(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】アンモニアおよび二酸化炭素含有廃水流を濃アンモニア水溶液および精製廃水流に分離するためのプラントおよび方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/20 20230101AFI20241003BHJP
C01C 1/10 20060101ALI20241003BHJP
C02F 1/04 20230101ALI20241003BHJP
B01D 1/00 20060101ALI20241003BHJP
B01D 53/58 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C02F1/20 B
C01C1/10 A
C02F1/04 C
B01D1/00 Z
B01D53/58
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513391
(86)(22)【出願日】2022-08-24
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 EP2022073608
(87)【国際公開番号】W WO2023030997
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518458344
【氏名又は名称】ズルツァー・マネージメント・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】レイザー, トマ
(72)【発明者】
【氏名】リュッケ, マルティン
(72)【発明者】
【氏名】マゾッティ, マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ペレス カルヴォ, ホセ フランシスコ
(72)【発明者】
【氏名】オトゴンバヤル, トゥブシンジャルガル
(72)【発明者】
【氏名】ネグリ, ヴァレンティナ
【テーマコード(参考)】
4D002
4D034
4D037
4D076
【Fターム(参考)】
4D002AA13
4D002AB02
4D002CA07
4D002CA13
4D002EA05
4D002FA06
4D002GB02
4D002GB03
4D002HA02
4D034AA27
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4D076DA35
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4D076EA16Z
4D076EA18Z
4D076EA20X
4D076HA06
4D076JA03
(57)【要約】
アンモニアおよび二酸化炭素含有廃水流を処理して、少なくとも5重量%の溶解アンモニアおよび多くとも20重量%の溶解二酸化炭素を含有する濃アンモニア水溶液、ならびに多くとも1.000ppmの溶解アンモニアを含有する精製廃水流を生成する方法であって、
a)廃水流を、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも1つの床、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも1つの床または少なくとも1つのトレイを備える二酸化炭素脱気カラムに供給する工程であって、廃水流の第1の部分が、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも1つの床、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも1つの床または少なくとも1つのトレイの上の位置で供給され、第1の部分よりも高い温度を有する二酸化炭素脱気カラムから底部画分として抜き出される液体二酸化炭素枯渇流の一部と任意選択で混合されている廃水流の第2の部分が、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも1つの床、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも1つの床または少なくとも1つのトレイの下の位置で二酸化炭素脱気カラムに供給され、二酸化炭素脱気カラムに供給される全廃水流に対する廃水流の第1の部分の質量流量比が0.01~0.6である工程と、
b)廃水流に含まれる10重量%未満のアンモニアを含有するガス状二酸化炭素富化流をオーバーヘッド画分として、および9.0以上のpH値を有する液体二酸化炭素枯渇流を底部画分として、二酸化炭素脱気カラムから抜き出す工程と、
c)液体二酸化炭素枯渇流をアンモニアストリッパーカラムに供給する工程と、
d)ガス状アンモニア富化流をオーバーヘッド画分として、および多くとも1.000ppmの溶解アンモニアを含有する精製廃水流を底部画分として、アンモニアストリッパーカラムから抜き出す工程であって、アンモニアストリッパーカラムから抜き出された液体精製廃水流の少なくとも一部がエバポレートされ、エバポレートされた部分の全部または一部がアンモニアストリッパーカラムに戻される工程と、
e)ガス状アンモニア富化流およびそれとは別に水をクエンチャーカラムに供給し、少なくとも5重量%の溶解アンモニアおよび多くとも20重量%の溶解二酸化炭素を含有する濃アンモニア水溶液を底部画分としてクエンチャーカラムから抜き出す工程と、
を含む、方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアおよび二酸化炭素含有廃水流を処理して、少なくとも5重量%の溶解アンモニアおよび多くとも20重量%の溶解二酸化炭素を含有する濃アンモニア水溶液、ならびに多くとも1.000ppmの溶解アンモニアを含有する精製廃水流を生成する方法であって、
a)廃水流を、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも1つの床(22)、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも1つの床(22)または少なくとも1つのトレイを備える二酸化炭素脱気カラム(12)に供給する工程であって、i)廃水流の第1の部分が、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも1つの床(22)、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも1つの床(22)または少なくとも1つのトレイの上の位置で供給され、ii)第1の部分よりも高い温度を有する廃水流の第2の部分、および/または第1の部分よりも高い温度を有する二酸化炭素脱気カラム(12)から底部画分として抜き出される液体二酸化炭素枯渇流の一部と廃水流の第2の部分との混合物が、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも1つの床(22)、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも1つの床(22)または少なくとも1つのトレイの下の位置で二酸化炭素脱気カラム(12)に供給され、上方で廃水流の第1の部分が供給される1つ以上のランダムパッキングの床(22)、1つ以上の構造化パッキングの床(22)またはトレイが、下方で廃水流の第2の部分および/または液体二酸化炭素枯渇流の一部と廃水流の第2の部分との混合物が供給される1つ以上のランダムパッキングの床(22)、1つ以上の構造化パッキングの床(22)またはトレイと同じであるかまたはその上に位置し、二酸化炭素脱気カラムに供給される全廃水流に対する廃水流の第1の部分の質量流量比が0.01~0.6である工程と、
b)廃水流に含まれる10重量%未満のアンモニアを含有するガス状二酸化炭素富化流をオーバーヘッド画分として、および9.0以上のpH値を有する液体二酸化炭素枯渇流を底部画分として、二酸化炭素脱気カラム(12)から抜き出す工程と、
c)液体二酸化炭素枯渇流をアンモニアストリッパーカラム(14)に供給する工程と、
d)ガス状アンモニア富化流をオーバーヘッド画分として、および多くとも1.000ppmの溶解アンモニアを含有する精製廃水流を底部画分として、アンモニアストリッパーカラム(14)から抜き出す工程であって、アンモニアストリッパーカラム(14)から抜き出された液体精製廃水流の少なくとも一部がエバポレートされ、エバポレートされた部分の全部または一部がアンモニアストリッパーカラム(14)に戻される工程と、
e)ガス状アンモニア富化流およびそれとは別に水をクエンチャーカラム(16)に供給し、ガス状ベントガス流をオーバーヘッド画分として抜き出し、少なくとも5重量%の溶解アンモニアおよび多くとも20重量%の溶解二酸化炭素を含有する濃アンモニア水溶液を底部画分としてクエンチャーカラム(16)から抜き出す工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
生成された濃アンモニア水溶液が、10℃の温度で少なくとも1日間貯蔵された場合、いかなる沈殿物も形成しない、特に炭酸アンモニウム沈殿物を形成しない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程e)において、
ガス状アンモニア富化流および水に加えて不活性ガスがクエンチャーカラム(16)に供給されず、好ましくは方法全体において、不活性ガスがカラム(12、14、16)のいずれにも供給されず、かつ/または
二酸化炭素脱気カラム(12)に供給される前もしくは供給されている間に廃水流に、またはアンモニアストリッパーカラム(14)に供給される前もしくは供給されている間に液体二酸化炭素枯渇流に、塩基および/または酸が添加されず、好ましくは方法全体において、いずれの流にも塩基および/または酸が供給されず、かつ/または
工程d)でアンモニアストリッパーカラム(14)から抜き出された精製廃水流が、工程a)で使用された二酸化炭素脱気カラム(12)に完全にも部分的にもリサイクルされない、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
二酸化炭素脱気カラム(12)が、1つ以上のランダムパッキングの1つの床(22)、1つ以上の構造化パッキングの1つの床(22)または1つのトレイを備え、廃水流の第1の部分が、1つ以上のランダムパッキングの床(22)、1つ以上の構造化パッキングの床(22)またはトレイの上で、廃水流の第2の部分が、1つ以上のランダムパッキングの床(22)、1つ以上の構造化パッキングの床(22)またはトレイの下で、二酸化炭素脱気カラム(12)に供給され、かつ/または
二酸化炭素脱気カラムが、互いに上下の、1つ以上のランダムパッキングの2つの床(22)、1つ以上の構造化パッキングの2つの床(22)または2つのトレイを備え、廃水流の第1の部分が、最上部の上の位置で、廃水流の第2の部分が、ランダムパッキングの最下床(22)、構造化パッキングの最下床(22)または最下トレイの下の位置で、二酸化炭素脱気カラム(12)に供給される、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
i)廃水流の第2の部分が、二酸化炭素脱気カラム(12)に供給される前に、熱交換器(26)で加熱され、部分凝縮によって工程d)で抜き出されたガス状アンモニア富化流から得られた水富化凝縮物流が、熱交換器(26)で熱媒体として使用され、かつ/またはii)廃水流の第2の部分が、二酸化炭素脱気カラム(12)に供給される前に、熱交換器(28)で加熱され、工程d)で抜き出された精製廃水流が、熱交換器(28)で熱媒体として使用され、かつ/またはiii)廃水流の第2の部分が、二酸化炭素脱気カラム(12)に供給される前に、熱交換器(70)で加熱され、工程b)で抜き出された液体二酸化炭素枯渇流または液体二酸化炭素枯渇流の一部が、熱交換器(70)で熱媒体として使用される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
廃水流の第2の部分、または二酸化炭素脱気カラムから底部画分として抜き出される液体二酸化炭素枯渇流の一部と廃水流の第2の部分との混合物が、任意選択で1つ以上の熱交換器(26、28、70)で加熱された後、外部熱媒体を備えたエバポレーターで加熱され、その後、廃水流の加熱された第2の部分、または二酸化炭素脱気カラムから底部画分として抜き出される液体二酸化炭素枯渇流の一部と廃水流の第2の部分との混合物が、二酸化炭素脱気カラム(12)に供給される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
二酸化炭素脱気カラム(12)から底部画分として抜き出される液体二酸化炭素枯渇流の一部が、廃水流の第2の部分と混合された後、そのようにして得られた混合物が二酸化炭素脱気カラム(12)に供給される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程b)で抜き出されるガス状二酸化炭素富化流が、廃水流に含まれる5重量%未満、好ましくは1重量%未満、最も好ましくは0.1重量%未満のアンモニアを含有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程b)で抜き出される液体二酸化炭素枯渇流が、0.5重量%未満の溶解二酸化炭素および0~2重量%の溶解アンモニアを含有し、100~130℃の温度を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
アンモニアストリッパーカラム(14)が、互いに上下に配置された、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも2つの床(38、38’)、1つ以上のランダム構造化パッキングの少なくとも2つの床(38、38’)または少なくとも2つのトレイを備え、液体二酸化炭素枯渇流が、1つ以上のランダムパッキングの2つの隣接する床(38、38’)の間、1つ以上の構造化パッキングの2つの隣接する床(38、38’)の間または2つの隣接するトレイの間の位置でアンモニアストリッパーカラム(14)に供給され、エバポレートされた液体精製廃水流が、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも2つの床(38、38’)の下、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも2つの床(38、38’)の下または少なくとも2つのトレイの下でアンモニアストリッパーカラムに戻される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程d)で抜き出される精製廃水流が、多くとも500ppm、好ましくは多くとも250ppm、さらにより好ましくは多くとも150ppm、最も好ましくは50ppm未満の溶解アンモニアを含有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
工程a)における二酸化炭素脱気カラムの運転パラメータが、統計モデルを使用することによって最適化され、決定変数が、以下のように定義され、
パラメータp
ij、q
jkおよびr
kが、以下の表に与えられ、
変数が、以下のように定義され、
f
b,A-決定変数A、
T
S-(最終生成物の)貯蔵温度、
c
CO2-供給物中の二酸化炭素濃度、
c
NH3-供給物中のアンモニア濃度、
i、j、k-指数としても使用される総和指数、
f
b,A≦0である場合、方法が、3つの熱交換工程i)~iii)を含み、すなわち、i)廃水流の第2の部分が、二酸化炭素脱気カラムに供給される前に、熱交換器で加熱され、部分凝縮によって工程d)で抜き出されたガス状アンモニア富化流から得られた水富化凝縮物流が、(第1の)熱交換器で熱媒体として使用され、ii)廃水流の第2の部分が、二酸化炭素脱気カラムに供給される前に、熱交換器で加熱され、工程d)で抜き出された精製廃水流が、熱交換器で熱媒体として使用され、iii)廃水流の第2の部分、および/または二酸化炭素脱気カラムから底部画分として抜き出される液体二酸化炭素枯渇流の一部と廃水流の第2の部分との混合物が、二酸化炭素脱気カラムに供給される前に、熱交換器で加熱され、工程b)で抜き出された液体二酸化炭素枯渇流または液体二酸化炭素枯渇流の一部が、熱交換器で熱媒体として使用され、供給分岐比およびカラム圧力が、以下の式2および式3を用いて計算され、または
f
b,A>0である場合、方法が、前述の熱交換工程i)~iii)のうちの2つを含み、供給分岐比が、以下の式2を用いて計算され、カラム圧力が101,000Paであり、
式2は、
であり、式3は、
であり、f
CS=f
fおよびp
Col=f
Pであり、モデルパラメータa
ijkおよびb
ijkが、以下の表に与えられ、
変数が、以下のように定義される、
f
CS-供給分岐比、
p
col-カラム頂部圧力、
f
b,C-決定変数C、
T
S-(最終生成物の)貯蔵温度、
c
CO2-供給物中の二酸化炭素濃度、
c
NH3-供給物中のアンモニア濃度、
i、j、k-指数としても使用される総和指数、
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
アンモニアおよび二酸化炭素含有廃水流を処理して、少なくとも5重量%の溶解アンモニアおよび多くとも20重量%の溶解二酸化炭素を含有する濃アンモニア水溶液、ならびに多くとも1.000ppmの溶解アンモニアを含有する精製廃水流を生成するためのプラント(10)であって、
i)1つ以上のランダムパッキングの少なくとも1つの床(22)、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも1つの床(22)または少なくとも1つのトレイと、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも1つの床(22)、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも1つの床(22)または少なくとも1つのトレイの上の位置で二酸化炭素脱気カラム(12)に入る第1の供給入口ライン(18)と、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも1つの床(22)の下、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも1つの床(22)の下または少なくとも1つのトレイの下の位置で二酸化炭素脱気カラム(12)に入る供給物または供給物と液体二酸化炭素枯渇流との混合物のための第2の入口ライン(20)と(ここで、上方で第1の供給入口ライン(18)が二酸化炭素脱気カラム(12)に入る1つ以上のランダムパッキングの床(22)、1つ以上の構造化パッキングの床(22)またはトレイは、下方で供給物または供給物と液体二酸化炭素枯渇流との混合物のための第2の入口ライン(20)が二酸化炭素脱気カラム(12)に入る1つ以上のランダムパッキングの床(22)、1つ以上の構造化パッキングの床(22)またはトレイと同じであるかまたはその上に位置する)、ガス状二酸化炭素富化流のためのオーバーヘッド出口ライン(32)と、液体二酸化炭素枯渇流のための底部出口ライン(34)とを備える二酸化炭素脱気カラム(12)と、
ii)二酸化炭素脱気カラム(12)の底部出口ライン(34)に直接接続されている入口ライン(36)と、ガス状アンモニア富化流のためのオーバーヘッド出口ライン(40)と、精製廃水流のための底部出口ライン(42)と、底部出口ライン(42)に接続されている戻りライン(44)とを備えるアンモニアストリッパーカラム(14)であって、底部出口ライン(42)および/または戻りライン(44)が、エバポレーター(46)を通って通じている、アンモニアストリッパーカラム(14)と、
iii)アンモニアストリッパーカラム(14)のオーバーヘッド出口ライン(40)に直接的または間接的に接続されている入口ライン(54)と、水のための入口ライン(60)と、濃アンモニア水溶液のための出口ライン(62)とを備えるクエンチャーカラム(16)と、
を備える、プラント(10)。
【請求項14】
i)a)第2の供給ライン(25)または第2の入口ライン(20)およびb)ガス状アンモニア富化流のためのオーバーヘッド出口ライン(40)に接続されているライン(56)が導かれる熱交換器(26)、および/またはii)c)第2の供給ライン(25)または第2の入口ライン(20)およびd)アンモニアストリッパーカラム(14)の精製廃水流のための底部出口ライン(42)が導かれる熱交換器(28)、および/またはiii)e)第2の供給ライン(25)または第2の入口ライン(20)およびf)二酸化炭素脱気カラム(12)の液体二酸化炭素枯渇流のための底部出口ライン(34)が導かれる熱交換器(70)をさらに備える、請求項13に記載のプラント(10)。
【請求項15】
アンモニアストリッパーカラム(14)が、互いに上下に配置された、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも2つの床(38、38’)、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも2つの床(38、38’)または少なくとも2つのトレイを備え、二酸化炭素脱気カラム(16)の底部出口ライン(34)に接続されている入口ライン(36)が、1つ以上のランダムパッキングの2つの隣接する床(38、38’)の間、1つ以上の構造化パッキングの2つの隣接する床(38、38’)の間または2つの隣接するトレイの間の位置でアンモニアストリッパーカラム(14)に入り、戻りライン(44)が、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも2つの床(38、38’)の下、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも2つの床(38、38’)の下または少なくとも2つのトレイの下の位置でアンモニアストリッパーカラム(14)に入る、請求項13または14に記載のプラント(10)。
【請求項16】
クエンチャーカラム(16)が、互いに上下に配置された、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも2つの床(58、58’)、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも2つの床(58、58’)または少なくとも2つのトレイを備え、水のための入口ライン(60)が、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも2つの床(58、58’)の最上部の上、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも2つの床(58、58’)の最上部の上または少なくとも2つのトレイの最上部の上の位置でクエンチャーカラム(16)に入り、アンモニアストリッパーカラム(14)のオーバーヘッド出口ライン(40)に直接的または間接的に接続されている入口ライン(54)が、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも2つの床(58、58’)の最下部の下、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも2つの床(58、58’)の最下部の下または少なくとも2つのトレイの最下部の下の位置でクエンチャーカラム(16)に入る、請求項13から15のいずれか一項に記載のプラント(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニアおよび二酸化炭素含有廃水流を処理して、少なくとも5重量%の溶解アンモニアおよび多くとも20重量%の溶解二酸化炭素を含有する濃アンモニア水溶液、ならびに多くとも1.000ppmの溶解アンモニアを含有する精製廃水流を生成する方法およびプラントに関し、本方法は、以下の工程を含む。
【背景技術】
【0002】
アンモニアおよび二酸化炭素含有廃水流は、バイオガスの生成中などの複数の工業的方法中に、例えば農業廃棄物および都市廃棄物の嫌気性消化によって生成される。バイオガスは有価生成物として入手可能であり、同時に農業廃棄物および都市廃棄物が少なくとも部分的に削減されるので、このような方法はますます重要になる。嫌気性消化から、アンモニアおよび二酸化炭素の両方を含む大量の廃水が生成される。アンモニアおよび二酸化炭素を含むそのような廃水の例は、濾過された発酵ブロスまたは嫌気的に消化された牛の排泄物である。これらの廃水は適切に処理される必要があるが、それぞれの既知の方法はエネルギー集約的であり、高価なプラントを必要とするため、困難である。さらに、有価アンモニアは回収されない。
【0003】
例えば、そのような廃水流を、苛性物質の投入で1工程でストリッピングすることによって処理することが一般的な慣行である。最初の二酸化炭素ストリッピング工程では、廃水流に含まれるアンモニアの可能な限り少ない量が失われる、すなわち二酸化炭素と共に廃水流から除去されることが望ましい。さらに、炭酸アンモニウムの沈殿などの後の処理工程中の塩の沈殿を確実に回避するために、最初の二酸化炭素ストリッピング工程で十分な二酸化炭素を除去しなければならない。また、得られる精製水は、できるだけ低濃度のアンモニアを含むことが望ましい。アンモニアおよび二酸化炭素含有廃水流を処理して、濃アンモニア水溶液および精製廃水流を生成する既知の方法は、方法中、および通常の貯蔵温度中の生成された濃アンモニア水溶液中の塩沈殿を確実に回避するが、非常にエネルギー集約的であり、複雑なプラントを必要とするという欠点を有する。
【発明の概要】
【0004】
これを考慮して、本発明の根底にある目的は、アンモニアおよび二酸化炭素含有廃水流を処理して、濃アンモニア水溶液および精製廃水流を生成するためのプラントおよび方法であって、方法中および通常の貯蔵温度での生成された濃アンモニア水溶液中の塩沈殿を確実に回避し、特に非常にエネルギー効率および資本効率が高い、すなわち、複雑さが低いプラントを必要とし、運転エネルギー需要が低いことを特徴とするプラントおよび方法を提供することである。
【0005】
本発明によれば、この目的は、アンモニアおよび二酸化炭素含有廃水流を処理して、少なくとも5重量%の溶解アンモニアおよび多くとも20重量%の溶解二酸化炭素を含有する濃アンモニア水溶液、ならびに多くとも1.000ppmの溶解アンモニアを含有する精製廃水流を生成する方法であって、
a)廃水流を、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも1つの床、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも1つの床または少なくとも1つのトレイを備える二酸化炭素脱気カラムに供給する工程であって、i)廃水流の第1の部分が、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも1つの床の上、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも1つの床の上または少なくとも1つのトレイの上の位置で供給され、ii)第1の部分よりも高い温度を有する廃水流の第2の部分、および/または第1の部分よりも高い温度を有する二酸化炭素脱気カラムから底部画分として抜き出される液体二酸化炭素枯渇流の一部と廃水流の第2の部分との混合物が、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも1つの床の下、1つ以上のランダムパッキング構造化パッキングの少なくとも1つの床の下または少なくとも1つのトレイの下の位置で二酸化炭素脱気カラムに供給され、上方で廃水流の第1の部分が供給される1つ以上のランダムパッキングの床、1つ以上の構造化パッキングの床またはトレイが、下方で廃水流の第2の部分および/または液体二酸化炭素枯渇流の一部と廃水流の第2の部分との混合物が供給される1つ以上のランダムパッキングの床、1つ以上の構造化パッキングの床またはトレイと同じであるかまたはその上に位置し、二酸化炭素脱気カラムに供給される全廃水流に対する廃水流の第1の部分の質量流量比が0.01~0.6である工程と、
b)廃水流に含まれる10重量%未満のアンモニアを含有するガス状二酸化炭素富化流をオーバーヘッド画分として、および9.0以上のpH値を有する液体二酸化炭素枯渇流を底部画分として、二酸化炭素脱気カラムから抜き出す工程と、
c)9.0以上のpH値を有する液体二酸化炭素枯渇流をアンモニアストリッパーカラムに供給する工程と、
d)ガス状アンモニア富化流をオーバーヘッド画分として、および多くとも1.000ppmの溶解アンモニアを含有する精製廃水流を底部画分として、アンモニアストリッパーカラムから抜き出す工程であって、アンモニアストリッパーカラムから抜き出された液体精製廃水流の少なくとも一部がエバポレートされ、エバポレートされた部分の全部または一部がアンモニアストリッパーカラムに戻される工程と、
e)ガス状アンモニア富化流およびそれとは別に水をクエンチャーカラムに供給し、ガス状ベントガス流をオーバーヘッド画分として抜き出し、少なくとも5重量%の溶解アンモニアおよび多くとも20重量%の溶解二酸化炭素を含有する濃アンモニア水溶液を底部画分としてクエンチャーカラムから抜き出す工程と、
を含む方法を提供することによって満たされる。
【0006】
この解決策は、アンモニアおよび二酸化炭素含有廃水供給流からの二酸化炭素除去の前に、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも1つの床、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも1つの床または少なくとも1つのトレイの上の位置で二酸化炭素脱気カラムに供給される供給物の第1の部分への、および二酸化炭素脱気カラムへの1つ以上のランダムパッキングの少なくとも1つの床、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも1つの床または少なくとも1つのトレイの下であり、かつ供給物の第1の部分が二酸化炭素脱気カラムに導入される位置から1つ以上のランダムパッキングの少なくとも1つの床、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも1つの床または少なくとも1つのトレイによって分離されている位置で二酸化炭素脱気カラムに供給される、供給物の第1の部分よりも高い温度を有する供給物の第2の部分(二酸化炭素脱気カラムから底部画分として抜き出される液体二酸化炭素枯渇流の一部と任意選択で混合される)への供給分岐を行うことで(ここで、二酸化炭素脱気カラムに供給される全廃水流に対する廃水流の第1の部分の質量流量比は0.01~0.6である)、二酸化炭素脱気カラムにおいて、非常に低いエネルギー需要および1%未満の最小限のアンモニア損失で、必要量の二酸化炭素を分離することが可能になるという驚くべき知見に基づく。本発明はさらに、工程a)の間に二酸化炭素の全部または本質的に全部を除去する(これはアンモニアの高い損失と関連する)必要はないが、さらなる方法工程中および所望の貯蔵温度での濃アンモニア水溶液中の塩沈殿を回避するのに十分な最小量の二酸化炭素を除去するだけでよいという知見に基づく。換言すれば、本発明は、工程a)において同程度の少量の二酸化炭素を除去することを可能にし、二酸化炭素の完全な除去と比較して、方法の運転コストをさらに低減する。特に、これは、複雑なプラントおよび運転コストの増加につながる二酸化炭素ストリッピング工程および/またはアンモニアストリッピング工程中に不活性ガスを使用する必要なく、また先行技術の方法のほとんどで必要とされるような、下流工程から上流工程へ大量のプロセス流をリサイクルする必要なく達成される。本発明による方法は、アンモニアストリッピング工程d)の前または最中にいかなる塩基も調整する必要なく、アンモニアおよび二酸化炭素含有廃水流からアンモニアを効率的に除去することを可能にし、したがって複雑なpH値制御ならびに苛性物質の取扱いおよび投入を回避する。したがって、供給物および/または液体二酸化炭素枯渇流への酸および/または塩基の添加は全く必要ではなく、このことは、方法および方法が実施されるプラントを容易にする。これは、二酸化炭素脱気カラムから底部画分として抜き出され、アンモニアストリッパーカラムに供給される液体二酸化炭素枯渇流が9.0以上のpH値を有し、したがって、アンモニアの全てまたは少なくとも大部分が、アンモニアストリッパーカラムにおいてストリッピングされることを可能にすることから解離されないで液体二酸化炭素枯渇流中に存在することを保証するpH値を有するという事実に起因する。以下でさらに詳細に説明するように、本発明は、熱統合によって方法中に生成されたプロセス流の熱を効率的に使用することをさらに可能にする。全体として、本発明は、アンモニアおよび二酸化炭素含有廃水流を処理して、濃アンモニア水溶液および精製廃水流を生成するためのプラントおよび方法であって、方法中および通常の貯蔵温度での生成された濃アンモニア水溶液中の塩沈殿を確実に回避し、特に非常にエネルギー効率および資本効率が高い、すなわち、非常に複雑でないプラントを必要とし、運転エネルギー需要が低いことを特徴とするプラントおよび方法を提供する。本発明が工程a)において同程度の少量の二酸化炭素を除去することを可能にする場合でも、本発明はまた、廃水流に含まれる全ての二酸化炭素を除去し、非常に純粋な水酸化アンモニウム溶液を生成することを可能にする。
【0007】
「溶解した」という用語は、本発明によれば、化合物の物理的溶解および化合物の化学的溶解を含む。したがって、アンモニア水溶液に溶解しているアンモニアという用語は、水に物理的に溶解しているアンモニア分子、ならびにアンモニアの水への化学的溶解から生じるアンモニウムイオンおよび水酸化物イオンを含む。同様に、アンモニア水溶液に溶解している二酸化炭素という用語は、水に物理的に溶解している二酸化炭素分子、ならびに炭酸水溶液、すなわち二酸化炭素の水への化学的溶解から生じる炭酸イオン、重炭酸イオン、カルバメートイオン、アンモニウムイオンおよびヒドロニウムイオンの混合物を含む。
【0008】
本発明によれば、工程b)において、9.0以上のpH値を有する液体二酸化炭素枯渇流は、二酸化炭素脱気カラムから底部画分として抜き出される。これは、二酸化炭素脱気装置において、廃水流から非常に多くの二酸化炭素が除去され、得られた液体二酸化炭素枯渇流において、9.0以上のpH値が生じることを意味する。例えば、したがって必要な条件は、以下でさらに説明する統計モデルを用いて計算されてもよい。したがって、上記のように、本発明による方法において、工程a)の間に二酸化炭素の全部または本質的に全部が除去されず、最小量の二酸化炭素のみが除去されたとしても、除去された最小量は、得られた液体二酸化炭素枯渇流において9.0以上のpH値を保証するのに十分に高い。好ましくは、工程b)で二酸化炭素脱気カラムから底部画分として抜き出される液体二酸化炭素枯渇流は、10.0以上のpH値を有する。さらに、工程b)で二酸化炭素脱気カラムから底部画分として抜き出される液体二酸化炭素枯渇流は、13.0以下、好ましくは12.0以下、より好ましくは11.0以下のpH値を有することが好ましい。工程b)で二酸化炭素脱気カラムから底部画分として抜き出される液体二酸化炭素枯渇流が9.0~11.0、最も好ましくは10.0~11.0のpH値を有する場合、良好な結果が特に得られる。
【0009】
上記のように、本特許出願は、濃アンモニア水溶液から最小限の二酸化炭素のみを除去することを可能にし、したがって、方法に必要なエネルギーを最小限に抑え、プラントに必要な分離装置を最小限に抑える。したがって、濃アンモニア水溶液は、ある程度まで二酸化炭素を含んでもよい。しかしながら、濃アンモニア水溶液の二酸化炭素含有量は、生成された濃アンモニア水溶液が、10℃の温度で少なくとも1日間貯蔵された場合、いかなる沈殿物も形成しない、特に炭酸アンモニウム沈殿物を形成しないように制限されることが好ましい。
【0010】
本発明によれば、9.0以上のpH値を有する液体二酸化炭素枯渇流は、工程b)で二酸化炭素脱気カラムから底部画分として抜き出され、液体二酸化炭素枯渇流は、工程c)でアンモニアストリッパーカラムに供給される。これは、二酸化炭素脱気カラムから底部画分として抜き出される液体二酸化炭素枯渇流が、アンモニアストリッパーカラムに直接供給されること、すなわち、二酸化炭素脱気カラムからの底部画分としての液体二酸化炭素枯渇流の抜出しと、この液体二酸化炭素枯渇流のアンモニアストリッパーカラムへの導入との間にいかなるさらなる方法工程もなく供給されることを意味する。特に、二酸化炭素脱気カラムからの底部画分としての液体二酸化炭素枯渇流の抜出しと、アンモニアストリッパーカラムへのその導入との間には、混合も相分離も行われない。
【0011】
本発明のさらに特定の好ましい実施形態によれば、工程e)において、ガス状アンモニア富化流および水に加えて不活性ガスがクエンチャーカラムに供給されない。さらにより好ましくは、方法全体において、いずれのカラムにも、すなわち二酸化炭素脱気カラム、アンモニアストリッパーカラムおよびクエンチャーカラムに不活性ガスが供給されない。これにより、必要なプラント投資コストおよび運転コストがさらに低減される。不活性ガスは、この文脈において、アンモニアと反応しない任意のガス、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム、酸素、空気またはコークス炉ガスを意味する。
【0012】
本発明の着想のさらなる発展形態では、二酸化炭素脱気カラムに供給される前もしくは供給されている間にそれぞれ廃水流もしくは供給物に、二酸化炭素脱気カラムに含まれる混合物に、アンモニアストリッパーカラムに供給される前もしくは供給されている間に液体二酸化炭素枯渇流に、またはアンモニアストリッパーカラムに含まれる混合物に、塩基および/または酸が添加されないことが示唆される。より好ましくは、方法全体において、いずれのプロセス流にも塩基および/または酸が添加されない。先行技術に記載されているアンモニアストリッピング方法とは対照的に、アンモニアストリッパーカラムに入る液体流およびアンモニアストリッパーカラムに含まれる混合物のpH値の調整が不要であることは、本発明のさらなる驚くべき知見である。これは、方法を容易にするだけでなく、運転コストをさらに低減する。
【0013】
さらに、本発明による方法の工程d)でアンモニアストリッパーカラムから抜き出された精製廃水流は、工程a)で使用された二酸化炭素脱気カラムに完全にも部分的にもリサイクルされないことが好ましい。
【0014】
さらに、工程a)において、i)廃水流の第1の部分ならびにii)廃水流の第2の部分および/または二酸化炭素脱気装置から底部画分として抜き出される液体二酸化炭素枯渇流の一部と廃水流の第2の部分との混合物に加えて、二酸化炭素脱気カラムにさらなる流が供給されないことが好ましい。
【0015】
本発明は、アンモニアおよび二酸化炭素含有廃水流の種類に関して特に限定されない。例えば、廃水流は、濾過もしくは遠心分離された発酵ブロス、嫌気的に消化された牛の排泄物、または発酵槽からの、もしくは農業廃棄物もしくは都市廃棄物の嫌気性消化によるバイオガスの生成からの任意の排出物であってもよい。工程a)に供給された廃水流が、0.05重量%超~0.65重量%の溶解アンモニア、0.10~0.79重量%の溶解二酸化炭素、および0~1重量%の有機固体を含む場合、良好な結果が特に得られる。例えば、有機固体の含有量は、0重量%超~1重量%、例えば0.10~1.00重量%、0.20~1.00重量%または0.50~1.00重量%であってもよい。有機固体は、糖、タンパク質、細胞破片、分解分子、バイオマスなどであってもよい。廃水のさらなる任意選択の成分は、メタノール、エタノール、酢酸エチル、酢酸、およびアンモニア塩または炭酸塩とは異なる塩であってもよい。
【0016】
本発明によれば、i)廃水流の第1の部分は、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも1つの床の上、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも1つの床の上または少なくとも1つのトレイの上の位置で供給され、ii)第1の部分よりも高い温度を有する廃水流の第2の部分、および/または第1の部分よりも高い温度を有する二酸化炭素脱気カラムから底部画分として抜き出される液体二酸化炭素枯渇流の一部と廃水流の第2の部分との混合物は、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも1つの床の下、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも1つの床の下または少なくとも1つのトレイの下の位置で二酸化炭素脱気カラムに供給され、上方で廃水流の第1の部分が供給される1つ以上のランダムパッキングの床、1つ以上の構造化パッキングの床またはトレイは、下方で廃水流の第2の部分および/または液体二酸化炭素枯渇流の一部と廃水流の第2の部分との混合物が供給される1つ以上のランダムパッキングの床、1つ以上の構造化パッキングの床またはトレイと同じであるかまたはその上に位置する。これは、廃水流の第1の部分が供給される位置と、廃水流の第2の部分が二酸化炭素脱気カラムに供給される位置とが、少なくとも1つ以上のランダムパッキングの床、1つ以上の構造化パッキングの床またはトレイによって分離されていることを意味する。例えば、二酸化炭素脱気カラムが、1つ以上のランダムパッキングの5つの床、1つ以上の構造化パッキングの5つの床または5つのトレイを備える場合、廃水流の第1の部分は、二酸化炭素脱気カラムの頂部から底部に見て1つ以上のランダムパッキングの第1~第4の床、1つ以上の構造化パッキングの第1~第4の床または第1~第4のトレイのいずれかの上の二酸化炭素脱気カラムに供給されてもよく、一方、廃水流の第2の部分は、廃水流の第1の部分のものの下の1つ以上のランダムパッキングの少なくとも1つの床、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも1つの床または少なくとも1つのトレイである位置で供給されてもよい。
【0017】
本発明は、二酸化炭素脱気カラムに含まれる1つ以上のランダムパッキングを含む床の数、1つ以上の構造化パッキングを含む床の数またはトレイの数に関して特に限定されない。例えば、二酸化炭素脱気カラムは、1つ以上のランダムパッキングの1つの床、1つ以上の構造化パッキングの1つの床または1つのトレイを備えてもよく、廃水流の第1の部分は、上方で、廃水流の第2の部分および/または液体二酸化炭素枯渇流の一部と廃水流の第2の部分との混合物は、1つ以上のランダムパッキングの床の下、1つ以上の構造化パッキングの床の下またはトレイの下で、二酸化炭素脱気カラムに供給される。構造化パッキングの好適な例は、クロスチャネル構造化パッキングである。
【0018】
本発明の代替実施形態によれば、二酸化炭素脱気カラムは、互いに上下の、1つ以上のランダムパッキングの2つの床、1つ以上の構造化パッキングの2つの床または2つのトレイを備え、廃水流の第1の部分は、最上部の上の位置で、廃水流の第2の部分は、1つ以上のランダムパッキングの最下床の下、1つ以上のランダムパッキング構造化パッキングの最下床の下または最下トレイの下の位置で、二酸化炭素脱気カラムに供給される。
【0019】
本発明の方法の運転コストをさらに低減するために、本発明の着想のさらなる発展形態では、廃水流の第2の部分および/または二酸化炭素脱気カラムから底部画分として抜き出される液体二酸化炭素枯渇流の一部と廃水流の第2の部分との混合物が、二酸化炭素脱気カラムに導入される前に加熱されることが示唆される。熱媒体として、部分凝縮によって工程d)で抜き出されたガス状アンモニア富化流から得られた水富化凝縮物流、工程d)で抜き出された精製廃水流、および工程b)で抜き出された液体二酸化炭素枯渇流または液体二酸化炭素枯渇流の一部の1つ以上を熱交換器で使用してもよい。必要に応じて、前述の内部プロセス流に加えて、またはその代わりに、外部熱媒体を使用してもよい。外部熱媒体は、例えば、蒸気、熱油または圧縮温水であってもよい。例えば、i)廃水流の第2の部分は、二酸化炭素脱気カラムに供給される前に、熱交換器で加熱されてもよく、部分凝縮によって工程d)で抜き出されたガス状アンモニア富化流から得られた水富化凝縮物流は、熱交換器で熱媒体として使用され、かつ/またはii)廃水流の第2の部分は、二酸化炭素脱気カラムに供給される前に、熱交換器で加熱されてもよく、工程d)で抜き出された精製廃水流は、熱交換器で熱媒体として使用され、かつ/またはiii)廃水流の第2の部分は、二酸化炭素脱気カラムに供給される前に、熱交換器で加熱されてもよく、工程b)で抜き出された液体二酸化炭素枯渇流または液体二酸化炭素枯渇流の一部は、熱交換器で熱媒体として使用される。熱交換器は、例えば、シェルチューブ熱交換器またはプレート・フレーム熱交換器であってもよい。
【0020】
本発明の特定の好ましい実施形態によれば、i)廃水流の第2の部分は、二酸化炭素脱気カラムに供給される前に、(第1の)熱交換器で加熱され、部分凝縮によって工程d)で抜き出されたガス状アンモニア富化流から得られた水富化凝縮物流は、(第1の)熱交換器で熱媒体として使用され、その後、ii)廃水流の第2の部分は、二酸化炭素脱気カラムに供給される前に、(第2の)熱交換器で加熱され、工程d)で抜き出された精製廃水流は、(第2の)熱交換器で熱媒体として使用される。この実施形態において、(第2の)熱交換器の下流で、iii)廃水流の第2の部分、および/または二酸化炭素脱気カラムから底部画分として抜き出される液体二酸化炭素枯渇流の一部と廃水流の第2の部分との混合物が、二酸化炭素脱気カラムに供給される前に、(第3の)熱交換器内で加熱され、工程b)で抜き出された液体二酸化炭素枯渇流または液体二酸化炭素枯渇流の一部が、熱交換器で熱媒体として使用される場合、良好な結果が特に得られる。ここでも、熱交換器は、例えば、シェルチューブ熱交換器またはプレート・フレーム熱交換器であってもよい。
【0021】
特に、廃水流の第2の部分を加熱/エバポレートさせるために内部エネルギーを超えることが必要な場合、廃水流の第2の部分、または二酸化炭素脱気カラムから底部画分として抜き出される液体二酸化炭素枯渇流の一部と廃水流の第2の部分との混合物は、任意選択で1つ以上の熱交換器、例えば前述の熱交換器で加熱された後、外部熱媒体を備えたエバポレーターで加熱/エバポレートされてもよく、その後、廃水流の加熱/エバポレートされた第2の部分、または二酸化炭素脱気カラムから底部画分として抜き出される液体二酸化炭素枯渇流の一部と廃水流の第2の部分との混合物は、二酸化炭素脱気カラムに供給される。廃水流の第2の部分のエバポレート流、または液体二酸化炭素枯渇流の一部と廃水流の第2の部分との混合物を二酸化炭素脱気カラムに組み込むことは、この流の蒸気画分が液体と混合せず、したがって二酸化炭素脱気カラムの(液体)底部画分を希釈しないが、二酸化炭素脱気カラムの蒸気として上方に上昇するという利点を有する。
【0022】
代替として、廃水流の第2の部分、および/または二酸化炭素脱気カラムから底部画分として抜き出される液体二酸化炭素枯渇流の一部と廃水流の第2の部分との混合物を熱交換器でエバポレートさせる代わりに、この流を液体として二酸化炭素脱気カラムのサンプに供給することができ、さらに、低圧ストリッピング蒸気が同じカラムのサンプに供給される。
【0023】
上記のように、廃水流の第2の部分は、二酸化炭素脱気カラムに直接、すなわちいかなる物質も添加せずに供給されてもよい。
【0024】
しかしながら、上記のように、本発明の着想のさらなる発展形態では、二酸化炭素脱気カラムから底部画分として抜き出される液体二酸化炭素枯渇流の一部が、廃水流の第2の部分と混合された後、そのようにして得られた混合物が二酸化炭素脱気カラムに供給されることが示唆される。これにより、二酸化炭素脱気カラムから底部画分として抜き出される混合された液体二酸化炭素枯渇流の追加の熱のために、廃水流の第2の部分は、液体二酸化炭素枯渇流に導入される前に効率的に加熱/エバポレートされる。
【0025】
二酸化炭素脱気カラムに供給される廃水流の第1の部分が、10~50℃、好ましくは30~40℃の温度を有する一方で、二酸化炭素脱気カラムに供給される廃水流の第2の部分が、二酸化炭素脱気カラムの入口で70~160℃、より好ましくは100~130℃の温度を有する場合、良好な結果が特に得られる。
【0026】
上記のように、二酸化炭素脱気カラムに供給される全廃水流に対する廃水流の第1の部分の質量流量比は、0.01~0.6である。廃水流の第1の部分と廃水流の第2の部分の合計は、全廃水流である。例えば、二酸化炭素脱気カラムに供給される全廃水流に対する廃水流の第1の部分の質量流量比は、0.1超~0.6、例えば0.1超~0.5、0.1超~0.4、0.1超~0.3または0.1超~0.2である。
【0027】
工程a)の間の二酸化炭素脱気カラム内の圧力が少なくとも本質的に大気圧、例えば0.095~0.1013MPaの間、または大気圧、すなわち0.1013MPaである場合、良好な結果が特に得られる。しかしながら、本発明では、二酸化炭素脱気カラム内の圧力が大気圧を上回る場合、工程a)においてアンモニア損失が最小限に抑えられることが分かった。したがって、工程a)の間の二酸化炭素脱気カラム内の圧力は、0.1013MPa超~0.6MPa、さらにより好ましくは0.1013MPa超~0.4MPa、さらにより好ましくは0.15MPa~0.3MPa、最も好ましくは0.15MPa~0.25MPaであることがより好ましい。
【0028】
工程a)の間に二酸化炭素脱気カラムで得られた二酸化炭素枯渇比、すなわち、工程a)でガス状二酸化炭素富化流で除去された二酸化炭素量をアンモニアおよび二酸化炭素含有廃水流に含まれる二酸化炭素量で割った比は、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも70%になるように調整される。さらに、工程a)の間の二酸化炭素脱気カラムでのアンモニア損失、すなわち、工程a)でガス状二酸化炭素富化流で除去されたアンモニア量をアンモニアおよび二酸化炭素含有廃水流に含まれるアンモニア量で割った比は、好ましくは多くとも5%、最も好ましくは少なくとも1%になるように調整されることが好ましい。
【0029】
好ましくは、工程b)で抜き出されるガス状二酸化炭素富化流は、廃水流に含まれる5重量%未満、より好ましくは1重量%未満、最も好ましくは0.1重量%未満のアンモニアを含有する。
【0030】
工程b)で抜き出される液体二酸化炭素枯渇流は、好ましくは、0.5重量%未満の溶解二酸化炭素および0~2重量%の溶解アンモニアを含有し、100~130℃の温度を有する。本発明では、二酸化炭素脱気カラムのサンプ温度は150℃を超えるべきではないことが分かった。
【0031】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、工程c)の間に、圧力が0.09~0.13MPaになるようにアンモニアストリッパーカラム内で調整され、温度が90~120℃になるようにアンモニアストリッパーカラム内で調整される。
【0032】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、工程a)における二酸化炭素脱気カラムの運転パラメータは、以下の統計モデルによって最適化されてもよい。統計モデルは、CO2脱気カラムに関連する運転パラメータカラム圧力および供給分岐比の最適値を計算することを可能にする。統計モデルは、0.05重量%超~0.65重量%の溶解アンモニアおよび0.10重量%~0.79重量%の溶解二酸化炭素を含む工程a)に供給されるアンモニアおよび二酸化炭素含有廃水流について特に信頼性があり、得られた濃アンモニア水溶液の意図される貯蔵温度は5~30℃であり、貯蔵中に、濃アンモニア水溶液中に沈殿物は形成されない。
【0033】
最適な方法構成を選択するために、決定変数が定義され、決定変数は、以下のように定義され、
パラメータp
ij、q
jkおよびr
kは、以下の表に与えられ、
変数は、以下のように定義される。
f
b,A-決定変数A、
T
S-(最終生成物の)貯蔵温度、
c
CO2-供給物中の二酸化炭素濃度、
c
NH3-供給物中のアンモニア濃度、
i、j、k-指数としても使用される総和指数。
【0034】
最適な方法構成の決定は、計算結果に基づく。
【0035】
fb,A≦0である場合、最適な方法は、前述の熱交換工程i)~iii)のうちの3つを含み、すなわち、i)廃水流の第2の部分は、二酸化炭素脱気カラムに供給される前に、熱交換器で加熱され、部分凝縮によって工程d)で抜き出されたガス状アンモニア富化流から得られた水富化凝縮物流は、(第1の)熱交換器で熱媒体として使用され、ii)廃水流の第2の部分は、二酸化炭素脱気カラムに供給される前に、熱交換器で加熱され、工程d)で抜き出された精製廃水流は、熱交換器で熱媒体として使用され、iii)廃水流の第2の部分、および/または二酸化炭素脱気カラムから底部画分として抜き出される液体二酸化炭素枯渇流の一部と廃水流の第2の部分との混合物は、二酸化炭素脱気カラムに供給される前に、熱交換器で加熱され、工程b)で抜き出された液体二酸化炭素枯渇流または液体二酸化炭素枯渇流の一部は、熱交換器で熱媒体として使用される。この場合、供給分岐比およびカラム圧力は、以下の式2および式3を用いて計算される必要がある。
【0036】
fb,A>0である場合、最適な方法は、前述の熱交換工程i)~iii)のうちの2つを含む。この場合、供給分岐比は以下の式2で計算される必要があり、カラム圧力は101,000Paである。
【0037】
最適な供給分岐比および最適なカラム圧力は、以下の式2および式3に従って計算され、
f
CS=f
fおよびp
Col=f
Pであり、モデルパラメータa
ijkおよびb
ijkは、以下の表に与えられ、
変数は、以下のように定義される。
f
CS-供給分岐比、
p
col-カラム頂部圧力、
f
b,C-決定変数C、
T
S-(最終生成物の)貯蔵温度、
c
CO2-供給物中の二酸化炭素濃度、
c
NH3-供給物中のアンモニア濃度、
i、j、k-指数としても使用される総和指数。
【0038】
高い分離効率を得るために、本発明の着想のさらなる発展形態では、アンモニアストリッパーカラムが、1つ以上のランダムパッキングによって構成される1つ以上の床、1つ以上の構造化パッキングまたは1つ以上のトレイによって構成される1つ以上の床を備えるがことが示唆される。アンモニアストリッパーカラムが、1つ以上のランダムパッキングを含む少なくとも2つの床、1つ以上の構造化パッキングを含む少なくとも2つの床または少なくとも2つのトレイを備え、少なくとも2つの床またはトレイが、互いに上下に配置され、液体二酸化炭素枯渇流が、1つ以上のランダムパッキングの2つの隣接する床の間、1つ以上の構造化パッキングの2つの隣接する床の間または2つの隣接するトレイの間の位置でアンモニアストリッパーカラムに供給され、工程d)において、エバポレートされた液体精製廃水流が、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも2つの床の下、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも2つの床の下または少なくとも2つのトレイの下でアンモニアストリッパーカラムに戻される場合、特に良好な結果が得られる。例えば、アンモニアストリッパーカラムは、前述の実施形態では、互いに上下に配置された2つのそのような床またはトレイを正確に備える。上記でさらに述べたように、アンモニアストリッパーカラムに不活性ガス流が供給されないことが好ましい。
【0039】
工程d)で抜き出される精製廃水流は、多くとも1.000ppm、より好ましくは多くとも500ppm、さらにより好ましくは多くとも250ppm、さらにより好ましくは多くとも150ppm、さらにより好ましくは50ppm未満、最も好ましくは10ppm未満の溶解アンモニアを含有することが好ましい。
【0040】
さらに、工程d)でアンモニアストリッパーカラムに戻されるエバポレートされた精製廃水流の一部が、100~120℃の温度を有することが好ましい。
【0041】
本発明のさらに特定の好ましい実施形態によれば、工程d)でアンモニアストリッパーカラムから抜き出されるガス状アンモニア富化流は、ガス状アンモニア富化流を110~130℃の温度まで圧縮および加熱するように、好ましくは多段ターボファン圧縮機である圧縮機を通って導かれ、圧縮および加熱されたガス状アンモニア富化流は、次いで、熱交換器を通って導かれ、そこで、工程d)でエバポレートされる液体精製廃水流を加熱およびエバポレートさせ、その際に、圧縮および加熱されたガス状アンモニア富化流は部分的に凝縮し、その凝縮部分は、分離されて任意選択で熱交換器を介してアンモニアストリッパーカラムに戻されるが、その非凝縮部分は、工程e)でガス状アンモニア富化流としてクエンチャーカラムに供給される。加熱されたガス状アンモニア富化流の凝縮部分は、上述のように、廃水流の第2の部分を加熱するためのヘッド交換器を通って導かれてもよい。
【0042】
前述の好ましい実施形態では、それによれば、アンモニアストリッパーカラムが、1つ以上のランダムパッキングを含む少なくとも2つの床、1つ以上の構造化パッキングを含む少なくとも2つの床または少なくとも2つのトレイを備えるが、圧縮および加熱されたガス状アンモニア富化流の凝縮部分が、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも2つの床、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも2つの床または少なくとも2つのトレイの上の位置でアンモニアストリッパーカラムに戻されることが特に好ましい。
【0043】
良好な分離効率を考慮すると、クエンチャーカラムが、1つ以上のランダムパッキングを含む少なくとも2つの床、1つ以上の構造化パッキングを含む少なくとも2つの床または少なくともトレイを備え、少なくとも2つの床またはトレイが、互いに上下に配置され、水が、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも2つの床の最上部、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも2つの床の最上部またはトレイの最上部の上の位置でクエンチャーカラムに供給され、ガス状アンモニア富化流が、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも2つの床の最下部、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも2つの床の最下部または少なくとも2つのトレイの最下部の下の位置でクエンチャーカラムに供給されることがさらに好ましい。
【0044】
本発明の着想のさらなる発展形態では、工程e)でクエンチャーカラムの底部から抜き出される濃アンモニア水溶液の一部が、クエンチャーカラムに、好ましくは1つ以上のランダムパッキングの2つの隣接する床、1つ以上のランダム構造化パッキングの2つの隣接する床または2つの隣接するトレイの間の位置で戻されることが提案される。
【0045】
好ましくは、工程e)でクエンチャーカラムから抜き出される濃アンモニア水溶液は、少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも15重量%、さらにより好ましくは少なくとも20重量%、最も好ましくは少なくとも25重量%の溶解アンモニアを含有する。オーバーヘッド画分としてクエンチャーカラムから抜き出されるベントガス流は、10ppm未満のアンモニアを含有する。
【0046】
別の態様によれば、本発明は、アンモニアおよび二酸化炭素含有廃水流を処理して、少なくとも5重量%の溶解アンモニアおよび多くとも20重量%の溶解二酸化炭素を含有する濃アンモニア水溶液、ならびに多くとも1.000ppmの溶解アンモニアを含有する精製廃水流を生成するためのプラントであって、
i)1つ以上のランダムパッキングの少なくとも1つの床、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも1つの床または少なくとも1つのトレイと、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも1つの床の上、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも1つの床の上または少なくとも1つのトレイの上の位置で二酸化炭素脱気カラムに入る第1の供給入口ラインと、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも1つの床の下、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも1つの床の下または少なくとも1つのトレイの下の位置で二酸化炭素脱気カラムに入る供給物または供給物と液体二酸化炭素枯渇流との混合物のための第2の入口ラインと(ここで、上方で第1の供給入口ラインが二酸化炭素脱気カラムに入る1つ以上のランダムパッキングの床、1つ以上の構造化パッキングの床またはトレイは、下方で供給物または供給物と液体二酸化炭素枯渇流との混合物のための第2の入口ラインが二酸化炭素脱気カラムに入る1つ以上のランダムパッキングの床、1つ以上の構造化パッキングの床またはトレイと同じであるかまたはその上に位置する)、ガス状二酸化炭素富化流のためのオーバーヘッド出口ラインと、液体二酸化炭素枯渇流のための底部出口ラインとを備える二酸化炭素脱気カラムと、
ii)二酸化炭素脱気カラムの底部出口ラインに直接接続されている入口ラインと、ガス状アンモニア富化流のためのオーバーヘッド出口ラインと、精製廃水流のための底部出口ラインと、底部出口ラインに接続されている戻りラインとを備えるアンモニアストリッパーカラムであって、底部出口ラインおよび/または戻りラインが、エバポレーターを通って通じている、アンモニアストリッパーカラムと、
iii)アンモニアストリッパーカラムのオーバーヘッド出口ラインに直接的または間接的に接続されている入口ラインと、水のための入口ラインと、濃アンモニア水溶液のための出口ラインとを備えるクエンチャーカラムと、
を備えるプラントに関する。
【0047】
二酸化炭素脱気カラムの底部出口ラインに直接接続されている入口ラインを備えるアンモニアストリッパーカラムは、底部出口ラインとアンモニアストリッパーカラムへの入口ラインとの間に、特にそれぞれミキサーおよび/または相分離器または沈降器が配置されていないなど、さらなるデバイスが配置されていないことを意味する。さらに、塩基および/または酸投入ラインは、底部出口ラインおよびアンモニアストリッパーカラムへの入口ラインのいずれとも合流しない。
【0048】
プラントは、第1の供給入口ラインと、供給物または供給物と液体二酸化炭素枯渇流との混合物のための第2の入口ラインとに分岐する(中央)供給ラインを備えてもよい。あるいは、(中央)供給ラインは、第1の供給入口ラインと第2の供給ラインとに分岐し、第2の供給ラインは、供給物または供給物の混合物のための第2の入口ラインに通じる。最後に述べた代替案では、第2の供給ラインは、好ましくは、液体二酸化炭素枯渇流のためのリサイクルラインと合流し、したがって、供給物の混合物のための第2の入口ラインを形成し、リサイクルラインは、二酸化炭素脱気カラムの液体二酸化炭素枯渇流のための底部出口ラインから分岐する。
【0049】
本発明は、二酸化炭素脱気カラムに含まれる1つ以上のランダムパッキングを含む床の数、1つ以上の構造化パッキングを含む床の数またはトレイの数に関して特に限定されない。例えば、二酸化炭素脱気カラムは、1つ以上のランダムパッキングの1つの床、1つ以上の構造化パッキングの1つの床または1つのトレイを備えてもよく、廃水流の第1の部分は、上方で、廃水流の第2の部分は、1つ以上のランダムパッキングの床、1つ以上の構造化パッキングの床またはトレイの下で、二酸化炭素脱気カラムに供給される。構造化パッキングの好適な例は、クロスチャネル構造化パッキングである。
【0050】
本発明の代替実施形態によれば、二酸化炭素脱気カラムは、互いに上下の、1つ以上のランダムパッキングの2つの床、1つ以上の構造化パッキングの2つの床または2つのトレイを備え、第1の供給入口ラインは、1つ以上のランダムパッキングの上部床の上、1つ以上の構造化パッキングの上部床の上または上部トレイの上の位置で二酸化炭素脱気カラムに入り、供給物または供給物と液体二酸化炭素枯渇流との混合物のための第2の入口ラインは、1つ以上のランダムパッキングの下部床の下、1つ以上の構造化パッキングの下部床の下または下部トレイの下の位置で二酸化炭素脱気カラムに入る。
【0051】
本発明の着想のさらなる発展形態では、プラントは、i)a)第2の供給ラインまたは第2の入口ラインおよびb)ガス状アンモニア富化流のためのオーバーヘッド出口ラインに接続されている凝縮物ラインが導かれる熱交換器、および/またはii)c)第2の供給ラインまたは第2の入口ラインおよびd)アンモニアストリッパーカラムの精製廃水流のための底部出口ラインが導かれる熱交換器、および/またはiii)e)第2の供給ラインまたは第2の入口ラインおよびf)二酸化炭素脱気カラムの液体二酸化炭素枯渇流のための底部出口ラインが導かれる熱交換器をさらに備えることが示唆される。
【0052】
好ましくは、プラントは、i)第2の供給ラインおよび凝縮物ラインがガス状アンモニア富化流のためのオーバーヘッド出口ラインに接続されている熱交換器と、その下流のii)第2の供給ラインおよびアンモニアストリッパーカラムの精製廃水流のための底部出口ラインが導かれる熱交換器とを備える。
【0053】
プラントが熱交換器ii)の下流にiii)第2の供給ラインおよび二酸化炭素脱気カラムの液体二酸化炭素枯渇流のための底部出口ラインが導かれる熱交換器をさらに備える場合、良好な結果が特に得られる。
【0054】
プラントは、任意選択で、前述の熱交換器のうちの1つ以上の下流に、外部熱媒体のための入口および出口ライン、ならびに供給物または供給物と液体二酸化炭素枯渇流との混合物のための第2の入口ラインのための入口および出口を備えるエバポレーターをさらに備えてもよい。
【0055】
本発明のさらに特に好ましい実施形態によれば、アンモニアストリッパーカラムは、互いに上下に配置された、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも2つの床、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも2つの床または少なくとも2つのトレイを備え、二酸化炭素脱気カラムの底部出口ラインに接続されている入口ラインは、1つ以上のランダムパッキングの2つの隣接する床の間、1つ以上の構造化パッキングの2つの隣接する床の間または2つの隣接するトレイの間の位置でアンモニアストリッパーカラムに入り、戻りラインは、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも2つの床の下、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも2つの床の下または少なくとも2つのトレイの下の位置でアンモニアストリッパーカラムに入り、任意選択で、別の戻りラインは、ランダムパッキング、構造化パッキングのいずれかの少なくとも2つの床またはトレイの上の位置でアンモニアストリッパーカラムに入る。
【0056】
プラントは、好ましくは多段ターボファン圧縮機である圧縮機をさらに備えてもよく、圧縮機は、アンモニアストリッパーカラムのガス状アンモニア富化流のためのオーバーヘッド出口ラインおよび出口ラインに接続される。圧縮機の下流には、好ましくは熱交換器が配置され、熱交換器には、圧縮機の出口ラインおよびアンモニアストリッパーカラムの精製廃水流のための底部出口ラインが導かれ、エバポレーターは、クエンチャーカラムの入口ラインに接続される。
【0057】
本発明の着想のさらなる発展形態では、前述のエバポレーターは、好ましくはアンモニアストリッパーカラムへの戻りラインである第2のラインにも接続されることが提案される。好ましくは、第2のラインまたは戻りラインはそれぞれ、ランダムパッキングおよび/または構造化パッキングの少なくとも2つの床の上の位置でアンモニアストリッパーカラムに接続される。
【0058】
本発明のなおさらなる特に好ましい実施形態によれば、プラントのクエンチャーカラムは、互いに上下に配置された、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも2つの床、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも2つの床または少なくとも2つのトレイを備え、水のための入口ラインは、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも2つの床、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも2つの床または少なくとも2つのトレイの最上部の上の位置でクエンチャーカラムに入り、アンモニアストリッパーカラムのオーバーヘッド出口ラインに直接的または間接的に接続されている蒸気入口ラインは、1つ以上のランダムパッキングの少なくとも2つの床、1つ以上の構造化パッキングの少なくとも2つの床または少なくとも2つのトレイの最下部の下の位置でクエンチャーカラムに入る。
【0059】
好ましくは、プラントは、クエンチャーカラムの濃アンモニア水溶液のための出口ラインに接続され、クエンチャーカラムに戻る戻りラインをさらに備える。
【0060】
戻りラインが、1つ以上のランダムパッキングの2つの隣接する床、1つ以上の構造化パッキングの2つの隣接する床または2つの隣接するトレイの間の位置でクエンチャーカラムに入ることがさらに好ましい。
【0061】
続いて、本発明を、限定するものではないが例示的な図によって説明する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】本発明の例示的な一実施形態によるプラントの概略図である。
【
図2】本発明の別の例示的な実施形態によるプラントの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図1に示すアンモニアおよび二酸化炭素含有廃水流を処理して、少なくとも5重量%の溶解アンモニアおよび多くとも20重量%の溶解二酸化炭素を含有する濃アンモニア水溶液、ならびに多くとも1.000ppmの溶解アンモニアを含有する精製廃水流を生成するためのプラント10は、二酸化炭素脱気カラム12と、アンモニアストリッパーカラム14と、クエンチャーカラム16とを備える。二酸化炭素脱気カラム12は、第1の供給入口ライン18と、供給物と液体二酸化炭素枯渇流との混合物のための第2の供給入口ライン20と、構造化パッキングの床22とを備え、第1の供給入口ライン18は、構造化パッキングの床22の上の位置で二酸化炭素脱気カラム12に入り、第2の供給入口ライン20は、構造化パッキングの床22の下の位置で二酸化炭素脱気カラム12に入る。プラントは、第1の供給入口ライン18と第2の供給ライン25とに分岐する中央供給入口ライン24をさらに備え、第2の供給ライン25は、供給物と液体二酸化炭素枯渇流との混合物のための第2の供給入口ライン20に通じる。より具体的には、第2の供給ライン25は、中央供給入口ライン24から下流方向に見て、第1の熱交換器26および第2の熱交換器28を通り、次いで、エバポレーター(リボイラー)30を通る第2の供給入口ライン20に通じ、それにより、第2の供給ライン25における供給物の第2の部分および第2の供給入口ライン20における供給物と液体二酸化炭素枯渇流との混合物が加熱されてエバポレートされ、供給物と液体二酸化炭素枯渇流とのエバポレートされた混合物が二酸化炭素脱気カラム12に入る。二酸化炭素脱気カラム12は、ガス状二酸化炭素富化流のためのオーバーヘッド出口ライン32と、液体二酸化炭素枯渇流のための底部出口ライン34とをさらに備える。液体二酸化炭素枯渇流のための底部出口ライン34は、リサイクルライン35とアンモニアストリッパーカラム14への入口ライン36とに分岐し、リサイクルライン35は、供給物と液体二酸化炭素枯渇流との混合物のための第2の供給入口ライン20への第2の供給ライン25に合流する。
【0064】
アンモニアストリッパーカラム14は、互いに上下に配置された構造化パッキングの2つの床38、38’を備え、二酸化炭素脱気カラム12の底部出口ライン34に接続されている入口ライン36は、構造化パッキングの2つの隣接する床38、38’の間の位置でアンモニアストリッパーカラム14に入る。アンモニアストリッパーカラム14は、ガス状アンモニア富化流のためのオーバーヘッド出口ライン40と、精製廃水流のための底部出口ライン42と、精製廃水流の一部を抜き出し、それをアンモニアストリッパーカラム14に戻すための底部出口ライン42に接続されている戻りライン44とをさらに備える。戻りライン44は、底部出口ライン42から分岐し、エバポレーター(リボイラー)46を通り、次いで、構造化パッキングの下部床38’の下の位置でアンモニアストリッパーカラム14に入る。底部出口ライン42は、熱交換器28を通ってプラント10から出る。プラント10は、好ましくは多段ターボファン圧縮機である圧縮機48をさらに備え、圧縮機は、アンモニアストリッパーカラム14のガス状アンモニア富化流のためのオーバーヘッド出口ライン40に接続され、さらに圧縮機48をエバポレーター(リボイラー)46に接続するライン50に接続される。エバポレーター(リボイラー)46は、その一方がクエンチャーカラム16の蒸気入口ライン54に接続されており、他方がアンモニアストリッパーカラム14への凝縮物戻りライン56に接続されている2つの出口を有し、凝縮物戻りライン56は、熱交換器26を通り、構造化パッキングの上部床38の上の位置でアンモニアストリッパーカラム14に入る。
【0065】
また、クエンチャーカラム16は、互いに上下に配置された構造化パッキングの2つの床58、58’を備える。さらに、クエンチャーカラム16は、構造化パッキングの2つの床58の最上部の上の位置でクエンチャーカラム16に入る水のための入口ライン60を備え、一方、アンモニアストリッパーカラム14のオーバーヘッド出口ライン40に間接的に接続されている入口ライン54は、構造化パッキングの2つの床58’の最下部の下の位置でクエンチャーカラム16に入る。さらに、クエンチャーカラム16は、熱交換器66を通る濃アンモニア水溶液のための出口ライン62を備える。熱交換器66の下流で、ライン62は、構造化パッキングの2つの隣接する床58、58’の間の位置でクエンチャーカラム16に戻るように分岐し、生成アンモニア溶液が得られるバッテリーリミット外へのラインに分岐する。最後に、クエンチャーカラム16は、クエンチャーカラム16からベントガスを抜き出すための出口ライン68を備える。
【0066】
図2に示すアンモニアおよび二酸化炭素含有廃水流を処理するためのプラント10は、さらなる熱交換器70をさらに備え、熱交換器70を通って、アンモニアストリッパーカラム14の入口ライン36が二酸化炭素脱気カラム12の底部出口ライン34に接続され、第2の供給ライン25を通って導かれた供給物の第2の部分を加熱するために第2の供給ライン25が通じていることを除いて、
図1に示すものと同じである。
【0067】
図1および
図2に示すプラント10の運転中、濾過された発酵ブロスまたは嫌気的に消化された牛の排泄物などのアンモニアおよび二酸化炭素含有廃水流は、中央供給入口ライン24を介してプラントに供給物として導かれる。供給物は、第1の供給入口ライン18を介して構造化パッキング22の上の二酸化炭素脱気カラム12に導入される廃水流の第1の部分と、廃水流の第2の部分とに分岐される。本発明によれば、廃水流の第1の部分の質量流量比は、二酸化炭素脱気カラムに供給される全廃水流に対して0.01~0.6になるように調整される。
【0068】
廃水流の第2の部分は、廃水流の第2の部分を加熱するために、
図1の実施形態では熱交換器26、28を介して、
図2の実施形態ではエバポレーター26、28、70を介して、第2の供給ライン25を介して供給される。廃水流の第2の部分は、ライン40、50、56を介してオーバーヘッド画分としてアンモニアストリッパーカラム14から抜き出される凝縮液体流によって熱交換器26で加熱されるが、廃水流は、ライン42を介してアンモニアストリッパーカラム14から底部画分として抜き出される精製廃水流によって熱交換器28で加熱され、廃水流は、ライン34、36を介して二酸化炭素脱気カラム12から底部画分として抜き出される液体二酸化炭素枯渇流の一部によって
図2の実施形態の熱交換器70で加熱される。その下流で、廃水流の加熱された第2の部分は、ライン34、35を介して二酸化炭素脱気カラム12から底部画分として抜き出される液体二酸化炭素枯渇流の一部とライン20の入口で合流し、そのようにして得られた混合物は、外部熱媒体によってエバポレーター(リボイラー)30でエバポレートされる。廃水流の第2の部分と二酸化炭素枯渇流の一部とのエバポレートされた混合物は、構造化パッキング22の下の二酸化炭素脱気カラム12に導入され、二酸化炭素脱気カラム12内で上方に上昇するが、二酸化炭素脱気カラム12の頂部に供給される廃水流のより冷たい第1の部分は、二酸化炭素脱気カラム12内で下方に滴下する。構造化パッキング22によって二相間の熱および物質移動が増加するため、水および低画分のアンモニアと共に富化された純粋なガス状二酸化炭素が液相から分離され、二酸化炭素脱気カラム12からライン32を通ってオーバーヘッド画分として抜き出される。次いで、液体画分が二酸化炭素から枯渇し、液体二酸化炭素枯渇流が、ライン34を通って底部画分として二酸化炭素脱気カラム12から抜き出される。
【0069】
液体二酸化炭素枯渇流は、
図1の実施形態ではライン36を通って直接アンモニアストリッパーカラム14に導かれ、
図2の実施形態では最初に熱交換器70を通り、次いでライン36を通ってアンモニアストリッパーカラム14に導かれる。ライン42を通ってアンモニアストリッパーカラム14から抜き出される底部画分の一部は、熱交換器(リボイラー)46でエバポレートされ、戻りライン44を通ってアンモニアストリッパーカラム14に戻される。構造化パッキング38、38’によって二相間の熱および物質移動が増加するため、残りの二酸化炭素およびいくらかの水と共に富化されたガス状アンモニアが液相から分離され、アンモニアストリッパーカラム14からライン40を通ってオーバーヘッド画分として抜き出される。次いで、精製液体廃水流が、アンモニアおよび二酸化炭素から枯渇し、ライン42を通って底部画分としてアンモニアストリッパーカラム14から抜き出される。精製液体廃水流がプラント10から抜き出される間、ガス状アンモニア富化流が、圧縮機48を通って導かれた後にライン40、50、56を通って送られ、ライン50を通って熱交換器(リボイラー)46を通って送られ、そこから非凝縮画分がバイアルライン54をクエンチャーカラム16の底部に送られる。ガス状アンモニア富化流は、クエンチャーカラム16内で、ライン60を通ってクエンチャーカラム16の上部に導入された液体水と接触し、ライン62を介してアンモニアストリッパーカラム14から抜き出され、ライン64を通ってクエンチャーカラム16の2つの床58、58’の間のセクションに部分的に戻される濃アンモニア水溶液と接触するが、他方の部分は、生成アンモニア溶液としてバッテリーリミット外に抜き出される。構造化パッキング58、58’によって気相と液相との間の熱および物質移動が増加するため、アンモニアおよび残留二酸化炭素の画分が水に溶解し、少なくとも5重量%の溶解アンモニアおよび多くとも20重量%の溶解二酸化炭素を含有する濃アンモニア水溶液を形成し、これは底部画分としてクエンチャーカラム16から抜き出されるが、ガス状二酸化炭素を含む残りのガスは、出口ライン68を通ってオーバーヘッド画分としてクエンチャーカラム16から抜き出される。
【符号の説明】
【0070】
10 プラント
12 二酸化炭素脱気カラム
14 アンモニアストリッパーカラム
16 クエンチャーカラム
18 二酸化炭素脱気カラムへの第1の供給入口ライン
20 二酸化炭素脱気カラムへの第2の供給入口ライン
22 二酸化炭素脱気カラムの構造化パッキングの床
24 中央供給入口ライン
25 第2の供給ライン
26 熱交換器
28 熱交換器
30 二酸化炭素脱気カラムのエバポレーター(リボイラー)
32 二酸化炭素脱気カラムのオーバーヘッド出口ライン
34 二酸化炭素脱気カラムの底部出口ライン
35 リサイクルライン
36 アンモニアストリッパーカラムへの入口ライン
38、38’ 二酸化炭素アンモニアストリッパーカラムの構造化パッキングの床
40 アンモニアストリッパーカラムのオーバーヘッド出口ライン
42 アンモニアストリッパーカラムの底部出口ライン
44 アンモニアストリッパーカラムの戻りライン
46 アンモニアストリッパーカラムのエバポレーター(リボイラー)
48 圧縮機
50 接続ライン
54 クエンチャーカラムへの入口ライン
56 アンモニアストリッパーカラムへの戻りライン
58、58’ クエンチャーカラムの構造化パッキングの床
60 水入口ライン
62 濃アンモニア水溶液の出口ライン
64 クエンチャーカラムへの戻りライン
66 熱交換器
68 出口ライン
70 熱交換器
【国際調査報告】