(=O)N(CH
3)
2、または
【化7】
である、
請求項21に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項25】
【化8-1】
【化8-2】
から選択される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項26】
【化9】
から選択される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項27】
化合物A
【化10】
のプロドラッグである化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物であって、
プロドラッグ基は、前記化合物Aのヒドロキシまたはアミノ基に結合され、プロドラッグ部分は、リン酸、スルホン酸、硫酸、エステル、炭酸、またはカルバミン酸を含む、
化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項28】
前記プロドラッグ部分は、リン酸を含む、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
請求項1から26のいずれか一項に記載の化合物の構造を有する、請求項27に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項30】
請求項1から29のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物、および少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項31】
静脈内投与または経口投与による哺乳動物への投与用に製剤化される、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
錠剤、丸剤、カプセル、液体、懸濁液、分散液、または溶液の形態である、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項33】
グラム陰性細菌感染症の処置を必要とする患者のグラム陰性細菌感染症を処置する方法であって、請求項1から29のいずれか一項に記載の化合物を前記患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項34】
前記グラム陰性細菌感染症は、肺炎、敗血症、嚢胞性線維症、腹腔内感染症、皮膚感染症、および尿路感染症から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記グラム陰性細菌感染症は、慢性尿路感染症、複雑性尿路感染症、膀胱炎、腎盂腎炎、尿道炎、反復性尿路感染症、膀胱感染症、尿道感染症、および腎感染症から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記グラム陰性細菌感染症は、慢性尿路感染症である、請求項33から35のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項37】
前記グラム陰性細菌感染症は、複雑性尿路感染症である、請求項33から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記医薬組成物は、I.V.注射で前記患者に投与される、請求項33から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記医薬組成物は、I.V.点滴で前記患者に投与される、請求項33から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記医薬組成物は、前記患者に経口投与される、請求項33から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
投与は、既存の感染症を処置するものである、請求項33から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
投与は、予防として提供される、請求項33から40のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2021年9月28日出願の米国仮特許出願第63/249,166号の利益を主張し、この出願は、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
医学分野において、細菌感染によって引き起こされる病気の有効な処置への需要が存在する。
【発明の概要】
【0003】
LpxC阻害剤化合物、ならびにこの化合物を含む医薬組成物、および尿路感染症などのグラム陰性細菌感染症を含むLpxC阻害剤を用いた処置による利益を受けるであろう疾患の処置におけるその使用方法が本明細書に提供される。
【0004】
一態様では、式(I)
【0005】
【化1】
に記載の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物であって、
式中、
P
1は、-P(=O)(OR
1)
2、-(CR
3R
4)-O-P(=O)(OR
1)
2、-S(=O)
2OR
1、-(CR
3R
4)-O-S(=O)
2OR
1、-S(=O)
2R
2、-(CR
3R
4)-O-S(=O)
2R
2、-C(=O)R
2、-(CR
3R
4)-O-C(=O)R
2、-C(=O)OR
2、-(CR
3R
4)-O-C(=O)OR
2、-C(=O)-O-(CR
3R
4)-O-C(=O)R
2、-C(=O)NR
5R
6、または
【0006】
【化2】
であり、
各R
1は独立して、水素、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、4員~6員のヘテロシクロアルキル、フェニル、または単環式ヘテロアリールであり、
R
2は、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、4員~6員のヘテロシクロアルキル、フェニル、または単環式ヘテロアリールであり、
R
3およびR
4はそれぞれ独立して、水素、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、4員~6員のヘテロシクロアルキル、フェニル、または単環式ヘテロアリールであり、
R
5およびR
6はそれぞれ独立して、水素、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、4員~6員のヘテロシクロアルキル、フェニル、または単環式ヘテロアリールであるか、または
R
5およびR
6は、それらが結合される窒素原子と一体となって4員~6員のヘテロシクロアルキルを形成し、4員~6員のヘテロシクロアルキルは、非置換であるか、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4フルオロアルキル、C
3-C
6シクロアルキル、および4員~6員のヘテロシクロアルキルからなる群から選択される1つ、2つ、もしくは3つの置換基で置換されている、
化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物、が本明細書に提供される。
【0007】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(Ia)
【0008】
【化3】
に記載の構造、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物を有する。
【0009】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(Ib)
【0010】
【化4】
に記載の構造、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物を有する。
【0011】
いくつかの実施形態では、
P1は、-P(=O)(OR1)2、-CH2-O-P(=O)(OR1)2、-S(=O)2OR1、-S(=O)2R2、-C(=O)OR2、-(CHR4)-O-C(=O)OR2、-C(=O)-O-(CHR4)-O-C(=O)R2、-C(=O)R2、-CH2-O-C(=O)R2、-C(=O)NR5R6、または
【0012】
【化5】
であり、
各R
1は独立して、水素、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、またはフェニルであり、
R
2は、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、またはフェニルであり、
R
4は、水素、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、またはフェニルであり、および
R
5およびR
6はそれぞれ独立して、水素、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、もしくはフェニルであるか、または
R
5およびR
6は、それらが結合される窒素原子と一体となって4員~6員のヘテロシクロアルキルを形成し、4員~6員のヘテロシクロアルキルは、非置換であるか、C
1-C
4アルキルおよび4員~6員のヘテロシクロアルキルからなる群から選択される1つもしくは2つの置換基で置換されている。
【0013】
いくつかの実施形態では、
各R1は独立して、水素、-CH3、-CH2CH3、または-CH(CH3)2であり、
R2は、-CH3、-CH2CH3、-CH(CH3)2、またはC(CH3)3であり、
R4は、水素、-CH3、またはフェニルであり、および
R5およびR6はそれぞれ独立して、水素、-CH3、もしくは-CH2CH3であるか、または
R5およびR6は、それらが結合される窒素原子と一体となって4員~6員のヘテロシクロアルキルを形成し、4員~6員のヘテロシクロアルキルは、非置換であるか、C1-C4アルキルおよび4員~6員のヘテロシクロアルキルからなる群から選択される1つもしくは2つの置換基で置換されている。
【0014】
いくつかの実施形態では、P1は、-P(=O)(OH)2、-CH2-O-P(=O)(OH)2、-S(=O)2OH、-S(=O)2CH3、-C(=O)OCH2CH3、-(CH(CH3))-O-C(=O)OCH(CH3)2、-(CH(CH3))-O-C(=O)OCH2CH3、-C(=O)-O-(CH(フェニル))-O-C(=O)C(CH3)3、-C(=O)C(CH3)3、-CH2-O-C(=O)C(CH3)3、-C(=O)N(CH3)2、または
【0015】
【0016】
別の態様では、本明細書に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物、および少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物、が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、この医薬組成物は、静脈内投与または経口投与による哺乳動物への投与用に製剤化される。いくつかの実施形態では、この医薬組成物は、錠剤、丸剤、カプセル、液体、懸濁液、分散液、または溶液の形態である。
【0017】
別の態様では、グラム陰性細菌感染症の処置を必要とする患者のグラム陰性細菌感染症を処置する方法であって、本明細書に開示される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物を患者に投与する工程を含む、方法、が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、グラム陰性細菌感染症は、肺炎、敗血症、嚢胞性線維症、腹腔内感染症、皮膚感染症、および尿路感染症から選択される。いくつかの実施形態では、グラム陰性細菌感染症は、慢性尿路感染症、複雑性尿路感染症、膀胱炎、腎盂腎炎、尿道炎、反復性尿路感染症、膀胱感染症、尿道感染症、および腎感染症から選択される。いくつかの実施形態では、グラム陰性細菌感染症は、慢性尿路感染症である。いくつかの実施形態では、グラム陰性細菌感染症は、複雑性尿路感染症である。いくつかの実施形態では、化合物は、グラム陽性細菌に影響を与えない。
【0018】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物は、I.V.注射または点滴によって患者に投与される。他の実施形態では、本明細書に開示される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物は、患者に経口投与される。
【0019】
いくつかの実施形態では、投与は、既存の感染症を処置するものである。他の実施形態では、投与は、予防として提供される。
【0020】
包装材料、包装材料内の本明細書に記載のLpxC阻害性化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物、および化合物またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物、もしくは組成物が、LpxCの活性を調節するために、またはLpxC活性の調節の恩恵を受け得る疾患または状態の1つ以上の症状の処置、予防、または改善のために使用されることを示すラベルを含む、製造品が提供される。
【0021】
本明細書に記載の化合物、方法、および組成物の他の目標、特徴、および利点は、以下の詳細な記載から明らかとなる。しかし、本開示の精神と範囲内の様々な変更と修正がこの詳細な説明から当業者に明らかとなるため、詳細な説明および具体的な実施例は特定の実施形態を示しつつも、一例としてのみ与えられるものに過ぎないことが理解されよう。
【0022】
参照による援用
本明細書で言及されるすべての公開物、特許、および特許出願は、本明細書で特定される特定の目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、96時間の尿路感染研究の終了時の尿、膀胱、および腎臓におけるE.coll UTI89の平均最終負荷を示す。
【
図2】
図2は、96時間の尿路感染研究の終了時の尿、膀胱、および腎臓におけるクレブシエラ・ニューモニエBAA-1705の平均最終負荷を示す。
【0024】
発明の詳細な説明
LpxC阻害剤化合物、ならびにこの化合物を含む医薬組成物、および尿路感染症などのグラム陰性細菌感染症を含む、LpxC阻害剤を用いた処置の恩恵を受け得る疾患の処置におけるこの医薬組成物の使用方法が本明細書提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される化合物は、化合物Aのプロドラッグである。
【0025】
化合物A
化合物Aは、以下に示される化学構造を有する(S)-l-(3-(5-ヒドロキシ-6-オキソ-l,6-ジヒドロピリミジン-4-イル)-2-(4-((4-(モルホリノメチル)フェニル)エチニル)フェニル)プロピル)アゼチジン-3-カルボニトリルを指す。
【0026】
【0027】
化合物Aは、(S)-l-(3-(5,6-ジヒドロキシピリミジン-4-イル)-2-(4-((4-(モルホリノメチル)フェニル)エチニル)フェニル)プロピル)アゼチジン-3-カルボニトリルとしても知られており、上記構造の互変異性体であり、以下に示す化学構造を有する。
【0028】
【0029】
化合物Aは、UDP-{3-O-[(R)-3-ヒドロキシミリストイル]}-N-アセチルグルコサミンデアセチラーゼ(LpxC)の強力な阻害剤である。LpxCは、グラム陰性菌のリピドA生合成における第1の決定的な工程に関与する必須酵素である。リピドAはグラム陰性菌の外膜の必須成分である。LpxCは、グラム陰性菌の株にわたって高度に保管されており、これにより、LpxCはグラム陰性感染症を処置するための魅力的な標的とされている。
【0030】
化合物Aは、本明細書に記載の処置方法において有用なLpxC阻害剤である。グラム陰性細菌細胞株において、化合物Aは強力な阻害剤であり、E.coliおよびK.pneumoniae細胞株に対して<1μg/mLのMIC値を示す。さらに、化合物Aは、黄色ブドウ球菌などのグラム陽性細菌細胞株を阻害しない。
【0031】
化合物Aの調製および使用は以前に記載されている(WO2020/061375、US2021/0221796、WO2021/195260、およびUS2021/0309651を参照)。
【0032】
プロドラッグ
用語「プロドラッグ」は、いくつかの実施形態では、生理的条件下でまたは加溶媒分解によって生物学的に活性な化合物に変換される化合物を示すことを意味する。したがって、用語「プロドラッグ」は、薬学的に許容可能な生物学的に活性な化合物の前駆体を指す。プロドラッグは、典型的には、対象に投与された場合に不活性であるが、例えば加水分解によってインビボで活性化合物に変換される。プロドラッグ化合物はしばしば、哺乳動物における溶解性、組織適合性、または遅延放出の利点を提供する(例えば、Bundgard,H.,Design of Prodrugs(1985),pp.7 9,21 24(Elsevier,Amsterdam)を参照)。プロドラッグの考察は、Higuchi, Tらによる、“Prodrugs as Novel Delivery Systems,”A.C.S.Symposium Series,Vol.14およびBioreversible Carriers in Drug Design,ed.Edward B.Roche,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987に提供される。用語「プロドラッグ」はまた、そのようなプロドラッグが哺乳動物対象に投与されるときにインビボで活性化合物を放出する、任意の共有結合担体を含むことを意味する。本明細書に記載の活性化合物のプロドラッグは、日常的な操作またはインビボのいずれかで修飾が切断されて親活性化合物になるように、活性化合物に存在する官能基を修飾することによって調製される。プロドラッグは、ヒドロキシ、アミノ、またはメルカプト基が、活性化合物のプロドラッグが哺乳動物被験体に投与された場合に開裂して遊離ヒドロキシ、遊離アミノ、または遊離メルカプト基をそれぞれ形成する任意の基に結合している化合物を含む。プロドラッグの例として、限定されないが、アセタート、ホルメート、ベンゾエート、リン酸、スルホネート、カルボネート、および活性化合物中のアルコールまたはアミン官能基のカルバメート誘導体などが挙げられる。
【0033】
いくつかの態様では、化合物A
【0034】
【化9】
のプロドラッグ、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくはその薬学的に許容可能な溶媒和物が本明細書に開示され、プロドラッグ基は、化合物Aのヒドロキシ基またはアミノ基に結合され、プロドラッグ部分は、リン酸、スルホネート、スルファート、エステル、カルボネート、またはカルバメート基を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、プロドラッグは、化合物Aのヒドロキシ基に結合される。いくつかの実施形態では、プロドラッグは、化合物Aのアミノ基に結合される。
【0036】
いくつかの実施形態では、プロドラッグ部分はリン酸基を含む。いくつかの実施形態では、プロドラッグ部分はスルホネート基を含む。いくつかの実施形態では、プロドラッグ部分は硫酸基を含む。いくつかの実施形態では、プロドラッグ部分はエステル基を含む。いくつかの実施形態では、プロドラッグ部分はカーボネート基を含む。いくつかの実施形態では、プロドラッグ部分はカルバメート基を含む。
【0037】
化合物Aは、in vitro細胞ベースのアッセイにおいて高度に活性であるが、いくつかの例では、その低い生理学的溶解度は、in vivoでそれを使用するチャレンジをもたらす。いくつかの実施形態では、化合物Aの溶解度は、化合物Aのプロドラッグを使用することによって増加する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される化合物Aのプロドラッグ、例えば、リン酸プロドラッグは、生理的条件下で、化合物Aと比較して、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、または10倍以上の溶解度の増加を有する。いくつかの実施形態では、生理学的条件下、例えばpH7.4での化合物Aの溶解度は、<1mg/mLである。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される化合物Aのプロドラッグ、例えば、リン酸プロドラッグの溶解度は、同じ生理的条件下で>10mg/mLである。
【0038】
別の態様では、式(I)
【0039】
【化10】
に記載の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物であって、
式中、
P
1は、-P(=O)(OR
1)
2、-(CR
3R
4)-O-P(=O)(OR
1)
2、-S(=O)
2OR
1、-(CR
3R
4)-O-S(=O)
2OR
1、-S(=O)
2R
2、-(CR
3R
4)-O-S(=O)
2R
2、-C(=O)R
2、-(CR
3R
4)-O-C(=O)R
2、-C(=O)OR
2、-(CR
3R
4)-O-C(=O)OR
2、-C(=O)-O-(CR
3R
4)-O-C(=O)R
2、-C(=O)NR
5R
6、または
【0040】
【化11】
であり、
各R
1は独立して、水素、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、4員~6員のヘテロシクロアルキル、フェニル、または単環式ヘテロアリールであり、
R
2は、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、4員~6員のヘテロシクロアルキル、フェニル、または単環式ヘテロアリールであり、
R
3およびR
4はそれぞれ独立して、水素、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、4員~6員のヘテロシクロアルキル、フェニル、または単環式ヘテロアリールであり、
R
5およびR
6はそれぞれ独立して、水素、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、4員~6員のヘテロシクロアルキル、フェニル、または単環式ヘテロアリールであるか、または
R
5およびR
6は、それらが結合される窒素原子と一体となって4員~6員のヘテロシクロアルキルを形成し、4員~6員のヘテロシクロアルキルは、非置換であるか、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4フルオロアルキル、C
3-C
6シクロアルキル、および4員~6員のヘテロシクロアルキルからなる群から選択される1つ、2つ、もしくは3つの置換基で置換されている、
化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物、が本明細書に提供される。
【0041】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(Ia)
【0042】
【化12】
の構造、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物を有する。
【0043】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(Ib)
【0044】
【化13】
の構造、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物を有する。
【0045】
実施形態のいずれかおよびすべてにおいて、置換基は、列挙される代替物のサブセットの中から選択される。例えば、いくつかの実施形態では、R3は、水素、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、またはフェニルである。いくつかの実施形態では、R3は、水素、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH(CH3)2、-CH2CH2CH2CH3、-CH2CH(CH3)2、-CH(CH3)(CH2CH3)、-C(CH3)3、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルである。いくつかの実施形態では、R3は、水素、-CH3、またはフェニルである。いくつかの実施形態では、R3は、水素またはC1-C4アルキルである。いくつかの実施形態では、R3は、水素、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH(CH3)2、-CH2CH2CH2CH3、-CH2CH(CH3)2、-CH(CH3)(CH2CH3)、または-C(CH3)3である。いくつかの実施形態では、R3は、水素または-CH3である。いくつかの実施形態では、R3は、水素である。
【0046】
いくつかの実施形態では、R4は、水素、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、またはフェニルである。いくつかの実施形態では、R4は、水素、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH(CH3)2、-CH2CH2CH2CH3、-CH2CH(CH3)2、-CH(CH3)(CH2CH3)、-C(CH3)3、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルである。いくつかの実施形態では、R4は、水素、-CH3、またはフェニルである。いくつかの実施形態では、R4は、水素またはC1-C4アルキルである。いくつかの実施形態では、R4は、水素、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH(CH3)2、-CH2CH2CH2CH3、-CH2CH(CH3)2、-CH(CH3)(CH2CH3)、または-C(CH3)3である。いくつかの実施形態では、R4は、水素または-CH3である。いくつかの実施形態では、R4は、水素である。
【0047】
いくつかの実施形態では、R3およびR4はそれぞれ独立して、水素、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、またはフェニルである。いくつかの実施形態では、R3およびR4はそれぞれ独立して、水素、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH(CH3)2、-CH2CH2CH2CH3、-CH2CH(CH3)2、-CH(CH3)(CH2CH3)、-C(CH3)3、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルである。いくつかの実施形態では、R3およびR4はそれぞれ独立して、水素、-CH3、またはフェニルである。いくつかの実施形態では、R3およびR4はそれぞれ独立して、水素またはC1-C4アルキルである。いくつかの実施形態では、R3およびR4はそれぞれ独立して、水素、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH(CH3)2、-CH2CH2CH2CH3、-CH2CH(CH3)2、-CH(CH3)(CH2CH3)、または-C(CH3)3である。いくつかの実施形態では、R3およびR4はそれぞれ独立して、水素または-CH3である。いくつかの実施形態では、R3およびR4はそれぞれ、水素である。
【0048】
いくつかの実施形態では、各R1は独立して、水素、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、またはフェニルである。いくつかの実施形態では、各R1は独立して、水素またはC1-C4アルキルである。いくつかの実施形態では、各R1は独立して、水素、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH(CH3)2、-CH2CH2CH2CH3、-CH2CH(CH3)2、-CH(CH3)(CH2CH3)、または-C(CH3)3である。いくつかの実施形態では、各R1は独立して、水素、-CH3、-CH2CH3、または-CH(CH3)2である。いくつかの実施形態では、各R1は水素である。
【0049】
いくつかの実施形態では、R2は、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、またはフェニルです。いくつかの実施形態では、R2はC1-C4アルキルである。いくつかの実施形態では、R2は、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH(CH3)2、-CH2CH2CH2CH3、-CH2CH(CH3)2、-CH(CH3)(CH2CH3)、または-C(CH3)3である。いくつかの実施形態では、R2は、-CH3、-CH2CH3、-CH(CH3)2、または-C(CH3)3である。
【0050】
いくつかの実施形態では、P1は、-P(=O)(OR1)2または-(CR3R4)-O-P(=O)(OR1)2である。いくつかの実施形態では、P1は、-P(=O)(OR1)2または-(CR3R4)-O-P(=O)(OR1)2であり、各R1は独立して、水素またはC1-C4アルキルであり、ならびにR3およびR4はそれぞれ独立して、水素、C1-C4アルキル、またはC3-C6シクロアルキルである。いくつかの実施形態では、P1は、-P(=O)(OR1)2または-CH2-O-P(=O)(OR1)2であり、および各R1は独立して、水素、-CH3、-CH2CH3、または-CH(CH3)2である。いくつかの実施形態では、P1は、-P(=O)(OH)2または-CH2-O-P(=O)(OH)2である。
【0051】
いくつかの実施形態では、P1は、-P(=O)(OR1)2である。いくつかの実施形態では、P1は-P(=O)(OR1)2であり、および各R1は独立して、水素またはC1-C4アルキルである。いくつかの実施形態では、P1は-P(=O)(OR1)2であり、および各R1は独立して、水素、-CH3、-CH2CH3、または-CH(CH3)2である。いくつかの実施形態では、P1は-P(=O)(OH)2である。
【0052】
いくつかの実施形態では、P1は、-(CR3R4)-O-P(=O)(OR1)2である。いくつかの実施形態では、P1は、-(CR3R4)-O-P(=O)(OR1)2であり、各R1は独立して、水素またはC1-C4アルキルであり、およびR3およびR4はそれぞれ独立して、水素、C1-C4アルキ、またはC3-C6シクロアルキルである。いくつかの実施形態では、P1は-CH2-O-P(=O)(OR1)2であり、および各R1は独立して、水素、-CH3、-CH2CH3、または-CH(CH3)2である。いくつかの実施形態では、P1は-CH2-O-P(=O)(OH)2である。
【0053】
いくつかの実施形態では、P1は、-S(=O)2OR1または-(CR3R4)-O-S(=O)2OR1である。いくつかの実施形態では、P1は、-S(=O)2OR1または-(CR3R4)-O-S(=O)2OR1であり、R1は、水素またはC1-C4アルキル、ならびにR3およびR4はそれぞれ独立して、水素、C1-C4アルキル、またはC3-C6シクロアルキルである。いくつかの実施形態では、P1は-S(=O)2OR1である。いくつかの実施形態では、P1は-(CR3R4)-O-S(=O)2OR1である。いくつかの実施形態では、P1は-S(=O)2OR1であり、およびR1は、水素、-CH3、-CH2CH3、または-CH(CH3)2である。いくつかの実施形態では、P1は-S(=O)2OHである。
【0054】
いくつかの実施形態では、P1は、-S(=O)2R2または-(CR3R4)-O-S(=O)2R2である。いくつかの実施形態では、P1は、-S(=O)2R2または-(CR3R4)-O-S(=O)2R2であり、R2はC1-C4アルキルであり、ならびにR3およびR4はそれぞれ独立して、水素、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキルである。いくつかの実施形態では、P1は、-S(=O)2R2または-(CR3R4)-O-S(=O)2R2であり、R2はC1-C4アルキルであり、ならびにR3およびR4はそれぞれ独立して、水素、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキルである。いくつかの実施形態では、P1は-S(=O)2R2である。いくつかの実施形態では、P1は-(CR3R4)-O-S(=O)2R2である。いくつかの実施形態では、P1は-S(=O)2R2であり、およびR2は、-CH3、-CH2CH3、または-CH(CH3)2である。いくつかの実施形態では、P1は-S(=O)2CH3である。
【0055】
いくつかの実施形態では、P1は、-C(=O)OR2、-(CR3R4)-O-C(=O)OR2、または-C(=O)-O-(CR3R4)-O-C(=O)R2である。いくつかの実施形態では、P1は、-C(=O)OR2、-(CR3R4)-O-C(=O)OR2、または-C(=O)-O-(CR3R4)-O-C(=O)R2であり、R2はC1-C4アルキルであり、ならびにR3およびR4はそれぞれ独立して、水素、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、またはフェニルである。いくつかの実施形態では、P1は、-C(=O)OR2、-(CHR4)-O-C(=O)OR2、または-C(=O)-O-(CHR4)-O-C(=O)R2であり、R2は、-CH3、-CH2CH3、または-CH(CH3)2であり、およびR4は、水素、-CH3、またはフェニルである。いくつかの実施形態では、P1は-C(=O)OR2である。いくつかの実施形態では、P1は-(CR3R4)-O-C(=O)OR2である。いくつかの実施形態では、P1は-C(=O)-O-(CR3R4)-O-C(=O)R2である。
【0056】
いくつかの実施形態では、P1は、-C(=O)R2または-(CR3R4)-O-C(=O)R2である。いくつかの実施形態では、P1は、-C(=O)R2または-(CR3R4)-O-C(=O)R2であり、R2はC1-C4アルキルであり、ならびにR3およびR4はそれぞれ独立して、水素、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、またはフェニルである。いくつかの実施形態では、P1は、-C(=O)R2または-CH2-O-C(=O)R2であり、R2は、-CH3、-CH2CH3、-CH(CH3)2、またはC(CH3)3である。いくつかの実施形態では、P1は-C(=O)R2である。いくつかの実施形態では、P1は-(CR3R4)-O-C(=O)R2である。
【0057】
いくつかの実施形態では、P1は-C(=O)NR5R6である。いくつかの実施形態では、R5およびR6はそれぞれ独立して、水素、C1-C4アルキル、またはC3-C6シクロアルキルである。いくつかの実施形態では、R5およびR6はそれぞれ独立して、水素またはC1-C4アルキルである。いくつかの実施形態では、R5およびR6はそれぞれ独立して、水素、-CH3、または-CH2CH3である。いくつかの実施形態では、R5およびR6は、それらが結合される窒素原子と一体となって4員~6員のヘテロシクロアルキルを形成し、この4員~6員のヘテロシクロアルキルは、非置換であるか、C1-C4アルキルおよび4員~6員のヘテロシクロアルキルからなる群から選択される1つまたは2つの置換基で置換されている。
【0058】
いくつかの実施形態では、P1は、
【0059】
【化14】
である。いくつかの実施形態では、P
1は、
【0060】
【化15】
であり、およびR
1は、水素またはC
1-C
4アルキルである。いくつかの実施形態では、P
1は、
【0061】
【化16】
であり、およびR
1は、水素、-CH
3、-CH
2CH
3、または-CH(CH
3)
2である。いくつかの実施形態では、P
1は
【0062】
【0063】
いくつかの実施形態では、
P1は、-P(=O)(OR1)2、-CH2-O-P(=O)(OR1)2、-S(=O)2OR1、-S(=O)2R2、-C(=O)OR2、-(CHR4)-O-C(=O)OR2、-C(=O)-O-(CHR4)-O-C(=O)R2、-C(=O)R2、-CH2-O-C(=O)R2、-C(=O)NR5R6、または
【0064】
【化18】
各R
1は独立して、水素、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、またはフェニルであり、
R
2は、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、またはフェニルであり、
R
4は、水素、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、またはフェニルであり、および
R
5およびR
6はそれぞれ独立して、水素、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、またはフェニルであるか、または
R
5およびR
6は、それらが結合される窒素原子と一体となって4員~6員のヘテロシクロアルキルを形成し、この4員~6員のヘテロシクロアルキルは、非置換であるか、C
1-C
4アルキルおよび4員~6員のヘテロシクロアルキルからなる群から選択される1つまたは2つの置換基で置換されている。
【0065】
いくつかの実施形態では、
各R1は独立して、水素、-CH3、-CH2CH3、または-CH(CH3)2であり、
R2は、-CH3、-CH2CH3、-CH(CH3)2、またはC(CH3)3であり、
R4は、水素、-CH3、またはフェニルであり、および
R5およびR6はそれぞれ独立して、水素、-CH3、または-CH2CH3であるか、または
R5およびR6は、それらが結合される窒素原子と一体となって4員~6員のヘテロシクロアルキルを形成し、この4員~6員のヘテロシクロアルキルは、非置換であるか、C1-C4アルキルおよび4員~6員のヘテロシクロアルキルからなる群から選択される1つまたは2つの置換基で置換されている。
【0066】
いくつかの実施形態では、P1は、-P(=O)(OH)2、-CH2-O-P(=O)(OH)2、-S(=O)2OH、-S(=O)2CH3、-C(=O)OCH2CH3、-(CH(CH3))-O-C(=O)OCH(CH3)2、-(CH(CH3))-O-C(=O)OCH2CH3、-C(=O)-O-(CH(フェニル))-O-C(=O)C(CH3)3、-C(=O)C(CH3)3、-CH2-O-C(=O)C(CH3)3、-C(=O)N(CH3)2、または
【0067】
【0068】
様々な変数についての上記の群の任意の組合せが本明細書で企図される。明細書全体にわたって、基とその置換基は、安定した部分と化合物を提供するために当業者によって選択される。
【0069】
式(I)の例示的な化合物は、以下の表1に記載の化合物を含む。
【0070】
【0071】
【0072】
いくつかの実施形態では、化合物は、表1の化合物の薬学的に許容可能な塩である。いくつかの実施形態では、化合物は、表1の化合物の薬学的に許容可能な溶媒和物である。
【0073】
定義
特に明記しない限り、本出願で使用される以下の用語は、以下に示す定義を有する。「含む(including)」という用語、ならびに「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含まれる(included)」などの他の形態の使用は、限定的ではない。本明細書で使用されるセクション見出しは、編成目的のみのためであり、記載される主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0074】
「アルキル」は、炭素および水素原子のみからなり、不飽和を含まず、1~15個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖炭化水素鎖ラジカル(例えば、C1~C15アルキル)を指す。特定の実施形態では、アルキルは、1~8個の炭素原子を含む(例えば、C1~C8アルキル)。他の実施形態では、アルキルは、1~5個の炭素原子を含む(例えば、C1~C5アルキル)。他の実施形態では、アルキルは、1~4個の炭素原子を含む(例えば、C1~C4アルキル)。他の実施形態では、アルキルは1~3個の炭素原子を含む(例えば、C1~C3アルキル)。他の実施形態では、アルキルは、1~2個の炭素原子を含む(例えば、C1~C2アルキル)。他の実施形態では、アルキルは1個の炭素原子を含む(例えば、C1アルキル)。他の実施形態では、アルキル基は、メチル、エチル、1-プロピル(n-プロピル)、1-メチルエチル(iso-プロピル)、1-ブチル(n-ブチル)、1-メチルプロピル(sec-ブチル)、2-メチルプロピル(iso-ブチル)、1,1-ジメチルエチル(tert-ブチル)、1-ペンチル(n-ペンチル)から選択される。アルキルは、単結合によって分子の残りに結合している。
【0075】
「フルオロアルキル」は、上記で定義されるような1つ以上のフルオロラジカル、例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1-フルオロメチル-2-フルオロエチルなどで置換される、上記で定義されるようなアルキル基を指す。
【0076】
「シクロアルキル」は、炭素原子および水素原子のみからなる安定した単環式または多環式の炭化水素基を指し、これは、不飽和を含まず、3~15個の炭素原子を有する縮合系または架橋環系を含む。特定の実施形態では、シクロアルキルは、3~10個の炭素原子を含む。他の実施形態では、シクロアルキルは、3~6個の炭素原子を含む。単環式シクロアルキルの例としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが挙げられる。シクロアルキルは、単結合によって分子の残りに結合している。
【0077】
「ヘテロシクロアルキル」は、2~12個の炭素原子と、不飽和を含まない窒素、酸素および硫黄から選択される1~6個のヘテロ原子とを含む安定した3員環~18員環の基を指す。本明細書において他に特に断りのない限り、ヘテロシクロアルキルラジカルは、単環式、二環式、三環式または四環式の環系であり、任意選択で縮合環系、架橋環系、またはスピロ環系を含む。ヘテロシクロアルキルラジカル中のヘテロ原子は、任意選択で酸化されている。1つ以上の窒素原子は、存在する場合、任意に四級化される。特定の実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、環内に3~10個の原子を含む。他の実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、環中に4~6個の原子を含む。単環式ヘテロシクロアルキル基の例としては、限定されないが、アジリジン、オキシラン、チイラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン、チアゾリジン、イソチアゾリジン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、モルホリン、チオモルホリン、ジオキサン、ジチアン、アゼパン、オキセパン、およびホモモルホリンが挙げられる。ヘテロシクロアルキルは、環の任意の原子、例えば炭素原子(C結合ヘテロシクロアルキル)または窒素原子(N結合ヘテロシクロアルキル)を介して分子の残りに結合している。
【0078】
「ヘテロアリール」は、2~17個の炭素原子と、窒素、酸素および硫黄から選択される1~6個のヘテロ原子とを含む3員~18員芳香環ラジカルから誘導されるラジカルを指す。本明細書で使用される場合、ヘテロアリールラジカルは、単環式、二環式、三環式または四環式の環系であり、環系中の環の少なくとも1つは完全に不飽和である、すなわち、それは、Hiickel理論に従う環式の非局在化(4n+2)π電子系を含有する。ヘテロアリールは、縮合環系または架橋環系を含む。ヘテロアリールラジカル中のヘテロ原子は、任意選択で酸化される。1つ以上の窒素原子は、存在する場合、任意に四級化される。特定の実施形態では、ヘテロアリールは単環式ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは5員ヘテロアリールである。他の実施形態では、ヘテロアリールは6員ヘテロアリールである。単環式ヘテロアリールの例には、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、オキサチオール、イソオキサチオール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、トリアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、およびトリアジンが含まれるが、これらに限定されない。ヘテロアリールは、環の任意の原子を介して分子の残りに結合している。
【0079】
本明細書で使用されるように、製剤、組成物、または成分に対して用語「許容可能な」は、処置されている対象の健康状態に対して持続的な有害効果がないことを意味する。
【0080】
本明細書で使用されるような用語「調節する(modulate)」は、ほんの一例として、標的の活性を増強する、標的の活性を阻害する、標的の活性を制限する、または標的の活性を拡大することを含んで、標的の活性を変更するように、直接的または間接的に標的と相互作用することを意味する。
【0081】
本明細書で使用されるような用語「モジュレーター」は、直接的または間接的に標的と相互作用する分子を指す。相互作用は、限定されないが、アゴニスト、部分アゴニスト、インバースアゴニスト、アンタゴニスト、分解剤(degrader)、またはそれらの組み合わせの相互作用を含む。いくつかの実施形態では、モジュレーターはアンタゴニストである。
【0082】
本明細書で使用されるように、用語「投与する(administer)」、「投与すること(administering)」、「投与(administration)」などは、生物学的作用の望ましい部位への化合物または組成物の送達を可能にするために使用され得る方法を指す。これらの方法は、限定されないが、経口経路、十二指腸内経路、非経口注入(静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、血管内、または点滴を含む)、局所投与、および直腸投与を含む。当業者は、本明細書に記載の化合物および方法を用いて使用され得る投与技術に精通している。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物および組成物は、経口で投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物および組成物は、静脈内投与される。
【0083】
用語「同時投与」は、本明細書で使用されるように、一人の患者に対する選択された治療剤の投与を包含することを意味しており、同じもしくは異なる投与経路によって、または同じもしくは異なる時間に、治療剤が投与される治療レジメンを含むことを意図している。
【0084】
用語「有効量」または「治療有効量」は、本明細書で使用されるように、処置されている疾患または疾病の症状の1つ以上をある程度まで軽減する、投与されている薬剤または化合物の十分な量を指す。結果は、疾患の徴候、症状、もしくは原因の減少および/または緩和、もしくは生体系の他の所望の変化を含む。例えば、治療用途のための「有効量」は、疾患症状を臨床的に有意に減少させるために必要とされる、本明細書に開示されるような化合物を含む組成物の量である。個々のケースでの適切な「有効」量は、用量漸増試験などの技術を使用して任意選択で決定される。
【0085】
用語「増強する(enhance)」または「増強すること(enhancing)」は、本明細書で使用されるように、効力または持続時間のいずれかにおいて所望の効果を増加または延長させることを意味する。したがって、治療剤の効果を増強することに関して、用語「増強する」は、効力または持続時間のいずれかにおいて、系に対する他の治療剤の効果を増加または延長させる能力を指す。本明細書で使用されるような「増強有効量」は、望ましい系において別の治療剤の効果を増強するのに十分な量を指す。
【0086】
本明細書で使用されるような用語「薬学的な組合せ(pharmaceutical combination)」は、1つを超える有効成分の混合または併用に起因し、かつ、有効成分の固定したおよび固定していない組合せを含む生成物を意味する。用語「固定配合」は、有効成分、例えば、本明細書に開示されるLpxC阻害性化合物、またはその同位体(isotopic variant)、互変異性体、プロドラッグ、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物がともに、単一の実体または用量の形態で患者へと同時投与されることを意味する。用語「非固定配合」は、有効成分、例えば、本明細書に開示されるLpxC阻害性化合物、またはその同位体、互変異性体、プロドラッグ、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物が、具体的な干渉する時間制限なしで、同時に、同時発生的に、又は連続して別々の実体として患者に投与されることを意味し、ここで、そのような投与は、患者の身体に有効レベルの2つの化合物を提供する。後者の用語はカクテル療法、例えば、3つ以上の有効成分の投与にも当てはまる。
【0087】
用語「製品」および「キット」は、同義語として使用される。
【0088】
用語「対象」または「患者」は、哺乳動物を包含する。哺乳動物の例は、限定されないが、以下の哺乳動物のクラスのメンバー:ヒト、チンパンジーなどのヒト以外の霊長類、ならびに他の類人猿およびサル種;ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの家畜;ウサギ、イヌ、およびネコなどの飼育動物;ラット、マウス、およびモルモットなどのげっ歯類を含む実験動物を含む。一態様では、哺乳動物はヒトである。
【0089】
用語「処置する」、「処置すること」、または「処置」は、本明細書で使用されるように、疾患または疾病の少なくとも1つの症状を緩和するか、軽減するか、あるいは改善すること、追加の症状を防ぐこと、疾患または疾病を阻害すること、例えば、疾患または疾病の進行を抑えること、疾患または疾病を軽減すること、疾患または疾病の退行を引き起こすこと、疾患または疾病によって引き起こされた状態を軽減すること、あるいは疾患または疾病の症状を予防的におよび/または治療的に止めることを含む。
【0090】
化合物のさらなる形態
「薬学的に許容可能な」とは、本明細書で使用されるように、担体または希釈剤などの材料を指し、これは、化合物の生物学的活性または特性を抑制せず、比較的無毒であり、つまり、この材料は望ましくない生物学的作用を引き起こすことなく、またはそれが含まれている組成物の成分のいずれにも有害なやり方で相互作用することなく、個体に投与される。
【0091】
「薬学的に許容可能な塩」という用語は、適切なアニオンと組み合わせた治療上活性な薬剤のカチオン形態、または代替的な実施形態において、適切なカチオンと組み合わせた治療上活性な薬剤のアニオンの形態からなる、治療上活性な薬剤の形態を指す。薬学的な塩のハンドブック:Properties,Selection and Use.International Union of Pure and Applied Chemistry,Wiley-VCH 2002.S.M.Berge,L.D.Bighley,D.C.Monkhouse,J.Pharm.Sci.1977,66,1-19.P.H.Stahl and C.G.Wermuth,editors,Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use,Weinheim/Zurich:Wiley-VCH/VHCA,2002。薬学的な塩は、典型的には非イオン種よりも溶けやすく、胃液および腸液中では急速に溶けやすく、ゆえに、固体剤形に有用である。さらに、その溶解度がしばしばpHに応じたものであるため、消化管の1つまたは別の部分における選択的な溶解が可能であり、こうした能力は遅延放出および徐放の挙動の1つの態様として操作可能である。さらに、塩形成分子が中性の形態と平衡状態にあり得るため、生体膜の通過を調節することができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、本明細書で開示される化合物を酸と反応させることにより得られる。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される化合物(つまり、遊離塩基形態)は塩基性であり、有機酸または無機酸と反応させる。無機酸としては、限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、およびメタリン酸が挙げられる。有機酸は、限定されないが、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸;2,2-ジクロロ酢酸;2-ヒドロキシエタンスルホン酸;2-オキソグルタル酸;4-アセトアミド安息香酸;4-アミノサリチル酸;酢酸;アジピン酸;アスコルビン酸(L);アスパラギン酸(L);ベンゼンスルホン酸;安息香酸;樟脳酸(+);カンフル-10-スルホン酸(+);カプリン酸(デカン酸);カプロン酸(ヘキサン酸);カプリル酸(オクタン酸);炭酸;桂皮酸;クエン酸;シクラミン酸;ドデシル硫酸;エタン-1,2-ジスルホン酸;エタンスルホン酸;ギ酸;フマル酸;ガラクタル酸;ゲンチシン酸;グルコヘプトン酸(D);グルコン酸(D);グルクロン酸(D);グルタミン酸;グルタル酸;グリセロリン酸;グリコール酸;馬尿酸;イソ酪酸;乳酸(DL);ラクトビオン酸;ラウリン酸;マレイン酸;リンゴ酸(-L);マロン酸;マンデル酸(DL);メタンスルホン酸;ナフタレン-1,5-ジスルホン酸;ナフタレン-2-スルホン酸;ニコチン酸;オレイン酸;シュウ酸;パルミチン酸;パモ酸;リン酸;プロピオン酸;ピログルタミン酸(-L);サリチル酸;セバシン酸;ステアリン酸;コハク酸;硫酸;酒石酸(+L);チオシアン酸;トルエンスルホン酸(p);および、ウンデシレン酸を含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、本明細書で開示される化合物を塩基と反応させることにより得られる。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される化合物は酸性であり、塩基と反応させる。こうした状況下で、本明細書で開示される化合物の酸性プロトンは、金属イオン、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、またはアルミニウムイオンと取り替えられる。場合によっては、本明細書に記載の化合物は、限定されないが、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、メグルミン、N-メチルグルカミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンなどの有機塩基と協働する。他の場合では、本明細書に記載の化合物は、アルギニン、リジンなどのアミノ酸とともに塩を形成する。酸性プロトンを含む化合物とともに塩を形成するために使用される許容可能な無機塩基は、限定されないが、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、メグルミン塩、N-メチルグルカミン塩、またはアンモニウム塩として調製される。
【0094】
薬学的に許容可能な塩に対する言及は、溶媒付加形態を含むことを理解されたい。いくつかの実施形態では、溶媒和物は溶媒の化学量論または非化学量論のいずれかを含み、水
【0095】
、エタノールなどのような薬学的に許容可能な溶媒を用いる結晶化のプロセスの間に形成される。水和物は溶媒が水である場合に形成され、または、アルコラートは溶媒がアルコールである場合に形成される。本明細書に記載の化合物の溶媒和物は、本明細書に記載のプロセスの間に都合よく調製されるか、または形成される。加えて、本明細書で提供される化合物は任意選択で、溶媒和形態と同様に非溶媒和形態で存在する。
【0096】
「互変異性体」は、分子の1つの原子から同じ分子の別の原子へのプロトン移動が可能である分子を指す。いくつかの例では、本明細書に開示される複素環LpxC阻害性化合物は互変異性体に存在する。化合物の構造は、明瞭さのために1つの互変異性体で例示されている。代替的な互変異性体は、例えば、以下に例証される構造など、本開示に明確に含まれている。
【0097】
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される化合物の有機ラジカル(例えば、アルキル基、芳香環)の部位は、様々な代謝反応に弱い。有機ラジカルでの適切な置換基の取り込みにより、この代謝経路は減らされ、最小限に抑えられ、または除去される。特定の実施形態では、代謝反応に対する芳香環の感受性を減らすか、または取り除くための適切な置換基は、ほんの一例として、ハロゲン、重水素、アルキル基、ハロアルキル基、または重水素化アルキル基である。
【0099】
別の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、同位体(例えば、放射性同位体)で、あるいは、限定されないが、発色団または蛍光性部分、生物発光標識、もしくは化学発光標識の使用を含む他の手段によって、標識される。
【0100】
本明細書に記載の化合物は同位体標識された化合物を含み、これは、1つ以上の原子が自然界で通常見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子と取り替えられるという事実を除けば、本明細書に提示される様々な式と構造において詳述されるものと同一である。本化合物に組み込むことが出来る同位体の例としては、例えば、2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、35S、18F、36Cl、123I、124I、125I、131I、32P、および33Pなどの、水素、炭素、窒素、酸素、硫黄、フッ素、塩素、ヨウ素、リンなどの同位体が挙げられる。一態様では、本明細書に記載の同位体標識された化合物、例えば、3Hおよび14Cなどの放射性同位体が組み込まれる化合物は、薬物および/または基質組織の分布アッセイに有用である。一態様では、重水素などの同位体での置換は、例えば、望ましくない代謝物を減少させるためのインビボ半減期の増加または代謝経路の変更、あるいは投与量要件の減少などの、より大きな代謝安定性に起因する特定の治療上の利点をもたらす。
【0101】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物上の1つ以上の水素原子は、重水素と交換される。いくつかの実施形態では、重水素での置換は、例えば、インビボ半減期の増加または投与量要件の減少などのより大きな代謝安定性に起因する特定の治療上の利点をもたらす。
【0102】
一態様では、以下の構造
【0103】
【化21】
を有する化合物、または同位体、互変異生体、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物が記載され、
式中、
各Rは独立して、水素または重水素から選択され、および
P
1は本明細書に記載の通りであり、各水素原子は任意選択で重水素原子に置き換え可能である。
【0104】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物は、1つ以上の立体中心を有し、各立体中心はRあるいはS配置のいずれかで独立して存在する。例えば、いくつかの実施形態では、1つの立体中心が存在する場合、本明細書で開示される化合物はR配置で存在する。他の実施形態では、1つの立体中心が存在する場合、本明細書で開示される化合物はS配置で存在する。いくつかの実施形態では、2つの立体中心が存在する場合、本明細書で開示される化合物はRR配置で存在する。他の実施形態では、2つの立体中心が存在する場合、本明細書で開示される化合物はRS配置で存在する。他の実施形態では、2つの立体中心が存在する場合、本明細書で開示される化合物はSS配置で存在する。他の実施形態では、2つの立体中心が存在する場合、本明細書で開示される化合物はSR配置で存在する。
【0105】
本明細書で提示される化合物は、すべてのジアステレオマー形態、個々のエナンチオマー、アトロプ異性体、およびエピマー形態と、これらの適切な混合物を含む。本明細書で提供される化合物と方法は、すべてのシス(cis)、トランス(trans)、syn、anti、entgegen(E)、およびzusammen(Z)の異性体と、これらの適切な混合物を含む。
【0106】
個々の立体異性体は、立体選択的な合成および/もしくはキラルクロマトグラフィーカラムによる立体異性体の分離、または、非キラルもしくはキラルクロマトグラフィーカラムによるジアステレオマーの分離、または、適切な溶媒もしくは溶媒の混合物中での結晶化および再結晶化などの方法によって、必要に応じて得られる。特定の実施形態では、本明細書で開示される化合物は、一対のジアステレオマー異性体化合物/塩を形成するために、化合物のラセミ混合物を光学的に活性な分割剤と反応させ、ジアステレオマーを分離し、光学的に純粋なエナンチオマーを回復させることによって、その個々の立体異性体として調製される。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される化合物の個々のエナンチオマーの分解は、本明細書に記載の化合物の共有結合のジアステレオマー誘導体を用いて実行される。別の実施形態では、本明細書で開示される化合物のジアステレオマーは、溶解度の差に基づいて分離/分解技術によって分離される。他の実施形態では、本明細書で開示される立体異性体の分離は、クロマトグラフィーによって、またはジアステレオマー塩の分離、および再結晶化またはクロマトグラフィーまたはその任意の組合せによる分離によって行われる。Jean Jacques,Andre Collet,Samuel H.Wilen,“Enantiomers,Racemates and Resolutions”,John Wiley and Sons,Inc.,1981.いくつかの実施形態では、立体異性体は立体選択的な合成によって得られる。
【0107】
ラセミ混合物の個々のエナンチオマーの分離は、キラル超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)またはキラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の使用によって行うことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のエナンチオマーは、キラルSFCまたはキラルHPLCの使用によって互いから分離される。いくつかの実施形態では、1つ以上のキラル中心(例えば、化合物、本明細書に開示される、トランス-オクタヒドロ-1H-ピリド[3,4-b]モルホリン-6-イルを含む)を含む本明細書で開示される化合物は、キラルSFCあるいはキラルHPLCを使用して、個々のエナンチオマーへ分離される。様々な条件と適切なカラムが利用可能である。
【0108】
Daicel多糖キラル固定相(CSP)は、キラルのSFC分離に使用されるカラムの中にある。いくつかの実施形態では、Daicel分析固定化およびコーティングCHIRALPAKとCHIRALCEL HPLCカラムが、SFC分析に使用することができる。
【0109】
いくつかの実施形態では、SFCカラムを使用する適切性のためのスクリーニングは、様々な濃度の有機修飾剤(organic modifier)で、4つの主な固定相(CHIRALPAK IA、IB、IC、およびID)と、4つの主なコーティングされたカラム(CHIRALPAK ADおよびASと、CHIRALCEL ODおよびOJ)で行われる。限定されないが、ODとOJ、OXとOZ塩素化相、および、OA、OB、OC、OF、OG、ならびにOKを含む一連の相補的なセルロースベースのCHIRALCEL相を含む様々なカラム相が利用可能である。
【0110】
エナンチオマーの分離で使用するために企図されたキラルセレクタの非限定的な例は、アミロース トリス(3,5-ジメチルフェニルカルバメート)、セルロース トリス(3,5-ジメチルフェニルカルバメート)、セルロース トリス(3,5-ジクロロフェニルカルバメート)、アミロース トリス(3-クロロフェニルカルバメート、アミロース トリス(3,5-ジクロロフェニルカルバメート)、アミロース トリス(3-クロロ,4-メチルフェニルカルバメート)、アミロース トリス((S)-アルファ-メチルベンジルカルバメート)、アミロース トリス(5-クロロ-2-メチルフェニルカルバメート)、セルロース トリス(4-安息香酸メチル)、セルロース トリス(4-クロロ-3-メチルフェニルカルバメート)、およびセルロース トリス(3-クロロ-4-メチルフェニルカルバメート)を含む。
【0111】
エナンチオマーの分離で使用するために企図されるキラルカラムの非限定的な例は、CHIRALPAK IA SFC、CHIRALPAK AD-H SFC、CHIRALPAK IB SFC、CHIRALCEL OD-H SFC、CHIRALPAK IC SFC、CHIRALPAK ID SFC、CHIRALPAK IE SFC、CHIRALPAK IF SFC、CHIRALPAK AZ-H SFC、CHIRALPAK AS-H SFC、CHIRALPAK AY-H SFC、CHIRALCEL OJ-H SFC、CHIRALCEL OX-H SFC、およびCHIRALCEL OZ-H SFCを含む。
【0112】
追加の実施形態またはさらなる実施形態では、本明細書に記載の化合物は、それを必要としている生物への投与時に代謝されることで代謝物が生成され、これを用いて望ましい治療効果を含む所望の効果が生み出される。
【0113】
本明細書で開示される化合物の「代謝物」は、化合物が代謝される際に形成されるその化合物の誘導体である。用語「活性代謝物」は、化合物が代謝される際に形成される化合物の生物学的に活性な誘導体を指す。用語「代謝される(metabolized)」は、本明細書で使用されるように、有機体によって特定の物質が変化するプロセス(限定されないが、加水分解反応および酵素によって触媒される反応を含む)の合計を指す。したがって、酵素は、化合物への具体的な構造的変化をもたらし得る。例えば、シトクロムP450は、様々な酸化反応および還元反応を触媒する一方で、ウリジン二リン酸グルクロニルトランスフェラーゼは、芳香族アルコール、脂肪族アルコール、カルボン酸、アミン、および遊離スルフヒドリル基への活性化グルクロン酸分子の移動を触媒する。本明細書で開示される化合物の代謝物は、宿主への化合物の投与と宿主からの組織試料の解析、または肝細胞を用いた化合物のインビトロでのインキュベーションとその結果生じる化合物の解析のいずれかによって任意選択で特定される。
【0114】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるようなLpxC阻害性化合物は、純粋な化学薬品として投与される。他の実施形態では、本明細書に記載のLpxC阻害性化合物は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(Gennaro,21st Ed. Mack Pub. Co.,Easton,PA(2005))に記載されるような選択される投与経路および標準の薬務に基づいて選択される、薬学的に適切または許容可能な担体(本明細書で、薬学的に適切な(または許容可能な)賦形剤、生理学的に適切な(または許容可能な)賦形剤、または生理学的に適切な(または許容可能な)担体とも呼ばれる)と組み合わされる。(The Science and Practice of Pharmacy(Gennaro,21st Ed.Mack Pub.Co.,Easton,PA (2005))。
【0115】
本明細書では、1つ以上の薬学的に許容可能な担体とともに、本明細書に記載される少なくとも1つのLpxC阻害性化合物、またはその立体異性体、薬学的に許容可能な塩、もしくは溶媒和物を含む、医薬組成物が提供される。担体(または賦形剤)は、組成物の他の成分と適合性があり、組成物のレシピエント(すなわち、対象または患者)に対して有害でない場合に、許容可能であるか、または適切である。
【0116】
一実施形態は、本明細書に記載されるようなLpxC阻害性化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、もしくは溶媒和物、および少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0117】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は注射による投薬または投与のための剤形である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、静脈内(I.V.)注射または注入、あるいは筋肉内、皮下、または皮内の注射のための剤形である。いくつかの実施形態では、医薬組成物はI.V.注射または注入のための剤形である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は溶液である。
【0118】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は経口投薬または投与のための剤形である。いくつかの実施形態では、剤形は液体である。いくつかの実施形態では、剤形は懸濁液、溶液、シロップ、またはエリキシルである。いくつかの実施形態では、剤形は懸濁液である。いくつかの実施形態では、剤形はナノ懸濁液である。いくつかの実施形態では、剤形は溶液である。他の実施形態では、剤形は錠剤またはカプセルである。
【0119】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤は、共溶媒、油、界面活性剤、錯化剤、可溶化ポリマー、P-gpモジュレーター、緩衝剤、またはこれらの組合せである。
【0120】
特定の実施形態では、本明細書で開示されるヘテロ環LpxC阻害性化合物は、例えば、合成方法の工程の1つ以上で作製される未反応の中間物または合成副産物などの他の有機的な小分子を約5%未満または約1%未満または約0.1%未満含んでいるという点で、実質的に純粋である。
【0121】
医薬組成物は、処置(または予防)される疾患に適切な様式で投与される。適切な用量および投与の適切な持続時間と頻度は、患者の疾病、患者の疾患のタイプおよび重症度、有効成分の特定の形態、および投与の方法などの因子によって決定される。一般的に、適切な投与と処置の処置レジメンは、治療的および/もしくは予防的な利点(例えば、臨床転帰の改善)または症状の重症度の低下をもたらすのに十分な量の組成物を提供する。最適な用量は一般に実験モデルおよび/または臨床試験を使用して決定される。最適な用量は患者の体型、体重、または血液量によって変わる。
【0122】
LpxC、リピドA、およびグラム陰性菌
金属タンパク質は、非常に多様な生物系、生物学的プロセス、および疾患に影響を及ぼす。例えば、UDP-{3-O-[(R)-3-ヒドロキシミリストイル]}-N-アセチルグルコサミン]デアセチラーゼ(LpxC)は、グラム陰性菌のリピドA生合成における第1の決定的な工程に関与する必須な酵素である。リピドAはグラム陰性菌の外膜の必須成分である。LpxCは、2つのヒスチジンおよびアスパラギン酸残基が亜鉛(II)イオンに結合した、亜鉛(II)依存性金属酵素である。LpxCの構造は、亜鉛(II)イオンが2つの水分子に結合していることを示し、これらは両方とも酵素の機構に関与している。LpxCは、グラム陰性菌の株にわたって高度に保管されており、LpxCを、グラム陰性感染症を処置するための魅力的な標的としている。
【0123】
近年、細菌の耐性株および多剤耐性株が増加している。したがって、特に新しい作用機序を有する新しい抗生物質が必要とされている。治療、診断、および研究の分野において有用なLpxCの金属タンパク質モジュレーターが依然として必要とされている。
【0124】
一実施形態は、UDP-{3-O-[(R)-3-ヒドロキシミリストイル]}-N-アセチルグルコサミン]デアセチラーゼ酵素を阻害する方法であって、酵素を本明細書に開示されるLpxC阻害性化合物と接触させる工程を含む方法、を提供する。
【0125】
処置方法
細菌増殖の阻害が示される疾患を処置する方法が本明細書に開示される。このような疾患には、グラム陰性細菌感染症が含まれる。いくつかの実施形態では、グラム陰性細菌感染症の処置を必要とする患者においてグラム陰性細菌感染症を処置する方法は、本明細書に開示されるLpxC阻害性化合物、またはその同位体変異体、互変異体、プロドラッグ、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物と、薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物を患者に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、グラム陰性細菌感染症は、肺炎、敗血症、嚢胞性線維症、腹腔内感染、皮膚感染、および尿路感染から選択される。いくつかの実施形態では、グラム陰性細菌感染症は、尿路感染症(UTI)、病院後天性/人工呼吸器関連肺炎(HAP/VAP)、または腹腔内感染症(IAI)である。いくつかの実施形態では、グラム陰性細菌感染症は、慢性尿路感染症、複雑性尿路感染症、膀胱炎、骨髄腎炎、尿道炎、再発性尿路感染症、膀胱感染症、尿道感染症、および腎臓感染症から選択される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、慢性尿路感染症の処置に使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、複雑性尿路感染症の処置に使用される。他の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、複雑な腹腔内感染の処置に使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、慢性腹腔内感染症の処置に使用される。他の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、病院後天性肺炎(HAP)または人工呼吸器関連肺炎(VAP)の処置に使用される。いくつかの実施形態では、投与は、既存の感染を処置するためのものである。いくつかの実施形態では、投与は予防として提供される。
【0126】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のLpxC阻害性化合物、またはその同位体変異体、互変異性体、プロドラッグ、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物は、エンドトキシンの細菌産生によって、特に、グラム陰性細菌およびリポ多糖(LPS)またはエンドトキシンの生合成においてLpxCを使用する細菌によって引き起こされる疾病を処置するために使用される。いくつかの実施形態では、処置を必要とする患者においてエンドトキシンまたはLPSによって引き起こされる疾病を処置する方法は、本明細書に開示されるLpxC阻害性化合物、またはその同位体変異体、互変異性体、プロドラッグ、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物と、薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物を患者に投与する工程を含む。別の実施形態では、本明細書に記載の複素環式LpxC阻害性化合物および製剤は、敗血症、敗血症性ショック、全身性炎症、限局性炎症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、および慢性気管支炎の急性増悪(AECB)などの、リピドAおよびLPSまたはエンドトキシンの細菌産生によって引き起こされるかまたは悪化する疾病の処置において有用である。いくつかの実施形態では、処置を必要とする患者においてエンドトキシンまたはLPSによって引き起こされる疾病を処置する方法は、本明細書に開示されるLpxC阻害性化合物、またはその同位体変異体、互変異性体、プロドラッグ、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物、および薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を患者に投与する工程を含み、エンドトキシンまたはLPSによって引き起こされる疾病は、敗血症、敗血症性ショック、全身性炎症、限局性炎症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、および慢性気管支炎の急性増悪(AECB)から選択される。
【0127】
他の実施形態では、本明細書に記載のLpxC阻害性化合物、またはその同位体変異体、互変異性体、プロドラッグ、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物は、重篤であるか慢性の気道感染症、または重篤な肺感染症および院内感染症を含む複雑性尿路感染症の処置用に使用可能であり、これらの感染症は、エンテロバクター・エロゲネス(Enterobacter aerogenes)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、大腸菌(Escherichia coli)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、Kluyvera ascorbata、Kluyvera cryocrescense、シゲラ・ソネイ(Shigella sonnei)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)、ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)、シュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)、アシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter baumannii)、Alcaligenes xylosoxidans、フラボバクテリウム・メニンゴセプチカム(Flavobacterium meningosepticum)、Providencia sluarliiおよびシトロバクター・フロインデイ(Citrobacter freundii)、ヘモフィルス・インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)、クライベラ属(Kluyvera species)、レジオネラ属(Legionella species)、カタル球菌(Moraxella catarrhalis)、エンテロバクター属(Enterobacter species)、アシネトバクター属(Acinetobacter species)、クレブシエラ属(Klebsiella species)、バークホルデリア属(Burkholderia species)およびプロテウス属(Proteus species)などによって引き起こされるもの、ならびに、ナイセリア属(Neisseria species)、赤痢菌属(Shigella species)、サルモネラ属(Salmonella species)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacler pylori)、ビブリオ科(Vibrionaceae)、およびボルデテラ属(Bordetella species)、さらに、ブルセラ属(Brucella species)、フランシセラ・ツラレンシス(Francisella tularensis)、および/またはペスト菌によって引き起こされる感染症などによって引き起こされる感染症である。
【0128】
一実施形態では、グラム陰性細菌感染症の処置を必要とする患者のグラム陰性細菌感染症を処置する方法が提供され、この方法は、患者に、本明細書に開示されるLpxC阻害性化合物、またはその同位体変異体、互変異体、プロドラッグ、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物と、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物を投与する工程を含む。
【0129】
一実施形態は、グラム陰性細菌感染症が、肺炎、敗血症、嚢胞性線維症、腹腔内感染、皮膚感染、および尿路感染から選択される方法を提供する。
【0130】
一実施形態は、グラム陰性菌感染が、慢性尿路感染症、複雑性尿路感染症、膀胱炎、腎盂腎炎、尿道炎、再発性尿路感染症、膀胱感染症、尿道感染、および腎感染から選択される、方法を提供する。
【0131】
一実施形態は、グラム陰性細菌感染症が慢性尿路感染である方法を提供する。一実施形態は、グラム陰性細菌感染症が複雑性尿路感染である方法を提供する。一実施形態は、投与が既存の感染症を処置するためのものである方法を提供する。一実施形態は、投与が予防として提供される方法を提供する。
【0132】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のLpxC阻害性化合物、またはその同位体変異体、互変異性体、プロドラッグ、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物は、グラム陽性菌に対して活性ではない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のLpxC阻害性化合物、またはその同位体変異体、互変異性体、プロドラッグ、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、フェカリス菌(Enterococcus faecalis)、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、ビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、クロストリジウム・ソルデリ(Clostridium sordellii)、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス(Peptostreptococcus anaerobius)、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)、コリネバクテリウム ジェイケイウム(Corynebacterium jeikeium)、アクネ菌(Propionibacterium acnes)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、および/またはノカルジア・シリアシジョージカ複合体(Nocardia cyriacigeorgica complex)に対して活性ではない。ほとんどの腸内細菌は、C.ディフィシルを含むグラム陽性である。したがって、いくつかの実施形態では、グラム陽性菌に対する活性の欠如が有益である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるようなグラム陰性細菌感染症を処置するための、本明細書に記載のLpxC阻害性化合物、またはその同位体変異体、互変異性体、プロドラッグ、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物の使用は、腸内微生物叢に影響を及ぼさず、したがって、例えば、C.ディフィシル由来の二次感染のリスクを低減する。
【0133】
併用療法
いくつかの例では、グラム陰性細菌は、その外膜に部分的に起因してグラム陽性細菌よりも多数の抗菌剤および化学療法剤に対してより耐性であり、効率的な透過性障壁として作用する。
【0134】
近年報告された天然起源の抗菌剤の調査は、それらはグラム陽性菌に対して活性であったが、90%超が大腸菌に対する活性を欠くことを示した。YoungおよびSilver(J.Bacteriol.173(12):3609-14(1991))は、改変された外膜を有するenvA1株が、野生型E.coliが耐性である様々な大きく疎水性の抗菌剤に感受性であることを実証した。さらに、Vaaraら(Antimicrobial Agents and Chemotherapy 37(11):2255-2260(1993))は、様々な抗菌剤に対する、対応する野生型株よりも高い感受性を示す、E.coliおよびS.typhimuriumの様々な外膜欠損変異体を検討している。
【0135】
いくつかの実施形態では、本発明は、抗菌剤と本明細書に開示されるLpxC阻害性化合物または医薬組成物との相乗的組合せを提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるLpxC阻害性化合物は、固有の抗菌特性と、グラム陰性菌の外膜の他の抗菌剤に対する透過性を改善する能力との両方を有する。いくつかの実施形態では、抗菌剤は、バンコマイシン、リネゾリド、アジスロマイシン、イミペネム、テイコプラニン、ダプトマイシン、クリンダマイシン、リファンピン、セフォタキシム、ゲンタマイシン、ノボビオシン、およびテラバンシンからなる群から選択される。
【0136】
このような薬物の相乗的組合せの使用は、従来の単一化合物療法に対して多くの利点を有し得、これには、より低い使用用量またはより短い処置時間による抗菌剤の副作用の低下、より迅速な感染の治癒、入院の短縮、制御される病原体のスペクトルの増加、および抗生物質に対する耐性の発生率の減少が含まれる。
【0137】
投与方法および処置レジメン
一実施形態では、本明細書に開示されるLpxC阻害性化合物、またはその同位体変異体、互変異性体、プロドラッグ、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物は、LpxC活性の調節から利益を得る哺乳動物における疾患または疾病の処置のための医薬の調製に使用される。そのような処置を必要とする哺乳動物において本明細書に記載の疾患または処置のいずれかを処置するための方法は、本明細書に開示されるLpxC阻害性化合物、またはその同位体変異体、互変異性体、プロドラッグ、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物を含む医薬組成物を、治療有効量で上記哺乳動物に投与する工程を含む。
【0138】
特定の実施形態では、本明細書に記載の化合物を含有する組成物は、予防的および/または治療的な処置のために投与される。特定の治療用途では、組成物は、疾患または疾病の症状の少なくとも1つを治癒するか、または少なくとも部分的に阻止するのに十分な量で、疾患または疾病に既に苦しんでいる患者に投与される疾病。この使用に有効な量は、疾患または疾病の重症度および経過、以前の治療、患者の健康状態、体重、および薬物に対する反応、ならびに処置する医師の判断に依存する。治療有効量は、限定されないが、用量漸増および/または用量決定臨床試験を含む方法によって任意選択で決定される。
【0139】
そのような量に相当する所定の薬剤の量は、特定の化合物、疾患の状態およびその重症度、処置を必要とする対象または宿主の独自性(例えば、体重、性別)などの因子に依存して変わるが、それにもかかわらず、例えば、投与されている特定の薬剤、投与経路、処置されている疾病、および処置されている対象または宿主を含むそのケースを取り巻く特別な状況に応じて決定される。
【0140】
しかし、一般に、成人のヒトの処置に使用される用量は典型的には、1日当たり0.01mg~2000mgの範囲である。一実施形態では、所望の用量は、単回用量で、あるいは、同時にまたは適切な間隔で投与される分割用量で、例えば、1日当たり2、3、4回またはそれ以上のサブ用量として、好適に提示される。
【0141】
一実施形態では、本明細書に開示されるLpxC阻害性化合物、またはその同位体変異体、互変異性体、プロドラッグ、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物に対して適切な毎日の投与量は、体重ごとに約0.01mg/kg~約50mg/kgである。いくつかの実施形態では、毎日の投与量または剤形中の有効成分の量は、個々の処置レジメンに関する多くの変数に基づいて、本明細書に示される範囲より少なくなるか、または多くなる。様々な実施形態では、毎日の投与量および単位投与量は、限定されないが、使用される化合物の活性、処置される疾患または疾病、投与の様式、個々の対象の必要条件、処置されている疾患または疾病の重症度、および医師の判断を含む、多くの変数に依存して変更される。
【0142】
前述の態様のいずれかにおいて、本明細書に開示されるLpxC阻害性化合物、またはその同位体変異体、互変異性体、プロドラッグ、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物の有効量が、(a)哺乳動物に全身投与される、(b)哺乳動物に経口投与される、さらなる実施形態である。
【0143】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるLpxC阻害性化合物、またはその同位体変異体、互変異性体、プロドラッグ、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物は、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、および約400mgから選択される用量で投与される。いくつかの実施形態では、用量は1日に1回投与される。いくつかの実施形態では、用量は1日に2回投与される。
【0144】
製品とキット
特定の実施形態では、本明細書に記載される1つ以上の方法とともに使用されるキットおよび製品が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、キットの追加のコンポーネントは、バイアル、チューブなどの1つ以上の容器を受けるように区画されている、運搬体、パッケージ、または容器を含み、容器の各々は、本明細書に記載される方法で使用される別個の要素の1つを含む。適切な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、プレート、シリンジ、および試験管が挙げられる。一実施形態では、容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成される。
【0145】
本明細書で提供される製品は包装材料を含む。
製薬用のパッケージング材料の例としては、限定されないが、ボトル、チューブ、バッグ、容器、および選択される製剤および意図した使用の様式に適したパッケージング材料が挙げられる。
【0146】
例えば、容器は本明細書に記載される化合物の1つ以上を含む。
そのようなキットは任意選択で、識別用の記載またはラベル、あるいは本明細書に記載される方法における使用に関する説明書を含む。
【0147】
キットは典型的には、内容物および/または使用説明書を列挙するラベルと、使用説明書を備えた添付文書とを含んでいる。説明書のセットも通常含まれる。
【0148】
一実施形態では、ラベルは容器上にあるか、容器に付随する。一実施形態では、ラベルを形成する文字、数字、または他の表示が容器自体に貼り付けられ、成形され、または刻まれている場合は、ラベルは容器上にある。ラベルは、例えば、添付文書として、容器を保持するレセプタクルまたは運搬体内に存在する場合には、容器に付随する。一実施形態では、ラベルは、内容物が特定の治療用途に用いられるべきものであるということを示すために使用される。ラベルは、例えば、本明細書に記載される方法などで、内容物の使用方法も示している。
【0149】
他の実施形態および使用は、本開示に照らして当業者には明らかとなるであろう。以下の実施例は、様々な実施形態の例証となるものとしてのみ提供され、いかなる方法でも本発明を制限するようには解釈されないものとする。
【実施例】
【0150】
I.化学合成
別段の定めのない限り、市販の供給元から入手されるような試薬と溶媒を使用した。無水溶媒およびオーブン乾燥させたガラス製品を、湿気および/または酸素に感度の高い合成変換に使用した。収率は最適化しなかった。反応時間はおおよそのものであり、最適化したものではない。別段の定めのない限り、カラムクロマトグラフィーおよび薄層クロマトグラフィー(TLC)を、シリカゲル上で実行した。スペクトルはppm(δ)で与えられ、結合定数(J)はHertzにおいて報告されている。プロトンスペクトルについては、溶媒ピークを参照ピークとして使用した。
【0151】
以下の略語と用語は、全体にわたって示された意味を持つ:
ACN =アセトニトリル
DCM =ジクロロメタン
DMF =N,N-ジメチルホルムアミド
EtOAc=酢酸エチル
g=グラム
hまたはhr=時間
HPLC=高圧液体クロマトグラフィー
LCMS=液体クロマトグラフィー-質量分析(mass spectrometry)
m/z=質量対電荷の比
mg=ミリグラム
min=分
mL=ミリリットル
mmol=ミリモル
PBS=リン酸緩衝生理食塩水
RP-HPLC=逆相高圧液体クロマトグラフィー
rtまたはRT=室温
TFA=トリフルオロ酢酸
【0152】
以下の実施例は、例示目的のためのみに提供され、本明細書で提供される請求項の範囲を制限するものではない。
【0153】
実施例1:(S)-1-(3-(5,6-ジヒドロキシピリミジン-4-イル)-2-(4-((4-(モルホリノメチル)フェニル)エチニル)フェニル)プロピル)アゼチジン-3-カルボニトリル(化合物A)の調製
化合物Aの調製および使用は、以前にも記述されている(WO2020/061375、US2021/0221796、WO2021/195260、およびUS2021/0309651を参照(これらはそれぞれ、参照によってその全体が本明細書に援用される))。
実施例2:(S)-((4-(3-(3-シアノアゼチジン-1-イル)-2-(4-((4-(モルホリノメチル)フェニル)エチニル)フェニル)プロピル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)リン酸二水素メチル(化合物2)の調製
【0154】
【0155】
工程1:DMF(10mL)中の化合物Aの攪拌懸濁液(0.2g、0.392mmol)に、炭酸カリウム(0.054g、0.392mmol)およびジ-tert-ブチル(クロロメチル)リン酸(2-1、0.508g、1.962mmol)を25℃で添加した。12時間の攪拌後、LCMSは、出発物質を完全に消費し、かつモノアルキル化およびジアルキル化された生成物を形成した。反応混合物を濾過して、濾液を減圧下で濃縮した。粗生成物をジエチルエーテルでトリチュレーションした。沈殿した固体をBuchner funnelで濾過した。カラムクロマトグラフィー(SiO2 100-200メッシュ;EtOAcおよびDCM)で濾液をさらに精製して、2-2(200mg、45%)をガムとして得た。LCMS:C48H69N5O11P2の計算値:954.05(正確な質量:953.45);測定値:953.9[M+1]+。
【0156】
工程2:アセトン(5mL)および水(5mL)中の2-2(0.1g、0.105mmol)の溶液を、50℃で12時間加熱した。反応の進捗をLCMSでモニタリングした。揮発物(volatiles)を減圧下で蒸発させて、粗生成物を分取HPLC(水緩衝液およびアセトニトリル中の0.1% TFA)で精製することで、化合物2(12.26mg、19%)をオフホワイトの固形物として得た。LCMS:C31H34N5O7Pについての計算値:619.61;実測値:620.0[M+1]+。
実施例3:(S)-4-(3-(3-シアノアゼチジン-1-イル)-2-(4-((4-(モルホリノメチル)フェニル)エチニル)フェニル)プロピル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イルリン酸二水素(化合物1)の調製
【0157】
【0158】
ピリジン(8mL)中の化合物A(0.2g、0.392mmol)の溶液に、ホスホリルトリクロリド(0.093mL、0.995mmol)を0℃で添加した。反応混合物を25℃で1時間攪拌した。この反応混合物にアセトニトリル(9.6mL)を添加して、25℃で2時間攪拌した。反応物を水(10mL)でクエンチして、25℃で16時間攪拌した。反応混合物を濃縮した。得られた粗生成物を逆相分取HPLC(10mMのアンモニウム重炭酸緩衝液およびアセトニトリル)で精製することで、化合物1(45mg、19%)を薄いピンク色の固形物として得た。LC-MS:C30H32N5O6Pについての計算値:589.59、実測値:590.7[M+1]+。
実施例4:(S)-4-(3-(3-シアノアゼチジン-1-イル)-2-(4-((4-(モルホリノメチル)フェニル)エチニル)フェニル)プロピル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イルジメチルカルバメート(化合物11)の調製
【0159】
【0160】
THF(25ml)中の化合物A(0.25g、0.491mmol)の攪拌懸濁液に、ピリジン(0.198ml、2.453mmol)、ジメチルカルバモイルクロリド、1-1(0079g、0.736mmol)、および4-ジメチルアミノピリジン(5.99mg、0.049mmol)を添加して、25℃で12時間攪拌した。反応混合物を濾過して未反応の出発物質を取り除き、濾液を減圧下で濃縮して、粗生成物を0.1% TFA/アセトニトリル中で逆相分取HPLCを用いて精製することで、化合物11をオフホワイトの固形物として得た。収量:30mg、(10%の収率)。LC-MS:C33H36N6O4についての計算値:580.68、実測値:581.0[M+H]+;603(M+Na)+;291 (M+2)2+/2。
実施例5:(S)-4-(4-(3-(3-シアノアゼチジン-1-イル)-2-(4-((4-(モルホリノメチル)フェニル)エチニル)フェニル)プロピル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)1-メチル2,2-ジメチルスクシネート(化合物12)の調製
【0161】
【化25】
工程1:リチウムジイソプロピルアミド(THF中2M、4.90mL、9.79mmol)の溶液をテトラヒドロフラン(15mL)で希釈して、混合物を-78℃まで冷却した。メチルイソブチレート(12-1、1g、9.79mmol)を滴下し、混合物を-70℃~-65℃で20分間攪拌し、tert-ブチル2-ブロモアセテート(12-2、5.6mL、11.74mmol)を滴下した。反応混合物を室温に温め、7時間攪拌した。TLCは出発物質の消費を示した。反応混合物を飽和NH
4Cl(水溶液)でクエンチした。水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、4-(tert-ブチル)1-メチル2,2-ジメチルスクシネート(12-3、1g、4.62mmol、収率47%)を褐色油状物として得た。粗物質をそのまま次の工程に使用した。
工程2:DCM(10mL)中の50% TFA(10.00mL)の溶液を、4-(tert-ブチル)1-メチル2,2-ジメチルスクシネート(12-3、1g、4.62mmol)に添加して、室温で4時間攪拌した。TLCは、出発物質の消費を示した。反応混合物を減圧下で濃縮することで、TFAおよびDCMを取り除いた。反応混合物を10% 炭酸水素ナトリウム溶液(30mL)を用いて塩基性に変化させ、DCMで洗浄した。水層を0.1N HClを用いて酸性に変化させて、DCMを用いて抽出した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、4-メトキシ-3,3-ジメチル-4-オキソブタン酸(12-4、0.7g、3.69mmol、収率80%)を褐色油状物として得た。粗物質をそのまま次の工程に使用した。LC-MS:C
7H
12O
4についての計算値:160.17;実測値:161[M+H]
+および143[M-H
2O]
+。
工程3:4-メトキシ-3,3-ジメチル-4-オキソブタン酸(12-4、0.100g、0.196mmol)の攪拌溶液に、HATU(0.298g、0.785mmol)、DMF(2mL)中のN-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(0.101g、0.785mmol)、4-(ジメチルアミノ)ピリジン(0.024g、0.196mmol)を添加して攪拌した。DMF(2mL)中の化合物A(0.1g、0.196mmol)を添加して、室温で12時間攪拌した。反応混合物を水で洗浄して、酢酸エチル(2x20mL)を用いて抽出した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗化合物を分取HPLCで精製することで、化合物12(45mg、0.067mmol、収率34%)を白色の固形物として得た。LC-MS:C
37H
41N
5O
6についての計算値:651.76;実測値:652.2[M+H]
+;510[M-アシル基]
+;326.7[M+2]
2+/2。
【0162】
実施例6:熱溶解度
上記化合物の溶解度を、pH7.4、100mMのリン酸カリウム緩衝液中、室温で24時間後に評価した。
【0163】
正確に計量したK2HPO4(2.79g)およびKH2PO4(0.54g)を、90mLのMilli-Q水および混合ウェル中で溶解した。容積は、Milli-Q水および混合ウェルと合わせた状態で最大200mLとなるようにした。調製したリン酸緩衝液を、2℃~8℃で保管し、1か月以内に使用した。
【0164】
約30mgの試験化合物を、pH7.4、約1mLのリン酸カリウム緩衝液に添加した。目視点検で沈殿を確認した場合、化合物はこれ以上添加しない。目視点検で透明な溶液を確認した場合、溶液が透明でなくなるまでさらに追加の化合物を添加した。
【0165】
試験化合物および対照(カフェイン)を、1200rpmの振盪速度でthermomixer上、25℃の温度で24時間さらにインキュベートした。インキュベーション後に、試料(200μL)を、濾液を収集するために、プレートが底部に取り付けられた濾過プレートに移した。濾過プレートを4000rpmで2分間遠心分離して、取り付けられた底部プレートで濾液を収集した。濾液を、濾過した緩衝液を使用して、添加した化合物の初期量に基づいて希釈した。すべての試料を、HPLC-UV法によって、濃度が2.5μg/mL~1000μg/mLの範囲にある8点検量線に対して分析した。
【0166】
【0167】
化合物1は、3mg/mL以上の熱溶解度を有する。
【0168】
化合物2は、3mg/mL以上の熱溶解度を有する。
【0169】
化合物Aは、0.05mg/mL未満の熱溶解度を有する。
【0170】
塩酸塩である化合物Aは、0.05mg/mL未満の熱溶解度を有する。
【0171】
実施例7:動力学的溶解度(Kinetic Solubility)
化合物の溶解度を、pH7、10mMのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中、試験化合物の20、40、および50mg/mLの最終濃度で評価した。
【0172】
化合物1を用いた実験では、ボルテックス混合後に、20、40、および50mg/mLの濃度で透明な溶液を得た。すべての溶液は、4℃で20時間保管した後も可溶性のままであった。
【0173】
化合物2を用いた実験では、ボルテックス混合後に、20、40、および50mg/mLの濃度で乳状懸濁液を得た。40℃の水浴中で30分間の超音波処理の後、外観に変化はなかった。1M HCL(最終pH4)を用いた処置および10秒間のボルテックスの後、透明な溶液を観察した。1M NaOH(最終pH7)を添加し、10秒間ボルテックスすると、透明な溶液が生成された。
【0174】
実施例8:薬物動態(PK)
試験化合物の原液を、10mM PBS中、2.5mg/mLまたは5.0mg/mLで調製した。雄のSprague-Dawley(SD)ラット(n=1群あたり3匹)またはビーグル犬(n=1群あたり3匹)に、IV投与または経口投与で試験化合物を投与した。IV投与した化合物には、3時間の注入を使用した。PO投与した化合物には、単回ボーラス投与を使用した。
【0175】
IV投与の開始後(またはPOボーラス投与の後)に、1、3、3.5、4、6、8、および24時間の時点で全血試料を収集した。すべての試料を血漿K2-EDTA収集チューブ内で収集し、これを処理して赤血球から血漿を分離した。
【0176】
液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析法(LC-MS/MS)を使用してすべての血漿試料を分析するとともに、試験化合物および活性物質である化合物Aを定量化した。ラットおよび犬における定量下限((LLOQ)は、1ng/mLであった。
【0177】
化合物1の投与により、IV投与またはPO投与後の化合物Aの用量依存的な血漿曝露がもたらされ、これにより、化合物Aのプロドラッグとしてのその有用性が実証される。プロドラッグである化合物1の濃度は投与後に急速に減少するが(ラットにおいて試験したすべての経路および用量では4時間後、犬では6時間後に100ng/mL未満となる)、放出された化合物Aは、経口投与およびIV投与の両方の後に全身曝露を示す(表2~表3)。
【0178】
【0179】
【0180】
II.生物学的評価
実施例9:尿路感染症の処置
本明細書に開示される化合物Aおよびそのプロドラッグを、in vivoマウスモデルにおいて尿路感染症について試験した。端的には、マウスをE.coli UTI 89に感染させてUTI感染症を引き起こし、本明細書に開示される化合物で処置した。
【0181】
手順
感染の5日前に、C3H/HeNR雌マウスを、5%のグルコースを含有する飲料水でプレコンディショニングした。非経口麻酔(ケタミン/メデトミジン)を使用してマウスを気絶させて、その後、0.05mLのE.coli UTI 89の細菌懸濁液(1.2×109 CFU/mL(6.2×107 CFU/マウス))を膀胱に経尿道投与して、上行性UTI感染を引き起こした。
【0182】
IV処置またはPO処置を感染の24時間後に開始するとともに、3mg、10mg、15mg/kg/用量 IV 化合物A;3mg、10mg、15mg、30mg/kg/用量 IV 化合物1;3mgおよび10mg/kg/用量 IV 化合物2;ならびに30 mg/kg/用量 経口 化合物1または化合物2を、12時間ごとに3日間投与した(合計6回分の用量)。シプロフロキサシンを、対照として10mg/kg/用量 IVで12時間ごとに与えた。化合物Aを、10% DMSO、5% Cremophor、85% SFIにおいて製剤化し、残りの化合物には無菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)製剤を使用した。各群にそれぞれ5匹のマウスを含めた。
【0183】
尿、膀胱、および腎臓を感染の24時間後(前処置群のみ)および96時間後に回収して、定量的に培養した。
【0184】
結果
表4と
図1は結果を要約し、試験(96時間)の終わりで、尿、膀胱、および腎臓におけるE.coli UTI 89の平均最終負荷を示す。
【0185】
【0186】
化合物A、化合物1、および化合物2を用いた処置は、ビヒクルで処置した対照と比べて、尿中の細菌負荷の統計的に有意な減少をもたらした。IV投与で投与した等しい用量の化合物A、化合物1、および化合物2の間で有効性における有意な差はなかった。
【0187】
IV投与による化合物A、化合物1、および化合物2を用いた処置は、ビヒクルで処置した対照と比べて、膀胱中の細菌負荷の減少をもたらした。
【0188】
IV投与による化合物A、化合物1、および化合物2を用いた処置は、ビヒクルで処置した対照と比べて、腎臓中の細菌負荷における統計的に有意な減少をもたらした。化合物A、化合物1、および化合物2のPO投与もまた、有効であった。IV投与で投与した等しい用量の化合物A、化合物1、および化合物2の間で有効性における有意な差はなかった。
【0189】
K.pneumoniae BAA-1705(MDR;MIC
90の菌株)を使用して実験を繰り返した。表5と
図2は結果を要約し、試験(96時間)の終わりで、尿、膀胱、および腎臓におけるK.pneumoniae BAA-1705の平均最終負荷を示す。
【0190】
【0191】
化合物A、化合物1、および化合物2を用いた処置は、ビヒクルで処置した対照およびシプロフロキサシン対照と比べて、尿中の細菌負荷の統計的に有意な減少をもたらした(30mg/kg IV 化合物Aを用いた実験を除く)。
【0192】
化合物A、化合物1、および化合物2を用いた処置は、ビヒクルで処置した対照およびシプロフロキサシン対照と比べて、腎臓中の細菌負荷の統計的に有意な減少をもたらした。さらに、化合物1を用いた処置は、すべての投与経路において、検出限界未満の細菌負荷をもたらした。
【0193】
III.医薬組成物
実施例A-1
非経口医薬組成物
注射(皮下、静脈内)による投与に適した非経口医薬組成物を調製するために、1~100mgの式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物を無菌水中に溶解し、その後、10mLの0.9%無菌生理食塩水と混合した。適切な緩衝液を、任意選択の酸または塩基とともに任意選択で加えて、pHを調整した。混合物を、注射による投与に適した投与単位形態に組み込む。
【0194】
実施例A-2
経口溶液
経口送達用の医薬組成物を調製するために、十分な量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物を、(任意選択の可溶化剤、任意選択の緩衝液、および矯味賦形剤(taste masking excipient)とともに)水に加え、20mg/mLの溶液を得る。
【0195】
実施例A-3
経口錠剤
20~50重量%の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物、20~50重量%の微結晶性セルロース、1~10重量%の低置換ヒドロキシプロピルセルロース、および1~10重量%のステアリン酸マグネシウム、または他の適切な賦形剤を混合することによって、錠剤を調製する。錠剤は直接の圧縮によって調製される。圧縮錠剤の全重量を100~500mgで維持する。
【0196】
実施例A-4
経口カプセル
経口送達用の医薬組成物を調製するために、10~500mgの式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物を、デンプンまたは他の適切な粉末ブレンドと混合する。混合物を、経口投与に適した硬ゼラチンカプセルなどの経口単位剤形に組み込む。
【0197】
別の実施形態において、10~500mgの式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を、サイズ4のカプセル、またはサイズ1のカプセル(ヒプロメロースまたは硬ゼラチン)に入れ、カプセルを閉じる。
【0198】
本明細書に記載される実施例と実施形態は説明目的のためのものに過ぎず、当業者に示唆される様々な修正や変更は、本出願の精神と範囲、および添付の請求項の範囲内に含まれるものとする。
【国際調査報告】