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特表2024-536947液相中のビス(ピロリジノ)ブタンの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-09
(54)【発明の名称】液相中のビス(ピロリジノ)ブタンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 295/13 20060101AFI20241002BHJP
   B01J 23/835 20060101ALI20241002BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20241002BHJP
【FI】
C07D295/13
B01J23/835 Z
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024520912
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-04-05
(86)【国際出願番号】 EP2022077412
(87)【国際公開番号】W WO2023057358
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】21201373.4
(32)【優先日】2021-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】22173988.1
(32)【優先日】2022-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フーバー,タチアナ
(72)【発明者】
【氏名】パストレ,ヨエルク
(72)【発明者】
【氏名】シュレーダー,クリスティン
(72)【発明者】
【氏名】バルケンホール,モーリッツ
【テーマコード(参考)】
4G169
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169BA01A
4G169BA01B
4G169BA05A
4G169BA06A
4G169BA08A
4G169BA15A
4G169BB02A
4G169BB02B
4G169BB04A
4G169BB06A
4G169BB06B
4G169BC10A
4G169BC13A
4G169BC16A
4G169BC22A
4G169BC22B
4G169BC31A
4G169BC31B
4G169BC42A
4G169BC51A
4G169BC58A
4G169BC59A
4G169BC67A
4G169BC67B
4G169BC68A
4G169BC68B
4G169CB25
4G169CB62
4G169CB77
4G169DA06
4G169EA02Y
4G169EB18Y
4G169EC02Y
4G169EC03Y
4G169FC08
4H039CA10
4H039CA71
4H039CD30
4H039CH70
(57)【要約】
ビス(ピロリジノ)ブタン(BPB)の製造方法であって、液相中での水素、不均一系触媒(触媒)、及び任意選択的に1,4-ブタンジオール(BDO)の存在下でのピロリジン(PYR)の反応を含む、方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビス(ピロリジノ)ブタン(BPB)の製造方法であって、液相中での水素、不均一系触媒(触媒)、及び任意選択的に1,4-ブタンジオール(BDO)の存在下でのピロリジン(PYR)の反応を含む、方法。
【請求項2】
水素によるその還元前の前記触媒の前記触媒活性質量は、銅の酸素含有化合物と、アルミニウム及び/又はジルコニウムの酸素含有化合物とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反応が、180~300℃、より好ましくは180~230℃、さらにより好ましくは180~220℃、特に好ましくは180~210℃、又はさらには180~200℃の範囲の温度で行われる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記反応が、20~150bar(例えば、45~150bar又は55~150bar)、好ましくは65~149bar、より好ましくは70~140bar、さらにより好ましくは75~130bar、特に好ましくは80~130barの範囲の絶対圧で行われる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が連続的に行われる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記反応が、1,4-ブタンジオール(BDO)の存在下で実行される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
PYR対BDOのモル比は、2:1~10:1の範囲、好ましくは2:1超~10:1の範囲、より好ましくは2:1超~9:1の範囲、さらにより好ましくは2:1超~6:1の範囲、特に好ましくは2:1超~4:1の範囲、又はさらには2:1超~3:1の範囲である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
水素の量は、BDO1モルあたり、65~181NL、好ましくは70~150NL、より好ましくは80~130NL、さらにより好ましくは85~120NL、特に好ましくは85~110NL、又はさらには85~100NLである、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
反応器出口は、40~120℃、好ましくは60~110℃、より好ましくは80~100℃の範囲の温度に保たれる、請求項5~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
水素によるその還元前の前記触媒の前記触媒活性質量が、銅の酸素含有化合物と、アルミニウム及び/又はジルコニウムの酸素含有化合物と、ニッケル、コバルト、スズ、モリブデン及びランタンの酸素含有化合物からなる群から選択される少なくとも1種の酸化物とを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
水素によるその還元前の前記触媒の前記触媒活性質量が、アルミニウム、銅、ニッケル及びコバルトの酸素含有化合物と、0.2~5.0重量%のSnOとして計算されるスズの酸素含有化合物とを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
水素によるその還元前の前記触媒の前記触媒活性質量が、
15~80重量%の、Alとして計算されるアルミニウムの酸素含有化合物と、
1~20重量%の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物と、
5~35重量%の、NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物と、
5~35重量%の、CoOとして計算されるコバルトの酸素含有化合物と、
0.2~5.0重量%の、SnOとして計算されるスズ酸素含有化合物とを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
水素によるその還元前の前記触媒の前記触媒活性質量が、
20~85重量%の、ZrOとして計算されるジルコニウムの酸素含有化合物と、
1~30重量%の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物と、
14~70重量%の、NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物と、
0~5重量%の、MoOとして計算されるモリブデンの酸素含有化合物とを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
水素によるその還元前の前記触媒の前記触媒活性質量が、
(1)酸化物材料であって、
(a)50~80wt%の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物と、
(b)15~35wt%の、Alとして計算されるアルミニウムの酸素含有化合物と、
(c)2~20wt%の、Laとして計算されるランタンの酸素含有化合物とを含み、
前記銅、アルミニウム及びランタンの酸素含有化合物を合計した酸化物材料の総重量%は80~100wt%の範囲である、酸化物材料と、
(2)グラファイト、並びに金属銅粉、銅箔、セメント粉及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物と
を含み、
(2)の含有量は、前記酸化物料の総重量に基づいて1~40重量%の範囲であり、ただし、前記グラファイトは、前記酸化物材料の総重量に基づいて0.5~5重量%の量で存在し、
(1)及び(2)の合計含有量は、前記触媒の少なくとも95重量%である、
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
水素によるその還元前の前記触媒の前記触媒活性質量が、
20~75重量%の、Alとして計算される酸化アルミニウムと、
20~75重量%の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物と、
0~2重量%の、NaOとして計算されるナトリウムの酸素含有化合物と、
5重量%未満の、NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物と
を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
水素によるその還元前の前記触媒の前記触媒活性質量が、
20~85重量%の酸化アルミニウム(Al)及び/又は二酸化ジルコニウム(ZrO)と、
1~70重量%の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物と、
0~50重量%の、MgOとして計算されるマグネシウムの酸素含有化合物、Crとして計算されるクロムの酸素含有化合物、ZnOとして計算される亜鉛の酸素含有化合物、BaOとして計算されるバリウムの酸素含有化合物及び/又はCaOとして計算されるカルシウムの酸素含有化合物と、
0~30重量%の、NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物と
を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビス(ピロリジノ)ブタン(BPB)の製造方法に関し、この方法は、液相中での水素、触媒、及び任意選択的に1,4-ブタンジオール(BDO)の存在下でのピロリジン(PYR)の反応を含む。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2021/011521A1号パンフレット(Huntsman)は、触媒としてビス(ピロリジノ)ブタンを含むポリウレタン配合物を教示している。
【0003】
米国特許出願公開第2007/0232833A1号明細書(BASF AG)は、アルミニウム及び/又はジルコニウムの酸素含有化合物並びに銅の酸素含有化合物を含む触媒の存在下で、第一級アルコールと、水素及び窒素化合物との気相中での反応によるアミンの調製方法に関する。
【0004】
米国特許出願公開第2011/0172430A1号明細書(BASF SE)は、アルミニウム及び銅の酸素含有化合物を含む触媒の存在下、第一級アルコールと、水素及び窒素化合物との気相中での反応によるアミンの調製方法に関する。
【0005】
米国特許出願公開第2010/0056364A1号明細書(BASF AG)は、カルボニル基の水素化用触媒に関し、このような触媒は、アルミニウム、銅及びランタンの酸素含有化合物、並びに金属銅及びグラファイトを含む。
【0006】
米国特許出願公開第2014/0018547A1号明細書(BASF SE)は、水素及び担持された金属含有触媒の存在下で、1,4-ブタンジオール(BDO)をアンモニアと反応させることによってピロリジンを調製するための方法を記載しており、水素によるその還元前の触媒の触媒活性質量は、アルミニウム、銅、ニッケル及びコバルトの酸素含有化合物と、0.2~5.0重量%の範囲の、SnOとして計算されるスズの酸素含有化合物とを含み、反応は液体中で行われる。
【0007】
米国特許出願公開第2011/0137030A1号明細書(BASF SE)は、担持された銅、ニッケル及びコバルト含有触媒の存在下で、第一級又は第二級アルコール、アルデヒド及び/又はケトンを、水素、並びにアンモニア並びに第一級及び第二級アミンからなる群から選択される窒素化合物と反応させることによってアミンを調製するための方法に関し、水素によるその還元前の触媒の触媒活性物質は、アルミニウム、銅、ニッケル及びコバルトの酸素化合物と、0.2~5.0重量%の、SnOとして計算されるスズの酸素化合物とを含む。1,4-ブタンジオールとピロリジンとの反応は、そこでは教示されていない。
【0008】
Timofeev et al.(Russian Journal of Organic Chemistry,2016,Vol.52)は、ニッケル/銅/クロム触媒の存在下、1,4-ブタンジオールとアンモニアとの反応で得られる副生成物としてのビス(ピロリジノ)ブタンの生成を教示している。
【0009】
Ballantine et al.(Journal of Molecular Catalysis,30(1985) 373-388)は、イオン交換したモンモリロナイトを触媒として使用して、ピロリジンを反応させ、ビス(ピロリジノ)ブタンなどの開環生成物を得ることを教示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする技術的課題は、ビス(ピロリジノ)ブタンの製造のための新たな方法を見出すことであった。その意図は、高転化率、空時収率を含む高収率、及び高選択性で実行でき、同時に触媒成形の機械的安定性が高く、「暴走リスク」が低い方法を見出すことであった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の技術的課題は、請求項1に記載の方法によって解決することができる。
【0012】
水和活性を有するどんな触媒も、ビス(ピロリジノ)ブタンの調製に使用することができる。好ましくは、水素によるその還元前の触媒の触媒活性質量は、銅の酸素含有化合物と、アルミニウム及び/又はジルコニウムの酸素含有化合物とを含む。これに関して、このような触媒の使用が、水素の存在下でのピロリジン(PYR)の反応に基づくビス(ピロリジノ)ブタン(BPB)の製造に適していることは驚くべきことであった。米国特許出願公開第2007/0232833A1号明細書、米国特許出願公開第2011/0172430A1号明細書、米国特許出願公開第2011/0137030A1号明細書及び米国特許出願公開第2014/0018547A1号明細書によれば、これらの触媒は、それぞれ、アルコール、アルデヒド及びケトンのアミノ化、又は米国特許出願公開第2010/0056364A1号明細書の場合のカルボニル基の水素化に適している。これらの文献には、それぞれの触媒が本発明によるピロリジンの反応に適しているという示唆はない。同様に、Ballantine et al.(Journal of Molecular Catalysis,30(1985) 373-388)は、ピロリジンの反応を触媒するために使用する特定のイオン交換されたモンモリロナイトを教示している。また、他の触媒、特に上記で参照した当該技術分野において教示されている触媒が同様に機能し得るという示唆はない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ビス(ピロリジノ)ブタン又は1,4-ジ(ピロリジン-1-イル)ブタンは、下式
【化1】
を有し、「BPB」とも呼ばれる。
【0014】
いかなる理論にも拘束されることを望まず、またいかなる種類においても本発明の範囲を限定することを望まず、本発明によるPYRの反応は、以下の反応スキーム(スキーム1)に従って起こる。
【0015】
スキーム1:ピロリジン(PYR)からのビス(ピロリジノ)ブタン(BPB)の調製
【化2】
第1の工程では、2つのピロリジン分子が反応して4-(ピロリジン-1-イル)ブタン-1-アミンが得られる。次の工程では、4-(ピロリジン-1-イル)ブタン-1-アミンが別のピロリジン分子と反応してBPBを生成し、アンモニアを放出する。さらに、ビス(4-(ピロリジニル)ブチル)アミンが不要な副生成物として生成され得る。これは、下式を有する。
【化3】
【0016】
任意選択的に、反応はBDOの存在下で行うことができる。これは、反応がBDOなしでも、又は存在下でも行うことができることを意味する。BDOの非存在下で反応を行うことは、BDOは積極的に添加されないことを意味する。微量のBDOが、例えばPYRに含まれる汚染物質として、ppmオーダー又はそれ以下で存在する可能性は排除できない。好ましくは、本発明による反応は、1,4-ブタンジオール(BDO)の存在下で行われる。
【0017】
いかなる理論にも拘束されることを望まず、またいかなる種類においても本発明の範囲を限定することを望まず、本発明によるBDOの存在下でのPYRの反応は、以下の反応スキーム(スキーム2)に従って起こる。
【0018】
スキーム2:ブタンジオール(BDO)及びピロリジン(PYR)からのビス(ピロリジノ)ブタン(BPB)の調製
【化4】
第1の工程では、PYRはBDOと反応して4-(ピロリジン-1-イル)ブタン-1-オールを生成し、水を放出する。次の工程では、4-(ピロリジン-1-イル)ブタン-1-オールは別のピロリジン分子と反応してBPBを生成し、水を放出する。さらに、ビス(4-(ピロリジニル)ブチル)アミンが不要な副生成物として生成され得る。
【0019】
BDOの存在下では、PYRは主にスキーム1及びスキーム2の両方を介して反応することができる。どちらのスキームを選択するかは、BDOの転化率及びBDOとPYRのモル比を含むがそれらに限定されない反応条件に依存する。しかし、ほとんどの場合、BPBの形成はスキーム2に従って主に起こると考えられる。これは特に、本明細書で規定する好ましい反応条件に関して当てはまる。
【0020】
上記スキーム2で概説した反応過程で生じる水は、一般に、転化率、反応速度、選択性、及び触媒寿命に破壊的な影響を及ぼさないため、反応生成物の後処理時、例えば蒸留によってのみ簡便に除去される。
【0021】
本発明に従って、PYRの反応(単独で、又はBDOの存在下)は、不均一系触媒(触媒)の存在下で行われる。好ましくは、水素によるその還元前の触媒活性質量は、銅の酸素含有化合物と、アルミニウム及び/又はジルコニウムの酸素含有化合物とを含む。このような触媒の具体的な実施形態を以下に詳述する。特に明記しない限り、このような不均一系触媒は単に「触媒」と呼ぶ。
【0022】
本発明に従って、PYRの反応(単独で、又はBDOの存在下)は、水素の存在下で行われる。いずれの反応(すなわち、PYR単独で、又はBDO存在下)においても、水素の主な目的は、操作中の触媒活性を維持することである。
【0023】
触媒は、好ましくは、特に連続プロセスの場合、反応器内に固定床として配置される。連続又は不連続操作(「バッチ」)に好適な反応器は以下に詳述する。
【0024】
PYRは、溶液として、例えば水溶液として、特に75~95重量%濃度(% strength by weight)の水溶液として、又は溶媒なしで使用することができる。非常に具体的には、PYRは無溶媒である(好ましい純度は95~100重量%濃度、特に98~100重量%濃度である)。
【0025】
BDOは、溶液として、例えば水溶液として、特に75~95重量%濃度の水溶液として、又は溶媒なしで使用することができる。非常に具体的には、BDOは無溶媒である(好ましい純度は95~100重量%濃度、特に98~100重量%濃度である)。
【0026】
このプロセスは、連続的に又は不連続で行うことができる。連続プロセスが好ましい。
【0027】
本プロセスは、1つ又は複数の反応器中で行うことができる。連続プロセス及び不連続なプロセスに好適な反応器を以下に概説する。
【0028】
PYR、及び適用可能であればBDOが出発物質として使用される。
【0029】
反応は液相で行われ、これは、PYR及び適用可能であればBDOは液相中で反応させることを意味する。連続プロセスの場合、PYR及び適用可能であればBDOは、好ましくは同時に反応器に供給される。好ましい反応条件を以下に詳述する。その環境(例えば気象条件)に応じて、出発物質及び/又は生成物中の固形物の形成を回避するために、ヒートトレースを使用することが有利であり得る。
【0030】
バッチ式プロセス(すなわち、不連続なプロセス)では、PYR及び適用可能であればBDOが反応器に添加される。触媒は、好ましくはPYR又は適用可能であればBDO100重量部に対して0.1~10重量部の量で使用される。水素は、所望の反応圧力(以下にさらに規定する)が達成されるまで添加される。好ましくは、バッチ反応は撹拌槽反応器中で行われる。BDOを用いないPYRの反応の場合、好ましくは、反応は、発生したアンモニアが反応器から連続的に除去される撹拌槽反応器で行われる。
【0031】
好ましくは、連続反応は、管型反応器、外部又は内部再循環を行う反応器、プラグフロー反応器、又はスプレー反応器で行われる。好ましい実施態様では、転化は管型反応器で行われる。管束反応器又はシングルストリームプラントを使用することも可能である。シングルストリームプラントでは、管型反応器は、直列接続された複数の個々の管型反応器からなることができる。
【0032】
反応条件:
特に明記されない限り、以下に規定の反応条件は、両タイプ、すなわちBDOなし及びBDO存在下の反応を指す。
【0033】
反応をかなり高い温度で行うと選択性が向上し得ることが見出された。例えば、反応は170℃超、好ましくは180℃以上、より好ましくは188℃以上、さらにより好ましくは189℃以上、特に好ましくは195℃以上、又はさらには198℃以上の温度で行われる。
【0034】
好ましい実施形態では、反応は180~300℃、より好ましくは180~230℃、さらにより好ましくは180~220℃、特に好ましくは180~210℃、又はさらには180~200℃の範囲の温度で行われる。
【0035】
より好ましい実施形態では、反応は、188~230℃、より好ましくは188~220℃、さらにより好ましくは188~210℃、特に好ましくは188~200℃の範囲の温度で行われる。
【0036】
さらにより好ましい実施形態では、反応は190~230℃、より好ましくは190~220℃、さらにより好ましくは190~210℃、特に好ましくは190~200℃の範囲の温度で行われる。
【0037】
特に好ましい実施形態では、反応は、195~230℃、より好ましくは195~220℃、さらにより好ましくは195~210℃、特に好ましくは195~200℃の範囲の温度で行われる。
【0038】
非常に特に好ましい実施形態では、反応は、198~230℃、より好ましくは198~220℃、さらにより好ましくは198~210℃、特に好ましくは198~200℃の範囲の温度で行われる。
【0039】
反応は断熱して、等温で、又は準等温で(すなわち恒温で)行うことができる。好ましくは、それぞれの場合において、反応器内の温度は前述の段落によるそれぞれの範囲内である。
【0040】
反応圧力がかなり低い場合、例えば150bar以下の場合、選択性が向上し得ることが見出された。本出願において圧力はすべて絶対圧を意味する。好ましくは、反応は150bar未満、さらにより好ましくは149bar未満の絶対圧で行われる。
【0041】
好ましい実施形態では、反応は、20~150bar(例えば、45~150bar又は55~150bar)、好ましくは65~149bar、より好ましくは70~140bar、さらにより好ましくは75~130bar、特に好ましくは80~130barの範囲の絶対圧で行われる。本発明による方法は、例えば50bar又は60barのような低圧の場合にも高い選択率を提供する。したがって、別の好ましい実施態様では、反応は、20~130bar、好ましくは50~130bar、より好ましくは55~100bar、さらにより好ましくは55~90barの範囲の絶対圧で行われる。
【0042】
どの圧力も単位「bar」で記され、「Pa」、「hPa」、又は「MPa」に変換することができる(1bar=100,000Pa=1000hPa=0.1MPa)。
【0043】
BDOの存在下で反応を行う場合、BDOのモル転化率は通常90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上、又はさらには100%である。
【0044】
BDOなしで反応を行う場合、PYRのモル転化率は通常60%以上、好ましくは60~90%、より好ましくは60~100%の範囲である。
【0045】
転化率とは、縮合の間に消費されるBDO又はPYRそれぞれのモル量を意味する。それぞれの転化率は、当業者に知られているように、適切な反応条件を選択することによって調整することができる。このような反応条件には、反応温度及び反応圧力が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
反応がBDOの存在下で行われる場合、PYR対BDOのモル比は好ましくは1.5:1以上である。モル比は反応前の分子(それらの官能基ではない)を意味することが理解される。
【0047】
PYR対BDOのモル比が2:1以上、さらにより好ましくは2:1超だと選択性が向上し得ることが見出されている。例えば、PYR対BDOのモル比は2:1~10:1の範囲である。好ましくは、PYR対BDOのモル比は、2:1超~10:1の範囲、より好ましくは2:1超~9:1の範囲、さらにより好ましくは2:1超~6:1の範囲、特に好ましくは2:1超~4:1の範囲、又はさらには2:1超~3:1の範囲である。
【0048】
反応がBDOの存在下で行われる連続プロセスの場合、プロセスは通常、触媒での液空間速度が0.05~5、好ましくは0.1~2、より好ましくは0.2~1kgのBDO/(Lcatalyst.h)で行われる。Lcatalystは、反応器内の触媒のかさ容積を意味する。
【0049】
反応がBDOの非存在下で行われる連続プロセスの場合、プロセスは、触媒での液空間速度が0.05~5、好ましくは0.1~2、より好ましくは0.2~1又は0.15~0.8kgのPYR/(Lcatalyst.h)の範囲で行われる。
【0050】
反応がBDOの存在下で行われる場合、水素の量は、BDO1モルあたり、例えば65~181NL、好ましくは70~150NL、より好ましくは80~130NL、さらにより好ましくは85~120NL、特に好ましくは85~110NL、又はさらには85~100NLになる。
【0051】
NLは標準リットル、すなわち標準条件(S.T.P.)下での(水素分子の)リットルを意味する。標準条件は以下のように理解される:
標準圧力=101325Pa=1013.25hPa=101.325kPa=1.01325bar。
標準温度=273.15K=0℃。
【0052】
上記のNLの定義を考慮すると、上記の範囲はBDO1モルあたりの水素のモル量に換算することができる。したがって、水素対BDOのモル比は、例えば2.9~8.1、好ましくは3.1~6.7、より好ましくは3.6~5.8、さらにより好ましくは3.8~5.4、特に好ましくは3.8~4.9、又はさらには3.8~4.5になる。
【0053】
反応がBDOなしで行われる場合、水素の量は、PYR1モル当たり、例えば20~150NL、好ましくは20~140NLになる。したがって、水素対PYRのモル比は例えば0.9~6.7、好ましくは0.9~6.3になる。
【0054】
触媒:
本発明による方法で使用される触媒の好ましい実施形態を以下に詳述する。
【0055】
その最後の熱処理後及び水素によるその還元前の触媒の触媒活性質量は、触媒活性成分の質量の合計として定義される。このような成分としては特に、それぞれの金属の酸素含有化合物が挙げられる。酸化物担体材料、例えば酸化アルミニウム(Al)は、触媒活性物質に含まれると考えられる。触媒は、好ましくは、触媒活性物質と、触媒が成形体として使用される場合には適宜、成形補助剤(例えばグラファイト又はステアリン酸)のみからなる、すなわちさらなる触媒活性成分を含まない触媒の形態で使用される。本明細書で定義される触媒活性質量の組成のいかなる記載においても、「水素によるその還元前」という用語は、最後の熱処理が行われたことを意味することに留意されたい。
【0056】
好ましい実施形態では、水素によるその還元前の触媒の触媒活性質量は、銅の酸素含有化合物と、アルミニウム及び/又はジルコニウムの酸素含有化合物と、ニッケル、コバルト、スズ、モリブデン及びランタンの酸素含有化合物からなる群から選択される少なくとも1種の酸化物とを含む。
【0057】
別の好ましい実施形態では、水素によるその還元前の触媒の触媒活性質量は、銅の酸素含有化合物と、アルミニウムの酸素含有化合物とを含む。
【0058】
さらに別の好ましい実施形態では、水素によるその還元前の触媒の触媒活性質量は、銅及びニッケルの酸素含有化合物と、アルミニウム及び/又はジルコニウムの酸素含有化合物とを含み、ここではアルミニウムの酸素含有化合物が好ましい。
【0059】
さらに別の好ましい実施形態では、水素によるその還元前の触媒の触媒活性質量は、銅、ニッケル及びコバルトの酸素含有化合物と、アルミニウム及び/又はジルコニウムの酸素含有化合物とを含み、ここではアルミニウムの酸素含有化合物が好ましい。
【0060】
さらに別の好ましい実施形態では、水素によるその還元前の触媒の触媒活性質量は、銅の酸素含有化合物と、アルミニウムの酸素含有化合物と、ニッケル、コバルト、スズ、モリブデン及びランタンの酸素含有化合物からなる群から選択される少なくとも1種の酸化物とを含む。
【0061】
特に明記されない限り、いずれの場合も、触媒成分の報告される濃度(wt%)は、その最後の熱処理後及び水素によるその還元前の製造される触媒の触媒活性質量に関するものである。
【0062】
さらに別の好ましい実施形態では、さらに、CuO、ZrO及び/又はAl、並びに適用可能であればNiO、CoO、SnO、MoO及び/又はLaとして計算される、触媒活性質量の上記化合物の合計が、50~100重量%、好ましくは70~100重量%、特に好ましくは80~100重量%、より好ましくは90~100重量%、非常に特に好ましくは95~100重量%であれば、水素によるその還元前の触媒の触媒活性質量は、銅の酸素含有化合物と、アルミニウム及び/又はジルコニウムの酸素含有化合物と、任意選択的に、ニッケル、コバルト、スズ、モリブデン及びランタンの酸素含有化合物からなる群から選択される少なくとも1種の酸化物とを含む。
【0063】
さらに別の好ましい実施形態では、水素によるその還元前の触媒の触媒活性質量は、アルミニウム、銅、ニッケル及びコバルトの酸素含有化合物と、0.2~5.0重量%のSnOとして計算されるスズの酸素含有化合物とを含む。
【0064】
例えば、水素による還元前に、触媒の触媒活性質量が、15~80wt%、特に30~70wt%、より具体的には35~65wt%の範囲の、Alとして計算されるアルミニウムの酸素含有化合物と、
1~20wt%、特に2~18wt%、より具体的には5~15wt%の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物と、
5~35wt%、特に10~30wt%、より具体的には12~28wt%、非常に具体的には15~25wt%の、NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物と、
5~35wt%、特に10~30wt%、より具体的には12~28wt%、非常に具体的には15~25wt%の、CoOとして計算されるコバルトの酸素含有化合物と、
0.2~5.0wt%、特に0.4~4.0wt%、より具体的には0.6~3.0wt%、より具体的には0.7~2.5wt%の、SnOとして計算されるスズの酸素含有化合物とを含む、国際公開第2011/067199A1号パンフレット(BASF SE)に開示されている触媒が好ましくは使用される。
【0065】
その最後の熱処理後及び水素によるその還元前のそのような触媒の触媒活性質量は、触媒活性成分の質量の合計として定義され、下記の成分:アルミニウム、銅、ニッケル、コバルト及びスズの酸素含有化合物を本質的に含む。
【0066】
触媒活性組成物の上記成分の合計は、通常、70~100wt%、好ましくは80~100wt%、より好ましくは90~100wt%、特に95wt%超、非常に具体的には98wt%超、特に99wt%超、例えば特に好ましくは100wt%である。
【0067】
この触媒では、ニッケル対銅のモル比は好ましくは1超、より好ましくは1.2超、さらにより好ましくは1.8~8.5の範囲である。
【0068】
この触媒のBET比表面積(ISO 9277:1995)は、好ましくは、30~250m/gの範囲、特に90~200m/gの範囲、より具体的には130~190m/gの範囲である(いずれの場合も水素による還元前)。これらの範囲は、特に触媒製造中のか焼温度が400℃~600℃の範囲、特に420℃~550℃の範囲で達成される。
【0069】
特に、例えば、国際公開第2011/067199A1号パンフレットの実施例5、28ページ及び29ページに開示されている触媒を採用してもよい。
【0070】
例えば、別の特定の実施形態では、水素によるその還元前の触媒の触媒活性質量が、
20~85wt%、好ましくは20~65wt%、より好ましくは22~40wt%の範囲の、ZrOとして計算されるジルコニウムの酸素含有化合物と、
1~30wt%、特に好ましくは2~25wt%の範囲の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物と、
14~70wt%、好ましくは15~50wt%、より好ましくは21~45wt%の範囲の、NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物と(ニッケル対銅のモル比が1超、特に1.2超、非常に具体的には1.8~8.5であれば好ましい)、
0~5wt%、特に0.1~3wt%の範囲の、MoO3として計算されるモリブデンの酸素含有化合物とを含む欧州特許出願公開第696 572A1号明細書(BASF SE)に開示された触媒もまた好ましくは使用される。
【0071】
特に、例えば欧州特許出願公開第696 572A1号明細書、8ページに開示されている触媒は、組成が31.5wt%のZrO2、50wt%のNiO、17wt%のCuO及び1.5wt%のMoOである。
【0072】
その最後の熱処理後及び水素によるその還元前の触媒の触媒活性質量は、触媒活性成分の質量の合計として定義され、下記の成分:ジルコニウム、銅、ニッケル及びモリブデンの酸素含有化合物を本質的に含む。
【0073】
触媒活性組成物の上記成分の合計は、通常、70~100wt%、好ましくは80~100wt%、より好ましくは90~100wt%、特に95wt%超、非常に具体的には98wt%超、特に99wt%超、例えば特に好ましくは100wt%である。
【0074】
例えば、別の特定の実施形態では、水素によるその還元前の触媒活性質量が、
Alとして計算される、20~75重量%の酸化アルミニウムと、
20~75重量%の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物と、
0~2重量%の、NaOとして計算されるナトリウムの酸素含有化合物と、
5重量%未満の、NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物とを含む国際公開第2010/031719A1号パンフレット(BASF SE)に開示された触媒が好ましくは使用される。
【0075】
その最後の熱処理後及び水素によるその還元前のそのような触媒の触媒活性組成物は、触媒活性成分及び上記触媒担体材料の合計として定義され、下記の成分:
酸化アルミニウム(Al)、銅の酸素含有化合物、適用可能であればニッケルの酸素含有化合物、及び好ましくはナトリウムの酸素含有化合物を本質的に含む。
【0076】
Al、CuO、NiO(適用可能な場合)及びNaOとして計算される触媒活性組成物の上記成分の合計は、通常、70~100重量%、好ましくは80~100重量%、特に好ましくは90~100重量%、より好ましくは98~100重量%、より好ましくは99重量%、非常に特に好ましくは100重量%である。
【0077】
その最後の熱処理後及び水素によるその還元前の、本発明の方法で使用される触媒の触媒活性組成物は、20~75重量%、好ましくは25~65重量%、特に好ましくは30~55重量%の酸化アルミニウム(Al)と、20~75重量%、好ましくは30~70重量%、特に好ましくは40~65重量%、非常に特に好ましくは45~60重量%のCuOとして計算される銅の酸素含有化合物と、0~2重量%、好ましくは0.05~1重量%、特に好ましくは0.1~0.5重量%の、NaOとして計算されるナトリウムの酸素含有化合物と、5重量%未満、例えば0.1~4重量%、好ましくは1重量%未満、例えば0~0.8重量%の、NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物とを含む。
【0078】
例えば、別の好ましい実施形態では、水素によるその還元前の触媒活性質量が、20~85重量%の酸化アルミニウム(Al)及び/又は二酸化ジルコニウム(ZrO)と、1~70重量%のCuOとして計算される銅の酸素含有化合物と、0~50重量%のMgOとして計算されるマグネシウムの酸素含有化合物、Crとして計算されるクロムの酸素含有化合物、ZnOとして計算される亜鉛の酸素含有化合物、BaOとして計算されるバリウムの酸素含有化合物、及び/又はCaOとして計算されるカルシウムの酸素含有化合物と、
0~30重量%のNiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物とを含む、独国特許出願公開第10 2004 023 529A1号明細書(BASF SE)に開示された触媒が好ましくは使用される。
【0079】
その最後の熱処理後及び水素によるその還元前の触媒の触媒活性組成物は、触媒活性成分及び上記の触媒担体材料の合計として定義され、下記の成分:
酸化アルミニウム(Al)、及び/又は二酸化ジルコニウム(ZrO)、並びに銅の酸素含有化合物、並びに任意選択的にマグネシウムの酸素含有化合物、及び/又はクロムの酸素含有化合物、及び/又は亜鉛の酸素含有化合物、及び/又はバリウムの酸素含有化合物、及び/又はカルシウムの酸素含有化合物、及び任意選択的にニッケルの酸素含有化合物から本質的になり、NiOとして計算されるこれらのニッケルの酸素含有化合物の量は、0~30重量%である。
【0080】
Al、ZrO、CuO、MgO、Cr、ZnO、BaO、CaO及びNiOとして計算される触媒活性組成物の上記成分の合計は、通常、70~100重量%、好ましくは80~100重量%、特に好ましくは90~100重量%、非常に特に好ましくは100重量%である。
【0081】
その最後の熱処理後及び水素によるその還元前の触媒の触媒活性組成物は、
20~85重量%、好ましくは25~80重量%、特に好ましくは30~75重量%の酸化アルミニウム(Al)及び/又は二酸化ジルコニウム(ZrO)と、
1~70重量%、好ましくは2~65重量%、特に好ましくは5~60重量%、非常に特に好ましくは20~60重量%の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物と、
0~50重量%、好ましくは0~30重量%、特に好ましくは0~20重量%の、MgOとして計算されるマグネシウムの酸素含有化合物、及び/又はCrとして計算されるクロムの酸素含有化合物、及び/又はZnOとして計算される亜鉛の酸素含有化合物、及び/又はBaOとして計算されるバリウムの酸素含有化合物、及び/又はCaOとして計算されるカルシウムの酸素含有化合物と、
30重量%未満、例えば、5~28重量%、好ましくは25重量%未満、例えば、20重量%未満、特に10重量%未満、例えば5重量%未満、又は0~1重量%の、NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物とを含む。
【0082】
上記の実施形態では、酸化アルミニウム(Al)が好ましい。
【0083】
例えば、別の好ましい実施形態では、水素によるその還元前の触媒が、
(1)酸化物材料であって、
(a)50~80wt%の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物と、
(b)15~35wt%の、Alとして計算されるアルミニウムの酸素含有化合物と、
(c)2~20wt%の、Laとして計算されるランタンの酸素含有化合物とを含み、
銅、アルミニウム及びランタンの酸素含有化合物を合計した酸化物材料の総重量%が80~100wt%の範囲である、酸化物材料と、
(2)グラファイト、並びに金属銅粉、銅箔、セメント粉及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物と
を含み、
(2)の含有量は、酸化物材料の総重量に基づいて1~40重量%の範囲であり、ただし、グラファイトは、酸化物材料の総重量に基づいて0.5~5重量%の量で存在し、
(1)及び(2)の合計含有量は、触媒の少なくとも95重量%である、
米国特許出願公開第2010/0056364A1号明細書(BASF SE)に開示されている触媒が好ましくは使用される。
【0084】
酸化物材料の組成は、その最後の熱処理(すなわち、か焼)後及び水素によるその還元前の酸化物材料の総重量に基づいている。
【0085】
そのような触媒については、その触媒活性質量ではなく、(不均一)触媒を参照する。その理由は、その定義が、銅、アルミニウム、ランタン及び金属銅の酸素含有化合物とは異なり、触媒活性物質を構成しないグラファイトも含んでいるためである。
【0086】
好ましくは、水素によるその還元前の触媒は、
(1)酸化物材料であって、
(a)55~75wt%の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物と、
(b)20~30wt%の、Alとして計算されるアルミニウムの酸素含有化合物と、
(c)3~15wt%の、Laとして計算されるランタンの酸素含有化合物とを含み、
銅、アルミニウム及びランタンの酸素含有化合物を合計した酸化物材料の総重量%が95~100wt%の範囲である、酸化物材料と、
(2)グラファイト、並びに金属銅粉、銅箔、セメント粉及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物と
を含み、
(2)の含有量は、酸化物材料の総重量に基づいて1~40重量%の範囲であり、ただし、グラファイトは、酸化物材料の総重量に基づいて0.5~5重量%の量で存在し、
(1)及び(2)の合計含有量は、触媒の少なくとも95重量%である。
【0087】
一般に、粉末銅、銅箔、又は粉末セメント、又はグラファイト、又はそれらの混合物は、酸化物材料の総重量に基づいて、いずれの場合も1~40重量%の範囲、好ましくは2~20重量%の範囲、特に好ましくは3~10重量%の範囲で酸化物材料に添加される。
【0088】
使用されることが好ましいセメントは、高アルミナセメントである。高アルミナセメントは、特に好ましくは、本質的に酸化アルミニウム及び酸化カルシウムからなり、特に好ましくは、約75~85重量%の酸化アルミニウム及び約15~25重量%の酸化カルシウムからなる。酸化マグネシウム/酸化アルミニウム、酸化カルシウム/酸化ケイ素、及び酸化カルシウム/酸化アルミニウム/酸化鉄をベースとするセメントを使用することもさらに可能である。
【0089】
特に、酸化物材料は、酸化物材料の総重量に基づいて、10重量%以下、好ましくは5重量%以下の含有量の、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd及びPtの元素からなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分を有していてもよい。
【0090】
好ましくは、(2)による化合物は、金属銅粉、銅箔、及びそれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、(2)による化合物は、金属銅である。
【0091】
例えば米国特許出願公開第2010/0056364A1号明細書の段落[0085]に開示されている触媒が特に好適である。
【0092】
後処理:
反応排出物(reaction discharge)が有利に減圧された後、過剰な水素及び任意選択的に存在する過剰なPYRがそこから除去され、得られた粗反応生成物が、例えば分別精留によって精製される。過剰な水素は有利には反応に再利用される。適用可能であれば、不完全に反応したBDO又は過剰なPYRでも同様である。
【0093】
BDOの存在を含む連続プロセスの場合、反応中に水が生成される(上記スキーム2も参照)。反応器の廃液を冷却すると、BPB及び水は固形物を形成することがある。このような固形物の形成を防止するために、反応器出口は好ましくは40~120℃、より好ましくは60~110℃、さらにより好ましくは80~100℃の範囲の温度に保たれる。これは通常、ヒートトレースを用いることにより達成される。また、反応器の廃液を溶媒、好ましくはテトラヒドロフラン(THF)又はメタノール、より好ましくはメタノールで希釈してもよい。加えて、このような固形物の形成をさらに防止するために、反応器出口は好ましくは40~80℃、より好ましくは45~75℃、さらにより好ましくは50~70℃の範囲の温度に保たれる。これはヒートトレースを用いることにより達成される。
【0094】
BDOの存在を含む連続プロセスの場合、本発明によるプロセスは、好ましくは、以下の工程によって反応生成物を後処理することを含む:
a)蒸留による水分の除去;
b)蒸留による低沸点溶剤の除去;
c)高沸点溶剤からBPBを分離するための蒸留によるBPBの除去。
【0095】
低沸点溶剤は、BPBより低い沸点を有する化合物である。例えば、PYR、N-プロピルピロリジン、N-ブチルピロリジン、4-ピロリジン-1-イルブタン-1-オール、4-ピロリジン-1-イルブタン-1-アミン、及び少量の水である。
【0096】
高沸点化合物とは、BPBより高い沸点を有する化合物、例えばビス(4-(ピロリジニル)ブチル)アミンである。
【0097】
過剰なPYRが使用される場合、本発明によるプロセスは、好ましくは、以下の工程によって反応の反応生成物を後処理することを含む:
a)蒸留による水分の除去;
b)蒸留によるPYRの除去、及びPYRの反応への再利用;
c)蒸留による低沸点溶剤の除去;
d)高沸点溶剤からBPBを分離するための蒸留によるBPBの除去。
【0098】
上記工程c)に従って除去された低沸点溶剤は、工程b)で除去されなかった少量のPYRも含有していてもよい。
【0099】
BDOの非存在下での連続プロセスの場合、本発明による方法は、好ましくは、以下の工程によって反応の反応生成物を後処理することを含む:
a)蒸留によるアンモニアの除去;
b)蒸留による低沸点溶剤の除去;
c)高沸点溶剤からBPBを分離するための蒸留によるBPBの除去。
【0100】
低沸点溶剤は、BPBより低い沸点を有する化合物である。例えば、PYR、N-プロピルピロリジン、N-ブチルピロリジン、4-ピロリジン-1-イルブタン-1-アミンである。
【0101】
高沸点溶剤は、BPBより高い沸点を有する化合物、例えばビス(4-(ピロリジニル)ブチル)アミンである。
【0102】
上記のような蒸留は、好ましくは好適なカラムで行われる。蒸留による除去とは、対応する化合物が気相に移行し、それによって除去されることを意味する。気体状の成分は、ヘッドストリーム又はサイドストリームのいずれかとして、それぞれのカラムから抜き出すことができる。
【0103】
以下の実施例は、本発明の説明のために役立つに過ぎず、したがって、いかなる種類においても本発明を限定するものではない。
【実施例
【0104】
触媒:
触媒は、国際公開第2011/067199A1号パンフレット(BASF SE)の実施例4に従って調製した。その組成(それぞれの酸化物に基づく)は以下の通りである:
NiO(23.1wt%)、CoO(24.6wt%)、CuO(12.5wt%)、SnO(1.8wt%)、Al(38.0wt%)。
【0105】
実施例1-BPBに対するPYRの反応
内径14mm、中央に熱電対が取り付けられた総容量95mLの加熱式管型反応器には、下部に4~5つの金網リングと、ガラスビーズ(15mL)の層とが入れられ、その上に50mLのアミノ化触媒(還元され不動態化された3×3mmの錠剤の形態)、最後に残りの部分に再びガラスビーズ(15mL)及び4~5つの金網リングが入れられた。反応に先立ち、触媒は最大240℃で活性化した。これにより、触媒は50NL/hの窒素流で80℃まで加熱した。その後、150℃に達するまで温度を1時間毎に20Kずつ昇温した。150℃で1時間後、5NL/hの水素流及び45NL/hの窒素流を用いた。20分毎に、水素ガス流量を5NL/hずつ増加させたのに対し、窒素ガス流量は減少させた。総ガス流量は50NL/hで一定に保った。水素50NL/h、及び窒素0NL/hに達した時点で、同じ水素ガス流量で温度を240℃まで段階的に上昇させた(10K/h)。240℃に達した後、温度及び水素ガス流量を24時間維持した。反応器を160℃まで冷却した。反応器前後のヒートトレースは30~60℃に保った。水素流量は10NL/hに減少させ、120barの圧力を用いた。30g/hのPYRを反応器を通して下から上に計量した。反応器を以下の表1に示す温度及び絶対圧に保った。反応器を出た混合物をTHF(26g/h)で希釈し、60℃に冷却し、標準圧力まで減圧した後、ヒートトレースによりこの温度に保った。異なる時点で反応混合物からサンプルを採取し、ガスクロマトグラフィにより分析した。この目的のために、「RTX-5アミン」GCカラムを以下のパラメータで使用した:RTX-5-Amin(30m×0.32mm×1.5μm)60°C~5°C/分-280°C-10分-20°C/分-300°C-10分 流量:0.837mL/分 He。
【0106】
「NL」とは、標準リットル、すなわち標準状態(S.T.P.)に換算した体積を意味する。
【0107】
結果を以下の表1に示す。
【0108】
実施例2-BPBに対するPYR及びBDOの反応
内径14mm、中央に熱電対が取り付けられた総容量95mLの加熱式管型反応器には、下部に4~5つの金網リングと、ガラスビーズ(15mL)の層とが入れられ、その上に50mLのアミノ化触媒(還元され不動態化された3×3mmの錠剤の形態)、最後に残りの部分に再びガラスビーズ(15mL)及び4~5つの金網リングが入れられた。反応に先立ち、触媒は最大240℃で活性化した。これにより、触媒は50NL/hの窒素流で80℃まで加熱した。その後、150℃に達するまで温度を1時間毎に20Kずつ昇温した。150℃で1時間後、5NL/hの水素流及び45NL/hの窒素流を用いた。20分毎に、水素ガス流量を5NL/hずつ増加させたのに対し、窒素ガス流量は減少させた。総ガス流量は50NL/hで一定に保った。水素50NL/h、及び窒素0NL/hに達した時点で、同じ水素ガス流量で温度を240℃まで段階的に上昇させた(10K/h)。240℃に達した後、温度及び水素ガス流量を24時間維持した。反応器を160℃まで冷却した。反応器前後のヒートトレースは30~60℃に保った。水素流量は10NL/hに減少させ、120barの圧力を用いた。それぞれ10g/hのBDOと15.7g/h又は16.6g/hのPYRとの混合物を、反応器を通して下から上に計量した。反応器を以下の表2に示す温度及び絶対圧に保った。反応器を出た混合物をTHF又はメタノール(26g/h)で希釈し、60℃に冷却し、標準圧力まで減圧した後、ヒートトレースによりこの温度に保った。異なる時点で反応混合物からサンプルを採取し、ガスクロマトグラフィにより分析した。この目的のために、「RTX-5アミン」GCカラムを以下のパラメータで使用した:RTX-5-Amin(30m×0.32mm×1.5μm) 60°C~5°C/分-280°C-10分-20°C/分-300°C-10分 流量:0.837mL/分 He。
【0109】
「NL」とは、標準リットル、すなわち標準状態(S.T.P.)に換算した体積を意味する。
【0110】
結果を以下の表2に示す。
【0111】
【表1】
【0112】
【表2】
【0113】
結果の考察:
表1(PYR単独の反応)について:
エントリ1とエントリ2との比較は、温度を188℃から198℃に上昇させることによって、PYRの転化率とBPBの選択性との両方が増加し、その結果、BPBの収率が全体的に増加することを示す。
【0114】
表2(BDOとPYRとの反応)について:
温度:エントリ1とエントリ2との比較は、温度を188℃から198℃に上昇させることによって、BPBの選択性が増加することを示す。
【0115】
圧力:エントリ3、エントリ4及びエントリ5の比較は、反応圧力150bar未満での作業により選択性が増加することを示す。
【0116】
モル比:エントリ2とエントリ3との比較は、2:1超のモル比が実現されたときに選択性の向上を達成できることを示す。
【0117】
水素の量:エントリ3とエントリ6との比較は、水素の量がBDO1モルあたり182NL H未満であるときに、選択性が向上することを示す。エントリ4とエントリ7との比較は、水素の量がBDO1モルあたり64NL Hより多いときにも選択性が向上することを示す。
【0118】
特徴の対応する組み合わせを含む本発明の好ましい実施形態を、以下の段落1~45に概説する。
【0119】
段落1。本発明は、ビス(ピロリジノ)ブタン(BPB)の製造方法に関し、この方法は、液相中での水素、不均一系触媒(触媒)、及び任意選択的に1,4-ブタンジオール(BDO)の存在下でのピロリジン(PYR)の反応を含み、好ましくは、水素によるその還元前の触媒の触媒活性質量は、銅の酸素含有化合物と、アルミニウム及び/又はジルコニウムの酸素含有化合物とを含む。
【0120】
段落2。反応は、170℃超、好ましくは180℃以上、より好ましくは188℃以上、さらにより好ましくは189℃以上、特に好ましくは195℃以上、又はさらには198℃以上の温度で行われる、段落1に記載の方法。
【0121】
段落3。反応は、180~300℃、より好ましくは180~230℃、さらにより好ましくは180~220℃、特に好ましくは180~210℃、又はさらには180~200℃の範囲の温度で行われる、段落1に記載の方法。
【0122】
段落4。反応は、188~230℃、より好ましくは188~220℃、さらにより好ましくは188~210℃、特に好ましくは188~200℃の範囲の温度で行われる、段落1に記載の方法。
【0123】
段落5。反応は、190~230℃、より好ましくは190~220℃、さらにより好ましくは190~210℃、特に好ましくは190~200℃の範囲の温度で行われる、段落1に記載の方法。
【0124】
段落6。反応は、195~230℃、より好ましくは195~220℃、さらにより好ましくは195~210℃、特に好ましくは195~200℃の範囲の温度で行われる、段落1に記載の方法。
【0125】
段落7。反応は、198~230℃、より好ましくは198~220℃、さらにより好ましくは198~210℃、特に好ましくは198~200℃の範囲の温度で行われる、段落1に記載の方法。
【0126】
段落8。反応は、150bar以下、好ましくは150bar未満、より好ましくは149bar未満バールの絶対圧で行われる、段落1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0127】
段落9。反応は、20~150bar(例えば、45~150bar又は55~150bar)、好ましくは65~149bar、より好ましくは70~140bar、さらにより好ましくは75~130bar、特に好ましくは80~130barの範囲の絶対圧で行われ、又は反応は、20~130bar、好ましくは50~130bar、より好ましくは55~100bar、さらにより好ましくは55~90barの範囲の絶対圧で行われる、段落1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0128】
段落10。PYRが無溶媒である、段落1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0129】
段落11。触媒が固定床型反応器として構成される、段落1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0130】
段落12。方法が連続的に行われる、段落1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0131】
段落13。反応は管型反応器内で行われる、段落1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0132】
段落14。反応は1,4-ブタンジオール(BDO)の存在下で実行される、段落1~13のいずれか1つに記載の方法。
【0133】
段落15。PYR対BDOのモル比は1.5:1以上、好ましくは2:1以上、より好ましくは2:1超である、段落1~14のいずれか1つに記載の方法。
【0134】
段落16。PYR対BDOのモル比は、2:1~10:1の範囲、好ましくは2:1超~10:1の範囲、より好ましくは2:1超~9:1の範囲、さらにより好ましくは2:1超~6:1の範囲、特に好ましくは2:1超~4:1の範囲、又はさらには2:1超~3:1の範囲である、段落14に記載の方法。
【0135】
段落17。水素の量は、BDO1モルあたり、65~181NL、好ましくは70~150NL、より好ましくは80~130NL、さらにより好ましくは85~120NL、特に好ましくは85~110NL、又はさらには85~100NLになる、段落14~16のいずれか1つに記載の方法。
【0136】
段落18。BDOは無溶媒である、段落14~17のいずれか1つに記載の方法。
【0137】
段落19。BDOのモル転化率は90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上、又はさらには100%である、段落14~18のいずれか1つに記載の方法。
【0138】
段落20。反応器出口は溶媒、好ましくはテトラヒドロフラン(THF)又はメタノール、より好ましくはメタノールで希釈される、段落12~19のいずれか1つに記載の方法。
【0139】
段落21。反応器出口は、40~120℃、好ましくは60~110℃、より好ましくは80~100℃の範囲の温度に保たれる、段落1~19のいずれか1つに記載の方法。
【0140】
段落22。このような方法は、さらに、以下の工程によって反応の反応生成物を後処理することを含む、段落20又は21に記載の方法。
a)蒸留による水分の除去;
b)蒸留による低沸点溶剤の除去;
c)高沸点溶剤からBPBを分離するための蒸留によるBPBの除去。
【0141】
段落23。方法は、触媒での液空間速度が0.05~5、好ましくは0.1~2、より好ましくは0.2~1又は0.15~0.8kgのBDO/(Lcatalyst.h)の範囲で行われる、段落12及び13並びに段落14~22のいずれか1つに記載の方法。
【0142】
段落24。反応が、BDOの非存在下で実行される、段落1~13のいずれか1つに記載の方法。
【0143】
段落25。方法は、触媒での液空間速度が0.05~5、好ましくは0.1~2、より好ましくは
0.2~1kgのPYR/(Lcatalyst.h)の範囲で行われる、段落12及び13並びに段落24のいずれか1つに記載の方法。
【0144】
段落26。このような方法は、さらに、以下の工程によって反応の反応生成物を後処理することを含む、段落12及び13並びに段落24及び25のいずれか1つに記載の方法。
a)蒸留によるアンモニアの除去;
b)蒸留による低沸点溶剤の除去;
c)高沸点溶剤からBPBを分離するための蒸留によるBPBの除去。
【0145】
段落27。水素によるその還元前の触媒の触媒活性質量は、銅の酸素含有化合物と、アルミニウム及び/又はジルコニウムの酸素含有化合物と、ニッケル、コバルト、スズ、モリブデン及びランタンの酸素含有化合物からなる群から選択される少なくとも1種の酸化物とを含む、段落1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0146】
段落28。水素によるその還元前の触媒の触媒活性質量は、銅の酸素含有化合物と、アルミニウムの酸素含有化合物とを含む、段落1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0147】
段落29。水素によるその還元前の触媒の触媒活性質量は、銅の酸素含有化合物と、アルミニウムの酸素含有化合物と、ニッケル、コバルト、スズ、モリブデン及びランタンの酸素含有化合物からなる群から選択される少なくとも1種の酸化物とを含む、段落1~28のいずれか1つに記載の方法。
【0148】
段落30。水素によるその還元前の触媒の触媒活性質量は、アルミニウム、銅、ニッケル及びコバルトの酸素含有化合物と、0.2~5.0重量%のSnOとして計算されるスズの酸素含有化合物とを含む、段落1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0149】
段落31。水素によるその還元前の触媒の触媒活性質量は、
15~80重量%の範囲の、Alとして計算されるアルミニウムの酸素含有化合物と、
1~20重量%の範囲の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物と、
5~35重量%の範囲の、NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物と、
5~35重量%の範囲の、CoOとして計算されるコバルトの酸素含有化合物と、
0.2~5.0重量%の範囲の、SnOとして計算されるスズ酸素含有化合物とを含む、段落1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0150】
段落32。水素によるその還元前の触媒の触媒活性質量は、
20~85重量%の、ZrOとして計算されるジルコニウムの酸素含有化合物と、
1~30重量%の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物と、
14~70重量%の、NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物と、
0~5重量%の、MoOとして計算されるモリブデンの酸素含有化合物とを含む、段落1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0151】
段落33。ニッケルと銅とのモル比は1超である、段落32に記載の方法。
【0152】
段落34。水素によるその還元前の触媒の触媒活性質量は、モリブデンの酸素含有化合物を含まない、段落32又は33に記載の方法。
【0153】
段落35。水素によるその還元前の触媒は、
(1)酸化物材料であって、
(a)50~80重量%の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物と、
(b)15~35重量%の、Alとして計算されるアルミニウムの酸素含有化合物と、
(c)2~20重量%の、Laとして計算されるランタンの酸素含有化合物とを含み、
銅、アルミニウム及びランタンの酸素含有化合物を合計した酸化物材料の総重量%が80~100wt%の範囲である、酸化物材料と、
(2)グラファイト、並びに金属銅粉、銅箔、セメント粉及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物と
を含み、
(2)の含有量は、酸化物材料の総重量に基づいて1~40重量%の範囲であり、ただし、グラファイトは、酸化物材料の総重量に基づいて0.5~5重量%の量で存在し、
(1)及び(2)の合計含有量は、触媒の少なくとも95重量%である、段落1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0154】
段落36。水素によるその還元前の触媒は、
(1)酸化物材料であって、
(a)55~75重量%の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物と、
(b)20~30重量%の、Alとして計算されるアルミニウムの酸素含有化合物と、
(c)3~15重量%の、Laとして計算されるランタンの酸素含有化合物とを含み、
銅、アルミニウム及びランタンの酸素含有化合物を合計した酸化物材料の総重量%が95~100wt%の範囲である、酸化物材料と、
(2)グラファイト、並びに金属銅粉、銅箔、セメント粉及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物と
を含み、
(2)の含有量は、酸化物材料の総重量に基づいて1~40重量%の範囲であり、ただし、グラファイトは、酸化物材料の総重量に基づいて0.5~5重量%の量で存在し、
(1)及び(2)の合計含有量は、触媒の少なくとも95重量%である、段落1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0155】
段落37。水素によるその還元前の触媒の触媒活性質量は、
20~75重量%の、Alとして計算される酸化アルミニウムと、
20~75重量%の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物と、
0~2重量%の、NaOとして計算されるナトリウムの酸素含有化合物と、
5重量%未満の、NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物とを含む、段落1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0156】
段落38。水素によるその還元前の触媒の触媒活性質量は、
25~65重量%の、Alとして計算される酸化アルミニウムと、
30~70重量%の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物と、
0.05~1重量%の、NaOとして計算されるナトリウムの酸素含有化合物と、
1重量%未満の、NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物とを含む、段落1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0157】
段落39。水素によるその還元前の触媒の触媒活性質量は、
20~85重量%の、酸化アルミニウム(Al)及び/又は二酸化ジルコニウム(ZrO)と、
1~70重量%の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物と、0~50重量%の、MgOとして計算されるマグネシウムの酸素含有化合物、Crとして計算されるクロムの酸素含有化合物、ZnOとして計算される亜鉛の酸素含有化合物、BaOとして計算されるバリウムの酸素含有化合物及び/又はCaOとして計算されるカルシウムの酸素含有化合物と、
0~30重量%の、NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物とを含む、段落1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0158】
段落40。水素によるその還元前の触媒の触媒活性質量は、
25~85重量%の酸化アルミニウム(Al)と、
2~65重量%の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物と、0~30重量%の、MgOとして計算されるマグネシウムの酸素含有化合物、Crとして計算されるクロムの酸素含有化合物、ZnOとして計算される亜鉛の酸素含有化合物、BaOとして計算されるバリウムの酸素含有化合物及び/又はCaOとして計算されるカルシウムの酸素含有化合物と、
5~28重量%の、NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物とを含む、段落1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0159】
段落41。水素によるその還元前の触媒の触媒活性質量は、銅及びニッケルの酸素含有化合物と、アルミニウム及び/又はジルコニウムの酸素含有化合物とを含む、段落1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0160】
段落42。水素によるその還元前の触媒の触媒活性質量は、銅、ニッケル及びコバルトの酸素含有化合物と、アルミニウム及び/又はジルコニウムの酸素含有化合物とを含む、段落1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0161】
段落43。水素によるその還元前の触媒の触媒活性質量は、銅、ニッケル及びアルミニウムの酸素含有化合物とを含む、段落1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0162】
段落44。水素によるその還元前の触媒の触媒活性質量は、銅、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの酸素含有化合物を含む、段落1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0163】
段落45。さらに、CuO、ZrO及び/又はAl、並びに適用可能であればNiO、CoO、SnO、MoO及び/又はLaとして計算される、触媒活性質量の上記化合物の合計が、50~100重量%、好ましくは70~100重量%、特に好ましくは80~100重量%、より好ましくは90~100重量%、非常に特に好ましくは95~100重量%であれば、水素によるその還元前の触媒の触媒活性質量は、銅の酸素含有化合物と、アルミニウム及び/又はジルコニウムの酸素含有化合物と、任意選択的に、ニッケル、コバルト、スズ、モリブデン及びランタンの酸素含有化合物からなる群から選択される少なくとも1種の酸化物とを含む、段落1~26のいずれか1つに記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビス(ピロリジノ)ブタン(BPB)の製造方法であって、液相中での水素、不均一系触媒(触媒)、及び1,4-ブタンジオール(BDO)の存在下でのピロリジン(PYR)の反応を含み、PYR対BDOのモル比は2:1超である、方法。
【請求項2】
水素によるその還元前の前記触媒の前記触媒活性質量は、銅の酸素含有化合物と、アルミニウム及び/又はジルコニウムの酸素含有化合物とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反応が、180~300℃、より好ましくは180~230℃、さらにより好ましくは180~220℃、特に好ましくは180~210℃、又はさらには180~200℃の範囲の温度で行われる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記反応が、20~150bar(例えば、45~150bar又は55~150bar)、好ましくは65~149bar、より好ましくは70~140bar、さらにより好ましくは75~130bar、特に好ましくは80~130barの範囲の絶対圧で行われる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が連続的に行われる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
PYR対BDOの前記モル比が、2:1~10:1の範囲、好ましくは2:1超~10:1、より好ましくは2:1超~9:1の範囲、さらにより好ましくは2:1超~6:1の範囲、特に好ましくは2:1超~4:1の範囲、又はさらには2:1超~3:1の範囲である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
水素の量は、BDO1モルあたり、65~181NL、好ましくは70~150NL、より好ましくは80~130NL、さらにより好ましくは85~120NL、特に好ましくは85~110NL、又はさらには85~100NLである、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
反応器出口は、40~120℃、好ましくは60~110℃、より好ましくは80~100℃の範囲の温度に保たれる、請求項5~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
水素によるその還元前の前記触媒の前記触媒活性質量が、銅の酸素含有化合物と、アルミニウム及び/又はジルコニウムの酸素含有化合物と、ニッケル、コバルト、スズ、モリブデン及びランタンの酸素含有化合物からなる群から選択される少なくとも1種の酸化物とを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
水素によるその還元前の前記触媒の前記触媒活性質量が、アルミニウム、銅、ニッケル及びコバルトの酸素含有化合物と、0.2~5.0重量%のSnOとして計算されるスズの酸素含有化合物とを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
水素によるその還元前の前記触媒の前記触媒活性質量が、
15~80重量%の、Alとして計算されるアルミニウムの酸素含有化合物と、
1~20重量%の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物と、
5~35重量%の、NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物と、
5~35重量%の、CoOとして計算されるコバルトの酸素含有化合物と、
0.2~5.0重量%の、SnOとして計算されるスズ酸素含有化合物とを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
水素によるその還元前の前記触媒の前記触媒活性質量が、
20~85重量%の、ZrOとして計算されるジルコニウムの酸素含有化合物と、
1~30重量%の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物と、
14~70重量%の、NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物と、
0~5重量%の、MoOとして計算されるモリブデンの酸素含有化合物とを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
水素によるその還元前の前記触媒の前記触媒活性質量が、
(1)酸化物材料であって、
(a)50~80wt%の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物と、
(b)15~35wt%の、Alとして計算されるアルミニウムの酸素含有化合物と、
(c)2~20wt%の、Laとして計算されるランタンの酸素含有化合物とを含み、
前記銅、アルミニウム及びランタンの酸素含有化合物を合計した酸化物材料の総重量%は80~100wt%の範囲である、酸化物材料と、
(2)グラファイト、並びに金属銅粉、銅箔、セメント粉及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物と
を含み、
(2)の含有量は、前記酸化物料の総重量に基づいて1~40重量%の範囲であり、ただし、前記グラファイトは、前記酸化物材料の総重量に基づいて0.5~5重量%の量で存在し、
(1)及び(2)の合計含有量は、前記触媒の少なくとも95重量%である、
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
水素によるその還元前の前記触媒の前記触媒活性質量が、
20~75重量%の、Alとして計算される酸化アルミニウムと、
20~75重量%の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物と、
0~2重量%の、NaOとして計算されるナトリウムの酸素含有化合物と、
5重量%未満の、NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物と
を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
水素によるその還元前の前記触媒の前記触媒活性質量が、
20~85重量%の酸化アルミニウム(Al)及び/又は二酸化ジルコニウム(ZrO)と、
1~70重量%の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物と、
0~50重量%の、MgOとして計算されるマグネシウムの酸素含有化合物、Crとして計算されるクロムの酸素含有化合物、ZnOとして計算される亜鉛の酸素含有化合物、BaOとして計算されるバリウムの酸素含有化合物及び/又はCaOとして計算されるカルシウムの酸素含有化合物と、
0~30重量%の、NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物と
を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】