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特表2024-537051可変手術部位アクセス軌道を用いた協調する手術器具を制御するためのシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】可変手術部位アクセス軌道を用いた協調する手術器具を制御するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20241003BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20241003BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20241003BHJP
   G16H 40/00 20180101ALI20241003BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B1/00 620
A61B1/045 610
G16H40/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519342
(86)(22)【出願日】2022-09-26
(85)【翻訳文提出日】2024-04-16
(86)【国際出願番号】 IB2022059100
(87)【国際公開番号】W WO2023052950
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】63/249,881
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/451,954
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・ザ・フォース・フレデリック・イー
(72)【発明者】
【氏名】シャイブ・チャールズ・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ジェイソン・エル
【テーマコード(参考)】
4C161
5L099
【Fターム(参考)】
4C161AA24
4C161BB06
4C161CC06
4C161GG13
4C161HH51
4C161HH52
4C161HH56
4C161LL01
4C161NN09
5L099AA04
(57)【要約】
可変手術部位アクセス軌道を用いた協調する手術器具を制御するためのシステム、デバイス、及び方法が提供される。本開示の様々な態様は、共通の手術目的を達成するために、異なるアプローチ及び/又は別個の体腔から共通の手術部位にアクセスする手術器具の協調された動作を提供する。例えば、本明細書に開示される様々な方法、デバイス、及びシステムは、様々な解剖学的空間から組織にアプローチし、所望の手術治療をもたらすように互いに異なってはいるが協力して動作しなければならない異種の低侵襲手術システムによる組織の協調された治療を可能にすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
患者の第1の体腔内に挿入され、前記患者内に位置する組織の第1の表面上で動作するように構成された第1の手術器具と、
前記患者の第2の体腔内に挿入され、前記組織の第2の表面上で動作するように構成された第2の手術器具であって、前記第2の表面が、前記第1の表面とは向きが異なる、第2の手術器具と、
前記第1の体腔内の前記第1の手術器具の第1の画像を獲得するように構成された第1の画像センサを有し、前記第2の手術器具が前記第1の画像センサの視野内にないように位置付けられる、第1の内視鏡と、
前記第2の体腔内の前記第2の手術器具の第2の画像を獲得するように構成された第2の画像センサを有し、前記第1の手術器具が前記第2の画像センサの視野内にないように位置付けられる、第2の内視鏡であって、前記第2の体腔が、前記第1の体腔とは違う、第2の内視鏡と、
前記第1の画像及び前記第2の画像を受信し、受信された前記第1の画像に基づいて、前記第1の手術器具の第1の場所を判定し、前記第1の画像及び前記第2の画像から前記第2の画像から前記第2の手術器具の第2の場所を判定し、第1の方向における前記第1の手術器具又は前記第2の手術器具のうちのどちらか一方による前記組織の操作によって、前記組織が前記第1の方向に操作されるときに前記第1の手術器具及び前記第2の手術器具のうちのもう一方が前記組織を治療するように、判定された前記第1の場所及び前記第2の場所に基づいて、前記第1の手術器具と前記第2の手術器具との間の協調する治療を協調させるように構成されたコントローラと、を備える、システム。
【請求項2】
前記第1の手術器具と前記第2の手術器具との間の力が、前記第1の手術器具と前記第2の手術器具との間に既定の運動又は力のうちの少なくとも1つを生み出すように制御される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の体腔が、前記患者内の第1の中空臓器内にあり、前記第1の手術器具が、前記中空臓器内で前記第1の方向において前記組織を操作するように構成されており、前記第2の体腔が、前記中空臓器の外側にある、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の手術器具は、前記第2の手術器具が前記組織の一部分を切開するためのアクセスを有するように、前記組織の組織たわみ、後退、又は動きのうちの少なくとも1つを提供するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の内視鏡の前記第1の画像センサによる前記組織の可視化が、前記第2の手術器具による前記組織の少なくとも一部の切開を可能にするように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
システムであって、
データプロセッサと、
前記データプロセッサに動作を実行させるように構成された命令を記憶するメモリと、を備え、前記動作は、
第1の内視鏡の第1の画像センサから、患者の第1の体腔内に配設され、かつ前記患者内に位置する組織の第1の表面上で動作するように構成された第1の手術器具の第1の画像を特徴付ける第1の画像データをリアルタイムで受信することと、
第2の内視鏡の第2の画像センサから、前記患者の第2の体腔内に配設され、かつ前記組織の第2の表面上で動作する第2の手術器具の第2の画像を特徴付ける第2の画像データをリアルタイムで受信することであって、前記第2の表面が、前記第1の表面とは向きが異なり、前記第2の手術器具が、前記第1の内視鏡の視野の外側にあり、前記第1の手術器具が、前記第2の内視鏡の視野の外側にあり、前記第2の体腔が、前記第1の体腔とは違う、受信することと、
受信された前記第1の画像データに基づいて、前記第1の手術器具の第1の場所を判定することと、
受信された前記第2の画像データに基づいて、前記第2の手術器具の第2の場所を判定することと、
判定された前記第1の場所及び前記第2の場所に基づいて、前記組織に対する共通の手術目的を達成するために、前記第1の手術器具と前記第2の手術器具との間の協調する治療を協調させることと、を含み、前記組織の協調する治療が、第1の方向において前記第1の手術器具又は前記第2の手術器具のうちのどちらか一方によって、前記組織が前記第1の方向に操作されるときに前記第1の手術器具及び前記第2の手術器具のうちのもう一方が前記組織を治療するように、前記組織を操作することを含む、システム。
【請求項7】
前記第1の手術器具と前記第2の手術器具との間の力が、前記第1の手術器具と前記第2の手術器具との間に既定の運動又は力のうちの少なくとも1つを生み出すように制御される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の体腔が、前記患者内の第1の中空臓器内にあり、前記第1の手術器具が、前記中空臓器内で前記第1の方向において前記組織を操作するように構成されており、前記第2の体腔が、前記中空臓器の外側にある、請求項6又は7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の手術器具は、前記第2の手術器具が前記組織の一部分を切開するためのアクセスを有するように、前記組織の組織たわみ、後退、又は動きのうちの少なくとも1つを提供するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の内視鏡の前記第1の画像センサによる前記組織の可視化が、前記第2の手術器具による前記組織の少なくとも一部の切開を可能にするように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
方法であって、
コントローラによって、第1の内視鏡の第1の画像センサから、患者の第1の体腔内に配設され、かつ前記患者内に位置する組織の第1の表面上で動作するように構成された第1の手術器具の第1の画像を特徴付ける第1の画像データをリアルタイムで受信することと、
前記コントローラによって、第2の内視鏡の第2の画像センサから、前記患者の第2の体腔内に配設され、かつ前記組織の第2の表面上で動作する第2の手術器具の第2の画像を特徴付ける第2の画像データをリアルタイムで受信することであって、前記第2の表面が、前記第1の表面とは向きが異なり、前記第2の手術器具が、前記第1の内視鏡の視野の外側にあり、前記第1の手術器具が、前記第2の内視鏡の視野の外側にあり、前記第2の体腔が、前記第1の体腔とは違う、受信することと、
前記コントローラによって、受信された前記第1の画像データに基づいて、前記第1の手術器具の第1の場所を判定することと、
前記コントローラによって、受信された前記第2の画像データに基づいて、前記第2の手術器具の第2の場所を判定することと、
前記コントローラによって、前記組織に対する共通の手術目的を達成するために、判定された前記第1の場所及び前記第2の場所に基づいて、前記第1の手術器具と前記第2の手術器具との間の協調する治療を協調させることと、を含み、前記協調させることは、第1の方向において前記第1の手術器具又は前記第2の手術器具のうちのどちらか一方によって、前記組織が前記第1の方向に操作されるときに前記第1の手術器具及び前記第2の手術器具のうちのもう一方が共通組織を治療するように、前記組織を操作することを含む、方法。
【請求項12】
前記第1の手術器具と前記第2の手術器具との間の力が、前記第1の手術器具と前記第2の手術器具との間に既定の運動又は力のうちの少なくとも1つを生み出すように制御される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の体腔が、前記患者内の第1の中空臓器内にあり、前記第1の手術器具が、前記中空臓器内で前記第1の方向において前記組織を操作し、前記第2の体腔が、前記中空臓器の外側にある、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の手術器具が、前記第2の手術器具が前記組織の一部分を切開するためのアクセスを有するように、前記組織の組織たわみ、後退、又は動きのうちの少なくとも1つを提供する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の内視鏡の前記第1の画像センサによる前記組織の可視化が、前記第2の手術器具による前記組織の少なくとも一部の切開を可能にするように構成されている、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
命令を含むコンピュータプログラム製品であって、前記命令は、前記プログラムが請求項1に記載のシステムのコントローラによって実行されるときに、前記コントローラに、
前記第1の画像及び前記第2の画像を受信することと、
受信された前記第1の画像に基づいて、前記第1の手術器具の第1の場所を判定することと、
第2の受信された画像に基づいて、前記第2の手術器具の第2の場所を判定することと、
第1の方向において前記第1の手術器具又は前記第2の手術器具のうちのどちらか一方によって、前記組織が前記第1の方向に操作されるときに前記第1の手術器具及び前記第2の手術器具のうちのもう一方が前記組織を治療するように、前記組織を操作することによって、判定された前記第1の場所及び前記第2の場所に基づいて、前記第1の手術器具と前記第2の手術器具との間の協調する治療を協調させることと、を行わせる、コンピュータプログラム製品。
【請求項17】
命令を含むコンピュータプログラム製品であって、前記命令は、前記プログラムがコントローラによって実行されるときに、前記コントローラに請求項11に記載の方法を実行させる、コンピュータプログラム製品。
【請求項18】
請求項16又は17に記載のコンピュータプログラム製品を記憶したコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
請求項16又は17に記載のコンピュータプログラム製品を搬送するデータ搬送信号。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年9月29日に出願された、「Methods and Systems for Controlling Cooperative Surgical Instruments with Variable Surgical Site Access Trajectories」と題する米国特許仮出願第63/249,881号の優先権を主張するものであり、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
いくつかの手術処置は、処置をうまく実行するために、組織の領域又は部分上で同時に動作する複数の手術器具の使用を必要とする。いくつかの状況では、解剖学的制限及び/又は処置の性質に起因して、複数の手術器具が同じ解剖学的空間内に位置することは不可能である。例えば、囲まれた組織構造(例えば、食道の壁)の領域に対して動作する処置中に、処置をうまく実行するために、複数の手術器具のうちの1つは、囲まれた組織構造内に位置することが必要とされ得、複数の手術器具のうちの他のものは、囲まれた組織構造の外側に位置することが必要とされ得る。
【0003】
しかしながら、いくつかの実装形態では、第1の解剖学的空間から組織の領域にアプローチする、組織の領域に対して動作するための第1の手術器具は、第2の無関係な解剖学的空間から組織の領域にアプローチする、組織の領域に対して動作するための第2の手術器具から独立して動作され得る。このようなシナリオでは、処置をうまく実行するために第1の手術器具及び第2の手術器具の協調された動作が必要とされる状況において、手術転帰の成功を達成するように、第1の手術器具と第2の手術器具とを一緒に操作することは難しいか、又は不可能であることがある。
【0004】
加えて、手術システムは、多くの場合、撮像システムを組み込み、これは、医師が、1つ又は2つ以上のディスプレイ、例えば、モニタ、コンピュータタブレットスクリーンなどで、手術部位及び/又はその1つ又は2つ以上の部分を見ることを可能にすることができる。ディスプレイは、手術現場に対してローカルかつ/又は遠隔であってもよい。撮像システムは、手術部位を見る、及び医師によって視認可能な1つ又は2つ以上のディスプレイにビューを送信する、カメラを備えたスコープを含むことができる。
【0005】
撮像システムは、撮像システムが認識することができ、かつ/又は医師に伝達することができる情報によって制限される可能性がある。例えば、三次元空間内の特定の隠れた構造、物理的輪郭、及び/又は寸法は、特定の撮像システムでは手術中に認識できないことがある。別の実施例では、特定の撮像システムは、術中に特定の情報を医師に通信すること、及び/又は伝達することできない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、可変手術部位アクセス軌道を用いた協調する手術器具を制御するため、かつ改善された手術撮像のための改善された方法及びシステムが依然として必要とされている。また、可変手術部位アクセス軌道を用いた協調する手術器具を制御するための改善された方法及びシステムが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、システムが提供され、このシステムは、患者の第1の体腔内に挿入されるように構成された第1の手術器具であって、患者の管腔構造の外側に位置する第1の手術器具と、管腔構造内に挿入されるように構成された第2の手術器具と、第1の体腔内の第1の手術器具の第1の画像を獲得するように構成された第1の画像センサを有し、第2の手術器具が第1の画像センサの視野内にないように位置付けられる、第1の内視鏡と、管腔構造内の第2の手術器具の第2の画像を獲得するように構成された第2の画像センサを有し、第1の手術器具が第2の画像センサの視野内にないように位置付けられる、第2の内視鏡と、第1の画像及び第2の画像を受信し、受信された第1の画像及び第2の画像に基づいて、第1の手術器具の第1の場所及び第2の手術器具の第2の場所を互いに対して判定し、判定された第1の場所及び第2の場所に基づいて、第1の手術器具及び第2の手術器具の協調する動きを協調させるように構成されたコントローラと、を含むことができる。第1の手術器具は、補助材を管腔構造に位置する標的領域に送達するように構成され得、第2の手術器具は、協調する固定インプラントが補助材を標的領域において適所に維持するのに役立つように、協調する固定インプラントを管腔構造内から手術部位に送達するように構成され得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、補助材は、補助材の埋め込みのために第1の手術器具及び第2の手術器具の各々からの相互作用を必要とするように構成され得る。いくつかの実施形態では、補助材は、補助材の埋め込みのために、患者の管腔構造の外側に位置する第1の体腔内から、及び管腔構造内からの相互作用を必要とするように構成され得る。
【0009】
別の態様では、データプロセッサと、データプロセッサに動作を実行させるように構成された命令を記憶するメモリと、を含むことができるシステムが提供される。動作は、第1の内視鏡の第1の画像センサから、患者の第1の体腔内に配設され、かつ患者の管腔構造の外側に位置する第1の手術器具の第1の画像を特徴付ける第1の画像データをリアルタイムで受信することであって、第1の手術器具が、補助材を管腔構造に位置する標的領域に送達するように構成されている、受信することと、第2の内視鏡の第2の画像センサから、管腔構造内に配設された第2の手術器具の第2の画像を特徴付ける第2の画像データをリアルタイムで受信することであって、協調する固定インプラントが標的領域において適所に維持するのに役立つように、第2の手術器具が、協調する固定インプラントを管腔構造内から標的領域に送達するように構成されており、第2の手術器具が、第1の内視鏡の視野の外側にあり、第1の手術器具が、第2の内視鏡の視野の外側にある、受信することと、受信された第1の画像データに基づいて、第1の手術器具の第1の場所を判定することと、受信された第2の画像データに基づいて、第2の手術器具の第2の場所を判定することと、判定された第1の場所及び第2の場所に基づいて、第1の手術器具と第2の手術器具との間の協調する動きを協調させることと、を含むことができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、補助材は、補助材の埋め込みのために第1の手術器具及び第2の手術器具の各々からの相互作用を必要とするように構成され得る。いくつかの実施形態では、補助材は、補助材の埋め込みのために、患者の管腔構造の外側に位置する第1の体腔内から、及び管腔構造内からの相互作用を必要とするように構成され得る。
【0011】
別の態様では、方法が提供され、コントローラによって、第1の内視鏡の第1の画像センサから、患者の第1の体腔内に配設され、かつ患者の管腔構造の外側に位置する第1の手術器具の第1の画像を特徴付ける第1の画像データをリアルタイムで受信することであって、第1の手術器具が、補助材を管腔構造に位置する標的領域に送達するように構成されている、受信することと、コントローラによって、第2の内視鏡の第2の画像センサから、管腔構造内に配設された第2の手術器具の第2の画像を特徴付ける第2の画像データをリアルタイムで受信することであって、第2の手術器具は、補助材が、協調する固定インプラントによって標的領域において適所に維持されるように、協調する固定インプラントを管腔構造内から標的領域に送達するように構成されており、第2の手術器具が、第1の内視鏡の視野の外側にあり、第1の手術器具が、第2の内視鏡の視野の外側にある、受信することと、コントローラによって、受信された第1の画像データに基づいて、第1の手術器具の第1の場所を判定することと、コントローラによって、受信された第2の画像データに基づいて、第1の手術器具の第1の場所に対して第2の手術器具の第2の場所を判定することと、判定された第1の場所及び第2の場所に基づいて、第1の手術器具と第2の手術器具との間の協調する動きを協調させることと、を含むことができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、補助材は、標的領域における補助材の埋め込みのために第1の手術器具及び第2の手術器具の各々からの相互作用を必要とすることができる。いくつかの実施形態では、補助材は、補助材の埋め込みのために、患者の管腔構造の外側に位置する第1の体腔内から、及び管腔構造内からの相互作用を必要とし得る。
【0013】
別の態様では、システムが提供され、システムは、患者の胸部体腔内に挿入され、患者内に位置する組織の第1の表面上で動作するように構成された第1の手術器具と、患者の腹部体腔内に挿入され、組織の第2の表面上で動作するように構成された第2の手術器具であって、第2の表面が、第1の表面とは向きが異なる、第2の手術器具と、胸部体腔内の第1の手術器具の第1の画像を獲得するように構成された第1の画像センサを有し、第2の手術器具が第1の画像センサの視野内にないように位置付けられる、第1の内視鏡と、腹部体腔内の第2の手術器具の第2の画像を獲得するように構成された第2の画像センサを有し、第1の手術器具が第2の画像センサの視野内にないように位置付けられる、第2の内視鏡と、第1の画像及び第2の画像を受信し、互いに対して第1の手術器具の第1の場所及び第2の手術器具の第2の場所を判定し、判定された第1の場所及び第2の場所に基づいて、互いから異なる方向において第1の手術器具及び第2の手術器具のアクチュエータに、相互に関連付けられた制限を適用することによって、第1の手術器具と第2の手術器具との間の協調する治療を協調させるように構成されたコントローラと、を含むことができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、コントローラは、第1の手術器具と第2の手術器具との間の協調する力及び運動のための運動を制御するように構成され得る。いくつかの実施形態では、比例した量の協調する力が、隣接する解剖学的構造への組織接続部に伝達されるように、組織は、隣接する解剖学的構造に少なくとも部分的にアンカーされ得る。いくつかの実施形態では、組織は、周囲の解剖学的構造にアンカーされ得る。いくつかの実施形態では、組織は、第1の胸部体腔と第2の腹部体腔とを分離する共通の組織壁であり得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、第2の手術器具から共通組織に適用される力及び運動に基づいて、第1の手術器具から共通組織に適用される力及び運動を制限するように構成され得る。
【0015】
別の態様では、システムが適用され、システムは、データプロセッサと、データプロセッサに動作を実行させるように構成された命令を記憶するメモリと、を含むことができる。動作は、第1の内視鏡の第1の画像センサから、患者の胸部体腔内に配設され、かつ患者内に位置する組織の第1の表面上で動作するように構成された第1の手術器具の第1の画像を特徴付ける第1の画像データをリアルタイムで受信することと、第2の内視鏡の第2の画像センサから、患者の腹部体腔内に配設され、かつ組織の第2の表面上で動作する第2の手術器具の第2の画像を特徴付ける第2の画像データをリアルタイムで受信することであって、第2の表面が、第1の表面とは向きが異なり、第2の手術器具が、第1の内視鏡の視野の外側にあり、第1の手術器具が、第2の内視鏡の視野の外側にある、受信することと、受信された第1の画像データに基づいて、第1の手術器具の第1の場所を判定することと、受信された第2の画像データに基づいて、第1の手術器具の第1の場所に対する第2の手術器具の第2の場所を判定することと、組織に対する共通の手術目的を達成するために、第1の手術器具と第2の手術器具との間の協調する治療を協調させることと、を含むことができ、組織の協調する治療が、判定された第1の場所及び第2の場所に基づいて、互いから異なる方向において第1の手術器具及び第2の手術器具のアクチュエータに、相互に関連付けられた制限を適用することを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、動作は、第1の手術器具と第2の手術器具との間の協調する力及び運動のための運動を制御することを更に含むことができる。いくつかの実施形態では、比例した量の協調する力が、隣接する解剖学的構造への組織接続部に伝達されるように、組織は、隣接する解剖学的構造に少なくとも部分的にアンカーされ得る。いくつかの実施形態では、組織は、周囲の解剖学的構造にアンカーされ得る。いくつかの実施形態では、組織は、第1の胸部体腔と第2の腹部体腔とを分離する共通の組織壁であり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのデータプロセッサは、第2の手術器具から共通組織に適用される力及び運動に基づいて、第1の手術器具から共通組織に適用される力及び運動を制限するように構成され得る。
【0017】
別の態様では、方法が提供され、方法は、コントローラによって、第1の内視鏡の第1の画像センサから、患者の第1の胸部体腔内に配設され、かつ患者内に位置する組織の第1の表面上で動作するように構成された第1の手術器具の第1の画像を特徴付ける第1の画像データをリアルタイムで受信することと、コントローラによって、第2の内視鏡の第2の画像センサから、患者の第2の腹部体腔内に配設され、かつ組織の第2の表面上で動作する第2の手術器具の第2の画像を特徴付ける第2の画像データをリアルタイムで受信することであって、第2の表面が、第1の表面とは向きが異なり、第2の手術器具が、第1の内視鏡の視野の外側にあり、第1の手術器具が、第2の内視鏡の視野の外側にあり、第2の腹部体腔が、第1の胸部体腔とは違う、受信することと、コントローラによって、受信された第1の画像データに基づいて、第1の手術器具の第1の場所を判定することと、コントローラによって、受信された第2の画像データに基づいて、第1の手術器具の第1の場所に対して第2の手術器具の第2の場所を判定することと、コントローラによって、組織に対する共通の手術目的を達成するために、第1の手術器具と第2の手術器具との間の協調する動作を協調させることと、を含むことができ、組織の協調する治療が、判定された第1の場及び第2の場所に基づいて、互いから異なる方向において第1の手術器具及び第2の手術器具のアクチュエータに、相互に関連付けられた制限を適用することを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1の手術器具と第2の手術器具との間の協調する力及び運動のための運動が制御され得る。いくつかの実施形態では、比例した量の協調する力が、隣接する解剖学的構造への組織接続部に伝達されるように、組織は、隣接する解剖学的構造に少なくとも部分的にアンカーされ得る。いくつかの実施形態では、組織は、周囲の解剖学的構造にアンカーされ得る。いくつかの実施形態では、組織は、胸部体腔と腹部体腔とを分離する共通の組織壁であり得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、第2の手術器具から共通組織に適用される力及び運動に基づいて、第1の手術器具から共通組織に適用される力及び運動が制限され得る。
【0019】
別の態様では、システムが提供され、システムは、患者の第1の体腔内に挿入され、患者内に位置する組織の第1の表面上で動作するように構成された第1の手術器具と、患者の第2の体腔内に挿入され、組織の第2の表面上で動作するように構成された第2の手術器具であって、第2の表面が、第1の表面とは向きが異なる、第2の手術器具と、第1の体腔内の第1の手術器具の第1の画像を獲得するように構成された第1の画像センサを有し、第2の手術器具が第1の画像センサの視野内にないように位置付けられる、第1の内視鏡と、
第2の体腔内の第2の手術器具の第2の画像を獲得するように構成された第2の画像センサを有し、第1の手術器具が第2の画像センサの視野内にないように位置付けられる、第2の内視鏡であって、第2の体腔が、第1の体腔とは違う、第2の内視鏡と、第1の画像及び第2の画像を受信し、受信された第1の画像に基づいて、第1の手術器具の第1の場所を判定し、第2の画像から第2の手術器具の第2の場所を判定し、第1の方向における第1の手術器具又は第2の手術器具のうちのどちらか一方による共通組織の操作によって、組織が第1の方向に操作されるときに、第1の手術器具又は第2の手術器具のうちのもう一方が組織を治療するように、判定された第1の場所及び第2の場所に基づいて、第1の手術器具と第2の手術器具との間の協調する治療を協調させるように構成されたコントローラと、を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の手術器具と第2の手術器具との間の力は、第1の手術器具と第2の手術器具との間に既定の運動又は力のうちの少なくとも1つを生み出すように制御され得る。いくつかの実施形態では、第1の体腔は、患者内の第1の中空臓器内にあり得、第1の手術器具は、中空臓器内で第1の方向において共通組織を操作するように構成され得、第2の体腔は、中空臓器の外側にあり得る。いくつかの実施形態では、第1の手術器具は、第2の手術器具が共通組織の一部分を切開するためのアクセスを有するように、共通組織の組織たわみ、後退、又は動きのうちの少なくとも1つを提供するように構成され得る。いくつかの実施形態では、第1の内視鏡の第1の画像センサによる共通組織の可視化は、第2の手術器具による共通組織の少なくとも一部の切開を可能にするように構成され得る。
【0020】
別の態様では、システムが適用され、システムは、データプロセッサと、データプロセッサに動作を実行させるように構成された命令を記憶するメモリと、を含むことができる。動作は、第1の内視鏡の第1の画像センサから、患者の第1の体腔内に配設され、かつ患者内に位置する組織の第1の表面上で動作するように構成された第1の手術器具の第1の画像を特徴付ける第1の画像データをリアルタイムで受信することと、第2の内視鏡の第2の画像センサから、患者の第2の体腔内に配設され、かつ組織の第2の表面上で動作する第2の手術器具の第2の画像を特徴付ける第2の画像データをリアルタイムで受信することであって、第2の表面が、第1の表面とは向きが異なり、第2の手術器具が、第1の内視鏡の視野の外側にあり、第1の手術器具が、第2の内視鏡の視野の外側にあり、第2の体腔が、第1の体腔とは違う、受信することと、受信された第1の画像データに基づいて、第1の手術器具の第1の場所を判定することと、受信された第2の画像データに基づいて、第2の手術器具の第2の場所を判定することと、判定された第1の場所及び第2の場所に基づいて、組織に対する共通の手術目的を達成するために、第1の手術器具と第2の手術器具との間の協調する治療を協調させることと、を含むことができ、組織の協調する治療が、第1の方向において第1の手術器具又は第2の手術器具のうちのどちらか一方によって、共通組織が第1の方向に操作されるときに第1の手術器具又は第2の手術器具のうちのもう一方が共通組織を治療するように、共通組織を操作することを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1の手術器具と第2の手術器具との間の力は、第1の手術器具と第2の手術器具との間に既定の運動又は力のうちの少なくとも1つを生み出すように制御され得る。いくつかの実施形態では、第1の体腔は、患者内の第1の中空臓器内にあり得、第1の手術器具は、中空臓器内で第1の方向において共通組織を操作するように構成され得、第2の体腔は、中空臓器の外側にあり得る。いくつかの実施形態では、第1の手術器具は、第2の手術器具が共通組織の一部分を切開するためのアクセスを有するように、共通組織の組織たわみ、後退、又は動きのうちの少なくとも1つを提供するように構成され得る。いくつかの実施形態では、第1の内視鏡の第1の画像センサによる共通組織の可視化は、第2の手術器具による共通組織の少なくとも一部の切開を可能にするように構成され得る。
【0022】
別の態様では、方法が提供され、方法は、コントローラによって、第1の内視鏡の第1の画像センサから、患者の第1の体腔内に配設され、かつ患者内に位置する組織の第1の表面上で動作するように構成された第1の手術器具の第1の画像を特徴付ける第1の画像データをリアルタイムで受信することと、コントローラによって、第2の内視鏡の第2の画像センサから、患者の第2の体腔内に配設され、かつ組織の第2の表面上で動作する第2の手術器具の第2の画像を特徴付ける第2の画像データをリアルタイムで受信することであって、第2の表面が、第1の表面とは向きが異なり、第2の手術器具が、第1の内視鏡の視野の外側にあり、第1の手術器具が、第2の内視鏡の視野の外側にあり、第2の体腔が、第1の体腔とは違う、受信することと、コントローラによって、受信された第1の画像データに基づいて、第1の手術器具の第1の場所を判定することと、コントローラによって、受信された第2の画像データに基づいて、第2の手術器具の第2の場所を判定することと、コントローラによって、組織に対する共通の手術目的を達成するために、判定された第1の場所及び第2の場所に基づいて、第1の手術器具と第2の手術器具との間の協調する治療を協調させることと、を含むことができ、協調させることは、第1の方向において第1の手術器具又は第2の手術器具のうちのどちらか一方によって、共通組織が第1の方向に操作されるときに第1の手術器具及び第2の手術器具のうちのもう一方が共通組織を治療するように、共通組織を操作することを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1の手術器具と第2の手術器具との間の力は、第1の手術器具と第2の手術器具との間に既定の運動又は力のうちの少なくとも1つを生み出すように制御され得る。いくつかの実施形態では、第1の体腔は、患者内の第1の中空臓器内にあり得、第1の手術器具は、中空臓器内で第1の方向において共通組織を操作することができ、第2の体腔は、中空臓器の外側にあり得る。いくつかの実施形態では、第1の手術器具は、第2の手術器具が共通組織の一部分を切開するためのアクセスを有するように、共通組織の組織たわみ、後退、又は動きのうちの少なくとも1つを提供することができる。いくつかの実施形態では、第1の内視鏡の第1の画像センサによる共通組織の可視化は、第2の手術器具による共通組織の少なくとも一部の切開を可能にするように構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明について、添付の図面を参照して説明する。
図1】手術可視化システムの一実施形態の概略図である。
図2図1の手術デバイス、撮像デバイス、及び重要構造の間の三角測量の概略図である。
図3】手術可視化システムの別の実施形態の概略図である。
図4】手術可視化システムのための制御システムの一実施形態の概略図である。
図5】手術可視化システムのための制御システムの制御回路の一実施形態の概略図である。
図6】手術可視化システムの組み合わせロジック回路の一実施形態の概略図である。
図7】手術可視化システムの順序ロジック回路の一実施形態の概略図である。
図8】手術可視化システムの更に別の実施形態の斜視図である。
図9】手術可視化システムのための制御システムの別の実施形態の概略図である。
図10】様々な生物学的物質についての波長対吸収係数を示すグラフである。
図11】手術部位を可視化するスペクトルエミッタの一実施形態の概略図である。
図12】尿管を閉塞物から区別するための例示のハイパースペクトル特定シグネチャを描写するグラフである。
図13】動脈を閉塞物から区別するための例示のハイパースペクトル特定シグネチャを描写するグラフである。
図14】神経を閉塞物から区別するための例示のハイパースペクトル特定シグネチャを描写するグラフである。
図15】術中に利用されている近赤外(near infrared、NIR)飛行時間測定システムの一実施形態の概略図である。
図16図15のシステムの飛行時間タイミング図を示す。
図17】術中に利用されている近赤外(NIR)飛行時間測定システムの別の実施形態の概略図である。
図18】コンピュータ実装双方向手術システムの一実施形態の概略図である。
図19】手術室内で手術処置を行うために使用されている手術システムの一実施形態の概略図である。
図20】スマート手術器具と手術ハブとを含む手術システムの一実施形態の概略図である。
図21図20のスマート手術器具を制御する方法を示すフローチャートである。
図21A】結腸の主要な切除を例解する結腸の概略図である。
図21B】十二指腸粘膜表面再建処置の一実施形態の斜視部分断面図である。
図22】可変手術部位アクセス軌道を有する手術器具の協調する制御を提供することができる例示的な手術システムの概略図である。
図23】管腔構造の内側及び外側から手術部位にアプローチする複数の手術器具を使用して、管腔構造の手術部位にインプラントを協調して配置するためのシステムの例示的な実施形態の例解図である。
図24】インプラントが手術部位に適用された後の図23のシステムを示し、例示的な器具が、図23のインプラントを手術部位において適所に固定する過程にある。
図24A】インプラントが手術部位に適用され、修復インプラントのいくつかの異なる実施形態が手術部位に配設された後の図23のシステムを示す。
図25】術野に配置された内視鏡上に配置されたセンサの追跡から複数の位置を拡張することによって、共通視野を提供することができる、例示的な手術システムの概略図である。
図26】術野に配置された複数の内視鏡上に配置されたセンサの使用/追跡を介して、複数の視点を共通視野内に拡張することによって、共通視野を提供するためのシステムの例示的な実施形態の例解図である。
図27A図25及び図26の第2の内視鏡の視野の例解図である。
図27B図25及び図26の第3の内視鏡の視野の例解図である。
図27C図25及び図26の第1の内視鏡の視野の例解図である。
図27D図25及び図26の第1、第2、及び第3の内視鏡の視野に基づいて作成された拡張合成画像である。
図28】腫瘍切開を行うためのシステムの例示的な実施形態の例解図である。
図29図28の腫瘍切開を行うためのシステムの例解図である。
図30図28の腫瘍切開を行うためのシステムの例解図である。
図31図28の腫瘍切開を行うためのシステムの例解図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書に開示されるデバイス、システム、及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理が総括的に理解されるように、ある特定の例示的な実施形態について、これから説明する。これらの実施形態の1つ又は2つ以上の実施例が、添付の図面に例解されている。当業者であれば、本明細書で詳細に説明し、添付の図面に示されるデバイス、システム、及び方法は、非限定的な例示的な実施形態であり、本発明の範囲は、特許請求の範囲のみによって定義されることが理解されるであろう。1つの例示的な実施形態に関連して例解又は説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。このような改変及び変形は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0026】
更に、本開示においては、実施形態の同様の名称の構成要素は概して同様の特徴を有するものであり、したがって、特定の実施形態において、同様の名称の各構成要素の各特徴については必ずしも完全に詳しく述べることはしない。追加的に、開示されるシステム、デバイス、及び方法の説明で直線寸法又は円寸法が使用される限りにおいて、そのような寸法は、そのようなシステム、デバイス、及び方法と組み合わせて使用することができる形状の種類を限定しようとするものではない。当業者には、そのような直線寸法及び円寸法に相当する寸法を、任意の幾何学的形状について容易に判定することができる点が認識されるであろう。当業者は、寸法が正確な値ではなくても、製作公差及び測定機器の感度などの諸々の要因により、その値に近い値であると考えられることを理解するであろう。システム及びデバイスのサイズ及び形状、並びにその構成要素は、少なくとも、システム及びデバイスがそれとともに使用される構成要素のサイズ及び形状に依存し得る。
【0027】
手術可視化
概して、手術可視化システムは、「デジタル手術」を活用して、患者の解剖学的構造及び/又は手術処置に関する追加情報を取得するように構成されている。手術可視化システムは、有用な様式で1人又は2人以上の医師にデータを伝達するように更に構成されている。本開示の様々な態様は、患者の解剖学的構造及び/若しくは手術処置の改善された可視化を提供し、並びに/又は手術ツール(本明細書では「手術デバイス」又は「手術器具」とも呼ばれる)の改善された制御を提供するために可視化を使用する。「デジタル手術」とは、ロボットシステム、高度な撮像、高度な計装、人工知能、機械学習、パフォーマンスの追跡及びベンチマークのためのデータ分析、手術室(operating room、OR)の内外両方での接続性などを包含し得る。本明細書に記載される様々な手術可視化システムは、ロボット手術システムと組み合わせて使用することができるが、手術可視化システムは、ロボット手術システムとともに使用することに限定されない。特定の例では、ロボットなしで、並びに/又はロボット支援が制限されている、及び/若しくは任意選択である状態で、手術可視化システムを使用する手術可視化が発生する場合がある。同様に、ロボットなしで、並びに/又はロボット支援が制限されている、及び/若しくは任意選択である状態で、デジタル手術が発生する場合がある。
【0028】
特定の例では、手術可視化システムを組み込む手術システムは、重要構造を特定し、それらを回避するためにスマート切開を可能にし得る。重要構造としては、解剖学的構造、例えば他の解剖学的構造の中でもとりわけ、尿管、上腸間膜動脈などの動脈、門脈などの静脈、横隔神経などの神経、及び/又は腫瘍が挙げられる。他の例では、重要構造は、手術デバイス、手術締結具、クリップ、留め金、ブジー、バンド、プレートなどの、解剖学的領域内の異質な構造及び他の異質な構造であってもよい。重要構造は、患者ごと及び/又は処置ごとに判定される場合がある。スマート切開技術は、例えば、切開のために改善された術中ガイダンスを提供し得、かつ/又は重要な解剖学的構造の検出及び回避技術を用いてよりスマートな意思決定を可能にし得る。
【0029】
手術可視化システムを組み込んだ手術システムは、改善されたワークフローによって最適な場所においてより一貫した吻合を提供するスマート吻合技術を可能にし得る。がん局在診断技術は、手術可視化プラットフォームを用いて改善され得る。例えば、がん局在診断技術は、がんの場所、向き、及びそのマージンを特定し、追跡することができる。特定の例では、がん局在診断技術は、医師に対象となる点に戻すガイダンスを提供するために、手術処置中に手術器具、患者、及び/又は患者の解剖学的構造の動きを補償することができる。
【0030】
手術可視化システムは、改善された組織特徴付け、並びに/又はリンパ節診断及びマッピングを提供し得る。例えば、組織特徴付け技術は、特に切開時、及び/又は組織内のステープリングデバイスの配置時に、物理的触覚を必要とせずに組織の種類及び健康状態を特徴付けることができる。特定の組織特徴付け技術は、電離放射線及び/又は造影剤を使用せずに利用し得る。リンパ節診断及びマッピングに関して、手術可視化プラットフォームは、例えば、がん診断及びステージ診断に関与するリンパ系及び/又はリンパ節を手術前に位置特定し、マッピングし、理想的には、診断することができる。
【0031】
手術処置中、「肉眼」及び/又は撮像システムを介して医師が利用可能な情報は、不完全な手術部位のビューを提供する場合がある。例えば、臓器内に埋め込まれた又は埋もれた構造などの特定の構造は、ビューから少なくとも部分的に隠され、つまり見えない場合がある。追加的に、特定の寸法及び/又は相対距離は、既存のセンサシステムでの確認することが難しく、及び/又は「肉眼」では把握が難しい場合がある。更に、特定の構造は、術前(例えば、手術処置前であるが術前のスキャン後)、及び/又は術中に動く場合がある。そのような例では、医師は、術中に重要構造の場所を正確に判定することができない場合がある。
【0032】
重要構造の位置が不確定である場合、及び/又は重要構造と手術ツールとの間の近接度が不明である場合、医師の意思決定プロセスが阻害される可能性がある。例えば、医師は、重要構造の不注意による切開を回避するために、特定の領域を回避し得る。しかしながら、回避された領域は、不必要に大きく、かつ/又は、少なくとも部分的に場所を誤っている可能性がある。不確実性、及び/又は過度/過剰な用心に起因して、医師は特定の所望の領域に到達できない場合がある。例えば、重要構造がその特定領域にない場合、及び/又は、その特定領域での医師の行為によって悪影響がない場合であっても、用心のし過ぎにより、医師が、重要構造を回避しようと努力して、腫瘍及び/又は他の望ましくない組織の一部分を残してしまう場合がある。特定の例では、手術成績は知識及び/又は確実性が高まるとともに向上される場合があり、これにより、外科医にとって、より正確で、特定の例では、特定の解剖学的領域に対してより抑えて/より積極的になることが可能になる。
【0033】
手術可視化システムは、術中の特定及び重要構造の回避を可能にすることができる。したがって、手術可視化システムは、術中意思決定の強化及び手術転帰の改善を可能にし得る。手術可視化システムは、医師が「肉眼」で見るもの、並びに/あるいは撮像システムが認識し、及び/又は医師に伝達できるものを超えた、高度な可視化能力を提供することができる。手術可視化システムは、医師が組織治療(例えば、切開)の前に知ることができることを補強かつ強化できることによって、様々な例における転帰を改善し得る。結果として、手術可視化システムが、例えば、切開中にアプローチされ得る重要構造を追跡していることを認識しながら、医師は、手術処置を通して勢いを確実に維持することができる。手術可視化システムは、医師が手術処置を休止し、及び/又は減速させ、重要構造に対する不注意による損傷を防止するためにその構造までの近接度を評価するのに十分な時間内で、医師に対して指示を提供することができる。手術可視化システムは、理想的で、最適化された、及び/又はカスタマイズ可能な量の情報を医師に提供して、健康組織及び/又は重要構造への不注意による損傷を回避しつつ、医師が組織全体を確実、及び/又は迅速に動くことを可能にし、これによって、手術処置から生じる損傷のリスクを最小限に抑えることができる。
【0034】
手術可視化システムは、以下に詳細に説明される。一般に、手術可視化システムは、複数のスペクトル波を放射するように構成された第1の光エミッタと、光パターンを放射するように構成された第2の光エミッタと、可視光、スペクトル波に対する分子応答(分光イメージング)、及び/又は光パターンを検出するように構成された受信器、若しくはセンサと、を含むことができる。手術可視化システムはまた、撮像システムと、受信器及び撮像システムとを信号通信する制御回路と、を含むことができる。受信器からの出力に基づいて、制御回路は、手術部位における可視表面の幾何学的表面マップ例えば、三次元表面トポグラフィ、及び少なくとも部分的に隠れた構造までの距離などの手術部位に対する距離を判定することができる。撮像システムは、幾何学的表面マップ及び距離を医師に伝達することができる。そのような例では、医師に提供される手術部位の拡張ビューは、手術部位に関連するコンテキスト内で隠れた構造の表示を提供することができる。例えば、撮像システムは、が表面の下方のユーティリティ配管を示すために地面に引かれた線と同様に、隠している及び/又は遮断している組織の幾何学的表面マップ上に隠れた構造を仮想的に強化することができる。追加的又は代替的に、撮像システムは、可視の遮断している組織まで、及び/若しくは少なくとも部分的に隠れた構造までの手術ツールの近接度、並びに/又は、遮蔽している組織の可視表面の下方に隠された構造の深さを伝達することができる。例えば、可視化システムは、可視組織の表面上の拡張された線に対する距離を判定し、その距離を撮像システムに伝達することができる。
【0035】
本開示を通じて、特に可視光に言及しない限り、「光」への言及は全て、電磁放射線(electromagnetic radiation、EMR)波長スペクトルの可視部分及び/又は非可視部分におけるEMR又は光子を含むことができる。可視スペクトルは、場合によっては、光スペクトル又は発光スペクトルとも称され、人間の目に見える(例えば、人間の目によって検出することができる)電磁スペクトルの一部分であり、可視光、又は単に光と称されることがある。典型的な人間の目は、空気中の約380nm~約750nmの波長に応答する。不可視スペクトル(例えば、非発光スペクトル)は、可視スペクトルの下及び上にある電磁スペクトルの部分である。不可視スペクトルは、人間の目で検出可能ではない。約750nmを超える波長は、赤色可視スペクトルよりも長く、これらは不可視赤外線(infrared、IR)、マイクロ波及び無線電磁放射線になる。約380nm未満の波長は、紫色スペクトルよりも短く、これらは不可視紫外線、x線及びガンマ線電磁放射線になる。
【0036】
図1は、手術可視化システム100の一実施形態を例解する。手術可視化システム100は、解剖学的領域内の重要構造101の視覚的表示を作成するように構成されている。重要構造101は、単一の重要構造又は複数の重要構造を含むことができる。本明細書で論じるように、重要構造101は、解剖学的構造、例えば、尿管、上腸間膜動脈などの動脈、門脈などの静脈、横隔神経などの神経、血管、腫瘍、若しくは他の解剖学的構造、又は異質な構造、例えば、手術デバイス、手術締結具、手術クリップ、手術留め金、ブジー、手術バンド、手術プレート、若しくは他の異質な構造などの様々な構造のいずれかとすることができる。本明細書で論じるように、重要構造101は、患者ごと及び/又は処置ごとに特定することができる。重要構造の実施形態及び可視化システムを使用して重要構造を特定する実施形態は、2020年10月6日に発行された「Visualization Of Surgical Devices」と題する米国特許第10,792,034号に更に説明されており、その全体が参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0037】
いくつかの例では、重要構造101は、組織103に埋め込まれ得る。換言すれば、組織103は、脂肪、結合組織、癒着、及び/又は臓器などの様々な組織のうちのいずれかであることができる。換言すれば、重要構造101は、組織103の表面105の下方に位置付けられ得る。そのような例では、組織103は、医師の「肉眼」のビューから重要構造101を隠している。組織103はまた、手術可視化システム100の撮像デバイス120の視野から重要構造101を覆い隠す。重要構造101は、完全に覆い隠される代わりに、医師及び/又は撮像デバイス120の視野から部分的に覆い隠されることができる。
【0038】
手術可視化システム100は、臨床分析及び/又は医学的介入で使用することができる。特定の例では、手術可視化システム100を術中に使用して、近接度データ、寸法、及び/又は距離に関するリアルタイム情報などのリアルタイム情報を、手術処置中に医師に提供することができる。当業者であれば、情報は正確にリアルタイムでないが、それでもなお、データ送信によって引き起こされる時間遅延、データ処理によって引き起こされる時間遅延、及び/又は測定機器の感度などの様々な理由のいずれかにより、リアルタイムであるとみなされることがあると認識するだろう。手術可視化システム100は、重要構造の術中特定のために、及び/又は手術デバイスによる重要構造101の回避を容易にするように構成されている。例えば、重要構造101を特定することによって、医師は、手術処置中に、重要構造101及び/又は重要構造101の既定の近接度の領域の周囲で手術デバイスを操作することを回避できる。別の実施例では、重要構造101を特定することによって、医師は、重要構造101及び/又はその近くの切開を回避することができ、それによって、重要構造101への損傷を防止するのに役立ち、及び/又は医師によって使用されている手術デバイスが重要構造101によって損傷されるのを防止するのに役立つ。
【0039】
手術可視化システム100は、手術可視化システムの距離センサシステム104と組み合わせた組織特定及び幾何学的表面マッピングを組み込むように構成されている。組み合わせると、手術可視化システム100のこれらの特徴は、解剖学的領域内の重要構造101の位置、並びに/又は可視組織103の表面105及び/若しくは重要構造101への手術デバイス102の近接度を判定することができる。更に、手術可視化システム100は、例えば、手術部位のリアルタイムのビューを提供するように構成された撮像デバイス120を含む撮像システムを含む。撮像デバイス120は、例えば、反射されたスペクトル波形を検出し、かつ様々な波長に対する分子応答に基づいて、画像のスペクトルキューブを生成するように構成されているスペクトルカメラ(例えば、ハイパースペクトルカメラ、マルチスペクトルカメラ、又は選択的スペクトルカメラ)を含むことができる。撮像デバイス120からのビューは、ディスプレイ(例えば、モニタ、コンピュータタブレット画面など)上などで、医師にリアルタイムで提供され得る。表示されたビューは、組織特定、ランドスケープマッピング、及び距離センサシステム104に基づく追加の情報で拡張することができる。そのような例では、手術可視化システム100は、複数のサブシステム、つまり、撮像サブシステム、表面マッピングサブシステム、組織特定サブシステム、及び/又は距離判定サブシステムを含む。これらのサブシステムは協働して、高度なデータ合成及び統合された情報を手術中に医師に対して提供することができる。
【0040】
撮像デバイス120は、例えば、可視光、スペクトル光波(可視又は不可視)、及び構造化光パターン(可視又は不可視)を検出するように構成することができる。撮像デバイス120の実施例は、スコープ、例えば、内視鏡、関節鏡、血管鏡、気管支鏡、総胆管鏡、結腸鏡、膀胱鏡、十二指腸鏡、腸鏡、食道胃-十二指腸鏡(胃鏡)、喉頭鏡、鼻咽頭-鼻腔鏡、S状結腸鏡、胸腔鏡、尿管鏡、又はエキソスコープを含む。スコープは、低侵襲手術処置において特に有用とすることができる。開腹手術用途では、撮像デバイス120は、スコープを含まなくてもよい。
【0041】
組織特定サブシステムは、スペクトル撮像システムを用いて達成することができる。スペクトル撮像システムは、ハイパースペクトル撮像、マルチスペクトル撮像、又は選択的スペクトル撮像などの撮像に依存することができる。組織のハイパースペクトル撮像の実施形態は、2016年3月1日に発行された、「System And Method For Gross Anatomic Pathology Using Hyperspectral Imaging」と題する米国特許第9,274,047号に更に説明されており、その全体を参照により本明細書に組み込まれる。
【0042】
表面マッピングサブシステムは、光パターンシステムを用いて達成することができる。表面マッピングのために光パターン(又は構造化光)を使用する様々な表面マッピング技法が、本明細書に説明される手術可視化システムにおいて利用することができる。構造化光は、表面上に既知のパターン(多くの場合、グリッド又は水平バー)を投影するプロセスである。特定の例では、見えない(つまり、検知不能な)構造化光を利用することができ、構造化光は、投影されたパターンが混乱し得る他のコンピュータビジョンタスクと干することなく利用される。例えば、2つの正確に反対のパターンを繰り返す赤外光又は非常に速いフレームレートの可視光を利用して干渉を防止することができる。表面マッピング、並びに光源及び光パターンを投影するためのプロジェクタを含む手術システムの実施形態は、2017年3月2日に公開された「Set Comprising A Surgical Instrument」と題する米国特許出願公開第2017/0055819号、2017年9月7日に公開された「Depiction System」と題する米国特許出願公開第2017/0251900号、及び2019年12月30日に出願された「Surgical Systems For Generating Three Dimensional Constructs Of Anatomical Organs And Coupling Identified Anatomical Structures Thereto」と題する米国特許出願第16/729,751号に更に説明されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0043】
距離判定システムは、表面マッピングシステムに組み込むことができる。例えば、構造化光を利用して、可視表面105の三次元(three-dimensional、3D)仮想モデルを生成し、可視表面105に対する様々な距離を判定することができる。追加的又は代替的に、距離判定システムは飛行時間測定に依存し、手術部位における特定された組織(又は他の構造)に対する1つ又は2つ以上の距離を判定することができる。
【0044】
手術可視化システム100はまた、手術デバイス102を含む。手術デバイス102は、任意の好適な手術デバイスとすることができる。手術デバイス102の実施例は、手術解剖器具、手術ステープラ、手術把持器、クリップアプライヤ、煙排出器、手術エネルギーデバイス(例えば、単極プローブ、双極プローブ、アブレーションプローブ、超音波デバイス、超音波エンドエフェクタなど)などを含む。いくつかの実施形態では、手術デバイス102は、手術デバイス102のシャフトの遠位端から延在し、組織を間に係合するように構成されている対向するジョーを有するエンドエフェクタを含む。手術可視化システム100は、重要構造101と、重要構造101に対する手術デバイス102の近接度とを特定するように構成することができる。手術可視化システム100の撮像デバイス120は、例えば、可視光、スペクトル光波(可視又は不可視)、及び構造化光パターン(可視又は不可視)などの様々な波長の光を検出するように構成されている。撮像デバイス120は、異なる信号を検出するための複数のレンズ、センサ、及び/又は受信器を含むことができる。例えば、撮像デバイス120は、本明細書で更に説明されるように、ハイパースペクトルカメラ、マルチスペクトルカメラ、又は選択的スペクトルカメラとすることができる。撮像デバイス120はまた、波形センサ122(例えば、スペクトル画像センサ、検出器、及び/又は三次元カメラレンズ)も含むことができる。例えば、撮像デバイス120は、2つの二次元画像を同時に記録することによって、手術部位の三次元(3D)画像を生成し、手術部位の三次元画像をレンダリングし、かつ/又は、手術部位で1つ又は2つ以上の距離を判定するために一緒に使用される右側レンズ及び左側レンズを含むことができる。追加的又は代替的に、撮像デバイス120は、本明細書で更に説明されるように、可視組織のトポグラフィ、並びに隠れた重要構造の特定及び位置を示す画像を受信するように構成することができる。例えば、図1に示されるように、撮像デバイス120の視野を、組織103の表面105上の光パターン(構造化光)と重ねることができる。
【0045】
この例解された実施形態のように、手術可視化システム100は、ロボットシステム110に組み込むことができる。ロボット手術システム110は、本明細書で論じられるように、様々な構成を有することができる。この例解された実施形態では、ロボット手術システム110は、第1のロボットアーム112と第2のロボットアーム114とを含む。ロボットアーム112、114は、各々、サーボモータ制御を含むことができる剛性構造部材116及び継手118を含む。第1のロボットアーム112は、手術デバイス102を操作するように構成されており、第2のロボットアーム114は、撮像デバイス120を操作するように構成されている。ロボット手術システム110のロボット制御ユニットは、それぞれ手術デバイス102及び撮像デバイス120に作用することができる第1のロボットアーム112及び第2のロボットアーム114への制御運動を発するように構成されている。
【0046】
いくつかの実施形態では、ロボットアーム112、114のうちの1つ又は2つ以上は、手術処置で使用される主ロボットシステム110とは別個とすることができる。例えば、ロボットアーム112、114のうちの少なくとも1つは、サーボモータ制御なしに特定の座標系に位置付けられ、かつ位置合わせすることができる。例えば、ロボットアーム112、114に対する閉ループ制御システム及び/又は複数のセンサは、特定の座標系に対するロボットアーム112、114の位置を制御し、かつ/又は位置合わせすることができる。同様に、手術デバイス102及び撮像デバイス120の位置は、特定の座標系に対して位置合わせすることができる。
【0047】
ロボット手術システムの実施例は、Ottava(商標)のロボット支援手術システム(Johnson & Johnson of New Brunswick、NJ)、da Vinci(登録商標)の手術システム(Intuitive Surgical,Inc.of Sunnyvale、CA)、Hugo(商標)のロボット支援手術システム(Medtronic PLC of Minneapolis、MN)、Versius(登録商標)の手術ロボットシステム(CMR Surgical Ltd of Cambridge、UK)、及びMonarch(登録商標)のプラットフォーム(Auris Health,Inc.of Redwood City、CA)を含む。様々なロボット手術処置システム及びロボット手術処置システムを使用する実施形態は、2016年12月28日に出願された「Flexible Instrument Insertion Using An Adaptive Force Threshold」と題する米国特許出願公開第2018/0177556号、2019年4月16日に出願された「Systems And Techniques For Providing Multiple Perspectives During Medical Procedures」と題する米国特許出願公開第2020/0000530号、2020年2月7日に出願された「Image-Based Branch Detection And Mapping For Navigation」と題する米国特許出願公開第2020/0170720号、2019年12月9日に出願された「Surgical Robotics System」と題する米国特許出願公開第2020/0188043号、2019年9月3日に出願された「Systems And Methods For Concomitant Medical Procedures」と題する米国特許出願公開第2020/0085516号、2013年7月15日に出願された「Patient-Side Surgeon Interface For A Teleoperated Surgical Instrument」と題する米国特許第8,831,782号、及び2014年3月13日に出願された「Hyperdexterous Surgical System」と題する国際公開第2014151621号に更に説明されている。
【0048】
手術可視化システム100はまた、エミッタ106を含む。エミッタ106は、表面105のトポグラフィ又はランドスケープの判定を可能にするために、縞、グリッド線、及び/又はドットなどの光パターンを放射するように構成されている。例えば、投影された光アレイ130は、表面105上の三次元スキャン及び位置合わせのために使用することができる。投影された光アレイ130は、手術デバイス102、及び/又はロボットアーム112、114のうちの1つ、及び/又は撮像デバイス120上に位置するエミッタ106から放射することができる。一態様では、投影された光アレイ130は、手術可視化システム100が組織103の表面105及び/又は表面105の運動により手術中に画定される形状を判定するために採用される。撮像デバイス120は、表面105から反射された投影された光アレイ130を検出して、表面105のトポグラフィ、及び表面105に対する様々な距離を判定するように構成されている。
【0049】
この例解された実施形態におけるように、撮像デバイス120は、撮像デバイス120上に装着されるか、又は別様に取り付けられることなどによって、光波形エミッタ123を含むことができる。光波形エミッタ123は、組織103の表面105を透過して重要構造101に到達することができる電磁放射線124(NIR光子)を放射するように構成されている。撮像デバイス120、及び光波形エミッタ123は、ロボットアーム114によって位置付け可能とすることができる。光波形エミッタ123は、撮像デバイス122上、又は別様に装着されるが、他の実施形態では、撮像デバイス120とは別個の手術デバイス上に位置付けることができる。撮像デバイス120上の対応する波形センサ122(例えば、画像センサ、分光計、又は振動センサ)は、波形センサ122によって受信された電磁放射線の影響を検出するように構成されている。光波形エミッタ123から放射される電磁放射線124の波長は、重要構造101などの解剖学的構造及び/又は身体構造の種類の特定を可能にするように構成することができる。重要構造101の特定は、例えば、スペクトル分析、光音響、及び/又は超音波によって達成することができる。一態様では、電磁放射線124の波長は可変とすることができる。波形センサ122及び光波形エミッタ123は、例えば、マルチスペクトル撮像システム及び/又は選択的スペクトル撮像システムを含み得る。他の例では、波形センサ122及び光波形エミッタ123は、例えば、光音響撮像システムを含むことができる。
【0050】
手術可視化システム100の距離センサシステム104は、手術部位における1つ又は2つ以上の距離を判定するように構成されている。距離センサシステム104は、この例解された実施形態におけるようなエミッタ106などのエミッタを含み、受信器108を含む、飛行時間型距離センサシステムとすることができる。他の例では、飛行時間エミッタは構造化光エミッタとは別個であり得る。エミッタ106は、非常に小さなレーザ源を含むことができ、受信器108は、マッチングセンサを含むことができる。距離センサシステム104は、「飛行時間」、又はエミッタ106によって放射されたレーザ光が受信器108のセンサ部分に跳ね返るまでにかかる時間を検出するように構成されている。エミッタ106中で非常に狭い光源を使用することにより、距離センサシステム104が、距離センサシステム104の直ぐ前にある組織103の表面105までの距離を判定することを可能にする。
【0051】
距離センサシステム104の受信器108は、この例解された実施形態では手術デバイス102上に位置付けられるが、他の実施形態では、受信器108は、手術デバイス102の代わりに別個の手術デバイス上に装着することができる。例えば、受信器108は、手術デバイス102が手術部位に到達するようにそこを通って延在するカニューレ又はトロカール上に装着することができる。更に他の実施形態では、距離センサシステム104のための受信器108は、手術デバイス102が結合された第1のロボットアーム112とは別個のロボットシステム110のロボット制御アーム上に(例えば、第2のロボットアーム114上に)装着することができるか、別のロボットによって動作する可動アーム上に装着することができるか、又は手術室(OR)台若しくは固定具に装着することができる。いくつかの実施形態では、撮像デバイス120は、手術デバイス102上のエミッタ106と撮像デバイス120との間の線を使用して、エミッタ106から組織103の表面105までの距離を判定することを可能にする受信器108を含む。例えば、距離センサシステム104の(手術デバイス102上の)エミッタ106、及び(撮像デバイス120上の)受信器108の既知の位置に基づいて、距離dを三角測量することができる。受信器108の三次元位置を、術中に、ロボット座標平面に対して既知とすること、及び/又は位置合わせすることができる。
【0052】
この例解された実施形態におけるように、飛行時間距離センサシステム104のエミッタ106の位置は、第1のロボットアーム112によって制御することができ、距離センサシステム104の受信器108の位置は、第2のロボットアーム114によって制御することができる。別の実施形態では、手術可視化システム100は、ロボットシステムとは別に利用することができる。そのような例では、距離センサシステム104は、ロボットシステムとは独立していてもよい。
【0053】
図1では、dは、エミッタ106から組織103の表面105までのエミッタ-組織間距離であり、dは、手術デバイス102の遠位端から組織103の表面105までのデバイス-組織間距離である。距離センサシステム104は、エミッタ-組織間距離dを判定するように構成されている。デバイス-組織間距離dは、手術デバイス102の遠位端に対する、手術デバイス102上、例えば、手術デバイスの遠位端に近位のそのシャフト上のエミッタ106の既知の位置から取得可能である。言い換えると、エミッタ106と手術デバイス102の遠位端との間の距離が既知であるときに、デバイス-組織間距離dは、エミッタ-組織間距離dから判定することができる。いくつかの実施形態では、手術デバイス102のシャフトは、1つ又は2つ以上の関節継手を含むことができ、エミッタ106及び手術デバイス102の遠位端におけるジョーに対して関節運動可能とすることができる。関節運動構成は、例えば、多関節椎骨様構造を含むことができる。いくつかの実施形態では、三次元カメラを利用して、表面105までの1つ又は2つ以上の距離を三角測量することができる。
【0054】
図1では、dは、撮像デバイス120上に位置する光波形エミッタ123から重要構造101の表面までのカメラ-重要構造間距離であり、dは、組織103の表面105の下方の重要構造101の深さ(例えば、手術デバイス102に最も近い表面105の一部分と重要構造101との間の距離)である。撮像デバイス120上に位置する光波形エミッタ123から放射される光波形の飛行時間は、カメラ-重要構造間距離dを判定するように構成されている。
【0055】
図2に示されるように、組織103の表面105に対する重要構造101の深さdは、距離d、並びに手術デバイス102上のエミッタ106、及び撮像デバイス120上の光波形エミッタ123の既知の位置(したがって、これらの間の既知の距離d)から三角測量によって判定されて、距離dとdとの合計である距離dを判定することができる。追加的又は代替的に、光波形エミッタ123からの飛行時間は、光波形エミッタ123から組織103の表面105までの距離を判定するように構成することができる。例えば、第1の波形(又は波形範囲)を利用して、カメラ-重要構造間距離dを判定することができ、第2の波形(又は波形範囲)を利用して、組織103の表面105までの距離を判定することができる。そのような例では、異なる波形を利用して、組織103の表面105の下方の重要構造101の深さを判定することができる。追加的又は代替的に、距離dは、超音波、位置合わせされた磁気共鳴ビュー(magnetic resonance imaging、MRI)、又はコンピュータ断層撮影(computerized tomography、CT)スキャンから判定することができる。更に他の例では、距離dは、撮像デバイス120によって受信された検出信号が材料の種類、例えば、組織103の種類に基づいて変動し得るので、スペクトル撮像によって判定することができる。例えば、脂肪は、検出信号を第1の方法、又は第1の量で減少させることができ、コラーゲンは、検出信号を異なる第2の方法、又は第2の量で減少させることができる。
【0056】
図3に例解された手術可視化システム160の別の実施形態では、撮像デバイス120ではなく手術デバイス162は、光波形エミッタ123と、反射された波形を検出するように構成されている波形センサ122と、を含む。光波形エミッタ123は、本明細書で更に説明されるように、手術デバイス162などの共通デバイスからの距離d、及びdを判定するための波形を放射するように構成されている。そのような例では、組織103の表面105から重要構造101の表面までの距離dは、以下のように判定することができる。
【0057】
=d-d
【0058】
手術可視化システム100は、手術可視化システム100の様々な態様を制御するように構成された制御システムを含む。図4は、手術可視化システム100(又は本明細書に説明される他の手術可視化システム)の制御システムとして利用することができる制御システム133の一実施形態を例解する。制御システム133は、メモリ134と信号通信するように構成された制御回路132を含む。メモリ134は、重要構造(例えば、図1の重要構造101)を判定及び/又は認識するための命令、1つ又は2つ以上の距離及び/又は三次元デジタル表示を判定及び/又は計算するための命令、並びに、情報を医師に通信するための命令など、制御回路132により実行可能な命令を記憶するように構成されている。したがって、メモリ134内に記憶された命令は、プロセッサによって実行されるときに、プロセッサに上述のように実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品を構成する。また、このような命令は、任意のコンピュータ可読媒体(光ディスク、SDカード、USBドライブなど、又は別個のデバイスのメモリなど)に記憶されてもよく、そこからメモリ134にコピーされるか、又は直接実行されてもよい。コピー又は直接実行のプロセスは、コンピュータプログラム製品を搬送するデータキャリア信号の作成を伴う。この例解された実施形態におけるように、メモリ134は、表面マッピングロジック136、撮像ロジック138、組織特定ロジック140、及び距離判定ロジック141を記憶することができるが、メモリ134は、ロジック136、138、140、141の任意の組み合わせを記憶することができ、及び/又は様々なロジックを一緒に組み合わせることができる。制御システム133はまた、カメラ144を含む撮像システム142(例えば、図1の撮像デバイス120を含む撮像システム)、ディスプレイ146(例えば、モニタ、コンピュータタブレットスクリーン)、並びにカメラ144及びディスプレイ146の制御部148を含む。カメラ144は、様々な可視及び不可視スペクトルで光を放射する様々な光源からの信号を受信するように構成された画像センサ135(例えば、波形センサ122)(例えば、可視光、スペクトルイメージャ、三次元レンズなど)を含む。ディスプレイ146は、実際の、仮想の、及び/又は仮想的に拡張された画像及び/又は情報を医師に描写するように構成されている。
【0059】
例示的な実施形態では、画像センサ135は、ピクセルと呼ばれる個別の光検出器部位を最大で数百万個含む固体電子デバイスである。画像センサ135の技術は、電荷結合素子(Charge-Coupled Device、CCD)イメージャ及び相捕型金属酸化膜半導体(Complementary Metal Oxide Semiconductor、CMOS)イメージャの2つの範疇のうちの1つに分類され、より直近になると、短波赤外線(short-wave infrared、SWIR)が撮像における新技術である。別の種類の画像センサ135は、ハイブリッドCCD/CMOSアーキテクチャ(「sCMOS」の名称で販売)を採用し、CCD撮像基板にバンプ接合されたCMOS読み出し集積回路(readout integrated circuit、ROIC)からなる。CCD及びCMOS画像センサ135は、約400nm~約1000nmの範囲など、約350nm~約1050nmの範囲の波長に対して感度がある。当業者であれば、値が正確にある値ではないが、それでもなお、測定機器の感度及び製造公差などの様々な理由のいずれかにより、ほぼその値であるとみなされることがあると認識するであろう。CMOSセンサは、一般に、CCDセンサよりもIR波長に対して感度が高い。固体画像センサ135は、光電効果に基づいており、その結果、色を区別することができない。したがって、1チップ及び3チップの2種類のカラーCCDカメラが存在する。1チップカラーCCDカメラは、よく採用される低コストの撮像ソリューションを提供し、モザイク(例えば、ベイヤー)光学フィルタを使用して、入射光を一連の色に分離し、補間アルゴリズムを採用してフルカラー画像を解像する。次いで、各色は、異なるピクセルセットに方向付けられる。3チップカラーCCDカメラは、プリズムを採用することによってより高い分解能を提供し、入射スペクトルの各セクションを異なるチップに誘導する。オブジェクトの空間内の各点が、色を判定するためのアルゴリズムを使用するのではなく、別個のRGB強度値を有するため、より正確な色再現が可能である。3チップカメラは、非常に高い分解能を提供する。
【0060】
制御システム133はまた、各々が制御回路133に動作可能に結合されたスペクトル光源150及び構造化光源152を含むエミッタ(例えば、エミッタ106)を含む。単一の光源は、スペクトル光源150の範囲内の光の波長及び構造化光源152の範囲内の光の波長を放射するようにパルス化することができる。代替的に、単一の光源は、可視スペクトル内の光(例えば、赤外スペクトル光)及び可視スペクトル上の光の波長を提供するようにパルス化することができる。スペクトル光源150は、例えば、ハイパースペクトル光源、マルチスペクトル光源、及び/又は選択的スペクトル光源とすることができる。組織特定ロジック140は、カメラ144の画像センサ135によって受信されたスペクトル光源150からのデータを介して、重要構造(例えば、図1の重要構造101)を特定するように構成されている。表面マッピングロジック136は、反射された構造化光に基づいて、可視組織(例えば、組織103)の表面の輪郭を判定するように構成されている。飛行時間測定により、距離判定ロジック141は、可視組織及び/又は重要構造までの1つ又は2つ以上の距離を判定するように構成されている。表面マッピングロジック136、組織特定ロジック140、及び距離判定ロジック141の各々からの出力は、撮像ロジック138に提供され、撮像システム142のディスプレイ146を介して医師に伝達されるように撮像ロジック138によって、組み合わされ、一体化され、及び/又は重ね合わせられるように構成されている。
【0061】
制御回路132は、様々な構成を有することができる。図5は、手術可視化システム100の態様を制御するように構成された制御回路132として使用することができる制御回路170の一実施形態を例解する。制御回路170は、本明細書に説明される様々なプロセスを実装するように構成されている。制御回路170は、メモリ174に動作可能に結合されたプロセッサ172(例えば、マイクロプロセッサ又はマイクロコントローラ)を含むマイクロコントローラを含む。メモリ174は、プロセッサ172によって実行されるときに、プロセッサ172に、本明細書に説明される様々なプロセスを実装するための機械命令を実行させる、機械実行可能命令を記憶するように構成されている。プロセッサ172は、当該技術分野で既知のいくつかのシングルコアプロセッサ又はマルチコアプロセッサのうちの任意の1つとすることができる。メモリ174は、揮発性及び不揮発性の記憶媒体を含むことができる。プロセッサ172は、命令処理ユニット176、及び演算ユニット178を含む。命令処理ユニット176は、メモリ174から命令を受信するように構成されている。
【0062】
表面マッピングロジック136、撮像ロジック138、組織特定ロジック140、及び距離判定ロジック141は、様々な構成を有することができる。図6は、表面マッピングロジック136、撮像ロジック138、組織特定ロジック140、及び距離判定ロジック141のうちの1つ又は2つ以上などのロジックを使用して、手術可視化システム100の態様を制御するように構成された組み合わせロジック回路180の一実施形態を例解する。組み合わせロジック回路180は、入力184において手術デバイス(例えば、手術デバイス102及び/又は撮像デバイス120)に関連付けられたデータを受信し、組み合わせロジック182によってデータを処理し、出力184を制御回路(例えば、制御回路132)に提供するように構成された組み合わせロジック182を含む有限状態マシンを含む。
【0063】
図7は、表面マッピングロジック136、撮像ロジック138、組織特定ロジック140、及び距離判定ロジック141のうちの1つ又は2つ以上などのロジックを使用して、手術可視化システム100の態様を制御するように構成された順序ロジック回路190の一実施形態を例解する。順序ロジック回路190は、組み合わせロジック192、メモリ194、及びクロック196を含む有限状態マシンを含む。メモリ194は、有限状態マシンの現在の状態を記憶するように構成されている。順序ロジック回路190は、同期又は非同期とすることができる。組み合わせロジック192は、入力426において手術デバイス(例えば、手術デバイス102及び/又は撮像デバイス120)に関連付けられたデータを受信し、組み合わせロジック192によってデータを処理し、出力499を制御回路(例えば、制御回路132)に提供するように構成されている。いくつかの実施形態では、順序ロジック回路190は、プロセッサ(例えば、図5のプロセッサ172)と、本明細書の様々なプロセスを実装する有限状態マシンと、の組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、有限状態マシンは、組み合わせロジック回路(例えば、図7の組み合わせロジック回路192)と順序ロジック回路190との組み合わせを含むことができる。
【0064】
図8は、手術可視化システム200の別の実施形態を例解する。手術可視化システム200は、概して、図1の手術可視化システム100と同様に構成されており、使用され、例えば、手術デバイス202及び撮像デバイス220を含む。撮像デバイス220は、例えば、隠れた構造のスペクトル画像を取得するために複数の波長のスペクトル光を放射するように構成されたスペクトル光エミッタ223を含む。撮像デバイス220はまた、三次元カメラ及び関連する電子処理回路を含むことができる。臓器203の表面205上では不可視の尿管201a、及び臓器203(この例では、子宮)内の血管201bなどの特定の重要構造を特定し、それらの回避を容易にするために術中に利用されている、手術可視化システム200が示されている。
【0065】
手術可視化システム200は、構造化光によって、手術デバイス202上のエミッタ206から子宮203の表面205までのエミッタ-組織間距離dを判定するように構成されている。手術可視化システム200は、エミッタ-組織間距離dに基づいて、手術デバイス202から子宮203の表面205までのデバイス-組織間距離dを外挿するように構成されている。手術可視化システム200はまた、尿管201aから表面205までの組織-尿管間距離d、及び撮像デバイス220から尿管201aまでのカメラ-尿管間距離dを判定するように構成されている。本明細書に説明されるように、例えば、図1の手術可視化システム100に関して、手術可視化システム200は、例えば、スペクトル撮像及び飛行時間型センサを用いて、距離dを判定するように構成されている。様々な実施形態では、手術可視化システム200は、本明細書に説明される他の距離、及び/又は表面マッピングロジックに基づいて、組織-尿管間距離d(つまり、深さ)を判定(例えば、三角測量)することができる。
【0066】
上述したように、手術可視化システムは、手術可視化システムの様々な態様を制御するように構成された制御システムを含む。制御システムは、様々な構成を有することができる。図9は、図1の手術可視化システム100、図8の手術可視化システム200、又は本明細書に説明される他の手術可視化システムなどの手術可視化システムのための制御システム600の一実施形態を例解する。制御システム600は、スペクトルシグネチャ組織特定及び構造化光組織位置付けを統合して、特に、重要構造が組織、例えば、脂肪、結合組織、血液組織、及び/又は臓器によって、及び/又は血液によって不覆い隠されているときにその構造を特定し、及び/又は腫瘍及び/又は非健常組織を臓器内の健常組織から区別するなど、組織変動性を検出する変換システムである。
【0067】
制御システム600は、ハイパースペクトル撮像可視化システムを実装するように構成されており、このシステムでは、分子応答を利用して、手術視野内の解剖学的構造を検出及び特定する。制御システム600は、組織データを外科医及び/又は他の医療従事者に使用可能な情報に変換するように構成された変換ロジック回路648を含む。例えば、覆い隠されている材料に対する波長に基づく可変反射率を利用して、解剖学的構造中の重要構造を特定することができる。更に、制御システム600は、特定されたスペクトルシグネチャと構造光データとを画像内で組み合わせるように構成されている。例えば、制御システム600を採用して、拡張画像オーバーレイを用いたシステムにおける手術用途のための三次元データセットを作成することができる。技術は、追加の視覚的情報を採用して、手術中及び手術前の両方で採用することができる。様々な実施形態では、制御システム600は、1つ又は2つ以上の重要構造の近接するときに、医師に警告を提供するように構成されている。手術処置及び重要構造への近接度に基づくロボット自動化アプローチ及び半自動化アプローチを誘導するために、様々なアルゴリズムを採用することができる。
【0068】
投影された光アレイは、組織の形状及び運動を術中に判定するために制御システム600によって採用される。代替的に、フラッシュライダーを組織の表面マッピングに利用してもよい。
【0069】
制御システム600は、上述のように、1つ又は2つ以上の重要構造を含むことができる重要構造を検出し、重要構造の画像オーバーレイを提供し、可視組織の表面までの距離、及び埋め込まれた/埋もれた重要構造までの距離を測定するように構成されている。制御システム600は、可視組織の表面までの距離を測定し、又は重要構造を検出し、重要構造の画像オーバーレイを提供することができる。
【0070】
制御システム600は、スペクトル制御回路602を含む。スペクトル制御回路602は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)又は図6図7、及び図8に関して説明される構成などの別の好適な回路構成であることができる。スペクトル制御回路602は、ビデオ入力プロセッサ606からビデオ入力信号を受信するように構成されたプロセッサ604を含む。プロセッサ604は、ハイパースペクトル処理を行うように構成されてよく、例えば、C/C++コードを利用することができる。ビデオ入力プロセッサ606は、例えば、シャッタ時間、波長、及びセンサ分析などの制御(メタデータ)データのビデオインを受信するように構成されている。プロセッサ604は、ビデオ入力プロセッサ606からのビデオ入力信号を処理し、例えば、インターフェース制御(メタデータ)データのハイパースペクトルビデオアウトを含むビデオ出力信号をビデオ出力プロセッサ608に提供するように構成されている。ビデオ出力プロセッサ608は、ビデオ出力信号を画像オーバーレイコントローラ610に提供するように構成されている。ビデオ入力プロセッサ606は、患者隔離回路614を介して患者側のカメラ612に動作可能に結合されている。カメラ612は、固体画像センサ634を含む。患者隔離回路614は、患者がシステム内の他の回路から隔離されるように、複数の変圧器を含むことができる。カメラ612は、光学素子632及び画像センサ634を介して術中画像を受信するように構成されている。画像センサ634は、例えば、CMOS画像センサを含むことができるか、又は図4に関連して本明細書で論じられるものなどの別の画像センサ技術を含むことができる。カメラ612は、14ビット/ピクセル信号で613個の画像を出力するように構成されている。当業者は、より高いか、又はより低い分解能を採用することができると認識するであろう。隔離カメラ出力信号613は、カラーRGB融合回路616に提供され、この回路は、この例解された実施形態において、カメラ出力信号613を処理する構成されたカメラハードウェアレジスタ618及びNios2コプロセッサ620を採用する。ビデオ入力プロセッサ606及びレーザパルス制御回路622には、カラーRGB融合出力信号が提供される。
【0071】
レーザパルス制御回路622は、レーザ光エンジン624を制御するように構成されている。レーザ光エンジン624は、近赤外線(NIR)を含む複数の波長(λ1、λ2、λ3...λn)において光を出力するように構成されている。レーザ光エンジン624は、複数のモードで動作することができる。例えば、レーザ光エンジン624は、2つのモードで動作することができる。第1のモード、例えば、標準動作モードでは、レーザ光エンジン624は、照明信号を出力するように構成されている。第2のモード、例えば、特定モードでは、レーザ光エンジン624は、RGBG光及びNIR光を出力するように構成されている。様々な実施形態では、レーザ光エンジン624は、偏光モードで動作することができる。
【0072】
レーザ光エンジン624からの光出力626は、術中の手術部位627内の標的とされる解剖学的構造を照明するように構成されている。レーザパルス制御回路622はまた、手術部位627における手術組織、又は臓器上に所定の波長(λ2)で、ライン及び/又はドットのグリッド又はパターンなどのレーザ光パターン631を投影するように構成されたレーザパターンプロジェクタ630のためのレーザパルスコントローラ628を制御するように構成されている。カメラ612は、カメラ光学素子632を通して出力されたパターン化された光及び反射光を受信するように構成されている。画像センサ634は、受信された光をデジタル信号に変換するように構成されている。
【0073】
カラーRGB融合回路616はまた、画像オーバーレイコントローラ610、並びに、レーザパターンプロジェクタ630によって手術部位627の標的とされる解剖学的構造上に投影されたレーザ光パターン631を読み取るためのビデオ入力モジュール636に信号を出力するように構成されている。処理モジュール638は、レーザ光パターン631を処理し、手術部位627において可視組織までの距離を表す第1のビデオ出力信号640を出力するように構成されている。データは、画像オーバーレイコントローラ610に提供される。処理モジュール638はまた、手術部位における標的とされる解剖学的構造の組織又は臓器の三次元レンダリングされた形状を表す第2のビデオ信号642を出力するように構成されている。
【0074】
第1のビデオ出力信号640及び第2のビデオ出力信号642は、集積モジュール643に提供される三次元表面モデル上の重要構造の位置を表すデータを含む。スペクトル制御回路602のビデオ出力プロセッサ608からのデータと組み合わせて、集積モジュール643は、埋もれた重要構造までの距離(例えば、図1の距離d)を(例えば、三角測量アルゴリズム644によって)判定するように構成されており、埋もれた重要構造までの距離は、ビデオ出力プロセッサ646を介して、画像オーバーレイコントローラ610に提供することができる。前述の変換ロジックは、変換ロジック回路648、中間ビデオモニタ652、及び手術部位627に位置付けられたカメラ624/レーザパターンプロジェクタ630を包含することができる。
【0075】
CT又はMRIスキャンなどによる術前データ650を採用して、特定の三次元変形可能な組織を様々な例で位置合わせ又は整列させることができる。このような術前データ650は、集積モジュール643、最終的には、画像オーバーレイコントローラ610に提供することができるので、このような情報はカメラ612のビューと重ね合わせられ、ビデオモニタ652に提供することができる。術前データの位置合わせの実施形態は、2018年9月11日に出願された「Integration Of Imaging Data」と題する米国特許出願公開第2020/0015907号に更に説明されており、その全体は参照として本明細書に組み込まれる。
【0076】
ビデオモニタ652は、画像オーバーレイコントローラ610から統合/拡張ビューを出力するように構成されている。医師は、1つ又は2つ以上のディスプレイ上の異なるビューを選択し、及び/又は切り替えることができる。この例解された実施形態において、モニタである第1のディスプレイ652a上で、医師は、(A)可視組織の三次元レンダリングが示されているビューと、(B)1つ又は2つ以上の隠れた重要構造が可視組織の三次元レンダリングの上に描写される拡張ビューとを切り替えることができる。この例解された実施形態において、モニタである第2のディスプレイ652b上で、医師は、例えば、1つ又は2つ以上の隠れた重要構造、及び/又は可視組織の表面までの距離測定値を切り替えることができる。
【0077】
本明細書に説明される様々な手術可視化システムを利用して、スペクトルの可視部分においてEMRにより可視化されるのが覆い隠され得る組織、及び/又は解剖学的構造を含む、様々な異なる種類の組織、及び/又は解剖学的構造を可視化することができる。手術可視化システムは、上述したように、スペクトル撮像システムを利用することができ、これは、構成材料の様々な組み合わせに基づいて、異なる種類の組織を可視化するように構成することができる。特に、スペクトル撮像システムは、様々なEMR波長にわたる組織の吸収係数に基づいて可視化されている組織内の様々な構成材料の存在を検出するように構成することができる。スペクトル撮像システムは、構成材料の特定の組み合わせに基づいて、可視化されている組織の組織種類を特徴付けるように構成することができる。
【0078】
図10は、様々な生体材料の吸収係数がEMR波長スペクトルにわたり、どのように変動するかを描写するグラフ300を示す。グラフ300では、垂直軸302は、生体材料の吸収係数をcm-1単位で表し、水平軸304は、EMR波長をμm単位で表す。このグラフ300における第1の線306は、様々なEMR波長における水の吸収係数を表し、第2の線308は、様々なEMR波長におけるタンパク質の吸収係数を表し、第3の線310は、様々なEMR波長におけるメラニンの吸収係数を表し、第4の線312は、様々なEMR波長における脱酸素化ヘモグロビンの吸収係数を表し、第5の線314は、様々なEMR波長における酸素化ヘモグロビンの吸収係数を表し、第6の線316は、様々なEMR波長におけるコラーゲンの吸収係数を表す。組織種類が異なると、構成材料の組み合わせも異なるので、手術可視化システムによって可視化されている組織種類は、検出された構成材料の特定の組み合わせに従って、特定し、差別化することが可能である。したがって、手術可視化システムのスペクトル撮像システムは、いくつかの異なる波長でEMRを放射し、異なる波長で検出された吸収EMR吸収応答に基づいて、組織の構成材料を判定し、その後、構成材料の特定の検出された組み合わせに基づいて、組織種類を特徴付けるように構成することができる。
【0079】
図11は、異なる組織種類、及び/又は解剖学的構造を可視化するためのスペクトル撮像技術の利用の一実施形態を示す。図11では、スペクトルエミッタ320(例えば、図4のスペクトル光源150)は、手術部位322を可視化するために撮像システムによって利用されている。スペクトルエミッタ320によって放射され、手術部位322の組織及び/又は構造から反射されたEMRは、画像センサ(例えば、図4の画像センサ135)によって受信されて、組織及び/又は構造を可視化し、これらは、可視であるか(例えば、手術部位322の表面に位置している)、又は覆い隠されている(例えば、手術部位322において他の組織及び/又は構造の下にある)かのいずれかとすることができる。この実施形態では、撮像システム142(例えば、図4の撮像システム)は、異なる組織/構造種類の各々に対して、構成材料の異なる吸収性状(例えば、吸収係数)によって特徴付けられるスペクトルシグネチャに基づいて、腫瘍324、動脈326、及び様々な異常328(例えば、既知又は予想されるスペクトルシグネチャに対して確認できない組織)を可視化する。可視化された組織及び構造は、撮像システムに関連付けられた又は結合されたディスプレイスクリーン(例えば、図4の撮像システム142のディスプレイ146)上、主ディスプレイ(例えば、図19の主ディスプレイ819)上、非滅菌ディスプレイ(例えば、図19の非滅菌ディスプレイ807、809)上、手術ハブのディスプレイ(例えば、図19の手術ハブ806のディスプレイ)上、デバイス/器具ディスプレイ上、及び/又は別のディスプレイ上に表示することができる。
【0080】
撮像システムは、特定された組織及び/又は構造種類に従って、表示された手術部位の可視化を調整、又は更新するように構成することができる。例えば、図11に示されるように、撮像システムは、撮像システムに関連付けられた又は結合されたディスプレイスクリーン上、主ディスプレイ上、非滅菌ディスプレイ上、手術ハブのディスプレイ上、デバイス/器具ディスプレイ上、及び/又は別のディスプレイ上に可視化されている腫瘍324に関連付けられたマージン330を表示することができる。マージン330は、腫瘍324を確実に完全に除去するように切除されるべき組織の面積又は量を示すことができる。手術可視化システムの制御システム(例えば、図4の制御システム133)は、撮像システムによって特定された組織及び/又は構造に基づいて、マージン330の寸法を制御又は更新するように構成することができる。この例解された実施形態では、撮像システムは、視野(field of view、FOV)内の複数の異常328を特定している。したがって、制御システムは、この異常328を包含するのに十分な寸法を有する第1の更新されたマージン332に、表示されたマージン330を調節することができる。更に、撮像システムは、最初に表示されたマージン330(動脈326の強調表示された領域334によって示されるように)と部分的に重なっている動脈326を特定している。したがって、制御システムは、この動脈326の関連部分を包含するのに十分な寸法を有する第2の更新されたマージン336に、表示されたマージンを調節することができる。
【0081】
組織及び/又は構造はまた、図10及び図11に関して上述した吸収性状に加えて、又はそれに代えて、EMR波長スペクトルにわたるこれらの反射性状に従って、撮像するか又は特徴付けることができる。例えば、図12図13、及び図14は、様々なEMR波長にわたる異なる種類の組織又は構造の反射率の様々なグラフを例解する。図12は、覆い隠すものに対する例示の尿管シグネチャのグラフ表示340である。図13は、覆い隠すものに対する例示の動脈シグネチャのグラフ表示342である。図14は、覆い隠すものに対する例示の神経シグネチャのグラフ表示344である。図12図13、及び図14のプロットは、対応する波長における脂肪、肺組織、及び血液の対応する反射率に対する、特定の構造(尿管、動脈、及び神経)の波長(nm)の関数としての反射率を表している。これらのグラフは例示目的に過ぎず、他の組織及び/又は構造では、組織、及び/又は構造を特定及び可視化を可能にする対応する検出可能な反射率シグネチャを含み得ることを理解されたい。
【0082】
スペクトル撮像のための選択波長は、手術部位において予測される重要構造及び/又は覆い隠すものに基づいて特定し、利用することができる(例えば、「選択的スペクトル」撮像)。選択的スペクトル撮像を利用することにより、スペクトル画像を取得するために必要な時間量は、情報をリアルタイムで取得し、術中に利用することができるように、最小化することができる。波長は、医師によって、又はユーザ、例えば、医師による入力に基づいて、制御回路によって選択することができる。特定の例では、波長を、例えば、クラウド又は手術ハブを介して制御回路にアクセス可能な機械学習及び/又はビッグデータに基づいて選択することができる。
【0083】
図15は、波形エミッタと組織によって覆い隠された重要構造との間の距離を測定するために、術中に利用されている組織へのスペクトル撮像の一実施形態を例解する。図15は、波形424、425を利用する飛行時間型センサシステム404の一実施形態を示す。飛行時間型センサシステム404は、例えば、図1の手術可視化システム100のセンサシステム104として、手術可視化システムに組み込むことができる。飛行時間型センサシステム404は、同じ手術デバイス102上に波形エミッタ406及び波形受信器408を含む(例えば、図1の同じ手術デバイス402上のエミッタ106及び受信器108)。放射された波400は、エミッタ406から重要構造401(例えば、図1の重要構造101)まで延在し、受信される波425は、反射されて重要構造401から受信器408に戻される。この例解された実施形態では、手術デバイス402は、患者の腔407内へと延在するトロカール410を通って位置付けられる。この例解された実施形態では、トロカール410が使用されているが、他のトロカール又は他のアクセスデバイスを使用することができるか、又はアクセスデバイスを使用しなくてもよい。
【0084】
波形424、425は、波長のNIR又はSWIRスペクトル内の波長を有することなどによって、覆い隠している組織403を貫通するように構成されている。スペクトル信号(例えば、ハイパースペクトル、マルチスペクトル、若しくは選択的スペクトル)又は光音響信号は、遠位を指す第1の矢印407によって示されるように、エミッタ406から放射され、重要構造401が隠されている組織403を貫通することができる。放射された波形424は、近位を指す第2の矢印409によって示されるように、重要構造401によって反射される。受信された波形425は、手術デバイス402の遠位端と重要構造401との間の距離dに起因して、遅延する可能性がある。波形424、425は、本明細書に説明されるように、重要構造401のスペクトルシグネチャに基づいて、組織403内の重要構造401を標的とするように選択することができる。エミッタ406は、例えば、図16に示されるように、オンとオフを表す二値信号を提供するように構成されており、受信器408によって測定することができる。
【0085】
放射された波424と受信された波425との間の遅延に基づいて、飛行時間型センサシステム404は、距離dを判定するように構成されている。図15のエミッタ406及び受信器408の飛行時間タイミング図430が、図16に示されている。遅延は、距離dの距離の関数であり、距離dは、以下によって求められ、
【0086】
【数1】
式中、c=光速度であり、t=パルスの長さであり、q1=光が放射されている間に蓄積された電荷であり、q2=光が放射されていない間に蓄積された電荷である。
【0087】
波形424、425の飛行時間は、図15の距離dに対応する。様々な例では、追加のエミッタ/受信器及び/又はエミッタ406からのパルス信号は、非透過信号を放射するように構成することができる。非透過信号は、エミッタ406から覆い隠している組織403の表面405までの距離を判定するように構成することができる。様々な例では、重要構造401の深さは、以下によって判定することができ、
=d-d
式中、d=重要構造401の深さであり、d=エミッタ406から重要構造401までの距離(図15のd)であり、d=エミッタ406(手術デバイス402の遠位端上)から覆い隠している組織403の表面405までの距離である。
【0088】
図17は、波524a、524b、524c、525a、525b、525cを利用する飛行時間型センサシステム504の別の実施形態を例解する。飛行時間型センサシステム504は、例えば、図1の手術可視化システム100のセンサシステム104として、手術可視化システムに組み込むことができる。飛行時間型センサシステム504は、波形エミッタ506及び波形受信器508(例えば、図1のエミッタ106及び受信器108)を含む。波形エミッタ506は、第1の手術デバイス502a(例えば、図1の手術デバイス102))上に位置付けられ、波形受信器508は、第2の手術デバイス502b上に位置付けられる。手術デバイス502a、502bは、それぞれ、患者の腔507内に延在する第1のトロカール510a及び第2のトロカール510bを通って位置付けられる。トロカール510a、510bは、この例解された実施形態において使用されるが、他のトロカール又は他のアクセスデバイスを使用することができるか、又はアクセスデバイスを使用してなくてもよい。放射された波524a、524b、524cは、エミッタ506から手術部位に向かって延在し、受信された波525a、525b、525cは、手術部位における様々な構造、及び/又は表面から受信器508から反射される。
【0089】
異なる放射された波524a、524b、524cは、手術部位において異なる種類の材料を標的とするように構成されている。例えば、波524aは、覆い隠している組織503を標的とし、波524bは、この例解された実施形態では血管である第1の重要構造501a(例えば、図1の重要構造101)を標的とし、波524cは、この例解された実施形態ではがん性腫瘍である第2の重要構造501b(例えば、図1の重要構造101)を標的とする。波524a、524b、524cの波長は、可視光、NIR、又はSWIRスペクトルの波長とすることができる。例えば、可視光は、組織503の表面505に反射することができ、NIR波形及び/又はSWIR波形は、組織503の表面505を透過することができる。様々な態様では、本明細書に説明されるように、スペクトル信号(例えば、ハイパースペクトル、マルチスペクトル、又は選択的スペクトル)又は光音響信号をエミッタ506から放射することができる。波524b、524cは、本明細書に更に説明されるように、重要構造501a、501bのスペクトルシグネチャに基づいて、組織503内の重要構造501a、501bを標的とするように選択することができる。光音響撮像は、様々な米国特許出願に更に説明されており、これらは、本開示において参照により本開示に組み込まれる。
【0090】
放射された波524a、524b、524cは、標的とされる材料、すなわち、それぞれ表面505、第1の重要構造501a、及び第2の構造501bから反射される。受信された波形525a、525b、525cは、距離d1a、d2a、d3a、d1b、d2b、d2cに起因して遅延する可能性がある。エミッタ506及び受信器508を個別に位置付け可能である(例えば、別個の手術デバイス502a、502b上で、及び/又は別個のロボットアームによって制御される)飛行時間型センサシステム504において、様々な距離d1a、d2a、d3a、d1b、d2b、d2cは、エミッタ506及び受信器508の既知の位置から算出することができる。例えば、手術デバイス502a、502bがロボット制御されるときに、位置は既知とすることができる。エミッタ506と受信器508の位置、並びに特定組織を標的とする光子ストリームの時間、及び受信器508によって受信されたその特定の応答の情報に関する知識により、距離d1a、d2a、d3a、d1b、d2b、d2cの判定を可能にすることができる。一態様では、覆い隠された重要構造501a、501bまでの距離は、透過波長を使用して三角測量することができる。光速度は可視光又は不可視光の任意の波長に対して一定であるため、飛行時間型センサシステム504は、様々な距離を判定することができる。
【0091】
医師に提供されたビュー、例えば、ディスプレイ上では、結果として生じる画像内の標的構造の質量中心が一定のままとなるように、例えば、選択標的構造503、501a、又は501bの軸に垂直な平面内で、受信器508を回転させることができる。そのような向きは、標的構造に対して、1つ又は2つ以上の関連する距離及び/又は視点を迅速に通信することができる。例えば、図17に示されるように、重要構造501aがビュー平面に垂直である(例えば、血管がページの内外に向いている)視点から、手術部位が表示される。そのような向きは、デフォルトセッティングとすることができる。しかしながら、ビューは、医師によって回転されるか、又は別様に調節され得る。特定の例では、医師は、撮像システムによって提供される手術部位の視点を画定する、異なる表面及び/又は標的構造を切り替えることができる。
【0092】
この例解された実施形態におけるように、受信器508は、トロカール510b(又は他のアクセスデバイス)上に装着することができ、それを通して手術デバイス502bが位置付けられる。他の実施形態では、受信器508は、三次元位置が既知である別個のロボットアームに装着することができる。様々な例では、受信器508は、手術デバイス502aを制御するロボットとは別個の可動アーム上に装着することができるか、又はロボット座標平面に術中に位置合わせ可能な手術室(OR)台若しくは固定具に装着することができる。そのような例では、エミッタ506及び受信器508の位置は、飛行時間型センサシステム504の出力から距離を三角測量することができるように、同じ座標平面に位置合わせすることができる。
【0093】
飛行時間型センサシステムとナノ秒の分解能を用いたNIR光の時間分解プロファイルを測定することが可能である、TOF-NIRSと呼ばれる近赤外分光法(near-infrared spectroscopy、NIRS)との組み合わせは、Time-Of-Flight Near-Infrared Spectroscopy For Nondestructive Measurement Of Internal Quality In Grapefruit,Journal of the American Society for Horticultural Science,May 2013 vol.138 no.3 225-228に見出すことができ、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0094】
可視化システム並びにその態様及び使用の実施形態は、2018年9月11日に出願された「Surgical Visualization Platform」と題する米国特許出願公開第2020/0015923号、2018年9月11日に出願された「Controlling An Emitter Assembly Pulse Sequence」と題する米国特許出願公開第2020/0015900号、2018年9月11日に出願された「Singular EMR Source Emitter Assembly」と題する米国特許出願公開第2020/0015668号、2018年9月11日に出願された「Combination Emitter And Camera Assembly」と題する米国特許出願公開第2020/0015925号、2018年9月11日に出願された「Surgical Visualization With Proximity Tracking Features」と題する米国特許出願公開第2020/00015899号、2018年9月11日に出願された「Surgical Visualization Of Multiple Targets」と題する米国特許出願公開第2020/00015903号、2018年9月11日に出願された「Visualization Of Surgical Devices」と題する米国特許第10,792,034号、2018年9月11日に出願された「Operative Communication Of Light」と題する米国特許出願公開第2020/0015897号、2018年9月11日に出願された「Robotic Light Projection Tools」と題する米国特許出願公開第2020/0015924号、2018年9月11日に出願された「Surgical Visualization Feedback System」と題する米国特許出願公開第2020/0015898号、2018年9月11日に出願された「Surgical Visualization And Monitoring」と題する米国特許出願公開第2020/0015906号、2018年9月11日に出願された「Integration Of Imaging Data」と題する米国特許出願公開第2020/0015907号、2018年9月11日に出願された「Robotically-Assisted Surgical Suturing Systems」と題する米国特許第10,925,598号、2018年9月11日に出願された「Safety Logic For Surgical Suturing Systems」と題する米国特許出願公開第2020/0015901号、2018年9月11日に出願された「Robotic Systems With Separate Photoacoustic Receivers」と題する米国特許出願公開第2020/0015914号、2018年9月11日に出願された「Force Sensor Through Structured Light Deflection」と題する米国特許出願公開第2020/0015902号、2018年12月4日に出願された「Method Of Hub Communication」と題する米国特許出願公開第2019/0201136号、2019年12月30日に出願された「Analyzing Surgical Trends By A Surgical System」と題する米国特許出願第16/729,772号、2019年12月30日に出願された「Dynamic Surgical Visualization Systems」と題する米国特許出願第16/729,747号、2019年12月30日に出願された「Visualization Systems Using Structured Light」と題する米国特許出願第16/729,744号、2019年12月30日に出願された「System And Method For Determining,Adjusting,And Managing Resection Margin About A Subject Tissue」と題する米国特許出願第16/729,778号、2019年12月30日に出願された「Surgical Systems For Proposing And Corroborating Organ Portion Removals」と題する米国特許出願第16/729,729号、2019年12月30日に出願された「Surgical System For Overlaying Surgical Instrument Data Onto A Virtual Three Dimensional Construct Of An Organ」と題する米国特許出願第16/729,778号、2019年12月30日に出願された「Surgical Systems For Generating Three Dimensional Constructs Of Anatomical Organs And Coupling Identified Anatomical Structures Thereto」と題する米国特許出願第16/729,751号、2019年12月30日に出願された「Surgical Systems Correlating Visualization Data And Powered Surgical Instrument Data」と題する米国特許出願第16/729,740号、2019年12月30日に出願された「Adaptive Surgical System Control According To Surgical Smoke Cloud Characteristics」と題する米国特許出願第16/729,737号、2019年12月30日に出願された「Adaptive Surgical System Control According To Surgical Smoke Particulate Characteristics」と題する米国特許出願第16/729,796号、2019年12月30日に出願された「Adaptive Visualization By A Surgical System」と題する米国特許出願第16/729,803号、2019年12月30日に出願された「Method Of Using Imaging Devices In Surgery」と題する米国特許出願第16/729,807号、2021年9月29日に出願された「Surgical Devices,Systems,And Methods Using Multi-Source Imaging」と題する米国特許出願第63/249,644号、2021年9月29日に出願された「Surgical Devices,Systems,Methods Using Fiducial Identification And Tracking」と題する米国特許出願第63/249,652号、2021年9月29日に出願された「Surgical 30 Devices,Systems,And Methods For Control Of One Visualization With Another」と題する米国特許出願第63/249,658号、2021年9月29日に出願された「Methods And Systems For Controlling Cooperative Surgical Instruments」と題する米国特許出願第63/249,870号、2021年9月29日に出願された「Methods And Systems For Controlling Cooperative Surgical Instruments」と題する米国特許出願第63/249,877号、及び2021年9月29日に出願された「Cooperative Access」と題する米国特許出願第63/249,980号に更に説明されており、これらは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0095】
手術ハブ
本明細書に説明される様々な可視化又は撮像システムは、手術ハブを含むシステムに組み込むことができる。概して、手術ハブは、複数の医療施設にまたがることができ、統合され包括的な改善された医療を膨大な数の患者に提供するように構成された包括的なデジタル医療システムの構成要素とすることができる。包括的なデジタル医療システムは、多くの異なる医療施設にわたって位置する複数の手術ハブに相互接続するように構成されているクラウドベースの医療分析システムを含む。手術ハブは、患者に対して医療処置を行うために使用される1つ又は2つ以上の手術器具及び/又は医療処置の実行中に使用される1つ又は2つ以上の可視化システムなどの1つ又は2つ以上の要素と相互接続するように構成されている。手術ハブは、医療処置の転帰を改善するための多様な機能性を提供する。様々な手術デバイス、可視化システム、及び手術ハブによって生成された、患者及び医療処置に関するデータは、クラウドベースの医療分析システムに送信され得る。次いで、このデータは、他の医療施設に位置する多くの他の手術ハブ、可視化システム、及び手術器具から収集された同様のデータと集約され得る。採集されたデータを分析するクラウドベースの分析システムを通じて、様々なパターン及び相関が見出され得る。結果として、データを生成するために使用される技術の改善をもたらし得、次いで、これらの改善は、様々な手術ハブ、可視化システム及び手術デバイスに広め得る。上述した構成要素の全ての相互接続性により、多くの構成要素がそのように相互接続されていない場合には見出されない可能性がある医療処置及び医療実践における改善が見出される可能性がある。
【0096】
データを受信し、分析し、かつ出力するように構成された手術ハブ、及びそのような手術ハブを使用する方法の実施例は、2018年12月4日に出願された「Method Of Hub Communication,Processing,Storage And Display」と題する米国特許出願公開第2019/0200844号、2018年12月4日に出願された「Method Of Compressing Tissue Within A Stapling Device And Simultaneously Displaying The Location Of The Tissue Within The Jaws」と題する米国特許出願公開第2019/0200981号、2018年12月4日に出願された「Method For Controlling Smart Energy Devices」と題する米国特許出願公開第2019/0201046号、2018年3月29日に出願された「Adaptive Control Program Updates For Surgical Hubs」と題する米国特許出願公開第2019/0201114号、2018年3月29日に出願された「Surgical Hub Situational Awareness」と題する米国特許出願公開第2019/0201140号、2018年3月29日に出願された「Interactive Surgical Systems With Condition Handling Of Devices And Data Capabilities」と題する米国特許出願公開第2019/0206004号、2018年3月29日に出願された「Cloud-based Medical Analytics For Customization And Recommendations To A User」と題する米国特許出願公開第2019/0206555号、及び2018年11月6日に出願された「Surgical Network Determination Of Prioritization Of Communication,Interaction,Or Processing Based On System Or Device Needs」と題する米国特許出願公開2019/0207857号に更に説明されており、これらは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。図18は、1つ又は2つ以上の手術システム702及びクラウドベースのシステム(例えば、記憶デバイス705に結合された遠隔サーバ713を含むことができるクラウド704)を含むコンピュータ実装双方向手術システム700の一実施形態を例解する。各手術システム702は、クラウド704と通信する少なくとも1つの手術ハブ706を含む。一実施例では、図18に例解されたように、手術システム702は、可視化システム708と、ロボットシステム710と、インテリジェント(又は「スマート」)手術器具712とを含み、これらは、互いに、及び/又はハブ706と通信するように構成されている。インテリジェント手術器具712は、撮像デバイスを含むことができる。手術システム702は、M個のハブ706と、N個の可視化システム708と、O個のロボットシステム710と、P個のインテリジェント手術器具712と、を含むことができ、M、N、O、及びPは、互いのいずれか1つ又は2つ以上に等しくても等しくなくてもよい1以上の整数である。様々な例示的なインテリジェント手術器具及びロボットシステムが本明細書に説明されている。
【0097】
手術可視化システムから手術ハブによって受信されるデータは、様々な方法のうちのいずれかで使用することができる。例示的な実施形態では、手術ハブは、例えば、手術処置の実行中に手術室で使用される、手術セッティングにおいて患者とともに使用される手術可視化システムからデータを受信することができる。手術ハブは、本明細書に論じられるように、1つ又は2つ以上の方法のいずれかで受信されたデータを使用することができる。
【0098】
手術ハブは、手術可視化システムの使用とともに、受信されたデータをリアルタイムで分析し、受信されたデータの分析に基づいて、患者とともに使用される手術可視化システム及び/又は1つ又は2つ以上のインテリジェント手術器具のうちの1つ又は2つ以上を調節制御するように構成することができる。このような調節は、例えば、インテリジェント手術器具の1つ又は2つ以上の動作制御パラメータを調節すること、1つ又は2つ以上のインテリジェント手術器具の1つ又は2つ以上のセンサに測定を行わせて、患者の現在の生理学的状態、及び/又はインテリジェント手術器具の現在の動作状態の理解を得ることを助けること、並びに他の調節を含むことができる。インテリジェント手術器具の動作を制御及び調節することは、以下で更に論じられる。インテリジェント手術器具の動作制御パラメータの実施例は、モータ速度、切断要素速度、時間、持続時間、エネルギー印加のレベル、及び光放射を含む。手術ハブの実施例、並びにインテリジェント手術器具の動作を制御及び調節する実施例は、前述の2019年12月30日に出願された「Analyzing Surgical Trends By A Surgical System」と題する米国特許出願第16/729,772号、2019年12月30日に出願された「Dynamic Surgical Visualization Systems」と題する米国特許出願第16/729,747号、2019年12月30日に出願された「Visualization Systems Using Structured Light」と題する米国特許出願第16/729,744号、2019年12月30日に出願された「System And Method For Determining,Adjusting,And Managing Resection Margin About A Subject Tissue」と題する米国特許出願第16/729,778号、2019年12月30日に出願された「Surgical Systems For Proposing And Corroborating Organ Portion Removals」と題する米国特許出願第16/729,729号、2019年12月30日に出願された「Surgical System For Overlaying Surgical Instrument Data Onto A Virtual Three Dimensional Construct Of An Organ」と題する米国特許出願第16/729,778号、2019年12月30日に出願された「Surgical Systems For Generating Three Dimensional Constructs Of Anatomical Organs And Coupling Identified Anatomical Structures Thereto」と題する米国特許出願第16/729,751号、2019年12月30日に出願された「Surgical Systems Correlating Visualization Data And Powered Surgical Instrument Data」と題する米国特許出願第16/729,740号、2019年12月30日に出願された「Adaptive Surgical System Control According To Surgical Smoke Cloud Characteristics」と題する米国特許出願第16/729,737号、2019年12月30日に出願された「Adaptive Surgical System Control According To Surgical Smoke Particulate Characteristics」と題する米国特許出願第16/729,796号、2019年12月30日に出願された「Adaptive Visualization By A Surgical System」と題する米国特許出願第16/729,803号、及び2019年12月30日に出願された「Method Of Using Imaging Devices In Surgery」と題する米国特許出願第16/729,807号に説明される。2020年10月13日に出願された「Adaptive Responses From Smart Packaging Of Drug Delivery Absorbable Adjuncts」と題する米国特許出願第17/068,857号、2020年10月13日に出願された「Drug Administration Devices That Communicate With Surgical Hubs」と題する米国特許出願第17/068,858号、2020年10月13日に出願された「Controlling Operation Of Drug Administration Devices Using Surgical Hubs」と題する米国特許出願第17/068,859号、2020年10月13日に出願された「Patient Monitoring Using Drug Administration Devices」と題する米国特許出願第17/068,863号、2020年10月13日に出願された「Monitoring And Communicating Information Using Drug Administration Devices」と題する米国特許出願第17/068,865号、及び2020年10月13日に出願された「Aggregating And Analyzing Drug Administration Data」と題する米国特許出願第17/068,867号に更に説明されており、これらは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0099】
手術ハブは、受信されたデータの可視化がディスプレイ上の手術セッティングにおいて提供されるように構成することができ、そのため、手術セッティングにおける医師が、データを見ることができ、それにより、手術セッティングにおいて使用されている撮像デバイスの動作の理解を受け取ることができる。可視化を介して提供されるこのような情報は、テキスト及び/又は画像を含むことができる。
【0100】
図19は、手術ハブ806(例えば、図18の手術ハブ706又は本明細書に説明される他の手術ハブ)、ロボット手術システム810(例えば、図1のロボット手術処置システム110又は本明細書における他のロボット手術システム)、及び可視化システム808(例えば、図1の可視化システム100又は本明細書に説明される他の可視化システム)を含む手術システム802の一実施形態を例解する。手術ハブ806は、本明細書に論じられるように、クラウドと通信することができる。図19は、手術室816内の手術台814上に横たわっている患者に対して手術処置を行うために使用されている手術システム802を示す。ロボットシステム810は、外科医のコンソール818と、患者側カート820(手術ロボット)と、ロボットシステムの手術ハブ822と、を含む。ロボットシステムの手術ハブ822は、概して、手術ハブ822と同様に構成されており、クラウドと通信することができる。いくつかの実施形態では、ロボットシステムの手術ハブ822及び手術ハブ806は、組み合わせることができる。患者側カート820は、医師例えば、外科医、看護師、及び/又は他の医師が、外科医コンソール818を通して手術部位を見ている間に、患者の身体の低侵襲切開部を通してインテリジェント手術ツール812を操作することができる。手術部位の画像は、撮像デバイス824(例えば、図1の撮像デバイス120、又は本明細書に説明される他の撮像デバイス)によって取得することができ、これは、撮像デバイス824の向きを変えるために、患者側カート820によって操作することができる。ロボットシステムの手術ハブ822を使用して、手術部位の画像を処理し、その後、外科医のコンソール818を通して、外科医に表示することができる。
【0101】
主ディスプレイ819は、手術室816の滅菌野に位置付けられ、手術台814にいるオペレータに可視であるように構成されている。加えて、この例解された実施形態では、可視化タワー818が、滅菌野の外側に位置付けられ得る。可視化タワー818は、互いに反対側を向いている第1の非滅菌ディスプレイ807、及び第2の非滅菌ディスプレイ809を含む。手術ハブ806によって誘導される可視化システム808は、ディスプレイ807、809、819を利用して、滅菌野の内側及び外側の医師への情報フローを協調するように構成されている。例えば、手術ハブ806は、可視化システム808に、主ディスプレイ819上に手術部位のライブ映像を維持しながら、撮像デバイス824によって取得されるような手術部位のスナップショット及び/又はビデオを非滅菌ディスプレイ807、809の一方又は両方上に表示させることができる。非滅菌ディスプレイ807及び/又は809上のスナップショット及び/又はビデオは、例えば、非滅菌医師が、手術処置に関連する診断工程を行うことを許可することができる。
【0102】
手術ハブ806は、可視化タワー818における非滅菌医師によって入力された診断入力又はフィードバックを滅菌野内の主ディスプレイ819に送り、これを手術台814における滅菌医師が見ることができるように構成されている。例えば、入力は、手術ハブ806によって主ディスプレイ819に送ることができる、非滅菌ディスプレイ807又は809上に表示されるスナップショット及び/又はビデオへの修正の形態とすることができる。
【0103】
手術ハブ806は、本開示において参照により本明細書に組み込まれる様々な米国特許出願に説明されているように、インテリジェント手術器具812のディスプレイに情報フローを適合させるように構成されている。可視化タワー818における非滅菌オペレータによって入力される診断入力又はフィードバックは、手術ハブ806によって滅菌野内のディスプレイ819に送ることができ、これを手術器具812のオペレータ及び/又は滅菌野内の医師が見ることができる。
【0104】
インテリジェント手術器具812及びインテリジェント手術ツールでもある撮像デバイス824は、手術システム802の一部として手術処置において患者とともに使用されている。例えば、患者側カート820に着脱可能に結合され、かつロボット手術システム810及び手術ハブ806と通信することができる、手術処置で使用することができる他のインテリジェント手術器具812aも、利用可能であるものとして図19に示されている。非インテリジェント(又は「ダム」)手術器具817、例えば、ロボット手術システム810及び手術ハブ806と通信することができない鋏、トロカール、カニューレ、メスもまた、使用のために利用可能であるものとして図19に示されている。
【0105】
インテリジェント手術器具の動作
インテリジェント手術デバイスには、インテリジェント手術デバイスの動作を制御するために、インテリジェント手術デバイス、例えば、そのプロセッサによってオンボードで実行可能であるように構成されたアルゴリズムが、インテリジェント手術デバイス上、例えば、そのメモリに記憶され得る。いくつかの実施形態では、インテリジェント手術デバイス上に記憶される代わりに、又はそれに加えて、アルゴリズムは、インテリジェント手術デバイスと通信するように構成されている、手術ハブ上、例えば、そのメモリに記憶することができる。
【0106】
アルゴリズムは、インテリジェント手術デバイスの機能を制御するために、命令、通知、信号などを定義する、及び/又は表す複数のデータポイントの1つ又は2つ以上のセットの形態で記憶される。いくつかの実施形態では、インテリジェント手術デバイスによって収集されたデータは、アルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータを変更するために、例えば、インテリジェント手術デバイスのプロセッサによって、インテリジェント手術デバイスによって使用することができる。上記に論じられるように、手術ハブは、インテリジェント手術デバイスと通信することができ、したがって、インテリジェント手術デバイスによって収集されたデータは、手術ハブに通信することができ、及び/又は手術ハブと通信する別のデバイスによって収集されたデータは、手術ハブに通信することができ、データは、手術ハブからインテリジェント手術デバイスに通信することができる。したがって、インテリジェント手術デバイスが、記憶された可変パラメータを変更するように構成されている代わりに、又はそれに加えて、手術ハブは、変更された少なくとも1つの変数を、単独で、又はアルゴリズムの一部として、インテリジェント手術デバイスに通信するように構成することができ、及び/又は手術ハブは、命令をインテリジェント手術デバイスに通信し、手術ハブによって判定されるような少なくとも1つの変数を変更することができる。
【0107】
少なくとも1つの可変パラメータは、アルゴリズムのデータポイントの間にあり、例えば、インテリジェント手術デバイスを動作させるための命令に含まれ、したがって、各々が、アルゴリズムの記憶された複数のデータポイントのうちの1つ又は2つ以上を変更することによって、変更されることが可能である。少なくとも1つの可変パラメータが変更された後、その後のアルゴリズムの実行は、変更されたアルゴリズムに従う。そのため、患者の実際の状況並びにインテリジェント手術デバイスが使用されている手術処置の実際の条件及び/又は結果を考慮することによって、インテリジェント手術デバイスの有益な結果の使用を増加させるために、インテリジェント手術デバイスの経時的な動作を患者に対して管理することができる。少なくとも1つの可変パラメータを変更することは、患者の転帰を改善するために自動化される。したがって、インテリジェント手術デバイスは、スマートシステムを提供するために患者及び患者の周囲条件に基づいて個別化された医薬を提供するように構成することができる。手術処置を行っている間にインテリジェント手術デバイスが使用されている手術セッティングにおいて、少なくとも1つの可変パラメータの自動変更は、手術処置の実行中に収集されたデータに基づいて、インテリジェント手術デバイスが制御されることを可能にし得、これは、インテリジェント手術デバイスが効率的かつ正確に使用されることを確実にするのに役立ち得、及び/又は重要な解剖学的構造を傷つけることによって、患者を傷つける可能性を低減するのに役立ち得る。
【0108】
少なくとも1つの可変パラメータは、様々な異なる動作パラメータのうちのいずれかとすることができる。可変パラメータの実施例は、モータ速度、モータトルク、エネルギーレベル、エネルギー印加持続時間、組織圧迫レート、ジョー閉鎖レート、切断要素速度、負荷閾値などを含む。
【0109】
図20は、少なくとも1つの可変パラメータを含むアルゴリズム904が記憶されたメモリ902を含むインテリジェント手術器具900の一実施形態を例解する。アルゴリズム904は、単一のアルゴリズムとすることができるか、又は各アルゴリズムが少なくとも1つの可変パラメータを含む、複数のアルゴリズム、例えば、手術器具の動作の異なる態様のための別個のアルゴリズムを含むことができる。インテリジェント手術器具900は、図1の手術デバイス102、図1の撮像デバイス120、図8の手術デバイス202、図8の撮像デバイス220、図15の手術デバイス402、図17の手術デバイス502a、図17の手術デバイス502b、図18の手術デバイス712、図19の手術デバイス812、図19の撮像デバイス824、又は他のインテリジェント手術器具とすることができる。手術器具900はまた、アルゴリズム904を実行して手術器具900の少なくとも1つの態様の動作を制御するように構成されたプロセッサ906を含む。アルゴリズム904を実行するために、プロセッサ906は、メモリ902に記憶されたプログラムを実行して、メモリ902内のアルゴリズム904の複数のデータポイントにアクセスするように構成されている。
【0110】
手術器具900はまた、手術ハブ910などの別のデバイスと通信するように構成された通信インターフェース908、例えば、無線送受信器、又は他の有線若しくは無線通信インターフェースを含む。通信インターフェース908は、遠隔サーバ(例えば、クラウドサーバ又は他のサーバ)及び/又はローカルの手術ハブサーバにデータを提供すること、及び/又は遠隔サーバ及び/又はローカルの手術ハブサーバから命令又はコマンドを受信することなどの一方向通信、又は手術器具900及び/又はそこに記憶されたデータに関する情報、メッセージ、データなどを提供し、医師、ソフトウェアの更新に関する遠隔サーバ、ソフトウェアの更新に関するローカルの手術ハブサーバなどから命令を受信することなどの双方向通信を可能にするように構成することができる。
【0111】
手術器具900は、図20では簡略化されており、例えば、バスシステム、ハンドル、細長いシャフトであって、その遠位端にエンドエフェクタを有する、細長いシャフト、電源などの追加の構成要素を含むことができる。プロセッサ906はまた、メモリ902に記憶された命令を実行して、概して、通信インターフェース908、オーディオスピーカ、ユーザインターフェースなどの他の電気構成要素を含むデバイス900を制御するように構成することができる。
【0112】
プロセッサ906は、アルゴリズム904のその後の実行が、変更された少なくとも1つの可変パラメータに従うように、アルゴリズム904の少なくとも1つの可変パラメータを変更するように構成されている。アルゴリズム904の少なくとも1つの可変パラメータを変更するために、プロセッサ906は、メモリ902内の少なくとも1つの可変パラメータのデータポイントを修正又は更新するように構成されている。プロセッサ906は、手術処置の実行中に、手術デバイス900の使用とともに、アルゴリズム904の少なくとも1つの可変パラメータをリアルタイムで変更するように構成することができ、これはリアルタイム条件に対処し得る。
【0113】
プロセッサ906が少なくとも1つの可変パラメータを変更することに加えて又はその代わりに、プロセッサ906は、手術ハブ910から受信された命令に応答して、アルゴリズム904及び/又はアルゴリズム904の少なくとも1つの可変パラメータを変更するように構成することができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ906は、手術ハブ910と通信し、そこから命令を受信した後にのみ、少なくとも1つの可変パラメータを変更するように構成されており、これは、手術器具900が使用されている手術処置の他の態様との手術器具900の協調されたアクションを確実にするのに役立ち得る。
【0114】
例示的な実施形態では、プロセッサ906は、アルゴリズム904を実行して手術器具900の動作を制御し、リアルタイムデータに基づいて、アルゴリズム904の少なくとも1つの可変パラメータを変更し、少なくとも1つの可変パラメータを変更した後に、アルゴリズム904を実行して手術器具900の動作を制御する。
【0115】
図21は、アルゴリズム904の少なくとも1つの可変パラメータの変更を含む、手術器具900を使用する方法912の一実施形態を例解する。プロセッサ906は、メモリ902に記憶されたアルゴリズム904を実行することによって、手術器具900の動作を制御する(914)。このその後に既知となるデータ及び/又はその後に収集されるデータのいずれかに基づいて、プロセッサ904は、上記に論じられたように、アルゴリズム904の少なくとも1つの可変パラメータを変更する(916)。少なくとも1つの可変パラメータを変更した後に、プロセッサ906は、ここで、変更された少なくとも1つの可変パラメータを用いてアルゴリズム904を実行することによって、手術器具900の動作を制御する(918)。プロセッサ904は、手術処置の実行中に、少なくとも1つの可変パラメータを、例えば、0回、1回、2回、3回などの任意の回数変更することができる(916)。方法912の任意の部分中に、手術器具900は、通信インターフェース908を使用して、1つ又は2つ以上のコンピュータシステム、例えば、手術ハブ910、クラウドサーバなどの遠隔サーバと通信して、そこにデータを提供し、及び/又はそこから命令を受信することができる。
【0116】
状況認識
インテリジェント手術器具の動作は、患者の状況認識に基づいて変えることができる。インテリジェント手術器具の動作は、インテリジェント手術器具のユーザが器具を異なるように取り扱うこと、器具に異なる入力を提供すること、器具の使用を停止することなどによって、手動で変えることができる。追加的又は代替的に、インテリジェント手術器具の動作は、器具のアルゴリズムが、例えば、アルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータを変更することによって変更されることによって、自動的に変更することができる。上述したように、アルゴリズムは、変更を要求するユーザ入力なしに自動的に調節することができる。手術処置の実行中に調節を自動化することは、時間を節約するのに役立ち得、医師が手術処置の他の態様に集中することを可能にし得、及び/又は医師のために手術器具を使用するプロセスを容易にし得、これらは、各々、重要構造を回避すること、器具が使用されている及び/又は近くで使用されている組織種類を考慮して手術器具を制御することなどによって、患者の転帰を改善し得る。
【0117】
本明細書に説明される可視化システムは、手術ハブ、例えば、手術ハブ706、手術ハブ806、又は本明細書に説明される他の手術ハブによって具現化又は実行され得る状況認識システムの一部として利用することができる。特に、手術器具(これらの位置、向き、アクションを含む)、組織、構造、ユーザ、及び/又は術野又は手術室内に位置する他のものを特徴付けること、特定すること、及び/又は可視化することは、状況認識システムによって利用されて、手術処置の種類又は行われている工程、外科医又は他の医師によって操作されている組織及び/又は構造の種類、及び他の情報を推測することができるコンテキストデータを提供することができる。次いで、このコンテキストデータは、状況認識システムによって利用されて、ユーザにアラートを提供すること、ユーザが引き受けるその後の工程又はアクションを示唆すること、手術デバイスをそれらの使用を予測して準備すること(例えば、電気手術器具が手術処置のその後の工程で利用されることを予測して電気手術発生器を起動すること)、インテリジェント手術器具の動作を制御すること(例えば、下記に更に論じられるように、アルゴリズムの手術器具の動作パラメータをカスタマイズすること)などをすることができる。
【0118】
感知されたデータに応答する制御アルゴリズムを含む「インテリジェント」デバイスは、例えば、変更されたアルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータを有することによって、感知されたデータを考慮せずに動作する「データ処理能力のない(dumb)」デバイスに対する改善とすることができるが、いくつかの感知されたデータは、単独、例えば、行われている手術処置の種類、又は手術されている組織の種類のコンテキストなしで考慮されるときに、不完全又は決定的ではない可能性がある。処置コンテキストを知らないと(例えば、手術されている組織の種類又は行われている処置の種類を知らないと)、制御アルゴリズムは、特定のコンテキストのない感知されたデータが与えられると、手術デバイスを不正確に又は準最適に制御することがある。例えば、特定の感知されたパラメータに応答して、手術器具を制御するための制御アルゴリズムの最適な様式は、手術されている特定の組織の種類に従って変動する可能性がある。これは、異なる組織の種類が異なる特性(例えば、引き裂きに対する抵抗力、切断のし易さなど)を有し、したがって、手術器具によってとられたアクションに対して異なって応答するという事実に起因するものである。したがって、特定のパラメータについて同じ測定値が感知されたときであっても、手術器具が異なるアクションをとることが望ましいことがある。一実施例として、手術ステープラがそのエンドエフェクタを閉鎖するための予想外に高い力を感知することに応答して、手術ステープラを制御する最適な様式は、組織の種類が引き裂きの影響を受けやすいか、又はこれに耐性があるかに応じて変動する。肺組織など、引き裂きの影響を受けやすい組織の場合、手術器具の制御アルゴリズムは、組織の引き裂きを回避するために、閉鎖するための予想外に高い力に応答して、モータを最適に減速させ、例えば、モータが遅くなるようにモータ速度又はトルクを制御する可変パラメータを変更する。胃組織など、引き裂きに耐性がある組織の場合、器具の制御アルゴリズムは、エンドエフェクタが組織に適切にクランプされることを確実にするために、閉鎖するための予想外に高い力に応答して、モータを最適に加速させ、例えば、モータが速くなるようにモータ速度又はトルクを制御する可変パラメータを変更する。肺又は胃の組織がクランプされたかどうかを知ることなく、アルゴリズムは準最適に変更されるか、又は全く変更されないことがある。
【0119】
手術ハブは、様々なデータソースから受信されたデータに基づいて、行われている手術処置に関する情報を導出し、したがって、それに従ってモジュール式デバイスを制御するように構成することができる。言い換えると、手術ハブは、受信されたデータから手術処置に関する情報を推測し、次いで、手術処置の推測されたコンテキストに基づいて、手術ハブに動作可能に結合されたモジュール式デバイスを制御するように構成することができる。モジュール式デバイスは、可視化システムデバイス(例えば、カメラ、又はディスプレイスクリーンなど)、スマート手術器具(例えば、超音波手術器具、電気手術器具、手術ステープラ、煙排出器など)などの状況認識システムによって制御可能な任意の手術デバイスを含むことができる。モジュール式デバイスは、デバイスが使用されている患者に関連付けられたパラメータ、及び/又はモジュール式デバイス自体に関連付けられたパラメータを検出するように構成されたセンサを含むことができる。
【0120】
受信されたデータから導出又は推測されるコンテキスト情報は、例えば、行われている手術処置のタイプ、外科医(又は他の医師)が行っている手術処置の特定の工程、手術されている組織のタイプ、又は手術処置の対象である体腔を含むことができる。手術ハブの状況認識システムは、様々な異なる方式でデータソースから受信されたデータから、コンテキスト情報を導出するように構成することができる。例示的な実施形態では、手術ハブの状況認識システムによって受信されたコンテキスト情報は、1つ又は2つ以上のモジュール式デバイスの特定の制御調節、又は制御調節のセットに関連付けられる。制御調節は、各々、可変パラメータに対応する。一実施例では、状況認識システムは、様々な入力(例えば、データベース、患者モニタリングデバイス、及び/又はモジュール式デバイスからのデータ)を、手術処置に関する対応するコンテキスト情報と相関させるために、訓練データで訓練されたパターン認識システム、又は機械学習システム(例えば、人工ニューラルネットワーク)を含む。言い換えると、機械学習システムは、提供された入力から手術処置に関するコンテキスト情報を正確に導出するように訓練することができる。別の実施例では、状況認識システムは、手術処置に関する事前に特徴付けられたコンテキスト情報を、そのコンテキスト情報に対応する1つ又は2つ以上の入力(又は、入力の範囲)と関連付けて記憶する、ルックアップテーブルを含むことができる。1つ又は2つ以上の入力による問い合わせに応答して、ルックアップテーブルは、少なくとも1つのモジュール式デバイスを制御するために状況認識システムの対応するコンテキスト情報を返すことができる。別の実施例では、状況認識システムは、コンテキスト情報が入力として提供されるときに、1つ又は2つ以上のモジュール式デバイスの1つ又は2つ以上の制御調節を生成又は読み出す、更なる機械学習システム、ルックアップテーブル、又は他のそのようなシステムを含む。
【0121】
状況認識システムを含む手術ハブは、手術システムに多くの利点を提供し得る。1つの利点は、感知及び採集されたデータの解釈を改善することを含み、これは、手術処置の過程中の処理精度、及び/又はデータの使用を改善させる。別の利点は、手術ハブのための状況認識システムが、各手術処置の特定のコンテキストのための手術器具(及び、他のモジュール式デバイス)を調節し(例えば、異なる組織種類に調節する)、手術処置中のアクションを検証することによって、手術処置の転帰を改善し得ることである。更に別の利点は、状況認識システムが、処置の特定のコンテキストに従って、次の工程を自動的に示唆し、データを提供し、手術現場内のディスプレイ及び他のモジュール式デバイスを調節することによって、手術処置を実行する際の医師の効率を改善し得ることである。別の利点は、処置のその後の工程が器具の使用を必要とすると判定する場合、RF電気手術器具が接続されている発生器を状況認識手術ハブが積極的に起動することなどによって、行われている手術処置の特定の工程に従ってモジュール式デバイスを積極的かつ自動的に制御して、医師が手術処置の過程中に手術システムと相互作用するか又はこれを制御する必要がある回数を低減することである。エネルギー源を積極的に起動することにより、処置の先行する工程が完了すると直ぐに器具を使用準備完了にすることができる。
【0122】
例えば、状況認識手術ハブは、どの種類の組織が手術されているかを判定するように構成することができる。したがって、手術器具のエンドエフェクタを閉鎖するための予期外の強い力が検出されるときに、状況認識手術ハブは、例えば、モータ速度又はトルクに関する手術器具のためのアルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータを変更するか、又は変更を引き起こすことによって、その種類の組織のために手術器具のモータを正確に加速又は減速するように構成することができる。
【0123】
別の実施例では、手術されている組織の種類は、特定の組織間隙測定のための手術ステープラの圧縮速度と負荷閾値になされる調節に影響を及ぼす可能性がある。状況認識手術ハブは、行われている手術処置が胸部処置であるのか、又は腹部処置であるのかを推測するように構成することができ、手術ハブが、手術ステープラのエンドエフェクタによってクランプされている組織が(胸部処置での)肺組織であるのか、又は(腹部処置での)胃組織であるのかを判定することが可能である。次いで、手術ハブは、例えば、圧縮率及び負荷閾値に関する手術ステープラのためのアルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータを変更するか、又は変更を引き起こすことによって、その種類の組織に適切な手術ステープラの圧縮率及び負荷閾値の調節を引き起こすように構成することができる。
【0124】
更に別の実施例として、送気処置中に手術されている体腔の種類は、煙排出器の機能に影響を及ぼす可能性がある。状況認識手術ハブは、手術部位が(手術処置が送気を利用していると判定することによって)圧力下にあるかどうかを判定し、処置の種類を判定するように構成することができる。ある処置の種類は概して特定の体腔内で行われるので、手術ハブは、例えば、モータ速度に関する煙排出器のためのアルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータを変更するか、又は変更を引き起こすことによって、手術されている体腔に適切に煙排出器のモータ速度を制御するように構成することができる。したがって、状況認識手術ハブは、胸部処置及び腹部処置の両方のために一貫した量の煙排出を提供し得る。
【0125】
更に別の実施例として、行われている処置の種類は、超音波手術器具、又は高周波(RF)電気手術器具が動作するのに最適なエネルギーレベルに影響を及ぼす可能性がある。例えば、関節鏡処置では、超音波手術器具、又はRF電気手術器具のエンドエフェクタが流体中に浸漬されるので、より高いエネルギーレベルを必要とする。状況認識手術ハブは、手術処置が関節鏡処置であるかどうかを判定するように構成することができる。手術ハブは、例えば、エネルギーレベルに関する器具及び/又は発生器のためのアルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータを変更するか、又は変更を引き起こすことによって、発生器のRF電力レベル又は超音波振幅を調節して(例えば、エネルギーレベルを調節して)、流体充填環境を補償するように構成することができる。関連して、手術されている組織の種類は、超音波手術器具又はRF電気手術器具が動作するのに最適なエネルギーレベルに影響を及ぼす可能性がある。状況認識手術ハブは、どの種類の手術処置が行われているかを判定し、次いで、手術処置のための予想される組織プロファイルに従って、例えば、エネルギーレベルに関する器具及び/又は発生器のためのアルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータを変更するか、又は変更を引き起こすことによって、超音波手術器具又はRF電気手術器具のためのエネルギーレベルをそれぞれカスタマイズするように構成することができる。更に、状況認識手術ハブは、単に手術ごとにではなく、手術処置の過程にわたって、超音波手術器具又はRF電気手術器具のエネルギーレベルを調節するように構成することができる。状況認識手術ハブは、手術処置のどの工程が行われているか、又は引き続き行われるかを判定し、次いで、発電機、及び/又は超音波手術器具若しくはRF電気手術器具の制御アルゴリズムを更新して、手術処置の工程に従って予想される組織の種類に適切な値までエネルギーレベルを設定するように構成することができる。
【0126】
別の実施例として、状況認識手術ハブは、外科医及び/又は医師が見る必要があると予想される手術部位の特徴に従って、手術処置の現工程、又はその後の工程が、ディスプレイ上の異なるビューや倍率を必要とするかどうかを判定するように構成することができる。手術ハブは、(例えば、可視化システムのための撮像デバイスから供給される)表示されたビューを、適宜、積極的に変更し、ディスプレイが手術処置にわたって自動的に調節されるように構成することができる。
【0127】
更に別の実施例として、状況認識手術ハブは、手術処置のどの工程が行われているか、又はその後に行われるか、及び特定のデータ又はデータ同士の比較が手術処置のその工程に必要であるかどうかを判定するように構成することができる。手術ハブは、外科医又は医師が特定の情報を尋ねるのを待機することなく、行われている手術処置の工程に基づいて、データスクリーンを自動的に呼び出すように構成することができる。
【0128】
別の実施例として、状況認識手術ハブは、外科医及び/又は他の医師が、例えば、術前手術計画において提供されるような手術処置の過程中に、誤りを犯しているか、又は別様に予想される一連のアクションから逸脱しているかどうかを判定するように構成することができる。例えば、手術ハブは、行われている手術処置の種類を判定し、機器使用の工程又は順序の対応リストを(例えば、メモリから)読み出し、次いで、手術処置の過程中に行われている工程又は使用されている機器を、手術ハブが行われていることを判定した手術処置の種類について予想される工程又は機器と比較するように構成することができる。手術ハブは、手術処置における特定の工程で予想外のアクションが行われているか、又は予想外のデバイスが利用されていることを示す(視覚的、聴覚的、及び/又は触覚的)アラートを提供するように構成することができる。
【0129】
特定の例では、本明細書に説明される様々なロボット手術システムのいずれかなどのロボット手術システムの動作は、その状況認識及び/又はその構成要素からのフィードバックに基づいて、及び/又はクラウド(例えば、図18のクラウド713)からの情報に基づいて、手術ハブによって制御することができる。
【0130】
状況認識システムの実施形態及び手術処置の実行中に状況認識システムを使用する実施形態は、前述の2019年12月30日に出願された「Analyzing Surgical Trends By A Surgical System」と題する米国特許出願第16/729,772号、2019年12月30日に出願された「Dynamic Surgical Visualization Systems」と題する米国特許出願第16/729,747号、2019年12月30日に出願された「Visualization Systems Using Structured Light」と題する米国特許出願第16/729,744号、2019年12月30日に出願された「System And Method For Determining,Adjusting,And Managing Resection Margin About A Subject Tissue」と題する米国特許出願第16/729,778号、2019年12月30日に出願された「Surgical Systems For Proposing And Corroborating Organ Portion Removals」と題する米国特許出願第16/729,729号、2019年12月30日に出願された「Surgical System For Overlaying Surgical Instrument Data Onto A Virtual Three Dimensional Construct Of An Organ」と題する米国特許出願第16/729,778号、2019年12月30日に出願された「Surgical Systems For Generating Three Dimensional Constructs Of Anatomical Organs And Coupling Identified Anatomical Structures Thereto」と題する米国特許出願第16/729,751号、2019年12月30日に出願された「Surgical Systems Correlating Visualization Data And Powered Surgical Instrument Data」と題する米国特許出願第16/729,740号、2019年12月30日に出願された「Adaptive Surgical System Control According To Surgical Smoke Cloud Characteristics」と題する米国特許出願第16/729,737号、2019年12月30日に出願された「Adaptive Surgical System Control According To Surgical Smoke Particulate Characteristics」と題する米国特許出願第16/729,796号、2019年12月30日に出願された「Adaptive Visualization By A Surgical System」と題する米国特許出願第16/729,803号、及び2019年12月30日に出願された「Method Of Using Imaging Devices In Surgery」と題する米国特許出願第16/729,807号に更に説明されている。
【0131】
肺の手術処置
本明細書に説明されるデバイス、システム、及び方法の様々な態様は、肺に行われる手術処置に関連し得る。例えば、肺切除(例えば、肺葉切除)は、肺葉の全部又は一部、例えば、1つ又は2つ以上の肺葉が除去される手術処置である。肺切除を行う目的は、例えば、肺がん、肺気腫、又は気管支拡張症の結果としての損傷又は罹患した肺を治療することである。肺切除の間、肺は、最初に収縮させられ、その後、1つ又は2つ以上の切開が、患者の側で、腹腔鏡下で肺に到達するように患者の肋骨の間で行われる。把持器及び腹腔鏡などの手術器具は、切開部を通して挿入される。肺の感染又は損傷領域が特定されると、その領域は肺から切除され、1つ又は2つ以上の切開部から除去される。切開された領域及び1つ又は2つ以上の切開部は、例えば、手術ステープラ又は縫合によって閉鎖することができる。
【0132】
肺は手術中に収縮するので、肺又は肺の特定の部分は、手術器具が手術部位に到達することを可能にするために可動化される必要があり得る。この可動化は、把持器で肺の外側組織層を把持し、把持器を介して肺に力を加えることによって実施することができる。しかしながら、肺の胸膜及び実質組織は非常に脆弱であり、したがって、加えられた力の下で容易に破られるか、又は引き裂かれ得る。追加的に、可動化中、把持器は、肺の1つ又は2つ以上の領域への血液供給を遮断することができる。
【0133】
更に、呼吸チューブが患者の気道内に配置されて、手術中に各肺を別個に膨張させることが可能である。肺の膨張は、肺を移動させ、術前撮像にマッチングさせ、及び/又は外科医が切開された領域における漏出をチェックすることを可能にすることができる。しかしながら、肺全体を膨張させることによって、胸腔の充填に起因して肺の周りの作業空間が失われる。追加的に、肺全体を膨張させることは、時間がかかる可能性があり、手術処置中に肺の複数の部分が手術される場合、容易な漏出検出を保証しない。
【0134】
結腸の手術処置
本明細書に説明されるデバイス、システム、及び方法の様々な態様は、結腸に行われる手術処置に関連し得る。例えば、手術は、初期段階の結腸がんに対する主要な治療である。使用される手術のタイプは、がんが結腸内にある場合、がんのステージ(程度)、及び手術の目標に依存する。いくらかの初期結腸がん(ステージ0及びいくつかの初期ステージI腫瘍)及び大部分のポリープは、結腸鏡検査の間に除去することができる。しかしながら、がんが進行した場合、局所切除又は結腸切除が必要とされ得る。結腸切除は、結腸の全部又は一部を除去するための手術である。特定の例では、近くのリンパ節も除去される。結腸の一部のみが除去される場合、それは、半結腸切除、部分結腸切除、又はセグメント切除と呼ばれ、外科医は、いずれかの側の非罹患結腸の小セグメントとともに結腸の罹患部分を取り出す。通常、がんのサイズ及び場所に応じて、結腸の約4分の1~3分の1が除去される。大腸の主要な切除を図21Aに例解し、A-Bは、右半結腸切除であり、A-Cは、拡張右半結腸切除であり、B-Cは、横行結腸切除であり、C-Eは、左半結腸切除であり、D-Eは、S状結腸切除であり、D-Fは、前方切除であり、D-Gは、(超)低位前方切除であり、D-Hは、腹会陰切除であり、A-Dは、結腸亜全摘であり、A-Eは、結腸全摘であり、A-Hは、直腸結腸全摘である。切除が完了したら、結腸の残りの無傷のセクションが再付着される。
【0135】
結腸切除は、冒された結腸組織の分離及び除去のために結腸にアクセスするために腹壁を通る単一の切開部が使用される開腹結腸切除を通して、かつ腹腔鏡支援結腸切除を通して行うことができる。腹腔鏡支援結腸切除では、手術器具を用いて多くのより小さな切開部を通して手術が行われ、腹腔鏡が小さな切開部を通過して結腸全体又はその一部を除去する。処置の開始時に、腹部は、ガス、例えば、二酸化炭素で膨張させられて、外科医のための作業空間を提供する。腹腔鏡は、腹腔内の画像を送信し、外科医に、モニタ又は他のディスプレイ上に患者の内臓の拡大ビューを与える。いくつかの他のカニューレが挿入されて、外科医が結腸の内側で作業し、結腸の一部を除去することを可能にする。結腸の罹患部分が除去されると、結腸の残りの端部は、例えば、ステープラ又は縫合を介して互いに取り付けられる。全処置は、カニューレを通して、又は小カニューレ切開のうちの1つを延長することによって、完了され得る。
【0136】
腹腔鏡支援結腸切除処置の間、適切な術野を取得することはしばしば難しい。多くの場合、切開は骨盤の深部で行われるため、その領域を十分に可視化することが難しい。結果として、可動化中に直腸の両側の周りの静脈及び動脈へのアクセスを得るために、下部直腸を持ち上げて回転させなければならない。下部直腸の操作中に、組織のバンチング及び/又は組織の過伸展が発生する可能性がある。追加的に、直腸内の腫瘍は、周囲の骨盤において癒着を引き起こす可能性があり、結果として、これは、腫瘍の離断及び除去の前に、直腸断端を解放し、腸間膜及び血液供給を可動化することを必要とする可能性がある。
【0137】
更に、複数の把持器が、結腸からの除去のために腫瘍を位置付けるために必要とされる。結腸の切開の間、腫瘍は張力下に配置されるべきであり、これは、結腸の周囲の健康組織を把持して伸展させることを必要とする。しかしながら、腫瘍を取り囲む組織の操作は、把持器が組織に高い把持力をかけることに起因して、血流の減少及び外傷を被る可能性がある。追加的に、結腸切除の間、横行結腸及び上部下行結腸は、腫瘍を含む大腸のセクションが離断されて除去された後に、健康良好残存結腸が直腸断端に接続するように下げられることを可能にするために可動化される必要があり得る。
【0138】
結腸切除後、結腸の残りの健康部分を互いに再付着させて、老廃物が身体から出るための経路を作成しなければならない。しかしながら、腹腔鏡器具を使用して結腸切除を行うときに、単一の入口ポートは、結腸の一端を結腸の接続部分に移動させるのに十分な大きさの運動範囲を有していないことがある。そのため、第2の入口ポートは、したがって、結腸を適切に位置付けるために結腸を可動化するのに役立つために手術器具を腹腔鏡下で挿入するのに必要とされる。
【0139】
胃の手術処置
本明細書に説明されるデバイス、システム、及び方法の様々な態様は、胃に行われる手術処置に関連し得る。例えば、手術は、胃がんの最も一般的な治療である。胃がんのために手術が必要とされるときに、目標は、腫瘍全体並びに腫瘍の周りの健康胃組織の良好マージンを除去することである。異なる処置を使用して、胃がんを除去することができる。使用される処置の種類は、がんが胃のどの部分に位置するか、及びがんが近くの領域にどれだけ成長したかに依存する。例えば、胃に対する内視鏡的粘膜切除(EMR)及び内視鏡的粘膜下層剥離(endoscopic submucosal dissection、ESD)処置は、いくつかの早期がんを治療するために使用することができる。これらの処置は、皮膚の切断を必要としないが、その代わりに、外科医は、内視鏡を患者の咽喉を通して胃の中に通す。次いで、手術ツール(例えば、MEGADYNE(商標)のTissue Dissector又はElectrosurgical Pencil)を内視鏡の作業チャネルに通して、腫瘍及びその下及び周りの正常な胃壁のいくつかの層を除去する。
【0140】
胃に対して行われる他の手術処置は、開腹処置として行うことができる胃亜全摘(部分)又は全摘を含む。例えば、手術器具は、腹部の皮膚の大きな切開部を通して挿入され、又は腹腔鏡処置として、例えば、手術器具は、いくつかの小さな切断部を通して腹部に挿入される。例えば、腹腔鏡胃切除処置は、概して、約15ミリメートル水銀(mmHg)の圧力まで二酸化炭素ガスを腹腔に送気することを伴う。腹壁が穿孔され、次いで、約5mm~約10mmの範囲内の直径を有するカニューレ又はトロカールなどの直線管状カニューレ又はトロカールが、腹腔内に挿入される。手術室のモニタに接続された腹腔鏡は、術野を可視化するために使用され、トロカールのうちの1つを通して配置される。腹腔鏡手術器具は、胃の所望の部分を除去するために、医療従事者、例えば、外科医及び外科助手による操作のために、2つ又はそれ以上の追加のカニューレ又はトロカールを通して配置される。
【0141】
特定の例では、腹腔鏡及び内視鏡の協調する手術が、胃腫瘍を除去するために使用することができる。この協調する手術は、典型的には、内視鏡、例えば、胃鏡、及び腹腔鏡トロカールの導入を伴う。腹腔鏡並びに組織操作及び切開手術器具は、トロカールを通して導入される。腫瘍場所は、内視鏡を介して特定することができ、内視鏡の作業チャネル内に挿入される切断要素は、次いで、腫瘍の周りの粘膜下層切除のために使用される。次に、腹腔鏡切開手術器具は、胃壁を通して切開部を作成するために、腫瘍マージンに隣接する漿膜筋層切開のために使用される。次いで、腫瘍は、この切開部を通して、管腔内空間、例えば、胃の内側から管腔外空間、例えば、胃の外側に旋回される。次いで、腹腔鏡手術器具、例えば、エンドカッターは、胃壁からの腫瘍の離断を完了し、切開部を封止するために使用することができる。
【0142】
腸の手術処置
本明細書に説明されるデバイス、システム、及び方法の様々な態様は、腸に行われる手術処置に関連し得る。例えば、十二指腸粘膜リサーフェシング(DMR)処置は、2型糖尿病などのインスリン抵抗性代謝疾患を治療するために内視鏡的に行うことができる。DMR処置は、食物の検出に影響を及ぼすので、有効な治療とすることができる。DMR処置は、食物が正常よりも腸のより深くで感知される、例えば、(小腸の最初の部分である)十二指腸を通った後に感知される傾向があるように、十二指腸機能を阻害する。したがって、患者の身体は、典型的なものよりも腸のより深くで糖を感知し、したがって、典型的なものよりも遅く糖に反応し、そのため、血糖制御を改善することができる。十二指腸の不規則な機能は、食物に対する身体の典型的な反応を変更し、神経系及び化学的シグナルを介して、身体にその応答をグルコースレベルに適応させてインスリンレベルを増加させる。
【0143】
DMR処置では、十二指腸粘膜は、生理食塩水などを用いて持ち上げられ、次いで、粘膜は、例えば、内視鏡の作業チャネルを通して十二指腸内に前進したアブレーションデバイスを使用して、アブレーションされる。アブレーション前に粘膜を持ち上げることは、アブレーションによる損傷から十二指腸の外層を保護するのに役立つ。粘膜がアブレーションされた後、粘膜は後に再生する。アブレーションデバイスの実施例は、NeuWave(商標)のアブレーションプローブ(Ethicon US LLC of Cincinnati,OHから入手可能)である。アブレーションデバイスの別の実施例は、Hyblateのカテーテルアブレーションプローブ(Hyblate Medical of Misgav,Israelから入手可能)である。アブレーションデバイスの別の実施例は、Barxx(商標)のHaloFlex(Medtronic of Minneapolis,MNから入手可能)である。
【0144】
図21Bは、DMR処置の一実施形態を例解する。図21Bに示されるように、腹腔鏡1400は、十二指腸1402の外部可視化のために、十二指腸1402の外部に位置付けられる。内視鏡1404は、十二指腸1402の内部可視化のために、食道1406を通り、胃1408を通り、十二指腸1402内へ経口的に前進させられる。アブレーションデバイス1410は、内視鏡1404の作業チャネルを通して前進させられ、内視鏡1404から十二指腸1402の中へ遠位に延在する。アブレーションデバイス1410のバルーン1412は、図21Bで拡張又は膨張されて示される。拡張又は膨張したバルーン1412は、アブレーションを繰り返すためにアブレーションデバイス1410が前進及び/又は後退させられる前に、円周方向アブレーションさえも発生し得るように、アブレーションデバイスの電極を中心に置くのに役立つことができる。粘膜がアブレーションデバイス1410を使用してアブレーションされる前に、十二指腸粘膜は、生理食塩水などで持ち上げられる。いくつかの実施形態では、バルーン1412を含むことに加えて、又はその代わりに、アブレーションデバイス1410は、拡張及び圧潰するように構成された電極アレイ又はバスケットを使用して、拡張可能/圧潰可能とすることができる。
【0145】
十二指腸1402の腹腔鏡による外部可視化は、十二指腸1402の熱監視を可能にすることができ、これは、十二指腸1402の外層が、十二指腸が穿孔されることなどによる十二指腸粘膜のアブレーションによって損傷されないことを確実にするのに役立ち得る。熱監視の様々な実施形態は、例えば、以下、及び2021年9月29日に出願された「Surgical Devices,Systems,And Methods For Control Of One Visualization With Another」と題する米国特許出願第63/249,658号で更に論じられている。内視鏡1404及び/又はアブレーションデバイス1410は、腹腔鏡1400が、例えば、不可視光を使用することによって十二指腸の組織を通して可視化するように構成することができる基準マーカを含んで、アブレーションが発生する場所において腹腔鏡1400が十二指腸1402を外部から可視化すべき場所を判定するのに役立つことができる。基準マーカの様々な実施形態は、例えば、2021年9月29日に出願された「Surgical Devices,Systems,Methods Using Fiducial Identification And Tracking」と題する米国特許出願第63/249,652号、及び2021年9月29日に出願された「Surgical Devices,Systems,And Methods For Control Of One Visualization With Another」と題する米国特許出願第63/249,658号で更に論じられている。
【0146】
協調する手術器具の制御
様々な態様では、本開示は、可変手術部位アクセス軌道を用いた協調する手術器具の制御のための方法、デバイス、及びシステムを提供する。一態様では、このようなシステムは、患者の第1の体腔内に挿入され、かつ第1の体腔から組織の領域上で動作するように構成された第1の手術器具を含むことができ、システムは、第1の体腔とは異なる第2の体腔内に挿入され、かつ第2の体腔から組織の領域上で動作するように構成された第2の手術器具を含むことができる。システムは、第1の体腔内の第1の手術器具の第1の画像を獲得するように構成された第1の画像センサを有し、第2の手術器具が第1の画像センサの視野内にないように位置付けられる、第1の内視鏡を更に含むことができ、システムは、第2の体腔内の第2の手術器具の第2の画像を獲得するように構成された第2の画像センサを有し、第1の手術器具が第2の画像センサの視野内にないように位置付けられる、第2の内視鏡を更に含むことができる。システムは、獲得された第1の画像及び第2の画像を受信し、第1の手術器具の第1の場所及び手術器具の第2の場所を判定し、判定された第1の場所及び第2の場所に基づいて、互いに対する第1の手術器具及び第2の手術器具の協調する動作を協調させるように構成されたコントローラを更に含むことができる。
【0147】
図22は、可変手術部位アクセス軌道を有する手術器具の協調する制御を提供することができる1つの例示的な手術システム1000の概略図を提供する。図示のように、システム1000は、第1の体腔内に挿入されるように構成された第1の手術器具1010と、第1の体腔内に挿入され、かつ第1の体腔内に挿入されたときに第1の手術器具1010を可視化するように構成された第1の内視鏡1020と、第2の体腔内に挿入されるように構成された第2の手術器具1030及び第3の手術器具1035と、第2の体腔内に挿入され、かつ第2の手術器具1030及び第3の手術器具1035を可視化するように構成された第2の内視鏡1040と、を含む。第1の手術器具1010、第1の内視鏡1020、第2の手術器具1040、第2の内視鏡1040、及び第3の手術器具1035は、以下に更に詳細に説明するように、第1の内視鏡1020及び第2の内視鏡1040から受信された画像に基づいて、第1の手術器具、第2の手術器具、及び第3の手術器具の動作を制御する/協調させるように構成されているシステム1000のコントローラ1050と動作可能に通信することができる。
【0148】
第1の手術器具1010、第2の手術器具1030、及び第3の手術器具1035は、各々、組織を操作及び/又は治療するように構成された任意の好適な手術デバイスとすることができる。第1の手術器具1010、第2の手術器具1030、及び第3の手術器具1035は、各々、図1の手術デバイス102、図8の手術デバイス202、又は本明細書に説明される他の手術デバイスと同様とすることができる。上述したように、手術デバイスの実施例としては、手術解剖器具、手術ステープラ、手術把持器、クリップアプライヤ、煙排出器、手術エネルギーデバイス(例えば、単極プローブ、双極プローブ、アブレーションプローブ、超音波デバイス、超音波エンドエフェクタなど)などを含む。例えば、いくつかの実施形態では、第1の手術器具1010、第2の手術器具1030、及び/又は第3の手術器具1035は、手術デバイスのシャフトの遠位端から延在し、かつ組織を間に係合するように構成されている対向するジョーを有するエンドエフェクタを含むことができる。
【0149】
第1の内視鏡1020及び第2の内視鏡1040は、各々、低侵襲手術処置において手術部位の画像を獲得するように構成されている撮像デバイスを含むことができる。第1の内視鏡1020及び第2の内視鏡1040は、各々、図1の撮像デバイス120、図8の撮像デバイス220、又は本明細書に説明される他の撮像デバイスと同様とすることができる。本主題のいくつかの実装形態は、手術部位の画像を獲得するために1つ又は2つ以上の内視鏡を使用するものとして本明細書に説明されているが、低侵襲手術処置での使用に適した任意のタイプのスコープを、本明細書に説明されるシステム、方法、及びデバイスと併せて使用することができる。上述したように、スコープの実施例は、関節鏡、血管鏡、気管支鏡、総胆管鏡、結腸鏡、膀胱鏡、十二指腸鏡、腸鏡、食道胃-十二指腸鏡(胃鏡)、喉頭鏡、鼻咽頭-鼻腔鏡、S状結腸鏡、胸腔鏡、尿管鏡、及びエキソスコープを含む。これらの例示的なタイプのスコープのうちの1つ又は2つ以上は、任意の実現可能な組み合わせで、低侵襲手術処置において一緒に使用することができる。いくつかの実施形態では、第1の内視鏡1020及び第2の内視鏡1040のうちの少なくとも1つは、遠位安定化バルーンを含む。遠位安定化バルーンの様々な実施形態は、例えば、前述の2021年9月29日に出願された「Cooperative Access」と題する米国特許出願第63/249,980号に更に説明されている。
【0150】
コントローラ1050は、本明細書に説明される動作を含む動作のうちの1つ又は2つ以上を行うように構成されているプロセッサ1051と、プロセッサ1051に動作を実行させるための命令を記憶するように構成されているメモリ1052と、を含む。コントローラ1050はまた、第1の手術器具インターフェース1053と、第1の内視鏡インターフェース1054と、第2の手術器具インターフェース1055と、第2の内視鏡インターフェース1056と、第3の手術器具インターフェース1057と、を含む。図22に示されるように、第1の手術器具1010は、第1の手術器具インターフェース1053を介してコントローラ1050に結合され、そのため、プロセッサ1051から動作及び作動命令を受信することができる。第1の内視鏡1020は、第1の内視鏡インターフェース1054を介してコントローラ1050に結合され、そのため、第1の内視鏡1020によって獲得された画像を特徴付けるデータを、本明細書に説明される動作を実行する際にプロセッサ1051によって後で使用するために、プロセッサ1051及び/又はメモリ1052に提供することができる。第1の手術器具1010と同様に、第2の手術器具1030は、第2の手術器具インターフェース1055を介してコントローラ1050に結合され、そのため、プロセッサ1051から動作/作動命令を受信することができ、第3の手術器具1035は、第3の手術器具インターフェース1057を介してコントローラ1050に結合され、そのため、プロセッサ1051から動作/作動命令を受信することができる。第1の内視鏡1020と同様に、第2の内視鏡1040は、第2の内視鏡インターフェース1056を介してコントローラ1050に結合され、そのため、第2の内視鏡1040によって獲得された画像を特徴付けるデータを、本明細書に説明される動作を実行する際にプロセッサ1051によって後で使用するために、プロセッサ1051及び/又はメモリ1052に提供することができる。いくつかの実施形態では、第1の手術器具インターフェース1053、第1の内視鏡インターフェース1054、第2の手術器具インターフェース1055、第2の内視鏡インターフェース1056、及び第3の手術器具インターフェース1057の各々は、第1の手術器具1010、第1の内視鏡1020、第2の手術器具1030、第2の内視鏡1040、及び第3の手術器具1035の様々なもののコントローラインターフェース間の差異に対応するように、互いに異なり得る。
【0151】
図示のように、システム1000はまた、コントローラ1050に動作可能に結合され、かつ第1の内視鏡1020及び第2の内視鏡1040のうちの1つ又は2つ以上によって獲得された画像を図式的に描写するように構成されているディスプレイ1060を含むことができる。いくつかの実施形態では、コントローラ1050は、第1の内視鏡1020及び第2の内視鏡1040の各々から画像データのストリームを受信し、受信された画像データからリアルタイムで画像及び/又はビデオフィードを判定し、画像及び/又はビデオフィードをディスプレイ1060に、その上に描写し、かつユーザによって見るために提供することができる。システム1000、コントローラ1050、及び/又はディスプレイ1060は、上記に論じられたように、様々なロボット手術システムに組み込むことができ、及び/又は手術ハブの一部とすることができる。
【0152】
図23は、管腔構造の内側及び外側から管腔構造にアプローチする複数の手術器具を使用して、かつ1つの内視鏡で手術器具の全てを可視化することが不可能であるときに、管腔構造(例えば、食道、血管、腸などの中空臓器又は身体管腔)に補助材などのインプラントを協調して配置するために利用されている手術システムの一実施形態を示す。図23は、図22の手術システム1000に関して説明されるが、本明細書に説明されるような別の手術システムが、同様に使用され得る。
【0153】
図23に示されるように、第1の手術器具1010は、患者の第1の体腔内に、管腔構造の外側に、この例解された実施形態では食道1080に挿入され、食道1080の標的領域1080a上で動作する。例解された実施形態における標的領域1080aは、食道1080の側壁1080bに形成された穴であるが、他の手術処置は、別の標的領域を有することができる。図示のように、第1の手術器具1010は、補助材1085を標的領域1080aに送達するように構成された把持器である。この例解された実施形態における補助材1085は、標的領域1080a内に腹腔鏡的に挿入されるように構成されている多孔性プラグセクション1085aを含む。補助材1085の多孔性プラグセクション1085aの多孔度は、組織内殖を促進するように構成され得、多孔性プラグセクション1085aは、生体吸収性であり得る。この例解された実施形態における補助材1085はまた、多孔性プラグセクション1085aに結合され、これを支持するように構成されているVicryl(登録商標)接着ラップなどの接着性ラップセクション1085bを含む。接着性ラップセクション1085bは、生体吸収性であり得る。接着性ラップセクション1085bは、図24に示されるように、多孔性プラグセクション1085aが標的領域1080a内に挿入された状態で、食道1080の外側に位置付けられるように構成されている。いくつかの実施形態では、多孔性プラグセクション1085a及び接着性ラップセクション1085bは、一緒に固定された2つの別個の構成要素である代わりに、統合して形成され得る。
【0154】
上述のように、補助材1085は生体吸収性であり得る。生体吸収性補助材の場合、補助材を形成する材料は、ホモポリマー及びコポリマーを含む、生体吸収性及び生体適合性ポリマーを含むことができる。ホモポリマー及びコポリマーの実施例としては、p-ジオキサノン(p-dioxanone、PDO又はPDS)、ポリグリコール酸(polyglycolic acid、PGA)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(poly(lactic-co-glycolic acid)、PLGA)、ポリカプロラクトン(polycaprolactone、PCL)、トリメチレンカーボネート(trimethylene carbonate、TMC)、及びポリ乳酸(polylactic acid、PLA)、ポリ(グリコール酸-コ-乳酸)(poly(glycolic acid-co-lactic acid)、PLA/PGA)(例えば、Vicryl(登録商標)、Vicryl Rapide(商標)、PolySorb、及びBiofixに使用されるPLA/PGA材料)、ポリウレタン(例えば、Elastane、Biospan、Tecoflex、Bionate、及びPellethaneファイバ)、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物(例えば、Gliadel及びBiodelポリマー)、ポリオキサエステル、ポリエステルアミド、及びチロシン系ポリエステルアミドが挙げられる。コポリマーはまた、ポリ(乳酸-コ-ポリカプロラクトン)(PLA/PCL)、ポリ(L-乳酸-コ-ポリカプロラクトン)(PLLA/PCL)、ポリ(グリコール酸-コ-トリメチレンカーボネート)(PGA/TMC)(例えば、Maxon)、ポリ(グリコール酸-コ-カプロラクトン)(PCL/PGA)(例えば、Monocryl及びCapgly)、PDS/PGA/TMC(例えば、Biosyn)、PDS/PLA、PGA/PCL/TMC/PLA(例えば、Caprosyn)及びLPLA/DLPLA(例えば、Optima)も含むことができる。
【0155】
補助材及び埋め込み補助材の様々な実施形態は、2017年6月13に出願された「Surgical Stapler with Controlled Healing」と題する米国特許出願公開第2018/0353174号、2020年2月25日に発行された「Medicant Eluting Adjuncts And Methods Of Using Medicant Eluting Adjuncts」と題する米国特許第10,569,071号、2020年7月21日に発行された「Stapling Adjunct Attachment」と題する米国特許第10,716,564号、2013年2月8日に出願された「Layer Comprising Deployable Attachment Members」と題する米国特許出願公開第2013/0256377号、2010年9月30日に出願された「Selectively Orientable Implantable Fastener Cartridge」と題する米国特許第8,393,514号、2007年2月28日に出願された「Surgical Stapling Devices That Produce Formed Staples Having Different Lengths」と題する米国特許第8,317,070号、2005年6月21日に出願された「Surgical Instrument Incorporating EAP Blocking Lockout Mechanism」と題する米国特許第7,143,925号、2013年11月8日に出願された「Sealing Materials For Use In Surgical Stapling」と題する米国特許出願公開第2015/0134077号、2013年11月8日に出願された「Hybrid Adjunct Materials for Use in Surgical Stapling」と題する米国特許出願公開第2015/0134076号、2013年11月8日に出願された「Positively Charged Implantable Materials and Method of Forming the Same」と題する米国特許出願公開第2015/0133996号、2013年11月8日に出願された「Tissue Ingrowth Materials and Method of Using the Same」と題する米国特許出願公開第2015/0129634号、2013年11月8日に出願された「Hybrid Adjunct Materials for Use in Surgical Stapling」と題する米国特許出願公開第2015/0133995号、2014年3月26日に出願された「Surgical Instrument Comprising a Sensor System」と題する米国特許出願公開第2015/0272575号、2014年6月10日に出願された「Adjunct Materials and Methods of Using Same in Surgical Methods for Tissue Sealing」と題する米国特許出願公開第2015/0351758号、2013年2月8日に出願された「Adhesive Film Laminate」と題する米国特許出願公開第2013/0146643号、2007年9月12日に出願された「Minimally Invasive Medical Implant And Insertion Device And Method For Using The Same」と題する米国特許第7,601,118号、2013年2月8日に出願された「Fastener Cartridge Comprising A Releasably Attached Tissue Thickness Compensator」と題する米国特許出願公開第2013/0221065号に更に記載されており、これらは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0156】
図23に示されるように、第2の手術器具1030は、食道1080の内側管腔1080d内に挿入されて、食道1080の内側から標的領域1080a内への補助材1085の多孔性プラグ部分1085aの位置付けを容易にする。したがって、補助材1085は、管腔構造1080の内側(第2の手術器具1030を使用して)、かつ管腔構造1080の外側から(第1の手術器具1010を使用して)、管腔構造1080内に協調して埋め込まれ得る。図23に示されるように、第2の手術器具1030は、第2の手術器具1030のシャフト1030bの遠位端に配設され、かつ補助材1085が食道1080の外側から第1の手術器具1010によって標的領域1080aに近接して操縦されるときに、標的領域1080aを通して補助材1085の多孔性プラグ部分1085aを把持する把持器部分1030aを含む。
【0157】
図23に示されるように、第2の内視鏡1040は、食道1080の内側管腔1080d内に挿入されて、内側管腔1080d、内側管腔1080d内に位置する第2の手術器具1030及び第3の手術器具1035(必ずしも同時に内側管腔1080d内にある必要はない)、並びに補助材1085の多孔性プラグセクション1085aを標的領域1080aに挿入するときに可視化する。第2の内視鏡1040は、第2の画像センサ1040aと、シャフト1040bと、を有する。図示のように、第2の画像センサ1040aは、シャフト1040bの遠位端に位置する。第2の画像センサ1040aは、本明細書に説明されるようなカメラ又は別の種類の画像センサとすることができ、内側管腔1080d、第2の手術器具1030及び第3の手術器具1035(必ずしも同時に内側管腔1080d内にある必要はない)、並びに補助材1085の多孔性プラグセクション1085aの画像を獲得し、獲得された画像を特徴付けるデータを以下に説明されるような可視化及び分析のためにコントローラ1050に提供するように構成されている。
【0158】
第1の手術器具1010は、第1の内視鏡1020(図23又は図24には図示せず)によって可視化され、第1の内視鏡は、第1の手術器具1010と同じ体腔内に挿入され、第1の手術器具1010によって保持されており、かつその後に食道1080に埋め込まれる第1の手術器具1010、側壁1080bの外面1080c、標的領域1080a、及び補助材1085が第1の内視鏡1020の画像センサの視野内にあるように、食道1080の外側に位置することができる。上記に説明したように、第1の手術器具1010及び第1の内視鏡1020の各々は、コントローラ1050と動作可能に通信する。
【0159】
食道1080の側壁1080bが第2の内視鏡1040による第1の手術器具1010及び第1の内視鏡1020のビューを遮断するので、食道1080の内側に位置付けられた第2の内視鏡1040は、食道1080の外側に位置付けられた第1の手術器具1010及び第1の内視鏡1020を(少なくとも可視光を使用して)可視化することができない。第2の内視鏡1040は、食道1080の内側のその場所に応じて、穴1080aを通して第1の手術器具1010及び/又は第1の内視鏡1020の可視化を有する場合があるが、そのような可視化は、あったとしても、穴の概して小さいサイズ及び内側管腔1080d内で操縦する第2の内視鏡の制限された能力に起因して制限され、そのような可視化は、標的領域1080a内に挿入された補助材1085の多孔性プラグセクション1085aによって完全に遮断されるだろう。同様に、第1の内視鏡1020による第2の手術器具1030及び第3の手術器具1035、並びに第2の内視鏡1040のビューが同様に食道1080の側壁1080bによって遮断されるので、第1の内視鏡1020は、第2の手術器具1030又は第3の手術器具1035、及び第2の内視鏡1040を(少なくとも可視光を使用して)可視化することができないだろう。第1の内視鏡1020は、食道1080の外側のその場所に応じて、穴1080aを通して第2の手術器具1030、第3の手術器具1035、及び/又は第2の内視鏡1040の可視化を有する場合があるが、そのような可視化は、あったとしても、穴の概して小さいサイズに起因して制限され、そのような可視化は、標的領域1080aに挿入された補助材1085の多孔性プラグセクション1085aによって完全に遮断されるだろう。例解された実施形態では、第3の手術器具1035を使用して、接着材料などの協調する固定インプラントを管腔構造1080の内側から標的領域1080aに送達して、協調する固定インプラントによって補助材1085を標的領域1080aにおいて適所に維持するのに役立つ。図24に示されるように、第3の手術器具1035は、接着剤シリンジ1035aを含み、これは、標的領域1080a内に挿入されたときに、補助材1085の多孔性プラグ部分1085aの上で、かつそれに近接して食道1080の内面1080eに接着材料1031を送達するように構成されている。接着材料1031は、補助材の多孔性プラグ部分1085aを穴1080a内に適所に固定するように構成されている。他の実施形態では、協調する固定インプラントは縫合糸とすることができ、第3の手術器具1035は、補助材1085の多孔性プラグ部分1085aに縫合糸を適用して多孔性プラグ部分1085aを穴1080a内に適所に結ぶように構成された内視鏡縫合デバイス(図示せず)とすることができる。追加的に、例解された実施形態は、協調する固定インプラントを送達するために第3の手術器具1035を使用するが、他の実施形態では、第2の手術器具1030は、単一手術器具(第2の手術器具1030)が補助材1085を把持し、管腔構造1080の内側から標的領域1080aに協調する固定インプラントを送達することができるように、協調する固定インプラントを送達することができ、これは、手技を簡略にし得る。
【0160】
上述したように、コントローラ1050を使用して、第1の手術器具1010、第2の手術器具1030、及び第3の手術器具1035の各々の動き及び作動を制御し、それにより、共通の手術目的(例えば、手術部位1080aにおける補助材1085の固定)が効率的かつ効果的に得られ取得されるように、第1の手術器具1010、第2の手術器具1030、及び第3の手術器具1035の協調された動作を達成することができる。手術システム1000の例示的な使用では、図22図24を参照すると、第1の内視鏡1020は、患者の管腔構造1080の外側の患者の第1の体腔内に挿入され、第2の内視鏡1040は、患者の管腔構造1080内に挿入される。第1の手術器具1010は、そのエンドエフェクタ1010aに結合された補助材1085を有し、次いで、患者の第1の体腔内に挿入され、第2の手術器具1030は、患者の管腔構造内に挿入される。内視鏡1020、1040による可視化の下で、第1の手術器具1110及び第2の手術器具1030は、補助材1085aが配置される手術部位1080aの近くで操縦され、そのため、第1の手術器具1010は、第1の内視鏡1020の視野内にあり(第2の内視鏡1040ではない)、第2の手術器具1030は、第2の内視鏡1040の視野内にある(第1の内視鏡1020ではない)。いくつかの実施形態では、第1の器具1010及び第1の内視鏡1020は、第2の器具1030及び第2の内視鏡1040が管腔構造1080に対して位置付けられる前に、管腔構造1080に対して位置付けられるか、又は逆に、第2の器具1030及び第2の内視鏡1040は、第1の器具1010及び第1の内視鏡1020が管腔構造1080に対して位置付けられる前に、管腔構造1080に対して位置付けられる。コントローラ1050は、第1の内視鏡1020から第1の手術器具1010のうちの1つ又は2つ以上の画像、及び第2の内視鏡1040から第2の手術器具1030の1つ又は2つ以上の画像を受信するように構成されている。追加的に、各内視鏡1020、1040の場所及び向きは、システム1000のグローバル座標系における各内視鏡1020、1040の場所及び向きを判定するために、磁場検出を通じて各内視鏡1020、1040の電磁(electromagnetic、EM)追跡先端を使用して、システム1000のコントローラ1050によって追跡され、グローバル座標系は、内視鏡1020、1040の各々及び手術器具1010、1030の各々と通信するコントローラ1050によって既知である。例解された実施形態では、EM追跡チップが提供されているが、ファイバブラッググレーティング、仮想タグ、基準マーカ、プローブの使用、既知の解剖学的構造の特定、構造化光の使用などの様々な3Dスキャン技術、上記に論じられた様々なセンサ及び/又は撮像システムなどの代替的及び/又は追加的な追跡手段を使用することができる。手術器具を追跡する様々な実施形態に関する追加的な詳細は、例えば、前述の2021年9月29日に出願された「Cooperative Access」と題する米国特許出願第63/249,980号に提供されている。
【0161】
したがって、第1の手術器具1010及び第2の手術器具1030の第1の内視鏡1020及び第2の内視鏡1040から受信された画像、並びに第1の内視鏡1020及び第2の内視鏡1040の追跡された場所及び向きに基づいて、コントローラ1050は、第1の器具1010及び第2の器具1030の場所及び向きを判定するように構成されている。コントローラ1050が第1の手術器具1010及び第2の手術器具1030の動きを監視すると、第1の手術器具1010は、補助材1085を手術部位1080aへと操縦し、第2の手術器具1030は、必要に応じて、食道1080内側から補助材1085を把持し、その配置を支援する。コントローラ1050が内視鏡1020、1040による可視化に基づいて補助材1085の配置を確認すると、第2の手術器具1030が食道1080から引き出され、第3の手術器具1035が食道1080の内側の位置における手術部位1080aへと操縦され、補助材1085及び食道1080の内面1080eの周囲領域に、協調する固定インプラント(接着材料1031など)を適用して、補助材1085を手術部位1080aにおいて適所に固定する。したがって、補助材1085の展開中に一度に使用されるのは、2つの器具のみ、すなわち、第1の手術器具1010及び第2の手術器具1030、又は第1の手術器具1010及び第3の手術器具1035のいずれかである。更に、いくつかの実施形態では、第1の手術器具1010、第2の手術器具1030、及び第3の手術器具1035のうちの2つ又はそれ以上の協調された動作は、補助材1085の適切な配置を確実にするために補助材1085を位置付けるとき、及び/又は協調する固定インプラントを展開するときなどに、少なくとも部分的に同時に生じる。
【0162】
図22図24の例解された実施形態は、患者の食道1080における手術部位1080aの修復を提供するが、胃食道逆流症を治療するために患者の食道括約筋の周りに様々なインプラントを展開するときなど、管腔内又は管腔外のいずれかで導入される様々な異なる管腔内又は管腔外インプラントの展開を成功させるために、標的治療部位の管腔内側及び管腔外側の両方からの少なくとも器具1010、1030の協調する相互作用を同様に関与させる様々な異なる処置が、異なる実施形態において可能である。
【0163】
更に、いくつかの実施形態では、補助材1085に加えて、又はその代わりに、他の修復メカニズムを使用して、標的領域1080aの修復を支援することができる。例えば、図24Aは、治癒中に手術部位1080aに配置される力負荷を最小限に抑えるために第2の手術器具1030によって食道1080内に内視鏡的に配置される食道ステント1086の一実施形態を例解し、腹腔鏡ラップ1087の一実施形態は、治癒中の支持を高めるために、第1の器具1010などによって手術部位1080aにおいて腹腔鏡的に適用される。腹腔鏡ラップ1087は、上記に論じられた補助材1085の接着性ラップセクション1085bではないが、腹腔鏡ラップ1087は、同様の材料から作製され得、生体吸収性であり得る。
【0164】
いくつかの実施形態では、2つの隔離された体腔内の手術器具は、コントローラ(例えば、手術ハブのコントローラ、ロボット手術システム、又は他のコンピュータシステム)によって制御され得、そのため、手術器具は、2つの体腔間の共通の組織又は臓器の対向する表面と協調して相互作用することができる。更に、コントローラは、各手術器具に組み込まれた、相互に関連付けられた力又は運動範囲の閾値限界などの、様々な作動に相互に関連付けられた限界を課すことができ、そのため、手術器具は、意図せずに組織を損傷し得るように操縦することなく、共通の手術目的を達成するように協調して動作することができる。
【0165】
図25は、術野に配置された内視鏡上に配置されたセンサの追跡から複数の位置を拡張することによって、共通視野を提供するために利用され得る1つの例示的な手術システム1100を示す。システム1100の以下に説明される構成要素の各々は、概して、上述したシステム1000における同様の名称の要素と同様に構成され、使用される。
【0166】
システム1100は、第1の体腔内に挿入されるように構成された第1の手術器具1110と、第1の体腔内に挿入され、かつ第1の体腔内に挿入されたときに第1の手術器具1110を可視化するように構成された第1の内視鏡1120と、第2の体腔内に挿入されるように構成された第2の手術器具1130と、第2の体腔内に挿入され、かつ第2の手術器具1130を可視化するように構成された第2の内視鏡1140と、第1の体腔及び第2の体腔の一方に挿入され、かつ組織を操作するように構成された第3の手術器具1175と、を含む。システム1110はまた、第1の手術器具インターフェース1153、第2の手術器具インターフェース1155、及び第3の手術器具インターフェース1158と、第1の内視鏡インターフェース1154及び第2の内視鏡インターフェース1156とを含む。第1の手術器具1110、第1の内視鏡1120、第2の手術器具1130、第2の内視鏡1140、及び第3の手術器具1175は、以下で更に詳細に説明するように、第1の手術器具、第2の手術器具、及び第3の手術器具の動作を制御するように構成されているシステム1100のコントローラ1150と動作可能に通信する。図25に例解されるように、システム1100はまた、第1の体腔及び第2の体腔の各々とは異なる第3の体腔内に挿入され、かつ第3の体腔を可視化するように構成されている第3の内視鏡1170を含む。図示のように、第3の内視鏡1170は、概して、第1の内視鏡インターフェース1154及び第2の内視鏡インターフェース1156と同様に構成及び使用される、第3の内視鏡インターフェース1157を介して、コントローラ1150に結合される。
【0167】
上述したシステム1000と同様に、システム1100はまた、コントローラ1150に動作可能に結合され、かつ第1の内視鏡1120、第2の内視鏡1140、及び第3の内視鏡1170のうちの1つ又は2つ以上によって獲得され、それぞれのインターフェース1154、1156、1157を介してコントローラ1150によって受信された画像をグラフィカルに描写するように構成されているディスプレイ1160を含む。図26は、術野に位置する複数の内視鏡上のセンサの使用を介して、複数の視点を共通視野内に拡張することによって、共通視野を提供するための一実施形態を示す。図26に示されるように、第1の手術器具1110は、肋骨アクセスC1を通して、この例解された実施形態において食道入口部Bである患者の管腔構造の外側の、この例解された実施形態において胸腔Cである第1の体腔内に挿入され、胸腔Cを介してアクセス可能な組織上で動作するように構成される把持器である。第1の手術器具1110と同様に、第2の手術器具1130及び第3の手術器具1175は各々、腹腔鏡把持器であり、この腹腔鏡把持器は、腹腔Aに挿入され、この例解された実施形態において腹腔Aである第2の体腔内でアクセス可能な組織を操作するように構成されている。しかしながら、本明細書の他の場所で説明される他のタイプの手術器具が、術野及び処置に適切であるように利用されてもよい。
【0168】
図26に示されるように、システム1000の第1の内視鏡1020及び第2の内視鏡1040と同様に、第1の内視鏡1120、第2の内視鏡1140、及び第3の内視鏡1170は各々、シャフト1120a、1140a、1170aを含み、それらそれぞれのシャフトの遠位端に位置する画像センサ1120b、1140b、1170bをそれぞれ含み、これらの画像センサは、画像を獲得するように各々構成されている。第1の画像センサ1120bは、胸腔C内の第1の内視鏡1120の位置付けに起因して、第1の手術器具1110及び胸腔Cを介してアクセス可能な組織構造の画像を獲得し、獲得された画像を特徴付けるデータを、以下に説明されるように更なる分析のためにコントローラ1150に提供するように構成されている。第2の内視鏡1140は、第2の画像センサ1140bが、腹腔Aを介してアクセス可能な組織の画像、及び患者の横隔膜1190によって胸腔Cから分離される腹腔Aに同様に挿入される第2の手術器具1130及び/又は第3の手術器具1175の画像を取得することができるように、腹腔Aに挿入されるように構成されている。第3の内視鏡1170は、食道入口部Bに挿入されて、食道入口部Bの内側部分及び胃1195などの他の近くの組織の画像を獲得するように構成されている。
【0169】
第1の内視鏡1120、第2の内視鏡1140、及び第3の内視鏡1170は各々、各画像センサ1120b、1140b、1170bによって提供されるビューの拡張を容易にするように構成されている、各内視鏡1120、1140、1170のシャフト1120a、1140a、1170a上に配設されたロケータデバイスを含む。例えば、第1の内視鏡1120は、第1のシャフト1120aに結合された第1の内視鏡磁石1120cを含み、第3の内視鏡1170は、第3のシャフト1170aに結合された第3の内視鏡磁石1170cを含み、第2の内視鏡1140は、第2のシャフト1140aに結合され、第2の内視鏡1140に対する第1の内視鏡磁石1120c及び第3の内視鏡磁石1170cの位置を磁気的に感知するように構成された磁気センサ1140cを含む。磁気センサ1140cによって感知される、第1の内視鏡磁石1120c及び第3の内視鏡磁石1170cの位置は、コントローラ1150によって使用され、各内視鏡1120、1140、1170によって獲得される画像内の特徴の座標を三角測量し、それによって、以下で更に詳細に説明されるように、拡張された合成画像をコンパイルする。
【0170】
コントローラ1150は、第1の内視鏡1120、第2の内視鏡1140、及び第3の内視鏡1170の各々の相対場所を判定し、コントローラ1150は、内視鏡1120、1140、1170の各々の画像センサ1120b、1140b、1170cによって獲得された画像データと、第2の内視鏡1140の磁気センサ1140cからの第1の内視鏡1120、第2の内視鏡1140、及び第3の内視鏡1170の各々の相対位置を特徴付ける磁気センサデータとに基づいて、拡張合成画像を生成する。例えば、判定された相対位置を使用して、コントローラ1150は、画像データの1つ又は2つ以上の要素を拡張合成画像に組み合わせ、ユーザが見るために拡張合成画像をディスプレイ1160に提供するように構成されている。図27Aは、腹腔A内の組織を特徴付ける、第2の内視鏡1140によって獲得された画像データの1つの例示的なビューを示す。図27Aに示されるように、第2の内視鏡1140の視野は、第2の手術器具1130、第3の手術器具1175、及び胃1195を含む。図27Bは、食道入口部Bの内側に位置する第3の内視鏡1170によって獲得された画像データの1つの例示的なビューを示す。第3の内視鏡1170は、食道入口部Bの内側に位置するので、他の内視鏡1120、1140又は手術器具1110、1130、1175を可視化することができない。図27Cは、胸腔C内の組織の画像を特徴付ける、第1の内視鏡1120によって獲得された画像データの1つの例示的なビューを示す。図27Cに示されるように、内視鏡の視野は、第1の手術器具1110及び食道入口部Bの外面を含む。
【0171】
コントローラ1150は、図27A図27Cに示されるように、第1の内視鏡1120、第2の内視鏡1140、及び第3の内視鏡1170によって獲得された画像データの1つ又は2つ以上の構成要素を組み合わせて、図27Dに示される拡張合成画像を形成する。異なる獲得画像は、異なる拡張合成画像をもたらすであろう。図示のように、拡張合成画像は、第1の内視鏡1120、第2の内視鏡1140、及び第3の内視鏡1170の各々の視野内に位置する構造及び/又は器具の三次元表現を含む。したがって、拡張合成画像は、別個の非連続的な体腔から手術部位にアプローチする複数の手術器具に共通の視野を提供する。このようにして、ユーザは、複数の手術器具(第1の手術器具1110、第2の手術器具1130、及び第3の手術器具1175など)が、様々な別個の非連続的な体腔から手術部位にアプローチしなければならず、共通の手術目的を達成するために協調して作業しなければならない処置において、手術部位の強化された視認性を有することができる。拡張合成画像の様々な実施形態に関する追加的な詳細は、例えば、前述の2021年9月29日に出願された「Cooperative Access」と題する米国特許出願第63/249,980号に提供されている。
【0172】
いくつかの実施形態では、手術器具(組織を操作するように構成された上述した手術器具のいずれか1つなど)が2つの隔離された体腔内に配置され、手術器具が、共通の手術目的を達成するために、組織の共通領域の対向する表面上(例えば、胸部体腔及び腹部体腔を分離する横隔膜などの標的組織又は共通の組織壁)で動作するときに、手術器具の1つ又は2つ以上のアクチュエータの動きに対する相互に関連付けられた制限が、手術器具の判定された場所に基づいて判定されて、組織の共通領域における組織の損傷を回避するのに役立つことができる。例えば、図26の実施形態を参照すると、胸部体腔C内に挿入された第1の手術器具1110は、共通の組織領域の第1の表面上で動作するように構成されており、腹部体腔A内に挿入され、かつ横隔膜1195によって第1の手術器具から分離された第2の手術器具1130は、共通の組織領域の対向する第2の表面上で動作するように構成されている。第1の内視鏡1120及び第2の内視鏡1140によってそれぞれ捕捉された第1の手術器具1110及び第2の手術器具1140の画像を使用して、コントローラ1150は、第1の手術器具1110及び第2の手術器具1130の場所を判定する。コントローラ1150は、組織の共通領域に作用する手術器具1110、1130の各々について、相互に関連付けられた力又は運動範囲の閾値限界のセットを確立するように構成されている。確立された閾値限界は、組織の共通領域に対して任意の所与の方向に適用され得る最大量の力又は運動範囲を特徴付ける。いくつかの実施形態では、比例した量の協調する力が、隣接する解剖学的構造への組織接続部に伝達されるように、組織の共通領域が、隣接する解剖学的構造に少なくとも部分的にアンカーされる。そのため、手術器具1110、1130の各々についての相互に関連付けられた力又は運動範囲の閾値限界は、手術器具1110、1130の各々によって組織の共通領域及び隣接する解剖学的構造にともに付与される最大レベルの力を提供し、それにより、手術器具1110、1130によって組織の共通領域及び隣接する解剖学的構造に過剰な力がかかることによりもたらされるそれらへの不慮の損傷のリスクを軽減し、組織の共通領域に近接する組織及び他の解剖学的構造(例えば、臓器、血管など)の領域を保護するのに役立つ。上記に論じられた閾値限界は、組織の共通領域に適用することができる最大量又は総量であるが、他の実施形態では、手術器具1110、1130のうちの他方に対する手術器具1110、1130のうちの一方に対して、相互に関連付けられた力又は運動範囲の閾値限界を確立することができ、これは、組織の共通領域に適用される総量としてか、又は他方の手術器具1110、1130によって適用される量に対するか、若しくはそれに基づく手術器具1110、1130のうちの一方によって適用される力の量若しくは運動範囲として、相互に関連付けられた力又は運動範囲の閾値限界を確立する際により大きな柔軟性を可能にしてもよい。
【0173】
相互に関連付けられた力又は運動範囲の閾値限界を利用する手術処置中に、コントローラ1150は、相互に関連付けられた力又は運動範囲に基づいて、第1の手術器具1110及び第2の手術器具1130による組織の共通領域の治療を協調させるように構成されている。例えば、コントローラ1150は、第1の内視鏡1120及び第2の内視鏡1140によってそれぞれ獲得される第1の手術器具1110及び第2の手術器具1130の画像に基づいて、第1の手術器具1110及び第2の手術器具1130の場所を判定し、互いに対する及び/又は組織の共通領域に対する第1の手術器具1110及び/又は手術器具1130の判定された場所に基づいて、相互に関連付けられた力又は運動範囲の閾値限界を超えているか否かを判定する。閾値限界を超えた場合、コントローラ1150は、第1の手術器具1110及び/又は第2の手術器具1130の動き又は作動命令に制限を設け、そのため、第1の手術器具1110及び第2の手術器具1130の運動が一緒になって、ペアとして第1の手術器具1110及び第2の手術器具1130の閾値限界を超えないようにするなどの1つ又は2つ以上の行動をとることができ、閾値限界を超えたことを示すアラート(視覚的、聴覚的、及び/又は触覚的)を(ディスプレイ1160上などで)提供することができる。
【0174】
2つの異なる軌道に沿って関心のある共通の組織領域にアクセスする器具は、協調して作動して、いくつかの実施形態では、関心のある共通の組織領域に対して共通の手術目的を達成するために、関心のある共通の組織領域(例えば、互いから隔離された2つの体腔間の組織など、手術器具を分離する標的組織又は共通の組織壁)に対して、互いに対する協調する拮抗又は相補的な力又は運動を達成することができる。例えば、腹腔鏡及び内視鏡の協調を通して腫瘍を切開することを伴う1つの手術処置において、システム1100で使用される第1の器具1110及び第2の器具1130は、把持器及び/又は解剖器具などの図28に例解される手術器具1110a、1130aであり得る。第1の内視鏡1120は、食道などの患者内の中空臓器1127の内側に内視鏡的に挿入され、次いで、第1の手術器具1110aが、中空臓器1127内に挿入され、腫瘍1125を含む共通組織領域の第1の表面上で動作するような場所において構成されている。第2の内視鏡1140は、中空臓器1127の外側で腹腔鏡的に展開され、次いで、第2の手術器具1130aは、腹腔鏡的に展開され、共通組織領域の対向する第2の表面上で動作するような場所において構成されている。使用中、第2の手術器具1130aは、腫瘍1125を切開するために第1の手術器具1110aが共通の組織領域へのアクセスを増加させるように、共通の組織領域の組織たわみ、後退、又は動きのうちの少なくとも1つを提供する。
【0175】
いくつかの実施形態では、第1の手術器具1110aが、第2の手術器具1130aによる組織たわみ、後退、又は動きの後であっても、腫瘍1125に十分にアクセスすることができない場合、第2の手術器具1130aは、腹腔鏡的に流体を注入し、第1の内視鏡1120は、中空臓器1127の内側から視覚フィードバックを提供する。例えば、第2の手術器具1120aは、腫瘍1125の下の粘膜下空間に腹腔鏡的に生理食塩水を注入して、漿膜組織層から腫瘍1125を持ち上げて、切開のために第1の手術器具1110aの腫瘍1125へのアクセスを向上させることができる。他の実施形態では、第1の手術器具1110aは、腫瘍1125の場所を最初に腹腔鏡的に判定することができないときに内視鏡的に流体を注入し、注入される流体は、いくつかの実施形態では、腫瘍1125の場所を腹腔鏡的に特定するのに役立つために、メチレンブルー、蛍光染料、鉄ベースの添加剤、銀イオン、バリウム、カルシウム溶液、ヨウ素同位体などの1つ又は2つ以上の添加剤を含むことができる。更に他の実施例では、腫瘍1125へのアクセスを更に向上させるために、腹腔鏡的又は内視鏡的に流体を注入した後に、注入によって作成された粘膜下空間に、バルーンを有する可撓性スコープ又はカテーテルが進入し、このバルーンは、更なる流体導入を必要とせずに腫瘍1125の拡張を増加させるように膨張して、流体の漏出によるいかなる破壊も回避する。更に、流体を注入する第1の手術器具1110a又は第2の手術器具1130aの代わりに、他の実施形態は、腹腔鏡吸引器具を使用して、腫瘍1125の腹腔鏡側を位置付けて、第1の器具1110aが腫瘍1125を切開する間に、必要に応じて、安定性の向上及び再位置決めを提供することができる。いくつかの吸引実施形態では、腹腔鏡吸引器具は、第1の手術器具1110aが腫瘍1125を把持して切開する間に、逆牽引を提供するために腫瘍1125から外膜を引き離すように凹形状を作成する。流体注入の代わりに吸引を使用することは、腫瘍1125の再位置付けを可能にするとともに、流体の漏出による任意の合併症を回避する。
【0176】
いくつかの実施形態では、図29図30、及び図31の腫瘍1125の周りの破線円によって例解されるように、切開のために腫瘍1125を更に隔離するために、除去のために組織の所望の縁を確立するように、腫瘍1125の周りの組織の外周1129を内視鏡的にアブレーションすることが有益である。この例解された実施形態では、第1の手術器具1110aは、最初に、図29に示されるように、腫瘍1125の周りの組織をアブレーションして外周1129を作成し、必要に応じて、アブレーション中に流体が外周1129に導入されて、炭化を回避するために組織温度を所定の閾値未満に維持する。次いで、腫瘍1125は、上記に論じられた同じアプローチを使用して、切開のために更に分離され得る。例えば、流体は、図30に例解されるように、第2の器具1130aによって腹腔鏡的に、又は第1の器具1110aによって内視鏡的に注入され得、及び/又は吸引は、図31に例解されるように、第2の器具1130aによって腹腔鏡的に適用され得る。アブレーションデバイス及び組織をアブレーションする方法の様々な実施形態は、例えば、前述の2021年9月29日に出願された「Surgical Devices,Systems,And Methods For Control Of One Visualization With Another」と題する米国特許出願第63/249,658号に更に説明されている。
【0177】
更に、いくつかの実施形態では、第1の内視鏡1120が中空臓器1127の内側から視覚フィードバックを提供しているが、いくつかの実施形態では、第2の内視鏡1140が腹腔鏡側からの組織相互作用の可視化を提供して、内視鏡側の第1の手術器具1110aによる直接切開に役立ち、腹腔鏡側の組織壁上への任意の腫瘍浸潤を特定することが有益であり得る。腫瘍1125が腹腔鏡的に可視である場合、腫瘍1125は、組織壁の全厚を通して漿膜層内に拡散した可能性が最も高いだろう。腫瘍1125が拡散したことを確認するのに役立つために、ユーザは、単色青色レーザ光技術、共焦点レーザ顕微内視鏡検査、及び/又は蛍光技術など、当技術分野で既知の様々な異なるアプローチを使用して、ユーザが腫瘍1125の全てを特定して可視化することができることを確実にするのに役立ち、組織中に腫瘍1125の一部分を誤って残すリスクを低減する。腹腔鏡的に可視の腫瘍1125の任意の部分は、ユーザが腫瘍1125の全てを除去するのに役立つために、除去のための組織の外側縁を提供する。いくつかの実施形態では、腫瘍1125の一部分が腹腔鏡側から可視であるときに腫瘍1125を除去するのを支援するために、システム1000のグローバル座標系に登録された予測されるマージンを用いて、レーザポインティング、タッチ及びコンピュータビジョンタグ付けなどを使用することなどを通して、内視鏡側から腫瘍1125がマーク付け又はトレースされる。次いで、特定されたマージンは、構造化光3D表面マッピングの使用などを通して腹腔鏡側にマッピングされ、及び/又は上記に論じられた拡張合成画像アプローチを通して手術部位のビュー上に拡張されて、ユーザが腫瘍1125を完全に除去するのを支援する。腫瘍1125が腹腔鏡的に可視であるときに、ユーザは、腫瘍1125の一部又は全部を除去するために、腹腔鏡切開を使用する必要があってもよい。腹腔鏡切開は、いくつかの状況において腫瘍へのより容易なアクセスを提供することができるが、治癒を促進するために封止を必要とし得る穴を中空臓器内に作成することもでき、その場合、補助材1085が穴1080aを封止する、図23及び図24に例解される封止などの封止が実行され得る。
【0178】
当業者には、上で説明される実施形態に基づいて本発明の更なる特徴及び利点が認識されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって示される場合を除き、具体的に示され説明された内容により限定されるものではない。本明細書で引用される全ての刊行物及び参考文献は、全ての目的のために参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
【0179】
〔実施の態様〕
(1) システムであって、
患者の第1の体腔内に挿入され、前記患者内に位置する組織の第1の表面上で動作するように構成された第1の手術器具と、
前記患者の第2の体腔内に挿入され、前記組織の第2の表面上で動作するように構成された第2の手術器具であって、前記第2の表面が、前記第1の表面とは向きが異なる、第2の手術器具と、
前記第1の体腔内の前記第1の手術器具の第1の画像を獲得するように構成された第1の画像センサを有し、前記第2の手術器具が前記第1の画像センサの視野内にないように位置付けられる、第1の内視鏡と、
前記第2の体腔内の前記第2の手術器具の第2の画像を獲得するように構成された第2の画像センサを有し、前記第1の手術器具が前記第2の画像センサの視野内にないように位置付けられる、第2の内視鏡であって、前記第2の体腔が、前記第1の体腔とは違う、第2の内視鏡と、
前記第1の画像及び前記第2の画像を受信し、受信された前記第1の画像に基づいて、前記第1の手術器具の第1の場所を判定し、前記第1の画像及び前記第2の画像から前記第2の画像から前記第2の手術器具の第2の場所を判定し、第1の方向における前記第1の手術器具又は前記第2の手術器具のうちのどちらか一方による前記組織の操作によって、前記組織が前記第1の方向に操作されるときに前記第1の手術器具及び前記第2の手術器具のうちのもう一方が前記組織を治療するように、判定された前記第1の場所及び前記第2の場所に基づいて、前記第1の手術器具と前記第2の手術器具との間の協調する治療を協調させるように構成されたコントローラと、を備える、システム。
(2) 前記第1の手術器具と前記第2の手術器具との間の力が、前記第1の手術器具と前記第2の手術器具との間に既定の運動又は力のうちの少なくとも1つを生み出すように制御される、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記第1の体腔が、前記患者内の第1の中空臓器内にあり、前記第1の手術器具が、前記中空臓器内で前記第1の方向において前記組織を操作するように構成されており、前記第2の体腔が、前記中空臓器の外側にある、実施態様1又は2に記載のシステム。
(4) 前記第1の手術器具は、前記第2の手術器具が前記組織の一部分を切開するためのアクセスを有するように、前記組織の組織たわみ、後退、又は動きのうちの少なくとも1つを提供するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記第1の内視鏡の前記第1の画像センサによる前記組織の可視化が、前記第2の手術器具による前記組織の少なくとも一部の切開を可能にするように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
【0180】
(6) システムであって、
データプロセッサと、
前記データプロセッサに動作を実行させるように構成された命令を記憶するメモリと、を備え、前記動作は、
第1の内視鏡の第1の画像センサから、患者の第1の体腔内に配設され、かつ前記患者内に位置する組織の第1の表面上で動作するように構成された第1の手術器具の第1の画像を特徴付ける第1の画像データをリアルタイムで受信することと、
第2の内視鏡の第2の画像センサから、前記患者の第2の体腔内に配設され、かつ前記組織の第2の表面上で動作する第2の手術器具の第2の画像を特徴付ける第2の画像データをリアルタイムで受信することであって、前記第2の表面が、前記第1の表面とは向きが異なり、前記第2の手術器具が、前記第1の内視鏡の視野の外側にあり、前記第1の手術器具が、前記第2の内視鏡の視野の外側にあり、前記第2の体腔が、前記第1の体腔とは違う、受信することと、
受信された前記第1の画像データに基づいて、前記第1の手術器具の第1の場所を判定することと、
受信された前記第2の画像データに基づいて、前記第2の手術器具の第2の場所を判定することと、
判定された前記第1の場所及び前記第2の場所に基づいて、前記組織に対する共通の手術目的を達成するために、前記第1の手術器具と前記第2の手術器具との間の協調する治療を協調させることと、を含み、前記組織の協調する治療が、第1の方向において前記第1の手術器具又は前記第2の手術器具のうちのどちらか一方によって、前記組織が前記第1の方向に操作されるときに前記第1の手術器具及び前記第2の手術器具のうちのもう一方が前記組織を治療するように、前記組織を操作することを含む、システム。
(7) 前記第1の手術器具と前記第2の手術器具との間の力が、前記第1の手術器具と前記第2の手術器具との間に既定の運動又は力のうちの少なくとも1つを生み出すように制御される、実施態様6に記載のシステム。
(8) 前記第1の体腔が、前記患者内の第1の中空臓器内にあり、前記第1の手術器具が、前記中空臓器内で前記第1の方向において前記組織を操作するように構成されており、前記第2の体腔が、前記中空臓器の外側にある、実施態様6又は7に記載のシステム。
(9) 前記第1の手術器具は、前記第2の手術器具が前記組織の一部分を切開するためのアクセスを有するように、前記組織の組織たわみ、後退、又は動きのうちの少なくとも1つを提供するように構成されている、実施態様6に記載のシステム。
(10) 前記第1の内視鏡の前記第1の画像センサによる前記組織の可視化が、前記第2の手術器具による前記組織の少なくとも一部の切開を可能にするように構成されている、実施態様6に記載のシステム。
【0181】
(11) 方法であって、
コントローラによって、第1の内視鏡の第1の画像センサから、患者の第1の体腔内に配設され、かつ前記患者内に位置する組織の第1の表面上で動作するように構成された第1の手術器具の第1の画像を特徴付ける第1の画像データをリアルタイムで受信することと、
前記コントローラによって、第2の内視鏡の第2の画像センサから、前記患者の第2の体腔内に配設され、かつ前記組織の第2の表面上で動作する第2の手術器具の第2の画像を特徴付ける第2の画像データをリアルタイムで受信することであって、前記第2の表面が、前記第1の表面とは向きが異なり、前記第2の手術器具が、前記第1の内視鏡の視野の外側にあり、前記第1の手術器具が、前記第2の内視鏡の視野の外側にあり、前記第2の体腔が、前記第1の体腔とは違う、受信することと、
前記コントローラによって、受信された前記第1の画像データに基づいて、前記第1の手術器具の第1の場所を判定することと、
前記コントローラによって、受信された前記第2の画像データに基づいて、前記第2の手術器具の第2の場所を判定することと、
前記コントローラによって、前記組織に対する共通の手術目的を達成するために、判定された前記第1の場所及び前記第2の場所に基づいて、前記第1の手術器具と前記第2の手術器具との間の協調する治療を協調させることと、を含み、前記協調させることは、第1の方向において前記第1の手術器具又は前記第2の手術器具のうちのどちらか一方によって、前記組織が前記第1の方向に操作されるときに前記第1の手術器具及び前記第2の手術器具のうちのもう一方が共通組織を治療するように、前記組織を操作することを含む、方法。
(12) 前記第1の手術器具と前記第2の手術器具との間の力が、前記第1の手術器具と前記第2の手術器具との間に既定の運動又は力のうちの少なくとも1つを生み出すように制御される、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記第1の体腔が、前記患者内の第1の中空臓器内にあり、前記第1の手術器具が、前記中空臓器内で前記第1の方向において前記組織を操作し、前記第2の体腔が、前記中空臓器の外側にある、実施態様11又は12に記載の方法。
(14) 前記第1の手術器具が、前記第2の手術器具が前記組織の一部分を切開するためのアクセスを有するように、前記組織の組織たわみ、後退、又は動きのうちの少なくとも1つを提供する、実施態様11に記載の方法。
(15) 前記第1の内視鏡の前記第1の画像センサによる前記組織の可視化が、前記第2の手術器具による前記組織の少なくとも一部の切開を可能にするように構成されている、実施態様11に記載の方法。
【0182】
(16) 命令を含むコンピュータプログラム製品であって、前記命令は、前記プログラムが実施態様1に記載のシステムのコントローラによって実行されるときに、前記コントローラに、
前記第1の画像及び前記第2の画像を受信することと、
受信された前記第1の画像に基づいて、前記第1の手術器具の第1の場所を判定することと、
第2の受信された画像に基づいて、前記第2の手術器具の第2の場所を判定することと、
第1の方向において前記第1の手術器具又は前記第2の手術器具のうちのどちらか一方によって、前記組織が前記第1の方向に操作されるときに前記第1の手術器具及び前記第2の手術器具のうちのもう一方が前記組織を治療するように、前記組織を操作することによって、判定された前記第1の場所及び前記第2の場所に基づいて、前記第1の手術器具と前記第2の手術器具との間の協調する治療を協調させることと、を行わせる、コンピュータプログラム製品。
(17) 命令を含むコンピュータプログラム製品であって、前記命令は、前記プログラムがコントローラによって実行されるときに、前記コントローラに実施態様11に記載の方法を実行させる、コンピュータプログラム製品。
(18) 実施態様16又は17に記載のコンピュータプログラム製品を記憶したコンピュータ可読媒体。
(19) 実施態様16又は17に記載のコンピュータプログラム製品を搬送するデータ搬送信号。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図21A
図21B
図22
図23
図24
図24A
図25
図26
図27A-27D】
図28
図29
図30
図31
【国際調査報告】