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特表2024-537052管腔内及び管腔外の協働器具を有する手術システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】管腔内及び管腔外の協働器具を有する手術システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/10 20160101AFI20241003BHJP
【FI】
A61B34/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519350
(86)(22)【出願日】2022-09-26
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 IB2022059101
(87)【国際公開番号】W WO2023052951
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】63/249,980
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/493,535
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・ザ・フォース・フレデリック・イー
(72)【発明者】
【氏名】シャイブ・チャールズ・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ジェイソン・エル
(72)【発明者】
【氏名】ハッサン・アレクサンダー・タレク
(72)【発明者】
【氏名】シュー・トラヴィス・マイケル
(57)【要約】
手術システムが提供される。例示的な一実施形態では、手術システムは、管腔外空間内の第1の部分と、管腔内空間内に配置された第2の部分とを有する第1のスコープ装置を含む。第1のスコープ装置は、第1のシーンの画像データを送信する。第2のスコープ装置は、管腔外空間内に配置され、第2のシーンの画像データを送信する。第1の器具の第1の部分は、第2のスコープ装置に対して第1のスコープ装置を追跡するために、第2のスコープ装置の視野内に存在する。コントローラは、第1及び第2のシーンの送信された画像データを受信し、管腔外空間内の第1のスコープ装置から第2のスコープ装置までの相対距離を判定し、マージされた画像を提供する。マージされた画像内の第1及び第2のスコープ装置のうちの少なくとも1つは、その代表的な描写である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術システムであって、
管腔外解剖学的空間内に部分的に挿入されて位置決めされるように構成された第1の部分と、前記第1の部分の遠位にあり、管腔内解剖学的空間内に位置決めされるように構成された第2の部分と、を有する第1のスコープ装置であって、前記第1のスコープ装置が、前記第1のスコープ装置の視野内の第1のシーンの画像データを送信するように構成された、第1のスコープ装置と、
第2のスコープ装置であって、前記管腔外解剖学的空間内に少なくとも部分的に挿入されて配置され、前記第2のスコープ装置の視野内の第2のシーンの画像データを送信するように構成され、前記第2のシーンが前記第1のシーンとは異なり、前記第1の器具の前記第1の部分の少なくとも一部が前記第2のスコープ装置の前記視野内に存在し、それによって前記第1のスコープ装置を前記第2のスコープ装置に対して追跡する、第2のスコープ装置と、
前記第1のシーン及び前記第2のシーンの前記送信された画像データを受信し、前記管腔内解剖学的空間内の前記第1のスコープ装置の前記第2の部分から前記管腔外空間内の前記第2のスコープ装置までの相対距離を判定し、単一のシーンにおける前記第1のスコープ装置及び前記第2のスコープ装置の少なくとも一部のマージされた画像を提供するように構成されたコントローラであって、前記マージされた画像における前記第1のスコープ装置及び前記第2のスコープ装置の一部のうちの少なくとも1つが、その代表的な描写である、コントローラと、を備えている手術システム。
【請求項2】
前記第1のスコープ装置及び前記第2のスコープの一部が、それぞれ、前記マージされた画像内にその代表的な描写として示される、請求項1に記載の手術システム。
【請求項3】
前記第1のスコープ装置及び前記第2のスコープ装置のうちの少なくとも1つの少なくとも一部が、前記マージされた画像内にその実際の描写として示される、請求項1又は請求項2に記載の手術システム。
【請求項4】
前記第1のシーンを表示するように構成された第1のディスプレイと、前記第2のシーンを表示するように構成された第2のディスプレイとを更に備える、請求項1に記載の手術システム。
【請求項5】
前記第1のディスプレイ及び前記第2のディスプレイのうちの少なくとも1つが、前記単一のシーンを表示するように更に構成されている、請求項4に記載の手術システム。
【請求項6】
前記単一のシーンを表示するように構成された第3のディスプレイを更に備える、請求項4に記載の手術システム。
【請求項7】
前記第1のシーンが前記第2のスコープ装置を含まず、前記第2のシーンが前記第1のスコープ装置の前記第2のセグメントを含まない、請求項1に記載の手術システム。
【請求項8】
前記第1のスコープ装置が、内部を通って延在する作業チャネルを有する可撓性本体を備え、前記作業チャネルが、器具が前記管腔外空間と前記管腔内空間との両方に存在するように、前記器具の遠位端が前記管腔外空間内に挿入され、前記管腔外空間を通って前記管腔内空間内に挿入されることを可能にするように構成されている、請求項1に記載の手術システム。
【請求項9】
前記第2のシーンが、前記器具の前記遠位端を含まない、請求項8に記載の手術システム。
【請求項10】
前記第1のスコープ装置が、前記第1のスコープ装置の前記第1の部分上に配置された基準マーカを含む、請求項1に記載の手術システム。
【請求項11】
前記コントローラが、前記基準マーカに基づいて前記第1のスコープ装置の前記第2の部分を追跡するように構成されている、請求項10に記載の手術システム。
【請求項12】
方法であって、
第1のスコープ装置によって、前記第1のスコープ装置の第1のセグメントが管腔外解剖学的空間内に配置され、前記第1のセグメントの遠位にある前記第1のスコープ装置の第2のセグメントが管腔内解剖学的空間内に配置されている間に、前記第1のスコープ装置の視野内の第1のシーンの画像データを送信することと、
第2のスコープ装置によって、前記第2のスコープ装置が前記管腔外空間内に位置付けられている間に、前記第2のスコープ装置の視野内の第2のシーンの画像データを送信することであって、前記第2のシーンが前記第1のシーンと異なる、送信することと、
コントローラによって、前記第1のシーン及び前記第2のシーンの前記送信された画像データを受信することと、
前記コントローラによって、前記管腔内解剖学的空間内の前記第1のスコープ装置の前記第2のセグメントから前記管腔外空間内の前記第2のスコープ装置までの相対距離を判定することと、
単一のシーンにおける前記第1のスコープ装置及び前記第2のスコープ装置の少なくとも一部のマージされた画像を生成することであって、前記単一のシーンに示された前記第1のスコープ装置及び前記第2のスコープ装置の一部のうちの少なくとも1つが、その代表的な描写である、生成することと、を含む方法。
【請求項13】
前記マージされた画像内に前記第1のスコープ装置の一部の代表的な描写を表示することと、
前記マージされた画像内に前記第2のスコープ装置の代表的な描写を表示することと、
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のシーンを第1のディスプレイ上に表示することと、
前記第2のシーンを第2のディスプレイ上に表示することと、
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のディスプレイ及び前記第2のディスプレイのうちの少なくとも1つに前記単一のシーンを表示することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記単一のシーンを第3のディスプレイ上に表示することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
器具が前記管腔外空間と前記管腔内空間との両方に存在するように、前記第1のスコープ装置の可撓性本体の作業チャネルを通して器具を挿入して、前記器具の遠位端を前記管腔外空間内に入れ、前記管腔外空間を通して前記管腔内空間内に入れることを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記第2のシーンが、前記器具の前記遠位端を含まない、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記コントローラによって、前記第1のスコープ装置の前記第1のセグメント上に配置された基準マーカに基づいて、前記管腔内空間内に配置された前記第1のスコープ装置の前記第2のセグメントを追跡することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のシーンが前記第2のスコープ装置を含まず、前記第2のシーンが前記第1のスコープ装置の前記第1のセグメントを含まない、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
命令を含むコンピュータプログラム製品であって、前記命令が、前記プログラムがコントローラによって実行されるときに、前記コントローラに、
第1のスコープ装置の第1のセグメントが管腔外解剖学的空間内に配置され、前記第1のセグメントの遠位にある前記第1のスコープ装置の第2のセグメントが管腔内解剖学的空間内に配置されている間に、前記第1のスコープ装置の視野内の第1のシーンの画像データを受信するステップと、
第2のスコープ装置が前記管腔外空間内に位置付けられている間に、前記第2のスコープ装置の視野内の第2のシーンの画像データを受信するステップであって、前記第2のシーンが前記第1のシーンと異なる、受信するステップと、
前記管腔内解剖学的空間内の前記第1のスコープ装置の前記第2のセグメントから前記管腔外空間内の前記第2のスコープ装置までの相対距離を判定するステップと、
単一のシーンにおける前記第1のスコープ装置及び前記第2のスコープ装置の少なくとも一部のマージされた画像を生成するステップであって、前記単一のシーンに示された前記第1のスコープ装置及び前記第2のスコープ装置の一部のうちの少なくとも1つが、その代表的な描写である、生成するステップと、を実行させる、コンピュータプログラム製品。
【請求項22】
請求項21に記載のコンピュータプログラム製品を記憶したコンピュータ可読媒体。
【請求項23】
請求項21に記載のコンピュータプログラム製品を搬送するデータ搬送信号。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年9月29日に出願された「Cooperative Access」と題する米国仮特許出願第63/249,980号の優先権を主張し、参照によりその開示の全体が本書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、係留、協調的な内視鏡及び腹腔鏡アクセス、並びに組織操作等のための手術システム及びそれを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
手術システムは、臨床医が、1つ又は複数のディスプレイ(例えば、モニタ、コンピュータタブレットスクリーンなど)上で、手術部位及び/又はその1つ又は複数の部分を見ることを可能にできる撮像システムを組み込んでいることが多い。ディスプレイ(複数可)は、手術現場(surgical theater)に局所的であっても、かつ/又は、遠隔であってもよい。撮像システムは、手術部位を見て、かつ臨床医(複数可)が見ることができるディスプレイにビューを送信する、カメラを備えたスコープを含むことができる。
【0004】
撮像システムは、臨床医(複数可)を認識することができ、かつ/又は臨床医(複数可)に伝達することができる情報によって制限される場合がある。例えば、三次元空間内の特定の隠れた構造、物理的輪郭、及び/又は寸法は、特定の撮像システムでは手術中に認識できないことがある。別の例に関しては、特定の撮像システムは、手術中に特定の情報を臨床医(複数可)に通信すること、及び/又は伝達することできない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、改善された電動外科用ツールが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
手術システムが提供される。例示的な一実施形態では、手術システムは、第1のスコープ装置、第2のスコープ装置、及びコントローラを含む。第1のスコープ装置は、管腔外解剖学的空間内に部分的に挿入されて位置決めされるように構成された第1の部分と、第1の部分の遠位にあり、管腔内解剖学的空間内に位置決めされるように構成された第2の部分と、を有する。第1のスコープ装置は、第1のスコープ装置の視野内の第1のシーンの画像データを送信するように構成される。第2のスコープ装置は、管腔外解剖学的空間内に少なくとも部分的に挿入されて配置され、第2のスコープ装置の視野内の第2のシーンの画像データを送信するように構成され、第2のシーンが第1のシーンとは異なり、第1の器具の第1の部分の少なくとも一部が第2のスコープ装置の視野内に存在し、それによって第1のスコープ装置を第2のスコープ装置に対して追跡する。コントローラは、第1のシーン及び第2のシーンの送信された画像データを受信し、管腔内解剖学的空間内の第1のスコープ装置の第2の部分から管腔外空間内の第2のスコープ装置までの相対距離を判定し、単一のシーンにおける第1のスコープ装置及び第2のスコープ装置の少なくとも一部の合成画像を提供するように構成され、合成画像における第1のスコープ装置及び第2のスコープ装置の一部の少なくとも一方は、その代表的な描写である。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1のスコープ装置及び第2のスコープの一部は、それぞれ、マージされた画像内にその代表的な描写として示され得る。第1のスコープ装置及び第2のスコープ装置のうちの少なくとも1つの少なくとも一部分は、マージされた画像内にその実際の描写として示され得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、本システムは、第1のシーンを表示するように構成された第1のディスプレイと、第2のシーンを表示するように構成され得る第2のディスプレイとを含むことができる。特定の実施形態では、第1のディスプレイ及び第2のディスプレイのうちの少なくとも1つは、単一のシーンを表示するように更に構成され得る。特定の実施形態では、本システムは、単一のシーンを表示するように構成することができる第3のディスプレイを含むことができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1のシーンは第2のスコープ装置を含むことができず、第2のシーンは第1のスコープ装置の第2のセグメントを含むことができない。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1のスコープ装置は、内部を通って延在する作業チャネルを有する可撓性本体を含むことができる。作業チャネルは、器具が管腔外空間と管腔内空間との両方に存在するように、器具の遠位端が管腔外空間内に挿入され、管腔外空間内を通って管腔内空間内に挿入されることを可能にするように構成され得る。そのような実施形態では、第2のシーンは、器具の遠位端を含むことができない。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1のスコープ装置は、第1のスコープ装置の第1の部分上に配置された基準マーカを含むことができる。そのような実施形態では、コントローラは、基準マーカに基づいて第1のスコープ装置の第2の部分を追跡するように構成され得る。
【0012】
方法も提供される。例示的な一実施形態では、方法は、第1のスコープ装置によって、第1のスコープ装置の第1のセグメントが管腔外解剖学的空間内に配置され、第1のセグメントの遠位にある第1のスコープ装置の第2のセグメントが管腔内解剖学的空間内に配置されている間に、第1のスコープ装置の視野内の第1のシーンの画像データを送信することと、第2のスコープ装置によって、第2のスコープ装置が管腔外空間内に位置付けられている間に、第2のスコープ装置の視野内の第2のシーンの画像データを送信することであって、第2のシーンが第1のシーンと異なる、送信することと、コントローラによって、第1のシーン及び第2のシーンの送信された画像データを受信することと、コントローラによって、管腔内解剖学的空間内の第1のスコープ装置の第2のセグメントから管腔外空間内の第2のスコープ装置までの相対距離を判定することと、単一のシーンにおける第1のスコープ装置及び第2のスコープ装置の少なくとも一部のマージされた画像を生成することであって、単一のシーンに示された第1のスコープ装置及び第2のスコープ装置の一部のうちの少なくとも1つが、その代表的な描写である、生成することと、を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、本方法は、マージされた画像内に第1のスコープ装置の一部分の代表的な描写を表示することと、マージされた画像内に第2のスコープ装置の代表的な描写を表示することと、を含むことができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、本方法は、第1のシーンを第1のディスプレイ上に表示することと、第2のシーンを第2のディスプレイ上に表示することと、を含むことができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、本方法は、第1のディスプレイ及び第2のディスプレイのうちの少なくとも1つに単一のシーンを表示することを含むことができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、本方法は、第3のディスプレイ上に単一のシーンを表示することを含むことができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、本方法は、器具が管腔外空間と管腔内空間との両方に存在するように、第1のスコープ装置の可撓性本体の作業チャネルを通して器具を挿入して、器具の遠位端を管腔外空間内に入れ、管腔外空間を通して管腔内空間内に入れることを含むことができる。そのような実施形態では、第2のシーンは、器具の遠位端を含むことができない。
【0018】
いくつかの実施形態では、本方法は、コントローラによって、第1のスコープ装置の第1のセグメント上に配置された基準マーカに基づいて、管腔内空間内に配置された第1のスコープ装置の第2のセグメントを追跡することを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1のシーンは第2のスコープ装置を含むことができず、第2のシーンは第1のスコープ装置の第1のセグメントを含むことができない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明について、添付の図面を参照して説明する。
図1】手術可視化システムの一実施形態の概略図である。
図2図1の手術デバイス、撮像デバイス、及び重要構造の間の三角測量の概略図である。
図3】手術可視化システムの別の実施形態の概略図である。
図4】手術可視化システムのための制御システムの一実施形態の概略図である。
図5】手術可視化システムのための制御システムの制御回路の一実施形態の概略図である。
図6】手術可視化システムの組み合わせロジック回路の一実施形態の概略図である。
図7】手術可視化システムの順序ロジック回路の一実施形態の概略図である。
図8】手術可視化システムの更に別の実施形態の斜視図である。
図9】手術可視化システムのための制御システムの別の実施形態の概略図である。
図10】様々な生物学的物質についての波長対吸収係数を示すグラフである。
図11】手術部位を可視化するスペクトルエミッタの一実施形態の概略図である。
図12】尿管を閉塞物から区別するための例示のハイパースペクトル特定シグネチャを描写するグラフである。
図13】動脈を閉塞物から区別するための例示のハイパースペクトル特定シグネチャを描写するグラフである。
図14】神経を閉塞物から区別するための例示のハイパースペクトル特定シグネチャを描写するグラフである。
図15】術中に利用されている近赤外(near infrared、NIR)飛行時間測定システムの一実施形態の概略図である。
図16図15のシステムの飛行時間タイミング図を示す。
図17】術中に利用されている近赤外(NIR)飛行時間測定システムの別の実施形態の概略図である。
図18】コンピュータ実装双方向手術システムの一実施形態の概略図である。
図19】手術室内で手術処置を行うために使用されている手術システムの一実施形態の概略図である。
図20】スマート手術器具と手術ハブとを含む手術システムの一実施形態の概略図である。
図21図20のスマート手術器具を制御する方法を示すフローチャートである。
図22】内視鏡器具及び腹腔鏡器具を有する従来の手術システムの概略図であり、内視鏡器具が自然開口部を通して結腸に挿入され、腹腔鏡器具が腹腔を通して挿入され、結腸の外側表面と相互作用している、結腸の部分破断図を示す。
図23】腹腔鏡器具及び管腔内器具を有する手術システムの例示的実施形態の概略図であり、腹腔鏡アプローチを通して結腸内に挿入されている管腔内器具を示す。
図24】腹腔鏡器具及び2つの管腔内器具を有する手術システムの例示的実施形態の概略図であり、腹腔鏡アプローチを通して結腸内に挿入されている管腔内器具を示す。
図25】手術システムの例示的な一実施形態の概略図である。
図26】腹腔鏡器具及び管腔内器具を有する手術システムの例示的実施形態の概略図であり、腹腔鏡アプローチを通して結腸内に挿入されている管腔内器具を示す。
図26a】腹腔鏡の視点からの図26の手術システムのマージされた画像の概略図である。
図26b】内視鏡の視点からの図26の手術システムのマージされた画像の概略図である。
図27】腹腔鏡器具及び管腔内器具を有する手術システムの例示的実施形態の概略図であり、腹腔鏡アプローチを通して結腸内に挿入されている管腔内器具を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書に開示されるデバイス、システム、及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理が総括的に理解されるように、ある特定の例示的な実施形態について、これから説明する。これらの実施形態の1つ又は2つ以上の実施例が、添付の図面に例解されている。当業者であれば、本明細書で詳細に説明し、添付の図面に示されるデバイス、システム、及び方法は、非限定的な例示的な実施形態であり、本発明の範囲は、特許請求の範囲のみによって定義されることが理解されるであろう。例示的な一実施形態に関連して例解又は説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。このような改変及び変形は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0022】
更に、本開示においては、実施形態の同様の名称の構成要素は概して同様の特徴を有するものであり、したがって、特定の実施形態において、同様の名称の各構成要素の各特徴については必ずしも完全に詳しく述べることはしない。追加的に、開示されるシステム、デバイス、及び方法の説明で直線寸法又は円寸法が使用される限りにおいて、そのような寸法は、そのようなシステム、デバイス、及び方法と組み合わせて使用することができる形状の種類を限定しようとするものではない。当業者には、そのような直線寸法及び円寸法に相当する寸法を、任意の幾何学的形状について容易に判定することができる点が認識されるであろう。当業者は、寸法が正確な値ではなくても、製作公差及び測定機器の感度などの諸々の要因により、その値に近い値であると考えられることを理解するであろう。システム及びデバイスのサイズ及び形状、並びにその構成要素は、少なくとも、システム及びデバイスがそれとともに使用される構成要素のサイズ及び形状に依存し得る。
【0023】
手術可視化
一般に、手術可視化システムは、「デジタル手術」を活用して、患者の解剖学的構造及び/又は手術処置に関する追加情報を取得するように構成されている。手術可視化システムは、有用な様式で1人又は2人以上の医師にデータを伝達するように更に構成されている。本開示の様々な態様は、患者の解剖学的構造及び/若しくは手術処置の改善された可視化を提供し、並びに/又は手術ツール(本明細書では「手術デバイス」又は「手術器具」とも呼ばれる)の改善された制御を提供するために可視化を使用する。
【0024】
「デジタル手術」は、ロボットシステム、先進撮像、先進器具、人工知能、機械学習、性能追跡及びベンチマーキングのためのデータ分析、手術室(operating room、OR)の内外両方での接続性などを包含し得る。本明細書に記載される様々な手術可視化システムは、ロボット手術システムと組み合わせて使用することができるが、手術可視化システムは、ロボット手術システムとともに使用することに限定されない。特定の例では、ロボットなしで、並びに/あるいは、ロボット支援が制限されている、及び/若しくは任意である状態で、手術可視化システムを発生させることができる。同様に、ロボットなしで、並びに/あるいは、ロボット支援が制限されている、及び/又は任意である状態で、デジタル手術を発生させることができる。
【0025】
特定の例では、手術可視化システムを組み込む手術システムは、重要構造を特定し、それらを回避するためのスマート切開を可能にし得る。重要構造としては、解剖学的構造、例えば他の解剖学的構造の中でもとりわけ、尿管、上腸間膜動脈などの動脈、門脈などの静脈、横隔神経などの神経、及び/又は腫瘍が挙げられる。他の例では、重要構造は、解剖学的領域における外来構造、例えば、手術デバイス、手術締結具、クリップ、留め金、ブジー、バンド、プレート、及び遺物構造などとすることができる。重要構造は、患者ごと及び/又は処置ごとに判定される場合がある。スマート切開術は、例えば、切開のために改善された術中ガイダンスを提供し得、及び/又は、重要な解剖学的構造の検出及び回避技術によってよりスマートな判断を可能にし得る。
【0026】
手術可視化システムを組み込んだ手術システムは、改善されたワークフローによって最適な場所においてより一貫した吻合を提供するスマート吻合術を可能にし得る。がん局在化技術は、手術可視化プラットフォームを用いて改善され得る。例えば、がん局在化法は、がんの場所、向き、及びそのマージンを特定し、追跡することができる。特定の例では、がん局在化法は、手術処置中に手術器具、患者、及び/又は患者の解剖学的構造の動きを補償し、医師を関心のある点に戻す誘導を提供し得る。
【0027】
手術可視化システムは、改善された組織特徴付け、並びに/又はリンパ節診断及びマッピングを提供し得る。例えば、組織特徴付け技術は、特に切開時、及び/又は組織内のステープリングデバイスの配置時に、物理的触覚を必要とせずに組織の種類及び健康状態を特徴付けることができる。特定の組織特徴付け技術は、電離放射線及び/又は造影剤を使用せずに利用し得る。リンパ節診断及びマッピングに関して、手術可視化プラットフォームは、例えば、がん診断及びステージ診断に関与するリンパ系及び/又はリンパ節を手術前に位置特定し、マッピングし、理想的には、診断することができる。
【0028】
手術処置中、「肉眼」及び/又は撮像システムを介して医師が利用可能な情報は、不完全な手術部位のビューを提供する場合がある。例えば、臓器内に埋め込まれた又は埋もれた構造などの特定の構造は、ビューから少なくとも部分的に隠され、つまり見えない場合がある。追加的に、特定の寸法及び/又は相対距離は、既存のセンサシステムでの確認することが難しく、及び/又は「肉眼」では把握が難しい場合がある。更に、特定の構造は、術前(例えば、手術処置前であるが術前のスキャン後)、及び/又は術中に動く場合がある。そのような例では、医師は、術中に重要構造の場所を正確に判定することができない場合がある。
【0029】
重要構造の位置が不確定である場合、及び/又は重要構造と手術ツールとの間の近接度が不明である場合、医師の意思決定プロセスが阻害される可能性がある。例えば、医師は、重要構造の不注意による切開を回避するために、特定の領域を回避し得る。しかしながら、回避された領域は、不必要に大きく、かつ/又は、少なくとも部分的に場所を誤っている可能性がある。不確実性、及び/又は過度/過剰な用心に起因して、医師は特定の所望の領域に到達できない場合がある。例えば、重要構造がその特定領域にない場合、及び/又は、その特定領域での医師の行為によって悪影響がない場合であっても、用心のし過ぎにより、医師が、重要構造を回避しようと努力して、腫瘍及び/又は他の望ましくない組織の一部分を残してしまう場合がある。特定の例では、手術成績は知識及び/又は確実性が高まるとともに向上される場合があり、これにより、外科医にとって、より正確で、特定の例では、特定の解剖学的領域に対してより抑えて/より積極的になることが可能になる。
【0030】
手術可視化システムは、術中の特定及び重要構造の回避を可能にすることができる。したがって、手術可視化システムは、術中意思決定の強化及び手術転帰の改善を可能にし得る。手術可視化システムは、医師が「肉眼」で見るもの、並びに/あるいは撮像システムが認識し、及び/又は医師に伝達できるものを超えた、高度な可視化能力を提供することができる。手術可視化システムは、医師が組織治療(例えば、切開)の前に知ることができることを補強かつ強化でき、それにより、様々な例における結果を改善し得る。結果として、手術可視化システムが、例えば、切開中にアプローチされ得る重要構造を追跡していることを認識しながら、医師は、手術処置を通して勢いを確実に維持することができる。手術可視化システムは、医師が手術処置を休止し、及び/又は減速させ、重要構造に対する不注意による損傷を防止するためにその構造までの近接度を評価するのに十分な時間内で、医師に対して指示を提供することができる。手術可視化システムは、理想的で、最適化された、及び/又はカスタマイズ可能な量の情報を医師に提供して、健康組織及び/又は重要構造への不注意による損傷を回避しつつ、医師が組織全体を確実、及び/又は迅速に動くことを可能にし、これによって、手術処置から生じる損傷のリスクを最小限に抑えることができる。
【0031】
手術可視化システムは、以下に詳細に説明される。一般に、手術可視化システムは、複数のスペクトル波を放射するように構成された第1の光エミッタと、光パターンを放射するように構成された第2の光エミッタと、可視光、スペクトル波に対する分子応答(分光イメージング)、及び/又は光パターンを検出するように構成された受信器、若しくはセンサと、を含むことができる。手術可視化システムはまた、撮像システムと、受信器及び撮像システムとを信号通信する制御回路と、を含むことができる。受信器からの出力に基づいて、制御回路は、手術部位における可視表面の幾何学的表面マップ、例えば、三次元表面トポグラフィ、及び少なくとも部分的に隠れた構造までの距離などの手術部位に対する距離を判定することができる。撮像システムは、幾何学的表面マップ及び距離を医師に伝達することができる。そのような例では、医師に提供される手術部位の拡張ビューは、手術部位に関連するコンテキスト内で隠れた構造の表示を提供することができる。例えば、撮像システムは、が表面の下方のユーティリティ配管を示すために地面に引かれた線と同様に、隠している及び/又は遮断している組織の幾何学的表面マップ上に隠れた構造を仮想的に強化することができる。追加的又は代替的に、撮像システムは、可視の遮断している組織まで、及び/若しくは少なくとも部分的に隠れた構造までの手術ツールの近接度、並びに/又は、遮蔽している組織の可視表面の下方に隠された構造の深さを伝達することができる。例えば、可視化システムは、可視組織の表面上の拡張された線に対する距離を判定し、その距離を撮像システムに伝達することができる。
【0032】
本開示を通じて、特に可視光に言及しない限り、「光」への言及は全て、電磁放射線(electromagnetic radiation、EMR)波長スペクトルの可視部分及び/又は非可視部分におけるEMR又は光子を含むことができる。可視スペクトルは、場合によっては、光スペクトル又は発光スペクトルとも称され、人間の目に見える(例えば、人間の目によって検出することができる)電磁スペクトルの一部分であり、「可視光」、又は単に「光」と称されることがある。典型的な人間の目は、空気中の約380nm~約750nmの波長に応答する。不可視スペクトル(例えば、非発光スペクトル)は、可視スペクトルの下及び上にある電磁スペクトルの部分である。不可視スペクトルは、人間の目で検出可能ではない。約750nmを超える波長は、赤色可視スペクトルよりも長く、これらは不可視赤外線(infrared、IR)、マイクロ波及び無線電磁放射線になる。約380nm未満の波長は、紫色スペクトルよりも短く、これらは不可視紫外線、x線及びガンマ線電磁放射線になる。
【0033】
図1は、手術可視化システム100の一実施形態を例解する。手術可視化システム100は、解剖学的領域内の重要構造101の視覚的表示を作成するように構成されている。重要構造101は、単一の重要構造又は複数の重要構造を含むことができる。本明細書で論じるように、重要構造101は、解剖学的構造、例えば、尿管、上腸間膜動脈などの動脈、門脈などの静脈、横隔神経などの神経、血管、腫瘍、若しくは他の解剖学的構造、又は外来構造、例えば、手術デバイス、手術締結具、手術クリップ、手術留め金、ブジー、手術バンド、手術プレート、若しくは他の外来構造などの様々な構造のいずれかとすることができる。本明細書で論じるように、重要構造101は、患者ごと及び/又は処置ごとに特定することができる。重要構造の実施形態及び可視化システムを使用して重要構造を特定する実施形態は、2020年10月6日に発行された「Visualization Of Surgical Devices」と題する米国特許第10,792,034号に更に説明されており、その全体が参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0034】
いくつかの例では、重要構造101は、組織103に埋め込まれ得る。換言すれば、組織103は、脂肪、結合組織、癒着、及び/又は臓器などの様々な組織のうちのいずれかであることができる。換言すれば、重要構造101は、組織103の表面105の下方に位置付けられ得る。そのような例では、組織103は、医師の「肉眼」のビューから重要構造101を隠している。組織103はまた、手術可視化システム100の撮像デバイス120の視野から重要構造101を覆い隠す。重要構造101は、完全に覆い隠される代わりに、医師及び/又は撮像デバイス120の視野から部分的に覆い隠されることができる。
【0035】
手術可視化システム100は、臨床分析及び/又は医学的介入で使用することができる。特定の例では、手術可視化システム100を術中に使用して、近接度データ、寸法、及び/又は距離に関するリアルタイム情報などのリアルタイム情報を、手術処置中に医師に提供することができる。当業者であれば、情報は正確にリアルタイムでないが、それでもなお、データ送信によって引き起こされる時間遅延、データ処理によって引き起こされる時間遅延、及び/又は測定機器の感度などの様々な理由のいずれかにより、リアルタイムであるとみなされることがあると認識するだろう。手術可視化システム100は、重要構造の術中特定のために、及び/又は手術デバイスによる重要構造101の回避を容易にするように構成されている。例えば、重要構造101を特定することによって、医師は、手術処置中に、重要構造101及び/又は重要構造101の既定の近接度の領域の周囲で手術デバイスを操作することを回避できる。別の実施例では、重要構造101を特定することによって、医師は、重要構造101及び/又はその近くの切開を回避することができ、それによって、重要構造101への損傷を防止するのに役立ち、及び/又は医師によって使用されている手術デバイスが重要構造101によって損傷されるのを防止するのに役立つ。
【0036】
手術可視化システム100は、手術可視化システムの距離センサシステム104と組み合わせた組織特定及び幾何学的表面マッピングを組み込むように構成されている。組み合わせると、手術可視化システム100のこれらの特徴は、解剖学的領域内の重要構造101の位置、並びに/又は、可視組織103の表面105及び/若しくは重要構造101への手術デバイス102の近接度を判定することができる。更に、手術可視化システム100は、例えば、手術部位のリアルタイムのビューを提供するように構成された撮像デバイス120を含む撮像システムを含む。撮像デバイス120は、例えば、反射されたスペクトル波形を検出し、かつ様々な波長に対する分子応答に基づいて、画像のスペクトルキューブを生成するように構成されているスペクトルカメラ(例えば、ハイパースペクトルカメラ、マルチスペクトルカメラ、又は選択的スペクトルカメラ)を含むことができる。撮像デバイス120からのビューは、ディスプレイ(例えば、モニタ、コンピュータタブレットスクリーンなど)上などで、医師にリアルタイムで提供され得る。表示されたビューは、組織特定、ランドスケープマッピング、及び距離センサシステム104に基づく追加の情報で拡張することができる。そのような例では、手術可視化システム100は、複数のサブシステム、つまり、撮像サブシステム、表面マッピングサブシステム、組織特定サブシステム、及び/又は距離判定サブシステムを含む。これらのサブシステムは協働して、高度なデータ合成及び統合された情報を手術中に医師に対して提供することができる。
【0037】
撮像デバイス120は、例えば、可視光、スペクトル光波(可視又は不可視)、及び構造化光パターン(可視又は不可視)を検出するように構成することができる。撮像デバイス120の実施例は、スコープ、例えば、内視鏡、関節鏡、血管鏡、気管支鏡、総胆管鏡、結腸鏡、膀胱鏡、十二指腸鏡、腸鏡、食道胃-十二指腸鏡(胃鏡)、喉頭鏡、鼻咽頭-鼻腔鏡、S状結腸鏡、胸腔鏡、尿管鏡、又はエキソスコープを含む。スコープは、低侵襲手術処置において特に有用とすることができる。開腹手術用途では、撮像デバイス120は、スコープを含まなくてもよい。
【0038】
組織特定サブシステムは、スペクトル撮像システムを用いて達成することができる。スペクトル撮像システムは、ハイパースペクトル撮像、マルチスペクトル撮像、又は選択的スペクトル撮像などの撮像に依存することができる。組織のハイパースペクトル撮像の実施形態は、2016年3月1日に発行された、「System And Method For Gross Anatomic Pathology Using Hyperspectral Imaging」と題する米国特許第9,274,047号に更に説明されており、その全体を参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
表面マッピングサブシステムは、光パターンシステムを用いて達成することができる。表面マッピングのために光パターン(又は構造化光)を使用する様々な表面マッピング技法が、本明細書に説明される手術可視化システムにおいて利用することができる。構造化光は、表面上に既知のパターン(多くの場合、グリッド又は水平バー)を投影するプロセスである。特定の例では、見えない(つまり、検知不能な)構造化光を利用することができ、構造化光は、投影されたパターンが混乱し得る他のコンピュータビジョンタスクと干することなく利用される。例えば、2つの正確に反対のパターンを繰り返す赤外光又は非常に速いフレームレートの可視光を利用して干渉を防止することができる。表面マッピング、並びに光源及び光パターンを投影するためのプロジェクタを含む手術システムの実施形態は、2017年3月2日に公開された「Set Comprising A Surgical Instrument」と題する米国特許出願公開第2017/0055819号、2017年9月7日に公開された「Depiction System」と題する米国特許出願公開第2017/0251900号、及び2019年12月30日に出願された「Surgical Systems For Generating Three Dimensional Constructs Of Anatomical Organs And Coupling Identified Anatomical Structures Thereto」と題する米国特許出願第16/729,751号に更に説明されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0040】
距離判定システムは、表面マッピングシステムに組み込むことができる。例えば、構造化光を利用して、可視表面105の三次元(three-dimensional、3D)仮想モデルを生成し、可視表面105に対する様々な距離を判定することができる。追加的又は代替的に、距離判定システムは飛行時間測定に依存し、手術部位における特定された組織(又は他の構造)に対する1つ又は2つ以上の距離を判定することができる。
【0041】
手術可視化システム100はまた、手術デバイス102を含む。手術デバイス102は、任意の好適な手術デバイスとすることができる。手術デバイス102の実施例は、手術解剖器具、手術ステープラ、手術把持器、クリップアプライヤ、煙排出器、手術エネルギーデバイス(例えば、単極プローブ、双極プローブ、アブレーションプローブ、超音波デバイス、超音波エンドエフェクタなど)などを含む。いくつかの実施形態では、手術デバイス102は、手術デバイス102のシャフトの遠位端から延在し、組織を間に係合するように構成されている対向するジョーを有するエンドエフェクタを含む。
【0042】
手術可視化システム100は、重要構造101と、重要構造101に対する手術デバイス102の近接度とを特定するように構成することができる。手術可視化システム100の撮像デバイス120は、例えば、可視光、スペクトル光波(可視又は不可視)、及び構造化光パターン(可視又は不可視)などの様々な波長の光を検出するように構成されている。撮像デバイス120は、異なる信号を検出するための複数のレンズ、センサ、及び/又は受信器を含むことができる。例えば、撮像デバイス120は、本明細書で更に説明されるように、ハイパースペクトルカメラ、マルチスペクトルカメラ、又は選択的スペクトルカメラとすることができる。撮像デバイス120はまた、波形センサ122(例えば、スペクトル画像センサ、検出器、及び/又は三次元カメラレンズ)も含むことができる。例えば、撮像デバイス120は、2つの二次元画像を同時に記録し、それにより、手術部位の三次元(3D)画像を生成し、手術部位の三次元画像をレンダリングし、かつ/又は、手術部位で1つ又は複数の距離を判定するために一緒に使用される右側レンズ及び左側レンズを含むことができる。追加的又は代替的に、撮像デバイス120は、本明細書で更に説明されるように、可視組織のトポグラフィ、並びに隠れた重要構造の特定及び位置を示す画像を受信するように構成することができる。例えば、図1に示されるように、撮像デバイス120の視野を、組織103の表面105上の光パターン(構造化光)と重ねることができる。
【0043】
この例解された実施形態のように、手術可視化システム100は、手術システム110に組み込むことができる。ロボット手術システム110は、本明細書で論じられるように、様々な構成を有することができる。例解された実施形態では、ロボット手術システム110は、第1のロボットアーム112と第2のロボットアーム114とを含む。ロボットアーム112、114は、各々、サーボモータ制御を含むことができる剛性構造部材116及び継手118を含む。第1のロボットアーム112は、手術デバイス102を操作するように構成されており、第2のロボットアーム114は、撮像デバイス120を操作するように構成されている。ロボット手術システム110のロボット制御ユニットは、それぞれ手術デバイス102及び撮像デバイス120に作用することができる第1のロボットアーム112及び第2のロボットアーム114への制御運動を発するように構成されている。
【0044】
いくつかの実施形態では、ロボットアーム112、114のうちの1つ又は2つ以上は、手術処置で使用される主ロボットシステム110とは別個とすることができる。例えば、ロボットアーム112、114のうちの少なくとも1つは、サーボモータ制御なしに特定の座標系に位置付けられ、かつ位置合わせすることができる。例えば、ロボットアーム112、114に対する閉ループ制御システム及び/又は複数のセンサは、特定の座標系に対するロボットアーム112、114の位置を制御し、かつ/又は位置合わせすることができる。同様に、手術デバイス102及び撮像デバイス120の位置は、特定の座標系に対して位置合わせすることができる。
【0045】
ロボット手術システムの実施例は、Ottava(商標)のロボット支援手術システム(Johnson & Johnson of New Brunswick、NJ)、da Vinci(登録商標)の手術システム(Intuitive Surgical,Inc.of Sunnyvale、CA)、Hugo(商標)のロボット支援手術システム(Medtronic PLC of Minneapolis、MN)、Versius(登録商標)の手術ロボットシステム(CMR Surgical Ltd of Cambridge、UK)、及びMonarch(登録商標)のプラットフォーム(Auris Health,Inc.of Redwood City、CA)を含む。様々なロボット手術処置システム及びロボット手術処置システムを使用する実施形態は、2016年12月28日に出願された「Flexible Instrument Insertion Using An Adaptive Force Threshold」と題する米国特許出願公開第2018/0177556号、2019年4月16日に出願された「Systems And Techniques For Providing Multiple Perspectives During Medical Procedures」と題する米国特許出願公開第2020/0000530号、2020年2月7日に出願された「Image-Based Branch Detection And Mapping For Navigation」と題する米国特許出願公開第2020/0170720号、2019年12月9日に出願された「Surgical Robotics System」と題する米国特許出願公開第2020/0188043号、2019年9月3日に出願された「Systems And Methods For Concomitant Medical Procedures」と題する米国特許出願公開第2020/0085516号、2013年7月15日に出願された「Patient-Side Surgeon Interface For A Teleoperated Surgical Instrument」と題する米国特許第8,831,782号、及び2014年3月13日に出願された「Hyperdexterous Surgical System」と題する国際公開第2014151621号に更に説明されている。
【0046】
手術可視化システム100はまた、エミッタ106を含む。エミッタ106は、表面105のトポグラフィ又はランドスケープの判定を可能にするために、縞、グリッド線、及び/又はドットなどの光パターンを放射するように構成されている。例えば、投影された光アレイ130は、表面105上の三次元スキャン及び位置合わせのために使用することができる。投影された光アレイ130は、手術デバイス102、及び/又はロボットアーム112、114のうちの1つ、及び/又は撮像デバイス120上に位置するエミッタ106から放射することができる。一態様では、投影された光アレイ130は、手術可視化システム100が組織103の表面105及び/又は表面105の運動により手術中に画定される形状を判定するために採用される。撮像デバイス120は、表面105から反射された投影された光アレイ130を検出して、表面105のトポグラフィ、及び表面105に対する様々な距離を判定するように構成されている。
【0047】
この例解された実施形態におけるように、撮像デバイス120は、撮像デバイス120上に装着されるか、又は別様に取り付けられることなどによって、光波形エミッタ123を含むことができる。光波形エミッタ123は、組織103の表面105を透過して重要構造101に到達することができる電磁放射線124(NIR光子)を放射するように構成されている。撮像デバイス120、及び光波形エミッタ123は、ロボットアーム114によって位置付け可能とすることができる。光波形エミッタ123は、撮像デバイス122上、又は別様に装着されるが、他の実施形態では、撮像デバイス120とは別個の手術デバイス上に位置付けることができる。撮像デバイス120上の対応する波形センサ122(例えば、画像センサ、分光計、又は振動センサ)は、波形センサ122によって受信された電磁放射線の影響を検出するように構成されている。光波形エミッタ123から放射される電磁放射線124の波長は、重要構造101などの解剖学的構造及び/又は身体構造の種類の特定を可能にするように構成することができる。重要構造101の特定は、例えば、スペクトル分析、光音響、及び/又は超音波によって達成することができる。一態様では、電磁放射線124の波長は可変とすることができる。波形センサ122及び光波形エミッタ123は、例えば、マルチスペクトル撮像システム及び/又は選択的スペクトル撮像システムを含み得る。他の実施例では、波形センサ122及び光波形エミッタ123は、例えば、光音響撮像システムを含むことができる。
【0048】
手術可視化システム100の距離センサシステム104は、手術部位における1つ又は2つ以上の距離を判定するように構成されている。距離センサシステム104は、この図示された実施形態におけるようなエミッタ106などのエミッタを含み、受信器108を含む、飛行時間型距離センサシステムとすることができる。他の例では、飛行時間エミッタは構造化光エミッタとは別個であり得る。エミッタ106は、非常に小さなレーザ源を含むことができ、受信器108は、マッチングセンサを含むことができる。距離センサシステム104は、「飛行時間」、又はエミッタ106によって放射されたレーザ光が受信器108のセンサ部分に跳ね返るまでにかかる時間を検出するように構成されている。エミッタ106中で非常に狭い光源を使用することにより、距離センサシステム104が、距離センサシステム104の直ぐ前にある組織103の表面105までの距離を判定することを可能にする。
【0049】
距離センサシステム104の受信器108は、この例解された実施形態では手術デバイス102上に位置付けられるが、他の実施形態では、受信器108は、手術デバイス102の代わりに別個の手術デバイス上に装着することができる。例えば、受信器108は、手術デバイス102が手術部位に到達するようにそこを通って延在するカニューレ又はトロカール上に装着することができる。更に他の実施形態では、距離センサシステム104のための受信器108は、手術デバイス102が結合された第1のロボットアーム112とは別個のロボットシステム110のロボット制御アーム上に(例えば、第2のロボットアーム114上に)装着することができるか、別のロボットによって動作する可動アーム上に装着することができるか、又は手術室(OR)台若しくは固定具に装着することができる。いくつかの実施形態では、撮像デバイス120は、手術デバイス102上のエミッタ106と撮像デバイス120との間の線を使用して、エミッタ106から組織103の表面105までの距離を判定することを可能にする受信器108を含む。例えば、距離センサシステム104の(手術デバイス102上の)エミッタ106、及び(撮像デバイス120上の)受信器108の既知の位置に基づいて、距離dを三角測量することができる。受信器108の三次元位置は、手術中に、ロボット座標平面に対して知ること、及び/又は記録することができる。
【0050】
この例解された実施形態におけるように、飛行時間距離センサシステム104のエミッタ106の位置は、第1ロボットアーム112によって制御することができ、距離センサシステム104の受信器108の位置は、第2ロボットアーム114によって制御することができる。別の実施形態では、手術可視化システム100は、ロボットシステムとは別に利用することができる。そのような例では、距離センサシステム104は、ロボットシステムとは独立していてもよい。
【0051】
図1では、dは、エミッタ106から組織103の表面105までのエミッタ-組織間距離であり、dは、手術デバイス102の遠位端から組織103の表面105までのデバイス-組織間距離である。距離センサシステム104は、エミッタ-組織間距離dを判定するように構成されている。デバイス-組織間距離dは、手術デバイス102の遠位端に対する、手術デバイス102上、例えば、手術デバイスの遠位端に近位のそのシャフト上のエミッタ106の既知の位置から取得可能である。換言すれば、エミッタ106と手術デバイス102の遠位端との間の距離が既知である場合、デバイス-組織間距離dは、エミッタ-組織間距離dから判定され得る。いくつかの実施形態では、手術デバイス102のシャフトは、1つ又は複数の関節継手を含むことができ、エミッタ106及び手術デバイス102の遠位端にあるジョーに対して関節運動可能であり得る。関節運動構成は、例えば、多関節椎骨様構造を含むことができる。いくつかの実施形態では、三次元カメラを利用して、表面105までの1つ又は2つ以上の距離を三角測量することができる。
【0052】
図1では、dは、撮像デバイス120上に位置する光波形エミッタ123から重要構造101の表面までのカメラ-重要構造間距離であり、dは、組織103の表面105の下方の重要構造101の深さ(例えば、手術デバイス102に最も近い表面105の一部分と重要構造101との間の距離)である。撮像デバイス120上に位置する光波形エミッタ123から放射される光波形の飛行時間は、カメラ-重要構造間距離dを判定するように構成されている。
【0053】
図2に示されるように、組織103の表面105に対する重要構造101の深さdは、距離d、並びに手術デバイス102上のエミッタ106、及び撮像デバイス120上の光波形エミッタ123の既知の位置(したがって、これらの間の既知の距離d)から三角測量によって判定されて、距離dとdとの合計である距離dを判定することができる。追加的又は代替的に、光波形エミッタ123からの飛行時間は、光波形エミッタ123から組織103の表面105までの距離を判定するように構成することができる。例えば、第1の波形(又は波形範囲)を利用して、カメラ-重要構造間距離dを判定することができ、第2の波形(又は波形範囲)を利用して、組織103の表面105までの距離を判定することができる。そのような例では、異なる波形を利用して、組織103の表面105の下方の重要構造101の深さを判定することができる。
【0054】
追加的又は代替的に、距離dは、超音波、位置合わせされた磁気共鳴ビュー(magnetic resonance imaging、MRI)、又はコンピュータ断層撮影(computerized tomography、CT)スキャンから判定することができる。更に他の例では、距離dは、撮像デバイス120によって受信された検出信号が材料の種類、例えば、組織103の種類に基づいて変動し得るので、スペクトル撮像によって判定することができる。例えば、脂肪は、検出信号を第1の方法、又は第1の量で減少させることができ、コラーゲンは、検出信号を異なる第2の方法、又は第2の量で減少させることができる。
【0055】
図3に例解された手術可視化システム160の別の実施形態では、撮像デバイス120ではなく手術デバイス162は、光波形エミッタ123と、反射された波形を検出するように構成されている波形センサ122と、を含む。光波形エミッタ123は、本明細書で更に説明されるように、手術デバイス162などの共通デバイスからの距離d、及びdを判定するための波形を放射するように構成されている。そのような例では、組織103の表面105から重要構造101の表面までの距離dは、以下のように判定することができる。
=d-d
【0056】
手術可視化システム100は、手術可視化システム100の様々な態様を制御するように構成された制御システムを含む。図4は、手術可視化システム100(又は本明細書に説明される他の手術可視化システム)の制御システムとして利用することができる制御システム133の一実施形態を例解する。制御システム133は、メモリ134と信号通信するように構成された制御回路132を含む。メモリ134は、重要構造(例えば、図1の重要構造101)を判定及び/又は認識するための命令、1つ又は複数の距離及び/又は三次元デジタル表示を判定及び/又は計算するための命令、並びに、情報を医師に通信するための命令など、制御回路132により実行可能な命令を記憶するように構成されている。したがって、メモリ134内に記憶された命令は、制御回路132によって実行されるときに、プロセッサに上述のように実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品を構成する。また、このような命令は、任意のコンピュータ可読媒体(光ディスク、SDカード、USBドライブなど、又は別個のデバイスのメモリなど)に記憶されてもよく、そこからメモリ134にコピーされるか、又は直接実行されてもよい。コピー又は直接実行のプロセスは、コンピュータプログラム製品を搬送するデータキャリア信号の作成を伴う。この例解された実施形態におけるように、メモリ134は、表面マッピングロジック136、撮像ロジック138、組織特定ロジック140、及び距離判定ロジック141を記憶することができるが、メモリ134は、ロジック136、138、140、141の任意の組み合わせを記憶することができ、及び/又は様々なロジックを一緒に組み合わせることができる。制御システム133はまた、カメラ144を含む撮像システム142(例えば、図1の撮像デバイス120を含む撮像システム)、ディスプレイ146(例えば、モニタ、コンピュータタブレットスクリーン)、並びにカメラ144及びディスプレイ146の制御部148を含む。カメラ144は、様々な可視及び不可視スペクトルで光を放射する様々な光源からの信号を受信するように構成された画像センサ135(例えば、波形センサ122)(例えば、可視光、スペクトルイメージャ、三次元レンズなど)を含む。ディスプレイ146は、実際の、仮想の、及び/又は仮想的に拡張された画像及び/又は情報を医師に描写するように構成されている。
【0057】
例示的な実施形態では、画像センサ135は、ピクセルと呼ばれる個別の光検出器部位を最大で数百万個含む固体電子デバイスである。画像センサ135の技術は、電荷結合素子(Charge-Coupled Device、CCD)イメージャ及び相捕型金属酸化膜半導体(Complementary Metal Oxide Semiconductor、CMOS)イメージャの2つの範疇のうちの1つに分類され、より直近になると、短波赤外線(short-wave infrared、SWIR)が撮像における新技術である。別の種類の画像センサ135は、ハイブリッドCCD/CMOSアーキテクチャ(「sCOMS」の名称で販売)を採用し、CCD撮像基板にバンプ接合されたCMOS読み出し集積回路(readout integrated circuit、ROIC)からなる。CCD及びCMOS画像センサ135は、約400nm~約1000nmの範囲など、約350nm~約1050nmの範囲の波長に対して感度がある。当業者であれば、値が正確にある値ではないが、それでもなお、測定機器の感度及び製造公差などの様々な理由のいずれかにより、ほぼその値であるとみなされることがあると認識するであろう。CMOSセンサは、一般に、CCDセンサよりもIR波長に対して感度が高い。固体画像センサ135は、光電効果に基づいており、その結果、色を区別することができない。したがって、1チップ及び3チップの2種類のカラーCCDカメラが存在する。シングルチップカラーCCDカメラは、一般的な低コストの撮像ソリューションを提供し、モザイク(例えば、ベイヤー)光学フィルタを使用して、入射光を一連の色に分離し、補間アルゴリズムを採用してフルカラー画像を解像する。次いで、各色は、異なるピクセルセットに方向付けられる。3チップカラーCCDカメラは、プリズムを採用することによってより高い分解能を提供し、入射スペクトルの各セクションを異なるチップに誘導する。オブジェクトの空間内の各点が、色を判定するためのアルゴリズムを使用するのではなく、別個のRGB強度値を有するため、より正確な色再現が可能である。3チップカメラは、非常に高い分解能を提供する。
【0058】
制御システム133はまた、各々が制御回路133に動作可能に結合されたスペクトル光源150及び構造化光源152を含むエミッタ(例えば、エミッタ106)を含む。単一の光源は、スペクトル光源150の範囲内の光の波長及び構造化光源152の範囲内の光の波長を放射するようにパルス化することができる。あるいは、単一の光源は、不可視スペクトル内の光(例えば、赤外スペクトル光)及び可視スペクトル上の光の波長を供給するようにパルス化することができる。スペクトル光源150は、例えば、ハイパースペクトル光源、マルチスペクトル光源、及び/又は選択的スペクトル光源とすることができる。組織特定ロジック140は、カメラ144の画像センサ135によって受信されたスペクトル光源150からのデータを介して、重要構造(複数可)(例えば、図1の重要構造101)を特定するように構成されている。表面マッピングロジック136は、反射された構造化光に基づいて、可視組織(例えば、組織103)の表面の輪郭を判定するように構成されている。飛行時間測定により、距離判定ロジック141は、可視組織及び/又は重要構造までの1つ又は2つ以上の距離を判定するように構成されている。表面マッピングロジック136、組織特定ロジック140、及び距離判定ロジック141の各々からの出力は、撮像ロジック138に提供され、撮像システム142のディスプレイ146を介して医師に伝達されるように撮像ロジック138によって、組み合わされ、一体化され、及び/又は重ね合わせられるように構成されている。
【0059】
制御回路132は、様々な構成を有することができる。図5は、手術可視化システム100の態様を制御するように構成された制御回路132として使用することができる制御回路170の一実施形態を例解する。制御回路170は、本明細書に説明される様々なプロセスを実装するように構成されている。制御回路170は、メモリ174に動作可能に結合されたプロセッサ172(例えば、マイクロプロセッサ又はマイクロコントローラ)を含むマイクロコントローラを含む。メモリ回路174は、プロセッサ172によって実行されるときに、プロセッサ172に、本明細書に説明される様々なプロセスを実装するための機械命令を実行させる、機械実行可能命令を記憶するように構成されている。プロセッサ172は、当該技術分野で既知のいくつかのシングルコアプロセッサ又はマルチコアプロセッサのうちの任意の1つとすることができる。メモリ回路174は、揮発性及び不揮発性の記憶媒体を含むことができる。プロセッサ172は、命令処理ユニット176、及び演算ユニット178を含む。命令処理ユニット176は、メモリ回路174から命令を受信するように構成されている。
【0060】
表面マッピングロジック136、撮像ロジック138、組織特定ロジック140、及び距離判定ロジック141は、様々な構成を有することができる。図6は、表面マッピングロジック136、撮像ロジック138、組織特定ロジック140、及び距離判定ロジック141のうちの1つ又は2つ以上などのロジックを使用して、手術可視化システム100の態様を制御するように構成された組み合わせロジック回路180の一実施形態を例解する。組み合わせロジック回路180は、入力184において手術デバイス(例えば、手術デバイス102及び/又は撮像デバイス120)に関連付けられたデータを受信し、組み合わせロジック182によってデータを処理し、出力184を制御回路(例えば、制御回路132)に提供するように構成された組み合わせロジック182を含む有限状態マシンを含む。
【0061】
図7は、表面マッピングロジック136、撮像ロジック138、組織特定ロジック140、及び距離判定ロジック141のうちの1つ又は2つ以上などのロジックを使用して、手術可視化システム100の態様を制御するように構成された順序ロジック回路190の一実施形態を例解する。順序ロジック回路190は、組み合わせロジック192、メモリ194、及びクロック196を含む有限状態マシンを含む。メモリ194は、有限状態マシンの現在の状態を記憶するように構成されている。順序ロジック回路190は、同期又は非同期とすることができる。組み合わせロジック192は、入力426において手術デバイス(例えば、手術デバイス102及び/又は撮像デバイス120)に関連付けられたデータを受信し、組み合わせロジック192によってデータを処理し、出力499を制御回路(例えば、制御回路132)に提供するように構成されている。いくつかの実施形態では、順序ロジック回路190は、本明細書の様々なプロセスを実施するために、プロセッサ(例えば、図5のプロセッサ172)と有限状態マシンとの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、有限状態マシンは、組み合わせロジック回路(例えば、図7の組み合わせロジック回路192)と順序ロジック回路190との組み合わせを含むことができる。
【0062】
図8は、手術可視化システム200の別の実施形態を例解する。手術可視化システム200は、概して、図1の手術可視化システム100と同様に構成されるとともに使用され、例えば、手術デバイス202及び撮像デバイス220を含む。撮像デバイス220は、例えば、隠れた構造のスペクトル画像を取得するために複数の波長のスペクトル光を放射するように構成されたスペクトル光エミッタ223を含む。撮像デバイス220はまた、三次元カメラ及び関連する電子処理回路を含むことができる。臓器203の表面205上では不可視の尿管201a、及び臓器203(この例では、子宮)内の血管201bなどの特定の重要構造を特定し、それらの回避を容易にするために術中に利用されている、手術可視化システム200が示されている。
【0063】
手術可視化システム200は、構造化光によって、手術デバイス202上のエミッタ206から子宮203の表面205までのエミッタ-組織間距離dを判定するように構成されている。手術可視化システム200は、エミッタ-組織間距離dに基づいて、手術デバイス202から子宮203の表面205までのデバイス-組織間距離dを推定するように構成されている。また、手術可視化システム200は、尿管201aから表面205までの組織-尿管間距離d、及び撮像デバイス220から尿管201aまでのカメラ-尿管間距離dを判定するように構成されている。本明細書に説明されるように、例えば、図1の手術可視化システム100に関して、手術可視化システム200は、例えば、スペクトル撮像及び飛行時間型センサを用いて、距離dを判定するように構成されている。様々な実施形態では、手術可視化システム200は、本明細書に説明される他の距離、及び/又は表面マッピングロジックに基づいて、組織-尿管間距離d(つまり、深さ)を判定(例えば、三角測量)することができる。
【0064】
上述したように、手術可視化システムは、手術可視化システムの様々な態様を制御するように構成された制御システムを含む。制御システムは、様々な構成を有することができる。図9は、図1の手術可視化システム100、図8の手術可視化システム200、又は本明細書に説明される他の手術可視化システムなどの手術可視化システムのための制御システム600の一実施形態を例解する。制御システム600は、スペクトルシグネチャ組織特定及び構造化光組織位置特定を統合して、特に、重要構造が組織、例えば、脂肪、結合組織、血液組織、及び/又は臓器(複数可)によって、及び/若しくは血液によって覆い隠されているときにその構造(複数可)を特定し、かつ/又は、腫瘍及び/若しくは非健常組織を臓器内の健常組織から区別するなど、組織変動性を検出する変換システムである。
【0065】
制御システム600は、ハイパースペクトル撮像可視化システムを実装するように構成されており、このシステムでは、分子応答を利用して、手術視野内の解剖学的構造を検出及び特定する。制御システム600は、組織データを外科医及び/又は他の医療従事者に使用可能な情報に変換するように構成された変換ロジック回路648を含む。例えば、覆い隠されている材料に対する波長に基づく可変反射率を利用して、解剖学的構造中の重要構造を特定することができる。更に、制御システム600は、特定されたスペクトルシグネチャと構造光データとを画像内で組み合わせるように構成されている。例えば、制御システム600を採用して、拡張画像オーバーレイを用いたシステムにおける手術用途のための三次元データセットを作成することができる。技術は、追加の視覚的情報を採用して、手術中及び手術前の両方で採用することができる。様々な実施形態では、制御システム600は、1つ又は2つ以上の重要構造の近接するときに、医師に警告を提供するように構成されている。手術処置及び重要構造への近接度に基づくロボット自動化アプローチ及び半自動化アプローチを誘導するために、様々なアルゴリズムを採用することができる。
【0066】
投影された光アレイは、組織の形状及び運動を術中に判定するために制御システム600によって採用される。代替的に、フラッシュライダーを組織の表面マッピングに利用してもよい。
【0067】
制御システム600は、上述のように、1つ又は2つ以上の重要構造を含むことができる重要構造を検出し、重要構造の画像オーバーレイを提供し、可視組織の表面までの距離、及び埋め込まれた/埋もれた重要構造までの距離を測定するように構成されている。制御システム600は、可視組織の表面までの距離を測定し、又は重要構造を検出し、重要構造の画像オーバーレイを提供することができる。
【0068】
制御システム600は、スペクトル制御回路602を含む。スペクトル制御回路602は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)又は図6図7、及び図8に関して説明される構成などの別の好適な回路構成であることができる。
【0069】
スペクトル制御回路602は、ビデオ入力プロセッサ606からビデオ入力信号を受信するように構成されたプロセッサ604を含む。プロセッサ604は、ハイパースペクトル処理を行うように構成されてよく、例えば、C/C++コードを利用することができる。ビデオ入力プロセッサ606は、例えば、シャッタ時間、波長、及びセンサ分析などの制御(メタデータ)データのビデオインを受信するように構成されている。プロセッサ604は、ビデオ入力プロセッサ606からのビデオ入力信号を処理し、例えば、インターフェース制御(メタデータ)データのハイパースペクトルビデオアウトを含むビデオ出力信号をビデオ出力プロセッサ608に提供するように構成されている。ビデオ出力プロセッサ608は、ビデオ出力信号を画像オーバーレイコントローラ610に提供するように構成されている。
【0070】
ビデオ入力プロセッサ606は、患者隔離回路614を介して患者側のカメラ612に動作可能に結合されている。カメラ612は、固体画像センサ634を含む。患者隔離回路614は、患者がシステム内の他の回路から隔離されるように、複数の変圧器を含むことができる。カメラ612は、光学素子632及び画像センサ634を介して術中画像を受信するように構成されている。画像センサ634は、例えば、CMOS画像センサを含むことができるか、又は図4に関連して本明細書で論じられるものなどの別の画像センサ技術を含むことができる。カメラ612は、14ビット/ピクセル信号で613個の画像を出力するように構成されている。当業者は、より高いか、又はより低い分解能を採用することができると認識するであろう。隔離カメラ出力信号613は、カラーRGB融合回路616に提供され、この回路は、この例解された実施形態において、カメラ出力信号613を処理する構成されたカメラハードウェアレジスタ618及びNios2コプロセッサ620を採用する。ビデオ入力プロセッサ606及びレーザパルス制御回路622には、カラーRGB融合出力信号が提供される。
【0071】
レーザパルス制御回路622は、レーザ光エンジン624を制御するように構成されている。レーザ光エンジン624は、近赤外線(NIR)を含む複数の波長(λ1、λ2、λ3...λn)において光を出力するように構成されている。レーザ光エンジン624は、複数のモードで動作することができる。例えば、レーザ光エンジン624は、2つのモードで動作することができる。第1のモード、例えば、通常動作モードでは、レーザ光エンジン624は、照明信号を出力するように構成されている。第2のモード、例えば、特定モードでは、レーザ光エンジン624は、RGBG光及びNIR光を出力するように構成されている。様々な実施形態では、レーザ光エンジン624は、偏光モードで動作することができる。
【0072】
レーザ光エンジン624からの光出力626は、術中の手術部位627内の標的とされる解剖学的構造を照明するように構成されている。レーザパルス制御回路622はまた、手術部位627における手術組織、又は臓器上に所定の波長(λ2)で、ライン及び/又はドットのグリッド又はパターンなどのレーザ光パターン631を投影するように構成されたレーザパターンプロジェクタ630のためのレーザパルスコントローラ628を制御するように構成されている。カメラ612は、カメラ光学素子632を通して出力されたパターン化された光及び反射光を受信するように構成されている。画像センサ634は、受信された光をデジタル信号に変換するように構成されている。
【0073】
カラーRGB融合回路616はまた、画像オーバーレイコントローラ610、並びに、レーザパターンプロジェクタ630によって手術部位627の標的とされる解剖学的構造上に投影されたレーザ光パターン631を読み取るためのビデオ入力モジュール636に信号を出力するように構成されている。処理モジュール638は、レーザ光パターン631を処理し、手術部位627において可視組織までの距離を表す第1のビデオ出力信号640を出力するように構成されている。データは、画像オーバーレイコントローラ610に提供される。処理モジュール638はまた、手術部位における標的とされる解剖学的構造の組織又は臓器の三次元レンダリングされた形状を表す第2のビデオ信号642を出力するように構成されている。
【0074】
第1のビデオ出力信号640及び第2のビデオ出力信号642は、集積モジュール643に提供される三次元表面モデル上の重要構造の位置を表すデータを含む。スペクトル制御回路602のビデオ出力プロセッサ608からのデータと組み合わせて、統合モジュール643は、埋もれた重要構造までの距離(例えば、図1の距離d)を(例えば、三角測量アルゴリズム644によって)判定するように構成されており、埋もれた重要構造までの距離は、ビデオ出力プロセッサ646を介して、画像オーバーレイコントローラ610に提供することができる。前述の変換ロジックは、変換ロジック回路648、中間ビデオモニタ652、及び手術部位627に位置付けられたカメラ624/レーザパターンプロジェクタ630を包含することができる。
【0075】
CT又はMRIスキャンなどによる術前データ650を採用して、特定の三次元変形可能な組織を様々な例で位置合わせ又は整列させることができる。このような術前データ650は、集積モジュール643、最終的には、画像オーバーレイコントローラ610に提供することができるので、このような情報はカメラ612のビューと重ね合わせられ、ビデオモニタ652に提供することができる。術前データの位置合わせの実施形態は、2018年9月11日に出願された「Integration Of Imaging Data」と題する米国特許出願公開第2020/0015907号に更に説明されており、その全体は参照として本明細書に組み込まれる。
【0076】
ビデオモニタ652は、画像オーバーレイコントローラ610から統合/拡張ビューを出力するように構成されている。医師は、1つ又は2つ以上のディスプレイ上の異なるビューを選択し、及び/又は切り替えることができる。例解された実施形態において、モニタである第1のディスプレイ652a上で、医師は、(A)可視組織の三次元レンダリングが示されているビューと、(B)1つ又は2つ以上の隠れた重要構造が可視組織の三次元レンダリングの上に描写される拡張ビューとを切り替えることができる。例解された実施形態において、モニタである第2のディスプレイ652b上で、医師は、例えば、1つ又は2つ以上の隠れた重要構造、及び/又は可視組織の表面までの距離測定値を切り替えることができる。
【0077】
本明細書に説明される様々な手術可視化システムを利用して、スペクトルの可視部分においてEMRにより可視化されるのが覆い隠され得る組織、及び/又は解剖学的構造を含む、様々な異なる種類の組織、及び/又は解剖学的構造を可視化することができる。手術可視化システムは、上述したように、スペクトル撮像システムを利用することができ、これは、構成材料の様々な組み合わせに基づいて、異なる種類の組織を可視化するように構成することができる。特に、スペクトル撮像システムは、様々なEMR波長にわたる組織の吸収係数に基づいて可視化されている組織内の様々な構成材料の存在を検出するように構成することができる。スペクトル撮像システムは、構成材料の特定の組み合わせに基づいて、可視化されている組織の組織種類を特徴付けるように構成することができる。
【0078】
図10は、様々な生体材料の吸収係数がEMR波長スペクトルにわたり、どのように変動するかを描写するグラフ300を示す。グラフ300では、垂直軸302は、生体材料の吸収係数をcm-1単位で表し、水平軸304は、EMR波長をμm単位で表す。このグラフ300における第1の線306は、様々なEMR波長における水の吸収係数を表し、第2の線308は、様々なEMR波長におけるタンパク質の吸収係数を表し、第3の線310は、様々なEMR波長におけるメラニンの吸収係数を表し、第4の線312は、様々なEMR波長における脱酸素化ヘモグロビンの吸収係数を表し、第5の線314は、様々なEMR波長における酸素化ヘモグロビンの吸収係数を表し、第6の線316は、様々なEMR波長におけるコラーゲンの吸収係数を表す。組織種類が異なると、構成材料の組み合わせも異なるので、手術可視化システムによって可視化されている組織種類は、検出された構成材料の特定の組み合わせに従って、特定し、差別化することが可能である。したがって、手術可視化システムのスペクトル撮像システムは、いくつかの異なる波長でEMRを放射し、異なる波長で検出された吸収EMR吸収応答に基づいて、組織の構成材料を判定し、その後、構成材料の特定の検出された組み合わせに基づいて、組織種類を特徴付けるように構成することができる。
【0079】
図11は、異なる組織種類、及び/又は解剖学的構造を可視化するためのスペクトル撮像技術の利用の一実施形態を示す。図11では、スペクトルエミッタ320(例えば、図4のスペクトル光源150)は、手術部位322を可視化するために撮像システムによって利用されている。スペクトルエミッタ320によって放射され、手術部位322の組織及び/又は構造から反射されたEMRは、画像センサ(例えば、図4の画像センサ135)によって受信されて、組織及び/又は構造を可視化し、これらは、可視であるか(例えば、手術部位322の表面に位置している)、又は覆い隠されている(例えば、手術部位322において他の組織及び/又は構造の下にある)かのいずれかとすることができる。この実施形態では、撮像システム(例えば、図4の撮像システム142)は、異なる組織/構造種類の各々に対して、構成材料の異なる吸収性特性(例えば、吸収係数)によって特徴付けられるスペクトルシグネチャに基づいて、腫瘍324、動脈326、及び様々な異常328(例えば、既知又は予想されるスペクトルシグネチャに対して確認できない組織)を可視化する。可視化された組織及び構造は、撮像システムに関連付けられた又は結合されたディスプレイスクリーン(例えば、図4の撮像システム142のディスプレイ146)上、主ディスプレイ(例えば、図19の主ディスプレイ819)上、非滅菌ディスプレイ(例えば、図19の非滅菌ディスプレイ807、809)上、手術ハブのディスプレイ(例えば、図19の手術ハブ806のディスプレイ)上、デバイス/器具ディスプレイ上、及び/又は別のディスプレイ上に表示することができる。
【0080】
撮像システムは、特定された組織及び/又は構造種類に従って、表示された手術部位の可視化を調整、又は更新するように構成することができる。例えば、図11に示されるように、撮像システムは、撮像システムに関連付けられた又は結合されたディスプレイスクリーン上、主ディスプレイ上、非滅菌ディスプレイ上、手術ハブのディスプレイ上、デバイス/器具ディスプレイ上、及び/又は別のディスプレイ上に可視化されている腫瘍324に関連付けられたマージン330を表示することができる。マージン330は、腫瘍324を確実に完全に除去するように切除されるべき組織の面積又は量を示すことができる。手術可視化システムの制御システム(例えば、図4の制御システム133)は、撮像システムによって特定された組織及び/又は構造に基づいて、マージン330の寸法を制御又は更新するように構成することができる。例解された実施形態では、撮像システムは、視野(field of view、FOV)内の複数の異常328を特定している。したがって、制御システムは、この異常328を包含するのに十分な寸法を有する第1の更新されたマージン332に、表示されたマージン330を調節することができる。更に、撮像システムは、最初に表示されたマージン330(動脈326の強調表示された領域334によって示されるように)と部分的に重なっている動脈326を特定している。したがって、制御システムは、この動脈326の関連部分を包含するのに十分な寸法を有する第2の更新されたマージン336に、表示されたマージンを調節することができる。
【0081】
組織及び/又は構造はまた、図10及び図11に関して上述した吸収性状に加えて、又はそれに代えて、EMR波長スペクトルにわたるこれらの反射性状に従って、撮像するか又は特徴付けることができる。例えば、図12図13、及び図14は、様々なEMR波長にわたる異なる種類の組織又は構造の反射率の様々なグラフを例解する。図12は、覆い隠すものに対する例示の尿管シグネチャのグラフ表示340である。図13は、覆い隠すものに対する例示の動脈シグネチャのグラフ表示342である。図14は、覆い隠すものに対する例示の神経シグネチャのグラフ表示344である。図12図13、及び図14のプロットは、対応する波長における脂肪、肺組織、及び血液の対応する反射率に対する、特定の構造(尿管、動脈、及び神経)の波長(nm)の関数としての反射率を表している。これらのグラフは例示目的に過ぎず、他の組織及び/又は構造では、組織、及び/又は構造を特定及び可視化を可能にする対応する検出可能な反射率シグネチャを含み得ることを理解されたい。
【0082】
スペクトル撮像のための選択波長は、手術部位において予測される重要構造及び/又は覆い隠すものに基づいて特定し、利用することができる(例えば、「選択的スペクトル」撮像)。選択的スペクトル撮像を利用することにより、スペクトル画像を取得するために必要な時間量は、情報をリアルタイムで取得し、術中に利用することができるように、最小化することができる。波長は、医師によって、又はユーザ、例えば、医師による入力に基づいて、制御回路によって選択することができる。特定の例では、波長を、例えば、クラウド又は手術ハブを介して制御回路にアクセス可能な機械学習及び/又はビッグデータに基づいて選択することができる。
【0083】
図15は、波形エミッタと組織によって覆い隠された重要構造との間の距離を測定するために、術中に利用されている組織へのスペクトル撮像の一実施形態を例解する。図15は、波形424、425を利用する飛行時間型センサシステム404の一実施形態を示す。飛行時間型センサシステム404は、例えば、図1の手術可視化システム100のセンサシステム104として、手術可視化システムに組み込むことができる。飛行時間型センサシステム404は、同じ手術デバイス102上に波形エミッタ406及び波形受信器408を含む(例えば、図1の同じ手術デバイス402上のエミッタ106及び受信器108)。放射された波400は、エミッタ406から重要構造401(例えば、図1の重要構造101)まで延在し、受信される波425は、反射されて重要構造401から受信器408に戻される。この例解された実施形態では、手術デバイス402は、患者の腔407内へと延在するトロカール410を通って位置付けられる。この例解された実施形態では、トロカール410が使用されているが、他のトロカール又は他のアクセスデバイスを使用することができるか、又はアクセスデバイスを使用しなくてもよい。
【0084】
波形424、425は、波長のNIR又はSWIRスペクトル内の波長を有することなどによって、覆い隠している組織403を貫通するように構成されている。スペクトル信号(例えば、ハイパースペクトル、マルチスペクトル、若しくは選択的スペクトル)又は光音響信号は、遠位を指す第1の矢印407によって示されるように、エミッタ406から放射され、重要構造401が隠されている組織403を貫通することができる。放射された波形424は、近位を指す第2の矢印409によって示されるように、重要構造401によって反射される。受信された波形425は、手術デバイス402の遠位端と重要構造401との間の距離dに起因して、遅延する可能性がある。波形424、425は、本明細書に説明されるように、重要構造401のスペクトルシグネチャに基づいて、組織403内の重要構造401を標的とするように選択することができる。エミッタ406は、例えば、図16に示されるように、オンとオフを表す二値信号を提供するように構成されており、受信器408によって測定することができる。
【0085】
放射された波424と受領された波425との間の遅延に基づいて、飛行時間型センサシステム404は、距離dを判定するように構成されている。図15のエミッタ406及び受信器408の飛行時間タイミング図430が、図16に示されている。遅延は、距離dの距離の関数であり、距離dは、次のように与えられる:
【0086】
【数1】
によって求められ、c=光速度であり、t=パルスの長さであり、q1=光が放射されている間に蓄積された電荷であり、q2=光が放射されていない間に蓄積された電荷である。
【0087】
波形424、425の飛行時間は、図15の距離dに対応する。様々な例では、追加のエミッタ/受信器及び/又はエミッタ406からのパルス信号は、非透過信号を放射するように構成することができる。非透過信号は、エミッタ406から覆い隠している組織403の表面405までの距離を判定するように構成することができる。様々な例では、重要構造401の深さは、
=d-d
によって判定することができ、
=重要構造401の深さであり、d=エミッタ406から重要構造401までの距離(図15のd)であり、d=エミッタ406(手術デバイス402の遠位端上)から覆い隠している組織403の表面405までの距離である。
【0088】
図17は、波524a、524b、524c、525a、525b、525cを利用する飛行時間型センサシステム504の別の実施形態を例解する。飛行時間型センサシステム504は、例えば、図1の手術可視化システム100のセンサシステム104として、手術可視化システムに組み込むことができる。飛行時間型センサシステム504は、波形エミッタ506及び波形受信器508(例えば、図1のエミッタ106及び受信器108)を含む。波形エミッタ506は、第1の手術デバイス502a(例えば、図1の手術デバイス102)上に位置付けられ、波形受信器508は、第2の手術デバイス502b上に位置付けられる。手術デバイス502a、502bは、それぞれ、患者の腔507内に延在する第1のトロカール510a及び第2のトロカール510bを通って位置付けられる。トロカール510a、510bは、この例解された実施形態において使用されるが、他のトロカール又は他のアクセスデバイスを使用することができるか、又はアクセスデバイスを使用してなくてもよい。放射された波524a、524b、524cは、エミッタ506から手術部位に向かって延在し、受信された波525a、525b、525cは、手術部位における様々な構造、及び/又は表面から受信器508から反射される。
【0089】
異なる放射された波524a、524b、524cは、手術部位において異なる種類の材料を標的とするように構成されている。例えば、波524aは、覆い隠している組織503を標的とし、波524bは、この図示された実施形態では血管である第1の重要構造501a(例えば、図1の重要構造101)を標的とし、波524cは、この図示された実施形態ではがん性腫瘍である第2の重要構造501b(例えば、図1の重要構造101)を標的とする。波524a、524b、524cの波長は、可視光、NIR、又はSWIRスペクトルの波長とすることができる。例えば、可視光は、組織503の表面505に反射することができ、NIR波形及び/又はSWIR波形は、組織503の表面505を透過することができる。様々な態様では、本明細書に記載されるように、スペクトル信号(例えば、ハイパースペクトル、マルチスペクトル、若しくは選択的スペクトル)又は光音響信号をエミッタ506から放射することができる。波524b、524cは、本明細書に更に説明されるように、重要構造501a、501bのスペクトルシグネチャに基づいて、組織503内の重要構造501a、501bを標的とするように選択することができる。光音響撮像は、様々な米国特許出願に更に説明されており、これらは、本開示において参照により本開示に組み込まれる。
【0090】
放射された波524a、524b、524cは、標的とされる材料、すなわち、それぞれ表面505、第1の重要構造501a、及び第2の構造501bから反射される。受信された波形525a、525b、525cは、距離d1a、d2a、d3a、d1b、d2b、d2cに起因して遅延する可能性がある。
【0091】
エミッタ506及び受信器508を個別に位置決め可能である(例えば、別個の手術デバイス502a、502b上で、及び/又は別個のロボットアームによって制御される)飛行時間型センサシステム504において、様々な距離d1a、d2a、d3a、d1b、d2b、d2cは、エミッタ506及び受信器508の既知の位置から算出することができる。例えば、手術デバイス502a、502bがロボット制御されるときに、位置は既知とすることができる。エミッタ506及び受信器508の位置、並びに特定組織を標的とする光子ストリームの時間、及び受信器508によって受信されたその特定の応答の情報に関する知識により、距離d1a、d2a、d3a、d1b、d2b、d2cの判定を可能にすることができる。一態様では、覆い隠された重要構造501a、501bまでの距離は、透過波長を使用して三角測量することができる。光速度は可視光又は不可視光の任意の波長に対して一定であるため、飛行時間型センサシステム504は、様々な距離を判定することができる。
【0092】
ディスプレイ上などで医師に提供されたビューでは、結果として生じる画像内の標的構造の質量中心が一定のままとなるように、例えば、選択標的構造503、501a、又は501bの軸に垂直な平面内で、受信器508を回転させることができる。そのような向きは、標的構造に対して、1つ又は2つ以上の関連する距離及び/又は視点を迅速に通信することができる。例えば、図17に示されるように、重要構造501aがビュー平面に垂直である(例えば、血管がページの内外に向いている)視点から、手術部位が表示される。そのような向きは、デフォルトセッティングとすることができる。しかしながら、ビューは、医師によって回転されるか、又は別様に調節され得る。特定の例では、医師は、撮像システムによって提供される手術部位の視点を画定する、異なる表面及び/又は標的構造を切り替えることができる。
【0093】
この例解された実施形態におけるように、受信器508は、トロカール510b(又は他のアクセスデバイス)上に装着することができ、それを通して手術デバイス502bが位置付けられる。他の実施形態では、受信器508は、三次元位置が既知である別個のロボットアームに装着することができる。様々な例では、受信器508は、手術デバイス502aを制御するロボット手術システムとは別個の可動アーム上に装着することができるか、又はロボット座標平面に術中に位置合わせ可能な手術室(OR)台若しくは固定具に装着することができる。そのような例では、エミッタ506及び受信器508の位置は、飛行時間型センサシステム504の出力から距離を三角測量することができるように、同じ座標平面に記録することができる。
【0094】
飛行時間型センサシステムとナノ秒の分解能を用いたNIR光の時間分解プロファイルを測定することが可能である、TOF-NIRSと呼ばれる近赤外分光法(near-infrared spectroscopy、NIRS)との組み合わせは、Time-Of-Flight Near-Infrared Spectroscopy For Nondestructive Measurement Of Internal Quality In Grapefruit,Journal of the American Society for Horticultural Science,May 2013 vol.138 no.3 225-228に見出すことができ、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0095】
可視化システム並びにその態様及び使用の実施形態は、2018年9月11日に出願された「Surgical Visualization Platform」と題する米国特許出願公開第2020/0015923号、2018年9月11日に出願された「Controlling An Emitter Assembly Pulse Sequence」と題する米国特許出願公開第2020/0015900号、2018年9月11日に出願された「Singular EMR Source Emitter Assembly」と題する米国特許出願公開第2020/0015668号、2018年9月11日に出願された「Combination Emitter And Camera Assembly」と題する米国特許出願公開第2020/0015925号、2018年9月11日に出願された「Surgical Visualization With Proximity Tracking Features」と題する米国特許出願公開第2020/00015899号、2018年9月11日に出願された「Surgical Visualization Of Multiple Targets」と題する米国特許出願公開第2020/00015903号、2018年9月11日に出願された「Visualization Of Surgical Devices」と題する米国特許第10,792,034号、2018年9月11日に出願された「Operative Communication Of Light」と題する米国特許出願公開第2020/0015897号、2018年9月11日に出願された「Robotic Light Projection Tools」と題する米国特許出願公開第2020/0015924号、2018年9月11日に出願された「Surgical Visualization Feedback System」と題する米国特許出願公開第2020/0015898号、2018年9月11日に出願された「Surgical Visualization And Monitoring」と題する米国特許出願公開第2020/0015906号、2018年9月11日に出願された「Integration Of Imaging Data」と題する米国特許出願公開第2020/0015907号、2018年9月11日に出願された「Robotically-Assisted Surgical Suturing Systems」と題する米国特許第10,925,598号、2018年9月11日に出願された「Safety Logic For Surgical Suturing Systems」と題する米国特許出願公開第2020/0015901号、2018年9月11日に出願された「Robotic Systems With Separate Photoacoustic Receivers」と題する米国特許出願公開第2020/0015914号、2018年9月11日に出願された「Force Sensor Through Structured Light Deflection」と題する米国特許出願公開第2020/0015902号、2018年12月4日に出願された「Method Of Hub Communication」と題する米国特許出願公開第2019/0201136号、2019年12月30日に出願された「Analyzing Surgical Trends By A Surgical System」と題する米国特許出願第16/729,772号、2019年12月30日に出願された「Dynamic Surgical Visualization Systems」と題する米国特許出願第16/729,747号、2019年12月30日に出願された「Visualization Systems Using Structured Light」と題する米国特許出願第16/729,744号、2019年12月30日に出願された「System And Method For Determining,Adjusting,And Managing Resection Margin About A Subject Tissue」と題する米国特許出願第16/729,778号、2019年12月30日に出願された「Surgical Systems For Proposing And Corroborating Organ Portion Removals」と題する米国特許出願第16/729,729号、2019年12月30日に出願された「Surgical System For Overlaying Surgical Instrument Data Onto A Virtual Three Dimensional Construct Of An Organ」と題する米国特許出願第16/729,778号、2019年12月30日に出願された「Surgical Systems For Generating Three Dimensional Constructs Of Anatomical Organs And Coupling Identified Anatomical Structures Thereto」と題する米国特許出願第16/729,751号、2019年12月30日に出願された「Surgical Systems Correlating Visualization Data And Powered Surgical Instrument Data」と題する米国特許出願第16/729,740号、2019年12月30日に出願された「Adaptive Surgical System Control According To Surgical Smoke Cloud Characteristics」と題する米国特許出願第16/729,737号、2019年12月30日に出願された「Adaptive Surgical System Control According To Surgical Smoke Particulate Characteristics」と題する米国特許出願第16/729,796号、2019年12月30日に出願された「Adaptive Visualization By A Surgical System」と題する米国特許出願第16/729,803号、2019年12月30日に出願された「Method Of Using Imaging Devices In Surgery」と題する米国特許出願第16/729,807号、2021年9月29日に出願された「Surgical Devices,Systems,and Methods Using Fiducial Identification and Tracking」と題する米国仮特許出願第63/249,652号、2021年9月29日に出願された「Surgical Devices,Systems,and Methods for Control of One Visualization with Another」と題する米国仮特許出願第63/249,658号、2021年9月29日に出願された「Methods and Systems for Controlling Cooperative Surgical Instruments」と題する米国仮特許出願第63/249,870号、2021年9月29日に出願された「Methods and Systems for Controlling Cooperative Surgical Instruments with Variable Surgical Site Access Trajectories」と題する米国仮特許出願第63/249,881号、2021年9月29日に出願された「Methods and Systems for Controlling Cooperative Surgical Instruments」と題する米国仮特許出願第63/249,877号、2021年9月29日に出願された「Cooperative Access」と題する米国仮特許出願第63/249,980号であり、これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0096】
手術ハブ
本明細書に説明される様々な可視化又は撮像システムは、手術ハブを含むシステムに組み込むことができる。概して、手術ハブは、複数の医療施設にまたがることができ、統合され包括的な改善された医療を膨大な数の患者に提供するように構成された包括的なデジタル医療システムの構成要素とすることができる。包括的なデジタル医療システムは、多くの異なる医療施設にわたって位置する複数の手術ハブに相互接続するように構成されているクラウドベースの医療分析システムを含む。手術ハブは、患者に対して医療処置を行うために使用される1つ又は2つ以上の手術器具及び/又は医療処置を行っている間に使用される1つ又は2つ以上の可視化システムなどの1つ又は2つ以上の要素と相互接続するように構成されている。手術ハブは、医療処置の転帰を改善するための多様な機能性を提供する。様々な手術デバイス、可視化システム、及び手術ハブによって生成された、患者及び医療処置に関するデータは、クラウドベースの医療分析システムに送信され得る。次いで、このデータは、他の医療施設に位置する多くの他の手術ハブ、可視化システム、及び手術器具から収集された同様のデータと集約され得る。収集されたデータを分析するクラウドベースの分析システムを通じて、様々なパターン及び相関が見出され得る。結果として、データを生成するために使用される技術の改善をもたらし得、次いで、これらの改善は、様々な手術ハブ、可視化システム及び手術器具に広め得る。上述した構成要素の全ての相互接続性により、多くの構成要素がそのように相互接続されていない場合には見出されない可能性がある医療処置及び医療実践における改善が見出される可能性がある。
【0097】
データを受信し、分析し、かつ出力するように構成された手術ハブ、及びそのような手術ハブを使用する方法の実施例は、2018年12月4日に出願された「Method Of Hub Communication,Processing,Storage And Display」と題する米国特許出願公開第2019/0200844号、2018年12月4日に出願された「Method Of Compressing Tissue Within A Stapling Device And Simultaneously Displaying The Location Of The Tissue Within The Jaws」と題する米国特許出願公開第2019/0200981号、2018年12月4日に出願された「Method For Controlling Smart Energy Devices」と題する米国特許出願公開第2019/0201046号、2018年3月29日に出願された「Adaptive Control Program Updates For Surgical Hubs」と題する米国特許出願公開第2019/0201114号、特許Pub.2018年3月29日に出願された「Surgical Hub Situational Awareness」と題する米国特許出願公開第2019/0201140号、2018年3月29日に出願された「Interactive Surgical Systems With Condition Handling Of Devices And Data Capabilities」と題する米国特許出願公開第2019/0206004号、2018年3月29日に出願された「Cloud-based Medical Analytics For Customization And Recommendations To A User」と題する米国特許出願公開第2019/0206555号、及び2018年11月6日に出願された「Surgical Network Determination Of Prioritization Of Communication,Interaction,Or Processing Based On System Or Device Needs」と題する米国特許出願公開2019/0207857号に更に説明されており、これらは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0098】
図18は、1つ又は複数の手術システム702及びクラウドベースのシステム(例えば、記憶デバイス705に結合されたリモートサーバ713を含むことができるクラウド704)を含むコンピュータで実施される双方向手術システム700の一実施形態を示す。各手術システム702は、クラウド704と通信する少なくとも1つの手術ハブ706を含む。一実施例では、図18に例解されたように、手術システム702は、可視化システム708と、ロボットシステム710と、インテリジェント(又は「スマート」)手術器具712とを含み、これらは、互いに、及び/又はハブ706と通信するように構成されている。インテリジェント手術器具712は、撮像デバイスを含むことができる。手術システム702は、M個のハブ706と、N個の可視化システム708と、O個のロボットシステム710と、P個のインテリジェント手術器具712と、を含むことができ、M、N、O、及びPは、互いのいずれか1つ又は2つ以上に等しくても等しくなくてもよい1以上の整数である。様々な例示的なインテリジェント手術器具及びロボットシステムが本明細書に説明されている。
【0099】
手術可視化システムから手術ハブによって受信されるデータは、様々な方法のうちのいずれかで使用することができる。例示的な実施形態では、手術ハブは、手術セッティングにおいて患者とともに使用される際、例えば、手術処置を行っている間に手術室で使用される際に、手術可視化システムからデータを受信することができる。手術ハブは、本明細書に論じられるように、1つ又は2つ以上の方法のいずれかで受信されたデータを使用することができる。
【0100】
手術ハブは、手術可視化システムの使用に伴って、受信されたデータをリアルタイムで分析し、受信されたデータの分析に基づいて、患者とともに使用される手術可視化システム及び/又は1つ又は2つ以上のインテリジェント手術器具のうちの1つ又は2つ以上を調節制御するように構成することができる。このような調節は、例えば、インテリジェント手術器具の1つ又は2つ以上の動作制御パラメータを調節すること、1つ又は2つ以上のインテリジェント手術器具の1つ又は2つ以上のセンサに測定を行わせて、患者の現在の生理学的状態、及び/又はインテリジェント手術器具の現在の動作状態の理解を得ることを助けること、並びに他の調節を含むことができる。インテリジェント手術器具の動作を制御及び調節することは、以下で更に論じられる。インテリジェント手術器具の動作制御パラメータの実施例は、モータ速度、切断要素速度、時間、持続時間、エネルギー印加のレベル、及び光放射を含む。手術ハブの実施例、並びにインテリジェント手術器具の動作を制御及び調節する実施例は、前述の2019年12月30日に出願された「Analyzing Surgical Trends By A Surgical System」と題する米国特許出願第16/729,772号、2019年12月30日に出願された「Dynamic Surgical Visualization Systems」と題する米国特許出願第16/729,747号、2019年12月30日に出願された「Visualization Systems Using Structured Light」と題する米国特許出願第16/729,744号、2019年12月30日に出願された「System And Method For Determining,Adjusting,And Managing Resection Margin About A Subject Tissue」と題する米国特許出願第16/729,778号、2019年12月30日に出願された「Surgical Systems For Proposing And Corroborating Organ Portion Removals」と題する米国特許出願第16/729,729号、2019年12月30日に出願された「Surgical System For Overlaying Surgical Instrument Data Onto A Virtual Three Dimensional Construct Of An Organ」と題する米国特許出願第16/729,778号、2019年12月30日に出願された「Surgical Systems For Generating Three Dimensional Constructs Of Anatomical Organs And Coupling Identified Anatomical Structures Thereto」と題する米国特許出願第16/729,751号、2019年12月30日に出願された「Surgical Systems Correlating Visualization Data And Powered Surgical Instrument Data」と題する米国特許出願第16/729,740号、2019年12月30日に出願された「Adaptive Surgical System Control According To Surgical Smoke Cloud Characteristics」と題する米国特許出願第16/729,737号、2019年12月30日に出願された「Adaptive Surgical System Control According To Surgical Smoke Particulate Characteristics」と題する米国特許出願第16/729,796号、2019年12月30日に出願された「Adaptive Visualization By A Surgical System」と題する米国特許出願第16/729,803号、及び2019年12月30日に出願された「Method Of Using Imaging Devices In Surgery」と題する米国特許出願第16/729,807号に説明される。2020年10月13日に出願された「Adaptive Responses From Smart Packaging Of Drug Delivery Absorbable Adjuncts」と題する米国特許出願第17/068,857号、2020年10月13日に出願された「Drug Administration Devices That Communicate With Surgical Hubs」と題する米国特許出願第17/068,858号、2020年10月13日に出願された「Controlling Operation Of Drug Administration Devices Using Surgical Hubs」と題する米国特許出願第17/068,859号、2020年10月13日に出願された「Patient Monitoring Using Drug Administration Devices」と題する米国特許出願第17/068,863号、2020年10月13日に出願された「Monitoring And Communicating Information Using Drug Administration Devices」と題する米国特許出願第17/068,865号、及び2020年10月13日に出願された「Aggregating And Analyzing Drug Administration Data」と題する米国特許出願第17/068,867号に更に説明されており、これらは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0101】
手術ハブは、受信されたデータの可視化がディスプレイ上の手術セッティングにおいて提供されるように構成することができ、そのため、手術セッティングにおける医師が、データを見ることができ、それにより、手術セッティングにおいて使用されている撮像デバイスの動作の理解を受け取ることができる。可視化を介して提供されるこのような情報は、テキスト及び/又は画像を含むことができる。
【0102】
図19は、手術ハブ806(例えば、図18の手術ハブ706又は本明細書に説明される他の手術ハブ)、ロボット手術システム810(例えば、図1のロボット手術システム110又は本明細書における他のロボット手術システム)、及び可視化システム808(例えば、図1の可視化システム100又は本明細書に説明される他の可視化システム)を含む手術システム802の一実施形態を示す。手術ハブ806は、本明細書に論じられるように、クラウドと通信することができる。図19は、手術室816内の手術台814上に横たわっている患者に対して手術処置を行うために使用されている手術システム802を示す。ロボットシステム810は、外科医のコンソール818と、患者側カート820(手術ロボット)と、ロボットシステムの手術ハブ822と、を含む。ロボットシステムの手術ハブ822は、概して、手術ハブ822と同様に構成されており、クラウドと通信することができる。いくつかの実施形態では、ロボットシステムの手術ハブ822及び手術ハブ806は、組み合わせることができる。患者側カート820は、医師、例えば、外科医、看護師、及び/又は他の医師が、外科医コンソール818を通して手術部位を見ている間に、患者の身体の低侵襲切開部を通してインテリジェント手術ツール812を操作することができる。手術部位の画像は、撮像デバイス824(例えば、図1の撮像デバイス120、又は本明細書に説明される他の撮像デバイス)によって取得することができ、これは、撮像デバイス824の向きを変えるために、患者側カート820によって操作することができる。ロボットシステムの手術ハブ822を使用して、手術部位の画像を処理し、その後、外科医のコンソール818を通して、外科医に表示することができる。
【0103】
主ディスプレイ819は、手術室816の滅菌野に位置付けられ、手術台814にいるオペレータに可視であるように構成されている。加えて、この例解された実施形態では、可視化タワー818が、滅菌野の外側に位置付けられ得る。可視化タワー818は、互いに反対側を向いている第1の非滅菌ディスプレイ807、及び第2の非滅菌ディスプレイ809を含む。手術ハブ806によって誘導される可視化システム808は、ディスプレイ807、809、819を利用して、滅菌野の内側及び外側の医師への情報フローを協調するように構成されている。例えば、手術ハブ806は、可視化システム808に、主ディスプレイ819上に手術部位のライブ映像を維持しながら、撮像デバイス824によって取得されるような手術部位のスナップショット及び/又はビデオを非滅菌ディスプレイ807、809の一方又は両方上に表示させることができる。非滅菌ディスプレイ807及び/又は809上のスナップショット及び/又はビデオは、例えば、非滅菌医師が、手術処置に関連する診断工程を行うことを可能にすることができる。
【0104】
手術ハブ806は、可視化タワー818における非滅菌医師によって入力された診断入力又はフィードバックを滅菌野内の主ディスプレイ819に送り、これを手術台814における滅菌医師が見ることができるように構成されている。例えば、入力は、手術ハブ806によって主ディスプレイ819に送ることができる、非滅菌ディスプレイ807又は809上に表示されるスナップショット及び/又はビデオへの修正の形態とすることができる。
【0105】
手術ハブ806は、本開示において参照により本明細書に組み込まれる様々な米国特許出願に説明されているように、インテリジェント手術器具812のディスプレイに情報フローを適合させるように構成されている。可視化タワー818における非滅菌オペレータによって入力される診断入力又はフィードバックは、手術ハブ806によって滅菌野内のディスプレイ819に送ることができ、これを手術器具812のオペレータ及び/又は滅菌野内の医師が見ることができる。
【0106】
インテリジェント手術器具812及びインテリジェント手術ツールでもある撮像デバイス824は、手術システム802の一部として手術処置において患者とともに使用されている。例えば、患者側カート820に着脱可能に結合され、かつロボット手術システム810及び手術ハブ806と通信することができる、手術処置で使用することができる他のインテリジェント手術器具812aも、利用可能であるものとして図19に示されている。非インテリジェント(又は「データ処理能力がない」)手術器具817、例えば、ロボット手術システム810及び手術ハブ806と通信することができない鋏、トロカール、カニューレ、メスもまた、使用のために利用可能であるものとして図19に示されている。
【0107】
インテリジェント手術器具の動作
インテリジェント手術デバイスは、インテリジェント手術デバイスの動作を制御するために、インテリジェント手術デバイスの基板上で、例えば、そのプロセッサによって実行可能であるように構成された、インテリジェント手術デバイス上、例えば、そのメモリ内に記憶されたアルゴリズムを有することができる。いくつかの実施形態では、インテリジェント手術デバイス上に記憶される代わりに、又はそれに加えて、アルゴリズムは、インテリジェント手術デバイスと通信するように構成されている、手術ハブ上、例えば、そのメモリ内に記憶することができる。
【0108】
アルゴリズムは、インテリジェント手術デバイスの機能を制御するために、命令、通知、信号などを定義する、及び/又は表す複数のデータポイントの1つ又は2つ以上のセットの形態で記憶される。いくつかの実施形態では、インテリジェント手術デバイスによって収集されたデータは、アルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータを変更するために、例えば、インテリジェント手術デバイスのプロセッサによって、インテリジェント手術デバイスによって使用することができる。上記に論じられるように、手術ハブは、インテリジェント手術デバイスと通信することができ、したがって、インテリジェント手術デバイスによって収集されたデータは、手術ハブに通信することができ、及び/又は手術ハブと通信する別のデバイスによって収集されたデータは、手術ハブに通信することができ、データは、手術ハブからインテリジェント手術デバイスに通信することができる。したがって、インテリジェント手術デバイスが、記憶された可変パラメータを変更するように構成されている代わりに、又はそれに加えて、手術ハブは、変更された少なくとも1つの変数を、単独で、又はアルゴリズムの一部として、インテリジェント手術デバイスに通信するように構成することができ、及び/又は手術ハブは、命令をインテリジェント手術デバイスに通信し、手術ハブによって判定されるような少なくとも1つの変数を変更することができる。
【0109】
少なくとも1つの可変パラメータは、アルゴリズムのデータポイントの間にあり、例えば、インテリジェント手術デバイスを動作させるための命令に含まれ、したがって、各々が、アルゴリズムの記憶された複数のデータポイントのうちの1つ又は複数を変更することによって、変更されることが可能である。少なくとも1つの可変パラメータが変更された後、その後のアルゴリズムの実行は、変更されたアルゴリズムに従う。そのため、患者の実際の状況並びにインテリジェント手術デバイスが使用されている手術処置の実際の条件及び/又は結果を考慮することによって、インテリジェント手術デバイスの有益な結果の使用を増加させるために、インテリジェント手術デバイスの経時的な動作を患者に対して管理することができる。少なくとも1つの可変パラメータを変更することは、患者の転帰を改善するために自動化される。したがって、インテリジェント手術デバイスは、スマートシステムを提供するために患者及び患者の周囲条件に基づいて個別化された医薬を提供するように構成することができる。手術処置を行っている間にインテリジェント手術デバイスが使用されている手術セッティングにおいて、少なくとも1つの可変パラメータの自動変更は、手術処置を行っている間に収集されたデータに基づいて、インテリジェント手術デバイスが制御されることを可能にし得、これは、インテリジェント手術デバイスが効率的かつ正確に使用されることを確実にするのに役立ち得、及び/又は重要な解剖学的構造を傷つけることによって、患者を傷つける可能性を低減するのに役立ち得る。
【0110】
少なくとも1つの可変パラメータは、様々な異なる動作パラメータのうちのいずれかとすることができる。可変パラメータの実施例は、モータ速度、モータトルク、エネルギーレベル、エネルギー印加持続時間、組織圧迫レート、ジョー閉鎖レート、切断要素速度、負荷閾値などを含む。
【0111】
図20は、少なくとも1つの可変パラメータを含むアルゴリズム904が記憶されたメモリ902を含むインテリジェント手術器具900の一実施形態を例解する。アルゴリズム904は、単一のアルゴリズムとすることができるか、又は各アルゴリズムが少なくとも1つの可変パラメータを含む、複数のアルゴリズム、例えば、手術器具の動作の異なる態様のための別個のアルゴリズムを含むことができる。インテリジェント手術器具900は、図1の手術デバイス102、図1の撮像デバイス120、図8の手術デバイス202、図8の撮像デバイス220、図15の手術デバイス402、図17の手術デバイス502a、図17の手術デバイス502b、図18の手術デバイス712、図19の手術デバイス812、図19の撮像デバイス824、又は他のインテリジェント手術器具とすることができる。手術器具900はまた、アルゴリズム904を実行して手術器具900の少なくとも1つの態様の動作を制御するように構成されたプロセッサ906を含む。アルゴリズム904を実行するために、プロセッサ906は、メモリ902に記憶されたプログラムを実行して、メモリ902内のアルゴリズム904の複数のデータポイントにアクセスするように構成されている。
【0112】
手術器具900はまた、手術ハブ910などの別のデバイスと通信するように構成された通信インターフェース908、例えば、無線送受信器、又は他の有線若しくは無線通信インターフェースを含む。通信インターフェース908は、リモートサーバ(例えば、クラウドサーバ又は他のサーバ)及び/若しくはローカルの手術ハブサーバにデータを提供すること、並びに/若しくはリモートサーバ及び/若しくはローカルの手術ハブサーバから命令若しくはコマンドを受信することなどの一方向通信、又は手術器具900及び/若しくはそこに記憶されたデータに関する情報、メッセージ、データなどを提供し、医師からなどの命令を受領するなどの双方向通信を可能にするように構成することができる。ソフトウェアの更新に関するリモートサーバ、ソフトウェアの更新に関するローカルの手術ハブサーバなどから命令を受信することなどの双方向通信を可能にするように構成することができる。
【0113】
手術器具900は、図20では簡略化されており、例えば、バスシステム、ハンドル、細長いシャフトであって、その遠位端にエンドエフェクタを有する、細長いシャフト、電源などの追加の構成要素を含むことができる。プロセッサ906はまた、メモリ902に記憶された命令を実行して、概して、通信インターフェース908、オーディオスピーカ、ユーザインターフェースなどの他のその電気構成要素を含むデバイス900を制御するように構成することができる。
【0114】
プロセッサ906は、アルゴリズム904のその後の実行が、変更された少なくとも1つの可変パラメータに従うように、アルゴリズム904の少なくとも1つの可変パラメータを変更するように構成されている。アルゴリズム904の少なくとも1つの可変パラメータを変更するために、プロセッサ906は、メモリ902内の少なくとも1つの可変パラメータのデータポイントを修正又は更新するように構成されている。プロセッサ906は、手術処置を行っている間に、手術デバイス900の使用に伴って、アルゴリズム904の少なくとも1つの可変パラメータをリアルタイムで変更するように構成することができ、これはリアルタイム条件に対処し得る。
【0115】
プロセッサ906が少なくとも1つの可変パラメータを変更することに加えて又はその代わりに、プロセッサ906は、手術ハブ910から受信された命令に応答して、アルゴリズム904及び/又はアルゴリズム904の少なくとも1つの可変パラメータを変更するように構成することができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ906は、手術ハブ910と通信し、そこから命令を受信した後にのみ、少なくとも1つの可変パラメータを変更するように構成されており、これは、手術器具900が使用されている手術処置の他の態様との手術器具900の協調されたアクションを確実にするのに役立ち得る。
【0116】
例示的な実施形態では、プロセッサ906は、アルゴリズム904を実行して手術器具900の動作を制御し、リアルタイムデータに基づいて、アルゴリズム904の少なくとも1つの可変パラメータを変更し、少なくとも1つの可変パラメータを変更した後に、アルゴリズム904を実行して手術器具900の動作を制御する。
【0117】
図21は、アルゴリズム904の少なくとも1つの可変パラメータの変更を含む、手術器具900を使用する方法912の一実施形態を例解する。プロセッサ906は、メモリ902に記憶されたアルゴリズム904を実行することによって、手術器具900の動作を制御する(914)。このその後に既知となるデータ及び/又はその後に収集されるデータのいずれかに基づいて、プロセッサ904は、上記に論じられたように、アルゴリズム904の少なくとも1つの可変パラメータを変更する(916)。少なくとも1つの可変パラメータを変更した後に、プロセッサ906は、ここで、変更された少なくとも1つの可変パラメータを用いてアルゴリズム904を実行することによって、手術器具900の動作を制御する(918)。プロセッサ904は、手術処置を行っている間に、少なくとも1つの可変パラメータを、例えば、0回、1回、2回、3回などの任意の回数変更916することができる。方法912の任意の部分中に、手術器具900は、通信インターフェース908を使用して、1つ又は複数のコンピュータシステム、例えば、手術ハブ910、クラウドサーバなどのリモートサーバと通信して、そこにデータを提供し、及び/又はそこから命令を受信することができる。
【0118】
状況認識
インテリジェント手術器具の動作は、患者の状況認識に基づいて変えることができる。インテリジェント手術器具の動作は、インテリジェント手術器具のユーザが器具を異なるように取り扱うこと、器具に異なる入力を提供すること、器具の使用を停止することなどによって、手動で変えることができる。追加的又は代替的に、インテリジェント手術器具の動作は、器具のアルゴリズムが、例えば、アルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータを変更することによって変更されることによって、自動的に変更することができる。上述したように、アルゴリズムは、変更を要求するユーザ入力なしに自動的に調節することができる。手術処置を行っている間に調節を自動化することは、時間を節約するのに役立ち得、医師が手術処置の他の態様に集中することを可能にし得、及び/又は医師のために手術器具を使用するプロセスを容易にし得、これらは、各々、重要構造を回避すること、器具が使用されている及び/又は近くで使用されている組織種類を考慮して手術器具を制御することなどによって、患者の転帰を改善し得る。
【0119】
本明細書に説明される可視化システムは、手術ハブ、例えば、手術ハブ706、手術ハブ806、又は本明細書に説明される他の手術ハブによって具現化又は実行され得る状況認識システムの一部として利用することができる。特に、手術器具(これらの位置、向き、アクションを含む)、組織、構造、ユーザ、及び/又は術野又は手術室内に位置する他のものを特徴付けること、特定すること、及び/又は可視化することは、状況認識システムによって利用されて、手術処置の種類又は行われている工程、外科医又は他の医師によって操作されている組織及び/又は構造の種類、及び他の情報を推測することができるコンテキストデータを提供することができる。次いで、このコンテキストデータは、状況認識システムによって利用されて、ユーザにアラートを提供すること、ユーザが引き受けるその後の工程又はアクションを示唆すること、手術デバイスをそれらの使用を予測して準備すること(例えば、電気手術器具が手術処置のその後の工程で利用されることを予測して電気手術発生器を起動することなど)、インテリジェント手術器具の動作を制御すること(例えば、下記に更に論じられるように、アルゴリズムの手術器具の動作パラメータをカスタマイズすること)などをすることができる。
【0120】
例えば変更されたアルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータを有することによって、感知されたデータに応答する制御アルゴリズムを含むインテリジェント手術デバイスは、感知されたデータを考慮せずに動作する「データ処理能力のない(dumb)」デバイスに対する改善とすることができるが、いくつかの感知されたデータは、単独、例えば、行われている手術処置の種類、又は手術されている組織の種類のコンテキストなしで考慮されるときに、不完全又は判定的ではない可能性がある。処置コンテキストを知らないと(例えば、手術されている組織の種類又は行われている処置の種類を知らないと)、アルゴリズムは、特定のコンテキストのない感知されたデータが与えられると、手術デバイスを不正確に又は準最適に制御することがある。例えば、特定の感知されたパラメータに応答して、手術器具を制御するための制御アルゴリズムの最適な様式は、手術されている特定の組織の種類に従って変動する可能性がある。これは、異なる組織の種類が異なる特性(例えば、引き裂きに対する抵抗力、切断のし易さなど)を有し、したがって、手術器具によってとられたアクションに対して異なって応答するという事実に起因するものである。したがって、特定のパラメータについて同じ測定値が感知されたときであっても、手術器具が異なるアクションをとることが望ましいことがある。一実施例として、手術ステープラがそのエンドエフェクタを閉鎖するための予想外に高い力を感知することに応答して、手術ステープラを制御する最適な様式は、組織の種類が引き裂きの影響を受けやすいか、又はこれに耐性があるかに応じて変動する。肺組織など、引き裂きの影響を受けやすい組織の場合、手術器具の制御アルゴリズムは、組織の引き裂きを回避するために、閉鎖するための予想外に高い力に応答して、モータを最適に減速させ、例えば、モータが遅くなるようにモータ速度又はトルクを制御する可変パラメータを変更する。胃組織など、引き裂きに耐性がある組織の場合、器具の制御アルゴリズムは、エンドエフェクタが組織に適切にクランプされることを確実にするために、閉鎖するための予想外に高い力に応答して、モータを最適に加速させ、例えば、モータが速くなるようにモータ速度又はトルクを制御する可変パラメータを変更する。肺又は胃の組織がクランプされたかどうかを知ることなく、アルゴリズムは準最適に変更されるか、又は全く変更されないことがある。
【0121】
手術ハブは、様々なデータソースから受信されたデータに基づいて、行われている手術処置に関する情報を導出し、したがって、それに従ってモジュール式デバイスを制御するように構成することができる。言い換えると、手術ハブは、受信されたデータから手術処置に関する情報を推測し、次いで、手術処置の推測されたコンテキストに基づいて、手術ハブに動作可能に結合されたモジュール式デバイスを制御するように構成することができる。モジュール式デバイスは、可視化システムデバイス(例えば、カメラ、ディスプレイスクリーンなど)、スマート手術器具(例えば、超音波手術器具、電気手術器具、手術ステープラ、煙排出器など)などの状況認識システムによって制御可能な任意の手術デバイスを含むことができる。モジュール式デバイスは、デバイスが使用されている患者に関連付けられたパラメータ、及び/又はモジュール式デバイス自体に関連付けられたパラメータを検出するように構成されたセンサを含むことができる。
【0122】
受信されたデータから導出又は推測されるコンテキスト情報は、例えば、行われている手術処置のタイプ、外科医(又は他の医師)が行っている手術処置の特定の工程、手術されている組織のタイプ、又は手術処置の対象である体腔を含むことができる。手術ハブの状況認識システムは、様々な異なる方式でデータソースから受信されたデータから、コンテキスト情報を導出するように構成することができる。例示的な実施形態では、手術ハブの状況認識システムによって受信されたコンテキスト情報は、1つ又は2つ以上のモジュール式デバイスの特定の制御調節、又は制御調節のセットに関連付けられる。制御調節は、各々、可変パラメータに対応する。一実施例では、状況認識システムは、様々な入力(例えば、データベース、患者モニタリングデバイス、及び/又はモジュール式デバイスからのデータ)を、手術処置に関する対応するコンテキスト情報と相関させるために、訓練データで訓練されたパターン認識システム、又は機械学習システム(例えば、人工ニューラルネットワーク)を含む。言い換えると、機械学習システムは、提供された入力から手術処置に関するコンテキスト情報を正確に導出するように訓練することができる。別の実施例では、状況認識システムは、手術処置に関する事前に特徴付けられたコンテキスト情報を、そのコンテキスト情報に対応する1つ又は複数の入力(又は、入力の範囲)と関連付けて記憶する、ルックアップテーブルを含むことができる。1つ又は2つ以上の入力による問い合わせに応答して、ルックアップテーブルは、少なくとも1つのモジュール式デバイスを制御するために状況認識システムの対応するコンテキスト情報を返すことができる。別の実施例では、状況認識システムは、コンテキスト情報が入力として提供されるときに、1つ又は2つ以上のモジュール式デバイスの1つ又は2つ以上の制御調節を生成又は読み出す、更なる機械学習システム、ルックアップテーブル、又は他のそのようなシステムを含む。
【0123】
状況認識システムを含む手術ハブは、手術システムに多くの利点を提供し得る。1つの利点は、感知及び収集されたデータの解釈を改善することを含み、これは、手術処置の過程中の処理精度、及び/又はデータの使用を改善させる。別の利点は、手術ハブのための状況認識システムが、各手術処置の特定のコンテキストのための手術器具(及び、他のモジュール式デバイス)を調節し(例えば、異なる組織種類に調節する)、手術処置中のアクションを検証することによって、手術処置の転帰を改善し得ることである。更に別の利点は、状況認識システムが、処置の特定のコンテキストに従って、次の工程を自動的に示唆し、データを提供し、手術現場内のディスプレイ及び他のモジュール式デバイスを調節することによって、手術処置を実行する際の医師の効率を改善し得ることである。別の利点は、処置のその後の工程が器具の使用を必要とすると判定する場合、RF電気手術器具が接続されている発生器を状況認識手術ハブが積極的に起動することなどによって、行われている手術処置の特定の工程に従ってモジュール式デバイスを積極的かつ自動的に制御して、医師が手術処置の過程中に手術システムと相互作用するか又はこれを制御する必要がある回数を低減することである。エネルギー源を積極的に起動することにより、処置の先行する工程が完了すると直ぐに器具を使用準備完了にすることができる。
【0124】
例えば、状況認識手術ハブは、どの種類の組織が手術されているかを判定するように構成することができる。したがって、手術器具のエンドエフェクタを閉鎖するための予期外の強い力が検出されるときに、状況認識手術ハブは、例えば、モータ速度又はトルクに関する手術器具のためのアルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータを変更するか、又は変更を引き起こすことによって、その種類の組織のために手術器具のモータを正確に加速又は減速するように構成することができる。
【0125】
別の実施例では、手術されている組織の種類は、特定の組織間隙測定のための手術ステープラの圧縮速度と負荷閾値になされる調節に影響を及ぼす可能性がある。状況認識手術ハブは、行われている手術処置が胸部処置であるのか、又は腹部処置であるのかを推測するように構成することができ、手術ハブが、手術ステープラのエンドエフェクタによってクランプされている組織が(胸部処置での)肺組織であるのか、又は(腹部処置での)胃組織であるのかを判定することが可能である。次いで、手術ハブは、例えば、圧縮率及び負荷閾値に関する手術ステープラのためのアルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータを変更するか、又は変更を引き起こすことによって、その種類の組織に適切な手術ステープラの圧縮率及び負荷閾値の調節を引き起こすように構成することができる。
【0126】
更に別の実施例として、送気処置中に手術されている体腔の種類は、煙排出器の機能に影響を及ぼす可能性がある。状況認識手術ハブは、手術部位が(手術処置が送気を利用していると判定することによって)圧力下にあるかどうかを判定し、処置の種類を判定するように構成することができる。ある処置の種類は概して特定の体腔内で行われるので、手術ハブは、例えば、モータ速度に関する煙排出器のためのアルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータを変更するか、又は変更を引き起こすことによって、手術されている体腔に適切に煙排出器のモータ速度を制御するように構成することができる。したがって、状況認識手術ハブは、胸部処置及び腹部処置の両方のために一貫した量の煙排出を提供し得る。
【0127】
更に別の実施例として、行われている処置の種類は、超音波手術器具、又は高周波(RF)電気手術器具が動作するのに最適なエネルギーレベルに影響を及ぼす可能性がある。例えば、関節鏡処置では、超音波手術器具、又はRF電気手術器具のエンドエフェクタが流体中に浸漬されるので、より高いエネルギーレベルを必要とする。状況認識手術ハブは、手術処置が関節鏡処置であるかどうかを判定するように構成することができる。手術ハブは、例えば、エネルギーレベルに関する器具及び/又は発生器のためのアルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータを変更するか、又は変更を引き起こすことによって、発生器のRF電力レベル又は超音波振幅を調節して(例えば、エネルギーレベルを調節して)、流体充填環境を補償するように構成することができる。関連して、手術されている組織の種類は、超音波手術器具又はRF電気手術器具が動作するのに最適なエネルギーレベルに影響を及ぼす可能性がある。状況認識手術ハブは、どの種類の手術処置が行われているかを判定し、次いで、手術処置のための予想される組織プロファイルに従って、例えば、エネルギーレベルに関する器具及び/又は発生器のためのアルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータを変更するか、又は変更を引き起こすことによって、超音波手術器具又はRF電気手術器具のためのエネルギーレベルをそれぞれカスタマイズするように構成することができる。更に、状況認識手術ハブは、単に手術ごとにではなく、手術処置の過程にわたって、超音波手術器具又はRF電気手術器具のエネルギーレベルを調節するように構成することができる。状況認識手術ハブは、手術処置のどの工程が行われているか、又は引き続き行われるかを判定し、次いで、発電機、及び/又は超音波手術器具若しくはRF電気手術器具の制御アルゴリズムを更新して、手術処置の工程に従って予想される組織の種類に適切な値までエネルギーレベルを設定するように構成することができる。
【0128】
別の実施例として、状況認識手術ハブは、外科医及び/又は医師が見る必要があると予想される手術部位の特徴に従って、手術処置の現工程、又はその後の工程が、ディスプレイ上の異なるビューや倍率を必要とするかどうかを判定するように構成することができる。手術ハブは、(例えば、可視化システムのための撮像デバイスによって供給される)表示されたビューを、適宜、積極的に変更し、それにより、ディスプレイが手術処置にわたって自動的に調節されるように構成することができる。
【0129】
更に別の実施例として、状況認識手術ハブは、手術処置のどの工程が行われているか、又はその後に行われるか、及び特定のデータ又はデータ同士の比較が手術処置のその工程に必要であるかどうかを判定するように構成することができる。手術ハブは、外科医又は医師が特定の情報を尋ねるのを待機することなく、行われている手術処置の工程に基づいて、データスクリーンを自動的に呼び出すように構成することができる。
【0130】
別の実施例として、状況認識手術ハブは、外科医及び/又は他の医師が、例えば、術前手術計画において提供されるような手術処置の過程中に、誤りを犯しているか、又は予想される一連のアクションから別様に逸脱しているかどうかを判定するように構成することができる。例えば、手術ハブは、行われている手術処置の種類を判定し、機器使用の工程又は順序の対応リストを(例えば、メモリから)読み出し、次いで、手術処置の過程中に行われている工程又は使用されている機器を、手術ハブが行われていることを判定した手術処置の種類について予想される工程又は機器と比較するように構成することができる。手術ハブは、手術処置における特定の工程で予想外のアクションが行われているか、又は予想外のデバイスが利用されていることを示す(視覚的、聴覚的、及び/又は触覚的)アラートを提供するように構成することができる。
【0131】
特定の例では、本明細書に説明される様々なロボット手術システムのいずれかなどのロボット手術システムの動作は、その状況認識及び/又はその構成要素からのフィードバックに基づいて、及び/又はクラウド(例えば、図18のクラウド713)からの情報に基づいて、手術ハブによって制御することができる。
【0132】
状況認識システムの実施形態及び手術処置を行っている間に状況認識システムを使用する実施形態は、前述の2019年12月30日に出願された「Analyzing Surgical Trends By A Surgical System」と題する米国特許出願第16/729,772号、2019年12月30日に出願された「Dynamic Surgical Visualization Systems」と題する米国特許出願第16/729,747号、2019年12月30日に出願された「Visualization Systems Using Structured Light」と題する米国特許出願第16/729,744号、2019年12月30日に出願された「System And Method For Determining,Adjusting,And Managing Resection Margin About A Subject Tissue」と題する米国特許出願第16/729,778号、2019年12月30日に出願された「Surgical Systems For Proposing And Corroborating Organ Portion Removals」と題する米国特許出願第16/729,729号、2019年12月30日に出願された「Surgical System For Overlaying Surgical Instrument Data Onto A Virtual Three Dimensional Construct Of An Organ」と題する米国特許出願第16/729,778号、2019年12月30日に出願された「Surgical Systems For Generating Three Dimensional Constructs Of Anatomical Organs And Coupling Identified Anatomical Structures Thereto」と題する米国特許出願第16/729,751号、2019年12月30日に出願された「Surgical Systems Correlating Visualization Data And Powered Surgical Instrument Data」と題する米国特許出願第16/729,740号、2019年12月30日に出願された「Adaptive Surgical System Control According To Surgical Smoke Cloud Characteristics」と題する米国特許出願第16/729,737号、2019年12月30日に出願された「Adaptive Surgical System Control According To Surgical Smoke Particulate Characteristics」と題する米国特許出願第16/729,796号、2019年12月30日に出願された「Adaptive Visualization By A Surgical System」と題する米国特許出願第16/729,803号、及び2019年12月30日に出願された「Method Of Using Imaging Devices In Surgery」と題する米国特許出願第16/729,807号に更に説明されている。
【0133】
ハイブリッド管腔内及び管腔外デバイスを伴う手術システム
特定の実施形態では、手術システムは、腹腔鏡アプローチを使用して、1つ又は複数の管腔内器具が器官内に導入されることを可能にするように構成される。すなわち、従来のシステム(例えば、自然開口部を通して導入される管腔内器具を伴うシステム)とは異なり、本手術システムは、使用時に、臓器の腹腔鏡側を通して臓器(例えば、結腸、膀胱、胃等)に接近及び進入する管腔内器具を含む。これは、技術的複雑さが低減された両手操作能力を提供することができる。
【0134】
更に、いくつかの実施形態では、腹腔鏡器具(例えば、把持具)及び/又は特徴(例えば、シール又はステント状構造)は、管腔外解剖学的空間内に導入され、管腔内器具(複数可)の一部分(例えば、遠位部分)のための局所支持を提供するように構成されることができる。この局所的な支持は、管腔内器具の管腔内反応負荷能力を改善することができる。すなわち、局所支持は、管腔内器具の荷重下での移動を可能にして、回転、長手方向前進、及び管腔内器具のエンドエフェクタ(例えば、アブレーション要素又はジョー)と手術部位の異なる管腔内壁との間の接触を可能にすることができる。
【0135】
例示的な一実施形態では、手術システムは概して、管腔外解剖学的空間内に挿入されて位置決めされるように構成された第1の部分と、第1の部分の遠位にあり、管腔内解剖学的空間内に位置決めされるように構成された第2の部分と、を有する第1のスコープ装置と、管腔外解剖学的空間内に挿入されるように構成され、第2の部分が管腔内解剖学的空間内に配置されている間に第1のスコープ装置の第2の部分の移動を容易にするために、管腔外解剖学的空間内で第1のスコープ装置の第1の部分に結合して第1の部分を移動させるように構成された第2の器具と、を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1のスコープ装置は、内部を通って延在する作業チャネルを有する可撓性本体と、第1のスコープ装置の遠位端における第1の撮像システムとすることができる。作業チャネルは、第1の器具が管腔外空間と管腔内空間との両方に存在するように、第1の器具の遠位端が管腔外解剖学的空間内に挿入され、管腔外解剖学的空間を通って管腔内解剖学的空間内に挿入されることを可能にするように構成されている。
【0136】
使用中、一般に、第1の装置スコープの第1の部分は、管腔外解剖学的空間内に挿入され、第1のスコープ装置の第2の部分は、管腔内解剖学的空間内に更に挿入される。次いで、第1の器具が作業チャネルを通して挿入され、第1の器具を管腔外空間と管腔内空間と両方の中に位置付ける。更に、第2の器具が管腔外解剖学的空間内に挿入される。第2の器具は、第1の装置スコープの挿入又は第1の器具の挿入の前に、それと同時に、又はその後に、管腔外解剖学的空間内に挿入することができる。挿入の後に、第2の器具が移動されて、第1のスコープ装置の挿入された第2の部分を管腔内解剖学的空間内で移動させる。第1のスコープ装置、第1の器具、又は第2の器具のうちのいずれか1つの挿入の前に、管腔外空間、管腔内空間、又は両方は、例えば、第1のスコープ装置の第1の部分に動作可能に結合された流体ポートを介して、通気されることができる。
【0137】
別の例示的な実施形態では、手術システムは、概して、管腔外解剖学的空間内に配置され、管腔内解剖学的空間を少なくとも部分的に画定する組織壁と接触するように構成されたアンカー部材と、管腔外解剖学的空間内に挿入されて位置決めされるように構成された第1の部分と、第1の部分の遠位にあり、管腔内解剖学的空間内に位置決めされるように構成された第2の部分と、を有するカニューレと、アンカー部材に結合するように構成された管腔外解剖学的空間内のカニューレの第1の部分上に配置された選択的に展開可能な安定化部材と、を含むことができる。いくつかの実施形態では、カニューレは、第1の器具が管腔外解剖学的空間と管腔内解剖学的空間との両方に存在するように、第1の器具の遠位端が管腔外解剖学的空間内に挿入され、管腔外解剖学的空間を通って管腔内解剖学的空間内に挿入されるように構成され得る。更に、選択的に展開可能な安定化部材は、展開状態にあるときに、第1の器具のためのアンカーポイントを提供するようにして、管腔内解剖学的空間内での第1の器具の旋回移動を容易にするように構成され得る。
【0138】
例示的な手術システムは、本明細書で説明され、図面に示すように、様々な特徴を有し得る。しかしながら、手術システムは、これらの特徴の一部のみを有してもよく、かつ/又は当該技術分野では周知の様々な他の特徴を有してもよいことは当業者には認識されるところであろう。本明細書に述べられる手術システムは、特定の例示的な実施形態を代表することを意図したものに過ぎない。更に、手術システムは結腸に関連して示され説明されるが、当業者は、これらの手術アンカーシステムが任意の他の適切な体腔又は臓器に関連して使用され得ることを理解するであろう。
【0139】
部分的な組織壁厚腫瘍の外科的切除は、従来、自然開口部を通して行われる。例えば、図22に示すように、結腸10000は、部分的な組織壁腫瘍10001を含む。示されるように、従来の手術システムは、直腸10002を通して結腸10000に挿入される内視鏡10004と、内視鏡10004の作業チャネル10006を通される第1の器具10008とを含む。第1の器具10008は、その後の除去のために腫瘍10001に係合する。腹腔鏡器具10010(例えば、把持器)は、腹腔10012を通して挿入され、結腸10000と相互作用して、腫瘍10001の安定化を補助するか、又は腫瘍除去のために結腸10000を位置付ける。以下により詳細に論じられるように、これらの従来の手術システム及び手順とは異なり、本明細書に開示される手術システムは、天然開口部を通してではなく、腹腔鏡側から天然管腔又は器官に接近する管腔内器具を使用して、罹患組織(例えば、病変又は腫瘍)を除去するように設計される。
【0140】
図23は、結腸10103内に位置する部分的組織壁厚腫瘍10101の外科的切除において使用されている、第1のスコープ装置10102並びに第1の腹腔鏡器具10104及び第2の腹腔鏡器具10106を有する、手術システム10100の例示的実施形態を図示する。簡潔にするために、手術システム10010の特定の構成要素は図示されていない。
【0141】
第1の腹腔鏡器具10104及び第2の腹腔鏡器具10106の各々は、それぞれの第1のトロカール10108及び第2のトロカール10110を通して腹腔10105(例えば、管腔外解剖学的空間)内に挿入される。第1のトロカール10108及び第2のトロカール10110の各々は、それぞれのロボットアーム10112、10114に結合される。第1の腹腔鏡器具10104及び第2の腹腔鏡器具10106は様々な構成を有することができるが、この実施形態では、各腹腔鏡器具10104、10106は、その遠位端にエンドエフェクタ10104b、10106bを備えた細長いシャフト10104a、10106aを有する。各エンドエフェクタ10104b、10106bは、様々な構成を有することができるが、この図示された実施形態では、各エンドエフェクタ10104b、10106bは、可動ジョーのセットの形態である。更に、2つの腹腔鏡器具が示されているが、他の実施形態では、任意の数(例えば、1つ、3つ、4つなど)の腹腔鏡器具を使用することができる。
【0142】
第1のスコープ装置10102は、内部を通って延在する作業チャネル10118を有する可撓性本体10116と、その遠位端にある第1の撮像システム10120(例えば、カメラ)とを含む。可撓性本体は、任意の好適な可撓性材料(複数可)から形成することができる。示されるように、使用中、第1のスコープ装置10102の近位端は、第1のロボットアーム10120に連結され、第1のスコープ装置10102は、第2のロボットアーム10124に連結されたトロカール10122の中へ、かつそれを通して、腹腔10105(例えば、管腔外解剖学的空間)の中へ延在する。トロカール10122は、腹腔10105内への任意のデバイス又は器具の挿入に先立って、又はそれと同時に、腹腔10105に通気するように構成される、流体ポート10123を含む。他の実施形態では、腹腔10105は、トロカール10112、10114、又は任意の他の適切な通気機構及びデバイスを使用して通気されることができる。
【0143】
第1のスコープ装置10102は、結腸10103の壁10103aを通して結腸腔10107(例えば、管腔内解剖学的空間)内に更に挿入される。第1のスコープ装置10102は、結腸壁10103aに作られた切開10115を通して直接挿入することができるが、この図示された実施形態では、カニューレ10117の管腔は、切開部10115を通して部分的に結腸腔10107内に挿入される。したがって、第1のスコープ装置10102は、カニューレ10117の管腔を通して結腸腔10107に挿入される。
【0144】
示されるように、第1のスコープ装置10102は、腹腔10105内に存在する第1の部分10102aと、第1の部分10102aの遠位にあり、結腸腔10107内に存在する第2の部分10102bとを有する。すなわち、第1のスコープ装置10102は、腹腔鏡アプローチによって結腸10103に導入されるように設計されている。第1のスコープ装置の第2の部分を挿入する前に、例えば、予め結腸に挿入された流体ポート(図示せず)又は管腔(図示せず)を通して流体を導入することによって、結腸を通気することができる。通気後、封止クリップ10109a及び10109bは、結腸10103の通気領域の対向する端部上に位置付けられることができる。
【0145】
いくつかの実施形態では、トロカール10122は、第1のスコープ装置10102の第1の部分10102aのための構造的支持を提供することができる。更に、第1のスコープ装置10102の第1の部分10102aは、ロボットアーム10124とトロカール10122との間に配置されたモータハウジング10121内に配置された1つ又は複数のツールドライバ(図示せず)から駆動され得る。
【0146】
第1のスコープ装置10102は、腹腔10105と結腸腔10107との両方の中に存在する可撓性本体10116を有するので、第1のスコープ装置10102の第2の部分10102bが結腸腔10107の中で移動することができるように、協働支持要素が必要とされる。この図示された実施形態では、協働支持要素は第1の腹腔鏡器具10104である。すなわち、示されるように、エンドエフェクタ10104bのジョーは、第1のスコープ装置10102の第1の部分10102aを把持し、こうして、第1のスコープ装置10102の第1の部分10102aに第1の腹腔鏡器具10104を結合する。
【0147】
エンドエフェクタのジョーは、様々な位置で第1のスコープ装置10104の第1の部分10102aを把持することができるが、この図示された実施形態では、第1の腹腔鏡器具10104は、腹腔10105(例えば、管腔外解剖学的空間)内にあり、結腸壁10103aに直接隣接する所定の位置で第1の部分10102に結合される。より具体的には、所定の位置は、結腸壁10103aに作られた切開部10115に近接している。この実施形態では、第1の腹腔鏡器具10104の細長いシャフト10104aは剛性であり、したがって、第1のスコープ装置に支持を提供し、第1のスコープ装置の第1の部分を腹腔(例えば、管腔外空間)内で移動させて、結腸腔10107(例えば、管腔内解剖学的空間)内での第1のスコープ装置10102の第2の部分の移動を容易にすることができる。
【0148】
いくつかの実施形態では、第1の腹腔鏡器具10104によって提供される固定は、結腸内容物の腹腔10105の中への漏出を防止するように、切開部10115を直立に保つことができる。代替として、又は加えて、エンドエフェクタ10104bのジョーは、第1のスコープ装置10102が不適切な負荷を切開部縁に印加することを防止することができる、創傷プロテクタとして作用するように構成されることができる。
【0149】
図23に更に示すように、第1のスコープ装置10102の第2の部分10102bが結腸腔10107内に配置されると、器具10126を第1のスコープ装置10102の作業チャネル10118を通して結腸腔10107内に挿入することができる。いったん挿入されると、器具10126は、その後の除去のために腫瘍10102と相互作用することができる。更に、第2の腹腔鏡装置10106のエンドエフェクタ10106bのジョーは、結腸10103と相互作用して、腫瘍10102の除去のために結腸10103を安定させるのを助けることができる。
【0150】
いくつかの実施形態では、局在化された機械的ドッキングは、例えば、図24に図示されるように、可撓性管腔内デバイス又は器具若しくはデバイスを安定化させるための機構として使用されることができる。
【0151】
図24は、管腔内手術部位への腹腔鏡アクセスを可能にするように構成される、手術システム10200の例示的実施形態を図示する。手術システム10200は、カニューレ10202と、アンカー部材10204と、選択的に展開可能な安定化部材10206とを含み、これらは、結腸10203内に位置する部分組織壁厚腫瘍10201の外科的切除において使用されている。
【0152】
カニューレ10202は、多様な異なる構成を有することができる。この図示された実施形態では、カニューレ10202は、腹腔10208(例えば、管腔外解剖学的空間)内に挿入されて位置決めされるように構成された第1の部分10202aと、結腸10203の腔10210(例えば、管腔内解剖学的空間)内に位置決めされるように構成された第1の部分10202aの遠位にある第2の部分10202bとを有する。カニューレ10202は、任意の好適な材料で形成することができる。図示のように、使用中、カニューレ10202は、ロボットアーム10214に結合されたトロカール10212を通して腹腔10208内に挿入される。トロカール10212は、腹腔10208内への任意のデバイス又は器具の挿入に先立って、又はそれと同時に、腹腔10208に通気するように構成される、流体ポート10216を含む。他の実施形態では、別のトロカール又は任意の他の好適な通気機構及びデバイスを使用して、腹腔10208に通気することができる。
【0153】
カニューレ10202は、結腸10203の壁10205を通して結腸腔10210(例えば、管腔内解剖学的空間)内に更に挿入される。したがって、カニューレ10202は、腹腔鏡アプローチによって結腸10203に導入されるように設計されている。更に、第1の部分10202a及び第2の部分10202bがそれぞれ腹腔10208及び結腸腔10201内に配置されると、第1の器具10220は、第1の器具10220の遠位端が結腸腔10210内に配置され、腫瘍10201を除去するために使用され得るように、それらを通して挿入され得る。
【0154】
示されるように、カニューレ10202は、第1の器具10220の遠位端が腹腔10208を通して結腸10203の中に導入されることを可能にし、したがって、第1の器具10220は、腹腔10208と結腸腔10210との両方の中に存在する。第1の器具10220は様々な構成を有することができるが、この図示された実施形態では、第1の器具10220は、その遠位端に一対のジョー10224を有する可撓性シャフト10222を含む。一対のジョー10224は、腫瘍10201と相互作用するように構成される。
【0155】
カニューレ10202の第2の部分10202bを挿入する前に、例えば、予め結腸10203に挿入された流体ポート(図示せず)又は管腔(図示せず)を通して流体を導入することによって、結腸を通気することができる。通気後、通気領域10203aを封止することができる。例えば、この図示される実施形態では、通気領域10203aは、腹腔10208に挿入される腹腔鏡デバイス10218のジョー10218a、10218bが、領域の一方の端部を把持している状態で、ジョー10218a、10218bによって、かつ、領域の反対側の端部の周りにクリップ留めされたアンカー部材10204によってシールされる。したがって、この図示された実施形態では、アンカー部材10204は、アンカー及びシールの両方として機能することができる。他の実施形態では、別個の封止要素を使用することができる。
【0156】
連結部材10204は、様々な構成を有し得る。この図示された実施形態では、アンカー部材10202は、腹腔(例えば、管腔外解剖学的空間)内に配置され、結腸10203の組織壁10203aの外面と接触するクリップの形態である。カニューレ10202の挿入に先立って、それと同時に、又はそれに続いて、アンカー部材10204は、腹腔10208の中に挿入され、結腸壁10205と接触して配置される(例えば、結腸10203の一部の周囲に配列される)ことができる。
【0157】
図24に更に示されるように、選択的に展開可能な安定化部材10206は、カニューレ10202の第1の部分10202a上に、したがって腹腔10208(例えば、管腔外解剖学的空間)内に配置される。選択的に展開可能な安定化部材10206は、様々な構成を有し得る。この図示された実施形態では、選択的に展開可能な安定化部材10206は、互いに枢動可能に接続された第1のリンク10223a及び第2のリンク10223bを含み、第1のリンク10223aはカニューレ10202に直接結合される。したがって、選択的に展開可能な安定化部材10206は、非展開状態から展開状態に移動することができる(図24)。
【0158】
使用時、展開状態(図24)にあるとき、選択的に展開可能な安定化部材10206は、アンカー部材10204に結合するように構成される。この結合は、カニューレ10202を通して挿入される第1の器具10220のためのアンカーポイントを提供する。第1の器具10220は可撓性シャフト10222を含むので、アンカーポイントは、第1の器具10220がカニューレ10202に対して結腸腔10210内で枢動することを可能にする。
【0159】
選択的に展開可能な安定化部材10206は、様々な方法でアンカー部材10204と結合することができる。例えば、特定の実施形態では、アンカー部材10204は、選択的に展開可能な安定化部材10206が展開状態にあるときに、選択的に展開可能な安定化部材10206をアンカー部材10204に結合するように構成された磁石10226を含むことができる。他の実施形態では、任意の他の適切な連結機構が使用され得る。
【0160】
更に、カニューレ10202を通して(例えば、カニューレの1つ又は複数の管腔を通して)追加の器具又は装置を挿入することができる。例えば、図24に示されるように、第1のスコープ装置10228は、第1のスコープ装置10228の第1の部分が腹腔(例えば、管腔外解剖学的空間)内に存在し、第1の部分の遠位にある第1のスコープ装置10228の第2の部分が結腸腔(例えば、管腔内解剖学的空間)内に位置付けられるように、カニューレ10202の中に、かつそれを通して挿入されることができる。
【0161】
他の実施形態では、ロボット操縦可能かつロック可能なカニューレを使用して、腹腔鏡アプローチを使用して管腔内器具を管腔内解剖学的空間内に導入することができる。例えば、図25に示すように、ロボット操縦可能かつロック可能なカニューレ10300を、第1のトロカール10302を通して管腔外解剖学的空間10304(例えば、腹腔)内に挿入することができる。第1のトロカール10302は、第1のロボットアーム10306に結合されている。更に示されるように、第1の器具10308は、第2のロボットアーム10310に結合され、第1のトロカール10302を通して挿入され得る。第1の器具10308は、第1の器具10308の遠位端10310がカニューレ10300の遠位端10312を通って延在するように、ロボット操縦可能かつロック可能なカニューレ10300を通って更に挿入され得る。その結果、第1の器具10308は、カニューレ10300の操縦可能かつロック可能な遠位端10302によって構造的に案内され支持される。カニューレ10300の移動(例えば、第1のロボットアーム10306による)は、したがって、第1の器具10308の遠位端10312を、臓器10316に作製された切開部10314を通して臓器空洞10318内に案内することができ、第2のロボットアーム10310の移動は、第1の器具10308の遠位端10312を、カニューレ10300の遠位端10312に対して臓器空洞10318内で移動させることができる。
【0162】
管腔内及び管腔外の協働器具を有する手術システム
本明細書で提供される多光源撮像のためのデバイス、システム、及び方法は、協調的外科手術可視化を可能にする。一般に、協調的外科手術可視化では、各々が手術部位の画像を収集する第1の撮像システム及び第2の撮像システム(例えば、第1のスコープ装置及び第2のスコープ装置)は、協働して、手術部位の向上した撮像を提供するように構成される。協調的外科手術可視化は、手術部位における患者の解剖学的構造の可視化を改善し、かつ/又は手術部位における手術器具(複数可)の制御を改善し得る。
【0163】
特定の実施形態において、手術システムは、1つ又は複数の手術タスクを行うために、2つの別個の解剖学的領域内に配置されるように構成される。手術可視化システムは、重要構造(複数可)(例えば、罹患組織、解剖学的構造、手術器具(複数可)など)の術中識別を可能にすることができる。このため、手術可視化システムは、向上された手術時の意思決定及び向上された手術結果を可能にし得る。手術可視化システムは、医師が「肉眼」で見るもの、並びに/あるいは撮像システムが認識し、及び/又は医師に伝達できるものを超えた、高度な可視化能力を提供することができる。手術可視化システムは、医師が組織治療(例えば、切開)の前に知ることができることを補強かつ強化でき、それにより、様々な例における結果を改善し得る。結果として、手術可視化システムが、例えば、切開中にアプローチされ得る重要構造を追跡していることを認識しながら、医師は、手術処置を通して勢いを確実に維持することができる。手術可視化システムは、医師が手術処置を休止し、及び/又は減速させ、重要構造に対する不注意による損傷を防止するためにその構造までの近接度を評価するのに十分な時間内で、医師に対して指示を提供することができる。手術可視化システムは、理想的で、最適化された、及び/又はカスタマイズ可能な量の情報を医師に提供して、健康組織及び/又は重要構造への不注意による損傷を回避しつつ、医師が組織全体を確実、及び/又は迅速に動くことを可能にし、これによって、手術処置から生じる損傷のリスクを最小限に抑えることができる。
【0164】
概して、本明細書で提供される手術システムは、概して、管腔内解剖学的空間と管腔外解剖学的空間との両方に位置付けられ、その視野内の第1のシーンの画像データを送信するように構成される、第1のスコープ装置と、管腔外解剖学的空間内に挿入され、その視野内の第2の異なるシーンの画像データを送信するように構成される、第2のスコープ装置と、送信されたデータを受信し、第1のスコープ装置と第2のスコープ装置との間の相対距離を判定し、マージされた画像を提供するように構成される、コントローラとを含む。マージされた画像は、単一のシーン内の少なくとも第1のスコープ装置及び第2のスコープ装置の少なくとも一部分であり得、マージされた画像内の第1のスコープ装置及び第2のスコープ装置のうちの少なくとも1つは、その代表的な描写である。したがって、マージされた画像は、したがって、手術部位の2つの別個の視点を提供することができ、これは、医師が、複数のディスプレイの代わりに1つのディスプレイのみを見ることを好都合に可能にすることができる。更に、その1つのディスプレイ内で、マージされた画像は、医師が、手術部位に、又は手術部位に近接して配置された少なくとも第1の装置及びスコープ装置の相対的な位置及び/又は向きを調整することを可能にする。ある実施形態では、手術システムは、第1のスコープ装置又は第2のスコープ装置のうちの1つに関連付けられ、第1のスコープ装置又は第2のスコープ装置のうちの他方に対する第1のスコープ装置又は第2のスコープ装置のうちの1つの場所を示す信号を送信するように構成される、追跡デバイスを含むことができる。
【0165】
本明細書で提供される手術システムは、上述したような様々なロボット手術システムで使用することもでき、器具、内視鏡、及び腹腔鏡の互いに対する及び/又はシステム全体に対する動きの追跡を支援するために、電磁(EM)追跡チップ、ファイバブラッググレーティング、仮想タグ、基準マーカ、プローブの使用、既知の解剖学的構造の識別、構造化光を使用するような様々な3D走査技術、上述した様々なセンサ及び/又は撮像システムなどの様々な追跡及び/又は撮像機構を組み込むことができる。追跡機構は、腹腔鏡と内視鏡との両方から追跡データを送信するように構成することができ、それにより、いずれかのスコープの位置を他方のスコープに対して判定することができる。更に、いずれかのスコープの視野内の重要構造(例えば、病変組織、手術器具、解剖学的構造)は、その視野内にそのような重要構造を有するスコープによって追跡することができる。全体として、本明細書の手術システムは、各スコープの視野内の物体、及び各スコープの相対位置を追跡することができる。したがって、追跡データの全体によって、システムは、他のスコープによって収集された追跡データに基づいて、視野内に重要構造を有しないスコープからの重要構造の距離を計算することができる。
【0166】
例示的な一実施形態では、手術システムはまた、第1の器具及び第2の器具を含む。第1の器具は、第1の器具が管腔外解剖学的空間と管腔内解剖学的空間との両方に存在するように、管腔外解剖学的空間内へ、かつ管腔外解剖学的空間を通して管腔内解剖学的空間内に挿入されるように構成されている。第2の器具は、管腔外解剖学的空間内に挿入されるように構成される。
【0167】
更に、いくつかの実施形態では、撮像システム(例えば、カメラ)は、第1のスコープ装置の第2の部分上に配置することができ、第1のスコープ装置の視野内のシーンの画像データを送信するように構成することができる。代替的又は追加的に、撮像システム(例えば、カメラ)は、第2のスコープ装置上に配置することができ、第2のスコープ装置の視野内のシーンの画像データを送信するように構成することができる。これは、管腔外解剖学的空間内で動作する器具と管腔内解剖学的空間内で動作する器具との間の協調的可視化を可能にし、更に、器具が単一の手術部位上で共に協調的に動作することを可能にする。
【0168】
様々な実施形態において、本明細書で提供される手術システムは、コントローラを含む。手術システム、コントローラ、ディスプレイ、並びに/若しくは種々の器具、内視鏡、及び腹腔鏡はまた、いくつかの異なるロボット手術システムに組み込まれることができ、かつ/又は上記で議論されるシステム及び手術ハブのうちのいずれか等の外科手術ハブの一部であることができる。コントローラは、一般に、内視鏡及び腹腔鏡からの第1のシーンと第2のシーンとをそれぞれマージして、第1のシーンと第2のシーンとの間のマージされた画像を視覚的に形成するように構成される。コントローラは、上記で詳述された追跡データを受信し、第1のシーン及び第2のシーンと組み合わせて、少なくとも内視鏡又は腹腔鏡、及び組織壁によって視覚的に損なわれたスコープの視野内の任意の構造の代表的な描写を含有するマージされた画像を生成するように構成される。例えば、マージされた画像が内視鏡の視点からのものであった場合、マージされた画像は、内視鏡が見ているもののライブ画像ストリームであり、腹腔鏡的に配置された手術器具及び存在する場合は腹腔鏡の向き及び位置のオーバーレイを含む。
【0169】
使用中、一般に、第1のスコープ装置スコープの第1の部分は、管腔外解剖学的空間内に挿入され、第1のスコープ装置の第2の部分(例えば、第1の部分の遠位にある部分)は、管腔内解剖学的空間内に挿入される。更に、第2のスコープ装置が管腔外解剖学的空間内に挿入される。更に、第1の器具は、第1の器具が管腔外解剖学的空間と管腔内解剖学的空間との両方に存在するように、管腔外解剖学的空間内へ、かつ管腔外解剖学的空間を通して管腔内解剖学的空間内に挿入される。例えば、第1の器具は、第1のスコープ装置の作業チャネルを通して挿入され、第1の器具を両方の空間内に位置付けることができる。更に、第2の器具が管腔外解剖学的空間内に挿入される。第2の器具は、第1の装置スコープの挿入又は第1の器具の挿入の前に、それと同時に、又はその後に、管腔外解剖学的空間内に挿入することができる。
【0170】
例示的な手術システムは、本明細書で説明され、図面に示すように、様々な特徴を有し得る。しかしながら、手術システムは、これらの特徴の一部のみを有してもよく、かつ/又は当該技術分野では周知の様々な他の特徴を有してもよいことは当業者には認識されるところであろう。本明細書に述べられる手術システムは、特定の例示的な実施形態を代表することを意図したものに過ぎない。更に、手術システムは結腸に関連して示され説明されるが、当業者は、これらの手術システムが任意の他の適切な体腔又は臓器に関連して使用され得ることを理解するであろう。
【0171】
図26は、結腸10402内に位置する部分的組織壁厚腫瘍10401の外科的切除において使用されている、第1のスコープ装置10412及び第2のスコープ装置10414を有する手術システム10400の例示的実施形態を図示する。簡潔にするために、手術システム10400の特定の構成要素は図示されていない。
【0172】
第1のスコープ装置10412は、第1の作業チャネル10424及び第2の作業チャネル10426が中を通って延在する可撓性本体10422と、その遠位端にある第1の撮像システム10428(例えば、カメラ)とを含む。可撓性本体10422は、任意の好適な可撓性材料(複数可)から形成することができる。
【0173】
使用中、第1のスコープ装置10412の近位端は第1のロボットアーム10430に結合され、第1の器具10432は第2のロボットアーム10434に結合される。第1のスコープ装置10412は、第1のトロカール10436を通して腹腔10405(例えば、管腔外解剖学的空間)内に挿入される。第1のトロカール10436は、ロボットアーム10438に結合されている。第1のスコープ装置10412は、封止ポート10440が結腸10402の壁10406内に配置された状態で、封止ポート10440の管腔を通して結腸腔10407(例えば、管腔内解剖学的空間)内に更に挿入される。第1のスコープ装置10412は、第1のスコープ装置10412の第1の部分10412aが腹腔10405(例えば、管腔外解剖学的空間)内に存在し、第1の部分10412aの遠位にある第1のスコープ装置10412の第2の部分10412bが結腸腔10407(例えば、管腔内解剖学的空間)内に位置決めされるように、第1のトロカール10436及び封止ポート10440の中に、かつそれらを通して挿入することができる。いくつかの実施形態では、第1のスコープ装置10412が結腸壁10402aに作られた切開部を通して直接挿入されるように、封止ポート10440を省略することができる。
【0174】
示されるように、第1のスコープ装置10412は、腹腔10405内に存在する第1の部分10412aと、第1の部分10412aの遠位にあり、結腸腔10407内に存在する第2の部分10412bとを有する。すなわち、第1のスコープ装置10412は、腹腔鏡アプローチによって結腸10402に導入されるように設計されている。第1のスコープ装置10412の第2の部分10412bの挿入の前又は後に、封止クリップ10409a及び10409bは、結腸10402の通気された領域の対向する端部上に位置付けられることができる。
【0175】
いくつかの実施形態では、第1のスコープ装置10412の第1の部分10412aは、ロボットアーム10438と第1のトロカール10436との間に位置付けられる、モータ筐体10421内の1つ又は複数のツールドライバ(図示せず)から駆動されることができる。
【0176】
図26に更に示すように、第1のスコープ装置10412の第2の部分10412bが結腸腔10407内に配置されると、第1の器具の遠位端が結腸腔10407内に配置されるように、第1のスコープ装置10412の第1の作業チャネル10424を通して第1の器具10432を挿入することができる。結果として、第1の器具10432は、腹腔(例えば、管腔外解剖学的空間)と結腸腔10407(例えば、管腔内解剖学的空間)との両方の中に存在する。挿入されると、(第1の器具10432の)エンドエフェクタ10433は、その後の除去のために腫瘍10401と相互作用することができる。エンドエフェクタ10433は、様々な構成を有することができるが、この図示された実施形態では、エンドエフェクタ10433は、一組の可動ジョーの形態である。いくつかの実施形態では、第1の作業チャネル10424及び第2の作業チャネル10426のうちの少なくとも1つは、腹腔10405及び結腸腔10407のうちの少なくとも1つの中の第1のスコープ装置10412の位置を損なうことなく、器具の交換を可能にするように構成される。これはまた、第1の撮像システム10428の視野を維持することができる。
【0177】
手術システム10400はまた、内視鏡10412及び腹腔鏡10414に通信可能に結合されたコントローラ10470を含み、第1の光センサ10428及び第2の光センサ10458からそれぞれ第1のシーン及び第2のシーンの送信された画像データを受信するように構成される。いくつかの実施形態では、コントローラ10470はまた、内視鏡10412及び腹腔鏡10414内にそれぞれ配置された第1の追跡デバイス10482及び第2の追跡デバイス10484に通信可能に結合され、第1の追跡デバイス及び第2の追跡デバイスから送信された信号を受信するように構成される。受信されると、コントローラ10470は、少なくとも内視鏡10412と腹腔鏡10414との間の相対距離を判定するように構成される。ある実施形態では、コントローラ10470はまた、内視鏡10412と腹腔鏡10414との間の相対的配向を判定するように構成されることができる。
【0178】
図26に更に示すように、第2のスコープ装置10414は、腹腔10405内に腹腔鏡下で配置される。第2のスコープ装置は、第3及び第4の作業チャネル10454、10456が中を通って延在する可撓性本体10452と、その遠位端にある第2の撮像システム10458(例えば、カメラ)とを含む。可撓性本体10452は、任意の好適な可撓性材料(複数可)から形成することができる。
【0179】
第2のスコープ装置10414は、腹壁10403内に配置された第2のトロカール10466を通して腹腔10405(例えば、管腔外解剖学的空間)内に挿入される。第2のトロカール10466は、第2のロボットアーム10468に結合されている。第2のスコープ装置10414は、腹腔10405(例えば、管腔外解剖学的空間)内に挿入され、位置付けられる。いくつかの実施形態では、第2のスコープ装置10414の可撓性本体10452は、第2のロボットアーム10468と第2のトロカール10466との間に位置付けられる、モータ筐体10451内の1つ又は複数のツールドライバ(図示せず)から駆動されることができる。
【0180】
示されるように、使用中、第2のスコープ装置10414の近位端は、第1のロボットアーム10460に結合され、第2の器具10462は、第2のロボットアーム10464に結合される。第2の器具10462は、第3の作業チャネル10454の中へ、及びそれを通して、腹腔10405(例えば、管腔外解剖学的空間)の中へ延在する。第2の器具10462は様々な構成を有することができるが、この図示された実施形態では、第2の器具10462は、その遠位端にエンドエフェクタ10463を備えた細長いシャフト10462aを有する。いくつかの実施形態では、第2の器具10462は、結腸腔10407(例えば、管腔内解剖学的空間)内に第1の器具10432を配置するために、腹腔10405(例えば、管腔外解剖学的空間)から結腸10402を操作するのを支援するように構成される。更に、第2の器具10462のエンドエフェクタ10463は、結腸10402と相互作用して、腫瘍10401の除去のために結腸10402を安定させるのを助けることができる。エンドエフェクタ10463は、様々な構成を有することができるが、この図示された実施形態では、エンドエフェクタ10463は、一組の可動ジョーの形態である。いくつかの実施形態では、エンドエフェクタ10463を使用して、結腸腔10407内にシールを形成することができる(例えば、結腸10402をクランプすることによって)。
【0181】
図26に示すように、基準マーカ10480は、内視鏡10412の第1の部分10412a上に配置することができる。基準マーカ10480は、腹腔鏡10414の光センサ10458の視野内にある。基準マーカ10480は、内視鏡10412の第2の部分10412bの位置が、光センサ10458による基準マーカ10480の可視化を通して判定されることができるように、内視鏡10412の第1の部分の外面上に固定される。基準マーカ10480を識別する光センサ10458から送信された画像データの両方に基づいて、コントローラ10470は、例えば、手術システム10400の第1のディスプレイ10471、第2のディスプレイ10472、又はその両方のディスプレイにマージされた画像を提供するように構成される。マージされた画像において、内視鏡10412及び腹腔鏡10414のうちの少なくとも1つは、その代表的な描写である。磁気基準マーカの様々な実施形態、及び位置を検出する際に磁気基準マーカを使用することは、例えば、2021年9月29日に出願された「Surgical Devices,Systems,and Methods for Control of One Visualization with Another」と題する米国仮特許出願第63/249,658号に更に論じられている。
【0182】
いくつかの実施形態では、基準マーカは、視覚的に識別され得る物理的シンボルである。他の実施形態では、基準マーカは、内視鏡を追跡するために腹腔鏡によって識別され得る、発光デバイス又は電磁放射デバイスであり得る。加えて、内視鏡の第1の部分の外側表面上に配置される複数の基準マーカが存在することができ、腹腔鏡の光センサは、どの基準マーカが管腔外空間内にあるかを識別することができる。
【0183】
第1のディスプレイ10471及び第2のディスプレイ10472は様々な構成を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1のディスプレイは、第1のシーンを表示するように構成されることができ、第2のディスプレイは、第2のシーンを表示するように構成されることができ、第1のディスプレイ、第2のディスプレイ、又は両方は、マージされた画像を表示するように更に構成されることができる。別の実施形態では、手術システム10400は、マージされた画像を表示するために使用することができる第3のディスプレイ10473を含むことができ、第1のディスプレイ10471及び第2のディスプレイ10472は、それぞれ、光センサ10428、10458から送信された画像データを修正なしで示すためだけに使用される。この実施形態では、外科医は、第1のディスプレイ10471及び第2のディスプレイ10472上の内視鏡10412と腹腔鏡10414との両方からのリアルタイムシーンにアクセスすることができる一方で、第3のディスプレイ10473上のマージされた画像にもアクセスすることができる。
【0184】
上述したように、内視鏡10412は、第1の光センサ10428を含む。第1の光センサ10428は、内視鏡10412の視野内の第1のシーンの画像データをコントローラ10470に送信するように構成される。この図示された実施形態では、腫瘍10401及び手術器具10432は、内視鏡10412の視野内に配置される。いくつかの実施形態では、内視鏡10412と腹腔鏡10414との間の相対距離は、(例えば、照明要素を介して)第1の部分10412a及び基準マーカ10480上に投影され、第2の光センサ10458によって追跡される構造化光を使用することによって判定されることができる。更に、いくつかの実施形態では、内視鏡10412と腹腔鏡10414との間の判定された相対距離、及び内視鏡10412と腫瘍10401との間の判定された相対距離に基づいて、コントローラは、腹腔鏡10414と腫瘍10401との間の相対距離を計算することができる。
【0185】
加えて、腹腔鏡10414は、第2の光センサ10458を含む。第2の光センサ10458は、腹腔鏡10414の視野内の第2のシーンの画像データをコントローラ10470に送信するように構成される。手術器具10462は、腹腔鏡10414の視野内に配置される。その結果、コントローラ10470は、送信された画像データに基づいて、手術器具10462と手術器具10432との間の相対距離を判定することができる。
【0186】
図26aは、マージされた画像の例示的な実施形態を示す。マージされた画像は、腹腔鏡10414の視野内のリアルタイムの第2のシーンと、結腸10402の内視鏡側の一部(例えば、腫瘍10401及び/又は内視鏡10412)のオーバーレイされた代表的な描写とを図示する。基準マーカ10480と組み合わせた第2のシーンの送信された画像データに基づいて、コントローラ10470は、腹腔鏡10414の視点からのマージされた画像を提供することができ、内視鏡10412及び腫瘍10401は、管腔内空間におけるそれらの位置にリアルタイムで対応する代表的な描写として示される。図示の実施形態では、代表的な描写は、対応する腫瘍10401及び内視鏡10412の破線の輪郭で示されている。しかしながら、管腔内空間内の非視覚的器具及び解剖学的構造を表すための単純な幾何学的形状など、他の形態の代表的な描写を使用することができる。
【0187】
代替として、又は加えて、コントローラ10470は、内視鏡10412の視点からマージされた画像を生成することができる。例えば、図26bでは、マージされた画像は、結腸10402の腹腔鏡側の一部(例えば、腹腔鏡10414及び/又は手術器具10462)のオーバーレイされた代表的な描写を有する内視鏡10412の視野内のリアルタイムの第1のシーンを示す。当業者であれば、本明細書で使用される「代表的な描写」という語句は、カメラからの実際の描写上の仮想オーバーレイを指し、仮想オーバーレイは、カメラの視野内に配置されているが、カメラと物体との間に配置されている障害物のためにカメラには見えない物体の位置及び向きに対応し、本明細書で使用される「実際の描写」という語句は、カメラからの修正されていないリアルタイム画像又はビデオストリームを指すことを理解するであろう。基準マーカ10480と組み合わせた光センサ10428の送信された画像データに基づいて、コントローラ10470は、内視鏡10412の視点からのマージされた画像を提供することができ、腹腔鏡10414及び手術器具10462は、リアルタイムで管腔外空間内のそれらの場所に対応する代表的な描写として示される。図示される実施形態では、代表的な描写は、腹腔鏡10414及び外科手術器具10462の破線の輪郭で示される。しかしながら、管腔内空間内の非視覚的器具及び解剖学的構造を表すための単純な幾何学的形状など、他の形態の代表的な描写を使用することができる。
【0188】
ある実施形態では、管腔内空間と管腔外空間との両方における器具間の移動は、両方のセットの器具が他方によって可視化されることができるため、協調されることができる。例えば、協働的欠損修復(例えば、切開を縫合すること)は、器具を用いて腹腔鏡側から針フックを挿入し、次いで、針フックを管腔内空間の中に通過させることによって達成されることができ、そこで、内視鏡的に配列された器具は、フック針を握持することができる。次いで、フック針は、結腸を通して管腔外空間に戻され得、このプロセスは、切開が縫合閉鎖されるまで繰り返される。
【0189】
他の実施形態では、内視鏡及び腹腔鏡の位置は、時間ベースのアプローチを通して互いに対して追跡されることができる。スコープ装置が互いを視覚的に識別できなくなると、その時点が基準点となり得る。ロボットアームによる各スコープ装置の動きを記録することができ、スコープ装置が解剖学的空間内で動かされるにつれて、各スコープ装置の位置を経時的に判定することができる。
【0190】
2つの別個の解剖学的空間に独立して通気するための手術システム
特定の実施形態では、手術システムは、1つ又は複数の手術タスクを行うために、2つの別個の解剖学的領域を通気ように構成される。概して、本手術システムは、第1の空洞(例えば、管腔外解剖学的空間)へのアクセスを提供し、その通気を可能にするように構成される、第1のアクセスポート(複数可)と、第1の空洞を通して別個の空洞(例えば、管腔内解剖学的空間)へのアクセスを提供し、その通気を可能にするように構成される、第2のアクセスポート(複数可)とを含む。これは、異なる器具のための別個の解剖学的作業容積を提供することができ、更に、これらの異なる器具が単一の手術部位上で一緒に作業することを可能にする。
【0191】
例示的な一実施形態では、手術システムは、一般に、管腔内解剖学的空間と管腔外解剖学的空間との両方に配置されるように構成された第1のスコープ装置と、管腔外解剖学的空間に挿入されるように構成された第2のスコープ装置とを含むことができる。第1のスコープ装置は、第1のスコープ装置に動作可能に結合され、管腔内解剖学的空間を第1の通気空間へと通気するように構成された第1の通気ポート(例えば、流体ポート)を有し、第2のスコープ装置は、第2のスコープ装置に動作可能に結合され、管腔外解剖学的空間を第2の通気空間へと通気するように構成された第2の通気ポート(例えば、流体ポート)を有する。したがって、第1の通気空間と第2の通気空間との両方が独立して加圧され、したがって、異なる器具のための別個の作業容積を提供するように生成される。
【0192】
手術システムはまた、第1の器具及び第2の器具を含む。第1の器具は、第1の器具が管腔外解剖学的空間と管腔内解剖学的空間との両方に存在するように、管腔外解剖学的空間内へ、かつ管腔外解剖学的空間を通して管腔内解剖学的空間内に挿入されるように構成されている。第2の器具は、管腔外解剖学的空間内に挿入されるように構成される。
【0193】
いくつかの実施形態では、手術システムは、管腔外解剖学的空間を管腔内解剖学的空間から分離する組織壁に配置される封止ポートを含むことができる。特定の実施形態では、封止ポートは、第1のスコープ装置の第2の部分が管腔内解剖学的空間内に入ることを可能にするように構成される。
【0194】
更に、いくつかの実施形態では、撮像システム(例えば、カメラ)は、第1のスコープ装置の第2の部分上に配置することができ、第1のスコープ装置の視野内のシーンの画像データを送信するように構成することができる。代替的又は追加的に、撮像システム(例えば、カメラ)は、第2のスコープ装置上に配置することができ、第2のスコープ装置の視野内のシーンの画像データを送信するように構成することができる。これは、管腔外解剖学的空間内で動作する器具と管腔内解剖学的空間内で動作する器具との間の協調的可視化を可能にし、更に、器具が単一の手術部位上で共に協調的に動作することを可能にする。更に、協調的可視化は、特定の手術タスク若しくはステップ又は手術処置全体の間に、第1の通気領域、第2の通気空間、又はその両方に対して調節が行われる必要があり得るときに使用されることができる。撮像システムは、複数のカメラを含むことができ、外科医は、これらのカメラを使用して、患者の体内の手術処置部位上のより良好な視点を達成することができる。
【0195】
使用中、一般に、第1のスコープ装置スコープの第1の部分は、管腔外解剖学的空間内に挿入され、第1のスコープ装置の第2の部分(例えば、第1の部分の遠位にある部分)は、管腔内解剖学的空間内に挿入される。更に、第2のスコープ装置が管腔外解剖学的空間内に挿入される。第1のスコープ装置の挿入の前、挿入と同時、又は挿入の後に、第1の通気ポートを使用して、管腔内解剖学的空間を第1の圧力まで通気し、それによって第1の通気空間を形成することができる。更に、第1の装置スコープの挿入、管腔内解剖学的空間の通気、及び/又は第2の装置スコープの挿入の前に、それと同時に、又はその後に、管腔外解剖学的空間は、第2の通気ポートを介して第2の圧力まで通気され、それによって、第2の通気空間を形成することができる。
【0196】
更に、第1の器具は、第1の器具が管腔外解剖学的空間と管腔内解剖学的空間との両方に存在するように、管腔外解剖学的空間内へ、かつ管腔外解剖学的空間を通して管腔内解剖学的空間内に挿入される。例えば、第1の器具は、第1のスコープ装置の作業チャネルを通して挿入され、第1の器具を両方の空間内に位置付けることができる。第1の器具は、管腔内解剖学的空間、管腔外空間、又はその両方の通気の前に、それと同時に、又はその後に挿入することができる。更に、第2の器具が管腔外解剖学的空間内に挿入される。第2の器具は、第1の装置スコープの挿入、第1の器具の挿入、管腔内解剖学的空間の通気、又は管腔外空間の通気の前に、それと同時に、又はその後に、管腔外解剖学的空間に挿入することができる。
【0197】
例示的な手術システムは、本明細書で説明され、図面に示すように、様々な特徴を有し得る。しかしながら、手術システムは、これらの特徴の一部のみを有してもよく、かつ/又は当該技術分野では周知の様々な他の特徴を有してもよいことは当業者には認識されるところであろう。本明細書に述べられる手術システムは、特定の例示的な実施形態を代表することを意図したものに過ぎない。更に、手術システムは結腸に関連して示され説明されるが、当業者は、これらの手術システムが任意の他の適切な体腔又は臓器に関連して使用され得ることを理解するであろう。
【0198】
図27は、結腸10502内に位置する部分的組織壁厚腫瘍10501の外科的切除において使用されている、第1のスコープ装置10512及び第2のスコープ装置10514を有する手術システム10500の例示的実施形態を図示する。簡潔にするために、手術システム10500の特定の構成要素は図示されていない。
【0199】
第1のスコープ装置10512は、第1の作業チャネル10524及び第2の作業チャネル10526が中を通って延在する可撓性本体10522と、その遠位端にある第1の撮像システム10528(例えば、カメラ)とを含む。可撓性本体10522は、任意の好適な可撓性材料(複数可)から形成することができる。
【0200】
使用中、第1のスコープ装置10512の近位端は第1のロボットアーム10530に結合され、第1の器具10532は第2のロボットアーム10534に結合される。第1のスコープ装置10512は、第1のトロカール10536を通して腹腔10505(例えば、管腔外解剖学的空間)内に挿入される。第1のトロカール10536は、ロボットアーム10538に結合されている。第1のスコープ装置10512は、封止ポート10540が結腸10502の壁10506内に配置された状態で、封止ポート10540の管腔を通して結腸腔10507(例えば、管腔内解剖学的空間)内に更に挿入される。第1のスコープ装置10512は、第1のスコープ装置10512の第1の部分10512aが腹腔10505(例えば、管腔外解剖学的空間)内に存在し、第1の部分10512aの遠位にある第1のスコープ装置10512の第2の部分10512bが結腸腔10507(例えば、管腔内解剖学的空間)内に位置決めされるように、第1のトロカール10536及び封止ポート10540の中に、かつそれらを通して挿入することができる。いくつかの実施形態では、封止ポート10540は、通気処置中に結腸腔10507の内容物が腹腔10505内に逃げるのを防止するように構成される。他の実施形態では、第1のスコープ装置10512が結腸壁10502aに形成された切開部を通して直接挿入されるように、封止ポート10540を省略することができる。
【0201】
示されるように、第1のスコープ装置10512は、腹腔10505内に存在する第1の部分10512aと、第1の部分10512aの遠位にあり、結腸腔10507内に存在する第2の部分10512bとを有する。すなわち、第1のスコープ装置10512は、腹腔鏡アプローチによって結腸10502に導入されるように設計されている。第1のスコープ装置10512の第2の部分10512bの挿入の前又は後に、封止クリップ10509a及び10509bは、結腸10502の通気された領域の対向する端部上に位置付けられることができる。
【0202】
第1のスコープ装置10512は、結腸腔10507への任意の装置又は器具の挿入に先立って、又はそれと同時に結腸腔10507に通気するように構成された第1の通気ポート10523を含む。この図示された実施形態では、第1の通気ポート10523は、第1のスコープ装置10512の第2の作業チャネル10526と流体連通している。その結果、第1の通気ポート10523を使用して、結腸腔10507への流体の流入又は結腸腔10507からの流体の流出を制御して、結腸腔10507を通気又は脱気することができる。図示されていないが、第1の通気ポート10523は、流体システムに接続される。流体システムは、ポンプ及び流体リザーバを含むことができる。ポンプは、結腸腔10507内に流体を押し込んで膨張させる(例えば、加圧する)圧力を生成し、結腸腔10507を収縮させる(例えば、減圧する)ために結腸腔10507から流体を引き出す吸引を生成する。結腸腔10507に出入りする流体は、任意の適切な流体(例えば、生理食塩水、二酸化炭素ガスなど)であり得る。他の実施形態では、結腸腔10507は、任意の他の適切な通気機構及びデバイスを使用して、通気及び脱気されることができる。
【0203】
いくつかの実施形態では、第1のスコープ装置10512の第1の部分10512aは、ロボットアーム10538と第1のトロカール10536との間に位置付けられる、モータ筐体10521内の1つ又は複数のツールドライバ(図示せず)から駆動されることができる。
【0204】
図27に更に示すように、第1のスコープ装置10512の第2の部分10512bが結腸腔10507内に配置されると、第1の器具の遠位端が結腸腔10507内に配置されるように、第1のスコープ装置10512の第1の作業チャネル10524を通して第1の器具10532を挿入することができる。結果として、第1の器具10532は、腹腔(例えば、管腔外解剖学的空間)と結腸腔10507(例えば、管腔内解剖学的空間)との両方の中に存在する。挿入されると、(第1の器具10532の)エンドエフェクタ10533は、その後の除去のために腫瘍10501と相互作用することができる。エンドエフェクタ10533は、様々な構成を有することができるが、この図示された実施形態では、エンドエフェクタ10533は、一組の可動ジョーの形態である。いくつかの実施形態では、第1の作業チャネル10524及び第2の作業チャネル10526のうちの少なくとも1つは、腹腔10505及び結腸腔10507のうちの少なくとも1つの中の第1のスコープ装置10512の位置を損なうことなく、器具の交換を可能にするように構成される。これはまた、第1の撮像システム10528の視野を維持することができる。
【0205】
いくつかの実施形態では、第1のスコープ装置10512は、結腸腔10507内にシールを形成するように構成することができる。例えば、図27に示されるように、第1のスコープ装置10512は、第1のスコープ装置10512の遠位端、又は遠位端に近接して位置付けられる封止要素10531を含む。封止要素10531は様々な構成を有し得るが、この図示される実施形態では、封止要素10531は、第1のスコープ装置10512の周りに配置された膨張可能な環状リングの形態である。第1のスコープ装置10512が腹腔10505を通って結腸腔10507内に前進される間、封止要素10531は収縮状態にある。結腸腔10507内に入ると、封止要素10531を膨張させて、結腸10502の内部組織壁に係合する際に封止を形成することができる。更に、特定の実施形態では、封止要素10531は、膨張状態にあるとき、結腸腔10507内の第1のスコープ装置10512の固定点としても機能することができる。
【0206】
図27に更に示すように、第2のスコープ装置10514は、腹腔10505内に腹腔鏡下で配置される。第2のスコープ装置は、第3及び第4の作業チャネル10554、10556が中を通って延在する可撓性本体10552と、その遠位端にある第2の撮像システム10558(例えば、カメラ)とを含む。可撓性本体10552は、任意の好適な可撓性材料(複数可)から形成することができる。
【0207】
第2のスコープ装置10514は、腹壁10503内に配置された第2のトロカール10566を通して腹腔10505(例えば、管腔外解剖学的空間)内に挿入される。第2のトロカール10566は、第2のロボットアーム10568に結合されている。第2のスコープ装置10514は、腹腔10505(例えば、管腔外解剖学的空間)内に挿入され、位置付けられる。第2のトロカール10566は、腹腔10105の中への任意のデバイス又は器具の挿入に先立って、又はそれと同時に、腹腔10105に通気するように構成される、第2の通気ポート10567を含む。この図示された実施形態では、第2の通気ポート10567は、第4の作業チャネル10556と流体連通している。結果として、第2の通気ポート10567は、腹腔10505を通気又は脱気するように、腹腔10505の内外への流体の進入又は退出を制御するために使用されることができる。図示されていないが、第2の通気ポート10567は、流体システムに接続される。流体システムは、ポンプ及び流体リザーバを含むことができる。ポンプは、腹腔10105内に流体を押し込んで膨張させる(例えば、加圧する)圧力を生成し、腹腔10105を収縮させる(例えば、減圧する)ために腹腔10105から流体を引き出す吸引を生成する。腹腔10105に出入りする流体は、任意の適切な流体(例えば、生理食塩水、二酸化炭素ガスなど)であり得る。他の実施形態では、腹腔10105は、任意の他の適切な通気機構及びデバイスを使用して、通気及び脱気されることができる。
【0208】
いくつかの実施形態では、第2のスコープ装置10514の可撓性本体10552は、第2のロボットアーム10568と第2のトロカール10566との間に位置付けられる、モータ筐体10551内の1つ又は複数のツールドライバ(図示せず)から駆動されることができる。
【0209】
示されるように、使用中、第2のスコープ装置10514の近位端は、第1のロボットアーム10560に結合され、第2の器具10562は、第2のロボットアーム10564に結合される。第2の器具10562は、第3の作業チャネル10554の中へ、及びそれを通して、腹腔10505(例えば、管腔外解剖学的空間)の中へ延在する。第2の器具10562は様々な構成を有することができるが、この図示された実施形態では、第2の器具10562は、その遠位端にエンドエフェクタ10563を備えた細長いシャフト10562aを有する。いくつかの実施形態では、第2の器具10562は、結腸腔10507(例えば、管腔内解剖学的空間)内に第1の器具10532を配置するために、腹腔10505(例えば、管腔外解剖学的空間)から結腸10502を操作するのを支援するように構成される。更に、第2の器具10562のエンドエフェクタ10563は、結腸10502と相互作用して、腫瘍10501の除去のために結腸10502を安定させるのを助けることができる。エンドエフェクタ10563は、様々な構成を有することができるが、この図示された実施形態では、エンドエフェクタ10563は、一組の可動ジョーの形態である。いくつかの実施形態では、エンドエフェクタ10563を使用して、結腸腔10507内にシールを形成することができる(例えば、結腸10502をクランプすることによって)。
【0210】
使用時、結腸腔10507は、第1の通気ポート10523及び第2の作業チャネル10526を通る流体進入を介して第1の圧力に加圧される。加えて、腹腔10505は、第2の通気ポート10567及び第4の作業チャネル10556を通る流体進入を介して、第2の圧力に加圧される。いくつかの実施形態では、第1の圧力は、第2の圧力と異なる。あるいは、第1の圧力及び第2の圧力は同一であってもよい。
【0211】
第1の圧力及び第2の圧力は、腹腔10505、結腸腔10507、又はその両方内の作業容積空間を変更するように独立して調整されることができる。例えば、腹腔10505内の作業容積空間は、腹腔10505内の圧力を増加させること、結腸腔10507内の圧力を減少させること、又はその両方によって増加させることができる。同様に、腹腔10505内の作業容積空間は、腹腔10505内の圧力を減少させること、結腸腔10507内の圧力を増加させること、又はその両方によって減少させることができる。更に、結腸腔10507内の作業容積空間は、結腸腔10507内の圧力を増加させることによって増加させることができ、結腸腔10507内の圧力を減少させることによって減少させることができる。
【0212】
図示されていないが、第1の撮像システム10528及び第2の撮像システム10558は、手術部位のスナップショット及び/又はライブビデオフィードを提供する、1つ又は複数のディスプレイに接続される。ディスプレイ上のスナップショット及び/又はライブビデオフィードは、医師が、例えば、複数の角度及びアプローチから手術部位を観察することを可能にすることができる。結果として、第1の撮像システム10528及び第2の撮像システム10558は、特定の外科的作業若しくはステップのために、又は手術処置全体を通して、第1の器具及び第2の器具のための有効作業容積体積空間と、存在する場合、第1の通気空間、第2の通気空間、又は両方に対して行われる必要がある調整を判定する際に使用されることができる情報を、医師に提供することができる。
【0213】
本明細書に記載の手術システムは、1回の使用の後に廃棄されるように設計することができ、又はこれらは複数回使用されるように設計することができる。しかしながら、いずれの場合も、手術システムは、少なくとも1回の使用後に、再使用のために再調整することができる。再調整は、手術デバイスを分解する工程、続いて特定の部分を清浄又は交換する工程、及びその後の再組立ての工程の任意の組み合わせを含むことができる。特に、手術システムは分解することができ、手術システムの任意の数の特定のピース又は部品を、任意の組み合わせで選択的に交換又は除去することができる。特定の部品を洗浄及び/又は交換すると、手術システムは、再調整設備において、又は手術処置の直前に手術チームによって、後で使用するために再組み立てすることができる。当業者であれば、手術デバイスの再調整が、分解、洗浄/交換、及び再組立のための様々な技術を利用できることを理解するであろう。そのような技術の使用と、結果としての再調整された器具は、全て本出願の範囲内にある。
【0214】
更に、本開示においては、実施形態の同様の名称の構成要素は概して同様の特徴を有するものであり、したがって、特定の実施形態において、同様の名称の各構成要素の各特徴については必ずしも完全に詳しく述べることはしない。追加的に、開示されるシステム、デバイス、及び方法の説明で直線寸法又は円寸法が使用される限りにおいて、そのような寸法は、そのようなシステム、デバイス、及び方法と組み合わせて使用することができる形状の種類を限定しようとするものではない。当業者には、そのような直線寸法及び円寸法に相当する寸法を、任意の幾何学的形状について容易に判定することができる点が認識されるであろう。システム及びデバイス、並びにその構成要素のサイズ及び形状は、少なくとも、システム及びデバイスが使用される対象の解剖学的構造、システム及びデバイスがともに使用される構成要素のサイズ及び形状、並びにシステム及びデバイスが使用される方法及び手術に依存し得る。
【0215】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、器具のハンドルを握っている臨床医などのユーザを基準として使用されることが認識されるであろう。「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書ではそれぞれ、ロボットに取り付けられるように構成された手術器具の上端部(例えば、使用中に手術部位から最も遠い端部)及び下端部(例えば、使用中に手術部位に最も近い端部)に関して使用されることが理解されるであろう。「前方」及び「後方」といった他の空間的用語は、同様に、遠位及び近位にそれぞれ対応する。便宜上、かつ明瞭さのために、本明細書では「垂直」及び「水平」などの空間的用語が、図面に対して使用される点も更に理解されるであろう。しかしながら、手術器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの空間的用語は、限定的かつ絶対的なものであることを意図するものではない。
【0216】
値又は範囲は、本明細書では、「約」及び/又は「約」1つの特定の値から別の特定の値までとして表すことができる。そのように値又は範囲が表される場合、開示される他の実施形態は、列挙された特定の値、及び/又は1つの特定の値から別の特定の値までを含む。同様に、先行する「約」の使用によって値が近似の形式で表現された場合、本明細書に開示される多くの値が列挙され、その特定値により別の実施形態が形成されることが理解されるであろう。本明細書に開示される多くの値が存在し、各値は、本明細書においては、その特定の値自体に加えて「約」が付く値として開示されることも更に理解されるであろう。各実施形態では、「約」は、例えば、列挙された値の10%以内、列挙された値の5%以内、又は列挙された値の2%以内を意味するために使用され得る。
【0217】
本教示を説明及び定義する目的で、別様に記載されていない限り、用語「実質的に」は、本明細書では、任意の定量的な比較、値、測定、又は他の表現に起因し得る固有の不確実性の程度を表すために利用されることに留意されたい。用語「実質的に」はまた、本明細書では、定量的表現が、問題の対象物の基本的機能の変化をもたらすことなく、記述された基準から変化し得る程度を表すためにも利用される。
【0218】
当業者には、上で説明される実施形態に基づいて本発明の更なる特徴及び利点が認識されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって示される場合を除き、具体的に示され説明された内容により限定されるものではない。本明細書で引用される全ての刊行物及び参考文献は、参照によりそれらの全体が本明細書に明示的に組み込まれる。参照によって全体又は一部が本明細書に組み込まれるとされる任意の特許、公開又は情報は、組み込まれる要素が、この文書に記載されている既存の定義、記述、又は他の開示の要素と矛盾しない程度のみである。したがって、本明細書に明確に示した開示内容は、参照によって本明細書に組み込まれるいかなる矛盾する要素にも優先するものとする。
【0219】
〔実施の態様〕
(1) 手術システムであって、
管腔外解剖学的空間内に部分的に挿入されて位置決めされるように構成された第1の部分と、前記第1の部分の遠位にあり、管腔内解剖学的空間内に位置決めされるように構成された第2の部分と、を有する第1のスコープ装置であって、前記第1のスコープ装置が、前記第1のスコープ装置の視野内の第1のシーンの画像データを送信するように構成された、第1のスコープ装置と、
第2のスコープ装置であって、前記管腔外解剖学的空間内に少なくとも部分的に挿入されて配置され、前記第2のスコープ装置の視野内の第2のシーンの画像データを送信するように構成され、前記第2のシーンが前記第1のシーンとは異なり、前記第1の器具の前記第1の部分の少なくとも一部が前記第2のスコープ装置の前記視野内に存在し、それによって前記第1のスコープ装置を前記第2のスコープ装置に対して追跡する、第2のスコープ装置と、
前記第1のシーン及び前記第2のシーンの前記送信された画像データを受信し、前記管腔内解剖学的空間内の前記第1のスコープ装置の前記第2の部分から前記管腔外空間内の前記第2のスコープ装置までの相対距離を判定し、単一のシーンにおける前記第1のスコープ装置及び前記第2のスコープ装置の少なくとも一部のマージされた画像を提供するように構成されたコントローラであって、前記マージされた画像における前記第1のスコープ装置及び前記第2のスコープ装置の一部のうちの少なくとも1つが、その代表的な描写である、コントローラと、を備えている手術システム。
(2) 前記第1のスコープ装置及び前記第2のスコープの一部が、それぞれ、前記マージされた画像内にその代表的な描写として示される、実施態様1に記載の手術システム。
(3) 前記第1のスコープ装置及び前記第2のスコープ装置のうちの少なくとも1つの少なくとも一部が、前記マージされた画像内にその実際の描写として示される、実施態様1又は実施態様2に記載の手術システム。
(4) 前記第1のシーンを表示するように構成された第1のディスプレイと、前記第2のシーンを表示するように構成された第2のディスプレイとを更に備える、実施態様1に記載の手術システム。
(5) 前記第1のディスプレイ及び前記第2のディスプレイのうちの少なくとも1つが、前記単一のシーンを表示するように更に構成されている、実施態様4に記載の手術システム。
【0220】
(6) 前記単一のシーンを表示するように構成された第3のディスプレイを更に備える、実施態様4に記載の手術システム。
(7) 前記第1のシーンが前記第2のスコープ装置を含まず、前記第2のシーンが前記第1のスコープ装置の前記第2のセグメントを含まない、実施態様1に記載の手術システム。
(8) 前記第1のスコープ装置が、内部を通って延在する作業チャネルを有する可撓性本体を備え、前記作業チャネルが、器具が前記管腔外空間と前記管腔内空間との両方に存在するように、前記器具の遠位端が前記管腔外空間内に挿入され、前記管腔外空間を通って前記管腔内空間内に挿入されることを可能にするように構成されている、実施態様1に記載の手術システム。
(9) 前記第2のシーンが、前記器具の前記遠位端を含まない、実施態様8に記載の手術システム。
(10) 前記第1のスコープ装置が、前記第1のスコープ装置の前記第1の部分上に配置された基準マーカを含む、実施態様1に記載の手術システム。
【0221】
(11) 前記コントローラが、前記基準マーカに基づいて前記第1のスコープ装置の前記第2の部分を追跡するように構成されている、実施態様10に記載の手術システム。
(12) 方法であって、
第1のスコープ装置によって、前記第1のスコープ装置の第1のセグメントが管腔外解剖学的空間内に配置され、前記第1のセグメントの遠位にある前記第1のスコープ装置の第2のセグメントが管腔内解剖学的空間内に配置されている間に、前記第1のスコープ装置の視野内の第1のシーンの画像データを送信することと、
第2のスコープ装置によって、前記第2のスコープ装置が前記管腔外空間内に位置付けられている間に、前記第2のスコープ装置の視野内の第2のシーンの画像データを送信することであって、前記第2のシーンが前記第1のシーンと異なる、送信することと、
コントローラによって、前記第1のシーン及び前記第2のシーンの前記送信された画像データを受信することと、
前記コントローラによって、前記管腔内解剖学的空間内の前記第1のスコープ装置の前記第2のセグメントから前記管腔外空間内の前記第2のスコープ装置までの相対距離を判定することと、
単一のシーンにおける前記第1のスコープ装置及び前記第2のスコープ装置の少なくとも一部のマージされた画像を生成することであって、前記単一のシーンに示された前記第1のスコープ装置及び前記第2のスコープ装置の一部のうちの少なくとも1つが、その代表的な描写である、生成することと、を含む方法。
(13) 前記マージされた画像内に前記第1のスコープ装置の一部の代表的な描写を表示することと、
前記マージされた画像内に前記第2のスコープ装置の代表的な描写を表示することと、
を更に含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記第1のシーンを第1のディスプレイ上に表示することと、
前記第2のシーンを第2のディスプレイ上に表示することと、
を更に含む、実施態様12に記載の方法。
(15) 前記第1のディスプレイ及び前記第2のディスプレイのうちの少なくとも1つに前記単一のシーンを表示することを更に含む、実施態様14に記載の方法。
【0222】
(16) 前記単一のシーンを第3のディスプレイ上に表示することを更に含む、実施態様14に記載の方法。
(17) 器具が前記管腔外空間と前記管腔内空間との両方に存在するように、前記第1のスコープ装置の可撓性本体の作業チャネルを通して器具を挿入して、前記器具の遠位端を前記管腔外空間内に入れ、前記管腔外空間を通して前記管腔内空間内に入れることを更に含む、実施態様12に記載の方法。
(18) 前記第2のシーンが、前記器具の前記遠位端を含まない、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記コントローラによって、前記第1のスコープ装置の前記第1のセグメント上に配置された基準マーカに基づいて、前記管腔内空間内に配置された前記第1のスコープ装置の前記第2のセグメントを追跡することを更に含む、実施態様12に記載の方法。
(20) 前記第1のシーンが前記第2のスコープ装置を含まず、前記第2のシーンが前記第1のスコープ装置の前記第1のセグメントを含まない、実施態様12に記載の方法。
【0223】
(21) 命令を含むコンピュータプログラム製品であって、前記命令が、前記プログラムがコントローラによって実行されるときに、前記コントローラに、
第1のスコープ装置の第1のセグメントが管腔外解剖学的空間内に配置され、前記第1のセグメントの遠位にある前記第1のスコープ装置の第2のセグメントが管腔内解剖学的空間内に配置されている間に、前記第1のスコープ装置の視野内の第1のシーンの画像データを受信するステップと、
第2のスコープ装置が前記管腔外空間内に位置付けられている間に、前記第2のスコープ装置の視野内の第2のシーンの画像データを受信するステップであって、前記第2のシーンが前記第1のシーンと異なる、受信するステップと、
前記管腔内解剖学的空間内の前記第1のスコープ装置の前記第2のセグメントから前記管腔外空間内の前記第2のスコープ装置までの相対距離を判定するステップと、
単一のシーンにおける前記第1のスコープ装置及び前記第2のスコープ装置の少なくとも一部のマージされた画像を生成するステップであって、前記単一のシーンに示された前記第1のスコープ装置及び前記第2のスコープ装置の一部のうちの少なくとも1つが、その代表的な描写である、生成するステップと、を実行させる、コンピュータプログラム製品。
(22) 実施態様21に記載のコンピュータプログラム製品を記憶したコンピュータ可読媒体。
(23) 実施態様21に記載のコンピュータプログラム製品を搬送するデータ搬送信号。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図16
図17
図18
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図20
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図26
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図26b
図27
【国際調査報告】