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特表2024-537017ポリフェノール化合物、グアニジン及び少なくとも1種のペルオキシド化合物に基づくゴム組成物を含む補強生成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ポリフェノール化合物、グアニジン及び少なくとも1種のペルオキシド化合物に基づくゴム組成物を含む補強生成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 9/00 20060101AFI20241003BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20241003BHJP
   C08K 5/134 20060101ALI20241003BHJP
   C08K 5/31 20060101ALI20241003BHJP
   C08K 5/14 20060101ALI20241003BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20241003BHJP
   F16G 1/08 20060101ALI20241003BHJP
   F16G 5/06 20060101ALI20241003BHJP
   B65G 15/36 20060101ALI20241003BHJP
   C08K 9/06 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C08L9/00
C08K3/36
C08K5/134
C08K5/31
C08K5/14
B60C1/00 C
F16G1/08
F16G5/06
B65G15/36
C08K9/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518236
(86)(22)【出願日】2022-09-19
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 FR2022051756
(87)【国際公開番号】W WO2023047046
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】2110047
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】トゥイリエ アン-リセ
(72)【発明者】
【氏名】ガヴァール-ロンシェ オディル
【テーマコード(参考)】
3D131
3F024
4J002
【Fターム(参考)】
3D131AA14
3D131AA15
3D131BA08
3D131BA12
3D131BA18
3D131BB01
3D131BB03
3D131BB04
3D131BB05
3D131BB06
3D131BB19
3D131BC36
3F024AA19
3F024CB05
4J002AC011
4J002AC031
4J002AC061
4J002AC081
4J002DJ016
4J002EJ018
4J002EK007
4J002EK038
4J002EK048
4J002EK058
4J002EK088
4J002ER028
4J002FB096
4J002FD016
4J002FD147
4J002FD208
4J002GM01
4J002GN00
4J002GN01
(57)【要約】
本発明は、ゴム組成物に埋め込まれた少なくとも1種の金属補強用エレメントに基づく補強生成物であって、前記ゴム組成物は、少なくとも1種のジエンエラストマー、主としてシリカを含む補強用充填剤、少なくとも1種のペルオキシド化合物に基づく架橋系、少なくとも3個のベンゼン環を含み、それぞれが少なくとも2個のビシナルヒドロキシル基を有する少なくとも1種の非エラストマーポリフェノール化合物、及びグアニジンファミリーの少なくとも1種の化合物に基づく補強生成物並びにそのような補強生成物を含むゴム物品に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム組成物に埋め込まれた少なくとも1種の金属補強用エレメントに基づく補強生成物であって、前記ゴム組成物が、少なくとも1種のジエンエラストマー、主としてシリカを含む補強用充填剤、少なくとも1種のペルオキシド化合物に基づく架橋系、少なくとも3個のベンゼン環を含み、それぞれが少なくとも2個のビシナルヒドロキシル基を有する少なくとも1種の非エラストマーポリフェノール化合物、及びグアニジンファミリーの少なくとも1種の化合物に基づく、補強生成物。
【請求項2】
前記ポリフェノール化合物の分子量が600g/モルを超える、請求項1に記載の補強生成物。
【請求項3】
前記ポリフェノール化合物が、ガロタンニンから、好ましくは没食子酸、並びに五炭糖及び六炭糖から選択されるポリオールのエステルから選択される、請求項1又は2に記載の補強生成物。
【請求項4】
前記ポリフェノール化合物が、グルコース及び没食子酸のエステルから選択され、好ましくは3~10、好ましくは5~10のガロイル単位を含むポリガロイルグルコースから選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の補強生成物。
【請求項5】
前記ゴム組成物のポリフェノール化合物の含有率が0.1~30phr、好ましくは5~20phr、及び好ましい方式において5~15phrの範囲である、請求項1~4のいずれか1項に記載の補強生成物。
【請求項6】
前記グアニジンファミリーの化合物がジフェニルグアニジンである、請求項1~5のいずれか1項に記載の補強生成物。
【請求項7】
前記グアニジンファミリーの化合物の含有率が、0.5~3phr、優先的に0.5~2.5phr、好ましくは0.5~2phrの範囲である、請求項1~6のいずれか1項に記載の補強生成物。
【請求項8】
前記ゴム組成物が、5phr未満、好ましくは1phr未満の官能化エラストマーを含み、非常に好ましくは官能化エラストマーを含まない、請求項1~7のいずれか1項に記載の補強生成物。
【請求項9】
前記ゴム組成物が分子状硫黄を含まないか、又は1phr未満の分子状硫黄を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の補強生成物。
【請求項10】
前記ゴム組成物が亜鉛又は酸化亜鉛を含まないか、又はごく少量のみ、優先的に1phr未満、好ましくは0.5phr未満の、より優先的に0.2phr未満の亜鉛又は酸化亜鉛を含有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の補強生成物。
【請求項11】
前記ゴム組成物が、カップリングのための試剤、シリカを被覆するための試剤、及びそれらの混合物から選択される試剤を含み、前記試剤の含有率は、シリカの量に対して5%~20質量%、優先的にシリカの量に対して6%~18質量%に及ぶ範囲である、請求項1~10のいずれか1項に記載の補強生成物。
【請求項12】
前記ゴム組成物が、0.01~10phr、優先的に1~5phrのペルオキシド化合物を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の補強生成物。
【請求項13】
前記架橋系が有機過酸化物から選択されるペルオキシド化合物を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の補強生成物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の補強生成物を含むゴム物品。
【請求項15】
空気入り及び非空気入りのタイヤ、コンベヤーベルト及びキャタピラートラックから選択される、請求項1~14のいずれか1項に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野
本発明は、エラストマー組成物に基づく補強生成物、及びまたそのような補強生成物を含む物品に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術
多くのゴムベース物品、例えば空気入りタイヤ、非空気入りタイヤ- すなわち、ステーなどの加圧ガス以外の手段によって形状が保持されたタイヤ-又はコンベヤーベルトは、補強生成物、すなわち、ゴム組成物と、しばしば金属であり、黄銅で表面が被覆された補強用ケーブルの組み合わせを使用している。補強用エレメントは一般に互いに平行に配列され、ゴム組成物を用いてコートされるので、これらの補強生成物はしばしばプライと称される。これらのプライはタイヤの稼働中又はコンベヤーベルトの稼働中に大きい応力にさらされるので、これらは、時には矛盾する多くの評価基準、例えば、補強材と組成物の間の高接着性、亀裂に対する良好な耐性、低い転がり抵抗、又はゴム物品の動きに対する抵抗及び外部の攻撃、特に腐食に対する良好な耐性を満たさなければならない。
接着機能は一般に、ゴム組成物に特定の配合、特に高含有率の硫黄及び酸化亜鉛、少量のステアリン酸に対する必要性、コバルト塩の存在、及び長い遅延段階を有する促進剤の使用を課する。しかし、高い硫黄含有率を含むこれらの加硫系は、特に時期尚早の架橋を回避するために、半完成物品の製作中に大きな制約を構成する。
したがって、補強されたゴム物品の製造業者は、特定の金属又は合金を用いて被覆されるかどうかに関わらず補強用ケーブルに対する良好な接着を可能にしつつ硫黄含有率を低減することを可能にするか、又は補強生成物中の硫黄を省きさえするゴム組成の配合物を求めている。
【発明の概要】
【0003】
国際公開第2017/081387号及び国際公開第2017/081388号は、官能性「グラフト化」ジエンポリマーを含むポリマーマトリクスに基づくゴム組成物及び複合体を開示し、その調製法はこれらの特許出願において教示される。この官能性ジエンポリマーは、少なくとも2個のビシナルヒドロキシル官能基で置換された少なくとも1個の芳香族基を有する。ゴム組成物の架橋は、加硫系又は1種又は複数のペルオキシド化合物に基づく系を用いて遂行される。金属に対するゴム組成物の良好な接着性は得られるが、しかし、グラフト化ポリマーの使用を必要とする。
特開2011-252107号公報は、金属に対する良好な接着を有するゴム組成物を記載し、この組成物はジエンエラストマー及びコバルト塩を含む。没食子酸又は没食子酸水和物は、コバルト塩の溶解を容易にする。組成物は硫黄ベース系を用いて架橋される。これは良好な接着特性を有するが、この組成物は硫黄及びコバルト塩両方を使用する。
特開2009-007408号公報及び特開2008-291173号公報は、従来の硫黄架橋系、及び高含有率の酸化亜鉛とともに、補強用充填剤としてシリカを含む組成物をカレンダー加工するステップを開示している。特開2012-229282号公報は、低い含有率の硫黄及び酸化亜鉛を含む組成物をカレンダー加工するステップを記載している。しかしながら、この組成物は、特定のエポキシド官能化エラストマーを使用している。
【0004】
本出願者は、その研究を継続して、ジエンエラストマー、主としてシリカを含む補強用充填剤、特定のポリフェノール化合物、ペルオキシドに基づく架橋系、及びグアニジンファミリーの少なくとも1種の化合物を含み、非常に良好な接着特性及びまた永続的な特性を有する補強生成物を発見した。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明は、ゴム組成物に埋め込まれた少なくとも1種の金属補強用エレメントに基づく補強生成物に、そのような補強生成物を含むゴム物品に、及びそのような補強生成物を含む空気入りタイヤに関する。
定義
表現「~に基づく組成物」とは、使用される様々な成分の混合物及び/又はインサイチュー反応の生成物を含み、これらの成分のうちの幾つかは、組成物の製作の種々の段階の間に少なくとも部分的に反応することができる及び/又は互いと反応するように意図され;それにより、組成物は、可能性として完全に又は部分的に架橋した状態又は架橋していない状態にある組成物を意味すると理解されるべきである。
本発明の目的として、表現「エラストマー100質量部当たりの質量部」(又はphr)は、エラストマー100質量部当たりの質量部を意味すると理解されるべきである。
【0006】
本発明において、他の方法で明確に示されなければ、示されたパーセント(%)はすべて質量パーセント(%)である。
さらに、表現「aとbの間」によって示される値の区間はいずれも、aよりも大きくbよりも小さい値の範囲(すなわち、限界値aとbは除かれる)を表し、一方、表現「aからb」によって示される値の区間はいずれも、aからbまでの値の範囲(すなわち、厳密な限定値a及びbを含む)を意味する。
本明細書に言及される炭素含有化合物は、化石又はバイオベースの起源であってもよい。後者の事例において、それらは、部分的に又は完全にバイオマスに起因するか、又は、バイオマスに起因する再生可能な出発材料から得ることができる。ポリマー、可塑剤、充填剤などが殊に関係する。
したがって、本発明は、以下の実施形態の少なくとも1つに関する:
ゴム組成物に埋め込まれた少なくとも1種の金属補強用エレメントに基づく補強生成物であって、前記ゴム組成物は、少なくとも1種のジエンエラストマー、主としてシリカを含む補強用充填剤、少なくとも1種のペルオキシド化合物に基づく架橋系、少なくとも3個のベンゼン環を含み、それぞれが少なくとも2個のビシナルヒドロキシル基を有する少なくとも1種の非エラストマーポリフェノール化合物、及びグアニジンファミリーの少なくとも1種の化合物に基づく補強生成物。
前記ポリフェノール化合物の分子量が優先的に600g/モルを超える補強生成物。
ポリフェノール化合物が優先的に、ガロタンニンから、好ましくは没食子酸並びに五炭糖及び六炭糖から選択されるポリオールのエステルから選択される補強生成物。
ポリフェノール化合物が優先的に、グルコース及び没食子酸のエステルから選択され、好ましくは3~10、好ましくは5~10のガロイル単位を含むポリガロイルグルコースから選択される、補強生成物。
【0007】
ポリフェノール化合物が優先的に、トリガロイルグルコース、ペンタガロイルグルコース、デカガロイルグルコース及びそれらの混合物から選択され、好ましくは1,2,6-トリガロイルグルコース、1,3,6-トリガロイルグルコース、1,2,3,4,6-ペンタガロイルグルコース、タンニン酸及びそれらの混合物から選択される、補強生成物。
ゴム組成物のポリフェノール化合物の含有率が、優先的に0.1~30phr、好ましくは5~20phr、及び好ましい方式において5~15phrの範囲である、補強生成物。
グアニジンファミリーの化合物が優先的にジフェニルグアニジンである、補強生成物。
グアニジンファミリーの化合物の含有率が優先的に0.5~3phr、優先的に0.5~2.5phr、好ましくは0.5~2phrの範囲である、補強生成物。
【0008】
ゴム組成物が優先的に、5phr未満、好ましくは1phr未満の官能化エラストマーを含み、非常に好ましくは官能化エラストマーを含まない、補強生成物。
優先的に、前記ゴム組成物がコバルト塩を含まないか、又は2phr未満の、優先的に1phr未満の、好ましくは0.5phr未満の、非常に優先的には0.1phr未満のコバルト塩を含む補強生成物。
前記ゴム組成物が分子状硫黄を含まないか、又は1phr未満の分子状硫黄を含む、優先的に補強された生成物。
ゴム組成物がステアリン酸又はその誘導体を含まないか、又は2phr未満の、優先的に1phr未満の、好ましくは0.5phr未満の、非常に優先的に0.1phrのステアリン酸又はその誘導体を含む、優先的に補強された生成物。
前記ゴム組成物が亜鉛又は酸化亜鉛を含まないか、又はごく少量のみ、優先的に1phr未満、好ましくは0.5phr未満の、より優先的に0.2phr未満の亜鉛又は酸化亜鉛を含有する、優先的に補強された生成物。
ゴム組成物が10~200phrの補強用充填剤を含む、優先的に補強された生成物。
【0009】
ゴム組成物がカップリングのための試剤、シリカを被覆するための試剤、及びそれらの混合物から選択される試剤を含み、試剤の含有率は、シリカの量に対して5%~20質量%、優先的にシリカの量に対して6%~18質量%に及ぶ範囲である、優先的に補強された生成物。
ゴム組成物のジエンエラストマーが、ポリブタジエン、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー、及びこれらのエラストマーの混合物からなる群から選択され、優先的に天然ゴム及び合成ポリイソプレンから選択される、優先的に補強された生成物。
ゴム組成物が、0.01~10phr、優先的に1~5phrのペルオキシド化合物を含む、優先的に補強された生成物。
架橋系が有機過酸化物から選択されるペルオキシド化合物を含む、優先的に補強された生成物。
金属補強用エレメントが金属表面を含み、その金属は鉄、銅、スズ、亜鉛及びこれらの金属の少なくとも1種を含む合金からなる群から選択され、好ましくは鋼鉄及び黄銅からなる群から選択される、優先的に補強された生成物。
【0010】
上記実施形態のうちのいずれか1つに記載の補強生成物を含むゴム物品。
優先的に、空気入り及び非空気入りのタイヤ、コンベヤーベルト及びキャタピラートラックから選択される、先の実施形態によるゴム物品。
【0011】
ジエンエラストマー
本発明による補強生成物は少なくとも1種のジエンエラストマーを含む。
「ジエン」エラストマー(又は区別せずにゴム)は、天然であろうと合成であろうと、公知のように、少なくとも部分的にジエンモノマー単位(2個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を有するモノマー)で構成されるエラストマー(すなわちホモポリマー又はコポリマー)を意味するように与えられる。
これらのジエンエラストマーは2つの範疇:「基本的に不飽和」、又は「基本的に飽和」に分類されてもよい。「基本的に不飽和」という用語は、一般に15%(モル%)を超えるジエン起源(共役ジエン)の単位の含有率を有する共役ジエンモノマーから少なくとも部分的に得られるジエンエラストマーを意味すると理解され;したがって、ブチルゴムなどのジエンエラストマー又はジエンとEPDMタイプのα-オレフィンとのコポリマーは、先の定義に含まれず、特に「基本的に飽和した」ジエンエラストマー(低いか、非常に低い含有率、常に15%未満の、ジエン起源の単位)として記載することができるという事例である。本発明による組成物中に含まれるジエンエラストマーは、優先的に基本的に不飽和である。
【0012】
用語「本発明による組成物において使用されてもよいジエンエラストマー」は特に:
(a)4~18炭素原子を含有する共役又は非共役のジエンモノマーのあらゆるホモポリマー;
(b)4~18炭素原子を含有する共役又は非共役のジエンと少なくとも1種の他のモノマーとのあらゆるコポリマーを意味する。
他のモノマーは、エチレン、オレフィン又は共役若しくは非共役のジエンであってもよい。
4~12炭素原子を有する共役ジエン、殊に1,3-ジエン、例えば、特に1,3-ブタジエン及びイソプレンが共役ジエンとして適切である。
8~20炭素原子を有するビニル芳香族化合物及び3~12炭素原子を有する脂肪族α-モノオレフィンがオレフィンとして適切である。
【0013】
例えば、スチレン、オルト、メタ又はパラ-メチルスチレン、「ビニルトルエン」市販混合物又はパラ(tert-ブチル)スチレンが、ビニル芳香族化合物として適切である。
特に3~18炭素原子を有する非環式脂肪族α-モノオレフィンが、脂肪族α-モノオレフィンとして適切である。
優先的に、ジエンエラストマーは、ポリブタジエン(BR)、天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレン(IR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー及びこれらのエラストマーの混合物からなる群から選択される。ブタジエンコポリマーは、特にブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)からなる群から選択される。
好ましくは、ジエンエラストマーはイソプレンエラストマーである。
【0014】
「イソプレンエラストマー」は、公知のように、イソプレンホモポリマー又はコポリマー、言いかえれば天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレン(IR)、様々なイソプレンコポリマー及びこれらのエラストマーの混合物からなる群から選択されるジエンエラストマーを意味すると理解される。特に、イソプレンコポリマーの中でも、イソブテン/イソプレン(ブチルゴム-IIR)、イソプレン/スチレン(SIR)、イソプレン/ブタジエン(BIR)又はイソプレン/ブタジエン/スチレン(SBIR)コポリマーについて言及される。このイソプレンエラストマーは、好ましくは天然ゴム、合成cis-1,4-ポリイソプレン及びそれらの混合物からなる群から選択され;好ましくはこれらの合成ポリイソプレンの中でも、90%を超え、なおより優先的に98%を超えるcis-1,4-結合の含有率(モル%)を有するポリイソプレンが使用される。好ましくは本発明の構成のうちのいずれか1つによると、ジエンエラストマーは天然ゴムである。
優先的に、ジエンエラストマー、好ましくはイソプレンエラストマー、好ましくは天然ゴムの含有率は、50~100phr、より優先的に60~100phr、より優先的方法において70~100phr、なおより優先的に80~100phr、非常に優先的に90~100phrである。特に、ジエンエラストマー、好ましくはイソプレンエラストマー、より好ましくは天然ゴムの含有率は、非常に優先的に100phrである。
それがただ1種のジエンエラストマー又は数種のジエンエラストマーの混合物を含有していようと、本発明によるゴム組成物はまた、下位の方法において、ジエンエラストマー以外のあらゆるタイプの合成エラストマー、実際はエラストマー以外のポリマーさえ、例えば熱可塑性ポリマーを含有することができる。好ましくは、本発明によるゴム組成物は、ジエンエラストマー以外の合成エラストマー又はエラストマー以外のポリマーを含有しないか、又は10phr未満、好ましくは5phr未満のそれらを含有する。
【0015】
好ましくは、ゴム組成物は、5phr未満、好ましくは1phr未満の官能化エラストマーを含み、非常に好ましくは官能化エラストマーを含まない。
用語「官能化」は、エラストマーが、官能基、例えば、共役ジエン官能基を含む基、エポキシド官能基、カルボニル官能基、無水物官能基又は酸エステル官能基を有することを意味すると理解される。
したがって、非常に好ましくは、ゴム組成物は、5phr未満、好ましくは1phr未満のエポキシド官能化エラストマーを含み、非常に好ましくはエポキシド官能化エラストマーを含まない。
【0016】
架橋系
本発明による補強生成物のゴム組成物は、少なくとも1種のペルオキシド化合物に基づく架橋系に基づく。
前記ペルオキシド化合物は、ゴム組成物の0.01~10phr、好ましくは1~5phrを占める。
本発明に従って使用することができるペルオキシドとして、当業者に公知のあらゆるペルオキシドが使用されてもよい。
ペルオキシドは好ましくは、有機過酸化物から選択される。
用語「有機過酸化物」は有機化合物、すなわち、-O-O-基(単一の共有結合によって連結した2個の酸素原子)を含む、炭素を含有する化合物を意味する。
【0017】
架橋プロセスの間に、有機過酸化物はその不安定なO-O結合で分解してフリーラジカルを与える。これらのフリーラジカルは、架橋結合の生成を可能にする。
一実施形態によると、有機過酸化物はジアルキルペルオキシド、モノペルオキシカルボナート、ジアシルペルオキシド、ペルオキシケタール、ペルオキシエステル及びそれらの混合物からなる群から選択される。
好ましくは、ジアルキルペルオキシドは、ジクミルペルオキシド、ジ(t-ブチル)ペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-アミルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサ-3-イン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-アミルペルオキシ)ヘキサ-3-イン、α,α’-ジ[(t-ブチルペルオキシ)イソプロピル]ベンゼン、α,α’-ジ[(t-アミルペルオキシ)イソプロピル]ベンゼン、ジ(t-アミル)ペルオキシド、1,3,5-トリ[(t-ブチルペルオキシ)イソプロピル]ベンゼン、1,3-ジメチル-3-(t-ブチルペルオキシ)ブタノール、1,3-ジメチル-3-(t-アミルペルオキシ)ブタノール及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0018】
幾つかのモノペルオキシカルボナート、例えばOO-tert-ブチルO-(2-エチルヘキシル)モノペルオキシカルボナート、OO-tert-ブチルO-イソプロピルモノペルオキシカルボナート、OO-tert-アミルO-(2-エチルヘキシル)モノペルオキシカルボナート、及びそれらの混合物もまた使用することができる。
ジアシルペルオキシドの中でも、好ましいペルオキシドは過酸化ベンゾイルである。
【0019】
ペルオキシケタールの中でも、好ましいペルオキシドは、1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル4,4-ジ(t-ブチルペルオキシ)バレラート、エチル3,3-ジ(t-ブチルペルオキシ)ブチラート、2,2-ジ(t-アミルペルオキシ)プロパン、3,6,9-トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,4,7-トリペルオキシノナン(又はメチルエチルケトンペルオキシドサイクリックトリマー)、3,3,5,7,7-ペンタメチル-1,2,4-トリオキセパン、n-ブチル4,4-ビス(t-アミルペルオキシ)バレラート、エチル3,3-ジ(t-アミルペルオキシ)ブチラート、1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t-アミルペルオキシ)シクロヘキサン及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0020】
好ましくは、ペルオキシエステルは、tert-ブチルペルオキシベンゾアート、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノアート、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
特に好ましくは、有機過酸化物は、ジクミルペルオキシド、アリール又はジアリールペルオキシド、過酸化ジアセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジベンゾイル、ジ(tert-ブチル)ペルオキシド、tert-ブチルクミルペルオキシド、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、n-ブチル4,4’-ジ(tert-ブチルペルオキシ)バレラート、OO-(t-ブチル)O-(2-エチルヘキシル)モノペルオキシカルボナート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、tert-ブチルペルオキシベンゾアート、tert-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノアート、1,3(4)-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、及びそれらの混合物からなる群から、より優先的にジクミルペルオキシド、n-ブチル4,4’-ジ(tert-ブチルペルオキシ)バレラート、OO-(t-ブチル)O-(2-エチルヘキシル)モノペルオキシカルボナート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、tert-ブチルペルオキシベンゾアート、tert-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノアート、1,3(4)-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0021】
補強用充填剤
本発明の補強生成物のゴム組成物は、主としてシリカを含む補強用充填剤を含む。
用語「主として」は、シリカが、ゴム組成物の補強用充填剤の少なくとも50質量%、好ましくはゴム組成物の補強用充填剤の少なくとも70質量%、優先的に少なくとも90質量%を占めることを意味すると理解される。
主たるシリカに加えて、特にタイヤの製作のために使用することができるゴム組成物を補強するその能力で知られるあらゆるタイプの補強用充填剤、例えばカーボンブラックなどの補強用有機充填剤、補強用無機充填剤又はこれらの2つのタイプの充填剤の混合物を使用することが可能である。
【0022】
優先的に、ゴム組成物は、最大10phrのカーボンブラック、好ましくは最大5phr、非常に好ましくは最大1phrのカーボンブラックを含む。非常に優先的に、ゴム組成物の他の特徴から独立して、後者は不可避的不純物を例外としてカーボンブラックを含まない。
【0023】
使用されるシリカは、当業者に公知のあらゆる補強用シリカ、殊に450m2/g未満の、好ましくは30~400m2/g、殊に60~300m2/gに及ぶ範囲のBET比表面積及びまたCTAB比表面積の両方を有するあらゆる沈降又はヒュームドシリカであってもよい。あらゆるタイプの沈降シリカ、殊に高分散性シリカ(HDS)が使用されてもよい。これらの沈降シリカは、高分散性であってもなくてもよいが、当業者によく知られている。例えば、国際公開第03/016387号及び国際公開第03/016215号に記載されたシリカに言及することができる。市販HDSシリカの中で、殊にEvonikからのUltrasil(登録商標)5000GR及びUltrasil(登録商標)7000GRシリカ、又はSolvayからのZeosil(登録商標)1085GR、Zeosil(登録商標)1115 MP、Zeosil(登録商標)1165MP、Zeosil(登録商標) Premium 200MP及びZeosil(登録商標)HRS 1200 MPシリカが使用されてもよい。非HDSシリカとして、以下の市販シリカ:EvonikからのUltrasil(登録商標)VN2GR及びUltrasil(登録商標)VN3GRシリカ、SolvayからのZeosil(登録商標)175GRシリカ、又はPPGからのHi-Sil EZ120G(-D)、Hi-Sil EZ160G(-D)、Hi-Sil EZ200G(-D)、Hi-Sil 243LD、Hi-Sil 210及びHi-Sil HDP 320Gシリカが使用されてもよい。
【0024】
本開示において、BET比表面積は、“The Journal of the American Chemical Society”(60巻、309頁、1938年2月)に記載のBrunauer-Emmett-Teller法を使用する気体吸着によって、とりわけ、2010年6月の規格NF ISO 5794-1、付録Eに由来する方法に従って求められる [多点(5点)容量法 - ガス:窒素-真空下脱気:160℃で1時間 - 相対圧力p/p0範囲:0.05~0.17]。
シリカなどの無機充填剤について、例えば、CTAB比表面積値は、2010年6月の規格NF ISO 5794-1、付録Gに従って求められた。そのプロセスは、補強用充填剤の「外側」表面へのCTAB(N-ヘキサデシル-N,N,N-トリメチルアンモニウムブロミドの吸着に基づく。
【0025】
適切なカーボンブラックは、すべてのカーボンブラック、殊にタイヤ又はそのトレッドに従来通り使用されるカーボンブラックを含む。後者の中で、とりわけ、100、200及び300シリーズの補強カーボンブラック、又は500、600若しくは700シリーズのカーボンブラック(ASTM D-1765-2017等級)、例えば、N115、N134、N234、N326、N330、N339、N347、N375、N550、N683及びN772カーボンブラックを挙げることができる。これらのカーボンブラックは市販されているまま、単独形態、又は他の形態で、例えば、使用されるゴムエンジニアリング添加剤の幾つかの支持体として使用されてもよい。カーボンブラックは、例えば、マスターバッチの形でジエンエラストマー、殊にイソプレンエラストマーに既に組み込まれていてもよい(参照:例えば、国際公開第97/36724A2号、国際公開第99/16600A1号)。
【0026】
カーボンブラックに関しては、ASTM 規格D6556-2016に従ってSTSA比表面積が求められる。
補強用無機充填剤が提供される物理的状態は、それが粉末、ミクロパール、顆粒、ビードの形態又は他の好適な高密度形態であろうと、重要ではない。言うまでもなく、用語「補強用無機充填剤」はまた、異なる補強用無機充填剤の混合物、特に上述のシリカを指す。
当業者は、関係する使用に従って特に関係するタイヤ、例えばモーターサイクル用、乗用車用又はバン若しくはヘビーデューティ車両などの多目的車用のタイヤのタイプに従って、補強用充填剤の合計含有率を調節する方法を知っている。優先的に、補強用充填剤(シリカ及び/又はカーボンブラックなどの補強用無機充填剤)の合計含有率は、10から200phrの間、より優先的に25から180phrの間にあり、最適値は、公知のように、意図される特定の用途に応じて異なる。
【0027】
ジエンエラストマーに対して補強用無機充填剤、特にシリカとカップリングするために、よく知られている方式で、無機充填剤(その粒子の表面)とジエンエラストマーとの間に満足な連結を与えるよう意図される、化学的及び/又は物理的性質の少なくとも二官能性のカップリング剤(又は結合剤)を使用することができる。特に、少なくとも二官能性であるオルガノシラン又はポリオルガノシロキサンが使用される。「二官能性」という用語は、無機充填剤と相互作用することができる第1の官能基、及びジエンエラストマーと相互作用することができる第2の官能基を有する化合物を意味すると理解される。例えば、そのような二官能性化合物は、無機充填剤のヒドロキシル基と相互作用することができる、シリコン原子を含む第1の官能基、及びジエンエラストマーと相互作用することができる、硫黄原子を含む第2の官能基を含むことができる。
【0028】
好ましくは、オルガノシランは、オルガノシランポリスルフィド(対称的又は非対称的な)、例えば、Evonikによって名称Si69の下で販売されているビス(3-トリエトキシシリルプロピルテトラスルフィド(TESPTと略される)、又はEvonikによって名称Si75の下で販売されているビス(トリエトキシシリルプロピルジスルフィド(TESPDと略される)、Momentive社によって名称NXT Silaneの下で販売されているS-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)オクタンチオアートなどのポリオルガノシロキサン、メルカプトシラン、ブロックメルカプトシランからなる群から選択される。より優先的には、オルガノシランはオルガノシランポリスルフィドである。
【0029】
本発明の組成物中のカップリング剤の含有率は、優先的に35phr以下であり、一般には可能な限り、それの使用は、少ないほど望ましいと理解されている。典型的にはカップリング剤の含有率は、補強用無機充填剤の量に対して0.5%~15質量%を占める。その含有率は、好ましくは0.5~20phrに及ぶ範囲内、より優先的に3~10phrに及ぶ範囲内にある。この含有率は、本発明の組成物において使用される補強用無機充填剤の含有率に従って当業者によって容易に調節される。
当業者は、上記の補強用無機充填剤に対する置き換えとして、別の性質の補強用充填剤の使用が、別の性質のこの補強用充填剤がシリカなどの無機層で被覆されるか、又は、そうでなければ、この補強用充填剤とジエンエラストマーとの間の結合を確立するためにカップリング剤の使用を必要とするその表面に、官能性部位、特にヒドロキシル部位を含むことを条件にして、なされてもよいことを理解している。例として、シリカで部分的に又は完全に被覆されたカーボンブラック、又はシリカで改質されたカーボンブラック、例えば、以下に限定されないが、Cabot Corporationからの「CRX2000」シリーズ又は「CRX4000」シリーズのEcoblac(登録商標)型の充填剤が言及されてもよい。
【0030】
ポリフェノール化合物
本発明による組成物は、少なくとも3個のベンゼン環を含み、少なくとも2個のビシナルヒドロキシル基をそれぞれが有する、少なくとも1種の非エラストマーポリフェノール化合物を含む。
用語「ビシナル」は、芳香環が有する2個のヒドロキシル基が互いにオルト位であることを意味すると理解される。
用語「ベンゼン環」は、6個の炭素原子を含む置換芳香環を意味すると理解される。
ポリフェノール化合物の分子量は、優先的に600g/モルを超え、優先的に800g/モルを超え、好ましい方法において1000g/モルを超え、非常に好ましい方法において1200g/モルを超える。
【0031】
好ましくは、ポリフェノール化合物は、ガロタンニン、すなわち、没食子酸とポリオールのエステルから選択され、ポリオールは好ましくは五炭糖及び六炭糖から選択される。好ましくは、ポリフェノール化合物は、グルコースと没食子酸のエステルから選択され、優先的には3~10のガロイル単位を、好ましくは5~10のガロイル単位を含むポリガロイルグルコースから選択される。優先的に、ポリフェノール化合物は、トリガロイルグルコース、ペンタガロイルグルコース、デカガロイルグルコース、及びそれらの混合物、好ましくは1,2,6-トリガロイルグルコース、1,3,6-トリガロイルグルコース、1,2,3,4,6-ペンタガロイルグルコース、タンニン酸(又はベータ-D-グルコースペンタキス(3,4-ジヒドロキシ-5-((3,4,5-トリヒドロキシベンゾイル)オキシ)ベンゾアート))、及びそれらの混合物から選択される。非常に好ましくは、ポリフェノール化合物はタンニン酸である。そのような化合物は、その構造の複雑さのために、ゴム組成物にそういうものとして組み込まれ、特に、ゴム組成物の様々な成分間の化学反応、エステル化反応の生成物ではありえない。
【0032】
本発明によるゴム組成物は、補強用エレメントが特定の金属又は合金で被覆されているかどうかに関わらず、特に補強生成物、とりわけタイヤを意図した補強生成物の構成のための、主たるシリカ補強用充填剤とグアニジンファミリーの少なくとも1種の化合物とを組み合わせたポリフェノール化合物の存在のために、特に金属補強用エレメントに対する接着の有利な特性を有する。
本発明によるゴム組成物は、優先的に0.1~30phr、優先的に5~20phr、非常に優先的に5~15phrのポリフェノール化合物を含む。0.1phr未満では、ポリフェノール化合物は、本発明によるゴム組成物の接着性にさほどの効果はない。30phrを超えても、それ以上の有意な増加は観察されない。
驚いたことに、金属補強用ケーブルに対するゴム組成物の非常に良好な接着が得られ、コバルトの塩、ステアリン酸又は酸化亜鉛の使用に対する必要性はない。したがって、本発明による組成物は優先的に、当業者に知られ、公知の効果が接着及びその耐久性において改善となるコバルト塩を含まないか、又は、1phr未満、好ましくは0.5phr未満、より優先的に0.2phr未満、非常に優先的に0.1phr未満のそれを含有する。
【0033】
グアニジンファミリーの化合物
本発明による補強生成物のゴム組成物はグアニジンファミリーの少なくとも1種の化合物を含む。これらの化合物はしばしば、加硫系、加硫促進剤と称される硫黄ベース架橋系と組み合わせて使用される。ここで、主としてシリカを含む補強用充填剤、ポリフェノール化合物及び少なくとも1種のペルオキシド化合物に基づく架橋系と組み合わせて、グアニジンファミリーの少なくとも1種の化合物の存在は、本発明による補強生成物の特性を著しく改善することを可能にすることが観察された。
好ましくは、ゴム組成物のグアニジンファミリーの化合物の含有率は、0.5~3phr、優先的に0.5~2.5phr、好ましくは0.5~2phrの範囲である。
優先的に、グアニジンファミリーの化合物はジフェニルグアニジンである。
【0034】
様々な添加剤
本発明によるゴム組成物はまた、タイヤ用のゴム組成物中に本特許出願において以後定義されるような特定の内部層中に通常使用される通常の添加剤のすべて又は幾つか、例えば可塑剤(可塑化油剤及び/又は可塑化樹脂)、上記で言及されたもの以外の補強用充填剤又は非補強用充填剤、顔料、保護剤(抗オゾンワックス、化学的オゾン劣化防止剤、抗酸化剤、抗疲労剤又は補強用樹脂)を含むことができる(例えば国際公開第02/10269号に記載のように)。
好ましくは、本発明の他の特徴から独立して、本発明による補強生成物のゴム組成物は、補強用樹脂を含まないか、又は5phr未満、好ましくは1phr未満のそれを含む。
これらの組成物は、また任意選択のカップリング剤、カップリング活性剤、に加えて、無機充填剤を被覆するための試剤、又は一般に、公知の方式において、ゴムマトリックス中の充填剤の分散の改善及び組成物の粘度低下のおかげで、未硬化状態で加工する能力を改善できる加工助剤を含有していてもよく、これらの試剤は、例えば加水分解性シラン、例えば、アルキルアルコキシシラン(例えばオクチルトリエトキシシラン又はocteoシラン)、ポリオール、ポリエーテル、又はヒドロキシル化若しくは加水分解性ポリオルガノシロキサンである。
【0035】
ゴム組成物の調製
本発明によるゴム組成物は、当業者によく知られている調製段階:
- 単一の熱機械的ステップ中に実行することができる熱機械的作業又は混練の段階を使用する好適な混合機で製作され、その間に、すべての必要な成分、特にエラストマーマトリックス、ポリフェノール化合物、充填剤及び任意選択の他の各種添加剤が、標準密閉式混合機(例えば「バンバリ」型の)などの好適な混合機へ導入される。エラストマーへの充填剤の組み入れは、熱機械的混練中に1回又は複数回遂行することができる。例えば国際公開第97/36724号及び国際公開第99/16600号において記載されているように、マスターバッチの形でエラストマー中に充填剤、特にカーボンブラックが既に完全に又は部分的に組み込まれている場合、それは、直接に混練されたマスターバッチであり、適宜、マスターバッチの形でない組成物中に存在する他のエラストマー又は充填剤、及びまた任意選択の他の各種添加剤が組み込まれる。
【0036】
熱機械的混練は、110℃から200℃の間、好ましくは130℃から185℃の間の最高温度までの高温で一般に2から10分の間の期間実行され、
- 機械的作業の第2段階は、第1の段階中に得られた混合物を、典型的には120℃未満、例えば40℃から100℃の間の低温に冷却した後、開放式ミルなどの外部混合機で連続的に実行することができる。
架橋系は、当業者の知識に従って、後者が実行される場合は第1又は第2の段階の間に添加される。ペルオキシド又は硫黄に基づく架橋系は通常、第2の段階中に添加される。
このようにして得られた最終組成物は、引き続いて、例えばシート又は小板、特に実験室特性評価用の形でカレンダー加工され、又は、そうでなければ、ゴム半完成品(又は輪郭のあるエレメント)の形で押出される。
組成物は、未硬化状態(架橋又は加硫の前の)又は硬化状態(架橋又は加硫後)のいずれであってもよく、タイヤに使用することができる半完成品であってもよい。
【0037】
硬化は、当業者に公知の方法で、一般に、130℃から200℃の間の温度、圧力下で、特に硬化温度、採用される架橋系、考慮されている組成物の架橋の反応速度論、又はまたタイヤのサイズの関数として、例えば5から90分の間の変動し得る十分な時間実行することができる。
「金属補強用エレメントに少なくとも基づき、ゴム組成物に基づく」補強生成物という表現は、補強用エレメント及び前記組成物を含む補強生成物を意味すると理解されるべきであり、組成物は、補強生成物の製作の種々の段階中、特に組成物の架橋中、又は組成物の架橋前の補強生成物の製作中に補強用エレメントの表面と反応することが可能である。
前記金属補強用エレメントは、糸状のエレメントである。補強用エレメントは金属であり、すなわち金属材料で構成される。
本発明による補強生成物のゴム組成物は、補強用エレメントの少なくとも一部、優先的に前記エレメントの全体をコートする。
本発明の第1の変形によると、補強用エレメントの金属表面は、補強用エレメントの残りとは異なる材料から製造される。言いかえれば、補強用エレメントは、金属表面を構成する金属層で少なくとも部分的に、優先的に完全に被覆された金属材料から製造される。
【0038】
本発明の第2の変形によると、金属補強用エレメントは、1種の同じ材料から製造され、その場合には、補強用エレメントは、金属表面の金属と同一である金属から製造される。
本発明の一実施形態によると、金属の表面は、鉄、銅、亜鉛、スズ、アルミニウム、コバルト、ニッケル、及びこれらの金属の少なくとも1つを含む合金からなる群から選択される金属を含む。合金は、例えば二元系又は三元系合金、例えば鋼鉄、青銅及び黄銅であってもよい。好ましくは、金属表面の金属は、鉄、銅、スズ、亜鉛、又は、これらの金属の少なくとも1つを含む合金である。より優先的に、金属表面の金属は、鋼鉄、黄銅(Cu-Zn合金)、亜鉛又は青銅(Cu-Sn合金)、さらにより好ましくは黄銅又は鋼鉄、非常に好ましくは黄銅である。
【0039】
金属表面が鋼鉄から製造される場合、鋼鉄は優先的に炭素鋼又はステンレス鋼である。鋼鉄が炭素鋼である場合、その炭素重量含有率は、好ましくは0.01%から1.2%の間若しくは0.05%から1.2%の間、又はそうでなければ0.2%から1.2%の間、特に0.4%から1.1%の間にある。鋼鉄がステンレス鋼である場合、それは、好ましくは少なくとも11%のクロム及び少なくとも50%の鉄を含む。
【0040】
好ましい実施形態によると、補強生成物は、上記に定義された幾つかの補強用エレメント、及び、本発明による補強生成物のゴム組成物からなるカレンダー加工ゴムを含み、そこに補強用エレメントが埋め込まれる。この実施形態によると、補強用エレメントは一般に、主要方向に沿って並べて配列される。タイヤにおいて目論まれる用途に関して、補強生成物はこのようにしてタイヤ補強材を構成してもよい。
本発明による補強生成物は、未硬化状態(ゴム組成物の架橋前の)又は硬化状態(ゴム組成物の架橋後の)であってもよい。補強生成物は、補強用エレメントを本発明によるゴム組成物と接触させた後に硬化される。
【0041】
補強生成物は、以下のステップを含むプロセスによって製作することができる:
- ゴム組成物の2つの層を製造するステップ
- 2つの層の間に補強用エレメントを堆積させることにより2つの層でそれ(それら)をサンドイッチするステップ
- 適宜、補強生成物を硬化するステップ。
代替として、層の一部に補強用エレメントを堆積させることによって補強生成物を製作することができ、次いで、層はそれ同士で折りたたまれて補強用エレメントを被覆し、それによりその長さ全体又はその長さの一部にわたってサンドイッチされる。
層は、カレンダー加工によって生成することができる。補強生成物の硬化中に、ゴム組成物は架橋される。
補強生成物がタイヤの補強材として使用されるように意図する場合、補強生成物の硬化は、一般にタイヤ外装の硬化中に行われる。
【0042】
空気入りタイヤ
本発明の別の主題である空気入りのタイヤは、本発明による補強生成物を含む基本的な特徴を有する。タイヤは、未硬化状態(ゴム組成物を架橋する前)又は硬化状態(ゴム組成物を架橋した後)であってもよい。一般に、タイヤの製作中に、補強生成物は、タイヤを硬化するステップの前にタイヤの構造中の未硬化状態(すなわち、ゴム組成物の架橋前)で堆積される。
本発明は特に、乗用車型、SUV(スポーツユティリィティビークル)、又は2輪車両(特にモーターサイクル)、又は航空機、又はまたバン、ヘビーデューティ車両から選択される産業車両 - すなわち、地下鉄、バス、重量道路輸送車両(ローリー、トラクター、トレーラー)又はオフロード車、例えば、重量農業車両又は土運搬装置、他の自動車両に装備するように意図された空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤ内で、3タイプの領域を画定することは可能である:
* 基本的にタイヤトレッド及び外側サイドウォールからなる、周囲空気と接する放射状の外部領域。外側サイドウォールは、クラウンからビードに及ぶカーカス補強材の領域を完全に又は部分的に被覆するように、クラウンとビードの間の、タイヤの内部空洞に対してカーカス補強材の外側に位置するエラストマー層である。
* 膨張ガスと接する放射状の内側領域。この領域は、一般に、内側気密層又はインナーライナーとして時に公知の膨張ガスに対して気密な層からなる。
* タイヤの内部領域、すなわち外側領域と内側領域間の領域。この領域は、ここではタイヤの内部層と称される層又はプライを含む。これらは、例えば、カーカスプライ、トレッド下層、タイヤベルトプライ又は周囲空気若しくはタイヤの膨張ガスに接していない他の層である。
【0043】
本発明による補強生成物は、空気入り又は非空気入りのタイヤ中の補強用プライとしての、又は、コンベヤーベルト又はキャタピラートラックなどの補強されたゴム物品における使用に特に適切である。用語「非空気入りのタイヤ」は、車両に搭載されるように意図され、加圧ガス以外の手段によって形状が保持されるタイヤを意味すると理解される。
【実施例
【0044】
組成が以下に提示される様々なゴム組成物を調製する手順は以下のとおりである。第1の段階において、エラストマー、続いて、架橋系以外の混合物の他の全成分を連続的に密閉式混合機(最終の充填度:およそ70体積%)へ導入する。初期のその容器温度はおよそ60℃である。次いで、150℃の最大「落下」温度に到達するまで、1ステップで熱機械的作業を実行する。それにより得られた混合物を回収する。第2の段階において、外部混合機(ホモフィニッシャー)でそれを30℃に冷却し、ペルオキシドベース又は硫黄ベースの架橋系を添加する。
ゴム組成物と金属補強用エレメントとの間の結合品質を、架橋したゴム組成物から金属補強剤の断片を引き抜くのに必要な力を測定する試験によって求める。この目的のために、金属補強用エレメント及びゴム組成物からなる試験片の形の補強生成物を調製する。
【0045】
試験片の調製
以下のプロトコルに従って、ゴム組成物を使用して試験片の形の補強生成物を調製する:
硬化前に、互い違いに重ねて2枚の小板からなるゴムのブロックを調製する。ブロックの2枚の小板は同じゴム組成物からなる。これらの小板のどちらかの側に、後続の引張試験に十分な長さを有する補強用エレメントの端部が突き出るように残しつつ等距離離して、金属補強用エレメントを未硬化状態で2枚の小板間に閉じ込めるのはブロックの調製中である。次いで、補強剤を含むブロックを硬化する。例として、本事例においては、組成に応じて160℃で5.5トンの圧力下5分~40分の範囲の時間、ブロックを硬化する。
金属補強用エレメントの個々の糸剤は、黄銅で被覆した軽量鋼鉄糸剤である。金属補強用エレメントは、乗用車型のタイヤの作業プライの製造に非常に一般的に使用される0.30mm(「2.30」コード)の直径;50nm~300nmの範囲の黄銅コーティングの厚さを有する2つの個々の糸剤の集合体である。
【0046】
接着試験
硬化が終了したら、架橋したブロック及び金属補強用エレメントからなる試験片を、所与の速度及び所与の温度(例えば本事例において、室温で100mm/分)で各断片を分離して試験することが可能になるように適応させた引張試験機の口部に入れる。
試験片から断片を剥がすための「剥がし」力を測定することにより、接着レベルを特性評価する。
試験する試験片と同一の性質の金属補強用エレメントを含有する対照試験の試験片に対して100基準で結果を表現する。組成物「T1」から対照試験の試験片を製造する。
任意に100に設定した対照試験の試験片の値を超える値は、改善された結果、すなわち、試験片のそれを超える剥がし力を示す。
接着試験において100を超える値を有すると、本発明による補強生成物は、試験片の硬化後に剥がしに対する改善された耐性を有し、すなわち、t=0で、その耐久性は、試験片のエージング後に、すなわち55℃で95%の相対湿度の下で21日後に改善されている。
【0047】
引張試験
これらの引張試験によって、ゴム組成物の破断時の弾性応力及び特性を求めることが可能になる。1988年9月のフランス規格NF T 46-002に従って試験を行った。破断時の伸び(%)を23℃で測定する。
【0048】
t=0で、次いで55℃で95%の相対湿度下21日後に破断時の伸び測定を行う。
100基準で結果を表現し、100の値を、t=0で考慮中の試料T1の破断時の伸びの値に割り当てる。100を超える結果は、考慮中の組成物がt=0で同じ組成物より大きな破断時の伸びを示すことを示す。
本発明による組成物は、対照組成物より大きな破断時の伸びを有する。
【0049】
転がり抵抗の指標
試験組成物によって誘導される転がり抵抗を、2000年4月の規格DIN 53-512で記載されたように、60℃の温度で、初期のエネルギーを課した試料の6回目の反発で戻ったエネルギーのエネルギー損の測定によって評価する。この測定はP60で示し、以下のように計算される:P60(%)=100×(E0-E1)/E0、式中、E0は初期エネルギーを、E1は戻ったエネルギーを表す。
大気中60℃t=0で、及び21日後に77℃で損失の測定を行った。大気の湿度は制御せず、周囲空気のそれ、すなわち30%から50%の間に対応する。
100基準で結果を表現し、100の値は、t=0で試料T1の60℃で損失の値に割り当てる。100を超えるものの結果はそれを示す。100を超える結果は、考慮中の組成物がt=0で同じ組成物より大きな損失を示し、より大きな転がり抵抗を誘導することを示す。
本発明による組成物は、60℃で、匹敵する拡張性を経時的に有する対照組成物より低い損失を示すことが観察される。
【0050】
亀裂生長に対する耐性の試験
以下に説明するように、MTSからの381タイプのサイクリック疲労装置(Elastomer Test System)を使用して、エラストマー組成物の試験片について亀裂の速さを測定した。
繰り返し引張動作を使用して、初めに取り付け(1回目の引張サイクルの後に)、次にノッチを付けた試験片について亀裂に対する耐性を測定する。引張試験の試験片は、例えば0.5から1.5mmの間の厚さ、60から100mmの間の長さ、及び4から8mmのの間の幅を有する平行六面体形状のゴム小板から構成され、その2つの縁側はそれぞれ円筒状ゴムビード(直径5mm)で長さ方向に被覆され、引張試験装置の口部での固定が可能になる。このようにして調製した試験片を、硬化後、及び換気された槽内で77℃で21日間オーブン中の加速エージングの後、試験する。大気中、60℃の温度で試験を行った。取り付け後、試験を開始する前にカミソリ刀を使用して、5から7mmの間の長さを有する4つの非常に微細なノッチを幅の中央に作り、試験片の長さ方向に並べ、1つは試験片の各端部、2つは試験片の中心のどちらかの側に位置する。各引張サイクルで、およそ1500J/m2と等しい値でエネルギーリターン率(亀裂の進行中に放出されたエネルギー量)定数を維持するように、自動的に試験片の歪み度を調節する。1サイクル当たりのナノメートルで、亀裂生長速さを測定する。
組成物T1のエージングしていない対照試験の試験片に対して100基準で結果を表現する。任意に100に設定したエージングしていない対照試験の試験片の値を超える値は、劣化した結果、すなわち、エージングしていない対照試験の試験片のそれを超える亀裂生長速さを示す。試験片が破損したとき、「測定可能でない」に対してコメント「nm」で示す。このコメントは、亀裂の生長に対して低い耐性を示す試験片に表明する。
組成物C2の試験片については測定を行わなかった。
本発明による組成物が、エージングした試験片を含めて、低い亀裂生長速さを示すことが観察される。
【0051】
組成物T0は、例えば、国際公開第2016/058943号及び仏国特許出願公開第2981298号に提示されたように、先行技術のカレンダー加工に通常使用され、硫黄ベース系を使用して架橋した組成物である。
【0052】
組成物T1は国際公開第2020/058613号の組成物C-2に対応する。組成物T2は、同様であり、より低いタンニン酸含有率を含み、T1に対して金属接着の観点での性能及び低い破断時の伸びを示す。組成物T3は、組成物T2と同様の接着性能を示す組成物であり、補強用充填剤としてシリカを含む。この系において、当業者に知られているシリカの効果に反して、組成物T2と比較して、組成物T3のヒステリシス損はより大きいことがわかる。組成物C1~C4は本発明による組成物である。
【0053】
【表1】
【国際調査報告】