IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イノボ テラピュティクス インクの特許一覧

特表2024-536895新規なベンゾフラニルヒドロキシフェニルメタノン誘導体化合物またはその薬学的に許容可能な塩
<>
  • 特表-新規なベンゾフラニルヒドロキシフェニルメタノン誘導体化合物またはその薬学的に許容可能な塩 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】新規なベンゾフラニルヒドロキシフェニルメタノン誘導体化合物またはその薬学的に許容可能な塩
(51)【国際特許分類】
   C07D 307/80 20060101AFI20241001BHJP
   A61K 31/34 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
C07D307/80 CSP
A61K31/34
A61P1/00
A61P1/16
A61P11/00
A61P13/12
A61P43/00 111
A61P43/00 105
A61P35/00
A61P29/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520722
(86)(22)【出願日】2022-10-07
(85)【翻訳文提出日】2024-04-04
(86)【国際出願番号】 KR2022015097
(87)【国際公開番号】W WO2023059121
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】10-2021-0132806
(32)【優先日】2021-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Witepsol
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】522117820
【氏名又は名称】イノボ テラピュティクス インク
【氏名又は名称原語表記】INNOVO THERAPEUTICS INC.
【住所又は居所原語表記】507,38,Mapo-daero,Mapo-gu,Seoul 04174,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】イム,ドン チョル
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジョン ギュ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,セ ヒョン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BA06
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZB11
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明の特定の化学構造のベンゾフラニルヒドロキシフェニルメタノン誘導体化合物、その薬学的に許容可能な塩を含むHSP47抑制用の薬学組成物及びその製造方法を提供する。
本発明によるHSP47抑制用の薬学組成物に含まれるベンゾフラニルヒドロキシフェニルメタノン誘導体化合物は、医薬及び薬学分野で線維症、炎症性疾患及び癌の予防または治療などのHSP47抑制用途として有用に使用可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式Iで表されるベンゾフラニルヒドロキシフェニルメタノン誘導体化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【化1】

前記式において、
及びRがハロゲンであり、
が水素またはC-Cアルキルであり、
、R及びRが独立的に、水素、C-Cアルキルまたはハロゲンであり、
が水素C-Cアルキル、ハロゲンまたはC-Cハロアルキルである。
【請求項2】
前記R及びRが、ブロモまたはヨードであることを特徴とする、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項3】
前記Rが、水素、メチル及びエチルからなる群より選択された置換基であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項4】
前記Rが、水素、メチル、フルオロ及びクロロからなる群より選択された置換基であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項5】
前記Rが、水素、メチル、エチル及びブロモからなる群より選択された置換基であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項6】
前記Rが、水素、メチル、エチル、トリフルオロメチル、クロロ及びブロモからなる群より選択された置換基であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項7】
前記Rが、水素、メチル、エチル、フルオロ、クロロ及びブロモからなる群より選択された置換基であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項8】
前記化学式Iで表されるベンゾフラニルヒドロキシフェニルメタノン誘導体化合物が、
(4-クロロ-2-エチルベンゾフラン-3-イル)(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メタノン、
(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-エチル-5-メチルベンゾフラン-3-イル)メタノン、
(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2,6-ジエチルベンゾフラン-3-イル)メタノン、
(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-エチル-7-メチルベンゾフラン-3-イル)メタノン、
(7-クロロ-2-エチルベンゾフラン-3-イル)(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メタノン、
(7-ブロモ-2-エチルベンゾフラン-3-イル)(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メタノン、
(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-エチル-7-フルオロベンゾフラン-3-イル)メタノン、
(2-エチル-5-メチルベンゾフラン-3-イル)(4-ヒドロキシ-3,5-ジヨードフェニル)メタノン、
(5-ブロモ-2-エチルベンゾフラン-3-イル)(4-ヒドロキシ-3,5-ジヨードフェニル)メタノン、
(2-エチル-6-メチルベンゾフラン-3-イル)(4-ヒドロキシ-3,5-ジヨードフェニル)メタノン、
(6-ブロモ-2-エチルベンゾフラン-3-イル)(4-ヒドロキシ-3,5-ジヨードフェニル)メタノン、
(6-クロロ-2-エチルベンゾフラン-3-イル)(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メタノン、
(2-エチル-7-メチルベンゾフラン-3-イル)(4-ヒドロキシ-3,5-ジヨードフェニル)メタノン、
(7-クロロ-2-エチルベンゾフラン-3-イル)(4-ヒドロキシ-3,5-ジヨードフェニル)メタノン、
(7-ブロモ-2-エチルベンゾフラン-3-イル)(4-ヒドロキシ-3,5-ジヨードフェニル)メタノン、
ベンゾフラン-3-イル(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メタノン、
(6-ブロモ-2-メチルベンゾフラン-3-イル)(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メタノン、
(5-ブロモ-2-メチルベンゾフラン-3-イル)(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メタノン、
(6-クロロ-2-メチルベンゾフラン-3-イル)(4-ヒドロキシ-3,5-ジヨードフェニル)メタノン、
(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2,5-ジエチルベンゾフラン-3-イル)メタノン、
(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2,7-ジエチルベンゾフラン-3-イル)メタノン、
(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-エチル-6-(トリフルオロメチル)ベンゾフラン-3-イル)メタノン、
(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-エチル-4-メチルベンゾフラン-3-イル)メタノン、
(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-エチル-4-フルオロベンゾフラン-3-イル)メタノンからなる群より選択されるいずれか一つの化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のベンゾフラニルヒドロキシフェニルメタノン誘導体化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む、HSP47抑制用の薬学組成物。
【請求項10】
前記HSP47抑制用が、線維症の予防または治療用であることを特徴とする、請求項9に記載のHSP47抑制用の薬学組成物。
【請求項11】
前記線維症が、肝硬化、肺線維化、ケロイド、肥厚性瘢痕及び腎臓線維化(糸球体硬化)からなる群より選択された一つ以上であることを特徴とする、請求項10に記載のHSP47抑制用の薬学組成物。
【請求項12】
前記HSP47抑制用が、癌の予防または治療用であることを特徴とする、請求項9に記載のHSP47抑制用の薬学組成物。
【請求項13】
前記癌が、乳がん、大腸がん及び癌関連の線維症からなる群より選択された一つ以上であることを特徴とする、請求項12に記載のHSP47抑制用の薬学組成物。
【請求項14】
前記HSP47抑制用が、炎症性疾患の予防または治療用であることを特徴とする、請求項9に記載のHSP47抑制用の薬学組成物。
【請求項15】
前記炎症性疾患が、肝がん、前立腺がん、黒色腫、卵巣がん、神経炎症性疾患、動脈硬化症、臓器移植、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、ぜんそく、結膜炎、歯周炎、鼻炎、中耳炎、咽喉頭炎、へんとう炎、肺炎、胃潰瘍、膵炎、胃炎、乾癬、腎症、重症筋無力症、クローン病、炎症性腸疾患、大腸炎、痛風、強直性脊椎炎、ループス、線維筋痛、リウマチ性関節炎、骨関節炎、骨粗しょう症、肝炎、膀胱炎、腎炎、シェーグレン症候群及び多発性硬化症からなる群より選択された一つ以上であることを特徴とする、請求項14に記載のHSP47抑制用の薬学組成物。
【請求項16】
下記化学式I-1の化合物から求核置換反応によって下記化学式I-2の化合物を製造する段階と、
前記得られた化学式I-2の化合物を還元させて下記化学式I-3の化合物を製造する段階と、
前記得られた化学式I-3の化合物を4-アニソイルクロリドと反応させて下記化学式I-4の化合物を製造する段階と、
前記得られた化学式I-4の化合物のメトキシのメチルを除去してヒドロキシ置換基を有する下記化学式I-5の化合物を製造する段階と、
前記得られた化学式I-5の化合物から下記化学式Iの化合物を得る段階と、を含む、下記化学式Iで表されるベンゾフラニルヒドロキシフェニルメタノン誘導体化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の製造方法。
【化2】

前記化学式I、化学式I-1、化学式I-2、化学式I-3、化学式I-4及び化学式I-5において、R、R、R、R、R、R及びRは、請求項1で定義したことと同一である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なベンゾフラニルヒドロキシフェニルメタノン誘導体化合物に関し、より詳しくは、ベンゾフラニルヒドロキシフェニルメタノン誘導体を含むHSP47抑制用の薬学組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
HSP47(Heat shock protein 47)タンパク質は、ストレスによって誘発される小胞体に存在するタンパク質であって、コラーゲンの3次元構造の形成と細胞外分泌のためのシャペロンタンパク質として作用する。HSP47は、肝硬化、肺線維化、ケロイド(keloid)、肥厚性瘢痕(hypertrophic scar)及び糸球体硬化のように多様な組織の線維症で発現が増加すると報告された。文献によれば、HSP47タンパク質を阻害すれば、コラーゲン分泌を起こす細胞におけるコラーゲン分泌が抑制されることが報告された。また、HSP47タンパク質の抑制は、コラーゲンを生成する細胞の細胞死滅を誘導すると報告された(Ito S et.al.、2017)。このような結果からHSP47タンパク質の阻害が線維化阻害治療において効果的かつ特異的な治療ターゲットであることが分かる。
【0003】
線維化または線維症(fibrosis)は、多様な組織の構造及び機能を変化させる損傷または炎症によるコラーゲンの異常蓄積を意味する。線維症の発生位置にかかわらず、線維症の多くの病因学は、正常組織を代替するコラーゲンの過度な蓄積を含む。肝、肺または皮膚における進行性線維化は、現在まで特異的治療剤が存在しない、満たされていない医療ニーズの疾患である。
【0004】
HSP47の機能は、コラーゲン生成のみに限らず、癌細胞である膀胱がん細胞において炎症性メディエータータンパク質の一つであるMCP-1(Monocyte chemoattractant protein-1)の発現を促進して炎症と新生血管を促進することが報告された(Ma Wenlong et.al.、2021)。
【0005】
また、HSP47は、癌細胞においても発現することが報告されており、HSP47の発現量の増加は、コラーゲンの発現有無とかかわらず多くの癌細胞の転移を容易にして、死亡率を高めるということが報告された。なお、遺伝学的な方法でHSP47の発現を抑制したとき、癌の進行を抑制するということも報告されている(Parveen A et.al.、2020)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ヨーロッパ特許公開 EP2165705A1(2010.03.24)
【特許文献2】中国特許登録CN102718735B(2014.04.23)
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Benzofurans.XXXI.Relation of structure to uricosuric activity of certain p-hydroxybenzoylbenzofurans in the human By:Delbarre、Florian;Deltour、Guy;Rose、Alain;Olivier、J. L.;、Binon、Fernand Chimica Therapeutica(1968)、3(6)、470-4|Language:French、Database:CAplus.
【非特許文献2】Ito S et al.、A small-molecule compound inhibits a collagen-specific molecular chaperone and could represent a potential remedy for fibrosis.(2017)JBC.
【非特許文献3】Thomson CA et al.、Identification of Small Molecule Chemical Inhibitors of the Collagen-Specific Chaperone Hsp47.(2005)J.Med.Chem.
【非特許文献4】Ma Wenlong et.al.、HSP47 contributes to angiogenesis by induction of CCL2 in bladder cancer Cell Signal. 2021 85:110044
【非特許文献5】Parveen A et al.、Mutational hotspots of HSP47 and its potential role in cancer and bone-disorders. Genomics.2020 Jan;112(1):552-566
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、HSP47とコラーゲンの過度な蓄積とは密接な関係があることを認識し、HSP47タンパク質を抑制することで線維症及び癌などのような疾患に対する治療効能を有するHSP47阻害物質を提供することである。
【0009】
また、本発明が解決しようとする課題は、前記ベンゾフラニルヒドロキシフェニルメタノン誘導体化合物を有効成分として含むHSP47関連疾患の予防または治療用の薬学組成物を提供することである。
【0010】
また、本発明が解決しようとする課題は、前記ベンゾフラニルヒドロキシフェニルメタノン誘導体化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を用いたHSP47関連疾患の予防または治療方法を提供することである。
【0011】
また、本発明が解決しようとする課題は、前記ベンゾフラニルヒドロキシフェニルメタノン誘導体化合物、またはその薬学的に許容可能な塩のHSP47関連疾患の予防または治療用途を提供することである。
【0012】
また、本発明が解決しようとする課題は、前記ベンゾフラニルヒドロキシフェニルメタノン誘導体化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の製造方法を提供することである。
【0013】
一方、本発明が解決しようとする課題は、前述した課題に制限されず、言及していないさらに他の技術的課題は、下記の記載から本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者にとって明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明の一面によれば、下記化学式Iで表されるベンゾフラニルヒドロキシフェニルメタノン誘導体化合物、またはその薬学的に許容可能な塩が提供される。
【0015】
【化1】
【0016】
前記式において、
及びRはハロゲンであり、
は水素またはC-Cアルキルであり、
、R及びRが独立的に、水素、C-Cアルキルまたはハロゲンであり、
は、水素C-Cアルキル、ハロゲンまたはC-Cハロアルキルである。
【0017】
本発明の他面によれば、前記化学式Iで表されるベンゾフラニルヒドロキシフェニルメタノン誘導体化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含むHSP47関連疾患の予防または治療用の薬学組成物が提供される。
【0018】
本発明のさらに他面によれば、前記化学式Iで表されるベンゾフラニルヒドロキシフェニルメタノン誘導体化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を用いたHSP47関連疾患の予防または治療方法が提供される。
【0019】
本発明のさらに他面によれば、前記化学式Iで表されるベンゾフラニルヒドロキシフェニルメタノン誘導体化合物、またはその薬学的に許容可能な塩のHSP47関連疾患の予防または治療用途が提供される。
【0020】
本発明のさらに他面によれば、下記化学式I-1の化合物から求核置換反応によって下記化学式I-2の化合物を製造する段階と、前記得られた化学式I-2の化合物を還元させて下記化学式I-3の化合物を製造する段階と、前記得られた化学式I-3の化合物を4-アニソイルクロリドと反応させて下記化学式I-4の化合物を製造する段階と、前記得られた化学式I-4の化合物のメトキシのメチルを除去してヒドロキシ置換基を有する下記化学式I-5の化合物を製造する段階と、前記得られた化学式I-5の化合物から下記化学式Iの化合物を得る段階と、を含む、下記化学式Iで表されるベンゾフラニルヒドロキシフェニルメタノン誘導体化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の製造方法が提供される。
【0021】
【化2】
【0022】
前記化学式I、化学式I-1、化学式I-2、化学式I-3、化学式I-4及び化学式I-5において、R、R、R、R、R、R及びRは、前述した定義と同一である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、化学式Iで表されるベンゾフラニルヒドロキシフェニルメタノン誘導体化合物が、肝、肺、腎臓及び皮膚組織などでコラーゲンの蓄積を抑制し、病症状態でコラーゲンを過多に生成する細胞を死滅するなどのHSP47抑制効果を示すことで、線維症及び癌の予防または治療などにおけるHSP47抑制用途として使用可能であることが明かになった。
【0024】
したがって、本発明のベンゾフラニルヒドロキシフェニルメタノン誘導体化合物は、医薬及び薬学分野において線維症及び癌の予防または治療などのHSP47抑制用途として有用に使用可能である。
【0025】
本発明の効果は上述した効果に制限されず、本発明の詳細な説明または特許請求範囲に記載の発明の構成から推測可能な全ての効果を含むことに理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】試験物質(化合物9)のKEL FIB皮膚線維芽細胞の線維化抑制結果である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、下記化学式Iで表されるベンゾフラニルヒドロキシフェニルメタノン誘導体化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0028】
【化3】
【0029】
前記式において、
及びRはハロゲンであり、
は水素またはC-Cアルキルであり、
、R及びRが独立的に、水素、C-Cアルキルまたはハロゲンであり、
は、水素C-Cアルキル、ハロゲンまたはC-Cハロアルキルである。
【0030】
一具現例において、前記R及びRは、ブロモまたはヨードであり得る。
【0031】
一具現例において、前記Rは、水素、メチル及びエチルからなる群より選択された置換基であり得る。
【0032】
一具現例において、前記Rは、水素、メチル、フルオロ及びクロロからなる群より選択された置換基であり得る。
【0033】
一具現例において、前記Rは、水素、メチル、エチル及びブロモからなる群より選択された置換基であり得る。
【0034】
一具現例において、前記Rは、水素、メチル、エチル、トリフルオロメチル、クロロ及びブロモからなる群より選択された置換基であり得る。
【0035】
一具現例において、前記Rは、水素、メチル、エチル、フルオロ、クロロ及びブロモからなる群より選択された置換基であり得る。
【0036】
本発明において、前記化学式Iで表されるベンゾフラニルヒドロキシフェニルメタノン誘導体化合物の望ましい例として、具体的な例は以下のとおりである。
【0037】
(4-クロロ-2-エチルベンゾフラン-3-イル)(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メタノン、
(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-エチル-5-メチルベンゾフラン-3-イル)メタノン、
(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2,6-ジエチルベンゾフラン-3-イル)メタノン、
(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-エチル-7-メチルベンゾフラン-3-イル)メタノン、
(7-クロロ-2-エチルベンゾフラン-3-イル)(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メタノン、
(7-ブロモ-2-エチルベンゾフラン-3-イル)(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メタノン、
(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-エチル-7-フルオロベンゾフラン-3-イル)メタノン、
(2-エチル-5-メチルベンゾフラン-3-イル)(4-ヒドロキシ-3,5-ジヨードフェニル)メタノン、
(5-ブロモ-2-エチルベンゾフラン-3-イル)(4-ヒドロキシ-3,5-ジヨードフェニル)メタノン、
(2-エチル-6-メチルベンゾフラン-3-イル)(4-ヒドロキシ-3,5-ジヨードフェニル)メタノン、
(6-ブロモ-2-エチルベンゾフラン-3-イル)(4-ヒドロキシ-3,5-ジヨードフェニル)メタノン、
(6-クロロ-2-エチルベンゾフラン-3-イル)(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メタノン、
(2-エチル-7-メチルベンゾフラン-3-イル)(4-ヒドロキシ-3,5-ジヨードフェニル)メタノン、
(7-クロロ-2-エチルベンゾフラン-3-イル)(4-ヒドロキシ-3,5-ジヨードフェニル)メタノン、
(7-ブロモ-2-エチルベンゾフラン-3-イル)(4-ヒドロキシ-3,5-ジヨードフェニル)メタノン、
ベンゾフラン-3-イル(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メタノン、
(6-ブロモ-2-メチルベンゾフラン-3-イル)(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メタノン、
(5-ブロモ-2-メチルベンゾフラン-3-イル)(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メタノン、
(6-クロロ-2-メチルベンゾフラン-3-イル)(4-ヒドロキシ-3,5-ジヨードフェニル)メタノン、
(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2,5-ジエチルベンゾフラン-3-イル)メタノン、
(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2,7-ジエチルベンゾフラン-3-イル)メタノン、
(3,5-ジブロモ-4-ヒデ-ロックシペニル)(2-エチル-6-(トリフルオロメチル)ベンゾフラン-3-イル)メタノン、
(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-エチル-4-メチルベンゾフラン-3-イル)メタノン、
(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-エチル-4-フルオロベンゾフラン-3-イル)メタノン。
【0038】
本明細書において化学式Iの化合物を定義することにおいては、特に言及しない限り、以下のような定義が適用される。
【0039】
本明細書で使用された用語「アルキル」は、直鎖状または分枝状の飽和炭化水素であって、C1-C10アルキルが望ましい。例えば、前記アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、iso-ペンチル、n-ヘキシル、3-メチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル及びn-デシルなどを含むが、これらに限定されない。
【0040】
本明細書で使用された用語「ハロゲン」または「ハロ」は、フッ素/フルオロ(F)、塩素(Cl)、ブローム(Br)またはヨード(I)を意味する。
【0041】
本願で使用されたように、「ハロアルキル」は、ハロゲン(例えば、モノ-ハロアルキル、ジ-ハロアルキル及びトリ-ハロアルキル)によって一つ以上の水素原子が代替されたアルキル基を指す。前記基は、非制限的に、クロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1-クロロ-2-フルオロメチル及び2-フルオロイソブテチルを含む。
【0042】
本発明による前記化学式Iで表される化合物は、生体内吸収を増進させるか、または溶解度を増加させるために、プロドラッグ、水和物、溶媒化物及び薬剤学的に許容される塩の形態で使用可能であるため、前記プロドラッグ、水和物、溶媒化物及び薬剤学的に許容される塩も、本発明の範囲に属する。
【0043】
用語「プロドラッグ(prodrug)」は、生体内で親薬物(parent drug)に変形される物質を意味する。プロドラッグは、いくつかの場合において、親薬物よりも投与しやすいため、しばしば使用される。例えば、それらは口腔投与によって生物学的に利用可能になることに対し、親薬物はそうではないことがある。また、プロドラッグは、親薬物よりも製薬組成物において向上した溶解度を有し得る。例えば、プロドラッグは、本発明による化合物の生体内で加水分解可能なエステル及びその薬学上許容される塩であり得る。プロドラッグのさらに他の例は、ペプチドが活性部位を現すように物質代謝によって変換される酸基に結合している短いペプチド(ポリアミノ酸)であり得る。
【0044】
用語「水和物(hydrate)」とは、非共有の分子間力(non-covalent intermolecular force)によって結合した化学量論的(stoichiometric)または非化学量論的な(non-stoichiometric)量の水を含む本発明の化合物またはその塩を意味する。
【0045】
用語「溶媒化物(solvate)」とは、非共有の分子間力によって結合した化学量論的または非化学量論的な量の溶媒を含んでいる本発明の化合物またはその塩を意味する。それに関わる望ましい溶媒としては、揮発性、非毒性及び/またはヒトへの投与に適した溶媒が挙げられる。
【0046】
用語「異性体(isomer)」とは、同じ化学式または分子式を有するが、構造的または立体的に異なる本発明の化合物またはその塩を意味する。このような異性体には、互変異性体(tautomer)などの構造異性体と、非対称の炭素中心を有するRまたはS異性体、幾何異性体(トランス、シス)などの立体異性体が全て含まれる。これら全ての異性体及びその混合物も、本発明の範囲に含まれる。
【0047】
用語「薬学的に許容可能な塩」とは、化合物が投与される有機体に深刻な刺激を誘発することなく化合物の生物学的活性と物性を損傷させない化合物の塩の形態を意味する。前記薬学的塩は、薬剤学的に許容される陰イオンを含む無毒性酸付加塩を形成する酸、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などのような無機酸、酒石酸、ギ酸、クエン酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、グルコン酸、安息香酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸、サリチル酸などのような有機カルボン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などのようなスルホン酸などによって形成された酸付加塩が含まれる。例えば、薬剤学的に許容されるカルボキシル酸塩には、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどによって形成された金属塩またはアルカリ土類金属塩、リシン、アルギニン、グアニジンなどのアミノ酸塩、ジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、ジエタノールアミン、コリン及びトリエチルアミンなどのような有機塩などが含まれる。本発明による化学式Iの化合物は、通常の方法によってその塩に転換させ得る。
【0048】
また、本発明は、前記化学式Iの製造方法を提供し、下記の段階を含む。
【0049】
(1)下記化学式I-1の化合物から求核置換反応によって下記化学式I-2の化合物を製造する段階
本段階は下記化学式I-1の化合物を炭酸カリウムの存在下にクロロアセトンと反応じてベンゾフラン環化合物を合成する反応である。この時に使用される溶媒は、求核置換反応(nucleophilic substitution)に通常使用される溶媒、例えば、アセトン、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミドなどを使用してもよく、適切な温度(例えば、70℃)で適切な反応時間(例えば、約6時間)の間に反応させることで化学式I-2の化合物を得ることができる。
【0050】
(2)前記得られた化学式I-2の化合物を還元させて下記化学式I-3の化合物を製造する段階
本段階は、前記得られた化学式I-2の化合物のケトンをヒドラジンと水酸化カリウムを用いて還元する反応である。前記得られた化学式I-2の化合物をジエチレングリコールに溶解し、ヒドラジンを添加した後、高温で(例えば、約150℃)水酸化カリウムを徐々に添加して適切な反応時間(例えば、約1時間)の間に反応させることで化学式I-3の化合物を得ることができる。
【0051】
(3)前記得られた化学式I-3の化合物を、4-アニソイルクロリドと反応させて下記化学式I-4の化合物を製造する段階
本段階は、前記得られた化学式I-3のベンゾフラン化合物を4-アニソイルクロリド(4-メトキシベンゾイルクロリド)とルイス酸(Lewis acid)である四塩化スズ(SnCl)と反応させて下記化学式I-4の化合物を得るフリーデル・クラフツアシル化反応である。このときに使用する溶媒は、フリーデル・クラフツアシル化反応に通常使用される溶媒、例えば、ジクロロメタン、二硫化炭素を使用し得る。
【0052】
(4)前記得られた化学式I-4の化合物のメトキシのメチルを除去してヒドロキシ置換基を有する下記化学式I-5の化合物を製造する段階
本段階は、1)ソジウムエタンチオレートを使用して行う脱メチル反応であってもよく、又は、2)脱メチル反応をボロントリブロミドを使用して行い得る。1)のソジウムエタンチオレートを用いる反応は、主にN、N-ジメチルホルムアミド溶媒で行い得るが、これに限定されない。二番目の方法である2)のボロントリブロミドを用いる脱メチル反応は、主にジクロロメタン溶媒で行い得るが、これに限定されない。
【0053】
(5)前記得られた化学式I-5の化合物から下記化学式Iの化合物を得る段階
本段階は、前記得られた化学式I-5の化合物に二つのブロモグループまたはヨードグループを導入する反応である。1)ブロモグループを導入する反応は、下記化学式I-5の化合物に、ブロームまたはN-ブロモスクシンイミドを添加して行われる。このときに使用される溶媒は、ブローム化反応に通常使用される溶媒、例えば、ジクロロメタンまたはアセトンを使用して行う。2)ヨードグループを導入する反応は、下記化学式I-5の化合物を、ヨード、そして硝酸銀と反応させて得られる。このときに使用される溶媒は、エタノールなどのアルコール溶媒が主に使用され得るが、これに限定されない。
【0054】
【化4】
【0055】
前記化学式I、化学式I-1、化学式1-2、化学式I-3、化学式I-4及び化学式I-5において、R、R、R、R、R、R及びRは、前記で定義したことと同一である。
【0056】
本発明の化学式Iの化合物の製造方法によって実施例の反応式1~24を例示しており、このような反応式1~反応式24の製造方法が本発明による化学式Iの化合物の製造方法を限定することではない。反応式1~24の製造方法は例示であるだけであり、特定の置換体に応じて通常の技術者によって容易に変形可能であることは自明である。
【0057】
また、本発明は、前記化学式Iで表されるベンゾフラニルヒドロキシフェニルメタノン誘導体化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含むHSP47抑制用の薬学組成物を提供する。
【0058】
また、本発明は、前記化学式Iで表されるベンゾフラニルヒドロキシフェニルメタノン誘導体化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を患者に治療容量で投与することを含む、HSP47抑制目的の関連疾患の予防または治療方法を提供する。
【0059】
また、本発明は、前記化学式Iで表されるベンゾフラニルヒドロキシフェニルメタノン誘導体化合物、またはその薬学的に許容可能な塩をHSP47抑制目的として使用する用途を提供する。
【0060】
一具現例において、前記HSP47抑制用は、HSP47を抑制することで達成され得る線維症の予防または治療用であり得る。この場合、前記線維症は、肝硬化、肺線維化、ケロイド(keloid)、肥厚性瘢痕(hypertrophic scar)及び腎臓線維化(糸球体硬化)からなる群より選択された一つ以上であり得る。
【0061】
一具現例において、前記HSP47抑制用は、HSP47を抑制することで達成可能な癌の予防または治療用であり得る。この場合、前記癌は、乳がん、大腸がん及び癌関連の線維症からなる群より選択された一つ以上であり得る。
【0062】
一具現例において、前記HSP47抑制用は、HSP47を抑制することで達成可能な炎症誘発物質分泌の抑制による炎症性疾患の治療用であり得る。この場合、前記炎症疾患はMCP-1の増加に関わる自己炎症性疾患と自己免疫疾患であり得る。
【0063】
一具現例において、前記炎症性疾患は、肝がん、前立腺がん、黒色腫、卵巣がん、神経炎症性疾患、動脈硬化症、臓器移植、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、ぜんそく、結膜炎、歯周炎、鼻炎、中耳炎、咽喉頭炎、へんとう炎、肺炎、胃潰瘍、膵炎、胃炎、乾癬、腎症、重症筋無力症、クローン病、炎症性腸疾患、大腸炎、痛風、強直性脊椎炎、ループス、線維筋痛(fibromyalgia)、リウマチ性関節炎、骨関節炎、骨粗しょう症、肝炎、膀胱炎、腎炎、シェーグレン症候群及び多発性硬化症からなる群より選択された一つ以上であることが望ましいが、これらに限定されない。
【0064】
本発明の前記化合物のHSP47活性抑制可否について評価した結果、HSP47に対するEC50 15.89~104.5μMを示すか、または化合物濃度100μMにおいてHSP47抑制活性を示すことが確認された。組織細胞における線維化抑制可否に関わり、前記化合物は、肺上皮細胞及び肝星細胞の線維化抑制活性を示しており、皮膚線維芽細胞の線維化を抑制することが示された。また、肝線維化誘導の動物モデルで線維化による疾患症状と関わり、前記化合物は、肝線維化のバイオマーカーである血中ヒアルロン酸の数値を減少させており、肝組織中の4-ヒドロキシプロリンの含量を減少させて線維化によるコラーゲン沈着を減少させることが確認された。また、前記化合物は、組織染色学的に肝組織の線維化を抑制して肝線維化の面積を有意に減少させることが示された。
【0065】
本発明の前記化合物のMCP-1分泌抑制可否について評価した結果、MCP-1に対するEC50 1.374~17.14μMを示した。組織細胞におけるMCP-1分泌抑制可否に関わり、前記化合物は、肝星細胞のMCP-1の分泌を抑制することが示された。
【0066】
一具現例において、前記薬学組成物は、薬学的に許容可能な希釈剤または担体をさらに含み得る。
【0067】
具体的には、本発明の薬学組成物は、薬剤学的に許容可能な担体を含んでもよく、各々通常の方法によって、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾールなどの経口型剤形、外用剤、坐剤及び滅菌注射溶液の形態に製剤化され得る。前記薬剤学的に許容可能な担体は、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、でん粉、アカシアゴム、アルジネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート及び鉱物油などを含む。また、充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を含む。経口用の固形製剤は、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などを含み、このような固形製剤は、少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、でん粉、カルシウムカーボネート(calcium carbonate)、スクロース(sucrose)またはラクトース(lactose)、ゼラチンなどを含み、マグネシウムステアレート、タルクのような潤滑剤などを含み得る。経口用液状製剤は、懸濁剤、内溶液剤、乳剤、シロップ剤などを含み、水、リキッドパラフィンなどの希釈剤、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などを含み得る。非経口用製剤は、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤を含み、非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、エチルオレートのような注射可能なエステル類などを含む。坐剤の基剤としては、ウイテプソール(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用され得る。
【0068】
本発明の薬学組成物に含有される化学式Iの化合物の投与量は、患者の状態及び体重、疾病の程度、薬物形態、投与経路及び期間によって変わるが、関連分野における通常の技術者によって適切に選択され得る。例えば、前記化学式Iの化合物は1日に0.0001~1000mg/kg、望ましくは0.01~1000mg/kgの容量で投与可能であり、前記投与は、一日に一回または数回に分けて投与し得る。また、本発明の薬学組成物は、組成物の総重量に対して前記化学式Iの化合物を0.001~90%の重量百分率で含み得る。
【0069】
本発明の薬学組成物は、レット、マウス、家畜、ヒトなどの哺乳動物に対して多様な経路で、例えば、経口、腹腔、直腸または静脈、筋肉、皮下、子宮内硬膜または脳室内(intracerebroventricular)に注射によって投与され得る。
【0070】
本発明の薬学組成物は、薬剤学的に許容可能な担体または希釈剤を含んでもよく、各々通常の方法によって、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾールなどの経口型剤形、外用剤、坐剤及び滅菌注射溶液の形態に製剤化され得る。前記薬剤学的に許容可能な担体は、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、でん粉、アカシアゴム、アルジネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート及び鉱物油などを含む。また、充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を含む。経口用の固形製剤は、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などを含み、このような固形製剤は、少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、でん粉、カルシウムカーボネート(calcium carbonate)、スクロース(sucrose)またはラクトース(lactose)、ゼラチンなどを含み、マグネシウムステアレート、タルクのような潤滑剤などを含み得る。経口用液状製剤は、懸濁剤、内溶液剤、乳剤、シロップ剤などを含み、水、リキッドパラフィンなどの希釈剤、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などを含み得る。非経口用製剤は、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤を含み、非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、エチルオレートのような注射可能なエステル類などを含む。坐剤の基剤としては、ウイテプソール(witepsol)、マクロゴ-ル、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用され得る。
【0071】
本発明の薬学的組成物は、家畜、ヒトなどの哺乳動物に対して多様な経路で、例えば、経口、皮膚、皮下、筋肉、静脈内、腹腔内、子宮内硬膜または脳室内注射、局所的投与によって投与され得る。したがって、本発明の組成物は、錠剤、カプセル剤、水溶液剤または懸濁剤などの多様な形態で製剤化し得る。経口用精製の場合、ラクトース、トウモロコシでん粉などの担体及びマグネシウムステアレートのような潤滑剤が通常に添加され得る。経口投与用カプセル剤の場合、ラクトース及び/または乾燥トウモコロシでん粉が希釈剤として使用され得る。経口用の水性懸濁剤が必要な場合、活性成分を乳化剤及び/または懸濁化剤と結合させ得る。必要な場合、特定の甘味剤及び/または香味剤を添加し得る。筋肉内、腹腔内、皮下及び静脈内投与の場合、活性成分の滅菌溶液が通常製造され、溶液のpHを適切に調節して緩衝させる必要がある。静脈内投与の場合、溶質の総濃度は、製剤に等張性が付与されるように調節される必要がある。本発明による組成物は、pHが7.4である塩水のような薬剤学的に許容される担体を含む水溶液剤の形態であり得る。前記溶液は、局所注射によって患者の筋肉内血流に導入され得る。
【0072】
本発明の薬学的組成物に含有される有効成分の投与量は、患者の状態及び体重、疾病の程度、有効成分の形態、投与経路及び期間によって変わり、患者に応じて適切に調節され得る。例えば、前記有効成分は、1日に0.0001~1000mg/kg、望ましくは0.01~100mg/kgの容量で投与可能であり、前記投与は一日に一回または数回に分けて投与し得る。また、本発明の薬学的組成物は、組成物の総重量に対して前記有効成分を0.001~90%の重量百分率で含み得る。
【0073】
以下、本発明の実施例を挙げてより詳しく説明する。しかし、下記実施例は、本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれに制限されることではない。
【0074】
実施例1.(4-クロロ-2-エチルベンゾフラン-3-イル)(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メタノン[(4-chloro-2-ethylbenzofuran-3-yl)(3,5-dibromo-4-hydroxyphenyl)methanone]
【0075】
【化5】
【0076】
段階A:2-ヒドロキシ-4-クロロベンズアルデヒド2gと、カリウムカーボネート1.5当量と、無水アセトン20mLと、を含む反応フラスコに、1.2当量のクロロアセトンを10分間滴加した後、反応溶液を3時間の間に還流撹拌した。反応完結後、固体をろ過して除去した後、ろ過された液体を無水硫酸マグネシウムで乾燥してろ過し、濃縮した後、カラム・クロマトグラフィーで分離することで2-アセチルベンゾフラン1-1(1.99g、78%収率)を得た。
【0077】
段階B:化合物1-1(1.99g、0.011mol)に6当量の80%ヒドラジン(一水和物)とジエチレングリコール48mLを加え、150℃で30分間撹拌した後、3当量のカリウムヒドロキシドを10分間徐々に滴加した。反応溶液を3時間の間に還流撹拌してから常温で冷却し、水100mLで希釈した後、エチルアセテート(120mL×3)で抽出した。エチルアセテート層を塩水100mLで洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥してからろ過し、ろ過液を濃縮した後、カラム・クロマトグラフィーで分離することで目的とする化合物1-2(1.3g、72%)を得た。
【0078】
段階C:化合物1-2(1.3g、0.0081mol)を無水CS(20vol)で溶かして0℃に冷却した後、4-メトキシベンゾイルクロリド1.5当量を添加して、5分間撹拌した。その反応溶液にtin(IV)クロリド1.5当量を10分間徐々に滴加した後、0℃で2時間撹拌した後、常温で22時間撹拌した。反応完結後、反応液を水200mLで希釈し、ジクロロメタン(90mL×2)で抽出した。抽出された有機層を、1Nの塩酸溶液50mLと、1Nの水酸化ナトリウム水溶液50mLと、塩水50mLと、を用いて順次に洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥してろ過した後、ろ過液を濃縮してカラム・クロマトグラフィーで分離することで目的とする化合物1-3)(1.98g、83%)を得た。
【0079】
段階D:化合物1-3(1.98g、0.0067mol)をN,N-ジメチルホルムアミド(20mL)に溶かした後、2.5当量のソジウムエタンチオレート(NaSEt)を常温で添加し、反応溶液を100℃で2時間撹拌した。反応完結後、塩化アンモニウム水溶液100mLを徐々に添加して希釈した後、ジクロロメタン(100mL×2)で抽出した後、抽出液を塩水80mLで洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥してろ過した後に濃縮し、カラム・クロマトグラフィーで分離することで目的とする化合物1-4(1.68g、89%)を得た。
【0080】
段階E:化合物1-4(100mg、0.35mmol)を氷酢酸6mLと水2mLに溶かした後、氷酢酸1.5mLと水0.5mLで希釈した2.2当量のブロムを15分間滴加した後、反応液を20時間常温で撹拌した。反応完結後、反応液を濃縮し、カラム・クロマトグラフィーで分離することで目的とする化合物(1.86mg、55%収率)を得た。
【0081】
H NMR(DMSO-d,400MHz) δ 7.90(s,3H)、7.65(d,J=7.9Hz,1H)、7.40-7.26(m,2H)、2.75-2.58(m,2H)、1.17(t,J=7.5Hz,3H)。
【0082】
MS(ESI,m/z):Exact mass calculated[M+H]:456.88;found:456.9。
【0083】
実施例2.(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-エチル-5-メチルベンゾフラン-3-イル)メタノン[(3,5-dibromo-4-hydroxyphenyl)(2-ethyl-5-methylbenzofuran-3-yl)methanone]
【0084】
【化6】
【0085】
段階A~段階E:実施例1の段階A~Eと類似の方法で化合物2を得た。
【0086】
H NMR(DMSO-d,400 MHz) δ 7.80(s,2H)、7.45(d,J=8.2Hz,1H)、7.33-6.99(m,2H)、2.71(d,J=7.4Hz,2H)、2.30(s,3H)、1.26-1.09(m,3H)。
MS(ESI,m/z):Exact mass calculated[M+H]:436.93;found:437.1。
【0087】
実施例3.(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2,6-ジエチルベンゾフラン-3-イル)メタノン[(3,5-dibromo-4-hydroxyphenyl)(2,6-diethylbenzofuran-3-yl)methanone]
【0088】
【化7】
【0089】
段階A~段階E:実施例1の段階A~Eと類似の方法で化合物3を得た。
【0090】
H NMR(DMSO-d,400MHz) δ 7.88(s,2H)、7.46(s,1H)、7.26(d,J=8.1Hz,1H)、7.10(dd,J=8.0,1.4Hz,1H)、2.78-2.72(m,2H)、2.68(q,J=7.6Hz,2H)、1.23-1.17(m,6H)。
【0091】
実施例4.(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-エチル-7-メチルベンゾフラン-3-イル)メタノン[(3,5-dibromo-4-hydroxyphenyl)(2-ethyl-7-methylbenzofuran-3-yl)methanone]
【0092】
【化8】
【0093】
段階A~段階E:実施例1の段階A~Eと類似の方法で化合物4を得た。
【0094】
H NMR(DMSO-d,400MHz)7.97(s,2H)、7.19(dd,J=7.4,1.6Hz,1H)、7.14-7.05(m,2H)、6.30(s,1H)、2.91(q,J=7.6Hz,2H)、2.54(s,3H)、1.36(t,J=7.5Hz,3H)。
【0095】
実施例5.(7-クロロ-2-エチルベンゾフラン-3-イル)(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メタノン[(7-chloro-2-ethylbenzofuran-3-yl)(3,5-dibromo-4-hydroxyphenyl)methanone]
【0096】
【化9】
【0097】
段階A~段階E:実施例1の段階A-Eと類似の方法で化合物5を得た。
【0098】
H NMR(DMSO-d,400MHz) δ 7.92(s,2H)、 7.42(dd,J=7.8,0.9Hz,1H)、7.36(dd,J=7.9,1.0Hz,1H)、7.25(t,J=7.8Hz,1H)、2.78(q,J=7.5Hz,2H)、1.23(t,J=7.5Hz,3H)。
【0099】
実施例6.(7-ブロモ-2-エチルベンゾフラン-3-イル)(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メタノン[(7-bromo-2-ethylbenzofuran-3-yl)(3,5-dibromo-4-hydroxyphenyl)methanone]
【0100】
【化10】
【0101】
段階A~段階E:実施例1の段階A-Eと類似の方法で化合物6を得た。
【0102】
H NMR(DMSO-d,400MHz)7.90(s,2H)、7.62(d,J=8.7Hz,1H)、7.58(d,J=2.0Hz,1H)、7.47(dd,J=8.7,2.1Hz,1H)、2.73(q,J=7.5Hz, 2H)、1.21(t,J=7.5Hz,3H)。
【0103】
実施例7.(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-エチル-7-フルオロベンゾフラン-3-イル)メタノン[(3,5-dibromo-4-hydroxyphenyl)(2-ethyl-7-fluorobenzofuran-3-yl) methanone]
【0104】
【化11】
【0105】
段階A~段階E:実施例1の段階A~Eと類似の方法で化合物7を得た。
【0106】
H NMR(DMSO-d6,400MHz) δ 7.93(s,2H)、7.59(dd,J=7.0,6.2Hz,2H)、7.53-7.47(m, 1H),2.77(q,J=7.5Hz,2H)、1.22(t,J=7.4Hz, 3H)。
【0107】
実施例8.(2-エチル-5-メチルベンゾフラン-3-イル)(4-ヒドロキシ-3,5-ジヨードフェニル)メタノン [(2-ethyl-5-methylbenzofuran-3-yl)(4-hydroxy-3,5-diiodophenyl)methanone]
【0108】
【化12】
【0109】
段階A~段階D:実施例1の段階A~Dと類似の方法で化合物8-4を得た。
【0110】
段階E:化合物8-4(100mg、0.35mmol)をメタノール3mLに溶かし、硝酸銀2.5当量を添加した後、ヨード2.5当量を添加して常温で20時間撹拌した。反応完結後、固体をろ過し、ろ過液を濃縮してカラム・クロマトグラフィーで分離することで目的とする化合物8(121mg,64%収率)を得た。
【0111】
H NMR(DMSO-d,400MHz) δ 8.07(s,2H)、7.48(d,J=8.4Hz,1H)、7.26-7.19(m,1H)、7.12(dd,J=8.3,1.6Hz,1H)、2.71(q,J=7.6Hz, 2H),1.21(t,J=7.5Hz,3H)。
【0112】
実施例9.(5-ブロモ-2-エチルベンゾフラン-3-イル)(4-ヒドロキシ-3,5-ジヨードフェニル)メタノン [(5-bromo-2-ethylbenzofuran-3-yl)(4-hydroxy-3,5-diiodophenyl)methanone]
【0113】
【化13】
【0114】
段階A~段階E:実施例8の段階A-Eと類似の方法で化合物9を得た。
【0115】
H NMR(DMSO-d,400MHz) δ 8.15(s,2H)、7.64(d,J=1.6Hz,1H)、7.43-7.35(m,2H)、2.83(dt,J=7.7,6.6Hz,2H)、1.34(td,J=7.5,1.9Hz,3H)。
【0116】
実施例10.(2-エチル-6-メチルベンゾフラン-3-イル)(4-ヒドロキシ-3,5-ジヨードフェニル)メタノン[(2-ethyl-6-methylbenzofuran-3-yl)(4-hydroxy-3,5-diiodophenyl)methanone]
【0117】
【化14】
【0118】
段階A~段階E:実施例8の段階A~Eと類似の方法で化合物10を得た。
【0119】
H NMR(DMSO-d,400MHz) δ。
Exact mass calculated[M+H]:532.9;found:532.9。
【0120】
実施例11.(6-ブロモ-2-エチルベンゾフラン-3-イル)(4-ヒドロキシ-3,5-ジヨードフェニル)メタノン[(6-bromo-2-ethylbenzofuran-3-yl)(4-hydroxy-3,5-diiodophenyl)methanone]
【0121】
【化15】
【0122】
段階A~段階E:実施例8の段階A~Eと類似の方法で化合物11を得た。
【0123】
H NMR(DMSO-d,400MHz) δ 8.07(s,2H)、7.95(d,J=1.6Hz,1H)、7.43(dd,J=8.4,1.7Hz,1H)、7.34(d,J=8.4Hz,1H)、2.73(q,J=7.5Hz,2H)、1.22(t,J=7.5Hz,3H)。
【0124】
実施例12.(6-クロロ-2-エチルベンゾフラン-3-イル)(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メタノン[(6-chloro-2-ethylbenzofuran-3-yl)(3,5-dibromo-4-hydroxyphenyl) methanone]
【0125】
【化16】
【0126】
段階A~段階E:実施例8の段階A~Eと類似の方法で化合物12を得た。
【0127】
H NMR(DMSO-d,400MHz) δ 8.15(s,2H)、7.50(d,J=1.8Hz,1H)、7.35(d,J=8.5Hz,1H)、7.22(dd,J=8.5,1.8Hz,1H)、2.86(q,J=7.6Hz,2H)、1.34(t,J=7.5Hz,3H)。
【0128】
実施例13.(2-エチル-7-メチルベンゾフラン-3-イル)(4-ヒドロキシ-3,5-ジヨードフェニル)メタノン [(2-ethyl-7-methylbenzofuran-3-yl)(4-hydroxy-3,5-diiodophenyl)methanone]
【0129】
【化17】
【0130】
段階A~段階E:実施例8の段階A~Eと類似の方法で化合物13を得た。
【0131】
H NMR(DMSO-d,400MHz) δ 8.17(s,2H)、7.21(d,J=7.4Hz,1H)、7.15-7.05(m,2H)、6.16(s,1H),2.94-2.85(m,2H)、2.54(s,3H)、1.36(t,J=7.5Hz,3H)。
【0132】
実施例14.(7-クロロ-2-エチルベンゾフラン-3-イル)(4-ヒドロキシ-3,5-ジヨードフェニル)メタノン[(7-chloro-2-ethylbenzofuran-3-yl)(4-hydroxy-3,5-diiodophenyl)methanone]
【0133】
【化18】
【0134】
段階A~段階E:実施例8の段階A~Eと類似の方法で化合物14を得た。
【0135】
H NMR(DMSO-d,400MHz) δ 8.15(s,2H)、7.77-6.99(m,3H)、3.21-2.69(m,2H)、0.85(d,J=10.1Hz,3H)。
実施例15.(7-ブロモ-2-エチルベンゾフラン-3-イル)(4-ヒドロキシ-3,5-ジヨードフェニル)メタノン[(7-bromo-2-ethylbenzofuran-3-yl)(4-hydroxy-3,5-diiodophenyl)methanone]
【0136】
【化19】
【0137】
段階A~段階E:実施例8の段階A~Eと類似の方法で化合物15を得た。
【0138】
H NMR(DMSO-d,400MHz) δ 8.15(s,2H)、7.45(d,J=8.3Hz,1H)、7.44-7.31(m,1H)、7.17-7.04(m,1H)、3.15-2.79(m,2H),1.60(m, 3H)。
【0139】
実施例16.ベンゾフラン-3-イル(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メタノン[benzofuran-3-yl(3,5-dibromo-4-hydroxyphenyl)methanone]
【0140】
【化20】
【0141】
段階C~段階E:実施例8の段階C~Eと類似の方法で化合物16を得た。
【0142】
H NMR(DMSO-d,400MHz) δ 8.15(s,2H)、7.45(d,J=8.3Hz,1H)、7.44-7.31(m,1H)、7.17-7.04(m,1H)、3.15-2.79(m,2H)、1.60(m, 3H)。
【0143】
実施例17.(6-ブロモ-2-メチルベンゾフラン-3-イル)(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メタノン[(6-bromo-2-methylbenzofuran-3-yl)(3,5-dibromo-4-hydroxyphenyl)methanone]
【0144】
【化21】
【0145】
段階F:4-ブロモサリチルアルデヒド(5g,32mmol)を無水アセトニトリル50mLに溶かし、1.5当量の炭酸カリウムを添加した後、1.5当量のメチル2-ブロモプロピオン酸を10分間滴加した。反応溶液を常温で6時間撹拌して生成された固体をろ過し、ろ過液を濃縮した後、リチウムヒドロキシド水溶液(1N,30mL)とテトラヒドフラン30mLを添加して5時間還流撹拌した。反応完結後、1Nの塩酸水溶液で中和してエチルアセテート(3×150mL)で抽出した。抽出液を水100mLで洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥してろ過し、ろ過液を濃縮して化合物17-1(3.50g,48%収率)を得た。
【0146】
段階G:化合物17-1(3.5g,15.3mmol)に、アセト酸ナトリウム5当量と、無水酢酸40mLと、氷酢酸20mLと、を添加して150℃で6時間撹拌した。反応完結後、常温に冷却して水150mLで希釈し、エチルアセテート(3×120mL)で抽出した。抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液100mL、塩水100mLで順次に洗浄した後、有機無水硫酸で乾燥してろ過し、ろ過液を濃縮してカラム・クロマトグラフィーで分離することで目的とする化合物17-2(1.77g,55%収率)を得た。
【0147】
段階H:化合物17-2(1.77g,8.44mol)を無水1,4-ジオキサン18mLに溶かし、4Mの塩酸1,4-ジオキサン溶液5当量を添加して16時間還流撹拌した。反応完結後、反応液を水200mLに徐々に添加した後、エチルアセテート(100mL×3)で抽出した。抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液150mLで洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥してろ過し、ろ過液を濃縮してカラム・クロマトグラフィーで分離することで目的とする化合物17-3(1.16g,82%収率)を得た。
【0148】
段階I:化合物17-3(1.16g,6.9mmol)をメタノール18mLに溶かして0℃に冷却し、ソジウムボロハイドライド3当量を15分間徐々に滴加した。反応溶液を常温で2時間撹拌し、冷水20mLを添加した後、ジクロロメタン(100mL×2)で抽出した。抽出液を水50mL、塩水50mLで順次に洗浄し、有機無水硫酸ナトリウムで乾燥してろ過した後、ろ過液を濃縮してカラム・クロマトグラフィーで分離して目的とする化合物17-4(0.918g)を得た。
【0149】
段階J:化合物17-4(0.918g)を1,4-ジオキサン10mLに溶かした後、塩酸1,4-ジオキサン溶液5当量を添加して6時間還流撹拌した。反応完結後、常温に冷却し、水30mLを添加して希釈してからエチルアセテート(3×120mL)で抽出した。抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液20mLで洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥してろ過した後、ろ過液を濃縮してカラム・クロマトグラフィーで分離することで目的とする化合物17-5(0.641g,61%2段階の総収率)を得た。
【0150】
段階K:化合物17-5(0.641g,4.2mmol)を無水CS2 10mLに溶かし、0℃に冷却した後、4-メトキシベンゾイルクロリド1.5当量を添加し、塩化スズ(IV)[tin(IV)chloride]1.5当量を5分間滴加した。反応溶液を24時間常温で撹拌した後、冷水200mLで希釈した後、できた固体をろ過して、水層をジクロロメタン(90mL×2)で抽出した。抽出液を1モルの塩酸水溶液20mLと、1モルの水酸化ナトリウム水溶液20mLと、塩水30mLと、で順次に洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥してろ過した後、ろ過液を濃縮することでカラム・クロマトグラフィーで分離して目的とする化合物17-6(0.986g、78%収率)を得た。
【0151】
段階L:化合物17-6(0.986g,3.2mmol)を無水ジクロロメタン10mLに溶かして-78℃に冷却した後、ボロントリブロミド(1モルジクロロメタン溶液,5当量)を添加した。反応溶液を常温で20時間撹拌した後、冷水10mLを徐々に添加し、ジクロロメタン(30mL×2)で抽出した。抽出液を水30mL、塩水30mLで順次に洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥してろ過した後、ろ過液を濃縮してカラム・クロマトグラフィーで分離することで目的とする化合物17-7(0.856g,91%収率)を得た。
【0152】
段階M:化合物17-7を用いて実施例25の段階Eと類似の方法で目的とする化合物17を得た。
【0153】
H NMR(DMSO-d,400MHz)7.94(d,J=1.7Hz,1H)、7.89(s,2H)、7.43(dd,J=8.5,1.7Hz, 1H)、7.34(d,J=8.4Hz,1H)、2.44(s,3H)。
【0154】
実施例18.(5-ブロモ-2-メチルベンゾフラン-3-イル)(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メタノン[(5-bromo-2-methylbenzofuran-3-yl)(3,5-dibromo-4-hydroxyphenyl)methanone]
【0155】
【化22】
【0156】
段階F~段階M:実施例17の段階F~Mと類似の方法で化合物18を得た。
【0157】
H NMR(DMSO-d,400MHz)7.90(s,2H)、7.59(dd,J=6.8,5.4Hz,2H)、7.47(dd,J=8.7,2.0Hz,1H)、2.43(s,3H)。
【0158】
実施例19.(6-クロロ-2-メチルベンゾフラン-3-イル)(4-ヒドロキシ-3,5-ジヨードフェニル)メタノン[(6-chloro-2-methylbenzofuran-3-yl)(4-hydroxy-3,5-diiodophenyl)methanone]
【0159】
【化23】
【0160】
段階F~段階L:実施例17の段階F~Lと類似の方法で化合物19-7を得た。
【0161】
段階M:化合物19-7を使用して実施例8の段階Eと類似の方法で化合物19を得た。
【0162】
H NMR(DMSO-d,400MHz) δ 8.07(s,2H)、7.94(d,J=1.7Hz,1H)、7.43(dd,J=8.3,1.7Hz,1H)、7.33(d,J=8.4Hz,1H)、2.43(s,3H)。
【0163】
実施例20.(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2,5-ジエチルベンゾフラン-3-イル)メタノン[(3,5-dibromo-4-hydroxyphenyl)(2,5-diethylbenzofuran-3-yl)methanone]
【0164】
【化24】
【0165】
段階A~段階E:実施例1の段階A-E段階と類似の方法で化合物20を得た。
【0166】
H NMR(DMSO-d,400MHz) δ 11.41(s,1H)、8.00-7.91(m,2H)、7.70(dt,J=8.4,2.8Hz,1H)、7.36(s,1H)、7.09(d,J=8.5Hz,1H)、2.76(dq,J=20.2,7.5Hz,4H)、1.24(t,J=7.5Hz, 3H)、1.14(t,J=7.5Hz,3H)。
【0167】
実施例21.(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2,7-ジエチルベンゾフラン-3-イル)メタノン[(3,5-dibromo-4-hydroxyphenyl)(2,7-diethylbenzofuran-3-yl)methanone]
【0168】
【化25】
【0169】
段階A~段階E:実施例1の段階A-Eと類似の方法で化合物21を得た。
【0170】
H NMR(DMSO-d,400MHz) δ 11.39(s,1H)、7.93(d,J=2.1Hz,1H)、7.67(dd,J=8.4,2.1Hz,1H)、7.47(d,J=8.3Hz,1H)、7.16(d,J=8.4Hz,1H)、7.07(d,J=8.5Hz,1H)、3.01(q,J=7.6Hz,2H)、2.82(q,J=7.5Hz,2H)、1.26(td,J=7.5,5.9Hz,6H)。
【0171】
実施例22.(3,5-ジブロモ-4-ヒデ-ロックシペニル)(2-エチル-6-(トリフルオロメチル)ベンゾフラン-3-イル)メタノン [(3,5-dibromo-4-hydroxyphenyl)(2-ethyl-6-(trifluoromethyl)benzofuran-3-yl)methanone]
【0172】
【化26】
【0173】
段階A~段階E:実施例1の段階A~Eと類似の方法で化合物22を得た。
【0174】
H NMR(DMSO-d,400MHz) δ 8.16(s,1H)、7.98(s,2H)、7.69-7.62(m,2H)、2.85(q,J=7.5Hz,2H)、1.29(t,J=7.5Hz,3H)。
【0175】
実施例23.(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-エチル-4-メチルベンゾフラン-3-イル)メタノン[(3,5-dibromo-4-hydroxyphenyl)(2-ethyl-4-methylbenzofuran-3-yl)methanone]
【0176】
【化27】
【0177】
段階A~段階E:実施例1の段階A~Eと類似の方法で化合物23を得た。
【0178】
H NMR(DMSO-d,400MHz) δ 11.59(s,1H)、8.00(d,J=2.1Hz,1H)、7.69(dd,J=8.5,2.2Hz,1H)、7.56(d,J=8.7Hz,1H)、7.48(d,J=8.7Hz,1H)、7.07(d,J=8.5Hz,1H)、2.62(q,J=7.5Hz,2H)、2.16(s,3H)、1.17(t,J=7.5Hz,3H)。
【0179】
実施例24.(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-エチル-4-フルオロベンゾフラン-3-イル)メタノン[(3,5-dibromo-4-hydroxyphenyl)(2-ethyl-4-fluorobenzofuran-3-yl)methanone]
【0180】
【化28】
【0181】
段階A~段階E:実施例1の段階A~Eと類似の方法で化合物24を得た。
【0182】
H NMR(DMSO-d,400MHz) δ 11.59(s,1H)、8.00(d,J=2.1Hz,1H)、7.69(dd,J=8.5,2.2Hz,1H)、7.56(d,J=8.7Hz,1H)、7.48(d,J=8.7Hz,1H)、7.07(d,J=8.5Hz,1H)、2.62(q,J=7.5Hz,2H)、2.16(s,3H)、1.17(t,J=7.5Hz,3H)。
【0183】
<実験例>
1.試験物質評価
(1)HSP47の活性評価
酸性溶液に溶かしたコラーゲン(collagen solution,UK)20μlにPBS(phosphate-buffered saline,pH7.4)溶液180μlを添加してフィブリル(fibril)を形成し、それを340nm波長で測定した。HSP47タンパク質(GenScript US)を9.45μg/ml濃度で添加してフィブリル形成を抑制する程度を以ってHSP47活性を評価した。試験物質を100μM~1μM濃度で含ませてHSP47阻害程度を百分率またはEC50で表した。
【0184】
(2)シリウスレッド分析(Sirius red assay)
ヒトの肝相細胞(Liver stellate LX-2,Elabscience,CH)、肺上皮細胞(A549)または皮膚KEL FIB(ATCC,US)細胞を24-well組織培養プレートに18時間培養した後、TGF-β 10ng/ml処理後に試験化合物と共に24時間培養した。細胞をPBSを用いて洗浄した後、 Bouin’s溶液で固定した後、蒸留によって2回洗浄した。固定された細胞を2時間の間にシリウスレッドで染色し、細胞の形態変化を観察した後、0.01NのHCl溶液で洗浄して0.1NのNaOH溶液でコラーゲンと結合したシリウスレッドを抽出した後、570nm波長で定量した。各化合物のコラーゲン生成抑制効能を百分率またはEC50で表した。
【0185】
(3)MCP-1(Monocyte Chemoattractant Protein-1)分泌抑制
肝星細胞株であるLX-2細胞を24-well組織培養プレートに18時間培養した後、10ng/mlのTGF-βを処理した後、試験物質30~1μMと共に24時間培養した。細胞培養液に分泌されたMCP-1タンパク質をELISA試薬(RnD,USA)を用いて定量した。各試験物質処理によるMCP-1定量値をprism software(Graphpad,ver9.4,USA)を使用してEC50値を求めた。
【0186】
(4)統計学的分析
本実験の結果について資料の正規性を仮定し、パラメトリック多重比較(parametric multiple comparison procedures)またはノンパラメトリック多重比較(non-parametric multiple comparison procedures)を用いて分析した。
【0187】
パラメトリック一元配置分散分析(One-way ANOVA)結果が有意な場合、ダネットの検定(Dunnett’s multiple comparison test)を用いて事後検定を行い、ノンパラメトリッククラスカル・ウォリス検定(Kruskal-Wallis’H-test)の分析結果が有意な場合、ダンの検定(Dunn’s multiple comparison test)を用いて事後検定を行った。
【0188】
統計学的分析は、Prism(GraphPad Software Inc.,CA,USA)を用いて行っており、p値が0.05未満である場合、統計学的に有意であると判定した。
【0189】
2.結果
(1)HSP47タンパク質の機能阻害結果
下記の表1にHSP47タンパク質の機能阻害結果を示した。
【0190】
【表1】
【0191】
(2)LX-2肝星細胞の線維化抑制結果
下記の表2に肝星細胞の線維化抑制結果を示した。
【0192】
【表2】
【0193】
(3)A549肺上皮細胞の線維化抑制結果
下記の表3に肺上皮細胞の線維化抑制結果を示した。
【0194】
【表3】
【0195】
(4)KEL FIB皮膚線維芽細胞の線維化抑制結果
下記の表4に皮膚線維芽細胞の線維化抑制結果を示した。
【0196】
【表4】
【0197】
(5)LX-2肝星細胞のMCP-1分泌抑制結果
下記の表5にLX-2肝星細胞において試験物質処置によるMCP-1分泌抑制効果を示した。
【0198】
【表5】
【0199】
上述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態に容易に変形可能であるということを理解することができるであろう。したがって、上述した実施例は全ての面で例示的であり、限定的ではないことに理解せねばならない。例えば、単一型として説明されている各構成要素は分散して実施されることが可能であり、同様に、分散して説明されている構成要素も、結合した形態で実施され得る。
【0200】
本発明の範囲は後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその均等概念から導き出される全ての変更または変形は、本特許請求の範囲に含まれることに解釈されるものである。

図1
【国際調査報告】