(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】骨形態形成タンパク質及び受容体のmRNA誘導発現及びこれに関する方法
(51)【国際特許分類】
A61L 27/36 20060101AFI20241003BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20241003BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20241003BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20241003BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20241003BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20241003BHJP
A61K 47/46 20060101ALI20241003BHJP
A61L 27/24 20060101ALI20241003BHJP
A61K 38/18 20060101ALN20241003BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
A61L27/36 110
A61P19/08
A61K48/00
A61K47/22
A61K47/18
A61K47/24
A61K47/46
A61L27/24
A61L27/36 311
A61K38/18
C12N15/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518500
(86)(22)【出願日】2022-10-03
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 US2022077467
(87)【国際公開番号】W WO2023060041
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524108525
【氏名又は名称】デー、アレグザーンダー
(71)【出願人】
【識別番号】524108536
【氏名又は名称】マリン、ブラドフォッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デー、アレグザーンダー
(72)【発明者】
【氏名】マリン、ブラドフォッド
【テーマコード(参考)】
4C076
4C081
4C084
【Fターム(参考)】
4C076AA61
4C076BB32
4C076CC09
4C076DD49
4C076DD60
4C076DD63
4C076EE57
4C076FF68
4C081AB02
4C081BB06
4C081CD121
4C081CD28
4C081CD34
4C081CE02
4C081CE11
4C084AA13
4C084DB60
4C084MA67
4C084NA14
4C084ZA961
4C084ZA962
(57)【要約】
【要約】
少なくとも骨形態形成タンパク質(BMP)及び/又はBMP受容体をコードする合成メッセンジャーリボ核酸(mRNA)を調製する段階を含む方法及び治療。合成mRNAは、脂質又は脂質誘導担体において脂質可溶化されている。術中に骨採取サンプルが取得され、脂質可溶化mRNAでインキュベートされる。骨採取サンプルは、脂質可溶化mRNAの少なくとも一部を取り込み、それにより、活性化BMP及び/又はBMPR材料を形成する。活性化BMP及び/又はBMPR材料は、術中に骨融合床に送達され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも骨形態形成タンパク質(BMP)をコードする合成メッセンジャーリボ核酸(mRNA)を調製する段階;
脂質又は脂質誘導担体に前記合成mRNAを脂質可溶化させ、それにより、脂質可溶化mRNAを形成する段階;
骨採取サンプルを術中に取得する段階;
前記脂質可溶化mRNA及び前記骨採取サンプルを術中にインキュベートする段階、それにより前記骨採取サンプルは前記脂質可溶化mRNAの少なくとも一部を取り込み、それにより活性化BMP材料を形成する;
前記活性化BMP材料を骨融合床に術中に送達する段階
を備える、方法。
【請求項2】
前記BMPが、BMP2、BMP7、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記BMPがBMP2である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記脂質又は脂質誘導担体が、テトラキス(8-メチルノニル)3,3'、3'',3'''-(((メチルアザンジイル)ビス(プロパン-3,1ジイル))ビス(アザントリイル))テトラプロピオネート;デシル(2-(ジオクチルアンモニオ)エチル)フォスフェート(9A1P9);エチル5,5-ジ((Z)-ヘプタデカ-8-エン-1-イル)-1-(3-(ピロリジン-1-イル)プロピル)-2,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-カルボキシレート(A2-Iso5-2DC18);エチル5,5-ジ((Z)-ヘプタデカ-8-エン-1-イル)-1-(3-(ピロリジン-1-イル)プロピル)-2,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-カルボキシレート(A2-Iso5-2DC18);((4-ヒドロキシブチル)アザンジイル)ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)(ALC-0315);2-[(ポリエチレングリコール)-2000]-N,N-ジテトラデシルアセトアミド(ALC-0159);β-シトステロール,(3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)-17-((2R,5R)-5-エチル-6-メチルへプタン-2-イル)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-オール;ビス(2-(ドデシルジスルファニル)エチル)3,3'-((3-メチル-9-オキソ-10-オキサ-13,14-ジチア-3,6-ジアザヘキサコシル)アザンジイル)ジプロピオネート(BAME O16B);2-(((((3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)-10,13-ジメチル-17-((R)-6-メチルヘプタン-2-イル)-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)オキシ)カルボニル)アミノ)-N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-N-メチルエタン-1-アミニウムブロミド(BHEM-コレステロール);1,1'-((2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イル)エチル)アザンジイル)ビス(ドデカン-2-オール)(C12-200);3,6-ビス(4-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)ブチル)ピペラジン-2,5-ジオン(cKK-E12);3β-[N-(N',N'-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール(DC-コレステロール);(6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル4-(ジメチルアミノ)ブタノエート(DLin-MC3-DMA);1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE);2,3-ジオレイルオキシ-N-[2-(スペルミンカルボキシアミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA);1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP);1,2-ジ-O-オクタデセニル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTMA);1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC);エチルホスファチジルコリン(ePC);ヘキサ(オクタン-3-イル)9,9',9'',9''',9'''',9'''''-((((ベンゼン-1,3,5-トリカルボニル)イリス(アザンジイル)トリス(プロパン-3,1-ジイル)トリス(アザントリイル))ヘキサノナノエート(FTT5);ヘプタデカン-9-イル8-((2-ヒドロキシエチル)(6-オキソ-6-(ウンデシルオキシ)ヘキシル)アミノ)オクタノエート(Lipid H(SM-102));(((3,6-ジオキソピペラジン-2,5-イイル)ビス(ブタン-4,1-ジイル))ビス(アザントリイル))テトラキス(エタン-2,1-ジイル)(9Z,9'Z,9''Z,9'''Z,12Z,12'Z,12''Z,12'''Z)-テトラキス(オクタデカ-9,12-ジエノエート)(OF-Deg-Lin);1,2-ジミリストイル-ラク-グリセロ-3-メトキシポリエチレングリコール-2000(PEG2000-DMG);N1,N3,N5-トリス(3-(ジドデシルアミノ)プロピル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキシアミド(TT3);及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記骨採取サンプルが、骨粉、骨片、骨髄、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記骨採取サンプルが、骨粉及び骨髄の組み合わせ、骨粉及び骨片の組み合わせ、又は骨片及び骨髄の組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記骨採取サンプルが、骨粉、骨片、及び骨髄の組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記骨融合床が長骨又は脊椎骨に位置している、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記活性化BMP材料が、スカフォールドに移送され、その後、前記送達が実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記スカフォールドがコラーゲンマトリックスで構成されている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記送達が、皮下ポート及びカテーテルを使用して実行され、前記カテーテルは、前記骨融合床において又はその近くで終端する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記合成mRNAが、骨形態形成タンパク質受容体を更にコードする、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも骨形態形成タンパク質受容体(BMPR)をコードする合成メッセンジャーリボ核酸(mRNA)を調製する段階;
脂質又は脂質誘導担体に前記合成mRNAを脂質可溶化させ、それにより、脂質可溶化mRNAを形成する段階;
骨採取サンプルを術中に取得する段階;
前記脂質可溶化mRNA及び前記骨採取サンプルを術中にインキュベートする段階、それにより前記骨採取サンプルは前記脂質可溶化mRNAの少なくとも一部を取り込み、それにより活性化BMPR材料を形成する;
前記活性化BMPR材料を骨融合床に術中に送達する段階
を備える、方法。
【請求項14】
前記BMPRがBMPRタイプ1である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記骨採取サンプルが、骨粉、骨片、骨髄、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記骨採取サンプルが、骨粉及び骨髄の組み合わせ、骨粉及び骨片の組み合わせ、又は骨片及び骨髄の組み合わせである、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記骨採取サンプルが、骨粉、骨片、及び骨髄の組み合わせである、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記骨融合床が長骨又は脊椎骨に位置している、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記活性化BMPR材料が、スカフォールドに移送され、その後、前記送達が実行される、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記送達が、皮下ポート及びカテーテルを使用して実行され、前記カテーテルは、前記骨融合床において又はその近くで終端する、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、「mRNA Induced Expression of Bone Morphogenic Protein and its Receptor in Perioperatively Harvested Bone Forming Cells」と題する、2021年10月5日出願の米国特許出願第63/252,373号の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、1つ又は複数のタンパク質及び関連するタンパク質受容体のmRNA誘導発現及びこれに関する方法に関する。より具体的には、本開示は、自家骨採取サンプル内での骨形態形成タンパク質及び骨形態形成タンパク質受容体の内因性合成mRNA誘導過剰発現に関する。
【背景技術】
【0003】
骨形態形成タンパク質(bone morphogenic protein:BMP)は、様々な組織における広範囲の生物学的活動に不可欠な天然の成長因子であり、特に、骨及び軟骨形成細胞の誘導における重要なシグナル分子である。そのため、BMPは、骨形成、骨(例えば、長骨)の偽関節、脊椎固定、及び任意の他の骨融合(例えば、顔の骨融合)(別途示されない限り、集合的に「骨融合」)を含め、様々な整形外科的処置に対して貴重な治療可能性を呈する。骨融合の整形外科的処置は、現行の自家骨移植方法の骨移植に代替物の必要性に起因して、BMPについて特に関心を持たれている。現行の自家骨移植方法は、局所部位採取(すなわち、損傷の位置、又はその近くにおける)又はドナー部位採取(すなわち、典型的には腸骨稜(骨盤)の骨である、損傷以外の位置における)を利用し、これは、同種骨材料と組み合わされることが多い。これらの現行の方法では、最大30%の偽関節率が報告されており、ドナー部位の相当な罹患率に関連付けられており、したがって、患者に対して深刻なリスクを呈している。BMPは、現行の自家移植方法の必要性を排除し、したがって、偽関節の割合及び率を潜在的に低下させることによって有望な代替物を提供する。実際、脊椎固定におけるBMPの有効性の利用可能な臨床前研究は、BMPが、ヒトを含む動物レベルにおいて偽関節率が低下した、腸骨稜の自家骨移植に対する有効な代替物となり得ることを実証している。また、そのような研究は、BMPの使用により、腸骨稜の自家骨移植と比較して、手術時間の短縮、失血の低下、及び入院時間の短縮がもたらされ得ることを実証している。
【0004】
2002年に、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)は、腰部融合デバイスを使用した前腰部椎体間固定のためのBMPの使用を承認した。その後、承認適応症外使用が劇的に増加し、例えば2006年までに米国において全ての脊椎固定について最大25%の使用が報告された。関連付けられる合併症が追従し、これには、異所骨形成、BMPに対して発生する中和抗体、椎骨溶解、及び重度の炎症(例えば、漿液腫の形成、神経根炎、脊髄膨大)が含まれる。これに対して、2008年に、FDAは、更なる研究が実施されるまで、全ての頸部の脊椎固定治療でのBMPの承認適応症外使用、及びより一般に、全ての骨融合治療に対するBMPの使用をしないよう忠告した。しかしながら、脊椎固定を含む骨融合のためのBMPの使用は未だに普及している。
【0005】
外科的なコンテキストにおけるBMPの使用のための現行の方法は、骨形成及び脊椎固定を誘導するためのその超生理的濃度を含み、当該超生理的濃度において組換えヒトBMPがコラーゲンマトリックスに結合して、融合部位に埋め込まれる。「バースト」にある超生理的濃度は、BMPに関連付けられる短い半減期(例えば、BMP2は約7~16分間の半減期を有する)の観点から治療の有効性を実現するために使用される。コラーゲンマトリックスは経時的に化学変化を起こすため、一定の高濃度のBMPが放出される(例えば、1.5mg/ml)。しかしながら、現行の方法は非特異的であり、BMP作用を骨形成細胞の活性に対するものに制限することができない(例えば、標準的でないシグナリング、融合部位の外部にある周囲の組織への漏れ)。また、様々な副作用が、現行の方法に従って溶出したそのような高濃度のBMPに関連付けられており、これには、炎症性サイトカイン及びケモカインの発現の活性化、破骨細胞(骨を劣化させる)の活性化、及び脂肪生成シグナリングの活性化による、不可欠な器官系の機能に対する干渉が含まれる。研究は、偽関節の増加という犠牲が伴うものの、BMPの濃度の低減によりこれらの副作用が低減され得ることを示している。
【0006】
したがって、偽関節率を犠牲にすることなく、副作用を回避するために、脊椎及び他の骨融合を治療するための、低いBMP濃度でのBMPの使用の標的化した手法に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0007】
本開示のこれら及び他の特徴及び特性、及びそれらの有利な用途及び/又は使用は、以下の詳細な説明から明らかとなろう。
【0008】
1つ又は複数の態様において、本開示は、少なくとも骨形態形成タンパク質(BMP)をコードする合成メッセンジャーリボ核酸(messenger ribonucleic acid:mRNA)を調製する段階;脂質又は脂質誘導担体に前記合成mRNAを脂質可溶化させ、それにより、脂質可溶化mRNAを形成する段階;骨採取サンプルを術中に取得する段階;前記脂質可溶化mRNA及び前記骨採取サンプルを術中にインキュベートする段階、それにより前記骨採取サンプルは前記脂質可溶化mRNAの少なくとも一部を取り込み、それにより活性化BMP材料を形成する;前記活性化BMP材料を骨融合床に術中に送達する段階を含む方法を提供する。
【0009】
1つ又は複数の態様において、本開示は、少なくとも骨形態形成タンパク質受容体(bone morphogenic protein receptor:BMPR)をコードする合成メッセンジャーリボ核酸(mRNA)を調製する段階;脂質又は脂質誘導担体に前記合成mRNAを脂質可溶化させ、それにより、脂質可溶化mRNAを形成する段階;骨採取サンプルを術中に取得する段階;前記脂質可溶化mRNA及び前記骨採取サンプルを術中にインキュベートする段階、それにより前記骨採取サンプルは前記脂質可溶化mRNAの少なくとも一部を取り込み、それにより活性化BMPR材料を形成する;前記活性化BMPR材料を骨融合床に術中に送達する段階を含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
当業者が本明細書の主題を作成及び使用することを支援するために、添付図面を参照する。以下の図面は、本開示の特定の態様を示すために含まれており、排他的な構成として見られるべきではない。開示される主題は、本開示の利点を有する当業者が思いつくように、形態及び機能における相当な修正、変更、組み合わせ、及び等価物が可能である。
【0011】
【
図1】本開示の1つ又は複数の態様による、BMP及び/又はBMPRの過剰発現のための脂質担体のmRNAトランスフェクションの概略図である。
【0012】
【
図2】本開示の1つ又は複数の態様による、整形外科的手術中に、術中の自家融合処置を実行する方法のフローチャートである。
【0013】
【
図3】本開示の1つ又は複数の態様による、融合床へのBMP及び/又はBMPR mRNA材料の送達のための構成例である。
【0014】
【
図4A】本開示の1つ又は複数の態様による、融合床へのBMP及び/又はBMPR mRNA材料の送達のための構成例である。
【
図4B】本開示の1つ又は複数の態様による、融合床へのBMP及び/又はBMPR mRNA材料の送達のための構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、タンパク質及びその受容体のmRNA誘導発現及びこれに関する方法に関する。より具体的には、本開示は、自家骨採取サンプル内での骨形態形成タンパク質(「BMP」)及び骨形態形成タンパク質受容体(「BMPR」)の内因性合成mRNA誘導過剰発現に関する。
【0016】
本開示は、BMP及びBMPRに関する本明細書の方法を議論するが、本明細書で説明する方法は、他のタンパク質及び受容体のmRNA誘導発現に等しく適用可能であることが理解されるべきである。本開示の範囲から逸脱することなく、そのようなタンパク質及び受容体は同化サイトカインを含み得るがこれに限定されない。
【0017】
本開示は、収集した自家骨採取サンプルからのBMP及び/又はBMPRのmRNA誘導発現のための方法論及びこれに関する治療の方法論を提供する。骨採取サンプルは、骨採取サンプルの骨形成細胞内の適切なBMP及びBMPRの過剰発現を引き起こし、それにより「活性化BMP材料」又は「aBMP」をもたらす、目的の1つ又は複数のBMPタイプ及び/又は目的のBMPRタイプをコードする脂質可溶化mRNAを用いて治療される。本明細書で説明する方法論は、限定するものではないが、骨形成、骨融合、脊椎固定、及びこれらの任意の組み合わせに適用可能である。
【0018】
「活性化BMP材料」又は「aBMP材料」という用語及びそれらの文法的な変異形は、本明細書において使用される場合、目的の1つ又は複数のBMP及び/又はBMPRタイプ(いずれか又は両方)をコードする脂質可溶化mRNAでトランスフェクトされた骨採取サンプルを指す。
【0019】
本開示は、BMP及びBMPR発現の同種mRNA誘導のためのMSC(間葉系幹細胞)の自家ソースとして具体的に骨採取サンプルを利用する。mRNAで治療された骨採取材料は、骨融合床に移植(又は別様に導入)されてよく、ここで、BMP又はBMPRタンパク質は、aBMP材料から骨融合床に分泌されて、本明細書において以下でより詳細に説明するように、血管新生及び骨形成細胞の活性化を局所的に刺激する。
【0020】
現行の方法論とは異なり、本開示のBMPのmRNA誘導性の内因性発現を通した治療は、有利には、ながら、有効性及び偽関節率の低減を確実にしながら、副作用(例えば、上記のような、骨以外の生物学との干渉、患者の反応など)低減させる局所的治療を提供する。1つ又は複数の態様において、本開示の方法は、それらの間の任意の値及びサブセットを包含する、0%の偽関節から約5%未満の偽関節を含む約5%未満の偽関節の範囲などに、偽関節率を実質的に低下させると信じられている。他の態様において、本開示の方法は、少なくとも、本明細書で説明する他の副作用を伴わずに、現在のrhBMP治療によって得られるような最大30%の現在の偽関節率をもたらす。有利には、本明細書で説明する内因性mRNA aBMP材料治療は、現行の骨融合治療と比較して、外因的に発現された組換えタンパク質に存在する汚染物質、タンパク質凝集物、又はミスフォールドしたタンパク質の可能性が排除される。本開示の治療は、mRNA aBMP材料においてBMP及び/又はBMPRを排他的に過剰発現するため、BMP及び/又はBMPRの効果を、融合床(周囲の組織に対して)に特異的に標的化することができ、超生理的な投薬及び関連付けられる、あらゆる、又は持続性の副作用を伴わずに骨誘導の利点を実現することができる。
【0021】
また、本開示のaBMP材料での治療は、独自の術中の方法論を提供し、それにより、患者が、BMP治療を受けるために別個の手術を受ける必要が低減され、追加の手術による合併症の可能性が低減され、手術及び労働コストなどが低減される。
定義
【0022】
本明細書の詳細な説明及び特許請求の範囲内の全ての数値は、示された値に関して「約」又は「およそ」によって修飾されており、当業者によって予想されるであろう実験誤差及び変動を考慮している。別途示されない限り、周囲温度(室温又は「RT」)は約25℃である。
【0023】
本開示及び特許請求の範囲で使用される場合、別途文脈が明らかに指示しない限り、単数形「a」、「an」、及び「the」は複数形を含む。
【0024】
本明細書で「A及び/又はB」などの表現で使用される「及び/又は」という用語は、「A及びB」、「A又はB」、「A」、及び「B」を含むことが意図される。
【0025】
本開示及びこれに対する特許請求の範囲の目的のために、以下の定義が使用されるものとする。
【0026】
本明細書において使用される、「骨採取サンプル」という用語及びその文法的な変異形は、収集された生きた骨組織、例えば、外科的処置中に手術部位又はドナー部位において収集された、生きた自家骨組織を指す。骨採取サンプルは、骨髄、骨片、骨粉、及びこれらの任意の組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。
【0027】
「自家」という用語及びその文法的な変異形は、本明細書において使用される場合、同じ個体から取得された組織(又は細胞)を指す。BMP及び/又はBMPRを過剰発現するようにmRNAで治療される本開示の骨採取サンプルは、同じ個体から収集されてそれを治療するために使用され、したがって、自家治療において使用するための自家骨採取サンプルである。
【0028】
本明細書において使用される場合、「骨形態形成タンパク質」又は「BMP」という用語及びその文法的な変異形は、骨及び軟骨形成の誘導に関与する成長因子であり、タンパク質のトランスフォーミング成長因子ベータ(transforming growth factor beta:TGF-β)に属するタンパク質群を指す。
【0029】
本明細書において使用される場合、「骨形態形成タンパク質受容体」、「BMPR」、又は単に「受容体」という用語、及びその文法的な変異形は、TGF-βタンパク質が結合するセリン-スレオニンキナーゼ受容体の群を指す。
【0030】
本明細書において使用される場合、「合成mRNA」という用語及びその文法的な変異形は、酵素媒介転写を使用して線状化デオキシリボ核酸(deoxyribonucleic acid:DNA)鋳型からインビトロで調製されたメッセンジャーリボ核酸(mRNA)を指す。本開示の合成mRNAは、BMP及び/又はBMPRタンパク質翻訳を媒介する。
【0031】
本明細書において使用される場合、「骨融合床」又は「融合床」という用語及びその文法的な変異形は、外科的介入によって単一の骨構造へと接合されることが意図される、長骨(すなわち、それらの幅より長い)及び椎骨、ならびに他の骨タイプ(例えば、顔、頭蓋骨、肋骨、足根骨、及び中足骨など)を含む、骨又は骨セグメントの間の領域を指す。本開示のaBMP材料は、そのような融合床に置かれる、又は別様に導入されて、融合床の両側の骨を一緒に成長(「融合」)させる。
aBMP材料の調製及びそれを用いた治療の方法
【0032】
上で提供されるように、aBMP材料が調製され、融合床に導入されて、BMP及び/又はBMPRを分泌し、血管新生、及び骨形成細胞への多能性幹細胞の分化を局所的に刺激し、それにより、骨融合を誘導する。
【0033】
様々な骨採取サンプルのタイプが本開示の1つ又は複数の態様に適用可能であり得る。好適な骨採取サンプルのタイプは、骨髄、骨片、骨粉、及びこれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない。骨髄は、針及び/又は吸引システムを使用することなどによって、椎体又は腸骨稜のいずれかから採取されてよく、術中に収集されてよい。骨片又は骨粉は、椎弓切除(椎骨の背部の除去)及び/又は椎体切除(椎体の全部又は一部の除去)から収集され得る。
【0034】
本開示の1つ又は複数の態様において、骨粉は、単体で、又は他のタイプの骨採取サンプルのうちの1つ又は複数との組み合わで、骨採取サンプルとして利用される。骨粉は、有利には、他の潜在的な構成要素の中でも、生体骨芽細胞、破骨細胞、骨細胞、骨前駆細胞、及び間葉系(多能性)幹細胞(mesenchymal stem cell:MSC)を含む。骨粉は、更に有利には、同化サイトカイン(例えば、インターロイキン1β(interleukin 1 beta:IL-1β)、インターロイキン6(interleukin 6:IL-6)、及び成長因子(例えば、TGF-β、血管内皮成長因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)、線維芽細胞成長因子(fibroblast growth factor:FGF)、血小板由来成長因子(platelet-derived growth factor(PDGF))の放出を通して骨誘導特性を実証する。これらの同化サイトカイン及び成長因子は、骨芽細胞(骨形成細胞)の形成に寄与する。したがって、現行の自家移植とは異なる供給源である骨粉の使用は、脊椎及び他の骨融合のための自家骨移植のための有効な供給源として機能することができ、有利には、骨形成細胞を単離し、自家融合移植前に具体的な修正を可能にする。すなわち、骨因子(BMP及び他のもの)は、別の組織源からではなく、代わりに、骨自体から選択される。これらの因子はまた、現行の自家骨移植を使用しても存在するが、術中に集められない。
【0035】
自家骨粉は、任意の好適な手段によって患者から取得され得る。患者の不快さを緩和するために骨粉が術中の期間の間に収集され、更に、必要とされる融合の位置(すなわち、手術部位)において骨粉を取得することが特に望ましい場合がある。本開示の1つ又は複数の態様において、本開示の方法論及び治療における使用のための自家骨粉は、Stryker Corporation Bone Vac(Kalamazoo,MI)コレクタ又は類似のそのような他のコレクタを使用して取得され得る。骨粉コレクタは、リアルタイムの外科的骨ドリルと同時に骨粉を抽出する(例えば、吸引、バキューム)ために、骨ドリルデバイスに取り付け可能であり得る。
【0036】
本開示は、骨粉採取サンプルを取得し(例えば、Stryker Bone Vac又は利用可能な他の骨粉コレクタを使用して)、合成mRNAを術中に利用して、骨粉採取サンプル内でBMP及び/又はBMPR発現(上で言及したものなどのVEGF又は他の骨誘導特性も誘導され得る)を誘導するための方法論を提供する。より具体的には、骨粉採取サンプルは、目的の1つ又は複数のBMP及び/又はBMPRタイプをコードする脂質可溶化mRNAでインキュベートされ、ここで脂質は、骨採取サンプルの細胞により飲み込まれ、BMP及び/又はBMPRを過剰発現することが可能である。過剰発現されたタンパク質は骨採取サンプルの細胞から分泌され、血管新生、及び骨形成細胞へのMSC又は他の幹細胞の分化を局所的に刺激し、骨の成長経路の活性化を促進する。
【0037】
骨髄及び骨片採取サンプルにおいて完全に又は部分的に骨粉の有利な構成要素も追加的に存在し、したがって、本開示の範囲から逸脱することなく、患者が受けている具体的な手術処置に応じて、骨粉に置き換わってよいことに留意されたい。
【0038】
様々なBMPタイプが本開示の1つ又は複数の態様に適用可能であり得る。1つ又は複数の態様において、BMP2及び/又はBMP7が特に適用可能であり得、これは、それらが両方とも、FDAを通して様々な観点から骨及び脊椎の治療の融合療法における使用のために現在承認されているためである。MSCからの骨芽細胞の分化の強力な誘導を呈するため、本開示の1つ又は複数の態様における使用のためにBMP2が特に好ましい場合がある。
【0039】
様々なBMPRタイプが本開示の1つ又は複数の態様に適用可能であり得る。好適なBMPRタイプは、BMPRタイプ1(例えば、アクチビンA受容体タイプ1(activin A receptor type 1:ACVR1)、骨形態形成タンパク質受容体タイプ1A(bone morphogenic protein receptor type 1A:BMPR1A)、骨形態形成タンパク質受容体タイプ1B(bone morphogenic protein receptor type 1B:BMPR1B)を含むが、これらに限定されない。
【0040】
BMP及び/又はBMPRの選択に対する限定は、特定の骨採取サンプル内での特定のBMP及び/又はBMPRの出現率、結合機構及び翻訳率、経済性及び利用可能性の制約など、及びこれらの任意の組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。
【0041】
本明細書で提供されるように、本開示の骨採取材料は、目的の1つ又は複数のBMP及び/又はBMPRタイプをコードする脂質可溶化合成mRNAを用いて治療される。合成mRNAは、5'非翻訳リーダ配列領域(untranslated leader sequence region:UTR)及び3'ポリアデニル化配列(polyAテール)を組み込む線状化DNA鋳型からのRNA媒介転写を利用する標準的な転写方法に従って調製される。従来の培養培地、例えばダルベッコ変法イーグル培地(Dulbecco's modified eagle medium:DMEM)、乳酸化リンゲル液、及び生理食塩水など、及びこれらの任意の組み合わせ及び適切な添加物において合成mRNA(室温)を用いて1つ又は複数の脂質担体タイプがインキュベートされて、mRNAをカプセル化する。
【0042】
mRNAの脂質カプセル化は、脂質又はリポソームナノ粒子(本明細書では集合的に「脂質」と称される)、脂質誘導体ナノ粒子、及びこれらの任意の組み合わせを使用して実現され得る。脂質の例としては、カチオン性脂質であるが、テトラキス(8-メチルノニル)3,3'、3'',3'''-(((メチルアザンジイル)ビス(プロパン-3,1ジイル))ビス(アザントリイル))テトラプロピオネート;デシル(2-(ジオクチルアンモニオ)エチル)フォスフェート(9A1P9);エチル5,5-ジ((Z)-ヘプタデカ-8-エン-1-イル)-1-(3-(ピロリジン-1-イル)プロピル)-2,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-カルボキシレート(A2-Iso5-2DC18);エチル5,5-ジ((Z)-ヘプタデカ-8-エン-1-イル)-1-(3-(ピロリジン-1-イル)プロピル)-2,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-カルボキシレート(A2-Iso5-2DC18);((4-ヒドロキシブチル)アザンジイル)ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)(ALC-0315);2-[(ポリエチレングリコール)-2000]-N,N-ジテトラデシルアセトアミド(ALC-0159);β-シトステロール,(3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)-17-((2R,5R)-5-エチル-6-メチルへプタン-2-イル)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-オール;ビス(2-(ドデシルジスルファニル)エチル)3,3'-((3-メチル-9-オキソ-10-オキサ-13,14-ジチア-3,6-ジアザヘキサコシル)アザンジイル)ジプロピオネート(BAME O16B);2-(((((3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)-10,13-ジメチル-17-((R)-6-メチルヘプタン-2-イル)-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)オキシ)カルボニル)アミノ)-N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-N-メチルエタン-1-アミニウムブロミド(BHEM-コレステロール);1,1'-((2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イル)エチル)アザンジイル)ビス(ドデカン-2-オール)(C12-200);3,6-ビス(4-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)ブチル)ピペラジン-2,5-ジオン(cKK-E12);3β-[N-(N',N'-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール(DC-コレステロール);(6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル4-(ジメチルアミノ)ブタノエート(DLin-MC3-DMA);1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE);2,3-ジオレイルオキシ-N-[2-(スペルミンカルボキシアミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA);1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP);1,2-ジ-O-オクタデセニル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTMA);1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC);エチルホスファチジルコリン(ePC);ヘキサ(オクタン-3-イル)9,9',9'',9''',9'''',9'''''-((((ベンゼン-1,3,5-トリカルボニル)イリス(アザンジイル)トリス(プロパン-3,1-ジイル)トリス(アザントリイル))ヘキサノナノエート(FTT5);ヘプタデカン-9-イル8-((2-ヒドロキシエチル)(6-オキソ-6-(ウンデシルオキシ)ヘキシル)アミノ)オクタノエート(Lipid H(SM-102));(((3,6-ジオキソピペラジン-2,5-イイル)ビス(ブタン-4,1-ジイル))ビス(アザントリイル))テトラキス(エタン-2,1-ジイル)(9Z,9'Z,9''Z,9'''Z,12Z,12'Z,12''Z,12'''Z)-テトラキス(オクタデカ-9,12-ジエノエート)(OF-Deg-Lin);1,2-ジミリストイル-ラク-グリセロ-3-メトキシポリエチレングリコール-2000(PEG2000-DMG);N1,N3,N5-トリス(3-(ジドデシルアミノ)プロピル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキシアミド(TT3);及びこれらの任意の組み合わせに限定されないカチオン性脂質が挙げられ得る。
【0043】
選択された脂質可溶化BMP及び/又はBMPR mRNAは、1つ又は複数の術中に取得された骨採取サンプルでインキュベートされて、本明細書で説明するaBMP材料を生成する。インキュベーションは、約35℃~約37℃など、それらの間の任意の値及びサブセットを包含する、約35℃~約39℃の範囲内の温度で、生理食塩水、5%のグルコース溶液、又は、骨移植材料の周術期の保管のための他の好適な培地中で行われてよい。いくつかの事例において、インキュベーション温度は、37℃±1℃、例えば約36℃、約36.1℃、36.2℃、36.3℃、36.4℃、36.5℃、36.6℃、36.6℃、36.7℃、36.8℃、36.9℃、又は37℃であり得る。
【0044】
aBMP材料は、それらの間の任意の値及びサブセットを包含する、少なくとも30分間~約6時間、例えば少なくとも30分間~少なくとも約4時間、術中にインキュベートされ、融合床に直接、又はその近くに注入され、ここで、aBMP材料は、骨採取サンプルの膜から分泌されたBMP及び/又はBMPRを、融合床部位における修復及び融合のために過剰発現する。注入は、融合床で、又はその近くで終端する皮下ポート及びカテーテルを使用して実行されてよく、又は代替的には、aBMP材料は、スカフォールドに移送されて、融合床部位に直接インプラントされてよい(例えば、融合床が露出している場合)。皮下ポート及びカテーテルにより、複数回の用量が経時的に投与されることが可能になり得、これは、仮関節の場合に特に有益であり得る。1つ又は複数の事例において、本開示の範囲から逸脱することなく、aBMP材料ではなく、BMP及び/又はBMPR mRNA又は脂質可溶化BMP及び/又はBMPR mRNAが融合床に直接導入されてよい。
【0045】
スカフォールド材料は生体適合性であり、特に制限されるものと見なされない;それらは、生体適合性の天然及び合成ポリマー、生体適合性の無機セラミック、生体適合性の金属、及びこれらの任意の組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。例えば、好適なスカフォールドの具体例としては、ヒドロキシアパタイト、リン酸三カルシウム、オクタカルシウムホスフェート二相性カルシウムホスフェート、ウイトロカイト、バイオガラス、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、アルギネート、ヒアルロン酸、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸-ポリグリコール酸、ポリ-ε-カプロラクトン、チタンメッシュ、ステンレス鋼メッシュ、コバルト系メッシュ、多孔性タンタル、及びマグネシウムメッシュなど、及びこれらの任意の組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの事例において、スカフォールドは3Dプリントされていてよく、例えば、チタンスカフォールドの3Dプリントであってよいが、生体適合性であり、3Dプリントが可能な他の材料も、本開示の範囲から逸脱することなく利用されてよい。
【0046】
ここで
図1を参照すると、本開示の1つ又は複数の態様による、BMP及び/又はBMPRの過剰発現のための脂質担体のmRNAトランスフェクションの概略
図100が示される。BMP及び/又はBMPRをコードするmRNA102は、脂質担体104に脂質可溶化され、ここで、BMP及び/又はBMPRタンパク質106はそれにより過剰発現される。骨採取サンプル108は術中に取得され、例えば骨粉を含んでよい。骨採取サンプル108は、他の細胞の中でもとりわけ、骨細胞110及び骨芽細胞112を含み、これらは各々、BMPR114(Y形状)を含み得る。骨採取サンプル108は、BMP116(三日月形状)を更に含み得る。脂質可溶化mRNA(102、104、及び106)は、骨採取サンプル108でインキュベートされる(右矢印)。BMP mRNAが使用される場合、aBMP材料118においてBMPの過剰発現が生じる;BMPR mRNAが使用される場合、aBMP材料120においてBMPRの過剰発現が生じる。BMP mRNA及びBMPR mRNAの組み合わせも使用され得る。
【0047】
本開示の1つ又は複数の態様において、BMPR mRNAは、それらの脱リン酸化及び/又はエンドサイトーシスを防止するために修飾されてよい。これらの修飾は、N1-メチルシュード-ウリジン-5'-三リン酸でのウリジン-5'-三リン酸の置換、ポリ(A)テール延長、5'キャップアナログ付加、及び5'及び3'-UTR領域の最適化を含むが、これらに限定されない。これらの修飾により、mRNAの翻訳及び半減期が高められ、免疫原性が回避される。それに際して、かつ、BMPが内因的に発現されるため、上記で議論したように、融合部位におけるaBMP材料のBMP信号が有効に高められて、短い半減期に対して反作用し得る。融合部位に適用されたaBMP材料のBMP発現を高めることにより、BMP濃度を更に低減させて、高いBMP濃度に関連付けられる有害反応と更に戦い得る。本開示の1つ又は複数の態様において、BMP mRNA及び/又はBMPR mRNAは、例えば単体で、又は以前に説明したBMPR mRNAとの組み合わせで化学的に改変されて、免疫応答を回避して安定性を増加させ得る。化学的修飾は、ポリAテールの延長及び/又はポリウリジン置換(例えば、N1-メチルシュード-ウリジン-5'-三リン酸でのウリジン-5'-三リン酸の置換)を含み得る。
【0048】
ここで
図2を参照すると、本開示の1つ又は複数の態様による、整形外科的手術中に術中自家融合処置200を実行する方法の図である。処置は、1つ又は複数の骨採取サンプル202の収集を含む。本明細書で提供されるように、骨採取サンプル202は、骨粉、骨片、及び/又は骨髄を含み得る。骨粉及び骨片は、椎弓切除又は椎体切除から収集され得る;骨髄は、椎体又は腸骨稜のうちの1つ又は複数から、針又は吸引システムを通して収集され得る。収集された骨採取サンプルは、1つ又は複数のBMP mRNA及び/又はBMPR mRNAタイプ106でトランスフェクトされた脂質担体と結合されて、約37℃(例えば、36.9℃)の温度の水浴中での少なくとも30分間の時間にわたる滅菌インキュベーション後にaBMP208を生成する。このインキュベーション時間の間、BMP及び/又はBMPR mRNAをカプセル化する脂質が、骨採取サンプルの細胞によって取り込まれる。1つ又は複数の態様において、例えば、目的の細胞が利用されることを確実にするために、インキュベーションの前に、骨採取サンプルの細胞が任意に遠心分離を使用して分離され得る202a。
【0049】
図2を引き続き参照すると、インキュベートされたaBMP材料が融合床(例えば、長骨又は椎骨)に送達される210。aBMPは、皮下ポートを使用した注入によって、又は代替的には、スカフォールド担体、例えばコラーゲンマトリックスを利用することによって、又はそれらの組み合わせなどによって、融合床に直接導入され得る。
【0050】
図3は、本開示の1つ又は複数の態様による、融合床へのBMP及び/又はBMPR mRNA材料の送達のための構成例300を示す。構成300は、
図2の融合床への送達210に対応する。特に、
図3は、皮膚304を通して位置し、本開示のBMP及び/又はBMPR mRNA材料の投与のためにカテーテル306に連結された皮下ポート302の使用を示す。カテーテル306の端部は、BMP及び/又はBMPR mRNA材料の送達のために、長骨310(例えば、大腿骨及び上腕骨など)の融合床308に、又はその近くに位置している。長骨310は、急性の、又は仮関節の結果としてのいずれかの骨折を含み得る。皮下ポート302及びカテーテル306は、経時的な複数回の用量を可能にする。長骨310の漸進性融合は撮像により経時的に監視され得、いったん適切に融合されると、皮膚304における小さい表面的な切開を通して皮下ポート302及びカテーテル306が除去され得る。
【0051】
皮下ポート302及びカテーテル306を通して融合床に提供される材料は、担体液中の単体のBMP及び/又はBMPR mRNA、担体液中の脂質可溶化(カプセル化)BMP及び/又はBMPR mRNA、及び/又は、本明細書で説明する担体材料中のaBMP材料であり得る。担体液は、いくつかの事例において、親油性又は疎油性の溶液であり得る。担体液は、生理食塩水及び乳酸化リンゲル液など、及びこれらの任意の組み合わせを含み得る。すなわち、融合部位における骨形成細胞は、mRNA及び/又は脂質を取り込む又はインターナライズし(例えば、エンドサイトーシスを通して)、BMP及び/又はBMPRを過剰発現し得る(例えば、脂質担体の劣化に際して);代替的に、又は任意の組み合わせで、骨採取サンプルがBMP及び/又はBMPRを過剰発現するようにaBMPが使用され得る。そのようなBMP及び/又はBMPR mRNA材料のうちの1つ又は複数の任意の送達は、長骨の骨折に限定されず、脊椎固定及び他の整形外科的骨折に限定なく等しく適用可能である。
【0052】
ここで
図4A及び4Bを参照すると、本開示の1つ又は複数の態様による、脊椎固定床へのBMP及び/又はBMPR mRNA材料の送達のための構成例400の側面図(
図4A)及び上面図(
図4B)が示されている。構成400は、
図2の融合床への送達210に対応する。
図4Aを最初に参照すると、皮膚(
図3の304を参照されたい)を通して位置しており、本開示のBMP及び/又はBMPR mRNA材料(複数の円として示される)の投与のためのカテーテル406に連結された皮下ポート402の使用が示されている。カテーテル406の端部は、BMP及び/又はBMPR mRNA材料の送達のために、2つの椎骨410の間の融合床408に、又はその近くに位置している。各々が棘突起412及び2つの横突起414(側面図において各椎骨に1つ示されている)を含む椎骨410は、脊椎椎体固定を必要とする、又は仮関節の結果である損傷を含み得る。皮下ポート402及びカテーテル406は、経時的な複数回の用量を可能にする。椎骨410の漸進性融合は撮像により経時的に監視され得、いったん適切に融合されると、皮膚304における小さい表面的な切開を通して皮下ポート402及びカテーテル406が除去され得る。
【0053】
皮下ポート402及びカテーテル406を通して融合床に提供される材料は、BMP及び/又はBMPR mRNA、担体液中の脂質可溶化(カプセル化)BMP及び/又はBMPR mRNA、及び/又は、本明細書で説明する担体材料中のaBMP材料であり得る。担体液は、例えば、クエン酸緩衝生理食塩水(特に、修飾mRNA自体のため)、又はリン酸緩衝生理食塩水中の脂質ナノ粒子を含み得るが、これらに限定されない。すなわち、融合部位における骨形成細胞は、mRNA及び/又は脂質を取り込む又はインターナライズし(例えば、エンドサイトーシスを通して)、BMP及び/又はBMPRを過剰発現し得る(例えば、脂質担体の劣化に際して);代替的に、又は任意の組み合わせで、骨採取サンプルがBMP及び/又はBMPRを過剰発現するようにaBMPが使用され得る。そのようなBMP及び/又はBMPR mRNA材料のうちの1つ又は複数の任意の送達は、長骨の骨折に限定されず、脊椎固定及び他の整形外科的骨折に限定なく等しく適用可能である。
【0054】
図4Bは
図4Aの上面図であり、同様の要素には同様の数値ラベルが付されている。
【0055】
したがって、本開示は、有利には、本明細書で提供されるような長骨の骨融合床、脊椎固定、及び他の整形外科的骨折の治療を可能にする。
【0056】
別途示されない限り、本明細書及び関連付けられる特許請求の範囲において使用される、成分の量、分子量などの特性、及び反応条件などを表現する全ての数は、全ての事例において「約」という用語で修飾されているものと理解されるべきである。したがって、逆に示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明の具体かによって取得されることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。最小限でも、また、特許請求の範囲の均等論の適用を制限することを企図するものではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数を鑑みて、かつ通常の四捨五入機能を適用することによって解釈されるべきである。
【0057】
1つ又は複数の発明の要素を組み込む1つ又は複数の例示的な具体化が本明細書で提示される。明瞭性のために、本願において、物理的実装の全ての特徴が説明又は示されていない。本発明の1つ又は複数の要素を組み込む物理的実施形態の展開において、実装形態ごとに、及び時間の経過と共に変化する、システム関連、ビジネス関連、政府関連、及び他の制約との遵守など、開発者の目標を実現するために、数々の実装形態固有の判断を行わなければならないことが理解される。開発者の努力は時間のかかるものであり得るが、しかしながら、そのような努力は、本開示の利点を有する当業者が請け負っている慣例である。
【0058】
本明細書において組成物及び方法は、様々なコンポーネント又はステップを「備える」という用語で説明しているが、組成物及び方法はまた、様々なコンポーネント及びステップ「から本質的になる」又は「からなる」場合がある。
例示的実施形態
【0059】
本開示の非限定的な例示的実施形態は以下を含む:
【0060】
実施形態A:少なくとも骨形態形成タンパク質(BMP)をコードする合成メッセンジャーリボ核酸(mRNA)を調製する段階;脂質又は脂質誘導担体に前記合成mRNAを脂質可溶化させ、それにより、脂質可溶化mRNAを形成する段階;骨採取サンプルを術中に取得する段階;前記脂質可溶化mRNA及び前記骨採取サンプルを術中にインキュベートする段階、それにより前記骨採取サンプルは前記脂質可溶化mRNAの少なくとも一部を取り込み、それにより活性化BMP材料を形成する;前記活性化BMP材料を骨融合床に術中に送達する段階を備える、方法。
【0061】
実施形態B:少なくとも骨形態形成タンパク質受容体(BMPR)をコードする合成メッセンジャーリボ核酸(mRNA)を調製する段階;脂質又は脂質誘導担体に前記合成mRNAを脂質可溶化させ、それにより、脂質可溶化mRNAを形成する段階;骨採取サンプルを術中に取得する段階;前記脂質可溶化mRNA及び前記骨採取サンプルを術中にインキュベートする段階、それにより前記骨採取サンプルは前記脂質可溶化mRNAの少なくとも一部を取り込み、それにより活性化BMPR材料を形成する;前記活性化BMPR材料を骨融合床に術中に送達する段階を備える、方法。
【0062】
非限定な例示的実施形態A及びBは、以下の要素のうちの1つ又は複数を含み得る:
【0063】
要素1:前記BMPが、BMP2、BMP7、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0064】
要素2:前記BMPがBMP2である。
【0065】
要素3:前記脂質又は脂質誘導担体が、テトラキス(8-メチルノニル)3,3'、3'',3'''-(((メチルアザンジイル)ビス(プロパン-3,1ジイル))ビス(アザントリイル))テトラプロピオネート;デシル(2-(ジオクチルアンモニオ)エチル)フォスフェート(9A1P9);エチル5,5-ジ((Z)-ヘプタデカ-8-エン-1-イル)-1-(3-(ピロリジン-1-イル)プロピル)-2,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-カルボキシレート(A2-Iso5-2DC18);エチル5,5-ジ((Z)-ヘプタデカ-8-エン-1-イル)-1-(3-(ピロリジン-1-イル)プロピル)-2,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-カルボキシレート(A2-Iso5-2DC18);((4-ヒドロキシブチル)アザンジイル)ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)(ALC-0315);2-[(ポリエチレングリコール)-2000]-N,N-ジテトラデシルアセトアミド(ALC-0159);β-シトステロール,(3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)-17-((2R,5R)-5-エチル-6-メチルへプタン-2-イル)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-オール;ビス(2-(ドデシルジスルファニル)エチル)3,3'-((3-メチル-9-オキソ-10-オキサ-13,14-ジチア-3,6-ジアザヘキサコシル)アザンジイル)ジプロピオネート(BAME O16B);2-(((((3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)-10,13-ジメチル-17-((R)-6-メチルヘプタン-2-イル)-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)オキシ)カルボニル)アミノ)-N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-N-メチルエタン-1-アミニウムブロミド(BHEM-コレステロール);1,1'-((2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イル)エチル)アザンジイル)ビス(ドデカン-2-オール)(C12-200);3,6-ビス(4-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)ブチル)ピペラジン-2,5-ジオン(cKK-E12);3β-[N-(N',N'-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール(DC-コレステロール);(6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル4-(ジメチルアミノ)ブタノエート(DLin-MC3-DMA);1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE);2,3-ジオレイルオキシ-N-[2-(スペルミンカルボキシアミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA);1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP);1,2-ジ-O-オクタデセニル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTMA);1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC);エチルホスファチジルコリン(ePC);ヘキサ(オクタン-3-イル)9,9',9'',9''',9'''',9'''''-((((ベンゼン-1,3,5-トリカルボニル)イリス(アザンジイル)トリス(プロパン-3,1-ジイル)トリス(アザントリイル))ヘキサノナノエート(FTT5);ヘプタデカン-9-イル8-((2-ヒドロキシエチル)(6-オキソ-6-(ウンデシルオキシ)ヘキシル)アミノ)オクタノエート(Lipid H(SM-102));(((3,6-ジオキソピペラジン-2,5-イイル)ビス(ブタン-4,1-ジイル))ビス(アザントリイル))テトラキス(エタン-2,1-ジイル)(9Z,9'Z,9''Z,9'''Z,12Z,12'Z,12''Z,12'''Z)-テトラキス(オクタデカ-9,12-ジエノエート)(OF-Deg-Lin);1,2-ジミリストイル-ラク-グリセロ-3-メトキシポリエチレングリコール-2000(PEG2000-DMG);N1,N3,N5-トリス(3-(ジドデシルアミノ)プロピル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキシアミド(TT3);及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0066】
要素4:前記骨採取サンプルが、骨粉、骨片、骨髄、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0067】
要素5:前記骨採取サンプルが、骨粉及び骨髄の組み合わせ、骨粉及び骨片の組み合わせ、又は骨片及び骨髄の組み合わせである。
【0068】
要素6:前記骨採取サンプルが、骨粉、骨片、及び骨髄の組み合わせである。
【0069】
要素7:前記骨融合床が長骨又は脊椎骨に位置している。
【0070】
要素8:前記活性化BMP材料が、スカフォールドに移送され、その後、前記送達が実行される。
【0071】
要素9:前記活性化BMP材料が、スカフォールドに移送され、その後、前記送達が実行され、前記スカフォールドがコラーゲンマトリックスで構成されている。
【0072】
要素10:前記送達が、皮下ポート及びカテーテルを使用して実行され、前記カテーテルは、前記骨融合床において又はその近くで終端する。
【0073】
要素11:前記合成mRNAが、骨形態形成タンパク質受容体を更にコードする。
【0074】
要素12:前記合成mRNAが骨形態形成タンパク質受容体を更にコードし、前記BMPRがBMPRタイプ1である。
【0075】
実施形態A及びBは、限定することなく、要素1~12のうちのいずれか1つ、1つより多く、又は全てと組み合わせて使用され得る。
【0076】
したがって、本発明は、言及された目的及び利点並びにそこに内在するものを達成するために良好に適合されている。上で開示された具体的な実施例及び構成は単に例示的であり、本発明は、本明細書の教示の利点を有する当業者にとって明らかな、異なるが同等の方法で修正及び実践され得る。更に、以下の特許請求の範囲で説明するもの以外、本明細書で示される構造又は設計の詳細に対して限定は意図されない。したがって、上で開示した具体的な例示的実施例が改変され、組み合わされ、又は修正されてよいことは自明であり、全てのそのような変形例は本発明の範囲及び趣旨内にあると見なされる。本明細書で明示的に開示された発明は、好適には、本明細書で具体定期に開示されていない任意の要素及び/又は本明細書で開示された任意のオプションの要素の不在下で実践され得る。本明細書において組成物及び方法は、様々なコンポーネント又はステップを「備える」、「含有する」、又は「含む」という用語で説明しているが、組成物及び方法はまた、様々なコンポーネント及びステップ「から本質的になる」又は「からなる」場合がある。上で開示された全ての数及び範囲は少量だけ変化してよい。下限及び上限を有する数値範囲が開示される場合、その範囲内に含まれる任意の数及び任意の含まれる範囲が具体的に開示される。特に、本明細書で開示される値のすべての範囲(「約a~約b」、又は同等に「およそa~b」、又は同等に「およそa~b」という形)は、値のより広い範囲内に包含されるすべての数及び範囲を記載しているものと理解されるべきである。また、特許請求の範囲における用語は、出願人によって別途明示的かつ明らかに定義されない限り、それらの平易な通常の意味を有する。また、不定冠詞「a」又は「an」は、特許請求の範囲において使用される場合、それが導入する要素のうちの1つ又は1つより多くを意味するものと本明細書で定義される。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも骨形態形成タンパク質(BMP)をコードする合成メッセンジャーリボ核酸(mRNA)を調製する段階;
脂質又は脂質誘導担体に前記合成mRNAを脂質可溶化させ、それにより、脂質可溶化mRNAを形成する段階;
骨採取サンプルを
取得する段階;
前記脂質可溶化mRNA及び前記骨採取サンプルを
インキュベート
し、それにより前記骨採取サンプルは前記脂質可溶化mRNAの少なくとも一部を取り込み、それにより活性化BMP材料を形成する
段階;
を備える、
活性化BMP材料を製造する方法。
【請求項2】
前記BMPが、BMP2、BMP7、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記BMPがBMP2である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記脂質又は脂質誘導担体が、テトラキス(8-メチルノニル)3,3'、3'',3'''-(((メチルアザンジイル)ビス(プロパン-3,1ジイル))ビス(アザントリイル))テトラプロピオネート;デシル(2-(ジオクチルアンモニオ)エチル)フォスフェート(9A1P9);エチル5,5-ジ((Z)-ヘプタデカ-8-エン-1-イル)-1-(3-(ピロリジン-1-イル)プロピル)-2,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-カルボキシレート(A2-Iso5-2DC18);エチル5,5-ジ((Z)-ヘプタデカ-8-エン-1-イル)-1-(3-(ピロリジン-1-イル)プロピル)-2,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-カルボキシレート(A2-Iso5-2DC18);((4-ヒドロキシブチル)アザンジイル)ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)(ALC-0315);2-[(ポリエチレングリコール)-2000]-N,N-ジテトラデシルアセトアミド(ALC-0159);β-シトステロール,(3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)-17-((2R,5R)-5-エチル-6-メチルへプタン-2-イル)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-オール;ビス(2-(ドデシルジスルファニル)エチル)3,3'-((3-メチル-9-オキソ-10-オキサ-13,14-ジチア-3,6-ジアザヘキサコシル)アザンジイル)ジプロピオネート(BAME O16B);2-(((((3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)-10,13-ジメチル-17-((R)-6-メチルヘプタン-2-イル)-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)オキシ)カルボニル)アミノ)-N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-N-メチルエタン-1-アミニウムブロミド(BHEM-コレステロール);1,1'-((2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イル)エチル)アザンジイル)ビス(ドデカン-2-オール)(C12-200);3,6-ビス(4-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)ブチル)ピペラジン-2,5-ジオン(cKK-E12);3β-[N-(N',N'-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール(DC-コレステロール);(6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル4-(ジメチルアミノ)ブタノエート(DLin-MC3-DMA);1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE);2,3-ジオレイルオキシ-N-[2-(スペルミンカルボキシアミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA);1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP);1,2-ジ-O-オクタデセニル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTMA);1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC);エチルホスファチジルコリン(ePC);ヘキサ(オクタン-3-イル)9,9',9'',9''',9'''',9'''''-((((ベンゼン-1,3,5-トリカルボニル)イリス(アザンジイル)トリス(プロパン-3,1-ジイル)トリス(アザントリイル))ヘキサノナノエート(FTT5);ヘプタデカン-9-イル8-((2-ヒドロキシエチル)(6-オキソ-6-(ウンデシルオキシ)ヘキシル)アミノ)オクタノエート(Lipid H(SM-102));(((3,6-ジオキソピペラジン-2,5-イイル)ビス(ブタン-4,1-ジイル))ビス(アザントリイル))テトラキス(エタン-2,1-ジイル)(9Z,9'Z,9''Z,9'''Z,12Z,12'Z,12''Z,12'''Z)-テトラキス(オクタデカ-9,12-ジエノエート)(OF-Deg-Lin);1,2-ジミリストイル-ラク-グリセロ-3-メトキシポリエチレングリコール-2000(PEG2000-DMG);N1,N3,N5-トリス(3-(ジドデシルアミノ)プロピル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキシアミド(TT3);及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記骨採取サンプルが、骨粉、骨片、骨髄、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記骨採取サンプルが、骨粉及び骨髄の組み合わせ、骨粉及び骨片の組み合わせ、又は骨片及び骨髄の組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記骨採取サンプルが、骨粉、骨片、及び骨髄の組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記合成mRNAが、骨形態形成タンパク質受容体を更にコードする、請求項1
から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも骨形態形成タンパク質受容体(BMPR)をコードする合成メッセンジャーリボ核酸(mRNA)を調製する段階;
脂質又は脂質誘導担体に前記合成mRNAを脂質可溶化させ、それにより、脂質可溶化mRNAを形成する段階;
骨採取サンプルを
取得する段階;
前記脂質可溶化mRNA及び前記骨採取サンプルを
インキュベート
し、それにより前記骨採取サンプルは前記脂質可溶化mRNAの少なくとも一部を取り込み、それにより活性化BMPR材料を形成する
段階;
を備える、
活性化BMPR材料を製造する方法。
【請求項10】
前記BMPRがBMPRタイプ1である、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記骨採取サンプルが、骨粉、骨片、骨髄、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項
9に記載の方法。
【請求項12】
前記骨採取サンプルが、骨粉及び骨髄の組み合わせ、骨粉及び骨片の組み合わせ、又は骨片及び骨髄の組み合わせである、請求項
9に記載の方法。
【請求項13】
前記骨採取サンプルが、骨粉、骨片、及び骨髄の組み合わせである、請求項
9に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0076
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0076】
したがって、本発明は、言及された目的及び利点並びにそこに内在するものを達成するために良好に適合されている。上で開示された具体的な実施例及び構成は単に例示的であり、本発明は、本明細書の教示の利点を有する当業者にとって明らかな、異なるが同等の方法で修正及び実践され得る。更に、以下の特許請求の範囲で説明するもの以外、本明細書で示される構造又は設計の詳細に対して限定は意図されない。したがって、上で開示した具体的な例示的実施例が改変され、組み合わされ、又は修正されてよいことは自明であり、全てのそのような変形例は本発明の範囲及び趣旨内にあると見なされる。本明細書で明示的に開示された発明は、好適には、本明細書で具体定期に開示されていない任意の要素及び/又は本明細書で開示された任意のオプションの要素の不在下で実践され得る。本明細書において組成物及び方法は、様々なコンポーネント又はステップを「備える」、「含有する」、又は「含む」という用語で説明しているが、組成物及び方法はまた、様々なコンポーネント及びステップ「から本質的になる」又は「からなる」場合がある。上で開示された全ての数及び範囲は少量だけ変化してよい。下限及び上限を有する数値範囲が開示される場合、その範囲内に含まれる任意の数及び任意の含まれる範囲が具体的に開示される。特に、本明細書で開示される値のすべての範囲(「約a~約b」、又は同等に「およそa~b」、又は同等に「およそa~b」という形)は、値のより広い範囲内に包含されるすべての数及び範囲を記載しているものと理解されるべきである。また、特許請求の範囲における用語は、出願人によって別途明示的かつ明らかに定義されない限り、それらの平易な通常の意味を有する。また、不定冠詞「a」又は「an」は、特許請求の範囲において使用される場合、それが導入する要素のうちの1つ又は1つより多くを意味するものと本明細書で定義される。
[項目1]
少なくとも骨形態形成タンパク質(BMP)をコードする合成メッセンジャーリボ核酸(mRNA)を調製する段階;
脂質又は脂質誘導担体に前記合成mRNAを脂質可溶化させ、それにより、脂質可溶化mRNAを形成する段階;
骨採取サンプルを術中に取得する段階;
前記脂質可溶化mRNA及び前記骨採取サンプルを術中にインキュベートする段階、それにより前記骨採取サンプルは前記脂質可溶化mRNAの少なくとも一部を取り込み、それにより活性化BMP材料を形成する;
前記活性化BMP材料を骨融合床に術中に送達する段階
を備える、方法。
[項目2]
前記BMPが、BMP2、BMP7、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、項目1に記載の方法。
[項目3]
前記BMPがBMP2である、項目1に記載の方法。
[項目4]
前記脂質又は脂質誘導担体が、テトラキス(8-メチルノニル)3,3'、3'',3'''-(((メチルアザンジイル)ビス(プロパン-3,1ジイル))ビス(アザントリイル))テトラプロピオネート;デシル(2-(ジオクチルアンモニオ)エチル)フォスフェート(9A1P9);エチル5,5-ジ((Z)-ヘプタデカ-8-エン-1-イル)-1-(3-(ピロリジン-1-イル)プロピル)-2,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-カルボキシレート(A2-Iso5-2DC18);エチル5,5-ジ((Z)-ヘプタデカ-8-エン-1-イル)-1-(3-(ピロリジン-1-イル)プロピル)-2,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-カルボキシレート(A2-Iso5-2DC18);((4-ヒドロキシブチル)アザンジイル)ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)(ALC-0315);2-[(ポリエチレングリコール)-2000]-N,N-ジテトラデシルアセトアミド(ALC-0159);β-シトステロール,(3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)-17-((2R,5R)-5-エチル-6-メチルへプタン-2-イル)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-オール;ビス(2-(ドデシルジスルファニル)エチル)3,3'-((3-メチル-9-オキソ-10-オキサ-13,14-ジチア-3,6-ジアザヘキサコシル)アザンジイル)ジプロピオネート(BAME O16B);2-(((((3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)-10,13-ジメチル-17-((R)-6-メチルヘプタン-2-イル)-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)オキシ)カルボニル)アミノ)-N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-N-メチルエタン-1-アミニウムブロミド(BHEM-コレステロール);1,1'-((2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イル)エチル)アザンジイル)ビス(ドデカン-2-オール)(C12-200);3,6-ビス(4-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)ブチル)ピペラジン-2,5-ジオン(cKK-E12);3β-[N-(N',N'-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール(DC-コレステロール);(6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル4-(ジメチルアミノ)ブタノエート(DLin-MC3-DMA);1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE);2,3-ジオレイルオキシ-N-[2-(スペルミンカルボキシアミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA);1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP);1,2-ジ-O-オクタデセニル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTMA);1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC);エチルホスファチジルコリン(ePC);ヘキサ(オクタン-3-イル)9,9',9'',9''',9'''',9'''''-((((ベンゼン-1,3,5-トリカルボニル)イリス(アザンジイル)トリス(プロパン-3,1-ジイル)トリス(アザントリイル))ヘキサノナノエート(FTT5);ヘプタデカン-9-イル8-((2-ヒドロキシエチル)(6-オキソ-6-(ウンデシルオキシ)ヘキシル)アミノ)オクタノエート(Lipid H(SM-102));(((3,6-ジオキソピペラジン-2,5-イイル)ビス(ブタン-4,1-ジイル))ビス(アザントリイル))テトラキス(エタン-2,1-ジイル)(9Z,9'Z,9''Z,9'''Z,12Z,12'Z,12''Z,12'''Z)-テトラキス(オクタデカ-9,12-ジエノエート)(OF-Deg-Lin);1,2-ジミリストイル-ラク-グリセロ-3-メトキシポリエチレングリコール-2000(PEG2000-DMG);N1,N3,N5-トリス(3-(ジドデシルアミノ)プロピル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキシアミド(TT3);及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、項目1に記載の方法。
[項目5]
前記骨採取サンプルが、骨粉、骨片、骨髄、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、項目1に記載の方法。
[項目6]
前記骨採取サンプルが、骨粉及び骨髄の組み合わせ、骨粉及び骨片の組み合わせ、又は骨片及び骨髄の組み合わせである、項目1に記載の方法。
[項目7]
前記骨採取サンプルが、骨粉、骨片、及び骨髄の組み合わせである、項目1に記載の方法。
[項目8]
前記骨融合床が長骨又は脊椎骨に位置している、項目1に記載の方法。
[項目9]
前記活性化BMP材料が、スカフォールドに移送され、その後、前記送達が実行される、項目1に記載の方法。
[項目10]
前記スカフォールドがコラーゲンマトリックスで構成されている、項目9に記載の方法。
[項目11]
前記送達が、皮下ポート及びカテーテルを使用して実行され、前記カテーテルは、前記骨融合床において又はその近くで終端する、項目1に記載の方法。
[項目12]
前記合成mRNAが、骨形態形成タンパク質受容体を更にコードする、項目1に記載の方法。
[項目13]
少なくとも骨形態形成タンパク質受容体(BMPR)をコードする合成メッセンジャーリボ核酸(mRNA)を調製する段階;
脂質又は脂質誘導担体に前記合成mRNAを脂質可溶化させ、それにより、脂質可溶化mRNAを形成する段階;
骨採取サンプルを術中に取得する段階;
前記脂質可溶化mRNA及び前記骨採取サンプルを術中にインキュベートする段階、それにより前記骨採取サンプルは前記脂質可溶化mRNAの少なくとも一部を取り込み、それにより活性化BMPR材料を形成する;
前記活性化BMPR材料を骨融合床に術中に送達する段階
を備える、方法。
[項目14]
前記BMPRがBMPRタイプ1である、項目13に記載の方法。
[項目15]
前記骨採取サンプルが、骨粉、骨片、骨髄、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、項目13に記載の方法。
[項目16]
前記骨採取サンプルが、骨粉及び骨髄の組み合わせ、骨粉及び骨片の組み合わせ、又は骨片及び骨髄の組み合わせである、項目13に記載の方法。
[項目17]
前記骨採取サンプルが、骨粉、骨片、及び骨髄の組み合わせである、項目13に記載の方法。
[項目18]
前記骨融合床が長骨又は脊椎骨に位置している、項目13に記載の方法。
[項目19]
前記活性化BMPR材料が、スカフォールドに移送され、その後、前記送達が実行される、項目13に記載の方法。
[項目20]
前記送達が、皮下ポート及びカテーテルを使用して実行され、前記カテーテルは、前記骨融合床において又はその近くで終端する、項目13に記載の方法。
【国際調査報告】