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特表2024-536909集束荷電粒子ビームのビーム収束を決定する方法および荷電粒子ビームシステム
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  • 特表-集束荷電粒子ビームのビーム収束を決定する方法および荷電粒子ビームシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】集束荷電粒子ビームのビーム収束を決定する方法および荷電粒子ビームシステム
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/21 20060101AFI20241001BHJP
   H01J 37/22 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
H01J37/21 B
H01J37/22 502H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521885
(86)(22)【出願日】2022-08-29
(85)【翻訳文提出日】2024-04-10
(86)【国際出願番号】 EP2022073948
(87)【国際公開番号】W WO2023061650
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】17/500,835
(32)【優先日】2021-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501493587
【氏名又は名称】アイシーティー インテグレーテッド サーキット テスティング ゲゼルシャフト フィーア ハルプライタープリーフテヒニック エム ベー ハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】エーベルガー ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ブロイアー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】フィルンケス マチアス
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA03
5C101EE26
5C101EE53
5C101FF02
5C101FF56
5C101FF57
5C101GG04
5C101GG05
5C101HH04
5C101HH11
5C101HH17
5C101HH44
5C101HH47
5C101HH48
(57)【要約】
荷電粒子ビームシステム(100)内において集束レンズ(120)によって試料H O)に向かって集束させた荷電粒子ビーム(11)のビーム収束を決定する方法が提供される。この方法は、(a)荷電粒子ビームのそれぞれのビーム焦点から1つまたは複数のデフォーカス距離のところに試料が配置されているときに、試料の1つまたは複数の像を撮影することと、(b)1つまたは複数の像から1つまたは複数のビーム断面を検索することと、(c)1つまたは複数のビーム断面から1つまたは複数のビーム幅を決定することと、(d)1つまたは複数のビーム幅および1つまたは複数のデフォーカス距離に基づいて少なくとも1つのビーム収束値を計算することとを含む。さらに、試料を撮像および/または検査するための荷電粒子ビームシステムであって、本明細書に記載された方法のうちのいずれかの方法向けに構成された荷電粒子ビームシステムも提供される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビームシステム(100)内において集束レンズ(120)によって試料(10)に向かって集束させた荷電粒子ビーム(11)のビーム収束を決定する方法であって、
(a)前記荷電粒子ビームのそれぞれのビーム焦点から1つまたは複数のデフォーカス距離(z1...N)のところに前記試料が配置されているときに、前記試料の1つまたは複数の像(h1...N)を撮影することと、
(b)前記1つまたは複数の像(h1...N)から1つまたは複数のビーム断面(g1...N)を検索することと、
(c)前記1つまたは複数のビーム断面(g1...N)から1つまたは複数のビーム幅(c1...N)を決定することと、
(d)前記1つまたは複数のビーム幅(c1...N)および前記1つまたは複数のデフォーカス距離(z1...N)に基づいて少なくとも1つのビーム収束値を計算することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記1つまたは複数の像(h1...N)が撮影された前記1つまたは複数のデフォーカス距離(z1...N)の絶対値、あるいは前記1つまたは複数のデフォーカス距離(z1...N)間の差の絶対値が既知であり、(d)で、前記少なくとも1つのビーム収束値を計算するのに前記絶対値が使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのビーム収束値が、前記荷電粒子ビームのデフォーカス距離の関数としてのビーム幅の変化、ビーム収束角および開口数(NA)のうちの少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのビーム収束値が前記荷電粒子ビームの開口数(NA)を含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
(a)で、複数の異なるデフォーカス距離のところに前記試料が配置されているときに複数の像が撮影され、
(b)で、前記複数の像から複数のビーム断面が検索され、
(c)で、前記複数のビーム断面から複数のビーム幅が決定され、
(d)で、前記複数のビーム幅および前記複数のデフォーカス距離に基づいて前記少なくとも1つのビーム収束値が計算される、
請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記荷電粒子ビームの開口数(NA)が、デフォーカス距離の関数としてのビーム幅の平均変化および較正係数(K)に基づいて計算される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
(a)で、前記複数の異なるデフォーカス距離間でデフォーカス距離を変化させるために、前記集束レンズ(120)によって複数の異なる集束強度が適用され、前記複数の異なる集束強度の各々で像が撮影される、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記集束レンズ(120)の集束強度の変化の関数としてのデフォーカス距離の変化が既知であり、または先行する較正において決定される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
(a)で、前記複数の異なるデフォーカス距離間でデフォーカス距離を変化させるために、前記集束レンズ(120)に対して試料ステージ(108)を光軸(A)に沿って移動させ、前記複数の異なるデフォーカス距離の各々で像が撮影される、請求項5または6に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の像のうちの少なくとも1つの像がオーバーフォーカス距離のところで撮影され、前記複数の像のうちの少なくとも1つの像がアンダーフォーカス距離のところで撮影される、請求項5または6に記載の方法。
【請求項11】
(b)で、前記1つまたは複数の像(h1...N)から前記1つまたは複数のビーム断面(g1...N)を検索することが、フーリエ空間の前記1つまたは複数の像(H1...N)をフーリエ空間の前記試料の焦点像(HI)で除することを含む、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記1つまたは複数の像(h1...N)から前記1つまたは複数のビーム断面(g1...N)を検索することが、適応フィルタ項を乗じることと、フーリエ空間の焦点ビーム断面(GI)を乗じることとのうちの少なくとも一方をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記1つまたは複数のビーム幅(c1...N)の各々が、2つ以上の方位角において、特に方位角((c1...N)(θ))の関数として決定される、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのビーム収束値が、第1の方位角(θx)における前記荷電粒子ビームの第1のビーム収束値、および第2の方位角(θy)における前記荷電粒子ビームの第2のビーム収束値を含み、特に、前記少なくとも1つのビーム収束値が方位角の関数として計算される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのビーム収束値が、方位角の関数としての前記荷電粒子ビームの開口数(NA(θ))を含む、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記荷電粒子ビームの3次元モデルを生成することと表示することとのうちの少なくとも一方、
選択された1つまたは複数の方位面内の前記荷電粒子ビームの1つまたは複数の2次元表現を生成することと表示することとのうちの少なくとも一方、および
デフォーカス距離の関数としての前記荷電粒子ビームのビーム幅の1つまたは複数の1次元表現を生成することと表示することとのうちの少なくとも一方、
のうちの少なくとも1つまたは複数をさらに含む、請求項1~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記荷電粒子ビームを調整するために、前記少なくとも1つのビーム収束値に基づいて、ビームに影響を与える少なくとも1つの要素を変更することをさらに含む、請求項1~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つのビーム収束値を入力パラメータとして使用する反復当てはめルーチンによって、前記荷電粒子ビームの1つまたは複数のビーム収差係数を決定することをさらに含む、請求項1~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
光軸(A)に沿って伝搬する荷電粒子ビーム(11)を放出するための荷電粒子源(105)と、
試料ステージ(108)と、
前記試料ステージ(108)上に置かれた試料(10)に向かって前記荷電粒子ビームを集束させるための集束レンズ(120)と、
前記試料から放出された信号粒子を検出するための荷電粒子検出器(118)と、
プロセッサおよびメモリと
を備える荷電粒子ビームシステムであって、前記メモリが、前記プロセッサによって実行されたときに、前記荷電粒子ビームシステムに、請求項1~18のいずれかに記載の方法を実行させる命令を記憶する、
荷電粒子ビームシステム。
【請求項20】
光軸(A)に沿って伝搬する荷電粒子ビーム(11)を放出するための荷電粒子源(105)と、
試料ステージ(108)と、
前記試料ステージ(108)上に置かれた試料(10)に向かって前記荷電粒子ビームを集束させるための集束レンズ(120)と、
前記試料から放出された信号粒子を検出するための荷電粒子検出器(118)と、
プロセッサおよびメモリと
を備える荷電粒子ビームシステム(100)であって、前記メモリが、前記プロセッサによって実行されたときに、前記荷電粒子ビームシステムに、
(x1)1つまたは複数のデフォーカス距離(z1...N)のところで撮影された前記試料の1つまたは複数の像(h1...N)から1つまたは複数のビーム断面(g1...N)を検索すること、
(x2)前記1つまたは複数のビーム断面(g1...N)から1つまたは複数のビーム幅(c1...N)を決定すること、ならびに
(x3)前記1つまたは複数のビーム幅(g1...N)および前記1つまたは複数のデフォーカス距離(z1...N)に基づいて少なくとも1つのビーム収束値を計算すること
を実行させる命令を記憶する、
荷電粒子ビームシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載された実施形態は、荷電粒子ビームシステム内、特に走査電子顕微鏡(SEM)内において集束レンズによって試料に向かって集束させた荷電粒子ビームのビーム収束を決定する方法に関する。具体的には、本明細書に記載された方法に従って、荷電粒子ビームシステム内において集束レンズによって提供される開口数(NA)を、試料の撮影された1つまたは複数の像から決定することができる。実施形態はさらに、試料を検査および/または撮像するための荷電粒子ビームシステムであって、本明細書に記載された方法のうちのいずれかの方法向けに構成された荷電粒子ビームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
最新の半導体技術は、ナノメートルスケールまたはサブナノメートルスケールの試験体を構築および探測することに対する大きな需要を生み出した。マイクロメートルおよびナノメートルスケールのプロセス制御、検査、または構築はしばしば、荷電粒子ビーム、例えば電子ビームを用いて実施され、荷電粒子ビームは、電子顕微鏡または電子ビームパターン発生器などの荷電粒子ビームシステム内で生成、整形、偏向、および集束が行われる。検査目的に関して、荷電粒子ビームは、優れた空間分解能、例えば光子ビームに比べて優れた空間分解能を提供する。
【0003】
走査電子顕微鏡(SEM)などの荷電粒子ビームを使用する検査装置は、複数の工業分野において、限定はされないが、電子回路の検査、リソグラフィ用の露光システム、検出システム、欠陥検査ツールおよび集積回路の試験システムを含む多くの機能を有する。このような粒子ビームシステムでは、高い電流密度を有する微細なビームプローブを使用することができる。例えば、SEMの場合には、1次電子ビームが、2次電子(SE)および/または後方散乱電子(BSE)のような信号粒子を発生させ、それらの信号粒子を使用して、試料を撮像および/または検査することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、荷電粒子ビームシステムを用いて良好な分解能で試料を高い信頼性で検査および/または撮像することには困難が伴う。具体的には、荷電粒子ビームは通常、分解能を制限するビーム収差を有し、集束荷電粒子ビームの実際の断面形状が設計形状と異なることがある。荷電粒子ビームシステムの解像限界は、対物レンズによって試料の表面に集束させた荷電粒子ビームの開口数(NA)によって決まる。
【0005】
荷電粒子ビームの開口数(NA)は、対物レンズによって試料表面に集束させた荷電粒子ビームのビーム収束を記述するために当業者によって通常、使用される大きさである。大きな開口数は、ビーム収差が小さい場合に理論上到達し得る改良された解像限界を提供する。このシステムは、優れた動作を提供する特定の開口数に対して設計されたものであることがあるが、実際の開口数は期待される値から外れることがある。したがって、集束レンズによって集束させた荷電粒子ビームのビーム収束を知っていること、より具体的には、荷電粒子ビームの実際の開口数を知っていることは、ビーム収差の原因を決定するため、およびシステムの分解能を向上させるために有益であろう。
【0006】
以上のことを考慮すれば、荷電粒子ビームシステム内において集束レンズによって集束させた荷電粒子ビームのビーム収束を正確にかつ高い信頼性で決定すること、特に、対物レンズによって集束させた荷電粒子ビームの開口数を正確に決定することは有益であろう。さらに、試料を検査および/または撮像するための荷電粒子ビームシステムであって、本明細書に記載された方法のうちのいずれかの方法に従って動作するように構成された荷電粒子ビームシステムを提供することも有益であろう。
【0007】
以上のことを考慮して、独立請求項による荷電粒子ビームのビーム収束を決定する方法、および荷電粒子ビームのビーム収束を決定するように構成された荷電粒子ビームシステムが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様によれば、荷電粒子ビームシステム内において集束レンズによって試料に向かって集束させた荷電粒子ビームのビーム収束を決定する方法が提供される。この方法は、(a)荷電粒子ビームのそれぞれのビーム焦点から1つまたは複数のデフォーカス距離(defocus distance)のところに試料が配置されているときに、試料の1つまたは複数の像を撮影することと、(b)1つまたは複数の像から1つまたは複数のビーム断面を検索することと、(c)1つまたは複数のビーム断面から1つまたは複数のビーム幅を決定することと、(d)1つまたは複数のビーム幅および1つまたは複数のデフォーカス距離に基づいて少なくとも1つのビーム収束値を計算することとを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのビーム収束値が、デフォーカス距離の関数としてのビーム幅の変化に関する情報を含む。特に、この少なくとも1つのビーム収束値は、荷電粒子ビームの開口数(NA)を含んでもよく、または荷電粒子ビームの開口数(NA)であってもよい。
【0010】
いくつかの実施形態ではさらに、(集束レンズから焦点距離のところに試料が配置されているときに)試料の焦点像が撮影され、(a)で焦点外れで撮影された1つまたは複数の像から1つまたは複数のビーム断面を検索するために、(b)で、試料の前記焦点像を使用することができる。他のやり方で試料の焦点像を知ることもでき、次いで、その焦点像を、(b)での1つまたは複数のビーム断面の検索に使用することもできる。あるいは、(b)で、試料の焦点像を使用することなしに、1つまたは複数のビーム断面を検索することもできる。
【0011】
別の態様によれば、荷電粒子ビームを用いて、特に電子ビームを用いて試料を撮像および/または検査するための荷電粒子ビームシステムが提供される。この荷電粒子ビームシステムは、光軸に沿って伝搬する荷電粒子ビームを放出するための荷電粒子源と、試料ステージと、試料ステージ上に置かれた試料に向かって荷電粒子ビームを集束させるための集束レンズと、試料から放出された信号粒子を検出するための荷電粒子検出器と、プロセッサおよびメモリとを含み、メモリは、プロセッサによって実行されたときに、このシステムに、本明細書に記載された方法のうちのいずれかの方法を実行させる命令を記憶する。
【0012】
特に、記憶された命令は、実行されたときに、このシステムに、(x1)1つまたは複数のデフォーカス距離のところで撮影された試料の1つまたは複数の像から1つまたは複数のビーム断面を検索すること、(x2)1つまたは複数のビーム断面から1つまたは複数のビーム幅を決定すること、ならびに(x3)1つまたは複数のビーム幅および1つまたは複数のデフォーカス距離に基づいて少なくとも1つのビーム収束値を計算することを実行させてもよい。
【0013】
実施形態は、開示された方法を実行するための装置も対象としており、個々の方法動作を実行するための装置部品を含む。記載された方法は、ハードウェア部品、適切なソフトウェアによってプログラムされたコンピュータ、またはこれらの2つの任意の組合せによって、あるいは他の任意のやり方で実行することができる。さらに、実施形態は、記載された装置を動作させる方法も対象としている。
【0014】
本明細書に記載された実施形態と組み合わせることができる追加の利点、特徴、態様、および詳細は、従属請求項、この説明および図面から明らかである。
【0015】
上に挙げた本開示の特徴を詳細に理解することができるようにするため、実施形態を参照することにより、上に概要を簡単に示したより詳細な説明を得ることができる。添付図面は1つまたは複数の実施形態に関し、以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本明細書に記載された方法のうちのいずれかの方法に従って動作するように適合された、本明細書に記載された実施形態による荷電粒子ビームシステムの概略図である。
図2】本明細書に記載された実施形態による、荷電粒子ビームのビーム収束を決定する方法を示す流れ図である。
図3図2に示された方法を示すより詳細な図である。
図4】本明細書に記載された方法のうちのいずれかの方法を使用して決定された、デフォーカス距離の関数としてのビーム幅を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、さまざまな実施形態を詳細に参照する。それらの実施形態の1つまたは複数の例が図に示されている。図面の以下の説明の範囲では同じ参照符号が同じ部品を指す。一般に、個々の実施形態に関する違いだけが説明される。それぞれの例は、説明のために示されているのであり、限定を意図したものではない。さらに、1つの実施形態の部分として図示または記載された特徴を他の実施形態に関してまたは他の実施形態とともに使用して、追加の実施形態を与えることができる。この説明はこのような変更および変形を含むことが意図されている。
【0018】
図1は、本明細書に記載された実施形態による、試料10を検査および/または撮像するための荷電粒子ビームシステム100の概略図である。荷電粒子ビームシステム100は、光軸Aに沿って伝搬する荷電粒子ビーム11、特に電子ビームを放出するための荷電粒子源105、特に電子源を含む。荷電粒子ビームシステム100はさらに、試料ステージ108、および試料ステージ108上に置かれた試料10上に荷電粒子ビーム11を集束させるための集束レンズ120、特に対物レンズを含む。荷電粒子ビームシステム100はさらに、試料10から放出された信号粒子(特に2次電子および/または後方散乱電子)を検出するための荷電粒子検出器118、特に電子検出器を含む。
【0019】
荷電粒子検出器118から受け取った荷電粒子信号に基づいて試料10の1つまたは複数の像を生成するために像生成ユニット160が提供されていてもよい。像生成ユニット160は、荷電粒子ビームの少なくとも1つのビーム収束値を本明細書に記載された方法に従って決定するように構成された処理ユニット170に試料の1つまたは複数の像を転送することができる。
【0020】
任意選択で、この少なくとも1つのビーム収束値を、荷電粒子ビームのビーム収差を決定する目的に使用してもよい。例えば、ビーム収束値を入力パラメータとして使用する反復プロセスで一組のビーム収差係数を決定してもよい。システム内に存在する1つまたは複数のビーム収差を補償するために収差補正器109を適切に調整することができるような態様で、このビーム収差係数を、収差補正器109のコントローラ180に転送することができる。収差が補正された荷電粒子ビームを提供することができる。
【0021】
試料ステージ108は可動ステージであってもよい。特に、試料ステージ108は、集束レンズ120と試料10との間の距離を変化させることができるような態様でZ方向、すなわち光軸Aの方向に可動であってもよい(図1の矢印112を参照されたい)。試料ステージ108をZ方向に移動させることにより、試料10の焦点外れ像(out-of-focus image)を、それぞれのステージ移動によって、例えば所定の刻み幅でのそれぞれのステージ移動によって撮影することができるような態様で、異なるデフォーカス距離のところに試料10を移動させること、すなわち、集束レンズ120の焦点面pIから試料10を離すことができる。
【0022】
いくつかの実施形態ではさらに、光軸Aに垂直な平面(本明細書ではX-Y平面とも呼ぶ)内で試料ステージ108が可動であってもよい。X-Y平面内で試料ステージ108を移動させることにより、試料10の指定された表面領域に荷電粒子ビーム11を集束させることによってその領域を撮像することができるような態様で、指定された表面領域を集束レンズ120の下方のエリアに移動させることができる。
【0023】
大気圧よりも低い圧力下、例えば10-3ミリバールよりも低い圧力下または10-5ミリバールよりも低い圧力下で荷電粒子ビーム11が光軸Aに沿って荷電粒子源105から試料ステージ108に向かって伝搬し、試料10に当たることができるような態様で、荷電粒子ビームシステム100のビーム光学部品は通常、排気することができる真空チャンバ101内に置かれる。
【0024】
いくつかの実施形態では、荷電粒子ビームシステム100が電子顕微鏡、特に走査電子顕微鏡であってもよい。荷電粒子ビーム11で試料10の表面を所定の走査パターンに沿って、例えばX方向および/またはY方向に走査するために走査偏向器107が提供されていてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、コンデンサレンズシステム106、特に、集束レンズ120に向かって伝搬している荷電粒子ビーム11を平行にするためのコンデンサレンズシステム106が荷電粒子源105の下流に配置されていてもよい。いくつかの実施形態では、集束レンズ120が、荷電粒子ビーム11を試料10上に集束させるように構成された対物レンズ、特に磁気対物レンズ、静電磁気レンズ、または組合せ磁気静電レンズである。対物レンズは、任意選択で、試料上における所定のランディングエネルギーまで荷電粒子ビームを減速させるように構成されたリターディングフィールド装置、例えば1つまたは複数のリターディング電極を含んでいてもよい。
【0026】
荷電粒子ビームシステム100を用いて試料10の1つまたは複数の表面領域を検査および/または撮像することができる。本明細書で使用されるとき、用語「試料」は、基板、例えばその上に1つもしくは複数の層もしくは特徴が形成された基板、半導体ウエハ、ガラス基板、ウエブ基板、または検査すべき別の試料に関することがある。試料は、(1)試料の表面を撮像すること、(2)試料の1つもしくは複数の特徴の寸法、例えば横方向の寸法、すなわちX-Y平面内の寸法を測定すること、(3)限界寸法の測定および/もしくは計測を実施すること、(4)欠陥を検出すること、ならびに/または(5)試料の品質を調査することのうちの1つまたは複数の目的で検査することができる。
【0027】
荷電粒子ビーム11を用いて試料10を検査するためには通常、集束レンズ120を用いて荷電粒子ビーム11を試料表面に集束させる。荷電粒子ビーム11が試料表面に衝突すると試料から2次電子および/または後方散乱電子が放出される。それらの信号電子は、試料の特徴の空間特性および寸法に関する情報を提供し、荷電粒子検出器118を用いてそれらの信号電子を検出することができる。試料表面を例えば走査偏向器107を用いて荷電粒子ビーム11で走査し、信号電子を、信号電子の発生位置の関数として検出することにより、試料表面または試料表面の部分を、例えば像生成ユニット160を用いて撮像することができ、像生成ユニット160は、受け取った信号電子に基づいて試料10の像を提供するように構成されたものであってもよい。
【0028】
試料表面における集束荷電粒子ビーム11の小さなスポットは、獲得可能な像分解能を増大させる。したがって、試料10の鮮明な合焦像を得るために、試料表面は、検査の間、集束レンズ120の焦点面pIに配置されるべきである。本明細書では、合焦して撮影された試料10の鮮明な像を「焦点像hI」とも呼ぶ。下付き添字Iは「合焦していること(In focus)」を示している。同様に、本明細書では、焦点面pIにおける荷電粒子ビーム11のビーム断面を「焦点ビーム断面gI」と呼ぶ。下付き添字Iは「合焦していること」を示している。
【0029】
像は、実空間において(=像ドメインにおいて。すなわち空間座標の関数として)、またはフーリエ空間において(=周波数ドメインにおいて。すなわち空間周波数の関数として)数学的に提示することができることに注意すべきである。フーリエ空間の像は、実空間の像から、フーリエ変換(FT)を介して計算することができる。上記の両方の表現は像の対応する情報を含む。本明細書で使用されるとき、実空間の像は小文字「hn」を用いて示され、フーリエ空間の像は大文字「Hn」によって示され、下付き添字「n」は、撮影されたn番目の像を示す。例えば、「hI」は、実空間の試料の焦点像を示し、「HI」は、フーリエ空間の試料の焦点像を示し、これはhIのフーリエ変換である。同様に、本明細書において、実空間のビーム断面は小文字「gn」を用いて示され、本明細書において、フーリエ空間のビーム断面は大文字「Gn」によって示され、下付き添字「n」は、撮影されたn番目の像のビーム断面を示す。例えば、「gI」は、実空間の荷電粒子ビームの焦点ビーム断面を示し、「GI」は、フーリエ空間の荷電粒子ビームの焦点ビーム断面を示し、これはgIのフーリエ変換である。本明細書に記載された実施形態のうちのいくつかの実施形態では高速フーリエ変換(FFT)アルゴリズムを介して、実空間の像およびビーム断面をフーリエ空間にフーリエ変換することができ、その逆もまた同様である。
【0030】
荷電粒子ビームシステムにおいて、集束レンズ120によって試料上に集束させた荷電粒子ビームのビーム収束の実際の値は通常、未知である。ビーム収束は、光軸に対するビーム収束角(a)によって、または荷電粒子ビームの開口数(NA)によって表現されることがあり、これらの値は、隠されていて像から直接に得ることができないビームの「縦方向の特性」であり、決定するのが難しい。開口数(NA)は、開口数の実際の値を知っていることが非常に有益となるような態様で、解像限界を決定する。
【0031】
例えば、システムの開口数はしばしば、荷電粒子ビームシステム内に実際に存在する開口数がシステム設計に対して仮定された設計開口数から外れた場合に不正確およびビーム収差をもたらす可能性がある、システムの、ビームに影響を与える(対物レンズなどの)要素を適合させ、設計するために使用される。ビームに影響を与える要素は、レンズ、ビーム抽出器、ビーム偏向器、コリメータ、収差補正器、走査偏向器、ビーム分離器、および荷電粒子検出器からなるグループのうちの1つまたは複数の要素を含んでもよい。したがって、実際の開口数を決定することは、システム内の不正確の原因を識別するのに、ならびにシステム設計および分解能を最適化するのに役立ち得る。さらに、ビーム収束を表す大きさとしての開口数を、収差係数決定ルーチンの入力パラメータとして使用することもできる。
【0032】
本明細書に記載された方法によれば、荷電粒子ビームの少なくとも1つのビーム収束値、特に開口数(NA)を、高い信頼性でかつ正確に決定することができる。図1の荷電粒子ビームシステム100は、プロセッサおよびメモリ(図1には処理ユニット170として示されている)を含んでいてもよく、このメモリは、プロセッサによって実行されたときに、システムに、本明細書に記載された方法のうちのいずれかの方法を実行させる命令を記憶する。
【0033】
図2および図3は、少なくとも1つのビーム収束値を決定するこのような方法を概略的に示す流れ図である。図3の図は、図2のより一般的な図と比較して、任意選択の追加の詳細を示している。
【0034】
図2および図3のボックス210では、荷電粒子ビームのそれぞれのビーム焦点から1つまたは複数のデフォーカス距離(z1...N)のところに試料が配置されているときに、試料の1つまたは複数の像(h1...N)を撮影する。本明細書において、デフォーカス距離は、像が撮影されるときの試料とビーム焦点との間の距離(≠0)と理解される。ビーム焦点に対する試料のデフォーカス距離のところに試料が配置されているときに像が撮影される場合、その結果得られる像は、試料の焦点外れ像である。ビーム断面は一般にデフォーカス距離の増大とともに増大し、分解能は一般にデフォーカス距離の増大とともに低下するため、当然ながら、デフォーカス距離が増大すると、撮影されるそれぞれの像のボケも増大する。
【0035】
いくつかの実施形態では、試料とそれぞれのビーム焦点との間の複数の異なるデフォーカス距離のところで、例えば2つ、3つ、6つまたはそれ以上の異なるデフォーカス距離のところで、複数の像、例えば2つ、3つ、6つまたはそれ以上の像を撮影する。具体的には、オーバーフォーカス距離(overfocus distance)のところで、すなわち、荷電粒子ビームのそれぞれのビーム焦点よりも集束レンズ120からさらに離れた位置に試料が配置されたデフォーカス設定において(図1に示されたデフォーカス距離z3を参照されたい)、試料の少なくとも1つの像を撮影してもよい。さらに、アンダーフォーカス距離(underfocus distance)のところで、すなわち、荷電粒子ビームのそれぞれのビーム焦点よりも集束レンズ120の近くに試料が配置されたデフォーカス設定において(図1に示されたデフォーカス距離z1およびz2を参照されたい)、試料の少なくとも1つの像を撮影してもよい。本明細書では、第1のデフォーカス距離z1のところで撮影した像をh1と呼び、n番目のデフォーカス距離znのところで撮影した像をhnと呼ぶ。本明細書では(h1...N)と呼ぶ合計N個の像を撮影してもよく、特に、Nは6以上、例えば10以上または15以上である。
【0036】
本明細書に記載されたいくつかの実施形態では、1つまたは複数の像(h1...N)が撮影された1つまたは複数のデフォーカス距離(z1...N)が量的に既知であり、すなわちその絶対値が既知であり、または、複数の異なるデフォーカス距離のところで複数の像を撮影する場合には、少なくとも、複数のデフォーカス距離のうちのそれぞれの2つのデフォーカス距離間の差が量的に既知であり、例えば[μm]または別の長さの単位において既知である。1つまたは複数のデフォーカス像からビーム収束を決定するためには、前記デフォーカス像の各々がどのデフォーカス距離のところで撮影されたのかが量的に(例えば[μm]で)既知であることが有益である。あるいは、2つ(または3つ以上)の異なるデフォーカス距離のところで撮影された2つ(または3つ以上)のデフォーカス像からビーム収束を決定するためには、少なくとも、2つのそれぞれの異なるデフォーカス距離間の差が量的に(例えば[μm]で)既知であることが有益である。いくつかの実施形態では、荷電粒子ビームシステムのそれぞれの設定から像が撮影されたそれぞれのデフォーカス距離が量的に分かるような態様の較正を、試料のデフォーカス像を撮影する前に実施してもよい。
【0037】
他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態では、集束レンズ120に対して試料ステージ108をZ方向に、すなわち光軸Aに沿って移動させることによって、デフォーカス距離を変化させる。複数の異なるデフォーカス距離間でデフォーカス距離を変化させるためのステージの移動が図1に概略的に示されている。例えば、所定の刻み幅で、例えば0.2μmから2μmの間の等しいまたは類似の複数の刻み幅で試料ステージを移動させてもよく、複数のデフォーカス距離の各々のところで試料の像を撮影してもよい。試料ステージを移動させる間および像を撮影する間、集束レンズ120の焦点強度(focal strength)を一定に維持してもよい。
【0038】
他の実施形態では、集束レンズ120の集束強度を変化させることによってデフォーカス距離を変化させる。試料10に対して焦点面pIを移動させることによってデフォーカス距離を変化させるような形で、集束レンズの集束強度を増大させることにより、それぞれのビーム焦点および焦点面を試料に対して集束レンズに向かって移動させ、集束強度を低下させることにより、それぞれのビーム焦点および焦点面を試料に対して集束レンズから離れる方向に移動させる。試料は動かさなくてもよい。特に、複数の異なるデフォーカス距離間でデフォーカス距離を変化させるために、集束レンズ120によって荷電粒子ビームに複数の異なる集束強度を適用してもよく、複数の異なる集束強度の各々で像を撮影してもよい。
【0039】
集束強度が変化するとビーム収束も変化することに注意すべきである。したがって、本明細書に記載された実施形態では、集束強度を変化させる場合、その結果生じるデフォーカス距離の変化が集束レンズ120の全焦点距離(f)に関して無視できるような態様に限って集束強度を変化させる。例えば、複数の像を撮影するために集束強度を変化させることによってデフォーカス距離を数μm(例えば<10μm)の全範囲内で変化させてもよく(図4参照)、その一方で、集束レンズ120の全焦点距離(f)は、数ミリメートルまたは数センチメートルの範囲であってもよい。したがって、本明細書に記載された実施形態に従って集束レンズの集束強度を変化させることによるビーム収束の変化を無視できる程度のみに留めることができ、決定された開口数(NA)または他のビーム収束値は実質的に影響を受けない。
【0040】
いくつかの実施形態では、集束レンズによって適用される集束強度変化ごとにそれぞれのデフォーカス距離変化が量的に既知であるような態様で、または集束レンズの集束強度ごとにそれぞれのデフォーカス距離が量的に(例えば[μm]で)既知であるような態様で、集束レンズ120の集束強度の変化の関数としてのデフォーカス距離の変化が予め既知であり、または先行する較正において決定される。
【0041】
次に図2および図3に戻る。ボックス220で、1つまたは複数の像(h1...N)から、1つまたは複数のデフォーカス距離(z1...N)における荷電粒子ビームの1つまたは複数のビーム断面(g1...N)を検索する。特に、複数の像から複数のビーム断面を検索する。すなわち、複数の像の各々について1つのビーム断面を検索する。検索されたそれぞれのビーム断面は、それぞれの像が撮影されたデフォーカス距離における荷電粒子ビームのビーム断面に対応する。いくつかの異なるビーム輪郭抽出法を介して焦点外れ像から焦点外れビーム輪郭を抽出することができる。以下で、例示的な1つのビーム輪郭抽出法を例示的に説明する。
【0042】
焦点外れで撮影された1つまたは複数の像(h1...N)に加えて、試料の焦点像(hI)を撮影することができ、前記焦点像(hI)を、1つまたは複数の像(h1...N)から1つまたは複数のビーム断面(g1...N)を検索するのに使用することができる。試料の焦点像hIを他のやり方で知ることもできる。これは例えば、本明細書に記載された方法に従ってビーム収束を決定するのには既知の形状寸法を有する試料が使用されるためである。
【0043】
より具体的には、図3のボックス220にさらに詳細に示されているとおり、1つまたは複数の像(h1...N)から1つまたは複数のビーム断面(g1...N)を検索することが、実空間の撮影された1つまたは複数の像(h1...N)をフーリエ変換して、フーリエ空間の撮影された1つまたは複数の像(H1...N)を提供すること、および、フーリエ空間の撮影された1つまたは複数の像(H1...N)をフーリエ空間の試料の焦点像(HI)で除することを含んでもよい。上記のビーム輪郭抽出法は、フーリエ空間においては、試料の撮影されたデフォーカス像(Hn)を試料の焦点像(HI)で除することが、前記除算が、試料情報を含まない純粋なビーム輪郭を与える、すなわち試料情報を含まない純粋なビーム断面を与えることがあるような態様で、試料の構造を除くことに基づく。実空間の検索されたそれぞれのビーム断面(gn)を取得するために、フーリエ空間の検索されたそれぞれのビーム断面(Gn)を逆フーリエ変換してもよい。
【0044】
図3のボックス220にさらに示されているように、撮影された1つまたは複数の像(h1...N)から1つまたは複数のビーム断面(g1...N)を検索することは、任意選択で、適応フィルタ項
【数1】
を乗じることと、フーリエ空間の焦点ビーム断面(GI)を乗じることとのうちの少なくとも一方を含む。適応フィルタ項
【0045】
【数2】
は、適応フィルタ260によって提供することができ、適応フィルタ260は、撮影された像を入力情報として受け取ってもよい。適応フィルタ項は、適応フィルタ260によって、撮影された像の各々に対して個別に提供されてもよい。適応フィルタ項
【0046】
【数3】
を使用しない場合、上記の除算の分母の焦点像HIの値がゼロに近いと、焦点像のノイズの重みが非常に強くなることがある。適応フィルタ項
【数4】
は、焦点ビーム断面(G1...N)の計算における焦点像HIのノイズの求められていないこのような影響を低減させることまたは回避することができる。それぞれのフィルタ項は、適応フィルタ260によって、像(h1...N)の各々に対して個別に決定されてもよい。これは例えば、それぞれの像およびその像のそれぞれのノイズに対して適切なフィルタ項が使用されることを保証するためである。
【0047】
実空間の焦点ビーム断面(gI)またはフーリエ空間の焦点ビーム断面(GI)を、例えば合焦したビーム断面の波動光学シミュレーションに基づいてシミュレートすることができる。例えば、焦点ビーム断面gIのシミュレーションのために、集束レンズ120の焦点面におけるガウスビーム断面を仮定することができる。具体的には、分解能測定によって、例えばガウスビーム輪郭を仮定した分解能測定によって、荷電粒子ビームの焦点ビーム断面gIを決定することができる。
【0048】
ボックス230で、1つまたは複数のビーム断面(g1...N)から、1つまたは複数のデフォーカス距離(z1...N)における荷電粒子ビームの1つまたは複数のビーム幅(c1...N)を決定する。特に、複数のビーム断面から複数のビーム幅を決定する。すなわち、複数のビーム断面の各々について(例えば1つまたは複数の方向の、すなわち1つまたは複数の方位角に対する)1つのビーム幅を検索する。
【0049】
いくつかの実施形態では、ボックス230で、それぞれのビーム断面から1つのビーム幅を検索してもよい。例えば、ビーム幅が本質的にそれぞれの方位角で同じであるために、いずれにしてもそれぞれのビーム断面から1つのビーム幅を検索するだけで十分であるような態様で、1つまたは複数のビーム断面(g1...N)が本質的に回転対称、例えば円またはガウス対称であることがある。本明細書で使用されるとき、「方位角」は、ビーム断面の幅を測定することができるビーム断面の断面平面内の異なる方向、すなわち光軸(A)に垂直な異なる方向を指す。あるいは、たとえビーム断面が回転対称でなくても、そのビーム断面に対する1つのビーム幅を、平均ビーム幅としてまたはFW50値として決定することができる。FW50値は、ビーム電流の半分がその中を通って伝搬する光軸Aの周囲の円の直径である。
【0050】
他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態では、1つまたは複数のビーム幅(c1...N)の各々を、2つ以上の方向において、すなわち2つ以上の異なる方位角において決定する。特に、1つまたは複数のビーム幅(c1...N)の各々を、方位角の関数((c1...N)(θ))として決定することができる。図3は、像hnから検索された、厳密には回転対称ではないビーム断面gnを例示的に示している。それぞれのビーム幅cnは、2つ以上の方向において、例えば方位角θx(=X方向)および方位角θy(=y方向)において決定することができる。具体的には、ビーム幅cnは、ビーム断面gnから、方位角の関数(cn(θ))として検索することができる。
【0051】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態では、それぞれのビーム断面から以下のグループのうちの少なくとも1つの大きさを決定し、その大きさを、それぞれのビーム幅とみなす:(1)1つまたは複数の方位角におけるFWHM(=半値全幅)または平均FWHM、(2)1つまたは複数の方位角におけるFW50(=全幅50)、またはD50幅とも呼ばれる平均FW50、(3)1/e2幅、および(4)ビーム幅を記述する一般的に使用されている別の大きさ。ビーム半径またはビーム直径をそれぞれビーム幅とみなしてもよい。ボックス230においてビーム幅として検索される大きさによっては、ビーム収束値から開口数の正確な値を決定するのに、結果として得られたビーム収束値に、それぞれの較正係数(K)を乗じる必要があることがあることに注意すべきである。
【0052】
ボックス240で、1つまたは複数のビーム幅(c1...N)および1つまたは複数のデフォーカス距離(z1...N)に基づいて少なくとも1つのビーム収束値を計算する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのビーム収束値が、デフォーカス距離
【数5】
の関数としてのビーム幅の変化、および/もしくはビーム幅の変化から計算されたビーム収束角(a)、例えば、ビーム幅の変化から計算された[度]もしくは[rad]で表されたビーム収束角(a)であってもよく、またはこのようなビーム幅の変化および/もしくはビーム収束角(a)を含んでもよい。例えば、デフォーカス距離の関数としての平均ビーム幅変化を決定してもよく、平均ビーム幅変化からビーム収束角(a)を計算してもよい。オーバーフォーカス距離において少なくとも1つの像を撮影し、アンダーフォーカス距離において少なくとも1つの像を撮影する場合には、デフォーカス距離の関数としてのビーム幅の平均変化を、焦点面の前と焦点面の後で別々に決定することができる。ビーム幅の平均変化から平均ビーム収束角(a)を計算することができ、その平均ビーム収束角(a)を少なくとも1つのビーム収束値とみなすことができる。
【0053】
図4は、ビーム焦点に対する-4μmから+4μmまでの例示的なデフォーカス範囲におけるデフォーカス距離(f)の関数としてのビーム幅(c)のグラフを示している。ここでは、異なる(量的に既知の)アンダーフォーカス距離において10個の像が撮影され、異なる(量的に既知の)オーバーフォーカス距離において10個の像が撮影され、それらの像から、それぞれのビーム幅が検索されている。ボックス230で決定されたビーム幅c1...Nが、それぞれのデフォーカス距離z1...Nのところの小さな正方形として示されている。前記グラフでは、デフォーカス距離の関数としてのビーム幅の変化
【0054】
【数6】
が、ビーム幅をつなぐ直線(またはビーム幅に対する直線の当てはめ)の傾きに対応する。ビームの荷電粒子は本質的に直線経路に沿って伝搬するため、通常、ビーム焦点(z=0)の上流の傾きの絶対値とビーム焦点(z=0)の下流の傾きの絶対値は互いに本質的に一致する。それでも、図4に概略的に示されているように、オーバーフォーカス距離およびアンダーフォーカス距離に対して傾きを別々に計算することが可能である。
【0055】
いくつかの実施形態では、平均傾き、特に、デフォーカス距離の関数として示されたビーム幅値のうちの少なくともいくつかのビーム幅値に対する直線の当てはめの傾きが決定され、その傾きからビーム収束角(a)を計算することができる。(平均されたもしくは当てはめられた)傾き値および/またはその傾き値から計算されたビーム収束角(a)を、本明細書に記載された実施形態のうちのいくつかの実施形態における少なくとも1つのビーム収束値として決定することができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、上記の(平均されたもしくは当てはめられた)傾き値から、荷電粒子ビームの開口数(NA)を、傾き値
【数7】
に較正係数(K)を乗じることによって計算する。較正係数(K)は、ボックス230でビーム幅として使用した大きさを考慮してもよい。いくつかの実施形態では、ビーム幅を表す大きさとして「FW50」が使用され、「傾き」が、
【0057】
【数8】
の(任意選択で平均されたもしくは直線に当てはめられた)絶対値である場合に、開口数がNA=K・|slope(FW50)|として計算され、較正係数(K)は0.5から1の間の値、特に0.70から0.85の間の値である。
【0058】
次いで、(特に前記較正係数を乗じた後の)荷電粒子ビームのその結果得られた開口数NAを、対物レンズによって提供される開口数を入力パラメータとして期待する荷電粒子ビームシステムに対するさまざまなシミュレーションおよび設計プログラムにおける入力パラメータとして直接に使用することができる。
【0059】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態では、この方法がさらに、荷電粒子ビームを調整するために、少なくとも1つのビーム収束値に基づいて、特に荷電粒子ビームの決定された開口数に基づいて、ビームに影響を与える少なくとも1つの要素を変更することを含む。
【0060】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態では、この方法がさらに、少なくとも1つのビーム収束値を入力パラメータとして使用する反復当てはめルーチンによって、荷電粒子ビームの1つまたは複数のビーム収差係数を決定することを含んでもよい。荷電粒子ビームの実際の開口数を入力パラメータとして使用する、1つまたは複数のビーム収差係数を決定するためのこのような反復当てはめルーチンが、図2のボックス250によって示されている。荷電粒子ビームの実際の開口数NAが既知である場合、このような当てはめルーチンは、実際のビーム収差係数に向かってより速く収束することができることがある。
【0061】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態では、1つまたは複数のビーム幅(c1...N)の各々が、2つ以上の方位角において、特に方位角の関数((c1...N)(θ))として決定され、前記方位角の各々において、それぞれのビーム収束値を計算してもよい。
【0062】
特に、少なくとも1つのビーム収束値は、第1の方位角(θx)における荷電粒子ビームの第1のビーム収束値、および第2の方位角(θy)における荷電粒子ビームの第2のビーム収束値を含んでもよい。いくつかの実施形態では、例えばビーム輪郭が非常に非対称である場合、卵形である場合、または別の形でゆがんでいる場合に、少なくとも1つのビーム収束値を方位角の関数として計算することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、荷電粒子ビームの開口数を、2つ以上の方位角において、特に方位角の関数(NA(θ))として計算することができる。例えば、最初に、ビーム収束角(a)または傾き
【数9】
を方位角の関数として計算してもよく、そのビーム収束角または傾きから、開口数を、方位角の関数として、特に較正係数(K)を乗じることに基づいて計算してもよい。
【0064】
特にビーム収束値が方位角の関数として決定される場合には、集束荷電粒子ビームの3次元モデルを生成および/または表示することができる。その代わりにまたはそれに加えて、選択された1つまたは複数の方位面内の荷電粒子ビームの1つまたは複数の2次元表現を生成および/または表示することもできる。その代わりにまたはそれに加えて、デフォーカス距離の関数としての荷電粒子ビームのビーム幅の1つまたは複数の1次元表現を生成および/または表示することもできる。その代わりにまたはそれに加えて、開口数を、方位角の関数として、例えば1次元表現で、決定および/または表示することもできる。
【0065】
本明細書に記載されたいくつかの実施形態では、特に、撮影された1つの単一のデフォーカス像が撮影されたデフォーカス距離znが量的に既知である場合(および、さらに、撮影された1つの単一のデフォーカス像hnからビーム断面gnおよびビーム幅cnを検索することができるような形で、試料の焦点像hIが撮影されているか、または別のやり方で試料の焦点像hIが既知である場合)に、少なくとも1つのビーム収束値を決定するのに、撮影された1つの単一のデフォーカス像hnだけで既に十分なことがある。具体的には、cn/znを計算することによって少なくとも1つのビーム収束値を決定することができ、少なくとも1つのビーム収束値からNAを計算することができる。しかしながら、複数の異なるデフォーカス距離z1...Nにおいて複数のデフォーカス像h1...Nが撮影され、それらの像から量dc/dzが、本明細書で説明したとおりに(例えば平均傾き値として、またはデフォーカス距離の関数としてのビーム幅に対する直線の当てはめとして)、特にアンダーフォーカスとオーバーフォーカスの両方で決定される場合には、より正確なビーム収束値およびより正確なNA値を決定することができる。
【0066】
ビーム収差係数を決定するための知られているプロセスは、焦点外れで撮影されたデフォーカス像から検索されたプローブ形状の分析に基づくことに注意すべきである。しかしながら、検索されたプローブ形状からは、ビーム収差係数に関する相対的な推定だけがなされ、デフォーカス像が実際に撮影されたデフォーカス距離を量的に知ることはできない。したがって、知られているプロセスを使用して、集束荷電粒子ビームの収束に関する量的情報を検索することはできない。それとは対照的に、本明細書に記載された方法は、量的に既知のデフォーカス距離において撮影された場合のデフォーカス像、またはデフォーカス距離間の量的に既知の差で撮影された場合のデフォーカス像を使用して、ビーム収束角に関する情報を検索することができ、したがって、それらを使用して、集束荷電粒子ビームの実際の開口数値を決定することができるとの理解に基づく。
【0067】
集束レンズによって集束させた荷電粒子ビームの開口数は、これまでは、分解能測定に基づいて、実際のビーム形状に関する仮定を設けて決定されてきた有用な量である。しかしながら、このような仮定の結果、その決定は不正確になる。本明細書に記載された方法によれば、ビーム形状に関する仮定を設ける必要がないような態様で、デフォーカス像から検索された実際の焦点外れビーム断面からNAを検索することができる。具体的には、ビーム断面または試料に関する仮定を設ける必要がなく、その結果、開口数の値がより正確になる。さらに、任意の方位角において開口数を決定することができ、このことは、以前には可能ではなかったことであり、意図されたビーム形状と実際のビーム形状との間の異なる方向に沿った(意図的なまたは意図的でない)不一致の識別を可能にする。さらに、ビーム形状を3Dおよび/または2Dで視覚化することができ、このことは、荷電粒子ビームを適切に分析および改良/調整する際の助けとなることがある。
【0068】
荷電粒子ビームシステムの開口数を精密に決定することができることは特に、(1)開口数が、獲得可能な分解能を決定する決定的な量であるときの再現可能性およびマッチング、(2)ビームに影響を与える要素の分析、例えば将来の設計を改良するためのビームに影響を与える要素の分析、(3)開口数のさまざまな倍率にスケーリングするビーム収差の決定、(4)ある種の決定的に重要な寸法決定および欠陥点検タスクのための、例えば1軸だけに沿って細長い試料の深いトレンチを検査するための調整された荷電粒子ビームの生成、を可能にする。
【0069】
具体的には、本明細書には以下の実施形態が記載されている。
【0070】
実施形態1:荷電粒子ビームシステム(100)内において集束レンズ(120)によって試料(10)に向かって集束させた荷電粒子ビーム(11)のビーム収束を決定する方法であって、(a)荷電粒子ビームのそれぞれのビーム焦点から1つまたは複数のデフォーカス距離(z1...N)のところに試料が配置されているときに、試料の1つまたは複数の像(h1...N)を撮影することと、(b)1つまたは複数の像(h1...N)から1つまたは複数のビーム断面(g1...N)を検索することと、(c)1つまたは複数のビーム断面(g1...N)から1つまたは複数のビーム幅(c1...N)を決定することと、(d)1つまたは複数のビーム幅(c1...N)および1つまたは複数のデフォーカス距離(z1...N)に基づいて少なくとも1つのビーム収束値を計算することとを含む、方法。
【0071】
実施形態2:1つまたは複数の像(h1...N)が撮影された1つまたは複数のデフォーカス距離(z1...N)の絶対値、あるいは1つまたは複数のデフォーカス距離(z1...N)間の差の絶対値が既知であり、(d)で、少なくとも1つのビーム収束値を計算するのに前記絶対値が使用される、実施形態1に記載の方法。
【0072】
実施形態3:少なくとも1つのビーム収束値が、デフォーカス距離の関数としてのビーム幅の変化
【数10】
を含む、実施形態1または2に記載の方法。
【0073】
実施形態4:少なくとも1つのビーム収束値が荷電粒子ビームの開口数(NA)を含む、実施形態1~3のいずれかに記載の方法。
【0074】
実施形態5:(a)で、複数の異なるデフォーカス距離のところに試料が配置されているときに複数の像が撮影され、(b)で、複数の像から複数のビーム断面が検索され、(c)で、複数のビーム断面から複数のビーム幅が決定され、(d)で、複数のビーム幅および複数のデフォーカス距離に基づいて少なくとも1つのビーム収束値が計算される、実施形態1~4のいずれかに記載の方法。
【0075】
実施形態6:荷電粒子ビームの開口数(NA)が、デフォーカス距離の関数としてのビーム幅の変化
【数11】
の平均された絶対値に較正ファクタ(K)を乗じたもの基づいて計算される、実施形態5に記載の方法。
【0076】
実施形態7:(a)で、複数の異なるデフォーカス距離間でデフォーカス距離を変化させるために、集束レンズ(120)によって複数の異なる集束強度が適用され、複数の異なる集束強度の各々で像が撮影される、実施形態5または6に記載の方法。
【0077】
実施形態8:集束レンズ(120)の集束強度の変化の関数としてのデフォーカス距離の変化が既知であり、または先行する較正において決定される、実施形態7に記載の方法。
【0078】
実施形態9:(a)で、複数の異なるデフォーカス距離間でデフォーカス距離を変化させるために、集束レンズ(120)に対して試料ステージ(108)を光軸(A)に沿って移動させ、複数の異なるデフォーカス距離の各々で像が撮影される、実施形態5または6に記載の方法。
【0079】
実施形態10:複数の像のうちの少なくとも1つの像がオーバーフォーカス距離のところで撮影され、複数の像のうちの少なくとも1つの像がアンダーフォーカス距離のところで撮影される、実施形態5~9のいずれかに記載の方法。
【0080】
実施形態11:(b)で、1つまたは複数の像(h1...N)から1つまたは複数のビーム断面(g1...N)を検索することが、フーリエ空間の1つまたは複数の像(H1...N)をフーリエ空間の試料の焦点像(HI)で除することを含む、実施形態1~10のいずれかに記載の方法。
【0081】
実施形態12:1つまたは複数の像(h1...N)から1つまたは複数のビーム断面(g1...N)を検索することが、適応フィルタ項
【数12】
を乗じることと、フーリエ空間の焦点ビーム断面(GI)を乗じることとのうちの少なくとも一方をさらに含む、実施形態11に記載の方法。
【0082】
実施形態13:1つまたは複数のビーム幅(c1...N)の各々が、2つ以上の方向において、特に方位角((c1...N)(θ))の関数として決定される、実施形態1~12のいずれかに記載の方法。
【0083】
実施形態14:少なくとも1つのビーム収束値が、第1の方位角(θx)における荷電粒子ビームの第1のビーム収束値、および第2の方位角(θy)における荷電粒子ビームの第2のビーム収束値を含み、特に、少なくとも1つのビーム収束値が方位角の関数として計算される、実施形態13に記載の方法。
【0084】
実施形態15:方位角の関数としての少なくとも1つのビーム収束値から、方位角の関数としての荷電粒子ビームの開口数(NA(θ))が計算される、実施形態14に記載の方法。
【0085】
実施形態16:荷電粒子ビームの3次元モデルを表示すること、選択された1つまたは複数の方位面内の荷電粒子ビームの1つまたは複数の2次元表現を表示すること、デフォーカス距離の関数としての荷電粒子ビームのビーム幅の1つまたは複数の1次元表現を表示すること、および方位角の関数としての荷電粒子ビームの開口数を表示すること、のうちの少なくとも1つまたは複数をさらに含む、実施形態1~15のいずれかに記載の方法。
【0086】
実施形態17:荷電粒子ビームを調整するために、少なくとも1つのビーム収束値に基づいて、ビームに影響を与える少なくとも1つの要素を変更することをさらに含む、実施形態1~16のいずれかに記載の方法。
【0087】
実施形態18:少なくとも1つのビーム収束値を入力パラメータとして使用する反復当てはめルーチンによって、荷電粒子ビームの1つまたは複数のビーム収差係数を決定することをさらに含む、実施形態1~17のいずれかに記載の方法。
【0088】
実施形態19:光軸(A)に沿って伝搬する荷電粒子ビーム(11)を放出するための荷電粒子源(105)と、試料ステージ(108)と、試料ステージ(108)上に置かれた試料(10)に向かって荷電粒子ビームを集束させるための集束レンズ(120)と、試料から放出された信号粒子を検出するための荷電粒子検出器(118)と、プロセッサおよびメモリとを備える荷電粒子ビームシステムであって、メモリが、プロセッサによって実行されたときに、荷電粒子ビームシステムに、上記の実施形態のいずれかに記載の方法を実行させる命令を記憶する、荷電粒子ビームシステム。
【0089】
実施形態20:光軸(A)に沿って伝搬する荷電粒子ビーム(11)を放出するための荷電粒子源(105)と、試料ステージ(108)と、試料ステージ上に置かれた試料(10)に向かって荷電粒子ビームを集束させるための集束レンズ(120)と、試料から放出された信号粒子を検出するための荷電粒子検出器(118)と、プロセッサおよびメモリとを備える荷電粒子ビームシステム(100)であって、メモリが、プロセッサによって実行されたときに、荷電粒子ビームシステムに、(x1)1つまたは複数のデフォーカス距離(z1...N)のところで撮影された試料の1つまたは複数の像(h1...N)から1つまたは複数のビーム断面(g1...N)を検索すること、(x2)1つまたは複数のビーム断面(g1...N)から1つまたは複数のビーム幅(c1...N)を決定すること、ならびに(x3)1つまたは複数のビーム幅(g1...N)および1つまたは複数のデフォーカス距離(z1...N)に基づいて少なくとも1つのビーム収束値を計算することを実行させる命令を記憶する、荷電粒子ビームシステム(100)。荷電粒子ビームシステム(100)は、上記の実施形態のいずれかに記載の方法向けにさらに構成されていてもよい。
【0090】
以上の説明は実施形態を対象としているが、実施形態の基本的な範囲を逸脱することなく他の実施形態および追加の実施形態が考案される可能性があり、実施形態の範囲は以下の請求項によって決定される。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-04-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビームシステムにおいて集束レンズよって試料向かって集束させた荷電粒子ビームビーム収束を決定する方法であって、
(a)前記荷電粒子ビームのそれぞれのビーム焦点から1つまたは複数のデフォーカス距離ところに前記試料が配置されているときに、前記試料の1つまたは複数の像撮影することと、
(b)前記1つまたは複数の像ら1つまたは複数のビーム断面検索することと、
(c)前記1つまたは複数のビーム断面ら1つまたは複数のビーム幅決定することと、
(d)前記1つまたは複数のビーム幅よび前記1つまたは複数のデフォーカス距離基づいて少なくとも1つのビーム収束値を計算することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記1つまたは複数の像撮影された前記1つまたは複数のデフォーカス距離絶対値、あるいは前記1つまたは複数のデフォーカス距離の差の絶対値が既知であり、(d)で、前記少なくとも1つのビーム収束値を計算するのに前記絶対値が使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのビーム収束値が、前記荷電粒子ビームのデフォーカス距離の関数としてのビーム幅の変化、ビーム収束角および開口数うちの少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのビーム収束値が前記荷電粒子ビームの開口数含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
(a)で、複数の異なるデフォーカス距離のところに前記試料が配置されているときに複数の像が撮影され、
(b)で、前記複数の像から複数のビーム断面が検索され、
(c)で、前記複数のビーム断面から複数のビーム幅が決定され、
(d)で、前記複数のビーム幅および前記複数のデフォーカス距離に基づいて前記少なくとも1つのビーム収束値が計算される、
請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記荷電粒子ビームの開口数、デフォーカス距離の関数としてのビーム幅の平均変化および較正係数基づいて計算される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
(a)で、前記複数の異なるデフォーカス距離間でデフォーカス距離を変化させるために、前記集束レンズよって複数の異なる集束強度が適用され、前記複数の異なる集束強度の各々で像が撮影される、請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記集束レンズ集束強度の変化の関数としてのデフォーカス距離の変化が既知であり、または先行する較正において決定される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
(a)で、前記複数の異なるデフォーカス距離間でデフォーカス距離を変化させるために、前記集束レンズ対して試料ステージ光軸沿って移動させ、前記複数の異なるデフォーカス距離の各々で像が撮影される、請求項5記載の方法。
【請求項10】
前記複数の像のうちの少なくとも1つの像がオーバーフォーカス距離のところで撮影され、前記複数の像のうちの少なくとも1つの像がアンダーフォーカス距離のところで撮影される、請求項5記載の方法。
【請求項11】
(b)で、前記1つまたは複数の像ら前記1つまたは複数のビーム断面検索することが、フーリエ空間の前記1つまたは複数の像フーリエ空間の前記試料の焦点像除することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記1つまたは複数の像ら前記1つまたは複数のビーム断面検索することが、適応フィルタ項を乗じることと、フーリエ空間の焦点ビーム断面乗じることとのうちの少なくとも一方をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記1つまたは複数のビーム幅各々が、2つ以上の方位角において、特に方位角関数として決定される、請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのビーム収束値が、第1の方位角おける前記荷電粒子ビームの第1のビーム収束値、および第2の方位角おける前記荷電粒子ビームの第2のビーム収束値を含み、特に、前記少なくとも1つのビーム収束値が方位角の関数として計算される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのビーム収束値が、方位角の関数としての前記荷電粒子ビームの開口数含む、請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記荷電粒子ビームの3次元モデルを生成することと表示することとのうちの少なくとも一方、
選択された1つまたは複数の方位面内の前記荷電粒子ビームの1つまたは複数の2次元表現を生成することと表示することとのうちの少なくとも一方、および
デフォーカス距離の関数としての前記荷電粒子ビームのビーム幅の1つまたは複数の1次元表現を生成することと表示することとのうちの少なくとも一方、
のうちの少なくとも1つまたは複数をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項17】
前記荷電粒子ビームを調整するために、前記少なくとも1つのビーム収束値に基づいて、ビームに影響を与える少なくとも1つの要素を変更することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つのビーム収束値を入力パラメータとして使用する反復当てはめルーチンによって、前記荷電粒子ビームの1つまたは複数のビーム収差係数を決定することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項19】
光軸沿って伝搬する荷電粒子ビーム放出するための荷電粒子源
試料ステージ
前記試料ステージに置かれた試料向かって前記荷電粒子ビームを集束させるための集束レンズ
前記試料から放出された信号粒子を検出するための荷電粒子検出器
プロセッサおよびメモリと
を備える荷電粒子ビームシステムであって、前記メモリが、前記プロセッサによって実行されたときに、前記荷電粒子ビームシステムに、請求項に記載の方法を実行させる命令を記憶する、
荷電粒子ビームシステム。
【請求項20】
光軸沿って伝搬する荷電粒子ビーム放出するための荷電粒子源
試料ステージ
前記試料ステージに置かれた試料向かって前記荷電粒子ビームを集束させるための集束レンズ
前記試料から放出された信号粒子を検出するための荷電粒子検出器
プロセッサおよびメモリと
を備える荷電粒子ビームシステムあって、前記メモリが、前記プロセッサによって実行されたときに、前記荷電粒子ビームシステムに、
(x1)1つまたは複数のデフォーカス距離ところで撮影された前記試料の1つまたは複数の像ら1つまたは複数のビーム断面検索すること、
(x2)前記1つまたは複数のビーム断面ら1つまたは複数のビーム幅決定すること、ならびに
(x3)前記1つまたは複数のビーム幅よび前記1つまたは複数のデフォーカス距離基づいて少なくとも1つのビーム収束値を計算すること
を実行させる命令を記憶する、
荷電粒子ビームシステム
【国際調査報告】