(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】血管塞栓剤、及びその調製方法と応用
(51)【国際特許分類】
A61L 24/00 20060101AFI20241001BHJP
【FI】
A61L24/00
A61L24/00 240
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024546357
(86)(22)【出願日】2023-08-21
(85)【翻訳文提出日】2024-04-15
(86)【国際出願番号】 CN2023114026
(87)【国際公開番号】W WO2024041484
(87)【国際公開日】2024-02-29
(31)【優先権主張番号】202211019192.1
(32)【優先日】2022-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524144752
【氏名又は名称】中山大学附属第五医院
【氏名又は名称原語表記】THE FIFTH AFFILIATED HOSPITAL SUN YAT-SEN UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】單 鴻
(72)【発明者】
【氏名】彭 欣
(72)【発明者】
【氏名】劉 孟輝
【テーマコード(参考)】
4C081
【Fターム(参考)】
4C081AC04
4C081BA11
4C081BB03
4C081CE11
4C081CG08
4C081DA12
(57)【要約】
本発明には、血管塞栓剤及びその調製方法と応用が提供される。本発明にかかる血管塞栓剤の調製方法は、1,2-ジチオラン系化合物、ポリフェノール系化合物、アルカロイドを有機溶媒Aに溶解させ、混合溶液Aを得る工程(1)と、前記混合溶液Aを密封した後、70℃以上の雰囲気中に5~12時間反応させ、混合溶液Bを得る工程(2)と、前記混合溶液Bを室温まで冷却し、それに有機溶媒Bを加えて希釈し、血管塞栓剤を得る工程(3)とを含む。上記の方法により製造された液体血管塞栓剤では、優れた生体適合性、安定した機械的特性、及び優れた血管内分散性を有し、微小血管及び複雑な形状の標的血管に輸送しやすく、カテーテルにくっつかず、現像可能でありながら映像学的アーチファクトがない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,2-ジチオラン系化合物、ポリフェノール系化合物、アルカロイドを有機溶媒Aに溶解させ、混合溶液Aを得る工程(1)と、
前記混合溶液Aを密封した後、70℃以上の雰囲気中に5~12時間反応させ、混合溶液Bを得る工程(2)と、
前記混合溶液Bを室温まで冷却し、それに有機溶媒Bを加えて希釈し、血管塞栓剤を得る工程(3)とを含む、ことを特徴とする血管塞栓剤の調製方法。
【請求項2】
前記有機溶媒Aおよび前記有機溶媒Bは、それぞれジメチルスルホキシドおよびエタノールのうちの少なくとも1種であり、同一又は異なっていてもよいことを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項3】
前記工程(1)においては、1,2-ジチオラン系化合物とポリフェノール系化合物とアルカロイドとの質量比が、(0.05~1):(0.0001~1):(0.01~1)であり、前記有機溶媒Aと混合溶液Aとの質量比が、(2~4):10であり、
前記工程(3)においては、有機溶媒Bと血管塞栓剤との質量比が、(1~5.8):10である、ことを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項4】
前記工程(1)においては、1,2-ジチオラン系化合物とポリフェノール系化合物とアルカロイドとの質量比が、0.6:0.05:0.3である、ことを特徴とする請求項3に記載の調製方法。
【請求項5】
前記1,2-ジチオラン系化合物は、リポ酸(lipoic acid)、アスパラガス酸(asparagusic acid)、ジチオロピロロン(dithiolopyrrolone)系抗生物質、コッタミドe(kottamide e)のうちの少なくとも1種であり、
前記ポリフェノール系化合物は、タンニン酸(tannic acid)、没食子酸(gallic acid)、コーヒー酸(caffeic acid)、カテコール(catechol)、ドーパミン(dopamine)、ポリドーパミン(polydopamine)、レスベラトロール(resveratrol)、クェルセチン(quercetin)、クルクミン(curcumin)、クロロゲン酸(chlorogenic acid)、イソフラボン(isoflavone)、アントシアニン(anthocyanin)、カカオポリフェノール(cacao polyphenol)、リモシトリン(limocitrin)、カテキン(catechin)、ルチン(rutin)のうちの少なくとも1種であり、
前記アルカロイドは、トロメタモール(trometamol)、エフェドリン(ephedrine)、レオヌリン(leonurine)、クイニン(quinine)のうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項6】
前記1,2-ジチオラン系化合物はリポ酸であり、
前記ポリフェノール系化合物はタンニン酸であり、
前記アルカロイドはトロメタモールであり、
前記有機溶媒A及び前記有機溶媒Bはジメチルスルホキシドである、ことを特徴とする請求項5に記載の調製方法。
【請求項7】
前記工程(3)において、希釈終了後、融点が35℃以下の液状金属又はタンタル粉末微粒子である現像剤を血管塞栓剤の質量に対する10wt%~80wt%の添加量で添加することを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項8】
前記現像剤は、添加量が血管塞栓剤に対して30wt%であり、ガリウムインジウム合金である、ことを特徴とする請求項7に記載の調製方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の方法により調製されてなる血管塞栓剤であることを特徴とする血管塞栓剤。
【請求項10】
薬物担体の調製における請求項9に記載の血管塞栓剤の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本願は、2022年8月24日に中国特許庁へ提出された、出願番号が202211019192.1、発明の名称が「血管塞栓剤及びその調製方法と応用」である中国特許出願に基づき優先権を主張し、その全内容は、援用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、血管塞栓剤の技術の分野に関し、特に、血管塞栓剤及びその調製方法と応用に関する。
【背景技術】
【0003】
血管塞栓治療は、その創傷が小さく、重複性が高く、効果が速いなどの利点から、臨床上で血管性病変及び腫瘍性病変を治療するのに有効な手段となり、特に出血性病変、血管奇形、動脈瘤及びバルセロナ臨床肝癌病期分類(Barcelona Clinic Liver Cancer)中期の原発性肝がんに有効である。現在臨床で使用されている塞栓材料は、物理的形質に応じて、固体塞栓材料と液体塞栓材料に分類されることがある。固体塞栓材料には、主に、スプリングコイル、ゼラチンスポンジ粒子、およびポリビニルアルコール微小球などがある。液体塞栓材料には、主に、ブチルシアンアクリレート(N-butyl-cyanoacrylate、nBCA)、Onyx(主成分としては、エチレン-ビニルアルコール共重合体及びジメチルスルホキシド)、及びヨウ素化油などがある。
【0004】
スプリングコイルは、充填中に血管破裂を起こしやすいし、血管が過度にねじれて目標部位に搬送できなくなるおそれがある。ゼラチンスポンジ粒子は、分解しやすく、血管の再開通を招く。ポリビニルアルコール微小球及びゼラチンスポンジ粒子いずれも凝集しやすく、微小血管に到達するのは難しい。nBCAは、血液に当てると血液凝集を急速に発生し、塞栓を形成することになるが、反応生成物は、分散性が悪く、カテーテルと付着しやすく、患者に大きな危険をもたらす。Onyxは分解できず、局所慢性炎症及び/又は生体拒絶反応を招きやすい。ヨウ素化油は、流動性が強く、血管再開通になり、塞栓効果が不十分であることを招きやすく、しかも効果的に薬物を担持して徐放することができない。さらに、塞栓剤の大部分は現像剤と緊密に架橋できず、術中または術後に塞栓剤と現像剤の分離が起こりやすく、塞栓剤の位置が効果的に監視できず、不完全塞栓または異位塞栓を招く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述の従来技術の不足点を克服してなるものであり、血管内に安定した機械的特性、優れた生体適合性、良好な分散性を有し、微小血管及び複雑な形状の標的血管に輸送しやすく、チューブにくっつかず、効果的に薬物を担持できる血管塞栓剤、及びその調製方法と応用を提供することを目的とする。前記血管塞栓剤は、現像剤と密接に架橋し、映像学的アーチファクトを生成しない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を実現するために、本発明で使用される技術的案は、以下の通りである。
1,2-ジチオラン系化合物、ポリフェノール系化合物、アルカロイドを有機溶媒Aに溶解させ、混合溶液Aを得る工程(1)と、
前記混合溶液Aを密封した後、70℃以上の雰囲気中に置いて5~12時間反応させ、混合溶液Bを得る工程(2)と、
前記混合溶液Bを室温まで冷却し、それに有機溶媒Bを加えて希釈し、血管塞栓剤を得る工程(3)とを含むことを特徴とする血管塞栓剤の調製方法。
【0007】
1,2-ジチオラン系化合物及びポリフェノール系化合物は、マイケル付加反応を行い、それにより1,2-ジチオラン系化合物がポリフェノール系化合物のベンゼン環にグラフトされ、C-S結合が形成する。また、1,2-ジチオラン系化合物でのカルボキシル基などの基は、ポリフェノール系化合物のフェノール性水酸基、カルボキシル基又はアミノ基と水素結合を形成することができる。また、アルカロイドは、系中の余分な水素イオンを中和し、生成物の細胞毒性を下げ、生成物が血管壁を刺激することを回避することができるし、水素結合の作用により1,2-ジチオラン系化合物とポリフェノール系化合物とゲルの架橋密度を増強し、塞栓効果を高めることができる。前記血管塞栓剤を生理液(例えば、血液など)及び水溶液に、注射することにより、ゲルを迅速に形成することができる。
【0008】
好ましくは、前記有機溶媒Aおよび前記有機溶媒Bは、同一又は異なっていてもよく、それぞれジメチルスルホキシド(DMSO)およびエタノールのうちの少なくとも1種である。さらに好ましくは、前記有機溶媒A及び前記有機溶媒Bは、ジメチルスルホキシドであり、他の有機溶媒と比較しては、ジメチルスルホキシドの血管への刺激はより少なくなる。
【0009】
好ましくは、前記工程(1)において、1,2-ジチオラン系化合物とポリフェノール系化合物とアルカロイドとの質量比は、(0.05~1):(0.0001~1):(0.01~1)であり、前記有機溶媒Aと混合溶液Aとの質量比は、(2~4):10である。前記工程(3)において、有機溶媒Bと血管塞栓剤との質量比は、(1~5.8):10である。各成分の配合比を上記のように好ましいものとすることにより、反応が十分に進行することが保証され、また、調製された血管塞栓剤は良好な塞栓効果を有する。
【0010】
好ましくは、前記工程(1)において、1,2-ジチオラン系化合物とポリフェノール系化合物とアルカロイドとの質量比は、0.6:0.05:0.3である。上記の配合比を満足した場合に、調製された血管塞栓剤は、急速に硬化でき、カテーテルにくっつきにくく、操作性に優れ、しかも比較的に良い機械的特性を持ち、血管に良好な塞栓作用を形成することができる。
【0011】
好ましくは、前記工程(2)において、混合溶液Aを90℃で10時間反応させる。上記の条件下で調製された反応生成物は、安定した機械的特性、比較的に低い粘度、及び適当なゲル化時間などの特徴を有し、しかも反応効率が高くなる。
【0012】
好ましくは、前記1,2-ジチオラン系化合物は、リポ酸(lipoic acid)、アスパラガス酸(Asparagusic acid)、ジチオロピロロン(dithiolopyrrolone)系抗生物質、コッタミドE (kottamide E)のうちの少なくとも1種である。前記ポリフェノール系化合物は、タンニン酸(tannic acid)、没食子酸(gallic acid)、コーヒー酸(caffeic acid)、カテコール(catechol)、ドーパミン(dopamine)、ポリドーパミン(Polydopamine)、レスベラトロール(resveratrol)、クェルセチン(quercetin)、クルクミン(curcumin)、クロロゲン酸(chlorogenic acid)、イソフラボン(isoflavone)、アントシアニン(anthocyanin)、カカオポリフェノール(Cacao Polyphenol)、リモシトリン(Limocitrin)、カテキン(catechin)、ルチン(Rutin)のうちの少なくとも1種である。前記アルカロイドは、トロメタモール(Trometamol)、エフェドリン(ephedrine)、レオヌリン(Leonurine)、クイニン(Quinine)のうちの少なくとも1種である。
【0013】
さらに好ましくは、前記1,2-ジチオラン系化合物は、リポ酸である。前記ポリフェノール系化合物は、タンニン酸である。前記アルカロイドは、トロメタモールである。上記成分は、良好な生体適合性を有し、且つ反応効率が高く、高い経済効果を有する。
【0014】
好ましくは、前記工程(3)において、希釈後、融点が35℃以下の液状金属又はタンタル粉末微粒子である現像剤を血管塞栓剤の質量に対して10wt%~80wt%添加する。上記現像剤を添加することによりX線が透過しない血管塞栓剤を得ることができ、手術中及び術後の血管塞栓剤の位置検出に有利である。
【0015】
さらに好ましくは、前記現像剤は、添加量が血管塞栓剤に対して30wt%であり、ガリウムインジウム合金である。前記の現像剤は、静電作用又はキレート作用により1,2-ジチオラン系化合物とポリフェノール系化合物の反応生成物に強固で安定に結合することができ、使用中または長時間の放置中に塞栓剤と離脱することはない。それにより、手術中及び手術後に血管塞栓剤への正確な位置決めが図れる。
【0016】
また、本発明では、さらに、上記の方法により調製された血管塞栓剤、薬物担体の調製における前記血管塞栓剤の応用が開示されている。しかも、本発明では、人体の各臓器の動静脈出血性病変、動脈瘤、動静脈奇形、及び化学療法薬/標的薬/免疫抑制剤を担持した後に腫瘍の化学療法塞栓治療に用いる前記血管塞栓剤の応用が開示されている。
【発明の効果】
【0017】
従来の技術と比較して、本発明は、以下の有益な效果を持つ。
(1)本発明において1,2-ジチオラン系化合物、ポリフェノール系化合物、アルカロイドを主原料として調製した血管塞栓剤では、生理液(例えば、血液など)または水溶液に注射された後、適当な硬化時間及び粘度を有し、操作性がよく、ゲルがカテーテルにくっつきにくく、塞栓手術後の抜管が容易になる。
(2)本発明にかかる血管塞栓剤は硬化された後、機械的強度及び塞栓圧力が良好であり、塞栓効果に優れた。
(3)本発明で選択された製造原料は良好な生体適合性を有するので、それにより調製された血管塞栓剤は、優れた分散性を有し、微小血管及び複雑な形状の標的血管に分散することができる。
(4)本発明には、静電作用またはキレート作用により1,2-ジチオラン系化合物とフェノール系化合物の反応生成物に結合できる液状金属またはタンタル粉末微粒子を現像剤とすることで、術中の塞栓剤の位置モニタリングに有利であるだけでなく、映像学的アーチファクトを軽減し、術後の治療効果モニタリングに有利である。
(5)本発明にかかる血管塞栓剤では、人体の各臓器出血性病変、動脈瘤、動静脈奇形の治療に適用でき、良性悪性腫瘍の血液供給動脈塞栓に使用され、化学療法薬(例えば、ドキソルビシン(doxorubicin)、シスプラチン(cisplatin)、カルボプラチン(carboplatin)、ロバプラチン(lobaplatin)、ラルチトレキセド(raltitrexed)、ゲムシタビン(gemcitabine)、5-フルオロウラシル(5-Fluorouracil)、イリノテカン(irinotecan)、ブレオマイシン(bleomycin)、ビンポセチン(vinpocetine)のうちの少なくとも1種)、標的薬(例えば、ソラフェニブ(sorafenib)、レンバチニブ(lenvatinib)、レゴラフェニブ(regorafenib)、カボザンチニブ(cabozantinib)、アパチニブ(apatinib)、アンロチニブ(anlotinib)のうちの少なくとも1種)、及び免疫阻害剤(例えば、アテゾリズマブ(atezolizumab)、ペムブロリズマブ(keytruda)、ニボルマブ(nivolumab)、カムレリズマブ(camrelizumab)、シンチリマブ(sintilimab)のうちの少なくとも1種)などの効果的な担持及び徐放後の多種悪性腫瘍の化学療法塞栓治療に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、1,2-ジチオラン系化合物及びポリフェノール系化合物を主原料として血管塞栓剤を調製する概略図である。
【
図2】
図2は、リポ酸及びタンニン酸を主原料として血管塞栓剤を調製する概略図である。
【
図3】
図3は、リポ酸及びリポ酸/タンニン酸重合体のラマンスペクトルである。
【
図4】
図4は、塞栓剤の注射圧力の測定図であり、ただし、Aは、測定概略図であり、Bは、1.7 Fマイクロカテーテルでの異なる塞栓剤の測定結果図であり、Cは、異なるカテーテル規格を示す図であり、Dは、異なるカテーテルでのPLA-TA-Tro-Ga塞栓剤の注射圧力の測定結果図である。
【
図5】
図5は、イン・ビトロ塞栓圧力測定図であり、ただし、Aは、測定概略図であり、Bは、異なる塞栓剤の測定結果図である。
【
図6】
図6は、生体適合性の測定結果を示す図であり、ただし、Aは、異なる実験群の溶血写真であり、Bは、溶血率の測定結果を示す図であり、Cは、L929細胞を異なる塞栓剤とともにインキュベートした後の生/死細胞染色図であり、Dは、細胞生存率測定図である。
【
図7】
図7は、イン・ビトロ薬物放出プロフィールであり、ここで、A~Cは、それぞれドキソルビシン、ソラフェニブ、アテゾリズマブを担持した放出プロフィールである。
【
図8】
図8は、インビボ/イン・ビトロ X線イメージング画像であり、ただし、Aは、血管塞栓剤が入れたシリンジのX線イメージング画像であり、Bは、血管塞栓剤を含むウサギ耳動脈及び分岐血管のX線イメージング画像であり、Cは、血管塞栓剤を含む腎動脈及び分岐血管的X線イメージング画像である。
【
図9】
図9は、ウサギ腎動脈及び腎の実質塞栓前後の比較図であり、ただし、Aは、ウサギ腎動脈塞栓前後の光学画像であり、Bは、ウサギ腎動脈塞栓前後のカラードップラー超音波の画像であり、Cは、腎実質塞栓前後グレースケール超音波の画像であり、Dは、腎実質塞栓前後のカラードップラー超音波の画像である。
【
図10】
図10は、ウサギ大腿動脈塞栓前後の比較図であり、ただし、Aは、ウサギ大腿動脈塞栓前の光学画像であり、Bは、ウサギ大腿動脈塞栓前のカラードップラー超音波の画像であり、Cは、ウサギ大腿動脈塞栓後の光学画像であり、Dは、ウサギ大腿動脈塞栓後のカラードップラー超音波の画像である。
【
図11】
図11は、実施例3における調製を示す概略図である。
【
図12】
図12は、実施例4における調製を示す概略図である。
【
図13】
図13は、実施例5における調製を示す概略図である。
【
図14】
図14は、実施例6における調製を示す概略図である。
【
図15】
図15は、実施例7における調製を示す概略図である。
【
図16】
図16は、実施例8における調製を示す概略図である。
【
図17】
図17は、実施例9における調製を示す概略図である。
【
図18】
図18は、実施例10における調製を示す概略図である。
【
図19】
図19は、実施例11における調製を示す概略図である。
【
図20】
図20は、実施例12における調製を示す概略図である。
【
図21】
図21は、実施例13における調製を示す概略図である。
【
図22】
図22は、実施例14における調製を示す概略図である。
【
図23】
図23は、実施例15における調製を示す概略図である。
【
図24】
図24は、実施例16における調製を示す概略図である。
【
図25】
図25は、実施例17における調製を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の目的、技術的案及び利点をより良く説明するために、以下に図面及び具体的な実施例により本発明をさらに説明する。
実施例1
【0020】
以下、本発明にかかる血管塞栓剤の調製方法の1つの実施例である。本実施例にかかる血管塞栓剤の調製方法には、各成分の質量比が表1に示す。
(1)リポ酸(lipoic acid)、タンニン酸、トロメタモール粉末を異なる質量比でDMSOに溶解させ、混合溶液Aを得た。
(2)前記混合溶液Aを密封した後に90℃で置いて10時間反応させ、混合溶液Bを得た。
(3)混合溶液Bを室温まで冷却し、DMSOを加えて希釈し、PLA-TA-Tro(DMSO)として血管塞栓剤を得た。
前記PLA-TA-Tro(DMSO)を模擬生理液と混合し、PLA-TA-Tro(ゲル)としてPLA-TA-Tro水ゲルを形成した。
【0021】
図1は、1,2-ジチオラン系化合物及びポリフェノール系化合物を主原料として血管塞栓剤を調製することを示す概略図である。
図2は、リポ酸及びタンニン酸を主原料として血管塞栓剤を調製することを示す概略図である。これらの図から分かるように、リポ酸及びタンニン酸がマイケル付加反応によりC-S共有結合及び水素結合を含有する化合物を生成し、アルカロイド及びDMSOとともに本発明にかかる血管塞栓剤を構成し、そして、該血管塞栓剤を生理液(例えば、血液など)又は水に注射したところ、PLA-TA-Tro(DMSO)は疎水効果などの作用により緻密な三次元架橋構網目造体を形成し、PLA-TA-Tro(ゲル)となった。
【0022】
異なる原料配合比で調製されたPLA-TA-Tro(DMSO)の硬化時間、PLA-TA-Tro(ゲル)のpH値、粘度、貯蔵弾性率を測定した結果を表1に示した。
【表1】
【0023】
表1から、試料22は、最も優れた総合性能を持ち、PLA-TA-Tro(DMSO)が適当な硬化時間を有し、PLA-TA-Tro(ゲル)が適切な粘度を有し、血管塞栓剤が良好な操作性及び使用性を有し、カテーテルにくっつきにくく、塞栓後に拔管しやすくなることが分かった。
【0024】
図3は、リポ酸モノマー及び試料22の血管塞栓剤(リポ酸及び(リポ酸/タンニン酸)重合体)のラマンスペクトルである。ただし、510cm
-1のピックは、S-S結合に対応し、676 cm
-1のピックはC-S結合に対応する。この結果は、1,2-ジチオラン系化合物がポリフェノール系化合物とグラフトすることができたことを示した。
【0025】
実施例2
以下、本発明にかかる血管塞栓剤の調製方法の他の1つの実施例である。本実施例にかかる血管塞栓剤の調製方法には、実施例1における試料22の血管塞栓剤PLA-TA-Tro(DMSO)とガリウム・インジウム・スズ合金とを表2に示されている異なる配合比で混合し、血管塞栓剤PLA-TA-Tro-Ga(DMSO)を得た。前記PLA-TA-Tro-Ga(DMSO)を模擬生理液(即ち、1Lの脱イオン水に塩化ナトリウム8.035g、炭酸水素ナトリウム0.355g、塩化カリウム0.225g、リン酸水素二カリウム0.231g、塩化マグネシウム六水和物0.311g、1M塩酸39mL、塩化カルシウム0.292g、硫酸ナトリウム0.072g、及びトロメタモール6.118gを加えたもの)に注射し、PLA-TA-Tro-Ga水ゲルを形成し、PLA-TA-Tro-Ga(ゲル)と表記した。
【0026】
原料を異なる配合比で調製されたPLA-TA-Tro-Ga(DMSO)の硬化時間、PLA-TA-Tro-Ga(ゲル)の粘度、貯蔵弾性率、及びCT値を測定した結果は、表2に示した。
【表2】
【0027】
表2より、現像剤の添加量が血管塞栓剤PLA-TA-Tro-Ga(DMSO)の質量に対して30wt%である場合には、最も優れた総合性能を有することが分かった。PLA-TA-Tro-Ga(DMSO)は、硬化時間が9minであった。形成されたPLA-TA-Tro-Ga(ゲル)は、粘度が適当であり、且つ極めて高い貯蔵弾性率を有し、塞栓効果に優れ、しかもCT値が1000huに達することができ、治療中に追跡しやすい。
【0028】
以下の性能測定試験中に使用されたPLA-TA-Tro-Ga(DMSO)は、いずれも試料32の血管塞栓剤PLA-TA-Tro-Ga(DMSO)である。
【0029】
塞栓剤の注射圧力測定には、
図4Aに示すように、1mLのルアーロックシリンジは、上端が上押え板に接触し、下端がクランプによって垂直に固定されて規格が異なるカテーテルに接続されるように、自作の試験器具に置いた。1)シリンジにPLA-TA-Tro-Ga (DMSO)、Onyx、ヨウ素化油、生理食塩水のそれぞれを1mL添加し、下端に1.7 Fマイクロカテーテルを接続し、その後、上押え板を使用して等速(流量:2mL/min)でシリンジを押しながら、上押え板圧力の変化を記録した。その結果、
図4Bに示すように、ヨウ素化油、PLA-TA-Tro-Ga (DMSO)、Onyx、生理食塩水の注射圧力は順次低下したことは、PLA-TA-Tro-Ga (DMSO)の注射が比較的に容易であったことを示した。2)シリンジにPLA-TA-Tro-Ga (DMSO)1mLを添加し、下端に規格が異なるカテーテルを接続し(
図4C)、その後、上押え板にて等速(流量:2mL/min)でシリンジを押しながら、上押え板圧力の変化を記録した。その結果、
図4Dに示すように、マイクロカテーテル直径の増加に伴って射出圧力が低下した。以上より、PLA-TA-Tro-Ga (DMSO)は、カテーテルによる注射が容易であり、優れた使用性能を有している。
【0030】
イン・ビトロ塞栓試験では、シリンジポンプ、シリンジ、圧力計、豚の大動脈(内径:6mm)、ポリジメチルシロキサン(Polydimethylsiloxane、PDMS)パイプライン(内径:6mm)を
図5Aに示すように接続し、パイプライン全体に37℃の抗凝固血液を満たし、さらに、豚の大動脈とPDMSパイプラインを37℃の抗凝固血液に浸漬した。その後、PLA-TA-Tro-Ga(DMSO)(1mL)、Onyx(1mL)、スプリングコイル(1枚、6mm×6mm)をそれぞれ5Fマイクロカテーテル(内径:1.7mm)にて豚の大動脈内に注入した。カテーテルを取り出した後(血管塞栓剤がゲル化した)、凝固血液を血管塞栓剤ゲルPLA-TA-Tro-Ga(ゲル)が血管から排出されるまで80mL/minの流量で抗凝固血液をプッシュしながら、圧力計を用いて系圧力の変化を記録した。最大値は塞栓剤の塞栓圧力と記録した。
図5Bより示すように、PLA-TA-Tro-Ga(ゲル)はスプリングコイル及びOnyxにより塞栓圧力が大きかったので、大きな血圧を有する動脈血管の塞栓に有利である。
【0031】
溶血試験には、遠心(200×g、10min)によりウサギ全血赤血球を収集し、生理食塩水で5%(v/v)まで希釈した。上記の血細胞溶液1mLにPLA-TA-Tro-Ga(DMSO)、PLA-TA-Tro(DMSO)、DMSO、生理食塩水(陰性対照)及び脱イオン水(陽性対照)をそれぞれ50μL加え、37℃で24時間インキュベートした。赤血球の懸濁液を遠心(500×g、15min)した後、上層清を96ウェルプレートに移し、マイクロプレートリーダーにより溶液の540nmでの吸光度を測定した。溶血率は、溶血率(%)=(As-An)/(Ad-An)×100%(ただし、As、An及びAdは、それぞれ試料、生理食塩水及び脱イオン水群の吸光度)により計算された。データの信頼性を保証するために、試験を各群あたり3回繰り返した。その結果、
図6に示すように、PLA-TA-Tro-Ga(DMSO)の溶血率は、5%未満であり、生物材料の使用要件を満たした。
【0032】
細胞毒性試験には、L929細胞を12ウェルプレート(25000個/ウェル)に加え、37℃のインキュベーターで12時間インキュベートした。その後、細胞を含有するウェルにPLA-TA-Tro-Ga(ゲル)、PLA-TA-Tro(ゲル)、Gaをそれぞれ50mg加え、また材料添加なしの群を陽性対照とした。24時間インキュベートした後、生/死細胞染色法により細胞活性を評価した。データの信頼性を保証するために、試験を各群あたり3回繰り返した。その結果、
図6に示すように、全部の群での細胞生存率がいずれも98%より大きく、且つ細胞が正常に広がった紡錘形を呈した。その結果として、ゲルは細胞毒性がなく、良好な細胞生体適合性を持つことが示された。
【0033】
ドキソルビシンの徐放能については、ドキソルビシン溶液の紫外可視スペクトルを測定し、最大吸光度に対応する波長値(480nm)をその特徴波長とした。異なる濃度のドキソルビシン溶液を調製し、480nm波長における吸光度を測定し、吸光度-濃度曲線(検量線)をプロットした。ドキソルビシン10mgをPLA-TA-Tro-Ga(DMSO)2mLに溶解させ、37℃の条件下で24時間インキュベートした後、上記溶液をリン酸緩衝塩溶液(PBS)20mLに注射した。設定した時点で上澄み液200μLを採取し、480nm波長における吸光度を測定し、吸光度-濃度曲線(検量線)によって溶液でのドキソルビシンの濃度を算出した。ドキソルビシンを担持したヨウ素化油を対照実験とした。その結果、
図7Aに示すように、PLA-TA-Tro-Ga(ゲル)はドキソルビシンをゆっくりと放出することができ、35日目にしてほぼ100%の放出に達したのに対して、ヨウ素化油は、ただ3日目にほぼ100%の放出に達した。その結果としては、本発明にかかる血管塞栓剤は、ドキソルビシンなどの化学療法薬を担持することができ、良好な徐放効果を持つことが示された。
【0034】
ソラフェニブの放出曲線については、ソラフェニブ溶液の紫外可視スペクトルを測定し、最大吸光度に対応する波長値(265nm)をその特徴波長とした。異なる濃度のソラフェニブ溶液を調製し、265nm波長における吸光度を測定し、吸光度-濃度曲線(検量線)をプロットした。その後、ソラフェニブ200mgをPLA-TA-Tro-Ga(DMSO)2mLに溶解させ、37℃の条件下で24時間インキュベートした後、上記溶液をリン酸緩衝塩溶液(PBS)20mLに注射し、特定の時点で上澄み液200μLを採取し、265nm吸光度を測定し、吸光度-濃度曲線(検量線)によって溶液でのソラフェニブの濃度を算出した。ソラフェニブを担持したヨウ素化油を対照実験とした。その結果、
図7Bに示すように、PLA-TA-Tro-Ga(ゲル)は、ドキソルビシンをゆっくりと放出することができ、21日目にしてほぼ100%の放出に達したのに対して、ヨウ素化油は、ただ3日目にほぼ100%の放出に達した。上記の結果から、本発明にかかる血管塞栓剤は、ソラフェニブなどの標的薬に対しても良好な徐放効果を有することが分かった。
【0035】
アテゾリズマブの放出曲線については、酵素結合免疫吸着法(EnzymeLinked Immunosorbent Assay、ELISA、R&D、DY1086)用キットを使用してアテゾリズマブの濃度を測定した。マイクロプレートリーダーによりキット内の標準品に対して450nmでの吸光度を測定し、吸光度-濃度曲線(検量線)をプロットした。プログラム細胞死タンパク質1(Programmed cell death protein 1、 PD-1)0.1μgをそれぞれ順に96ウェルプレートに添加した。アテゾリズマブ60mgをPLA-TA-Tro-Ga(DMSO)2mLに溶解させ、37℃の条件下で24時間インキュベートした後、上記のアテゾリズマブを担持した混合溶液をリン酸緩衝塩溶液(PBS)20mLに注射した。設定した時点で上澄み液200μLを採取し、PBSで1000倍希釈し、さらに、上記希釈溶液500μLをPD-1タンパク質が入れた96ウェルプレートに添加した。その後、Peroxidase Affinipuregoat Anti-human IgGの第2抗体を加え、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(3,3’,5,5’-Tetramethylbenzidine、TMB)にて染色した。最後にマイクロプレートリーダーによって450nmでの吸光度を読み取り、さらに、吸光度-濃度曲線(検量線)により溶液でのアテゾリズマブの濃度を算出した。アテゾリズマブを担持したヨウ素化油を対照実験とした。その結果、
図7Cに示すように、PLA-TA-Tro-Ga(ゲル)は、アテゾリズマブをゆっくりと放出し、25日目にしてほぼ100%の放出に達したのに対して、ヨウ素化油は、ただ3日目にほぼ100%の放出に達した。上記の結果から、本発明にかかる血管塞栓剤は、アテゾリズマブなどの免疫阻害剤を担持することができ、しかも良好な薬物徐放性を有することが分かった。
【0036】
イン・ビトロでのX線イメージング試験には、1mLのシリンジにてPLA-TA-Tro-Ga(DMSO)を1mL吸引してX線イメージングに供した。
図8Aに示すように、PLA-TA-Tro-Ga(DMSO)は、X線下で均一な高密度像を示し、アーチファクトが見られなかった。
【0037】
インビボでのX線イメージング試験には、シリンジにてPLA-TA-Tro-Ga(DMSO)をウサギ耳動脈および腎動脈にそれぞれ1mLおよび1.5mL注入した。X線により動脈及び分岐血管に詰め込んたPLA-TA-Tro-Ga(DMSO)が明らかに見られ、アーチファクトがなかった(
図8B、8C)ことが分かった。
【0038】
ウサギ腎動脈の塞栓実験には、実験用ウサギを全身麻酔し、固定し、消毒してタオルを敷いた後、真中腹部に沿って皮膚、筋肉、筋膜を切開し、層ごとに鈍性に腎動脈を分離し、カラードップラー超音波器を用いてイメージング観察を行った。続いて、腎動脈にPLA-TA-Tro-Ga(DMSO)1.5mLを注入した。1分間後、針を抜去したが、針にゲル接着は見られず、穿刺点に出血は見られなかった。これにより、該液体塞栓剤はチューブにくっつかなかったことが示された。その後、カラードップラー超音波器を用いて塞栓部位のイメージング観察を行った。
図9に示すように、塞栓後、腎動脈血流信号が消失し、腎実質内に高エコーに多発した。その結果から、PLA-TA-Tro-Ga(DMSO)がゲルになったことにより、実験用ウサギの腎動脈を塞栓することができたことが示された。
【0039】
ウサギ大腿動脈の塞栓実験には、実験用ウサギを全身麻酔し、固定し、左側鼠径部を消毒してタオルを敷いた後、皮膚と筋肉を切開し、層ごとに動脈を鈍性分離し、カラードップラー超音波器を用いてイメージング観察を行った。その後、大腿動脈内にPLA-TA-Tro-Ga (DMSO)1mLを注入した。1分間後、針を抜去し、針にゲル接着が見られず、穿刺点に出血は見られなかった。これにより、該液体塞栓剤がチューブにくっつかなかったことが示された。その後、カラードップラー超音波器を用いて塞栓部位のイメージング観察を行った。
図10に示すように、塞栓後、大腿動脈血流信号が消失した。その結果は、PLA-TA-Tro-Ga(DMSO)がゲルになったことにより、実験用ウサギの大腿動脈を塞栓することができたことが示された。
【0040】
実施例3
本発明にかかる血管塞栓剤の1つの実施例として、本実施例にかかる血管塞栓剤の調製方法は以下の通りである。
(1)リポ酸1.2g、没食子酸0.8g、及びトロメタモール粉末0.6gをDMSO 0.6gに溶解させ、混合溶液Aを得た。
(2)前記混合溶液Aを密封した後、90℃の条件下で置いて10時間反応させ、混合溶液Bを得た。
(3)前記混合溶液Bを取り出し、室温まで冷却し、DMSO 2.5gを加えて希釈し、最後、現像剤としてガリウム・インジウム・スズ合金1.5gを加え、血管塞栓剤を得た。得られた血管塞栓剤は、硬化時間が10minであり、粘度が89mPa.sであり、貯蔵弾性率が470 kPaであった。本実施例にかかる血管塞栓剤の調製概略図は、
図11に示した。
【0041】
実施例4
本発明にかかる血管塞栓剤の1つの実施例として、本実施例にかかる血管塞栓剤の調製方法は以下の通りである。
(1)リポ酸1.2g、コーヒー酸0.5g、及びトロメタモール粉末0.6gをDMSO 0.6gに溶解させた後、混合溶液Aを得た。
(2)前記混合溶液Aを密封した後、90℃で置いて10時間反応させ、混合溶液Bを得た。
(3)前記混合溶液Bを取り出し、室温まで冷却し、DMSO 2.5gを加えて希釈し、最後、現像剤としてガリウム・インジウム・スズ合金1.0gを加え、血管塞栓剤を得た。得られた血管塞栓剤は、硬化時間が9minであり、粘度が92mPa.sであり、貯蔵弾性率が480 kPaであった。本実施例にかかる血管塞栓剤の調製概略図は、
図12に示した。
【0042】
実施例5
本発明にかかる血管塞栓剤の1つの実施例として、本実施例にかかる血管塞栓剤の調製方法は以下の通りである。
(1)リポ酸1.2g、カテコール0.8g、及びトロメタモール粉末0.6gをDMSO 0.6gに溶解させた後、混合溶液Aを得た。
(2)前記混合溶液Aを密封した後、90℃で置いて10時間反応させ、混合溶液Bを得た。
(3)前記混合溶液Bを取り出し、室温まで冷却し、DMSO 1.5gを加えて希釈し、最後、現像剤としてガリウム・インジウム・スズ合金1.2gを加え、血管塞栓剤を得た。得られた血管塞栓剤は、硬化時間が11minであり、粘度が80mPa.sであり、貯蔵弾性率が465 kPaであった。本実施例にかかる血管塞栓剤の調製概略図は、
図13に示した。
【0043】
実施例6
本発明にかかる血管塞栓剤の1つの実施例として、本実施例にかかる血管塞栓剤の調製方法は以下の通りである。
(1)リポ酸1.2g、ドーパミン1.0g、及びトロメタモール粉末0.6gをDMSO 0.6gに溶解させた後、混合溶液Aを得た。
(2)前記混合溶液Aを密封した後、90℃で置いて10時間反応させ、混合溶液Bを得た。
(3)前記混合溶液Bを取り出し、室温まで冷却し、DMSO 2.5gを加えて希釈し、最後、現像剤としてガリウム・インジウム・スズ合金1.6gを加え、血管塞栓剤を得た。得られた血管塞栓剤は、硬化時間が9minであり、粘度が82mPa.sであり、貯蔵弾性率が493kPaであった。本実施例にかかる血管塞栓剤の調製概略図は、
図14に示した。
【0044】
実施例7
本発明にかかる血管塞栓剤の1つの実施例として、本実施例にかかる血管塞栓剤の調製方法は以下の通りである。
(1)リポ酸1.2g、ポリドーパミン0.2g、及びトロメタモール粉末0.6gををDMSO 0.4gに溶解させた後、混合溶液Aを得た。
(2)前記混合溶液Aを密封した後、90℃で置いて10時間反応させ、混合溶液Bを得た。
(3)前記混合溶液Bを取り出し、室温まで冷却し、DMSO 1.5gを加えて希釈し、最後、現像剤としてガリウム・インジウム・スズ合金1.2gを加え、血管塞栓剤を得た。得られた血管塞栓剤は、硬化時間が12minであり、粘度が77mPa.sであり、貯蔵弾性率が520kPaであった。本実施例にかかる血管塞栓剤の調製概略図は、
図15に示した。
【0045】
実施例8
本発明にかかる血管塞栓剤の1つの実施例として、本実施例にかかる血管塞栓剤の調製方法は以下の通りである。
(1)リポ酸1.2g、レスベラトロール0.2g、及びトロメタモール粉末0.6gをDMSO 0.4gに溶解させた後、混合溶液Aを得た。
(2)前記混合溶液Aを密封した後、90℃で置いて10時間反応させ、混合溶液Bを得た。
(3)前記混合溶液Bを取り出し、室温まで冷却し、DMSO 1.5gを加えて希釈し、最後、現像剤としてガリウム・インジウム・スズ合金1.0gを加え、血管塞栓剤を得た。得られた血管塞栓剤は、硬化時間が10minであり、粘度が86mPa.sであり、貯蔵弾性率が489kPaであった。本実施例にかかる血管塞栓剤の調製概略図は、
図16に示した。
【0046】
実施例9
本発明にかかる血管塞栓剤の1つの実施例として、本実施例にかかる血管塞栓剤の調製方法は以下の通りである。
(1)リポ酸1.2g、クェルセチン0.6g、及びトロメタモール粉末0.6gをDMSO 0.5gに溶解させた後、混合溶液Aを得た。
(2)前記混合溶液Aを密封した後、90℃で置いて10時間反応させ、混合溶液Bを得た。
(3)前記混合溶液Bを取り出し、室温まで冷却し、DMSO 2.0gを加えて希釈し、最後、現像剤としてガリウム・インジウム・スズ合金1.2gを加え、血管塞栓剤を得た。得られた血管塞栓剤は、硬化時間が11minであり、粘度が76mPa.sであり、貯蔵弾性率が490kPaであった。本実施例にかかる血管塞栓剤の調製概略図は、
図17に示した。
【0047】
実施例10
本発明にかかる血管塞栓剤の1つの実施例として、本実施例にかかる血管塞栓剤の調製方法は以下の通りである。
(1)アスパラガス酸1.4g、タンニン酸0.1g、及びトロメタモール粉末0.5gをDMSO 0.4gに溶解させた後、混合溶液Aを得た。
(2)前記混合溶液Aを密封した後、90℃で置いて10時間反応させ、混合溶液Bを得た。
(3)前記混合溶液Bを取り出し、室温まで冷却し、DMSO 2.0gを加えて希釈し、最後、現像剤としてガリウム・インジウム・スズ合金1.0gを加え、血管塞栓剤を得た。得られた血管塞栓剤は、硬化時間が9minであり、粘度が80mPa.sであり、貯蔵弾性率が477kPaであった。本実施例にかかる血管塞栓剤の調製概略図は、
図18に示した。
【0048】
実施例11
本発明にかかる血管塞栓剤の1つの実施例として、本実施例にかかる血管塞栓剤の調製方法は以下の通りである。
(1)アスパラガス酸1.2g、没食子酸1.0g、及びトロメタモール粉末0.5gをDMSO 0.6gに溶解させた後、混合溶液Aを得た。
(2)前記混合溶液Aを密封した後、90℃で置いて10時間反応させ、混合溶液Bを得た。
(3)前記混合溶液Bを取り出し、室温まで冷却し、DMSO 2.0gを加えて希釈し、最後、現像剤としてガリウム・インジウム・スズ合金1.6gを加え、血管塞栓剤を得た。得られた血管塞栓剤は、硬化時間が8minであり、粘度が80mPa.sであり、貯蔵弾性率が466kPaであった。本実施例にかかる血管塞栓剤の調製概略図は、
図19に示した。
【0049】
実施例12
本発明にかかる血管塞栓剤の1つの実施例として、本実施例にかかる血管塞栓剤の調製方法は以下の通りである。
(1)アスパラガス酸1.2g、1.0gコーヒー酸、及びトロメタモール粉末0.5gをDMSO 0.5gに溶解させた後、混合溶液Aを得た。
(2)前記混合溶液Aを密封した後、90℃で置いて10時間反応させ、混合溶液Bを得た。
(3)前記混合溶液Bを取り出し、室温まで冷却し、DMSO 2.5gを加えて希釈し、最後、現像剤としてガリウム・インジウム・スズ合金1.8gを加え、血管塞栓剤を得た。得られた血管塞栓剤は、硬化時間が9minであり、粘度が77mPa.sであり、貯蔵弾性率が482kPaであった。本実施例にかかる血管塞栓剤の調製概略図は、
図20に示した。
【0050】
実施例13
本発明にかかる血管塞栓剤の1つの実施例として、本実施例にかかる血管塞栓剤の調製方法は以下の通りである。
(1)アスパラガス酸1.4g、カテコール1.0g、及びトロメタモール粉末0.5gをDMSO 0.6gに溶解させた後、混合溶液Aを得た。
(2)前記混合溶液Aを密封した後、90℃で置いて10時間反応させ、混合溶液Bを得た。
(3)前記混合溶液Bを取り出し、室温まで冷却し、DMSO 3.0gを加えて希釈し、最後、現像剤としてガリウム・インジウム・スズ合金1.8gを加え、血管塞栓剤を得た。得られた血管塞栓剤は、硬化時間が10minであり、粘度が86mPa.sであり、貯蔵弾性率が489kPaであった。本実施例にかかる血管塞栓剤の調製概略図は、
図21に示した。
【0051】
実施例14
本発明にかかる血管塞栓剤の1つの実施例として、本実施例にかかる血管塞栓剤の調製方法は以下の通りである。
(1)アスパラガス酸1.4g、ドーパミン0.6g、及びトロメタモール粉末0.5gをDMSO 0.5gに溶解させた後、混合溶液Aを得た。
(2)前記混合溶液Aを密封した後、90℃で置いて10時間反応させ、混合溶液Bを得た。
(3)前記混合溶液Bを取り出し、室温まで冷却し、DMSO 2.5gを加えて希釈し、最後、現像剤としてガリウム・インジウム・スズ合金1.2gを加え、血管塞栓剤を得た。得られた血管塞栓剤は、硬化時間が12minであり、粘度が65mPa.sであり、貯蔵弾性率が412kPaであった。本実施例にかかる血管塞栓剤の調製概略図は、
図22に示した。
【0052】
実施例15
本発明にかかる血管塞栓剤の1つの実施例として、本実施例にかかる血管塞栓剤の調製方法は以下の通りである。
(1)アスパラガス酸1.4g、ポリドーパミン0.1g、及びトロメタモール粉末0.5gをDMSO 0.5gに溶解させた後、混合溶液Aを得た。
(2)前記混合溶液Aを密封した後、90℃で置いて10時間反応させ、混合溶液Bを得た。
(3)前記混合溶液Bを取り出し、室温まで冷却し、DMSO 2.0gを加えて希釈し、最後、現像剤としてガリウム・インジウム・スズ合金1.0gを加え、血管塞栓剤を得た。得られた血管塞栓剤は、硬化時間が9minであり、粘度が78mPa.sであり、貯蔵弾性率が482kPaであった。本実施例にかかる血管塞栓剤の調製概略図は、
図23に示した。
【0053】
実施例16
本発明にかかる血管塞栓剤の1つの実施例として、本実施例にかかる血管塞栓剤の調製方法は以下の通りである。
(1)アスパラガス酸1.4g、レスベラトロール0.5g、及びトロメタモール粉末0.5gをDMSO 0.5gに溶解させた後、混合溶液Aを得た。
(2)前記混合溶液Aを密封した後、90℃で置いて10時間反応させ、混合溶液Bを得た。
(3)前記混合溶液Bを取り出し、室温まで冷却し、DMSO 2.5gを加えて希釈し、最後、現像剤としてガリウム・インジウム・スズ合金1.2gを加え、血管塞栓剤を得た。得られた血管塞栓剤は、硬化時間が12minであり、粘度が65mPa.sであり、貯蔵弾性率が412kPaであった。本実施例にかかる血管塞栓剤の調製概略図は、
図24に示した。
【0054】
実施例17
本発明にかかる血管塞栓剤の1つの実施例として、本実施例にかかる血管塞栓剤の調製方法は以下の通りである。
(1)アスパラガス酸1.4g、クェルセチン0.3g、及びトロメタモール粉末0.5gをDMSO 0.4gに溶解させた後、混合溶液Aを得た。
(2)前記混合溶液Aを密封した後、90℃で置いて10時間反応させ、混合溶液Bを得た。
(3)前記混合溶液Bを取り出し、室温まで冷却し、DMSO 2.0gを加えて希釈し、最後、現像剤としてガリウム・インジウム・スズ合金1.0gを加え、血管塞栓剤を得た。得られた血管塞栓剤は、硬化時間が10minであり、粘度が88mPa.sであり、貯蔵弾性率が378kPaであった。本実施例にかかる血管塞栓剤の調製概略図は、
図25に示した。
【0055】
ところで、以上の実施例は、本発明の保護範囲への制限ではなく、本発明の技術的案を説明するためにのみ使用されたものであり、好ましい実施例を参照しながら本発明を詳細に説明したが、当業者であれば、本発明の技術的案の本質及び範囲を逸脱しらず、本発明の技術的案に修正または均等な置換を加えてもよいことを理解されたい。
【国際調査報告】