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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】自動ドア開閉機構及び冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20241003BHJP
   E05F 15/614 20150101ALI20241003BHJP
   E05F 1/10 20060101ALI20241003BHJP
   E05D 7/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F25D23/02 306M
E05F15/614
E05F1/10
E05D7/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514410
(86)(22)【出願日】2022-07-26
(85)【翻訳文提出日】2024-04-22
(86)【国際出願番号】 CN2022107859
(87)【国際公開番号】W WO2023060982
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】202111187737.5
(32)【優先日】2021-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517441262
【氏名又は名称】グリー エレクトリック アプライアンス、インコーポレイテッド オブ チューハイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン、アオシャン
(72)【発明者】
【氏名】ホアン、シャンシャン
(72)【発明者】
【氏名】スン、ジャー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ジンチャオ
【テーマコード(参考)】
2E030
2E050
2E052
3L102
【Fターム(参考)】
2E030BB02
2E050AA03
2E050BA02
2E050CA03
2E050DA02
2E052CA06
2E052DA08
2E052EA03
2E052EB01
2E052EC01
2E052GC01
2E052GC05
3L102KA01
3L102KB16
3L102KB23
(57)【要約】
自動ドア開閉機構が、駆動力を提供するように構成された動力アセンブリと、動力アセンブリに駆動連結され第1の噛み合い歯を備える駆動歯車と、駆動歯車に対して動作可能に配置された被動歯車であり、第1の噛み合い歯と噛み合う第2の噛み合い歯を備える被動歯車と、駆動歯車及び被動歯車に設置された電磁クラッチ・アセンブリであり、被動歯車と噛み合わせるように又は分離させるように駆動歯車を駆動するように構成された電磁クラッチ・アセンブリと、を含む、自動ドア開閉機構及び冷蔵庫が本出願において開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動力を提供するように構成された動力アセンブリ(10)と、
前記動力アセンブリ(10)に駆動連結された駆動歯車(21)であって、第1の噛み合い歯(211)を備える駆動歯車(21)と、
前記駆動歯車(21)に対して動作可能に配置された被動歯車(22)であって、前記第1の噛み合い歯(211)と噛み合う第2の噛み合い歯(221)を備える被動歯車(22)と、
前記駆動歯車(21)及び前記被動歯車(22)上に搭載された電磁クラッチ・アセンブリ(30)であって、前記被動歯車(22)と噛み合うため又は前記被動歯車(22)から分離するために前記駆動歯車(21)を駆動するように構成されている電磁クラッチ・アセンブリ(30)と
を有することを特徴とする、自動ドア開閉機構。
【請求項2】
前記電磁クラッチ・アセンブリ(30)は電機子(31)と電磁コイル(32)とを有し、前記電機子(31)及び前記電磁コイル(32)はそれぞれ前記駆動歯車(21)及び前記被動歯車(22)上に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の自動ドア開閉機構。
【請求項3】
前記電磁クラッチ・アセンブリ(30)はクラッチばね(33)をさらに有し、前記クラッチばね(33)は前記駆動歯車(21)及び前記被動歯車(22)にそれぞれ連結されて、また前記クラッチばね(33)は、前記駆動歯車(21)を前記被動歯車(22)から分離するために力を加えるように構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の自動ドア開閉機構。
【請求項4】
ばねホルダ(41)であって、前記被動歯車(22)はばねホルダ(41)上に回転可能に配置されている、ばねホルダ(41)と、
前記被動歯車(22)に連結された一端、及び前記ばねホルダ(41)に連結された他端を有するトーションばね(42)と
をさらに有することを特徴とする、請求項1に記載の自動ドア開閉機構。
【請求項5】
前記ばねホルダ(41)は、受け入れ溝(411)を備え、
前記被動歯車(22)は、係合突出構成部分(222)を有し、前記係合突出構成部分(222)は、前記受け入れ溝(411)内に回転可能に配置され、
前記係合突出構成部分(222)及び前記受け入れ溝(411)は受け入れ空間を形成し、前記トーションばね(42)は前記受け入れ空間内に配置されていることを特徴とする、請求項4に記載の自動ドア開閉機構。
【請求項6】
前記被動歯車(22)は、接触突出構成部分(223)を備え、前記接触突出構成部分(223)は、前記被動歯車(22)と共に回転するように構成され、
保護スイッチ(43)が前記ばねホルダ(41)上に配置され、前記保護スイッチ(43)は、前記接触突出構成部分(223)の移動経路上に配置され、また前記接触突出構成部分(223)は、前記接触突出構成部分(223)の移動中に前記保護スイッチ(43)を起動することが可能であることを特徴とする、請求項5に記載の自動ドア開閉機構。
【請求項7】
前記係合突出構成部分(222)は、前記トーションばね(42)と係合するばねバッフルを備え、前記ばねバッフル(224)は前記受け入れ溝(411)内部に位置し、
前記接触突出構成部分(223)は、前記受け入れ溝(411)外部に位置し、前記接触突出構成部分(223)及び前記ばねバッフル(224)は、互いに連結され且つ一体形成されていることを特徴とする、請求項5に記載の自動ドア開閉機構。
【請求項8】
所定の構造体上に搭載された角速度センサ(51)と、
前記ばねホルダ(41)上に搭載された磁気リング(52)であって、前記角速度センサ(51)と対合する磁気リング(52)と
をさらに有することを特徴とする、請求項5に記載の自動ドア開閉機構。
【請求項9】
固定軸(61)を有するヒンジ(60)をさらに有し、
前記ばねホルダ(41)は前記固定軸(61)に固定連結され、
前記駆動歯車(21)及び前記被動歯車(22)はどちらも前記固定軸(61)に搭載されていることを特徴とする、請求項4に記載の自動ドア開閉機構。
【請求項10】
前記駆動歯車(21)は前記固定軸(61)の軸線方向に沿って動作可能に配置され、
前記被動歯車(22)は前記固定軸(61)の前記軸線方向に沿って相対的に固定配置され、
前記駆動歯車(21)は、前記固定軸(61)の前記軸線方向に沿って前記被動歯車(22)に近接する又は前記被動歯車(22)から離れることを特徴とする、請求項9に記載の自動ドア開閉機構。
【請求項11】
前記固定軸(61)は、互いに連結された第1の軸セグメント(61a)と第2の軸セグメント(61b)とを有し、前記第1の軸セグメント(61a)の直径が前記第2の軸セグメント(61b)の直径より大きく、
前記駆動歯車(21)は前記第1の軸セグメント(61a)上に設置され、前記被動歯車(22)は前記第2の軸セグメント(61b)上に設置され、制限段差(61c)が前記第1の軸セグメント(61a)及び前記第2の軸セグメント(61b)の接合部に形成され、前記被動歯車(22)は、前記制限段差(61c)に当接する一端と、前記ばねホルダ(41)に当接する他端とを有することを特徴とする、請求項9に記載の自動ドア開閉機構。
【請求項12】
前記動力アセンブリ(10)は、モータ(11)と、減速機(12)と、出力歯車(13)とを有し、前記出力歯車(13)は前記減速機(12)を介して前記モータ(11)の出力軸と駆動連結され、
歯車部分(212)が前記駆動歯車(21)上に配置され、前記出力歯車(13)は前記歯車部分(212)と噛み合うことを特徴とする、請求項1に記載の自動ドア開閉機構。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか一項に記載の自動ドア開閉機構を有することを特徴とする、冷蔵庫。
【請求項14】
前記冷蔵庫はドア(71)と冷蔵庫本体(72)とを有し、前記自動ドア開閉機構は前記ドア(71)に搭載されることを特徴とする、請求項13に記載の冷蔵庫。
【請求項15】
前記自動ドア開閉機構は、
固定軸(61)を有するヒンジ(60)であって、前記ヒンジ(60)は前記冷蔵庫本体(72)上に固定され、前記固定軸(61)は少なくとも部分的に前記ドア(71)内に位置し、前記ドア(71)は前記固定軸(61)の周りを回転する、ヒンジ(60)と、
前記固定軸(61)に固定連結されたばねホルダ(41)であって、前記被動歯車(22)は前記ばねホルダ(41)上に回転可能に配置されている、ばねホルダ(41)と、
前記被動歯車(22)に連結された一端、及び前記ばねホルダ(41)に連結された他端を有するトーションばね(42)と
を有していることを特徴とする、請求項13に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年10月12日に出願された「Automatic Door Opening and Closing Mechanism and Refrigerator」という名称の中国特許出願第202111187737.5号に基づき優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本出願は、家電機器の技術分野に関し、詳細には自動ドア開閉機構及び冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0003】
電気機械制御技術及びインテリジェント技術が家電機器の分野に広がり続けるにつれて、消費者は、家電機器の使用体験において、使いやすさ、インテリジェンス、及び美しさをますます追求するようになっている。冷蔵庫のインテリジェンスの基本機能として、冷蔵庫の自動ドア開閉がますます広く用いられている。
【0004】
現在、冷蔵庫のドアを自動的に開閉するための方法は多く存在する。閉扉されたドアは、ドア密閉の磁気ストライプによる引力、ドア・クローザの弾性力、フリップ・ビームの咬持力(clamping force)、及び冷蔵庫内の低温により生成される負圧などの様々な閉鎖力の対象となるため、冷蔵庫のドアは、ドア開扉の初期段階において大きな総合的抵抗に抵抗する必要がある。これを考慮して、自動的にドアを開閉するほとんどの解決策は放出デバイスを提供する。まず、独立した放出機構が冷蔵庫のドアを小さな角度まで開けるために使用される。このとき、ドア密閉の磁気ストライプによる引力、ドア・クローザの弾性力、フリップ・ビームの咬持力、及び冷蔵庫内の低温により生成される負圧などの様々な閉鎖力は、ドアが開けられたときに消失又は減衰し、以後のドアを開ける動作はドア本体が回転するのを補助する他の機構に依存する。
【0005】
現在、冷蔵庫が自動ドア開閉機構を使用する必要がない場合、又は電源停止若しくは駆動ユニットの故障により自動ドア開閉機構が使用できない場合、冷蔵庫ドアの自由な開閉は自動開閉ドア機構によって妨げられる。
【発明の概要】
【0006】
本出願の実施例は、冷蔵庫が自動ドア開閉機構を使用する必要がない場合、又は電源停止若しくは駆動ユニットの故障により自動ドア開閉機構を使用できない場合、冷蔵庫ドアの自由な開閉が自動開閉ドア機構によって妨げられるという先行技術の問題を解決するための、自動ドア開閉機構及び冷蔵庫を提供する。
【0007】
本出願の一態様によれば、駆動力を提供するように構成された動力アセンブリと、動力アセンブリに駆動連結され第1の噛み合い歯を備える駆動歯車と、駆動歯車に対して動作可能に配置された被動歯車であって、第1の噛み合い歯と噛み合う第2の噛み合い歯を備える被動歯車と、駆動歯車及び被動歯車に設置され、被動歯車と噛み合わせるように又は分離させるように駆動歯車を駆動するように構成された電磁クラッチ・アセンブリと、を含む自動ドア開閉機構が提供される。
【0008】
いくつかの実施例において、電磁クラッチ・アセンブリは電機子及び電磁コイルを含み、電機子及び電磁コイルはそれぞれ駆動歯車及び被動歯車に配置されている。
【0009】
いくつかの実施例において、電磁クラッチ・アセンブリは、駆動歯車及び被動歯車にそれぞれ連結されているクラッチばねをさらに含み、クラッチばねは駆動歯車を被動歯車から分離するために力を加えるように構成されている。
【0010】
いくつかの実施例において、自動ドア開閉機構は、
【0011】
被動歯車がばねホルダに回転可能に配置されている、ばねホルダと、
【0012】
被動歯車に連結された一端とばねホルダに連結された他端とを有する、トーションばねと、をさらに含む。
【0013】
いくつかの実施例において、ばねホルダは受け入れ溝を備え、被動歯車は係合突出構成部分を有し、係合突出構成部分は受け入れ溝内に回転可能に配置されており、係合突出構成部分及び受け入れ溝は受け入れ空間を形成しており、トーションばねは受け入れ空間内に配置されている。
【0014】
いくつかの実施例において、被動歯車は接触突出構成部分を備え、接触突出構成部分は被動歯車と共に回転するように構成されており、保護スイッチがばねホルダに配置されており、保護スイッチは接触突出構成部分の移動経路上に配置されており、接触突出構成部分は接触突出構成部分の移動中に保護スイッチを起動することが可能である。
【0015】
いくつかの実施例において、係合突出構成部分はトーションばねと係合するばねバッフルを備え、ばねバッフルは受け入れ溝内部に位置されており、
【0016】
接触突出構成部分は受け入れ溝外部に位置されており、接触突出構成部分及びばねバッフルは互いに連結され一体形成されている。
【0017】
いくつかの実施例において、自動ドア開閉機構は、所定の構造体に設置されている角速度センサと、ばねホルダに設置されており角速度センサに対合する磁気リングと、をさらに含む。
【0018】
いくつかの実施例において、自動ドア開閉機構は固定軸を有するヒンジをさらに含み、ばねホルダは固定軸に固定的に連結されており、駆動歯車及び被動歯車はどちらも固定軸に設置されている。
【0019】
いくつかの実施例において、駆動歯車は固定軸の軸線方向に沿って動作可能に配置されており、被動歯車は固定軸の軸線方向に沿って相対的に固定的に配置されており、駆動歯車は固定軸の軸線方向に沿って被動歯車に近接又は離隔している。
【0020】
いくつかの実施例において、固定軸は互いに連結された第1の軸セグメントと第2の軸セグメントとを含み、第1の軸セグメントの直径は第2の軸セグメントの直径より大きく、駆動歯車は第1の軸セグメントに配置されており、被動歯車は第2の軸セグメントに配置されており、制限段差(limiting step)が第1の軸セグメント及び第2の軸セグメントの接合部に形成されており、被動歯車は制限段差に当接する一端とばねホルダに当接する他端とを有する。
【0021】
いくつかの実施例において、動力アセンブリはモータと減速機(reducer)と出力歯車とを含み、出力歯車は減速機を通してモータの出力軸と駆動連結されており、歯車部分が駆動歯車に配置されており、出力歯車は歯車部分と噛み合う。
【0022】
本出願の他の態様によれば、上述の自動ドア開閉機構を含む冷蔵庫が提供される。
【0023】
いくつかの実施例において、冷蔵庫はドアと冷蔵庫本体とを含み、自動ドア開閉機構がドア内に設置されている。
【0024】
いくつかの実施例において、自動ドア開閉機構は、固定軸を有し、冷蔵庫本体に固定されているヒンジであって、固定軸がドア内に少なくとも部分的に位置されており、ドアが固定軸周りを回転する、ヒンジと、固定軸に固定的に連結されたばねホルダであって、被動歯車がばねホルダに回転可能に配置されている、ばねホルダと、被動歯車に連結された一端とばねホルダに連結された他端とを有する、トーションばねと、を含む。
【0025】
本出願の自動ドア開閉機構が冷蔵庫に適用される場合、自動ドア開閉機構の駆動歯車及び被動歯車は長時間、互いから分離された状態になる(すなわち、冷蔵庫の通常動作状態ではドアを開閉する必要はない)。自動ドア開閉機構が自動開扉命令及び閉扉命令を受け取った後、電磁クラッチ・アセンブリは動作を行うために励磁され、その前まで分離された状態の駆動歯車及び被動歯車は、電磁クラッチ・アセンブリの作用の下、互いに噛み合う。動力アセンブリの駆動力が駆動歯車に伝達され、駆動歯車は被動歯車を駆動し、その後、被動歯車は冷蔵庫のドアを駆動し開扉又は閉扉させる。冷蔵庫が、自動ドア開閉機構を使用する必要がない場合、又は電源停止若しくは駆動ユニットの故障により自動ドア開閉機構を使用できない場合、電磁クラッチ・アセンブリも動作を行うことができず、駆動歯車及び被動歯車を互いから分離させる。この場合、自動ドア開閉機構において大きな役割を果たす駆動歯車及び被動歯車はもはや互いに噛み合わないか又は抵抗を形成せず、ドアは自動ドア開閉機構によって妨げられずに自由に開閉されることが可能となる。自動ドア開閉機構は、自動的にドアを開閉するハイエンド機能を冷蔵庫が実現することを可能にするだけではなく、ユーザ体験も改善し、電源停止及び故障の間のユーザの満足感も高める。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本出願の実施例による自動開閉ドア構造体の概略構造図である。
図2】本出願の実施例による自動開閉ドア構造体の概略分解構造図である。
図3】本出願の実施例による自動開閉ドア構造体の概略内部組立図である。
図4】本出願の実施例による冷蔵庫の概略内部組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本出願は添付の図面及び具体的な実施例と併せて以下にさらに詳述されるが、本出願はそれらに限定されない。
【0028】
本出願の実施例による図1及び図2を参照すると、動力アセンブリ10と、駆動歯車21と、被動歯車22と、電磁クラッチ・アセンブリ30とを含む、自動ドア開閉機構が提供される。動力アセンブリ10は駆動力を提供するように構成されている。駆動歯車21は動力アセンブリ10に駆動連結され、第1の噛み合い歯211を備える。被動歯車22は駆動歯車21に対して動作可能に配置されている。被動歯車22は第1の噛み合い歯211と噛み合う第2の噛み合い歯221を備える。電磁クラッチ・アセンブリ30は駆動歯車21及び被動歯車22に設置されており、電磁クラッチ・アセンブリ30は被動歯車22と噛み合わせるように又は分離させるように駆動歯車21を駆動するように構成されている。
【0029】
本出願の自動ドア開閉機構が冷蔵庫に適用される場合、自動ドア開閉機構の駆動歯車21及び被動歯車22は長時間、互いから分離された状態になる(すなわち、冷蔵庫の通常動作状態ではドアを開閉する必要はない)。自動ドア開閉機構が自動開扉命令又は閉扉命令を受け取った後、電磁クラッチ・アセンブリ30は動作を行うために励磁され、その前まで分離された状態の駆動歯車21及び被動歯車22は、電磁クラッチ・アセンブリ30の作用の下、互いに噛み合う。動力アセンブリ10の駆動力が駆動歯車21に伝達され、駆動歯車21は被動歯車22を駆動し、その後、被動歯車22は冷蔵庫のドアを駆動し開扉又は閉扉させる。冷蔵庫が、自動ドア開閉機構を使用する必要がない場合、又は電源停止若しくは駆動ユニットの故障により自動ドア開閉機構を使用できない場合、電磁クラッチ・アセンブリ30も動作を行うことができず、駆動歯車21及び被動歯車22を互いから分離させる。この場合、自動ドア開閉機構において大きな役割を果たす駆動歯車及び被動歯車はもはや互いに噛み合わないか又は抵抗を形成せず、ドアは自動ドア開閉機構によって妨げられずに自由に開閉されることが可能となる。自動ドア開閉機構は、自動的にドアを開閉するハイエンド機能を冷蔵庫が実現することを可能にするだけではなく、ユーザ体験も改善し、電源停止及び故障の間のユーザの満足感も高める。
【0030】
自動ドア開閉機構における電磁クラッチ・アセンブリ30は、通常は電源停止されていて駆動歯車21及び被動歯車22を互いから分離させており、電磁クラッチ・アセンブリ30は励磁された後、駆動歯車21及び被動歯車22を互いに近接させ互いに噛み合わせる。
【0031】
電磁クラッチ・アセンブリ30は電機子31及び電磁コイル32を含み、電機子31及び電磁コイル32はそれぞれ駆動歯車21及び被動歯車22に配置されている。この実施例において、電機子31は駆動歯車21に設置されており、電磁コイル32は被動歯車22に設置されている。自動ドア開閉命令を受け取った後、電磁コイル32は励磁され、電機子31は磁力の作用の下で電磁コイル32に近接し、同時に駆動歯車21は電機子31の作用の下で被動歯車22に近接する。第1の噛み合い歯211及び第2の噛み合い歯221は徐々に係合し、噛み合い嵌合を形成する。電磁コイル32が電源停止されている(冷蔵庫が電源停止されているか又は電磁コイル32が能動的に電源停止されている)場合、電機子31は磁力により引き付けられず、駆動歯車21及び被動歯車22は互いから分離されたままとなる。当然ながら、電機子31は被動歯車22にも設置されていてもよく、電磁コイル32は駆動歯車21に設置されていてもよい。これらは全て、同一機能を達成できる構造パターンである。
【0032】
いくつかの実施例において、電磁クラッチ・アセンブリ30は、駆動歯車21及び被動歯車22にそれぞれ連結されているクラッチばね33をさらに含み、クラッチばね33は駆動歯車21を被動歯車22から分離するために力を加えるように構成されている。駆動歯車21及び被動歯車22が互いに噛み合わされた後、それらは通常の分離状態に戻る必要がある。この際、電磁コイル32が電源停止される(冷蔵庫が能動的に電源停止される)場合、電機子31は磁力により引き付けられず、クラッチばね33によって加えられる力が駆動歯車21を被動歯車22から分離する。自動ドア開閉機構の故障により冷蔵庫が電源停止されているか又は冷蔵庫が能動的に電源停止するとき、電磁コイル32は磁力を生成せず、クラッチばね33は駆動歯車21及び被動歯車22を常時互いから分離させておくことができる。自動ドア開閉機能が作動されるとき、電磁コイル32が励磁された後、電機子31は引き付けられ、クラッチばね33の弾性力に勝って被動歯車22と噛み合うように駆動歯車21を駆動する。
【0033】
図1及び図2を参照すると、駆動歯車21は被動歯車22の上方に配置されており、第1の噛み合い歯211は駆動歯車の下端面に位置されており、第2の噛み合い歯221は被動歯車の上端面に位置されている。駆動歯車及び被動歯車はそれぞれ空洞を備える。電機子31は駆動歯車の空洞内に固定されており、電磁コイル32は被動歯車の空洞内に固定されている。駆動歯車21及び被動歯車22はどちらも円筒状構造体であり、クラッチばね33は駆動歯車及び被動歯車の外周の上に嵌着されており、フランジ構造体が駆動歯車及び被動歯車のそれぞれの周縁に配置されている。クラッチばねは、2つのフランジ構造体にそれぞれ当接している。クラッチばねは、弾性力によって第1の噛み合い歯及び第2の噛み合い歯を通常時に分離させておく働きをし、それによって噛み合い嵌合を不可能にする。
【0034】
自動ドア開閉機構は、ばねホルダ41とトーションばね42とをさらに含む。被動歯車22は、ばねホルダ41に回転可能に配置されている。トーションばね42は、被動歯車22に連結された一端とばねホルダ41に連結された他端とを有する。被動歯車22が回転するにつれ、被動歯車22はトーションばね42を連続的に圧縮する。圧縮されたトーションばね42に蓄えられた弾性力は反作用力をもたらすために使用され、動力伝達チェーンに沿って逆方向に回転するようにドアを駆動する。
【0035】
図2及び図3を参照すると、いくつかの実施例において、ばねホルダ41は受け入れ溝411を備え、被動歯車22は係合突出構成部分222を有し、係合突出構成部分222は受け入れ溝411内に回転可能に配置されており、係合突出構成部分422及び受け入れ溝411は受け入れ空間を形成しており、トーションばね42は受け入れ空間内に配置されている。すなわち、被動歯車22及びばねホルダ41は設置嵌合を形成し、トーションばね42は受け入れ空間に内蔵されている。この設計は構造的空間を節約し、構造の小型化につながる。さらに、受け入れ空間は、トーションばね42をある程度まで限定しトーションばね42の変形経路を制約することができ、それによって長期使用時のトーションばねの変形故障を回避する。この実施例において、受け入れ溝は、トーションばねに当接するバッフルを備える。その結果、受け入れ溝はバッフルによって2つに分割されており、受け入れ空間も2つ形成されており、2つのトーションばねが設けられている。この構成は、トーションばね42に蓄えられる弾性力の上限を引き上げて、より重量の大きいドアを押すこと及びより大きい運動抵抗に勝ることを可能にする。
【0036】
いくつかの実施例において、被動歯車22は接触突出構成部分223を備え、接触突出構成部分223は被動歯車22と共に回転するように構成されており、保護スイッチ43がばねホルダ41に配置されている。保護スイッチ43は接触突出構成部分223の移動経路上に配置されており、接触突出構成部分223は接触突出構成部分223の移動中に保護スイッチ43を起動することが可能である。保護スイッチ43は、動力アセンブリ10の連続出力時における被動歯車22の過剰な回転によるトーションばねの損傷を防止するように、トーションばね42の最大変形に対応する位置に配置されるように設計されている。さらに、保護スイッチ43は、ドアの開扉又は閉扉工程中に抵抗が異常かどうか判断する構成部分としても機能する。信号を誘発した後、保護スイッチ43はドアの運動抵抗が異常であることを決定する。信号を受け取った後、制御システムは電磁コイルへの電力を遮断する働きをする。
【0037】
ドアの異常な運動抵抗に対応する実際の適用でのシナリオは、ドアの開閉の全工程中における障害物との対面、及びユーザのドアを開閉する手動操作の突然の介入を含むが、それらに限定はされない。異常抵抗の閾値の補正は試験を通じて得られ、異常抵抗の閾値の効果はトーションばねの機械的設計を通じて反映される。
【0038】
構造をさらに単純化し1つのユニットで複数の機能を達成するために、この実施例における係合突出構成部分222はトーションばね42と係合するばねバッフル224を備え、ばねバッフル224は受け入れ溝411内部に位置されている。接触突出構成部分223は受け入れ溝411外部に位置されている。接触突出構成部分223及びばねバッフル224は互いに連結され一体形成されている。ばねバッフル224はトーションばね42に当接するように構成されており、その構造は接触突出構成部分223を形成するために受け入れ溝411へ延びている。接触突出構成部分223は、保護スイッチ43と合わせるための一体形成された構成部分であり、製造する上でより都合がよく生産時のコストがより低い。
【0039】
自動ドア開閉機構は、角速度センサ51と、磁気リング52とをさらに含む。角速度センサ51は所定の構造体に設置されている。磁気リング52はばねホルダ41に設置されており角速度センサ51に対合する。制御システムは、角速度センサ61及び磁気リング67を通じて、被動歯車の回転量及びドアの回転量を検知する。
【0040】
自動ドア開閉機構は固定軸61を有するヒンジ60をさらに含み、ばねホルダ41は固定軸61に固定的に連結されており、ばねホルダ41は限界ストッパ(limit stopper)を備え、限界ストッパはばねホルダを周方向に固定するために固定軸61内部に埋入されている。駆動歯車21及び被動歯車22はどちらも固定軸61に設置されている。ヒンジ60は、ドアの固定軸及び回転軸機構として機能する。冷蔵庫ドアの上端及び下端はどちらもヒンジの固定軸に連結されており、ドアの回転軸は固定軸と同軸上にある。ヒンジの固定端は、ねじによって冷蔵庫本体に設置されている。
【0041】
図1から図3を参照すると、この実施例において、自動ドア開閉機構の駆動歯車21は固定軸61の軸線方向に沿って動作可能に配置されており、被動歯車22は固定軸61の軸線方向に沿って相対的に固定的に配置されており、駆動歯車21は固定軸61の軸線方向に沿って被動歯車22に近接又は離隔している。固定軸61を駆動歯車及び被動歯車の基本的な支持構造として用いることで、構造的複雑性が効果的に解決されている。固定軸61はドアの回転軸として機能できるだけではなく、自動ドア開閉機能を達成するための自動ドア開扉構造の基本構造としても機能する。さらに、トーションばねの反作用力の原理に基づいて、固定軸61との原理的な協働が実現され、従って自動ドア開閉機能が達成される。
【0042】
固定軸61は互いに連結された第1の軸セグメント61aと第2の軸セグメント61bとを含み、第1の軸セグメント61aの直径は第2の軸セグメント61bの直径より大きく、駆動歯車21は第1の軸セグメント61aに設置されており、被動歯車22は第2の軸セグメント61bに設置されており、制限段差61cが第1の軸セグメント61a及び第2の軸セグメント61bの接合部に形成されており、被動歯車22は制限段差61cに当接する一端とばねホルダ41に当接する他端とを有する。すなわち、駆動歯車は、第1の軸セグメントにおいて上下移動が可能であり、電磁クラッチ・アセンブリによって噛み合い及び分離動作を完了することが可能である。被動歯車22は、固定軸61の軸線方向においては静止したままであり、回転のみが可能である。この構成の利点は、全体的な伝達チェーンをより安定させ、それによって大きなトルクを効果的に伝達することが可能な点である。加えて、被動歯車22の中央部は空洞構造を有し電磁コイルがその空洞内に設置されているため、この実施例における被動歯車22は、固定された電磁コイル及び制限段差61cによって制限当接嵌合を実現する。
【0043】
動力アセンブリ10はモータ11と、減速機12と、出力歯車13とを含む。出力歯車13は減速機12を通してモータ11の出力軸と駆動連結されている。駆動歯車21は歯車部分212を備え、出力歯車13は歯車部分212と噛み合う。駆動歯車21及び被動歯車22の対応する噛み合い歯の歯端は平坦であるため、駆動歯車21及び被動歯車22が軸線方向に噛み合わされる場合、第1の噛み合い歯211の歯先が第2の噛み合い歯221の歯先に衝突して駆動歯車21及び被動歯車22が所定位置で噛み合うことができない状況が発生する場合がある。従って、システムは、電磁クラッチ・アセンブリを制御して噛み合い命令を実行する一方で、同時に、駆動歯車を駆動して回転させるために動力アセンブリを制御して回転命令を実行する必要もある。このようにして、第1の噛み合い歯の歯先が第2の噛み合い歯の歯先と互い違いになり、その結果、駆動歯車21及び被動歯車22は互いに滑らかに噛み合い、動力を伝達する。駆動歯車21の歯車部分212は完全な歯車プレートであり、環状構造体が歯車プレートの一面から延びており、環状の第1の噛み合い歯が環状構造体に設けられており、第1の噛み合い歯の回転軸線が歯車プレートの回転軸線と同一線上にあり、第1の噛み合い歯及び歯車プレートは同一方向に回転し、それによってより直接的な伝達及び単純な構造を実現していることが図1から見られる。
【0044】
本出願の自動ドア開閉機構の作動工程及び原理は以下の通りである。
【0045】
制御システムが自動ドア開閉命令を受け取り、電磁コイル32を励磁する。電機子31は磁力の作用の下で電磁コイル32に近接し、同時に駆動歯車21は電機子31の作用の下で被動歯車22に近接する。第1の噛み合い歯211及び第2の噛み合い歯221は徐々に係合し、噛み合い嵌合を形成する。被動歯車が回転するにつれ、被動歯車22はばねホルダ内のトーションばねを連続的に圧縮し、このとき以下の2つの状況が発生する。
【0046】
トーションばねに蓄積された弾性力がドアの運動抵抗よりも大きく、接触突出構成部分が保護スイッチと接触しない場合、トーションばねによりもたらされる反作用力は、伝達チェーンに沿って逆方向に回転するようにドアを駆動することができる。ドアの回転工程中、制御システムは、角速度センサ及び磁気リングを通じてドアの回転量を検知し、その後適時に運動を停止するようにドアを制御する。
【0047】
接触突出構成部分が保護スイッチと接触し、トーションばねに蓄積された弾性力がドアの運動抵抗未満のままである場合、ドアは回転できない。制御システムは、保護スイッチから誘発信号を受け取り、ドアの運動抵抗が異常であると判断する。制御システムは、駆動プログラムを即時終了させることが可能であり、駆動歯車を被動歯車との噛み合いから外すために電磁コイルへの電力を遮断し、それによってドアと動力アセンブリとの間の運動連結を遮断する。
【0048】
加えて、システムが待機中である場合において、又は駆動異常、停電、自動ドア開閉機能の無効化などの場合において、電磁コイルは電源停止され、駆動歯車及び被動歯車は噛み合いから外され、ドアと動力アセンブリとの間の運動連結は遮断される。この場合、ドアの回転は共に動作するように動力アセンブリ、駆動歯車などを駆動せず、運動抵抗は著しく減じられ、動力アセンブリの運動損失は著しく減じられ、耐用寿命は延長される。
【0049】
本出願は冷蔵庫をさらに提供する。図4に示されるように、冷蔵庫は上記の実施例で説明された自動ドア開閉機構を含む。
【0050】
冷蔵庫はドア71と冷蔵庫本体72とを含み、自動ドア開閉機構がドア71内に設置されている。自動ドア開閉機構はドア内に配置されているため、設置設計が隠されて実現され、本出願の冷蔵庫は通常の冷蔵庫と同様に見える。外観に影響する放出機構及び他の複雑な外観の部品を追加する必要はない。
【0051】
いくつかの実施例において、自動ドア開閉機構は、ヒンジ60と、ばねホルダ41と、トーションばね42とを含む。ヒンジ60は固定軸61を有する。ヒンジ60は冷蔵庫本体72に固定されている。固定軸61は冷蔵庫ドア71内に少なくとも部分的に位置されている。ドア71は固定軸61の周りを回転する。ばねホルダ41は固定軸61に固定的に連結されている。被動歯車22は、ばねホルダ41に回転可能に配置されている。トーションばね42は、被動歯車22に連結された一端とばねホルダ41に連結された他端とを有する。
【0052】
本出願の冷蔵庫はドアを開けるというユーザの要求を制御システムを通じて感知でき、自動ドア開閉機構はドア開閉工程の完全自動化を実現でき、ユーザの手を完全に自由にして良好なユーザ体験を提供する。自動ドア開閉機構はモジュール式であり、その利点により広く使用される。高い互換性により、自動ドア開閉機構はほとんどの新旧モデルに適合され得る。このモジュール式自動ドア開閉機構は、従来の自動ドア開閉機構の限定的な適用シナリオの問題を解決し、様々な動作条件に柔軟に適合できる。さらに、モジュール内には、機構の耐用寿命を延長できる完全機構保護デバイスがある。
【0053】
主観的理由又は異常システム動作などの客観的理由によりユーザがシステムのインテリジェンスを限定するか又は完全に無効化する必要がある場合、システムは、ユーザがその自動化の程度を調節することを可能にする必須設定可能項目を有する。
【0054】
本明細書で使用される用語は具体的な実施例を説明するためのものに過ぎず、本出願による例示的実施例を限定することは意図されないことに留意されたい。本明細書で使用される単数形は、文脈上別段に明示されていない限り、複数形も含むことが意図される。加えて、用語「有する(comprising)」及び/又は「含む(including)」が本明細書で使用される場合、それらの単語は、特徴、ステップ、操作、デバイス、構成部分、及び/又はそれらの組み合わせが存在することを示すことも理解されたい。
【0055】
当然ながら、上記は本出願の好ましい実施例である。当業者にとって、本出願の基本原理から逸脱することなくいくつかの改善及び修正がさらになされてもよく、またこれら改善及び修正は本出願の範囲内に収まるとみなされるべきであることに留意されたい。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】