(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】皮膚処置中のユーザガイダンスのための装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
A61N 5/06 20060101AFI20241001BHJP
A61N 5/067 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
A61N5/067
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024520715
(86)(22)【出願日】2022-10-06
(85)【翻訳文提出日】2024-04-04
(86)【国際出願番号】 EP2022077753
(87)【国際公開番号】W WO2023061833
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】アバーネシー サイモン ジョージ
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082PA01
4C082PA02
4C082PA03
4C082PC01
4C082PC10
4C082PE03
4C082PE10
4C082PG15
4C082PJ01
4C082RA01
4C082RE22
4C082RL13
4C082RL24
(57)【要約】
皮膚処置プロセス中にユーザを誘導する装置及びその方法が提供される。本装置は、処置適用器と、処置される皮膚領域のマップ、及びマップの境界上の基準位置を取得するよう構成されたマッピングユニットと、プロセッサとを有し、このプロセッサが、少なくとも処置適用器の領域に基づき、得られたマップの領域を複数の区画に分割し、基準位置での処置適用器の接触を登録し、基準位置に対する処置適用器の変位に基づき、ユーザインタフェースユニットを介して、マップ内の区画を通してユーザーを案内する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚処置プロセス中にユーザを案内する装置であって、
処置適用器が皮膚に接触するとき、皮膚処置がユーザの皮膚に適用される作業領域を持つ処置適用器と、
処置される皮膚領域のマップを得るマッピングユニットであって、前記マッピングユニットが、前記マップの境界上の基準位置を取得する、マッピングユニットと、
プロセッサとを有し、前記プロセッサが、
前記マップの領域を複数の区画に分割し、各区画は、前記皮膚領域が前記皮膚処置に均一にさらされるために必要な、処置される前記皮膚領域上の前記処置適用器の作業領域の複数の位置の個別の1つを表し、
前記マップの基準位置に対応する処置される前記皮膚領域内の位置に前記処置適用器の接触を登録し、
前記基準位置に対する前記処置適用器の測定される変位に基づき、ユーザインタフェースユニットを介して、前記マップ内の前記区画を通して前記ユーザを案内する、装置。
【請求項2】
前記マッピングユニットが、変位センサ及び/又は撮像ユニットを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記変位センサが、光学式センサ又は機械式センサである、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記マップに関する情報を記憶するメモリを更に有し、前記情報が、前記マップの領域、区画数、前記基準位置の少なくとも1つを有する、請求項1乃至3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記マッピングユニットが、手動トレース及び/又は撮像ユニットを介して前記マップを取得する、請求項1乃至4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
光源を更に有し、前記処置適用器が、光ベースの処置を前記皮膚領域に適用する、請求項1乃至5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記光源が、発光ダイオード、レーザー又はハロゲンフラッシュランプを有する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記プロセッサが更に、前記マップ及び前記処置適用器の少なくとも1つに基づき、処置パラメータを計算する、請求項1乃至7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記処置パラメータが、推定された処置の数、適用される処置の数、適用される処置の強度、以前に処置された区画の位置、少なくとも1つの未処置区画の位置、及び処置適用器の速度の少なくとも1つを有する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記プロセッサが、前記区画を通して前記ユーザを案内する間に、前記処置適用器と前記皮膚との間の接触が失われたことを決定し、
最後に処置した区画の位置を取得し、
前記ユーザインタフェースユニットを介して、次に処置されるべき区画の位置をユーザに示す、請求項1乃至9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記ユーザインタフェースユニットが、視覚インジケータを有する、請求項1乃至10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
処置適用器が皮膚に接触するとき、皮膚処置がユーザの皮膚に適用される作業領域を持つ処置適用器により皮膚処置中にユーザを案内するコンピュータ実現方法において、
処置される皮膚領域のマップを得るステップと、
前記マップの境界上の基準位置を取得するステップと、
前記マップの領域を複数の区画に分割するステップであって、各区画が、前記皮膚領域が前記皮膚処置に均一に曝されるために必要な、処置される前記皮膚領域上の前記処置適用器の前記作業領域の複数の位置の個別の1つを表す、ステップと、
前記基準位置に対応する処置される前記皮膚領域内の位置で、前記処置適用器の接触を登録するステップと、
前記基準位置に対する前記処置適用器の測定される変位に基づき、前記マップ内の前記区画を通して前記ユーザを案内するステップとを有する、方法。
【請求項13】
前記マップ及び前記処置適用器の少なくとも1つに基づき、処置パラメータを計算するステップを更に有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記皮膚処置が、光を用いた処置に基づかれる、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
コンピュータプログラムであって、コンピュータ可読コードを有し、該コンピュータ可読コードが、適切なコンピュータ又はプロセッサによる実行時に、前記プロセッサに請求項12乃至14のいずれかに記載の方法を実行させるよう構成される、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚処置プロセスに関し、特に、皮膚処置プロセスを通じてユーザを誘導するための制御方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、家庭での使用のためユーザが利用可能な皮膚処置装置が数多く存在する。ユーザはしばしば医療専門家からのガイダンスを受けない家庭において、これらの装置が安全に使用されることが重要である。皮膚処置装置は、光線療法又は光脱毛を伴う装置も含む。例えば赤外線放射のように、放射線がユーザに見えない場合、装置の医療的安全性は更に重要になる。
【0003】
US2015/032092A1は、開口部を介して光を放出するように動作可能な光エネルギー放出器を含むアプリケータを持つ皮膚処置のためのシステムを開示する。アプリケータは、開口部を介して皮膚の画像をキャプチャするように動作可能なカメラを更に備える。キャプチャされた画像はコンピュータにより解析され、キャプチャされた画像から抽出された情報は、撮像された皮膚内の少なくとも1つの皮膚分画の処置に最適な光エネルギー線量を決定するために採用される。光エネルギーは、皮膚の分画にのみ光パルスを適用することにより、フラクショナルな態様で皮膚に適用される。
【0004】
EP3842002A1は、光のパルスを皮膚に適用することにより脱毛するハンドヘルド装置を開示する。この装置は、ユーザの皮膚に対する装置の位置及び/又は動きを測定するセンサを有する。この装置は更に、センサにより測定された装置の位置に基づき、光のパルスが適用される皮膚の領域を推定するプロセッサを有する。プロセッサは、装置の現在の位置で光のパルスが適用される皮膚の現在の領域と、以前の光のパルスが適用された皮膚の以前の領域とを比較し、上記皮膚の上記現在の領域が上記皮膚の上記以前の領域に対応する場合にフィードバックを生成し、皮膚の同じ領域をユーザが2回以上処置することが防止される。この装置は、装置の現在の位置で光のパルスが適用される皮膚の現在の領域と、装置の複数の以前の位置で光のパルスが適用された皮膚の複数の以前の領域との視覚的なフィードバックを提供する。
【0005】
EP3685786A1は、対象の身体にパーソナルケア動作を行うハンドヘルド装置を開示する。この装置は、対象の身体に対する装置の位置及び/又は向きが決定されることを可能にする撮像ユニット及び変位センサを有する。撮像ユニットによりキャプチャされた身体の画像は、装置が身体に接触していないときの装置の位置及び/又は向きを決定するために使用される。変位センサは、装置が身体に接触しているとき、身体に沿った装置の変位を測定するために使用される。装置は更に、撮像ユニット及び変位センサにより決定された身体に対する装置の位置及び/又は向きに基づき、パーソナルケア動作を制御するよう構成されたコントローラを持つ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
医療的安全性を確保するための解決策のひとつは、処置される皮膚領域又は表面のオーバーラップを防止することである。斯かるオーバーラップは、皮膚を傷つけ、及び不均一に処置される皮膚領域をもたらす可能性がある。従って、本発明の目的は、皮膚への過剰な処置を避けることにより、装置のユーザが安全な態様で装置を操作するのを支援することである。
【0007】
図1aは、処置領域の特定の部分が複数回処置され、その結果皮膚の過剰処置が生じる従来技術を示す。
【0008】
本発明の更なる別の目的は、処置プロセス終了後に未処置領域を残さず、処置の均一な範囲を提供することである。これは、処置後の皮膚の見た目を改善するだけでなく、装置の改善されたユーザ経験を提供する。
【0009】
図1bは、皮膚のある部分が未処置のまま放置され、その結果、皮膚の不十分な処置をもたらす別の従来技術を示す。
【0010】
以下の多くの詳細は、強力パルス光(IPL)装置などの光ベースの皮膚処置装置に関するが、本発明は特定のタイプの皮膚処置に限定されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面によれば、皮膚処置プロセス中にユーザを誘導するための装置が提供される。上記装置が、処置適用器が皮膚に接触するとき、皮膚処置がユーザの皮膚に適用される作業領域を持つ処置適用器と、処置される皮膚領域のマップと、マップの境界上の基準位置とを取得するよう構成されたマッピングユニットと、プロセッサとを有し、プロセッサが、上記マップの領域を複数の区画に分割し、各区画は、上記皮膚領域が上記皮膚処置に均一にさらされるために必要な、処置される上記皮膚領域上の上記処置適用器の作業領域の複数の位置の個別の1つを表し、上記プロセッサは、上記マップの基準位置に対応する処置される上記皮膚領域内の位置に上記処置適用器の接触を登録し、基準位置に対する処置適用器の測定された変位に基づき、ユーザインタフェースユニットを介して、マップ内の区画を通してユーザを案内する。
【0012】
本発明の別の側面によれば、処置適用器が皮膚に接触するとき、皮膚処置がユーザの皮膚に適用される作業領域を持つ処置適用器により、皮膚処置プロセス中にユーザを誘導するためのコンピュータ実現方法が提供される。プロセスは、美容的又は医療的とすることができ、以下から明らかなように、本発明の利点/効果は、処置の種類とは無関係である。表裏一体の治療的効果は、本発明によれば予見されない。上記方法は、処置される皮膚領域のマップと、マップの境界上の基準位置とを取得するステップと、上記マップの領域を複数の区画に分割するステップであって、各区画が、上記皮膚領域が上記皮膚処置に均一に曝されるために必要な、処置される上記皮膚領域上の上記処置適用器の上記作業領域の複数の位置の個別の1つを表す、ステップと、マップの基準位置に対応する処置される皮膚領域内の位置に処置適用器の接触を登録するステップと、上記基準位置に対する上記処置適用器の測定された変位に基づき、上記マップ内の上記区画を通して上記ユーザを案内するステップとを有する。この方法は更に、以下に述べる本発明の装置により実行されるステップにより特徴付けられる。
【0013】
本発明の更に別の態様によれば、コンピュータプログラム製品が提供され、このコンピュータプログラム製品は、その中に具現化されたコンピュータ可読コードを持つコンピュータ可読媒体を有し、このコンピュータ可読コードは、適切なコンピュータ又はプロセッサによる実行時に、プロセッサに上述の方法を実行させるよう構成される。
【0014】
その結果、本発明は、皮膚への過度の、又は過少の処置を回避する、信頼性の高いユーザガイダンスソリューションを提供する。
【0015】
これら及び他の側面並びに更なる利点が、以下に記載される実施形態から明らかとなり、実施形態を参照して説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1a】従来技術の装置を用いた皮膚処置プロセスを示す図である。
【
図1b】従来技術の装置を用いた皮膚処置プロセスを示す図である。
【
図2】本発明の実施形態による装置のブロックダイアグラムを示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態による、提案される処置領域のマップを示す図である。
【
図4】本発明の実施形態による装置400を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態による装置200又は400の制御方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本書で例示される事項は、添付図を参照して開示される本発明の様々な例示的実施形態の包括的理解を助けるために提供される。
【0018】
従って、当業者であれば、請求される発明の範囲を逸脱することなく、本書に記載される例示的な図/実施形態の様々な変更及び修正が行われることができることを理解するであろう。特に、本発明の様々な側面又は実施形態の特定の特徴の組み合わせがなされうる。本発明の態様又は実施形態は、本発明の別の態様又は実施形態に関連して説明される特徴を追加することにより、更に有利に強化され得る。
【0019】
以下の説明及び特許請求の範囲で使用される用語及び単語は、辞書的な意味に限定されるものではなく、本開示の明確かつ一貫した理解を可能にするために使用されるにすぎない。
【0020】
更に、任意の特定の手段に関連する機能は、集中型であっても分散型であってもよく、ローカルであっても遠隔であってもよい。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に、又はその一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体に格納/配布されることができるが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介してなど、他の形態で配布されることもできる。
【0021】
用語「含む」及び「有する」並びにその派生語は、限定されることなく包含を意味する。更に、不定冠詞「a」又は「an」による要素への参照は、文脈が明らかに要素が1つだけ存在することを要求しない限り、その要素が2つ以上存在する可能性を排除するものではない。不定冠詞「a」又は「an」は通常、「少なくとも1つ」を意味する。例えば、処置区画は、1つ又は複数の処置区画への参照を含む。
【0022】
「A、B及びCの少なくとも1つ」という表現は、「A、B及び/又はC」を意味し、例えばBだけが存在すれば十分である。特許請求の範囲に記載される任意の参照符号は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0023】
本書で使用される、例えば、「処理」、「コンピューティング」、「計算」、「決定」、「確立」、「分析」、「チェック」などの用語は、非限定的な態様において、コンピュータ、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングシステム、又は他の電子コンピューティング装置の動作及び/又はプロセスを指すことができ、コンピュータ、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングシステム、又は他の電子コンピューティング装置は、コンピュータのレジスタ及び/又はメモリ内の物理(例えば電子)量として表現されるデータを、コンピュータのレジスタ及び/若しくはメモリ内の物理量、又は動作及び/若しくはプロセスを実行する命令を格納し得る他の情報非一過性記憶媒体(例えば、メモリ)内の物理量として類似的に表現される他のデータへと操作及び/又は変換する。本書で使用される「複数」及び「複数の」という用語は、例えば「複数」又は「2つ以上」を含むことができる。「複数」又は「複数の」という用語は、本書全体を通じて、2つ以上の部品、装置、要素、ユニット、パラメータなどを表すために使用されることができる。明示的に記載されない限り、本書に記載される方法の実施形態は、特定の順序又はシーケンスに拘束されない。更に、他の態様が特定されない限り、記載された方法の実施形態又はその要素のいくつかは、同時に、同じ時点で、又は一致して発生又は実行され得る。
【0024】
「ユーザ」という用語は、装置又は方法のユーザ、及び装置又は方法が使用される対象を指すために使用される。
【0025】
「皮膚領域」という用語は、最も外側の皮膚層の表面の領域を指すのに使用される。
【0026】
「区画」という用語は、ある総領域のうち、総領域から分割された部分を指すのに使用される。Nユニットの総領域は、n個の区画に分けられることができる。
【0027】
図2は、本発明の実施形態による装置200のブロック図を示す。
【0028】
装置200は典型的には、ハンドヘルド型であり、皮膚に処置を適用するのに使用されることができる処置適用器20を有する。一態様において、処置適用器20は、皮膚に接触又は近接する皮膚処置装置200の部分である。ある態様では、処置適用器20は、装置200の処置ウィンドウである。皮膚処置装置200が光ベースの場合、処置適用器20は、処置光が皮膚に透過されることを可能にする光学治療ウィンドウを含むアタッチメントの構成とすることができる。ある態様では、処置適用器20は、装置に取り外し可能に付けられることができる。処置ウィンドウは、処置適用器20が皮膚に接触するとき、皮膚処置がユーザの皮膚に適用される装置200の作業領域を構成する。
【0029】
装置200は、マッピングユニット21を更に備える。一実施形態では、マッピングユニット21は、提案される処置領域、即ち処置される皮膚領域をマッピングする。マッピングユニット21は、光学式変位センサ201又は機械式変位センサ202とすることができる変位センサを有する。
【0030】
光学変位センサ201は、提案される処置領域の少なくとも1つの画像を得るために使用されることができるカメラ(例えば、CCD、CMOS)を含む。ある態様では、カメラにより登録された画素数が、マップを生成するため、皮膚上の装置の位置情報に変換されることができる。
【0031】
機械式変位センサ202は、ローラを備えた機械式マウスセンサであってもよい。皮膚上におけるローラの回転は、マップを生成するため、皮膚上の装置の位置情報に変換されることができる。
【0032】
一態様において、マッピングユニット21は、撮像ユニットを使用して、例えばカメラを用いて、提案される処置領域を直接撮影/撮像することにより、処置される皮膚領域をマッピングすることができる。カメラは、提案される処置領域の画像を所望の撮像野でキャプチャすることができるように、装置200内の適切な位置に配置されることができる。次に、マッピングユニット21は、マッピングされた処置領域の境界上の任意の基準位置を決定することができる。ある態様では、カメラは外部カメラ、例えばスマートフォンのカメラであってもよく、都合のよい位置で装置に付けられることができる。この実現の詳細は、(欧州)PCT出願PCT/EP2021/059613に記載される。
【0033】
別の態様では、ユーザは、装置を保持しながら、提案される領域の境界をトレースすることにより、処置領域を手動でマッピングすることができる。その際、処置適用器は、処置ソースを無効にした状態で皮膚上を移動される。マッピングユニット21は、処置適用器20の皮膚上での開始位置(基準位置とみなすことができる)からの変位を感知し、開始位置からの変位を皮膚に対する装置の位置情報に変換する。マッピングユニット21は、皮膚上の装置の位置情報を蓄積することにより、提案される処置領域のマップを得る。提案される処置領域の斯かるマップは
図3に示されており、そこでは、境界301が、基準位置302から出発してユーザによりトレースされる。処置区画303が更に示される。メモリ22は、マップ、例えばその特性(サイズ、形状など)及び基準位置302を記憶し、マッピングユニット21はメモリからマップを検索又は取得する。メモリ22の追加的な機能は後述される。
【0034】
基準位置302は、処置の開始に関するユーザへの基準として機能する。更に、それは、皮膚処置プロセスを通じてユーザを誘導するべく、上述のように装置の変位及び皮膚における相対位置を計算するため、マッピングユニット21及び/又はプロセッサ23により使用される。
【0035】
ある態様では、ユーザインタフェースユニット24を介して基準位置302をユーザに示すことが可能である。LEDのような視覚インジケータが、斯かるインジケーションのために使用されることができる。別の態様では、境界301は、可視光(例えば500nm)を発するLEDを用いてユーザに視覚的に示されることができる。
【0036】
マッピングユニット21は、接触センサ又は近接センサのような追加的なセンサを含んでいてもよく、例えば、マッピングユニット21は、皮膚の色素沈着、皮膚のマーキング(即ち、タトゥー又はほくろのような人工的又は自然なもの)、ピアス、皮膚の色調及び水分レベルの少なくとも1つのような皮膚特性を決定するためのセンサを含んでいてもよい。
【0037】
マッピングユニット21は、メモリ22、プロセッサ23、ユーザインターフェース/フィードバックユニット24、及び装置200の他の回路(電源26など)と機能的にリンクされる。バス25は、
図2に示すように、装置200の要素を接続することができる。
【0038】
提案される処置領域がマッピングユニット21により得られると、プロセッサ23は、処置適用器20の作業領域(寸法)に基づき、複数の処置区画又はゾーンにその領域を分割する。特に、処置区画はそれぞれ、皮膚処置に対する提案される処置領域の均一な曝露に必要な、提案される処置領域(即ち、処置される皮膚領域)上の処置適用器20の作業領域の複数の位置の個別の1つを表す。これらの区画は、離散的又は連続的に分割されることができる。これらの区画を決定しうる他の要因は、処置されうよう現在提案される皮膚若しくは身体領域(脚、腕、胸など)の種類、及び/又はその領域に対する処置歴である。
【0039】
処置領域の事前マッピングは、装置が、処置ゾーン/区画を正確に規定することを可能にし、これらはすべて、処理プロセスが正常に完了したこと、特に、処置領域が処理プロセスに均一に曝露されたことをプロセッサ23が決定するために、処理される必要がある。完了すると、プロセッサ23はユーザインタフェースユニット24にフィードバック信号を送信し、次の位置への移動をユーザに促す。
【0040】
プロセッサ23は、マップの領域と処置適用器20の領域とに基づき、処置回数などの治療パラメータを計算することができる。それは、マップ上のある時間期間に装置200が移動した距離に基づき、治療速度を計算することもできる。
【0041】
プロセッサ23は更に、処置の強度及び/又は当該強度を受ける処置区画の位置を決定することができる。各処置位置Xと、位置Xを処置するのに使用される強度とを有する第1のセットが、メモリ22に格納され得る。前述したように、装置200は、皮膚の特性を測定するセンサを含んでいてもよい。異なる皮膚特性は、異なる処置設定を必要とする。各処置位置Xと、位置Xを治療するのに使用される強度と、決定された皮膚特性とを有する第2のセットが、皮膚特性に対する適切な強度設定を決定するために、メモリ22に記憶され得る。これらの相関は、限定的なものではなく、メモリ22は、より多くのセットを格納する、又は異なるセットからのデータを組み合わせることができる。処置パラメータ及び対応する皮膚位置のモニタリングは、皮膚を処置するユーザにより均一な処置設定が使用されることだけでなく、皮膚の個別のタイプに対して、適した強度設定が使用されることを確実にするのに役立つ。ある態様では、保存されたデータセットに基づき、プロセッサ23は、ある皮膚特性を持つ次の区画にどのような種類の処置設定が適用可能であるかを学習することができる。処置パラメータは、以下に限定されるものではないが、本発明の文脈では、推定される処置の数及び/又は推定される複数の処置を完了すると推定される時間、適用される処置の数、処理適用器20の速度、適用される処置の強度、適用される又は適用されるべき処置の位置(区画)を含む。それらは、皮膚又は身体領域に関する治療履歴を得るために使用されることができる。
【0042】
一態様では、プロセッサ23は、得られたマップ内の基準位置に対応する処置されるべき皮膚領域内の位置に装置200の処置適用器20が実質的に重なるよう配置することをユーザに促す信号をユーザインタフェースユニット24に送信する。プロセッサは、得られたマップ内の任意の基準点、マップの境界内の任意のユーザ接触点若しくは近接点、又は手動トレースの開始点を基準位置として登録することができる。正確な位置揃えのために、境界が、LEDインジケータを介してユーザに対して強調表示されることができる。基準位置に対する処置区画の位置が更に決定される。
【0043】
プロセッサ23は、基準位置における処置適用器20の接触又は近接を登録するとき、処置プロセスが開始されたことを決定する。それは、基準位置に対する装置200の相対的な変位を測定することにより、マップの処置区画又はゾーンを通してユーザをガイドする。
【0044】
基準位置及び/又は処置区画上における処置適用器20の向きが更に、マップにおける基準位置及び/又は処置区画と処置適用器20との実際の重なりの程度を比較することにより、マッピングユニット21により(例えば、変位センサを用いて)決定され得る。
【0045】
一態様において、マッピングユニット21は、基準位置からの皮膚上の処置適用器20の変位(及び従ってその位置)を計算する。変位は、マップにおいて処置適用器の接触又は近接を登録することにより計算される。プロセッサ23は、この情報を使用して、処置の範囲、即ち、処置区画の数及び位置を決定する。メモリ22に格納されたマップの特性に基づき、プロセッサ23は、マップを埋めるために処置されるべき区画の残りの数及び位置を決定することができる。プロセッサ23は更に、処置の強度などの処置パラメータに関するメモリ22に記憶された情報を使用して、提案される区画がすでに処置を受けているかどうかを決定する。例えば、プロセッサ23は、処置適用器20が現在位置する特定の処置区画についてメモリ22に強度が記憶されるかどうかを決定する。プロセッサ23は更に、実際の処置回数と推定処置回数とを比較することができる。推定処置回数は、面積、装置200の動作速度などのマップ特性から得られる。
【0046】
メモリ22は、提案される処置領域のマップと、その境界、基準位置、推定区画数、以前に処置された区画(位置)、マップを埋めるのに必要な処置回数などの関連情報とを記憶する。光ベースの処置装置の場合、処置回数は皮膚に向けて照射される光フラッシュの回数である。
【0047】
ユーザが提案される処置領域から逸脱する場合、例えば、プロセッサ23が、処置適用器20と皮膚との間の接触又は近接が、処置回数を完了するのに推定される時間中の任意の瞬間に失われたと決定する場合、それは、所望の治療コースが変更されたことを決定する。プロセッサ23は、処置状況の変化に関するフィードバックをユーザに提供するため、ユーザインタフェースユニット24にフィードバック信号を送信する。
【0048】
一態様では、ユーザは、ユーザインタフェースユニット24を介して、処置適用器20を基準位置に配置するように促される。基準位置に対する最後に登録された変位が、プロセッサ23により、最後に処置された区画として取得される。別の態様では、プロセッサ23は、メモリ22に記憶された基準位置を取得し、次の処置区画の位置へとユーザに直接促す。
【0049】
プロセッサ23は、本書で説明する様々な機能を実行するために、ソフトウェア及び/又はハードウェアを用いて、様々な態様で実現されることができる。プロセッサ23は、必要な機能を実行するように、及び/又は必要な機能を実現するためプロセッサ23の要素を制御するように、ソフトウェア又はコンピュータプログラムコードを使用してプログラムされることができる1つ又は複数のマイクロプロセッサ又はデジタル信号プロセッサ(DSP)を有することができる。プロセッサ23は、いくつかの機能(例えば、増幅器、前置増幅器、アナログ-デジタル変換器(ADC)及び/又はデジタル-アナログ変換器(DAC))を実行するための専用ハードウェアと、他の機能を実行するためのプロセッサ(例えば、1つ又は複数のプログラムされたマイクロプロセッサ、コントローラ、DSP及び関連回路)との組み合わせとして実現されることができる。本開示の様々な実施形態において採用され得る要素の例は、以下に限定されるものではないが、従来のマイクロプロセッサ、DSP、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ニューラルネットワークを実現するためのハードウェア、及び/又はいわゆる人工知能(Al)ハードウェアアクセラレータ(即ち、メインプロセッサと並行して使用され得る、Alアプリケーション用に特別に設計されたプロセッサ又は他のハードウェア)を含む。
【0050】
メモリ22は、装置200の動作を制御する際、及び/又は本書に記載の方法を実現若しくは実行する際にプロセッサ23が使用するデータ、情報及び/又は信号(画像を含む)を記憶することができる。一部の実現では、メモリは、プロセッサ23が本書に記載される方法を含む1つ又は複数の機能を実行するように、プロセッサ23により実行可能なコンピュータ可読コードを格納する。特定の実施形態では、プログラムコードは、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、コンピュータ又はサーバ用のアプリケーションの形態とすることができる。メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、スタティックRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、リードオンリメモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)及び電気的消去可能PROM(EEPROM)などの揮発性及び不揮発性のコンピュータメモリを含むキャッシュ又はシステムメモリといった任意のタイプの非一過性の機械可読媒体を有することができる。メモリユニットは、メモリチップ、光ディスク(コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)又はBlu-Rayディスクなど)、ハードディスク、テープストレージソリューション、又はメモリスティック、ソリッドステートドライブ(SSD)、メモリカードなどを含むソリッドステート装置の形態で実現されることができる。
【0051】
ユーザインタフェースユニット24は、任意の1つ又は複数のサーバ、データベース、ユーザ装置及びセンサを含む他の装置へのデータ接続及び/又は他の装置とのデータ交換を可能にするトランシーバを含んでいてもよい。それは、WiFi、Bluetooth、Zigbee、又は任意のセルラー通信プロトコル(Global System for Mobile Communications(GSM)、Universal Mobile Telecommunications System(UMTS)、Long Term Evolution(LTE)、LTE-Advancedなどを含むが、これらに限定されない)を使用して動作することができる。それは更に、任意の適切な入力要素を制御する回路を有することができ、入力要素は、以下に限定されるものではないが、キーボード、キーパッド、1つ若しくは複数のボタン、スイッチ、ダイヤル、マウス、トラックパッド、タッチスクリーン、スタイラス、カメラ、又はマイクなどを含む。ユーザインターフェースは、任意の適切な出力要素を有することができ、出力要素は、以下に限定されるものではないが、ディスプレイユニット若しくはディスプレイスクリーン、1つ若しくは複数のライト若しくはライト要素、1つ若しくは複数のスピーカ、振動要素などを含む。
【0052】
装置200は、電源26を含む。装置200が自己完結型の装置である場合、電源26は、充電可能又は交換可能な電池を含むことができる。電源装置26は更に、主電源、変圧器、変換器、発電機、充電ユニット、又は他の外部電源装置など、外部電源装置への接続を含むことができる。電源26は、マッピングユニット21、処置適用器20、メモリ22、プロセッサ23、ユーザインタフェースユニット24、又は装置200の他の要素の動作のために電力を提供することができる。
【0053】
装置200が、実行される処置の種類に必要な要素などの追加的な要素を含み得ることは、当業者に既知である。
【0054】
図4は、本発明の一実施形態による光ベースの(例えばIPL)皮膚処置装置である装置400を示す。
【0055】
装置は、少なくともハンドル部42とヘッド部43とを含むハウジング41を有する。ハンドル部42は、便利な態様でユーザが装置400を保持することを可能にする形状にされる。ヘッド部43は、個別の位置で処置が実行されるよう皮膚に接触又は近接して配置される処置適用器44を含む。
【0056】
処置は、光パルス(フラッシュ)を用いて実行されることができる。処置適用器44は、ハウジング41内又はハウジング41上に配置される光学ウィンドウを有し、その結果、ウィンドウは、ユーザの皮膚に隣接して又は皮膚上に配置されることができる。
【0057】
装置400は更に、例えばヘッド部43の内部に1つ又は複数の光源(図示省略)を含み、これは、ウィンドウ45を介して対象の皮膚に適用される光パルスを生成し、処置動作を実行するよう構成される。1つ又は複数の光源はハウジング41内に配置され、その結果、光パルスが処置適用器44のウィンドウを通して1つ又は複数の光源から提供される。このウィンドウは、処置適用器の作業領域を構成し、この領域を介してユーザの皮膚に皮膚処置が適用される。
【0058】
1つ又は複数の光源は、任意の適切な若しくは所望の波長(若しくは波長の範囲)及び/又は強度の光パルスを生成することができる。例えば、光源は可視光、赤外線(IR)及び/又は紫外線(UV)を生成することができる。各光源は、1つ又は複数の発光ダイオード(LED)、ハロゲン(キセノン)フラッシュランプ、1つ又は複数のレーザーなど、任意の適切なタイプの光源を有することができる。光源は、530-1200nmの波長範囲のスペクトル成分を持つ光パルスを提供することができる。
【0059】
装置400は更に、
図2の一般的な実施形態と同様に機能するマッピングユニット21、プロセッサ23、ユーザインタフェースユニット24及びメモリ22を含む。
【0060】
ユーザインタフェースユニット24は、装置400を作動させるユーザにより操作されることができ、その結果、マッピング及び必要な処置動作が対象の身体において行われる。
図4は、ハンドル部42に位置するユーザインタフェースユニット24を示すが、それは、装置400の任意の適切な位置に配置されることができる。
【0061】
図5は、皮膚処置プロセスを通じてユーザを誘導するため、上記のいずれかの実施形態による装置200又は400を制御するコンピュータ実現方法を示す。ある態様では、皮膚処置プロセスは光ベースである。
【0062】
ステップ501は、装置200又は400を初期化するステップを有し、その結果、装置が皮膚処置動作の準備を整える。
【0063】
ステップ502において、本方法は、処置される皮膚領域のマップを得るステップを含む。マップは、マッピングユニット21を用いて、上述の少なくとも一つの態様で得られる。例えば、カメラを有する撮像ユニットを用いて、提案される処置領域を撮影/撮像することにより、マップが得られる。代替的又は追加的に、ユーザのトレースに基づき、変位センサの動作を利用してマップが取得される。この方法は更に、マップの境界上の基準位置を決定するステップを含む。
【0064】
好ましいステップ502において、マップ、及びサイズ、形状、基準位置といったその特性が、処置プロセス中に使用するため、及び/又は、プロセッサ23の機械学習実施形態の場合学習データとしてその後使用するために、メモリに格納される。
【0065】
ステップ503において、マップの領域は、ユーザにより処置が行われる処置適用器の作業領域、特にその寸法に基づき、処置区画に分割される。処置適用器が皮膚に接触するとき、処置が上記作業領域を介してユーザの皮膚に適用される。特に、処置区画はそれぞれ、皮膚領域が処置に均一に曝されるために必要とされる、処置される皮膚領域上の処置適用器の作業領域の複数の位置の個別の1つを表す。
【0066】
好ましいステップ504において、本方法は、マップ及び/又は処置適用器に基づき処置パラメータを計算するステップを含む。処置の強さが更に、メモリに記録されることができる。
【0067】
ステップ505において、本方法は、基準位置に対応する処置される皮膚領域内の位置における処置適用器の接触を登録するステップを有する。これは、マップの境界内にある皮膚の処置開始をマークする。
【0068】
ステップ506において、本方法は、マップ内の全ての区画が処置されたと決定されるまで、基準位置に対する処置適用器の測定された変位に基づき、マップ内の区画を通してユーザを案内する。
【0069】
上述した装置200又は400により実行されるすべてのステップは、本発明による方法の一部である。
【0070】
本発明の更に別の態様によれば、コンピュータプログラム製品が提供され、このコンピュータプログラム製品は、その中に具現化されたコンピュータ可読コードを持つコンピュータ可読媒体を有し、このコンピュータ可読コードは、適切なコンピュータ又はプロセッサによる実行時に、プロセッサに上述の方法を実行させるよう構成される。
【0071】
上記の実施形態の一部として挙げた任意の特徴を、機能的及び構造的に互いに互換性がある限り、別の実施形態の特徴と組み合わせることは可能である。本開示は、上述の例示的な実施形態を用いて説明されてきたが、当業者には様々な変更及び修正が示唆され得る。本開示は、斯かる変更及び修正を特許請求の範囲に含むものとして包含することが意図される。
【国際調査報告】