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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】皮膚色決定システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20241001BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20241001BHJP
【FI】
A61B5/00 M
A61B5/00 101A
H04N23/60 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519356
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 CA2022051443
(87)【国際公開番号】W WO2023050004
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】63/249,656
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518372741
【氏名又は名称】フィットスキン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラトナー,セルジオ
(72)【発明者】
【氏名】ビリマス,ジャスティナス
【テーマコード(参考)】
4C117
5C122
【Fターム(参考)】
4C117XB13
4C117XD05
4C117XE03
4C117XE43
4C117XK09
4C117XL01
4C117XL12
4C117XQ13
5C122DA12
5C122EA55
5C122FH02
5C122GE23
(57)【要約】
ユーザーのユーザー皮膚色決定システムが提供され、同システムは、1つ以上のユーザーの皮膚画像画素を含むユーザーのユーザー皮膚画像を取得し、ユーザー皮膚画像に対して色処理を行って、ユーザー皮膚色を決定し、かつユーザー皮膚色を含む色処理の結果を出力するよう構成される皮膚分析アセンブリを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーのユーザー皮膚色決定システムであって、
皮膚分析アセンブリを含み、前記皮膚分析アセンブリが、
1つ以上のユーザー皮膚画像画素を含む前記ユーザーのユーザー皮膚画像を取得し、
前記ユーザー皮膚画像に対して色処理を行って、ユーザー皮膚色に到達し、かつ
前記ユーザー皮膚色を含む前記色処理の結果を出力するよう構成されるシステム。
【請求項2】
前記皮膚分析アセンブリが、モバイル機器に取り付けられる皮膚分析装置を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ユーザー皮膚画像が、10倍以上の倍率である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
色処理の実行が、
前記ユーザー皮膚画像における前記ユーザー皮膚画像画素の平均画素状態色スコアを決定することを含み、かつ
前記平均画素状態色スコアが画像状態色閾値未満である場合には、
画素毎状態色閾値を計算することと、
前記画素毎状態色閾値に基づく状態色マスクを生成することと、
前記ユーザー皮膚画像画素から前記画素毎状態色閾値を超える画素を除去することとを含み、さらに
前記ユーザー皮膚画像画素からユーザー皮膚色を取得することとをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
色処理の実行が、
前記ユーザー皮膚画像における前記ユーザー皮膚画像画素の平均画素赤さスコアを決定することを含み、かつ
前記平均画素赤さスコアが画像赤さ閾値未満の場合には、
画素毎赤さ閾値を計算することと、
前記画素毎赤さ閾値に基づく赤みマスクを生成することと、
前記ユーザー皮膚画像画素から、前記画素毎赤さ閾値を超える画素を除去することとを含み、さらに
前記ユーザー画像画素からユーザー皮膚色を取得することとをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記決定することが、経験的A/Bテスト結果を用いて開発した人間の知覚を模倣するアルゴリズムを用いることをさらに含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記画像赤さ閾値が、前記システムの処理能力、希望速度および前記計算されたユーザー皮膚色について希望する正確さのうち1つ以上に基づく、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記画素毎赤さ閾値を計算することが、さまざまな画素毎赤さ閾値をテストし、かつすでにLAB値を有する皮膚画像からのdeltaEを最小化する前記画素毎赤さ閾値を選択することにより行われる、請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
前記システムが、
前記システムと他の皮膚色システムとの間の転置に基づき、前記ユーザー皮膚色に対して色転置を適用するようさらに構成され、かつ前記結果が、転置されたユーザー皮膚色をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記システムが、
前記ユーザー皮膚色および前記転置されたユーザー皮膚色のうちの1つ以上に基づき、製品の推奨を行うようさらに構成され、かつ前記結果が、製品の推奨をさらに含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記システムが、
前記製品の推奨、前記ユーザー皮膚色および前記転置されたユーザー皮膚色のうちの1つ以上に基づき、経験的フィードバックを受けるようさらに構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記システムが、
キャリブレーションカードの1つ以上の画像を撮像して、前記ユーザー皮膚画像に適用される較正転置を得ることにより前記皮膚分析アセンブリを較正するようさらに構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
ユーザーのユーザー皮膚色決定方法であって、
皮膚分析アセンブリにより、1つ以上のユーザー皮膚画像画素を含む前記ユーザーのユーザー皮膚画像を取得するステップと、
前記ユーザー皮膚画像に対して色処理を行って、ユーザー皮膚色に到達するステップと、
前記ユーザー皮膚色を含む前記色処理の結果を出力するステップとを含む方法。
【請求項14】
前記皮膚分析アセンブリが、モバイル機器に取り付けられる皮膚分析装置を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ユーザー皮膚画像が10倍以上の倍率である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記色処理が、
前記ユーザー皮膚画像における前記ユーザー皮膚画像画素の平均画素状態色スコアを決定するステップを含み、かつ
前記平均画素状態色スコアが、画像状態色閾値未満である場合には、
画素毎状態色閾値を計算するステップと、
前記画素毎状態色閾値に基づく状態色マスクを生成するステップと、
前記ユーザー皮膚画像画素から、前記画素毎状態色閾値を超える画素を除去するステップとを含み、さらに
前記ユーザー皮膚画像画素からユーザー皮膚色を取得するステップとをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記色処理が、
前記ユーザー皮膚画像における前記ユーザー皮膚画像画素の平均画素赤さスコアを決定するステップを含み、かつ
前記平均画素赤さスコアが画像赤さ閾値未満である場合には、
画素毎赤さ閾値を計算するステップと、
前記画素毎赤さ閾値に基づく赤みマスクを生成するステップと、
前記ユーザー皮膚画像画素から前記画素毎赤さ閾値を超える画素を除去するステップとを含み、さらに
前記ユーザー皮膚画像画素からユーザー皮膚色を取得するステップとをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記決定するステップが、経験的A/B試験結果を用いて開発された人間の知覚を模倣するアルゴリズムを用いることをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記画像赤さ閾値が、前記システムの処理能力、希望速度および前記計算されたユーザー皮膚色について希望する正確さのうち1つ以上に基づき決定される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記画素毎赤さ閾値を計算するステップが、さまざまな画素毎赤さ閾値をテストし、かつすでにLAB値を有する皮膚画像からのdeltaEを最小化する前記画素毎赤さ閾値を選択することにより行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
請求項13に記載の方法であって、
前記システムと他の皮膚色システムとの間の転置に基づき、前記ユーザー皮膚色に対して色転置を適用するステップをさらに含み、かつ前記結果が転置されたユーザー皮膚色をさらに含む方法。
【請求項22】
請求項21に記載のシステムであって、
前記ユーザー皮膚色および前記転置されたユーザー皮膚色のうちの1つ以上に基づき、製品の推奨を行うステップをさらに含み、かつ前記結果が、製品の推奨をさらに含むシステム。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、
前記製品の推奨、前記ユーザー皮膚色および前記転置されたユーザー皮膚色のうちの1つ以上に基づき、経験的フィードバックを受けるステップをさらに含む方法。
【請求項24】
請求項13に記載の方法であって、
キャリブレーションカードの1つ以上の画像を撮像して、前記ユーザー皮膚画像に適用される較正転置を得ることにより前記皮膚分析アセンブリをする較正するステップをさらに含む方法。
【請求項25】
ユーザーのユーザー皮膚色決定システムであって、皮膚分析アセンブリを含み、
前記皮膚分析アセンブリが、
1つ以上のユーザー皮膚画像画素を含む前記のユーザー皮膚画像を取得し、
前記ユーザー皮膚画像に対して色処理を行って、ユーザー皮膚色に到達するよう構成され、前記色処理が、
前記ユーザー皮膚画像における前記ユーザー皮膚画像画素の平均画素赤さスコアを決定することを含み、かつ
前記平均画素赤さスコアが画像赤さ閾値未満である場合には、
画素毎赤さ閾値を計算することと、
前記画素毎赤さ閾値に基づく赤みマスクを生成することと、
ユーザー皮膚画像画素から、前記画素毎赤さ閾値を超える画素を除去することとを含み、さらに
前記ユーザー皮膚画像画素からユーザー皮膚色を計算することとを含み、かつ
前記皮膚分析アセンブリが、前記ユーザー皮膚色を含む色処理の結果を出力するよう構成される、システム。
【請求項26】
請求項25に記載のシステムであって、前記システムが、
前記システムと他の皮膚色システムとの間の転置に基づき、前記ユーザー皮膚色に対して色転置を行うよう構成され、かつ前記結果が、転置されたユーザー皮膚色をさらに含むシステム。
【請求項27】
請求項26に記載のシステムであって、前記システムが、
前記ユーザー皮膚色および前記転置されたユーザー皮膚色のうちの1つ以上に基づいて、製品の推奨を行うようさらに構成され、かつ前記結果が、製品の推奨をさらに含むシステム。
【請求項28】
ユーザーのユーザー皮膚色決定方法であって、
1つ以上のユーザー皮膚画像画素を含む前記のユーザー皮膚画像を取得するステップと
前記ユーザー皮膚画像に対して色処理を行って、ユーザー皮膚色を決定するステップと、
前記ユーザー皮膚色を含む色処理の結果を出力するステップとを含む方法。
【請求項29】
前記ユーザー皮膚画像における前記ユーザー皮膚画像画素の平均画素赤さスコアを決定するステップを含み、かつ前記平均画素赤さスコアが画像赤さ閾値未満である場合には、画素毎赤さ閾値を計算するステップと、前記画素毎赤さ閾値に基づく赤みマスクを生成するステップと、前記ユーザー皮膚画像画素から、前記画素毎赤さ閾値を超える画素を除去するステップとを含み、さらに、前記ユーザー皮膚画像画素からユーザー皮膚色を計算するステップとを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法であって、
前記システムと他の皮膚色システムとの間の転置に基づき、前記ユーザー皮膚色に対して色転置を行うステップをさらに含み、かつ前記結果が、転置されたユーザー皮膚色をさらに含む、方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって、
前記ユーザー皮膚色および前記転置されたユーザー皮膚色のうち1つ以上に基き、製品の推奨を扱うステップをさらに含み、かつ前記結果が製品の推奨をさらに含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚色の測定および分析に関し、かつ詳細には、スマートフォンに取り付ける皮膚分析装置を使用して皮膚の特性を測定するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スキンケア製品メーカーは、ユーザーが健康で美しい肌を維持するのに助けとなるようスキンケア製品を製造する。しかしながら、消費者のスキンケアおよび化粧品産業における最大の問題の1つは、化粧品の色を適切にマッチさせて薦めることができるように、正確かつ有用な消費者の皮膚色を決定することである。
【0003】
正確で有用な皮膚色の決定を試みる様々な解決策が存在する。しかしながら、これらの解決策には限界と失敗が多い。例えば、既存の解決策は、以下の限界の1つ以上を問題としてかかえる。
(a)測定の不正確さ。例えば、これは、技術的な限界、ユーザーの非現実的な要求、変化する環境(照明など)などに起因する。
(b)コスト。例えば、ほとんどの解決策は、既存の技術を活用しない独立した装置で、また、分光計や分光光度計のようなハイエンドのコンポーネントであり、非常に高価だが、本明細書に記載されている様々な制約を欠点とする。
(c)解決策の展開におけるロジスティックの課題。特殊なハードウェアは、特に高価なものは展開が困難である。較正、メンテナンスや使用が困難なハードウェアは、使用すべき態様に展開して正確に使用することも同様に困難である。
【0004】
例として、望ましくかつ正確であると考えられる1つのやり方は、分光光度計を使用することである。この装置は、カメラや画像解析を使用するのではなく、センサーに対して反射した光の波長を利用して、被写体(例えば、ユーザーの顔)の色を決定する。このような装置は高価であり、ソリッドな同系色には有効だが、非同系色には有効ではないことが知られている。さらに、分光光度計は毛細血管(赤/ピンク)または静脈(青/緑)を強調しすぎるため、皮膚が半透明または茶色もしくは暗く(すなわちメラニンが多い)なるほど、有効でなくなる。
【0005】
したがって、当該技術分野においては、スマートフォンなどの電子機器を使用して正確な皮膚色を決定することができる改良された方法およびシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
ユーザーのユーザー皮膚色決定システムが提供され、同システムは、皮膚分析アセンブリを含み、前記皮膚分析アセンブリが、1つ以上のユーザー皮膚画像画素を含む前記ユーザーのユーザー皮膚画像を取得し、前記ユーザー皮膚画像に対して色処理を行って、ユーザー皮膚色に到達し、かつ前記ユーザー皮膚色を含む前記色処理の結果を出力するよう構成される。
前記皮膚分析アセンブリは、モバイル機器に取り付けられる皮膚分析装置を含んでもよい。
前記ユーザー皮膚画像は、10倍以上の倍率でもよい。
前記色処理の実行が、前記ユーザー皮膚画像における前記ユーザー皮膚画像画素の平均画素状態色スコアを決定することを含み、かつ前記平均画素状態色スコアが画像状態色閾値未満である場合には、画素毎状態色閾値を計算することと、前記画素毎状態色閾値に基づく状態色マスクを生成することと、前記ユーザー皮膚画像画素から前記画素毎状態色閾値を超える画素を除去することとを含み、前記ユーザー皮膚画像画素からユーザー皮膚色を取得することとをさらに含んでもよい。
前記色処理の実行が、前記ユーザー皮膚画像における前記ユーザー皮膚画像画素の平均画素赤さスコアを決定することを含み、前記平均画素赤さスコアが画像赤さ閾値未満の場合には、画素毎赤さ閾値を計算することと、前記画素毎赤さ閾値に基づく赤みマスクを生成することと、前記ユーザー皮膚画像画素から、前記画素毎赤さ閾値を超える画素を除去することとを含み、前記ユーザー画像画素からユーザー皮膚色を取得することとをさらに含んでもよい。
前記システムが決定することが、経験的A/Bテスト結果を用いて開発した人間の知覚を模倣するアルゴリズムを用いることをさらに含んでもよい。
前記画像赤さ閾値が、前記システムの処理能力、希望速度および前記計算されたユーザー皮膚色について希望する正確さのうち1つ以上に基づいてもよい。
前記画素毎赤さ閾値を計算することが、さまざまな画素毎赤さ閾値をテストし、かつすでにLAB値を有する皮膚画像からのdeltaEを最小化する前記画素毎赤さ閾値を選択することにより行われてもよい。
前記システムが、前記システムと他の皮膚色システムとの間の転置に基づき、前記ユーザー皮膚色に対して色転置を適用するようさらに構成されてもよく、かつ前記結果が、転置されたユーザー皮膚色をさらに含んでもよい。
前記システムが、前記ユーザー皮膚色および前記転置されたユーザー皮膚色のうちの1つ以上に基づき、製品の推奨を行うようさらに構成されてもよく、かつ前記結果が、製品の推奨をさらに含んでもよい。
前記システムが、前記製品の推奨、前記ユーザー皮膚色および前記転置されたユーザー皮膚色のうちの1つ以上に基づき、経験的フィードバックを受けるようさらに構成されてもよい。
前記システムが、キャリブレーションカードの1つ以上の画像を撮像して、前記ユーザー皮膚画像に適用される較正転置を得ることにより前記皮膚分析アセンブリを較正するようさらに構成されてもよい。
また、ユーザーのユーザー皮膚色決定方法が提供され、同方法は、皮膚分析アセンブリにより、1つ以上のユーザー皮膚画像画素を含む前記ユーザーのユーザー皮膚画像を取得するステップと、前記ユーザー皮膚画像に対して色処理を行って、ユーザー皮膚色に到達するステップと、前記ユーザー皮膚色を含む前記色処理の結果を出力するステップとを含む。
前記皮膚分析アセンブリが、モバイル機器に取り付けられる皮膚分析装置を含んでもよい。
前記ユーザー皮膚画像が10倍以上の倍率でもよい。
前記色処理が、前記ユーザー皮膚画像における前記ユーザー皮膚画像画素の平均画素状態色スコアを決定するステップを含み、かつ前記平均画素状態色スコアが、画像状態色閾値未満である場合には、画素毎状態色閾値を計算するステップと、前記画素毎状態色閾値に基づく状態色マスクを生成するステップと、前記ユーザー皮膚画像画素から、前記画素毎状態色閾値を超える画素を除去するステップとを含み、さらに前記ユーザー皮膚画像画素からユーザー皮膚色を取得するステップとをさらに含んでもよい。
前記色処理が、前記ユーザー皮膚画像における前記ユーザー皮膚画像画素の平均画素赤さスコアを決定するステップを含み、かつ前記平均画素赤さスコアが画像赤さ閾値未満である場合には、画素毎赤さ閾値を計算するステップと、前記画素毎赤さ閾値に基づく赤みマスクを生成するステップと、前記ユーザー皮膚画像画素から前記画素毎赤さ閾値を超える画素を除去するステップとを含み、さらに前記ユーザー皮膚画像画素からユーザー皮膚色を取得するステップとをさらに含んでもよい。
前記決定するステップが、経験的A/B試験結果を用いて開発された人間の知覚を模倣するアルゴリズムを用いることを含んでもよい。
前記画像赤さ閾値が、前記システムの処理能力、希望速度および前記計算されたユーザー皮膚色について希望する正確さのうち1つ以上に基づき、決定されてもよい。
前記画素毎赤さ閾値を計算するステップが、さまざまな画素毎赤さ閾値をテストし、かつすでにLAB値を有する皮膚画像からのdeltaEを最小化する前記画素毎赤さ閾値を選択することにより行われてもよい。
前記方法は、前記システムと他の皮膚色システムとの間の転置に基づき、前記ユーザー皮膚色に対して色転置を適用するステップをさらに含んでもよく、かつ前記結果が、転置されたユーザー皮膚色をさらに含んでもよい。
前記方法は、前記ユーザー皮膚色および前記転置されたユーザー皮膚色のうちの1つ以上に基づき、製品の推奨を行うステップをさらに含んでもよく、かつ前記結果が、製品の推奨をさらに含んでもよい。
前記方法は、前記製品の推奨、前記ユーザー皮膚色および前記転置されたユーザー皮膚色のうちの1つ以上に基づき、経験的フィードバックを受けるステップをさらに含んでもよい。
前記方法は、キャリブレーションカードの1つ以上の画像を撮像して、前記ユーザー皮膚画像に適用される較正転置を得ることにより前記皮膚分析アセンブリをする較正するステップをさらに含んでもよい。
ユーザーのユーザー皮膚色決定システムが提供され、前記システムは皮膚分析アセンブリを含み、前記皮膚分析アセンブリが、1つ以上のユーザー皮膚画像画素を含む前記ユーザーのユーザー皮膚画像を取得し、前記ユーザー皮膚画像に対して色処理を行って、ユーザー皮膚色に到達するよう構成され、前記色処理が、前記ユーザー皮膚画像における前記ユーザー皮膚画像画素の平均画素赤さスコアを決定することを含み、かつ前記平均画素赤さスコアが画像赤さ閾値未満である場合には、画素毎赤さ閾値を計算することと、前記画素毎赤さ閾値に基づく赤みマスクを生成することと、ユーザー皮膚画像画素から、前記画素毎赤さ閾値を超える画素を除去することとを含み、前記ユーザー皮膚画像画素からユーザー皮膚色を計算することとをさらに含み、かつ前記皮膚分析アセンブリが、前記ユーザー皮膚色を含む色処理の結果を出力するよう構成される。
前記システムが、前記システムと他の皮膚色システムとの間の転置に基づき、前記ユーザー皮膚色に対して色転置を適用するようさらに構成されてもよく、かつ前記結果が、転置されたユーザー皮膚色をさらに含んでもよい。
前記システムが、前記ユーザー皮膚色および前記転置されたユーザー皮膚色のうちの1つ以上に基づき、製品の推奨を行うようさらに構成されてもよく、かつ前記結果が、製品の推奨を含んでもよい。
ユーザーのユーザー皮膚色決定方法が提供され、同方法は1つ以上のユーザー皮膚画像画素を含む前記のユーザー皮膚画像を取得するステップと、前記ユーザー皮膚画像に対して色処理を行って、ユーザー皮膚色を決定するステップと、前記ユーザー皮膚色を含む色処理の結果を出力するステップとを含む。
前記方法は、前記ユーザー皮膚画像における前記ユーザー皮膚画像画素の平均画素赤さスコアを決定するステップを含み、かつ前記平均画素赤さスコアが画像赤さ閾値未満である場合には、画素毎赤さ閾値を計算するステップと、前記画素毎赤さ閾値に基づく赤みマスクを生成するステップと、前記ユーザー皮膚画像画素から、前記画素毎赤さ閾値を超える画素を除去するステップとを含み、前記ユーザー皮膚画像画素からユーザー皮膚色を計算するステップとをさらに含んでもよい。
前記方法は、前記システムと他の皮膚色システムとの間の転置に基づき、前記ユーザー皮膚色に対して色転置を行うステップをさらに含んでもよく、かつ前記結果が、転置されたユーザー皮膚色をさらに含んでもよい。
前記方法は、前記ユーザー皮膚色および転置された前記ユーザー皮膚色の1つ以上に基づいて、製品の推奨を扱うステップをさらに含んでもよく、かつ前記結果が製品の推奨をさらに含んでもよい。
【0007】
ユーザーのユーザー皮膚色決定システムが提供され、同システムは、皮膚分析アセンブリを含み、前記皮膚分析アセンブリが、1つ以上のユーザー皮膚画像画素を含む前記ユーザーのユーザー皮膚画像を取得し、前記ユーザー皮膚画像に対して色処理を行って、ユーザー皮膚色に到達し、かつ前記ユーザー皮膚色を含む前記色処理の結果を出力するよう構成される。
【0008】
前記色処理が、前記ユーザー皮膚画像における前記ユーザー皮膚画像画素の平均画素赤さスコアを決定することを含み、かつ前記平均画素赤さスコアが画像赤さ閾値未満である場合には、画素毎赤さ閾値を計算することと、前記画素毎赤さ閾値に基づく赤みマスクを生成することと、ユーザー皮膚画像画素から、前記画素毎赤さ閾値を超える画素を除去することとを含み、さらに、前記ユーザー皮膚画像画素からユーザー皮膚色を計算することとをさらに含んでもよい。
【0009】
前記システムが、前記システムと他の皮膚色システムとの間の転置に基づき、前記ユーザー皮膚色に対して色転置を行うようさらに構成されてもよく、かつ前記結果が、転置されたユーザー皮膚色をさらに含んでもよい。
【0010】
前記システムが、前記ユーザー皮膚色および前記転置されたユーザー皮膚色のうちの1つ以上に基づき、製品の推奨を行うようさらに構成されてもよく、かつ前記結果が、製品の推奨を含む。
【0011】
また、ユーザーのユーザー皮膚色決定方法が提供され、同方法は、1つ以上のユーザー皮膚画像画素を含む前記のユーザー皮膚画像を取得するステップと、前記ユーザー皮膚画像に対して色処理を行って、ユーザー皮膚色を決定するステップと、前記ユーザー皮膚色を含む色処理の結果を出力するステップとを含む。
【0012】
前記ユーザー皮膚画像における前記ユーザー皮膚画像画素の平均画素赤さスコアを決定するステップを含み、かつ前記平均画素赤さスコアが、画像赤さ閾値未満である場合には、画素毎赤さ閾値を計算するステップと、前記画素毎赤さ閾値に基づく赤みマスクを生成するステップと、前記ユーザー皮膚画像画素から、前記画素毎赤さ閾値を超える画素を除去するステップとを含み、前記ユーザー皮膚画像画素からユーザー皮膚色を計算するステップとをさらに含んでもよい。
【0013】
前記方法が、前記システムと他の皮膚色システムとの間の転置に基づき、前記ユーザー皮膚色に対して色転置を行うステップをさらに含んでもよく、かつ前記結果が、転置されたユーザー皮膚色をさらに含んでもよい。
【0014】
前記ユーザー皮膚色および前記転置されたユーザー皮膚色のうち1つ以上に基づき、製品の推奨を扱うステップをさらに含んでもよく、かつ前記結果が製品の推奨をさらに含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明を添付の図面に示すが、これらは例示的なものであって限定的なものではなく、図面においては同様の参照番号は同様のまたは対応する部分を指すこととする。
【0016】
図1】本発明の一実施形態による皮膚分析システムの態様を示す図である。
図2】本発明の態様による、皮膚分析システムを用いた皮膚色決定方法を示す図である。
図3】本発明の態様による、皮膚分析システムを用いた皮膚色決定方法を示す図である。
図4】本発明の態様による、皮膚分析システムを用いた皮膚色決定方法を示す図である。
図5】従来技術の皮膚色読み取りと比較した、皮膚分析システムを用いた皮膚色読み取りのサンプル結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
大まかに言えば、システム100は、ユーザー102が使用して、本明細書に記載されるように、色評価のためにユーザーの顔を撮像するなどの1つ以上の皮膚分析行為を実行する皮膚分析アセンブリ104(モバイル機器106に取り付けられる皮膚分析装置108を含み得る)を含む。
【0018】
SAA104は、PCT/CA2020/050216またはPCT/CA2017/050503に記載のようなもの、または、本明細書に記載の分析に十分な特性を有する、ユーザーの皮膚の画像を撮影することができる別の皮膚分析システムを含んでもよい。皮膚分析アセンブリ104は、当該文献に記載のものと同様のハードウェア構成要素を有してもよく、当該文献に記載のものと同様に相互作用しかつ機能し得ることを理解されたい。SAAは、ユーザー102が使用して、本明細書に記載の方法を可能にし、制御しまたはレビューすることができるアプリケーション(アプリ)を有してもよい。
【0019】
とりわけ、上記のとおり、システム100は、本明細書に記載の処理を可能にする皮膚画像を取得する能力を必要とする。一実施形態では、皮膚画像は、10メガピクセルのカメラで、10倍以上の倍率で、(例えば、グレア、または皮膚画像からの光源の反射を除去するために)交差偏光を使用して撮像してもよい。
【0020】
ユーザー皮膚画像のフォーマットは、LABやRGBなど、いくつかのカラーフォーマットのうちの1つでよい。ユーザー皮膚画像は、本明細書の方法が適用可能であれば、実質的にどのような品質、タイプ、フォーマット、またはサイズ/ファイルサイズであってもよい。例えば、画像は圧縮されていても圧縮されていなくてもよく、また生データであっても加工されていてもよく、かつ様々なファイル形式であってもよい。
【0021】
SAS110は、本明細書に説明のとおり、皮膚特性の測定値またはサンプルを保存しかつ処理するサーバーでもよい。SAS110は、当業者に知られているような、ウェブサーバー、アプリケーションサーバーおよびデータベースサーバーの任意の組み合わせであってよい。このようなサーバーの各々は、プロセッサー、揮発性および不揮発性のメモリ記憶装置ならびにそれらの上で実行可能なソフトウェア命令を含む典型的なサーバーの構成要素を含み得る。SAS110は、アプリを介して通信し、皮膚画像の交換、製品の推奨、電子商取引機能などを含む、本明細書に記載の機能を実行してもよい。もちろんアプリは、これらを単独で実行してもよいし、またはSAS110と組み合わせて実行してもよい。
【0022】
SAS110は、全てのユーザーからの全ての皮膚特性サンプルを受信し、かつ各登録ユーザー102およびゲストユーザー102のユーザープロファイルに記憶するデータベースサーバーを含み得る。これらは、1つ以上のSAA104から受信することができるが、アプリは、皮膚画像を局所的にのみ記憶するように構成可能であってもよい(ただし、その場合、人口および人口統計学的比較に基づく結果情報の一部が除外される可能性がある)。
【0023】
SAS110は、本明細書に記載するような様々な分析機能(ユーザーの過去の結果との比較、または同等者との比較のヒストグラムの計算等)を提供することができ、本明細書に記載するような様々な表示機能(様々な分析を提示、他のウェブサイトがそのような結果および推奨等にアクセスし表示するためのリンクまたは機能的リンクの提供を行うことができるウェブサイトの提供等)を提供することができる。
【0024】
製品オーナー120は、例えば、ユーザー皮膚色に基づいて適合または選択され得る、またはされるべきスキンケア製品を有するエンティティであってもよい。製品オーナー120はまた、当業者に知られるような、ウェブサーバー、アプリケーションサーバーおよびデータベースサーバーを含む1つ以上の製品オーナーサーバーを有し得る。このようなサーバーの各々は、プロセッサー、揮発性および不揮発性のメモリ記憶装置、ならびにそれらの上で実行可能なソフトウェアを含む、典型的なサーバー構成要素で構成され得る。製品オーナー120は、皮膚分析測定サンプル(そのような製品オーナー120により皮膚分析装置108を提供されたユーザーを介して得られたものなど)のためのアプリ(直接、またはSAS110を介して)および製品推奨アルゴリズムの記憶および実行のための通信点となり得る。例えば、1つ以上の汎用製品推奨アルゴリズムが、製品推奨タイプごとにSAS110により記憶され、かつ所有されてもよく、製品オーナーは、(例えば、製品オーナー120は、製品推奨アルゴリズムを実行するために必要なデータを受信し、かつ推奨製品を返信する)独自の製品推奨アルゴリズムを所有しかつ実装してもよい。
【0025】
製品オーナー120は、電子商取引サービスを直接提供することができ、Amazon(商標)のようなベンダーを(別個にまたは推奨製品と共に)提案することもでき、またはユーザーが推奨製品を購入する方法については無関心でもよい。製品オーナー120はまた、ネットワーク130(インターネットなど)を介した情報の転送を伴うビジネスまたは商取引を促進する1つ以上の電子商取引ウェブサイトまたは画面(アプリとは別にまたはアプリに組み込まれた)を提供することもできる。電子商取引サイトの種類には、これらに限定されないが、小売サイト、オークションサイトおよび企業間サイトを含む。スキンケア製品の購入を促進し得る電子商取引サイト(第三者であってもなくてもよい)の例には、Amazon(商標)、eBay(商標)およびOverstock(商標)を含む。もちろん、製品オーナー120は、自己の総合的なウェブサイトの一部として独自の電子商取引サイトを持つことができ、またはシステム100を提供するSAS110がそのようなベンダーであってもよい。
【0026】
システム102に関与する他のユーザー102、例えば、製品オーナー120のために働くかまたは商取引サイトもしくは店舗で働くビューティーアドバイザーまたはコンサルタントなど、画像の被写体であり、皮膚色が決定されるユーザー102を支援することができるユーザーがいてもよい。
【0027】
図2を参照して、皮膚色決定および処理方法200が存在する。方法200は、本明細書に記載するような画像が得られる202からスタートする。これは、ユーザー102の頬の画像を撮像する皮膚分析アセンブリ104を介して行われる。
【0028】
適切な画像(図5の画像502など)を得た後、方法200は204で続けて皮膚の色処理を実行する。204にはいくつかの目的のうちの1つがあるが、特に方法200は、202で得られた皮膚画像の被写体であるユーザー102の正確な皮膚色を決定しようとしている。
【0029】
204における皮膚の色処理については、例えば方法300の、ユーザーの皮膚画像について平均赤さスコアを決定する302からさらに説明する。これは、ユーザーの皮膚画像の各画素について皮膚の色スコア、主に赤さを取り、平均画素赤さを計算することにより行うことができる。
【0030】
各画素の赤さ、そして平均画素赤さは、様々な影響を伴う様々な方法で得ることができる。検討され、テストされたいくつかのアプローチには、以下が含まれる。
(a)RGB値の赤色チャンネル(0~255)の値から各画素の赤さを取る(すなわち、1~255、X、Yのスコア)。そして各画素のR値を合計し、画素数で割ったものを平均とする。実際には、この方法では、「より赤い」肌の画像は、別の測色装置によるサンプルデータの結果との乖離が大きくなった。
(b)赤さを直接計算する、または「色距離」のアプローチ(例えば(255,0,0)を基準とする)を用いる研究論文。これらのアプローチは、ある程度の進歩を示したが、それでもなお、望むほどの正確な結果を導くことはできなかった。
(c)人間の赤さの知覚はアルゴリズムとは異なり、人間の知覚に合わせることでより良い究極のカラーマッチング体験を提供できる可能性があることを認識し(一致するという人間の知覚は別の判断よりも重要かもしれないため)、人間の赤さについての知覚を模倣したアルゴリズムが開発された。被験者がどのサンプル(顔かもしれないし、無地単色の矩形かもしれない)を「より赤い」と知覚するかを示す経験的エビデンスが収集された。そのようなデータ収集の1つで、被験者は、他のアルゴリズムの問題(あまり望ましくない結果につながる)を与えていると思われる色やサンプルについてのいくつかのA/Bテストを提示された。問題のあるアルゴリズムのA/Bの選択肢は、「A」画像が、「B」選択肢よりも赤チャネル値が高い(つまり数学的に「より赤い」)のに、「B」選択肢の方が赤く見える(かつ経験的にそう思われる)場合である。被験者は、アルゴリズムにとって難しいと思われるA/Bの組み合わせの様々な例について、AまたはBを選択し、それらの選択結果が人間の知覚模倣アルゴリズムの開発に使用された。そして、人間の知覚を模倣するアルゴリズムを、各画素の赤さを決定し、さらに平均的な赤さを決定するために使用することができる。
【0031】
方法300は次に304に進み、平均画素赤さが画像赤さ閾値と比較され、平均画素赤さが閾値を超える場合(ユーザーの肌が全体的に赤みを帯びている可能性があることを意味する)、方法300は赤さ低減を実行せず306に進み、どの画素も拒絶または調節することなく、ユーザー皮膚色を決定し得る(すなわち、ユーザー皮膚色は、元のユーザー皮膚画像からのすべての画素を使用して計算される)。304での閾値は、システム100の処理能力、結果を得るのに希望する速度、正確な色の必要性(例えば、スキンケア製品によっては、若干不正確な色のスコアに対して特に敏感でないものや、余分な赤さに影響されないものがある)などの要因に応じて、様々なスコアに設定することができる。
【0032】
平均画素赤さが画像赤さ閾値未満で、ユーザーの皮膚が全体的に赤みを帯びていないことを示す場合、方法300は308に進むことができる。308では、画素赤さ閾値(画素ごとの赤さ閾値)が計算され、これが、各画素の赤さスコアが比較される赤さとなる。画素の赤さ閾値は、既にLAB値が割り当てられている多数の皮膚画像のセットを繰り返し処理し、それら全ての皮膚画像について様々な閾値を使用してテストを行いかつ、例えば、同じ画像について、特定の赤さ閾値を使用した後に、既存のLAB値とシステムから得られるLAB値との間の平均deltaE(dE)を最小化することにより、適切な閾値を選択することに基づいて決定され、設定され得る。もちろん、既存のLAB値を有する皮膚画像は、撮像装置の制約を受けていたので、閾値を確立するために使用される画像および撮像装置の品質が向上すれば、更なる改良が可能であろう。
【0033】
画素の赤さ閾値は、毛細血管マスクとしても知られる赤みマスクを作成するために使用される。次に、赤みマスクが、画素赤さ閾値を超える(またはこれを十分に超える)画素をマスクまたはブロックするために使用され、そのような画素を皮膚画像色または平均皮膚画像色の計算から除去することができる。
【0034】
赤みマスクを作成し、さもなければ画素赤さが画素赤さ閾値を超えた画素を除外した後、方法300は、ユーザー皮膚画像からの(残りの)画素から平均スコアを計算し続ける(すなわち、ユーザー皮膚色は、赤みマスクをつける部分として拒絶されなかった画素に基づいて計算される)。平均化は、どのようなカラーシステムを使用してもよく、例えば、マスクされていない各画素のR、GおよびBスコアを合計し、次いで、R、GおよびBの合計の各々をマスクされていない画素の総数で割るやりかたがある。
【0035】
方法300は、306または312のいずれかで終了し、その後200に戻る。方法300は、皮膚画像色を計算する主要な方法として図示されるが、方法300は、たとえばユーザーの皮膚画像に適用される1つの処理技術に過ぎない。青色着色に関連して本明細書に記載されるような他の技術が存在し得る。
【0036】
この時点で、方法200は、ユーザー皮膚画像の皮膚色を実質的に取得することができる。これは、検討されている目的には十分であり、方法200は、206および208をバイパスして、直接214に進んで、計算装置へまたはeメールでユーザー皮膚色についての報告を行うなどして、出力を提供してもよい。
【0037】
しかしながら、方法200に戻ると、方法200は、206で、色の転置が必要かどうかを決定する。色の転置は、高いレベルでは、別の皮膚分析システムであれば、特定のユーザー102についてどのようなユーザー皮膚色を決定したと考えられるか決定することを含む。例えば、システム100は、所与の皮膚画像について、ユーザー皮膚色をrgb(236、188、180)であると決定し得るが、別のシステムは、それが画像技術または別の技術(分光光度計など)により決定されたかどうかにかかわらず、同じユーザー皮膚色をrgb(209、163、164)であると決定したかもしれない。観察された具体例では、図5に示すように、システム100は、別の技術(詳細には分光計)ではユーザー皮膚色を(175、130、110)と決定する画像502に基づいて、画像506により、ユーザー皮膚色を(239、177、163)と決定し得る。転置が望ましいと思われるのは、製品オーナー120のような特定のエンティティが、彼らの皮膚色システムにより決定された所与の皮膚の色が、彼らの製品にどのようにマッチするかについてのデータベースを有する可能性があるためである。しかしながら、彼らは、システム100からの皮膚画像色が、彼らの既知の皮膚色/製品マッチ間の関係にどのように関連するかは知らないと考えられる。システム100のユーザー皮膚色を製品オーナー120のシステムに転置することで、かなりの労力を節約ことができるかもしれない。
【0038】
206で転置がのぞましい場合、方法200は400まで継続し、402で転置テストデータを得ることができる。これは、所与の被験者がシステム100および特定の他のシステムにより評価され、各システムの色が決定されるデータ対のセットを入手することにより行うことができる。これを、十分な被験者について繰り返して、十分な学習データを確保することができる。この学習データは、404において、人工知能または機械学習システムに提供されてもよく、この人工知能または機械学習システムは、406において、2つのシステム間の転置を学習してもよい(なお、システム100は、独自の「代替的な皮膚の色評価システム」ごとに1つずつなど、複数の転置を有してもよい)。
【0039】
406で転置を決定した後、408で転置されたユーザー皮膚色が得られるように、転置を方法200からのユーザー皮膚色に適用することができる。ユーザー皮膚色と転置されたユーザー皮膚色の両方を記憶し、本明細書に記載されるような様々な目的のために使用することができる。
【0040】
もちろん、新しいユーザー皮膚画像が撮影される前に転置が知られるように、方法402~406が、方法200開始前に行われ得ることは、当然に予想されることである。
【0041】
方法400は終了し、かつ210で方法200に戻り、ここで製品推奨が必要かどうかの問い合わせが行われる。さもなければ、方法200は終了してもよい。そして製品推奨が必要な場合、製品推奨アルゴリズムまたはルックアップテーブルが参照され、ユーザー皮膚色および/または転置されたユーザー皮膚色のうちの1つ以上に基づいて、特定のユーザー102にどの製品を推奨するかを決定することができる。
【0042】
もちろん、本明細書に記載の方法は、本明細書のシステムおよび方法を改善するために、経験的フィードバックを含むフィードバックループをさらに含んでもよい。フィードバックの例は以下のようなことである。
(a)ビューティーアドバイザーなどのユーザー102が、推奨製品が、その製品を推奨されたユーザー102にどのようにマッチすると思われるかについてのフィードバック(スコア、賛同など)を提供することを可能にする。
(b)被験者かもしれないユーザー102が、満足度スコアなどのフィードバックを提供することを可能にする。
(c)使用されたかもしれない転置を改良するために、上記のフィードバックのいずれかを使用する。
【0043】
方法300では、決定されたユーザー皮膚色が、毛細血管により引き起こされるが実際にはユーザー皮膚色を表していない余分な赤をシステムが見ることにより不適切に影響されることはないように、毛細血管により引き起こされる赤さが考慮され、調節される。同様に、静脈がこのようなシステムにより観察され、その結果、ユーザー皮膚色に対する青/緑の寄与が高くなることがある。方法300と同様の方法を使用して、静脈の青/緑の影響を低減することができ、本明細書に記載の方法を適用するために、青/緑または「静脈様」の閾値を決定する前に、RGBベースの値から(上記の赤さの場合と同様に)、第1の決定は、色がどの程度「静脈様」であるかについて行う。そのような場合、平均画素赤さスコアを平均画素青さスコアに置き換えたり、画像赤さ閾値を画像青さ閾値に置き換えたり、画素毎の赤さ閾値を画素毎の青さ閾値に置き換えたり、赤みマスクを青みマスクに置き換えたりすることができる。赤さ(毛細血管)および青/緑(静脈)が主に想定されているが、このアプローチを他の皮膚状態にも使用することができ、それは皮膚状態が色のアルゴリズム計算を歪める可能性があり、そのような皮膚状態の影響をフィルタリングすることが望ましい場合である。そのような場合、平均画素赤さスコアを平均画素状態色スコアと置き換え、画像赤さ閾値を画像状態色閾値と置き換え、画素毎の赤さ閾値を画素毎の状態色閾値と置き換え、赤みマスクを状態色マスクと置き換えるなどしてもよい。
【0044】
方法200には記載されておらず、かつまた方法200には必要ではないが、方法200の開始前に、さらなる較正ステップを設けてもよい。それにより、各皮膚分析アセンブリ104を、確実に別のものと同じになるように調節すること、すなわち、同じSAA104を有する任意のシステム100が、確実に、同じまたは実質的に同様の、ユーザー皮膚色の決定を行うようにするためのものである。これは、キャリブレーションカードの1つ以上の画像を撮影し、SAA104の較正転置を決定することにより達成することができる。この較正転置は、例えば、色処理が実行される前に、ユーザー皮膚画像に適用することができる。
【0045】
ここで一旦図5に戻ると、様々な毛細血管508を有する画像502(ユーザー皮膚画像)が観察または撮像される。既存の技術で皮膚色を決定し、それを皮膚色画像504として出力し、その値は(175、130、110)である。システム100は皮膚色を決定し、それを皮膚色画像504として出力し、その値は(239,177,163)である。カラーで観察した方が良いかもしれないが、画像502と506は、502と504よりも明らかに密接に一致する。この点はdeltaE計算で補強され実証され、画像502と画像504との間のdeltaEが18であるのに対し、画像502と画像506との間のdeltaEは3である。当業者には知られるとおり、一般に3以下のdEは人間の目には知覚できないとされている。
【0046】
本開示の上記の実施形態は、多数の態様のいずれかで実施されてもよい。例えば、実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせを使用して実施され得る。ソフトウェアに実装される場合、ソフトウェアコードは、単一のコンピュータで提供されるか、または複数のコンピュータ間で配布されるかにかかわらず、任意の適切なプロセッサーまたはプロセッサーの集合上で実行され得る。
【0047】
また、本明細書で概説した様々な方法またはプロセスは、様々なオペレーティングシステムまたはプラットフォームのうちのいずれか1つを採用する1つ以上のプロセッサー上で実行可能なソフトウェアとしてコード化することができる。さらに、このようなソフトウェアは、いくつかの適切なプログラミング言語および/またはプログラミングもしくはスクリプティングツールのいずれかを使用して記述することができ、また、フレームワークまたは仮想マシン上で実行される実行可能な機械語コードまたは中間コードとしてコンパイルすることができる。
【0048】
この点に関して、本明細書で開示される概念は、1つ以上のプログラムをエンコードされた非一過性のコンピュータ可読媒体(または複数のコンピュータ可読媒体)(コンピュータメモリ、1つ以上のフロッピーディスク、コンパクトディスク、光ディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ、フィールドプログラマブルゲートアレイもしくは他の半導体装置内の回路構成、または他の非一過性の有形のコンピュータ記憶媒体等)として実施することができ、同プログラムは、1つ以上のコンピュータまたは他のプロセッサー上で実行されると、上記の本開示の様々な実施形態を実現する方法を実行する。コンピュータ可読媒体(単数または複数)は搬送可能で、それによりその上に記憶されたプログラム(単数または複数)は1つ以上の異なるコンピュータまたは他のプロセッサー上にロードして、上記の本開示の様々な態様を実現することができるようになっている。
【0049】
「プログラム」、「アプリ」もしくは「アプリケーション」または「ソフトウェア」という用語は、本明細書において、上述のとおり、本開示の様々な態様を実施するためにコンピュータまたは他のプロセッサーをプログラムするために採用され得る、任意のタイプのコンピュータコードまたはコンピュータ実行可能命令のセットを指すために使用される。さらに、本実施形態の一態様によれば、実行されると本開示の方法を実行する1つ以上のコンピュータプログラムは、単一のコンピュータまたはプロセッサー上に存在する必要はなく、本開示の様々な態様を実施するために、多数の異なるコンピュータまたはプロセッサーの間で、モジュール方式で配布されてもよいことを認識されたい。
【0050】
コンピュータ実行可能命令は、1つ以上のコンピュータまたは他の装置により実行されるプログラムモジュールなど、多くの形態が可能である。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行する、または特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む。通常、プログラムモジュールの機能性は、様々な実施形態において希望に応じて組み合わせたり、分散させたりすることができる。
【0051】
また、データ構造は、任意の適切な形式でコンピュータ可読媒体に記憶することができる。図示を簡単にするために、データ構造は、データ構造内の位置を介して関連するフィールドを有するように示されてもよい。そのような関係は、同様に、フィールド間の関係を伝えるコンピュータ可読媒体内の位置を有するフィールドにストレージを割り当てることにより達成されてもよい。しかしながら、データ構造のフィールド内の情報間の関係を確立するために任意の適切なメカニズムを使用することが可能で、それは、ポインタ、タグ、またはデータ要素間の関係を確立する他のメカニズムの使用を含む。
【0052】
本開示の様々な特徴および態様は、単独で、2つ以上の任意の組み合わせで、または上述の実施形態では具体的に説明しなかった様々な配置で使用することができ、したがって、上述の記載における、または図面に図示された構成要素の詳細および配置への適用において限定されない。例えば、一実施形態に記載された態様は、他の実施形態に記載された態様と任意の方法で組み合わせることができる。
【0053】
また、本明細書で開示される概念は、方法として実施されてもよく、その例についても提供した。方法の一部として実行される行為は、任意の適切な態様で順序付けることができる。従って、例示的な実施形態では連続的な行為として示されていても、一部の行為を同時に行うことを含む、図示とは異なる順序で行為が行われる実施形態が構築されてもよい。
【0054】
特許請求の範囲において、請求項の要素を修飾するために「第1」、「第2」、「第3」等の順序を示す用語を使用することは、それ自体、請求項の1つの要素の他の要素に対する優先、先行順位や、もしくは順序、または方法の行為が実行される時間的順序を意味するものではなく、これらは、単に、ある名称を有する請求項の1つの要素を、同じ名称を有する(順序を示す用語を用いることを除き)他の要素と区別するためのラベルとして使用される。
【0055】
また、本明細書で使用される表現および用語は、説明目的のものであり、限定的なものとみなすべきではない。本明細書における「含む」、「備える」、「有する」、「含有する」、「伴う」およびそれらのバリエーションの使用は、その後に列挙される項目およびその等価物ならびに追加の項目を包含することを意味する。
【0056】
後述するいくつかの(または異なる)要素および/または請求項の要素は、「結合される」、「通信する」、または「通信するように構成される」と記載される。この用語は、非限定的であることを意図しており、適切な場合には、任意の1つ以上の適切なプロトコルを使用する有線および無線通信、ならびに、常に維持され、定期的に行われ、かつ/または必要に応じて行われまたは開始される通信方法を限定することなく含むように解釈される。
【0057】
実施形態は、クラウドコンピューティング環境においても実施され得る。本明細書および以下の特許請求の範囲において、「クラウドコンピューティング」は、仮想化を介して迅速にプロビジョニングされ、最小限の管理労力またはサービスプロバイダの相互作用で解放され、その後それに応じてスケーリングされ得る、構成可能なコンピューティングリソース(ネットワーク、サーバー、ストレージ、アプリケーションおよびサービス等)の共有プールへのユビキタスで便利なオンデマンドネットワークアクセスを可能にするためのモデルとして定義され得る。クラウドモデルは、様々な特性(オンデマンドセルフサービス、広範なネットワークアクセス、リソースプーリング、迅速な弾力性、測定されたサービス等)、サービスモデル(SaaS(Software as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)等)およびデプロイメントモデル(プライベートクラウド、コミュニティクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウド等)で構成することができる。
【0058】
本件の記載では、例を用いて本発明を開示するとともに、当業者であれば誰でも本発明を実施および使用できるようにする。本発明の特許可能な範囲は特許請求の範囲により規定され、当業者が思いつく他の例を含み得る。そのような他の例は、特許請求の範囲の文言と違わない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言と実質的に異ならない等価な構造要素を含む場合には、特許請求の範囲に含まれる。
【0059】
上記のアセンブリおよびモジュールは、所望の機能およびタスクを実行するために必要に応じて互いに結合され得るが、これは、当業者であれば、一つ一つを明示的に記載する必要もなく、そのような組み合わせおよび置き換えを行うことができる範囲内であることを理解されたい。当業者が利用可能な等価物のいずれかよりも優れている可能性のある特定のアセンブリまたはコンポーネントは存在しない。機能が実行され得る限り、開示された主題を実施する特定の態様が他の態様より優れているということはない。開示された主題の重要な態様はすべて本書面で提供されたと考えられる。本発明の範囲は、独立請求項により提供される範囲に限定され、また、本発明の範囲は、(i)従属請求項、(ii)非限定的な実施形態の詳細な説明、(iii)発明の概要、(iv)要約および/または(v)本明細書外(すなわち、出願され、審査・処理され、かつ/または特許される本件出願の範囲外)に提供される記載には限定されないことは当然である。本明細書において、“含む(includes)”という表現は、“含む(comprising)”という表現と等価であることは無論である。上記では、非限定的な実施形態(例)を概説した。記載は、特定の非限定的実施形態(例)についてなされたものである。非限定的な実施形態は、例として単に例示的なものであることは当然である。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】