(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】層システム、そのような層システムを備える電極プレート、その生成のためのプロセス、及び燃料電池、電解槽又はレドックスフロー電池
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0228 20160101AFI20241001BHJP
H01M 8/021 20160101ALI20241001BHJP
H01M 8/0206 20160101ALI20241001BHJP
H01M 8/10 20160101ALI20241001BHJP
H01M 8/18 20060101ALI20241001BHJP
C25B 11/052 20210101ALI20241001BHJP
C25B 11/077 20210101ALI20241001BHJP
C25B 11/061 20210101ALI20241001BHJP
C25B 11/063 20210101ALI20241001BHJP
C25B 11/065 20210101ALI20241001BHJP
C25B 11/091 20210101ALI20241001BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20241001BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20241001BHJP
C25B 9/19 20210101ALI20241001BHJP
C25B 9/75 20210101ALI20241001BHJP
H01M 8/0213 20160101ALI20241001BHJP
【FI】
H01M8/0228
H01M8/021
H01M8/0206
H01M8/10 101
H01M8/18
C25B11/052
C25B11/077
C25B11/061
C25B11/063
C25B11/065
C25B11/091
C25B1/04
C25B9/00 A
C25B9/19
C25B9/75
H01M8/0213
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519493
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 DE2022100729
(87)【国際公開番号】W WO2023078496
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】102021128462.7
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】イェーヴァンティ フィヴェカナンタン
(72)【発明者】
【氏名】ラディスラウス ドブレニツキ
(72)【発明者】
【氏名】ロミーナ ベヒシュテット
(72)【発明者】
【氏名】ナサン クルッペ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン マーティン シュトゥンプフ
(72)【発明者】
【氏名】アストリト ヘックル
【テーマコード(参考)】
4K011
4K021
5H126
【Fターム(参考)】
4K011AA20
4K011AA21
4K011AA22
4K011AA23
4K011AA29
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5H126AA12
5H126BB06
5H126DD02
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5H126GG02
5H126GG06
5H126GG08
5H126GG12
5H126HH01
5H126JJ08
(57)【要約】
本発明は、基板(2a)をコーティングして、電極プレート(2)を形成するための層システム(1)に関し、層システム(1)は、金属酸化物の少なくとも1つのコーティング(1a)を備え、コーティング(1a)は、均質な多結晶ドープインジウムスズ酸化物層、ナノファイバー(6)のネットワークからなる多結晶ドープインジウムスズ酸化物層である頂部を含み、インジウムスズ酸化物は、炭素、窒素、ホウ素、フッ素、水素、リン、硫黄、塩素、臭素、アルミニウム、ケイ素、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、銀、アンチモン、ハフニウム、タンタル、タングステンを含む群からの少なくとも1つの元素でドープされている。本発明は、そのような層システムを備える電極プレートと、その生成のためのプロセスと、少なくとも1つのそのような電極プレートを備える料電池、電解槽、又はレドックスフロー電池とに更に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(2a)をコーティングして、電極プレート(2、2’)を形成するための層システム(1)であって、前記層システム(1)が、金属酸化物から作製された少なくとも1つの第1のコーティング(1a)を備え、前記少なくとも1つの第1のコーティング(1a)が、均質な多結晶ドープインジウムスズ酸化物層であり、その上に、最上層(1b)が、ナノファイバー(6)のネットワークから作製された多結晶ドープインジウムスズ酸化物層の形態で形成されており、前記少なくとも1つの第1のコーティング(1a)及び前記最上層(1b)の前記インジウムスズ酸化物が、炭素、窒素、ホウ素、フッ素、水素、リン、硫黄、塩素、臭素、アルミニウム、ケイ素、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、銀、アンチモン、ハフニウム、タンタル、及びタングステンを含む群の少なくとも1つの元素を有する、層システム(1)。
【請求項2】
前記層システム(1)の層厚が、1μm未満である、請求項1に記載の層システム(1)。
【請求項3】
前記インジウムスズ酸化物中のドーピング元素の濃度が、>0~20原子%の範囲内である、請求項1又は2に記載の層システム(1)。
【請求項4】
前記インジウムスズ酸化物が、70~90原子%の範囲内のインジウム含有量を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の層システム(1)。
【請求項5】
電極プレート(2、2’)、特にバイポーラプレートであって、基板(2a)と、請求項1~4のいずれか一項に記載の層システム(1)と、を備え、
基板(2a)、
金属酸化物から作製された少なくとも1つの第1のコーティング(1a)、及び
ナノファイバーから作製された最上層(1b)
の順番で電極プレート(2、2’)の構造を有する、電極プレート(2、2’)。
【請求項6】
前記基板(2a)が、0.001~5mmの範囲内の厚さを有する、請求項5に記載の電極プレート(2、2’)。
【請求項7】
前記基板(2a)が、鉄合金、特に鋼、又はチタン若しくはチタン合金、又はアルミニウム若しくはアルミニウム合金、又は亜鉛若しくは亜鉛合金、又はスズ合金、又は銅若しくは銅合金、又はニッケル若しくはニッケル合金、又は銀若しくは銀合金、又はクロム若しくはクロム合金から形成されているか、又はグラファイトをベースとする、請求項5又は6に記載の電極プレート(2、2’)。
【請求項8】
前記基板(2a)が、金属基板(2a)である、請求項5~7のいずれか一項に記載の電極プレート(2、2’)。
【請求項9】
請求項5~8のいずれか一項に記載の少なくとも1つの電極プレート(2、2’)を備える、燃料電池(10)、特に酸素-水素燃料電池、又は電解槽、又はレドックスフロー電池。
【請求項10】
少なくとも1つの高分子電解質膜(7)を備える、請求項9に記載の燃料電池(10)。
【請求項11】
請求項5に記載の電極プレート(2、2’)を生成するための方法であって、
基板(2a)を提供することと、
前記基板(2a)上に少なくとも1つの第1のコーティング(1a)を形成することと、
前記少なくとも1つの第1のコーティング(1a)上に最上層(1b)を形成することであって、前記少なくとも1つの第1のコーティング(1a)及び前記最上層(1b)が、非反応性スパッタリングによって、非晶質構造を有するように前記基板(2a)上に形成されることと、
前記非晶質構造が多結晶構造に変換されるような方法で、前記少なくとも1つの第1のコーティング(1a)及び前記最上層(1b)を220~400℃の範囲内の温度で焼鈍することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板をコーティングして、電極プレートを形成するための層システムに関し、層システムは、金属酸化物から作製された少なくとも1つのコーティングを備える。本発明は、基板とそのような層システムとを備える電極プレート、並びにその生成のための方法に更に関する。更に、本発明は、少なくとも1つのそのような電極プレートを備える燃料電池、電解槽、又はレドックスフロー電池に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池又は電解槽のためのバイポーラプレートは、西独国特許出願公開第10058337号明細書からすでに公知であり、このバイポーラプレートでは、金属酸化物から作製された導電性かつ耐食性の保護コーティングが、金属シートの少なくとも片面に形成されている。金属酸化物は、特に、スズ、亜鉛、及びインジウムを含む群からの元素又は合金の酸化物から形成される。導電性を確保し、かつアルミニウム、クロム、銀、ホウ素、フッ素、アンチモン、塩素、臭素、リン、モリブデン、及び炭素を含む群からの少なくとも1つの元素からなるドーピングは、金属酸化物中に存在することができる。使用される金属シートは、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、クロムめっきステンレス鋼、チタン、チタン合金、及び鉄含有化合物から作製されたものであり、スズ、亜鉛、ニッケル、及びクロムの少なくとも1つの元素でコーティングされている場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、電極プレートのための改善された層システムを提供すること、及び、そのような電極プレートを提供することである。更に、本発明の目的は、電極プレートの生成のための方法を提供し、かつ少なくとも1つのそのような電極プレートを備えた燃料電池、電解槽、又はレドックスフロー電池を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
その目的は、基板をコーティングして、電極プレートを形成するための層システムのためのものであり、層システムは、
金属酸化物から作製される少なくとも1つの第1のコーティングを備え、少なくとも1つの第1のコーティングは、均質な多結晶ドープインジウムスズ酸化物層であり、その上に、最上層が、ナノファイバーのネットワークから作製された多結晶ドープインジウムスズ酸化物層の形態で形成されており、少なくとも1つの第1のコーティング及び最上層のインジウムスズ酸化物は、炭素、窒素、ホウ素、フッ素、水素、リン、硫黄、塩素、臭素、アルミニウム、ケイ素、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、銀、アンチモン、ハフニウム、タンタル、及びタングステンを含む群の少なくとも1つの元素でドープされている。
【0005】
この層システムは、貴金属を大量に使用しているか、又は貴金属を使用していないため、高いレベルの長期安定性と同時に高い導電性を有し、低コストであることを特徴とする。加えて、この層システムにより、電極プレート、特にバイポーラプレートの金属のベース材料又は基板のための優れた防食性が確保される。インジウムスズ酸化物はまた、以下でITO(インジウムスズ酸化物)と称される。
【0006】
層システムは、PVD又はCVDプロセス(PVD:物理気相成長法、CVD:化学気相成長法)、又はPACVDプロセス(PACVD:プラズマ支援化学気相成長法)によって形成されることが好ましい。
【0007】
ナノファイバーは、最大200nmの直径、及び最大1000nmの長さを有する、細長い、又はステム状の構造である。ナノファイバーは、先細りであり得る。
【0008】
ナノファイバーのネットワークから作製される最上層の形成については、本明細書では出版物「3D ITO-nanowire networks as transparent electrode for all terrain substrate”,Qiang Li et al.,Scientific Reports(2019)9:4983」(https://doi.org/10.1038/s41598-019-41579-2を参照)を参照している。
【0009】
出願人はまた、非反応性スパッタリング技術を用いて、堆積速度40Å/minで、かつ濃度90:10原子%のIn2O3:SnO2で作製されたターゲットから、燃料電池、電解槽、及びレドックスフローバイポーラプレート用のITOナノファイバーを生成することができた。温度及びSnO2含有量は、ITOナノファイバーの生成における主な成長因子である。成長は、ターゲットから蒸発して、かつ基板上に堆積する原子によって起こる。成長温度範囲は、150℃~500℃である。温度が上昇すると、ファイバーの平均長さ及びファイバーの平均直径が増加し、かつ隣接距離が減少し、かつ単位面積当たりのファイバーの数が増加する。SnO2含有量は、最大30原子%であることが好ましい。ナノファイバーの平均長さ及び平均直径の変化は、堆積時間に依存する。ITOナノファイバーは、薄くて緻密なITO層上で成長することが好ましい。
【0010】
層システムの好ましい全体の層厚は、<1μmであり、特に、0.01~0.5μmの範囲内にある。
【0011】
インジウムスズ酸化物におけるドーピングの元素の濃度は、特に、<0から20原子%の範囲内にある。
【0012】
特に好ましくは、本明細書での第1のコーティング及び最上層は、70~90原子%の範囲のインジウム含有量を有するインジウムスズ酸化物で作製される。特に好ましくは、インジウム含有量は、75~85原子%の範囲内であり、これは、高レベルの導電率を有する。
【0013】
特に、金属基板、好ましくは鋼、特にオーステナイト鋼又はオーステナイトステンレス鋼から作製される金属基板をコーティングするための以下の層システムは、電極プレートを形成するために有利であることが判明している。
【0014】
実施例1:
第1のコーティング:ITO 層厚:100nm
ドーピング:10原子%の窒素
最上層:インジウム含有量80体積%のインジウムスズ酸化物ナノファイバー
層厚:100nm
ドーピング:3~5原子%の銅
【0015】
実施例2:
第1のコーティング:ITO 層厚:100nm
ドーピング:5原子%のチタン
更なる第1のコーティング:ITO 層厚:200nm
ドーピング:5原子%の窒素
最上層:インジウム含有量90体積%のインジウムスズ酸化物ナノファイバー
層厚:100nm
ドーピング:3~5原子%の炭素
【0016】
目的は、電極プレートであって、金属基板と、
基板、
金属酸化物から作製された少なくとも1つの第1のコーティング、及び
ナノファイバーから作製された最上層
の順番で電極プレートの構造を有する、本発明による層システムと、
を備える、電極プレートについて達成される。
【0017】
その構造は、0.001~5mmの範囲内の層厚を有することが好ましい。
【0018】
特に、基板は、鉄合金、特に鋼、又はチタン若しくはチタン合金、又はアルミニウム若しくはアルミニウム合金、又は亜鉛若しくは亜鉛合金、又はスズ合金、又は銅若しくは銅合金、又はニッケル若しくはニッケル合金、又は銀若しくは銀合金、又はクロム若しくはクロム合金から形成されており、又はグラファイトをベースとする。
【0019】
これは、金属基板又は金属キャリアプレートを備えた電極プレートであることが好ましい。キャリアプレートは、1つ以上の部品で構成することができる。特に、電極プレートは、バイポーラプレートとして設計されている。
【0020】
本発明によれば、本発明による電極プレートを生成するための方法は、
基板を提供することと、
電極プレートの表面上に最下層を形成することと、
基板上に少なくとも1つの第1のコーティングを形成することと、
少なくとも1つの第1のコーティング上に最上層を形成することであって、金属酸化物の少なくとも1つの第1のコーティング及び最上層が、非反応性スパッタリングを使用して、非晶質構造を有する基板上に形成されることと、
非晶質構造が多結晶構造に変換されるように、少なくとも1つの第1のコーティング及び最上層を220~400℃の範囲内のある温度で焼鈍することと、
を含む。
【0021】
これは、連続規模でコスト効率よく実行することができる堆積プロセスであり、かつナノファイバーの生成にも使用することができる。
【0022】
本発明による少なくとも1つの電極プレートを備える、燃料電池、特に、酸素水素燃料電池、又は特に水から水素及び酸素を生成するための電解槽、又は特に少なくとも1つの有機電解質を含むレドックスフロー電池についての目的が更に達成される。燃料電池は、少なくとも1つの高分子電解質膜を備えることが好ましい。
【0023】
テストでは、層システムは、pH3+0.1ppmHFの0.5-mM H2SO4電解質中での過酷な燃料電池条件下で、現場外でAg/AgClに対して少なくとも1.4Vまでの安定性を示し、したがって貴金属コーティングに匹敵する。この電気化学的負荷の前後の接触抵抗(上記パラメータを参照)は、接触圧力100N/cm2、及び測定温度24℃で、<3mOhm*cm2である。
【0024】
腐食電流は、Ag/AgClに関して最大1.0Vまでの関連する燃料電池アプリケーションの電位の下で<10-7A/cm2である。
Ag/AgClに関して少なくとも1.4Vまでは、層又は基板への攻撃は、光学的又は顕微鏡的に検出されなかった。DINによる材料番号1.4404のステンレス鋼基板を基板として使用した。
【0025】
テストでは、層システムは、pH4でのH2SO4電解質における過酷な電解条件下で現場外のNHE(通常の水素電極)と比較して、少なくとも2.2Vまでの安定性を示した。この電気化学的負荷の前後の接触抵抗(上記パラメータを参照)は、接触圧力100N/cm2、及び測定温度24℃で、<3mOhm*cm2である。
【0026】
NHEに関して少なくとも2.2Vまでは、層又は基板への攻撃は、光学的又は顕微鏡的に検出されなかった。DINによる材料番号1.4404のステンレス鋼基板を基板として使用した。
【0027】
図1~
図4は、本発明による層システム、それによって形成されたバイポーラプレートの形態の電極プレート、及び燃料電池を、一例として説明することを目的としている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】層システムを備えるバイポーラプレートを示す。
【
図2】複数の燃料電池を備える燃料電池システムを概略的に示す。
【
図3】一例として示される層システムを有する電極プレート2の断面を拡大図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、層システム1を有するバイポーラプレートの形態の電極プレート2を示しており、層システム1は、本明細書ではオーステナイトステンレス鋼から作製される金属基板2a又は金属キャリアプレートを有する。バイポーラプレートは、開口部4を有する流入領域3aと、燃料電池にプロセスガスを供給し、燃料電池から反応生成物を除去するために使用される更なる開口部4’を有する出口領域3bとを有する。バイポーラプレートはまた、両側にガス分配構造5を有し、これは、高分子電解質膜7(
図2参照)との接触のために設けられる。
【0030】
図2は、複数の燃料電池10を備えた燃料電池システム100を概略的に示している。各燃料電池10は、バイポーラプレートの形態の電極プレート2、2’の両面に隣接する高分子電解質膜9を備える。
図1と同じ参照符号は、同一の要素を示している。
【0031】
図3は、
図1による電極プレート2の断面を示している。基板2a、第1のコーティング1a、及び最上層1bがあることが分かる。第1のコーティング1aは、基板2aに面して配設される、層システム1の側面Bに配置されている。最上層1bは、電極プレート2の基板2aとは反対の、層システム1の側面Aに配置されている。代替的に、層システム1はまた、複数の第1のコーティング1aを有し得る。
【0032】
図4は、本明細書ではインジウムスズ酸化物から作製されるナノファイバー6のネットワークから作製される最上層1bの表面の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【符号の説明】
【0033】
1 層システム
1a 第1のコーティング
1b 最上層
2、2’ 電極プレート
2a 基板
3a 流入領域
3b 出口領域
4,4’ 開口部
5 ガス分配構造
6 ナノファイバー
7 高分子電解質膜
10 燃料電池
100 燃料電池システム
A 基板2aとは反対の、層システム1の側面
B 基板2aに面する、層システム1の側面
【手続補正書】
【提出日】2024-03-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(2a)をコーティングして、電極プレート(2、2’)を形成するための層システム(1)であって、前記層システム(1)が、金属酸化物から作製された少なくとも1つの第1のコーティング(1a)を備え、前記少なくとも1つの第1のコーティング(1a)が、均質な多結晶ドープインジウムスズ酸化物層であり、その上に、最上層(1b)が、ナノファイバー(6)のネットワークから作製された多結晶ドープインジウムスズ酸化物層の形態で形成されており、前記少なくとも1つの第1のコーティング(1a)及び前記最上層(1b)の前記インジウムスズ酸化物が、炭素、窒素、ホウ素、フッ素、水素、リン、硫黄、塩素、臭素、アルミニウム、ケイ素、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、銀、アンチモン、ハフニウム、タンタル、及びタングステンを含む群の少なくとも1つの元素を有する、層システム(1)。
【請求項2】
前記層システム(1)の層厚が、1μm未満である、請求項1に記載の層システム(1)。
【請求項3】
前記インジウムスズ酸化物中のドーピング元素の濃度が、>0~20原子%の範囲内である、請求項1又は2に記載の層システム(1)。
【請求項4】
前記インジウムスズ酸化物が、70~90原子%の範囲内のインジウム含有量を有する、請求項
1に記載の層システム(1)。
【請求項5】
電極プレート(2、2’)、特にバイポーラプレートであって、基板(2a)と、請求項
1に記載の層システム(1)と、を備え、
基板(2a)、
金属酸化物から作製された少なくとも1つの第1のコーティング(1a)、及び
ナノファイバーから作製された最上層(1b)
の順番で電極プレート(2、2’)の構造を有する、電極プレート(2、2’)。
【請求項6】
前記基板(2a)が、0.001~5mmの範囲内の厚さを有する、請求項5に記載の電極プレート(2、2’)。
【請求項7】
前記基板(2a)が、鉄合金、特に鋼、又はチタン若しくはチタン合金、又はアルミニウム若しくはアルミニウム合金、又は亜鉛若しくは亜鉛合金、又はスズ合金、又は銅若しくは銅合金、又はニッケル若しくはニッケル合金、又は銀若しくは銀合金、又はクロム若しくはクロム合金から形成されているか、又はグラファイトをベースとする、請求項5又は6に記載の電極プレート(2、2’)。
【請求項8】
前記基板(2a)が、金属基板(2a)である、請求項
5に記載の電極プレート(2、2’)。
【請求項9】
請求項
5に記載の少なくとも1つの電極プレート(2、2’)を備える、燃料電池(10)、特に酸素-水素燃料電池、又は電解槽、又はレドックスフロー電池。
【請求項10】
少なくとも1つの高分子電解質膜(7)を備える、請求項9に記載の燃料電池(10)。
【請求項11】
請求項5に記載の電極プレート(2、2’)を生成するための方法であって、
基板(2a)を提供することと、
前記基板(2a)上に少なくとも1つの第1のコーティング(1a)を形成することと、
前記少なくとも1つの第1のコーティング(1a)上に最上層(1b)を形成することであって、前記少なくとも1つの第1のコーティング(1a)及び前記最上層(1b)が、非反応性スパッタリングによって、非晶質構造を有するように前記基板(2a)上に形成されることと、
前記非晶質構造が多結晶構造に変換されるような方法で、前記少なくとも1つの第1のコーティング(1a)及び前記最上層(1b)を220~400℃の範囲内の温度で焼鈍することと、
を含む、方法。
【国際調査報告】