(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】オレフィンを生成するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
C07C 5/333 20060101AFI20241003BHJP
C07C 5/48 20060101ALI20241003BHJP
C07C 4/02 20060101ALI20241003BHJP
C07C 1/24 20060101ALI20241003BHJP
C07C 11/04 20060101ALI20241003BHJP
C07C 11/06 20060101ALI20241003BHJP
C07C 11/08 20060101ALI20241003BHJP
C07C 15/46 20060101ALI20241003BHJP
B01J 8/24 20060101ALI20241003BHJP
F28D 7/16 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C07C5/333
C07C5/48
C07C4/02
C07C1/24
C07C11/04
C07C11/06
C07C11/08
C07C15/46
B01J8/24
F28D7/16 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519366
(86)(22)【出願日】2022-10-04
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 US2022077538
(87)【国際公開番号】W WO2023060085
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【氏名又は名称】新井 剛
(72)【発明者】
【氏名】プレッツ、マシュー ティ.
(72)【発明者】
【氏名】サンドバル、フェルミン アレハンドロ
(72)【発明者】
【氏名】プンガヌール、モハン ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】マクニーリー、アダム エム.
(72)【発明者】
【氏名】クロース、ヤコブス
(72)【発明者】
【氏名】サカレ、アニル ブイ.
【テーマコード(参考)】
3L103
4G070
4H006
【Fターム(参考)】
3L103AA35
4G070AA01
4G070AB10
4G070BB32
4G070CA25
4G070CB17
4G070DA23
4H006AA02
4H006AA04
4H006AB46
4H006AC12
4H006AC26
4H006BD81
(57)【要約】
オレフィンを生成するための方法は、炭化水素供給物流を粒子状固体と接触させることを含み得、炭化水素供給物流の粒子状固体との接触が、炭化水素供給物流を反応させて生成物流を形成する。方法は、生成物流から粒子状固体を分離することと、生成物流及び炭化水素供給物流の少なくとも一部分を供給物流予熱器に通すことと、を含み得る。供給物流予熱器は、シェルと、シェルを通って軸方向に延在する複数のチューブと、シェル側入口と、シェル側出口と、チューブ側入口と、チューブ側出口と、入口チューブ板と、出口チューブ板と、を備えるシェルアンドチューブ熱交換器を含み得る。出口チューブ板は、伸縮継手によってシェルに接続されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィンを生成するための方法であって、
炭化水素供給物流を粒子状固体と反応容器内で接触させることであって、前記炭化水素供給物流の前記粒子状固体との前記接触が、前記炭化水素供給物流を反応させて生成物流を形成する、接触させることと、
気体/固体分離デバイスにおいて、前記生成物流から前記粒子状固体を分離することと、
前記生成物流の少なくとも一部分及び前記炭化水素供給物流の一部分を供給物流予熱器に通すことと、を含み、
前記供給物流予熱器が、シェルと、前記シェルを通って軸方向に延在する複数のチューブと、シェル側入口と、シェル側出口と、チューブ側入口と、チューブ側出口と、入口チューブ板と、出口チューブ板と、を備えるシェルアンドチューブ熱交換器を備え、
前記出口チューブ板が、伸縮継手によって前記シェルに接続されている、方法。
【請求項2】
前記生成物流の前記少なくとも一部分が、前記チューブ側入口を通って前記シェルアンドチューブ熱交換器に入り、前記チューブ側出口を通って前記シェルアンドチューブ熱交換器から出る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記炭化水素供給物流の前記少なくとも一部分が、前記シェル側入口を通って前記シェルアンドチューブ熱交換器に入り、前記シェル側出口を通って前記シェルアンドチューブ熱交換器から出る、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記入口チューブ板、前記出口チューブ板、又はその両方が、前記チューブのうちの少なくとも1つに対して接線方向のノッチを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記シェルアンドチューブ熱交換器が、前記シェルアンドチューブ熱交換器を支持する1つ以上の吊り下げ支持ラグを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記シェルアンドチューブ熱交換器が、第2のシェル側出口を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記チューブが、螺旋状フィン、長手方向フィン、螺旋状溝、長手方向溝、波形部、及びディンプルのうちの1つ以上を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記シェルアンドチューブ熱交換器の前記シェルを通る前記炭化水素供給物流の流れが、実質的に軸方向である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記シェルアンドチューブ熱交換器が、エキスパンデッドメタルバッフル、ロッドバッフル、格子、ペタルバッフル、チューブインウィンドウバッフル、ノーチューブインウィンドウブバッフル、ディスクアンドドーナツバッフル、ダブルセグメントバッフル、及びトリプルセグメントバッフルから選択される1つ以上のバッフルを更に備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
入口チューブ板が、インナーボア溶接によって、前記複数のチューブの各々に接続される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記シェルアンドチューブ熱交換器が、前記チューブ側入口の周りに耐火ライニングを備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記シェルの長さの前記シェルの直径に対する比率が、2~8である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
粒子状固体を再生するための方法であって、前記方法が、
粒子状固体処理容器内で、酸素含有気体の存在下で前記粒子状固体を再生することであって、前記粒子状固体の前記再生が、
前記粒子状固体を、酸素含有気体との接触によって酸化すること、
前記粒子状固体上に存在するコークスを燃焼させること、又は
前記粒子状固体を加熱するために補助燃料を燃焼させることのうちの1つ以上を含む、再生することと、
気体/固体分離デバイス内で、煙道気体から前記粒子状固体を分離することと、
前記煙道気体の少なくとも一部分及び前記酸素含有気体の少なくとも一部分を気体予熱器に通過させることと、を含み、
前記気体予熱器が、シェルと、前記シェルを通って軸方向に延在する複数のチューブと、シェル側入口と、シェル側出口と、チューブ側入口と、チューブ側出口と、入口チューブ板と、出口チューブ板と、を備えるシェルアンドチューブ熱交換器を備え、
前記出口チューブ板が、伸縮継手によって前記シェルに接続されている、方法。
【請求項14】
前記煙道気体の前記少なくとも一部分が、前記チューブ側入口を通って前記シェルアンドチューブ熱交換器に入り、前記チューブ側出口を通って前記シェルアンドチューブ熱交換器から出る、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記酸素含有気体の前記少なくとも一部分が、前記シェル側入口を通って前記シェルアンドチューブ熱交換器に入り、前記シェル側出口を通って前記シェルアンドチューブ熱交換器から出る、請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年10月5日に出願された「SYSTEMS AND METHODS FOR PRODUCING OLEFINS」と題する米国特許出願第63/252,212号の利益及び優先権を主張するものであり、その内容全体が、参照により、本開示に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本明細書に記載される実施形態は、概して、化学処理に関し、より具体的には、熱を伝達するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
軽質オレフィンは、多くの種類の商品及び材料を生成するためのベース材料として利用され得る。例えば、エチレンは、ポリエチレン、塩化エチレン、又はエチレンオキシドを製造するために利用され得る。このような生成物は、製品の包装、建設、繊維などに利用され得る。したがって、エチレン、プロピレン、及びブテンなどの軽質オレフィンに対する業界需要が存在する。軽質オレフィンは、原油の精製操作からの生成物流であり得る所与の化学供給物流に応じて、異なる反応プロセスによって生成され得る。多くの軽質オレフィンは、固体粒子状触媒などの粒子状固体を用いるプロセスを通して生成され得る。
【発明の概要】
【0004】
炭化水素供給物を処理してオレフィンを生成するためのいくつかの反応器システムは、炭化水素供給原料が反応器に入る前に、炭化水素供給原料を加熱するために使用される熱交換器を含む。熱交換器は、生成物流から炭化水素供給原料に熱を伝達して戻すことができる。しかしながら、温度の著しい差は、熱交換器の構成要素の不均一な熱膨張に起因して、それらの構成要素間に応力をもたらす可能性がある。追加的に、従来の熱交換器の構造は、熱交換器を通過する流体に望ましくない圧力低下をもたらす可能性がある。したがって、生成物流から炭化水素供給原料に熱を伝達するための改善された方法及びシステムが、必要とされている。
【0005】
現在開示されているものは、以前の設計で特定された問題に対処し得る、オレフィンを生成するための方法及びシステムである。1つ以上の実施形態では、オレフィンを生成するための方法及びシステムは、生成物流から炭化水素供給原料に熱を伝達するためのシェルアンドチューブ熱交換器を含み得る。本明細書に開示される実施形態では、シェルアンドチューブ熱交換器は、熱伝達を増加させ、熱交換器及び他のシステム構成要素にかかる熱応力を減少させるための数ある特徴の中でも特に、伸縮継手、耐火材料、及び増大した表面積を有するチューブのうちの1つ以上を備え得る。
【0006】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態によれば、オレフィンを生成するための方法は、反応容器内で炭化水素供給物流を粒子状固体と接触させることを含み得、炭化水素供給物流の粒子状固体との接触が、炭化水素供給物流を反応させて生成物流を形成する。方法は、粒子状固体分離セクション内に収容された気体/固体分離デバイス内で生成物流から粒子状固体を分離することと、生成物流の少なくとも一部分及び炭化水素供給物流の一部分を供給物流予熱器に通すことと、を含み得る。供給物流予熱器は、シェルと、シェルを通って軸方向に延在する複数のチューブと、シェル側入口と、シェル側出口と、チューブ側入口と、チューブ側出口と、入口チューブ板と、出口チューブ板と、を備えるシェルアンドチューブ熱交換器を備えてもよい。出口チューブ板は、伸縮継手によってシェルに接続されてもよい。
【0007】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態によれば、粒子状固体を再生するための方法は、粒子状固体処理容器内で、酸素含有気体の存在下で粒子状固体を再生することを含んでもよく、粒子状固体の再生は、酸素含有気体との接触によって、粒子状固体を酸化すること、粒子状固体上に存在するコークスを燃焼させること、又は、粒子状固体を加熱するために補助燃料を燃焼させることのうちの1つ以上を含んでもよい。方法は、気体/固体分離デバイスにおいて煙道気体から粒子状固体を分離することと、煙道気体の少なくとも一部分及び酸素含有気体の少なくとも一部分を気体予熱器に通すことと、を含み得る。気体予熱器は、シェルと、シェルを通って軸方向に延在する複数のチューブと、シェル側入口と、シェル側出口と、チューブ側入口と、チューブ側出口と、入口チューブ板と、出口チューブ板と、を備えるシェルアンドチューブ熱交換器を備えてもよい。出口チューブ板は、伸縮継手によってシェルに接続されてもよい。
【0008】
前述の概要及び以下の詳細な説明の両方は、技術の実施形態を提示しており、また、これらが特許請求される技術の性質及び特徴を理解するための概要又は枠組みを提供することを意図していることを理解されたい。添付の図面は、技術の更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、様々な実施形態を例示し、説明とともに、技術の原則及び作動を説明するのに役立つ。追加的に、図面及び説明は、単なる例示であることを意図し、いかなる様式でも特許請求の範囲を限定することを意図していない。
【0009】
本明細書で開示された技術の追加の特徴及び利点は、後続の詳細な説明において記載され、その説明から当業者にとって容易に部分的に明らかになるか、又は後続の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付の図面を含む、本明細書に記載されるような技術を実践することによって、認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の特定の実施形態の以下の「発明を実施するための形態」は、以下の図面と併せて読むと最も良く理解され得るが、そこでは、同様の構造が同様の参照数字で示されている。
【
図1】本明細書に開示される1つ以上の実施形態による、反応器セクション及び再生器セクションを備える反応器システムを概略的に描示する。
【
図2】本明細書に開示される1つ以上の実施形態による、反応容器及び外部ライザーセグメントを概略的に描示する。
【
図3】本明細書に開示される1つ以上の実施形態による、粒子状固体分離セクションを概略的に描示する。
【
図4】本明細書に開示される1つ以上の実施形態による、シェルアンドチューブ熱交換器を描示する。
【0011】
図面が、本質的に概略的であり、限定なしに、温度伝送器、圧力伝送器、流量計、ポンプ、バルブなどの当該技術分野で一般的に使用される流体触媒反応器システムのいくつかの構成要素を含まないことを理解されたい。これらの構成要素が、開示された本実施形態の趣旨及び範囲内にあることが知られているであろう。しかしながら、本開示に記載されているものなどの動作構成要素は、本開示に記載されている実施形態に追加され得る。
【0012】
ここで、様々な実施形態をより詳細に参照し、そのうちのいくつかの実施形態が添付の図面に例示される。可能な場合はいつでも、同じ又は同様の部分を参照するために、図面全体で同じ参照番号が使用されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
炭化水素供給物流からオレフィンを生成するための方法が本明細書に開示される。このような方法は、システム部品の特定の配向などの特定の特徴を有するシステムを利用する。例えば、本明細書に記載される1つ以上の実施形態では、シェルアンドチューブ熱交換器は、垂直に配向される。本明細書で詳細に開示される1つの実施形態が、
図1に描写されている。しかしながら、本明細書に開示及び教示される原理が、異なる様式で配向された異なるシステム構成要素を利用する他のシステム、又は様々な触媒組成物を利用する異なる反応スキームに適用可能であり得ることを理解されたい。
【0014】
ここで
図1を参照すると、反応器システム100は、概して、反応器セクション200及び再生セクション300などの複数のシステム構成要素を備える。
図1に関連して本明細書で使用される場合、反応器セクション200は、概して、一次プロセス反応が起こり、粒子状固体が、反応のオレフィン含有生成物流から分離される、反応器システム100の部分を指す。1つ以上の実施形態では、粒子状固体は、使用済みであり得、これは、粒子状固体が少なくとも部分的に不活性化されていることを意味する。また、本明細書で使用される場合、再生セクション300は、概して、粒子状固体が燃焼などによって再生され、再生された粒子状固体が、使用済み粒子状固体上で先に燃焼された材料から、又は補助燃料から発生した気体などの他のプロセス材料から分離される、流体触媒反応器システムの部分を指す。反応器セクション200は、概して、反応容器250、外部ライザーセグメント232及び内部ライザーセグメント234を含むライザー230、並びに粒子状固体分離セクション210を含む。再生セクション300は、概して、粒子状固体処理容器350、外部ライザーセグメント332及び内部ライザーセグメント334を含むライザー330、並びに粒子状固体分離セクション310を含む。概して、粒子状固体分離セクション210は、例えばスタンドパイプ126によって、粒子状固体処理容器350と流体連通し得、粒子状固体分離セクション310は、例えばスタンドパイプ124及び輸送ライザー130によって、反応容器250と流体連通し得る。
【0015】
概して、反応器システム100は、炭化水素供給物及び流動化粒子状固体を反応容器250に供給し、炭化水素供給物を流動化粒子状固体と接触させることによって反応させて、反応器セクション200の反応容器250においてオレフィン含有生成物を生成することによって動作し得る。オレフィン含有生成物及び粒子状固体は、反応容器250から出て、ライザー230を通して粒子状固体分離セクション210における気体/固体分離デバイス220に通過させられ得、そこで、粒子状固体がオレフィン含有生成物から分離され得る。次いで、粒子状固体は、粒子状固体分離セクション210から出て、粒子状固体処理容器350に輸送され得る。粒子状固体処理容器350では、粒子状固体が、化学プロセスによって再生され得る。例えば、使用済み粒子状固体は、酸素含有気体との接触による粒子状固体の酸化、粒子状固体上に存在するコークスの燃焼、及び粒子状固体を加熱するための補助燃料の燃焼のうちの1つ以上によって再生され得る。次いで、粒子状固体は、粒子状固体処理容器350から出て、ライザー330を通ってライザー終端デバイス378に入り得、そこで、ライザー330からの気体及び粒子状固体が、部分的に分離される。ライザー330からの気体及び残留粒子状固体は、粒子状固体分離セクション310内の気体/固体分離デバイス320に輸送され、そこで、残留粒子状固体が、再生反応からの気体から分離される。気体から分離された粒子状固体は、固体粒子収集領域380に通過させられ得る。次いで、分離された粒子状固体は、固体粒子収集領域380から反応容器250に渡され得、そこで更に利用される。したがって、粒子状固体は、反応器セクション200と再生セクション300との間を循環し得る。
【0016】
1つ以上の実施形態では、反応器システム100は、反応器セクション200又は再生セクション300のいずれかを含む場合があり、両方は含まない場合がある。更なる実施形態では、反応器システム100は、単一の再生セクション300及び複数の反応器セクション200を含み得る。
【0017】
追加的に、本明細書に記載されるように、反応器セクション200及び再生セクション300の構造的特徴は、いくつかの点で同様又は同一であり得る。例えば、反応器セクション200及び再生セクション300の各々は、反応容器(すなわち、反応器セクション200の反応容器250及び再生セクション300の粒子状固体処理容器350)、ライザー(すなわち、反応器セクション200のライザー230及び再生セクション300のライザー330)、及び粒子状固体分離セクション(すなわち、反応器セクション200の粒子状固体分離セクション210及び再生セクション300の粒子状固体分離セクション310)を含む。反応器セクション200及び再生セクション300の構造的特徴の多くが、いくつかの点で同様又は同一であり得るため、反応器セクション200及び再生セクション300の同様又は同一の部分は、本開示全体を通して、同じ最後の2桁を有する参照番号が提供されており、反応器セクション200の1つの部分に関する開示が、再生セクション300の同様又は同一の部分に適用可能であり得、逆もまた同様であることを理解されたい。
【0018】
非限定的な例では、本明細書に記載の反応器システム100は、炭化水素供給物流から軽質オレフィンを生成するために利用され得る。軽質オレフィンは、異なる反応機構を利用することによって、多種多様な炭化水素供給物流から生成され得る。例えば、軽質オレフィンは、少なくとも脱水素反応、クラッキング反応、脱水反応、及びメタノールからオレフィンへの反応によって生成され得る。これらの反応型は、異なる供給物流及び異なる粒子状固体を利用して、軽質オレフィンを生成し得る。「触媒」が本明細書で言及される場合、それらは、
図1のシステムに関して言及される粒子状固体を等しく指し得ることを理解されたい。
【0019】
1つ以上の実施形態によれば、反応は、脱水素反応であり得る。このような実施形態によれば、炭化水素供給物流は、エチルベンゼン、エタン、プロパン、n-ブタン、及びi-ブタンのうちの1つ以上を含み得る。1つ以上の実施形態では、炭化水素供給物流は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は更に少なくとも99重量%のエチルベンゼンを含み得る。1つ以上の実施形態では、炭化水素供給物流は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は更に少なくとも99重量%のエタンを含み得る。追加の実施形態では、炭化水素供給物流は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は更に少なくとも99重量%のプロパンを含み得る。追加の実施形態では、炭化水素供給物流は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は更に少なくとも99重量%のn-ブタンを含み得る。追加の実施形態では、炭化水素供給物流は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は更に少なくとも99重量%のi-ブタンを含み得る。追加の実施形態では、炭化水素供給物流は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は更に少なくとも99重量%のエタン、プロパン、n-ブタン、及びi-ブタンの合計を含み得る。
【0020】
1つ以上の実施形態では、反応機構は、後に燃焼が続く脱水素であり得る(同じチャンバにおける)。このような実施形態では、脱水素反応は、副生成物として水素を生成し得、酸素キャリア材料は、水素と接触して水素の燃焼を促進し、水を形成し得る。本明細書に記載のシステム及び方法のための可能な反応機構として企図されるそのような反応機構の例は、国際公開第2020/046978号に開示されており、その教示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0021】
1つ以上の実施形態によれば、反応は、クラッキング反応であり得る。このような実施形態によれば、炭化水素供給物流は、ナフサ、n-ブタン、又はi-ブタンのうちの1つ以上を含み得る。1つ以上の実施形態によれば、炭化水素供給物流は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は更に少なくとも99重量%のナフサを含み得る。追加の実施形態では、炭化水素供給物流は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は更に少なくとも99重量%のn-ブタンを含み得る。追加の実施形態では、炭化水素供給物流は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は更に少なくとも99重量%のi-ブタンを含み得る。追加の実施形態では、炭化水素供給物流は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は更に少なくとも99重量%のナフサ、n-ブタン、及びi-ブタンの合計を含み得る。
【0022】
1つ以上の実施形態によれば、反応は、脱水反応であり得る。このような実施形態によれば、炭化水素供給物流は、エタノール、プロパノール、又はブタノールのうちの1つ以上を含み得る。1つ以上の実施形態によれば、炭化水素供給物流は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は更に少なくとも99重量%のエタノールを含み得る。追加の実施形態では、炭化水素供給物流は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は更に少なくとも99重量%のプロパノールを含み得る。追加の実施形態では、炭化水素供給物流は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は更に少なくとも99重量%のブタノールを含み得る。追加の実施形態では、炭化水素供給物流は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は更に少なくとも99重量%のエタノール、プロパノール、及びブタノールの合計を含み得る。
【0023】
1つ以上の実施形態によれば、反応は、メタノールからオレフィンへの反応であり得る。このような実施形態によれば、炭化水素供給物流は、メタノールを含み得る。1つ以上の実施形態によれば、炭化水素供給物流は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は更に少なくとも99重量%のメタノールを含み得る。
【0024】
1つ以上の実施形態では、化学プロセスの動作は、反応器から出て生成物流を通過させることを含み得る。生成物流は、軽質オレフィン又はスチレンなどのアルキル芳香族オレフィンを含み得る。本明細書に記載されるように、「軽質オレフィン」は、エチレン、プロピレン、又はブテンのうちの1つ以上を指す。本明細書に記載されるように、多くのブテンは、α-ブチレン、シス-β-ブチレン、トランス-β-ブチレン、及びイソブチレンなどのブテンの任意の異性体を含む。一実施形態では、生成物流は、少なくとも50重量%の軽質オレフィンを含み得る。例えば、生成物流は、少なくとも60重量%の軽質オレフィン、少なくとも70重量%の軽質オレフィン、少なくとも80重量%の軽質オレフィン、少なくとも90重量%の軽質オレフィン、少なくとも95重量%の軽質オレフィン、又は更に少なくとも99重量%の軽質オレフィンを含み得る。
【0025】
ここで
図1及び
図2を参照すると、反応容器250は、輸送ライザー130の反応容器250への接続を画定する反応容器粒子状固体入口ポート252を含み得る。反応容器250は、ライザー230の外部ライザーセグメント232と流体連通しているか、又は直接接続されている反応容器出口ポート254を更に含み得る。本明細書に記載されるように、「反応容器」は、ドラム、バレル、バット、又は所与の化学反応に好適な他の入れ物を指す。反応容器は、概して、円筒形状(すなわち、実質的に円形の断面形状を有する)であり得るか、あるいは、代わりに、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形、楕円形、若しくは他の多角形の断面形状を有する角柱状、又は閉曲線状などの非円筒形状、又はこれらの組み合わせであり得る。反応容器は、本開示全体を通して使用される場合、概して、金属フレームを含み得、金属フレームを保護し、かつ/又はプロセス条件を制御するために利用される耐火ライニング又は他の材料を更に含み得る。
【0026】
概して、本明細書に記載の流体触媒反応器システム100の任意のシステムユニットの「入口ポート」及び「出口ポート」とは、システムユニット内の開口部、穴、チャネル、アパーチャ、すき間、又は他の同様の機械的特徴を指す。例えば、入口ポートは、特定のシステムユニットへの材料の流入を可能にし、出口ポートは、特定のシステムユニットからの材料の流出を可能にする。概して、出口ポート又は入口ポートは、パイプ、導管、チューブ、ホース、輸送ライン、又は同様の機械的特徴が取り付けられる流体触媒反応器システム100のシステムユニットの領域、又は別のシステムユニットが直接取り付けられるシステムユニットの一部分を画定することになる。入口ポート及び出口ポートは、動作において機能的に本明細書で説明される場合があるが、それらは同様又は同一の物理的特徴を有し得、動作システムにおけるそれらのそれぞれの機能は、それらの物理的構造を制限するものとして解釈されるべきではない。ライザーポート218などの他のポートは、ライザー230がライザーポート218において粒子状固体分離セクション210内に延在する場合など、他のシステムユニットが直接取り付けられる所与のシステムユニットに開口部を備え得る。
【0027】
反応容器250は、輸送ライザー130に接続され得、これは、動作中、再生された粒子状固体及び化学供給物を反応器セクション200に提供し得る。
図2に示されるように、再生された粒子状固体及び化学供給物は、反応容器250に収容された分配器260で混合され得る。再び
図1を参照すると、輸送ライザー130を介して反応容器250に入る粒子状固体は、スタンドパイプ124を通して輸送ライザー130に通過させられることにより、再生セクション300から到達し得る。いくつかの実施形態では、粒子状固体は、粒子状固体分離セクション210からスタンドパイプ122を介して輸送ライザー130に直接入り得、そこで、反応容器250に入る。これらの粒子状固体は、わずかに不活性化されている場合があるが、いくつかの実施形態では、依然として、反応容器250での使用に好適であり得る。
【0028】
図1及び
図2に描写されるように、反応容器250は、外部ライザーセグメント232に直接接続され得る。一実施形態では、反応容器250は、反応容器本体セクション256と、反応容器本体セクション256と外部ライザーセグメント232との間に位置付けられた反応容器遷移セクション258と、を含み得る。反応容器本体セクション256は、概して、反応容器遷移セクション258よりも大きい直径を含み得、反応容器遷移セクション258は、反応容器遷移セクション258が反応容器本体セクション256から外部ライザーセグメント232へと内向きに突出するように、反応容器本体セクション256の直径のサイズからライザー230の直径のサイズへとテーパ状であり得る。本明細書で使用される場合、システムユニットの一部分の直径とは、
図1における水平方向に示されるように、その一般的な幅を指すことを理解されたい。
【0029】
追加的に、反応容器本体セクション256は、概して、反応容器本体セクション256の高さが粒子状固体入口ポート152から反応容器遷移セクション258まで測定される、高さを含み得る。1つ以上の実施形態では、反応容器本体セクション256の直径は、反応容器本体セクション256の高さよりも大きくあり得る。1つ以上の実施形態では、反応容器本体セクション256の直径の高さに対する比率は、5:1~1:5であり得る。例えば、粒子状固体処理容器本体セクション356の直径の高さに対する比率は、5:1~1:5、4:1~1:5、3:1~1:5、2:1~1:5、1:1~1:5、1:2~1:5、1:3~1:5、1:4~1:5、5:1~1:4、5:1~1:3、5:1~1:2、5:1~1:1、5:1~2:1、5:1~3:1、5:1~4:1、又はこれらの範囲の任意の組み合わせ若しくは部分組み合わせであり得る。
【0030】
1つ以上の実施形態では、反応容器250は、ライザー230の最大断面積の少なくとも3倍である最大断面積を有し得る。例えば、反応容器250は、ライザー230の最大断面積の少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、又は更に少なくとも10倍である最大断面積を有し得る。本明細書に記載されるように、別途明記しない限り、「断面積」とは、反応物及び/又は生成物の一般的な流れの方向に実質的に直交する平面におけるシステム構成要素の一部分の断面の面積を指す。
【0031】
1つ以上の実施形態では、反応容器250及びライザー230の形状、サイズ、並びに温度及び圧力などの他の処理条件に基づいて、反応容器250は、高速流動床、乱流床、又はバブリング床反応器などの、等温であるか又は等温に近づく方式で動作し得、一方、ライザー230は、希薄相ライザー反応器などの、より大きなプラグ流れ方式で動作し得る。例えば、反応容器250は、高速流動床、乱流床、又はバブリング床反応器として動作し得、ライザー230は、希薄相ライザー反応器として動作し得、その結果、平均触媒及び気体流れは、同時に上方に移動する。「平均流れ」とは、その用語が本明細書で使用される場合、一般に流動粒子の挙動に典型的であるように、正味の流れ、すなわち、全ての上方流れから後退流れ又は逆流れを差し引いた流れを指す。本明細書に記載されるように、「高速流動」反応器とは、気体相の空塔速度がチョーキング速度より速く、動作中は半密であり得る、流動化レジームを利用する反応器を指し得る。本明細書に記載されるように、「乱流」反応器とは、空塔速度がチョーキング速度よりも遅く、高速流動化レジームよりも密度が高い流動化レジームを指し得る。本明細書に記載されるように、「バブリング床」反応器とは、高密度床における明確に定義された気泡が2つの別個の相に存在する流動化レジームを指し得る。「チョーキング速度」とは、垂直搬送ラインで固体を希薄相モードに維持するために必要な最小速度を指す。本明細書に記載されるように、「希薄相ライザー」とは、輸送速度で動作するライザー反応器を指し得、気体及び触媒は、希薄相でほぼ同じ速度を有する。
【0032】
1つ以上の実施形態では、反応容器250における圧力は、6.0~100ポンド/絶対平方インチ(pounds per square inch absolute、psia)(約41.4キロパスカル(kilopascal、kPa)~約689.4kPa)の範囲であり得るが、いくつかの実施形態では、15.0psia~35.0psia(約103.4kPa~約241.3kPa)などのより狭い選択範囲が用いられ得る。例えば、圧力は、15.0psia~30.0psia(約103.4kPa~約206.8kPa)、17.0psia~28.0psia(約117.2kPa~約193.1kPa)、又は19.0psia~25.0psia(約131.0kPa~約172.4kPa)であり得る。本明細書では、標準(非SI)式からメートル(SI)式への単位変換には、変換の結果としてメートル(SI)式に存在し得る切り上げを示す「約」が含まれる。
【0033】
追加の実施形態では、開示されたプロセスの単位時間当たりの重量空間速度(weight hourly space、WHSV)は、反応器における触媒1lb当たり1時間(h)当たり0.1ポンド(lb)~100lbの化学供給物(lb供給物/時間/lb触媒)の範囲であり得る。例えば、反応器が、高速流動床反応器、乱流床反応器、又はバブリング床反応器として動作する反応容器250と、ライザー反応器として動作するライザー230と、を備える場合、空塔気体速度は、反応容器250において2フィート/秒(ft/秒、約0.61メートル/秒、m/秒)~80ft/秒(約24.38m/秒)、例えば、2ft/秒(約0.61m/秒)~10ft/秒(約3.05m/秒)、ライザー230において30ft/秒(約9.14m/秒)~70ft/秒(約21.31m/秒)の範囲であり得る。追加の実施形態では、完全にライザー型である反応器構成は、単一の高空塔気体速度で、例えば、いくつかの実施形態では、全体を通して少なくとも30ft/秒(約9.15m/秒)で動作し得る。
【0034】
追加の実施形態では、反応容器250及びライザー230における触媒の供給物流に対する比率は、重量対重量(weight to weight、w/w)基準で5~100の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、比率は、12~36、又は12~24など、10~40の範囲であり得る。
【0035】
追加の実施形態では、触媒フラックスは、反応容器250において1ポンド/平方フィート秒(lb/ft2-秒)(約4.89kg/m2-秒)~30lb/ft2-秒(約146.5kg/m2-秒)、ライザー230において10lb/ft2-秒(約48.9kg/m2-秒~250lb/ft2-秒(約1221kg/m2-秒)であり得る。
【0036】
更に
図1を参照すると、反応器セクション200は、反応物、生成物、及び/又は粒子状固体を反応容器250から粒子状固体分離セクション210に輸送するように作動するライザー230を備え得る。1つ以上の実施形態では、ライザー230は、概して、円筒形状(すなわち、実質的に円形の断面形状を有する)であり得るか、あるいは、代わりに、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形、楕円形、若しくは他の多角形の断面形状を有する角柱状、又は閉曲線状などの非円筒形状、又はこれらの組み合わせであり得る。ライザー230は、本開示全体を通して使用される場合、概して、金属フレームを含み得、金属フレームを保護し、かつ/又はプロセス条件を制御するために利用される耐火ライニング又は他の材料を更に含み得る。
【0037】
いくつかの実施形態によれば、ライザー230は、外部ライザーセグメント232及び内部ライザーセグメント234を含み得る。本明細書で使用される場合、「外部ライザーセグメント」とは、粒子状固体分離セクションの外側にあるライザーの一部分を指し、また、「内部ライザーセグメント」とは、粒子状固体分離セクション内にあるライザーの一部分を指す。例えば、
図1に描写される実施形態では、反応器セクション200の内部ライザーセグメント234は、粒子状固体分離セクション210内に位置付けられ得、一方、外部ライザーセグメント232は、粒子状固体分離セクション210の外側に位置付けられる。
【0038】
図1及び
図3を参照すると、粒子状固体分離セクション210は、外側シェル212を備え得、外側シェル212は、粒子状固体分離セクション210の内部領域214を画定し得る。外側シェル212は、気体出口ポート216、ライザーポート218、及び粒子状固体出口ポート222を備え得る。更に、外側シェル212は、粒子状固体分離セクション210の内部領域214に、気体/固体分離デバイス220及び粒子状固体収集領域280を収容し得る。
【0039】
1つ以上の実施形態では、粒子状固体分離セクション210の外側シェル212は、粒子状固体分離セクション210の上部セグメント276、中間セグメント278、及び下部セグメント272を画定し得る。概して、上部セグメント276は、断面積が上部セグメント276において20%を超えて変動しないように、実質的に一定の断面積を有し得る。1つ以上の実施形態では、上部セグメント276の断面積は、ライザー230の最大断面積の少なくとも3倍であり得る。例えば、上部セグメント276の断面積は、ライザー230の最大断面積の少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも12倍、少なくとも15倍、又は更に少なくとも20倍であり得る。更なる実施形態では、上部セグメント276の最大断面積は、ライザー230の最大断面積の5~40倍であり得る。例えば、上部セグメント276の最大断面積は、ライザー230の最大断面積の5~40倍、10~40倍、15~40倍、20~40倍、25~40倍、30~40倍、35~40倍、5~35倍、5~30倍、5~25倍、5~20倍、5~15倍、又は更に5~10倍であり得る。
【0040】
追加的に、1つ以上の実施形態では、粒子状固体分離セクション210の下部セグメント272は、断面積が下部セグメント272において20%を超えて変動しないように、実質的に一定の断面積を有し得る。下部セグメント272の断面積は、ライザー230の最大断面積よりも大きく、上部セグメント276の最大断面積よりも小さくあり得る。中間セグメント278は、中間セグメント278の断面積が一定ではなく、中間セグメント278の断面積が、中間セグメント278全体にわたって、上部セグメント276の断面積から下部セグメント272の断面積に遷移する錐台形状であり得る。
【0041】
再び
図3を参照すると、粒子状固体分離セクション210は、中心垂直軸299を含み得る。中心垂直軸は、中心垂直軸299が、粒子状固体分離セクション210の上部セグメント276、中間セグメント278、及び下部セグメント272を通過するように、粒子状固体分離セクション210の上部及び粒子状固体分離セクション210の底部を通して延在し得る。1つ以上の実施形態では、粒子状固体分離セクション210の上部セグメント276、中間セグメント278、及び下部セグメント272は、中心垂直軸299を中心とし得る。例えば、上部セグメント276及び下部セグメント272が実質的に円筒形である実施形態では、中心垂直軸299は、上部セグメント276の直径の中点及び下部セグメント272の直径の中点を通過し得る。
【0042】
図1及び
図3に描写されるように、ライザー230の内部ライザーセグメント234は、粒子状固体分離セクション210のライザーポート218を通して延在し得る。ライザーポート218は、粒子状固体分離セクション210の外側シェル212における任意の開口部であり得、そこを通して、ライザー230の少なくとも内部ライザーセグメント234が、粒子状固体分離セクション210の内部領域214内に突起する。1つ以上の実施形態では、ライザーポート218は、中心垂直軸299上に位置する。1つ以上の実施形態では、ライザーポート218は、粒子状固体分離セクション210の中心垂直軸299上に位置しない。このような実施形態では、ライザーポート218は、ライザーポート218が中心垂直軸299上に位置せず、また、ライザー230が中心垂直軸299に実質的に平行な方向に粒子状固体分離セクション210内に延在するように配向されないように、外側シェル212の側壁上に位置し得る。
【0043】
1つ以上の実施形態では、内部ライザーセグメント234は、下部セグメント274において粒子状固体分離セクション210に入る。そのような実施形態では、内部ライザーセグメント234は、下部セグメント274の少なくとも一部分を通過し、中間セブ面と278の少なくとも一部分及び上部セグメント276の少なくとも一部分を通過する。1つ以上の実施形態では、内部ライザーセグメント234は、粒子状固体分離セクション210の中間セグメント278において粒子状固体分離セクション210に入る。そのような実施形態では、内部ライザーセグメント234は、中間セグメント278の少なくとも一部分を通過し、上部セグメント276の少なくとも一部分を通過する。このような実施形態では、内部ライザーセグメント234は、粒子状固体分離セクション210の下部セグメント272を通過しない。更なる実施形態では、内部ライザーセグメント234は、上部セグメント276において粒子状固体分離セクション210に入り得、内部ライザーセグメント234は、上部セグメント276の少なくとも一部分を通過し得る。そのような実施形態では、内部ライザーセグメント234は、下部セグメント272又は中間セグメント278を通過しない。
【0044】
再び
図3を参照すると、粒子状固体分離セクション210の上部セグメント276において、内部ライザーセグメント234は、気体/固体分離デバイス220と流体連通し得る。例えば、内部ライザーセグメント234の垂直部分296は、気体/固体分離デバイス220に直接接続され得る。気体/固体分離デバイス220は、サイクロン又は複数のサイクロンなどの、気相又は液相から粒子状固体を分離するように動作可能であり得る任意の機械的又は化学的分離デバイスであり得る。
【0045】
1つ以上の実施形態によれば、気体/固体分離デバイス220は、2段階以上のサイクロン式分離を含み得るサイクロン式分離システムであり得る。気体/固体分離デバイス220が2つ以上のサイクロン式分離段階を含む実施形態では、流動流が入る第1の分離デバイスは、一次サイクロン式分離デバイスと称される。一次サイクロン式分離デバイスからの流動流出物は、更なる分離のために二次サイクロン式分離デバイスに入り得る。一次サイクロン式分離デバイスとしては、例えば、一次サイクロン、並びにVSS(UOPから市販されている)、LD2(Stone and Websterから市販されている)、及びRS2(Stone and Websterから市販されている)の名称で市販されているシステムが挙げられ得る。一次サイクロンは、例えば、米国特許第4,579,716号、同第5,190,650号及び同第5,275,641号に記載されており、これらは各々、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。一次サイクロンを一次サイクロン式分離デバイスとして利用するいくつかの分離システムでは、1組以上の追加のサイクロン、例えば、二次サイクロン及び三次サイクロンを用いて、生成物気体から粒子状固体を更に分離する。一次サイクロン式分離デバイスが、本明細書に開示される実施形態に使用され得ることを理解されたい。
【0046】
粒子状固体は、反応容器250からライザー230を通して上方に移動し、気体/固体分離デバイス220に入り得る。気体/固体分離デバイス220は、分離された粒子状固体を粒子状固体分離セクション210の上部セグメント276の底部内に、又は中間セグメント278若しくは下部セグメント272内に堆積させるように動作可能であり得る。分離された蒸気は、粒子状固体分離セクション210の気体出口ポート216においてパイプ120を介して流体触媒反応器システム100から除去され得る。分離された蒸気は、軽質オレフィンを含み得、したがって、生成物流410であり得る。
【0047】
1つ以上の実施形態では、生成物流410の少なくとも一部分及び炭化水素供給物流430の少なくとも一部分を、反応器部分200の反応容器250の下流に配設された供給物流予熱器400に通過させることができる。供給物流予熱器400は、
図4に描写されるように、シェルアンドチューブ熱交換器500であってもよい。シェルアンドチューブ熱交換器500は、生成物流410から炭化水素供給物流430への熱伝達を介して、炭化水素供給物流430の少なくとも一部分を加熱するように動作可能であり得る。したがって、シェルアンドチューブ熱交換器500は、シェルアンドチューブ熱交換器500の上流の生成物流410と比較して、供給物流予熱器を出る生成物流411の温度を低下させることができる。追加的に、シェルアンドチューブ熱交換器500は、シェルアンドチューブ熱交換器500の上流の炭化水素供給物流431と比較して、シェルアンドチューブ熱交換器500を出る炭化水素供給物流430の温度を上昇させることができる。
【0048】
本明細書に記載されるように、「シェルアンドチューブ熱交換器」は、比較的高温の流体から比較的低温の流体に熱を伝達するための1個の機器を指す。
図4を参照すると、シェルアンドチューブ熱交換器500は、シェル520内に位置付けられている複数のチューブ510を備え得る。1つの流体は、チューブ510を通って流れ、チューブの内面に接触し、別の流体は、シェルを通って流れ、チューブの外面に接触し得る。チューブの内面によって画定される熱交換器の容積は、本明細書では「チューブ側」512と呼ばれ、チューブの外面とシェルの内面との間の熱交換器の容積は、本明細書ではシェルアンドチューブ熱交換器500の「シェル側」522と呼ばれる。したがって、流体が互いに接触することなく、熱が、チューブ510の壁を通して2つの流体間で伝達され得る。1つ以上の実施形態では、炭化水素供給物430は、シェルアンドチューブ熱交換器500のシェル側522を通って流れることができ、生成物流410は、シェルアンドチューブ熱交換器500のチューブ側512を通って流れることができる。
【0049】
1つ以上の実施形態では、シェル520は、概して、円筒形状(すなわち、実質的に円形の断面領域を有する)であり得るか、あるいは、代わりに、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形、楕円形、若しくは他の多角形の断面形状を有する角柱状、又は閉曲線状などの非円筒形状、又はこれらの組み合わせであり得る。同様に、1つ以上の実施形態では、各チューブ510は、形状が概して円筒形であり得るか、又は代わりに、非円筒形であり得る。
【0050】
シェルアンドチューブ熱交換器500は、シェル側入口524、シェル側出口526、チューブ側入口514、及びチューブ側出口516を備え得る。シェル側入口524は、流体がシェルアンドチューブ熱交換器500のシェル520に入ることを可能にし得、シェル側出口526は、流体がシェルアンドチューブ熱交換器500のシェル520から出ることを可能にし得る。1つ以上の実施形態では、シェルアンドチューブ熱交換器500は、第2のシェル側入口を備えてもよい。1つ以上の実施形態では、熱交換器は、第2のシェル側出口を備えてもよい。理論に束縛されるものではないが、シェルアンドチューブ熱交換器500が大きくなるにつれて、シェル側出口526は、サイズが大きくなり得る。シェル側出口526が大きすぎる場合、バッフル540の間隔を調整する必要がある場合がある。更に、単一のシェル側出口526及び単一のシェル側入口524を使用すると、シェルアンドチューブ熱交換器500を通る流体の不均一な流れがもたらされる可能性がある。したがって、第2のシェル側出口526及び/又は第2のシェル側入口524の使用は、バッフル540の間隔を調整する必要なしに、シェルアンドチューブ熱交換器500のシェル側522を通る流体のより均一な分布をもたらし得る。複数のノズルを使用する利点としては、熱交換器内の気体のより良好な分布、ノズルがバッフル間に収まることを可能にする、より小さいノズル、及び上部チューブ板に沿って移動する速度を保つのに役立ち、それによりコークス化の可能性を最小限に抑える、より小さいノズルが挙げられ得る。追加的に、シェル側ノズル入口及び出口を、山腹(hillside)又は放射状に配向することができる。
【0051】
1つ以上の実施形態では、チューブ側入口514は、流体がチューブ側入口プレナム518に入ることを可能にし得る。チューブ側入口プレナム518は、チューブ側入口514と、複数のチューブにおけるチューブの各々の入口との間に位置付けられ得る。入口チューブ板532は、チューブ側入口プレナム518をシェルアンドチューブ熱交換器500のシェル側522から分離することができる。流体は、チューブ側入口514から、チューブ側入口プレナム518を通り、次いで複数のチューブ510を含むチューブ510内へと通過することができる。1つ以上の実施形態では、チューブ側出口516は、流体がシェルアンドチューブ熱交換器500のチューブ側出口プレナム519から出ることを可能にし得る。チューブ側出口プレナム519は、複数のチューブ510におけるチューブ510の各々の出口と、チューブ側出口516との間に位置し得、出口チューブ板534は、チューブ側出口プレナム519をシェルアンドチューブ熱交換器500のシェル側522から分離することができる。
【0052】
1つ以上の実施形態では、入口チューブ板532及び出口チューブ板534の各々は、複数のチューブ501の少なくとも一部分を支持することができ、チューブ側入口プレナム518及び/又はチューブ側出口プレナム519と、シェルアンドチューブ熱交換器500のシェル側522との間に障壁を提供することができる。1つ以上の実施形態では、入口チューブ板532は、シェル520に接続されてもよく、各チューブ510に接続されてもよい。1つ以上の実施形態では、出口チューブ板534は、浮動チューブ板であってもよい。出口チューブ板534は、各チューブ510に接続されてもよく、出口チューブ板534がシェル520内で移動することを可能にする可撓継手によって、シェル520に接続されてもよい。1つ以上の実施形態では、チューブ側入口514及びチューブ側出口516は、シェル520の反対側にあってもよい。そのような実施形態では、熱交換器500は、シェル520の各端部にチューブ板を、1つはチューブ側入口514の近くに、1つはチューブ側出口516の近くに、備えることができる。
【0053】
1つ以上の実施形態では、入口チューブ板532、出口チューブ板534、又はその両方は、可撓性であってもよい。理論に束縛されるものではないが、可撓性チューブ板は、チューブ510及びシェル520の熱膨張の違いによりチューブ510及びシェル520にかかる応力を低減することができる。例えば、可撓性チューブ板設計は、シェルとチューブ板との間の接合部に湾曲を含み得る。半径を増加させること、この湾曲は、シェルとチューブ板との間の接合部の可撓性を増加させ、その接合部に存在し得る応力を緩和することができる。更に、高温で同様の弾性率を有する材料をシェルとチューブ板との間の接合部に使用することによって、チューブ板の可撓性が、少なくとも部分的に向上され得る。より低い可撓性を示すいくつかの従来のチューブ板設計では、シェルとチューブ板との間の接合部に使用される材料は、高温でより高い応力を許容する。しかしながら、これらの材料はまた、それらの高温における弾性率でより高い差異を有する。それにより、チューブ板とシェルとの間の接合部において、チューブ板に不必要な剛性が生じる。
【0054】
1つ以上の実施形態では、シェル520は、1つ以上のバッフル540を含み得る。バッフル540は、シェルアンドチューブ熱交換器500のシェル側522に流体を向けることができる。バッフル540は、シェル側流体の乱流を増加させることができ、シェルアンドチューブ熱交換器500のシェル520を通るシェル側流体の流れを方向付けることができる。追加的に、バッフル540は、シェルアンドチューブ熱交換器500のシェル520を通って軸方向に延在する複数のチューブ510のための支持を提供することができる。1つ以上の実施形態では、シェルアンドチューブ熱交換器500は、ペタル(petal)バッフル、チューブインウィンドウ(tube-in-window)バッフル、ノーチューブインウィンドウ(no-tube-in-window)バッフル、ディスクアンドドーナツ(disc and doughnut)バッフル、ダブルセグメントバッフル、トリプルセグメントバッフル、又は任意の他の好適なバッフルを備えてもよい。
【0055】
1つ以上の実施形態では、シェルアンドチューブ熱交換器500のシェル側522を通る流体の流れは、実質的に軸方向であり得る。本明細書に記載されるように、「軸方向流れ」は、熱交換器500のシェルの中心軸に実質的に平行であり、シェル520を通って軸方向に延在する複数のチューブ510を含むチューブ510の各々に実質的に平行である流れを指す。そのような実施形態では、熱交換器は、シェルアンドチューブ熱交換器500のシェル側522の流体の軸方向流れを促進するバッフル540を備え得る。例えば、熱交換器は、エキスパンデッドメタル(expanded metal)バッフル又はロッドバッフルを備えてもよい。エキスパンデッドメタルバッフルは、金属のシートにスリットを切り、金属のシートを延伸して、チューブ510が通って延在することができる隙間を形成することによって、形成され得る。隙間は、流体が、チューブ510に実質的に平行な方向に隙間を通って流れることを可能にするのに十分な大きさであり得る。ロッドバッフルは、複数のチューブ510を通って延在してチューブ510を支持する複数のロッドによって形成され得る。1つ以上の実施形態では、熱交換器は、地下鉄格子などの格子から形成されたバッフル540を備えてもよい。格子は、ウォータカッティングによって形成されてもよい。エキスパンデッドメタルバッフルと同様に、格子は、チューブ510が通って延在することができる隙間を備え得る。理論に束縛されるものではないが、シェルアンドチューブ熱交換器500のシェル側522を通る流体の流れが実質的に軸方向である場合、同じ間隔での同じ数のチューブに対して、ノーチューブインウィンドウ(no tube in window、NTIW)構成のために無駄な空間が多くなく、より小さいシェル520を使用することが可能になると考えられる。
【0056】
1つ以上の実施形態では、シェルアンドチューブ熱交換器500は、シェル伸縮継手を備えてもよい。シェル伸縮継手は、シェルアンドチューブ熱交換器500のシェル520内に位置付けられた任意の好適な伸縮継手であってもよい。例えば、シェルアンドチューブ熱交換器は、フルートアンドフランジ(flute and flange)シェル伸縮継手を備えてもよい。理論に束縛されるものではないが、シェル伸縮継手は、チューブ510とシェル520との間の熱勾配及びチューブ510とシェル520との間の熱膨張係数の違いに起因して生じるチューブ510の膨張又は収縮に応答して、熱交換器500のシェルが軸方向に伸張及び収縮することを可能にすることによって、シェルアンドチューブ熱交換器500にかかる熱応力を低減することができると考えられる。
【0057】
シェルアンドチューブ熱交換器500はまた、シェル520とチューブ板530との間の接合部上に応力低減特徴を備えてもよい。1つ以上の実施形態では、チューブ板530は、ノッチ又は溝を備えてもよい。ノッチは、チューブ510のうちの少なくとも1つに対して接線方向に切り出された、チューブ板530の一部分であってもよい。理論に束縛されるものではないが、ノッチは、シェルアンドチューブ熱交換器500のチューブ510及びシェル520の熱膨張率が異なることに起因してチューブ板530にかかる熱応力を低減することができると考えられる。特に、シェルに取り付けられたチューブ板は、概して、チューブ板とシェルとの間の角継手において高応力を生じやすい。半径に対して接線方向の成分が存在する、複合半径を有するノッチを角継手に追加することによって、高い熱応力は、そのようなノッチなしのシステムにおいて達成され得るよりも効率的な様式で、消散され得る。いくつかの実施形態では、ノッチは、半径、接線方向に機械加工された切断部、及び浅いセクションを含み得る。これにより、チューブ板530とシェル520との間の接合部に剛性を追加し得る不必要な材料の除去が、可能になり得る。
【0058】
1つ以上の実施形態では、入口チューブ板532、出口チューブ板534、又はその両方が、伸縮継手によってシェル520に接続されてもよい。1つ以上の実施形態では、出口チューブ板534は、伸縮継手によってシェル520に接続されて、容器シェルの内側に位置してもよい。伸縮継手は、任意の好適な伸縮継手であってもよい。1つ以上の実施形態では、伸縮継手は、波形ベローズ伸縮継手、又はS字型可撓継手、又はオメガ若しくはトロイダル状可撓継手であってもよい。1つ以上の実施形態では、伸縮継手は、以下に限定されないが、321又は316ステンレス鋼などのステンレス鋼を含んでもよい。理論に束縛されるものではないが、チューブ板とシェル520との間に位置付けられた伸縮継手は、シェル520とチューブ板との間の異なる熱膨張率によって引き起こされる熱応力を低減することができると考えられる。シェルアンドチューブ熱交換器500が使用されるとき、チューブ510は、シェル520とは異なる温度であってもよい。したがって、チューブ510の熱膨張量は、シェル520の熱膨張量と異なっていてもよい。チューブ板とシェル520との間に伸縮継手を使用することにより、この熱膨張の違いによって生じる、シェルアンドチューブ熱交換器500にかかる応力を低減することができる。
【0059】
1つ以上の実施形態では、シェルアンドチューブ熱交換器500は、1つ以上の吊り下げ支持ラグによって支持されてもよい。吊り下げ支持ラグは、任意の好適な手段によって、シェルアンドチューブ熱交換器500の外面に固定されてもよく、シェルアンドチューブ熱交換器500を支持するために使用されてもよい。1つ以上の実施形態では、吊り下げ支持ラグは、シェルアンドチューブ熱交換器500の熱膨張及び収縮に適応するように可撓性であってもよい。理論に束縛されるものではないが、反応器及び熱交換器などの従来の圧力容器は、通常、圧縮によって圧力容器を支持するラグによって支持される。吊り下げ支持ラグは、圧力容器が半径方向に自由に移動することを可能にする。ハンディング支持ラグを使用するとき、そのような支持体が半径方向熱膨張を可能にするので、高温システムにかかる熱応力を大幅に低減することができる。場合によっては、吊り下げ支持ラグは、自然な輪郭及び形状をラグに組み込むことによって可撓性であってもよい。例えば、吊り下げ支持ラグは、必要でない、又は不必要な剛性を加えている、プロセス機器の部分から材料を除去することによって設計されてもよい。
【0060】
1つ以上の実施形態では、シェルアンドチューブ熱交換器500のシェル520は、304H SS、合金800、合金800 H、合金800 HT、又は347 SS若しくは321 SSなどの他の好適な高温ステンレス鋼から形成されてもよい。1つ以上の実施形態では、チューブ510は、304H SS、合金800、合金800 H、合金800 HT、又は347 SS若しくは321 SSなどの他の好適な高温ステンレス鋼から形成されてもよい。1つ以上の実施形態では、入口チューブ板532及び出口チューブ板534の各々は、304H SS、合金800、合金800 H、合金800 HT、又は347 SS若しくは321 SSなどの他の好適な高温ステンレス鋼から形成されてもよい。
【0061】
1つ以上の実施形態では、入口チューブ板532は、インナーボア溶接によって、複数のチューブ510の各々に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、出口チューブ板534は、インナーボア溶接によって、複数のチューブ510の各々に接続されてもよい。そのような実施形態では、チューブ板は、ハブを備えてもよく、各チューブは、入口チューブ板上のハブに溶接され、チューブは、チューブ板を通過しない。この溶接は、溶接を実行するためにチューブ板を通して挿入することができるツールによって、達成されてもよい。理論に束縛されるものではないが、インナーボア溶接の使用により、チューブ板とチューブとの間の接合部における隙間の数を減少させることができ、それにより、成長してチューブをチューブ板から押し出す可能性がある、シェル側の炭化水素によるコークス化の可能性が、排除される。これにより、シェルアンドチューブ熱交換器500内のチューブ板及びチューブの束を維持することが、より容易になり得る。
【0062】
1つ以上の実施形態では、シェルアンドチューブ熱交換器500は、耐火ライニングを備えてもよい。例えば、耐火ライニングは、高温生成物流410が熱交換器500に導入されるチューブ側入口514、及び加熱された炭化水素供給物流410が熱交換器500を出るシェル側出口526の周りに位置付けられてもよい。1つ以上の実施形態では、耐火ライニングは、チューブ側入口514の内面上に位置付けられてもよい。理論に束縛されるものではないが、高温気体をチューブ側入口に運ぶパイプが耐火物でライニングされている場合、そのパイプの熱膨張は最小であり得ると考えられる。いくつかの実施形態では、チューブ側入口514とパイプとの間に位置付けられたフランジが、存在する。耐火ライニングを有することは、フランジを越えてチューブ側入口514まで延在し、フランジにかかる熱応力を低減し、過剰な熱損失を防止し得る。1つ以上の実施形態では、出口チューブ板534は、熱遮蔽を備えてもよい。理論に束縛されるものではないが、いくつかの実施形態では、シェルアンドチューブ熱交換器500のシェル側522に入る気体が、冷たすぎる場合があり、出口チューブ板534に熱応力を生じさせる可能性がある。したがって、熱遮蔽は、これらの低温気体が出口チューブ板534を過度に冷却し、過剰な熱応力を引き起こすことを防止することができる。
【0063】
1つ以上の実施形態では、チューブ510は、追加の表面積を提供するように成形されてもよい。理論に束縛されるものではないが、チューブ510の表面積を増大させることにより、チューブ側流体とシェル側流体との間の熱伝達率を増大させることができると考えられる。1つ以上の実施形態では、チューブ510の表面積は、チューブの外面、チューブの内面、又はその両方上のフィンの存在によって増大させることができる。例えば、1つ以上のフィンは、チューブの内面、チューブの外面、又はその両方上に、長手方向又は螺旋状に位置付けられてもよい。1つ以上の実施形態では、チューブは、低フィン付きチューブであってもよく、低フィン付きチューブは、素チューブ(base tube)材料を押出成形することによって形成された横断フィンを備える。1つ以上の実施形態では、チューブ510は、波形であってもよいか、又は波形部若しくは内部リブを備えてもよい。1つ以上の実施形態では、チューブ510は、溝付きであってもよい。例えば、チューブ510は、チューブの内面、チューブの外面、又はその両方上に1つ以上の長手方向溝又は1つ以上の螺旋溝を備えてもよい。1つ以上の実施形態では、チューブ510は、チューブの内面、チューブの外面、又はその両方上にテクスチャを備えてもよい。例えば、チューブの内面、チューブの外面、又はその両方にディンプルを設けてもよい。1つ以上の実施形態では、チューブ510は、本明細書に記載された表面積増大の任意の組み合わせを備えることができる。
【0064】
1つ以上の実施形態では、シェルの直径に対するシェルの長さの比率は、2~50である。例えば、シェルの直径に対するシェルの長さの比率は、2~50、5~50、10~50、15~50、20~50、25~50、30~50、35~50、40~50、45~50、2~45、2~40、2~35、2~30、2~25、2~20、2~15、2~10、2~5、又はこれらの範囲の任意の組み合わせ若しくは部分組み合わせであってもよい。1つ以上の実施形態では、シェルの直径に対するシェルの長さの比率は、2~8である。例えば、シェルの直径に対するシェルの長さの比率は、2~8、3~8、4~8、5~8、6~8、7~8、2~7、2~6、2~5、2~4、2~3、又はこれらの範囲の任意の組み合わせ若しくは部分組み合わせであってもよい。理論に束縛されるものではないが、そのような比率は、熱交換器を通る圧力降下と、入口チューブ板に対する機械的制限との間のバランスを提供すると考えられる。例えば、シェル520の直径に対する長さの比率が大きいほど、より小さなチューブ板をもたらし、それにより、ひいては、チューブ板の熱膨張によって引き起こされる応力を低減することができる。更に、シェル520の直径に対する長さの比率が大きいほど、シェル520を通って流れる流体の速度を増加させ得、シェルアンドチューブ熱交換器500を通る圧力降下を増加させ得る。
【0065】
1つ以上の実施形態では、シェルアンドチューブ熱交換器500は、本明細書で企図される様々な特徴の組み合わせを備えてもよい。本明細書に記載される様々な特徴は、組み合わされると相乗効果を有し得る。例えば、1つ以上の実施形態では、シェルアンドチューブ熱交換器500は、出口チューブ板534とシェル520との間の伸縮継手、及びチューブ側入口514周りの耐火ライニングの両方を備えてもよい。理論に束縛されるものではないが、出口チューブ板534とシェル520との間の伸縮継手を耐火ライニングと組み合わせて使用することにより、熱交換器の様々な構成要素が受ける熱応力を大幅に低減することができる。熱交換器にかかる熱応力を低減することによって、より安価な冶金が、熱交換器の様々な構成要素に好適であり得る。
【0066】
再び
図1及び
図3を参照すると、反応器システム100に関して、粒子状固体分離セクション210の下部セグメント272は、粒子状固体収集領域280を備え得る。1つ以上の実施形態では、粒子状固体収集領域280は、粒子状固体分離セクション210内での粒子状固体の蓄積を可能にし得る。粒子状固体収集領域280は、ストリッピングセクションを備え得る。ストリッピングセクションは、粒子状固体を再生セクション300に送る前に、粒子状固体から生成物蒸気を除去するために利用され得る。再生セクション300に輸送された生成物蒸気は燃焼されることになるため、生成物気体よりも安価な気体を利用するストリッパでこれらの生成物蒸気を除去することが望ましい。
【0067】
下部セグメント272における粒子状固体収集領域280は、粒子状固体出口ポート222を備え得る。1つ以上の実施形態によれば、粒子状固体収集領域280の底部は、粒子状固体出口ポート222が粒子状固体収集領域280の最も低い部分に位置するように曲線状であり得る。スタンドパイプ126は、粒子状固体出口ポート222において粒子状固体分離セクション210に接続され得、粒子状固体は、反応器セクション200から出て、スタンドパイプ126を介して再生セクション300に移送され得る。任意選択的に、粒子状固体はまた、スタンドパイプ122を介して反応容器250に戻って直接移送され得る。このような実施形態では、スタンドパイプ122及びスタンドパイプ126は各々、中心垂直軸229からオフセットされ得る。代替的に、粒子状固体は、輸送ライザー130において、再生された粒子状固体と事前混合され得る。
【0068】
本明細書に記載されるように、反応容器壁、分離セクション壁、又はライザー壁などのシステムユニットの部分は、炭素又はステンレス鋼などの金属材料を含み得る。加えて、様々なシステムユニットの壁は、同じシステムユニットの他の部分又は別のシステムユニットに取り付けられる部分を有し得る。場合によって、取り付け又は接続の点は、本明細書では「取り付け点」と称され、限定はしないが、溶接、接着剤、はんだなどの任意の既知の結合媒体を組み込み得る。システムの構成要素が、溶接などの取り付け点において「直接接続」され得ることを理解されたい。
【0069】
高温の粒子状固体及び気体によって引き起こされる損傷を軽減するために、耐火材料を様々なシステム構成要素の内部ライニングとして使用し得る。耐火材料は、ライザー230並びに粒子状固体分離セクション210上に含まれ得る。特定の耐火材料配置及び材料の実施形態が提供されるが、それらは、開示されるシステムの物理的構造に関して限定的であるとみなされるべきではないことを理解されたい。例えば、耐火ライナーは、ライザー230内にライザー230の内面に沿って、並びに粒子状固体分離セクション210の中間セグメント278及び上部セグメント276の内面に沿って、延在し得る。耐火ライナーは、六角メッシュ又は他の好適な耐火材料を含み得る。
【0070】
粒子状固体及び反応器セクション200の他の部分の重量から反応容器250、より具体的には218のような接続された容器ノズルに印加される機械的負荷が高い場合があり、ばねを利用して、容器及び配管壁の温度差による容器の移動を可能にし得る。これらのばねは、容器が空である場合に、反応容器250及びノズル218に上方の圧力を印加し得る。容器が逆の触媒重量を有する場合、ノズル218に対する負荷は下方にシフトし得る。この設計原理は、ノズル218から見るいずれの方向の全負荷も減少させる。例えば、反応容器250は、ばねから吊り下げられ得るか、又はばねは、反応容器250の下に位置付けられ、その重量、触媒重量を支持し、熱的移動を可能にし得る。例えば、
図1は、反応容器250において反応器セクション200に機械的に取り付けられたばね支持体188を描写しており、反応器セクション200は、ばね支持体188によって支持構造から懸架されている。
【0071】
追加的に、反応容器250及びライザー230は、熱膨張を受け得る。したがって、ばね支持体188から反応容器250を吊り下げるか、又はばね支持体188で反応容器250を支持することにより、反応容器250と外部ライザーセグメント232との間の張力を緩和し得る。ここで
図2を参照すると、ばねの代わりに、伸縮継手282が、反応容器250と外部ライザーセグメント232との間に位置付けられ得る。本明細書に記載されるように、「伸縮継手」は、伸縮継手によって接合されたシステム構成要素間の応力を低減する、金属又は耐火性、プラスチック、繊維、若しくはエラストマーなどの他の好適な材料から作製されるベローズを指し得る。例えば、伸縮継手は、熱膨張及び収縮によるシステム構成要素間の応力を低減するために使用され得る。1つ以上の実施形態では、伸縮継手282をばね支持体と組み合わせて使用して、反応容器250と外部ライザーセグメント232との間の熱膨張によって引き起こされる応力を軽減し得る。
【0072】
粒子状固体分離セクション210における分離後、使用済み粒子状固体は、再生セクション300に移送される。再生セクション300は、本明細書に記載されるように、反応器セクション200と多くの構造的類似性を共有し得る。したがって、再生セクション300の部分に割り当てられた参照番号は、反応器セクション200に関して使用されたものと類似しており、参照番号の最後の2桁が同じである場合、反応器セクション200及び再生セクション300の所与の部分は、同様の機能を果たし得、同様の物理的構造を有し得る。したがって、反応器セクション200に関する本開示の多くは、再生セクション300に等しく適用され得、反応器セクション200と再生セクション300との間の区別は、以下で強調される。
【0073】
ここで再生セクション300を参照すると、
図1に描写されるように、再生セクション300の粒子状固体処理容器350は、1つ以上の反応器容器入口ポート352と、ライザー330の外部ライザーセグメント332と流体連通するか、又は更に直接接続された、反応器容器出口ポート354と、を含み得る。粒子状固体処理容器350は、スタンドパイプ126を介して粒子状固体分離セクション210と流体連通し得、スタンドパイプ126は、使用済み粒子状固体を反応器セクション200から再生セクション300に、再生のために供給し得る。粒子状固体処理容器350は、気体入口128が粒子状固体処理容器350に接続する、追加の反応器容器入口ポート352を含み得る。気体入口128は、粒子状固体を少なくとも部分的に再生するために使用され得る、空気を含む補助燃料気体及び酸素含有気体などの反応性気体を供給し得る。1つ以上の実施形態では、粒子状固体処理容器350は、複数の追加の反応器容器入口ポートを備え得、各追加の反応器容器入口ポートは、異なる反応性流体を粒子状固体処理容器350に供給し得る。例えば、粒子状固体は、反応容器250における反応に続いてコークス化され得、コークスは、燃焼反応によって粒子状固体から除去され得る。例えば、空気などの酸素含有気体が、気体入口128を介して粒子状固体処理容器350に供給されて、粒子状固体を酸化させ得るか、又は補助燃料が、粒子状固体処理容器350に供給され、かつ燃焼されて、粒子状固体を加熱し得る。
【0074】
1つ以上の実施形態では、粒子状固体を再生することは、酸素含有気体の存在下で行われ得、粒子状固体を再生することは、酸素含有気体との接触によって粒子状固体を酸化すること、粒子状固体上に存在するコークスを燃焼させること、又は粒子状固体を加熱するための補助燃料を燃焼させることのうちの1つ以上を含み得る。
【0075】
図1に描写されるように、粒子状固体処理容器350は、ライザー330の外部ライザーセグメント332に直接接続され得る。一実施形態では、粒子状固体処理容器350は、粒子状固体処理容器本体セクション356及び粒子状固体処理容器遷移セクション358を含み得る。粒子状固体処理容器本体セクション356は、概して、粒子状固体処理容器遷移セクション358よりも大きい直径を含み得、粒子状固体処理容器遷移セクション358は、粒子状固体処理容器遷移セクション358が粒子状固体処理容器本体セクション356から外部ライザーセグメント332へと内向きに突出するように、粒子状固体処理容器本体セクション356の直径のサイズから外部ライザーセグメント332の直径のサイズへとテーパ状であり得る。
【0076】
粒子状固体処理容器350及びライザー330が、熱膨張を受け得、上述したように、ばね支持体188によって支持され得ることを理解されたい。追加的に、粒子状固体処理容器350は、1つ以上の実施形態では、伸縮継手によってライザー330に接合され得る。例えば、伸縮継手は、粒子状固体処理容器350と外部ライザーセグメント332との間に位置付けられ得る。
【0077】
更に
図1を参照すると、粒子状固体分離セクション310は、粒子状固体分離セクション310の内部領域314を画定する外側シェル312を含む。外側シェル312は、気体出口ポート316、ライザーポート318、及び粒子状固体出口ポート322を備え得る。更に、外側シェル312は、粒子状固体分離セクション310の内部領域314に、気体/固体分離デバイス320及び固体粒子収集領域380を収容し得る。
【0078】
反応器セクション200と同様に、粒子状固体分離セクション310の外側シェル312は、粒子状固体分離セクション210に関して上述したように、粒子状固体分離セクション310の上部セグメント376、中間セグメント374、及び下部セグメント372を画定し得る。
【0079】
再び
図1を参照すると、ライザー330は、ライザーポート318を介して再生セクション300の内部領域314内に延在する。1つ以上の実施形態では、内部ライザーセグメント334は、粒子状固体分離セクション310の下部セグメント372の少なくとも一部分を通って延在する。1つ以上の実施形態では、内部ライザーセグメント334は、粒子状固体分離セクション310の下部セグメント372を通過しない。
【0080】
図1を参照すると、外側シェル312は、ライザー終端デバイス378を更に収容し得る。ライザー終端デバイスは、内部ライザーセグメント334に近接して位置付けられ得る。ライザー330を通過する煙道気体及び粒子状固体は、ライザー終端デバイス378によって少なくとも部分的に分離され得る。煙道気体及び残留粒子状固体は、粒子状固体分離セクション310内の二次分離デバイス320に輸送され得る。二次分離デバイス320は、気体/固体分離デバイス220に関して上述したように、サイクロン又は一連のサイクロンなどの、気体から固体粒子を分離するのに好適な任意のデバイスであり得る。二次分離デバイス320は、分離された粒子状固体を粒子状固体分離セクション310の上部セグメント376の底部、中間セグメント374、又は下部セグメント372に堆積させ得る。したがって、粒子状固体は、重力によって上部セグメント376の底部又は中間セグメント374から下部セグメント372に流れ得る。
【0081】
1つ以上の実施形態では、煙道気体は、粒子状固体分離セクション310の気体出口ポート316において、パイプ128を介して流体触媒反応器システム100から除去され得る。出口ポート316を通過した煙道気体は、煙道気体流610を形成することができる。1つ以上の実施形態では、煙道気体流610の少なくとも一部分及び酸素含有気体流630の少なくとも一部分は、再生器部分300の再生器容器350の下流に配設された気体予熱器600を通過することができる。気体予熱器600は、上記で詳細に説明され、
図4に描写されるように、シェルアンドチューブ熱交換器500であってもよい。シェルアンドチューブ熱交換器500は、煙道気体流610から酸素含有気体流630への熱伝達を介して、酸素含有気体流630の少なくとも一部分を加熱するように動作可能であり得る。したがって、シェルアンドチューブ熱交換器500は、シェルアンドチューブ熱交換器500の上流の煙道気体流610と比較して、供給物流予熱器を出る煙道気体流611の温度を低下させることができる。追加的に、シェルアンドチューブ熱交換器500は、シェルアンドチューブ熱交換器の上流の酸素含有気体流631と比較して、シェルアンドチューブ熱交換器を出る酸素含有気体流630の温度を上昇させることができる。
【0082】
1つ以上の実施形態では、酸素含有気体流630は、シェルアンドチューブ熱交換器500のシェル側522を通って流れることができ、煙道気体流610は、シェルアンドチューブ熱交換器500のチューブ側512を通って流れることができる。気体予熱器600は、流体触媒反応器システム100の反応器側200の供給物流予熱器400に関連して前述したようなシェルアンドチューブ熱交換器500を備えること、及び供給物流予熱器400に関連して説明されたシェルアンドチューブ熱交換器500に関する任意の開示は、同様に気体予熱器600に適用可能であること、を理解されたい。
【0083】
再び
図1を参照すると、粒子状固体分離セクション310の下部セグメント372は、下部セグメント372内での粒子状固体の蓄積を可能にし得る、固体粒子収集領域380を備え得る。1つ以上の実施形態では、固体粒子収集領域380は、酸素浸漬ゾーン、酸素ストリッピングゾーン、及び還元ゾーンのうちの1つ以上を備え得る。固体粒子収集領域380は、上述した粒子状固体出口ポート222と同様の粒子状固体出口ポート322を更に備え得る。
【0084】
1つ以上の実施形態では、スタンドパイプ124は、粒子状固体出口ポート322と流体連通し得、再生された粒子状固体は、スタンドパイプ124を通して再生セクション300から反応器セクション200に通過させられ得る。したがって、粒子状固体は、反応器システム100を通して連続的に再循環され得る。
【0085】
本開示の主題は、特定の実施形態を参照して詳細に説明されている。実施形態の構成要素又は特徴の任意の詳細な説明も、その構成要素又は特徴が特定の実施形態又は任意の他の実施形態に必須であることを必ずしも意味しないことを理解されたい。更に、特許請求される主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、説明した実施形態に様々な修正及び変更を加えることができることが、当業者には明らかであるはずである。
【0086】
本開示を記載及び定義する目的で、「約」又は「おおよそ」という用語は、任意の定量的比較、値、測定、又は他の表現に起因し得る固有の不確実性の程度を表現するために本開示において利用されることに留意されたい。「約」及び/又は「おおよそ」という用語はまた、問題である主題の基本的な機能に変化をもたらすことなく、定量的表現が記述の基準から変動し得る程度を表すために本開示において利用される。
【0087】
以下の特許請求の範囲のうちの1つ以上は、「ここで(wherein)」という用語を移行句として利用していることに留意されたい。本技術を定義する目的で、この用語は、構造の一連の特徴の列挙を導入するために使用される制限のない移行句として特許請求の範囲に導入され、より一般的に使用される制限のない「含む(comprising)」というプリアンブル用語と同様に解釈されるべきであることに留意されたい。
【0088】
第1の構成要素が第2の構成要素を「含む(comprising)」と説明される場合、いくつかの実施形態では、第1の構成要素が、その第2の構成要素「からなる(consist)」又は「から本質的になる(consist essentially of)」ことが企図されることを理解されたい。第1の構成要素が第2の構成要素を「含む」と説明される場合、いくつかの実施形態では、第1の構成要素が、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は更に少なくとも99%のその第2の構成要素を含むことが企図されることを更に理解されるべきである(ここで、%は、重量%又はモル%であり得る)。
【0089】
追加的に、「から本質的になる」という用語は、本開示において、本開示の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない定量値を指すために使用される。例えば、特定の化学成分又は化学成分の群「から本質的になる」化学組成物は、組成物が少なくとも約99.5%のその特定の化学成分又は化学成分の群を含むことを意味することを理解されたい。
【0090】
特性に割り当てられた任意の2つの定量値が、その特性の範囲を構成し得、所与の特性の全ての記述された定量値から形成される範囲の全ての組み合わせが、本開示において企図されることを理解されたい。組成物中の化学成分の組成範囲が、いくつかの実施形態では、その成分の異性体の混合物を含有すると理解されるべきであることを理解されたい。追加の実施形態では、化合物は、誘導体、塩、水酸化物などの代替形態で存在し得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィンを生成するための方法であって、
炭化水素供給物流を粒子状固体と反応容器内で接触させることであって、前記炭化水素供給物流の前記粒子状固体との前記接触が、前記炭化水素供給物流を反応させて生成物流を形成する、接触させることと、
気体/固体分離デバイスにおいて、前記生成物流から前記粒子状固体を分離することと、
前記生成物流の少なくとも一部分及び前記炭化水素供給物流の一部分を供給物流予熱器に通すことと、を含み、
前記供給物流予熱器が、シェルと、前記シェルを通って軸方向に延在する複数のチューブと、シェル側入口と、シェル側出口と、チューブ側入口と、チューブ側出口と、入口チューブ板と、出口チューブ板と、を備えるシェルアンドチューブ熱交換器を備え、
前記出口チューブ板が、伸縮継手によって前記シェルに接続されている、方法。
【請求項2】
前記生成物流の前記少なくとも一部分が、前記チューブ側入口を通って前記シェルアンドチューブ熱交換器に入り、前記チューブ側出口を通って前記シェルアンドチューブ熱交換器から出る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記炭化水素供給物流の前記少なくとも一部分が、前記シェル側入口を通って前記シェルアンドチューブ熱交換器に入り、前記シェル側出口を通って前記シェルアンドチューブ熱交換器から出る、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記入口チューブ板、前記出口チューブ板、又はその両方が、前記チューブのうちの少なくとも1つに対して接線方向のノッチを備える、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記シェルアンドチューブ熱交換器が、前記シェルアンドチューブ熱交換器を支持する1つ以上の吊り下げ支持ラグを備える、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記シェルアンドチューブ熱交換器が、第2のシェル側出口を備える、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
前記チューブが、螺旋状フィン、長手方向フィン、螺旋状溝、長手方向溝、波形部、及びディンプルのうちの1つ以上を備える、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
前記シェルアンドチューブ熱交換器の前記シェルを通る前記炭化水素供給物流の流れが、実質的に軸方向である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
前記シェルアンドチューブ熱交換器が、エキスパンデッドメタルバッフル、ロッドバッフル、格子、ペタルバッフル、チューブインウィンドウバッフル、ノーチューブインウィンドウブバッフル、ディスクアンドドーナツバッフル、ダブルセグメントバッフル、及びトリプルセグメントバッフルから選択される1つ以上のバッフルを更に備える、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
入口チューブ板が、インナーボア溶接によって、前記複数のチューブの各々に接続される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項11】
前記シェルアンドチューブ熱交換器が、前記チューブ側入口の周りに耐火ライニングを備える、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項12】
前記シェルの長さの前記シェルの直径に対する比率が、2~8である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項13】
粒子状固体を再生するための方法であって、前記方法が、
粒子状固体処理容器内で、酸素含有気体の存在下で前記粒子状固体を再生することであって、前記粒子状固体の前記再生が、
前記粒子状固体を、酸素含有気体との接触によって酸化すること、
前記粒子状固体上に存在するコークスを燃焼させること、又は
前記粒子状固体を加熱するために補助燃料を燃焼させることのうちの1つ以上を含む、再生することと、
気体/固体分離デバイス内で、煙道気体から前記粒子状固体を分離することと、
前記煙道気体の少なくとも一部分及び前記酸素含有気体の少なくとも一部分を気体予熱器に通過させることと、を含み、
前記気体予熱器が、シェルと、前記シェルを通って軸方向に延在する複数のチューブと、シェル側入口と、シェル側出口と、チューブ側入口と、チューブ側出口と、入口チューブ板と、出口チューブ板と、を備えるシェルアンドチューブ熱交換器を備え、
前記出口チューブ板が、伸縮継手によって前記シェルに接続されている、方法。
【請求項14】
前記煙道気体の前記少なくとも一部分が、前記チューブ側入口を通って前記シェルアンドチューブ熱交換器に入り、前記チューブ側出口を通って前記シェルアンドチューブ熱交換器から出る、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記酸素含有気体の前記少なくとも一部分が、前記シェル側入口を通って前記シェルアンドチューブ熱交換器に入り、前記シェル側出口を通って前記シェルアンドチューブ熱交換器から出る、請求項13又は14に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年10月5日に出願された「SYSTEMS AND METHODS FOR PRODUCING OLEFINS」と題する米国特許出願第63/252,212号の利益及び優先権を主張するものであり、その内容全体が、参照により、本開示に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本明細書に記載される実施形態は、概して、化学処理に関し、より具体的には、熱を伝達するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
軽質オレフィンは、多くの種類の商品及び材料を生成するためのベース材料として利用され得る。例えば、エチレンは、ポリエチレン、塩化エチレン、又はエチレンオキシドを製造するために利用され得る。このような生成物は、製品の包装、建設、繊維などに利用され得る。したがって、エチレン、プロピレン、及びブテンなどの軽質オレフィンに対する業界需要が存在する。軽質オレフィンは、原油の精製操作からの生成物流であり得る所与の化学供給物流に応じて、異なる反応プロセスによって生成され得る。多くの軽質オレフィンは、固体粒子状触媒などの粒子状固体を用いるプロセスを通して生成され得る。
【発明の概要】
【0004】
炭化水素供給物を処理してオレフィンを生成するためのいくつかの反応器システムは、炭化水素供給原料が反応器に入る前に、炭化水素供給原料を加熱するために使用される熱交換器を含む。熱交換器は、生成物流から炭化水素供給原料に熱を伝達して戻すことができる。しかしながら、温度の著しい差は、熱交換器の構成要素の不均一な熱膨張に起因して、それらの構成要素間に応力をもたらす可能性がある。追加的に、従来の熱交換器の構造は、熱交換器を通過する流体に望ましくない圧力低下をもたらす可能性がある。したがって、生成物流から炭化水素供給原料に熱を伝達するための改善された方法及びシステムが、必要とされている。
【0005】
現在開示されているものは、以前の設計で特定された問題に対処し得る、オレフィンを生成するための方法及びシステムである。1つ以上の実施形態では、オレフィンを生成するための方法及びシステムは、生成物流から炭化水素供給原料に熱を伝達するためのシェルアンドチューブ熱交換器を含み得る。本明細書に開示される実施形態では、シェルアンドチューブ熱交換器は、熱伝達を増加させ、熱交換器及び他のシステム構成要素にかかる熱応力を減少させるための数ある特徴の中でも特に、伸縮継手、耐火材料、及び増大した表面積を有するチューブのうちの1つ以上を備え得る。
【0006】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態によれば、オレフィンを生成するための方法は、反応容器内で炭化水素供給物流を粒子状固体と接触させることを含み得、炭化水素供給物流の粒子状固体との接触が、炭化水素供給物流を反応させて生成物流を形成する。方法は、粒子状固体分離セクション内に収容された気体/固体分離デバイス内で生成物流から粒子状固体を分離することと、生成物流の少なくとも一部分及び炭化水素供給物流の一部分を供給物流予熱器に通すことと、を含み得る。供給物流予熱器は、シェルと、シェルを通って軸方向に延在する複数のチューブと、シェル側入口と、シェル側出口と、チューブ側入口と、チューブ側出口と、入口チューブ板と、出口チューブ板と、を備えるシェルアンドチューブ熱交換器を備えてもよい。出口チューブ板は、伸縮継手によってシェルに接続されてもよい。
【0007】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態によれば、粒子状固体を再生するための方法は、粒子状固体処理容器内で、酸素含有気体の存在下で粒子状固体を再生することを含んでもよく、粒子状固体の再生は、酸素含有気体との接触によって、粒子状固体を酸化すること、粒子状固体上に存在するコークスを燃焼させること、又は、粒子状固体を加熱するために補助燃料を燃焼させることのうちの1つ以上を含んでもよい。方法は、気体/固体分離デバイスにおいて煙道気体から粒子状固体を分離することと、煙道気体の少なくとも一部分及び酸素含有気体の少なくとも一部分を気体予熱器に通すことと、を含み得る。気体予熱器は、シェルと、シェルを通って軸方向に延在する複数のチューブと、シェル側入口と、シェル側出口と、チューブ側入口と、チューブ側出口と、入口チューブ板と、出口チューブ板と、を備えるシェルアンドチューブ熱交換器を備えてもよい。出口チューブ板は、伸縮継手によってシェルに接続されてもよい。
【0008】
前述の概要及び以下の詳細な説明の両方は、技術の実施形態を提示しており、また、これらが特許請求される技術の性質及び特徴を理解するための概要又は枠組みを提供することを意図していることを理解されたい。添付の図面は、技術の更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、様々な実施形態を例示し、説明とともに、技術の原則及び作動を説明するのに役立つ。追加的に、図面及び説明は、単なる例示であることを意図し、いかなる様式でも特許請求の範囲を限定することを意図していない。
【0009】
本明細書で開示された技術の追加の特徴及び利点は、後続の詳細な説明において記載され、その説明から当業者にとって容易に部分的に明らかになるか、又は後続の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付の図面を含む、本明細書に記載されるような技術を実践することによって、認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の特定の実施形態の以下の「発明を実施するための形態」は、以下の図面と併せて読むと最も良く理解され得るが、そこでは、同様の構造が同様の参照数字で示されている。
【
図1】本明細書に開示される1つ以上の実施形態による、反応器セクション及び再生器セクションを備える反応器システムを概略的に描示する。
【
図2】本明細書に開示される1つ以上の実施形態による、反応容器及び外部ライザーセグメントを概略的に描示する。
【
図3】本明細書に開示される1つ以上の実施形態による、粒子状固体分離セクションを概略的に描示する。
【
図4】本明細書に開示される1つ以上の実施形態による、シェルアンドチューブ熱交換器を描示する。
【0011】
図面が、本質的に概略的であり、限定なしに、温度伝送器、圧力伝送器、流量計、ポンプ、バルブなどの当該技術分野で一般的に使用される流体触媒反応器システムのいくつかの構成要素を含まないことを理解されたい。これらの構成要素が、開示された本実施形態の趣旨及び範囲内にあることが知られているであろう。しかしながら、本開示に記載されているものなどの動作構成要素は、本開示に記載されている実施形態に追加され得る。
【0012】
ここで、様々な実施形態をより詳細に参照し、そのうちのいくつかの実施形態が添付の図面に例示される。可能な場合はいつでも、同じ又は同様の部分を参照するために、図面全体で同じ参照番号が使用されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
炭化水素供給物流からオレフィンを生成するための方法が本明細書に開示される。このような方法は、システム部品の特定の配向などの特定の特徴を有するシステムを利用する。例えば、本明細書に記載される1つ以上の実施形態では、シェルアンドチューブ熱交換器は、垂直に配向される。本明細書で詳細に開示される1つの実施形態が、
図1に描写されている。しかしながら、本明細書に開示及び教示される原理が、異なる様式で配向された異なるシステム構成要素を利用する他のシステム、又は様々な触媒組成物を利用する異なる反応スキームに適用可能であり得ることを理解されたい。
【0014】
ここで
図1を参照すると、反応器システム100は、概して、反応器セクション200及び再生セクション300などの複数のシステム構成要素を備える。
図1に関連して本明細書で使用される場合、反応器セクション200は、概して、一次プロセス反応が起こり、粒子状固体が、反応のオレフィン含有生成物流から分離される、反応器システム100の部分を指す。1つ以上の実施形態では、粒子状固体は、使用済みであり得、これは、粒子状固体が少なくとも部分的に不活性化されていることを意味する。また、本明細書で使用される場合、再生セクション300は、概して、粒子状固体が燃焼などによって再生され、再生された粒子状固体が、使用済み粒子状固体上で先に燃焼された材料から、又は補助燃料から発生した気体などの他のプロセス材料から分離される、流体触媒反応器システムの部分を指す。反応器セクション200は、概して、反応容器250、外部ライザーセグメント232及び内部ライザーセグメント234を含むライザー230、並びに粒子状固体分離セクション210を含む。再生セクション300は、概して、粒子状固体処理容器350、外部ライザーセグメント332及び内部ライザーセグメント334を含むライザー330、並びに粒子状固体分離セクション310を含む。概して、粒子状固体分離セクション210は、例えばスタンドパイプ126によって、粒子状固体処理容器350と流体連通し得、粒子状固体分離セクション310は、例えばスタンドパイプ124及び輸送ライザー130によって、反応容器250と流体連通し得る。
【0015】
概して、反応器システム100は、炭化水素供給物及び流動化粒子状固体を反応容器250に供給し、炭化水素供給物を流動化粒子状固体と接触させることによって反応させて、反応器セクション200の反応容器250においてオレフィン含有生成物を生成することによって動作し得る。オレフィン含有生成物及び粒子状固体は、反応容器250から出て、ライザー230を通して粒子状固体分離セクション210における気体/固体分離デバイス220に通過させられ得、そこで、粒子状固体がオレフィン含有生成物から分離され得る。次いで、粒子状固体は、粒子状固体分離セクション210から出て、粒子状固体処理容器350に輸送され得る。粒子状固体処理容器350では、粒子状固体が、化学プロセスによって再生され得る。例えば、使用済み粒子状固体は、酸素含有気体との接触による粒子状固体の酸化、粒子状固体上に存在するコークスの燃焼、及び粒子状固体を加熱するための補助燃料の燃焼のうちの1つ以上によって再生され得る。次いで、粒子状固体は、粒子状固体処理容器350から出て、ライザー330を通ってライザー終端デバイス378に入り得、そこで、ライザー330からの気体及び粒子状固体が、部分的に分離される。ライザー330からの気体及び残留粒子状固体は、粒子状固体分離セクション310内の気体/固体分離デバイス320に輸送され、そこで、残留粒子状固体が、再生反応からの気体から分離される。気体から分離された粒子状固体は、固体粒子収集領域380に通過させられ得る。次いで、分離された粒子状固体は、固体粒子収集領域380から反応容器250に渡され得、そこで更に利用される。したがって、粒子状固体は、反応器セクション200と再生セクション300との間を循環し得る。
【0016】
1つ以上の実施形態では、反応器システム100は、反応器セクション200又は再生セクション300のいずれかを含む場合があり、両方は含まない場合がある。更なる実施形態では、反応器システム100は、単一の再生セクション300及び複数の反応器セクション200を含み得る。
【0017】
追加的に、本明細書に記載されるように、反応器セクション200及び再生セクション300の構造的特徴は、いくつかの点で同様又は同一であり得る。例えば、反応器セクション200及び再生セクション300の各々は、反応容器(すなわち、反応器セクション200の反応容器250及び再生セクション300の粒子状固体処理容器350)、ライザー(すなわち、反応器セクション200のライザー230及び再生セクション300のライザー330)、及び粒子状固体分離セクション(すなわち、反応器セクション200の粒子状固体分離セクション210及び再生セクション300の粒子状固体分離セクション310)を含む。反応器セクション200及び再生セクション300の構造的特徴の多くが、いくつかの点で同様又は同一であり得るため、反応器セクション200及び再生セクション300の同様又は同一の部分は、本開示全体を通して、同じ最後の2桁を有する参照番号が提供されており、反応器セクション200の1つの部分に関する開示が、再生セクション300の同様又は同一の部分に適用可能であり得、逆もまた同様であることを理解されたい。
【0018】
非限定的な例では、本明細書に記載の反応器システム100は、炭化水素供給物流から軽質オレフィンを生成するために利用され得る。軽質オレフィンは、異なる反応機構を利用することによって、多種多様な炭化水素供給物流から生成され得る。例えば、軽質オレフィンは、少なくとも脱水素反応、クラッキング反応、脱水反応、及びメタノールからオレフィンへの反応によって生成され得る。これらの反応型は、異なる供給物流及び異なる粒子状固体を利用して、軽質オレフィンを生成し得る。「触媒」が本明細書で言及される場合、それらは、
図1のシステムに関して言及される粒子状固体を等しく指し得ることを理解されたい。
【0019】
1つ以上の実施形態によれば、反応は、脱水素反応であり得る。このような実施形態によれば、炭化水素供給物流は、エチルベンゼン、エタン、プロパン、n-ブタン、及びi-ブタンのうちの1つ以上を含み得る。1つ以上の実施形態では、炭化水素供給物流は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は更に少なくとも99重量%のエチルベンゼンを含み得る。1つ以上の実施形態では、炭化水素供給物流は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は更に少なくとも99重量%のエタンを含み得る。追加の実施形態では、炭化水素供給物流は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は更に少なくとも99重量%のプロパンを含み得る。追加の実施形態では、炭化水素供給物流は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は更に少なくとも99重量%のn-ブタンを含み得る。追加の実施形態では、炭化水素供給物流は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は更に少なくとも99重量%のi-ブタンを含み得る。追加の実施形態では、炭化水素供給物流は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は更に少なくとも99重量%のエタン、プロパン、n-ブタン、及びi-ブタンの合計を含み得る。
【0020】
1つ以上の実施形態では、反応機構は、後に燃焼が続く脱水素であり得る(同じチャンバにおける)。このような実施形態では、脱水素反応は、副生成物として水素を生成し得、酸素キャリア材料は、水素と接触して水素の燃焼を促進し、水を形成し得る。本明細書に記載のシステム及び方法のための可能な反応機構として企図されるそのような反応機構の例は、国際公開第2020/046978号に開示されており、その教示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0021】
1つ以上の実施形態によれば、反応は、クラッキング反応であり得る。このような実施形態によれば、炭化水素供給物流は、ナフサ、n-ブタン、又はi-ブタンのうちの1つ以上を含み得る。1つ以上の実施形態によれば、炭化水素供給物流は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は更に少なくとも99重量%のナフサを含み得る。追加の実施形態では、炭化水素供給物流は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は更に少なくとも99重量%のn-ブタンを含み得る。追加の実施形態では、炭化水素供給物流は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は更に少なくとも99重量%のi-ブタンを含み得る。追加の実施形態では、炭化水素供給物流は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は更に少なくとも99重量%のナフサ、n-ブタン、及びi-ブタンの合計を含み得る。
【0022】
1つ以上の実施形態によれば、反応は、脱水反応であり得る。このような実施形態によれば、炭化水素供給物流は、エタノール、プロパノール、又はブタノールのうちの1つ以上を含み得る。1つ以上の実施形態によれば、炭化水素供給物流は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は更に少なくとも99重量%のエタノールを含み得る。追加の実施形態では、炭化水素供給物流は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は更に少なくとも99重量%のプロパノールを含み得る。追加の実施形態では、炭化水素供給物流は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は更に少なくとも99重量%のブタノールを含み得る。追加の実施形態では、炭化水素供給物流は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は更に少なくとも99重量%のエタノール、プロパノール、及びブタノールの合計を含み得る。
【0023】
1つ以上の実施形態によれば、反応は、メタノールからオレフィンへの反応であり得る。このような実施形態によれば、炭化水素供給物流は、メタノールを含み得る。1つ以上の実施形態によれば、炭化水素供給物流は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は更に少なくとも99重量%のメタノールを含み得る。
【0024】
1つ以上の実施形態では、化学プロセスの動作は、反応器から出て生成物流を通過させることを含み得る。生成物流は、軽質オレフィン又はスチレンなどのアルキル芳香族オレフィンを含み得る。本明細書に記載されるように、「軽質オレフィン」は、エチレン、プロピレン、又はブテンのうちの1つ以上を指す。本明細書に記載されるように、多くのブテンは、α-ブチレン、シス-β-ブチレン、トランス-β-ブチレン、及びイソブチレンなどのブテンの任意の異性体を含む。一実施形態では、生成物流は、少なくとも50重量%の軽質オレフィンを含み得る。例えば、生成物流は、少なくとも60重量%の軽質オレフィン、少なくとも70重量%の軽質オレフィン、少なくとも80重量%の軽質オレフィン、少なくとも90重量%の軽質オレフィン、少なくとも95重量%の軽質オレフィン、又は更に少なくとも99重量%の軽質オレフィンを含み得る。
【0025】
ここで
図1及び
図2を参照すると、反応容器250は、輸送ライザー130の反応容器250への接続を画定する反応容器粒子状固体入口ポート252を含み得る。反応容器250は、ライザー230の外部ライザーセグメント232と流体連通しているか、又は直接接続されている反応容器出口ポート254を更に含み得る。本明細書に記載されるように、「反応容器」は、ドラム、バレル、バット、又は所与の化学反応に好適な他の入れ物を指す。反応容器は、概して、円筒形状(すなわち、実質的に円形の断面形状を有する)であり得るか、あるいは、代わりに、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形、楕円形、若しくは他の多角形の断面形状を有する角柱状、又は閉曲線状などの非円筒形状、又はこれらの組み合わせであり得る。反応容器は、本開示全体を通して使用される場合、概して、金属フレームを含み得、金属フレームを保護し、かつ/又はプロセス条件を制御するために利用される耐火ライニング又は他の材料を更に含み得る。
【0026】
概して、本明細書に記載の流体触媒反応器システム100の任意のシステムユニットの「入口ポート」及び「出口ポート」とは、システムユニット内の開口部、穴、チャネル、アパーチャ、すき間、又は他の同様の機械的特徴を指す。例えば、入口ポートは、特定のシステムユニットへの材料の流入を可能にし、出口ポートは、特定のシステムユニットからの材料の流出を可能にする。概して、出口ポート又は入口ポートは、パイプ、導管、チューブ、ホース、輸送ライン、又は同様の機械的特徴が取り付けられる流体触媒反応器システム100のシステムユニットの領域、又は別のシステムユニットが直接取り付けられるシステムユニットの一部分を画定することになる。入口ポート及び出口ポートは、動作において機能的に本明細書で説明される場合があるが、それらは同様又は同一の物理的特徴を有し得、動作システムにおけるそれらのそれぞれの機能は、それらの物理的構造を制限するものとして解釈されるべきではない。ライザーポート218などの他のポートは、ライザー230がライザーポート218において粒子状固体分離セクション210内に延在する場合など、他のシステムユニットが直接取り付けられる所与のシステムユニットに開口部を備え得る。
【0027】
反応容器250は、輸送ライザー130に接続され得、これは、動作中、再生された粒子状固体及び化学供給物を反応器セクション200に提供し得る。
図2に示されるように、再生された粒子状固体及び化学供給物は、反応容器250に収容された分配器260で混合され得る。再び
図1を参照すると、輸送ライザー130を介して反応容器250に入る粒子状固体は、スタンドパイプ124を通して輸送ライザー130に通過させられることにより、再生セクション300から到達し得る。いくつかの実施形態では、粒子状固体は、粒子状固体分離セクション210からスタンドパイプ122を介して輸送ライザー130に直接入り得、そこで、反応容器250に入る。これらの粒子状固体は、わずかに不活性化されている場合があるが、いくつかの実施形態では、依然として、反応容器250での使用に好適であり得る。
【0028】
図1及び
図2に描写されるように、反応容器250は、外部ライザーセグメント232に直接接続され得る。一実施形態では、反応容器250は、反応容器本体セクション256と、反応容器本体セクション256と外部ライザーセグメント232との間に位置付けられた反応容器遷移セクション258と、を含み得る。反応容器本体セクション256は、概して、反応容器遷移セクション258よりも大きい直径を含み得、反応容器遷移セクション258は、反応容器遷移セクション258が反応容器本体セクション256から外部ライザーセグメント232へと内向きに突出するように、反応容器本体セクション256の直径のサイズからライザー230の直径のサイズへとテーパ状であり得る。本明細書で使用される場合、システムユニットの一部分の直径とは、
図1における水平方向に示されるように、その一般的な幅を指すことを理解されたい。
【0029】
追加的に、反応容器本体セクション256は、概して、反応容器本体セクション256の高さが粒子状固体入口ポート152から反応容器遷移セクション258まで測定される、高さを含み得る。1つ以上の実施形態では、反応容器本体セクション256の直径は、反応容器本体セクション256の高さよりも大きくあり得る。1つ以上の実施形態では、反応容器本体セクション256の直径の高さに対する比率は、5:1~1:5であり得る。例えば、粒子状固体処理容器本体セクション356の直径の高さに対する比率は、5:1~1:5、4:1~1:5、3:1~1:5、2:1~1:5、1:1~1:5、1:2~1:5、1:3~1:5、1:4~1:5、5:1~1:4、5:1~1:3、5:1~1:2、5:1~1:1、5:1~2:1、5:1~3:1、5:1~4:1、又はこれらの範囲の任意の組み合わせ若しくは部分組み合わせであり得る。
【0030】
1つ以上の実施形態では、反応容器250は、ライザー230の最大断面積の少なくとも3倍である最大断面積を有し得る。例えば、反応容器250は、ライザー230の最大断面積の少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、又は更に少なくとも10倍である最大断面積を有し得る。本明細書に記載されるように、別途明記しない限り、「断面積」とは、反応物及び/又は生成物の一般的な流れの方向に実質的に直交する平面におけるシステム構成要素の一部分の断面の面積を指す。
【0031】
1つ以上の実施形態では、反応容器250及びライザー230の形状、サイズ、並びに温度及び圧力などの他の処理条件に基づいて、反応容器250は、高速流動床、乱流床、又はバブリング床反応器などの、等温であるか又は等温に近づく方式で動作し得、一方、ライザー230は、希薄相ライザー反応器などの、より大きなプラグ流れ方式で動作し得る。例えば、反応容器250は、高速流動床、乱流床、又はバブリング床反応器として動作し得、ライザー230は、希薄相ライザー反応器として動作し得、その結果、平均触媒及び気体流れは、同時に上方に移動する。「平均流れ」とは、その用語が本明細書で使用される場合、一般に流動粒子の挙動に典型的であるように、正味の流れ、すなわち、全ての上方流れから後退流れ又は逆流れを差し引いた流れを指す。本明細書に記載されるように、「高速流動」反応器とは、気体相の空塔速度がチョーキング速度より速く、動作中は半密であり得る、流動化レジームを利用する反応器を指し得る。本明細書に記載されるように、「乱流」反応器とは、空塔速度がチョーキング速度よりも遅く、高速流動化レジームよりも密度が高い流動化レジームを指し得る。本明細書に記載されるように、「バブリング床」反応器とは、高密度床における明確に定義された気泡が2つの別個の相に存在する流動化レジームを指し得る。「チョーキング速度」とは、垂直搬送ラインで固体を希薄相モードに維持するために必要な最小速度を指す。本明細書に記載されるように、「希薄相ライザー」とは、輸送速度で動作するライザー反応器を指し得、気体及び触媒は、希薄相でほぼ同じ速度を有する。
【0032】
1つ以上の実施形態では、反応容器250における圧力は、6.0~100ポンド/絶対平方インチ(pounds per square inch absolute、psia)(約41.4キロパスカル(kilopascal、kPa)~約689.4kPa)の範囲であり得るが、いくつかの実施形態では、15.0psia~35.0psia(約103.4kPa~約241.3kPa)などのより狭い選択範囲が用いられ得る。例えば、圧力は、15.0psia~30.0psia(約103.4kPa~約206.8kPa)、17.0psia~28.0psia(約117.2kPa~約193.1kPa)、又は19.0psia~25.0psia(約131.0kPa~約172.4kPa)であり得る。本明細書では、標準(非SI)式からメートル(SI)式への単位変換には、変換の結果としてメートル(SI)式に存在し得る切り上げを示す「約」が含まれる。
【0033】
追加の実施形態では、開示されたプロセスの単位時間当たりの重量空間速度(weight hourly space、WHSV)は、反応器における触媒1lb当たり1時間(h)当たり0.1ポンド(lb)~100lbの化学供給物(lb供給物/時間/lb触媒)の範囲であり得る。例えば、反応器が、高速流動床反応器、乱流床反応器、又はバブリング床反応器として動作する反応容器250と、ライザー反応器として動作するライザー230と、を備える場合、空塔気体速度は、反応容器250において2フィート/秒(ft/秒、約0.61メートル/秒、m/秒)~80ft/秒(約24.38m/秒)、例えば、2ft/秒(約0.61m/秒)~10ft/秒(約3.05m/秒)、ライザー230において30ft/秒(約9.14m/秒)~70ft/秒(約21.31m/秒)の範囲であり得る。追加の実施形態では、完全にライザー型である反応器構成は、単一の高空塔気体速度で、例えば、いくつかの実施形態では、全体を通して少なくとも30ft/秒(約9.15m/秒)で動作し得る。
【0034】
追加の実施形態では、反応容器250及びライザー230における触媒の供給物流に対する比率は、重量対重量(weight to weight、w/w)基準で5~100の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、比率は、12~36、又は12~24など、10~40の範囲であり得る。
【0035】
追加の実施形態では、触媒フラックスは、反応容器250において1ポンド/平方フィート秒(lb/ft2-秒)(約4.89kg/m2-秒)~30lb/ft2-秒(約146.5kg/m2-秒)、ライザー230において10lb/ft2-秒(約48.9kg/m2-秒~250lb/ft2-秒(約1221kg/m2-秒)であり得る。
【0036】
更に
図1を参照すると、反応器セクション200は、反応物、生成物、及び/又は粒子状固体を反応容器250から粒子状固体分離セクション210に輸送するように作動するライザー230を備え得る。1つ以上の実施形態では、ライザー230は、概して、円筒形状(すなわち、実質的に円形の断面形状を有する)であり得るか、あるいは、代わりに、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形、楕円形、若しくは他の多角形の断面形状を有する角柱状、又は閉曲線状などの非円筒形状、又はこれらの組み合わせであり得る。ライザー230は、本開示全体を通して使用される場合、概して、金属フレームを含み得、金属フレームを保護し、かつ/又はプロセス条件を制御するために利用される耐火ライニング又は他の材料を更に含み得る。
【0037】
いくつかの実施形態によれば、ライザー230は、外部ライザーセグメント232及び内部ライザーセグメント234を含み得る。本明細書で使用される場合、「外部ライザーセグメント」とは、粒子状固体分離セクションの外側にあるライザーの一部分を指し、また、「内部ライザーセグメント」とは、粒子状固体分離セクション内にあるライザーの一部分を指す。例えば、
図1に描写される実施形態では、反応器セクション200の内部ライザーセグメント234は、粒子状固体分離セクション210内に位置付けられ得、一方、外部ライザーセグメント232は、粒子状固体分離セクション210の外側に位置付けられる。
【0038】
図1及び
図3を参照すると、粒子状固体分離セクション210は、外側シェル212を備え得、外側シェル212は、粒子状固体分離セクション210の内部領域214を画定し得る。外側シェル212は、気体出口ポート216、ライザーポート218、及び粒子状固体出口ポート222を備え得る。更に、外側シェル212は、粒子状固体分離セクション210の内部領域214に、気体/固体分離デバイス220及び粒子状固体収集領域280を収容し得る。
【0039】
1つ以上の実施形態では、粒子状固体分離セクション210の外側シェル212は、粒子状固体分離セクション210の上部セグメント276、中間セグメント278、及び下部セグメント272を画定し得る。概して、上部セグメント276は、断面積が上部セグメント276において20%を超えて変動しないように、実質的に一定の断面積を有し得る。1つ以上の実施形態では、上部セグメント276の断面積は、ライザー230の最大断面積の少なくとも3倍であり得る。例えば、上部セグメント276の断面積は、ライザー230の最大断面積の少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも12倍、少なくとも15倍、又は更に少なくとも20倍であり得る。更なる実施形態では、上部セグメント276の最大断面積は、ライザー230の最大断面積の5~40倍であり得る。例えば、上部セグメント276の最大断面積は、ライザー230の最大断面積の5~40倍、10~40倍、15~40倍、20~40倍、25~40倍、30~40倍、35~40倍、5~35倍、5~30倍、5~25倍、5~20倍、5~15倍、又は更に5~10倍であり得る。
【0040】
追加的に、1つ以上の実施形態では、粒子状固体分離セクション210の下部セグメント272は、断面積が下部セグメント272において20%を超えて変動しないように、実質的に一定の断面積を有し得る。下部セグメント272の断面積は、ライザー230の最大断面積よりも大きく、上部セグメント276の最大断面積よりも小さくあり得る。中間セグメント278は、中間セグメント278の断面積が一定ではなく、中間セグメント278の断面積が、中間セグメント278全体にわたって、上部セグメント276の断面積から下部セグメント272の断面積に遷移する錐台形状であり得る。
【0041】
再び
図3を参照すると、粒子状固体分離セクション210は、中心垂直軸299を含み得る。中心垂直軸は、中心垂直軸299が、粒子状固体分離セクション210の上部セグメント276、中間セグメント278、及び下部セグメント272を通過するように、粒子状固体分離セクション210の上部及び粒子状固体分離セクション210の底部を通して延在し得る。1つ以上の実施形態では、粒子状固体分離セクション210の上部セグメント276、中間セグメント278、及び下部セグメント272は、中心垂直軸299を中心とし得る。例えば、上部セグメント276及び下部セグメント272が実質的に円筒形である実施形態では、中心垂直軸299は、上部セグメント276の直径の中点及び下部セグメント272の直径の中点を通過し得る。
【0042】
図1及び
図3に描写されるように、ライザー230の内部ライザーセグメント234は、粒子状固体分離セクション210のライザーポート218を通して延在し得る。ライザーポート218は、粒子状固体分離セクション210の外側シェル212における任意の開口部であり得、そこを通して、ライザー230の少なくとも内部ライザーセグメント234が、粒子状固体分離セクション210の内部領域214内に突起する。1つ以上の実施形態では、ライザーポート218は、中心垂直軸299上に位置する。1つ以上の実施形態では、ライザーポート218は、粒子状固体分離セクション210の中心垂直軸299上に位置しない。このような実施形態では、ライザーポート218は、ライザーポート218が中心垂直軸299上に位置せず、また、ライザー230が中心垂直軸299に実質的に平行な方向に粒子状固体分離セクション210内に延在するように配向されないように、外側シェル212の側壁上に位置し得る。
【0043】
1つ以上の実施形態では、内部ライザーセグメント234は、下部セグメント274において粒子状固体分離セクション210に入る。そのような実施形態では、内部ライザーセグメント234は、下部セグメント274の少なくとも一部分を通過し、中間セブ面と278の少なくとも一部分及び上部セグメント276の少なくとも一部分を通過する。1つ以上の実施形態では、内部ライザーセグメント234は、粒子状固体分離セクション210の中間セグメント278において粒子状固体分離セクション210に入る。そのような実施形態では、内部ライザーセグメント234は、中間セグメント278の少なくとも一部分を通過し、上部セグメント276の少なくとも一部分を通過する。このような実施形態では、内部ライザーセグメント234は、粒子状固体分離セクション210の下部セグメント272を通過しない。更なる実施形態では、内部ライザーセグメント234は、上部セグメント276において粒子状固体分離セクション210に入り得、内部ライザーセグメント234は、上部セグメント276の少なくとも一部分を通過し得る。そのような実施形態では、内部ライザーセグメント234は、下部セグメント272又は中間セグメント278を通過しない。
【0044】
再び
図3を参照すると、粒子状固体分離セクション210の上部セグメント276において、内部ライザーセグメント234は、気体/固体分離デバイス220と流体連通し得る。例えば、内部ライザーセグメント234の垂直部分296は、気体/固体分離デバイス220に直接接続され得る。気体/固体分離デバイス220は、サイクロン又は複数のサイクロンなどの、気相又は液相から粒子状固体を分離するように動作可能であり得る任意の機械的又は化学的分離デバイスであり得る。
【0045】
1つ以上の実施形態によれば、気体/固体分離デバイス220は、2段階以上のサイクロン式分離を含み得るサイクロン式分離システムであり得る。気体/固体分離デバイス220が2つ以上のサイクロン式分離段階を含む実施形態では、流動流が入る第1の分離デバイスは、一次サイクロン式分離デバイスと称される。一次サイクロン式分離デバイスからの流動流出物は、更なる分離のために二次サイクロン式分離デバイスに入り得る。一次サイクロン式分離デバイスとしては、例えば、一次サイクロン、並びにVSS(UOPから市販されている)、LD2(Stone and Websterから市販されている)、及びRS2(Stone and Websterから市販されている)の名称で市販されているシステムが挙げられ得る。一次サイクロンは、例えば、米国特許第4,579,716号、同第5,190,650号及び同第5,275,641号に記載されており、これらは各々、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。一次サイクロンを一次サイクロン式分離デバイスとして利用するいくつかの分離システムでは、1組以上の追加のサイクロン、例えば、二次サイクロン及び三次サイクロンを用いて、生成物気体から粒子状固体を更に分離する。一次サイクロン式分離デバイスが、本明細書に開示される実施形態に使用され得ることを理解されたい。
【0046】
粒子状固体は、反応容器250からライザー230を通して上方に移動し、気体/固体分離デバイス220に入り得る。気体/固体分離デバイス220は、分離された粒子状固体を粒子状固体分離セクション210の上部セグメント276の底部内に、又は中間セグメント278若しくは下部セグメント272内に堆積させるように動作可能であり得る。分離された蒸気は、粒子状固体分離セクション210の気体出口ポート216においてパイプ120を介して流体触媒反応器システム100から除去され得る。分離された蒸気は、軽質オレフィンを含み得、したがって、生成物流410であり得る。
【0047】
1つ以上の実施形態では、生成物流410の少なくとも一部分及び炭化水素供給物流430の少なくとも一部分を、反応器部分200の反応容器250の下流に配設された供給物流予熱器400に通過させることができる。供給物流予熱器400は、
図4に描写されるように、シェルアンドチューブ熱交換器500であってもよい。シェルアンドチューブ熱交換器500は、生成物流410から炭化水素供給物流430への熱伝達を介して、炭化水素供給物流430の少なくとも一部分を加熱するように動作可能であり得る。したがって、シェルアンドチューブ熱交換器500は、シェルアンドチューブ熱交換器500の上流の生成物流410と比較して、供給物流予熱器を出る生成物流411の温度を低下させることができる。追加的に、シェルアンドチューブ熱交換器500は、シェルアンドチューブ熱交換器500の上流の炭化水素供給物流431と比較して、シェルアンドチューブ熱交換器500を出る炭化水素供給物流430の温度を上昇させることができる。
【0048】
本明細書に記載されるように、「シェルアンドチューブ熱交換器」は、比較的高温の流体から比較的低温の流体に熱を伝達するための1個の機器を指す。
図4を参照すると、シェルアンドチューブ熱交換器500は、シェル520内に位置付けられている複数のチューブ510を備え得る。1つの流体は、チューブ510を通って流れ、チューブの内面に接触し、別の流体は、シェルを通って流れ、チューブの外面に接触し得る。チューブの内面によって画定される熱交換器の容積は、本明細書では「チューブ側」512と呼ばれ、チューブの外面とシェルの内面との間の熱交換器の容積は、本明細書ではシェルアンドチューブ熱交換器500の「シェル側」522と呼ばれる。したがって、流体が互いに接触することなく、熱が、チューブ510の壁を通して2つの流体間で伝達され得る。1つ以上の実施形態では、炭化水素供給物430は、シェルアンドチューブ熱交換器500のシェル側522を通って流れることができ、生成物流410は、シェルアンドチューブ熱交換器500のチューブ側512を通って流れることができる。
【0049】
1つ以上の実施形態では、シェル520は、概して、円筒形状(すなわち、実質的に円形の断面領域を有する)であり得るか、あるいは、代わりに、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形、楕円形、若しくは他の多角形の断面形状を有する角柱状、又は閉曲線状などの非円筒形状、又はこれらの組み合わせであり得る。同様に、1つ以上の実施形態では、各チューブ510は、形状が概して円筒形であり得るか、又は代わりに、非円筒形であり得る。
【0050】
シェルアンドチューブ熱交換器500は、シェル側入口524、シェル側出口526、チューブ側入口514、及びチューブ側出口516を備え得る。シェル側入口524は、流体がシェルアンドチューブ熱交換器500のシェル520に入ることを可能にし得、シェル側出口526は、流体がシェルアンドチューブ熱交換器500のシェル520から出ることを可能にし得る。1つ以上の実施形態では、シェルアンドチューブ熱交換器500は、第2のシェル側入口を備えてもよい。1つ以上の実施形態では、熱交換器は、第2のシェル側出口を備えてもよい。理論に束縛されるものではないが、シェルアンドチューブ熱交換器500が大きくなるにつれて、シェル側出口526は、サイズが大きくなり得る。シェル側出口526が大きすぎる場合、バッフル540の間隔を調整する必要がある場合がある。更に、単一のシェル側出口526及び単一のシェル側入口524を使用すると、シェルアンドチューブ熱交換器500を通る流体の不均一な流れがもたらされる可能性がある。したがって、第2のシェル側出口526及び/又は第2のシェル側入口524の使用は、バッフル540の間隔を調整する必要なしに、シェルアンドチューブ熱交換器500のシェル側522を通る流体のより均一な分布をもたらし得る。複数のノズルを使用する利点としては、熱交換器内の気体のより良好な分布、ノズルがバッフル間に収まることを可能にする、より小さいノズル、及び上部チューブ板に沿って移動する速度を保つのに役立ち、それによりコークス化の可能性を最小限に抑える、より小さいノズルが挙げられ得る。追加的に、シェル側ノズル入口及び出口を、山腹(hillside)又は放射状に配向することができる。
【0051】
1つ以上の実施形態では、チューブ側入口514は、流体がチューブ側入口プレナム518に入ることを可能にし得る。チューブ側入口プレナム518は、チューブ側入口514と、複数のチューブにおけるチューブの各々の入口との間に位置付けられ得る。入口チューブ板532は、チューブ側入口プレナム518をシェルアンドチューブ熱交換器500のシェル側522から分離することができる。流体は、チューブ側入口514から、チューブ側入口プレナム518を通り、次いで複数のチューブ510を含むチューブ510内へと通過することができる。1つ以上の実施形態では、チューブ側出口516は、流体がシェルアンドチューブ熱交換器500のチューブ側出口プレナム519から出ることを可能にし得る。チューブ側出口プレナム519は、複数のチューブ510におけるチューブ510の各々の出口と、チューブ側出口516との間に位置し得、出口チューブ板534は、チューブ側出口プレナム519をシェルアンドチューブ熱交換器500のシェル側522から分離することができる。
【0052】
1つ以上の実施形態では、入口チューブ板532及び出口チューブ板534の各々は、複数のチューブ501の少なくとも一部分を支持することができ、チューブ側入口プレナム518及び/又はチューブ側出口プレナム519と、シェルアンドチューブ熱交換器500のシェル側522との間に障壁を提供することができる。1つ以上の実施形態では、入口チューブ板532は、シェル520に接続されてもよく、各チューブ510に接続されてもよい。1つ以上の実施形態では、出口チューブ板534は、浮動チューブ板であってもよい。出口チューブ板534は、各チューブ510に接続されてもよく、出口チューブ板534がシェル520内で移動することを可能にする可撓継手によって、シェル520に接続されてもよい。1つ以上の実施形態では、チューブ側入口514及びチューブ側出口516は、シェル520の反対側にあってもよい。そのような実施形態では、熱交換器500は、シェル520の各端部にチューブ板を、1つはチューブ側入口514の近くに、1つはチューブ側出口516の近くに、備えることができる。
【0053】
1つ以上の実施形態では、入口チューブ板532、出口チューブ板534、又はその両方は、可撓性であってもよい。理論に束縛されるものではないが、可撓性チューブ板は、チューブ510及びシェル520の熱膨張の違いによりチューブ510及びシェル520にかかる応力を低減することができる。例えば、可撓性チューブ板設計は、シェルとチューブ板との間の接合部に湾曲を含み得る。半径を増加させること、この湾曲は、シェルとチューブ板との間の接合部の可撓性を増加させ、その接合部に存在し得る応力を緩和することができる。更に、高温で同様の弾性率を有する材料をシェルとチューブ板との間の接合部に使用することによって、チューブ板の可撓性が、少なくとも部分的に向上され得る。より低い可撓性を示すいくつかの従来のチューブ板設計では、シェルとチューブ板との間の接合部に使用される材料は、高温でより高い応力を許容する。しかしながら、これらの材料はまた、それらの高温における弾性率でより高い差異を有する。それにより、チューブ板とシェルとの間の接合部において、チューブ板に不必要な剛性が生じる。
【0054】
1つ以上の実施形態では、シェル520は、1つ以上のバッフル540を含み得る。バッフル540は、シェルアンドチューブ熱交換器500のシェル側522に流体を向けることができる。バッフル540は、シェル側流体の乱流を増加させることができ、シェルアンドチューブ熱交換器500のシェル520を通るシェル側流体の流れを方向付けることができる。追加的に、バッフル540は、シェルアンドチューブ熱交換器500のシェル520を通って軸方向に延在する複数のチューブ510のための支持を提供することができる。1つ以上の実施形態では、シェルアンドチューブ熱交換器500は、ペタル(petal)バッフル、チューブインウィンドウ(tube-in-window)バッフル、ノーチューブインウィンドウ(no-tube-in-window)バッフル、ディスクアンドドーナツ(disc and doughnut)バッフル、ダブルセグメントバッフル、トリプルセグメントバッフル、又は任意の他の好適なバッフルを備えてもよい。
【0055】
1つ以上の実施形態では、シェルアンドチューブ熱交換器500のシェル側522を通る流体の流れは、実質的に軸方向であり得る。本明細書に記載されるように、「軸方向流れ」は、熱交換器500のシェルの中心軸に実質的に平行であり、シェル520を通って軸方向に延在する複数のチューブ510を含むチューブ510の各々に実質的に平行である流れを指す。そのような実施形態では、熱交換器は、シェルアンドチューブ熱交換器500のシェル側522の流体の軸方向流れを促進するバッフル540を備え得る。例えば、熱交換器は、エキスパンデッドメタル(expanded metal)バッフル又はロッドバッフルを備えてもよい。エキスパンデッドメタルバッフルは、金属のシートにスリットを切り、金属のシートを延伸して、チューブ510が通って延在することができる隙間を形成することによって、形成され得る。隙間は、流体が、チューブ510に実質的に平行な方向に隙間を通って流れることを可能にするのに十分な大きさであり得る。ロッドバッフルは、複数のチューブ510を通って延在してチューブ510を支持する複数のロッドによって形成され得る。1つ以上の実施形態では、熱交換器は、地下鉄格子などの格子から形成されたバッフル540を備えてもよい。格子は、ウォータカッティングによって形成されてもよい。エキスパンデッドメタルバッフルと同様に、格子は、チューブ510が通って延在することができる隙間を備え得る。理論に束縛されるものではないが、シェルアンドチューブ熱交換器500のシェル側522を通る流体の流れが実質的に軸方向である場合、同じ間隔での同じ数のチューブに対して、ノーチューブインウィンドウ(no tube in window、NTIW)構成のために無駄な空間が多くなく、より小さいシェル520を使用することが可能になると考えられる。
【0056】
1つ以上の実施形態では、シェルアンドチューブ熱交換器500は、シェル伸縮継手を備えてもよい。シェル伸縮継手は、シェルアンドチューブ熱交換器500のシェル520内に位置付けられた任意の好適な伸縮継手であってもよい。例えば、シェルアンドチューブ熱交換器は、フルートアンドフランジ(flute and flange)シェル伸縮継手を備えてもよい。理論に束縛されるものではないが、シェル伸縮継手は、チューブ510とシェル520との間の熱勾配及びチューブ510とシェル520との間の熱膨張係数の違いに起因して生じるチューブ510の膨張又は収縮に応答して、熱交換器500のシェルが軸方向に伸張及び収縮することを可能にすることによって、シェルアンドチューブ熱交換器500にかかる熱応力を低減することができると考えられる。
【0057】
シェルアンドチューブ熱交換器500はまた、シェル520と、入口チューブ板532及び/又は出口チューブ板534との間の接合部上に応力低減特徴を備えてもよい。1つ以上の実施形態では、入口チューブ板532及び/又は出口チューブ板534は、ノッチ又は溝を備えてもよい。ノッチは、チューブ510のうちの少なくとも1つに対して接線方向に切り出された、入口チューブ板532及び/又は出口チューブ板534の一部分であってもよい。理論に束縛されるものではないが、ノッチは、シェルアンドチューブ熱交換器500のチューブ510及びシェル520の熱膨張率が異なることに起因して入口チューブ板532及び/又は出口チューブ板534にかかる熱応力を低減することができると考えられる。特に、シェルに取り付けられたチューブ板は、概して、チューブ板とシェルとの間の角継手において高応力を生じやすい。半径に対して接線方向の成分が存在する、複合半径を有するノッチを角継手に追加することによって、高い熱応力は、そのようなノッチなしのシステムにおいて達成され得るよりも効率的な様式で、消散され得る。いくつかの実施形態では、ノッチは、半径、接線方向に機械加工された切断部、及び浅いセクションを含み得る。これにより、入口チューブ板532及び/又は出口チューブ板534とシェル520との間の接合部に剛性を追加し得る不必要な材料の除去が、可能になり得る。
【0058】
1つ以上の実施形態では、入口チューブ板532、出口チューブ板534、又はその両方が、伸縮継手によってシェル520に接続されてもよい。1つ以上の実施形態では、出口チューブ板534は、伸縮継手によってシェル520に接続されて、容器シェルの内側に位置してもよい。伸縮継手は、任意の好適な伸縮継手であってもよい。1つ以上の実施形態では、伸縮継手は、波形ベローズ伸縮継手、又はS字型可撓継手、又はオメガ若しくはトロイダル状可撓継手であってもよい。1つ以上の実施形態では、伸縮継手は、以下に限定されないが、321又は316ステンレス鋼などのステンレス鋼を含んでもよい。理論に束縛されるものではないが、チューブ板とシェル520との間に位置付けられた伸縮継手は、シェル520とチューブ板との間の異なる熱膨張率によって引き起こされる熱応力を低減することができると考えられる。シェルアンドチューブ熱交換器500が使用されるとき、チューブ510は、シェル520とは異なる温度であってもよい。したがって、チューブ510の熱膨張量は、シェル520の熱膨張量と異なっていてもよい。チューブ板とシェル520との間に伸縮継手を使用することにより、この熱膨張の違いによって生じる、シェルアンドチューブ熱交換器500にかかる応力を低減することができる。
【0059】
1つ以上の実施形態では、シェルアンドチューブ熱交換器500は、1つ以上の吊り下げ支持ラグによって支持されてもよい。吊り下げ支持ラグは、任意の好適な手段によって、シェルアンドチューブ熱交換器500の外面に固定されてもよく、シェルアンドチューブ熱交換器500を支持するために使用されてもよい。1つ以上の実施形態では、吊り下げ支持ラグは、シェルアンドチューブ熱交換器500の熱膨張及び収縮に適応するように可撓性であってもよい。理論に束縛されるものではないが、反応器及び熱交換器などの従来の圧力容器は、通常、圧縮によって圧力容器を支持するラグによって支持される。吊り下げ支持ラグは、圧力容器が半径方向に自由に移動することを可能にする。ハンディング支持ラグを使用するとき、そのような支持体が半径方向熱膨張を可能にするので、高温システムにかかる熱応力を大幅に低減することができる。場合によっては、吊り下げ支持ラグは、自然な輪郭及び形状をラグに組み込むことによって可撓性であってもよい。例えば、吊り下げ支持ラグは、必要でない、又は不必要な剛性を加えている、プロセス機器の部分から材料を除去することによって設計されてもよい。
【0060】
1つ以上の実施形態では、シェルアンドチューブ熱交換器500のシェル520は、304H SS、合金800、合金800 H、合金800 HT、又は347 SS若しくは321 SSなどの他の好適な高温ステンレス鋼から形成されてもよい。1つ以上の実施形態では、チューブ510は、304H SS、合金800、合金800 H、合金800 HT、又は347 SS若しくは321 SSなどの他の好適な高温ステンレス鋼から形成されてもよい。1つ以上の実施形態では、入口チューブ板532及び出口チューブ板534の各々は、304H SS、合金800、合金800 H、合金800 HT、又は347 SS若しくは321 SSなどの他の好適な高温ステンレス鋼から形成されてもよい。
【0061】
1つ以上の実施形態では、入口チューブ板532は、インナーボア溶接によって、複数のチューブ510の各々に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、出口チューブ板534は、インナーボア溶接によって、複数のチューブ510の各々に接続されてもよい。そのような実施形態では、チューブ板は、ハブを備えてもよく、各チューブは、入口チューブ板上のハブに溶接され、チューブは、チューブ板を通過しない。この溶接は、溶接を実行するためにチューブ板を通して挿入することができるツールによって、達成されてもよい。理論に束縛されるものではないが、インナーボア溶接の使用により、チューブ板とチューブとの間の接合部における隙間の数を減少させることができ、それにより、成長してチューブをチューブ板から押し出す可能性がある、シェル側の炭化水素によるコークス化の可能性が、排除される。これにより、シェルアンドチューブ熱交換器500内のチューブ板及びチューブの束を維持することが、より容易になり得る。
【0062】
1つ以上の実施形態では、シェルアンドチューブ熱交換器500は、耐火ライニングを備えてもよい。例えば、耐火ライニングは、高温生成物流410が熱交換器500に導入されるチューブ側入口514、及び加熱された炭化水素供給物流410が熱交換器500を出るシェル側出口526の周りに位置付けられてもよい。1つ以上の実施形態では、耐火ライニングは、チューブ側入口514の内面上に位置付けられてもよい。理論に束縛されるものではないが、高温気体をチューブ側入口に運ぶパイプが耐火物でライニングされている場合、そのパイプの熱膨張は最小であり得ると考えられる。いくつかの実施形態では、チューブ側入口514とパイプとの間に位置付けられたフランジが、存在する。耐火ライニングを有することは、フランジを越えてチューブ側入口514まで延在し、フランジにかかる熱応力を低減し、過剰な熱損失を防止し得る。1つ以上の実施形態では、出口チューブ板534は、熱遮蔽を備えてもよい。理論に束縛されるものではないが、いくつかの実施形態では、シェルアンドチューブ熱交換器500のシェル側522に入る気体が、冷たすぎる場合があり、出口チューブ板534に熱応力を生じさせる可能性がある。したがって、熱遮蔽は、これらの低温気体が出口チューブ板534を過度に冷却し、過剰な熱応力を引き起こすことを防止することができる。
【0063】
1つ以上の実施形態では、チューブ510は、追加の表面積を提供するように成形されてもよい。理論に束縛されるものではないが、チューブ510の表面積を増大させることにより、チューブ側流体とシェル側流体との間の熱伝達率を増大させることができると考えられる。1つ以上の実施形態では、チューブ510の表面積は、チューブの外面、チューブの内面、又はその両方上のフィンの存在によって増大させることができる。例えば、1つ以上のフィンは、チューブの内面、チューブの外面、又はその両方上に、長手方向又は螺旋状に位置付けられてもよい。1つ以上の実施形態では、チューブは、低フィン付きチューブであってもよく、低フィン付きチューブは、素チューブ(base tube)材料を押出成形することによって形成された横断フィンを備える。1つ以上の実施形態では、チューブ510は、波形であってもよいか、又は波形部若しくは内部リブを備えてもよい。1つ以上の実施形態では、チューブ510は、溝付きであってもよい。例えば、チューブ510は、チューブの内面、チューブの外面、又はその両方上に1つ以上の長手方向溝又は1つ以上の螺旋溝を備えてもよい。1つ以上の実施形態では、チューブ510は、チューブの内面、チューブの外面、又はその両方上にテクスチャを備えてもよい。例えば、チューブの内面、チューブの外面、又はその両方にディンプルを設けてもよい。1つ以上の実施形態では、チューブ510は、本明細書に記載された表面積増大の任意の組み合わせを備えることができる。
【0064】
1つ以上の実施形態では、シェルの直径に対するシェルの長さの比率は、2~50である。例えば、シェルの直径に対するシェルの長さの比率は、2~50、5~50、10~50、15~50、20~50、25~50、30~50、35~50、40~50、45~50、2~45、2~40、2~35、2~30、2~25、2~20、2~15、2~10、2~5、又はこれらの範囲の任意の組み合わせ若しくは部分組み合わせであってもよい。1つ以上の実施形態では、シェルの直径に対するシェルの長さの比率は、2~8である。例えば、シェルの直径に対するシェルの長さの比率は、2~8、3~8、4~8、5~8、6~8、7~8、2~7、2~6、2~5、2~4、2~3、又はこれらの範囲の任意の組み合わせ若しくは部分組み合わせであってもよい。理論に束縛されるものではないが、そのような比率は、熱交換器を通る圧力降下と、入口チューブ板に対する機械的制限との間のバランスを提供すると考えられる。例えば、シェル520の直径に対する長さの比率が大きいほど、より小さなチューブ板をもたらし、それにより、ひいては、チューブ板の熱膨張によって引き起こされる応力を低減することができる。更に、シェル520の直径に対する長さの比率が大きいほど、シェル520を通って流れる流体の速度を増加させ得、シェルアンドチューブ熱交換器500を通る圧力降下を増加させ得る。
【0065】
1つ以上の実施形態では、シェルアンドチューブ熱交換器500は、本明細書で企図される様々な特徴の組み合わせを備えてもよい。本明細書に記載される様々な特徴は、組み合わされると相乗効果を有し得る。例えば、1つ以上の実施形態では、シェルアンドチューブ熱交換器500は、出口チューブ板534とシェル520との間の伸縮継手、及びチューブ側入口514周りの耐火ライニングの両方を備えてもよい。理論に束縛されるものではないが、出口チューブ板534とシェル520との間の伸縮継手を耐火ライニングと組み合わせて使用することにより、熱交換器の様々な構成要素が受ける熱応力を大幅に低減することができる。熱交換器にかかる熱応力を低減することによって、より安価な冶金が、熱交換器の様々な構成要素に好適であり得る。
【0066】
再び
図1及び
図3を参照すると、反応器システム100に関して、粒子状固体分離セクション210の下部セグメント272は、粒子状固体収集領域280を備え得る。1つ以上の実施形態では、粒子状固体収集領域280は、粒子状固体分離セクション210内での粒子状固体の蓄積を可能にし得る。粒子状固体収集領域280は、ストリッピングセクションを備え得る。ストリッピングセクションは、粒子状固体を再生セクション300に送る前に、粒子状固体から生成物蒸気を除去するために利用され得る。再生セクション300に輸送された生成物蒸気は燃焼されることになるため、生成物気体よりも安価な気体を利用するストリッパでこれらの生成物蒸気を除去することが望ましい。
【0067】
下部セグメント272における粒子状固体収集領域280は、粒子状固体出口ポート222を備え得る。1つ以上の実施形態によれば、粒子状固体収集領域280の底部は、粒子状固体出口ポート222が粒子状固体収集領域280の最も低い部分に位置するように曲線状であり得る。スタンドパイプ126は、粒子状固体出口ポート222において粒子状固体分離セクション210に接続され得、粒子状固体は、反応器セクション200から出て、スタンドパイプ126を介して再生セクション300に移送され得る。任意選択的に、粒子状固体はまた、スタンドパイプ122を介して反応容器250に戻って直接移送され得る。このような実施形態では、スタンドパイプ122及びスタンドパイプ126は各々、中心垂直軸229からオフセットされ得る。代替的に、粒子状固体は、輸送ライザー130において、再生された粒子状固体と事前混合され得る。
【0068】
本明細書に記載されるように、反応容器壁、分離セクション壁、又はライザー壁などのシステムユニットの部分は、炭素又はステンレス鋼などの金属材料を含み得る。加えて、様々なシステムユニットの壁は、同じシステムユニットの他の部分又は別のシステムユニットに取り付けられる部分を有し得る。場合によって、取り付け又は接続の点は、本明細書では「取り付け点」と称され、限定はしないが、溶接、接着剤、はんだなどの任意の既知の結合媒体を組み込み得る。システムの構成要素が、溶接などの取り付け点において「直接接続」され得ることを理解されたい。
【0069】
高温の粒子状固体及び気体によって引き起こされる損傷を軽減するために、耐火材料を様々なシステム構成要素の内部ライニングとして使用し得る。耐火材料は、ライザー230並びに粒子状固体分離セクション210上に含まれ得る。特定の耐火材料配置及び材料の実施形態が提供されるが、それらは、開示されるシステムの物理的構造に関して限定的であるとみなされるべきではないことを理解されたい。例えば、耐火ライナーは、ライザー230内にライザー230の内面に沿って、並びに粒子状固体分離セクション210の中間セグメント278及び上部セグメント276の内面に沿って、延在し得る。耐火ライナーは、六角メッシュ又は他の好適な耐火材料を含み得る。
【0070】
粒子状固体及び反応器セクション200の他の部分の重量から反応容器250、より具体的には218のような接続された容器ノズルに印加される機械的負荷が高い場合があり、ばねを利用して、容器及び配管壁の温度差による容器の移動を可能にし得る。これらのばねは、容器が空である場合に、反応容器250及びノズル218に上方の圧力を印加し得る。容器が逆の触媒重量を有する場合、ノズル218に対する負荷は下方にシフトし得る。この設計原理は、ノズル218から見るいずれの方向の全負荷も減少させる。例えば、反応容器250は、ばねから吊り下げられ得るか、又はばねは、反応容器250の下に位置付けられ、その重量、触媒重量を支持し、熱的移動を可能にし得る。例えば、
図1は、反応容器250において反応器セクション200に機械的に取り付けられたばね支持体188を描写しており、反応器セクション200は、ばね支持体188によって支持構造から懸架されている。
【0071】
追加的に、反応容器250及びライザー230は、熱膨張を受け得る。したがって、ばね支持体188から反応容器250を吊り下げるか、又はばね支持体188で反応容器250を支持することにより、反応容器250と外部ライザーセグメント232との間の張力を緩和し得る。ここで
図2を参照すると、ばねの代わりに、伸縮継手282が、反応容器250と外部ライザーセグメント232との間に位置付けられ得る。本明細書に記載されるように、「伸縮継手」は、伸縮継手によって接合されたシステム構成要素間の応力を低減する、金属又は耐火性、プラスチック、繊維、若しくはエラストマーなどの他の好適な材料から作製されるベローズを指し得る。例えば、伸縮継手は、熱膨張及び収縮によるシステム構成要素間の応力を低減するために使用され得る。1つ以上の実施形態では、伸縮継手282をばね支持体と組み合わせて使用して、反応容器250と外部ライザーセグメント232との間の熱膨張によって引き起こされる応力を軽減し得る。
【0072】
粒子状固体分離セクション210における分離後、使用済み粒子状固体は、再生セクション300に移送される。再生セクション300は、本明細書に記載されるように、反応器セクション200と多くの構造的類似性を共有し得る。したがって、再生セクション300の部分に割り当てられた参照番号は、反応器セクション200に関して使用されたものと類似しており、参照番号の最後の2桁が同じである場合、反応器セクション200及び再生セクション300の所与の部分は、同様の機能を果たし得、同様の物理的構造を有し得る。したがって、反応器セクション200に関する本開示の多くは、再生セクション300に等しく適用され得、反応器セクション200と再生セクション300との間の区別は、以下で強調される。
【0073】
ここで再生セクション300を参照すると、
図1に描写されるように、再生セクション300の粒子状固体処理容器350は、1つ以上の反応器容器入口ポート352と、ライザー330の外部ライザーセグメント332と流体連通するか、又は更に直接接続された、反応器容器出口ポート354と、を含み得る。粒子状固体処理容器350は、スタンドパイプ126を介して粒子状固体分離セクション210と流体連通し得、スタンドパイプ126は、使用済み粒子状固体を反応器セクション200から再生セクション300に、再生のために供給し得る。粒子状固体処理容器350は、気体入口128が粒子状固体処理容器350に接続する、追加の反応器容器入口ポート352を含み得る。気体入口128は、粒子状固体を少なくとも部分的に再生するために使用され得る、空気を含む補助燃料気体及び酸素含有気体などの反応性気体を供給し得る。1つ以上の実施形態では、粒子状固体処理容器350は、複数の追加の反応器容器入口ポートを備え得、各追加の反応器容器入口ポートは、異なる反応性流体を粒子状固体処理容器350に供給し得る。例えば、粒子状固体は、反応容器250における反応に続いてコークス化され得、コークスは、燃焼反応によって粒子状固体から除去され得る。例えば、空気などの酸素含有気体が、気体入口128を介して粒子状固体処理容器350に供給されて、粒子状固体を酸化させ得るか、又は補助燃料が、粒子状固体処理容器350に供給され、かつ燃焼されて、粒子状固体を加熱し得る。
【0074】
1つ以上の実施形態では、粒子状固体を再生することは、酸素含有気体の存在下で行われ得、粒子状固体を再生することは、酸素含有気体との接触によって粒子状固体を酸化すること、粒子状固体上に存在するコークスを燃焼させること、又は粒子状固体を加熱するための補助燃料を燃焼させることのうちの1つ以上を含み得る。
【0075】
図1に描写されるように、粒子状固体処理容器350は、ライザー330の外部ライザーセグメント332に直接接続され得る。一実施形態では、粒子状固体処理容器350は、粒子状固体処理容器本体セクション356及び粒子状固体処理容器遷移セクション358を含み得る。粒子状固体処理容器本体セクション356は、概して、粒子状固体処理容器遷移セクション358よりも大きい直径を含み得、粒子状固体処理容器遷移セクション358は、粒子状固体処理容器遷移セクション358が粒子状固体処理容器本体セクション356から外部ライザーセグメント332へと内向きに突出するように、粒子状固体処理容器本体セクション356の直径のサイズから外部ライザーセグメント332の直径のサイズへとテーパ状であり得る。
【0076】
粒子状固体処理容器350及びライザー330が、熱膨張を受け得、上述したように、ばね支持体188によって支持され得ることを理解されたい。追加的に、粒子状固体処理容器350は、1つ以上の実施形態では、伸縮継手によってライザー330に接合され得る。例えば、伸縮継手は、粒子状固体処理容器350と外部ライザーセグメント332との間に位置付けられ得る。
【0077】
更に
図1を参照すると、粒子状固体分離セクション310は、粒子状固体分離セクション310の内部領域314を画定する外側シェル312を含む。外側シェル312は、気体出口ポート316、ライザーポート318、及び粒子状固体出口ポート322を備え得る。更に、外側シェル312は、粒子状固体分離セクション310の内部領域314に、気体/固体分離デバイス320及び固体粒子収集領域380を収容し得る。
【0078】
反応器セクション200と同様に、粒子状固体分離セクション310の外側シェル312は、粒子状固体分離セクション210に関して上述したように、粒子状固体分離セクション310の上部セグメント376、中間セグメント374、及び下部セグメント372を画定し得る。
【0079】
再び
図1を参照すると、ライザー330は、ライザーポート318を介して再生セクション300の内部領域314内に延在する。1つ以上の実施形態では、内部ライザーセグメント334は、粒子状固体分離セクション310の下部セグメント372の少なくとも一部分を通って延在する。1つ以上の実施形態では、内部ライザーセグメント334は、粒子状固体分離セクション310の下部セグメント372を通過しない。
【0080】
図1を参照すると、外側シェル312は、ライザー終端デバイス378を更に収容し得る。ライザー終端デバイスは、内部ライザーセグメント334に近接して位置付けられ得る。ライザー330を通過する煙道気体及び粒子状固体は、ライザー終端デバイス378によって少なくとも部分的に分離され得る。煙道気体及び残留粒子状固体は、粒子状固体分離セクション310内の二次分離デバイス320に輸送され得る。二次分離デバイス320は、気体/固体分離デバイス220に関して上述したように、サイクロン又は一連のサイクロンなどの、気体から固体粒子を分離するのに好適な任意のデバイスであり得る。二次分離デバイス320は、分離された粒子状固体を粒子状固体分離セクション310の上部セグメント376の底部、中間セグメント374、又は下部セグメント372に堆積させ得る。したがって、粒子状固体は、重力によって上部セグメント376の底部又は中間セグメント374から下部セグメント372に流れ得る。
【0081】
1つ以上の実施形態では、煙道気体は、粒子状固体分離セクション310の気体出口ポート316において、パイプ128を介して流体触媒反応器システム100から除去され得る。出口ポート316を通過した煙道気体は、煙道気体流610を形成することができる。1つ以上の実施形態では、煙道気体流610の少なくとも一部分及び酸素含有気体流630の少なくとも一部分は、再生器部分300の再生器容器350の下流に配設された気体予熱器600を通過することができる。気体予熱器600は、上記で詳細に説明され、
図4に描写されるように、シェルアンドチューブ熱交換器500であってもよい。シェルアンドチューブ熱交換器500は、煙道気体流610から酸素含有気体流630への熱伝達を介して、酸素含有気体流630の少なくとも一部分を加熱するように動作可能であり得る。したがって、シェルアンドチューブ熱交換器500は、シェルアンドチューブ熱交換器500の上流の煙道気体流610と比較して、供給物流予熱器を出る煙道気体流611の温度を低下させることができる。追加的に、シェルアンドチューブ熱交換器500は、シェルアンドチューブ熱交換器の上流の酸素含有気体流631と比較して、シェルアンドチューブ熱交換器を出る酸素含有気体流630の温度を上昇させることができる。
【0082】
1つ以上の実施形態では、酸素含有気体流630は、シェルアンドチューブ熱交換器500のシェル側522を通って流れることができ、煙道気体流610は、シェルアンドチューブ熱交換器500のチューブ側512を通って流れることができる。気体予熱器600は、流体触媒反応器システム100の反応器側200の供給物流予熱器400に関連して前述したようなシェルアンドチューブ熱交換器500を備えること、及び供給物流予熱器400に関連して説明されたシェルアンドチューブ熱交換器500に関する任意の開示は、同様に気体予熱器600に適用可能であること、を理解されたい。
【0083】
再び
図1を参照すると、粒子状固体分離セクション310の下部セグメント372は、下部セグメント372内での粒子状固体の蓄積を可能にし得る、固体粒子収集領域380を備え得る。1つ以上の実施形態では、固体粒子収集領域380は、酸素浸漬ゾーン、酸素ストリッピングゾーン、及び還元ゾーンのうちの1つ以上を備え得る。固体粒子収集領域380は、上述した粒子状固体出口ポート222と同様の粒子状固体出口ポート322を更に備え得る。
【0084】
1つ以上の実施形態では、スタンドパイプ124は、粒子状固体出口ポート322と流体連通し得、再生された粒子状固体は、スタンドパイプ124を通して再生セクション300から反応器セクション200に通過させられ得る。したがって、粒子状固体は、反応器システム100を通して連続的に再循環され得る。
【0085】
本開示の主題は、特定の実施形態を参照して詳細に説明されている。実施形態の構成要素又は特徴の任意の詳細な説明も、その構成要素又は特徴が特定の実施形態又は任意の他の実施形態に必須であることを必ずしも意味しないことを理解されたい。更に、特許請求される主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、説明した実施形態に様々な修正及び変更を加えることができることが、当業者には明らかであるはずである。
【0086】
本開示を記載及び定義する目的で、「約」又は「おおよそ」という用語は、任意の定量的比較、値、測定、又は他の表現に起因し得る固有の不確実性の程度を表現するために本開示において利用されることに留意されたい。「約」及び/又は「おおよそ」という用語はまた、問題である主題の基本的な機能に変化をもたらすことなく、定量的表現が記述の基準から変動し得る程度を表すために本開示において利用される。
【0087】
以下の特許請求の範囲のうちの1つ以上は、「ここで(wherein)」という用語を移行句として利用していることに留意されたい。本技術を定義する目的で、この用語は、構造の一連の特徴の列挙を導入するために使用される制限のない移行句として特許請求の範囲に導入され、より一般的に使用される制限のない「含む(comprising)」というプリアンブル用語と同様に解釈されるべきであることに留意されたい。
【0088】
第1の構成要素が第2の構成要素を「含む(comprising)」と説明される場合、いくつかの実施形態では、第1の構成要素が、その第2の構成要素「からなる(consist)」又は「から本質的になる(consist essentially of)」ことが企図されることを理解されたい。第1の構成要素が第2の構成要素を「含む」と説明される場合、いくつかの実施形態では、第1の構成要素が、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は更に少なくとも99%のその第2の構成要素を含むことが企図されることを更に理解されるべきである(ここで、%は、重量%又はモル%であり得る)。
【0089】
追加的に、「から本質的になる」という用語は、本開示において、本開示の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない定量値を指すために使用される。例えば、特定の化学成分又は化学成分の群「から本質的になる」化学組成物は、組成物が少なくとも約99.5%のその特定の化学成分又は化学成分の群を含むことを意味することを理解されたい。
【0090】
特性に割り当てられた任意の2つの定量値が、その特性の範囲を構成し得、所与の特性の全ての記述された定量値から形成される範囲の全ての組み合わせが、本開示において企図されることを理解されたい。組成物中の化学成分の組成範囲が、いくつかの実施形態では、その成分の異性体の混合物を含有すると理解されるべきであることを理解されたい。追加の実施形態では、化合物は、誘導体、塩、水酸化物などの代替形態で存在し得る。
【国際調査報告】