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特表2024-536931飼料添加組成物及びそれを使用する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】飼料添加組成物及びそれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/745 20150101AFI20241001BHJP
   A61K 35/747 20150101ALI20241001BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 47/08 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20241001BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20241001BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20241001BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20241001BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20241001BHJP
   A23L 33/17 20160101ALI20241001BHJP
   A23L 33/175 20160101ALI20241001BHJP
   A23L 33/15 20160101ALI20241001BHJP
   A23K 10/18 20160101ALI20241001BHJP
   A23K 20/189 20160101ALI20241001BHJP
【FI】
A61K35/745
A61K35/747
A61P1/04
A61P29/00
A61P43/00 171
A61P31/04 171
A61K9/10
A61K47/08
A61K47/10
A61K47/42
A61K9/48
A61K9/16
A61K47/18
A61K47/04
A61K47/12
A61K47/22
A23L33/135
A23L33/17
A23L33/175
A23L33/15
A23K10/18
A23K20/189
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543274
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-05-15
(86)【国際出願番号】 US2022044820
(87)【国際公開番号】W WO2023049488
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/248,657
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/248,668
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/397,189
(32)【優先日】2022-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397060588
【氏名又は名称】インターナショナル エヌ アンド エイチ デンマーク エーピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】ベルナルドゥ、マリオン
(72)【発明者】
【氏名】ペリー、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ポールセン、シャーロット、ホースマンズ
(72)【発明者】
【氏名】ベケレ-イトバレック、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ギブス、カースティ
(72)【発明者】
【氏名】サクサー クアンス、ゲルダ
(72)【発明者】
【氏名】メイシュ、ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンタール、アダム
(72)【発明者】
【氏名】ブレナン、メラニー
【テーマコード(参考)】
2B150
4B018
4C076
4C087
【Fターム(参考)】
2B150AA03
2B150AA05
2B150AB10
2B150AC06
2B150AC08
2B150AD03
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2B150AE02
2B150AE05
2B150AE07
2B150AE50
2B150BD06
2B150BE04
2B150CE02
2B150CE05
2B150CE07
2B150CJ07
2B150DA23
2B150DA47
2B150DC23
2B150DD31
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2B150DF10
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2B150DH02
2B150DH03
2B150DH05
2B150DH35
2B150DJ26
4B018MD19
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4B018MD87
4B018MD90
4B018ME14
4B018MF02
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4C076AA31
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC04
4C076CC16
4C076CC32
4C076CC40
4C076DD26
4C076DD37
4C076DD40
4C076DD41
4C076DD51D
4C076DD60
4C076EE41
4C076FF14
4C087AA01
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4C087AA03
4C087BC58
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4C087CA08
4C087MA02
4C087MA17
4C087MA52
4C087NA14
4C087ZA66
4C087ZB11
4C087ZB35
4C087ZC61
(57)【要約】
本明細書で提供されるのは、特に、直接給与生菌(DFM)及び他の物質を含む飼料又は飼料添加組成物並びに対象の性能の改善及びバランスの取れた腸内マイクロバイオームの維持のためにそれを製造及び使用する方法である。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)を含む直接給与生菌(DFM)を含むか又はそれから本質的になる飼料添加組成物。
【請求項2】
浸透圧調節剤をさらに含むか又はそれから本質的になる、請求項1に記載の飼料添加組成物。
【請求項3】
少なくとも1種の精油をさらに含むか又はそれから本質的になる、請求項1又は2に記載の飼料添加組成物。
【請求項4】
プロテアーゼ、キシラナーゼ、ベータ-グルカナーゼ、フィターゼ及びアミラーゼからなる群から選択される1種又は複数の酵素をさらに含むか又はそれから本質的になる、請求項1~3の何れか一項に記載の飼料添加組成物。
【請求項5】
前記酵素は、カプセル化されるか、又は顆粒の形態であるか、又は凍結乾燥される、請求項4に記載の飼料添加組成物。
【請求項6】
ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)Bl-04株を含むか又はそれから本質的になる、請求項1~5の何れか一項に記載の飼料添加組成物。
【請求項7】
ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)NCFM株を含むか又はそれから本質的になる、請求項1~6の何れか一項に記載の飼料添加組成物。
【請求項8】
前記浸透圧調節剤は、ベタインを含む、請求項1~7の何れか一項に記載の飼料添加組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1種の精油は、桂皮アルデヒド、カルバクロール及び/又はチモールを含む、請求項1~8の何れか一項に記載の飼料添加組成物。
【請求項10】
少なくとも1種の追加のDFMをさらに含むか又はそれから本質的になる、請求項1~9の何れか一項に記載の飼料添加組成物。
【請求項11】
アスパラギン酸(アスパラギン酸塩)、オルニチン、アルギニン、リン酸塩、酢酸塩及び/又はビタミンBの1つ又は複数をさらに含むか又はそれから本質的になる、請求項1~10の何れか一項に記載の飼料添加組成物。
【請求項12】
前記ビタミンBは、ビタミンB、B及び/又はB12の1つ又は複数である、請求項1~11の何れか一項に記載の飼料添加組成物。
【請求項13】
前記組成物の少なくとも1種の構成成分は、水道送達のために製剤化される、請求項1~12の何れか一項に記載の飼料添加組成物。
【請求項14】
請求項1~12の何れか一項に記載の飼料添加組成物を含む動物飼料又はプレミックス。
【請求項15】
壊死性腸炎の処置又は予防を、それを必要とする対象において行う方法であって、前記対象に、請求項1~13の何れか一項に記載の飼料添加組成物又は請求項14に記載の動物飼料若しくはプレミックスの有効量を投与することを含む方法。
【請求項16】
前記対象は、家禽又はブタである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記家禽は、ブロイラ、又は産卵ニワトリ、又はシチメンチョウである、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記ブタは、子ブタ、成長期のブタ又は雌ブタである、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項19】
壊死性腸炎の腸病変を軽減予防する、請求項15~18の何れか一項に記載の方法。
【請求項20】
請求項1~13の何れか一項に記載の飼料添加組成物又は請求項14に記載の動物飼料若しくはプレミックスの有効量を投与されていない対象と比較して、前記対象における飼料要求率をさらに低下させるか、飼料効率を増加させるか、死亡率を低下させるか、最終屠殺重量を増加させるか又は体重増加を増加させる、請求項15~19の何れか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記対象は、臨床的又は亜臨床的な壊死性腸炎を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)壊死性腸炎B様毒素(NetB)の発現をさらに減少させる、請求項15~21の何れか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記飼料添加組成物は、水道によって投与される、請求項15~22の何れか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記投与は、前記対象への抗生物質の共投与なしに実施される、請求項15~23の何れか一項に記載の方法。
【請求項25】
コクシジウム症の処置又は予防を、それを必要とする対象において行う方法であって、前記対象に、請求項1~13の何れか一項に記載の飼料添加組成物又は請求項14に記載の動物飼料若しくはプレミックスの有効量を投与することを含む方法。
【請求項26】
前記対象は、家禽である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記家禽は、ブロイラ又は産卵ニワトリである、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
前記対象における飼料要求率を低下させるか、飼料効率を増加させるか、死亡率を低下させるか、最終屠殺重量を増加させるか又は体重増加を増加させる、請求項25~27の何れか一項に記載の方法。
【請求項29】
1種又は複数の腸内エイメリア属(Eimeria)種を減少させる、請求項25~28の何れか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記飼料添加組成物の少なくとも1種の構成成分は、水道によって投与される、請求項25~29の何れか一項に記載の方法。
【請求項31】
クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)中における壊死性腸炎B様毒素(NetB)発現を減少させる方法であって、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞をアスパラギン酸(アスパラギン酸塩)、オルニチン、アルギニン、リン酸塩、酢酸塩、ビタミンBの1つ若しくは複数及び/又はB.アニマリス(B.animalis)若しくはL.アシドフィルス(L.acidophilus)の一方若しくは両方のセクレトームと接触させることを含む方法。
【請求項32】
前記ビタミンBは、ビタミンB、B及び/又はB12の1つ又は複数である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記B.アニマリス(B.animalis)は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)Bl-04株であり、及び/又は前記L.アシドフィルス(L.acidophilus)は、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)NCFM株である、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
前記C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞は、家禽の腸内にある、請求項31~33の何れか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記家禽は、ニワトリ、ウズラ、アヒル、ガチョウ、エミュー、ダチョウ、キジ又はシチメンチョウである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ニワトリは、ブロイラ又は産卵ニワトリである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞を浸透圧調節剤及び/又は少なくとも1種の精油の1つ又は複数と接触させることをさらに含む、請求項31~36の何れか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記浸透圧調節剤は、ベタインを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも1種の精油は、桂皮アルデヒド、カルバクロール及び/又はチモールを含む、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項40】
クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)中における壊死性腸炎B様毒素(NetB)発現の減少を、それを必要とする対象において行う方法であって、前記対象に、請求項1~13の何れか一項に記載の飼料添加組成物又は請求項14に記載の動物飼料若しくはプレミックスの有効量を投与することを含むか又はそれから本質的になり、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞は、前記対象の腸内にある、方法。
【請求項41】
前記対象は、家禽又はブタである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記家禽は、ブロイラ、又は産卵ニワトリ、又はシチメンチョウである、請求項40又は41に記載の方法。
【請求項43】
前記ブタは、子ブタ、成長期のブタ又は雌ブタである、請求項40又は41に記載の方法。
【請求項44】
壊死性腸炎の腸病変を軽減又は予防する、請求項40~43の何れか一項に記載の方法。
【請求項45】
請求項1~13の何れか一項に記載の飼料添加組成物又は請求項14に記載の動物飼料若しくはプレミックスの有効量を投与されていない対象と比較して、前記対象における飼料要求率をさらに低下させるか、飼料効率を増加させるか、死亡率を低下させるか、最終屠殺重量を増加させるか又は体重増加を増加させる、請求項40~44の何れか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記対象は、臨床的又は亜臨床的な壊死性腸炎を有する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記飼料添加組成物は、水道によって投与される、請求項40~46の何れか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記投与は、前記対象への抗生物質の共投与なしに実施される、請求項40~47の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年9月27日に出願された米国仮特許出願第63/248,657号明細書、2021年9月27日に出願された米国仮特許出願第63/248,668号明細書及び2022年8月11日に出願された米国仮特許出願第63/397,189号明細書に対する優先権を主張するものであり、これらの各々の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書で提供されるのは、特に、壊死性腸炎及び/又はコクシジウム症の処置及び予防を、それを必要とする対象において行うための方法及び組成物である。
【背景技術】
【0003】
壊死性腸炎(NE)は、世界の養鶏業に毎年約60億米ドルの損害を与えていると推定されている(Poultry Federation,2019)。NEは、世界のブロイラの40%に影響を及ぼしており、1羽当たり約0.050~0.063米ドルの損害を与えている。NE重症度には、10~25%の死亡率を伴う急性臨床疾患から、鳥の成長成績(体重増加及び飼料要求率)の阻害及び低い死亡率(0.5~2%)をもたらすより慢性的な亜臨床感染に至るまで様々なレベルがある。
【0004】
抗生物質耐性は、特に大規模な農業及び食肉生産に関連して、2019年にはWHOの世界の人々の健康に対する脅威の上位10のリストに入っている。米国食品医薬品局によれば、販売されている抗生物質の80%は、家畜に使用されている。多くの国では、畜産における抗生物質使用の禁止が既に実施されており、他の国では、消費者の圧力により、業界は、抗生物質成長促進剤(AGP)の使用を中止せざるを得ない。抗生物質成長促進剤の使用の突然の中止により、畜産業は、大きいプレッシャーに曝されている。
【0005】
家禽システムでの抗生物質の世界的な排除の傾向により、栄養士及び獣医に重大な課題が生じ続けている。NE及びコクシジウム症は、抗生物質生産の減少に関する上位2つの懸念事項である。抗生物質による防御線がないことにより、腸の健康関連疾患(臨床的及び亜臨床の両方)に対する動物の感受性が増加している。これは、動物の性能の低下に結びつく。世界の多くの地域では、10年超にわたってAGPが使用されていないにもかかわらず(例えば、欧州連合)、家畜生産者は、一貫した信頼できる抗生物質の代替品がないことに不満を抱き続けている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
畜産におけるAGPの代替となる現在の飼料添加剤(例えば、酸性化剤、ミネラル、プレバイオティクス、直接給与生菌(DFM;別名、プロバイオティクス)、ヌクレオチド及び植物抽出物(Liu et al.,2018,Animal Nutrition,4:113-125))は、全て抗生物質(約95%)と比べてはるかに低い有効性(50%未満)を示す。従って、抗生物質耐性の増加と関連する悪影響を伴うことなく、家畜の健康及び性能を維持し得る抗生物質の代替物を見出すという大きい必要性が満たされていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で開示される主題は、この要求に対処すると共に、さらなる利点も提供する。
【0008】
本明細書で提供されるのは、特に、直接給与生菌(DFM)及び他の物質を含む飼料又は飼料添加組成物と、対象の性能の改善並びに健康及び/又はバランスの取れた腸内マイクロバイオームの維持のためにこれらを製造及び使用する方法とである。
【0009】
従って、いくつかの態様では、本明細書で提供されるのは、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)を含む直接給与生菌(DFM)を含むか又はそれから本質的になる飼料添加組成物である。いくつかの実施形態では、この飼料添加組成物は、浸透圧調節剤をさらに含むか又はそれから本質的になる。本明細書で開示される実施形態の何れかのいくつかの実施形態では、この飼料添加組成物は、少なくとも1種の精油をさらに含むか又はそれから本質的になる。本明細書で開示される実施形態の何れかのいくつかの実施形態では、この飼料添加組成物は、プロテアーゼ、キシラナーゼ、ベータ-グルカナーゼ、フィターゼ及びアミラーゼからなる群から選択される1種又は複数の酵素をさらに含むか又はそれから本質的になる。いくつかの実施形態では、この酵素は、カプセル化されるか、又は顆粒の形態であるか、又は凍結乾燥される。本明細書で開示される実施形態の何れかのいくつかの実施形態では、この飼料添加組成物は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)Bl-04株を含むか又はそれから本質的になる。本明細書で開示される実施形態の何れかのいくつかの実施形態では、この飼料添加組成物は、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)NCFM株を含むか又はそれから本質的になる。本明細書で開示される実施形態の何れかのいくつかの実施形態では、浸透圧調節剤は、ベタインを含む。本明細書で開示される実施形態の何れかのいくつかの実施形態では、少なくとも1種の精油は、桂皮アルデヒド、カルバコル及び/又はチモールを含む。本明細書で開示される実施形態の何れかのいくつかの実施形態では、この飼料添加組成物は、少なくとも1種の追加のDFMをさらに含むか又はそれから本質的になる。本明細書で開示される実施形態の何れかのいくつかの実施形態では、この飼料添加組成物は、アスパラギン酸(アスパラギン酸塩)、オルニチン、アルギニン、リン酸塩、酢酸塩及び/又はビタミンBの1つ又は複数をさらに含むか又はそれから本質的になる。本明細書で開示される実施形態の何れかのいくつかの実施形態では、ビタミンBは、ビタミンB、B及び/又はB12の1つ又は複数である。本明細書で開示される実施形態の何れかのいくつかの実施形態では、この組成物の少なくとも1種の構成成分は、水道送達のために製剤化される。
【0010】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書で開示される飼料添加組成物の何れかを含む動物飼料又はプレミックスである。
【0011】
さらなる態様では、本明細書で提供されるのは、壊死性腸炎の処置又は予防を、それを必要とする対象において行う方法であって、この対象に、本明細書で開示される飼料添加組成物の何れか又は本明細書で開示される動物飼料若しくはプレミックスの何れかの有効量を投与することを含む方法である。いくつかの実施形態では、この対象は、家禽又はブタである。本明細書で開示される実施形態の何れかのいくつかの実施形態では、この家禽は、ブロイラ、又は産卵ニワトリ、又はシチメンチョウである。本明細書で開示される実施形態の何れかのいくつかの実施形態では、このブタは、子ブタ、成長期のブタ又は雌ブタである。本明細書で開示される実施形態の何れかのいくつかの実施形態では、前記方法は、壊死性腸炎の腸病変を軽減又は予防する。本明細書で開示される実施形態の何れかのいくつかの実施形態では、前記方法は、本明細書で開示される飼料添加組成物の何れか又は本明細書で開示される動物飼料若しくはプレミックスの何れかの有効量を投与されていない対象と比較して、この対象における飼料要求率をさらに低下させるか、飼料効率を増加させるか、死亡率を低下させるか、最終屠殺重量を増加させるか又は体重増加を増加させる。いくつかの実施形態では、対象は、臨床的又は亜臨床的な壊死性腸炎を有する。本明細書で開示される実施形態の何れかのいくつかの実施形態では、前記方法は、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)壊死性腸炎B様毒素(NetB)の発現をさらに減少させる。本明細書で開示される実施形態の何れかのいくつかの実施形態では、この飼料添加組成物は、水道によって投与される。本明細書で開示される実施形態の何れかのいくつかの実施形態では、前記投与は、この対象への抗生物質の共投与なしに実施される。
【0012】
さらなる態様では、本明細書で提供されるのは、コクシジウム症の処置又は予防を、それを必要とする対象において行う方法であって、この対象に、本明細書で開示される飼料添加組成物の何れか又は本明細書で開示される動物飼料若しくはプレミックスの何れかの有効量を投与することを含む方法である。いくつかの実施形態では、この対象は、家禽である。本明細書で開示される実施形態の何れかのいくつかの実施形態では、この家禽は、ブロイラ又は産卵ニワトリである。本明細書で開示される実施形態の何れかのいくつかの実施形態では、前記方法は、対象における飼料要求率を低下させるか、飼料効率を増加させるか、死亡率を低下させるか、最終屠殺重量を増加させるか又は体重増加を増加させる。本明細書で開示される実施形態の何れかのいくつかの実施形態では、前記方法は、1種又は複数の腸内エイメリア属(Eimeria)種を減少させる。本明細書で開示される実施形態の何れかのいくつかの実施形態では、この飼料添加組成物の少なくとも1種の構成成分は、水道によって投与される。
【0013】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)中における壊死性腸炎B様毒素(NetB)発現を減少させる方法であって、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞をアスパラギン酸(アスパラギン酸塩)、オルニチン、アルギニン、リン酸塩、酢酸塩、ビタミンBの1つ若しくは複数及び/又はB.アニマリス(B.animalis)若しくはL.アシドフィルス(L.acidophilus)の一方若しくは両方のセクレトームと接触させることを含む方法である。いくつかの実施形態では、ビタミンBは、ビタミンB、B及び/又はB12の1つ又は複数である。本明細書で開示される実施形態の何れかのいくつかの実施形態では、B.アニマリス(B.animalis)は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)Bl-04株であり、及び/又はL.アシドフィルス(L.acidophilus)は、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)NCFM株である。本明細書で開示される実施形態の何れかのいくつかの実施形態では、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞は、家禽の腸内にある。いくつかの実施形態では、この家禽は、ニワトリ、ウズラ、アヒル、ガチョウ、エミュー、ダチョウ、キジ又はシチメンチョウである。いくつかの実施形態では、このニワトリは、ブロイラ又は産卵ニワトリである。本明細書で開示される実施形態の何れかのいくつかの実施形態では、この方法は、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞を浸透圧調節剤及び/又は少なくとも1種の精油の1つ又は複数と接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、この浸透圧調節剤は、ベタインを含む。本明細書で開示される実施形態の何れかのいくつかの実施形態では、この少なくとも1種の精油は、桂皮アルデヒド、カルバコル及び/又はチモールを含む。
【0014】
さらなる態様では、本明細書で提供されるのは、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)中における壊死性腸炎B様毒素(NetB)発現の減少を、それを必要とする対象において行う方法であって、本明細書で開示される飼料添加組成物の何れか又は本明細書で開示される動物飼料若しくはプレミックス組成物の何れかの有効量を投与することを含むか又はそれから本質的になり、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞は、この対象の腸内にある、方法である。いくつかの実施形態では、この対象は、家禽又はブタである。本明細書で開示される実施形態の何れかのいくつかの実施形態では、この家禽は、ブロイラ、又は産卵ニワトリ、又はシチメンチョウである。本明細書で開示される実施形態の何れかのいくつかの実施形態では、このブタは、子ブタ、成長期のブタ又は雌ブタである。本明細書で開示される実施形態の何れかのいくつかの実施形態では、前記方法は、壊死性腸炎の腸病変を軽減又は予防する。本明細書で開示される実施形態の何れかのいくつかの実施形態では、前記方法は、本明細書で開示される飼料添加組成物の何れか又は本明細書で開示される動物飼料若しくはプレミックスの何れかの有効量を投与されていない対象と比較して、この対象における飼料要求率をさらに低下させるか、飼料効率を増加させるか、死亡率を低下させるか、最終屠殺重量を増加させるか又は体重増加を増加させる。いくつかの実施形態では、この対象は、臨床的又は亜臨床的な壊死性腸炎を有する。本明細書で開示される実施形態の何れかのいくつかの実施形態では、この飼料添加組成物は、水道によって投与される。本明細書で開示される実施形態の何れかのいくつかの実施形態では、前記投与は、この対象への抗生物質の共投与なしに実施される。
【0015】
本明細書で説明される態様及び実施形態のそれぞれは、この実施形態又は態様の状況から明示的に又は明確に排除されない限り、一緒に使用可能である。
【0016】
本明細書全体を通して、様々な特許、特許出願及び他のタイプの刊行物(例えば、学術論文、電子データベース入力等)が参照される。本明細書で引用される全ての特許、特許出願及び他の刊行物の開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】試験の処置毎の鳥(D42)の平均最終屠殺体重を表す箱ひげ図を示す。各点は、処置内の反復ペンを示す。有意性は、負荷コントロール(CC)と比較したP<0.05で決定する。
図1B】試験の処置毎の鳥(D42)の平均飼料要求率(FCR)を表す箱ひげ図を示す。各点は、処置内の反復ペンを示す。有意性は、負荷コントロール(CC)と比較したP<0.05で決定する。
【0018】
図2A】D21での処置による0~4の採点システムに基づく個々の鳥の壊死性腸炎病変スコアを示す。処置毎に24羽の鳥を評価した。NE病変が最少の処置は、ベタイン、EO及びDFMのみを含んだ。
図2B】D28での処置毎の鳥の平均体重を表す箱ひげ図を示す。各点は、処置内の反復ペンを示す。有意性は、負荷コントロール(CC)と比較したP<0.05で決定する。
図2C】処置(D35)毎の鳥の平均最終屠殺体重を表す箱ひげ図を示す。各点は、処置内の反復ペンを示す。有意性は、負荷コントロール(CC)と比較したP<0.05で決定する。
図2D】腸透過性を決定する方法として処置全体にわたる平均血清FITC-デキストランレベル(μg/mL)を表す箱ひげ図を示す。各反復ペンからの1羽の鳥を評価し、処置後に8羽の鳥を提供した。各点は、1羽の鳥を表す。有意性は、負荷コントロール(CC)と比較したP<0.05で決定する。
図2E】処置(D42)毎の鳥の平均飼料要求率(FCR)を表す箱ひげ図を示す。各点は、処置内の反復ペンを示す。有意性は、負荷コントロール(CC)と比較したP<0.05で決定する。
【0019】
図3A】qPCRを使用して決定され、且つ試験のD21でのLog10CFU/腸スワブとして表されるC.パーフリンジェンス(C.perfringens)の計数を示す。
図3B】試験のD21で採取され、且つ回腸スワブ毎のlog10遺伝子コピー数として表される腸スワブにおけるnetB遺伝子の発現を示す。
【0020】
図4】実施例4で説明されるクロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)阻害アッセイのセットアップを示すグリッドを示す。
【0021】
図5】Bl-04及び精油によるクロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)の阻害率を示す一連の棒グラフを示す。
【0022】
図6】NCFM及び精油によるクロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)の阻害率を示す一連の棒グラフを示す。
【0023】
図7A】10個のクラスタに組織化された最小M9培地中で嫌気的に増殖させた個々のC.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞からのマーカー遺伝子発現(対数変換値のzスコア)のヒートマップである。
図7B】アルギニン生合成での最終工程の概略を示す。
図7C】BHI単独で増殖させるか又はアスパラギン酸塩、オルニチン若しくはアルギニンの存在下でのBHIで増殖させたC.パーフリンジェンス(C.perfringens)培養物によって増殖培地中に分泌されたNetB毒素のウエスタンブロットを示す。
図7D】BHI単独(明)又はBHI+アスパラギン酸塩(暗)の何れかで増殖させたC.パーフリンジェンス(C.perfringens)培養物の単一細胞クラスタリングを示すUMIプロットを示す。
図7E】ヒト上皮HT-29細胞でアスパラギン酸塩、オルニチン又はアルギニンの存在下又は非存在下において増殖させたC.パーフリンジェンス(C.perfringens)培養物からの馴化培地の細胞毒性を示す。
【0024】
図8】無補充増殖培地(BHI)で増殖させた場合に検出された細胞外毒素と比較して、リン酸アンモニウム、酢酸ナトリウム又はビタミンB(ビタミンB1、B6及びB12)をクロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)の培養物に添加した場合のNetB毒素産生を検出するウエスタンブロットを示す。
【0025】
図9A】(上部)BHI単独(明)、BHI+ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)の2.5%セクレトーム(中程度)又はBHI+ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)の5%セクレトーム(暗)の何れかで増殖させたC.パーフリンジェンス(C.perfringens)培養物の単一細胞クラスタリングを示し、(下部)BHI単独、BHI+ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)の2.5%セクレトーム又はBHI+ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)の5%セクレトームの何れかで増殖させたnetB遺伝子の相補的C.パーフリンジェンス(C.perfringens)単一細胞発現を示す、UMIプロットを示す。
図9B】(上部)BHI単独(明)又はBHI+ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)セクレトーム(暗)の何れかで増殖させたC.パーフリンジェンス(C.perfringens)培養物の単一細胞クラスタリングを示し、(下部)BHI又はBHI+L.アシドフィルス(L.acidophilus)セクレトームで増殖させたnetB遺伝子の相補的C.パーフリンジェンス(C.perfringens)単一細胞発現を示す、UMIプロットを示す。
図9C】BHI単独又はビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)セクレトーム若しくはL.アシドフィルス(L.acidophilus)セクレトームの存在下でのBHIで増殖させたC.パーフリンジェンス(C.perfringens)培養物によって増殖培地中に分泌されたNetB毒素のウエスタンブロットを示す。
図9D】ヒト上皮HT-29細胞でビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)セクレトーム、L.アシドフィルス(L.acidophilus)セクレトーム又は両方のセクレトームの組み合わせの存在下又は非存在下において増殖させたC.パーフリンジェンス(C.perfringens)培養物からの馴化培地の細胞毒性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)は、1961年に初めて説明された家禽の腸疾患である鳥類壊死性腸炎(NE)の主な病原体である。ニワトリでは、NEは、急性又は慢性の腸毒血症として現れる。この急性疾患により、腸壁に広範な壊死性病変の発生に起因して死亡率が著しく高くなり、この慢性疾患により、生産性及び福祉が著しく損なわれる。この疾患により、養鶏業が毎年数十億米ドルの損害を受けると推定されている。
【0027】
C.パーフリンジェンス(C.perfringens)は、家禽の消化管でよく見出されている。C.パーフリンジェンス(C.perfringens)は、グラム陽性、棒状、胞子形成性、酸素耐性の嫌気性菌である。C.パーフリンジェンス(C.perfringens)は、4種の疑わしい主要な毒素(アルファ、ベータ、イプシロン及びイオタ)の産生に基づいて5種の毒素タイプ(A、B、C、D及びE)に分類される。A型は、ニワトリの腸から常に回収されるが、他のタイプは、あまり一般的ではない。
【0028】
NEの初期研究により、この疾患に関与する主な病原性因子が細菌によって分泌されることが示唆されており、アルファ-毒素と呼ばれるホスホリパーゼC酵素が病因に関与する主要な毒素であると提唱された。しかしながら、最近の研究から、アルファ毒素マイナス変異体株もNEを引き起こす可能性があったことから、アルファ-毒素は必須の病原性因子ではないと思われことが示されており、このことから、疾患全般におけるアルファ-毒素の役割に疑問が生じている。その後の研究では、この疾患の発症には新規の孔形成毒素NetBが重要な役割を果たすことが示唆されている。
【0029】
コクシジウム症は、依然としてNE発生の第1の素因である。養鶏業者は、可能であれば、典型的にはコクシジウム症管理プログラムを使用して、NE発生を回避する。生産者は、球菌ワクチン接種の一貫性の欠如に不満を感じ続けており、生産者は、イオノフォア/化学プログラムを交代させて耐性の発生を回避しなければならない。従って、NE管理のために開発されたあらゆる解決策を、NEの素因としてコクシジウム症の原因寄生生物であるエイメリア属(Eimeria)を使用するモデルで評価すべきであり、インビトロ及びインビボ(病変採点)で抗エイメリア属(Eimeria)効果を評価すべきである。
【0030】
本出願の発明者らは、驚くべきことに、特定の活性剤が、組み合わせて使用される場合、鳥類におけるNEの病原体であるクロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)の感染生物学に直接的に干渉し、且つ/又は宿主及び/若しくはその内因性腸内微生物叢に間接的に干渉して、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)の感染生物学を調節することを発見した。本発明は、負荷時の腸内のC.パーフリンジェンス(C.perfringens)レベルを低下させ、クオラムセンシングを低下させ、そのため毒素発現を低下させ(具体的には、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞によって産生される壊死性腸炎B様毒素(NetB)の量を減少させ)、鳥類が(食餌又はコクシジウム症曝露により)NEにかかりやすいか又はNEによって負荷された場合にNE腸病変の発生を低下させる。さらに、開示される本発明は、NE負荷中、局所的な腸炎症を軽減し、且つ/又は腸の完全性を支持/維持し、その結果、NE負荷の存在下でNE死亡率が減少し、且つ鳥の性能(体重増加及び/又は飼料要求率)が改善される。本発明は、正の腸内微生物叢も支持する。
【0031】
I.定義
「動物」及び「対象」という用語は、本明細書では同義で使用され、且つ非反芻動物(即ち単胃動物)を指す。単胃動物の例として、ブタ(pig)及びブタ(swine)、例えば、子ブタ、成長期のブタ、雌ブタ;並びに家禽が挙げられるが、これらに限定されない。「家禽」という用語は、本明細書で使用される場合、卵、肉又は羽毛のためにヒトに飼われている家畜化された鳥を意味する。この鳥は、キジカモ(Galloanserae)上目の最も典型的なメンバーであり、特にキジ(Galliformes)目の最も典型的なメンバーであり、このメンバーとして、ニワトリ、ウズラ、アヒル、ガチョウ、エミュー、ダチョウ、キジ及びシチメンチョウが挙げられるが、これらに限定されない。さらなる実施形態では、この動物は、ニワトリ、例えばブロイラ又は産卵ニワトリである。いくつかの実施形態では、この対象又は動物は、ヒトではない。
【0032】
本明細書で使用される場合、「予防する」、「予防すること」、「予防」及びこれらの文法的変化形は、障害若しくは状態(例えば、壊死性腸炎)及び/又はそれに付随する症状の1つ若しくは複数の発症又は再発を部分的又は完全に遅延させるか又は妨げる方法、又は動物が障害若しくは状態を獲得するか若しくは再獲得することを妨げる方法、又は動物が障害若しくは状態又はそれに付随する症状の1つ若しくは複数を獲得するか又は再獲得するリスクを低減する方法を指す。
【0033】
本明細書で使用される場合、特定の特色、特性、特徴、生物学的プロセス又は現象に関する「低減すること」という用語は、この特定の特色、特性、特徴、生物学的プロセス又は現象の減少を指す。この特色、特性、特徴、生物学的プロセス又は現象は、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%又は100%を超えて減少し得る。
【0034】
本明細書で使用される場合、「投与する」又は「投与すること」は、1種又は複数の微生物株、外因性飼料用酵素、飼料添加剤及び/又は株を給餌又は経管栄養等によって動物に導入する行為を意味する。一実施形態では、組成物を、対象が飲む水道によってこの対象に投与する。
【0035】
本明細書で使用される場合、「有効量」は、動物の1つ又は複数の測定基準を改善するための物質(例えば、ベタイン、直接給与生菌(DFM)又は精油(EO))の量を意味する。動物の1つ又は複数の測定基準の改善(例えば、限定されないが、飼料要求率(FCR)の改善;体重増加の改善;飼料効率の改善;腸内マイクロバイオームの状態の改善(即ちより多くの健康な(「良い」)細菌及び/若しくはより少ない不健康な(「悪い」)細菌;並びに/又は枝肉品質の改善の何れか)を、本明細書で説明されるように測定し得るか、又は当技術分野で既知の他の方法によって測定し得る。有効量は、この物質を含む飼料及び/又は水を自由に摂取させることによって動物に投与され得る。加えて、物質(例えば、ベタイン、DFM又はEO)は、1回又は複数回の用量でも投与され得る。同様に、いくつかの実施形態では、いくつかの物質(例えば、ベタイン又はEO)の有効量を飼料で投与し得るか、又は飼料の構成成分として投与し得、他の物質(例えば、1種又は複数のDFM)を水道によって投与し得る。
【0036】
「病原体」という用語は、本明細書で使用される場合、疾患のあらゆる原因物質を意味する。そのような原因物質として、細菌性原因物質、ウイルス性原因物質、真菌性原因物質等が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0037】
本明細書で使用される場合、「亜臨床」は、臨床症状を伴わないことを意味し;症状及び兆候が臨床検査若しくは臨床試験によって明らかになるか若しくは検出可能になる前の感染若しくは他の疾患(例えば、壊死性腸炎)の初期段階又は極めて軽症の感染若しくは他の疾患(例えば、壊死性腸炎)を指す。
【0038】
「飼料」及び「食料」は、それぞれ非ヒト動物及びヒトそれぞれによって食べられること、摂取されること、消化されることが意図されるか又は好適である任意の天然の若しくは人工の食物、食事等、又はそのような食物の構成成分を意味する。本明細書で使用される場合、「食料」という用語は、広義で使用され、ヒトのための食料及び食品並びに非ヒト動物のための食料(即ち飼料)に及ぶ。
【0039】
本明細書で使用される場合、「飼料(feed)」という用語は、本明細書では「飼料(feedstuff)」と同義に使用される。飼料は、動物に栄養を与えるために使用され、且つ新生児又は若くて発育中の動物等の動物の正常な又は加速された成長を維持するために使用される液体又は固体の物質を広く指す。この用語は、動物(例えば、ウズラ、アヒル、シチメンチョウ及びニワトリ等の家禽用)による摂取に適した化合物、調製物、混合物又は組成物を含む。いくつかの実施形態では、飼料又は飼料組成物は、基礎食品組成物と、1種又は複数の飼料添加剤又は飼料添加組成物とを含む。
【0040】
「飼料添加剤」という用語は、本明細書で使用される場合、飼料摂取を促進するか、疾患を処置若しくは予防するか、又は代謝を変化させるために、追加の構成成分で基礎飼料の栄養価を高める目的で含まれる構成成分を指す。しかしながら、いくつかの実施形態では、この飼料添加剤は、動物への水道送達のために製剤化され、飼料に直接添加されない。飼料添加剤として、プレミックスが挙げられる。本明細書で使用される場合、「飼料添加剤」という用語は、飼料に添加されるか又は飼料と共に投与される水に添加される物質も指す。飼料添加剤は、多くの理由で飼料に添加され得る。例えば、飼料の消化率を高め、飼料の栄養価を補い、レシピエントの免疫防御を改善し、且つ/又は飼料の保存可能期間を改善するためである。いくつかの実施形態では、この飼料添加剤は、飼料の栄養価を補い、且つ/又はレシピエントの免疫防御を改善する。いくつかの実施形態では、この飼料添加剤は、ヒトへの投与のためのものではない。
【0041】
「プレミックス」は、本明細書で言及される場合、微量成分(例えば、限定されないが、ビタミン、ミネラル、化学保存料、抗生物質、発酵生成物及び他の必須成分の1つ又は複数)から構成される組成物であり得る。プレミックスは、通常、市販の食料にブレンドするのに適した組成物である。
【0042】
「性能」という用語は、本明細書で使用される場合、飼料効率、及び/又は動物の体重増加、及び/又は飼料要求率、及び/又は飼料中の栄養素の消化率(例えば、アミノ酸消化率若しくはリン消化率)、及び/又は飼料中の可消化エネルギー若しくは代謝エネルギー、及び/又は窒素保持、及び/又は動物が疾患の悪影響を回避する能力又は対象の免疫応答によって決定され得る。性能の特徴として下記が挙げられ得るが、これらに限定されない:体重;増量;質量;体脂肪パーセンテージ;身長;体脂肪分布;成長;成長速度;乳生産量;ミネラル吸収:ミネラル排泄、ミネラル保持;骨密度;骨強度;飼料要求率(FCR);平均1日飼料摂取率(ADFI);平均1日増量(ADG)保持並びに/又は銅、ナトリウム、リン、窒素及びカルシウムの何れか1つ若しくは複数の分泌;アミノ酸の保持又は吸収;無機質化、骨石灰化、屠体収率及び屠体の質。
【0043】
本明細書で使用される場合、「飼料効率」という用語は、一定の期間中、動物に食物を適宜給与するか又は規定量の食物を給与する場合に起こる、動物の体重増加の量を指す。「飼料効率の増加」は、飼料中における又は水道送達による飲料水中における本発明に係る飼料添加組成物の使用による、前記飼料添加組成物が存在せずに給与された動物と比較した、飼料摂取の単位当たりの体重増加の上昇を意味する。
【0044】
本明細書で使用される場合、「飼料要求率」は、飼料質量の所望の生産量の増加への変換における対象の効率の尺度を指し、指定期間にわたる摂取された飼料の質量を生産量で除算することによって算出される。例えば、動物が食肉(例えば、牛肉)のために飼育されている場合、生産量は、この動物によって得られた質量であり得る。動物が別の意図された目的(例えば、乳生産)のために飼育されている場合、生産量は、異なる。「飼料要求率」という用語は、「飼料変換比」又は「飼料変換効率」という用語と同義で使用され得る。「より低い飼料要求率」又は「飼料要求率の改善」が意味するのは、飼料中での飼料添加組成物の使用により、飼料が前記飼料添加組成物を含まない場合に動物の体重を同量だけ増加させるために必要とされる飼料の量と比較して、動物の体重を規定量だけ増加させるために動物に給与する必要がある飼料の量が低いことである。
【0045】
本明細書で使用される場合、「微生物(microorganism)」又は「微生物(microbe)」は、細菌、真菌(例えば酵母)、ウイルス、原生動物及び他の微生物又は微視的生物を指す。
【0046】
「直接給与生菌」(「DFM」)という用語は、本明細書で使用される場合、十分な数で適用された場合にそのレシピエントに利益を付与し得る生きた(生存性)微生物の起源、即ちプレバイオティクスである。DFMは、細菌株等のそのような微生物の1種又は複数を含み得る。DFMのカテゴリには、バチルス属(Bacillus)属、乳酸菌及び酵母が含まれる。そのため、DFMという用語は、直接給与細菌、直接給与酵母、直接給与酵母及びこれらの組み合わせの1つ又は複数を包含する。バチルス属(Bacillus)は、胞子を形成する独特のグラム陽性桿菌である。これらの胞子は、極めて安定であり、熱、水分及びある範囲のpH等の環境条件に耐え得る。これらの胞子は、動物によって摂取されると活性な栄養細胞に発芽し、ミール及びペレット化飼料で使用され得る。乳酸菌は、いくつかの病原体に拮抗する、乳酸を産生するグラム陽性球菌である。乳酸菌は、やや熱に弱いと思われるため、これは、典型的には、ペレット化飼料で使用されない。乳酸菌の種類として、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ロイコノストック属(Leuconostoc)、ペディオコッカス属(Pediococcus)及びストレプトコッカス属(Streptococcus)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
「プロバイオティクス」、「プロバイオティクス培養物」及び「DFM」という用語は、本明細書では同義で使用され、例えば十分な数で摂取されるか又は局所的に適用された場合には宿主生物に有益な影響を及ぼす(即ち消化上及び/又は性能上の利益等の1つ又は複数の実証可能な利益(例えば、健康上の利益又はバランスが取れた腸内微生物叢の利益)を宿主生物に付与することによって宿主生物に有益な影響を及ぼす)生きた微生物(例えば、細菌又は酵母を含む)を定義する。プロバイオティクスは、1つ又は複数の粘膜表面での微生物バランスを改善し得る。例えば、この粘膜表面は、腸、尿路、気道又は皮膚であり得る。「プロバイオティクス」という用語は、本明細書で使用される場合、免疫系の有益な分岐を刺激し得、同時に粘膜表面(例えば、腸)での炎症反応を減少させ得る生きた微生物も包含する。プロバイオティクス摂取に関しては下限も上限も存在しないが、1日用量として少なくとも10~1012、例えば少なくとも10~1010、例えば10~10コロニー形成単位(cfu)が対象において有益な効果を得るのに有効であることが示唆されている。
【0048】
「CFU」という用語は、本明細書で使用される場合、「コロニー形成単位」を意味し、コロニーが単一の前駆細胞に由来する細胞の凝集体を表す生存細胞の尺度である。
【0049】
本明細書で使用される場合、「セクレトーム」は、細胞によって産生されて分泌される有機分子と無機元素との総体を意味する。増殖条件が示される場合、セクレトームは、この増殖条件下で細胞によって産生されて分泌される有機分子と無機元素との総体である。セクレトームは、細胞上清及びその上清の画分で回収され得ることが理解されるであろう。
【0050】
本明細書で使用される場合、「浸透圧調節剤」という用語は、細胞の内部と細胞の外部との間の浸透圧のバランスを取ることにより、高浸透圧環境下での細胞の生存を促進する化合物を意味する。一実施形態では、浸透圧調節剤は、ベタインである。
【0051】
本明細書で使用される場合、「ベタイン」という用語は、トリメチルグリシンを指す。この化合物は、トリメチルアンモニオアセテート、1-カルボキシ-N,N,N-トリメチルメタンアミニウム、内塩及びグリシンベタインとも呼ばれる。これは、式
【化1】
を有する天然に存在する第四級アンモニウム型化合物である。
【0052】
ベタインは、酸性溶液とアルカリ性溶液の両方を中和可能な、親水性部分(COO-)及び疎水性部分(N+)を含む二極構造を有する。純粋な形態では、ベタインは、水及び低級アルコールで容易に溶ける白色の結晶性化合物である。本発明では、ベタインは、例えば、無水形態若しくは水和物又は動物飼料で許容される塩として使用され得る。一実施形態では、ベタインは、存在する場合、遊離双性イオンとして存在する。一実施形態では、ベタインは、存在する場合、無水ベタインとして存在する。一実施形態では、ベタインは、存在する場合、一水和物として存在する。「ベタイン」には、天然由来のベタイン及び合成ベタインも含まれる。
【0053】
本明細書で使用される場合、「動物飼料で許容される塩」は、レシピエントへの投与により、本明細書で説明される化合物又は化合物の誘導体を直接的に又は間接的に提供可能なあらゆる非毒性塩を意味する。許容される塩を形成するために一般に利用される酸として、下記が挙げられる:無機酸(例えば、二硫化水素、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸及びリン酸)並びに有機酸(例えば、パラトルエンスルホン酸、サリチル酸、酒石酸、二酒石酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ベシル酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、ギ酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、乳酸、シュウ酸、パラブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸及び酢酸)並びに関連する無機酸及び有機酸。そのため、そのような動物飼料で許容される塩として、下記が挙げられる:硫酸塩、ピロ硫酸塩、二硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプリン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン-1,4-二酸塩、ヘキシン-1,6-二酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、[ベータ]-ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、マンデル酸塩及び同様の塩。好ましい動物飼料で許容される酸付加塩として、塩酸及び臭化水素酸等の鉱酸で形成されたもの並びにマレイン酸等の有機酸で形成されたものが挙げられる。飼料で許容される塩の形成に適した陽イオンとして、とりわけアンモニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びアルミニウムの陽イオンが挙げられる。
【0054】
本明細書で使用される場合、「精油」は、この油が得られる植物から蒸留され得るか若しくは抽出され得るか又は合成で製造され得、且つこの植物の特徴的な香りに寄与する全ての化合物のセットを指す。例えば、H.McGee,On Food and Cooking,Charles Scribner’s Sons,p.154-157(1984)を参照されたい。精油の非限定的な例として、チモール及び桂皮アルデヒドが挙げられる。
【0055】
「ペプチド」、「タンパク質」及び「ポリペプチド」という用語は、本明細書では同義で使用され、ペプチド結合によって結合したアミノ酸のポリマーを指す。「タンパク質」又は「ポリペプチド」は、アミノ酸残基のポリマー配列を含む。アミノ酸に対して、本開示全体を通して、生物学的命名法に関するIUPAC-IUB連合委員会(JCBN)に準拠して定義された1文字コード及び3文字コードを使用する。1文字のXは、20種のアミノ酸の何れかを指す。遺伝子コードの縮重に起因して複数のヌクレオチド配列によってポリペプチドがコードされ得ることも理解される。
【0056】
「に由来する」及び「から得られる」という用語は、問題の生物の株によって産生されるか又は産生可能なタンパク質だけではなく、そのような株から単離されたDNA配列によってコードされ、且つそのようなDNA配列を含む宿主生物中で産生されるタンパク質も指す。加えて、この用語は、合成及び/又はcDNA起源のDNA配列によってコードされ、問題のタンパク質の識別特性を有するタンパク質を指す。
【0057】
特定の範囲は、本明細書では、「約」という用語が先行する数値で表される。「約」という用語は、本明細書では、この用語に先行される厳密な数並びにこの用語に先行される数に近い数又は近似した数に関するリテラルサポートを提供するために使用される。ある数が、具体的に列挙された数に近い数又は近似した数であるかどうかを判定するに当たっては、それが示される文脈において、具体的に列挙された数と実質的な均等物を提供する数が、列挙されない近い数又は近似した数であり得る。例えば、ある数値に関する「約」という用語は、この用語が文脈において別途明確に定義されない限り、この数値の-10%~+10%の範囲を指す。
【0058】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、文脈において明示的に示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0059】
特許請求の範囲は、あらゆる任意選択的な要素を排除するように記載され得ることにもさらに留意されたい。その場合、この記載は、特許請求の範囲の要素を列挙する又は「消極的な」限定を使用する状況において、「唯一の」、「のみ」等の排他的な用語を使用する場合の先行詞として機能することが意図される。
【0060】
「~から本質的になる」という語句は、本明細書で使用される場合、この語句の後の構成成分が、その総量が組成物全体の30重量%未満であり、且つこの構成成分の作用又は活性に寄与も干渉もしない他の既知の構成成分の存在下にある、組成物を指すことにも留意されたい。
【0061】
さらに、「~を含む」という用語は、本明細書で使用される場合、「~を含む」という用語の後の構成成分を含むがこれに限定されないことを意味することに留意すべきである。「~を含む」という用語の後の構成成分は、必要であるか又は必須であるが、この構成成分を含む組成物は、他の非必須の又は任意選択的な構成成分をさらに含み得る。
【0062】
「~からなる」という用語は、本明細書で使用される場合、「からなる」という用語の後の構成成分を含み且つこの構成成分に限定されることを意味することにも留意されたい。従って、「からなる」という用語の後の構成成分は、必要であるか又は必須であり、この組成物中に他の構成成分は存在しない。
【0063】
本明細書全体を通して示されるあらゆる個々の上限の数値は、それよりも低い個々の下限の数値を、そのようなより低い個々の下限の数値が本明細書に明示的に記載されたかのように含むことが意図される。本明細書全体を通して示されるあらゆる個々の下限の数値は、それよりも高い個々の上限の数値を、そのようなより高い個々の上限の数値が本明細書で明示的に記載されたかのように含む。本明細書全体を通して示されるあらゆる数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に含まれるあらゆるより狭い数値範囲を、あたかもそのようなより狭い数値範囲が全て本明細書に明示されたかのように含む。
【0064】
本明細書において別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0065】
本明細書全体を通して、用語の他の定義が出現する場合がある。
【0066】
II.組成物
本明細書で提供されるのは、1種若しくは複数の直接給与生菌(DFM;例えば、1種又は複数のビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/若しくはラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)を含むDFM)、並びに/又は1種若しくは複数の浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)、並びに/又は1種若しくは複数の精油(例えば、桂皮アルデヒド及び/若しくはチモール)、並びに/又は1種若しくは複数の酵素(例えば、プロテアーゼ、キシラナーゼ、ベータ-グルカナーゼ、フィターゼ及びアミラーゼ)、並びに/又はアスパラギン酸(アスパラギン酸塩)、オルニチン、アルギニン、リン酸塩、酢酸塩及び/若しくはビタミンB(例えば、ビタミンB1、B6及び/若しくはB12)の1つ若しくは複数を含む組成物である。
【0067】
A.直接給与生菌(DFM)
一実施形態では、DFMは、本明細書で開示される飼料添加製剤の何れかに含まれ得、任意選択的に液体、乾燥粉末又は顆粒として製剤化され得る。一実施形態では、本明細書で開示される飼料添加製剤の何れかのDFMは、単一混合物として製剤化され得る。別の実施形態では、本明細書で開示される飼料添加製剤の何れかのDFMは、別個の混合物として製剤化され得る。さらに別の実施形態では、本明細書で開示される飼料添加製剤の何れかのDFMの別個の混合物を同時に又は異なる時間で投与し得る。さらに別の実施形態では、本明細書で開示される飼料添加製剤の何れかのDFMの別個の混合物を同時に又は逐次的に投与し得る。さらに別の実施形態では、DFMを含む第1の混合物を投与した後、本明細書で開示される飼料添加製剤の何れかを含む第2の混合物を投与し得る。さらに別の実施形態では、本明細書で開示される飼料添加製剤の何れかを含む第1の混合物を投与した後、DFMを含む第2の混合物を投与し得る。
【0068】
乾燥粉末又は顆粒は、当業者に既知の手段(例えば、トップスプレー流動床コーター、ボトムスプレーウースター又はドラム造粒(例えば、高剪断造粒)、押し出し、パンコーティング又は微量成分ミキサー)によって調製され得る。
【0069】
別の実施形態では、1種又は複数の浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)、精油、酵素、アスパラギン酸(アスパラギン酸塩)、オルニチン、アルギニン、リン酸塩、酢酸塩、ビタミンB(例えば、ビタミンB1、B6及び/若しくはB12)並びに/又はDFMをコーティングし得、例えばカプセル化し得る。好適には、浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)、精油、酵素、アスパラギン酸(アスパラギン酸塩)、オルニチン、アルギニン、リン酸塩、酢酸塩、ビタミンB(例えば、ビタミンB1、B6及び/若しくはB12)並びに/又はDFMを同じコーティング内で製剤化し得るか又は同じカプセル内でカプセル化し得る。
【0070】
例えば本DFMが内生胞子を生成可能ないくつかの実施形態では、このDFMを全くコーティングすることなく提供し得る。そのような状況では、DFM内生胞子を単に浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)、精油、アスパラギン酸(アスパラギン酸塩)、オルニチン、アルギニン、リン酸塩、酢酸塩、ビタミンB(例えば、ビタミンB1、B6及び/若しくはB12)並びに/又は酵素と混合し得る。浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)、精油、酵素、アスパラギン酸(アスパラギン酸塩)、オルニチン、アルギニン、リン酸塩、酢酸塩、ビタミンB(例えば、ビタミンB1、B6及び/若しくはB12)並びに/又はDFMを混合物(即ち1種又は複数、2種以上、3種以上又は全て)としてカプセル化し得るか、又は別々に(例えば、単独で)カプセル化し得る。
【0071】
少なくとも1種のDFMは、少なくとも1種の生存微生物を含み得、例えば生存細菌株、又は生存酵母、又は生存真菌、又は生存糸状菌を含み得る。いくつかの実施形態では、このDFMは、少なくとも1種の生存細菌を含む。このDFMは、胞子形成細菌株であり得る可能性があり、そのため、DFMという用語は、胞子(例えば、内生胞子等の細菌胞子)で構成され得るか又はこの胞子を含み得る。そのため、「生存微生物」という用語は、本明細書で使用される場合、内生胞子又は分生子等の微生物胞子を含み得る。代わりに、本明細書で説明される飼料添加組成物中のDFMは、微生物胞子(例えば、内生胞子又は分生子)で構成されなくてもよいか、又はこの微生物胞子を含まなくてもよい。微生物は、天然に存在する微生物であり得るか、又は形質転換された微生物であり得る。
【0072】
本明細書で説明されるDFMは、下記の属の1つ又は複数に由来する微生物を含み得る:ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、バチルス属(Bacillus)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ロイコノストック属(Leuconostoc)、カルノバクテリウム属(Carnobacterium)、ワイセラ属(Weissella)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、クロストリジウム属(Clostridium)及びメガスフェラ属(Megasphaera)並びにこれらの組み合わせ。いくつかの実施形態では、DFMは、バチルス種(Bacillus spp.)から選択される1種又は複数の細菌株を含み、例えば、限定されないが、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・セレウス変種トヨイ(Bacillus cereus var.toyoi)、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・プミリス(Bacillus pumilis)、バチルス・ベレゼンシス(Bacillus velezensis)及びバチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)から選択される1種又は複数の細菌株を含む。
【0073】
「バチルス属(Bacillus)」は、本明細書で使用される場合、当業者に既知の「バチルス属(Bacillus)」内の全ての種を含み、例えば下記を含むが、これらに限定されない:B.サブチリス(B.subtilis)、B.リケニホルミス(B.licheniformis)、B.レンツス(B.lentus)、B.ブレビス(B.brevis)、B.ステアロサーモフィルス(B.stearothermophilus)、B.アルカロフィルス(B.alkalophilus)、B.アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)、B.クラウシイ(B.clausii)、B.ハロデュランス(B.halodurans)、B.メガテリウム(B.megaterium)、B.コアギュランス(B.coagulans)、B.サーキュランス(B.circulans)、B.ギブソニイ(B.gibsonii)、B.プミリス(B.pumilis)及びB.チューリンギエンシス(B.thuringiensis)を含む。バチルス属(Bacillus)の分類学的再編成が続いていることが認識されている。そのため、この属は、現在ではゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)と呼ばれるバチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)又は現在ではパエニバチルス・ポリミキサ(Paenibacillus polymyxa)であるバチルス・ポリミキサ(Bacillus polymyxa)等の生物を含むがこれらに限定されない、再分類される種を含むことが意図される。ストレスに満ちた環境条件下での抵抗性内生胞子の生成は、バチルス属(Bacillus)の決定的な特徴であると考えられるが、この特徴は、最近命名されたアリシクロバチルス属(Alicyclobacillus)、アンフィバチルス属(Amphibacillus)、アネウリニバチルス属(Aneurinibacillus)、アノキシバチルス属(Anoxybacillus)、ブレビバチルス属(Brevibacillus)、フィロバチルス属(Filobacillus)、グラシリバチルス属(Gracilibacillus)、ハロバチルス属(Halobacillus)、パエニバチルス属(Paenibacillus)、サリバチルス属(Salibacillus)、サーモバチルス属(Thermobacillus)、ウレイバチルス属(Ureibacillus)及びビルジバチルス属(Virgibacillus)にも当てはまる。
【0074】
別の態様では、DFMは、下記のラクトコッカス種(Lactococcus spp)とさらに含み合わされ得る:ラクトコッカス・クレモリス(Lactococcus cremoris)及びラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)並びにこれらの組み合わせ。DFMは、下記のラクトバチルス種(Lactobacillus spp)も含み得る:ラクトバチルス・ブフネリ(Lactobacillus buchneri)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ケフィリ(Lactobacillus kefiri)、ラクトバチルス・ビフィダス(Lactobacillus bifidus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・カルバタス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・ファルシミニス(Lactobacillus farciminis)、ラクトバチルス・ラクティス(Lactobacillus lactis)、ラクトバチルス・デルブルッキー(Lactobacillus delbreuckii)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・パラプランタラム(Lactobacillus paraplantarum)、ラクトバチルス・ファルシミニス(Lactobacillus farciminis)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)及びラクトバチルス・ジェンセニイ(Lactobacillus jensenii)並びにこれらの何れかの組み合わせ。「ラクトバチルス属(Lactobacillus)」は、本明細書で使用される場合、当業者に既知の「ラクトバチルス属(Lactobacillus)」内の全ての種を含む。ラクトバチルス属(Lactobacillus)の分類学的再編成が続いていることが認識されている。例えば、2020年3月の時点で、ラクトバチルス属(Lactobacillus)は、表現型的、生態学的及び遺伝子型的に極めて多様な261種の種で構成される。全ゲノム配列決定及び比較ゲノミクスでの最近の進歩を前提として、ラクトバチルス属(Lactobacillus)は、最近、25種の別々の属に分けられ、既に指定されているラクトバチルス属(Lactobacilli)種に属する株は、新たな種及び/又は属に移されている(Zheng et al.,2020,Int.J.Syst.Evol.Microbiol.,70:2782-2858;Pot et al.,Trends in Food Science&Technology 94(2019)105-113;及びKoutsoumanis et al.,2020,EFSA Journal,18(7):6174(これらのそれぞれの開示は、参照により本命司書に組み込まれる)を参照されたい)。本開示の目的のために、ラクトバチルス属(Lactobacillus)種の以前の分類を引き続き採用する。しかしながら、いくつかの実施形態では、ラクトバチルス・アギリス(Lactobacillus agilis)は、リジラクトバチルス・アギリス(Ligilactobacillus agilis)とも分類される。他の実施形態では、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)は、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)とも分類される。さらなる実施形態では、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)は、リジラクトバチルス・ロイテリ(Limosilactobacillus reuteri)とも分類される。
【0075】
さらに別の態様では、DFMは、下記のビフィドバクテリウム種(Bifidobacterium spp.)とさらに組み合わされ得る:ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)、ビフィドバクテリウム・ビフィディウム(Bifidobacterium bifidium)、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・カテヌラツム(Bifidobacterium catenulatum)、ビフィドバクテリウム・シュードカテヌラツム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)及びビフィドバクテリウム・アングラツム(Bifidobacterium angulatum)並びにこれらの何れかの組み合わせ。
【0076】
下記の種の細菌に言及され得る:バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・ベレゼンシス(Bacillus velezensis)、バチルス・プミリス(Bacillus pumilis)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、エンテロコッカス種(Enterococcus spp)及びペディオコッカス種(Pediococcus spp)、ラクトバチルス種(Lactobacillus spp)、ビフィドバクテリウム種(Bifidobacterium spp)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococsus acidilactici)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム((Bifidobacterium bifidum)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、プロピオニバクテリウム・トエニイ(Propionibacterium thoenii)、ラクトバチルス・ファルシミニス(Lactobacillus farciminis)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、メガスファエラ・エルスデニイ(Megasphaera elsdenii)、クロストリジウム・ブチリクム(Clostridium butyricum)、クロストリジウム・チロブチリクム(Clostridium tyrobutyricum)、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種アニマリス(Bifidobacterium animalis ssp animalis)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、ラクトバチルス・サリバリウス亜種サリバリウス(Lactobacillus salivarius ssp Salivarius)、プロピオニバクテリウム種(Propionibacterium spp)及びこれらの組み合わせ。
【0077】
1種又は複数の細菌株を含む、本明細書で説明される直接給与微生物は、同じタイプ(属、種及び株)のものであり得るか、又は属、種及び/若しくは株の混合物を含み得る。代わりに、DFMは、国際公開第2012110778号パンフレットで開示されており、且つ下記のように要約された生成物又はこの生成物に含まれる微生物の1つ又は複数と組み合わされ得る:バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)2084株アクセッション番号NRRLB-50013、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)LSSAO1株アクセッション番号NRRL B-50104及びバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)15A-P4株ATCCアクセッション番号PTA-6507(Enviva(登録商標)PRO(登録商標)(以前にはAvicorr(登録商標)として既知である);バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)C3102株(Calsporin(登録商標)由来);バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)PB6株(Clostat(登録商標)由来);バチルス・プミリス(Bacillus pumilis)(8G-134);エンテロコッカス(Enterococcus)NCIMB 10415(SF68)(Cylactin(登録商標)由来);バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)C3102株(Gallipro(登録商標)&GalliproMax(登録商標)由来);バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)(Gallipro(登録商標)Tect(登録商標)由来);エンテロコッカス(Enterococcus)及びペディオコッカス(Pediococcus)(Poultry star(登録商標)由来);ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)及び/又はエンテロコッカス属(Enterococcus)(Protexin(登録商標)由来);バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)QST713株(Proflora(登録商標)由来);バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)CECT-5940(Ecobiol(登録商標)&Ecobiol(登録商標)Plus由来);エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)SF68(Fortiflora(登録商標)由来);バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)及びバチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)(BioPlus2B(登録商標)由来);乳酸菌7エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)(Lactiferm(登録商標)由来);バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)QST 713株(Baymix(登録商標)Grobig BS由来);ラクトバチルス属(Lactobacillus)株(LACTILLUS(商標)由来);バチルス属(Bacillus)株(CSI(登録商標)由来);サッカロミセル・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(Yea-Sacc(登録商標)由来);バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)(バチルス・ベレゼンシス(Bacillus velezensis)NRRL B-67259)(Correlink(商標)由来);エンテロコッカス属(Biomin IMB52(登録商標)由来);ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)、エンテロコッカス(Enterococcus)、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種アニマリス(Bifidobacterium animalis ssp.animalis)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・サリバリウス亜種サリバリウス(Lactobacillus salivarius ssp.salivarius)(Biomin C5(登録商標)由来);ラクトバチルス・ファルシミニス(Lactobacillus farciminis)(Biacton(登録商標)由来);エンテロコッカス(Enterococcus)(Oralin E1707(登録商標)由来);エンテロコッカス(Enterococcus)(2種の株)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)DSM 1103(Probios-pioneer PDFM(登録商標)由来);ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)及びラクトバチルス・ファルシミニス(Lactobacillus farciminis)(Sorbiflore(登録商標)由来);バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)(Animavit(登録商標)由来);エンテロコッカス(Enterococcus)(Bonvital(登録商標)由来);サッカロミセル・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(Levucell SB 20(登録商標)由来);サッカロミセル・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(Levucell SC0&SC10(登録商標)ME由来);ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilacti)(Bactocell由来);サッカロミセル・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(ActiSaf(登録商標)(以前のBioSaf(登録商標)));サッカロミセル・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)NCYC Sc47(Actisaf(登録商標)SC47由来);クロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)(Miya-Gold(登録商標)由来);エンテロコッカス(Enterococcus)(Fecinor及びFecinor Plus(登録商標)由来);サッカロミセル・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)NCYC R-625(InteSwine(登録商標)由来);サッカロミセル・セレビシエ(Saccharomyces cerevisia)(BioSprint(登録商標)由来);エンテロコッカス(Enterococcus)及びラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)(Provita(登録商標)由来);バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)及びアスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)(PepSoyGen-C(登録商標)由来);バチルス・セレウス(Bacillus cereus)(Toyocerin(登録商標)由来);バチルス・セレウス変種トヨイ(Bacillus cereus var.toyoi)NCIMB 40112/CNCMI-1012(TOYOCERIN(登録商標)由来)又は他のDFM、例えばバチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)及びバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)(BioPlus(登録商標)YC由来)並びにバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)(GalliPro(登録商標)由来)。
【0078】
DFMは、Danisco A/Sから市販されているEnviva(登録商標)PROと組み合わされ得る。Enviva(登録商標)PROは、(米国特許第7,754,469B号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)で教示されているように)バチルス属(Bacillus)2084株アクセッション番号NRRl B-50013、バチルス属(Bacillus)LSSAO1株アクセッション番号NRRL B-50104及びバチルス属(Bacillus)15A-P4株ATCCアクセッション番号PTA-6507の組み合わせである。好ましくは、本明細書で説明されるDFMは、微生物であって、一般に安全と認められており(GRAS)、好ましくはGRAS承認されている微生物を含む。当業者であれば、食品及び/又は農業産業で使用され、且つ一般に動物による消費に適していると考えられる、本明細書で説明される属内の微生物の特定の種及び/又は株を容易に認識するであろう。
【0079】
別の実施形態では、DFMは、L.ロイテリ(L.reuteri)S1株、L.ロイテリ(L.reuteri)S2株、L.ロイテリ(L.reuteri)S3株、L.ロイテリ(L.reuteri)A2株、L.ガリナラム(L.gallinarum)H1株、L.サリバリウス(L.salivarius)H2株及び/又はL.アギリス(L.agilis)H3株の1つ又は複数と組み合わされ得、これらは、Westerdijk Fungal Biodiversity Institute(WFDB),Uppsalalaan 8,3584 CT,Utrecht,The Netherlandsで2019年7月24日に寄託されており、それぞれアクセッション番号CBS145921、CBS145922、CBS145923、CBS145924、CBS145918、CBS145919及びCBS145920が付与された。この寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約規定に基づいて行われた(国際公開第2021034660号パンフレット(この全体が参照により本明細書に組み込まれる)も参照されたい)。
【0080】
いくつかの実施形態では、DFMは、熱に耐えられること(即ち耐熱性であること)が重要である。これは、飼料がペレット化される場合に特に当てはまる。従って、別の実施形態では、このDFMは、耐熱性微生物、例えばバチルス種(Bacillus spp.)等を含む耐熱性細菌であり得る。
【0081】
他の態様では、DFMは、胞子産生細菌(例えば、バチルス属(Bachillus)、例えばバチルス種(Bacillus spp.))を含むことが望ましい場合がある。バチルス属(Bacillus)は、増殖条件が不都合であり、且つ熱、pH、湿度及び消毒剤に対して極めて抵抗性である場合、安定した内生胞子を形成し得る。
【0082】
本明細書で説明されるDFMは、病原性微生物(例えば、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、及び/又は大腸菌(E.coli)、及び/又はサルモネラ種(Salmonella spp)、及び/又はカンピロバクター種(Campylobacter spp.))の腸内確立を低減又は予防し得る。換言すると、このDFMは、抗病原性であり得る。「抗病原性」という用語は、本明細書で使用される場合、DFMが病原体の作用(負の効果)に対抗することを意味する。
【0083】
上述したように、DFMは、任意の好適なDFMであり得る。例えば、下記のアッセイ「DFMアッセイ」を使用して、微生物のDFMへの適合性を決定し得ル。本明細書で使用されるDFMアッセイは、米国特許出願公開第2009/0280090号明細書でより詳細に説明されている。疑義を避けるために、本明細書で教示される「DFMアッセイ」に従って阻害株(又は抗病原性DFM)として選択されるDFMは、本開示に従った使用に好適なDFM、即ち本開示に係る飼料添加組成物での使用に好適なDFMである。チューブに、代表的なクラスタ由来の代表的な病原体(例えば、細菌)をそれぞれ播種した。この播種したチューブに、好気的又は嫌気的に増殖させた潜在的DFMの上清を添加し(但し、コントロールの場合にはチューブに上清を添加しない)、インキュベートする。インキュベーション後、コントロール及び上清処理済のチューブの光学密度(OD)を各病原体に関して測定した。次いで、コントロール(上清を少しも含まない)と比較して低いODを生じる(潜在的DFM)株のコロニーを阻害性株(又は抗病原性DFM)として分類し得る。そのため、本明細書で使用されるDFMアッセイは、米国特許出願公開第2009/0280090号明細書でより詳細に説明されている。いくつかの実施形態では、このDFMアッセイで使用される代表的な病原体は、下記の1つ(又は複数)であり得る:クロストリジウム属(Clostridium)、例えば、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、及び/又はクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、及び/又は大腸菌(E.coli)、及び/又はサルモネラ種(Salmonella spp.)、及び/又はカンピロバクター種(Campylobacter spp.)。好ましい一実施形態では、このアッセイは、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、及び/又はクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、及び/又は大腸菌(E.coli)、好ましくは、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)及び/又はクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、より好ましくはウェルシュ菌(Clostridium perfringens)の1つ又は複数を用いて実行される。
【0084】
DFMは、培養物及び担体(使用される場合)として調製され得、リボンミキサー又はパドルミキサーに入れて約15分にわたって混合され得るが、このタイミングは、増減され得る。これらの構成成分は、培養物と担体との均一な混合物が得られるようにブレンドされる。最終製品は、好ましくは、乾燥した流動性粉末である。次いで、1種又は複数の細菌株を含むDFMを(好ましくは本明細書で説明される酵素と同時に)動物飼料若しくは飼料プレミックスに添加し得るか、動物のための水に添加し得るか、又は当技術分野で既知の他の方法で投与し得る。DFM混合物中の個々の株の含有量は、1%~99%の範囲で変動する割合であり得、好ましくは25%~75%の範囲で変動する割合であり得る。S動物飼料中のDFMの好適な投与量は、約1×10CFU/g(飼料)~約1×1010CFU/g(飼料)の範囲であり得、好適には約1×10CFU/g(飼料)~約1×10CFU/g(飼料)の範囲であり得、好適には約7.5×10CFU/g(飼料)~約1×10CFU/g(飼料)の範囲であり得る。別の態様では、DMFは、飼料中において、約1×10CFU/g(飼料)を超えて投与され得、好適には約1×10CFU/g(飼料)を超えて投与され得、好適には約5×10CFU/g(飼料)を超えて投与され得、好適には約1×10CFU/g(飼料)を超えて投与され得る。
【0085】
DFMは、飼料添加組成物中において、約1×10CFU/g(組成物)~約1×1013CFU/g(組成物)で投与され得、例えば、1×10CFU/g(組成物)~約1×1013CFU/g(組成物)で投与され得、例えば、約1×10CFU/g(組成物)~約1×1012CFU/g(組成物)で投与され得、例えば、約3.75×10CFU/g(組成物)~約1×1011CFU/g(組成物)で投与され得る。別の態様では、DFMは、飼料添加組成物中において、約1×10CFU/g(組成物)を超えて投与され得、例えば、約1×10CFU/g(組成物)を超えて投与され得、例えば、約3.75×10CFU/g(組成物)を超えて投与され得る。一実施形態では、DFMは、飼料添加組成物中において、約2×10CFU/g(組成物)を超えて投与され、例えば、約2×10CFU/g(組成物)を超えて投与され、好適には、約3.75×10CFU/g(組成物)を超えて投与される。
【0086】
いくつかの実施形態では、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)Bl-04株及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)NCFM株である。この細菌株は、Inhoffenstrasse 7B、38124 Braunschweig、GermanyのLeibniz-Institut Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)において、ブダペスト条約に従い、Langebrogade 1、DK-1411 Copenhagen K、DenmarkのDuPont Nutrition Biosciences ApSによって寄託され、下記の登録番号に登録されている:2021年3月15日に寄託されたNCFM株(DSM33840);及び2020年5月19日に寄託されたBl-04(DSM33525)株。これらの細菌株は、DuPont Nutrition Biosciences ApSから市販されている。
【0087】
加えて、いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるDFMの何れかのセクレトーム又はその画分(例えば、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)Bl-04株及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)NCFM株のセクレトーム)を、本明細書で開示される組成物又は方法の何れかで使用し得る。本明細書で開示されるDFMの何れかのセクレトームを、当技術分野で既知の任意の標準的な手段によって得ることができ、培養細胞上清、改変上清、上清画分、部分精製セクレトーム及び細胞のセクレトーム画分が含まれるが、これらに限定されない。
【0088】
B.精油
精油は、原料となる植物の特徴的な香りを有する濃縮揮発性油である。典型的には、精油は、植物の蒸留によって得られ、構成成分化合物の混合物を含む。精油のこの構成成分化合物として、アネトール、ベータ-イオノン、カプサイシン、カルバクロール、桂皮アルデヒド、シトラール、クレゾール、オイゲノール、グアヤコール、リモネン、チモール、タンニン及びバニリンが挙げられる。
【0089】
本明細書で開示される動物飼料又は飼料添加組成物は、動物飼料1000kg当たり桂皮アルデヒドを少なくとも1g、動物飼料1000kg当たり桂皮アルデヒドを少なくとも2g、動物飼料1000kg当たり桂皮アルデヒドを少なくとも3g、動物飼料1000kg当たり桂皮アルデヒドを少なくとも4g、動物飼料1000kg当たり桂皮アルデヒドを少なくとも5g含み得る。
【0090】
本明細書で開示される動物飼料又は飼料添加組成物は、動物飼料1kg当たり桂皮アルデヒドを少なくとも1mg、動物飼料1kg当たり桂皮アルデヒドを少なくとも2mg、動物飼料1kg当たり桂皮アルデヒドを少なくとも3mg、動物飼料1kg当たり桂皮アルデヒドを少なくとも4mg、動物飼料1kg当たり桂皮アルデヒドを少なくとも5mg含み得る。
【0091】
ブロイラの場合、本明細書で開示される動物飼料又は飼料添加組成物は、動物飼料1000kg当たり桂皮アルデヒド6g未満を含み得、例えば桂皮アルデヒド5.9g未満を含み得る。ブタの場合、この動物飼料は、動物飼料1000kg当たり桂皮アルデヒド18g未満を含み得、例えば動物飼料1000kg当たり桂皮アルデヒド17g未満、動物飼料1000kg当たり桂皮アルデヒド16g未満、動物飼料1000kg当たり桂皮アルデヒド15g未満、動物飼料1000kg当たり桂皮アルデヒド14g未満を含み得る。
【0092】
本明細書で開示される動物飼料又は飼料添加組成物は、チモールを含み、この動物飼料は、動物飼料又は飼料添加組成物1000kg当たりチモールを少なくとも1g、動物飼料又は飼料添加組成物1000kg当たりチモールを少なくとも2g、動物飼料又は飼料添加組成物1000kg当たりチモールを少なくとも3g、動物飼料又は飼料添加組成物1000kg当たりチモールを少なくとも4g、動物飼料又は飼料添加組成物1000kg当たりチモールを少なくとも5g、動物飼料又は飼料添加組成物1000kg当たりチモールを少なくとも6g、動物飼料又は飼料添加組成物1000kg当たりチモールを少なくとも7g、動物飼料又は飼料添加組成物1000kg当たりチモールを少なくとも8g、動物飼料又は飼料添加組成物1000kg当たりチモールを少なくとも9g、動物飼料又は飼料添加組成物1000kg当たりチモールを少なくとも10g、動物飼料又は飼料添加組成物1000kg当たりチモールを少なくとも11g、動物飼料又は飼料添加組成物1000kg当たりチモールを少なくとも12g、動物飼料又は飼料添加組成物1000kg当たりチモールを少なくとも13g、動物飼料又は飼料添加組成物1000kg当たりチモールを少なくとも14g、動物飼料又は飼料添加組成物1000kg当たりチモールを少なくとも15g含み得る。本動物飼料又は飼料添加組成物は、動物飼料又は飼料添加組成物1000kg当たりチモール50g未満を含み得る。
【0093】
本明細書で開示される動物飼料又は飼料添加組成物は、少なくとも0.00001重量%の構成成分(i)、(ii)及びカルバクロールを含み得る。好適には、この動物飼料又は飼料添加組成物は、少なくとも0.00005重量%;少なくとも0.00010重量%;少なくとも0.00020重量%;少なくとも0.00025重量%;少なくとも0.00050重量%;少なくとも0.00100重量%;少なくとも0.00200重量%の構成成分(i)、(ii)及びカルバクロールを含み得る。
【0094】
本明細書で開示される動物飼料又は飼料添加組成物は、少なくとも0.0001重量%の飼料用酵素を含み得る。好適には、この動物飼料は、少なくとも0.0005重量%;少なくとも0.0010重量%;少なくとも0.0020重量%;少なくとも0.0025重量%;少なくとも0.0050重量%;少なくとも0.0100重量%の飼料用酵素を含み得る。この飼料は、少なくとも0.001重量%の動物飼料添加剤を含み得る。好適には、この動物飼料は、少なくとも0.005重量%;少なくとも0.010重量%;少なくとも0.020重量%;少なくとも0.100重量%;少なくとも0.200重量%;少なくとも0.250重量%;少なくとも0.500重量%の動物飼料添加剤又は飼料添加組成物を含み得る。
【0095】
C.酵素
一実施形態では、本開示は、浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)、精油、アスパラギン酸(アスパラギン酸塩)、オルニチン、アルギニン、リン酸塩、酢酸塩、ビタミンB(例えば、ビタミンB1、B6及び/若しくはB12)並びに/又はDFMを含む飼料又は飼料添加組成物であって、少なくとも1種の酵素(例えば、フィターゼ)をさらに含む飼料又は飼料添加組成物に関する。本明細書で開示される方法に従った使用に好適な酵素として、グルコアミラーゼ、キシラナーゼ、アミラーゼ、フィターゼ、ベータ-グルカナーゼ及びプロテアーゼが挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
1.グルコアミラーゼ
グルコアミラーゼ(1,4-アルファ-D-グルカングルコヒドロラーゼ、EC3.2.1.3)は、デンプン又は関連するオリゴ糖分子及び多糖分子の非還元末端からのD-グルコースの放出を触媒する酵素である。グルコアミラーゼは、数種の糸状菌及びcaによって産生される。
【0097】
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)、精油及び/又はDFM飼料又は飼料添加組成物であって、1種又は複数のグルコアミラーゼを含む飼料又は飼料添加組成物である。このグルコアミラーゼは、任意の市販のグルコアミラーゼであり得る。好適なグルコアミラーゼは、1,4-アルファ-D-グルカングルコヒドロラーゼ(EC3.2.1.3)であり得る。本明細書で言及される全てのE.C.酵素分類は、本明細書に組み込まれる国際生化学・分子生物学連合のEnzyme Nomenclature-Recommendations(1992)-ISBN 0-12-226164-3で提供された分類に関する。
【0098】
グルコアミラーゼは、長年にわたって商業的用途で成功裏に使用されている。加えて、真菌グルコアミラーゼ(例えば、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)グルコアミラーゼ(TrGA))に様々な変異が導入されて、熱安定性及び特異的活性が増強されている。例えば、国際公開第2008/045489号パンフレット;同第2009/048487号パンフレット;同第2009/048488号パンフレット及び米国特許第8,058,033号明細書を参照されたい。グルコアミラーゼ活性は、下記の実施例セクションで説明されるものなど、当技術分野で既知の任意の手段を使用して評価され得る。
【0099】
グルコアミラーゼは、任意の好適な供給源に由来し得、例えば、微生物又は植物に由来し得る。グルコアミラーゼは、真菌起源又は細菌起源であり得、アスペルギルス属(Aspergillus)グルコアミラーゼからなる群から選択され得、例えば、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)G1若しくはG2グルコアミラーゼ(Boel et al.,1984,EMBO J.3(5):1097-1102)又はこれらのバリアント、例えば国際公開第92/00381号パンフレット、同第00/04136号パンフレット及び同第01/04273号パンフレットで開示されているもの(Novozymes,Denmarkから);国際公開第84/02921号パンフレットで開示されているA.アワモリ(A.awamori)グルコアミラーゼ(Hata et al.,1991,Agric.Biol.Chem.55(4):941-949)又はこれらのバリアント若しくは断片であり得る。他のアスペルギルス属(Aspergillus)グルコアミラーゼバリアントとして、熱安定性の増強:G137A及びG139A(Chen et al.,1996,Prot.Eng.9:499-505);D257E及びD293E/Q(Chen et al.,1995,Prot.Eng.8:575-582);N182(Chen et al.,1994,Biochem.J.301:275-281);ジスルフィド結合、A246C(Fierobe et al.,1996,Biochemistry 35:8698-8704;並びにA435及びS436位でのPro残基の導入(Li et al.,1997,Protein Eng.10:1199-1204)を有するバリアントが挙げられる。
【0100】
他のグルコアミラーゼとして、下記が挙げられる:アセリア・ロルフシイ(Athelia rolfsii)(以前にはコルチシウム・ロルフシ(Corticium rolfsi)と表記されていた)グルコアミラーゼ(米国特許第4,727,026号明細書及びNagasaka et al.,1998,Appl.Microbiol.Biotechnol.50:323-330を参照されたい)、タラロマイセス属(Talaromyces)グルコアミラーゼ、特にタラロマイセス・デュポンチ(Talaromyces duponti)、タラロマイセス・エメルソニイ(Talaromyces emersonii)(国際公開第99/28448号パンフレット)、タラロマイセス・レイセタヌス(Talaromyces leycettanus)(米国再発行特許第32,153号明細書)及びタラロマイセス・サーモフィルス(Talaromyces thermophilus)(米国特許第4,587,215号明細書)。
【0101】
細菌グルコアミラーゼとして、下記に由来するグルコアミラーゼが挙げられる:クロストリジウム属(Clostridium)、特にC.テルモアミロリチカム(C.thermoamylolyticum)(欧州特許第135138号明細書)及びC.テルモヒドロスルフリカム(C.thermohydrosulfuricum)(国際公開第86/01831号パンフレット)、トラメテス・シングラータ(Trametes cingulata)、パシキトスポラ・パピラセア(Pachykytospora papyracea)及びロイコパキシルス・ギガンテウス(Leucopaxillus giganteus)(全て国際公開第2006/069289号パンフレットで開示されている);又はペニホラ・ルホマルギナタ(Peniophora rufomarginata)(国際公開第2007/124285又はPCT/US2007/066618号明細書で説明されている);又はこれらの混合。ハイブリッドグルコアミラーゼを本発明で使用し得る。ハイブリッドグルコアミラーゼの例は、国際公開第2005/045018号パンフレットで開示されている。具体例として、実施例1の表1及び4に開示されるハイブリッドグルコアミラーゼが挙げられる(これらのハイブリッドは、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0102】
グルコアミラーゼは、上述したグルコアミラーゼの何れかに対する高度の配列同一性を有し得、即ち上述した成熟酵素配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又はさらに100%の同一性を有し得る。
【0103】
市販のグルコアミラーゼ組成物として、下記が挙げられる:AMG 200L;AMG 300L;SAN(商標)SUPER、SAN(商標)EXTRA L、SPIRIZYME(商標)PLUS、SPIRIZYME(商標)FUEL、SPIRIZYME(商標)B4U、SPIRIZYME ULTRA、SPIRIZYME(商標)EXCEL及びAMG(商標)E(Novozymes A/S,Denmark);OPTIDEX(商標)300、GC480(商標)及びGC147(商標)(Genencor Int.,USA);AMIGASE(商標)及びAMIGASE(商標)PLUS(DSM);G-ZYME(商標)G900、G-ZYME(商標)及びG990 ZR(Genencor Int.)。
【0104】
2.キシラナーゼ
キシラナーゼは、直鎖状多糖β-1,4-キシランをキシロースに分解し、従って、植物細胞壁の主要構成成分の1つであるヘミセルロースに分解する酵素のクラスに与えられた名称である。キシラナーゼ(例えば、エンド-β-キシラナーゼ(EC3.2.1.8))は、キシランの主鎖を加水分解する。一実施形態では、本明細書で提供されるのは、1種又は複数のキシラナーゼを含む浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)、精油及び/又はDFM含有飼料若しくは飼料添加組成物である。
【0105】
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、1種又は複数のキシラナーゼを含む飼料又は飼料添加組成物である。一実施形態では、キシラナーゼは、任意の商業的に利用可能なキシラナーゼであり得る。好適には、キシラナーゼは、エンド-1,4-P-d-キシラナーゼ(E.G.3.2.1.8であると分類される)又は1,4β-キシロシダーゼ(E.G.3.2.1.37であると分類される)であり得る。本明細書で言及される全てのE.C.酵素分類は、本明細書に組み込まれる国際生化学・分子生物学連合の命名委員会のEnzyme Nomenclature-Recommendations(1992)-ISBN 0-12-226164-3で提供された分類に関する。
【0106】
別の実施形態では、キシラナーゼは、バチルス属(Bacillus)、トリコデルマ属(Trichodermna)、テリノマイセス属(Therinomyces)、アスペルギルス属(Aspergillus)及びペニシリウム属(Penicillium)由来のキシラナーゼであり得る。さらに別の実施形態では、キシラナーゼは、何れもDanisco A/Sから市販で入手できる製品であるAxtra XAP(登録商標)又はAvizyme 1502(登録商標)内のキシラナーゼであり得る。一実施形態では、キシラナーゼは、2種以上のキシラナーゼの混合物であり得る。さらに別の実施形態では、キシラナーゼは、エンド-1,4-β-キシラナーゼ又は1,4-β-キシロシダーゼである。さらに別の実施形態では、キシラナーゼは、バチルス属(Bacillus)、トリコデルマ属(Trichoderma)、テリノマイセス属(Thermomyces)、アスペルギルス属(Aspergillus)、ペニシリウム属(Penicillium)及びフミコラ属(Humicola)からなる群から選択される生物に由来する。さらに別の実施形態では、キシラナーゼは、表1で列挙されるキシラナーゼの1つ若しくは複数又は市販品の1つ若しくは複数であり得る。
【表1】
【0107】
一実施形態では、本開示は、1種又は複数のキシラナーゼを含む飼料又は飼料添加組成物に関する。一実施形態では、この組成物は、10~50、50~100、100~150、150~200、200~250、250~300、300~350、350~400、400~450、450~500、500~550、550~600、600~650、650~700、700~750及び750超のキシラナーゼ単位/g(組成物)を含む。
【0108】
一実施形態では、この組成物は、500~1000、1000~1500、1500~2000、2000~2500、2500~3000、3000~3500、3500~4000、4000~4500、4500~5000、5000~5500、5500~6000、6000~6500、6500~7000、7000~7500、7500~8000及び8000超のキシラナーゼ単位/g(組成物)を含む。
【0109】
1キシラナーゼ単位(XU)は、pH5.3及び50℃で、オートスペルト-キシラン基質から1分間当たりの0.5μmolの還元糖同等物(ジニトロサリチル酸(DNS)アッセイ還元糖法によるキシロースとして)を遊離する酵素の量であると理解されるであろう。(Bailey,et al.,Journal of Biotechnology,Volume 23,(3),May 1992,257-270)。
【0110】
3.アミラーゼ
アミラーゼは、マルトース等の鎖がより短いオリゴ糖にデンプンを加水分解可能な酵素のクラスである。次いで、グルコース部分を、元のデンプン分子からよりもマルトースをモノグリセリド又はグリコシルモノグリセリドに容易に転移させ得る。アミラーゼという用語は、α-アミラーゼ(E.G.3.2.1.1)、G4-形成アミラーゼ(E.G.3.2.1.60)、β-アミラーゼ(E.G.3.2.1.2)及びγ-アミラーゼ(E.C.3.2:1.3)を含む。アミラーゼは、細菌起源若しくは真菌起源であり得るか、又は化学的修飾されたか若しくはタンパク質改変された突然変異体由来であり得る。別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、1種又は複数のアミラーゼを含む浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)、精油及び/又はDFM含有飼料若しくは飼料添加組成物である。
【0111】
一実施形態では、アミラーゼは、2種以上のアミラーゼの混合物であり得る。別の実施形態では、アミラーゼは、1種のアミラーゼ(例えば、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)由来のα-アミラーゼ)及び1種のアミラーゼ(例えば、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)由来のα-アミラーゼ)であり得る。一実施形態では、α-アミラーゼは、何れもDanisco A/Sから市販で入手できる製品であるAxtra XAP(登録商標)又はAvizyme 1502(登録商標)内のα-アミラーゼであり得る。さらに別の実施形態では、アミラーゼは、ペプシン耐性α-アミラーゼ、例えばペプシン耐性トリコデルマ属(Trichoderma)(例えば、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei))α-アミラーゼであり得る。好適なペプシン耐性α-アミラーゼは、英国特許出願第1011513.7号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)及びPCT/IB2011/053018号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)において教示されている。
【0112】
一実施形態では、本発明で使用されるアミラーゼは、表2で列挙される市販品の1つ又は複数中のアミラーゼの1つ又は複数であり得る。

【表2】
【0113】
1アミラーゼ単位(AU)は、pH6.5及び37℃で1分間当たりの水不溶性架橋デンプンポリマー基質から1mmolのグリコシド結合を遊離させる酵素の量であることが理解されるであろう(これは、本明細書では、1AUを決定するためのアッセイと称され得る)。
【0114】
一実施形態では、本開示は、1種又は複数のアミラーゼを含む飼料又は飼料添加組成物に関する。一実施形態では、この組成物は、10~50、50~100、100~150、150~200、200~250、250~300、300~350、350~400、400~450、450~500、500~550、550~600、600~650、650~700、700~750及び750超のアミラーゼ単位/g(組成物)を含む。
【0115】
一実施形態では、この組成物は、500~1000、1000~1500、1500~2000、2000~2500、2500~3000、3000~3500、3500~4000、4000~4500、4500~5000、5000~5500、5500~6000、6000~6500、6500~7000、7000~7500、7500~8000、8000~8500、8500~9000、9000~9500、9500~10000、10000~11000、11000~12000、12000~13000、13000~14000、14000~15000及び15000超のアミラーゼ単位/g(組成物)を含む。
【0116】
4.プロテアーゼ
本明細書で使用されるプロテアーゼという用語は、ペプチダーゼ又はプロテイナーゼと同義語である。プロテアーゼは、サブチリシン(E.G.3.4.21.62)又はバシロリシン(E.G.3.4.24.28)又はアルカリ性セリンプロテアーゼ(E.G.3.4.21.x)又はケラチナーゼ(E.G.3.4.X.X)であり得る。一実施形態では、プロテアーゼは、サブチリシンである。好適なプロテアーゼとして、動物、野菜又は微生物起源のプロテアーゼが挙げられる。化学修飾変異体又はタンパク質改変変異体も適合する。このプロテアーゼは、セリンプロテアーゼ又はメタロプロテアーゼ、例えばアルカリ性微生物プロテアーゼ又はトリプシン様プロテアーゼであり得る。別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、1種又は複数のプロテアーゼを含む浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)、精油及び/又はDFM含有飼料若しくは飼料添加組成物である。
【0117】
アルカリ性プロテアーゼの例は、サブチリシン、特にバチルス種(Bacillus sp.)由来のサブチリシン、例えばサブチリシンNovo、サブチリシンCarlsberg、サブチリシン309(例えば、米国特許第6,287,841号明細書を参照されたい)、サブチリシン147及びサブチリシン168(例えば、国際公開第89/06279号パンフレットを参照されたい)である。トリプシン様プロテアーゼの例は、トリプシン(例えば、ブタ又はウシ起源)及びフザリウム属(Fusarium)プロテアーゼ(例えば、国際公開第89/06270号パンフレット及び同第94/25583号パンフレットを参照されたい)である。有用なプロテアーゼの例として、国際公開第92/19729号パンフレット及び同第98/20115号パンフレットで説明されているバリアントも挙げられるが、これに限定されない。
【0118】
別の実施形態では、プロテアーゼは、表3で列挙される市販品の1つ又は複数中のプロテアーゼの1つ又は複数であり得る。
【表3】
【0119】
一実施形態では、プロテアーゼは、サブチリシン、バシロリシン、アルカリセリンプロテアーゼ、ケラチナーゼ及びノカルジオプシス属(Nocardiopsis)プロテアーゼからなる群から選択される。
【0120】
1プロテアーゼ単位(PU)は、基質(0.6%のカゼイン溶液)からpH7.5(40mMのNaPO/乳酸緩衝液)及び約40℃で1分間中の1マイクログラムのフェノール性化合物(チロシン当量として表されれる)を遊離させる酵素の量であることが理解されるであろう。これは、1PUを決定するためのアッセイと称され得る。
【0121】
一実施形態では、本開示は、1種又は複数のプロテアーゼを含む飼料又は飼料添加組成物に関する。別の実施形態では、本開示は、1種又は複数のキシラナーゼ及びプロテアーゼを含む飼料又は飼料添加組成物に関する。さらに別の実施形態では、本開示は、1種又は複数のアミラーゼ及びプロテアーゼを含む飼料又は飼料添加組成物に関する。さらに別の実施形態では、本開示は、1種又は複数のキシラナーゼ、アミラーゼ及びプロテアーゼを含む飼料又は飼料添加組成物に関する。
【0122】
一実施形態では、この組成物は、10~50、50~100、100~150、150~200、200~250、250~300、300~350、350~400、400~450、450~500、500~550、550~600、600~650、650~700、700~750及び750超のプロテアーゼ単位/g(組成物)を含む。
【0123】
一実施形態では、この組成物は、500~1000、1000~1500、1500~2000、2000~2500、2500~3000、3000~3500、3500~4000、4000~4500、4500~5000、5000~5500、5500~6000、6000~6500、6500~7000、7000~7500、7500~8000、8000~8500、8500~9000、9000~9500、9500~10000、10000~11000、11000~12000、12000~13000、13000~14000、14000~15000及び15000超のプロテアーゼ単位/g(組成物)を含む。
【0124】
5.フィターゼ
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、1種又は複数のフィターゼを含む浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)、精油及び/又はDFM含有飼料若しくは飼料添加組成物である。本発明で使用されるフィターゼは、6-フィターゼ(E.C.3.1.3.26と分類される)又は3-フィターゼ(E.C.3.1.3.8と分類される)と分類され得る。一実施形態では、本発明で使用されるフィターゼは、下記の表4中の市販品の1つ又は複数中のフィターゼの1つ又は複数であり得る。
【表4】
【0125】
一実施形態では、フィターゼは、例えば、例えばシトロバクター・フレウンディイ(Citrobacter freundii)に由来するシトロバクター属(Citrobacter)フィターゼである。いくつかの実施形態では、例えば国際公開第2006/038062号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)及び同第2006/038128号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)で開示されているC.フレウンディイ(C.freundii)NCIMB 41247及びそのバリアント、国際公開第2004/085638号パンフレットで開示されているシトロバクター・ブラアキイ(Citrobacter braakii)YH-15、国際公開第2006/037328号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)で開示されているシトロバクター・ブラアキイ(Citrobacter braakii)ATCC 51113並びに例えば国際公開第2007/112739号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)及び同第2011/117396号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)で開示されているこのバリアント、シトロバクター・アマロナチクス(Citrobacter amalonaticus)。いくつかの実施形態では、国際公開第2006037327号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)で開示されているシトロバクター・アマロナチクス(Citrobacter amalonaticus)ATCC 25405又はシトロバクター・アマロナチクス(Citrobacter amalonaticus)ATCC 25407、シトロバクター・ギルレニイ(Citrobacter gillenii)。いくつかの実施形態では、国際公開第2006037327号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)で開示されているシトロバクター・ギルレニイ(Citrobacter gillenii)DSM 13694又はシトロバクター・インテルメジウス(Citrobacter intermedius)、シトロバクター・コセリ(Citrobacter koseri)、シトロバクター・ムルィニエ(Citrobacter murliniae)、シトロバクター・ロデンチウム(Citrobacter rodentium)、シトロバクター・セドラキイ(Citrobacter sedlakii)、シトロバクター・ウェクマニイ(Citrobacter werkmanii)、シトロバクター・ヤンガエ(Citrobacter youngae)、シトロバクター(Citrobacter)種ポリペプチド又はそのバリアント。
【0126】
いくつかの実施形態では、フィターゼは、名称Phyzyme XP(商標)Danisco A/Sで販売されている大腸菌(E.coli)フィターゼである。代わりに、フィターゼは、ブティアウクセラ属(Buttiauxella)フィターゼ、例えばブティアウクセラ・アグレスティス(Buttiauxella agrestis)フィターゼ、例えば国際公開第2006/043178号パンフレット、同第2008/097619号パンフレット、同第2009/129489号パンフレット、同第2008/092901号パンフレット、PCT/US2009/41011号明細書又はPCT/IB2010/051804号明細書(これらは、全て参照により本明細書に組み込まれる)で教示されているフィターゼ酵素である。代わりに、フィターゼは、操作された頑強な高Tmクレードフィターゼポリペプチド、例えば国際公開第2020/106796号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)で開示されているフィターゼであり得る。
【0127】
一実施形態では、フィターゼは、ハフニア属(Hafnia)由来のフィターゼ、例えばハフニア・アルベイ(Hafnia alvei)由来のフィターゼ、例えば米国特許出願公開第2008263688号明細書で教示されているフィターゼ酵素であり得、この参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態では、フィターゼは、アスペルギルス属(Aspergillus)由来のフィターゼ、例えばアスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)由来のフィターゼであり得る。一実施形態では、フィターゼは、ペニシリウム属(Penicillium)由来のフィターゼ、例えばペニシリウム・フニクロサム(Penicillium funiculosum)由来のフィターゼであり得る。
【0128】
いくつかの実施形態では、フィターゼは、約200FTU/kg~1000FTU/kg飼料の範囲で飼料又は飼料添加組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、約300FTU/kg飼料~約750FTU/kg飼料。いくつかの実施形態では、約400FTU/kg飼料~約500FTU/kg飼料。一実施形態では、フィターゼは、約200FTU/kg飼料を超えて、好適には約300FTU/kg飼料を超えて、好適には約400FTU/kg飼料を超えて飼料中に存在する。一実施形態では、フィターゼは、約1000FTU/kg飼料未満で、好適には約750FTU/kg飼料未満で飼料中に存在する。いくつかの実施形態では、フィターゼは、約40FTU/g~約40,000FTU/g組成物;約80FTU/g組成物~約20,000FTU/g組成物;約100FTU/g組成物化~約10,000FTU/g組成物;及び約200FTU/g組成物~約10,000FTU/g組成物の範囲で飼料添加組成物中に存在する。一実施形態では、フィターゼは、約40FTU/g組成物を超えて、好適には約60FTU/g組成物を超えて、好適には約100FTU/g組成物を超えて、好適には約150FTU/g組成物を超えて、好適には約200FTU/g組成物を超えて飼料添加組成物中に存在する。一実施形態では、フィターゼは、約40,000FTU/g組成物未満で、好適には約20,000FTU/g組成物未満で、好適には約15,000FTU/g組成物未満で、好適には約10,000FTU/g組成物未満で、飼料添加組成物中に存在する。
【0129】
本明細書で使用される場合、1FTU(フィターゼ単位)は、ISO 2009フィターゼアッセイ-フィターゼ活性を決定するための標準アッセイ-で定義されている反応条件下において、1分間で基質から1μmolの無機オルトリン酸塩を放出するのに必要な酵素量として定義されており、1FTUは、国際規格ISO/DIS 30024:1-17,2009で見出され得ることが理解されるであろう。一実施形態では、この酵素は、上記のE.C.分類を使用して分類され、E.C.分類は、1FTUを決定するために本明細書で教示されるアッセイで試験された場合にこの活性を有する酵素を指定する。
【0130】
D.飼料及び飼料添加製剤
酵素を単独で又は少なくとも1種の直接給与生菌、浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)、1種若しくは複数の精油(例えば、桂皮アルデヒド及び/若しくはチモール)、アスパラギン酸(アスパラギン酸塩)、オルニチン、アルギニン、リン酸塩、酢酸塩、ビタミンB(例えば、ビタミンB1、B6及び/若しくはB12)並びに/又は少なくとも1種の他の酵素との組み合わせで動物飼料又はプレミックスでの使用のためにカプセル化し得る。加えて、酵素は、単独で又は少なくとも1種の直接給与生菌、浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)、1種若しくは複数の精油(例えば、桂皮アルデヒド及び/若しくはチモール)、アスパラギン酸(アスパラギン酸塩)、オルニチン、アルギニン、リン酸塩、酢酸塩、ビタミンB(例えば、ビタミンB1、B6及び/若しくはB12)との組み合わせで並びに/又は少なくとも1種のプロテアーゼ、アミラーゼ、キシラナーゼ、ベータ-グルコシダーゼ及び/若しくはフィターゼとの組み合わせで、カプセル化されるか否かに関わりなく、顆粒の形態であり得る。
【0131】
動物飼料は、家禽、ブタ、反芻動物、水産養殖及びペットのための、トウモロコシ、小麦、ソルガム、ダイズ、キャノーラ、ヒマワリ等の植物材料又はこれらの植物材料若しくは植物タンパク質源の何れかの混合物を含み得る。「動物飼料」、「飼料」及び「家畜飼料」という用語は、同義で使用され、a)穀類、例えば小粒穀物(例えば、小麦、大麦、ライ麦、カラス麦及びこれらの組み合わせ)並びに/又は大粒穀物(例えば、トウモロコシ若しくはソルガム);b)穀類の副産物、例えばトウモロコシグルテンミール、可溶物添加蒸留粕乾燥穀類(DDGS)(特にトウモロコシベースの可溶物添加蒸留粕乾燥穀類(cDDGS)、小麦ふすま、小麦ミドリング粉、小麦ショーツ、米ふすま、もみ殻、カラス麦殻、パーム核及びシトラスパルプ;c)ダイズ、ヒマワリ、ピーナッツ、ルピン、エンドウ豆、ソラマメ、綿、菜種、魚粉、乾燥血漿タンパク質、肉及び骨粉、ジャガイモタンパク質、ホエイ、コプラ、ゴマ等の供給源から得られるタンパク質;d)植物源及び動物源から得られる油脂;並びに/又はe)ミネラル及びビタミンを含む群から選択される1種又は複数の飼料材料を含み得る。
【0132】
機能性飼料等の飼料として使用されるか又はこの飼料の調製で使用される場合、本発明の酵素又は飼料添加組成物は、栄養学的に許容される担体、栄養学的に許容される希釈剤、栄養学的に許容される賦形剤、栄養学的に許容されるアジュバント、栄養学的に有効な成分の1つ又は複数と組み合わせて使用され得る。例えば、タンパク質、ペプチド、スクロース、ラクトース、ソルビトール、グリセロール、プロピレングリコール、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、酢酸カリウム、クエン酸カリウム、ギ酸カリウム、酢酸カリウム、ソルビン酸カリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、ギ酸マグネシウム、ソルビン酸マグネシウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メチルパラベン及びプロピルパラベンからなる群から選択される少なくとも1種の構成成分が挙げられ得る。
【0133】
好ましい実施形態では、本発明の酵素又は飼料添加組成物は、飼料を形成するために飼料混合成分と混合される。「飼料構成成分」という用語は、本明細書で使用される場合、飼料の全て又は一部を意味する。飼料の一部は、この飼料の1つの構成要素又はこの飼料の複数、例えば2つ、若しくは3つ、若しくは4つ又はより多くの構成要素を意味し得る。一実施形態では、「飼料構成成分」という用語は、プレミックス又はプレミックス成分を包含する。
【0134】
好ましくは、飼料は、家畜飼料又はそのプレミックス、配合飼料又はそのプレミックスであり得る。本発明に係る飼料添加組成物は、配合飼料、配合飼料構成成分と混合され得るか、或いは配合飼料のプレミックス又は家畜飼料、家畜飼料構成成分若しくは家畜飼料のプレミックスに混合され得る。
【0135】
「家畜飼料」という用語は、本明細書で使用される場合、(動物が自身で探し回らなければならないというよりむしろ)動物に提供される任意の食料を意味する。家畜飼料は、切断された植物を包含する。さらに、家畜飼料には、サイレージ、圧縮及びペレット化飼料、油及び混合飼料並びにさらに胚芽穀粒及びマメ類が含まれる。
【0136】
家畜飼料を、下記から選択される植物の1つ又は複数から得ることができる:トウモロコシ(corn)(トウモロコシ(maize))、アルファルファ(ルーサン)、オオムギ、ミヤコグサ、アブラナ、チョーモエリア(Chau moellier)、ケール、ナタネ(カノーラ)、ルタバガ(スウェーデンカブ)、カブ、クローバー、タチオランダゲンゲ、ムラサキツメクサ、サブタレニアンクローバー、シロツメクサ、ウシノケグサ、スズメノチャヒキ、キビ、カラスムギ、ソルガム、大豆、木(木の牧草のために短く刈り込んだ木の芽)、小麦及びマメ類。
【0137】
「配合飼料」という用語は、ミール、ペレット、ナッツ、ケーキ又は粉砕物の形態の市販の飼料を意味する。配合飼料は、様々な原材料及び添加剤からブレンドされ得る。
【0138】
このブレンド物は、標的動物の特定の要件に従って配合される。
【0139】
配合飼料は、1日に必要な栄養素の全てを提供する完全飼料であり得るか、飼料の一部(タンパク質、エネルギー)を提供する濃縮物であり得るか、又はミネラル及びビタミン等の追加の微量栄養素のみを提供するサプリメントであり得る。配合飼料で使用される主成分は、トウモロコシ、小麦、カノーラミール、ナタネミール、ルーピン、大豆、ソルガム、カラスムギ及びオオムギを含む飼料用穀物である。
【0140】
好適には、「プレミックス」は、本明細書で言及される場合、微量成分(例えば、ビタミン、ミネラル、化学保存料、抗生物質、発酵生成物及び他の必須成分)から構成される組成物であり得る。プレミックスは、通常、市販の食料にブレンドするのに適した組成物である。
【0141】
本明細書で使用される場合、「接触する」という用語は、生成物(例えば、飼料)への、単独での又は少なくとも1種の直接給与生菌、浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)、1種若しくは複数の精油(例えば、桂皮アルデヒド及び/若しくはチモール)、アスパラギン酸(アスパラギン酸塩)、オルニチン、アルギニン、リン酸塩、酢酸塩、ビタミンB(例えば、ビタミンB1、B6及び/若しくはB12)並びに/又は少なくとも1種の他の酵素との組み合わせでの、酵素の間接的な又は直接的な適用を指す。使用し得る適用方法の例として、飼料添加組成物を含む物質中で生成物を処理する方法、飼料添加組成物を生成物と混合することによって直接適用する方法、飼料添加組成物を生成物の表面に噴霧する方法又は生成物を飼料添加組成物の調製物中に浸漬する方法が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、本発明の飼料添加組成物は、好ましくは、生成物(例えば、飼料)と混合される。代わりに、この飼料添加組成物は、飼料のエマルション又は原料成分に含まれ得る。
【0142】
酵素を、単独で均質化して粉末を生成するか、又は少なくとも1種の直接給与生菌、浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)、1種若しくは複数の精油(例えば、桂皮アルデヒド及び/若しくはチモール)、アスパラギン酸(アスパラギン酸塩)、オルニチン、アルギニン、リン酸塩、酢酸塩、ビタミンB(例えば、ビタミンB1、B6及び/若しくはB12)並びに/又は少なくとも1種の他の酵素との組み合わせで均質化して粉末を生成することも可能である。代替実施形態では、酵素を、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第1997/016076号パンフレット又は同第1992/012645号パンフレットで説明されている(TPT顆粒と称される)ように単独で顆粒に製剤化し得るか、又は少なくとも1種の直接給与生菌、浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)、1種若しくは複数の精油(例えば、桂皮アルデヒド及び/若しくはチモール)、アスパラギン酸(アスパラギン酸塩)、オルニチン、アルギニン、リン酸塩、酢酸塩、ビタミンB(例えば、ビタミンB1、B6及び/若しくはB12)並びに/又は少なくとも1種の他の酵素との組み合わせで顆粒に製剤化し得る。「TPT」は、熱防護技術を意味する。
【0143】
別の態様では、飼料添加組成物が顆粒に製剤化される場合、この顆粒は、タンパク質コアにコーティングされた水和障壁塩を含む。そのような塩コーティングの利点は、耐熱性の改善、貯蔵安定性の改善及びそうしないと酵素に対して有害効果を有する他の飼料添加剤からの保護である。好ましくは、塩コーティングに使用される塩は、20℃において、0.25を超える水分活性又は60%を超える恒湿を有する。いくつかの実施形態では、この塩コーティングは、Na2SO4を含む。
【0144】
酵素を単独で調製するか又は少なくとも1種の直接給与生菌、浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)、1種若しくは複数の精油(例えば、桂皮アルデヒド及び/若しくはチモール)、アスパラギン酸(アスパラギン酸塩)、オルニチン、アルギニン、リン酸塩、酢酸塩、ビタミンB(例えば、ビタミンB1、B6及び/若しくはB12)並びに/又は少なくとも1種の他の酵素との組み合わせで調製する方法は、粉末をペレット化するさらなる工程も含み得る。この粉末は、当技術分野で既知の他の構成成分と混合され得る。粉末又はこの粉末を含む混合物をダイに通して押し出し得、得られたストランドを可変長の好適なペレットに切断する。
【0145】
任意選択的に、ペレット化する工程は、ペレットの形成前に蒸気処理又はコンディショニング段階を含み得る。粉末を含む混合物をコンディショナー(例えば、蒸気注入を有するミキサー)に入れることができる。この混合物をコンディショナー中で60~100℃等の特定の温度まで加熱し、典型的な温度は、70℃、80℃、85℃、90℃又は95℃であるろう。滞留時間は、数秒間~数分間、さらに数時間で可変であり得る。例えば、5秒、10秒、15秒、30秒、1分、2分、5分、10分、15分、30分及び1時間である。
【0146】
動物が異なると必要な飼料も異なり、且つ同じ動物であっても、この動物の飼育される目的に応じて必要な飼料が異なり得ることが、当業者に理解されるであろう。任意選択的に、この飼料は、例えば、カルシウム等の追加のミネラル及び/又は追加のビタミンも含み得る。いくつかの実施形態では、この飼料は、トウモロコシ大豆ミール、小麦又は混合された穀物ミックスである。
【0147】
飼料は、典型的には飼料ミルで製造され、この飼料ミルでは、最初に原料が好適な粒径に粉砕され、次いで適切な添加剤と混合される。次いで、飼料をマッシュ又はペレットとして製造し得;後者は、典型的には、温度を目標レベルまで上昇させ、次いで飼料をダイに通して特定のサイズのペレットを製造する方法を含む。このペレットを冷却する。続いて、脂肪及び酵素等の液体添加剤を添加し得る。飼料の製造は、特に少なくとも蒸気の使用を含み得る好適な技術による、ペレット化前の押し出し又は膨張を含むさらなる工程も含み得る。
【0148】
飼料は、家禽類(例えば、ブロイラ、産卵ニワトリ、ブロイラ種鳥、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、水鳥)及びブタ(全年齢カテゴリー)等の単胃動物、ウシ(例えば、乳牛若しくは雄牛(子ウシを含む))、ウマ、ヒツジ等の反芻動物、ペット(例えば、イヌ、ネコ)又は魚(例えば、無胃魚、有胃魚、淡水魚、例えば、サケ、タラ、マス及びコイ、例えばコイ(koi carp)、シーバス等の海水魚並びにエビ、イガイ及びホタテガイ等の甲殻類)のための飼料であり得る。
【0149】
飼料添加組成物及び/又はそれを含む飼料は、任意の好適な形態で使用され得る。飼料添加組成物は、固体若しくは液体の調製物又はこれらの代替物の形態で使用され得る。固体調製物の例として、湿潤性であり得るか、噴霧乾燥され得るか又は凍結乾燥され得る粉末、ペースト、ボーラス、カプセル、ペレット、錠剤、粉剤及び顆粒が挙げられる。液体調製物の例として、水溶液、有機溶液又は水性-有機溶液、懸濁液及び乳濁液が挙げられるが、これらに限定されない。
【0150】
いくつかの用途では、飼料添加組成物を飼料と混合し得るか又は飲料水(例えば、井戸、噴水、浅井戸、半掘り抜き井戸及び掘り抜き井戸、都市用水、湖又は小川に由来する飲料水)で投与し得る。他の実施形態では、飼料添加組成物の1種又は複数の構成成分(例えば、浸透圧調節剤、精油、DFM又は飼料用酵素の1つ又は複数)を飲料水で投与し、この飼料添加組成物の1種又は複数の構成成分(例えば、浸透圧調節剤、精油、DFM又は飼料用酵素の1つ又は複数)を同時に飼料で投与する。水道送達が企図される場合、飼料添加組成物の投与として、この組成物と水とを混合すること、この組成物の構成成分(例えば、DFM)を再水和すること、水和した組成物をメディケータに入れること及びこれをドサトロン又は他のポンプ手段によって水道に投与することの1つ又は複数が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0151】
本明細書で教示されるDFM(例えば、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/若しくはラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilusを含むDFM)並びに/又は1種若しくは複数の浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)、1種若しくは複数の精油(例えば、桂皮アルデヒド及び/若しくはチモール)並びに/又は1種若しくは複数の酵素(例えば、プロテアーゼ、キシラナーゼ、ベータ-グルカナーゼ、フィターゼ及びアミラーゼ)、アスパラギン酸(アスパラギン酸塩)、オルニチン、アルギニン、リン酸塩、酢酸塩及び/若しくはビタミンB(例えば、ビタミンB1、B6及び/若しくはB12)と、飼料で許容される担体、希釈剤又は賦形剤とを混合すること並びに(任意選択的に)包装することを含む飼料添加組成物。
【0152】
飼料及び/又は飼料添加組成物を少なくとも1種のミネラル及び/又は少なくとも1種のビタミンと組み合わせ得る。このように得られた組成物は、本明細書ではプレミックスと称され得る。飼料は、少なくとも0.0001重量%の飼料添加剤を含み得る。好適には、飼料は、少なくとも0.0005重量%;少なくとも0.0010重量%;少なくとも0.0020重量%;少なくとも0.0025重量%;少なくとも0.0050重量%;少なくとも0.0100重量%;少なくとも0.020重量%;少なくとも0.100重量%;少なくとも0.200重量%;少なくとも0.250重量%;少なくとも0.500重量%の飼料添加剤を含み得る。
【0153】
好ましくは、食料又は飼料添加組成物は、少なくとも1種の生理学的に許容される担体をさらに含み得る。生理学的に許容される担体は、好ましくは、マルトデキストリン、石灰石(炭酸カルシウム)、シクロデキストリン、小麦又は小麦成分、スクロース、デンプン、Na2S04、タルク、PVA及びこれらの混合物の少なくとも1つから選択される。さらなる実施形態では、食料又は飼料添加剤は、金属イオンキレート剤をさらに含み得る。金属イオンキレート剤は、EDTA又はクエン酸から選択され得る。
【0154】
いくつかの実施形態では、食料又は飼料添加組成物は、少なくとも0.0001g/kg、0.001g/kg、少なくとも0.01g/kg、少なくとも0.1g/kg、少なくとも1g/kg、少なくとも5g/kg、少なくとも7.5g/kg、少なくとも10.0g/kg、少なくとも15.0g/kg、少なくとも20.0g/kg、少なくとも25.0g/kgのレベルで1種又は複数の酵素(例えば、プロテアーゼ、フィターゼ、キシラナーゼ、グルコアミラーゼ又はアミラーゼ)を含む。
【0155】
いくつかの実施形態では、食料又は飼料添加剤は、1種又は複数の酵素(例えば、プロテアーゼ、フィターゼ、キシラナーゼ、グルコアミラーゼ又はアミラーゼ)を、食料又は飼料材料に添加された場合、この飼料材料が1~500mg/kg、1~100mg/kg、2~50mg/kg又は2~10mg/kgの範囲でこの1種又は複数の酵素を含むようなレベルで含む。本発明のいくつかの実施形態では、食料又は飼料材料は、飼料又は食料材料1kg当たり少なくとも100、1000、2000、3000、4000、5000、10000、20000、30000、50000、100000、500000、1000000又は2000000単位の酵素を含む。いくつかの実施形態では、1単位のa-1,2-フコシダーゼ活性は、標準的なアッセイ条件下で1分間当たりの1分子の基質の放出を触媒し得る酵素の量であると規定され得る。
【0156】
本明細書で説明される任意の酵素を含む製剤は、この製剤が確実に活性酵素を含むような任意の好適な方法で作製され得る。そのような製剤は、液体、乾燥粉末又は顆粒であり得る。好ましくは、飼料添加組成物は、飼料ペレット上又は飼料ペレット中に添加するのに好適な固体形態である。
【0157】
乾燥粉末又は顆粒を、高剪断造粒、ドラム造粒、押出し、球形化、流体層凝集、流体層スプレー乾燥等の当業者に既知の手段によって調製し得る。
【0158】
本明細書で説明される飼料添加組成物は、国際公開第2007/044968号パンフレット(TPT顆粒と呼ばれる)、又は同第1997/016076号パンフレット、又は同第1992/012645号パンフレット(これらは、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる)で説明されている乾燥粉末又は顆粒に製剤化され得る。
【0159】
一実施形態では、動物飼料を、コア;活性剤;及び少なくとも1種のコーティングを含む飼料組成物のための顆粒として製剤化し得、この顆粒の活性剤は、a)飼料ペレット化プロセス、b)蒸気加熱飼料前処理プロセス、c)貯蔵、d)非ペレット化混合物中の成分としての貯蔵、並びにe)微量ミネラル、有機酸、還元糖、ビタミン類、塩化コリン及び酸性又は塩基性の飼料基剤ミックス又は飼料プレミックスを生じさせる化合物から選択される少なくとも1種の化合物を含む飼料基剤ミックス又は飼料プレミックス中の成分としての貯蔵の1つ又は複数から選択された条件を受けた後、少なくとも50%の活性、少なくとも60%の活性、少なくとも70%の活性、少なくとも80%の活性を維持する。
【0160】
顆粒に関して、少なくとも1種のコーティングは、この顆粒の少なくとも55重量/重量%を占める水分水和物質を含み得;及び/又は少なくとも1種のコーティングは、2種のコーティングを含み得る。これら2種のコーティングは、水分水和コーティング及び水分バリアコーティングであり得る。いくつかの実施形態では、水分水和コーティングは、顆粒の25重量/重量%~60重量/重量%であり得、水分バリアコーティングは、顆粒の2重量/重量%~15重量/重量%であり得る。水分水和コーティングは、無機塩、スクロース、デンプン及びマルトデキストリンから選択され得、水分バリアコーティングは、ポリマー、ガム、ホエイ及びデンプンから選択され得る。
【0161】
飼料添加組成物を、コア;活性剤であって、貯蔵後及び顆粒が成分である蒸気加熱ペレット化プロセス後、少なくとも80%の活性を保持する顆粒の活性剤;水分バリアコーティング;及び顆粒の少なくとも25重量/重量%である水分水和コーティングを含む動物飼料のための顆粒であって、蒸気加熱ペレット化プロセス前に0.5未満の水分活性を有する顆粒に処方化し得る。
【0162】
顆粒は、ポリマー及びガムから選択される水分バリアコーティングを有し得、水分水和物質は、無機塩であり得る。水分水和コーティングは、顆粒の25重量/重量%~45重量/重量%であり得、水分バリアコーティングは、顆粒の2重量/重量%~10重量/重量%であり得る。
【0163】
顆粒は、最大数分にわたって85℃~95℃で行われ得る蒸気加熱ペレット化プロセスを使用して製造され得る。
【0164】
代わりに、組成物は、消費に適した液体製剤で存在し、好ましくは、そのような液体消費物は、緩衝液、塩、ソルビトール及び/又はグリセロールの1つ又は複数を含む。
【0165】
同様に、飼料添加組成物を、例えば粉砕小麦等の担体基質上に酵素を適用する(例えば、噴霧する)ことによって製剤化し得る。一実施形態では、飼料添加組成物をプレミックスとして製剤化し得る。ごく一例ではあるが、プレミックスは、1種若しくは複数のミネラル類及び/又は1種若しくは複数のビタミン類等の1種又は複数の飼料構成成分を含み得る。
【0166】
一実施形態では、少なくとも1種のDFM並びに/又は酵素(例えば、プロテアーゼ、アミラーゼ、キシラナーゼ、ベータ-グルコシダーゼ及び/若しくはフィターゼ)は、マルトデキストリン、石灰石(炭酸カルシウム)、シクロデキストリン、小麦若しくは小麦成分、スクロース、デンプン、Na2SO4、タルク、PVA、ソルビトール、安息香酸塩、ソルベート、グリセロール、スクロース、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、グルコース、パラベン、塩化ナトリウム、クエン酸塩、酢酸塩、リン酸塩、カルシウム、メタ重亜硫酸塩、ギ酸塩及びこれらの混合物の少なくとも1つから選択される少なくとも1種の生理学的に許容される担体を用いて製剤化される。
【0167】
薬学的に許容される塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩及び硫酸塩等の鉱酸塩又は酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩及び安息香酸塩等の有機酸の塩)を使用し得る。飼料添加組成物及び/又は水道用組成物中の薬学的に許容される担体は、水、生理食塩水、グリセロール及びエタノール等の液体をさらに含み得る。加えて、そのような組成物中には、湿潤剤若しくは乳化剤又はpH緩衝物質等の補助物質が存在し得る。そのような担体は、医薬組成物を患者が摂取するための錠剤、ピル剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤及び懸濁剤として製剤化することを可能にする。製剤化されると、本発明の組成物は、対象に直接投与され得る。治療される対象は、動物であり得る。しかし、1つ又は複数の実施形態では、本組成物は、ヒト対象への投与に適している。
【0168】
III.方法
A.壊死性腸炎を処置又は予防する方法
本開示は、対象の壊死性腸炎を処置又は予防する方法であって、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)を含む直接給与生菌(DFM)を含む飼料、飼料添加組成物又はプレミックスの有効量をこの動物に投与することを含む方法に関する。しかしながら、いくつかの実施形態では、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)を含むDFMを、水道によって飲料水で対象に送達し得る。別の実施形態では、この方法は、対象の壊死性腸炎を処置又は予防することであって、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)を含む直接給与生菌(DFM)を含む飼料、飼料添加組成物又はプレミックスを含む水(例えば、水道送達による水)の有効量をこの動物に投与することを含む処置又は予防することに関する。この飼料、飼料添加組成物又はプレミックスは、浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)、1種又は複数の精油(例えば、桂皮アルデヒド及び/又はチモール)並びに1種又は複数の酵素(例えば、プロテアーゼ、キシラナーゼ、ベータ-グルカナーゼ、フィターゼ及びアミラーゼ)の1つ又は複数をさらに含み得る。
【0169】
いくつかの実施形態では、対象に、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)(又はビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/若しくはラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)のセクレトーム)を含むDFMを含む飼料又は飼料添加組成物の有効量を投与することにより、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)(又はビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/若しくはラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)のセクレトーム)を含むDFMを含む飼料又は飼料添加組成物の有効量を投与されていない対象中に存在する壊死性腸炎の発生率と比較して壊死性腸炎の発生率が減少する(例えば、約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%及びこれらのパーセンテージ間の全ての値の何れかだけ減少する)。この飼料又は飼料添加組成物は、浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)、1種又は複数の精油(例えば、桂皮アルデヒド及び/又はチモール)並びに1種又は複数の酵素(例えば、プロテアーゼ、キシラナーゼ、ベータ-グルカナーゼ、フィターゼ及びアミラーゼ)の1つ又は複数をさらに含み得る。対象は、家禽(例えば、産卵ニワトリ若しくはブロイラ)又はブタ(例えば、子ブタ、成長期のブタ若しくは雌ブタ)であり得る。
【0170】
一実施形態では、壊死性腸炎を処置又は予防することは、対象の腸病変を予防又は軽減することを含む。具体的には、対象に、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)(又はビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/若しくはラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)のセクレトーム)を含むDFMを含む飼料又は飼料添加組成物の有効量を投与することにより、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)(又はビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/若しくはラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)のセクレトーム)を含むDFMを含む飼料又は飼料添加組成物の有効量を投与されていない対象中に存在する壊死性腸炎の発生率と比較して腸病変が減少する(即ち数が減少し、且つ/又は重症度が低下する)(例えば、約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%及びこれらのパーセンテージ間の全ての値の何れかだけ減少する)。この飼料又は飼料添加組成物は、浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)、1種又は複数の精油(例えば、桂皮アルデヒド及び/又はチモール)並びに1種又は複数の酵素(例えば、プロテアーゼ、キシラナーゼ、ベータ-グルカナーゼ、フィターゼ及びアミラーゼ)の1つ又は複数をさらに含み得る。対象は、家禽(例えば、産卵ニワトリ若しくはブロイラ)又はブタ(例えば、子ブタ、成長期のブタ若しくは雌ブタ)であり得る。
【0171】
別の実施形態では、壊死性腸炎を処置又は予防することは、対象の飼料要求率(FCR)を低下させることを含む。具体的には、対象に、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)(又はビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/若しくはラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)のセクレトーム)を含むDFMを含む飼料又は飼料添加組成物の有効量を投与することにより、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)(又はビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/若しくはラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)のセクレトーム)を含むDFMを含む飼料又は飼料添加組成物の有効量を投与されていない対象のFCRと比較してFCRが低下する(例えば、約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%及びこれらのパーセンテージ間の全ての値の何れかだけ低下する)。この飼料又は飼料添加組成物は、浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)、1種又は複数の精油(例えば、桂皮アルデヒド及び/又はチモール)並びに1種又は複数の酵素(例えば、プロテアーゼ、キシラナーゼ、ベータ-グルカナーゼ、フィターゼ及びアミラーゼ)の1つ又は複数をさらに含み得る。対象は、家禽(例えば、産卵ニワトリ若しくはブロイラ)又はブタ(例えば、子ブタ、成長期のブタ若しくは雌ブタ)であり得る。
【0172】
別の実施形態では、壊死性腸炎を処置又は予防することは、対象又は一群の対象の死亡率を低下させることを含む。具体的には、対象に、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)(又はビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/若しくはラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)のセクレトーム)を含むDFMを含む飼料又は飼料添加組成物の有効量を投与することにより、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)(又はビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/若しくはラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)のセクレトーム)を含むDFMを含む飼料又は飼料添加組成物の有効量を投与されていない対象又は一群の対象の死亡率を比較して死亡率が低下する(例えば、約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%及びこれらのパーセンテージ間の全ての値の何れかだけ低下する)。この飼料又は飼料添加組成物は、浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)、1種又は複数の精油(例えば、桂皮アルデヒド及び/又はチモール)並びに1種又は複数の酵素(例えば、プロテアーゼ、キシラナーゼ、ベータ-グルカナーゼ、フィターゼ及びアミラーゼ)の1つ又は複数をさらに含み得る。対象は、家禽(例えば、産卵ニワトリ若しくはブロイラ)又はブタ(例えば、子ブタ、成長期のブタ若しくは雌ブタ)であり得る。
【0173】
別の実施形態では、壊死性腸炎を処置又は予防することは、対象の飼料効率を増加させることを含む。具体的には、対象に、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)(又はビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/若しくはラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)のセクレトーム)を含むDFMを含む飼料又は飼料添加組成物の有効量を投与することにより、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)(又はビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/若しくはラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)のセクレトーム)を含むDFMを含む飼料又は飼料添加組成物の有効量を投与されていない対象の飼料効率と比較して飼料効率が増加する(例えば、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、135%、140%、145%、150%、155%、160%、165%、170%、175%、180%、185%、190%、195%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%、550%、600%、650%、700%、750%、800%、850%、900%、950%、1000%、1100%、1200%、1300%、1400%、1500%、1600%、1700%、1800%、1900%、2000%、2100%、2200%、2300%、2400%、2500%及びこれらのパーセンテージ間の全ての値の何れかだけ増加する)。この飼料又は飼料添加組成物は、浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)、1種又は複数の精油(例えば、桂皮アルデヒド及び/又はチモール)並びに1種又は複数の酵素(例えば、プロテアーゼ、キシラナーゼ、ベータ-グルカナーゼ、フィターゼ及びアミラーゼ)の1つ又は複数をさらに含み得る。対象は、家禽(例えば、産卵ニワトリ若しくはブロイラ)又はブタ(例えば、子ブタ、成長期のブタ若しくは雌ブタ)であり得る。
【0174】
別の実施形態では、壊死性腸炎を処置又は予防することは、対象の最終屠殺重量(即ち給餌の最終段階に入っている対象の体重)を増加させることを含む。具体的には、対象に、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)(又はビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/若しくはラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)のセクレトーム)を含むDFMを含む飼料又は飼料添加組成物の有効量を投与することにより、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)(又はビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/若しくはラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)のセクレトーム)を含むDFMを含む飼料又は飼料添加組成物の有効量を投与されていない対象の最終屠殺重量と比較して最終屠殺重量が増加する(例えば、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、135%、140%、145%、150%、155%、160%、165%、170%、175%、180%、185%、190%、195%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%、550%、600%、650%、700%、750%、800%、850%、900%、950%、1000%、1100%、1200%、1300%、1400%、1500%、1600%、1700%、1800%、1900%、2000%、2100%、2200%、2300%、2400%、2500%及びこれらのパーセンテージ間の全ての値の何れかだけ増加する)。この飼料又は飼料添加組成物は、浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)、1種又は複数の精油(例えば、桂皮アルデヒド及び/又はチモール)並びに1種又は複数の酵素(例えば、プロテアーゼ、キシラナーゼ、ベータ-グルカナーゼ、フィターゼ及びアミラーゼ)の1つ又は複数をさらに含み得る。対象は、家禽(例えば、産卵ニワトリ若しくはブロイラ)又はブタ(例えば、子ブタ、成長期のブタ若しくは雌ブタ)であり得る。
【0175】
別の実施形態では、壊死性腸炎を処置又は予防することは、対象の体重増加を増加させることを含む。具体的には、対象に、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)(又はビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/若しくはラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)のセクレトーム)を含むDFMを含む飼料又は飼料添加組成物の有効量を投与することにより、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)(又はビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/若しくはラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)のセクレトーム)を含むDFMを含む飼料又は飼料添加組成物の有効量を投与されていない対象の体重増加と比較して体重増加が増加する(例えば、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、135%、140%、145%、150%、155%、160%、165%、170%、175%、180%、185%、190%、195%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%、550%、600%、650%、700%、750%、800%、850%、900%、950%、1000%、1100%、1200%、1300%、1400%、1500%、1600%、1700%、1800%、1900%、2000%、2100%、2200%、2300%、2400%、2500%及びこれらのパーセンテージ間の全ての値の何れかだけ増加する)。この飼料又は飼料添加組成物は、浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)、1種又は複数の精油(例えば、桂皮アルデヒド及び/又はチモール)並びに1種又は複数の酵素(例えば、プロテアーゼ、キシラナーゼ、ベータ-グルカナーゼ、フィターゼ及びアミラーゼ)の1つ又は複数をさらに含み得る。対象は、家禽(例えば、産卵ニワトリ若しくはブロイラ)又はブタ(例えば、子ブタ、成長期のブタ若しくは雌ブタ)であり得る。
【0176】
別の実施形態では、壊死性腸炎を処置又は予防することは、対象でのクロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)壊死性腸炎B様毒素(NetB)の発現を減少させることを含む。NetBは、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)毒素型A株によって産生され、比較的程度は低いが、C型の株によっても産生される(Kaldhusdal et al.(1999)FEMS Immunol Med Microbiol vol 24:337-343)。このタンパク質は、その活性型で322個のアミノ酸長であり、推定分子量が36.5kDaである。毒性の分子基盤は、依然としてほとんど解明されていないが、いくつかの研究により、NetBは、膜に孔を形成可能であり、且つ小孔形成毒素ファミリのいくつかの他の関連メンバーとのアミノ酸配列類似性を共有することから(C.パーフリンジェンス(C.perfringens)由来のベータ毒素との38%同一性、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)デルタ毒素との40%同一性及びS.アウレウス(S.aureus)由来のアルファ毒素との31%同一性)、小型β-孔形成毒素(β-PFT)の新規メンバーであることが示唆された(Keyburn et al.(2008)PLoS Pathog vol 4:e26;Manich et al.(2008)PLoS One vol 3:e3764)。当初は、同じ細菌によって産生されるアルファ毒素がNEを引き起こす主な病原性因子であると考えられていたが、アルファ毒素変異体を使用する実験により、この株には依然として毒性があり、疾患を引き起こす可能性があることが分かった(Keyburn et al.(2006)Infect Immun vol 74:6496-6500)。対照的に、netB変異体は、NEを引き起こし得なかったが、野生型及び相補変異体は引き起こし得た(Keyburn et al.(2008)PLoS Pathog vol 4:e26;Manich et al.(2008)PLoS One vol 3:e3764)。しかし、場合により、NetB遺伝子を有しないC.パーフリンジェンス(C.perfringens)株であっても依然として病原性の能力があることが報告されたことから、NetBがNEを引き起こすのに重要な病原性因子であるかどうかについては、依然として定かではない(Cooper&Songer(2009)Vet Microbiol vol 142:323-328)。さらに、アルファ毒素及び他の抗原(例えば、仮説上の亜鉛メタロプロテアーゼ及びピルビン酸-フェレドキシン酸化還元酵素)を使用する免疫化研究により、NEの発症からニワトリを中程度に保護することが確認されている(Cooper et al.(2009)Vet Microbiol vol 133:92-97;Zekarias et al.(2008)Clin Vaccine Immunol vol 15:805-816;Kulkarni et al.(2010)Clin Vaccine Immunol vol 17:205-214;Kulkarni et al.(2007)Clin Vaccine Immunol vol 14:1070-1077)。
【0177】
いくつかの実施形態では、対象に、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)(又はビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/若しくはラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)のセクレトーム)を含むDFMを含む飼料又は飼料添加組成物の有効量を投与することにより、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)(又はビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/若しくはラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)のセクレトーム)を含むDFMを含む飼料又は飼料添加組成物の有効量を投与されていない対象でのNetBの発現と比較してNetBの発現が減少する(例えば、約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%及びこれらのパーセンテージ間の全ての値の何れかだけ減少する)。この飼料又は飼料添加組成物は、浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)、1種又は複数の精油(例えば、桂皮アルデヒド及び/又はチモール)並びに1種又は複数の酵素(例えば、プロテアーゼ、キシラナーゼ、ベータ-グルカナーゼ、フィターゼ及びアミラーゼ)の1つ又は複数をさらに含み得る。対象は、家禽(例えば、産卵ニワトリ、若しくはブロイラ、若しくはシチメンチョウ)又はブタ(例えば、子ブタ、成長期のブタ若しくは雌ブタ)であり得る。
【0178】
B.コクシジウム症を処置又は予防する方法
コクシジウム症は、エイメリア属(Eimeria)の細胞内寄生原虫の感染によって引き起こされる家禽の腸疾患である。コクシジウム症は、家禽の最も経済的に壊滅的な寄生虫性疾患である。抗コクシジウム症薬及びコクシジウム症に起因する損失により、養鶏業に毎年数億米ドルの負担がかかっていると推定されている。この疾患は、感染した糞便に触れるか又は感染した組織を摂取することにより、ある動物から別の動物に広がる。重症の場合には血便となる場合もある下痢が主な症状である。コクシジウム症に感染した動物のほとんどは、無症状であるが、若い動物又は免疫不全の動物は、重度の症状を患っており、死亡する場合がある。
【0179】
本開示は、対象のコクシジウム症を処置又は予防する方法であって、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)(又はビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/若しくはラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)のセクレトーム)を含む直接給与生菌(DFM)を含む飼料、飼料添加組成物又はプレミックスの有効量をこの動物に投与することを含む方法に関する。この飼料、飼料添加組成物又はプレミックスは、浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)、1種又は複数の精油(例えば、桂皮アルデヒド及び/又はチモール)並びに1種又は複数の酵素(例えば、プロテアーゼ、キシラナーゼ、ベータ-グルカナーゼ、フィターゼ及びアミラーゼ)の1つ又は複数をさらに含み得る。
【0180】
いくつかの実施形態では、対象又は対象の群に、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)(又はビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/若しくはラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)のセクレトーム)を含むDFMを含む飼料又は飼料添加組成物の有効量を投与することにより、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)(又はビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/若しくはラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)のセクレトーム)を含むDFMを含む飼料又は飼料添加組成物の有効量を投与されていない対象又は対象の群中に存在するコクシジウム症の発生率と比較してコクシジウム症の発病又は発生率が低下する(例えば、約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%及びこれらのパーセンテージ間の全ての値の何れかだけ低下する)。この飼料又は飼料添加組成物は、浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)、1種又は複数の精油(例えば、桂皮アルデヒド及び/又はチモール)並びに1種又は複数の酵素(例えば、プロテアーゼ、キシラナーゼ、ベータ-グルカナーゼ、フィターゼ及びアミラーゼ)の1つ又は複数をさらに含み得る。対象は、家禽(例えば、産卵ニワトリ若しくはブロイラ)又はブタ(例えば、子ブタ、成長期のブタ若しくは雌ブタ)であり得る。
【0181】
C.クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)におけるNetB毒素発現を減少させる方法
同様に本明細書で提供されるのは、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞をアスパラギン酸(アスパラギン酸塩)、オルニチン、アルギニン、リン酸塩、酢酸塩、ビタミンB並びに/又はビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/若しくはラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)のセクレトームの1つ又は複数と接触させることにより、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)における壊死性腸炎B様毒素(NetB)発現を減少させる方法である。
【0182】
C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞をアスパラギン酸又はそのイオン型であるアスパラギン酸塩と接触させることにより、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)NetB毒素発現が減少する。アスパラギン酸は、タンパク質の生合成で使用されるα-アミノ酸である。微生物では、アスパラギン酸塩は、メチオニン、スレオニン、イソロイシン、リシン、アスパラギン及びアルギニン等のいくつかのアミノ酸の前駆体である。これらの他のアミノ酸へのアスパラギン酸塩の変換は、アスパラギン酸のその「セミアルデヒド」OCCH(NH)CHCHOへの還元によって始まる。アスパラギンは、アミド基転移を経てアスパラギン酸塩から生じる。アルギニン生合成におけるアスパラギン酸塩の役割を図7Bに示す。従って、いくつかの実施形態では、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞をアスパラギン酸又はそのイオン型であるアスパラギン酸塩と接触させることにより、アスパラギン酸と接触していない細胞中でのC.パーフリンジェンス(C.perfringens)NetB毒素発現と比較してC.パーフリンジェンス(C.perfringens)NetB毒素発現が減少する(例えば、約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%及びこれらのパーセンテージ間の全ての値の何れかだけ減少する)。いくつかの実施形態では、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞を浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)又は精油(例えば、チモール若しくは桂皮アルデヒド)とさらに接触させる。さらなる実施形態では、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞は、家禽(例えば、ブロイラ又は産卵ニワトリ等のニワトリ)の腸内にある。
【0183】
C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞をオルニチンと接触させることにより、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)NetB毒素発現が減少する。オルニチンは、アルギニン生合成で役割を果たす非タンパク質新生アミノ酸である(図7Bを参照されたい)。従って、いくつかの実施形態では、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞をオルニチンと接触させることにより、オルニチンと接触していない細胞中でのC.パーフリンジェンス(C.perfringens)NetB毒素発現と比較してC.パーフリンジェンス(C.perfringens)NetB毒素発現が減少する(例えば、約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%及びこれらのパーセンテージ間の全ての値の何れかだけ減少する)。いくつかの実施形態では、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞を浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)又は精油(例えば、チモール若しくは桂皮アルデヒド)とさらに接触させる。さらなる実施形態では、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞は、家禽(例えば、ブロイラ又は産卵ニワトリ等のニワトリ)の腸内にある。
【0184】
C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞をアルギニンと接触させることにより、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)NetB毒素発現が減少する。アルギニンは、タンパク質の生合成で使用されるα-アミノ酸である。従って、いくつかの実施形態では、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞をアルギニンと接触させることにより、アルギニンと接触していない細胞中でのC.パーフリンジェンス(C.perfringens)NetB毒素発現と比較してC.パーフリンジェンス(C.perfringens)NetB毒素発現が減少する(例えば、約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%及びこれらのパーセンテージ間の全ての値の何れかだけ減少する)。いくつかの実施形態では、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞を浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)又は精油(例えば、チモール若しくは桂皮アルデヒド)とさらに接触させる。さらなる実施形態では、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞は、家禽(例えば、ブロイラ又は産卵ニワトリ等のニワトリ)の腸内にある。
【0185】
C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞をリン酸塩源と接触させることにより、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)NetB毒素発現が減少する。リン酸塩又はオルトリン酸イオン[PO3-は、3つのプロトンHの除去によってリン酸から生じる。1つ又は2つのプロトンの除去により、それぞれリン酸二水素イオン[HPO及びリン酸水素イオン[HPO2-が得られる。これらの名称は、これらのアニオンの塩(例えば、限定されないが、リン酸二水素アンモニウム及びリン酸三ナトリウム)にも使用される。従って、いくつかの実施形態では、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞をリン酸塩源と接触させることにより、リン酸塩源と接触していない細胞中でのC.パーフリンジェンス(C.perfringens)NetB毒素発現と比較してC.パーフリンジェンス(C.perfringens)NetB毒素発現が減少する(例えば、約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%及びこれらのパーセンテージ間の全ての値の何れかだけ減少する)。いくつかの実施形態では、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞を浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)又は精油(例えば、チモール若しくは桂皮アルデヒド)とさらに接触させる。さらなる実施形態では、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞は、家禽(例えば、ブロイラ又は産卵ニワトリ等のニワトリ)の腸内にある。
【0186】
C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞を酢酸塩と接触させることにより、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)NetB毒素発現が減少する。酢酸塩は、酢酸と塩基(例えば、アルカリ塩基、土類塩基、金属塩基、非金属塩基又はラジカル塩基)との組み合わせによって形成される塩である。いくつかの微生物では、ピルビン酸塩は、酵素ピルビン酸デヒドロゲナーゼによってアセチル-コエンザイムA(アセチル-CoA)に変換される。次いで、このアセチル-CoAは、酢酸塩に変換され、同時に基質レベルのリン酸化によってATPが産生される。酢酸塩形成には、下記の2種の酵素:リン酸アセチルトランスフェラーゼ及び酢酸キナーゼが必要とされている。従って、いくつかの実施形態では、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞を酢酸塩と接触させることにより、酢酸塩と接触していない細胞中でのC.パーフリンジェンス(C.perfringens)NetB毒素発現と比較してC.パーフリンジェンス(C.perfringens)NetB毒素発現が減少する(例えば、約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%及びこれらのパーセンテージ間の全ての値の何れかだけ減少する)。いくつかの実施形態では、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞を浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)又は精油(例えば、チモール若しくは桂皮アルデヒド)とさらに接触させる。さらなる実施形態では、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞は、家禽(例えば、ブロイラ又は産卵ニワトリ等のニワトリ)の腸内にある。
【0187】
C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞を1種又は複数のビタミンBと接触させることにより、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)NetB毒素発現が減少する。ビタミンBは、細胞代謝で重要な役割を果たす水溶性ビタミンの一種である。ビタミンBの非限定的な例として、ビタミンB、B及び/又はB12が挙げられる。従って、いくつかの実施形態では、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞を1種又は複数のビタミンBと接触させることにより、1種又は複数のビタミンBと接触していない細胞中でのC.パーフリンジェンス(C.perfringens)NetB毒素発現と比較してC.パーフリンジェンス(C.perfringens)NetB毒素発現が減少する(例えば、約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%及びこれらのパーセンテージ間の全ての値の何れかだけ減少する)。いくつかの実施形態では、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞を浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)又は精油(例えば、チモール若しくは桂皮アルデヒド)とさらに接触させる。さらなる実施形態では、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞は、家禽(例えば、ブロイラ又は産卵ニワトリ等のニワトリ)の腸内にある。
【0188】
C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞をビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)(例えば、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)Bl-04株及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)NCFM株)のセクレトームと接触させることにより、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)NetB毒素発現が減少する。従って、いくつかの実施形態では、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞をビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)のセクレトームと接触させることにより、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)のセクレトームと接触していない細胞中でのC.パーフリンジェンス(C.perfringens)NetB毒素発現と比較してC.パーフリンジェンス(C.perfringens)NetB毒素発現が減少する(例えば、約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%及びこれらのパーセンテージ間の全ての値の何れかだけ減少する)。いくつかの実施形態では、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞を浸透圧調節剤(例えば、ベタイン)又は精油(例えば、チモール若しくは桂皮アルデヒド)とさらに接触させる。さらなる実施形態では、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞は、家禽(例えば、ブロイラ又は産卵ニワトリ等のニワトリ)の腸内にある。
【0189】
下記の実施例を参照することによって本発明をさらに理解することができるが、この実施例は、説明のために提供されるものであり、限定を意図するものではない。
【実施例
【0190】
実施例1:壊死性腸炎の悪影響を軽減するためのベタイン、精油及びDFMの使用
この実施例により、病変スコア及び鳥の性能の改善によって証明されるように、ベタイン、精油及びDFMが特定の組み合わせで使用された場合、壊死性腸炎(NE)の悪影響が軽減されることが実証されている。
【0191】
材料及び方法
簡潔に説明すると、40日齢の雄のCobb 500ブロイラをフロアペンに入れ、1つの処置当たり9つの反復ペン及び合計7つの処置とした。全ての鳥に3期にわたって市販の代表的なトウモロコシ/ダイズ飼料を給餌し、水に自由にアクセスさせた。処置群は、下記の通りであった:非負荷コントロール(UC)、負荷コントロール(CC)、CC+BE(ベタイン;含有物は、ベタイン(1kg/ptt)、Enviva(登録商標)EO(桂皮アルデヒド及びチモール精油;100g/ptt)であった);CC+BE+DUAL;CC+BE+NCFM;CC+50% BE+DUAL;CC+ベタイン(1kg/ptt)+DUALであった。DUALは、L.アシドフィルス(L.acidophilus)NCFMとB.アニマリス亜種ラクチス(B.animalis subsp.lactis)Bl-04とのDFM組み合わせを指す。この試験のD1~28にわたり、BEを飼料によって投与し、DFMを水道によって1日置きに投与して、鳥に10CFUを送達した。全ての食餌は、750 FTU Axtra(登録商標)PHYを含んでいた。18~20日目に鳥に対して、約1×10CFU/mlクロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)(Cp;netB+株)を含む液体チオグリコール酸塩(FTG)ブロス1.0mlの経口経管栄養によって負荷して、NEを誘発させた。コントロールの鳥に無菌FTGを18~20日齢から1日1回接種する。BWG、FI及びFCRをこの試験の0、14、21、28及び42日目に記録した。D28で、NE病変スコアを実行した(0~4)。
【0192】
結果
簡潔に説明すると、図1A及び図1Bに示すように、この結果から、NEの影響を軽減するためには、試験したレベルではBE単独は不十分であるが、BE+NCFMの場合にはD42の死亡率が有意に(p<0.05)低下したことが実証されている。鳥の病変スコアへの最も好影響が、BE+NCFM又はBE+DUALの組み合わせで見られ、1を超える病変スコアが採点された鳥はいなかったが、BEのみの処理では2の病変スコアが採点されている鳥が3羽いた。さらに、BE用量が50%(ベタイン及びEOそれぞれ500g及び50g)まで減少した場合、1.0を超える病変スコアが採点された鳥が増加し、EOの除去によってより中程度の病変が用量反応的に増加した。
【0193】
そのような発見は、最終的なBW(D42)に置き換えられており、CCに対して、BE+NCFM又はDUAL及び50% BE+DUALの場合、BWが有意に(p<0.05)改善されたが、ベタイン+DUALの組み合わせの場合のBWは、数値的にのみ(p>0.05)改善された。そのため、この実施例から、NEの悪影響の軽減という望ましい結果が得られるのは、活性剤の正確な組み合わせであることが実証された。理論に拘束されないが、これらの観察された改善は、下記の実施例3による試験で測定されたように、インビボでのCpレベルの低下、クロストリジウム異常発生の防止、クオラムセンシング及びその後のNetB毒素産生の減少を介したものである可能性が高いと考えられる。
【0194】
実施例2:全ての活性剤が壊死性腸炎の悪影響を軽減し得るわけではない
実施例2により、驚くべきことに、抗微生物活性が期待される全ての活性剤が、組み合わせの一部として使用された場合にNE発症を減少する能力を示すわけではないことが実証されている。グルコースオキシダーゼ(GOX)は、抗Cp作用があることが文献で報告されており、過酸化水素の生成による抗微生物活性に起因して食品用酵素として一般に使用されている。
【0195】
材料及び方法
この実施例では、2160日齢の雄のCobb 500ブロイラを6つの処置ペンの1つに割り当て、8つの反復ペン/処置(1つのペン当たり45羽の鳥)とした。全ての鳥に3期にわたって市販の代表的なトウモロコシ/ダイズ飼料を給餌し、水に自由にアクセスさせた。全ての食餌は、750 FTU Axtra PHYを含んでいた。処置群は、下記の通りであった:非負荷コントロール(UC)、負荷コントロール(CC)、CC+BEG(ベタイン(1kg/ptt)、Enviva(登録商標)EO(100g/ptt、GOX(100g/ptt))+NCFM及びBl-04(DUAL);CC+BEG+NCFM;CC+BE+DUAL;CC+BE+NCFM。この試験のD1~28にわたり、BEG活性剤を飼料によって投与し、DFMを水道によって毎日投与して、鳥に10CFUを毎日送達した。0日目に鳥にコクシジウム症ワクチンを投与し、UC群を除く全ての鳥に対して、19、20及び21日目に経口経管栄養によって108~9CFUフィールドCp株(Cp4)を投与した。そのような負荷により、軽度のNEが発症した。21及び28日目に1つのペン当たり3羽の鳥を屠殺して、NE病変の採点(0~4)及び腸透過性の評価(FITC-デキストランアッセイ及びタイトジャンクションタンパク質遺伝子発現)を行った。D14、21、28及び35日目に飼料摂取量、体重増加及びFCRを算出した。死亡率を毎日記録した。
【0196】
結果
D21での病変スコアにより、活性剤の全ての組み合わせにより、CCと比較してNE病変スコアが低下することが実証されたが(図2A)、NE病変スコアが最大の低下は、組み合わせに含まれるDFM株が1つか又は2つであるかにかかわらず、ベタイン、EO及びDFMの組み合わせのみが投与された鳥で観察された。同じ結果が、D28でのFITC-DEXTRANアッセイを使用した腸透過性の評価でも見られており(図2D)、このことから、腸完全性の改善が実証された。これらの結果は、D28(図2B)及びD35(図2C)での鳥の体重に置き換えられた。例えば、BEG+DUALが投与された鳥は、CCと比較してBWが69グラム増加したが、GOXを除く同じ組み合わせは、D35でBWが185グラム増加した。そのため、BE+DFMのみが投与された鳥は、BWが最も高く、CCに対して有意差(P<0.05)があった。そのような性能改善は、D35でのFCRで観察され(図2E);BEG+NCFMでは、GOXを除く同じ組み合わせに関する8.15ポイントに対してFCRが5.18改善された。
【0197】
そのため、この実施例から、投与された全ての抗微生物活性剤がNE発症に等しくプラスの影響を及ぼすわけではないことが実証された。
【0198】
実施例3:処置された動物におけるC.パーフリンジェンス(C.perfringens)及びnetB発現の減少
この実施例は、特定の活性剤がNE負荷時にC.パーフリンジェンス(C.perfringens)のレベル及びnetB発現を減少させ得ることを示す。
【0199】
材料及び方法
簡潔に説明すると、1680羽の雄のCobb 500日齢ニワトリを7つの処置の1つに割り当て、1つの処置当たり8つの反復ペン(30羽の鳥/ペン)とした。処置は、下記の通りであった:非負荷コントロール(UC)、負荷コントロール(CC)、CC+BE(含有物は、ベタイン(1kg/ptt)、Enviva(登録商標)EO(100g/ptt)であった);CC+BE+3種の株のDFM;CC+BE+DUAL;CC+BE+NCFM;CC+BEG(ベタイン(1kg/ptt)、Enviva(登録商標)EO(100g/ptt、GOX(100g/ptt))+NCFM。DUALは、L.アシドフィルス(L.acidophilus)NCFMとB.アニマリス亜種ラクチス(B.animalis subsp.lactis)Bl-04とのDFM組み合わせを指す。この試験のD1~28にわたり、BE及びBEG活性剤を飼料によって投与し、DFMを水道によって毎日投与して、鳥に10CFUを毎日送達した。全ての食餌は、750 FTU Axtra(登録商標)PHYを含んでいた。
【0200】
試験の7日目に、UCを除く全ての処置の鳥にAdventコクシジウム症ワクチンの推奨用量の10倍を投与して、NEに罹患しやすさせた。D17で、これらの鳥に飼料によって約10CFU C.パーフリンジェンス(C.perfringens)フィールド単離物を投与した。0、14、21、28及び42日目に鳥の性能パラメータを測定した。D21で鳥を屠殺してNE病変の採点を行い、且つQ-PCRによるC.パーフリンジェンス(C.perfringens)の定量及びnetB発現のために回腸スワブを回収した。
【0201】
結果
鳥の性能は、添加剤補充により、数値的に(p>0.05)又は有意に(p<0.05)改善された。微生物分析により、BE+DUAL又はNCFMの組み合わせによってC.パーフリンジェンス(C.perfringens)のレベル及びnetB発現が有意に減少したことが実証されている(図3A図3B図4A及び図4B)。
【0202】
要約すると、この実施例から、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)レベルを低下させ、且つ産生される微生物毒素の量を減少させることにより、腸管への損傷が少なくなり、そのため、UCのようなレベルまで鳥の性能が維持されることが示された。
【0203】
実施例4:クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)に対するプロバイオティクス由来の精油CFSと組み合わせた場合の相乗的改善
この実験の目的は、Enviva(登録商標)EO(精油)と、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)(CP)に対するプロバイオティクスであるビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)Bl-04株及びラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)NCFM株の提案されたブレンド組み合わせからの細胞フリー上清(CFS)との潜在的な相乗効果とを評価することであった。
【0204】
材料及び方法
各プロバイオティクスのCFS及びEnviva(登録商標)EO精油の漸増量を市松模様で一緒に添加し、CPを接種して一晩増殖させた。次いで、無処置コントロール(CFSなし及びEOなし)に対する阻害率を算出した。簡潔に説明すると、Bl-04及びNCFM株をDe Man、Rogosa及びSharpe培地(MRS)中において約48時間にわたって37℃で嫌気的に増殖させた。
【0205】
10分にわたる8000×gでの遠心分離によって細胞をペレット化し、0.2um aPES膜を通して上清をろ過することにより、CFSを回収した。阻害アッセイのために、96ウェルマイクロタイタープレート(Corning Costar#3370,Corning,NY)のウェルにBrain Heart Infusion培地(BHI)130μLを充填した。
【0206】
Enviva(登録商標)EOの17.6g/L溶液を滅菌水で作製し、BHIで50:50に希釈して最終濃度を8.8g/Lにした。次いで、BHIで2倍希釈を行って、4.4、2.2及び1.1g/Lの10倍ストック濃度とした。次いで、図4に示すように、Bl-04 CFSを、BHI 130μLを含むマイクロタイタープレートの行を加えた。行Aの各ウェルには、CFS 50μLを加えた。行Bには、45μLを加えた。このプロセスを、行Gに20μLを加えるまで、5μLずつ量を減少させながらプレートに続けた。行Hは、CFSを含まなかった。次いで、10×EOストック20マイクロリットルをそれぞれの列に加えた。列2に、1.1g/L(10×)EOストック20μLを各ウェルに加えた。列3に、2.2g/Lストック20μLを加えた。列4に、4.4g/Lストック20μLを加えた。列5に、8.8g/Lストック20μLを各ウェルに加えた。列1(EOなし)に、BHI培地20μlを加えた。各ウェルの最終体積をMRSで200μLにした。この設定は、CFSの範囲が5μLから35μLまで5μL増分であった以外は、NCFM株の場合と同じであった。
【0207】
BHI寒天プレートからのクロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)(CP)の単一コロニーをBHI 200ulに接種し、0.5~0.8のOD600まで3.5時間にわたって増殖させた。これを各ウェルに2マイクロリットル加えた。プレートを通気性膜で覆い、約16~18時間にわたって37℃で嫌気的にインキュベートした。次いで、光学密度をBioTek Synergy MXマイクロプレートリーダー(BioTek Instruments,Winooski,VT)で600nmにおいて読み取った。次いで、CP増殖の阻害をゼロCFS/ゼロEOコントロールウェルの比率として算出した。
【0208】
結果
この結果から、2種のDFM候補及びEnviva(登録商標)EOとの相乗効果が存在し、特に高EO濃度で存在したことが分かる(図5及び図6)。例えば、NCFMの場合、EOなし及びCFS 15μLではCPが阻害されなかった。加えて、0.44g/L EO及びCFSなしについてもCPが阻害されなかった。しかしながら、0.44g/L EO及びCFS 15μLでは、91%阻害された。Bl-04及びNCFMの両方により、CFS及びEOの他の濃度でも同様の相乗効果を見出し得る。
【0209】
実施例5:代謝物の添加によるクロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)netB毒素発現の調節
この実施例では、単一細菌細胞における遺伝子発現を評価するための新規技術が使用されて、それぞれnetB発現が高いか又は低いことを特徴とするクロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)の単一細胞集団が同定される。高netB発現細胞において発現が減少している代謝経路の構成要素をコードする遺伝子を同定し、次いで、この高netB発現細胞にこの代謝経路の産物を補充して、netB発現への影響を確認した。
【0210】
材料及び方法
プローブ設計及びライブラリ作成:既存のマイクロ流体単一細胞配列決定プラットフォームを利用するために、個々の転写産物にDNAプローブをタグ付けする方法を考案した。このアプローチでは、ゲノム内の全てのタンパク質コード配列に相補的な大規模なオリゴヌクレオチドライブラリを作成する必要があった。UPS2ソフトウェアによって決定された一意性に基づいて又は既に公開されているオリゴヌクレオチドアレイに基づいて、各ORFから50bpの複数のDNA領域を選択した。次いで、これらの配列は、配列相補性によってmRNAを標的とするように設計されたssDNAプローブのハイブリダイゼーション領域として機能した。プローブには、ライブラリ作成のための5’PCRハンドル、固有分子識別子(Unique Molecular Identifier)(UMI)及び原核転写産物を10X Genomics Chromium Single Cell 3’システムに組み込むための3’ポリアデノシンテイル(A30)も含まれた。複数のプローブ(様々な領域に対して相補的)を各遺伝子に関して設計し、転写産物の捕捉効率を増強し、且つハイブリダイゼーションの不良及び/又は任意の所与のプローブの増幅不足によって引き起こされるノイズを減少させた。完全種ライブラリには、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)のための11,723種のプローブが含まれ、3189種のC.パーフリンジェンス(C.perfringens)遺伝子が標的とされた。
【0211】
ライブラリをTwist Biosciencesにフェムトモル未満の量で注文し、ローリングサークル増幅によって増幅させて、scRNA-seq実験に十分な濃度(0.25mg=10.25nM/ライブラリ又は各プローブ約0.35pM)を得た。プローブライブラリを、ランダム化した12bpのUMI配列とポリAテイルとの付加によって完成し、PAGEで精製した。完成したライブラリは、プローブの範囲が均一であった。
【0212】
マイクロ流体カプセル化前に細菌を1%パラホルムアルデヒドで固定し、透過処理した。透過処理した細菌を、対応するDNAプローブライブラリと共にインキュベートした。ハイブリダイズしていないプローブを洗い流した。次に、細菌を10倍コントローラに通し、DNAプローブを捕捉してバーコードを付した。得られたライブラリを配列決定し、カスタムスクリプトで前処理し、標準的なCellRangerパイプライン及びSeurat分析パッケージで分析した。
【0213】
クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens):クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)25037-CP01株を、0.05%システイン-HCLと、指示された場合、0.625mg/ml最終濃度のオルニチン、アスパラギン酸又はアルギニンとが補充されたBHI培地中において37℃で嫌気的に増殖させた。嫌気条件を、ガスパック及び嫌気培養箱を使用して維持した。全ての実験反復における酸素インジケータは、チャンバー内に酸素汚染がないことを示した。
【0214】
HT-29ヒト結腸直腸腺癌細胞株:HT-29細胞をATCCから入手し、10%認証FBS(完全培地)が補充されたMcCoy’s 5A培地(1.5mM L-グルタミン;2200mg/L重炭酸ナトリウム)で培養した。細胞を、細胞が80-90%の培養密度になるまで、5%CO2及び湿度95%の37℃インキュベータ中において、T75フラスコ中で培養した。細胞を、0.05%トリプシンを使用して細胞を剥離することによって継代培養し、遠心分離し、完全培地10mLに再懸濁させた。新しいフラスコに1:10で播種し、上記と同じ条件下でインキュベートするか又は細胞を96ウェルプレートに播種して、説明されている実験を行った。
【0215】
細胞毒性アッセイ:ウエスタンブロット分析で使用したC.パーフリンジェンス(C.perfringens)培養物からの馴化培地に関して、細胞毒性を調べた。96ウェルプレートにおいて、2×10個のHT-29細胞を各ウェルに播種し、5%CO2及び湿度95%の37℃インキュベータ中において2日にわたってインキュベートした。培地を交換し、馴化C.パーフリンジェンス(C.perfringens)上清5μLをそれぞれのウェルに添加し、細胞を5%CO2及び湿度95%の37℃インキュベータ中において一晩インキュベートした。インキュベーション後、EVOS FLoid顕微鏡を使用して画像を取得し、製造業者のプロトコルに従ってCell Proliferation Assay Kit(BioVision)を使用して細胞毒性を測定した。簡潔に説明すると、核色素の1:50(最終1:500)希釈液20μLを添加した。プレートを15分にわたってプレートシェーカー(100rpm)上で室温においてインキュベートした。細胞を溶解させ、プレートリーダー(Tecan)を使用して480/538nm蛍光を測定した。
【0216】
結果
真の病原体における病原性遺伝子の不均一な発現を、単一細胞転写解析を使用して同定し得るかどうかを決定しようとした。この目的のために、壊死性腸炎の病原体であるクロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)の毒素産生を調べた。壊死性腸炎と関連する主要な毒素であるNetBは、ニワトリ(REFS)の病原性に直接関与する病原性因子であることが分かっている分泌型β-バレル孔形成毒素である。毒素が発現されて増殖培地中に蓄積する後期指数関数期までリッチ培地(BHI、材料及び方法)で増殖させたC.パーフリンジェンス(C.perfringens)に対して、単一細胞分析を実施した。NetB毒素は、ある程度基礎的な程度まで全てのクラスタから発現されたが、netBの差次的過剰発現は、細胞の1つのクラスタ(図7A、クラスタ0)の決定的な特徴であり、NetBを、指数関数期から静止期への移行の頃にいくつかの異なるODにわたって採取された4つの生物学的複製の個々の独立した分析において少なくとも0.005のP値を有するマーカー遺伝子として選択した(データは示さない)。興味深いことに、NetBの発現レベルが低下したクラスタの細胞は、アルギニン合成遺伝子(図7A、クラスタ2)、推定ファージ遺伝子(図7A、クラスタ4)並びにプリン及びピリミジン合成(図7A、クラスタ3)を含む、異なる生理的状態と関連する遺伝子を差次的に過剰発現した。
【0217】
毒素遺伝子を低レベル発現するクラスタ2では、アルギニン合成遺伝子と、アルギニン/オルニチン交換輸送体の遺伝子とを過剰発現する細胞が存在し、毒素遺伝子の発現レベルの低下により、アルギニン生合成に関与する特定の代謝物を供給することによって毒素産生及び毒素産生集団のサイズを制御し得るかどうかの推測が促された。この仮説を検証するために、培養培地に対して、アルギニン生合成に関連する代謝物であるオルニチン、アルギニン及びアスパラギン酸を添加することによって培養培地を撹乱させ(図7B)、アスパラギン酸の添加並びにより少ない程度のオルニチン及びアルギニンの添加により、培地中に分泌される33kDaのNetB毒素のレベルが低下することが分かった(図7C)。細胞外毒素のレベルの低下を確認するために、3種の代謝物を添加して増殖させた培養物中の単一細胞分析を実施した。アスパラギン酸の添加により、細胞クラスタリングの劇的な変化が引き起こされ、この培養物からの単一細胞データでは、主な毒素産生集団の顕著な減少を観察した(図7D)。オルニチン及びアルギニンの添加により、細胞において小さいが依然として顕著な変化が引き起こされ、細胞中におけるNetB発現がわずかに減少した。理論に拘束されないが、アスパラギン酸の添加によって引き起こされた大きい変化から、アスパラギン酸塩は、アルギニン生合成への寄与を超えた影響を及ぼし得るという推測が導かれ、これは、ピリミジン合成及びアスパラギン酸塩異化等の元の単一細胞データにおける他の差次的に発現された経路における役割と関連する可能性がある(図7A)。
【0218】
次いで、NetB毒素を低下させ且つ全集団中における病原性発現細胞の割合を下方制御する代謝物を添加することによって病原性を制御し得るという仮説に従って、インビトロ組織培養細胞毒性研究に一般に使用される細胞株であるヒトHT29哺乳類上皮細胞を使用してオルニチン又はアスパラギン酸の存在下で増殖させた細胞からの馴化培地の細胞毒性を試験した(図7E)。HT29細胞の培養物(195ul)への標準的なBHI培地で増殖させた細菌の培養上清5μlの添加により、約58%の細胞死が起きることが分かった。NetBレベルの低下及び病原性状態の細胞のより少ない割合と一致して、アスパラギン酸が投与されている細菌の培養培地5μlの添加により、HT29細胞に対する毒性が低くなり、細胞死は10%未満であった。オルニチン添加によっても毒性がわずかに低下し、細胞死は、約32%であった。全体として、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)による結果から、毒素産生は、特定の細胞によって差次的に発現され得ることと、他の細胞状態に有利な増殖条件を提供することによって病原性を低下させ、それによりクローン性細菌集団中の病原性細胞の割合を減少させ得ることとが実証されている。
【0219】
実施例6:リン酸アンモニウム、酢酸ナトリウム又はビタミンB(ビタミンB1、B6及びB12)の添加により、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)によって産生される細胞外NetBレベルが低下する
この実施例では、実施例5で説明される単一細胞転写解析から得られたデータを使用して、高netB遺伝子発現を特徴とするクロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)細胞が、リン酸塩、酢酸塩又はビタミンBの代謝と関連する発現の低下も特徴とすることを決定した。
【0220】
材料及び方法
クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)の増殖:クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)25037-CP01株を、0.05%システイン-HCLと、指示された場合、0.625mg/ml最終濃度のオルニチン、アスパラギン酸又は他の添加剤とが補充されたBHI培地中において37℃で嫌気的に増殖させた。嫌気条件を、ガスパック及び嫌気培養箱を使用して維持した。全ての実験反復における酸素インジケータは、チャンバー内に酸素汚染がないことを示した。
【0221】
ウエスタンブロット分析:C.パーフリンジェンス(C.perfringens)培養物から馴化培地を回収するために、後期指数関数的増殖(約0.7~0.8のOD)の細胞培養物を4分にわたって4,200×Gでの遠心分離によってペレット化した。次いで、上清を0.2uMフィルタに通してろ過した。ろ過した馴化培地をdH2Oで1:10に希釈し、サンプル5ulを95℃で10分にわたってMES SDSランニング緩衝液と共にインキュベートした。サンプルを等量でロードし、4~12% Bis Trisポリアクリルアミドゲル上で泳動させた。PAGEゲルを、製造業者の指示に従ってXcell-IIブロット装置(invitrogen)を使用して、メタノールに予め浸したinvitrolon 45uM PVDF膜上に転写した。毒素NetB(33Kd)を、カスタムポリクローナルウサギ抗体及びWesternBreezeウサギ発色Western Blotキット(Invitrogen)を使用して検出した。全ての実験を、多くの独立した日に少なくとも生物学的二重反復及び技術的三重反復を使用して行い、代表的な画像を選択した。
【0222】
結果
NetB毒素を検出したウエスタンブロットから、細胞外NetB毒素のレベルは、代謝物であるリン酸アンモニウム、酢酸ナトリウム又はビタミンB(ビタミンB1、B6及びB12)をクロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)の培養物に添加した場合、補充されていない増殖培地(BHI)で培養させた場合に検出された細胞外毒素と比較して低下したことが実証されている。図8に示すように、リン酸アンモニウムのバンドは、補充されていないBHI培地のバンドと比べて薄い。同様に図8に示すように、BHIバンドは、酢酸Na、ビタミンB1、ビタミンB6又はビタミンB12が添加された培地由来のバンドと比べて濃い。従って、これらの結果に基づいて、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)への、代謝物であるリン酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、ビタミンB1、ビタミンB6又はビタミンB12の何れかの添加により、壊死性腸炎の主な病原体である細胞外NetB毒素が低減され得ると思われる。
【0223】
実施例7:直接給与生菌の添加により、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)によって産生される細胞外NetBレベルが低下する
C.パーフリンジェンス(C.perfringens)によって引き起こされる壊死性腸炎(NE)は、抗生物質の使用を減少させるという圧力の高まりを受けて、養鶏業に再び現れた脅威である。抗生物質の代替品は、効果が明らかに一貫していないことが知られている。次世代の解決策を開発するために一貫性を改善する手段として、腸の健康問題の病因及び特徴を完全に解明する必要がある。
【0224】
この実施例では、実施例5で説明されるscRNAseq技術を使用して、NetB(様々な異なる毒素の中でも主な病原性因子と考えられている孔形成毒素)の産生及び病原性(又はNE誘発性)C.パーフリンジェンス(C.perfringens)株の細胞毒性への2種の直接給与生菌(DFM)であるL.アシドフィルス(L.acidophilus)NCFM株及びビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)Bl-04株のセクレトームの効果を分析して解読した。NetB発現分析を実施例5及び6の通りに実施した。
【0225】
結果
両方の株の複合セクレトームにより、NetBの産生及びC.パーフリンジェンス(C.perfringens)の全体的な細胞毒性が減少した。両方のDFMセクレトームの存在下で増殖させたC.パーフリンジェンス(C.perfringens)の上清によるHT-29細胞の処置により、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)細胞毒性が60%減少した(図9D;p値<0.05)。C.パーフリンジェンス(C.perfringens)の生物学及び病原性の制御へのDFMセクレトームの効果をよりよく理解するために、実施例5で開示される新規のscRNAseq法を使用して、DFMセクレトームの存在下での増殖後及び非存在下での増殖後の単一細胞のトランスクリプトームを調べた。
【0226】
C.パーフリンジェンス(C.perfringens)集団における不均一な遺伝子発現が、主に細胞の一部によって発現されるnetB毒素遺伝子と共に示された。さらに示されたのは、B.アニマリス(B.animalis)セクレトームが、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)集団の全体的な遺伝子発現及び生物学的構造を変化させ、netB発現が8倍減少することであった(図9A;p値<6×10-7)。
【0227】
C.パーフリンジェンス(C.perfringens)集団における不均一な遺伝子発現が、主に細胞の一部によって発現されるnetB毒素遺伝子と共に示された。さらに示されたのは、L.アシドフィルス(L.acidophilus)セクレトームが、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)集団の全体的な遺伝子発現及び生物学的構造を変化させ、netB発現の減少と関連していたことであった(図9B)。
【0228】
NetB毒素を検出したウエスタンブロットから、細胞外NetB毒素のレベルは、B.アニマリス(B.animalis)及びL.アシドフィルス(L.acidophilus)のセクレトームをクロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)の培養物に添加した場合、補充されていない増殖培地(BHI)で培養させた場合に検出された細胞外毒素と比較して低下したことが実証されている。図9Cに示すように、NetB毒素に対応するバンドは、B.アニマリス(B.animalis)セクレトームの量の増加時、補充されていないBHI培地の場合のバンドと比べて薄い。図9Cにも示すように、BHIバンドは、L.アシドフィルス(L.acidophilus)セクレトームの漸増を添加した培地のバンドと比べて濃い。従って、これらの結果に基づいて、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)へのB.アニマリス(B.animalis)又はL.アシドフィルス(L.acidophilus)のセクレトームの何れかの添加により、壊死性腸炎の主な病原体である細胞外NetB毒素を減少させ得ると思われる。
【0229】
NetB毒素を低下させ且つ全集団中における病原性発現細胞の割合を下方制御する細菌セクレトームを添加することによって病原性を制御し得るという仮説に従って、インビトロ組織培養細胞毒性研究に一般に使用される細胞株であるヒトHT29哺乳類上皮細胞を使用してB.アニマリス(B.animalis)又はL.アシドフィルス(L.acidophilus)セクレトームの存在下で増殖させた細胞からの馴化培地の細胞毒性を試験した(図9D)。HT29細胞の培養物(195μl)への標準的なBHI培地で増殖させた細菌の培養上清5μlの添加により、約65%の細胞死が起きることが分かった。NetBレベルの低下及び病原性状態の細胞のより少ない割合と一致して、B.アニマリス(B.animalis)又はL.アシドフィルス(L.acidophilus)セクレトームが投与されている細菌の培養培地5μlの添加により、HT29細胞に対する毒性が低くなり、細胞死は30%未満であった。B.アニマリス(B.animalis)及びL.アシドフィルス(L.acidophilus)の組み合わせも、毒性がわずかに低く、細胞死は約44%であった。
【0230】
全体として、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)による結果から、毒素産生は、特定の細胞によって差次的に発現され得ることと、他の細胞状態に有利な増殖条件を提供することによって病原性を低下させ、それによりクローン性細菌集団中の病原性細胞の割合を減少させ得ることとが実証されている。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D-E】
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
【国際調査報告】