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特表2024-536976視線計測コンポーネント付き眼鏡レンズ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】視線計測コンポーネント付き眼鏡レンズ
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/113 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
A61B3/113
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024509033
(86)(22)【出願日】2022-09-01
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 FI2022050574
(87)【国際公開番号】W WO2023052673
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】17/488,404
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523017165
【氏名又は名称】ピクシーレイ オイ
【氏名又は名称原語表記】Pixieray Oy
【住所又は居所原語表記】Karamalmintie 2, 02630 Espoo, Finland
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】メラカリ クラウス
(72)【発明者】
【氏名】メラカリ レベッカ
(72)【発明者】
【氏名】ミエッティネン ヴィッレ
(72)【発明者】
【氏名】エイデン ニコ
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA13
4C316AA21
4C316FC04
4C316FC21
(57)【要約】
視線計測装置(400)が開示される。少なくとも1つの光源(406)及び複数のセンサ(408a-b)がレンズ(402)の第1面の周縁部(104)に配置される。レンズを保持するためにフレームが用いられる。光源及びセンサに組み合わされるプロセッサが、ユーザの眼に向けて光を照射するように光源を制御し、ユーザの目の表面からの光の反射を感知するようにセンサを制御し、 ユーザの視線方向を決定するべく、感知された反射に関連するセンサデータを処理するように構成される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
視線計測装置であって、
・ 片眼につき少なくとも1つのレンズであって、前記視線計測装置がユーザに装着されたときにその第1の面が前記ユーザの眼球に対向する、少なくとも1つのレンズと;
・ 前記少なくとも1つのレンズを保持するフレームと;
・ 前記少なくとも1つのレンズの前記第1の面の周縁部に沿って配置される少なくとも1つの光源と;
・ 前記少なくとも1つのレンズの前記第1の面の前記周縁部に沿って配置される複数のセンサと;
・ 前記少なくとも1つの光源と前記複数のセンサに組み合わされるプロセッサと;
を備えると共に、前記プロセッサが、
・ 前記ユーザの眼に向けて光を照射するように前記少なくとも1つの光源を制御することと;
・ 前記ユーザの目の表面からの光の反射を感知するように複数のセンサを制御することと;
・ ユーザの視線方向を決定するべく、感知された反射に関連するセンサデータを処理することと;
を遂行するように構成される、視線計測装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサは、フレキシブルプリント回路基板を用いて前記第1の面の前記周縁部に沿って配置され、前記フレキシブルプリント回路基板は、前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサへの接続手段を提供する、請求項1に記載の視線計測装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサは、導電性接着剤を用いて前記第1の面の前記周縁部に沿って配置され、前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサへの接続は、前記第1の面の前記周縁部に印刷されたワイヤによって提供される、請求項1に記載の視線計測装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの光源から放射される光は赤外線である、上記請求項のいずれかに記載の視線計測装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのレンズはユーザの目に合わせた光学的度数を有する、上記請求項のいずれかに記載の視線計測装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのレンズはサングラスレンズである、上記請求項のいずれかに記載の視線計測装置。
【請求項7】
視線計測装置を製造する方法であって、前記方法は、
・ フレームの形に合わせてレンズをカットすることと;
・ 前記レンズの第1の面の周縁部に沿って少なくとも1つの光源を配置することと;
を含み、ここで前記レンズの前記第1の面は、前記視線計測装置がユーザに装着されたときに前記ユーザの眼に対向し、前記方法は更に、
・ 前記レンズの前記第1の面の前記周縁部に沿って複数のセンサを配置することと;
・ 前記少なくとも1つの光源と前記複数のセンサとに接続手段を準備することと;
・ 前記レンズを前記フレームに装着することと;
・ 前記接続手段を使用して、前記少なくとも1つの光源と前記複数のセンサとをプロセッサに結合することと;
・ 前記プロセッサを、
・ 前記ユーザの眼に向けて光を照射するように前記少なくとも1つの光源を制御することと;
・ 前記ユーザの目の表面からの光の反射を感知するように複数のセンサを制御することと;
・ ユーザの視線方向を決定するべく、感知された反射に関連するセンサデータを処理することと;
を遂行するように構成することと;
を含む、方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサは、フレキシブルプリント回路基板を用いて前記第1の面の前記周縁部に沿って配置され、前記フレキシブルプリント回路基板は接続手段を提供する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサは、導電性接着剤を使用して前記第1の面の前記周縁部に沿って配置され、前記第1の面の前記周縁部にワイヤを印刷することによって接続手段が提供される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
請求項7から9のいずれかに記載の方法であって、
・ 前記レンズの前記第1の面を機械加工して前記周縁部に沿って複数の凹部を形成し、前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサを前記複数の凹部内に配置することと;
・ 前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサを配置した後に、前記レンズと同じ屈折率を有する材料で前記複数の凹部を埋めることと;
を含む、方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサを配置することは、前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサをそれぞれ前記第1の面の前記周縁部に沿って前記レンズに鋳造技術によって入れ込むことによって実行される、請求項7から9のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサを配置することは、前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサをそれぞれ前記レンズの前記第1の面の前記周縁部に沿って印刷することによって実行される、請求項7から9のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサを配置することは、射出成形、ラミネート加工のいずれか1つを用いて行われる、請求項7から9のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの光源から放射される光は赤外線である、請求項7から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのレンズはユーザの目に合わせた光学的度数を有する、請求項7から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記レンズはサングラスレンズである、請求項7から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
視線計測装置で使用するためのレンズを作る方法であって、前記方法は、
・ 前記視線計測装置のフレームの形状に合わせてレンズをカットすることと;
・ 前記レンズの第1の面の周縁部に沿って少なくとも1つの光源を配置することと;
・ 前記レンズの前記第1の面の前記周縁部に沿って複数のセンサを配置することと;
・ 前記少なくとも1つの光源と前記複数のセンサとに接続手段を準備することと;
を含む、方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサは、フレキシブルプリント回路基板を用いて前記第1の面の前記周縁部に沿って配置され、前記フレキシブルプリント回路基板は接続手段を提供する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサは、導電性接着剤を使用して前記第1の面の前記周縁部に沿って配置され、前記第1の面の前記周縁部にワイヤを印刷することによって接続手段が提供される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
請求項17から19のいずれかに記載の方法であって、
・ 前記レンズの前記第1の面を機械加工して前記周縁部に沿って複数の凹部を形成し、前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサを前記複数の凹部内に配置することと;
・ 前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサを配置した後に、前記レンズと同じ屈折率を有する材料で前記複数の凹部を埋めることと;
を含む、方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサを配置することは、前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサをそれぞれ前記第1の面の前記周縁部に沿って前記レンズに鋳造技術によって入れ込むことによって実行される、請求項17から19のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサを配置することは、前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサをそれぞれ前記レンズの前記第1の面の前記周縁部に沿って印刷することによって実行される、請求項17から19のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサを配置することは、射出成形、ラミネート加工のいずれか1つを用いて行われる、請求項17から19のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの光源から放射される光は赤外線である、請求項17から23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1つのレンズはユーザの目に合わせた光学的度数を有する、請求項17から24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記レンズはサングラスレンズである、請求項17から25のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願で開示される事項(以下、本開示という)は、視線計測装置(アイトラッカー)に関する。また本開示は、視線計測装置の製造方法に関する。本開示は、視線計測装置で使用するためのレンズを作る方法にも関する。
【背景】
【0002】
視線計測(Eye tracking,「アイトラッキング」や「視線追跡」ともいう)は、例えば、学術・研究、医学研究、軍事、ヒューマンコンピュータインタラクション、ゲーム産業、航空、オートメーションなど、多様な分野で使用されるようになってきている。このような幅広い応用分野では、軽量かつコンパクトで、正確な視線計測を実現するアイトラッカーが必要とされている。ウェアラブルデバイスは、アイトラッカーを搭載可能な有力なプラットフォームになってきている。
【0003】
しかし、デザインにはさまざまな課題がある。ウェアラブルデバイスに視線計測機能を組み込むと、ウェアラブルデバイスが扱いにくい形になったり大きくなったりする傾向がある。ウェアラブルデバイスに(光源やカメラを含む)視線計測コンポーネントを組み込むと、ユーザの視界を部分的に遮る可能性があり、使い勝手や安全性に悪影響を及ぼす。また、複数のコンポーネントを採用することはセットアップを複雑にし、製造を困難にする。加えて、ウェアラブルデバイスの美観にも悪影響を及ぼす。
【0004】
現在の手法では、視線計測コンポーネントは眼鏡フレームに組み込まれている。このため、眼鏡フレームメーカーは、視線計測コンポーネントをどのように眼鏡フレームに組み込むかを考慮する必要がある。眼鏡フレームと視線計測コンポーネントの統合には詳細な製造ノウハウが必要であり、そのような眼鏡フレームを製造するためにメーカーが使える材料や製造工程の選択肢は限られている。
【0005】
眼鏡フレーム業界はファッションやデザイン主導の業界であり、膨大な下請けネットワークを利用して、さまざまな技術を駆使して多種多様な素材から多種多様な形状の眼鏡を製造している。このため、視線計測コンポーネントをフレームに組み込むという特殊な要求は、ユーザが利用できる選択肢の数を制限する。
【0006】
従来から、視線計測にはカメラが使われてきた。しかし、カメラ画像に関わるデータ処理は消費電力が大きい。この課題は、拡張現実(XR)ヘッドセットやスマートグラスのような、カメラとは別にカスタム設計された処理要素やディスプレイを含む専用デバイスでは、ある程度解決できる可能性がある。
【0007】
これらの議論を踏まえると、ウェアラブルデバイスに視線計測機能を組み込むことに伴う前述の課題を克服する必要性が存在する。
【摘要】
【0008】
本開示は、視線計測装置を提供しようとするものである。また本開示は、視線計測装置を製造する方法を提供しようとするものである。更に本開示は、視線計測装置で使用するためのレンズを作る方法を提供しようとするものである。更に本開示は、ウェアラブルデバイスにおける視線計測の既存の問題に対する解決策を提供しようとするものである。
【0009】
第1の捉え方によれば、本開示のある実施形態は、視線計測装置を提供する。この視線計測装置は、
・ 片眼につき少なくとも1つのレンズであって、前記視線計測装置がユーザに装着されたときにその第1の面が前記ユーザの眼球に対向する、少なくとも1つのレンズと;
・ 前記少なくとも1つのレンズを保持するフレームと;
・ 前記少なくとも1つのレンズの前記第1の面の周縁部に沿って配置される少なくとも1つの光源と;
・ 前記少なくとも1つのレンズの前記第1の面の前記周縁部に沿って配置される複数のセンサと;
・ 前記少なくとも1つの光源と前記複数のセンサに組み合わされるプロセッサと;
を備えると共に、前記プロセッサが、
・ 前記ユーザの眼に向けて光を照射するように前記少なくとも1つの光源を制御することと;
・ 前記ユーザの目の表面からの光の反射を感知するように複数のセンサを制御することと;
・ ユーザの視線方向を決定するべく、感知された反射に関連するセンサデータを処理することと;
を遂行するように構成される。
【0010】
第2の捉え方によれば、本開示のある実施形態は、視線計測装置を製造する方法を提供する。この方法は、
・ フレームの形に合わせてレンズをカットすることと;
・ 前記レンズの第1の面の周縁部に沿って少なくとも1つの光源を配置することと;
を含み、ここで前記レンズの前記第1の面は、前記視線計測装置がユーザに装着されたときに前記ユーザの眼に対向し、前記方法は更に、
・ 前記レンズの前記第1の面の前記周縁部に沿って複数のセンサを配置することと;
・ 前記少なくとも1つの光源と前記複数のセンサとに接続部を提供することと;
・ 前記レンズを前記フレームに装着することと;
・ 前記接続手段を使用して、前記少なくとも1つの光源と前記複数のセンサとをプロセッサに結合することと;
・ 前記プロセッサを、
・ 前記ユーザの眼に向けて光を照射するように前記少なくとも1つの光源を制御することと;
・ 前記ユーザの目の表面からの光の反射を感知するように複数のセンサを制御することと;
・ ユーザの視線方向を決定するべく、感知された反射に関連するセンサデータを処理することと;
を遂行するように構成することと;
を含む。
【0011】
第3の捉え方によれば、本開示のある実施形態は、視線計測装置で使用するためのレンズを作る方法を提供する。この方法は、
・ 前記視線計測装置のフレームの形状に合わせてレンズをカットすることと;
・ 前記レンズの第1の面の周縁部に沿って少なくとも1つの光源を配置することと;
・ 前記レンズの前記第1の面の前記周縁部に沿って複数のセンサを配置することと;
・ 前記少なくとも1つの光源と前記複数のセンサとに接続手段を準備することと;
を含む。
【0012】
本開示の実施形態は、ウェアラブルデバイスの全体的なサイズ及び形状に明らかな影響を与えることなく、既存のウェアラブルデバイスに容易、確実、かつ効率的に組み込むことができる視線計測装置を提供することによって、従来技術における前述の問題を実質的に解消するか、又は少なくとも部分的に対処する。また、この視線計測装置はユーザにとって目立たず、ウェアラブルデバイスの美的価値を維持することを可能にする。
【0013】
本願に開示されるものの更なる側面や利点、特徴及び目的は、添付の特許請求の範囲と共に解釈される、添付図面及び例示的実施形態の詳細説明によって明らかにされよう。
【0014】
本開示の特徴は、添付の特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく、様々な組み合わせで組み合わせることが可能であることも理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
上記の摘要、及び例示的な実施形態に関する以下の詳細説明は、添付の図面と併せて読むとより良く理解される。本開示を説明する目的で、本開示の例示的構成を図面に示す。ただし本開示は、本明細書に開示される特定の方法及び装置に限定されるものではない。また、図面の縮尺は正しいものではない。同様の要素は可能な限り同一の番号で示されている。
以下、本開示の実施形態を、例として次の図面を参照しながら説明する。
図1】本開示のある実施形態による、視線計測装置で使用するために作られたレンズを示す。
図2】本開示のある実施形態による、視線計測装置に使用するために作られた別のレンズを示す。
図3】本開示のある実施形態による、動作中の視線計測装置の一部を示す概略図である。
図4】本開示のある実施形態による視線計測装置を示す。
図5】本開示のある実施形態による別の視線計測装置を示す。
図6】本開示のある実施形態による、更に別の視線計測装置を示す。
図7】本開示のある実施形態による、更に別の視線計測装置を示す。
図8】本開示のある実施形態による、更に別の視線計測装置を示す。
図9A】本開示のある実施形態による、視線計測装置の製造方法のステップを示す。
図9B】本開示のある実施形態による、視線計測装置の製造方法のステップを示す。 添付の図面において、下線付きの番号は、その番号が位置している場所のアイテム又はその番号に隣接するアイテムを表わすために使用される。下線無しの番号は、当該番号から延びる線によって特定されるアイテムに関連付けられる。番号に下線が無く矢印を伴って書かれている場合、その番号は矢印が示すアイテムを特定するために使用される。
【実施形態の詳細説明】
【0016】
以下の詳細説明は、本開示の実施形態及びそれらが実施され得る方法を例示する。本開示を実施するための形態をいくつか開示したが、当業者であれば、本開示を実施するための他の形態も実現可能であることを認識するであろう。
【0017】
第1の捉え方によれば、本開示のある実施形態は、視線計測装置を提供する。この視線計測装置は、
・ 片眼につき少なくとも1つのレンズであって、前記視線計測装置がユーザに装着されたときにその第1の面が前記ユーザの眼球に対向する、少なくとも1つのレンズと;
・ 前記少なくとも1つのレンズを保持するフレームと;
・ 前記少なくとも1つのレンズの前記第1の面の周縁部に沿って配置される少なくとも1つの光源と;
・ 前記少なくとも1つのレンズの前記第1の面の前記周縁部に沿って配置される複数のセンサと;
・ 前記少なくとも1つの光源と前記複数のセンサに組み合わされるプロセッサと;
を備えると共に、前記プロセッサが、
・ 前記ユーザの眼に向けて光を照射するように前記少なくとも1つの光源を制御することと;
・ 前記ユーザの目の表面からの光の反射を感知するように複数のセンサを制御することと;
・ ユーザの視線方向を決定するべく、感知された反射に関連するセンサデータを処理することと;
を遂行するように構成される。
【0018】
第2の捉え方によれば、本開示のある実施形態は、視線計測装置を製造する方法を提供する。この方法は、
・ フレームの形に合わせてレンズをカットすることと;
・ 前記レンズの第1の面の周縁部に沿って少なくとも1つの光源を配置することと;
を含み、ここで前記レンズの前記第1の面は、前記視線計測装置がユーザに装着されたときに前記ユーザの眼に対向し、前記方法は更に、
・ 前記レンズの前記第1の面の前記周縁部に沿って複数のセンサを配置することと;
・ 前記少なくとも1つの光源と前記複数のセンサとに接続手段を準備することと;
・ 前記レンズを前記フレームに装着することと;
・ 前記接続手段を使用して、前記少なくとも1つの光源と前記複数のセンサとをプロセッサに結合することと;
・ 前記プロセッサを、
・ 前記ユーザの眼に向けて光を照射するように前記少なくとも1つの光源を制御することと;
・ 前記ユーザの目の表面からの光の反射を感知するように複数のセンサを制御することと;
・ ユーザの視線方向を決定するべく、感知された反射に関連するセンサデータを処理することと;
を遂行するように構成することと;
を含む。
【0019】
第3の捉え方によれば、本開示のある実施形態は、視線計測装置で使用するためのレンズを作る方法を提供する。この方法は、
・ 前記視線計測装置のフレームの形状に合わせてレンズをカットすることと;
・ 前記レンズの第1の面の周縁部に沿って少なくとも1つの光源を配置することと;
・ 前記レンズの前記第1の面の前記周縁部に沿って複数のセンサを配置することと;
・ 前記少なくとも1つの光源と前記複数のセンサとに接続手段を準備することと;
を含む。
【0020】
本開示の実施形態によれば、簡単で信頼性が高く効率的な方法で、視線計測装置を既存のウェアラブルデバイスに実装することができ、有益である。本開示の実施形態による、既存のウェアラブルデバイスへの視線計測装置の組み込みが、ウェアラブルデバイスの全体的なサイズ及び形状に与える影響は、無視できる程度である。上記少なくとも1つの光源及び複数のセンサは、(例えば眼鏡やサングラスなどの)任意のウェアラブル装置に後付けすることができるため、通常の眼鏡やサングラスのように視線計測装置を装着することができる。少なくとも1つの光源と複数のセンサを周辺部に配置することで、ユーザにとって目立たず、ウェアラブルデバイスの美的価値が維持される。この視線計測装置は軽量で、コンパクトな形状を有する。また、この視線計測装置は、少ない消費電力で正確な視線計測を行うことができる。
【0021】
本開示全体を通じて、「ウェアラブルデバイス」という用語は、ユーザの目を覆うように装着される物品を指す。このようなウェアラブルデバイスは、例えば、ファッション又は装飾、環境からの保護、又はユーザへの拡張現実シーンの提示など、様々な目的のために着用され得る。このようなウェアラブルデバイスの例としては、眼鏡、サングラス、スマートグラス、ヘッドマウントディスプレイなどが挙げられる。また、これらに限定されるものではない。
【0022】
実施形態によっては、視線計測装置の少なくとも1つのレンズは、ユーザの目に合わせて処方された光学的度数を有する。これにより、ユーザの視力に応じて視線計測装置をカスタマイズすることができる。光学的度数は、ユーザの視力を完全に矯正するものでなくてもよいが、ユーザの必要性に適合するように選択され得る。
【0023】
実施形態によっては、視線計測装置の少なくとも1つのレンズはサングラスレンズである。このような実施形態は、ユーザが屋外環境でも容易に視線計測装置を使用することを可能にする。また、美的にも優れている。
【0024】
レンズは、ガラス、ポリカーボネート、プラスチック、高屈折率プラスチックのいずれか1つで作ることができる。レンズは、反射防止コーティング、傷防止コーティング、フォトクロミックコーティング、UVカットコーティング、偏光コーティングの少なくとも1つを有することができる。
【0025】
本開示の実施形態に従って、レンズは、少なくとも1つの光源及び複数のセンサが直接配置されるベースとして機能する。以下、これらの光源及びセンサを、便宜上「視線計測コンポーネント」と総称する。前述のように、レンズは、視線計測コンポーネントをレンズの第1の面の周縁部に配置する前に、フレームの形状に合わせてカットされる。
【0026】
本明細書を通じて、用語「周縁部」は、第1の面の端部に近接する領域を指す。実施形態によっては、この領域は第1の面自体に存在しうる。実施形態によっては、この領域は、第1の面に対して垂直であってもよい。実施形態によっては、この領域の幅は0.01ミリメートルから5ミリメートルの範囲にある。例えば、この領域の幅は、0.01、0.05、0.1、0.25、0.5、1ミリメートルのいずれかから、0.1、0.5、1、2.5、は5ミリメートルのいずれかまでであってもよい。
【0027】
実施形態によっては、視線計測装置において、少なくとも1つの光源及び複数のセンサは、フレキシブルプリント回路基板を用いて第1の面の周縁部に沿って配置される。このフレキシブルプリント回路基板は、少なくとも1つの光源及び複数のセンサへの接続手段を提供する。フレキシブルプリント回路基板は、可撓性材料の薄いシート上に機能性インクを用いて導電性トラックをスクリーン印刷することによって形成することができる。このような可撓性材料の例としては、例えばKapton(登録商標)やCirlex(登録商標)などのポリイミドや、ポリエステル、ポリカーボネートなどが挙げられる。なおこれらに限定されるものではない。フレキシブルプリント回路基板は、周辺部の形状に適合するように形成されることが好ましい。フレキシブルプリント回路基板を使用する技術的利点は、コネクタやケーブルが不要になり、製造コストと時間が削減され、信頼性の高い電気接続と通信が可能になることである。
【0028】
あるいは、実施形態によっては、視線計測装置において、少なくとも1つの光源及び複数のセンサは、導電性接着剤を用いて第1の面の周縁部に沿って配置される。少なくとも1つの光源及び複数のセンサへの接続は、第1の面の周縁部に印刷されたワイヤによって提供される。このような導電性接着剤の例としては、銀導電性エポキシ接着剤、ニッケル導電性エポキシ接着剤、導電性シリコーン接着剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。導電性接着剤を使用する技術的利点は、その特性(硬化温度など)をレンズの特定の材料に適合させることができ、耐疲労性が向上することである。
【0029】
接続手段は様々な方法で実装できることが理解されよう。一例として、接続手段はワイヤの束として実装され得る。別の例として、接続手段は、金属又は金属合金の整列した異方性ナノワイヤーとして実装することができる。導電性の高い金属の例としては、銀、金、銅、アルミニウムなどがある。更に別の例として、接続手段を透明電極層として実装することもできる。このような透明電極層は、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)又はドープ酸化亜鉛(ZnO)で作られてもよい。ZnOはアルミニウム又は水素でドープされる。
【0030】
このような接続手段は、視線計測コンポーネント(すなわち、少なくとも1つの光源及び複数のセンサ)に動作のための電力を供給するとともに、プロセッサと視線計測コンポーネントとの間の通信を可能にすることが理解されよう。このような接続は、ウェアラブルデバイスの美的デザインを損なうことなく提供される。この目的のために、プロセッサと同様に電力を供給する電源を、視線計測装置のフレーム上の任意の適切な位置に設置することができる。一例として、電源はフレームのテンプルの端部に配置することができる。別の例として、プロセッサをフレームのブリッジに配置することができる。
【0031】
実施形態によっては、視線計測装置は無線通信インタフェースを備え、センサデータ又はユーザの視線方向に関連する情報を、プロセッサが外部の装置に送信することを可能にする。
【0032】
実施形態によっては、センサデータは、ユーザの眼の特徴を代表する画像の形態である。そのような特徴は、ユーザの眼の瞳孔の形状、瞳孔の大きさ、ユーザの眼の表面からの少なくとも1つの光源の角膜反射、角膜反射に対する瞳孔の相対位置、ユーザの眼の角に対する瞳孔の相対位置のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0033】
実施形態によっては、センサデータを処理するとき、プロセッサは、ユーザの目の特徴を判断するために画像を処理し、ユーザの目の特徴に基づいて、ユーザの目の視線方向を決定するように構成される。
【0034】
実施形態によっては、視線計測装置において、少なくとも1つの光源によって放射される光は赤外光である。換言すれば、少なくとも1つの光源と複数のセンサは、赤外光で動作してもよく、少なくとも1つの赤外線光源と複数の赤外線センサとして実装することができる。ユーザの目には見えない赤外光は、ユーザに感知されないため、視線計測という目的に適している。
【0035】
実施形態によっては、少なくとも1つの光源によって放射される光は紫外線である。このような場合、少なくとも1つの光源と複数のセンサは、実施形態によっては、紫外線で動作し、少なくとも1つの紫外線光源と複数の紫外線センサとして実装することができる。この場合、人間の目に有害でない波長範囲の紫外線が選択される。例えば、315nmから400nmの範囲の波長の紫外線が選択される。
【0036】
更に別の形態として、少なくとも1つの光源が発する光は、スペクトルの可視部分にある可視光であってもよい。
【0037】
本開示はまた、前述の第2の捉え方の方法及び第3の捉え方の方法に関する。前述の第1の捉え方に関して上に開示された様々な実施形態及び変形は、両方の方法に準用される。
【0038】
実施形態によっては、これらの方法において、少なくとも1つの光源及び複数のセンサは、フレキシブルプリント回路基板を用いてレンズの第1の面の周縁部に沿って配置される。またフレキシブルプリント回路基板は接続手段を提供する。
【0039】
実施形態によっては、これらの方法において、少なくとも1つの光源及び複数のセンサは、導電性接着剤を使用してレンズの第1の面の周縁部に沿って配置される。接続手段は、第1の面の周縁部にワイヤを印刷することによって提供される。
【0040】
実施形態によっては、これらの方法において、少なくとも1つの光源によって放射される光は赤外線である。実施形態によっては、少なくとも1つの光源によって放射される光は紫外線である。
【0041】
実施形態によっては、これらの方法において、レンズは、ユーザの眼に合わせて処方された光学的度数を有する。実施形態によっては、これらの方法において、レンズはサングラスレンズである。
【0042】
また、視線計測コンポーネントは、レンズの第1の面の周辺部に、複数のステップを含むプロセスを使用して配置される。このプロセスの第1ステップは、レンズをプレハブホルダに保持することである。またこのプロセスの第2ステップは以下の技術の1つ又は複数を使用することを含む。
【0043】
実施形態によっては、これらの方法は更に、
・ レンズの第1の面を機械加工して複数の凹部を形成し、少なくとも1つの光源と複数のセンサをこれら複数の凹部内に配置することと、
・ 少なくとも1つの光源と複数のセンサを配置した後に、レンズと同じ屈折率を有する材料で上記複数の凹部を埋めることと、
を含む。
【0044】
上記複数の凹部を形成するために、コンピュータ数値制御(CNC)フライス加工を用いてレンズの第1の面を機械加工してもよい。この場合、コンピュータ制御を用いて多点切削工具を回転させ、レンズから材料を徐々に除去する。これにより、視線計測コンポーネントを配置するためのカスタムデザインの凹部を製造することができる。
【0045】
実施形態によっては、複数の凹部を埋める前に、少なくとも1つの光源と複数のセンサから接続手段が外に出るようにされる。実施形態によっては、接続手段は視線計測コンポーネントとともに埋め込まれる。
【0046】
上記複数の凹部は、鋳造技術、オーバーモールディング、インサート成形、ディスペンシング、インクジェット成形のいずれか1つを用いて充填することができる。オーバーモールディングとインサート成形は、典型的には、視線計測コンポーネントが耐久性があり、熱膨張に耐えることができる場合に使用される。
【0047】
実施形態によっては、上記複数の凹部を充填するために使用できる材料は、少なくとも1つのポリマーを含む。少なくとも1つのポリマーの例としては、ポリメチルメタクリレート、スチレン-コ-アクリロニトリルコポリマー、ポリアミド、熱可塑性ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテル、ポリエーテル-エーテル-ケトン、ポリエーテルイミド、熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。なおこれらに限定されない。
【0048】
別の実施形態によれば、少なくとも1つの光源及び複数のセンサを配置するステップは、少なくとも1つの光源及び複数のセンサをそれぞれ第1の面の周縁部に沿ってレンズに入れ込むことによって実行される。これに関して、少なくとも1つの光源と複数のセンサをレンズに埋め込むために、レンズ鋳造技術が採用される。少なくとも1つのレンズと複数のセンサは、製造時にレンズの第1の面の周縁部に整列するように、鋳造前に鋳型キャビティの内壁に取り付けられる。その後、液体材料が鋳型キャビティ内に導入され、固化させられる。眼科産業では、製造方法として鋳造を使用することは一般的である。鋳造は通常、例えば熱硬化性プラスチックのような低粘度のモノマーを用いて行われる。鋳造は加熱を伴わないため、材料中の熱ストレスは小さく、残留張力も小さい。このため、射出成形に比べて高い品質が得られる。
【0049】
更に別の実施形態によれば、少なくとも1つの光源と複数のセンサを配置するステップは、射出成形、ラミネート加工のいずれか1つを用いて行われる。
【0050】
射出成形では、溶融した材料を高圧で型に注入し、冷却する。この材料は熱可塑性プラスチックから作られることができる。
【0051】
ラミネート加工では、少なくとも1つの光源と複数のセンサを、(レンズの第1の面の周辺部の)接続手段とともに、レンズと、視線計測コンポーネント用の開口部を有する穴あきラミネートフィルムとの間に配置する。その後、熱を加えてラミネートフィルムをレンズに密封する。
【0052】
更に別の実施形態によれば、少なくとも1つの光源と複数のセンサを配置するステップは、少なくとも1つの光源と複数のセンサをそれぞれレンズの第1の面の周縁部に沿って印刷することによって実行される。このような印刷は、レンズの三次元(3D)印刷を用いて行うことができる。これにより、視線計測コンポーネントと接続手段をレンズの機械的構造に直接埋め込むことができる。
[図面の詳細説明]
【0053】
図1を参照すると、本開示の実施形態に従うレンズ102が図示されている。レンズ102は、視線計測装置で使用するために作られたものである。レンズ102の第1の面の周縁部104に沿って、少なくとも1つの光源(光源106として描かれている)と、複数のセンサ(センサ108a、108b、108c、108dとして描かれている)とが配置されている。光源106とセンサ108a~108dはプロセッサ110に結合されている。
【0054】
図2を参照すると、本開示の実施形態に従って、視線計測装置で使用するために用意された別のレンズ202が図示されている。レンズ202の第1の面の周縁部204に沿って、少なくとも1つの光源(便宜上、10個の光源のうち1個に符号206が付されている)と、複数のセンサ(便宜上、20個のセンサのうち2個にそれぞれ符号208a及び208bとが付されている)とが配置されている。
【0055】
少なくとも1つの光源と複数のセンサは、プロセッサ210に結合されている。
【0056】
図1及び図2は単なる例であり、本願の特許請求の範囲を不当に限定すべきではない。図示されたレンズ102及び202の実装形態は、例として提供されているに過ぎず、光源及びセンサの数やタイプ、配置を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。当業者は、本開示の実施形態の多くの変形例、代替例、及び修正例を認識できるであろう。
【0057】
図3を参照すると、本開示のある実施形態による、動作中の視線計測装置の一部を示す概略図が描かれている。視線計測装置の当該部分には、レンズが、少なくとも1つの光源及び複数のセンサと共に示されている。この図において、点線は、個々のセンサの視野を示している。
【0058】
図3は単なる例示であり、本願の特許請求の範囲を不当に制限すべきではない。当業者は、本開示の実施形態の多くの変形例、代替例、及び修正例を認識できるであろう。
【0059】
図4を参照すると、本開示のある実施形態による視線計測装置400が図示されている。視線計測装置400は、
・ 片眼につき少なくとも1枚のレンズ(便宜上、2枚のレンズのうち1枚に符号402が付されている)と;
・ 前記少なくとも1つのレンズを保持するフレーム404と;
・ 前記少なくとも1つのレンズの第1の面の周縁部に沿って配置される少なくとも1つの光源(便宜上、10個の光源のうち1個に符号406が付されている)と;
・ 前記少なくとも1つのレンズの前記第1の面の前記周縁部に沿って配置される複数のセンサ(便宜上、20個のセンサのうち2個にそれぞれ符号408a及び408bが付されている)と;
・ 前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサに結合されるプロセッサ410と;
を備える。
【0060】
図5を参照すると、本開示の実施形態による別の視線計測装置500が図示されている。視線計測装置500は、
・ 片眼につき少なくとも1枚のレンズ(便宜上、2枚のレンズのうち1枚に符号502が付されている)と;
・ 前記少なくとも1つのレンズを保持するフレーム504と;
・ 前記少なくとも1つのレンズの第1の面の周縁部に沿って配置される少なくとも1つの光源(便宜上、10個の光源のうち1個に符号506が付されている)と;
・ 前記少なくとも1つのレンズの前記第1の面の前記周縁部に沿って配置される複数のセンサ(便宜上、20個のセンサのうち2個にそれぞれ符号508a及び508bが付されている)と;
・ 前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサに結合されるプロセッサ(図示されていない)と;
を備える。
【0061】
図6を参照すると、本開示の実施形態による、更に別の視線計測装置600が図示されている。視線計測装置600は、
・ 片眼につき少なくとも1枚のレンズ(便宜上、2枚のレンズのうち1枚に符号602が付されている)と;
・ 前記少なくとも1つのレンズを保持するフレーム604と;
・ 前記少なくとも1つのレンズの第1の面の周縁部に沿って配置される少なくとも1つの光源(便宜上、9個の光源のうち1個に符号606が付されている)と;
・ 前記少なくとも1つのレンズの前記第1の面の前記周縁部に沿って配置される複数のセンサ(便宜上、18個のセンサのうち2個にそれぞれ符号608a及び608bが付されている)と;
・ 前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサに結合されるプロセッサ(図示されていない)と;
を備える。
【0062】
図7を参照すると、本開示の実施形態による、更に別の視線計測装置700が図示されている。視線計測装置700は、
・ 片眼につき少なくとも1枚のレンズ(便宜上、1枚のレンズにのみ符号702が付されている)と;
・ 前記少なくとも1つのレンズを保持するフレーム704と;
・ 前記少なくとも1つのレンズの第1の面の周縁部に沿って配置される少なくとも1つの光源(便宜上、1個の光源のみに符号706が付されている)と;
・ 前記少なくとも1つのレンズの前記第1の面の前記周縁部に沿って配置される複数のセンサ(便宜上、2個のセンサにのみ、それぞれ符号608a及び708bが付されている)と;
・ 前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサに結合されるプロセッサ(図示されていない)と;
を備える。
【0063】
図8を参照すると、本開示の実施形態による、更に別の視線計測装置800が図示されている。視線計測装置800は、
・ 片眼につき少なくとも1枚のレンズ(便宜上、1枚のレンズにのみ符号802が付されている)と;
・ 前記少なくとも1つのレンズを保持するフレーム804と;
・ 前記少なくとも1つのレンズの第1の面の周縁部に沿って配置される少なくとも1つの光源(便宜上、1個の光源のみに符号806が付されている)と;
・ 前記少なくとも1つのレンズの前記第1の面の前記周縁部に沿って配置される複数のセンサ(便宜上、2個のセンサにのみ、それぞれ符号808a及び808bが付されている)と;
・ 前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサに結合されるプロセッサ(図示されていない)と;
を備える。
【0064】
図4~8は単なる例示であり、本願の特許請求の範囲を不当に制限すべきではない。前述のように、第1の面の周縁部とは、第1の面の端部に近接する領域である。図4図5図6では、この領域は第1の面そのものにあるが、図7及び図8では、この領域は第1の面に対して垂直である。更に、図4図8では、フレーム404、フレーム504、フレーム604、フレーム704、フレーム804はそれぞれ、フルリムフレーム、ハーフリムフレーム、リムレスフレーム、別のフルリムフレーム及び別のリムレスフレームとして示されている。視線計測装置400、500、600、700、800の具体的な実施態様は、例として提供されるものであり、光源及びセンサの特定の数、種類、又は配置を限定するものとして解釈されるものではないことを理解されたい。当業者は、本開示の実施形態の多くの変形例、代替例、及び修正例を認識できるであろう。
【0065】
図9A及び図9Bを参照すると、本開示の実施形態による、視線計測装置を製造する方法のステップが図示されている。ステップ902において、レンズがフレームの形状に合わせてカットされる。ステップ904において、少なくとも1つの光源がレンズの第1の面の周縁部に沿って配置される。レンズのこの第1の面は、視線計測装置がユーザによって装着されたときに、ユーザの眼に対向する。ステップ906において、複数のセンサがレンズの第1の面の周縁部に沿って配置される。ステップ908において、第1の面の周縁部に沿って、少なくとも1つの光源及び複数のセンサへの接続手段が準備される。ステップ910において、レンズがフレームに取り付けられる。ステップ912において、少なくとも1つの光源と複数のセンサは、接続手段を用いてプロセッサに結合される。
【0066】
ステップ914において、プロセッサは、
・ ユーザの眼に向けて光を照射するように前記少なくとも1つの光源を制御することと;
・ ユーザの目の表面からの光の反射を感知するように複数のセンサを制御することと;
・ ユーザの視線方向を決定するべく、感知された反射に関連するセンサデータを処理することと;
を遂行するように構成される。
【0067】
上述のステップは単なる例示であって、代替的なステップも含むことができる。すなわち、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、1つ又は複数のステップを加えたり、1つ又は複数のステップを除いたり、1つ又は複数のステップを別の順序で実行したりすることができる。例えば、ステップ904及び906は同時に実行されてもよい。
【0068】
また、ステップ902、904、906及び908は、本開示の実施形態に従って、視線計測装置で使用するためのレンズを準備する方法のステップを表すと考えることもできる。
【0069】
添付の特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく、前述の本開示の実施形態を変更することが可能である。本開示を説明及び請求するために使用される「含む」、「備える」、「組み込む」、「有する」、「である」などの表現は、非排他的に解釈されることを意図しており、すなわち、明示的に記載されていない項目や部品、構成要素が存在することを許容する。要素が複数であることを明示しなかったとしても、当該要素が複数存在することを妨げない。本明細書で使用される「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、順序や量、重要性を示すものではなく、ある要素を他の要素と区別するために使用されているに過ぎない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
【手続補正書】
【提出日】2023-06-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
視線計測装置であって、
・ 片眼につき少なくとも1つのレンズであって、前記視線計測装置がユーザに装着されたときにその第1の面が前記ユーザの眼球に対向する、少なくとも1つのレンズと;
・ 前記少なくとも1つのレンズを保持するフレームと;
・ 前記少なくとも1つのレンズの前記第1の面の周縁部に沿って配置される少なくとも1つの光源と;
・ 前記少なくとも1つのレンズの前記第1の面の前記周縁部に沿って配置される複数のセンサと;
・ 前記少なくとも1つの光源と前記複数のセンサに組み合わされるプロセッサと;
を備え
前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサは、導電性接着剤を用いて前記第1の面の前記周縁部に沿って配置され、前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサへの接続は、前記第1の面の前記周縁部に印刷されたワイヤによって提供され、
前記プロセッサが、
・ 前記ユーザの眼に向けて光を照射するように前記少なくとも1つの光源を制御することと;
・ 前記ユーザの目の表面からの光の反射を感知するように複数のセンサを制御することと;
・ ユーザの視線方向を決定するべく、感知された反射に関連するセンサデータを処理することと;
を遂行するように構成される、
視線計測装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの光源から放射される光は赤外線である、請求項1に記載の視線計測装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つのレンズはユーザの目に合わせた光学的度数を有する、上記請求項のいずれかに記載の視線計測装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのレンズはサングラスレンズである、上記請求項のいずれかに記載の視線計測装置。
【請求項5】
視線計測装置を製造する方法であって、前記方法は、
・ フレームの形に合わせてレンズをカットすることと;
・ 前記レンズの第1の面の周縁部に沿って少なくとも1つの光源を配置することと;
を含み、ここで前記レンズの前記第1の面は、前記視線計測装置がユーザに装着されたときに前記ユーザの眼に対向し、前記方法は更に、
・ 前記レンズの前記第1の面の前記周縁部に沿って複数のセンサを配置することと;
・ 前記少なくとも1つの光源と前記複数のセンサとに接続手段を準備することと;
・ 前記レンズを前記フレームに装着することと;
・ 前記接続手段を使用して、前記少なくとも1つの光源と前記複数のセンサとをプロセッサに結合することと;
・ 前記プロセッサを、
・ 前記ユーザの眼に向けて光を照射するように前記少なくとも1つの光源を制御することと;
・ 前記ユーザの目の表面からの光の反射を感知するように複数のセンサを制御することと;
・ ユーザの視線方向を決定するべく、感知された反射に関連するセンサデータを処理することと;
を遂行するように構成することと;
を含み、前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサは、導電性接着剤を使用して前記第1の面の前記周縁部に沿って配置され、前記第1の面の前記周縁部にワイヤを印刷することによって接続手段が提供される、方法。
【請求項6】
請求項に記載の方法であって、
・ 前記レンズの前記第1の面を機械加工して前記周縁部に沿って複数の凹部を形成し、前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサを前記複数の凹部内に配置することと;
・ 前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサを配置した後に、前記レンズと同じ屈折率を有する材料で前記複数の凹部を埋めることと;
を含む、方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサを配置することは、前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサをそれぞれ前記第1の面の前記周縁部に沿って前記レンズに鋳造技術によって入れ込むことによって実行される、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサを配置することは、前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサをそれぞれ前記レンズの前記第1の面の前記周縁部に沿って印刷することによって実行される、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサを配置することは、射出成形、ラミネート加工のいずれか1つを用いて行われる、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの光源から放射される光は赤外線である、請求項からのいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのレンズはユーザの目に合わせた光学的度数を有する、請求項から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記レンズはサングラスレンズである、請求項から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
視線計測装置で使用するためのレンズを作る方法であって、前記方法は、
・ 前記視線計測装置のフレームの形状に合わせてレンズをカットすることと;
・ 前記レンズの第1の面の周縁部に沿って少なくとも1つの光源を配置することと;
・ 前記レンズの前記第1の面の前記周縁部に沿って複数のセンサを配置することと;
・ 前記少なくとも1つの光源と前記複数のセンサとに接続手段を準備することと;
を含み、前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサは、導電性接着剤を使用して前記第1の面の前記周縁部に沿って配置され、前記第1の面の前記周縁部にワイヤを印刷することによって接続手段が提供される、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
・ 前記レンズの前記第1の面を機械加工して前記周縁部に沿って複数の凹部を形成し、前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサを前記複数の凹部内に配置することと;
・ 前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサを配置した後に、前記レンズと同じ屈折率を有する材料で前記複数の凹部を埋めることと;
を含む、方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサを配置することは、前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサをそれぞれ前記第1の面の前記周縁部に沿って前記レンズに鋳造技術によって入れ込むことによって実行される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサを配置することは、前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサをそれぞれ前記レンズの前記第1の面の前記周縁部に沿って印刷することによって実行される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの光源及び前記複数のセンサを配置することは、射出成形、ラミネート加工のいずれか1つを用いて行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの光源から放射される光は赤外線である、請求項13から18のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つのレンズはユーザの目に合わせた光学的度数を有する、請求項13から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記レンズはサングラスレンズである、請求項13から19のいずれかに記載の方法。
【国際調査報告】