(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】3次元倉庫内に保管された物体を検査するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B65G1/00 511H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580569
(86)(22)【出願日】2022-08-11
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 CN2022111625
(87)【国際公開番号】W WO2023061017
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】202111196606.3
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520208203
【氏名又は名称】ベイジン・ジンドン・チアンシ・テクノロジー・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 旭
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲訓▼▲棟▼
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 明福
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲顕▼旺
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022CC00
3F022FF01
3F022JJ11
3F022LL12
3F022MM51
3F022PP06
3F022QQ13
3F022QQ17
(57)【要約】
本開示は、物流の分野に関係する、3次元倉庫内に保管された物体を検査し、倉庫内の保管物体が整然と配置構成されることを可能にし、物体取出し作業の利便性を提供するための方法およびシステムに関する。この方法は、設定条件下で、シャトルを制御して検査位置に移動させるステップと、検査位置に対応する保管物体の姿勢が変更されたかどうかを計算するステップと、保管物体の姿勢が変更されている場合、シャトルを使用して保管物体を取り去り、次いで保管物体を元の位置に戻すステップとを含む。上記の技術的解決方法において、検査作業は、設定された条件下で倉庫内の保管物体に対して実行され、保管物体が傾いていることが検出されたときに、保管物体を取り、保管物体を元の位置に戻すことによって、傾いた保管物体の姿勢が補正され、それにより保管物体は整然と配置構成され、それによってシャトルによって実行されるその後の物体取出し作業を円滑にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元倉庫内に保管されている物体を検査するための方法であって、
設定条件下で、シャトル(1)を制御して検査位置に移動させるステップと、
前記検査位置に対応する保管物体(A)の姿勢が変更されたかどうかを計算するステップと、
前記保管物体(A)の前記姿勢が変更されている場合、前記シャトル(1)を使用して前記保管物体(A)を取り去り、次いで前記保管物体(A)を元の位置に戻すステップとを含む方法。
【請求項2】
前記検査位置に対応する前記保管物体(A)の前記姿勢が変更されているかどうかは、
前記保管物体(A)のずれ量および/または傾斜角度(θ)を計算するステップと、
前記ずれ量も前記傾斜角度も設定値を超えていないかどうかを決定するステップと、
前記ずれ量および前記傾斜角度(θ)のいずれかが前記設定値を超える場合に、前記保管物体(A)の前記姿勢が変更されていると決定するステップとによって計算される請求項1に記載の3次元倉庫内に保管されている物体を検査するための方法。
【請求項3】
前記保管物体(A)の前記傾斜角度(θ)は、
前記検査位置に対応する前記保管物体(A)の第1の角と前記シャトル(1)との間の第1の距離、前記保管物体(A)の第2の角と前記シャトル(1)との間の第2の距離、および前記シャトル(1)が前記保管物体(A)の前記第1の角に対応する位置から前記保管物体(A)の前記第2の角に対応する位置まで移動する第3の距離を検出するステップと、
前記第1の距離(Δy1)、前記第2の距離(Δy2)、および前記第3の距離(Δx1)に基づき前記保管物体(A)の前記傾斜角度(θ)を計算するステップとによって計算される請求項1または2に記載の3次元倉庫内に保管されている物体を検査するための方法。
【請求項4】
前記保管物体(A)のずれ量は、
検査対象の前記保管物体の座標系内の前記シャトル(1)の座標、前記保管物体(A)の寸法、前記保管物体(A)の前記傾斜角度(θ)、前記第1の距離(Δy1)、および前記第2の距離(Δy2)に基づき前記保管物体(A)の前記ずれ量を計算するステップによって計算される請求項3に記載の3次元倉庫内に保管されている物体を検査するための方法。
【請求項5】
前記第1の角(P1)は、前記シャトル(1)が配置される通路(S)の方に面する前記保管物体(A)の角であり、前記第1の角(P1)は、前記シャトル(1)が初回に通過する角である請求項3または4に記載の3次元倉庫内に保管されている物体を検査するための方法。
【請求項6】
前記第2の角(P2)は、前記シャトル(1)が配置される通路(S)の方に面する前記保管物体(A)の角であり、前記第2の角(P2)は、前記シャトル(1)が2回目に通過する角である請求項3から5のいずれか一項に記載の3次元倉庫内に保管されている物体を検査するための方法。
【請求項7】
同じ距離検出要素(2)が、前記第1の距離(Δy1)および第2の距離(Δy2)を検出するように構成される請求項3から6のいずれか一項に記載の3次元倉庫内に保管されている物体を検査するための方法。
【請求項8】
前記距離検出要素(2)は、レーザー測距モジュールを含む請求項7に記載の3次元倉庫内に保管されている物体を検査するための方法。
【請求項9】
前記シャトル(1)の各側は、距離検出要素(2)を設けられ、各距離検出要素(2)は、通路(S)の一方の側の検査位置に対応する保管物体(A)を検出するように構成される請求項3から8のいずれか一項に記載の3次元倉庫内に保管されている物体を検査するための方法。
【請求項10】
前記検査位置は、通路(S)内の位置であり、前記保管物体(A)は、各検査位置の少なくとも一方の側に置かれる請求項1から9のいずれか一項に記載の3次元倉庫内に保管されている物体を検査するための方法。
【請求項11】
前記検査位置の各側に配置された前記保管物体(A)の数は、2つ以上であり、前記検査位置の一方の側に配置された前記複数の保管物体(A)の前記姿勢が変化したかどうかは、
前記通路(S)の前記一方の側に配置された前記保管物体(A)の前記姿勢が変化していない場合、前記通路(S)から離れた前記保管物体(A)の側に配置された各保管物体(A)の前記姿勢が変化していないと決定するステップによって決定される請求項10に記載の3次元倉庫内に保管されている物体を検査するための方法。
【請求項12】
前記通路(S)の一方の側に配置された前記保管物体(A)の前記姿勢が変化した場合、列内に配置されている前記保管物体(A)を取るステップと、
次の列内に配置されている前記保管物体(A)の前記姿勢が変化したかどうかを決定するステップと、
前記通路(S)の前記一方の側にあるすべての保管物体(A)に対する決定が完了するまで上記ステップを繰り返すステップとをさらに含む請求項11に記載の3次元倉庫内に保管されている物体を検査するための方法。
【請求項13】
前記シャトル(1)を使用して、前記姿勢が変化したと決定された、最後の列内の、前記保管物体(A)を取り去り、次いでそれを元の位置に戻して前記保管物体(A)の姿勢補正を実装するステップと、
前記通路(S)の前記一方の側に配置された前記保管物体(A)を1つずつ戻して、前記通路(S)の前記一方の側にあるすべての保管物体(A)の姿勢補正を完了するステップとをさらに含む請求項11または12に記載の3次元倉庫内に保管されている物体を検査するための方法。
【請求項14】
前記検査位置に対応するすべての保管物体(A)の姿勢補正が完了した後、前記シャトル(1)を前記検査位置に関して前記次の検査位置まで走行させ、すべての検査位置に対する保管物体(A)の姿勢決定を遂行するステップをさらに含む請求項1から13のいずれか一項に記載の3次元倉庫内に保管されている物体を検査するための方法。
【請求項15】
前記設定条件は、前記シャトル(1)が作業コマンドを受信しないときである請求項1から14のいずれか一項に記載の3次元倉庫内に保管されている物体を検査するための方法。
【請求項16】
3次元倉庫内に保管されている物体を検査するためのシステムであって、
シャトル(1)と、
前記シャトル(1)に装着されたコントローラ(4)と、
前記シャトル(1)に装着され、前記コントローラ(4)に通信可能に接続され、前記シャトル(1)から検査されるべき保管物体までの距離を検出する距離検出要素(2)と、
前記シャトル(1)が設定された検査位置に停止するように前記シャトル(1)に装着され、前記コントローラ(4)に通信可能に接続された位置決め要素(3)と、
前記シャトル(1)によって移動された第3の距離を検出するために前記シャトルに装着され、前記コントローラ(4)に通信可能に接続された変位検出要素(5)とを備える、システム。
【請求項17】
前記距離検出要素(2)は、前記シャトル(1)の幅方向で各側に装着される請求項16に記載の3次元倉庫内に保管されている物体を検査するためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、本開示全体が参照により本明細書に組み込まれている2021年10月14日に出願した中国出願第202111196606.3号の優先権に基づいており、また優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、物流の分野に関するものであり、特に、3次元倉庫(three-dimensional warehouse)内に保管された物体を検査するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
3次元倉庫は、貨物を保管するために使用される。3次元倉庫内では、往復走行して貨物を取り、置くためにシャトルが使用される。シャトルが貨物を取り、置く制御ロジックは、次の通りである。上位コンピュータが、貨物を取るかまたは置くコマンドを送信し、シャトルは受信されたコマンドに従って設定された貨物配置まで走行して、貨物を取るか、または置く作業を行う。
【0004】
実際の生産では、シャトルがラック用のレール上を走行し、貨物を取り、置くプロセスで発生する振動は、貨物の実際の位置を予期される位置からずらす。シャトルが予期される位置からずれた貨物を取るときに、結果として、貨物にぶつかる、当たる、または貨物を得るのに失敗する。貨物を置くときに、シャトルは、位置がずれた近くの貨物の影響を受ける。このような不具合が発生した後、作業は終了されなければならず、手作業による介入が必要になり、生産効率に重大な影響を及ぼす。
【0005】
この問題を解決するために、背景技術では、貨物が取られる前にシャトルの位置調整の作業が追加される。具体的な方法は次の通りである。生産中、シャトルは受信されたコマンドに従って貨物を取るための位置に移動し、貨物を取る前に、最初に、貨物がずれている/傾いているかどうかを決定し、貨物がずれている/傾いている場合、シャトルの位置は、ずれた/傾いた貨物に対応するように調整される。次いで、シャトルは貨物を搬出する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、従来技術において、少なくとも次の問題を見出した。倉庫内の一部の貨物は、取り、置く頻度が低く、長期間保管された後に、そのずれ量が大きすぎ、他の貨物に近すぎるかまたは直に接触し、シャトルが姿勢を調整しても取り、置く作業を遂行することができず、貨物を取り、置く作業を遂行することを不可能にする。
【0007】
本開示のいくつかの実施形態により、本開示は、3次元倉庫内に保管された物体を検査し、倉庫内の保管物体(stored object)が整然と配置構成されることを可能にし、物体取出し作業の利便性を提供するための方法およびシステムを提案する。
【0008】
本開示のいくつかの実施形態は、3次元倉庫内の保管物体検査方法を提供し、この方法は
設定条件下で、シャトルを制御して検査位置に移動させるステップと、
検査位置に対応する保管物体の姿勢が変更されたかどうかを計算するステップと、
保管物体の姿勢が変更されている場合、シャトルを使用して保管物体を取り出し、次いで保管物体を元の位置に戻すステップとを含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、検査位置に対応する保管物体の姿勢が変更されているかどうかは、
保管物体のずれ量および/または傾斜角度を計算するステップと、
ずれ量および傾斜角度が設定値を超えているかどうかを決定するステップと、
ずれ量または傾斜角度が設定値を超える場合に、保管物体の姿勢が変更されていると決定するステップとによって計算される。
【0010】
いくつかの実施形態において、保管物体の傾斜角度は、
検査位置に対応する保管物体の第1の角とシャトルとの間の第1の距離、保管物体の第2の角とシャトルとの間の第2の距離、およびシャトルが保管物体の第1の角に対応する位置から保管物体の第2の角に対応する位置まで移動する第3の距離を検出するステップと、
第1の距離、第2の距離、および第3の距離に基づき保管物体の傾斜角度を計算するステップと
によって計算される。
【0011】
いくつかの実施形態において、保管物体のずれ量は、
検査対象の保管物体の座標系内のシャトルの座標、保管物体の寸法、保管物体の傾斜角度、第1の距離、および第2の距離に基づき保管物体のずれ量を計算するステップによって計算される。
【0012】
いくつかの実施形態において、第1の角は、シャトルが配置される通路の方に面する保管物体の角であり、第1の角は、シャトルが初回に通過する角である。
【0013】
いくつかの実施形態において、第2の角は、シャトルが配置される通路の方に面する保管物体の角であり、第2の角は、シャトルが2回目に通過する角である。
【0014】
いくつかの実施形態において、第1の距離および第2の距離を検出するために、同じ距離検出要素が使用される。
【0015】
いくつかの実施形態において、距離検出要素は、レーザー測距モジュールを含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、シャトルの各側は、距離検出要素を設けられ、各距離検出要素は、通路の一方の側の検査位置に対応する保管物体を検出するように構成される。
【0017】
いくつかの実施形態において、検査位置は通路内の位置であり、保管物体は各検査位置の少なくとも一方の側に置かれる。
【0018】
いくつかの実施形態において、検査位置の各側に配置された保管物体の数は、2つ以上であり、検査位置の一方の側に配置された複数の保管物体の姿勢が変化したかどうかは、
通路の一方の側に配置された保管物体の姿勢が変化していない場合、通路から離れた保管物体の側に配置された各保管物体の姿勢が変化していないと決定するステップによって決定される。
【0019】
いくつかの実施形態において、3次元倉庫内の保管物体検査方法は、
通路の一方の側に配置された保管物体の姿勢が変化した場合、列内に配置されている保管物体を取るステップと、
次の列内に配置されている保管物体の姿勢が変化したかどうかを決定するステップと、
通路の一方の側にあるすべての保管物体に対する決定が完了するまで上記ステップを繰り返すステップをさらに含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、3次元倉庫内の保管物体検査方法は、
シャトルを使用して、姿勢が変化したと決定された、最後の列内の保管物体を取り去り、次いで保管物体を元の位置に戻して保管物体の姿勢補正を実施するステップと、
通路の一方の側に配置された保管物体を1つずつ戻して、通路の一方の側にあるすべての保管物体の姿勢補正を完了するステップとをさらに含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、3次元倉庫内の保管物体検査方法は、
検査位置に対応するすべての保管物体の姿勢補正が完了した後、シャトルを検査位置に関して次の検査位置まで走行させ、すべての検査位置に対する保管物体の姿勢決定を遂行するステップをさらに含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、設定された条件は、具体的には、シャトルが作業コマンドを受信しないときである。
【0023】
本開示のいくつかの実施形態は、3次元倉庫内に保管されている物体を検査するためのシステムも提供し、これは
シャトルと、
シャトルに装着されたコントローラと、
シャトルに装着され、コントローラに通信可能に接続され、シャトルから検査されるべき保管物体までの距離を検出する距離検出要素と、
シャトルが設定された検査位置に停止するようにシャトルに装着され、コントローラに通信可能に接続された位置決め要素と、
シャトルによって移動された第3の距離を検出するためにシャトルに装着され、コントローラに通信可能に接続された変位検出要素とを備える。
【0024】
いくつかの実施形態において、距離検出要素は、シャトルの幅方向で各側に装着される。
【0025】
上記の技術的解決方法において提供される3次元倉庫内の保管物体検査方法によれば、検査作業は、設定された条件下で倉庫内の保管物体に対して実行され、保管物体が傾いていることが検出されたときに、保管物体を取り、保管物体を元の位置に戻すことによって、傾いた保管物体の姿勢が補正され、それにより保管物体は整然と配置構成され、それによってシャトルによって実行されるその後の物体取出し作業を円滑にする。また、物体取出し作業を実行するときに、シャトルは停止して保管物体の姿勢を調整する必要も、またシャトルそれ自体の姿勢を調整する必要もなく、したがって物体取出し効率を大幅に改善する。
【0026】
本明細書において例示されている図面は、本開示のさらなる理解を促すために使用され、本出願の一部を成し、本開示の例示的な実施形態およびその説明は、本開示を不適切に限定せずに説明することを意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態において提供される3次元倉庫内に保管された物体を検査するためのシステムの構造図である。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態において提供される3次元倉庫内に保管された物体を検査する方法が実施されるときのシャトルおよび保管物体の相対的位置を示す概略図である。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態において提供される3次元倉庫内に保管された物体を検査する方法が実施されるときに保管物体のずれ量および傾斜角度を決定することを示す概略図である。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態において提供される3次元倉庫内に保管された物体を検査する方法の流れ図である。
【
図6】保管物体の姿勢が変更されたかどうかを決定することの流れ図である。
【
図7】ずれ量および傾斜角度を計算することの流れ図である。
【0028】
参照数字:1:シャトル、2:距離検出要素、3:位置決め要素、4:コントローラ、5:変位検出要素。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示において提供される技術的解決方法は、
図1から
図8に関連して以下でより詳しく説明される。
【0030】
大量の保管物体Aが、倉庫内に保管されている。保管物体Aは、たとえば、貨物、パレット、または他のコンテナである。説明を容易にするために、以下ではパレットAが保管物体の一例として使用される。これらの技術的解決方法は、これらの保管物体Aが明確な形状および置く順序を有する限り、パレットまたは他のコンテナにも適用可能である。倉庫内のこれらの保管物体は列内に置かれる。保管物体Aの隣接する2列の間に、シャトル1が走行するための通路Sが設けられている。シャトル1は、コマンドに従って特定の検査位置に配置された保管物体Aを取るか、または受け取った保管物体Aを倉庫内の検査位置に置くことを目的として走行する。本開示のいくつかの実施形態における技術的解決方法では、倉庫内のシャトル1の制御ロジックは、変更され、シャトル1の作業は、2つのカテゴリに分けられる。第1のカテゴリは、シャトル1に対する作業時間に関係する。この作業時間において、シャトル1は、通常作業を実行する、すなわち、シャトル1は受信された順序情報に従って物体を置く作業および取る作業を実行する。第2のカテゴリは、シャトル1に対する非作業時間に関係する。非作業時間中、シャトル1は、物体を取ることおよび置くことに関する順序情報を受信しない。非作業時間中、シャトル1はアイドル状態にある。この非作業時間は、夜間の非稼動時間であるか、または2つの順序の間の自由時間であってもよい。本開示のいくつかの実施形態における技術的解決方法では、非作業時間において、シャトル1に対して検査作業が追加される。特に、シャトル1がコマンドを受信しないときに、すなわち、シャトル1がスタンバイ状態またはアイドル状態にあるときに、シャトル1は、自動的に倉庫内を移動し、倉庫内に存在する保管物体の検査作業を実行する。保管物体の姿勢に変化があったことが判明した場合、保管物体Aの姿勢は、保管物体を取り、保管物体Aを元に戻すことによって補正される。シャトル1による保管物体を置く作業の精度は非常に高いので、姿勢が変化した保管物体Aの正確な位置決めは、シャトル1の取る作業および置く作業によって非常に正確に達成され、保管物体が過度に傾くか、もしくは過度にずれる状況を低減するか、または回避することすら行い、保管物体の姿勢を補正するための付加的な機器を提供する必要がない。
【0031】
シャトル1の検査作業は、非作業時間期間に実行される、すなわち、シャトル1が物体を取る作業および物体を置く作業を実行しないときに遂行され、したがって倉庫全体の中で保管物体を置く作業および取る作業の作業効率に影響を与えない。さらに、倉庫内の保管物体の姿勢が検査され、調整されるので、シャトル1は、作業(保管物体を置く、取る)を実行するときに、傾いた、またはずれた保管物体に合うように停止し姿勢を調整する必要がなく、また他の方法で保管物体の姿勢を調整することも必要ない。さらに、シャトル1が保管物体を取る作業は、連続性が非常に高く、物体取出し効率は非常に高い。本開示のいくつかの実施形態における技術的解決方法が、以下で詳細に説明される。
【0032】
図1から
図5を参照すると、本開示のいくつかの実施形態は、3次元倉庫内に保管された物体を検査する方法を提供し、この方法は次に示すステップを含む。
【0033】
ステップS100:設定条件下で、シャトル1を制御して検査位置に移動させるステップ。いくつかの実施形態において、設定された条件は、具体的には、シャトル1が作業コマンドを受信しないときである。この検査方法は、シャトルが作業を実行する時間の間のギャップにおいて、すなわち物体をピッキングする作業および貨物を置く作業が行われていないときに実行され、したがってシャトル1の稼動時間を占有しない。さらに、倉庫内の既存のシャトル1が検査に利用され、追加の検査機器も不要である。
【0034】
シャトル1それ自体は、誘導機能および位置決め機能を有する。これらの機能は、検査プロセスにおいて果たすべき役割も有する。シャトル1は、それの誘導機能および位置決め機能を利用して、保管物体Aを置き、取ることを実装する。シャトル1は、保管物体の姿勢が斜めすぎる/保管物体が別の保管物体Aに近すぎるという極端な状況が発生しない限り保管物体Aを取って車体に運び、必要に応じて適所に置く。取る作業および置く作業によって、保管物体Aの位置は正確になる。シャトル1が保管物体Aを保管し/取る具体的な作業プロセスは、シャトル1の通常動作機能であり、ここでは説明しない。
【0035】
倉庫内には、多数の通路Sが設けられている。各シャトル1によって検査される通路の数は、アイドル状態のシャトル1の数および各シャトル1のアイドル頻度に応じて設定される。たとえば、シャトル1がスタンバイシャトル1であり、高いアイドル頻度を有する場合には、そのシャトル1に対して長い検査作業時間が設定される。各シャトル1について、シャトル1のアイドル時間に検査作業が実行されるので、シャトル1は、毎回の検査作業において設定された数の保管物体Aの検査作業を完了させる必要はなく、また毎回の検査において通路S内のすべての保管物体Aの検査を完了させる必要もない。シャトル1が長時間アイドル状態にある場合、シャトル1の検査時間もそれに応じて長くなり、シャトル1が短時間アイドル状態にある場合、シャトル1の検査時間もそれに応じて短くなる。
【0036】
保管物体Aの1つまたは複数の列が、通路Sの各側に設けられる。たとえば、
図2に示す上面図では、通路Sの一方の側に保管物体Aの1つの列が設けられ、通路Sの他方の側に保管物体Aの2つの列が設けられている。説明を簡単にするため、
図2ではXY座標系が設定され、Xは通路Sの長さ方向を示し、シャトル1の移動方向でもある。方向Yは、保管物体Aが置く深さの方向である。各通路Sは、複数の検査位置に分割され、各々XY座標系内のX値に対応している。XY座標系内のY値に基づき、X値に対応する位置は、複数の貨物位置に分割され、保管物体Aは各貨物配置に置かれる。たとえば、
図2において、シャトル1が配置される位置は、3つの保管物体A1、A2、およびA1に対応している。ここで、検査位置を区別しやすくするために、シャトル1が配置される位置は、シャトル1に装着された距離検出要素2が向かうX軸位置を指す。検査位置は、保管物体の姿勢を検出するために通路S内で巡回が実行される位置である。検査位置は、シャトル1が物体を取り貨物を置く通常の作業を実行するときの作業位置と同じである。いくつかの実施形態では、保管物体Aは、各検査位置の少なくとも一方の側に置かれる。
図2に提示されている倉庫の概略上面図は、本開示のいくつかの実施形態における技術的解決方法を例示することのみを意図しており、限定することを意図していないことに留意されたい。実際の状況において、保管物体Aの複数の行が、通路Sの各側に設けられ得る。
【0037】
シャトル1に対する移動コマンドは、シャトル1それ自体のコントローラ4からのものである。コントローラ4は、10分または20分などの、現在の時間期間にシャトル1に対する作業コマンドがあるかどうかを決定するように構成される。作業コマンドがない場合、シャトル1は、検査作業を実行し、シャトル1は、ランダムに、または設定されたシーケンスに基づき検査位置に移動する。シャトル1は、ランダムに通路Sを選択して、検査作業を開始する。代替的に、シャトル1は、設定されたシーケンスに基づき通路Sを選択し、検査作業を実行する。設定されたシーケンスは、たとえば、検査作業を開始するためにシャトル1が現在配置されている位置に最も近い通路Sを選択することである。この方法で検査作業を実行するために、シャトル1は、最短時間で検査位置まで短距離を移動する必要がある。代替的に、通路Sの配置構成シーケンスに基づき、検査作業は最初の通路Sから開始されるか、または検査作業は、最後の通路Sから開始される。代替的に、検査シーケンスは、各通路Sの使用頻度に基づき決定される。特に、たとえば、検査作業は、置く作業および取る作業が最も頻繁な通路Sから開始されるが、これは通路S内の保管物体Aがより整然と配置構成されることを可能にし、通路S内の保管物体Aのその後の置く作業および取る作業がより滑らかになることを確実にする。代替的に、検査作業は、置く作業および取る作業が最も少ない通路Sから開始され、これは作業を実行する他のシャトル1への干渉または他の相互影響が検査作業中に生じにくいことを確実にすることができる。
【0038】
置く作業および取る作業の頻度が異なる通路Sについては、そこで実行される検査作業の頻度は同じではない。置く作業および取る作業が頻繁である通路Sについては、検査回数は多くなる。置く作業および取る作業の頻度が非常に低い通路Sについては、検査作業は低頻度で実行される。
【0039】
同じ通路S内の異なる貨物配置にある保管物体Aについては、検査作業の頻度は、貨物配置にある保管物体Aを置き、取る頻度に応じて設定される。置く作業および取る作業が頻繁である貨物配置にある保管物体Aについては、貨物配置にある保管物体Aが傾いている場合に、シャトル1の置く作業および取る作業は大きな影響を受ける。したがって、これらの貨物配置にある保管物体A上の検査作業は、シャトル1の通常の物品を取る作業の信頼性を改善するために増やされる。検査サイクルが、置く作業および取る作業が頻繁でない貨物配置にある保管物体Aに対して設定される。たとえば、それらの配置にある保管物体Aが週1回保管され/取られる場合、前週の期間が検査時間として設定される。この方法で、シャトル1の検査作業負荷が低減され、シャトル1の検査効率は最大化される。
【0040】
検査作業を実行するシャトル1は、非作業時間期間に対するシャトル1である。この方法で、追加の検査機器は、この倉庫内では必要がなく、この倉庫内の既存の機器の使用は最大化され、それにより検査作業は、倉庫内に車両を追加することなく遂行され、したがって倉庫内に保管物体を整然と置く確率を大幅に高め、作業時間におけるシャトル1の作業効率を高めることになり、倉庫内で物体を置き、取る効率が明らかに改善される。
【0041】
ステップS200。検査位置に対応する保管物体Aの姿勢が変更されたかどうかを計算するステップ。
【0042】
上で説明されているように、検査位置の両側に、保管物体Aがある。保管物体Aの検査シーケンスは、たとえば、1個ずつの検査である。たとえば、
図2に示されている方向を一例として使用すると、
図2の通路Sより下に示されている保管物体Aは、最初に、姿勢の変化に関して検査され、次いで、
図2の通路Sより上に示されている保管物体Aは、姿勢の変化に関して検査される。
【0043】
姿勢の変化は、シャトル1が検査を実行するときに、保管物体は、最初に置かれていたときの姿勢と異なっていることを意味する。姿勢が変化している状況は、保管物体が平行移動しているかもしくは回転している状況、または平行移動および回転の両方が行われている状況を含む。
【0044】
保管物体Aの姿勢が変更されたかどうかを決定する方法は様々である。その1つは、写真を使用することによる決定である。たとえば、決定されるべき保管物体Aの写真が、カメラなどの画像検査要素を使用することによって撮影され、写真は、保管物体Aの姿勢が変化したかどうかを決定するために分析され計算される。もう1つは距離検出による決定である。保管物体Aは、規則正しい形の立方形または立方体の保管物体であり、保管物体Aが整然と置かれている場合、通路Sの方に面している保管物体Aの側面は、通路Sの長さ方向と平行である。保管物体Aの側面上の複数の点から通路Sまでの距離を検出することに基づき、保管物体Aの姿勢は、計算によって取得され、それにより保管物体Aの姿勢が変化したかどうかの決定を実装することができる。
【0045】
図6を参照すると、いくつかの実施形態において、ステップS200は、特に、次のステップを使用することによって実装される。
【0046】
ステップS201。保管物体のずれ量(Δx,Δy)および/または傾斜角度θを計算するステップ。
【0047】
図3および
図4を参照すると、ずれ量は、保管物体が元の状態に関して方向xおよび方向yに元の座標値からずれた量である。傾斜角度θは、元の状態に関して保管物体が回転する角度である。元の状態は、最初に貨物配置に置かれたときの保管物体の正しい姿勢に対応するパラメータである。
【0048】
図2および
図3に例示される平面図において、XY平面内に配置される保管物体A(図に例示されている保管物体は貨物である)を明確に描くために、局所座標系、すなわちxy座標系が、各保管物体Aについて定義される。局所座標系の原点mは、保管物体Aの参照点(たとえば、重心)と一致する。x座標軸は、保管物体Aの短い辺に平行であり、固定され、y座標軸は、保管物体Aの長い辺に平行であり、固定される。ここで、保管物体Aの短い辺は、保管物体Aの長い辺に垂直である。大域座標系XY内の局所座標系の原点mの座標(x,y)は、保管物体Aの位置を示す。局所座標系のx軸(またはy軸)と大域座標系のX軸(またはY軸)との間の夾角θは、保管物体Aの角度(姿勢)を示す。平面内の保管物体Aの位置および姿勢の完全な記述は、座標(x,y)および夾角θを使用することによって与えられ得る。座標(x,y)の変化があった場合、ずれ量は、変化前および変化後の原点mの座標の間の変化の量、すなわち(Δx,Δy)である。夾角θの変化があった場合、傾斜角度は、変化前および変化後の夾角の間の変化の量、すなわちΔθである。保管物体の位置および/または姿勢の変化は、夾角θの変化を伴わない位置(x,y)の変化のみ、すなわち平行移動、または位置(x,y)の変化を伴わない夾角θの変化、すなわち回転、または両方の変化であり得る。
【0049】
ここで、ずれ量(Δx,Δy)および傾斜角度θは、シャトルそれ自体の位置情報および寸法パラメータと併せてΔy1、Δy2、およびΔx1を測定することによって計算される。
【0050】
図7を参照すると、いくつかの実施形態において、保管物体の傾斜角度およびずれ量は、次のステップによって計算される。
【0051】
ステップS2011。検査位置に対応する保管物体Aの第1の角P1とシャトル1との間の第1の距離Δy1、保管物体Aの第2の角P2とシャトル1との間の第2の距離Δy2、およびシャトル1が保管物体Aの第1の角P1に対応する位置から保管物体の第2の角P2に対応する位置まで移動する第3の距離Δx1を検出するステップ。
【0052】
いくつかの実施形態において、第1の角P1は、シャトル1が配置される通路Sの方に面する保管物体の角であり、第1の角P1は、シャトル1が初回に通過する角である。
【0053】
いくつかの実施形態において、第2の角P2は、シャトル1が配置される通路Sの方に面する保管物体の角であり、第2の角P2は、シャトル1が2回目に通過する角である。
【0054】
第3距離Δx1の測定は、シャトル1上の変位検出要素5を使用することによって特に実装される。
【0055】
ステップS2012。第1の距離、第2の距離、および第3の距離に基づき保管物体Aの傾斜角度θを計算するステップ。
【0056】
保管物体Aの傾斜角度θは、式(1)
【0057】
【0058】
を使用することによって計算され得る。
【0059】
ステップS2013。保管物体Aの第1の距離Δy1、第2の距離Δy2、第3の距離Δx1、傾斜角度θ、長さ寸法h、および幅寸法bに基づき保管物体Aのずれ量(Δx,Δy)を計算するステップ。ずれ量(Δx,Δy)は、式(2)
【0060】
【0061】
によって計算される。
【0062】
図8を参照すると、式中、x1およびy1は、xoy座標系内のシャトル1上のレーザー測距モジュールの座標であり、xoy座標系は、検査対象の保管物体Aの重心と一致し、(x1,y1-Δy1)は、xoy座標系内の保管物体Aの第1の角P1点の座標である。
【0063】
保管物体Aのずれ量が、式(2)に従って計算された後、ΔxおよびΔyのいずれかが設定値を超える場合、保管物体Aにずれが生じていると決定され、その後、シャトル1の取る作業および置く作業によって補正される必要がある。ここで、方向xおよびyに沿ったずれ量の設定値は、それぞれ設定されるか、または同じである。
【0064】
いくつかの実施形態において、シャトル1の各側は、距離検出要素2を設けられ、各距離検出要素2は、通路Sの一方の側の検査位置に対応する保管物体Aを検出するように構成される。距離検出要素2は、たとえば、レーザー測距モジュールである。実際の用途では、具体的な検出プロセスは次の通りである。
【0065】
シャトル1は、通路Sの長さ方向、すなわち方向Xで通路S内を移動する。レーザー測距モジュールは、保管物体A1の方向にレーザー信号を伝送する。レーザーは、保管物体A1に照射された後、保管物体A1によって反射され、レーザー測距モジュールは、保管物体A1から反射されたレーザーのレーザー信号を受信する。レーザー信号が受信された時間とレーザーそれ自体の伝播速度に基づき、レーザー測距モジュールと保管物体A1との間の距離が計算される。プロセッサは、距離値を受信し、システムプリセット値と比較する。距離値とプリセット値との間の差は誤差値として定義される。誤差値がプリセット誤差値E1の範囲内にある場合、シャトル1は、走行を続ける。レーザー測距モジュールが、保管物体の2つの角からレーザー測距モジュールまでの距離をそれぞれ測定した後、測定は終了し、そのときに、レーザー測距モジュールは、保管物体からの反射信号が受信できない位置までシャトル1とともに移動している。計算された誤差値が、レーザー測距モジュールにより保管物体の2つの角からレーザー測距モジュールまでの距離を測定するプロセスにおいてプリセット誤差値E1を超えることが検査で判明した場合、シャトル1は、停止する。保管物体のずれ量および傾斜角度は、レーザー測距モジュールによって測定された値と併せて、上で説明されている計算方式を使用することによって計算され得る。
【0066】
レーザー測距モジュールと保管物体A1との間の距離Δy1およびΔy2は、レーザー測距モジュールがプリセットされた誤差E1の範囲内の反射信号を受信することを開始してから信号を受信することを停止するまでのプロセスにおいて取得され得る。シャトル1上に設けられた変位検出要素5を使用することで、
図3に示されているように、シャトル1の走行距離、すなわちシャトル1に近い保管物体A1の表面の左端と右端との間の距離Δx1が計算される。そのときに、保管物体A1は、通常位置および角度にあるか、または平行にずれているか、または回転方向にずれているか、または平行および回転の両方でずれている場合がある。保管物体A1のずれ量は、位置決めセンサーの状態および変位検出要素5からの値と併せて決定される。
【0067】
ステップS202。ずれ量も傾斜角度も設定値を超えていないかどうかを決定するステップ。
【0068】
ステップS203。ずれ量および傾斜角度θのいずれかが設定値を超える場合に、保管物体の姿勢が変更されているという決定結果を生成するステップ。
【0069】
ステップS300。保管物体の姿勢が変更されている場合、シャトル1を使用して保管物体Aを取り去り、次いで保管物体Aを元の位置に戻し、保管物体Aの姿勢の補正を実装するステップ。
【0070】
保管物体Aの姿勢は、ずれ量および傾斜角度の計算式に従って決定され、決定結果が、保管物体Aの姿勢が変更されたということである場合、シャトル1は、保管物体Aを取り去り、次いで、保管物体Aを元の位置に戻し、保管物体Aの位置の補正を実装するために使用される。シャトル1が保管物体Aを置くときに、保管物体Aは、高い精度で元の位置に戻される。したがって、保管物体Aの姿勢の補正を自動的に実装するので、シャトル1は、その後の通常作業において保管物体Aを非常に滑らかに取る。
【0071】
いくつかの実施形態において、検査位置の各側に配置された保管物体Aの数は、2つ以上であり、検査位置の一方の側に配置された複数の保管物体Aの姿勢が変化したかどうかは、通路Sの一方の側に配置された保管物体Aの姿勢が変化していない場合、通路Sから離れた保管物体Aの側に配置された各保管物体Aの姿勢が変化していないと決定するステップによって決定される。
【0072】
逆に、特定の保管物体Aの姿勢が変化したと決定された場合、保管物体Aの残りの姿勢は、次の方法によって決定される。特に、いくつかの実施形態において、3次元倉庫内の保管物体検査方法は、次のステップをさらに含む。
【0073】
ステップS400。通路Sの一方の側に配置された保管物体Aの姿勢が変化した場合、列内に配置されている保管物体を取るステップ。取られた保管物体Aは、シャトル1内に一時的に保管されるか、または通路S内または近くの通路S内の空いている貨物配置内に置かれる。
【0074】
ステップS500。次の列内に配置されている保管物体Aの姿勢が変更されたかどうかを決定するステップ。保管物体Aをブロックする、前の列内の保管物体が取られるので、決定されるべき保管物体Aは、直接シャトル1の方に面し、シャトル1上の距離検出要素2は測定を直接実行する。したがって、各保管物体Aに対する決定方法は、上で説明されているのと同じである。
【0075】
ステップS600。通路Sの一方の側にあるすべての保管物体Aに対する決定が完了するまで上記ステップを繰り返すステップ。
【0076】
図2および
図3を参照すると、通路Sより下に複数の保管物体Aがある状況では、最初に通路Sに近い方の保管物体Aが検査され、次いで、通路Sから遠い方の保管物体Aが検査される。もちろん、検査により、通路Sに近い方の保管物体Aが傾いていないことが示された場合、通路Sから遠い方の保管物体Aは、外乱の影響を受けにくいので、その時点では検査は必要なく、通路Sから遠い方の保管物体Aも傾いていないことが直接決定される。この方法で、シャトル1の検査作業負荷が低減され、検査効率は改善される。
【0077】
この検査で、通路Sに近い方の保管物体Aの姿勢が変化している、たとえばA1が傾いているという結果を生成した場合、通路Sから離れた保管物体A1の側に配置されている保管物体A2の姿勢が変化しているかどうかをさらに検査する必要がある。検査方法は、次の通りである。最初に、保管物体A1を倉庫内の空き貨物配置に移動し、検査されるべき保管物体A2を露出させる。次いで、保管物体A2は、保管物体A1の検査と同様に姿勢の変化がないか検査される。この検査で、保管物体A2も傾いているという結果を生成する場合、保管物体A2は、最初に、倉庫内の空き貨物配置に移動され、検査されるべき保管物体A3を露出する。次いで、保管物体A3の姿勢が変化したかどうかが、保管物体A1、A2の検出と同様に検出される。この検出で、保管物体A3が傾いていないという結果を生成した場合、通路Sから離れた保管物体A3の側に配置される保管物体A4の姿勢が変化したかどうかを検出し続ける必要はないが、保管物体A4、および通路Sから離れた保管物体A4の側に配置される残りのすべての保管物体が傾いていないと直接的に決定される。この検出で、保管物体A3が傾いているという結果を生成した場合、通路Sから離れた保管物体A3の側に配置される保管物体A4の姿勢が変化したかどうかを検出し続けることが必要である。上で説明されている方法は、通路Sの片側にあるすべての保管物体の検出を遂行するために、または保管物体が傾いていないと検出されるまで、使用される。上で説明されているように、倉庫内には多数の通路Sが存在し、上記の検出プロセスで言及されている通路Sは、その通路Sに対応する保管物体検出に対するシャトル1が配置されている通路Sを指し、シャトル1の検査作業に関係のない他の通路を指さないことに留意されたい。
【0078】
説明は、
図2および
図3に例示されている2列の保管物体と併せて以下で与えられる。
【0079】
図2および
図3において、深さ方向、すなわち方向Yに、2つの保管物体A、すなわち保管物体A1および保管物体A2がある。最初に、保管物体A1のずれ量およびずれ角度が、レーザー測距モジュールによって測定された距離値、シャトル1に近い保管物体A1の表面の左端と右端との間の距離、および位置決めセンサーの状態に基づき、決定され得る。
【0080】
測定された技術データによれば、保管物体A1のずれ量およびずれ角度は、A2の対応する値よりも大きい。したがって、保管物体A1のずれ量およびずれ角度が許容誤差範囲内にある場合、保管物体A1も保管物体A2も再位置決めされる必要はない。
【0081】
保管物体A1のずれ量およびずれ角度が許容誤差範囲を超えている場合、シャトル1が最初に調整され、保管物体A1を取り去り、一時保管用の車両上に置き、次いで、保管物体A2のずれ量およびずれ角度は、シャトル1によって検出される。
【0082】
保管物体A2のずれ量およびずれ角度が許容誤差範囲内にある場合、再位置決めする必要はなく、保管物体A1は、直接的に貨物配置内に置かれ、再位置決めを達成する。
【0083】
A2のずれ量およびずれ角度が誤差許容範囲外である場合、シャトル1は、最初に、保管物体A1を別の空き貨物配置内に置いて一時保管し、次いで、保管物体A2を再位置決めし、最後に、保管物体A1を貨物配置に戻して再位置決めを達成する。
【0084】
このプロセスにおいて、通路の反対側の保管物体Aは、シャトル1の他方の側のレーザー測距モジュールを使用することによって検査され、プロセスおよび原理は同じであり、その時点で、この列の保管物体の検査は完了し、次の列の検査が実施され得る。
【0085】
いくつかの実施形態において、3次元倉庫内の保管物体検査方法は次のステップをさらに含む。
【0086】
ステップS700。シャトル1を使用して、姿勢が変化したと決定された、最後の列内の保管物体を取り去り、次いでそれを元の位置に戻して保管物体Aの姿勢補正を実施するステップ。
【0087】
保管物体Aの姿勢を補正するプロセスは、保管物体Aの姿勢を決定する順序と逆である。すなわち、保管物体Aの姿勢決定では、通路Sに近い保管物体Aの姿勢が最初に決定され、次いで、通路Sから遠い保管物体Aの姿勢が決定され、保管物体Aの姿勢補正では、保管物体Aの再配置によって補正が実行されるので、通路Sから遠い保管物体Aが最初に戻され、次いで、通路Sに最も近い保管物体Aが戻される。
【0088】
ステップS900。通路Sの一方の側に配置された保管物体Aを1つずつ戻して、通路Sの一方の側にあるすべての保管物体Aの姿勢補正を完了するステップ。
【0089】
いくつかの実施形態において、3次元倉庫内の保管物体検査方法は次のステップをさらに含む。
【0090】
ステップS1000。検査位置に対応するすべての保管物体Aの姿勢補正が完了した後、シャトル1を検査位置に関して次の検査位置まで走行させ、すべての検査位置に対する保管物体Aの姿勢決定を遂行するステップ。
【0091】
3次元倉庫の処理能力が特に大きい場合には、各通路の各層にシャトル1があり、各シャトル1は、それが配置される通路を検査し、それにより検査作業に時間がかからない。さらに、処理能力が大きい場合、長い時間にわたって取られず置かれていない保管物体Aは少なく、設定値を超える保管物体Aも少なく、検査にかかる時間はより短い。本開示の上記の技術的解決方法は、シャトル1の通常作業に影響を及ぼさず、むしろシャトル1の通常作業の間の間隔を利用する。通常の稼動では、シャトル1は、保管物体Aを取り、置くために常時往復走行している。通常の稼動が完了した後、作業タスクがなくシャトル1がアイドル状態に入る期間がある。上記の技術的解決方法では、この自由時間が、自動的に点検を実行するために利用され、それにより、シャトル1の通常作業に干渉せず、検査作業を実行するために追加の時間を別に取る必要がない。
【0092】
上記の技術的解決方法では、シャトル1の検査稼動は、ストックイン作業とストックアウト作業の波の間に、または作業の完了後に実行される。検査計画は、システムの忙しさに応じて立てられ、検査稼動は、システムのスケジューリングの下で自動的に実行されるので、各保管物体Aの位置状態は、タイムリーに更新可能であり、ラック振動に起因して生じる、長期間取られることも置かれることもなかった、特定の保管物体Aの過剰なずれは可能な限り回避され、各保管物体Aは通常のストックインおよびストックアウト作業において滑らかに取られ、置かれる、すなわち、各保管物体Aの取るおよび置くサイクルが短縮され、長時間取られ、置かれることのなかった結果として各保管物体Aのずれが累積して許容範囲を超えることがない。また、このような理由から、ずれ量が過剰である保管物体Aが存在しないことに起因して前記の検査稼動が正常に遂行され、検査作業全体が、問題が発生する前に問題の発生予防を達成し、システムの安定性を改善する。
【0093】
本開示のいくつかの実施形態は、また、本開示の実施形態のいずれかにおいて提供される3次元倉庫内の保管物体検査方法を実行するように構成された、3次元倉庫内に保管された物体を検査するためのシステムも提供する。3次元倉庫内に保管された物体を検査するためのシステムは、シャトル1と、コントローラ4と、距離検出要素2と、位置決め要素3と、変位検出要素5とを備える。コントローラ4は、シャトル1に装着されている。距離検出要素2は、シャトル1に装着され、コントローラ4に通信可能に接続され、シャトル1から検出されるべき保管物体Aまでの距離を検出する。位置決め要素3は、シャトル1が設定された貨物配置で停止するようにシャトル1に装着され、コントローラ4に通信可能に接続される。変位検出要素5は、シャトル1の第3の距離を検出するためにシャトル1に装着され、コントローラ4に通信可能に接続される。
【0094】
いくつかの実施形態において、距離検出要素2は、シャトル1の幅方向で各側に装着される。シャトル1の幅方向は、シャトル1それ自体の幅の方向であり、
図2で設定されたXY座標系では、シャトル1の幅方向は方向Yに平行であることを意味する。
図2を参照すると、2つの距離検出要素2がシャトル1に装着されており、一方の距離検出要素2は、それに対応してシャトル1の一方の側で8個の保管物体Aを検出し、他方の距離検出要素2は、それに対応してシャトル1の他方の側で4個の保管物体を検出する。もちろん、ここでの保管物体の数は、例示のみを目的としており、実際の状況では、保管物体の数は、例示されているものよりもかなり多くてもよい。距離検出要素2は、特に、たとえば、レーザー測距モジュールである。レーザー測距モジュールは、測定を素早く、高い精度で実行する。
【0095】
各コンポーネントの機能、検査作業の実行プロセス、および技術的効果については、上で説明されている内容を参照されたい。ここで説明を繰り返さない。
【0096】
本開示の説明において、「中心」、「長手方向」、「横断方向」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「上」、「下」、「内側」、「外側」、および同様の用語で示される配向または位置関係は、図面に基づき例示されている配向または位置関係であり、示されているデバイスまたは要素が必ずしも特定の配向を有する、または特定の配向で製作され運用されていることを指示するかまたは暗示する代わりに、本開示を説明し、説明を簡略化する単なる便宜上のものであり、したがって、これらの用語は、本開示の保護範囲を限定するものとして解釈され得ないことを理解する必要がある。
【0097】
最後に、上記の実施形態は、本開示の技術的解決方法を限定するのではなくむしろ説明するためにのみ使用されていることに留意されたい。本開示は、好ましい実施形態を参照しつつ詳細に説明されているが、当業者であれば、依然として、本開示における特定の実装形態に修正を加えるか、またはその技術的特徴の一部に等価な置換を加えることができることを理解すべきであり、そのような修正および等価な置換は、本開示の技術的解決方法の精神から逸脱しない限り本開示において保護を求める技術的解決方法の範囲内に包含されるべきである。
【符号の説明】
【0098】
A 保管物体
A1 保管物体
A2 保管物体
A3 保管物体
A4 保管物体
P1 第1の角
P2 第2の角
S 通路
1 シャトル
2 距離検出要素
3 位置決め要素
4 コントローラ
5 変位検出要素
【国際調査報告】