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特表2024-537004ポリマー微粒子を処理するための容器及びその動作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ポリマー微粒子を処理するための容器及びその動作方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 8/12 20060101AFI20241003BHJP
   B29B 13/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B01J8/12
B29B13/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516438
(86)(22)【出願日】2022-09-16
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 US2022043764
(87)【国際公開番号】W WO2023049039
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/246,554
(32)【優先日】2021-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ドダプカール、シュリカント
(72)【発明者】
【氏名】リュー、ユー
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンティノフ、イヴァン エイ.
【テーマコード(参考)】
4F201
4G070
【Fターム(参考)】
4F201AJ08
4F201BA04
4F201BC01
4F201BC02
4F201BC12
4F201BC15
4F201BN21
4F201BN39
4G070AA01
4G070AB04
4G070BB21
4G070CA03
4G070CA06
4G070CA13
4G070CB30
4G070DA21
(57)【要約】
ポリマー微粒子を貯蔵及び/又は処理するための容器は、上端、下端、及び主内部空間を画定する主外壁と、主外壁の下端の下に配置された錐台形状出口領域と、主外壁内に配置された複数の内部錐台部分であって、各内部錐台部分の下部が複数の内部錐台部分の各々を通って延びる通路を画定している、複数の内部錐台部分と、主内部空間から分離された内部部材内部空間を画定する内部部材壁を含む内部部材であって、主外壁内に配置され、主外壁の上端から下端まで延びており、かつ複数の内部錐台部分の各通路を通って延びている、内部部材と、内部部材内部空間と連通するパージガス源と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー微粒子を貯蔵するための容器であって、
上端、下端、及び主内部空間を画定する主外壁と、
前記主外壁の前記下端の下に位置する錐台形状出口領域と、
前記主外壁内に配置された複数の内部錐台部分であって、各内部錐台部分の上部が前記主外壁に接触しており、各内部錐台部分の下部が、前記複数の内部錐台部分の各々を通って延びる通路を画定している、複数の内部錐台部分と、
前記主内部空間から分離された内部部材内部空間を画定する内部部材壁を備える内部部材であって、前記主外壁内に配置され、前記主外壁の前記上端から前記下端まで延びており、かつ前記複数の内部錐台部分の各通路を通って延びている、内部部材と、
前記内部部材内部空間と連通するパージガス源と、を含む、容器。
【請求項2】
前記複数の内部錐台部分が、2つより多い内部錐台部分を含む、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記内部部材壁が、前記内部部材壁を貫通する1つ以上の内部部材パージガス開口を画定している、請求項1又は2のいずれかに記載の容器。
【請求項4】
前記主外壁が、前記主外壁を貫通する1つ以上の外側パージガス開口を画定しており、前記1つ以上の外側パージガス開口が、前記複数の内部錐台部分と前記主外壁との間に半径方向に配置された間隙と連通している、請求項1~3のいずれか一項に記載の容器。
【請求項5】
前記複数の錐台部分の各々が錐台中心線を画定しており、前記複数の錐台部分の前記錐台中心線のうちの少なくとも2つが同一線上にない、請求項1~4のいずれか一項に記載の容器。
【請求項6】
前記内部部材が、内部部材スパンを画定しており、前記内部部材が、前記内部部材スパンが前記内部部材に沿って垂直方向に移動するにつれて変化するように垂直テーパを備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の容器。
【請求項7】
前記内部部材が内部部材スパンを画定しており、各内部錐台部分の前記通路が内部錐台部分出口スパンを画定しており、前記内部錐台部分の1つ以上における前記内部錐台部分出口スパンに対する前記内部部材スパンの比が、0.15~0.85である、請求項1~6のいずれか一項に記載の容器。
【請求項8】
前記複数の内部錐台部分がそれぞれ、前記内部錐台部分の前記上部から前記下部まで延びる錐台壁を画定しており、各錐台壁が、前記錐台壁を貫通する1つ以上の錐台開口を画定している、請求項1~7のいずれか一項に記載の容器。
【請求項9】
ポリマー微粒子を処理するための方法であって、
複数のポリマー微粒子を、上端及び下端を画定する主外壁によって画定された主内部空間に通すことと、
前記複数のポリマー微粒子を、前記主外壁内に配置された上部錐台部分であって、前記主外壁に接触しており、前記上部錐台部分を通って延びる上部錐台通路を画定している、上部錐台部分に通すことと、
前記複数のポリマー微粒子を、前記主外壁内に配置されて前記主外壁の前記上端から前記下端まで延びる内部部材の周りの前記上部錐台通路であって、前記内部部材が、前記主内部空間から分離された内部部材内部空間を画定している、前記上部錐台通路に通すことと、
前記複数のポリマー微粒子を、前記主外壁内に配置された下部錐台部分であって、前記主外壁に接触しており、前記下部錐台部分を通って延びる下部錐台通路を画定している、下部錐台部分に通すことと、
前記複数のポリマー微粒子を、前記内部部材の周りの前記下部錐台通路であって、前記内部部材が前記上部錐台通路及び前記下部錐台通路を通って延びている、前記下部錐台通路に通すことと、を含む、方法。
【請求項10】
プロセスガスを前記主内部空間又は前記内部部材内部空間のうちの1つ以上に通過させることを更に含み、前記プロセスガスを前記内部空間に通過させることが、前記プロセスガスを、前記内部部材内部空間から、前記内部部材の前記内部部材壁を貫通する1つ以上の内部部材パージガス開口を通過させて、前記主内部空間内に至らせることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
プロセスガスを前記主内部空間又は前記内部部材内部空間のうちの1つ以上に通過させることを更に含み、前記プロセスガスを前記内部空間に通過させることが、前記プロセスガスを、前記主外壁を貫通する1つ以上の外側パージガス開口を通過させて前記主内部空間内に至らせることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記プロセスガスを前記1つ以上の外側パージガス開口に通過させることが、前記プロセスガスを前記上部錐台部分と前記主外壁との間に半径方向に配置された間隙に通過させることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリマー微粒子が、エラストマー及びエチレンコポリマーを含む、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記複数のポリマー微粒子を、前記主外壁の前記下端の下に配置された錐台形状出口領域から外へ通過させることと、前記複数のポリマー微粒子を、前記錐台形状出口領域から前記主外壁の前記上端へと通過させることとを更に含む、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記内部部材が内部部材スパンを画定しており、前記上部錐台通路が内部錐台部分出口スパンを画定しており、前記上部内部錐台部分における前記内部錐台部分出口スパンに対する前記内部部材スパンの比が0.15~0.85である、請求項9~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年9月21日に出願され、「VESSELS FOR PROCESSING POLYMER PARTICULATES AND METHODS FOR OPERATING THE SAME」と題された米国仮特許出願第63/246,554号の優先権を主張し、当該出願の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して、ポリマー微粒子を処理するための容器、及びその動作方法に関する。
【背景技術】
【0003】
サイロ脱ガス装置(silo degasser)は、ポリマー粒子材料から残留溶媒の濃度を低減するために一般的に使用される。この動作は、一般に、ポリマー微粒子の床(サイロ内)をガスでパージすることによって行われる。ポリマー微粒子はパージガス自体で加熱されることができ、又は入口の外部加熱器が熱を提供してもよい。脱ガスプロセスは一般に拡散に基づくので、より高い温度がより高い溶媒除去速度をもたらし、したがってより短い脱ガス時間をもたらす。サイロ脱ガス装置は、ポリプロピレン(polypropylene、PP)、低密度ポリエチレン(low density polyethylene、LDPE)、線状低密度ポリエチレン(linear low density polyethylene、LLDPE)、高密度ポリエチレン(high density polyethylene、HDPE)及びポリスチレン(polystyrene、PS)用途のために工業的に広く使用されており、微粒子は脱ガス装置の動作温度で本質的に自由流動性である。
【発明の概要】
【0004】
反応、加熱、及び冷却などの微粒子処理用途では、微粒子の塊内にプロセスガスを均一に分布させる必要があり、この微粒子は高温になり得る。パージガスは、反応物又は希釈剤又は熱伝達流体であり得る。ある種のポリマー微粒子は、温度の上昇と共に凝集力の増加及び流動性の低下を示す。このような処理の信頼できる動作のためには、凝集の増加及び流動性の低下の結果を打ち消すように処理容器を設計することが必須である。
【0005】
特に、ポリマー微粒子が脱ガス容器を通って自由に流れない場合には、脱ガス手順において問題が生じることがあり、これはブロッキング又はブリッジング又はアーチングと呼ばれることもある。例えば、微粒子の自由な流れの欠如は、脱ガス中の比較的高い温度条件の結果であり得る。更に、いくつかのポリマー材料(例えば、エラストマー及びエチレンコポリマー)は、他の材料をブロック化させない温度に曝されたときに自由に流動しない可能性があるので、特に問題となり得る。しかしながら、より低い温度で脱ガスを行うことは、生産速度及び資本集約度に直接影響を及ぼす比較的非効率的なプロセスをもたらすので、望ましくない。更に、処理容器の栓を抜くと、かなりのダウンタイムが生じ、主生成物が無駄になる。更に、ブロッキングを減少させる試みにおいて、微粒子の連続的な循環は、微粒子の劣化を引き起こす。
【0006】
本明細書に記載の実施形態によれば、ポリマー微粒子による閉塞を低減することができる。容器壁内に配置された内部部材を錐台と共に使用することにより、ポリマー微粒子のブロッキングが低減され得ることが発見された。内部部材の導入は、処理容器の円筒部分内の容器の中心付近の微粒子のプラグフロー型移動を減少させることによって、粒子間せん断を増加させ得ると考えられる。1つ以上の実施形態では、内部部材は、本明細書に詳細に説明されるように、容器の高さを通して連続的に延びて、複数の内部錐台部分を通過してもよい。そのような実施形態は、ポリマー材料のより高温の脱ガス(又は処理)を可能にすることができ、問題を含むポリマー材料を使用して、効率的な脱ガス(又は処理)に必要な温度での脱ガスを可能にすることができる。
【0007】
一実施形態では、ポリマー微粒子を貯蔵するための容器は、上端、下端、及び主内部空間を画定する主外壁と、主外壁の下端の下に位置する錐台形状出口領域と、主外壁内に配置された複数の内部錐台部分であって、各内部錐台部分の上部が主外壁に接触しており、各内部錐台部分の下部が、複数の内部錐台部分の各々を通って延びる通路を画定している、複数の内部錐台部分と、主内部空間から分離された内部部材内部空間を画定する内部部材壁を含む内部部材であって、主外壁内に配置され、主外壁の上端から下端まで延びており、かつ複数の内部錐台部分の各通路を通って延びている、内部部材と、内部部材内部空間と連通するパージガス源と、を含む。
【0008】
別の実施形態では、ポリマー微粒子を処理するための方法は、複数のポリマー微粒子を、上端及び下端を画定する主外壁によって画定された主内部空間に通すことと、複数のポリマー微粒子を、主外壁内に配置された上部錐台部分であって、主外壁に接触しており、上部錐台部分を通って延びる上部錐台通路を画定している、上部錐台部分に通すことと、複数のポリマー微粒子を、主外壁内に配置されて主外壁の上端から下端まで延びる内部部材の周りの上部錐台通路であって、内部部材が、主内部空間から分離された内部部材内部空間を画定している、上部錐台通路に通すことと、複数のポリマー微粒子を、主外壁内に配置された下部錐台部分であって、主外壁に接触しており、下部錐台部分を通って延びる下部錐台通路を画定している、下部錐台部分に通すことと、複数のポリマー微粒子を、内部部材の周りの下部錐台通路であって、内部部材が上部錐台通路及び下部錐台通路を通って延びている、下部錐台通路に通すことと、を含む。
【0009】
追加の特徴及び利点は、後に続く詳細な説明において記載され、一部は、その説明から当業者には容易に明らかであり、又は、後に続く詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付の図面を含む、本明細書に記載される実施形態を実施することによって認識されるであろう。
【0010】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明の両方は、単なる例示であり、特許請求の範囲の性質及び特徴を理解するための概要又は枠組みを提供することを意図していることを理解されたい。添付の図面は、さらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、実施形態を例示し、説明と共に、様々な実施形態の原理及び動作を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本明細書に説明及び描写される1つ以上の実施形態による、ポリマー微粒子を処理するための容器の概略断面図である。
図2A】本明細書に説明及び描写される1つ以上の実施形態による、図1の容器の内部部材の概略上面図である。
図2B】本明細書に説明及び描写される1つ以上の実施形態による、図1の容器の内部部材の概略側面図である。
図3】本明細書に説明及び描写される1つ以上の実施形態による、図1の容器の複数の内部錐台部分の概略図である。
図4】本明細書に説明及び描写される1つ以上の実施形態による、ポリマー微粒子を処理するための別の容器の概略断面図である。
図5】本明細書に説明及び描写される1つ以上の実施形態による、内部部材の追加の実施形態の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に記載される実施形態は、概して、内部錐台部分と、内部錐台部分を通って延びる内部部材とを含む容器を対象とする。内部錐台部分及び内部部材は、容器を通過するポリマー微粒子の粒子間せん断を増大させ、それによってポリマー微粒子のブロッキングを低減することができる。ブロッキングは、凝集の増加、流動性の低下及び/又はバルク固体のケーキングとして現れるペレット同士の結合の発生を指す。ポリマー微粒子のブロッキングを減少させることによって、プロセスオンライン時間及びプロセス信頼性が増加する。ブロッキングしたポリマー微粒子を処理容器から除去するためには、かなりのダウンタイムが生じる。例えば、ポリマー微粒子を脱ガスするために容器が利用される場合がそれである。ポリマー微粒子を処理するための容器のこれら及び他の実施形態は、添付の図を参照して、本明細書でより詳細に開示される。
【0013】
本明細書で言及される場合、「ポリマー微粒子」という用語は、微粒子形態のポリマー物質、例えば、限定するものではないが、ポリマーペレット、ポリマー顆粒、ポリマー粉末などを指す。本開示によるポリマー微粒子は、少なくとも50重量%のポリマー材料を含む。追加の実施形態では、ポリマーの微粒子は、少なくとも75重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも99重量%、少なくとも99.9重量%のポリマー材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、ポリマー微粒子はポリマー材料からなってもよい。いくつかの実施形態において、ポリマー微粒子は、エラストマー及びエチレンコポリマーを含む。
【0014】
最初に図1を参照すると、ポリマー微粒子を処理するための例示的な容器100が概略的に示されている。実施形態において、容器100は、上端104及び下端106を画定する主外壁102を含む。上端104及び下端106は、例えば、垂直方向に互いに対向して位置付けられている。主外壁102は、ポリマー微粒子を配置することができる主内部空間108を画定する。図1に示される実施形態では、主外壁102は略円形の断面を有するが、これは単なる例であることを理解されたい。実施形態において、主外壁102は、ポリマー微粒子を保持するための任意の好適な形状を有してもよく、矩形の断面及び/又は同様のものを形成してもよい。
【0015】
容器100は、主外壁102の下端106の下に配置された錐台形状の出口領域110を含む。動作中、ポリマー微粒子は、主外壁102の下端106から錐台形状出口領域110へと通過してもよく、例えば重力の結果として、錐台形状出口領域110を通って容器100を出てもよい。いくつかの実施形態では、ポリマー微粒子は、錐台形状出口領域110を通って出たら、主外壁102の上端104に再導入されてもよい。例えば、容器100が脱ガスプロセスにおいて利用される実施形態では、ポリマー微粒子は、脱ガスプロセスが完了するまで、容器を通して断続的又は連続的に再循環されてもよい(すなわち、錐台形状出口領域110を通って出て、主外壁102の上端104に再導入される)。いくつかの実施形態では、ポリマー微粒子は、錐台形状出口領域110を出たら、別の容器又はプロセスに移されてもよい。いくつかの実施形態では、ポリマー微粒子は、容器100内に一時的に貯蔵されてもよく、設定可能な時間の間、錐台形状出口領域100を通って出なくてもよい。
【0016】
例えば、図1に示される実施形態では、容器100は、出口弁180、戻り導管182、及び出口導管184を含む。戻り導管182は、実施形態において、ポリマー微粒子が錐台形状出口領域110から戻り導管182を通って主外壁102の上端104まで流れることができるように、錐台(frustrum)形状出口領域110及び主外壁102の上端104と連通している。
【0017】
動作中、出口弁180は、少なくとも戻り位置と出口位置との間に位置決め可能である。戻り位置では、出口弁180は、ポリマー微粒子が出口弁180を通って出口導管184まで流れるのを制限しながら、ポリマー微粒子が出口弁180を通り、戻り導管182を通って主外壁102の上端104へと通過することを可能にする。したがって、出口弁180が戻り位置にある状態で、ポリマー微粒子を主外壁102の上端104に再導入することができる。出口位置では、出口弁180は、ポリマー微粒子が戻り導管182を通って主外壁102の上端104まで流れるのを制限しながら、ポリマー微粒子が出口弁180を通過し、出口導管184を通過することを可能にする。したがって、出口弁180が出口位置にある状態で、ポリマー微粒子を容器100から出させることができる。いくつかの実施形態では、出口弁180は、ポリマー微粒子が出口弁180を通って戻り導管182及び出口導管184に流れるのを出口弁180が制限する閉位置に位置決め可能である。したがって、出口弁180が閉位置にある状態で、ポリマー微粒子を容器100内に維持することができる。
【0018】
実施形態において、容器100は、主外壁102内に配置された複数の内部錐台部分120を含む。図1に示される実施形態では、容器100は3つの内部錐台部分120を含むが、これは単なる例であり、複数の内部錐台部分120は任意の適切な数の錐台部分を含んでもよいことを理解されたい。実施形態において、各内部錐台部分120の上部122は、主外壁102に接触する。いくつかの実施形態では、内部錐台部分120の各々の上部122の少なくとも一部は、例えば、溶接、ろう付け、構造用接着剤、機械的締結具、及び/又は同様のものを介して主外壁102に結合される。実施形態において、各内部錐台部分120の下部124は、複数の内部錐台部分120の各々を通って延びる通路126を画定する。動作中、ポリマー微粒子は、概して、内部錐台部分120の各々の上部122を通過し、内部錐台部分120の各々の通路126を通って内部錐台部分120の各々を出る。
【0019】
容器100は、実施形態では、内部部材160を含む。具体的には、図1図2A及び図2Bを参照すると、内部部材160の上面図及び側面図が概略的に示されている。実施形態において、内部部材160は、主内部空間108から分離された内部部材内部空間164を画定する内部部材壁162を含む。内部部材160は、主外壁102内に配置され、主外壁102の上端104から下端106まで延びている。例えば、図1に示される実施形態では、内部部材160は、垂直方向で評価される主外壁102の高さ全体を通って延びている。実施形態において、内部部材160は、複数の内部錐台部分120の各通路126を通って(すなわち、各内部錐台部分120の各通路126を通って)延びている。
【0020】
いくつかの実施形態では、内部部材壁162は、内部部材壁162を貫通する1つ以上の内部部材パージガス開口166を画定する。動作中、パージガスは、内部部材内部空間164から1つ以上の内部部材パージガス開口166を出て主内部空間108へと通過することができる。図2Bに示される1つ以上の内部部材パージガス開口166のサイズは単に例示的なものであり、実施形態において、1つ以上の内部部材パージガス開口166のサイズは、パージガスが1つ以上の内部部材パージガス開口166を通過するのを可能にする一方で、ポリマー微粒子が1つ以上の内部部材パージガス開口166を通過するのを制限するように選択され得ることを理解されたい。内部部材パージガス開口166のサイズを、パージガスが通過するのに十分な大きさである一方でポリマー微粒子の通過を制限するように選択することによって、パージガスを内部部材内部空間164から主内部空間108に通過させることができると同時に、主内部空間108内のポリマー微粒子が内部部材内部空間164に移動するのを制限する。図2Bに示す実施形態では、1つ以上の内部部材パージガス開口166は、略円形の形状を有するものとして示されているが、これは単なる例であり、1つ以上の内部部材パージガス開口166は、任意の適切な形状を有することができることを理解されたい。いくつかの実施形態では、内部部材内部空間164を通過したパージガスが内部部材パージガス開口166を通って内部部材160から出るように、内部部材160の下端は少なくとも部分的に閉じられている。
【0021】
いくつかの実施形態では、図1に示すように、内部部材160はパージガス源170と連通している。パージガス源170は、実施形態において、本明細書でより詳細に説明するように、パージガスを内部部材内部空間164及び/又は主内部空間108に供給し、パージガスを内部部材内部空間164及び/又は主内部空間108に移動させるためのファン、ポンプなどを含むことができる。内部部材160の底部は、ガスが逃げることができないように閉じられていてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、パージガス源170は、パージガスをパイプ172を介して、外壁102を通って内部空間108に入る1つ又は複数のパージガス開口(図1に矢印として示す)に送ることができる。パージガス開口は、1つ以上の内部錐台部分120及び/又は錐台形状出口領域110に近接して配置されてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、図1に示されるように、内部部材160は、内部部材スパン「IMS(Internal Member Span)」を画定する。内部部材160が円筒形状を有する実施形態では、内部部材スパンIMSは、内部部材160の直径である。例えば、図3Aは、内部部材160が円形断面を有するIMSを示す。図1に示される実施形態では、内部部材160は、内部部材スパンIMSが内部部材160に沿って垂直方向に移動するにつれて変化するように垂直テーパを備えている。具体的には、図1に示す実施形態では、内部部材160は、内部部材スパンIMSが内部部材160の上端よりも下端で小さくなるようにテーパを備えている。しかしながら、これは一例に過ぎず、いくつかの実施形態では、テーパは、内部部材スパンIMSが内部部材160の上端よりも下端で大きくなるようなものであってもよいことを理解されたい。更に、図1に示す実施形態では、テーパは直線状であるように示されているが、これは単なる例であり、実施形態において、内部部材160は、階段状テーパ、放物線状テーパ、又は任意の他の適切な形状のテーパを含んでもよく、又はテーパを含まなくてもよいことを理解されたい。
【0024】
1つ以上の実施形態では、内部錐台部分120のうちの1つ以上の通路126の出口のスパンは、内部錐台部分出口スパンとして定義されてもよい。図1の実施形態では、固体は重力によって上から下に移動するので、内部錐台部分120の出口は、内部錐台部分120を通る通路126の下部124(すなわち、底部)にある。内部錐台部分120の出口のスパンは、内部部材のスパンと同様に決定され、例えば、円形出口は、出口の直径であるスパンを有する。出口が円形でない場合、出口の対角線の平均がスパンを表す。(内部錐台部分120に対応する高さにおける)内部錐台部分出口スパンに対するIMSの比は、0.15~0.85、例えば0.15~0.65、又は0.15~0.45であってもよい。いくつかの実施形態では、各対応する高さにおける各内部錐台部分出口スパンに対するIMSの比は、0.15~0.85、例えば0.15~0.65、又は0.15~0.45であってもよい。これらの説明された比率は、IMSを最小化する(多くの空間を占めないようにする)ことと、IMSを最大化することとの間の良好なバランスを提供することができ、これは、主内部空間108内の非栓流(non-plug flow)の状態を促進することができる。
【0025】
次に図5を参照すると、内部部材160のいくつかの追加の実施形態が示されている。内部部材192は、一定のIMSを有する上部部分と、上部部分よりも小さい一定のIMSを有する底部部分とを有する。内部部材194は、一定のIMSを有する上部部分と、上部部分よりも大きい一定のIMSを有する底部部分とを有する。内部部材196は、一定のIMSを有する上部部分と、上部部分と比較して低減されたIMSを有する錐台形状を有する底部部分とを有する。内部部材198は、一定のIMSを有する底部部分と、底部部分と比較して増加したIMSを有する錐台形状を有する上部部分とを有する。
【0026】
いくつかの実施形態では、図3を参照すると、主外壁102は、主外壁102を貫通する1つ以上の外側パージガス開口112を画定する。動作中、パージガスは、1つ以上の外側パージガス開口112を通過して主内部空間108に至ることができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の外側パージガス開口112は、複数の内部錐台部分120と主外壁102との間に半径方向に配置された間隙「G」と連通している。ポリマー微粒子が主内部空間108を通過するとき、間隙Gは、概して、ポリマー微粒子をほとんど又は全く有していなくてもよい。したがって、パージガスを1つ以上の外側パージガス開口112を通過させて間隙G内に至らせることによって、ポリマー微粒子からの干渉を最小限に抑えた状態でパージガスを主内部空間108に導入することができる。
【0027】
実施形態では、図3に示すように、複数の内部錐台部分120はそれぞれ、内部錐台部分120の上部122(図1)から下部124(図1)まで延びる錐台壁130を画定しており、各錐台壁130は、錐台壁130を貫通する1つ以上の錐台開口132を画定している。図3は、便宜上及び明確にするために内部部材160を示していないが、図3の実施形態は、図1に示されるような内部部材160を含むことを理解されたい。いくつかの実施形態では、1つ以上の錐台開口132は、パージガスが1つ以上の錐台開口132を通過することを可能にする一方で、ポリマー微粒子が1つ以上の錐台開口132を通って流れることを制限するようなサイズにされる。パージガスが1つ以上の錐台開口132を通過することを可能にすることによって、パージガスは、内部錐台部分120の錐台壁を貫通して、内部錐台部分120内に配置されたポリマー微粒子にアクセスすることができる。図3に示す実施形態では、1つ以上の錐台開口132は円形開口として示されているが、これは単なる例であり、1つ以上の錐台開口132は、パージガスが1つ以上の錐台開口132を通過することを可能にする任意の適切な形状を有してもよいことを理解されたい。
【0028】
動作中、図1図3を参照すると、ポリマー微粒子は、主外壁102の上端104から、内部錐台部分120を通り、内部部材160の周りを通り、錐台形状出口領域110から出ることができる。容器が脱ガスプロセスで使用される実施形態では、パージガスは、内部部材160及び/又は主外壁102を通して容器100に導入されてもよい。理論に束縛されるものではないが、パージガスの温度を上昇させると、ポリマー微粒子を脱ガスするのに必要な時間を短縮することができる。しかしながら、ポリマー微粒子は、粒子間せん断なしに塊として移動している場合、高温で「ブロック化」又は「融合」又は「結合」する傾向を示す。これは、容器内の閉塞又はブロッキングをもたらす場合がある。内部錐台部分120及び内部部材160は、組み合わされて、粒子間せん断に寄与するのに役立ち、それによって容器100内のブロッキングを低減する。更に、内部錐台部分120及び内部部材160は、容器100内に質量流を誘導するのを助け、微粒子の漏斗流を誘導する構成に見られるような「デッド領域」の存在を低減することができる。更に、主外壁102及び内部部材160を通してパージガスを導入することによって、容器の底部でのみパージガスを導入する従来の設計と比較して、パージガスを容器100全体にわたってより多く分配することができる。パージガスを容器100全体にわたって分配することによって、容器100にわたる温度勾配を低減することができ、容器100内のより多くの量のポリマー微粒子を入口条件でパージガスに曝露させ、それによって処理時間を短縮することができる。ブロッキングを減少させ、パージガスへのポリマー微粒子の曝露を増加させることによって、脱ガス処理時間を短縮することができ、ポリマー微粒子の分解につながる可能性がある容器を通るポリマー微粒子の再循環を最小限にしてこの脱ガス処理時間を達成することができる。
【0029】
図4を参照すると、いくつかの実施形態では、複数の内部錐台部分120の各々は、複数の内部錐台部分120の各々の通路126に略垂直な錐台中心線128を画定する。いくつかの実施形態では、複数の錐台部分120の錐台中心線128のうちの少なくとも2つは同一直線上にない。例えば、図4に示す実施形態では、錐台中心線128の各々は、互いに対して横断するように方向付けられているが、これは単なる例であることを理解されたい。いくつかの実施形態では、錐台中心線128のうちの少なくとも2つは、加えて又は代替として、半径方向に互いにオフセットされてもよい。錐台中心線128は同一直線上にないので、ポリマー微粒子の流れの方向は、ポリマー微粒子が各内部錐台部分120を通って流れるときに変化し、このことは、ポリマー微粒子のブロッキングを低減することを更に支援することができる。
【0030】
ここで、本明細書に記載される実施形態は、概して、内部錐台部分と、内部錐台部分を通って延びる内部部材とを含む容器を対象とすることを理解されたい。内部錐台部分及び内部部材は、容器を通過するポリマー微粒子の粒子間せん断を増大させ、それによってポリマー微粒子のブロッキングを低減することができる。ポリマー微粒子のブロッキングを低減することによって、例えば、容器がポリマー微粒子を脱ガスするために利用される場合に、処理時間を低減することができる。したがって、本明細書で説明される実施形態は、排出又は再循環中の容器の内容物内の停留領域を回避するために、質量流量で動作するように設計される。
【0031】
特定の特性を具体化するために、又は特定の様態で機能するために、特定の方法で「構造的に構成された」本開示の構成要素の本明細書の列挙は、意図された使用の列挙とは対照的に、構造的列挙であることに留意されたい。より具体的には、構成要素が「構造的に構成されている」様態への本明細書での言及は、構成要素の既存の物理的状態を示し、したがって、構成要素の構造的特徴の明確な列挙と見なされるべきである。
【0032】
本明細書で使用される場合、「好ましくは」、「一般に」、及び「典型的に」のような用語は、特許請求される発明の範囲を限定するために、又は特定の特徴が、特許請求される発明の構造若しくは機能にとって重大である、必須である、若しくは更に重要であることを暗示するために利用されるのではないことに留意されたい。むしろ、これらの用語は、本開示の実施形態の特定の態様を識別すること、又は本開示の特定の実施形態で利用され得る、又は利用されない可能性がある代替又は追加の特徴を強調することを単に意図している。
【0033】
本発明を説明及び定義する目的で、「実質的に」及び「約」という用語は、任意の定量的比較、値、測定、又は他の表現に起因し得る固有の不確実性の程度を表すために本明細書で利用されることに留意されたい。「実質的に」及び「約」という用語はまた、問題である主題の基本的な機能に変化をもたらすことなく、定量的表現が記載された基準から変化し得る程度を表すために本明細書で利用される。
【0034】
本開示の主題を、詳細に、かつ、その特定の実施形態を参照することによって、説明してきたが、本明細書に開示される様々な詳細は、特定の要素が本記載に付随する図面の各々に示されている場合でさえ、これらの詳細が本明細書に記載の様々な実施形態の必須構成要素である要素に関連することを意味すると解釈されるべきではないことに留意されたい。更に、添付の特許請求の範囲で定義される実施形態を含むがこれらに限定されず、本開示の範囲から逸脱することなく、修正及び変形が可能であることは明らかであろう。より具体的には、本開示のいくつかの態様は、本明細書において、好ましいか、又は特に有利なものとして特定されるが、本開示は、必ずしもこれらの態様に限定されないことが企図される。
【0035】
以下の特許請求の範囲のうちの1つ以上は、「ここで(wherein)」という用語を移行句として利用していることに留意されたい。本発明を定義する目的で、この用語は、構造の一連の特徴の列挙を導入するために使用される制限のない移行句として請求項に導入され、より一般的に使用される制限のない「を含む」というプリアンブル用語と同様に解釈されるべきであることに留意されたい。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
【国際調査報告】