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特表2024-536875医療用画像化および治療において使用するための多官能性化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】医療用画像化および治療において使用するための多官能性化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 209/08 20060101AFI20241001BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 49/00 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 49/06 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 51/04 20060101ALI20241001BHJP
   C07D 257/02 20060101ALI20241001BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20241001BHJP
   C07F 5/02 20060101ALI20241001BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20241001BHJP
   A61N 5/10 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
C07D209/08
A61K9/14
A61K9/08
A61K49/00
A61K49/06
A61P35/00
A61K51/04 100
C07D257/02 CSP
C07D403/14
C07F5/02 B
C09K11/06
A61N5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518975
(86)(22)【出願日】2022-09-23
(85)【翻訳文提出日】2024-05-15
(86)【国際出願番号】 US2022076917
(87)【国際公開番号】W WO2023056221
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】63/249,180
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524114836
【氏名又は名称】アンテロープ サージカル ソリューションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ウー, エイミー
(72)【発明者】
【氏名】ティン, リチャード
【テーマコード(参考)】
4C076
4C082
4C084
4C085
4H048
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA29
4C076BB11
4C076BB13
4C082AC03
4C082AC04
4C082AE05
4C082MA01
4C084AA12
4C084MA13
4C084MA16
4C084MA17
4C084MA28
4C084MA31
4C084MA32
4C084MA34
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA43
4C084MA52
4C084MA55
4C084MA56
4C084MA57
4C084MA59
4C084MA60
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA811
4C084ZA812
4C084ZB261
4C084ZB262
4C085HH01
4C085HH03
4C085HH07
4C085HH11
4C085JJ02
4C085JJ03
4C085LL07
4C085LL11
4C085LL12
4C085LL18
4C085LL20
4H048AA01
4H048AA03
4H048AB20
4H048VA11
4H048VA20
4H048VA30
4H048VA32
4H048VA40
(57)【要約】
本開示は、医療用画像化および治療において使用するための多官能性化合物を提供し、この化合物は、(i)キレートリガンド部分(CL)、(ii)光学プローブ部分(OP)、および(iii)生物学的標的化部分(BT)の2つまたはそれよりも多くを含む。本開示はさらに、関係する組成物および方法を提供する。本開示は、外科手術の前、その現場、およびその後の医療用画像化および治療を含む医療用画像化および治療に有用な多官能性化合物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)キレートリガンド部分(CL)、
(ii)光学プローブ部分(OP)、および
(iii)生物学的標的化部分(BT)
を含む化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
(i)~(iii)の前記部分のうちの1つまたは複数が、L、L、L、L、L、LおよびLから選択される1つまたは複数のリンカーによって付着、結合、または接続されており、
が、結合、-L1A、-L1A1B-、-L1A1B-L1C-、-L1AC(O)NR111B-、-L1ANR111B-、-L1AC(O)L1B-、-L1AC(O)OL1B-、-L1AOC(O)L1B-、-L1A(OL1Bn1-、-L1ANR11C(O)L1B-、-L1ANR11C(O)OL1B-、または-L1ANR11(OL1Bn1-であり、
が、結合、-L2A、-L2A2B-、-L2A2B-L2C-、-L2AC(O)NR122B-、-L2ANR122B-、-L2AC(O)L2B-、-L2AC(O)OL2B-、-L2AOC(O)L2B-、-L2A(OL2Bn2-、-L2ANR12C(O)L2B-、-L2ANR12C(O)OL2B-、または-L2ANR12(OL2Bn2-であり、
が、結合、-L3A、-L3A3B- -L3A3B-L3C-、-L3AC(O)NR133B-、-L3ANR133B-、-L3AC(O)L3B-、-L3AC(O)OL3B-、-L3AOC(O)L3B-、-L3A(OL3Bn3-、-L3ANR13C(O)L3B-、-L3ANR13C(O)OL3B-、または-L3ANR13(OL3Bn3-であり、
が、結合、-L4A、-L4A4B-、-L4A4B-L4C-、-L4AC(O)NR144B-、-L4ANR144B-、-L4AC(O)L4B-、-L4AC(O)OL4B-、-L4AOC(O)L4B-、-L4A(OL4Bn4-、-L4ANR14C(O)L4B-、-L4ANR14C(O)OL4B-、または-L4ANR14(OL4Bn4-であり、
が、
【化95】
【化96】
であり、
が、
【化97】
であり、
が、
【化98】
【化99】
であり、
各L1A、L1B、L1C、L2A、L2B、L2C、L3A、L3B、L3C、L4A、L4B、L4C、L5A、L5B、L6A、L6B、L7A、およびL7Bが、独立に、結合、置換もしくは非置換アルキレン、置換もしくは非置換ヘテロアルキレン、置換もしくは非置換シクロアルキレン、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキレン、置換もしくは非置換アリーレン、または置換もしくは非置換ヘテロアリーレンであり、
各R11、R12、R13、R14、R15、およびR16が、独立に、水素、および非置換アルキルであり、
各n1、n2、n3、n4、n5、n6およびn7が、独立に、0~20の整数である、
化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
(i)フッ素原子担持部分(FCM)、
(ii)キレートリガンド部分(CL)、
(iii)光学プローブ部分(OP)、および
(iv)生物学的標的化部分(BT)
を含み、
(i)~(iv)の前記部分のうちの1つまたは複数が、L、L、L、L、L、LおよびLから選択される1つまたは複数のリンカーによって付着、結合、または接続されており、
が、結合、-L1A、-L1A1B-、-L1A1B-L1C-、-L1AC(O)NR111B-、-L1ANR111B-、-L1AC(O)L1B-、-L1AC(O)OL1B-、-L1AOC(O)L1B-、-L1A(OL1Bn1-、-L1ANR11C(O)L1B-、-L1ANR11C(O)OL1B-、または-L1ANR11(OL1Bn1-であり、
が、結合、-L2A、-L2A2B-、-L2A2B-L2C-、-L2AC(O)NR122B-、-L2ANR122B-、-L2AC(O)L2B-、-L2AC(O)OL2B-、-L2AOC(O)L2B-、-L2A(OL2Bn2-、-L2ANR12C(O)L2B-、-L2ANR12C(O)OL2B-、または-L2ANR12(OL2Bn2-であり、
が、結合、-L3A、-L3A3B- -L3A3B-L3C-、-L3AC(O)NR133B-、-L3ANR133B-、-L3AC(O)L3B-、-L3AC(O)OL3B-、-L3AOC(O)L3B-、-L3A(OL3Bn3-、-L3ANR13C(O)L3B-、-L3ANR13C(O)OL3B-、または-L3ANR13(OL3Bn3-であり、
が、結合、-L4A、-L4A4B-、-L4A4B-L4C-、-L4AC(O)NR144B-、-L4ANR144B-、-L4AC(O)L4B-、-L4AC(O)OL4B-、-L4AOC(O)L4B-、-L4A(OL4Bn4-、-L4ANR14C(O)L4B-、-L4ANR14C(O)OL4B-、または-L4ANR14(OL4Bn4-であり、
が、
【化100】
であり、
が、
【化101】
【化102】
であり、
が、
【化103】
であり、
各L1A、L1B、L1C、L2A、L2B、L2C、L3A、L3B、L3C、L4A、L4B、L4C、L5A、L5B、L6A、L6B、L7A、およびL7Bが、独立に、結合、置換もしくは非置換アルキレン、置換もしくは非置換ヘテロアルキレン、置換もしくは非置換シクロアルキレン、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキレン、置換もしくは非置換アリーレン、または置換もしくは非置換ヘテロアリーレンであり、
各R11、R12、R13、R14、R15、およびR16が、独立に、水素、および非置換アルキルであり、
各n1、n2、n3、n4、n5、n6およびn7が、独立に、0~20の整数である、
請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
前記キレート化部分(CL)に結合している金属イオンをさらに含む、請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
前記フッ素原子担持部分(FCM)が、F18およびF19から選択される1つまたは複数のフッ素原子を含む、請求項2または3に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
前記FCMが、-BF-および/または-BF部分を含み、前記-BF-および/または-BF部分が、1つまたは複数のF18およびF19を含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
前記FCMが、-BF-および/または-BF部分を含み、前記-BF-および/または-BF部分が、2つまたはそれよりも多いF18を含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
前記FCMが、-BF-および/または-BF部分を含み、前記-BF-および/または-BF部分が、2つまたはそれよりも多いF19を含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
前記FCMが、
【化104】
を含む、請求項2~7のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
前記光学プローブ部分(OP)が、1種または複数種のフルオロフォアを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
前記OPが、シアニンベースのフルオロフォアおよびキサンテンベースのフルオロフォアを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
前記OPが、トリメチンシアニン(Cy3)、ペンタメチンシアニン(Cy5)、ヘプタメチンシアニン(Cy7)シアニン、ローダミン、エバンスブルー(6,6’-{(3,3’-ジメチル[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジイル)ビス[ジアゼン-2,1-ジイル]}ビス(4-アミノ-5-ヒドロキシナフタレン-1,3-ジスルホネートの四ナトリウム塩)、およびイソスルファンブルー(リンファズリン)から選択される1種または複数種のフルオロフォアを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
前記生物学的標的化部分(BT)が、血液細胞、ペプチド、小分子、プロドラッグ、核酸、アプタマー、オリゴ糖、および抗体またはその抗原結合断片から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
前記BTが、前立腺特異的膜抗原(PSMA)標的化剤、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)阻害剤、アルギニン-グリシン-グルタミン酸フィブロネクチンまたはインテグリン標的化ペプチド、ソマトスタチン標的化ペプチド、ペンチキサホルケモカイン受容体標的化剤、およびヘパリンから選択される1つまたは複数のものを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
前記BTが、
【化105】
【化106】
である、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
前記CLが、ドデカン四酢酸(DOTA)、ニトロ-DOTA、4-アミノフェニルエチル-1,4,7,10-テトラアザシクロデカン-N,N’,N’’,N’’’-四酢酸(PA-DOTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、(2-[4,7-ビス(カルボキシメチル)-1,4,7-トリアゾナン-1-イル]酢酸)NOTA、(トリエチレンテトラミン)TETA、デスフェリオキサミン、(エチレンジアミン四酢酸)EDTA、およびペニシラミンから選択される1つまたは複数の部分を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
前記金属イオンが、177Lu、225Ac、Ga、Cu、Sm、Ra、Y、Pd、Ir、およびPbから選択される金属のカチオンである、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
前記化合物が、
【化107】
の構造を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項18】
前記化合物が、
【化108】
の構造を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項19】
前記化合物が、
【化109】
の構造を有する、請求項18に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項20】
が、-L1A-L1B-L1C-である、請求項17~19のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項21】
1Aが、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレンであり、L1Bが、非置換フェニレンであり、L1Cが、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレンである、請求項17~20のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項22】
が、非置換C~C12アルキレンである、請求項17~21のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項23】
各LおよびLが、独立に、非置換C~C12アルキレンである、請求項18~21のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項24】
が、非置換C~C12アルキレンまたは-L4ANC(O)L4B-であり、各L4AおよびL4Bが、独立に、結合、または非置換C~C12アルキレンである、請求項18~23のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項25】
前記化合物が、
【化110】
である、請求項18に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩
[式中、L1Aは、オキソ置換または非置換2~12員ヘテロアルキレンであり、L1Cは、非置換C~C12アルキレンである]。
【請求項26】
構造
【化111】
【化112】
【化113】
【化114】
【化115】
【化116】
【化117】
【化118】
【化119】
を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項27】
構造
【化120】
【化121】
を有する、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項28】
前記化合物が、
【化122】
【化123】
【化124】
【化125】
【化126】
である、請求項18に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項29】
前記化合物が、
【化127】
である、請求項19に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項30】
前記化合物が、
【化128】
の構造を有する、請求項2~16のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項31】
が、結合、または非置換C~C12アルキレンである、30に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項32】
が、
【化129】
である、請求項30および31のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項33】
が、-L2A-L2B-L2C-である、請求項30および32のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項34】
各L2A、L2B、およびL2Cが、独立に、結合、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換5~10員ヘテロアルキルである、請求項33に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項35】
が、-L3A-L3B-L3C-である、請求項30および34のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項36】
3Aが、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレンであり、L3Bが、非置換フェニレンであり、L3Cが、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレンである、請求項35に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項37】
が、-L4A-L4B-L4C-である、請求項30および36のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項38】
4Aが、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレンであり、L4Bが、非置換フェニレンであり、L4Cが、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレンである、請求項37に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項39】
前記化合物が、
【化130】
である、請求項30に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項40】
前記化合物が、
【化131】
の構造を有する、請求項2~16のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項41】
が、-L1A-L1B-L1C-である、請求項40に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項42】
1Aが、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレンであり、L1Bが、非置換フェニレンであり、L1Cが、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレンである、請求項41に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項43】
が、非置換C~C12アルキレンである、請求項40~41のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項44】
が、
【化132】
であり、各L5AおよびL5Bが、独立に、結合、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換5~10員ヘテロアルキルである、請求項40~43のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項45】
が、
【化133】
である、請求項40~44のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項46】
-Lが、
【化134】
である、請求項44~45のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項47】
前記化合物が、
【化135】
である、請求項40に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項48】
前記化合物が、
【化136】
の構造を有する、請求項2~16のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項49】
が、-L2A-L2B-L2C-である、請求項48に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項50】
2Aが、オキソ置換またはチオ置換または非置換2~12員ヘテロアルキレンであり、L2Bが、非置換フェニレンであり、L2Cが、非置換C~C12アルキレンである、請求項48に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項51】
が、-L2A-L2B-L2C-である、請求項48~50のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項52】
3Aが、非置換C~C12アルキレンであり、L3Bが、非置換フェニレンであり、L3Cが、オキソ置換またはチオ置換または非置換2~12員ヘテロアルキレンである、請求項51に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項53】
が、-L4A-L4B、-L4AC(O)NR144B-、または-L4ANR14C(O)L4B-である、請求項48~52のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項54】
各L4AおよびL4Bが、独立に、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレンである、53に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項55】
前記化合物が、
【化137】
である、請求項48に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項56】
前記化合物が、
【化138】
である、請求項48に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項57】
前記化合物が、
【化139】
の構造を有する、請求項2~16のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項58】
前記化合物が、
【化140】
の構造を有する、請求項2~16のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項59】
が、
【化141】
であり、各L7AおよびL7Bが、独立に、結合、非置換C~C12アルキレン、オキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレン、または非置換フェニレンである、請求項58に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項60】
が、
【化142】
である、請求項59に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項61】
が、-L1A-L1B-L1C-である、請求項57~60のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項62】
1Aが、オキソ置換またはチオ置換または非置換2~12員ヘテロアルキレンであり、L1Bが、非置換フェニレンであり、L1Cが、非置換C~C12アルキレンである、請求項61に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項63】
が、-L2A-L2B-L2C-である、請求項57~62のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項64】
が、-L3A-L3B-L3C-である、請求項57~63のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項65】
が、-L4A-L4B-L4C-である、請求項57~64のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項66】
各L2A、L2B、L2C、L3A、L3B、L3C、L4A、L4B、およびL4Cが、独立に、結合、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレンである、請求項57~65のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項67】
前記化合物が、
【化143】
【化144】
【化145】
である、請求項57に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項68】
前記化合物が、表1の化合物から選択される、請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項69】
請求項2~68のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、および担体を含む組成物。
【請求項70】
請求項2~69のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される賦形剤または担体を含む医薬組成物。
【請求項71】
固体粉末形態の請求項1~68のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、および標識された分析物を吸着するのに好適な固相抽出デバイスを含み、必要に応じて1種または複数種の滅菌溶液、例えば精製、溶出、洗浄、および中和溶液をさらに含むキット。
【請求項72】
金属原子またはその金属イオンをさらに含む、請求項71に記載のキット。
【請求項73】
前記金属原子が、表2の金属である、請求項72に記載のキット。
【請求項74】
固体粉末形態の、
【化146】
の構造を有する化合物、および標識された分析物を吸着するのに好適な固相抽出デバイスを含み、必要に応じて1種または複数種の滅菌溶液、例えば精製、溶出、洗浄、および中和溶液をさらに含むキット。
【請求項75】
金属原子またはその金属イオンをさらに含む、請求項74に記載のキット。
【請求項76】
前記金属原子が、表2の金属である、請求項75に記載のキット。
【請求項77】
対象における生物学的組織の内部画像化のための方法であって、
(i)請求項2~68のいずれか一項に記載の化合物を、前記対象に投与することと、
(ii)陽電子放出断層撮影法(PET)、単一光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)、磁気共鳴画像法(MRI)、およびガドリニウム造影剤磁気共鳴画像法(cMRI)のうちの少なくとも1つを含む方法を使用して前記生物学的組織を画像化することと
を含み、
(iii)蛍光ベースの光学画像化(FL)を用いて前記生物学的組織を画像化することをさらに含む、方法。
【請求項78】
前記化合物が、静脈内投与される、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記方法が、PET/SPECTとFL、またはMRI/cMRIとFLの組合せを使用して前記生物学的組織を同時に画像化することを含む、請求項77または78に記載の方法。
【請求項80】
前記方法が、移植片拒絶反応または生着をモニタリングすることをさらに含む、請求項77~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記方法が、がんの程度または進行を査定またはモニタリングすることをさらに含む、請求項77~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記がんが、前立腺がんまたは乳がんである、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記方法が、出血の程度または進行を査定またはモニタリングすることをさらに含む、請求項77~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記出血が、脳内にある、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記方法が、リンパ節の画像化を対象とする、請求項77~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記方法が、脳脊髄液の画像化を対象とする、請求項77~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記方法が、前立腺がん組織の画像化を対象とする、請求項77~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
放射性同位体治療を使用して対象のがんを処置する方法であって、請求項1~68のいずれか一項に記載の化合物を前記対象に投与することを含み、前記化合物が、放射性同位体治療に好適な放射性同位体を含む、方法。
【請求項89】
外科手術室内で使用するのに好適なPETスキャナー、および蛍光内視鏡またはカメラを含むシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年9月28日出願の米国仮出願第63/249,180号の利益を主張するものであり、その全体はあらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、医療用画像化ならびに放射線療法および放射免疫療法を含む治療において使用するための多官能性化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
医療用画像化における現在の標準ケアは、PET画像化、ガドリニウム造影剤画像化(cMRI)、光学/蛍光画像化のそれぞれのための単一剤、および放射性同位体治療(RIT、または「放射線療法」)のためのさらなる別個の分子を利用している。ある場合には、いくつかの異なる分子の混合物、例えば、PET/光学、光学/RIT、またはPET/RIT剤の組合せが使用され得る。
【0004】
単一剤としての画像化剤、例えば、PETだけ、光学だけ、またはRITだけの画像化剤では、実証的画像化が不可能である。その代わりに、異なる分子のそれぞれが、患者において異なって分布し、それによって、多くの場合、患者において異なる相反する解剖学的位置から異なるシグナルが生じる。例えば、多重の画像化剤が、RIT剤、例えば、独立型PET/FL/RIT剤の混合物と共に患者に投与される場合、病変は、蛍光および/またはアルファ/ベータ粒子放射として提示され得るが、例えば、血中クリアランス、非特異的組織蓄積、リガンド親和性、および受容体飽和の差に起因して、異なる薬剤が異なって分布するので、PETスキャンでは提示できない。これにより、外科医/放射線腫瘍医/放射線科医にシグナル差を一致させることが委ねられる。多重の単一画像化剤からのそのような相反する情報は、相反を解決するための時間が限られている手術室では非常に問題があり、コヒーレントな画像化情報を得られないことにより治療が損なわれることがある。例えば、腫瘍断端が蛍光を発しているが、PETスキャンでは提示できない場合、またはそれとは逆に、PETスキャン上のスポットが手術室内で蛍光を発していない場合、治療が損なわれるおそれがある。
【0005】
同じリガンドを標的化する画像化剤の混合物も、シグナルが弱まるという問題を抱えている。この問題は、以下の2つのシナリオで説明することができる:1)正味百万個のPSMAリガンド結合部位を有する患者が、PSMAに特異的なPET剤およびPSMAに特異的なRIT剤の混合物で処置されていると想定する。リガンド結合部位の50%がPET剤に結合し、その部位の50%がRIT剤に結合するならば、PSMA陽性腫瘍は、PETによる最大コントラストのわずか50%の理論的最大量、またはPET分子によるリガンド結合部位の遮断に起因して最大RIT用量の50%を受ける。2)第2のシナリオでは、患者は、まず、PSMAに特異的なPET剤で画像化され、次に、後になってその後のPSMAに特異的なRIT剤で処置される。リガンド結合部位がPET剤を介する画像化において飽和するならば(部位の100%が結合している)、その後注射されるRIT用量は、RIT用量の導入前に利用可能な結合部位がPET剤で遮断されていることに起因して、無効になるかまたは効果が低くなる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の概要
本発明は、本明細書に記載される通りの単一分子が、光学蛍光、PET画像化、およびRIT画像化を実施するのに好適になるように、多重機能的モダリティ、例えば、フルオロフォア、PET剤、RIT剤、および必要に応じて生物学的標的化剤を含む単一分子薬剤を提供することによって、単一剤の画像化剤、および単一剤の画像化剤の互いのまたはRIT剤との混合物と関連する問題に対処する。本発明の多官能性化合物は、同じ組の機能性を有する単一剤の混合物と比較して、優れたシグナル対雑音(S/N)比および/または放射性同位体担持量を必然的に提供する。加えて、ここで記載される多官能性化合物は、単一分子の合成および試験(例えば、同じ合計原子番号を有する単一分子種、元素結合性、H-NMR特徴付け)により、複数の別個の分子についての申請と比較してFDAの新薬申請(NDA)プロセスが簡単になるので、合成および規制当局の承認についての効率向上に関して利点がある。加えて、ここで記載される多官能性化合物は、単一剤の混合物と比較して、合成および規制当局の承認についての効率向上に関して利点がある。
【0007】
加えて、ここで記載される多官能性化合物は、ロボットおよびロボット支援外科手術を含む画像ガイド外科手術に有利な、分子的にコヒーレントなPETおよび蛍光画像を提供する。いくつかの実施形態では、本開示はさらに、例えば外科手術ロボット上またはバックテーブルの組織病理用カート上に位置される蛍光内視鏡またはカメラを備えた外科手術室内PETスキャナー(例えば、PET/CTまたはPET/MRI)を含む、画像ガイド外科手術のための外科手術システムを提供する。外科手術システムは、外科手術中の実証的PETおよび蛍光画像化を提供し、それによって患者の治療を改善する。
【0008】
本開示は、外科手術の前、その現場、およびその後の医療用画像化および治療を含む医療用画像化および治療に有用な多官能性化合物を提供する。
【0009】
(i)キレートリガンド部分(CL)、(ii)光学プローブ部分(OP)、および(iii)生物学的標的化部分(BT)の3つの機能的部分を含む化合物、またはその薬学的に許容される塩、関係する組成物、ならびに使用方法が提供される。
【0010】
一態様では、化合物は、
(i)キレートリガンド部分(CL)、
(ii)光学プローブ部分(OP)、および
(iii)生物学的標的化部分(BT)
を含む。
【0011】
部分(i)~(iii)のそれぞれは、本明細書で開示される1つまたは複数のリンカー(例えば、L、L、L、L、L、LおよびL)によって、少なくとも1個の他の部分に結合して、式Xの化合物を形成する。またとりわけ、(i)フッ素原子担持部分(FCM)、(ii)キレートリガンド部分(CL)、(iii)光学プローブ部分(OP)、および(iv)生物学的標的化部分(BT)の4つの機能的部分を含む化合物、関係する組成物、ならびに使用方法が提供される。
【0012】
一態様では、化合物は、
(i)フッ素原子担持部分(FCM)、
(ii)キレートリガンド部分(CL)、
(iii)光学プローブ部分(OP)、および
(iv)生物学的標的化部分(BT)
を含み、部分(i)~(iv)のそれぞれは、本明細書で開示される1つまたは複数のリンカー(例えば、L、L、L、L、L、LおよびL)によって、少なくとも1個の他の部分に結合して、式Iの化合物を形成する。
【0013】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(I)の構造
【化1】
を有する。
【0014】
一部の実施形態では、化合物は、式(I-a)の構造
【化2】
を有する。
【0015】
一部の実施形態では、化合物は、式(II)の構造
【化3】
を有する。
【0016】
一部の実施形態では、化合物は、式(III)の構造
【化4】
を有する。
【0017】
一部の実施形態では、化合物は、式(IV-a)または(IV-b)の構造
【化5】
を有する。
【0018】
一部の実施形態では、化合物は、式(V-a)または(V-b)の構造
【化6】
を有する。
【0019】
一部の実施形態では、化合物は、式(VI-a)または(VI-b)の構造
【化7】
を有する。
【0020】
一態様では、式(I)、(I-a)、(I-a-1)、(II)、(III)、(IV-a)、(IV-b)、(V-a)、(V-b)、(VI-a)、(VI-b)、(X)、(X-a)、(XI)、(XII)、(XIII-a)、(XIII-b)、(XIV-a)もしくは(XIV-b)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される下位実施形態を含む組成物または医薬組成物が提供される。
【0021】
一態様では、固体粉末形態の式(I)、(I-a)、(I-a-1)、(II)、(III)、(IV-a)、(IV-b)、(V-a)、(V-b)、(VI-a)、(VI-b)、(X)、(X-a)、(XI)、(XII)、(XIII-a)、(XIII-b)、(XIV-a)もしくは(XIV-b)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される下位実施形態、および標識された分析物を吸着するのに好適な固相抽出デバイスを含み、必要に応じて精製、溶出、洗浄、および中和溶液から選択される1種または複数種の滅菌溶液をさらに含むキットが提供される。
【0022】
一態様では、対象における医療用画像化のための方法が提供される。この方法は、(i)式(I)、(I-a)、(I-a-1)、(II)、(III)、(IV-a)、(IV-b)、(V-a)、(V-b)、(VI-a)、(VI-b)、(X)、(X-a)、(XI)、(XII)、(XIII-a)、(XIII-b)、(XIV-a)もしくは(XIV-b)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される下位実施形態、あるいはそれを含む医薬組成物を対象に投与することと、ii)陽電子放出断層撮影法(PET)、単一光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)、磁気共鳴画像法(MRI)、造影剤援用(contrast aided)(例えば、ガドリニウム造影剤)磁気共鳴画像法(cMRI)、および蛍光(FL)または吸光ベースの光学画像化のうちの少なくとも1つまたは2つから選択される技術を使用して対象の内部生物学的組織の医療用画像化を実施することとを含む。
【0023】
一態様では、放射性同位体治療を使用して対象のがんを処置するための方法が提供される。この方法は、式(I)、(I-a)、(I-a-1)、(II)、(III)、(IV-a)、(IV-b)、(V-a)、(V-b)、(VI-a)、(VI-b)、(X)、(X-a)、(XI)、(XII)、(XIII-a)、(XIII-b)、(XIV-a)もしくは(XIV-b)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される下位実施形態、あるいはそれを含む医薬組成物を対象に投与することを含み、化合物は、放射性同位体治療に好適な放射性同位体を含む。
【0024】
一態様では、化合物のCL部分は、放射性同位体治療に好適な放射性金属を含み、方法は、画像化および放射線療法が同時に実施されるように、式(I)、(I-a)、(I-a-1)、(II)、(III)、(IV-a)、(IV-b)、(V-a)、(V-b)、(VI-a)、(VI-b)、(X)、(X-a)、(XI)、(XII)、(XIII-a)、(XIII-b)、(XIV-a)もしくは(XIV-b)の単一化合物、またはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される下位実施形態の投与を用いて放射性同位体治療を用いて対象を処置することをさらに含む。
【0025】
一態様では、化合物のCL部分は、造影剤援用(例えば、ガドリニウム造影剤)磁気共鳴(cMRI)または造影増強コンピュータ断層撮影法画像化に好適な金属を含む。
【0026】
一態様では、生物学的標的化部分は、血液細胞(例えば、赤血球(RBD)、白血球(WBC)、または血小板)、ペプチド、小分子、プロドラッグ、核酸(例えば、DNA、またはRNA)、アプタマー、オリゴ糖、および抗体またはその抗原結合断片から選択される。
【0027】
一態様では、化合物のBT部分は、薬物またはプロドラッグをさらに含み、方法は、必要に応じて、この薬物またはプロドラッグを用いる治療をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1A~1C:(i)フッ素原子担持部分(FCM)、(ii)キレートリガンド部分(CL)、(iii)光学プローブ部分(OP)、および(iv)生物学的標的化部分(BT)を含む画像化剤における部分の例示的な配置。
【0029】
図2図2A~2B:A、反応性架橋基を介して生物学的標的化部分(BT)を結合するスキーム。B、式Iの例示的化合物。ボックス1はFCMを示し、ボックス2はCLを示し、ボックス3はOPを示す。
【0030】
図3-1】図3A~3Cは、実施例1に記載される例示的な合成反応を示す。
図3-2】同上。
【0031】
図4図4は、例示的な生物学的標的化部分(BT)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
詳細な説明
式(I)、(I-a)、(I-a-1)、(II)、(III)、(IV-a)、(IV-b)、(V-a)、(V-b)、(VI-a)、(VI-b)、(X)、(X-a)、(XI)、(XII)、(XIII-a)、(XIII-b)、(XIV-a)もしくは(XIV-b)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される下位実施形態、それを含む組成物、ならびにPET画像化、ガドリニウム造影剤画像化(cMRI)を含む光学/蛍光画像化および金属錯体用途、および放射線同位体治療(RIT)および放射免疫療法を含む医療用画像化および治療における使用方法が提供される。
【0033】
一態様では、化合物は、少なくともi)キレートリガンド部分(CL)、ii)光学プローブ部分(OP)、iii)生物学的標的化部分(BT)、およびiv)フッ素原子担持部分(FCM)を含み、FCMは、1つまたは複数のフッ素原子、ならびにフッ素-18(18F)(好ましくは、化合物がPET画像化のために利用される場合)および非PET画像化のためのフッ素-19(19F)から選択される1つまたは複数のフッ素同位体を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、キレートリガンド部分(CL)は、PET画像化、放射性同位体治療、またはMRI造影画像化において使用することができる金属イオンまたは金属に結合し得る。そのような金属の例として、ルテチウム(Lu、例えば、175Luまたは177Lu)、アクチニウム(Ac、例えば、217Ac、225Ac)、ガリウム(Ga、例えば、67Ga、または68Ga)、銅(Cu)、サマリウム(Sm)、ラジウム(Ra)、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ガドリニウム(Gd)または鉛(Pb)が挙げられる。いくつかの実施形態では、125Iおよび64Cuは、PET画像化のための化合物と錯化し得る。いくつかの実施形態では、90Yは、SPECT画像化のための化合物と錯化し得る。いくつかの実施形態では、ガドリニウム(Gd)は、画像化(MRI造影)のための安定な同位体(すなわち非放射性核種)である。
【0035】
いくつかの実施形態では、原子同位体の置換、例えば19Fの代わりに18F、177Luの代わりに175Luがなされ得る。これらの置換は、分子/化合物内の原子のすべての原子番号の合計を変化させることはないが、これらの置換は、原子量を変化させる。
【0036】
いくつかの実施形態では、フッ素原子含有部分(FCM)には、フッ素捕捉剤(captor)が含まれるが、それに限定されない。いくつかの実施形態では、FCM部分は、PET画像化による目的の組織の可視化を可能にする。いくつかの実施形態では、その部分は、2つまたはそれよりも多いフッ素原子のいずれかを含有し、それらは、18Fまたは19Fのいずれか(「18/19F」)であり得る。ある特定の態様では、FCMは、18Fを含むことによって必要に応じてPET造影剤として機能し得るフッ素原子担持部分を含む。ある特定の態様では、FCMは、PET造影剤ではない19Fを含み得るフッ素原子担持部分を含む。
【0037】
例えば、18F-フルオロフォア-R分子は、例えば、フルオロフォアをR反応基および不安定なフッ素含有基(例えば、-CRF、-BF’’または-SiF)で官能化して、19F-フルオロフォア-R分子を生成し、次に19F-フルオロフォア-R分子を、18Fが19F原子と同位体的に交換される条件下(例えば、酸性pH、例えば2.5)で水性H[18F]と接触させ、それによって、ホウ素またはケイ素原子1個当たり少なくとも1個の18Fを得ることによって調製することができる。同位体交換法は、例えば、米国特許第8,114,381号に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0038】
いくつかの実施形態では、光学プローブ部分(OP)は、蛍光または光学コントラスト(吸光度)画像化に好適な任意のタイプの分子を含み得る。いくつかの実施形態では、光学プローブは、フルオロフォア、あるいは高度に光子を吸収する他の薬剤、例えばインドシアニングリーン、トリ-、ペンタ-もしくはヘプタメチンシアニン、フルオレセイン、ローダミン、またはエバンスブルー色素を含む。
【0039】
本明細書で使用される場合、「フルオロフォア」(または「蛍光を発する種」)という用語は、電磁放射線によって適切に刺激された場合に蛍光特性を有する化合物を指す。本明細書で考慮されるフルオロフォアは、任意の好適な波長の光を吸収し、発光することができる。いくつかの実施形態では、特定の吸収および発光特徴を有するフルオロフォアを選択することが望ましいことがある。例えば、異なる実施形態では、フルオロフォアは、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790もしくは800nm、または上述の値のいずれか2つによって境界された範囲内のナノメートル(nm)波長で吸収する。ある特定の実施形態では、フルオロフォアは、上述の波長のいずれかにおいて、または上述の値のいずれか2つによって境界された範囲内で発光し、ここでフルオロフォアは一般に、吸収された波長よりも長い波長で発光すると理解される。衝突電磁放射線(すなわち、フルオロフォアによって吸収される)は、分散形態で、または代替として集束形態、例えばレーザーで存在し得る。さらに、吸収されたまたは発光された放射線は、例えば、遠赤外、赤外、遠赤、可視、近紫外、または紫外の形態であり得る。
【0040】
本明細書で考慮されるフルオロフォアは、有機フルオロフォアであり、これは一般に、少なくとも1個の炭素間結合および少なくとも1個の炭素-水素結合を含有する。異なる実施形態では、有機フルオロフォアは、例えば、荷電(すなわち、イオン性)分子(例えば、スルホネートまたはアンモニウム基)、非荷電(すなわち、中性)分子、飽和分子、不飽和分子、環式分子、二環式分子、三環式分子、多環式分子、非環式分子、芳香族分子、および/または複素環式分子(すなわち、例えば、窒素、酸素および硫黄から選択される1つまたは複数のヘテロ原子によって環が置換されることによって)を含むことができる。不飽和フルオロフォアの特定の場合、フルオロフォアは、1個、2個、3個、またはそれよりも多い炭素-炭素および/または炭素-窒素二重および/または三重結合を含有する。特定の一実施形態では、フルオロフォアは、フルオロフォアに存在し得る任意の芳香族基は別として、少なくとも2個の(例えば、2個、3個、4個、5個、またはそれよりも多い)共役した二重結合(すなわち、ポリエンリンカー)を含有する。いくつかの実施形態では、フルオロフォアは、少なくとも2個、3個、4個、5個、または6個の環を含有する縮合多環式芳香族炭化水素(PAH)(例えば、ナフタレン、ピレン、アントラセン、クリセン、トリフェニレン、テトラセン、アズレン、およびフェナントレン)であり、ここでPAHは、必要に応じて環が置換され得るか、または1個、2個、3個もしくはそれよりも多いヘテロ原子もしくはヘテロ原子含有基によって誘導体化され得る。いくつかの実施形態では、フルオロフォアは、少なくとも2個、3個、または4個のアルキレンオキシド単位を含有するポリアルキレンオキシド基を含有する。いくつかの実施形態では、フルオロフォアは、少なくとも1個のスルホン酸またはスルホン酸塩の基を含有する。
【0041】
いくつかの実施形態では、有機フルオロフォアは、キサンテン誘導体(例えば、フルオレセイン、ローダミン、オレゴングリーン、エオシン、およびテキサスレッド)、シアニンまたはその誘導体またはサブクラス(例えば、ストレプトシアニン、ヘミシアニン、閉鎖シアニン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、インドカルボシアニン、オキサカルボシアニン、チアカルボシアニン、メロシアニン、およびフタロシアニン)、ナフタレン誘導体(例えば、ダンシルおよびプロダン誘導体)、クマリンおよびその誘導体、オキサジアゾールおよびその誘導体(例えば、ピリジルオキサゾール、ニトロベンゾオキサジアゾール、およびベンゾオキサジアゾール)、ピレンおよびその誘導体、オキサジンおよびその誘導体(例えば、ナイルレッド、ナイルブルー、およびクレシルバイオレット)、アクリジン誘導体(例えば、プロフラビン、アクリジンオレンジ、およびアクリジンイエロー)、アリールメチン誘導体(例えば、オーラミン、クリスタルバイオレット、およびマラカイトグリーン)、ならびにテトラピロール誘導体(例えば、ポルフィリンおよびビリルビン)である。
【0042】
いくつかの実施形態では、フルオロフォアは、次式
【化8】
の部分を含み、式中、nは、0~12の整数である。その全体が参照により本明細書に組み込まれるGuieu, V., et al., Eur. J. Org. Chem., 2007, 804-810に十分に記載されている通り、式(1)に関係するまたは式(1)から誘導される他の構造も、本明細書で考慮される。
【0043】
いくつかの実施形態では、フルオロフォアは、次式
【化9】
の部分を含み、式(2)のnは、先に定義される通りである。式(2)の円弧は、窒素含有環、例えばピロリルを指し示す。円弧は、代替として、二環式環系、例えばベンゾピロリル縮合環系を表し得る。それらの全体が参照により本明細書に組み込まれるStathatos, E., et al. Chem. Mater., 2001, 13, 3888-3892、およびYao, Q.-H., et al. J. Mater. Chem., 2003, 13, 1048 1053に十分に記載されている通り、式(2)に関係するまたは式(2)から誘導される他の構造も、本明細書で考慮される。
【0044】
いくつかの実施形態では、フルオロフォアは、シアニン色素(すなわち、シアニンベースのフルオロフォア)を含む。「シアニン色素」という用語は、本明細書で使用される場合、共役したポリエンリンカーによって相互接続された2個のインドリルまたはベンゾオキサゾール環系を含む、当技術分野で公知の色素のいずれかを指す。シアニン色素は、典型的に、少なくとも2個または3個の共役した炭素-炭素二重結合を含有し、そのうちの少なくとも1個は、例えば式(1)~(3)のいずれかに図示されている環には存在しない。シアニン色素(または他のタイプの色素)は、多くの場合、少なくとも2個のピロリル環を含有する。シアニン色素の一部の特定の例は、Cyファミリーの色素であり、これには、例えば、Cy2、Cy3、Cy3B、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、およびCy9が含まれる。「シアニン部分」という用語は、本明細書で使用される場合、一般に、ビス-インドリル-ポリエンまたはビス-ベンゾオキサゾリル-ポリエン系を含むが、インドリルまたはベンゾオキサゾリル基における環窒素原子に結合している基を除外する。シアニン色素には、Alexa(登録商標)ファミリーの色素(例えば、Alexa Fluor 350、405、430、488、500、514、532、546、555、568、594、610、633、647、660、700、750、および790)、ATTO(登録商標)ファミリーの色素(例えば、ATTO 390、425、465、488、495、520、532、550、565、590、594、601、615、619、629、635、645、663、680、700、729、および740)、およびDyeファミリーの色素(例えば、DY 530、547、548、549、550、554、556、560、590、610,615、630、631、631、632、633、634、635、636、647、648、649、650、651、652、675、676、677、680、700、701、730、731、732、734、750、751、752、776、780、781、782、および831)も含まれ得る。ATTO色素は、特に、クマリンベース、ローダミンベース、カルボピロニン(carbopyronin)ベース、およびオキサジンベースの構造モチーフを含むいくつかの構造モチーフを有することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、フルオロフォアは、例えば、蛍光画像化および「光学」画像化(例えば、肉眼での視覚的観察)による目的の組織の可視化を可能にする。フルオロフォアには、例えば、Cy3、Cy7、フルオレセイン、および当技術分野で公知のフルオロフォアのいずれか、例えば、前述のものが含まれる。いくつかの実施形態では、フルオロフォアは、好ましくはシアニンフルオロフォア、より具体的には親水性シアニンフルオロフォアである。
【0046】
いくつかの実施形態では、生物学的標的化部分(BT)は、血液細胞(例えば、赤血球(RBD)、白血球(WBC)、または血小板)、ペプチド、小分子、プロドラッグ、核酸(例えば、DNA、またはRNA分子)、アプタマー、オリゴ糖、および抗体またはその抗原結合断片から選択される。
【0047】
いくつかの実施形態では、BTは、生物学的分子、例えば細胞表面受容体またはリガンドに特異的に結合する薬剤である。いくつかの実施形態では、BTは、PSMA阻害剤、例えば2-(3-((S)-5-アミノ-1-カルボキシペンチル)ウレイド)ペンタン二酸;線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)阻害剤、例えば6-ブトキシ-N-(2-(2-シアノピロリジン-1-イル)-2-オキソエチル)キノリン-4-カルボキサミドまたは6-ブトキシ-N-(2-(2-シアノ-4,4-ジフルオロピロリジン-1-イル)-2-オキソエチル)キノリン-4-カルボキサミド;アルギニン-グリシン-グルタミン酸フィブロネクチンまたはインテグリン結合ペプチド、例えば2-(5-ベンジル-11-(3-グアニジノプロピル)-8-メチル-3,6,9,12,15-ペンタオキソ-1,4,7,10,13-ペンタアザシクロペンタデカン-2-イル)酢酸(RGD);ソマトスタチン結合ペプチド、例えば2-(13-((1H-インドール-3-イル)メチル)-10-(4-アミノブチル)-16-(4-ヒドロキシベンジル)-7-(1-ヒドロキシエチル)-6,9,12,15,18-ペンタオキソ-19-(3-フェニル-2-プロピオンアミドプロパンアミド)-1,2-ジチア-5,8,11,14,17-ペンタアザシクロイコサン-4-カルボキサミド)-3-ヒドロキシブタン酸(TATE)または13-((1H-インドール-3-イル)メチル)-10-(4-アミノブチル)-N-(1,3-ジヒドロキシブタン-2-イル)-16-(4-ヒドロキシベンジル)-7-(1-ヒドロキシエチル)-6,9,12,15,18-ペンタオキソ-19-(3-フェニル-2-プロピオンアミドプロパンアミド)-1,2-ジチア-5,8,11,14,17-ペンタアザシクロイコサン-4-カルボキサミド(TOC);ペンチキサホル(pentixafor)ケモカイン受容体結合剤、例えば1-(3-((2S,5S,11R,14R)-11-(4-ヒドロキシベンジル)-13-メチル-14-(3-(メチルアミノ)プロピル)-5-(ナフタレン-2-イルメチル)-3,6,9,12,15-ペンタオキソ-1,4,7,10,13-ペンタアザシクロペンタデカン-2-イル)プロピル)グアニジンまたは関係する変異体から選択される。
【0048】
いくつかの実施形態では、BTは、抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、抗体は、免疫グロブリン(Ig)分子、例えばIgG分子からなり得る。いくつかの実施形態では、抗体は、Ig分子の抗原結合断片、例えば、F(ab’)もしくはFab’断片、または単鎖Fv断片(scFv)であり得る。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、ヒト化抗体であり得る。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、抗原結合可変ドメインに結合している2つの重鎖(可変重鎖ホモ二量体、VHH)からなるヒト化単鎖重鎖抗体(HcAb)である。いくつかの実施形態では、HcAbは、ラクダ類、例えばラクダもしくはラマ、または軟骨魚類(軟骨魚綱)、例えばサメから誘導され得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、BTは、標的がん細胞の細胞表面上に提示された分子に直接、または標的がん細胞内の細胞内に結合する、抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、BTは、ハーセプチン、アネキシン、およびアービタックスから選択される抗体、またはそれらの抗原結合断片である。
【0050】
いくつかの実施形態では、BTによる結合のために標的とされる分子は、PD-L1、HER2/neu(erbB-2、CD340、プロト癌遺伝子Neu、Erbb2、またはERBB2とも呼ばれる受容体チロシンキナーゼ、主に乳がんと関連する)、上皮増殖因子受容体(EGFR、多発がんにおいて見出される)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP、多発がんにおいて見出される)、C-X-Cケモカイン受容体(CXCR、多発がんにおいて見出される)、ソマトスタチン受容体2(SSTR2、主に神経内分泌がん、例えば小細胞肺がんまたはSCLCを含む内分泌組織由来がんにおいて見出される)、および上皮細胞接着分子(EPCAM、多発がんにおいて見出される)から選択される。
【0051】
いくつかの実施形態では、生物学的標的化部分(BT)は、放射免疫療法に好適な放射標識された抗体またはその抗原結合断片である。放射免疫療法に好適な放射性核種には、ベータ放射体、例えば90イットリウム、131ヨウ素、177ルテチウム、188レニウムおよび67銅、アルファ放射体、例えば213ビスマス(213Bisumth)、211アスタチンおよび225アクチニウム、ならびにオージェ電子放射体、例えば125ヨウ素が含まれる。
【0052】
いくつかの実施形態では、生物学的標的化部分(BT)は、タンパク質またはペプチド、例えば、特定の生物学的分子、例えばプログラム細胞死リガンド1(PD-L1)に結合するように操作されたアネキシンである。
【0053】
いくつかの実施形態では、生物学的標的化部分(BT)は、ソマトスタチン、SSRアゴニストチロシン-オクトレオテート(TATE)、およびSSTR2標的化部分、TOCから選択され、これらはそれぞれSSTR2への結合に好適である。
【0054】
いくつかの実施形態では、生物学的標的化部分(BT)は、ペンチキサホルであり、これは例えば、CXCR4を標的化するケモカインに好適である。
【0055】
いくつかの実施形態では、生物学的標的化部分(BT)は、核酸ベースの分子、例えばペガプタニブナトリウム/Macugen(VEGF標的化)、E10030(PDGF)、ARC1905(C5)、AS1411(ヌクレオリン)、NOX-A12(CXCL12)、NOX-E36(CCL2)、NOX-H94(ヘプシジン)、ARC1779(vWF)、NU172(FIXa)、BX499(TFPI)である。
【0056】
いくつかの実施形態では、生物学的標的化部分(BT)は、プロドラッグまたはその誘導体、例えばアシクロビル、フルオロウラシル、シクロホスファミド、ジエチルスチルベストロール(diethylstilbenstrol)、DOPA、メルカプトプリン、マイトマイシン、ジドブジン、カルバマゼピン、カプトプリル、カリソプロドール、ヘロイン、モルシドミン、レフルノミド、パリペリドン、フェナセチン、プリミドン、サイロシビン、スリンダク、フルスルチアミン、コデインロペラミドオキシド、オキシフェニサチン、スルファサラジン、アセチルサリチレート、バカンピシリン、バンブテロール、クロラムフェニコールスクシネート、ジピベフリン、ホスフェニトイン、リスデキサンフェタミン、プラリドキシム、ADEPT、GDEPT、VDEPTであり得る。いくつかの実施形態では、BT部分は、生理的条件下で化学変化を容易に受けて、治療に有効な化学的試薬(例えば、阻害剤、アゴニスト、モジュレーター、または調節物質)を提供するプロドラッグを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物のプロドラッグは、投与後にin vivoで変換され得るか、またはex vivo環境で、例えば好適な酵素もしくは化学的試薬と接触させられた場合などに化学的もしくは生化学的方法によって治療に有効な化学的試薬に変換され得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、生物学的標的化部分(BT)は、オリゴ糖、例えばキトサンオリゴ糖(抗炎症性、抗菌活性)、フィブリノゲンオリゴ糖(血液凝固、静脈血栓塞栓(trhomboembolism))である。
【0058】
いくつかの実施形態では、生物学的標的化部分(BT)は、細胞、特に血液細胞、例えば赤血球または血小板である。本明細書に記載される化合物に細胞を結合する方法は、以下の反応性架橋基の議論に提供される。
【0059】
いくつかの実施形態では、生物学的標的化部分(BT)は、図2Aに示されるスキームを使用して、その他の部分に結合させられる。「R」基は、血液細胞に結合することができる反応性架橋基を表す。例示的な反応性架橋基として、アミノ反応基、カルボキシ反応基、チオール反応基、アルコール反応基、フェノール反応基、アルデヒド反応基、およびケトン反応基が挙げられる。アミノ反応基には、カルボキシ基(-COOR’、ここでR’は、Hまたは炭化水素基である)、活性化エステル基(-COOR’、ここでR’は、カルボキシ活性化基、例えば脱プロトン化N-ヒドロキシスクシンイミド、すなわち、NHSである)、カルボジイミドエステル基(例えば、EDC)、テトラフルオロフェニルエステル、ジクロロフェノールエステル、エポキシ(例えば、グリシジル)基、イソチオシアネート、スルホニルクロリド、ジクロロトリアジン、アリールハライド、およびアジド、ならびにそれらのスルホ誘導体、ならびにそれらの組合せが含まれ得る。カルボキシ反応基には、典型的に、活性化エステルを形成するためのカルボキシ基活性化物質の存在下での、アミノ基およびヒドロキシアルキル基が含まれ得る。チオール反応基のいくつかの例として、マレイミド(「Mal」)基、ハロアセトアミド(例えば、ヨードアセトアミド)基、ジスルフィド基、チオサルフェート、およびアクリロイル基が挙げられる。アルコール反応基およびフェノール反応基には、アルデヒド、ケトン、ハロアルキル、イソシアネート、およびエポキシ(例えば、グリシジル)基が含まれ得る。アルデヒド反応基およびケトン反応基には、フェノール、ヒドラジド、セミカルバジド、カルボヒドラジド、およびヒドロキシルアミン基が含まれ得る。他の反応基には、6-オキシグアニン基およびホスホロアミダイト基が含まれる。「反応基」という用語は、反応性架橋基が結合しているより大きい任意の基(例えば、炭化水素基、例えば環式または芳香族炭化水素)をさらに包含することができる。例えば、6-オキシグアニン基は、連結部分(linking portion)に結合するために、6-オキシ原子に結合している環含有連結部分(linking moiety)を含み得る。他の実施形態では、反応基は、前述の親水性基、例えば、スルホネート(例えば、スルホ-NHS基)、カルボキシ、ヒドロキシ、またはハロゲン化物基のいずれかを含むことなどによって誘導体化され得る。
化合物
【0060】
本明細書で使用される略語は、化学および生物学分野(ケミカルバイオロジー)におけるそれらの従来の意味を有する。本明細書で記載される化学構造および式は、化学分野で公知の化学原子価の標準規則に従って構築される。
【0061】
置換基が、左から右に書かれるそれらの従来の化学式によって特定されている場合、それらはその構造を右から左に書くことから得られるであろう化学的に同一の置換基を等しく包含し、例えば、-CHO-は-OCH-に等価である。
【0062】
「アルキル」という用語は、単独でまたは別の置換基の一部として、別段記述されない限り、直鎖(すなわち、非分岐)もしくは分岐炭素鎖(または炭素)、またはそれらの組合せを意味し、それらは完全飽和、単不飽和、または多価不飽和であり得、一価、二価および多価ラジカルを含むことができる。アルキルは、任意の数の炭素、例えばC1~2、C1~3、C1~4、C1~5、C1~6、C1~7、C1~8、C1~9、C1~10、C2~3、C2~4、C2~5、C2~6、C3~4、C3~5、C3~6、C4~5、C4~6およびC5~6を含むことができる。アルキルは、環化していない鎖である。飽和炭化水素ラジカルの例として、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、メチル、例えば、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどの同族体および異性体などの基が挙げられるが、それらに限定されない。
【0063】
本明細書で使用される場合、「アルキレン」という用語は、指定された数の炭素原子を有しており、少なくとも2つの他の基を連結している直鎖または分岐の飽和脂肪族ラジカル、すなわち、二価の炭化水素ラジカルを指す。アルキレンに連結している2つの部分は、アルキレン基の同じ原子または異なる原子に連結することができる。例えば、直鎖アルキレンは、-(CH)n-の二価のラジカル(nは、1、2、3、4、5または6である)であり得る。代表的なアルキレン基として、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、sec-ブチレン、ペンチレンおよびヘキシレンが挙げられるが、それらに限定されない。アルキレン基は、置換または非置換であり得る。いくつかの実施形態では、アルキレン基は、1~2個の置換基で置換されている。非限定的な例として、好適な置換基には、ハロゲンおよびヒドロキシルが含まれる。
【0064】
「ヘテロアルキル」という用語は、単独でまたは別の用語との組合せで、別段記述されない限り、少なくとも1個の炭素原子および少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、O、N、P、Si、およびS)を含む安定な直鎖もしくは分岐鎖、またはそれらの組合せを意味し、ここで窒素原子および硫黄原子は必要に応じて酸化され得、窒素ヘテロ原子は必要に応じて四級化され得る。ヘテロ原子(複数可)(例えば、O、N、S、Si、またはP)は、ヘテロアルキル基の任意の内部位置に、またはアルキル基が分子の残部に結合している位置に置かれ得る。ヘテロアルキルは、環化していない鎖である。例として、-CH-CH-O-CH、-CH-CH-NH-CH、-CH-CH-N(CH)-CH、-CH-S-CH-CH、-CH-S-CH、-S(O)-CH、-CH-CH-S(O)-CH、-CH=CH-O-CH、-Si(CH、-CH-CH=N-OCH、-CH=CH-N(CH)-CH、-O-CH、-O-CH-CH、および-CNが挙げられるが、それらに限定されない。2個または3個までのヘテロ原子が連続していてよく、例えば、-CH-NH-OCHおよび-CH2-O-Si(CHなどである。ヘテロアルキル部分は、1個のヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si、またはP)を含み得る。ヘテロアルキル部分は、必要に応じて異なる2個のヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si、またはP)を含み得る。ヘテロアルキル部分は、必要に応じて異なる3個のヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si、またはP)を含み得る。ヘテロアルキル部分は、必要に応じて異なる4個のヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si、またはP)を含み得る。ヘテロアルキル部分は、必要に応じて異なる5個のヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si、またはP)を含み得る。ヘテロアルキル部分は、必要に応じて異なる8個までのヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si、またはP)を含み得る。
【0065】
同様に、「ヘテロアルキレン」という用語は、単独でまたは別の置換基の一部として、別段記述されない限り、限定されるものではないが-CH-CH-S-CH-CH-および-CH-S-CH-CH-NH-CH-によって例示される通り、ヘテロアルキルから誘導される二価のラジカルを意味する。ヘテロアルキレン基について、ヘテロ原子は、鎖末端のいずれかまたは両方を占めることもできる(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。またさらに、アルキレンおよびヘテロアルキレン連結基について、連結基の式が書かれている方向によって連結基の配向が暗示されるものではない。例えば、式-C(O)2R’-は、-C(O)2R’-および-R’C(O)2-の両方を表す。前述の通り、ヘテロアルキル基には、本明細書で使用される場合、ヘテロ原子を介して分子の残部に結合している基、例えば、-C(O)R’、-C(O)NR’、-NR’R’’、-OR’、-SR’、および/または-SOR’が含まれる。「ヘテロアルキル」が記載されており、続いて特定のヘテロアルキル基、例えば-NR’R’’などが記載されている場合、ヘテロアルキルという用語および-NR’R’’は、重複するものではなく、互いに排他的なものでもないことを理解されよう。むしろ、特定のヘテロアルキル基は、明確さを加えるために記載される。したがって、「ヘテロアルキル」という用語は、本明細書では、特定のヘテロアルキル基、例えば-NR’R’’などを除外するものとして解釈されるべきではない。
【0066】
「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」という用語は、単独でまたは他の用語との組合せで、別段記述されない限り、それぞれ「アルキル」および「ヘテロアルキル」の環式バージョンを意味する。シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルは芳香族ではない。加えて、ヘテロシクロアルキルについて、ヘテロ原子は、複素環が分子の残部に結合している位置を占めることができる。シクロアルキルの例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-シクロヘキセニル、3-シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどが挙げられるが、それらに限定されない。ヘテロシクロアルキルの例として、1-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジル)、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-モルホリニル、3-モルホリニル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロチエン-2-イル、テトラヒドロチエン-3-イル、1-ピペラジニル、2-ピペラジニルなどが挙げられるが、それらに限定されない。「シクロアルキレン」および「ヘテロシクロアルキレン」は、単独でまたは別の置換基の一部として、それぞれシクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルから誘導される二価のラジカルを意味する。
【0067】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」は、3~10個の環原子、または指定された数の原子を含有する飽和環組立体(assembly)を指す。シクロアルキルは、任意の数の炭素、例えばC3~6、C4~6、C5~6、C3~8、C4~8、C5~8、C6~8を含むことができる。シクロアルキル環は飽和していてよく、または不飽和シクロアルキル環が1個もしくは2個の二重結合を有することができる場合、不飽和であってもよい。シクロアルキル環には、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロオクチルが含まれる。シクロアルキル基は、置換または非置換であり得る。いくつかの実施形態では、「シクロアルキル」という用語は、単環式、二環式、または多環式シクロアルキル環系を意味する。いくつかの実施形態では、単環式環系は、3~8個の炭素原子を含有する環式炭化水素基であり、そのような基は、飽和または不飽和であり得るが、芳香族ではない。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基は、完全に飽和している。単環式シクロアルキルの例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが挙げられる。二環式シクロアルキル環系は、架橋単環式環または縮合二環式環である。いくつかの実施形態では、架橋単環式環は、単環式環の隣接していない2個の炭素原子が、1~3個の間のさらなる炭素原子のアルキレン架橋(すなわち、形態(CH)wの架橋基、ここでwは、1、2、または3である)によって連結している単環式シクロアルキル環を含有する。二環式環系の代表例として、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、およびビシクロ[4.2.1]ノナンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0068】
いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、ヘテロシクリルである。本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」、「複素環式」、または「ヘテロシクロアルキル」という用語は、飽和しているかまたは部分的に飽和しており、単環式または多環式環であり、3~16個、最も好ましくは5~10個、最も好ましくは1個または4個の環原子を有しており、1つまたは複数、好ましくは1~4個、特に1個または2個の環原子が酸素、窒素および硫黄から選択されるヘテロ原子である(それゆえに、残りの環原子は炭素である)、複素環式基を指す。ヘテロシクリルという用語は、ヘテロアリールを除外する。複素環式基は、酸素、窒素および硫黄から選択されるヘテロ原子、または炭素原子を介して分子の残部に結合することができる。ヘテロシクリルには、縮合または架橋環、およびスピロ環式環が含まれ得る。ヘテロシクリルの例として、ジヒドロフラニル、ジオキソラニル、ジオキサニル、ジチアニル、ピペラジニル、ピロリジン、ジヒドロピラニル、オキサチオラニル、ジチオラン、オキサチアニル、チオモルホリノ、オキシラニル、アジリジニル、オキセタニル、オキセパニル、アゼチジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリノ、ピペラジニル、アゼピニル、オキサピニル(oxapinyl)、オキサアゼパニル(oxaazepanyl)、オキサチアニル、チエパニル、アゼパニル、ジオキセパニル、およびジアゼパニルが挙げられる。
【0069】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を指す。
【0070】
本明細書で使用される場合、「アリール」という用語は、任意の好適な数の環原子および任意の好適な数の環を有する芳香族環系を指す。アリール基は、任意の好適な数の環原子、例えば6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個または16個の環原子、および6~10個の環員、6~12個の環員または6~14個の環員を含むことができる。アリール基は、単環式であってもよく、縮合して二環式もしくは三環式基を形成することもでき、または結合によって連結してビアリール基を形成することもできる。代表的なアリール基として、フェニル、ナフチルおよびビフェニルが挙げられる。他のアリール基として、メチレン連結基を有するベンジルが挙げられる。一部のアリール基は、6~12個の環員、例えばフェニル、ナフチルまたはビフェニルを有する。他のアリール基は、6~10個の環員、例えばフェニルまたはナフチルを有する。他の一部のアリール基は、6個の環員、例えばフェニルを有する。アリール基は、置換または非置換であり得る。
【0071】
「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1個のヘテロ原子、例えばN、O、またはSを含有するアリール基(または環)を指し、ここで窒素原子および硫黄原子は必要に応じて酸化されており、窒素原子(複数可)は必要に応じて四級化されている。限定されるものではないが、B、Al、SiおよびPを含むさらなるヘテロ原子も有用であり得る。ヘテロアリール基は、任意の数の環原子、例えば3~6個の環員、4~6個の環員、5~6個の環員、3~8個の環員、4~8個の環員、5~8個の環員、6~8個の環員、3~9個の環員、3~10個の環員、3~11個の環員、または3~12個の環員を含むことができる。任意の好適な数、例えば1個、2個、3個、4個もしくは5個、または1~2個、1~3個、1~4個、1~5個、2~3個、2~4個、2~5個、3~4個もしくは3~5個のヘテロ原子が、ヘテロアリール基に含まれ得る。ヘテロアリール基は、5~9個の環員および1~4個のヘテロ原子、または5~9個の環員および1~3個のヘテロ原子、または5~6個の環員および1~4個のヘテロ原子、または5~6個の環員および1~3個のヘテロ原子を有することができる。ヘテロアリール基には、ピロール、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン(1,2,3-、1,2,4-および1,3,5-異性体)、プリンなどの基が含まれ得る。ヘテロアリール基はまた、芳香族環系、例えばフェニル環に縮合して、限定されるものではないが、ベンゾピロール、例えばインドールおよびイソインドール、ベンゾピリジン、例えばキノリンおよびイソキノリン、ベンゾピラジン(キノキサリン)、ベンゾピリミジン(キナゾリン)、ベンゾピリダジン、例えばフタラジンおよびシンノリン、ベンゾチオフェン、ならびにベンゾフランを含むメンバーを形成することができる。他のヘテロアリール基には、結合によって連結したヘテロアリール環、例えばビピリジンが含まれる。ヘテロアリール基は、置換または非置換であり得る。
【0072】
「アリーレン」および「ヘテロアリーレン」は、単独でまたは別の置換基の一部として、それぞれアリールおよびヘテロアリールから誘導される二価のラジカルを意味する。ヘテロアリール基の置換基は、環ヘテロ原子窒素に-O-で結合し得る。
【0073】
記号
【化10】
は、分子または化学式の残部への化学的部分の結合点を示す。
【0074】
「オキソ」という用語は、本明細書で使用される場合、二重結合によって結合点に結合している酸素原子(=O)を意味する。「チオ」という用語は、本明細書で使用される場合、二重結合によって結合点に結合している硫黄原子(=S)を意味する。
【0075】
上記の用語(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」および「ヘテロアリール」)のそれぞれは、指定されたラジカルの置換形態と非置換形態の両方を含む。ラジカルのタイプごとに好ましい置換基を、以下に提供する。
【0076】
「置換基」は、本明細書で使用される場合、以下の部分から選択される基を意味する:
(A)オキソ、チオ、ハロゲン、-CCl、-CBr、-CF、-CI、-CHCl、-CHBr、-CHF、-CHI、-CHCl、-CHBr、-CHF、-CHI、-CN、-OH、-NH、-COOH、-CONH、-NO、-SH、-SOH、-SOH、-SONH、-NHNH、-ONH、-NHC(O)NHNH、-NHC(O)NH、-NHSOH、-NHC(O)H、-NHC(O)OH、-NHOH、-OCCl、-OCF、-OCBr、-OCI、-OCHCl、-OCHBr、-OCHI、-OCHF、-N、非置換アルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル、またはC~Cアルキル)、非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員ヘテロアルキル、2~6員ヘテロアルキル、または2~4員ヘテロアルキル)、非置換シクロアルキル(例えば、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルキル、またはC~Cシクロアルキル)、非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員ヘテロシクロアルキル、3~6員ヘテロシクロアルキル、または5~6員ヘテロシクロアルキル)、非置換アリール(例えば、C~C10アリール、C10アリール、またはフェニル)、または非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員ヘテロアリール、5~9員ヘテロアリール、または5~6員ヘテロアリール)、および
(B)アルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル、またはC~Cアルキル)、ヘテロアルキル(例えば、2~8員ヘテロアルキル、2~6員ヘテロアルキル、または2~4員ヘテロアルキル)、シクロアルキル(例えば、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルキル、またはC~Cシクロアルキル)、ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員ヘテロシクロアルキル、3~6員ヘテロシクロアルキル、または5~6員ヘテロシクロアルキル)、アリール(例えば、C~C10アリール、C10アリール、またはフェニル)、ヘテロアリール(例えば、5~10員ヘテロアリール、5~9員ヘテロアリール、または5~6員ヘテロアリール)[以下から選択される少なくとも1個の置換基で置換されている:
(i)オキソ、チオ、ハロゲン、-CCl、-CBr、-CF、-CI、-CHCl、-CHBr、-CHF、-CHI、-CHCl、-CHBr、-CHF、-CHI、-CN、-OH、-NH、-COOH、-CONH、-NO、-SH、-SOH、-SOH、-SONH、-NHNH、-ONH、-NHC(O)NHNH、-NHC(O)NH、-NHSOH、-NHC(O)H、-NHC(O)OH、-NHOH、-OCCl、-OCF、-OCBr、-OCI、-OCHCl、-OCHBr、-OCHI、-OCHF、-N、非置換アルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル、またはC~Cアルキル)、非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員ヘテロアルキル、2~6員ヘテロアルキル、または2~4員ヘテロアルキル)、非置換シクロアルキル(例えば、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルキル、またはC~Cシクロアルキル)、非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員ヘテロシクロアルキル、3~6員ヘテロシクロアルキル、または5~6員ヘテロシクロアルキル)、非置換アリール(例えば、C~C10アリール、C10アリール、またはフェニル)、または非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員ヘテロアリール、5~9員ヘテロアリール、または5~6員ヘテロアリール)、および
(ii)アルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル、またはC~Cアルキル)、ヘテロアルキル(例えば、2~8員ヘテロアルキル、2~6員ヘテロアルキル、または2~4員ヘテロアルキル)、シクロアルキル(例えば、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルキル、またはC~Cシクロアルキル)、ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員ヘテロシクロアルキル、3~6員ヘテロシクロアルキル、または5~6員ヘテロシクロアルキル)、アリール(例えば、C~C10アリール、C10アリール、またはフェニル)、ヘテロアリール(例えば、5~10員ヘテロアリール、5~9員ヘテロアリール、または5~6員ヘテロアリール)((i)の基から選択された少なくとも1個の置換基で置換されている)]。
【0077】
本開示のある特定の化合物は、不斉炭素原子(光学中心)または二重結合を有しており、ラセミ体、ジアステレオマー、幾何異性体、位置異性体および個々の異性体(例えば、別個の鏡像異性体)は、すべて本開示の範囲内に包含されることが意図される。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、他の形態を実質的に含まない特定の鏡像異性体、アノマー、またはジアステレオマーである。
【0078】
「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」という用語は、本明細書で使用される場合、1つまたは複数を意味し、文脈により別段明確に指し示されない限り、複数形も同様に含むことが意図される。
【0079】
例えば、「で置換されている」という句は、本明細書で使用される場合、特定された基が、名称が挙げられている置換基のいずれかまたはすべてのうちの1つまたは複数で置換され得ることを意味する。例えば、アルキルまたはヘテロアリール基などの基が、「非置換C~C20アルキル、または非置換2~20員ヘテロアルキルで置換されている」場合、その基は、1つもしくは複数の非置換C~C20アルキル、および/または1つもしくは複数の非置換2~20員ヘテロアルキルを含有し得る。
【0080】
本開示の化合物、またはその薬学的に許容される塩の説明は、当業者に公知の化学結合の原理によって制限される。したがって、ある基がいくつかの置換基のうちの1つまたは複数によって置換され得る場合、そのような置換は、化学結合の原理に従うように、本来的に不安定でなく、ならびに/または周囲条件、例えば水性、中性およびいくつかの公知の生理的条件下では不安定になる可能性が高いものとして当業者に公知であると思われる化合物をもたらすように選択される。例えば、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールは、当業者に公知の化学結合の原理に従って環ヘテロ原子を介して分子の残部に結合し、それによって本来的に不安定な化合物を回避する。
【0081】
「溶液」という用語は、少量の構成成分(例えば、溶質または化合物)が、多量の構成成分(例えば、溶媒)内に均一に分布している液体混合物を指す。
【0082】
「結合する(bind)」、「結合している(bound)」、「付着する(affix)」、「付着されている(affixed)」、「結合する(attach)」、または「結合している(attached)」という用語は、本明細書で使用される場合、その単純な通常の意味に従って使用され、原子または分子の間の会合を指す。会合は、直接的であっても間接的であってもよい。例えば、結合した原子または分子は、例えば共有結合もしくはリンカー(例えば、第1のリンカーまたは第2のリンカー)による直接的なもの、または例えば非共有結合(例えば、静電相互作用(例えば、イオン結合、水素結合、ハロゲン結合)、ファンデルワールス相互作用(例えば、双極子-双極子、双極子-誘起双極子、ロンドン分散力)、環スタッキング(パイ効果)、疎水性相互反応など)による間接的なものであり得る。
【0083】
「薬学的に許容される塩」という用語は、本明細書に記載される化合物上に見出される特定の置換基に応じて、相対的に非毒性の酸または塩基を用いて調製される活性化合物の塩を含むことを意味する。本開示の化合物が相対的に酸性の官能基を含有している場合、塩基付加塩は、そのような化合物の中性形態を、無希釈で、または好適な不活性溶媒中でのいずれかで、十分な量の所望の塩基と接触させることによって得ることができる。薬学的に許容される無機塩基から誘導される塩の例として、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄(III)、鉄(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)、マンガン(II)、カリウム、ナトリウム、亜鉛などが挙げられる。薬学的に許容される有機塩基から誘導される塩には、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの置換アミン、環状アミン、天然に生じるアミンなどを含む第一級、第二級および第三級アミンの塩が含まれる。本開示の化合物が、相対的に塩基性の官能基を含有している場合、酸付加塩は、そのような化合物の中性形態を、無希釈で、または好適な不活性溶媒中でのいずれかで、十分な量の所望の酸と接触させることによって得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の例として、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸一水素(monohydrogencarbonic)、リン酸、リン酸一水素(monohydrogenphosphoric)、リン酸二水素(dihydrogenphosphoric)、硫酸、硫酸一水素(monohydrogensulfuric)、ヨウ化水素酸、または亜リン酸などから誘導されるもの、ならびに相対的に非毒性の有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などから誘導される塩が挙げられる。また、アミノ酸の塩、例えばアルギン酸塩(arginate)など、および有機酸、例えばグルクロン酸またはガラクツロン(galactunoric)酸などの塩が含まれる(例えば、Berge, S.M., et al, "Pharmaceutical Salts", Journal of Pharmaceutical Science, 1977, 66, 1-19を参照されたい)。本開示のある特定の化合物は、その化合物が塩基付加塩または酸付加塩のいずれかに変換されることを可能にする塩基性官能基と酸性官能基の両方を含有する。
【0084】
化合物の中性形態は、塩を塩基または酸と接触させ、従来の方式で親化合物を単離することによって再生され得る。化合物の親形態は、ある特定の物理的特性、例えば極性溶媒への溶解度において、種々の塩形態とは異なるが、本開示の目的では、塩は、その他の点では化合物の親形態に等価である。
【0085】
「調製」という用語は、カプセルを提供する担体としてカプセル化材料を用いる活性化合物の製剤化を含むことが意図され、このカプセルにおいて活性成分は、他の担体の有無に関わらず、ある担体によって取り囲まれ、したがって、それによって活性成分がその担体と会合している。同様に、カシェ剤および舐剤が含まれる。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤、および舐剤は、経口投与に好適な固体剤形として使用され得る。
【0086】
本開示では、「含む(comprises)」、「含むこと(comprising)」、「含有すること(containing)」および「有すること(having)」などは、米国特許法においてそれらに帰する意味を有することができ、「含む(includes)」、「含むこと(including)」などを意味することができる。「から本質的になる(consisting essentially of)」または「から本質的になる(consists essentially)」も同様に、米国特許法に帰する意味を有し、この用語はオープンエンドであり、列挙されている基本的なまたは新規な特徴が、列挙されている以外のものの存在によって変化しない限り、列挙されている以外のものの存在を可能にするが、従来技術の実施形態は除外する。
【0087】
本開示の化合物を合成するために利用されるすべての出発材料、構成要素、試薬、酸、塩基、脱水剤、溶媒、および触媒(例えば、実施例1)は、商業的に入手可能であるか、または当業者に公知の有機合成法によって生成することができる。
【0088】
一態様では、以下の部分:
(i)キレートリガンド部分(CL)、
(ii)光学プローブ部分(OP)、および
(iii)生物学的標的化部分(BT)
を含む化合物、またはその薬学的に許容される塩が提供される。
【0089】
いくつかの実施形態では、化合物は、フッ素原子担持部分(FCM)をさらに含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、化合物は、フッ素原子担持部分(FCM)を含まない。
【0091】
一態様では、以下の部分:
(i)フッ素原子担持部分(FCM)、
(ii)キレートリガンド部分(CL)、
(iii)光学プローブ部分(OP)、および
(iv)生物学的標的化部分(BT)
を含む化合物、またはその薬学的に許容される塩が提供される。
【0092】
いくつかの実施形態では、化合物は、金属イオンをさらに含む。いくつかの実施形態では、金属イオンは、キレートリガンド(CL)に結合する。いくつかの実施形態では、金属イオンは、Y、I、Lu、Sm、Re、Re、Cu、Pb、Ho、Sc、Ac、Bi、Bi、At、Pb、Th、およびRaから選択される金属の放射活性または非放射活性同位体から選択される。いくつかの実施形態では、金属イオンは、177Lu、225Ac、またはガドリニウム(Ga)のカチオンである。いくつかの実施形態では、金属イオンは、125Iまたは64Cuである。いくつかの実施形態では、125Iまたは64Cuに結合したCL部分を含む化合物は、PET画像化に特に有用である。いくつかの実施形態では、金属イオンは、90Yである。いくつかの実施形態では、90Yに結合したCL部分を含む化合物は、SPECT画像化に特に有用である。
【0093】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物の(i)~(iv)の部分のそれぞれは、L、L、L、L、L、LおよびLから選択される1つまたは複数のリンカーによって、少なくとも1個の他の部分に結合している。
【0094】
は、結合、-L1A、-L1A-L1B-、-L1A-L1B-L1C-、-L1AC(O)NR111B-、-L1ANR111B-、-L1AC(O)L1B-、-L1AC(O)OL1B-、-L1AOC(O)L1B-、-L1A(OL1Bn1-、-L1ANR11C(O)L1B-、-L1ANR11C(O)OL1B-、または-L1ANR11(OL1Bn1-である。
【0095】
は、結合、-L2A、-L2A-L2B-、-L2A-2B-L2C-、-L2AC(O)NR122B-、-L2ANR122B-、-L2AC(O)L2B-、-L2AC(O)OL2B-、-L2AOC(O)L2B-、-L2A(OL2Bn2-、-L2ANR12C(O)L2B-、-L2ANR12C(O)OL2B-、または-L2ANR12(OL2Bn2-である。
【0096】
は、結合、-L3A、-L3A-L3B- -L3A-L3B-L3C-、-L3AC(O)NR133B-、-L3ANR133B-、-L3AC(O)L3B-、-L3AC(O)OL3B-、-L3AOC(O)L3B-、-L3A(OL3Bn3-、-L3ANR13C(O)L3B-、-L3ANR13C(O)OL3B-、または-L3ANR13(OL3Bn3-である。
【0097】
は、結合、-L4A、-L4A-L4B-、-L4A-L4B-L4C-、-L4AC(O)NR144B-、-L4ANR144B-、-L4AC(O)L4B-、-L4AC(O)OL4B-、-L4AOC(O)L4B-、-L4A(OL4Bn4-、-L4ANR14C(O)L4B-、-L4ANR14C(O)OL4B-、または-L4ANR14(OL4Bn4-である。
【0098】
は、
【化11】
である。
【0099】
は、
【化12】
である。
【0100】
は、
【化13】
である。
【0101】
各L1A、L1B、L1C、L2A、L2B、L2C、L3A、L3B、L3C、L4A、L4B、L4C、L5A、L5B、L6A、L6B、L7A、およびL7Bは、独立に、結合、置換もしくは非置換アルキレン、置換もしくは非置換ヘテロアルキレン、置換もしくは非置換シクロアルキレン、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキレン、置換もしくは非置換アリーレン、または置換もしくは非置換ヘテロアリーレンである。
【0102】
各R11、R12、R13、R14、R15、およびR16は、独立に、水素、および非置換アルキルである。
【0103】
各n1、n2、n3、n4、n5、n6およびn7は、独立に、0~20の整数である。
【0104】
いくつかの実施形態では、各L1A、L1B、L1C、L2A、L2B、L2C、L3A、L3B、L3C、L4A、L4B、およびL4Cは、独立に、結合、非置換C~C12アルキレン、非置換2~12員ヘテロアルキレン、非置換C~C12シクロアルキレン、非置換5~12員ヘテロシクロアルキレン、非置換フェニレン、または非置換5~12員ヘテロアリーレンである。
【0105】
いくつかの実施形態では、FCMは、1つまたは複数のF18およびF19を含む。いくつかの実施形態では、FCMは、1つまたは複数のF18およびF19を含む-BF-および/または-BFを含む。いくつかの実施形態では、FCMは、例えば、
【化14】
を含み、Fのうちの1つまたは複数は、F18/F19である。
【0106】
いくつかの実施形態では、FCMは、-BF-および/または-BF部分を含み、-BF-および/または-BF部分は、2つまたはそれよりも多いF18を含む。いくつかの実施形態では、-BF-部分は、2つのF18を含む。いくつかの実施形態では、-BF部分は、2つのF18を含む。いくつかの実施形態では、-BF部分は、3つのF18を含む。
【0107】
いくつかの実施形態では、FCMは、-BF-および/または-BF部分を含み、-BF-および/または-BF部分は、2つまたはそれよりも多いF19を含む。いくつかの実施形態では、-BF-部分は、2つのF19を含む。いくつかの実施形態では、-BF部分は、2つのF19を含む。いくつかの実施形態では、-BF部分は、3つのF19を含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、OPは、本明細書に記載される通りの1種または複数種のフルオロフォアを含む。いくつかの実施形態では、OPは、シアニンベースのフルオロフォアおよびキサンテンベースのフルオロフォアを含む。いくつかの実施形態では、OPは、蛍光または光を吸収する1種または複数種の色素およびそれらの誘導体を含む。いくつかの実施形態では、OPは、Cy2、Cy3、Cy3B、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、またはCy9(シアニンベースのフルオロフォア)を含む。いくつかの実施形態では、OPは、ローダミンを含む。いくつかの実施形態では、OPは、アゾ色素、例えば、エバンスブルー(6,6’-{(3,3’-ジメチル[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジイル)ビス[ジアゼン-2,1-ジイル]}ビス(4-アミノ-5-ヒドロキシナフタレン-1,3-ジスルホネートの四ナトリウム塩)およびイソスルファンブルー(リンファズリン)を含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、BTは、小分子、プロドラッグ、細胞、血液細胞、ペプチド、オリゴ糖、核酸、アプタマー、標的化剤、抗体、および抗体断片から選択される1つまたは複数のものを含む。いくつかの実施形態では、BTは、前立腺特異的膜抗原(PSMA)標的化剤、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)阻害剤、フィブロネクチンまたはインテグリン標的化剤、ソマトスタチン標的化ペプチド、ペンチキサホルケモカイン受容体、抗体、抗体断片、再設計(reengineered)抗体T細胞、およびヘパリンから選択される1つまたは複数のものを含むが、それらに限定されない。例示的なBTは図4に示されているが、例はそれらに限定されない。
【0110】
いくつかの実施形態では、BTは、二価または三価の対カチオンを含まない。いくつかの実施形態では、BTは、単一の反応性アミンを含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される通りの化合物の合成におけるBTは、その生物学的機能に必要な1つまたは複数のアミンを含有し得る。いくつかの実施形態では、BTは、化学的に保護されている酸基(例えば、カルボン酸基)を含み得る。いくつかの実施形態では、BTは、化合物の合成におけるハロメチルボロン酸ピナコールエステルと第三級アミンの反応、例えば図3Cのステップeを妨害する、非保護第二級もしくは第一級アミンまたは酸を含有しないかもしれない。
【0111】
いくつかの実施形態では、PSMA標的化剤は、
【化15】
の部分を含む。いくつかの実施形態では、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)阻害剤は、
【化16】
の部分を含む。いくつかの実施形態では、フィブロネクチンまたはインテグリン標的化剤は、
【化17】
の部分を含む。いくつかの実施形態では、ペンチキサホルケモカイン受容体は、
【化18】
の部分を含む。いくつかの実施形態では、ソマトスタチン標的化ペプチド(例えば、SSTR2)は、
【化19】
の部分を含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、BTは、
【化20】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0113】
いくつかの実施形態では、CLは、エチレンジアミン、アミノエチルチオールまたは六座リガンドを含有する1つまたは複数の非環式または大環状誘導体を含む。いくつかの実施形態では、CLは、ドデカン四酢酸(DOTA)、ニトロ-DOTA、4-アミノフェニルエチル-1,4,7,10-テトラアザシクロデカン-N,N’,N’’,N’’’-四酢酸(PA-DOTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、(2-[4,7-ビス(カルボキシメチル)-1,4,7-トリアゾナン-1-イル]酢酸)NOTA、(トリエチレンテトラミン)TETA、デスフェリオキサミン、(エチレンジアミン四酢酸)EDTA、およびペニシラミン、またはその薬学的に許容される塩のうちの1つまたは複数のものを含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(I)の構造
【化21】
を有することができる。FCM、CL、OP、BT、L、L、L、LおよびLは、前述の通りである。
【0115】
いくつかの実施形態では、Lは、
【化22】
である。
【0116】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(I-a)の構造
【化23】
を有することができる。FCM、CL、OP、BT、L、L、L、およびLは、前述されている。
【0117】
いくつかの実施形態では、式(I)または(I-a)において、Lは、-L1A-L1B-L1C-である。いくつかの実施形態では、L1Aは、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、L1Bは、非置換フェニレンである。いくつかの実施形態では、L1Cは、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレンである。
【0118】
いくつかの実施形態では、L1Aは、非置換C~C12アルキレンであり、L1Bは、非置換フェニレンであり、L1Cは、オキソ置換またはチオ置換または非置換2~12員ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、L1Aは、メチレンである。いくつかの実施形態では、L1Aは、オキソ置換またはチオ置換または非置換2~12員ヘテロアルキレンであり、L1Bは、非置換フェニレンであり、L1Cは、非置換C~C12アルキレンである。いくつかの実施形態では、L2Cは、メチレンである。いくつかの実施形態では、Lは、
【化24】
である。
【0119】
いくつかの実施形態では、Lは、-L1AC(O)NR111B-、または-L1ANR11C(O)L1B-である。いくつかの実施形態では、L1AおよびL1Bは、独立に、非置換C~C12アルキレン、または非置換フェニレンである。いくつかの実施形態では、L1Aは、非置換C~C12アルキレンであり、L1Bは、非置換フェニレンである。いくつかの実施形態では、L1Aは、非置換フェニレンであり、L1Bは、非置換C~C12アルキレンである。いくつかの実施形態では、R11は、水素である。いくつかの実施形態では、Lは、
【化25】
である。
【0120】
いくつかの実施形態では、Lは、非置換C~C12アルキレンである。いくつかの実施形態では、Lは、非置換C~C12アルキレンである。いくつかの実施形態では、各LおよびLは、独立に、非置換C~C12アルキレンである。
【0121】
いくつかの実施形態では、Lは、非置換C~C12アルキレンまたは-L4ANC(O)L4B-である。いくつかの実施形態では、L4AおよびL4Bは、独立に、結合、または非置換C~C12アルキレンである。いくつかの実施形態では、L4Aは、結合であり、L4Bは、非置換C~C12アルキレンである。いくつかの実施形態では、L4Aは、非置換C~C12アルキレンであり、L4Bは、結合である。
【0122】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(I-a-1)の構造
【化26】
を有することができる。FCM、OP、BT、L1A、L1C、L、L、およびLは、前述されている。
【0123】
いくつかの実施形態では、L1Aは、オキソ置換または非置換2~12員ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、L1Cは、非置換C~C12アルキレンである。
【0124】
いくつかの実施形態では、L1Aは、
【化27】
である。
【0125】
いくつかの実施形態では、L1Cは、非置換メチレンである。いくつかの実施形態では、L1Cは、非置換エチレンである。
【0126】
いくつかの実施形態では、化合物は、
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0127】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(II)の構造
【化33】
を有することができる。FCM、CL、OP、BT、L、L、L、LおよびLは、前述されている。
【0128】
いくつかの実施形態では、Lは、結合、または非置換C~C12アルキレンである。いくつかの実施形態では、Lは、結合である。いくつかの実施形態では、Lは、メチレンである。
【0129】
いくつかの実施形態では、Lは、
【化34】
である。
【0130】
いくつかの実施形態では、Lは、-L2A-L2B-L2C-である。いくつかの実施形態では、各L2A、L2B、およびL2Cは、独立に、結合、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換5~10員ヘテロアルキルである。いくつかの実施形態では、L2Aは、結合、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換5~10員ヘテロアルキルである。いくつかの実施形態では、L2Bは、結合、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換5~10員ヘテロアルキルである。いくつかの実施形態では、L2Cは、結合、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換5~10員ヘテロアルキルである。
【0131】
いくつかの実施形態では、Lは、-L3A-L3B-L3C-である。いくつかの実施形態では、L3Aは、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、L3Bは、非置換フェニレンである。いくつかの実施形態では、L3Cは、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレンである。
【0132】
いくつかの実施形態では、L3Aは、非置換C~C12アルキレンであり、L3Bは、非置換フェニレンであり、L3Cは、オキソ置換またはチオ置換または非置換2~12員ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、L3Aは、メチレンである。いくつかの実施形態では、L3Aは、オキソ置換またはチオ置換または非置換2~12員ヘテロアルキレンであり、L3Bは、非置換フェニレンであり、L3Cは、非置換C~C12アルキレンである。いくつかの実施形態では、L3Cは、メチレンである。
【0133】
いくつかの実施形態では、Lは、-L4A-L4B-L4C-である。いくつかの実施形態では、L4Aは、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、L4Bは、非置換フェニレンである。いくつかの実施形態では、L4Cは、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレンである。
【0134】
いくつかの実施形態では、L4Aは、非置換C~C12アルキレンであり、L4Bは、非置換フェニレンであり、L4Cは、オキソ置換またはチオ置換または非置換2~12員ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、L4Aは、メチレンである。いくつかの実施形態では、L4Aは、オキソ置換またはチオ置換または非置換2~12員ヘテロアルキレンであり、L4Bは、非置換フェニレンであり、L4Cは、非置換C~C12アルキレンである。いくつかの実施形態では、L4Cは、メチレンである。
【0135】
いくつかの実施形態では、化合物は、
【化35】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0136】
いくつかの実施形態では、化合物は、
【化36】
の構造を有することができる。FCM、CL、OP、BT、L、L、LおよびLは、前述されている。
【0137】
いくつかの実施形態では、式(III)において、Lは、-L1A-L1B-L1C-である。いくつかの実施形態では、L1Aは、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、L1Bは、非置換フェニレンである。いくつかの実施形態では、L1Cは、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレンである。
【0138】
いくつかの実施形態では、L1Aは、非置換C~C12アルキレンであり、L1Bは、非置換フェニレンであり、L1Cは、オキソ置換またはチオ置換または非置換2~12員ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、L1Aは、メチレンである。いくつかの実施形態では、L1Aは、オキソ置換またはチオ置換または非置換2~12員ヘテロアルキレンであり、L1Bは、非置換フェニレンであり、L1Cは、非置換C~C12アルキレンである。いくつかの実施形態では、L1Cは、メチレンである。いくつかの実施形態では、Lは、
【化37】
である。
【0139】
いくつかの実施形態では、Lは、-L1AC(O)NR111B-、または-L1ANR11C(O)L1B-である。いくつかの実施形態では、L1AおよびL1Bは、独立に、非置換C~C12アルキレン、または非置換フェニレンである。いくつかの実施形態では、L1Aは、非置換C~C12アルキレンであり、L1Bは、非置換フェニレンである。いくつかの実施形態では、L1Aは、非置換フェニレンであり、L1Bは、非置換C~C12アルキレンである。いくつかの実施形態では、R11は、水素である。いくつかの実施形態では、Lは、
【化38】
である。
【0140】
いくつかの実施形態では、Lは、非置換C~C12アルキレンである。
【0141】
いくつかの実施形態では、Lは、
【化39】
である。いくつかの実施形態では、L5AおよびL5Bは、独立に、結合、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換5~10員ヘテロアルキルである。いくつかの実施形態では、L5Aは、結合、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換5~10員ヘテロアルキルである。いくつかの実施形態では、L5Bは、結合、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換5~10員ヘテロアルキルである。
【0142】
いくつかの実施形態では、Lは、
【化40】
である。いくつかの実施形態では、Lは、
【化41】
である。いくつかの実施形態では、L-Lは、
【化42】
である。
【0143】
いくつかの実施形態では、化合物は、
【化43】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0144】
いくつかの実施形態では、化合物は、
【化44】
の構造を有することができる。FCM、CL、OP、BT、L、L、LおよびLは、前述されている。
【0145】
いくつかの実施形態では、式(IV-a)または(IV-b)において、Lは、-L2A-L2B-L2C-である。いくつかの実施形態では、L2Aは、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、L2Bは、非置換フェニレンである。いくつかの実施形態では、L2Cは、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレンである。
【0146】
いくつかの実施形態では、L2Aは、非置換C~C12アルキレンであり、L2Bは、非置換フェニレンであり、L2Cは、オキソ置換またはチオ置換または非置換2~12員ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、L2Aは、メチレンである。いくつかの実施形態では、L2Aは、オキソ置換またはチオ置換または非置換2~12員ヘテロアルキレンであり、L2Bは、非置換フェニレンであり、L2Cは、非置換C~C12アルキレンである。いくつかの実施形態では、L2Cは、メチレンである。いくつかの実施形態では、Lは、
【化45】
である。
【0147】
いくつかの実施形態では、式(IV-a)または(IV-b)において、Lは、-L3A-L3B-L3C-である。いくつかの実施形態では、L3Aは、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、L3Bは、非置換フェニレンである。いくつかの実施形態では、L3Cは、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレンである。
【0148】
いくつかの実施形態では、L3Aは、非置換C~C12アルキレンであり、L3Bは、非置換フェニレンであり、L3Cは、オキソ置換またはチオ置換または非置換2~12員ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、L3Aは、メチレンである。いくつかの実施形態では、L3Aは、オキソ置換またはチオ置換または非置換2~12員ヘテロアルキレンであり、L3Bは、非置換フェニレンであり、L3Cは、非置換C~C12アルキレンである。いくつかの実施形態では、L3Cは、メチレンである。いくつかの実施形態では、Lは、
【化46】
である。
【0149】
いくつかの実施形態では、Lは、-L3AC(O)NR133B-、または-L3ANR13C(O)L3B-である。いくつかの実施形態では、L3AおよびL3Bは、独立に、非置換C~C12アルキレン、または非置換フェニレンである。いくつかの実施形態では、L3Aは、非置換C~C12アルキレンであり、L3Bは、非置換フェニレンである。いくつかの実施形態では、L3Aは、非置換フェニレンであり、L3Bは、非置換C~C12アルキレンである。いくつかの実施形態では、R11は、水素である。いくつかの実施形態では、Lは、
【化47】
である。
【0150】
いくつかの実施形態では、Lは、-L4A-L4B、-L4AC(O)NR144B-、または-L4ANR14C(O)L4B-である。いくつかの実施形態では、各L4AおよびL4Bは、独立に、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、L4Aは、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、L4Bは、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレンである。
【0151】
いくつかの実施形態では、化合物は、
【化48】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0152】
いくつかの実施形態では、化合物は、
【化49】
の構造を有することができる。FCM、CL、OP、BT、L、L、L、およびLは、前述されている。
【0153】
いくつかの実施形態では、化合物は、
【化50】
の構造を有することができる。FCM、CL、OP、BT、L、L、L、およびLは、前述されている。
【0154】
【0155】
いくつかの実施形態では、式(V)において、Lは、
【化51】
である。いくつかの実施形態では、各L7AおよびL7Bは、独立に、結合、非置換C~C12アルキレン、オキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレン、または非置換フェニレンである。いくつかの実施形態では、L7Aは、結合、非置換C~C12アルキレン、オキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレン、または非置換フェニレンである。いくつかの実施形態では、L7Bは、結合、非置換C~C12アルキレン、オキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレン、または非置換フェニレンである。いくつかの実施形態では、Lは、
【化52】
である。
【0156】
いくつかの実施形態では、Lは、-L1A-L1B-L1C-である。いくつかの実施形態では、L1Aは、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、L1Bは、非置換フェニレンである。いくつかの実施形態では、L1Cは、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレンである。
【0157】
いくつかの実施形態では、L1Aは、非置換C~C12アルキレンであり、L1Bは、非置換フェニレンであり、L1Cは、オキソ置換またはチオ置換または非置換2~12員ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、L1Aは、メチレンである。いくつかの実施形態では、L1Aは、オキソ置換またはチオ置換または非置換2~12員ヘテロアルキレンであり、L1Bは、非置換フェニレンであり、L1Cは、非置換C~C12アルキレンである。いくつかの実施形態では、L1Cは、メチレンである。いくつかの実施形態では、Lは、
【化53】
である。
【0158】
いくつかの実施形態では、Lは、-L2A-L2B-L2C-である。いくつかの実施形態では、Lは、-L3A-L3B-L3C-である。いくつかの実施形態では、Lは、-L4A-L4B-L4C-である。いくつかの実施形態では、各L2A、L2B、L2C、L3A、L3B、L3C、L4A、L4B、およびL4Cは、独立に、結合、非置換C~C12アルキレン、またはオキソ置換もしくはチオ置換もしくは非置換2~12員ヘテロアルキレンである。
【0159】
いくつかの実施形態では、化合物は、
【化54】
【化55】
【化56】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0160】
いくつかの実施形態では、化合物は、
【化57】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0161】
いくつかの実施形態では、例示的な化合物は、以下の表1にまとめられる。
【表1-1】
【表1-2】
【0162】
一態様では、以下の部分:
(i)キレートリガンド部分(CL)、
(ii)光学プローブ部分(OP)、および
(iii)生物学的標的化部分(BT)
を含む化合物が提供され、化合物は、式(X)の構造を有する。
【0163】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(X)の構造
【化58】
を有する。CL、OP、BT、L、L、LおよびLは、前述されている。
【0164】
一部の実施形態では、化合物は、式(X-a)の構造
【化59】
を有する。CL、OP、BT、L、L、およびLは、前述されている。
【0165】
一部の実施形態では、化合物は、式(XI)の構造
【化60】
を有する。CL、OP、BT、L、L、L、およびLは、前述されている。
【0166】
一部の実施形態では、化合物は、式(XII)の構造
【化61】
を有する。CL、OP、BT、L、L、およびLは、前述されている。
【0167】
一部の実施形態では、化合物は、式(XIII-a)または(XIII-b)の構造
【化62】
を有する。CL、OP、BT、L、およびLは、前述されている。
【0168】
一部の実施形態では、化合物は、
【化63】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0169】
一部の実施形態では、化合物は、式(XIV-a)または(XIV-b)の構造
【化64】
を有する。CL、OP、BT、L、L、L、およびLは、前述されている。
【0170】
別の態様では、本明細書に記載される化合物の前駆体が提供される。いくつかの実施形態では、前駆体は、保護基(例えば、tert-ブチルオキシカルボニル(BOC)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、アセチル(Ac)、β-メトキシエトキシメチルエーテル(MEM)、ジメトキシトリチル、[ビス-(4-メトキシフェニル)フェニルメチル](DMT)、カルボベンジルオキシ(Cbz)、またはp-メトキシベンジルカルボニル(MozまたはMeOZ))を含む。いくつかの実施形態では、前駆体は、脱保護されて本明細書に記載される化合物を生成する。
【0171】
いくつかの実施形態では、前駆体は、構造
【化65】
【化66】
【化67】
【化68】
【化69】
【化70】
【化71】
【化72】
またはその薬学的に許容される塩を有する。
【0172】
いくつかの実施形態では、前駆体は、
【化73】
の構造またはその薬学的に許容される塩を有する。
【0173】
いくつかの実施形態では、前駆体は、
【化74】
の構造またはその薬学的に許容される塩を有する。
いくつかの実施形態では、前駆体は、
【化75】
の構造またはその薬学的に許容される塩を有する。
【0174】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物またはその前駆体は、金属原子またはその金属イオンをさらに含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される通りの化合物またはその前駆体は、金属原子/イオンが化合物のキレートリガンド部分(CL)に結合し得るように、金属原子またはそのイオンと化合する。
医薬組成物
【0175】
別の態様では、式(I)、(I-a)、(I-a-1)、(II)、(III)、(IV-a)、(IV-b)、(V-a)、(V-b)、(VI-a)、(VI-b)、(X)、(X-a)、(XI)、(XII)、(XIII-a)、(XIII-b)、(XIV-a)もしくは(XIV-b)の化合物、または本明細書に記載される下位実施形態、および1種または複数種の賦形剤または担体、好ましくは薬学的に許容される賦形剤または担体を含有する、医薬組成物(「組成物」)が提供される。
【0176】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という句は、正しい医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症なしにヒトおよび動物の組織と接触させて使用するのに好適な、合理的な損益比に見合う化合物、材料、組成物、担体、および/または剤形を指す。医薬組成物を調製するための賦形剤は、一般に、ヒトまたは動物の身体に投与した場合、安全であり非毒性であることが公知の賦形剤である。薬学的に許容される賦形剤の例として、滅菌液体、水、緩衝食塩水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、油、洗浄剤、懸濁化剤、炭水化物(例えば、グルコース、ラクトース、スクロースまたはデキストラン)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸またはグルタチオン)、キレート剤、低分子量タンパク質、および上述のもののいずれかの好適な混合物が挙げられるが、それらに限定されない。組成物において利用される特定の賦形剤は、製剤化される化合物の化学的安定性および溶解度、ならびに意図される投与経路を含む種々の因子に応じて決まる。
【0177】
医薬組成物は、バルクまたは単位剤形で提供され得る。投与の容易さおよび投与量の均一性のために、医薬組成物を単位剤形に製剤化することが特に有利である。「単位剤形」という用語は、処置される対象のための単位投与量として適した物理的に別々の単位を指し、各単位は、所望の治療効果を生じるように計算された所定の分量の活性化合物を、必要な薬学的担体と共に含有する。単位剤形は、アンプル、バイアル、坐剤、糖衣錠、錠剤、カプセル剤、IVバッグ、またはエアロゾル吸入器での1回のポンプ圧送であり得る。
【0178】
治療適用では、用量は、活性化合物の化学的および物理的特性、ならびに例えば年齢、体重および併存疾患を含む対象の臨床的特徴に応じて変わり得る。一般に、用量は、治療有効量であるべきである。医薬組成物の有効量は、臨床医または他の有資格観察者によって認められる客観的に識別可能な改善をもたらす量である。例えば、障害、疾患または状態の症状の軽減。
【0179】
医薬組成物は、所望のいずれかの経路(例えば、肺、吸入、鼻腔内、経口、口腔内頬側、舌下、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸膜内、くも膜下腔内、経皮、経粘膜、直腸など)による投与に好適ないずれかの形態(例えば、液体、エアロゾル、溶液、吸入物、ミスト、スプレー、または固体、粉末、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、パッチなど)を取り得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、カプセル剤、錠剤、口腔内頬側形態、トローチ剤、舐剤、およびエマルション、水性懸濁液、分散液または溶液の形態の経口液剤を含むがそれらに限定されない、経口的に許容される剤形の形態である。カプセル剤は、デンプン(例えば、トウモロコシ、ジャガイモまたはタピオカデンプン)、糖、人工甘味剤、粉末化セルロース、例えば結晶性および微結晶性セルロース、小麦粉、ゼラチン、ガムなどを含む不活性な充填剤および/または希釈剤などの賦形剤を含有し得る。経口使用のための錠剤の場合、一般に使用される担体には、ラクトースおよびトウモロコシデンプンが含まれる。滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムを添加することもできる。
【0180】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、錠剤の形態である。錠剤は、ここで記載される化合物の単位用量を、不活性な希釈剤または担体、例えば糖または糖アルコール、例えばラクトース、スクロース、ソルビトールまたはマンニトールと一緒に含むことができる。錠剤はさらに、非糖由来の希釈剤、例えば炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、またはセルロースもしくはその誘導体、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびデンプン、例えばトウモロコシデンプンを含むことができる。錠剤はさらに、結合剤および造粒剤、例えばポリビニルピロリドン、崩壊剤(例えば、膨潤性の架橋ポリマー、例えば架橋カルボキシメチルセルロース)、滑沢剤(例えば、ステアレート)、保存剤(例えば、パラベン)、抗酸化剤(例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン)、緩衝化剤(例えば、リン酸またはクエン酸緩衝剤)、および発泡剤、例えばクエン酸塩/炭酸水素塩混合物を含むことができる。錠剤は、コーティングされた錠剤であり得る。コーティングは、保護膜コーティング(例えば、ワックスまたはワニス)、または活性化合物の放出を制御するように、例えば遅延放出する(摂取後の所定の遅延時間後に活性物質を放出する)もしくは胃腸管の特定の位置で放出するように設計されたコーティングであり得る。後者は、例えば腸溶膜コーティング、例えば商品名Eudragit(登録商標)で販売されているものを使用して達成することができる。
【0181】
錠剤製剤は、従来の圧縮、湿式造粒または乾式造粒法によって作製することができ、薬学的に許容される希釈剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、表面改質剤(界面活性剤を含む)、懸濁化剤または安定化剤を利用し、それには、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アルギン酸、アカシアガム、キサンタンガム、クエン酸ナトリウム、複合ケイ酸塩、炭酸カルシウム、グリシン、デキストリン、スクロース、ソルビトール、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、タルク、乾燥デンプンおよび粉末糖が含まれるが、それらに限定されない。好ましい表面改質剤には、非イオン性およびアニオン性表面改質剤が含まれる。表面改質剤の代表例として、ポロキサマー188、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化蝋、ソルビタンエステル、コロイド状二酸化ケイ素、ホスフェート、ドデシル硫酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、およびトリエタノールアミンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0182】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、硬または軟ゼラチンカプセル剤の形態である。この製剤化によれば、本開示の化合物は、固体、半固体、または液体形態であり得る。
【0183】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、非経口投与に好適な滅菌水溶液または分散液の形態である。非経口という用語は、本明細書で使用される場合は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液嚢内、胸骨内、くも膜下腔内、病巣内および頭蓋内への注射または注入技術を含む。
【0184】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、直接注射による、または静脈内注入のための滅菌注入液への添加による投与に好適な滅菌水溶液または分散液の形態であり、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、それらの好適な混合物、または1種もしくは複数種の植物油を含有する溶媒または分散媒を含む。溶液または懸濁液は、共溶媒または界面活性剤を用いて水で調製することができる。好適な界面活性剤の例として、ポリエチレングリコール(PEG)-脂肪酸ならびにPEG-脂肪酸モノおよびジエステル、PEGグリセロールエステル、アルコール-油エステル交換生成物、ポリグリセリル脂肪酸、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステロールおよびステロール誘導体、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、糖およびその誘導体、ポリエチレングリコールアルキルフェノール、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン(POE-POP)ブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、イオン性界面活性剤、脂溶性ビタミンおよびそれらの塩、水溶性ビタミンおよびそれらの両親媒性誘導体、アミノ酸およびそれらの塩、ならびに有機酸およびそれらのエステルおよび無水物が挙げられる。分散液も、例えば、グリセロール、液体ポリエチレングリコールおよび油中のそれらの混合物で調製することができる。
使用方法
【0185】
一態様では、対象における生物学的組織を画像化する方法であって、式(I)、(I-a)、(I-a-1)、(II)、(III)、(IV-a)、(IV-b)、(V-a)、(V-b)、(VI-a)、(VI-b)、(X)、(X-a)、(XI)、(XII)、(XIII-a)、(XIII-b)、(XIV-a)もしくは(XIV-b)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される下位実施形態、あるいはそれを含む医薬組成物を対象に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、方法は、コンピュータ断層撮影法(CT)、陽電子放出断層撮影法(PET)、単一光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)、磁気共鳴画像法(MRI)、造影剤援用(例えば、ガドリニウム造影剤)磁気共鳴画像法(cMRI)、磁気共鳴血管造影(MRA)、および光学または蛍光ベースの画像化(FL)、および上述のもののいずれかの組合せから選択される1つまたは複数の画像化技術を実施することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、上述のもののうちの2つから選択される少なくとも2つの画像化技術を同時に実施することを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの画像化技術は、光学蛍光ベースの画像化(FL)技術、ならびにCT、PET、SPECT、MRI、cMRIおよびMRAから選択される画像化技術、またはそれらの組合せから選択される。
【0186】
一態様では、放射性同位体治療を使用して対象のがんを処置する方法であって、式(I)、(I-a)、(I-a-1)、(II)、(III)、(IV-a)、(IV-b)、(V-a)、(V-b)、(VI-a)、(VI-b)、(X)、(X-a)、(XI)、(XII)、(XIII-a)、(XIII-b)、(XIV-a)もしくは(XIV-b)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される下位実施形態、あるいはそれを含む医薬組成物を対象に投与することを含み、化合物が、放射性同位体治療に好適な放射性同位体、例えば、化合物のCL部分と複合体化した放射性核種、またはBT部分の一部を形成する放射性核種、例えば、放射免疫療法に好適な放射標識された抗体を含む、方法が提供される。放射性核種、特にベータ(β)-およびアルファ(α)放射体)、ならびに本明細書に記載される化合物に組み込むのに好適な放射性ハロゲンおよび放射性金属は、表2に記載される。
【表2】
【0187】
例えば、放射性ハロゲン125I、123I、131I、211At、77Br、および80Brは、BT部分、例えばPSMA標的化剤を介して導入され得る。これらの放射性ハロゲンは、標的化部分に共有結合することができ、大型キレート化放射性金属とは異なり、放射標識されたPSMA阻害剤の全体がPSMA結合空洞内に適合し、それによって高い結合親和性を保持することができるのに十分に小さい。他の例では、同じ放射標識された補欠分子族は、リンカー-阻害剤の尿素結合部に結合して、阻害剤の放射標識された部分をタンパク質の外部に移動させることができる。
【0188】
一態様では、前述の化合物または組成物のいずれかを対象に投与することによって、対象の疾患(例えば、がん)または状態を処置する方法であって、画像化および治療が同じ分子を使用して達成されるように、化合物が、治療部分、例えばRIT剤または放射免疫療法に好適な剤を含む、方法が提供される。このような方法によれば、生物学的組織の画像化は、処置(例えば、外科手術処置)もしくは治療(例えば、放射線療法)、またはそれらの任意の組合せの前、現場、およびその後に実施され得る。
【0189】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載される化合物を使用する画像ガイド外科手術のための方法を提供する。いくつかの実施形態では、外科手術は、腫瘍切除外科手術であり、BT部分は、外科医によって切除されるべきがん組織を化合物が標的とするようにするバイオマーカーである。
【0190】
本明細書で使用される場合、「がん」という用語は、哺乳動物(例えば、ヒト)に見出される、白血病、リンパ腫、癌腫および肉腫を含むあらゆるタイプのがん、新生物、固形腫瘍、または悪性腫瘍を指す。本明細書で提供される化合物または方法で処置され得る例示的ながんとして、脳がん、神経膠腫、神経膠芽腫、神経芽細胞腫、前立腺がん、結腸直腸がん、膵臓がん、髄芽細胞腫、黒色腫、子宮頸がん、胃がん、卵巣がん、肺がん、頭部のがん、ホジキン病、および非ホジキンリンパ腫が挙げられる。本明細書で提供される化合物または方法で処置され得る例示的ながんとして、甲状腺、内分泌系、脳、乳房、子宮頸部、結腸、頭部および頸部、肝臓、腎臓、肺、卵巣、膵臓、直腸、胃、ならびに子宮のがんが挙げられる。さらなる例として、甲状腺癌、胆管癌、膵臓腺癌、皮膚黒色腫、結腸腺癌、直腸腺癌、胃腺癌、食道癌、頭頸部扁平上皮癌、浸潤性乳癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、非小細胞肺癌、中皮腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、多形神経膠芽腫、卵巣がん、横紋筋肉腫、原発性血小板増加症、原発性マクログロブリン血症、原発性脳腫瘍、悪性膵臓インスリノーマ(insulanoma)、悪性カルチノイド、膀胱がん、前悪性皮膚病変、精巣がん、甲状腺がん、神経芽細胞腫、食道がん、泌尿生殖器がん、悪性高カルシウム血症、子宮内膜がん、副腎皮質がん、膵内もしくは膵外分泌部の新生物、髄様甲状腺がん、甲状腺髄様癌、黒色腫、結腸直腸がん、甲状腺乳頭がん、肝細胞癌、または前立腺がんが挙げられる。
【0191】
本明細書で使用される場合、「投与する」という用語は、任意の公知の方法を介して対象の身体に薬剤を送達するための任意の手段を指す。いくつかの実施形態では、投与方法には、静脈内、経口、筋肉内、皮下、および腫瘍内投与が含まれるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、投与は、静脈内または腫瘍内である。
【0192】
一態様では、(i)陽電子放出断層撮影法(PET)または単一光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)、(ii)コンピュータ断層撮影法(CT)、磁気共鳴画像法(MRI)、および/または磁気共鳴血管造影(MRA)、ならびに(iii)光学蛍光ベースの画像化から選択される2つまたはそれよりも多い画像化技術を使用して生物学的組織を画像化する方法であって、式(I)、(I-a)、(I-a-1)、(II)、(III)、(IV-a)、(IV-b)、(V-a)、(V-b)、(VI-a)、(VI-b)、(X)、(X-a)、(XI)、(XII)、(XIII-a)、(XIII-b)、(XIV-a)もしくは(XIV-b)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される下位実施形態、あるいはそれを含む医薬組成物を対象に投与することを含み、化合物が、(1)FCMまたはCL、(2)OP、および(3)BTのそれぞれを含み、または必要に応じて化合物が(1)FCM、(2)CL、(3)OP、および(4)BTのそれぞれを含む、方法が提供される。
【0193】
画像化することを含む本明細書に記載される実施形態のいずれかによれば、シグナルまたはスキャンされた画像は、当技術分野で公知の方法、例えばPET、CT、MRI、cMRI、およびSPECT画像化を実施するための方法に従って、対象を処置または診断する過程中に、現場または現場外(ex-situ)で取得することができる。例えば、PETまたはSPECTを用いて生物学的組織を画像化するための方法は、P. Zanzonico, Seminars in Nuclear Medicine, vol. XXXIV, No. 2, pp. 87-111, April 2004、G. Mariani et al., Eur. J. Vucl. Med. Mol. Imaging, DOI 10.1007/s00259-010-1390-8, February 2010、およびA. Rahmim et al., Nucl. Med. Commun., 29:193-207, 2008に記載されており、それらの内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0194】
ここで記載される方法の実施形態では、2つまたはそれよりも多い画像化方法の組合せは、有利なことには、画像化および治療の改善のための異なるタイプのデータのオーバーレイを可能にする。例えば、高解像度画像(例えば、MRIおよび/またはCTからの)および/または三次元画像(例えば、PET、MRI、cMRIおよび/またはSPECTからの)から得られたデータを、光学蛍光ベースの画像とオーバーレイすることができる。光学蛍光ベースの画像は、蛍光検出(例えば、可視スペクトルおよび近赤外線(NIR)スペクトルを含む400~1000nmの範囲の)を可能にする任意の色素部分を含むOP部分を使用して得ることができる。具体例では、方法は、(1)例えばPET画像化を使用してFCM部分から放射活性シグナルを検出して、目的の組織または臓器の正確な位置を決定する初期画像化ステップ、および(2)外科手術中に外科医をガイドするために使用することができる、OP部分から放出された蛍光シグナルを検出する第2の画像化ステップを含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、(i)FCM部分および/またはCL部分からの放射活性、ならびに(ii)OP部分からの蛍光の、少なくとも2つの異なる検出可能なシグナルを含む。本明細書で使用される場合、「検出可能な」という用語は、本明細書に記載される画像化方法のうちの2つまたはそれよりも多くを使用して検出可能であることを指す。
【0195】
いくつかの実施形態では、生物学的組織を画像化する方法であって、(i)式(I)、(I-a)、(I-a-1)、(II)、(III)、(IV-a)、(IV-b)、(V-a)、(V-b)、(X)、(X-a)、(XI)、(XII)、(XIII-a)、(XIII-b)、(XIV-a)もしくは(XIV-b)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される下位実施形態、あるいはそれを含む医薬組成物を対象に投与することと、(ii)PETおよびSPECTから選択される画像化技術を実施することと、(iii)CT、MRI、cMRI、およびMRAから選択される画像化技術を実施することと、必要に応じて(iv)光学または蛍光ベースの画像化(FL)技術から選択される画像化技術を実施することとを含み、化合物が、(1)FCM、(2)CL、(3)OP、および(4)BTのうちの3つまたはそれよりも多くを含み、化合物が、画像化技術のそれぞれを実施するのに好適な検出可能なシグナルを放出する、方法が提供される。いくつかの実施形態では、画像化技術は、それぞれ、同時もしくは順次、またはそれらの組合せで実施される。
【0196】
いくつかの実施形態では、腫瘍または他の外傷のいずれかによって引き起こされた内出血に罹患している患者を処置するための方法であって、BT部分が赤血球または血小板であり、化合物が出血部位に局在する、方法が提供される。
【0197】
いくつかの実施形態では、式(I)、(I-a)、(I-a-1)、(II)、(III)、(IV-a)、(IV-b)、(V-a)、(V-b)、(X)、(X-a)、(XI)、(XII)、(XIII-a)、(XIII-b)、(XIV-a)、または(XIV-b)の化合物のBT部分は、血液細胞、好ましくは赤血球または血小板であり、化合物は、好ましくは[18F]を含む少なくともFCM部分、ならびに必要に応じてCLおよびOPのうちの1つまたは複数のものを含む。いくつかの実施形態では、化合物は、[18F]を含むFCM部分、および血液細胞、好ましくは赤血球または血小板を含むBT部分を含み、化合物は、必要に応じて、OPおよび/またはCLをさらに含む。そのような化合物は、[18F]-RBCと指定され得る。この実施形態は、1)in vivoで細胞を安定に放射標識し、PET/SPECT、CT、および/またはMRI/MRAによって細胞の画像化を示すために使用することができる非炭素担持分子上へのまたはその分子におけるフッ素添加、2)放射標識が細胞間で移動しないことを確認し、蛍光によって出血を画像化するために使用することができる、放射標識された細胞を蛍光によって画像化する能力、ならびに3)緊急の出血状況における使用を含む、ある一定の利点を提供する。BT部分として血液細胞を有する本明細書に記載される化合物は、解像度がより高く、分量がより少なくて済み、[18F]-RBCを画像化することができる活性がより低くて済むので、対応するRBC画像化剤(例えば、前臨床クロムおよびガドリニウムRBC(非コントラスト(acontrast))、ならびに現在の臨床SPECT剤[99mTc]-RBCおよび[99mTc]-白血球(エキサメタジム(exametazine)))よりも優れている。加えて、[18F]-RBCの優れた画像化潜在能力を使用して、直径10mmのマウス脳の直径わずか1~4mmの病変を画像化することができる。この非侵襲的画像化方法は、有利なことには、現在利用可能なものよりも実質的に高い解像度の画像化を可能にする。この改善された画像化を使用して、現在の技術水準の方法よりも高い解像度で小さい出血を画像化することができる。
【0198】
いくつかの実施形態では、in vivoで血流を画像化するための方法であって、式(I)、(I-a)、(I-a-1)、(II)、(III)、(IV-a)、(IV-b)、(V-a)、(V-b)、(X)、(X-a)、(XI)、(XII)、(XIII-a)、(XIII-b)、(XIV-a)もしくは(XIV-b)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される下位実施形態、あるいはそれを含む医薬組成物を対象に投与することを含み、BT部分が、細胞、好ましくは赤血球または血小板を含む、方法が提供される。画像化を使用して、例えば、出血の進行を査定またはモニタリングすることができる。出血は、脳(例えば、脳内出血、または出血性もしくは虚血性脳卒中)を含む身体のいずれかの部分に位置し得る。そのような査定およびモニタリングは、MRAおよびCTAが禁忌である腎臓機能障害を有する患者にとって特に重要であり得る。いくつかの実施形態では、方法は、PET/CT機器での同時のPETおよびCT画像化をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、例えば、MRIによって提供された脳組織の優れた画像が、脳出血のような状況において望ましい場合、同時PET/MRI画像化をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は術中に実施され、PET画像化は外科医を蛍光プローブにガイドするために使用される。このことは、蛍光を検出するように適応させられた内視鏡カメラを使用する脳神経外科および耳鼻咽喉科において、特に有用である。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される方法は、緊急の状況で外傷性脳傷害、腸管出血、腎臓出血、および内出血の画像化に適用することができ、ここで「出血(bleeding)」という用語は、「出血症状(hemorrhaging)」と同義であり得る。画像化方法を使用して、血栓を含む灌流、例えば血管柄付複合組織移植(VCA)において赤血球灌流を画像化することもできる。特に、血流の変化は、VCA合併症の最も初期の指標である。画像化方法は、血流の変化を検出することができるので、画像化方法は、VCAおよび他の移植において合併症を検出することができる。画像化方法を使用して、血管内血栓を予測し、壊死領域を指し示すこともできる。
【0199】
画像化方法を使用して、例えば同種移植について移植片拒絶反応もしくは生着(acceptance)を査定もしくはモニタリングするか、またはより具体的には腎臓同種移植の深部組織を画像化することもできる。
【0200】
いくつかの実施形態では、画像化方法は、当技術分野で公知の蛍光画像化技術を使用して、蛍光画像化により内部生物学的組織を同時に画像化することを含み得る(例えば、F. Leblond et al., Journal of Photochemistry and Photobiology B: Biology, vol. 98 (1), 77-94, January 2010)。特に、画像化方法を使用して、蛍光によって再建的顕微鏡下手術などにおける初期血管内血栓を画像化し、例えばPET/MRIによってVCA深部組織を画像化することができる。例えば、蛍光モードで、画像化(18F-フルオロフォア-血液)組成物を使用して、植皮的に(superficially)(遊離皮弁における)または観血外科手術部位において、臨床移植片生存率および灌流を高解像能でモニタリングすることができる。蛍光画像化は、植皮移植(FL)において単細胞レベルで初期拒絶反応を指し示すことができる。血液細胞は、必要に応じて、蛍光プローブに分子的に(電子的に)同一の種を発生させるためにフッ素-18で放射標識される。PET技術を使用して、PET/CTまたはPET/MRIデバイスで深部移植組織におけるVCA灌流を可視化することができる。画像化(18F-フルオロフォア-血液)組成物を使用して、急性不全のPETプロファイルを作成することができ、したがって、切迫した移植不全を予測することができ、迅速な介入により同種移植を保存することができる。したがって、本明細書に記載されるフルオロフォア組成物は、移植寿命を延長し、移植における組織拒絶反応を防止することができる。さらに、VCAを受けている患者は、一般に、適所にIVカテーテルを既に有しており(鎮痛薬送達のため)、したがって、標識された血液細胞のIV送達は非侵襲的技術になる。
【0201】
いくつかの実施形態では、画像ガイド外科手術の方法であって、式(I)、(I-a)、(I-a-1)、(II)、(III)、(IV-a)、(IV-b)、(V-a)、(V-b)、(X)、(X-a)、(XI)、(XII)、(XIII-a)、(XIII-b)、(XIV-a)もしくは(XIV-b)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される下位実施形態、あるいはそれを含む医薬組成物を対象に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、方法は、(1)外科手術前計画のために、播種性がん(オリゴ転移性疾患)を限局性がんと区別することによってPETスキャンを行うこと、(2)外科手術前計画のために、さらなる/追加の局在についてMRIまたはCTスキャンを行うこと、および(3)手術中の外科的指針のためにFLスキャンを行うことをさらに含む。この方法によれば、切除の程度は、3つの実証的手順、すなわち外科医による、観血外科手術部位における未切除断端のin vivo観察で、および切除組織のFL/ガンマシンチグラフィによる(scintillated)分析においてex vivoで、ならびに病理医による、FL凍結切片の術中コンサルトにおいてex vivoで、明確に境界を画定される。これは、放射線科医、泌尿器科医、および病理医を含む複数の専門家に有用な、持続的ながん特異的コントラストを提供し、さらなるFL組織学的検査、および外科手術後に解像された細胞のFL支援による細胞選別をさらに提供する本発明の化合物によって可能になる。
【0202】
したがって、対象薬剤からの支援により選択される特徴を有する細胞の、手術後の蛍光活性化細胞選別(FACS)単離を提供し得る細胞画像化の方法が提供される。いくつかの実施形態では、方法は、式(I)、(I-a)、(I-a-1)、(II)、(III)、(IV-a)、(IV-b)、(V-a)、(V-b)、(X)、(X-a)、(XI)、(XII)、(XIII-a)、(XIII-b)、(XIV-a)もしくは(XIV-b)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を使用することによって、細胞において小分子またはペプチド薬物標識を提供する。
【0203】
いくつかの実施形態では、画像化方法は、腫瘍または前がん組織を画像化するなどによって、がんまたは前がん状態の程度または進行を査定またはモニタリングするために使用される。画像化されるがん性または前がん組織は、身体のいずれかの部分、例えば前立腺、乳房、脳、肺、胃、腸、結腸、直腸、卵巣、子宮頸部、膵臓、腎臓、肝臓、皮膚、リンパ、骨、膀胱、または子宮などに位置し得る。がんはまた、1つまたは複数の癌腫、肉腫、リンパ腫、芽細胞腫、または奇形腫(胚細胞性腫瘍)の存在を含んでいることがある。
【0204】
本明細書で開示される化合物および組成物を用いる方法は、以下を含むが、それらに限定されない:
(i)PET画像化、蛍光画像化および/または光学画像化を介して、腫瘍を画像化すること、
(ii)PET画像化、蛍光画像化、および/または光学画像化を介して、(必要に応じて超音波ガイド)薬剤により標的とされる組織生検を実施すること、
(iii)PET画像化、蛍光画像化、および/または光学画像化を用いながら、(必要に応じて超音波ガイド)外科手技を実施して、センチネルリンパ節を特定し、特定の出血部位を特定し、または腫瘍に対して外科手術を実施すること(例えば、前立腺腫瘍(例えば、PSMA腫瘍)、脳腫瘍(例えば、神経膠芽腫)、頭頸部がん(例えば、頭頸部の扁平上皮癌)、肝臓がん(例えば、肝細胞癌)、肺がん(例えば、非小細胞肺がん)、結腸がん、結腸直腸がん、乳がん、肉腫、または卵巣がんを除去すること)、
(iv)PET画像化、蛍光画像化、および/または光学画像化を介して、組織試料(例えば、前立腺腫瘍(例えば、PSMA腫瘍)、脳腫瘍(例えば、神経膠芽腫)、頭頸部がん(例えば、頭頸部の扁平上皮癌)、肝臓がん(例えば、肝細胞癌)、肺がん(例えば、非小細胞肺がん)、結腸がん、結腸直腸がん、乳がん、肉腫、または卵巣がんから得られた試料)の病理学的および/または組織学的検査分析を実施すること(分析は、例えば腫瘍断端分析を含むことができる)、
(v)PET画像化、蛍光画像化、および/または光学画像化を介して、腫瘍(例えば、前立腺腫瘍(例えば、PSMA腫瘍)、脳腫瘍(例えば、神経膠芽腫)、頭頸部がん(例えば、頭頸部の扁平上皮癌)、肝臓がん(例えば、肝細胞癌)、肺がん(例えば、非小細胞肺がん)、結腸がん、結腸直腸がん、乳がん、肉腫、または卵巣がん))の状態(例えば、サイズ、位置および/またはステージ)を決定すること、
(vi)PET画像化、蛍光画像化、および/または光学画像化を介して、がん治療(例えば、前立腺腫瘍(例えば、PSMA腫瘍)、脳腫瘍(例えば、神経膠芽腫)、頭頸部がん(例えば、頭頸部の扁平上皮癌)、肝臓がん(例えば、肝細胞癌)、肺がん(例えば、非小細胞肺がん)、結腸がん、結腸直腸がん、乳がん、肉腫、または卵巣がんのための標的化がん治療)の進行をモニタリングすること、ならびに
vii)PET画像化、蛍光画像化、および/または光学画像化を介して、がん外科手術(例えば、固形腫瘍、例えば前立腺がん(例えば、PSMA前立腺腫瘍)、脳、頭頸部がん、肝臓がん、肺がん、結腸がん、結腸直腸がん、乳がん、肉腫、または卵巣がんの外科手術による除去)の進行をモニタリングすること(術前モニタリング、術後モニタリング、および外科手術中のモニタリングを含む)。
【0205】
いくつかの実施形態では、方法は、PETスキャンの少なくとも0~6時間前に、0.1~30mCiの範囲の活性の、10~10000umolの静脈内質量の、式(I)、(I-a)、(I-a-1)、(II)、(III)、(IV-a)、(IV-b)、(V-a)、(V-b)、(X)、(X-a)、(XI)、(XII)、(XIII-a)、(XIII-b)、(XIV-a)もしくは(XIV-b)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む。化合物は、注射後0分から12時間までにわたってPETスキャナーで目に見える。同時に注射された残留化合物は、注射後2週間までにわたって光学/蛍光手段によって目に見える。いくつかの実施形態では、方法は、蛍光ガイド外科手術をさらに含む。非陽電子放出性の19F含有組成物は、PET画像化が望ましくない場合には置換され得る。
【0206】
いくつかの実施形態では、方法は、PETスキャン前またはその間に、3~10mCiの範囲の活性および100umol未満(~100μg)の質量の、式(I)、(I-a)、(I-a-1)、(II)、(III)、(IV-a)、(IV-b)、(V-a)、(V-b)、(X)、(X-a)、(XI)、(XII)、(XIII-a)、(XIII-b)、(XIV-a)もしくは(XIV-b)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、腫瘍内注射を介して投与することを含む。
【0207】
一態様では、方法は、プロドラッグを用いる治療をさらに含む。いくつかの実施形態では、BT部分は、特定の生物学的組織または部位、例えば腫瘍部位に化合物を送達するように構成される。
【0208】
いくつかの実施形態では、本開示は、腫瘍切除外科手術後の実証的画像化のための方法であって、術後に本明細書で開示される化合物を対象に投与することと、化合物の画像化部分を検出するのに好適な技術、例えば、光学、MRI、および/またはPETを使用して術後実証的画像化を対象で実施することとを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、術後外科手術を実施して、画像化が陽性の外科手術切除断端を指し示しているところの残部腫瘍組織を除去することをさらに含み得る。
【0209】
いくつかの実施形態では、本開示は、PETスキャナーを用いて実施されるロボット支援外科手術を含む、外科手術室内でPETスキャナーを使用することをさらに含む画像ガイド外科手術のための方法を提供する。これらの実施形態によれば、がんを処置する状況において、光学的シグナル対雑音比は、外科手術中に切除するための断端、または外科手術後の未切除の/見逃された陽性の、外科手術断端のコンピュータ支援による特定を可能にするように調整される。さらなる実施形態では、外科手術中に取得されたコンピュータ断層撮影PETデータは、切除する腫瘍組織、外科的結論に至る前に切除されなければならない未切除の腫瘍、および切除に関与するリンパ節をリアルタイムで特定するように適応させられる。この状況では、PETおよび光学データは実証的であり、非コントラストガイド技術で実施される標準ケア外科手技と比較して、精度の改善を可能にする。いくつかの実施形態では、カメラを備えた外科手術ロボットは、蛍光データ収集に適応させられる。いくつかの実施形態では、異なる生物学的部位を標的化され、異なる蛍光剤を含んでいる複数の化合物は、ガイドロボット外科手術の方法において対象に同時に投与される。例えば、複数の化合物には、(i)腫瘍標的化BT部分および光学プローブ部分、例えばCy3を有する第1の化合物、(ii)リンパ節標的化BT部分および光学プローブ部分、例えばCy5を有する第2の化合物、ならびに(iii)神経標的化BT部分および光学プローブ部分、例えばCy7を有する第3の化合物が含まれ得る。この状況では、方法は、除去するがん組織、回避される神経、および腫瘍細胞が浸潤したものを含む任意のリンパ節を外科医が特定するのを助けるために、化合物のそれぞれを対象に同時に投与することを含む。
【0210】
一態様では、本開示は、前述の化合物のいずれかを作製および/または使用するためのキットを提供する。キットは、例えば、式(I)、(I-a)、(I-a-1)、(II)、(III)、(IV-a)、(IV-b)、(V-a)、(V-b)、(X)、(X-a)、(XI)、(XII)、(XIII-a)、(XIII-b)、(XIV-a)もしくは(XIV-b)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその前駆体を含み得る。
【0211】
キットベースの調製の例として、以下に記載されるプロトコールが挙げられる:(i)(ボロン酸エステルからの調製)-Wang, Y., An, F., Chan, M., Friedman, B., Rodriguez, E. A., Tsien, R. Y., Aras, 0., and Ting, R. (2017) "18F-positron-emitting/fluorescent labeled erythrocytes allow imaging of internal hemorrhage in a murine intracranial hemorrhage model." J. Cerebral Blood Flow and Metabolism., 37(3), 776-786. PMID: 28054494、(ii)(19F担持分子からの調製)-Kommidi, H., Guo, H. Nurili, F., Vedvyas, Y.. Jin, M.M., McClure, T.,D., Ehdaie, B., Sayman, H., Akin O., Aras, 0., Ting, R. (2018) "18F-positron emitting/trimethine cyanine-fluorescent contrast for image-guided prostate cancer management." J. Med. Chem. 61, 4256-4262、および(iii)Kommidi, H., Guo, H., Chen, N., Kim, D., He, B., Wu, A.P., Aras, 0, Ting, R. (2017) "A [18g-positron-emitting, fluorescent, cerebrospinal fluid probe for imaging damage to the brain and spine." Theranostics. 7, 2377-2391. (Cover article) PMID: 28744321。参考文献(i)~(iii)の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0212】
例示的な一実施形態では、キットは、式(I)、(I-a)、(I-a-1)、(II)、(III)、(IV-a)、(IV-b)、(V-a)、(V-b)、(X)、(X-a)、(XI)、(XII)、(XIII-a)、(XIII-b)、(XIV-a)もしくは(XIV-b)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、(i)放射標識するための酸性溶液(すなわちpH=2.0、ピリダジン-HCl緩衝剤;これは任意の酸、例えば塩酸であってよいことに留意されたい)を含む調製のための溶液、および標識された分析物を吸着するのに好適な固相抽出デバイス、例えば使用者がそれらの標識された薬剤を精製するためのシリカベースのオクタデシル結合相(例えば、C18タイプカートリッジ、例えばWaters番号186005125によって製造されるもの)と共に含む。必要に応じて含まれるさらなる溶液には、精製のための溶液(例えば、カートリッジ上に結合している化合物から汚染[18F]-フッ化物イオンを洗い流すための20~23mL体積の水)、エタノール(99%)中4.0mM HCl溶液([18g-フッ化物イオンの除去後に化合物を溶出するため)、および化合物を中和するための1mMリン酸緩衝食塩水×PBS)が含まれる。キットはまた、患者に投与(例えば注射)されることになる薬剤のための0.22pmのフィルターを必要に応じて含有する。使用者は、サイクロトロンから使用者自身の18F-フッ化物イオンを提供しなければならない。すべての溶液は滅菌されている。必要に応じて、キットは、化合物およびC18カートリッジ(例えば、Waters番号186005125)だけを含み、使用者は、洗浄溶液の選択を行うことができる。
【0213】
例示的な一実施形態では、キットは、式(I)、(I-a)、(I-a-1)、(II)、(III)、(IV-a)、(IV-b)、(V-a)、(V-b)、(X)、(X-a)、(XI)、(XII)、(XIII-a)、(XIII-b)、(XIV-a)もしくは(XIV-b)の前駆体化合物、またはその薬学的に許容される塩を、(i)放射標識するための酸性溶液(すなわちpH=2.0、ピリダジン-HCl緩衝剤;これは任意の酸、例えば塩酸であってよいことに留意されたい)を含む調製のための溶液、および標識された分析物を吸着するのに好適な固相抽出デバイス、例えば使用者がそれらの標識された薬剤を精製するためのシリカベースのオクタデシル結合相(例えば、C18タイプカートリッジ、例えばWaters番号186005125によって製造されるもの)と共に含む。必要に応じて含まれるさらなる溶液には、精製のための溶液(例えば、カートリッジ上に結合している化合物から汚染[18F]-フッ化物イオンを洗い流すための20~23mL体積の水)、エタノール(99%)中4.0mM HCl溶液([18g-フッ化物イオンの除去後に化合物を溶出するため)、および化合物を中和するための1mMリン酸緩衝食塩水×PBS)が含まれる。キットはまた、患者に投与(例えば注射)されることになる薬剤のための0.22pmのフィルターを必要に応じて含有する。使用者は、サイクロトロンから使用者自身の18F-フッ化物イオンを提供しなければならない。すべての溶液は滅菌されている。必要に応じて、キットは、化合物およびC18カートリッジ(例えば、Waters番号186005125)だけを含み、使用者は、洗浄溶液の選択を行うことができる。
【0214】
いくつかの実施形態では、キットは、構造
【化76】
【化77】
【化78】
【化79】
【化80】
【化81】
【化82】
【化83】
を有する前駆体、またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0215】
いくつかの実施形態では、前駆体は、化合物A-2の前駆体である。いくつかの実施形態では、化合物A-2の前駆体は、保護されている(例えば、BOCで保護されている)。いくつかの実施形態では、化合物A-2の前駆体は、
【化84】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0216】
いくつかの実施形態では、キットは、固体粉末形態の上記の化合物A-2の前駆体、および標識された分析物を吸着するのに好適な固相抽出デバイスを含み、必要に応じて1種または複数種の滅菌溶液、例えば精製、溶出、洗浄、および中和溶液をさらに含む。
【0217】
いくつかの実施形態では、キットは、
【化85】
の構造を有する前駆体、またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0218】
いくつかの実施形態では、キットは、
【化86】
の構造を有する前駆体、またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0219】
いくつかの実施形態では、キットは、固体粉末形態の本明細書に記載される前駆体、および標識された分析物を吸着するのに好適な固相抽出デバイスを含み、必要に応じて1種または複数種の滅菌溶液、例えば精製、溶出、洗浄、および中和溶液をさらに含む。
【0220】
いくつかの実施形態では、キットは、金属原子またはその金属イオンをさらに含む。いくつかの実施形態では、金属原子は、表2の金属である。いくつかの実施形態では、金属原子は、表2の金属のイオン形態である。いくつかの実施形態では、金属原子は、90Y、131I、177Lu、153Sm、186Re、188Re、67Cu、212Pb、166Ho、または47Scである。いくつかの実施形態では、金属原子は、225Ac、213Bi、212Bi、211At、212Pb、227Th、または223Raである。いくつかの実施形態では、金属原子は、125I、123I、67Ga、111In、77Br、および80mBrである。いくつかの実施形態では、金属原子は、90Y、131I、177Lu、153Sm、186Re、188Re、67Cu、212Pb、166Ho、または47Scのイオンである。いくつかの実施形態では、金属原子は、225Ac、213Bi、212Bi、211At、212Pb、227Th、または223Raのイオンである。いくつかの実施形態では、金属原子は、125I、123I、67Ga、111In、77Br、および80mBrのイオンである。
【0221】
いくつかの実施形態では、金属原子またはそのイオンは、溶液で提供される。いくつかの実施形態では、金属イオン溶液は、キットに含まれる溶媒で希釈され得る。いくつかの実施形態では、金属原子またはそのイオンは、塩で提供される。いくつかの実施形態では、金属塩は、キットに含まれる溶媒に分散させられ得る。
【0222】
いくつかの実施形態では、キットは、(i)乾燥化合物(例えば、粉末または結晶性)、(ii)塩化スズ(IV)の溶液、および(iii)HPLCグレードの乾燥アセトニトリルを含む。使用者は、サイクロトロンから使用者自身の18F-フッ化物イオンを提供するであろう。この18F-フッ化物の乾燥後、使用者はすべての試薬を混合するであろう。いくつかの実施形態では、精製カートリッジは必要ない(しかし、カートリッジを使用してもよい)。使用者は、単に化合物を水から沈殿させ、水で数回洗浄してすべてのフッ化物イオンを除去し、次に化合物をPBS緩衝化DMSO溶液に再懸濁させ、それを、化合物が例えば腫瘍内注射されるために、0.22pmのフィルターに通過させるであろう。
【0223】
いくつかの実施形態では、キットは、ボトル、バイアル、アンプル、ブリスターパック、およびシリンジからなる群から選択される1つまたは複数の容器を含むことができる。キットは、使用のための使用説明書、1つもしくは複数のシリンジ、1つもしくは複数のアプリケーター、またはここで記載される化合物もしくは組成物を再構成するのに好適な滅菌溶液のうちの1つまたは複数をさらに含むことができる。例えば、キットは、一定分量のこれらの組成物、例えば18Fを含有する酸性の水を混合して、18Fを担持するPET可視組成物をもたらすための使用説明書を含み得る。いくつかの実施形態では、キットはまた、患者への投与(例えば、注射を介する)前に汚染フッ化物イオンを除去するために組成物を通過させるための市販のカラムを含み得る。
【0224】
一態様では、手術室(例えば、外科手術室)のためのシステムがさらに提供される。いくつかの実施形態では、システムは、実証的分子画像化/治療、例えば、PET/CT、PET/MRI、またはPET/放射性同位体を実施することができる外科手術室内PETスキャナーを含み得る。いくつかの実施形態では、システムは、PETスキャナーを使用して実施される外科手術を促進する。いくつかの実施形態では、システムは、例えば、外科手術ロボット上またはバックテーブルの組織病理用カート上の蛍光内視鏡またはカメラを用いて、確証的PET画像化を提供する。
【0225】
本明細書に記載される方法、キット、およびシステムは、手術前、その間、およびその後に、従来の独立型PETだけ、光学だけ、放射性同位体だけの画像化剤よりも有利な実証的分子画像化/治療を提供する。
【実施例
【0226】
実施例を、説明的な目的で、本発明の時点での本発明の最良の形態を記載するために以下に記載した。しかし、本発明の範囲は、本明細書に記載される実施例によって、いかなるやり方であっても限定されるべきではない。
(実施例1)
図3A~3Cに図示される式Iの例示的化合物の合成
【0227】
試薬および条件
a)1当量の6-ブロモヘキサン酸、p-NH-Bn-DOTA-テトラ(t-Buエステル)、HOBt(ヒドロキシベンゾトリアゾール)、2.5当量のピリジン、4.0当量のEDC.HCl(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)、DMF(ジメチルホルムアミド)、RT(室温)、N(窒素雰囲気)、6時間、
b)1.2当量の2-(ジメチルアミノ)エチルアミン、t-BuOK(tert-ブチルアルコール、カリウム塩)、MeOH(水酸化ナトリウム)、室温、2時間、
c)1.0当量のCY3.18.OH(トリメチンシアニン)、1.0当量のACUPA((S)-2-(3-((S)-5-アミノ-1-カルボキシペンチル)ウレイド)ペンタン二酸)、2.5当量のHOBt、2.5当量のピリジン、4.0当量のEDC.HCl、DMF、RT、N
d)1.0当量の2、1.0当量の3、2.5当量のHOBt、2.5当量のピリジン、4.0当量のEDC.HCl、DMF、RT、N2、
e)(1)1.1当量のブロモメチルボロン酸ピナコールエステル、DIPEA(N,N-ジイソプロピルエチルアミン)、DMF/THF(2:1)、室温、1時間、(2)3M KHF2、1M HCl、0℃~室温、1時間、
f)1)0.5mLのTFA、2時間。
【0228】
金属挿入:100mM炭酸アンモニウム中pH7.5で金属塩化物塩のインキュベーション。放射標識:(必要な場合):1Mピリダジン-HCl、pH=2.5、50mCiの水性[18F]-フッ化物イオン(特定濃度>1.5Ci/mL)、80~90℃。
tert-ブチル2,2’,2’’,2’’’-(2-(4-(7-ブロモヘプタンアミド)ベンジル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトライル)テトラアセテート(1)の合成
【0229】
オーブン乾燥させた5mLの丸底フラスコ中、乾燥DMF4mL中の6-ブロモヘキサン酸(約100μmol)の溶液に、p-NH-Bn-DOTA-テトラ(t-Buエステル)(100μmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(33mg、300μmol)およびピリジン18μLを添加した後、N-3(-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC.HCl)(25mg、133μmol、Fluka 03450)で縮合を開始した。反応を、周囲雰囲気下、磁気撹拌下において27℃で5時間進行させ、その後、1に対応する新しいピークがUPLC/MSで観察された。結果として生じた溶液をDMF(5mL)で希釈し、混合物を分取HPLCカラムにロードした。化合物4を、HO:ACN(0.05%TFA)溶出勾配を使用して流速12mL/分で単離した。1を含有する画分を真空中で凍結乾燥させて、純粋な(OBu)DOTA-Cy3-tert-アミン1を白色粉末として得た。
tert-ブチル2,2’,2’’,2’’’-(2-(4-(7-(2-(ジメチルアミノ)エチルアミノ)ヘプタンアミド)ベンジル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトライル)テトラアセテート(2)の合成
【0230】
メタノール4mL中の1(約100μmol)の溶液に、1.2当量のカリウムt-ブトキシドを滴下添加する。次に、1.2当量の2-(ジメチルアミノ)エチルアミンを添加する。反応を、周囲雰囲気下、磁気撹拌下において室温で5時間進行させ、その後、2に対応する新しいピークがUPLC/MSによって観察される。結果として生じた溶液をDMF(5mL)で希釈し、混合物を分取HPLCカラムにロードした。化合物2を、HO:ACN(0.05%TFA)溶出勾配を使用して流速12mL/分で単離する。2を含有する画分を真空中で凍結乾燥させると、アミン2が白色粉末として得られる。
tert-ブチル2,2’,2’’-(2-(4-(7-(N-(2-(ジメチルアミノ)エチル)アミド)ヘプタンアミド)ベンジル)-10-(2-イソプロポキシ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート-Cy3-(R)-ジ-tert-ブチル2-(3-((S)-6-アセトアミド-1-tert-ブトキシ-1-オキソヘキサン-2-イル)ウレイド)ペンタンジオエートtBu)DOTA-Cy3-tert-アミン(4)の合成
【0231】
オーブン乾燥させた5mLの丸底フラスコ中、乾燥DMF2mL中のCY3.18.OH(25mg、34μmol、Mujumdarら、1993から適応させた合成)の磁気撹拌した溶液に、(S)-ジ-tert-ブチル-2-(3-((S)-6-アミノ-1-(tert-ブトキシ)-1-オキソヘキサン-2-イル)ウレイド)ペンタンジオエート1(17mg、34μmol、Astatech、CAS 1025796-31-9、カタログ番号W11493)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(12mg、87μmol)およびピリジン7μLを混合した後、EDCI(42mg、217μmol)で縮合を開始する。反応を27℃で6時間進行させ、その後、一置換Cy3-アミド中間体(化合物3)がUPLC/MSによって観察可能になる。5時間目に、化合物4およびさらなるEDCI(42mg、217μmol、Fluka 03450)をrbfに添加し、反応を28℃でさらに4時間進行させる。結果として生じた溶液をDMF(4mL)で希釈し、混合物を分取HPLCカラムにロードする。化合物5を、HO:ACN(0.05%TFA)、50分の溶出勾配を使用して流速12mL/分で単離する。5を含有する画分を真空中で凍結乾燥させると、純粋なピンク色粉末が得られる。
BF-DOTA-Cy3-PSMA(OtBu)(5)の合成
【0232】
ジメチルホルムアミド(DMF)中の4(9.9μmol)の室温で磁気撹拌した溶液に、2.0mLの無希釈ジイソプロピルエチルアミン(disiopropyl ethylamine)(2μL、9.9μmol)を添加し、続いて(ブロモメチル)ボロン酸ピナコールエステル(2.6mg、12.0μmol)を添加した。反応を、2.0時間、または出発材料の完全な消費および所望のN-アルキル化生成物の形成がUPLC-MSによって観察されるまで、RTで進行させた。さらに精製することなく、ボロネートをトリフルオロボレートに変換させた。フッ化水素カリウムの1M溶液(KHF、20μL)に続いて3Mの塩酸(HCl、10μL)を反応ポットに0℃で添加する。反応物を、周囲雰囲気下、室温で1時間撹拌する。5の形成はUPLC-MSによって確認される。結果として生じた溶液を、28%NHOH5μLでクエンチし、濾過し、DMF(1.5mL)で洗浄し、分取HPLCによってHO:ACN(0.05%TFA)、50分の溶出勾配を使用して流速12mL/分で精製した。0~40分の間でACNを10%から70%に増大させる線形勾配に続いて、40~50分の間でACNを70%から90%に増大させる線形勾配を使用して、5を溶出した。所望の生成物を含有する画分を真空中で凍結乾燥させて、純粋な(BOC)保護5をピンク色粉末として得た。単離収量。
BF-DOTA-Cy3-PSMA(6)の合成
【0233】
無希釈トリフルオロ酢酸(TFA)(1.0mL)を、5の撹拌した溶液(5.0μmol)に0℃で添加した。連続的な撹拌下で、反応物を1時間にわたって室温(25℃)に加温した。BOC(tert-ブチルオキシカルボニル)保護酸の対応する酸へのクリーンな変換が、UPLC/MSによって観察された。TFAを真空下で混合物から除去した。結果として生じた固体をDMF(1.0mL)に溶解させ、分取HPLCによって精製した。所望の生成物を含有する画分を真空中で凍結乾燥させて、化学的に純粋な6をピンク色粉末として得た。
考察
【0234】
図3A~3Cにおいて、図では「O-tBu」と指定されるtert-ブチルオキシカルボニル保護基またはtert-ブトキシカルボニル保護基(「BOC」基とも呼ばれる)は、キレーターのアミン基とカルボキシル基との間の自己反応を回避するために、ステップfまでキレーター上に残存するべきである。酸-BOC保護の組込みが失敗すると、反応スキームが失敗し得る。BOC保護は、ここでは有機フルオロフォアの存在に起因して、他の保護基よりも好ましい。有機フルオロフォアは、拡張パイ共役の存在に起因して、合理的に化学反応性である。塩基および白金-水素に不安定な保護基は、有機フルオロフォアを還元するかまたはそれらと不可逆的に反応するかのいずれかによって有機フルオロフォアを破壊する。加えて、他の保護基は、第二級および第三級アミンの反応特性を利用する試薬である生成物2の使用を妨げることがある。
【0235】
試薬が二価または三価の対カチオンを含有しないように、注意が払われるべきである。二価または三価のカチオンの存在は、キレーターとの不可逆反応(キレート化)および/またはOtBu保護キレーターの脱保護を引き起こし得る。
【0236】
ステップaおよびbの後に生成された化合物2は、重要な中間体である。化合物2は、非ヒンダード(ジメチルで置換されている)第三級アミンおよび第二級アミンの両方を含む。生成物4上に非ヒンダード第三級アミンが存在することにより、本発明者らの分子が、部位特異的ハロメチルボロン酸ピナコレート反応およびその後のフッ化物処理(ステップe)後にフッ化物を担持することが可能になる。化合物2上の第二級アミンにより、化合物2が、ステップdにおいて部位特異的アミド形成を受けることが可能になる。化合物2上の第三級および第二級アミンの両方のこの戦略的使用により、ステップdおよびeにおける副反応が防止される。換言すれば、ジメチル置換第三級アミンは、ステップdではアミド形成を受けず、一方、形成されたN-アルキルアミドは、ステップeでハロメチルボロン酸ピナコレートとの反応を受けない。加えて、第三級アミンおよび第二級アミンは、キレーターと反応せず、脱保護もしない。第三級アミンおよび第二級アミンは、生物学的標的化リガンドまたはフルオロフォアが、必須の反応性酸/アミン/求核試薬を含有している場合、ステップdにおいてほとんどの副反応を受けない。化合物2は、ステップdおよびeにおいて部位特異的反応をもたらすためにも必要である。
【0237】
収量を増大するために、ステップdは、1ポット2ステップ反応で実施され得る。これにより、ステップc後の酸-Cy3-ACUPAの単離からの収量が低減する可能性が回避される。特に、第二級アミン(すなわち、反応bの生成物)は、制限試薬でなければならない。この試薬は、キレーター-第二級アミンが高価であり、および/または作製するのに時間がかかるので、ステップdの2ステップ反応の第2のステップにおいて、ACUPA後の反応に従わなければならない。
【0238】
ステップcにおいて、ACUPAまたは置換されている生物学的標的化リガンド試薬は、単一の反応性アミンだけを含有していなければならない。生物学的実体上の他のすべての必須のアミンおよび酸は、化学的に保護されるべきである。
【0239】
理想的には、ステップcの生物学的標的化リガンドの反応は、以下の条件を満たすべきである:a)代替の塩基、求核試薬、強力な求電子試薬および白金-水素脱保護戦略が有機フルオロフォアを破壊するので、酸に不安定な保護基が使用される(OtBuが好ましい)、b)分子は、ビス酸であるcy3の過剰反応(2倍のアミド形成)を防止するために、単一の反応性アミンを含有するべきである(ステップc)、およびc)ビス酸であるcy3の過剰反応を防止するために、ステップcにおいて正確な化学量論制御が発揮されなければならない。
【0240】
化合物4の合成(図3C)は、化合物2を使用することによって設定される。化合物4は、単一の保護されていない第三級アミン、すなわち1個のみの反応性第三級アミンを含有する。この単一の非ヒンダード(ジメチル置換)第三級アミンを担持している分子の生成は、ステップeにおける高収量の部位特異的トリフルオロボレート官能化にとって重要であり得る。加えて、化合物4は、保護されておらず、かつステップeにおいて部位特異的反応を妨害するおそれがある、さらなる非保護第二級もしくは第一級アミンまたは酸を担持しない。
【0241】
図3Cにおいて、第二級アミンである化合物4は、ハロメチルボロン酸ピナコールエステルと反応して、ボロンピナコレートをもたらすことができ、次にそれをフッ化水素カリウムイオンで処理すると、ステップeにおいて第四級アミンの近くに(19F、または18F)-トリフルオロボレートが得られる。フッ化水素または他のフルオロ酸/求電子試薬/求核試薬は、OtBu脱保護/フルオロフォアの破壊をもたらし得るので、フッ化水素カリウムを使用して、ボロンピナコレートをトリフルオロボレートに変換させることができる。
【0242】
化合物5は、長期バルク前駆体である医薬活性成分の保存に最も好ましい生成物であるが、化合物4も長期保存を受けることができる。化合物5の脱保護は、トリフルオロ酢酸を用いて実施されるべきである。他のフルオロ酸の使用は、有機フルオロフォアを破壊し得る。
【0243】
ステップfのTFA脱保護の後、化合物6(段落[120]の化合物A-2)の寿命は、キレーターが、放射活性金属(177Luまたは225Ac - アルファ治療のため)であろうと非放射活性金属(175LuまたはGd - 蛍光ガイド外科手術または18F PET画像化のため)であろうと、所望の金属で充填されない限り非常に限定される。化合物6におけるキレーターがすぐに充填されない場合、B-Fのフッ化物除去/分解が生じ得る。金属添加後の化合物6は、反応性が低くなり、PET画像化のための19F/18F置換の前駆体になるか、または蛍光画像化のためのその非放射活性形態で使用することができる。
【0244】
PET放射標識(19F/18F)は、金属キレート化の前、その間またはその後のいずれかに生じ得る。しかし、化合物6におけるキレーターは、フッ化物除去/分解を回避するために、金属で急速に充填されるべきである。
この実施例から分かる通り、放射標識された部分、例えば(19F/18F)を光学画像化剤、例えば有機フルオロフォア、およびキレーター、例えばDOTAと組み合わせた化合物の合成は、些細なものではない。本発明者らの知識では、そのようなマルチモード式(光学/PET/RIT)化合物は、本発明以前には説明されても合成されてもいなかった。18F放射標識のための従来の方法、例えばフッ化物-炭素置換は、現在FDAにより承認されているすべてのフルオロフォアを破壊すると思われる。
(実施例2)
化合物A-23の合成
【0245】
S-2-(4-アミノベンジル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカンテトラ-tert-ブチルアセテートおよび(S)-ジ-tert-ブチル2-(3-((S)-6-アミノ-1-(tert-ブトキシ)-1-オキソヘキサン-2-イル)ウレイド)ペンタンジオエートを購入した。
【0246】
HPLC-MS条件:分析用逆相HPLC-MSを、Agilent 1200 HPLC Prep/Analytical LCMSシステムで実施した。すべての分析用HPLCを、a10~90(水-アセトニトリル)、20分(またはA-23-Int1だけについては10分)勾配を使用して実施し、ここで両方の溶媒が0.05%トリフルオロ酢酸を含有していた。分析物を、Phenomenex Luna、10um、C18(2)、100A、250×4.6mmカラム(P/No.00G-4253-E0、SN H21-218267)に通して流速1mL/分で流した。分析は、インラインAgilent G6125B質量分析計から上流に置いたAgilent G7165A Multiwavelength検出器を使用して実施した。波長は指定された通りであった。
【化87】
【0247】
50mLの丸底フラスコに、磁気撹拌棒および氷酢酸(6ml、104mmol)を充填した。3-メチル-2-ブタノン(3.4ml、31mmol)をフラスコに添加した後、フラスコをホットプレートに移し、磁気撹拌した。撹拌した溶液に4-ヒドラジニルベンゼンスルホン酸(2g、10.2mmol)を添加し、反応物を110℃に加熱した。反応を24~72時間にわたって110℃で進行させ、その間にピンク色から深い紫色への変化が観察された。結果として生じた溶液を水20mLで希釈し、次に-26℃でシェル凍結させた。凍結させた反応物を真空中で凍結乾燥させて、A-23-Int1を吸湿性の紫色固体として得た(HPLCにより350nmで約90%純粋)。HPLC-MS:239.9(MH+)、分析用HPLC保持時間=13.9分(210nm)。
【化88】
【0248】
50mLの丸底フラスコに、磁気撹拌棒およびA-23-Int1(2.4g、10.2mmol)を充填した。1,2ジクロロベンゼン(5.6mL)および6-ブロモヘキサン酸(5mL)をバイアルにそれぞれ添加した。バイアルを磁気撹拌機に移し、飽和水酸化カリウム-イソプロピルアルコール溶液(5mL、2.6M)を溶液に添加した。反応物を110℃に加熱し、48時間進行させ、そこで反応物を室温に冷却すると、生成物を含有する高密度の紫色油状物および上清からなる二相性混合物が生じた。上清をデカントし、水5mlを油状物に添加した。油状物を水で滴定すると、分取HPLC(10μm C18(2)250×21.2mm 100A分取カラム、HO/ACN(0.05%TFA)、20分、流速15mL/分で0%~25%の溶出勾配を使用)に好適な溶液が生じて、A-23-Int2(HPLCにより250nmで>95%の純度)0.67gが得られた。HPLC-MS:354.1(MH+)、分析用HPLC保持時間=13.1分(210nm)。
【化89】
【0249】
1-(5-カルボキシペンチル)-2-((E)-3-((E)-1-(5-カルボキシペンチル)-3,3-ジメチル-5-スルホインドリン-2-イリデン)プロパ-1-エン-1-イル)-3,3-ジメチル-5-スルホ-3H-インドール-1-イウム塩(A-23-Int3)を、A-23-Int2およびトリエトキシメタンから合成した。5mLのバイアルにA-23-Int2(0.67g、2.8mmol)を充填した。N,N-ジメチルホルムアミド(2mL)を添加して、完全に可溶化したA-23-Int2を得た。次に、ピリジン(1.33mL、16.5mmol)、およびオルトギ酸トリエチル(1.33mL、8mmol)を混合物に添加した。バイアルを110℃の撹拌プレート/加熱器に移した。反応物を110℃で2時間加熱した。暗い紫色から強烈な鮮やかなピンク色への変色が、加熱後、数分以内に観察された。2時間後、反応物を、10μm C18(2)250×21.2mm 100A分取カラムで、HO/ACN(0.05%TFA)、20分、流速15mL/分で10%~90%の溶出勾配を使用して分離して、A-23-Int3(0.42g、HPLCにより550nmで>89%純粋)を得た。HPLC-MS:717.0(M+)、分析用HPLC保持時間=9.4分(250nm)。
【化90】
【0250】
1-(6-(((5S,9R)-12-(tert-ブトキシ)-5,9-ビス(tert-ブトキシカルボニル)-7,12-ジオキソドデシル)アミノ)-6-オキソヘキシル)-2-((E)-3-((E)-3,3-ジメチル-1-(6-オキソ-6-((4-((1,4,7,10-テトラキス(2-(tert-ブトキシ)-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-2-イル)メチル)フェニル)アミノ)ヘキシル)-5-スルホインドリン-2-イリデン)プロパ-1-エン-1-イル)-3,3-ジメチル-5-スルホ-3H-インドール-1-イウム塩(A-23-Int4)を、A-23-Int3から合成した。S-2-(4-アミノベンジル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカンテトラ-tert-ブチルアセテート(5mg、6μmol)、N,N-ジメチルホルムアミド140μL、A-23-Int3(6.2mg、8μmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(6mg、43μmol)、およびピリジン(10μL)を添加した後、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(18mg、94μmol)で縮合を開始した。縮合反応を約24時間にわたって室温で進行させた。24時間後、(S)-ジ-tert-ブチル2-(3-((S)-6-アミノ-1-(tert-ブトキシ)-1-オキソヘキサン-2-イル)ウレイド)ペンタンジオエート(6mg、12.3μmol)およびさらなる1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(18mg、94μmol)を反応混合物に添加した。反応物を室温で72時間静置した後、反応物をN,N-ジメチルホルムアミド(300μL)で希釈し、混合物を分取HPLCにロードした。HPLC分離を、10μm C18(2)250×21.2mm 100A分取カラムで、HO/ACN(0.05%TFA)、20分、流速15mL/分で10%~90%の溶出勾配を使用して行った。HPLC-MS:1902.4(M+)、分析用HPLC保持時間=17.5分(250nm)。
【化91】
【0251】
化合物A-23の合成。粉末化A-23-Int4(約1mg)を秤量し、空の1.5mLのバイアルに添加した。200μL体積のトリフルオロ酢酸を添加し、反応を2時間にわたって進行させた。2時間後、反応物をHPLCグレードの水1mLで希釈した。反応物全体を凍結させ、真空中で凍結乾燥させて、化合物A-23トリフルオロアセテートをピンク色固体として得た。HPLC-MS:1509(M+)、分析用HPLC保持時間=7.84分(550nm)。
(実施例3)
化合物A-22-Int4の合成
【0252】
分析用HPLC-MS条件は、実施例2に記載される通りであった。
【0253】
S-2-(4-アミノベンジル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカンテトラ-tert-ブチルアセテートおよび(S)-ジ-tert-ブチル2-(3-((S)-6-アミノ-1-(tert-ブトキシ)-1-オキソヘキサン-2-イル)ウレイド)ペンタンジオエートを購入した。N-プロパルギル-N,N-ジメチルアンモニオメチルトリフルオロボレートを、Angew. Chem. Int. Ed. 2014, 53, 11876に従って合成した。
【化92】
【0254】
テトラ-tert-ブチル2,2’,2’’,2’’’-(2-(4-((S)-2-アミノ-5-アジドペンタンアミド)ベンジル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトライル)テトラアセテート(A-22-Int2)を、テトラ-tert-ブチル2,2’,2’’,2’’’-(2-(4-((S)-2-(((9H-フルオレン-9-イル)メチル)アミノ)-5-アジドペンタンアミド)ベンジル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトライル)テトラアセテート(A-22-Int1)(これ自体は(S)-2-(((9H-フルオレン-9-イル)メチル)アミノ)-5-アジドペンタン酸およびテトラ-tert-ブチル2,2’,2’’,2’’’-(2-(4-アミノベンジル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトライル)テトラアセテートのアミドカップリングによって合成した)のFmoc脱保護によって合成した。空の1.5mLのバイアルに、S-2-(4-アミノベンジル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカンテトラ-tert-ブチルアセテート(25.5mg、30μmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(350μL)、S-5アジド-2-(Fmoc-アミノ)ペンタン酸(16.9mg、44μmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(6mg、157μmol)、およびピリジン(37μL)を添加した後、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(75mg、390μmol)で縮合を開始した。反応が進行すると、結果として生じた反応スラリーが完全に可溶性になった。反応物を室温で24時間静置した後、300μLの20%ピペリジン、すなわちN,N-ジメチルホルムアミドフルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)脱保護溶液を添加した。Fmoc脱保護を室温で3時間進行させた後、反応物をN,N-ジメチルホルムアミド(300μL)で希釈し、混合物を分取HPLCにロードした。HPLC分離を、10μm C18(2)250×21.2mm 100A分取カラムで、H2O/ACN(0.05%TFA)、20分、流速15mL/分で10%~90%の溶出勾配を使用して行った。HPLC-MS:873.4(M+)、分析用HPLC保持時間=9.7分(250nm)。
【化93】
【0255】
2-((E)-3-((E)-1-(6-(((2S)-5-アジド-1-オキソ-1-((4-((1,4,7,10-テトラキス(2-(tert-ブトキシ)-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-2-イル)メチル)フェニル)アミノ)ペンタン-2-イル)アミノ)-6-オキソヘキシル)-3,3-ジメチル-5-スルホインドリン-2-イリデン)プロパ-1-エン-1-イル)-1-(6-(((5S,9R)-12-(tert-ブトキシ)-5,9-ビス(tert-ブトキシカルボニル)-7,12-ジオキソドデシル)アミノ)-6-オキソヘキシル)-3,3-ジメチル-5-スルホ-3H-インドール-1-イウム塩(A-22-Int3)を、A-22-Int2およびA-23-Int3から合成し、続いてトリ-tert-ブチル(3R,7S)-11-アミノ-5-オキソウンデカン-1,3,7-トリカルボキシレートとカップリングさせた。空の1.5mLのバイアルに、N,N-ジメチルホルムアミド200μL中A-22-Int2(約1mg、210nmにおいて311mAu)、N,N-ジメチルホルムアミド200μL中A-23-Int3(10mg、13.3μmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(6mg、43μmol)、およびピリジン10μLを添加した後、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(18mg、94μmol)で縮合を開始した。縮合反応を5時間にわたって室温で進行させた。5時間後、(S)-ジ-tert-ブチル2-(3-((S)-6-アミノ-1-(tert-ブトキシ)-1-オキソヘキサン-2-イル)ウレイド)ペンタンジオエート6mg(12.3μmol)およびさらなる1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(27mg、141μmol)を、反応混合物に添加した。反応物を室温で48時間静置した後、反応物をN,N-ジメチルホルムアミド(300μL)で希釈し、混合物を分取HPLCにロードした。HPLC分離を、10um C18(2)250×21.2mm 100A分取カラムで、H2O/ACN(0.05%TFA)、20分、流速15mL/分で10%~90%の溶出勾配を使用して行った。HPLC-MS:1020.1(M2+)、保持時間=18.0分(250nm)。
【化94】
【0256】
((((1-((4S)-4-(6-((E)-2-((E)-3-(1-(6-(((5S,9R)-12-(tert-ブトキシ)-5,9-ビス(tert-ブトキシカルボニル)-7,12-ジオキソドデシル)アミノ)-6-オキソヘキシル)-3,3-ジメチル-5-スルホ-3H-インドール-1-イウム-2-イル)アリリデン)-3,3-ジメチル-5-スルホインドリン-1-イル)ヘキサンアミド)-5-オキソ-5-((4-((1,4,7,10-テトラキス(2-(tert-ブトキシ)-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-2-イル)メチル)フェニル)アミノ)ペンチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)ジメチルアンモニオ)メチル)-トリフルオロボレート(A-22-Int4)を、A-22-Int3から合成した。空の1.5mLのバイアルに、N,N-ジメチルホルムアミド200μL中A-22-Int3(約1mg、210nmにおいて311mAu)、N-プロパルギル-N,N-ジメチルアンモニオメチルトリフルオロボレート(3mg、18mg)およびアスコルビン酸(3.9mg、22μmol)を添加した。硫酸銅溶液を、第2の別個の1.5mLのバイアル中、硫酸銅(II)五水和物(1mg、4μmol)を水(20μL)に溶解させることによって調製した。硫酸銅溶液全体を第1のバイアルに移して、反応を惹起した。反応物を室温で16時間静置した。16時間後、反応物をN,N-ジメチルホルムアミド(1.3mL)で希釈し、混合物を分取HPLCにロードした。HPLC分離を、10um C18(2)250×21.2mm 100A分取カラムで、HO/ACN(0.05%TFA)、20分、流速15mL/分で10%~90%の溶出勾配を使用して行った。HPLC-MS:1102.5(M2+)、保持時間=16.0分(550nm)。
【0257】
化合物A-22-Int4は、化合物A-22のための前駆体として働くことができる。
(実施例4)
金属キレート化化合物A-22およびA-23の合成
【0258】
化合物A-22-Int4およびA-23-Int4を使用するために、それらの化合物を、まず、金属イオンを捕捉することができる状態に置かなければならず、すなわち、t-ブチルエステル保護基を除去することによって、化合物A-22およびA-23にそれぞれ転換しなければならない。
【0259】
例えば、化合物A-22-Int4を、無希釈トリフルオロ酢酸(TFA)で5分間処理する。結果として生じた化合物A-22を、凍結(-20℃)によって単離し、次に凍結乾燥させて、所望の化合物を乾燥粉末として得る。
【0260】
2つの方法を使用して、金属イオンを化合物A-22またはA-23にロードすることができる:(1)金属ハロゲン化物を含有する水溶液を、化合物A-22またはA-23を作製するために使用された前述のトリフルオロ酢酸溶液に直接添加することができる、(2)凍結乾燥させた生成物を水または緩衝食塩水に再懸濁させるときに、金属がロードされる。化合物A-22またはA-23を含有する凍結乾燥粉末を、金属ハロゲン化物を含有する水またはリン酸緩衝食塩水に再懸濁させることができる。金属キレート化は、インキュベーションの5分以内に完了する。過剰の金属を除去するために、最終的な金属含有溶液を、金属キレートカラムまたはカチオン交換カラムを介して濾過して、遊離金属を除去する。
【0261】
化合物A-22およびA-23に、ガドリニウム、ガリウム、ルテチウム、またはアクチニウムであり得る金属をロードする。あらゆる金属キレート化化合物を、蛍光画像化のために使用することができるが、PET画像化には、金属キレート化化合物A-22だけを使用することができる。PETおよび蛍光画像化には安定な非放射活性金属(Gd、Lu-175)が好ましく、一方、放射線同位体治療にはLu-177およびAc-225が好ましい。
(実施例5)
金属キレート化化合物A-22およびA-23の医療的使用
蛍光画像ガイド外科手術(FIGS)または蛍光組織病理学
【0262】
金属キレート化化合物A-22およびA-23は、蛍光画像ガイド外科手術(FIGS)および蛍光組織病理学において使用することができる。外科医は、不活性な非放射活性金属(M)、例えば175-Luを用いて作業することを好む。金属キレート化化合物A-22およびA-23は、注射前に1mMリン酸緩衝食塩水(1×PBS)で希釈され、0.22μmのフィルターを介して濾過される。結果として生じたpH7.4の濾液は静脈内注射される。
PET画像化
【0263】
金属キレート化化合物A-22の放射標識は、水性の酸性pH条件(pH=2.0、ピリダジン-HCl緩衝剤、10μL)下、1ステップで実施され、高温(80~90℃)で急速に(10~15分間)進行する。未反応[18F]-フッ化物イオンの除去は、金属キレート化化合物A-22の放射標識化混合物を、予洗した(5mL、脱イオン水)C18カートリッジ(Waters番号186005125)に通過させることによって実施する。20~23mL体積の水を使用して、汚染[18F]-フッ化物イオンをカートリッジから洗い流す。カートリッジに結合した[18F]-金属キレート化化合物A-22を、エタノール(99%)中4.0mM HClで溶出する。酸性エタノール中、生じた[18F]-金属キレート化化合物A-22を、1mMリン酸緩衝食塩水(1×PBS)ですぐに10倍希釈し、0.22μmのフィルターを介して濾過する。結果として生じたpH7.4の濾液を、3~5mL溶液で橈側皮静脈を通して静脈内注射する。注射と画像化取得との間で通過するのに、平均時間73±27分を与える。
Gd造影剤MRI画像化
【0264】
Gd標識された化合物A-22またはA-23は、MRI画像化において高質量で使用することができる。Gd標識された化合物A-22またはA-23を、1mMリン酸緩衝食塩水(1×PBS)で希釈し、0.22μmのフィルターを介して濾過する。結果として生じたpH7.4の濾液を、橈側皮静脈を介して静脈内注射する。
放射線療法
【0265】
金属標識された化合物A-22またはA-23(金属は、177Luまたは225Acである)を、放射線同位体治療(RIT)において使用することができる。金属標識された化合物を、1mMリン酸緩衝食塩水(1×PBS)で希釈し、0.22μmのフィルターを介して濾過する。結果として生じたpH7.4の濾液を、橈側皮静脈を介して静脈内注射する。
【0266】
当業者は、ごく慣用的な実験方法を使用して、本明細書に記載される通りの本発明の具体的な実施形態に対する多くの均等物を認識し、または確認することができる。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
【0267】
本明細書において言及されたすべての参考文献は、個々の各刊行物または特許または特許出願が、あたかもあらゆる目的でその全体が参照により組み込まれることが具体的かつ個々に示されているのと同程度に、あらゆる目的でそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0268】
本発明は、本明細書に記載される具体的な実施形態によって範囲を限定されるべきではない。実際、本明細書に記載されるものに加えて、本発明の種々の修正が、上述の説明および添付の図から当業者には明らかになろう。そのような修正は、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図4
【国際調査報告】