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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】デバイスベースの気圧センサ較正
(51)【国際特許分類】
   G01C 5/06 20060101AFI20241003BHJP
   G01L 27/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G01C5/06
G01L27/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516344
(86)(22)【出願日】2022-08-30
(85)【翻訳文提出日】2024-05-10
(86)【国際出願番号】 IB2022058115
(87)【国際公開番号】W WO2023037205
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】63/261,139
(32)【優先日】2021-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513114825
【氏名又は名称】ネクストナヴ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【弁理士】
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100160831
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 元
(72)【発明者】
【氏名】ドーモディ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ラグパジィ,アルン
(72)【発明者】
【氏名】ナガラジャン,バドリナート
(72)【発明者】
【氏名】イエンシャオ,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ,ディーパック
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA01
2F055BB20
2F055CC60
2F055DD20
2F055EE40
2F055FF49
2F055GG49
2F055HH01
(57)【要約】
デバイスベースの気圧センサの較正は、モバイルデバイスの特定の位置を判定することと、前記モバイルデバイスの前記特定の位置を包含し、当該特定の位置を不明瞭化する概略的位置を判定することと、前記概略的位置をサーバに送信することと、前記概略的位置に関する概略的較正データを受信することと、前記概略的較正データおよび前記特定の位置に基づいて、特定の較正データを判定することと、前記特定の較正データに基づいて前記気圧センサを較正するための較正値を判定することと、を含む。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイルデバイスが、前記モバイルデバイスの特定の位置を判定することと、
前記モバイルデバイスが、前記モバイルデバイスの前記特定の位置を包含し、当該特定の位置を不明瞭化する概略的位置を判定することと、
前記モバイルデバイスが、前記概略的位置をサーバに送信することと、
前記モバイルデバイスが、前記サーバから、前記概略的位置に関する概略的較正データを受信することと、
前記モバイルデバイスが、前記概略的較正データおよび前記特定の位置に基づいて、特定の較正データを判定することと、
前記モバイルデバイスが、前記モバイルデバイスの気圧センサによる気圧測定値に基づいてデバイス気圧を判定することと、
前記モバイルデバイスが、前記特定の較正データおよび前記デバイス気圧に基づいて前記気圧センサを較正するための較正値を判定することと、
前記モバイルデバイスが、前記較正値と、前記気圧センサによる後続の気圧測定値とを使用し、前記モバイルデバイスの高度を算出すること、
とを含む方法。
【請求項2】
前記概略的位置は、境界領域を含み、
前記特定の位置が境界領域内の任意のポイントにある、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記概略的較正データを受信することは、さらに、
前記境界領域に関する地形・建物データの一部を受信することと、
前記境界領域を包含する領域の基準気圧データおよび基準気温データを受信することを含み、前記基準気圧データおよび前記基準気温データは、基準測候所によって生成される気圧測定値および気温測定値に基づくものである、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
特定の較正データを判定することは、さらに
地形・建物データの一部から、前記特定の位置に関する特定の地形・建物データを判定することと、
前記特定の地形・建物データに基づいて、前記モバイルデバイスの想定される高度を判定し、
前記境界領域を包含する前記領域に関して、前記基準気圧データおよび前記基準気温データから、前記特定の位置の特定の基準気圧および特定の基準気温を判定することと、を含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記地形・建物データの一部は、地形・建物データベースの一部を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記地形・建物データの一部は、前記境界領域を囲む緯度・経度信頼度についての地形および建物の分布を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記地形・建物データの一部は、地形・建物データベースのデータにフィットされた多項式モデルを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記基準気圧データおよび前記基準気温データは、基準気圧および気温データベースのデータを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記基準気圧データおよび前記基準気温データは、基準気圧および気温データベースのデータにフィットされた多項式モデルを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記モバイルデバイスが、前記地形・建物データの一部と、前記基準気圧データと、前記基準気温データとを記憶することと、
前記モバイルデバイスが、前記境界領域にないと判定した場合に、前記モバイルデバイスが、前記地形・建物データの一部と、前記基準気圧データと、前記基準気温データとを削除することと、をさらに含む請求項3に記載の方法。
【請求項11】
前記地形・建物データの一部は、前記境界領域に対する地形性質データを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
前記境界領域のサイズは、モバイルデバイスのプライバシー要件レベルに依存し、前記プライバシー要件が高い場合には、より大きな境界領域が選択され、プライバシー要件が低い場合にはより小さな境界領域が選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記概略的位置は、前記特定の位置とその他の位置を含む複数の位置を含み、
前記複数の位置は、ある領域内にあり、
前記領域内のいずれかのポイントに前記特定の位置がある、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記概略的較正データを受信することは、さらに、
前記複数の位置の各位置について、想定される高度を受信することと、
前記複数の位置の各位置について、基準気圧および基準気温を受信することと、を含む
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記特定の較正データを判定することは、さらに
前記特定の位置について受信した前記想定される高度を選択することによって、前記モバイルデバイスの特定の想定される高度を判定することと、
前記特定の位置について、前記受信した基準気圧および前記受信した基準気温を選択することによって、前記特定の位置の特定の基準気圧および特定の基準気温を判定することと、を含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記概略的較正データを受信することは、さらに、前記複数の位置の各位置について、地形性質データを受信すること、を含む請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の位置は、前記領域にグリッドパターンで配置されるように選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の位置は、前記領域内のランダムな緯度・経度のポイントで配置されるように選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記領域のサイズは、モバイルデバイスのプライバシー要件レベルに依存し、前記プライバシー要件が高い場合には、より大きな領域が選択され、プライバシー要件が低い場合にはより小さな境界が選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記その他の位置の数は、モバイルデバイスのプライバシー要件レベルに依存し、前記プライバシー要件が高い場合には、より大きな数が選択され、プライバシー要件が低い場合にはより小さな数が選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
モバイルデバイスが、前記モバイルデバイスの特定の位置およびタイムスタンプを判定することと、
前記モバイルデバイスが、前記モバイルデバイスの気圧センサによる気圧測定値に基づいて、前記特定の位置における前記タイムスタンプのデバイス気圧を判定することと、
前記モバイルデバイスが、前記特定の位置およびダミー位置を含む複数の位置を判定することと、
前記モバイルデバイスが、前記ダミー位置についてダミーのデバイス気圧およびダミータイムスタンプを判定することと、
前記モバイルデバイスが、サーバに対して、前記特定の位置、前記ダミー位置、前記タイムスタンプ、前記ダミータイムスタンプ、前記デバイス気圧、および前記ダミーのデバイス気圧を送信することと、
前記モバイルデバイスが、前記サーバから、前記複数の位置に関する概略的較正データを受信することと、
前記モバイルデバイスが、前記概略的較正データに基づいて、前記特定の位置に対する特定の較正データを判定することと、
前記モバイルデバイスが、前記特定の較正データに基づいて前記気圧センサを較正するための較正値を判定することと、
前記モバイルデバイスが、前記較正値と、前記気圧センサによる後続の気圧測定値とを使用し、前記モバイルデバイスの高度を算出することと、を含む方法。
【請求項22】
前記サーバが、前記複数の位置の各位置について想定される高度を判定することと、
前記サーバが、前記複数の位置の各位置について、基準気圧および基準気温を判定することと、
前記複数の位置の各位置について、前記サーバが、前記デバイス気圧、前記基準気圧、および前記基準気温に基づいて計算した前記モバイルデバイスの高度を判定することと、を含む請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記概略的較正データには、前記複数の位置の各位置について、前記計算された高度および想定される高度、または前記複数の位置の各位置について前記想定される高度と計算された高度との差が含まれる請求項22に記載の方法。


【発明の詳細な説明】
【関連出願との相互参照】
【0001】
本出願は、2021年9月13日に提出され、「Device Based Barometric Pressure Sensor Calibration(デバイスベースの気圧センサの較正)」と題する米国特許仮出願第63/261139号に基づき優先権を主張するものであり、当該米国特許仮出願の内容はその全体が参照によりここに組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
モバイルデバイスには、気圧に基づいてモバイルデバイスの高度を決定するシステムの一部であるものもある。気圧ベースの位置判定システムでは、較正された気圧センサを使用して、モバイルデバイス付近の既知の場所に配置されたセンサの較正済みネットワークから得られる周囲の圧力と温度の測定値を使用して天候の影響を補正することによってモバイルデバイスの高度が計算される。このようなシステムは、必然的にモバイルデバイス内の十分に較正された気圧センサに依存する。残念ながら、消費者向け気圧センサはその多くが安価なセンサであり、較正が十分でない可能性がある。さらに、気圧センサが一度は正確に較正されたとしても、時間の経過とともに較正がずれることがあり、最終的には較正不良となり、モバイルデバイスの高度決定機能が不正確で、信頼性が低い、または役に立たないものとなる。そのため、モバイルデバイスは気圧センサを較正するシステムと通信する必要がある。
【0003】
従来の較正技術では、一般的に、サーバが、モバイルデバイスから位置情報と圧力情報を受信して較正計算を行う。サーバはまた、較正計算用に、さまざまなデータベースからの追加の情報を使用する。これらのデータベースは非常に大きく、一元化された場所に記憶することができる。このようなデータベースには、地形の様々な地域の高度レベルや、建物や構造物の高さやフロアデータなど、一般的に静的な情報を含むものもある。他のデータベースには、位置と高度が既知の基準測候所のネットワークからの気圧、気温、湿度の測定値のように、頻繁に変動する動的データが含まれる。
【0004】
また、従来の較正技術は、モバイルデバイスが自身の位置をサーバに提供後、サーバからモバイルデバイスに追加情報を送信することによって、モバイルデバイスによって実行することも可能であり、当該位置は、較正に必要となる追加情報を照会/導出するために使用することができる。このような 「デバイスベース」の較正技術は、サーバの計算負荷を軽減し、サーバコストの削減を可能とする。
【0005】
しかし、従来のサーバベース、デバイスベースの技術はプライバシーの観点から望ましくない可能性がある。というのも、較正計算をサーバで行うにしても、モバイルデバイスで行うにしても、モバイルデバイスの正確な位置をサーバに提供する必要があるからである。これに加えて、従来のデバイスベースの技術では、電力消費やストレージの消費が大きく、ネットワーク帯域が大きいため、あまり好まれない。
【発明の概要】
【0006】
いくつかの実施の形態では、サーバにモバイルデバイスの正確な位置の提供を必要としないデバイスベースの気圧センサの較正システムおよび方法は、前記モバイルデバイスが前記モバイルデバイスの特定の位置を判定することと、前記モバイルデバイスの前記特定の位置を包含し、当該特定の位置を不明瞭化する概略的位置を判定することと、前記概略的位置をサーバに送信することと、前記概略的位置に関する概略的較正データを受信することと、前記概略的較正データおよび前記特定の位置に基づいて、特定の較正データを判定することと、前記モバイルデバイスの気圧センサによる気圧測定値に基づいてデバイス気圧を判定することと、前記特定の較正データおよび前記デバイス気圧に基づいて前記気圧センサを較正するための較正値を判定することと、前記較正値と、前記気圧センサによる後続の気圧測定値とを使用し、前記モバイルデバイスの高度を算出すること、とを含む
【0007】
いくつかの実施の形態では、概略的位置は境界領域を含み、特定の位置は境界領域内の任意の点であり、概略的較正データは、境界領域に関する地形・建物データの一部と、境界領域を包含する領域の基準気圧および温度データを含む。いくつかの実施の形態では、前記概略的位置は、前記特定の位置とその他の位置を含む複数の位置を含み、前記複数の位置は、ある領域内にあり、前記領域内のいずれかのポイントに前記特定の位置があり、前記概略的較正データには、前記複数の位置の各位置について想定される高度と、前記複数の位置の各位置の基準気圧および基準気温が含まれる。
【0008】
いくつかの実施の形態では、前記モバイルデバイスが、前記モバイルデバイスの特定の位置およびタイムスタンプを判定することと、前記モバイルデバイスの気圧センサによる気圧測定値に基づいて、前記特定の位置における前記タイムスタンプのデバイス気圧を判定することと、前記特定の位置およびダミー位置を含む複数の位置を判定することと、前記ダミー位置についてダミーのデバイス気圧およびダミータイムスタンプを判定することと、サーバに対して、前記特定の位置、前記ダミー位置、前記タイムスタンプ、前記ダミータイムスタンプ、前記デバイス気圧、および前記ダミーのデバイス気圧を送信することと、前記サーバから、前記複数の位置に関する概略的較正データを受信することと、前記概略的較正データに基づいて、前記特定の位置に対する特定の較正データを判定することと、前記特定の較正データに基づいて前記気圧センサを較正するための較正値を判定することと、前記較正値と、前記気圧センサによる後続の気圧測定値とを使用し、前記モバイルデバイスの高度を算出すること、とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、いくつかの実施の形態による、モバイルデバイスの気圧センサを較正するための例示的なシステムの簡略化された概略図である。
【0010】
図2図2は、いくつかの実施形態による、モバイルデバイスを使用し、モバイルデバイス内の気圧センサを較正できる簡略化された環境を示す図である。
【0011】
図3図3は、いくつかの実施形態による、モバイルデバイスの例示的な処理を示す簡略化されたフローチャートであり、モバイルデバイスの気圧センサを較正する処理を示す図である。
【0012】
図4図4は、いくつかの実施形態による、モバイルデバイスの例示的な処理を示す簡略化されたフローチャートであり、モバイルデバイスの気圧センサの較正用の必要なパラメータを決定する処理を示す図である。
【0013】
図5図5は、いくつかの実施形態による、モバイルデバイスを配置可能な領域の簡略図である。
【0014】
図6図6は、いくつかの実施形態による、モバイルデバイスの別の例示的な処理を示す簡略化されたフローチャートであり、モバイルデバイスの気圧センサの較正用の必要なパラメータを決定する処理を示す図である。
【0015】
図7図7は、いくつかの実施形態による、モバイルデバイスを配置可能な別の領域の簡略図である。
【0016】
図8図8は、いくつかの実施形態による、モバイルデバイスの別の例示的な処理を示す簡略化されたフローチャートであり、モバイルデバイスの気圧センサの較正用の必要なパラメータを決定する処理を示す図である。
【0017】
図9図9は、いくつかの実施形態による、送信機、モバイルデバイス、およびサーバの簡略化された概略図である。
【詳細な説明】
【0018】
本明細書に記載する較正システムまたは方法は、モバイルデバイスからサーバに、モバイルデバイスの正確な特定の位置ではなく、曖昧な概略的位置を提供することによって、モバイルデバイスによる気圧センサの較正(即ち「デバイスベース」の較正)を可能にする。その後、概略的位置に基づいて、サーバがモバイルデバイスに対して、位置特定の較正データではなく、概略的較正データを送信する。概略的較正データには、実施形態によって異なる情報が含まれるが、一般的に、モバイルデバイスが較正計算を実行するのに必要なデータよりも多くのデータが含まれる。これは、概略的較正データは、モバイルデバイスの正確な特定の位置ではなく、比較的広い(しかし広すぎない)地理的領域に関して提供されるからである。したがって、概略的較正データから、モバイルデバイスは、基準気圧、基準気温、基準高度、および当該モバイルデバイスについて想定される高度などの、必要となる位置特定の較正データ(即ち、「基準データ」または「補助データ」)を判定する。位置特定の較正データと気圧センサによる気圧測定値を用いて、モバイルデバイスは気圧センサを較正するための較正値を決定する。詳細については、後述する。
【0019】
モバイルデバイスが較正計算を行うので、サーバは計算負荷から部分的に解放される。このように、サーバとモバイルデバイスの両方に演算負荷を分散させることで、サーバのコスト削減が可能となる。しかし、サーバがモバイルデバイスに較正計算を実行させるために必要なデータよりも多くのデータを送信するため、伝送帯域幅が影響を受ける可能性があり、トレードオフの関係にある。一方、モバイルデバイスは、モバイルデバイスの曖昧な概略的位置をサーバに送信するため、その正確な特定の位置が不明瞭となる。したがって、モバイルデバイスの特定の位置がサーバに公開されないので、サーバからモバイルデバイスへのデータ送信不可やモバイルデバイスにおける必要な位置特定の較正データを判定するための演算負荷の増加を伴うものの、モバイルデバイスのユーザのプライバシーレベルは維持される。
【0020】
モバイルデバイスの気圧センサを較正する際に、較正済み気圧デバイスと比較して正確な気圧を読み取るように気圧測定値を調整する。これは、気圧測定値から算出される高度が、モバイルデバイスの位置において予想されるまたは既知の高度と合致するように、気圧を調整することによって達成され得る。この計算によって予想される高度の質は、予想される高度のルックアップが、建物の密度や地形の変化が水平方向の変位で数十メートルに及ぶことなどさまざまな考慮事項によって、正確な位置に非常に敏感であるため、モバイルデバイスの質の高い測定に依存する。従来の不明瞭化技術では、モバイルデバイスの水平方向の位置を粗くする(例えば、2次元位置を1~10kmまで広げる)ことにより、モバイルデバイスの位置を不確実にすることで、ユーザのプライバシー保護を可能とする。しかし、モバイルデバイスの水平位置をわずかに(例えば10数メートルを超えて)粗くするだけでも、予想高度など、補助データベースから信頼できる較正情報が得られなくなる。したがって、このような状況では、較正や高度判定の信頼性は非常に低くなる。一方、モバイルデバイス上でローカルにダウンロードされたファイルから補助データを検索する場合、ストレージの問題、データ帯域幅の問題、消費電力の問題から、補助データベース全体をモバイルデバイスに送信するのは合理的ではない。さらに、ネットワークとの接続に制限がある状況では、補助データがまだ利用可能となっていなかったりダウンロードされていなかったりすることで、較正計算が困難となる。したがって、本開示は、サーバにモバイルデバイスの概略的位置を送信し、効率的な送信が可能な小さいサイズであって、モバイルデバイスが較正計算を行うために必要な情報を提供する概略的較正データをモバイルデバイスで受信することで、ことでこれらの問題を解決する。
【0021】
図1は、いくつかの実施の形態による、ユーザのモバイルデバイスの気圧センサを較正するための例示的なデバイスベースの較正システム100の簡略化された概略図である。いくつかの実施の形態では、較正システム100は、一般的に、サーバ102と、複数のユーザデバイスまたはモバイルデバイス104とを含む。サーバ102とモバイルデバイス104とは通常、ネットワーク106を介して通信可能である。
【0022】
サーバ102は、一般に、クラウドコンピューティングシステム、サーバファーム、コンピュータ群、デスクトップコンピュータ、ノートパソコン等の一つ以上のコンピュータ化されたデバイスを表す。各モバイルデバイス104は、一般的に、携帯電話、スマートフォン、セル方式の携帯電話、その他の無線通信デバイス、手持ち式コンピュータ、ノートパソコン、パーソナルコンピュータ、ポータブルコンピュータ、ナビゲーションデバイス、追跡デバイス、受信機、ウェアラブルコンピュータデバイスなどを表す。ネットワーク106は、一般的に、インターネット、セル方式の携帯電話通信システム、ブロードバンドセル方式ネットワーク、広域ネットワーク(WAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイヤレスネットワーク、IEEE802.11規格ファミリに基づくネットワーク(Wi-Fiネットワーク)、及び他のデータ通信ネットワーク等の一つ以上の通信システムの任意の適切な組み合わせを表す。
【0023】
いくつかの実施の形態では、各モバイルデバイス104は、一般的に、他のハードウェア、ソフトウェア、およびデータの中でも、位置センサ108、移動センサ110、気圧センサ112、デバイス気圧114、現在の較正値116(較正量、較正信頼度区間、および較正実行時のタイムスタンプを有する)、特定の位置118、概略的位置120、概略的較正データ122、および特定の較正データ124を含む。位置センサ108は、一般的に、全地球的航法衛星システム(GNSS、GPS、GLONASS、Galileo、Compass/Beidouなど)、地上送信機システム、またはハイブリッド衛星/地上システムなど、モバイルデバイス104の位置を検出するための一つ以上の適切なセンサデバイスおよび関連ソフトウェアを表す。位置センサ108からの位置データは、一般的にモバイルデバイス104が、特定の位置118を判定するために使用される。特定の位置118は、(関連するタイムスタンプによって表される)所定の時間におけるモバイルデバイスの水平位置、例えば、緯度および経度の推定値を表す。さらに、特定の位置118は、位置センサ108からの位置データに関連付けられた信頼度区間値による特定の位置ポイント周辺の特定の位置領域を含んでもよい。したがって、モバイルデバイス104の正しい位置は、特定の位置領域内にあり、特定の位置ポイントが正しい位置である可能性が高い。
【0024】
移動センサ110は、特に、加速度計、ジャイロスコープ、磁気探知機/コンパス、および/または、歩数計など一般的にモバイルデバイス104の移動検知に関連する一つ以上の適切なセンサデバイスおよびこれに関連するソフトウェアを表す。移動センサ110からの移動データは、モバイルデバイス104がモバイルデバイス104の動きを判定するために使用することができる。さらに、特定の位置118や動きは、モバイルデバイス104の較正に良好な機会の発生を判定することに使用することができる。
【0025】
気圧センサ112は、モバイルデバイス104が高度の判定に使用する気圧測定値(即ち、デバイス気圧114)を生成する適切なセンサデバイスを表す。現在の較正値116は、モバイルデバイス104または気圧センサ112によって、気圧センサ112の較正、即ち、高度を判定するための正確な調整後の気圧測定値を得るために、生の気圧測定値を調整するために使用される。
【0026】
いくつかの実施の形態では、モバイルデバイス104は、特定の位置118(関連するタイムスタンプを有する)から、概略的位置120を生成し、サーバ102へのリクエストにおいて、概略的位置120を送信する。概略的位置120は、実施の形態に応じて異なる方法で、モバイルデバイスの実際の位置の推定が困難になるように選択される。例えば、いくつかの実施の形態では、概略的位置120によって、特定の位置118を包含する境界領域であって、特定の位置118が特定の位置領域を含む場合には当該特定の位置領域よりも大きい境界領域が提供される。さらに、概略的位置120は、境界領域からモバイルデバイスの推定位置の判断がほぼ不可能となるように、特定の位置118が境界領域内のどこにあるかわからなくなるように選択される。別の実施の形態では、概略的位置120には複数の位置が含まれ、当該複数の位置の一つが特定の位置118であり、その他は特定の位置118と同じ概略的領域にある無作為に選択されたダミー位置である。特定の位置118は、この概略的領域の任意の点または領域となる。その他の位置が無作為に選択されるため、複数の位置のどれが特定の位置118なのかを判断することはほぼ不可能である。
【0027】
いくつかの実施の形態では、サーバ102は一般的に、ハードウェア、ソフトウェア、およびデータの中でも特に、(モバイルデバイス104から受信した)概略的位置120、地形・建物データ126、地形性質データ128、基準ネットワーク測候所データ130、基準ネットワーク測候所データサンプル(「基準データサンプル」)132、および概略的較正データ122を含む。地形性質データ128は、一般的に、所定の位置および領域に対して地形がどの程度凹凸があり平滑であるかを示す地形平坦度データ、および実際の地形に対して基礎となる地形データベースがどの程度正確かを示す地形精度データを含む。サーバ102は、各モバイルデバイス104について概略的位置120を受信する。概略的位置120を受信すると、サーバ102は、当該概略的位置120に基づいて、「補助データベース」データ126~132から、概略的較正データ122を構築し、概略的較正データ122をモバイルデバイス104に送信する。補助データベースには、一般的に二つのデータベースが含まれる。地形・建物データ126と地形性質データ128についてのユーザ高度データベースと、比較的動的なデータである基準ネットワーク測候所データ130および基準ネットワーク測候所データサンプル132の基準気候データベースである。概略的較正データ122は、したがって、概略的位置120(およびモバイルデバイスの正しい位置)を包含するだけの大きな領域に対する補助データベースの一部であり、なおかつ、サーバ102からモバイルデバイス104へ効率的に伝送可能で、適度な速さで照会でき、モバイルデバイス104のバッテリやCPUのリソースを消耗させない小さなサイズである。
【0028】
いくつかの実施の形態では、サーバ102は、サーバとデバイスとの接続が可能なときに、補助データベースをモバイルデバイス104へ送信するために、補助データベースを小さなバッチに分割または区画化することができる。そして、モバイルデバイス104がその後、較正が必要な際に(例えば、較正に必要なデータが揃った後に)補助データベースを組み立てる。これは、モバイルデバイス104とサーバ102との接続や帯域が制限される場合に有益である。
【0029】
いくつかの実施の形態では、サーバ102は、地形・建物データベースに、地形・建物データ126を保持する。このデータの地形部分は、一般的に、例えば、地理的グリッドの高度、地形図、または他の適切な技術として、広域地形全体の高度レベルを示す。このデータの建物部分は、一般的に、同じ領域内の建築物やその他の構造物の位置、それらの高さ、階数、および/または建築物や構造物に関連する他の情報を示す。地形性質データ128は、一般的に、領域または細分化領域内の地形の平坦度または変化、例えば、細分化領域内の平均高度に対するプラス/マイナスの高度差を示す。さらに、地形性質データ128は、地形・建物データ126に含まれるか、地形・建物データ126から導出される。
【0030】
いくつかの実施の形態では、地形関連データ126および128を使用する処理は、関連する統計(例えば、任意の緯度と経度に対する地形および建物の分布とその信頼度)を事前に計算し、これを単一のデータベースに格納して、概略的位置120を受信した際に、地形関連データ126および128を、境界領域または複数の位置に関する修正形態としてモバイルデバイス104に送信することによって最適化することができる。こうすることにより、完全な地形関連データ126および128よりもサイズが小さく、モバイルデバイス104による較正計算が少なくて済むという利点がある。いくつかの実施の形態では、地形関連データ126および128は、予め計算された関連統計量よりもさらにサイズが小さい、データにフィットさせた多項式モデルを返すことにより、さらに最適化することができる。
【0031】
モバイルデバイス104から概略的位置120を受信すると、サーバ102は、概略的位置120に関する、即ち、境界領域または複数の位置に関する地形関連データ126および128の一部を組み立てる。概略的位置120が境界領域であるいくつかの実施の形態では、サーバ102は、概略的位置120を受信すると、境界領域の境界と一致するか、または境界領域の境界を完全に包含する領域について、地形関連データ126および128の関連部分を組み立ててもよい。あるいは、地形関連データ126および128はあまり頻繁に変化するものではないので、サーバ102は、地形関連データ126および128を予め複数の領域に細分化しておき、必要なときまで、所定の領域ごとに地形関連データ126および128を保持してもよい。サーバ102がモバイルデバイス104から境界領域を受信すると、サーバ102は、境界領域全体が単一の所定領域に包含されるか、複数の領域に包含されるかを判定してもよい。そして、サーバ102は、境界領域と重なり、境界領域を完全に包含する一つ以上の所定領域の地形関連データ126および128を選択することによって、地形関連データ126および128の一部を組み立ててもよい。これにより、少なくとも境界領域に関連する地形関連データ126および128のすべてが提供され、サーバ102による応答の高速化も可能となる。(したがって、特定の位置118も包含する領域が地形関連データ126および128の部分でカバーされる。)概略的位置120が複数の位置であるいくつかの実施の形態では、サーバ102は、これら複数の位置のそれぞれについて、地形関連データ126および128の関連部分を組み立ててもよい。(この場合、地形関連データ126および128の部分は、個々の場所のそれぞれについて想定される高度およびその信頼度または不確実性のみを含むように単純化することができ、特定の位置118について想定される高度およびその信頼度または不確実性が必然的に含まれることになる。)あるいは、サーバ102は、予め複数の所定領域について地形関連データ126および128を保持しておき、概略的位置120の複数の位置を包含する一つ以上の所定領域について地形関連データ126および128を選択し、地形関連データ126および128を組み立ててもよい。(したがって、特定の位置118も包含する領域が、選択された地形関連データ126および128によってカバーされる。)地形関連データ126および128のうち、概略的位置120に関連する部分は、サーバ102がモバイルデバイス104に送信する概略的較正データ122の一部として含まれる。
【0032】
いくつかの実施の形態では、地形関連データ126および128は、物理的な想定(例えば、モバイルデバイス104が宙に浮くことができない)とともに、所与の特定の位置118(2次元位置)に対するモバイルデバイス104の高度分布の可能性と信頼度を確立するデータベース(即ち、ユーザ高度データベース)とすることができる。地形関連データ126および128のデータベースは、頻繁な更新を必要としないデータベースであるため、「静的」であると考えられ、モバイルデバイス104が、関連する領域(例えば、境界領域または複数の位置を包含する一つ以上の領域)について一度だけ取得する必要があるものの、取得後は、例えば、浸食、堆積、建物の建設などにより地図を更新し、サーバ102の基礎データベースが更新された場合に、モバイルデバイス104で更新するのみというさらなる利点もある。いくつかの実施の形態では、モバイルデバイス104は、ユーザ高度データベースの照会を行うことができるが、ユーザ高度データベースには以下のようなクエリ入力と応答出力が含まれる。
式1
ここで、クエリFuseraltは、特定の位置118の緯度、経度、および2次元位置信頼度区間(conf2D)を提供し、これに対して、位置信頼度区間でカバーされる領域の高度に関する信頼度および地形の平坦度とともに、特定の位置118について可能性の高いまたは想定される高度が提供される。さらに、このようなデータベースは、ルックアップテーブル、深層学習モデルなどの形態をとることができる。
【0033】
いくつかの実施の形態では、サーバ102は、比較的動的な(定期的に更新される)基準気圧/気温データベース(または、気候測定値データベース)において基準ネットワーク測候所データ130を保持する。このデータベースは、ルックアップテーブルのような適切な形態をとることができる。このデータベースはまた、所与の時間における所与の位置での基準気圧Pまたは基準気温Tを示す補間多項式曲面から構成することもできる。例えば、座標がXとYの場合、時間に依存する2次の、二次元多項式曲面は、以下のような区分的関数表記で説明されるように、時間スライスごとに6つのパラメータを有することになる。
式2
ここで、A~Fはフィットパラメータであり、X’とY’は対象となる領域の中心(ただし、どの位置でもよい)であり、tはA~Fフィットパラメータに対応する時間である。その他のモデルとしては、3次元多項式(X、Y、tを使用)や、指数関数、ロジスティック関数などの非多項式関数を挙げることができる。
【0034】
基準ネットワーク測候所データ130は、気象関連データの中でも特に、気圧、温度、湿度データを定期的に提供する較正済み測候所のネットワークから受信される。サーバ102は、広域の地理的領域の適切な領域に関する基準ネットワーク測候所データ130から基準ネットワーク測候所データサンプル132を生成する。任意の領域または位置の基準ネットワーク測候所データサンプル132は、当該領域内の基準面の気圧と気温、当該領域の気圧と気温の地理的グリッド、当該領域の気圧と気温の地形的マップ、当該領域または位置に最も近い一つ以上の測候所からの気圧、気温、位置データ、当該領域または位置の近辺の複数の測候所からの平均化された気圧と気温、当該領域または位置近辺の測候所の基準ネットワークからの測定値にフィットされた気圧と気温の多項式モデルに基づく補間された気圧と気温、または他の方法に基づく領域または位置の基準気圧と気温であってもよい。気圧と気温のモデルを使用する実施の形態では、他の技術と比較して、サイズが小さく、モバイルデバイス104による較正計算が最小限で済むという利点を有し得る。
【0035】
モバイルデバイス104から概略的位置120を受信すると、サーバ102は、基準ネットワーク測候所データ130から関連するデータを組み立てて、概略的位置120(または概略的位置120を包含する領域、つまり境界領域または複数の位置)について、基準ネットワーク測候所データサンプル132(即ち、基準気圧データ、基準気温データ、およびこれらの信頼度)およびタイムスタンプによって示される時刻を生成する。概略的位置120が境界領域であるいくつかの実施の形態では、境界領域と同じ概略的領域における基準ネットワーク測候所データ130から、その場で境界領域特定の基準ネットワーク測候所データサンプル132が組み立てられる。あるいは、基準ネットワーク測候所データ130(ひいては基準ネットワーク測候所データサンプル132)は、気象が変化するにつれて定期的に変化することがあるものの、サーバ102は基準ネットワーク測候所データ130および/または基準ネットワーク測候所データサンプル132を、予め複数の所定領域に細分化し、必要なときが来るまで、定期的な更新に関わらず、単にそれぞれの領域についての基準ネットワーク測候所データ130および/または基準ネットワーク測候所データサンプル132を保持してもよい。サーバ102がモバイルデバイス104から境界領域を受信すると、サーバ102は、境界領域全体が単一の所定領域に包含されるか、複数の領域に包含されるかを判定してもよい。そして、サーバ102は、境界領域と重なり、境界領域を完全に包含する一つ以上の所定領域の基準ネットワーク測候所データサンプル132を選択することによって、基準ネットワーク測候所データサンプル132を組み立ててもよい。これにより、サーバ102による応答を高速化できる可能性がある。(したがって、特定の位置118を包含する領域が、基準ネットワーク測候所データサンプル132によってカバーされる。)概略的位置120が複数の位置を含むいくつかの実施の形態では、サーバ102は、当該複数の位置のそれぞれについて、基準ネットワーク測候所データサンプル132を組み立ててもよい。(この場合、基準ネットワーク測候所データサンプル132は、個々の位置それぞれについて具体的に基準気圧および基準気温のみを含んでいてもよく、これにより必然的に特定の位置118の基準気圧および基準気温が含まれることになる。)あるいは、サーバ102は、予め複数の所定領域について基準ネットワーク測候所データサンプル132を保持しておき、概略的位置120の複数の位置を包含する一つ以上の所定領域について基準ネットワーク測候所データサンプル132を選択し、基準ネットワーク測候所データサンプル132を組み立ててもよい。(したがって、特定の位置118を包含する領域が、選択された基準ネットワーク測候所データサンプル132によってカバーされる。)概略的位置120に関連する基準ネットワーク測候所データサンプル132およびタイムスタンプは、サーバ102がモバイルデバイス104に送信する概略的較正データ122の一部として含まれる。
【0036】
サーバ102から概略的較正データ122を受信すると、モバイルデバイス104は、概略的較正データ122および特定の位置118から、特定の較正データ124を決定する。特定の較正データ124は、例えば、基準気圧、基準気温、およびモバイルデバイス104の想定される高度、これらの値の信頼度区間など、較正計算を行う上で必要となるパラメータや値を含んでいる。これらの値は「参照データ」または「補助データ」とも呼ばれる。したがって、モバイルデバイス104は、地形・建物データ126の一部から、特定の位置の特定の地形・建物データを判定し、特定の地形・建物データに基づいて、モバイルデバイス104の想定される高度を判定し、境界領域を包含する領域または複数の位置に関して、基準気圧データおよび基準気温データから、特定の位置118の特定の基準気圧および特定の基準気温を判定する。
【0037】
モバイルデバイス104は、特定の位置118を参照して、受信された地形関連データ126および128の一部からモバイルデバイス104の想定される高度およびその信頼度または不確実性を判定する。特定の位置118を包含する領域が、地形関連データ126および128の関連部分によってカバーされるいくつかの実施の形態では、モバイルデバイス104は、特定の位置118に基づいて地形関連データ126および128の一部から、特定の位置118に関する想定される高度およびその信頼度または不確実性を計算する。地形関連データ126および128の一部が、複数の位置の個々の位置それぞれについて特定の想定される高度およびその信頼度または不確実性のみを含むように簡略化されるいくつかの実施の形態では、モバイルデバイス104は、複数の位置全てに対する想定される高度およびその信頼度または不確実性から、特定の位置118に関するもののみを選択することによって、想定される高度およびその信頼度または不確実性を判定し、残りを削除する。したがって、特定の位置118に対する想定される高度およびその信頼度または不確実性は、特定の較正データ124の一部をなす。
【0038】
さらに、いくつかの実施の形態では、モバイルデバイス104は受信した地形関連データ126および128をジオフェンスに関連付けてキャッシュまたは記憶する。したがって、モバイルデバイス104は、自身が受信した地形関連データ126および128の一部によってカバーされる領域を出たことを検知するまで、受信した地形関連データ126および128の一部を削除することはない。このようにして、モバイルデバイス104は、モバイルデバイス104が同一の領域にいる限り、同一の地形関連データ126および128の一部で、新たに集められた気圧・位置データを用いることにより新たな較正計算を行うことができ、このような場合においてモバイルデバイス104からサーバ102に新たなリクエストを送信する必要はない。
【0039】
モバイルデバイス104は、特定の位置118を参照して、受信された基準ネットワーク測候所データサンプル132から基準気圧、基準気温、および信頼度または不確実性を判定する。受信した基準ネットワーク測候所データサンプル132が特定の位置118を包含する領域に対するものであるいくつかの実施の形態では、モバイルデバイス104は、特定の位置118に基づいて、受信された基準ネットワーク測候所データサンプル132から基準気圧、基準気温、および信頼度または不確実性を計算する。基準ネットワーク測候所データサンプル132が、複数の位置の個々の位置それぞれについて特定の基準気圧および基準気温のみを含むように簡略化されるいくつかの実施の形態では、モバイルデバイス104は、複数の位置全てに関するデータから、特定の位置118に関する基準気圧、基準気温、および信頼度または不確実性のみを選択することによって、想定される高度およびその信頼度または不確実性を判定し、残りについては削除する。したがって、特定の位置118に対する基準気圧、基準気温、および信頼度または不確実性は、特定の較正データ124の一部をなす。
【0040】
特定の較正データ124には、サーバ102から取得したデータから判定されたデータに加えて、モバイルデバイス104の気圧センサ112から得た気圧測定値(即ち、デバイス気圧)およびその信頼度または不確実性が含まれている。このように、モバイルデバイス104は、較正値に対する較正量を計算するために必要となる値(例えば、モバイルデバイス104の想定される高度、基準気圧、基準気温、および特定の位置118に関するデバイス気圧)を揃える。モバイルデバイス104は、さらに、較正値に対する較正信頼度区間を計算するために必要となる値(例えば、地形性質データ128からの地形平坦度、想定される高度の信頼度または不確実性の値、基準気圧、基準気温、およびデバイス気圧)を揃える。
【0041】
モバイルデバイス104は、この較正値を、前回判定された、または今後判定される他の較正値とともに「較正テーブル」に記憶する。このような較正値は利用可能なものが一つしかない場合を除いて、古すぎるまたは信頼度の低すぎる較正値は、較正テーブルから削除してもよい。そして、モバイルデバイス104は、「最良」と思われる較正値を較正テーブルから選択する。最良の較正値は、「現在の較正テーブル」に記憶され、気圧センサ112によって生成された生の気圧測定値を調整して較正された気圧測定値を得るために使用される。較正された気圧測定値は、モバイルデバイス104の高度を判定する際に使用される。
【0042】
図2は、いくつかの実施形態による、モバイルデバイス104を使用し、モバイルデバイス104の高度を推定可能で、モバイルデバイス104内の気圧センサ112を較正できる簡略化された例示的な環境200を示す図である。環境200には、例示的な測候所ネットワーク202と、例示的なモバイルデバイス104と、例示的なサーバ102とが含まれる。サーバ102は、モバイルデバイス104などの様々なデバイスと通信を行うことができる。また、例示的な環境200には、異なる高さ(高度)の地上高度を有する地形204と、異なる高度の異なる床面高さの建物206、208と、送電塔210とが含まれる。
【0043】
測候所202は、図2の例に示されるように、地形204全体の異なる高度に対して、自然のまたは人工構造物(例えば、建物206、208および送電塔210)の外側または内側の異なる高度、深度に配置された地上送信機のネットワークを形成する。いくつかの実施の形態では、センサ測定値および測位信号は、既知の送信技術を用いて、測候所202から送信され、モバイルデバイス104および/またはサーバ102で受信される。測位信号はまた、例示的な環境200全体に配置された送信機(測候所ではない、例えば送電塔210)から、または例示的な環境200上空の衛星212から送信されてもよい。例えば、センサ測定値および測位信号は、本技術分野で既知である、または本明細書に開示するように、タイムスロット、擬似ランダムシーケンス、周波数オフセット、又は他のアプローチを利用する一つ以上の共通多重化パラメータを使用して送信してもよい。
【0044】
モバイルデバイス104は、図2の例に示されるように、地形204全体の異なる高度に対して、自然のまたは人工構造物(例えば、建物206、208)の外側または内側の異なる高度、深度にいるユーザ214に携帯されている。モバイルデバイス104は、環境200内の車両216や環境200上空の航空機218に搭載されることもある。
【0045】
図1および図8には、本明細書に記載されるように、想定される測候所202のハードウェア、ソフトウェア、データコンポーネント 、モバイルデバイス104、およびサーバ102の例が示されている。具体的には、各測候所202およびモバイルデバイス104には、大気条件(例えば、大気圧や気温)の測定値を生成する適切な大気センサ(例えば、気圧センサや気温センサ)が含まれていることがあり、これらによってモバイルデバイス104の高度を推定し、高度推定値の不確実性を推定し、気圧センサ112の較正を行う。
【0046】
このような環境200で、人/ユーザ214がモバイルデバイス104とともに移動すると、当該モバイルデバイスの気圧センサ112を較正する様々な機会が発生し得る。例えば、モバイルデバイス104は、地形・建物データ126によって既知の正確な高度情報が提供される地形に遭遇したり、地形性質データ128によってモバイルデバイス104の特定の位置118近傍の高度の変化が示されたりすることがある。あるいは、モバイルデバイス104は、モバイルデバイス104の特定の位置118が、既知の正確なセンサデバイス、または十分に高度が把握されている既知の地理的ポイント(モニュメントや測量標)へ近づいたこと(例えば、許容される閾値距離内に入ったこと)を示してもよい。その他の較正機会が発生することもある。
【0047】
図3は、いくつかの実施形態による、モバイルデバイス104の例示的な処理300の簡略化されたフローチャートであり、あらゆる較正機会を活用して、気圧センサ112を較正する処理を示している。本処理における、具体的なステップ、ステップの組み合わせ、およびステップの順番は、例示のみを目的として提供する。異なるステップ、ステップの組み合わせ、またはステップの順番による別の処理によっても同一の結果を得ることができる。コンポーネントの一つによって実行されるステップの一つについて説明する特徴または機能は、いくつかの実施形態において、異なるステップまたはコンポーネントで可能となることがある。また、ステップには、例示されるステップの順番に関わらず、他のステップの前後に実行されたり、他のステップと重複して実行されたりするものもある。
【0048】
ステップ302において、モバイルデバイス104は気圧データ、位置データ、および関連する(モバイルデバイス104がこの位置あった際や気圧データを収集した際の)タイムスタンプデータを収集する。一般的に、モバイルデバイス104はこれを、データ収集用の一連の規則に基づいて継続的に行う。データは能動的に収集してもよく、受動的に(つまりバックグラウンドで)収集されてもよい。データ収集に関する規則は一般的に、関連データを収集する好ましい状況を定義している。このようなルールは一般的に、データ帯域幅を最適化し、収集されたデータが最高品質で較正に使用可能であることを保証するために使用される。データ収集規則には、以下の条件下でのデータ収集を行うことが含まれるが、これらには限定されない。
1) ユーザ214は、モバイルデバイス104を担持しつつ、静止状態にあるか、歩いている(運転していない)。この活動状況は、活動状況測定値から判定されるか、位置センサ108、移動センサ110、および/または気圧センサ112の一つ以上から得られるセンサ安定性測定値を用いて導出される。
2) モバイルデバイス104は建物から離れて外部にある。これは、利用可能であれば地形・建物データ126の建物フットプリントデータから判定されてもよい。
3) モバイルデバイス104は、平坦な勾配にある。これは、利用可能であれば地形関連データ126および128から判定されてもよい。
4) モバイルデバイス104は建物内部の既知のフロアにある。これは、利用可能であれば地形・建物データ126の建物フロアデータから判定されてもよい。
5) モバイルデバイスを有するユーザ214は、既知の較正された気圧器具または較正されたデバイスで静止している、あるいは周辺を歩く、通過する。
これら規則のいずれか一つ以上が満たされると、このような状況で収集されたデータは利用価値と信頼性が高いと考えられるため、気圧・位置データが収集されることが好ましい。さらに、モバイルデバイス104が既に、最近判定され信頼性が高いと考えられる較正値を有しているか否かに応じて、(即ち、規則1番~5番それぞれの異なる閾値に応じて)データ収集を積極的に行ってもよく、控えめに行ってもよい。
【0049】
ステップ304で、モバイルデバイス104は、その気圧センサ112がすでに十分に較正されているかどうかを判定する。この目的で、モバイルデバイス104は較正テーブルを照会して、十分に正確で信頼性の高い較正値が含まれているかを判定する。この判定によって、較正テーブルを一つ以上の異なる方法で調べることができる。
1. 較正信頼度区間が、信頼度閾値NPa(例えば、N=10Pa)以下の較正値の有無の判定。信頼度閾値は、気圧センサ112に匹敵するセンサのドリフトモデリングによってすることができる。
2. 過去T日の時間閾値(例えば、T=10日)以内に判定された較正値の有無の判定。時間閾値は、気圧センサ112に匹敵するセンサのドリフトモデリングによって確率することができる。
3. 以下に例示する優先度の高いものから低い較正技術の優先度リストにしたがって、好ましい較正タイプの較正値の有無を判定。
a. 手動ユーザ介入リクエスト
b. 建物と地形
c. 気圧センサのメーカと型式
d. デバイスのメーカと型式
e. 近辺の高精度センサ
f. デバイスID
g. 近辺の既知の地理的ポイント
h. アプリの状況
i. 機械学習モデル
前述した判定のいずれかが肯定されると、ステップ304での判定は「Yes」となり、モバイルデバイスの気圧センサ112は既に十分に較正されており、処理300はステップ302における気圧・位置データの収集に戻る。そうでない場合、ステップ304での判定は「No」となり、モバイルデバイスの気圧センサ112が十分に較正されていない。したがって、処理300はステップ306に進む。
【0050】
ステップ306では、モバイルデバイス104は、収集された気圧・位置データがフィルタリングされたかどうかを判定する。「Yes」の場合、処理300はステップ310に進む。しかし、ステップ306で収集された気圧・位置データがフィルタリングされていないと判定された場合、モバイルデバイス104はステップ308でデータのフィルタリングを行い、ステップ306に戻る。このフィルタリングでは一般的に、一連のフィルタリング規則に従って信頼性の低いデータを破棄する。例えば、信頼できないデータを破棄するためのフィルタリング規則として以下のものが挙げられる。
1) 活動状況が不適切(例えば、運転中にデータ収集が行われた)、またはノイズが多すぎる(例えば、モバイルデバイス104が高さを変えていた、または現地の天候が厳しいときにデータ収集された)。
2) 地形・建物データ126の建築物データ、あるいはGPS I/O情報があればこれらに基づいて、モバイルデバイス104が建物から離れた外部にない。
3) 地形性質データ128がある場合、モバイルデバイス104が平坦な勾配にない。
4) 緯度経度の鮮度やモバイルデバイス104の移動速度または導出された速度によって、位置的異常が検出された。例えば、緯度経度の値が長期間(例えば、1時間以上)変動せず固定されている、または緯度経度が短時間で物理的に不可能な変化をする(例えば、5秒で100マイルなど)。
5) モバイルデバイス104のバッテリ温度が、最高・最低許容値範囲にない(気圧センサには、精度が温度に敏感なものがあるため)。例えば、閾値範囲が20℃~40℃であるのに対して、バッテリ温度が45℃である。
6) 測定値(例えば、緯度、経度、気圧など)のいずれかが0であるか無効である。
収集された気圧・位置データについて、先述したフィルタリング規則のいずれかが正の場合、そのデータセットは信頼性が低いとして破棄される。
【0051】
データ収集規則とフィルタリング規則を合わせることによって、信頼性の低いまたは疑わしいデータが気圧センサ112の較正で使用されることを確実に回避することができる。いくつかの実施の形態では、データ収集規則とフィルタリング規則は、ステップ302におけるデータ収集、またはステップ308におけるデータのフィルタリングのいずれか一つのステップにおいて共に適用することができる。
【0052】
ステップ310では、モバイルデバイス104は、較正計算を実行する準備ができているかどうかを判定する。いくつかの実施の形態では、モバイルデバイス104は、データ収集規則とフィルタリング規則を正しく適用後、気圧・位置データセットが一つのみであればいつでも準備ができていることになる。別の実施の形態では、モバイルデバイス104は一つ以上の気圧・位置データセットが収集・フィルタリングされた後に準備ができたことになる。これは、データセットが多く、較正値が多く算出されるほど、較正計算の精度が高くなり、より正確になるからである。そして、較正テーブルに記憶される計算結果として、最善の最も信頼度が高い較正値、または較正値の平均値が選択される。したがって、いくつかの実施の形態では、モバイルデバイス104は、それぞれが収集された気圧・位置データセットを含むデータパケットが少なくともN個あるか否かを判定する。さらに、Nは、前回の良好な較正から経過した時間に依存しており、前回の良好な較正が古い場合にはより少ないデータで較正し、前回の良好な較正がそれほど古くない場合にはより多くのデータで較正する。例えば、良好な較正が5日前の場合、Nは10個のデータパケットであってもよく、良好な較正がわずか3日前の場合、Nは20個のデータパケットであってもよい。モバイルデバイス104が較正計算を実行する準備ができてない場合、即ちステップ310での判定が「No」の場合、処理300は、ステップ302に戻り、気圧・位置データの収集を継続する。一方、モバイルデバイス104が較正計算を実行する準備ができている場合、即ちステップ310での判定が「Yes」の場合、処理300は、ステップ312に進む。
【0053】
ステップ312において、モバイルデバイス104は、較正に必要となる値を判定する。この値には、較正値の較正量算出に必要な値(例えば、モバイルデバイス104の想定される高度、基準気圧、基準気温、および特定の位置118に関するデバイス気圧)と、較正値の較正信頼度区間算出に必要な値(例えば、地形性質データ128からの地形平坦度、想定される高度の信頼度または不確実性の値、基準気圧、基準気温、およびデバイス気圧)と、が含まれる。図4には、以下に記載する例示的な処理400であって、概略的位置120が境界領域を含む実施の形態において、モバイルデバイス104が、気圧センサ112を較正するために必要とする値またはパラメータを判定する処理が示されている。さらに、図6および図8には、それぞれ、以下に記載する例示的な処理600および800であって、概略的位置120が複数の位置を含む実施の形態において、モバイルデバイス104が、気圧センサ112を較正するために必要とする値またはパラメータを判定する処理が示されている。
【0054】
ステップ314では、モバイルデバイス104は、収集・フィルタリングされた気圧・位置データの各セットに対する較正量および較正信頼度区間を含む較正値を計算する。いくつかの実施の形態では、モバイルデバイス104は、以下の気圧式から、気圧センサ112の未較正のデバイス気圧を用いて、モバイルデバイス104の気圧ベースの高度(hdevice)を計算する。
式3
ここで、Pdeviceは、モバイルデバイス104の気圧センサ112による、モバイルデバイス104の特定の位置118の未較正の推定気圧であり、Prefは、基準面における基準気圧であり、真の圧力からの許容される圧力の範囲内(例えば、5Pa未満)で正確な基準気圧であり、Trefは、基準面における基準気温(例えば、Kelvinの単位)であり、hrefは、所望の高度誤差の範囲内(例えば1.0m未満)で推定される基準面の高度であり、gは重力による加速度(例えば、-9.8m/s2)であり、Rは気体定数であり、Mは、空気(例えば、乾燥空気など)のモル質量である。マイナス記号(-)は、当業者によって理解されるように、代替的な実施の形態における式1で、プラス記号(+)に置き換えてもよい(例えば、g=9.8m/sの場合や、自然対数オペランドがPdevice/Prefの場合)。
【0055】
モバイルデバイス104は、ステップ312で判定された必要な値からモバイルデバイス104の想定される高度、または可能性の高い高度hを取得する。そして、モバイルデバイス104は、気圧ベースの高度hdeviceと、想定される高度または可能性の高い高度hlikelyとの高度差dh(dh=hlikely-hdevice)を判定する。高度差dhは、高低圧力スケール(h-to-Paスケール)および式dP=dh×h-to-Paスケールに基づいて気圧差dPに変換される。ここで、h-to-Paスケールは、一般的な条件ではRTP/gM(約12Pa/m)によって近似されるが、環境条件に応じて8Pa/m~15Pa/mの範囲となり得る。結果として得られる気圧差dPは、較正値に対する較正量である。
【0056】
あるいは、モバイルデバイス104は、式3に示される気圧式を使用し、気圧ベースの高度hdeviceが想定される高度または可能性の高い高度hlikelyと等しくなるまで、デバイス気圧Pdeviceを気圧差dPによって調整してもよい。
【0057】
さらに、モバイルデバイス104は、例えば、以下の式に従って、高度信頼度hconfから始まる、較正値の較正信頼度区間を計算する。
式4
ここで、KはR/gM(即ち、約30m/K)であり、σは基準気温Tの測定値の不確実性であり、σPrefは基準気圧Prefの測定値の不確実性であり、σPdeviceはデバイス気圧Pdeviceの測定値の不確実性である。ここで、Prefは、測候所、市場の地形、0mHAE、0mMSLなどの圧力として選択することができる。したがって、較正信頼度区間dPconfはhconf×h-to-Pa-スケールとなる。
【0058】
ステップ316において、モバイルデバイス104は、較正テーブルに、ステップ314で得られた一つ以上の較正値を、較正量dpおよび較正信頼度区間dPconfとともに記憶する。較正テーブルは、モバイルデバイス104に格納できるデータベーステーブルであり、以下を含む。
1) 気圧センサの較正値、
2) 気圧センサの較正信頼度区間、
3) 較正用収集日(即ち、いつ較正計算で使用する気圧・位置データを収集したのか)、
4) 追加情報(例えば、較正に要した修正の数)。
さらに、較正量dPの正負の記号は、較正されたデバイス気圧を得るためにデバイス気圧の測定値から較正量dPが加算されたのか、減産されたのかによる。
【0059】
必要に応じて、較正テーブルには、実行された較正技術のタイプに関する情報(例えば、ユーザによって行われた手動の較正、バックグラウンドで行われた較正、工場で行われた較正、バッチ処理、単一記録(OD)など)が含まれてもよい。2021年6月4日に出願され、「Constraining Barometric Pressure Sensor Calibration with Sporadic Data Collection’(仮訳:散発的データ収集に伴う気圧センサ較正の制約)」と題される米国特許出願第17/303691号には、本明細書で使用できる較正技術のタイプが開示されている。米国特許出願第17/303691については、全体をここに記載されているかのように、参照により本命最初に組み込まれる。
【0060】
ステップ318において、モバイルデバイス104は、較正テーブルの較正値を比較し、「最良」のものを選択する。先述した米国特許出願第17/303691には、本明細書にて利用できる、最良の較正値を選択する技術が開示されている。
【0061】
ステップ320で、モバイルデバイス104は、現在の較正テーブルに選択された最良の較正値を現在の較正値116として格納することにより、モバイルデバイス104は、現在の較正値116を使用して、気圧センサ112による気圧測定値を較正することができる。
【0062】
図4には、例示的な処理400であって、概略的位置120が境界領域を含む実施の形態において、モバイルデバイス104が、気圧センサ112を較正するために必要とする値またはパラメータを判定する処理が示されている。本処理における、具体的なステップ、ステップの組み合わせ、およびステップの順番は、例示のみを目的として提供する。異なるステップ、ステップの組み合わせ、またはステップの順番による別の処理によっても同一の結果を得ることができる。コンポーネントの一つによって実行されるステップの一つについて説明する特徴または機能は、いくつかの実施形態において、異なるステップまたはコンポーネントで可能となることがある。また、ステップには、例示されるステップの順番に関わらず、他のステップの前後に実行されたり、他のステップと重複して実行されたりするものもある。
【0063】
ステップ402で、モバイルデバイス104は、サーバ102に送信される正確なデータパケットを判定する。データパケットには、モバイルデバイス104の特定の位置118を包含する境界領域と、モバイルデバイス104が当該位置にあった時間のタイムスタンプとが含まれる。時間と位置は、気圧センサ112によってデバイス気圧の測定が行われた時と場所にも適用される。したがって、特定の位置118、タイムスタンプ、およびデバイス気圧は、上述した処理300のステップ302で収集されるデータセットである。いくつかの実施の形態では、モバイルデバイス104は、較正計算の実行に先立ち、複数のデータセットを収集する。各データセットは、特定の位置118を有し、特定の位置118は、モバイルデバイス104がデータ収集の間に移動したか(または、同じ位置に戻ったか)否かによって、他のデータセットと異なっていたり、同一であったりし得る。特定の位置118のすべてに対応するために、モバイルデバイス104は、特定の位置118の空間的および/または時間的分布に応じて、特定の位置118の一つ以上を包含する一つ以上の境界領域を生成する。換言すると、特定の位置118は、冗長データリクエストを低減するために、位置および/または時間をクラスタ化することができる。したがって、モバイルデバイス104は、特定の位置118ごとに別々の境界領域を生成する代わりに、比較的近い特定の位置118を(特定の位置118に関連するタイムスタンプとともに)適切に同一の境界領域に組み合わせることができ、これによって伝送帯域幅を節約することができる。さらに、所与の境界領域のサイズは、領域に含まれる特定の位置118の空間分布に依存することもある。また、境界領域のサイズは、モバイルデバイス104のプライバシー要件レベルに依存してもよく、プライバシー要件が高い場合には、大きな境界領域が選択され、プライバシー要件が低い場合には小さな境界領域が選択されてもよい。プライバシー要件のレベルは、受信されたユーザ入力に従って設定されてもよい。さらに、各境界領域の形状は任意の適切な形状であればよく、例えば円形、楕円形、正方形、長方形、またはその他の適切な正多角形、非正多角形であってもよい。
【0064】
図5には、例示的な境界領域502が示されている。境界領域502は、モバイルデバイス104の特定の位置118が、当該領域内の中心または中心付近(例えば、504)、周囲または周囲付近(例えば、506)、またはこれらの間のいずれかの位置(例えば、508)など、どこにでもあり得るように選択される。
【0065】
ステップ404において、モバイルデバイス104は、サーバ102に対するリクエストとして、一つ以上の境界領域およびタイムスタンプ(即ち、概略的位置120)を一つ以上のデータパケットで送信する。各データパケットには、一つ以上の境界領域および関連するタイムスタンプが含まれる。境界領域およびタイムスタンプ(即ち、概略的位置120)を含むデータパケットを受信すると、サーバ102は各境界領域と関連するタイムスタンプの組み合わせについて一つ以上の概略的較正データ122を構築し、上述したように概略的較正データ122をモバイルデバイス104に送信する。概略的較正データ122は、境界領域および関連するタイムスタンプを包含する領域および時間に対するものである。いくつかの実施の形態では、一つの領域が地形関連データ126および128に使用され、別の領域が基準ネットワーク測候所データサンプル132に使用されてもよい。図5には、境界領域502を包含し、サーバ102によって保持される複数の細分化領域512~518を含む例示的な領域510が示されている。
【0066】
ステップ406では、モバイルデバイス104が、地形関連データ126および128の一部と、基準ネットワーク測候所データサンプル132とを含む概略的較正データ122を受信する。モバイルデバイス104の各特定の位置118について、モバイルデバイス104はステップ408~420を実行する。ステップ408において、モバイルデバイス104は地形・建物データ126および特定の位置118に基づいて想定される高度を判定する。ステップ410では、モバイルデバイス104は基準ネットワーク測候所データサンプル132および特定の位置118に基づいて基準面について、基準気圧および基準気温を判定する。ステップ412では、モバイルデバイス104はモバイルデバイス104のデバイス気圧を判定する。このとき、モバイルデバイス104は、較正値に対する較正量を計算するために必要となる値(例えば、モバイルデバイス104の想定される高度、基準気圧、基準気温、および特定の位置118に関するデバイス気圧)を揃える。ステップ414において、モバイルデバイス104は地形・建物データ126および特定の位置118に基づいて、想定される高度についての高度信頼度を判定する。ステップ416では、モバイルデバイス104は基準ネットワーク測候所データサンプル132および特定の位置118に基づいて基準面について、基準気圧の信頼度および基準気温の信頼度を判定する。ステップ418では、モバイルデバイス104はモバイルデバイス104のデバイス気圧の信頼度を判定する。ステップ420において、モバイルデバイス104は地形性質データ128に基づいて、特定の位置118の地形性質を判定する。このとき、モバイルデバイス104は、較正値に対する較正信頼度区間を計算するために必要となる値(例えば、地形平坦度、想定される高度の信頼度または不確実性、基準気圧、基準気温、およびデバイス気圧)を揃える。したがって、ステップ422では、モバイルデバイス104は、処理300のステップ312で必要な値を返す。
【0067】
図6には、例示的な処理600であって、概略的位置120が複数の位置を含む実施の形態において、モバイルデバイス104が、気圧センサ112を較正するために必要とする値またはパラメータを判定する処理が示されている。本処理における、具体的なステップ、ステップの組み合わせ、およびステップの順番は、例示のみを目的として提供する。異なるステップ、ステップの組み合わせ、またはステップの順番による別の処理によっても同一の結果を得ることができる。コンポーネントの一つによって実行されるステップの一つについて説明する特徴または機能は、いくつかの実施形態において、異なるステップまたはコンポーネントで可能となることがある。また、ステップには、例示されるステップの順番に関わらず、他のステップの前後に実行されたり、他のステップと重複して実行されたりするものもある。
【0068】
ステップ602で、モバイルデバイス104は、サーバ102に送信される正確なデータパケットを判定する。データパケットには、モバイルデバイス104の一つ以上の特定の位置118を包含する複数の位置と、モバイルデバイス104が当該位置(複数可)にあった時間(複数可)のタイムスタンプ(複数可)とが含まれる。複数の位置は、特定の位置(複数可)118よりも多くの位置を含むため、残りの位置には、特定の位置(複数可)118とほぼ同一の概略的領域内のモバイルデバイス104によって生成される追加的なダミー位置が含まれる。データパケットにはまた、特定の位置(複数可)118のタイムスタンプの時間枠とほぼ同じ時間枠でモバイルデバイス104によって生成された(ダミー位置の)ダミータイムスタンプが含まれる。データパケットにはさらに、気圧センサ112によって特定の位置(複数可)118で測定されたデバイス気圧(複数可)と、モバイルデバイス104によってダミー位置に関して生成されたダミーのデバイス気圧とが含まれる。ダミーのデバイス気圧は、ダミー位置に適切となるように、またはデバイス気圧(複数可)を含む一般的な範囲内でランダムに生成することができ、またはダミーのデバイス気圧は、デバイス気圧(複数可)から単純に複製することができる。時間と位置は、気圧センサ112によってデバイス気圧の測定が行われた時と場所にも適用される。したがって、特定の位置118、タイムスタンプ、およびデバイス気圧は、上述した処理300のステップ302で収集されるデータセットである。いくつかの実施の形態では、モバイルデバイス104は、較正計算の実行に先立ち、複数のデータセットを収集する。各データセットは、特定の位置118を有し、特定の位置118は、モバイルデバイス104がデータ収集の間に移動したか(または、同じ位置に戻ったか)否かによって、他のデータセットと異なっていたり、同一であったりし得る。特定の位置118のすべてに対応するために、モバイルデバイス104は、特定の位置118の一つ以上を、追加的なダミー位置とともに包含する複数の位置を生成することができる。換言すると、モバイルデバイス104は、特定の位置118ごとに別々の複数の位置のセットを生成する代わりに、特定の位置118を(特定の位置118に関連するタイムスタンプとともに)適切に同一の複数の位置のセットに含めることができ、これによって伝送帯域幅を節約することができる。さらに、追加的なダミー位置の数は、特定の位置118を十分に不明瞭化するために必要と思われる数、またはモバイルデバイス104のプライバシー要件レベルに依存してもよく、プライバシー要件が高い場合には、より大きい数が選択され、プライバシー要件が低い場合には小さい数が選択されてもよい(例えば、ダミー位置の数は、特定の位置118の数の10~100倍であってもよい)。さらに、追加のダミー位置の分布および位置は特定の位置118と同一の概略的領域内であるべきである。さらに、特定の位置118のいくつかが他の特定の位置118から広く分離されている場合、それぞれが特定の位置118の一部を含む複数セットの複数の位置を生成することが好ましい場合がある。
【0069】
図7には、領域702内の複数の位置の例示的なセットが示されている。複数の位置には、特定の位置118およびランダムに生成された追加のダミー位置704のセット(「X」で示される)が含まれる。また、領域702のサイズ、または特定の位置118と追加のダミー位置704の空間的分布は、モバイルデバイス104のプライバシー要件レベルに依存してもよく、プライバシー要件が高い場合には、大きな領域が選択され、プライバシー要件が低い場合には小さな領域が選択されてもよい。
【0070】
ステップ604において、モバイルデバイス104は、サーバ102に対する複数のリクエストとして、複数の位置およびタイムスタンプ(即ち、概略的位置120)を一つ以上のデータパケットで送信する。各データパケットには、複数の位置の一つ以上の場所および関連するタイムスタンプが含まれる。サーバ102は、それぞれの位置およびタイムスタンプ(即ち、概略的位置120)を有するデータパケットを受信すると、各位置について想定される高度または可能性の高い高度(およびその信頼度)、各位置の基準気圧および基準気温(およびその信頼度)、および各位置の地形性質データ128を含む概略的較正データ122を構築する。サーバ102は、上述したように、概略的較正データ122を一つ以上のパケットでモバイルデバイス104に送信する。
【0071】
ステップ606において、モバイルデバイス104は、各特定の位置118と追加のダミー位置704それぞれについての上述したデータを含む概略的較正データ122を受信する。モバイルデバイス104は、追加のダミー位置704ごとにデータを削除する。モバイルデバイス104の各特定の位置118について、モバイルデバイス104はステップ608~620を実行する。
【0072】
ステップ608において、モバイルデバイス104は、特定の位置118についてサーバ102から受信したデータに基づいて、想定される高度を判定する。ステップ610において、モバイルデバイス104は、特定の位置118についてサーバ102から受信したデータに基づいて、基準面の基準気圧および基準気温を判定する。ステップ612では、モバイルデバイス104は、モバイルデバイス104の特定の位置118でのデバイス気圧を判定する。このとき、モバイルデバイス104は、較正値に対する較正量を計算するために必要となる値(例えば、モバイルデバイス104の想定される高度、基準気圧、基準気温、および特定の位置118に関するデバイス気圧)を揃える。ステップ614において、モバイルデバイス104は、特定の位置118についてサーバ102から受信したデータに基づいて、想定される高度の高度信頼度を判定する。ステップ616において、モバイルデバイス104は、特定の位置118についてサーバ102から受信したデータに基づいて、基準面の基準気圧の信頼度および基準気温の信頼度を判定する。ステップ618では、モバイルデバイス104は、モバイルデバイス104の特定の位置118でのデバイス気圧の信頼度を判定する。ステップ620において、モバイルデバイス104は地形性質データ128に基づいて、特定の位置118の地形性質を判定する。このとき、モバイルデバイス104は、較正値に対する較正信頼度区間を計算するために必要となる値(例えば、地形平坦度、想定される高度の信頼度または不確実性、基準気圧、基準気温、およびデバイス気圧)を揃える。したがって、ステップ622では、モバイルデバイス104は、処理300のステップ312で必要な値を返す。
【0073】
図8には、別の例示的な処理800であって、概略的位置120が複数の位置を含む実施の形態において、モバイルデバイス104が、気圧センサ112を較正するために必要とする値またはパラメータを判定する処理が示されている。この処理800では、機能のいくつかがサーバ102で行われるが、処理300における最終的な機能は依然としてモバイルデバイス104で行われる。本処理における、具体的なステップ、ステップの組み合わせ、およびステップの順番は、例示のみを目的として提供する。異なるステップ、ステップの組み合わせ、またはステップの順番による別の処理によっても同一の結果を得ることができる。コンポーネントの一つによって実行されるステップの一つについて説明する特徴または機能は、いくつかの実施形態において、異なるステップまたはコンポーネントで可能となることがある。また、ステップには、例示されるステップの順番に関わらず、他のステップの前後に実行されたり、他のステップと重複して実行されたりするものもある。
【0074】
ステップ802で、モバイルデバイス104は、サーバ102に送信される正確なデータパケットを判定する。データパケットには、モバイルデバイス104の一つ以上の特定の位置118を包含する複数の位置と、モバイルデバイス104が当該位置(複数可)にあった時間(複数可)のタイムスタンプ(複数可)とが含まれる。複数の位置は、特定の位置(複数可) 118よりも多くの位置を含むため、残りの位置には、特定の位置(複数可)118とほぼ同一の概略的領域内のモバイルデバイス104によって生成される追加的なダミー位置が含まれる。データパケットにはまた、特定の位置(複数可)118のタイムスタンプの時間枠とほぼ同じ時間枠でモバイルデバイス104によって生成された(ダミー位置の)ダミータイムスタンプが含まれる。データパケットにはさらに、気圧センサ112によって特定の位置(複数可)118で測定されたデバイス気圧(複数可)と、モバイルデバイス104によってダミー位置に関して生成されたダミーのデバイス気圧とが含まれる。ダミーのデバイス気圧は、ダミー位置に適切となるように、またはデバイス気圧(複数可)を含む一般的な範囲内でランダムに生成することができ、またはダミーのデバイス気圧は、デバイス気圧(複数可)から単純に複製することができる。時間と位置は、気圧センサ112によってデバイス気圧の測定が行われた時と場所にも適用される。いくつかの実施の形態では、モバイルデバイス104は、較正計算の実行に先立ち、複数のデータセットを収集する。各データセットは、特定の位置118を有し、特定の位置118は、モバイルデバイス104がデータ収集の間に移動したか(または、同じ位置に戻ったか)否かによって、他のデータセットと異なっていたり、同一であったりし得る。特定の位置118のすべてに対応するために、モバイルデバイス104は、特定の位置118の一つ以上を、追加的なダミー位置とともに包含する複数の位置を生成することができる。換言すると、モバイルデバイス104は、特定の位置118ごとに別々の複数の位置のセットを生成する代わりに、特定の位置118を(特定の位置118に関連するタイムスタンプとともに)適切に同一の複数の位置のセットに含めることができ、これによって伝送帯域幅を節約することができる。さらに、追加的なダミー位置の数は、特定の位置118を十分に不明瞭化するために必要と思われる数、またはモバイルデバイス104のプライバシー要件レベルに依存してもよく、プライバシー要件が高い場合には、より大きい数が選択され、プライバシー要件が低い場合には小さい数が選択されてもよい(例えば、ダミー位置の数は、特定の位置118の数の10~100倍であってもよい)。さらに、追加のダミー位置の分布および位置は特定の位置118と同一の概略的領域内であるべきである。さらに、特定の位置118のいくつかが他の特定の位置118から広く分離されている場合、それぞれが特定の位置118の一部を含む複数セットの複数の位置を生成することが好ましい場合がある。
【0075】
図7に示され、処理600に関して上述した領域702内の複数の位置の例示的なセットは、処理800においても適用可能である。
【0076】
ステップ804において、モバイルデバイス104は、サーバ102に対する複数のリクエストとして、複数の位置と関連するデバイス気圧、およびタイムスタンプ(即ち、概略的位置120)を一つ以上のデータパケットで送信する。各データパケットには、複数の位置に関する一つ以上の位置データ、気圧データ、およびタイムスタンプデータが含まれる。サーバ102は、(ステップ806にて)各データセットを含むデータパケット(即ち、概略的位置120)を受信すると、モバイルデバイス104に送信する概略的較正データ122の構築を行わない。代わりに、サーバ102は、位置ごとに必要とされる値の判定に進む。これら値には、位置ごとに想定される高度または可能性の高い高度(およびその信頼度)、位置ごとの基準気圧および基準気温(およびその信頼度)、位置ごとの地形性質データ128が含まれる。したがって、モバイルデバイス104から受信した複数の位置の各位置について、サーバ102はステップ808~820を行って位置データ、気圧データ、およびタイムスタンプデータの処理を行う。
【0077】
ステップ808において、サーバ102は、サーバ102が保持する補助データとモバイルデバイス104から受信した各位置に基づいて、想定される高度を判定する。ステップ810において、サーバ102は、各位置の補助データに基づいて基準気圧および基準気温を判定する。ステップ812において、サーバ102は、各位置におけるモバイルデバイス104のデバイス気圧を判定する。このとき、サーバ102は、較正値に対する較正量を計算するために必要となる値(例えば、モバイルデバイス104の想定される高度、基準気圧、基準気温、および各位置に関するデバイス気圧)を揃える。ステップ814において、サーバ102は、各位置の補助データに基づいて想定される高度の高度信頼度を判定する。ステップ816において、サーバ102は、各位置の補助データに基づいて基準気圧の信頼度および基準気温の信頼度を判定する。ステップ818において、サーバ102は、各位置におけるモバイルデバイス104のデバイス気圧の信頼度を判定する。ステップ820において、サーバ102は地形性質データ128に基づいて、各位置の地形性質を判定する。このとき、サーバ102は、較正値に対する較正信頼度区間を計算するために必要となる値(例えば、地形平坦度、想定される高度の信頼度または不確実性、基準気圧、基準気温、およびデバイス気圧)を揃える。ステップ822において、サーバ102は必要とされる値を処理し、処理された値を処理300のステップ312で使用するためにモバイルデバイス104に戻す(ステップ824)。処理された値には、モバイルデバイス104が直接較正値を算出可能なデータが含まれる。例えば、処理された値には、気圧式によって算出されたデバイスの高度、および/または想定される高度、または算出されたデバイスの高度と想定される高度との差(上述参照)が含まれてもよい。したがって、本実施の形態において、処理された値はサーバ102によって送信され、モバイルデバイス104に受信される概略的較正データ122として考えることができる。このように、モバイルデバイス104は、ステップ314において、特定の位置118用の処理された値(特定の較正データ124に相当)を使用して較正値を判定する。本実施の形態によれば、ユーザプライバシーを保護しつつ、補助データをサーバ102に保持してモバイルデバイス104の計算負荷を削減するという利点がある。
【0078】
本明細書に記載の、または本明細書における開示によって可能となる方法、技術、処理、手法、またはこれらの組み合わせは、ハードウェアコンポーネント(例えば、機器)、(例えば、機械可読媒体に記憶される)ソフトウェアモジュール、またはこれらの組み合わせによって実施可能である。特に、本明細書に記載の、または本明細書における開示によって可能となる方法または手法は、本明細書に記載される、具体的で実態のあるシステムによって実施されてもよい。例えば、機器としては、本明細書に記載の、または本技術分野で既知の、一つ以上の演算装置、プロセッサ、コントローラ、集積回路、チップ、チップ上のシステム、サーバ、プログラム可能な論理デバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイ、電子デバイス、特殊用途の回路、および/または、他の適切なデバイスが挙げられる。本明細書では、一つ以上の機器によって実行されると、一つ以上の機器に、本明細書に記載される方法のいずれかのステップを含む動作を実行または実施させるプログラム指示を具現化する一つ以上の非一時的な機械可読媒体が企図される。本明細書で使用されるように、機械可読媒体は、一つ以上の不揮発性または揮発性記憶媒体、取り外し可能または取り外し不可能な媒体、集積回路媒体、磁気記憶媒体、光学記憶媒体、またはRAM、ROM、およびEEPROMを含む、本出願が出願される管轄区域の法律の下で特許取得され得る任意の他の記憶媒体を含むすべての形態の機械可読媒体を含むが、本出願が出願される管轄区域の法律の下で特許取得できない機械可読媒体(例えば、一時的伝播信号)は含まない。本明細書に開示される方法は、実行される一連の規則を提供する。本明細書に記載の方法を実施するための一つ以上の機械および一つ以上の非一時的な機械可読媒体を含むシステムも、本明細書において企図される。本明細書に記載されるいずれかの方法のステップを含む操作を実行または実施する、または実行または実施するように構成、操作可能または適合された一つ以上の機械も、本明細書において企図される。本明細書に記載の先行技術ではない各方法は、較正および測位の分野で重要な利点を提供する処理の流れ内の特定の一連の規則を表す。本明細書に記載の方法のステップは、順序に依存せず、可能であれば、並行して、または記載された順序とは異なる順序で実施することができる。本明細書に記載される異なる方法ステップは、当業者によって理解されるように、任意の数の方法を形成するように組み合わせることができる。本明細書に開示された任意の方法ステップまたは特徴は、任意の理由で特許請求の範囲から省略する場合がある。本開示の概念を不明瞭にすることを避けるために、特定の周知の構造およびデバイスは図に示されていない。二つの物体が互いに「結合」されるとき、それらの二つの物体は、直接接続されてもよく、または一つ以上の物体を介して分離されてもよい。線または介在物が二つの特定のものを結んでいない場合、特に断りのない限り、少なくとも一つの実施形態において、それらの結合が企図されている。一方の物の出力と他方の物の入力が互いに結合されている場合、出力から送信された情報は、情報が一つ以上の中間物を通過しても、その出力された形式またはその修正されたバージョンで入力によって受信される。本明細書に開示される情報(例えば、データ、コマンド、信号、ビット、シンボル、チップなど)の伝送には、特段の記載のない限り、既知の通信経路およびプロトコルを使用することができる。「comprise」、「comprising」、「include」、「including」などの文言は、排他的な意味(すなわち、~のみからなる)とは対照的に、包括的な意味(すなわち、~に限定されない)で解釈される。単数または複数を用いる文言は、特段の記載のない限り、それぞれ複数または単数も含む。詳細な説明で使用される「または」および「および」という文言は、特に断りのない限り、リスト内のアイテムのいずれか、およびすべてのアイテムを対象とする。いくつか、いずれか、少なくとも一つといった文言は、一つ以上を意味する。本明細書において、「してもよい」または「することができる」という用語は、要件ではなく例を示すために使用される。例えば、ある動作を実行してもよい、または実行することができる、またはある特性を有していてもよい、または有していてもよいものは、各実施形態においてその動作を実行したりその特性を有していたりする必要はないが、そのものは少なくとも一つの実施の形態においてその動作を実行したりその特性を有していたりする。代替アプローチが記述されていない限り、データソースからのデータへのアクセスは、既知の技術(例えば、リクエストを行うコンポーネントがクエリまたは他の既知のアプローチを介してデータソースにデータをリクエストし、データソースがデータを検索して見つけ、データソースがデータを収集してリクエストを行ったコンポーネントに送信する、または他の既知の技術)を使用して達成され得る。
【0079】
本明細書に記載の処理を実行可能な環境は、測候所または地上送信機のネットワーク、少なくとも一つのモバイルデバイス(例えば、ユーザデバイス)、およびサーバを含んでもよい。測候所およびモバイルデバイスはそれぞれ、自然のまたは人工構造物(例えば、建物)の外側または内側の異なる高度、深度に位置している。位置または測位信号は、既知の送信技術を用いて、それぞれ、測候所/送信機および衛星から送信され、モバイルデバイスによって受信されてもよい。例えば、測候所は、本技術分野で既知である、または本明細書に開示するように、タイムスロット、擬似ランダムシーケンス、周波数オフセット、又は他のアプローチを利用する一つ以上の共通多重化パラメータを使用して信号を送信してもよい。モバイルデバイスは、携帯電話、その他の無線通信デバイス、ポータブルコンピュータ、ナビゲーションデバイス、追跡デバイス、受信機、または信号を受信可能な適切な別のデバイスなど、異なる形態であってもよい。各測候所およびモバイルデバイスには、大気条件(例えば、大気圧や気温)の測定値を生成する適切な大気センサ(例えば、気圧センサや気温センサ)が含まれていることがあり、これによってモバイルデバイスの未知の高度を推定する。例として、モバイルデバイスの気圧センサも随時較正されてもよい。
【0080】
図8の例として、本明細書に記載する測候所202は、モバイルデバイス104と情報交換を行うモバイルデバイスインタフェイス11(例えば、本技術分野で既知の、または、本明細書に開示するアンテナおよびRFフロントエンドコンポーネント)と、一つ以上のプロセッサ12と、情報および/またはプログラム指示を記憶し、取得するメモリ/データソース13と、測候所202に、またはその近傍の環境条件(例えば、気圧、気温、湿度など)を測定する大気センサ14と、サーバ102と情報交換を行うサーバインタフェイス15(例えば、アンテナ、ネットワークインタフェイス、など)と、本技術分野の当業者に既知の任意の他のコンポーネントと、を備えてもよい。メモリ/データソース13は、実行可能指示を有するソフトウェアモジュールを記憶するメモリを備え、プロセッサ12がモジュールの指示を実行して異なる動作を行ってもよく、これら動作には、(i)本明細書に記載されている、または当業者によって測候所202で実行可能と理解される方法の一部または全てを行うこと、(ii)選択された時間、周波数、および/またはフェーズを使用して、送信する測位信号を生成すること、(iii)モバイルデバイス104または他のソースから受信した信号を処理すること、または、(iv)本開示に記載される他の必要な処理を行うことと、が含まれる。測候所202によって生成され送信された信号には、モバイルデバイス104またはサーバ102によって判定されると、以下の内容を識別する情報が含まれてもよい。測候所202、測候所の位置、測候所202の、またはその近傍の環境条件、および/または、当該技術分野で既知の他の情報。大気センサ14は、測候所202に統合されていてもよく、測候所202とは別体であって、測候所202と同一の位置にあるか、測候所202近傍(例えば、閾値以内の距離)に位置していてもよい。
【0081】
図8に示す例では、モバイルデバイス104は、ネットワーク106(例えば、本技術分野で既知の、または本明細書に開示される有線インタフェイスポートおよび/または無線インタフェイスポート、アンテナ、RFフロントエンドコンポーネント)を介して、サーバ102と情報交換を行うネットワークインタフェイス27と、測候所202と情報交換を行うための測候所インタフェイス21と、一つ以上のプロセッサ22と、情報および/またはプログラム指示の記憶および取得行うためのメモリ/データソース23と、モバイルデバイス104の環境条件(例えば、気圧、気温、など)を測定する大気センサ24(気圧センサ112を含む)と、他の条件を測定するその他のセンサ25(例えば、移動と向きを測定するコンパス、加速度センサ、慣性センサ)と、モバイルデバイス104のユーザが入力を行い、出力の受信を許可するためのユーザインタフェイス26 (例えば、ディスプレイ、キーボード、マイク、スピーカ、その他)と、本技術分野の当業者に既知の任意の他のコンポーネントと、を備えてもよい。GNSSインタフェイスおよび処理ユニット(図示せず)が企図されており、これは、GNSS信号の受信および処理に専用の他のコンポーネントまたはスタンドアロンアンテナ、RFフロントエンド、およびプロセッサと統合されてもよい。メモリ/データソース23には、信号処理モジュール、信号ベースの位置推定モジュール、気圧ベースの高度モジュール、移動判定モジュール、現在の較正値、データパケット、較正モジュール、および他のモジュールを含む、データおよび実行可能指示を有するソフトウェアモジュールを記憶するメモリが含まれてもよい。プロセッサ22は、以下のようなモジュールからの指示を実行することによって異なる動作をおこなってもよく、これら動作には、(i)本明細書に記載されている、または当業者によってモバイルデバイス104が実行可能と理解する方法の一部または全てを行うこと、(ii)モバイルデバイス104の高度を(モバイルデバイス104および測候所202からの気圧測定値、測候所202または別の情報源からの気温測定値、および計算に必要なその他の情報に基づいて)推定することと、(iii)受信した信号を処理して、位置情報または位置データ(例えば、信号の到着時刻または移動時刻、モバイルデバイス104と測候所202との間の擬似距離、測候所の大気条件、測候所および/または位置、または他の測候所情報 )を判定することと、(iv)モバイルデバイス104の推定位置を計算するために位置情報を使用することと、(v)モバイルデバイス104の慣性センサからの測定値に基づいて移動を判定することと、(vi)GNSS信号を処理することと、(vii)概略的位置120を構築し、送信することと、(viii)現在の較正値116、特定の位置118、概略的位置120、概略的較正データ122、および特定の較正データ124を格納することと、(ix)特定の較正データ124に基づいて気圧センサ112を較正することと、(x)受信した概略的較正データ122から特定の較正データ124を生成すること、および/または、(xi)本開示に記載される他の必要な処理を行うこと、とが含まれる。
【0082】
図8の例として、サーバ102は、モバイルデバイス104および他のデータソースと、ネットワーク106(例えば、有線インタフェイスポートおよび/または無線インタフェイスポート、アンテナ、など)を介して情報交換を行うネットワークインタフェイス31と、一つ以上のプロセッサ32と、情報および/またはプログラム指示の記憶および取得行うためのメモリ/データソース33と、本技術分野の当業者に既知の任意の他のコンポーネントと、を備えてもよい。メモリ/データソース33は、上述した方法および処理またはこれらの一部/ステップについて、概略的較正データ構築モジュール、モジュール、較正技術モジュール、信号ベースの測位モジュール、気圧ベースの高度モジュール、較正助成モジュール、及びその他のモジュールを含む、実行可能指示を有するソフトウェアモジュールを記憶するメモリが含まれてもよい。プロセッサ32は、以下のようなモジュールからの指示を実行することによって異なる動作をおこなってもよく、これら動作には、(i)本明細書に記載されている、または当業者によってサーバ102が実行可能と理解する方法の一部または全てを行うこと、(ii)モバイルデバイス104の高度を推定することと、(iii)モバイルデバイス104の推定位置を計算することと、(iv)較正技術を実行することと、(v)モバイルデバイス104を較正することと、(vi)較正機会に対して較正の助成を判定することと、(vii)概略的較正データを構築し送信することと、(xi)本開示に記載される他の必要な動作または処理を行うこと、とが含まれる。本明細書に記載されるサーバ102によって行われるステップは、モバイルデバイス104から離れた、企業のコンピュータや他の適切な機器を含むその他の機器で行ってもよい。
【0083】
本開示の発明の実施の形態を詳細に参照したが、その一つ以上の例が添付の図に示されている。各例は、本技術の説明のために提供されたものであり、本技術の限定として提供されたものではない。実際、本明細書では、本発明の特定の実施形態に関して詳細に説明したが、当業者であれば、前述を理解した時点で、これらの実施形態に対する変更、変形、および同等物を容易に思いつくことが理解されよう。例えば、一実施形態の一部として例示または説明される特徴を別の実施形態と共に使用して、さらにさらなる実施形態をもたらすことができる。従って、本主題は、添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内である修正および変形を全て含むことが意図される。本発明のこれらおよび他の修正および変形は、以下の特許請求の範囲においてより詳細に記載されるように、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者によって実施され得る。さらに、当業者であれば、上述の説明は単に例であるに過ぎず、本発明を限定することを意図するものではないことを理解するであろう。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-05-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイルデバイスが、前記モバイルデバイスの特定の位置を判定することと、
前記モバイルデバイスが、前記モバイルデバイスの前記特定の位置を包含し、当該特定の位置を不明瞭化する概略的位置を判定することと、
前記モバイルデバイスが、前記概略的位置をサーバに送信することと、
前記モバイルデバイスが、前記サーバから、前記概略的位置に関する概略的較正データを受信することと、
前記モバイルデバイスが、前記概略的較正データおよび前記特定の位置に基づいて、特定の較正データを判定することと、
前記モバイルデバイスが、前記モバイルデバイスの気圧センサによる気圧測定値に基づいてデバイス気圧を判定することと、
前記モバイルデバイスが、前記特定の較正データおよび前記デバイス気圧に基づいて前記気圧センサを較正するための較正値を判定することと、
前記モバイルデバイスが、前記較正値と、前記気圧センサによる後続の気圧測定値とを使用し、前記モバイルデバイスの高度を算出すること、
とを含む方法。
【請求項2】
前記概略的位置は、境界領域を含み、
前記特定の位置が境界領域内の任意のポイントにある、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記概略的較正データを受信することは、さらに、前記境界領域に関する地形・建物データの一部を受信することと、前記境界領域を包含する領域の基準気圧データおよび基準気温データを受信することを含み、前記基準気圧データおよび前記基準気温データは、基準測候所によって生成される気圧測定値および気温測定値に基づくものであり、
前記特定の較正データを判定することは、さらに
地形・建物データの一部から、前記特定の位置に関する特定の地形・建物データを判定することと、
前記特定の地形・建物データに基づいて、前記モバイルデバイスの想定される高度を判定し、
前記境界領域を包含する前記領域に関して、前記基準気圧データおよび前記基準気温データから、前記特定の位置の特定の基準気圧および特定の基準気温を判定することと、を含む請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記概略的較正データを受信することは、さらに、前記境界領域に関する地形・建物データの一部を受信することと、前記境界領域を包含する領域の基準気圧データおよび基準気温データを受信することを含み、前記基準気圧データおよび前記基準気温データは、基準測候所によって生成される気圧測定値および気温測定値に基づくものであり、
前記地形・建物データの一部は、地形・建物データベースのデータにフィットされた多項式モデルを含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記概略的較正データを受信することは、さらに、前記境界領域に関する地形・建物データの一部を受信することと、前記境界領域を包含する領域の基準気圧データおよび基準気温データを受信することを含み、前記基準気圧データおよび前記基準気温データは、基準測候所によって生成される気圧測定値および気温測定値に基づくものであり、
前記基準気圧データおよび前記基準気温データは、基準気圧および気温データベースのデータにフィットされた多項式モデルを含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記概略的較正データを受信することは、さらに、前記境界領域に関する地形・建物データの一部を受信することと、前記境界領域を包含する領域の基準気圧データおよび基準気温データを受信することを含み、前記基準気圧データおよび前記基準気温データは、基準測候所によって生成される気圧測定値および気温測定値に基づくものであり、
前記方法は、さらに
前記モバイルデバイスが、前記地形・建物データの一部と、前記基準気圧データと、前記基準気温データとを記憶することと、そして
前記モバイルデバイスが、前記境界領域にないと判定した場合に、前記モバイルデバイスが、前記地形・建物データの一部と、前記基準気圧データと、前記基準気温データとを削除することと、をさらに含む請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記概略的較正データを受信することは、さらに、前記境界領域に関する地形・建物データの一部を受信することと、前記境界領域を包含する領域の基準気圧データおよび基準気温データを受信することを含み、前記基準気圧データおよび前記基準気温データは、基準測候所によって生成される気圧測定値および気温測定値に基づくものであり、
前記地形・建物データの一部は、前記境界領域に対する地形性質データを含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記境界領域のサイズは、モバイルデバイスのプライバシー要件レベルに依存し、前記プライバシー要件が高い場合には、より大きな境界領域が選択され、プライバシー要件が低い場合にはより小さな境界領域が選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記概略的位置は、前記特定の位置とその他の位置を含む複数の位置を含み、
前記複数の位置は、ある領域内にあり、
前記領域内のいずれかのポイントに前記特定の位置がある、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記概略的較正データを受信することは、さらに、
前記複数の位置の各位置について、想定される高度を受信することと、
前記複数の位置の各位置について、基準気圧および基準気温を受信することと、を含む
請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記概略的較正データを受信することは、さらに、前記複数の位置の各位置について、地形性質データを受信すること、を含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の位置は、前記領域にグリッドパターンで配置されるように選択される、請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の位置は、前記領域内のランダムな緯度・経度のポイントで配置されるように選択される、請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記領域のサイズは、モバイルデバイスのプライバシー要件レベルに依存し、前記プライバシー要件が高い場合には、より大きな領域が選択され、プライバシー要件が低い場合にはより小さな境界が選択される、請求項に記載の方法。
【請求項15】
前記その他の位置の数は、モバイルデバイスのプライバシー要件レベルに依存し、前記プライバシー要件が高い場合には、より大きな数が選択され、プライバシー要件が低い場合にはより小さな数が選択される、請求項に記載の方法。
【国際調査報告】