(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】眼科用レンズ及び型内変化によるそれらの製造
(51)【国際特許分類】
G02C 7/04 20060101AFI20241003BHJP
B29D 11/00 20060101ALI20241003BHJP
C08K 5/3467 20060101ALI20241003BHJP
C08L 33/26 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G02C7/04
B29D11/00
C08K5/3467
C08L33/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519331
(86)(22)【出願日】2022-09-15
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 IB2022058726
(87)【国際公開番号】W WO2023052888
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510294139
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 Centurion Parkway, Jacksonville, FL 32256, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ウィドマン・マイケル・エフ
(72)【発明者】
【氏名】マハルビ・グラーム
(72)【発明者】
【氏名】マハデバン・シブクマル
(72)【発明者】
【氏名】アリ・アザーム
(72)【発明者】
【氏名】グズマン・アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ・シン
(72)【発明者】
【氏名】チェン・ミンハン
【テーマコード(参考)】
2H006
4F213
4J002
【Fターム(参考)】
2H006BB01
2H006BB02
2H006BB05
4F213AA29
4F213AA44
4F213AB04
4F213AB12
4F213AH74
4F213AR06
4F213AR12
4F213WA02
4F213WB01
4J002BG041
4J002CL001
4J002EQ016
4J002FD156
4J002GB00
(57)【要約】
眼科用レンズの形成方法及びそのような方法によって形成されたレンズを提供する。この方法は、眼科用レンズの選択的な一部への機能的特徴の組み込みを可能にする条件下で、型アセンブリ内の反応性モノマー混合物を硬化させることを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科用レンズを作製するための反応性モノマー混合物であって、前記反応性モノマー混合物は、
前記眼科用レンズを作製するのに好適なモノマーと、
第1の波長で活性化可能な第1の重合開始剤と、
前記第1の重合開始剤に化学的に結合された第1の官能性部分と、
前記第1の重合開始剤を実質的に活性化しない第2の活性化によって活性化可能な第2の重合開始剤と、を含む混合物。
【請求項2】
前記第2の重合開始剤に化学的に結合した第2の官能性部分を更に含む、請求項1に記載の混合物。
【請求項3】
前記第1の波長は、435ナノメートル以下である、請求項1又は2に記載の混合物。
【請求項4】
前記第2の重合開始剤は、熱開始剤である、請求項1に記載の混合物。
【請求項5】
前記熱開始剤は、アゾビスイソブチロニトリルである、請求項4に記載の混合物。
【請求項6】
前記第1の官能性部分は、屈折率部分、光吸収部分、及びこれらの組み合わせから選択されている、請求項1に記載の混合物。
【請求項7】
前記屈折率部分は、ポリアミドである、請求項6に記載の混合物。
【請求項8】
前記ポリアミドは、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルメチルアセトアミド(PVMA)、ポリジメチルアクリルアミド(PDMA)、ポリビニルアセトアミド(PNVA)、ポリ(ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド)、ポリアクリルアミド、これらの2つ以上のコポリマー、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含む、請求項7に記載の混合物。
【請求項9】
前記光吸収部分は、紫外光、可視光、又はこれらの組み合わせを吸収する、請求項6に記載の混合物。
【請求項10】
前記光吸収部分は、静的染料、フォトクロミック染料、サーモクロミック染料、ロイコ染料、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含む、請求項9に記載の混合物。
【請求項11】
前記第1の重合開始剤は、ペンダントモノアシルホスフィンオキシド基、ビスアシルホスフィンオキシド基、又はこれらの組み合わせを有するコポリマーである、請求項1に記載の混合物。
【請求項12】
前記コポリマーは、屈折率部分、光吸収部分、又はこれらの組み合わせを更に含む、請求項11に記載の混合物。
【請求項13】
化学的に結合された第1の官能性部分を有する前記第1の重合開始剤は、
【化1】
であって、式中、nは10~4000の範囲の整数であり、Tは連鎖停止基であるもの、
【化2】
であって、式中、nは10~4000の範囲の整数であり、Tは連鎖停止基であるもの、
【化3】
であって、式中、x及びyは独立して、10~4000の範囲の整数であり、Tは連鎖停止基であるもの、
【化4】
であって、式中、mは10~3000の範囲の整数であり、nは1~100の範囲の整数であり、Tは独立して連鎖停止基であるもの、
【化5】
であって、式中、mは10~3000の範囲の整数であり、Tは連鎖停止基であるもの、
【化6】
であって、式中、aは1~100の範囲の整数であり、bは1~100の範囲の整数であり、cは1~250の範囲の整数であり、Tは独立して連鎖停止基又は開始剤フラグメントであり、QはN,N-ジメチルアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルアセトアミドなどの親水性モノマーから得られるもの、及び
これらの2つ以上の組み合わせから選択されている、請求項1に記載の混合物。
【請求項14】
眼科用レンズを形成する方法であって、前記方法は、
(a)ベースカーブ及びフロントカーブから構成される型アセンブリを提供することであって、前記ベースカーブ及び前記フロントカーブは、それらの間にキャビティを画定及び包囲し、前記キャビティは、反応性モノマー混合物を収容し、前記反応性モノマー混合物は、前記眼科用レンズを作製するのに好適なモノマー、第1の波長で活性化可能な第1の重合開始剤、前記第1の重合開始剤に化学的に結合された第1の官能性部分、及び前記第1の重合開始剤を実質的に活性化させない第2の活性化によって活性化可能な第2の重合開始剤を含み、前記ベースカーブ又は前記フロントカーブの少なくとも一方は光透過性である、ことと、
(b)前記反応性モノマー混合物の1つ以上の選択領域を前記第1の波長の化学線源に曝露し、それによって前記反応性モノマー混合物の一部を選択的に重合させることであって、選択的に重合された前記一部が前記第1の官能性部分を組み込む、ことと、
(c)前記反応性モノマー混合物を前記第2の活性化に曝露して、前記第2の重合開始剤を活性化し、前記反応性モノマー混合物を硬化させることと、
(d)前記眼科用レンズを前記型アセンブリから取り出すことと、
(e)前記眼科用レンズから未反応の第1の重合開始剤を抽出することと、を含む方法。
【請求項15】
前記反応性モノマー混合物は、前記第2の重合開始剤に化学的に結合された第2の官能性部分を含有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
工程(b)の前に、前記反応性モノマー混合物を前記第2の活性化に曝露して、前記第2の重合開始剤を部分的に活性化し、前記反応性モノマー混合物を部分的に硬化させることを更に含む、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の重合開始剤は、熱開始剤である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記熱開始剤は、アゾビスイソブチロニトリルである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記熱開始剤は、60℃~100℃の温度で開始される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
工程(b)における前記化学線源は、化学線の複数の選択的に制御可能なビームを含み、前記曝露は、所定のスクリプトに従って行われて、前記型アセンブリの前記キャビティ内で所定のパターンにおいて前記反応性モノマー混合物の選択的重合を引き起こす、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
工程(b)における前記化学線の複数のビームは、所定のスクリプトに従ってデジタルマイクロミラーデバイスによって選択的に制御される、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記デジタルマイクロミラーデバイスは、少なくとも1つの発光ダイオードを含む照明源を備える、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の波長は、380~450nmの範囲内の1つ以上の波長を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の官能性部分は、屈折率部分、光吸収部分、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
前記屈折率部分は、ポリアミドである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ポリアミドは、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルメチルアセトアミド(PVMA)、ポリジメチルアクリルアミド(PDMA)、ポリビニルアセトアミド(PNVA)、ポリ(ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド)、ポリアクリルアミド、これらの2つ以上のコポリマー、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記光吸収部分は、紫外光、可視光、又はこれらの組み合わせを吸収する、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記光吸収部分は、静的染料、フォトクロミック染料、サーモクロミック染料、ロイコ染料、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の重合開始剤は、ペンダントモノアシルホスフィンオキシド基、ビスアシルホスフィンオキシド基、又はこれらの組み合わせを有するコポリマーである、請求項14に記載の方法。
【請求項30】
前記コポリマーは、屈折率部分、光吸収部分、又はこれらの組み合わせを更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
化学的に結合された第1の官能性部分を有する前記第1の重合開始剤は、
【化7】
であって、式中、nは10~4000の範囲の整数であり、Tは連鎖停止基であるもの、
【化8】
であって、式中、nは10~4000の範囲の整数であり、Tは連鎖停止基であるもの、
【化9】
であって、式中、x及びyは独立して、10~4000の範囲の整数であり、Tは連鎖停止基であるもの、
【化10】
であって、式中、mは10~3000の範囲の整数であり、nは1~100の範囲の整数であり、Tは独立して連鎖停止基であるもの、
【化11】
であって、式中、mは10~3000の範囲の整数であり、Tは連鎖停止基であるもの、
【化12】
であって、式中、aは1~100の範囲の整数であり、bは1~100の範囲の整数であり、cは1~250の範囲の整数であり、Tは独立して連鎖停止基又は開始剤フラグメントであり、QはN,N-ジメチルアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルアセトアミドなどの親水性モノマーから得られるもの、及び
これらの2つ以上の組み合わせから選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項32】
工程(d)は、前記眼科用レンズを前記型アセンブリから機械的に解放することによって達成される、請求項14に記載の方法。
【請求項33】
工程(d)は、前記眼科用レンズの溶媒膨潤を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項34】
前記工程(e)は、前記未反応の第1の重合開始剤の一部を抽出する、請求項14に記載の方法。
【請求項35】
前記反応性モノマー混合物の他の成分を除去するためのレンズ抽出工程、及び未反応の第1の重合開始剤を除去するための抽出工程(e)に続くレンズ水和工程を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項36】
前記眼科用レンズは、ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ、ハイブリッドコンタクトレンズ、硬質ガス透過性コンタクトレンズ、又は眼内レンズである、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年8月22日に出願された米国特許出願第17/821,311号及び2021年9月29日に出願された米国仮特許出願第63/249,643号の優先権を主張し、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般に、眼科用レンズの分野に関し、より具体的には、鋳型成形技術を使用して形成された眼科用レンズに様々な特性及び属性を付与するための新規かつ改良された方法に関する。
【背景技術】
【0003】
今日の世界では、視力の矯正に眼科用レンズを用いることは普通である。ソフトコンタクトレンズを製造するための伝統的かつ最も一般的な方法は、鋳型成形技術によるものであり、ここでは、重合性液体が、所望のレンズの形状を一緒に形成する2つの型半体の間に配置され、液体の全体が型半体の間で硬化される。次に、レンズを型から取り出し、特定の後処理工程を行う。
【0004】
最近、無限数の全くカスタムのレンズを費用効率の高い方法で容易に製造することができる、コンタクトレンズを製造するための新規なシステム及び方法が開示されている。内容全体を参照によって本願明細書に引用したものとする、米国特許第8,317,505号は、光学マンドレルを通して光硬化性反応性モノマー混合物のバット又は浴に化学線を選択的に投射することによって、単一の雄型又は光学マンドレルの上にボクセル単位で「レンズ前駆体形態」を成長させるための方法を開示している。その後、光学マンドレル及びレンズ前駆体形態はバットから取り出され、光学マンドレルの凸面が正立するように反転される。レンズ前駆体形態の上に残る、浴からの未硬化の残留液体が重力又は他の方法で、レンズ前駆体形態の上を流れる休止時間の後、この液体を固定化放射線を印加することによって硬化して最終レンズを形成する。そこに記載されているように、システムは、従来の鋳型成形におけるような2つの型半体ではなく単一の型を利用しており、装置又は部品を変更するのではなく、単にソフトウェア命令を「再プログラミング」することによって、真のカスタムレンズを製造することを可能にする。
【0005】
‘505特許に記載されているように、化学線は、雄型を通して、それぞれが選択的に制御可能である別個の位置のアレイで反応性混合物中に投射されて、アレイ内の任意の点で(「ボクセルごとに」)所定の深さまで反応性混合物を選択的に硬化させ、それによって雄型の凸側からレンズを「成長させる」。本明細書で使用される「ボクセル」という用語は、‘505特許と同じであり、三次元空間内の規則的なグリッド上の値を表す体積要素を指す。ボクセルは三次元ピクセルとして見ることができ、各ボクセルは選択的に制御可能なアレイ内の特定の点に関連付けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
‘505は、レンズ製造能力における著しい進歩を表すが、例えば、レンズ着用者の経験を更に向上させるために機能的特徴を組み込むカスタマイズ可能なレンズを作製するための選択肢を拡大するために、更なる開発が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、鋳型成形によって作製される眼科用レンズに官能性部分、幾何形状及び/又は物理的特性を空間的に組み込むための新しいシステム、方法及び組成物について、‘505特許に詳細に記載されている技術を活用する。本発明は、コストのかかるプロセス変更なしに、鋳型成形によって製造されたレンズに様々な特性を空間的に制御し、付与するための特定の用途を有する。本発明は、例えば、レンズに様々な屈折率特性を付与し、老眼などの状態のための個別化された患者の解決策を提供することを可能にする。本明細書に記載の発明はまた、患者の視力を改善する一般的又はカスタムでのアポダイゼーション特性を有するレンズを作製するための眼科用レンズ内への染料の空間的組み込み、又はレンズへの美容若しくは他の可視的特性若しくはデザインの組み込みを可能にする。
【0008】
したがって、一態様では、本発明は、眼科用レンズを形成するための方法を提供する。この方法は、(a)ベースカーブ及びフロントカーブから構成される型アセンブリを提供することであって、ベースカーブ及びフロントカーブは、それらの間にキャビティを画定及び包囲し、キャビティは、反応性モノマー混合物を収容し、反応性モノマー混合物は、眼科用レンズを作製するのに好適なモノマー、第1の波長で活性化可能な第1の重合開始剤、第1の重合開始剤に化学的に結合された第1の官能性部分、及び第1の重合開始剤を実質的に活性化させない第2の活性化によって活性化可能な第2の重合開始剤を含み、ベースカーブ又はフロントカーブの少なくとも1つが光透過性である、ことと、(b)反応性モノマー混合物の1つ以上の選択領域を第1の波長の化学線源に曝露し、それによって反応性モノマー混合物の一部を選択的に重合させることであって、選択的に重合された一部が第1の官能性部分を組み込む、ことと、(c)反応性モノマー混合物を第2の活性化に曝露して、第2の重合開始剤を活性化し、反応性モノマー混合物を硬化させることと、(d)眼科用レンズを金型アセンブリから取り出すことと、(e)眼科用レンズから未反応の第1の重合開始剤を抽出することと、を含む。
【0009】
別の態様では、本発明は、眼科用レンズを作製するための反応性モノマー混合物を提供する。反応性モノマー混合物は、眼科用レンズを作製するのに好適なモノマーと、第1の波長で活性化可能な第1の重合開始剤と、第1の重合開始剤に化学的に結合された第1の官能性部分と、第1の重合開始剤を実質的に活性化させない第2の活性化によって活性化可能な第2の重合開始剤と、を含む。
【0010】
なお更なる態様では、本発明は、例えば表Aに記載されるように、それに結合された官能性部分を有する重合開始剤を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】カスタムコンタクトレンズを形成するための従来技術の装置を示す図である。
【
図2】
図1の従来技術の装置の成形光学部分の拡大図である。
【
図3】本明細書に記載されるシステム及び方法に従ってレンズを形成するために使用され得る曝露ジグ内に鋳型を含む例示的な硬化装置を示す。
【
図4】酸化ジュウテリウム中のMAPO-PVPの500MHz
1H-NMRスペクトルを示す。
【
図5】MAPO-PVP、PVP K30、及びPVP K12のSEC-MALSクロマトグラムを示す。
【
図6】重水素化メタノール中のMAPO-PDMAの500MHz
1H-NMRスペクトルを示す。
【
図7】0.2mM溶液中のPI-Dye1及びPI-Dye2のUV-VISスペクトルを示す。
【
図9】コンタクトレンズ上に付与されたUSAF 1951テストチャート画像を示す。
【
図10】球面/デフォーカス及び円柱投影画像並びに測定波面を示す。
【
図11】アポダイズされた画像及び瞳孔のみの画像、並びに対応するレンズを示す。
【
図12】エネルギー及び曝露時間の関数としてのコンタクトレンズの画像を示す。
【
図13】アポダイズされた、瞳孔のみの、及びジャック・オー・ランタンの画像並びに対応するレンズを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
別段の定めがある場合を除き、本明細書で用いられる全ての科学技術用語は、本発明が属する技術分野における当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。本明細書において言及される刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は全て、参照により本明細書に組み込まれる。
【0013】
別途記載のない限り、例えば、「2~10(from 2 to 10)」におけるような、又は「2~10(between 2 and 10)」におけるような数字範囲は、その範囲を規定する数字(例えば、2及び10)を含む。
【0014】
別途記載のない限り、比率、百分率、部などは重量による。
【0015】
「数平均分子量」という語句は、試料の数平均分子量(Mn)を指す。「重量平均分子量」という語句は、試料の重量平均分子量(Mw)を指す。「多分散指数」(PDI)という語句は、MwをMnで割った比を指し、試料の分子量分布を表す。「分子量」の種類が示されていない、又は文脈から明確でない場合、数平均分子量を意味することが意図される。
【0016】
本明細書で使用する場合、用語「約」とは、修飾されている数の、±10パーセントの範囲を意味する。例えば、「約10」という語句は、9及び11の両方を含むであろう。
【0017】
本明細書で使用するとき、「(メタ)」という用語は、任意選択のメチル置換を意味する。したがって、「(メタ)アクリレート」などの用語は、メタクリレート及びアクリレートの両方を意味する。
【0018】
どこに化学構造が記載されていようと、構造における置換基について開示された選択肢を任意の組み合わせで組み合わせてもよいことを理解すべきである。したがって、ある構造が置換基R*及びR**を含有しており、これらがそれぞれ3つの可能性のある基のリストを含んでいる場合、9とおりの組み合わせが開示されるということになる。特性の組み合わせについても同じことが当てはまる。
【0019】
ポリマー試料内における反復単位の平均数は、「重合度」として知られている。ポリマー試料の一般的な化学式、例えば[***]nが使用される場合、「n」はその試料の重合度を意味し、式は、ポリマー試料の数平均分子量を表すものと解釈されなければならない。
【0020】
本明細書において、用語「個体」には、人間及び脊椎動物が含まれる。
【0021】
本明細書で使用する場合、用語「眼科用装置」とは、眼の表面を含む、眼内若しくは眼上、又は眼の任意の一部にある、任意の装置を指す。これらの装置は、光学補正、外見向上、視力強化、治療効果(例えば、包帯として)、若しくは医薬成分及び栄養補助成分などの活性成分の供給、又は前述の任意の組み合わせを提供することができる。好ましい眼科用装置は、ソフトコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズ(硬質ガス透過性レンズを含む)、ハイブリッドコンタクトレンズ、眼内レンズ、並びにインレー及びオーバーレイレンズを含む眼科用レンズである。眼科用装置は、コンタクトレンズを含むのが好ましい場合がある。
【0022】
本明細書で使用する場合、用語「コンタクトレンズ」とは、個人の眼の角膜上に配置可能な眼科用装置を意味する。コンタクトレンズは、屈折異常を矯正し、それによって視力を改善することができ、紫外線又は可視光を吸収し、それによって保護又は色強化を提供することができ、着用者の虹彩の色及びパターンを変化させるなどの美容上の利益も提供することができる。コンタクトレンズは、技術分野で既知の任意の適切な材料であり得、ソフトレンズ、ハードレンズ、又は弾性率、含水率、光透過、若しくはこれらの組み合わせなどの、異なる物理、機械、若しくは光学特性を有する少なくとも2つの別個の部分を含有するハイブリッドレンズであり得る。
【0023】
本発明の眼科用装置、眼科用レンズ及びコンタクトレンズは、シリコーンヒドロゲルで構成され得る。これらのシリコーンヒドロゲルは通常、硬化装置内で互いに共有結合した、少なくとも1つの親水性構成成分及び少なくとも1つのシリコーン含有構成成分を含有する。本発明の眼科用装置、眼科用レンズ及びコンタクトレンズはまた、従来のヒドロゲル、又は従来のヒドロゲルとシリコーンヒドロゲルとの組み合わせで構成され得る。
【0024】
「高分子」は、1500を超える数平均分子量を有する有機化合物であり、反応性であっても、非反応性であってもよい。
【0025】
本明細書で使用する場合、「標的巨大分子」とは、モノマー、マクロマー、プレポリマー、架橋剤、開始剤、添加剤、希釈剤などを含む反応性組成物から合成されている、目的の巨大分子である。
【0026】
本明細書で使用する場合、「モノマー」とは、連鎖成長重合、特にフリーラジカル重合を受けて、標的巨大分子の化学構造内に反復単位を作り出すことが可能な、単官能性分子である。いくつかのモノマーは、架橋剤として作用することができる二官能性不純物を有する。「親水性モノマー」はまた、5重量%の濃度にて25℃で、脱イオン水を用いて混合したときに、透明な単相溶液が得られるモノマーである。「親水性成分」は、5重量%の濃度にて25℃で、脱イオン水を用いて混合したときに、透明な単相溶液が得られる、モノマー、マクロマー、プレポリマー、開始剤、架橋剤、添加剤、又はポリマーである。親水性成分は、少なくとも1つの重合性基を含有してもよい。親水性成分は、1つの重合性基からなるのが好ましい場合がある。
【0027】
本明細書で使用する場合、「マクロモノマー」又は「マクロマー」は、連鎖成長重合、具体的にはフリーラジカル重合を受けることができる、少なくとも1つの重合性基を有する直鎖又は分岐巨大分子である。
【0028】
本明細書で使用する場合、用語「重合性」とは、化合物が少なくとも1つの重合性基を含むことを意味する。「重合性基」は、フリーラジカル及び/又はカチオン重合、例えばラジカル重合開始条件に通されたときに重合することができる炭素-炭素二重結合基などの、連鎖成長重合を受けることができる基である。重合性基の非限定的な例としては、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、及び他のビニル基が挙げられる。好ましくは、重合性基は、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物を含む。好ましくは、重合性基は、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、スチリル官能基、又は前述のもののうちのいずれかの混合物を含む。重合性基は、非置換であってもよく、又は置換されていてもよい。例えば、(メタ)アクリルアミド中の窒素原子は、水素に結合されてもよく、又は水素は、アルキル若しくはシクロアルキル(それ自体が更に置換されてもよい)によって置換されてもよい。「重合性」とは対照的に、用語「非重合性」とは、化合物が、かかるフリーラジカル重合性基を含まないことを意味する。
【0029】
前述の例としては、置換又は非置換C1~6アルキル(メタ)アクリレート、C1~6アルキル(メタ)アクリルアミド、C2~12アルケニル、C2~12アルケニルフェニル、C2~12アルケニルナフチル、C2~6アルケニルフェニルC1~6アルキルが挙げられ、当該C1~6アルキル上の好適な置換基としては、エーテル、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロゲン及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0030】
限定されるものではないが、バルク、溶液、懸濁液、及びエマルジョンを含む、任意の種類のフリーラジカル重合、並びに、安定性フリーラジカル重合、窒素酸化物媒介リビング重合、原子移動ラジカル重合、可逆的付加開裂連鎖移動重合、有機テルル媒介リビングラジカル重合などの、制御ラジカル重合法のいずれかを使用することができる。
【0031】
フリーラジカル重合では、連鎖移動反応が存在しない場合、成長鎖はラジカルカップリング又は不均化によって終結し得る。カップリングでは、2つの成長鎖が単に結合して単結合を形成し、得られるポリマーは開始剤フラグメントから構成される末端基を有する。不均化では、1つの成長鎖ラジカルが、そのフリーラジカルに隣接する別の成長鎖からプロトンを抽出し、これが次に末端二重結合を形成する。連鎖移動反応は、モノマーへの連鎖移動、分岐をもたらすポリマーへの連鎖移動、開始剤への連鎖移動など、並びに分子量を低減及び制御するために意図的に添加された任意の連鎖移動剤への連鎖移動など、反応混合物中の任意の成分で起こり得る。ほとんどの連鎖移動反応において、成長鎖は、別の分子からプロトンを抽出し、それによって鎖成長を停止させ、同時に別のラジカルを生成する。用語「連鎖停止基」は、連鎖成長を終了させ、最終ポリマーの1つの末端基になる化学基を指す。ほとんどの場合、連鎖停止基はプロトンであるが、連鎖停止基が過酸化物に依存する過酸化物開始剤への連鎖移動などの他のものが存在することが知られているか、又は存在すると考えられており、例えば、過酸化ベンゾイルの場合、連鎖停止基はベンゾエートである。
【0032】
本明細書で使用する場合、「シリコーン含有構成成分」又は「シリコーン構成成分」とは、通常は、シロキシ基、シロキサン基、カルボシロキサン基、及びこれらの混合物の形態で、少なくとも1つのケイ素-酸素結合を有する、反応性組成物中のモノマー、マクロマー、プレポリマー、架橋剤、開始剤、添加剤、又はポリマーである。本発明において有用なシリコーン含有成分の例は、米国特許第3,808,178号、同第4,120,570号、同第4,136,250号、同第4,153,641号、同第4,740,533号、同第5,034,461号、同第5,070,215号、同第5,244,981号、同第5,314,960号、同第5,331,067号、同第5,371,147号、同第5,760,100号、同第5,849,811号、同第5,962,548号、同第5,965,631号、同第5,998,498号、同第6,367,929号、同第6,822,016号、同第6,943,203号、同第6,951,894号、同第7,052,131号、同第7,247,692号、同第7,396,890号、同第7,461,937号、同第7,468,398号、同第7,538,146号、同第7,553,880号、同第7,572,841号、同第7,666,921号、同第7,691,916号、同第7,786,185号、同第7,825,170号、同第7,915,323号、同第7,994,356号、同第8,022,158号、同第8,163,206号、同第8,273,802号、同第8,399,538号、同第8,415,404号、同第8,420,711号、同第8,450,387号、同第8,487,058号、同第8,568,626号、同第8,937,110号、同第8,937,111号、同第8,940,812号、同第8,980,972号、同第9,056,878号、同第9,125,808号、同第9,140,825号、同第9,156,934号、同第9,170,349号、同第9,217,813号、同第9,244,196号、同第9,244,197号、同第9,260,544号、同第9,297,928号、同第9,297,929号、及び欧州特許第080539号に見出すことができる。これらの特許は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。シリコーン含有成分はまた、少なくとも1つの重合性基を含有し得る。シリコーン含有成分は、好ましくは1つ又は2つの重合性基からなってもよい。
【0033】
「ポリマー」とは、重合中に使用するモノマー及びマクロマーの反復単位で構成される標的巨大分子である。
【0034】
「ホモポリマー」は、1つのモノマーから作製したポリマーであり、「コポリマー」は、2つ以上のモノマーから作製したポリマーであり、「ターポリマー」は、3つのモノマーから作製したポリマーである。「ブロックコポリマー」は、組成上異なるブロック又はセグメントから成る。ジブロックコポリマーは、2つのブロックを有する。トリブロックコポリマーは、3つのブロックを有する。「くし形又はグラフトコポリマー」は、少なくとも1つのマクロマーから作製される。
【0035】
「繰り返し単位」は、特定のモノマー又はマクロマーの重合に対応する、ポリマー内の原子の最小の基である。
【0036】
「開始剤」とは、モノマーと反応してフリーラジカル重合反応を開始することができるフリーラジカル基に分解可能な分子である。熱開始剤は、温度に応じて特定の速度で分解し、典型的な例は、アゾビスイソブチロニトリル及び4,4’-アオビス(4-シアノ吉草酸)などのアゾ化合物、ベンゾイルパーオキシド、tert-ブチルパーオキシド、tert-ブチルヒドロパーオキシド、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキシド、及びラウロイルパーオキシドなどのパーオキシド、過酢酸及び過硫酸カリウムなどの過酸、並びに様々な酸化還元系である。光開始剤は、光化学プロセスにより分解し、典型例は、ベンジル、ベンゾイン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、カンファーキノン、及びこれらの混合物の誘導体、並びに様々なモノアシル及びビスアシルホスフィンオキシド、並びにこれらの組み合わせである。
【0037】
「フリーラジカル基」とは、重合性基と反応してフリーラジカル重合反応を開始することができる、不対価電子を有する分子である。
【0038】
「架橋剤」(cross-linking agent又はcrosslinker)とは、分子の2つ以上の場所にてフリーラジカル重合を受けることにより、分岐点及びポリマーネットワークを作り出すことが可能な二官能性又は多官能性モノマーである。架橋剤に存在する2つ以上の重合性官能基は同じでも異なっていてもよく、例えば、ビニル基(アリルを含む)、(メタ)アクリレート基、及び(メタ)アクリルアミド基から独立して選択することができる。一般的な例は、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド、トリアリルシアヌレートなどである。
【0039】
「プレポリマー」とは、更に反応を受けてポリマーを形成可能な、残存している重合性基を含有するモノマー(又はマクロマー)の反応生成物である。
【0040】
「ポリマーネットワーク」とは、架橋巨大分子の形態であるポリマーの一種である。一般的に、ポリマーネットワークは膨潤する場合があるが、溶媒には溶解できない。例えば、本発明の架橋基材ネットワークは、溶解することなく膨潤可能な材料である。
【0041】
「ヒドロゲル」とは、通常、(25℃で)少なくとも10重量%を吸収しながら、水中又は水溶液中で膨潤するポリマーネットワークである。「シリコーンヒドロゲル」は、少なくとも1つの親水性成分と共に少なくとも1つのシリコーン含有成分から作製されるヒドロゲルである。親水性成分はまた、非反応性ポリマーを含んでもよい。
【0042】
「従来のヒドロゲル」は、いかなるシロキシ、シロキサン、又はカルボシロキサン基も有しないモノマーから製造されたポリマーネットワークを指す。従来のヒドロゲルは、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(「HEMA」)、N-ビニルピロリドン(「NVP」)、N、N-ジメチルアクリルアミド(「DMA」)、又は酢酸ビニルなどの親水性モノマーを主として含む反応性組成物から調製される。
【0043】
本明細書で使用する場合、用語「反応性組成物」とは、(2つ以上が存在する場合に)共に混合され、重合条件に通された場合にポリマー組成物を形成する1つ以上の反応性構成成分(そして場合により、無反応性構成成分)を含有する組成物を意味する。2つ以上の構成成分が存在する場合、反応性組成物は本明細書においてはまた、「反応性混合物」又は「反応性モノマー混合物」(又はRMM)と呼ぶこともできる。反応性組成物は、モノマー、マクロマー、プレポリマー、架橋剤、及び開始剤などの反応性構成成分、並びに、湿潤剤、剥離剤、染料、光吸収性化合物(例えばUV-VIS吸収剤)、顔料、染料、及び光互変性化合物などの任意の添加剤(これらのいずれかは反応性又は無反応性であり得るが、好ましくは得られるポリマー組成物、並びに、薬学的化合物及び栄養補助化合物内で保持されることが可能であることが好ましい)、並びに任意の希釈剤を含む。作製される最終生成物、及びその使用目的に基づいて、幅広い添加剤を添加してもよいことが理解されよう。反応性組成物の構成成分の濃度は、希釈剤を除いて、反応組成物中の全ての構成成分の重量百分率として表される。希釈剤を使用する場合、濃度は、反応組成物中の全ての構成成分、及び希釈剤の量に基づいて重量百分率として表される。
【0044】
「反応性構成成分」とは、共有結合、水素結合、静電相互作用、相互侵入ポリマーネットワークの形成、又は任意の他の方法により、得られる材料の化学構造の一部となる、反応性組成物の構成成分である。例としては、限定されるものではないが、シリコーン反応性構成成分(例えば、下記のシリコーン含有構成成分)及び親水性反応性構成成分(例えば、下記の親水性モノマー)が挙げられる。
【0045】
本明細書で使用する場合、用語「シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ」とは、少なくとも1つのシリコーンヒドロゲルを含むコンタクトレンズを意味する。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは全般的に、従来のヒドロゲルと比較して増加した酸素透過性を有する。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、それらの含水量及びポリマー含有量の両方を機能させて酸素を眼に送る。
【0046】
「DMD」は、CMOS SRAMの全体に機能的に実装された、移動可能なマイクロミラーのアレイからなる双安定空間光変調器であり得る、デジタルマイクロミラー装置を指す。それぞれのミラーは、反射光を誘導するために、ミラーの下であり得るメモリセルにデータをロードすることによって独立して制御され得、ビデオデータのピクセルをディスプレイ上のピクセルに空間的にマッピングする。データは、ミラーの状態が+X度(オン)又は-X度(オフ)のいずれかである2進数方式で、ミラーの傾斜角を静電気的に制御する。(オン)ミラーによって反射される光は、次いで投影レンズを通過してスクリーン上へ進むことができる。光は、オフ反射して暗視野を生成することができ、画像の黒レベルフロアを画定する。画像は、観測者によって統合されるのに十分な速い速度でのオンレベルとオフレベルとの間のグレースケール変調によって生成され得る。DMD(デジタルマイクロミラー装置)は、DLP投影システムを含むことができる。
【0047】
「DMDスクリプト」は、空間光変調器のための制御プロトコルを指し、更に、例えば、いずれかがその時点の一連のコマンドシーケンスを含み得る光源又はフィルタホイールなどの、任意のシステム構成要素の制御信号も指す。
【0048】
「多官能性」という用語は、2つ以上の重合性基を有する成分を指す。「単官能性」という用語は、1つの重合性基を有する成分を指す。
【0049】
「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を指す。
【0050】
本明細書で使用する場合、用語「アルキル」は、示された数の炭素原子を含有する非置換又は置換直鎖又は分岐鎖アルキル基を指す。数が示されていない場合、アルキル(アルキル上の任意の置換基を任意に含む)は、1~16個の炭素原子を含有してもよい。好ましくは、アルキル基は、1~10個の炭素原子、代替的に1~7個の炭素原子、又は代替的に1~4個の炭素原子を含有する。アルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ-、sec-及びtert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、3-エチルブチルなどが挙げられる。アルキル上の置換基の例としては、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロゲン、フェニル、ベンジル、及びこれらの組み合わせから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの基が挙げられる。「アルキレン」は、二価のアルキル基、例えば、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2-、及び-CH2CH2CH2CH2-を意味する。
【0051】
「ハロアルキル」は、1個以上のハロゲン原子によって置換された上で定義したアルキル基を指し、各ハロゲンは、独立して、F、Cl、Br、又はIである。好ましいハロゲンは、Fである。好ましいハロアルキル基は、1~6個の炭素、より好ましくは1~4個の炭素、更により好ましくは1~2個の炭素を含有する。「ハロアルキル」は、-CF3-又は-CF2CF3-などのペルハロアルキル基を含む。「ハロアルキレン」は、-CH2CF2-などの二価ハロアルキル基を意味する。
【0052】
「シクロアルキル」は、示された数の環炭素原子を含有する非置換又は置換環状炭化水素を指す。数が示されていない場合、シクロアルキルは、3~12個の環炭素原子を含有してもよい。好ましくは、C3~C8シクロアルキル基、より好ましくはC4~C7シクロアルキル、更により好ましくはC5~C6シクロアルキルである。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。シクロアルキル上の置換基の例としては、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボニル、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、ベンジル、及びこれらの組み合わせから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの基が挙げられる。「シクロアルキレン」は、1,2-シクロヘキシレン、1,3-シクロヘキシレン、又は1,4-シクロヘキシレンなどの二価シクロアルキル基を意味する。
【0053】
「ヘテロシクロアルキル」は、少なくとも1つの環炭素が、窒素、酸素、及び硫黄から選択されるヘテロ原子によって置換されている、上で定義したシクロアルキル環又は環系を指す。ヘテロシクロアルキル環は、任意選択で、他のヘテロシクロアルキル環及び/又は非芳香族炭化水素環及び/又はフェニル環に縮合しているか、又は他の方法で結合される。好ましいヘテロシクロアルキル基は、5~7員を有する。より好ましいヘテロシクロアルキル基は、5又は6員を有する。ヘテロシクロアルキレンは、二価ヘテロシクロアルキル基を意味する。
【0054】
「アリール」は、少なくとも1つの芳香環を含有する非置換又は置換芳香族炭化水素環系を指す。アリール基は、示された数の環炭素原子を含有する。数が示されていない場合、アリールは、6~14個の環炭素原子を含有してもよい。芳香環は、任意選択で、他の芳香族炭化水素環又は非芳香族炭化水素環に縮合していてもよく、又は他の方法で結合されてもよい。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、及びビフェニルが挙げられる。アリール基の好ましい例としては、フェニルが挙げられる。アリール上の置換基の例としては、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、ベンジル、及びこれらの組み合わせから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの基が挙げられる。「アリーレン」は、二価アリール基、例えば1,2-フェニレン、1,3-フェニレン、又は1,4-フェニレンを意味する。
【0055】
「ヘテロアリール」は、上で定義したように、少なくとも1つの環炭素原子が、窒素、酸素、及び硫黄から選択されるヘテロ原子によって置換されているアリール環又は環系を指す。ヘテロアリール環は、1つ以上のヘテロアリール環、芳香族若しくは非芳香族炭化水素環、又はヘテロシクロアルキル環に縮合していてもよく、又は別の方法で結合されてもよい。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、フリル、及びチエニルが挙げられる。「ヘテロアリーレン」は、二価ヘテロアリール基を意味する。
【0056】
「アルコキシ」は、酸素架橋を介して親分子部分に結合しているアルキル基を指す。アルコキシ基の例としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びイソプロポキシが挙げられる。「アリールオキシ」は、酸素架橋を介して親分子部分に結合しているアリール基を指す。例としては、フェノキシが挙げられる。「環状アルコキシ」は、酸素架橋を介して親部分に結合しているシクロアルキル基を意味する。
【0057】
「アルキルアミン」は、-NH架橋を介して親分子部分に結合しているアルキル基を指す。アルキレンアミンは、-CH2CH2NH-などの二価アルキルアミン基を意味する。
【0058】
「シロキサニル」は、少なくとも1つのSi-O-Si結合を有する構造を指す。したがって、例えば、シロキサニル基は、少なくとも1つのSi-O-Si基(すなわち、シロキサン基)を有する基を意味し、シロキサニル化合物は、少なくとも1つのSi-O-Si基を有する化合物を意味する。「シロキサニル」は、モノマー(例えば、Si-O-Si)並びにオリゴマー/ポリマー構造(例えば、-[Si-O]n-であって、式中、nは2以上である構造)を包含する。シロキサニル基中の各ケイ素原子は、それらの原子価を完全なものにするために、独立して選択されるRA基(RAは、式Aの選択肢(b)~(i)で定義されるとおりである)によって置換されている。
【0059】
「シリル」は、式R3Si-の構造を指し、「シロキシ」は、式R3Si-O-の構造を指し、式中、シリル又はシロキシ中の各Rは、トリメチルシロキシ、C1~C8アルキル(好ましくはC1~C3アルキル、より好ましくはエチル又はメチル)、及びC3~C8シクロアルキルから独立して選択される。
【0060】
「アルキレンオキシ」は、一般式-(アルキレン-O-)p-又は-(O-アルキレン)p-の基を指し、ここで、アルキレンは、上で定義したとおりであり、pは、1~200、又は1~100、又は1~50、又は1~25、又は1~20、又は1~10であり、各アルキレンは、独立して、ヒドロキシル、ハロ(例えば、フルオロ)、アミノ、アミド、エーテル、カルボニル、カルボキシル、及びこれらの組み合わせから独立して選択される1つ以上の基によって、任意選択で置換されている。pが1より大きい場合、各アルキレンは、同じであっても異なっていてもよく、アルキレンオキシは、ブロック又はランダム構成であってもよい。アルキレンオキシが分子中の末端基を形成する場合、アルキレンオキシの末端は、例えば、ヒドロキシ又はアルコキシ(例えば、HO-[CH2CH2O]p-又はCH3O-[CH2CH2O]p-)であり得る。アルキレンオキシの例としては、ポリメチレンオキシ、ポリエチレンオキシ、ポリプロピレンオキシ、ポリブチレンオキシ、及びポリ(エチレンオキシ-コ-プロピレンオキシ)が挙げられる。
【0061】
「オキサアルキレン」は、1つ以上の隣接していないCH2基が酸素原子によって置換されている、例えば-CH2CH2OCH(CH3)CH2-などの上で定義したアルキレン基を指す。「チアアルキレン」は、1つ以上の隣接していないCH2基が硫黄原子によって置換されている、-CH2CH2SCH(CH3)CH2-などの、上で定義したアルキレン基を指す。
【0062】
用語「結合基」は、重合性基を親分子に結合する部分を指す。結合基は、それが一部である化合物の重合に不必要に干渉しない任意の部分であってもよい。例えば、結合基は、結合であってもよく、又は1つ以上のアルキレン、ハロアルキレン、アミド、アミン、アルキレンアミン、カルバメート、カルボキシレート(-CO2-)、アリーレン、ヘテロアリーレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アルキレンオキシ、オキサアルキレン、チアアルキレン、ハロアルキレンオキシ(1つ以上のハロ基で置換されたアルキレンオキシ(例えば、-OCF2-、-OCF2CF2-、-OCF2CH2-)、シロキサニル、アルキレンシロキサニル、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。結合基は、1つ以上の置換基によって、任意選択で置換されてもよい。好適な置換基としては、アルキル、ハロ(例えば、フルオロ)、ヒドロキシル、HO-アルキレンオキシ、MeO-アルキレンオキシ、シロキサニル、シロキシ、シロキシ-アルキレンオキシ-、シロキシ-アルキレン-アルキレンオキシ-(2つ以上のアルキレンオキシ基が存在してもよく、アルキレン及びアルキレンオキシ中の各メチレンは、独立して、ヒドロキシルによって、任意選択で置換されている)、エーテル、アミン、カルボニル、カルバメート、及びこれらの組み合わせから独立して選択されるものを挙げることができる。結合基はまた、(メタ)アクリレートなどの重合性基で置換されてもよい。
【0063】
好ましい結合基には、C1~C8アルキレン(好ましくはC2~C6アルキレン)及びC1~C8オキサアルキレン(好ましくはC2~C6オキサアルキレン)が含まれ、これらはそれぞれ、ヒドロキシル及びシロキシから独立して選択される1又は2個の基で任意に置換されている。好ましい結合基としては、カルボキシレート、アミド、C1~C8アルキレンカルボキシレート-C1~C8アルキレン、又はC1~C8アルキレンアミド-C1~C8アルキレンも挙げられる。
【0064】
結合基が上述のような部分(例えば、アルキレン及びシクロアルキレン)の組み合わせから成る場合、部分は任意の順序で存在してもよい。例えば、下記の式Eにおいて、L(結合基)が、-アルキレン-シクロアルキレン-であると示されている場合、Rg-Lは、Rg-アルキレン-シクロアルキレン-、又はRg-シクロアルキレン-アルキレン-のいずれかであってもよい。これにかかわらず、列記する順序は、結合基が結合している末端重合性基(Rg)から始まって、部分が化合物中に現れる好ましい順序を表す。例えば、2つの結合基、L及びL2が、両方ともアルキレン-シクロアルキレンであるとして示されている場合、Rg-Lは、好ましくは、Rg-アルキレン-シクロアルキレン-であり、-L2-Rgは、好ましくは、-シクロアルキレン-アルキレン-Rgである。
【0065】
上述のように、一態様では、本発明は、眼科用レンズを形成するための方法を提供する。この方法は、(a)ベースカーブ及びフロントカーブから構成される型アセンブリを提供することであって、ベースカーブ及びフロントカーブは、それらの間にキャビティを画定及び包囲し、キャビティは、反応性モノマー混合物を収容し、反応性モノマー混合物は、眼科用レンズを作製するのに好適なモノマー、第1の波長で活性化可能な第1の重合開始剤、第1の重合開始剤に化学的に結合された第1の官能性部分、及び第1の重合開始剤を実質的に活性化させない第2の活性化によって活性化可能な第2の重合開始剤を含み、ベースカーブ又はフロントカーブの少なくとも1つが光透過性である、ことと、(b)反応性モノマー混合物の1つ以上の選択領域を第1の波長の化学線源に曝露し、それによって反応性モノマー混合物の一部を選択的に重合させることであって、選択的に重合された一部が第1の官能性部分を組み込む、ことと、(c)反応性モノマー混合物を第2の活性化に曝露して、第2の重合開始剤を活性化し、反応性モノマー混合物を硬化させることと、(d)眼科用レンズを金型アセンブリから取り出すことと、(e)眼科用レンズから未反応の第1の重合開始剤(化学的に結合した第1の官能性部分を有する)を抽出することと、を含む。
【0066】
本発明によれば、反応性モノマー混合物は、混合物を型アセンブリに分配し、続いて混合物を硬化させることによって、ソフトコンタクトレンズなどの眼科用レンズに形成される。型アセンブリは、レンズの後面に接触する型半体であるベースカーブと、前面に接触するフロントカーブで構成される。フロントカーブとベースカーブは、一緒にされると、それらの間にキャビティを画定し、これを取り囲み、この空洞は、本発明によれば、反応性モノマー混合物を収容する。
【0067】
本発明で使用される型アセンブリを構成する型構成要素(フロントカーブ及びベースカーブ)は、使い捨て又は再利用可能な材料を含む様々な材料から作製されてよい。例えば、型は、限定するものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ホモポリマー、コポリマー、及びターポリマーを含む他のポリオレフィン、ポリスチレン、ポリスチレンコポリマー、ポリ(エチレンテレファタレート)及びポリ(ブチレンテレフタレート)などのポリエステル、ポリアミド、ポリ(ビニルアルコール)及びその誘導体、タフテックなどの水素化スチレンブタジエンブロックコポリマー、Zeonor及びTopas樹脂などの環状オレフィンポリマー、及びそれらの組み合わせを含めた、任意の好適な材料から作製された熱可塑性光学型であってよい。型は、第1の重合開始剤を活性化する波長に対して透明又はほぼ透明であるように選択されてもよく、したがって、フロントカーブ、ベースカーブ、又はフロントカーブ及びベースカーブの両方を通した照射を可能にする。材料は、フロントカーブとベースカーブで同じであってよい、又は違ってもよい。型アセンブリのフロントカーブのための好ましい材料は環状オレフィンポリマーと水素化スチレンブタジエンブロックコポリマーのそれぞれ90:10(w/w)のブレンドである。型アセンブリのベースカーブに好ましい材料は環状オレフィンポリマーとポリプロピレンの90:10(w/w)のブレンドである。他の例示的な材料としては、ベースカーブとフロントカーブのいずれか又はその両方のZeonor及びTuftecのブレンドが挙げられる。ベースカーブ又はフロントカーブ型の厚さは、変化し得るが、目標レンズの型設計の光学ゾーンの中心で測定される場合、典型的には100から1500ミクロンの間、好ましくは600から800ミクロンの間である。使用され得る他の型材料は、例えば、ガラス、石英、又は酸化アルミニウム等のセラミックから成る再利用可能な型を含む。BK270及びRB 270は、透過性型半体の成形に好適な材料の例である。それらは、許容可能な光学プロファイル及び表面粗さ特性を達成するために成形又は研磨されてもよい。加えて、硬化レンズの離型を助けるために、そのような再使用可能な型にコーティングを適用してもよい。これらの型コーティングは、典型的にはシロキサン又はシランをベースとし、部分的又は完全にフッ素化されていてもよい。
【0068】
本発明の反応性モノマー混合物は、それに化学的に結合した第1の官能性部分を有する第1の重合開始剤を含有する。第1の重合開始剤は、第1の波長(第1の重合開始剤を活性化する波長の範囲であってもよい波長)で活性化可能である。上述したように、第1の波長によって活性化されると、重合開始剤は、反応性モノマー混合物中のモノマーと反応してフリーラジカル重合反応を開始することができるフリーラジカル基に分解する。開始剤は、重合が開始されると、モノマー単位を付加してポリマー鎖を成長させ、結果として、ポリマーの共有結合部分にもなる。結果として、開始剤に化学的に結合している第1の官能性部分もポリマーの一部となる。その結果、官能性部分がレンズに組み込まれる。そして、本発明の方法は選択的重合手法を採用するので、眼科用レンズ中の特定の位置に官能性部分を配置することが可能である。機能的特徴のそのような選択的位置決めは、例えば、光フィルタリング、光アポダイゼーション、異屈折率などを含む多種多様な能力を組み込んだレンズの製造を可能にする。
【0069】
第1の重合開始剤は、例えばUV波長及び/又は可視光波長など、様々な波長の光を吸収する(及びそれによって活性化される)ことができる。好ましくは、第1の重合開始剤は、電磁スペクトルの可視範囲(約380nmから約780nm)内で吸収することができる。第1の重合開始剤として機能し得る可視光開始剤は当技術分野で知られており、芳香族α-ヒドロキシケトン、アルコキシオキシベンゾイン、アセトフェノン、アシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、及び第三級アミンとジケトン、それらの混合物などが含まれるが、これらに限定されない。開始剤の例示的な例は、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4-4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(Irgacure819)、2,4,6-トリメチルベンジルジフェニルホスフィンオキシド、及び2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾインメチルエステル、並びに、カンファーキノンとエチル4-(N,N-ジメチルアミノ)ベンゾエートの組み合わせを更に含む。第1の重合開始剤として機能し得る市販の可視光開始剤系には、Irgacure819、Irgacure1700、Irgacure1800、Irgacure819、Irgacure1850(いずれもCiba Specialty Chemicalsより)及びLucirinTPO開始剤(BASFより販売)が挙げられる。使用され得るこれら及び他の光開始剤は、Volume III,Photoinitiators for Free Radical Cationic & Anionic Photopolymerization,2nd Edition by J.V.Crivello& K.Dietliker;edited by G.Bradley;John Wiley and Sons;New York;1998に開示される。
【0070】
第1の重合開始剤として機能し得る特に好ましい可視光開始剤としては、CIBAから入手可能なIrgacure(登録商標)(例えば、Irgacure1700又は1800)などのα-ヒドロキシケトン;モノアシルホスフィンオキシド及びビスアシルホスフィンオキシド等の各種有機ホスフィンオキシド;ジエトキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、フェノチアジン、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド、ベンゾイン又はベンゾイン誘導体などが挙げられる。好ましくは、第1の重合開始剤は、200~600nm、又は300~500nm、又は350~450nm、又は380~450nmの範囲を含む波長で活性化される。
【0071】
本発明の反応性モノマー混合物は、第1の重合開始剤に化学的に結合した第1の官能性部分を含有する。上記のように、本発明は、眼科用レンズ中の選択的な位置での第1の官能性部分の組み込みを可能にする。多種多様な官能性部分を組み込むことができる。したがって、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,317,505号に詳細に記載されているように、第1の波長、並びにその強度及びパターンは、第1の官能性部分の所望の二次元又は三次元組み込みがベールの法則効果によって達成されるように、モノマー混合物のスペクトル吸光度と相互作用するように選択的に選択することができる。
【0072】
第1の官能性部分は、第1の重合開始剤によって形成される水和レンズの領域における吸収スペクトルの付随する変化の有無にかかわらず、光路長の全体的な変化に影響を及ぼすように設計され得る。このようにして、レンズの光学系全体を決定論的に変更することができる。光路長(OPL)は、次式によって計算される:
【0073】
【数1】
ここでn(s)は、光路が点aとbとの間を移動する媒体を通って移動する距離の関数としての屈折率である(Field Guide to Geometrical Optics,John E.Greivenkamp,Editor,University of Arizona,SPIE Field Guides,Volume FG01,SPIE Press,Bellingham WA,USA,2004を参照)。均質媒体の場合、OPLは単に、屈折率×移動距離(n×s)である。理論的には、OPLは、領域の屈折率を変化させることによって、領域を通って光線が移動する距離を変化させることによって、例えば、レンズの光学ゾーンの厚さプロファイルに影響を及ぼす組成及び/又は架橋密度の改変に基づいて領域の膨潤特性を変化させることによって、又は領域内のOPLを変化させる要因の任意の組み合わせによって、第1の官能性部分を組み込むことによって改変され得る。本出願において、「屈折率部分」という用語は、第1の重合開始剤を活性化することによって生成される領域の屈折率を変化させることによって部分的にOPLを変化させる第1の官能性部分として定義される。反応性モノマー混合物の組成は、第1の重合開始剤を活性化することによって生成される領域のOPLに対する膨潤及び/又は架橋密度の影響を決定する。本出願において、「光吸収部分」という用語は、第1の重合開始剤を活性化することによって生成される領域の光吸収特性又はスペクトルを変化させる第1の官能性部分として定義される。
【0074】
第1の官能性部分は、例えば、屈折率部分、光吸収部分、又はこれらの組み合わせであってもよい。光吸収部分は、例えば、化粧品特性、又は特定の波長の光の吸収(例えば、高エネルギー可視(HEV)光及び/又は他の波長の吸収)を含む様々な機能を有する眼科用レンズを提供するために使用されてもよい。第1の官能性部分は、2つ以上の官能性を提供してもよい。例えば、光吸収部分はまた、レンズの屈折率を望ましい様式で改変してもよい。したがって、組み込まれた部分は、複数の効果を達成してもよい。
【0075】
光吸収部分を使用して、レンズ使用者の視力を改善するために、一般的又はカスタムでのアポダイゼーション特性をレンズに提供することができる。光吸収部分の例としては、例えば、静的染料、フォトクロミック染料、サーモクロミック染料、ロイコ染料、及びこれらの組み合わせが挙げられる。より具体的な例としては、これらに限定されないが、アゾ系染料;アントラキノン系染料;ニトロ系染料;フタロシアニン系染料;キノンイミン系染料;キノリン系染料;カルボニル系染料;トリアリールメタン系染料;メチン系染料;ナフトピラン;スピロ(インドリン)キノピラン及びスピロ(インドリン)ピラン;スピロ(インドリン)ナフトオキサジン、スピロ(インドリン)ピリドベンゾオキサジン、スピロ(ベンゾインドリン)ピリダベンゾオキサジン、スピロ(ベンゾインドリン)ナフトオキサジン及びスピロ(インドリン)ベンゾオキサジンなどのオキサジン;ジチゾネート水銀;フルギド;フルギミド、アクリジン染料、アリールメタン染料、インダミン、キサンテン、アクリドン、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0076】
第1の官能性部分は、屈折率部分であってもよい。屈折率部分は、バルクレンズに対して、それが組み込まれている領域でレンズのOPLを変化させる。レンズ全体の屈折特性の変化は、例えば、二焦点又は多焦点レンズを生成する目的で、画像又は他の視覚的特徴をレンズに付与するために、又は視覚機能に影響を及ぼす特徴を付与するために使用されることができる。屈折率部分の好ましいクラスはポリアミドである。例示的なポリアミドには、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルメチルアセトアミド(PVMA)、ポリジメチルアクリルアミド(PDMA)、ポリビニルアセトアミド(PNVA)、ポリ(ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド)、ポリアクリルアミド、及びこれらの2つ以上のコポリマーが含まれるが、これらに限定されない。
【0077】
化学的に結合された第1の官能性部分を含む例示的な第1の重合開始剤を表Aに示す:
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
第1の重合開始剤(化学的に結合した第1の官能性部分を含有する)は、希釈剤を除く反応性モノマー混合物中の全成分に基づいて、例えば、0.01重量%~20重量%の有効量で、反応性モノマー混合物中に存在してもよい。
【0083】
本発明の反応性モノマー混合物は、第2の重合開始剤を含有する。第2の重合開始剤は、第1の重合開始剤を実質的に活性化しない(例えば、50モルパーセント未満、好ましくは20モルパーセント未満、より好ましくは5モルパーセント未満、更に好ましくは1モルパーセント未満の活性化)第2の活性化によって活性化可能である。例えば、第2の重合開始剤は、第1の重合開始剤を実質的に活性化しない光子エネルギー又は熱エネルギーのいずれかによって活性化することができる。好ましくは、第2の重合開始剤は、熱開始剤である。熱開始剤の例は、アゾビスイソブチロニトリル及び4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)などのアゾ化合物、ベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ジクミルペルオキシド、及びラウロイルペルオキシドなどのペルオキシド、過酢酸及び過硫酸カリウムなどの過酸、並びに様々な酸化還元系が含まれるが、これらに限定されない。好ましい熱開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)である。任意に、第2の重合開始剤は、第1の官能性部分と同じであっても異なっていてもよい、化学的に結合した第2の官能性部分を含有してもよい。第2の重合開始剤は、反応性モノマー混合物の光重合を開始するのに有効な量、例えば、反応性モノマー混合物の100部当たり約0.1~約2重量部で、反応性モノマー混合物中で使用される。
【0084】
本発明のプロセスによれば、(型アセンブリのキャビティ内の)反応性モノマー混合物の1つ以上の選択領域が、第1の波長の化学線源に曝露され、それによって、第1の重合開始剤を選択的に活性化し、その結果、反応性モノマー混合物の一部を選択的に重合する。有利には、第1の重合開始剤はそれに化学的に結合された第1の官能性部分を有するので、反応性モノマー混合物の選択的に重合された部分は第1の官能性部分を組み込む。
【0085】
第1の重合開始剤の選択的活性化のために、様々な技術を使用することができる。好ましい技術は、例えば、米国特許出願公開第20150146159号、米国特許第9075186号、及び米国特許第8317505号に一般的に記載されているボクセルに基づくリソグラフィであり、それらの各々は全体として参照により本明細書に組み込まれている。更なる参考文献として、米国特許第7905594号、同第8157373号、同第8240849号、同第8313828号、同第8318055号、同第8795558号、同第9180633号、同第9180634号、同第9417464号、同第9610742号、及び同第9857607号が挙げられ、それらの各々は全体として参照により本明細書に組み込まれている。
【0086】
図1は、眼科用レンズを形成するために使用されるものなどの反応性モノマー混合物を硬化又は部分的に硬化させるために化学線の個々のビームのアレイを選択的に制御するために使用することができる、米国特許第8317505号(「‘505特許」)に記載されている例示的な従来技術の装置を示す。光は化学線源又は光源120によって生成され、画定された帯域内の波長であるが、強度及び方向における空間的変化を有する光として生じる。空間強度コントローラ又はコリメータである要素130は、光を集光、拡散し、いくつかの実施形態ではコリメートして、強度が非常に均一で、好ましくは所定の波長を中心とする光ビーム140を生成する。更に、いくつかの実施形態では、ビーム140は、それぞれにデジタルのオン又はオフ値を割り当てることができる強度のピクセル要素にビームを分割する、選択的に制御可能なミラーのアレイを含むデジタルミラー装置(「DMD」)110に衝突する。実際には、それぞれのピクセルのミラーは、光を、2つの経路のうちの1つに単に反射する。「オン」経路、つまりアイテム150は、反応性化学媒体に向かって進行する光子に導く経路である。「オフ」経路は、アイテム116及び117として示される経路間にある、異なる経路に沿って反射されている光である。この「オフ」経路は、光子を、それに向けられるいかなる光子も吸収し取り込むように綿密に作られたビームダンプ115に衝突するように向ける。「オン」経路150の参照に戻ると、この経路に示される光は、実際には、「オン」値に設定され、それらのピクセル位置に対応する適切な個々の経路に沿って空間的に向けられる、多くの異なる潜在的なピクセル値を含む。それらのそれぞれの経路150に沿ったピクセル要素のそれぞれの時間平均強度は、DMD110によって画定される空間的格子にわたり、空間的強度プロファイル160として示すことができる。或いは、それぞれのミラーに衝突する一定の強度で、アイテム160は、空間的時間曝露プロファイルを示し得る。ミラーのアレイ(オン/オフ時間)を選択的に制御するコンピュータプログラムは、本明細書では「スクリプト」と呼ばれる。
【0087】
‘505特許は、光透過性成形光学部品180に垂直に入射し、反応性モノマー混合物302(
図2)の体積に入るビームを記載しており、化学線の選択的に制御可能なビームは、スクリプトに従ってボクセルごとにバット内の反応性モノマーの、成形光学部品を通した選択的硬化を引き起こす。
【0088】
本発明は、
図1及び
図2の装置を活用してもよいが、成形光学部品(雄型)を、
図3に示される例示的なもの等の従来の2つの部分の鋳型に置き換えてもよい。
図3に示されるように、硬化装置200は、形成される硬化コンタクトレンズの形状を共に形成する第1の型半体201及び第2の型半体202を含み、その少なくとも1つは光透過性であり、反応性モノマー混合物204がその間の空間全体を充填する。第1及び第2の型半体は、第1の部分210a及び第2の部分210bを含む硬化装置200内の定位置に固定され、その少なくとも一部(すなわち、
図3の210b)は、同様に光透過性である。上述したような選択的に制御可能な化学線源205は、図示されているように、光透過性型半体及び曝露ジグ部分に選択的に衝突するように向けられる。装置は更に、迷光が透過性ジグ部分、型半体、及び反応性モノマー混合物を通過した後に、迷光を捕捉するように設計される、光吸収体212を含んでもよい。或いは、対向する型部分及び/又はジグ部分は、型部分又はジグ部分がスチレン又はポリメチルメタクリレート(PMMA)などのカーボンブラック充填熱可塑性物質から構成される場合など、非透過性又は別様に光吸収性であってもよい。
【0089】
本明細書に記載される本発明を使用して、(二次元又は三次元の)官能性部分、幾何学的形状、又は物理的特性を、2つの型半体の間に形成される眼科用レンズに空間的に組み込むことができる。上述したように、これは、反応性モノマー混合物中に、第1の所定の波長又は波長範囲によって活性化される第1の官能性部分に結合された第1の重合開始剤、及び第2の官能性部分に結合された又は結合されていない第2の重合開始剤を組み込むことによって達成することができる。第2の重合開始剤は、第1の重合開始剤を実質的に活性化しない第2の活性化によって活性化することができる。第2の活性化は、例えば、光エネルギー及び/又は熱エネルギーの印加によるものであってもよい。したがって、光エネルギー及び/又は熱エネルギーは、硬化装置によって選択的に適用されて、機能化学を選択的かつ差別的に硬化及び/又は別様に選択的に活性化することができる。
【0090】
例として、反応性モノマー混合物は、最初に、上述のような所定のデジタルスクリプトに従って、化学線源205を介して第1の波長又は波長範囲の光に曝露され得る。第1の波長の光は、第1の重合開始剤を活性化してフリーラジカル重合を引き起こす。化学線のビームのアレイにおける各点での重合の所望の程度及び深さは、化学線がベールの法則と一致する様式で反応性モノマー混合物のスペクトル吸収と軽度又は重度に相互作用し得るので、化学線の予めプログラムされたスクリプト及び波長によって定義される。第1の重合開始剤に結合された第1の官能性部分は、選択的に重合された反応性モノマー混合物のポリマー鎖に組み込まれる。化学線への曝露後、型アセンブリは、第1の光開始剤を再び実質的に活性化しない第2のエネルギー、好ましくは熱エネルギーに曝露されてもよい。これを達成するために、
図3に示される型アセンブリは、反応性モノマー混合物が硬化されるまで、例えば、約90℃で約2~3時間、オーブン等の熱的に制御された環境内に単に配置されてもよい。
【0091】
代替として、第1の化学線への曝露に続いて、型半体及び曝露ジグアセンブリは、反応性モノマー混合物の十分なゲル化を可能にして、FC型に対するBC型の望ましくない相対移動を防止するために、約20分間、熱装置内に配置され、その時点で、それは、熱装置から除去され、曝露ジグは、型半体から除去される。次いで、型半体は、最終硬化のための時間の間、直ちに熱装置内に戻される。これにより、最終レンズ硬化工程の残りの間に、必要に応じて曝露ジグを再使用することができる。形成されたレンズ物体は、次いで、型半体202及び203から除去され、未反応の第1の重合開始剤を除去するために抽出プロセスを受けることができる。未反応の第1の重合開始剤を除去するための抽出プロセスは、完全であっても不完全であってもよい。ある場合には、全ての未反応の第1の重合開始剤の除去は、所望の特徴又は光学的効果を作り出すために必要とされない。他の場合において、抽出プロセスは、未反応の第1の重合開始剤の一部のみを除去し、より低い濃度の第1の重合開始剤を使用する任意選択の照射工程を可能にする。未反応の第1の重合開始剤を除去した後、他の反応性モノマー成分を除去するためのレンズ抽出及びレンズ水和の標準的な後処理工程を行って、最終的な眼科用レンズを形成することができる。いくつかの例において、水性アルコール、水、及び緩衝液を使用するレンズ抽出及び水和の標準的な後処理工程はまた、未反応の第1の重合開始剤を抽出し得、それによって、2つ以上の抽出工程を1つの操作に組み合わせる。
【0092】
得られたレンズ物体は、それぞれの部分に適用される異なる硬化方法によって決定されるように、その中に空間的に組み込まれた様々な特性を有する。第1の官能性部分は、例えば、屈折率部分、光吸収部分、又はこれらの組み合わせであってもよい。第1の波長、並びにその強度及びパターンは、反応性モノマー混合物のスペクトル吸光度と相互作用するように選択的に選択され、その結果、所望の二次元又は三次元組み込みが、‘505特許に詳細に記載されるように、ベールの法則効果を介して達成される。
【0093】
本明細書に記載の本発明の1つの用途は、レンズ内で屈折特性を変化させることができる機能化学を組み込むことを含む。屈折特性の変化は、例えば、二焦点又は多焦点レンズを生成する目的で、画像又は他の視覚的特徴をレンズに付与するために、又は視覚機能に影響を及ぼす特徴を付与するために使用されることができる。
【0094】
本明細書に記載の本発明の別の用途は、選択された官能性部分を利用して、化粧品及び/又は光管理目的のために染料を組み込むことである。光管理に関して、現在の技術は、モノマー染料及び単一の開始剤ベースの硬化プロセスを使用する。このプロセスは、固有の空間的制御を有さず、全体にわたって均一な特性を有するレンズをもたらす。更に、染料が光管理目的で組み込まれる場合、レンズの透過プロファイルは、レンズの厚さプロファイルに大きく依存し、染料の濃度は、典型的には、生成された光学出力の範囲にわたってレンズの光学ゾーンにわたる平均所望の透過を達成するための妥協を表すように選択される。本発明は、選択されたパターンの染料がレンズに組み込まれたレンズにおける光管理を改善して、従来技術のような大部分が厚さで規定されたプロファイルとは対照的に、レンズ全体にわたって変化した所望の透過プロファイルを達成することができる。これは、レンズの表面へのパッド印刷によってある程度達成することができるが、現在、既知の技術によってレンズ自体に組み込むことはできない。パッド印刷はまた、既知のパッド印刷技術が、パッド印刷能力に典型的な印刷層の厚さの小さな変動に起因して不均一な透過プロファイルをもたらす薄い印刷層に塗布された重い染料、染料-顔料の組み合わせ、又は顔料を含む化合物を含むという欠点を有する。更に、屈折率整合/厚さの変動の問題を有する光学ゾーン内に層を印刷することによる望ましくない光学効果が存在する可能性が高い。
【0095】
上記のボクセルに基づくリソグラフィは、第1の重合開始剤の選択的活性化のための好ましい技術であるが、他の技術も利用され得る。例えば、選択的活性化は、重合が望ましくない反応性モノマー混合物の領域を第1の波長からフォトマスキングすることによって提供され得る。次いで、反応性モノマー混合物のマスクされていない領域は、活性化及び選択的重合を受けることができる。フォトマスクは本質的にバイナリであってもよいが、より好ましくはグレースケールである。この種のフォトマスクの仕様及び製造は、グレースケールフォトリソグラフィの当業者に知られている。
【0096】
好ましくは、反応性モノマー混合物は、重合された部分が上記の第1の選択的重合の間又はその直後に望ましくなく拡散しないように十分な粘度を有する。そのような粘度を提供するために様々な選択肢が利用可能である。例えば、マクロマー又はプレポリマーなどの粘性成分を含有する反応性モノマー混合物を使用することができる。希釈剤はまた、反応性モノマー混合物の粘度を著しく低下させることを回避するために、除外され得るか、又は少なくとも低濃度で使用され得る。
【0097】
好ましい手法は、第1の活性化の前又はそれと同時に、第2の重合開始剤の短時間の活性化を通じて反応性モノマー混合物の限定的な予備硬化を行うことである。したがって、例えば、第2の重合開始剤が熱開始剤である場合、型アセンブリ内の反応性モノマー混合物を加熱して、熱開始剤を短時間活性化し、したがって、反応性モノマー混合物のいくらかの重合を開始することができる。次いで、所望の粘度が達成されたら、開始及び重合を停止することができる。例として、熱開始剤がAIBNである場合、そのような予備硬化は、反応性モノマー混合物を例えば40~150℃の範囲の温度に約0.1~120分間加熱することによって達成することができる。好ましくは、予備硬化工程は、第1の重合開始剤の選択的活性化の前に行われる。
【0098】
本発明によれば、反応性モノマー混合物の完全硬化は、選択的重合に続いて行われる。この完全硬化は、反応性モノマー混合物中に存在する第2の重合開始剤を使用する。特に、第2の重合開始剤が活性化され、それによって反応性モノマー混合物中の残りの反応性成分の重合が開始される。
【0099】
上述したように、本発明の反応性モノマー混合物は、所望の眼科用レンズを作製するのに好適なモノマーを含有する。更なる例として、反応性モノマー混合物は、親水性成分、疎水性成分、シリコーン含有成分、ポリアミドなどの湿潤剤、架橋剤及び希釈剤及び開始剤などの更なる成分のうちの1つ以上を含み得る。
【0100】
親水性成分
反応性モノマー混合物に存在し得る親水性モノマーの好適なファミリーの例としては、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、N-ビニルイミド、N-ビニル尿素、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、他の親水性ビニル化合物、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0101】
親水性(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミドモノマーの非限定的な例としては、アクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(4-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、2-アミノプロピル(メタ)アクリレート、N-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド)、N-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド)、N,N-ビス-2-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、グリセロールメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、(メタ)アクリル酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0102】
親水性モノマーはまた、アニオン性、カチオン性、双性イオン性、ベタイン、及びこれらの混合物など、イオン性であってもよい。このような荷電モノマーの非限定的な例としては、(メタ)アクリル酸、N-[(エテニルオキシ)カルボニル]-β-アラニン(VINAL)、3-アクリルアミドプロパン酸(ACA1)、5-アクリルアミドプロパン酸(ACA2)、3-アクリルアミド-3-メチルブタン酸(AMBA)、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド(Q塩又はMETAC)、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、1-プロパンアミニウム,N-(2-カルボキシエチル)-N,N-ジメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]-,分子内塩(CBT)、1-プロパンアミニウム,N,N-ジメチル-N-[3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]プロピル]-3-スルホ-,分子内塩(SBT)、3,5ジオキサ-8-アザ-4-ホスファウンデカ-10-エン-1-アミニウム,4-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチル-9-オキソ-,分子内塩,4-オキシド(9CI)(PBT)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、3-(ジメチル(4-ビニルベンジル)アンモニオ)プロパン-1-スルホナート(DMVBAPS)、3-((3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホナート(AMPDAPS)、3-((3-メタクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホナート(MAMPDAPS)、3-((3-(アクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホナート(APDAPS)、及びメタクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホナート(MAPDAPS)が挙げられる。
【0103】
親水性N-ビニルラクタムモノマー及びN-ビニルアミドモノマーの非限定的な例としては、N-ビニルピロリドン(NVP)、N-ビニル-2-ピペリドン、N-ビニル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニルアセトアミド(NVA)、N-ビニル-N-メチルアセトアミド(VMA)、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニル-N-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N-メチル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N,N’-ジメチル尿素、1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-5-メチレン-2-ピロリドン、N-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、5-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-N-プロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-N-プロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルイミダゾール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0104】
親水性O-ビニルカルバメートモノマー及びO-ビニルカーボネートモノマーの非限定的な例としては、N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバメート及びN-カルボキシ-β-アラニンN-ビニルエステルが挙げられる。親水性ビニルカーボネートモノマー又はビニルカルバメートモノマーの更なる例は、米国特許第5,070,215号に開示されている。親水性オキサゾロンモノマーは、米国特許第4,910,277号に開示されている。
【0105】
他の親水性ビニル化合物としては、エチレングリコールビニルエーテル(EGVE)、ジ(エチレングリコール)ビニルエーテル(DEGVE)、アリルアルコール、及び2-エチルオキサゾリンが挙げられる。
【0106】
親水性モノマーはまた、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルアミドなどの重合性部分を有する、直鎖若しくは分岐鎖ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、又はエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの統計的ランダム若しくはブロックコポリマーのマクロマー又はプレポリマーであってもよい。これらのポリエーテルのマクロマーは、1つの重合性基を有し、プレポリマーは、2つ以上の重合性基を有し得る。
【0107】
本発明の好ましい親水性モノマーは、DMA、NVP、HEMA、VMA、NVA、及びこれらの混合物である。好ましい親水性モノマーとしては、DMA及びHEMAの混合物が挙げられる。他の好適な親水性モノマーは、当業者には明らかとなるであろう。
【0108】
概して、反応性モノマー混合物中に存在する親水性モノマーの量に関して、特に制限はない。親水性モノマーの量は、含水量、透明性、湿潤性、タンパク質取り込みなどを含む、得られるヒドロゲルの所望の特性に基づいて選択され得る。湿潤性は、接触角によって測定され得、望ましい接触角は、約100°未満、約80°未満、及び約60°未満である。親水性モノマーは、反応性モノマー混合物中の反応性成分の総重量に基づき、例えば、約0.1~約100重量%の範囲、或いは約1~約80重量%の範囲、或いは約5~約65重量%の範囲、或いは約40~約60重量%の範囲、或いは約55~約60重量%の範囲の量で存在し得る。
【0109】
シリコーン含有成分
本発明の反応性モノマー混合物での使用に適したシリコーン含有成分は、1つ以上の重合性化合物を含み、各化合物は、独立して、少なくとも1つの重合性基、少なくとも1つのシロキサン基、及び重合性基(複数可)をシロキサン基(複数可)に接続する1つ以上の結合基を含む。シリコーン含有成分は、例えば、下記に定義される基などの1~220個のシロキサン繰り返し単位を含有してもよい。シリコーン含有成分はまた、少なくとも1つのフッ素原子も含有し得る。
【0110】
シリコーン含有成分は、上で定義された1つ以上の重合性基;1つ以上の任意選択で繰り返すシロキサン単位;及び重合性基をシロキサン単位に接続する1つ以上の結合基を含み得る。シリコーン含有成分は、独立して、(メタ)アクリレート、スチリル、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、ビニル基、又はこれらの混合物である1つ以上の重合性基;1つ以上の任意選択で繰り返すシロキサン単位;及び重合性基をシロキサン単位に接続する1つ以上の結合基を含み得る。
【0111】
シリコーン含有成分は、独立して、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、スチリル、又は前述の混合物である1つ以上の重合性基;1つ以上の任意選択で繰り返すシロキサン単位;及び重合性基をシロキサン単位に接続する1つ以上の結合基を含み得る。
【0112】
シリコーン含有成分は、独立して、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、又は前述の混合物である1つ以上の重合性基;1つ以上の任意選択で繰り返すシロキサン単位;及び重合性基をシロキサン単位に接続する1つ以上の結合基を含み得る。
【0113】
シリコーン含有成分は、式A:
【0114】
【化1】
式中、
少なくとも1つのR
Aは、式R
g-L-の基であり、式中、R
gは重合性基であり、Lは結合基であり、残りのR
Aは、それぞれ独立して:
(a)R
g-L-、
(b)1つ以上のヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、ベンジル、又はこれらの組み合わせによって、任意選択で置換されているC
1~C
16アルキル、
(c)1つ以上のアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボニル、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、ベンジル、又はこれらの組み合わせによって、任意選択で置換されているC
3~C
12シクロアルキル、
(d)1つ以上のアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、アミド、カルバマート、カルボナート、ハロ、フェニル、ベンジル、又はこれらの組み合わせによって、任意選択で置換されているC
6~C
14アリール基、
(e)ハロ、
(f)アルコキシ、環状アルコキシ、又はアリールオキシ、
(g)シロキシ、
(h)ポリエチレンオキシアルキル、ポリプロピレンオキシアルキル、又はポリ(エチレンオキシ-co-プロピレンオキシアルキル)などのアルキレンオキシ-アルキル又はアルコキシ-アルキレンオキシ-アルキル、或いは
(i)アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、ハロ又はこれらの組み合わせによって、任意選択で置換されている1~100個のシロキサン繰り返し単位を含む一価シロキサン鎖であり;
(nは、0~500、又は0~200、又は0~100、又は0~20であり、nが0以外であるとき、nが表示値と同等のモードを有する分布であることが理解される)の1つ以上の重合性化合物を含み得る。nが2以上であるとき、SiO単位は、同じ又は異なるR
A置換基を担持してもよく、異なるR
A置換基が存在する場合、n基は、ランダム又はブロック構成であってもよい。
【0115】
式Aにおいて、3つのRAは、それぞれ重合性基を含んでもよく、代替的に2つのRAは、それぞれ重合性基を含んでもよく、又は代替的に1つのRAは、重合性基を含んでもよい。
【0116】
本発明での使用に好適なシリコーン含有成分の例としては、表Bに列挙される化合物が挙げられるが、これらに限定されない。表Bの化合物がポリシロキサン基を含有する場合、このような化合物中のSiO反復単位の数は、別途記載のない限り、好ましくは3~100、より好ましくは3~40、又は更により好ましくは3~20である。
【0117】
【0118】
【0119】
好適なシリコーン含有成分の追加の非限定的な例を、表Cに列挙する。別途記載のない限り、適用可能な場合、j2は、好ましくは1~100、より好ましくは3~40、又は更により好ましくは3~15である。j1又はj2を含有する化合物において、j1とj2の合計は、好ましくは2~100、より好ましくは3~40、又は更により好ましくは3~15である。
【0120】
【0121】
【0122】
シリコーン含有成分の混合物を使用してもよい。例として、好適な混合物としては、4個及び15個のSiO繰り返し単位を含有するOH-mPDMSの混合物などの、異なる分子量を有するモノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピルオキシ)-プロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(OH-MPDMS)の混合物;異なる分子量を有するOH-mPDMS(例えば、4個及び15個の繰り返しSiO繰り返し単位を含有する)と、ビス-3-アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン(ac-PDMS)などのシリコーン系架橋剤との混合物;2-ヒドロキシ-3-[3-メチル-3,3-ジ(トリメチルシロキシ)シリルプロポキシ]-プロピルメタクリレート(SiMAA)と、mPDMS1000などのモノ-メタクリルオキシプロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(mPDMS)との混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0123】
本発明で使用するシリコーン含有成分は、約400~約4000ダルトンの平均分子量を有し得る。
【0124】
シリコーン含有成分(複数可)は、反応性モノマー混合物(希釈剤を除く)の、全ての反応性成分に基づいて、最大約95重量%、又は約10~約80重量%、又は約20~約70重量%の量で存在し得る。
【0125】
ポリアミド
反応性モノマー混合物は、少なくとも1つのポリアミドを含んでもよい。本明細書で使用するとき、「ポリアミド」という用語は、アミド基を含有する繰り返し単位を含むポリマー及びコポリマーを指す。ポリアミドは、環状アミド基、非環状アミド基、及びこれらの組み合わせを含み得、当業者に既知の任意のポリアミドであってもよい。非環状ポリアミドは、ペンダント非環状アミド基を含み、ヒドロキシル基との会合が可能である。環状ポリアミドは、環状アミド基を含み、ヒドロキシル基との会合が可能である。
【0126】
好適な非環状ポリアミドの例としては、式G1及びG2:の繰り返し単位を含むポリマー及びコポリマーが挙げられ、
【0127】
【化2】
式中、Xは、直接結合、-(CO)-、又は-(CONHR
44)-であり、なお、R
44は、C
1~C
3アルキル基であり;R
40は、H、直鎖又は分岐鎖、置換又は非置換のC
1~C
4アルキル基から選択され;R
41は、H、直鎖又は分岐鎖、置換又は非置換のC
1~C
4アルキル基、最大2個の炭素原子を有するアミノ基、最大4個の炭素原子を有するアミド基、及び最大2個の炭素基を有するアルコキシ基から選択され;R
42は、H、直鎖又は分岐鎖、置換又は非置換のC
1~C
4アルキル基から選択され;又はメチル、エトキシ、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシメチルから選択され;R
43は、H、直鎖又は分岐鎖、置換又は非置換のC
1~C
4アルキル基から選択され;又はメチル、エトキシ、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシメチルから選択され;R
40及びR
41の炭素原子の数は合計で、7、6、5、4、3、又はそれ以下を含む、8以下であり、R
42及びR
43の炭素原子の数は合計で、7、6、5、4、3、又はそれ以下を含む、8以下である。R
40及びR
41の炭素原子の数は、合計で6以下又は4以下であってよい。R
42及びR
43の炭素原子の数は、合計で6以下であってよい。本明細書で使用するとき、置換アルキル基は、アミン基、アミド基、エーテル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、若しくはカルボキシル基、又はこれらの組み合わせによって置換されているアルキル基を含む。
【0128】
R40及びR41は、独立して、H、置換又は非置換のC1~C2アルキル基から選択され得る。Xは直接結合であってもよく、R40及びR41は、独立して、H、置換又は非置換のC1~C2アルキル基から選択されてもよい。R42及びR43は、独立して、H、置換又は非置換のC1~C2アルキル基、メチル、エトキシ、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシメチルから選択され得る。
【0129】
本発明の非環状ポリアミドは、式LV若しくは式LVIの繰り返し単位の大部分を含み得るか、又は非環状ポリアミドは、少なくとも約70モル%、及び少なくとも80モル%など、式G若しくは式G1の繰り返し単位の少なくとも50モル%を含み得る。式G及び式G1の繰り返し単位の具体的な例としては、式G2及びG3のN-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N-メチル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-2-メチル-プロピオンアミド、N-ビニル-N,N’-ジメチル尿素、N,N-ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミド、並びに非環式アミドに由来する繰り返し単位を含み、
【0130】
【0131】
環状ポリアミドを形成するために使用され得る好適な環状アミドの例としては、α-ラクタム、β-ラクタム、γ-ラクタム、δ-ラクタム、及びε-ラクタムが挙げられる。好適な環状ポリアミドの例としては、式G4:
【0132】
【化4】
(式中、R
45は、水素原子又はメチル基であり;fは、1~10の数であり;Xは直接結合、-(CO)-、又は-(CONHR
46)-であり、R
46はC
1~C
3アルキル基である)の繰り返し単位を含むポリマー及びコポリマーが挙げられる。式LIX中、fは、7、6、5、4、3、2、又は1を含む、8以下であり得る。式G4中、fは、5、4、3、2、又は1を含む、6以下であり得る。式G4中、fは、2、3、4、5、6、7、又は8を含む、2~8であり得る。式LIX中、fは、2又は3であり得る。Xが直接結合のとき、fは、2であり得る。かかる事例において、環状ポリアミドは、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone、PVP)であり得る。
【0133】
本発明の環状ポリアミドは、式G4の繰り返し単位の50モル%以上を含んでもよく、又は環状ポリアミドは、少なくとも70モル%、及び少なくとも80モル%など、式G4の繰り返し単位の少なくとも50モル%を含んでもよい。
【0134】
ポリアミドはまた、環状アミド及び非環状アミドの両方の繰り返し単位を含むコポリマーであってもよい。追加の繰り返し単位は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、他の親水性モノマー、及びシロキサン置換(メタ)アクリレートから選択されるモノマーから形成され得る。好適な親水性モノマーとして列挙されるモノマーのいずれも、追加の繰り返し単位を形成するためにコモノマーとして使用され得る。ポリアミドを形成するために使用され得る追加のモノマーの具体的な例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、アクリロニトリル、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなど、並びにこれらの混合物が挙げられる。イオン性モノマーも含まれ得る。イオン性モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、N-[(エテニルオキシ)カルボニル]-β-アラニン(VINAL、CAS#148969-96-4)、3-アクリルアミドプロパン酸(ACA1)、5-アクリルアミドプロパン酸(ACA2)、3-アクリルアミド-3-メチルブタン酸(AMBA)、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド(Q塩又はMETAC)、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、1-プロパンアミニウム,N-(2-カルボキシエチル)-N,N-ジメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]-、分子内塩(CBT、カルボキシベタイン;CAS 79704-35-1)、1-プロパンアミニウム,N,N-ジメチル-N-[3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]プロピル]-3-スルホ-,分子内塩(SBT、スルホベタイン、CAS 80293-60-3)、3,5-ジオキサ-8-アザ-4-ホスファウンデカ-10-エン-1-アミニウム,4-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチル-9-オキソ-,分子内塩,4-オキシド(9CI)(PBT、ホスホベタイン、CAS 163674-35-9、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、3-(ジメチル(4-ビニルベンジル)アンモニオ)プロパン-1-スルホナート(DMVBAPS)、3-((3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホナート(AMPDAPS)、3-((3-メタクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホナート(MAMPDAPS)、3-((3-(アクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホナート(APDAPS)、メタクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホナート(MAPDAPS)が挙げられる。
【0135】
反応性モノマー混合物は、非環状ポリアミド及び環状ポリアミドの両方又はそれらのコポリマーを含んでもよい。非環状ポリアミドは、本明細書に説明される非環状ポリアミド又はこれらのコポリマーのいずれかであり得、環状ポリアミドは、本明細書に説明される環状ポリアミド又はこれらのコポリマーのいずれかであり得る。ポリアミドは、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルメチルアセトアミド(polyvinylmethyacetamide)(PVMA)、ポリジメチルアクリルアミド(PDMA)、ポリビニルアセトアミド(PNVA)、ポリ(ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド)、ポリアクリルアミド、並びにこれらのコポリマー及び混合物の群から選択され得る。ポリアミドは、PVP(例えば、PVP K90)とPVMA(例えば、約570KDaのMwを有する)の混合物であってよい。
【0136】
反応性モノマー混合物中の全てのポリアミドの総量は、あらゆる場合において、反応性モノマー混合物の反応性成分の総重量に基づいて、1重量%~約15重量%の範囲内、及び約5重量%~約15重量%の範囲内など、1重量%~約35重量%の範囲内であり得る。
【0137】
理論に束縛されるものではないが、シリコーンヒドロゲルと共に使用されるとき、ポリアミドは内部湿潤剤として機能する。本発明のポリアミドは、非重合性であってもよく、この場合、半相互貫入ネットワークとしてシリコーンヒドロゲル内に組み込まれる。ポリアミドは、シリコーンヒドロゲル内に封入されるか、又は物理的に保持される。代替的に、本発明のポリアミドは、例えば、ポリアミドマクロマー又はプレポリマーとして重合性であり得、この場合、シリコーンヒドロゲル内に共有結合的に組み込まれる。重合性及び非重合性のポリアミドの混合物もまた使用され得る。
【0138】
ポリアミドが反応性モノマー混合物内に組み込まれているとき、ポリアミドは、少なくとも100,000ダルトン、約150,000超、約150,000~約2,000,000ダルトン、約300,000ダルトン~約1,800,000ダルトンの重量平均分子量を有し得る。反応性モノマー混合物と相溶性である場合、高分子量ポリアミドを使用することができる。
【0139】
架橋剤
概して、架橋モノマー、多官能性マクロマー、及びプレポリマーとも称される1つ以上の架橋剤を反応性モノマー混合物に添加することが望ましい。架橋剤は、二官能性架橋剤、三官能性架橋剤、四官能性架橋剤、及びこれらの混合物から選択されてもよく、これにはシリコーン含有架橋剤及び非シリコーン含有架橋剤が含まれる。非シリコーン含有架橋剤としては、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、テトラエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)、トリアリルシアヌレート(TAC)、グリセロールトリメタクリレート、メタクリルオキシエチルビニルカーボネート(HEMAVc)、アリルメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド(MBA)、及びポリエチレングリコールジメタクリレートが挙げられ、ポリエチレングリコールは、最大約5000ダルトンの分子量を有する。架橋剤は、通常の量、例えば、反応性配合物100グラム当たり約0.000415~約0.0156モルで反応性モノマー混合物中に用いられる。代替的に、親水性モノマー及び/又はシリコーン含有成分が分子設計により、又は不純物のために多官能性である場合、反応性モノマー混合物への架橋剤の添加は、任意選択である。架橋剤として作用することができ、存在する場合に反応性モノマー混合物への追加の架橋剤の添加を必要としない親水性モノマー及びマクロマーの例としては、(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミドでエンドキャップされたポリエーテルが挙げられる。他の架橋剤は当業者に既知となり、本発明のシリコーンヒドロゲルを作製するために使用され得る。
【0140】
配合物中の他の反応性成分のうちの1つ以上に対して同様の反応性を有する架橋剤を選択することが望ましい場合がある。場合によっては、得られるシリコーンヒドロゲルのいくらかの物理的、機械的、又は生物学的特性を制御するために、異なる反応性を有する架橋剤の混合物を選択することが望ましい場合がある。シリコーンヒドロゲルの構造及び形態は、使用される希釈剤(複数可)及び硬化条件によっても影響を受け得る。
【0141】
弾性率を更に増加させ、引張強度を維持するために、マクロマー、架橋剤、及びプレポリマーを含む、多官能性シリコーン含有成分も含まれ得る。シリコーン含有架橋剤は、単独で、又は他の架橋剤と組み合わせて使用され得る。架橋剤として作用することができ、存在する場合に反応性モノマー混合物への架橋モノマーの添加を必要としないシリコーン含有成分の例としては、α,ω-ビスメタクリロイルプロピル(bismethacryloxypropyl)ポリジメチルシロキサンが挙げられる。別の例は、ビス-3-アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン(ac-PDMS)である。
【0142】
硬い化学構造、及びフリーラジカル重合を受ける重合性基を有する架橋剤もまた使用され得る。好適な硬い構造の非限定的な例としては、1,4-フェニレンジアクリレート、1,4-フェニレンジメタクリレート、2,2-ビス(4-メタクリルオキシフェニル)-プロパン、2,2-ビス[4-(2-アクリルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン、及び4-ビニルベンジルメタクリレート、並びにこれらの組み合わせなど、フェニル及びベンジル環を含む架橋剤が挙げられる。硬い架橋剤は、全反応性成分の総重量に基づき、約0.5~約15、又は約2~10、3~7の量で含まれ得る。本発明のシリコーンヒドロゲルの物理的及び機械的特性は、反応性モノマー混合物中の成分を調整することによって特定の用途に最適化され得る。
【0143】
シリコーン架橋剤の非限定的な例としては、上記表Cに記載の多官能性シリコーン含有成分も挙げられる。
【0144】
更なる構成成分
反応性モノマー混合物は、希釈剤、開始剤、UV吸収剤、可視光吸収体、フォトクロミック化合物、医薬品、栄養補助剤、抗菌物質、着色剤、顔料、共重合性染料、非重合性染料、離型剤、及びこれらの組み合わせなどであるが、これらに限定されない、追加の成分を含有し得る。
【0145】
シリコーンヒドロゲル反応性モノマー混合物用の好適な希釈剤の種類には、2~20個の炭素原子を有するアルコール、一級アミンから誘導される10~20個の炭素原子を有するアミド、及び8~20個の炭素原子を有するカルボン酸が挙げられる。希釈剤は、一級、二級及び三級アルコールであり得る。
【0146】
概して、反応性成分は、希釈剤中で混合して、反応性モノマー混合物を形成する。好適な希釈剤は、技術分野において既知である。シリコーンヒドロゲルについて、好適な希釈剤は、国際公開第03/022321号及び米国特許第6020445号に開示されており、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0147】
シリコーンヒドロゲル反応性モノマー混合物用の好適な希釈剤の種類には、2~20個の炭素を有するアルコール、一級アミンから誘導される10~20個の炭素原子を有するアミド、及び8~20個の炭素原子を有するカルボン酸が挙げられる。一級及び三級アルコールが使用され得る。好ましい種類には、5~20個の炭素を有するアルコール及び10~20個の炭素原子を有するカルボン酸が挙げられる。
【0148】
使用され得る具体的な希釈剤には、1-エトキシ-2-プロパノール、ジイソプロピルアミノエタノール、イソプロパノール、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-デカノール、1-ドデカノール、1-オクタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-オクタノール、3-メチル-3-ペンタノール、tert-アミルアルコール、tert-ブタノール、2-ブタノール、1-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-プロパノール、1-プロパノール、エタノール、2-エチル-1-ブタノール、(3-アセトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)-プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、1-tert-ブトキシ-2-プロパノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、tert-ブトキシエタノール、2-オクチル-1-ドデカノール、デカン酸、オクタン酸、ドデカン酸、2-(ジイソプロピルアミノ)エタノール、これらの混合物などが挙げられる。アミド希釈剤の例としては、N,N-ジメチルプロピオンアミド及びジメチルアセトアミドが挙げられる。
【0149】
好ましい希釈剤には、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-ドデカノール、1-デカノール、1-オクタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-オクタノール、3-メチル-3-ペンタノール、2-ペンタノール、t-アミルアルコール、tert-ブタノール、2-ブタノール、1-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、エタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-オクチル-1-ドデカノール、デカン酸、オクタン酸、ドデカン酸、これらの混合物などが挙げられる。
【0150】
より好ましい希釈剤には、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-ドデカノール、1-デカノール、1-オクタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-オクタノール、1-ドデカノール、3-メチル-3-ペンタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、t-アミルアルコール、tert-ブタノール、2-ブタノール、1-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-オクチル-1-ドデカノール、これらの混合物などが挙げられる。
【0151】
希釈剤が存在する場合、概して、希釈剤の存在量に関して特定の制限はない。希釈剤を使用するとき、希釈剤は、(反応性配合物及び非反応性配合物を含む)反応性モノマー混合物の総重量に基づいて、約5~約50重量%の範囲及び約15~約40重量%の範囲など、約2~約70重量%の範囲の量で存在し得る。希釈剤の混合物を使用してもよい。
【0152】
本発明の眼科用レンズを製造するための反応性モノマー混合物は、第1の重合開始剤及び第2の重合開始剤に加えて、上述の重合性化合物及び任意成分のいずれかを含んでもよい。
【0153】
反応性モノマー混合物は、それに化学的に結合された第1の官能性部分を有する第1の重合開始剤、第1の重合開始剤を実質的に活性化しない第2の活性化によって活性化可能な第2の重合開始剤、及び親水性成分を含んでいてもよい。
【0154】
反応性モノマー混合物は、それに化学的に結合された第1の官能性部分を有する第1の重合開始剤と、第1の重合開始剤を実質的に活性化しない第2の活性化によって活性化可能な第2の重合開始剤と、親水性成分と、DMA、NVP、HEMA、VMA、NVA、メタクリル酸、及びそれらの混合物から選択される親水性成分と、を含んでいてもよい。HEMA及びメタクリル酸の混合物が好ましい。
【0155】
反応性モノマー混合物は、それに化学的に結合された第1の官能性部分を有する第1の重合開始剤と、第1の重合開始剤を実質的に活性化しない第2の活性化によって活性化可能な第2の重合開始剤と、親水性成分と、親水性成分と、シリコーン含有成分と、を含んでいてもよい。
【0156】
反応性モノマー混合物は、それに化学的に結合した第1の官能性部分を有する第1の重合開始剤と、第1の重合開始剤を実質的に活性化しない第2の活性化によって活性化可能な第2の重合開始剤と、親水性成分と、DMA、HEMA及びそれらの混合物から選択される親水性成分と、を含んでいてもよい。2-ヒドロキシ-3-[3-メチル-3,3-ジ(トリメチルシロキシ)シリルプロポキシ]-プロピルメタクリレート(SiMAA)、モノ-メタクリルオキシプロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(mPDMS)、モノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(OH-mPDMS)、及びこれらの混合物から選択されるシリコーン含有成分と、湿潤剤(好ましくはPVP又はPVMA)と、を含み得る。親水性成分については、DMA及びHEMAの混合物が好ましい。シリコーン含有成分については、SiMAA及びmPDMSの混合物が好ましい。
【0157】
反応性モノマー混合物は、それに化学的に結合された第1の官能性部分を有する第1の重合開始剤と、第1の重合開始剤を実質的に活性化しない第2の活性化によって活性化可能な第2の重合開始剤と、親水性成分と、DMA及びHEMAの混合物を含む親水性成分と、を含んでいてもよい。2~20個の繰り返し単位を有するOH-mPDMSの混合物(好ましくは4個及び15個の繰り返し単位の混合物)を含むシリコーン含有成分と、を含み得る。好ましくは、反応性モノマー混合物は、ac-PDMSなどのシリコーン含有架橋剤を更に含む。また好ましくは、反応性モノマー混合物は、湿潤剤(好ましくはDMA、PVP、PVMA、又はこれらの混合物)を含有する。
【0158】
反応性モノマー混合物は、それに化学的に結合された第1の官能性部分を有する第1の重合開始剤と、第1の重合開始剤を実質的に活性化しない第2の活性化によって活性化可能な第2の重合開始剤と、親水性成分;約1~約15重量%の少なくとも1つのポリアミド(例えば、非環状ポリアミド、環状ポリアミド、又はこれらの混合物)と、4~8個のシロキサン繰り返し単位を有する少なくとも1つの第1の単官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)(例えば、OH-mPDMS(式中、nは4~8であり、好ましくはnは4である))と、10~200個、又は10~100個、又は10~50個、又は10~20個のシロキサン繰り返し単位を有する単官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)である少なくとも1つの第2のヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)(例えば、OH-mPDMS(式中、nは10~200、又は10~100、又は10~50、又は10~20であり、好ましくはnは15である)と、約5~約35重量%の少なくとも1つの親水性モノマーと、任意選択的に、10~200個又は10~100個のシロキサン繰り返し単位を有する多官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)(例えば、ac-PDMS)と、を含み得る。好ましくは、第1の単官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)及び第2のヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)は、0.4~1.3又は0.4~1.0の第1の単官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)の重量%の第2のヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)の重量%に対する比を提供するような濃度で存在する。
【0159】
反応性モノマー混合物は、それに化学的に結合された第1の官能性部分を有する第1の重合開始剤と、第1の重合開始剤を実質的に活性化しない第2の活性化によって活性化可能な第2の重合開始剤と、親水性成分と、DMAのような親水性成分と、を含んでいてもよい。表Bの化合物8((TRIS)などのシリコーン含有成分、表Cの化合物42などのシリコーンマクロマー、を含んでもよい。
【0160】
反応性モノマー混合物は、それに化学的に結合された第1の官能性部分を有する第1の重合開始剤と、第1の重合開始剤を実質的に活性化しない第2の活性化によって活性化可能な第2の重合開始剤と、親水性成分と、DMA及び/又はNVPのような親水性成分;表Bの化合物14(TRIS-Am)などのシリコーン含有成分、表Cの化合物43(IEM-PDMS-IPDI-PDMS-IPDI-PDMS-IEM)などのシリコーンマクロマーを含んでもよい。
【0161】
反応性モノマー混合物は、それに化学的に結合した第1の官能性部分を有する第1の重合開始剤と、第1の重合開始剤を実質的に活性化しない第2の活性化によって活性化可能な第2の重合開始剤と、親水性成分と、VMAなどの親水性成分と、表Cの化合物35などのシリコーンマクロマーと、を含んでいてもよい。
【0162】
反応性モノマー混合物は、それに化学的に結合された第1の官能性部分を有する第1の重合開始剤と、第1の重合開始剤を実質的に活性化しない第2の活性化によって活性化可能な第2の重合開始剤と、親水性成分と、VMA及び/又はNVPのような親水性成分;表Cの化合物28(例えば、j2が約16である場合)などのシリコーン含有成分、表Cの化合物35などのシリコーンマクロマーを含んでもよい。
【0163】
反応性モノマー混合物は、それに化学的に結合された第1の官能性部分を有する第1の重合開始剤と、第1の重合開始剤を実質的に活性化しない第2の活性化によって活性化可能な第2の重合開始剤と、親水性成分と、VMA及び/又はNVPのような親水性成分;表Bの化合物18(例えば、j2が約4である場合)などのシリコーン含有成分、表Cの化合物41などのシリコーンマクロマーを含んでもよい。
【0164】
前述の反応性モノマー混合物は、内部湿潤剤、架橋剤、他のUV又はHEV吸収剤、及び希釈剤などであるが、これらに限定されない任意選択の成分を含有していてもよい。更に、前述の反応性モノマー混合物から作製される眼科用レンズは、プラズマ処理、コーティング(米国特許第8480227号に記載されるようなパッケージ内コーティング(IPC)など)等の適用等を含むが、これらに限定されない、更なる処理を受けてもよい。
【0165】
次いで、形成されたレンズ物体は、機械的手段、溶媒膨潤、又はそれらの組み合わせによって型半体から除去され得、次いで、未反応の第1の重合開始剤を除去するために抽出プロセスを受ける。未反応の第1の重合開始剤を除去するための抽出プロセスは、完全であっても不完全であってもよい。ある場合には、全ての未反応の第1の重合開始剤の除去は、所望の特徴又は光学的効果を作り出すために必要とされない。他の場合において、抽出プロセスは、未反応の第1の重合開始剤の一部のみを除去し、より低い濃度の第1の重合開始剤を使用する任意選択の照射工程を可能にする。或いは、抽出プロセスは、未反応の第1の重合開始剤の実質的に全てを除去することができる。未反応の第1の重合開始剤を除去した後、他の反応性モノマー成分を除去するためのレンズ抽出及びレンズ水和の標準的な後処理工程を行って、最終的な眼科用レンズを形成することができる。いくつかの例において、水性アルコール、水、及び緩衝液を使用するレンズ抽出及び水和の標準的な後処理工程はまた、未反応の第1の重合開始剤を抽出し得、それによって、2つ以上の抽出工程を1つの操作に組み合わせる。
【0166】
水溶液は、水を含む溶液である。本発明の水溶液は、少なくとも約20重量%の水、又は少なくとも約50重量%の水、又は少なくとも約70重量%の水、又は少なくとも約95重量%の水を含み得る。水溶液はまた、無機塩又は離型剤、湿潤剤、スリップ剤、医薬成分及び栄養補助剤、これらの組み合わせなどの追加の水溶性配合物を含んでもよい。離型剤は、化合物又は化合物の混合物であり、これは、水と組み合わせると、離型剤を含まない水溶液を使用してコンタクトレンズを取り外すのに必要な時間と比較した場合、型からコンタクトレンズを取り外すのに必要な時間が減少する。水溶液は、精製、再利用又は特別な廃棄処理などの特別な取り扱いを必要としない場合がある。
【0167】
抽出は、例えば、水溶液中にこのレンズを浸漬すること、又は水溶液の流れにレンズを曝露することを介して行うことができる。抽出はまた、例えば、水溶液を加熱することと、水溶液を撹拌することと、水溶液の離型剤の濃度を、レンズの離型が生じるのに十分なレベルにまで増大させることと、レンズの機械的撹拌又は超音波撹拌と、少なくとも1種の洗脱又は抽出助剤を水溶液に取り入れて、未反応成分をレンズから適切に除去することを容易にするのに十分な濃度にすることと、のうちの1つ以上を含み得る。熱、振動又はその両方の追加の有無にかかわらず、前述は、バッチプロセス又は連続プロセスで行われてもよい。
【0168】
浸出及び離型を促進するために、物理的撹拌の適用が望ましい場合がある。例えば、レンズが付着しているレンズ型部分は、水溶液中で振動させるか又は前後運動させることができる。他の方法には、超音波を水溶液に通すことが含まれてもよい。
【0169】
レンズは、限定されないが高圧蒸気処理などの既知の手段により殺菌してもよい。
【0170】
上記のように、好ましい眼科用レンズは、コンタクトレンズであり、より好ましくはソフトヒドロゲルコンタクトレンズである。本発明によるシリコーンヒドロゲル眼科用レンズ(例えば、コンタクトレンズ)は、好ましくは、以下の特性を示し得る。全ての値の前には「約」が付き、この装置は、列挙する性質の任意の組み合わせを有することができる。特性は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許付与前公開第20180037690号に記載されているように、当業者に既知の方法によって決定することができる。
【0171】
水濃度%:少なくとも20%、又は少なくとも25%かつ最大80%、又は最大70%
ヘイズ:30%以下、又は10%以下
前進動的接触角(ウィルヘルミープレート法):100°以下、若しくは80°以下、又は50°以下
引張弾性率(psi):120以下、又は80~120
酸素透過性(Dk、バーラー):少なくとも80、又は少なくとも100、又は少なくとも150、又は少なくとも200
破断伸び:少なくとも100
【0172】
イオン性シリコーンヒドロゲルに関しては、(前述したものに加えて)以下の性質もまた好ましい場合がある:
リゾチーム取り込み(μg/レンズ):少なくとも100、又は少なくとも150、又は少なくとも500、又は少なくとも700
ポリクオタニウム1(PQ1)取り込み(%):15以下、又は10以下、又は5以下
本発明のいくつかの実施形態を、以下の実施例にて詳細に記述する。
【実施例】
【0173】
以下の略語は、実施例及び図面を通して使用され、以下の意味を有する。
DMA:N,N-ジメチルアクリルアミド(Jarchem)
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート(Bimax)
PVP K12、PVP K30、PVP K90:ポリ(N-ビニルピロリドン)(ISP Ashland)
TEGDMA:テトラエチレングリコールジメタクリレート(Esstech)
Omnirad 819:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(IGM Resins)
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル[CAS 78-67-1]
SiMAA:2-プロペン酸、2-メチル-2-ヒドロキシ-3-[3-[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル(Toray)、又は3-(3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロポキシ)-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート
HO-mPDMS:モノ-n-ブチル末端モノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピルオキシ)-プロピル末端ポリジメチルシロキサン(Mn=1400ダルトン、n=15)(Ortec又はDSM-Polymer Technology Group)
【0174】
【化5】
Norbloc:2-(2’-ヒドロキシ-5-メタクリリルオキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(Janssen)
Blue HEMA:1-アミノ-4-[3-(4-(2-メタクリロイルオキシ-エトキシ)-6-クロロトリアジン-2-イルアミノ)-4-スルホフェニルアミノ]アントラキノン-2-スルホン酸(米国特許第5,944,853号に記載)
ホウ酸緩衝充填溶液:18.52グラム(300mmol)のホウ酸、3.7グラム(9.7mmol)のホウ酸ナトリウム十水和物、及び28グラム(197mmol)の硫酸ナトリウムを、2リットルのメスフラスコを満たすのに十分な脱イオン水に溶解させた。
D3O:3,7-ジメチル-3-オクタノール(Vigon)
HCl:塩酸
IPA:2-プロパノール
ACN:アセトニトリル
THF:テトラヒドロフラン
PEO:ポリエチレンオキシド
DMF:ジメチルホルムアミド
DCM:ジクロロメタン
PP:プロピレンのホモポリマーであるポリプロピレン
TT:水添スチレンブタジエンブロックコポリマーであるTuftec(Asahi Kasei Chemicals)
Z:ポリシクロオレフィン熱可塑性ポリマーであるZeonor(Nippon Zeon Co Ltd)
LED:発光ダイオード
1N NMR:プロトン核磁気共鳴分光法
UV-VIS:紫外線-可視分光法
TLC:薄層クロマトグラフィー
ID:内径
L:リットル
mL:ミリリットル
mM:ミリモル
M:モル
Equiv.又はeq.:当量
kg:キログラム
g:グラム
mg:ミリグラム
mol:モル
mmol:ミリモル
min:分
mm:ミリメートル
cm:センチメートル
μm:マイクロメートル
nm:ナノメートル
mW:ミリワット
mJ:ミリジュール
Pa:パスカル
PSI:平方インチあたりのポンド
Abs:吸収量
%T:透過率パーセント
MAPO:モノアシルホスフィンオキシド
DMD:デジタルマイクロミラー装置
【0175】
実施例
調製1-スキームAに示すモノアシルホスフィンオキシド一末端ポリ(N-ビニルピロリドン)(MAPO-PVP)の合成。
【0176】
還流冷却器を取り付けた三つ口丸底フラスコに、N-ビニルピロリドン(20.0グラム)、エタノール(41.0グラム)及びOmnirad 819(1.0グラム)を黄色灯下で装入し、脱気し、窒素下65℃で加熱した。次いで、約1.22mW/cm
2の強度を有する435nm LED光を用いて反応混合物に30分間照射した。反応混合物を空気中でクエンチし、室温に冷却した。溶媒を減圧下で除去し、続いて冷ジエチルエーテル中で沈殿させ、濾過して、白色固体を得た。白色固体をジエチルエーテル(50mL)に懸濁し、30分間撹拌し、再濾過した。次いで、生成物(「MAPO-PVP」)をジエチルエーテル(3×50mL)で洗浄し、風乾して、白色粉末(16.0グラム、収率80%)を得た。ポリマー構造を、酸化ジュウテリウムにおける500MHz
1H-NMR分光法によって特徴付けた。
図4を参照されたい。分子量及びその分布を、PVP K12-K90の市販のサンプルに対して、粘度比較及びサイズ排除多角度光散乱(SEC-MALS)によって決定した。生成物「MAPO-PVP」は、スキームAに示されるように、モノアシルホスフィンオキシド末端PVP及びモノアシル末端PVPの混合物であることに留意されたい。モノアシル基のタイプは、共重合に使用されるビスアシルホスフィンオキシド開始剤のタイプに依存する;開始剤が2つの異なるアシル基を有する場合、「MAPO-PVP」は、2つのモノアシルホスフィンオキシド末端PVPと2つのモノアシル末端PVPとの混合物である。これらの材料を貯蔵中の周囲光から保護することが重要である。MAPO-PVPは、表Aの第1の式の一例である。
【0177】
【0178】
粘度測定は、CP50-1コーン及びプレートを使用してAnton-Paarレオメーターで、1秒-1~500秒-1の剪断速度、400秒の実行時間で、室温で行い、10秒ごとにデータを収集した。測定は二重に行い、平均した。粘度結果を表1に示す。粘度データは、MAPO-PVPがPVP K30の粘度よりわずかに大きい粘度を示すことを示した。
【0179】
【0180】
ポリマー分子量を、PVP K12及びPVP K30の市販サンプルの分子量に対する、多角度光散乱を用いたサイズ排除クロマトグラフィー(SEC-MALS)によって決定した。SEC-MALSセットアップでは、40℃で0.3mL/分の流量で、脱イオン水(v/v)中20% ACN(50mM Na
2SO
4を含む)を移動相として使用し、3本のTosoh Biosciences TSKゲルカラムに、直列で(SuperAW3000 4μm、6.0mmID×15cm(PEO/DMF排除限界=60,000グラム/モル)、SuperAW4000 6μm、6.0mmID×15cm(PEO/DMF排除限界=400,000グラム/モル)及びSuperAW5000 7μm、6.0mmID×15cm(PEO/DMF排除限界=4,000,000グラム/モル))を、オンラインAgilent 1200 UV/VISダイオードアレイ検出器、Wyatt Optilab rEX干渉屈折計及びWyatt mini-DAWN Treos多角度レーザー散乱(MALS)検出器(λ=658nm)と共に用いる。分子量及び多分散度データは、Wyatt ASTRA 6.1.1.17 SEC/LSソフトウェアパッケージを使用して計算した。
図5に、PVP K12、PVP K30、及びMAPO-PVPのSEC-MALSクロマトグラムを示す。PVP K30及びMAPO-PVPのクロマトグラムは類似しているため、PVP K30及びMAPO-PVPは類似の分子量分布を有すると推測された。
【0181】
調製例2-モノアシルホスフィンオキシド一末端ポリ(N,N-ジメチルアクリルアミド)(MAPO-PDMA)の合成:還流冷却器を取り付けた三つ口丸底フラスコに、N,N-ジメチルアクリルアミド(11.0グラム)、エタノール(11.0グラム)及びOmnirad 819(400ミリグラム)を黄色灯下で装入し、脱気し、窒素下75℃で加熱した。次いで、約1.22mW/cm
2の強度を有する435nm LED光を用いて反応混合物に20分間照射した。次いで、反応物を空気中でクエンチし、室温に冷却した後、冷ジエチルエーテル中で沈殿させて白色固体を得、これをメタノールに再溶解し、ジエチルエーテルで沈殿させた。この沈殿プロセスをもう一度繰り返して、白色固体を得た(収率65%)。MAPO-PDMAを、重水素化メタノールにおける500MHz
1H-NMR分光法によって特徴付けた。
図6を参照されたい。
【0182】
ポリマー分子量を、多角度光散乱を用いたサイズ排除クロマトグラフィー(SEC-MALS)によって決定した。SEC-MALSセットアップでは、50℃で0.6mL/分の流量で、メタノール(10mM LiBrを含む)を移動相として使用し、3本のTosoh Biosciences TSKゲルカラムに、直列で(SuperAW3000 4μm、6.0mmID×15cm(PEO/DMF排除限界=60,000グラム/モル)、SuperAW4000 6μm、6.0mmID×15cm(PEO/DMF排除限界=400,000グラム/モル)及びSuperAW5000 7μm、6.0mmID×15cm(PEO/DMF排除限界=4,000,000グラム/モル))を、オンラインAgilent 1200 UV/VISダイオードアレイ検出器、Wyatt Optilab rEX干渉屈折計及びWyatt mini-DAWN Treos多角度レーザー散乱(MALS)検出器(λ=658nm)と共に用いる。30℃(λ=658nm)における0.183mL/gのdη/dc値は、絶対分子量決定に使用した。絶対分子量及び多分散度データは、Wyatt ASTRA 6.1.1.17 SEC/LSソフトウェアパッケージを使用して計算した。数平均分子量は、56,500グラム/モルであると決定され;重量平均分子量は、96,100グラム/モルであると決定され;結果として1.6の多分散性指数[Mw/Mn]が得られた。
【0183】
調製例3(予測的)-モノアシルホスフィンオキシド一末端ポリ(N-ビニルピロリドン-コ-N,N-ジメチルアクリルアミド)の合成:還流冷却器を取り付けた三つ口丸底フラスコに、N-ビニルピロリドン(10.0グラム)、N,N-ジメチルアクリルアミド(10.0グラム)、エタノール(41.0グラム)及びOmnirad 819(1.0グラム)を黄色灯下で装入し、脱気し、窒素下65℃で加熱する。次いで、約1.22mW/cm2の強度を有する435nm LED光を用いて反応混合物に30分間照射する。反応混合物を空気中でクエンチし、室温に冷却する。溶媒を減圧下で除去し、続いて冷ジエチルエーテル中で沈殿させ、濾過して、白色固体を得る。白色固体をジエチルエーテル(50mL)に懸濁し、30分間撹拌し、再濾過する。次いで、生成物(「MAPO-ポリ[NVP-co-DMA]」)をジエチルエーテル(3×50mL)で洗浄し、風乾して白色粉末を得る。
【0184】
実施例4-スキームBに示される光開始剤-染料(「PI-Dye1」)の合成。
【0185】
1-(3-(ベンジルオキシ)フェニル)-N,N,N’,N’-テトラエチルホスファンジアミンの合成:ヘキサン中の2.5Mn-ブチルリチウム(42.0mL、105.0mmol、1.05当量)を、THF(200mL)中の1-(ベンジルオキシ)-3-ブロモベンゼン(26.3グラム、100.0mmol、1.00当量)の溶液に-78℃で滴下添加した。2時間撹拌した後、1-クロロ-N,N,N’,N’-テトラエチル-ホスファンジアミン(22mL、105.0mmol、1.05当量)を、-70℃未満の反応温度を維持しながら、反応混合物に滴下添加した。反応物を室温に加温し、一晩撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、水(20mL)で希釈した。反応混合物を減圧下で濃縮し、体積を約50mLとした。残留物質をメチルtert-ブチルエーテル(350mL)及び水(100mL)で希釈した。層を分離し、水層をメチルtert-ブチルエーテル(2×250mL)で抽出した。合わせた有機層を水(2×150mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、1-(3-(ベンジルオキシ)フェニル)-N,N,N’,N’-テトラエチルホスファンジアミン(36.0グラム、定量的収率)を無色油状物として生成し、これを更に精製することなく次の工程で使用した。
【0186】
(3-(ベンジルオキシ)フェニル)ジクロロホスファンの合成:ジエチルエーテル中の2.0M HCl(200mL、400.0mmol、4.0当量)を、無水ジエチルエーテル(400mL)中の1-(3-(ベンジルオキシ)フェニル)-N,N,N’,N’-テトラエチルホスファンジアミン(36.0グラム、100.0mmol、1.0当量)の溶液に0℃で添加した。反応混合物を室温にゆっくり加温し、一晩撹拌した。得られた懸濁液を、窒素下でセライト(80.0グラム)のプラグを通して濾過し、次いでこれを無水ジエチルエーテル(2×100mL)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、窒素で覆って、(3-(ベンジルオキシ)フェニル)ジクロロホスファン(22.0グラム、77%収率)を黄色油として得て、これを更に精製することなく続いて使用した。注:無水ジエチルエーテル(250mL)及びNMR溶媒を、使用前に窒素で15分間スパージした。
【0187】
((3-(ベンジルオキシ)フェニル)ホスホリル)ビス(メシチルメタノン)の合成:2,4,6-トリメチルベンゾイルクロライド(31.0mL、185.0mmol、2.4当量)を、室温で無水エチルアセテート(150mL)中の亜鉛末(12.1グラム、185.0mmol、2.4当量)の懸濁液に添加した。反応混合物を周囲光曝露から遮蔽した。無水酢酸エチル(100mL)中の(3-(ベンジルオキシ)フェニル)ジクロロホスファン(22.0グラム、77.0mmol、1.0当量)の溶液を、室温で反応混合物に滴下添加した。室温で24時間撹拌した後、反応物を0℃に冷却し、重炭酸ナトリウム(15.6グラム、185.0mmol、2.4当量)を一度に添加し、続いて反応温度を5℃未満に維持しながら30%過酸化水素水溶液(11.0mL、93.0mmol、1.2当量)を40分かけて滴下添加した。反応混合物を1時間撹拌し、水(100mL)で希釈した。不溶性物質を砂(50.0グラム)のプラグを通して濾過することにより除去し、これを酢酸エチル(300mL)で洗浄した。層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(3×300mL)。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物をジクロロメタン(150mL)に再溶解し、セライト(80グラム)に吸収させ、Biotage自動クロマトグラフィーシステム(2×200グラムBiotageシリカゲルカラム)で精製し、毎回ヘプタン中0~50%エチルアセテートの勾配で溶出して、(3-(ベンジルオキシ)フェニル)ホスホリル)ビス(メシチルメタノン)(10.3グラム、収率25%)を黄色半固体として得た。注:無水酢酸エチル(250mL)を使用前に窒素で30分間スパージした。
【0188】
((3-ヒドロキシフェニル)ホスホリル)ビス(メシチルメタノン)の合成:メタノール(180mL)及びエチルアセテート(720mL)の混合物中の(3-(ベンジルオキシ)フェニル)ホスホリル)ビス(メシチルメタノン)(7.7グラム、15.0mmol、1当量)の溶液を、メタノール(10mL)中のパラジウム担持炭(10重量%充填、2.2グラム、2.1mmol、0.15当量)の懸濁液に添加した。反応混合物をParr振盪反応器中25psiで24時間水素化した。反応混合物をCelite(100グラム)のパッドで濾過し、Celiteを酢酸エチル(2×500mL)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、ジクロロメタン(150mL)に再溶解し、セライト(80グラム)に吸収させ、Biotage自動クロマトグラフィーシステム(200グラム、Biotageシリカゲルカラム、次いで50グラムのBiotage高性能シリカゲルカラム)で精製し、毎回ヘプタン中10~50%エチルアセテートの勾配で溶出して、((3-ヒドロキシフェニル)ホスホリル)ビス(メシチルメタノン):(3.7グラム、収率58%)を淡黄色固体として得た。1H-NMR(400MHz、CDCl3):δ9.01(brs、1H)、7.80(ddd、J=1.4、2.3、12.7Hz、1H)、7.22-7.16(m、1H)、7.15-7.09(m、1H)、6.99-6.95(m、1H)、6.77(s、4H)、2.24(s、6H)、2.10(s、12H)。31P NMR(162MHz、CDCl3)δ 6.82(s、1P)。
【0189】
N,N’-(9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-1,4-ジイル)ビス(3-クロロプロパンアミド)の合成:40mLのトルエン中の1,4-ジアミノアントラセン-9,10-ジオン(1.2グラム、5.04mmol、1.0当量)の冷却溶液(0℃、氷浴)に、トルエン(50mL)及びトリエチルアミン(1.55mL、11.09mmol、2.2当量)中の塩化3-クロロプロピオニル(4.8mL、50.37mmol、10.0当量)の溶液は、溶液を室温で15時間撹拌しながら添加し、続いて1時間還流した(反応の完了をTLCで監視した)。固体を濾過により除去し、残渣をトルエンで洗浄した。濾液を3%塩化ナトリウム水溶液で抽出し、有機物を減圧下で濃縮した。生成物を酢酸エチル-n-ヘキサンで赤色固体として沈殿させた(収率98%)。1H-NMR(500MHz、CDCl3):δ12.8(m、2H)、9.2(m、2H)、8.3(m、2H)、7.8(m、2H)、3.9(t、J=6.0Hz、4H)、3.0(t、J=6.0Hz、4H)。
【0190】
N,N’-(9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-1,4-ジイル)ビス(3-(3-(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスホリル)フェノキシ)プロパンアミド)(「PI-色素1」)の合成:(3-ヒドロキシフェニル)ホスホリル)ビス(メシチルメタノン)(0.21グラム、0.48mmol、2.0当量)及びN,N’-(9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-1,4-ジイル)ビス(3-クロロプロパンアミド)(0.10グラム、0.24mmol、1.0当量)をジメチルスルフォキシド(5mL)に溶解した。炭酸カリウム(0.07グラム、0.50mmol、2.1当量)を加え、反応混合物を80℃で6時間加熱した(光曝露から保護し、TLCで反応の完了をモニターした)。反応混合物を室温に冷却し、水(15mL)を加え、ジクロロメタン(2×25mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を水(1×15mL)、ブライン(1×15mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。残留物をシリカゲルカラムで精製し、n-ヘキサン中の40%エチルアセテートで溶出して、N,N’-(9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-1,4-ジイル)ビス(3-(3-(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスホリル)フェノキシ)プロパンアミド)(「PI-色素1」)を赤色半固体として得た(収率25%)。1H-NMR(500MHz、CDCl3):δ12.31(m、2H)、9.21(m、2H)、8.33(m、2H)、7.81(m、4H)、7.20-7.18(m、2H)、7.14-7.01(m、2H)、6.90~6.95(m、2H)、6.68(s、8H)、3.8(t、J=6.0Hz、4H)、3.0(t、J=6.0Hz、4H)、2.22(s)、12H)、2.10(s、24H)。31P-NMR(202MHz,CDCl3):δ 7.01(s)。
【0191】
実施例5-スキームBに示される光開始剤-染料(「PI-Dye2」)の合成。
【0192】
3-((9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-1-イル)アミノ)プロパン酸の合成:120mLの100%硫酸中の1-アミノアントラセン-9,10-ジオン(22.3グラム、75.52mmol、1.0当量)及びホウ酸(6.2グラム、100.0mmol、1.3当量)の撹拌溶液に。アクリル酸(15.0グラム、208.15mmol、2.75当量)を、温度を30℃~35℃に維持しながら徐々に添加した。次に混合物を90℃~95℃で12時間撹拌した。反応混合物を冷却し、400グラムの氷に注ぎ、それによって固体を沈殿させ、濾過し、水で洗浄し、乾燥させた。赤色固体をジクロロメタン(500mL)に懸濁させ、濾過して不溶性物質を除去した。濾液を減圧下で濃縮して、3-((9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-1-イル)アミノ)プロパン酸を赤色固体として得た(定量的収率)。1H-NMR(500MHz,CDCl3):δ 12.28(br s,1H),8.32-7.85(m,4H),7.45(m,1H),7.27(m,1H),7.11(m,1H),6.79(br s,1H),3.44(t,J=6.2Hz,2H),2.80(t,J=6.2Hz,2H)。
【0193】
3-(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスホリル)フェニル3-((9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-1-イル)アミノ)プロパノアート(「PI-Dye2」)の合成:((3-ヒドロキシフェニル)ホスホリル)-ビス(メシチルメタノン)(0.25グラム、0.58mmol、1.0当量)、3-((9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-1-イル)アミノ)プロパン酸(0.21グラム、0.64mmol、1.1当量)及びN,N-ジメチルアミノピリジン(触媒)を無水テトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、0℃(アイスバス)に冷却した。N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’--エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC-HCl、0.13グラム、0.67mmol、1.15当量)を一度に添加し、温度を0℃に維持しながら撹拌し、その後、系を窒素雰囲気下、室温で12時間撹拌した。反応が完了したら、溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を、n-ヘキサン中の30~40%酢酸エチルで溶出するシリカゲルカラムに通して、表題化合物(「PI-Dye2」)を赤色固体として得た(収率95%)。1H-NMR(500MHz,CDCl3):δ9.91(br s,1H),8.30-8.24(m,2H),7.75-7.60(m,6H),7.45-7.43(m,1H),7.37-7.35(m,1H),7.16-7.14(m,1H),6.79(s,4H),3.81(t,J=6.0Hz,2H),3.0(t,J=6.0Hz,2H),2.25(s,6H),2.14(s,12H)。31P NMR(202MHz,CDCl3)δ 4.79(s,1P)。
【0194】
溶液中の化合物の紫外線可視スペクトルを、パーキンエルマー社(Perkin Elmer)製のLambda45、又はアジレント社(Agilent)製のCary6000i UV/VIS走査型分光計で測定した。使用前に、機器を少なくとも30分間熱平衡化させた。Perkin Elmer機器では、走査範囲は200~800nmであり、走査速度は、毎分960nmであり、スリット幅は4nmであり、モードは透過又は吸光度に設定し、ベースライン補正を選択した。Cary機器では、走査範囲は200~800nmであり、走査速度は600nm/分であり、スリット幅は2nmであり、モードは透過又は吸光度であり、ベースライン補正を選択した。自動ゼロ関数を使用して試料を分析する前に、ベースライン補正を行った。
【0195】
請求された組成物から部分的に形成されたコンタクトレンズの紫外線可視スペクトルを、パッキング溶液を使用し、パーキンエルマー社製のLambda45 UV/VIS又はアジレント社製のCary6000i UV/VIS走査型分光計で測定した。使用前に、機器を少なくとも30分間熱平衡化させた。Perkin Elmer機器では、走査範囲は200~800nmであり、走査速度は、毎分960nmであり、スリット幅は4nmであり、モードを透過に設定し、ベースライン補正を選択した。ベースライン補正は、プラスチック2ピース型レンズホルダー及び同じ溶媒が入っているキュベットを使用して実施した。これらの2ピース型コンタクトレンズホルダーは、入射光ビームが横断する位置に試料を石英キュベット内に試料を保持するように設計した。参照キュベットはまた、2ピース型ホルダーも収容していた。試料の厚さが一定であることを確実にするために、全てのレンズを同一の型を使用して作製した。コンタクトレンズの中心厚さは、電子式厚さ計を使用して測定した。報告された中心厚さ及び透過率スペクトルは、3つの個々のレンズデータを平均化することによって得られる。
【0196】
キュベットの外面が完全に清潔で乾燥し、キュベット内に気泡が存在しないことを確実にすることが重要である。参照キュベット及びそのレンズホルダーが一定のままであり、全ての試料が同じ試料キュベット及びそのレンズホルダーを使用するときに、測定の再現性が改善され、キュベットの両方が器具に適切に挿入されることを確実にする。
【0197】
0.2mM DCM中のPI-Dye1及び0.2mMメタノール中のPI-Dye2のUV-VIS吸収スペクトルを
図7に示す。
【0198】
【0199】
実施例6-スキームCに示されるポリマー光開始剤-染料(「ポリPI-Dye」)(予測的)の合成。
【0200】
黄色照明下又は暗所で、2-((9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-1-イル)アミノ)エチルメタクリレート、3-(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスホリル)フェニルメタクリラート、及び任意選択で別のビニルモノマー(CH2=CXY)の混合物を、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)などの熱開始剤を使用して溶媒中で共重合させる。任意のビニルモノマーは、任意のモノマー又はマクロマーであってもよく、反応性モノマー混合物中のターポリマーの溶解度を調整するために、及び/又はペンダント染料及び開始剤部分を分配するために使用されてもよい。スキームCにおいてCH2=CXYとして示されるモノマーは、任意の1,1-二置換モノマー又はマクロマーを表し得る。しかしながら、CH2=CXYは、好ましくは、本明細書で定義される親水性モノマーであり、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルエーテル、ビニルエステル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、N-ビニルイミド、N-ビニル尿素、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。次いで、得られたコポリマーを沈殿によって単離し、洗浄し、周囲光への曝露を低減するために黄色照明下で乾燥させる。得られた固体は、使用するまで曝露から保護される。
【0201】
【0202】
実施例1(光路長の変更)
表2に記載の配合を含む反応性モノマー混合物を形成した。反応性モノマー混合物を、約15分間真空を適用することによって脱気した。次に、約100マイクロリットルの反応性モノマー混合物をZeonorベースカーブ型に分注し、その後、Zeonorフロントカーブ型をベースカーブ型上に配置した。得られた型アセンブリを
図3に示す照射ジグに移し、次いでこれを、47.5mW/cm
2の強度を有する365ナノメートルLED光源が型キャビティ内の別個の体積に向けられ、デジタル光処理チップ又はデジタルマイクロミラー装置によって変調されるコンピュータ制御光プロジェクタに接続した。
【0203】
【0204】
コンピュータ制御された光プロジェクタは、
図8に示されるUSAF 1951テスト対象を照明又は照射するようにプログラムされた。USAF 1951テストチャートは、広範囲の空間周波数及び認識可能な数字を包含する広く知られた画像であり、したがって、付与された画像プロファイルの全体的な品質を客観的に測定するための良好な基準である。型キャビティ内の反応性モノマー混合物を、700mJ/cm
2の最大エネルギー及び31.6秒の曝露時間を使用してコンピュータ制御光プロジェクタによって照射して、USAF 1951テストチャート画像プロファイルをコンタクトレンズに付与し、次いで90℃に2時間45分間加熱して、反応性モノマー混合物の残りを熱硬化させてコンタクトレンズにした。得られたレンズを、70%(v/v)水性IPA(約1時間の浸漬)を使用して取り出し、70%(v/v)水性IPAで30分間2回抽出し、脱イオン水で30分間水和し、次いで、パッキング溶液で平衡化した。最終的に水和したレンズの光学顕微鏡写真を
図9に示す。注記:コンピュータ制御光プロジェクタの正確な条件は、通常、反応性モノマー混合物の組成及び投影画像に基づいて最適化される必要がある。この最適化は、通常、型キャビティ内の反応性モノマー混合物に送達されるエネルギー[エネルギー=LED強度×DMD減衰×曝露時間]及び曝露時間を変化させることを含む。好ましくは、最適化は、最短の曝露時間で可能な限り最高の強度を使用する。
【0205】
空間分解能を向上させるために、上記の実験を、投光器照射前に90℃で5、10、及び15分間、熱予備硬化工程を用いて繰り返した。予備硬化工程は、光プロジェクタ照射前に反応性モノマー混合物の粘度を増加させ、それによって分子運動を減少させることによって画質を改善する。これらのデータに基づいて、10分間の予備硬化工程は、付与されたプロファイル画像品質及び再現性を改善するようであった。
【0206】
実施例2(光学的特徴)
実施例1は、10分間の予備硬化を使用して繰り返されるが、画像を投影する代わりに、コンピュータ制御光プロジェクタは、円形ドットのパターンを照射し、個々のドットは、異なるエネルギーレベルに曝露され、それにより、実施例1に記載されるようにレンズが離型され、抽出され、水和され、平衡化された後の体積及び屈折率の局所的な変化に起因して異なる光路のピラーを生成した。このようにして、較正曲線は、印加されたエネルギー(mJ)対デルタ光路長効果(充填溶液から空気への変換後の波の波面測定)対約100mJ未満のエネルギー曝露の各ピラー位置に対する同じ設計の未処理レンズの波面値をプロットすることによって生成され、較正曲線は合理的に線形かつ決定論的であった。そのような関係性は、固定された球面度数のみを示すように設計された成形キャビティ内で作製されたレンズに球面度数又はデフォーカス又は円筒度数を加えるなど、予測可能な方法で光学的特徴の作製を可能にする。この情報に基づいて、3.6秒の曝露時間及び86mJ/cm
2のエネルギーレベルを使用して、コンピュータ制御プロジェクタは、球面パワー画像又は円筒パワー画像をレンズキャビティ内に照射した。完全に平衡化されたレンズから取得された、測定されたデルタ波面の投影画像及び二次元描写が
図10に示されている。いくらかの焦点ずれを加えることによる球面度数の推定変化は約0.7ジオプターであり、円柱度数の推定加算は約0.12ジオプターであった。
【0207】
包装溶液中のコンタクトレンズパラメータを測定するために、較正された二重干渉法が使用された。これらのパラメータには、複数の開口における等価球面度数(ジオプター又はD)、複数の開口における円柱度数(ジオプター又はD)、直径(ミリメートル又はmm)、中心厚(ミリメートル又はmm)、矢状高さ(ミリメートル又はmm)、及びマイクロメートル又はマイクロメートル(μm)でのレンズ設計目標からの二乗平均二乗(RMS)光路波面偏差が含まれ、時には6.5ミリメートル口径を使用して測定したときの球面/円柱度数及び除去されたコマ収差を有する波で表されることもある。この機器は、波面パラメータの測定のためのカスタムの独自の干渉計と、矢状高さ及び中心厚の寸法パラメータの測定のためのLumetrics OptiGauge(商標)II低コヒーレンス干渉計と、で構成されている。組み合わされた2つの個々の器具は、Lumetrics Clearwave(商標)Plusと同様であり、ソフトウェアは、Lumetrics OptiGauge Control Center v7.0以降に類似している。Clearwave(商標)Plusでは、カメラを使用してレンズ縁を見つけ、次いでレンズ中心を計算し、次にこれを使用して、矢状高さ及び中心厚を測定するために、1310ナノメートル干渉計プローブをレンズ中心に位置合わせする。伝搬された波面も、波面センサ(シャックハルトマンセンサ)を使用して連続して収集される。コンタクトレンズの透過波面からの複数のパラメータが測定され、他のパラメータはこれらの測定値から計算される。
【0208】
収集されたデータから、目標からの測定値を比較することによって差異項が計算される。これらには、6.5ミリメートル口径を使用して測定したときのμm単位のレンズ設計目標(球面/円柱度数及び除去されたコマ収差)からの二乗平均平方根光路波面偏差(RMS_65)、5ミリメートルの口径を使用して測定したときのジオプター単位(D)のレンズ設計目標からの第2の等価球面度数偏差(PW2EQD)、mm単位のレンズ設計目標直径からの偏差(DMD)、ISO18369-3により測定した矢状高さから計算したときの、mm単位のレンズ設計目標ベースカーブ半径、及びレンズ直径からの偏差(BCD)、及びmm単位のレンズ設計目標中心厚からの偏差(CTD)が含まれる。変調され、局在化された光重合によって生成された追加の球状又は円筒状の出力の量は、型設計に基づいて設計された球状の出力を差し引いた後に、このようなデータを使用して計算された。
【0209】
実施例3(光吸収ゾーン)
表3に記載の配合を含む反応性モノマー混合物を形成した。反応性モノマー混合物を、約15分間真空を適用することによって脱気した。次に、約100マイクロリットルの反応性モノマー混合物をZeonorベースカーブ型に分注し、その後、Zeonorフロントカーブ型をベースカーブ型上に配置した。得られた型アセンブリを
図3に示す照射ジグに移し、次いでこれを、47.5mW/cm
2の強度を有する365ナノメートルLED光源が型キャビティ内の別個の体積に向けられ、デジタル光処理チップ又はデジタルマイクロミラー装置によって変調されるコンピュータ制御光プロジェクタに接続した。
【0210】
【0211】
コンピュータ制御された光プロジェクタは、
図11に示されるアポダイズされたレンズ画像又は瞳孔のみのレンズ画像を照明又は照射するようにプログラムされた。型キャビティ内の反応性モノマー混合物を、6000mJ/cm
2の最大エネルギーを使用してコンピュータ制御光プロジェクタによって照射して、アポダイズされた画像又は瞳孔のみの画像を作成し、次いで90℃に2時間45分間加熱して、反応性モノマー混合物の残りを熱硬化させてコンタクトレンズにした。得られたレンズを、70%(v/v)水性IPA(約1時間の浸漬)を使用して取り出し、70%(v/v)水性IPAで30分間2回抽出し、脱イオン水で30分間水和し、次いで、パッキング溶液で平衡化した。最終的に水和したレンズの光学顕微鏡写真も
図11に示す。非常にかすかではあるが、画像はコンタクトレンズ上に複製されるように見える。しかしながら、光吸収のレベルは低い。
【0212】
実施例4
反応性モノマー混合物中のPI-Dye1の代わりにPI-Dye2を用い、プロジェクト画像を
図12に示す較正セグメント画像に変更した以外は、実施例3を繰り返した。異なるエネルギーレベル及び曝露時間、すなわち、230mJ/cm
2(3.6秒)、461mJ/cm
2(7.2秒)、1150mJ/cm
2(18.0秒)、及び2300mJ/cm
2(36秒)を用いて、コンタクトレンズを作製した。これらのコンタクトレンズの光学顕微鏡写真も
図12に示す。これらの顕微鏡写真を比較することによって、18秒の曝露時間で1150mJ/cm
2のエネルギーレベルを使用することが、PI-Dye2を用いて画像を作製するのに十分であるようである。
【0213】
実施例5
実施例4を、
図13に示される直径9.5ミリメートルのアポダイズされた画像、直径9.0ミリメートルの瞳孔のみの画像、及びジャック・オー・ランタンの画像を使用して繰り返した。対応するコンタクトレンズを、1150mJ/cm
2のエネルギーレベル及び18秒の曝露時間を用いて作製した。LED光源は63mW/cm
2で動作していた。これらのコンタクトレンズの光学顕微鏡写真も
図13に示す。画像は、PI-色素2を含有する反応性モノマー混合物を使用して、これらの条件下で正確に複製されたようである。
【0214】
〔実施の態様〕
(1) 眼科用レンズを作製するための反応性モノマー混合物であって、前記反応性モノマー混合物は、
前記眼科用レンズを作製するのに好適なモノマーと、
第1の波長で活性化可能な第1の重合開始剤と、
前記第1の重合開始剤に化学的に結合された第1の官能性部分と、
前記第1の重合開始剤を実質的に活性化しない第2の活性化によって活性化可能な第2の重合開始剤と、を含む混合物。
(2) 前記第2の重合開始剤に化学的に結合した第2の官能性部分を更に含む、実施態様1に記載の混合物。
(3) 前記第1の波長は、435ナノメートル以下である、実施態様1又は2に記載の混合物。
(4) 前記第2の重合開始剤は、熱開始剤である、実施態様1に記載の混合物。
(5) 前記熱開始剤は、アゾビスイソブチロニトリルである、実施態様4に記載の混合物。
【0215】
(6) 前記第1の官能性部分は、屈折率部分、光吸収部分、及びこれらの組み合わせから選択されている、実施態様1に記載の混合物。
(7) 前記屈折率部分は、ポリアミドである、実施態様6に記載の混合物。
(8) 前記ポリアミドは、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルメチルアセトアミド(PVMA)、ポリジメチルアクリルアミド(PDMA)、ポリビニルアセトアミド(PNVA)、ポリ(ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド)、ポリアクリルアミド、これらの2つ以上のコポリマー、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含む、実施態様7に記載の混合物。
(9) 前記光吸収部分は、紫外光、可視光、又はこれらの組み合わせを吸収する、実施態様6に記載の混合物。
(10) 前記光吸収部分は、静的染料、フォトクロミック染料、サーモクロミック染料、ロイコ染料、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含む、実施態様9に記載の混合物。
【0216】
(11) 前記第1の重合開始剤は、ペンダントモノアシルホスフィンオキシド基、ビスアシルホスフィンオキシド基、又はこれらの組み合わせを有するコポリマーである、実施態様1に記載の混合物。
(12) 前記コポリマーは、屈折率部分、光吸収部分、又はこれらの組み合わせを更に含む、実施態様11に記載の混合物。
(13) 化学的に結合された第1の官能性部分を有する前記第1の重合開始剤は、
【化9】
であって、式中、nは10~4000の範囲の整数であり、Tは連鎖停止基であるもの、
【化10】
であって、式中、nは10~4000の範囲の整数であり、Tは連鎖停止基であるもの、
【化11】
であって、式中、x及びyは独立して、10~4000の範囲の整数であり、Tは連鎖停止基であるもの、
【化12】
であって、式中、mは10~3000の範囲の整数であり、nは1~100の範囲の整数であり、Tは独立して連鎖停止基であるもの、
【化13】
であって、式中、mは10~3000の範囲の整数であり、Tは連鎖停止基であるもの、
【化14】
であって、式中、aは1~100の範囲の整数であり、bは1~100の範囲の整数であり、cは1~250の範囲の整数であり、Tは独立して連鎖停止基又は開始剤フラグメントであり、QはN,N-ジメチルアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルアセトアミドなどの親水性モノマーから得られるもの、及び
これらの2つ以上の組み合わせから選択されている、実施態様1に記載の混合物。
(14) 眼科用レンズを形成する方法であって、前記方法は、
(a)ベースカーブ及びフロントカーブから構成される型アセンブリを提供することであって、前記ベースカーブ及び前記フロントカーブは、それらの間にキャビティを画定及び包囲し、前記キャビティは、反応性モノマー混合物を収容し、前記反応性モノマー混合物は、前記眼科用レンズを作製するのに好適なモノマー、第1の波長で活性化可能な第1の重合開始剤、前記第1の重合開始剤に化学的に結合された第1の官能性部分、及び前記第1の重合開始剤を実質的に活性化させない第2の活性化によって活性化可能な第2の重合開始剤を含み、前記ベースカーブ又は前記フロントカーブの少なくとも一方は光透過性である、ことと、
(b)前記反応性モノマー混合物の1つ以上の選択領域を前記第1の波長の化学線源に曝露し、それによって前記反応性モノマー混合物の一部を選択的に重合させることであって、選択的に重合された前記一部が前記第1の官能性部分を組み込む、ことと、
(c)前記反応性モノマー混合物を前記第2の活性化に曝露して、前記第2の重合開始剤を活性化し、前記反応性モノマー混合物を硬化させることと、
(d)前記眼科用レンズを前記型アセンブリから取り出すことと、
(e)前記眼科用レンズから未反応の第1の重合開始剤を抽出することと、を含む方法。
(15) 前記反応性モノマー混合物は、前記第2の重合開始剤に化学的に結合された第2の官能性部分を含有する、実施態様14に記載の方法。
【0217】
(16) 工程(b)の前に、前記反応性モノマー混合物を前記第2の活性化に曝露して、前記第2の重合開始剤を部分的に活性化し、前記反応性モノマー混合物を部分的に硬化させることを更に含む、実施態様14又は15に記載の方法。
(17) 前記第2の重合開始剤は、熱開始剤である、実施態様14に記載の方法。
(18) 前記熱開始剤は、アゾビスイソブチロニトリルである、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記熱開始剤は、60℃~100℃の温度で開始される、実施態様17に記載の方法。
(20) 工程(b)における前記化学線源は、化学線の複数の選択的に制御可能なビームを含み、前記曝露は、所定のスクリプトに従って行われて、前記型アセンブリの前記キャビティ内で所定のパターンにおいて前記反応性モノマー混合物の選択的重合を引き起こす、実施態様14に記載の方法。
【0218】
(21) 工程(b)における前記化学線の複数のビームは、所定のスクリプトに従ってデジタルマイクロミラーデバイスによって選択的に制御される、実施態様14に記載の方法。
(22) 前記デジタルマイクロミラーデバイスは、少なくとも1つの発光ダイオードを含む照明源を備える、実施態様21に記載の方法。
(23) 前記第1の波長は、380~450nmの範囲内の1つ以上の波長を含む、実施態様14に記載の方法。
(24) 前記第1の官能性部分は、屈折率部分、光吸収部分、及びこれらの組み合わせから選択される、実施態様14に記載の方法。
(25) 前記屈折率部分は、ポリアミドである、実施態様24に記載の方法。
【0219】
(26) 前記ポリアミドは、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルメチルアセトアミド(PVMA)、ポリジメチルアクリルアミド(PDMA)、ポリビニルアセトアミド(PNVA)、ポリ(ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド)、ポリアクリルアミド、これらの2つ以上のコポリマー、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含む、実施態様25に記載の方法。
(27) 前記光吸収部分は、紫外光、可視光、又はこれらの組み合わせを吸収する、実施態様24に記載の方法。
(28) 前記光吸収部分は、静的染料、フォトクロミック染料、サーモクロミック染料、ロイコ染料、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含む、実施態様27に記載の方法。
(29) 前記第1の重合開始剤は、ペンダントモノアシルホスフィンオキシド基、ビスアシルホスフィンオキシド基、又はこれらの組み合わせを有するコポリマーである、実施態様14に記載の方法。
(30) 前記コポリマーは、屈折率部分、光吸収部分、又はこれらの組み合わせを更に含む、実施態様29に記載の方法。
【0220】
(31) 化学的に結合された第1の官能性部分を有する前記第1の重合開始剤は、
【化15】
であって、式中、nは10~4000の範囲の整数であり、Tは連鎖停止基であるもの、
【化16】
であって、式中、nは10~4000の範囲の整数であり、Tは連鎖停止基であるもの、
【化17】
であって、式中、x及びyは独立して、10~4000の範囲の整数であり、Tは連鎖停止基であるもの、
【化18】
であって、式中、mは10~3000の範囲の整数であり、nは1~100の範囲の整数であり、Tは独立して連鎖停止基であるもの、
【化19】
であって、式中、mは10~3000の範囲の整数であり、Tは連鎖停止基であるもの、
【化20】
であって、式中、aは1~100の範囲の整数であり、bは1~100の範囲の整数であり、cは1~250の範囲の整数であり、Tは独立して連鎖停止基又は開始剤フラグメントであり、QはN,N-ジメチルアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルアセトアミドなどの親水性モノマーから得られるもの、及び
これらの2つ以上の組み合わせから選択される、実施態様14に記載の方法。
(32) 工程(d)は、前記眼科用レンズを前記型アセンブリから機械的に解放することによって達成される、実施態様14に記載の方法。
(33) 工程(d)は、前記眼科用レンズの溶媒膨潤を含む、実施態様14に記載の方法。
(34) 前記工程(e)は、前記未反応の第1の重合開始剤の一部を抽出する、実施態様14に記載の方法。
(35) 前記反応性モノマー混合物の他の成分を除去するためのレンズ抽出工程、及び未反応の第1の重合開始剤を除去するための抽出工程(e)に続くレンズ水和工程を更に含む、実施態様14に記載の方法。
【0221】
(36) 前記眼科用レンズは、ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ、ハイブリッドコンタクトレンズ、硬質ガス透過性コンタクトレンズ、又は眼内レンズである、実施態様14に記載の方法。
【国際調査報告】