(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】栄養組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/10 20160101AFI20241001BHJP
A61K 31/14 20060101ALI20241001BHJP
A61K 31/194 20060101ALI20241001BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20241001BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20241001BHJP
A61K 31/4415 20060101ALI20241001BHJP
A61K 31/4406 20060101ALI20241001BHJP
A61K 31/202 20060101ALI20241001BHJP
A61K 31/28 20060101ALI20241001BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241001BHJP
A23K 20/174 20160101ALI20241001BHJP
【FI】
A23L33/10
A61K31/14
A61K31/194
A61P3/00
A61P3/02 101
A61K31/4415
A61K31/4406
A61P3/02 104
A61K31/202
A61K31/28
A61P43/00 121
A23K20/174
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519789
(86)(22)【出願日】2022-08-24
(85)【翻訳文提出日】2024-03-29
(86)【国際出願番号】 GB2022052175
(87)【国際公開番号】W WO2023026043
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】517004595
【氏名又は名称】ミトコリン エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】MITOCHOLINE LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スクラッチコヴァ ガリーナ ノニーナ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレーヴァ ラリーサ
【テーマコード(参考)】
2B150
4B018
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
2B150AA02
2B150AA04
2B150AA06
2B150AB03
2B150DA32
2B150DE06
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4C206ZC75
(57)【要約】
本発明は、一炭素(1C)代謝を維持及び増強する栄養組成物に関する。この組成物は、身体の全般的な健康を維持し、代謝ストレスの生理学的帰結を軽減し、成長中の身体又は疾患若しくは外傷から回復中の身体における同化作用を増強し、ヒト個体又は飼育動物等の哺乳動物の老化した身体における同化プロセスを活性化するのに有用である。この組成物はコリンとコハク酸との2:1のモル比での組合せを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト対象又は飼い慣らされた動物等の哺乳動物における一炭素(1C)代謝を支持、増強、及び/又は回復するのに使用される、コリンとコハク酸とを約2:1のモル比で含む組成物。
【請求項2】
ニコチンアミド又はニコチンアミド誘導体を更に含み、ここで、コリン:コハク酸:ニコチンアミド/ニコチンアミド誘導体のモル比は、約2:1:0.01~約2:1:10であり、かつ前記ニコチンアミド誘導体は、好ましくはニコチンアミドリボシドである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
コリン及びコハク酸は、ジコリンコハク酸塩に由来する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
ニコチンアミド又はニコチンアミド誘導体の量は、およそ10mg~およそ4000mgである、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
ジコリンコハク酸塩の量は、およそ10mg~およそ5000mgである、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
ビタミンB12(コバラミン又はメチルコバラミン)、ビタミンB6(ピリドキシン)、及び/又はビタミンB9(葉酸又はフォラシン)から選択される少なくとも1種のビタミンBを更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
エイコサペンタエン酸(EPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)等のオメガ3不飽和酸、好ましくはDHAを更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物は、栄養組成物若しくは栄養補強組成物、若しくは医療用食料品であるか、又は前記組成物は、栄養組成物若しくは栄養補強組成物、若しくは医療用食料品中に含まれる、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記哺乳動物対象は、
(i)食事から摂取する葉酸及び/又はコリンの量が不十分である個体等の栄養不足の個体、
(ii)太り過ぎの個体又は肥満の個体、
(iii)代謝ストレス、心理的ストレス、及び/又は環境的ストレスを受けている又はそこから回復中の個体、
(iv)老年の個体、
(v)治療的処置を受けている又はそこから回復中の患者、
(vi)慢性的な変性疾患又は炎症性疾患を患っている患者、及び/又は、
(vii)手術又は身体的外傷から回復中の個体、
であるヒト対象である、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記ヒト対象は、筋変性疾患又は加齢関連のサルコペニア若しくは筋消耗、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)又は肝線維症等の肝臓疾患、神経変性疾患又は神経疾患、クローン病又はIBD等の炎症性疾患、CVDから選択される疾患又は障害を患っている又はそこから回復中の個体である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記哺乳動物対象は、妊娠中の女性又は小児である、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記哺乳動物対象は、健康なヒト個体である、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記哺乳動物は、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ウマ等の飼育哺乳動物、又はイヌ、ネコ、ウサギ等の愛玩哺乳動物である、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物は、必要とする対象における、
代謝ストレスの治療用又は予防用であり、及び/又は、
異化作用の軽減用及び/又は同化作用の刺激用であり、
ここで、前記必要とする対象は、
食事中の栄養素の不足又は過剰によって影響を受けた、及び/又は、
負傷又は病気によりエネルギー消費の増加を伴う、
ヒト又は飼い慣らされた動物対象である、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
哺乳動物対象における、食事管理及び/又は、
負傷、病気、及び/又は栄養バランスの偏りによる代謝ストレス、異化作用、及び/又はエネルギー消費の増加、及び/又は、
一炭素(1C)代謝の不均衡、損傷、又はそのレベルの低下に関連する病状又は症状の発症、及び/又は、
一炭素(1C)代謝の不均衡、損傷、又はそのレベルの低下に関連する症状又は病態の発生及び/又は再発、
のリスクの緩和の方法であって、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物を前記哺乳動物対象に少なくとも1日1回投与することを含む、方法。
【請求項16】
前記哺乳動物対象は、請求項9~12のいずれか一項に記載されるヒト個体、又は請求項13に記載される哺乳動物である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物を、2日~7日以上等の数日の期間にわたって1回以上の用量で毎日投与する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
コハク酸ジコリン及びドコサヘキサエン酸(DHA)を含む栄養補助食品、食品、又は飲料品であって、コハク酸ジコリンの量は、およそ10mg~およそ5000mgであり、かつDHAの量は、およそ200mg~およそ1000mgである、栄養補助食品、食品、又は飲料品。
【請求項19】
ニコチンアミド又はニコチンアミド誘導体を更に含み、ここで、コリン:コハク酸:ニコチンアミド又はニコチンアミド誘導体のモル比は、およそ2:1:0.01~およそ2:1:10であり、かつ前記ニコチンアミド誘導体は、ニコチンアミドリボシドである、請求項18に記載の栄養補助食品、食品、又は飲料品。
【請求項20】
ビタミンB12(コバラミン又はメチルコバラミン)、ビタミンB6(ピリドキシン)、及びビタミンB9(葉酸又はフォラシン)からなる群から選択される少なくとも1種のビタミンBを更に含む、請求項18又は19に記載の栄養補助食品、食品、又は飲料品。
【請求項21】
前記栄養補助食品、食品、又は飲料品は、ヒト又は飼い慣らされた動物対象における一炭素代謝を支持、増強、及び回復し、かつ同化作用を刺激する、請求項18~20のいずれか一項に記載の栄養補助食品、食品、又は飲料品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の組成物は、ヒト及び飼育動物において、一炭素(1C)代謝を維持、増強、及び回復するのに、精神的及び身体的なウェルビーイング及び身体の全般的な健康を維持及び促進するのに、並びに1C代謝の不均衡に関連する様々な疾患及び生理学的病態、例えば肝臓、関節、及び他の器官の疾患を治療するのに有用である。この組成物はコリンとコハク酸との2:1のモル比での組合せを含む。
【背景技術】
【0002】
細胞機能の中心となるメチオニン-葉酸サイクルを含む相互連結している一連の代謝経路を含む一炭素(1C)代謝が正常に機能すると、DNA、ポリアミン、アミノ酸、クレアチン、及びリン脂質の合成に1C単位(メチル基)が提供される。体細胞内のメチル基の供給源は、メチオニン、葉酸、ベタイン、及びコリンを含むメチル供与体分子であり、これらは食事を介して供給されるか、又は細胞によって合成されるかのいずれかであり得る。
【0003】
コリンが豊富な食事はメチル基の良好な供給源である。体内で、コリンは、細胞質ゾル及びミトコンドリアにおいて発現されるミトコンドリア酵素であるコリンデヒドロゲナーゼ及びベタインアルデヒドデヒドロゲナーゼによって、メチル基の主要な供給源であるベタイン(N,N,N-トリメチルグリシン)に酸化される。ベタインは3つのメチル基を含み、そのうちの1つはホモシステインに供与され、他の2つはアミノ酸のグリシンの合成に使用され、グリシンは更に胆汁酸、タンパク質、クレアチン等の多くの重要な分子の合成において使用される。血漿ベタインの濃度が低いことは、血漿ホモシステイン濃度の増加と強く相関しており、これは、体内のメチル基又はメチル基供与体の不足により様々な疾患及び細胞老化を引き起こすメチル化プロセスの速度低下のバイオマーカーである。ホモシステイン量の増加は、多くの病状、例えば、腎臓機能不全、CVD、虚血性脳卒中、並びに自閉症、パーキンソン病、アルツハイマー病、及び発作のような神経学的問題と関連していた。ホモシステインは酸化ストレスにも関与し、これにより活性酸素種の生成が増強されるため、脂質過酸化及び細胞膜損傷の原因の1つである(非特許文献1を参照)。低メチル化はエネルギー代謝障害にも関与している。
【0004】
エネルギー代謝におけるベタイン及びコリンの役割は、身体のメチル化プロセスにおけるメチル基のもう一つの供与体である葉酸がエネルギー代謝に対して同じ効果を示さないことが知られているため、それらの遺伝子メチル化に対する効果を上回ると見られており(非特許文献2を参照)、例えば、ベタインは、非アルコール性脂肪肝及び関連する肝インスリン抵抗性の状態を改善すること(非特許文献3)、そしてミトコンドリア呼吸の正の調節因子であること(非特許文献4)が明らかにされている。
【0005】
コリンは、コハク酸の塩(コハク酸ジコリン)の形態で、神経細胞のインスリン受容体の強力な感作物質であることが明らかにされている(非特許文献5)。さらに、コハク酸ジコリンとニコチンアミドとの組成物は、脳細胞におけるNAD、ATP、及びホスホクレアチンの両方のレベルを増加させるのに相乗的に有効である(特許文献1)。
【0006】
ジコリンコハク酸塩の一部であるコハク酸は、ミトコンドリア電子伝達系(ETC)と直接相互作用するトリカルボン酸(TCA)回路の主要な中間体であり、酸化的代謝を介してATP産生への「ショートカット型」の経路を可能にする。さらに、コハク酸は、ミトコンドリア膜電位を高めることにより、特定のコリン輸送体を介してミトコンドリアへのコリン輸送を強化し(非特許文献6)、それによって身体のメチル化プロセスに利用可能なベタインの細胞レベルが間接的に高められることが実証されている。
【0007】
食品へのコリンの補給は、ヒト及び飼い慣らされた哺乳動物の両方の健康に有益であることが証明されている。しかしながら、一炭素(1C)代謝及びエネルギー代謝の両方を同時に支持及び増強することができる市販のコリン含有食料品及び栄養補助食品は依然として不足している。現在、世界の殆ど全ての国が、国の人口分布の高齢に向けた移行を経験しており、あらゆる年齢の人々が、様々な疾患につながる切迫した代謝ストレスの高まりのもとで生活しており、かつ環境的圧力及び心理的圧力の影響により生ずる非常に大きな社会経済的問題があるという事実を考慮すると、身体及び精神の健康を支持、増強、及び回復することができ、かつ一炭素(1C)代謝及びエネルギー代謝に影響を与える代謝ストレス及び心理的ストレスのマイナスの影響を予防及び軽減することにより老化プロセスの遅延を遅らせることができる、安全で有効な栄養補助食品である作用物質が大いに求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Rehman T et al (2020) Food Science and Nutrition, DOI: 10.1002/fsn3.1818
【非特許文献2】Obeid R. (2013) Nutrients, doi:10.3390/nu5093481
【非特許文献3】Kathirvel E., et al (2010) Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol doi:10.1152/ajpgi.00249.2010
【非特許文献4】Lee I (2015) Biochem Biophys Res Commun, doi: 10.1016/j.bbrc.2014.12.005
【非特許文献5】Storozhevykh T., et al (2008) BCM Neurocsi. doi:10.1186/1471-2202-8-84
【非特許文献6】Porter R., at al. (1992), J Biol Chem267:14637-14646
【発明の概要】
【0010】
本発明の第1の態様は、ヒト対象又はウシ若しくは愛玩動物のような飼い慣らされた動物等の哺乳動物における一炭素(1C)代謝を支持、増強、及び/又は回復するのに使用される、コリンとコハク酸とを2:1のモル比で含む組成物に関する。有利には、この組成物は、ニコチンアミド(NAM)又はニコチンアミドリボシド(ここで、コリン:コハク酸:NAM/ニコチンアミドリボシドのモル比は、約2:1:0.001~約2:1:10である)、ビタミンB12(コバラミン又はメチルコバラミン)、ビタミンB6(ピリドキシン)、及びビタミンB9(葉酸又はフォラシン)からなる群から選択される少なくとも1種のビタミンB、及び/又はドコサヘキサエン酸(DHA)を更に含んでもよい。
【0011】
本発明の第2の態様は、哺乳動物対象における、食事管理及び/又は、
負傷、病気、及び/又は栄養バランスの偏りによる代謝ストレス、異化作用、及び/又はエネルギー消費の増加、及び/又は、
一炭素(1C)代謝の不均衡、損傷、若しくは低下に関連する病態若しくは症状、又は、
一炭素(1C)代謝の不均衡、損傷、若しくは低下に関連する症状若しくは病態の発生及び/又は再発、
のリスクの緩和の方法であって、コリンとコハク酸とを2:1のモル比で含み、かつ任意に(i)NAM又はニコチンアミドリボシド(ここで、コリン:コハク酸:NAM/ニコチンアミドリボシドのモル比は、2:1:0.001~10である)、(ii)ビタミンB12(コバラミン又はメチルコバラミン)、ビタミンB6(ピリドキシン)、及びビタミンB9(葉酸又はフォラシン)からなる群から選択される少なくとも1種のビタミンB、及び/又は(iii)ドコサヘキサエン酸(DHA)を含む組成物を上記ヒトに少なくとも1日1回投与することを含む、方法に関する。
【0012】
本発明の第3の態様は、コハク酸ジコリン及びドコサヘキサエン酸(DHA)を含む栄養補助食品、食品、又は飲料品であって、コハク酸ジコリンの量が、およそ10mg~およそ5000mgであり、かつDHAの量が、およそ200mg~およそ1000mgである、栄養補助食品、食品、又は飲料品に関する。栄養補助食品、食品、又は飲料品は、有利には、ニコチンアミド又はニコチンアミドリボシド(ここで、コリン:コハク酸:ニコチンアミド/ニコチンアミドリボシドのモル比は、およそ2:1:0.01~およそ2:1:10である)、及び/又はビタミンB12(コバラミン又はメチルコバラミン)、ビタミンB6(ピリドキシン)、及びビタミンB9(葉酸又はフォラシン)からなる群から選択される少なくとも1種のビタミンBを更に含んでもよい。
【0013】
本発明の組成物の摂取から便益を受けることとなる対象は、それらの食事を改善する特別な要求を有する又は有しない健康なヒト対象等のあらゆるヒト対象、老年の個体、及び/又は疾患、負傷、バランスの偏った食事、若しくは、例えば、心理的ストレス、疲れ、不眠症、若しくは精神的鬱病等の或る特定の精神状態、又は社会経済的圧力等のような環境要因により衰弱した個体等の代謝的及び/又は心理的に衰弱した個体であってもよい。さらに、本発明の組成物を、ウシ用飼料及び愛玩動物用飼料の両方を含む動物用飼料に対する補給剤として配合し、有益に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
メチル基の利用可能性は身体が正常に機能するのに非常に重要であり、その需要は身体の成長、組織の再生、激しい身体的活動又は精神的活動に際して、老化又は疾患において特に高い。同化作用及び異化作用の両方の生体プロセスも、呼吸中にミトコンドリア内で合成されるエネルギー分子のATP及びNADの形態での一定のエネルギー供給を必要とする。エネルギーレベルを維持し増加させ、合成プロセスにおいて使用されるメチル基の供給を長期間支持して、身体の衰退を防ぎ、身体の老化を遅らせることができる栄養組成物が求められている。
【0015】
本発明者らは、驚くべきことに、コリン(カチオン)とコハク酸(アニオン2-)とをおよそ2:1のモル比で組み合わせると、重酒石酸コリン又は塩化コリンのような1C代謝用のよく知られたコリン栄養補助食品よりも良好にヒトにおける一炭素(1C)代謝を支持することを見出した。有利には、コリン(カチオン)及びコハク酸(アニオン2-)の組合せをニコチンアミド(NAM)と組み合わせると(ここで、コリン:コハク酸:NAMのモル比は、約2:1:0.001~約2:1:10である)、ミトコンドリアの機能が増強され、「エネルギー」分子のATP及びNADの産生の強化、並びに体細胞における多様な合成プロセスに必要とされるメチル基(1C基)の提供に相乗的に働き得る。後者の組成物の数多くの相乗作用は、この組成物がオメガ3不飽和酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、好ましくはDHAを更に含む場合、更に拡張され得る。体内での食事性DHAの利用は、コリン栄養補助食品と組み合わせた場合により効果的である。組成物の相乗効果は、コリン(カチオン)及びコハク酸(アニオン2-)が、コリン及びコハク酸の他の供給源と比較して、組成物中に存在するジコリンコハク酸塩(DISU)に由来する場合に最も大きい。しかしながら、他のコリン及びコハク酸の塩がコリン及びコハク酸の供給源である場合に、それには及ばないものの、1C代謝及びエネルギー分子産生の両方の増強が達成される可能性もある。
【0016】
本発明の上記組成物の3種の化合物のうちの単一の化合物も2種の組合せも、生成エネルギー及び1C代謝産物の増強という二重の効果を達成することはできなかった。理論に縛られるものではないが、2:1:0.001~2:1:10の範囲内のモル比で存在するコリン、コハク酸、及びNAMといった組成物の化合物は次のように相乗的に働き、その際、組成物のコハク酸アニオンはミトコンドリア膜電位を高め、これによりミトコンドリアへのコリンの流入が促進され、ここでコリンはベタインに酸化され、同時にNAM及びコハク酸はミトコンドリア内の一連の反応に関与し、これによりNAD分子及びATP分子の合成がもたらされ、これらの分子はベタインとともに細胞質ゾルに輸送され、体内での1C代謝の相互接続した一連の反応において利用される。身体の細胞におけるベタイン、ATP、及びNADのレベルの増加に加えて、組成物の相乗効果はS-アデノシルメチオニン(SAMe)及びホモシステインのレベルにも影響を与え、SAMeの増加及びホモシステインの減少において反映される。
【0017】
本発明者らは、本質的にDISU及びNAMからなる組成物(ここで、コリン:コハク酸:NAMの比は、約2:1:0.001~10である)のヒト個体による約1週間~約4週間の間の経口摂取は、次の生理学的効果、すなわち、骨格筋の強度、緊張、及び持久力の増加、並びに広範な身体的及び精神的な運動からの素早い回復、すなわち、グルコースの形態の「エネルギー」の良好な外部供給及びタンパク質構成要素であるアミノ酸の形態の一炭素代謝供給を達成するのに典型的にはかなり長い時間がかかり、枯渇した内部資源を回復するのにこれらを必要とすることとなる運動後の疲弊感又は疲労感を最小限に抑えること又はそれらをなくすことの少なくとも1つを伴うことを見出した。さらに、組成物の毎日の摂取は、他の有益な効果、例えば、全体的な幸福感、前向きな思考、及びモチベーションの向上を伴う。
【0018】
したがって、本発明は、1C代謝を支持するのに、例えばヒト対象及び飼い慣らされた動物対象等の哺乳動物における1C代謝を維持、増強、又は回復するのに有効である組成物に関する。これらの組成物は、少なくとも2種の化合物、コリン(カチオン)とコハク酸(アニオン2-)とをおよそ2:1のモル比で含み、幾つかの実施形態においては、少なくとも3種の化合物、コリン(カチオン)とコハク酸(アニオン2-)とニコチンアミド(NAM)とを約2:1:00.1~約2:1:10の範囲内のモル比で含む。本発明の組成物の非限定的な更なる実施形態及びそれらの使用を以下で詳細に説明する。
【0019】
本発明の明細書全体を通じて説明される全ての用語及び定義は、別段の指定がない限り、本発明の全ての態様及び実施形態に関係する。
【0020】
「一炭素(1C)代謝」という用語は、DNA、ポリアミン、アミノ酸、クレアチン、及びリン脂質の合成に1C単位(メチル基)を提供する、細胞機能の中心となるメチオニン-葉酸サイクルを含む一連の相互連結している代謝経路を意味する。「本質的に(指定された化合物)からなる組成物」という表現は、組成物の指定された化合物が、組成物に関連する特許請求の範囲に記載される生物学的効果に必須であることを意味する。この表現は、本発明の組成物の化合物の有益な効果に寄与し得る他の化合物を除外するものではない。このような化合物の例は本発明の明細書に記載されている。
【0021】
本文脈における「合成」という用語は、人工的な組成物を意味する。本発明の組成物は、典型的には、生体内の細胞で天然に存在する分子と構造的に同一である合成的に調製された分子と、幾つかの実施形態において、天然の構造的同等物を有しない人工分子とを含み得る。
【0022】
「約」という用語は、示された値からの0.01%~10%、例えば0.5%~5%だけの偏差を意味する。
【0023】
「コリン」(「コリンカチオン」)という用語は、化学式C5H14NO+(CAS番号62-49-7)を有する化合物を意味する。本発明によれば、本明細書に記載される組成物のコリン化合物は、典型的にはコリン水酸化物、又はコリンの塩、例えば、重酒石酸コリン、塩化コリン、コハク酸ジコリンのいずれかに由来する。しかしながら、コリンカチオンを提供し得る他の水溶性化合物も検討される。
【0024】
「コハク酸」という用語は、化学式C4H4O4
-2(CAS番号110-15-6)を有する二価のコハク酸アニオンを意味する。本発明によれば、本明細書に記載される組成物のコハク酸化合物は、典型的にはコハク酸、又はコハク酸の二価の塩、例えば、コハク酸二ナトリウム若しくはコハク酸ジコリンのいずれかに由来する。しかしながら、二価のコハク酸アニオンを提供し得る他の水溶性化合物も検討される。
【0025】
「コハク酸ジコリン」、「コリンコハク酸塩(2:1)」、及び「DISU」という用語は置き換え可能であり、式(I)(CAS番号109438-15-5):
【化1】
の分子を意味する。
【0026】
「ニコチンアミド」又は「NAM」という用語は、CAS番号98-92-0で識別される分子を意味する。
【0027】
「ニコチンアミドの誘導体」又は「NAM誘導体」という用語は、合成プロセスによってNAMから誘導される分子を意味する。すなわち、NAMは、ニコチンアミドリボシド(CAS番号:1341-23-7)又はニコチンアミドモノヌクレオチド(CAS番号:1094-61-7)等の誘導体の合成用の出発分子である。好ましいNAM誘導体は、ニコチンアミドリボシドである。
【0028】
本文脈における「哺乳動物対象」という用語は、ヒト個体、又はイヌ、ネコ、ウサギ、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ウマ等のような飼い慣らされた哺乳動物を意味する。
【0029】
「代謝ストレス」という用語は、身体に供給される栄養素よりも速い速度で身体が栄養素を代謝し、それにより本明細書では異化作用とも呼ばれる破壊的な代謝の状況がもたらされ得る状態を指す。この状況は、病気、感染症、精神的ストレス、不相応な身体的運動等によって引き起こされる可能性があり、これらは食事中の栄養素の不足又は過剰に付随することが多い。この状況は、手術又は過酷な治療的処置、例えば正常な代謝プロセスを破壊する放射線若しくは化学療法によって引き起こされる場合もある。さらに、この状況は、高カロリー摂取の必要性を引き起こす身体的外傷及び心理的外傷によって誘導される可能性がある。例えば、熱傷患者は、熱傷によって引き起こされる身体への損傷及びその結果により、1日当たり約7000カロリーものカロリーを必要とする可能性がある。
【0030】
異化作用の状況に見舞われる患者は、同化作用の低下に見舞われることが多い。生合成とも呼ばれる「同化作用」という用語は、生細胞内で比較的単純な構造を有する栄養素から比較的複雑な分子が形成される一連の酵素触媒反応を意味する。成長中の細胞では、異化プロセスよりも同化プロセスが優勢である。成長中でない細胞では、この2つの間で均衡が保たれている。代謝ストレス下では、異化作用が同化作用よりも優勢である。異化作用の状況は、重度の体重減少をもたらすことが多く、これにより一次疾病に対する顕著な合併症、重度の身体損傷が引き起こされ、更には死に至る可能性もある。異化作用の状況はまたエネルギー代謝の不均衡を特徴とし、これは、多くの場合、体内の脂肪の過剰な蓄積、疲れ、精神的鬱病、認知能力の低下等に現れる。
【0031】
異化作用は、上述の哺乳動物対象において栄養素摂取の不足によって引き起こされる可能性があるが、メチル供与体の不十分な正味摂取量も非常に重要な要素であると考えられており、哺乳動物が同化プロセスに必要とされる栄養素を効果的に代謝することができるようにするには、過剰なメチル供与体が必要とされる。負傷、外傷、感染症等による代謝ストレスを受けている哺乳動物においては、メチル供与体が高められた速度で排泄及び/又は代謝され、及び/又は同化プロセスが極めて高い速度で起こるため、メチル供与体についての正味必要量は並外れて高い。平均的な食事は、そのような個体における異化作用を予防又は治療するのに十分な正味量でメチル供与体を提供しない。したがって、メチル供与体を、任意に必須の代謝酵素の補因子、例えば、ビタミンB12(コバラミン又はメチルコバラミン)、ビタミンB6(ピリドキシン)のような補助分子とともに補給することは、負傷、外傷、感染症、バランスの偏った食事、又は身体的若しくは精神的な運動の過負荷、疾患、若しくは老化による代謝ストレスを受ける哺乳動物対象において非常に望ましい。
【0032】
本発明の組成物を含む/本質的に本発明の組成物からなる食品又は補助食品から特に便益を受けることとなるヒト個体は、クローン病、炎症性腸疾患(IBD)、神経系の変性疾患、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハディントン病(Haddington's disease)を含む慢性炎症性疾患及び病態、筋消耗、筋変性疾患、ミオパチー、加齢関連の筋機能の低下、虚弱、虚弱前期、神経筋疾患、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、サルコペニア、筋萎縮及び/又は悪液質、筋力低下、筋機能障害、加齢関連の筋機能の低下、加齢関連のサルコペニア、加齢関連の筋消耗、肉体疲労、筋肉疲労、封入体筋炎、弧発性封入体筋炎等の筋骨格系疾患を患っている又はそこから回復中のヒト個体である。一実施形態において、ヒト対象は、酸性マルターゼ欠損症(AMD、ポンペ病、糖原病2型、リソソーム蓄積症)、カルニチン欠損症、カルニチンパルミチルトランスフェラーゼ欠損症(CPT欠損症)、脱分枝酵素欠損症(コリ病又はフォーブス病、糖原病3型)、乳酸デヒドロゲナーゼ欠損症(糖原病11型)、ミオアデニル酸デアミナーゼ欠損症、ホスホフルクトキナーゼ欠損症(垂井病、糖原病7型)、ホスホグリセリン酸キナーゼ欠損症(糖原病9型)、ホスホグリセリン酸ムターゼ欠損症(糖原病10型)、ホスホリラーゼ欠損症(マッカードル病、ミオホスホリラーゼ欠損症、糖原病5型)等の代謝性ミオパチー、肝臓疾患、特に非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)と診断された個体である。これらのヒト個体を、本発明の組成物を用いたそれらの病態の食事管理についての対象群とみなす。幾つかの実施形態において、本発明の組成物の使用による、代謝ストレス及び/又は1C代謝の不均衡に関連する生理学的病態の食事管理が好ましい場合がある。
【0033】
本文脈における「食事管理」という用語は、治療的介入ではなく、栄養不足及び栄養学的要求を対象とする個々の食事の監督及び最適化を通じて、健康上の懸念を抱える個体に栄養素の選択肢を提供する行為を意味する。食事管理の行為は、必要とされる治療的処置に代わるものではないが、必要であれば、その効率を高め、それにより患者の回復を促進する。バランスの偏った食事、過度の運動(精神的及び身体的)、疾患、療法、又は負傷による衰弱、危険な環境要因によるストレス等を抱えている全般的に健康な個体において、食事管理は予防的かつ支持的な手段として働き、個体はそれらの病状の発症又は増強を回避することが可能となる。食事管理は、個体がそれらの危険な生理学的病態の帰結に対抗するのに役立つ特定の栄養素を食事に選択する工程と、選択した栄養素を栄養補給剤(複数の場合もある)、医療用食品及び医療用飲料を含む栄養増強食品又は栄養増強飲料の形態で個体の食事に含めることによって、選択された栄養素で個体を処置する工程とを含む。
【0034】
したがって、本発明の組成物は、有利には、例えば、
(i)栄養不足の個体又はバランスの偏った食事、例えば葉酸及び/又はコリンの量が不十分な食事を摂っている個体、
(ii)太り過ぎの個体又は肥満の個体、
(iii)代謝ストレス、心理的ストレス、及び/又は環境的ストレスを受けている又はそこから回復中の個体、
(iv)50歳以上の個体、特に75歳以上の個体等の老年の個体、又は重度の体重減少に見舞われる高齢の個体、
(v)治療的処置を受けている又はそこから回復中の患者、
(vi)慢性的な変性疾患又は炎症性疾患を患っている患者、及び/又は、
(vii)手術又は身体的外傷から回復中の個体、
によって、栄養補助食品として毎日摂取され得る。
【0035】
本組成物の摂取から特に便益を受ける可能性のある他のヒト対象としては、放射線療法又は化学療法を受けている患者、外傷患者又は手術を受けた患者、消化管の機能不全に見舞われる個体、妊娠中又は授乳中の女性、幼児、特に早産児、及びアスリートが挙げられる。
【0036】
さらに、有利には、本発明の組成物はまた、
妊娠中の女性及び幼児、特に低出生体重の幼児において強く望まれるような同化プロセスの増強、
除脂肪体重の増加、並びに太り過ぎ及び肥満につながる過剰な脂肪の蓄積の減少、
手術、負傷、心血管疾患、膵臓障害、腫瘍、特に肝臓腫瘍、膵臓腫瘍、肺腫瘍、及び腎臓腫瘍、栄養失調、神経障害、肺気腫、並びに他の呼吸器疾患、肝硬変のような肝臓障害、炎症性腸疾患、膵炎、肝炎、AIDSの間、及び糖尿病において起こり得る重度のインスリン抵抗性の間のような重度の炎症に起因して又はそれらの後に起こり得る筋異化及び/又は悪液質の予防及び/又は治療、
身体組織及び細胞のエネルギー状態の改善、
にとって有益であることが判明した。
【0037】
有利には、除脂肪体重及びエネルギー状態の増加は、筋肉の強度及びパワーの増加につながる。
【0038】
さらに、ベジタリアン及びビーガンは、ビーガン/ベジタリアン用の食事中にはクレアチンの存在が僅かであるため、本発明の組成物から利益を得ることになる。クレアチンはコリンの酸化生成物であるグリシンから体内で合成されるため、コリンを含む本発明の組成物はこれらの個体にとってのクレアチンの供給源として機能することになる。幾つかの実施形態において、本発明の組成物は栄養学的に推奨される量のクレアチンを更に含んでもよい。
【0039】
したがって、一実施形態において、本発明は、メチル供与体のコリンと、エネルギー代謝促進化合物のコハク酸及びNAMとを含み、コリン:コハク酸:NAMのモル比が約2:1:0.001~約2:1:10である組成物を提供し、この組成物を、有利には、同化プロセスの刺激及び/又は増強、及び/又は除脂肪体重の増加、及び/又は筋異化又は悪液質の予防及び/又は治療、及び/又は組織及び細胞のエネルギー状態の改善に使用することができ、ここで、この組成物は、栄養補助食品、食品若しくは飲料、又は食品強化剤若しくは飲料強化剤等の哺乳動物対象への経口投与用に製剤化される。
【0040】
本発明の組成物はまた、特に、ウシ及び/又は他の飼育動物、又はイヌ、ネコ、ウサギ等のようなペットに給餌する動物用食品栄養補給として有効である。
【0041】
例えば、ペットにおいて、本発明の組成物を、発作及び認知障害、肝臓疾患及び胆嚢疾患、特に肝臓における脂肪蓄積に起因する疾患(肝リピドーシスと呼ばれる脂肪肝疾患)の予防又は治療に役立つ栄養補給剤又は医療用食品として使用することができる。高レベルの血中コレステロールを伴うペット(甲状腺機能低下症を患うイヌ及びミニチュアシュナウザーにおける遺伝性障害の脂質異常症に見られるような)も本組成物に含まれるコリン栄養補給に奏効する可能性がある。ウシのような飼育動物において、本発明の組成物は、脂肪肝症候群及びケトーシスを効果的に軽減することができる。現在、飼育動物及びペット用の主なコリン補助食品は塩化コリンである。しかしながら、大量の塩化コリンは有毒である可能性がある。本発明の組成物の幾つかの実施形態に含まれるコリンの相乗作用塩であるコハク酸ジコリン(DISU)は、自体が必須の代謝産物であるコハク酸によって促進される1C代謝においてコリンがより効率的に利用され、かつ食事から有毒な塩化物が除去されるため、塩化コリンに代わる有利な代替品となり得る。
【0042】
本発明の組成物の非限定的な実施形態
本発明は、コリン(カチオン)及びコハク酸(二価のアニオン)を含む(幾つかの実施形態においては、本質的にそれらからなる)組成物に関し、好ましくは、コリン及びコハク酸は、約2:1のモル比で存在し、好ましくは、上記コリン及びコハク酸は、本発明の組成物中にジコリンコハク酸塩(DISU)の形態で存在し、すなわち、DISUは組成物の一部である。代替的には、組成物のコリンカチオンは、コリンの別の塩、例えば重酒石酸コリン(CAS番号87-67-2)に由来してもよく、コハク酸アニオンは、コハク酸の別の塩、例えば、コハク酸二ナトリウム塩(CAS番号6106-21-4)に由来してもよい。本発明の幾つかの実施形態において、重酒石酸コリン、又はフマル酸コリン、及びコハク酸二ナトリウム塩又はコハク酸二アンモニウム塩から本質的になる組成物が好ましい場合がある。このような組成物におけるコリン及びコハク酸のモル比は約2:1である。
【0043】
有利には、コリン及びコハク酸(モル比2:1)を含む本発明の組成物は、NAM又はNAM誘導体を含む。本発明の組成物中のNAM又はNAM誘導体、好ましくはニコチンアミドリボシドの量は、約2:1:0.01~約2:1:10のコリン対コハク酸対NAM/NAM誘導体のモル比の範囲内で変動し得る。この範囲内の個々の化合物のモル比を有する組成物は、主要なエネルギー分子であるATP及びNADの細胞産生並びにメチル基の生成の増加を含む体細胞における両方のミトコンドリア機能に相乗的に作用し、これらを大幅に増強する。本明細書において論じられるように、これらの組成物は、1C代謝の不均衡又は衰弱に関連する症状及び病態の食事管理において、代謝ストレスの状態において、成長中の身体又は様々なストレスの多い生理学的病態若しくは精神的病態から回復中の身体におけるような同化プロセスの速度及び効率の増加が要求される状態において有効である。これらの組成物は、全般的に健康で身体的に活動的なヒト対象、及び老化、又は疾患、負傷、若しくはバランスの偏った食事、すなわち栄養素が不足した食事又は過剰な栄養素を含む食事により身体的に衰弱しているヒト対象の両方の身体的健康、精神的健康、及び代謝的健康を改善する栄養食品補給剤(nutritional food supplements)として有益である。
【0044】
上記の効果を得るには、本明細書に記載される目的に使用される場合に、組成物の必須化合物、すなわちコリン(カチオン)、コハク酸(二価アニオン)、及び有利にはNAM又はNAM誘導体が、いわゆる「有効量」で存在する。化合物の有効量は、使用の目的及び/又は使用方法、及び必要とする対象に応じて変動し得る。これらの実施形態を以下で論じ、非限定的な実施例によって例示する。
【0045】
幾つかの実施形態において、コリン、コハク酸、及びNAMを含む本発明の組成物は、1C代謝に対する組成物の効果及び代謝ストレスからの身体の回復を有益に増強することができる他の化合物を更に含んでもよい。例えば、ビタミンB12(コバラミン又はメチルコバラミン)及び/又はビタミンB6(ピリドキシン)等のビタミンBは、1C代謝に関与する必須酵素の補因子である。したがって、幾つかの実施形態において、本発明の組成物は、ビタミンB12及びビタミンB6の一方又は両方、及び/又はビタミンB9を更に含んでもよい。他の実施形態において、クレアチン、又は例えばアミノ酸のグリシン及びアルギニン等のクレアチン前駆体も本発明の組成物の一部となり得る。一実施形態において、コリン、コハク酸、及び任意にNAM又はNAM誘導体を含む組成物への他の有用な添加剤を含む組成物を以下で論じる。幾つかの好ましい実施形態において、コリン、コハク酸、及び任意にNAMを含む組成物は、エイコサペンタエン酸(EPA)及び/又はドコサヘキサエン酸(DHA)等のオメガ3不飽和酸、好ましくはDHAを含んでもよい。
【0046】
本発明の組成物は、栄養補強組成物、栄養組成物、又は医薬組成物として配合され得る。これらの配合物は、上記のように適切なモル比で本発明の組成物の必須成分を有効量、含むことになる。対応する技術分野において確立された標準的な規則及び手順に従って、様々な配合物を調製することができる。
【0047】
「栄養補強」という用語は、医薬グレードの標準化された栄養素を意味する。本文脈における「医薬」という用語は、疾患を治療する医薬品として処方される医薬グレードの化合物を意味する。「栄養素」という用語は、本文脈において、ヒトの生命の維持に不可欠な栄養物を提供する物質を意味する。本文脈における「栄養」という用語は、組成物がヒト個体の栄養素補充用のものであることを意味する。「栄養補助食品」という用語は、食事を補うことを目的とした食事成分、例えば栄養素を含む経口により摂取される製品を意味する。
【0048】
本発明の組成物中のコリン及びコハク酸、例えばDISU、NAM、DHA、並びに他の化合物の量は、個体の要求、年齢、生理学的病態等に従って、そして剤形及び投与計画に応じて、特定の個体又は個体の群による使用のために調整され得る。例えば、1回分当たりのDISUの量は1回分当たり10mgから1000mgの範囲で変動することができ、1日1回以上の投与量で提供され得る。組成物中のNAMの量は、1日1回以上の投与量として提供されて1回分当たり10mgから4000mgまで、例えば、1日数回の投与量として提供されて1回分当たり約25mgから2000mgまで、又は1日数回の投与量として提供されて1回分当たり約50mgから1000mgまで等で変動することができ、ここで、NAMの1日用量は、具体的なヒト個体又はヒト個体の群の食事の要求に依存することになる。DHAの量は、1回の投与量当たりおよそ200mgからおよそ1000mgで変動し得る。食事組成物の非限定的な実施例を実施例に記載する。組成物中の約4000mgのNAMの1日摂取は、本明細書に記載されるあらゆる目的にとって安全かつ有効であると考えられる。本発明によれば、個体は、副作用を一切伴うことなく、最大4000mgのNAM若しくはNAM誘導体、及び最大1000mgのDISU、又は他のコリンとコハク酸との塩から誘導されるコリン及びコハク酸を対応する量、含む組成物を毎日摂取することができる。好ましい一実施形態において、本発明の組成物は栄養組成物であり、本質的にDISU及びNAMを含み、ここで、組成物中のコリン、コハク酸、及びニコチンアミドのモル比は、相応して約2:1:0.4である。別の好ましい一実施形態において、組成物中のコリンカチオン、コハク酸アニオン(2-)、及びニコチンアミドのモル比は、約2:1:1である。本文脈における「約」という用語は、示された値からの1%~10%の偏差を意味し、例えば、本発明の組成物中のコリン:コハク酸比は1.7:1から2.3:1の間で変動し得る。
【0049】
幾つかの実施形態において、乳牛のような大型の飼育動物が関係する場合、本発明の組成物は、コリンコハク酸(2:1)塩の形態で15g~20gまでのコリンカチオンを含んでいてもよい。
【0050】
好ましくは、本発明の組成物の摂取は数日(2日~6日)の期間、好ましくは少なくとも1週間、又はより好ましくは2週間~4週間、1ヶ月~12ヶ月以上等のより長い期間にわたって継続する。組成物を栄養補助食品として投与することができる期間に限定はない。例えば、個体の生活様式、健康、個体の身体的/精神的状態、又は年齢の変化に関連して、個体が必要であると感じたときに摂取をいつでも中断し、改めて再開することができる。通常の技能を有する食事管理者であれば、認められた規則及び規制に従って、本発明の食事組成物の成分の量を容易に決定することができる。
【0051】
上述のように、幾つかの実施形態において、本発明は、追加の栄養素を含む本発明の栄養組成物に関する。このような本発明の栄養組成物は、限定されるものではないが、食品、飲料、栄養補助食品、機能性食品、及び医療用食品を含むあらゆる栄養製品の形態で存在してもよい。好ましい一実施形態において、本発明の組成物は、水性栄養組成物、例えば、同化作用を増強することができるスポーツ飲料等の飲み物又は飲料である。スポーツ栄養補給剤(sport nutritional supplement)、スポーツ食品、又はスポーツ飲料は、本発明の栄養組成物の好ましい実施形態の1つである。好ましい一実施形態において、スポーツ栄養補給剤、スポーツ食品、又はスポーツ飲料は、約2:1のモル比のコリン及びコハク酸から本質的になる組成物をおよそ10mg~およそ5000mg含む。別の実施形態において、スポーツ栄養補給剤、スポーツ食品、又はスポーツ飲料は、およそ2:1:0.01~およそ2:1:10のモル比のコリン、コハク酸、及びニコチンアミド又はニコチンアミド誘導体から本質的になる組成物をおよそ10mg~およそ5000mg含む。好ましくは、コリン及びコハク酸は、本発明のスポーツ栄養補給剤、スポーツ食品、又はスポーツ飲料中にジコリンコハク酸塩の形態で存在する。本発明のスポーツ栄養補給剤、スポーツ食品、又はスポーツ飲料は、身体的パフォーマンスを向上させ、筋肉量を増やすのに身体運動に多くの時間を使っているヒト対象における身体的パフォーマンス、筋肉の強度、及び/又は筋肉の持久力を維持、改善、又は回復するのに有用である。
【0052】
一実施形態において、約2:1のモル比のおよそ10mg~およそ5000mgのコリン及びコハク酸を含み、本質的にこれらからなる組成物、又はおよそ2:1:0.01~およそ2:1:10のモル比のおよそ10mg~およそ5000mgのコリン、コハク酸、及びニコチンアミド又はニコチンアミド誘導体を含み、これらからなる組成物を、有利には、ケトン食へのサプリメントとして使用することができ、例えば、上記組成物は、ケトジェニック用の飲み物又はケトジェニック食料品に含まれていてもよい。骨格筋により燃料として使用されるケトン食からの循環ケトン体の上昇は、持久運動等の或る特定の条件下での酸化的エネルギー変換を改善しながら、呼吸に関する基質競合を変化させる。したがって、本発明の組成物と栄養的ケトーシスとの組合せは、例えば持久運動においてヒトのより大きな代謝能力を解き放つのに役立つ可能性がある。
【0053】
コリン、コハク酸、及びニコチンアミド又はニコチンアミド誘導体をおよそ2:1:0.01~およそ2:1:10のモル比で含む本発明の組成物を、有利には、食事中の栄養素の不足又は過剰により影響を受けた、及び/又は負傷又は病気によりエネルギー消費の増加を伴うヒト又は飼い慣らされた動物等の必要とする対象における、代謝ストレスの治療又は予防、及び/又は異化作用の減少及び/又は同化作用の刺激において使用することができる。このような組成物は、ミトコンドリアにおけるATP、NADH、及びFADの生成を相乗的に支持することにより、一炭素代謝の正常化又は最適化及び細胞エネルギー代謝の増強の両方に役立ち得る。
【0054】
本発明の実施において、本発明の組成物の化合物を、当該技術分野において既知のあらゆる方法によって調製することができ、又は既知の商業的製造業者から入手することができ、例えば、ニコチンアミド又はその誘導体、重酒石酸コリン、コハク酸二ナトリウム塩をMerckから入手することができる。DISUを、例えば国際公開第2009/022933号に記載されるように、水酸化コリン(CAS番号123-41-1)とコハク酸(CAS番号110-15-6)との反応により調製することができる。
【0055】
本明細書に記載される栄養組成物は、当該技術分野からよく知られる手順によって調製することができ、幾つかの他の任意の成分を含んでいてもよい。そのような任意の成分は一般に、組成物の約0.0005重量%~約10.0重量%のレベルで個々に使用される。適切な任意の成分の例としては、限定されるものではないが、担体、ミネラル、炭水化物、脂質、ビタミン、補因子、緩衝液、香味料及び甘味料、無機塩、典型的に天然飲料水中には含まれないカチオン及びアニオン、味覚調節剤及び/又は矯味剤、二酸化炭素、アミノ酸、有機酸、酸化防止剤、防腐剤、並びに着色料が挙げられる。
【0056】
栄養組成物を1種以上の担体と組み合わせて、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁液剤、シロップ剤、ウエハース、チューインガム、食品、飲料等の形態で使用することができる。
【0057】
担体として機能し得る成分の非排他的な例としては、水、グルコース、ラクトース、及びスクロース等の糖類、セルロース及びその誘導体、トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン等のデンプン、粉末トラガカント、麦芽、ゼラチン、タルク、カカオバター等の賦形剤、オリーブ油、落花生油、綿実油、トウモロコシ油、及び大豆油等の油、プロピレングリコール等のグリコール、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル等のエステル、グリセリン、マンニトール、ソルビトール、及びポリエチレングリコール等のポリオール、寒天、緩衝剤、水、pH緩衝溶液、並びに配合物において使用されるその他の非毒性の適合性物質が挙げられる。ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウム等の湿潤剤、乳化剤、及び滑沢剤、並びに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤及び芳香剤、防腐剤、並びに酸化防止剤も組成物中に存在し得る。酸化防止剤の非排他的な例は、ビタミンE、アスコルビン酸、カロテノイド、アミノインドール、ビタミンA、尿酸、フラボノイド、ポリフェノール、ハーブ系酸化防止剤、メラトニン、リポ酸、及びそれらの混合物である。
【0058】
典型的に天然飲料水中には含まれない有用な無機塩の非排他的な例は、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、及びそれらの混合物である。
【0059】
有用なカチオンの非排他的な例は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、鉄、及びそれらの混合物である。
【0060】
有用なアニオンの非排他的な例は、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、重炭酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、及びそれらの混合物である。
【0061】
適切な緩衝液の非排他的な例は、リン酸緩衝液、グリシン緩衝液、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、炭酸緩衝液、トリス緩衝液、トリエタノールアミン緩衝液、及びコハク酸緩衝液である。
【0062】
適切な香味料の非排他的な例は、合成香味油、シナモン油、ウィンターグリーン油、ペパーミント油、クローブ油、ベイ油、アニス油、ユーカリ、タイム油、杉葉油、ナツメグ油、セージ油、柑橘類油、ビターアーモンド油、及びカッシア油等の香味芳香剤及び天然油、植物抽出物、花、葉、果実、バニラ、チョコレート、モカ、コーヒー、リンゴ、梨、桃、レモン、オレンジ、ブドウ、ライム、及びグレープフルーツ等の柑橘類、マンゴー、ストロベリー、ラズベリー、チェリー、プラム、パイナップル、及びアプリコット、並びにそれらの組合せである。
【0063】
適切な甘味料の非排他的な例は、天然甘味料及び合成甘味料である。天然甘味料の非排他的な例は、天然産生物質、スクロース、天然産生物質からの抽出物、ステビア、ステビオール、レバウジオシドA~レバウジオシドF、並びにズルコシドA及びズルコシドB等のステビア・レバウジアーナ(キク科)・ベルトニ(Stevia Rebaudiana Compositae Bertoni)植物の抽出物、モグロシドV及び関連配糖体及びトリテルペン配糖体等のトラディアンタ・グロスベノリイ(Thladiantha grosvenorii)の抽出物、フィロズルシン及びその誘導体、ソーマチン及びその誘導体、モグロシドIV、モグロシドV、シアメノシド等のモログシド類、及びそれらの混合物、S.グロスベノリイ(S. grosvenorii)、S.シアメンシス(S. siamensis)、S.シロマラジャエ(S. silomaradjae)、S.シッキメンシス(S. sikkimensis)、S.アフリカーナ(S. Africana)、S.ボルネエシス(S. borneesis)、及びS.タイワニアーナ(S. taiwaniana)を含むシライチア(Siraitia)属、天然産生配糖体、及び甘味特性を有する植物起源の活性化合物、並びにそれらの混合物である。合成甘味料の非排他的な例は、アスパルテーム、サッカリン、及びそれらの混合物である。
【0064】
適切な着色料の非排他的な例は、FD&C色素として知られる食品に適した色素、ブドウ果皮抽出物、ビートレッドパウダー、二酸化チタン、β-カロテン、アナトー、カーマイン、クロロフィル、パプリカ等の天然着色剤、及びそれらの混合物である。
【0065】
有用な有機酸の非排他的な例は、酢酸、酪酸、リンゴ酸、ピルビン酸、グルタミン酸、クエン酸、オメガ3不飽和酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、アスパラギン酸、及びそれらの混合物である。
【0066】
好ましい一実施形態において、本発明の組成物は、エイコサペンタエン酸(EPA)及び/又はドコサヘキサエン酸(DHA)等のオメガ3不飽和酸、好ましくはDHAを含む。
【0067】
有用なアミノ酸の非排他的な例は、グリシン、アルギニン、L-トリプトファン、L-リジン、メチオニン、トレオニン、レボカルニチン、及びL-カルニチンである。
【0068】
有用なビタミンの非排他的な例は、チアミン、リボフラビン、ニコチン酸、パントテン酸、ビオチン、葉酸、ピリドキシン、ビタミンB12、リポ酸、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、アスコルビン酸、コリン、カルニチン、α-カロテン、β-カロテン、及びγ-カロテン、ビタミンK、並びにそれらの混合物である。
【0069】
好ましい一実施形態において、本発明の組成物は、1種以上のビタミンBを含み、好ましくは、ビタミンBは、ビタミンB12(コバラミン又はメチルコバラミン)、ビタミンB6(ピリドキシン)、及びビタミンB9(葉酸又はフォラシン)からなる群から選択される。
【0070】
有用な補因子の非排他的な例は、チアミンピロリン酸、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、ピリドキサールリン酸、ビオチン、テトラヒドロ葉酸、補酵素A、補酵素B12、補酵素B6、11-シス-レチナール、1,25-ジヒドロキシコレカルシフェロール、及びそれらの混合物である。
【0071】
一実施形態において、本発明の栄養組成物は、血液循環を増加させることができる化合物、例えば、ギンコ・ビロバ(Ginkgo biloba)又は高麗人参の抽出物を含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、本発明の組成物は、酸化防止剤、例えば、アスタキサンチン、レスベラトロール、フラボノイドを含んでいてもよい。
【0072】
言及したように、栄養組成物を、栄養補助食品、食料品、又は飲料の成分として使用することができる。
【0073】
食料品の非排他的な例としては、通常の食品、飲料、及び医療用食品が挙げられる。「医療用食品」という用語は、医師の監督の下で経腸的に摂取又は投与されるように配合され、疾患、病態、又は障害の特定の食事管理を目的とした食品を指す。
【0074】
好ましくは、栄養組成物は、少なくとも1日の期間、又は好ましくはそれより長い期間にわたってヒトに経口投与される(上記で論じたように)。
【0075】
本発明の非限定的な好ましい実施形態を以下で詳細に説明する:
【0076】
1.ヒト対象又は飼い慣らされた動物等の哺乳動物における一炭素(1C)代謝を支持、増強、及び/又は回復するのに使用される、コリンとコハク酸とを約2:1のモル比で含む組成物であって、コリン及びコハク酸は、相応してコリン塩及びコハク酸塩に由来する、組成物。
【0077】
2.ニコチンアミド又はニコチンアミド誘導体を更に含み、ここで、コリン:コハク酸:ニコチンアミド/ニコチンアミド誘導体のモル比は、約2:1:0.01~約2:1:10であり、かつ前記ニコチンアミド誘導体は、好ましくはニコチンアミドリボシドである、実施形態1に記載の組成物。
【0078】
3.コリン及びコハク酸は、ジコリンコハク酸塩に由来する、実施形態1又は2に記載の組成物。
【0079】
4.ニコチンアミド又はニコチンアミド誘導体の量は、およそ10mg~およそ4000mgである、実施形態1~3のいずれかに記載の組成物。
【0080】
5.ジコリンコハク酸塩の量は、およそ10mg~およそ5000mgである、実施形態1~4のいずれかに記載の組成物。
【0081】
6.ビタミンB12(コバラミン又はメチルコバラミン)、ビタミンB6(ピリドキシン)、及び/又はビタミンB9(葉酸又はフォラシン)から選択される少なくとも1種のビタミンBを更に含む、実施形態1~5のいずれかに記載の組成物。
【0082】
7.エイコサペンタエン酸(EPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)等のオメガ3不飽和酸、好ましくはDHAを更に含む、実施形態1~6のいずれかに記載の組成物。
【0083】
8.前記組成物は、栄養組成物若しくは栄養補強組成物、医療用食料品、若しくは医薬組成物であるか、又は前記組成物は、栄養組成物若しくは栄養補強組成物、医療用食料品、若しくは医薬組成物中に含まれる、実施形態1~7のいずれかに記載の組成物。
【0084】
9.前記哺乳動物対象は、
(i)栄養不足の個体、又は食事から摂取する葉酸及び/又はコリンの量が不十分である個体、
(ii)太り過ぎの個体又は肥満の個体、
(iii)代謝ストレス、心理的ストレス、及び/又は環境的ストレスを受けている又はそこから回復中の個体、
(iv)老年の個体、
(v)治療的処置を受けている又はそこから回復中の患者、
(vi)慢性的な変性疾患又は炎症性疾患を患っている患者、及び/又は、
(vii)手術又は身体的外傷から回復中の個体、
であるヒト対象である、上記の実施形態1~8のいずれかに記載の組成物。
【0085】
10.前記ヒト対象は、筋変性疾患又は加齢関連のサルコペニア若しくは筋消耗、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)又は肝線維症等の肝臓疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、又はハンチントン病等の神経変性疾患又は神経疾患、クローン病又はIBD等の炎症性疾患、CVDから選択される疾患又は障害を患っている又はそこから回復中の個体である、実施形態1~9のいずれかに記載の組成物。
【0086】
11.前記哺乳動物対象は、妊娠中の女性又は小児である、実施形態1~8のいずれかに記載の組成物。
【0087】
12.前記哺乳動物対象は、健康なヒト個体である、実施形態1~8のいずれかに記載の組成物。
【0088】
13.前記哺乳動物は、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ウマ等の飼育哺乳動物、又はイヌ、ネコ、ウサギ等の愛玩哺乳動物である、実施形態1~8のいずれかに記載の組成物。
【0089】
14.前記組成物は、必要とする対象における、
代謝ストレスの治療又は予防において使用され、及び/又は、
異化作用の軽減及び/又は同化作用の刺激において使用され、
ここで、前記対象は、
食事中の栄養素の不足又は過剰によって影響を受けた、及び/又は、
負傷又は病気によりエネルギー消費の増加を伴う、
ヒト又は飼い慣らされた動物対象である、実施形態1~13のいずれかに記載の組成物。
【0090】
15.哺乳動物対象における、食事管理及び/又は、
哺乳動物対象における負傷、病気、及び/又は栄養バランスの偏りによる異化作用、及び/又はエネルギー消費の増加、及び/又は、
一炭素(1C)代謝の不均衡、損傷、又はそのレベルの低下に関連する病状又は症状の発症、及び/又は、
一炭素(1C)代謝の不均衡、損傷、又はそのレベルの低下に関連する症状又は病態の発生及び/又は再発、
のリスクの緩和の方法であって、実施形態1~8のいずれかに記載の組成物を前記哺乳動物対象に少なくとも1日1回投与することを含む、方法。
【0091】
16.前記哺乳動物対象は、実施形態9~12のいずれかに記載されるヒト個体、又は実施形態13に記載される哺乳動物である、実施形態15に記載の方法。
【0092】
17.前記組成物を、2日~7日以上等の数日の期間にわたって1回以上の用量で毎日投与する、実施形態1~16のいずれかに記載の方法。
【0093】
18.コハク酸ジコリン及びドコサヘキサエン酸(DHA)を含む栄養補助食品、食品、又は飲料品であって、コハク酸ジコリンの量は、およそ10mg~およそ5000mgであり、かつDHAの量は、およそ200mg~およそ1000mgである、栄養補助食品、食品、又は飲料品。
【0094】
19.ニコチンアミド又はニコチンアミド誘導体を更に含み、ここで、コリン:コハク酸:ニコチンアミド又はニコチンアミド誘導体のモル比は、およそ2:1:0.01~およそ2:1:10であり、かつ前記ニコチンアミド誘導体は、ニコチンアミドリボシドである、実施形態18に記載の栄養補助食品、食品、又は飲料品。
【0095】
20.ビタミンB12(コバラミン又はメチルコバラミン)、ビタミンB6(ピリドキシン)、及びビタミンB9(葉酸又はフォラシン)から選択される少なくとも1種のビタミンBを更に含む、実施形態18又は19に記載の栄養補助食品、食品、又は飲料品。
【0096】
21.前記栄養補助食品、食品、又は飲料品は、ヒト又は飼い慣らされた動物対象における一炭素代謝を支持、増強、及び回復し、かつ同化作用を刺激する、実施形態18~20のいずれかに記載の栄養補助食品、食品、又は飲料品。
【0097】
本発明を以下に記載される非限定的な実施例によって更に説明する。
【実施例】
【0098】
非限定的な実施例を以下に示して、本発明を例示する。実施例に記載された実施形態は本発明の範囲を決して限定するものではない。
【0099】
実施例1.本発明の栄養組成物の実施形態
飲料1. DISUを330mlの水中に溶解して飲料を得ることによって飲料を調製する。
【0100】
【0101】
飲料2. NAMとDISUとを以下に示される量で混合し、330mlの水中に溶解することによって飲料を調製する。
【0102】
【0103】
飲料3. NAMとDISUとを以下に示される量で混合し、330mlの水中に溶解することによって飲料を調製する。
【0104】
【0105】
飲料4. NAMとDISUとを以下に示される量で混合し、500mlの水中に溶解することによって飲料を調製する。
【0106】
【0107】
飲料5. NAMとDISUとを以下に示される量で混合し、330mlの水中に溶解することによって飲料を調製する。
【0108】
【0109】
飲料6. NAMとDISUとを以下に示される量で混合し、330mlの水中に溶解することによって飲料を調製する。
【0110】
【0111】
飲料7. NAMとDISUとを以下に示される量で混合し、330mlの水中に溶解して飲料を得ることによって飲料を調製する。
【0112】
【0113】
実施例2.分離されたミトコンドリアにおけるin vitroでのベタインの産生に対するDISUの効果の評価
雄のWistarラットからの肝臓を、テフロンガラスのポッター-エルベージェムホモジナイザーを使用して0.25Mのスクロース、0.02MのTris-HCl、0.001MのEDTA(pH7.2)を含む分離培地中でホモジナイズした。こうして調製したホモジネートを4℃にて600gで10分間遠心分離して、核及び細胞破片を沈殿させた。次いで、上清を沈殿物から分離し、4℃にて8500gで10分間遠心分離にかけて、ミトコンドリアを沈殿させた。分離したミトコンドリアを、35mMのTris-HCl(pH7.6)を含む培地中で、試験基質(塩化コリン又はDISU)とともに又はそれを含めずに37℃にて15分間インキュベートした後、インキュベーション培地中のベタイン(N,N,N-トリメチルグリシン)の濃度をLC-MS/MSを使用して決定した。
【0114】
結果 分離したミトコンドリアをコリンコハク酸塩2:1の存在下でインキュベートすると、塩化コリンの存在下でインキュベートした場合と比べてより高いベタイン収率がもたらされる。
【0115】
実施例3.成人ヒト被験者におけるコリン、ベタインの血漿濃度及び動態に対する3種の異なるコリン補給剤の摂取の影響
研究:12人の成人男性被験者に対する無作為化クロスオーバー研究
【0116】
被験者:30歳から60歳の間の12名の健康な成人男性被験者(3名にプラセボ、そして9名に試験補給剤(各補給剤群-3名の被験者))
【0117】
期間:コリン補給剤を1日経口投与し、続いて1週間ウォッシュアウトを行った後に、次の(異なる)コリン補給剤の投与を開始した。研究の合計期間は24日間である。
【0118】
除外基準:アルコール乱用、急性病、慢性疾患(糖尿病、メタボリックシンドローム、甲状腺疾患、膵臓不全のような)、コリン含有栄養補給剤の摂取、又は同意の欠如
【0119】
試験被験者は、NAM(1日当たり550mg)に従うコリンの適切な摂取量(AI)(葉酸、その他のビタミンB、及びコリンに対する食事基準摂取量及びそのパネルの評価(Evaluation of Dietary Reference Intakes and its Panel on Folate, Other B Vitamins, and Choline)(1998年)チアミン、リボフラビン、ナイアシン、ビタミンB6、葉酸、ビタミンB12、パントテン酸、ビオチン、及びコリンについての食事基準摂取量(Dietary Reference Intakes for Thiamin, Riboflavin, Niacin, Vitamin B6, Folate, Vitamin B12, Pantothenic Acid, Biotin, and Choline.) National Academies Press (US), Washington (DC). PMID: 23193625)を、
740mgの塩化コリン、
1336mgの重酒石酸コリン、
855mgのコハク酸ジコリン、
塩化コリン(CAS:67-48-1)、重酒石酸コリン(CAS:87-67-2)、コハク酸ジコリン(CAS:109438-15-5)、
を含む飲料の形態で飲むことになっていた。全てはGRAS(一般に安全と認められる(Generally Recognized As Safe))の地位を有する。
【0120】
被験者はそれぞれ3種の補給剤を無作為化された順序で1週間のウォッシュアウト期間を挟んで摂取した。物質(塩化コリン、重酒石酸コリン、コハク酸ジコリン)を330mlの飲料(50%(容量/容量)の水、並びにリンゴジュース、オレンジジュース、ニンジンジュース、及びショウガジュースの50%(容量/容量)のブレンド)中に溶解した。プラセボ群被験者は、補給剤を含まない同じ飲料を摂取することになっていた。飲料を一晩絶食した後の朝に摂取した。血液(2.7mlのEDTA)を、摂取前(-0.1時間)並びに摂取の0.5時間後、1時間後、1.5時間後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、及び6時間後に採取した。収集した血液を直ちに室温にて1000×gで10分間遠心分離した。血漿を分離し、分析まで-80℃で貯蔵した。血漿試料を確立された標準的手順に従って処理した(Bernhard W, Raith M, Kunze R, Koch V, Heni M, Maas C, Abele H, Poets CF, Franz AR (2015)著の「早産児の出生後血漿中のコリン濃度は、臍帯血漿中よりも低い(Choline concentrations are lower in postnatal plasma of preterm infants than in cord plasma.)」Eur J Nutr 54(5):733-741. https://doi.org/10.1007/s00394-014-0751-7、Bernhard W, Full A, Arand J, Maas C, Poets CF, Franz AR (2013)著の「早産児のコリン供給:食事摂取量の評価及び病態生理学的考察(Choline supply of preterm infants: assessment of dietary intake and pathophysiological considerations.)」Eur J Nutr 52(3):1269-1278. https://doi.org/10.1007/s00394-012-0438-x)。分析用の機器:TSQ Quantum Discovery MAXタンデム質量分析計、Finnigan Surveyor Autosampler Plus、及びFinnigan Surveyor MS Pump Plus(Thermo Fisher Scientific、ドイツ、ドライアイヒ)、そしてコリン、ベタインを、Polaris Si-A(商標)カラムにおいて40℃で分離し、成分を分析した。
【0121】
結果:3種の異なるコリン補給剤の投与後、0時間~6時間でのコリン血漿濃度についての曲線下面積(AUC)の間に差はなかった。ベタイン濃度のAUC(0時間~6時間)は、コハク酸ジコリンの場合に最高値を有し、塩化コリンの場合に最低値を有した(コハク酸ジコリン>重酒石酸コリン>塩化コリン)。
【0122】
結論:試験した全ての補給剤は、同様の動態でコリン及びベタインの血漿濃度を増加させたが、補給剤間には差が見られ、特にコハク酸ジコリンの補給では、コリンの吸収動態及びコリンからベタインへの変換動態の両方についてより良好な値がもたらされた。
【0123】
コリンよりも血漿ベタインにおいてより高い増加が観察されたことは、ベタインを介した一炭素プールの供給があらゆるコリン補給の重要な側面であり、コハク酸ジコリンによる補給が試験した他のコリン補給剤と比較してこの点でより有利であることを示唆している。
【0124】
実施例4.DISUを含む飲料で処置された高齢被験者における生体エネルギー論、一炭素代謝、及び筋機能の改善
研究:65歳以上90歳以下、18~32のBMIの66名の健康な高齢被験者(33名にプラセボを投与し、そして33名に飲料を投与する)を登録する無作為化二重盲検単施設プラセボ対照ヒト研究。DISU含有飲料(コリン補給剤)又はプラセボを4ヶ月間経口投与する。
【0125】
割り付け: 無作為化
介入モデル: 並行群間比較
遮蔽化: 三重(参加者、治験責任医師、転帰評価者)
実薬対照: コリン及びニコチンアミドの栄養補助食品(実施例1、飲料7)
試験飲料を毎日1用量摂取
プラセボ対照: 栄養補助食品:プラセボ飲料(賦形剤含有飲料)
プラセボ飲料を毎日1用量摂取
【0126】
組み入れ基準:65歳以上90歳以下のあらゆる性別の成人ヒトボランティア;550メートル未満の徒歩距離を6分で歩くことができる;1秒当たり1mM未満のATPmaxを有する(手のFDI筋肉において)
【0127】
除外基準:重大な疾患(複数の場合もある)又は病態(複数の場合もある)、主要なアテローム性動脈硬化症イベント(心筋梗塞、緊急の標的血管血行再建術、冠状動脈バイパス手術、及び脳卒中の複合発生として定義される)の場合の3ヶ月以内の入院、及び2ヶ月以内のあらゆる入院、心臓ペースメーカーを含むあらゆるインプラントの装着、慢性の制御不能な高血圧症(すなわち、150mm Hg超のベースラインSBP、90mm Hg超のDBP)、又はスクリーニング若しくはベースラインの時点で150mm Hg超のSBP若しくは95mm Hg超のDBP。最初のBP読み取り値がこれらの値を上回る場合、最初の読み取りから20分以内に読み取りを1回繰り返すことができる;身体検査における臨床的に重大な異常;臨床的に重大かつ慢性的な制御不能な腎障害、肝障害、肺障害、内分泌障害、神経障害、骨又は消化管系の機能不全;発作又は癲癇の既往歴;重篤な精神病の既往歴;アルコール乱用若しくは薬物乱用又は喫煙の疑い又は近況。
【0128】
主転帰尺度:
1. ベースラインと比較した研究介入終了時の6分間の歩行距離(6MWD)の変化(時間枠:4ヶ月)。
2. 手の骨格筋でのATPmax(最大ATP合成速度)におけるベースラインからの変化パーセント(磁気共鳴分光法による)(時間枠:2ヶ月、4ヶ月)。
3. コリン、ベタイン、ホモシステインの血漿中レベルの変化(時間枠:2週間、4週間)。
【0129】
副次転帰尺度:
1. 手の筋肉疲労試験中の収縮数におけるベースラインからの変化パーセント(時間枠:2ヶ月、4ヶ月)。
2. 脚の骨格筋でのATPmax(最大ATP合成速度)におけるベースラインからの変化パーセント(MRSによる)(時間枠:4ヶ月)。
3. 脚の筋肉疲労試験中の収縮数におけるベースラインからの変化パーセント(時間枠:4ヶ月)。
4. ベースラインと比較した研究介入終了時の簡易身体測定バッテリー(SPPB)スコアの変化(時間枠:4ヶ月)。
5. ベースラインと比較した運動耐性の変化(サイクルエルゴメトリーによる)(時間枠:4ヶ月)。
6. ベースラインと比較した研究介入終了時の握力の変化(時間枠:4ヶ月)。
7. ベースラインと比較した研究介入終了時の脚の筋肉強度(1-RM及び10-RM)の変化(時間枠:4ヶ月)。
8. ベースラインと比較した研究介入終了時の筋肉サイズ(筋肉の断面積)の変化(時間枠:4ヶ月)。
9. ベースラインと比較した研究介入終了時の筋肉生検試料でのミトコンドリア機能の変化(呼吸測定による)(時間枠:4ヶ月)。
10. 血漿脂質プロファイルにおけるベースラインからの変化(時間枠:4ヶ月)。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト対象又は飼い慣らされた動物等の哺乳動物における一炭素(1C)代謝を支持、増強、及び/又は回復するのに使用される、コリンとコハク酸とを約2:1のモル比で含む組成物。
【請求項2】
ニコチンアミド又はニコチンアミド誘導体を更に含み、ここで、コリン:コハク酸:ニコチンアミド/ニコチンアミド誘導体のモル比は、約2:1:0.01~約2:1:10であり、かつ前記ニコチンアミド誘導体は、好ましくはニコチンアミドリボシドである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
コリン及びコハク酸は、ジコリンコハク酸塩に由来する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
ニコチンアミド又はニコチンアミド誘導体の量は、およそ10mg~およそ4000mgである、請求項1
又は2に記載の組成物。
【請求項5】
ジコリンコハク酸塩の量は、およそ10mg~およそ5000mgである、請求項1
又は2に記載の組成物。
【請求項6】
ビタミンB12(コバラミン又はメチルコバラミン)、ビタミンB6(ピリドキシン)、及び/又はビタミンB9(葉酸又はフォラシン)から選択される少なくとも1種のビタミンBを更に含む、請求項1
又は2に記載の組成物。
【請求項7】
エイコサペンタエン酸(EPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)等のオメガ3不飽和酸、好ましくはDHAを更に含む、請求項1
又は2に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物は、栄養組成物若しくは栄養補強組成物、若しくは医療用食料品であるか、又は前記組成物は、栄養組成物若しくは栄養補強組成物、若しくは医療用食料品中に含まれる、請求項1
又は2に記載の組成物。
【請求項9】
前記哺乳動物対象は、
(i)食事から摂取する葉酸及び/又はコリンの量が不十分である個体等の栄養不足の個体、
(ii)太り過ぎの個体又は肥満の個体、
(iii)代謝ストレス、心理的ストレス、及び/又は環境的ストレスを受けている又はそこから回復中の個体、
(iv)老年の個体、
(v)治療的処置を受けている又はそこから回復中の患者、
(vi)慢性的な変性疾患又は炎症性疾患を患っている患者、及び/又は、
(vii)手術又は身体的外傷から回復中の個体、
であるヒト対象である、請求項1
又は2に記載の組成物。
【請求項10】
前記ヒト対象は、筋変性疾患又は加齢関連のサルコペニア若しくは筋消耗、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)又は肝線維症等の肝臓疾患、神経変性疾患又は神経疾患、クローン病又はIBD等の炎症性疾患、CVDから選択される疾患又は障害を患っている又はそこから回復中の個体である、請求項1
又は2に記載の組成物。
【請求項11】
前記哺乳動物対象は、妊娠中の女性又は小児である、請求項1
又は2に記載の組成物。
【請求項12】
前記哺乳動物対象は、健康なヒト個体である、請求項1
又は2に記載の組成物。
【請求項13】
前記哺乳動物は、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ウマ等の飼育哺乳動物、又はイヌ、ネコ、ウサギ等の愛玩哺乳動物である、請求項1
又は2に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物は、必要とする対象における、
代謝ストレスの治療用又は予防用であり、及び/又は、
異化作用の軽減用及び/又は同化作用の刺激用であり、
ここで、前記必要とする対象は、
食事中の栄養素の不足又は過剰によって影響を受けた、及び/又は、
負傷又は病気によりエネルギー消費の増加を伴う、
ヒト又は飼い慣らされた動物対象である、請求項1
又は2に記載の組成物。
【請求項15】
哺乳動物対象における、食事管理及び/又は、
負傷、病気、及び/又は栄養バランスの偏りによる代謝ストレス、異化作用、及び/又はエネルギー消費の増加、及び/又は、
一炭素(1C)代謝の不均衡、損傷、又はそのレベルの低下に関連する病状又は症状の発症、及び/又は、
一炭素(1C)代謝の不均衡、損傷、又はそのレベルの低下に関連する症状又は病態の発生及び/又は再発、
のリスクの緩和
用の、
コリンとコハク酸とを約2:1のモル比で含む組成物であって、
前記組成物を前記哺乳動物対象に少なくとも1日1回投与する
ように用いられる、
組成物。
【請求項16】
前記哺乳動物対象は、請求項9に記載されるヒト個体、又は請求項13に記載される哺乳動物である、請求項15に記載の
組成物。
【請求項17】
前記組成物を、2日~7日以上等の数日の期間にわたって1回以上の用量で毎日投与する
ように用いられる、請求項1
、2、15又は16に記載の
組成物。
【請求項18】
コハク酸ジコリン及びドコサヘキサエン酸(DHA)を含む栄養補助食品、食品、又は飲料品であって、コハク酸ジコリンの量は、およそ10mg~およそ5000mgであり、かつDHAの量は、およそ200mg~およそ1000mgである、栄養補助食品、食品、又は飲料品。
【請求項19】
ニコチンアミド又はニコチンアミド誘導体を更に含み、ここで、コリン:コハク酸:ニコチンアミド又はニコチンアミド誘導体のモル比は、およそ2:1:0.01~およそ2:1:10であり、かつ前記ニコチンアミド誘導体は、ニコチンアミドリボシドである、請求項18に記載の栄養補助食品、食品、又は飲料品。
【請求項20】
ビタミンB12(コバラミン又はメチルコバラミン)、ビタミンB6(ピリドキシン)、及びビタミンB9(葉酸又はフォラシン)からなる群から選択される少なくとも1種のビタミンBを更に含む、請求項18又は19に記載の栄養補助食品、食品、又は飲料品。
【請求項21】
前記栄養補助食品、食品、又は飲料品は、ヒト又は飼い慣らされた動物対象における一炭素代謝
の支持
用、増強
用、及び回復
用、かつ同化作用
の刺激
用である、請求項18
又は19に記載の栄養補助食品、食品、又は飲料品。
【国際調査報告】